(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-07
(54)【発明の名称】発作制御を改善するための製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/137 20060101AFI20220331BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20220331BHJP
A61P 23/00 20060101ALI20220331BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220331BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20220331BHJP
A61K 31/515 20060101ALI20220331BHJP
A61K 31/5517 20060101ALI20220331BHJP
A61K 31/13 20060101ALI20220331BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20220331BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20220331BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20220331BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20220331BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
A61K31/137
A61P25/08
A61P23/00
A61P43/00 121
A61K31/05
A61K31/515
A61K31/5517
A61K31/13
A61P17/02
A61P25/18
A61P25/22
A61P25/24
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572257
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(85)【翻訳文提出日】2021-10-19
(86)【国際出願番号】 US2020018359
(87)【国際公開番号】W WO2020176276
(87)【国際公開日】2020-09-03
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515314845
【氏名又は名称】ゾゲニクス インターナショナル リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521375254
【氏名又は名称】ミレー デヴィッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ミレー デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ガレル ブラッドリー エス.
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA22
4C084MA02
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA57
4C084MA59
4C084MA60
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA06
4C084ZA12
4C084ZA18
4C084ZA89
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC44
4C086CB12
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA57
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4C086MA63
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA04
4C086ZA06
4C086ZA12
4C086ZA18
4C086ZA89
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA17
4C206FA08
4C206FA29
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA72
4C206MA75
4C206MA77
4C206MA79
4C206MA80
4C206MA83
4C206MA86
4C206NA14
4C206ZA04
4C206ZA06
4C206ZA18
4C206ZA89
4C206ZC75
(57)【要約】
10分以上持続する制御されない発作を経験している患者において発作制御を改善する方法であって、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンを、0.2~1.2 m/kg/日の用量で約12時間~約7日の期間にわたって、全身麻酔薬を介して治療用の医学的に誘導された昏睡状態におかれている患者に投与する工程;ならびに約12時間~約7日後に、患者を全身麻酔薬から離脱させる工程、および発作制御が処置前の時点と比較して改善しているかどうかを評価する工程を含む方法を、本明細書に記載する。発作を経験している患者は、確定したてんかん重積状態(SE)、難治性てんかん重積状態(RSE)、または超難治性てんかん重積状態(SRSE)をもたらすてんかんまたはてんかん性脳症を有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
10分以上持続する制御されない発作を経験している患者において発作制御を改善する方法であって、
フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンを、0.2~1 mg/kg/日の用量でかつ/または12時間~約7日の期間にわたって、全身麻酔薬を介して医学的に誘導された昏睡状態にある患者に投与する工程;ならびに
12時間~約7日後に、患者を全身麻酔薬から離脱させる工程、および発作制御が改善しているかどうかを評価する工程
を含む、方法。
【請求項2】
発作制御を評価する工程が、
脳波モニタリング、ビデオ-脳波遠隔測定法、および訓練された人材による連続的なビデオ観察、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つまたは複数で現れる、ブレークスルー発作の発生
によって測定される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
離脱させる工程が、フェンフルラミンの投与を開始した後、約1~約4日で開始される、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記評価が、発作制御が十分には改善していないことを示し、かつ
前記方法が、
全身麻酔薬で医学的に誘導された昏睡状態を再確立する工程、および
フェンフルラミンの用量を増加させる工程
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
全身麻酔薬が、プロポフォール、バルビツラート、ミダゾラム、およびケタミン、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1または請求項4記載の方法。
【請求項6】
全身麻酔薬が、ペントバルビタールおよびチオペンタールから選択されるバルビツラートである、請求項1または請求項4記載の方法。
【請求項7】
発作制御が、フェンフルラミンの投与を継続しながら患者を全身麻酔から離脱させ続けるほど十分改善している、請求項1記載の方法。
【請求項8】
フェンフルラミンの継続投与が、0.2 mg/kg/日~0.8 mg/kg/日に用量設定される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
患者が、難治性てんかん重積状態(RSE)または超難治性てんかん重積状態(SRSE)と診断されている、請求項1記載の方法。
【請求項10】
制御されない発作が、10分間以上にわたる強直間代けいれんの継続である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
制御されない発作が、間欠性発作であり、患者が、発作の間に意識を回復しない、請求項1記載の方法。
【請求項12】
患者が、てんかんまたはてんかん性脳症(例えば、ドラベ症候群、ドーゼ症候群、点頭てんかん、レノックス・ガストー症候群、レット症候群);注意障害(例えば、注意欠陥障害(ADD)または注意欠陥/多動性障害(ADHD));発達障害、例えば、自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害(PDD)、および特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)を含む自閉症スペクトラム症(ASD);反抗挑戦性障害(ODD);学習障害(例えば、読字障害、計算障害);トゥレット症候群;外傷性脳損傷;鉛曝露;不安および/もしくは抑うつ;ならびに低出生体重;またはそれらの任意の組み合わせから選択される疾患または状態と診断されている、請求項1記載の方法。
【請求項13】
患者が、ドラベ症候群と診断されている、請求項1記載の方法。
【請求項14】
患者が、レノックス・ガストー症候群と診断されている、請求項1記載の方法。
【請求項15】
フェンフルラミンが、薬学的に許容される担体と共に製剤化され、かつ有効用量が、約10.0 mg/kg/日未満、1.0 mg/kg/日未満、約0.8 mg/kg/日、および約0.5 mg/kg/日から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項16】
フェンフルラミンが、ドラベ症候群またはレノックス・ガストー症候群(LGS)を有する患者において補助療法として使用される、請求項1記載の使用。
【請求項17】
少なくとも1つの共治療剤が投与され、かつ該剤が、ブリバラセタム、臭化物(例えば、臭化カリウム、臭化ナトリウム)、カンナビジオール、カルバマゼピン、クロニジン、Ergenyl Chrono、エトスクシミド、フェルバマート、ホスフェニトイン、ケタミン、ラコサミド、ラモトリギン、レベチラセタム、レボカルニチン、メスクシミド、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、ペランパネル、フェノバルビタール、プレガバリン、プロガビド、ピリドキシン、ルフィナミド、スルチアム、チザニジン、トピラマート、スチリペントール、バルプロ酸セミナトリウム、バルプロ酸ナトリウム、バルプロ酸、ベラパミル、ゾニサミド、ならびにベンゾジアゼピン、例えば、クロバザム、クロナゼパム、ジアゼパム、ロフラゼプ酸エチル、ロラゼパム、およびミダゾラム、ならびにその薬学的に許容される塩、塩基、酸、またはアミンからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項18】
フェンフルラミンが、患者に投与される唯一の薬学的活性成分である、請求項1記載の方法。
【請求項19】
患者が、ケトン産生食または迷走神経刺激で維持される、請求項1記載の方法。
【請求項20】
フェンフルラミンが、経口、注射可能、経皮、吸入、鼻、直腸、膣、および非経口からなる群より選択される投与の経路用の剤形にある、請求項1記載の方法。
【請求項21】
剤形が、注射または点滴を介した投与のための静脈内液剤の形態にある、請求項18記載の方法。
【請求項22】
剤形が、経胃栄養チューブを介して投与される経口液剤である、請求項18記載の方法。
【請求項23】
改善された発作制御が、フェンフルラミンで処置されていない、かつ全身麻酔から離脱していない患者における頻度、長さ、重症度、または発作間の時間の長さと比較して、頻度、長さ、もしくは重症度の低下、および/または発作間の時間の長さの増大として観察される、請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
患者がフェンフルラミンで処置された後に、発作間の時間が増大し、少なくとも0.5時間、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも2ヶ月、少なくとも6ヶ月、および少なくとも1年から選択される、請求項1~23のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
患者が、18歳以下の年齢である、請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
患者が、18歳よりも上の年齢である、請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
非経口フェンフルラミン製剤、
パッケージ、ならびに
投与のため、および制御されない発作を経験している患者において発作制御の改善を評価するための説明書を含む添付文書
を含む、キット。
【請求項28】
薬学的に許容される担体と、フェンフルラミンを含む活性成分とを含む静脈内製剤の複数の用量を含む容器;ならびに
制御されない発作を経験している患者を該製剤で処置するため、および該製剤での処置後に患者を全身麻酔から離脱させることができるかを評価するための説明書
を含む、キット。
【請求項29】
10分以上持続する制御されない発作を経験している患者において発作制御を改善するための静脈内製剤の使用であって、
フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの静脈内製剤を、0.2~1 mg/kg/日の用量でかつ/または12時間~約7日の期間にわたって、全身麻酔薬を介して医学的に誘導された昏睡状態にある患者に、静脈内注射により投与する工程;ならびに
12時間~約7日後に、患者を全身麻酔薬から離脱させる工程、および発作制御が改善しているかどうかを評価する工程
を含む、使用。
【請求項30】
患者が、てんかんまたはてんかん性脳症(例えば、ドラベ症候群、ドーゼ症候群、点頭てんかん、レノックス・ガストー症候群、レット症候群);注意障害(例えば、注意欠陥障害(ADD)または注意欠陥/多動性障害(ADHD));発達障害、例えば、自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害(PDD)、および特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)を含む自閉症スペクトラム症(ASD);反抗挑戦性障害(ODD);学習障害(例えば、読字障害、計算障害);トゥレット症候群;外傷性脳損傷;鉛曝露;不安および/もしくは抑うつ;ならびに低出生体重;またはそれらの任意の組み合わせから選択される疾患または状態と診断されている、請求項29記載の使用。
【請求項31】
患者が、ドラベ症候群と診断されている、請求項29記載の使用。
【請求項32】
患者が、レノックス・ガストー症候群と診断されている、請求項29記載の使用。
【請求項33】
フェンフルラミンが、薬学的に許容される担体と共に製剤化され、かつ有効用量が、約10.0 mg/kg/日未満、1.0 mg/kg/日未満、約0.8 mg/kg/日、および約0.5 mg/kg/日から選択される、請求項29記載の使用。
【請求項34】
フェンフルラミンが、ドラベ症候群またはレノックス・ガストー症候群(LGS)を有する患者において補助療法として使用される、請求項29~31のいずれか一項記載の使用。
【請求項35】
少なくとも1つの共治療剤が、静脈内注射により投与され、かつ該剤が、ブリバラセタム、臭化物(例えば、臭化カリウム、臭化ナトリウム)、カンナビジオール、カルバマゼピン、クロニジン、Ergenyl Chrono、エトスクシミド、フェルバマート、ホスフェニトイン、ケタミン、ラコサミド、ラモトリギン、レベチラセタム、レボカルニチン、メスクシミド、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、ペランパネル、フェノバルビタール、プレガバリン、プロガビド、ピリドキシン、ルフィナミド、スルチアム、チザニジン、トピラマート、スチリペントール、バルプロ酸セミナトリウム、バルプロ酸ナトリウム、バルプロ酸、ベラパミル、ゾニサミド、ならびにベンゾジアゼピン、例えば、クロバザム、クロナゼパム、ジアゼパム、ロフラゼプ酸エチル、ロラゼパム、およびミダゾラム、ならびにその薬学的に許容される塩、塩基、酸、またはアミンからなる群より選択される、請求項29~33のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
フェンフルラミンが、患者に投与される唯一の薬学的活性成分である、請求項29~34のいずれか一項記載の使用。
【請求項37】
発作制御を評価する工程が、
脳波モニタリング、ビデオ-脳波遠隔測定法、および訓練された人材による連続的なビデオ観察、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つまたは複数で現れる、ブレークスルー発作の発生
によって測定される、請求項29~36のいずれか一項の使用。
【請求項38】
離脱させる工程が、フェンフルラミンの投与を開始した後、約1~約4日で開始される、請求項29~37のいずれか一項記載の方法。
【請求項39】
前記評価が、発作制御が十分には改善していないことを示し、かつ
前記使用が、
