(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-08
(54)【発明の名称】新規ホスホルアミダイト
(51)【国際特許分類】
C07H 19/067 20060101AFI20220401BHJP
C07H 19/167 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
C07H19/067 CSP
C07H19/167 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021548670
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(85)【翻訳文提出日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 EP2020054410
(87)【国際公開番号】W WO2020169696
(87)【国際公開日】2020-08-27
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515129320
【氏名又は名称】ロシュ イノベーション センター コペンハーゲン エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ブライヒャー コンラッド
(72)【発明者】
【氏名】バスティアン ジェシカ マリーヌ オロール
【テーマコード(参考)】
4C057
【Fターム(参考)】
4C057AA17
4C057BB02
4C057CC03
4C057DD03
4C057LL10
4C057LL11
4C057LL17
4C057LL18
4C057LL29
4C057LL30
4C057LL36
4C057LL39
4C057LL41
(57)【要約】
本発明は、式(II)の化合物であって、式中、X、Y、R
5、R
x、R
y、及びNuは、明細書及び特許請求の範囲で定義されているとおりである、化合物に関する。式(II)の化合物は、医薬の製造に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I-a)の化合物、又はその薬学的に許容される塩(alt):
式中、
R
2は、アルコキシ、アルコキシアルコキシ、又はアミノであり;かつ
R
4は水素であるか;又は
R
4及びR
2は一緒にX-Yを形成し;
Xは、酸素、硫黄、-CR
aR
b-、-C(R
a)=C(R
b)-、-C(=CR
aR
b)-、-C(R
a)=N-、-Si(R
a)
2-、-SO
2-、-NR
a-;-O-NR
a-、-NR
a-O-、-C(=J)-、Se、-O-NR
a-、-NR
a-CR
aR
b-、-N(R
a)-O-、又は-O-CR
aR
b-であり;
Yは、酸素、硫黄、-(CR
aR
b)
n-、-CR
aR
b-O-CR
aR
b-、-C(R
a)=C(R
b)-、-C(R
a)=N-、-Si(R
a)
2-、-SO
2-、-NR
a-、-C(=J)-、Se、-O-NR
a-、-NR
a-CR
aR
b-、-N(R
a)-O-、又は-O-CR
aR
b-であり;
ただし、-X-Y-は、-O-O-、Si(R
a)
2-Si(R
a)
2-、-SO
2-SO
2-、-C(R
a)=C(R
b)-C(R
a)=C(R
b)、-C(R
a)=N-C(R
a)=N-、-C(R
a)=N-C(R
a)=C(R
b)、-C(R
a)=C(R
b)-C(R
a)=N-、又は-Se-Se-ではないことを条件とし;
Jは、酸素、硫黄、=CH
2又は=N(R
a)であり;
R
a及びR
bは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、チオヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、ヘテロシクリル、アミノ、アルキルアミノ、カルバモイル、アルキルアミノカルボニル、アミノアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、カルバミド、アルカノイルオキシ、スルホニル、アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、チオヒドロキシルスルフィドアルキルスルファニル、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、-OC(=X
a)R
c、-OC(=X
a)NR
cR
d、及び-NR
eC(=X
a)NR
cR
dから独立して選択され;
又は、2つのジェミナルなR
a及びR
bが一緒になって、置換されていてもよいメチレンを形成するか;
又は、2つのジェミナルなR
a及びR
bが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、-X-Y-の炭素原子を1つだけ有するシクロアルキル又はハロシクロアルキルを形成し;
ここで、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アルコキシ、及び置換メチレンは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、ヘテロシクリル(heterocylyl)、アリール、及びヘテロアリールから独立して選択される1から3個の置換基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、及びメチレンであり;
X
aは、酸素、硫黄、又は-NR
cであり;
R
c、R
d及びR
eは、水素及びアルキルから独立して選択され;
R
5はヒドロキシル保護基であり;
R
xはシアノアルキル又はアルキルであり;
R
yはジアルキルアミノ又はピロリジニルであり;
Nuは、核酸塩基又は保護された核酸塩基であり;かつ
nは、1、2、又は3である。
【請求項2】
式(II)の、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩(alt):
式中、
Xは、酸素、硫黄、-CR
aR
b-、-C(R
a)=C(R
b)-、-C(=CR
aR
b)-、-C(R
a)=N-、-Si(R
a)
2-、-SO
2-、-NR
a-;-O-NR
a-、-NR
a-O-、-C(=J)-、Se、-O-NR
a-、-NR
a-CR
aR
b-、-N(R
a)-O-、又は-O-CR
aR
b-であり;
Yは、酸素、硫黄、-(CR
aR
b)
n-、-CR
aR
b-O-CR
aR
b-、-C(R
a)=C(R
b)-、-C(R
a)=N-、-Si(R
a)
2-、-SO
2-、-NR
a-、-C(=J)-、Se、-O-NR
a-、-NR
a-CR
aR
b-、-N(R
a)-O-、又は-O-CR
aR
b-であり;
ただし、-X-Y-は、-O-O-、Si(R
a)
2-Si(R
a)
2-、-SO
2-SO
2-、-C(R
a)=C(R
b)-C(R
a)=C(R
b)、-C(R
a)=N-C(R
a)=N-、-C(R
a)=N-C(R
a)=C(R
b)、-C(R
a)=C(R
b)-C(R
a)=N-、又は-Se-Se-ではないことを条件とし;
Jは、酸素、硫黄、=CH
2又は=N(R
a)であり;
R
a及びR
bは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、チオヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、ヘテロシクリル、アミノ、アルキルアミノ、カルバモイル、アルキルアミノカルボニル、アミノアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、カルバミド、アルカノイルオキシ、スルホニル、アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、チオヒドロキシルスルフィドアルキルスルファニル、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、-OC(=X
a)R
c、-OC(=X
a)NR
cR
d、及び-NR
eC(=X
a)NR
cR
dから独立して選択され;
又は、2つのジェミナルなR
a及びR
bが一緒になって、置換されていてもよいメチレンを形成するか;
又は、2つのジェミナルなR
a及びR
bが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、-X-Y-の炭素原子を1つだけ有するシクロアルキル又はハロシクロアルキルを形成し;
ここで、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アルコキシ、及び置換メチレンは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、ヘテロシクリル(heterocylyl)、アリール、及びヘテロアリールから独立して選択される1から3個の置換基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、及びメチレンであり;
X
aは、酸素、硫黄、又は-NR
cであり;
R
c、R
d及びR
eは、水素及びアルキルから独立して選択され;
R
5はヒドロキシル保護基であり;
R
xはシアノアルキル又はアルキルであり;
R
yはジアルキルアミノ又はピロリジニルであり;
Nuは、核酸塩基又は保護された核酸塩基であり;かつ
nは、1、2、又は3である。
【請求項3】
式(VI)の、請求項1に記載の化合物:
式中、R
2、R
5、R
x、R
y、及びNuは、請求項1に記載のとおりである。
【請求項4】
-X-Y-が、-CH
2-O-、-CH(CH
3)-O-、又は-CH
2CH
2-O-である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
式(III)、(IV)、又は(VII)の、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物:
式中、R
5、R
x、R
y、及びNuは、請求項1に記載のとおりである。
【請求項6】
R
xが2-シアノ-1,1-ジメチル-エチルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R
yがジイソプロピルアミノ又はピロリジニルである、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R
yがジアルキルアミノである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R
yがジイソプロピルアミノである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
式(V)又は(VIII)の、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物:
式中、R
5及びNuは、請求項1に記載のとおりである。
【請求項11】
Nuが、チミン、保護されたチミン、アデノシン、保護されたアデノシン、シトシン、保護されたシトシン、5-メチルシトシン、保護された5-メチルシトシン、グアニン、保護されたグアニン、ウラシル、又は保護されたウラシルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
以下:
から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の式(I-a)の化合物の製造方法であって、式(E):
の化合物と、式P(R
y)
2(CH
2)COO(R
x)の化合物との、カップリング剤の存在下での反応を含み、
式中、X、Y、R
5、Nu、R
x、及びR
yは、請求項1~12のいずれか一項に記載されるとおりである、
製造方法。
【請求項14】
式(C)又は(D):
の化合物と、式P(R
y)
2(CH
2)COO(R
x)の化合物との、カップリング剤の存在下での反応を含み、
式中、X、Y、R
5、Nu、R
x、及びR
yは、請求項1~12のいずれか一項に記載されるとおりである、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
カップリング剤が、1H-テトラゾール、5-エチルチオ-1H-テトラゾール、2-ベンジルチオテトラゾール、又は4,5-ジシアノイミダゾール(DCI)である、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
オリゴヌクレオチドの製造における、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項17】
本明細書に記述したとおりの発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、一本鎖アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドであって、式(I):
[式中、(A
1)及び(A
2)の一方は糖修飾ヌクレオシドであり、他方は、糖修飾ヌクレオシド又はDNAヌクレオシドであり、Aは、酸素又は硫黄である]
の少なくとも1つのジヌクレオシドを含む、一本鎖アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチド、又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0002】
本発明はまた、特に、本発明によるアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドの調製に有用な新規ホスホルアミダイトにも関する。
【背景技術】
【0003】
治療剤としての合成オリゴヌクレオチドは、近年目覚ましい進歩を遂げ、RNase H活性化ギャップマー、スプライススイッチングオリゴヌクレオチド、マイクロRNA阻害剤、siRNA、又はアプタマーを含む多様な機構によって作用する、臨床的に検証された分子の幅広いポートフォリオをもたらしている(S. T. Crooke, Antisense drug technology: principles, strategies, and applications, 2nd ed. ed., Boca Raton, FL: CRC Press, 2008(非特許文献1))。天然のオリゴヌクレオチドは、生物学的システムにおける核酸分解に対して本質的に不安定である。さらには、それらは非常に好ましくない薬物動態学的挙動を示す。これらの欠点を改善するために、過去数十年間にわたり多種多様な化学修飾が調査されてきた。ほぼ間違いなく、最も成功した修飾の1つは、非架橋のリン酸酸素原子の1つが硫黄原子に置き換えられた、ホスホロチオエート結合の導入である(F. Eckstein, Antisense and Nucleic Acid Drug Development 2009, 10, 117-121(非特許文献2))。このようなホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドは、タンパク質結合の増加、並びに核酸分解に対する明らかに高い安定性を示し、したがって、血漿、組織、及び細胞において、それらの未修飾ホスホジエステルアナログよりも実質的に高い半減期を示す。これらの重要な特徴は、第1世代のオリゴヌクレオチド治療薬の開発を可能にするとともに、ロック核酸(LNA)などの後の世代の修飾によるさらなる改善への道を開いた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】S. T. Crooke, Antisense drug technology: principles, strategies, and applications, 2nd ed. ed., Boca Raton, FL: CRC Press, 2008
【非特許文献2】F. Eckstein, Antisense and Nucleic Acid Drug Development 2009, 10, 117-121
【発明の概要】
【0005】
驚くべきことに、本発明による一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは良好な耐容性を示すことが見出された。それらは、少なくとも、in vitroにおいてホスホロチオエートヌクレオシド間結合のみを含む参照オリゴヌクレオチドと同じくらい効力があり、in vivoでは、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合のみを含む参照オリゴヌクレオチドよりも効力があった。驚くべきことに、本発明による一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、特に、心臓細胞株(in vitro)において、及び心臓組織(hear tiussue)(in vivo)において効力があった。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】ヒトHeLa細胞株におけるMALAT1 mRNAを標的とする本発明によるオリゴヌクレオチドの用量反応曲線を示す。
【
図2】ヒトA549細胞株におけるMALAT1 mRNAを標的とする本発明によるオリゴヌクレオチドの用量反応曲線を示す。
【
図3】ヒトHeLa細胞株におけるHIF1A mRNAを標的とする本発明によるオリゴヌクレオチドの用量反応曲線を示す。
【
図4】ヒトA549細胞株におけるHIF1A mRNAを標的とする本発明によるオリゴヌクレオチドの用量反応曲線を示す。
【
図5】マウス初代肝細胞におけるApoB mRNAを標的とする本発明によるオリゴヌクレオチドの用量反応曲線を示す。
【
図6】本発明によるオリゴヌクレオチドで処置された動物の心臓におけるMalat1 mRNAレベルの量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において、用語「アルキル」は、単独で又は組み合わせて、1から8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、特に1から6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、より具体的には1から4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を意味する。直鎖及び分岐鎖C1-C8アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、異性体ペンチル、異性体ヘキシル、異性体ヘプチル、及び異性体オクチル、特に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、及びペンチルである。アルキルの特定の例は、メチル、エチル、及びプロピルである。
【0008】
用語「シクロアルキル」は、単独で又は組み合わせて、3から8個の炭素原子を有するシクロアルキル環、特に3から6個の炭素原子を有するシクロアルキル環を意味する。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル、より具体的には、シクロプロピル及びシクロブチルである。「シクロアルキル」の特定の例は、シクロプロピルである。
【0009】
用語「アルコキシ」は、単独で又は組み合わせて、式アルキル-O-の基(ここで、用語「アルキル」は、以前に与えられた意味を有する)、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、及びtert-ブトキシを意味する。特定の「アルコキシ」は、メトキシ及びエトキシである。メトキシエトキシは、「アルコキシアルコキシ」の特定の例である。
【0010】
用語「オキシ」は、単独で又は組み合わせて、-O-基を意味する。
【0011】
用語「アルケニル」は、単独で又は組み合わせて、オレフィン結合と、最大8個、好ましくは最大6個、特に好ましくは最大4個の炭素原子とを含む、直鎖又は分岐鎖炭化水素残基を意味する。アルケニル基の例は、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、及びイソブテニルである。
【0012】
用語「アルキニル」は、単独で又は組み合わせて、三重結合と、最大8個、特に、2個の炭素原子とを含む、直鎖又は分岐鎖炭化水素残基を意味する。
【0013】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、単独で又は組み合わせて、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を意味し、特に、フッ素、塩素、又は臭素、より具体的にはフッ素を意味する。用語「ハロ」は、別の基と組み合わせて、少なくとも1つのハロゲン、特に、1つから5つのハロゲンで置換された、特に、1つから4つのハロゲン、すなわち、1つ、2つ、3つ、又は4つのハロゲン置換された前記基の置換を意味する。
【0014】
用語「ハロアルキル」は、単独で又は組み合わせて、少なくとも1つのハロゲンで置換された、特に1つから5つのハロゲン、特に1つから3つのハロゲンで置換されたアルキル基を意味する。ハロアルキルの例には、モノフルオロ-、ジフルオロ-、又はトリフルオロ-メチル、-エチル、又は-プロピル、例えば、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、フルオロメチル、又はトリフルオロメチルが含まれる。フルオロメチル、ジフルオロメチル、及びトリフルオロメチルは、特定の「ハロアルキル」である。
【0015】
用語「ハロシクロアルキル」は、単独で又は組み合わせて、少なくとも1つのハロゲンで置換された、特に1つから5つのハロゲン、特に1つから3つのハロゲンで置換された上記定義されたシクロアルキル基を意味する。用語「ハロシクロアルキル」の特定の例は、ハロシクロプロピル、特に、フルオロシクロプロピル、ジフルオロシクロプロピル、及びトリフルオロシクロプロピルである。
【0016】
用語「ヒドロキシル」及び「ヒドロキシ」は、単独で又は組み合わせて、-OH基を意味する。
【0017】
用語「チオヒドロキシル」及び「チオヒドロキシ」は、単独で又は組み合わせて、-SH基を意味する。
【0018】
用語「カルボニル」は、単独で又は組み合わせて、-C(O)-基を意味する。
【0019】
用語「カルボキシ」又は「カルボキシル」は、単独で又は組み合わせて、-COOH基を意味する。
【0020】
用語「アミノ」は、単独で又は組み合わせて、第一級アミノ基(-NH2)、第二級アミノ基(-NH-)、又は第三級アミノ基(-N-)を意味する。
【0021】
用語「アルキルアミノ」は、単独で又は組み合わせて、1つ又は2つの上記定義されたアルキル基で置換された、上記定義されたアミノ基を意味する。
【0022】
用語「スルホニル」は、単独で又は組み合わせて、-SO2基を意味する。
【0023】
用語「スルフィニル」は、単独で又は組み合わせて、-SO-基を意味する。
【0024】
用語「スルファニル」は、単独で又は組み合わせて、-S-基を意味する。
【0025】
用語「シアノ」は、単独で又は組み合わせて、-CN基を意味する。
【0026】
用語「アジド」は、単独で又は組み合わせて、-N3基を意味する。
【0027】
用語「ニトロ」は、単独で又は組み合わせて、NO2基を意味する。
【0028】
用語「ホルミル」は、単独で又は組み合わせて、-C(O)H基を意味する。
【0029】
用語「カルバモイル」は、単独で又は組み合わせて、-C(O)NH2基を意味する。
【0030】
用語「カバミド」は、単独で又は組み合わせて、-NH-C(O)-NH2基を意味する。
【0031】
用語「アリール」は、単独で又は組み合わせて、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、及びホルミルから独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよい、6から10個の炭素環原子を含む、一価芳香族炭素環式単環又は二環式環系を示す。アリールの例には、フェニル及びナフチル、特にフェニルが含まれる。
【0032】
用語「ヘテロアリール」は、単独で又は組み合わせて、N、O、及びSから選択された1つ、2つ、3つ、又は4つのヘテロ原子を含み、残りの環原子が、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、及びホルミルから独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよい、炭素である、5から12個の環原子の一価芳香族複素環式単環又は二環式環系を示す。ヘテロアリールの例には、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、アゼピニル、ジアゼピニル、イソオキサゾリル、ベンゾフラニル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、イソベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、又はアクリジニルが含まれる。
【0033】
用語「ヘテロシクリル」は、単独で又は組み合わせて、N、O、及びSから選択される1、2、3又は4個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、及びホルミルから独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよい、炭素である4から12個、特に4から9個の環原子の一価飽和又は部分不飽和単環又は二環式環系を意味する。単環式飽和ヘテロシクリルの例は、アゼチジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロ-チエニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキソ-チオモルホリン-4-イル、アゼパニル、ジアゼパニル、ホモピペラジニル、又はオキサゼパニルである。二環式飽和ヘテロシクロアルキルの例は、8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、キヌクリジニル、8-オキサ-3-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノニル、3-オキサ-9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノニル、又は3-チア-9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノニルである。部分不飽和ヘテロシクロアルキルの例は、ジヒドロフリル、イミダゾリニル、ジヒドロ-オキサゾリル、テトラヒドロ-ピリジニル、又はジヒドロピラニルである。
【0034】
用語「薬学的に許容される塩」は、生物学的に又はそれ以外の点で望ましくないものではない、遊離塩基又は遊離酸の生物学的な有効性及び特性を保持する塩を指す。塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、特に塩酸、並びに、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステインなどの有機酸と共に形成される。加えて、これらの塩は、無機塩基又は有機塩基を遊離酸に加えることによって調製することができる。無機塩基から誘導される塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウムの塩が含まれるがこれらに限定されない。有機塩基から誘導される塩には、第一級、第二級、及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環式アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂の塩が含まれるが、これらに限定されない。本発明のオリゴヌクレオチドは、双性イオンの形態で存在することもありうる。特に、本発明の特に好ましい薬学的に許容される塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、及びトリアルキルアンモニウムの塩である。
【0035】
用語「保護基」は、単独で又は組み合わせて、化学反応が別の保護されていない反応性部位で選択的に行われうるように、多官能性化合物の反応性部位を選択的に遮断する基を意味する。保護基は、除去することができる。例示的な保護基は、アミノ保護基、カルボキシ保護基、又はヒドロキシ保護基である。
【0036】
「リン酸保護基」は、リン酸基の保護基である。リン酸保護基の例は、2-シアノエチル及びメチルである。リン酸保護基の特定の例は、2-シアノエチルである。
【0037】
