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特表2022-521359患者インターフェースのための位置決めおよび安定化構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(54)【発明の名称】患者インターフェースのための位置決めおよび安定化構造
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
A61M16/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021571058
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(85)【翻訳文提出日】2021-10-18
(86)【国際出願番号】 IB2020051268
(87)【国際公開番号】W WO2020170100
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】2019900507
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519092325
【氏名又は名称】レスメド アジア ピーティーイー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ResMed Asia Pte Ltd
【住所又は居所原語表記】8 Loyang Crescent,#05-01,Singapore,509016 Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ワイ・ホン・レン
(57)【要約】
患者インターフェースは、ヘッドギアを有する位置決めおよび安定化構造を含む。このヘッドギアは、使用時において患者の頭部の頭頂骨に載置されるように構成された上部と、使用時において患者の頭部の後頭骨に載置されるかまたは患者の頭部の後頭骨の下側に配置されるように構成された下部と共にリングストラップ部を備える。リングストラップ部により、上耳底の上方の患者の頭部の各側部において使用時においてリングストラップ部とクッションアセンブリとの間を接続させるように構成された一対の上ストラップ部を有するループが規定される。ヘッドギアは、剛性化部を含み得る。ヘッドギアは、横編によって一体形成され得、ストラップ部は、締結部の場所について触知通知を提供するブラインドガイドを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流れを周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において少なくとも患者の鼻孔入口を含む患者の気道への入口へ密閉された様態で送達するための患者インターフェースであって、前記患者インターフェースは、患者の睡眠中において、患者の呼吸サイクル全体において使用時に周囲空気圧力よりも高い約4cmHO~約30cmHOの範囲の治療圧力を維持して、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成され、前記患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmHOの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供する位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、タイを含み、タイは、使用時に少なくとも一部が患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部の領域に載置されるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造と、
前記患者が呼気したガスが連続的に前記プレナムチャンバ内部から周囲へ連続的に流れることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
前記患者インターフェースは、前記プレナムチャンバ入口ポートを通じた加圧空気流れが無い場合に前記患者が自身の口腔を通じて雰囲気から呼吸することを可能にするように構成されるか、あるいは、前記患者インターフェースは、前記患者の口腔を露出させたままにするように構成され、
前記位置決めおよび安定化構造が、
リングストラップ部であって、使用時において患者の頭部の頭頂骨上に載置されるように構成された上部と有し、使用時において患者の頭部後頭骨上に載置されるかまたは患者の頭部後頭骨の下側に配置されるように構成された下部を有し、リングストラップ部によりループが規定される、リングストラップ部と、
上耳底の上方の患者の頭部の各側部において使用時においてリングストラップ部とクッションアセンブリとの間を接続させるようにそれぞれ構成された一対の上ストラップ部と、を含み、
リングストラップ部は、リングストラップ部によって規定されたループの長さに沿って設けられた剛性化部を含む、患者インターフェース。
【請求項2】
前記剛性化部は、前記リングストラップ部によって規定されたループの長さ全体に沿って実質的に設けられる、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項3】
前記剛性化部は、前記リングストラップ部の内周の近隣において前記リングストラップ部へ設けられる、請求項1または2に記載の患者インターフェース。
【請求項4】
前記剛性化部は、前記リングストラップ部の内周の少なくとも一部を規定する、請求項3に記載の患者インターフェース。
【請求項5】
前記剛性化部は、前記リングストラップ部の内周全体を実質的に形成する、請求項3または4に記載の患者インターフェース。
【請求項6】
前記剛性化部は、前記リングストラップ部の内周と、前記リングストラップ部の外周との間に実質的に中央に設けられる、請求項1または2に記載の患者インターフェース。
【請求項7】
前記上ストラップ部は、ストレッチ可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項8】
前記剛性化部は、実質的にストレッチ不可能である、請求項1~7のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項9】
前記リングストラップ部は、円形縁部を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項10】
前記剛性化部の材料厚さは、前記リングストラップ部の隣接部位よりも大きい、請求項1~9のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項11】
前記リングストラップ部の患者接触側は、実質的に平坦であり、より大きな材料厚さが、前記リングストラップ部の患者非接触側へ付与される、請求項10に記載の患者インターフェース。
【請求項12】
前記リングストラップ部の厚さは、前記剛性化部において4mmである、請求項10または11に記載の患者インターフェース。
【請求項13】
前記リングストラップ部の厚さは、前記リングストラップ部のうち剛性化部以外の領域において2.5mmである、請求項10~12のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項14】
前記剛性化部は、前記リングストラップ部の他の領域においてよりも前記リングストラップ部のうち前記上ストラップ部の近隣の領域においてより大きい、請求項1~13のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項15】
前記剛性化部は、前記リングストラップ部の他の領域においてよりも前記上ストラップ部においてより幅広である、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項16】
前記リングストラップ部は、通気部において前記リングストラップ部を通じてより高い通気性を提供するような構造および/または配置された少なくとも1つの通気部を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項17】
前記通気部は、ピケメッシュ編物構造を有する編布を含む、請求項16に記載の患者インターフェース。
【請求項18】
前記通気部は、前記リングストラップ部の他の部位よりも伸縮可能性が低い、請求項16または17に記載の患者インターフェース。
【請求項19】
前記剛性化部は、前記通気部を包囲する、請求項16~18のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項20】
前記リングストラップ部は、一対の上側通気部を含み、各上側通気部は、各上ストラップ部の近隣に設けられる、請求項16~19のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項21】
前記剛性化部は、前記上側通気部それぞれを包囲する、請求項20に記載の患者インターフェース。
【請求項22】
前記剛性化部の材料厚さは、前記上側通気部それぞれの前側においてよりも、前記上側通気部それぞれの後側において大きい、請求項21に記載の患者インターフェース。
【請求項23】
前記位置決めおよび安定化構造は、一対の下ストラップ部を含み、各下ストラップ部は、使用時において上耳底の下側の患者の頭部の各側部においてリングストラップ部とクッションアセンブリとの間に接続するように構成される、請求項1~22のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項24】
前記リングストラップ部は、前記一対の下ストラップ部間に設けられた下側通気部を含む、請求項23に記載の患者インターフェース。
【請求項25】
前記下側通気部は、前記リングストラップ部の下縁部から間隔を空けて配置された下縁部を含む、請求項24に記載の患者インターフェース。
【請求項26】
前記下側通気部の下縁部の曲率は、前記リングストラップ部の下縁部よりも高いため、使用時において患者の頭部の矢状面またはその近隣において下側通気部の下縁部とリングストラップ部の下縁部との間に最大間隔が得られる、請求項25に記載の患者インターフェース。
【請求項27】
前記下ストラップ部は、ストレッチ可能である、請求項23~26のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項28】
前記リングストラップ部は、編布構造を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項29】
前記リングストラップ部は、横編によって形成される、請求項28に記載の患者インターフェース。
【請求項30】
前記リングストラップ部は、単一のジャージー編物構造を含む、請求項28または29に記載の患者インターフェース。
【請求項31】
前記リングストラップ部は、ダブルジャージーループ形成編物構造を含む、請求項28または29に記載の患者インターフェース。
【請求項32】
前記剛性化部は、ピケ編物構造を含む、請求項28~31のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項33】
前記リングストラップ部の上部は、患者の頭部の矢状面の近隣において調節可能に相互に接続された一対の頭上ストラップ部を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項34】
前記頭上ストラップ部は、バックルへ調節可能に接続される、請求項33に記載の患者インターフェース。
【請求項35】
前記頭上ストラップ部は、面ファスナー材料を含み、前記面ファスナー材料により、前記頭上ストラップ部それぞれをバックルの一部を通じて送って、自身の上に固定することが可能になる、請求項33または34に記載の患者インターフェース。
【請求項36】
前記位置決めおよび安定化構造は、前記プレナムチャンバへ接続されたフレームを含み、前記上ストラップ部は、前記フレームへ接続するように構成される、請求項1~35のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項37】
空気流れを周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において少なくとも患者の鼻孔入口を含む患者の気道への入口へ密閉された様態で送達するための患者インターフェースであって、前記患者インターフェースは、患者の睡眠中において、患者の呼吸サイクル全体において使用時に周囲空気圧力よりも高い約4cmHO~約30cmHOの範囲の治療圧力を維持して、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成され、前記患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmHOの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供する位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、タイを含み、タイは、使用時に少なくとも一部が患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部の領域に載置されるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造と、
前記患者が呼気したガスが連続的に前記プレナムチャンバ内部から周囲へ連続的に流れることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
前記患者インターフェースは、前記プレナムチャンバ入口ポートを通じた加圧空気流れが無い場合に前記患者が自身の口腔を通じて雰囲気から呼吸することを可能にするように構成されるか、あるいは、前記患者インターフェースは、前記患者の口腔を露出させたままにするように構成され、
前記位置決めおよび安定化構造は、クッションアセンブリへ接続するように構成された少なくとも1つのストラップを含み、前記ストラップは、編布から形成され、ストラップの端部の近隣の締結部を含み、前記締結部は、ストラップを自身にループバックさせて、自身に締結させて、クッションアセンブリへ接続するような構造および/または配置され、
前記ストラップは、少なくとも1つのブラインドガイドを含み、前記少なくとも1つのブラインドガイドは、編布によって形成され、前記ストラップ上の締結部の場所の触知通知を提供するように構成される、患者インターフェース。
【請求項38】
前記ストラップは、横編によって形成される、請求項37に記載の患者インターフェース。
【請求項39】
前記ストラップは、非患者接触面を含み、前記少なくとも1つのブラインドガイドは、非患者接触面に対して隆起された隆起部および/または非患者接触面に対して凹状にされた凹部を含む、請求項37または38に記載の患者インターフェース。
【請求項40】
前記隆起部および/または凹部は、前記ストラップの締結部のうち少なくとも一部を包囲する、請求項39に記載の患者インターフェース。
【請求項41】
前記隆起部は、細長の隆起外形をストラップの非患者接触面上に含む、請求項39または40に記載の患者インターフェース。
【請求項42】
前記細長の隆起外形は、前記締結部の1つ以上の縁部に設けられる、請求項41に記載の患者インターフェース。
【請求項43】
前記細長の隆起外形は、使用時において上縁部、後縁部および下縁部である締結部の縁部に設けられる、請求項42に記載の患者インターフェース。
【請求項44】
前記細長の隆起外形は、円形の隆起面を含む、請求項39~43のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項45】
前記隆起部は、前記ストラップの隣接領域と比較して肉厚のストラップによって形成され、前記凹部は、前記ストラップの隣接領域と比較して肉薄のストラップによって形成される、請求項39~44のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項46】
前記ストラップの締結部は、面ファスナー材料を含む、請求項37~45のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項47】
前記締結部は、フック材料およびループ材料のうち一方が前記ストラップの非患者接触面に設けられた端部と、フック材料およびループ材料のうち他方が前記非患者接触面に設けられた中間部とを含む、請求項46に記載の患者インターフェース。
【請求項48】
前記中間部は、端部よりも長尺である、請求項47に記載の患者インターフェース。
【請求項49】
前記ストラップおよびブラインドガイドは、一体形成される、請求項37~48のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項50】
前記ストラップおよびブラインドガイドは、単一の編みプロセス時に形成される、請求項37~49のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項51】
前記ブラインドガイドは、ピケ編物構造を含む、請求項37~50のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項52】
前記ストラップは、単一のジャージー編物構造を含む、請求項37~51のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項53】
前記ストラップは、前記患者インターフェースのフレームを介して前記クッションアセンブリへ接続する、請求項37~52のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項54】
前記ストラップは:
使用時において患者の頭部の頭頂骨上の患者の頭部に対して載置されるように構成された上部と有し、使用時において患者の頭部後頭骨上の患者の頭部に対して載置されるかまたは患者の頭部後頭骨の下側に配置されるように構成された下部を有するリングストラップ部、および
上耳底点の上方の患者の頭部の各側部において使用時においてリングストラップ部とクッションアセンブリとの間を接続させるようにそれぞれ構成された一対の上ストラップ部
を含む、請求項37~53のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項55】
前記ストラップは、一対の下ストラップ部を含み、各下ストラップ部は、使用時において上耳底の下側の患者の頭部の各側部においてリングストラップ部とクッションアセンブリとの間に接続するように構成される、請求項54に記載の患者インターフェース。
【請求項56】
空気流れを周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において少なくとも患者の鼻孔入口を含む患者の気道への入口へ密閉された様態で送達するための患者インターフェースであって、前記患者インターフェースは、患者の睡眠中において、患者の呼吸サイクル全体において使用時に周囲空気圧力よりも高い約4cmHO~約30cmHOの範囲の治療圧力を維持して、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成され、前記患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmHOの治療圧力まで加圧可能であるキャビティを少なくとも部分的に形成するプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
患者の顔の鼻ブリッジ領域の下方の患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対して圧力アシストシールを形成するように構築および配置された織物膜を有するシール形成構造であって、前記織物膜は、前記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達されるように、その中に形成された穴を有し、前記シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をキャビティ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供する位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、使用時に少なくとも一部が患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部の領域に載置されるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造と、を含み、
前記位置決めおよび安定化構造は、単一の材料ピースのワンピース型の編物ヘッドギアストラップを含み、前記編物ヘッドギアストラップは、
第1の編構造を有する少なくとも1つの第1の領域と、
前記第1の領域よりも可撓性が高い少なくとも1つの通気領域を形成する第2のメッシュ編構造を有する、少なくとも1つの第2の領域と、
剛性化編構造が少なくとも1つの通気領域に直接隣接する少なくとも1つの第3の領域を含み、前記剛性化編構造は、第1の編構造および第2のメッシュ編構造と比較してより高い剛性を有する、患者インターフェース。
【請求項57】
前記剛性化編構造は、少なくとも1つの通気領域を包囲する、請求項56に記載の患者インターフェース。
【請求項58】
前記剛性化編構造は、ピケ編構造である、請求項56または57に記載の患者インターフェース。
【請求項59】
前記ピケ編構造は、ピケリブ構造である、請求項58に記載の患者インターフェース。
【請求項60】
前記第2のメッシュ編構造は、ピケメッシュ編構造である、請求項56~58のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項61】
前記通気領域は、少なくとも1つの第1の領域および少なくとも1つの第3の領域と比較してより高い通気性を有する、請求項56~60のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項62】
前記編物ヘッドギアストラップは、リングストラップ部を含み、前記リングストラップ部は、使用時において患者の頭部の頭頂骨上に載置されるように構成された上部と有し、使用時において患者の頭部後頭骨上に載置されるかまたは患者の頭部後頭骨の下側に配置されるように構成された下部を有し、前記リングストラップ部によりループが規定される、請求項56~61のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項63】
前記リングストラップ部は、内縁および外縁を有し、前記剛性化編構造は、前記リングストラップ部の内縁に沿って延びる、請求項62に記載の患者インターフェース。
【請求項64】
前記剛性化編構造により、前記リングストラップ部の内縁全体に沿って延びるループが形成される、請求項63に記載の患者インターフェース。
【請求項65】
前記リングストラップ部は、少なくとも1つの通気領域を含む、請求項62~64のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項66】
前記編物ヘッドギアストラップは、患者の頭部の後頭骨上に載置されかつ/または使用時において患者の頸部に対して配置されるように構成された頸部ストラップ部をさらに含み、前記頸部ストラップ部は、少なくとも1つの通気領域を含む、請求項56~65のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項67】
前記第1の編構造は、ジャージー編構造である、請求項56~66のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項68】
睡眠呼吸障害の治療に使用する治療システムであって、
請求項56~67のいずれか一項に記載の患者インターフェース;
陽圧における呼吸可能なガスを供給する呼吸圧力治療(RPT)デバイス;および
呼吸可能なガスを前記RPTデバイスから前記患者インターフェースに通過させるための空気送達管を含む、治療システム。
【請求項69】
空気流れを周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において少なくとも患者の鼻孔入口を含む患者の気道への入口へ密閉された様態で送達するための患者インターフェースであって、前記患者インターフェースは、患者の睡眠中において、患者の呼吸サイクル全体において使用時に周囲空気圧力よりも高い約4cmHO~約30cmHOの範囲の治療圧力を維持して、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成され、前記患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmHOの治療圧力まで加圧可能であるキャビティを少なくとも部分的に形成するプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
患者の顔の鼻ブリッジ領域の下方の患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対して圧力アシストシールを形成するように構築および配置された織物膜を有するシール形成構造であって、前記織物膜は、前記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達されるように、その中に形成された穴を有し、前記シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をキャビティ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供する位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、使用時に少なくとも一部が患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部の領域に載置されるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造と、を含み、
前記位置決めおよび安定化構造は、単一の材料ピースのワンピース型の編物ヘッドギアストラップを含み、前記編物ヘッドギアストラップは、
第1の編構造を有する第1の領域と、
第2のピケ編構造を有する第2の領域を含み、前記第2のピケ編構造は、前記第1の編構造よりも高い剛性を有し、
前記第2のピケ編構造は、前記編物ヘッドギアストラップの第1の縁部に沿って延び、前記第1の編構造に直接隣接する、患者インターフェース。
【請求項70】
前記第1の編構造は、前記編物ヘッドギアストラップの第2の縁部に沿って延びる、請求項69に記載の患者インターフェース。
【請求項71】
前記編物ヘッドギアストラップは、リングストラップ部を含み、前記リングストラップ部は、使用時において患者の頭部の頭頂骨上に載置されるように構成された上部と有し、使用時において患者の頭部後頭骨上に載置されるかまたは患者の頭部後頭骨の下側に配置されるように構成された下部を有し、前記リングストラップ部によりループが規定される、請求項69または70に記載の患者インターフェース。
【請求項72】
前記リングストラップ部は、内縁および外縁を有し、前記編物ヘッドギアストラップの第1の縁部により、前記リングストラップ部の内縁が形成される、請求項71に記載の患者インターフェース。
【請求項73】
前記第1の編構造は、前記編物ヘッドギアストラップの第2の縁部に沿って延び、前記編物ヘッドギアストラップの第2の縁部により、前記リングストラップ部の外縁が形成される、請求項72に記載の患者インターフェース。
【請求項74】
前記第1の編構造は、前記第2のピケ編構造と比較してより高い伸縮可能性を有する、請求項69~73のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項75】
前記編物ヘッドギアストラップは、第3のメッシュ編構造を有する第3の領域をさらに含み、前記第3のメッシュ編構造は、前記第1の編構造および第2のピケ編構造よりも低剛性である、請求項69~74のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項76】
前記第3のメッシュ編構造は、ピケメッシュ編構造である、請求項75に記載の患者インターフェース。
【請求項77】
前記第2のピケ編構造は、前記第3のメッシュ編構造に直接隣接する、請求項75または76に記載の患者インターフェース。
【請求項78】
前記第3のメッシュ編構造により、前記第1の領域および第2の領域よりも通気性が高い通気領域が形成され、前記第2のピケ編構造は、前記通気領域を包囲する、請求項75~77のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項79】
前記第1の編構造は、ジャージー編構造である、請求項69~78のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項80】
睡眠呼吸障害の治療に使用する治療システムであって、
請求項69~79のいずれか一項に記載の患者インターフェース;
陽圧における呼吸可能なガスを供給する呼吸圧力治療(RPT)デバイス;および
呼吸可能なガスを前記RPTデバイスから前記患者インターフェースに通過させるための空気送達管を含む、治療システム。
【請求項81】
患者インターフェースのための位置決めおよび安定化構造を形成する方法であって、前記位置決めおよび安定化構造は、睡眠呼吸障害の療法のためにシール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成され、前記方法は、
ワンピースのヘッドギアストラップを単一の材料ピースとして直接最終形状に編むステップを含み、前記ステップは、
第1の編構造を有する前記ヘッドギアストラップの少なくとも1つの第1の領域を編むことと、
第1の領域よりも高い可撓性を有するヘッドギアストラップの少なくとも1つの通気領域を形成する第2のメッシュ編構造を有するヘッドギアストラップの少なくとも1つの第2の領域を編むことと、
第1の編構造および第2のメッシュ編構造と比較してより高い剛性を有する剛性化編構造が少なくとも1つの通気領域に直接隣接するヘッドギアストラップの少なくとも1つの第3の領域を編むことと、を含み、
前記ヘッドギアストラップは、複数のストラップ部を含み、前記複数のストラップ部は、前記シール形成構造を使用時において患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するように、クッションアセンブリへ接続するように構成される、方法。
【請求項82】
ワンピースのヘッドギアストラップを編むステップは、単一の横編プロセスを含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記剛性化編構造は、少なくとも1つの通気領域を包囲する、請求項81または82に記載の方法。
【請求項84】
前記剛性化編構造は、ピケ編構造である、請求項81~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記第2のメッシュ編構造は、ピケメッシュ編構造である、請求項81~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記通気領域は、少なくとも1つの第1の領域および少なくとも1つの第3の領域と比較してより高い通気性を有する、請求項81~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
編物ヘッドギアストラップは、リングストラップ部を含み、前記リングストラップ部は、使用時において患者の頭部の頭頂骨上に載置されるように構成された上部と有し、使用時において患者の頭部後頭骨上に載置されるかまたは患者の頭部後頭骨の下側に配置されるように構成された下部を有し、前記リングストラップ部によりループが規定される、請求項81~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記リングストラップ部は、内縁および外縁を有し、前記剛性化編構造は、前記リングストラップ部の内縁に沿って延びる、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記剛性化編構造により、前記リングストラップ部の内縁全体に沿って延びるループが形成される、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記第1の編構造は、ジャージー編構造である、請求項81~89のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1 関連出願の相互参照
本出願は、2019年2月18日に出願されたオーストラリア国仮出願第2019900507号の恩恵を主張する。本明細書中、同文献それぞれの全体を参考のため援用する。
【0002】
2 技術の背景
2.1 技術の分野
本技術は、呼吸関連疾患のスクリーニング、診断、監視、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。本技術はまた、医療デバイスまたは装置と、その使用とに関する。