全身麻酔薬で医学的に誘導された昏睡状態を再確立する工程、および
フェンフルラミンの用量を増加させる工程
をさらに含む、請求項29~38のいずれか一項記載の使用。
【請求項40】
全身麻酔薬が、プロポフォール、バルビツラート、ミダゾラム、およびケタミン、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項29~39のいずれか一項記載の使用。
【請求項41】
全身麻酔薬が、ペントバルビタールおよびチオペンタールから選択されるバルビツラートである、請求項29~39のいずれか一項記載の使用。
【請求項42】
発作制御が、フェンフルラミンの投与を継続しながら患者を全身麻酔から離脱させ続けるほど十分改善している、請求項29~41のいずれか一項記載の使用。
【請求項43】
フェンフルラミンの継続投与が、0.2 mg/kg/日~0.8 mg/kg/日に用量設定される、請求項29~42のいずれか一項記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
てんかんまたはてんかん性脳症を有する患者を処置する方法を、本明細書に記載する。特に、本開示は、10分間以上持続する制御されない発作を経験している患者において、タイプおよび/または発作間の意識の回復の欠如に応じて、発作制御を改善する方法であって、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンを、60 mg/日までの用量でかつ/または12時間から7日までの期間にわたって、全身麻酔薬を介して医学的に誘導された昏睡状態にある患者に投与する工程;ならびに12時間~7日後に、患者を全身麻酔薬から離脱させる工程、および発作制御が改善しているかどうかを評価する工程を含む方法を対象とする。てんかんまたはてんかん性脳症は、診断されていようとまたは未診断であろうと、てんかん重積状態(SE)、難治性てんかん重積状態(RSE)、または超難治性てんかん重積状態(SRSE)であり得る。そのような患者は、多くの場合、全身麻酔薬を介して治療用の医学的に誘導された昏睡状態におかれる;これらの患者を、フェンフルラミンで処置し、全身麻酔から離脱させて、発作制御を評価すると、処置前の時点と比較してより良好に制御され得る。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は、アンフェタミン誘導体、具体的にはフェンフルラミンを用いた、てんかんまたはてんかん性脳症の処置、および、てんかん重積状態(SE)、難治性てんかん重積状態(RSE)、または超難治性てんかん重積状態(SRSE)などの制御されない発作を経験している患者において発作制御を改善する方法に関する。
【0003】
フェンフルラミン、すなわち、3-トリフルオロメチル-N-エチルアンフェタミンは、以下の構造:
を有する、アンフェタミン誘導体である。
【0004】
フェンフルラミンは、1973年に米国において初めて市販され、肥満を予防しかつ処置するために、フェンテルミンと組み合わせて投与されていた。しかし、1997年に、フェンフルラミンは、その使用が心臓弁線維症および肺高血圧症の発症に関連したため、米国市場から撤退した。その後、この薬物は、世界的に販売から撤退し、もはや、世界のどこにおいてもいかなる治療領域における使用についても示されていない。
【0005】
フェンフルラミンを取り巻く健康の懸念にもかかわらず、その製品についてさらなる治療用途を特定する試みが行われてきている。AicardiおよびGastaut(New England Journal of Medicine (1985), 313:1419(非特許文献1)およびArchives of Neurology (1988) 45:923-925(非特許文献2))は、フェンフルラミンでの処置に応答した、自己誘導性光感受性発作の4症例を報告した。
【0006】
Clemensは、Epilepsy Research (1988) 2:340-343(非特許文献3)において、抗けいれん処置に対して抵抗性であった、パターン感受性により誘導される発作に苦しむ少年についての研究を報告した。フェンフルラミンは、報告によるとこれらの自己誘導性発作を終わらせることに成功し、著者は、これはフェンフルラミンが光感受性の誘発機構を遮断したためだと結論づけた。
【0007】
Neuropaediatrics, (1996); 27(4):171-173(非特許文献4)において、BoelおよびCasaerは、難治性てんかんを有する小児に対するフェンフルラミンの効果についての研究を報告した。彼らは、フェンフルラミンを0.5~1 mg/kg/日の用量で投与した場合に、これが、患者が経験する発作の数の低減を結果としてもたらしたと結論づけた。
【0008】
雑誌(Epilepsia, 43(2):205-206, 2002(非特許文献5))に公開されたEpilepsiaへのレターにおいて、BoelおよびCasaerは、フェンフルラミンが、難治性てんかんを有する患者において治療的に有益であるようだとコメントした。
【0009】
てんかんは、反復性の発作を起こしやすいことを特徴とする、脳の状態である。出産時外傷、周産期感染症、無酸素症、感染性疾患、毒素の摂取、脳の腫瘍、遺伝性障害、de novo遺伝子変異または変性疾患、頭部損傷または外傷、代謝障害、脳血管性偶発症候、およびアルコール離脱を含むがそれらに限定されない、多数のてんかんの原因が存在する。
【0010】
本発明は、てんかん状態(SE)、難治性てんかん状態(RSE)または超難治性てんかん状態(SRSE)をもたらす様々な種類のてんかんおよびてんかんサブタイプに関して適用可能であるが、特に関心のあるてんかんは、ドラベ症候群、ドーゼ症候群、点頭てんかん、レット症候群およびレノックス・ガストー症候群である。
【0011】
数多くのてんかんのサブタイプが特徴決定されている。例えば、国際抗てんかん連盟(International League Against Epilepsy)(「ILAE」)の分類・用語委員会(Commission on Classification and Terminology)によって採用されている最近の分類システムは、以下のてんかん症候群のリストを提供する(Berg et. al., "Revised terminology and concepts for organization of seizures," Epilepsia, 51(4):676-685 (2010)(非特許文献6)を参照されたい):
I. 脳波・臨床症候群(Electroclinical syndrome)(発症年齢別):
A. 新生児期(1. 良性家族性新生児てんかん(BFNE)、2. 早期ミオクロニー脳症(EME)、3. 大田原症候群);
B. 乳児期(1. 遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん、2. ウエスト症候群、3. 乳児ミオクロニーてんかん(MEI)、4. 良性乳児てんかん、5. 良性家族性乳児てんかん、6. レット症候群、7. 非進行性疾患のミオクロニー脳症);
C. 小児期(1. 熱性けいれんプラス(FS+)(乳児期から発症することがある)、2. パナイトポーロス(Panayiotopoulos)症候群、3. ミオクロニー脱力(旧用語:失立)発作を伴うてんかん、4. 中心側頭部棘波を示す良性てんかん(BECTS)、5. 常染色体優性夜間前頭葉てんかん(ADNFLE)、6. 遅発性小児後頭葉てんかん(ガストー型)、7. ミオクロニー欠神てんかん、8. レノックス・ガストー症候群、9. 睡眠時持続性棘徐波(CSWS)を示すてんかん性脳症、10. ランドウ・クレフナー症候群(LKS)、小児欠神てんかん(CAE));
D. 青年期-成人期(1. 若年欠神てんかん(JAE)、2. 若年ミオクロニーてんかん(JME)、3 全般強直間代発作のみを示すてんかん、4. 進行性ミオクローヌスてんかん(PME)、5. 聴覚症状を伴う常染色体優性てんかん(ADEAF)、6. その他の家族性側頭葉てんかん);
E. 年齢との関連性が低いもの(1. 多様な焦点を示す家族性焦点性てんかん(小児期から成人期)、2. 反射てんかん)。
II. 明確な特定症状群(constellation):
A. 海馬硬化症を伴う内側側頭葉てんかん(MTLE with HS);
B. ラスムッセン症候群;
C. 視床下部過誤腫による笑い発作;
D. 片側けいれん・片麻痺・てんかん;
E. 1. 推定される原因(既知の構造的または代謝性の状態の有無)、次に2. 主な発作の発現様式(全般対焦点性)によって識別される、その他のてんかん。
III. 構造的-代謝性の原因に帰する、かつそれによって整理されるてんかん:
A. 皮質形成異常(片側巨頭症、異所形成など);
B. 神経皮膚症候群(結節性硬化症複合体、スタージ・ウェーバーなど);
C. 腫瘍;
D. 感染;
E. 外傷。
IV. 血管腫:A. 周産期傷害;B. 脳卒中;C. その他の原因。
V. 原因不明のてんかん。
VI. てんかん発作を伴う状態であるが、それ自体は従来の分類ではてんかん型として診断されないもの;A. 良性新生児発作(BNS);およびB. 熱性けいれん(FS)。
【0012】
Berg et al., "Revised terminology and concepts for organization of seizures," Epilepsia, 51(4):676-685 (2010)(非特許文献6)を参照されたい。
【0013】
例えば、そのリストのパートVから見られ得るように、まだ十分に特徴決定されていないてんかんのサブタイプが依然として存在し、したがって、リストは完全にはほど遠い。脳症として分類されるサブタイプについて、これらの状態は、発作活性が進行性認知機能障害をもたらす障害の群を含む。
【0014】
当業者は、これらのてんかんのサブタイプが、様々な刺激によって誘発され、様々な生物学的経路によって調節され、遺伝的であろうと環境的であろうと、様々な原因を有すると認識しているであろう。換言すると、当業者は、1つのてんかんサブタイプに関する教訓が、必ずしも他のサブタイプに適用可能ではないことを認識しているであろう。これは、様々なてんかんサブタイプが、様々な抗けいれん薬に異なるように応答するという認識を含み得、例えば、1つの薬は1つの状態を改善し得るが、同じ薬が別のてんかん状態を悪化させ得る。
【0015】
ドラベ症候群は、乳児期に始まる難治性てんかんの希少なかつ破局的な形態である。最初に、生後1年のうちに、患者は遷延性発作を経験する。2年目に、さらなるタイプの発作が起き始め、これは典型的には、恐らく脳低酸素症などの脳損傷を引き起こす反復性発作のために、発達の減退と同時に起こる。これは次いで、認知、言語、および運動の技能の不十分な発達をもたらす。
【0016】
ドラベ症候群を有する小児は、1日当たり複数回の発作を経験する可能性がある。てんかん性発作は、ドラベ症候群の罹患者において死をもたらす可能性が非常に高く、ドラベ症候群と診断された患者のおよそ10~15%は小児期に、いくつかの場合には2~4歳の間に死亡する。患者の平均死亡年齢は、8.7±9.8歳(SD)と報告されており、死亡の73%は10歳より前に起こり、93%は20歳より前に起こる。さらに、患者には、整形外科的な発達の問題、成長障害、および慢性感染症を含む、多数の関連する状態の危険性がある。
【0017】
ドラベ症候群を有する小児の頻繁な入院は、患者にとってだけではなく、家族および介護者にとっても明らかに悲惨である。ドラベ症候群患者のための世話の費用もまた、罹患した小児が常時監視を必要とし、多くが10代に達するにつれて施設入居を必要とするため、高価である。
【0018】
現在のところ、ドラベ症候群を有する患者において発作の事例を低減させるために、多数の抗けいれん療法を、単独でまたは組み合わせて使用することができるが、そのような治療法で得られる結果は、典型的には不十分であり、それらの治療法は、最良でも発作の部分的休止をもたらすだけである。ドラベ症候群に関連する発作は、典型的には従来の処置に対して抵抗性である。さらに、クロバザムおよびクロナゼパムなどの多くの抗けいれん薬は、小児患者において特に急性かつ顕著である、望ましくない副作用を有する。
【0019】
ドラベ症候群を有する小児は、5分よりも長く続くけいれん発作である、てんかん重積状態(SE)の発症を特に起こしやすいことが、特に懸念される。てんかん重積状態(SE)は、てんかんの重症型である。これは、最も一般的な神経学的緊急事態の1つであり、1年に100,000人当たり最大で61人の発生率、および20%の推定死亡率を有する。この重症のかつ難治性の状態は、典型的には、静脈内抗けいれん薬投薬および/または医学的に誘導される昏睡のための入院を含む、即時の医学的介入を必要とする医学的緊急事態として分類される。SEは、恐らく脳組織への傷害をもたらす、重症の脳低酸素症に関連することがあり;SEは、致死であることがある。いくつかの場合には、SEは、難治性てんかん重積状態(RSE)および/または超難治性てんかん重積状態(SRSE)に進行する。
【0020】
American Society of Anesthesiology(ASA)によると、患者が、制御された用量の全身麻酔薬、典型的には、プロポフォール、ペントバルビタール、および/またはチオペンタールを受けた時に、医学的に誘導される昏睡が起こって、一時的な昏睡または深い無意識の状態を引き起こす。医学的に誘導された昏睡状態にある患者は、概して、他の処置には応答しなかった腫脹を伴う脳損傷を有する。昏睡は、脳組織の代謝率および脳血流を低減させることによって、脳を腫脹から保護することができる。
【0021】
SEの症例の30%~40%もが、抗てんかん投薬およびベンゾジアゼピンの標準的な処置に応答することができない。結果として、症例の最大で44%が、米国において2番目に一般的な神経学的緊急事態であるRSEに進行して、医学的に誘導される昏睡、または「治療的昏睡」などのより極端な処置が使用されることを必要とし得る。
【0022】
SE、RSE、またはSRSEに進行するという、難治性てんかんに関連するリスクがある。SE、RSE、またはSRSEが続く時間が長ければ長いほど、脳傷害のまたは患者の身体が外傷を補償できない見込みが高く、これは、心拍停止または腎不全もしくは心不全のような他の合併症をもたらすため、そのような緊急事態は、即座のかつ有効な処置を必要とする。患者を治療用の医学的に誘導された昏睡状態におくことの背景にある考え方は、脳を発作活性のないステージに鎮静させ、事実上、脳における「再起動ボタン」を押して、脳をいくらか休ませ、かつそれ自体を再編成するいくらかの時間を持たせることである。さらに、専門家は、治療的昏睡がRSEのための妥当な処置であると同意するが、どれくらい長く患者をこの状態に保つべきかは、まだ解明されていない。重要なことに、患者を治療的昏睡に維持する時間が長ければ長いほど、合併症のリスクは高い。
【0023】
臨床的に、強直間代けいれん性SEは、4つのその後のステージ:早期、確定、難治性、および超難治性に分けられる。したがって、SEの薬物療法は、4つのステージのアプローチに基づくことができる。しかし、後期における代替処置についてのデータは限定されており;現在は、確定、難治性、およびSRSEのための大部分の抗てんかん薬について、推奨を支持するデータが乏しい(Trinka, et al., (2015) Drugs. 75:1499-1521(非特許文献7))。
【0024】
早期SE:(前駆状態、切迫状態、および伝令(heraldic)状態としても知られる)。フェーズIである早期SEは、発作の頻度および重症度が、漸増パターンで増大する場合に生じる。既存のてんかんを有さない患者においては、発作の頻度および重症度の漸増様増大を伴うフェーズが欠けており、SEが突然始まる。5分よりも長く続くけいれん性てんかん活性は、現在多くの場合、早期SEと呼ばれる。静脈内ロラゼパムまたは筋肉内ミダゾラムでの早期SEの初期処置は、63~73%において発作を制御することができ;他のベンゾジアゼピンの静脈内適用または筋肉内適用が可能ではない時はいつでも、頬側ミダゾラムが代替になり得る。
【0025】
確定したSE:フェーズIIである確定したSEは、けいれんを伴う連続的な発作活性、または発作間に意識を回復することがない間欠性発作、または早期SEの初期処置(通常ベンゾジアゼピン)の失敗を指し示す。確定したSEにおいて、発作は、10分よりも長く、最大で約30分続く。最適に満たない安全性プロファイルにもかかわらず、静脈内抗てんかん薬(フェニトイン/ホスフェニトイン、バルプロアート、レベチラセタム、フェノバルビタール)が最も一般的に用いられるが、他のものを上回って1つを選択する証拠は、ほとんどか全くなく;ベンゾジアゼピンでの第一選択処置にもかかわらず持続する確定したSEの処置のための、フェノバルビタールおよびフェニトインに対する代替物には、バルプロアート、レベチラセタム、およびラコサミドが含まれる。
【0026】
難治性SE(RSE):(進行性SE、微細SE、または昏迷SEとも呼ばれる)。RSEとして知られるフェーズIIIは、(通常、抗てんかん薬AEDでの)早期SEおよび確定したSEの処置の失敗を指す。これは、発作の継続時間の増大(30分~1時間続く)を特徴とし、または患者は、昏睡状態のままである間、運動活性の減少(電気機械解離)を示す。理論に束縛されるものではないが、動物モデル(コリン作動物質誘導性SE)からの最近の証拠は、発作により誘導される不適応の受容体の輸送が、シナプスGABAA受容体(GABAAR)の内部移行(および一時的な不活性化)ならびにシナプスNMDA受容体(NMDAR)の増加を引き起こし得ることを示す。これらの変化は、初期の誘発原因または事象とは独立した自己持続性発作の発生(シナプス中のより少ないGABAARおよびより多いNMDARが、バランスを興奮に傾けて抑制を減らし、したがって継続的発作を確立する)、ならびに薬剤耐性(GABA作動性薬物は、作用するシナプス標的がより少ないため、有効性がより低い)の機構を示唆する(Niquet, et al.,(2017) Epilepsia 58(4):e49-e53(非特許文献8))。したがって、早期SEまたは確定したSEを停止できないことが、自己持続性発作、ならびにRSEおよびSRSEの処置において用いられる第一選択薬物に対するより強い抵抗性に進行する。
