(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-07
(54)【発明の名称】リグノセルロース含有繊維材料を機械的に処理する装置
(51)【国際特許分類】
D21D 1/00 20060101AFI20220331BHJP
B02C 7/04 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
D21D1/00
B02C7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540057
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(85)【翻訳文提出日】2021-07-09
(86)【国際出願番号】 FI2020050101
(87)【国際公開番号】W WO2020169884
(87)【国際公開日】2020-08-27
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515183610
【氏名又は名称】バルメット テクノロジーズ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ブオリオ,ペッテリ
(72)【発明者】
【氏名】フェーストレーム,ホーカン
【テーマコード(参考)】
4D063
4L055
【Fターム(参考)】
4D063DD02
4D063DD15
4D063GA01
4D063GA10
4D063GC21
4D063GD12
4D063GD27
4L055BB03
4L055CB11
4L055CB13
4L055EA15
4L055FA22
(57)【要約】
リグノセルロース含有繊維材料を機械的に処理する装置(1)の処理プレート(4、12)。本プレートは、内周および外周(22、23)と、突出部(6、7、14、15)を有する処理表面(9、17)とを有する。突出部(7、15)の少なくとも一部は、プレートの外周(23)に向かって傾斜した上昇壁(29)を有する半径方向内側部分(28)と、プレートの外周(23)に向かって傾斜した下降壁(31)を有する半径方向外側部分(30)とを有する。内側部分および外側部分(28、30)は、結合線(CL)に沿ってリッジ(32)によって互いに半径方向に結合される。壁(29、31)は、部分的にしか相互に接続されておらず、これらは、リッジ(32)の頂上区画(40)のみを共通に有する。この頂上区画(40)は、結合線(CL)での、内側部分(28)の壁(29)および外側部分(30)の壁(31)の少なくとも1つの幅よりも小さい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグノセルロース含有繊維材料を機械的に処理する装置の処理プレートであって、
内周および外周と、前表面と、を有し、
当該処理プレートの前記前表面は、突出部を備える処理表面を有し、
前記突出部の少なくとも一部は、当該処理プレートの外周に向かって傾斜した上昇壁を有する半径方向の内側部分と、当該処理プレートの外周に向かって傾斜した下降壁を有する半径方向の外側部分と、を有し、
前記内側部分および前記外側部分は、前記突出部の前記内側部分と前記外側部分の間の結合線に沿って、リッジにより半径方向に相互に結合され、
前記傾斜した壁は、相互に一部のみで接合され、前記リッジの頂上区画のみを共有し、該頂上区画は、前記結合線での、前記内側部分の前記傾斜した上昇壁および前記外側部分の前記傾斜した下降壁の少なくとも一つの幅よりも小さい、処理プレート。
【請求項2】
前記頂上区画は、前記突出部の前記内側部分と前記外側部分の間の前記結合線において、前記内側部分の前記傾斜した上昇壁の幅、および前記外側部分の前記傾斜した下降壁の幅よりも小さい、請求項1に記載の処理プレート。
【請求項3】
前記突出部の前記内側部分の前記傾斜した上昇壁は、当該処理プレートの前記内周に向かって対面する内端部と、当該処理プレートの前記外周に向かって対面する外端部と、を有し、
前記突出部の前記外側部分の前記傾斜した下降壁は、当該処理プレートの前記内周に向かって対面する内端部と、当該処理プレートの前記外周に向かって対面する外端部と、を有し、
前記内側部分の前記傾斜した上昇壁の前記外端部は、前記突出部の結合線に沿って、前記リッジで、前記外側部分の前記傾斜した下降壁の前記内端部に結合され、
前記頂上区画は、前記突出部の前記リッジで、前記内側部分の前記傾斜した上昇壁の前記外端部の幅、および前記外側部分の前記傾斜した下降壁の前記内端部の幅の少なくとも一つよりも小さい、請求項1または2に記載の処理プレート。
【請求項4】
前記突出部は、突出部のグループに配置され、
前記突出部の各グループは、当該処理プレートの周方向に沿って、相互に離れた距離で、相互に隣接して配置された、複数の突出部を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の処理プレート。
【請求項5】
前記突出部の少なくとも一部の間に、当該処理プレートの前記外周に向かって傾斜した上昇表面を有するダムがあり、
該ダムは、当該処理プレートの周方向において、隣接する突出部同士を接続する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の処理プレート。
【請求項6】