【背景技術】
【0003】
2.2 関連技術の説明
2.2.1 ヒトの呼吸器系およびその疾患
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口は、患者の気道への入口を形成する。
【0004】
これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸領域と呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2012。
【0005】
一定範囲の呼吸器疾患が存在している。特定の疾患は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
【0006】
呼吸器疾患の例には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)および胸壁疾患が含まれる。
【0007】
このような状態を治療または改善するために、一定範囲の治療が用いられている。さらに、その他の点では健常人も、呼吸器疾患の予防治療を有利に利用することができる。しかし、これらにおいては、複数の欠陥がある。
【0008】
2.2.2 治療法
多様な療法(例えば、持続的気道陽圧(CPAP)治療法、非侵襲的換気(NIV)および侵襲的換気(IV))が上記の呼吸器疾患の1つ以上の治療のために用いられている。
【0009】
持続的気道陽圧(CPAP)療法が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用機構としては、例えば軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進または後退させることにより、持続陽圧呼吸療法が空気スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を防止し得る。CPAP治療によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が治療の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が治療を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
【0010】
2.2.3 治療システム
これらの治療は、治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾患を治療することなくスクリーニング、診断、または監視するためにも、用いられ得る。
【0011】
治療システムは、呼吸圧力治療デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、およびデータ管理を含み得る。
【0012】
別の形態の治療システムとして、下顎再位置決めデバイスがある。
【0013】
2.2.3.1 患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口へのマスク、口への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域とのシールを形成し得、これにより、療法実行のための雰囲気圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば雰囲気圧力に対して約10cmHOの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmHOの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。
【0014】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護することと、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないこととを行うように、構成され得る。
【0015】
特定のマスクは、本技術において臨床的に好ましく無い場合があり得る(例えば、マスクが鼻を介して気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合)。
【0016】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介して密閉状態を生成および維持しなければならない場合、本技術において不快であるかまたは非実際的である場合がある。
【0017】
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実際的である場合がある。
【0018】
患者インターフェースの設計においては、複数の課題がある。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻および頭のサイズおよび形状は、個人によって大きく異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的力に対して異なる反応を示す。すなわち、顎部または下顎は、頭蓋骨の他の骨に相対して動き得る。頭部全体は、呼吸治療期間を通じて動き得る。
【0019】
これらの課題に起因して、いくつかのマスクの場合、特に装着時間が長い場合または患者がシステムに不慣れである場合、押しつけがましい、美観的に望ましくない、コストが高い、フィット感が悪い、使用が困難、および不快感があるなどの理由のうち1つ以上がある。誤ったサイズのマスクが用いられた場合、コンプライアンスの低下、快適性の低下および患者予後の低下に繋がり得る。飛行士専用のマスク、個人用保護装具(例えば、フィルターマスク)、SCUBAマスクの一部として設計されたマスク、または麻酔投与用マスクは、その元々の用途には耐えられるものの、このようなマスクの場合、長時間(例えば、数時間)にわたって装着するには望ましくないほど不快な場合がある。このような不快感に起因して、治療に対する患者のコンプライアンスが低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠時に装着する必要がある場合、特に当てはまる。
【0020】
CPAP治療は、患者が治療を承諾している場合、特定の呼吸器疾患の治療においては極めて効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、治療を承諾しない場合がある。患者はマスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組立または分解が困難である場合)、患者は、マスクを清浄することができず、患者のコンプライアンスに影響が出る場合がある。
【0021】
他の用途(例えば、飛行士)用のマスクの場合、睡眠呼吸障害の治療の使用には不適である場合があるため、睡眠呼吸障害の治療の使用のために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
【0022】
これらの理由のめ、睡眠時のCPAP送達のための患者インターフェースは、明瞭な分野を形成する。
【0023】
2.2.3.1.1 シール形成構造
患者インターフェースは、シール形成構造を含み得る。患者インターフェースは、患者の顔と直接接触するため、シール形成構造の形状および構成は、患者インターフェースの有効性および快適性に直接影響を持ち得る。
【0024】
患者インターフェースは、使用時にシール形成構造を顔と係合させる場所の設計意図に従って、部分的に特徴付けられ得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、左鼻孔の周囲にシールを形成するための第1のサブ部分と、右鼻孔の周囲にシールを形成するための第2のサブ部分とを含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時において双方の鼻孔を包囲する単一の要素を含み得る。このような単一の要素は、例えば顔の上唇領域および鼻ブリッジ領域上に載置されるように、設計され得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に例えば顔の下唇領域上にシールを形成することにより口領域を包囲する要素を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に双方の鼻孔および口領域を包囲する単一の要素を含み得る。これらの異なる種類の患者インターフェースは、その製造業者によって鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕、鼻パフおよび口鼻マスクなどの多様な名称によって公知であり得る。
【0025】
患者の顔の一領域において有効であり得るシール形成構造は、例えば患者の顔の異なる形状、構造、変化性および感受性領域に起因して、別の領域において不適切であり得る。例えば、患者の前額上に載置される水泳用ゴーグルの密閉部は、患者の鼻上における使用には不適切である場合がある。
【0026】
特定のシール形成構造は、広範囲の異なる顔形状およびサイズに対して1つの設計が適合し、快適でありかつ有効になるように、大量製造用に設計され得る。密閉部を形成するためには、患者の顔の形状と、大量製造された患者インターフェースのシール形成構造との間の不整合がある範囲まで、一方または双方を適合させる必要がある。
【0027】
1つの種類のシール形成構造は、患者インターフェースの周囲を包囲して延び、シール形成構造が患者の顔に対向して係合している状態で力が患者インターフェースへ付加された際、患者の顔を密閉することを意図する。このシール形成構造は、空気または流体充填クッションを含み得るか、または、ゴムなどのエラストマーによって構成された弾力性のある密閉要素の成形されたかまたは形成された表面を含み得る。この種のシール形成構造により、フィット感が不適切である場合、シール形成構造と顔との間に隙間が発生し、密閉を達成するには、患者インターフェースを顔に押しつけるためにさらなる力が必要になる。
【0028】
別の種類のシール形成構造は、陽圧がマスク内に付加された際に患者の顔に対して自己気密作用を提供するように、マスクの周囲の周辺に配置された薄材のフラップシールを使用する。先述の種類のシール形成部分と同様に、顔とマスクとの間の整合が良くない場合、密閉を達成するために必要なさらなる力が必要になり得るか、またはマスクから漏洩が発生し得る。さらに、シール形成構造の形状が患者の形状と整合しない場合、使用時においてシール形成部分に折り目または座屈が発生し、漏洩の原因になる。
【0029】
別の種類のシール形成構造は、例えば鼻孔中へ挿入される摩擦嵌め要素を含み得るが、これらのシール形成部分を不快であると感じる患者も存在する。
【0030】
別の形態のシール形成構造は、密閉を達成するために接着部を用い得る。患者の中には、常に接着部を自身の顔に貼り付けるかまたは取り外すことが不便であると感じる患者もいる。
【0031】
一定範囲の患者インターフェースシール形成構造の技術について、(ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願:WO1998/004,310;WO2006/074,513;WO2010/135,785)に開示がある。
【0032】
鼻枕の一形態が、Puritan Bennettによって製造されたAdam回路において見受けられる。別の鼻枕または鼻パフが、Puritan-Bennett Corporationへ譲渡された米国特許第4、782、832号(Trimbleら)の主題になっている。
【0033】
ResMed Limitedは、鼻枕を用いた以下の製品を製造している:SWIFT(登録商標)鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)II鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)LT鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)FX鼻枕マスクおよびMIRAGELIBERTY(登録商標)フルフェイス型マスク。ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願において、鼻枕マスクの実施例についての記載がある:国際特許出願WO2004/073、778号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)鼻枕の様相を記載)、米国特許出願第2009/0044808号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)LT鼻枕の様相を記載);国際特許出願WO2005/063、328号およびWO2006/130、903号(特に、ResMed LimitedのMIRAGE LIBERTY(登録商標)フルフェイスマスクの様相を記載);国際特許出願WO2009/052、560号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)FX鼻枕の様相を記載)。
【0034】
2.2.3.1.2 位置決めおよび安定化
陽圧空気治療に用いられる患者インターフェースのシール形成構造は、密閉を妨害する空気圧力の対応する力を受ける。そのため、シール形成構造を位置決めすることと、顔の適切な部分に対して密閉を維持することとを行うために、多様な技術が用いられている。
【0035】
1つの技術において、接着部が用いられる。例えば、特許文献1:米国特許出願公開US2010/0000534号を参照されたい。しかし、接着部を用いた場合、不快感がある場合がある。
【0036】
別の技術において、1つ以上のストラップおよび/または安定化ハーネスが用いられる。多数のこのようなハーネスの場合、フィット感が悪い、かさばる、不快および扱いにくいなどの点のうち1つ以上が当てはまる。
【0037】
2.2.3.2 呼吸圧力治療(RPT)デバイス
呼吸圧力治療(RPT)デバイスは、例えばデバイスを作動させて気道へのインターフェースへの空気送達流れを生成することにより、上記した複数の治療のうち1つ以上の送達に個別的に、またはシステムの一部として用いられ得る。この空気流れは、加圧され得る。RPTデバイスの例を挙げると、CPAPデバイスおよび人工呼吸器がある。
【0038】
2.2.3.3 加湿器
空気流れの送達を加湿無しで行った場合、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイスおよび患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生成されるため、鼻粘膜の乾燥が最小化され、患者気道の快適性が増加する。加えて、より冷涼な気候においては、概して患者インターフェースの周囲の顔領域へ温風を付加すると、冷風の場合よりも快適性が高まる。
【0039】
2.2.3.4 データ管理
臨床的理由により、呼吸治療が処方された患者が「コンプライアンスを遵守している」(例えば、患者が自身のRPTデバイスを1つ以上の「コンプライアンスルール」に則っているか)を決定するためのデータを入手する場合がある。CPAP治療についてのコンプライアンスルールの一例として、患者がコンプライアンスを遵守しているとみなすためには、患者が連続30日間のうち少なくとも21日間にわたってRPTデバイスを一晩あたり少なくとも4時間にわたって使用する必要がある。患者のコンプライアンスを決定するためには、RPTデバイスのプロバイダ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)は、RPTデバイスを用いた患者の治療を記述するデータを手作業で入手し、所定期間にわたる使用率を計算し、これをコンプライアンスルールと比較し得る。ヘルスケアプロバイダが患者が自身のRPTデバイスをコンプライアンスルールに則って使用したと決定すると、当該ヘルスケアプロバイダは、患者がコンプライアンスを遵守している旨を第三者に通知し得る。
【0040】
患者の治療において、治療データの第三者または外部システムへの通信から恩恵を受ける他の態様があり得る。
【0041】
このようなデータを通信および管理するための既存のプロセスの場合、高コスト、時間がかかること、エラーの発生し易さのうち1つ以上が発生し得る。
【0042】
2.2.3.5 下顎の再位置決め
下顎再位置決めデバイス(MRD)または下顎前方固定デバイス(MAD)は、睡眠時無呼吸およびいびきの治療選択肢の1つである。これは、歯科医または他の供給業者から利用可能である調節可能な口腔用器具であり、下顎部(下顎)を睡眠時に前方位置に保持する。MRDは、取り外し可能なデバイスであり、患者の睡眠前に口腔内に挿入され、睡眠後に取り外される。そのため、MRDは、常時装着用途を想定した設計はされていない。MRDは、カスタム仕様にしてもよいし、あるいは、標準形態で製造してもよく、患者の歯に適合するように設計された咬合印象部位を含む。この下顎からの機械的突出部は、舌の後ろ側の空間を拡張させ、咽頭壁上へ張力を付加して、気道崩壊を低減させ、口蓋振動を低減させる。
【0043】
特定の実施例において、下顎前方固定デバイスは、上顎または上顎骨上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された上側スプリントと、上顎または下顎上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された下側スプリントとを含み得る。上側スプリントおよび下側スプリントは、一対の接続ロッドを介して相互に横方向に接続される。この1組の接続ロッドは、上側スプリントおよび下側スプリント上において対称に固定される。
【0044】
このような設計において、接続ロッドの長さは、MRDが患者の口中に配置されたときに下顎が前方位置に保持されるように、選択される。接続ロッドの長さは、下顎の突出レベルを変化させるように、調節され得る。歯科医は、突出レベルを下顎に合わせて決定することができ、その結果、接続ロッドの長さが決定される。
【0045】
下顎を上顎骨に対して前方に押し出すように構成されているMRDもあれば、ResMed Narval CC(登録商標)MRDなどの他のMADのように、下顎を前方位置に保持するように設計されているものもある。このデバイスにより、歯科的副作用および側頭/下顎間の関節(TMJ)の副作用も低下または最小化される。そのため、このデバイスは、歯のうち1つ以上の任意の移動を最小化または回避するように構成される。
【0046】
2.2.3.6 通気技術
いくつかの形態の治療システムは、吐き出された二酸化炭素を押し出すための通気部を含み得る。この通気部により、患者インターフェースの内部空間(例えば、プレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば、周囲)へのガス流れが可能になり得る。
【0047】
2.2.4 スクリーニング、診断システムおよびモニタリングシステム
睡眠ポリグラフ(PSG)は、心肺疾患の診断および監視のための従来のシステムであり、典型的には、システム適用のために専門家臨床スタッフを必要とすることが多い。PSGにおいては、多様な身体信号(例えば、脳波検査(EEG)、心電図検査(ECG)、電気眼球図記録(EOG)、筋電図描画法(EMG))を記録するために、典型的には15~20個の接触覚センサを人体上に配置する。睡眠時呼吸障害のPSGのめには、患者を専門病院において二晩にわたって観察する必要があった。すなわち、第一夜は純然たる診断のためであり、第二夜は、臨床医による治療パラメータのタイトレーションのために必要であった。そのため、PSGは高コストであり、利便性も低い。睡眠呼吸障害のスクリーニング/診断/監視は家庭において特に不向きである。
【0048】
一般に、スクリーニングおよび診断は、疾患の兆候と症状によって疾患を特定することである。通常、スクリーニングは、患者のSDBがさらなる調査を求める程であるかないかを示す真/偽結果を出すいっぽう、診断は、臨床で実行可能な情報を出すことが多い。スクリーニングおよび診断は、一回性手続きになる傾向であることに反して、疾患の経過をモニタリングすることは無限定に続けられる。いくつかのスクリーニング/診断システムは、スクリーニング/診断にのみ適合されているが、いくつかはモニタリングにも使用することができる。
【0049】
臨床専門家は、患者のスクリーニング、診断またはモニタリングをPSG信号の視覚的観察に基づいて適切に行い得る。しかし、臨床専門家が居ないまたは臨床専門家への支払いができない状況がある。患者の状態について臨床専門家によって意見が異なる場合がある。さらに、或る臨床専門家は、時期によって異なる基準を適用し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】米国特許出願公開US2010/0000534号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0051】
3 技術の簡単な説明
本技術は、呼吸器疾患のスクリーニング、診断、モニタリング、改善、治療または予防において用いられる医療機器の提供に関連し、これらの医療機器は、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。
【0052】
本技術の第1の態様は、呼吸器疾患のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防に用いられる装置に関連する。
【0053】
本技術の別の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防において用いられる方法に関連する。
【0054】
本技術の特定の形態の一態様は、呼吸治療についての患者のコンプライアンスを向上させる方法および/または装置を提供することである。
【0055】
本技術の一形態は、患者インターフェースのための位置決めおよび安定化構造を含み、位置決めおよび安定化構造は、横編によって形成された一体形成型ストラップを含む。ストラップは、4つの接続ポイントを介して患者インターフェースのフレームまたはプレナムチャンバへ接続し得る。
【0056】
本技術の別の形態は、患者インターフェースのための位置決めおよび安定化構造を含み、位置決めおよび安定化構造は、複数の編物構造を含む一体形成型編物ストラップを含み、各編物構造は、異なる機械的特性を含む。ストラップは、横編によって形成され得る。
【0057】
本技術の別の形態は、患者インターフェースのための位置決めおよび安定化構造を含む。位置決めおよび安定化構造は、少なくとも第1の部位および第2の部位を含む一体形成型編物ストラップを含み、第1の部位は、第2の部位と異なる弾性を有する。第1の部位は、患者の頭部の後面および上面に対向して配置されるように構成されたリングストラップ部を含み得る。第2の部位は、上ストラップ部を含み得る。上ストラップ部は、使用時において患者の顔に沿って配置され、リングストラップ部と患者インターフェースのプレナムチャンバとの間に接続するように構成される。ストラップは、横編によって形成され得る。
【0058】
本技術の別の形態は、患者インターフェースのための位置決めおよび安定化構造を含む。位置決めおよび安定化構造は、通気性がより高い領域を形成する複数の通気部を有する一体形成型編物ストラップを含む。通気部は、第1の編物構造を含み得、ストラップの他の部位は、第1の編物構造と異なる第2の編物構造を含み得る。通気部は、ピケメッシュ編物構造と共に形成され得る一方、ストラップの他の部位は、単一のジャージーまたはダブルジャージー編物構造と共に形成され得る。ストラップは、横編によって形成され得る。
【0059】
本技術の別の形態は、患者インターフェースのための位置決めおよび安定化構造を含む。位置決めおよび安定化構造は、リングストラップ部を含むストラップを含む。このリングストラップ部は、患者の頭部の後面および上面に対向して配置され、内周を有するループを規定するように構成される。リングストラップ部は、剛性化部をループの内周またはその近隣に含む。剛性化部は、第1の編物構造を含み得、リングストラップ部の他の部位は、第2の編物構造を含み得る。剛性化部は、ピケ編物構造を含み得る一方、ストラップの他の部位は、単一のジャージーまたはダブルジャージー編物構造を含み得る。ストラップは、横編によって形成され得る。
【0060】
本技術の別の形態は、患者インターフェースのための位置決めおよび安定化構造を含む。位置決めおよび安定化構造は、締結部を含むストラップを含む。締結部は、自身にループバックして自身に固定されて、ストラップを患者インターフェースのフレームまたはプレナムチャンバへ固定するように構成される。ストラップは、ストラップの締結部の場所の触知通知を提供するように構成されたブラインドガイドを含む。ストラップは、ブラインドガイドと一体形成され得る。ストラップは、横編によって形成され得る。
【0061】
本技術の別の形態は、空気流れを周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において少なくとも患者の鼻孔入口を含む患者の気道への入口へ密閉された様態で送達するための患者インターフェースを含む。この患者インターフェースは、患者の睡眠中において、患者の呼吸サイクル全体において使用時に周囲空気圧力よりも高い約4cmHO~約30cmHOの範囲の治療圧力を維持して、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成され、前記患者インターフェースは:1)周囲空気圧力を超える少なくとも6cmHOの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバ;2)患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造;3)シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供する位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、タイを含み、タイは、使用時に少なくとも一部が患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部の領域に載置されるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造;および4)患者が呼気したガスが連続的にプレナムチャンバ内部から周囲へ連続的に流れることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時にプレナムチャンバ内の治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造;を含み、患者インターフェースは、プレナムチャンバ入口ポートを通じた加圧空気の流れが無い場合に患者が自身の口腔を通じて周囲から呼吸できるように構成され、あるいは、患者インターフェースは、患者の口腔露出させたままにするように構成される。
【0062】
実施例において、a)位置決めおよび安定化構造は、1)使用時において患者の頭部の頭頂骨上に載置されるように構成された上部と有し、使用時において患者の頭部後頭骨上に載置されるかまたは患者の頭部後頭骨の下側に配置されるように構成された下部を有するリングストラップ部であって、リングストラップ部によりループが規定される、リングストラップ部と、2)上耳底点の上方の患者の頭部の各側部において使用時においてリングストラップ部とクッションアセンブリとの間を接続させるようにそれぞれ構成された一対の上ストラップ部を含み得る。b)リングストラップ部は、リングストラップ部によって規定されたループの長さに沿って設けられた剛性化部を含む。
【0063】
さらなる実施例において、a)剛性化部は、リングストラップ部によって規定されたループの長さ全体に沿って実質的に設けられ;b)剛性化部は、リングストラップ部の内周の近隣においてリングストラップ部へ設けられ;c)剛性化部は、リングストラップ部の内周の少なくとも一部を規定し;d)剛性化部は、リングストラップ部の内周全体を実質的に形成し;e)剛性化部は、リングストラップ部の内周と、リングストラップ部の外周との間に実質的に中央に設けられ;f)上ストラップ部は、ストレッチ可能であり;g)剛性化部は、実質的にストレッチ不可能であり;h)リングストラップ部は、円形縁部を含み;i)剛性化部の材料厚さは、リングストラップ部の隣接部位よりも大きく;j)リングストラップ部の患者接触側は、実質的に平坦であり、より大きな材料厚さが、リングストラップ部患者非接触側へ付与され;k)リングストラップ部の厚さは、剛性化部において4mmであり;l)リングストラップ部の厚さは、リングストラップ部のうち剛性化部以外の領域において2.5mmであり;m)剛性化部は、リングストラップ部の他の領域においてよりもリングストラップ部のうち上ストラップ部の近隣の領域においてより大きく;かつ/または、n)剛性化部は、リングストラップ部の他の領域においてよりも上ストラップ部においてより幅広である。
【0064】
さらなる実施例において、a)リングストラップ部は、通気部においてリングストラップ部を通じてより高い通気性を提供するような構造および/または配置された少なくとも1つの通気部を含み;b)通気部は、ピケメッシュ編物構造を有する編布を含み;c)通気部は、リングストラップ部の他の部位よりも伸縮可能性が低く;d)剛性化部は、通気部を包囲し;e)リングストラップ部は、一対の上側通気部を含み、各上側通気部は、各上ストラップ部の近隣に設けられ;f)剛性化部は、上側通気部それぞれを包囲し;g)剛性化部の材料厚さは、上側通気部それぞれの前側においてよりも、上側通気部それぞれの後側において大きく;h)位置決めおよび安定化構造は、一対の下ストラップ部を含み、各下ストラップ部は、使用時において上耳底の下側の患者の頭部の各側部においてリングストラップ部とクッションアセンブリとの間に接続するように構成され;i)リングストラップ部は、一対の下ストラップ部間に設けられた下側通気部を含み;j)下側通気部は、リングストラップ部の下縁部から間隔を空けて配置された下縁部を含み;k)下側通気部の下縁部の曲率は、リングストラップ部の下縁部よりも高いため、使用時において患者の頭部の矢状面またはその近隣において下側通気部の下縁部とリングストラップ部の下縁部との間に最大間隔が得られ;l)下ストラップ部は、ストレッチ可能であり;m)リングストラップ部は、編布構造を含み;n)リングストラップ部は、横編によって形成され;o)リングストラップ部は、単一のジャージー編物構造を含み;p)リングストラップ部は、ダブルジャージーループ形成編物構造を含み;q)剛性化部は、ピケ編物構造を含み;r)リングストラップ部の上部は、患者の頭部の矢状面の近隣において調節可能に相互に接続された一対の頭上ストラップ部を含み;s)頭上ストラップ部は、バックルへ調節可能に接続され;t)頭上ストラップ部は、面ファスナー材料を含み、面ファスナー材料により、頭上ストラップ部それぞれをバックルの一部を通じて送って、自身の上に固定することが可能になり;u)位置決めおよび安定化構造は、プレナムチャンバへ接続されたフレームを含み、上ストラップ部は、フレームへ接続するように構成され;かつ/または、v)位置決めおよび安定化構造は、フレームへ接続するように構成された下ストラップ部をさらに含む。
【0065】
本技術の別の形態は、空気流れを周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において少なくとも患者の鼻孔入口を含む患者の気道への入口へ密閉された様態で送達するための患者インターフェースを含む。この患者インターフェースは、患者の睡眠中において、患者の呼吸サイクル全体において使用時に周囲空気圧力よりも高い約4cmHO~約30cmHOの範囲の治療圧力を維持して、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成され、前記患者インターフェースは:1)周囲空気圧力を超える少なくとも6cmHOの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバ;2)患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造;3)シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供する位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、タイを含み、タイは、使用時に少なくとも一部が患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部の領域に載置されるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造;および4)患者が呼気した連続するガス流れをプレナムチャンバの内部から雰囲気へ移動させる通気構造であって、前記通気構造は、使用時においてプレナムチャンバ内の治療圧力を維持できるようなサイズおよび形状である、通気構造を含み、当該患者インターフェースは、プレナムチャンバ入口ポートを通じた加圧空気流れが無い場合に患者が自身の口腔を通じて雰囲気から呼吸することを可能にするように構成されるか、あるいは、患者インターフェースは、患者の口腔を露出させたままにするように構成される。
