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特表2022-521524鉄筋コンクリート杭を造るための、少なくとも1つの丸編みによって形成されるシース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-08
(54)【発明の名称】鉄筋コンクリート杭を造るための、少なくとも1つの丸編みによって形成されるシース
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/34 20060101AFI20220401BHJP
【FI】
E02D5/34 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549166
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(85)【翻訳文提出日】2021-09-08
(86)【国際出願番号】 FR2020050293
(87)【国際公開番号】W WO2020169916
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】19/01768
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521365750
【氏名又は名称】セ.アシュ.ア.ベ.
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バラ オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ソニエ アレクソンドル
(72)【発明者】
【氏名】アリロン ルイキ
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041BA33
2D041DA01
2D041EB02
2D041EB08
(57)【要約】
鉄筋コンクリート杭(100)を造るためのシース(15)は、パイプを形成するように螺旋状に配置された一連のメッシュ(4)からなる丸編み(10)の少なくとも1つによって形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シース(15)が、パイプを形成するように螺旋状に配置された一連のメッシュ(4)からなる、少なくとも1つの丸編み(10)によって形成される
ことを特徴とする鉄筋コンクリート杭(100)を造るシース(15)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの丸編み(10)は、前記丸編みの平坦時の直径の10%以上400%以下の伸びを可能にする弾性を有する、
請求項1に記載のシース(15)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの丸編み(10)が透水性である、
請求項1又は2に記載のシース(15)。
【請求項4】
前記メッシュ(4)は、
「ジャージー」(11)と呼ばれるパターン、
「1/1リブ」(12)と呼ばれるパターン、
「2/2リブ」(13)と呼ばれるパターン、又は
「インターロック」(14)と呼ばれるパターンから選択されるパターンに従って織り交ぜられる、
請求項1から3のいずれか1項に記載のシース(15)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの丸編み(10)は、少なくとも1つのタックメッシュ(7)を含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシース(15)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの丸編み(10)は、合成材料、セルロース材料、植物材料、動物材料、鉱物材料、金属材料から選択される材料からなる、少なくとも1つの糸(5)で作られる、
請求項1から5のいずれか1項に記載のシース(15)。
【請求項7】
前記合成材料の糸(5)が、ポリエステル、高靭性ポリエステル、高弾性率ポリエチレン、高弾性率ポリエステル、高弾性率パラアラミドから選択される材料から作られる、
請求項6に記載のシース(15)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの丸編み(10)は、5cN/dtex以上50cN/dtex以下に含まれる靭性を有する少なくとも1つの糸(5)で作られる、
請求項1から7のいずれか1項に記載のシース(15)。
【請求項9】
坑井(30)を形成するための掘削の工程と、
請求項1から8のいずれか1項に記載のシース(15)に補強ロッド(40)の一端を挿入する工程と、
前記補強ロッド(40)の所定の領域上にシース(15)を位置決めする工程と、
前記補強ロッド(40)を前記坑井(30)に導入する工程と、
前記補強ロッド(40)の内側にトレミー管(50)を設置する工程と、
前記トレミー管(50)を用いて前記坑井(30)にコンクリート(51)を充填する工程とを含む、
ことを特徴とする鉄筋コンクリート杭(100)を建設する方法。
【請求項10】
前記補強ロッド(40)の所定の領域は、前記補強ロッド(40)の全高に対応する領域よりも小さい、
