(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-08
(54)【発明の名称】DNA分子の混合物を含む組成物、生物学的阻害剤としてのその使用及び製造方法
(51)【国際特許分類】
A01N 63/60 20200101AFI20220401BHJP
A01N 65/08 20090101ALI20220401BHJP
A01N 63/12 20200101ALI20220401BHJP
A01N 63/14 20200101ALI20220401BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20220401BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20220401BHJP
A01P 7/00 20060101ALI20220401BHJP
A01N 25/02 20060101ALI20220401BHJP
A01N 63/23 20200101ALI20220401BHJP
A01N 63/20 20200101ALI20220401BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220401BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20220401BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20220401BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220401BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20220401BHJP
A61P 15/02 20060101ALI20220401BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220401BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20220401BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20220401BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220401BHJP
A61K 31/711 20060101ALI20220401BHJP
A61K 8/99 20170101ALI20220401BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220401BHJP
A23L 3/3562 20060101ALI20220401BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
A01N63/60
A01N65/08
A01N63/12
A01N63/14
A01P1/00
A01P3/00
A01P7/00
A01N25/02
A01N63/23
A01N63/20
A61K48/00
A61P1/00
A61P1/02
A61P11/00
A61P13/02 105
A61P15/02
A61P17/00 101
A61P31/00
A61P33/00
A61P27/02
A61K31/711
A61K8/99
A61Q19/00
A23L3/3562
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547796
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(85)【翻訳文提出日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 NL2020050086
(87)【国際公開番号】W WO2020167128
(87)【国際公開日】2020-08-20
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521359092
【氏名又は名称】コパート ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディアーノ、マルチェッロ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ロリート、マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】マッツォレーニ、ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ミッケルセン、ハラルド ハイスベルト
【テーマコード(参考)】
4B021
4C083
4C084
4C086
4H011
【Fターム(参考)】
4B021MC01
4B021MC10
4B021MK28
4B021MP10
4C083AA031
4C083AA032
4C083BB48
4C083CC01
4C083FF01
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZA33
4C084ZA59
4C084ZA66
4C084ZA67
4C084ZA81
4C084ZA82
4C084ZA90
4C084ZB32
4C084ZB37
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA67
4C086ZA81
4C086ZA82
4C086ZA90
4C086ZB32
4C086ZB37
4H011AA01
4H011AA03
4H011AC01
4H011BA06
4H011BB21
4H011BB22
4H011DA12
4H011DC05
4H011DC11
(57)【要約】
本発明は、標的種の阻害に適したDNA分子の混合物を含む組成物、前記組成物を用いる方法及び使用、並びに組成物を製造するための方法に関する。前記組成物は、中でもヒト及び/又は動物用医薬の分野、農業又は1つ若しくは複数の標的種の阻害が有益となる他の分野における害虫防除及び/又は病害防除に有用性を見出すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる供給源からのDNA配列を有するDNA分子の混合物を含む組成物であって、前記混合物は、ある種である供給源種の、好ましくは染色体DNA配列由来の、いくつかの第1のDNA配列と、前記供給源種とは異なる種である宿主種の、好ましくは染色体DNA配列由来の、いくつかの第2のDNA配列とを含み、場合により、該DNA分子の混合物は、供給源種DNA配列が少なくとも1つの末端で非供給源種DNA配列と隣接しているキメラDNA分子を含み、該非供給源種DNA配列が、宿主種DNA配列、好ましくは、該宿主種の天然のゲノム由来の染色体DNA配列、又はプラスミド、コスミド若しくは人工染色体などから選択される人工DNA構築物由来のDNA配列から選択される該組成物。
【請求項2】
好ましくは微生物種から選択される宿主種からの、前記宿主種の細胞の集団を含み、DNA分子が宿主種細胞、好ましくは生存宿主種細胞に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記DNA分子は非断片化キメラDNA分子を含み、前記供給源種DNA配列は部分的DNA配列、好ましくは染色体DNAのランダムに生成された部分的DNA配列、を含むか、又は前記キメラDNA分子に組み込まれた前記宿主種のトランスクリプトームから逆転写されたcDNA配列を含む、請求項1から2までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記DNA分子が断片化DNA分子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記供給源種DNA配列は染色体DNA配列を含み、前記DNA分子の混合物中の前記供給源種ゲノムのカバレッジが20~100%の間、例えば20~90%、30~100%、30~90%、40~100%、40~90%、50~100%、50~90%など、好ましくは60~100%、例えば60~90%、70~100%、70~90%、80~100%、80~90%などである、請求項1から4までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
好ましくは非供給源種DNA:供給源種DNAの比が10:1~1000:1の間、例えば20:1~500:1、50:1~500:1、100:1~500:1の間となるように、非供給源種DNA、好ましくは宿主種DNAが、供給源種DNAを上回る、請求項1から5までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記宿主種が、細菌種などの微生物種、又は子嚢菌からの種、又は古細菌からの種、又は微細植物、多細胞植物などの多細胞生物、又は蠕虫種、土壌微生物、GRASステータス微生物、微生物防除剤から選択される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
細菌種が、大腸菌(E.coli)、桿菌種、シュードモナス種、乳酸菌(例えばラクトバチルス属種、ロイコノストック属種、ペディオコッカス属種、ラクトコッカス属種、又は連鎖球菌属種など)、シアノバクテリア種(例えばアルスロスピラ種など、特にアルスロスピラ・プランテニス(Arthrospira plantenis)、又はアルスロスピラ・マキシマ(Arthrospira maxima))から選択され、
子嚢菌からの微生物種が、酵母菌種(例えば出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)など)、又はアスペルギルス種(例えばクロコウジカビ(Aspergillus niger)、コウジカビ(Aspergillus oryzae)、若しくはアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)など)、又は乳酸菌(例えばラクトバチルス属種、ロイコノストック属種、ペディオコッカス属種、ラクトコッカス属種、エンテロコッカス属種など、又は連鎖球菌属種など)、又はシアノバクテリア(例えばアルスロスピラ種など、特にアルスロスピラ・プランテニス(Arthrospira plantenis)、又はアルスロスピラ・マキシマ(Arthrospira maxima))から選択され、
多細胞植物が、作物、好ましくは食用作物(例えば穀物、トウモロコシ、テンサイ、ナタネ、エンドウマメ、ダイズなどから選択される)、油料作物(例えばナタネ、エチオピアンマスタード、ヒマワリなど)、澱粉作物(例えば(サトウ)モロコシなど)、繊維作物(例えば亜麻又は麻など)、リグノセルロース作物(例えば草葦、暖竹、スイッチグラス、ススキ、カルドンなど)、短輪作森林作物(例えばヤナギ、ポプラ、又はユーカリなど)から選択され、
蠕虫種が、蠕虫療法に使用される蠕虫(例えばブタ鞭虫(Trichuris suis)、アメリカ鉤虫(Necator americanus)、鞭虫(Trichuris trichiura)、縮小条虫(Hymenolepis diminuta)、回虫(Ascaris lumbricoides)、糞線虫(Strongyloides stercoralis)、蟯虫(Enterobius vermicularis)、又は小型条虫(Hymenolepis nana)など)から選択され、
土壌微生物が、アルファプロテオバクテリア属種、ベータプロテオバクテリア属種、デルタプロテオバクテリア属種、アクチノバクテリア属種、サーモレオフィラム(Thermoleophilia)属種、ルブロバクター(Rubrobacteria)属種、クロラキドバクテリウム(Chloracidobacteria)属種、アシドバクテリウム(Acidobacteria)属種、又はソリバクター(Solibacteres)属種から選択され、
微生物防除剤が、細菌生物防除剤、特にバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)若しくは枯草菌(Bacillus subtillus)、又は真菌生物防除剤、例えば昆虫病原性真菌(例えば白きょう病菌(Beauveria bassiana)、イサリア・フモソロセア(Isaria fumosorosea)、レカニニシリウム属種、又はメタリジウム属種など)、又は例えばトリコデルマ属種又はアンペロマイセス・クイスクアリス(Ampelomyces quisqualis)から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記供給源種が、標的種又は該標的種に系統的に類似の種から選択され、該標的種が、疾患関連種、例えば病原種、寄生種若しくは病原媒介生物として機能する種などであり、又は外部寄生種であり、又は製品、例えば食品及び/若しくは化粧品及び/若しくは医薬品及び/若しくは有機物を含む他の製品などの劣化と関連する種である、請求項1から8までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記標的種が、病原種、好ましくは局所病原性標的種、最も好ましくは古細菌、細菌、真菌(酵母を含む)及び原生生物から選択される病原性標的種、寄生種(特にヒト及び/又は家畜及び/又はペット動物に寄生する種、好ましくは、皮膚寄生虫及び/又は消化管寄生虫及び/又は粘膜寄生虫から選択される寄生標的種)、植物病原種(例えば、真菌、卵菌、細菌、ウイルス又は原生生物から選択される植物病原体)、農業害虫節足動物、動物疾患の病原媒介生物、好ましくは節足動物から選択される病原媒介生物、植物疾患の病原媒介生物、好ましくは節足動物から選択される病原媒介生物、植物に寄生する線虫種、雑草種、又は製品劣化を引き起こす種から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記宿主種が前記標的種のための食料源を含む、例えば、前記宿主種が細菌種から選択され、前記標的種が細菌摂食線虫種から選択される、又は前記宿主種が多細胞植物であり、前記標的種が、植物食性節足動物種若しくは陸生腹足類種などの植物食性種である、請求項1から10までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記供給源種DNA配列のサイズが、約50bp~約2Mb、例えば50~3000bp、100~1500bp、若しくは100~2000bp、100~2500bpなど、或いは0.3~15kb、例えば1~10kbなど、例えば5~10kbなど、或いは15~60kb、例えば15~40、25~40kbなど、或いは40~340kb、例えば50~200kbなど、例えば120~300kbなど、例えば200~300kbなど、或いは250kb~2Mb、例えば400kb~1500kb又は400kb~1000kbなど、或いは0.3kb~2Mb、例えば1kb~2Mbなど、例えば10kb~2Mbなど、例えば100kb~2Mbなど、例えば360kb~1Mbなどである、請求項1から11までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
人工DNA構築物のDNAが存在する場合、前記組成物が、プラスミド、コスミド、フォスミド、又は細菌人工染色体、酵母人工染色体、若しくは真菌人工染色体などの人工染色体から選択される人工DNA構築物のDNAを含む、請求項1から12までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記供給源種及び前記宿主種が、異なる綱、異なる門、異なる界、又は異なるドメインから選択されるなど、好ましくは異なる分類学上の目から選択されることによって系統的に遠い、請求項1から13までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記供給源種が、標的種又は該標的種に系統的に類似の種から選択され、該標的種が、特に、例えばコリストネウラ属(特にコリストネウラ・オラエ(Choristoneura orae)、コリストネウラ・フミフェラナ(Choristoneura fumiferana)、又はコリストネウラ・フレエマニ(Choristoneura freemani))などのハマキガ科から選択される、若しくは例えばスポドプテラ属(特にツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、エジプトヨトウ(Spodoptera littoralis)、クシナシスジキリヨトウ(Spodoptera cilium)、又はアメリカハスモンヨトウ(Spodoptera ornithogalli))などのヤガ科から選択される、若しくは例えばプロディア(Plodia)属若しくはエフェスチア(Ephestia)属などのメイガ科から選択される鱗翅目、又は双翅目、鞘翅目、又は膜翅目から選択され、最も好ましくはコリストネウラ属から選択され、前記組成物が、該標的種に対する生物防除剤、例えば細菌生物防除剤(例えばバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)又は枯草菌(Bacillus subtillus))、又は真菌生物防除剤、例えば昆虫病原性真菌(例えば白きょう病菌(Beauveria bassiana)、イサリア・フモソロセア(Isaria fumosorosea)、レカニニシリウム属種、又はメタリジウム属種など)などさらに含み、該生物防除剤が、好ましくはバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)バイオマスであり、最も好ましくは、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)バイオマスが生存宿主種細胞である、請求項1から14までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
薬学的に許容される形態での、請求項1から15までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
農学的組成物である、請求項1から15までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記供給源種が、標的種として選択され、又は該標的種に系統的に類似の種であり、好ましくは種が同じ科又は同じ属などの同じ分類学上の目からである場合、該種は系統的に類似している、医薬品、特に、寄生虫及び/又は病原体から選択される該標的種による感染症、好ましくは皮膚、爪又は粘膜、特に眼、口、消化管、膣、尿路、肺を含む気道の粘膜の病原体及び/又は寄生虫による感染症の治療を目的とする医薬品としての使用のための、請求項1から16までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記供給源種が、標的種から選択され、又は該標的種に系統的に類似の種であり、好ましくは種が同じ科又は同じ属などの同じ分類学上の目からである場合、該種は系統的に類似している、標的種である種を阻害する製品としての請求項1から16までのいずれか一項に記載の組成物の非医療用、又は医療用などの使用。
【請求項20】
前記組成物が宿主種細胞を含み、前記DNA分子が宿主種細胞中にあり、前記使用において宿主種細胞が破壊され、破壊された宿主種細胞由来の物質が、場合により該破壊された細胞からのDNAの単離後に、前記標的種の阻害に使用される、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記供給源種が、標的種から選択され、又は該標的種に系統的に類似の種から選択され、好ましくは種が同じ科又は同じ属などの同じ分類学上の目からである場合、該種は系統的に類似している、標的種である種を阻害する方法であって、該標的種を請求項1から17までのいずれか一項に記載の組成物に曝露するステップを含む方法。
【請求項22】
前記方法が非治療的方法であり、又は治療的方法である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
-場合により断片化された供給源種DNAを含む、供給源種由来のDNA源を準備するステップと、
-前記供給源種とは異なるいくつかの種である宿主種の細胞を準備するステップと、
-前記宿主種細胞を前記供給源種由来のDNA源と共に、前記宿主種の細胞が前記供給源種DNAを複製可能な形態で取り込み可能な条件に供するステップと、
-場合により、宿主種細胞を単離するステップと、
-場合により、前記宿主種細胞からDNAを単離するステップと、
-場合により、前記宿主種細胞のDNA内容物を断片化するステップと
を含む、請求項1から17までに記載の組成物を製造する方法。
【請求項24】
病原種又は害虫種によって感染されやすく、及び/又は病原種又は害虫種によって寄生又は外部寄生されやすい、ヒト以外の種であるいくつかの製造種(production species)から農産物を製造する方法であって、
-標的領域である領域に、前記いくつかの製造種のいくつかの個体を提供するステップと、
-前記製造種の個体に又は前記標的領域に、請求項1から15まで又は17のいずれか一項に記載の組成物を提供するステップと、
-前記いくつかの製造種の前記個体に適切な栄養及び環境条件を提供して、農産物を製造するステップと
を含む該方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的種の阻害に適したDNA分子の混合物を含む組成物、前記組成物を用いる方法及び使用、並びに組成物を製造するための方法に関する。前記組成物は、中でもヒト及び/又は動物用医薬の分野、農業又は1つ若しくは複数の標的種の阻害が有益となる他の分野における害虫防除及び/又は病害防除に有用性を見出すことができる。
【背景技術】
【0002】
近年、ある生物種の断片化DNAが、該DNAが由来する種及び類似のゲノムを有する系統的に類似の種に対して抑制性であるという知見が得られるようになってきている。DNA断片のこの自己阻害効果を開示する最初の刊行物は、国際特許出願WO2014/020624及びそのイタリア優先出願NA2012A000046である。これらの文献は主として、自己阻害DNA断片の新しく発見された効果に焦点を当てている。これらの刊行物によれば、阻害されるべき種由来の(又は系統的に類似の種由来の)単離された全DNAの超音波処理、加熱処理、若しくは熱分解によって、又は該種の全DNAから(又は系統的に類似の種から)始まるランダムDNA断片合成によって製造される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
生物種を阻害するためのDNA断片をより効率的に用いるために、DNA断片を有効な形態で製造するさらなる方法が望まれる。阻害される種のDNA断片は、阻害される種に由来しないDNAに組み込まれた後で有効となることが今や、驚くべきことに見出された。この驚くべき発見に基づき、本発明の発明者らは、ある生物種の阻害DNA断片が、阻害される種と無関係の宿主種においても効果的に製造され得ることを見出した。これは、阻害DNA断片を製造するための新たな発明可能性を開くものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様による本発明は、異なる供給源からのDNA配列を有するDNA分子の混合物を含む組成物であって、該混合物は、ある種である供給源種の、好ましくは染色体DNA配列由来の、いくつかの第1のDNA配列と、該供給源種とは異なる種である宿主種由来のいくつかの第2のDNA配列とを含む、組成物に関する。組成物において、該DNA分子の混合物は、供給源種DNA配列が、少なくとも1つの末端で、宿主種DNA配列又は人工DNA構築物由来のDNA配列から選択される非供給源種DNA配列と隣接しているキメラDNA分子を場合により含む。そのような組成物は、阻害DNA断片が、標的種とは系統的に離れた宿主種において製造することができるという点で、供給源種として選択される、又は供給源種と系統的に類似の種から選択される標的種の阻害に有益である。