突出部のグループにおいて、各突出部の間にダムが存在する、請求項4または5に記載の処理プレート。
【請求項7】
前記ダムは、急勾配の実質的に垂直な降下で終わるように配置され、
前記隣接する突出部の間に実質的に垂直な壁が存在し、
前記垂直な壁は、当該処理プレートの外周に向かって少なくとも部分的に対面する、請求項5または6に記載の処理プレート。
【請求項8】
当該処理プレートの前記突出部は、当該処理プレートにおける異なる半径距離で複数の同心環状列に配置される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の処理プレート。
【請求項9】
当該処理プレートの半径方向において、前記突出部のグループは、該突出部のグループの少なくとも2つの連続する環状列において、少なくとも部分的に千鳥配置で配列される、請求項5乃至8のいずれか一項に記載の処理プレート。
【請求項10】
前記内側部分は、当該処理プレートの周方向において、少なくとも部分的に上昇する、傾斜した側壁を有する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の処理プレート。
【請求項11】
前記隣接する突出部の前記外側部分の間にある溝部の幅は、当該処理プレートの前記外周に向かって減少するように配置される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の処理プレート。
【請求項12】
当該処理プレートは、
当該処理プレートの前記内周の側の、第1の細長い突出部と、
当該処理プレートの前記外周の側の、前記第1の部分および第2の部分を有する第2の突出部と、
を有する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の処理プレート。
【請求項13】
当該処理プレートは、
当該処理プレートの前記内周の側に、第1の細長い突出部を有する供給ゾーンを有し、
当該処理プレートの前記外周の側に、前記第1の部分および前記第2の部分を有する第2の突出部を有する処理ゾーンを有する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の処理プレート。
【請求項14】
当該処理プレートは、パルプを分散する分散機用の分散機プレートである、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の処理プレート。
【請求項15】
当該処理プレートは、リグノセルロース含有繊維材料を壊繊して精製パルプを製造する、中程度のまたは高いコンシステンシーの精製機用の精製機プレートである、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の処理プレート。
【請求項16】
リグノセルロース含有繊維材料を機械的に処理する装置であって、
少なくとも2つの反対位置に配置された処理ディスクを有し、
前記処理ディスクの少なくとも1つは、少なくとも1つの他方の処理ディスクに対して回転されるように配置され、
各処理ディスクは、該処理ディスクに取り付けられた少なくとも1つの処理プレートと、突出部を備える処理表面とを有し、
前記処理プレートは、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の処理プレートである、装置。
【請求項17】
当該装置は、パルプを分散する分散機である、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
当該装置は、リグノセルロース含有繊維材料を壊繊して、精製パルプを製造する、中程度のまたは高いコンシステンシーの精製機である、請求項16に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リグノセルロース含有繊維材料を機械的に処理する装置に関し、例えば、再生リグノセルロース含有繊維材料で作られたパルプを分散させる分散機、またはリグノセルロース含有繊維材料を壊繊して精製パルプを製造する、高コンシステンシーまたは中コンシステンシーの精製機に関する。より詳細には、本発明は、リグノセルロース含有繊維材料を機械的に処理する処理プレート、例えば、再循環リグノセルロース含有繊維材料で構成されたパルプを分散させる分散機用の分散機プレート、またはリグノセルロース含有繊維材料を壊繊して精製されたパルプを製造する精製器プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
古紙や包装材を原料として新たな繊維ベース製品にリサイクルすることは、長きにわたる慣習であるが、近年、環境、エネルギー、持続可能性の観点からその重要性が高まっている。回収された紙に存在するインク、トーン、プラスチック、および粘着物などを除去するため、いくつかのプロセスが用いられる。
【0003】
パルプ、特に、例えば古紙、ボール紙または廃パルプに由来する再生繊維を含有するパルプから、紙または板紙が製造される場合、紙ウェブまたはボードウェブの形成前にパルプ内の異なる混入物を処理し、紙またはボード機械において形成されるパルプおよびウェブに与える混入物の悪影響を低減することには関心がある。前記混入物には、例えば、印刷インクおよび表面コーティング剤、例えば、異なる粘着物、ワックス、接着剤およびペーストが含まれ、これらが古紙、ボール紙または廃パルプ内に残留する。
