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▶ ステート・アトミック・エナジー・コーポレーション・ロスアトム・オン・ビハーフ・オブ・ザ・ロシアン・フェデレーションの特許一覧

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  • 特表-着脱可能式継手 図1
  • 特表-着脱可能式継手 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-07
(54)【発明の名称】着脱可能式継手
(51)【国際特許分類】
   G21C 7/14 20060101AFI20220331BHJP
【FI】
G21C7/14 110
G21C7/14 400
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547873
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(85)【翻訳文提出日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 RU2019001043
(87)【国際公開番号】W WO2020171737
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】2019104508
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516219347
【氏名又は名称】ステート・アトミック・エナジー・コーポレーション・ロスアトム・オン・ビハーフ・オブ・ザ・ロシアン・フェデレーション
【氏名又は名称原語表記】STATE ATOMIC ENERGY CORPORATION ‘ROSATOM’ ON BEHALF OF THE RUSSIAN FEDERATION
【住所又は居所原語表記】B. Ordynka st., 24 Moscow, 119017 Russia
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】特許業務法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】クドリャフツェフ ミハイル ユリエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ルパ ポリーナ ユリエフナ
(57)【要約】
原子炉作動機構のリニアモーターにおけるチューブ状の電機子と、垂直円筒形のロッドとの着脱可能式継手であって、ガイドチューブ内に位置するロッドが、ピンを備えたチューブ状フォークが収まる環状空間を有する電機子内に配され、前記電機子には、その端部に[形1]のような形状を有する溝穴が形成されていると共に、当該溝穴の上方に縦型溝穴が形成されており、前記ロッドには半径方向突起部が形成され、前記ガイドチューブ内において前記ロッド端部の差し込み/取り出しを可能にする[形2]のような形状の溝を有するブッシュが電機子と同軸上に固定されており、前記電機子の下部は、縦方向の移動が規制されたプラグによって閉じられ、前記プラグの側面には、前記チューブ状フォークのピンの差し込み/取り出しを可能にする[形3]のような形状の溝が形成されている。
【数10】
[形1]
【数11】
[形2]
【数12】
[形3]
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉作動機構のリニアモーターにおけるチューブ状の電機子と、垂直円筒形のロッドとの着脱可能式継手であって、
ガイドチューブ内に位置するロッドが、ピンを備えたチューブ状フォークが収まる環状空間を有する電機子内に配され、
前記電機子には、その端部に[形1]のような形状を有する溝穴が形成されていると共に、当該溝穴の上方に縦型溝穴が形成されており、
前記ロッドには半径方向突起部が形成され、前記ガイドチューブ内において前記ロッド端部の差し込み/取り出しを可能にする[形2]のような形状の溝を有するブッシュが電機子と同軸上に固定されており、
前記電機子の下部は、縦方向の移動が規制されたプラグによって閉じられ、
前記プラグの側面には、前記チューブ状フォークのピンの差し込み/取り出しを可能にする[形3]のような形状の溝が形成されている
ことを特徴とする着脱可能式継手。
【数7】
・・・[形1]
【数8】
・・・[形2]
【数9】