「ヒドロキシル保護基」は、ヒドロキシル基の保護基であり、チオール基を保護するためにも用いられる。ヒドロキシル保護基の例は、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、ベンジル(Bn)、β-メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)、ジメトキシトリチル(又はビス-(4-メトキシフェニル)フェニルメチル)(DMT)、トリメトキシトリチル(又はトリス-(4-メトキシフェニル)フェニルメチル)(TMT)、メトキシメチルエーテル(MOM)、メトキシトリチル[(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル(MMT)、p-メトキシベンジルエーテル(PMB)、メチルチオメチルエーテル、ピバロイル(Piv)、テトラヒドロピラニル(THP)、テトラヒドロフラン(THF)、トリチル又はトリフェニルメチル(Tr)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル(TOM)及びトリイソプロピルシリル(TIPS)エーテル)、メチルエーテル、及びエトキシエチルエーテル(EE)である。ヒドロキシル保護基の特定の例は、DMT及びTMT、特にDMTである。
【0038】
「チオヒドロキシル保護基」は、チオヒドロキシル基の保護基である。チオヒドロキシル保護基の例は、「ヒドロキシル保護基」のものである。
【0039】
本発明の出発物質又は化合物のうちの1つが、1つ以上の反応ステップの反応条件下で安定でないか又は反応性である1つ以上の官能基を含む場合、適切な保護基(例えば、“Protective Groups in Organic Chemistry” by T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd Ed., 1999, Wiley, New Yorkに記載されているもの)を、当該技術分野でよく知られている重要なステップ適用方法の前に導入することができる。このような保護基は、文献に記載されている標準的な方法を用いて、合成の後の段階において除去することができる。保護基の例は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、2-トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、カルボベンジルオキシ(Cbz)、及びp-メトキシベンジルオキシカルボニル(Moz)である。
【0040】
本明細書に記載される化合物は、数個の不斉中心を含むことができ、光学的に純粋なエナンチオマー、例えばラセミ体などのエナンチオマーの混合物、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体のラセミ体、又はジアステレオ異性体ラセミ体の混合物の形態で存在することができる。
【0041】
オリゴヌクレオチド
本明細書で用いられる「オリゴヌクレオチド」という用語は、2つ以上の共有結合したヌクレオシドを含む分子として当業者に一般に理解されるように定義される。このような共有結合したヌクレオシドはまた、核酸分子又はオリゴマーとも称されうる。オリゴヌクレオチドは、通常、固相化学合成と、その後の精製によって研究室内で作製される。オリゴヌクレオチドの配列に言及する場合には、共有結合したヌクレオチド又はヌクレオシドの核酸塩基部分の配列又は順序、若しくはその修飾が言及される。本発明のオリゴヌクレオチドは、人工のものであり、化学的に合成され、通常は精製又は単離される。本発明のオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾ヌクレオシド又はヌクレオチドを含みうる。
【0042】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
本明細書で用いられる「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、標的核酸、特に標的核酸上の連続配列にハイブリダイズすることによって標的遺伝子の発現を調節することができるオリゴヌクレオチドとして定義される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本質的に二本鎖ではなく、したがってsiRNA又はshRNAではない。好ましくは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは一本鎖である。本発明の単鎖オリゴヌクレオチドは、自己内又は自己間の相補性の程度がオリゴヌクレオチドの全長にわたって50%未満である限り、ヘアピン又は分子間二重構造(同じオリゴヌクレオチドの2つの分子間の二重鎖)を形成することができるものと理解される。
【0043】
連続ヌクレオチド配列
「連続ヌクレオチド配列」という用語は、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチドの領域を指す。この用語は、本明細書で「連続核酸塩基配列」という用語及び「オリゴヌクレオチドモチーフ配列」という用語と互換的に用いられる。幾つかの実施態様では、オリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオチドが連続ヌクレオチド配列を構成する。幾つかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、連続ヌクレオチド配列、例えばF-G-F’ギャップマー領域を含み、場合によっては、(一又は複数の)さらなるヌクレオチド、例えば、官能基を連続ヌクレオチド配列に結合するのに用いられうるヌクレオチドリンカー領域を含みうる。ヌクレオチドリンカー領域は、標的核酸に相補的であっても相補的でなくてもよい。
【0044】
ヌクレオチド
ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドの構成要素であり、本発明の目的では、天然に存在するヌクレオチド及び天然に存在しないヌクレオチドの両方を含む。本来、DNAヌクレオチド及びRNAヌクレオチドなどのヌクレオチドは、リボース糖部分、核酸塩基部分、及び1つ以上のリン酸基(ヌクレオシドには存在しない)を含む。ヌクレオシド及びヌクレオチドはまた、互換的に「単位」又は「モノマー」と呼ぶことができる。
【0045】
修飾ヌクレオシド
本明細書で用いられる「修飾ヌクレオシド」又は「ヌクレオシド修飾」という用語は、糖部分又は(核酸)塩基部分の1つ以上の修飾の導入によって、同等のDNA又はRNAヌクレオシドと比較して修飾されたヌクレオシドを指す。好ましい実施態様では、修飾ヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。修飾ヌクレオシドという用語はまた、本明細書では、「ヌクレオシドアナログ」又は修飾「単位」又は修飾「モノマー」という用語と互換的に使用することもできる。非修飾DNA又はRNA糖部分を有するヌクレオシドは、本明細書ではDNA又はRNAヌクレオシドと称される。DNA又はRNAヌクレオシドの塩基領域に修飾を有するヌクレオシドは、それらがワトソン・クリック塩基対合可能な場合には、依然として一般的にDNA又はRNAと称される。
【0046】
修飾ヌクレオシド間結合
「修飾ヌクレオシド間結合」という用語は、2つのヌクレオシドを共に共有結合する、ホスホジエステル(PO)結合以外の結合として当業者に一般的に理解されるように定義される。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシド間結合を含みうる。幾つかの実施態様では、修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合と比較して、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増加させる。天然に存在するオリゴヌクレオチドでは、ヌクレオシド間結合は、隣接するヌクレオシド間のホスホジエステル結合を生成するリン酸基を含む修飾ヌクレオシド間結合は、in vivoでの使用のためのオリゴヌクレオチドの安定化に特に有用であり、本発明のオリゴヌクレオチドのDNA又はRNAヌクレオシドの領域、例えばギャップマーオリゴヌクレオチドのギャップ領域内、並びに領域F及びF’などの修飾ヌクレオシドの領域における、ヌクレアーゼ切断から保護する役割を果たすことができる。
【0047】
一実施態様では、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾ヌクレオシド間結合が、例えばヌクレアーゼ攻撃に対してより耐性になるように、天然のホスホジエステルから修飾された1つ以上のヌクレオシド間結合を含む。ヌクレアーゼ耐性は、オリゴヌクレオチドを血清中でインキュベートすることによって、又はヌクレアーゼ耐性アッセイ(例えば、ヘビ毒ホスホジエステラーゼ(SVPD))を使用することによって決定することができ、これらの両方は当該技術分野でよく知られている。オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を向上させることができるヌクレオシド間結合は、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間結合と呼ばれる。幾つかの実施態様では、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列におけるヌクレオシド間結合の少なくとも50%が修飾され、例えばオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列におけるヌクレオシド間結合の少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、又は例えば少なくとも90%が、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間結合である。幾つかの実施態様では、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合のすべてが、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間結合である。幾つかの実施態様では、本発明のオリゴヌクレオチドを例えばコンジュゲートなどの非ヌクレオチド官能基に結合するヌクレオシドは、ホスホジエステルでありうることが認識されよう。
【0048】
本発明のオリゴヌクレオチドで用いるための好ましい修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートである。
【0049】
ホスホロチオエートヌクレオシド間結合は、ヌクレアーゼ耐性、有益な薬物動態、及び製造の容易さに起因して、特に有用である。幾つかの実施態様では、オリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列の少なくとも50%のヌクレオシド間結合がホスホロチオエートであり、例えばオリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列の例えば少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、又は例えば少なくとも90%のヌクレオシド間結合がホスホロチオエートである。幾つかの実施態様では、ホスホロトリチオエートヌクレオシド間結合以外に、オリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合のすべてがホスホロチオエートである。幾つかの実施態様では、本発明のオリゴヌクレオチドは、(一又は複数の)ホスホロトリチオエート結合に加えて、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合と、少なくとも1つのホスホジエステル結合、例えば、2つ、3つ、又は4つのホスホジエステル結合の両方を含む。ギャップマーオリゴヌクレオチドでは、ホスホジエステル結合は、存在する場合には、ギャップ領域G内の連続DNAヌクレオシド間に適切に位置していない。
【0050】
ホスホロチオエート結合などのヌクレアーゼ耐性結合は、標的核酸と二重鎖を形成するときにヌクレアーゼを動員することができるオリゴヌクレオチド領域、例えばギャップマーの領域Gにおいて特に有用である。しかしながら、ホスホロチオエート結合は、非ヌクレアーゼ動員領域及び/又は親和性増強領域、例えばギャップマーの領域F及びF’においても有用でありうる。ギャップマーオリゴヌクレオチドは、幾つかの実施態様では、領域F又はF’、若しくは領域F及びFの両方に1つ以上のホスホジエステル結合を含んでもよく、領域Gのヌクレオシド間結合は、完全にホスホロチオエートでありうる。
【0051】
有利には、オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列のすべてのヌクレオシド間結合、又はオリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合である。
【0052】
欧州特許第2742135号に開示されているように、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、他のヌクレオシド間結合(ホスホジエステル及びホスホロチオエート以外)、例えばアルキルホスホネート/メチルホスホネートヌクレオシド間結合を含んでもよいことが認識され、これは欧州特許第2742135号によれば、例えば、別のDNAホスホロチオエートのギャップ領域内で耐性でありうる。
【0053】
立体不規則性ホスホロチオエート結合
ホスホロチオエート結合は、非架橋酸素の1つが硫黄で置換されているヌクレオシド間リン酸結合である。非架橋酸素の1つを硫黄で置換すると、キラル中心が導入され、したがって単一のホスホロチオエートオリゴヌクレオチド内において、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合はS(Sp)又はR(Rp)ステレオアイソフォームのいずれかになる。このようなヌクレオシド間結合は、「キラルなヌクレオシド間結合」と呼ばれる。比較すると、ホスホジエステルヌクレオシド間結合は、2つの非末端酸素原子を有しているため、非キラルである。
【0054】
立体中心のキラリティーの指定は、Cahn, R.S.; Ingold, C.K.; Prelog, V. (1966) “Specification of Molecular Chirality” Angewandte Chemie International Edition 5 (4): 385-415. doi:10.1002/anie.196603851において最初に公開された、標準的なカーン・インゴルド・プレローグ順位則(CIP順位則)によって決定される。
【0055】
標準的なオリゴヌクレオチド合成中、カップリングの立体選択性と、それに続く硫化は制御されていない。このため、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合の立体化学は不規則的にSp又はRpになり、したがって従来のオリゴヌクレオチド合成によって生成されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、実際には2Xもの異なるホスホロチオエートジアステレオ異性体に存在する可能性があり、ここで、Xは、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合の数である。このようなオリゴヌクレオチドは、本明細書では立体不規則性ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドと呼ばれ、任意の立体的に規定されたヌクレオシド間結合を含まない。したがって、立体不規則性ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、立体的に規定されていない合成に由来する個々のジアステレオ異性体の混合物である。これに関連して、混合物は、最大で2Xの異なるホスホロチオエートジアステレオ異性体として定義される。
【0056】
立体的に規定されたヌクレオシド間結合
立体的に規定されたヌクレオシド間結合は、その2つのジアステレオマー形態であるRp又はSpの一方に対してジアステレオ異性体過剰を有するキラルなヌクレオシド間結合である。
【0057】
当該技術分野で用いられる立体選択的オリゴヌクレオチド合成法は、典型的には、各キラルヌクレオシド間結合において少なくとも約90%又は少なくとも約95%のジアステレオ選択性を提供し、したがってオリゴヌクレオチド分子の最大約10%、例えば約5%が代替ジアステレオ異性体の形態を有していてもよいことが認識されるべきである。
【0058】
幾つかの実施態様では、各立体的に規定されたキラルなヌクレオシド間結合のジアステレオ異性体比は、少なくとも約90:10である。幾つかの実施態様では、各キラルヌクレオシド間結合のジアステレオ異性体比は、少なくとも約95:5である。
【0059】
立体的に規定されたホスホロチオエート結合は、立体的に規定されたヌクレオシド間結合の特定の例である。
【0060】
立体的に規定されたホスホロチオエート結合
立体的に規定されたホスホロチオエート結合は、その2つのジアステレオマー形態であるRp又はSpの一方に対してジアステレオマー過剰を有するホスホロチオエート結合である。
【0061】
ホスホロチオエートヌクレオシド間結合のRp及びSp配置を以下に示す:
式中、3’R基は、隣接するヌクレオシド(5’ヌクレオシド)の3’位を表し、5’R基は、隣接するヌクレオシド(3’ヌクレオシド)の5’位を表す。
【0062】
本明細書では、Rpヌクレオシド間結合はsrPとして表される場合があり、Spヌクレオシド間結合はssPとして表される場合がある。
【0063】
特定の実施態様では、各立体的に規定されたホスホロチオエート結合のジアステレオマー比は、少なくとも約90:10、又は少なくとも95:5である。
【0064】
幾つかの実施態様では、各立体的に規定されたホスホロチオエート結合のジアステレオマー比は、少なくとも約97:3である。幾つかの実施態様では、各立体的に規定されたホスホロチオエート結合のジアステレオマー比は、少なくとも約98:2である。幾つかの実施態様では、各立体的に規定されたホスホロチオエート結合のジアステレオマー比は、少なくとも約99:1である。
【0065】
幾つかの実施態様では、立体的に規定されたヌクレオシド間結合は、オリゴヌクレオチド分子の集団に存在するオリゴヌクレオチド分子の少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%、又は(本質的に)すべてが、同じジアステレオマー形態(Rp又はSp)である。
【0066】
ジアステレオマーの純度は、アキラルな骨格(すなわち、ホスホジエステル)のみを有するモデルシステムにおいて測定することができる。各モノマーのジアステレオマー純度は、例えば、立体的に規定されたヌクレオシド間結合を有するモノマーを次のモデルシステム「5’t-po-t-po-t-po3’」にカップリングすることによって測定することができる。この結果は次のようになる:5’DMTr-t-srp-t-po-t-po-t-po3’又は5’DMTr-t-ssp-t-po-t-po-t-po3’、これは、HPLCを使用して分離することができる。ジアステレオマー純度は、2つの可能なジアステレオ異性体からのUV信号を積分し、例えば、98:2、99:1、又は>99:1のこれらの比率を得ることによって決定される。
【0067】
特定の単一のジアステレオ異性体(単一の立体的に規定されたオリゴヌクレオチド分子)のジアステレオマー純度は、各ヌクレオシド間位置での規定された立体中心に対するカップリング選択性、及び導入されるべき立体的に規定されたヌクレオシド間結合の数の関数であることが理解されよう。例として、各位置でのカップリング選択性が97%である場合、15の立体的に規定されたヌクレオシド間結合を有する立体的に規定されたオリゴヌクレオチドの結果として生じる純度は、0.9715であり、すなわち、他のジアステレオ異性体の37%と比較して、所望のジアステレオ異性体の63%である。規定されたジアステレオ異性体の純度は、合成後に、例えば、イオン交換クロマトグラフィ又は逆相クロマトグラフィなどのHPLCによる精製によって改善することができる。
【0068】
幾つかの実施態様では、立体的に規定されたオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの集団であって、当該集団の少なくとも約40%、例えば少なくとも約50%が所望のジアステレオ異性体であるものを指す。
【0069】
別の言い方をすれば、幾つかの実施態様では、立体的に規定されたオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの集団であって、当該集団の少なくとも約40%、例えば少なくとも約50%が所望の(特定の)立体的に規定されたヌクレオシド間結合モチーフ(立体的に規定されたモチーフとも称される)からなるものを指す。
【0070】
立体不規則性及び立体的に規定されたヌクレオシド間キラル中心の両方を含む立体的に規定されたオリゴヌクレオチドでは、立体的に規定されたオリゴヌクレオチドの純度は、(一又は複数の)所望の立体的に規定されたヌクレオシド間結合モチーフを保持するオリゴヌクレオチドの集団の%を参照して決定され、立体不規則性結合は計算上無視される。
【0071】
核酸塩基
核酸塩基という用語は、ヌクレオシド及びヌクレオチドに存在するプリン(例えば、アデニン及びグアニン)並びにピリミジン(例えば、ウラシル、チミン、及びシトシン)部分を含み、これらは核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成する。本発明の文脈において、核酸塩基という用語はまた、天然に存在する核酸塩基とは異なっていてもよいが、核酸ハイブリダイゼーション中に機能する修飾核酸塩基も包含する。この文脈において、「核酸塩基」とは、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン、及びヒポキサンチンなどの天然に存在する核酸塩基と、天然に存在しない変異体との両方を指す。このような変異体は、例えば、Hirao et al (2012) Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055及びBergstrom (2009) Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl. 37 1.4.1に記載されている。
【0072】
幾つかの実施態様では、核酸塩基部分は、プリン又はピリミジンを修飾プリン又はピリミジンに、例えば置換プリン又は置換ピリミジンに、例えば、イソシトシン、シュードイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チオゾロ(thiozolo)-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2’チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、及び2-クロロ-6-アミノプリンから選択される核酸塩基に変えることにより、修飾される。
【0073】
核酸塩基部分は、各々の対応する核酸塩基の文字コード、例えば、A、T、G、C、又はUで示すことができ、ここで、各文字は、場合によっては、同等の機能の修飾核酸塩基を含みうる。例えば、例示したオリゴヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分は、A、T、G、C、及び5-メチルシトシンから選択される。場合によっては、LNAギャップマーでは、5-メチルシトシンLNAヌクレオシドが用いられうる。
【0074】
修飾オリゴヌクレオチド
修飾オリゴヌクレオチドという用語は、1つ以上の糖-修飾ヌクレオシド及び/又は修飾ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを説明するものである。「キメラ」オリゴヌクレオチドという用語は、修飾ヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドを説明するために、文献で用いられている用語である。
【0075】
立体的に規定されたオリゴヌクレオチド
立体的に規定されたオリゴヌクレオチドは、ヌクレオシド間結合の少なくとも1つが立体的に規定されたヌクレオシド間結合であるオリゴヌクレオチドである。
【0076】
立体的に規定されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、ヌクレオシド間結合の少なくとも1つが立体的に規定されたホスホロチオエートヌクレオシド間結合であるオリゴヌクレオチドである。
【0077】
相補性
「相補性」という用語は、ヌクレオシド/ヌクレオチドのワトソン・クリック塩基対合能力を説明する。ワトソン・クリック塩基対は、グアニン(G)-シトシン(C)及びアデニン(A)-チミン(T)/ウラシル(U)である。オリゴヌクレオチドは修飾核酸塩基を有するヌクレオシドを含んでいてもよく、例えば5-メチルシトシンは、しばしばシトシンの代わりに用いられ、したがって、相補性という用語は、非修飾核酸塩基と修飾核酸塩基との間のワトソン・クリック塩基対合を包含することが理解されよう(例えば、Hirao et al (2012) Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055 and Bergstrom (2009) Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl. 37 1.4.1を参照されたい)。
【0078】
本明細書で用いられる用語「%相補性」は、所与の位置において、別個の核酸分子(例えば、標的核酸)の所与の位置における連続ヌクレオチド配列に相補的な(すなわち、ワトソン・クリック塩基対を形成する)、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)中の連続ヌクレオチド配列におけるヌクレオチドの割合を指す。百分率は、2つの配列間で対を形成する(標的配列5’-3’とオリゴヌクレオチド配列3’-5’とを整列させたとき)、整列された塩基の数をカウントし、オリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの総数で割り、100を掛けることによって計算される。このような比較において、整列(塩基対を形成)しない核酸塩基/ヌクレオチドは、ミスマッチと称される。好ましくは、挿入及び欠失は、連続ヌクレオチド配列の%相補性の計算において許容されない。
【0079】
「完全に相補的な」という用語は、100%の相補性を指す。
【0080】
同一性
本明細書で用いられる用語「同一性」は、所与の位置において、別個の核酸分子(例えば標的核酸)の所与の位置における連続ヌクレオチド配列と同一な(すなわち、相補的なヌクレオシドとワトソン・クリック塩基対を形成するそれらの能力において)、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)中の連続ヌクレオチド配列におけるパーセントでのヌクレオチドの数を指す。百分率は、2つの配列間で同一である整列された塩基の数をカウントし、オリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの総数で割り、100を掛けることによって計算される。同一性パーセント=(マッチ×100)/整列された領域の長さ。好ましくは、挿入及び欠失は、連続ヌクレオチド配列の%相補性の計算において許容されない。
【0081】
ハイブリダイゼーション