【0004】
パルプの分散化は、実際にはパルプから混入物を除去するのではなく、パルプを分散させる際に、パルプをスラッシュしまたは処理し、パルプの品質および走行性に対する混入物の悪影響を低減し、あるいは分散後のプロセス段階における混入物の除去を容易にするために実施される。特に、分散工程において、繊維に付着した印刷インク粒子のような混入物は、繊維から脱着され、より微細化される。これにより、分散後の浮遊段階において、これらをパルプから容易に除去できる。あるいは、少なくとも目視検査により、仕上げ紙または板紙において、それらが視認されることを防止できる。また、分散工程においては、パルプ内に残留する粘着性粒子も分解され、異なる混入物凝集体の形成が防止される。混入物凝集体は、紙または板ウェブの形成中のパルプの走行性、および実際の紙または板紙機械における成形紙または板ウェブの走行性に、悪影響を及ぼし得る。分散工程は、実際に繊維を切断したり破壊したりすることはないが、混入物から繊維を開放し、粘着物の粒子サイズを低減することを助長する。
【0005】
典型的な分散機は、ディスク状または円錐形のいずれかの形態を有し分散機の固定子および回転子を提供する、同軸反対位置に配置された分散機ディスクを有し、回転子は、固定された固定子に対して回転するように配置される。固定子および回転子には、取り外し可能に配置された分散機プレートがあり、この分散機プレートは、固定子および回転子の分散表面を提供し、これにより、固定子および回転子の分散表面は、固定子/回転子の全周にわたって延在する単一の分散機プレートで構成され得る。ただし、典型的には、それらは、互いに隣接して配置された、いくつかのパイ形状の分散機プレート、すなわち、セグメントで構成され、完全な分散表面が形成される。分散表面は、突出部、歯またはそのようなもの、およびキャビティを有する。キャビティは、溝であってもよいが、通常の場合、突出部の間の平坦な領域である。突起部およびその間のキャビティは、分散機プレートの処理表面、すなわち分散表面を提供する。従って、ディスク状または円錐形の固定子/回転子に取り付けられた1または2以上の分散機プレートの分散表面は、ディスク状または円錐形の固定子/回転子の分散表面を提供する。
【0006】
典型的な分散機プレートの突起部は、ピラミッド状の別個の部分であり、これらは、分散機プレートの外周に向かって傾斜した上昇壁を有する半径方向内側部分と、分散機プレートの外周に向かって傾斜した下降壁を有する半径方向外側部分とを有する。半径方向内側部分および半径方向外側部分は、両者の間のリッジで連結される。突出部は、分散機プレート内の異なる半径方向距離で多数の同心環状列に配置され、突出部は、その環状列において相互に離間される。これにより、キャビティは、突出部の同心環状列の間の同心環状開口領域と、突出部の環状列における個々の突出部の間の半径方向の溝状開口領域とを有する。その後、分散機において、反対位置に配置された固定子/回転子における突出部とキャビティは、互いにかみ合うように配置され、固定子板の環状列の突出部が反対の回転子板の環状開口領域に延在するようになる。オスメス素子としてその逆も生じ得る。この種の分散機は、例えば、国際公開第2017/001359A1、および米国特許公報1806451B1に示されている。
【0007】
分散機の分散機ディスクを互いに対して回転させると、固定子および回転子におけるピラミッド形状の別個の突起部がパルプに衝突し、これらの衝突の影響と、パルプ内の内部摩擦の影響とにより、パルプから混入物が脱離し、これらが小片に破壊される。
【0008】
同様に、精製機が使用され、プレート組の間で、リグノセルロース含有繊維材料が機械的に処理される。プレート組の少なくとも一方が回転して、異なるグレードの紙またはボード製品を製造するための、あるいは繊維ボードを製造するための、精製パルプが製造される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、リグノセルロース含有繊維材料を機械的に処理する新規な装置、例えば、新規な分散機、および新規な分散機用分散機プレート、ならびに新規な精製機および精製機用の新規な精製機プレートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による処理プレートは、請求項1に記載の特徴を有する。
【0011】
本発明によるリグノセルロース含有繊維材料を機械的に処理する装置は、請求項16に記載の特徴により特徴付けられる。
【0012】
本発明は、突起部およびその傾斜壁に第1の部分および第2の部分を配置し、少なくとも傾斜壁が相互に対して、プレートの円周方向に配置されるようにするという考えに基づくものである。
【0013】
分散機の用途において、この配置の利点は、流れるパルプの方向転換点が多数増加し、従って、流れるパルプが衝突し、これらの衝突およびパルプ中の内部摩擦の影響により、パルプ内の混入粒子が小片に破壊されるような点または表面が増加すること、またはそのような点または表面が、分散室および対向する分散機ディスクに向かってパルプを誘導し、分散させることである。また、同様の効果は、精製機、特に、中程度のコンシステンシーまたは高いコンシステンシーの精製機における木材チップの壊繊においても達成され得る。流動する繊維材料の針路変更点の増加数は、より効果的な材料の混合化を提供するとともに、チップおよび繊維束が衝突するより多くの切断エッジを提供し、これにより、リグノセルロース含有繊維材料の壊繊の効率が上昇する。