【0027】
超難治性てんかん重積状態(SRSE):(「悪性SE」としても知られる)。SEのこの4番目のステージにおいては、集中治療室における24時間よりも長い静脈内(IV)麻酔薬での最大の処置にもかかわらず、発作が継続する。これらの患者は、麻酔薬が減らされた時に発作性EEG発射を有する。麻酔薬(プロポフォール、ミダゾラム、チオペンタール/ペントバルビタール)は、RSEおよびSRSEにおいて広く用いられ、より低い成功率ならびに高い罹患率および死亡率を有する。SRSEの処置において考慮されている潜在的な薬物および治療法は、ケタミン、マグネシウム、および免疫調節処置、ならびに他の原因指向型のおよび非医学的な処置である(Trinka, et al., (2015) Drugs. 75:1499-1521(非特許文献7))。
【0028】
てんかんの遺伝学およびメカニズム: 2,009アミノ酸を含有し、主として抑制性ニューロンにおいて発現される、ナトリウムイオンチャネルのα-1サブユニット(Nav1.1)をコードする遺伝子である、SCNA1遺伝子中に、ドラベ症候群に関連する最も一般的な変異がある。ドラベ症候群を有する患者の少なくとも70~80%は、ナトリウムチャネル機能の喪失を引き起こす、遺伝子のエクソン中のSCN1A変異を有する。Dravetは、85%という高い割合がSCN1A変異を有することを示唆している(Dravet C. The core Dravet syndrome phenotype. Epilepsia 2011; 52 (Suppl. 2): 3-9(非特許文献9))。SCN1A遺伝子のコード領域のみが配列決定されているため、残りの患者の多くは、このチャネルの発現を損なうかまたは阻止する遺伝子の制御領域(コード配列の外側)に変異を有する可能性があると、予測する研究者もいる。SCNA1によってコードされるNaV1における完全な機能喪失変異は、重症、難治性のてんかん、ならびに併存疾患の運動失調、睡眠障害、および認知障害を含む、ドラベ症候群を引き起こす。NaV1.1チャネルにおける機能喪失変異を有するマウスは、興奮性錐体ニューロンに対する検出可能な効果を伴わずに、海馬GABA作動性抑制性ニューロンにおいてナトリウム電流および活動電位発火を重度に損ない、これが、過剰興奮性を引き起こして、ドラベ症候群における発作に寄与することになる。
【0029】
損なわれたNav1.1チャネルで、ナトリウム電流および活動電位発火は、小脳中のGABA作動性プルキンエニューロンにおいて同様に損なわれ、これは運動失調に寄与する可能性があり、かつ、視床網様核および視床下部交叉上核において損なわれ、これはサーカディアンリズム障害および睡眠障害に寄与する可能性がある。(Noebels et al., Jasper's Basic Mechanisms of the Epilepsies, 4th edition, Bethesda (Md.): National Center for Biotechnology Information (US); 2012(非特許文献10)]。
【0030】
NaV1.1チャネルにおける軽度の機能喪失変異は、家族性熱性けいれんと呼ばれるより軽度のてんかん表現型を示すため、NaV1.1チャネルにおける遺伝子変化によって引き起こされるてんかん症候群のスペクトルについては、統一された機能喪失仮説が提唱されており:軽度の障害は熱性けいれんの素因になり、中間の障害はGEFS+てんかんをもたらし、および重度の機能喪失は、ドラベ症候群の難治性発作および併存疾患を引き起こす(Catterall WA, et al., NaV1.1 channels and epilepsy. J. Physiol. 2010; 588: 1849-59(非特許文献11))。
【0031】
ナトリウム電流の低減は、過剰興奮性よりもむしろ低興奮性をもたらすはずであるため、本分野における専門家は、(通常の2つと対立するものである、遺伝子の1つの機能的コピーのみでは、NaVチャネルの健常なニューロンネットワーク機能を維持するのに十分ではない)ハプロ不全が、てんかんを引き起こすことに驚いた。ドラベ症候群における過剰興奮性および併存疾患についての機構的根拠は、マウスにおけるSCN1A遺伝子の標的化欠失または変異によって生成された動物モデルを用いて研究された。ホモ接合性ヌルNaV1.1(-/-)マウスは、運動失調を発症し、生後(P)15日目に死亡した(Ogiwara, et al., J. Neurosci. 2007;27:5903-5914(非特許文献12)、Yu, et al. Nat. Neurosci. 2006;9:1142-1149(非特許文献13))。ヘテロ接合性NaV1.1(+/-)マウスは、遺伝子バックグラウンドに著しく依存して、P21後に始まる自発的発作および散発性の死亡を示した。
【0032】
NaV1.1の喪失は、海馬ニューロンにおいてナトリウムチャネルの電位依存性活性化または不活性化を変化させなかったが、ナトリウム電流密度は、NaV1.1(+/-)マウスおよびNaV1.1(-/-)マウスの抑制性介在ニューロンにおいて実質的に低減し、その興奮性錐体ニューロンにおいては低減しなかった。このナトリウム電流の低減は、海馬および皮質の介在ニューロンにおいて活動電位の持続性高頻度発火の喪失を引き起こし、それによって、活動電位の高頻度バーストの生成に依存するそのインビボ抑制機能を損なった。
【0033】
ナトリウムチャネル遮断薬は、静止、活性化、および不活性化のそのサイクルの特定の段階で、多くの場合に不活性化状態からの回復を遅らせ、それによりNa+の蓄積的低減を生じることによって、ナトリウムチャネルに優先的に影響を及ぼす。
【0034】
非てんかん性の脳は、(発作を誘発し得る)興奮と(発作を低減させ得る)抑制との自然のバランスを有する。多すぎる興奮性神経伝達によって引き起こされるてんかん(SCN1A変異関連てんかん以外のてんかんの多く)において、ナトリウムチャネル遮断薬は、多すぎる興奮を引き起こす神経伝達物質を低減させるため、有益である。
【0035】
ナトリウムチャネル遮断薬が発作活性を阻止するように働く機構に基づいて、ナトリウムチャネルを無効にさせる(本質的には、遮断させる)SCN1A遺伝子における変異は、発作を阻止し、ドラベ症候群を有する人をてんかんが起こりにくくするはずであると思われるであろう。しかし、恐らく、この変異の結果は、発作が起こる可能性をより高くする興奮性神経伝達物質のバランスをとるために脳において正確な量で通常存在する抑制性神経伝達物質の量の減少であるため、この機能喪失は、発作活性の増加をもたらすと考えられる。この状況において、脳における興奮と抑制とのバランスの問題は、多すぎる興奮ではなく、少なすぎる抑制である。ドラベ症候群患者に対してナトリウムチャネル遮断薬を与えることは、脳における抑制性神経伝達物質の数をさらに減少させため、より強い発作活性に向かってバランスを傾ける。
【0036】
加えて、ドラベ症候群を有する患者を処置する場合には特に望ましくないいずれかのナトリウムチャネル薬物で患者を処置することは、望ましくない可能性がある。てんかんの処置において広く用いられるある特定のクラスの薬物、すなわち、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン、ラモトリギン、ラコサミド、ルフィナミド、フェニトイン、およびホスフェニトインを含むナトリウムチャネル遮断薬は、ドラベ症候群において禁忌であることが見出されている。これらの薬物は、ほぼすべてのドラベ症候群患者において、より大きな発作の発生率および悪化した予後を実際にもたらし得る。同様に、ビガバトリンおよびチアガビンを含む選択的GABA再取り込み阻害剤/GABAトランスアミナーゼ(「GABA T」)阻害剤は、ドラベ症候群において回避されるべきである。
【0037】
本発明に関連して否定され得るナトリウムチャネル遮断薬には、フェニトイン、カルバマゼピン、ラモトリギン、オクスカルバゼピン、ルフィナミド、ラコサミド、酢酸エスリカルバゼピン、およびホスフェニトインが含まれ得る。
【0038】
スチリペントールは、ドラベ症候群の処置について、欧州、カナダ、日本、およびオーストラリアにおいて承認されており、最近米国FDAによって承認された。スチリペントールの可能性のある作用の機構には、γ-アミノ酪酸(GABA)A受容体を通して媒介される直接効果、ならびに結果として生じるクロバザムおよびその活性代謝物の血中レベルの増加を伴う、チトクロームP450活性の阻害を含む間接効果が含まれる。スチリペントールは、クロバザムと組み合わせた使用について表示されており、バルプロアートなどの他の抗てんかん薬が添加されてもよい。しかし、肝臓チトクロームP450酵素に対するその阻害性効果のために、スチリペントールの使用に関する懸念が残っている。さらに、スチリペントールと数多くの薬物との相互作用は、(典型的にはドラベ症候群を有する患者に必要とされる)併用療法が問題となることを意味する。さらに、スチリペントールの有効性は、限定されており、あったとしてもわずかな患者が発作を起こさなくなるだけである。
【0039】
ドラベ症候群の処置のための2つ以上の抗てんかん薬の使用である多薬療法は、副作用として、有意な患者の負担を結果としてもたらし得、または、複数の投薬由来の有害事象が、付加的であり得、かつ不耐容性のために治療法の有効性の限定を結果としてもたらし得る;換言すると、投薬の小さな有益性は、薬物が患者に対して有する危険性または負の効果よりも高い価値を有さない場合がある。多くの場合、利用可能な抗てんかん薬は妥当な発作調節を提供せず、それぞれの神経外科的手順は選択肢ではない。従って、それぞれ、認知または食欲の安全性の懸念に関連し得るカンナビジオール(Epidiolex(登録商標))およびスチリペントール(Diacomit(登録商標))についての臨床試験におけるいくらかのレベルの有効性にもかかわらず、ドラベ症候群、ならびに、SE、RSE、およびSRSEのための新たな処置は、重要なまだ対処されていないニーズのままである。Baraban, S, et al., Brain, 140 (3), p. 669-683 (March 2017)(非特許文献14)。
【0040】
したがって、持続性の制御されない発作を経験しており、かつ全身麻酔薬を介して医学的に誘導された昏睡状態におかれているかまたはおかれるであろう、てんかん重積状態(SE)、難治性てんかん重積状態(RSE)、または超難治性てんかん重積状態(SRSE)を有する患者において、発作制御を改善するための方法を提供する必要が残っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0041】
【非特許文献1】New England Journal of Medicine (1985), 313:1419
【非特許文献2】Archives of Neurology (1988) 45:923-925
【非特許文献3】Epilepsy Research (1988) 2:340-343
【非特許文献4】Neuropaediatrics, (1996); 27(4):171-173
【非特許文献5】Epilepsia, 43(2):205-206, 2002
【非特許文献6】Berg et al., "Revised terminology and concepts for organization of seizures," Epilepsia, 51(4):676-685 (2010)
【非特許文献7】Trinka, et al., (2015) Drugs. 75:1499-1521
【非特許文献8】Niquet, et al.,(2017) Epilepsia 58(4):e49-e53
【非特許文献9】Dravet C. The core Dravet syndrome phenotype. Epilepsia 2011; 52 (Suppl. 2): 3-9
【非特許文献10】Noebels et al., Jasper's Basic Mechanisms of the Epilepsies, 4th edition, Bethesda (Md.): National Center for Biotechnology Information (US); 2012
【非特許文献11】Catterall WA, et al., NaV1.1 channels and epilepsy. J. Physiol. 2010; 588: 1849-59
【非特許文献12】Ogiwara, et al., J. Neurosci. 2007;27:5903-5914
【非特許文献13】Yu, et al. Nat. Neurosci. 2006;9:1142-1149
【非特許文献14】Baraban, S, et al., Brain, 140 (3), p. 669-683 (March 2017)
【発明の概要】
【0042】
本開示は、アンフェタミン誘導体、具体的にはフェンフルラミンを用いた、てんかんまたはてんかん性脳症の処置、および患者において発作制御を改善する方法を対象とする。より詳しくは、本開示は、10分以上持続する制御されない発作を経験している患者において、発作のタイプ(例えば、けいれん性)または意識を回復することがない再発性発作に応じて、発作制御を改善する方法であって、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンを、60 mg/日の最大値までの0.2 mg/kg/日~1 mg/kg/日の用量でかつ/または約12時間~約7日の期間にわたって、全身麻酔薬を介して医学的に誘導された昏睡状態にある患者に投与する工程、ならびに約12時間~約7日後に、患者を全身麻酔薬から離脱させる工程、および発作制御が改善しているかどうかを評価する工程を含む方法を提供する。てんかんまたはてんかん性脳症は、診断されていようとまたは未診断であろうと、てんかん重積状態(SE)、難治性てんかん重積状態(RSE)、または超難治性てんかん重積状態(SRSE)であり得る。SE、RSE、またはSRSEを経験している患者のための標準治療は、患者を、不定の期間にわたって、全身麻酔薬を介して治療用の医学的に誘導された昏睡状態におくことである。本開示では、SE、RSE、およびSRSEの患者をフェンフルラミンで処置し、これにより、これらの患者を、処置前のベースラインおよび/または時点と比較して発作制御を維持しながら、全身麻酔から離脱させることが可能になる。
【0043】
本開示は、SE、RSE、またはSRSEを有し、全身麻酔薬を介して医学的に誘導された昏睡状態にある患者の処置における使用のための方法および製剤であって、患者に、1.25 mg/ml、2.5 mg/ml、または5 mg/mlの濃度で液体製剤中に塩酸フェンフルラミンを含む、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量を投与する工程、フェンフルラミンを患者に、数日間、数週間、または数ヶ月間にわたって、1日に1回、1日に2回、1日に3回、または1日に4回の投薬レジメンで提供する工程を含み、該用量が、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲の初期用量で患者に提供される、方法および製剤を提供する。
【0044】
好ましくは、投薬は、1日に2回、12時間間隔で提供される。この処置で、以前は処置に対して屈折性(refractive)であり、したがって治療用の医学的に誘導された昏睡状態に維持されていた患者が、麻酔の投与を再開する必要を示すブレークスルー発作の出現なく、全身麻酔から離脱できることが観察されている。
【0045】
方法のいくつかの態様において、フェンフルラミンは、患者に投与される唯一の治療剤である。
【0046】
方法のいくつかの態様において、フェンフルラミンは、補助療法であり、第2の、または第2および第3の、または第2、第3、および第4の治療剤と同時投与される。任意の第2の、または任意の組み合わせの第2および第3の、または任意の組み合わせの第2、第3、および第4の関心対象の治療剤が、利用されてもよい。いくつかの場合には、第2の、または第2および第3の、または第2、第3、および第4の治療剤は、カンナビジオール、カルバマゼピン、エトスクシミド、ホスフェニトイン、ラモトリギン、レベチラセタム、フェノバルビタール、トピラマート、スチリペントール、バルプロ酸、バルプロアート、ベラパミル、ならびにベンゾジアゼピン、例えば、クロバザム、クロナゼパム、ジアゼパム、ロラゼパム、およびミダゾラム、ならびにその薬学的に許容される塩、塩基、酸、またはアミンからなる群より選択される。
【0047】
いくつかの態様において、血液脳関門(BBB)にP-糖タンパク質(P-gp)を過剰発現している、RSEまたはSRSEを経験している患者には、追加剤としてP-gp阻害剤を投与する工程を含む方法が適合している。P-gpは、多くのAEDを含む複数の剤についてATPアーゼ排出ポンプとして作用する、ATP依存性細胞表面輸送体分子である。P-gpは、多くのCNS薬物を含むある特定の化合物を、能動的に細胞の外へポンプで出す。P-gpは、多剤耐性1遺伝子(MDR1)とも呼ばれる、アデノシン三リン酸結合カセットサブファミリーBメンバー1(ABCB1)遺伝子によってコードされる。いくつかの態様において、RSEまたはSRSEは、BBBにおけるP-gpレベルの増加を引き起こす。いくつかの態様において、P-gp阻害剤は、ベラパミル、タリキダール、およびエラクリダールから選択される。