本明細書で用いられる「ハイブリダイズ」又は「ハイブリダイズする」という用語は、2つの核酸鎖(例えば、オリゴヌクレオチド及び標的核酸)が対向する鎖上の塩基対間に水素結合を形成することにより二重鎖を形成することと理解されるべきである。2つの核酸鎖の間の結合の親和性は、ハイブリダイゼーションの強度である。これは、オリゴヌクレオチドの半分が標的核酸と二重鎖を形成する温度として定義される、融解温度(Tm)によって説明されることが多い。生理学的条件では、Tmは親和性に厳密に比例しない(Mergny and Lacroix, 2003, Oligonucleotides 13:515-537)。標準状態ギブス自由エネルギーΔG°は、結合親和性のより正確な表現であり、ΔG°=-RTln(Kd)によって反応の解離定数(Kd)に関連付けられ、ここで、Rは気体定数であり、Tは絶対温度である。したがって、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の反応の非常に低いΔG°は、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の強いハイブリダイゼーションを反映している。ΔG°は、水性濃度が1M、pHが7、温度が37℃での反応に関連したエネルギーである。標的核酸に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、自発的反応であり、自発的反応では、ΔG°はゼロ未満である。ΔG°は、例えば、Hansen et al., 1965, Chem. Comm. 36-38及びHoldgate et al. , 2005, Drug Discov Todayに記載されているように、例えば等温滴定熱量測定(ITC)法を使用することによって、実験的に測定することができる。当業者は、ΔG°測定のために市販の装置が入手可能であることを知るであろう。ΔG°はまた、Sugimoto et al., 1995, Biochemistry 34:11211-11216及びMcTigue et al., 2004, Biochemistry 43:5388-5405に記載された適切に導出された熱力学的パラメータを使用して、SantaLucia, 1998, Proc Natl Acad Sci USA. 95: 1460-1465に記載されているように、最近傍モデルを使用して数値的に推定することもできる。ハイブリダイゼーションによってその意図された核酸標的を調節する可能性を有するために、本発明のオリゴヌクレオチドは、10-30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドについて-10kcal未満の推定ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズする。幾つかの実施態様では、ハイブリダイゼーションの程度又は強度は、標準状態でのギブスの自由エネルギーΔG°によって測定される。オリゴヌクレオチドは、8-30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドでは、-10kcalの範囲未満、例えば-15kcal未満、例えば-20kcal未満、及び例えば-25kcal未満の推定ΔG°値で、標的核酸にハイブリダイズしうる。幾つかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、-10から-60kcal、例えば-12から-40、例えば-15から-30kcal、又は-16から-27kcal、例えば-18から-25kcalの推定ΔG°値で、標的核酸にハイブリダイズする。
【0082】
糖修飾
本発明のオリゴマーは、修飾された糖部分、すなわち、DNA及びRNAに見られるリボース糖部分と比較して、糖部分が修飾された1つ以上のヌクレオシドを含みうる。
【0083】
リボース糖部分の修飾を有する数多くのヌクレオシドは、親和性及び/又はヌクレアーゼ耐性などのオリゴヌクレオチドのある特定の性質を改善することを主な目的として作製されてきた。
【0084】
このような修飾には、例えば、ヘキソース環(HNA)、又は典型的にはリボース環(LNA)上のC2炭素とC4炭素との間にビラジカル架橋を有する二環式環、又は典型的にはC2炭素とC3炭素との間の結合を欠く非結合リボース環(例えば、UNA)で置き換えることにより、リボース環構造が修飾されているものが含まれる。他の糖修飾ヌクレオシドには、例えば、ビシクロヘキソース核酸(国際公開第2011/017521号)又は三環式核酸(国際公開第2013/154798号)が含まれる。修飾ヌクレオシドにはまた、糖部分が例えばペプチド核酸(PNA)又はモルホリノ核酸の場合には非糖部分で置き換えられているヌクレオシドが含まれる。
【0085】
糖修飾にはまた、リボース環上の置換基を、水素以外の基、又はDNA及びRNAヌクレオシド中に天然に存在する2’-OH基に変更することによってなされる修飾も含まれる。置換基は、例えば、2’、3’、4’、又は5’位で導入されうる。
【0086】
2’糖修飾ヌクレオシド
2’糖修飾ヌクレオシドは、2’位にH又は-OH以外の置換基を有するか(2’置換ヌクレオシド)、又は2’炭素とリボース環上の第2の炭素との間に架橋を形成することができる2’結合ビラジカルを含むヌクレオシド、例えばLNA(2’-4’ビラジカル架橋)ヌクレオシドである。
【0087】
実際、2’置換ヌクレオシドの開発には多くの注目が集まっており、多くの2’置換ヌクレオシドが、オリゴヌクレオチドに組み込まれる場合に有益な特性を有することが見出されている。例えば、2’修飾糖は、高められた結合親和性及び/又は増大されたヌクレアーゼ耐性をオリゴヌクレオチドにもたらすことができる。2’置換修飾ヌクレオシドの例は、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、及び2’-F-ANAヌクレオシドである。さらなる例については、例えば、Freier & Altmann; Nucl.Acid Res., 1997, 25, 4429-4443及びUhlmann; Curr.Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293-213及びDeleavey and Damha, Chemistry and Biology 2012, 19, 937に見出すことができる。以下は、幾つかの2’置換修飾ヌクレオシドの例示である。
【0088】
本発明に関連して、2’置換は、LNAのような2’架橋分子を含まない。
【0089】
ロックされた核酸ヌクレオシド(LNAヌクレオシド)
「LNAヌクレオシド」は、前記ヌクレオシドのリボース糖環のC2’及びC4’を結合するビラジカル結合(「2’-4’架橋」とも呼ばれる)を含む、2’-修飾ヌクレオシドであり、これはリボース環の立体配座を制限又は固定する。これらのヌクレオシドはまた、文献において、架橋核酸又は二環式核酸(BNA)とも称されている。リボースの立体配座の固定は、LNAが相補的RNA又はDNA分子のオリゴヌクレオチドに組み込まれる場合、ハイブリダイゼーションの親和性の向上(二重鎖の安定化)に関連している。これは、オリゴヌクレオチド/相補二重鎖の融解温度を測定することによって、日常的に決定されうる。
【0090】
非限定的な、例示的なLNAヌクレオシドは、国際公開第99/014226号、国際公開第00/66604号、国際公開第98/039352号、国際公開第2004/046160号、国際公開第00/047599号、国際公開第2007/134181号、国際公開第2010/077578号、国際公開第2010/036698号、国際公開第2007/090071号、国際公開第2009/006478号、国際公開第2011/156202号、国際公開第2008/154401号、国際公開第2009/067647号、国際公開第2008/150729号、Morita et al., Bioorganic & Med.Chem. Lett. 12, 73-76, Seth et al. J. Org. Chem. 2010, Vol 75(5) pp. 1569-81、及びMitsuoka et al., Nucleic Acids Research 2009, 37(4), 1225-1238に開示されている。
【0091】
2’-4’架橋は、2から4個の架橋原子を含み、特に式-X-Y-であって、XはC4’に結合し、YはC2’に結合しており、
式中、
Xは、酸素、硫黄、-CRaRb-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(=CRaRb)-、-C(Ra)=N-、-Si(Ra)2-、-SO2-、-NRa-;-O-NRa-、-NRa-O-、-C(=J)-、Se、-O-NRa-、-NRa-CRaRb-、-N(Ra)-O-、又は-O-CRaRb-であり;
Yは、酸素、硫黄、-(CRaRb)n-、-CRaRb-O-CRaRb-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-Si(Ra)2-、-SO2-、-NRa-、-C(=J)-、Se、-O-NRa-、-NRa-CRaRb-、-N(Ra)-O-、又は-O-CRaRb-であり;
ただし、-X-Y-は、-O-O-、Si(Ra)2-Si(Ra)2-、-SO2-SO2-、-C(Ra)=C(Rb)-C(Ra)=C(Rb)、-C(Ra)=N-C(Ra)=N-、-C(Ra)=N-C(Ra)=C(Rb)、-C(Ra)=C(Rb)-C(Ra)=N-、又は-Se-Se-ではないことを条件とし;
Jは、酸素、硫黄、=CH2又は=N(Ra)であり;
Ra及びRbは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、チオヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、ヘテロシクリル、アミノ、アルキルアミノ、カルバモイル、アルキルアミノカルボニル、アミノアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、カルバミド、アルカノイルオキシ、スルホニル、アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、チオヒドロキシルスルフィドアルキルスルファニル、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、-OC(=Xa)Rc、-OC(=Xa)NRcRd、及び-NReC(=Xa)NRcRdから独立して選択され;
又は、2つのジェミナルなRa及びRbが一緒になって、置換されていてもよいメチレンを形成するか;
又は、2つのジェミナルなRa及びRbが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、-X-Y-の炭素原子を1つだけ有するシクロアルキル又はハロシクロアルキルを形成し;
ここで、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アルコキシ、及び置換メチレンは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、ヘテロシクリル(heterocylyl)、アリール、及びヘテロアリールから独立して選択される1から3個の置換基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、及びメチレンであり;
Xaは、酸素、硫黄、又は-NRcであり;
Rc、Rd、及びReは、水素及びアルキルから独立して選択され;かつ
nは、1、2、又は3である。
【0092】
さらなる本発明の特定の実施態様では、Xは、酸素、硫黄、-NRa-、-CRaRb-、又は-C(=CRaRb)-であり、特に、酸素、硫黄、-NH-、-CH2-、又は-C(=CH2)-であり、より具体的には、酸素である。
【0093】
本発明の別の特定の実施態様では、Yは、-CRaRb-、-CRaRb-CRaRb-、又は-CRaRb-CRaRb-CRaRb-であり、特に、-CH2-CHCH3-、-CHCH3-CH2-、-CH2-CH2-、又は-CH2-CH2-CH2-である。
【0094】
本発明の特定の実施態様では、-X-Y-は、-O-(CRaRb)n-、-S-CRaRb-、-N(Ra)CRaRb-、-CRaRb-CRaRb-、-O-CRaRb-O-CRaRb-、-CRaRb-O-CRaRb-、-C(=CRaRb)-CRaRb-、-N(Ra)CRaRb-、-O-N(Ra)-CRaRb-、又は-N(Ra)-O-CRaRb-である。
【0095】
本発明の特定の実施態様では、Ra及びRbは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、及びアルコキシアルキルからなる群、特に、水素、ハロゲン、アルキル、及びアルコキシアルキルからなる群より独立して選択される。
【0096】
本発明の別の実施態様では、Ra及びRbは、水素、フルオロ、ヒドロキシル、メチル、及び-CH2-O-CH3からなる群、特に、水素、フルオロ、メチル、及び-CH2-O-CH3からなる群より独立して選択される。
【0097】
有利には、-X-Y-のRa及びRbの一方は上記定義されたとおりであり、他方はすべて同時に水素である。
【0098】
さらなる本発明の特定の実施態様では、Raは、水素又はアルキル、特に、水素又はメチルである。
【0099】
本発明の別の特定の実施態様では、Rbは、水素又は又はアルキル、特に、水素又はメチルである。
【0100】
本発明の特定の実施態様では、Ra及びRbの一方又は両方が水素である。
【0101】
本発明の特定の実施態様では、Ra及びRbの一方のみが水素である。
【0102】
1つの本発明の特定の実施態様では、Ra及びRbの一方はメチルであり、他方は水素である。
【0103】
本発明の特定の実施態様では、Ra及びRbは両方とも同時にメチルである。
【0104】
本発明の特定の実施態様では、-X-Y-は、-O-CH2-、-S-CH2-、-S-CH(CH3)-、-NH-CH2-、-O-CH2CH2-、-O-CH(CH2-O-CH3)-、-O-CH(CH2CH3)-、-O-CH(CH3)-、-O-CH2-O-CH2-、-O-CH2-O-CH2-、-CH2-O-CH2-、-C(=CH2)CH2-、-C(=CH2)CH(CH3)-、-N(OCH3)CH2-、又は-N(CH3)CH2-である。
【0105】
本発明の特定の実施態様では、-X-Y-は-O-CRaRb-であり、ここで、Ra及びRbは、水素、アルキル、及びアルコキシアルキルからなる群、特に、水素、メチル、及び-CH2-O-CH3からなる群より独立して選択される。
【0106】
特定の実施態様では、-X-Y-は、-O-CH2-、又は-O-CH(CH3)-、特に、-O-CH2-である。
【0107】
2’-4’架橋は、それぞれ式(A)及び式(B)に示されるように、リボース環の平面よりも下(β-D-構成)、又は環平面よりも上(α-L-構成)に配置されうる。
【0108】
本発明によるLNAヌクレオシドは、特に、式(B1)又は(B2)
であり、式中、
Wは、酸素、硫黄、-N(R
a)-、又は-CR
aR
b-、特に、酸素であり;
Bは、核酸塩基又は修飾核酸塩基であり;
Zは、隣接するヌクレオシド又は5’-末端基へのヌクレオシド間結合であり;
Z*は、隣接するヌクレオシド又は3’-末端基へのヌクレオシド間結合であり;
R
1、R
2、R
3、R
5及びR
5*は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシアルキル、アジド、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、及びアリールから独立して選択され;かつ
X、Y、R
a及びR
bは、上記定義されたとおりである。
【0109】
特定の実施態様では、-X-Y-の定義において、Raは、水素又はアルキル、特に、水素又はメチルである。別の特定の実施態様では、-X-Y-の定義において、Rbは、水素又はアルキル、特に、水素又はメチルである。さらなる特定の実施態様では、-X-Y-の定義において、Ra及びRbの一方又は両方が水素である。特定の実施態様では、-X-Y-の定義において、Ra及びRbの一方のみが水素である。1つの特定の実施態様では、-X-Y-の定義において、Ra及びRbの一方がメチルであり、他方は水素である。特定の実施態様では、-X-Y-の定義において、Ra及びRbは両方とも同時にメチルである。
【0110】
さらなる特定の実施態様では、Xの定義において、Raは、水素又はアルキル、特に、水素又はメチルである。別の特定の実施態様では、Xの定義において、Rbは、水素又はアルキル、特に、水素又はメチルである。特定の実施態様では、Xの定義において、Ra及びRbの一方又は両方が水素である。特定の実施態様では、Xの定義において、Ra及びRbの一方のみが水素である。1つの特定の実施態様では、Xの定義において、Ra及びRbの一方がメチルであり、他方は水素である。特定の実施態様では、Xの定義において、Ra及びRbは両方とも同時にメチルである。
【0111】
さらなる特定の実施態様では、Yの定義において、Raは、水素又はアルキル、特に、水素又はメチルである。別の特定の実施態様では、Yの定義において、Rbは、水素又はアルキル、特に、水素又はメチルである。特定の実施態様では、Yの定義において、Ra及びRbの一方又は両方が水素である。特定の実施態様では、Yの定義において、Ra及びRbの一方のみが水素である。1つの特定の実施態様では、Yの定義において、Ra及びRbの一方がメチルであり、他方は水素である。特定の実施態様では、Yの定義において、Ra及びRbは両方とも同時にメチルである。
【0112】
本発明の特定の実施態様では、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、水素及びアルキル、特に、水素及びメチルから独立して選択される。
【0113】
本発明のさらなる特定の有利な実施態様では、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、すべて同時に水素である。
【0114】
本発明の別の特定の実施態様では、R1、R2、R3は、すべて同時に水素であり、R5、及びR5*の一方は水素であり、他方は上記定義されたとおりであり、特に、アルキル、より具体的には、メチルである。
【0115】
本発明の特定の実施態様では、R5及びR5*は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシアルキル、及びアジドから、特に、水素、フルオロ、メチル、メトキシエチル、及びアジドから独立して選択される。本発明の特定の有利な実施態様では、R5及びR5*の一方が水素であり、他方はアルキル、特に、メチル、ハロゲン、特に、フルオロ、アルコキシアルキル、特に、メトキシエチル又はアジドであるか;又は、R5及びR5*は両方とも同時に水素又はハロゲンであり、特に両方とも同時にフルオロの水素である。このような特定の実施態様では、Wは、有利には酸素であってよく、-X-Y-は、有利には-O-CH2-でありうる。
【0116】
本発明の特定の実施態様では、-X-Y-は-O-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、すべて同時に水素である。このようなLNAヌクレオシドは、参照することによって本明細書に組み込まれる国際公開第99/014226号、国際公開第00/66604号、国際公開第98/039352号、及び国際公開第2004/046160号に開示されており、当該技術分野でβ-D-オキシLNA及びα-L-オキシLNAヌクレオシドとして一般的に知られているものを含む。
【0117】
本発明の別の特定の実施態様では、-X-Y-は-S-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、すべて同時に水素である。このようなチオLNAヌクレオシドは、参照することによって本明細書に組み込まれる、国際公開第99/014226及び国際公開第2004/046160号に開示されている。
【0118】
本発明の別の特定の実施態様では、-X-Y-は-NH-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、すべて同時に水素である。このようなアミノLNAヌクレオシドは、参照することによって本明細書に組み込まれる、国際公開第99/014226号及び国際公開第2004/046160号に開示されている。
【0119】
本発明の別の特定の実施態様では、-X-Y-は-O-CH2CH2-又は-OCH2CH2CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、すべて同時に水素である。このようなLNAヌクレオシドは、参照することによって本明細書に組み込まれる、国際公開第00/047599号、及びMorita et al., Bioorganic & Med.Chem.Lett.12, 73-76に開示されており、当該技術分野において2’-O-4’C-エチレン架橋核酸(ENA)として一般に知られているものを含む。
【0120】
本発明の別の特定の実施態様では、-X-Y-は-O-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3は、すべて同時に水素であり、R5及びR5*の一方が水素であり、他方は水素ではなく、例えばメチルなどのアルキルである。このような5’置換LNAヌクレオシドは、参照することによって本明細書に組み込まれる、国際公開第2007/134181号に開示されている。
【0121】
本発明の別の特定の実施態様では、-X-Y-は-O-CRaRb-であり、ここで、Ra及びRbの一方又は両方が水素ではなく、特にメチルなどのアルキルであり、Wは酸素であり、R1、R2、R3は、すべて同時に水素であり、R5及びR5*の一方が水素であり、他方は水素ではなく、特に、例えばメチルなどのアルキルである。このようなビス修飾LNAヌクレオシドは、参照することによって本明細書に組み込まれる、国際公開第2010/077578号に開示されている。
【0122】
本発明の別の特定の実施態様では、-X-Y-は-O-CHRa-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、すべて同時に水素である。このような6’-置換LNAヌクレオシドは、参照することによって両方が本明細書に組み込まれる、国際公開第2010/036698号及び国際公開第2007/090071号に開示されている。このような6’-置換LNAヌクレオシドでは、Raは、特に、メチルなどのC1-C6アルキルである。
【0123】
本発明の別の特定の実施態様では、-X-Y-は、-O-CH(CH2-O-CH3)-(「2’O-メトキシエチル二環式核酸」、Seth et al. J. Org.Chem.2010, Vol 75(5) pp. 1569-81)である。
【0124】
本発明の別の特定の実施態様では、-X-Y-は-O-CH(CH2CH3)-である。
【0125】
本発明の別の特定の実施態様では、-X-Y-は-O-CH(CH2-O-CH3)-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、すべて同時に水素である。このようなLNAヌクレオシドはまた、当該技術分野において環状MOE(cMOE)としても知られており、国際公開第2007/090071号に開示されている。
【0126】
本発明の別の特定の実施態様では、-X-Y-は、-O-CH(CH3)-(「2’O-エチル二環式核酸」、Seth at al., J. Org.Chem.2010, Vol 75(5) pp. 1569-81)である。
【0127】
本発明の別の特定の実施態様では、-X-Y-は、-O-CH2-O-CH2-(前掲したSeth et al., J. Org.Chem 2010)である。
【0128】
本発明の別の特定の実施態様では、-X-Y-は-O-CH(CH3)-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、すべて同時に水素である。このような6’-メチルLNAヌクレオシドは、当該技術分野においてcETヌクレオシドとしても知られており、参照することによって両方が本明細書に組み込まれる、国際公開第2007/090071号(β-D)及び国際公開第2010/036698号(α-L)に開示される(S)-cET又は(R)-cETジアステレオ異性体のいずれかでありうる。
【0129】
本発明の別の特定の実施態様では、-X-Y-は-O-CRaRb-であり、ここで、Ra及びRbのいずれも水素ではなく、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、すべて同時に水素である。特定の実施態様では、Ra及びRbは、両方とも同時にアルキルであり、特に、両方とも同時にメチルである。このような6’-二置換LNAヌクレオシドは、参照することによって本明細書に組み込まれる、国際公開第2009/006478号に開示されている。
【0130】
本発明の別の特定の実施態様では、-X-Y-は-S-CHRa-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、すべて同時に水素である。このような6’-置換チオLNAヌクレオシドは、参照することによって本明細書に組み込まれる、国際公開第2011/156202号に開示されている。このような6’-置換チオLNAの特定の実施態様では、Raは、アルキル、特にメチルである。
【0131】
本発明の特定の実施態様では、-X-Y-は、-C(=CH2)C(RaRb)-、-C(=CHF)C(RaRb)-、又は-C(=CF2)C(RaRb)-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、すべて同時に水素である。Ra及びRbは、有利には、水素、ハロゲン、アルキル、及びアルコキシアルキルから、特に、水素、メチル、フルオロ、及びメトキシメチルから独立して選択される。Ra及びRbは、特に、両方とも同時に水素又はメチルであるか、又はRa及びRbの一方が水素であり、他方はメチルである。このようなビニルカルボLNAヌクレオシドは、参照することによって両方が本明細書に組み込まれる、国際公開第2008/154401号及び国際公開第2009/067647号に開示されている。
【0132】
本発明の特定の実施態様では、-X-Y-は-N(ORa)-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、すべて同時に水素である。特定の実施態様では、Raはメチルなどのアルキルである。このようなLNAヌクレオシドは、N置換LNAとしても知られており、参照することによって本明細書に組み込まれる、国際公開第2008/150729号に開示されている。
【0133】
本発明の特定の実施態様では、-X-Y-は、-O-N(Ra)-、-N(Ra)-O-、-NRa-CRaRb-CRaRb-、又は-NRa-CRaRb-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、すべて同時に水素である。Ra及びRbは、有利には、水素、ハロゲン、アルキル、及びアルコキシアルキルから、特に、水素、メチル、フルオロ、及びメトキシメチルから独立して選択される。特定の実施態様では、Raはメチルなどのアルキルであり、Rbは、水素又はメチル、特に、水素(前掲のSeth et al., J. Org.Chem 2010)である。
【0134】
本発明の特定の実施態様では、-X-Y-は、-O-N(CH3)-(前掲のSeth et al., J. Org.Chem 2010)である。
【0135】
本発明の特定の実施態様では、R5及びR5*は、両方とも同時に水素である。本発明の別の特定の実施態様では、R5及びR5*の一方が水素であり、他方はメチルなどのアルキルである。このような実施態様では、R1、R2、及びR3は、特に、水素であってよく、-X-Y-は、特に、-O-CH2-又は-O-CHC(Ra)3-、例えば-O-CH(CH3)-でありうる。
【0136】
本発明の特定の実施態様では、-X-Y-は、-CRaRb-O-CRaRb-、例えば-CH2-O-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、すべて同時に水素である。このような特定の実施態様では、Raは、特に、メチルなどのアルキルであってよく、Rbは、水素又はメチル、特に水素でありうる。このようなLNAヌクレオシドはまた、立体配座的に制限されたヌクレオチド(CRN)として知られており、参照することによって本明細書に組み込まれる、国際公開第2013/036868号に開示されている。
【0137】
本発明の特定の実施態様では、-X-Y-は、-O-CRaRb-O-CRaRb-、例えば-O-CH2-O-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、すべて同時に水素である。Ra及びRbは、有利には、水素、ハロゲン、アルキル、及びアルコキシアルキルから、特に、水素、メチル、フルオロ、及びメトキシメチルから独立して選択される。このような特定の実施態様では、Raは、特に、メチルなどのアルキルであってよく、Rbは、水素又はメチル、特に水素でありうる。このようなLNAヌクレオシドは、COCヌクレオチドとしても知られており、参照することによって本明細書に組み込まれる、Mitsuoka et al., Nucleic Acids Research 2009, 37(4), 1225-1238に開示されている。
【0138】
特に明記されていない限り、LNAヌクレオシドはβ-D又はα-Lステレオアイソフォームでありうることが認識されるであろう。
【0139】
本発明のLNAヌクレオシドの特定の例がスキーム1に示されている(ここで、Bは上記定義されたとおりである)。
【0140】
特定のLNAヌクレオシドは、β-D-オキシ-LNA、6’-メチル-β-D-オキシLNA、例えば、(S)-6’-メチル-β-D-オキシ-LNA((S)-cET)、及びENAである。