【0014】
本発明のある実施形態は、従属請求項に記載されている。以降、分散機の実施形態に関して本発明を説明するが、精製機の実施形態も同様に含まれることが理解される。
【0015】
以下、添付図面を参照して、好適実施例により、本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】分散機の概略的な分散機プレートを示した図である。
【
図3A】
図2の分散機プレートにおいて使用される突出部を概略的に示した図である。
【
図3B】
図2の分散機プレートにおいて使用される突出部を概略的に示した図である。
【
図3C】
図2の分散機プレートにおいて使用される突出部を概略的に示した図である。
【
図4】突出部の別の実施形態を概略的に示した図である。
【
図5】突起部のさらに別の実施形態を概略的に示した図である。
【
図6】突起部のさらに別の実施形態を概略的に示した図である。
【
図7A】突起部のさらに別の実施形態を概略的に示した図である。
【
図7B】突起部のさらに別の実施形態を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
明瞭化のため、図面は、本発明のいくつかの実施形態を簡略化された方法で示す。図において、同様の参照符号は、同様の素子を表す。
【0018】
図1は、分散機1の概略的な側断面図であり、これは、繊維材料、すなわちパルプ、特に、例えば、古紙、ボール紙または廃パルプに由来する再生繊維を含むパルプの分散に使用することができる。分散化の目的は、混入物を繊維から放出するようにパルプを処理し、これらが分散後の浮遊段階においてパルプから容易に除去できるようにしたり、あるいは、少なくとも目視検査により、これらが仕上げ紙または板紙において視認されることを防止するようにすることである。前記混入物には、例えば、印刷インクおよび表面コーティング剤、例えば、異なる粘着性物質、ワックス、接着剤およびペーストが含まれ、これらは、古紙、ボール紙または廃パルプ中に残留する。一般に、分散機は、2つの対向するように配置された分散機ディスクを有し、その少なくとも一方は、回転する。以下、1つの回転分散機ディスクを有する分散機1について説明する。
【0019】
図1に示す分散機1は、静止し固定された分散機ディスク2、すなわち固定子2を有する。静止分散機ディスク2は、本体3を有し、これは、分散機1の固定フレーム(図示されていない)、または分散機1の固定フレームに着脱可能に固定された本体素子の一部であってもよい。静止分散機ディスク2は、該静止分散機ディスク2の多数の、すなわち1または2以上の分散機プレート4を有し、少なくとも1つの分散機プレート4は、静止分散機ディスク2の本体3に着脱可能に固定され、これにより、摩耗しまたは破損した分散機プレート4を新しいものと置換できる。分散機プレート4は、静止分散機ディスク2の本体3と対向するバックグラウンド表面5aと、静止分散機ディスク2の本体3から遠い側に面する前表面5bとを有する。前表面5bは、分散機プレート4の前表面5bの底部から上方に向かって延在する、複数の第1の突出部6および第2の突出部7と、分散機プレート4または静止分散機ディスク2の半径方向RDにおける突出部6、7の間のキャビティ8または開口領域8とを有する。分散機プレート4の前表面5bは、突起部6、7およびキャビティ8または開口領域8とともに、処理表面9、すなわち分散機プレート4の分散表面9を提供する。完全な処理表面、すなわち、静止分散機ディスク2の分散表面は、静止分散機ディスク2において互いに隣接して固定された必要数の分散機プレート4の分散表面9により形成される。その結果、静止分散機ディスク2の全周にわたって延在する、完全な分散表面が提供される。
【0020】
図1に示す分散機1は、さらに、回転可能な、すなわち移動可能な分散機ディスク10、すなわち分散機1の回転子10を有する。回転可能な分散機ディスク10は、本体11を有し、この本体は、シャフト19によりモータ18に接続され、回転可能な分散機ディスク10は、例えば、静止分散機ディスク2に対して矢印Rの方向に回転できる。矢印Rは、従って、回転可能な分散機ディスク10の意図された回転方向Rを表す。また、分散機は、明確化のため
図1には示されていないローダを有してもよい。矢印Aに概略的に示されているように、ローダを用いて、軸19に取り付けられた回転可能な分散機ディスク10を前後に移動することができ、静止分散機ディスク2と回転式分散機ディスク10との間の分散機ギャップ20、または分散室20のサイズを調整することができる。
【0021】