【0048】
いくつかの態様において、フェンフルラミン処置は、患者を治療用の医学的に誘導された昏睡状態に維持する必要性を25%以上、50%以上、75%以上低減させるか、または治療的昏睡状態への将来的な誘導の必要性を完全に排除するための量でかつ期間にわたって継続する。
【0049】
本発明の別の局面において、処置は、患者の入院来診を25%以上、50%以上、75%以上低減させるか、または難治性の発作による入院来診を完全に排除するための量でかつ期間にわたって継続される。
【0050】
本発明の別の局面は、液体製剤の正確な測定のために目盛り付きである経口シリンジの使用によって、液体フェンフルラミン製剤を投与する工程を含む。製剤は、着香剤および着色剤を含んでもよく、または、水であってもよい液体中にフェンフルラミンを溶解するために必要なものを超える任意の賦形剤物質を完全に欠いていてもよい。
【0051】
いくつかの場合には、特に、特定の剤の使用が、その剤が無効であるため、または望ましくないかもしくは重篤な副作用を有するためのいずれかで禁忌である場合には、治療剤のうちのいくつかの投与の前に、遺伝子変異について患者を検査するのが望ましいことがある。したがって、フェンフルラミンによる処置の前に患者を検査することが、いくつかの場合には望ましい。ドラベ症候群を有する患者の場合には、検査は、ドラベ症候群に関連づけられているSCN1A(例えば、電位またはポア領域S4~S6における、部分的または全体的な欠失変異、切断変異、および/またはミスセンス変異など)、SCN1 B(ナトリウムチャネルβ1サブユニットをコードする領域など)、SCN2A、SCN3A、SCN9A、GABRG2(γ2サブユニットをコードする領域など)、GABRD(σサブユニットをコードする領域など)およびIまたはPCDH19遺伝子における変異について実施することができる。
【0052】
いくつかの例において、変異は、例えば、全般発作、ミオクローヌス発作、欠神発作、および熱性けいれんを含む、様々な発作タイプを特徴とする疾患および状態に関連づけられる遺伝子において起こる。変異は、以下の遺伝子:ALDH7A1、CACNA1A、CACNA1H、CACNB4、CASR、CHD2、CHRNA2、CHRNA4、CHRNB2、CLCN2、CNTN2、CSTB、DEPDC5、EFHC1、EPM2A、GABRA1、GABRB3、GABRD、GABRG2、GOSR2、GPR98、GRIN1、GRIN2A、GRIN2B、KCNMA1、KCNQ2、KCNQ3、KCTD7、MBD5、ME2、NHLRC1、PCDH19、PRICKLE1、PRICKLE2、PRRT2、SCARB2、SCN1A、SCN1B、SCN2A、SCN4A、SCN9A、SLC2A1、TBC1D24のうちの1つまたは複数において起こり得る。
【0053】
いくつかの例において、変異は、例えば、早期乳児性てんかん性脳症を含む、年齢関連てんかん性脳症に関連づけられる遺伝子において起こる。変異は、以下の遺伝子:ALDH7A1、ARHGEF9、ARX、CDKL5、CNTNAP2、FH、FOXG1、GABRG2、GRIN2A、GRIN2B、KCNT1、MAGI2、MAPK10、MECP2、NRXN1、PCDH19、PLCB1、PNKP、PNPO、PRRT2、RNASEH2A、RNASEH2B、RNASEH2C、SAMHD1、SCN1A、SCN1B、SCN2A、SCN8A、SCN9A、SLC25A22、SLC2A1、SLC9A6、SPTAN1、STXBP1、TCF4、TREX1、UBE3A、ZEB2のうちの1つまたは複数において起こり得る。
【0054】
いくつかの例において、変異は、例えば、神経細胞移動障害、重症の小頭症、橋小脳低形成、ジュベール症候群および関連障害、全前脳症、ならびにRAS/MAPK経路の障害を含む、形成異常障害に関連づけられる遺伝子において起こる。変異は、以下の遺伝子:AHI1、ARFGEF2、ARL13B、ARX、ASPM、ATR、BRAF、C12orf57、CASK、CBL、CC2D2A、CDK5RAP2、CDON、CENPJ、CEP152、CEP290、COL18A1、COL4A1、CPT2、DCX、EMX2、EOMES、FGF8、FGFR3、FKRP、FKTN、FLNA、GLI2、GLI3、GPR56、HRAS、INPP5E、KAT6B、KRAS、LAMA2、LARGE、MAP2K1、MAP2K2、MCPH1、MED17、NF1、NPHP1、NRAS、OFD1、PAFAH1B1、PAX6、PCNT、PEX7、PNKP、POMGNT1、POMT1、POMT2、PQBP1、PTCH1、PTPN11、RAB3GAP1、RAF1、RARS2、RELN、RPGRIP1L、SHH、SHOC2、SIX3、SLC25A19、SNAP29、SOS1、SPRED1、SRD5A3、SRPX2、STIL、TGIF1、TMEM216、TMEM67、TSEN2、TSEN34、TSEN54、TUBA1A、TUBA8、TUBB2B、VDAC1、WDR62、VRK1、ZIC2のうちの1つまたは複数において起こり得る。
【0055】
いくつかの例において、変異は、X連鎖知的障害におけるてんかんに関連づけられる遺伝子において起こる。変異は、以下の遺伝子:ARHGEF9、ARX、ATP6AP2、ATP7A、ATRX、CASK、CDKL5、CUL4B、DCX、FGD1、GPC3、GRIA3、HSD17B10、IQSEC2、KDM5C、MAGT1、MECP2、OFD1、OPHN1、PAK3、PCDH19、PHF6、PLP1、PQBP1、RAB39B、SLC16A2、SLC9A6、SMC1A、SMS、SRPX2、SYN1、SYPのうちの1つまたは複数において起こり得る。
【0056】
いくつかの例において、変異は、例えば、神経セロイドリポフスチン症、リソソーム蓄積症、グリコシル化の先天性障害、ペルオキシソーム形成の障害、および白質ジストロフィーを含む、オルガネラ機能不全を特徴とする貯蔵疾患および状態に関連づけられる遺伝子において起こる。変異は、以下の遺伝子:AGA、ALG1、ALG12、ALG2、ALG3、ALG6、ALG8、ALG9、ALG11、ALG13、ARSA、ARSB、ASPA、B4GALT1、CLN3、CLN5、CLN6、CLN8、COG1、COG4、COG5、COG6、COG7、COG8、CTSA、CTSD、DDOST、DOLK、DPAGT1、DPM1、DPM3、EIF2B1、EIF2B2、EIF2B3、EIF2B4、EIF2B5、FUCA1、GALC、GALNS、GFAP、GLB1、GNE、GNPTAB、GNPTG、GNS、GUSB、HEXA、HEXB、HGSNAT、HYAL1、IDS、IDUA、MCOLN1、MFSD8、MGAT2、MLC1、MOGS、MPDU1、MPI、NAGLU、NEU1、NOTCH3、NPC1、NPC2、PEX1、PEX12、PEX14、PEX2、PEX26、PEX3、PEX5、PEX6、PEX7、PEX10、PEX13、PEX16、PEX19、PGM1、PLP1、PMM2、PPT1、PSAP、RFT1、RNASEH2A、RNASEH2B、RNASEH2C、SAMHD1、SDHA、SGSH、SLC17A5、SLC35A1、SLC35A2、SLC35C1、SMPD1、SUMF1、TMEM165、TPP1、TREX1のうちの1つまたは複数において起こり得る。
【0057】
いくつかの例において、変異は、例えば、若年ミオクロニーてんかん、小児欠神てんかん、良性ローランドてんかん、レノックス・ガストー症候群、ドラベ症候群、大田原症候群、ウエスト症候群などを含む、てんかんを伴う症候性障害に関連づけられる遺伝子において起こる。変異は、以下の遺伝子:ATP2A2、ATP6V0A2、BCKDK、CACNA1A、CACNB4、CCDC88C、DYRK1A、HERC2、KCNA1、KCNJ10、KIAA1279、KMT2D、LBR、LGI1、MAPK10、MECP2、MEF2C、NDE1、NIPBL、PANK2、PIGV、PLA2G6、RAI1、RBFOX1、SCN8A、SERPINI1、SETBP1、SLC1A3、SLC4A10、SMC3、SYNGAP1、TBX1、TSC1、TSC2、TUSC3、UBE3A、VPS13A、VPS13Bのうちの1つまたは複数において起こり得る。
【0058】
いくつかの例において、変異は、片頭痛の発症に関連づけられる遺伝子において起こる。変異は、以下の遺伝子:ATP1A2、CACNA1A、NOTCH3、POLG、SCN1A、SLC2A1のうちの1つまたは複数において起こり得る。
【0059】
いくつかの例において、変異は、過剰驚愕症に関連づけられる遺伝子において起こる。変異は、以下の遺伝子:ARHGEF9、GLRA1、GLRB、GPHN、SLC6A5において起こり得る。
【0060】
いくつかの例において、変異は、例えば、糖質代謝の障害、アミノ酸代謝障害、尿素サイクル障害、有機酸代謝の障害、脂肪酸酸化およびミトコンドリア代謝の障害、ポルフィリン代謝の障害、プリンまたはピリミジン代謝の障害、ステロイド代謝の障害、ミトコンドリア機能の障害、ペルオキシソーム機能の障害、およびリソソーム蓄積症を含む、先天性代謝異常に関連づけられる遺伝子において起こる。変異は、以下の遺伝子:ABAT、ABCC8、ACOX1、ACY1、ADCK3、ADSL、ALDH4A1、ALDH5A1、ALDH7A1、AMT、ARG1、ATIC、ATP5A1、ATP7A、ATPAF2、BCS1L、BTD、C12ORF65、CABC1、COQ2、COQ9、COX10、COX15、DDC、DHCR7、DLD、DPYD、ETFA、ETFB、ETFDH、FOLR1、GAMT、GATM、GCDH、GCSH、GLDC、GLUD1、GLUL,HPD、HSD17B10、HSD17B4、KCNJ11、L2HGDH、LRPPRC、MGME1、MMACHC、MOCS1、MOCS2、MTHFR、MTR、MTRR、NDUFA1、NDUFA2、NDUFAF6、NDUFS1、NDUFS3、NDUFS4、NDUFS7、NDUFS8、NDUFV1、PC、PDHA1、PDHX、PDSS1、PDSS2、PGK1、PHGDH、POLG、PRODH、PSAT1、QDPR、RARS2、SCO2、SDHA、SLC19A3、SLC25A15、SLC46A1、SLC6A8、SUCLA2、SUOX、SURF1、TACO1、TMEM70、VDAC1のうちの1つまたは複数において起こり得る。
【0061】
他の遺伝子検査を、処置の条件として実施することができ、かつ/または要求することができる。
【0062】
いくつかの態様において、1つまたは複数の標的は、σ-1 受容体、5-HT1A受容体、5-HT1D受容体、5-HT2A受容体、5-HT2C受容体、およびSERT輸送体からなる群より選択される。
【0063】
いくつかの態様において、30分以上持続する制御されない発作を経験しており、かつ全身麻酔薬を介して医学的に誘導された昏睡状態におかれた患者において、発作制御を改善する方法であって、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンを、最大用量が60 mgを超えないという条件で約0.2 mg/kg/日の用量から1.0 mg/kg/日の用量で、かつ/または約12時間~約7日の期間にわたって投与する工程、ならびに12時間~7日の間の後に、次いで、患者を全身麻酔薬から離脱させる工程、および発作制御が改善しているかどうかを評価する工程を含む方法を、本明細書において開示する。いくつかの態様において、方法は、有効性の欠如に基づいてまたは耐容性に基づいて、患者が、スチリペントールおよび/またはカンナビジオールでの処置に以前に失敗したことを決定する工程をさらに含む。いくつかの態様において、フェンフルラミン投与は、1週間以上またはそれよりも長い期間にわたって反復され、患者が全身麻酔から離脱することができ、かつ患者の発作が10日以上の期間にわたって排除されるまで、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲の初期用量で液体製剤において1日当たり2回、フェンフルラミンを投与する。
【発明を実施するための形態】
【0064】
発明の詳細な説明
本発明の処置の方法を記載する前に、本発明は、記載される特定の態様に限定されず、よって、当然変動してもよいことが理解されるべきである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書において用いられる用語法は、特定の態様を記載することのみを目的とし、限定するようには意図されないこともまた理解されるべきである。
【0065】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の、文脈上明らかに別段の指示がない限り下限の単位の10分の1までの各介在値もまた、具体的に開示されることが理解される。任意の記述された値または記述された範囲の介在値と、任意の他の記述された値または記述範囲の介在値との間のより小さな範囲の各々は、本発明内に包含される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立して範囲に含まれるかまたは除外されてもよく、より小さな範囲にいずれかの限界が含まれるか、どちらの限界も含まれないか、または両方の限界が含まれる各範囲もまた、記述された範囲におけるいずれかの具体的に除外された限界値に従って、本発明内に包含される。記述された範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた、本発明に含まれる。
【0066】
別段の定義がない限り、本明細書において用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の方法および材料を、本発明の実施または試験において用いることができるが、いくつかの可能性があるおよび好ましい方法および材料を、これから説明する。本明細書において言及されるすべての刊行物は、それに関して刊行物が引用される方法および/または材料を開示し、かつ説明するために、参照により本明細書に組み入れられる。本開示は、矛盾が存在する程度まで、組み入れられる刊行物の任意の開示に優先することが理解される。
【0067】
本明細書において引用される特許、特許出願、および論文の各々は、参照により組み入れられる。本明細書においておよび添付の特許請求の範囲において用いられる場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示物を含み;冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」の使用は、1つまたは複数を包含するように意図されることに、注意しなければならない。したがって、例えば、「投与する工程(a step of administering)」への言及は、複数のそのような工程を含み、「症状(the symptom)」への言及は、1つまたは複数の症状および当業者に公知のその同等物を含む、などである。
【0068】
前述の説明および実施例は、例証として意図され、限定として解釈されるべきではない。本発明の精神および範囲内のさらに他の変化が可能であり、当業者には容易に浮かぶであろう。
【0069】
本明細書において議論される刊行物は、単に、本出願の提出日よりも前のその開示物について提供されるだけである。本明細書におけるいずれも、本発明が先行発明のせいでそのような刊行物に先行する権利を与えられないという承認と解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、実際の刊行日とは異なっている可能性があり、それは独立して確認される必要があり得る。
【0070】
定義
「医学的に誘導された昏睡状態」または「治療的昏睡」という句は、脳の炎症および/または腫脹を鎮め、かつ発作がより良好に制御される(すなわち、ベースラインの頻度および/または重症度から低減する)ようにさせる試みにおいて、患者に対する全身麻酔の制御された用量、典型的には、プロポフォール、ペントバルビタール、および/またはチオペンタールの投与によってもたらされる、一時的な昏睡または深い無意識の状態を指す。
【0071】
「ベースラインからの低減」という用語は、フェンフルラミンの投与前の同じ患者または類似した患者と比べた低減を指すために、全体を通して用いられる。ベースライン期間中に、患者は、フェンフルラミン以外の他の治療剤で処置される。同じ他の治療剤での処置は、フェンフルラミンでの処置の最中に実質的に維持される。比較は、ベースライン期間中に行われる観察、測定、または試験と比べて行われる。
【0072】
「フェンフルラミン」という用語は、上記構造1に示される遊離塩基、ならびにその薬学的に許容される酸付加塩の両方を指す。薬学的に許容される酸付加塩は、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩または酸性リン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、およびグルコン酸塩などの、非毒性酸アニオンを形成する酸から形成されるものである。「ZX008」という用語は、経口溶液として製剤化された塩酸フェンフルラミンを指す。
【0073】
本発明の具体的局面
長年の広範囲にわたる研究の後に、フェンフルラミンは、ドラベ症候群を含むてんかんまたはてんかん性脳疾患を有する患者において発作を低減させるかまたは排除するために、本明細書に記載されるように投与され得ることが予想外に見出された。これは、本明細書に示される結果によって確認される。さらなる情報は、その内容が本明細書に組み入れられる、Ceulemansらによる論文であるEpilepsia (2012) 53(7):1131-1139の中にある。