【0141】
RNase Hの活性及び動員
アンチセンスオリゴヌクレオチドのRNase H活性は、相補的RNA分子と二重鎖を形成するときにRNase Hを動員する、その能力を指す。国際公開第01/23613号には、RNaseHを動員する能力の決定に使用することができる、RNaseH活性を決定するためのin vitroの方法が提供されている。典型的には、オリゴヌクレオチドが、相補的標的核酸配列が提供された場合に、被験修飾オリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、オリゴヌクレオチドの全モノマー間にホスホロチオエート結合を有するDNAモノマーのみを含むオリゴヌクレオチドを使用し、かつ、国際公開第01/23613号(参照することによって本明細書に組み込まれる)の実施例91-95によって提供される方法論を使用して決定された初期速度の少なくとも5%、例えば少なくとも10%、又は20%超の、pmol/l/分で測定した初期速度を有する場合に、このオリゴヌクレオチドはRNase Hを動員することができると見なされる。RHase H活性の決定に使用するために、組換えヒトRNase H1が、スイス国ルツェルン所在のLubio Science GmbHから入手可能である。
【0142】
ギャップマー
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列は、ギャップマーでありうる。アンチセンスギャップマーは、通常、RNase H媒介分解を介した標的核酸の阻害に用いられる。ギャップマーオリゴヌクレオチドは、少なくとも3つの区別される構造領域、5’-フランク、ギャップ、及び3’-フランク、F-G-F’を、5’->3’配向で含む。「ギャップ」領域(G)は、オリゴヌクレオチドがRNase Hの動員を可能にする連続DNAヌクレオチドのストレッチを含む。ギャップ領域は、1つ以上の糖修飾ヌクレオシド、有利には高親和性糖修飾ヌクレオシドを含む5’フランキング領域(F)と、1つ以上の糖修飾ヌクレオシド、有利には高親和性糖修飾ヌクレオシドを含む3’フランキング領域(F’)とが隣接している。領域F及びF’の1つ以上の糖修飾ヌクレオシドは、標的核酸に対するオリゴヌクレオチドの親和性を高める(すなわち、親和性を高める糖修飾ヌクレオシドである)。幾つかの実施態様では、領域F及びF’の1つ以上の糖修飾ヌクレオシドは、例えばLNA及び2’-MOEから独立して選択される、例えば高親和性の2’糖修飾など、2’糖修飾ヌクレオシドである。
【0143】
ギャップマー設計において、ギャップ領域の最も5’及び3’のヌクレオシドはDNAヌクレオシドであり、それぞれ、5’(F)又は3’(F’)領域の糖修飾ヌクレオシドに隣接して配置されている。フランクはさらに、ギャップ領域から最も遠い端、すなわち、5’フランクの5’末端及び3’フランクの3’末端に、少なくとも1つの糖修飾ヌクレオシドを有することによって定義されうる。
【0144】
領域F-G-F’は、連続ヌクレオチド配列を形成する。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列は、式F-G-F’のギャップマー領域を含みうる。
【0145】
ギャップマー設計F-G-F’の全長は、例えば12から32ヌクレオシド、例えば13から24、例えば14から22ヌクレオシド、例えば14から17、例えば16から18ヌクレオシドでありうる。
【0146】
例として、本発明のギャップマーオリゴヌクレオチドは、以下の式によって表すことができる:
F1-8-G5-16-F’1-8、例えば
F1-8-G7-16-F’2-8
ただし、ギャップマー領域F-G-F’の全長は、少なくとも12、例えば少なくとも14ヌクレオチド長であることを条件とする。
【0147】
領域F、G、及びF’は、以下にさらに定義され、F-G-F’式に組み込むことができる。
【0148】
ギャップマー-領域G
ギャップマーの領域G(ギャップ領域)は、オリゴヌクレオチドがRNaseH、例えばヒトRNase H1の動員を可能にするヌクレオシド、典型的にはDNAヌクレオシドの領域である。RNaseHは、DNAとRNAとの間の二重鎖を認識し、RNA分子を酵素的に切断する細胞性酵素である。適切なギャップマーは、少なくとも5又は6の連続DNAヌクレオシド長、例えば5-16の連続DNAヌクレオシド長、例えば6-15の連続DNAヌクレオシド長、例えば7-14の連続DNAヌクレオシド長、例えば8-12の連続DNAヌクレオチド長、例えば8-12の連続DNAヌクレオチド長のギャップ領域(G)を有しうる。ギャップ領域Gは、幾つかの実施態様では、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16の連続DNAヌクレオシドで構成されてもよい。ギャップ領域のシトシン(C)DNAは、場合によってはメチル化されていてもよく、このような残基は、5-メチル-シトシン(meC又はcの代わりにe)としてアノテーションされている。ギャップ内のシトシンDNAのメチル化は、cgジヌクレオチドがギャップ内に存在して潜在的な毒性を低減する場合に有利であり、この修飾はオリゴヌクレオチドの有効性に大きな影響を与えない。
【0149】
幾つかの実施態様では、ギャップ領域Gは、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16の連続ホスホロチオエート結合DNAヌクレオシドで構成されてもよい。幾つかの実施態様では、ギャップ内のヌクレオシド間結合はすべて、ホスホロチオエート結合である。
【0150】
従来のギャップマーはDNAギャップ領域を有するが、ギャップ領域内で用いられる場合にRNaseHの動員を可能にする修飾ヌクレオシドの例が数多く存在する。ギャップ領域内に含まれる場合にRNaseHの動員が可能であるとして報告されている修飾ヌクレオシドには、例えば、α-L-LNA、C4’アルキル化DNA(両方が参照することによって本明細書に組み込まれる、国際出願第PCT/EP2009/050349号、及びVester et al., Bioorg. Med. Chem.Lett.18 (2008) 2296 - 2300に記載されている)、ANA及び2’F-ANAのようなアラビノース由来のヌクレオシド(Mangos et al. 2003 J. AM. CHEM. SOC. 125, 654-661)、UNA(アンロック核酸)(参照することによって本明細書に組み込まれる、Fluiter et al., Mol.Biosyst., 2009, 10, 1039に記載される)が含まれる。UNAは、典型的には、リボースのC2とC3の間の結合が解除され、ロックされていない「糖」残基を形成している、アンロック核酸である。このようなギャップマーに用いられている修飾ヌクレオシドは、ギャップ領域内に導入される際に2’エンド(endo)(DNA様)構造をとる(すなわち、RNaseHの動員を可能にする修飾)ヌクレオシドでありうる。幾つかの実施態様では、本明細書に記載されるDNAギャップ領域(G)は、場合によっては、ギャップ領域内に導入される際に2’エンド(DNA様)構造をとる1から3の糖修飾ヌクレオシドを含んでいてもよい。
【0151】
領域G-「ギャップブレーカー」
代替的に、幾つかのRNaseH活性を保持しつつ、ギャップマーのギャップ領域に3’エンド配座を付与する修飾ヌクレオシドの挿入について、多くの報告が存在する。1つ以上の3’エンド修飾ヌクレオシドを含むギャップ領域を有するこのようなギャップマーは、「ギャップブレーカー」又は「ギャップ破壊」ギャップマーと称される。例えば、国際公開第2013/022984号を参照されたい。ギャップブレーカーオリゴヌクレオチドは、RNaseHの動員を可能にするために、ギャップ領域内にDNAヌクレオシドの十分な領域を保持する。ギャップブレーカーオリゴヌクレオチド設計がRNaseHを動員する能力は、典型的には、配列又は化合物固有である-Rukov et al. 2015 Nucl. Acids Res. Vol. 43 pp. 8476-8487を参照されたい。この文献には、場合によっては標的RNAのより特異的な切断をもたらす、RNaseHを動員する「ギャップブレーカー」オリゴヌクレオチドが開示されている。ギャップブレーカーオリゴヌクレオチドのギャップ領域内で用いられる修飾ヌクレオシドは、例えば、3’エンド配座を付与する修飾ヌクレオシド、例えば2’-O-メチル(OMe)又は2’-O-MOE(MOE)ヌクレオシド、若しくはβ-D LNAヌクレオシド(ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’の間の架橋は、β配座である)、例えばβ-D-オキシLNA又はScETヌクレオシドでありうる。
【0152】
上述した領域Gを含むギャップマーと同様に、ギャップブレーカー又はギャップ破壊ギャップマーのギャップ領域は、ギャップの5’末端に(領域Fの3’ヌクレオシドに隣接して)DNAヌクレオシドを有し、ギャップの3’末端に(領域Fの5’ヌクレオシドに隣接して)DNAヌクレオシドを有する。破壊されたギャップを含むギャップマーは、典型的には、ギャップ領域の5’末端又は3’末端のいずれかに少なくとも3つ又は4つの連続DNAヌクレオシドの領域を保持する。
【0153】
ギャップブレーカーオリゴヌクレオチドの例示的な設計は、
F1-8-[D3-4-E1-D3-4]-F’1-8
F1-8-[D1-4-E1-D3-4]-F’1-8
F1-8-[D3-4-E1-D1-4]-F’1-8
を含み、領域Gは、角括弧[Dn-Er-Dm]内にあり、Dは、DNAヌクレオシドの連続配列であり、Eは、修飾ヌクレオシド(ギャップブレーカー又はギャップ破壊ヌクレオシド)であり、F及びF’は、本明細書に定義されたフランキング領域であるが、ただし、ギャップマー領域F-G-F’の全長が少なくとも12、例えば少なくとも14ヌクレオチド長であることを条件とする。
【0154】
幾つかの実施態様では、ギャップ破壊されたギャップマーの領域Gは、少なくとも6DNAヌクレオシド、例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16DNAヌクレオシドを含む。上述したように、DNAヌクレオシドは連続的であってもよく、あるいは、場合によっては1つ以上の修飾ヌクレオシドが散在してもよいが、ただし、ギャップ領域GがRNaseHの動員を媒介することができることを条件とする。
【0155】
ギャップマー-フランキング領域F及びF’
領域Fは、領域Gの5’DNAヌクレオシドのすぐ隣に配置されている。領域Fの最も3’のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシド、例えば高親和性糖修飾ヌクレオシド、例えば2’置換ヌクレオシド、例えばMOEヌクレオシド、又はLNAヌクレオシドである。
【0156】
領域F’は、領域Gの3’DNAヌクレオシドのすぐ隣に配置されている。領域F’の最も5’のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシド、例えば高親和性糖修飾ヌクレオシド、例えば2’置換ヌクレオシド、例えばMOEヌクレオシド、又はLNAヌクレオシドである。
【0157】
領域Fは、1-8の連続ヌクレオチド長、例えば2-6、例えば3-4の連続ヌクレオチド長である。有利には、領域Fの最も5’のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシドである。幾つかの実施態様では、領域Fの2つの最も5’のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシドである。幾つかの実施態様では、領域Fの最も5’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。幾つかの実施態様では、領域Fの2つの最も5’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。幾つかの実施態様では、領域Fの2つの最も5’のヌクレオシドは、2’置換ヌクレオシドヌクレオシド、例えば、2つの3’MOEヌクレオシドである。幾つかの実施態様では、領域Fの最も5’のヌクレオシドは、2’置換ヌクレオシド、例えばMOEヌクレオシドである。
【0158】
領域F’は、2-8連続ヌクレオチド長、例えば3-6、例えば4-5連続ヌクレオチド長である。有利には、実施態様では、領域F’の最も3’のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシドである。幾つかの実施態様では、領域F’の2つの最も3’のヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシドである。幾つかの実施態様では、領域F’の2つの最も3’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。幾つかの実施態様では、領域F’の最も3’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。幾つかの実施態様では、領域F’の2つの最も3’のヌクレオシドは、2’置換ヌクレオシドヌクレオシド、例えば、2つの3’MOEヌクレオシドである。幾つかの実施態様では、領域F’の最も3’のヌクレオシドは、2’置換ヌクレオシド、例えば、MOEヌクレオシドである。
【0159】
領域F又はF’の長さが1である場合、それは有利なことには、LNAヌクレオシドであることに留意するべきである。
【0160】
幾つかの実施態様では、領域F及びF’は、独立して、糖修飾ヌクレオシドの連続配列からなるか、又はそれを含む。幾つかの実施態様では、領域Fの糖修飾ヌクレオシドは、2’-O-アルキル-RNA単位、2’-O-メチル-RNA、2’-アミノ-DNA単位、2’-フルオロ-DNA単位、2’-アルコキシ-RNA、MOE単位、LNA単位、アラビノ核酸(ANA)単位、及び2’-フルオロ-ANA単位から独立して選択されうる。
【0161】
幾つかの実施態様では、領域F及びF’は、独立して、LNAと2’置換修飾ヌクレオシドの両方を含む(混合ウィング設計)。
【0162】
幾つかの実施態様では、領域F及びF’は、1タイプのみの糖修飾ヌクレオシド、例えばMOEのみ、又はβ-D-オキシLNAのみ、又はScETのみからなる。このような設計は、均一フランク又は均一ギャップマー設計とも呼ばれる。
【0163】
幾つかの実施態様では、領域F又はF’の全ヌクレオシド、若しくはF及びF’は、例えばβ-D-オキシLNA、ENA、又はScETヌクレオシドから独立して選択される、LNAヌクレオシドである。幾つかの実施態様では、領域Fは、1-5、例えば2-4、例えば3-4、例えば1、2、3、4、又は5の連続LNAヌクレオシドからなる。幾つかの実施態様では、領域F及びF’の全ヌクレオシドがβ-D-オキシLNAヌクレオシドである。
【0164】
幾つかの実施態様では、領域F又はF’の全ヌクレオシド、又はF及びF’は、2’置換ヌクレオシド、例えば、OMe又はMOEヌクレオシドである。幾つかの実施態様では、領域Fは、1、2、3、4、5、6、7、又は8の連続OMe又はMOEヌクレオシドからなる。幾つかの実施態様では、フランキング領域の1つのみが、2’置換ヌクレオシド、例えばOMe又はMOEヌクレオシドで構成されうる。幾つかの実施態様では、OMe又はMOEヌクレオシドなどの2’置換ヌクレオシドからなるのが5’(F)フランキング領域であるのに対し、3’(F’)フランキング領域は、少なくとも1つのLNAヌクレオシド、例えばβ-D-オキシLNAヌクレオシド又はcETヌクレオシドを含む。幾つかの実施態様では、OMe又はMOEヌクレオシドなどの2’置換ヌクレオシドからなるのが3’(F’)フランキング領域であるのに対し、5’(F)フランキング領域は、少なくとも1つのLNAヌクレオシド、例えばβ-D-オキシLNAヌクレオシド又はcETヌクレオシドを含む。
【0165】
幾つかの実施態様では、領域F及びF’の全修飾ヌクレオシドが、例えばβ-D-オキシLNA、ENA、又はScETヌクレオシドから独立して選択されるLNAヌクレオシドであり、領域F又はF’、若しくはF及びF’は、場合によってはDNAヌクレオシド(交互フランク、より詳細にはこれらの定義を参照されたい)を含んでいてもよい。幾つかの実施態様では、領域F及びF’の全修飾ヌクレオシドがβ-D-オキシLNAヌクレオシドであり、ここで、領域F又はF’、若しくはF及びF’は、場合によってはDNAヌクレオシド(交互フランク、より詳細にはこれらの定義を参照されたい)を含んでいてもよい。
【0166】
幾つかの実施態様では、領域F及びF’の最5’及び最も3’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシド、例えばβ-D-オキシLNAヌクレオシド又はScETヌクレオシドである。
【0167】
幾つかの実施態様では、領域Fと領域Gの間のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。幾つかの実施態様では、領域F’と領域Gの間のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。幾つかの実施態様では、領域F又はF’、F及びF’のヌクレオシド間のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0168】
さらなるギャップマー設計は、参照することによって本明細書に組み込まれる、国際公開第2004/046160号、国際公開第2007/146511号、及び国際公開第2008/113832号に開示されている。
【0169】
LNAギャップマー
LNAギャップマーは、領域F及びF’の一方又は両方に、LNAヌクレオシドを含むか、若しくはそれからなるギャップマーである。β-D-オキシギャップマーは、領域F及びF’の一方又は両方に、β-D-オキシLNAヌクレオシドを含むか、若しくはそれからなるギャップマーである。
【0170】
幾つかの実施態様では、LNAギャップマーは、式:[LNA]1-5-[領域G]-[LNA]1-5のものであり、領域Gはギャップマー領域Gの定義で定義したとおりである。
【0171】
MOEギャップマー
MOEギャップマーは、領域F及びF’がMOEヌクレオシドからなるギャップマーである。幾つかの実施態様では、MOEギャップマーは、設計[MOE]1-8-[領域G]-[MOE]1-8、例えば[MOE]2-7-[領域G]5-16-[MOE]2-7、例えば[MOE]3-6-[領域G]-[MOE]3-6のものであり、領域Gはギャップマーの定義において定義したとおりである。5-10-5設計(MOE-DNA-MOE)を有するMOEギャップマーは、当該技術分野で広く使用されている。
【0172】
混合ウィングギャップマー
混合ウィングギャップマーは、LNAギャップマーであり、領域F及びF’の一方又は両方が、2’置換ヌクレオシド、例えば、2’-O-アルキル-RNA単位、2’-O-メチル-RNA、2’-アミノ-DNA単位、2’-フルオロ-DNA単位、2’-アルコキシ-RNA、MOE単位、アラビノ核酸(ANA)単位、及び2’-フルオロ-ANA単位からなる群より独立して選択される2’置換ヌクレオシド、例えばMOEヌクレオシドを含む。領域F及びF’の少なくとも一方、又は領域F及びF’の両方が少なくとも1つのLNAヌクレオシドを含む幾つかの実施態様では、領域F及びF’の残りのヌクレオシドは、MOE及びLNAからなる群より独立して選択される。領域F及びF’の少なくとも一方、又は領域F及びF’の両方が少なくとも2つのLNAヌクレオシドを含む幾つかの実施態様では、領域F及びF’の残りのヌクレオシドは、MOE及びLNAからなる群より独立して選択される。幾つかの混合ウィングの実施態様では、領域F及びF’の一方又は両方が、1つ以上のDNAヌクレオシドをさらに含んでもよい。
【0173】
混合ウィングギャップマー設計は、両方が参照することによって本明細書に組み込まれる、国際公開第2008/049085号及び国際公開第2012/109395号に開示されている。
【0174】
交互フランクギャップマー
フランキング領域は、LNAとDNAヌクレオシドの両方を含んでよく、それらはLNA-DNA-LNAヌクレオシドの交互のモチーフを含むことから、「交互フランク」と呼ばれる。このような交互フランクを含むギャップマーは、「交互フランクギャップマー」と呼ばれる。したがって、「交互フランクギャップマー」は、フランクの少なくとも一方(F又はF’)がLNAヌクレオシドに加えてDNAを含む、LNAギャップマーオリゴヌクレオチドである。幾つかの実施態様では、領域F又はF’の少なくとも一方、若しくは領域F及びF’の両方が、LNAヌクレオシド及びDNAヌクレオシドの両方を含む。このような実施態様では、フランキング領域F又はF’、若しくはF及びF’の両方が少なくとも3つのヌクレオシドを含み、F及び/又はF’領域の最も5’及び3’のヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。
【0175】
交互フランクLNAギャップマーは、国際公開第2016/127002号に開示されている。
【0176】
交互フランク領域は、最大3の連続DNAヌクレオシド、例えば、1から2、若しくは1又は2又は3の連続DNAヌクレオシドを含みうる。
【0177】
交互フランク(flak)は、例えば、LNAヌクレオシド(L)の数に続いてDNAヌクレオシド(D)の数を表す、一連の整数としてアノテーションすることができ、例えば:
[L]1-3-[D]1-4-[L]1-3
[L]1-2-[D]1-2-[L]1-2-[D]1-2-[L]1-2
である。
【0178】
オリゴヌクレオチド設計では、これらは、2-2-1が5’[L]2-[D]2-[L]3’を表し、1-1-1-1-1が5’[L]-[D]-[L]-[D]-[L]3’を表すような数字として表されることが多い。交互フランクを有するオリゴヌクレオチドのフランク(領域F及びF’)の長さは、独立して、3から10ヌクレオシド、例えば4から8、例えば5から6ヌクレオシド、例えば4、5、6又は7修飾ヌクレオシドでありうる。幾つかの実施態様では、ギャップマーオリゴヌクレオチドの一方のフランクのみが交互になっており、他方はLNAヌクレオチドで構成されている。追加のエキソヌクレアーゼ耐性を付与するために、3’フランク(F’)の3’末端に少なくとも2つのLNAヌクレオシドを有することが有利でありうる。交互フランクを有するオリゴヌクレオチドの幾つかの例は次のとおりである:
[L]1-5-[D]1-4-[L]1-3-[G]5-16-[L]2-6
[L]1-2-[D]1-2-[L]1-2-[D]1-2-[L]1-2-[G]5-16-[L]1-2-[D]1-3-[L]2-4
[L]1-5-[G]5-16-[L]-[D]-[L]-[D]-[L]2
ただし、ギャップマーの全長は、少なくとも12、例えば少なくとも14ヌクレオチド長であることを条件とする。
【0179】
オリゴヌクレオチドにおける領域D’又はD”
本発明のオリゴヌクレオチドは、幾つかの実施態様では、ギャップマー F-G-F’などの標的核酸と、さらなる5’及び/又は3’ヌクレオシドとに相補的である、オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含むか、又はそれからなりうる。さらなる5’及び/又は3’ヌクレオシドは、標的核酸に完全に相補的であっても、完全に相補的でなくてもよい。このようなさらなる5’及び/又は3’ヌクレオシドは、本明細書では領域D’及びDと呼ばれうる。
【0180】
領域D’又はD”の追加は、連続ヌクレオチド配列、例えばギャップマーをコンジュゲート部分又は別の官能基に連結する目的で用いられうる。連結に用いられる場合、コンジュゲート部分を有する連続ヌクレオチド配列は、生体切断可能なリンカーとしての役割を果たしうる。あるいは、それはエキソヌクレアーゼ保護を提供するために、若しくは合成又は製造を容易にするために使用されてもよい。
【0181】
領域D’及びD”は、各々、領域Fの5’末端又は領域F’の3’末端に結合されて、以下の式D’-F-G-F’、F-G-F’-D”、又はD’-F-G-F’-D”の設計を生成することができる。この場合、F-G-F’はオリゴヌクレオチドのギャップマー部分であり、領域D’又はD”は、オリゴヌクレオチドの別個の部分を構成する。
【0182】
領域D’又はD”は、独立して、1、2、3、4、又は5の追加のヌクレオチドを含むか、又はそれからなり、これは、標的核酸に相補的であっても、相補的でなくてもよい。F又はF’領域に隣接するヌクレオチドは、DNA又はRNAなどの糖修飾ヌクレオチドではなく、若しくはこれらの塩基修飾バージョンでもない。D’又はD’領域は、ヌクレアーゼ感受性の生体切断可能なリンカーとしての役割を果たしうる(リンカーの定義を参照されたい)。幾つかの実施態様では、追加の5’及び/又は3’末端ヌクレオチドは、ホスホジエステル結合で連結されており、かつ、DNA又はRNAである。領域D’又はD”としての使用に適したヌクレオチドベースの生体切断可能なリンカーは、国際公開第2014/076195号に開示されており、例としてホスホジエステル結合DNAジヌクレオチドを含む。ポリオリゴヌクレオチド構築物における生体切断可能なリンカーの使用は、国際公開第2015/113922号に開示されており、それらは単一のオリゴヌクレオチド内で複数のアンチセンス構築物(例えば、ギャップマー領域)を結合するのに用いられている。
【0183】
一実施態様では、本発明のオリゴヌクレオチドは、ギャップマーを構成する連続ヌクレオチド配列に加えて、領域D’及び/又はD”を含む。
【0184】
幾つかの実施態様では、本発明のオリゴヌクレオチドは、以下の式によって表すことができる:
F-G-F’、特に、F1-8-G5-16-F’2-8
D’-F-G-F’、特に、D’1-3-F1-8-G5-16-F’2-8
F-G-F’-D”、特に、F1-8-G5-16-F’2-8-D”1-3
D’-F-G-F’-D”、特に、D’1-3-F1-8-G5-16-F’2-8-D”1-3。
【0185】
幾つかの実施態様では、領域D’と領域Fの間に位置するヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合である。幾つかの実施態様では、領域F’と領域D”の間に位置するヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合である。
【0186】
トータルマー(Totalmers)
幾つかの実施態様では、オリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシドのすべてが糖修飾ヌクレオシドである。このようなオリゴヌクレオチドは、本明細書ではトータルマーと呼ばれる。
【0187】
幾つかの実施態様では、トータルマーの糖修飾ヌクレオシドのすべてが同じ糖修飾を含み、例えば、それらは、すべてLNAヌクレオシドであっても、すべて2’O-MOEヌクレオシドであってもよい。幾つかの実施態様では、トータルマーの糖修飾ヌクレオシドは、LNAヌクレオシド及び2’置換ヌクレオシド、例えば、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、及び2’-F-ANAヌクレオシドからなる群より選択される2’置換ヌクレオシドから独立して選択されうる。幾つかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、LNAヌクレオシドと2’置換ヌクレオシド、例えば、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、及び2’-F-ANAヌクレオシドからなる群より選択される2’置換ヌクレオシドとの両方を含む。幾つかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、LNAヌクレオシド及び2’-O-MOEヌクレオシドを含む。幾つかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、(S)cET LNAヌクレオシド及び2’-O-MOEヌクレオシドを含む。幾つかの実施態様では、オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド単位は、2’置換ヌクレオシドである。幾つかの実施態様では、オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド単位は、2’-O-MOEヌクレオシドである。
【0188】
幾つかの実施態様では、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列のすべてのヌクレオシドは、LNAヌクレオシド、例えばβ-D-オキシ-LNAヌクレオシド及び/又は(S)cETヌクレオシドである。幾つかの実施態様では、このようなLNAトータルマーオリゴヌクレオチドは、7-12の間のヌクレオシド長である(例えば、国際公開第2009/043353号を参照されたい)。このような短い完全LNAオリゴヌクレオチドは、マイクロRNAの阻害に特に有効である。