回転可能な分散ディスク10は、回転可能な分散ディスク10の多数、すなわち1または2以上の分散機プレート12を有し、少なくとも1つの分散機プレート12は、回転可能な分散機ディスク10の本体11に取り外し可能に固定され、これにより、摩耗しまたは破損した分散機プレート12を新しいものに取り替えることができる。分散機プレート12は、回転式分散機ディスク10の本体11に対向するバックグラウンド表面13aと、回転式分散機ディスク10の本体11から遠い側に対面する前表面13bとを有する。前表面13bは、分散機プレート12の前表面13bから上方に延在する多数の第1の突起部14および第2の突出部15と、分散機プレート12または回転可能な分散機ディスク10の半径方向RDにおける、突起部14、15の間のキャビティ16または開口領域16とを有する。分散機プレート12の前表面13bは、突起部14、15およびキャビティ16または開口領域16とともに、分散機プレート12の処理表面17、すなわち分散表面17を提供する。互いに隣接して固定された分散機プレート12の必要数の分散表面17により、回転可能な分散機ディスク10の完全な処理表面、すなわち分散表面が形成され、回転可能な分散機ディスク10の全周にわたって延在する、完全な分散表面が提供される。
【0022】
分散機1は、さらに、静止分散機ディスク2に少なくとも1つの供給開口21を有し、該供給開口21を介して、被分散パルプが矢印Fで概略的に示された供給または提供方向に沿って、分散室20に供給される。分散機1に供給されるパルプのコンシステンシーは、例えば3~40%、好ましくは10~30%であってもよい。パルプとともに、蒸気を分散室20に供給して、分散室20における、分散機ディスク2、10の分散表面に沿った、パルプの移動を改善してもよい。突起部6、7、14、15は、静止分散機ディスク2および回転式分散機ディスク10の分散表面の一部を提供し、静止分散機ディスク2および回転式分散機ディスク10により、パルプに対する分散効果が誘導される。キャビティまたは開口領域8、16は、対向する分散機ディスク2、10から突出する突出部14、15を受容するように設計された自由容積を提供する。
【0023】
図1に示す分散機1は、プレート状分散機ディスクを有するディスク分散機の一例である。しかしながら、上記または下記のいずれかに記載の解決策は、円錐状の分散機ディスクを有する円錐型の分散機においても利用できる。さらに、ディスク分散機1および円錐型分散機において、静止分散機ディスク2は、回転式分散機ディスク10の意図する回転方向Rとは反対方向に回転するように配置された、別の回転式分散機ディスクに置換されてもよい。
【0024】
図2には、前述の回転可能な分散機ディスク10の分散機プレート12を概略的に示す。すなわち、分散機1の分散機プレート12の前表面13bからの視図を示す。
図3A、
図3B、
図3Cには、
図2の分散機プレート12の一部の第2の突出部15の詳細図を概略的に示す。
図4には、分散機プレート12の第2の突出部15の別の想定される実施形態を概略的に示す。
図1の分散機1の静止分散機ディスク2の分散機プレート4、およびその分散表面9は、明確な記載がない限り、
図2、
図3A、
図3B、
図3C、
図4に示すものに対して実質的に反転された画像であってもよい。
【0025】
図2の分散機プレート12は、内端部22、内周22、または供給端部22を有する、ディスク状の分散機プレートである。内端部22は、回転可能な分散機ディスク10の中心に向かって誘導され、すなわち分散機1の供給開口21に向かって誘導されるように設計される。従って、被分散パルプは、内端部22を超え分散機プレート12の分散表面17に入る。さらに、分散機プレート12は、外端部23、外周23、または放出端部23を有し、外端部23は、回転可能な分散機ディスク10の外周に向かって、すなわち分散機1の供給開口21から遠ざかるように設計される。分散機プレート12は、さらに、内端部22と外端部23の間に延在する第1の側端部24および第2の側端部25を有し、第1の側端部24は、回転式分散機ディスク10の意図した回転方向Rに対向するように設計され、第2の側端部25は、回転式分散機ディスク10の意図された回転方向Rに対し反対方向に対向するように設計される。分散機プレート12は、回転式分散機ディスク10の完全な分散表面の一部を提供するように設計された、セグメント状の分散機プレートであり、これにより、互いに隣接して複数のセグメント状の分散機プレートを設置することにより、回転式分散機ディスク10の完全な分散表面が提供される。
【0026】
図2の分散機プレート12は、分散機表面17を有し、これは、分散機プレート12の内周22に隣接して配置された、内周22の方向から外周23に向かって延在する細長い第1の突起部14を有する。第1の突起部14は、分散機プレート12の内周22に対向する第1の端部14aと、分散機プレート12の外周23に対向する第2の端部14bとを有する。第1の突起部14同士の間には、第1の溝14’が存在する。第1の突起部14およびその間の第1の溝14’には、分散機プレート12の内周22に隣接して配置された供給ゾーン26が提供される。第1の突起部14およびその間の第1の溝14’の主な目的は、被分散パルプの特性に実質的に影響を及ぼすことなく、供給開口21から、分散表面17に沿って前方に流れる被分散パルプの流れを促進することである。また、本願に開示の解決策による分散機プレート12は、第1の突起部14を有さずに、実施されてもよい。
【0027】
さらに、分散機プレート12の分散表面17は、分散機プレート12の一部に設置された第2の突出部15を有する。これは、分散機プレート12の外周23の側面に、供給ゾーン26に対して配置され、分散機プレート12の分散ゾーン36を形成する。第2の突出部15は、第2の突出部15のグループに配列され、第2の突出部15の各グループは、後に
図3A乃至
図3C、
図4においてより詳細に開示されるように、
図2、
図3A乃至
