(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-07
(54)【発明の名称】術後有害事象の診断または予後
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20220331BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20220331BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20220331BHJP
【FI】
G01N33/68 ZNA
C07K14/47
C12N15/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021548207
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(85)【翻訳文提出日】2021-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2020054652
(87)【国際公開番号】W WO2020169819
(87)【国際公開日】2020-08-27
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508093584
【氏名又は名称】ベー.エル.アー.ハー.エム.エス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(71)【出願人】
【識別番号】521361774
【氏名又は名称】リンシェーピング ユニバーシティ ホスピタル
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】チュー ミシェレ
(72)【発明者】
【氏名】アンデション ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン ダライアス
【テーマコード(参考)】
2G045
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045CA26
2G045DA36
4H045BA20
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、手術を受けた、受けている、または受ける予定である患者の少なくとも1つの試料を提供することを含む、術後患者の健康における有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化のための方法に関し、この少なくとも1つ試料は、術前、周術期、または術後に患者から分離され、該少なくとも1つの試料中のproADM、PCT、およびproET-1、またはその断片からなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが決定され、該少なくとも1つのバイオマーカーまたはその断片のレベルは、該有害事象の可能性と相関する。いくつかの実施形態では、本方法は、術後の感染症または血液感染症の可能性が高いことまたは低いことを予測または診断するために使用される。いくつかの実施形態では、本方法は、術後の心血管または脳血管有害事象、好ましくは主要な心血管または脳血管有害事象(MACCE)、非心臓手術後の主要な心筋傷害(MINS)、または周術期心筋傷害(PMI)の可能性が高いことまたは低いことを予測または診断するために使用される。いくつかの実施形態では、本方法は、加えて、該術後有害事象、特に、感染症または心血管もしくは脳血管有害事象に関連する治療指針、層別化、および/または制御を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
術後患者の健康における有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化のための方法であって、
-手術を受けた、手術を受けている、または手術を受ける予定の患者の少なくとも1つの試料を提供することであって、前記少なくとも1つの試料が、術前、術中、または術後に前記患者から単離されており、
-前記少なくとも1つの試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することと、を含み、
-前記少なくとも1つのバイオマーカーまたはその断片の前記レベルが前記有害事象の可能性と相関し、前記少なくとも1つのバイオマーカーがproADMまたはその断片であり、前記有害事象が感染症である、前記方法。
【請求項2】
前記有害事象が、真菌、細菌、またはウイルス感染症である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記感染症が、血液感染症、呼吸器感染症、尿路感染症、皮膚感染症、または腹腔感染症である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記有害事象が、血流感染、敗血症、重症敗血症、および/または敗血症性ショックである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記有害事象が、心血管または脳血管事象および感染症である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記有害事象が、非心臓手術後の心筋傷害(MINS)および感染症である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記有害事象が、主要な心血管または脳血管事象(MACCE)および感染症である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記有害事象が、心血管または脳血管事象および血液感染症である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記有害事象が、非心臓手術後の心筋傷害(MINS)および血液感染症である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記有害事象が、主要な心血管または脳血管事象(MACCE)および血液感染症である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第1の試料が、第1の時点で前記患者から単離され、第2の試料が、第2の時点で前記患者から単離され、好ましくは前記第1の時点と前記第2の時点との間で、少なくとも6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過している、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
第1の試料が、第1の時点で前記患者から単離され、第2の試料が、第2の時点で前記患者から単離され、有害事象の可能性が、前記第1および第2の時点に関して前記バイオマーカーのレベルの絶対差、割合、および/または変化率と相関する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
第1の試料が、第1の時点で術後に前記患者から単離され、第2の試料が、第2の時点で術後に前記患者から単離され、好ましくは前記第1の時点と前記第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過しており、proADMまたはその断片のレベルの増加または水平化は、前記有害事象の可能性が高いことを示す、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
proADMまたはその断片のレベルを決定することが、前記試料中のMR-proADMまたは成熟ADMのレベルを決定することを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
治療指針、層別化、および/または制御をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記レベルが、抗感染剤、好ましくは抗生物質による治療の開始を示す感染症の可能性と相関する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記レベルは、前記患者が頻繁なまたは増加したレベルのモニタリングおよび/または重症管理を必要とすることを示す術後有害事象の可能性と相関する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することが、前記proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproADMまたはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することが、前記proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproADMまたはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することが、前記proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproADMまたはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくは、MACCE、PMI、および/またはMINSの可能性が高いことを示す、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載の方法を実行するためのキットであって、前記キットが、
-前記少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定するための検出試薬であって、前記少なくとも1つのバイオマーカーが、proADMまたはその断片である、前記検出試薬と、
-術後の有害事象の可能性に関する参照データ、具体的には、閾値またはカットオフ値に関する参照データであって、前記参照データが、好ましくは、コンピュータ可読媒体に記憶されており、及び/又は、前記参照データが、好ましくは、前記proADMもしくはその断片の決定されたレベルを、前記閾値またはカットオフ値と比較するように構成されたコンピュータ実行可能コードの形態で用いられ、前記有害事象が感染症である、前記参照データと、
を含む、前記キット。
【請求項22】
術後患者の健康における有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化のための方法であって、
-手術を受けた、手術を受けている、または手術を受ける予定の患者の少なくとも1つの試料を提供することであって、前記少なくとも1つの試料が、術前、術中、または術後に前記患者から単離されており、
-前記少なくとも1つの試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することと、を含み、
-前記少なくとも1つのバイオマーカーまたはその断片の前記レベルが前記有害事象の可能性と相関し、前記少なくとも1つのバイオマーカーがPCTまたはその断片であり、前記有害事象が心血管または脳血管事象である、前記方法。
【請求項23】
前記心血管事象が心筋梗塞(MI)である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記心血管事象が非心臓手術後の心筋傷害(MINS)である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記心血管事象が、主要な心血管または脳血管有害事象(MACCE)である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記有害事象が、周術期心筋傷害(PMI)である、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記脳血管事象が、脳卒中および/または一過性脳虚血発作である、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記有害事象が、心血管または脳血管事象および感染症である、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記有害事象が、非心臓手術後の心筋傷害(MINS)および感染症である、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記有害事象が、主要な心血管または脳血管事象(MACCE)および感染症である、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記有害事象が、心血管または脳血管事象および血液感染症である、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記有害事象が、非心臓手術後の心筋傷害(MINS)および血液感染症である、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記有害事象が、主要な心血管または脳血管事象(MACCE)および血液感染症である、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
第1の試料が、第1の時点で前記患者から単離され、第2の試料が、第2の時点で前記患者から単離され、好ましくは前記第1の時点と前記第2の時点との間で、少なくとも6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過している、請求項22~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
第1の試料が、第1の時点で前記患者から単離され、第2の試料が、第2の時点で前記患者から単離され、有害事象の可能性が、前記第1および第2の時点に関して前記バイオマーカーのレベルの絶対差、割合、および/または変化率と相関する、請求項22~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
第1の試料が、第1の時点で術後に前記患者から単離され、第2の試料が、第2の時点で術後に前記患者から単離され、好ましくは前記第1の時点と前記第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過しており、PCTまたはその断片のレベルの増加または水平化は、前記有害事象の可能性が高いことを示す、請求項22~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
PCTまたはその断片のレベルを決定することが、前記試料中のPCT1~116、PCT2~116、またはPCT3~116のレベルを決定することを含む、請求項22~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
治療指針、層別化、および/または制御をさらに含む、請求項22~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記レベルが、CTスキャン、MRIスキャン、血管造影図、動脈造影、X線、心エコー図、ECG、およびEEGから選択されるさらなる診断用評価を示す心血管または脳血管有害事象の可能性と相関する、請求項22~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記レベルが、抗凝固療法、酸素療法、溶解療法、経皮的冠動脈介入、経皮経管的血管形成、冠動脈バイパス移植、および/またはステント移植の開始または準備を示す心血管または脳血管有害事象の可能性と相関する、請求項22~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記レベルは、前記患者が頻繁なまたは増加したレベルのモニタリングおよび/または重症管理を必要とすることを示す術後有害事象の可能性と相関する、請求項22~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することが、前記PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるPCTまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す、請求項22~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することが、前記PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるPCTまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す、請求項22~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することが、前記PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるPCTまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはPMIの可能性が高いことを示す、請求項22~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することが、前記PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるPCTまたはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくは、MACCE、PMI、および/またはMINSの可能性が高いことを示す、請求項22~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
請求項22~45のいずれか一項に記載の方法を実行するためのキットであって、前記キットが、
-前記少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定するための検出試薬であって、前記少なくとも1つのバイオマーカーが、PCTまたはその断片である、前記検出試薬と、
-術後の有害事象の可能性に関する参照データ、具体的には、閾値またはカットオフ値に関する参照データであって、前記参照データが、好ましくは、コンピュータ可読媒体に記憶されており、及び/又は、前記参照データが、好ましくは、前記PCTもしくはその断片からなる群から選択される前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記決定されたレベルを、前記閾値またはカットオフ値と比較するように構成されたコンピュータ実行可能コードの形態で用いられ、前記有害事象が感染症である、前記参照データと、
を含む、前記キット。
【請求項47】
術後患者の健康における有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化のための方法であって、
-手術を受けた、手術を受けている、または手術を受ける予定の患者の少なくとも1つの試料を提供することであって、前記少なくとも1つの試料が、術前、術中、または術後に前記患者から単離されており、
-前記少なくとも1つの試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することと、を含み、
-前記少なくとも1つのバイオマーカーまたはその断片の前記レベルが前記有害事象の可能性と相関し、前記少なくとも1つのバイオマーカーがproET-1またはその断片である、前記方法。
【請求項48】
前記有害事象が、心血管または脳血管事象である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記心血管事象が心筋梗塞(MI)である、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記心血管事象が非心臓手術後の心筋傷害(MINS)である、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記心血管事象が、主要な心血管または脳血管有害事象(MACCE)である、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記有害事象が、周術期心筋傷害(PMI)である、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
前記脳血管事象が、脳卒中および/または一過性脳虚血発作である、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
前記有害事象が、感染症である、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
前記有害事象が、真菌、細菌、またはウイルス感染症である、請求項47に記載の方法。
【請求項56】
前記感染症が、血液感染症、呼吸器感染症、尿路感染症、皮膚感染症、または腹腔感染症である、請求項54または55に記載の方法。
【請求項57】
前記有害事象が、血流感染、敗血症、重症敗血症、および/または敗血症性ショックである、請求項54~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記有害事象が、心血管または脳血管事象および感染症である、請求項54~57に記載の方法。
【請求項59】
前記有害事象が、非心臓手術後の心筋傷害(MINS)および感染症である、請求項54~58に記載の方法。
【請求項60】
前記有害事象が、主要な心血管または脳血管事象(MACCE)および感染症である、請求項54~59に記載の方法。
【請求項61】
前記有害事象が、心血管または脳血管事象および血液感染症である、請求項48~53に記載の方法。
【請求項62】
前記有害事象が、非心臓手術後の心筋傷害(MINS)および血液感染症である、請求項47に記載の方法。
【請求項63】
前記有害事象が、主要な心血管または脳血管事象(MACCE)および血液感染症である、請求項47に記載の方法。
【請求項64】
第1の試料が、第1の時点で前記患者から単離され、第2の試料が、第2の時点で前記患者から単離され、好ましくは前記第1の時点と前記第2の時点との間で、少なくとも6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過している、請求項47~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
第1の試料が、第1の時点で前記患者から単離され、第2の試料が、第2の時点で前記患者から単離され、有害事象の可能性が、前記第1および第2の時点に関して前記バイオマーカーのレベルの絶対差、割合、および/または変化率と相関する、請求項47~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
第1の試料が、第1の時点で術後に前記患者から単離され、第2の試料が、第2の時点で術後に前記患者から単離され、好ましくは前記第1の時点と前記第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過しており、proET-1またはその断片のレベルの増加または水平化は、前記有害事象の可能性が高いことを示す、請求項47~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
proET-1またはその断片のレベルを決定することが、前記試料中のCT-proET-1のレベルを決定することを含む、請求項47~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
治療指針、層別化、および/または制御をさらに含む、請求項47~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記レベルが、抗感染剤、好ましくは抗生物質による治療の開始を示す感染症の可能性と相関する、請求項47~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記レベルが、CTスキャン、MRIスキャン、血管造影図、動脈造影、X線、心エコー図、ECG、およびEEGから選択されるさらなる診断用評価を示す心血管または脳血管有害事象の可能性と相関する、請求項47~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記レベルが、抗凝固療法、酸素療法、溶解療法、経皮的冠動脈介入、経皮経管的血管形成、冠動脈バイパス移植、および/またはステント移植の開始または準備を示す心血管または脳血管有害事象の可能性と相関する、請求項47~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記レベルは、前記患者が頻繁なまたは増加したレベルのモニタリングおよび/または重症管理を必要とすることを示す術後有害事象の可能性と相関する、請求項47~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することが、前記proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproET-1またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す、請求項47~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することが、前記proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproET-1またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す、請求項47~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することが、前記proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproET-1またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはPMIの可能性が高いことを示す、請求項47~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することが、前記proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproET-1またはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す、請求項47~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することが、前記proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproET-1またはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す、請求項47~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することが、前記proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproET-1またはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくは、MACCE、PMI、および/またはMINSの可能性が高いことを示す、請求項47~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
請求項47~78のいずれか一項に記載の方法を実行するためのキットであって、前記キットが、
-前記少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定するための検出試薬であって、前記少なくとも1つのバイオマーカーが、proET-1またはその断片である、前記検出試薬と、
-術後の有害事象の可能性に関する参照データ、具体的には、閾値またはカットオフ値に関する参照データであって、前記参照データが、好ましくは、コンピュータ可読媒体に記憶されており、及び/又は、前記参照データが、好ましくは、前記少なくとも1つのバイオマーカーの前記決定されたレベルを、前記閾値またはカットオフ値と比較するように構成されたコンピュータ実行可能コードの形態で用いられる、前記参照データと、を含む、前記キット。
【請求項80】
前記患者が、非心臓手術を受けた、受けている、または受ける予定である、請求項1~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記患者が、腹部手術を受けた、受けている、または受ける予定である、請求項1~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記患者が50歳以上である、請求項1~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記試料が、前記手術前7日以内、好ましくは、3日、1日、12時間、またはそれ以下の内に、術前に単離される、請求項1~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記試料が、手術後少なくとも12時間、24時間、48時間、72時間、もしくはそれ以上で、および/または前記手術後72時間、48時間、24時間、12時間、もしくはそれ以下の内に、術後に前記患者から単離される、請求項1~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記試料が、手術後12時間以内、好ましくは6時間以内に、術後に単離される、請求項1~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記試料が、手術後1日で単離される、請求項1~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記試料が、手術後2日で単離される、請求項1~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記試料が、手術後3日で単離される、請求項1~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
第1の試料が術前および/または周術期に単離され、第2の試料が術後に単離される、請求項1~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
第1の試料が術前に単離され、第2の試料が周術期および/または術後に単離される、請求項1~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記試料が、全血試料、血清試料、もしくは血漿試料などの血液試料、唾液試料、および/または尿試料からなる群から選択される、請求項1~90のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術を受けた、受けている、または受ける予定である患者の少なくとも1つの試料を提供することを含む、術後患者の健康における有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化のための方法に関し、この少なくとも1つ試料は、術前、周術期、または術後に患者から分離され、該少なくとも1つの試料中のproADM、PCT、およびproET-1、またはその断片からなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが決定され、該少なくとも1つのバイオマーカーまたはその断片のレベルは、該有害事象の可能性と相関する。いくつかの実施形態では、本方法は、術後の感染症または血液感染症の可能性が高いことまたは低いことを予測または診断するために使用される。いくつかの実施形態では、本方法は、術後の心血管または脳血管有害事象、好ましくは主要な心血管または脳血管有害事象(MACCE)、非心臓手術後の主要な心筋傷害(MINS)、または周術期心筋傷害(PMI)の可能性が高いことまたは低いことを予測または診断するために使用される。いくつかの実施形態では、本方法は、加えて、該術後有害事象、特に、感染症または心血管もしくは脳血管有害事象に関連する治療指針、層別化、および/または制御を含む。
【背景技術】
【0002】
世界的に見て、45歳以上の3億人を超える成人が毎年非心臓大手術を受ける(Weiser et al.2015)。このうち、何百万もの人が30日以内に合併症で死亡し(Bottoら、2014)、かなりの割合の患者が、手術後の最初の1年間に主要な心臓合併症を患う(Ekelof et al.2016)。術後死亡の主な原因は、細胞損傷および制御不能な細胞死を引き起こす心筋の虚血傷害による心臓合併症である(Botto et al.2014、Sessler et al.2018、Landesberg et al.2009)。死亡数に加えて、術後心臓傷害は、かなりの数の術後合併症を引き起こすことで、回復および入院を長引かせ、その結果、患者の苦痛および医療費が増加する(Devereaux et al.2015)。
【0003】
術後の主要な心血管および脳血管事象(MACCE)