【0189】
さまざまなトータルマー化合物は、治療用オリゴマーとして、特にマイクロRNAを標的とする場合(antimiR)、又はスプライススイッチングオリゴマー(SSO)として、非常に効果的である。
【0190】
幾つかの実施態様では、トータルマーは、反復配列XYX又はYXYなどの少なくとも1つのXYX又はYXY配列モチーフを含むか、又はそれからなり、ここで、XはLNAであり、Yは、2’-OMeRNA単位及び2’-フルオロDNA単位などの代替(すなわち、非LNA)ヌクレオチドアナログである。上記の配列モチーフは、幾つかの実施態様では、例えば、XXY、XYX、YXY、又はYYXでありうる。
【0191】
幾つかの実施態様では、トータルマーは、7から24ヌクレオチドの間、例えば、7、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、又は23ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含むか、又はそれで構成されうる。
【0192】
幾つかの実施態様では、トータルマー(totolmer)の連続ヌクレオチド配列は、LNA単位を少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも90%、例えば95%、例えば100%含む。完全なLNA化合物では、例えば7-10など、12ヌクレオチド長未満であることが有利である。
【0193】
残りの単位は、2’-O-アルキル-RNA単位、2’-OMe-RNA単位、2’-アミノ-DNA単位、2’-フルオロ-DNA単位、LNA単位、PNA単位、HNA単位、INA単位、及び2’MOE RNA単位からなる群、又は2’-OMeRNA単位及び2’-フルオロDNA単位の群から選択されるものなど、本明細書で言及される非LNAヌクレオチドアナログから選択されうる。
【0194】
ミックスマー(Mixmers)
用語「ミックスマー」は、RNaseHを動員するには連続DNAヌクレオシド長が不十分な、DNAヌクレオシドと糖修飾ヌクレオシドの両方を含むオリゴマーを指す。適切なミックスマーは、最大3つ又は最大4つの連続DNAヌクレオシドを含みうる。幾つかの実施態様では、ミックスマーは、糖修飾ヌクレオシドとDNAヌクレオシドとの交互領域を含む。オリゴヌクレオチドに組み込まれたときにRNA様(3’endo)立体構造を形成する糖修飾ヌクレオシドの領域と、DNAヌクレオシドの短い領域とを交互に配置することにより、非RNaseH動員オリゴヌクレオチドを生成することができる。有利には、糖修飾ヌクレオシドは、親和性を高める糖修飾ヌクレオシドである。
【0195】
オリゴヌクレオチドミックスマーは、スプライスモジュレーター又はマイクロRNA阻害剤などの標的遺伝子の占有ベースの調節を提供するために用いられることが多い。
【0196】
幾つかの実施態様では、ミックスマー中の糖修飾ヌクレオシド、又はその連続ヌクレオチド配列は、LNAヌクレオシド、例えば(S)cET又はβ-D-オキシLNAヌクレオシドを含むか、又はすべてそれらである。
【0197】
幾つかの実施態様では、ミックスマーの糖修飾ヌクレオシドのすべてが同じ糖修飾を含み、例えば、それらは、すべてLNAヌクレオシドであっても、すべて2’O-MOEヌクレオシドであってもよい。幾つかの実施態様では、ミックスマーの糖修飾ヌクレオシドは、LNAヌクレオシドと、2’置換ヌクレオシド、例えば、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、及び2’-F-ANAヌクレオシドからなる群より選択される2’置換ヌクレオシドから独立して選択されうる。幾つかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、LNAヌクレオシドと2’置換ヌクレオシド、例えば、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、及び2’-F-ANAヌクレオシドからなる群より選択される2’置換ヌクレオシドとの両方を含む。幾つかの実施態様では、オリゴヌクレオチド(oligonucleoitide)は、LNAヌクレオシド及び2’-O-MOEヌクレオシドを含む。幾つかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、(S)cET LNAヌクレオシド及び2’-O-MOEヌクレオシドを含む。
【0198】
幾つかの実施態様では、ミックスマー、又はその連続ヌクレオチド配列は、例えば8-24の間のヌクレオシド長でありうる、LNAミックスマーオリゴヌクレオチドなどのLNA及びDNAヌクレオシドのみを含む(例えば、マイクロRNAのLNA antmiR阻害剤が開示されている国際公開第2007/112754号)。
【0199】
さまざまなミックスマー化合物は、治療用オリゴマーとして、特にマイクロRNAを標的とする場合(antimiR)、又はスプライススイッチングオリゴマー(SSO)として、非常に効果的である。
【0200】
幾つかの実施態様では、ミックスマーは、次のモチーフを含む:
…[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m…又は
…[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m…又は
…[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m…又は
…[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m…
ここで、Lは、LNA又は2’置換ヌクレオシド(例えば、2’-O-MOE)などの糖修飾ヌクレオシドを表し、Dは、DNAクレオシドを表し、各mは、1-6から独立して選択され、各nは、1、2、3、及び4、例えば1-3から独立して選択される。幾つかの実施態様では、各LはLNAヌクレオシドである。幾つかの実施態様では、少なくとも1つのLはLNAヌクレオシドであり、少なくとも1つのLは2’-O-MOEヌクレオシドである。幾つかの実施態様では、各Lは、LNA及び2’-O-MOEヌクレオシドから独立して選択される。
【0201】
幾つかの実施態様では、ミックスマーは、10から24の間のヌクレオチド、例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、又は23のヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含むか、又はそれで構成されうる。
【0202】
幾つかの実施態様では、ミックスマーの連続ヌクレオチド配列は、LNA単位を、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%含む。
【0203】
幾つかの実施態様では、ミックスマーは、ヌクレオチドアナログと天然に存在するヌクレオチドとの繰り返しパターンの連続ヌクレオチド配列、若しくはあるタイプのヌクレオチドアナログと第2のタイプのヌクレオチドアナログを含むか、又はそれらからなる。繰り返しパターンは、例えば、次のものでありうる:1つおき又は2つおきのヌクレオチドが、LNAなどのヌクレオチドアナログであり、残りのヌクレオチドは、DNAなどの天然に存在するヌクレオチドであるか、又は本明細書で言及される2’フルオロアナログの2’MOEなどの2’置換ヌクレオチドアナログであるか、又は幾つかの実施態様では、本明細書で言及されるヌクレオチドアナログの群から選択されたものである。LNA単位などのヌクレオチドアナログの繰り返しパターンは、固定位置、例えば5’末端又は3’末端でヌクレオチドアナログと組み合わせることができることが認識されている。
【0204】
幾つかの実施態様では、3’末端から数えて、オリゴマーの第1のヌクレオチドは、LNAヌクレオチド又は2’-O-MOEヌクレオシドなどのヌクレオチドアナログである。
【0205】
同じであっても異なっていてもよい幾つかの実施態様では、3’末端から数えて、オリゴマーの第2のヌクレオチドは、LNAヌクレオチド又は2’-O-MOEヌクレオシドなどのヌクレオチドアナログである。
【0206】
同じであっても異なっていてもよい幾つかの実施態様では、オリゴマーの5’末端は、LNAヌクレオチド又は2’-O-MOEヌクレオシドなどのヌクレオチドアナログである。
【0207】
幾つかの実施態様では、ミックスマーは、少なくとも2つの連続するヌクレオチドアナログ単位、例えば少なくとも2つの連続するLNA単位を含む少なくともある領域を含む。
【0208】
幾つかの実施態様では、ミックスマーは、少なくとも3つの連続するヌクレオチドアナログ単位、例えば少なくとも3つの連続するLNA単位を含む少なくともある領域を含む。
【0209】
コンジュゲート
本明細書で用いられるコンジュゲートという用語は、非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分又は領域C又は第3の領域)に共有結合したオリゴヌクレオチドを指す。
【0210】
1つ以上の非ヌクレオチド部分に対する本発明のオリゴヌクレオチドのコンジュゲーションは、例えば、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、細胞取込み、又は安定性に影響を及ぼすことにより、オリゴヌクレオチドの薬理学を改善することができる。幾つかの実施態様では、コンジュゲート部分は、オリゴヌクレオチドの細胞分布、生物学的利用能、代謝、排泄、浸透性、及び/又は細胞取り込みを改善することによって、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を調節又は向上させる。特に、コンジュゲートは、オリゴヌクレオチドを特定の器官、組織、又は細胞型に標的化し、それによって、その器官、組織、又は細胞型におけるオリゴヌクレオチドの有効性を高めることができる。同時に、コンジュゲートは、標的ではない細胞型、組織、又は器官におけるオリゴヌクレオチドの活性、例えば、オフターゲット活性、若しくは標的ではない細胞型、組織、又は器官内の活性を低下させるのに役立ちうる。
【0211】
国際公開第93/07883号及び国際公開第2013/033230号は適切なコンジュゲート部分を提供し、これらは、参照することによって本明細書に組み込まれる。さらなる適切なコンジュゲート部分は、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)に結合することができるものである。特に、三価N-アセチルガラクトサミンのコンジュゲート部分は、ASGPRへの結合に適しており、例えば、国際公開第2014/076196号、国際公開第2014/207232号、及び国際公開第2014/179620号(参照することによって本明細書に組み込まれる)を参照されたい。このようなコンジュゲートは、肝臓へのオリゴヌクレオチドの取り込みを促進する一方で、腎臓におけるその存在を減少させるのに役立ち、それによって、同じオリゴヌクレオチドの非コンジュゲートバージョンと比較して、コンジュゲートされたオリゴヌクレオチドの肝臓/腎臓比を増加させる。
【0212】
オリゴヌクレオチドコンジュゲート及びそれらの合成については、その各々全体が参照することによって本明細書に組み込まれる、Manoharan in Antisense Drug Technology, Principles, Strategies, and Applications, S.T.Crooke, ed., Ch. 16, Marcel Dekker, Inc., 2001、及びManoharan, Antisense and Nucleic Acid Drug Development, 2002, 12, 103による包括的なレビューでも報告されている。
【0213】
一実施態様では、非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分)は、炭水化物、細胞表面受容体リガンド、原体、ホルモン、親油性物質、ポリマー、タンパク質、ペプチド、毒素(例えば、細菌毒素)、ビタミン、ウイルスタンパク質(例えば、カプシド)、又はそれらの組合せからなる群より選択される。
【0214】
リンカー
結合又はリンカーは、1つ以上の共有結合を介して目的の1つの化学基又はセグメントを目的の別の化学基又はセグメントに連結する、2つの原子間の接続である。コンジュゲート部分は、直接又は連結部分(例えば、リンカー又はテザー)を介してオリゴヌクレオチドに結合させることができる。リンカーは、第3の領域、例えばコンジュゲート部分(領域C)を、第1の領域、例えば、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列(領域A)に共有結合する役割を果たす。
【0215】
本発明の幾つかの実施態様では、本発明のコンジュゲート又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、場合によっては、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列(領域A又は第1の領域)と、コンジュゲート部分(領域C又は第3の領域)との間に位置するリンカー領域(第2の領域又は領域B及び/又は領域Y)を含みうる。
【0216】
領域Bは、哺乳動物の体内で通常遭遇する又は遭遇するものに類似した条件下で切断可能である生理学的に不安定な結合を含むか、又はそれからなる生体切断可能なリンカーを指す。生理学的に不安定なリンカーが化学的変換(例えば、切断)を受ける条件には、pH、温度、酸化又は還元条件、若しくは薬剤などの化学条件、並びに哺乳動物の細胞で見られる又は遭遇するものに類似した塩濃度が含まれる。哺乳動物の細胞内条件には、タンパク質分解酵素又は加水分解酵素又はヌクレアーゼなどの哺乳動物細胞に通常存在する酵素活性の存在も含まれる。一実施態様では、生体切断可能なリンカーは、S1ヌクレアーゼ切断の影響を受けやすい。好ましい実施態様では、ヌクレアーゼ感受性リンカーは、少なくとも2つの連続したホスホジエステル結合、例えば、少なくとも3つ又は4つ又は5つの連続したホスホジエステル結合を含む、1から10の間のヌクレオシド、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のヌクレオシド、より好ましくは2から6の間のヌクレオシド、最も好ましくは2から4の間の結合したヌクレオシドを含む。好ましくは、ヌクレオシドは、DNA又はRNAである。ホスホジエステルを含む生体切断可能なリンカーは、国際公開第2014/076195号(参照することによって本明細書に組み込まれる)により詳細に記載されている。
【0217】
領域Yは、必ずしも生体切断可能ではないが、主にコンジュゲート部分(領域C又は第3の領域)をオリゴヌクレオチド(領域A又は第1の領域)に共有結合させるのに役立つリンカーを指す。領域Yリンカーは、エチレングリコール、アミノ酸単位、又はアミノアルキル基などの繰り返し単位の鎖構造又はオリゴマーを含みうる。本発明のオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、次の領域要素A-C、A-B-C、A-B-Y-C、A-Y-B-C、又はA-Y-Cから構築することができる。幾つかの実施態様では、リンカー(領域Y)は、例えばC6からC12アミノアルキル基を含む、C2-C36アミノアルキル基などのアミノアルキルである。好ましい実施態様では、リンカー(領域Y)は、C6アミノアルキル基である。
【0218】
したがって、本発明は、特に次のものに関する。
【0219】
(A1)及び(A2)の一方が糖修飾ヌクレオシドであり、他方がDNAである、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0220】
(A1)及び(A2)が両方とも同時に糖修飾ヌクレオシドである、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0221】
糖修飾ヌクレオシドが、独立して2’糖修飾ヌクレオシドである、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0222】
2’糖修飾ヌクレオシドが、独立して、2’-アルコキシ-RNA、特に、2’-メトキシ-RNA、2’-アルコキシアルコキシ-RNA、特に、2’-メトキシエトキシ-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、又は2’-フルオロ-ANAから選択される、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0223】
2’糖修飾ヌクレオシドが、2’-アルコキシアルコキシ-RNA、特に、2’-メトキシエトキシ-RNAである、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0224】
2’糖修飾ヌクレオシドがLNAヌクレオシドである、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0225】
LNAヌクレオシドが、β-D-オキシLNA、6’-メチル-β-D-オキシLNA、及びENA、特に、β-D-オキシLNAから独立して選択される、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0226】
ホスホジエステルヌクレオシド間結合、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合、及び式(I)で定義されるヌクレオシド間結合から選択される、さらなるヌクレオシド間結合を含む、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0227】
ホスホロチオエートヌクレオシド間結合、及び式(I)で定義されるヌクレオシド間結合から選択される、さらなるヌクレオシド間結合を含む、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0228】
式(I)で定義される、式(I)の1から15の間、特に、1から5の間、より具体的には、1、2、3、4、又は5のジヌクレオシドを含む、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0229】
さらなるヌクレオシド間結合がすべて、式-P(=S)(OR)O2-のホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、式中、Rは、水素又はリン酸保護基である、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0230】
DNAヌクレオシド、RNAヌクレオシド、及び糖修飾ヌクレオシドから選択されるさらなるヌクレオシドを含む、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0231】
1つ以上のヌクレオシドが、核酸塩基修飾ヌクレオシド、例えば、5-メチルシトシン核酸塩基を含むヌクレオシドである、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0232】
式(I)の少なくとも1つのジヌクレオシドが、アンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドのフランキング領域にあるか、又はアンチセンスギャップマーオリゴヌクレオチドのギャップ領域とフランキング領域その間に位置している、すなわち、(A1)及び(A2)が両方とも同時に糖修飾ヌクレオシドであるか、あるいは(A1)及び(A2)の一方がDNAヌクレオシド又はRNAヌクレオシドであり、他方が糖修飾ヌクレオシドである、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0233】
ギャップマーオリゴヌクレオチドが、LNAギャップマー、混合ウィングギャップマー、又は2’-置換ギャップマー、特に、2’-O-メトキシエチルギャップマーである、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0234】
Aが硫黄である、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0235】
ギャップマーオリゴヌクレオチドが式5’-F-G-F’-3’の連続ヌクレオチド配列を含み、ここで、Gは、RNaseHを動員することができる5から18ヌクレオシドの領域であり、前記領域Gは、5’及び3’がそれぞれフランキング領域F及びF’によって隣接されており、該領域F及びF’は、独立して、1から7の2’-糖修飾ヌクレオチドを含むか、又はそれからなり、領域Gに隣接する領域Fのヌクレオシドは2’-糖修飾ヌクレオシドであり、領域Gに隣接する領域F’のヌクレオシドは2’-糖修飾ヌクレオシドである、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0236】
式(I)の前記少なくとも1つのジヌクレオシドが、領域F又はF’に、若しくは領域Gと領域Fの間に、若しくは領域Gと領域F’の間に配置される、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0237】
領域F又は領域F’における、若しくは領域F及びF’の両方における2’-糖修飾ヌクレオシドが、独立して、2’-アルコキシ-RNA、特に、2’-メトキシ-RNA、2’-アルコキシアルコキシ-RNA、特に、2’-メトキシエトキシ-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、2’-フルオロ-ANA、及びLNAヌクレオシドから選択される、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0238】
領域F又は領域F’における、若しくは領域F及びF’の両方におけるすべての2’-糖修飾ヌクレオシドが、LNAヌクレオシドである、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0239】
領域F又は領域F’における、若しくは領域F及びF’の両方における2’-糖修飾ヌクレオシドが、すべて2’-アルコキシ-RNA、特に、2’-メトキシ-RNA、すべて2’-アルコキシアルコキシ-RNA、特に、2’-メトキシエトキシ-RNA、すべて2’-アミノ-DNA、すべて2’-フルオロ-RNA、すべて2’-フルオロ-ANA、又はすべてLNAヌクレオシドである、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0240】
領域F又は領域F’、若しくは領域F及びF’の両方が、少なくとも1つのLNAヌクレオシド及び少なくとも1つのDNAヌクレオシドを含む、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0241】
領域F又は領域F’、若しくは領域F及びF’の両方が、少なくとも1つのLNAヌクレオシド及び少なくとも1つの非LNA2’-糖修飾ヌクレオシド、例えば、少なくとも1つの2’-メトキシエトキシ-RNAヌクレオシドを含む、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0242】
ギャップ領域Gが、5から16、特に、8から16、より具体的には、8、9、10、11、12、13、又は14の連続DNAヌクレオシドを含む、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0243】
領域F及び領域F’が、独立して、1、2、3、4、5、6、7、又は8ヌクレオシド長である、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0244】
領域F及び領域F’が、各々、独立して、1つ、2つ、3つ、又は4つのLNAヌクレオシドを含む、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0245】
LNAヌクレオシドが、β-D-オキシLNA、6’-メチル-β-D-オキシLNA、及びENAから独立して選択される、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0246】
LNAヌクレオシドがβ-D-オキシLNAである、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0247】
オリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列(F-G-F’)が、10から30ヌクレオチド長、特に12から22、より具体的には14から20オリゴヌクレオチド長のものである、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0248】
ギャップマーオリゴヌクレオチドが、式5’-D’-F-G-F’-D”-3’の連続ヌクレオチド配列を含み、ここで、F、G、及びF’は、請求項17から28のいずれか一項に記載されているものであり、領域D’及びD”は、各々、独立して、0から5のヌクレオチド、特に、2、3、又は4のヌクレオチド、特に、ホスホジエステル結合DNAヌクレオシドなどのDNAヌクレオチドからなる、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0249】
各フランキング領域F及びF’が、独立して、1、2、3、4、5、6、又は7、特に1つの式(I)のジヌクレオシドを含む、請求項17から29のいずれか一項に記載オリゴヌクレオチド。
【0250】
合計1つの式(I)のジヌクレオシド、特に、1つの領域F’に配置された、又は領域Gと領域F’との間に配置された式(I)のジヌクレオシドを含む、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0251】
オリゴヌクレオチドがヒトRNaseH1を動員することができる、本発明によるオリゴヌクレオチド。
【0252】
本発明によるオリゴヌクレオチドの薬学的に許容される塩、特に、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩。
【0253】
本発明によるオリゴヌクレオチド又は薬学的に許容される塩と、場合によってはリンカー部分を介して、前記オリゴヌクレオチド又は前記薬学的に許容される塩に共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分とを含む、コンジュゲート。
【0254】
本発明によるオリゴヌクレオチド、薬学的に許容される塩、又はコンジュゲート、及び治療的に不活性な担体を含む、薬学的組成物。
【0255】
治療的活性物質として使用するための本発明によるオリゴヌクレオチド、薬学的に許容される塩、又はコンジュゲート。
【0256】
本発明は、特に、式(I-a):
の化合物に関し、式中、
R
2は、アルコキシ、アルコキシアルコキシ、又はアミノであり;かつ
R
4は水素であるか;又は
R
4及びR
2は一緒にX-Yを形成し;
Xは、酸素、硫黄、-CR
aR
b-、-C(R
a)=C(R
b)-、-C(=CR
aR
b)-、-C(R
a)=N-、-Si(R
a)
2-、-SO
2-、-NR
a-;-O-NR
a-、-NR
a-O-、-C(=J)-、Se、-O-NR
a-、-NR
a-CR
aR
b-、-N(R
a)-O-、又は-O-CR
aR
b-であり;
Yは、酸素、硫黄、-(CR
aR
b)
n-、-CR
aR
b-O-CR
aR
b-、-C(R
a)=C(R
b)-、-C(R
a)=N-、-Si(R
a)
2-、-SO
2-、-NR
a-、-C(=J)-、Se、-O-NR
a-、-NR
a-CR
aR
b-、-N(R
a)-O-、又は-O-CR
aR
b-であり;
ただし、-X-Y-は、-O-O-、Si(R
a)
2-Si(R
a)
2-、-SO
2-SO
2-、-C(R
a)=C(R
b)-C(R
a)=C(R
b)、-C(R
a)=N-C(R
a)=N-、-C(R
a)=N-C(R
a)=C(R
b)、-C(R
a)=C(R
b)-C(R
a)=N-、又は-Se-Se-ではないことを条件とし;
Jは、酸素、硫黄、=CH
2又は=N(R
a)であり;
R
a及びR
bは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、チオヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、ヘテロシクリル、アミノ、アルキルアミノ、カルバモイル、アルキルアミノカルボニル、アミノアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、カルバミド、アルカノイルオキシ、スルホニル、アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、チオヒドロキシルスルフィドアルキルスルファニル、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、-OC(=X