【0005】
本発明のさらなる態様は、医薬で使用するための本発明の組成物に関する。本発明の組成物は、寄生生物及び/又は病原生物の阻害に使用され得るという事実を考えると、該組成物はヒト及び/又は動物用医薬において有用性がある。
【0006】
さらに、本発明のさらなる態様は、標的種を阻害する製品としての本発明による組成物の使用に関する。この使用は、ヒト及び/若しくは動物用医薬における使用であってもよく、又は医薬以外での使用であってもよい。医薬以外での使用の例には、例えば農業での使用が挙げられ得、植物にとって寄生性及び/若しくは病原性及び/若しくは害虫である生物、並びに/又はウシ若しくは家禽などの家畜動物にとって害虫である生物、又はさもなければ農業生産を妨げる雑草などの生物を阻害するのに有益であり得る。
【0007】
或いは、組成物は、例えば、微生物腐敗を起こしやすい食品などの製品、パーソナルヘルスケア製品、又は微生物基質として適した化合物を含む他の製品において保存料として使用することもできるであろう。
【0008】
さらなる態様による本発明は、標的種である種を阻害する方法であって、前記標的種を本発明による組成物に曝露するステップを含む方法に関する。方法は、非治療的方法又は治療的方法であってもよい。
【0009】
さらなる態様によれば、本発明は、
-場合により断片化した供給源種DNAを含む、供給源種由来のDNA源を準備するステップと、
-該供給源種とは異なるいくつかの種である宿主種の細胞を準備するステップと、
-該宿主種が供給源種DNAを複製可能な形態で取り込めるようにする条件に該宿主種を供するステップと、
-場合により、宿主種細胞を単離するステップと、
-場合により、供給源種細胞からDNAを単離するステップと、
-場合により、供給源種細胞から場合により単離されたDNAを断片化するステップと
を含む、本発明による組成物を製造する方法に関する。
【0010】
方法は、標的種に対して阻害性のDNAが、標的種又は系統的に類似の種の外部で今や効果的に製造され得るという点で有益である。自己阻害DNAは今や、標的種と系統的に無関係の種において特に製造することができる。
【0011】
さらに、本発明のさらなる態様は、農産物を生産する方法に関する。方法において、本発明の組成物は、植物又はウシ若しくは家禽などの家畜動物にとって、感染症及び/又は寄生性及び/又は害虫である生物、さもなければ農業生産を妨げる生物の阻害に使用される。植物又は家畜動物にとって感染症及び/又は寄生性及び/又は害虫である生物の阻害によって、そのような生産生物による農業生産が改善される可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実験1の阻害試験の結果を示す図である。同種実生生存に対するシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)市販ライブラリーの効果が示されている。データは、処理ごとに10個の反復試料(10個の実生を含む皿)の平均及び標準偏差を指している。対照と比べた有意差がアスタリスクでマークされている(
*、p<0.05;
**、p<0.01;
***、p<0.001)。
【
図2】実験2の阻害試験を示す図である。2つの異なる基質タイプでの同種実生成長に対するショクヨウガヤツリ(Cyperus aesculentus)ゲノムBACライブラリーの効果が示されている。データは、処理ごとに10個の複製ポットの平均及び標準偏差を指している。対照と比べた有意差がアスタリスクでマークされている(
*、p<0.05;
**、p<0.01;
***、p<0.001)。
【
図3】実験3の阻害試験の結果を示す図である。異種DNAを含むが自己DNAゲノムライブラリーを含まない大腸菌(E.coli)株(EPI300)と比較した、同種胚致死(上)及び発育異常(下)に対する増殖培地でのカエノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)ゲノムBACライブラリーの効果が示されている。データは、処理ごとに12個の反復試料の平均及び標準偏差を指している。
【
図4】実験4の阻害試験の結果を示す図である。同種幼虫生存に対するエジプトヨトウ(Spodoptera littoralis)市販ライブラリーの効果が示されている。データは、処理ごとに10個の反復試料の平均及び標準偏差を指している。対照と比べた有意差がアスタリスクでマークされている(*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001)。
【
図5】実験9、調査の最後における異なる処理ブロック中のスベリヒユ植物の数の合計を示す図である。
【
図6】系統的距離を決定するために実験10で使用されたAGP(2009)からの被子植物の系統樹を示す図である。
【
図7】自己DNA又は異種(heterospecifics)から抽出された異種DNAのどちらかで処理された7つの標的植物種の根の成長を示す図である。各バーは、4つの複製バイオアッセイの平均及び標準偏差を指している。各パネル中、DNA抽出に使用された植物種が、実験10の方法に記載のように決定された標的種からの系統的距離によってランク付けされている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の組成物は、異なる供給源からのDNA配列を有するDNA分子の混合物を含む。DNA分子の混合物は、供給源種のいくつかの第1のDNA配列と、供給源種とは異なる宿主種のいくつかの第2のDNA配列とを含む。当業者が理解するように、用語「種」は抽象概念を指し、そのようなものとしての種は阻害することができない。種への言及は、故に、種の複数の個体又は生物、すなわち集団などの種の個体又は生物を意味すると解釈されるべきである。
【0014】
用語混合物が示唆するように、組成物は異なるDNA分子を含む。組成物中のDNA分子は配列が異なり、好ましくはサイズも異なる。組成物中のDNA分子のDNA配列は、異なる供給源由来であることによって異なる。特にDNA分子の第1のセットは、第1の種である供給源種の配列を有し、DNA分子の第2のセットは、供給源種とは異なる第2の種である宿主種の配列を有する。さらに、供給源種DNA配列の数もまた異なる。さらに、宿主種DNA配列の数もまた異なる。故に、供給源種DNA配列の集団内、及び宿主種DNA配列の集団内にも変動がある。
【0015】
組成物において、供給源種DNA配列は、宿主種細胞の天然のゲノム由来の染色体若しくは天然のプラスミドなどの宿主種の天然のゲノムのDNA分子に、好ましくは染色体DNAの部分配列(断片)として組み込まれ、又は宿主種細胞に導入された人工DNA構築物に組み込まれ、故にキメラDNAを形成することができる。或いは、組成物中の供給源種DNA配列は、例えば断片化によって、そのようなキメラDNAから破壊的に遊離されている。組成物中のDNA分子は、故に、種の完全な(インタクトな)天然染色体、種の完全な(インタクトな)天然染色体外DNA(例えば天然のプラスミドなど)、完全な(インタクトな)人工DNA構築物(例えば、プラスミド、コスミド、フォスミド又は人工染色体などから選択される)、種の断片化天然染色体、種の断片化天然染色体外DNA(例えば天然のプラスミドなど)、又は断片化人工構築物(例えば、プラスミド、コスミド、フォスミド又は人工染色体などから選択される)の1つ又は複数を含んでもよい。本発明の組成物において、そのようなDNA分子は組み合わせて存在することもできる。これらの代わりのDNA分子は配列及びサイズが異なり得ること、及びそれらがどのように異なり得るかは当業者に明らかであろう。
【0016】
供給源種DNA配列を含むDNA分子及び宿主種DNA配列を含むDNA分子は、好ましくはDNA断片である。当業者は、用語「断片化DNA」及び「DNA断片」などの関連用語は、より大きなDNA分子の部分鎖(又は部分配列)であることを理解するであろう。DNA断片は、DNA断片化(DNA分子の分解)又はポリヌクレオチド鋳型から始まるDNAの合成によって得られてもよい。DNA断片は、故に、より大きなDNA分子の部分配列を有するDNA分子である。本発明の文脈では、阻害DNA断片は、好ましくはDNA断片化によって得られる。本発明の文脈により、用語「含む(comprising)」及び関連用語「含む(comprises)」などは、「からなる(consists of)」を含む。
【0017】
DNA断片は、適切な任意の手段、特にランダムDNA断片生成の手法によって生成されてもよい。W02014/020624は、自己阻害性DNA断片を生成するためのいくつかの適切な手法を開示している。中でも、供給源種から単離されたDNAの超音波処理、加熱処理、又は熱分解が開示されている。或いは、供給源種のDNAから始まるランダムDNA断片合成は、DNA断片のランダム生成に使用することもできる。DNA断片を生成するためのこれらの及び他の手法は当業者に公知であり、利用可能な共通の一般知識に基づきそれらは用いられ得る。Mann及びKrull(Mann及びKrull 2004.Biosensors and Bioelectronics 20:945~955頁)、Tongら、(Tongら、2006.Nat.Protoc、1(2):729~748頁)、Fanら(Fanら、(2008).Nucleic Acid Research、36(19): e125)及び、Bioruptor(登録商標)Picoの標準プロトコルDNA剪断(Standard protocols DNA shearing for Bioruptor(登録商標) Pico)(diagenodeウェブサイトwww.diagenode.com)より入手可能がさらに参照され得る。或いは、DNAse I、エンドヌクレアーゼV又は制限酵素などのエンドヌクレアーゼが、供給源種DNAの断片化に使用されてもよい。
【0018】
DNA断片化は、(次世代)DNAシーケンシング法でも頻用される。当業者は、これに関連してDNA断片化との関連で培われた知識体系を利用することもできる。
【0019】
さらに、ゲノム配列の一部を合成するDNA合成方法もDNA断片を得るのに使用することができる。例えば、ランダムPCR法などのPCR法が適切である場合がある。また、mRNAの逆転写によって得られたcDNA分子は、そのようなcDNA分子がより大きなDNA分子の部分配列に相当することから、本発明の文脈内でDNA断片と見なされる場合がある。適切なcDNA分子の合成は、当業者の知識の範囲内である。
【0020】
さらに、(生物学的)消化、分解などのプロセス、及び細胞などの、DNAを含有する生体物質に作用する類似のプロセスも、生体物質に含有されるDNAの断片化をもたらし得る。故に、DNA断片は、そのようなプロセスによってより大きな分子から遊離することもできることから、供給源種DNA配列を含むDNA分子がDNA断片であることは必要とされない。
【0021】
DNA断片生成に選択される手法は、好ましくはランダムDNA断片生成に適した手法である。ランダムDNA断片は、ランダムに生成されたDNA断片を意味すると理解されるべきである。それは、所定のパターンなしで生成されたDNA断片である。
【0022】
(次世代)DNAシーケンシングの文脈でのDNA断片化に関する研究から、(部分的)制限酵素消化及び超音波処理などの、ランダムDNA断片化のためのある特定の手法は、ゲノムのある特定の領域及び/又は配列に対するある程度の偏りを有し得るという知識が浮上してきた。WO2014/020624に開示される自己DNAの阻害から当業者が理解するように、この偏りは自己DNAのランダムに生成された断片の阻害作用とは関係がない。
【0023】
本発明の組成物では、DNA分子は、好ましくは二本鎖DNA分子(dsDNA)として提供される。これは、DNA分子が二本鎖状態でその生物学的阻害機能を果たすことを必ずしも意味しない。
【0024】
この理論に拘束されることを望むものではないが、二本鎖DNA分子に関して、(部分的に)巻きの解けたdsDNAから生じる一本鎖DNA配列が阻害作用に関与しているというのがもっともらしく思われる。二本鎖形態のDNA分子は、故に、(部分的に)DNAが解ける機構を介して阻害作用をもたらし得る。
【0025】
組成物は、サイズが約50塩基(50bp)~約2Mb(2
*10
6bp)、例えば50~3000bp、100~1500bp、又は100~2000bp、100~2500bpなど、或いは0.3~15kb、例えば1~10kbなど、例えば5~10kbなど、或いは15~60kb、例えば15~40、25~40kb、24~など、或いは40~340kb、例えば50~200kbなど、例えば120~300kbなど、例えば200~300kbなど、或いは250kb~2Mb、例えば400kb~1500kb若しくは400kb~1000kbなど、或いは0.3kb~2Mb、例えば1kb~2Mbなど、例えば10kb~2Mbなど、例えば100kb~2Mbなど、例えば360kb~1Mbなどにわたる供給源種DNA配列を有するDNA分子を含んでもよい。供給源種DNA配列が遊離断片化DNA配列であるかどうか、又はそれらが非供給源種DNA配列を含むより大きなDNA分子に組み込まれるかどうかに応じて、それらのサイズは異なり得る。遊離断片化DNA配列は、好ましくはより低い範囲の方向により多くのサイズを有するであろう。より大きなDNA分子に組み込まれる供給源種DNA配列は、それぞれのDNA分子に安定に組み込むことができるものに応じて最大サイズ範囲を有するであろう。当業者は、クローニング及び/又は発現ベクターが異なれば、収容できるDNAインサートのサイズも異なることがわかり、理解するであろう。表1は、本発明のある特定の実施形態での使用のために想定される種々のクローニング/発現ベクター系の概要を示しており、それぞれのインサートサイズはこれらの実施形態に従っている。組成物が人工DNA構築物(ベクター、特にクローニングベクター)のDNAを含む場合、人工DNA構築物は、プラスミド、コスミド、フォスミド、又は細菌人工染色体、酵母人工染色体、若しくは真菌人工染色体などの人工染色体から選択されることが好ましい。
【表1】
【0026】
組成物は、好ましくは供給源種及び/又は宿主種由来の染色体DNAの断片を含む。当業者は、用語「染色体DNA」の範囲を承知しており、DNA断片が由来し得るある特定の生物の染色体DNAを提供することができるであろう。
【0027】
阻害DNA配列が由来する種は、本明細書及び特許請求の範囲では「供給源種」と呼ばれる。用語「供給源種」が参照語として使用されることは明らかであろう。該用語は、供給源種を「宿主種」及び以下にさらに論じられる「標的種」と容易に区別するために使用される。
【0028】
ある特定の実施形態によれば、本発明の組成物において、DNA分子は遊離DNAであってもよい。用語「遊離DNA」は、DNA断片が細胞又はウイルス粒子などのエンベロープに組み込まれていない状態を指す。遊離DNA断片は、任意の適切な形態で提供され得る。例えば、遊離DNA断片は、水又は水性混合物などの適切な溶媒中の溶液中にあってもよい。溶媒は、単相溶液又はエマルジョン若しくは分散液などの多相の一部であってもよい。或いは、遊離DNA断片は、固体で本発明の組成物中に存在してもよい。遊離DNAを含有する固体は、単相中の固体又は分散液などの多相中の固体であってもよい。
【0029】
ある特定の実施形態によれば、本発明の組成物においてDNA分子の混合物は、供給源種DNA配列が少なくとも1つの末端で非供給源種DNA配列と隣接しているキメラDNA分子を含む。当業者は、用語「キメラDNA分子」の意味を承知し、この用語が、少なくとも2つの異なる供給源、例えば第1の種由来及び少なくとも1つの異なる供給源由来など(例えば、第1の種とは異なる第2の種由来など)のDNA配列を含むDNA分子を指すことを理解するであろう。供給源種のDNA配列及び少なくとも1つの隣接する非供給源種DNA配列は、故に単一DNA分子中にある。或いは、キメラDNA分子はハイブリッドDNA分子と呼ばれる場合がある。
【0030】
キメラDNA分子では、供給源種DNA配列は、少なくとも1つの末端で非供給源種DNA配列と隣接している。本発明の記載における用語「少なくとも1つの」は「いくつかの」に等しく、これらの用語のどちらかが使用されるたびに「1つ又は複数の」を意味し、その逆も同様である。ある特定の好ましい実施形態では、これらの用語は適切な場合、2、3、4、5、6、7、8、9又は10などの複数を意味する。当業者は、DNA分子の構造のために、供給源種DNA配列がキメラDNA分子中多くても2つの末端で非供給源種DNA配列と隣接し得ることを承知するであろう。
【0031】
当業者が理解するように、隣接するDNA配列は互いの側の位置を占める。故に用語「隣接した(flanked)」は、「境を接する(border)」又は「隣接する(adjoin)」又は「隣接する(abut)」ことを意味するものとして本発明の定義で使用され、これらの用語と置き換えることができる。これは、用語「隣接した」(及びその同等の用語のいずれか)が使用される文脈によって既に示唆されているが、明確にするために、供給源種DNA配列は、単一DNA分子中で少なくとも1つの隣接する非供給源種に連結されていることが明記される。
【0032】
非供給源種DNA配列は、供給源種以外の起源を有するDNA配列である。非供給源種DNA配列は、染色体DNA配列などの、供給源種とは異なる種由来(宿主種由来など)の天然に存在するDNA配列であってもよい。或いは、非供給源種DNA配列は、人工DNA構築物由来などの人工DNA配列、例えば、人工プラスミド、コスミド、フォスミド又は人工染色体由来のDNA配列などであってもよい。本発明の文脈内では、人工染色体は、酵母若しくは真菌人工染色体又は細菌人工染色体から選択され得る。
【0033】
少なくとも1つの末端で非供給源種DNA配列と隣接している供給源種DNA配列を含むキメラDNA分子は、当業者に公知の手順により得ることができる。供給源種DNA配列が染色体DNA配列であり、非供給源種DNA配列が人工プラスミド由来の配列であるある特定の実施形態によれば、染色体供給源種のDNA(全ゲノムの他の部分のDNAと一緒である可能性のある)は、例えば(部分的)制限酵素消化によって単離され、(ランダムに)断片化されてもよい。消化された供給源種DNAは、その後、適合する制限酵素で切断された人工プラスミドにライゲートされ、故に、組み込まれた供給源種DNAの異なる部分配列(断片)を有するキメラプラスミドの集団を製造することができる。プラスミドのそのような混合集団を含む組成物、及び例えばプラスミドがDNA断片へと(ランダムに)断片化された同等又は派生組成物は、本発明の組成物の実施形態である。供給源種DNA配列が染色体DNA配列であり、非供給源種DNA配列も染色体DNA配列である他の実施形態によれば、染色体供給源種のDNA(全ゲノムの他の部分のDNAと一緒である可能性のある)は、例えば(部分的)制限酵素消化、超音波処理又は機械的剪断の他の手段によって単離され、(ランダムに)断片化されてもよく、断片化供給源種DNAは、外来DNA断片をゲノムに吸収及び組み込むことができる宿主種の細胞と接触されてもよい。異なる種の生物間の水平(horizontal)(又はlateral)遺伝子伝播に関する科学的知識が増加しており、特に微生物、特に原核生物については、それらが、外来DNAをその染色体DNAを含むそのゲノムに吸収及び組み込むことができることが示されている。さらに、転位因子(又はトランスポゾン)は、異なる種の細胞間のDNA転移を容易にすることができ、宿主種のゲノムへの組み込みを容易にするために供給源種DNA配列が転位因子に組み込まれ得る。遺伝子水平伝播の過程で外来DNAが受け入れ生物のDNAに組み込まれる場合、外来(供給源)DNAが受け入れ(宿主)生物のDNAと隣接しているキメラDNA分子が形成される。染色体DNAに供給源種DNA配列を組み込んでいる宿主生物のそのような混合集団を含む組成物、及び例えば宿主種染色体DNAが単離され(全ゲノムの他の部分のDNAと一緒である可能性のある)、DNA断片へと(ランダムに)断片化された同等又は派生組成物は、したがって、本発明の組成物の代替の実施形態である。
【0034】
キメラDNA分子のキメラ領域(供給源種DNA配列が非供給源種DNA配列と隣接する領域)は、供給源種DNA配列の長さ及び/又は非供給源種DNA配列の長さと比べると、極めて小さくなり得ることが理解されるべきである。故に、キメラDNA分子が断片化される場合、DNA断片が供給源種DNA配列又は非供給源種DNA配列のみを含有するという可能性が高くなり得る。故に、キメラDNA断片の数は極めて小さくなり得る。
【0035】
供給源種は、好ましくは、そこから由来する断片化DNA配列が標的種に対して阻害性であるように選択される。WO2014/020624の公開以降、当業者に明らかなように、標的種に対して阻害性であるDNA断片は、標的種自体又は系統的に類似の種に由来してもよい。本発明の文脈では、供給源種は故に、標的種又は標的種に系統的に類似の種から選択されてもよい。当業者が理解するように、標的種の阻害の文脈での用語「阻害」は、標的種の個体及び/又は標的種の集団の発生を妨げる、遅らせる、又はさらには止めることを指す。阻害性自己DNAの阻害効果は、標的種の生理機能を細胞レベルで妨げることにより効果を発揮することが予想され得る。自己DNAは、種又は系統的に類似の種のDNAを意味すると理解されるべきである。
【0036】
標的種は、植物、真菌、昆虫、酵母、細菌、古細菌、藻類、線虫、ダニ類、ウイルス及び原生生物から選択される種、好ましくは健康及び/又は経済及び/又は環境被害の原因となり得る種であってもよい。そのような標的種は、例えば、疾患関連種、例えば病原種、寄生種若しくは病原媒介生物として機能する種などであってもよく、又は外部寄生種(infesting species)であってもよく、又は製品、例えば食品及び/若しくは化粧品及び/若しくは医薬品及び/若しくは有機物を含む他の製品などの劣化と関連する種であってもよい。疾患関連種は、動物、特にヒト及び/若しくは家畜動物への、又は植物、特に作物への疾患の拡大を引き起こす及び/又は容易にする可能性がある。外部寄生種は、その個体が望ましい数より大量に場所又は部位(標的領域)に存在する、昆虫種、又は高等動物種、又は植物種などの任意の種であり得る。外部寄生種は、少なくとも害をもたらし、被害又は損害を(潜在的に)もたらす場合がある。ある特定の実施形態による外部寄生種は、故に害虫と見なされ得る。当業者が理解するように、生物種は製品の劣化をさまざまに引き起こし得る。特にある生物種が異臭及び/又は毒素を産生し得る場合、該種の個体が食品などに存在するだけでしばしば望ましくない。さらに、製品中に存在する有機物の変換は、製品仕様に適合しない製品による及び/又は製品機能の(部分的な)喪失によるなどの製品の品質の低下につながる可能性がある。用語「疾患関連種」、「病原種」、「寄生種」、「病原媒介生物として機能する種」、「外部寄生種」及び「製品の劣化と関連する種」は相互に排除しないこと、及び2つ以上のこれらの用語の間にはある程度の重複があることは当業者に明らかであろう。該用語は、標的種の阻害が有益であり得、本発明が好ましくは用いられるドメインを同定するのに使用されるにすぎない。
【0037】