図3C、
図4の例において、3つの第2の突出部15を有する。第2の突出部15のグループは、複数の同心円状の環状列27a、27b、27cに配列され、これらは、分散機プレート12の半径方向RDにおける、分散機プレート12の異なる半径位置に配置され、すなわち分散機プレート12の内周22から異なる半径距離の位置に配置される。各列27a、27b、27cには、第2の突出部15の隣接するグループが互いに離間して配置され、これにより、第2の突出部15の隣接するグループの間には溝15’が存在し、個々の第2の突出部15の間には別の溝15’’が存在する。第2の突出部15の隣接するグループの列27a、27b、27cを有するゾーンは、分散機プレート12の分散ゾーン36を提供する。
【0028】
図2、
図3A乃至
図3Cおよび
図4の例では、第2の突出部15の一つのグループに、3つの隣接する第2の突出部15がある。しかしながら、通常、第2の突出部15の一つのグループは、任意の数の隣接する第2の突出部15を有してもよい。換言すれば、第2の突出部15の1つのグループは、少なくとも2つの隣接する第2の突出部15を有し、これにより、第2の突出部15の隣接する群の間に溝15’が存在する。第2の突出部15のグループに第2の突出部15を配列する代わりに、個々の第2の突出部15の間に残る溝15’’により、相互に離間して、個々の第2の突出部15を互いに隣接して配置してもよい。
【0029】
図2の例では、第2の突出部15の隣接するグループの3つの同心環状列27a、27b、27cがあるが、これらの列の実際の数は、変化してもよい。第2の突出部15のグループは、分散機プレート12の半径方向RDにおいて、第2の突出部15のグループの少なくとも2つの連続する環状列27a、27b、27cに、少なくとも部分的に千鳥状に配置され、これにより、分散機プレートの分散表面17の目詰まりのリスクを最小限に抑制できる。
【0030】
列27a、27b、27cの間には、同心の環状キャビティ16または開口領域16、すなわち、突出部分を含まない領域が存在する。従って、これらのキャビティ16または開口領域16には、いかなる突起部もなく、分散機プレート素子12の分散表面17に、自由容積が提供される。ここには、分散機プレート12が分散機1に挿着された際に、対向する分散機プレートの突起部が延在してもよい。
【0031】
分散機プレート12は、回転可能な分散機ディスク10の分散機プレートである。第2の突出部7の同心環状列の実際の配置が分散機プレート4の半径方向RDで異なる点を除き、静止分散機ディスクの分散機プレート4は、実質的に同様の反転像となる。従って、対向するプレートの第2の突出部7、15の同心環状列は、分散機1の半径方向RDにおいて、相互に噛み合わされてもよい。
【0032】
図3A、3B、3Cには、2つの隣接、または近接する、
図2の分散機プレート12の第2の突出部15をより詳細に概略的に示す。
図3Aには、
図2における分散機プレート12の内周22から見た突出部15の端面図が示され、
図3Bには、
図3Aの線A-Aに沿った突出部15の側断面図が示され、
図3Cには、
図3Aの突出部15の上面図が示されている。
図4には、3つの隣接する突出部15のグループに示されるように、第2突出部15の別の実施形態を概略的に示す。分散機プレート12の本体は、
図3A乃至
図3Cおよび
図4では省略されている。
【0033】
第2の突出部15は、分散プレート12の外周23に向かって突出部15の傾斜した上昇壁29を有する半径方向の内側部分28を有する。あるいは上昇壁29は、分散プレート12の内周22から外周23に向かう、分散表面17のパルプの流れ方向を考慮した場合、前壁29となる。従って、傾斜した上昇壁29は、少なくとも部分的に分散機プレート12の内周22に面し、分散機プレート12の外周23に向かって少なくとも部分的に上昇する。また、突出部15の外側部分28の傾斜上昇壁29は、分散機板12の内周22と対面する内端部29aと、分散機プレート12の外周23に対面する外端部29bとを有する。内側端部29aと外側端部29bとの間の傾斜した上昇壁29の方向は、内側部分28の長手方向に対応し、内側端部29aと外側端部29bの間の傾斜した上昇壁29の寸法は、傾斜上昇壁29の全長となるように定められ、傾斜した上昇壁29の幅は、内側部分28の長手方向の接線方向に対して少なくとも部分的に横切る方向における、傾斜した上昇壁29の寸法である。
【0034】
第2の突出部15は、さらに、内側部分28に対する分散機プレート12の外周23の側部に、外側部分30を有する。突出部15の外側部分30は、突出部15の傾斜した下降壁31を有する。下降壁31は、内周22から外周23に向かう分散表面17のパルプの流れ方向を考慮した場合、後ろ壁31となる。傾斜した下降壁31は、分散機プレート12の外周23と少なくとも部分的に面し、分散機プレート12の外周23に向かって下降する。また、突出部15の外側部分30の傾斜下降壁31は、分散機プレート12の内周22と対面する内端部31aと、分散機プレート12の外周23と対面する外端部31bとを有する。内端部31aと外端部31bの間の傾斜下降壁31の方向は、外側部分30の長手方向に対応し、内端部31aと外端部31bの間の傾斜下降壁31の寸法は、傾斜下降壁31の全長を定め、傾斜下降壁31の幅は、外側部分30の長手方向接線方向に対して、少なくとも部分的に横切る方向における、傾斜下降壁31の寸法である。