主要な心血管または脳血管事象であるMACCEは、深刻な周術期の罹患率および死亡率の最も一般的な原因であり、研究対象の集団に応じて、発生率は1~7%の範囲である(Sabate et al.2011)。
【0004】
MACCEを発症した患者の10%は入院中に死亡する。MACCEのいくつかの独立した術前および術中のリスク因子、例えば、冠状動脈疾患、慢性鬱血性心不全、術中低血圧、および輸血が示唆されている。しかしながら、感度および特異性が高いリスク層別化システムはない。
【0005】
手術後の心筋梗塞(MI)
心筋梗塞は、長期の虚血によって引き起こされる心筋の壊死により定義されてもよく、死亡および障害の一般的な原因である(Thygesen et al.2012)。2つの異なる機序が心筋梗塞を引き起こしてもよく、そのどちらも非心臓手術後に見られる。I型MIは、急性冠症候群によって引き起こされる。1つまたは複数の冠状血管における不安定なアテローム性動脈硬化プラークの破裂、潰瘍形成、びらん、または剥離、それに続く管腔内血栓症により、心筋血流が減少する(Landesberg et al.2009、Devereaux et al.2009)。II型MIは、心筋の酸素供給と需要との間の長期的な不均衡によって引き起こされ、心不整脈、貧血、呼吸不全、低血圧、高血圧などの状態の結果として、または高レベルの内因性または外因性の循環コルチゾールおよびカテコールアミンによる直接的な毒性作用によって生じてもよい(Ekelof et al.2016、Landesberg et al.(2009)、Thygesen et al.2012)。
【0006】
MIの診断基準は、虚血症状または虚血心電図(ECG)所見のいずれかを伴う疑わしい心筋虚血の背景における参照範囲の上限レベルを3倍超える、心臓バイオマーカーであるトロポニンの上昇からなる(Thygesen et al.2012)。
【0007】
MIの虚血症状には、胸部、上肢、下顎痛、呼吸困難などの非特異的症状のさまざまな組み合わせが含まれる。多くの場合、症状は20分以上続き、びまん性で、局所的でも、位置的でも、運動の影響を受けるものでもない。
【0008】
しかしながら、MI患者は無症候性であることが多い。これは術後MIの場合に言え、この場合、心筋傷害が非心臓手術後48時間以内に発生することが多い(Thygesen et al.2012)。この期間中の症状の欠如について考えられる説明は、患者が、通常、症状を隠蔽する鎮痛薬を服用しているということである。これは、周術期心筋梗塞(PMI)の65%が無症候性であり、転帰不良と関連付けられる理由を一部説明し得る(Devereaux et al.2015、Devereaux et al.2017)。PMI患者の12%は30日以内に死亡し、大部分の死亡は48時間以内に生じる(Hanson et al.2013)。
【0009】
非心臓手術後の心筋傷害(MINS)
MINSは、手術患者の8%で発生する虚血による予後に関連する心筋傷害である(Botto et al.2014)。MINSを患う患者の10%は30日以内に死亡し、MINS患者は1年死亡率および1年超死亡率がより高く、非致死性心停止、鬱血性心不全、および脳卒中の発生率もより高い(Botto et al.2014、Mauermann et al.2016)。さらに、局所心筋傷害は心筋を気絶させ、拡張機能障害および心拍出量の低下をもたらし、その結果、末梢血液供給の低下、組織の治癒障害、および創傷感染のリスクの増加をもたらし得る(Noordzij et al.2015)。
【0010】
MINSの現在の診断基準は、虚血症状の有無にかかわらず、心筋虚血が原因である(非虚血性病因の証拠なし)と判断された術後のトロポニン上昇である。MINSには、好ましくは、虚血以外の病因、例えば敗血症または肺塞栓症から生じる周術期心筋障害は含まれない。MINSの基準は、可逆性心筋傷害から壊死まで、MIよりも広い範囲の心筋傷害を対象とする。このより広範な概念は、心筋傷害のいくつかの兆候を含み、MINSを外科患者にとってより適切な用語にし、非心臓手術後に見られる心筋損傷の程度を過小評価するリスクを低下させる(Mauermann et al.2016)。
【0011】
MINSの93.6%は手術後3日以内に発生する。MINS患者は軽度のトロポニン上昇を有し、多くの場合、虚血性の特徴を欠く(Noordzij et al.2015)。MINSを患う患者の84%は虚血症状を経験せず、34.9%のみがECGで虚血の兆候を示す(Botto et al.2014)。
【0012】
これらの発見により、周術期心筋傷害の信頼できる診断は、ほとんどの場合、継続的な術後トロポニン測定によってのみ可能であることが示される。別様には、MINSの93.1%およびPMIの68%が検出されない可能性があると報告されている(Devereaux et al.2017)。
【0013】
さらに、心臓合併症の場合のトロポニンの発現の遅延に起因してトロポニンのない期間が存在し、これにより治、療の迅速な開始が妨げられ、重篤な合併症および死亡の可能性が高まる。
【0014】
MINSの機序は不明なままであるが、PMIの背後にある機序と類似していることが示唆されている(Mauermann et al.2016)。MINSに対抗するためにいくつかの試験が実施されているが、心筋傷害を安全かつ効率的に防止するための方法は未だ知られていない(Sessler et al.2018)。一例として、周術期および術後にベータ遮断薬を投与する大規模無作為化試験であるPOISE研究により、主要な心血管事象の発生を30%減少させることができたが、同時に重篤な低血圧、脳卒中、および死亡の発生率を増加させた(Devereaux et al.2008)。臨床症状に基づいてMINSを検出または予測することは困難であるため、分子的アプローチに基づく明確な診断および予後手段が必要とされる。
【0015】
周術期心筋傷害(PMI)
周術期心筋傷害(PMI)は、非心臓手術後の死亡の深刻な原因である。PMIの大部分は無症候性であるため、体系的なスクリーニングがない場合、PMIは見落とされることが常である。特に、PMIは非心臓手術後の一般的な合併症であり、定期的な臨床スクリーニング中の早期発見にもかかわらず、相当な短期および長期の死亡と関連付けられる。死亡率は、自発性急性心筋梗塞に必要ないずれの他の追加基準も満たしていないPMIの患者と、これらを満たす患者とで同等のようである(Puelacher et al 2015)。PMIを検出することの難しさ、および患者にPMIのリスクがあるかどうかを予測することの難しさを踏まえると、これらの困難に対処し、好適で、好ましくは早期のまたは先行的な治療または予防手段を可能にするために追加の手段が求められる。
【0016】
術後感染症
手術後の感染症の発症は、主要な術後合併症のうちの1つであり、疼痛、創傷治癒不良、抗生物質を含むさらなる治療の必要性、長期入院、および医療費の増加を引き起こす。術後感染症は、外科的処置の失敗、敗血症、臓器不全、場合によっては最終的には死を含む深刻な問題を引き起こし得る。
【0017】
術後感染症は、手術から30日以内に発生する任意の感染症として定義されてもよく、手術自体に関連しても、術後経過に関連してもよい。術後感染症の発生率は大きく異なり得、実行される手順の種類および感染症の発症に関する患者固有の危険因子に左右される。
【0018】
術後感染症には、例えば、創傷自体、または体腔内のより深い感染症、または全身感染症が伴い得るが、肺感染症(例えば、肺炎)またはカテーテル関連尿路感染症などのより遠位の感染症も含まれてもよい。
【0019】
手術部位感染症(SSI)としても知られる術後創傷感染症は、多くの患者の回復経過を複雑にする。Centers for Disease Control and Prevention(CDC)によって定義されているように、これらの感染症は、典型的には、手術が行われた体の部位または一部で手術から30日以内に発生する。
【0020】
SSIは、皮膚および皮下組織に限定される場合は表在/切開として、筋膜および筋肉が関与する場合は深部切開として、または体腔が関与する場合には臓器空間(例えば、消化管手術後の腹腔)として分類されてもよい(Horan et al.2008)。
【0021】
深部組織および臓器空間のSSIは、表在性SSIよりも頻繁ではないが、表在性SSIと比較した場合、罹患率/死亡率、再入院率、長引く入院期間、および病院関連コスト全体の増加と関連付けられる。SSIの大部分は複雑ではないが、他のSSIは重症でより困難であってもよく、大規模な外科的デブリードマン、複数回の再手術が必要となることが多く、生死に関わり得る。
【0022】
術後感染症は、手術部位での感染症に加えて、いくつかの要因で生じ得る。術後肺炎、および気道感染症は、例えば、概して、大手術後に発生する生理学的および免疫学的な障害の兆候と見なされる。術後肺感染症は、咳、痰、息切れ、胸痛、38℃を超える体温、1分あたり100回を超える脈拍数と関連付けられる。最大半数の人が手術後に無症候性の胸部徴候を有し、最大4分の1が症候性疾患を発症し得る。
【0023】
大手術における術後肺合併症の発生率は、1%未満~23%の範囲である。いくつかの研究により、肺合併症が心臓合併症よりも一般的であることが示されており、術後呼吸不全は術後に一般的な合併症である(Miskovic at al.2017)。
【0024】
手術部位感染症の診断は困難であり得、これは、徴候および症状が非特異的であることが多く、臨床シナリオによっては感度が不足し得るためである。
【0025】
しかしながら、抗生物質治療などの適切な治療を開始するには、術後感染症の早期診断が非常に重要である。
【0026】
特に重篤な術後感染症は、血液感染症または敗血症に関連する。診断および予防措置における著しい改善にもかかわらず、敗血症の発生率は、入院患者において急速に拡大し続けており(Martin et al.2003)、死亡率は、疾患重症度レベル、使用する臓器機能障害の定義、および国固有の発生率によって、10%~54%の範囲である(Kaukonen et al.2014.,Vincent et al.2006)。
【0027】
いずれの術後疾患についても、特に敗血症について、診断検査および治療戦略に関する迅速で信頼性の高い決定を行うためには、全体的な病態生理学的宿主応答の観点から、感染負荷と疾患重症度との両方を早期かつ正確に評価することが非常に重要である。
【0028】
従来技術に照らして、術後の心血管もしくは脳血管事象または術後の感染症などの術後の有害事象の早期診断またはリスク評価を可能にし得る診断および予後方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0029】
従来技術における困難に照らして、本発明の根底にある技術的問題は、特に手術後最初の数日以内の、術後患者の健康における有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化のための改善されたまたは代替的な手段を提供することである。
【0030】
したがって、本発明は、特に術後感染症または心血管もしくは脳血管事象を含む有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化のための方法、キット、およびさらなる手段を提供することを目的とする。
【0031】
本発明の1つの目的は、患者が手術後に有害事象を患うか、または患うリスクがあるか否かを、術前、周術期、または術後に区別するために、バイオマーカーまたはバイオマーカーの組み合わせを使用することである。
【0032】
本発明の技術的問題の解決策は、独立請求項に提供されている。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に提供されている。
本発明は、術後患者の健康における有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化のための方法に関し、本方法は、
-手術を受けた、または手術を受ける予定の患者の少なくとも1つの試料を提供することであって、少なくとも1つの試料が、術前、術中、または術後に患者から単離されている、提供することと、
-該少なくとも1つの試料中のproADM、PCT、およびproET-1、またはその断片からなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することと、を含み、
-該少なくとも1つのバイオマーカーまたはその断片のレベルは有害事象の可能性と相関する。
【0033】
本発明は、特に、術後患者の健康における有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化のための方法に関し、本方法は、
-手術を受けた、手術を受けている、または手術を受ける予定の患者の少なくとも1つの試料を提供することであって、少なくとも1つの試料が、術前、術中、または術後に患者から単離されている、提供することと、
-該少なくとも1つの試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することと、を含み、
-該少なくとも1つのバイオマーカーまたはその断片のレベルは該有害事象の可能性と相関し、少なくとも1つのバイオマーカーはproADMまたはその断片であり、有害事象は感染症である。
【0034】
本発明は、特に、術後患者の健康における有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化のための方法に関し、本方法は、
-手術を受けた、手術を受けている、または手術を受ける予定の患者の少なくとも1つの試料を提供することであって、少なくとも1つの試料が、術前、術中、または術後に患者から単離されている、提供することと、
-該少なくとも1つの試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することと、を含み、
-該少なくとも1つのバイオマーカーまたはその断片のレベルは該有害事象の可能性と相関し、少なくとも1つのバイオマーカーはPCTまたはその断片であり、有害事象は心血管または脳血管事象である。
【0035】
本発明は、特に、術後患者の健康における有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化のための方法に関し、本方法は、
-手術を受けた、手術を受けている、または手術を受ける予定の患者の少なくとも1つの試料を提供することであって、少なくとも1つの試料が、術前、術中、または術後に患者から単離されている、提供することと、
-該少なくとも1つの試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することと、を含み、
-該少なくとも1つのバイオマーカーまたはその断片のレベルは該有害事象の可能性と相関し、少なくとも1つのバイオマーカーはproET-1またはその断片であり、有害事象は、好ましくは、感染症および/または心血管もしくは脳血管事象である。
【0036】
本発明の方法の患者は、試料採取時に手術を受けた、手術を受けている、または手術を受ける予定である。手術後の患者の健康における有害事象の発生の可能性は、手術前、手術中、または手術後のバイオマーカーであるproADM、PCT、および/またはproET-1のレベルで評価され得る。
【0037】
本方法は、術後患者の迅速な治療指針に非常に有用であり得る。バイオマーカーであるproADM、PCT、および/またはproET-1のレベルを決定することにより、感染症または心血管もしくは脳血管事象などの有害事象の可能性を、明確な臨床症状の兆候とは無関係に決定することができる。
【0038】
手術後の有害事象発生の可能性は、参照レベル(閾値もしくはカットオフ値および/または集団平均など)と比較した試料中のproADM、proET-1、および/もしくはPCT、またはその断片のレベルの比較で評価することができ、参照レベルは、手術後に後続の有害事象を患っていない患者および手術後に後続の有害性を患った患者におけるproADM、proET-1、および/もしくはPCT、またはその断片のレベルに対応する。任意選択で、参照レベルは、健康な対象におけるproADM、proET-1、および/もしくはPCT、または断片のレベルに対応してもよい。
【0039】
したがって、本発明の方法は、術後患者の健康における有害事象の可能性を診断または予測するのを助け得る。これは、本発明の方法により、合併症を患う可能性がより高いか、あるいは将来的に状態がより重篤になるであろう高リスク患者を低リスク患者から区別することができ、その結果、患者が、ある特定の治療措置を必要とし得る感染症または心血管もしくは脳血管事象などの術後有害事象を患ったことまたは患うであろうことが予想されないようにすることを意味する。
【0040】
術後の患者にとって、手術の状況は有害事象の初期の臨床症状を隠蔽することが多い。典型的には、手術後の最初の数日間、場合によっては長期間にわたって、患者は、有害事象の可能な初期の臨床症状に関する患者または臨床個人の知覚を和らげる鎮痛性医薬品および非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)などの鎮痛剤を含む多数の医薬品を日常的に受ける。
【0041】
例えば、胸痛、息切れ、吐気、または脱力感は、心筋梗塞の臨床症状を構成するものである。脳卒中には、典型的には、後遺症の運動感覚または認知機能障害が伴う。しかしながら、残留麻酔または追加の鎮痛性医薬品の影響下では、そのような症状はまったく認識されないか、または誤診され得る。同様に、頭痛、感染部位の局所的な疼痛、衰弱、または一般的な健康状態の悪化などの感染症の初期の兆候は、投薬によって隠蔽されるか、または手術の所定の帰結として誤解され得る。
【0042】
以下のデータによりさらに詳細に示されるように、バイオマーカーであるproADM、PCT、および/またはproET-1のレベルを決定することは、臨床症状とは無関係に有害事象の予後または診断を可能にするので、治療およびモニタリングの貴重な指針となり得る。
【0043】
例えば、本明細書に記載の方法を使用する感染症の初期診断により、適切な抗生物質治療の迅速な開始が可能になる。同様に、心血管事象の診断により、冠状動脈バイパス移植、適切な医薬品の投与、または冠動脈形成術の迅速な開始が可能になり得る。
【0044】
バイオマーカーであるproADM、PCT、およびproET-1が、術後患者の健康における有害事象を予測または診断するためのマーカーと同様の可能性を示すことは驚くべき発見であった。
【0045】
52個のアミノ酸を含むペプチドアドレノメデュリン(ADM)は、ヒト褐色細胞腫(phenochromocytome)から最初に単離された(Kitamura K et al.1993)。ADMは、降圧作用、免疫調節作用、代謝作用、血管作用を有することが示されている。これは、強力な血管拡張剤であり、組織中で広く産生されることで、個々の臓器への血液供給の維持が助けられる。ADMは、微小循環を安定させ、内皮透過性およびその結果としての臓器不全から保護し、特に敗血症(Andaluz-Ojeda et al.2015)、下気道感染症(Hartmann et al.2012、Albrich et al.2011a、Albrich et al.2011b、Albrich et al.2013)、肺移植(Riera et al.2015)、および胸部手術(Schoe et al.2015)の分野において、かなりの見込みを示した。
【0046】
エンドセリン-1は、21アミノ酸ペプチドのファミリーメンバーであり、心血管機能不全において重要な病態生理学的役割を果たしていると考えられている(Haaf et al.2014、Papssoutiriou et al.2006)。ET-1は、強力な血管収縮剤であり、主に内皮細胞によって合成される。これは、平滑筋細胞に対して細胞分裂促進作用を発揮し、内皮機能不全および炎症を引き起こすことにより、血管新生およびアテローム性動脈硬化の発症に役割を果たす(Haaf et al.2014、Zhang et al.2017)。プロET-1の血漿レベルは、急性心筋梗塞、鬱血性心不全、敗血症誘発性心筋機能不全、肺高血圧症、冠状動脈疾患、高血圧症、老化、糖尿病、ならびに虚血性心疾患および心筋梗塞などのいくつかの心血管病態において上昇することが示されている(Haaf et al.2014、Zhang et al.2017、Setiano et al.2016、Lundberg 2016)。
【0047】
PCTは、通常、高カルシウム血症に応答して甲状腺のC細胞により分泌される、カルシトニンのプレホルモンである。これらの通常の条件下では、検出される血清PCT濃度はごくわずかである(Whicher et al.2001)。細菌感染症の場合、炎症または敗血症のプロカルシトニンレベルが上昇し、PCTは、これらの疾患を診断するためによく知られ日常的に使用されているバイオマーカーである。
【0048】
ADM、proET-1、およびPCTは、現在、さまざまな臨床シナリオで採用されているが、これらのバイオマーカーの生物学的機能は、共通の特徴を呈する。特に、ADMとPCTとは両方とも、内皮細胞中のカルシトニン受容体複合体、特にカルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体(CGRP受容体)と相互作用することが示されている(Sexton et al.2008、Nikitenko et al.2006、Smith et al.2002)。さらに、proET-1の血漿レベルもCGRPと相関することが示されており、これにより、例えば血圧の調節における共通のシグナル伝達経路が示される(Parlapiano et al.1999、Wang et al.2004)。
【0049】
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、神経細胞中のカルシトニン遺伝子によってコードされる内因性血管作動性ペプチドであり、心臓血管系全体に分布し、強力な血管拡張剤として作用することが示されている。CGRPおよびその受容体は、特に、片頭痛の病態生理学に関与することが提案されている(Ho Tony W.et al.GRP and its receptors provide new insights into migraine pathophysiology Nature Reviews Neurology第6巻,573~582頁(2010))。しかしながら、CGRPの血漿レベルも敗血症において上昇することが示されており(Joyce et al.1990)、CGRP受容体については、疼痛および炎症の制御におけるより一般的な役割が提案されている(Benemei et al.2009)。
【0050】
理論に拘束されることを意図するものではないが、データに示されているように、術後有害事象の診断および予後におけるproADM、PCT、およびproET-1の共通の可能性の驚くべき発見は、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)およびそれらの受容体、ならびにカルシトニン複合体受容体ファミリーの他の受容体とのそれらの共通の相互作用に関連している可能性がある。
【0051】
また、本方法は、有害事象のリスクの予測因子として、また術後患者のモニタリングを導く上で価値があり得る。バイオマーカーであるproADM、PCT、および/またはproET-1のレベルにより、術後有害事象の可能性が高いことが示される場合、医療関係者は、モニタリングの頻度および/または強度を調整してもよい。有害事象の予後に応じて、特殊な診断ツールを用いてもよく、定期検査手順をより頻繁な間隔で実施してもよい。
【0052】
この点で、本方法は、リスク評価または層別化のために特に価値があり、より頻繁なモニタリングもしくは追加の診断を必要とするリスク群、または分類に応じてある特定の異なる治療措置を受ける治療群などの異なる群への患者の群分けまたは分類を可能にする。
【0053】
このため、本明細書に記載のバイオマーカーを使用した早期の診断または予後の可能性により、患者の転帰を改善するための迅速な治療指針が可能になるだけでなく、資源効率の高い戦略を採用するのにも役立つ。
【0054】
一実施形態では、有害事象は、心血管または脳血管事象である。
【0055】
一実施形態では、有害事象は、心筋梗塞(MI)である。
【0056】
一実施形態では、有害事象は、非心臓手術後の心筋傷害(MINS)である。
【0057】
一実施形態では、有害事象は、周術期心筋傷害(PMI)である。
【0058】
一実施形態では、有害事象は、主要な心血管または脳血管有害事象(MACCE)である。
【0059】
一実施形態では、有害事象は、脳卒中および/または一過性脳虚血発作である。
【0060】
一実施形態では、有害事象は、感染症である。
【0061】
一実施形態では、有害事象は、真菌、細菌、またはウイルス感染症である。
【0062】
一実施形態では、有害事象は、例えば、呼吸器感染症、尿路感染症、皮膚感染症、または腹部感染症などの局所感染症である。
【0063】
一実施形態では、有害事象は、全身性血液感染症、敗血症、重症敗血症、および/または敗血症性ショックである。
【0064】
一実施形態では、有害事象は、心血管または脳血管事象および感染症であり、これらは、好ましくは、互いに近い時間関係で発生し、好ましくは同時に発生する。
【0065】
一実施形態では、有害事象は、非心臓手術後の心筋傷害(MINS)および感染症である。
【0066】
一実施形態では、有害事象は、周術期心筋傷害(PMI)および感染症である。
【0067】
一実施形態では、有害事象は、主要な心血管または脳血管事象(MACCE)および感染症である。
【0068】
一実施形態では、有害事象は、心血管または脳血管事象および血液感染症である。
【0069】
一実施形態では、有害事象は、非心臓手術後の心筋傷害(MINS)および血液感染症である。
【0070】
一実施形態では、有害事象は、主要な心血管または脳血管事象(MACCE)および血液感染症である。
【0071】
一実施形態では、有害事象は、周術期心筋傷害(PMI)および血液感染症である。
【0072】
本明細書に記載のバイオマーカーの測定に基づいて、患者が術後にMINSまたはMACCEなどの心血管または脳血管事象、ならびに血液感染症などの感染症に罹患するかどうかについての正確で信頼性の高い結論を導くことができることはまったく予期せぬことである。本明細書に記載の特定の背景におけるproADM、PCT、および/またはproET-1のこの予後判断能力は、新規かつ驚くべきものであり、手術を取り巻く有害事象の検出、予測、および管理の改善を可能にする。これらの可能性のある有害事象の併用評価も、臨床的関連性が特に高い。感染症を治療するための措置または投薬は心血管または脳血管事象に不利であり、逆もまた同様であり得るため、最適な治療指針は、そのような評価に大きく左右され得る。両方の有害事象の診断または予後を提供することにより、臨床担当者は可能な限り最良の治療アプローチを選択し得る。
【0073】
例えば、MACCE、PMI、またはMINSを予測または診断する場合、バイパス手術または血管形成術などのその後の臨床手順により、可能性のある感染症を悪化させるリスクが高まる。抗生物質療法などの早期の先行的抗感染症療法は、全体的な前向きの患者転帰に非常に重要であり得る。
【0074】
一実施形態では、手術は非心臓手術であり、試料が患者から単離される時点で、患者は、非心臓手術を受けたか、受けているか、または受ける予定である。好ましくは、非心臓手術は、より広範囲の手術を含む主要な非心臓手術であり、典型的には、全身麻酔下で行われなければならず、少なくとも1泊の入院を必要とする。
【0075】
一実施形態では、手術は、腹部または消化管手術であり、試料が患者から単離される時点で、患者は、腹部または消化管手術を受けたか、受けているか、または受ける予定である。
【0076】
入院という用語は、好ましくは、救急室、病棟、集中治療室、または病院もしくは診療所の他の場所にあるかどうかにかかわらず、病院内での患者の病状の制御の維持および/または評価を指す。
【0077】
一実施形態では、手術は、腹部手術であり、試料が患者から単離される時点で、患者は、腹部手術を受けたか、受けているか、または受ける予定であるときである。
【0078】
一実施形態では、患者は、50歳以上、または55、60、65、70、もしくは75歳以上である。これらの年齢群の患者は、手術後に有害事象を発症するリスクが特に高いため、本明細書に記載の方法は該患者群にとって特に価値あるものとなる。
【0079】
本発明の方法の好ましい実施形態では、該試料は、手術の約30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、30時間、36時間、42時間、48時間、60時間、72時間、84時間、4日、5日、6日、7日、8日、9日、または10日前または後に該患者から単離される。
【0080】
他の実施形態では、試料は、手術の30分~12時間、12~36時間、3~5日、7~14日、8~12日、または9~11日前または後の時点で単離される。
【0081】
任意の所与の上記の値の間の範囲を用いて、試料を得る時点を定義することができる。
【0082】
一実施形態では、試料は、手術前7日以内、好ましくは、3日、1日、12時間、またはそれ以下の内に、術前に単離される。
【0083】
一実施形態では、試料は、手術前少なくとも3時間、好ましくは少なくとも6時間で、術前に単離される。
【0084】
一実施形態では、試料は、手術前7日以内、好ましくは3日以内、より好ましくは1日以内に、少なくとも3時間、好ましくは少なくとも6時間で、術前に単離される。
【0085】
上記の実施形態により、手術が開始される前に、術後の有害性の予測ができるようになる。有害事象のリスクが特に高い場合は、手術が延期またはさらには中止されてもよい。さらに、術後の有害事象の術前リスク評価により、予防薬、例えば、感染症の場合の抗生物質、または心血管もしくは脳血管事象の場合の抗凝血薬の投与が可能になる。
【0086】
一実施形態では、試料は、手術後少なくとも12時間、24時間、48時間、72時間、もしくはそれ以上で、および/または手術後72時間、48時間、24時間、12時間、もしくはそれ以下の内に、術後に患者から単離される。
【0087】
一実施形態では、試料は、手術後12時間以内、好ましくは6時間以内に、術後に単離される。実施形態は、好ましくは、患者が麻酔後ケアユニット(PACU)でモニタリングされている間の試料の単離に関する。
【0088】
一実施形態では、試料は、手術後1日(POD1)で単離される。この場合、試料は、手術後12時間~36時間、好ましくは手術後18時間~30時間で単離されることが好ましい。
【0089】
一実施形態では、試料は、手術後2日(POD2)で単離される。この場合、試料は、手術後36時間~60時間、好ましくは手術後42時間~54時間で単離されることが好ましい。
【0090】
一実施形態では、試料は、手術後3日(POD3)で単離される。この場合、試料は、手術後60時間~84時間、好ましくは手術後66時間~78時間で単離されることが好ましい。
【0091】
いくつかの実施形態では、本発明は、例えば、術前、麻酔後ケアユニット(PACU)中、または手術後1、2、もしくは3日(POD1~POD3)など、1つ、2つ、または3つの時点での試料からのバイオマーカーのレベルを、術後有害事象の可能性の評価に使用することについて記載する。以下のデータにより示されるように、有害事象を有する患者および有しない患者におけるバイオマーカーのレベルの異なる時間的推移により、2つ以上の時点で試料を採取し、異なる試料点についての割合または絶対差を分析するときに、特に信頼性のある予後または診断が可能になる。
【0092】
一実施形態では、第1の試料は、術前および/または周術期に単離され、第2の試料は、術後に単離される。
【0093】
一実施形態では、第1の試料は、術前に単離され、第2の試料は、周術期および/または術後に単離される。
【0094】
一実施形態では、第1の試料は、手術前3日以内、好ましくは1日以内またはそれ以下の内に単離され、第2の試料は、手術後12時間以内、好ましくは6時間以内またはそれ以下のうちに単離される。
【0095】
一実施形態では、第1の試料は、手術前3日以内、好ましくは1日以内またはそれ以下のうちに単離され、第2の試料は、手術後1日、2日、3日以内またはそれ以上のうちに単離される。
【0096】
一実施形態では、第1の試料は、手術後12時間以内、好ましくは6時間以内に単離され、第2の試料は、手術後1日、2日、3日以内またはそれ以上のうちに単離される。
【0097】
一実施形態では、第1の試料は、手術後1日で単離され、第2の試料は、手術後2日、3日、またはそれ以上で単離される。
【0098】
一実施形態では、第1の試料は、手術後2日で単離され、第2の試料は、手術後3日またはそれ以上で単離される。
【0099】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点で患者から単離され、第2の試料は、第2の時点で患者から単離され、好ましくは第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過している。しかしながら、試料単離の間の好ましい期間が、例えば、6時間~72時間、6時間~48時間、12~72時間、12~48時間、または上述の好ましい最大期間および最小期間の任意の他の組合せであり得るように、72時間未満、48時間以下が経過することが好ましい。
【0100】