・・・[形3]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力技術分野に関し、原子炉制御保護系作動機構のリニアモーターのチューブ状の電機子と垂直円筒形のロッドとの着脱可能式継手に利用できる。
【背景技術】
【0002】
本発明の本質的な特徴に最も近いものは、原子炉作動機構のリニアモーターのチューブ状電機子と垂直円筒形ロッドとの着脱可能式継手である(非特許文献1)。
【0003】
上記非特許文献1におけるリニアモーターのチューブ状電機子と垂直移動及び旋回を可能にするように設置された垂直円筒形のロッドとの着脱可能式継手は、実質的にロッド下端のスプリングストッパーに固定される電機子とロッドとのバイオネット継手である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】原子炉作動機構の設計基礎。 エメリヤノフI.Ya.、ヴォスコボイ二コフV.V.、マスレノクB.A.、モスクワ:エネルゴアトムイズダト、1987年、図3.15v、41頁(Основы конструирования исполнительных механизмов управления ядерных реакторов. И.Я.Емельянов,В.В. Воскобойников,Б.А.Масленок;М.: Энергоатомиздат,1987;рис.3.15в,с.41)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この着脱可能式継手の欠点は、ロッド下端周辺での強い放射線及び高温に起因するスプリングストッパーの機能喪失により、継手が自発的に離脱しかねないことである。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、原子力発電所作業員の被ばく線量を低減できるようにし、かつ、高温・放射線環境下での電機子とロッドとの継手の信頼性向上を確保する原子炉制御保護系作動機構のリニアモーターのチューブ状電機子と垂直円筒形のロッドとの着脱可能式継手の創出である。
【0007】
本発明の技術的効果は、着脱可能式継手の着脱作業を軽減すると共に、原子炉制御保護系作動機構のリニアモーターのチューブ状電機子と垂直円筒形のロッドとの着脱可能式継手の自発的な離脱を未然に防止できることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の技術的効果は、原子炉作動機構のリニアモーターにおけるチューブ状の電機子と、垂直円筒形のロッドとの着脱可能式継手であって、ガイドチューブ内に位置するロッドが、ピンを備えたチューブ状フォークが収まる環状空間を有する電機子内に配され、前記電機子には、その端部に[形1]のような形状を有する溝穴が形成されていると共に、当該溝穴の上方に縦型溝穴が形成されており、前記ロッドには半径方向突起部が形成され、前記ガイドチューブ内において前記ロッド端部の差し込み/取り出しを可能にする[形2]のような形状の溝を有するブッシュが電機子と同軸上に固定されており、前記電機子の下部は、縦方向の移動が規制されたプラグによって閉じられ、前記プラグの側面には、前記チューブ状フォークのピンの差し込み/取り出しを可能にする[形3]のような形状の溝が形成されていることを特徴とする。
【0009】
【数1】
【0010】
・・・[形1]
【0011】
【数2】
【0012】
・・・[形2]
【0013】
【数3】
【0014】
・・・[形3]
上記の電機子とロッドとの着脱可能式継手は、その構造要素がロッド上方の低温及び無放射線の領域に存し、ロッドの自発的な旋回を未然に防止し、当初の使用特性(強度や塑性)の維持を可能にすることによってロッドと作動機構との継手の信頼性を向上できる。また、上記の継手の構造は、ロッドとリニアモーター電機子との着脱作業を簡素化する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】電機子及びロッドが装着(結合)されている時の電機子とチューブ状のフォークの位置関係を示す図である。
図2】電機子及びロッドが分離(離脱)される時の着脱可能式継手の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明に係る着脱可能式継手の実施の形態について説明する。
【0017】
図1図2において、リニアステッピングモーターのチューブ状(tube:筒、管)の電機子(armature:アーマチュア)1、電機子1の[形1]の形状を有する溝穴(以下、便宜上「逆L字型溝穴」という。)2、電機子1の縦型溝穴3、垂直円筒形状のロッド4、ロッド4の半径方向突起部5、チューブ状のフォーク6、フォーク6の歯7、フォーク6のピン8、プラグ9、プラグ9に形成された[形3]の形状を有する溝(以下、便宜上「クランク型溝」という。)10、[形2]の形状を有する溝(以下、便宜上「Lh型溝」という。)12を有するブッシュ11、ガイドチューブ13が示されている。