【0066】
実施例において、a)位置決めおよび安定化構造は、クッションアセンブリへ接続するように構成された少なくとも1つのストラップを含み、ストラップは、編布から形成され、ストラップの端部の近隣の締結部を含み、締結部は、ストラップを自身にループバックさせて、自身に締結させて、クッションアセンブリへ接続するような構造および/または配置され;b)ストラップは、少なくとも1つのブラインドガイドを含み、少なくとも1つのブラインドガイドは、編布によって形成され、ストラップ上の締結部の場所の触知通知を提供するように構成される。
【0067】
さらなる実施例において、a)ストラップは、横編によって形成され;b)ストラップは、非患者接触面を含み、少なくとも1つのブラインドガイドは、非患者接触面に対して隆起された隆起部および/または非患者接触面に対して凹状にされた凹部を含み;c)隆起部および/または凹部は、ストラップの締結部のうち少なくとも一部を包囲し;d)隆起部は、細長の隆起外形をストラップの非患者接触面上に含み;e)細長の隆起外形は、締結部の1つ以上の縁部に設けられ;f)細長の隆起外形は、使用時において上縁部、後縁部および下縁部である締結部の縁部に設けられ;g)細長の隆起外形は、円形の隆起面を含み;h)隆起部は、ストラップの隣接領域と比較して肉厚のストラップによって形成され、凹部は、ストラップの隣接領域と比較して肉薄のストラップによって形成され;i)ストラップの締結部は、面ファスナー材料を含み;j)締結部は、フック材料およびループ材料のうち一方が非患者接触面に設けられた端部と、フック材料およびループ材料のうち他方が非患者接触面に設けられた中間部とを含み;k)中間部は、端部よりも長尺である。中間部は、端部よりも数倍長尺であり;l)ストラップおよびブラインドガイドは、単一の編みプロセス時に形成され;m)ブラインドガイドは、ピケ編物構造を含み;n)ストラップは、単一のジャージー編物構造を含み;o)ストラップは、ダブルジャージーループ形成を含み;p)ストラップは、患者インターフェースのフレームを介してクッションアセンブリへ接続し;q)ストラップは、使用時において患者の頭部の頭頂骨上の患者の頭部に対して載置されるように構成された上部と有し、使用時において患者の頭部後頭骨上の患者の頭部に対して載置されるかまたは患者の頭部後頭骨の下側に配置されるように構成された下部を有するリングストラップ部と、上耳底点の上方の患者の頭部の各側部において使用時においてリングストラップ部とクッションアセンブリとの間を接続させるようにそれぞれ構成された一対の上ストラップ部を含む。r)ストラップは、一対の下ストラップ部を含み、各下ストラップ部は、使用時において上耳底の下側の患者の頭部の各側部においてリングストラップ部とクッションアセンブリとの間に接続するように構成され;かつ/または、s)ストラップおよびブラインドガイドは、一体形成される。
【0068】
本技術の別の態様は、空気流れを周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において少なくとも患者の鼻孔入口を含む患者の気道への入口へ密閉された様態で送達するための患者インターフェースに関する。この患者インターフェースは、患者の睡眠中において、患者の呼吸サイクル全体において使用時に周囲空気圧力よりも高い約4cmHO~約30cmHOの範囲の治療圧力を維持して、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成され、前記患者インターフェースは:1)周囲空気圧力を超える少なくとも6cmHOの治療圧力まで加圧可能であるキャビティを少なくとも部分的に形成するプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバ;2)患者の顔の鼻ブリッジ領域の下方の患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対して圧力アシストシールを形成するように構築および配置された織物膜を有するシール形成構造であって、前記織物膜は、前記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達されるように、その中に形成された穴を有し、前記シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をキャビティ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造;および3)シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供する位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、使用時に少なくとも一部が患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部の領域に載置されるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造、を含む。
【0069】
実施例において、a)位置決めおよび安定化構造は、単一の材料ピースのワンピース型の編物ヘッドギアストラップを含み;b)編物ヘッドギアストラップは、第1の編構造を有する少なくとも1つの第1の領域を含み;c)編物ヘッドギアストラップは、少なくとも1つの第2の領域を含み、少なくとも1つの第2の領域は、第1の領域よりも可撓性が高い少なくとも1つの通気領域を形成する第2のメッシュ編構造を有し;d)編物ヘッドギアストラップは、剛性化編構造が少なくとも1つの通気領域に直接隣接する少なくとも1つの第3の領域を含み、剛性化編構造は、第1の編構造および第2のメッシュ編構造と比較してより高い剛性を有する。
【0070】
さらなる実施例において、a)剛性化編構造は、少なくとも1つの通気領域を包囲し;b)剛性化編構造は、ピケ編構造であり;c)ピケ編構造は、ピケリブ構造であり;d)第2のメッシュ編構造は、ピケメッシュ編構造であり;e)通気領域は、少なくとも1つの第1の領域および少なくとも1つの第3の領域と比較してより高い通気性を有する。
【0071】
さらなる実施例において、a)編物ヘッドギアストラップは、リングストラップ部を含む。このリングストラップ部は、使用時において患者の頭部の頭頂骨上に載置されるように構成された上部と有し、使用時において患者の頭部後頭骨上に載置されるかまたは患者の頭部後頭骨の下側に配置されるように構成された下部を有し、リングストラップ部によりループが規定され;b)リングストラップ部は、内縁および外縁を有し、剛性化編構造は、リングストラップ部の内縁に沿って延び;c)剛性化編構造により、リングストラップ部の内縁全体に沿って延びるループが形成され;d)リングストラップ部は、少なくとも1つの通気領域を含み;e)編物ヘッドギアストラップは、患者の頭部の後頭骨上に載置されかつ/または使用時において患者の頸部に対して配置されるように構成された頸部ストラップ部をさらに含み、頸部ストラップ部は、少なくとも1つの通気領域を含み;第1の編構造は、ジャージー編構造である。
【0072】
本技術の別の態様は、空気流れを周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において少なくとも患者の鼻孔入口を含む患者の気道への入口へ密閉された様態で送達するための患者インターフェースに関する。この患者インターフェースは、患者の睡眠中において、患者の呼吸サイクル全体において使用時に周囲空気圧力よりも高い約4cmHO~約30cmHOの範囲の治療圧力を維持して、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成され、前記患者インターフェースは:1)周囲空気圧力を超える少なくとも6cmHOの治療圧力まで加圧可能であるキャビティを少なくとも部分的に形成するプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバ;2)患者の顔の鼻ブリッジ領域の下方の患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対して圧力アシストシールを形成するように構築および配置された織物膜を有するシール形成構造であって、前記織物膜は、前記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達されるように、その中に形成された穴を有し、前記シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において前記治療圧力をキャビティ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造;および3)シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供する位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、使用時に少なくとも一部が患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部の領域に載置されるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造、を含む。
【0073】
実施例において、a)位置決めおよび安定化構造は、単一の材料ピースのワンピース型の編物ヘッドギアストラップを含み;b)編物ヘッドギアストラップは、第1の編構造を有する第1の領域を含み;c)編物ヘッドギアストラップは、第2のピケ編構造を有する第2の領域を含み、第2のピケ編構造は、第1の編構造よりも高い剛性を有し;d)第2のピケ編構造は、編物ヘッドギアストラップの第1の縁部に沿って延び、第1の編構造に直接隣接する。
【0074】
さらなる実施例において、a)第1の編構造は、編物ヘッドギアストラップの第2の縁部に沿って延び;b)編物ヘッドギアストラップは、リングストラップ部を含む。このリングストラップ部は、使用時において患者の頭部の頭頂骨上に載置されるように構成された上部と有し、使用時において患者の頭部後頭骨上に載置されるかまたは患者の頭部後頭骨の下側に配置されるように構成された下部を有し、リングストラップ部によりループが規定され;c)リングストラップ部は、内縁および外縁を有し、編物ヘッドギアストラップの第1の縁部により、リングストラップ部の内縁が形成され;d)第1の編構造は、編物ヘッドギアストラップの第2の縁部に沿って延び、編物ヘッドギアストラップの第2の縁部により、リングストラップ部の外縁が形成される。
【0075】
さらなる実施例において、a)第1の編構造は、第2のピケ編構造と比較してより高い伸縮可能性を有し;b)編物ヘッドギアストラップは、第3のメッシュ編構造を有する第3の領域をさらに含み、第3のメッシュ編構造は、第1の編構造および第2のピケ編構造よりも低剛性であり;c)第3のメッシュ編構造は、ピケメッシュ編構造であり;d)第2のピケ編構造は、第3のメッシュ編構造に直接隣接し;e)第3のメッシュ編構造により、第1の領域および第2の領域よりも通気性が高い通気領域が形成され、第2のピケ編構造は、通気領域を包囲し;第1の編構造は、ジャージー編構造である。
【0076】
本技術の別の態様は、患者インターフェースのための位置決めおよび安定化構造を形成する方法に関連する。位置決めおよび安定化構造は、睡眠呼吸障害の療法のためにシール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成される。この方法は、ワンピースのヘッドギアストラップを単一の材料ピースとして直接最終形状に編むことを含む。
【0077】
さらなる実施例において、a)ワンピースのヘッドギアストラップを編むステップは、第1の編構造を有するヘッドギアストラップの少なくとも1つの第1の領域を編むことを含み;b)ワンピースのヘッドギアストラップを編むステップは、第2のメッシュ編構造を有するヘッドギアストラップの少なくとも1つの第2の領域を編むことを含み、第2のメッシュニットにより、第1の領域よりも高い可撓性を有するヘッドギアストラップの少なくとも1つの通気領域が形成され;c)ワンピースのヘッドギアストラップを編むステップは、剛性化編構造を有するヘッドギアストラップの少なくとも1つの第3の領域を少なくとも1つの通気領域の直接近隣に編むことを含み、剛性化編構造は、第1の編構造および第2のメッシュ編構造と比較してより高い剛性を有し;d)ヘッドギアストラップは、複数のストラップ部を含む。これら複数のストラップ部は、シール形成構造を使用時において患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するように、クッションアセンブリへ接続するように構成される。
【0078】
さらなる実施例において、a)ワンピースのヘッドギアストラップを編むステップは、単一の横編プロセスを含み;b)剛性化編構造は、少なくとも1つの通気領域を包囲し;c)剛性化編構造は、ピケ編構造であり;d)第2のメッシュ編構造は、ピケメッシュ編構造であり、e)通気領域は、少なくとも1つの第1の領域および少なくとも1つの第3の領域と比較してより高い通気性を有し;f)編物ヘッドギアストラップは、リングストラップ部を含む。このリングストラップ部は、使用時において患者の頭部の頭頂骨上に載置されるように構成された上部と有し、使用時において患者の頭部後頭骨上に載置されるかまたは患者の頭部後頭骨の下側に配置されるように構成された下部を有し、リングストラップ部によりループが規定され;g)リングストラップ部は、内縁および外縁を有し、剛性化編構造は、リングストラップ部の内縁に沿って延び;h)剛性化編構造により、リングストラップ部の内縁全体に沿って延びるループが形成され;i)第1の編構造は、ジャージー編構造である。
【0079】
本技術の別の形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:1)周囲空気圧力を超える少なくとも6cmHOの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバ;2)患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造;3)シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供する位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、タイを含み、タイは、使用時に少なくとも一部が患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部の領域に載置されるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造;および4)患者が呼気した連続するガス流れをプレナムチャンバの内部から雰囲気へ移動させる通気構造であって、前記通気構造は、使用時においてプレナムチャンバ内の治療圧力を維持できるようなサイズおよび形状である、通気構造を含み、当該患者インターフェースは、プレナムチャンバ入口ポートを通じた加圧空気流れが無い場合に患者が自身の口腔を通じて雰囲気から呼吸することを可能にするように構成されるか、あるいは、患者インターフェースは、患者の口腔を露出させたままにするように構成される。
【0080】
実施例において、a)位置決めおよび安定化構造は:1)患者頭部上の接続ポートから空気流れを受容し、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達させるための一対のヘッドギア導管であって、それぞれのヘッドギア導管は、使用時に患者頭部の各側面の患者頭部の上耳底点の上方の患者頭部の少なくとも一領域と接触するように構築および配置される、一対のヘッドギア導管と、2)横編によって一体形成されたストラップと、を含む。
【0081】
さらなる実施例において、a)ヘッドギアストラップは、以下を含む:1)使用時において患者の頭部の後頭骨上に載置されかつ/または患者の頸部に対向して配置されるように構成された頸部ストラップ部;2)一対の上ストラップ部であって、一対の上ストラップ部はそれぞれ、頸部ストラップ部と患者の頭部の各側部上の各ヘッドギア導管との間に接続するように構成される、一対の上ストラップ部;および3)一対の下ストラップ部であって、一対の下ストラップ部はそれぞれ、頸部ストラップ部と各ヘッドギア導管との間に接続するように構成される、一対の下ストラップ。
【0082】
さらなる実施例において、a)ストラップは、単一の横編プロセスによって形成され;b)ストラップは、剛性化部を含み;c)剛性化部は、ピケ編物構造を含み;d)頸部ストラップ部は、剛性化部を含み;e)頸部ストラップ部は、1つ以上のストレッチ可能部位を含み;f)頸部ストラップ部は、上側ストレッチ可能部位および下側ストレッチ可能部位を含み;g)上側ストレッチ可能部位は、頸部ストラップ部の上縁部に沿って設けられ;h)下側ストレッチ可能部位は、頸部ストラップ部の下縁部に沿って設けられ;i)ストラップは、通気部においてストラップを通じてより高い通気性を提供するような構造および/または配置にされた通気部を含み;j)通気部は、頸部ストラップ部内に配置され;k)通気部は、ピケメッシュ編物構造を有する編布を含み;l)通気部は、リングストラップ部の他の部位よりも伸縮可能性が低く;かつ/または、m)剛性化部は、通気部を包囲する。
【0083】
さらなる実施例において、a)ストラップは、ストラップの端部の近隣の締結部を含み、締結部は、ストラップを自身にループさせて自身に締結させることによりプレナムチャンバへ接続するような構造および/または配置にされ、ストラップは、少なくとも1つのブラインドガイドを含み、少なくとも1つのブラインドガイドは、一体形成型ストラップを形成する編布によって形成され、ストラップ上の締結部の場所の触知通知を提供するように構成される;b)ストラップは、非患者接触面を含み、少なくとも1つのブラインドガイドは、隆起部を含み、隆起部は、非患者接触面に対して隆起され;c)隆起部は、細長の隆起外形をストラップの非患者接触面上に含み;d)ストラップの締結部は、面ファスナー材料を含み;および/またはe)上ストラップ部および下ストラップ部はそれぞれ、各ブラインドガイドを含む。
【0084】
本技術の一形態の別の態様は、意図される装着者の形状に対して相補的である周辺形状と共に成形または他の場合に構築された患者インターフェースである。
【0085】
本技術の一形態の一態様は、装置の製造方法である。
【0086】
本技術の特定の形態の一態様は、例えば医療トレーニングを受けたことの無い人、あまり器用ではない人や洞察力の欠いた人、またはこの種の医療デバイスの使用経験が限られた人にとって使い易い医療デバイスである。
【0087】
本技術の一形態の一態様は、人間が(例えば、自宅周囲において)持ち運び可能な、携帯用RPTデバイスである。
【0088】
本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースであり、特殊な清浄器具は不要である。本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースであり、特殊な清浄器具は不要である。
【0089】
本技術の別の態様は、睡眠障害呼吸の治療に使用する治療システムに関する。該システムは、1)上記の態様のうちいずれかによる患者インターフェース;2)呼吸可能なガスを陽圧にて供給するための呼吸圧力治療(RPT)デバイス;および3)呼吸可能なガスをRPTデバイスから患者インターフェースへ通過させる空気送達管を含む。
【0090】
記載される方法、システム、デバイスおよび装置により、プロセッサにおける機能(例えば、特定目的用コンピュータのプロセッサ、呼吸モニターおよび/または呼吸治療装置の機能)の向上が可能となるように具現され得る。さらに、記載の方法、システム、デバイスおよび装置により、呼吸状態(例えば、睡眠障害呼吸)の自動管理、監視および/または治療の技術分野における向上が可能になる。
【0091】
もちろん、上記態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。
【0092】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【0093】
4 図面の簡単な説明
本技術を、添付図面中に非限定的に一実施例として例示する。図面中、類似の参照符号は、以下の類似の要素を含む:
【図面の簡単な説明】
【0094】
図1A】4.1 治療システム:患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻枕の形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイス4000からの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。同床者1100も図示される。患者は、仰臥位睡眠位置において睡眠している。
図1B】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻マスクの形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
図1C】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む。患者インターフェース3000は、フルフェイスマスクをとり、陽圧の空気供給をRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。患者は、側臥位睡眠位置において睡眠している。4.2 呼吸システムおよび顔の解剖学的構造
図2A】鼻腔および口腔、喉頭、声帯ひだ、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓および横隔膜を含むヒト呼吸器系の概要を示す。
図2B】鼻腔、鼻骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、鼻穴、上唇、下唇、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、口咽頭、舌、喉頭蓋、声帯ひだ、食道および気管を含むヒトの上気道の図である。
図2C】上唇、上唇紅、下唇紅、下唇、口の幅、内眼角、鼻翼、鼻唇溝および口角点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む顔の正面図である。上側、下側、ラジアル内方およびラジアル外方の方向も記載される。
図2D】眉間、セリオン、鼻尖点、鼻下点、上唇、下唇、スプラメントン、鼻堤、鼻翼頂上点、上耳底点および下耳底点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む頭部の側面図である。上側および下側と、前方および後方との方向も記載される。
図2E】頭部のさらなる側面図である。フランクフォート水平および鼻唇角の大まかな位置が記載されている。冠状面も記載される。
図2F】鼻唇溝、下唇、上唇紅、鼻孔、鼻下点、鼻柱、鼻尖点、鼻孔の主軸および正中矢状面を含むいくつかの特徴を含む鼻の底面図である。
図2G】鼻の表面的特徴の側面図である。
図2H】外側鼻軟骨、鼻中隔軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻翼軟骨、鼻種子軟骨、鼻骨、表皮、脂肪組織、上顎骨の前頭突起および線維性脂肪組織を含む鼻の皮下構造を示す。
図2I】正中矢状面から約数ミリメートルの位置における鼻の中間切開を示し、特に鼻中隔軟骨および大鼻翼軟骨の内側脚を示す。
図2J】前頭骨、鼻骨および頬骨を含む頭蓋骨の骨正面図である。鼻甲介が上顎骨および下顎骨と共に図示されている。
図2K】頭蓋骨を頭部表面の外形およびいくつかの筋肉と共に示す側面図である。以下の骨が図示されている:前頭骨、蝶形骨、鼻骨、頬骨、上顎骨、下顎骨、頭頂骨、側頭骨および後頭骨。オトガイ隆起が図示されている。以下の筋肉が図示されている:顎二腹筋、咬筋、胸鎖乳突筋および僧帽筋。
図2L】鼻の前外側を示す。4.3 患者インターフェース
図3A】本技術の一形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す。
図3B】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、3Cに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
図3C】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、図3Bに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
図3D】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率の値はゼロである。
図3E】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、図3Fに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
図3F】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、図3Eに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
図3G】2つの枕を含むマスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される。表面の縁部が図示される。ドーム領域および鞍状領域が図示される。
図3H】マスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される。表面の縁部が図示される。点Aと点Bとの間の表面上の経路が図示される。AとBとの間の直線距離が図示される。2つの鞍状領域およびドーム領域が図示される。
図3I】構造の表面を示し、この表面中には一次元穴が開いている。図示の平面曲線は、一次元穴の境界を形成する。
図3J図3Iの構造を通じた断面図である。図示の表面は、図3Iの構造中の二次元穴を境界付ける。
図3K】二次元穴および一次元穴を含む図3Iの構造の斜視図である。また、図3Iの構造中の二次元穴を境界付ける表面が図示される。
図3L】クッションとしての可膨張性ブラダーを有するマスクを示す。
図3M図3Lのマスクの断面図であり、ブラダーの内面を示す。内面により、マスク中の二次元穴が境界付けられる。
図3N図3Lのマスクを通じたさらなる断面を示す。内面も図示される。
図3O】左手の法則を示す。
図3P】右手の法則を示す。
図3Q】左耳螺旋を含む左耳を示す。
図3R】右耳螺旋を含む右耳を示す。
図3S】右手螺旋を示す。
図3T】マスクの異なる領域内の密閉膜の縁部によって規定された空間曲線のねじれのサインを含むマスクの図である。
図3U】正中矢状面および中央接触面を示す、プレナムチャンバ3200の図である。
図3V図3Uのプレナムチャンバの後方の図である。図中の方向は、中央接触面に対して垂直である。図3V中、正中矢状面により、プレナムチャンバが左手側および右手側に二等分される。
図3W図3Vのプレナムチャンバを通じた断面図であり、この断面は、図3Vに示す正中矢状面においてとられる。「中央接触」面が図示される。中央接触面は、正中矢状面に対して垂直である。中央接触面の方位は、腱3210の方位に対応する。腱3210は、正中矢状面上に載置され、正中矢状面上の2点(すなわち、上点3220および下点3230)においてプレナムチャンバのクッションのみと接触する。この領域におけるクッションのジオメトリに応じて、中央接触面は、上点および下点双方に接し得る。
図3X図3Uのプレナムチャンバ3200が顔面上の使用位置にある状態を示す。プレナムチャンバ3200の正中矢状面は、プレナムチャンバが使用位置にあるとき、顔の正中矢状面と概して一致する。中央接触面は、プレナムチャンバが使用位置にあるとき、「顔の面」に概して対応する。図3Xにおいて、プレナムチャンバ3200は鼻マスクのものであり、上点3220はほぼセリオン上に載置され、下点3230は上唇上に載置される。4.4 RPTデバイス
図4A】本技術の一形態によるRPTデバイスを示す。
図4B】本技術の一形態に従ったRPTデバイスの空気回路の概略図である。上流および下流の方向が、送風機および患者インターフェースに対して示される。任意の特定の瞬間における実際の流れ方向に関係無く、送風機は患者インターフェースの上流にあるものとして規定され、患者インターフェースは送風機の下流にあるものとして規定される。送風機と患者インターフェースとの間の空気圧経路内に配置されたアイテムは、送風機の下流および患者インターフェースの上流にある。4.5 加湿器
図5A図5Aは、本技術の一形態による加湿器の等角図である。
図5B図5Bは、本技術の一形態による加湿器の等角図であり、加湿器リザーバ5110を加湿器リザーバドック5130から除去した様子を示す。4.6 呼吸波形
図6】睡眠時のヒトの典型的な呼吸波形のモデルを示す。4.7 本技術の特定の実施例
図7】本技術の一例による位置決めおよび安定化構造3300が患者1000によって着用されている様子の斜視図である。
図8図7の位置決めおよび安定化構造3300のストラップ部の平坦状態における患者非接触側の図である。
図9図7の位置決めおよび安定化構造3300のストラップ部の平坦状態における患者接触側の図である。
図10図7の位置決めおよび安定化構造3300の一部が平坦状態にある際の患者非接触側の図であり、断面が図示されている。
図11図7の位置決めおよび安定化構造3300のストラップの締結部の分解図である。
図12図7の位置決めおよび安定化構造3300の一部が平坦状態にある際の患者接触側の図であり、断面が図示されている。
図13】本技術の別の例による、患者1000によって着用されている位置決めおよび安定化部3300の一部を示す。
図14図13の位置決めおよび安定化構造の上側通気部を患者1000が着用している様子を示す。
図15図13の位置決めおよび安定化構造の下側通気部を患者1000が着用している様子を示す。
図16】本技術の別の例による、位置決めおよび安定化構造のヘッドギアストラップ3301の患者非接触側の図を示す。
図17】本技術の別の例による位置決めおよび安定化構造3300の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0095】
5 本技術の実施例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0096】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な実施例に関連して提供される。任意の1つの実施例の1つ以上の特徴は、別の実施例または他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの実施例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成し得る。
【0097】
5.1 治療法
一形態において、本技術は、呼吸器疾患の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ陽圧を付加するステップを含む。
【0098】
本技術の特定の実施例において、陽圧における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。
【0099】
本技術の特定の実施例において、口呼吸が制限されるか、限定されるかまたは妨げられる。
【0100】
5.2 治療システム
1つの形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための装置またはデバイスを含む。装置またはデバイスは、加圧空気を患者インターフェース3000への空気回路4170を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る。
【0101】
5.3 患者インターフェース
本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含む:シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気構造3400、空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、気道への陽圧での空気供給を促進するように、患者の気道の入口を包囲するように配置される。
【0102】
患者インターフェースが最低レベルの陽圧を快適に気道へ送達できない場合、患者インターフェースは呼吸圧力治療に不適切であり得る。
【0103】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも6cmHOの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0104】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも10cmHOの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0105】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも20cmHOの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0106】