本発明の文脈において、第1の試料と比較して決定した第2の試料中のマーカーのレベルがより低いと、観察時間にわたる患者におけるそれぞれのマーカーのレベルが減少していることが示され得る。逆に、第2の試料中のレベルが第1の試料と比較して上昇すると、観察時間にわたるマーカーのレベルが増加していることが示されてもよい。
【0101】
一実施形態では、術後患者の健康における有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化のための方法は、第1および第2の試料を第1および第2の時点で単離することを含み、有害事象の可能性は、バイオマーカーのレベルの絶対差、バイオマーカーのレベルの割合、ならびに/または第1および第2の時点に関するバイオマーカーのレベルの変化率と相関する。
【0102】
第1および第2の時点に関するバイオマーカーのレベルの変化率は、好ましくは、該第1および第2の時点間の時間的差異に対するバイオマーカーのレベルの絶対差を指す。
【0103】
第1および第2の時点に関して、試料を単離するための本明細書に開示される時点の任意の組み合わせが、制限されることを意図せずに好ましくてもよく、よって、第1および第2の時点は、手術前3日以内、1日以内、またはそれ以下、手術後6時間以内、12時間以内、またはそれ以下のうち、および手術後1日、2日、または3日を指してもよく、好ましくは、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも6時間、12時間、24時間、またはそれ以上が経過していることが理解される。
【0104】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点で術後に患者から単離され、第2の試料は、後続の第2の時点で術後に患者から単離され、好ましくは第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過しており、proADM、PCT、および/もしくはproET-1、またはその断片のレベルの増加または水平化は、術後有害事象の可能性が高いことを示す。
【0105】
本発明の好ましい実施形態では、試料は、全血試料などの血液試料、血清試料または血漿試料、唾液試料、および尿試料からなる群から選択される。
【0106】
一実施形態では、proADMまたはその断片のレベルを決定することは、試料中のMR-proADMのレベルを決定することを含む。以下の例に示されるように、好ましくはB.R.A.H.M.S(Hennigsdorf,Germany)の確立されたイムノアッセイ製品を使用して決定されたMR-proADMは、本明細書に記載の方法により信頼性のある効果的な予後を示す。前駆体または断片を含む、成熟アドレノメデュリンまたはPAMPなどの代替的なADM分子も用いられ得る。
【0107】
一実施形態では、PCTまたはその断片のレベルを決定することは、試料中のPCT1~116、PCT2~116、またはPCT3~116のレベルを決定することを含む。以下の例に示されるように、PCT1~116、PCT2~116、またはPCT3~116は、好ましくは、B.R.A.H.M.S(Hennigsdorf,Germany)の確立されたイムノアッセイ製品を使用して決定され、本明細書に記載の方法により信頼性のある効果的な予後を示す。前駆体または断片を含む、カルシトニンまたはカタカルシンなどの代替的なPCT分子も用いられ得る。
【0108】
一実施形態では、proET-1またはその断片のレベルを決定することは、試料中のCT-proET-1のレベルを決定することを含む。以下の例に示されるように、好ましくはB.R.A.H.M.S(Hennigsdorf,Germany)の確立されたイムノアッセイ製品を使用して決定されたCT-proET-1は、本明細書に記載の方法により信頼性のある効果的な予後を示す。前駆体または断片を含む代替的なproET-1分子も用いられ得る。
【0109】
一実施形態では、本方法は、加えて、治療指針、層別化、および/または制御を含む。本方法により、有害事象を治療または予防するために、ある特定の療法、治療活動、または医学的介入の適用を、1つ以上のバイオマーカーの決定されたレベルに基づいて行うことが可能になる。治療指針、層別化、および/または制御は、特にその種類および/または診断/予測された重症度に関して、有害事象に依存する。
【0110】
一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルは、抗感染剤、好ましくは抗菌剤または抗生物質による治療の開始を示す感染症の可能性と相関する。
【0111】
いくつかの実施形態では、本方法は、感染を検出するための該患者からの試料の分子分析を含む。感染を検出するための分子分析に使用される試料は、好ましくは、血液試料、血液培養試料、組織試料である。好ましい実施形態では、分子分析は、該感染を引き起こし得る病原体に由来する1つ以上の生体分子を検出することを目的とする方法である。該1つ以上の生体分子は、核酸、タンパク質、糖、炭水化物、脂質、および/またはグリコシル化タンパク質などのそれらの組み合わせであってもよく、好ましくは核酸であってもよい。該生体分子は、好ましくは、1つ以上の病原体に特異的である。好ましい実施形態によれば、そのような生体分子は、PCR、qPCR、RT-PCR、qRT-PCRなどの核酸増幅方法、または等温増幅、質量分析、酵素活性の検出、およびイムノアッセイに基づく検出方法を含む群から選択される、生体分子の分析のための1つ以上の方法によって検出される。分子分析のさらなる方法は、当業者に既知であり、本発明の方法に含まれる。
【0112】
試料の追加の分子分析を使用して、当業者であれば、感染症を治療するために適切な抗感染剤を選択することもできるであろう。有利なことに、決定されたバイオマーカーのレベルは、治療の強度を導くのに役立ち得る。一般的に言えば、バイオマーカーのレベルが高いほど、感染症の状態がより深刻であることが示され、よって、より強力な、例えば、より頻繁な、またはより高用量の治療が導かれてもよい。
【0113】
一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルは、CTスキャン、MRIスキャン、血管造影図、動脈造影、X線、心エコー図、ECG、およびEEGから選択されるさらなる診断用評価を示す心血管または脳血管有害事象の可能性と相関する。
【0114】
心血管または脳血管有害事象の可能性を評価した後、例えば、患者の状態に関するより多くの情報を得るために、追加の試験を行ってもよい。例えば、心筋梗塞または心筋傷害が予測または診断される場合、患者は心電図(好ましくは、12誘導ECG)に送られてもよい。より広範な画像検査には、冠状動脈造影または冠状動脈カテーテル法が含まれる。
【0115】
脳卒中が予測または診断される場合、患者は神経学的検査(National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)、CTスキャン、MRIスキャン、ドップラー超音波法、または動脈造影など)に送られてもよい。
【0116】
この点で、患者の全体的な健康状態の悪化は迅速な対抗療法に左右されるため、早期診断または予測に対するバイオマーカーの可能性は特に価値あるものである。
【0117】
いくつかの実施形態では、本方法は、基礎病理を特定するための追加の診断方法の使用を含んでもよい。当該技術分野で既知の任意の診断方法を使用することができ、当業者であれば、心血管または脳血管事象に適切な診断方法を選択することができるであろう。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、他のバイオマーカーの測定に加えて、またはその代替として、他の診断方法、例えば、当該技術分野で既知の心臓機能または運動機能の物理的測定を含む。さらなる診断手段はまた、心臓トロポニン(cTn)などの心臓病を示す他のバイオマーカーの決定を含んでもよい。
【0118】
一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルは、抗凝固療法、酸素療法、溶解療法、経皮的冠動脈介入、経皮経管的血管形成、冠動脈バイパス移植、および/またはステント移植の開始または準備を示す心血管または脳血管有害事象の可能性と相関する。
【0119】
いくつかの実施形態では、医学的治療は、スタチン、β遮断薬、α2-アドレナリン作動薬、またはカルシウムチャネル遮断薬または硝酸塩などの他の抗虚血剤の投与を含み、心筋梗塞または傷害などの有害事象が発生する前の予防的治療戦略として用いられてもよい。
【0120】
一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルは、患者が頻繁なモニタリングおよび/または重症管理を必要とすることを示す術後有害事象の可能性と相関する。
【0121】
好ましくは、重症管理は、生命を脅かす状態を発症するリスクがあるか、またはその状態にある患者の健康状態を安定化または緩和することを目的とする治療手段に関する。例えば、重篤な感染症、例えば血液感染症の場合、重症管理治療の例には、輸液療法、静脈内抗生物質、いくつかの実施形態では、経口抗生物質以外の本質的にいずれの治療も含まれるが、これらに限定されない。心血管または脳血管事象に関して、重症管理は、例えば、酸素療法、溶解療法、または緊急もしくは冠動脈バイパス移植、および/またはステント移植に関連してもよい。
【0122】
頻繁なモニタリングは、好ましくは、有害事象に関する患者の健康状態の頻繁な評価を指し、例えば、血圧、呼吸数、酸素分圧、体温などといった健康状態の一般的なパラメータ、または有害事象に関して上に記載したより具体的なさらなるパラメータもしくは診断手段のモニタリングを含んでもよい。頻繁なモニタリングは、好ましくは、最大6時間、好ましくは、3時間、2時間、または1時間の間欠的な時間間隔でのモニタリングを指してもよい。
【0123】
いくつかの実施形態では、例えばICUでは、モニタリングは継続的なものである。
【0124】
いくつかの実施形態では、閾値を超える少なくとも1つのバイオマーカーのレベルは、有害事象の可能性が高いことを示す。
【0125】
いくつかの実施形態では、閾値を超える少なくとも1つのバイオマーカーのレベルは、有害事象の可能性が低いことを示す。
【0126】
本発明によれば、「有害事象の可能性が高いことを示す」および「有害事象の可能性が低いことを示す」の文脈における、「示す」という用語は、リスクおよび/または可能性の尺度として意図される。好ましくは、有害事象の有無または該有害事象を発現するリスクの有無の「指標」は、リスク評価または診断のための可能性として意図されており、典型的には、該事象の絶対的な有無を明確に指すように限定的な様式で解釈されるものではない。
【0127】
したがって、「有害事象を示す」という用語は、それぞれ、有害事象の発生の可能性が高いことを示すものとして理解され得る。
【0128】
上記を念頭に置いて、本明細書に開示の閾値を使用することにより、有害事象の信頼性のある診断またはそれらのリスクの推定ができるようになり、医療専門家による適切な行為が可能になる。
【0129】
本発明の実施形態では、以下の開示された可能な閾値からの偏差、例えば、±20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%、および厳密な閾値も開示され、特許請求される。
【0130】
本明細書に開示の閾値は、好ましくは、Thermo Scientific BRAHMS KRYPTORアッセイまたは自動化システムに好適なアッセイの手段によって、患者から得られた血漿試料中のproADM、PCT、proET-1、またはその断片のタンパク質レベルの測定値を指す。したがって、本明細書に開示の値は、用いられる検出/測定方法に応じてある程度変動してもよく、本明細書に開示の特定の値は、他の方法によって決定される対応する値を読み取ることも意図している。
【0131】
ADM、PCT、またはproET-1などのマーカーまたはバイオマーカーのレベルに関する本明細書に開示のすべての閾値は、ある特定の閾値「以上」、またはある特定の閾値「以下」と理解されるものである。例えば、1.2nmol/L超のproADMまたはその断片のレベルに関する実施形態は、1.2nmol/L以上のproADMまたはその断片のレベルに関すると理解されるものである。
【0132】
心血管または脳血管事象を診断または予測するために、proADMまたはその断片のレベルを決定することに関する実施形態
ADM/MACCE:
一実施形態では、少なくとも1つの追加のバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproADMまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。
【0133】
一実施形態では、試料は術前に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.7nmol/L~0.8nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8nmol/L。
【0134】
一実施形態では、試料は、手術から12時間以内、好ましくは6時間以内に、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.1nmol/L~1.4nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4nmol/L。
【0135】
一実施形態では、試料は、手術から1日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.4nmol/L~1.8nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8nmol/L。
【0136】
一実施形態では、試料は、手術から2日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.3nmol/L~1.8nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8nmol/L。
【0137】
一実施形態では、試料は、手術から3日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.3nmol/L~1.9nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.9nmol/L。
【0138】
一実施形態では、試料は術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.1nmol/L~1.5nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5nmol/L。
【0139】
一実施形態では、試料は、手術から1日、2日、3日、またはそれ以上後で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.4nmol/L~1.8nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8nmol/L。
【0140】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、proADMまたはその断片のレベルの増加は、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。
【0141】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.01nmol/L~0.5nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルの増加は、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、第1の時点と第2の時点との間のproADMまたは断片の増加について適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5nmol/L。
【0142】
ADM/MINS:
一実施形態では、少なくとも1つの追加のバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproADMまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。
【0143】
一実施形態では、試料は術前に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.7nmol/L~0.8nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8nmol/L。
【0144】
一実施形態では、試料は、手術から12時間以内、好ましくは6時間以内に、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.1nmol/L~1.4nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4nmol/L。
【0145】
一実施形態では、試料は、手術から1日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.3nmol/L~1.8nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8nmol/L。
【0146】
一実施形態では、試料は、手術から2日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.3nmol/L~1.8nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8nmol/L。
【0147】
一実施形態では、試料は、手術から3日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.3nmol/L~1.8nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8nmol/L。
【0148】
一実施形態では、試料は術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.1nmol/L~1.5nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5nmol/L。
【0149】
一実施形態では、試料は、手術から1日、2日、3日、またはそれ以上後で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.3nmol/L~1.8nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8nmol/L。
【0150】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、proADMまたはその断片のレベルの増加または水平化は、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。
【0151】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.01nmol/L~0.5nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルの増加は、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、第1の時点と第2の時点との間のproADMまたは断片の増加について適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5nmol/L。
【0152】
心血管または脳血管事象を診断または予測するために、PCTまたはその断片のレベルを決定することに関する実施形態
PCT/MACCE:
一実施形態では、少なくとも1つの追加のバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるPCTまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。
【0153】
一実施形態では、試料は、術後12時間以内、好ましくは6時間以内に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.1μg/L~0.4μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4μg/L。
【0154】
一実施形態では、試料は、手術から1日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.6μg/L~1.2μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2μg/L。
【0155】
一実施形態では、試料は、手術から2日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.8μg/L~1.8μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8μg/L。
【0156】
一実施形態では、試料は、手術から3日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、1μg/L~2μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.9、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2μg/L。
【0157】
一実施形態では、試料は、手術から1日またはそれ以上後で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.9μg/L~1.5μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5μg/L。
【0158】
一実施形態では、試料は、手術から2日、3日、またはそれ以上後で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、1μg/L~2μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.9、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2μg/L。
【0159】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、PCTまたはその断片のレベルの増加または水平化は、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。
【0160】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.1μg/L~0.5μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルの増加は、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、第1の時点と第2の時点との間のPCTまたは断片の増加について適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5μg/L。
【0161】
PCT/MINS:
一実施形態では、少なくとも1つの追加のバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるPCTまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。
【0162】
一実施形態では、試料は、術後12時間以内、好ましくは6時間以内に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.25μg/L~0.4μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4μg/L。
【0163】
一実施形態では、試料は、手術から1日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.7μg/L~1.1μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1μg/L。
【0164】
一実施形態では、試料は、手術から2日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.8μg/L~1.3μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3μg/L。
【0165】
一実施形態では、試料は、手術から3日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.8μg/L~1.4μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4μg/L。
【0166】
一実施形態では、試料は、手術から1日またはそれ以上後で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、1μg/L~1.3μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3μg/L。
【0167】
一実施形態では、試料は、手術から2日、3日、またはそれ以上後で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、1μg/L~1.3μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3μg/L。
【0168】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、PCTまたはその断片のレベルの増加または水平化は、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。
【0169】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.1μg/L~0.6μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルの増加は、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、第1の時点と第2の時点との間のPCTまたは断片の増加について適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.6μg/L。
【0170】
心血管または脳血管事象を診断または予測するために、proET-1またはその断片のレベルを決定することに関する実施形態
proET-1/MACCE:
一実施形態では、少なくとも1つの追加のバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproET-1またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。
【0171】
一実施形態では、試料は術前に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、60pmol/L~85pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85pmol/L。
【0172】
一実施形態では、試料は、術後12時間以内、好ましくは6時間以内に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、80pmol/L~100pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100pmol/L。
【0173】
一実施形態では、試料は、手術から1日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、80pmol/L~105pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105pmol/L。
【0174】
一実施形態では、試料は、手術から2日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、80pmol/L~105pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105pmol/L。
【0175】
一実施形態では、試料は、手術から3日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、80pmol/L~105pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105pmol/L。
【0176】
一実施形態では、試料は、手術から1日、2日、3日、またはそれ以上後で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、85pmol/L~105pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105pmol/L。
【0177】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、proET-1またはその断片のレベルの増加または水平化は、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。
【0178】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、1pmol/L~10pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルの増加は、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、第1の時点と第2の時点との間のproET-1または断片の増加について適切な閾値とみなされ得る。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10pmol/L。
【0179】
proET-1/MINS:
一実施形態では、少なくとも1つの追加のバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproET-1またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。
【0180】
一実施形態では、試料は術前に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、60pmol/L~85pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85pmol/L。
【0181】
一実施形態では、試料は、術後12時間以内、好ましくは6時間以内に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、75pmol/L~105pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105pmol/L。
【0182】
一実施形態では、試料は、手術から1日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、75pmol/L~105pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105pmol/L。
【0183】
一実施形態では、試料は、手術から2日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、75pmol/L~105pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105pmol/L。
【0184】
一実施形態では、試料は、手術から3日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、75pmol/L~105pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105pmol/L。
【0185】
一実施形態では、試料は、手術から1日、2日、3日、またはそれ以上後で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、75pmol/L~105pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105pmol/L。
【0186】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点で、好ましくは手術から12時間以内に、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、好ましくは手術から1日または2日で術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、3pmol/L~20pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルの増加は、心血管または脳血管有害事象、好ましくはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、第1の時点と第2の時点との間のproET-1または断片の増加について適切な閾値とみなされ得る。例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20pmol/L。
