(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-07
(54)【発明の名称】安定なタンパク質製剤
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20220331BHJP
A23L 2/70 20060101ALI20220331BHJP
A23L 2/66 20060101ALI20220331BHJP
A23L 2/02 20060101ALI20220331BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20220331BHJP
A23F 3/16 20060101ALI20220331BHJP
A23F 5/24 20060101ALI20220331BHJP
A23J 1/00 20060101ALI20220331BHJP
A23C 13/12 20060101ALI20220331BHJP
A23L 9/20 20160101ALI20220331BHJP
A23C 11/00 20060101ALI20220331BHJP
A23J 3/34 20060101ALI20220331BHJP
A23K 20/147 20160101ALI20220331BHJP
A23K 10/30 20160101ALI20220331BHJP
C12N 9/78 20060101ALN20220331BHJP
【FI】
A23L5/00 M
A23L2/00 K
A23L2/00 J
A23L2/66
A23L2/02 A
A23L2/38 P
A23F3/16
A23F5/24
A23L2/02 E
A23J1/00 Z
A23C13/12
A23L9/20
A23C11/00
A23J3/34
A23K20/147
A23K10/30
C12N9/78 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549570
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(85)【翻訳文提出日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 US2020019646
(87)【国際公開番号】W WO2020176469
(87)【国際公開日】2020-09-03
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519332634
【氏名又は名称】アマノ エンザイム ユーエスエー カンパニー,リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】000216162
【氏名又は名称】天野エンザイム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】リウタス セオドア エス.
(72)【発明者】
【氏名】奥田 啓太
【テーマコード(参考)】
2B150
4B001
4B025
4B027
4B035
4B050
4B117
【Fターム(参考)】
2B150CC13
2B150CE02
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2B150DA43
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(57)【要約】
約3.5~約7.0のpHを有し、タンパク質の沈殿に対して安定な安定タンパク質溶液、ならびにそのような安定タンパク質溶液を製造する方法、ならびにそのような安定タンパク質溶液を含むヒトまたは動物が摂取するための飲料および飲料添加物が、本明細書に記載される。これらの安定なタンパク質溶液は、タンパク質、安定剤、およびタンパク質脱アミド酵素を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定なタンパク質溶液であって、
(i)前記溶液の容積基準で約0.1%~約30%w/vのタンパク質、
(ii)前記溶液の容積基準で約0.001%~約5%w/vの安定剤、および
(iii)、約0.5U~約50Uのタンパク質脱アミド酵素活性、または前記溶液中のタンパク質の重量基準で約0.1%~約10%w/wのタンパク質脱アミド酵素を含み、
約3.5~約7.0のpHを有し、タンパク質の沈殿に対して安定である、溶液。
【請求項2】
前記タンパク質脱アミド酵素が、タンパク質のグルタミン残基のアミド基を脱アミド化するプロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素である、請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
前記タンパク質脱アミド酵素が、タンパク質のアスパラギン残基のアミド基を脱アミド化するプロテインアスパラギナーゼ脱アミド酵素である、請求項1に記載の溶液。
【請求項4】
前記タンパク質が、植物性タンパク質、乳タンパク質、および昆虫タンパク質から選択される1つ以上を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項5】
前記タンパク質が、大豆、エンドウ豆、レンズ豆、ヒヨコ豆、マメ科植物、ヘンプ、米、ナッツ、コムギおよびグルテンタンパク質の1つ以上から選択される植物性タンパク質を含む、請求項4に記載の溶液。
【請求項6】
前記ナッツが、ピーナッツ、アーモンド、またはヘーゼルナッツである、請求項5に記載の溶液。
【請求項7】
前記タンパク質がホエータンパク質を含む、請求項4に記載の溶液。
【請求項8】
前記タンパク質が、コオロギ、ケラ、カイコ、サゴワーム、バッタ、サソリ、ゲンゴロウ、チャバネゴキブリ、ミミズ、ミールワーム、およびクモタンパク質の1つ以上から選択される昆虫タンパク質を含む、請求項4に記載の溶液。
【請求項9】
前記安定剤が、ガム、多糖類、およびコラーゲンのうちの1つ以上を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項10】
前記安定剤が、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナンガム、カシアガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、ゼラチン、タマリンドシードガム、アラビアガム、プロピレングリコールアルギネート、ペクチン、ガラクトマンナン(グアーガム)、プルラン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、およびそれらのいずれかの誘導体または組み合わせの1つ以上を含む、請求項9に記載の溶液。
【請求項11】
前記タンパク質脱アミド酵素が、クリセオバクテリウム(Chryseobacterium)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、エンペドバクター(Enpedobacter)、スフィンゴバクテリウム(Sphingobacterium)、アウレオバクテリウム(Aureobacterium)、ミロイデス(Myroides)、サイトファーガレス(Cytophagales)、アクチノマイセス(Actinomycetes)およびフラボバクテリウム科(Flavobacteriaceae)から選択される細菌によって産生される、請求項1~10のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項12】
前記タンパク質脱アミド酵素が、ペニシリウム(Penicillium)微生物によって産生される、請求項1~11のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項13】
前記タンパク質脱アミド酵素が、プロテイングルタミナーゼアマノ500(PGA500)である、請求項1~12のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項14】
前記タンパク質脱アミド酵素が、配列番号1のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有し、タンパク質脱アミド酵素活性を有する配列を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項15】
前記タンパク質脱アミド酵素が、タンパク質脱アミド酵素活性を有し、配列番号1のアミノ酸残基35、38~43、45、46、49、79~84、103~106、117、142、143、146、166、または185に1つ以上の置換または欠失を有する配列番号1の変異アミノ酸配列を含み、場合により、前記変異配列が、配列番号1と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性がある、請求項1~14のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の溶液であって
(i)前記溶液の容積基準で約0.001%~約1%w/vの安定剤、および
(ii)約5U~約50Uのタンパク質脱アミド酵素活性、または前記溶液中のタンパク質の重量基準で約1%~約10%w/wのタンパク質脱アミド酵素を含む、溶液。
【請求項17】
約10~約250mPa・sの粘度を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項18】
前記溶液の容積基準で約5%~約15%w/vのタンパク質を含む、請求項17に記載の溶液。
【請求項19】
前記溶液の容積基準で約0.01%~約1%w/vまたは約0.02%~約0.5%w/vの安定剤を含む、請求項17に記載の溶液。
【請求項20】
約5U~約25Uのタンパク質脱アミド活性、または前記溶液中のタンパク質の重量基準で約1%w/w~約5%w/wのタンパク質脱アミド酵素を含む、請求項17に記載の溶液。
【請求項21】
約4.0~約7.0または約4.0~約5.0のpHを有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項22】
7日間、14日間、21日間、1ヶ月間、2ヶ月間、4ヶ月間、6ヶ間、および8ヶ月間から選択される期間、4℃で保存した後のタンパク質の目視できる沈殿に対して安定である、請求項1~21のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項23】
ヒトまたは動物が摂取するための飲料または飲料添加物として配合される、請求項1~22のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の溶液を含む、ヒトまたは動物が摂取するための飲料または飲料添加物。
【請求項25】
栄養飲料、スポーツ飲料、機能性タンパク質飲料、乳飲料、乳スムージー、フルーツ飲料、フルーツスムージー、コーヒー飲料、茶飲料、植物性ミルク、乳クリーマー、および非乳クリーマーから選択される、請求項24に記載の飲料または飲料添加物。
【請求項26】
フルーツジュース、フルーツジュース濃縮物、野菜ジュース、および野菜ジュース濃縮物のうちの1つ以上をさらに含む、請求項24または請求項25に記載の飲料または飲料添加物。
【請求項27】
前記組成物が酸性ジュースまたはジュース濃縮物を含む、請求項26に記載の飲料または飲料添加物。
【請求項28】
請求項1~23のいずれか一項に記載の溶液、または請求項24~27のいずれか一項に記載の飲料もしくは飲料添加物を製造する方法であって、
(a)前記タンパク質脱アミド酵素を、前記タンパク質および前記安定剤を含む溶液に添加して混合物を得ること、
(b)前記混合物をインキュベーションすること、および
(c)前記混合物を酸性化して、約3.5~約7.0のpHを有する溶液を得ることを含む、方法。
【請求項29】