請求項9に記載の建設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木分野に関し、より詳細には、鉄筋コンクリート杭を建設するためのシースに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物、土木構造物、又は通信ルートなどの構造物の建設は、例えば、構造物の重量を支持するために、構造物が安定した下層土の上に置かれることを必要とする。しかしながら、建設が増加し続けるにつれて、質の悪い下層土に設けなければならないことがますます頻繁になっている。
【0003】
質の悪い下層土とは、必要な安定性を有さない下層土であると理解されるべきである。質の悪い下層土は、
例えばピート、泥、水のポケット、又は軟質粘土のような高比率の圧縮性材料を含む層、
変質した石灰石(カルスト土壌)と多少の石灰石崖錐、又は、例えば沖積石灰石で満たされた溶解の空隙の層、
又は、採石場の空隙によって形成された層、
のような特徴があるものを一例としてあげることができる。
【0004】
質の悪い下層土は、剛性介在物、すなわち杭とも呼ばれるコンクリート柱によって補強することができ、これによって構造物の重量を必要な安定性品質を有する深層に伝達することができる。
【0005】
まず掘削によって坑井を作る「箱入りボーリング杭工法」と呼ばれるコンクリート杭を施工するための工法が知られている。次いで、通常は鋼製の剛性管を、坑井の質の悪い層の少なくとも全高にわたって挿入する。次いで、パイプに補強金属ロッドを導入する。補強ロッドは、鉄筋コンクリート杭を得るように杭の補強を可能にする。このように、補強ロッドは杭の機械的性質を改善する。最後に、コンクリートを流し込むために、補強ロッドにトレミー管を設置する。
【0006】
管は、一方ではコンクリート流し込み時のコンクリートの静水圧、すなわちコンクリートの重さが平衡状態で及ぼす力を閉じ込め、他方では、コンクリートを打設して自立状態に保つように、コンクリート型枠としての役割を果たすことを意図している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この技術は、体積の関係から運搬が困難で非常に高価な剛性パイプを用いるという欠点があり、その実施には、例えばクレーンのような、それなりのハンドリング手段を必要とし、所望の高さに応じて複数のパイプの溶接を行う必要がある。さらに、剛性パイプの実施は、気象条件に応じて、人員の安全にとって重大な危険をもたらすことがある。したがって、剛性パイプを、実質的に長方形の部分によって形成された可撓性ジオテキスタイルシースに置き換えることが知られており、その2つの対向する縁部は、縫い目によって互いに接続されている。このようにして、シースの運搬及び実施が容易になる。しかしながら、前記シースは強度が低く、5メートルを超える深さの掘削井へのコンクリートの静水圧に対抗することができない。さらに、シースは、コンクリートをジオテキスタイルの縫い目で逃がすため、コンクリートの過剰消費につながる。最後に、シースは、コンクリートからの水分の十分な放出を許容せず、その結果、コンクリートの施工状態が悪くなる。
【0008】
本発明は、パイプを形成するように螺旋状に配置された一連のメッシュを含む少なくとも1つの丸編みによってシースが形成されることを特徴とする、鉄筋コンクリート杭を製造するためのシースを提案することによって、前述の欠点の全部又は一部を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
編物は、「メッシュ」と呼ばれる糸のループから構成される布である。各メッシュは、頭部、2つの脚部、及び2つの足部から構成される。水平方向において、すなわち、メッシュの脚部の伸長軸を横切る軸に沿う一連のメッシュは、メッシュの列と呼ばれる。垂直方向、つまりメッシュの脚部の延長軸に沿う一連のメッシュはメッシュの列と呼ばれる。編物では、メッシュは定義されたパターンに従って織り交ぜられ、これはウィーブ又はタイイングと呼ばれる。糸がメッシュの列に関連付けられる横糸メッシュと呼ばれるパターンを有する編物と、糸が針に関連付けられる縦糸メッシュ又はランプルーフとして知られる「チェーン」編物とが区別され、糸と同数の針が存在することになる。
【0010】
織り、すなわち、2組の糸が直角に織り合わされている織物とは異なり、編物は、水平方向及び垂直方向に伸長可能な織物である。編物の伸長性は、一方ではメッシュの織り交ぜパターンに依存し、他方ではメッシュを構成する糸の性質に依存する。言い換えれば、編物は、本質的に、それを構成する糸の伸長性よりも高い伸長性を有する。
【0011】
丸編みは、所定の長さのメッシュの少なくとも1つの列を含む。より具体的には、メッシュの列の長さは、使用される糸の長さと針の数又は巻き数との比によって決定される。メッシュにおける、行のメッシュは、管を形成するように螺旋状に組み合わされる。丸編みは、均質な構造、すなわち継ぎ目がない構造を有する。
【0012】
したがって、丸編みによって形成されたシースは、シースの伸長軸、すなわちメッシュの列に沿って、及びシースの伸長軸に対して半径方向の軸、すなわちメッシュの行に沿って、均質な弾性特性を有する。シースの伸長軸に沿った弾性は、半径方向軸に沿ったシースの弾性とは異なっていてもよい。
【0013】
その結果、本発明によるシースは、坑井内へのコンクリートの注入時に、シースを使用する場合に現れる過圧現象に適応できるように、半径方向軸に沿って伸びるように特に適合される。
【0014】
さらに、本発明によるシースは、シースを使用する際に、下層土の形状に容易に適応し、コンクリートの静水圧に耐えることができる。
【0015】
最後に、本発明によるシースは、脆弱領域を有しておらず、したがって、シースの内側にコンクリートを保持することができる。