標的種が病原種として選択される場合、病原種は、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)、又はアクチノマイセス・イスラエリー(Actinomyces israelii)、又はアクチノマイセス・ゲレンセリアエ(Actinomyces gerencseriae)、又はプロピオニバクテリウム・プロピオニクス(Propionibacterium propionicus)、又はトリパノソーマ・ブルセイ(Trypanosoma brucei)、又はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)、又は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、又はアナプラズマ種、又は住血線虫種、又はアニサキス種、又は炭疽菌(Bacillus anthracis)、又は溶血性アルカノバクテリア(Arcanobacterium haemolyticum)、又はフニンウイルス、又は回虫(Ascaris lumbricoides)、又はアスペルギルス種、又はアストロウイルス科の種、又はバベシア種、又はセレウス菌(Bacillus cereus)、又はバクテロイデス種、又は大腸バランチジウム(Balantidium coli)、又はバルトネラ、又はバイリサスカリス種、又はBKウイルス、又はピエドライア・ホルタエ(Piedraia hortae)、又はブラストシスチス種、又はブラストミセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis)、又はマチュポウイルス、又はボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、又はサビアウイルス、又はブルセラ種、又はペスト菌(Yersinia Pestis)、又はセパシア菌(Burkholderia cepacia)、又は他のバークホルデリア種、又はマイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、又はカリシウイルス科、又はカンピロバクター種、又はカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、又は他のカンジダ種、又はフィリピン毛頭虫(Capillaria philippinensis)、又はカピラリア・アエロフィラ(Capillaria aerophila)、又はバルトネラ・バシリホルミス(Bartonella bacilliformis)、又はヘンセラ菌(Bartonella henselae)、又はA群連鎖球菌属種、又はブドウ球菌属種、又はトリパノソーマ・クルージ(Trypanosoma cruzi)、又は軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi)、又は水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、又はアルファウイルス、又はクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、又は肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)、又はコレラ菌(Vibrio cholerae)、又はフォンセカ・ペドロソイ(Fonsecaea pedrosoi)、又はバトラコキトリウム・デンドロバチディス(Batrachochytrium dendrabatidis)、又は肝吸虫(Clonorchis sinensis)、又はクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、又はコクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)及びコクシジオイデス・ポサダシ(Coccidioides posadasii)、又はコロラドダニ熱ウイルス(CTFV)、又はライノウイルス属種、又はコロナウイルス、又はPRNP、又はクリミア-コンゴ出血熱ウイルス(Crimean-Congo hemorrhagic fever virus)、又はクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、又はクリプトスポリジウム種、又はブラジル鉤虫(Ancylostoma braziliense)、又はシクロスポラ・カイエタネンシス(Cyclospora cayetanensis)、又は有鉤条虫(Taenia solium)、又はサイトメガロウイルス属種、又はデングウイルス(DEN-1、DEN-2、DEN-3及びDEN-4)、又はフラビウイルス属種、又は緑藻類、又はデスモデスムス・アルマタス(Desmodesmus armatus)、又は二核アメーバ(Dientamoeba fragilis)、又はジフテリア菌(Coryneb acterium diphtheriae)、又は裂頭条虫、又はメジナ虫(Dracunculus medinensis)、又はエボラウイルス(EBOV)、又はエキノコックス種、又はエーリキア種、又は蟯虫(Enterobius vermicularis)、又はエンテロコッカス種、又はエンテロウイルス種、又は発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、又はパルボウイルスB19(Parvovirus B19)、又はヒトヘルペスウイルス6型(Human herpesvirus 6)(HHV-6)、又はヒトヘルペスウイルス7型(Human herpesvirus 7)(HHV-7)、又は肝蛭(Fasciola hepatica)、又は巨大肝蛭(Fasciola gigantica)、又は肥大吸虫(Fasciolopsis buski)、又はPRNP、又はフィラリア上科、又はウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、又は多発性(multiple)、又はフソバクテリウム種、又はウェルシュ菌、又は他のクロストリジウム種、又はゲオトリクム・キャンディダム(Geotrichum candidum)、又はランブル鞭毛虫(Giardia lamblia)、又は鼻疽菌(Burkholderia mallei)、又は有棘顎口虫(Gnathostoma spinigerum)、又は剛棘顎口虫(Gnathostoma hispidum)、又は淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、又はクレブシエラ・グラニュロマティス(Klebsiella granulomatis)、又は化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、又はストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)、又はインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、又はコクサッキーAウイルス及びエンテロウイルス71(EV71)などのエンテロウイルス、又はシンノンブレウイルス(Sin Nombre virus)、又はハートランドウイルス(Heartland virus)、又はピロリ菌(Helicobacter pylori)、又は大腸菌(Escherichia coli)O157:H7、O111及びO104:H4、又はブニヤウイルス科からの種、又はヘンドラウイルス(Hendra virus)、又はA型肝炎ウイルス(Hepatitis A virus)、又はB型肝炎ウイルス、又はC型肝炎ウイルス、又はD型肝炎ウイルス、又はE型肝炎ウイルス、又は単純ヘルペスウイルス1型及び2型(HSV-1及びHSV-2)、又はヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、又は十二指腸鉤虫(Ancylostoma duodenale)及びアメリカ鉤虫(Necator americanus)、又はヒトボカウイルス(HBoV)、又はエーリキア・エウィンギ(Ehrlichia ewingii)、又はアナプラズマ・ファゴサイトフィルム(Anaplasma phagocytophilum)、又はヒトメタニューモウイルス(Human metapneumovirus)(hMPV)、又はエーリキア・シャフェンシ(Ehrlichia chaffeensis)、又はヒトパピローマウイルスの1つ、又はヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)、又は小型条虫(Hymenolepis nana)及び縮小条虫(Hymenolepis diminuta)、又はエプスタイン-バールウイルス(EBV)、又はオルトミクソウイルス科、又は戦争イソスポーラ(Isospora belli)、又はキンゲラ・キンゲ(Kingella kingae)、又はラッサウイルス、又は在郷軍人病菌(Legionella pneumophila)、又は在郷軍人病菌、又はリーシュマニア種、又はライ菌(Mycobacterium leprae)、又はマイコバクテリウム・レプロマトーシス(Mycobacterium lepromatosis)、又はレプトスピラ種、又はリステリア菌(Listeria monocytogenes)、又はライム病ボレリア(Borrelia burgdorferi)、又はボレリア・ガリニ(Borrelia garinii)、又はボレリア・アフゼリ(Borrelia afzelii)、又はバンクロフト糸状虫(Wuchereria bancrofti)、又はマレー糸状虫(Brugia malayi)、又はリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、又はマラリア原虫種、又はマールブルグウイルス、又は麻疹ウイルス、又は中東呼吸器症候群コロナウイルス、又は類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、又は髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、又はメタゴニムス・ヨカガワイ(Metagonimus yokagawai)、又はミクロスポリジア・フィルム(Microsporidia phylum)、又は伝染性軟属腫ウイルス(MCV)、又はサル痘ウイルス、又はムンプスウイルス、又は発疹熱リケッチア(Rickettsia typhi)、又は肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、又はマイコプラズマ・ゲニタリウム(Mycoplasma genitalium)、又は放線菌腫(Actinomycetoma)属種、又は真菌性菌腫(Eumycetoma)属種、又はクラミジア・トラコマチス及び淋菌、又はニパウイルス、又はノロウイルス、又はノカルジア・アステロイズ(Nocardia asteroides)、又は他のノカルジア種、又は回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)、又はタイ肝吸虫(Opisthorchis viverrini)、又はネコ肝吸虫(Opisthorchis felineus)、又は南アメリカ分芽菌(Paracoccidioides brasiliensis)、又はウエステルマン肺吸虫(パラゴニムスwestermani)、又は他のパラゴニムス種、又はパスツレラ種、又はアタマジラミ(Pediculus humanus capitis)、又はコロモジラミ(Pediculus humanus corporis)、又はケジラミ(Pthirus pubis)、又は百日咳菌(Bordetella pertussis)、又はペスト菌、又は肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、又はニューモシスチス・ジロベシ(Pneumocystis jirovecii)、又はポリオウイルス、又はプレボテラ種、又はネグレリア・フォーレリ(Naegleria fowleri)、又はJCウイルス、又はオウム病クラミジア(Chlamydophila psittaci)、又はコクシエラ菌(Coxiella burnetii)、又は狂犬病ウイルス、又は回帰熱ボレリア(Borrelia hermsii)、ボレリア・ヘルムシー(Borrelia recurrentis)、又は他のボレリア種、又は呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、又はリノスポリジウム・セーベリ(Rhinosporidium seeberi)、又はライノウイルス、又はリケッチア種、又は痘瘡リケッチア(Rickettsia akari)、又はリフトバレー熱ウイルス、又はリケッチア・リケッチイ(Rickettsia rickettsii)、又はロタウイルス、又は風疹ウイルス、又はサルモネラ種、又はSARSコロナウイルス、又はヒゼンダニ(Sarco
ptes scabiei)、又はA群連鎖球菌種、又は住血吸虫種、又は赤痢菌種、又は水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、又は大痘瘡ウイルス、又は小痘瘡ウイルス、又はスポロトリックス・シェンキー(Sporothrix schenckii)、又はブドウ球菌種、又は糞線虫(Strongyloides stercoralis)、又は麻疹ウイルス、又は梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、又は条虫類種、又は破傷風菌(Clostridium tetani)、又は白癬菌種、又はトリコフィトン・トンズランス(Trichophyton tonsurans)、又は有毛表皮糸状菌(Epidermophyton floccosum)、又は紅色白癬菌(Trichophyton rubrum)、又は毛瘡白癬菌(Trichophyton mentagrophytes)、又は紅色白癬菌、又はホルタエア・ウエルネキイ(Hortaea werneckii)、又はマラセチア種、又はイヌ回虫(Toxocara canis)、又はネコ回虫(Toxocara cati)、又はトキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)、又はクラミジア・トラコマチス、又は旋毛虫(Trichinella spiralis)、又は腟トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、又は鞭虫(Trichuris trichiura)、又は結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、又は野兎病菌(Francisella tularensis)、又はサルモネラ菌(Salmonella enterica)、又はチフス菌(serovar typhi)、又はリケッチア、又はウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、又はコクシジオイデス・イミチス、又はコクシジオイデス・ポサダシ、又はベネズエラウマ脳炎ウイルス、又はグアナリトウイルス、又はビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、又は腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)、又は西ナイルウイルス、又はバイゲル毛芽胞菌(Trichosporon beigelii)、又は仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)、又は腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、又は黄熱病ウイルス、又はゼアスポラ・フンガス(Zeaspora fungus)、又はジカウイルス、又はケカビ目、又はハエカビ目から選択され得る。
【0038】
病原性標的種の阻害は、動物(ヒトを含む)の身体内又は身体上である必要はないことが理解されるべきである。その代わりに阻害はまた、動物の身体の文脈の外側であってもよい。例えば標的種を培養で(インビトロで)阻害するために。局所病原性標的種及び/又は局所標的種、特に上記に直接提示したリストからの局所病原性標的種からの病原性標的種の選択が好ましい。当業者は、ヒト及び動物用医薬の文脈での局所という用語が、身体の特定の表面、特に皮膚又は粘膜(mucous membrane)(粘膜(mucosa))に関することを意味することを理解するであろう。局所病原性標的種は、故に、皮膚及び/若しくは爪、並びに/又は眼、口、膣、尿路、消化管、肺を含む気道の粘膜を含む粘膜と関連していると見なされるべきである。局所という用語は、故に、動物の身体の外部表面に限定されないが、肺及び消化管などの内部表面への言及を含む。局所病原性標的種は、最も好ましくは皮膚病原体及び/若しくは爪病原体であり、並びに/又は粘膜病原体である。本発明の文脈内では、古細菌、細菌、真菌(酵母を含む)及び原生生物、特に直接上記に提示したリストからの古細菌、細菌、真菌(酵母を含む)及び原生生物からの病原性標的種の選択がさらに好ましい。
【0039】
標的種が寄生種として選択される場合、寄生種は、アカントアメーバ属種、又はバラムチア・マンドリルリス(Balamuthia mandrillaris)、又は多型バベシア(Babesia B.divergens)、又はバベシア・ビゲミナ(B.bigemina)、又はバベシア・エクイ(B.equi)、又はバベシア・ミクロチ(B.microfti)、又はバベシア・ダンカニ(B.duncani)、又は大腸バランチジウム、又はブラストシスチス属種、又はクリプトスポリジウム属種、又はシクロスポラ・カイエタネンシス、又は二核アメーバ、又は赤痢アメーバ、又はランブル鞭毛虫、又は戦争イソスポーラ、又はリーシュマニア属種、又はネグレリア・フォーレリ、又は熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、又は三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、又はプラスモジウム・オバレ・クルチシ(Plasmodium ovale curtisi)、又はプラスモジウム・オバレ・ワリケリ(Plasmodium ovale Wallikeri)、又は四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)、又は二日熱マラリア原虫(Plasmodium knowlesi)、又はリノスポリジウム・セーベリ(Rhinosporidium seeberi)、又は肉胞子虫、又はサルコシスティス・ボビホミニス、(bovihominis,Sarcocystis)、又は豚肉胞子虫(suihominis)、又はトキソプラズマ原虫、又は腟トリコモナス、又はトリパノソーマ・ブルセイ、又はトリパノソーマ・クルージ、又は条虫類(Cestoda)、又は条虫類(Taenia)、又はムルチセプス、又は広節裂頭条虫(Diphyllobothrium latum)、又はエキノコックス、又は単包条虫、又はエキノコックス、又は多包条虫、又はエキノコックス・ボゲリ(E.vogeli)、又はヤマネコ条虫(E.oligarthrus)、又は小型条虫、又は縮小条虫、又は無鉤条虫(Taenia saginata)、又は有鉤条虫、又はヒト条虫(Bertiella mucronata)、又はベルチエラ・スツデリイ(Bertiella studeri)、又はスピロメトラ、又はマンソン裂頭条虫(Erinaceieuropaei)、又はビルハルツ住血吸虫(Schistosoma haematobium)、又は日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)、又はメコン住血吸虫(Schistosoma mekongi)、又はエキノストマ・エキナツム(Echinostoma echinatum)、又はトリコビルハルジア・レゲンチ(Trichobilharzia regenti)、又は住血吸虫科、又は十二指腸鉤虫(Ancylostoma duodenale)、又はアメリカ鉤虫(Necator americanus)、又は住血線虫属、又はコスタリケンシス(costaricensis)、又はアニサキス、又は回虫種、又はヒト回虫(Ascaris lumbricoides)、又はアライグマ回虫(Baylisascaris procyonis)、又はマレー糸状虫、又はチモール糸状虫(Brugia timori)、又は腎虫(Dioctophyme renale)、又はメジナ虫(Dracunculus medinensis)、又は蟯虫(Enterobius vermicularis)、又はエンテロビウス・グレゴリイ(Enterobius gregorii)、又は有棘顎口虫(Gnathostoma spinigerum)、又は剛棘顎口虫(Gnathostoma hispidum)、又はハリセファロブス・ジンジバリス(Halicephalobus gingivalis)、又はロア糸状虫(Loa loa filaria)、又はマンソネラ・ストレプトセルカ(Mansonella Streptocerca)、又は回旋糸状虫、又は糞線虫(Strongyloides stercoralis)、又はカリフォルニア眼虫(Thelazia californiensis)、又は東洋眼虫(Thelazia callipaeda)、又はイヌ回虫、又はネコ回虫、又は旋毛虫から選択され得る。
【0040】
病原性標的種との関連で注記されていることと同様に、寄生標的種の阻害は、動物(ヒトを含む)の身体内又は身体上である必要はないことが理解されるべきである。その代わりに阻害はまた、動物の身体の文脈の外側であってもよい。例えば標的種を培養で阻害するために。皮膚寄生虫及び/又は消化管寄生虫及び/又は粘膜寄生虫、特に上記に直接提示したリストからの寄生標的種の選択が好ましい。原生生物又は線虫、特に上記に直接提示したリストからの原生生物及び線虫からの寄生標的種の選択が好ましい。
【0041】
ある特定の実施形態によれば、標的種は、真菌、又は卵菌、又は細菌、又はウイルス、又は原生生物、又はフサリウム属種、又はチエラビオプシス属種、又はベルチシリウム属種、又はマグナポルテ属種、又はイネいもち病菌(Magnaporthe grisea)、又はスクレロティニア属種、又はスクレロティニア・スクレロティオラム(Sclerotinia sclerotiorum)、又は疫病菌(Phytophthora)属種、又はフハイカビ属種、ネコブカビ属種、又はスポンゴスポラ属種、又は植物病原性桿菌(phytopathogenic bacilli)、又はエルウィニア属種、又はアグロバクテリウム属種、又はバークホルデリア属種、又はプロテオバクテリア、又はザントモナス属種、又はシュードモナス属種、又はフィトプラズマ属種、又はスピロプラズマ属種から選択される植物病原体などの、植物に対して病原性の種から選択され得る。
【0042】