工程(a)の前に、(i)前記タンパク質を含む溶液と(ii)前記安定剤を含む溶液とを混合する工程をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記インキュベーションが、約30℃~約70℃の温度で約0.5時間~約48時間の間、約3.0~約8.0のpHで撹拌しながら行われる、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記インキュベーションが、約40℃~約60℃の温度で約3時間~約24時間の間、約5.0~約8.0のpHでゆっくりと撹拌しながら行われる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記インキュベーションが、所望の完了レベルに酵素反応が達するまで行われ、当該完了レベルは溶液中の遊離アンモニウムイオンの濃度によって決定される、請求項28~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記酸性化が、酸性ジュースまたはジュース濃縮物を添加することを含む、請求項28~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記タンパク質脱アミド酵素が、プロテイングルタミナーゼアマノ500(PGA500)である、及び/又は配列番号1のアミノ酸配列を有するものであり、且つ前記インキュベーションが50℃で3時間行われる、請求項28~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記溶液を殺菌して、約85℃で約10分間の熱処理に供することをさらに含む、請求項28~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記溶液が、均質化、殺菌、および滅菌から選択される1つ以上の処理に供することをさらに含む、請求項28~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記溶液が、約2,000psi~約20,000psiの圧力で均質化に供される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記溶液が、約100℃で約10秒間~約20秒間の高温短時間(HTST)殺菌、約120℃で約1秒間~約3秒間の超高温(UHT)殺菌、または約75℃~約85℃で約10分間~約20分間の低温長時間(LTLT)殺菌に供される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記溶液が高圧(高比重)滅菌に供される、請求項36に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年2月26日に出願された米国仮出願第62/810,891号の優先権利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本明細書には、タンパク質の沈殿に対して安定な7以下のpHを有する安定なタンパク質溶液、およびそのような安定なタンパク質溶液を製造する方法、および飲料または飲料添加物におけるそれらの使用が記載される。
【背景技術】
【0003】
タンパク質が豊富な食料製品、ならびにタンパク質が豊富なベジタリアンおよびビーガン製品に対する需要が高まっている。特に、植物性タンパク質および他の非動物性タンパク質を含む、タンパク質が豊富な飲料および飲料添加物に対する需要が高まっている。しかしながら、このようなタンパク質を溶液、特に飲料に一般的なpH7以下の溶液中に配合することは、pH7以下ではこのようなタンパク質の溶解度が限られるため、困難である。したがって、pH7以下でのタンパク質の沈殿に対して安定なタンパク質溶液が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
(i)タンパク質、(ii)安定剤、および(iii)タンパク質脱アミド酵素を含む安定なタンパク質溶液であって、pHが約3.5~約7.0であり、タンパク質の沈殿に対して安定である、タンパク質溶液が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、溶液は、(i)溶液の容積基準で約0.1%~約30%w/vのタンパク質、(ii)溶液の容積基準で約0.001%~約5%w/vの安定剤、および(iii)約0.5U~約50Uのタンパク質脱アミド酵素活性または溶液中のタンパク質の重量基準で約0.1%~約10%w/wのタンパク質脱アミド酵素を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、(i)溶液の容積基準で約0.1%~約30%w/vのタンパク質、(ii)溶液の容積基準で約0.001%~約1%w/vの安定剤、および(iii)約5U~約50Uのタンパク質脱アミド酵素活性または溶液中のタンパク質の重量基準で約1%~約10%w/wのタンパク質脱アミド酵素を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、溶液の容積基準で約5%~約15%w/vのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、溶液の容積基準で約0.02%~約0.5%w/vの安定剤を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、溶液中のタンパク質の重量基準で約1%w/w~約5%w/wのタンパク質脱アミド酵素を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、植物性タンパク質(例えば、大豆、エンドウ豆、レンズ豆、ヒヨコ豆、マメ科植物、ヘンプ、米、ナッツ、コムギ、およびグルテンタンパク質(ピーナッツタンパク質およびアーモンドタンパク質を含む))、乳タンパク質(例えば、ホエータンパク質)、および昆虫タンパク質(例えば、コオロギ、ケラ、カイコ、サゴワーム、バッタ、サソリ、ゲンゴロウ、チャバネゴキブリ、ミミズ、ミールワーム、およびクモタンパク質の1つまたは複数)から選択される1つまたは複数を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、安定剤は、1つ以上のガム、多糖類、およびコラーゲン、例えばキサンタンガム、ジェランガム、カラギーナンガム、カシアガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、ゼラチン、タマリンドシードガム、アラビアガム、アルギネート、プロピレングリコールアルギネート、ペクチン、ガラクトマンナン(グアーガム)、プルラン、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、およびそれらのいずれかの誘導体または組み合わせの1つ以上を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、タンパク質のアスパラギンおよび/またはグルタミン残基のアミド基を脱アミドする、例えば、プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素またはプロテインアスパラギナーゼ脱アミド酵素である。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、クリセオバクテリウム(Chryseobacterium)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、エンペドバクター(Enpedobacter)、スフィンゴバクテリウム(Sphingobacterium)、アウレオバクテリウム(Aureobacterium)、ミロイデス(Myroides)、サイトファーガレス(Cytophagales)、アクチノマイセス(Actinomycetes)およびフラボバクテリウム(Flavobacteriaceae)から選択される細菌によって産生される。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、ペニシリウム(Penicillium)微生物によって産生される。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素である、プロテイングルタミナーゼアマノ500(PGA500)である。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、配列番号1のアミノ酸配列(プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素である)、またはそれと少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性を有し、タンパク質脱アミド酵素活性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、配列番号1のアミノ酸残基35、38~43、45、46、49、79~84、103~106、117、142、143、146、166、または185に1つ以上の置換または欠失を有する、配列番号1の変異アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、配列番号1と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性があり、配列番号1のアミノ酸残基35、38~43、45、46、49、79~84、103~106、117、142、143、146、166、または185に1つ以上の置換または欠失を有し、タンパク質脱アミド酵素活性を有する、配列番号1の変異アミノ酸配列を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、溶液は、約4.0~約7.0または約4.0~約5.0のpHを有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、溶液は、7日間、14日間、21日間、1ヶ月間、2ヶ月間、および6ヶ月間(3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、および12ヶ月を含む)から選択される期間、4℃で保存した後に、タンパク質の目視できる沈殿に対して安定である。
【0010】
いくつかの実施形態では、溶液は、ヒトまたは動物が摂取するための飲料または飲料添加物として調合される。
【0011】
本明細書に記載の安定なタンパク質溶液を含む、ヒトまたは動物が摂取するための飲料または飲料添加物も提供される。いくつかの実施形態では、飲料または飲料添加物は、栄養飲料、スポーツ飲料、機能性タンパク質飲料、乳飲料、乳スムージー、フルーツ飲料、フルーツスムージー、コーヒー飲料、茶飲料、植物性ミルク、乳クリーマー、および非乳クリーマーから選択される。いくつかの実施形態では、飲料または飲料添加物は、1つ以上の酸性もしくはフルーツジュース、または酸性もしくはフルーツジュース濃縮物を含む。いくつかの実施形態では、飲料または飲料添加物は、1つ以上の野菜ジュースまたは野菜濃縮物を含む。いくつかの実施形態では、飲料または飲料添加物は、1つ以上の酸性フルーツもしくは野菜ジュース、または酸性フルーツジュースもしくは野菜ジュース濃縮物を含む。
【0012】
本明細書に記載の安定なタンパク質溶液、または本明細書に記載の飲料または飲料添加物を製造する方法であって、(a)タンパク質脱アミド酵素を、タンパク質および安定剤を含む溶液に添加して混合物を得ること、(b)混合物をインキュベーションすること、および(c)混合物を酸性化して、約3.5~約7.0のpHを有する溶液を得ることを含む方法も提供される。いくつかの実施形態では、溶液は、(i)タンパク質を含む溶液と(ii)安定剤を含む溶液とを混合することによって調製される。いくつかの実施形態では、インキュベーションは、酵素反応が所望の完了レベルに達するまで行われ、それは場合により、溶液中の遊離アンモニウムイオンの濃度によって決定される。いくつかの実施形態では、インキュベーションは、約30℃~約70℃の温度で、約0.5時間~約48時間、場合により撹拌しながら、場合により約3.0~約8.0のpHで行われる。いくつかの実施形態では、インキュベーションは、約40℃~約60℃の温度で、約3時間~約24時間、場合により撹拌しながら、場合により約5.0~約8.0のpHで行われる。いくつかの実施形態では、酸性化は、酸性ジュースまたはジュース濃縮物の添加を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、プロテイングルタミナーゼアマノ500(PGA500)、及び/又は本明細書に記載の配列番号1のアミノ酸配列を有するものもしくはその変異体であり、インキュベーションは、50℃で3時間行われる。
【0013】