5.3.1 シール形成構造
本技術の一形態において、シール形成構造3100は、目標シール形成領域を提供し、クッション機能をさらに提供し得る。目標シール形成領域は、シール形成構造3100において密閉が発生し得る領域である。密閉が実際に発生する領域(すなわち、実際の密閉面)は、一定範囲の要素(例えば、顔面上の患者インターフェースの配置位置、位置決めおよび安定化構造における張力、および患者の顔の形状)に応じて、所与の治療セッションにおいて患者によって日々変化し得る。
【0107】
一形態において、目標シール形成領域が、シール形成構造3100の外面上に配置される。
【0108】
本技術の特定の形態において、シール形成構造3100は、生体適合性材料(例えば、シリコーンゴム)から構成される。
【0109】
本技術によるシール形成構造3100は、柔らかく、可撓性でありかつ弾力性のある材料(例えば、シリコーン)から構成され得る。
【0110】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くのシール形成構造3100を含むシステムが提供される。各シール形成構造3100は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適したシール形成構造3100の一形態および大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの頭に適した別のものを含み得る。
【0111】
5.3.1.1 密閉機構
一形態において、シール形成構造は、圧力アシスト密閉機構を用いる密閉フランジを含む。使用時において、シーリングフランジは、プレナムチャンバ3200内のシステム陽圧に容易に応答してその下側上に作用して、面と緊密な密閉係合を形成させ得る。圧力アシスト機構は、位置決めおよび安定化構造における弾性張力と共に作用し得る。
【0112】
一形態において、シール形成構造3100は、シーリングフランジおよび支持フランジを含む。シーリングフランジは、厚さが約1mm未満(例えば、約0.25mm~約0.45mm)の比較的肉薄の部材を含む。この部材は、プレナムチャンバ3200の縁部長さの周囲に延びる。支持フランジは、シーリングフランジよりも比較的肉厚であり得る。支持フランジは、シーリングフランジと、プレナムチャンバ3200の周縁部との間に配置され、周辺長さの周囲の少なくとも一部に延びる。支持フランジは、バネ様要素であるかまたはバネ様要素を含み、シーリングフランジを使用時に座屈しないように支持するよう機能する。
【0113】
一形態において、シール形成構造は、圧縮密閉部またはガスケット密閉部を含み得る。使用時において、圧縮密閉部またはガスケット密閉部は、例えば位置決めおよび安定化構造における弾性張力に起因して圧縮状態となるように、構築および配置される。
【0114】
一形態において、シール形成構造は、張力部を含む。使用時において、張力部は、例えばシーリングフランジの隣接領域により、ぴんと張られた状態で保持される。
【0115】
一形態において、シール形成構造は、粘着面または接着面を有する領域を含む。
【0116】
本技術の特定の形態において、シール形成構造は、圧力アシスト密閉フランジ、圧縮密閉部、ガスケット密閉部、張力部、および粘着面または接着面を有する部位のうち1つ以上を含み得る。
【0117】
5.3.1.2 鼻梁または鼻堤領域
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、使用時に患者の顔の鼻梁領域上にまたは鼻堤領域上に密閉を形成するシール形成構造を含む。
【0118】
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の鼻梁領域上または鼻堤領域上にシールを形成するように構築された鞍状領域を含む。
【0119】
5.3.1.3 上唇領域
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、患者の顔の上唇領域(すなわち、上唇)上に使用時に密閉を形成するシール形成構造を含む。
【0120】
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の上唇領域上にシールを形成するように構築された鞍状領域を含む。
【0121】
5.3.1.4 顎領域
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、使用時に患者の顔の顎領域上に密閉を形成するシール形成構造を含む。
【0122】
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の顎領域上にシールを形成するように構築された鞍状領域を含む。
【0123】
5.3.1.5 前額領域
一形態において、シール形成構造は、シール使用時において患者の顔の前額領域上にシールを形成する。このような形態において、プレナムチャンバは、使用時において眼を被覆し得る。
【0124】
5.3.1.6 鼻枕
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000のシール形成構造は、一対の鼻パフまたは鼻枕を含む。各鼻パフまたは鼻枕は、患者の鼻の各鼻孔とのシールを形成するように構成および配置される。
【0125】
本技術の一態様による鼻枕は、円錐台を含む。円錐台のうち少なくとも一部は、患者の鼻の下側、柄部、円錐台の下側上の可撓性領域上に密閉を形成し、円錐台を柄部へ接続させる。加えて、本技術の鼻枕が接続される構造は、柄部のベースに隣接する可撓性領域を含む。可撓性領域は、自在接合構造を促進するように機能し得る。自在接合構造は、円錐台の変位および角度双方と、鼻枕が接続される構造との相互移動に対応する。例えば、円錐台は、柄部が接続された構造に向かって軸方向に変位し得る。
【0126】
5.3.2 プレナムチャンバ
プレナムチャンバ3200は、使用時に密閉が形成される領域において平均的な人の顔の表面外形に対して相補的である形状の周囲を有する。使用時において、プレナムチャンバ3200の周辺縁部は、顔の隣接する表面に近接して位置決めされる。顔との実際の接触は、シール形成構造3100によって提供される。シール形成構造3100は、使用時においてプレナムチャンバ3200の縁部全体の周りに延び得る。いくつかの形態において、プレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100は、単一の均質的材料ピースから形成される。
【0127】
本技術のいくつかの形態において、プレナムチャンバ3200は、使用時において患者の眼を被覆しない。換言すると、眼は、プレナムチャンバによって規定される加圧空間外にある。このような形態の場合、押しつけがさが低減しかつ/またはより着用者の快適性が増すことが多いため、治療コンプライアンスが向上し得る。
【0128】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、透明材料(例えば、透明ポリカーボネート)から構築される。透明材料の利用により、患者インターフェースの押しつけがましさが低減され得、治療へのコンプライアンスの向上が補助され得る。透明材料の利用により、臨床医が患者インターフェースの配置様態および機能を確認することが補助され得る。
【0129】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、半透明材料から構成される。半透明材料を用いることにより、患者インターフェースの押しつけがましさを低減することができ、治療へのコンプライアンスの向上を補助することができる。
【0130】
5.3.3 位置決めおよび安定化構造
本技術の患者インターフェース3000のシール形成構造3100は、使用時において位置決めおよび安定化構造3300によって密閉位置において保持され得る。
【0131】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、顔から浮き上がるためのプレナムチャンバ3200中の陽圧の効果に打ち勝つのに少なくとも充分な保持力が得られる。
【0132】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への引力に打ち勝つだけの保持力が得られる。
【0133】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への破壊的作用の可能性(例えば、管引き摺りまたは患者インターフェースとの不慮の干渉に起因するもの)を解消するための安全マージンとして保持力が得られる。
【0134】
本技術の一形態において、患者が睡眠時に装着されるように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、装置の感知される嵩または実際の嵩を低減するように、目立たない外形または断面厚さを有する。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、矩形断面を有する少なくとも1つのストラップを含む。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、少なくとも1つの平坦ストラップを含む。
【0135】
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の後部領域を枕に載せた状態で仰臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。
【0136】
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の側部領域を枕に載せた状態で側臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。
【0137】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、位置決めおよび安定化構造3300の前方部位と位置決めおよび安定化構造3300の後方部位との間に配置された結合解除部位を備える。この結合解除部位は、圧縮に耐えず、例えば可撓性またはぺらぺらのストラップであり得る。結合解除部は、患者が頭を枕に載せて横たわったときに結合解除部の存在により後部への力が位置決めおよび安定化構造3300に沿って伝達されてシールが妨害される事態を回避できるように、構築および配置される。
【0138】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、布地患者接触層、発泡材料内側層および布地外側層の積層物から構成されたストラップを含む。一形態において、発泡材料は、湿気(例えば、汗)がストラップを通過できるような多孔性である。一形態において、布地外側層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。
【0139】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、伸張可能である(例えば、弾力性と共に伸張可能である)ストラップを含む。例えば、ストラップは、使用時にはピンと張った状態にされて、シール形成構造を患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように、構成され得る。一実施例において、ストラップは、タイとして構成され得る。
【0140】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は第1のタイを含み、第1のタイは、使用時においてその下縁部の少なくとも一部が上を通過して患者の頭の上耳底点へ移動し、後頭骨を被覆することなく頭頂骨の一部を被覆するように、構築および配置される。
【0141】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第2のタイを含む。第2のタイは、使用時においてその上縁部の少なくとも一部が患者頭部の下側の下耳底点の下側を通過し、患者頭部の後頭骨を被覆するかまたは患者頭部の後頭骨の下側に載置されるように、構築および配置される。
【0142】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第1のタイおよび第2のタイが相違に離隔方向に移動する傾向を低減させるように第1のタイおよび第2のタイを相互接続させるように構築および配置された第3のタイを含む。
【0143】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、屈曲可能であり例えば非剛性であるストラップを含む。本態様の利点として、患者が睡眠時に体を横たえたときにストラップがより快適になっている点がある。
【0144】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、内部を水蒸気が通過できるように呼吸可能なように構成されたストラップを含む。
【0145】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くの位置決めおよび安定化構造3300を含むシステムが提供される。各位置決めおよび安定化構造3300は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するための保持力を提供するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適しかつ大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの別の頭に適した位置決めおよび安定化構造3300の一形態を含み得る。
【0146】
図7は、患者1000は、本技術の例による患者インターフェース3000を着用している様子を示す。患者インターフェース3000は、クッションアセンブリ3580および位置決めおよび安定化構造3300を含む。クッションアセンブリは、フレーム3500と、フレームへ接続されたプレナムチャンバ3200と、プレナムチャンバへ設けられたシール形成構造3100とを含み得る。少なくともプレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100によって形成された空洞は、周囲空気圧力を超えた少なくとも6cmHOの治療圧力まで加圧可能であり得る。プレナムチャンバは、患者1000による呼吸のための治療圧力における空気流れを受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む。本例における患者インターフェース3000は、空気供給導管へ接続された接続ポート3600を含む。空気供給導管から、空気がプレナムチャンバ3200へ供給される。
【0147】
患者インターフェース3000はまた、患者の気道への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造3100を含み得る。シール形成構造3100は、その中に穴有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達される。本例において、患者インターフェース3000は、鼻および口双方の周囲をシールするシール形成構造3100を含む。この種の患者インターフェースは、一般的にフルフェイスマスクとして知られる。他の例において、シール形成構造3100は、患者の鼻孔周囲をシールし得、患者の口が露出され得る。シール形成構造3100は、使用時に患者の呼吸サイクル全体においてプレナムチャンバ3200内において治療圧力を維持するように、構築および配置される。
【0148】
患者インターフェース3000は、通気構造3400をさらに含む。通気構造3400は、患者が呼気したガスがプレナムチャンバ3200内部から周囲へ連続的に流れることを可能にする。通気構造3400は、使用時にプレナムチャンバ内の治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる。
【0149】
患者インターフェース3000はまた、シール形成構造3100を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供する位置決めおよび安定化構造3300を含む。位置決めおよび安定化構造は、少なくとも一部が使用時に患者頭部の上耳底点の上方の患者頭部の領域を覆うように、構築および配置された、タイを含む。本技術の一例において、位置決めおよび安定化構造3300は、プレナムチャンバ3200が接続されたフレーム3500を含む。フレーム3500は、位置決めおよび安定化構造3300の複数のストラップ部によって所定位置に保持される。
【0150】
5.3.3.1 ワンピース型の編物ヘッドギアストラップ
本技術の一例において、図7中では患者によって着用されている様子および図8および図9において分離されている様子を図示しているが、位置決めおよび安定化構造3300は、一体形成型ヘッドギアストラップ3301を含む。ヘッドギアストラップ3301は、単体構造を含む。ヘッドギアストラップ3301は、単一のワンピースの編物ストラップとして形成され、これは、複数のストラップピースの組み合わせて別個に形成して共に接続させたり、ワンピースストラップを材料シートから切断するのと対照的である。ストラップ部を別個に形成し、相互に取り付ける場合、製造におけるスピード低下および/またはコスト上昇に繋がり得る。ヘッドギアストラップの切断を行うと、材料の有意な無駄に繋がり得る。しかし、本技術のいくつかの例において、位置決めおよび安定化構造3300に含まれ得る複数のヘッドギアストラップ部は、本明細書中に記載の本技術の他の特徴を含みつつ、別個に形成され、共に接続される。
【0151】
ヘッドギアストラップ3301は、横編を用いて単一の材料ピースとして直接最終形状まで編むことができ得るため、ヘッドギアストラップを材料シートから切除する必要も、さらなる縫糸を用いて個々のヘッドギアピースを共に縫合する必要も無い。ヘッドギアストラップ3301を横編することにより、ヘッドギアストラップ3301全体を単一の横編プロセスにおいて縫うことが可能になる。本技術のいくつかの例において、ヘッドギアストラップ3301は、シームまたは接合部を含まない。シームおよび接合部が有る場合、ユーザによっては、何らかの状況において皮膚に不快な圧力を感じる原因になり得る。
【0152】
横編による1つの利点として、(直接ヘッドギアストラップ3301をシートから切断するのではなく)縫糸、ヤーンなどの形態の繊維から直接ヘッドギアストラップ3301を編んで、直接最終形状を得ることが可能である点がある。複数の複雑な形状をシートから切断した場合、大きな切れ端が残ることになり得、無駄が生じる。さらに、ヘッドギアストラップを積層シートから切断した場合、ヘッドギアの布地または色のカスタマイズをコスト効率良く行うための柔軟性も低下し得る。新規の布地および/または色の選択肢を得るためには、新規のシートの積層が必要になり得る。
【0153】
編物ヘッドギアストラップ3301の別の利点として、ヘッドギアを患者の頭部の形状に極めて適合するように編むことが可能であるため、快適性および安定性の向上に繋がる。本技術のいくつかの例において、ヘッドギアストラップ3301は、特定の患者の頭部の撮像または走査を用いて生成された特定の患者の頭部の3次元モデルに基づいて、その特定の患者の頭部の形状に適合するように編まれ得る。
【0154】
いくつかの既存のヘッドギアが、二本針クローシェ編みによって生成されている。この方法によって生成されたヘッドギアストラップは、単一のストラップ状外形に制限され得、鼻マスクまたはフルフェイスマスク用の完全なヘッドギア(例えば、4点ヘッドギア接続の患者インターフェース)には、4点接続ヘッドギアストラップの複雑な形状に起因して適用され得ない。
【0155】
本技術のいくつかの例において、ヘッドギアストラップ3301は、通気性、弾性および/または美観的アピールが極めて良好な編物構造を形成するために、高度な編物技術を用いて形成される。このような編物構造は、スポーツジャージーにおいて見受けられるものに類似し得る。
【0156】
本技術のいくつかの例において、ヘッドギアストラップ3301は、複数の異なる色および/またはパターンを含み得る。横編を用いて色およびパターンを混合することにより、さらなる美観コストをかけること無く、より広範な多様な設計を得ることが可能になる。
【0157】
本技術のいくつかの例において、ヘッドギアストラップ3301は、剛性および/または弾性が局所化された1つ以上の領域を含む。これらの剛性および/または弾性が局所化された領域は、ヘッドギアストラップ3301全体を編む際に行われる横編プロセスにより、ヘッドギアストラップ3301中に形成され得る。ヘッドギアストラップ3301の各領域の異なる要求を満たすために、弾性特性を個別調整することが可能である。
【0158】
本技術のいくつかの例において、ヘッドギアストラップ3301は、横編によって形成されるが、患者による着用前でも非平坦形状を含む。非平坦形状は、ヘッドギアストラップ3301を異なる領域において異なる編み密度と共に編むことにより、生成され得る。所定の仕様を満たすために、異なる特性がヘッドギアストラップ3301の異なる領域へ付与され得る。いくつかの例において、このような特性を横編時にヘッドギアストラップ3301へ提供することにより、非平坦形状を含むヘッドギアストラップ3301が得られ得る。本技術のいくつかの形態において、非平坦形状により、ヘッドギアストラップ3301に対し、所定の特性(例えば、特定の場所および/または方向における所定の弾性)または使用時においてヘッドギアストラップ3301からプレナムチャンバ3200および/またはシール形成構造3100へ付加される特定の力ベクトルが付与され得る。
【0159】
本技術のいくつかの例において、ヘッドギアストラップ3301は、特定の患者の解剖学的構造および/または選好に合わせてカスタマイズおよび個別調整される。横編を用いると、製造業者は、一定範囲のヤーンの使用、異なる設計パターンの適用、異なる色および表面ジオメトリ特徴の適用における柔軟性が得られるため、有利である。いくつかの例において、ヘッドギアストラップ3301は、プログラム可能な編み機によって編まれる。横編によって形成されたヘッドギアストラップは、快適性も極めて高くすることが可能である。高ゲージおよび細糸の織地が用いられる場合、ストラップの表面仕上げが滑らかになり得、顔に跡が残る危険性が低下し得る。
【0160】
いくつかの例において、ヘッドギアストラップ3301において、1つ以上のテキスト、図形、商標、ロゴなどが、ヘッドギアストラップ3301の形成のために行われる単一の編み動作時においてヘッドギアストラップ3301中へ編み込まれ得る。
【0161】
別の例において、位置決めおよび安定化構造3300は、1つ以上のヘッドギアストラップを含み得る。いくつかの別の例において、1つ以上のヘッドギアストラップ部は、円形編みプロセスによって形成される。
【0162】
いくつかの例において、ヘッドギアストラップ3301が損傷無く耐えることが可能な最大力は、10N~100Nであり、より好適には15~80N、20~60Nまたは25~40Nである。いくつかの例において、ヘッドギアストラップ3301は、100%ナイロンで形成されたピケ編物構造を有する1つ以上の部位を含み得、ウェールにおける最大負荷5~8N(いくつかの例において6~7Nと、コースにおける最大負荷2.5~5.5N(いくつかの例において3.5N~4.5N)とに耐えるように構成され得る。いくつかの例において、ヘッドギアストラップ3301は、ナイロンおよびスパンデックスの組み合わせと共に形成されたピケ編物構造を有する1つ以上の部位を含み得、ウェールにおける最大負荷3~6N(いくつかの例において4~5Nと、コースにおける最大負荷2~4N(いくつかの例において2.5~3.5N)とに耐えるように構成され得る。いくつかの例において、ヘッドギアストラップ3301は、ナイロンおよびスパンデックスの組み合わせと共に形成された単一のジャージー編物構造を有する1つ以上の部位を含み得、ウェールにおける最大負荷2.5~5N(いくつかの例において3~4Nと、コースにおける最大負荷1~3N(いくつかの例において1.5~2.5N)とに耐えるように構成され得る。
【0163】
いくつかの例において、ヘッドギアストラップ3301は、洗浄後または身体の水分によって濡れた後にわずかな時間で乾燥するような構造にされる。ヘッドギアストラップ3301は、通気性を高くすることができ得、患者の皮膚を比較的乾燥した状態に保持し得る。ヘッドギアストラップ3301は、実質的に顔の跡が発生しないように構成され得る。ヘッドギアストラップ3301は、洗濯機洗いおよび手洗いが可能であり得る。
【0164】
図8に示すヘッドギアストラップ3301は、患者インターフェース3000のフレーム3500またはプレナムチャンバ3200に対して4点接続を生成するように構成される。本技術の他の例において、ヘッドギアストラップ3301は、(例えば鼻枕型または鼻クレードル保持型の患者インターフェース3000内へ取り入れられた場合に)フレーム3500またはプレナムチャンバ3200に対して2点接続を構成するように構成され得る。ヘッドギアストラップ3301は、フルフェイス構成(例えば、シール形成構造3100が患者の鼻の下側周辺の周囲をシールし、患者の鼻梁鼻の大部分または全体が露出される構成)を有する患者インターフェース3000のフレーム3500またはプレナムチャンバ3200に対して1点または2点において接続し得る。いくつかの例において、ヘッドギアストラップ3301は、導管ヘッドギアシステムのための位置決めおよび安定化構造3300用のバックストラップとして構成され得る。このような例において、ヘッドギアストラップ3301は、患者の後頭骨の下側に載置されるかまたは配置され得、患者の頭部の横方向側に対して配置される一対のヘッドギア導管間に接続する。
【0165】
5.3.3.2 ヘッドギアストラップ部
図7図9に示すように、位置決めおよび安定化構造3300は、複数のストラップ部を含み得る。複数のストラップ部は、例えば図7図9の位置決めおよび安定化構造3300におけるような単一のヘッドギアストラップ3301内に設けられ得る。本技術の本例において、位置決めおよび安定化構造3300は、リングストラップ部3340を含む。リングストラップ部3340により患者の頭部の後側が包囲されることにより、プレナムチャンバ3200へ接続する他のストラップ部のための強固なアンカーが得られる。リングストラップ部3340は、頭頂部、頭冠ストラップ、後方/後部またはハロとしても知られ得る。
【0166】
本技術の本例において、位置決めおよび安定化構造3300のリングストラップ部3340は、上部3302および下部3304を含む。使用時において、上部3302は、患者の頭部の頭頂骨にわたって患者の頭部に対向して配置される。下部3304は、使用時において患者の頭部の後頭骨にわたってまたは患者の頭部の後頭骨の下側において患者の頭部に対して配置されるように構成される。図示のように、リングストラップ部3340により、ループが規定される。
【0167】
位置決めおよび安定化構造3300は、一対の上ストラップ部3310を含む。上ストラップ部3310はそれぞれ、リングストラップ部3340とプレナムチャンバ3200との間に接続するように構成される。使用時において、上ストラップ部3310はそれぞれ、患者の頭部の上側から上耳底において患者の頭部に沿って各側部上に配置される。
【0168】
図7図9に示す例において、位置決めおよび安定化構造3300は、一対の下ストラップ部3320も含む。下ストラップ部3320はそれぞれ、リングストラップ部3340とプレナムチャンバ3200との間に接続するように構成される。使用時において、下ストラップ部3320はそれぞれ、患者の頭部の下側から上耳底において患者の頭部に沿って各側部上に配置される。
【0169】
上ストラップ部3310および下ストラップ部3320それぞれのプレナムチャンバ3200への接続は、直接的に行ってもよいし、あるいはクッションアセンブリ3580のフレーム3500を介して行ってもよい。図7に示す例において、上ストラップ部3310および下ストラップ部3320は、(プレナムチャンバ3200の接続先であるフレーム3350を介して)プレナムチャンバ3200へ接続する。
【0170】
位置決めおよび安定化構造3330のヘッドギアストラップ部のうち1つ以上(例えば、上ストラップ部3310、下ストラップ部3320および以下に述べる頭上ストラップ部3330)において、締結部3360が含まれ得る。締結部3360は、ストラップを自身にループバックさせ、自身に締結させることを可能にするような構造および/または配置にされ得る。一例において、締結部3360は、フックアンドループ材料を含み得る。別の例において、締結部3360はストラップが自身にループバックされた際に相互に取り付けられるように構成された磁石を含み得る。
【0171】
本技術のいくつかの例において、位置決めおよび安定化構造3300は、上ストラップ部3310を含み得るが、下ストラップ部3320は含み得ない。本技術のいくつかの例において、患者インターフェース3000は、上ストラップ部3310を含む位置決めおよび安定化構造3300を含み得る。上ストラップ部3310により、位置決めおよび安定化構造3300の後部(例えば、リングストラップ部3340)が鼻枕またはクレードル保持型のクッションシール形成構造3100を含むプレナムチャンバ3200へ接続される。
【0172】
本例において、リングストラップ部3340は、剛性化部3345を含む。剛性化部3345は、リングストラップ部3340の他の部位よりも高剛性である。剛性化部3345は、全体的に剛性ではない場合があるが、リングストラップ部3340のその他の部分のうちいくつかまたは全てよりも高剛性である点において、「剛性化」され得る。剛性化部3345およびリングストラップ部3340の他の部位は全て、一定範囲まで可撓性であり得るが、剛性化部3345の方がより高剛性であり得る。剛性化部3345は、リングストラップ部3340の他の部位よりも伸縮可能性が低くかつ/または屈曲性が低くすることができ得る。本例において、剛性化部3345は、リングストラップ部3345によって規定されたループの長さに沿って設けられる。リングストラップ部3340の剛性化部3345により、リングストラップ部3340が補強され得る。リングストラップ部3340を補強することにより、使用時における患者インターフェース3000の安定性が向上し得る。なぜならば、リングストラップ部3340の目的は、(プレナムチャンバ3200を患者の顔内へ牽引するための張力下において)プレナムチャンバ3200へ接続するその他のストラップ部をアンカーするためだからである。剛性化部3345は、実質的にストレッチ不可能である場合もあるが、その場合も、患者の頭部の曲率に適合するように屈曲可能であり得る。剛性化部3345はストレッチ不可能であるため、リングストラップ部3340の補強が可能になり、位置決めおよび安定化構造3300のアンカーがより強固になり、安定性が増す。上ストラップ部3310は、ストレッチ可能であり得る。本技術のいくつかの例において、剛性化部3345は、ストレッチ可能であり得るが、リングストラップ部3340の他の部位よりもストレッチ可能性は低い。いくつかの例において、リングストラップ部3340は、リングストラップ部3340によって規定されたループの長さに沿って設けられた第1の部位と、ループの長さに沿って設けられた第2の部位とを含み得る。第2の部位は、剛性化部3345を含み得、(例えば、第1の部位と境界を有する)第1の部位に直接隣接するリングストラップ部3340の縁部に沿って延び得る。第2の部位は、第1の部位よりも高剛性であり得る。第2の部位は、第1の部位よりも低屈曲性であり得る。第2の部位は、第1の部位よりも伸縮可能性を低くすることができ得る。
【0173】
本技術の本例において、剛性化部3345は、実質的にリングストラップ部3340によって規定されたループの長さ全体に沿って設けられる。図示のように、リングストラップ部3340は、内周(または内縁)3341および外周(または外縁)3342を含む。いくつかの例において、リングストラップ部3340は、外周3342の近隣においてよりも内周3341の近隣においてより高剛性である。一例において、剛性化部3345は、リングストラップ部3340の内周3341の近隣において(例えば、内縁に沿って)リングストラップ部3340に設けられる。剛性化部3345は、リングストラップ部3340の内周3341(または内縁)を規定し得るか、あるいは、内周3341を規定するリングストラップ部3340の縁部に近接して配置され得る。剛性化部3345は、リングストラップ部3340の実質的に内周3341全体を形成し得る。他の例において、剛性化部3345は、リングストラップ部3340の内周3341と、リングストラップ部3340の外周3342との間において実質的に中央に設けられ得る。
【0174】
内周3341をリングストラップ部3340の周囲において補強すると、リングストラップ部3340の外周3342(より前側)と、リングストラップ部3340を患者インターフェース3000のプレナムチャンバ3200と接続させる他の任意のストラップ部とを近接して形成することが可能になり得る点において、有利であり得る。剛性化部3345を内周3341と外周3342との間の中央に配置すると、患者の皮膚上への圧力負荷の分布が均等になる点において、有利であり得る。リングストラップ部3340の内周3341はまた、外周3342ほど変形させる必要は無い場合があり得る。なぜならば、外周3342からは、さらなるストラップ部が延びて、患者の顔の前方のプレナムチャンバ3200へ接続するからである。