標的種が外部寄生種として選択される場合、外部寄生種は、農業害虫節足動物(例えば、アカリンマ(Acalymma)、又はアシルソシフォン・コンドイ(Acyrthosiphon kondoi)、又はアシルトシフォン・ゴッシピイ(Acyrthosiphon gossypii)、又はエンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon pisum)、又はアフリカンアーミーワーム、又はアフリカ蜂化ミツバチ、又はハモグリバエ科、又はタマナヤガ(Agrotis ipsilon)、又はアグロティス・ムンダ(Agrotis munda)、又はアグロティス・オルトゴニア(Agrotis orthogonia)、又はアグロティス・ポルフィリコリス(Agrotis porphyricollis)、又はアッカイア・タイワナ(Akkaia taiwana)、又はミカンクロトゲコナジラミ(Aleurocanthus woglumi)、又はキャベツコナジラミ(Aleyrodes proletella)、又はガイマイゴミムシダマシ(Alphitobius diaperinus)、又はアルソフィラ・アエスクラリア(Alsophila aescularia)、又はアルティカ・チャリビア(Altica chalybea)、又はアナサ・トリスティス(Anasa tristis)、又はアニソプリア・アウストリアカ(Anisoplia austriaca)、又はリンゴハナゾウムシ(Anthonomus pomorum)、又はアンソノムス・シグナタス(Anthonomus signatus)、又はアカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)、又はキマルカイガラムシ(Aonidiella citrina)、又はオスベッキーマルカイガラムシ(Aonidiella orientalis)、又はアパメア・アパミフォルミス(Apamea apamiformis)、又はアパメア・ニベイベノサ(Apamea niveivenosa)、又はアフィド・ゴシピイ(Aphid gossypii)若しくはワタアブラムシ(Aphis gossypii)、又はアフィス・ナスツルティイ(Aphis nasturtii)、又はリンゴミバエ、又はアルゼンチンアリ、又はアーミーカットワーム(Army cutworm)、又はツマジロクサヨトウ、又はアルトロフォラ・アルクアタリス(Arotrophora arcuatalis)、又はアッシュホワイトフライ(Ash whitefly)、又はアステゴプテリクス・バンブサエ(Astegopteryx bambusae)、又はアステゴプテリクス・インスラリス(Astegopteryx insularis)、又はアステゴプテリクス・ミヌタ(Astegopteryx minuta)、又はアステロレカニウム(Asterolecanium)、又はアステロレカニウム・コフェアエ(Asterolecanium coffeae)、又はシバクキハナバエ(Atherigona reversura)、又はアトウス・ハエモロイダリス(Athous haemorrhoidalis)、又はウリハムシ、又はジャガイモヒゲナガアブラムシ(Aulacorthum solani)、又はオーストラリアトビバッタ、又はジャガイモトガリキジラミ(Bactericera cockerelli)、又はミバエ(Bactrocera)、又はバクトロセラ・コルレクタ(Bactrocera correcta)、又はバグラダ・ヒラリス(Bagrada hilaris)、又はクヌリアナ(Knulliana)、又はビーロアワヨトウ、又はマメクロアブラムシ(Black bean aphid)、又はブレファリドプテラス・クロリオニス(Blepharidopterus chlorionis)、又はボゴンモス、又はワタミハナゾウムシ(Boll weevil)、又はボールワーム(Bollworm)、又はダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、又はブラウンローカスト(Brown locust)、又はクサギカメムシ、又はトビイロウンカ、又はコナガ、又はアオムシ、又はヨツモンマメゾウムシ(Callosobruchus maculatus)、又はキャロットフライ、又はフェラタフィス・ブラジリエンシス(Cerataphis brasiliensis)、又はセラチチス・アリエナ(Ceratitis aliena)、又はセラチチス・アンドラノトバカ(Ceratitis andranotobaka)、又はチチュウカイミバエ(Ceratitis capitata)、又はセラチチス・フレクスオーサ(Ceratitis flexuosa)、又はセラチチス・グラハミ(Ceratitis grahami)、又はセラチチス・オバリス(Ceratitis ovalis)、又はセラチチス・ペニシラタ(Ceratitis penicillata)、又はナタールミバエ(Ceratitis rosa)、又はウラジロエゴノキアブラムシ(Ceratoglyphina bambusae)、又はセラトペンフィガス・ゼントネリ(Ceratopemphigus zehntneri)、又はカンショワタアブラムシ(Ceratovacuna lanigera)、又はシリアルリーフビート(Cereal leaf beetle)、又はカエトシフォン・テトラロダム(Chaetosiphon tetrarhodum)、又はクロロプス・プミリオニス(Chlorops pumilionis)、又ゴマダラカミキリ、又はヒラタカタカイガラムシ(Coccus hesperidum)、又はミドリカタカイガラムシ(Coccus viridis)、又はコドリンガ、又はコーヒーノミキクイムシ、又はコリアス・ユリテム(Colias eurytheme)、又はコロラドハムシ、又はコモンブロッサムスリップ(Common blossom thrips)、又はヒラタコクヌストモドキ、又はオオタバコガ、又はツトガ属(Crambus)、又はキューカンバービートル(Cucumber beetle)、又はクルクリオ・エレファス(Curculio elephas)、又はクルクリオ・ヌカム(Curculio nucum)、又はクルクリオ・オシデンチス(Curculio occidentis)、又はヨトウムシ、又はシクロセファラ・ボレアリス(Cyclocephala borealis)、又はダルギアダ・ディフューザ(Dargida diffusa)、、又はダイコンタマバエ(Dasineura brassicae)、又はデートストーンビートル(Date stone beetle)、又はデリア(ハエ)、又はタマネギバエ(Delia antiqua)、又はダイコンバエ(Delia floralis)、又はタネバエ(Delia platura)、又はキャベツハナバエ(Delia radicum)、又はトビカツオブシムシ(Dermestes ater)、又はデルモレピダ・アルボヒルツム(Dermolepida albohirtum)、又はサバクバッタ、又はジアブロチカ属(Diabrotica)、又はジアブロチカ・バルテアタ(Diabrotica balteata)、又はジアブロチカ・スペシオサ(Diabrotica speciosa)、又はジアブロチカ・モス(Diamondback moth)、又はワタクロヘリノメイガ(Diaphania indica)、又はジアファニア・ニチダリス(Diaphania nitidalis)、又はミカンキジラミ(Diaphorina citri)、又はジアプレペス・アブレビアツス(Diaprepes abbreviatus)、又はジアトラエア・サッカラリス(Diatraea saccharalis)、又はディファレンシャルグラスホッパー(Differential grasshopper)、又はジパロプシス・カスタネア(Diparopsis castanea)、又はドキオスタウルス・マロカヌス(Dociostaurus maroccanus)、又はオウトウショウジョウバエ(Drosophila suzukii)、又はクリタマバチ(Dryocosmus kuriphilus)、又はジサフィス・クラタエギ(Dysaphis crataegi)、又はパイナップルコナカイガラムシ(Dysmicoccus brevipes)、又はエアリアス・ペルフエゲィ(Earias perhuegeli)、又はエピカウタ・ヴィッタータ(Epicauta vittata)、又はエピラクナ属、又はエピトリキス・ククメリス(Epitrix cucumeris)、又はエピトリキス・ツベリス(Epitrix tuberis)、又はエリオノタ・スラックス(Erionota thrax)、又はリンゴワタムシ(Eriosoma lanigerum)、又はワタムシ亜科、又はエウレイア・ヘラクレイ(Euleia heraclei)、又はユーメトピナ・フラビペス(Eumetopina flavipes)、又はヨーロッパアワノメイガ、又はユーリデマ・オレラセア(Eurydema oleracea)、又はユーリガステル・インテグリセプス(Eurygaster integriceps)、又はフェリシア・ヴィルガタ(Ferrisia virgata)、又はフォレストバグ(Forest bug)、又はフランクリニエラ・トリチチ(Frankliniella tritici)、又はハチノスツヅリガ(Galleria mellonella)、又はガーデンダート(Garden dart)、又はサトウキビネワタムシ(Geoica lucifuga)、又はグラッシーウイングドシャープシューター(Glassy-winged sharpshooter)、又はオンシツコナジラミ(Greenhouse whitefly)、又はグレエニデア・アルトカルピ(Greenidea artocarpi)、又はグレエニデア・フォルモサナ(Greenidea formosana)、又はグレエニデオイダ・セイロニアエ(Greenideoida ceyloniae)、又はケラ(Gryllotalpa orientalis)、又はグリロタルパ・ヴィナエ(Gryllotalpa vinae)、又は米国のマイマイガ、又はオオタバコガ(Helicoverpa armigera)、又はヘリコベルパ・ゲロトポエオン(Helicoverpa gelotopoeon)、又はヘリコベルパ・プンクチゲラ(Helicoverpa punctigera)、又はアメリカタバコガ(Helicoverpa zea)、又はニセアメリカタバコガ(Heliothis virescens)、又はヘノセピラクナ属、又はオオニジュウヤホシテントウ(Henosepilachna vigintioctomaculata)、又はニジュウヤホシテントウ(Henosepilachna vigintioctopunctata)、又はコムギタマバエ、又はヘテロニクス・アラトル(Heteronychus arator)、又はモモコフキアブラムシ(Hyalopterus pruni)、又はホモノクロアブラムシ(Hysteroneura setariae)、又はイセリアカイガラムシ(Icerya purchasi)、又はイプカ・ディスペルスム(Ipuka dispersum)、又はチャノミドリヒメヨコバイ(Jacobiasca formosana)、又はナギナタコウジュワタムシ(Kaltenbachiella elsholtriae)、又はカルテンバチエラ・ジャポニカ(Kaltenbachiella japonica)、又はヒメアカカツオブシムシ、又はウラナミシジミ(Lampides boeticus)、又は潜葉虫、又はレマ・ダツラフィラ(Lema daturaphila)、又はレピジオタ・コンソブリナ(Lepidiota consobrina)、
又はミカンカキカイガラムシ(Lepidosaphes beckii)、又はリンゴカキカイガラムシ(Lepidosaphes ulmi)、又はレプトシベ・インバサ(Leptocybe invasa)、又はレプトグロッサス・ゾナツス(Leptoglossus zonatus)、又はレプトプテルナ・ドラブラタ(Leptopterna dolabrata)、又はコハチノスツヅリガ、又はレウコプテラ属(ガ)、又はコーヒーリーフマイナー(Leucoptera caffeina)、又はリンゴウスチャイロハマキ、又は、ライトブラウンアップルモスコントロバーシー(Light brown apple moth controversy)、又はニセダイコンアブラムシ(Lipaphis erysimi)、又はアシグロハモグリバエ(Liriomyza huidobrensis)、又はイネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、又はリストロノツス・ボナリエンシス(Listronotus bonariensis)、又はオナガセセリ(Long-tailed skipper)、又はリリガス属(Lygus)、又はリグス・ヘスペルス(Lygus hesperus)、又はマクロダクチルス・スブスピノサス(Macrodactylus subspinosus)、又はマクロシフォニエラ・シュードアルテミシアエ(Macrosiphoniella pseudoartemisiae)、又はキクヒメヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella sanborni)、又はチューリップヒゲナガアブラムシ(Macrosiphum euphorbiae)、又はコクゾウ、又はタバコスズメガ(Manduca sexta)、又はマツムラジャ・カピトフォロイデス(Matsumuraja capitophoroides)、又はマイエチオラ・ホルデイ(Mayetiola hordei)、又はコナカイガラムシ、又はタイワンマルカメムシ(Megacopta cribraria)、又はヒエノアブラムシ(Melanaphis sacchari)、又はメリトビア・オーストラリカ(Melittobia australica)、又はメトカルファ・プルイノサ(Metcalfa pruinosa)、又はインゲンテントウ、又はミクロミズス・ジュデンコイ(Micromyzus judenkoi)、又はミクロミザス・カリムポンゲンシス(Micromyzus kalimpongensis)、又はミクロミザス・ニゲル(Micromyzus niger)、又はガ、又はリークモス、又はアメリカキヨトウ(Mythimna unipuncta)、又はワケギコブアブラムシ(Myzus ascalonicus)、又はカラムシコブアブラムシ(Myzus boehmeriae)、又はニワウメクロコブアブラムシ (Myzus cerasi)、又はミズス・オブツシロストリス(Myzus obtusirostris)、又はミズス・オルナツス(Myzus ornatus)、又はモモアカアブラムシ(Myzus persicae)、又はネマツス属(Nematus)、又はネマツス・レウコトロクス(Nematus leucotrochus)、又はネマツス・リベシイ(Nematus ribesii)又はネマツス・スピラエア(Nematus spiraeae)、又はシクラメンコブアブラムシ(Neomyzus circumflexus)、又はネオトキソプテラ・オリベリ(Neotoxoptera oliveri)、又はミナミアオカメムシ(Nezara viridula)、又はオークプロフェッショナリー(Oak processionary)、又はオエバルス・プグナキス(Oebalus pugnax)、又はオリーブミバエ、又はオフィオミア・シンプレクス(Ophiomyia simplex)、又はオピシナ・アレノセラ(Opisina arenosella)、又はオポミザ属、又はオポミザ・フロルム(Opomyza florum)、又はヒメコバエ科、又はイネノシントメタマバエ(Orseolia oryzae)、又はオオメノコギリヒラタムシ(Oryzaephilus mercator)、又はオシネラ・フリト(Oscinella frit)、又はオストリニア・フルナカリス(Ostrinia furnacalis)、又はオキシカレヌス・ヒアリニペンニス(Oxycarenus hyalinipennis)、又はパピリオ・デモドクス(Papilio demodocus)、又はパラコッカス・マルギナツス(Paracoccus marginatus)、又はパラタチャルディナ・シュードロバタ(Paratachardina pseudolobata)、又はパロプシステルナ・セルマニ(Paropsisterna selmani)、又はタイワンツチイナゴ(Patanga succincta)、又はペンフィグス・ベタエ(Pemphigus betae)、又はクロスジコバネアブラムシ(Pentalonia nigronervosa)、又はカメムシ目、又はニセタマナヤガ(Peridroma saucia)、又はフォロドン・フムリ(Phorodon humuli)、又はフトリマエア・オペルクレラ(Phthorimaea operculella)、又はフィロファガ属、又はフィロトレタ・ネモルム(Phyllotreta nemorum)、又はネアブラムシ科、又はフィロキセロイデア(Phylloxeroidea)、又はフィトミザ・フォルチコラ(Phytomyza horticola)、又はオオモンシロチョウ(Pieris brassicae)、又はワタアカミムシ、又はミカンコナカイガラムシ(Planococcus citri)、又はプラチノタ・イダエウサリス(Platynota idaeusalis)、又はプラムクルキュリオ(Plum curculio)、又はカリフォルニアノコギリカミキリ(Prionus californicus)、又はプリスチフォラ属(Pristiphora)、又はシュードレグマ・バンブチコラ(Pseudoregma bambucicola)、又はシュードテラプタス・ワイイ(Pseudotheraptus wayi)、又はプシリオデス・クリソセファラ(Psylliodes chrysocephala)、又はプチヌス・フル(Ptinus fur)、又はカシノシマメイガ(Pyralis farinalis)、又はラフィドパルパ・フォベイコリス(Raphidopalpa foveicollis)、又はヒアリ、又はレッドバッタ、又はヨーロッパオウトウミバエ(Rhagoletis cerasi)、又はラゴレチス・インディフェレンス(Rhagoletis indifferens)、又はラゴレチス・メンダキス(Rhagoletis mendax)、又はハラミドリアブラムシ(Rhodobium porosum)、又はロパロシフォニヌス・ラチシフォン(Rhopalosiphoninus latysiphon)、又はトウモロコシアブラムシ(Rhopalosiphum maidis)、又はムギクビレアブラムシ(Rhopalosiphum padi)、又はオカボノアカアブラムシ(Rhopalosiphum rufiabdominale)、又はリアキオニア・フルストラナ(Rhyacionia frustrana)、又はヤシオオオサゾウムシ(Rhynchophorus ferrugineus)、又はリンコフォルス・パルマルム(Rhynchophorus palmarum)、又はリンコフォルス・ブルネラツス(Rhynchophorus vulneratus)、又はリゾペルタ属、又はガイマイツヅリガ、又はロシアコムギアブラムシ、又はオリーブカタカイガラムシ(Saissetia oleae)、又はサンホーゼカイガラムシ、又はカイガラムシ、又はアメリカトビバッタ(Schistocerca americana)、又はムギミドリアブラムシ(Schizaphis graminum)、又はスキザフィス・ハイペルシフォナタ(Schizaphis hypersiphonata)、又はスキザフィス・ミヌタ(Schizaphis minuta)、又はスキザフィス・ロツンジベントリス(Schizaphis rotundiventris)、又はショウテデニア・ルテア(Schoutedenia lutea)、又はクロバネキノコバエ科、又はチャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)、又はキンカメムシ科、又はスクチフォラ・ペディセラータ(Scutiphora pedicellata)、又はマメハモグリバエ、又はシロモンヤガ、又はエノキワタアブラムシ(Shivaphis celti)、又はシルバーホワイトフライ(Silver whitefly)又はシルバーコナジラミ若しくはシルバーリーフコナジラミ、又はシノメゴウラ・キトリコラ(Sinomegoura citricola)、又はシファ・フラバ(Sipha flava)、又はムギヒゲナガアブラムシ(Sitobion avenae)、又はシトビオン・ラムベルシ(Sitobion lambersi)、又はシトビオン・レエラマニアエ(Sitobion leelamaniae)、又はシトビオン・ミスカンティ(Sitobion miscanthi)、又はシトビオン・パウリアニ(Sitobion pauliani)、又はシトビオン・フィランティ(Sitobion phyllanthi)、又はシトビオン・ウィクストロエミアエ(Sitobion wikstroemiae)、又はシトナ・レピドゥス(Sitona lepidus)、又はアカアシチビコフキゾウムシ(Sitona lineatus)、又はハチノスムクゲケシキスイ、又はサウスウェスタンコーンボーラー(Southwestern corn borer)、又はダイズアブラムシ、又はクシナシスジキリヨトウ、又はハスモンヨトウ、又はジュウイチホシウリハムシ、又はスポッテドランタンフライ(Spotted lanternfly)、又はスカッシュバインボーラー、又はテッポウムシ、又はフタスジカスミカメ(Stenotus binotatus)、又はストラウジア・ロンギペンニス(Strauzia longipennis)、又はキスジノミハムシ、又はサンペスト(Sunn pest)、又はスウィートポテトバグ(Sweetpotato bug)、又はシナンテドン・エキシチイオサ(Synanthedon exitiosa)、又はサビイロメクラガメ、又はテキア・ソラニボラ(Tecia solanivora)、又はナミハダニ(Tetranychus urticae)、又は他のテトラニカス属種、オカボノクロアブラムシ(Tetraneura nigriabdominalis)、又はエゾヨスジワタムシ(Tetraneura yezoensis)、又はアザミウマ類、又はトリプス・アングスチセプス(Thrips angusticeps)又はミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、又はグラジオラスアザミウマ(Thrips simplex)、又はネギアザミウマ(Thrips tabaci)、又はネッタイキクキンウワバ(Thysanoplusia orichalcea)、又はサルスベリヒゲマダラアブラムシ(Tinocallis kahawaluokalani)、又はコミカンアブラムシ(Toxoptera aurantii)、又はミカンクロアブラムシ(Toxoptera citricida)、又はハゼアブラムシ(Toxoptera odinae)、又はトリコバリス・トリノタタ(Trichobaris trinotata)、又はトリオザ・エリトレアエ(Trioza erytreae)、又はカブラヤガ、又はトマトキバガ(Tuta absoluta)、又はウロレウコン・ミ
ヌツム(Uroleucon minutum)、又はヒメマルカツオブシムシ(Varied carpet beetle)、又はツツジアブラムシ(Vesiculaphis caricis)、又はビラコラ・イソクラテス(Virachola isocrates)、又はワックスワーム、又はウェスタンコーンルートワーム、又はミカンキイロアザミウマ、又はウィートフライ(wheat fly)、又はコムギゾウムシ、又はコナジラミ、又はフユシャク、又はキシロトレクス・クゥアドリペス(Xylotrechus quadripes)、又はサンフラワービートル(Zygogramma exclamationis)から選択される種)などの農業害虫から選択され得る。ある特定の実施形態によれば、鱗翅目からの標的種の選択が好ましく、特に、例えばコリストネウラ属(特にコリストネウラ・オラエ(Choristoneura orae)、コリストネウラ・フミフェラナ(Choristoneura fumiferana)、又はコリストネウラ・フレエマニ(Choristoneura freemani))などのハマキガ科から選択される、又は例えばスポドプテラ属(特にツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、エジプトヨトウ(Spodoptera littoralis)、クシナシスジキリヨトウ(Spodoptera cilium)、又はアメリカハスモンヨトウ(Spodoptera ornithogalli))などのヤガ科から選択される、又は例えばプロディア(Plodia)属若しくはエフェスチア(Ephestia)属などのメイガ科から選択され、又は上記に直接リストに示したこの属からの他の種から選択される。農業害虫種はまた、植物食性陸生腹足類種から選択することもできる。