いくつかの実施形態では、本プロセスは、溶液を約85℃で約10分間熱処理に供することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本プロセスは、溶液を均質化、殺菌、および滅菌から選択される1つ以上の処理に供することをさらに含む。いくつかの実施形態では、均質化は、約2,000psi~約2,500psiを含む、約2,000psi~約20,000psiの圧力で行われる。いくつかの実施形態では、殺菌は、約100℃で約10秒間~約20秒間の高温短時間(HTST)殺菌、約120℃で約1秒間~約3秒間の超高温(UHT)殺菌、または約75℃~約85℃で約10分間~約20分間の低温長時間(LTLT)殺菌を使用して行われる。いくつかの実施形態では、滅菌は、高圧(高比重)滅菌を使用して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(i)プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素およびガムを含む場合、(ii)プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素を含む場合、(iii)ガムを含む場合、および(iv)プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素およびガムを含まない場合の、エンドウ豆タンパク質調合物のpHに基づく吸光度を示す図である。
【
図2】(i)プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素およびガムを含む場合、(ii)プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素を含む場合、(iii)ガムを含む場合、および(iv)プロテイン質グルタミナーゼ脱アミド酵素およびガムを含まない場合の、大豆タンパク質調合物のpHに基づく吸光度を示す図である。
【
図3】(i)プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素およびガムを含む場合、(ii)プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素を含む場合、(iii)ガムを含む場合、および(iv)プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素およびガムを含まない場合の、ヘンプタンパク質調合物のpHに基づく吸光度を示す図である。
【
図4】(i)プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素およびガムを含む場合、(ii)プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素を含む場合、(iii)ガムを含む場合、および(iv)プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素およびガムを含まない場合の、ピーナッツタンパク質調合物のpHに基づく吸光度を示す図である。
【
図5】(i)プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素およびガムを含む場合、(ii)プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素を含む場合、(iii)ガムを含む場合、および(iv)プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素およびガムを含まない場合の、コオロギタンパク質調合物のpHに基づく吸光度を示す図である。
【
図6】(i)プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素およびガム含む場合、および(ii)ガムのみを含む(プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素なし)場合の均質化エンドウ豆タンパク質調合物の吸光度を示す。
【
図7】(i)プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素およびガムを含む場合、および(ii)ガムのみを含む(プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素なし)場合のジュース濃縮物含有均質化大豆タンパク質調合物の吸光度を示す。
【
図8】(i)プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素およびガムを含む場合、および(ii)ガムのみを含む(プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素なし)場合のジュース濃縮物含有均質化ピーナッツタンパク質調合物の吸光度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
本明細書で使用される技術用語および科学用語は、特に定義されない限り、本開示が関係する当業者によって一般的に理解される意味を有する。本明細書では、当業者に知られている様々な方法を参照する。当業者に公知の適切な材料および/または方法を、本開示を実施する際に利用することができる。しかしながら、特定の材料および方法が、例示のためだけに記載されている。以下の説明および実施例において参照される材料、試薬などは、特に断らない限り、商業的供給源から得ることができる。
【0016】
本明細書において、単数形「a」、「an」および「the」は、単数のみを指定するように明示的に述べられていない限り、単数および複数の両方を指定する。
【0017】
本明細書において、「約」という用語は、数または範囲が記載された正確な数または範囲に限定されず、数または範囲が使用される文脈に応じて当業者によって理解されるように、列挙された数または範囲の周りの値を包含することを意味する。文脈または当技術分野の慣例から明らかでない限り、「約」は、特定の語のプラスまたはマイナス10%までを意味する。
【0018】
本明細書には、タンパク質、安定剤、およびタンパク質脱アミド酵素を含む安定なタンパク質溶液であって、約3.5~約7.0のpHを有し、タンパク質の沈殿に対して安定であるタンパク質溶液が記載される。本明細書には、このような溶液を含む飲料および飲料添加物も記載される。本明細書には、そのような安定なタンパク質溶液を作製する方法、およびそれらを含む飲料または飲料添加物を作製する方法も記載される。
【0019】
本明細書において、「タンパク質の沈殿に対して安定」とは、目視できるタンパク質の沈殿がないことを意味する。いくつかの実施形態では、約280nmでの吸光度を評価することによって目視できる沈殿がないことが確認され、ここで、吸光度の増加は、タンパク質の可溶化および沈殿の不存在と相関する。本明細書に記載のタンパク質濃度を有する溶液(沈殿なし)では、約280nmでの典型的な吸光度は、約8~50mgタンパク質/mLの範囲にある。
【0020】
本明細書に記載の安定タンパク質溶液は、飲料および飲料添加物の一般的なpHであるpH7以下の溶液における、タンパク質の配合の課題に対処する。例えば、機能性飲料およびスポーツ飲料を含む多くの飲料は、フルーツおよび/または野菜のジュースまたはジュース香味を含有し、7以下のpH、例えば約7~約3.5のpHを有する。このような飲料にタンパク質を配合すると、溶液から沈殿して、沈降が生じる傾向がある。理論に束縛されるものではないが、この沈殿は、飲料のpHがタンパク質の等電点に近く、タンパク質の不安定化ならびにその沈殿および沈降を引き起こすためであると考えられる。タンパク質の沈殿は、消費者に許容されないことに加えて、香味マスキングの選択肢および他の配合選択肢を制限する。本明細書に記載の溶液の酸性pHでの安定性は、フルーツジュースなどの酸性ジュースのタンパク質溶液への配合を可能にする。以下の実施例に示すように、本明細書に記載の溶液は、酸性pHでも沈殿に対して安定である。したがって、本明細書に記載の溶液によって、フルーツジュースなどの酸性ジュース中に、またはそれと共にタンパク質溶液を配合して、例えば、タンパク質を含有するフルーツジュースベースまたはフルーツ風味もしくはフルーツジュース風味の飲料または飲料添加物を提供することができる。
【0021】
本明細書に記載の安定タンパク質溶液は、この課題に対処するために、タンパク質脱アミド酵素と安定剤との独特の組み合わせを使用する。プロテアーゼ酵素が以前から使用されてきたが、それらの使用は、基質タンパク質の酵素分解から生じる望ましくない香味を有する化合物の形成によって制限される。特定のガム安定剤および乳化剤が以前から使用されてきたが、それらは、凝固、層形成(stratification)、さらには沈殿などの他の望ましくない効果を発揮する高濃度(例えば、2~5%w/v)でのみ有効である。さらに、これらの高濃度で安定剤を使用すると、消費者にとって望ましくない高粘度を有する最終製品をもたらす。対照的に、本明細書に記載の溶液は、飲料および飲料添加物中で、または飲料および飲料添加物として使用するための許容可能な粘度特性、例えば約10~約250mPa・sの範囲の粘度を有する。(参考までに、ミルクは約2~3mPa・sの粘度を有し、ほとんどの植物油は約40~50mPa・sの粘度を有し、チョコレートソースは280mPa・sの粘度を有し得る。)
【0022】
理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載のタンパク質脱アミド酵素は、タンパク質中のグルタミンおよび/またはアスパラギン残基などのアミノ酸残基を脱アミド化し、それによってタンパク質の負電荷を増加させ、タンパク質の等電点を低下させ、酸性pH値でのその溶解度を増加させると考えられる。その結果、酸性pHでのタンパク質溶解度が向上する。また、理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載の特定のタンパク質脱アミド酵素は、ペプチド結合を切断することなくタンパク質を脱アミド化することによって、例えば、タンパク質中のグルタミン残基をグルタミン酸に変換すること、および/またはタンパク質中のアスパラギン残基をアスパラギン酸に変換することを含む、タンパク質中のアミノ酸残基のアミド基を脱アミド化することによって、望ましくない香味化合物を生成することなくタンパク質溶解度を増加させる。
【0023】
タンパク質の溶解度は、酵素処理のみである程度増加し得るが、pH7以下で、例えば消費者用飲料および飲料添加物製品に典型的な保存条件を超えるような長期間にわたり、タンパク質の沈殿に対して安定な溶液を提供するために、さらなる調合アプローチが必要である。したがって、本明細書に記載の溶液は、タンパク質溶液の安定性をさらに促進し、冷蔵条件下で長期間、例えば4°Cの保存下で、7日間、14日間、21日間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、および12ヶ月間、例えば4ヶ月間または8ヶ月間、タンパク質の沈殿に対して安定な、約3.5~約7のpHを有する溶液の調製を可能にする安定剤を含む。先に記載された調合物とは異なり、本明細書に記載された溶液は、比較的少量の安定剤のみを必要とし、その結果、本明細書に記載された安定剤の使用で溶液の物理化学的特性は損なわれず、凝固、層形成、沈殿または高粘度などの消費者に許容されない効果は生じない。
【0024】
本明細書に記載の溶液は、以下の実施例に示すように、均質化に供してもよく、均質化後にタンパク質沈殿に対する安定性を示し得る。したがって、均質化プロセスがタンパク質-タンパク質相互作用の変化を引き起こす場合があるとしても、本明細書に記載の溶液中に配合されたタンパク質は、均質化後でも溶液中に残存し得る。
【0025】
上記のように、特定の実施形態によれば、(i)タンパク質、(ii)安定剤、および(iii)タンパク質脱アミド酵素を含む安定なタンパク質溶液であって、pHが約3.5~約7.0であり、タンパク質の沈殿に対して安定であるタンパク質溶液が提供される。特定の態様および特定の実施形態は、以下でより詳細に説明される。
【0026】
タンパク質
本明細書において、配合できるタンパク質は限定されないが、目的の実施形態は、ヒトまたは動物の摂取に適したタンパク質、例えば動物、植物、乳、およびヒトまたは動物の摂取に適した昆虫タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の溶液は、植物性タンパク質、乳タンパク質、および昆虫タンパク質から選択される1つ以上のタンパク質を含む。
【0027】