a)R
c、-OC(=X
a)NR
cR
d、及び-NR
eC(=X
a)NR
cR
dから独立して選択され;
又は、2つのジェミナルなR
a及びR
bが一緒になって、置換されていてもよいメチレンを形成するか;
又は、2つのジェミナルなR
a及びR
bが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、-X-Y-の炭素原子を1つだけ有するシクロアルキル又はハロシクロアルキルを形成し;
ここで、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アルコキシ、及び置換メチレンは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、ヘテロシクリル(heterocylyl)、アリール、及びヘテロアリールから独立して選択される1から3個の置換基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、及びメチレンであり;
X
aは、酸素、硫黄、又は-NR
cであり;
R
c、R
d及びR
eは、水素及びアルキルから独立して選択され;
R
5はヒドロキシル保護基であり;
R
xはシアノアルキル又はアルキルであり;
R
yはジアルキルアミノ又はピロリジニルであり;
Nuは、核酸塩基又は保護された核酸塩基であり;かつ
nは、1、2、又は3である。
【0257】
本発明によるオリゴヌクレオチドは、例えば、次のスキームに従って調製することができる。
【0258】
スキーム2では、B1及びB2は核酸塩基であり、Aは上記定義されたとおりである。
【0259】
ホスホノアセテート又はチオホスホノアセテート修飾を含むオリゴヌクレオチドは、固相オリゴヌクレオチド化学を使用して合成することができる。DMTで保護されたデオキシリボヌクレオシド3’-O-ジイソプロピルアミノホスフィノ酢酸 ジメチル-β-シアノエチルエステルは、固体支持体に結合したデオキシリボヌクレオシドに縮合する。次に、ホスフィナイト結合を、例えば、低酸化剤試薬(THF/ピリジン/H2O:88/10/2中、0.02MのI2)を使用して酸化するか、又は例えば、アセトニトリル/ピリジン中、3-アミノ-1,2,4-ジチアゾール-5-チオンの0.1M溶液を使用して硫化する。無水酢酸でキャッピングし、ジクロロ酢酸で処理して5’-O-ジメトキシトリイル(dimethoxytriyl)基を除去した後、このサイクルを適切な回数繰り返して、ホスホノアセテート修飾を含むオリゴヌクレオチドを得る。
【0260】
本発明によるオリゴヌクレオチドの製造に有用なモノマー構成ブロックは、例えば、次のスキームに従って調製することができる。
【0261】
ジメチルシアノエチルブロモアセテートは、ブロモアセチルブロミドをトルエン中の3-ヒドロキシ-3-メチルブチロニトリルと一晩還流下で縮合させることにより合成される。次に、リンエステル誘導体は、ジイソプロピルアミノクロロホスフィンとのレフォルマトスキー反応を介して調製される。テトラゾールを使用してこの反応物を保護された2’-デオキシヌクレオシドとさらに縮合させると、LNA PACEホスホルアミダイトが生成される。
【0262】
スキーム3では、R5、Rx、Ry、及びNuは、上記定義されたとおりである。
【0263】
モノマーは、特に、上記の手順を追従する次のスキームに従って調製することができる。
【0264】
スキーム4では、Nuは上記定義されたとおりである。
【0265】
したがって、本発明は、式(II):
の化合物、又はその薬学的に許容される塩(alt)に関し、式中、
Xは、酸素、硫黄、-CR
aR
b-、-C(R
a)=C(R
b)-、-C(=CR
aR
b)-、-C(R
a)=N-、-Si(R
a)
2-、-SO
2-、-NR
a-;-O-NR
a-、-NR
a-O-、-C(=J)-、Se、-O-NR
a-、-NR
a-CR
aR
b-、-N(R
a)-O-、又は-O-CR
aR
b-であり;
Yは、酸素、硫黄、-(CR
aR
b)
n-、-CR
aR
b-O-CR
aR
b-、-C(R
a)=C(R
b)-、-C(R
a)=N-、-Si(R
a)
2-、-SO
2-、-NR
a-、-C(=J)-、Se、-O-NR
a-、-NR
a-CR
aR
b-、-N(R
a)-O-、又は-O-CR
aR
b-であり;
ただし、-X-Y-は、-O-O-、Si(R
a)
2-Si(R
a)
2-、-SO
2-SO
2-、-C(R
a)=C(R
b)-C(R
a)=C(R
b)、-C(R
a)=N-C(R
a)=N-、-C(R
a)=N-C(R
a)=C(R
b)、-C(R
a)=C(R
b)-C(R
a)=N-、又は-Se-Se-ではないことを条件とし;
Jは、酸素、硫黄、=CH
2又は=N(R
a)であり;
R
a及びR
bは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、チオヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、ヘテロシクリル、アミノ、アルキルアミノ、カルバモイル、アルキルアミノカルボニル、アミノアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、カルバミド、アルカノイルオキシ、スルホニル、アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、チオヒドロキシルスルフィドアルキルスルファニル、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、-OC(=X
a)R
c、-OC(=X
a)NR
cR
d、及び-NR
eC(=X
a)NR
cR
dから独立して選択され;
又は、2つのジェミナルなR
a及びR
bが一緒になって、置換されていてもよいメチレンを形成するか;
又は、2つのジェミナルなR
a及びR
bが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、-X-Y-の炭素原子を1つだけ有するシクロアルキル又はハロシクロアルキルを形成し;
ここで、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アルコキシ、及び置換メチレンは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、ヘテロシクリル(heterocylyl)、アリール、及びヘテロアリールから独立して選択される1から3個の置換基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、及びメチレンであり;
X
aは、酸素、硫黄、又は-NR
cであり;
R
c、R
d及びR
eは、水素及びアルキルから独立して選択され;
R
5はヒドロキシル保護基であり;
R
xは、シアノアルキル又はアルキル、特にシアノアルキルであり;
R
yはジアルキルアミノ又はピロリジニルであり;
Nuは、核酸塩基又は保護された核酸塩基であり;かつ
nは、1、2、又は3である。
【0266】
本発明はさらに、特に、次のものに関する。
【0267】
-X-Y-が、-CH2-O-、-CH(CH3)-O-、又は-CH2CH2-O-である、本発明による化合物。
【0268】
式(III)又は(IV):
[式中、R
5、R
x、R
y、及びNuは、上記定義されたとおりである]
の、本発明による化合物。
【0269】
Rxが、2-シアノ-1,1-ジメチル-エチル、メチル、エチル、プロピル、又はtert-ブチルである、本発明による化合物。
【0270】
Rxが、2-シアノ-1,1-ジメチル-エチルである、本発明による化合物。
【0271】
Ryが、ジイソプロピルアミノ又はピロリジニルである、本発明による化合物。
【0272】
Ryがジアルキルアミノである、本発明による化合物。
【0273】
Ryがジイソプロピルアミノである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【0274】
式(V):
[式中、R
5及びNuは、上記定義されたとおりである]
の、本発明による化合物。
【0275】
Nuが、チミン、保護されたチミン、アデノシン、保護されたアデノシン、シトシン、保護されたシトシン、5-メチルシトシン、保護された5-メチルシトシン、グアニン、保護されたグアニン、ウラシル、又は保護されたウラシルである、本発明による化合物。
【0276】
【0277】
本発明による式(II)の化合物の製造プロセスであって、式(C):
の化合物と、式P(R
y)
2(CH
2)COO(R
x)の化合物との、カップリング剤及び塩基の存在下での反応を含み、式中、X、Y、R
5、Nu、R
x、及びR
yは、上記定義されたとおりである、製造プロセス。
【0278】
カップリング剤が、1H-テトラゾール、5-エチルチオ-1H-テトラゾール、2-ベンジルチオテトラゾール、又は4,5-ジシアノイミダゾール(DCI)、特にテトラゾールである、本発明によるプロセス。
【0279】
オリゴヌクレオチドの製造における、本発明による化合物の使用。
【0280】
本発明のプロセスは、塩基、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルアミン、又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンで好都合にクエンチすることができる。
【0281】
本発明による、2’-アルコキシ-RNA、特に、2’-メトキシ-RNA、2’-アルコキシアルコキシ-RNA、特に、2’-メトキシエトキシ-RNAを含むオリゴヌクレオチドは、次の手順に従って合成することができる。
【0282】
スキーム5では、B1及びB2は核酸塩基であり、Aは上記定義されたとおりである。
【0283】
MOE(又は他の2’置換基)ホスホノアセテート又はチオホスホノアセテート修飾を含むオリゴヌクレオチドは、固相オリゴヌクレオチド化学を使用して合成することができる。DMTで保護されたデオキシリボヌクレオシド3’-O-ジイソプロピルアミノホスフィノ酢酸 ジメチル-β-シアノエチルエステルは、固体支持体に結合したデオキシリボヌクレオシドに縮合する。次に、ホスフィナイト結合を、例えば、低酸化剤試薬(THF/ピリジン/H2O:88/10/2中、0.02MのI2)を使用して酸化するか、又は例えば、アセトニトリル/ピリジン中、3-アミノ-1,2,4-ジチアゾール-5-チオンの0.1M溶液を使用して硫化する。無水酢酸でキャッピングし、ジクロロ酢酸で処理して5’-O-ジメトキシトリイル(dimethoxytriyl)基を除去した後、このサイクルを適切な回数繰り返して、ホスホノアセテート修飾を含むオリゴヌクレオチドを得る。
【0284】
本発明によるオリゴヌクレオチドの製造に有用なモノマー構成ブロックは、例えば、次のスキームに従って調製することができる。
【0285】
ジメチルシアノエチルブロモアセテートは、ブロモアセチルブロミドをトルエン中の3-ヒドロキシ-3-メチルブチロニトリルと一晩還流下で縮合させることにより合成される。次に、リンエステル誘導体は、ジイソプロピルアミノクロロホスフィンとのレフォルマトスキー反応を介して調製される。4,5-DCIを使用してこの反応物を保護された2’-デオキシヌクレオシドとさらに縮合させると、MOE PACEホスホルアミダイトが生成される。
【0286】
スキーム6では、R5、Rx、Ry、及びNuは、上記定義されたとおりである。
【0287】
モノマーは、特に、上記の手順を追従する次のスキームに従って調製することができる。
【0288】
スキーム7では、Nuは上記定義されたとおりである。
【0289】
したがって、本発明は、式(VI):
の化合物、又はその薬学的に許容される塩(alt)に関し、式中、
R
2は、アルコキシ、アルコキシアルコキシ、又はアミノ、特に、アルコキシ又はアルコキシアルコキシであり;
R
5はヒドロキシル保護基であり;
R
xは、シアノアルキル又はアルキル、特にシアノアルキルであり;
R
yはジアルキルアミノ又はピロリジニルであり;
Nuは、核酸塩基又は保護された核酸塩基である。
【0290】
本発明はさらに、特に、次のものに関する。
【0291】
R2が、メトキシ、メトキシエトキシ又はアミノ、特に、メトキシ又はメトキシエトキシである、本発明による化合物。
【0292】
式(VII):
[式中、R
5、R
x、R
y、及びNuは、上記定義されたとおりである]
の、本発明による化合物。
【0293】
Rxが、2-シアノ-1,1-ジメチル-エチル、メチル、エチル、プロピル、又はtert-ブチルである、本発明による化合物。
【0294】
Rxが、2-シアノ-1,1-ジメチル-エチルである、本発明による化合物。
【0295】
Ryが、ジイソプロピルアミノ又はピロリジニルである、本発明による化合物。
【0296】
Ryがジアルキルアミノである、本発明による化合物。
【0297】
Ryがジイソプロピルアミノである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【0298】
式(VIII):
[式中、R
5及びNuは、上記定義されたとおりである]
の、本発明による化合物。
【0299】
Nuが、チミン、保護されたチミン、アデノシン、保護されたアデノシン、シトシン、保護されたシトシン、5-メチルシトシン、保護された5-メチルシトシン、グアニン、保護されたグアニン、ウラシル、又は保護されたウラシルである、本発明による化合物。
【0300】
【0301】
本発明による式(VI)の化合物の製造プロセスであって、式(D):
の化合物と、式P(R
y)
2(CH
2)COO(R
x)の化合物との、カップリング剤及び塩基の存在下での反応を含み、式中、R
2、R
5、Nu、R
x、及びR
yは、上記定義されたとおりである、製造プロセス。
【0302】
カップリング剤が、1H-テトラゾール、5-エチルチオ-1H-テトラゾール、2-ベンジルチオテトラゾール、4,5-ジシアノイミダゾール(DCI)、特に、DCIである、本発明によるプロセス。
【0303】
オリゴヌクレオチドの製造における本発明による化合物の使用。
【0304】
本発明のプロセスは、塩基、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルアミン、又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンで好都合にクエンチすることができる。
【0305】
これより、本発明を、限定的な特徴を有しない以下の実施例によって説明する。
【実施例】
【0306】
略語:
A アデニン
G グアニン
mC メチルシトシン
T チミン
LNA ロックされた核酸
RNA リボ核酸
DMT ジメトキシトリチル(Dimetoxytrityl)
DCA ジクロロ酢酸
DCM ジクロロメタン
THF テトラヒドロフラン
Anh. 無水
TLC 薄層クロマトグラフィ
NMR 核磁気共鳴
CPG 制御された細孔ガラス
RT 逆転写
qPCR 定量的ポリメラーゼ連鎖反応
ds 二本鎖
Tm 熱融解
【0307】
実施例1:モノマー合成
1.1. 1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル2-ブロモアセテート
トルエン(67.2mL)中、2-ブロモアセチルブロミド(14.7g、6.31mL、72.6mmol、1.2当量)の溶液に、3-ヒドロキシ-3-メチルブタンニトリル(6g、6.28ml、60.5mmol、1当量)を攪拌しながらゆっくりと加えた。丸底フラスコは、Friedrichのコンデンサと酸トラップ(NaOH水溶液を含む)に通気された乾燥管とを備えていた。反応混合物を加熱して一晩還流させた。反応を室温まで冷却し、次に混合物を減圧濃縮して無色の油を得た。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサンを勾配として使用するコンビフラッシュクロマトグラフィによって精製し、生成物をヘキサン中の30%酢酸エチルで溶出して、1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル2-(ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスファネイル)アセテートを得た(8.14g、37mmol、収率58%)。
1H NMR(クロロホルム-d,300MHz)δ3.8(s,2H),2.9(s,2H),1.6(s,6H)。
【0308】
1.2. 1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル2-(ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスファネイル)アセテート
1-クロロ-N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスファンジアミン(7.75g、29mmol、1当量)を無水THF(69.4ml)に溶解した。別の41.6mlの無水ジエチルエーテルを加えた。無水THF(34.7ml)中、1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル2-ブロモアセテート(7.03g、32mmol、1.1当量)を丸底フラスコに入れた。亜鉛(2.85g、43.6mmol、1.5当量)、無水ジエチルエーテル(22.2ml)、及びマグネティックスターラーを、Friedrichのコンデンサを備えた500mLの3つ口丸底フラスコに入れた。ホスフィン(36mL)及びブロモアセテート溶液(10mL)を同時に、3つ口丸底フラスコに非常にゆっくりと加えた。次に、反応混合物を、発熱反応が顕著になるまで還流下で加熱した(わずかに曇った無色の反応が透明になり、わずかに黄色になった)。ホスフィン及びブロモアセテート溶液の残りを加えることによって、反応を還流下で続けた。添加が完了したら、反応を、加熱により45分間還流状態に保ち、室温まで冷却し、
31P NMRで分析して完了を確認した。δ=135ppmの出発物質は、δ=48ppmの単一の生成物に変換された。冷却した反応混合物を減圧濃縮して、粘稠な油を得た。得られた物質を無水ヘプタン及び少量のアセトニトリルで溶解して、粗生成物を完全に溶解させた。この溶液を無水ヘプタンで2回抽出した。アセトニトリル層を
31P NMRで分析して、δ=48ppmで生成物が存在しないことを確認し、捨てた。すべてのヘプタン画分を合わせ、減圧濃縮して、わずかに黄色い油を得た。次に、これを高真空下で一晩乾燥させて、白色の固体を得た(7.096g、19mmol、収率62%)。
1H NMR(クロロホルム-d,300MHz)δ3.3-3.5(m,4H),2.9(s,2H),2.7(d,2H),1.60(s,6H),1.3(m,24H)。
【0309】
1.3. (1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル)2-[[ジ(プロパン-2-イル)アミノ]-[[rac-(1R,3R)-1-[[ビス(4-メトキシフェニル)-フェニルメトキシ]メチル]-3-(5-メチル-2,4-ジオキソピリミジン-1-イル)-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-7-イル]オキシ]ホスファニル]アセテート
1-[(1R,4R,6R,7S)-4-[[ビス(4-メトキシフェニル)-フェニル-メトキシ]メチル]-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-6-イル]-5-メチル-ピリミジン-2,4-ジオン(0.7g、1.22mmol、1当量)を無水DCM(15.3ml)に溶解し、次いで1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル2-(ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスファネイル)アセテート(545mg、1.47mmol、1.2当量)を反応混合物に加えた。反応成分が完全に溶解したら、テトラゾール(2.17ml、978μmol、0.8当量)を、無水CH
3CN中の0.45M溶液として反応混合物に加えた。次に、反応混合物をアルゴン下、室温で一晩撹拌し、
31P NMR及びシリカゲルTLC(酢酸エチルで溶出)で分析した。TLCにおけるより速く溶出する生成物へのスポット・ツー・スポット変換によって及び酢酸ホスフィノジアマイト(phosphinodiamite)の
31P NMRシグナルの完全な喪失によって、反応の完了を決定した。完了したら、トリエチルアミン(99mg、136μl、978μmol、0.8当量)を加えて反応を停止させた。5分後、反応混合物を減圧濃縮して、粘稠な無色の油を得た。生成物を最小量の酢酸エチルに再溶解し、カラムクロマトグラフィ(80/20:酢酸エチル/ヘプタン)によって精製した。生成物を含む画分を合わせて濃縮し、泡状にし、これを最小量の無水DCMに再溶解した。ヘプタンを滴下して加え、急速攪拌した。固体沈殿物を濾過により単離し、減圧下で一晩乾燥させて、743mgの標的化合物を白色固体として得た(743mg、0.88mmol、収率69%)。
31P NMR(クロロホルム-d,121MHz)δ126.91(s,1P),122.25(s,1P)。
1H NMR(600MHz,アセトニトリル-d3)δ ppm 8.89-9.22(m,1H),7.57-7.59(m,1H),7.50(d,J=7.6Hz,1H),7.33-7.39(m,3H),7.33-7.37(m,2H),7.26-7.31(m,1H),6.88-6.95(m,4H),5.58(s,1H),4.62(s,1H),4.14(dJ,=6.8Hz,1H),3.79-3.81(m,5H),3.79-3.85(m,2H),3.47-3.50(m,2H),3.42-3.50(m,1H),2.92-2.95(m,1H),2.67-2.71(m,1H),2.61-2.66(m,1H),1.72(s,2H),1.52(d,J=5.2Hz,4H),1.09(d,J=6.7Hz,4H),1.01(br d,J=6.7Hz,4H)。LCMS(ES+)実測値:843.37g/mol。
【0310】
1.4. (1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル)2-[[ジ(プロパン-2-イル)アミノ]-[[rac-(1R,3R)-3-(6-ベンズアミドプリン-9-イル)-1-[[ビス(4-メトキシフェニル)-フェニルメトキシ]メチル]-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-7-イル]オキシ]ホスファニル]アセテート
N-[9-[(1R,4R,6R,7S)-4-[[ビス(4-メトキシフェニル)-フェニル-メトキシ]メチル]-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-6-イル]プリン-6-イル]ベンズアミド(3g、4.37mmol、1当量)を、無水DCM(54.7ml)に溶解し、次に、1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル2-(ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスファネイル)アセテート(1.95g、5.25mmol、1.2当量)を反応混合物に加えた。反応成分が完全に溶解したら、テトラゾール(7.78ml、3.5mmol、0.8当量)を、無水CH
3CN中の0.45M溶液として反応混合物に加えた。反応混合物をアルゴン下、室温で一晩撹拌し、
31P NMR及びシリカゲルTLC(酢酸エチルで溶出)で分析した。TLCにおけるより速く溶出する生成物へのスポット・ツー・スポット変換によって及び酢酸ホスフィノジアマイトの
31P NMRシグナルの完全な喪失によって、反応の完了を決定した。完了したら、トリエチルアミン(354mg、488μl、3.5mmol、0.8当量)を加えて反応を停止させた。5分後、反応混合物を減圧濃縮して、粘稠な無色の油を得た。生成物を最小量の酢酸エチルに再溶解し、カラムクロマトグラフィ(80/20:酢酸エチル/ヘプタン)によって精製した。生成物を含む画分を合わせて濃縮し、泡状にし、これを最小量の無水DCMに再溶解した。ヘプタンを滴下して加え、急速攪拌した。固体沈殿物を濾過により単離し、減圧下で一晩乾燥させて、1.86gの標的化合物を白色固体として得た(1.86g、1.9mmol、収率45%)。
31P NMR(アセトニトリル-d
3,121MHz)δ125.2(s,1P),120.9(s,1P)。LCMS(ES+)実測値:956.40g/mol。
【0311】
1.5. (1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル)2-[[ジ(プロパン-2-イル)アミノ]-[[rac-(1R,3R)-3-(4-ベンズアミド-5-メチル-2-オキソピリミジン-1-イル)-1-[[ビス(4-メトキシフェニル)-フェニルメトキシ]メチル]-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-7-イル]オキシ]ホスファニル]アセテート
N-[1-[(1R,4R,6R,7S)-4-[[ビス(4-メトキシフェニル)-フェニル-メトキシ]メチル]-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-6-イル]-5-メチル-2-オキソ-ピリミジン-4-イル]ベンズアミド(2.8g、4.14mmol、1当量)を無水DCM(59.2ml)に溶解し、次に、1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル2-(ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスファネイル)アセテート(1.85g、4.97mmol、1.2当量)を反応混合物に加えた。反応成分が完全に溶解したら、テトラゾール(7.37ml、3.31mmol、0.8当量)を、無水CH
3CN中の0.45M溶液として反応混合物に加えた。反応混合物をアルゴン下、室温で一晩撹拌し、
31P NMR及びシリカゲルTLC(酢酸エチルで溶出)で分析した。TLCにおけるより速く溶出する生成物へのスポット・ツー・スポット変換によって及び酢酸ホスフィノジアマイトの
31P NMRシグナルの完全な喪失によって、反応の完了を決定した。完了したら、トリエチルアミン(335mg、462μl、3.31mmol、0.8当量)を加えて反応を停止させた。5分後、反応混合物を減圧濃縮して、粘稠なわずかに黄色の油を得た。生成物を最小量の酢酸エチルに再溶解し、カラムクロマトグラフィ(50/50:酢酸エチル/ヘプタン)によって精製した.生成物を含む画分を合わせて濃縮し、泡状にし、これを最小量の無水DCMに再溶解した。ヘプタンを滴下して加え、急速攪拌した。固体沈殿物を濾過により単離し、減圧下で一晩乾燥させて、2.35gの標的化合物を淡黄色の個体として得た(2.35g、2.22mmol、収率46%)。
31P NMR(アセトニトリル-d
3,121MHz)δ126.78(s,1P),122.73(s,1P)。LCMS(ES+)実測値:947.41g/mol。
【0312】
1.6. (1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル)2-[[ジ(プロパン-2-イル)アミノ]-[[rac-(1R,3R)-1-[[ビス(4-メトキシフェニル)-フェニルメトキシ]メチル]-3-[2-(2-メチルプロパノイルアミノ)-6-オキソ-1H-プリン-9-イル]-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-7-イル]オキシ]ホスファニル]アセテート
N’-[9-[(1R,4R,6R,7S)-4-[[ビス(4-メトキシフェニル)-フェニル-メトキシ]メチル]-7-ヒドロキシ-2,5-ジオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-6-イル]-6-オキソ-1H-プリン-2-イル]-N,N-ジメチル-ホルムアミジン(2.6g、3.89mmol、1当量)を、無水DCM(55.6ml)に溶解し、次に、1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル2-(ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスファネイル)アセテート(1.74g、4.67mmol、1.2当量)を反応混合物に加えた。反応成分が完全に溶解したら、テトラゾール(6.92ml、3.12mmol、当量:0.8)を無水CH