【0175】
リングストラップ部3340および/または位置決めおよび安定化構造3300の他の任意のストラップ部は、円形縁部を含み得る。円形縁部の場合、皮膚痕の原因になりにくく、患者の皮膚にとって快適であり得る。
【0176】
本技術のいくつかの例において、位置決めおよび安定化構造3300のストラップ部は、編織によって形成され得る。すなわち、上ストラップ部3310、下ストラップ部3320およびリングストラップ部3340のうち1つ以上は、編布構造を含み得る。いくつかの例において、位置決めおよび安定化構造3300のこれらのストラップ部のうち1つ以上は、横編によって形成され得る。例えば、リングストラップ部3340、上ストラップ部3310および/または下ストラップ部3320は、単一のジャージー編構造を含み得、ナイロンおよびスパンデックスの組み合わせから形成され得る。単一のジャージー編構造により、ストラップ部に必要な可撓性および弾性を余分な厚さ無く得ることが可能になり、有利である。あるいは、リングストラップ部3340は、ダブルジャージーループ形成を含み得る。リングストラップ部3340の剛性化部3345は、ピケ編物構造(例えば、ピケリブ構造)を含み得、ナイロンまたはナイロンおよびスパンデックスの組み合わせから形成され得る。剛性化部3345の形成においてピケ編物構造を用いると有利であり得る理由として、この種の構造は、(円形縁部を有しつつ)十分に高レベルの剛性を有する畝部を生成するのに極めて適している点がある。すなわち、リングストラップ部3340の第1の部位およびリングストラップ部の第2の部位(すなわち、剛性化部3345)は、同一種類のヤーン(例えば、同一剛性を有するヤーン)を含み得、第2の部位は、異なる編構造に起因して、第1の部位よりも高い剛性を有し得る。例において、ピケ編構造は、リングストラップ部の第1の部位の編構造(例えば、単一のニットまたはダブルジャージーニット)と比較して、より高い剛性を含み得る。
【0177】
位置決めおよび安定化構造3300のヘッドギアストラップは、ストレッチ可能であり得る。有利なことに、上ストラップ部3310、下ストラップ部3320およびリングストラップ部3340は、ストレッチ可能である。位置決めおよび安定化構造3300のリングストラップ部3340がストレッチ可能であることにより、リングストラップ部3340が使用時において患者の頭部の後面、側面および上面に適合およびぴったりと嵌まることが可能になる。上ストラップ部3310および下ストラップ部3320は、ストレッチ可能であるため、自身の長さの若干の伸長が可能となって、プレナムチャンバ3200の加圧時において一定の緩和を提供することが可能となる。使用時においてプレナムチャンバ3200が圧力下にある場合、プレナムチャンバ3200中の加圧空気の量に起因して、プレナムチャンバ3200およびフレーム3500は、患者の顔から離隔方向に前方に押し出される。プレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100と患者の顔とのシールされた状態での接触を保持するためには、この圧力からの力に対し、ヘッドギアストラップ内の張力によって対抗する必要がある。上ストラップ部3310および下ストラップ部3320の長さが少なくとも少量だけ伸長することが可能であることにより、これが発生したときの患者インターフェース3000の装着の快適性の向上が可能になる。
【0178】
有利なことに、上ストラップ部3310、下ストラップ部3320およびリングストラップ部3340は全て、自身を形成する材料である編構造に起因して、通気性を有している。通気性が有利である理由として、(ヘッドギアストラップの下側の患者の皮膚の温度を管理可能に保持しつつ)ヘッドギアストラップおよび患者の皮膚を乾いた状態に保持することができる点がある。
【0179】
剛性化部3345は、ヘッドギアストラップ材料の丸みのある肉厚部位であり得る。剛性化部3345は、リングストラップ部3340の隣接部位と比較してより大きな材料厚さを含み得る。本技術のいくつかの例において、リングストラップ部3340の患者接触側は、実質的に平坦であり、より大きな材料厚さが、リングストラップ部3340の患者非接触側へ提供される。有利なことに、リングストラップ部3340の患者非接触側上の剛性化部3345を形成する余分な材料の提供により余分な厚さを達成することにより、リングストラップ部3340患者接触側が実質的に平坦に保持される。平坦な表面の場合、非平坦の表面の場合よりも患者の皮膚に対する快適性が増し得、有利であり得る。図7に示す例において、剛性化部3345は、リングストラップ部3340の内周3341に設けられるため、内周3341を外周3342よりも肉厚にすることができ得る。使用時において、リングストラップ部3340の後縁部は、リングストラップ部3340の前縁部よりも肉厚である。内周3341を外周3342よりも肉厚にすると、リングストラップ部3340の内縁部がより高剛性になり、リングストラップ部3340の補強が可能になる。
【0180】
補強部3345の補強は、リングストラップ部3340の患者接触側において認識できないようにされ得る。使用時において、患者が補強部3345の任意の特徴を視認および/または感じ取ることをできなくすることができ得る。図10において、リングストラップ部3340の2つの場所における断面が図示される。図示のように、剛性化部3345における余分な厚さは、リングストラップ部3340の片側(患者非接触側)のみに設けられる。リングストラップ部3340の他方側は、実質的に平坦である。さらに、(内周3341における)リングストラップ部3340の内縁部および(外周3342における)リングストラップ部3340の外縁部と同様に、剛性化部3345は円形である。滑らかな/円形の縁部からユーザの顔上に付加されるのはわずかな圧力であることが可能となるため、ヘッドギアストラップを締めすぎた場合も快適性が維持される点において、特に有用であり得る。
【0181】
本技術のいくつかの例において、リングストラップ部3340は、剛性化部3345の厚さを3~5mmの範囲内(例えば、3.5~4.5mmの範囲内)において含む。いくつかの例において、剛性化部3345の厚さは、4mmであり得る。リングストラップ部3340の厚さは、剛性化部3345以外のリングストラップ部3340の領域において、1.5~3.5mmの範囲内(例えば、2~3mmの範囲内)(例えば、2mm)であり得る。上ストラップ部3310および下ストラップ部3320の厚さも、1.5~3.5mmの範囲内(例えば、2~3mmの範囲内)(例えば、2mm)であり得る。
【0182】
いくつかの例において、剛性化部3345の剛性は、リングストラップ部3340の長さに沿って不均一であり得る。剛性化部3345は、リングストラップ部3340の周囲の他の場所と比較して、いくつかの場所において伸縮可能性が低くおよび/または可撓性であり得る。いくつかの例において、剛性化部3345は、(他の場所と比較して)特定の場所においてより大型であり得、これにより、これらの特定の場所における剛性および/または硬さが増す。図7図8に示すように、剛性化部3345は、上ストラップ部3310およびリングストラップ部3340の接合部の近隣において、より大きくなる。本例において、剛性化部3345は、(リングストラップ部3340に沿った他の場所以外の)上ストラップ部3310の近隣において、より幅広になる。本技術の他の例において、剛性化部3345は、(リングストラップ部3340が編織によって形成される例において)より大きな材料厚さおよび/または異なる編物構造の使用に起因して、特定の場所においてより高剛性になり得る。
【0183】
幅および/または材料厚さをリングストラップ部3340の長さに沿って変化させることにより、剛性/安定性が必要な場所において剛性が得られ、剛性がそれほど必要ではない場所において可撓性および/または快適性が得られる。上ストラップ部3310およびリングストラップ部3340の接合部の近隣において余分な剛性を持たせると特に有利であり得る理由として、使用時においては上ストラップ部3310は張力下にあり、接合部においてストラップ材料の比較的大きな領域が存在する点がある。この接合部を強化することにより、患者インターフェース3000の高レベルの安定性が支援され得る。
【0184】
リングストラップ部3340の上部3302は、1つ以上の頭上ストラップ部3330を含み得る。図8図9および図13に示すように、一例においてリングストラップ部3340は、一対の頭上ストラップ部3330を含む。頭上ストラップ部3330は、相互への接続を調節するように構成され得る。一例において、頭上ストラップ部3330は、患者の頭部の矢状面の近隣において相互へ調節可能に接続するように構成される。2つの頭上ストラップ部3330間の調節可能な接続により、位置決めおよび安定化構造3300を一定範囲の頭部の形状およびサイズの患者に適合させることが可能になり得、有利であり得る。本技術の他の例において、位置決めおよび安定化構造3330は、単一の頭上ストラップ部3330を含み得る。単一の頭上ストラップ部3330のみが設けられる場合、長さを弾性的に伸長させることが可能であり得るため、一定範囲の頭部サイズの患者に適合し得る。
【0185】
2つの頭上ストラップ部3330は、バックル3335と共に調節可能に接続され得る。バックル3335は、一対のスロット、アイレットまたは他の開口部を含み得る。これらのスロット、アイレットまたは他の開口部を通じて、頭上ストラップ部3330が内部を通過することができ、これにより、各頭上ストラップ部3330をバックルの一部3335を通じて送って、自身に固定することが可能になり得る。頭上ストラップ部3330はそれぞれ、各頭上ストラップ部3330の端部を各頭上ストラップ部3330の中間部へ締結させることを可能にする面ファスナー材料を含み得る。本技術の他の例において、各頭上ストラップ部3330を自身に締結するために、クリップ、弾性バンド、磁石または他の適切な締結手段が用いられ得る。別の例において、2つの頭上ストラップ部が位置決めおよび安定化構造3300の製造時に別個に形成された後、共に溶接または縫製されて、リングストラップ部3340によって形成されたループが完成する。
【0186】
図16は、本技術の別の例による位置決めおよび安定化構造3300のヘッドギアストラップ3301を示す。このヘッドギアストラップ3301は、編織によって一体形成型され得、単一の横編プロセスにおいて単一の材料ピースとして形成され得る。図16のヘッドギアストラップ3301は、図7図15を参照して記載されたヘッドギアストラップ3301特徴および/または特性のうちいずれかを含み得る。
【0187】
図16に示すヘッドギアストラップ3301は、一対の上側ヘッドギアストラップ部3310を含む。上側ヘッドギアストラップ部3310はそれぞれ、使用時において患者インターフェース3000のプレナムチャンバ3200へ接続するように構成される。本例において、上側ヘッドギアストラップ部3310はそれぞれ、(使用時において患者の頭部の各横方向側配置される)位置決めおよび安定化構造3330の各ヘッドギア導管へ接続するように構成される。ヘッドギア導管はそれぞれ、患者の頭部の上部上の中間場所から横方向において患者の頭部の横方向側の下側の患者の頭部の上部にわたって延びた後、前方向および中間方向に延びて、患者の気道への入口の近隣のプレナムチャンバ3200へ接続するように構成され得る。よって、上側ヘッドギアストラップ部3310は、ヘッドギア導管を介してプレナムチャンバ3200へ接続するように構成される。ヘッドギアストラップ3301は、一対の下ヘッドギアストラップ部3320も含む。これらの下ヘッドギアストラップ部3320はそれぞれ、プレナムチャンバ3200へ接続するように構成される。下ヘッドギアストラップ部3320は、プレナムチャンバ3200またはクッションアセンブリ3580のフレーム3500へ直接接続し得る。
【0188】
図17は、本技術の別の例による、クッションアセンブリ3590および位置決めおよび安定化構造3300を含む患者インターフェース3000を示す。クッションアセンブリ3590は、プレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100を含む。位置決めおよび安定化構造3300は、ヘッドギアストラップ3301を含む。ヘッドギアストラップ3301は、患者インターフェースの導管ヘッドギアと共に用いられるように構成される。図17に示すヘッドギアストラップ3301は、図16に示すヘッドギアストラップと同じ様態でヘッドギア導管3900へ接続する。図示のように、ヘッドギア導管は、患者の頭部の上部において接合部3903において接合される。接続ポート3600から、呼吸可能なガスの加圧流れがヘッドギア導管3900へ供給される。各ヘッドギア導管3900は、横方向部3901を患者の頭部に沿って含む。横方向部3901は、使用時において患者の気道への入口に配置されたプレナムチャンバ3200へコネクタ3800を介して接続する。より一般的には、それぞれのヘッドギア導管3900は、患者頭部上の接続ポート3600から空気流れを受容し得、空気流れをシール形成構造3100を介して患者の気道の入口へ送達させ、それぞれのヘッドギア導管3900は、使用時に患者頭部の各側面の患者頭部の上耳底点の上方の患者頭部の少なくとも一領域と接触するように構築および配置される。
【0189】
図17に示すように、位置決めおよび安定化構造3300は、一対の上ストラップ部3310を含む。これらの上ストラップ部3310は、頸部ストラップ部3334と、各ヘッドギア導管3900との間に接続する。頸部ストラップ部3334は、後方/後部とも呼ばれ得る。本例において、上ストラップ部は、ヘッドギア導管3900のタブ3902上のアイレットへ接続する。本例において、下ストラップ部3320は、頸部ストラップ部3334と、プレナムチャンバ3200との間にヘッドギアクリップ3322を介して接続する。
【0190】
図16および図17に示す例において、ヘッドギアストラップ3301がリングストラップ部または頭上ストラップ部を含まない理由として、ヘッドギアストラップ3301の構成相手としての位置決めおよび安定化構造3300において、図7図15に示す例のリングストラップ部および頭上ストラップ部の機能がヘッドギア導管から得られるからである。しかし、本技術のいくくつかの例において、ヘッドギア導管と、リングストラップ部3340および/または頭上ストラップ部3330を含むヘッドギアストラップ3301とを含む位置決めおよび安定化構造3300が設けられる。
【0191】
図16および図17に示すヘッドギアストラップ3301は、頸部ストラップ部3334を含む。頸部ストラップ部3334は、上ヘッドギアストラップ3310および下ヘッドギアストラップ3320それぞれへ接続する。頸部ストラップ部3334は、使用時において患者の頸部の後面および/または患者の頭蓋骨の後頭骨上に載置される患者の頭部の表面に対して配置されるように、構成される。頸部ストラップ部3334は、患者の頭部の後頭骨上に載置されかつ/または患者の頸部使用時において患者の頸部に対して配置されるように、構成され得る。
【0192】
頸部ストラップ部3334、上ヘッドギアストラップ部3310および下ヘッドギアストラップ部3320は、一体形成され得る。ヘッドギアストラップ3301およびその上ヘッドギアストラップ部3310、下ヘッドギアストラップ部3320および頸部ストラップ部3334は、単一の横編プロセスによって形成され得る。
【0193】
図16に示すヘッドギアストラップ3301は、剛性化部3345を含む。本例において、剛性化部3345は、頸部ストラップ部3334に設けられる。剛性化部3345は、図7図15に示す位置決めおよび安定化構造3300の剛性化部3345に関連して例えばより大きな厚さおよび/またはより高剛性編物構造を用いたものとして上記したものと同様の様態のうちいずれかにおいて、形成され得る。本例において、剛性化部3345は、実質的にストレッチ不可能であり得る。
【0194】
剛性化部3345により、頸部ストラップ部3334が補強され得る。この補強により、使用時における高レベルの安定性が患者インターフェース3000へ提供され得る。なぜならば、頸部ストラップ部3334の目的は、張力下においてプレナムチャンバ3200を患者の顔へ牽引させつつ、プレナムチャンバ3200へ接続するその他のストラップ部のアンカーを提供することであるからである。剛性化部3345は、実質的にストレッチ不可能であり得るかまたはその他のストラップ部よりも少なくとも伸縮可能性が低い場合があり得るが、その場合も、患者の頭部の曲率に適合するように屈曲可能であり得る。剛性化部3345をストレッチ不可能とするかまたは低ストレッチ性とすることにより、頸部ストラップ部3334の補強が可能となり、より堅固なアンカーが得られ、より安定した位置決めおよび安定化構造3300に繋がる。上ストラップ部3310および下ストラップ部3320は、ストレッチ可能であり得る。
【0195】
頸部ストラップ部3334は、剛性化部3345に加えて、ストレッチ可能部位を含み得る。図16に示す例において、頸部ストラップ部3334は、ストレッチ可能部位を剛性化部3345の上側および下側に含む。本例において、頸部ストラップ部3334は、上側ストレッチ可能部位3346と、下側ストレッチ可能部位3347とを含む。ストレッチ可能部位は、頸部ストラップ部3334の上縁部および/または下縁部に設けられ得る。本例において、上側ストレッチ可能部位3346は、頸部ストラップ部3334の上縁部に沿って設けられ、下側ストレッチ可能部位3347は、頸部ストラップ部3334の下縁部に沿って設けられる。ストレッチ可能部位を頸部ストラップ部3334の上縁部および下縁部に設けると、患者の快適性にとって有利であり得る。頸部ストラップ部3334の上縁部および下縁部を実質的に剛性にすると、本構成においてヘッドギア張力からの力を患者の皮膚上に集中させることが可能になる。ストレッチ可能部位を上縁部および下縁部に設けることにより、一定の緩和が可能になり得、患者快適性の向上に繋がる。ストレッチ可能部位により、頸部ストラップ部3334を患者の頸部の曲率に適合させることも可能になり得る。
【0196】
5.3.3.3 ヘッドギアの通気
本技術のいくつかの形態において、位置決めおよび安定化構造は、1つ以上の通気部を有するヘッドギアストラップを含む。これら1つ以上の通気部は、ヘッドギアストラップを通じてより高い通気性を可能にするような構造および/または配置にされる。図7図10に示すように、位置決めおよび安定化構造3300は、3つの通気部3350を含む。本例において、通気部3350はそれぞれ、リングストラップ部3340内に設けられ、より高い通気性の領域をリングストラップ部3340を通じて提供する。リングストラップ部3340において、通気部3350が上ストラップ部3310それぞれの近隣に(例えば、上ストラップ部3310とリングストラップ部3340との間の各接合部において)設けられる。さらに、リングストラップ部3340において、単一の通気部3350が、下ストラップ部3320それぞれと、リングストラップ部3340との間の接合部の近隣に設けられる。
【0197】
本例において、下ストラップ部3320は双方とも、類似の場所においてリングストラップ部3340から延びる。下ストラップ部3320がリングストラップ部3340周囲のより個別化された場所から延びる本技術の例において、2つの別個の通気部3350が、下ストラップ部3320とリングストラップ部3340との間の接合部それぞれに1つずつ設けられ得る。これらの通気部3350は、ヘッドギアストラップが患者の頭部上の比較的大きな領域/フットプリントを含む場所において、設けられ得る。これらの領域の場合、皮膚温度上昇および/または湿気の蓄積による影響を最も受け易い場合がある。リングストラップ部3340と上ストラップ部3310および下ストラップ部3320との間の接合部により、患者の皮膚上の比較的大きな表面積が被覆され得るため、高レベルの患者快適性の提供のためにこれらの場所においてさらなる通気性が所望され得る。これらの通気部3350により、ヘッドギア材料中および/または患者の皮膚上の湿気の蓄積を有利の回避することが可能になり得る。これらの通気部3350は、通気性が局所化された領域である。位置決めおよび安定化構造3300のその他のヘッドギアストラップ部の編構造も、通気性を高くすることができ得るが、通気部3350の形成に用いられるメッシュ状編物構造に起因して、通気部3350を特に通気性を高くすることができ得る。これらの通気部3350により、ヘッドギアストラップ3301を形成する材料を通じた新鮮な空気の交換が促進されるため、少なくとも通気部3350下において患者の皮膚も涼しく保持される。
【0198】
これらの通気部3350は、編布構造を含み得る。編布構造の形成は、リングストラップ部3340、剛性化部3345、上ストラップ部3310および/または下ストラップ部3320の形成のために行われる編みプロセスと同じ編みプロセス時において、行われ得る。一例において、通気部3350は、ピケメッシュ編物構造を含む。通気部3350は、ストレッチ可能であり得る。しかし、いくつかの例において、通気部3350は、他のヘッドギアストラップ部よりも伸縮可能性が低くされ得る。通気部3350を比較的低弾性にすると、メッシュ構造を形成する開口部が布地によって閉塞されて、通気性低減を引き起こし得るような範囲までメッシュ構造が伸長される事態が回避され得る。これらの通気部3350は、例えばナイロンまたはナイロンおよびスパンデックスの組み合わせから形成され得る。
【0199】
いくつかの例において、図7図8および図10に示すように、リングストラップ部3340の剛性化部3345は、通気部3350を包囲し得る。これにより、有利なことに、表面積が大きくかつ他の場合に過度に伸長し得るヘッドギアストラップ部の領域において、さらなる剛性が得られ得る。すなわち、編物構造に起因して、通気部3350により、リングストラップ部3340の領域において、リングストラップ部の他の領域(例えば、リングストラップ部の第1の部位および/または第2の部位(例えば、剛性化部3345))と比較してより低い剛性および/またはより高い可撓性が得られ得る。これらの剛性化部3345は、通気部3350に隣接して(例えば、直接隣接して(例えば、境界を接して))設けられ得るため、通気領域に隣接してまたは通気領域を包囲してより高い剛性が得られる。各通気部3350は、必ずしも剛性化部3345によって包囲しなくてもよい。図7図8および図10に示す例において、患者の頸部の近隣の通気部3350は、剛性化部3345によって包囲されない。しかし、上ストラップ部3310の近隣の通気部3350は、剛性化部3345によって包囲される。
【0200】
リングストラップ部3340は、一対の上側通気部3350を含み、各上側通気部3350は、各上ストラップ部3310の近隣に設けられる。上記したように、剛性化部3345は、上側通気部3350それぞれを包囲する。本例において、剛性化部3345の材料厚さは、上側通気部3350それぞれの前側においてよりも、上側通気部3350それぞれの後側において大きい。上記したように、剛性化部3345は、リングストラップ部3340の内周3341の近隣においてより高剛性となるように形成され得る。
【0201】
リングストラップ部3340は、一対の下ストラップ部3320間に設けられた下側通気部3350も含む。図8および図9に示すように、下側通気部3350は、リングストラップ部3340の下縁部3343から間隔を空けて配置された下縁部3351を含む。下側通気部3350の下縁部3351およびリングストラップ部3340の下縁部3343はどちらとも、本技術の本例において弧状である。
【0202】
通気部3350の下縁部3351の曲率は、リングストラップ部3340の下縁部3343の曲率よりも大きい。このように通気部3350の下縁部3351の曲率をより大きくすると、通気部3350の下縁部3351と、使用時において患者の頭部の矢状面またはその近隣に設けられたリングストラップ部3340の下縁部3343との間に最大間隔が得られる。通気部3350の近隣の通気部3350および/またはリングストラップ部3340は、患者の頸部と接触し得るかまたは患者の頸部の極めて近隣に設けられ得る。さらに、通気部3350のメッシュ構造は、リングストラップ部3340の非メッシュ表面よりも粗目であり得る。よって、通気部3350の下縁部3351と下縁部3343との間に間隔を設けることにより、メッシュ状布地と患者の皮膚との接触量の低減に繋がり得る。このようにすると、(患者インターフェース3000の使用時のように)リングストラップ部3340が長時間にわたって張力下にある状態においてリングストラップ部3340と患者の皮膚との間の接触が発生する場合に、特に有利であり得る。
【0203】
図16に示す位置決めおよび安定化構造3300のヘッドギアストラップ3301は、通気部3350も含む。本例において、通気部3350は、頸部ストラップ部3334中に設けられる。通気部3350は、図7図15に示す位置決めおよび安定化構造3300の通気部3350およびヘッドギアストラップ3301に関連して上記したような特性と同じ形態および特性をとり得る。本例において、剛性化部3345は、通気部3350を包囲する。
【0204】
当業者であれば理解するように、ジャージー編構造(例えば、単一のジャージーニット、ダブルジャージーニット)、ピケ編構造、ピケメッシュ編構造という用語は、ジャージー、ピケによってそれぞれ形成されたテキスタイルまたはテキスタイル部位を指し、ヤーンの異なる交絡様態により異なる編構造を形成するピケメッシュ編物技術を指す点に留意されたい。
【0205】
5.3.3.4 ブラインドガイド
上記したように、位置決めおよび安定化構造3300のヘッドギアストラップ部の一部または全体において、締結部3360が設けられ得る。図7図8および図16に示すように、上ストラップ部3310および下ストラップ部3320はそれぞれ、締結部3360を各ストラップ部の端部の近隣に含む。これらの締結部3360はそれぞれ、各ストラップ部を自身にループバックさせ、自身に締結させることを可能にするような構造および/または配置にされる。
【0206】
例において、締結部3360は、フックアンドループ材料および/または磁石を含み得る。これにより、上ストラップ部3310および下ストラップ部3320それぞれを患者インターフェース3000の他のコンポーネント(例えば、フレーム3500)へ接続させることまたは他の例においてプレナムチャンバ3200へ直接接続させることが可能になる。上ストラップ部3310および下ストラップ部3320は、スロットまたは他の開口部を通じてフレーム3500へ直接接続させてもよいし、あるいは、ヘッドギアクリップへ接続させた後に、ヘッドギアクリップをフレーム3500へ接続させてもよい。一例において、図7および図8に示すように、上ストラップ部3310はそれぞれ、フレーム3500上の上ストラップ接続ポイント3510へ接続する。各上ストラップ接続ポイント3510に含まれるスロットを通じて、上ストラップ部3310の締結部3360を通過させることが可能となるため、上ストラップ部3310の端部を上ストラップ部3310の中間/中央部上へ固定させることが可能になる。本例において、下ストラップ部3320は、ヘッドギアクリップ3322へ接続する。各下ストラップ部3320は、ヘッドギアクリップ3322中に形成されたスロットを通過した後、自身にループバックされ、自身に固定される。その後、ヘッドギアクリップ3322は、フレーム3500へ接続される。本例において、ヘッドギアクリップ3322およびフレーム3500それぞれに含まれる磁石により、磁力によってヘッドギアクリップを3322をフレーム3500の所定の部分へ固定すること(およびフレーム3500の所定の部分から迅速に解放させること)が可能になる。図16に示す例において、上側ヘッドギアストラップ部3310の締結部3360は、位置決めおよび安定化構造3300のヘッドギア導管上のアイレットを通じてループさせることができ得る。下ヘッドギアストラップ3320の締結部3360は、患者インターフェース3000のプレナムチャンバ3200上のスロットを通じてループさせてもよいし、あるいは、図7に示す様態と同様に、プレナムチャンバ3200へ接続するヘッドギアクリップを通じてループさせてもよい。
【0207】
位置決めおよび安定化構造3300のストラップ部のうち1つ以上は、少なくとも1つのブラインドガイド3370を含み得る。ヘッドギアストラップ部に編布が含まれる本技術の例において、ブラインドガイド3370も、編布によって形成され得る。いくつかの例において、ヘッドギアストラップは、横編によって形成され、ブラインドガイドも、同一プロセス時において横編によって形成される。ブラインドガイド3370は、ストラップ上の締結部3360の場所について触知通知を提供し得る。ブラインドガイド3370は、患者がヘッドギアストラップの表面上において感じ取ることが可能な特徴であり得、ユーザによるヘッドギアストラップの操作(例えば、ストラップのフィッティングおよび調整)を(特に、患者がマスクを着用しており、当該患者がヘッドギアストラップを視認できない場合に)支援するように構成される。ブラインドガイド3370は、隆起バンプ、隆起した外形または他の触感的特徴であり得、ユーザがマスクフレームまたはヘッドギアクリップに設けられたスロットまたはアイレットを通じてストラップをループさせた後にストラップを自身に固定する作業をガイドする。本技術の他の例において、ブラインドガイド3370は、凹部を含み得る。
【0208】
図7図8および図16に示すように、上ストラップ部3310および下ストラップ部3320はそれぞれ、ブラインドガイド3370を各ストラップの締結部3360中に含む。各ブラインドガイド3370により、上ストラップ部3310および下ストラップ部3320それぞれの上の締結部3360の場所について触知通知が得られる。いくつかの例において、ブラインドガイド3370は、位置決めおよび安定化構造3300の頭上ストラップ部にも設けられ得る。
【0209】
図11は、位置決めおよび安定化構造3300のストラップの締結部3360の分解図を示す。図示の例において、ストラップは、位置決めおよび安定化構造3300の上ストラップ部3310であるが、締結部3360およびブラインドガイド3370の特徴を、本技術の例による位置決めおよび安定化構造3300の下ストラップ部3320または他のストラップ/ストラップ部に適用してもよい。上ストラップ部3310において、ブラインドガイド3370が設けられる非患者接触面が含まれる。ブラインドガイド3370は、隆起部を上ストラップ部3310の非患者接触面に対して含み得る。この隆起部は、締結部3360のうち少なくとも一部を包囲し得る。図10および図11に示すように、隆起部は、細長の隆起外形をストラップの非患者接触面上に含む。本例において、ブラインドガイド3370の細長の隆起外形は、締結部3360の1つ以上の縁部に設けられる。細長の隆起外形は、(使用時において上縁部、後縁部および下縁部である)締結部の縁部3360に設けられ得る。ブラインドガイド3370は、締結部3360の周囲(例えば、1つの側部、2つの側部、またはそれ以上の側部)に設けられ得る。
【0210】
本技術の他の例において、位置決めおよび安定化構造3300のストラップは、非患者接触面に対して凹状にされた凹状外形を含み得る。この凹部は、ストラップ上の締結部3360のうち少なくとも一部を包囲し得る。本明細書中に記載の隆起型ブラインドガイドの形状および場所の任意の適切な特徴が、本技術の他の例による凹型ブラインドガイドに適用され得る。同様に、本技術の他の例において、本技術による位置決めおよび安定化構造の図示の例のうちいずれかにおいて、隆起型ブラインドガイドの代わりに凹型ブラインドガイドが設けられ得る。例えば、凹型ブラインドガイドは、細長の凹状外形によって形成され得、締結部3360の3つ以上の側部を包囲し得る。凹状外形は、より薄い厚さのストラップにより、形成され得る。本技術において、他の特徴によって形成されたブラインドガイドが含まれ、このような領域は、より高剛性であり、ヘッドギアストラップの部位において、ストラップの隣接領域と異なる表面仕上げ/織地が用いられる。編織パターン、編織密度および/またはヤーン材料/厚さを変更することにより、ストラップ上の締結部の場所について触知通知をユーザへ提供することが可能である。
【0211】
本技術のいくつかの例において、ブラインドガイド3370の細長の隆起外形は、円形である。これにより、ブラインドガイド3370が患者にとってさわり心地がより快適になり得、美観的にもより優れたものになり得、隆起部と隆起部が設けられた非患者接触面との間のスムーズな移行により、位置決めおよび安定化構造3300の耐久性も増し得る。
【0212】
ブラインドガイド3370の隆起部は、ストラップの隣接領域よりもより肉厚のストラップによって形成され得る。より肉厚厚さを形成する余分な材料が、非患者接触面へ設けられ得る。
【0213】