適切な植物性タンパク質の例としては、大豆、エンドウ豆、レンズ豆、ヒヨコ豆、マメ科植物、ヘンプ、米、ナッツ、コムギおよびグルテンタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、植物性タンパク質は、大豆、エンドウ豆、レンズ豆、ヒヨコ豆、マメ科植物、ヘンプ、米、ナッツ、コムギおよびグルテンタンパク質の1つ以上から選択される。いくつかの実施形態では、ナッツは、ピーナッツ、アーモンド、またはヘーゼルナッツである。いくつかの実施形態では、タンパク質はエンドウ豆タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は大豆タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質はピーナッツタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質はヘンプタンパク質を含む。
【0028】
適切な乳タンパク質の例としては、ホエータンパク質が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、タンパク質は、ホエータンパク質を含む。
【0029】
適切な昆虫タンパク質の例としては、コオロギ、ケラ、カイコ、サゴワーム、バッタ、サソリ、ゲンゴロウ、チャバネゴキブリ、ミミズ、ミールワーム、およびクモタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、タンパク質は、コオロギ、ケラ、カイコ、サゴワーム、バッタ、サソリ、ゲンゴロウ、チャバネゴキブリ、ミミズ、ミールワーム、およびクモタンパク質の1つ以上から選択される昆虫タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、コオロギタンパク質を含む。
【0030】
安定剤
上記のように、本明細書に記載の溶液は、安定剤を含む。適切な安定剤の例としては、限定されないが、親水コロイド(ガム)、多糖類、およびコラーゲンが挙げられる。いくつかの実施形態では、安定剤は、ガム、多糖類、およびコラーゲンの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、安定剤は、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナンガム、カシアガム、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、ゼラチン、タマリンドシードガム、アラビアガム、アルギネート、プロピレングリコールアルギネート、ペクチン、ガラクトマンナン(グアーガム)、プルラン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、およびそれらのいずれかの誘導体または組み合わせの1つ以上を含む。特定の実施形態では、安定剤は、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナンガム、タラガム、ペクチン、アルギネート、およびCMCから選択される。いくつかの実施形態では、安定剤はジェランガムを含む。いくつかの実施形態では、安定剤はカラギーナンガムを含む。いくつかの実施形態では、安定剤はペクチンガムを含む。いくつかの実施形態では、安定剤はキサンタンガムを含む。以下の実施例に示すように、異なる安定剤は、異なるpH範囲または異なるpH値でより効果的であり得る。したがって、安定剤の選択は、いくつかの点で最終生成物のpHによって導かれ得る。
【0031】
タンパク質脱アミド酵素
上記のように、本明細書に記載の溶液は、タンパク質脱アミド酵素を含む。本明細書において、「タンパク質脱アミド酵素」は、タンパク質のアミノ酸残基のアミド基を脱アミド化する酵素である。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、タンパク質のアスパラギンおよび/またはグルタミン残基のアミド基を脱アミドする。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、タンパク質のグルタミン残基のアミド基を脱アミドする。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、タンパク質のアスパラギン残基のアミド基を脱アミドする。適切なタンパク質脱アミド酵素の例としては、米国特許第6、756、221号、米国特許第6、251、651号、米国特許第7、462、477号、および米国特許第8、735、131号に記載されているものが挙げられ、これらは、特にそこに開示されているタンパク質脱アミド酵素に関して、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、クリセオバクテリウム(Chryseobacterium)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、エンペドバクター(Enpedobacter)、スフィンゴバクテリウム(Sphingobacterium)、アウレオバクテリウム(Aureobacterium)、ミロイデス(Myroides)、サイトファーガレス(Cytophagales)、アクチノマイセス(Actinomycetes)、およびフラボバクテリウム科(Flavobacteriaceae)から選択される細菌によって、またはペニシリウム(Penicillium)微生物によって産生される。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、クリセオバクテリウム(Chryseobacterium)由来の細菌によって産生される。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、フラボバクテリウム(Flavobacterium)由来の細菌によって産生される。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、エンペドバクター(Enpedobacter)由来の細菌によって産生される。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、スフィンゴバクテリウム(Sphingobacterium)由来の細菌によって産生される。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、アウレオバクテリウム(Aureobacterium)由来の細菌によって産生される。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、ミロイデス(Myroides)由来の細菌によって産生される。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、サイトファーガレス(Cytophagales)由来の細菌によって産生される。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、アクチノマイセス(Actinomycetes)由来の細菌によって産生される。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、フラボバクテリウム科(Flavobacteriaceae)由来の細菌によって産生される。
【0033】
いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、天野エンザイムから市販されているプロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素「プロテイングルタミナーゼアマノ500(PGA500)」である。
【0034】
いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、配列番号1のアミノ酸配列(プロテイングルタミナーゼ脱アミド酵素である)、またはそれと少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性があり、タンパク質脱アミド酵素活性を有する配列を有するか、または含む。タンパク質脱アミド酵素活性の程度は、タンパク質脱アミド酵素の機能を発揮できれば特に限定されないが、配列番号1のアミノ酸配列を有する酵素と同等以上であることが好ましい。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、配列番号1のアミノ酸残基35、38~43、45、46、49、79~84、103~106、117、142、143、146、166、または185に1つ以上の置換または欠失を有する、配列番号1の変異アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、配列番号1と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の同一性があり、配列番号1のアミノ酸残基35、38~43、45、46、49、79~84、103~106、117、142、143、146、166、または185に1つ以上の置換または欠失を有し、タンパク質脱アミド酵素活性を有する、配列番号1の変異アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、米国特許第8、735、131号に記載されているように、配列番号1のアミノ酸残基39、40、41、43、79~82、142、143、146、166または185に1つ以上の置換または欠失、例えば配列番号1のアミノ酸残基35、38、40~43、45、46、49、80~84、103~106または117に1つ以上の置換または欠失を有する、配列番号1の配列の変異アミノ酸配列を有するか、または含む。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、米国特許第8、735、131号に記載されているように、配列番号1のアミノ酸残基82または84に1つ以上の置換または欠失を有する配列番号1の変異アミノ酸配列を有するか、または含む。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、米国特許第8、735、131号に記載されているように、例えば配列番号1のアミノ酸残基82でのセリン置換などの配列番号1のアミノ酸残基82での置換、および/または、例えば配列番号1のアミノ酸残基84でのアスパラギン酸置換などの配列番号1のアミノ酸残基84での置換などの配列番号1の変異アミノ酸配列を有するか、または含む。
【0035】
安定なタンパク質溶液
上記のように、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の安定なタンパク質溶液は、
(i)溶液の容積基準で約0.1%~約30%w/vのタンパク質、
(ii)溶液の容積基準で約0.001%~約5%、例えば約0.001%~約1%w/vの安定剤、および
(iii)約0.5U~約50Uのタンパク質脱アミド酵素活性、または溶液中のタンパク質の重量基準で約0.1%~約10%、例えば約1%~約10%w/wのタンパク質脱アミド酵素を含み、ここで、タンパク質脱アミド酵素活性は、以下の実施例16のアッセイに従って決定され得る。
【0036】