【0043】
害虫種は、さらに、節足動物から選択される病原媒介生物などの病原媒介生物から選択され得る。病原媒介生物は、ヒト疾患を含む動物疾患の拡大に関与し得、又は植物疾患を運び得る。動物疾患を運ぶ病原媒介生物は、例えば、カ科(例えばヤブカ属など)、又はヌカカ科(例えばサシバエ属など)、又はアブ科、又はブユ科(例えばオーストロシムリウム(Austrosimulium)属など)、又はツェツェバエ科(例えばツェツェバエ属など)、又はオオサシガメ亜科(例えばブラジルサシガメ(Triatoma infestans)又はオオサシガメ(Rhodnius prolixus)など)、又はノミ目(Siphonoptera)(例えばパブリシダエ(Publicidae)など)、又はシラミ目(例えばシラミ属など)、又はマダニ科、又はヒメダニ科から選択される、吸血(blood feeding)(吸血性(haematophagous))又は血リンパ食節足動物、好ましくは吸血節足動物から選択され得る。
【0044】
植物疾患の拡大に関与する節足動物媒介生物は、エンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon pisum)、又はハモグリバエ科、又はアナトレファ・グランディス(Anastrepha grandis)、又はニシインドミバエ(Anastrepha obliqua)、又はハナバエ科、又はアブラムシ、又はキクイムシ、又はテンサイヨコバイ、又はダイコンアブラムシ、又はカコプシラ・メラノネウラ(Cacopsylla melanoneura)、又はカコプシラ・ウルミ(Cacopsylla ulmi)、又はセラチチス・ポドカルピ(Ceratitis podocarpi)、又はイチゴケナガアブラムシ(Chaetosiphon fragaefolii)、又はシカヅリナ属、又はシカヅリナ・ムビラ(Cicadulina mbila)、又はコモンブラウンリーフホッパー(Common brown leafhopper)、又はクリプトコッカス・ファギスガ(Cryptococcus fagisuga)、又はゾウムシ科、又はジアブロチカ・バルテアタ(Diabrotica balteara)、又はエムポアスカ・デセデンス(Empoasca decedens)、又はユーメトピナ・フラビペス(Eumetopina flavipes)、又はユーセリス・プレベユス(Euscelis plebejus)、又はフランクリニエラ・トリチチ(Frankliniella tritici)、又はグラッシーウイングドシャープシューター、又はハプラキシウス・クルズス(Haplaxius crudus)、又はヒアレステス・オブソレツス(Hyalesthes obsoletus)、又はマツノクロキクイムシ(Hylastes ater)、又はハムシ、又はヨコバイ、又はニセダイコンアブラムシ、又はマクロステレス・クアドリリネアツス(Macrosteles quadrilineatus)、又はコナカイガラムシ、又はウリミバエ、又はアナアキゾウムシ亜科、又はアカザモグリハナバエ(Pegomya hyoscyami)、又はピソデス属(Pissodes)、又はピソデス・ストロビ(Pissodes strobi or Pissodini)、又はウンカ、又はシュードコッカス・マリチムス(Pseudococcus maritimus)、又はオレンジコナカイガラムシ(Pseudococcus vibumi)、又はプシラ・ピリ(Psylla pyri)、又はキジラミ科、又はラブドファガ・クラビフェクス(Rabdophaga clavifex)、又はリンコフォルス・パルマルム(Rhynchophorus palmarum)、又はスカフォイデウス・チタヌス(Scaphoideus titanus)、又はチャノキイロアザミウマ、又はシルバーリーフコナジラミ、又はミバエ科、又はアザミウマ科、又はミナミキイロアザミウマ、又はマツノキクイムシ(Tomicus piniperda)、又はミカンクロアブラムシ、又はツノゼミ、又はトガリキジラミ科、又はミカンキイロアザミウマ、又はキシレボルス・グラブラツス(Xyleborus glabratus)から選択され得る。
【0045】
ある特定の好ましい実施形態によれば、害虫種は、特に、ネコブセンチュウ属(例えば、アレナリアネコブセンチュウ(M.arenaria)、サツマイモネコブセンチュウ(M.incognita)、ジャワネコブセンチュウ(M.javanica)、又はキタネコブセンチュウ(M.hapla)など)から選択される、又はヘテロデラ属(例えば、ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)、又はムギシストセンチュウ(Heterodera avenae)及びヘテロデラ・フィリプジェビ(H.filipjevi)など)から選択される、又はグロボデラ属(例えば、ジャガイモシロシストセンチュウ(Globodera pallida)、又はジャガイモシストセンチュウ(G.rostochiensis)など)から選択される、又はネグサレセンチュウ属(Pratylenchus)(例えば、キタネグサレセンチュウ(P.penetrans)、プラチレンクス・トルネイ(P.thornei)、ムギネグサレセンチュウ(P.neglectus)、モロコシネグサレセンチュウ(P.zeae)、クルミネグサレセンチュウ(P.vulnus)又はミナミネグサレセンチュウ(P.coffeae)など)から選択される、又はラドフォルス属(例えばバナナネモグリセンチュウ(Radopholus similis)など)から選択される、植物に寄生する線虫種として選択される。
【0046】
ある特定の実施形態によれば、外部寄生種は雑草種から選択され得る。本発明内の標的種として見なされる雑草種は、例えば、オモダカ科、又はセリ科、又はキク科、又はヒユ科、又はサボテン科、又はナデシコ科、又はアカザ科、又はイワヅタ科、又はツユクサ科、又はイネ科、又はスベリヒユ科、又はトウダイグサ科、又はマメ科(Fabaceae)((マメ科(Leguminosae))、又はアカネ科、又はトチカガミ科、又はアカウキクサ科、又はサンショウモ科、又はアヤメ科、又はユリ科、又はミズアオイ科、又はノボタン科、又はフトモモ科、又はタデ科、又はカニクサ科、又はバラ科、又はキツネノマゴ科、又はハマウツボ科、又はゴマノハグサ科、又はヒルガオ科、又はネナシカズラ科、又はナス科、又はミクリ科からの雑草種である。
【0047】
標的種として見なされる特定の雑草種は、サジタリア・サジチフォリア(Sagittaria sagittifolia Linnaeus)、又はジャイアントホグウィード(Heracleum mantegazzianum Sommier & Levier)、又はアゲラティナ・アデノフォラ(Ageratina adenophora(Spreng.)King & H.E.Robins)、又はアゲラティナ・リパリア(Ageratina riparia(Regel)King & H.E.Robins)、又はアレクトテカ・カレンドゥラ(Arctotheca calendula(L.)Levyns)、又はカルタムス・オキシカンサス(Carthamus oxyacanthus M.Bieberstein)、又はクルピナ・ブルガリス・Cass.(Crupina vulgaris Cass.)、又はイヌラ・ブリタニカ(Inula britannica L.)、又はミカニア・コルダタ・(Burm.f.)B.L.ロビンス(Mikania cordata(Burm.f.)B.L.Robins)、又はツルヒヨドリ(Mikania micrantha Kunth)、又はオノポルダム・アカウロン(Onopordum acaulon L.)、又はオノポルダム・イリリクム・L.(Onopordum illyricum L.)、又はセネシオ・イナエクイデンス(Senecio inaequidens DC.)、又はナルトサワギク(Senecio madagascariensis Poir.)、又はコトブキギク(Tridax procumbens L.)、又はツルノゲイトウ(Alternanthera sessilis(L.)R.Br.ex DC.)、又はオプンティア・アウランティアカ(Opuntia aurantiaca Lindley)、又はドリマリア・アレナリオイデス(Drymaria arenarioides Humboldt & Bonpland)、又はサルソラ・ヴェルミクラタ(Salsola vermiculata L.)、又はイチイヅタ(Caulerpa taxifolia(Vahl)C.Agardth)、又はマルバツユクサ(Commelina benghalensis L.)、又はアベナ・ステリィス(Avena sterilis Linnaeus)、又はオキナワミチシバ(Chrysopogon aciculatus(Retz.)Trin.)、又はディギタリア・アビシニカ(Digitaria abyssinica(A.Rich)Stapf)、又はディギタリア(Digitaria velutina(Forsk.)Beauv.)、又はインペラタ・ブラジリエンシス(Imperata brasiliensis Trinius)、又はチガヤ(Imperata cylindrica(L.)Beauv.)、又はタイワンアイシン(Ischaemum rugosum Salisbury)、又はアゼガヤ(Leptochloa chinensis(L.)Nees)、又はナセラ・トリコトマ(Nassella trichotoma Hackel ex Arech.)、又はオリザ・ロンギスタミナタ(Oryza longistaminata A.Chev.& Roehr.)、又はオリザ・プンクタタ(Oryza punctata Kotzchy ex Steud.)、又はオリザ・ルフィポゴン(Oryza rufipogon Griffiths)、又はスズメノコビエ(Paspalum scrobiculatum Linnaeus)、又はペンニセツム・クランデスチヌム(Pennisetum clandestinum Hochst.ex Chiov.)、又はペンニセツム・マクロウルム(Pennisetum macrourum Trinius)、又はペンニセツム・ペディセラツム(Pennisetum pedicellatum Trinius)、又はペンニセツム・ポリスタチオン(Pennisetum polystachion(Linnaeus)Schultes))、又はロットボエリア・コチンキネンシス(Rottboellia cochinchinensis(Lour.)W.D.Clayton)、又はサッカルム・スポンタネウム(Saccharum spontaneum L.)、又はコツブキンエノコロ(Setaria pumila ssp.pallidefusca(Schumacher)B.K.Simon or Urochloa panicoides Beauvois)、又はユーフォルビア・テラキナ(Euphorbia terracina L.)、又はアカシア・ニロチカ(Acacia nilotica(L.)Willd.ex Delile)、又はガレガ・オフィシナリス(Galega officinalis L.)、又はミモザ・ディプロトリカ(Mimosa diplotricha C.Wright ex Sauvalle)、又はミモザ・ピグラ(Mimosa pigra L.)、又はプロソピス・アルパタコ(Prosopis alpataco R.A.Philippi)、又はプロソピス・アルゲンチナ(Prosopis argentina Burkart)、又はプロソピス・アルティクラタ(Prosopis articulata S.Watson)、又はプロソピス・ブクカルティイ(Prosopis burkartii Munoz)、又はプロソピス・カルデニア(Prosopis caldenia Burkart)、又はプロソピス・カリンガスタナ(Prosopis calingastana Burkart)、又はプロソピス・カンペストリス(Prosopis campestris Griesbach)、又はプロソピス・カステラノシイ(Prosopis castellanosii Burkart)、又はプロソピス・デヌダンス(Prosopis denudans Bentham)、又はプロゾピス・エラタ・(ブルカルト)ブルカルト(Prosopis elata(Burkart)Burkart)、又はプロソピス・ファルクタ(Prosopis farcta(Banks & Soland.)J.F.Macbr.)、又はプロソピス・フェロクス(Prosopis ferox Griesbach)、又はプロソピス・フィエブリギイ(Prosopis fiebrigii Harms)、又はプロソピス・ハスレリ(Prosopis hassleri Harms ex Hassler)、又はプロソピス・フミリス(Prosopis humilis Gillies ex Hooker & Arnott)、又はプロソピス・クンゼイ(Prosopis kuntzei Harms ex Hassler)、又はプロソピス・パリダ(Prosopis pallida(Humb.& Bonpl.ex Willd.)Kunth)、又はプロソピス・パルメリ(Prosopis palmeri S.Watson)、又はプロソピス・ レプタンス(Prosopis reptans Benth.)、又はプロソピス・ロジャシアナ(Prosopis rojasiana Burkart)、又はプロソピス・ルイズレアリイ(Prosopis ruizlealii Burkart)、又はプロソピス・ルスキフォリア(Prosopis ruscifolia Griesbach)、又はプロソピス・セリカンタ(Prosopis sericantha Gillies ex Hook.& Arn.)、又はプロソピス・ストロンブリフェラ(Prosopis strombulifera(Lamarck)Bentham)、又はプロソピス・トルクアタ(Prosopis torquata(Cavan ex Lagasca y Segura)DC.)、又はスペルマコセ・アラタ(Spermacoce alata Aubl.)、又はクロモ(Hydrilla verticillata(L.f.)Royle)、又はラガロシフォン・マヨール(Lagarosiphon major(Ridley)Moss)、又はミズオオバコ(Ottelia alismoides(Linnaeus)Pers.)、又はアゾラ・ピンナタ(Azolla pinnata R.Brown)、又はサルビニア・アウリクラータ(Salvinia auriculata Aublet)、又はサルビニア・ビロバ(Salvinia biloba Raddi)、又はサルビニア・ヘルツォギイ(Salvinia herzogii de la Sota)、又はオオサンショウモ(Salvinia molesta D.S.Mitchell)、又はモラエア・コリナ(Moraea collina Thunb.)、又はモラエア・フラッキダ(Moraea flaccida (Sweet) Steud.)、又はモラエア・ミニアータ(Moraea miniata Andrews)、又はモラエア・オクロレウカ(Moraea ochroleuca(Salisb.)Drapiez)、又はモラエア・パリダ(Moraea pallida(Baker)Goldblatt)、又はアスフォデルス・フィスツロスス(Asphodelus fistulosus Linnaeus)、又はエイクホルニア・アズレア(Eichhornia azurea(Swartz)Kunth)、又はモノコリア・ハスタタ(Monochoria hastata(L.)Solms)、又はモノコリア・バギナリス(Monochoria vaginalis(Burm.f.)K.Presl ex Kunth)、又はメラストマ・マラバスリクム(Melastoma malabathricum L.)、又はメラレウカ・キンケネルビア(Melaleuca quinquenervia(Cav.)Blake)、又はエメクス・オーストラリス(Emex australis Steinhall)、又はエメクス・スピノザ(Emex spinosa(Linnaeus)Campdera)、又はリゴジウム・フレクスオスム(Lygodium flexuosum(L.)Sw.(1801)(Mobot))、又はイリオモテシャミセンヅル(Lygodium microphyllum(Cav.)R.Br.)、又はルブス・フルティコスス(Rubus fruticosus L.)、又はルブス・モルッカヌス(Rubus moluccanus L.)、又はハイグロフィラ・ポリスペルマ(Hygrophila polysperma(Roxb.)T.Anders)、又はナンバンギセル種(Aeginetia spp.L.)、又はアレクトラ属種(Alectra spp.Thunb.)、又はハマウツボ属種(外来)(Orobanche spp.(nonnative) L.)、又はリムノフィラ・セシリフローラ(Limnophila sessiliflora(Vahl)Blume)、又はストリガ属種(Striga spp.Lour.)、又はヨウサイ(Ipomoea aquatica Forssk.)、又はネナシカズラ属種(Cuscuta spp.L.)、又はリシウム・フェロキッシマム(Lycium ferocissimum Miers)、又はソラナム・タムピセンセ(Solanum tampicense Dunal)、又はソラナム・トルバム(Solanum torvum Sw.)、又はソラナム.ビアルム(Solanum viarum Dunal)、又はミクリ(Sparganium erectum L.)から選択され得る。
【0048】
標的種として選択され得る製品劣化を引き起こす種は、グラム陰性桿菌(例えばシュードモナス属種、シュワネラ属種)、グラム陽性胞子菌(例えば桿菌属種、クロストリジウム属種)、乳酸菌及び他のグラム陽性菌(例えばブロコトリックス属種、ミクロコッカス属種)、又は腸内細菌科、真菌(例えば、アオカビ属、又はアスペルギルス属からの接合菌、又はザイゴサッカロミセス属種、酵母菌属種、カンジダ属種、デッケラ(ブレタノマイセス)属種などの酵母)などの細菌などから選択される、腐敗性微生物から選択され得る。或いは、製品劣化を引き起こす標的種は、ニクダニ科、又はサトウダニ科などから選択されるコナダニ亜目などから選択されるコナダニから選択され得る。
【0049】
本発明の組成物のある特定の好ましい実施形態によれば、組成物は、DNA分子が宿主種細胞の中にある、供給源種とは異なるいくつかの種、宿主種由来の細胞を含む。
【0050】
既に上述したように、用語「宿主種」は参照用語として使用されるにすぎない。本発明の文脈での宿主種は、一般に、供給源種とは異なる種、好ましくは、細胞内に供給源種DNA配列が組み込まれた系統的に異なる種である。ある特定の実施形態による系統的に異なる(遠い)種は、異なる綱、異なる門(phylla)、異なる界、又は異なるドメインなどからの異なる分類学上の目からの種である。ある特定の実施形態によれば、系統的に異なる種は、異なる目、異なる綱、異なる門、異なる界、又は異なるドメインからのような異なる科からの種である。宿主種は、供給源種の外来DNA、特に、クロ-ニング及び/又は発現ベクターに組み込まれた供給源種の断片などの供給源種DNAの断片を取り込み、複製することができる任意の種から選択され得る。本明細書から明らかなように、宿主種の個体が供給源種のゲノム全体を取り込み、複製することは必要とされない。その代わりに、標的種に対する自己DNAの阻害効果は、複数の宿主種細胞及び/又は個体によってもたらされてもよく、異なる細胞及び/又は個体は、それぞれDNAライブラリーでのように供給源種のゲノムの異なる部分を複製する。宿主種細胞の集団の単一の細胞は、故に、組成物中に存在する供給源種DNA配列全体の一部のみを含有する。宿主種は、例えば多細胞生物又は微生物から選択され得る。例えば多細胞植物の細胞が、宿主種細胞として使用され得る。当業者が理解するように、供給源種DNAは、例えば胚細胞培養物の粒子ボンバードメント(微粒子銃)、アグロバクテリウム媒介形質転換、ウイルスベクター(単数又は複数)によって媒介される形質転換を含むさまざまな手法によって多細胞植物の細胞に導入することができる。植物として選択される場合、宿主種は、作物、好ましくは食用作物(例えば穀物、トウモロコシ、テンサイ、ナタネ、エンドウマメ、ダイズなどから選択される)、油料作物(例えばナタネ、エチオピアンマスタード、ヒマワリなど)、澱粉作物(例えば(サトウ)モロコシなど)、繊維作物(例えば亜麻又は麻など)、リグノセルロース作物(例えば草葦、暖竹、スイッチグラス、ススキ、カルドンなど)、短輪作森林作物(例えばヤナギ、ポプラ、又はユーカリなど)から選択され得る。
【0051】
或いは、ブタ鞭虫(Trichuris suis)、アメリカ鉤虫、鞭虫、縮小条虫、回虫、糞線虫、蟯虫又は小型条虫などの蠕虫療法に使用される蠕虫が、宿主種として使用され得る。宿主種として使用される蠕虫種は、好ましくはヒトの相利共生種である(特にブタ鞭虫、アメリカ鉤虫、鞭虫又は縮小条虫)。遺伝子水平伝播の事象が線虫種に関して観察されており(中でも、PLoS Negl Trop Dis.2007年10月;1(1):e35;doi:10.1371/journal.pntd.0000035を参照のこと)、治療用蠕虫が供給源種DNAをそのゲノムに組み込むように遺伝子水平伝播を誘導し得る。
【0052】
他の代替の実施形態によれば、宿主種は微生物から選択される。当業者にはわかるように、微生物は微視的生物であり、単細胞形態であってもよく、又は細胞のコロニーで存在してもよい。本発明の文脈内では微生物は、好ましくは、原核生物(例えば、古細菌又は細菌など)、又は真核生物(例えば真菌(酵母を含む)など)、又は微細植物(微細藻類)から選択される。微生物から選択される宿主種は、液体培養で増殖され得る微生物(例えば大腸菌など、特にDH5a株若しくは由来株、又はDH10B株若しくは由来株)、又は酵母菌種(例えば出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)など、例えばAB1380株又は由来株など)、又はアスペルギルス種(例えばクロコウジカビ(Aspergillus niger)、コウジカビ(Aspergillus oryzae)、又はアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)など)、又は桿菌種、又はシュードモナス種、又は乳酸菌(例えば、ラクトバチルス属種、ロイコノストック属種、ペディオコッカス属種、ラクトコッカス属種、エンテロコッカス属種、又は連鎖球菌属種など)、又はシアノバクテリア(例えばアルスロスピラ種など、特にアルスロスピラ・プランテンシス(Arthrospira plantensis))、又はアルスロスピラ・マキシマ(Arthrospira maxima))から選択され得る。ある特定の実施形態によれば、微生物は、FDAによって認定される一般に安全と認められる(一般的に Regarded as Safe)(GRAS)ステータスを有する生物であってもよい。或いは土壌微生物、好ましくは異なる土壌細菌及び/又は土壌真菌の混合培養物が宿主種として使用され得る。宿主種として使用される土壌微生物は、アルファプロテオバクテリア属種、ベータプロテオバクテリア属種、デルタプロテオバクテリア属種、アクチノバクテリア属種、サーモレオフィラム(Thermoleophilia)属種、ルブロバクター(Rubrobacteria)属種、クロラキドバクテリウム(Chloracidobacteria)属種、アシドバクテリウム(Acidobacteria)属種、又はソリバクター(Solibacteres)属種から選択され得る。ある特定の好ましい実施形態によれば、宿主種は、生物防除剤、例えば昆虫病原性生物防除剤(例えば微生物防除剤など、特に、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)又は枯草菌(Bacillus subtillus)などの細菌生物防除剤)、又は真菌生物防除剤(例えば白きょう病菌(Beauveria bassiana)、イサリア・フモソロセア(Isaria fumosorosea)、レカニニシリウム属種、又はメタリジウム属種など)から選択される。生物防除剤は、或いは、例えばトリコデルマ属種又はアンペロマイセス・クイスクアリス(Ampelomyces quisqualis)から選択され得る。宿主種は、さらに、桿菌種、トリコデルマ種又は菌根(Mycorrhyza)種などの微生物の植物成長促進剤から選択され得る。ある特定の高度に好ましい実施形態よれば、宿主種が微生物の昆虫病原性生物防除剤である場合、標的種は、節足動物、好ましくは、植物疾患の拡大に関与する農業害虫節足動物又は節足動物媒介生物から選択される節足動物である。これらの群からの生物の特定の例は、上記に提示されている。