【0074】
疑いを回避するために、発作の「予防」という用語は、発作の全体的または部分的な予防(抑制)を意味する。理想的には、本発明の方法は、発作の全体的な予防を結果としてもたらし、実際に、この理想は、本発明者らによって処置された複数の患者において達成されている。しかし、本発明はまた、発作の事例が、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%減少している方法も包含する。
【0075】
ドラベ症候群を有する患者は、一般的には光感受性または誘導性の発作を経験することが公知である。先行技術における教示、例えば、両方とも上記で議論されたAicardi and Gastaut (1988)およびBoel and Casaer (1996)から、フェンフルラミンが、光感受性または誘導性の発作を低減させることが期待される可能性があった。しかし、重要なことに、ドラベ症候群を有する患者から示されるすべてのタイプの発作、すなわち、光感受性もしくは誘導性であるものに加えて、かつそれ以外の、けいれんおよび非けいれんの発作を、本発明の方法による処置によって抑制することができる。けいれん発作は、全身を含み、かつ不随意である。それらは、非常に明白な、強い急速な筋収縮(強直期)およびその後続く身体筋肉の四肢のけいれん(間代期)の突然の発症を含み、かつまた、震え、意識の喪失、呼吸困難、腸/膀胱の調節の喪失、および/または錯乱状態も含み得、通常数分間続く。脱力発作は、筋力または緊張の突然の欠如が人を地面に倒してしまい得る、無動発作、転倒発作または失立発作とも呼ばれる、筋力の突然の喪失を引き起こす発作のタイプであり、典型的には、運動発作のタイプとして分類される。脱力発作は、一般的に、レノックス・ガストー症候群を有する患者において起こる。罹患した人は通常、意識があるままであり、倒れない可能性があるが、ヘッドドロップ、眼瞼下垂を示す可能性があり、または握っていた何かを落とす可能性がある。
【0076】
間代性もしくは強直性の活性、または他の主要な運動活性が欠けている発作は、非けいれん性として分類され、それらは、観察者によって容易に明らかであるものからほぼ検出不可能であるものの範囲にわたり得る。意識減損を伴うかまたは伴わない非運動焦点発作には、発作活性を経験する脳の領域に応じて、感覚、認知、情動、または自律神経の異常が含まれ得る。
【0077】
非定型欠神発作は、それらが欠神発作(すなわち、意識減損発作のより普通の種類)よりも長い持続期間であり、かつよりゆっくりとした発症および消失を有するためにそのように名付けられ、様々な症状を含む。非定型欠神発作は、筋肉の緊張および動きにおける変化が通常付随するうつろな表情を通常伴う、虚空を見つめることで始まり得る。眼瞼の急速な粗動として現れる反復的なまばたきが起こり得る。患者の随意調節下ではない、舌打ちまたは咀嚼運動、指のこすり合わせまたは他の手の動きなどの自動症もまた、起こり得る。非定型欠神発作は、最大で20秒以上続く場合がある。
【0078】
したがって、本発明の状況において、「発作」という用語は、光感受性または誘導性の発作だけではなく、てんかんを有する患者が経験する他のタイプの発作のうちのいくつかまたはすべてを包含するように用いられる。
【0079】
その上、フェンフルラミンの治療効果は、任意の有意なプラセボ効果とは独立しているように見られる。一般に、てんかん臨床治験におけるプラセボアームの効果は、概してかなり正であり、効果的な治療法を検証することが困難になる。プラセボについての発作消失の割合はかなり低い(0~2.8%)が、プラセボについての50%レスポンダー率の割合は相当により大きく(4~27%)(Burneo et al., 2002;Cramer et al., 1999;Guekht et al., 2010;Rheims et al., 2008;Zaccara et al., 2015)、さらにてんかん公的治験における統計学的に有意な出版バイアスのためにより高い可能性がある(Beyenburg et al., 2010)。プラセボ現象は、通常の疾患進行に(Goldenholz et al., Ann. Neurol. 2015 SEP; 78(3): 329-336. オンライン発表2015 Jul 29, doi 10.1002/ana.24470)、および複数の要因によって影響を受けるその大きさに部分的に起因し得る可能性があるが、それは立証可能であり、恐らく患者のおよび治験医師の正または負の期待のためである。概して、Goldenholz et al., Response to Placebo in Clinical Epilepsy Trials - Old Ideas and New Insights Epilepsy Res. 2016 May; 122: 15-25、オンライン発表2016 February 10. doi: 10.1016/j.eplepsyres.2016.02.002で用いられる用語法は、特定の態様を記載することのみを参照されたい。
【0080】
予想外に、二重盲検フェンフルラミン臨床治験において得られた結果は、非盲検研究からの結果と有効に一致して、より慣例的な抗てんかん薬の大多数とは異なり、フェンフルラミンの有効性がいずれのプラセボ効果も含まないという驚くべき結論をもたらす。これは、てんかんまたはてんかん性脳疾患における抗発作投薬としてのフェンフルラミンの有効性の信頼性および堅牢さにおける改善を提供する、予想外のかつ驚くべき結果である。
【0081】
したがって、本発明のさらなる局面によると、SE、RSE、またはSRSEを経験しており、かつ全身麻酔薬を介して治療用の医学的に誘導された昏睡状態にある患者において、発作制御を改善する方法であって、その患者にフェンフルラミンの治療的有効用量を投与して、患者を全身麻酔薬から離脱させ得ることをもたらす工程による方法が提供される。本局面の様々な態様において、患者が誘導された昏睡から覚醒して意識を回復し始めた後の1時間、2時間、3時間、6時間、および/または12時間の間に、いかなるブレークスルー発作も観察されない。他の態様において、全身麻酔薬からの離脱時の発作の事例は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%減少する。
【0082】
したがって、本発明のさらなる局面によると、上記の遺伝子のうちの1つ、いくつか、またはすべてにおいて変異を示す、SE、RSE、またはSRSEを経験している患者を処置する方法であって、その患者にフェンフルラミンの有効用量を投与する工程による方法が提供される。本発明の本局面のある特定の態様において、患者は、ドラベ症候群と診断されている。
【0083】
フェンフルラミンは、セロトニン再取り込みを阻害すること、およびその小胞貯蔵の破壊のために脳におけるセロトニンの放出を誘発することが知られている。より最近の研究からのデータは、フェンフルラミンがσ-1受容体の正のアロステリック調節物質であるという証拠を提供する。本明細書において提供される結果は、全身麻酔薬を介した治療的昏睡の誘導を必要とする屈折性(refractive)てんかんの処置における、処置される患者から発作を劇的に低減させ、いくつかの場合には完全に排除するようにフェンフルラミンを投与する工程、およびそれによって患者を全身麻酔から離脱させるのを可能にする工程による、高い程度の有効性を示す。
【0084】
したがって、本開示のある局面によると、10分持続する制御されない発作または意識を回復することがない反復したけいれん発作を経験している患者において発作制御を改善するための方法であって、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンを、一日用量が60 mg/日を超えないという条件で0.2 mg/kg/日から1.0 mg/kg/日までの用量で、かつ/または12時間~約7日の期間にわたって、全身麻酔薬を介して医学的に誘導された昏睡状態にある患者に投与する工程;ならびに約12時間~約7日後に、患者を全身麻酔薬から離脱させる工程、および発作制御が改善しているかどうかを評価する工程を含む方法が提供される。
【0085】
方法のいくつかの態様において、発作制御を評価する工程は、ECG、ビデオ-脳波遠隔測定法、および訓練された人材による連続的な観察、またはそれらの任意の組み合わせによって測定される。
【0086】
いくつかの態様において、離脱させる工程は、フェンフルラミンの投与を開始した約12時間~約7日後に開始される。
【0087】
いくつかの態様において、評価は、発作制御が十分には改善していないことを示し、かつ方法は、全身麻酔薬で医学的に誘導された昏睡状態を再確立する工程、およびフェンフルラミンの用量を増加させる工程をさらに含む。
【0088】
いくつかの態様において、全身麻酔薬は、プロポフォール、バルビツラート、ミダゾラム、およびケタミン、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの態様において、全身麻酔薬は、ペントバルビタールおよびチオペンタールから選択されるバルビツラートである。
【0089】
いくつかの態様において、発作制御は、フェンフルラミンの投与を継続しながら患者を全身麻酔から離脱させ続けるほど十分改善している。最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲の初期初回用量の後、改善された発作制御状態の維持のために、フェンフルラミンの継続投与を、0.2 mg/kg/日~0.8 mg/kg/日に下げて用量設定することができる。
【0090】
いくつかの態様において、患者は、難治性てんかん重積状態(RSE)または超難治性てんかん重積状態(SRSE)と診断されている。
【0091】
いくつかの態様において、患者は、てんかんまたはてんかん性脳症(例えば、ドラベ症候群、ドーゼ症候群、点頭てんかん、レノックス・ガストー症候群、レット症候群);注意障害(例えば、注意欠陥障害(ADD)または注意欠陥/多動性障害(ADHD));発達障害、例えば、自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害(PDD)、および特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)を含む自閉症スペクトラム症(ASD);反抗挑戦性障害(ODD);学習障害(例えば、読字障害、計算障害);トゥレット症候群;外傷性脳損傷;鉛曝露;不安および/もしくは抑うつ;ならびに低出生体重;またはそれらの任意の組み合わせから選択される疾患または状態と診断されている。いくつかの態様において、患者は、ドラベ症候群と診断されている。いくつかの態様において、患者は、レノックス・ガストー症候群と診断されている。
【0092】
いくつかの態様において、フェンフルラミンは、薬学的に許容される担体と共に製剤化され、かつ有効用量は、約10.0 mg/kg/日未満、約5.0 mg/kg/日未満、1.0 mg/kg/日未満、約0.8 mg/kg/日、および約0.5 mg/kg/日からなる群より選択される。
【0093】
いくつかの態様において、フェンフルラミンは、患者において補助療法として使用される。
【0094】
いくつかの態様において、少なくとも1つの共治療剤が投与され、該剤は、ブリバラセタム、臭化物(例えば、臭化カリウム、臭化ナトリウム)、カンナビジオール、カルバマゼピン、クロニジン、Ergenyl Chrono、エトスクシミド、フェルバマート、ホスフェニトイン、ケタミン、ラコサミド、ラモトリギン、レベチラセタム、レボカルニチン、メスクシミド、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、ペランパネル、フェノバルビタール、プレガバリン、プロガビド、ピリドキシン、ルフィナミド、スルチアム、チザニジン、トピラマート、スチリペントール、バルプロ酸セミナトリウム、バルプロ酸ナトリウム、バルプロ酸、ベラパミル、ゾニサミド、ならびにベンゾジアゼピン、例えば、クロバザム、クロナゼパム、ジアゼパム、ロフラゼプ酸エチル、ロラゼパム、およびミダゾラム、ならびにその薬学的に許容される塩、塩基、酸、またはアミンからなる群より選択される。
【0095】
いくつかの態様において、患者は、ケトン産生食または迷走神経刺激で維持される。
【0096】
いくつかの態様において、フェンフルラミンは、経口、注射可能、経皮、吸入、鼻、直腸、膣、および非経口からなる群より選択される投与の経路用の剤形にある。いくつかの態様において、剤形は、静脈内液剤の形態にある。いくつかの態様において、剤形は、経胃栄養チューブを介した経口投与用の液剤である。
【0097】
いくつかの態様において、挿管されたかまたは昏睡状態の患者は、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩の非経口剤形を投与される。非経口投与の例示的な形態には、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、血管内、腹腔内、または点滴が含まれる。いくつかの態様において、フェンフルラミンは、皮下投与のために製剤化される。フェンフルラミンおよびその薬学的に許容される塩は、ゴマ油、コーン油、綿実油、または落花生油、ならびにエリキシル剤、マンニトール、デキストロース、または滅菌水溶液、および類似の薬学的ビヒクルと共に、水性もしくは油性の懸濁液、またはエマルジョンに、注射による投与のために組み入れることができる。食塩水中の水溶液もまた、注射用に用いることができる。例示的な賦形剤には、注射用滅菌水、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール、シクロデキストリン誘導体、および植物油が含まれる。
【0098】
滅菌の注射可能溶液は、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩を必要とされる量で、例えば、適しているpHを提供するための緩衝剤などの1つまたは複数の賦形剤と共に、適切な溶媒に組み入れること、およびそれに続く濾過滅菌によって、調製することができる。分散物は、滅菌したフェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩を滅菌ビヒクル中に組み入れることによって、調製することができる。注射可能製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通した濾過によって、または、溶解もしくは分散させることができる滅菌固体組成物の形態にある滅菌の剤を、使用前に滅菌水もしくは他の滅菌注射可能媒体に組み入れることによって、滅菌することができる。注射可能組成物は、約0.1~約5% w/wのフェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩を含有することができる。
【0099】
不可欠ではないが、ある態様において、ベンジルアルコールを、7%の濃度まで組成物に組み入れてもよい。ベンジルアルコールは、抗細菌作用を発揮する、およびまた薬物の非経口投与時に局所的な麻酔効果を提供する、望ましい特性を有する。
【0100】
いくつかの態様において、改善された発作制御は、フェンフルラミンで処置されていない、かつ全身麻酔から離脱していない患者における頻度、長さ、重症度、または発作間の時間の長さと比較して、頻度、長さ、もしくは重症度の低下、および/または発作間の時間の長さの増大として観察される。
【0101】
方法のいくつかの態様において、患者がフェンフルラミンで処置された後に、発作間の時間が増大し、少なくとも0.5時間、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも2ヶ月、少なくとも6ヶ月、および少なくとも1年から選択される。
【0102】
いくつかの態様において、患者は、18歳以下の年齢である。いくつかの態様において、患者は、18歳よりも上の年齢である。
【0103】
いくつかの局面において、キットが提供され、該キットは、フェンフルラミン製剤、パッケージ、および制御されない発作を経験している患者における発作制御の改善において使用するための説明書を含む添付文書を含む。
【0104】
いくつかの局面において、キットが提供され、該キットは、薬学的に許容される担体と、フェンフルラミンを含む活性成分とを含む製剤の複数の用量を含む容器、ならびに制御されない発作を経験している患者を製剤で処置するため、および製剤での処置後に患者を全身麻酔から離脱させることができるかを評価するための説明書を含む。
【0105】
本発明の方法において投与されるフェンフルラミンの用量は、口腔内崩壊錠を含む錠剤、カプセル剤、ロゼンジ、経口溶剤もしくはシロップ、経口エマルジョン、経口ジェル、経口フィルム、バッカル液、例えば懸濁用の粉末などのような経口剤形;注射可能な剤形;経皮パッチ、軟膏、クリームなどの経皮剤形;吸入剤形;および/または鼻に、直腸に、膣に投与される剤形を含むがそれらに限定されない、任意の薬学的に許容される剤形において製剤化することができる。そのような剤形は、1日に1回の投与のため、または複数回毎日投与(例えば、1日に2、3、または4回の投与)のために製剤化することができる。
【0106】
投与量は、患者の体重に基づいてもよく、本明細書において指定される範囲は、別段の指定がない限り、終点を含むものである。
【0107】
本発明の方法において使用されるフェンフルラミンの剤形は、フェンフルラミンを1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、担体、アジュバントなどと、薬学的製剤の分野における当業者に公知の様式で組み合わせることによって、調製することができる。