したがって、いくつかの実施形態では、溶液は、溶液の容積(例えば、溶液の最終容積)基準で約0.1%~約30%w/v、または約0.5~約30%w/w、または約5~約25%w/w、または約10~約20%w/wのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、溶液の体積に基づいて、約1%~約15%w/vのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、溶液の体積に基づいて、約5%~約15%w/vのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、溶液の容積基準で、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約20%、約25%、または約30%w/vのタンパク質、例えば溶液の容積基準で、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、または30%w/vのタンパク質を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、溶液は、溶液の容積基準で約0.001%~約5%w/vの安定剤、例えば溶液容積基準で約0.001%~約1.5%、約0.001%~約2%、約0.001%~約3%、および約0.001%~約4%w/vの安定剤を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、溶液の容積基準で約0.001%~約1%w/vの安定剤、例えば溶液の体積に基づいて約0.01%~約1%、約0.01%~約0.5%、および約0.02%~約0.5%w/vの安定剤を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、溶液の容積基準で約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%w/vの安定剤、例えば0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、または0.5%w/vの安定剤を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、溶液の容積基準で約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.5%、約2%、約3%、約4%または約5%w/vの安定剤、例えば0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.5%、2%、3%、4%、および5%w/vの安定剤を含む。いくつかの実施形態では、使用される比較的少量の安定剤は、飲料および飲料添加物について消費者に許容される粘度、例えば約10~約250mPa・sの粘度を有する溶液をもたらす。
【0038】
いくつかの実施形態では、溶液は、溶液中のタンパク質の重量基準で約0.1%w/w~約10%w/wのタンパク質脱アミド酵素、例えば溶液中のタンパク質の重量基準で約0.1%w/w~約1.0%w/w、約0.5%w/w~約1.0%w/w、約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、約0.5%w/w、または約0.6%w/w、約0.7%w/w、約0.8%w/w、または約0.9%w/wのタンパク質脱アミド酵素を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、溶液中のタンパク質の重量基準で約1%w/w~約10%w/wのタンパク質脱アミド酵素を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、溶液中のタンパク質の重量基準で約1%w/w~約5%w/wのタンパク質脱アミド酵素、例えば溶液中のタンパク質の重量基準で約1%w/w、約2%w/w、約3%w/w、約4%w/w、または約5%w/w(1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%を含む)のタンパク質脱アミド酵素を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、溶液は、約0.5U~約50Uのタンパク質脱アミド酵素活性、例えば約0.5U~約5.0U、約2.5U~約5.0U、約0.5U、約1.0U、約2.0U、約2.5U、約3.0U、約4.0Uまたは約5.0Uのタンパク質脱アミド酵素活性を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、約5U~約50Uのタンパク質脱アミド酵素活性を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、約5U~約25Uのタンパク質脱アミド酵素活性、例えば約5U、約10U、約15U、約20U、または約25U(5U、10U、15U、20U、25U、30U、35U、40U、45U、または50Uを含む)のタンパク質脱アミド酵素活性を含む。タンパク質脱アミド酵素活性は、以下の実施例16に記載されるように決定され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、溶液(または本明細書に記載の溶液を含む飲料もしくは飲料添加物)は、約3.5~約7(3.5~7を含む)、例えば約3.5~約5.5(3.5~5.5を含む)のpHを有する。いくつかの実施形態では、溶液(または本明細書に記載の溶液を含む飲料もしくは飲料添加物)は、約4.0~約5.0(4.0~5.0を含む)のpHを有する。いくつかの実施形態では、溶液(または本明細書に記載の溶液を含む飲料もしくは飲料添加物)は、約4.0~約7.0(4.0~7.0を含む)のpH、例えば、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、または約7.0(3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、または7.0を含む)のpHを有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、溶液(または本明細書に記載の溶液を含む飲料もしくは飲料添加物)の粘度は、約10~約250mPa・s(10~250mPa・sを含む)である。いくつかの実施形態では、溶液(または本明細書に記載の溶液を含む飲料もしくは飲料添加物)の粘度は、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約210、約220、約230、約240、または約250mPa・s(10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または250mPa・sを含む)である。粘度は、スピンドルS61を使用するAMETEK BROOKFIELD粘度計を室温(~20℃)で使用して測定することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、溶液(または本明細書に記載の溶液を含む飲料もしくは飲料添加物)は、7日間、14日間、21日間、1ヶ月間、2ヶ月間、および6ヶ月間から選択される期間、4℃で保存した後に、タンパク質の目視できる沈殿に対して安定である。いくつかの実施形態では、溶液は、7日間、14日間、21日間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、および12ヶ月間から選択される期間、例えば、4ヶ月間または8ヶ月間、4℃で保存した後に、タンパク質の目視できる沈殿に対して安定である。いくつかの実施形態では、溶液(または本明細書に記載の溶液を含む飲料もしくは飲料添加物)は、4℃で7日間保存した後に、タンパク質の目視できる沈殿に対して安定である。いくつかの実施形態では、溶液(または本明細書に記載の溶液を含む飲料もしくは飲料添加物)は、4℃で14日間保存した後に、タンパク質の目視できる沈殿に対して安定である。いくつかの実施形態では、溶液(または本明細書に記載の溶液を含む飲料もしくは飲料添加物)は、4℃で21日間保存した後に、タンパク質の目視できる沈殿に対して安定である。いくつかの実施形態では、溶液(または本明細書に記載の溶液を含む飲料もしくは飲料添加物)は、4℃で1ヶ月間保存した後に、タンパク質の目視できる沈殿に対して安定である。いくつかの実施形態では、溶液(または本明細書に記載の溶液を含む飲料もしくは飲料添加物)は、4℃で2ヶ月間保存した後に、タンパク質の目視できる沈殿に対して安定である。いくつかの実施形態では、溶液(または本明細書に記載の溶液を含む飲料もしくは飲料添加物)は、4℃で4ヶ月間保存した後に、タンパク質の目視できる沈殿に対して安定である。いくつかの実施形態では、溶液(または本明細書に記載の溶液を含む飲料もしくは飲料添加物)は、4℃で6ヶ月間保存した後に、タンパク質の目視できる沈殿に対して安定である。いくつかの実施形態では、溶液(または本明細書に記載の溶液を含む飲料もしくは飲料添加物)は、4℃で8ヶ月間保存した後に、タンパク質の目視できる沈殿に対して安定である。上記および以下の実施例に示すように、沈殿に対する安定性は、280nmでの吸光度を測定することによっても評価することができ、吸光度の増加が、タンパク質の可溶化、つまり沈殿の減少または不存在と相関する。
【0043】
飲料または飲料添加物
本明細書に記載のタンパク質溶液は、ヒトまたは動物による摂取のための飲料または飲料添加物として配合されてもよく、またはヒトまたは動物による摂取のための飲料または飲料添加物を調製するために使用されてもよい。飲料または飲料添加物の例には、栄養飲料、スポーツ飲料、機能性タンパク質飲料、乳飲料、乳スムージー、フルーツ飲料、フルーツスムージー、コーヒー飲料、茶飲料、植物性ミルク、乳クリーマー、および非乳クリーマーが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、飲料または飲料添加物は、栄養飲料、スポーツ飲料、機能性タンパク質飲料、乳飲料、乳スムージー、フルーツ飲料、フルーツスムージー、コーヒー飲料、茶飲料、植物性ミルク、乳クリーマー、および非乳クリーマーから選択される。飲料または飲料添加物は、1つ以上のフルーツジュース、ビタミン、および香味剤をさらに含んでもよい。
【0044】
上記のように、いくつかの実施形態では、飲料または飲料添加物は、1つ以上の酸性ジュース、例えば、酸性フルーツジュースおよび/または酸性野菜ジュースを含む、フルーツおよび野菜ジュースとの混合物を含むフルーツまたは野菜ジュースを1つ以上含む。このようなジュースの例としては、リンゴジュース、サクランボジュース、クランベリージュース、ブドウジュース、パイナップルジュース、ザクロジュース、グレープフルーツジュース、グアバジュース、ハニーデュージュース、ライムジュース、レモンジュース、ブラックベリージュース、オレンジジュース、パイナップルジュース、ラズベリージュース、バナナピューレ、アプリコットジュース、モモジュース、アサイーピューレ、アサイージュース、キウイフルーツジュース、サトウキビジュース、イチゴジュース、スイカジュース、パッションフルーツジュース、セロリジュース、ニンジンジュース、ジャガイモジュース、ビートジュース、パセリジュース、トマトジュース、クレソンジュースおよびカブジュースが挙げられる。上記のように、酸性pHでの沈殿に対して安定なタンパク質溶液に関する本開示では、タンパク質を含有するフルーツおよび/または野菜ジュースベースの、あるいはフルーツおよび/または野菜の、あるいはフルーツおよび/または野菜ジュース風味の飲料または飲料添加物を提供するために、タンパク質溶液をフルーツおよび/または野菜ジュース中あるいはそれと共に配合することができる。
【0045】
調製方法
本明細書に記載の安定なタンパク質溶液を製造する方法、ならびに飲料および飲料添加物を製造する方法も本明細書に記載する。この方法は、(a)タンパク質脱アミド酵素を、タンパク質および安定剤を含む溶液に添加して混合物を得ること、(b)混合物をインキュベーションすること、および(c)混合物を酸性化して、約3.5~約7.0のpHを有する溶液を得ることを含み得る。いくつかの実施形態では、溶液は、(i)タンパク質を含む溶液と(ii)安定剤を含む溶液とを混合することによって調製される。この方法は、タンパク質および安定剤を含む混合物を準備することと、タンパク質脱アミド酵素を混合物に添加することと、混合物をインキュベーションすることとを含み得る。いくつかの実施形態では、インキュベーションは、酵素反応が所望の完了レベルに達するまで行われ、それは場合により、溶液中の遊離アンモニウムイオンの濃度によって決定される。この方法は、一般に、タンパク質を含む溶液を、安定剤を含む溶液と混合して、タンパク質および安定剤を含む混合物を得ることと、タンパク質脱アミド酵素を混合物に添加することと、混合物をインキュベーションすることとを含み得る。混合および添加は、任意の順序で行うことができる。いくつかの実施形態では、混合は、酵素が添加される前に完了する。
【0046】
この方法はまた、例えば、溶液を約3.5~約7.0のpHに酸性化することによって、溶液のpHを約3.5~約7.0のpHに調整することを含み得る。いくつかの実施形態では、溶液を酸性化することは、酸性フルーツジュースまたは酸性フルーツジュース濃縮物、および/または酸性野菜ジュースまたは酸性野菜ジュース濃縮物などの酸性ジュースまたはジュース濃縮物を添加することを含む。いくつかの実施形態では、溶液は、例えば、酸性添加剤および酸性ジュースまたはジュース濃縮物などの酸性化剤の2種以上によって酸性化される。いくつかの実施形態では、酸性化剤は、他の目的、例えば、溶液の香味付けまたは栄養もしくは機能性食品の含有量の増強のために添加され、酸性pHは、その目的のために添加された酸性化剤の量から生じる。