【0053】
説明したように、供給源種DNA配列が宿主種細胞中にある実施形態では、供給源種DNA配列は、宿主種細胞に導入された人工プラスミド若しくは人工染色体などの複製可能な人工DNA構築物に組み込まれるか、又は宿主種細胞の天然のゲノムに組み込まれるかのどちらかである。宿主細胞に導入された人工DNA構築物又は宿主細胞の天然のゲノムへの、供給源種DNA配列のこの組み込みにより、供給源種DNA配列は、宿主種細胞のDNA複製機構によって宿主種DNAの複製と一緒に複製され得る。種の阻害DNA断片は、(産生)宿主種のDNAに付随した形で提示されるとき、依然として阻害性のままであるという本発明者らの驚くべき発見は、自己阻害DNA断片を製造及び提示する新たな可能性を開いた。
【0054】
DNA構築物へのDNA配列の組み込み及び宿主細胞へのDNA構築物の導入は、生物化学のさまざまな分野で標準的技法になっている。故に当業者は、そのような手順を本発明内で容易に適用することができる。さらに、さまざまな生物がそれらの環境からDNA分子を取り込むことができ、これらのDNA分子をそれらの天然のゲノムに組み込むことができることが知られるようになってきた。特に微生物、とりわけ原核生物は天然において、そのような水平遺伝子伝達を起こすことができる。さらに、微粒子銃などのある特定の公知の遺伝子工学手法は、植物細胞などの細胞の天然のゲノムへのDNA断片の組み込みに頼っている。
【0055】
さらに、転位因子(すなわちトランスポゾン)は、異なる種の細胞間のDNA転移を促進し得る。
【0056】
DNA分子の混合物における供給源種のゲノムのカバレッジが、20~100%の間、例えば20~90%、30~100%、30~90%、40~100%、40~90%、50~100%、50~90%など、好ましくは60~100%、例えば60~90%、70~100%、70~90%、80~100%、80~90%などであることが好ましい。本発明者らによる実験観察に基づき、これらの範囲内に本発明の組成物中の供給源種DNA配列の良好な阻害活性があることが導き出され得る。DNA分子の混合物における供給源種ゲノムのカバレッジは、組成物中に存在するDNA分子全体(集団)の中に存在する供給源種DNA配列、特に染色体DNA配列のパーセンテージと相関することを当業者は承知し、理解するであろう。全ゲノムの一部が阻害性であることを実験結果が示しているという事実を考えると、同様にゲノムの全DNA配列の一部に相当する(断片化)cDNA配列は、それらが由来する種及び系統的に類似の種に対して阻害活性を有することもまた予想され得る。しかし、染色体構造との関連で利用可能な知見に基づき、非コード領域配列により高い種特異性があることが予想され得ることから、供給源種ゲノムが相当量の非コード領域配列を含むならば、供給源種DNA配列は、そのような非コード領域配列を含むことが好ましい。これを考慮すると、供給源種DNA配列は、ランダムに断片化された染色体DNAを含むことが好ましい。
【0057】
宿主種細胞において(キメラ)DNA分子の供給源種DNA配列を複製することにより、供給源種DNA配列は、かなりの量の宿主種DNA配列及び、おそらくは人工DNA構築物由来のかなりの量のDNA配列に付随することになる。本発明者らは、驚くべきことに、供給源種DNA配列が比較的大量のこれらの非供給源種DNA配列に付随するとき、供給源種DNA配列はその自己阻害性活性を維持することを見出した。故に、宿主種DNA配列及び/又は人工構築物由来のDNA配列の組成物からの排除は必要ない。ある特定の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、それ故に、非供給源種DNAが供給源種DNAを超えている、好ましくは非供給源種DNA:供給源種DNAの比が、10:1~1000:1の間、例えば20:1~500:1の間、50:1~500:1の間、又は100:1~500:1の間などであるように、非供給源種DNAを含む。非供給源種DNAは、宿主種DNA配列及び場合により人工DNA構築物由来のDNA配列(例えば、例えばプラスミド、BAC、YAC又は人工真菌染色体から選択される、クロ-ニング及び/又は発現ベクターなど)を含み、好ましくは本質的にこれらからなる。
【0058】
供給源種は、好ましくは、そこから由来する阻害DNA配列が、上記に論じたように標的種に対して阻害性であるように選択される。WO2014/020624の公開以降、当業者に明らかなように、阻害DNA配列は、標的種自体又は系統的に類似の種に由来してもよい。本発明の文脈では、供給源種は故に、標的種又は標的種に系統的に類似の種から選択されてもよい。
【0059】
本発明の文脈内では、系統的に類似の種は類似のゲノムを有する種である。系統的に密接に関連している種は、系統的に遠い種より類似のゲノムを有することを当業者は理解するであろう。系統的に類似は、故に系統的に近い関係を有することを意味する。系統的類似性は、故に、既知の系統的関係に基づき決定することができる。故に、ある特定の好ましい実施形態によれば、系統的に類似の種は同じ分類学上の目内の種である。ある特定の目内では、系統的に類似の種は、好ましくは同じ単系統群(クレード)由来、例えば同じ科、同じ亜科、同じ族、同じ亜族、同じ属由来などである。系統的に類似の種は、同じ分類学上の科、例えば同じ亜科、同じ族、同じ亜族、同じ属由来であることが最も好ましい。
【0060】
さらに、ゲノム類似性(又は関連性)を決定するための手法は容易に利用可能である。ゲノム類似性は、両方の種由来のゲノムの一本鎖DNA(ssDNA)断片の再生/再会合キネティクスを決定することによって、例えば決定することができる。或いは、又はさらに、両方の種由来のゲノムのssDNA断片の混合物から再生された二本鎖DNA(dsDNA)断片の変性(融解)が調査されてもよい。後者の手法により、融解温度Tm、すなわちDNA鎖の半分がssDNA状態である温度、及び関連するT50Hの定義が可能になる。再生/変性キネティクス及び融解プロファイルの評価を伴うアプローチは、細菌の関連性を決定するために70年代初めに導入された(de Leyら Eur J Biochem.1970年1月;12(1):133~42頁を参照のこと)が、融解温度プロファイル分析を伴うこれらのアプローチは、真核生物種の関連性を決定するのにも使用されている(例えば、Sibley及びAhlquist、J Mol Evol(1984)20:2~15頁を参照のこと)。WO2014/020624の公開以降さらに知られているように、種の系統的類似性は、1つの種由来の阻害DNA断片が別の種に対しても阻害性であるかどうかに基づき決定することができる。ある特定の他の実施形態によれば、系統的に類似の種は故に、抽出された全DNAのランダム断片化又は全DNAから始まるランダム断片合成によって得られるDNAが標的種に対して阻害性である種である。この機能定義に基づき、系統発生は、W02014/020624に示されているものと類似した試験により、及びこれに添付された実験の中で決定され得ることは当業者に明らかであろう。抽出された全DNAのランダム断片化又は全DNAから始まるランダム断片合成によって供給源種から得られるDNAは、標的種に対して阻害となるため、同じ分類学上の目内で供給源種は、同様に標的種に系統的に類似するであろう。
【0061】
本発明の組成物は、標的種を阻害することが意図される。前記標的種は、供給源種と同一であってもよく、又は供給源種と系統的に類似の種であってもよい。標的種の阻害を強化するために、組成物は、いくつかの他の(天然の)殺生物剤、例えば(天然の)駆除剤など、例えば、殺真菌剤、殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、殺節足動物剤(artropocide)、殺菌剤又は殺藻剤の使用と組み合わされてもよい。追加の(天然の)殺生物剤は、生物防除剤、例えば微生物防除剤など、例えば、細菌生物防除剤又は真菌生物防除剤、特に昆虫病原性生物防除剤であってもよい。ある特定の実施形態によれば、追加の(天然の)殺生物剤は組成物中に存在する。追加の(天然の)殺生物剤が、昆虫病原性生物防除剤などの微生物防除剤である場合、微生物防除剤の生存細胞が、供給源種DNAを含みこれを複製する宿主細胞として機能することが好ましい。例えば、供給源種は、標的種が、特に、例えばコリストネウラ属(特にコリストネウラ・オラエ、コリストネウラ・フミフェラナ、又はコリストネウラ・フレエマニ)などのハマキガ科から選択される、若しくは例えばスポドプテラ属(特にツマジロクサヨトウ、ハスモンヨトウ、エジプトヨトウ、クシナシスジキリヨトウ、又はアメリカハスモンヨトウ)などのヤガ科から選択される、若しくは例えばプロディア属若しくはエフェスチア属などのメイガ科から選択される鱗翅目、又は双翅目、鞘翅目、又は膜翅目から選択され、最も好ましくはコリストネウラ属から選択される、標的種又は標的種に系統的に類似の種から選択され得る。組成物は、次いで、標的種に対する生物防除剤、例えば細菌生物防除剤(例えばバチルス・チューリンゲンシス又は枯草菌)、又は真菌生物防除剤、例えば昆虫病原性真菌(例えば白きょう病菌、イサリア・フモソロセア、レカニニシリウム属種、又はメタリジウム属種など)などをさらに含んでもよい。生物防除剤は、細菌生物防除剤又は真菌生物防除剤の生存バイオマス、好ましくはバチルス・チューリンゲンシスバイオマスであってもよい。バチルス・チューリンゲンシス細胞などの前記生存バイオマスも、次いで複製可能な形態で組み込まれた供給源種DNAを有することができ、故に宿主種細胞として機能する。
【0062】
組成物は、表面接触、細胞親和性投与、全身投与(例えば、注射、摂取若しくは吸入、又は吸着による)などの任意の適切な手段によって標的種に投与することができる。組成物は、分散液(例えばエアロゾルの形態)、懸濁液、水和剤又は可溶性粉末、水中エマルジョン又は他の溶媒、分散性顆粒、マイクロカプセルの懸濁液、乳剤、流体ペースト、マクロエマルジョン、油分散液、ベイトからなる群において選択される乾燥処理又は液体処理のための形態で製剤化することができる。水、又は天然の深共融溶媒(NADES)系などの深共融溶媒(DES)系を含む溶媒系が使用され得る。
【0063】
本発明の組成物のDNAが標的種に対して阻害性である濃度範囲の決定は、当業者の知識の範囲内である。当業者は、必要とされる濃度が、標的種を阻害する組成物中のDNAの能力、所望の阻害レベル、又は追加の殺生物剤が適用されるか否か、及び/又は標的種への適用経路などの要因に依存し得ることを理解するであろう。多くの適用に対して、適切な濃度は、1~1500ppm、例えば2~1300ppm、2~1000ppm、5~1000ppm、10~1000ppm、50~1000ppm、100~1000ppm、200~1000ppm、500~1000ppmなどの範囲であってもよい。他の適用に対してより高い濃度が望まれる場合がある。
【0064】
W02014/020624から明らかなように、阻害DNA断片は医薬において使用されてもよい。中でも、W02014/020624は、外耳道真菌症などの感染症を引き起こし得るクロコウジカビの阻害を示している。同様に、DNA断片又はその前駆体を含む本発明の組成物は、クロコウジカビ、又は線虫、寄生虫などの他の寄生生物及び/若しくは病原生物を阻害するための医薬において使用することもできる。供給源種DNAが非断片化形態である場合、消化管などでのインサイチュで断片化形態に変換され得ることから、組成物の医学的用途において、供給源種DNAは阻害剤又はその前駆体である。本発明のさらなる態様は、それ故に、医薬における使用のための、又は換言すれば医薬品としての使用のための本発明の組成物である。本発明の文脈での医薬用途は、ヒト用医薬及び/又は動物用医薬、好ましくはヒト医薬に関する。本発明の文脈での動物への言及には、それが使用される文脈から異なる意味が次に続かない限り、ヒトへの言及が含まれる。組成物は、病原性生物の拡大及び/若しくは増殖を阻害することができる、又はさらには病原性生物を死滅させるための抗病原性組成物として医薬で例えば使用されてもよい。本発明の組成物を用いて阻害され得る病原性標的生物は、例えば局所病原体、腸内病原体、肺病原体又は全身性病原体である。病原体は、例えば、微生物病原体(例えば、細菌、真菌又はウイルスなどから選択される)、寄生虫(例えば、原生生物などから選択される)、又は蠕虫(例えば、線虫、条虫、吸虫又は回虫)から選択されてもよい。本発明の組成物の医療用途は、本発明の組成物の議論の中で上記に示した病原性及び/又は寄生標的種、特に皮膚、爪又は粘膜と関連した局所病原体及び/又は寄生虫を特に対象にする。医薬品として使用するために、組成物は薬学的に許容される形態にある。
【0065】
本発明のさらなる態様は、標的種を阻害する製品としての本発明の組成物の使用に関する。標的種は供給源種に対応してもよく、又は供給源種と系統的に類似の種である。製品において本発明の組成物は、標的種を阻害するための活性成分として使用され得る。標的種の意図された阻害は、例えば製品の生物学的安全性を改善するために製品中であってもよく、又は或いは標的種の意図された阻害は、標的表面若しくは製品が適用される標的領域であってもよい。製品は、例えば、殺生物剤、除草剤、殺真菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺節足動物剤、殺藻剤、殺菌剤から選択されるうちの1つ又は複数を含む、寄生種、病原種及び外部寄生種に対して阻害性のさらなる成分を含むさらなる成分を含んでもよい。製品は、医療製品であってもよく、又は非医療製品であってもよい。ある特定の実施形態によれば、製品は、非医療製品、例えば農学製品、パ-ソナルヘルスケア製品、又は石鹸若しくは洗剤などの衛生製品などである。
【0066】
組成物の使用のある特定の好ましい実施形態では、供給源種DNA配列は宿主種細胞中のキメラDNA分子にあってもよい。一部の適用に関して、宿主種細胞中のキメラDNA分子を示すことで十分である。その理由は、宿主種細胞がさらされる条件によって、宿主種細胞中のキメラDNA分子は宿主種細胞から遊離され得るためである。例えば、製品が、宿主種細胞が適切な食料源となる標的種を阻害するための製品である場合、供給源種DNA配列を含むキメラDNA分子が標的種によって食べられるとき、それらは標的種の腸内で宿主種細胞から遊離される。このプロセスにおいて、供給源種DNA配列もまたキメラDNA分子から遊離され得る。また、宿主種細胞の天然の分解プロセスにおいて、宿主種細胞中に含有されるキメラDNA分子は宿主種細胞から遊離され得、供給源種DNA配列は断片化によってキメラDNA分子から遊離され得る。本発明の代替的な使用において、DNAを断片化する細胞破壊法などの細胞破壊法によって宿主種細胞が破壊され、破壊された宿主種細胞からの材料が標的種の阻害に使用される。このために、DNAは、破壊され宿主種細胞から公知の方法で場合により単離されてもよい。或いは、破壊された細胞集団が、DNAをさらに単離することなく標的種の阻害に使用されてもよい。
【0067】
本発明のさらなる態様は、本発明による組成物を製造する方法に関する。方法は、
-いくつかの宿主種を準備するステップと、
-場合により断片化された供給源種DNAを含む、供給源種由来のDNA源を準備するステップと、
-宿主種細胞を、供給源種由来のDNA源と共に、宿主種細胞が供給源種DNAを複製可能な形態で取り込み可能な条件に、供するステップと、
-複製可能な形態で供給源種DNAを含有する宿主種細胞を増殖させるステップと、
-場合により、複製可能な形態で供給源種DNAを含有する宿主種細胞を単離するステップと、
-場合により、宿主種細胞からDNA、特に供給源種DNAを含有するDNAを単離するステップと、
-場合により、宿主種細胞のDNA、特に供給源種DNAを含有するDNAを断片化するステップと
を含む。
【0068】
方法の第1のステップでは、宿主種の数が提供される。本発明の組成物と関連して論じられてきたこと、本発明及び利用可能な共通の一般知識の使用に基づき、当業者は適切な宿主種細胞の提供方法を承知し、理解するであろう。
【0069】
第2のステップでは、供給源種由来のDNAの供給源(場合により断片化DNAを含む)が提供される。供給源種由来のDNAの供給源は、任意の適切な供給源であってもよい。例えば、供給源種の細胞がそれ自体として使用されてもよい。或いは、供給源種細胞から放出されたDNA、例えばDNAを断片化する細胞破壊法などの細胞破壊法によって破壊された細胞から放出されたDNAが使用されてもよい。放出されたDNAは単離されても又はされなくてもよい。DNAは断片化されてもされなくてもよい。供給源種から断片化されたDNAはそれ自体として提示されてもよく、又は人工プラスミド、コスミド、人工染色体(例えばYAC又はBAC又は真菌人工染色体など)などの人工DNA構築物、若しくは転位因子と関連して構築されたキメラDNA分子に組み込まれてもよい。
【0070】
第3のステップでは、宿主種細胞が供給源種DNAを複製可能な形態で取り込めるようにする条件に、供給源種由来のDNAの供給源を含む宿主種細胞が供される。供給源種DNAを複製可能な形態で取り込むことにより、宿主種細胞はそのDNA複製機構で供給源種DNAを複製することになる。故に条件は、供給源種DNAが提供されるとき、複製される宿主種細胞のDNA複製機構にとって機能的に利用可能なように宿主種細胞に組み込まれるようでなければならない。当業者は、宿主種細胞が供給源種DNAを複製可能な形態で取り込めるようにするための適切な条件を選択することができるであろう。
【0071】
例えば、供給源種DNAが、プラスミド、コスミド、人工染色体などの人工DNA構築物、又は転位因子に付随している構築されたキメラDNA分子に組み込まれて提供される場合、これらの人工DNA構築物が効果的に複製され得るようにそれらを効果的に取り込むために宿主種細胞を競合させる条件づけの方法を当業者は承知しているであろう。
【0072】
供給源種DNAが供給源種の細胞として提供される場合、当業者には、必要とされる条件は、供給源種細胞が供給源種DNAを放出し、供給源種DNAが断片化されることを可能にしなければならないことがわかるであろう。リター分解の過程では、条件は、リター中の植物材料由来のDNAが土壌マイクロバイオームに移動できるようなものになることが見出されている。これらの知見に基づき当業者は、リター又は類似の分解生体物質に含まれる非植物供給源由来のDNAも、土壌マイクロバイオーム(micobiome)に組み込まれ得ることを予想するであろう。適切な条件は、故に、特に宿主種が、アルファプロテオバクテリア属種、ベータプロテオバクテリア属種、デルタプロテオバクテリア属種、アクチノバクテリア属種、サーモレオフィラム属種、ルブロバクター属種、クロラキドバクテリウム属種、アシドバクテリウム属種、又はソリバクター属種などから選択される土壌微生物であるリター分解の条件であり得る。
【0073】
供給源種DNAが供給源種細胞から放出されるDNAとして提供される場合、当業者には、放出される供給源DNAが宿主種の適切な細胞によって、又は微粒子銃(又は遺伝子ショットガン)などの強制された方法により天然のプロセスで取り込まれ得ることがわかるであろう。
【0074】
第4、ステップは任意選択であり、宿主種細胞を単離するステップを含む。例を含む本明細書の全体から、当業者は、宿主種細胞の単離が全ての適用に必要とされるわけではないことを理解するであろう。宿主種細胞の単離が必要とされる又は望まれる場合、当業者は、宿主種細胞を単離するための適切な手法について知識を有するであろう。
【0075】
第5、ステップは同様に任意選択であり、宿主種細胞からDNAを単離するステップを含む。例を含む本明細書の全体から、当業者は、宿主種細胞からのDNAの単離が全ての適用に必要とされるわけではないことを理解するであろう。宿主種細胞からのDNAの単離が必要とされる又は望まれる場合、当業者は、宿主種細胞からDNAを単離するための適切な手法について知識を有するであろう。
【0076】
第6、ステップはさらなる任意選択のステップであり、宿主種細胞のDNAを断片化するステップを含む。例を含む本明細書の全体から、当業者は、宿主種細胞からのDNAの断片化が全ての適用に必要とされるわけではないことを理解するであろう。宿主種DNAの断片化が必要とされる又は望まれる場合、当業者は、宿主種細胞からDNAを断片化するための適切な手法について知識を有するであろう。宿主種細胞由来のDNAが断片化される場合、キメラDNA分子が断片化されることが好ましい。ランダム断片化法によるDNA断片化が好ましくは使用される。
【0077】
本発明はこれより、以下の非限定的な実験によってさらに例示される。
【実施例】
【0078】
(実験1)
シロイヌナズナライブラリー
シロイヌナズナの市販の微生物ゲノムライブラリーをTAIR(https//www.arabidopsis.org/)から購入し、酵母及び大腸菌の両方で操作した。
【0079】
YACライブラリーCD4-21Pは、pYAC4ベクターでのプール酵母人工染色体(YAC)ゲノムライブラリーであった;コロンビア(Columbia)植物の核から単離されたDNA;元のライブラリーは1,152個のクローンからなった;平均インサートサイズ=420kb;クローンの21%が葉緑体DNAを有する;ライブラリーは81個のプールからなる;クロ-ニング酵素:EcoRI及びEcoRIからなる。
【0080】
POCA18-hygベクター中のBACライブラリーCD4-21Pバイナリーコスミドゲノムライブラリー; TaqIによる部分消化によって作製されたWassilewskija(Ws)ゲノムDNA断片から生成;10ゲノム当量に相当;ベクターはCaMV35Sプロモーターの制御下でハイグロマイシン耐性遺伝子を有する;クロ-ニング酵素:ClaI及びClaI。
【0081】
各ライブラリーを使用して、次のように調製された微生物溶液を得た:
YACライブラリーCD4-21P:
ライブラリーの80ストックの各々を、YPD培地(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、1%グルコース)を含有するチューブに接種し、28℃で48時間インキュベートした。インキュベーション後、チューブをプールし、細胞懸濁液を遠心分離し(4000rpm、5分)、10ml NaCl 0.9%(プール酵母懸濁液)に再懸濁した。次いで、プールYAC培養を、YPD培地1Lを含有するベンチ撹拌リアクター(New Brunswick)で28℃、200rpm、1vvm通気速度で行った。リアクターにプール酵母懸濁液の適当なアリコートを接種して、最初のO.D.590=0.1を得た。48時間後、酵母バイオマスを回収し、洗浄し、蒸留水に再懸濁して1mlあたり50mg細胞乾燥重量の最終濃度を得た。
【0082】
対照として使用する酵母細胞については同じ手順に従ったが、リアクターの接種材料として、YPD培地での出芽酵母CEN.PK113-7D株の前培養物を使用した。この場合もまた、製造されたバイオマスを回収し、洗浄し、上記に報告した同じ細胞密度まで蒸留水に再懸濁した。
【0083】
BACライブラリーCD4-21P:
ライブラリーの80ストックの各々を、50mgml-1ハイグロマイシン(hygromicin)を含むTryptone Soyaブロス(TSB)を含有するチューブに接種し、37℃で48時間インキュベートした。インキュベーション後、チューブをプールし、細胞懸濁液を遠心分離し(10,000rpm、10分)、10ml NaCl 0.9%(プール細菌懸濁液)に再懸濁した。次いで、細菌ライブラリーの培養を、ハイグロマイシンを含むTSB培地1Lを含有するベンチ撹拌リアクター(New Brunswick)で37℃、200rpm、1vvm通気速度で行った。リアクターにプール細菌懸濁液の適当なアリコートを接種して、最初のO.D.590=0.01を得た。48時間後、細菌バイオマスを回収し、洗浄し、蒸留水に再懸濁して1mlあたり50mg細胞乾燥重量の細胞密度を得た。
【0084】
対照として使用する細菌細胞については同じ手順に従ったが、リアクターの接種材料として、TSBでの大腸菌ATCC 10536の前培養物を使用した。この場合もまた、製造されたバイオマスを回収し、洗浄し、上記に報告した同じ細胞密度まで蒸留水に再懸濁した。
【0085】
阻害試験
2つのライブラリーの微生物溶液を超音波処理し、得られた細胞ホモジネートを、蒸留水を添加して水分蒸発を補充しながら、好気条件下、室温で15日間インキュベートした。ホモジネートの異なるアリコートを蒸留水で1:1、1:10、及び1:100希釈し、濃度レベルごとに10個の植物を含む3個の反復試料でペトリ皿の濾紙を湿らせるのに使用した。シロイヌナズナの実生は、濾紙に標準的な栄養溶液を含むペトリ皿で種子を発芽させて準備した。少なくとも1週齢の類似したサイズの健康な実生を阻害試験に使用するために選択した。実験は、ペトリ皿で種々の溶液に実生を曝露して行った(1皿あたり10種子、1処理あたり10皿)。対照は、実験期間中蒸留水のみで維持した実生によって評価した。処理は、ライブラリー、又はゲノムライブラリーがない対応する微生物溶液のどちらかに曝露させるものであった。実生の生存率を、生きている植物の数を数えて10日後に評価した。実験は、最適なレベルの温度及び空気湿度で維持したグロースチャンバーで行った。
【0086】
結果
阻害試験の結果は、シロイヌナズナのゲノムの微生物ライブラリー(BAC及びYAC)を試験することにより、同種の実生生存率に対する異種及び自己DNAの混合物による阻害効果を実証するものであった。実際に、実生生存率は、蒸留水で処理した対照、及び異種DNAを含むが自己DNAゲノムライブラリーを含まない対応する微生物溶液の両方と比べて、ゲノム自己DNAのYAC及びBACライブラリーへの曝露下で有意に低かった(
図1)。このパタ-ンは、処理希釈の3つのレベルにわたって一致していた。さらに、異種DNAを含有するが自己DNAを含有しない処理は、実生生存率に概ね影響を与えず、最高濃度レベルで非特異的阻害効果を示した出芽酵母材料を除いて、対照の実生生存率と変わらなかった。
【0087】
(実験2)
ショクヨウガヤツリライブラリー
ショクヨウガヤツリのゲノムBACライブラリーは、ベクターpSmart-HindIII(クロラムフェニコール耐性)を使用して大腸菌EPI300でBio S&T(モントリオール、カナダ)によって構築した。合計11,808クローン(>2×ゲノムカバレッジ)に対して各ウェルが123個の一次クローンを含有する1×96ウェルプレートにライブラリーをプールした。平均インサートサイズ(110Kb)を、NotIで消化した試験ランダムクローンを使用して決定した。ライブラリーを-80℃で保存した。
【0088】
ライブラリーを使用して、次のように調製された微生物溶液を得た:
増幅のために、クロラムフェニコールを12.5mg/Lで含むTryptone Soyaブロス(TSB)を含有するチューブ中の凍結ストックから各ウェルに接種し、37℃で48時間インキュベートした。インキュベーション後、96チューブをプールし、細胞懸濁液を遠心分離し(10,000rpm、10分)、10ml NaCl 0.9%(プール細菌懸濁液)に再懸濁した。次いで、細菌ライブラリーの培養を、クロラムフェニコールを含むTSB培地1Lを含有するベンチ撹拌リアクター(New Brunswick)で37℃、200rpm、1vvm通気速度で行った。リアクターにプール細菌懸濁液の適当なアリコートを接種して、最初のO.D.590=0.01を得た。48時間後、細菌のバイオマスを回収し、洗浄し、蒸留水に再懸濁して1mlあたり50mg細胞乾燥重量の細胞密度を得た。
【0089】
対照として使用する細菌細胞については同じ手順に従ったが、リアクターの接種材料としてTSBでの大腸菌EPI300の前培養物を使用した。この場合もまた、製造されたバイオマスを回収し、洗浄し、上記に報告した同じ細胞密度まで蒸留水に再懸濁した。
【0090】
阻害試験
微生物溶液を超音波処理し、得られた細胞ホモジネートを、蒸留水を添加して水分蒸発を補充しながら、好気条件下、室温で15日間インキュベートした。次いで、ホモジネートの異なるアリコートを、植物成長用の2つの異なる基質(ケイ砂及び標準的な培養土)の各々で1:10及び1:100v/v希釈した。ショクヨウガヤツリの実生は、濾紙に標準的な栄養溶液を含むペトリ皿で種子を発芽させて準備した。少なくとも10日齢の類似したサイズの健康な実生を阻害試験に使用するために選択した。実験は、15mL容量の小型のプラスチックポットで異なる基質混合物に実生を曝露して行った(1ポットあたり1実生、1処理あたり20ポット)。処理には、基質タイプ(2水準、砂又は培養土のどちらか)、大腸菌材料タイプ(2水準、BACライブラリー有り又は無しのどちらか)、及び溶液濃度(2水準、1:10又は1:100のどちらか)の階乗の組み合わせが含まれた。非混合基質を含有するポットを対照と見なした(基質タイプごとに10ポット)。管理条件(22/16℃の昼/夜T、光周期16:8時間、周囲空気湿度、ポットの圃場容水量まで毎日散水)で成長させたショクヨウガヤツリを、植物材料の破壊的サンプリングと、その後のオーブン乾燥(60℃×48時間)及び総バイオマスの秤量によって、実生の鉢植えから10日で評価した。
【0091】
結果
結果は、同種の実生成長に対するショクヨウガヤツリのBACゲノムライブラリーの阻害効果を実証するものであった。実際に、実生バイオマスは、蒸留水で処理した対照、及び異種DNAを含むが自己DNAゲノムライブラリーを含まない対応する微生物材料の両方と比べて、ゲノム自己DNAのBACライブラリーへの曝露下で有意に低かった(
図2)。阻害効果は用量依存的であり、2つのレベルの処理濃度にわたって一致していた。異種DNAを含有するが自己DNAを含有しない処理は、実生成長に影響を与えず、対照の実生成長と変わらなかった。
【0092】
(実験3)
カエノラブディティス・エレガンスライブラリー
カエノラブディティス・エレガンスのフォスミドライブラリーをSource BioScience(http://www.sourcebioscience com/)で購入した(市販)。ライブラリーには、合計15,744クローンを含む41×384プレートが含まれた。大きなインサート(平均サイズ43.3kb)ライブラリーを、フォスミドCopyControlベクターpCC1FOS(クロラムフェニコール耐性)を使用して大腸菌EPI300-T1Rで構築した。
【0093】
2つの大腸菌株を使用した:OP50及びEPI300-T1R。大腸菌株はLB増殖培地で増殖させた。必要な場合、12.5μg/mlの最終濃度のクロラムフェニコール、及び0.01%重量/容量の最終濃度のアラビノースを増殖培地に添加した。カエノラブディティス・エレガンス株は野生型Bristol(N2)であった。カエノラブディティス・エレガンス株を、食料源として大腸菌OP50を塗布したNGM寒天プレート(アラビノースを含まない)で20℃で維持した。大腸菌EPI300-T1R及びpCC1FOSベースのライブラリーで形質転換したEPI300-T1Rを、指定されたようにNGMプレート(アラビノースを含む)で食料源として使用した。
【0094】
フォスミド増幅に関して、384ライブラリークローンを含有する各マイクロタイタープレートに、クロラムフェニコールを含有するLB寒天プレート(150mmペトリ皿)の凍結ストックから接種した。得られた41プレートを37℃で一晩インキュベートした。インキュベーション後、クロラムフェニコールを含有するLBブロス12mlに細菌を回収し、スパチュラを用いて各プレートに塗布した。得られた細菌混合物を15ml培養チューブ(41チューブ)に移した。クロラムフェニコール及びアラビノースを含有する4ml LBブロスに100μlを接種し、37℃で一晩インキュベートした(41チューブ)。翌日、細菌培養物100μlを、クロラムフェニコール及びアラビノースを含有する2ml LBブロスに移し、37℃で一晩インキュベートした(41チューブ)。
【0095】
阻害試験
得られた41個の細菌培養物をプールし、これらのプールした細菌20μlを、アラビノースを含有する各NGMプレート(35mm)で使用した。非形質転換大腸菌EPI300-T1Rを陰性対照として使用した。この場合、フォスミド増幅に関して従った同じ手順で細菌を増殖させたが、クロラムフェニコールは除外した。世代Iスクリーニングのために、単一のL4期カエノラブディティス・エレガンスワームを、アラビノースを含有する各NGMプレートに移し、細菌を接種し、20℃で維持した。このワームを12時間ごとに新鮮な同一のプレートに移して卵全ての産卵を可能にした(3日間)。
【0096】
以下のパラメーターをモニターした:胚致死(産みつけられた卵に対する生存不能な卵の比)及び異常な表現型(孵化卵に対する異常な表現型の比)。同じパラメーターを世代IIスクリーニングについてもモニターした。世代IIスクリーニングのために、世代Iからの単一の欠損していないL4期カエノラブディティス・エレガンスワームを、アラビノースを含有する各NGMプレートに移し、細菌を接種し、世代Iスクリーニングについて上記に記載したように処理した。
【0097】
カエノラブディティス・エレガンスゲノムの一部による阻害も試験した。これに関して、カエノラブディティス・エレガンスライブラリーのクローンA01(WRM0610aA01)(染色体I;クローン開始:13249863~クローン終わり:13287543[サイズ37680])、カエノラブディティス・エレガンスライブラリーのクローンB01(WRM0610cA02)(染色体X;クローン開始:12671842~クローン終わり:12705840[サイズ33998])、並びにクローンAO1及びクローンBO1の組み合わせをワームに与えた。胚致死(産みつけられた卵に対する生存不能な卵の比)及び異常な表現型(孵化卵に対する異常な表現型の比)を第一世代子孫で試験した。
【0098】
結果
該実験では、カエノラブディティス・エレガンスフォスミドライブラリー全体を含有するEPI300-T1Rを餌にした11ワーム、及び非形質転換EPI300-T1Rを餌にした12ワームを世代Iスクリーニングで分析した(それぞれ2574及び3055卵)。カエノラブディティス・エレガンスフォスミドライブラリー全体を含有するEPI300-T1Rを餌にしたワームは、EPI300-T1Rを餌にしたワームとは有意に異なる胚致死の増加を示した(それぞれ3.85%及び0.82%、p<0.0001)。孵化卵に対するオスの比は、両方の子孫でオスがいなかったため処理間で変わらなかった。EPI300-T1Rを餌にしたワームと比べて、有意により高頻度(6.32%)の発育異常が、カエノラブディティス・エレガンスフォスミドライブラリー全体を含有するEPI300-T1Rを餌にしたワームの子孫で観察された(p<0.0001、
図3)。
【0099】
特に、カエノラブディティス・エレガンスフォスミドライブラリー全体による負の効果は、世代Iと比べて世代IIで悪化した(
図3)。
【0100】
ゲノムの一部による阻害の結果を以下の表2に示す。
【表2】
【0101】
結果は、ゲノムのほんの一部により、胚致死及び異常な表現型の出現の両方に対する有意な効果がもたらされることを示している。組み合わせたクローンは増大効果(付加効果より高い)をもたらす。さらなるクローンと組み合わせることにより、阻害効果は累増し得ることが予想され得る。
【0102】
(実施例4)
エジプトヨトウライブラリー
エジプトヨトウ(コットンリーフワーム)のゲノムBACライブラリーは、実験室で成長させたエジプトヨトウ幼虫から高分子量ゲノムDNAを抽出及び消化(制限酵素Hind III)後に、大腸菌DH10BでベクターCopy対照pCC1BACH(BamH I Hind III、EcoR I Cloning Ready Vector-8128bp)を使用してHind III部位に構築し、次いで凍結した。クローンを、ルリアベルターニ(LB)+クロラムフェニコール固体基質を含有するプレートで増殖させ、選択した。クローンをスクリーニングし、採取し、発現を高コピー数に誘導し、次いで96ディープウェルプレートのウェルに移した。各ウェルは290個の一次クローンを含有した(合計27,840クローン)(>10×ゲノムカバレッジ)。平均インサートサイズ(132Kb)を、NotIで消化した試験ランダムクローンを使用して決定した。空ベクター対照も調製し、ライブラリーベクターの同じ条件で増殖させた。ライブラリー及び空ベクターを-80℃で保存した。
【0103】
ライブラリーを使用して、プラスミドDNAを次のように製造した:単一滅菌爪楊枝を各単一ウェル培養物に浸し、濡らし、次いでクロラムフェニコール(12.5μg/ml)を含むLB1mlを含有する2mL微量遠心分離チューブに移し、接種に使用した。接種したら、微量遠心管培養物を37℃、軌道撹拌で一晩インキュベートした。96個のスターター培養物全て(96ml)を一緒にプールして、ライブラリー全体を代表するスターター接種材料を得た。クロラムフェニコールを含むLB 10リットルを調製し、ガラス三角フラスコに分け、滅菌した。各基質レシピエントにスターター接種材料を接種し、37℃、軌道撹拌で一晩インキュベートした。
【0104】
プラスミドDNAをライブラリー及び空ベクター対照の両方から抽出するために、QIAGEN Plasmid Giga Kitを製造者の説明書に従って使用した。
得られたDNA濃度は、ライブラリーが688ng/μl、約800μl容量(総収量DNA=550μg)、空ベクターが268ng/μlであった。
【0105】
阻害試験
3齢期のエジプトヨトウの幼虫を、15cmペトリ皿で管理条件(T22~24℃、光周期16:8時間)で維持し、以前に記載されているように給餌した(Bergomaz及びBoppre、1986)。処理には、Mazzoleniら(2015b)に記載されている抽出及び超音波処理によってサケ(タイセイヨウサケ(Salmo salar))及びエジプトヨトウから得られたDNA断片、並びに上記に記載のBACライブラリーからの抽出によって得られた自己及び異種DNAの混合物の溶液が含まれた。
【0106】
3つの処理溶液の各々をDNA濃度200ng/μlで希釈し、各溶液4mLを幼虫の毎日の食餌に含めた。処理ごとに20個の反復試料(ペトリ皿、それぞれが30匹の幼虫を含む)を、成長実験の開始以降、管理条件で20日間維持した。対照反復試料(N=10)も同じ条件で維持し、標準的な未処理食を給餌した。全ての処理に関する幼虫の生存を20日成長期間の終わりに評価した。
【0107】
結果
実験4の試験の結果は、エジプトヨトウ幼虫の生存が、給餌ペレット中の異種DNA(すなわち、BACライブラリーベクターとして使用した微生物株のDNA)の存在下及び非存在下の両方で、摂取による自己DNAへの曝露によって有意に影響されることを示した。実際に、これら2つの場合、5%及び0%の生存率が20日後に観察された(
図4)。逆に、異種DNA(すなわちサケDNA)のみを含有する給餌ペレットの場合、未処理対照と比べて有意な生存低下は観察されず、異種DNA単独は幼虫に対する阻害効果を誘導しないことを示した(
図4)。
【0108】
(実施例5)
確認実験では、異種DNA(例えば、DNA増幅に使用した宿主生物のDNA)に付随した形で提示される場合、断片化自己DNAはある生物種の個体に対して阻害性であるという上記の実験の知見をさらに確認するために、キイロショウジョウバエの適切な食料源である酵母での増幅で得られた自己DNAによるキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の阻害を試験した。
【0109】
自己DNA増幅
キイロショウジョウバエの培養を標準的な飼育方法で得た。キイロショウジョウバエDNAの断片を含有する酵母細胞をBio S&T(モントリオール、カナダ)で操作した。キイロショウジョウバエの個体から単離したこの全DNAについて、Sau3 AIを使用して培養物を部分的に消化した。消化DNA断片を、BamHIクロ-ニング部位を使用してpGADT7ベクターにクローニングした。大腸菌DH10B宿主細胞を、クローンニングしたキイロショウジョウバエ断片を含有するpGADT7ベクターで形質転換し、得られたライブラリーを一晩培養して寒天培地で増幅した。約120,000個のオリジナルのクローンを、半固体培地で大きなペトリ皿(合計10皿)にプレーティングした。次いでコロニーを洗浄し、10チューブに回収した。マキシプレップを行ってライブラリーDNAを単離した。
【0110】
大腸菌ライブラリーからの単離DNAを、次いで出芽酵母Y187宿主細胞を形質転換するのに使用した。ライブラリーを一晩培養して寒天培地で増幅し、大きなペトリ皿(合計10皿)あたり約120,000個のオリジナルのクローンを半固体培地にプレーティングする。次いでコロニーを洗浄し、10チューブに回収する。インサートサイズの決定は、ゲルクロマトグラフィーによって10個のランダムに選択したクローンで行い、1~6kbの範囲で4kの平均サイズを示した。
【0111】
阻害試験
酵母ライブラリーを、孵化から蛹期までショウジョウバエの標準的な給餌食(Sang(1978))の成分として使用した。処理は、以下からなった:自己DNA処理:酵母ライブラリーを給餌;対照1:対照としてのベクターを含まない同じ酵母株を給餌;対照2:空ベクターを含む同じ酵母株を給餌。結果を以下の表3に示す。
【表3】
【0112】
結果は、ショウジョウバエ DNAを含有する酵母ライブラリーを給餌した幼虫に対する有意な阻害を示した。発育時間の有意な延長(対照の2倍の時間)及び死亡率(3齢期で40%、及び蛹の83%)が幼虫の成長中に観察された。標準食を用いた対照1と空ライブラリーベクターを含む酵母を用いた対照2の間に差は観察されず、故に阻害(ライフステージ持続時間及び死亡率のレベルで決定された)は、酵母ライブラリーへのショウジョウバエDNA挿入によるものであったことを実証した。
【0113】
(実施例6)
アレッポマツ(Pinus halepensis)及びセイヨウハコヤナギ(Populus nigra)の阻害
宿主生物で複製される人工DNA構築物に組み込まれた自己DNA断片(の一部)による標的種の有効な阻害に基づき、宿主種の天然のゲノムに組み込まれた自己DNAは、標的種の阻害において同様に有効であることが予想され得る。水平遺伝子伝達は、土壌マイクロバイオームを含む自然界では広く生じることが知られている。
【0114】
この実験土壌微生物において、宿主種の天然のゲノムに組み込まれた自己DNAによる標的種の阻害を確認するために、2つの異なるリター材料(アレッポマツ及びセイヨウハコヤナギの葉)に、2つの種が存在しないオーク林の土壌からの土壌微生物を接種した。Mazzoleniら 2015のように、分解リターを阻害試験に使用した。同種阻害を示す分解リター材料をマイクロバイオームDNAのメタゲノミクス解析に使用して、土壌マイクロバイオームDNAへの植物DNAの組み込みを確認した。
【0115】
詳細には、アレッポマツ及びセイヨウハコヤナギの新鮮な葉をフィールドから回収し、分解実験において以下の方法で使用した。ランダムに選択した植物(n>20)の下にネットを置き、落葉したばかりの葉を自然群落で回収し、換気チャンバーで一定の重量に達するまで室温で乾燥させ、次いで室温で保存した。分解実験は、最適な水利用条件及び温度条件でのグロースチャンバーで実施した。リターに7日ごとに保水容量まで蒸留水で散水し、温度は夜間18±2℃、日中24±2℃であった。乾燥葉リター(3個の反復試料で各種100g)をプラスチックトレー(サイズ30×50×50cm)の中に置いた。Bonanomiら(2011)に従って、2つの種が存在しないオーク林から回収した微生物接種材料を調製し、区分した。接種120日後にリターを回収し、紙袋の中で乾燥させた(一定の重量に達するまで40℃で)。
【0116】
分解リター材料の種特異的阻害効果を確認するために、バイオアッセイ試験を次のように行った: 8cm幅の滅菌濾紙ストリップを四角いペトリ皿(サイズ12×12×1.5cm)に置いた。各種の発芽前種子(皿ごとに5個)を、異なる分解リター材料で予め修正した紙ストリップの一番上に置いた。根の観察プレートを45°で置き、不透明シートで覆った。根の長さを28日後に評価した。
【0117】
微生物集団を分解材料から分離するために、リター試料1gを5mlチューブに入れた。リン酸緩衝食塩水(PBS)3mlを各試料に添加した。試料を60秒間ボルテックスしてホモジナイズし、その後10000rpmで1分間遠心分離して、微生物細胞をリター残渣から分離した。遠心分離後、分離した微生物細胞の上清(surpernatants)を新たな2mlチューブに移した。プール段階後、CTAB法によって微生物細胞からDNAを抽出した。抽出ステップの終わりに、試料をポリビニルピロリドン(PVP)で処理して、PCRに対する阻害の可能性を回避するためにフェノールを除去した。抽出DNAをエタノールでさらに精製し、次いで微生物学的層流空気流チャンバーで乾燥させ、ヌクレアーゼフリーPCRグレード水で溶出した。
【0118】
分解リターのメタゲノミクス解析を、標準的なショットガンシーケンシング法によって行った。メタゲノミクスからのペアエンドリードを、次いで、以下に記載するバイオインフォマティクス手順に従って解析して、微生物種、及び分解リターの植物種由来のDNAの両方に属する組換え断片を見出した。
【0119】
上述の植物及び対応するマイクロバイオームの種の両方に属する可能性のある組換えDNA断片を見出すために、以下の手順に従った。BBmapのBBmerge機能(Bushnell(2016))を使用し、kmerオプションを適用して偽陽性を低減し(extend2=20、iteration=5)、メタゲノミクス実験からのペアエンドリードを統合した。統合されなかったペアエンドは、BBmap のfuse.sh機能(Bushnell 2016)を使用して、フォワードリードとリバースリードの間に0Nを挿入して融合する。次いで、統合及び融合リードを、BLASTn(Camachoら 2009)を使用して、宿主参照ゲノム又はゲノムが利用できない場合は関連する種に対して整列させた。以下の参照ゲノムを使用した:テーダマツ(Pinus taeda)(1760464スキャフォールド、約22GB)及びコットンウッド(Populus trichocarpa)(1694スキャフォールド、約500MB)。宿主ゲノムとの少なくとも1つのヒットがあった全てのリードを一致と見なした。参照種との一致を確認するために、BLASTn(Camachoら 2009)を使用して、宿主ゲノムと一致するリードをNCBIの非重複データベースに対して独立に整列させた。
【0120】
結果
バイオアッセイ実験は、アレッポマツ及びセイヨウハコヤナギの分解リターの種特異的阻害効果を確認した。アレッポマツの発芽種子の根の成長は、セイヨウハコヤナギのリターでの成長と比べて自身のリターでは50%少なかった。セイヨウハコヤナギの根の成長は、アレッポマツのリターと比べて自身の分解リターでは70%少なかった。
【0121】