【0187】
PMIである心血管または脳血管事象を診断または予測するために、proET-1、PCT、もしくはproADM、またはその断片のレベルを決定することに関する実施形態
一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1、PCT、および/もしくはproADM、またはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproET-1、PCT、および/もしくはproADM、またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくは周術期心筋障害(PMI)の可能性が高いことを示す。試料は、いくつかの実施形態では、術前に採取されても術中に採取されてもよい。
【0188】
感染症を診断または予測するために、proADMまたはその断片のレベルを決定することに関する実施形態
ADM/いずれかの感染症:
一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproADMまたはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。
【0189】
一実施形態では、試料は術前に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.7nmol/L~0.8nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8nmol/L。
【0190】
一実施形態では、試料は、術後12時間以内、好ましくは6時間以内に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.0nmol/L~1.2nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.0、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2nmol/L。
【0191】
一実施形態では、試料は、手術から1日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.3nmol/L~1.5nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5nmol/L。
【0192】
一実施形態では、試料は、手術から2日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.3nmol/L~1.5nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5nmol/L。
【0193】
一実施形態では、試料は、手術から3日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.1nmol/L~1.5nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5nmol/L。
【0194】
一実施形態では、試料は術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.1nmol/L~1.5nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5nmol/L。
【0195】
一実施形態では、試料は、手術から1日、2日、3日、またはそれ以上後で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.3nmol/L~1.5nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5nmol/L。
【0196】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、proADMまたはその断片のレベルの増加または水平化は、感染症の可能性が高いことを示す。
【0197】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.01nmol/L~0.4nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルの増加は、感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、第1の時点と第2の時点との間のproADMまたは断片の増加について適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4nmol/L。
【0198】
ADM/血液感染症:
一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproADMまたはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。
【0199】
一実施形態では、試料は術前に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.7nmol/L~0.9nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88.0.89、0.9nmol/L。
【0200】
一実施形態では、試料は、術後12時間以内、好ましくは6時間以内に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.0nmol/L~1.3nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.0、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3nmol/L。
【0201】
一実施形態では、試料は、手術から1日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.2nmol/L~1.8nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8nmol/L。
【0202】
一実施形態では、試料は、手術から2日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.2nmol/L~1.8nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8nmol/L。
【0203】
一実施形態では、試料は、手術から3日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.2nmol/L~1.8nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8nmol/L。
【0204】
一実施形態では、試料は術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.1nmol/L~1.5nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5nmol/L。
【0205】
一実施形態では、試料は、手術から1日、2日、3日、またはそれ以上後で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.3nmol/L~1.8nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8nmol/L。
【0206】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、proADMまたはその断片のレベルの増加または水平化は、血液感染症の可能性が高いことを示す。
【0207】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.01nmol/L~0.4nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルの増加は、血液感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、第1の時点と第2の時点との間のproADMまたは断片の増加について適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4nmol/L。
【0208】
PCT/いずれかの感染症:
一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるPCTまたはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。
【0209】
一実施形態では、試料は、術後12時間以内、好ましくは6時間以内に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.2μg/L~0.3μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.1、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3μg/L。
【0210】
一実施形態では、試料は、手術から1日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.6μg/L~0.9μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9μg/L。
【0211】
一実施形態では、試料は、手術から2日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.7μg/L~1.3μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3μg/L。
【0212】
一実施形態では、試料は、手術から3日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.6μg/L~1.3μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3μg/L。
【0213】
一実施形態では、試料は、手術から1日またはそれ以上後で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.6μg/L~1.1μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1μg/L。
【0214】
一実施形態では、試料は、手術から2日、3日、またはそれ以上後で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.7μg/L~1.3μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3μg/L。
【0215】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、PCTまたはその断片のレベルの増加は、感染症の可能性が高いことを示す。
【0216】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.1μg/L~0.6μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルの増加は、感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、第1の時点と第2の時点との間のPCTまたは断片の増加について適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.6μg/L。
【0217】
PCT/血液感染症:
一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるPCTまたはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。
【0218】
一実施形態では、試料は、術後12時間以内、好ましくは6時間以内に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.1μg/L~0.3μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3μg/L。
【0219】
一実施形態では、試料は、手術から1日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.6μg/L~1.8μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8μg/L。
【0220】
一実施形態では、試料は、手術から2日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.7μg/L~2.3μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.9、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09、2.1、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、2.2、2.21、2.22、2.23、2.24、2.25、2.26、2.27、2.28、2.29、2.3μg/L。
【0221】
一実施形態では、試料は、手術から3日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.7μg/L~2.3μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.8、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.9、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09、2.1、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、2.2、2.21、2.22、2.23、2.24、2.25、2.26、2.27、2.28、2.29、2.3μg/L。
【0222】
一実施形態では、試料は、手術から1日またはそれ以上後で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.7μg/L~1.8μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8μg/L。
【0223】
一実施形態では、試料は、手術から2日、3日、またはそれ以上後で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、1μg/L~2.3μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.9、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09、2.1、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、2.2、2.21、2.22、2.23、2.24、2.25、2.26、2.27、2.28、2.29、2.3μg/L。
【0224】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、PCTまたはその断片のレベルの増加は、血液感染症の可能性が高いことを示す。
【0225】
一実施形態では、第0.1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.1μg/L~1μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルの増加は、血液感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、第1の時点と第2の時点との間のPCTまたは断片の増加について適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1μg/L。
【0226】
proET-1/いずれかの感染症:
一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproET-1またはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。
【0227】
一実施形態では、試料は、手術から2日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、85pmol/L~95pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95pmol/L。
【0228】
一実施形態では、試料は、手術から3日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、80pmol/L~95pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95pmol/L。
【0229】
一実施形態では、試料は、手術から2日、3日、またはそれ以上後で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、80pmol/L~95pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95pmol/L。
【0230】
proET-1/血液感染症:
一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproET-1またはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。
【0231】
一実施形態では、試料は、手術から2日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、85pmol/L~105pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105pmol/L。
【0232】
一実施形態では、試料は、手術から3日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、80pmol/L~110pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110pmol/L。
【0233】
一実施形態では、試料は、手術から2日、3日、またはそれ以上後で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、80pmol/L~110pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、血液感染症の可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110pmol/L。
【0234】
ADM/感染症およびMACCE/MINS:
一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproADMまたはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。
【0235】
一実施形態では、試料は術前に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.7nmol/L~0.9nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9nmol/L。
【0236】
一実施形態では、試料は、術後12時間以内、好ましくは6時間以内に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.0nmol/L~1.6nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6nmol/L。
【0237】
一実施形態では、試料は、手術から1日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.3nmol/L~2.2.nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.9、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09、2.1、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、2.2nmol/L。
【0238】
一実施形態では、試料は、手術から2日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.3nmol/L~2.3nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.9、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09、2.1、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、2.2、2.21、2.22、2.23、2.24、2.25、2.26、2.27、2.28、2.29、2.3nmol/L。
【0239】
一実施形態では、試料は、手術から3日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.3nmol/L~2.3nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.9、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09、2.1、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、2.2、2.21、2.22、2.23、2.24、2.25、2.26、2.27、2.28、2.29、2.3nmol/L。
【0240】
一実施形態では、試料は術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.3nmol/L~2nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.9、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2nmol/L。
【0241】
一実施形態では、試料は、手術から3日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、1.3nmol/L~2.3nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.9、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09、2.1、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、2.2、2.21、2.22、2.23、2.24、2.25、2.26、2.27、2.28、2.29、2.3nmol/L。
【0242】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、proADMまたはその断片のレベルの増加は、感染症、好ましくは血液感染症、および心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。
【0243】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proADMまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.01nmol/L~1nmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproADMまたはその断片のレベルの増加は、感染症、好ましくは血液感染症、および心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、第1の時点と第2の時点との間のproADMまたは断片の増加について適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58 0.59、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1nmol/L。
【0244】
PCT/感染症およびMACCE/MINS:
一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるPCTまたはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。
【0245】
一実施形態では、試料は、術後12時間以内、好ましくは6時間以内に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.1μg/L~0.4μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4μg/L。
【0246】
一実施形態では、試料は、手術から1日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.6μg/L~1.8μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.291.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8μg/L。
【0247】
一実施形態では、試料は、手術から2日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.6μg/L~3μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.291.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.9、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09、2.1、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、2.2、2.21、2.22、2.23、2.24、2.25、2.26、2.27、2.28、2.29、2.3、2.31、2.32、2.33、2.34、2.35、2.36、2.37、2.38、2.39、2.4、2.41、2.42、2.43、2.44、2.45、2.46、2.47、2.48、2.49、2.5、2.51、2.52、2.53、2.54、2.55、2.56、2.57、2.58、2.59、2.6、2.61、2.62、2.63、2.64、2.65、2.66、2.67、2.68、2.69、2.7、2.71、2.72、2.73、2.74、2.75、2.76、2.77、2.78、2.79、2.8、2.81、2.82、2.83、2.84、2.85、2.86、2.87、2.88、2.89、2.9、2.91、2.92、2.93、2.94、2.95、2.96、2.97、2.98、2.99、3μg/L。
【0248】
一実施形態では、試料は、手術から3日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.6μg/L~3μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.291.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.9、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09、2.1、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、2.2、2.21、2.22、2.23、2.24、2.25、2.26、2.27、2.28、2.29、2.3、2.31、2.32、2.33、2.34、2.35、2.36、2.37、2.38、2.39、2.4、2.41、2.42、2.43、2.44、2.45、2.46、2.47、2.48、2.49、2.5、2.51、2.52、2.53、2.54、2.55、2.56、2.57、2.58、2.59、2.6、2.61、2.62、2.63、2.64、2.65、2.66、2.67、2.68、2.69、2.7、2.71、2.72、2.73、2.74、2.75、2.76、2.77、2.78、2.79、2.8、2.81、2.82、2.83、2.84、2.85、2.86、2.87、2.88、2.89、2.9、2.91、2.92、2.93、2.94、2.95、2.96、2.97、2.98、2.99、3μg/L。
【0249】
一実施形態では、試料は術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.7μg/L~3μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.291.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.9、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09、2.1、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、2.2、2.21、2.22、2.23、2.24、2.25、2.26、2.27、2.28、2.29、2.3、2.31、2.32、2.33、2.34、2.35、2.36、2.37、2.38、2.39、2.4、2.41、2.42、2.43、2.44、2.45、2.46、2.47、2.48、2.49、2.5、2.51、2.52、2.53、2.54、2.55、2.56、2.57、2.58、2.59、2.6、2.61、2.62、2.63、2.64、2.65、2.66、2.67、2.68、2.69、2.7、2.71、2.72、2.73、2.74、2.75、2.76、2.77、2.78、2.79、2.8、2.81、2.82、2.83、2.84、2.85、2.86、2.87、2.88、2.89、2.9、2.91、2.92、2.93、2.94、2.95、2.96、2.97、2.98、2.99、3μg/L。
【0250】
一実施形態では、試料は、手術から1日、2日、3日、またはそれ以上後で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、1μg/L~3μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.291.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.9、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09、2.1、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、2.2、2.21、2.22、2.23、2.24、2.25、2.26、2.27、2.28、2.29、2.3、2.31、2.32、2.33、2.34、2.35、2.36、2.37、2.38、2.39、2.4、2.41、2.42、2.43、2.44、2.45、2.46、2.47、2.48、2.49、2.5、2.51、2.52、2.53、2.54、2.55、2.56、2.57、2.58、2.59、2.6、2.61、2.62、2.63、2.64、2.65、2.66、2.67、2.68、2.69、2.7、2.71、2.72、2.73、2.74、2.75、2.76、2.77、2.78、2.79、2.8、2.81、2.82、2.83、2.84、2.85、2.86、2.87、2.88、2.89、2.9、2.91、2.92、2.93、2.94、2.95、2.96、2.97、2.98、2.99、3μg/L。
【0251】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、PCTまたはその断片のレベルの増加または水平化は、感染症、好ましくは血液感染症、および心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。