3CN中の0.45M溶液として反応混合物に加えた。反応混合物をアルゴン下、室温で一晩撹拌し、
31P NMR及びシリカゲルTLC(酢酸エチルで溶出)で分析した。TLCにおけるより速く溶出する生成物へのスポット・ツー・スポット変換によって及び酢酸ホスフィノジアマイトの
31P NMRシグナルの完全な喪失によって、反応の完了を決定した。完了したら、トリエチルアミン(315mg、434μl、3.12mmol、0.8当量)を加えて反応を停止させた。5分後、反応混合物を減圧濃縮して、粘稠な無色の油を得た。生成物を最小量の酢酸エチルに再溶解し、カラムクロマトグラフィ(100%酢酸エチル)によって精製した。生成物を含む画分を合わせて濃縮し、泡状にし、これを最小量の無水DCMに再溶解した。ヘプタンを滴下して加え、急速攪拌した。固体沈殿物を濾過により単離し、減圧下で一晩乾燥させて、1.4gの標的化合物を白色固体として得た(1.4g、1.4mmol、収率38%)。
31P NMR(アセトニトリル-d
3,121MHz)δ126.48(s,1P),121.3(s,1P)。LCMS(ES+)実測値:938.42g/mol。
【0313】
実施例2:オリゴヌクレオチド合成
BioautomationによるMerMade12自動DNAシンセサイザーを使用して、オリゴヌクレオチドを合成した。合成は、ユニバーサルリンカーを備えた制御された細孔ガラス支持体(500Å)を使用して1μmolスケールで実施した。
【0314】
標準的なDNA及びLNAホスホルアミダイトのカップリングの標準的なサイクル手順において、230μLを3回、105秒の適用で、CH2Cl2中の3%(w/v)ジクロロ酢酸を使用して、DMTの脱保護を実施した。それぞれのホスホルアミダイトを、アセトニトリル(又は、LNA-MeC構成要素ではアセトニトリル/CH2Cl2 1:1)中、0.1M溶液95μL及び活性化因子としての5-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-テトラゾールの0.25M溶液110μLと3回カップリングし、カップリング時間は180秒であった。硫化は、アセトニトリル/ピリジン中、3-アミノ-1,2,4-ジチアゾール-5-チオンの0.1M溶液を使用して、200μLを1回、3分間の適用で実施した。酸化は、THF/pyr/H2O:88/10/2中、0.02MのI2を使用して、1回、3分間の適用で実施した。キャッピングは、THF/ルチジン/Ac2O 8:1:1(CapA、75μmol)及びTHF/N-メチルイミダゾール8:2(CapB、75μmol)を使用して、70秒間実施した。
【0315】
PACE LNAを導入するための合成サイクルは、230μLを3回、105秒の適用で、CH2Cl2中、3%(w/v)のジクロロ酢酸を使用したDMTの脱保護を含んでいた。新たに調製したLNA PACEを、アセトニトリル中、0.1M溶液95μL及び活性化因子としての5-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-テトラゾールの0.25M溶液110μLと2回カップリングし、カップリング時間は15分であった。硫化は、アセトニトリル/ピリジン中、3-アミノ-1,2,4-ジチアゾール-5-チオンの0.1M溶液を使用して、1回、3分間の適用で実施した。酸化は、THF/pyr/H2O:88/10/2中、0.02MのI2を使用して、1回、3分間の適用で実施した。キャッピングは、THF/ルチジン/Ac2O 8:1:1(CapA、75μmol)及びTHF/N-メチルイミダゾール8:2(CapB、75μmol)を使用して、70秒間実施した。
【0316】
合成後、無水CH3CN中、1.5%のDBUの溶液を注意深くカラムに数回通して、ジメチルシアノエチル保護基を脱保護し、脱保護中の塩基のアルキル化を防いだ。次に、それを室温で60分間放置した。次に、溶液を捨て、カラムを2-3mLの無水CH3CNですすいだ。次に、それをアルゴン流下で乾燥させた。次に、CPGを4mLのバイアルに注意深く移し、MeOH中、7NのNH31mLを加え、55℃で24時間撹拌したままにした。
【0317】
粗DMT-onオリゴヌクレオチドを、C18カラムを使用してRP-HPLCで精製し、続いて80%酢酸水溶液及びエタノール沈殿で又はカートリッジ精製によってDMTを除去した。PACE LNAホスホルアミダイトは、バーゼル内で合成した。通常のホスホルアミダイトは、Sigma Aldrich、並びに固相合成で用いられるすべての試薬から注文した。
【0318】
上記手順に従って、以下の分子を調製した。
*隣接するヌクレオチド間のPACEホスホロチオエート修飾。
A、G、
mC、TはLNAヌクレオチドを表している。
a、g、c、tはDNAヌクレオチドを表している。
他のすべての結合はホスホロチオエートとして調製した。
【0319】
実施例3:用量反応曲線のための異なる濃度でのヒトHeLa及びA549細胞におけるHIF1a mRNAを標的とするオリゴヌクレオチドのin vitroでの有効性
HeLa及びA549細胞株はATCCから購入し、供給業者による推奨のとおりに、37℃、5%CO2の加湿インキュベーター内で維持した。アッセイでは、3000細胞/ウェル(HeLa)及び3500細胞/ウェル(A549)を培地中の96マルチウェルプレートに播種した。PBSに溶解したオリゴヌクレオチドを添加する前に、細胞を24時間インキュベートした。オリゴヌクレオチドの濃度範囲:最高濃度25μM、8段階で1:1希釈。オリゴヌクレオチドの添加の3日後に、細胞を回収した。RNAは、製造元の指示に従ってPureLink Pro 96 RNA Purificationキット(Thermo Fisher Scientific)を使用して抽出し、50μlの水で溶出した。続いてRNAをDNase/RNaseフリー水(Gibco)で10倍に希釈し、90℃で1分間加熱した。
【0320】
遺伝子発現解析では、One Step RT-qPCRを、二重鎖セットアップで、qScript(商標)XLT One-Step RT-qPCR ToughMix(登録商標)、Low ROX(商標)(Quantabio)を使用して実施した。次のTaqManプライマーアッセイをqPCRに使用した:HIF1A、Hs00936368_m1と、内因性対照のGUSB、Hs99999908_m1(VIC-MGB)。すべてのプライマーセットは、ThermoFisherScientific社から購入した。HIF1A mRNAの相対発現レベルは、対照(PBS処理細胞)のパーセントとして示されており、IC50値は、n=2の生物学的複製からのデータにおいてGraphPadPrism7を使用して決定している。
【0321】
【0322】
図1のプロットに示されているデータが以下の表に報告されている。
【0323】
HeLaにおけるHIF1Aの発現(生物学的反復の平均)
【0324】
A549におけるHIF1Aの発現(生物学的反復の平均)
【0325】
実施例4:用量反応曲線のための異なる濃度でのヒトHeLa及びA549細胞におけるMALAT1 mRNAを標的とするオリゴヌクレオチドのin vitroでの効力及び有効性
HeLa及びA549細胞株はATCCから購入し、供給業者による推奨のとおりに、37℃、5%CO2の加湿インキュベーター内で維持した。アッセイでは、3000細胞/ウェル(HeLa)及び3500細胞/ウェル(A549)を培地中の96マルチウェルプレートに播種した。PBSに溶解したオリゴヌクレオチドを添加する前に、細胞を24時間インキュベートした。オリゴヌクレオチドの濃度範囲:最高濃度25μM、8段階で1:1希釈。オリゴヌクレオチドの添加の3日後に、細胞を回収した。RNAは、製造元の指示に従ってPureLink Pro 96 RNA Purificationキット(Thermo Fisher Scientific)を使用して抽出し、50μlの水で溶出した。続いてRNAをDNase/RNaseフリー水(Gibco)で10倍に希釈し、90℃で1分間加熱した。
【0326】
遺伝子発現解析では、One Step RT-qPCRを、二重鎖セットアップで、qScript(商標)XLT One-Step RT-qPCR ToughMix(登録商標)、Low ROX(商標)(Quantabio)を使用して実施した。次のTaqManプライマーアッセイをqPCRに使用した:MALAT1、Hs00273907_s1(FAM-MGB)と、内因性対照のGAPDH。すべてのプライマーセットは、ThermoFisherScientific社から購入した。MALAT1 mRNAの相対発現レベルは、対照(PBS処理細胞)のパーセントとして示されており、IC50値は、n=2の生物学的複製からのデータにおいてGraphPadPrism7を使用して決定している。
【0327】
【0328】
図2のプロットに示されているデータが以下の表に報告されている。
【0329】
HeLaにおけるMALAT1の発現(生物学的反復の平均):
【0330】
A549HeLaにおけるMALAT1の発現(生物学的反復の平均)
【0331】
実施例5:マウス初代肝細胞におけるApoB mRNAを標的とするオリゴヌクレオチドのin vitroでの効力及び有効性
初代マウス肝細胞は、文献に従い、2段階の灌流プロトコルの後にペントバルビタールで麻酔したC57BL/6Jマウスの肝臓から単離した(Berry and Friend,1969,J. Cell Biol; Paterna et al.,1998,Toxicol.Appl.Pharmacol)。最初のステップは、HBSS+15mM HEPES+0.4mM EGTAで5分間、続いて、HBSS+20mM NaHCO3+0.04%BSA(Sigma#A7979)+4mM CaCL2(Sigma#21115)+0,2mg/mlのコラゲナーゼタイプ2(Worthington#4176)で12分間であった。肝細胞は、氷上で、5mlの冷ウィリアムズ培地E(WME)(Sigma#W1878、1×ペニシリン/ストレプトマイシン/グルタミン、10%(v/v)FBS(ATCC #30-2030)で補完)に捕捉した。粗細胞懸濁液を、70μm、続いて40μmのセルストレーナー(Falcon#352350及び#352340)に通して濾過し、最大25mlまでWMEで満たし、室温、50xgで5分間遠心分離して、肝細胞をペレット化した。上清を除去し、肝細胞を25mlのWMEに再懸濁した。25mlの90%パーコール溶液(Sigma#P4937;pH=8.5-9.5)を加え、25℃、50xgで10分間遠心分離した後、上清と浮遊細胞を除去した。残りのパーコールを除去するために、ペレットを再び50mLのWME培地に再懸濁し、25℃、50xgで3分間遠心分離し、上清を捨てた。細胞ペレットを20mLのWMEに再懸濁し、細胞数及び生存率を決定し(Invitrogen、Cellcount)、250,000細胞/mlに希釈した。25,000細胞/ウェルを、コラーゲンでコーティングされた96ウェルプレート(PD Biocoat Collagen I #356407)に播種し、37℃、5%CO2でインキュベートした。3時間後、細胞をWMEで洗浄して付着していない細胞を除去し、培地を交換した。播種の24時間後、オリゴヌクレオチドをさまざまな濃度で添加した:最高濃度3,125μM、8段階でhalf-log希釈。オリゴヌクレオチドの添加の3日後に、細胞を回収した。RNAは、製造元の指示に従ってPureLink Pro 96 RNA Purificationキット(Thermo Fisher Scientific)を使用して抽出し、50μlの水で溶出した。続いてRNAをDNase/RNaseフリー水(Gibco)で10倍に希釈し、90℃で1分間加熱した。
【0332】
遺伝子発現解析では、One Step RT-qPCRを、二重鎖セットアップで、qScript(商標)XLT One-Step RT-qPCR ToughMix(登録商標)、Low ROX(商標)(Quantabio)を使用して実施した。次のTaqManプライマーアッセイをqPCRに使用した:Apob Mm_01545150_m1(FAM-MGB)と、内因性対照のGapdh、Mm99999915_g1(VIC-MGB)。すべてのプライマーセットは、ThermoFisherScientific社から購入した。ApoB mRNAの相対発現レベルは、対照(PBS処理細胞)のパーセントとして示されており、IC50値は、GraphPadPrism7を使用して決定している。
【0333】
【0334】
図3のプロットに示されているデータが以下の表に報告されている。
【0335】
初代マウス肝細胞におけるApoB mRNAの相対発現
【0336】
実施例6:RNA及びDNAにハイブリダイズしたホスホノ酢酸ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドの熱融解(Tm)
dsLNA/DNA又はdsLNA/RNA ヘテロ二重鎖(熱融解=Tm)の変性点は、次の手順に従って測定した:
【0337】
等モル量のRNA又はDNAとLNAオリゴヌクレオチドとの溶液(ApoBでは20μM、Malat-1では10μM)は、バッファー中に10μMのdsオリゴヌクレオチド(ApoB)及び5μMのdsオリゴヌクレオチド(Malat-1)をもたらす(137mMのNaCl、2.7mMのKCl、10mMのNa2HPO4、pH7.4)。溶液を95℃まで2分間加熱し(ハイブリダイゼーション)、次に室温まで15分間冷却した。260nmでのUV吸光度は、ThermoScientificのEvolution600 UV-Vis分光光度計(加熱速度1℃/分、読み取り速度20/分)を使用して記録した。変性点(すなわち、融点、Tm)を決定するために、融解転移をLOWESS曲線に適合させ、変曲点(=Tm)を記述的適合の一次導関数のピーク位置によって特定した。
【0338】
ApoBオリゴヌクレオチドのTmの測定値(RNA及びDNA)を次の表に示す。
【0339】
本発明による化合物は、対照のRNA及びDNAに対する高い親和性を保持している。
【0340】
実施例7:LTK細胞(線維芽細胞)におけるMALAT1 mRNAを標的とする選択されたオリゴヌクレオチドのin vitroでの効力及び有効性
以下のオリゴヌクレオチドが生成し、それに応じて試験した:
* 隣接するヌクレオチド間のPACEホスホロチオエート修飾。
° 隣接するヌクレオチド間のPACEホスホロジエステル修飾。
A、G、
mC、TはLNAヌクレオチドを表している。
a、g、c、tはDNAヌクレオチドを表している。
他のすべての結合はホスホロチオエートとして調製した。
【0341】
【0342】
標的Malat-1を標的とする上記化合物を、化合物の効力(IC50)を決定するために、72時間のギムノティックな取り込みを使用して、さまざまな濃度でマウス線維芽細胞(LTK細胞)において試験した。
LTK細胞の濃度範囲:50μM、1/2log希釈、8濃度。
【0343】
Malat1のRNAレベルを、qPCR(GAPDHレベルに正規化)を使用して定量化し、IC50値を決定した。
【0344】
IC50の結果は上の表に示されており、この化学修飾が標的のノックダウンに関して良好な耐容性を示すことを示唆している(本明細書では疾患関連の骨格筋細胞で例証されている)。
【0345】
実施例8:15mg/kgの用量を用いた心臓における標的mRNAレベル(Malat1)の測定
マウス(C57/BL6)に、オリゴヌクレオチドを15mg/kg、1、2、及び3日目に3回皮下投与した(n=5)。8日後にマウスを屠殺し、MALAT-1 RNAの低減を心臓について測定した。親化合物を3×15mg/kg及び3×30mg/kgで2回投与した。
【0346】
【0347】
in vivoの結果は、チオ-PACE修飾化合物#24が心臓のMALAT-1のノックダウンにおいて、参照化合物の約2倍強力の効力があることを示している(15mg/kgで、30mg/kg投与の参照と同じ有効性)。12位に追加のチオ-PACE修飾が導入された化合物#25は、#24より低い有効性を示すが、それでもなお、参照よりも良好である。対応するOxo-PACEアナログ(#26)は、活性の実質的な低下を示している。
【0348】
本発明による一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて、有効性に対する主要な影響をin vivoで観察した。本発明によるオリゴヌクレオチドの用量は、参照用量のわずか50%であることに留意されたい。
【0349】
実施例9:MOE PACEモノマーの合成
9.1.1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル2-ブロモアセテート
2-ブロモアセチルブロミド(14.7g、6.31mL、72.6mmol、当量:1.2)の溶液を、トルエン(67.2mL)を含む250mLの丸底フラスコに加えた。3-ヒドロキシ-3-メチルブタンニトリル(6g、6.28ml、60.5mmol、当量:1)を、攪拌しながらゆっくりと加えた。丸底フラスコは、Friedrichのコンデンサと酸トラップ(NaOH水溶液を含む)に通気された乾燥管とを備えていた。反応混合物加熱還流し、一晩還流した。反応を室温まで冷却し、次に混合物を減圧濃縮して油を得た。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサンを勾配として使用するコンビフラッシュクロマトグラフィによって精製し、生成物をヘキサン中の30%酢酸エチルで溶出して、1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル2-(ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスファネイル)アセテートを得た(8.14g、37mmol、収率58%)。
1H NMR(クロロホルム-d,300MHz)δ3.8(s,2H)、2.9(s,2H),1.6(s,6H)。
【0350】
9.2.1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル2-(ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスファネイル)アセテート
無水THF(69.4ml)、1-クロロ-N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスファンジアミン(7.75g、29mmol、当量:1)及びマグネティックスターラーを、栓をした250mLの丸底フラスコに加え、ホスフィンが溶解するまで溶液を攪拌した。溶解後、無水ジエチルエーテル(41.6ml)を加えた。1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル2-ブロモアセテート(7.03g、32mmol、当量:1.1)を100mLの丸底フラスコに入れ、無水THF(34.7ml)を加えた。亜鉛(2.85g、43.6mmol、当量:1.5)、無水ジエチルエーテル(22.2ml)及びマグネティックスターラーを、Friedrichのコンデンサを備えた、500mLの3つ口丸底フラスコに入れた。ホスフィン(36mL)及びブロモアセテート溶液(10mL)を3つ口丸底フラスコに加えた。次に、反応混合物を、発熱反応が顕著になるまで還流下で加熱した(わずかに曇った無色の反応が透明になり、わずかに黄色になった)。ホスフィン及びブロモアセテート溶液の残りを加えることによって、反応を還流下で続けた。添加が完了したら、反応を、加熱により45分間還流状態に保ち、室温まで冷却し、
31P NMRで分析して完了を確認した。δ=135ppmの出発物質は、δ=48ppmの単一の生成物に変換された。冷却した反応混合物を減圧濃縮して粘稠な油とした。得られた粘稠な油を無水ヘプタンで溶解した。次に、形成された固体をアセトニトリルに溶解し、この溶液を無水ヘプタンで2回抽出した。アセトニトリル溶液を
31P NMRで分析して、δ=48ppmで生成物が存在しないことを確認し、捨てた。すべてのヘプタン画分(上層)を合わせ、減圧濃縮して、わずかに黄色い油を得た。次に、これを高真空下で乾燥させた。一晩乾燥した後、得られた生成物は、きれいな白色の固体であった(7.096g、19mmol、収率62%)。
1H NMR(クロロホルム-d,300MHz)δ3.3-3.5(m,4H),2.9(s,2H),2.7(d,2H),1.60(s,6H),1.3(m,24H)。
【0351】
9.3. (1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル)2-[[ジ(プロパン-2-イル)アミノ]-[rac-(2R,5R)-2-[[ビス(4-メトキシフェニル)-フェニルメトキシ]メチル]-4-(2-メトキシエトキシ)-5-(5-メチル-2,4-ジオキソピリミジン-1-イル)オキソラン-3-イル]オキシホスファニル]アセテート
5-メチル-1-[rac-(2R,5R)-4-ヒドロキシ-3-(2-メトキシエトキシ)-5-[[rac-(2E)-1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-2-[rac-(Z)-プロパ-1-エニル]ペンタ-2,4-ジエノキシ]メチル]オキソラン-2-イル]ピリミジン-2,4-ジオン(800mg、1.29mmol、当量:1)を無水DCM(16.2ml)に溶解し、次に1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル2-(ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスファネイル)アセテート(721mg、1.94mmol、当量:1.5)を反応混合物に加えた。反応成分が完全に溶解したら、4,5-DCI(122mg、1.03mmol、当量:0.8)を反応混合物に加えた。次に、反応混合物をアルゴン下、室温で一晩撹拌し、
31P NMR及びシリカゲルTLC(酢酸エチルで溶出)によって反応の程度について分析した。TLCにおけるより速く溶出する生成物へのスポット・ツー・スポット変換によって及び酢酸ホスフィノジアマイトの
31P NMRシグナルの完全な喪失によって、反応の完了を決定した。完了したら、トリエチルアミン(105mg、144μl、1.03mmol、当量:0.8)を加えて反応を停止させた。5分後、反応混合物を、ロータリーエバポレータを使用して減圧下で濃縮し、粘稠な油とした。粘稠な油を、最小量の酢酸エチルに再溶解し、80/20:酢酸エチル/ヘプタンで事前に平衡化したシリカゲルカラムの上部に加えて、生成物を収集した。生成物を含む画分を合わせ、ロータリーエバポレータ上で減圧濃縮して泡状にし、最小量の無水DCMに再溶解し、急速攪拌している無水ヘプタンに滴下して加えた。固体沈殿物を濾過により単離し、減圧下で一晩乾燥させて、736mgの標的化合物を白色固体として得た(736mg、収率61%)。LCMS(ES+)実測値:889.5g/mol。
【0352】
9.4. (1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル)2-[[ジ(プロパン-2-イル)アミノ]-[rac-(2R,5R)-5-(6-ベンズアミドプリン-9-イル)-2-[[ビス(4-メトキシフェニル)-フェニルメトキシ]メチル]-4-(2-メトキシエトキシ)オキソラン-3-イル]オキシホスファニル]アセテート
Rac-N-(9-((2R,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-ヒドロキシ-3-(2-メトキシエトキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(600mg、0.82mmol、当量:1)を無水DCM(10.2ml)に溶解し、次に、1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル2-(ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスファネイル)アセテート(457mg、1.23mmol、当量:1.5)を反応混合物に加えた。反応成分が完全に溶解したら、4,5-DCI(77.5mg、0.66mmol、当量:0.8)を反応混合物に加えた。次に、反応混合物をアルゴン下、室温で一晩撹拌し、
31P NMR及びシリカゲルTLC(酢酸エチルで溶出)によって反応の程度について分析した。TLCにおけるより速く溶出する生成物へのスポット・ツー・スポット変換によって及び酢酸ホスフィノジアマイトの
31P NMRシグナルの完全な喪失によって、反応の完了を決定した。完了したら、トリエチルアミン(66.4mg、91.4μl、0.65mmol、当量:0.8)を加えて反応を停止させた。5分後、反応混合物を、ロータリーエバポレータを使用して減圧下で濃縮し、粘稠な油とした。粘稠な油を、最小量の酢酸エチルに再溶解し、80/20:酢酸エチル/ヘプタンで事前に平衡化したシリカゲルカラムの上部に加えて、生成物を収集した。生成物を含む画分を合わせ、ロータリーエバポレータ上で減圧濃縮して泡状にし、最小量の無水DCMに再溶解し、急速攪拌している無水ヘプタンに滴下して加えた。固体沈殿物を濾過により単離し、減圧下で一晩乾燥させて、260mgの標的化合物を白色固体として得た(260mg、収率32%)。LCMS(ES+)実測値:1002.5g/mol。
【0353】
9.5. (1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル)2-[[ジ(プロパン-2-イル)アミノ]-[rac-(2R,5R)-2-[[ビス(4-メトキシフェニル)-フェニルメトキシ]メチル]-4-(2-メトキシエトキシ)-5-[2-(2-メチルプロパノイルアミノ)-6-オキソ-1H-プリン-9-イル]オキソラン-3-イル]オキシホスファニル]アセテート
2-メチル-N-[6-オキソ-9-[rac-(2R,5R)-5-[[ビス(4-メトキシフェニル)-フェニルメトキシ]メチル]-4-ヒドロキシ-3-(2-メトキシエトキシ)オキソラン-2-イル]-1H-プリン-2-イル]プロパンアミド(700mg、0.98mmol、当量:1)を無水DCM(12.3ml)に溶解し、次に1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル2-(ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスファネイル)アセテート(546mg、1.47mmol、当量:1.5)を反応混合物に加えた。反応成分が完全に溶解したら、4,5-DCI(93mg、0.79mmol、当量:0.8)を反応混合物に加えた。次に、反応混合物をアルゴン下、室温で一晩撹拌し、
31P NMR及びシリカゲルTLC(酢酸エチルで溶出)によって反応の程度について分析した。TLCにおけるより速く溶出する生成物へのスポット・ツー・スポット変換によって及び酢酸ホスフィノジアマイトの
31P NMRシグナルの完全な喪失によって、反応の完了を決定した。完了したら、トリエチルアミン(80mg、109μl、0.79mmol、当量:0.8)を加えて反応を停止させた。5分後、反応混合物を、ロータリーエバポレータを使用して減圧下で濃縮し、粘稠な油とした。粘稠な油を、最小量の酢酸エチルに再溶解し、酢酸エチルで事前に平衡化したシリカゲルカラムの上部に加えて、生成物を収集した。生成物を含む画分を合わせ、ロータリーエバポレータ上で減圧濃縮して泡状にし、最小量の無水DCMに再溶解し、急速攪拌している無水ヘプタンに滴下して加えた。固体沈殿物を濾過により単離し、減圧下で一晩乾燥させて、520mgの標的化合物を白色固体として得た(520mg、収率49%)。LCMS(ES+)実測値:984.5g/mol。
【0354】
9.6. (1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル)2-[[ジ(プロパン-2-イル)アミノ]-[rac-(2R,5R)-5-(4-ベンズアミド-5-メチル-2-オキソピリミジン-1-イル)-2-[[ビス(4-メトキシフェニル)-フェニルメトキシ]メチル]-4-(2-メトキシエトキシ)オキソラン-3-イル]オキシホスファニル]アセテート
N-[5-メチル-2-オキソ-1-[rac-(2R,5R)-5-[[ビス(4-メトキシフェニル)-フェニルメトキシ]メチル]-4-ヒドロキシ-3-(2-メトキシエトキシ)オキソラン-2-イル]ピリミジン-4-イル]ベンズアミド(950mg、1.32mmol、当量:1)を無水DCM(16.5ml)に溶解し、次に1-シアノ-2-メチルプロパン-2-イル2-(ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスファネイル)アセテート(733mg、1.97mmol、当量:1.5)を反応混合物に加えた。反応成分が完全に溶解したら、4,5-DCI(124mg、1.05mmol、当量:0.8)を反応混合物に加えた。次に、反応混合物をアルゴン下、室温で一晩撹拌し、