【0108】
いくつかの態様において、フェンフルラミンは、単独療法として使用することができる。あるいは、フェンフルラミンは、抗けいれん薬などの1つまたは複数の共治療剤と同時に、逐次的に、または別々に同時投与することができる。そのような剤は、カンナビジオール、カルバマゼピン、エトスクシミド、ホスフェニトイン、ラモトリギン、レベチラセタム、フェノバルビタール、プロガビド、トピラマート、スチリペントール、バルプロ酸、バルプロアート、ベラパミル、ならびにベンゾジアゼピン、例えば、クロバザム、クロナゼパム、ジアゼパム、ロフラゼプ酸エチル、ロラゼパム、ミダゾラムからなる群より選択することができる。共治療剤の薬学的に許容される塩、塩基、酸、またはアミンの使用もまた、企図される。しかし、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン、ラモトリギン、フェニトイン、およびビガバトリンは、発作を良くするよりもむしろ悪くする傾向があるため、典型的にはドラベ症候群において禁忌である。
【0109】
フェンフルラミンは、スチリペントールまたはカンナビジオールなどの、例えば本明細書に記載されるような抗けいれん薬で以前に処置されたことがある患者を処置するために使用することができる。いくつかの例において、患者は、本明細書に記載されるような1つまたは複数の抗けいれん剤での処置に対して抵抗性である、ドラベ症候群、ドーゼ症候群、点頭てんかん、レノックス・ガストー症候群、またはレット症候群と診断されている。ある特定の例において、抗けいれん剤は、スチリペントールなどの、ニューロンGABA(A)受容体の調節物質である。抗けいれん剤(例えば、スチリペントールまたはカンナビジオール)に対する抵抗性によっては、けいれん発作の頻度(CSF)が、抗けいれん剤での治療法(例えば、単独療法)に応答して患者において有意に低減しないことが意味される。いくつかの例において、CSFの有意な低減は、平均月間けいれん発作の10%以上の低減、例えば、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、または99%以上の低減である。ある特定の例において、本方法は、スチリペントールに対して抵抗性のドラベ症候群と診断された患者において、発作制御を改善する方法である。様々な態様において、発作の事例(例えば、平均月間けいれん発作)は、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少する。
【0110】
本発明は、フェンフルラミンが患者に投与される唯一の活性成分である、全体を通して記載されるような使用を含む。
【0111】
いくつかの局面において、10分以上持続する制御されない発作または意識を回復することがない反復したけいれん発作を経験している患者において発作制御を改善する方法であって、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンを、一日用量が60 mg/日を超えないという条件で0.2 mg/kg/日から1.0 mg/kg/日までの用量で、かつ/または12時間~約7日の期間にわたって、全身麻酔薬を介して医学的に誘導された昏睡状態にある患者に投与する工程、ならびに約12時間~約7日後に、患者を全身麻酔薬から離脱させる工程、および発作制御が改善しているかどうかを評価する工程を含む方法が、本明細書において提供される。てんかんまたはてんかん性脳症は、診断されていようとまたは未診断であろうと、てんかん重積状態(SE)、難治性てんかん重積状態(RSE)、または超難治性てんかん重積状態(SRSE)であり得る。SE、RSE、またはSRSEを経験している患者のための標準治療は、患者を、不定の期間にわたって、全身麻酔薬を介して治療用の医学的に誘導された昏睡状態におくことである。典型的には、医師は、24時間後に難治性患者を麻酔から離脱させようと試み、発作が戻る場合には、患者に5~7日サイクルで全身麻酔薬を再投与し、続いて追加的な離脱の試みを行って、これは典型的には、根底にある障害が消散する場合には消散をもたらすであろう。本開示では、SE、RSE、およびSRSEの患者をフェンフルラミンで処置し、これにより、これらの患者を、処置前の時点と比較して発作制御を維持しながら、全身麻酔から離脱させることが可能になる。フェンフルラミンを、超難治性てんかん重積状態の制御における試験剤として投与する場合、離脱への試みは、開始後5~7日よりも短い間隔で、例えば、約12時間~約5日または約1~約4日の後に離脱させ始めるように、行われてもよい。いくつかの態様において、投与する工程は、患者が、けいれん発作頻度もしくは発作の重症度もしくは発作の長さの減少、および/または発作間の時間の増大によって測定されるような、ベースラインと比較して改善された発作減少を示しながら全身麻酔薬から離脱することができるまで、1日もしくは数日間、または数週間にわたって反復される。いくつかの態様において、方法は、患者が1日以上の期間にわたって、または9日以上の期間にわたって、または14日以上の期間にわたって、または21日以上の期間にわたって、または14週間以上の期間にわたって、または6ヶ月以上の期間にわたって、または1年以上の期間にわたって発作消失するまで、投与を反復する工程をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、患者が永久に発作消失するまで、投与を反復する工程をさらに含む。方法のいくつかの態様において、けいれん発作は、10日以上、20日以上、30日以上、50日以上、100日以上にわたって完全に排除される。方法のいくつかの態様において、反復投与は、患者が全身麻酔から離脱した後にけいれん発作頻度においてベースラインからの有意な低減が観察されるまで、4週間以上の期間にわたって継続する。
【0112】
いくつかの態様において、投与する工程は数ヶ月間にわたり、共治療剤はクロバザムである。いくつかの態様において、共治療剤は、スチリペントール、バルプロアート、およびクロバザムの組み合わせである。投与は、毎日、1日に1回、1日に2回、1日に3回、または1日に4回であってもよい。いくつかの態様において、用量は、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲の初期用量のレベルで患者に提供される。いくつかの態様において、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンは、塩酸フェンフルラミンである。いくつかの態様において、塩酸フェンフルラミンは、液体製剤の用量の正確な測定のために目盛り付きの経口シリンジを用いて1日に2回、12時間間隔で提供され、単独でまたは共治療剤としての別の抗てんかん薬と共に投与される、1.25 mg/ml、2.5 mg/ml、または5 mg/mlの濃度の液体製剤中にある。いくつかの態様において、処置は、けいれん発作、運動失調、歩行異常、睡眠障害、および認知障害からなる群より選択される2つ以上の症状を改善する。いくつかの局面において、本開示は、全身麻酔薬を介して医学的に誘導された昏睡状態にある患者において発作制御を改善する方法であって、患者に、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲の量の、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、もしくは酸の治療的有効用量を投与する工程;共治療剤を投与する工程;ならびに、患者が全身麻酔薬から離脱して、例えば、けいれん発作頻度におけるベースラインからの40%以上、50%以上、または60%以上の低減として示される、発作制御の改善されたレベルを維持することができるまで、数週間にわたって該共治療剤およびフェンフルラミンの投与を反復する工程を含む方法を提供する。本方法の実施における使用のための薬学的組成物および製剤もまた、提供される。いくつかの態様において、方法は、患者が全身麻酔薬から離脱して、けいれん発作間の平均時間におけるベースラインからの8時間以上の増大として示される、発作制御の改善されたレベルを維持することができるまで、数日間にわたるフェンフルラミン(またはその塩、酸、塩基、もしくはアミン)の反復投与を含む。
【0113】
いくつかの態様において、方法は、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲の量の、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量;共治療剤を投与する工程を含み、該共治療剤およびフェンフルラミンは、患者が全身麻酔薬から離脱して、けいれん発作間の平均時間におけるベースラインからの1週間以上の増加として示される、発作制御の改善されたレベルを維持することができるまでの、数週間にわたる反復毎日投与における使用のための液体製剤中にある。
【0114】
いくつかの態様において、全体を通して記載されるように、方法は、患者に投与される唯一の活性成分としてフェンフルラミンを含む。
【0115】
いくつかの態様において、患者に、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量を投与する工程、および、患者が全身麻酔薬から離脱して、けいれん発作間の平均時間において6時間以上の、または8時間以上の平均時間、または1日以上の平均時間、または2日以上の平均時間、または1週間以上の平均時間、または1ヶ月以上の平均時間の、ベースラインからの増大として示される、発作制御の改善されたレベルを維持することができるまで、数日間にわたって投与を反復する工程を含む、フェンフルラミン処置後は、ヒト患者において発作間の平均時間を増大させることが観察される。いくつかの態様において、全身麻酔薬を介して医学的に誘導された昏睡状態にある患者は、患者に、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲の初期用量の量の、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量を投与する工程;共治療剤を投与する工程;ならびに、患者が全身麻酔から離脱して、例えば、けいれん発作間の平均時間におけるベースラインからの6~23時間もしくはそれよりも長い、1~6日もしくはそれよりも長い、1~3週間もしくはそれよりも長い、1~11ヶ月もしくはそれよりも長い、1年もしくはそれよりも長い増大として示される、発作制御の改善されたレベルを維持することができるまで、または発作が10日以上、20日以上、30日以上、50日以上、100日以上にわたって完全に排除されるまで、数週間にわたって該共治療剤およびフェンフルラミンの投与を反復する工程によって処置される。いくつかの態様において、投与は、患者がけいれん発作間の平均時間においてベースラインから4時間以上、5時間以上、6時間以上、7時間以上、8時間以上、9時間以上、12時間以上、15時間以上、18時間以上、または24時間以上の増大を示すまで、数日間にわたって反復される。いくつかの態様において、投与を反復する工程は、1日もしくは数日間にわたって、または数週間にわたって、または数ヶ月間にわたって、または数年間にわたって行われる。反復投与が毎日であるいくつかの態様において、投与は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、または1日に4回である。いくつかの態様において、用量は、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値まで、0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲のレベルで患者に提供される。いくつかの態様において、投与する工程は数ヶ月間にわたり、共治療剤はクロバザムである。いくつかの態様において、共治療剤は、スチリペントール、バルプロアート、およびクロバザムの組み合わせである。いくつかの態様において、方法は、患者が1日以上の期間にわたって、または9日以上の期間にわたって、または14日以上の期間にわたって、または21日以上の期間にわたって、または14週間以上の期間にわたって、または6ヶ月以上の期間にわたって、または1年以上の期間にわたって発作消失するまで、投与を反復する工程をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、患者が永久に発作消失するまで、投与を反復する工程をさらに含む。いくつかの態様において、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンは、塩酸フェンフルラミンである。いくつかの態様において、塩酸フェンフルラミンは、1.25 mg/ml、2.5 mg/ml、または5 mg/mlの濃度の液体製剤中にある。いくつかの態様において、塩酸フェンフルラミンは、液体製剤の用量の正確な測定のために目盛り付きの経口シリンジを用いて1日に2回、12時間間隔で提供され、単独でまたは共治療剤としての別の抗てんかん薬と共に投与される、1.25 mg/ml、2.5 mg/ml、または5 mg/mlの濃度の液体製剤中にある。方法のいくつかの態様において、反復投与は、けいれん発作間の平均時間におけるベースラインからの6~23時間もしくはそれよりも長い、1~6日もしくはそれよりも長い、1~3週間もしくはそれよりも長い、1~11ヶ月もしくはそれよりも長い、1年もしくはそれよりも長い増大、または発作が、10日以上、20日以上、30日以上、50日以上、100日以上にわたって完全に排除されることが観察されるまで、4週間以上の期間にわたって継続する。いくつかの態様において、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量は、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大量までの0.2 mg/kg/日~1.5 mg/kg/日の範囲の初期用量の量で、液体製剤において1日当たり2回である。
【0116】
いくつかの態様において、方法は、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量を含み、使用は、患者が全身麻酔薬から離脱して、例えば、患者が経験する発作タイプにおけるベースラインからの低減として示される、発作制御の改善されたレベルを維持することができるまでの、数日間にわたる反復投与のためである。
【0117】
いくつかの局面において、方法は、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大量までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲の初期用量の量の、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量;共治療剤を含み、該共治療剤およびフェンフルラミンは、患者が全身麻酔薬から離脱して、例えば、2つのタイプの発作のベースラインからの低減として示される、発作制御の改善されたレベルを維持することができるまでの、数週間にわたる反復毎日投与における使用のための液体製剤中にある。
【0118】