【0252】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、PCTまたはその断片のレベルを決定することを含み、0.1μg/L~2μg/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるPCTまたはその断片のレベルの増加は、感染症、好ましくは血液感染症、および心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、第1の時点と第2の時点との間のPCTまたは断片の増加について適切な閾値とみなされ得る。例えば、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58 0.59、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.291.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.9、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2μg/L。
【0253】
proET-1/感染症およびMACCE/MINS:
一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproET-1またはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。
【0254】
一実施形態では、試料は術前に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、60pmol/L~85pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85pmol/L。
【0255】
一実施形態では、試料は、術後12時間以内、好ましくは6時間以内に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、80pmol/L~110pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110pmol/L。
【0256】
一実施形態では、試料は、手術から1日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、80pmol/L~120pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120pmol/L。
【0257】
一実施形態では、試料は、手術から2日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、80pmol/L~120pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120pmol/L。
【0258】
一実施形態では、試料は、手術から3日で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、80pmol/L~120pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120pmol/L。
【0259】
一実施形態では、試料は術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、80pmol/L~110pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110pmol/L。
【0260】
一実施形態では、試料は、手術から1日、2日、3日、またはそれ以上後で、術後に単離され、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、80pmol/L~120pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルは、感染症、好ましくは血液感染症、ならびに心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、適切な閾値とみなされ得る。例えば、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120pmol/L。
【0261】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、proET-1またはその断片のレベルの増加または水平化は、感染症、好ましくは血液感染症、および心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCE/MINSの可能性が高いことを示す。
【0262】
一実施形態では、第1の試料は、第1の時点、好ましくは手術から1日またはそれ以上後で、術後に患者から単離され、第2の試料は、後続する第2の時点で、術後に患者から単離され、第1の時点と第2の時点との間で、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、またはそれ以上が経過していることが好ましく、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1またはその断片のレベルを決定することを含み、1pmol/L~40pmol/Lの間の値の範囲から選択される閾値±20%以上を超えるproET-1またはその断片のレベルの増加は、感染症、好ましくは血液感染症、および心血管または脳血管有害事象、好ましくはMACCEおよび/またはMINSの可能性が高いことを示す。この範囲内のいずれの値も、第1の時点と第2の時点との間のproET-1または断片の増加について適切な閾値とみなされ得る。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40pmol/L。
【0263】
PMIである心血管または脳血管事象、および血液感染症などの感染症を診断または予測するために、proET-1、PCT、もしくはproADM、またはその断片のレベルを決定することに関する実施形態:
一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定することは、proET-1、PCT、および/もしくはproADM、またはその断片のレベルを決定することを含み、閾値を超えるproET-1、PCT、および/もしくはproADM、またはその断片のレベルは、心血管または脳血管有害事象、好ましくは周術期心筋障害(PMI)の可能性が高く、感染症、好ましくは血液感染症が存在することを示す。試料は、いくつかの実施形態では、術前に採取されても術中に採取されてもよい。
【0264】
さらなる態様では、本発明は、本発明の方法を実行するためのキットに関し、本キットは、
-proADM、PCT、およびproET-1、またはそれらの断片からなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定するための検出試薬と、
-術後の有害事象の可能性に関する参照データ、具体的には、閾値またはカットオフ値に関する参照データであって、参照データが、好ましくは、コンピュータ可読媒体に記憶され、かつ/あるいはproADM、PCT、およびproET-1、またはその断片から選択される少なくとも1つのバイオマーカーの決定されたレベルを、閾値またはカットオフ値と比較するように構成されたコンピュータ実行可能コードの形態で用いられる、参照データと、を含む。
【0265】
以下の図面を参照することにより、本発明をさらに説明する。これらの図面は、本発明をさらに例解するために提示された、非限定的で好ましい可能性のある実施形態を例示している。
【図面の簡単な説明】
【0266】
【
図1】平均として平均の標準誤差(SEM)とともに表した、MACCEを有する患者および有しない患者のすべてのサンプリング点でのMR-proADMの血漿レベルである。
【
図2】平均として平均の標準誤差(SEM)とともに表した、MACCEを有する患者および有しない患者のすべてのサンプリング点でのPCTの血漿レベルである。
【
図3】平均として平均の標準誤差(SEM)とともに表した、MACCEを有する患者および有しない患者のすべてのサンプリング点でのCT-proET-1の血漿レベルである。
【
図4】中央値として四分位範囲(IQR)とともに表した、MACCEを有する患者および有しない患者のすべてのサンプリング点でのクレアチニンの血漿レベルである。
【
図5】平均として平均の標準誤差(SEM)とともに表した、MINSを有する患者および有しない患者のすべてのサンプリング点でのMR-proADMの血漿レベルである。
【
図6】平均として平均の標準誤差(SEM)とともに表した、MINSを有する患者および有しない患者のすべてのサンプリング点でのPCTの血漿レベルである。
【
図7】平均として平均の標準誤差(SEM)とともに表した、MINSを有する患者および有しない患者のすべてのサンプリング点でのCT-proET-1の血漿レベルである。
【
図8】平均として平均の標準誤差(SEM)とともに表した、いずれかの感染症を有する患者および有しない患者のすべてのサンプリング点でのMR-proADMの血漿レベルである。
【
図9】平均として平均の標準誤差(SEM)とともに表した、いずれかの感染症を有する患者および有しない患者のすべてのサンプリング点でのPCTの血漿レベルである。
【
図10】平均として平均の標準誤差(SEM)とともに表した、いずれかの感染症を有する患者および有しない患者のすべてのサンプリング点でのCT-proET-1の血漿レベルである。
【
図11】平均として平均の標準誤差(SEM)とともに表した、血液感染症を有する患者および有しない患者のすべてのサンプリング点でのMR-proADMの血漿レベルである。
【
図12】平均として平均の標準誤差(SEM)とともに表した、血液感染症を有する患者および有しない患者のすべてのサンプリング点でのPCTの血漿レベルである。
【
図13】平均として平均の標準誤差(SEM)とともに表した、血液感染症を有する患者および有しない患者のすべてのサンプリング点でのCT-proET-1の血漿レベルである。
【
図14】平均として平均の標準誤差(SEM)とともに表した、有害事象のうちの1つだけを患ったかまたはいずれも患わなかった患者と比較した、感染症およびMACCEを有する患者のすべてのサンプリング点でのMR-proADMの血漿レベルである。
【
図15】平均として平均の標準誤差(SEM)とともに表した、有害事象のうちの1つだけを患ったかまたはいずれも患わなかった患者と比較した、感染症およびMACCEを有する患者のすべてのサンプリング点でのPCTの血漿レベルである。
【
図16】平均として平均の標準誤差(SEM)とともに表した、有害事象のうちの1つだけを患ったかまたはいずれも患わなかった患者と比較した、感染症およびMACCEを有する患者のすべてのサンプリング点でのCT-proET-1の血漿レベルである。
【
図17】平均として平均の標準誤差(SEM)とともに表した、MACCEおよびいずれかの感染症を有する患者と比較した、MACCEを有し感染症を有しない患者のすべてのサンプリング点でのMR-proADMの血漿レベルである。
【
図18】平均として平均の標準誤差(SEM)とともに表した、MACCEおよびいずれかの感染症を有する患者と比較した、MACCEを有し感染症を有しない患者のすべてのサンプリング点でのPCTの血漿レベルである。
【
図19】平均として平均の標準誤差(SEM)とともに表した、MACCEおよびいずれかの感染症を有する患者と比較した、MACCEを有し感染症を有しない患者のすべてのサンプリング点でのCT-proET-1の血漿レベルである。
【発明を実施するための形態】
【0267】
本発明は、術後患者の健康における有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化のための方法に関する。本明細書に提示されるデータから明らかなように、術後患者の健康における有害事象の有無の可能性は、治療指針、層別化、および/または制御に関する情報を提供するproADM、PCT、proET-1、またはその断片のレベルによって示される。
【0268】
本発明は、本発明の方法およびキットが、術後患者の診断、予後、モニタリング、および治療指針について、迅速で、客観的であり、使いやすく、信頼性があり、正確であるという、従来の方法に勝る利点を有する。
【0269】
本発明の方法およびキットは、proADM、PCT、および/またはproET-1のレベルを、慣習的に得られる血液試料、または対象から得られるさらなる生体液もしくは試料中で決定できることを理由に、病院において慣習的な方法で容易に測定可能であるマーカーに関する。
【0270】
本明細書で使用される場合、「患者」または「対象」は、脊椎動物であってもよい。本発明の文脈において、「対象」という用語は、ヒトおよび動物の両方、特に哺乳動物、および他の生物を含む。
【0271】
「術後患者」は、手術を受けた患者または対象を指す。
【0272】
本明細書で使用される場合、「手術」という用語は、用手または術式による方法による、疾患、傷害、および変形の治療を指す。一般的な手術手技には、腹部手術、耳手術、ベンチ手術、心臓手術、シネプラスチック(cineplastic)手術、保存手術、美容手術、腫瘍縮小手術、歯科手術、顎顔面手術、一般外科手術、大手術、小手術、モース手術、開心術、臓器移植、整形外科手術、美容整形手術、精神外科、根治手術、再建手術、音波手術、定位手術、構造手術、胸部手術、および獣医学的手術が含まれるが、これらに限定されない。本発明の方法は、上記のものを含むがこれらに限定されない、身体のいずれかの部分を扱ういずれかの種類の手術、ならびにいずれかの種類のいずれかの一般手術、大手術、または小手術を受ける予定の患者に好適である。
【0273】
小手術は、皮膚または粘膜および結合組織のみが切除されるいずれかの侵襲的手術手技、例えば、カテーテル留置のための血管切開、皮下組織へのポンプ埋込である。
【0274】
大手術は、体腔に進入する、臓器を切除する、または正常な解剖学的構造を変更するなど、より広範囲の切除が行われるいずれかの侵襲的手術手技である。好ましくは、大手術は、全身麻酔下で行われる必要があり、かつ少なくとも1泊の入院が求められる。
【0275】
「非心臓手術」は、心臓手術ではない手術を指す。
【0276】
「心臓手術」は、心臓または周囲組織(例えば、心臓組織、神経組織、血管組織、および/または同様のもの)に対して行われる任意の手術手技を指す。心臓手術には、開心術、心膜開心術を含む心臓弁手術(例えば、心膜内で、胸腔鏡検査、開胸術、縦隔切開術、胸骨切開を介して選択され、隔膜剣状突起経路スキームによって切開され開かれる)、バイパス手術(例えば、冠動脈バイパス手術)、または動脈瘤修復が含まれる。
【0277】
「非心臓大手術」は、好ましくは、腹部大手術、胃腸、呼吸器手術、胸部手術、内分泌手術、リンパ手術、骨または関節手術、生殖器部分の手術、および/または乳房手術を包含する。
【0278】
「腹部手術」は、好ましくは、患者の腹部を開くことを伴うあらゆる手術手技を網羅する。
【0279】
「胃腸手術」または「腹部手術」は、例えば、好ましくは、虫垂切除術、帝王切開、試験開腹術、舌切除術、食道切除術、胃切除術、大腸切除術、結腸切除術、肝切除術、胆嚢摘出術、膵切除術、胃瘻造設術、胃十二指腸吻合術、胃腸吻合術、回腸人工肛門造設術、空腸瘻造設術、結腸人工肛門造設術、胆嚢瘻造設術、肝門部空腸吻合術、筋切離術、または括約筋切開術を包含する。
【0280】
本明細書で使用される場合、「術前(preoperative)」という用語は、「術前(presurgical)」と同義に使用され、手術前の期間を指す。好ましくは、「術前」期間は、手術のスケジューリングから開始することが好ましく、対象を手術のために準備する期間を含んでもよく、手術を構成する用手または術式の開始で終了する。
【0281】
本明細書で使用される場合、「周術期」という用語は、外科手術中の期間、すなわち、手術を構成する用手または術式が実行される間の期間を指す。
【0282】
本明細書で使用される場合、「術後(postsurgical)」という用語は、「術後(postoperative)」と同義に使用され、外科手術後の期間を指し、手術を構成する用手または術式の終了および手術後に続く数日または数週間で開始する。
【0283】
本明細書に記載のように術前にバイオマーカーが決定される場合、術前は、好ましくは、手術前7日以内、好ましくは3日以内、1日以内、またはそれ以下の内の時点を指す。これらの場合、術前は、手術前少なくとも6時間、より好ましくは少なくとも3時間を指すことが好ましい。
【0284】
本明細書に記載のようにバイオマーカーが術後に決定される場合、術後は、好ましくは、手術後14日、好ましくは、10日、7日、5日、最も好ましくは3日以内の時点を指す。
【0285】
本明細書で使用される場合、患者が麻酔後ケアユニット(PACU)でモニタリングされている間の試料の単離は、好ましくは、手術後12時間以内、好ましくは6時間以内の術後の試料の単離を指す。
【0286】
本明細書で使用される場合、手術後1日(POD1)での試料の単離は、好ましくは、手術後12時間~36時間、好ましくは手術後18時間~30時間、最も好ましくは手術後約24時間での術後の試料の単離を指す。
【0287】
本明細書で使用される場合、手術後2日(POD2)での試料の単離は、好ましくは、手術後36時間~60時間、好ましくは手術後42時間~54時間、最も好ましくは手術後約48時間での術後の試料の単離を指す。
【0288】
本明細書で使用される場合、手術後3日(POD3)での試料の単離は、好ましくは、手術後60時間~84時間、好ましくは手術後66時間~78時間、最も好ましくは手術後約72時間での術後の試料の単離を指す。
【0289】
本明細書に記載の方法を使用して術後有害事象が予測または診断される場合、術後有害事象の発生期間は、好ましくは手術後60日、より好ましくは手術後30日を包含する。
【0290】
本明細書で使用される場合、「医療手順」という用語は、医療従事者(例えば、医師または医師の助手、看護師もしくは正看護師、または獣医師を含むがこれらに限定されない)によって行われる任意の臨床または診断手順を指す。
【0291】
本発明の文脈において、「術後患者の健康における有害事象」は、手術を受けた後の合併症または患者の健康状態の悪化を示す事象に関する。そのような有害事象には、限定されないが、心臓事象、心血管事象、脳血管事象、感染症または新たな感染症の発生、敗血症様全身性感染症、敗血症、臓器不全、および低血圧または高血圧などの患者の一般的な臨床兆候または症状の悪化、頻脈または徐脈、患者の死亡、手術後30日以内の患者の死亡が含まれる。
【0292】
さらに、有害事象の例には、臨床症状の悪化が、病巣洗浄手順、抗微生物治療、抗生物質治療、血液製剤の注輸、コロイドの注入、侵襲的機械的換気、非侵襲的機械的換気、緊急手術、腎または肝代替などの臓器代替療法、および昇圧剤療法などの治療措置を必要とすることを示す状況が含まれる。
【0293】
本明細書で使用される場合、本発明の文脈における「診断」は、臨床状態の認識および(早期)検出に関する。また、重症度の評価も、「診断」という用語によって包含されてもよい。
【0294】
「予後」は、対象の転帰またはリスクの予測に関する。これにはまた、該対象についての回復の見込みまたは有害な転帰の見込みの推定が含まれてもよい。
【0295】
本明細書に記載の方法は、術後患者の健康における有害事象の可能性と相関する少なくとも1つのバイオマーカーのレベルの決定を含む。これは、好ましくは、有害事象の発生の可能性が、バイオマーカーのうちの1つのレベルを参照レベル(閾値もしくはカットオフ値および/または集団平均など)と比較して評価できることを意味し、参照レベルは、術後の有害事象を発症していない、または発症しないであろう患者のバイオマーカーのレベルに対応してもよい。
【0296】
したがって、本明細書に記載のバイオマーカーの決定を使用して、患者の手術後の有害事象の可能性が高いか低いかを評価してもよい。
【0297】
本方法は、診断および予後を含む。よって、有害事象の可能性が高いことを示すバイオマーカーのレベルにより、患者が試料単離時に術後に該有害事象を患った可能性、または患者が試料単離後に有害事象を患うであろう可能性が高いことが示されてもよい。
【0298】
術後有害事象の早期診断または将来的な予後の観点から、本方法は、リスク評価または層別化に特に好適である。これは、本発明の方法により、(さらなる)合併症を患う可能性がより高いか、あるいは将来的に状態がより重篤になるであろう高リスク患者を、健康状態が安定であるかまたはさらには改善している低リスク患者から区別することができ、その結果、患者が、ある特定の治療措置を必要とし得る有害事象を患ったことまたは患うであろうことが予想されないようにすることを意味する。
【0299】
本発明において、「リスク評価」および「リスク層別化」という用語は、対象を対象のさらなる予後に従って異なるリスク群にグループ分けすることに関する。リスク評価はまた、予防的および/または治療措置を適用するための層別化に関する。「療法層別化」という用語は、特に、患者を、患者の分類に応じてある特定の異なる治療措置を受けるリスク群または治療群などの、異なる群にグループ分けまたは分類することに関する。「療法層別化」という用語はまた、感染症または感染性疾患の症状を有する患者を、ある特定の治療措置を受ける必要がない群にグループ分けまたは分類することに関する。
【0300】
本発明の方法はまた、モニタリング、治療モニタリング、治療指針および/または治療制御のために使用されてもよい。「モニタリング」は、例えば、治癒過程の進行または患者の健康状態に対する特定の治療または療法の影響を分析するために、患者および発生する可能性のある合併症を追跡することに関する。
【0301】
本発明の文脈における「治療モニタリング」または「治療制御」という用語は、例えば、治療の有効性に対するフィードバックを得ることによる、該患者の治療処置のモニタリングおよび/または調整を指す。本明細書で使用される場合、「治療指針」という用語は、1つ以上のバイオマーカーの値/レベルおよび/または臨床パラメータおよび/または臨床スコアに基づくある特定の治療、治療行為、または医療的介入の適用を指す。これには、療法の調整または療法の中止が含まれる。
【0302】
本明細書に記載の方法は、proADM、PCT、およびproET-1からなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーのレベルの決定に基づく、術後患者の健康における有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化に関する。
【0303】
「proADM、PCT、およびproET-1からなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカー」という表現、および「proADM、PCT、および/またはproET-1」という表現は、好ましくは、該3つのバイオマーカーのうちの厳密に1つ、すなわち、proADM、PCT、もしくはproET-1の決定、ならびに該バイオマーカーのうちの正確に2つ、すなわち、proADMおよびPCT、proADMおよびproET-1、もしくはPCTおよびproET-1、またはproADM、PCT、およびproET-1の3つすべてのバイオマーカーの決定を含む、すべての可能性のある組合せを包含するように理解されるものである。
【0304】
該表現は、さらなるバイオマーカーまたはパラメータの追加の決定を排除しないことをさらに理解されたい。
【0305】
本発明の文脈では、「proADMまたはその断片のレベルを決定する」などは、proADMまたはその断片を決定するいずれかの手段を指すことが理解される。断片の長さは、断片によりproADMまたはその断片のレベルの明白な決定が可能になる限り、任意の長さ、例えば、少なくとも約5、10、20、30、40、50、または100アミノ酸であることができる。本発明の特に好ましい態様では、「proADMのレベルを決定すること」は、中間領域のプロアドレノメデュリン(MR-proADM)のレベルを決定することを指す。MR-proADMは、proADMの断片および/または領域である。
【0306】
ペプチドアドレノメデュリン(ADM)は、フェノクロモサイトーム(phenochromocytome)から単離された、52個のアミノ酸を含む血圧降下ペプチドとして発見された(Kitamura et al.,1993)。アドレノメデュリン(ADM)は、185個のアミノ酸を含む前駆体ペプチド(「プレプロアドレノメデュリン」または「プレproADM」)としてコードされる。pre-pro-ADMの例示的なアミノ酸配列は、配列番号1に付与されている。
配列番号1:pre-pro-ADMのアミノ酸配列:
【表A】
【0307】
ADMはpre-proADMアミノ酸配列の95~146位を含み、それらのスプライス産物である。「プロアドレノメデュリン」(「proADM」)は、シグナル配列を有しないpre-proADM(アミノ酸1~21)、すなわち、pre-proADMのアミノ酸残基22~185を指す。「中間領域プロアドレノメデュリン」(「MR-proADM」)は、pre-proADMのアミノ酸42~95を指す。MR-proADMの例示的なアミノ酸配列は、配列番号2に付与されている。
配列番号2:MR-pro-ADMのアミノ酸配列(pre-pro-ADMのAS 45~92):
ELRMSSSYPT GLADVKAGPA QTLIRPQDMK GASRSPEDSS PDAARIRV
【0308】
pre-proADMまたはMR-proADMのペプチドおよびその断片を本明細書に記載の方法に使用できることも本明細書で想定されている。例えば、ペプチドまたはその断片は、pre-proADMのアミノ酸22~41(PAMPペプチド)、またはpre-proADMのアミノ酸95~146(bio-ADMとしても知られている生物学的に活性な形態を含む、成熟アドレノメデュリン)を含み得る。proADMのC末端断片(pre proADMのアミノ酸153~185)はアドレノテンシンと呼ばれる。proADMペプチドの断片またはMR-proADMの断片は、例えば、少なくとも約5、10、20、30、またはそれ以上のアミノ酸を含み得る。したがって、proADMの断片は、例えば、MR-proADM、PAMP、アドレノテンシン、および成熟アドレノメデュリンからなる群から選択することができ、好ましくは、本明細書では、断片はMR-proADMである。
【0309】
これらのさまざまな形態のADMまたはproADMおよびそれら断片の決定は、例えば、分子の特定の部分に指向された抗体または他の親和性試薬を用いることによって、あるいは質量分析を使用してタンパク質の一部分を測定することにより分子の存在および/または量を決定することによって、これらの分子の特定のサブ領域を測定および/または検出することも包含する。本明細書に記載の「ADMペプチドまたは断片」のうちの任意の1つ以上を本発明で用いることができる。
【0310】
対象の試料中のproADMのレベルは、本明細書に記載されるようにイムノアッセイによって決定することができる。本明細書で使用される場合、「プロアドレノメデュリン」または「proADM」をコードするリボ核酸またはデオキシリボ核酸のレベルも決定され得る。例えば、Thermo Fisher Scientific/B・R・A・H・M・S GmbHから入手した製品を使用することによるproADMを決定のための方法が、当業者に既知である。
【0311】
本発明の文脈では、「プロエンドセリン-1(proET-1)またはその断片のレベルの決定すること」などは、プロエンドセリン-1またはその断片を決定することを指すように理解される。断片の長さは、断片によりエンドセリン-1のレベルの明確な決定が可能になる限り、任意の長さ、例えば、少なくとも約5、10、20、30、40、50、または100個のアミノ酸であり得る。
【0312】
エンドセリン-1は、21アミノ酸ペプチドのファミリーメンバーであり、心血管機能不全において重要な病態生理学的役割を果たしていると考えられている(Haaf et al.2014、Papassotiriou et al.2014)。ET-1の遺伝子は、染色体6に見出され、その発現は、いくつかの因子、例えば、アンジオテンシンII、サイトカイン、低酸素状態、トロンビン、フリーラジカル、内毒素、および剪断応力によって調節される(Zhang et al.2017、Bhandari et al.2014)。これは主に血管内皮細胞によって合成されるが、平滑筋細胞、心筋細胞、および心臓線維芽細胞中、ならびに体内のさまざまな組織でも合成される。ET-1は、最初に前駆体preproET-1として合成される。preproET-1の切断により、proET-1が生成され、これが、フューリンによってさらに切断されて、big-1およびproET-1のC末端(CT-proET-1)という名称の2つの生物学的に不活性な前駆体を生成する。bigET-1は、最終的にメタロプロテイナーゼエンドセリン変換酵素(ECE-1)によって変換されて、ET-1を生成する(Zhang et al.2017)。
【0313】
本明細書で使用される場合、「プロエンドセリン1」または「proET-1」は、エンドセリン-(プレプロエンドセリン-1)のアミノ酸前駆体ペプチドのアミノ酸残基18~212に及ぶペプチド、またはその断片に関する。エンドセリン-(プレプロエンドセリン-1)の212アミノ酸前駆体ペプチドの例示的な配列は、配列番号3に付与されている。proET-1の例示的なアミノ酸配列は、配列番号1に付与されている。proET-1は、成熟ET-1、big-ET-1、およびC末端proET-1(CT-proET-1)に切断される。ET-1は、pre-pro-ET-1のアミノ酸残基53~73に関係する。CT-proET-1は、pre-pro-ET-1のアミノ酸残基168~212に関係する。CT-proET-1の例示的なアミノ酸配列は、配列番号4に提供されている。big-ET-1は、pre-pro-ET-1のアミノ酸残基53~90を含む。
配列番号3:pre-pro-ET1のアミノ酸配列:
【表B】
配列番号4:pro-ET1のアミノ酸配列
【表C】
配列番号5:CT-proET-1のアミノ酸配列
【表D】
【0314】
特に好ましい実施形態では、CT-proET-1を測定して、プロエンドテリン-1のレベルを決定する。したがって、プロエンドセリン-1断片の長さは、少なくとも12アミノ酸、好ましくは20アミノ酸超、より好ましくは40アミノ酸超である。
【0315】
これらのさまざまな形態のCT-proET-1またはproET1およびそれら断片の決定は、例えば、分子の特定の部分に指向された抗体または他の親和性試薬を用いることによって、あるいは質量分析を使用してタンパク質の一部分を測定することにより分子の存在および/または量を決定することによって、これらの分子の特定のサブ領域を測定および/または検出することも包含する。本明細書に記載の「ET-1ペプチドまたは断片」のうちの任意の1つ以上を本発明で用いることができる。
【0316】
対象の試料中のproET-1のレベルは、本明細書に記載されるようにイムノアッセイによって決定することができる。本明細書で使用される場合、「プロエンドセリン-1」または「proET-1」をコードするリボ核酸またはデオキシリボ核酸のレベルも決定することができる。proET-1を決定するための方法は、例えば、EP1564558により、当業者には既知である。
【0317】
本発明の文脈では、「プロカルシトニンまたはその断片のレベルの決定すること」、「PCTまたはその断片のレベルを決定すること」などは、プロカルシトニンまたはその断片を決定することを指すことが理解される。断片の長さは、断片によりプロカルシトニンのレベルの明確な決定が可能になる限り、任意の長さ、例えば、少なくとも約5、10、20、30、40、50、または100個のアミノ酸であり得る。
【0318】
本明細書で使用される場合、「プロカルシトニン」または「PCT」は、プロカルシトニンペプチドの、アミノ酸残基1~116、2~116、3~116、またはそれらの断片におよぶペプチドに関する。PCTは、カルシトニンホルモンのペプチド前駆体である。1~116プロカルシトニンペプチドの例示的な配列は、配列番号6に付与されている。
配列番号6:1~116 PCTのアミノ酸配列
【表E】
【0319】
したがって、プロカルシトニン断片の長さは、少なくとも12アミノ酸、好ましくは50アミノ酸超、より好ましくは110アミノ酸超である。PCTの決定は、N末端PCT(配列番号7)、カルシトニン(配列番号8)またはカタカルシン(配列番号9)の決定を含んでもよく、またグリコシル化、脂質化、または誘導体化などの翻訳後修飾を含んでもよい。プロカルシトニンは、カルシトニンおよびカタカルシンの前駆体である。したがって、通常の条件下では、循環中のPCTレベルは非常に低い(約0.05ng/ml未満)。
配列番号7(PCTのAS 1~57、N末端PCTのアミノ酸配列):
【表F】
配列番号8(カルシトニンのアミノ酸配列、PCTのAS 60~91):
【表G】
配列番号9(カタカルシンのアミノ酸配列、PCTのAS 96~116):
【表H】
【0320】
対象の試料中のPCTのレベルは、本明細書に記載されるようにイムノアッセイによって決定することができる。本明細書で使用される場合、「プロカルシトニン」または「PCT」をコードするリボ核酸またはデオキシリボ核酸のレベルも決定することができる。例えば、Thermo Fisher Scientific/B・R・A・H・M・S GmbHから入手した製品を使用することによるPCTの決定のための方法が、当業者に既知である。
【0321】