ストラップの締結部3360は、面ファスナー材料(例えば、Velcro(登録商標))を含み得る。締結部3360は、非患者接触面へ設けられたフック材料およびループ材料のうち一方を含む端部3361と、非患者接触面へ設けられたフック材料およびループ材料のうち他方を含む中間部3363とを含み得る。中間部3363は、ストラップの端部3361に隣接して設けられ得る。図11に示す例において、締結部3360は、フック部3362と、ループ部3364とを含む。フック部3362は、上ストラップ部3310の端部3361に設けられる。ループ部3364は、上ストラップ部3310の中間部3363に設けられる。他の例において、フック部3362は、ストラップの中間部3363へ設けられ得、ループ部3364は、ストラップの端部3361に設けられ得る。フック部3362は、ループ部3364へ解放可能に取り付けることが可能である。すなわち、上ストラップ部3310が別のコンポーネント中の開口部(例えば、フレーム3500中に形成されたスロット)を通じて縫糸された後、端部3361を中間部3363へとループバックさせ、フック部3362をループ部3364へ解放可能に取り付けることができる。ブラインドガイド3370は、端部3361および中間部3363のうち1つだけを包囲し得る。図11に示す例において、ブラインドガイド3370は、中間部3363およびループ部3364の周囲のみに設けられる。図示のように、ブラインドガイド3370は、ループ部3364の3つの側部の周囲に設けられる。
【0214】
中間部3363は、端部3361よりも長尺であり得る。これにより、端部3361を中間部3363に沿った一定範囲の場所に締結させることが可能になり得、ストラップの長さ調節可能性が増す。いくつかの例において、中間部3363は、端部3361よりも数倍長尺である。
【0215】
ブラインドガイド3370(例えば、本技術の他の例において、上ストラップ部3310、下ストラップ部3320または他の任意のストラップ部)を含むストラップ部と、ブラインドガイド3370そのものとを、単一の編みプロセスにおいて共に形成することができ得る。ブラインドガイド3370は、ピケ編物構造を含み得る。ストラップは、単一のジャージー編物構造を含み得る。本技術の別の例において、ストラップは、ダブルジャージーループ形成を含み得る。ストラップおよびブラインドガイド3370は、一体形成され得る。
【0216】
フック部3362およびループ部3364は、別個に形成された後、各ストラップ部と共に組み立てられ得る。これらは、位置決めおよび安定化構造3300のストラップ部に接着または縫製され得る。あるいは、フック部3362およびループ部3364のうち一方または双方をヘッドギアストラップへ超音波溶接してもよい。本技術の他の例において、フック部3362およびループ部3364のうち一方または双方が、編織される。フック部3362および/またはループ部3364は、フック部3362および/またはループ部3364が設けられるストラップ部の形成に用いられる編みプロセスと同じプロセスにおいて形成され得る。編みプロセスは、横編を含み得る。フック部3362およびループ部3364は、ナイロンから形成され得る。これにより、優れた通気性を通じて皮膚炎症が低減し得、軟質のループが得られるため、患者の皮膚の摩耗が回避される。フック部3362およびループ部3364は、ダイカットされ得る。
【0217】
上ストラップ部3310および/または他のストラップ部は、図11に示すようにストラップの端部を示す視覚ガイド3366を含み得る。視覚ガイド3366は、フック部3362を包囲し得る。視覚ガイド3366は、ストラップ部の表面の上方に隆起させなくてもよく、色付きの布地の形態の視覚ガイドとなり得る。あるいは、視覚ガイド3366により、フック部3362と、製造時のフック部3362の固定先であるストラップ部との組立ても促進され得る。
【0218】
図8および図16に示すように、上ストラップ部3310および下ストラップ部3320はそれぞれ、締結部3360を含む。締結部3360はそれぞれ、各ストラップ部の端部3361に設けられたフック部3362と、各ストラップ部の中間部3363に設けられたループ部3364とを含む。本技術の他の例において、この構成は、上ストラップ部3310のみに設けられるか、下ストラップ部3320のみに設けられるか、またはこれらのストラップ部のいずれにも設けられない。いくつかの例において、ヘッドギアストラップ部の形成に用いられる編みプロセスは、所定の剛性レベルを高精度にストラップ部へ提供するように構成され、これにより、調節可能性およびブラインドガイドが不要となる。いくつかの例において、この所定レベルの剛性は、(走査によって決定されるような)患者の頭部の特定の形状およびサイズに基づいて決定され得る。
【0219】
いくつかの例において、位置決めおよび安定化構造3300は、下ストラップ部3320を含まず、上ストラップ部3310のみを有し得る。このような配置構成は、「鼻の下側」型の患者インターフェース3000(例えば、シール形成構造3100を鼻枕または鼻クレードル保持の形態で有するもの)に適している場合がある。このような例において、上ストラップ部3310は、上記した締結部3360およびブラインドガイド3370を有し得る。位置決めおよび安定化構造3300が上ストラップ部3310を有するが下ストラップ部3320は有していない場合、位置決めおよび安定化構造3300は、上部3302および下部3304を有するリングストラップ部3340を有し得る。上部3302および下部3304のうち一方または双方は、患者によって調節可能であり得る。このような例において、上部3302および/または下部3304は、バックル(または内部を通じてストラップを送ることが可能な開口部を有する類似のコンポーネント)によって接続された2つのストラップ部に分割され得る。上部3302および/または下部3304を形成するこれら2つのストラップ部はそれぞれ、図11を参照して上記したような締結部3360および/またはブラインドガイド3370の特徴を含み得る。
【0220】
ブラインドガイド3370は、本技術のいくつかの例においてストレッチ可能であり得、他の例においてストレッチ不可能であり得る。張力下において一定の伸展性が得られるよう、ブラインドガイド3370が設けられたストラップ部を全体的にストレッチ可能にしてもよいが、いくつかの例において、ストラップ部のうち選択領域のみの長さを伸長させてもよい。ブラインドガイド3370が設けられたストラップ部の領域はストレッチ可能であり、ブラインドガイド3370は、(例えば、ブラインドガイドが載置されたストラップと共に当該ブラインドガイドが弾性伸長することを可能にする編みプロセスの利用により)ストレッチ可能となるように形成してもよい。いくつかの例において、ブラインドガイド3370は、ストラップのうちストレッチ不可能である一部に設けられ得る(例えば、ストラップが自身の長さに沿っていずれかの箇所においてストレッチ可能部位を有する場合)。このような例において、ブラインドガイド3370は、ストレッチ不可能であり得る。
【0221】
図12に示すように、端部ブラインドガイド3371は、ストラップ部の端部3361について触知通知を提供するように、ヘッドギアストラップ3301の患者接触側に設けられ得る。使用時において、ストラップ部がフレーム3500中のスロットを通じて送られると、ブラインドガイド3371が形成された表面は、ヘッドギアストラップ3301の患者接触側にわたってループされる。
【0222】
5.3.4 通気部
一形態において、患者インターフェース3000は、吐き出されたガス(例えば、二酸化炭素)の押し出しを可能にするように構成および配置された通気構造3400を含む。
【0223】
特定の形態において、通気構造3400は、プレナムチャンバ内の圧力が雰囲気に対して正であるときにプレナムチャンバ3200の内部から雰囲気への連続的通気流れを可能にするように構成される。通気構造3400は、使用時においてプレナムチャンバ内の治療圧力を維持しつつ、通気流量の大きさが呼気されたCO2の患者による再呼吸を低減できるだけの充分な大きさになるように、構成される。
【0224】
本技術による一形態の通気構造3400は、複数の穴(例えば、約20個~約80個の穴または約40個~約60個の穴または約45個~約55個の穴)を含む。
【0225】
通気構造3400は、プレナムチャンバ3200内に配置され得る。あるいは、通気構造3400は、結合解除構造(例えば、スイベル)内に配置される。
【0226】
5.3.5 結合解除構造(複数可)
一形態において、患者インターフェース3000は、少なくとも1つの結合解除構造(例えば、スイベルまたは球窩)を含む。
【0227】
5.3.6 接続ポート
接続ポート3600は、空気回路4170への接続を可能にする。
【0228】
5.3.7 前額支持部
一形態において、患者インターフェース3000は、前額支持部3700を含む。
【0229】
5.3.8 窒息防止弁
一形態において、患者インターフェース3000は、窒息防止弁を含む。
【0230】
5.3.9 ポート
本技術の一形態において、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200内の量へのアクセスを可能にする1つ以上のポートを含む。一形態において、これにより、臨床医が補充酸素を供給することが可能になる。一形態において、これにより、プレナムチャンバ3200内のガス(例えば、圧力)の特性を直接測定することが可能になる。
【0231】
5.4 RPTデバイス
本技術の一態様によるRPTデバイス4000は、機械、空気圧式、および/または電気部品を含み、1つ以上のアルゴリズム(例えば全体的にせよ部分的にせよ本明細書に記載の方法のうちいずれか)を実行するように構成される。RPTデバイス4000は、例えば本文書中のいずれか一項に記載の呼吸状態のうち1つ以上の治療のために患者の気道へ送達される空気流れを生成するように構成され得る。
【0232】
一形態において、RPTデバイス4000は、少なくとも6cmHOまたは少なくとも10cmHOまたは少なくとも20cmHOの陽圧を維持しつつ、空気流れを-20L/分~+150L/分の範囲で送達できるように構築および配置される。
【0233】
RPTデバイスは、外部ハウジング4010を持ち得る。外部ハウジング4010は、上部4012および下部4014の2つの部分によって形成される。さらに、外部ハウジング4010は、1つ以上のパネル(単数または複数)4015を含み得る。RPTデバイス4000は、RPTデバイス4000の1つ以上の内部コンポーネントを支持するシャーシ4016を含む。RPTデバイス4000は、ハンドル4018を含み得る。
【0234】
空気圧RPTデバイス4000の空気圧経路は、1つ以上の空気回路アイテム(例えば、入口空気フィルタ4112、入口マフラー4122、空気を陽圧で供給することが可能な圧力生成器4140(例えば、送風機4142)、出口マフラー4124)ならびに1つ以上の変換器4270(例えば、圧力センサ4272および流量センサ4274)を含み得る。
【0235】
空気経路アイテムのうち1つ以上は、空気圧ブロック4020と呼ばれる取り外し可能な一体構造内に配置され得る。空気圧ブロック4020は、外部ハウジング4010内に配置され得る。一形態において、空気圧ブロック4020は、シャーシ4016によって支持されるかまたはシャーシ4016の一部として形成される。
【0236】
RPTデバイス4000は、電源4210、1つ以上の入力デバイス4220、中央コントローラ4230、治療デバイスコントローラ4240、圧力生成器4140、1つ以上の保護回路4250、メモリ4260、変換器4270、データ通信インターフェース4280、および1つ以上の出力デバイス4290を有することができる。電気部品4200は、シングルプリント回路基板アセンブリ(PCBA)4202上に取り付けられ得る。一代替形態において、RPTデバイス4000は、1つよりも多くのPCBA4202を含み得る。
【0237】
5.4.1 RPTデバイス機械および空気圧式コンポーネント
RPTデバイスは、以下のコンポーネントのうち1つ以上を一体ユニット中に含み得る。一代替形態において、以下のコンポーネントのうち1つ以上が、それぞれの別個のユニットとして配置され得る。
【0238】
5.4.1.1 空気フィルタ(単数または複数)
本技術の一形態によるRPTデバイスは、空気フィルタ4110または複数の空気フィルタ4110を含み得る。
【0239】
一形態において、入口空気フィルタ4112は、圧力生成器4140の空気圧経路上流の始まり部に配置される。
【0240】
一形態において、出口空気フィルタ4114(例えば抗菌ファクタ)は、空気圧ブロック4020の出口と、患者インターフェース3000との間に配置される。
【0241】
5.4.1.2 マフラー(単数または複数)
本技術の一形態によるRPTデバイスは、マフラー4120または複数のマフラー4120を含み得る。
【0242】
本技術の一形態において、入口マフラー4122は、空気圧経路内において圧力生成器4140の上方に配置される。
【0243】
本技術の一形態において、出口マフラー4124は、空気圧経路内において圧力生成器4140と患者インターフェース3000との間に配置される。
【0244】
5.4.1.3 圧力生成器
本技術の一形態において、空気の流れまたは供給を陽圧において生成する圧力生成器4140は、制御可能な送風機4142である。例えば、送風機4142は、1つ以上のインペラを備えたブラシレスDCモータ4144を含み得る。インペラが、ボリュート内へ配置され得る。送風機は、空気供給の送達を例えば約120リットル/分までの速度で、約4cmHO~約20cmHOの範囲の陽圧で、または他の形態において約30cmHOまで行うことができる。送風機については、以下の特許または特許出願のうちいずれか1つに記載があり得。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する:米国特許第7,866,944号、米国特許第8,638、014号、米国特許第8,636,479号およびPCT特許出願公開WO2013/020167。
【0245】
圧力生成器4140は、治療デバイスコントローラ4240の制御下にある。
【0246】
他の形態において、圧力生成器4140は、ピストン駆動ポンプ、高圧源(例えば、圧縮空気リザーバ)へ接続された圧力調節器、またはベローズであり得る。
【0247】
5.4.1.4 変換器(単数または複数)
変換器は、RPTデバイスの内部に設けてもよいし、あるいはRPTデバイスの外部に設けてもよい。外部変換器は、例えば空気回路上に配置してもよいし、あるいは空気回路の一部を形成してもよい(例えば、患者インターフェース)。外部変換器は、非接触センサの形態をとり得る(例えば、データRPTデバイスを送るかまたは移動させるドップラーレーダー移動センサ)。
【0248】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270が、圧力生成器4140の上流および/または下流に配置され得る。1つ以上の変換器4270は、空気流れの特性を示す信号(例えば、空気圧経路中の当該ポイントにおける流量、圧力または温度)を生成するように、構築および配置され得る。
【0249】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270は、患者インターフェース3000の近隣に配置され得る。
【0250】
一形態において、変換器4270からの信号が、(例えば、ローパス、ハイパスまたはバンドパスフィルタリングによって)フィルタリングされ得る。
【0251】
5.4.1.4.1 流量センサ
本技術による流量センサ4274は、差圧変換器(例えば、SENSIRIONからのSDP600シリーズ差圧変換器)に基づき得る。
【0252】
一形態において、流量センサ4274からの流量を示す信号が、中央コントローラ4230によって受信される。
【0253】
5.4.1.4.2 圧力センサ
本技術による圧力センサ4272は、空気圧経路と流体連通して配置され得る。適切な圧力センサの一実施例として、HONEYWELL ASDXシリーズからの変換器がある。別の適切な圧力センサとして、GENERAL ELECTRICからのNPAシリーズからの変換器がある。
【0254】
1つの形態において、圧力センサ4272からの信号は、中央コントローラ4230によって受信される。
【0255】
5.4.1.4.3 モータ速度変換器
本技術の一形態において、モータ4144および/または送風機4142の回転速度を決定するために、モータ速度変換器4276が用いられ得る。モータ速度変換器4276からのモータ速度信号は、治療装置コントローラ4240へ提供され得る。モータ速度変換器4276は、例えば速度センサであり得る(例えば、ホール効果センサ)。
【0256】
5.4.1.5 アンチスピルバック弁
本技術の一形態において、アンチスピルバック弁4160が、加湿器5000と、空気圧ブロック4020との間に配置され得る。アンチスピルバック弁は、水が加湿器5000から上流に(例えば、送風機のモータ4144へ)流れる危険性を低減させるように、構築および配置される。
【0257】
5.4.2 RPTデバイス電気部品
5.4.2.1 電源
電源4210は、RPTデバイス4000の外部ハウジング4010の内部または外部に配置され得る。
【0258】
本技術の一形態において、電源4210は、RPTデバイス4000にのみ電力を供給する。本技術の別の形態において、電源4210から、電力がRPTデバイス4000および加湿器5000双方へ提供される。
【0259】
5.4.2.2 入力デバイス
本技術の一形態において、RPTデバイス4000は、人間がデバイスと相互作用を可能にするためのボタン、スイッチまたはダイヤルの形態をとる1つ以上の入力デバイス4220を含む。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、タッチスクリーンを介してアクセスすることが可能な物理的デバイスまたはソフトウェアデバイスであり得る。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、一形態において外部ハウジング4010に物理的に接続させてもよいし、あるいは、別の形態において中央コントローラ4230と電気接続された受信器と無線通信してもよい。
【0260】
一形態において、入力デバイス4220は、人間が値および/またはメニュー選択肢を選択することを可能にするように、構築および配置され得る。
【0261】
5.4.3 RPTデバイスアルゴリズム
上記したように、本技術のいくつかの形態において、中央制御装置4230は、非一時的なコンピュータで読出可能な記録媒体(例えば、メモリ4260)中に記録されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上のアルゴリズム4300を具現するように構成され得る。このアルゴリズム4300は、モジュールと呼ばれるグループにグループ付けられることが一般的だ。
【0262】
5.5 空気回路
本技術の一態様による空気回路4170は、使用時において空気流れが2つのコンポーネント(例えば、RPTデバイス4000および患者インターフェース3000)間に移動するように、構築および配置された導管またはチューブである。
【0263】
詳細には、空気回路4170は、空気圧ブロック4020の出口および患者インターフェースと流体接続し得る。空気回路は、空気送達管と呼ばれ得る。いくつかの場合において、吸息および呼息のための回路の別個の肢があり得る。他の場合において、単一の肢が用いられる。
【0264】
いくつかの形態において、空気回路4170は、(例えば空気温度の維持または上昇のために)空気回路中の空気を加熱するように構成された1つ以上の加熱要素を含み得る。加熱要素は、加熱ワイヤ回路の形態をとり得、1つ以上の変換器(例えば、温度センサ)を含み得る。一形態において、加熱ワイヤ回路は、空気回路4170の軸周囲にらせん状に巻かれ得る。加熱要素は、コントローラ(例えば、中央コントローラ4230)と連通し得る。加熱ワイヤ回路を含む空気回路4170の一実施例について、米国特許出願第8,733,349号に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0265】
5.5.1 酸素供給
本技術の一形態において、補充用酸素4180が、空気圧経路における1つ以上のポイント(例えば、空気圧ブロック4020の上流)、空気回路4170および/または患者インターフェース3000へ送達され得る。
【0266】
5.6 加湿器
5.6.1 加湿器の概要
本技術の一形態において、患者へ送達されるべき空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に相対して変化させるための加湿器5000が提供される(例えば、図5Aに示すようなもの)。典型的には、加湿器5000は、患者気道へ送達される前に空気流れの(周囲空気に相対する)絶対湿度を増加させかつ温度を増加させるために、用いられる。
【0267】
加湿器5000は、加湿器リザーバ5110と、空気流れを受容する加湿器入口5002と、加湿された空気流れを送達させるための加湿器出口5004とを含み得る。図5Aおよび図5Bに示すようないくつかの形態において、加湿器リザーバ5110の入口および出口はそれぞれ、加湿器入口5002および加湿器出口5004であり得る。加湿器5000は、加湿器ベース5006をさらに含み得る。加湿器ベース5006は、加湿器リザーバ5110を受容するように適合され得、加熱要素5240を含み得る。
【0268】
5.6.2 加湿器コンポーネント
5.6.2.1 水リザーバ
1つの配置構成によれば、加湿器5000は、空気流れの加湿のために蒸発させるべき一定量の液体(例えば、水)を収容または保持するように構成された水リザーバ5110を含み得る。水リザーバ5110は、少なくとも呼吸治療セッション期間(例えば、一晩の睡眠)にわたって適切な加湿を提供するための所定の最大量の水を収容するように、構成され得る。典型的には、リザーバ5110は、数百ミリリットルの水(例えば、300ミリリットル(ml)、325ml、350mlまたは400ml)を収容するように、構成される。他の形態において、加湿器5000は、外部水源(例えば、建物の水供給システム)から水供給を受容するように、構成され得る。
【0269】
一態様によれば、水リザーバ5110は、空気流れがRPTデバイス4000を通過する際にRPTデバイス4000からの空気流れを加湿するように、構成される。一形態において、水リザーバ5110は、空気流れがリザーバ5110中の一定量の水と接触しつつ、空気流れのリザーバ5110中の蛇行経路の移動を促進するように、構成され得る。
【0270】
一形態によれば、リザーバ5110は、例えば図5Aおよび図5Bに示すように横方向において加湿器5000から取り外し可能であり得る。
【0271】
リザーバ5110は、例えばリザーバ5110がその通常の動作方向(例えば、任意のアパチャを通じておよび/またはそのサブコンポーネント間に)から変位および/または回転した時にリザーバ5110からの液体放出を抑制するようにも構成され得る。加湿器5000によって加湿すべき空気流れは加圧されていることが多いため、リザーバ5110は、漏洩および/または流れインピーダンスを通じた空気圧の損失を防止するようにも、構成され得る。
【0272】
5.6.2.2 伝導性部位
1つの配置によれば、リザーバ5110は、加熱要素5240からリザーバ5110中の一定量の液体への効率的な熱伝達を可能にするように構成された伝導性部位5120を含む。一形態において、伝導性部位5120はプレートとして配置され得るが、他の形状も適切であり得る。伝導性部位5120の全体または一部は、アルミニウムなどの熱伝導性材料(例えば、厚さおよそ2mm(例えば、1mm、1.5mm、2.5mmまたは3mm))、別の熱伝導金属また何らかのプラスチックによって構成され得る。いくつかの場合において、適切な熱伝導性が、適切なジオメトリのより低伝導性の材料により、達成され得る。
【0273】
5.6.2.3 加湿器リザーバドック
一形態において、加湿器5000は、加湿器リザーバ5110を受容するように構成された(図5Bに示すような)加湿器リザーバドック5130を含み得る。いくつかの配置において、加湿器リザーバドック5130は、ロック機能を含み得る(例えば、リザーバ5110を加湿器リザーバドック5130内に保持するように構成されたロックレバー5135)。
【0274】
5.6.2.4 水位インジケータ
加湿器リザーバ5110は、図5A図5Bに示すような水位インジケータ5150を含み得る。いくつかの形態において、水位インジケータ5150は、加湿器リザーバ5110中の水の量についての1つ以上の兆候を患者1000または介護者などのユーザへ提供し得る。水位インジケータ5150から提供されるこれら1つ以上の兆候は、最大の所定量の水、その任意の一部の通知を含み得る(例えば、25%、50%または75%または量(例えば、200ml、300mlまたは400ml))。
【0275】
5.6.2.5 加熱要素
いくつかの場合において、加熱要素5240は、加湿器リザーバ5110中の水量および/または空気流れへの水量のうち1つ以上へ熱入力を提供する加湿器5000へ設けられ得る。加熱要素5240は、電気抵抗加熱トラックなどの熱生成コンポーネントを含み得る。加熱要素5240の1つの適切な実施例として、例えばPCT特許出願公開第WO2012/171072号に記載の層状加熱要素がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0276】
いくつかの形態において、加熱要素5240は、加湿器ベース5006中へ設けられ得る。加湿器ベース5006において、図5Bに示すように主に伝導により熱が加湿器リザーバ5110へ送られ得る。
【0277】
5.7 呼吸波形
図6は、睡眠時のヒトの典型的な呼吸波形のモデルを示す。水平軸は時間であり、垂直軸は呼吸流量である。パラメータ値は変動し得るため、典型的な呼吸は、以下のおおよその値を持ち得る:一回換気量、Vt、0.5L、吸息時間、Ti、1.6秒、ピーク吸気流量、Qピーク、0.4L/秒、呼息時間、Te、2.4s、ピーク呼気流量、Qピーク、-0.5L/秒。呼吸の全持続時間Ttotは約4秒である。人間は典型的には、1分あたり呼吸を約15回行い(BPM)、換気Ventは約7.5L/minである。典型的な負荷サイクル、TiとTtotの比は約40%である。
【0278】
5.8 用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0279】
5.8.1 一般
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
【0280】
雰囲気:本技術の特定の形態において、「雰囲気」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0281】
例えば、加湿器に対する雰囲気湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような雰囲気湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
【0282】
別の実施例において、雰囲気圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
【0283】
特定の形態において、雰囲気(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中の背景ノイズレベルとみなすことができる。雰囲気ノイズは、部屋の外の発生源から発生し得る。
【0284】
自動的な気道陽圧(APAP)療法:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP療法。
【0285】
持続的気道陽圧(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時において低減される)。
【0286】
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」と呼ぶ場合もある。
【0287】
患者の呼吸の実施例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルに陽圧であり得るため、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負であり得る。合計流量Qtは、RPTデバイスから退出する空気の流量である。通気流量Qvは、吐き出されたガスの流出を可能にするために通気孔から退出する空気の流量である。漏洩流量Qlは、患者インターフェースシステムまたは他の場所からの漏洩の流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系中に受容される空気の流量である。
【0288】
加湿器:「加湿器」という単語は、患者の医療呼吸状態を改善するために治療上有益な量の水(HO)蒸気を空気流れへ提供することが可能な物理的構造を備えて構築、配置または構成された加湿装置を意味するものとして解釈される。
【0289】
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一実施例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の実施例において、漏洩は、周囲に対する回りエルボーにおいて発生し得る。
【0290】
ノイズ伝導(音響):本文書において、伝導ノイズとは、空気圧式経路(例えば、空気回路および患者インターフェースおよびその内部の空気)によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することにより、定量化され得る。
【0291】
ノイズ放射(音響):本文書において、放射ノイズとは、周囲空気によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該対象の音響パワー/圧力レベルをISO3744に従って測定することにより、定量化され得る。
【0292】
ノイズ通気(音響):本文書において、通気ノイズとは、任意の通気(例えば、患者インターフェース中の通気孔)を通じた空気流れにより生成されるノイズを指す。
【0293】
患者:呼吸器疾患に罹患しているかまたはしていない人。
【0294】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現され得る(例えば、cmHO、g-f/cm、及びヘクトパスカル)。1cmHOは、1g-f/cmに等しく、およそ0.98ヘクトパスカルである。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmHOの単位で付与される。
【0295】
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてマスク圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0296】
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0297】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
【0298】
5.8.1.1 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この登録商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35~約45である。
【0299】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの熱可塑性ポリマーである。
【0300】
5.8.1.2 機械的特性
弾性:弾性変形時にエネルギーを吸収することおよび除荷時にエネルギーを解放することが可能な材料の能力。
【0301】
弾性のある:除荷時に実質的に全てのエネルギーを解放する。例えば特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
【0302】
硬度:材料自体の変形に抵抗する能力(例えば、ヤング係数または規格化されたサンプルサイズ上において測定された押込硬さスケールによって記述されたもの)。
・ 「軟性」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得る。
・ 「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得ない。
【0303】
構造または構成要素の剛度(または剛性):構造または構成要素が負荷を受けたときに変形に抵抗する能力。負荷は、力またはモーメントであり得る(例えば、圧縮、伸張、屈曲またはねじれ)。構造または構成要素は、異なる方向において異なる抵抗を提供し得る。
【0304】
フロッピー構造または構成要素:自重を支持させられた際に比較的短期間(例えば、1秒)以内に形状を変化させる(例えば、屈曲する)構造または構成要素。
【0305】
剛性の構造または構成要素:使用時において典型的に遭遇する負荷を受けた際に実質的に形状変化の無い構造または構成要素。このような用途の実施例として、患者インターフェースを例えばおよそ20~30cmHOの圧力の負荷において患者気道入口に対して密閉した様態でセットアップおよび維持することがあり得る。
【0306】