いくつかの局面において、制御されない発作を経験しているヒト患者において特定のタイプの発作を低減させる方法であって、患者に、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量を投与する工程、および、患者が全身麻酔薬から離脱して、特定のタイプの発作におけるベースラインからの有意な低減(例えば、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはさらにそれよりも大きい)として示される、発作制御の改善されたレベルを維持することができるまで、1日もしくは数日間にわたって、または数週間、数ヶ月間、もしくは数年間にわたって投与を反復する工程による方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、ドラベ症候群と診断された患者を処置する方法であって、患者に、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量を投与する工程;および、患者が、該患者が経験する発作タイプにおいてベースラインからの低減を示すまで、数日間にわたって投与を反復する工程による方法が提供される。低減は、1つ、2つ、3つ、または複数の特定のタイプの発作のものであってもよい。いくつかの態様において、2つの発作タイプを低減させる。いくつかの態様において、3つの発作タイプを低減させる。方法のいくつかの態様において、低減させる発作タイプは、非けいれん発作、全般発作、ミオクローヌス発作、欠神/非定型欠神発作、および熱性けいれん、またはそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。いくつかの態様において、特にドラベ症候群には、全般間代発作(GCS)、全般強直間代発作(以前の用語法は大発作)、または交代性一側性間代発作からなるけいれん発作;ミオクローヌス発作;非定型欠神および鈍麻(鈍くなった意識もしくは意識減損)の状態;二次的全般化を伴うかもしくは伴わない、焦点発作;または、よりまれに強直発作を含む、複数の発作タイプが典型的に存在する。いくつかの態様において、低減させる発作タイプは、光感受性発作および自己誘導性発作からなる群より選択される。いくつかの態様において、低減させる発作タイプは、脱力発作、または明らかな観察可能な運動徴候を伴わない焦点発作より選択される。いくつかの態様において、方法は、患者または介護者によって、毎日経験した発作タイプを電子手帳に記録する工程をさらに含む。いくつかの態様において、投与を反復する工程は、1日もしくは数日間にわたって、または数週間にわたって、または数ヶ月間にわたって、または数年間にわたって行われる。反復投与が毎日であるいくつかの態様において、投与は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、または1日に4回である。いくつかの態様において、用量は、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲のレベルで患者に提供される。いくつかの態様において、方法は、患者が、フェンフルラミンを投与する前に患者が経験した発作の少なくとも1つのタイプをもはや経験しないまで、0.2 mg/kg/日以上60 mg/日までの量のフェンフルラミンの投与を反復する工程をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、患者が、けいれん発作、運動失調、歩行異常、睡眠障害、および認知障害からなる群より選択される2つ以上の症状を改善するまで、0.2 mg/kg/日以上60 mg/日までの量のフェンフルラミンの投与を反復する工程をさらに含む。いくつかの態様において、患者は、特定の発作タイプにおけるベースラインからの50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上の低減を示す。いくつかの態様において、特定の発作タイプは、10日以上、20日以上、30日以上、50日以上、100日以上にわたって完全に排除される。いくつかの態様において、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンは、塩酸フェンフルラミンである。いくつかの態様において、塩酸フェンフルラミンは、液体製剤の用量の正確な測定のために目盛り付きの経口シリンジを用いて1日に2回、12時間間隔で提供され、単独でまたは共治療剤としての別の抗てんかん薬と共に投与される、1.25 mg/ml、2.5 mg/ml、または5 mg/mlの濃度の液体製剤中にある。方法のいくつかの態様において、フェンフルラミンは、患者に投与される唯一の活性成分である。いくつかの態様において、方法は、共治療剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの態様において、共治療剤は、カンナビジオール、カルバマゼピン、エトスクシミド、ホスフェニトイン、ラモトリギン、レベチラセタム、フェノバルビタール、トピラマート、バルプロ酸、バルプロアート、ベラパミル、ならびにベンゾジアゼピン、例えば、クロバザム、クロナゼパム、ジアゼパム、ロラゼパム、およびミダゾラム、ならびにその薬学的に許容される塩、塩基、酸、またはアミンからなる群より選択される。いくつかの態様において、投与する工程は数ヶ月間にわたり、共治療剤はクロバザムである。いくつかの態様において、共治療剤は、スチリペントール、バルプロアート、およびクロバザムの組み合わせである。方法のいくつかの態様において、反復投与は、患者が経験する特定の発作タイプにおいてベースラインからの低減が観察されるまで、4週間以上の期間にわたって継続する。いくつかの態様において、反復投与は、患者が経験する特定の発作タイプが10日以上の期間にわたって排除されるまで、継続する。いくつかの態様において、反復投与は、患者が経験する特定の発作タイプが10日以上の期間にわたって排除されるまで、0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の量で液体製剤において1日当たり2回フェンフルラミンを投与することによって、4週間以上の期間にわたって継続する。いくつかの局面において、本開示は、ドラベ症候群と診断された患者を処置する方法であって、患者に、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲の初期用量の量の、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量を投与する工程;共治療剤を投与する工程;ならびに、患者が2つのタイプの発作においてベースラインからの低減を示すまで、数週間にわたって該共治療剤およびフェンフルラミンの投与を反復する工程を含む方法を提供する。いくつかの局面において、制御されない発作を経験している患者を処置するための製剤の使用であって、該製剤が、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲の量の、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量;共治療剤を含み、かつ、該共治療剤およびフェンフルラミンが、患者が2つのタイプの発作のベースラインからの低減を示すまでの、数週間にわたる使用のための液体製剤中にある使用が、本明細書において提供される。本方法の実施における使用のための薬学的組成物および製剤もまた、提供される。
【0119】
いくつかの態様において、方法は、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量;併用抗てんかん薬(AED)の使用であって、該フェンフルラミンおよびAEDが、処置の有効性を維持しながら投与されるAEDを徐々に低減させる間の、数日間にわたる反復毎日投与における使用のための液体製剤中にある、使用を含む。
【0120】
本発明は、難治性てんかんと診断された患者を処置するための製剤の使用であって、該製剤が、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲の量の、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量;併用抗てんかん薬(AED);患者の症状のモニタリングを含み、該フェンフルラミンおよびAEDが、症状が維持されるかまたは改善されることを確認するためのモニタリングを継続しながら投与されるAEDを徐々に低減させる間の、反復毎日投与における使用のための液体製剤中にある、使用を含む。
【0121】
いくつかの局面において、ドラベ症候群または他のてんかん性脳症と診断されたヒト患者において併用投薬の投与量を低減させる方法であって、患者に、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量を投与する工程、および、1つまたは複数の併用抗発作薬または抗てんかん薬(AED)の用量をベースラインから低減させ、それによって有害副作用を低減させながら患者に与えられる投薬の量を減少させる間、数日間にわたって投与を反復する工程による方法が、本明細書において提供される。いくつかの局面において、ドラベ症候群と診断された患者を処置する方法であって、患者に、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量を投与する工程;患者に、併用AEDを数日間にわたって投与する工程;ならびに、該フェンフルラミンおよびAEDを、処置の有効性を維持しながら投与されるAEDを徐々に低減させる間、数日間にわたって投与し続ける工程による方法が、本明細書において提供される。方法のいくつかの態様において、併用AEDを、処置の有効性をモニタリングしながら設定単位で低減させる。方法のいくつかの態様において、漸進的な低減は、数日間にわたって、または数週間にわたって、または数ヶ月間にわたって継続する。方法のいくつかの態様において、低減は、患者が併用AEDの用量をもはや受けないまで、継続する。方法のいくつかの態様において、フェンフルラミンは、患者に投与される唯一の活性成分である。いくつかの態様において、方法は、共治療剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの態様において、共治療剤は、カンナビジオール、カルバマゼピン、エトスクシミド、ホスフェニトイン、ラモトリギン、レベチラセタム、フェノバルビタール、トピラマート、バルプロ酸、バルプロアート、ベラパミル、ならびにベンゾジアゼピン、例えば、クロバザム、クロナゼパム、ジアゼパム、ロラゼパム、およびミダゾラム、ならびにその薬学的に許容される塩、塩基、酸、またはアミンからなる群より選択される。いくつかの態様において、投与する工程は数ヶ月間にわたり、共治療剤はクロバザムである。いくつかの態様において、共治療剤は、スチリペントール、バルプロアート、およびクロバザムの組み合わせである。いくつかの態様において、方法は、クロバザムがもはや投与されないまで、投与を反復する工程をさらに含む。方法のいくつかの態様において、処置は、けいれん発作、運動失調、歩行異常、睡眠障害、および認知障害からなる群より選択される2つ以上の症状を改善する。いくつかの態様において、方法は、毎日投与されるAEDの量が25%以上低減するまで、AEDの投与を反復する工程をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、毎日投与されるAEDの量が50%以上低減するまで、AEDの投与を反復する工程をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、毎日投与されるAEDの量が75%以上低減するまで、AEDの投与を反復する工程をさらに含む。いくつかの態様において、塩酸フェンフルラミンは、液体製剤の用量の正確な測定のために目盛り付きの経口シリンジを用いて1日に2回、12時間間隔で提供され、単独でまたは共治療剤としての別の抗てんかん薬と共に投与される、1.25 mg/ml、2.5 mg/ml、または5 mg/mlの濃度の液体製剤中にある。いくつかの局面において、難治性てんかんと診断された患者を処置する方法であって、患者に、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲の量の、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量を数日間にわたって投与する工程;患者に、併用抗てんかん薬(AED)を数日間にわたって投与する工程;患者の症状をモニタリングする工程;ならびに、該フェンフルラミンおよびAEDを、症状が維持されるかまたは改善されることを確認するためのモニタリングを継続しながら投与されるAEDを徐々に低減させる間、投与し続ける工程による方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、SE、RSE、またはSRSEなどの難治性てんかんは、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、またはドーゼ症候群として元々診断され、後にSE、RSE、またはSRSEに進行した。いくつかの態様において、難治性てんかんはドラベ症候群であり、フェンフルラミンおよびAEDは、液体製剤において毎日2回投与される。いくつかの態様において、フェンフルラミンは、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲の量で投与される。いくつかの局面において、難治性てんかんと診断された患者を処置するための製剤の使用であって、該製剤が、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲の量の、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量;併用抗てんかん薬(AED)を含み、該フェンフルラミンおよびAEDが両方とも、患者の症状をモニタリングしながらの使用のためであり、かつ、該フェンフルラミンおよびAEDが、症状が維持されるかまたは改善されることを確認するためのモニタリングを継続しながら投与されるAEDを徐々に低減させる間、用いられる使用が、本明細書において提供される。本方法の実施における使用のための薬学的組成物および製剤もまた、提供される。
【0122】
いくつかの態様において、SE、RSE、またはSRSEを有し、かつ全身麻酔薬を介して医学的に誘導された昏睡状態におかれた、選択されたてんかん患者集団を処置する方法であって、該選択された患者が、カンナビジオールおよび/もしくはスチリペントールで処置された時にてんかん患者が以前に非応答性であった、または時間の増大と共にカンナビジオールおよび/もしくはスチリペントールに対する患者の応答が減ったという判定に基づいて選択されている方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、方法は、有効性の欠如または耐容性に基づき、以前に失敗したカンナビジオールおよび/またはスチリペントールでの処置に基づいて患者を選択する工程を含む。いくつかの態様において、方法は、選択された患者の集団中の各々の特定された患者に、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量を投与する工程、および、患者が全身麻酔から離脱することができるまで、1日もしくは数日間にわたって、または数週間、数ヶ月間、もしくは数年間にわたって投与を反復する工程を含む。いくつかの態様において、SE、RSE、またはSRSEなどの難治性てんかんを有し、かつ全身麻酔薬を介して医学的に誘導された昏睡状態におかれている、選択された患者集団中の患者を処置する方法は、カンナビジオールおよび/もしくはスチリペントールで処置された時に非応答性と以前に判定されたか、または時間が経つにつれてカンナビジオールおよび/もしくはスチリペントールに対するその応答が減った患者に投与するための製剤において、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量を使用し、かつ該用量は、患者が全身麻酔薬から離脱して、医学的に誘導された昏睡状態から解放され得るまで、数日間にわたって反復される。
【0123】
方法は、SE、RSE、またはSRSEなどの難治性てんかんを有し、かつ医学的に誘導された昏睡状態にある選択された患者集団中の患者を処置するための製剤の使用を含み、該製剤は、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量を含む使用を含み、該製剤は、カンナビジオールおよび/もしくはスチリペントールで処置された時に患者が非応答性と以前に判定されたか、または時間が経つにつれてカンナビジオールおよび/もしくはスチリペントールに対する患者の応答が減った状態での使用のためであり、かつ該使用は、患者が成功裡に全身麻酔薬から離脱して、医学的に誘導された昏睡状態から解放され得るまで、数日間にわたって反復される。
【0124】
方法は、選択された患者集団中の患者を処置するための製剤の使用を含み、該患者は、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、またはドーゼ症候群と診断され、後にSE、RSE、またはSRSEに進行しており、該使用は、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲の量の、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量;共治療剤を投与する工程を含み、かつ該製剤は、カンナビジオールおよび/もしくはスチリペントールで処置された時に患者が非応答性と以前に判定されたか、または時間が経つにつれてカンナビジオールおよび/もしくはスチリペントールに対する患者の応答が減った状態での使用のためであり、該使用は、患者が成功裡に全身麻酔薬から離脱して、医学的に誘導された昏睡状態から解放され得るまで、数週間にわたって反復される。
【0125】
方法のいくつかの態様において、患者は、数週間/数ヶ月間/数年間にわたって治療的有効用量を投与され、ベースラインからの低減は、数週間/数ヶ月間/数年間にわたって持続される。反復投与が毎日であるいくつかの態様において、投与は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、または1日に4回である。いくつかの態様において、用量は、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲の初期用量で、患者に提供される。いくつかの態様において、患者は、フェンフルラミンでの処置後に、全身麻酔からの離脱、けいれん発作頻度におけるベースラインからの50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上の低減を示す。いくつかの態様において、発作は、10日以上、20日以上、30日以上、50日以上、100日以上にわたって完全に排除される。いくつかの態様において、方法は、患者が1日以上の期間にわたって、または9日以上の期間にわたって、または14日以上の期間にわたって、または21日以上の期間にわたって、または14週間以上の期間にわたって、または6ヶ月以上の期間にわたって、または1年以上の期間にわたって発作消失するまで、投与を反復する工程をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、患者が永久に発作消失するまで、投与を反復する工程をさらに含む。いくつかの態様において、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンは、塩酸フェンフルラミンである。いくつかの態様において、塩酸フェンフルラミンは、液体製剤の用量の正確な測定のために目盛り付きの経口シリンジを用いて1日に2回、12時間間隔で提供され、単独でまたは共治療剤としての別の抗てんかん薬と共に投与される、1.25 mg/ml、2.5 mg/ml、または5 mg/mlの濃度の液体製剤中にある。方法のいくつかの態様において、フェンフルラミンは、患者に投与される唯一の活性成分である。いくつかの態様において、方法は、共治療剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの態様において、共治療剤は、カンナビジオール、カルバマゼピン、エトスクシミド、ホスフェニトイン、ラモトリギン、レベチラセタム、フェノバルビタール、スチリペントール、トピラマート、バルプロ酸、バルプロアート、ベラパミル、ならびにベンゾジアゼピン、例えば、クロバザム、クロナゼパム、ジアゼパム、ロラゼパム、およびミダゾラム、ならびにその薬学的に許容される塩、塩基、酸、またはアミンからなる群より選択される。いくつかの態様において、投与する工程は数ヶ月間にわたり、共治療剤はクロバザムである。いくつかの態様において、共治療剤は、スチリペントール、バルプロアート、およびクロバザムの組み合わせである。いくつかの態様において、処置は、けいれん発作、運動失調、歩行異常、睡眠障害、および認知障害からなる群より選択される2つ以上の症状を改善する。