プロカルシトニンおよびその断片の決定はまた、例えば、分子の特定の部分に対して向けられた抗体または他の親和性試薬を用いることによって、または、質量分析を使用してタンパク質の一部分を測定することによって分子の存在および/または量を決定することによって、これらの分子の特定のサブ領域を測定および/または検出することも包含する。
【0322】
したがって、本発明の方法およびキットはまた、proADM、PCT、および/またはproET-1に加えて、少なくとも1つのさらなるバイオマーカー、マーカー、臨床スコア、および/またはパラメータを決定することも含み得る。
【0323】
本明細書で使用される場合、パラメータは、特定のシステムの定義を助けることができる特性、特徴、または測定可能な要因である。パラメータは、疾患/障害/臨床状態リスク、好ましくは臓器機能不全などの健康および生理学に関する評価にとって重要な要素である。さらに、パラメータは、正常な生物学的過程、発病過程、または治療的介入に対する薬理学的応答の指標として客観的に測定および評価される特性として定義される。例示的なパラメータは、急性生理学および長期的健康評価II(APACHE II)、簡易急性生理学スコア(SAPSIIスコア)、連続的臓器不全評価スコア(quick sequential organ failure assessment score)(SOFAスコア)、クイック連続的臓器不全評価スコア(qSOFA)、肥満度指数、体重、年齢、性別、IGS II、水分摂取量、白血球数、ナトリウム、カリウム、体温、血圧、ドーパミン、ビリルビン、呼吸数、酸素分圧、世界脳神経外科連合(WFNS)評価、ならびにグラスゴーコーマスケール(GCS)からなるグループから選択することができる。
【0324】
本明細書で使用される場合、「マーカー」、「代理」、「予後診断マーカー」、「因子」、または「バイオマーカー」もしくは「生物学的マーカー」などの用語は、互換的に使用され、疾患/障害/臨床状態リスク、好ましくは有害事象などの健康および生理学に関連する評価の指標として機能する測定可能かつ定量化可能な生物学的マーカー(例えば、特定のタンパク質もしくは酵素濃度、もしくはその断片、特定のホルモン濃度もしくはその断片、または生物学的物質もしくはその断片の存在)に関する。マーカーまたはバイオマーカーは、正常な生物学的プロセス、病原性プロセス、または療法的介入に対する薬理学的応答の指標として客観的に測定および評価され得る特徴として定義される。バイオマーカーは、試料中で(血液、血漿、尿、または組織検査として)測定されてもよい。
【0325】
当該対象の少なくとも1つのさらなるマーカーおよび/またはパラメータは、当該試料中の乳酸のレベル、当該対象の連続的臓器不全評価スコア(SOFAスコア)、当該対象の簡易急性生理学スコア(SAPSII)、当該対象の急性生理学および長期的健康評価II(APACHE II)スコア、米国麻酔学会身体状態(ASAPS)、ならびに可溶性fms様チロシンキナーゼ-1(sFlt-1)、ヒストンH2A、ヒストンH2B、ヒストンH3、ヒストンH4、アルギニンバソプレシン(AVP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、ミオグロビン、クレアチンキナーゼ好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)、トロポニン、心臓トロポニンT(cnTNT)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C反応性タンパク質(CRP)、膵石タンパク質(PSP)、骨髄細胞に発現するトリガー受容体1(TREM1)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-1、インターロイキン-24(IL-24)、インターロイキン-22(IL-22)、インターロイキン(IL-20)、他のIL、プレセプシン(sCD14-ST)、リポ多糖結合タンパク質(LBP)、アルファ-1-アンチトリプシン、マトリックスメタロプロテアーゼ2(MMP2)、メタロプロテイナーゼ2(MMP8)、マトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP9)、マトリックスメタロプロテイナーゼ7(MMP7、胎盤増殖因子(PlGF)、クロモグラニンA、S100Aタンパク質、S100Bタンパク質および腫瘍壊死因子α(TNFα)、ネオプテリン、アルファ-1-アンチトリプシン、プロアルギニンバソプレシン(AVP、proAVP、またはコペプチン)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP、pro-ANP)、エンドセリン-1、CCL1/TCA3、CCL11、CCL12/MCP-5、CCL13/MCP-4、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17/TARC、CCL18、CCL19、CCL2/MCP-1、CCL20、CCL21、CCL22/MDC、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CCL3、CCL3L3、CCL4、CCL4L1/LAG-1、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9、CX3CL1、CXCL1、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CXCL17、CXCL2/MIP-2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7/Ppbp、CXCL9、IL8/CXCL8、XCL1、XCL2、FAM19A1、FAM19A2、FAM19A3、FAM19A4、FAM19A5、CLCF1、CNTF、IL11、IL31、IL6、レプチン、LIF、OSM、IFNA1、IFNA10、IFNA13、IFNA14、IFNA2、IFNA4、IFNA7、IFNB1、IFNE、IFNG、IFNZ、IFNA8、IFNA5/IFNaG、IFNω/IFNW1、BAFF、4-1BBL、TNFSF8、CD40LG、CD70、CD95L/CD178、EDA-A1、TNFSF14、LTA/TNFB、LTB、TNFa、TNFSF10、TNFSF11、TNFSF12、TNFSF13、TNFSF15、TNFSF4、IL18、IL18BP、IL1A、IL1B、IL1F10、IL1F3/IL1RA、IL1F5、IL1F6、IL1F7、IL1F8、IL1RL2、IL1F9、IL33、またはそれら断片のレベルからなる群から選択され得る。
【0326】
本明細書で使用される場合、「連続的臓器不全評価スコア」または「SOFAスコア」は、集中治療室(ICU)に滞在中の患者の状態を追跡するために使用される1つのスコアである。SOFAスコアは、人の臓器機能の程度または不全率を決定するためのスコアリングシステムである。スコアは、6つの異なるスコアに基づき、呼吸器系、心血管系、肝臓系、凝固系、腎臓系、および神経系に対して各1つとなっている。平均SOFAスコアと最高SOFAスコアとの両方が転帰の予測因子である。ICUにおける最初の24~48時間のSOFAスコアの増加により、少なくとも50%~最大95%の死亡率が予測される。9未満のスコアは33%の予測死亡率を付与し、一方14を超えると95%に近いかまたは95%を超え得る。
【0327】
本明細書で使用される場合、「クイックSOFAスコア」(qSOFAスコア」)は、患者の臓器機能不全または死亡リスクを示すスコアリングシステムである。スコアは、1)精神状態の変化、2)100mmHg未満の収縮期血圧の減少、3)毎分22呼吸超の呼吸数、の3つの基準に基づく。これらの状態のうちの2つ以上を有する患者は、臓器機能不全を有するかあるいは死亡するリスクがより高い。
【0328】
本明細書で使用される場合、「APACHE II」または「急性生理学および慢性健康評価II」は、重症度分類の採点システムである(Knausら、1985)。これは、集中治療室(ICU)への患者の入室から24時間以内に適用することができ、AaDO2またはPaO2(FiO2に依存)、体温(直腸)、平均動脈圧、動脈pH、心拍数、呼吸数、ナトリウム(血清)、カリウム(血清)、クレアチニン、ヘマトクリット、白血球数、およびグラスゴーコーマスケールの、12種の異なる生理学的パラメータに基づいて決定されてもよい。
【0329】
本明細書で使用する場合、「SAPS II」または「簡易急性生理スコアII」は、疾患または障害の重症度を分類するためのシステムに関する(Le Gall JR et al.,A new Simplified Acute Physiology Score(SAPS II)based on a European/North American multicenter study.JAMA.1993;270(24):2957-63を参照されたい)。SAPS IIスコアは、12種の生理学的変数および3種の疾患関連変数で構成されている。ポイントスコアは、12種の通常の生理学的測定値、以前の健康状態に関する情報、およびICUへの入室時に得られたいくつかの情報から計算される。SAPS IIスコアは、いつでも、好ましくは2日目に決定され得る。「最悪の」測定値は、最高の点数に相関する尺度として定義される。SAPS IIスコアは、0~163点の範囲である。分類システムには、以下のパラメータ:年齢、心拍数、収縮期血圧、体温、グラスゴーコーマスケール、機械的換気またはCPAP、PaO2、FiO2、尿量、血中尿素窒素、ナトリウム、カリウム、重炭酸塩、ビリルビン、白血球、慢性疾患、および入室の種類が含まれる。死亡率と合計SAPS IIスコアとの間にはS字形相関がある。対象の死亡率は、29点のSAPSIIスコアで10%であり、死亡率は、40点のSAPSIIスコアで25%であり、死亡率は、52点のSAPSIIスコアで50%であり、死亡率は、64点のSAPSIIスコアで75%であり、死亡率は、77点のSAPSIIスコアで90%である(Le Gall、前掲書中同箇所)。
【0330】
本明細書で使用される場合、「ASA」、「ASA身体状態」、「ASAPS」、または「ASAスコア」は、手術リスクの予測に役立ち得る患者の生理学的状態の単純な分類を臨床医に提供するためにAmerican Society of Anesthesiologists(ASA)によって開発された身体状態分類システムを指すように使用される。好ましくは、ASAPSは、増加する手術を示す6つのクラスで構成される(Doyle et al.2018)。
「ASA I」:正常で健康な患者。例:壮健、非肥満(BMIが30未満)、運動耐容能が良好な禁煙患者。「ASA II」:軽度の全身性疾患を有する患者。例:機能的制約がなく、十分に管理された疾患を有する患者(例えば、治療された高血圧、BMIが35未満の肥満、頻繁な付き合い程度の飲酒、または喫煙者)。「ASA III」:生命を脅かさない重度の全身性疾患を有する患者。例:疾患の結果として何らかの機能的制約を有する患者(例えば、治療が不十分な高血圧または糖尿病、病的肥満、慢性腎不全、断続的な悪化を伴う気管支痙攣性疾患、安定狭心症、埋込みペースメーカー)。「ASA IV」:常に生命を脅かす重度の全身性疾患を有する患者。例:重度の生命を脅かす疾患(例えば、不安定狭心症、管理が不十分なCOPD、症候性CHF、最近(3か月未満)の心筋梗塞または脳卒中)が原因の機能的制約を有する患者。「ASA V」:手術なしでは生存できないことが予期される瀕死の患者。患者は、手術なしでは今後24時間を超えて生存できないことが予測される。例:破裂性腹部大動脈瘤、大規模な外傷、および大きな影響を伴う広範囲の頭蓋内出血。「ASA VI」:別の患者に移植する目的で臓器を切除される脳死患者。
【0331】
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、患者または対象から得られるかまたは単離される、生物学的試料である。「試料」は、本明細書で使用される場合、例えば、患者などの関心対象の診断、予後、または評価の目的で得られた体液または組織の試料を指してもよい。好ましくは、本明細書では、試料は、血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、唾液、痰、胸水、細胞、細胞抽出物、組織試料、組織生検、便試料などの体液の試料である。特に、試料は、血液、血漿、血清、または尿である。
【0332】
本発明の実施形態は、第1の試料の単離および第2の試料の単離について言及する。本発明の方法の文脈において、「第1の試料」および「第2の試料」という用語は、本発明の方法で用いられる試料の単離の時間的順序の相対的な決定に関する。第1の試料および第2の試料という用語が本方法を規定する際に使用されるとき、これらの試料は、採取された試料の数の絶対的な決定としてみなされるものではない。したがって、第1および/もしくは第2の試料の単離前、最中、もしくは後に、または第1または第2の試料の間で、患者から追加の試料を単離してもよく、これらの追加の試料は、本発明の方法で使用される場合もされない場合もある。したがって、第1の試料は、以前に得られた任意の試料と見なされてもよい。第2の試料は、任意のさらなる試料または後の試料と見なされてもよい。
【0333】
本発明の文脈における「血漿」は、遠心分離後に得られる抗凝固剤を含有する血液の実質的に細胞を含まない上清である。例示的な抗凝血剤には、EDTAまたはクエン酸塩などのカルシウムイオン結合化合物、およびヘパリン酸塩またはヒルジンなどのトロンビン阻害剤が含まれる。細胞を含まない血漿は、抗凝固処理された血液(例えば、クエン酸塩処理された、EDTAまたはヘパリン処理された血液)を、例えば、2000~3000gで少なくとも15分間遠心分離することによって得ることができる。
【0334】
本発明の文脈における「血清」は、血液を凝固させた後に収集される全血の液体画分である。凝固した血液(血餅)が遠心分離されると、血清を上清として得ることができる。
【0335】
本明細書で使用される場合、「尿」は、放尿(urination)(または排尿(micturition))と呼ばれる過程を通して腎臓によって分泌され、尿道を通して排泄される体の液体生成物である。
【0336】
本発明の好ましい実施形態では、本方法は、感染症、好ましくは血液感染症、呼吸器感染症、尿路感染症、皮膚感染症、より好ましくは、血流感染症、敗血症、重症敗血症、および/または敗血症性ショックの診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化に使用されてもよい。
【0337】
本明細書で使用される場合、本発明の範囲内の「感染症」は、病原性または病原性である可能性がある薬剤/病原体、生命体、および/または微生物による、通常は無菌の組織または体液への侵入によって引き起こされる病理学的プロセスを意味し、好ましくは、細菌、ウイルス、真菌、および/または寄生虫による感染症に関する。したがって、感染症は、細菌感染症、ウイルス感染症、および/または真菌感染症であり得る。感染症は、局所感染症または全身感染症であり得る。本発明の目的では、ウイルス感染症は、微生物による感染症と見なされてもよい。
【0338】
さらに、感染症を患っている対象は、同時に2つ以上の感染源を患っている場合がある。例えば、感染症を患っている対象は、細菌感染症およびウイルス感染症、ウイルス感染症および真菌感染症、細菌感染症および真菌感染症、ならびに細菌感染症、真菌感染症、およびウイルス感染症を患っているか、あるいは可能性として重複感染症、例えば1つ以上のウイルス感染症および/または1つ以上の真菌感染症に加えた1つ以上の細菌感染症を含む、本明細書に列挙されている感染症のうちの1つ以上を含む混合感染症を患っている場合がある。
【0339】
本明細書で使用される場合、「感染性疾患」は、細菌および/またはウイルスおよび/または真菌感染症に関連するすべての疾患または障害を含む。
【0340】
一実施形態では、検出されるまたは試験される感染症は、Bordetella pertussisなどのBordetella、Borrelia burgdorferiなどのBorrelia、Brucella abortus、Brucella canis、Brucella melitensisまたはBrucella suisなどのBrucella、Campylobacter jejuniなどのCampylobacter、Chlamydia pneumonia、Chlamydia trachomatis、Chlamydophila psittaciなどのChlamydiaおよびChlamydophila、Clostridium botulinum、Clostridium difficile、Clostridium perfringens、Clostridium tetaniなどのClostridium、Corynebacterium diphtheriaなどのCorynebacterium、Enterococcus faecalis、Enterococcus faeciumなどのEnterococcus、Escherichia coliなどのEscherichia、Francisella tularensisなどのFrancisella、Haemophilus influenzaなどのHaemophilus、Helicobacter pyloriなどのHelicobacter、Legionella pneumophilaなどのLegionella、Leptospira interrogansなどのLeptospira、Listeria monocytogenesなどのListeria、Mycobacterium leprae、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium ulceransなどのMycobacterium、Mycoplasma pneumoniaなどのMycoplasma、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidesなどのNeisseria、Pseudomonas aeruginosaなどのPseudomonas、Rickettsia rickettsiaなどのRickettsia、Salmonella typhi、Salmonella typhimuriumなどのSalmonella、Shigella sonneiなどのShigella、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus saprophyticusなどのStaphylococcus、Streptococcus agalactiae、Streptococcus pneumonia、Streptococcus pyogenesなどのStreptococcus、Treponema pallidumなどのTreponema、Vibrio choleraなどのVibrio、Yersinia pestis、Yersinia enterocoliticaまたはYersinia pseudotuberculosisなどのYersiniaの種から選択されてもよい。
【0341】
病原性真菌は、ヒトまたは他の生命体に疾患を引き起こす真菌である。Candida種は、免疫不全の宿主(例えば、移植患者、AIDS罹患者、癌患者)で日和見感染を引き起こすことで最も知られている重要なヒト病原体である。感染症は治療が困難であり、非常に深刻になる可能性があり、全身性感染症のうちの30~40%が死に至る。Aspergillosisは、可能性のある別の真菌病原体である。Aspergillusは、マイコトキシンの生成を通じて、アレルギー応答の誘導を通じて、および局所または全身性感染症を介しての3つの主要な方式で疾患を引き起こし得る。後者の2つの分類では、宿主の免疫状態が極めて重要である。最も一般的な病原種は、Aspergillus fumigatusおよびAspergillus flavusである。Aspergillus flavusは、毒素および発癌性物質の両方であり、食物を汚染する可能性があり得るアフラトキシンを生成する。Aspergillus fumigatusおよびAspergillus clavatusは、疾患を引き起こし得る。Cryptococcus neoformansは、ヒトに疾患を引き起こし得る。Cryptococcus neoformansは、ヒトおよび動物の主要な病原体である。Cryptococcus laurentiiおよびCryptococcus albidusは、免疫力が低下したヒト患者に中等度から重度の疾患を時折引き起こすことが知られている。Cryptococcus gattiiは、アフリカ大陸およびオーストラリア大陸の熱帯地域の風土病であり、疾患を引き起こし得る。Histoplasma capsulatumは、ヒト、イヌ、およびネコにヒストプラスマ症を引き起こし得る。Pneumocystis jirovecii(またはPneumocystis carinii)は、未熟児、高齢者、およびAIDS患者など、免疫系が弱化した人々に一種の肺炎を引き起こし得る。Stachybotrys chartarumまたは「黒カビ」は、呼吸器の損傷および重症の頭痛を引き起こし得る。
【0342】
一実施形態では、検出されるまたは試験される感染症は、Acinetobacter baumannii、Klebsiella pneumoniae、Acinetobacter lwoffii、Listeria monocytogenes、Aeromonas caviae、Morganella morganii、Aeromonas hydrophila、Neisseria gonorrhoeae、Aspergillus flavus、Neisseria meningitidis、Aspergillus nidulans、Pasteurella multocida、Aspergillus niger、Pasteurella pneumotropica、Aspergillus terreus、Propionibacterium acnes、Bacillus anthracis、Proteus mirabillis、Bacillus cereus、Providencia rettgeri、Bacillus subtilis、Pseudomonas aeruginosa、Bacteroides fragilis、Salmonella choleraesuis、Brucella melitensis、Serratia liquefaciens、Burkholderia cepacia、Serratia marcescens、Candida albicans、Staphylococcus aureus、Candida dubliniensis、Staphylococcus epidermidis、Candida glabrata、Staphylococcus haemolyticus、Candida krusei、Staphylococcus hominis、Candida parapsilosis、Staphylococcus saccharolyticus、Candida tropicalis、Staphylococcus warn-eri、Capnocytophaga canimorsus、Stenotrophomonas maltophilia、Citrobacter braakii、Streptococcus agalactiae、Citrobacter freundii、Streptococcus anginosus、Clostridium perfringens、Streptococcus bovis、Corynebacterium jeikeium、Streptococcus constellatus、Enterobacter aerogenes、Streptococcus dysgalactiae、Enterobacter cloacae、Streptococcus mutans、Enterobacter sakazakii、Streptococcus pneumoniae、Enterococcus faecalis、Streptococcus pyogenes、Enterococcus faecium、Streptococcus salivarius、Escherichia coli、Streptococcus sanguinis、Shigella sp.、Streptococcus suis、Gemella haemolysans、Vibrio vulnificus、Gemella morbillorum、Yersinia enterocolitica、Haemophilus influenzae、Yersinia pestis、Kingella kingae、Yersinia pseudotuberculosis and、Klebsiella oxytocaから選択されてもよい。
【0343】
本明細書で使用される場合、「血液感染症」という用語は、全身性血流感染症、敗血症、重症敗血症、および/または敗血症性ショックを含んでもよい。
【0344】
本発明の文脈における「敗血症」は、感染症に対する全身性応答を指す。あるいは、敗血症は、SIRSと確認された感染プロセスまたは感染症との組み合わせとして見られてもよい。敗血症は、感染症および全身性炎症応答の両方の存在によって定義される臨床症候群として特徴付けられてもよい(Levy et al.2011)。本明細書で使用される「敗血症」という用語は、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショックを含むがこれらに限定されない。
【0345】
本明細書で使用される「敗血症」という用語は、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショックを含むがこれらに限定されない。重症敗血症は、臓器機能不全、低灌流異常、または敗血症誘発性低血圧と関連付けられる敗血症を指す。低灌流異常には、乳酸アシドーシス、乏尿症、および精神状態の急激な変化が含まれる。敗血症誘発性低血圧は、低血圧の他の原因(例えば、心原性ショック)が存在しない場合の、約90mmHg未満の収縮期血圧の存在またはベースラインからの約40mmHg以上のその低減によって定義される。敗血症性ショックは、低灌流異常または臓器機能不全の存在とともに、十分な輸液蘇生法にもかかわらず持続する敗血症誘発性低血圧を伴う重症敗血症として定義される(Bone et al.,CHEST 101(6):1644-55,1992)。
【0346】
あるいは、敗血症という用語は、感染症に対する調節機能不全にある宿主の応答によって引き起こされる、生命を脅かす臓器の機能不全として定義されてもよい。臨床的操作化では、臓器機能不全は、好ましくはSequential Organ Failure Assessment(SOFA)スコアの2ポイント以上の増加によって表すことができ、10%超の院内死亡率と関連付けられる。敗血症性ショックは、敗血症のサブセットとして定義されてもよく、これにおいては、特に重度の循環器、細胞、および代謝の異常は、敗血症単独よりも高い死亡リスクと関連付けられる。敗血症性ショックを有する患者は、血液量減少が存在しない場合に、65mmHg以上の平均動脈圧および2mmol/L超(18mg/dL超)の血清乳酸レベルを維持するために昇圧剤を必要とすることによって臨床的に識別することができる。
【0347】
本明細書で使用される「敗血症」という用語は、敗血症の発症におけるすべての可能な段階に関する。
【0348】
「敗血症」という用語には、SEPSIS-2の定義に基づく重症敗血症または敗血症性ショックも含まれる(Bone et al.,2009)。「敗血症」という用語には、SEPSIS-3の定義内に入る対象も含まれる(Singer et al.,2016)。本明細書で使用される「敗血症」という用語は、敗血症の発症におけるすべての可能な段階に関する。
【0349】
「心血管事象」は、本明細書では「心臓事象」という用語と同義に使用され、心臓突然死、急性冠動脈症候群、例えば、限定されないが、プラーク破綻、心筋梗塞、不安定狭心症、ならびに非心臓性急性動静脈事象、例えば、脚の血栓、動脈瘤、脳卒中、ならびに動静脈血流および酸素化が中断される他の動静脈虚血事象を指してもよい。心血管事象はまた、心拍数の上昇、徐脈、頻脈、または心房細動、心房粗動、心室細動、および心室または心房期外収縮(PVCまたはPAC)などの不整脈を指してもよい。好ましくは、心血管事象は、致命的ではない心停止、鬱血性心不全、新たな心不整脈、狭心症、心筋梗塞、急性心筋梗塞、非心臓手術後の心筋傷害(MINS)、または周術期心筋傷害、または亜急性虚血性心疾患である。
【0350】
いくつかの実施形態について、心血管事象は、異常な心電図(ECG)または電位図を呈する事象を指してもよい。
【0351】
「心電図」という用語は、心臓の電気的活動を示す位置に配置された1つ以上の皮膚表面電極(脱分極および再分極)からの心臓の電気信号であると定義される。心電図セグメントは、10秒などの特定の時間、または10拍などの特定の心拍数のいずれかについての心電図データの記録を指す。患者の心電図のPQセグメントは、典型的には、R波の直前に発生する心電図の拍動の平坦なセグメントである。
【0352】
「電位図」という用語は、心臓の電気的活動を示す位置に配置された1つ以上の埋め込み電極(脱分極および再分極)からの心臓の電気信号であると定義される。電位図セグメントは、10秒などの特定の時間、または10拍などの特定の心拍数のいずれかについての電位図データの記録を指す。患者の電位図のPQセグメントは、典型的には、R波の直前に発生する電位図の平坦なセグメントである。拍動は、好ましくは、厳密に1つのR波を含む電位図または心電図セグメントのサブセグメントである。
【0353】
心臓信号パラメータは、電位図データの1つ以上の拍動の処理中に作成された測定値または計算値に関係し、心血管事象が発生したかどうかを決定するために使用されてもよい。心臓信号パラメータには、PQセグメント平均値、STセグメント平均値、R波ピーク値、ST偏差、STシフト、平均信号強度、T波ピーク高さ、T波平均値、T波偏差、心拍数、およびR-R間隔が含まれる。
【0354】
本明細書で使用される場合、「心筋梗塞」という用語は、好ましくは、長期の虚血によって引き起こされる心筋の少なくとも部分的な壊死を指す。I型MIは、急性冠症候群によって引き起こされる。1つまたは複数の冠状血管における不安定なアテローム性動脈硬化プラークの破裂、潰瘍形成、びらん、または剥離、それに続く管腔内血栓症により、心筋血流が減少する。II型MIは、心筋の酸素供給と需要との間の長期的な不均衡によって引き起こされ、心不整脈、貧血、呼吸不全、低血圧、高血圧などの状態の結果として、または高レベルの内因性または外因性の循環コルチゾールおよびカテコールアミンによる直接的な毒性作用によって生じてもよい。臨床的には、心筋梗塞は、典型的には、虚血症状または虚血心電図(ECG)所見のいずれかを伴う疑わしい心筋虚血の背景における参照範囲の上限レベルを3倍超える、心臓バイオマーカーであるトロポニンの新たな上昇として定義される。
【0355】
本明細書で使用される場合、「非心臓手術後の心筋損傷」または「MINS」という用語は、好ましくは、非心臓傷害後の虚血に起因する心筋損傷を指す。MINSは、好ましくは、心筋梗塞よりも幅広い心筋傷害を包含し、特に、壊死に加えて可逆性心筋傷害も包含する。
【0356】
好ましくは、MINSは、虚血症状の有無にかかわらず、心筋虚血が原因である(非虚血性病因の証拠なし)と判断された術後のトロポニン上昇を指す。MINSには、好ましくは、虚血以外の病因、例えば敗血症または肺塞栓症から生じる周術期心筋障害は含まれない。MINSの術後閾値は、トロポニンアッセイの種類に左右される。第5世代のcTnTの場合、好ましくは、MINSを評価するための閾値は20ng/L超であってもよく、ベースラインから少なくとも5ng/Lまたは65ng/L超増加する(Sessler et al.2018)。
【0357】
「脳血管事象」は、好ましくは、脳虚血によって誘発される事象、特に、脳への酸素供給が不十分であることによって引き起こされる虚血事象を指してもよいが、脳血管事象はまた、脳内の血管が破裂したときに発生する出血性事象を包含してもよい。
【0358】
事象は、脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)で発生するように脳の特定の領域に集中することも、せん妄で発生するように全体的なものであることもある。よって、神経学的有害事象は、混乱を特徴とする場合も、TIAまたは虚血性脳卒中と診断される場合もある。酸素供給は、患者の健康状態(貧血などのある特定の血液疾患におけるようなもの)に起因して損なわれ得るが、それ自体外科的事象によって引き起こされることもあり得る。脳血管事象は、特に、脳実質外動脈もしくは脳動脈の閉塞もしくは狭窄、脳卒中、または一過性脳虚血発作の事象のうちのいずれかの合わさったものを含んでもよい。
【0359】
「主要な心血管または脳血管有害事象」または「MACCE」は、好ましくは、致命的でない心停止、急性心筋梗塞、鬱血性心不全、新たな(術後に発生する)心不整脈、狭心症、または脳卒中からなる群から選択される脳血管または心血管事象を指してもよい。
【0360】