一実施例として、I形ばりは、第2の直交方向と比較した第1の方向において、異なる曲げ剛性(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の実施例において、構造または構成要素は、第1の方向においてはフロッピーであり得、第2の方向においては剛性であり得る。
【0307】
5.8.2 解剖学的構造
5.8.2.1 顔の解剖学的構造
翼(Ala):外部の外壁または各鼻穴の「翼」(複数形:alar)
【0308】
鼻翼角度:
【0309】
Alare:鼻翼上の最外側の点。
【0310】
翼曲率(または鼻翼頂上)点:各翼の曲線状基準線における最後方点であり、翼および頬の結合によって形成される折り目において見受けられる。
【0311】
耳介:耳の視認できる部分全体。
【0312】
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨の前頭突起および前頭骨の鼻部分を含む。
【0313】
(鼻)軟骨格:鼻の軟骨格は、中隔軟骨、外側軟骨、大軟骨および小軟骨を含む。
【0314】
鼻柱:鼻孔を分離する皮膚片であり、鼻尖点から上唇へ延びる。
【0315】
鼻柱角度:鼻穴の中点を通じて引かれる線と、鼻下点と交差しつつフランクフルト水平に対して垂直に引かれる線との間の角度。
【0316】
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下側点から左耳点へ延びる線。耳点は、ノッチ上側から耳介の耳珠への最も深い点である。
【0317】
眉間:軟組織中に配置され、前額部の正中矢状において最も顕著な点。
【0318】
外側鼻軟骨:軟骨の概して三角形の板。その上側周縁は鼻骨および上顎骨の前頭突起へ取り付けられ、その下側周縁は大鼻翼軟骨へ接続される。
【0319】
唇、下側(下唇:labrale inferius):
【0320】
唇、上側(上唇:labrale superius):
【0321】
大鼻翼軟骨:軟骨の板であり、外側鼻軟骨の下側に配置される。これは、鼻孔の前方部分の周囲において曲線状になる。その後端は、3つまたは4つの翼の小軟骨を含む強靱な線維膜により、上顎骨の前頭突起へ接続される。
【0322】
鼻孔(小鼻):概して楕円体の翼穴であり、鼻腔への入口を形成する。鼻孔(nares)の単数形は鼻孔(naris)(鼻穴)である。これらの鼻孔は、鼻中隔によって分離される。
【0323】
鼻唇溝または鼻唇折り目:皮膚の折り目または溝であり、鼻の各側から口の角部へ延びて、頬を上唇から分離させる。
【0324】
鼻唇角:鼻柱と上唇との間の角度であり、鼻下点と交差する。
【0325】
下耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最低点。
【0326】
上耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最高点。
【0327】
鼻尖点:鼻の最も突出した点または先端であり、頭部の部分の残り部分の側面図中に確認され得る。
【0328】
人中:鼻中隔の下側境界から上唇領域中の唇の上部へ延びる正中線溝。
【0329】
ポゴニオン:軟組織上に配置された、顎の最前方中点。
【0330】
(鼻)堤:鼻堤は、鼻の正中線隆起であり、セリオンから鼻尖点へ延びる。
【0331】
矢状面:前方(前)から後方(後)へ続く垂直面である。正中矢状面は、右半分および左半分に分割する矢状面である。
【0332】
セリオン:軟組織上に配置された、前頭鼻骨縫合の領域上の最も凹状の点である。
【0333】
中隔軟骨(鼻):鼻中隔軟骨は、隔膜の一部であり、鼻腔の前部分を分割する。
【0334】
鼻翼最下点:翼ベースの下側周縁における点であり、翼ベースは上(上)唇の皮膚と接合する。
【0335】
鼻下点:軟組織上に配置され、鼻柱が正中矢状における上唇と合体する点。
【0336】
スプラメントン:下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の正中線中の最も凹状の点。
【0337】
5.8.2.2 頭蓋骨の解剖学的構造
前頭骨:前頭骨は、前額部として知られる領域に対応する大型垂直部分である前頭鱗を含む。
【0338】
下顎骨:下顎骨は、下側顎部を形成する。オトガイ隆起は、顎部の骨隆起であり、顎を形成する。
【0339】
上顎骨:上顎骨は、上側顎部を形成し、下顎の下側および眼窩の下側に配置される。上顎骨の前頭突起は、鼻の側部によって上方に突出し、その外側境界の部分を形成する。
【0340】
鼻骨:鼻骨は、2つの小さな長方形骨であり、個人によってサイズおよび形態が異なる。鼻骨は、顔の中間部分および上部分に並んで配置され、その接合により鼻の「ブリッジ」を形成する。
【0341】
鼻根点:前頭骨および2本の鼻骨の交差であり、眼と鼻のブリッジの上側との間に直接設けられた凹領域である。
【0342】
後頭骨:後頭骨は、頭蓋の裏および下側部分に配置される。後頭骨は、楕円穴である大後頭孔を含み、この穴を通じて、頭蓋内腔が椎管と連痛する。大後頭孔の後側の曲面板は、後頭鱗である。
【0343】
眼窩:頭蓋骨中の骨空洞であり、眼球を含む。
【0344】
頭頂骨:頭頂骨は、相互に接合されると頭蓋の頂部および側部を形成する骨である。
【0345】
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨のベースおよび側部上に配置され、こめかみとして知られる顔の部分を支持する。
【0346】
頬骨:顔に含まれる2つの頬骨は、顔の上側部分および外側部分中に配置され、頬の隆起を形成する。
【0347】
5.8.2.3 呼吸器系の解剖学的構造
横隔膜:シート状の筋肉であり、胸郭下部上に延びる。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を腹腔から分離させる。横隔膜が収縮すると、胸腔の容量が増加し、肺中に空気が引き込まれる。
【0348】
喉頭:声帯ひだを収容する喉頭または発声器であり、咽頭の下部(下咽頭)を気管へ接続させる。
【0349】
肺:ヒトにおける呼吸臓器。肺の伝導性ゾーンは、気管、気管支、気管支、および終末細気管支を含む。呼吸ゾーンは、呼吸気管支、肺胞管および肺胞を含む。
【0350】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中央の鼻の上方および後方の空気が充填された大きな空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直フィンによって2つに分割される。鼻腔の側部には、鼻甲介(nasal conchae)(単数形「concha」)または鼻介骨と呼ばれる3つの水平伸長物がある。鼻腔の前方には鼻があり、後方は後鼻孔を介して鼻咽頭内に繋がる。
【0351】
咽頭:鼻腔の直接下側(下方)に配置されかつ食道および喉頭の上方に配置された咽喉の部分。咽頭は、従来から以下の3つの部分へ区分される:鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、口咽頭(中咽頭)(咽頭の口部分)、および咽喉(下咽頭)。
【0352】
5.8.3 患者インターフェース
窒息防止弁(AAV):マスクシステムの構成要素またはサブアセンブリであり、フェールセーフ様態での雰囲気中への開口により、患者による過度のCO2の再呼吸の危険性を低減させる。
【0353】
エルボー:エルボーは、内部を移動する空気の流れの軸を方向付けて、角度を通じて方向を変化させる構造の実施例である。一形態において、角度はおよそ90度であり得る。別の形態において、角度は、90度超過または未満であり得る。エルボーは、ほぼ円形の断面を持ち得る。別の形態において、エルボーは、楕円または矩形の断面を持ち得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素に対して例えば約360度で回転可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素から例えばスナップ接続を介して取り外すことが可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、製造時にワンタイムスナップを介して噛み合い構成要素へ組み付けることが可能である一方、患者が取り外すことはできない。
【0354】
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重を支持するマスク構造を意味するものとしてとられる。マスクフレームは、マスク中の非気密負荷支持構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
【0355】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上において使用されるように設計された、一形態の位置決めおよび安定化構造を意味するものとしてとられる。例えば、ヘッドギアは、患者インターフェースを呼吸治療の送達のために患者の顔上の所定位置に配置および保持するように構成された1つ以上の支柱、タイおよび補剛材の集合を含み得る。いくつかのタイは、柔らかい可撓性の弾性材料(例えば、発泡材料および布地の層状複合材)によって形成される。
【0356】
膜:膜は、典型的には肉薄の要素を意味するものとしてとられ、好適には屈曲に対して実質的に抵抗せずかつ伸縮に対しては抵抗する。
【0357】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、空間の容積を少なくとも部分的に封入する壁を有する患者インターフェースの一部を意味するものとしてとられ、容積中の空気は、加圧されて使用時において気圧を超える。シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
【0358】
シール:名詞(「シール」)として用いられる場合は構造を指し得、動詞(「密閉(する)」)として用いられる場合はその効果を指し得る。2つの要素は、別個の「シール」要素自体を必要とすることなく両者間において「シール」するかまたは「密閉」効果を得るように、構築および/または配置され得る。
【0359】
シェル:シェルは、屈曲、引っ張りおよび圧縮剛性を有する曲線状の比較的肉薄構造を意味するものとしてとられる。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであり得る。いくつかの形態において、シェルはファセットされ得る。いくつかの形態において、シェルは気密であり得る。いくつかの形態において、シェルは気密でない場合もある。
【0360】
補剛材:補剛材は、別の構成要素の剛軟度を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0361】
支柱:支柱は、別の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0362】
スイベル(名詞):構成要素のサブアセンブリであり、共通軸の周囲において好適には独立して好適には低トルク下において回転するように構成される。一形態において、スイベルは、少なくとも360度の角度で回転するように構成され得る。別の形態において、スイベルは、360度未満の角度で回転するように構成され得る。空気送達導管の文脈において用いられる場合、構成要素のサブアセンブリは好適には、一対組み合わせの円筒導管を含む。使用時において、スイベルからの空気流れの漏れはほとんど無い。
【0363】
タイ(名詞):張力に抵抗するように設計された構造。
【0364】
通気:(名詞):マスクまたは導管の内部の周囲空気への空気流れを可能にする構造であり、吐き出されたガスの臨床的に有効な洗い流しを可能にする。例えば、臨床的に有効な洗い流しにおいては、約10リットル/分~約100リットル/分の流量がマスク設計および治療圧力に応じて用いられ得る。
【0365】
5.8.4 構造の形状
本技術による製品は、1つ以上の三次元機械構造(例えば、マスククッションまたはインペラ)を含み得る。三次元構造は、二次元表面によって制限され得る。これらの表面は、関連付けられた表面の方向、位置、機能または他の何らかの特性を記述するためのラベルを用いて区別され得る。例えば、構造は、前表面、後表面、内面および外面のうち1つ以上を含み得る。別の実施例において、シール形成構造は、顔接触(例えば、外側の)表面と、別個の非顔接触(例えば、下側または内側の)表面を含み得る。別の実施例において、構造は、第1の表面および第2の表面を含み得る。
【0366】
三次元構造の形状および表面の説明を容易にするために、構造の表面を通じた点pにおける断面について先ず検討する。図3B図3Fを参照されたい。図3B図3Fは、表面上における点pにおける断面例と、その結果得られる平面曲線の例とを示す。図3B図3Fは、pにおける外向き法線ベクトルも示す。pにおける外向き法線ベクトルは、表面から離隔方向に延びる。いくつかの実施例において、架空の小さな人が表面上に直立している観点から、この表面について説明する。
【0367】
5.8.4.1 一次元における曲率
pにおける平面曲線の曲率は、符号(例えば、正、負)および大きさ(例えば、pにおいて曲線に接する円形の1/半径)を持つものとして記述され得る。
【0368】
正の曲率:pにおける曲線が外向き法線に向かって曲がる場合、その点における曲率は、正の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上り坂を歩行する必要がある)。図3B図3Cと比較して比較的大きな正の曲率)および図3C図3Bと比較して比較的小さな正の曲率)を参照されたい。このような曲線を、凹状と呼ぶことが多い。
【0369】
ゼロ曲率:pにおける曲線が直線である場合、曲率はゼロとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上向きでも下向きでもない水平面を歩行することができる)。図3Dを参照されたい。
【0370】
負の曲率:pにおける曲線が外向き法線から離隔方向に曲がる場合、その点およびその方向における曲率は、負の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、下り坂を歩行する必要がある)。図3E図3Fと比較して比較的小さな負の曲率)および図3F図3Eと比較して比較的大きな負の曲率)を参照されたい。このような曲線は、凸状と呼ばれることが多い。
【0371】
5.8.4.2 二次元表面の曲率
本技術による二次元表面上の所与の点における形状の記述は、複数の垂直断面を含み得る。複数の断面は、外向き法線(「法平面」)を含む面において表面を切断し得、各断面は、異なる方向においてとられ得る。各断面の結果、対応する曲率を有する平面曲線が得られる。その点における異なる曲率は、同一符号または異なる符号を持ち得る。その点における曲率はそれぞれ、(例えば、比較的小さな)大きさを有する。図3B図3F中の平面曲線は、特定の点におけるこのような複数の断面の例であり得る。
【0372】
主要な曲率および方向:曲線の曲率が最大値および最小値をとる法平面の方向を主要な方向と呼ぶ。図3B図3Fの実施例において、最大曲率は図3Bにおいて発生し、最小は図3Fにおいて発生するため、図3Bおよび図3Fは、主要な方向における断面である。pにおける主要な曲率は、主要な方向における曲率である。
【0373】
表面の領域:表面上の連結された点の集合。領域内のこの1組の点は、類似の特性(例えば、曲率または符号)を持ち得る。
【0374】
鞍状領域:(上り坂または下り坂を歩行し得る架空の人が向く方向に応じて)各点において主要な曲率が反対の符号(すなわち、片方が正の符号および他方が負の符号)を有する領域。
【0375】
ドーム領域:各点において主要な曲率が同一符号(双方とも正(「凹状ドーム」)または双方とも負(「凸状ドーム」))を持つ領域。
【0376】
円筒領域:1つの主要な曲率がゼロ(または例えば製造交差内のゼロ)をとり、他方の主要な曲率が非ゼロである領域。
【0377】
平面領域:主要な曲率双方がゼロであるか(または例えば製造交差内のゼロである)表面の領域。
【0378】
表面の縁部:表面または領域の境界または限界。
【0379】
経路:本技術の特定の形態において、「経路」は、数学的-トポロジー的意味合いにおける経路(例えば、表面上におけるf(0)からf(1)への連続空間曲線)を意味するものとしてとられる。本技術の特定の形態において、「経路」は、例えば表面上の1組の点を含むルートまたはコースとして記述され得る。(架空の人の経路は、表面上において歩行する場所であり、庭の経路に類似する)。
【0380】
経路長さ:本技術の特定の形態において、「経路長さ」とは、表面に沿ったf(0)からf(1)への距離(すなわち、表面上の経路に沿った距離)を指すものとしてとられる。表面上の2つの点間において1つよりも多くの経路があり得、このような経路は、異なる経路長さを持ち得る。(架空の人の経路長さは、表面上を経路に沿って歩行する距離である)。
【0381】
直線距離:直線距離は、表面上の2つの点間の距離であるが、表面は考慮しない。平面領域上において、表面上の2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する表縁上の距離がある。非平面表面上において、2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する経路は存在し得ない。(架空の人にとって、直線距離は、「カラスが飛ぶ」距離に対応する)。
【0382】
5.8.4.3 空間曲線
空間曲線:平面曲線と異なり、空間曲線は、任意の特定の平面内に必ずしも存在しない。空間曲線は閉鎖され得る。すなわち、終点を有さない。空間曲線は、三次元空間の一次元ピースとみなされ得る。DNA螺旋の鎖上を歩行している架空の人物は、空間曲線に沿って歩行する。典型的なヒトの左耳は、左手螺旋を含む(図3Qを参照)。典型的なヒトの右耳は、右手螺旋を含む(図3Rを参照)。図3Sは、右手螺旋を示す。構造の縁部(例えば、膜またはインペラの縁部)は、空間曲線をたどり得る。一般的に、空間曲線は、空間曲線上の各点における曲率およびねじれによって記述され得る。ねじれとは、平面から発生する曲線の様態の尺度である。ねじれは、符号および大きさを有する。空間曲線上の点におけるねじれは、当該点における接線ベクトル、法線ベクトルおよび従法線ベクトルに対して特徴付けられ得る。
【0383】
接線単位ベクトル(または単位接線ベクトル):曲線上の各点について、当該点におけるベクトルは、当該点からの方向および大きさを指定する。接線単位ベクトルとは、当該点における曲線と同じ方向を向く単位ベクトルである。架空の人物が曲線に沿って飛行しており、特定の点において自身の車両から落ちた場合、接線ベクトルの方向は、その人物が移動しているはずの方向である。
【0384】
単位法線ベクトル:架空の人物が曲線に沿って移動している場合、この接線ベクトルそのものが変化する。接線ベクトルが変化している方向と同じ方向を向く単位ベクトルは、単位主法線ベクトルと呼ばれる。これは、接線ベクトルに対して垂直である。
【0385】
従法線単位ベクトル:従法線単位ベクトルは、接線ベクトルおよび主法線ベクトル双方に対して垂直である。その方向は、右手の法則(例えば図3Pを参照)または表すあるいは左手の法則(図3O)によって決定され得る。
【0386】
接触平面:単位接線ベクトルおよび単位主法線ベクトルを含む平面。図3Oおよび図3Pを参照されたい。
【0387】
空間曲線のねじれ:空間曲線の点におけるねじれとは、当該点における従法線単位ベクトルの変化速度の大きさである。これは、曲線の接触平面からの逸脱の程度を測定する。平面内にある空間曲線のねじれはゼロである。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的少量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的小さい(例えば、緩やかに傾斜する螺旋状経路)。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的大量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的大きい(例えば、急勾配に傾斜する螺旋状経路)。図3Sを参照して、T2>T1であるため、図3Sの螺旋の最上部コイルの近隣のねじれの大きさは、図3Sの螺旋の最下部コイルのねじれの大きさよりも大きい。
【0388】
図3Pの右手の法則を参照して、右手従法線の方向に向かって曲がる空間曲線は、右手方向に正のねじれとしてみなされ得る(例えば、図3Sに示すような右手螺旋)。右手従法線方向から離隔方向を向く空間曲線は、右手の負のねじれを持つものとしてみなされ得る(例えば、左手螺旋)。
【0389】
同様に、左手の法則(図3Oを参照)を参照して、左手従法線方向を向く空間曲線は、左手の正のねじれ(例えば、左手螺旋)を持つものとしてみなされ得る。よって、左手の正の方向は、右手の負の方向に相当する。図3Tを参照されたい。
【0390】
5.8.4.4 穴
表面は、一次元穴を持ち得る(例えば、平面曲線または空間曲線によって境界付けられた穴)。穴を含む肉薄構造(例えば、膜)の場合、この構造は、一次元穴を有するものとして記述され得る。例えば、図3Iに示す構造の表面中の一次元穴が平面曲線によって境界付けられる様子を参照されたい。
【0391】
構造は、二次元穴(例えば、表面によって境界付けられた穴)を持ち得る。例えば、可膨張性タイヤは、タイヤ内面によって境界付けられた二次元穴を有する。別の実施例において、空気またはゲルのための空洞を備えたブラダーは、二次元穴を持ち得る。例えば図3Lのクッション、および二次元穴を境界付ける内面が示される図3Mおよび図3Nにおける図3Lの例示的断面を参照されたい。さらに別の実施例において、導管は、(例えばその入口またはその出口において)一次元穴を含み得、導管の内面によって境界付けられた二次元穴を含み得る。図3Kに示す構造を通じておりかつ図示のように表面によって境界付けられた二次元穴も参照されたい。
【0392】
5.9 他の留意事項
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0393】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0394】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0395】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的な方法および材料が本明細書中に記載される。
【0396】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0397】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0398】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していないと認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0399】
「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0400】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0401】
本明細書中の技術について、特定の実施例を参照して述べてきたが、これらの実施例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「first(第1の)」および「second(第2の)」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその態様を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0402】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0403】
患者 1000
同床者 1100
患者インターフェース 3000
シール形成構造 3100
プレナムチャンバ 3200
腱 3210
上点 3220
下点 3230
位置決めおよび安定化構造 3300
ヘッドギアストラップ 3301
リングストラップ部の上部 3302
リングストラップ部の下部 3304
上ストラップ部 3310
下ストラップ部 3320
ヘッドギアクリップ 3322
頭上ストラップ部 3330
横方向接続ストラップ部 3332
頸部ストラップ部 3334
リングストラップ部 3340
リングストラップ部の内周 3341
リングストラップ部の外周 3342
リングストラップ部の下縁部 3343
剛性化部 3345
上側ストレッチ可能部位 3346
下側ストレッチ可能部位 3347
換気部 3350
通気部の下縁部 3351
締結部 3360
端部 3361
フック部 3362
中間部 3363
ループ部 3364
ブラインドガイド 3370
端部ブラインドガイド 3371
通気構造 3400
フレーム 3500
上ストラップ接続点 3510
クッションアセンブリ 3580
クッションアセンブリ 3590
接続ポート 3600
前額支持部 3700
ヘッドギア導管 3900
側方部 3901
接合部 3903
RPTデバイス 4000
外部ハウジング 4010
上部 4012
下部 4014
パネル 4015
シャーシ 4016
ハンドル 4018
空気圧ブロック 4020
空気フィルタ 4110
入口空気フィルタ 4112
出口空気フィルタ 4114
マフラー 4120
入口マフラー 4122
出口マフラー 4124
圧力生成器 4140
送風機 4142
モータ 4144
アンチスピルバック弁 4160
空気回路 4170
補充酸素 4180
電気部品 4200
プリント回路基板アセンブリ(PCBA) 4202
電気電源 4210
入力デバイス 4220
変換器 4270
加湿器 5000
加湿器入口 5002
加湿器出口 5004
加湿器ベース 5006
加湿器リザーバ 5110
伝導性部位 5120
加湿器リザーバドック 5130
ロックレバー 5135
水位インジケータ 5150
加熱要素 5240
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図2L
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図3M
図3N
図3O
図3P
図3Q
図3R
図3S
図3T
図3U
図3V
図3W
図3X
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図12A
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2020-12-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流れを周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において少なくとも患者の鼻孔入口を含む患者の気道への入口へ密閉された様態で送達するための患者インターフェースであって、前記患者インターフェースは、患者の睡眠中において、患者の呼吸サイクル全体において使用時に周囲空気圧力よりも高い約4cmHO~約30cmHOの範囲の治療圧力を維持して、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成され、前記患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmHOの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供する位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、タイを含み、タイは、使用時に少なくとも一部が患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部の領域に載置されるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造と、
前記患者が呼気したガスが連続的に前記プレナムチャンバ内部から周囲へ連続的に流れることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
前記患者インターフェースは、前記プレナムチャンバ入口ポートを通じた加圧空気流れが無い場合に前記患者が自身の口腔を通じて雰囲気から呼吸することを可能にするように構成されるか、あるいは、前記患者インターフェースは、前記患者の口腔を露出させたままにするように構成され、
前記位置決めおよび安定化構造が、
編物リングストラップ部であって、使用時において患者の頭部の頭頂骨上に載置されるように構成された上部と有し、使用時において患者の頭部後頭骨上に載置されるかまたは患者の頭部後頭骨の下側に配置されるように構成された下部を有し、リングストラップ部はループを規定しかつ内周と外周とを含む、編物リングストラップ部と、
上耳底の上方の患者の頭部の各側部において使用時においてリングストラップ部とクッションアセンブリとの間を接続させるようにそれぞれ構成された一対の上ストラップ部と、を含み、
前記編物リングストラップ部は、前記リングストラップ部の外周の少なくとも一部に沿って延びる第1の部分を形成する第1の編構造を含み、
前記リングストラップ部は、前記リングストラップ部の内周の近隣に設けられる第2の剛性化部を形成する第1の剛性化編構造を含み、
前記第1の編構造は、前記第2の剛性化編構造とは異なる編構造であり、前記第1の部分は、前記第2の剛性化部と比較してより高い伸縮可能性を有する、患者インターフェース。
【請求項2】
前記剛性化部は、前記リングストラップ部によって規定されたループの長さ全体に沿って実質的に設けられる、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項3】
前記第1の部分は、前記リングストラップ部の外周全体に沿って延びる、請求項1または2に記載の患者インターフェース。
【請求項4】
前記剛性化部は、前記リングストラップ部の内周の少なくとも一部を規定する、請求項3に記載の患者インターフェース。
【請求項5】
前記剛性化部は、前記リングストラップ部の内周全体を実質的に形成する、請求項3または4に記載の患者インターフェース。
【請求項6】
前記第1の部分は、前記剛性化部に直接隣接する、請求項1または2に記載の患者インターフェース。
【請求項7】
前記上ストラップ部は、ストレッチ可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項8】
前記剛性化部は、実質的にストレッチ不可能である、請求項1~7のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項9】
前記リングストラップ部は、円形縁部を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項10】
前記剛性化部の材料厚さは、前記リングストラップ部の隣接部位よりも大きい、請求項1~9のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項11】
前記リングストラップ部の患者接触側は、実質的に平坦であり、より大きな材料厚さが、前記リングストラップ部の患者非接触側へ付与される、請求項10に記載の患者インターフェース。
【請求項12】
前記リングストラップ部の厚さは、前記剛性化部において4mmである、請求項10または11に記載の患者インターフェース。
【請求項13】
前記リングストラップ部の厚さは、前記リングストラップ部のうち剛性化部以外の領域において2.5mmである、請求項10~12のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項14】
前記剛性化部は、前記リングストラップ部の他の領域においてよりも前記リングストラップ部のうち前記上ストラップ部の近隣の領域においてより大きい、請求項1~13のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項15】
前記剛性化部は、前記リングストラップ部の他の領域においてよりも前記上ストラップ部においてより幅広である、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項16】
前記リングストラップ部は、通気部において前記リングストラップ部を通じてより高い通気性を提供するような構造および/または配置された少なくとも1つの通気部を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項17】
前記通気部は、ピケメッシュ編物構造を有する編布を含む、請求項16に記載の患者インターフェース。
【請求項18】
前記通気部は、前記リングストラップ部の他の部位よりも伸縮可能性が低い、請求項16または17に記載の患者インターフェース。
【請求項19】
前記剛性化部は、前記通気部を包囲する、請求項16~18のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項20】