分解リターのメタゲノミクスデータの解析は、植物種と微生物の間のいくつかの組換えDNA断片が存在することを明らかに示した。44,431,532個の統合リードからスタートし、108,288個のリードがテーダマツゲノムスキャフォールドと一致した。次いで108,288個のリードを、NCBIヌクレオチドデータベース(NT)に対して比較し、100%のリードで41,533個の固有IDとの少なくとも1つの一致がNTデータベースで見出された。本発明者らは、固有IDのうち10,000個のIDのランダムサブセットを選択して、詳細な分類群アノテーションを得た。一致配列(108,288個)の総数から、29,149配列のサブセットについてアノテーションを確認し、4,595配列がNTのテーダマツ配列と一致することが確認された。これらの4,595配列のうち、1,359配列はカバレッジが80%より低かった。これは、該配列がマツと微生物種の間の組換え配列として見なされ得ることを意味する。マツのリター中の微生物によるマツゲノム取り込みの特異性を確認するために、コットンウッドとの一致もチェックし、139配列のみが見出された。類似の結果は、セイヨウハコヤナギのリターの場合で見出される。アノテーション結果を表4及び5に要約する。
【0122】
ショットガンアプローチによる提示された解析は、分解植物リターの参照ゲノムと部分的に類似する断片のメタゲノミクスデータにおける濃縮を明らかに確認するものである。換言すると、結果は、リター基質由来のDNA断片が特異的に含まれ、それにより、阻害効果を示す植物を特徴とするマイクロバイオームが生じることを示している。
【0123】
【0124】
これらの注目すべき発見を確認するために、実験を繰り返し、解析を拡大した。葉の回収、リターの製造、及び材料の取り扱いは、上記に記載した通りであった。リター材料をインキュベートし、120日間最適条件で分解し、30日後及び実験の終わりに試料を回収した。30日間及び120日間の新鮮なリター及び分解材料を、Mazzoleniら(2015)によって記載されている標準的な市販のキットを用いたDNA抽出に使用し、抽出したDNAを解析した。本発明者らは、宿主植物種(マツ属及びポプラ属)からのリター(分解0、30、120日)でショットガンシーケンスアプローチから得られたリードを、示された参照ゲノムに対して比較した。
【0125】
生物情報学的解析を以下の手順に従って行った:
BBmapのBBmerge機能(Bushnell(2016))を使用し、kmerオプションを適用して偽陽性を低減し(extend2=20、iteration=5)、メタゲノミクス実験からのペアエンドリードを統合する。
【0126】
次いで、BLASTn(Camachoら(2009))を使用して、統合リードを宿主ゲノムに対して整列させた。少なくとも1つのヒットを有する全てのリードを、一致を有するリード全体としてリストし、それらをそのカバレッジに従ってグループに分けてリストする。可能性のある組換え断片は、20~80又は90%カバレッジに一致するものである。90%同一性でのフィルタリングも検討する。生物情報学的手順に関するさらなる詳細は、Bushnell(2016)及びCamachoら(2009)に見出すことができる。
【0127】
結果を表6に示す。結果は、分解が進むにつれてリター中の遊離植物DNAの量が減少することを考えると、試料中に認められる植物のDNA断片全体の頻度が時間とともに減少することを示している。その一方で、植物ゲノムと一致する部分断片(それらが植物DNAの一部及び何か他のDNAの一部で構成された断片であることを意味する)の数は、分解が進むにつれて増加し(表7)、120日後にピークとなる。120日間分解されたリター材料は、同じ種(すなわち、マツ属及びポプラ属)の種子の発芽に対して最大の阻害効果を示すことに留意することが重要である。
【0128】
各試料におけるシーケンスマッチング数(表6)、及びゲノムの部分からの各リードの相対カバレッジ数(表7)に関してデータを解析した。部分的カバーリードは、リードサンプリングにおけるキメラを反映していると想定される。
【0129】
【表6】
表6は、それぞれマツ属及びポプラ属ゲノムと対比したblast検索解析からの一致頻度の検討は、120日目のリターより0日目のリターでより高い数字をもたらすことを示している。これは、宿主植物と対比した類似性が、配列の崩壊により低下することを意味する。
【0130】
【表7】
表7は、宿主植物に対して比べた場合、リターの熟成に従って、リードの高カバレッジが相対的に減少し(99~100%カバレッジ値の減少)、部分的カバー配列(20~90%カバレッジ)が増加することを示している。
【0131】
宿主ゲノムに対する信頼できそうにない類似性を捨てるために、宿主ゲノムに対する類似性も90%同一性で調査した。カバレッジ減少は、リターからシーケンスされたリード中のキメラの存在を示す。
【0132】
極めて興味深い点は、一方では、植物ゲノムとの一致数がポプラ属の高速分解リターにおいて極めて高い減少を示したのに対し、マツ属リターのより遅い分解がマツ配列の非常に遅い消失に対応していることである。他方で、両方の種材料は、依然として種を認め得る混合断片数の持続的増加を示す。これは、微生物への天然の組み込みを反映するものである。
【0133】
これらの結果は、微細藻類の単一種培養について本出願でさらに記載されること(以下参照)と類似した天然のライブラリーの形成を支持する。この場合、天然のライブラリー形成の現象は、その環境の植物リターのDNAが濃縮され、故にリターを生産する植物(単数又は複数)の種特異的阻害効果をもたらす天然の土壌マイクロバイオームで生じる。
【0134】
(実験7)
アルスロスピラ・プラテンシス天然ライブラリー
宿主種の天然のゲノムに組み込まれた自己DNAによる標的種の阻害をさらに確認するために、シアノバクテリアに属する種であるアルスロスピラ・プラテンシスを、シロイヌナズナから抽出したDNAとインキュベートしてDNAの天然の取り込みも誘導し、形質転換アルスロスピラ・プラテンシス細胞をシロイヌナズナの阻害に使用した。
【0135】
インキュベーション前に、シアノバクテリアの純粋培養物をZarroukの増殖培地中、管理条件(T22~24℃、光周期12:12時間、照射量20μmol photons m-2 s-1)でインキュベーション前の少なくとも4時間ガス注入せずに維持した。
【0136】
インキュベーション用のシロイヌナズナDNAを、新鮮な葉からの全ゲノム抽出のための標準的な方法によって調製し、超音波処理バーストによってランダムに断片化した(Mazzoleniら(2015a)によって報告されたプロトコルに詳細が示されている)。試料は、マイクロチップが水槽で1.5mlマイクロチューブに冷水で浸漬されているVC 505 SONICS Ultrasonicプロセッサにおいて、振幅20%で45sec/15secオン/オフサイクルにより30分間超音波処理しておいた。
【0137】
シロイヌナズナDNAとのアルスロスピラ・プラテンシスのインキュベーション
シアノバクテリアの細胞内及び細胞外DNAse活性を減少させ、外来DNAの残留及び組み込みを促進するために、アルスロスピラ・プラテンシスをインキュベーション前にMg++欠乏増殖培地で培養した(Caoら、1999)。インキュベーション中、濃縮アルスロスピラ・プラテンシス細胞(穏やかな遠心分離によって得られた最大5×107細胞)300μlを、ガラスビーズ(直径500μ)300mgを含有する15mL遠心チューブに添加した。次いで、超音波処理バーストによって予め断片化したシロイヌナズナDNA 100μL、及びMg++欠乏増殖培地100μLをインキュベーションチューブに添加し、その後ボルテックスミキサーで15秒間、トップスピードで撹拌した。
【0138】
ZarroukのMg++欠乏培地を用いて試料容量を同じチューブ内で2.5mlに増やし、LD発光周期下、オシレーターで24時間インキュベートした。
【0139】
次いで、光バイオリアクターで完全Zarrouk培地を用いて容量を10lまで徐々に増やし、1lあたり1g細胞乾燥重量の細胞密度を得た。90日後、バイオマスを遠心分離し、回収し、1lあたり100g細胞乾燥重量の細胞密度を有する材料のペレットを得た。
【0140】
阻害試験
シアノバクテリアペレットを超音波処理し、得られた細胞ホモジネートを、蒸留水を添加して水分蒸発を補充しながら、室温で15日間インキュベートした。次いで、ホモジネートの異なるアリコートを蒸留水で1:1、1:10、及び1:100希釈し、濃度レベルごとに10植物を含む3個の反復試料でペトリ皿の濾紙を湿らせるのに使用した。シロイヌナズナの実生を調製し、実験を実験1のように行った。
【0141】
結果
アルスロスピラ・プラテンシス細胞へのシロイヌナズナDNAの組み込みの間接的な目安となる、シロイヌナズナDNAとのインキュベーション後のアルスロスピラ・プラテンシス培養物の色の変化を観察した。実際に、この観察された色の変化は、おそらくシロイヌナズナDNAの組み込みによるアルスロスピラ・プラテンシスゲノムの変化の結果ではない遺伝子発現の変化を示す。
【0142】
阻害試験の結果は、同種実生生存率に対する異種及び自己DNAの混合物による阻害効果を、シロイヌナズナのゲノムのシアノバクテリア天然ライブラリーを試験することによって実証した。高濃度では、実生生存率は、アラビドプシスDNAがない微細藻類溶液を用いた対照(すなわち、異種DNAを含有するが、該植物DNAを含有しない)と比べて、アラビドプシスDNAを吸収したアルスロスピラ・プラテンシスの天然のライブラリーへの曝露下で有意により低かった(表8)。
【0143】
シロイヌナズナDNAの一部のみが、アルスロスピラ・プラテンシスゲノムに組み込まれ(故にアルスロスピラ・プラテンシス細胞によって複製され)る可能性が最も高いが、シロイヌナズナ実生の阻害がかなりある。カエノラブディティス・エレガンスのゲノムの一部による阻害に関する試験の結果を考えると(実験3参照のこと)、阻害性形質転換アルスロスピラ・プラテンシス培養物を、類似の形質転換手順で得られるさらなる培養物と組み合わせることにより、阻害効果は増加し得ることが予想され得る。
【表8】
【0144】
(実施例8)
宿主種の天然のゲノムに組み込まれた自己DNAの阻害をさらに確認するために、確認実験を行った。この確認実験では、シアノバクテリア(光合成微細藻類)の2つの異なる種をバイオリアクターで増殖させ、断片化アラビドプシスDNAを増殖培地に添加し、シアノバクテリアからの破壊バイオマスの阻害を試験した。
【0145】
選択したシアノバクテリアは、アルスロスピラ・プラテンシス(実施例7と同様)及びシネコシスティス種PCC6803であった。インキュベーション前に、全ての培養物を表1に示した培養条件でインキュベーションの少なくとも4時間前からガス注入せずに維持する。
【表9】
【0146】
採取した細胞から単離したDNAを超音波処理バーストによってランダム断片化する。試料は、マイクロチップが水槽で1.5mlマイクロチューブに冷水で浸漬されているVC 505 SONICS Ultrasonicプロセッサにおいて、振幅20%で45sec/15secオン/オフサイクルにより30分間超音波処理しておいた。
【0147】
シロイヌナズナDNAとのアルスロスピラ・プラテンシスのインキュベーション
シアノバクテリアの細胞内及び細胞外DNAse活性を減少させ、外来DNAの残留及び組み込みを促進するために、アルスロスピラ・プラテンシスをインキュベーション前にMg++欠乏増殖培地で培養した(Caoら、1999)。インキュベーション中、濃縮アルスロスピラ・プラテンシス細胞(穏やかな遠心分離によって得られた最大5×107細胞)300ulを、Dunahayら(1997)に記載されているようにガラスビーズ(直径500μm)300mgを含有する15ml遠心チューブに添加した。次いで、超音波処理バースト(約10ug)によって予め断片化したシロイヌナズナDNA 100ul、及びMg++欠乏増殖培地100ulをインキュベーションチューブに添加し、ボルテックスミキサーを使用して15秒間、トップスピードでチューブを撹拌した。
【0148】
同じチューブでZarroukのMg++欠乏培地を用いて試料容量を2.5mlに増やし、LD発光周期下、オシレーターで24時間インキュベートする。次いで、完全Zarrouk培地を用いて容量を徐々に増やす。
【0149】
シロイヌナズナDNAとのシネコシスティス種PCC6803のインキュベーション
Zangら(2007)によって記載されているように、Ca++依存性DNAse活性を減少させるために、細胞は、EDTA(2mM)で改変したBG11培地でインキュベーション前に2日間培養しておいた。
【0150】
インキュベーション中、濃縮シネコシスティス種PCC6803細胞(穏やかな遠心分離によって得られ、BG11 EDTAフリー培地で洗浄した最大5×107細胞)400μlを、超音波処理バースト(約10μg)によって予め断片化したシロイヌナズナDNA 100μlを含有する15ml遠心チューブに添加する。次いでチューブをLD発光周期下、オシレーターで5時間インキュベートし、次いでフラスコに移し、BG11培地を用いて2.5mlに希釈し、次いで容量を徐々に増やす。
【0151】
実験
上記のプロトコルに従ってアラビドプシスDNAに曝露した微細藻類を、2つの5リットルバイオリアクターで接種材料として使用し、最大細胞密度の到達まで標準的な増殖条件で増殖させた。次いで、該2つの種の藻類バイオマスを培地から抽出してペレットを形成し、慎重に洗浄し、次いで乾燥させた。
【0152】
藻類ペレットに森林土壌1gを接種し、室温で維持し、毎週湿らせて最大60日間天然の分解を保った。腐敗材料を15日ごとにサンプリングし、実験室最適条件でのペトリ皿の濾紙に添加して、プレート上のアラビドプシス植物の発芽及び根の成長を評価した。
【0153】
結果
未分解ペレットは、アラビドプシスの種子の発芽及び根の伸長に対する有意な阻害効果がなかったが、分解の30日及び60日後、両方の種由来の分解ペレットによる処理では発芽の有意な阻害が観察された。分解の90日後、分解ペレットの阻害効果はわずかな減少を示した。これは、シアノバクテリアのペレットの分解が、植物の発芽に対して明らかな阻害効果があることを示している。その理由は、藻類ゲノムに含まれた該植物のDNAが分解プロセスによって放出され、最終的には分解土壌微生物によってさらに増幅されるためである。
【表10】
【0154】
生物情報学的解析
上述の種子発芽実験で天然のライブラリーとして使用した2種類のシアノバクテリアのゲノムをシーケンスし、解析した。BBmapのBBmerge機能(Bushnell(2016))を使用し、kmerオプションを適用して偽陽性を低減し(extend2=20、iteration=5)、メタゲノミクス実験からのペアエンドリードを統合する。
【0155】
次いで、統合リードを、BLASTn(Camachoら(2009))を使用して、宿主ゲノムに対して整列させる。リスト作成者が一致を有する全リードとしてリストした、少なくとも1つのヒットを有する全てのリードを、そのカバレッジに従ってグループに分けてリストする。可能性のある組換え断片は、20~80又は90%カバレッジに一致するものである。90%同一性でのフィルタリングも検討する。生物情報学的手順に関する詳細は、Bushnell(2016)及びCamachoら(2009)に見出すことができる。
【0156】
【表11】
表11は、シアノバクテリアの試料由来のDNAに見出された配列数を示し、一致したシロイヌナズナゲノムは、試料間だけでなく、植物及びシアノバクテリアのゲノムによるパーセントカバレッジに従って定義した異なるマッチングクラス間でも大きく異なったことを示している。
【0157】
クラス1及び2は、おそらくシーケンシング及びバイオインフォマティクス方法に固有の不確実性と関連する、極めて低い数を示した。クラス3は、おそらく2種類のシアノバクテリア間のゲノムサイズ、染色体コピー数、及び参照ゲノムデータベースでのblastのデータ有用性の差に関連する、最も高い試料間の差を示した。クラス4データは、両方の試料タイプにおいて植物及びシアノバクテリアゲノムの両方に部分的に一致する可能性のあるキメラ配列の発生を示している。クラス5は、両方の試料タイプが、キメラ配列からの遊離シロイヌナズナDNAを含まなかったことを示すヌル値を示した。
【0158】
注目すべきことに、アルスロスピラ・プラテンシス試料と比べて、シロイヌナズナ実生に対するより大きな阻害効果を示したシネコシスティス種PCC 6803試料は、全てのクラスをプールした配列数を検討、又は意味のあるクラスごとに別個に配列数を検討した場合のいずれも、シロイヌナズナゲノムと一致するDNA配列の数がより多かったことも示した。これは、阻害効果が自己DNA断片に関連していること、及び自己DNA断片のこれらの阻害効果は、宿主種DNAと関連する場合維持されることを確認するものである。この実験に基づき、宿主種の細胞が、系統的に遠い標的種の阻害性自己DNAをその天然のゲノムにおいて効果的に複製できることをさらに確認する。
【0159】
(実験9)
土壌マイクロバイオームによる分解及び吸収を受けた断片化自己DNAによる雑草スベリヒユ(Portulaca oleracea)の阻害を試験して、さらなる確認実験を行った。試験は、スベリヒユ外部寄生が繰り返し問題となる農場においてホウレンソウ栽培の試験プロットで行った。
【0160】
スベリヒユのBACライブラリーは、実験2で論じたショクヨウガヤツリライブラリーに使用したものと類似した方法論で、Bio S&T(モントリオール、カナダ)によって最初に生成された。該ライブラリー(培養培地としてTerrific Broth(TB)、250rpm撹拌、T=37℃)の一晩培養物を、40リットルの有効容量で60Lのバイオリアクター発酵用スターター培養物として使用した(バイオリアクターの有効容量の1%)。
大規模液体発酵用の基質として栄養ブロス(NB)を使用した。
さらに、0.1%L-アラビノースを培養培地の全容量に添加してpSmart-Hindlllプラスミドを誘導した。高細胞密度の発酵ブロスを得るために、温度、撹拌、通気、pHの管理条件下で液体発酵を2日間実施し、プラスミドDNAの産生を刺激した。到達した濃度は、OD600によって推定した通り、約5.6×108細胞/mlであった。
【0161】
コンポストの接種及び熟成
以前に記載されているように、得られた発酵ブロスを約15分間煮沸に供し、その後3つの異なる濃度で泥炭に添加した:
1.30mL/kg(1)
2.3mL/kg(希釈1:10)
3.0.3mL/kg(希釈1:100)
【0162】
接種された土壌を空気中で約20日熟成させた。故に得られた製品を野外実験で使用した。
【0163】
野外実験
野外試験は、スベリヒユ外部寄生が繰り返し問題となっているSalerno(イタリア)地方の農場で行った。
【0164】
ホウレンソウの種まき(7月中旬)の2日前、製品を以下のスキームに従って分配した:
野外実験(ブロック面積約2×2.4m)
【表12】
【0165】
製品の有効性を実験で評価するために、実験試験用に調製した製品の隣のトンネルで、従来の農耕法及び、さらなる規制をもたらす現行法により承認された除草剤の使用により、スベリヒユ雑草に対する戦いを実施した。
【0166】
特に、農家によって採用されている闘いの通常の慣行では、雑草、雑草種子、真菌、線虫、及び土壌昆虫を抑制するための植え付け前の広域スペクトル土壌燻蒸剤として主に使用される農業用汎用駆除剤であるメタムナトリウムの使用が提供される。メタムナトリウムによる処理は高額であり、根圏の生物多様性の喪失をもたらし土壌に有害である。
【0167】
ホウレンソウの発芽時(種まきの約10日後)に最初の調査を実施し、これ以降は栽培ホウレンソウの生活環の最後まで週1回の頻度で他の評価を行った。スベリヒユ発芽率に対する製品の阻害効果を確かめるために、野外評価中スベリヒユ植物を根こそぎにし、カウントし、壊死の存在について根をチェックした。
【0168】
結果
図5に示すように、調査の終わりに決定したブロック処理1でのスベリヒユ植物の数の有意な低下があった。さらに、予想した通り、スベリヒユ植物が少ないブロックでは発芽ホウレンソウの数が有意に高かった。
【0169】
この実験は、阻害効果が自己DNA断片と関連していること、及び自己DNA断片が宿主種で増幅され、宿主種DNAに付随している場合、自己DNA断片のこれらの阻害効果が維持されることをさらに確認している。使用した実験プロトコルに照らして、及び上記の実験結果を考慮すると、泥炭マイクロバイオームによるスベリヒユDNA断片の増幅は阻害効果に起因していたに違いないと予想するのが妥当である。
【0170】
(実験10)
系統的に類似の種由来のDNA断片の阻害
系統的に類似の種由来のDNA断片の阻害を、W02014/020624による断片化DNA(宿主種DNA配列に付随していない)を用いて試験した。他の実験からの結果に照らして、阻害効果がW02014/020624によるDNA断片について観察される場合、本発明による組成物中の、断片化された場合のDNAについても効果が観察されることが予想され得る。
【0171】
植物材料由来のDNAの抽出及び定量化
DNeasy Plant Maxi Kitを使用して製造者(QIAGEN、バレンシア、CA)による説明の通りに植物の葉材料からDNAを抽出して、処理溶液をFultonら(1995)(添付書類E)によるプロトコルを使用して調製した。100グラムの新鮮重の出発材料を採取し、-20℃で凍結した。次いで、試料を200ml新鮮マイクロプレップ緩衝液で浸漬撹拌し、次いで寒冷紗で濾過した。DNAを純粋滅菌水に再懸濁した。葉から抽出したDNAを200~500bpの標的サイズ範囲に超音波処理によって断片化した。これは、Bandelin Sonopulse(Bandelin、ベルリン、DE)によって12分間、0.9秒パルス、90%出力で行った。超音波処理したバンドサイズの検証を、Sybr(登録商標)Safe(Invitrogen)による3%MetaPhor(商標)アガロースゲル(Lonza scientific、NJ)で視覚的に検証して行った。
【0172】
標的植物での精製DNAによるバイオアッセイ
植物の葉から抽出した精製DNAの自己中毒及び植物毒性効果を8つの標的種で評価した(表12)。実験デザインは以下であった:1.滅菌蒸留水を用いた対照;2.抽出し、ランダムに断片化した全自己DNAの添加;3.単一の異種から抽出し、ランダムに断片化した全DNAの添加(表1);DNAを200μg ml
-1で適用した。試験溶液4mlで浸した9cmペトリ皿の滅菌濾紙上に置いた標的種(4個の反復試料)ごとに表面滅菌種子(各プレート中、n=20)を使用して、インビトロでバイオアッセイを行った。標的種に応じて実験開始以降の可変日数後に実生の根の長さを測定した(表12)。ペトリ皿を完全なランダムデザインによりグロースチャンバーに並べた(温度22±2℃、蒸留水で2日ごとに散水)。
【表13-1】
【表13-2】
【0173】
バイオアッセイごとに、標的種とDNA抽出の供給源として使用した植物種を区別する系統的距離を以下の方法で評価した:
-距離ゼロで同種
-距離=1で同じ科に属する種
-距離=2で同じ目内の異なる科に属する種
-距離=2+Nで異なる目からの種。Nは、被子植物(すなわち顕花植物)の分類学上の目の系統発生を報告する参照系統樹(APG 2009、
図6)において植物目を区別するツリーノードの数に等しい。
バイオアッセイで使用した全ての植物の種、科及び目、並びに標的植物及びDNA供給源植物の全てのペアについて得られた系統的距離を表12に報告する。
【0174】
バイオアッセイ結果(すなわち、標的種の根の成長)を、蒸留水で処理した対照のパーセンテージとして表し、標的種からDNA供給源を区別する系統的距離の関数としてプロットした。
【0175】
結果
バイオアッセイ結果は、標的種の根の成長に対する自身のDNAによる明らかな阻害効果を示している(
図7)。標的種と系統的に類似した(同じ分類学上の目内の)種由来のDNAについて試験した場合、同様にかなりの阻害効果が観察されたが、標的種自体由来のDNAの効果より低かった。標的種から遠い種由来の異種DNAによる効果は有意でなかった。
(参考文献)
【国際調査報告】