「周術期心筋傷害」または「PMI」は、好ましくは、周術期に発生する任意の心筋傷害を指す。周術期は、患者の外科的処置の期間である。これには、通常、病棟への入院、麻酔、手術、および回復が含まれる。周術期はまた、外科手術の時間に関連する、発生する、またはその前後の期間である時間を含んでもよい。周術期心筋傷害(PMI)は、非心臓手術後の死亡の原因であるように見受けられる。PMIの大部分は無症候性であるため、体系的なスクリーニングがない場合、PMIは見落とされることが常である(Puelacher et al 2018参照)。したがって、本発明は、本明細書に記載の方法を使用して、PMIの存在および/またはリスクを決定する際の有用な方法を提供する。いくつかの実施形態では、周術期は、術前期と術後(手術後)期との間である。周術期は、いくつかの実施形態では、術前期の一部、例えば、手術の直前の時間、例えば、病棟への入院および準備から始まる1、2、3、または4時間を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本発明は、術中の心筋傷害に関する。術中(peroperativeまたはintraoperative)期は、患者が手術台に移されたときに開始し、患者を麻酔後ケアユニット(PACU)に移すことで終了する。周術期は、いくつかの実施形態では、術後期の一部、例えば、手術の直後の時間、例えば、回復の最初の1、2、3、または4時間を含んでもよい。
【0361】
本明細書では、致命的ではない心停止」は、好ましくは、基本的または高度な心肺蘇生法のいずれかの部分を必要とする心臓リズムの欠如または無秩序なリズムの存在を指す。「急性心筋梗塞」は、好ましくは、トロポニンレベルの増加および段階的な減少、または、虚血症状、ECGの異常なQ波、STセグメントの上昇もしくは下降、冠状動脈介入(例えば、冠動脈形成術)、もしくは患者における手術後のそのピーク時に検出された上昇したトロポニンレベルの変則的な減少のうちの少なくとも1つを伴う心筋壊死のマーカーとしてのクレアチンキナーゼアイソザイムの場合、より速い増加および減少を指す。「鬱血性心不全」は、好ましくは、呼吸困難または疲労の手術後の新たな院内徴候または症状、起座呼吸、発作性夜間呼吸困難、頸静脈圧の上昇、身体検査での肺ラ音、心臓肥大または肺血管の充血を指す。「新たな心不整脈」は、好ましくは、心電図によって裏付けられる可能性のある、心房粗動、心房細動、または第2度もしくは第3度房室伝導ブロックを指す。「狭心症」は、好ましくは、労作または感情によって引き起こされ、休息またはニトログリセリンによって軽減される鈍いびまん性胸骨下胸部不快感を指す。「脳卒中」は、好ましくは、持続性の残存する運動、感覚、または認知機能障害を伴うまたは伴わない、少なくとも30イン続く塞栓性、血栓性、または出血性事象を指し、神経学的症状が24時間超継続する場合、人は、好ましくは、脳卒中と診断され、24時間未満継続する場合、事象は一過性脳虚血発作(TIA)として定義される。
【0362】
本発明の文脈において、「医療的治療」または「治療」という用語は、さまざまな治療および療法的戦略を含み、これらには、限定されないが、感染症、好ましくは敗血症に関しては、抗炎症戦略、抗菌療法、治療用抗体などのADM拮抗薬、si-RNAもしくはDNAの投与、体外血液浄化、またはアフェレーシス、透析、サイトカインストームを防ぐ吸着剤を介する有害物質の除去、炎症性メディエーターの除去、血漿アフェレーシス、ビタミンCなどのビタミンの投与、身体に十分な酸素を提供するための機械的換気および非機械的換気のような換気、例えば、病巣洗浄手順、血液製剤の注輸、コロイドの注入、腎もしくは肝代替、抗生物質治療、侵襲的機械的換気、非侵襲的機械的換気、腎代替療法、昇圧剤使用、輸液療法、アフェレーシス、ならびに臓器保護のための措置、ならびに心血管または脳血管事象に関しては、抗凝固療法、酸素療法、血栓溶解などの溶解療法、経皮的冠動脈介入、経皮経管的血管形成術、冠動脈バイパス移植術、および/またはステント移植が含まれる。いくつかの実施形態では、心血管および脳血管事象の医学的治療には、ニトログリセリン、アセチルサリチル酸、ベータ遮断薬、ACE阻害剤、および/またはクロピドグレルの投与が含まれる。
【0363】
周術期心筋梗塞に関して、予防の手段として、医学的治療は、特に、スタチン、β遮断薬、α2-アドレナリン作動薬、またはカルシウムチャネル遮断薬もしくは硝酸塩などの他の抗虚血薬の投与を含んでもよい。
【0364】
「腎代替療法」(RRT)は、腎臓の正常な血液濾過機能を代替するために用いられる療法に関する。腎代替療法とは、透析(例えば、血液透析または腹膜透析)、血液濾過、および血液透析濾過を指してもよい。そのような技法は、血液を機械に通し、洗浄し、次いで身体に戻すさまざまな方式である。腎代替療法はまた、腎移植を指してもよく、古い腎臓がドナーの腎臓に代替されるという点で、究極の形式の代替である。血液透析、血液濾過、および血液透析濾過は、持続的であっても間欠的であってもよく、動静脈経路(血液が動脈から出て静脈を介して戻る)または静静脈経路(血液が静脈から出て静脈を介して戻る)を使用することができる。これにより、さまざまな種類のRRTが得られる。例えば、腎代替療法は、限定されないが、持続的腎代替療法(CRRT)、持続的血液透析(CHD)、持続的動静脈血液透析(CAVHD)、持続的静静脈血液透析(CVVHD)、持続的血液濾過(CHF)、持続的動静脈血液濾過(CAVHまたはCAVHF)、持続的静静脈血液濾過(CVVHまたはCVVHF)、持続的血液透析濾過(CHDF)、持続的動静脈血液透析濾過(CAVHDF)、持続的静静脈血液透析濾過(CVVHDF)、間欠的腎代替療法(IRRT)、間欠的血液透析(IHD)、間欠的静静脈血液透析(IVVHD)、間欠的血液濾過(IHF)、間欠的静静脈血液濾過(IVVHまたはIVVHF)、間欠的血液透析濾過(IHDF)、および間欠的静静脈血液透析濾過(IVVHDF)の群から選択され得る。
【0365】
人工的および機械的換気は、適当な気体交換および換気を強化し、重症低酸素血症時の救命を目的とする効果的なアプローチである。人工的換気は、対象の呼吸を補助または刺激することに関する。人工的換気は、機械的換気、用手的換気、体外式膜型人工肺(ECMO)、および非侵襲的換気(NIV)からなる群から選択されてもよい。機械的換気は、自発呼吸を機械的に補助または代替する方法に関する。これには、ベンチレーターと呼ばれる機械が伴ってもよい。機械的換気は、高頻度振動換気であっても部分的液体換気であってもよい。
【0366】
「輸液管理」は、対象の輸液状態のモニタリングおよび制御、ならびに、例えば、経口、経腸、または静脈内輸液投与による循環または臓器活力を安定化させるための輸液の投与を指す。これは、流体および電解質のバランスの安定化、または血液量増加もしくは血液量減少の予防または修正、ならびに血液製剤の供給を含む。
【0367】
対象が医療的緊急事態にあり、生存または健康状態の保全のために、即時手術的介入が必要とされ得る場合、外科的緊急事態/緊急手術が必要とされる。緊急手術を必要とする対象は、急性外傷、活動性の制御されない感染症、臓器移植、臓器保護もしくは臓器安定化手術、または癌を患っている対象からなる群から選択されてもよい。
【0368】
洗浄手順は、対象の感染、特に院内感染を防ぐための衛生的な方法であり、例えば、皮膚、病室の物体、医療デバイス、診断デバイス、または部屋の空気など、患者と接触し得るすべての有機および無機質表面の消毒を含む。洗浄手順には、マウスガード、ガウン、手袋、または衛生的ロックなどの防護服およびユニットの使用、ならびに患者の訪問制限のような対策が含まれる。さらに、洗浄手順は、患者自身、および衣服または患者の洗浄を含む。
【0369】
重度の感染症もしくは敗血症、または重度の心血管もしくは脳血管事象などの重大な有害事象の場合、最適な療法および管理を開始するために、そのような有害事象の早期診断ならびに予後およびリスク評価を行うことが非常に重要である。療法的アプローチは個人的であり、症例ごとに異なる必要がある。療法的モニタリングは、ベストプラクティス療法に必要であり、治療のタイミング、併用療法の使用、および投薬または外科的手段の最適化によって影響される。誤ったまたは省略された療法または管理は、死亡率を時間単位で増加させることになる。
【0370】
本発明の医療的治療は抗生物質治療であり得、感染症が診断された場合、または感染症の症状が決定された場合に1つ以上の「抗生物質」または「抗生物質製剤」が投与されてもよい。
【0371】
本発明による抗生物質または抗生物質製剤はまた、診断された感染症または敗血症を治療するために使用される抗菌、抗真菌、または抗ウイルス化合物を包含する可能性がある。本明細書で使用され得る抗菌、抗生物質、および抗感染性という用語は、抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、および抗寄生虫薬を含む多種多様な医薬品を包含する。病原体を分類別に分けると、任意の所与の感染症の治療に一般的に適用される抗生物質製剤は以下のとおりである。
【0372】
グラム陽性菌適用範囲:ペニシリン、(アンピシリン、アモキシシリン)、ペニシリナーゼ耐性、(ジクロキサシリン、オキサシリン)、セファロスポリン(第1世代および第2世代)、マクロライド(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン)、キノロン(ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、レボフロキサシン)、バンコマイシン、スルホンアミド/トリメトプリム、クリンダマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、リネゾリド、シネルシド。
【0373】
グラム陰性菌適用範囲:広域ペニシリン(チカルシリン、クラブラン酸、ピペラシリン、タゾバクタム)、セファロスポリン(第2、第3、および第4世代)、アミノグリコシド、マクロライド、アジスロマイシン、キノロン(シプロフロキサシン)、モノバクタム(アゼトレオナム)、スルホンアミド/トリメトプリム、カルバペネム(イミペネム)、クロラムフェニコール。
【0374】
Pseudomonas適用範囲:シプロフロキサシン、アミノグリコシド、一部の第3世代セファロスポリン、第4世代セファロスポリン、広域ペニシリン、カルバペネム。
【0375】
真菌治療:アリルアミン、アムホテリシンB、フルコナゾールおよび他のアゾール、イトラコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、エキノカンジン、フルシトシン、ソルダリン(sordarin)、キチンシンターゼ阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、リポペプチド、プラジミシン、リポソーム製剤ナイスタチン、ボリコナゾール、エキノカンジン、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ポリエン。
【0376】
抗ウイルス治療:アバカビル、アシクロビル(Acyclovir)(アシクロビル(Aciclovir))、活性化カスパーゼオリゴマー化薬(oligomerizer)、アデホビル、アマンタジン、アンプレナビル(アゲネラーゼ(Agenerase))、アンプリゲン、アルビドール、アタザナビル、アトリプラ、バラビル(Balavir)、シドフォビル、コンビビル、ドルテグラビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、二本鎖RNA、ドコサノール、エドクスジン、エファビレンツ、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、エコリエベル(Ecoliever)、ファムシクロビル、固定用量の組み合わせ(抗レトロウイルス)、ホミビルセン、ホスアンプレナビル、ホスカルネット、ホスホネット、融合阻害剤、ガンシクロビル、イバシタビン、イムノビル(Imunovir)、イドクスウリジン、イミキモド、インジナビル、イノシン、インテグラーゼ阻害剤、インターフェロンIII型、インターフェロンII型、インターフェロンI型、インターフェロン、ラミブジン、ロピナビル、ロビリデ、マラビロク、モロキシジン、メチサゾン、モルフォリノ、ネルフィナビル、ネビラピン、ネキサビル(Nexavir)、ニタゾキサニド、ヌクレオシド類似体、ノビル、オセルタミビル(タミフル)、ペグインターフェロンアルファ-2a、ペンシクロビル、ペラミビル、プレコナリル、ポドフィロトキシン、プロテアーゼ阻害剤(薬理学)、ラルテグラビル、逆転写酵素阻害剤、リバビリン、リボザイム、リファンピシン、リマンタジン、リトナビル、RNase H、プロテアーゼ阻害剤、ピラミジン、サキナビル、ソホスブビル、スタブジン、相乗的エンハンサー(抗レトロウイルス)、テラプレビル、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル、トロマンタジン、トルバダ(Truvada)、バラシクロビル(バルトレックス)、バルガンシクロビル、ビクリビロク、ビダラビン、ビラミジン(Viramidine)、ザルシタビン、ザナミビル(リレンザ)、ジドブジン。
【0377】
さらに、抗生物質製剤は、細菌感染症の治療のためのバクテリオファージ、合成抗微生物ペプチド、または鉄拮抗薬/鉄キレート剤を含む。また、抗VAP抗体、抗耐性クローンワクチン接種、インビトロ刺激もしくは改変Tエフェクター細胞などの免疫細胞の投与のような、病因構造に対する治療用抗体または拮抗薬は、敗血症患者などの重篤患者の治療オプションを表す抗生物質製剤である。感染症に対する、または新たな感染症の予防のためのさらなる抗生物質製剤/治療または療法的戦略には、消毒薬、除染製品、リポソームのような抗ウイルス剤、衛生、創傷手当、手術の使用が含まれる。
【0378】
先述の抗生物質製剤または治療戦略のうちのいくつかを組み合わせることも可能である。
【0379】
本発明によれば、proADM、PCT、および/もしくはproET-1、ならびに/または任意選択で他のマーカーもしくは臨床スコアが、術後患者の健康における有害事象の予後、診断、リスク評価、およびリスク層別化、ならびに任意選択で追加の治療指針、治療層別化、および/または療法制御のためのマーカーとして用いられる。
【0380】
当業者は、上記のproADM、PCT、および/またはproET-1分子、またはその断片もしくは変異体のうちのいずれか1つ、ならびに標準的な分子生物学的実践に従った本発明の他のマーカーの識別、測定、決定、および/または定量化のための手段を得るかあるいは開発することが可能である。
【0381】
proADM、PCT、および/もしくはproET-1、またはその断片のレベル、ならびに本発明の他のマーカーのレベルは、マーカーの濃度を高い信頼性で決定する任意のアッセイによって決定することができる。特に、質量分析(MS)および/またはイムノアッセイを添付の実施例に例示されているように用いることができる。本明細書で使用される場合、イムノアッセイは、抗体もしくは抗体結合断片もしくは免疫グロブリンの使用を通して溶液中の巨大分子/ポリペプチドの存在または濃度を測定する生化学的試験である。
【0382】
proADM、PCT、および/もしくはproET-1、または本発明の文脈において使用される他のマーカーを決定する方法が、本発明において意図される。例として、質量分析法(MS)、発光イムノアッセイ(LIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、化学発光および蛍光イムノアッセイ、酵素イムノアッセイ(EIA)、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、発光ベースのビーズアレイ、磁気ビーズベースのアレイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、即時免疫クロマトグラフィーストリップ試験などの迅速試験フォーマット、希土類クリプテートアッセイ、ならびに自動化されたシステム/分析器からなる群から選択される方法が用いられてもよい。
【0383】
抗体認識に基づいたproADM、PCT、および/またはproET-1、ならびに任意選択的な他のマーカーの決定は、本発明の好ましい実施形態である。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的に活性な部分、すなわち抗原と特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含有する分子を指す。本発明によると、抗体は、モノクローナル抗体であってもポリクローナル抗体であってもよい。特に、少なくともproADM、PCT、および/もしくはproET-1、またはその断片に特異的に結合する抗体が使用される。
【0384】
目的の分子、例えば、proADM、PCT、および/もしくはproET-1、またはその断片に対するその親和性が、目的の分子を含有する試料中に含まれる他の分子に対するものよりも、少なくとも50倍高い、好ましくは100倍高い、最も好ましくは少なくとも1000倍高い場合、抗体は特異的であると見なされる。所与の特異性を有する抗体をどのように開発し選択するかは、当該技術分野において周知である。本発明の文脈では、モノクローナル抗体が好ましい。抗体または抗体結合断片は、本明細書に定義されたマーカーまたはその断片に特異的に結合する。特に、抗体または抗体結合断片は、本明細書で定義されたproADM、PCT、および/またはproET-1のペプチドに結合する。このため、本明細書で定義されたペプチドはまた、抗体が特異的に結合するエピトープであり得る。さらに、本発明の方法およびキットでは、ADMまたはproADM、特にMR-proADM、PCT、および/またはproET-1、特にCT-proET1に特異的に結合する抗体または抗体結合断片が使用される。
【0385】
さらに、本発明の方法およびキットでは、proADM、PCT、および/もしくはproET-1またはその断片、および任意選択的に本発明の他のマーカーに特異的に結合する抗体または抗体結合断片が使用される。例示的なイムノアッセイは、発光イムノアッセイ(LIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、化学発光および蛍光イムノアッセイ、酵素イムノアッセイ(EIA)、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、発光ベースのビーズアレイ、磁気ビーズベースのアレイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、迅速試験フォーマット、希土類クリプテートアッセイであり得る。さらに、ポイントオブケア試験、および例えば免疫クロマトグラフィーストリップ試験などの迅速試験形式に好適なアッセイを用いることができる。KRYPTORアッセイなどの自動化されたイムノアッセイも意図される。
【0386】
あるいは、抗体の代わりに、proADM、PCT、および/またはproET-1を特異的および/または選択的に認識する他の捕捉分子または分子足場が、本発明の範囲に包含されてもよい。本明細書では、「捕捉分子」または「分子足場」という用語は、試料からの標的分子または目的の分子、すなわち分析物(例えば、proADM、proADM、MR-proADM、PCT、proET-1、またはCT-proET-1)を結合するために使用されてもよい分子を含む。このため、捕捉分子は、空間的にも、表面電荷、疎水性、親水性、ルイス供与体および/または受容体の存在または不在などの表面の特徴に関しても適切に成形され、標的分子または目的の分子に特異的に結合する必要がある。これにより、結合は、例えば、イオン、ファンデルワールス力、パイ-パイ、シグマ-パイ、疎水性もしくは水素結合相互作用、または捕捉分子もしくは分子足場と標的分子もしくは目的の分子との間の先述の相互作用または共有結合性相互作用のうちの2つ以上の組み合わせによって媒介されてもよい。本発明の文脈において、捕捉分子または分子足場は、例えば、核酸分子、炭水化物分子、PNA分子、タンパク質、ペプチド、および糖タンパク質からなる群から選択され得る。捕捉分子または分子足場は、例えば、アプタマー、DARピン(Designed Ankyrin Repeat Protein)を含む。アフィマーなどが含まれる。
【0387】
本発明のある特定の態様では、本方法は、
a)試料を、
i.proADM、PCT、および/またはproET-1の第1のエピトープに特異的な第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体、ならびに
ii.proADM、PCT、および/またはproET-1の第2のエピトープに特異的な第2の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体と接触させるステップと、
b)2つの抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体の、proADM、PCT、および/またはproET-1への結合を検出するステップと、を含む、イムノアッセイを含む。
【0388】
好ましくは、一方の抗体を標識し、他方の抗体を固相に結合させるか、または固相に選択的に結合させることができる。アッセイの特に好ましい態様では、抗体のうちの一方が標識される一方で、他方は、固相に結合されるか、または固相に選択的に結合され得るかのいずれかである。第1の抗体および第2の抗体は、液体反応混合物中に分散して存在することができ、蛍光または化学発光消光または増幅に基づく標識系の一部である第1の標識構成要素は、第1の抗体に結合され、該標識系の第2の標識構成要素は、第2の抗体に結合され、これにより、検出されるべき両方の抗体のproADM、PCT、および/もしくはET-1、またはその断片への結合後、測定溶液中の得られたサンドイッチ錯体の検出を可能にする測定可能なシグナルが発生する。標識系は、希土類クリプテートまたはキレートを、特にシアニン型の蛍光または化学発光染料と組み合わせて含み得る。
【0389】
好ましい実施形態では、本方法は異種サンドイッチイムノアッセイとして実施され、これにおいては、抗体の1つが、自由裁量で選択された固相、例えば、被覆試験管(例えばポリスチロール試験管;被覆管;CT)もしくは例えばポリスチロールで構成されるマイクロタイタープレート上に、または例えば磁気粒子などの粒子に固定され、それにより、他の抗体が、検出可能な標識に似ているかまたは標識に選択的に結合することを可能にする、形成されたサンドイッチ構造の検出に役立つ群を有するようになる。好適な固相を使用する一時的な遅延またはその後の固定化も可能である。
【0390】
本発明による方法は、均質な方法としてさらに具体化することができ、これにおいては、検出される抗体/複数の抗体、およびマーカーであるproADM、PCT、および/もしくはET-1、またはその断片によって形成されているサンドイッチ複合体は、液相中で懸濁されたままである。この場合、2つの抗体が使用されるときに、両方の抗体が検出系の一部で標識され、それにより、両方の抗体が単一のサンドイッチに統合される場合にシグナルの発生またはシグナルの誘発がもたらされることが好ましい。そのような技術は、特に蛍光増強または蛍光消光検出方法として具体化されるものである。特に好ましい態様は、例えば、US4882733、EP0180492、またはEP0539477、およびそれらで引用される従来技術に記載のものなど、対で使用される検出試薬の使用に関する。このようにして、反応混合物中の単一の免疫複合体中に直接両方の標識構成要素を含む反応生成物のみが検出される測定が可能になる。例えば、そのような技術は、上で引用した出願の教示を実装する、商標名TRACE(登録商標)(Time Resolved Amplified Cryptate Emission)、またはKRYPTOR(登録商標)としてで提供される。したがって、特に好ましい態様では、本明細書で提供される方法を実行するために診断デバイスが使用される。例えば、proADM、PCT、および/もしくはET-1、またはその断片のレベル、ならびに/あるいは本明細書で提供される方法の任意のさらなるマーカーのレベルが決定される。特に好ましい態様では、診断デバイスは、KRYPTOR(登録商標)または相関する自動化装置である。
【0391】
本発明のマーカー、例えば、proADM、PCT、および/もしくはET-1、またはその断片、あるいは他のマーカーのレベルは、質量分析(MS)に基づく方法によっても決定することができる。そのような方法は、該生物学的試料または例えば該試料からのタンパク質消化物(例えばトリプシン消化物)中の例えばproADM、PCT、またはproET-1のうちの1つ以上の修飾または未修飾断片ペプチドの存在、量、または濃度を検出すること、ならびに任意選択でクロマトグラフィー方法を用いて試料を分離し、調製され任意選択で分離された試料をMS分析に供することを含んでもよい。例えば、特にproADM、PCT、もしくはproET-1、またはその断片の量を決定するために、選択反応モニタリング(SRM)、多重反応モニタリング(MRM)、または並列反応モニタリング(PRM)質量分析をMS分析に使用してもよい。
【0392】
本明細書において、「質量分析」または「MS」という用語は、化合物をそれらの質量によって識別するための分析技術を指す。質量分析の質量分解および質量決定能力を高めるために、試料はMS分析の前に処理され得る。したがって、本発明は、免疫濃縮技術、試料調製に関する方法、および/またはクロマトグラフィー方法、好ましくは液体クロマトグラフィー(LC)、より好ましくは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)と組み合わせることができるMS検出方法に関する。試料調製方法は、溶解、分画、ペプチドへの試料の消化、枯渇、濃縮、透析、脱塩、アルキル化、および/またはペプチド還元のための技法を含む。しかしながら、これらのステップは任意選択である。分析物イオンの選択的検出は、タンデム質量分析(MS/MS)を用いて行われてもよい。タンデム質量分析は、質量選択ステップ(本明細書で使用される場合、「質量選択」という用語は、特定のm/zまたは狭い範囲のm/zを有するイオンの単離を意味する)、続いて選択されたイオンの断片化、および得られた生成物(断片)イオンの質量分析によって特徴付けられる。
【0393】
当業者であれば、質量分析法によって試料中のマーカーのレベルをどのように定量化するかを認識する。例えば、相対定量化「rSRM」または絶対定量化を上記のように用いることができる。
【0394】
さらに、レベル(参照レベルを含む)は、相対定量を決定する方法または目的のタンパク質もしくはその断片の絶対定量を決定する方法などの質量分析に基づく方法によって決定することができる。
【0395】
相対定量化「rSRM」は、以下によって達成され得る。
1.試料中で検出された所与の標的断片ペプチドからのSRM(選択反応モニタリング)シグネチャーピーク面積を、少なくとも第2、第3、第4、またはそれ以上の生体試料中の標的断片ペプチドの同じSRMシグネチャーピーク面積と比較することによって、標的タンパク質の存在の増減を決定する。
【0396】
2.試料中で検出された所与の標的ペプチドからのSRMシグネチャーピーク面積と、異なる別個の生物学的供給源に由来する他の試料中の他のタンパク質からの断片ペプチドから生じたSRMシグネチャーピーク面積とを比較することによって標的タンパク質の存在の増減を決定し、ここで、ペプチド断片についての2つの試料間のSRMシグネチャーピーク面積比較を、例えば各試料中で分析されたタンパク質の量に対して正規化する。
【0397】
3.ヒストンタンパク質のレベルの、さまざまな細胞条件下でそれらの発現レベルを変化させない他のタンパク質のレベルへの変化を正規化するために、所与の標的ペプチドについてのSRMシグネチャーピーク面積を、同じ生体試料内の異なるタンパク質に由来する他の断片ペプチドからのSRMシグネチャーピーク面積と比較することによって、標的タンパク質の存在の増減を決定する。
【0398】
4.これらのアッセイは、非修飾断片ペプチドおよび標的タンパク質の修飾断片ペプチドの両方に適用することができ、修飾には、リン酸化および/またはグリコシル化、アセチル化、メチル化(モノ、ジ、トリ)、シトルリン化、ユビキチン化が含まれ、修飾ペプチドの相対レベルは、未修飾ペプチドの相対量を決定するのと同じ方法で決定される。
【0399】
所与のペプチドの絶対定量化は、以下によって達成されてもよい。
1.個々の生体試料中の標的タンパク質からの所与の断片ペプチドについてのSRM/MRMシグネチャーピーク面積を、生体試料からタンパク質溶解物中にスパイクされた内部断片ペプチド標準のSRM/MRMシグネチャーピーク面積と比較する。内部標準は、調べられている標的タンパク質からの断片ペプチドの標識された合成バージョンまたは標識された組換えタンパク質であってもよい。この標準は、消化の前(組換えタンパク質にとって必須)または後に既知量で試料中にスパイクされ、生体試料中の内部断片ペプチド標準および天然断片ペプチドの両方について別個にSRM/MRMシグネチャーピーク面積が決定され、その後、両方のピーク面積の比較を行うことができる。これは未修飾断片ペプチドおよび修飾断片ペプチドに適用することができ、修飾には、リン酸化および/またはグリコシル化、アセチル化、メチル化(例えば、モノ、ジ、またはトリメチル化)、シトルリン化、ユビキチン化が含まれ、修飾ペプチドの絶対レベルは、未修飾ペプチドの絶対レベルを決定するのと同じ方法で決定することができる。
【0400】
2.ペプチドはまた、外部較正曲線を使用して定量化され得る。正規曲線アプローチは、内部標準として一定量の重いペプチドを、また試料中にスパイクされたさまざまな量の軽い合成ペプチドを使用する。試験サンプルのものと同様の代表的なマトリックスを使用して、マトリックス効果を説明するための標準曲線を構築する必要がある。その上、逆曲線法により、マトリックス中の内因性分析物の問題が回避され、一定量の軽いペプチドが内因性分析物の上にスパイクされて内部標準を創出し、さまざまな量の重いペプチドがスパイクされて一組の濃度標準を創出する。正規曲線または逆曲線のいずれかと比較される試験試料は、較正曲線を作成するために使用されるマトリックス中にスパイクされた内部標準と同じ量の標準ペプチドでスパイクされる。
【0401】
本発明はさらに、キット、キットの使用、およびそのようなキットが使用される方法に関する。本発明は、本明細書の上記および下記に提供される方法を実行するためのキットに関する。本明細書に提供される、例えば方法に関して提供される定義はまた、本発明のキットにも適用される。特に、本発明は、術後患者の健康における有害事象の予後、診断、リスク評価、またはリスク層別化のためのキットに関し、該キットは、
-proADM、PCT、およびproET-1、またはそれらの断片からなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定するための検出試薬と、
-術後の有害事象の可能性に関する参照データ、具体的には、閾値またはカットオフ値に関する参照データであって、参照データが、好ましくは、コンピュータ可読媒体に記憶され、かつ/あるいはproADM、PCT、およびproET-1、またはその断片から選択される少なくとも1つのバイオマーカーの決定されたレベルを、閾値またはカットオフ値と比較するように構成されたコンピュータ実行可能コードの形態で用いられる、参照データと、を含む。
【0402】
本明細書で使用される場合、「参照データ」は、proADM、PCT、および/またはproET-1の参照レベル、ならびに任意選択で本明細書に記載されるさらなるマーカーを含む。対象の試料中のproADM、PCT、および/またはproET-1のレベルは、キットの参照データに含まれる参照レベルと比較され得る。参照レベルは、本明細書において上記に記載されており、添付の実施例においても例示されている。参照データはまた、proADM、および任意選択でPCT、乳酸、および/またはC反応性タンパク質のレベルが比較される参照試料を含み得る。参照データはまた、本発明のキットの使用方法の取扱説明書を含み得る。
【0403】
加えて、キットは、血液試料などの試料を得るのに有用な物品を含んでもよく、例えば、キットは、容器を含んでもよく、該容器は、該容器をカニューレまたはシリンジに取り付けるための、例えば、所定量の試料を該容器に引き込むのに好適であるように大気圧未満の内圧を呈する、血液単離に好適なシリンジであるデバイスを含み、かつ/あるいは加えて、洗剤、カオトロピック塩、リボヌクレアーゼ阻害剤、グアニジニウムイソチオシアネート、グアニジニウム塩酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのキレート剤、RNAse阻害タンパク質、およびそれらの混合物、ならびに/またはニトロセルロース、シリカマトリックス、強磁性球体、受皿(cup retrieve spill over)、トレハロース、フルクトース、ラクトース、マンノース、ポリ-エチレン-グリコール、グリセロール、EDTA、TRIS、リモネン、キシレン、ベンゾイル、フェノール、鉱油、アニリン、ピロール、クエン酸塩、およびそれらの混合物を収容する濾過システムを含む。
【0404】
本明細書で使用される場合、「検出試薬」などは、本明細書に記載の、例えば、proADM、PCT、および/またはproET-1のマーカーを決定するのに好適な試薬である。そのような例示的な検出試薬は、例えば、本明細書に記載のマーカーのペプチドまたはエピトープに特異的に結合するリガンド、例えば抗体またはその断片である。そのようなリガンドは、上記のようにイムノアッセイに使用され得る。マーカーのレベルを決定するためにイムノアッセイで用いられるさらなる試薬もキットに含まれ得、本明細書において検出試薬と見なされる。検出試薬はまた、MSに基づく方法によってマーカーまたはその断片を検出するために用いられる試薬にも関係し得る。このため、そのような検出試薬はまた、MS分析用に試料を調製するために使用される試薬、例えば、酵素、化学物質、緩衝剤などであり得る。質量分析計も検出試薬と見なすことができる。本発明による検出試薬はまた、例えば、マーカーのレベルを決定および比較するために用いられ得る較正溶液であり得る。