【0035】
突出部15の内側部分28および外側部分30は、内側部分28と外側部分30の間の結合線CLに沿って、リッジ32により互いに半径方向に結合され、または相互接続され、結合線CLは、内側部分28および外側部分30の長手方向に対して実質的に横断する方向に延在する。リッジ32は、壁29の外端部29bと壁31の内端部31aとにより形成される。傾斜壁29、31は、互いに部分的にしか連結されず、従って、リッジ32は、完全に共通ではなく、リッジ32の頂上区画40のみが、内側部分28および外側部分30の両方により共有される。頂上区画40は、内側部分28および外側部分30の2つの傾斜壁29および31をそれぞれ連結する。頂上区画40は、結合ラインCLに沿った長さWCLを有する。
【0036】
図3A乃至
図3C、
図4の実施形態では、内側部分28の傾斜した上昇壁29の外端部29bは、結合線CLに沿ってリッジ32により、外側部分30の傾斜した下降壁31の内端部31aに、半径方向に結合され、頂上区画W
CLは、突出部15の内側部分28と外側部分30の間の結合線CLにおいて、内側部分28の傾斜した上昇壁29の外端部29bの幅W
29よりも小さく、外側部分30の傾斜した下降壁31の内端部31aの幅W
31よりも小さくなる。
【0037】
図3A乃至
図3C、
図4の実施形態では、リッジ32は、尖った形状の端部であり、ここで、内側部分28の傾斜した上昇壁29の外端部29bが、外側部分30の傾斜した下降壁31の内端部31aと半径方向に結合される。その代わりに、リッジ32は、丸くされ、あるいは内側部分28の傾斜した上昇壁29と外側部分30の傾斜した下降壁31との間が、実質的に平坦な部分にされてもよく、そこでは、内側部分28および外側部分30が結合線CLに沿って互いに結合され、その後、リッジ32は、丸くされ、または平坦にされる。
【0038】
図3A乃至
図3Cおよび
図4の実施形態では、頂部区画の長さW
CLは、結合線CLでの内側部分28の傾斜した上昇壁29の幅W
29よりも小さく、結合線CLでの傾斜した下降壁31の幅W
31よりも小さい。しかしながら、一般に本願に記載の解決方法では、頂部区画の長さW
CLは、突出部15の内側部分28と外側部分30との間の結合線CLでの、内側部分28の傾斜した上昇壁29の幅W
29および外側部分30の傾斜した下降壁31の幅W
31の少なくとも1つよりも小さくなるように定められてもよい。傾斜した上昇壁29の幅W
29および傾斜した下降壁31の幅W
31は、例えば、5~20mm、好ましくは5~15mmであってもよい。頂部区画の長さW
CLは、例えば、1~15mm、好ましくは1~10mmであってもよい。
【0039】
突出部15の第1の部分28および第2の部分30と、その傾斜壁29、31とを前述のように配置することにより、少なくとも傾斜壁29、31は、分散機プレート12の周方向において相互に対してずれ、パルプの流れの経路変更点が増加し、従って、流動するパルプが衝突する箇所または表面が増加し、これらの衝突およびパルプの内部摩擦の影響により、パルプ内の混入粒子が小片に破壊される。回転可能な分散ディスク10の分散機プレート12において、第2の部分30の傾斜壁31は、
図3A乃至
図3C、
図4に示すように、第1の部分28の傾斜壁に対して、回転可能な分散ディスク10の意図された回転方向Rに向かって位置がずれる。
【0040】
第2の突出部15の実施形態では、回転式分散機ディスク10の意図した回転方向Rに向かって、少なくとも部分的に対面する内側部分28の側面は、意図した回転方向Rと反対の方向に向かって、分散機プレート12の周囲方向に、少なくとも部分的に上昇する傾斜側壁33を形成する。
図3A、3Cおよび
図4に示した実施形態では、傾斜側壁33は、2方向に上昇するように配置される:突出部15が回転分散機ディスク10の分散機プレート12に位置する場合、少なくとも一部は、分散機プレート12の外周23に向かい、少なくとも一部は、回転分散機ディスク10の意図する回転方向Rとは反対の方向に向かう。突出部15の傾斜した上昇側壁33の効果は、
図4の矢印Pに概略的に示すように、分散室20に向かう被分散パルプを突出部15の上に上昇させたり、持ち上げたりし、または突出部15の上方のパルプの流れを強め、パルプの混合を促進することである。
【0041】
図3A乃至
図3Cおよび
図4の実施形態では、突出部15の上昇壁29、31および33は、均等に傾斜している。ただし、通常、壁29、31、33のうちの少なくとも1つは、均等、凹状、および凸状の態様のいずれかで傾斜されてもよい。
【0042】
また、
図3A乃至
図3Cおよび
図4の実施形態では、突出部15の内側部分28および外側部分30は、それらの延伸方向において直線状であり、これにより、それらの仮想中心線も直線状となる。ある実施形態では、突出部の内側部分28および外側部分30の少なくとも一方は、それらの延伸方向において湾曲されており、これにより、突出部15の湾曲部の仮想中心線も湾曲されてもよい。湾曲した傾斜壁は、パルプの流線経路を提供し、従って、その滑らかな流れが改善される。
図5には、突出部15の前述の実施形態を概略的に示す。ここでは、内側部分28と外側部分30の両方は、分散機プレート12の半径RDに対して反対の方向に湾曲している。
【0043】
さらに、
図3A乃至