【0047】
インキュベーション条件は、酵素が活性である任意の温度およびpH、ならびに所望の脱アミドレベルを達成するために必要な任意の時間など、使用する特定のタンパク質脱アミド酵素に適した任意のインキュベーション条件であり得る。いくつかの実施形態では、脱アミド反応の進行は、溶液中の遊離アンモニウムイオンの濃度を測定することなどによってモニターされる。例えば、溶液中の遊離アンモニウムイオンの濃度が特定のレベルに達すると、反応は完了したとみなしてもよい。本明細書に記載のタンパク質量を有する溶液については、溶液中の遊離アンモニウムイオンの濃度が、溶液の容積基準で約0.002%~約0.07%w/v、例えば溶液の容積基準で0.002%~0.07%w/v(約0.002%、約0.003%、約0.004%、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、または約0.07%w/v、または0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%また0.07%w/vを含む)に達すると、反応が完了したとみなすことができる。インキュベーション条件は、撹拌を含むことができる。撹拌は、低速(例えば約150~約250rpm)または高速(例えば約3,000~約5,000rpm)であり得る。いくつかの実施形態では、撹拌は、振動台を用いて約150~約250rpmの範囲の撹拌で行われる。いくつかの実施形態では、撹拌は、振動台を用いて約3,000~約5,000rpmの範囲の撹拌で行われる。
【0048】
インキュベーション工程は、約30℃~約70℃の温度で、約0.5時間~約48時間、約3.0~約8.0のpHで行われてもよい。一般に、インキュベーションは、約40℃~約60℃の温度で、約3時間~約24時間、約5.0~約8.0のpHで行われる。いくつかの実施形態では、インキュベーションは、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、または約70℃の温度で行われる。いくつかの実施形態では、インキュベーションは、約0.5時間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約48時間行われる。いくつかの実施形態では、インキュベーションは、約3、約3.5、約4、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、または約8.0のpHで行われる。
【0049】
いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、プロテイングルタミナーゼアマノ500(PGA500)であり、インキュベーションは、50℃で3時間、約5.0~約8.0のpHで行われる。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、配列番号1のアミノ酸配列を有するかまたは含み、インキュベーションは、50℃で3時間、約5.0~約8.0のpHで行われる。いくつかの実施形態では、タンパク質脱アミド酵素は、本明細書に記載の配列番号1の変異体であり、インキュベーションは、50℃で3時間、約5.0~約8.0のpHで行われる。
【0050】
溶液は、1つ以上のさらなる処理工程、例えば、1つ以上の香味または栄養成分の添加、熱処理、均質化、濾過、殺菌、および滅菌のうちの1つ以上に供されてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、方法は、溶液を熱処理、例えば、約75℃~約95℃での熱処理に約5分~約20分間供することをさらに含む。いくつかの実施形態では、熱処理は、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、または約95℃で、約5分間、10分間、15分間、または約20分間行われる。いくつかの実施形態では、熱処理は、約85℃で約10分間行われる。
【0052】
いくつかの実施形態では、本プロセスは、溶液を均質化に供することをさらに含む。いくつかの実施形態では、均質化は、約2,000psi~約20,000psi、例えば約2,000psi~約2,500psiの圧力で行われる。いくつかの実施形態では、均質化は、約2,000psi、約5,000psi、約10,000psi、約15,000psi、または約20,000psiの圧力で行われる。いくつかの実施形態では、均質化は、約2,000psi、約2,500psi、約3,000psi、約3,500psi、約4,000psi、約4,500psi、または約5,000psiの圧力で行われる。
【0053】
いくつかの実施形態では、本プロセスは、溶液を殺菌に供することをさらに含む。いくつかの実施形態では、殺菌は、高温短時間(HTST)殺菌、超高温(UHT)殺菌、または低温長時間(LTLT)殺菌を使用して行われる。いくつかの実施形態では、殺菌は、高温短時間(HTST)殺菌を使用して実施される。いくつかの実施形態では、殺菌は、約90℃~約110℃での約5秒~約30秒の高温短時間(HTST)殺菌を使用して行われる。いくつかの実施形態では、殺菌は、約100℃での約10秒~約20秒の高温短時間(HTST)殺菌を使用して行われる。いくつかの実施形態では、殺菌は、超高温(UHT)殺菌を使用して実施される。いくつかの実施形態では、殺菌は、約110℃~約130℃での約1秒~約10秒間の超高温(UHT)殺菌を使用して行われる。いくつかの実施形態では、殺菌は、約120℃での約1秒~約3秒間の超高温(UHT)殺菌を使用して行われる。いくつかの実施形態では、殺菌は、低温長時間(LTLT)殺菌を使用して行われる。いくつかの実施形態では、殺菌は、約65℃~約95℃での約5分~約30分間の低温長時間(LTLT)殺菌を使用して行われる。いくつかの実施形態では、殺菌は、約75℃~約85℃での約10分~約20分間の低温長時間(LTLT)殺菌を使用して行われる。
【0054】
いくつかの実施形態では、本プロセスは、溶液を滅菌に供することをさらに含む。いくつかの実施形態では、滅菌は、高圧(高比重)滅菌を使用して行われる。
【0055】
本明細書に記載の飲料または飲料添加物を製造する方法は、本明細書に記載の安定なタンパク質溶液を飲料または飲料添加物組成物に添加すること、または本明細書に記載の溶液を飲料または飲料添加物として調製することを含み得る。例えば、本明細書に記載の安定なタンパク質溶液は、予め調製された栄養飲料、スポーツ飲料、機能性タンパク質飲料、乳飲料、乳スムージー、フルーツ飲料、フルーツスムージー、コーヒー飲料、茶飲料、植物性ミルク、乳クリーマーまたは非乳クリーマーに対して、飲料または飲料添加物中に所望のタンパク質量を付与する量で添加することができる。あるいは、本明細書に記載の安定なタンパク質溶液は、栄養飲料、スポーツ飲料、機能性タンパク質飲料、乳飲料、乳スムージー、フルーツ飲料、フルーツスムージー、コーヒー飲料、茶飲料、植物性ミルク、乳クリーマーまたは非乳クリーマーとして、例えばそのような飲料および飲料添加物の他の成分、ならびに所望の量のタンパク質を含有させて調製することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、最終溶液、飲料または飲料添加物は、溶液中のタンパク質の重量基準で最大約30%w/w(約30%w/wを含む)のタンパク質含有量を有する。いくつかの実施形態では、最終溶液、飲料または飲料添加物は、溶液中のタンパク質の重量基準で約0.5~約30%w/w(0.5~30%w/w、または約5~約25%w/w、または約10~約20%w/wを含む)のタンパク質含有量を有する。いくつかの実施形態では、最終溶液、飲料、または飲料添加物は、溶液中のタンパク質の重量基準で、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、または約30%w/wのタンパク質含有量を有する。
【0057】
任意の実施形態では、飲料または飲料添加物は、フルーツまたは野菜ジュース、ビタミン、栄養補助食品、香味剤、着色剤、および防腐剤の1つ以上を包含する飲料または飲料添加物に通常存在する1つ以上の成分をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、飲料または飲料添加物は、リンゴジュース、サクランボジュース、クランベリージュース、ブドウジュース、パイナップルジュース、ザクロジュース、グレープフルーツジュース、グアバジュース、ハニーデュージュース、ライムジュース、レモンジュース、ブラックベリージュース、オレンジジュース、パイナップルジュース、ラズベリージュース、バナナピューレ、アプリコットジュース、モモジュース、アサイーピューレ、アサイージュース、キウイフルーツジュース、サトウキビジュース、イチゴジュース、スイカジュース、パッションフルーツジュース、セロリジュース、ニンジンジュース、ジャガイモジュース、ビートジュース、パセリジュース、トマトジュース、クレソンジュースおよびカブジュースから選択される1つ以上を包含する酸性フルーツジュースを1つ以上包含する、酸性ジュース1つ以上またはフルーツおよび野菜ジュース1つ以上を含む。
【0058】
以下の特定の実施例は、本明細書に記載の組成物および方法の例示として含まれる。これらの実施例は、決して本開示の範囲を限定することを意図するものではない。本開示の他の態様は、本開示が関係する当業者には明らかであろう。
【実施例】
【0059】
実施例1:エンドウ豆タンパク質溶液(調合物1~4)
以下の表に示すように、エンドウ豆タンパク質溶液は、粉末形態のエンドウ豆タンパク質単離物(NOW Foods)をタンパク質として使用し、安定剤としてジェランガム(Ticagel(登録商標)Gellan HS NGMO、TIC Gumsの高アシルジェランガム)を含むものおよび含まないもの、ならびにタンパク質脱アミド酵素としてPGA500(天野エンザイム株式会社)を含むものおよび含まないものを調製した。
【0060】
例えば、エンドウ豆タンパク質の10%(w/v)水溶液を調製し、ジェランガムの0.2%(w/v)水溶液と混合して、3%(w/v)のエンドウ豆タンパク質および0.03~0.05%(w/v)のジェランガムを含む水溶液を得た。PGA500含有溶液には、酵素をタンパク質の2%(w/w)の量で添加し、50℃で3時間インキュベーションした。PGA500非含有調合物については、溶液をインキュベーションせずに50℃に加熱した。クエン酸でpH4.0~4.5に酸性化した後、85℃で10分間熱処理した。他の調合物は、同様のプロセスによって作製した。
【0061】
得られた溶液をラボ用VWR冷蔵庫にて4°Cで保存し、24時間後および72時間後に、(i)目視検査、(2)上清の可溶性タンパク質含量の280nmの吸光度での測定、(3)粘度計(AMETEK BROOKFIELD)を用いた粘度測定、および(4)pH測定により評価を行った。結果を以下の表に報告する。
【表1】
【0062】
この結果は、分散対分離の外見およびより高い吸光度(タンパク質の可溶性の増加を反映する)によって示されるように、本開示による調合物(PGA500およびガムを含む)(調合物2)は約4.5のpHでタンパク質の沈殿に対して安定であったことを示している。
【0063】
実施例2:大豆タンパク質溶液(調合物5~12)
以下の表に示すように、大豆タンパク質溶液は、粉末形態の大豆タンパク質単離物(NOW Foods)をタンパク質として使用し、安定剤としてジェランガム(TIC GumsのTicagel(登録商標)Gellan HS NGMO)を含むものおよび含まないもの、ならびにタンパク質脱アミド酵素としてPGA500(天野エンザイム株式会社)を含むものおよび含まないものを調製した。
【0064】
例えば、大豆タンパク質の10%(w/v)水溶液を調製し、ジェランガムの0.2%(w/v)水溶液と混合して、3%(w/v)大豆タンパク質および0.10%(w/v)ジェランガムを含む水溶液を得た。PGA500含有調合物には、酵素をタンパク質の2%(w/w)の量で添加し、50℃で3時間インキュベーションした。PGA500非含有調合物については、溶液をインキュベーションせずに50℃に加熱した。クエン酸でpH4.0~4.6に酸性化した後、85℃で10分間熱処理した。他の調合物は、同様のプロセスによって作製した。
【0065】