【0405】
診断試験および/または予後試験の感度および特異性は、試験の分析「品質」だけに依存するのではなく、それらはまた、異常な結果を構成するものの定義にも依存する。実際には、受信者動作特性曲線(ROC曲線)は、典型的には、「正常」集団(すなわち、感染症を有しない明らかに健康な個人)、および「疾患」集団、例えば、感染症を有する対象における、その相対頻度に対する変数の値をプロットすることによって計算される。いずれかの特定のマーカー(proADM、PCT、および/またはproET-1のようなもの)について、疾患/状態を有する対象または有しない対象についてのマーカーレベルの分布は重複する可能性が高い。そのような条件下では、試験は、正常と疾患とを100%の正確性で完全に区別することはなく、重複の領域は、試験が正常と疾患とを区別できない部分を示し得る。閾値は、それより下では試験が異常であると見なされ、それより上では試験が正常であると見なされ、あるいはそれを下回るまたは上回ると試験が特定の条件、例えば感染症または心血管もしくは脳血管事象を示すものが選択される。ROC曲線下面積は、知覚された測定値が状態の正しい識別を可能にするであろう確率の尺度である。試験結果が必ずしも正確な数を付与しない場合でも、ROC曲線を使用することができる。結果をランク付けできる限り、ROC曲線を作成することができる。例えば、「疾患」試料に対する試験の結果は、程度に応じてランク付けされ得る(例えば、1=低い、2=正常、および3=高い)。このランク付けは、「正常な」集団の結果と相関し得、ROC曲線が作成され得る。これらの方法は、当該技術分野において周知である。例えば、Hanley et al.1982.Radiology 143:29-36を参照されたい。好ましくは、閾値は、約0.5より大きい、より好ましくは約0.7より大きい、さらにより好ましくは約0.8より大きい、なおより好ましくは約0.85より大きい、最も好ましくは約0.9より大きいROC曲線面積を提供するように選択される。この文脈における「約」という用語は、所与の測定値の+/-5%を指す。
【0406】
ROC曲線の横軸は(1-特異性)を表し、これは偽陽性率とともに増加する。曲線の縦軸は感度を表し、これは真陽性率とともに増加する。このため、選択された特定のカットオフについて、(1-特異性)の値が決定されてもよく、対応する感度が得られてもよい。ROC曲線下面積は、測定されたマーカーレベルが疾患または状態の正確な識別を可能にするであろう確率の尺度である。このため、ROC曲線下面積は試験の有効性を決定するために使用することができる。
【0407】
本発明の方法は、部分的にコンピュータで実行されてもよい。例えば、マーカー、例えば、proADM、PCT、および/もしくはproET-1、またはその断片の検出されたレベルを参照レベルと比較するステップは、コンピュータシステムで行うことができる。コンピュータシステムでは、診断、予後診断、リスク評価、および/またはリスク層別化のための指標であるスコアを計算するために、マーカーの決定されたレベルを、対象の他のマーカーレベルおよび/またはパラメータと組み合わせることができる。例えば、決定された値は、コンピュータシステムに入力されてもよい(医療従事者によって手動で、またはそれぞれのマーカーレベルが決定されたデバイスから自動で)。コンピュータシステムは、ポイントオブケア(例えば、プライマリケア、ICU、またはED)に直接あってもよく、またはコンピュータネットワークを介して(例えば、インターネット、または任意選択で病院情報システム(HIS)などの他のITシステムもしくはプラットフォームと組み合わせた特化された医療クラウドシステムを介して)接続される遠隔地にあってもよい。典型的には、コンピュータシステムは、値(例えば、マーカーレベル、または年齢、血圧、体重、性別などのパラメータ、またはSOFA、qSOFA、BMIなどといった臨床スコアシステム)をコンピュータ可読媒体に記憶し、事前に定義および/または事前に記憶された参照レベルまたは参照値に基づきスコアを計算することになる。得られたスコアは、ユーザ(典型的には医師などの医療従事者)のために表示および/または印刷されることになる。あるいは、または加えて、関連する予後、診断、評価、治療指針、患者管理指針、または層別化が、ユーザ(典型的には医師などの医療従事者)のために表示および/または印刷されることになる。
【0408】
本発明の一実施形態では、好ましくは、電子健康記録(EHR)からのデータを使用して、敗血症、重症敗血症、および敗血症性ショックのリスクがある入院患者を識別するために機械学習アルゴリズムが存在するソフトウェアシステムを用いることができる。機械学習アプローチは、患者からのEHRデータ(検査結果、バイオマーカーの発現、バイタル、人口統計など)を使用して、ランダムフォレスト分類器でトレーニングすることができる。機械学習は、ルールに基づく単純なシステムとは異なり、明示的にプログラムされなくても、コンピュータにデータの複雑なパターンを学習する能力を提供する一種の人工知能である。以前の研究では、電子健康記録データを使用して警告を生じさせ、一般的な臨床的悪化を検出した。本発明の一実施形態では、proADM、PCT、および/またはproET-1レベルの処理は、既存のデータセットとの比較のために適切なソフトウェアに組み込まれてもよく、例えば、proADM、PCT、および/またはproET-1レベルはまた、有害事象の発生の診断または予後を支援する機械学習ソフトウェアで処理されてもよい。
【0409】
本明細書で使用される場合、「備える」および「含む」という用語またはその文法的変化形は、述べられた特徴、整数、ステップ、または構成要素を特定するものとして解釈されるべきであるが、1つの以上の追加の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはその群の追加を除外するものではない。この用語は、「からなる」および「から本質的になる」という用語を包含する。
【0410】
よって、「含む(comprising)」/「含む(including)」/「有する」という用語は、任意のさらなる構成要素(または同様の特徴、整数、ステップなど)が存在してもよい/存在することができることを意味する。「からなる」という用語は、さらなる構成要素(または同様の特徴、整数、ステップなど)が存在しないことを意味する。
【0411】
「から本質的になる」という用語またはその文法的変化形は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、整数、ステップ、または構成要素を特定するものと解釈されるべきであるが、1つ以上の追加の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはその群の追加を除外しないが、それらの追加の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはその群が、請求されている組成物、デバイス、または方法の基本的で新規な特徴を実質的に変化させない場合のみである。
【0412】
したがって、「から本質的になる」という用語は、特定のさらなる構成要素(または同様に特徴、整数、ステップなど)が存在し得ること、すなわち組成物、デバイスまたは方法の本質的な特徴に実質的に影響を及ぼさないものを意味する。言い換えれば、「から本質的になる」という用語(本明細書では「実質的に含む」という用語と同義に使用することができる)は、必須の構成要素(または同様の特徴)に加えて組成物、デバイスまたは方法における他の構成要素の存在を可能にする。ただし、デバイスまたは方法の本質的な特徴は他の構成要素の存在によって実質的に影響されない。
【0413】
「方法」という用語は、所与のタスクを達成するための様式、手段、技法、および手順を指し、化学、生物学、および生物物理学的分野の専門家に既知であるか、または専門家によって既知の様式、手段、技法、および手順から容易に開発されるかのいずれかである、様式、手段、技法、および手順を含むが、これらに限定されない。
【実施例】
【0414】
以下の非限定的な実施例を参照することにより、本発明をさらに説明する。本実施例は、本発明をさらに例解するために提示された、非限定的で実際的な実施形態を説明する。
【0415】
実施例の方法:
試験デザインおよび患者:
この試験は、待機的かつ主要な腹部手術を受けるスウェーデンの患者における周術期変数と有害転帰の発生との関係を見出すことを目的とした、MINSS試験「Myocardial Injury in Noncardiac Surgery in Sweden」の一部である。MINSS試験は、スウェーデンのいくつかの病院における多施設前向きコホート試験であり、対象は、2017年4月から2018年10月まで引き続いた。Surgical Outcome Risk Tool、SORT(Protopapa et al.2014)により主要または主要/複雑と格付けされた待機的腹部手術を受ける年齢50歳以上の患者を適格とした。また、手順は全身麻酔下で行われる必要があり、かつ少なくとも1泊の入院が求められる。
【0416】
適格患者は、術前評価クリニックで患者リストを毎日スクリーニングすることにより特定した。患者は、参加に同意する前に、試験の目的、方法、期待される利益、可能性のある危険性、および何時でも離脱可能であることについて説明を受けた。
【0417】
組み入れの前に、すべての患者から書面によるインフォームドコンセントを得た。
【0418】
参加者は一度しか組み入れることができず、インフォームドコンセントを提出することができなかった場合、または次の種類の腹部手術のうちの1つを受けた場合、除外した:移植、外傷、内分泌、血管、または血管内。
【0419】
組み入れられた患者は、患者の死亡により待機的手術が取り消された場合、または本待機的手術の前に別の非待機的手術が行われた場合、除外した。
【0420】
試験評価項目
手術から30日以内のMACCEおよび3日以内のMINSが、事前に定義した試験評価項目であった。MINSは、術前レベルから5ng/L超上昇した、65ng/L超または20ng/L超のピークの第5世代cTnTと定義する。MACCEは、表9に列挙する評価項目のうちの1つ以上と定義した(Devereaux et al.2005)。
【0421】
日付収集および分析
12誘導ECGを、術前(麻酔前24時間未満)、術後(手術から24時間以内)、および手術後1、2、3日目の5つの試料点で得た。同時に、8.5mlのEDTAチューブを使用して動脈血または静脈血の試料を得た。血液試料を地元の臨床化学研究所に送り、そこで試料を遠心分離させ、血漿を-80℃にてアリコートで凍結し、CT-proET-1、MR-proADM、PCT、およびcTnTの血漿濃度のバッチ分析を行うまで保存した。
【0422】
表2による新たなECGの変化は、心筋虚血を示していると見なされた。すべてのECGは、hsTnTおよびCT-proET-1の結果を知らされていない研究者によって分析された。
【0423】
MACCEの発生を、1、2、および3日目にカルテをとおして、また手術の30日後に電話インタビューを介して、および/または患者の医療記録を閲覧することによって、検討した。MINSの発生率を、分析したcTnT血漿レベルから計算した。死亡率を、スウェーデンの人口登録を使用して評価した。
【0424】
感染症または敗血症の発生を、1、2、および3日目に訓練された審査者および微生物同定により、また手術の30日後に電話インタビューを介して、および/または患者の医療記録を閲覧することによって、検討した。
【0425】
加えて、患者の一般的な健康状態を、American Society of Anesthesiologists(ASA)の身体状態分類システムを使用して評価した。
【表1】
【0426】
すべての試料を得る前に患者が退院、脱落、または死亡した場合、患者がデータ分析に含めないよう求めない限り、患者を除外せず、収集した試料を分析した。
【0427】
バイオマーカー測定値:
CT-proET-1は、TRACEテクノロジー(Time Resolved Amplified Cryptate Emission)を用いてBRAHMS Kryptor Compact plus (BRAHMS GmbH,Heringsdorf,Germany)上で免疫蛍光アッセイを使用して測定した。各々抗体に結合した2つの蛍光トレーサーであるドナー(ユーロピウムクリプテート)およびアクセプター(XL665)を使用した。抗体がそれらの抗原CT-proET-1に結合すると、トレーサーが活性化され、クリプテートからXL665にエネルギーが伝達され、665nmのシグナルが放出される。蛍光はCT-proET1濃度に比例する。健康な集団におけるCT-proET1の99パーセンタイルは72.9pmol/Lであり、分析検出下限は3pmol/Lで、読み取りゾーンは最大5000pmol/Lであった。
【0428】
心臓トロポニンT(cnTNT)は、Cobas e 602/cobas e 601/cobas e 411(Roche Diagnostics Mannheim,Germany)上で高感度電気化学発光イムノアッセイを使用して分析した。cTnTに特異的な2つの抗体を使用し、一方はビオチンで標識し、他方は、一緒になってサンドイッチ複合体を形成するルテニウム複合体で標識する。ストレプトアビジンを、測定セルに移動する前に試料に追加し、結合していない物質をProCellによって除去する。電場を追加することで、620nmの電気化学的発光がルテニウム複合体によって放出され、これを、光電子増倍管によって検出して、hsTnT濃度を決定する。このアッセイの検出下限は5ng/Lであり、健康な参照集団の99パーセンタイルは14ng/Lである。
【0429】
PCTは、KRYPTORプラットフォーム(Thermo Fisher Scientific,Germany)上で市販のダブルサンドイッチイムノアッセイを使用し、測定範囲を0.02~5000ng/ml、機能的アッセイ感度および検出下限をそれぞれ少なくとも0.06ng/mlおよび0.02ng/mlにして測定した。
【0430】
MR-proADM血漿濃度は、Kryptor(登録商標)(Thermo Fisher Scientific,Germany)を0.05nmol/Lの検出限界で使用して測定した。
【0431】
統計分析:
データ分析は、Graphpad PRISM 8を使用して行った。データ分布は、ダゴスティーノ&パーソン検定を使用して検討した。異なる群間の比較は、フィッシャーの直接確率検定およびクラスカル・ウォリス検定を使用して行った。0.05未満のp値を有意とみなした。
【0432】
実施例1:患者の特徴
試験登録時の患者の特徴を表1に要約する。
【0433】
手術を受けた合計387人の患者を分析した。登録された患者の平均年齢は70歳で、男女比は、女性が44%、男性が56%であった。American Society of Anesthesiologists Physical Status Score(ASAPS)を使用すると、265人(68%)の患者が高リスク患者(ASA III~IV)として分類され、116人(30%)の患者が低リスク患者(ASA I~III)として分類された。
【0434】
すべての患者のうち、37人(9.6%)が術後に主要な心血管または脳血管事象(MACCE)を患い、94人(24%)が非心臓手術後の心筋傷害(MINS)を患い、このなかで14人の患者が両方を経験した。術後の有害事象としての感染症に関しては、105人(27%)が感染症を発症し、そのうち11人が血液感染症を患った。全死亡率は1.3%(死亡5人)であった。
【0435】
実施例2:MACCEの術後発生とバイオマーカーとの相関
表2は、MACCEの発生に関する患者特徴を要約する。バイオマーカーレベルを、術前(preOP)、麻酔後ケアユニット(PACU)、ならびに手術後1日(POD1)、2日(POD2)、および3日(POD3)で、すべての患者について決定した。
【0436】
図1~3は、MR-proADM、PCT、およびCT-proET-1についての結果を要約する。すべてのバイオマーカーのレベルは、手術後にMACCEを患った患者の群で高かった。この傾向は、preOP、PACU、およびPOD1~3のすべての試料点で明らかである。
【0437】
観察したすべての試料点でのMR-proADMについては、差異が見られるが、これは、PACUから開始してPOD3まで、術後により顕著になる(
図1)。MACCE患者のMR-proADMのレベルは、preOPからPACUにわたりPOD1~3まで継続的に上昇している一方、MACCEなしの患者のMR-proADMのレベルは一定に維持されるか、またはさらにはPOD1後に減少する。
【0438】
MACCE発生のマーカーとしてのPCTについても同様の結果が見られる(
図2)。とりわけ、PACUから始まって、POD3までのPCTレベルの着実かつ急激な4倍の上昇が、MACCEを患う患者において見られる一方、MACCEを経験しなかった患者は、POD1で軽度の上昇を示し、そのレベルは一定に維持されるか、または後日POD1~POD3で減少する。
【0439】
術前およびPACUでのCT-proET-1については、MACCEありの患者とMACCEなしの患者との間の差異は、p値が0.03(preOP)および0.0001(PACU)と、特に顕著である(
図3)。しかしながら、より後の試料点でも、MACCEの発生率に関するproET-1レベルの明確な差異が成り立ち得る。p値は、POD2で0.006、POD3で0.007である。とりわけ、試料点POD1~3では、MACCEなしの患者のCT-proET1のレベルは低下するが、MACCEありの患者では維持されるか、またはさらには増加する。
【0440】
CT-proET1についてすべての試料点(preOP、PACU、POD1~3)の単一のカットオフ値を84.7pmol/Lにすることで、p=<0.0001の高い統計的なフィッシャーの直接確率検定が得られた(表3を参照)。
【0441】
これらの結果により、MR-proADM、CT-proET1、およびPCTが、術後患者におけるMACCEの発生率の信頼性の高い予測または診断に役立ち得ることが示される。予測または診断は、試料点固有の値と比較することより、すべての試料点についての、または個々の試料点(例えば、preOP、PACU、POD1-3)での単一の閾値を用いて確立され得る。
【0442】
加えて、MACCEありの患者およびMACCEなしの患者におけるバイオマーカーのレベルの異なる時間的推移により、2つの時点以上で試料を採取し、異なる試料点についての割合または絶対差を分析するときに、さらに信頼性のある予後または診断が可能になる。MACCEありの患者では、バイオマーカーのレベルは継続的に上昇するが、MACCEなしの患者では、術後に軽度の増加があった後、バイオマーカーのレベルは、不変のままであるか、またはさらには術後72時間にわたってPOD3まで減少する。
【0443】
実施例3:MACCEの術後発生とECG変化またはクレアチンレベルとの相関
分析時のさらなるマーカーまたはパラメータについての予後または診断の信頼性を試験するために、146人の患者のECGを分析した。表4は、MACCEを有する患者および有しない患者のECG変化の分布を提示する。分析したECGの数は明確な統計的記述ではない場合があるが、ECG変化の現在の分布は、バイオマーカーであるMR-proADM、PCT、および/またはCT-1とは対照的に、MACCEの良い予測因子ではないようである。
【0444】
腎機能はCT-proET1レベルに影響を与えることが知られているため、クレアチニンレベルもMACCEの発生率に関連して分析した。
図4は、クラスカル・ウォリス検定により、MACCEを有する患者と有しない患者とでは、クレアチニンレベルに有意差がないことが明らかになったことを示す。したがって、CT-proET1レベルまたは他のバイオマーカーのうちの1つにより患者のMACCEが予測されるという発見は、患者の腎機能の影響を受けていないようである。
【0445】
実施例4:MINSの術後発生とバイオマーカーとの相関
表5は、MINSの発生に関する患者特徴を要約する。バイオマーカーレベルを、術前(preOP)、麻酔後ケアユニット(PACU)、ならびに手術後1日(POD1)、2日(POD2)、および3日(POD3)で、すべての患者について決定した。
【0446】
図5~7は、MR-proADM、PCT、およびCT-proET-1についての結果を要約する。すべてのバイオマーカーのレベルは、手術後にMINSを患った患者の群で高かった。この傾向は、preOP、PACU、およびPOD1~3のすべての試料点で明らかである。
【0447】
MR-proADMの場合、MINSありの患者とMINSなしの患者との間のレベルの差異は、PACUの初期およびさらには術前の試料点でも目に見えるものであり、差異は、POD1からPOD3までの術後により顕著になる(
図5)。MACCE患者のMR-proADMのレベルは、POD1まで継続的に上昇し、POD2およびPOD3で約1.75nmol/Lの高いレベルに維持されるが、MACCEなしの患者のMR-proADMのレベルはPOD1後に着実に減少する。
【0448】
MINS発生のマーカーとしてのPCTについても同様の結果が成り立つ(
図6)。とりわけ、PACUからPOD1まで、レベルは、約0.25μg/Lから1μg/L超まで4倍に上昇し、試料点POD3まで上昇し続ける。それどころか、術後1~3日目のMINSなしの患者のPCTのレベルは、1μg/Lをはるかに下回って一定に維持され、POD3のレベルはPOD1に対して減少する。
【0449】
CT-proET-1については、MACCEありの患者とMACCEなしの患者との間の差異は特に顕著であり、p値はpreOPで0.001未満、PACUおよびPOD1からPOD3で0.0001未満である。とりわけ、試料点POD1~POD3では、MACCEなしの患者のCT-proET1のレベルが低下し、これにより、MACCE患者とのさらなる区別ができるようになる(
図7)。
【0450】
これらの結果により、MR-proADM、CT-proET1、およびPCTが、術後患者におけるMINSの発生率の信頼性の高い予測または診断に役立ち得ることが示される。予測または診断は、試料点固有の値と比較することにより、すべての試料点についての、または個々の試料点(例えば、preOP、PACU、POD1-3)での単一の閾値を用いて確立され得る。
【0451】
加えて、MINSありの患者およびMINSなしの患者におけるバイオマーカーのレベルの異なる時間的推移により、2つの時点以上で試料を採取し、異なる試料点についての割合または絶対差を分析するときに、さらに信頼性のある予後または診断が可能になる。
【0452】
実施例5:いずれかの感染症の術後発生とバイオマーカーとの相関
表6は、感染症の発生に関する患者特徴を要約する。バイオマーカーレベルを、術前(preOP)、麻酔後ケアユニット(PACU)、ならびに手術後1日(POD1)、2日(POD2)、および3日(POD3)で、すべての患者について決定した。
【0453】
図8~10は、MR-proADM、PCT、およびCT-proET-1についての結果を要約する。すべてのバイオマーカー、特にMR-proADMおよびPCTのレベルは、手術後に感染症を患った患者の群で高かった。この傾向は、preOP、PACU、およびPOD1~3のすべての試料点で明らかである。
【0454】
感染症を術後に発症している患者のMR-proADMのレベルは、PACUの初期の試料点について、また術前であっても軽度に、感染症を有しない患者のレベルと比較して高かった。この差異は、POD1、特にPOD2およびPOD3から、術後により顕著となる(
図8)。同時に、いずれの感染症も有しない患者のMR-proADMのレベルは、POD1後、約1.25nmol/LからPOD3の1.2nmol/L未満に低下する。いずれかの感染症を有する患者では、すべてのPOD1~3でレベルが1.5nmol/L超で堅実に維持される。
【0455】
いずれかの感染症の発生のマーカーとしてのPCTの場合、POD1からPOD3をとおして術後に際立った顕著な違いが見られる(
図9)。感染症を有しない術後患者のPCTのレベルは0.75μg/L前後またはそれを下回ったままであるが、いずれかの感染症を有する患者のPCTのレベルはPOD1(約1.0μg/L)からPOD2および3の約1.25μg/L超に継続的に上昇する。とりわけ、術前およびPACUの早い段階でも、軽度の差異が明らかである。
【0456】
CT-proET-1の場合、感染症を有する患者と有しない患者との間の差異は、マーカーのPCTおよびMR-proADMの場合よりも顕著ではない。しかしながら、特に手術後2~3日のより遅い試料点では、明らかな差異により信頼性の高い区別が可能になる(
図10)。
【0457】
これらの結果により、特にMR-proADMおよびPCT、また場合によりCT-proET-1も、術後患者における感染症の発生率の信頼性の高い予測または診断に役立ち得る。予測または診断は、試料点固有の値と比較することにより、すべての試料点についての、または個々の試料点(例えば、preOP、PACU、POD1-3)での単一の閾値を用いて確立され得る。
【0458】
加えて、いずれかの感染症を有する患者および有しない患者におけるバイオマーカーのレベルの異なる時間的推移により、少なくとも2つの時点で試料を採取し、異なる試料点についての割合または絶対差を分析するときに、さらに信頼性のある予後または診断が可能になる。
【0459】
実施例6:血液感染症の術後発生とバイオマーカーとの相関
表7は、血液感染症の発生に関する患者特徴を要約する。バイオマーカーレベルを、術前(preOP)、麻酔後ケアユニット(PACU)、ならびに手術後1日(POD1)、2日(POD2)、および3日(POD3)で、すべての患者について決定した。
【0460】
図11~13は、MR-proADM、PCT、およびCT-proET-1についての結果を要約する。すべてのバイオマーカー、特にMR-proADMおよびPCTのレベルは、手術後に血液感染症を患った患者の群で高かった。この傾向は、preOP、PACU、およびPOD1~3のすべての試料点で明らかである。
【0461】
血液感染症を術後に発症している患者のMR-proADMのレベルは、PACUの初期の試料点について、また術前であっても著しく、感染症を有しない患者のレベルと比較して高かった。この差異は、POD1からPOD3へと、術後により顕著となる(
図11)。同時に、いずれの感染症も有しない患者のMR-proADMのレベルは、POD1後、約1.3nmol/LからPOD3の1.2nmol/L未満に低下する。血液感染症を有する患者については、すべてのPOD1~3でレベルが約1.75nmol/L超で堅実に維持される。
【0462】
血液感染症の発生に対するいずれかの感染症の発生と同様に、PCTのレベルの特に顕著な違いが、POD1からPOD3をとおして術後に見られる(
図12)。血液感染症を有しない術後患者のPCTのレベルは0.75μg/L前後またはそれを下回ったままであるが、血液感染症を有する患者のPCTのレベルはPOD1(約2.0μg/L)からPOD2および3の約2.5μg/L超に継続的に上昇する。とりわけ、術前およびPACUの早い段階でも、軽度の差異が明らかである。
【0463】
CT-proET-1の場合、血液感染症を有する患者と有しない患者との間の差異は、マーカーのPCTおよびMR-proADMの場合よりも顕著ではない。しかしながら、特に手術後2~3日のより遅い試料点では、明らかな差異により区別が可能になる。血液感染症を有する患者のCT-proET-1のレベルはPOD2および3で100pmol/Lを超えたが、血液感染症を有しない患者のレベルはPOD2およびPOD3で約0.75pmol/L前後またはそれを下回った(
図13)。
【0464】
これらの結果により、特にMR-proADMおよびPCT、また場合によりCT-proET-1も、術後患者における血液感染症の発生率の信頼性の高い予測または診断に役立ち得る。予測または診断は、試料点固有の値と比較することにより、すべての試料点についての、または個々の試料点(例えば、preOP、PACU、POD1-3)での単一の閾値を用いて確立され得る。
【0465】
加えて、血液感染症を有する患者および有しない患者におけるバイオマーカーのレベルの異なる時間的推移により、2つの時点以上で試料を採取し、異なる試料点についての割合または絶対差を分析するときに、さらに信頼性のある予後または診断が可能になる。
【0466】
実施例7:感染症およびMACCEの術後発生とバイオマーカーとの相関
表8は、感染症およびMACCEの術後の発生に関する患者特徴を要約する。バイオマーカーレベルを、術前(preOP)、麻酔後ケアユニット(PACU)、ならびに手術後1日(POD1)、2日(POD2)、および3日(POD3)で、すべての患者について決定した。
【0467】
図14~19は、MR-proADM、PCT、およびCT-proET-1についての結果を要約する。
【0468】
ひときわ、すべてのバイオマーカーのレベルは、感染症とMACCEとの両方を患った患者の群で特に高かった。この傾向は、preOP、PACU、およびPOD1~3のすべての試料点ではっきりと分かった。
【0469】
MR-proADMの場合、感染症およびMACCEを患った患者のレベルは、これらの事象のいずれも患わなかった患者、またはすべての試料点にわたって有害事象のうちの1つのみを患った患者に対して、はっきりした差異を呈する(
図14)。差異は特に術後に顕著である。感染症を発症せず、術後にMACCEを経験しなかった患者は、PACUまたはPOD1~3で、MR-proADMのレベルが1nmol/L以下であったが、両方の有害事象を患った患者は、MR-proADMのレベルがPACUでの約1.5nmol/LからPOD3での約2.3nmol/Lへと堅実に増加した。とりわけ、MACCEおよびいずれかの感染症を有する患者のMR-proADMレベルも、MACCEを有するが感染症を有しない患者のMR-proADMレベルよりも一貫して高い(
図17)。このため、MR-proADMは、両方の術後有害事象のうちのいずれか一方およびそれらの組み合わせの予後または診断のための信頼性のあるマーカーとして機能し得る。
【0470】
PCTは、感染症またはMACCEの組み合わせた予後または診断のための特に貴重なマーカーであるように見える。これは特に、POD1からPOD3までの術後の試料点に当てはまる(
図15)。感染症を発症し、MACCE事象を患った患者のPCTレベルは、POD1からPOD3で、一貫して2μg/Lを超え、POD2およびPOD3ではさらに平均して約3μg/L~3.5μg/Lであった。それどころか、術後にMACCEも感染症も経験しなかった患者については、PCTレベルが0.5μg/L前後またはそれ以下であることが決定された。POD1での4倍超の差異、およびPOD2またはPOD3での6~7倍超の差異により、PCTをマーカーとして使用する感染症およびMACCEの組み合わせた診断または予測に対する強力な相乗効果が示される。とりわけ、術後の試料点については、MACCEおよびいずれかの感染症を有する患者のPCTレベルも、MACCEを有するが感染症を有しない患者のPCTレベルよりも一貫して高いことが見出される(
図18)。
【0471】
同様に、すべての試料点にわたるCT-proET-1の場合、感染症とMACCEとの両方を術後に患った患者におけるレベルは、これらの有害事象のいずれも経験しなかった患者よりもかなり高かったことが決定された(
図16)。前者の群については、CT-proET-1レベルは約80pmol/Lまたはそれ以下のままであったが、後者の群では、CT-proET-1のレベルは、PACUからPOD3までの術後に、約125pmol/Lまたはそれ以上であった。さらに、MACCEおよびいずれかの感染症を有する患者のCT-proET-1レベルは、術前または術後のいずれの試料点でも、MACCEを有するが感染症を有しない患者のCT-proET-1レベルよりも高い(
図19)。このため、このデータにより、術後有害事象としての感染またはMACCEのうちのいずれか一方およびそれらの組み合わせに対するCT-proET-1の予後および診断能力が強く支持される。
【0472】
本データにより、記載したバイオマーカーのうちの1つを使用した感染症およびMACCEの予後および/または診断が、特に高い精度および信頼性で達成され得ることが示される。有害事象のうちの1つに対するマーカーの予測可能性からは、このような強力な予測力は予期できるものではなく、このことは、これらの目立った有害事象の診断または予測に関するこれらのバイオマーカーの機能的相乗効果を示す。
【0473】
予測または診断は、試料点固有の値と比較することにより、すべての試料点についての、または個々の試料点(例えば、preOP、PACU、POD1-3)での単一の閾値を用いて確立され得る。
【0474】
加えて、感染症およびMACCEを有する患者および有しない患者におけるバイオマーカーのレベルの異なる時間的推移により、2つの時点以上で試料を採取し、異なる試料点についての割合または絶対差を分析するときに、さらに信頼性のある予後または診断が可能になる。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
参考文献
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【配列表】
【国際調査報告】