前記リングストラップ部は、一対の上側通気部を含み、各上側通気部は、各上ストラップ部の近隣に設けられる、請求項16~19のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項21】
前記剛性化部は、前記上側通気部それぞれを包囲する、請求項20に記載の患者インターフェース。
【請求項22】
前記剛性化部の材料厚さは、前記上側通気部それぞれの前側においてよりも、前記上側通気部それぞれの後側において大きい、請求項21に記載の患者インターフェース。
【請求項23】
前記位置決めおよび安定化構造は、一対の下ストラップ部を含み、各下ストラップ部は、使用時において上耳底の下側の患者の頭部の各側部においてリングストラップ部とクッションアセンブリとの間に接続するように構成される、請求項1~22のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項24】
前記リングストラップ部は、前記一対の下ストラップ部間に設けられた下側通気部を含む、請求項23に記載の患者インターフェース。
【請求項25】
前記下側通気部は、前記リングストラップ部の下縁部から間隔を空けて配置された下縁部を含む、請求項24に記載の患者インターフェース。
【請求項26】
前記下側通気部の下縁部の曲率は、前記リングストラップ部の下縁部よりも高いため、使用時において患者の頭部の矢状面またはその近隣において下側通気部の下縁部とリングストラップ部の下縁部との間に最大間隔が得られる、請求項25に記載の患者インターフェース。
【請求項27】
前記下ストラップ部は、ストレッチ可能である、請求項23~26のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項28】
前記リングストラップ部の全体は、編布構造を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項29】
前記リングストラップ部は、横編によって形成される、請求項28に記載の患者インターフェース。
【請求項30】
前記リングストラップ部は、単一のジャージー編物構造を含む、請求項28または29に記載の患者インターフェース。
【請求項31】
前記リングストラップ部は、ダブルジャージーループ形成編物構造を含む、請求項28または29に記載の患者インターフェース。
【請求項32】
前記剛性化部は、ピケ編物構造を含む、請求項28~31のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項33】
前記リングストラップ部の上部は、患者の頭部の矢状面の近隣において調節可能に相互に接続された一対の頭上ストラップ部を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項34】
前記頭上ストラップ部は、バックルへ調節可能に接続される、請求項33に記載の患者インターフェース。
【請求項35】
前記頭上ストラップ部は、面ファスナー材料を含み、前記面ファスナー材料により、前記頭上ストラップ部それぞれをバックルの一部を通じて送って、自身の上に固定することが可能になる、請求項33または34に記載の患者インターフェース。
【請求項36】
前記位置決めおよび安定化構造は、前記プレナムチャンバへ接続されたフレームを含み、前記上ストラップ部は、前記フレームへ接続するように構成される、請求項1~35のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項37】
空気流れを周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において少なくとも患者の鼻孔入口を含む患者の気道への入口へ密閉された様態で送達するための患者インターフェースであって、前記患者インターフェースは、患者の睡眠中において、患者の呼吸サイクル全体において使用時に周囲空気圧力よりも高い約4cmHO~約30cmHOの範囲の治療圧力を維持して、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成され、前記患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmHOの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供する位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、タイを含み、タイは、使用時に少なくとも一部が患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部の領域に載置されるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造と、
前記患者が呼気したガスが連続的に前記プレナムチャンバ内部から周囲へ連続的に流れることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
前記患者インターフェースは、前記プレナムチャンバ入口ポートを通じた加圧空気流れが無い場合に前記患者が自身の口腔を通じて雰囲気から呼吸することを可能にするように構成されるか、あるいは、前記患者インターフェースは、前記患者の口腔を露出させたままにするように構成され、
前記位置決めおよび安定化構造は、クッションアセンブリへ接続するように構成された少なくとも1つのストラップを含み、前記ストラップは、編布から形成され、ストラップの端部の近隣の締結部を含み、前記締結部は、ストラップを自身にループバックさせて、自身に締結させて、クッションアセンブリへ接続するような構造および/または配置され、
前記ストラップは、少なくとも1つのブラインドガイドを含み、前記少なくとも1つのブラインドガイドは、編布によって形成され、前記ストラップ上の締結部の場所の触知通知を提供するように構成される、患者インターフェース。
【請求項38】
前記ストラップは、横編によって形成される、請求項37に記載の患者インターフェース。
【請求項39】
前記ストラップは、非患者接触面を含み、前記少なくとも1つのブラインドガイドは、非患者接触面に対して隆起された隆起部および/または非患者接触面に対して凹状にされた凹部を含む、請求項37または38に記載の患者インターフェース。
【請求項40】
前記隆起部および/または凹部は、前記ストラップの締結部のうち少なくとも一部を包囲する、請求項39に記載の患者インターフェース。
【請求項41】
前記隆起部は、細長の隆起外形をストラップの非患者接触面上に含む、請求項39または40に記載の患者インターフェース。
【請求項42】
前記細長の隆起外形は、前記締結部の1つ以上の縁部に設けられる、請求項41に記載の患者インターフェース。
【請求項43】
前記細長の隆起外形は、使用時において上縁部、後縁部および下縁部である締結部の縁部に設けられる、請求項42に記載の患者インターフェース。
【請求項44】
前記細長の隆起外形は、円形の隆起面を含む、請求項39~43のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項45】
前記隆起部は、前記ストラップの隣接領域と比較して肉厚のストラップによって形成され、前記凹部は、前記ストラップの隣接領域と比較して肉薄のストラップによって形成される、請求項39~44のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項46】
前記ストラップの締結部は、面ファスナー材料を含む、請求項37~45のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項47】
前記締結部は、フック材料およびループ材料のうち一方が前記ストラップの非患者接触面に設けられた端部と、フック材料およびループ材料のうち他方が前記非患者接触面に設けられた中間部とを含む、請求項46に記載の患者インターフェース。
【請求項48】
前記中間部は、端部よりも長尺である、請求項47に記載の患者インターフェース。
【請求項49】
前記ストラップおよびブラインドガイドは、一体形成される、請求項37~48のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項50】
前記ストラップおよびブラインドガイドは、単一の編みプロセス時に形成される、請求項37~49のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項51】
前記ブラインドガイドは、ピケ編物構造を含む、請求項37~50のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項52】
前記ストラップは、単一のジャージー編物構造を含む、請求項37~51のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項53】
前記ストラップは、前記患者インターフェースのフレームを介して前記クッションアセンブリへ接続する、請求項37~52のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項54】
前記ストラップは:
使用時において患者の頭部の頭頂骨上の患者の頭部に対して載置されるように構成された上部と有し、使用時において患者の頭部後頭骨上の患者の頭部に対して載置されるかまたは患者の頭部後頭骨の下側に配置されるように構成された下部を有するリングストラップ部、および
上耳底点の上方の患者の頭部の各側部において使用時においてリングストラップ部とクッションアセンブリとの間を接続させるようにそれぞれ構成された一対の上ストラップ部
を含む、請求項37~53のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項55】
前記ストラップは、一対の下ストラップ部を含み、各下ストラップ部は、使用時において上耳底の下側の患者の頭部の各側部においてリングストラップ部とクッションアセンブリとの間に接続するように構成される、請求項54に記載の患者インターフェース。
【請求項56】
空気流れを周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において少なくとも患者の鼻孔入口を含む患者の気道への入口へ密閉された様態で送達するための患者インターフェースであって、前記患者インターフェースは、患者の睡眠中において、患者の呼吸サイクル全体において使用時に周囲空気圧力よりも高い約4cmHO~約30cmHOの範囲の治療圧力を維持して、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成され、前記患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmHOの治療圧力まで加圧可能であるキャビティを少なくとも部分的に形成するプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に形成された穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をキャビティ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供する位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、使用時に少なくとも一部が患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部の領域に載置されるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造と、を含み、
前記位置決めおよび安定化構造は、単一の材料ピースのワンピース型の編物ヘッドギアストラップを含み、前記編物ヘッドギアストラップは、
第1の編構造を有する少なくとも1つの第1の領域と、
前記第1の領域よりも可撓性が高い少なくとも1つの通気領域を形成する第2のメッシュ編構造を有する、少なくとも1つの第2の領域と、
剛性化編構造が少なくとも1つの通気領域に直接隣接しかつ境界を接している少なくとも1つの第3の領域を含み、前記剛性化編構造は、第1の編構造および第2のメッシュ編構造と比較してより高い剛性を有する、患者インターフェース。
【請求項57】
前記剛性化編構造は、少なくとも1つの通気領域を包囲する、請求項56に記載の患者インターフェース。
【請求項58】
前記剛性化編構造は、ピケ編構造である、請求項56または57に記載の患者インターフェース。
【請求項59】
前記ピケ編構造は、ピケリブ構造である、請求項58に記載の患者インターフェース。
【請求項60】
前記第2のメッシュ編構造は、ピケメッシュ編構造である、請求項56~58のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項61】
前記通気領域は、少なくとも1つの第1の領域および少なくとも1つの第3の領域と比較してより高い通気性を有する、請求項56~60のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項62】
前記編物ヘッドギアストラップは、リングストラップ部を含み、前記リングストラップ部は、使用時において患者の頭部の頭頂骨上に載置されるように構成された上部と有し、使用時において患者の頭部後頭骨上に載置されるかまたは患者の頭部後頭骨の下側に配置されるように構成された下部を有し、前記リングストラップ部によりループが規定される、請求項56~61のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項63】
前記リングストラップ部は、内縁および外縁を有し、前記剛性化編構造は、前記リングストラップ部の内縁に沿って延びる、請求項62に記載の患者インターフェース。
【請求項64】
前記剛性化編構造により、前記リングストラップ部の内縁全体に沿って延びるループが形成される、請求項63に記載の患者インターフェース。
【請求項65】
前記リングストラップ部は、少なくとも1つの通気領域を含む、請求項62~64のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項66】
前記編物ヘッドギアストラップは、患者の頭部の後頭骨上に載置されかつ/または使用時において患者の頸部に対して配置されるように構成された頸部ストラップ部をさらに含み、前記頸部ストラップ部は、少なくとも1つの通気領域を含む、請求項56~65のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項67】
前記第1の編構造は、ジャージー編構造である、請求項56~66のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項68】
睡眠呼吸障害の治療に使用する治療システムであって、
請求項56~67のいずれか一項に記載の患者インターフェース;
陽圧における呼吸可能なガスを供給する呼吸圧力治療(RPT)デバイス;および
呼吸可能なガスを前記RPTデバイスから前記患者インターフェースに通過させるための空気送達管を含む、治療システム。
【請求項69】
空気流れを周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において少なくとも患者の鼻孔入口を含む患者の気道への入口へ密閉された様態で送達するための患者インターフェースであって、前記患者インターフェースは、患者の睡眠中において、患者の呼吸サイクル全体において使用時に周囲空気圧力よりも高い約4cmHO~約30cmHOの範囲の治療圧力を維持して、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成され、前記患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmHOの治療圧力まで加圧可能であるキャビティを少なくとも部分的に形成するプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に形成された穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をキャビティ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供する位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、使用時に少なくとも一部が患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部の領域に載置されるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造と、を含み、
前記位置決めおよび安定化構造は、単一の材料ピースのワンピース型の編物ヘッドギアストラップを含み、前記編物ヘッドギアストラップは、
第1のメッシュ編構造を有する第1の領域と、
第2の剛性化編構造を有する第2の領域を含み、前記第2の剛性化編構造は、前記第1のメッシュ編構造よりも高い剛性を有し、
前記第2の剛性化編構造は、前記編物ヘッドギアストラップの第1の縁部に沿って延び、前記第1のメッシュ編構造に直接隣接する、患者インターフェース。
【請求項70】
前記第2の剛性化編構造は、前記第1のメッシュ編構造の縁部に沿って延びる、請求項69に記載の患者インターフェース。
【請求項71】
前記編物ヘッドギアストラップは、リングストラップ部を含み、前記リングストラップ部は、使用時において患者の頭部の頭頂骨上に載置されるように構成された上部と有し、使用時において患者の頭部後頭骨上に載置されるかまたは患者の頭部後頭骨の下側に配置されるように構成された下部を有し、前記リングストラップ部によりループが規定される、請求項69または70に記載の患者インターフェース。
【請求項72】
前記リングストラップ部は、内縁および外縁を有し、前記編物ヘッドギアストラップの第1の縁部により、前記リングストラップ部の内縁が形成される、請求項71に記載の患者インターフェース。
【請求項73】
前記前記編物ヘッドギアストラップは、前記編物ヘッドギアストラップの第2の縁部に沿って延びる第3の編構造を有する第3の領域をさらに含み、前記編物ヘッドギアストラップの第2の縁部により、前記リングストラップ部の外縁が形成される、請求項69~72のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項74】
前記第1のメッシュ編構造は、前記第2の剛性化編構造と比較してより高い伸縮可能性を有する、請求項69~73のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項75】
前記第1のメッシュ編構造は、前記第2の剛性化編構造および第3の編構造よりも低剛性である、請求項73に記載の患者インターフェース。
【請求項76】
前記第1のメッシュ編構造は、前記リングストラップ部上に配置される、請求項71または72に記載の患者インターフェース。
【請求項77】
前記第2の剛性化編構造は、前記第3の編構造に直接隣接する、請求項73または75に記載の患者インターフェース。
【請求項78】
前記第1のメッシュ編構造により、前記第2の領域および第3の領域よりも通気性が高い通気領域が形成され、前記第2の剛性化編構造は、前記通気領域を包囲する、請求項73、75および77のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項79】
前記第の編構造は、ジャージー編構造である、請求項73、75、77および78のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項80】
睡眠呼吸障害の治療に使用する治療システムであって、
請求項69~79のいずれか一項に記載の患者インターフェース;
陽圧における呼吸可能なガスを供給する呼吸圧力治療(RPT)デバイス;および
呼吸可能なガスを前記RPTデバイスから前記患者インターフェースに通過させるための空気送達管を含む、治療システム。
【請求項81】
患者インターフェースのための位置決めおよび安定化構造を形成する方法であって、前記位置決めおよび安定化構造は、睡眠呼吸障害の療法のためにシール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成され、前記方法は、
ワンピースのヘッドギアストラップを単一の材料ピースとして直接最終形状に編むステップを含み、前記ステップは、
第1の編構造を有する前記ヘッドギアストラップの少なくとも1つの第1の領域を編むことと、
第1の領域よりも高い可撓性を有するヘッドギアストラップの少なくとも1つの通気領域を形成する第2のメッシュ編構造を有するヘッドギアストラップの少なくとも1つの第2の領域を編むことと、
第1の編構造および第2のメッシュ編構造と比較してより高い剛性を有する剛性化編構造が少なくとも1つの通気領域に直接隣接しかつ境界を接しているヘッドギアストラップの少なくとも1つの第3の領域を編むことと、を含み、
前記ヘッドギアストラップは、複数のストラップ部を含み、前記複数のストラップ部は、前記シール形成構造を使用時において患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するように、クッションアセンブリへ接続するように構成される、方法。
【請求項82】
ワンピースのヘッドギアストラップを編むステップは、単一の横編プロセスを含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記剛性化編構造は、少なくとも1つの通気領域を包囲する、請求項81または82に記載の方法。
【請求項84】
前記剛性化編構造は、ピケ編構造である、請求項81~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記第2のメッシュ編構造は、ピケメッシュ編構造である、請求項81~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記通気領域は、少なくとも1つの第1の領域および少なくとも1つの第3の領域と比較してより高い通気性を有する、請求項81~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
編物ヘッドギアストラップは、リングストラップ部を含み、前記リングストラップ部は、使用時において患者の頭部の頭頂骨上に載置されるように構成された上部と有し、使用時において患者の頭部後頭骨上に載置されるかまたは患者の頭部後頭骨の下側に配置されるように構成された下部を有し、前記リングストラップ部によりループが規定される、請求項81~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記リングストラップ部は、内縁および外縁を有し、前記剛性化編構造は、前記リングストラップ部の内縁に沿って延びる、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記剛性化編構造により、前記リングストラップ部の内縁全体に沿って延びるループが形成される、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記第1の編構造は、ジャージー編構造である、請求項81~89のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2021-10-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流れを周囲空気圧力に対して連続的に陽圧において少なくとも患者の鼻孔入口を含む患者の気道への入口へ密閉された様態で送達するための患者インターフェースであって、前記患者インターフェースは、患者の睡眠中において、患者の呼吸サイクル全体において使用時に周囲空気圧力よりも高い約4cmHO~約30cmHOの範囲の治療圧力を維持して、睡眠時呼吸障害が改善されるように構成され、前記患者インターフェースは:
周囲空気圧力を超える少なくとも6cmHOの治療圧力まで加圧可能であるプレナムチャンバであって、前記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバと、
患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供する位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、タイを含み、タイは、使用時に少なくとも一部が患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部の領域に載置されるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造と、
前記患者が呼気したガスが連続的に前記プレナムチャンバ内部から周囲へ連続的に流れることを可能にする通気構造であって、前記通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
前記患者インターフェースは、前記プレナムチャンバ入口ポートを通じた加圧空気流れが無い場合に前記患者が自身の口腔を通じて雰囲気から呼吸することを可能にするように構成されるか、あるいは、前記患者インターフェースは、前記患者の口腔を露出させたままにするように構成され、
前記位置決めおよび安定化構造が、
編物リングストラップ部であって、使用時において患者の頭部の頭頂骨上に載置されるように構成された上部と有し、使用時において患者の頭部後頭骨上に載置されるかまたは患者の頭部後頭骨の下側に配置されるように構成された下部を有し、リングストラップ部はループを規定しかつ内周と外周とを含む、編物リングストラップ部と、
上耳底の上方の患者の頭部の各側部において使用時においてリングストラップ部とクッションアセンブリとの間を接続させるようにそれぞれ構成された一対の上ストラップ部と、を含み、
前記編物リングストラップ部は、前記リングストラップ部の外周の少なくとも一部に沿って延びる第1の部分を形成する第1の編構造を含み、
前記リングストラップ部は、前記リングストラップ部の内周の近隣に設けられる第2の剛性化部を形成する第1の剛性化編構造を含み、
前記第1の編構造は、前記第2の剛性化編構造とは異なる編構造であり、前記第1の部分は、前記第2の剛性化部と比較してより高い伸縮可能性を有する、患者インターフェース。
【請求項2】
前記剛性化部は、前記リングストラップ部によって規定されたループの長さ全体に沿って実質的に設けられる、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項3】
前記第1の部分は、前記リングストラップ部の外周全体に沿って延びる、請求項1または2に記載の患者インターフェース。
【請求項4】
前記剛性化部は、前記リングストラップ部の内周の少なくとも一部を規定する、請求項3に記載の患者インターフェース。
【請求項5】
前記剛性化部は、前記リングストラップ部の内周全体を実質的に形成する、請求項3または4に記載の患者インターフェース。
【請求項6】
前記第1の部分は、前記剛性化部に直接隣接する、請求項1または2に記載の患者インターフェース。
【請求項7】
前記上ストラップ部は、ストレッチ可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項8】
前記剛性化部は、実質的にストレッチ不可能である、請求項1~7のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項9】
前記リングストラップ部は、円形縁部を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項10】
前記剛性化部の材料厚さは、前記リングストラップ部の隣接部位よりも大きい、請求項1~9のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項11】
前記リングストラップ部の患者接触側は、実質的に平坦であり、より大きな材料厚さが、前記リングストラップ部の患者非接触側へ付与される、請求項10に記載の患者インターフェース。
【請求項12】
前記リングストラップ部の厚さは、前記剛性化部において4mmである、請求項10または11に記載の患者インターフェース。
【請求項13】
前記リングストラップ部の厚さは、前記リングストラップ部のうち剛性化部以外の領域において2.5mmである、請求項10~12のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項14】
前記剛性化部は、前記リングストラップ部の他の領域においてよりも前記リングストラップ部のうち前記上ストラップ部の近隣の領域においてより大きい、請求項1~13のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項15】
前記剛性化部は、前記リングストラップ部の他の領域においてよりも前記上ストラップ部においてより幅広である、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項16】
前記リングストラップ部は、通気部において前記リングストラップ部を通じてより高い通気性を提供するような構造および/または配置された少なくとも1つの通気部を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項17】
前記通気部は、ピケメッシュ編物構造を有する編布を含む、請求項16に記載の患者インターフェース。
【請求項18】
前記通気部は、前記リングストラップ部の他の部位よりも伸縮可能性が低い、請求項16または17に記載の患者インターフェース。
【請求項19】
前記剛性化部は、前記通気部を包囲する、請求項16~18のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項20】
前記リングストラップ部は、一対の上側通気部を含み、各上側通気部は、各上ストラップ部の近隣に設けられる、請求項16~19のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項21】
前記剛性化部は、前記上側通気部それぞれを包囲する、請求項20に記載の患者インターフェース。
【請求項22】
前記剛性化部の材料厚さは、前記上側通気部それぞれの前側においてよりも、前記上側通気部それぞれの後側において大きい、請求項21に記載の患者インターフェース。
【請求項23】
前記位置決めおよび安定化構造は、一対の下ストラップ部を含み、各下ストラップ部は、使用時において上耳底の下側の患者の頭部の各側部においてリングストラップ部とクッションアセンブリとの間に接続するように構成される、請求項1~22のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項24】
前記リングストラップ部は、前記一対の下ストラップ部間に設けられた下側通気部を含む、請求項23に記載の患者インターフェース。
【請求項25】
前記下側通気部は、前記リングストラップ部の下縁部から間隔を空けて配置された下縁部を含む、請求項24に記載の患者インターフェース。
【請求項26】
前記下側通気部の下縁部の曲率は、前記リングストラップ部の下縁部よりも高いため、使用時において患者の頭部の矢状面またはその近隣において下側通気部の下縁部とリングストラップ部の下縁部との間に最大間隔が得られる、請求項25に記載の患者インターフェース。
【請求項27】
前記下ストラップ部は、ストレッチ可能である、請求項23~26のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項28】
前記リングストラップ部の全体は、編布構造を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項29】
前記リングストラップ部は、横編によって形成される、請求項28に記載の患者インターフェース。
【請求項30】
前記リングストラップ部は、単一のジャージー編物構造を含む、請求項28または29に記載の患者インターフェース。
【請求項31】
前記リングストラップ部は、ダブルジャージーループ形成編物構造を含む、請求項28または29に記載の患者インターフェース。
【請求項32】
前記剛性化部は、ピケ編物構造を含む、請求項28~31のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項33】
前記リングストラップ部の上部は、患者の頭部の矢状面の近隣において調節可能に相互に接続された一対の頭上ストラップ部を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項34】
前記頭上ストラップ部は、バックルへ調節可能に接続される、請求項33に記載の患者インターフェース。
【請求項35】
前記頭上ストラップ部は、面ファスナー材料を含み、前記面ファスナー材料により、前記頭上ストラップ部それぞれをバックルの一部を通じて送って、自身の上に固定することが可能になる、請求項33または34に記載の患者インターフェース。
【請求項36】
前記位置決めおよび安定化構造は、前記プレナムチャンバへ接続されたフレームを含み、前記上ストラップ部は、前記フレームへ接続するように構成される、請求項1~35のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【国際調査報告】