31P NMR及びシリカゲルTLC(酢酸エチルで溶出)によって反応の程度について分析した。TLCにおけるより速く溶出する生成物へのスポット・ツー・スポット変換によって及び酢酸ホスフィノジアマイトの
31P NMRシグナルの完全な喪失によって、反応の完了を決定した。完了したら、トリエチルアミン(107mg、147μl、1.05mmol、当量:0.8)を加えて反応を停止させた。5分後、反応混合物を、ロータリーエバポレータを使用して減圧下で濃縮し、粘稠な油とした。粘稠な油を、最小量の酢酸エチルに再溶解し、80/20:酢酸エチル/ヘプタンで事前に平衡化したシリカゲルカラムの上部に加えて、生成物を収集した。生成物を含む画分を合わせ、ロータリーエバポレータ上で減圧濃縮して泡状にし、最小量の無水DCMに再溶解し、急速攪拌している無水ヘプタンに滴下して加えた。固体沈殿物を濾過により単離し、減圧下で一晩乾燥させて、722mgの標的化合物を淡黄色の固体として得た(722mg、収率55%)。LCMS(ES+)実測値:992.4g/mol。
【0355】
実施例10:オリゴヌクレオチド合成
BioautomationによるMerMade12自動DNAシンセサイザーを使用して、オリゴヌクレオチドを合成した。合成は、ユニバーサルリンカーを備えた制御された細孔ガラス支持体(500Å)を使用して1μmolスケールで実施した。
【0356】
標準的なDNA及びLNAホスホルアミダイトのカップリングの標準的なサイクル手順において、230μLを3回、105秒の適用で、CH2Cl2中の3%(w/v)ジクロロ酢酸を使用して、DMTの脱保護を実施した。それぞれのホスホルアミダイトを、アセトニトリル(又は、LNA-MeC構成要素ではアセトニトリル/CH2Cl2 1:1)中、0.1M溶液95μL及び活性化因子としての5-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-テトラゾールの0.25M溶液110μLと3回カップリングし、カップリング時間は180秒であった。硫化は、アセトニトリル/ピリジン中、3-アミノ-1,2,4-ジチアゾール-5-チオンの0.1M溶液を使用して、200μLを1回、3分間の適用で実施した。酸化は、THF/pyr/H2O:88/10/2中、0.02MのI2を使用して、1回、3分間の適用で実施した。キャッピングは、THF/ルチジン/Ac2O 8:1:1(CapA、75μmol)及びTHF/N-メチルイミダゾール8:2(CapB、75μmol)を使用して、70秒間実施した。
【0357】
MOE PACEを導入するための合成サイクルは、230μLを3回、105秒の適用でのCH2Cl2中、3%(w/v)のジクロロ酢酸を使用したDMTの脱保護を含んでいた。新たに調製したMOE PACEホスホルアミダイトを、アセトニトリル中、0.1M溶液95μL及び活性化因子としての5-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-テトラゾールの0.25M溶液110μLと2回カップリングし、カップリング時間は15分であった。硫化は、アセトニトリル/ピリジン中、3-アミノ-1,2,4-ジチアゾール-5-チオンの0.1M溶液を使用して、1回、3分間の適用で実施した。酸化は、THF/pyr/H2O:88/10/2中、0.02MのI2を使用して、1回、3分間の適用で実施した。キャッピングは、THF/ルチジン/Ac2O 8:1:1(CapA、75μmol)及びTHF/N-メチルイミダゾール8:2(CapB、75μmol)を使用して、70秒間実施した。
【0358】
合成後、無水CH3CN中、1.5%のDBUの溶液を注意深くカラムに数回通して、ジメチルシアノエチル保護基を脱保護し、脱保護中の塩基のアルキル化を防いだ。次に、それを室温で60分間放置した。次に、溶液を捨て、カラムを2-3mLの無水CH3CNですすいだ。次に、それをアルゴン流下で乾燥させた。次に、CPGを4mLのバイアルに注意深く移し、水中、40%MeNH21mLを加え、55℃で15分間撹拌したままにした。
【0359】
粗DMT-onオリゴヌクレオチドを、C18カラムを使用してRP-HPLCで精製し、続いて80%酢酸水溶液及びエタノール沈殿で又はカートリッジ精製によってDMTを除去した。MOE PACEホスホルアミダイトは、バーゼル内で合成した。通常のホスホルアミダイトは、Sigma Aldrich、並びに固相合成で用いられるすべての試薬から注文した。
【0360】
実施例11:用量反応曲線のための異なる濃度でのヒトHeLa細胞におけるMALAT1 mRNAを標的とするオリゴヌクレオチドのin vitroでの効力及び有効性
HeLa細胞株はATCCから購入し、供給業者による推奨のとおりに、37℃、5%CO2の加湿インキュベーター内で維持した。アッセイでは、3000細胞/ウェルを培地中の96マルチウェルプレートに播種した。PBSに溶解したオリゴヌクレオチドを添加する前に、細胞を24時間インキュベートした。オリゴヌクレオチドの濃度範囲:最高濃度25μM、8段階で1:1希釈。オリゴヌクレオチドの添加の3日後に、細胞を回収した。RNAは、製造元の指示に従ってPureLink Pro 96 RNA Purificationキット(Thermo Fisher Scientific)を使用して抽出し、50μlの水で溶出した。続いてRNAをDNase/RNaseフリー水(Gibco)で10倍に希釈し、90℃で1分間加熱した。
【0361】
遺伝子発現解析では、One Step RT-qPCRを、二重鎖セットアップで、qScript(商標)XLT One-Step RT-qPCR ToughMix(登録商標)、Low ROX(商標)(Quantabio)を使用して実施した。次のTaqManプライマーアッセイをqPCRに使用した:MALAT1、Hs00273907_s1(FAM-MGB)と、内因性対照のGAPDH。すべてのプライマーセットは、ThermoFisherScientific社から購入した。MALAT1 mRNAの相対発現レベルは、対照(PBS処理細胞)のパーセントとして示されており、IC50値は、n=2の生物学的複製からのデータにおいてGraphPadPrism7を使用して決定している。
【0362】
結果が次の表に示されている。
太字のt、a、g、cは、MOE修飾を表している。
(ps) 隣接するヌクレオチド間のホスホロチオエート修飾。
(po) 隣接するヌクレオチド間のホスホロジエステル修飾。
* 隣接するヌクレオチド間のPACEホスホロチオエート修飾。
° 隣接するヌクレオチド間のPACEホスホロジエステル修飾。
A、G、
mC、TはLNAヌクレオチドを表している。
a、g、c、tはDNAヌクレオチドを表している。
他のすべての結合はホスホロチオエートとして調製した。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2021-11-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I-a)の化合物、又はその薬学的に許容される塩:
式中、
R
2は、
メトキシエトキシであり;かつ
R
4は水素であるか;又は
R
4及びR
2は一緒にX-Yを形成し;
Xは、酸素、硫黄、-CR
aR
b-、-C(R
a)=C(R
b)-、-C(=CR
aR
b)-、-C(R
a)=N-、-Si(R
a)
2-、-SO
2-、-NR
a-;-O-NR
a-、-NR
a-O-、-C(=J)-、Se、-O-NR
a-、-NR
a-CR
aR
b-、-N(R
a)-O-、又は-O-CR
aR
b-であり;
Yは、酸素、硫黄、-(CR
aR
b)
n-、-CR
aR
b-O-CR
aR
b-、-C(R
a)=C(R
b)-、-C(R
a)=N-、-Si(R
a)
2-、-SO
2-、-NR
a-、-C(=J)-、Se、-O-NR
a-、-NR
a-CR
aR
b-、-N(R
a)-O-、又は-O-CR
aR
b-であり;
ただし、-X-Y-は、-O-O-、Si(R
a)
2-Si(R
a)
2-、-SO
2-SO
2-、-C(R
a)=C(R
b)-C(R
a)=C(R
b)、-C(R
a)=N-C(R
a)=N-、-C(R
a)=N-C(R
a)=C(R
b)、-C(R
a)=C(R
b)-C(R
a)=N-、又は-Se-Se-ではないことを条件とし;
Jは、酸素、硫黄、=CH
2又は=N(R
a)であり;
R
a及びR
bは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、チオヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、ヘテロシクリル、アミノ、アルキルアミノ、カルバモイル、アルキルアミノカルボニル、アミノアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、カルバミド、アルカノイルオキシ、スルホニル、アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、チオヒドロキシルスルフィドアルキルスルファニル、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、-OC(=X
a)R
c、-OC(=X
a)NR
cR
d、及び-NR
eC(=X
a)NR
cR
dから独立して選択され;
又は、2つのジェミナルなR
a及びR
bが一緒になって、置換されていてもよいメチレンを形成するか;
又は、2つのジェミナルなR
a及びR
bが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、-X-Y-の炭素原子を1つだけ有するシクロアルキル又はハロシクロアルキルを形成し;
ここで、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アルコキシ、及び置換メチレンは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、ヘテロシクリル(heterocylyl)、アリール、及びヘテロアリールから独立して選択される1から3個の置換基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、及びメチレンであり;
X
aは、酸素、硫黄、又は-NR
cであり;
R
c、R
d及びR
eは、水素及びアルキルから独立して選択され;
R
5はヒドロキシル保護基であり;
R
xはシアノアルキル又はアルキルであり;
R
yはジアルキルアミノ又はピロリジニルであり;
Nuは、核酸塩基又は保護された核酸塩基であり;かつ
nは、1、2、又は3である。
【請求項2】
式(II)の、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩:
式中、
Xは、酸素、硫黄、-CR
aR
b-、-C(R
a)=C(R
b)-、-C(=CR
aR
b)-、-C(R
a)=N-、-Si(R
a)
2-、-SO
2-、-NR
a-;-O-NR
a-、-NR
a-O-、-C(=J)-、Se、-O-NR
a-、-NR
a-CR
aR
b-、-N(R
a)-O-、又は-O-CR
aR
b-であり;
Yは、酸素、硫黄、-(CR
aR
b)
n-、-CR
aR
b-O-CR
aR
b-、-C(R
a)=C(R
b)-、-C(R
a)=N-、-Si(R
a)
2-、-SO
2-、-NR
a-、-C(=J)-、Se、-O-NR
a-、-NR
a-CR
aR
b-、-N(R
a)-O-、又は-O-CR
aR
b-であり;
ただし、-X-Y-は、-O-O-、Si(R
a)
2-Si(R
a)
2-、-SO
2-SO
2-、-C(R
a)=C(R
b)-C(R
a)=C(R
b)、-C(R
a)=N-C(R
a)=N-、-C(R
a)=N-C(R
a)=C(R
b)、-C(R
a)=C(R
b)-C(R
a)=N-、又は-Se-Se-ではないことを条件とし;
Jは、酸素、硫黄、=CH
2又は=N(R
a)であり;
R
a及びR
bは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、チオヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、ヘテロシクリル、アミノ、アルキルアミノ、カルバモイル、アルキルアミノカルボニル、アミノアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、カルバミド、アルカノイルオキシ、スルホニル、アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、チオヒドロキシルスルフィドアルキルスルファニル、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、-OC(=X
a)R
c、-OC(=X
a)NR
cR
d、及び-NR
eC(=X
a)NR
cR
dから独立して選択され;
又は、2つのジェミナルなR
a及びR
bが一緒になって、置換されていてもよいメチレンを形成するか;
又は、2つのジェミナルなR
a及びR
bが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、-X-Y-の炭素原子を1つだけ有するシクロアルキル又はハロシクロアルキルを形成し;
ここで、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アルコキシ、及び置換メチレンは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、ヘテロシクリル(heterocylyl)、アリール、及びヘテロアリールから独立して選択される1から3個の置換基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、及びメチレンであり;
X
aは、酸素、硫黄、又は-NR
cであり;
R
c、R
d及びR
eは、水素及びアルキルから独立して選択され;
R
5はヒドロキシル保護基であり;
R
xはシアノアルキル又はアルキルであり;
R
yはジアルキルアミノ又はピロリジニルであり;
Nuは、核酸塩基又は保護された核酸塩基であり;かつ
nは、1、2、又は3である。
【請求項3】
式(VI)の、請求項1に記載の化合物:
式中、R
2、R
5、R
x、R
y、及びNuは、請求項1に記載のとおりである。
【請求項4】
-X-Y-が、-CH
2-O-、-CH(CH
3)-O-、又は-CH
2CH
2-O-である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
式(III)、(IV)、又は(VII)の、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物:
式中、R
5、R
x、R
y、及びNuは、請求項1に記載のとおりである。
【請求項6】
R
xが2-シアノ-1,1-ジメチル-エチルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R
yがジイソプロピルアミノ又はピロリジニルである、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R
yがジアルキルアミノである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R
yがジイソプロピルアミノである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
式(V)又は(VIII)の、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物:
式中、R
5及びNuは、請求項1に記載のとおりである。
【請求項11】
Nuが、チミン、保護されたチミン、アデノシン、保護されたアデノシン、シトシン、保護されたシトシン、5-メチルシトシン、保護された5-メチルシトシン、グアニン、保護されたグアニン、ウラシル、又は保護されたウラシルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
以下:
から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の式(I-a)の化合物の製造方法であって、式(E):
の化合物と、式P(R
y)
2(CH
2)COO(R
x)の化合物との、カップリング剤の存在下での反応を含み、
式中、X、Y、R
5、Nu、R
x、及びR
yは、請求項1~12のいずれか一項に記載されるとおりである、
製造方法。
【請求項14】
式(C)又は(D):
の化合物と、式P(R
y)
2(CH
2)COO(R
x)の化合物との、カップリング剤の存在下での反応を含み、
式中、X、Y、R
5、Nu、R
x、及びR
yは、請求項1~12のいずれか一項に記載されるとおりである、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
カップリング剤が、1H-テトラゾール、5-エチルチオ-1H-テトラゾール、2-ベンジルチオテトラゾール、又は4,5-ジシアノイミダゾール(DCI)である、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
オリゴヌクレオチドの製造における、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項17】
本明細書に記述したとおりの発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
驚くべきことに、本発明による一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは良好な耐容性を示すことが見出された。それらは、少なくとも、in vitroにおいてホスホロチオエートヌクレオシド間結合のみを含む参照オリゴヌクレオチドと同じくらい効力があり、in vivoでは、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合のみを含む参照オリゴヌクレオチドよりも効力があった。驚くべきことに、本発明による一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、特に、心臓細胞株(in vitro)において、及び心臓組織(hear tiussue)(in vivo)において効力があった。
[本発明1001]
式(I-a)の化合物、又はその薬学的に許容される塩(alt):
式中、
R
2
は、アルコキシ、アルコキシアルコキシ、又はアミノであり;かつ
R
4
は水素であるか;又は
R
4
及びR
2
は一緒にX-Yを形成し;
Xは、酸素、硫黄、-CR
a
R
b
-、-C(R
a
)=C(R
b
)-、-C(=CR
a
R
b
)-、-C(R
a
)=N-、-Si(R
a
)
2
-、-SO
2
-、-NR
a
-;-O-NR
a
-、-NR
a
-O-、-C(=J)-、Se、-O-NR
a
-、-NR
a
-CR
a
R
b
-、-N(R
a
)-O-、又は-O-CR
a
R
b
-であり;
Yは、酸素、硫黄、-(CR
a
R
b
)
n
-、-CR
a
R
b
-O-CR
a
R
b
-、-C(R
a
)=C(R
b
)-、-C(R
a
)=N-、-Si(R
a
)
2
-、-SO
2
-、-NR
a
-、-C(=J)-、Se、-O-NR
a
-、-NR
a
-CR
a
R
b
-、-N(R
a
)-O-、又は-O-CR
a
R
b
-であり;
ただし、-X-Y-は、-O-O-、Si(R
a
)
2
-Si(R
a
)
2
-、-SO
2
-SO
2
-、-C(R
a
)=C(R
b
)-C(R
a
)=C(R
b
)、-C(R
a
)=N-C(R
a
)=N-、-C(R
a
)=N-C(R
a
)=C(R
b
)、-C(R
a
)=C(R
b
)-C(R
a
)=N-、又は-Se-Se-ではないことを条件とし;
Jは、酸素、硫黄、=CH
2
又は=N(R
a
)であり;
R
a
及びR
b
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、チオヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、ヘテロシクリル、アミノ、アルキルアミノ、カルバモイル、アルキルアミノカルボニル、アミノアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、カルバミド、アルカノイルオキシ、スルホニル、アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、チオヒドロキシルスルフィドアルキルスルファニル、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、-OC(=X
a
)R
c
、-OC(=X
a
)NR
c
R
d
、及び-NR
e
C(=X
a
)NR
c
R
d
から独立して選択され;
又は、2つのジェミナルなR
a
及びR
b
が一緒になって、置換されていてもよいメチレンを形成するか;
又は、2つのジェミナルなR
a
及びR
b
が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、-X-Y-の炭素原子を1つだけ有するシクロアルキル又はハロシクロアルキルを形成し;
ここで、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アルコキシ、及び置換メチレンは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、ヘテロシクリル(heterocylyl)、アリール、及びヘテロアリールから独立して選択される1から3個の置換基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、及びメチレンであり;
X
a
は、酸素、硫黄、又は-NR
c
であり;
R
c
、R
d
及びR
e
は、水素及びアルキルから独立して選択され;
R
5
はヒドロキシル保護基であり;
R
x
はシアノアルキル又はアルキルであり;
R
y
はジアルキルアミノ又はピロリジニルであり;
Nuは、核酸塩基又は保護された核酸塩基であり;かつ
nは、1、2、又は3である。
[本発明1002]
式(II)の、本発明1001の化合物、又はその薬学的に許容される塩(alt):
式中、
Xは、酸素、硫黄、-CR
a
R
b
-、-C(R
a
)=C(R
b
)-、-C(=CR
a
R
b
)-、-C(R
a
)=N-、-Si(R
a
)
2
-、-SO
2
-、-NR
a
-;-O-NR
a
-、-NR
a
-O-、-C(=J)-、Se、-O-NR
a
-、-NR
a
-CR
a
R
b
-、-N(R
a
)-O-、又は-O-CR
a
R
b
-であり;
Yは、酸素、硫黄、-(CR
a
R
b
)
n
-、-CR
a
R
b
-O-CR
a
R
b
-、-C(R
a
)=C(R
b
)-、-C(R
a
)=N-、-Si(R
a
)
2
-、-SO
2
-、-NR
a
-、-C(=J)-、Se、-O-NR
a
-、-NR
a
-CR
a
R
b
-、-N(R
a
)-O-、又は-O-CR
a
R
b
-であり;
ただし、-X-Y-は、-O-O-、Si(R
a
)
2
-Si(R
a
)
2
-、-SO
2
-SO
2
-、-C(R
a
)=C(R
b
)-C(R
a
)=C(R
b
)、-C(R
a
)=N-C(R
a
)=N-、-C(R
a
)=N-C(R
a
)=C(R
b
)、-C(R
a
)=C(R
b
)-C(R
a
)=N-、又は-Se-Se-ではないことを条件とし;
Jは、酸素、硫黄、=CH
2
又は=N(R
a
)であり;
R
a
及びR
b
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、チオヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、ヘテロシクリル、アミノ、アルキルアミノ、カルバモイル、アルキルアミノカルボニル、アミノアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、カルバミド、アルカノイルオキシ、スルホニル、アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、チオヒドロキシルスルフィドアルキルスルファニル、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、-OC(=X
a
)R
c
、-OC(=X
a
)NR
c
R
d
、及び-NR
e
C(=X
a
)NR
c
R
d
から独立して選択され;
又は、2つのジェミナルなR
a
及びR
b
が一緒になって、置換されていてもよいメチレンを形成するか;
又は、2つのジェミナルなR
a
及びR
b
が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、-X-Y-の炭素原子を1つだけ有するシクロアルキル又はハロシクロアルキルを形成し;
ここで、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アルコキシ、及び置換メチレンは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、ヘテロシクリル(heterocylyl)、アリール、及びヘテロアリールから独立して選択される1から3個の置換基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、及びメチレンであり;
X
a
は、酸素、硫黄、又は-NR
c
であり;
R
c
、R
d
及びR
e
は、水素及びアルキルから独立して選択され;
R
5
はヒドロキシル保護基であり;
R
x
はシアノアルキル又はアルキルであり;
R
y
はジアルキルアミノ又はピロリジニルであり;
Nuは、核酸塩基又は保護された核酸塩基であり;かつ
nは、1、2、又は3である。
[本発明1003]
式(VI)の、本発明1001の化合物:
式中、R
2
、R
5
、R
x
、R
y
、及びNuは、本発明1001のとおりである。
[本発明1004]
-X-Y-が、-CH
2
-O-、-CH(CH
3
)-O-、又は-CH
2
CH
2
-O-である、本発明1001又は1002の化合物。
[本発明1005]
式(III)、(IV)、又は(VII)の、本発明1001~1004のいずれかの化合物:
式中、R
5
、R
x
、R
y
、及びNuは、本発明1001のとおりである。
[本発明1006]
R
x
が2-シアノ-1,1-ジメチル-エチルである、本発明1001~1005のいずれかの化合物。
[本発明1007]
R
y
がジイソプロピルアミノ又はピロリジニルである、本発明1001~1006のいずれかの化合物。
[本発明1008]
R
y
がジアルキルアミノである、本発明1001~1007のいずれかの化合物。
[本発明1009]
R
y
がジイソプロピルアミノである、本発明1001~1008のいずれかの化合物。
[本発明1010]
式(V)又は(VIII)の、本発明1001~1008のいずれかの化合物:
式中、R
5
及びNuは、本発明1001のとおりである。
[本発明1011]
Nuが、チミン、保護されたチミン、アデノシン、保護されたアデノシン、シトシン、保護されたシトシン、5-メチルシトシン、保護された5-メチルシトシン、グアニン、保護されたグアニン、ウラシル、又は保護されたウラシルである、本発明1001~1010のいずれかの化合物。
[本発明1012]
以下:
から選択される、本発明1001~1011のいずれかの化合物。
[本発明1013]
本発明1001~1012のいずれかの式(I-a)の化合物の製造方法であって、式(E):
の化合物と、式P(R
y
)
2
(CH
2
)COO(R
x
)の化合物との、カップリング剤の存在下での反応を含み、
式中、X、Y、R
5
、Nu、R
x
、及びR
y
は、本発明1001~1012のいずれかのとおりである、
製造方法。
[本発明1014]
式(C)又は(D):
の化合物と、式P(R
y
)
2
(CH
2
)COO(R
x
)の化合物との、カップリング剤の存在下での反応を含み、
式中、X、Y、R
5
、Nu、R
x
、及びR
y
は、本発明1001~1012のいずれかのとおりである、
本発明1013の方法。
[本発明1015]
カップリング剤が、1H-テトラゾール、5-エチルチオ-1H-テトラゾール、2-ベンジルチオテトラゾール、又は4,5-ジシアノイミダゾール(DCI)である、本発明1013又は1014の方法。
[本発明1016]
オリゴヌクレオチドの製造における、本発明1001~1012のいずれかの化合物の使用。
[本発明1017]
本明細書に記述したとおりの発明。
【国際調査報告】