得られた溶液をラボ用VWR冷蔵庫内で4℃で保存し、上記実施例1で記載したように評価した。結果を以下の表に報告する。
【表2】
【0066】
この結果は、分散対分離の外見およびより高い吸光度によって示されるように、本開示による調合物(PGA500およびガムを含む)(調合物6および10)が酸性pH(約4.0~4.5)でタンパク質の沈殿に対して安定であったことを示している。
【0067】
実施例3:ピーナッツタンパク質溶液(調合物13~16)
以下の表に示すように、ピーナッツタンパク質溶液は、ピーナッツタンパク質粉末(Tru-Nut Company)をタンパク質として使用し、安定剤としてジェランガム(TIC GumsのTicagel(登録商標)Gellan HS NGMO)を含むものおよび含まないもの、ならびにタンパク質脱アミド酵素としてPGA500(天野エンザイム株式会社)を含むものおよび含まないものを調製した。
【0068】
例えば、ピーナッツタンパク質の10%(w/v)水溶液を調製し、ジェランガムの0.2%(w/v)水溶液と混合して、3%(w/v)のピーナッツタンパク質および0.02%(w/v)のジェランガムを含む水溶液を得た。PGA500含有調合物には、酵素をタンパク質の2%(w/w)の量で添加し、50℃で3時間インキュベーションした。PGA500非含有調合物については、溶液をインキュベーションせずに50℃に加熱した。クエン酸でpH4.0~4.5に酸性化した後、85℃で10分間熱処理した。他の調合物は、同様のプロセスによって作製した。
【0069】
得られた溶液をラボ用VWR冷蔵庫内で4℃で保存し、上記実施例1で記載したように評価した。結果を以下の表に報告する。
【表3】
【0070】
この結果は、本開示による調合物(PGA500およびガムを含む)(調合物14)が、他の調合物に比べて高い吸光度(タンパク質の可溶性の増加を反映する)であることによって示されるように、酸性pH(約4.0)で、タンパク質の沈殿に対してより安定であったことを示している。観察されたわずかな沈降は、ピーナッツタンパク質の性質、および処理条件がピーナッツタンパク質に対して最適化されなかったという事実のためであり得る。
【0071】
実施例4:コオロギタンパク質溶液(調合物17~24)
以下の表に示すように、コオロギタンパク質溶液は、コオロギタンパク質を68%(w/w)含有するコオロギ粉末(LITHIC)を使用し、安定剤としてジェランガム(TIC GumsのTicagel(登録商標)Gellan HS NGMO)を含むものおよび含まないもの、ならびにタンパク質脱アミド酵素としてPGA500(天野エンザイム株式会社)を含むものおよび含まないものを調製した。
【0072】
例えば、コオロギ粉末の10%(w/v)水溶液を調製し、ジェランガムの0.2%(w/v)水溶液と混合して、3%(w/v)コオロギ粉末および.03%(w/v)ジェランガムを含む水溶液を得た。PGA500含有溶液には、酵素をタンパク質の2%(w/w)の量で添加し、50℃で3時間インキュベーションした。PGA500非含有調合物については、溶液をインキュベーションせずに50℃に加熱した。クエン酸でpH4.0~4.5に酸性化した後、85℃で10分間熱処理した。他の調合物は、同様のプロセスによって作製した。
【0073】
得られた溶液をラボ用VWR冷蔵庫内で4℃で保存し、上記実施例1で記載したように評価した。結果を以下の表に報告する。
【表4】
【0074】
この結果は、本開示による調合物(PGA500およびガムを含む)(調合物18および22)が、他の調合物よりも高い吸光度値(タンパク質の可溶性の増加を反映する)であることによって示されるように、酸性pH(約4.0~約4.5)で、タンパク質の沈殿に対してより安定であったことを示す。調合物21~24がpH4.0付近であるのに対して調合物17~20はpH4.5付近(いくらかの測定誤差がある)に調製されているので、調合物18(pH4.5)と比べて調合物22(pH4.0)の低いpHは、pHの低下により懸濁液中のタンパク質が減少して、調合物22でより低い吸光度および粘度が観察されたことを示している。
【0075】
実施例5:ヘンプタンパク質溶液(調合物25~28)
以下の表に示すように、ヘンプタンパク質溶液は、ヘンプタンパク質粉末(Nutiva)をタンパク質として使用し、安定剤としてカラギーナンガム(TIC GumsのTicaloid(登録商標)750)を含むものおよび含まないもの、ならびにタンパク質脱アミド酵素としてPGA500(天野エンザイム株式会社)を含むものおよび含まないものを調製した。
【0076】
例えば、ヘンプタンパク質の10%(w/v)水溶液を調製し、カラギーナンガムの1.0%(w/v)水溶液と混合して、3%(w/v)ヘンプタンパク質および0.5%(w/v)カラギーナンガムを含む水溶液を得た。PGA500含有溶液には、酵素をタンパク質の2%(w/w)の量で添加し、50℃で3時間インキュベーションした。PGA500非含有調合物については、溶液をインキュベーションせずに50℃に加熱した。クエン酸でpH4.0~4.5に酸性化した後、85℃で10分間熱処理した。他の調合物は、同様のプロセスによって作製した。
【0077】
得られた溶液をラボ用VWR冷蔵庫内で4℃で保存し、上記の実施例1で記載したように評価した。結果を以下の表に報告する。
【表5】
【0078】
この結果は、分散対分離の外見およびより高い吸光度(タンパク質の可溶性の増加を反映する)によって示されるように、本開示による調合物(PGA500およびガムを含む)(調合物26)が酸性pH(約4.5)でタンパク質の沈殿に対して安定であったことを示している。
【0079】
実施例6:pH3.5~7.0のエンドウ豆タンパク質溶液(調合物29~37)
以下の表に示すように、エンドウ豆タンパク質溶液は、粉末形態のエンドウ豆タンパク質単離物(NOW Foods)をタンパク質として使用し、安定剤としてガムを含むものおよび含まないもの、ならびにタンパク質脱アミド酵素としてPGA500(天野エンザイム株式会社)を含むものおよび含まないものを調製した。以下のTIC Gumsのガムを使用した。ジェラン(Ticagel(登録商標)Gellan HS NGMO)、ペクチン(Pre-Hydrated(登録商標)Pectin 1694 Powder)、カルボキシメチルセルロース(CMC、Pre-Hydrated(登録商標)Ticalose(登録商標)CMC 2500 Powder)、アルギネート(TICA-algin(登録商標)HG-400 Powder)およびタラガム(TIC Pretested(登録商標)Tara Gum 100)。
【0080】
例えば、エンドウ豆タンパク質の10%(w/v)水溶液を調製し、ガム水溶液と混合して、3%(w/v)のエンドウ豆タンパク質および以下の表に示す濃度(%w/v)のガムを含む水溶液を得た。PGA500含有調合物(以下の表の「A」調合物)については、酵素をタンパク質の2%(w/w)の量で添加し、50℃で3時間インキュベーションした。PGA500を含有しない調合物(以下の表の「B」調合物)については、溶液をインキュベーションせずに50℃に加熱した。溶液をクエン酸でpH3.5~7に酸性化し(表に示すように)、次いで85℃で10分間熱処理した。他の調合物は、同様のプロセスによって作製した。
【0081】
得られた溶液をラボ用VWR冷蔵庫にて4℃で保存し、最初に24時間後に評価し、その後定期的に最大2ヶ月間、(i)目視検査、(ii)上清の可溶性タンパク質含量の280nmの吸光度での測定、および(iii)pH測定により評価した。結果を以下の表に報告し、
図1に示す。
【表6】
【表7】
【0082】
この結果は、分散対分離の外見およびより高い吸光度(タンパク質の可溶性の増加を反映する)によって示されるように、本開示による調合物(PGA500およびガムを含む)(調合物29A~37A)が、約3.5~約7のpHでタンパク質の沈殿に対して安定であったことを示している。一方、タンパク質脱アミド酵素を含まない調合物は、約4.0未満のpHでは安定性が低かった。
【0083】
実施例7:pH3.5~7.0の大豆タンパク質溶液(調合物38~45)
粉末形態の大豆タンパク質単離物(NOW Foods)をタンパク質として使用して、実施例6に記載されるように大豆タンパク質溶液を調製して評価した。結果を以下の表に報告し、
図2に示す。
【表8】
【表9】
【0084】
この結果は、分散対分離の外見およびより高い吸光度(タンパク質の可溶性の増加を反映する)によって示されるように、本開示による調合物(PGA500およびガムを含む)(調合物38A~45A)が、約3.5~約7のpH範囲でタンパク質の沈殿に対して安定であったことを示している。対照的に、他の調合物(ガムを含むがPGA500を含まない)は、pH5.2未満でのタンパク質の沈殿に対して安定ではなかった(pH4.4~3.5について報告している結果を参照)。
【0085】
実施例8:pH3.5~6.5のヘンプタンパク質溶液(調合物46~52)
タンパク質としてヘンプタンパク質粉末(Nutiva)を使用して、実施例6に記載されるようにヘンプタンパク質溶液を調製して評価した。結果を以下の表に報告し、
図3に示す。
【表10】
【表11】
【0086】
この結果は、分散した外見およびより高い吸光度(タンパク質の可溶性の増加を反映する)によって示されるように、本開示による調合物(PGA500およびガムを含む)(調合物46A~52A)が、約3.5~約7のpH範囲でタンパク質の沈殿に対してより安定であったことを示している。
【0087】
実施例9:pH3.5~7.0のピーナッツタンパク質溶液(調合物53~59)
タンパク質としてピーナッツタンパク質粉末(Tru-Nut Company)およびキサンタンガム(TIC GumsのPre-Hydrated(登録商標) Ticaxan(登録商標) Xanthan EC NGMO)を使用して、実施例6に記載されるようにピーナッツタンパク質溶液を調製して評価した。結果を以下の表に報告し、
図4に示す。
【表12】
【表13】
【0088】
この結果は、分散した外見およびより高い吸光度(タンパク質の可溶性の増加を反映する)によって示されるように、本開示による調合物(PGA500およびガムを含む)(調合物53A~59A)が、約3.5~約7のpH範囲でタンパク質の沈殿に対して安定である一方、他の調合物は、特により酸性のpH値で安定性が低かったことを示している。
【0089】
実施例10:pH3.5~7.0のコオロギタンパク質溶液(調合物60~67)
68%(w/w)のコオロギタンパク質を含むコオロギ粉末(LITHIC)を用いて、実施例6に記載したのと同様の方法で、コオロギタンパク質溶液を調製して評価した。結果を以下の表に報告し、
図5に示す。
【表14】
【表15】
【0090】
この結果は、分散した外見およびより高い吸光度(タンパク質の可溶性の増加を反映する)によって示されるように、本開示による調合物(PGA500およびガムを含む)(調合物60A~67A)が、約3.5~約7のpH範囲でタンパク質の沈殿に対して安定であったことを示す。調合物62Aで沈降が観察されたが、これはpH5.1で使用された特定量のジェランガムが、タンパク質沈降を完全に防止するのに十分でなかったことに起因し得る。他の調合物のほとんどは、特により酸性のpH値(例えば、約4.5未満)では安定性が低かった。理論に束縛されることを望まないが、使用されたコオロギタンパク質が純粋なコオロギタンパク質ではなく、非タンパク質不純物などの不純物を含んでいた可能性がある。
【0091】
実施例11:均質化したエンドウ豆タンパク質溶液(調合物68~71)
以下の表に示すように、エンドウ豆タンパク質溶液は、粉末形態のエンドウ豆タンパク質単離物(NOW Foods)をタンパク質として使用し、安定剤としてガム(ジェラン:Ticagel(登録商標)Gellan HS NGMO;ペクチン:Pre-Hydrated(登録商標) Pectin 1694 Powder、両方ともTIC Gumsから)を含むものおよび含まないもの、ならびにタンパク質脱アミド酵素としてPGA500(天野エンザイム株式会社)を含むものおよび含まないものを調製した。
【0092】
例えば、0.075%(w/w)のジェランガムおよび0.45%(w/w)のペクチンを水中に水和させることによって溶液を調製した。エンドウ豆タンパク質を添加して、以下の表に示すように異なる量のエンドウ豆タンパク質を有するエンドウ豆タンパク質溶液を得た。PGA500含有調合物には、酵素をタンパク質の0.67%~1.8%(w/w)の量で添加し、50℃で3時間インキュベーションした。PGA500非含有調合物については、溶液をインキュベーションせずに50℃に加熱した。酸性化のために、1M(モーラー)クエン酸を使用して特定のpHにした。酸性化した溶液を2,000~2,500psiで均質化し、次いで85℃で10分間熱処理した。他の調合物は、同様のプロセスによって作製した。