【0018】
【数4】
【0019】
・・・ [形1]
【0020】
【数5】
【0021】
・・・ [形2]
【0022】
【数6】
【0023】
・・・ [形3]
原子炉制御保護系作動機構のリニアモーターのチューブ状の電機子と垂直円筒形のロッドとの着脱可能式継手の動作は以下のとおりである。
【0024】
リニアステッピングモーター(図示省略)は、チューブ状の電機子1、及び作動機構(図示省略)と結合している円筒形のロッド4を上下に移動させる。作動機構による移動は、炉心内の核反応を加速又は鈍化させる。
【0025】
ブッシュ11が、電機子1と同軸上に配されて、ガイドチューブ13内に固定されている。電機子1とロッド4との結合のために、ロッド4の半径方向突起部5が、まずブッシュ11のLh型溝12の、上部に水平部を有する縦部に差し込まれる。
【0026】
次に、突起部5は、ブッシュ11のLh型溝12の上記水平部に沿ってブッシュ11のLh型溝12突き当りの中央縦部に移動される。
【0027】
これによって、電機子1との脱着の時にロッド4の旋回を未然に防止できる。その後、電機子1は、その下端部がロッド4の突起部5に当接するまで下降され、突起部5が電機子1の逆L型溝穴2の縦部に差し込まれるようになるまで旋回される。
【0028】
次に、電機子1は、ロッド4の突起部5が逆L型溝穴2の縦部の水平部への転換位置に突き当たるまで下降される。この位置では、突起部5が電機子1とロッド4との環状隙間を横切るため、当該環状隙間の上部に収まっているチューブ状のフォーク6は、歯7でロッド4の突起部5に当接し、それ以上下がらない。
【0029】
次に、電機子1は、突起部5が逆L型溝穴2の水平部の突き当りに突き当たるまで旋回され、その時に歯7が突起部5に当接しなくなって、フォーク6はピン8が電機子1の縦型溝穴3の下端部に突き当たるまで下がり、歯7で電機子1の逆L型溝穴2の水平部にロッド4の突起部5を閉鎖させる。
【0030】
一方、フォーク6の上部に位置する横型ピン8は、その外側端部において、電機子1の縦型溝穴3内に挿入されており、縦型溝穴3の下突き当りと上突き当りの間において、電機子1に対しフォーク6が上下方向のみに移動可能なようになっている。
【0031】
結合管理は、電機子1の旋回によって実施される。フォーク6が逆L型溝穴2の水平部の突き当りにおけるフォーク6の歯7によるロッド4の突起部5の閉鎖位置に移動した場合、ロッド4の突起部5が固定ブッシュ11のLh型溝12の中央縦部に位置するため、電機子1は旋回しない。
【0032】
電機子1とロッド4を離脱するためには、ロッド4の突起部5はブッシュ11のLh型溝12の中央縦部に差し込まれる。その後、電機子1は、作業員を原子炉の放射線から守るために電機子1の下部を閉鎖するプラグ9のクランク型溝10の下縦部の水平部への転換位置にピン8が下の方から突き当たるまでロッド4とともに上昇される。プラグ9は、縦方向の移動が規制されている。
【0033】
次に、プラグ9は、ピン8がクランク型溝10の水平部の上縦部への転換位置に突き当たるまで電機子1に対し旋回される。その後、電機子1は、ピン8が縦型溝穴3の上端部に突き当たるまでロッド4とともに下降され、その時にフォーク6は下がらない一方、突起部5は電機子1とともにフォーク6の歯7より下に下がり、電機子1の逆L型溝穴2から抜けれるようになる。
【0034】
次に、プラグ9は、ロッド4の突起部5が逆L型溝穴2の縦部の水平部への転換位置に突き当たるまで電機子1とともに旋回される。この位置では、ロッド4の突起部5がブッシュ11のLh型溝12の縦部に位置するため、ロッド4は旋回できない。
【0035】
その後、電機子1は、ロッド4の突起部5が電機子1の逆L型溝穴2から抜けるまで上昇される。電機子1とロッド4との離脱位置では、ピン8の内端部がプラグ9のクランク型溝10に位置する。
【0036】
以上により、この着脱可能式継手は、原子炉制御作動機構のリニアステッピングモーターのチューブ状電機子と垂直円筒形ロッドとの自発的な離脱の未然防止と同時に、着脱可能式継手の着脱工数低減による作業員の放射線被ばく量の削減の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、原子炉制御保護系作動機構のリニアモーターのチューブ状電機子と垂直円筒形ロッドとの着脱可能式継手に利用できる。
図1
図2
【国際調査報告】