【0126】
いくつかの態様において、本開示は、患者が制御されない発作を経験している、選択された患者集団中の該患者を処置する方法であって、スチリペントールで処置された時に患者が以前に非応答性であったこと、または時間が経つにつれてスチリペントールに対する患者の応答が減ったことを判定する工程;そのように判定された患者を非応答性であるとして特定する工程;非応答性患者に、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲の量の、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量を投与する工程;共治療剤を投与する工程;ならびに、患者が、全身麻酔からの離脱時に、けいれん発作頻度においてベースラインからの60%以上の低減を示すまで、数週間にわたって該共治療剤およびフェンフルラミンの投与を反復する工程を含む方法を提供する。いくつかの局面において、制御されない発作を経験しているヒト患者においてスチリペントールの用量を調整する方法であって、フェンフルラミンの総投与量が60 mg/日を超えないという条件で、スチリペントールを受けている患者に、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量を投与する工程、およびその後、フェンフルラミン投与量を、フェンフルラミン療法の18~24日目にわたって5 mg/kg/日に増加させる工程による方法が、本明細書において提供される。いくつかの局面において、スチリペントール療法を受けており、かつある形態のてんかんを処置するためにフェンフルラミン療法を開始する患者に、フェンフルラミンを投薬する方法であって、フェンフルラミンの総投与量が60 mg/日を超えないという条件で、スチリペントールを受けている患者に、フェンフルラミン療法の最初の7日間に、例えば1 mg/kg/日のフェンフルラミンの初期投与量を投与する工程;投与量を、フェンフルラミン療法の8~15日目にわたって5 mg/kg/日に増加させる工程による方法が、本明細書において提供される。処置する医師が、患者がより迅速な用量設定を必要とすると判定した場合には、用量を、4日毎に0.2 mg/kg/日以下の増分で、5 mg/kg/日の用量または60 mg/日の最大用量まで増加させてもよい。これらの方法のいくつかの態様において、てんかんの形態は、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、およびドーゼ症候群より選択される。これらの方法のいくつかの態様において、用量設定は、スチリペントールとフェンフルラミンとの組み合わせの耐容性の増大を提供する。いくつかの態様において、患者は既に、スチリペントールに加えて1つまたは複数の共治療剤を受けている。いくつかの局面において、患者がドラベ症候群と診断されている、選択された患者集団中の該患者を処置するための製剤の使用であって、該製剤が、最大で約5日間、1日当たり60 mgの最大値までの0.2 mg/kg/日~5 mg/kg/日の範囲の量の、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量;共治療剤を含み、かつ該製剤が、スチリペントールで処置された時に患者が非応答性と以前に判定されたか、または時間が経つにつれてスチリペントールに対する患者の応答が減った状態で使用され、該共治療剤およびフェンフルラミンが、スチリペントールに対して非応答性と判定された患者がけいれん発作頻度においてベースラインからの60%以上の低減を示すまでの、数週間にわたる使用のためである使用が、本明細書において提供される。本方法の実施における使用のための薬学的組成物および製剤もまた、提供される。
【0127】
いくつかの局面において、制御されない発作を経験しており、かつ全身麻酔薬を介して医学的に誘導された昏睡状態にある、SE、RSE、またはSRSEを有するヒト患者において、カンナビジオールまたはスチリペントールの用量を調整する方法であって、最大で約5日間、フェンフルラミンの総投与量が60 mg/日を超えないという条件で、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩、塩基、酸、もしくはアミンの治療的有効用量を投与する工程、およびフェンフルラミン投与量を、フェンフルラミン療法の0.2 mg/kg/日からの範囲の初期用量に増加させる工程;ならびにその後、1日投与量を5 mg/kg/日まで増加させる工程による方法が、本明細書において提供される。いくつかの局面において、カンナビジオール療法またはスチリペントール療法を受けており、かつSE、RSE、またはSRSEを処置するためにフェンフルラミン療法を開始する患者に、フェンフルラミンを投薬する方法であって、フェンフルラミンの総投与量が60 mg/日を超えないという条件で、カンナビジオールまたはスチリペントールを受けている患者に、フェンフルラミン療法の最初の7日間に、1 mg/kg/日のフェンフルラミンの初期投与量を投与する工程;およびその後、1日投与量を5 mg/kg/日に増加させる工程による方法が、本明細書において提供される。処置する医師が、患者がより迅速な用量設定を必要とすると判定した場合には、用量を、0.5 mg/kg/日の増分で60 mg/日の最大用量まで増加させてもよい。これらの方法のいくつかの態様において、元々診断されたてんかんの形態は、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、およびドーゼ症候群より選択される。これらの方法のいくつかの態様において、用量設定は、カンナビジオールとフェンフルラミンとの組み合わせの耐容性および/または有効性の増大を提供する。これらの方法のいくつかの態様において、用量設定は、スチリペントールとフェンフルラミンとの組み合わせの耐容性および/または有効性の増大を提供する。いくつかの態様において、患者は既に、カンナビジオールに加えて1つまたは複数の共治療剤を受けている。いくつかの態様において、患者は既に、スチリペントールに加えて1つまたは複数の共治療剤を受けている。
【0128】
本方法の実施における使用のための薬学的組成物および製剤もまた、提供される。製剤は、着香剤および着色剤を含んでもよく、または、水であってもよい液体中にフェンフルラミンを溶解するために必要なものを超えるいずれかの賦形剤物質を完全に欠いていてもよい。
【0129】
いくつかの態様において、フェンフルラミンは、補助療法であり、第2の、または第2および第3の、または第2、第3、および第4の治療剤と同時投与される。任意の第2の、または第2および第3の、または第2、第3、および第4の治療剤が、利用されてもよい。いくつかの場合には、さらなる治療剤は、カンナビジオール、カルバマゼピン、エトスクシミド、ホスフェニトイン、ラモトリギン、レベチラセタム、フェノバルビタール、トピラマート、スチリペントール、バルプロ酸、バルプロアート、ベラパミル、ならびにベンゾジアゼピン、例えば、クロバザム、クロナゼパム、ジアゼパム、ロラゼパム、およびミダゾラム、ならびにその薬学的に許容される塩、塩基、酸、またはアミンからなる群より選択される。
【0130】
本方法の局面は、本明細書に記載される方法によるフェンフルラミンでの処置から恩恵を受けるであろう、以前にスチリペントールでの処置に不成功であった患者を特定することを含む。フェンフルラミンを、次いで、その後の単独療法としてかまたはスチリペントールとの共療法としてのいずれかで、患者を処置するために使用することができる。いくつかの場合には、患者を、スチリペントールでの処置の前に観察されたものと比べた、発作の事例(例えば、平均月間けいれん発作)の低減についてモニタリングすることができる。
【0131】
フェンフルラミンは、以前にカンナビジオールで処置されたことがある患者を処置するために使用することができる。いくつかの例において、患者は、カンナビジオールでの処置に対して抵抗性であるドラベ症候群と診断されている。カンナビジオールに対する抵抗性により、けいれん発作の頻度(CSF)が、カンナビジオール(CBD)での治療(例えば、単独療法)に応答して、患者において有意に低減しないことが意味される。いくつかの場合には、CSFの有意な低減は、平均月間けいれん発作の10%以上の低減、例えば、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、または45%以上の低減である。ある特定の例において、本方法は、カンナビジオールでの処置に対して抵抗性のドラベ症候群と診断された患者において発作を予防するかまたは処置する方法であって、その患者にフェンフルラミンの治療的有効用量を投与する工程により、それによって発作が予防されるかまたは低減する方法である。本局面の様々な態様において、発作の事例(例えば、平均月間けいれん発作)は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%減少する。本方法の局面は、本明細書に記載される方法によるフェンフルラミンでの処置から恩恵を受けるであろう、以前にカンナビジオールでの処置に不成功であった患者を特定することを含む。
【0132】
フェンフルラミンを、次いで、その後の単独療法としてかまたはカンナビジオールなどの第2の剤との共療法としてのいずれかで、患者を処置するために使用することができる。いくつかの場合には、患者を、カンナビジオールでの処置の前に観察されたものと比べた、発作の事例(例えば、平均月間けいれん発作)の低減についてモニタリングすることができる。
【0133】
フェンフルラミンは、遊離塩基の形態で、または、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、マレイン酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、トシル化物、コハク酸塩、メシル酸塩、およびベシル酸塩からなる群より選択される、薬学的に許容される塩、塩基、酸、またはアミンの形態で投与することができる。さらに例証となる薬学的に許容される塩は、Berge et al., J. Pharm. Sci. (1977) 68(1):1-19において見出され得る。
【0134】
本発明の方法における使用のためのフェンフルラミンは、当業者に公知の任意の薬学的に許容されるプロセスによって作製されてもよい。
【0135】
フェンフルラミンを合成するためのプロセスの例は、以下の文書:GB1413070、GB1413078、およびEP441160において提供される。フェンフルラミン薬物製品合成の例は、US20180148403において提供される。
【0136】
本発明の方法において用いられるフェンフルラミンの用量は、本発明の方法の1つまたは複数における用量を用いるための説明書を含む、キットの形態で提供され得る。ある特定の態様において、キットは、1つまたは複数の共治療剤を含む剤形をさらに含むことができる。キットはまた、患者においてフェンフルラミン療法を開始するための指示書を含有してもよく、いくつかの例において、指示は、他の相互作用する抗てんかん薬との同時投与を考慮に入れて、患者がまたそれらの薬物も同時に受ける場合の代わりの投薬説明書を提供してもよい。
【0137】
本発明の方法は、任意の適切に診断された患者に対して実施することができる。本発明の典型的な態様において、患者は、成人であってもよく、かつ年齢が約18歳以下、約16歳以下、約14歳以下、約12歳以下、約10歳以下、約8歳以下、約6歳以下、または約4歳以下~約0ヶ月以上、約1ヶ月以上、約2ヶ月以上、約4ヶ月以上、約6ヶ月以上、または約1歳以上であってもよい。したがって、診断された患者は、典型的には、処置される時に約1ヶ月またはそれよりも高齢である。
【0138】
本発明を、以下の実施例においてさらに例証する。
【実施例】
【0139】
以下の実施例は、いかに本発明を行い、用いるかの完全な開示および説明を当業者に提供するために提示され、本発明者らが発明として考えるものの範囲を限定するようには意図されないし、以下の実施例が行われたすべてのまたは唯一の実験であることを表すようにも意図されない。用いられる数(例えば、量、温度など)に関しては精度を確実にするために努力がされているが、いくらかの実験誤差および偏差が考慮に入れられるべきである。別段の指示がない限り、割合は重量による割合であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧または大気圧近くである。
【0140】
実施例1
フェンフルラミンを、ドラベ症候群(DS)の確定診断を有し(2008年2月)、確認用の遺伝子検査を受けている「G.R.」として特定される20歳の女性患者に対して試した。彼女は、2018年11月に入院し、超難治性てんかん重積状態の管理のために全身麻酔下で集中治療室(ICU)にいた。試験期間の初めに、彼女は約32日間ICUにいて、彼女を麻酔剤(フェノバルビタールおよびケタミン)から離脱させる複数の試みは成功せず、反復性のおよび次いで連続的な強直発作が数時間以内に再発した。下記の表1は、患者の発作の管理においてアッセイされたすべの抗てんかん薬(AED)の完全なリストを提供する。いくつかは、有効性を欠くと判定されていたが、現在と記されているものは、依然として投与されていた。
【0141】
【0142】
処置する医師は、これらのAEDのいくつかの迅速な試験を行い、麻酔剤からの迅速な離脱時の臨床効果を注視した。
【0143】
これらの他のAEDが失敗した後、担当医は、2018年12月19日に開始して、フェンフルラミンを試した。依然としてICU境遇にいる患者の、ベースラインの心エコー図を撮った。その時の(麻酔剤を超える)患者の投薬には、バルプロ酸、レベチラセタム、クロバザム、フェノバルビタール、ケトーシス、およびVNS療法が含まれ、麻酔をやめる最後の試みの失敗後に、フェルバマートがごく最近追加された。
【0144】
フェンフルラミンを、約5日間、0.5 mg/kg/日の初期用量で、経胃栄養チューブを介して経口溶剤として投与した。心臓弁異常(CVD)および/または肺動脈高血圧症(PAH)をスクリーニングするため、ならびに処置期間にわたって患者の心血管状態をモニタリングするのに用いられるその後の心エコー図についてのベースラインを確立するために、心エコー図検査を行い、フェンフルラミン投与を継続する次の年にわたっておよそ3ヶ月毎に繰り返した。フェンフルラミンの有効性のマーカーは、麻酔剤(ペントバルビタールおよびケタミン)の離脱後の改善された発作制御であった。患者を麻酔薬から離脱させる以前の試みは、離脱プロセスの終わりに向かって3~7分毎にブレークスルー発作をもたらし、これは、誘導された睡眠状態の再確立を結果としてもたらした。フェンフルラミン投与の4日後に、患者G.R.は、発作に戻ることなく全身麻酔から離脱することができ、差し迫った危機は消散したが、麻酔のないさらに3日後に発作が再発し始め、フェンフルラミン投与量を0.8 mg/kg/日まで調整し、バルプロアートまたはフェノバルビタールのボーラス用量を、必要に応じて投与した。処置する医師は、フェンフルラミン療法の開始の約2週間後に、患者がSRSE危機から抜け出たと評価した。患者は、レベチラセタム、クロバザム、およびバルプロアートと共にフェンフルラミンを続け、フェンフルラミン療法の開始の約1ヶ月(およそ32日)後にICUから退院した。血清試料を取得して解析し、結果を下記の表に示した。
【0145】
これらの結果により、フェンフルラミンが、SRSEを有する患者において改善された発作制御を提供することが確認される。
【0146】
前述の開示は単に、本発明の原理を例証するに過ぎない。当業者は、本明細書において明確には説明されていないかまたは示されていないが、本発明の原理を具体化し、かつその精神および範囲内に含まれる様々な配置を考案できることが、認識されるであろう。さらに、本明細書において列挙されるすべての実施例および条件付き言語は、主として、本発明の原理および当技術分野を推進するために本発明者らが与える概念を読者が理解するのを助けるように意図され、そのような具体的に列挙される実施例および条件に限定されないと解釈されるべきである。
【0147】
その上、本発明の原理、局面、および態様、ならびにその具体例を列挙する本明細書におけるすべての陳述は、その構造的等価物および機能的等価物の両方を包含するように意図される。さらに、そのような等価物は、現在公知の等価物および将来開発される等価物の両方、すなわち、構造にかかわらず、同じ機能を果たす開発された任意の要素を含むことが意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書において示され、かつ説明される例示的な態様に限定されるようには意図されない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。
【国際調査報告】