【0093】
タンパク質脱アミド酵素の活性を実施例16に従って測定した。
【0094】
得られた溶液をラボ用VWR冷蔵庫内で4℃で保存し、上記実施例6で記載したように評価した。結果を以下の表に報告し、
図6に示す。
【表16】
【0095】
この結果は、分散した外見およびより高い吸光度(タンパク質の可溶性の増加を反映する)によって示されるように、本開示による調合物(PGA500およびガムを含む)(調合物68B~71B)が、酸性pH(約4.0~約4.5)でタンパク質の沈殿に対して安定であったことを示している。これらの結果は、本明細書に開示される調合で達成される改善された安定性が、均質化後でも維持されることを示している。
【0096】
実施例12:ジュース濃縮物を含む均質化された大豆タンパク質溶液(調合物72~74)
以下の表に示すように、大豆タンパク質溶液は、粉末形態の大豆タンパク質単離物(NOW Foods)をタンパク質として使用し、安定剤としてガム(ジェラン:Ticagel(登録商標)Gellan HS NGMO;ペクチン:Pre-Hydrated(登録商標) Pectin 1694 Powder、両方ともTIC Gumsから)を含むものおよび含まないもの、ならびにタンパク質脱アミド酵素としてPGA500(天野エンザイム株式会社)を含むものおよび含まないものを調製した。
【0097】
例えば、0.06%または0.075%(w/w)のジェランガムおよび0.45%(w/w)のペクチンを水中に水和させることによって溶液を調製した。大豆タンパク質単離物を添加して、以下の表に示すように異なる量の大豆タンパク質を有する大豆タンパク質溶液を得た。PGA500含有調合物には、酵素をタンパク質の0.67%~2.4%(w/w)の量で添加し、50℃で3時間インキュベーションした。PGA500非含有調合物については、溶液をインキュベーションせずに50℃に加熱した。酸性化のために、ベリージュース濃縮物(Brix値65の100%Juice Berry Blend濃縮物、Old Orchardから)を1:2w/w比で添加した。酸性化した溶液を2,000~2,500psiで均質化し、次いで85℃で10分間熱処理した。他の調合物は、同様のプロセスによって作製した。タンパク質脱アミド酵素の活性を実施例16に従って測定した。
【0098】
得られた溶液をラボ用VWR冷蔵庫内で4℃で保存し、上記実施例6で記載したように評価した。結果を以下の表に報告し、
図7に示す。
【表17】
【0099】
この結果は、分散した外見およびより高い吸光度(タンパク質の可溶性の増加を反映する)によって示されるように、本開示による調合物(PGA500およびガムを含む)(調合物72B~74B)が、酸性pH(約4.0~約4.5)でタンパク質の沈殿に対して安定であったことを示している。これらの結果は、本明細書に開示される調合で達成される改善された安定性が、均質化後でも維持されることを示している。
【0100】
実施例13:ジュース濃縮物を含む均質化されたピーナッツタンパク質溶液(調合物75~77)
以下の表に示すように、ピーナッツタンパク質溶液は、ピーナッツタンパク質粉末(Tru-Nut Company)をタンパク質として使用し、安定剤としてガム(ジェラン:Ticagel(登録商標)Gellan HS NGMO;ペクチン:Pre-Hydrated(登録商標) Pectin 1694 Powder、両方ともTIC Gumsから)を含むものおよび含まないもの、ならびにタンパク質脱アミド酵素としてPGA500(天野エンザイム株式会社)を含むものおよび含まないものを調製した。
【0101】
例えば、以下の表に示す量のジェランガムおよびペクチンを水中に水和させることによって溶液を調製した。ピーナッツタンパク質を添加して、以下の表に示すように異なる量のピーナッツタンパク質を有するピーナッツタンパク質溶液を得た。PGA500含有調合物には、酵素をタンパク質の0.67%~3.6%(w/w)の量で添加し、50℃で3時間インキュベーションした。PGA500非含有調合物については、溶液をインキュベーションせずに50℃に加熱した。酸性化のために、ベリージュース濃縮物(Brix値65の100%Juice Berry Blend濃縮物、Old Orchardから)を1:2w/w比で添加した。酸性化した溶液を2,000~2,500psiで均質化し、次いで85℃で10分間熱処理した。他の調合物は、同様のプロセスによって作製した。タンパク質脱アミド酵素の活性を実施例16に従って測定した。
【0102】
得られた溶液をラボ用VWR冷蔵庫内で4℃で保存し、上記実施例6で記載したように評価した。結果を以下の表に報告し、
図8に示す。
【表18】
【0103】
この結果は、分散した外見およびより高い吸光度(タンパク質の可溶性の増加を反映する)によって示されるように、本開示による調合物(PGA500およびガムを含む)(調合物75B~77B)が、酸性pH(約4.0~約4.5)でタンパク質の沈殿に対して安定であったことを示している。これらの結果は、本明細書に開示される調合で達成される改善された安定性が、均質化後でも維持されることを示している。
【0104】
実施例14:均質化したアーモンドタンパク質溶液(調合物78~79)
以下の表に示すように、アーモンドタンパク質溶液は、アーモンドタンパク質粉末(Noosh Brands)をタンパク質として使用し、安定剤としてガム(ジェラン:Ticagel(登録商標)Gellan HS NGMO;ペクチン:Pre-Hydrated(登録商標) Pectin 1694 Powder、両方ともTIC Gumsから)を含むものおよび含まないもの、ならびにタンパク質脱アミド酵素としてPGA500(天野エンザイム株式会社)を含むものおよび含まないものを調製した。
【0105】
例えば、0.06%(w/w)のジェランガムまたは0.45%(w/w)のペクチンを水中に水和させることによって溶液を調製した。アーモンドタンパク質を添加し、3%(w/w)のアーモンドタンパク質を含むアーモンド溶液を得た。PGA500含有調合物には、酵素をタンパク質の3.3%(w/w)の量で添加し、50℃で3時間インキュベーションした。PGA500非含有調合物については、溶液をインキュベーションせずに50℃に加熱した。酸性化のために、ベリージュース濃縮物(Brix値65の100%Juice Berry Blend濃縮物、Old Orchardから)を1:2w/w比で添加した。酸性化した溶液を2,000~2,500psiで均質化し、次いで85℃で10分間熱処理した。タンパク質脱アミド酵素の活性を実施例16に従って測定した。
【0106】
得られた溶液をラボ用VWR冷蔵庫内で4℃で保存し、上記の実施例6について記載したように評価した。結果を以下の表に報告する。
【表19】
【0107】
この結果は、分散した外見およびより高い吸光度(タンパク質の可溶性の増加を反映する)によって示されるように、本開示による調合物(PGA500およびガムを含む)(調合物78B~79B)が、酸性pH(約4.0)でタンパク質の沈殿に対して安定であったことを示している。これらの結果は、本明細書に開示される調合で達成される改善された安定性が、均質化後でも維持されることを示している。
【0108】
この結果は、約4.0~約4.2のpHにおいて、PGA500を含まないがガムを含む比較調合物(調合物78Aおよび79A)が分離およびより低い吸光度値(タンパク質の可溶性の減少)を示しており、これと比較して、ガムを含むPGA500調合物(調合物78Bおよび79B)の双方は、より高い吸光度値(タンパク質の可溶性の増加)および沈殿または沈降がないことが示されているように、安定であることが示されている。これらの結果は、PGA500とガムとの組み合わせで観察された安定性が、均質化しても維持されることを示している。
【0109】
実施例15:長期安定性試験
長期安定性試験は、以下のように実施される。以下に記載される調合物を、認証された商業的パイロットプラントにおいて混合し、無菌的に包装して、商業的に殺菌された安定な製品を製造し、冷蔵条件下(4℃)で最大6ヶ月間保存した。これらの製品は、タンパク質の沈殿に対して安定であろう。
【表20】
【0110】
例えば、以下のプロセスを使用して、市販の殺菌調合物を調製することができる。
1.ペクチンガム、ジェランガム、水、およびエンドウ豆タンパク質を秤量する。
2.高剪断条件下でガムと水を混合する。
3.85℃に加熱し、保持することによって溶液中のガムを活性化する。
4.ガム水溶液を100Lバットに移し、タンパク質を添加する。
5.酵素をバットに加え、十分に混合する。溶液を容器に移し、50℃で3時間インキュベーションする。
6.ジュース濃縮物および食品着色料を秤量する。
7.溶液を100Lバットに戻し、ジュース濃縮物および食品着色料を添加する。
8.ほどよく混合したら、混合物を殺菌のための超高温(UHT;例えば、約120℃で約1秒間~約3秒間)/高温短時間(HTST、例えば、約100℃で約10秒~約20秒)システムに送る。
9.2000psiで均質化するために、殺菌された製品をホモジナイザに送る。
10.無菌環境で製品を瓶詰めし、蓋をして保管用のボックスに移す。
【0111】
現在までの安定性試験は、上記のタンパク質脱アミド酵素調合物が25週間の4℃での保存後に安定であることを示している。
【0112】
実施例16:タンパク質脱アミド酵素活性アッセイ
タンパク質脱アミド酵素の活性は、プロテイングルタミナーゼ脱アミド活性を引用して例示した、以下の方法により測定することができる。プロテインアスパラギナーゼ脱アミド化に適した基質(例えば、Z-Asn-Gly)を使用して、プロテインアスパラギナーゼ脱アミド活性について同様のアッセイを行うことができる。
【0113】
タンパク質脱アミド酵素を含む水溶液0.1mLを、30mMのZ-Gln-Gly(プロテイングルタミナーゼ脱アミド活性アッセイ用の基質)を含む0.2Mリン酸緩衝液(pH6.5)1mlに加えて試験液を調製し、37℃で10分間インキュベーションする。1mLの0.4Mトリクロロ酢酸(TCA)溶液を添加することによって反応を終了させる。タンパク質脱アミド酵素を含む水溶液0.1mLを、30mMのZ-Gln-Gly(プロテイングルタミナーゼ脱アミド活性アッセイ用)を含む0.2Mリン酸緩衝液(pH6.5)1mlおよび0.4Mトリクロロ酢酸(TCA)溶液1mLを含む溶液に加えてブランク溶液を調製し、37℃で10分間インキュベーションする。反応によって試験溶液中に発生したアンモニア量は、アンモニア標準溶液(塩化アンモニウム)を用いて作成した吸光度(630nmでの)に対するアンモニア濃度の検量線を用いてアンモニア濃度を求める、アンモニアテストワコー(和光純薬工業株式会社製)を使用して測定する。タンパク質脱アミド酵素の活性は、以下のように計算することができる(1ユニット=毎分1μmolのアンモニアを生成するのに必要な酵素の量)。
酵素活性(U/mL)=
(反応溶液中のアンモニア濃度(mg/L))×(1/17.03)×(2.1/0.1)×(1/10)×Df
式中、
17.03は、アンモニアの分子量であり、
2.1は、上記プロトコルにおける酵素反応系の液量(mL)であり、
0.1は、上記のプロトコルにおける酵素溶液の体積(mL)であり、
10は、上記プロトコルにおける反応時間(分)であり、
Dfは、酵素溶液の希釈率である。
【0114】
まとめると、これらの実施例は、様々な供給源からの様々なタンパク質について、本明細書に記載されるように安定なタンパク質溶液を調製することができ、そのようなタンパク質溶液が、フルーツジュース濃縮物で酸性化された調合物を含む酸性pHでのタンパク質の沈殿に対して安定であることを示している。実施例はまた、本明細書に記載されるように調合されたタンパク質溶液が、均質化後に安定であることを示す。
[配列表]
配列番号1
LASVIPDVATLNSLFNQIKNQSCGTSTASSPCITFRYPVDGCYARAHKMRQILMNNGYDCEKQFVYGNLKASTGTCCVAWSYHVAILVSYKNASGVTEKRIIDPSLFSSGPVTDTAWRNACVNTSCGSASVSSYANTAGNVYYRSPSNSYLYDNNLINTNCVLTKFSLLSGCSPSPAPDVSSCGF
【配列表】
【国際調査報告】