図3C、
図4の実施形態では、突出部15の内側部分28および外側部分30の傾斜壁29、31の幅は、それらの長手方向に沿って実質的に一定である。ただし、突出部15の内側部分28および外側部分30の傾斜壁29、31の幅は、それらの長手方向に沿って変化してもよい。
図6には、突出部15の前述の実施形態を概略的に示す。ここでは、突出部15の内側部分28の傾斜壁29の幅は、外端部29bから内端部29aに向かって増加するように配置され、突出部15の外側部分30の傾斜壁31の幅は、内端部31aから外端部31bに向かって増加するように配置される。特に、壁29の広げられた内端部29aにより、リッジ部32による処理に向けた、パルプの良好な回収が促進される。
【0044】
さらに、
図3A乃至
図3Cおよび
図4の実施形態では、突出部15の内側部分28および外側部分30の傾斜壁29、31は、その幅方向において実質的に平面である。
図7Aおよび
図7Bの実施形態には、それぞれ、突出部15の湾曲したおよび直線状の、内側部分28と外側部分30の前述の実施例を概略的に示す。ここでは、突出部15の内側部分28および外側部分30の傾斜壁29、31は、内側部分28および外側部分30の幅方向に、2つの異なる傾斜部29’、29’’、31’、31’’を有する。この効果は、分散機ディスク2、10の周方向において、対向する分散機ディスク2、10の間で、被分散パルプの交互運動が高められることである。
【0045】
図3A乃至
図3Cおよび
図4にさらに示すように、ある実施形態では、第2の突出部15のグループにおいて、隣接する第2の突出部15の内側部分28同士の間にある溝15’’部分の底部は、分散機プレート12の外周23に向かって上昇するように配置された傾斜表面を有し、これにより、傾斜表面は、隣接する第2の突出部15の内側部分28の間にあるダム34を提供する。また、ダム34の効果は、分散室20に向かってパルプを誘導し、分散機プレート12の外周23に向かうパルプの流れの速度を幾分遅くし、これにより、分散表面17でのパルプの流れの速度に生じ得る差異を均等化するとともに、分散されたパルプの均一性を改善することである。ダム34は、
図3Bのようなハーフダム34であってもよく、この場合、ダム34は、第2の突出部15の最大高さの約半分に延伸する。あるいは、ダム34は、フル-ダム34であってもよく、この場合、ダム34は、第2の突出部15の最大高さとほぼ同様の高さまで延伸する。好ましくは、第2の突出部15のグループにおける各突出部15の間にダム34が設けられ、そのグループの突出部は、ダム34を介して相互に横方向に接続され、その後、内壁22の外端部29bおよび外壁31aの内端部31aと、ダム34の外側壁35との上部プロファイルにより、結合線CLが形成される。
【0046】
ある実施形態では、
図3Bにさらに示すように、ダム34を構成する溝15’’部の底部の傾斜した上昇表面は、急勾配の実質的に垂直な降下で終わるように配置され、これにより、隣接する第2の突出部15の間に実質的に垂直な壁35が存在し、壁35は、分散機プレート12の外周23に向かって、少なくとも部分的に対面する。壁35の効果は、分散機プレート12の内周22、すなわちパルプの供給側に向かう、流れの逆流を防止し、これにより分散機1のより安定した動作を提供し、分散結果を改善することである。
【0047】
ある実施形態では、隣接する第2の突出部15の外側部分30の間に残る溝15’’の部分の幅は、分散機プレート12の外周23に向かって減少するように配置されてもよい。この効果は、分散機プレート12の内側部分22と外側部分23の間の開放表面積を均等化し、分散機プレート12の分散表面17での被分散パルプの流れを均等化することである。
【0048】
図2の実施形態では、供給ゾーン26には、細長い第1の突出部14が設けられる。ただし、本願において、第2の突出部15は、供給ゾーン26で利用されてもよい。ある実施形態では、供給ゾーン26は、いかなる突出部も開示しない。
【0049】
前述の分散機1は、リグノセルロースを含む繊維材料を機械的に処理する装置の一例であり、この場合、繊維材料は、再生古紙および/または包装材で構成されたパルプである。分散機ディスクおよびその分散機プレートは、パルプを機械的に処理または処置する、それぞれの処理または処置ディスクおよび処理または処置プレートを提供する。
【0050】
リグノセルロース含有繊維材料を機械的に処理または処置する装置の別の例は、リグノセルロース含有繊維材料を壊繊し、精製されたパルプを製造することを目的とした、中程度のまたは高いコンシステンシーの精製機である。この場合、リグノセルロース含有繊維材料は、典型的には、水と木材チップとの混合物であり、例えば、中程度のコンシステンシー精製機の場合、コンシステンシーは、約10%から約25%の間であり、高コンシステンシー精製機では、コンシステンシーは、25%超または30%超である。精製機の一般的な構成および動作は、分散機の構成および動作と実質的に同様であり、従って、分散機に関して示した前述の全ての特徴は、精製機にも適用可能である。
【0051】
技術の進歩とともに、本発明の概念が各種方法で実施し得ることは、当業者には明らかである。本発明およびその実施形態は、前述の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で変化し得る。
【国際調査報告】