【0016】
本発明の特徴によれば、シースは、互いに同軸に挿入された複数の丸編みによって形成される。
【0017】
したがって、裂け目に対するシースの強度が増大する。
【0018】
本発明の特徴によれば、少なくとも1つの丸編みは、この丸編みの平坦時の直径の10%以上400%以下の伸びを可能にする弾性を有する。
【0019】
編物の平坦時の直径は、シースが平面内に伸びるようにそれ自体に折り畳まれるとき、シースの伸長軸に対する幅方向軸に沿うシースの幅に対応する。
【0020】
このようにして、シースは、過圧現象を吸収しつつ、それに注入できるコンクリートの最大量を制御するのに十分な弾性を有する。
【0021】
好ましくは、少なくとも1つの丸編みは、前記丸編みの平坦時の直径の25%以上75%以下の伸びを可能にする弾性を有する。
【0022】
本発明の特徴によれば、丸編みは、0%以上150%以下の伸びを可能にする丸編みの伸び軸に沿った弾性を有する。
【0023】
本発明の特徴によれば、少なくとも1つの丸編みは透水性である。したがって、シースがコンクリートで満たされると、丸編みは、コンクリート中に存在する水、別の液体、又は結合剤を、排出することを可能にする。このようにして、コンクリートの打設、すなわち結晶化又は硬化が、当技術分野の通常のやり方で行われる。
【0024】
本発明の特徴によれば、メッシュは、「ジャージー」と呼ばれるパターン、「1/1リブ」と呼ばれるパターン、「2/2リブ」と呼ばれるパターン、又は「インターロック」と呼ばれるパターンから選択されるパターンに従って織り交ぜられる。
【0025】
「ジャージー」と呼ばれるパターンは、全てのメッシュが以下の行のメッシュに同じ方法で通されるパターンである。
【0026】
「1/1リブ」と呼ばれるパターンは、いわゆる「内側」メッシュと、いわゆる「外側」メッシュとが交互になったパターンである。
【0027】
いわゆる「インターロック」パターンは、2つの「1/1リブ」パターンが織り交ぜられたパターンである。
【0028】
「2/2リブ」と呼ばれるパターンは、「内側」と呼ばれる2つのメッシュと「外側」と呼ばれる2つのメッシュとが交互になったパターンである。
【0029】
本発明の特徴によれば、少なくとも1つの丸編みは、少なくとも1つのタック(縫い揚げ)メッシュを含む。
【0030】
タックメッシュは、フロートメッシュ又はダブルメッシュとも呼ばれ、ロードループが配置されるメッシュである。
【0031】
これにより、丸編みの強度が向上する。さらに、タックメッシュは、裂け目の場合に編物がほどけるのを防止することを可能にする。
【0032】
本発明の特徴によれば、少なくとも1つの丸編みは、複数のタックメッシュを含む。
【0033】
本発明の特徴によれば、タックメッシュは、丸編みにおいて均等に分配される。
【0034】
本発明の特徴によれば、少なくとも1つの丸編みは、合成材料、セルロース材料、植物材料、動物材料、鉱物材料、金属材料から選択される材料から作製される少なくとも1つの糸で作製される。
【0035】
合成素材の糸は、石油誘導体から得られる繊維である。
【0036】
セルロース材料で作られた糸は、セルロース分子を含む。
【0037】
植物材料で作られた糸は、環境、すなわち植物に由来する。
【0038】
動物材料で作られた糸は、動物に由来する。
【0039】
鉱物材料で作られた糸は、岩、砂、天然石などの鉱物から作られる。
【0040】
金属材料で作られた糸は、金属結合を含む。
【0041】
したがって、編物の糸の選択に応じて、少なくとも1つの編物は、高塩基性pH(コンクリートのpHは13である)で、腐食及びUV抵抗に対して改善された機械的強度を有する。
【0042】
本発明の特徴によれば、合成糸は、ポリエステル、高靭性ポリエステル、高弾性率ポリエチレン、高弾性率ポリエステル、高弾性率パラアラミドから選択される材料から作られる。
【0043】
ポリエステルは、石油から誘導される2つの成分、すなわち酸(テレフタル酸)及びアルコール(エチレングリコール)の縮合から生じる。ポリエステルは高い弾性を有する。
【0044】
高靭性ポリエステルは、破壊及び摩耗に対する高い耐性を有する。高靭性ポリエステルはまた、特にUV安定性である。
【0045】
高弾性率ポリエチレン(UHMPE)は、優れた耐摩耗性を有する非常に高い分子量を有するポリエチレン繊維である。
【0046】
高弾性率ポリエステルは、芳香族ポリエステルのファミリーに属する熱可塑性の液晶ポリマー(LCP)である。
【0047】
高弾性率パラアラミドは、アラミド又は芳香族ポリアミドのファミリーに属する有機繊維であり、その科学名はポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPDT)である。
【0048】
本発明の特徴によれば、少なくとも1つの丸編みは、5cN/dtex以上50cN/dtex以下に含まれる靭性を有する少なくとも1つの糸で作られる。
【0049】
靭性は、1mmの断面を有する糸を破断するのに必要なデカニュートン(daN)での荷重として表わされる。
【0050】
したがって、少なくとも1つの編物は、改善された機械的強度を有する。
【0051】
本発明の特徴によれば、少なくとも1つの丸編みは、10%未満、好ましくは5%未満の吸湿率を有する少なくとも1つの糸で作られる。
【0052】
本発明の特徴によれば、少なくとも1つの丸編みは、10未満、好ましくは1.5未満の密度を有する少なくとも1つの糸で作られる。
【0053】
したがって、シースは、取り扱う上で軽量のままである。
【0054】
本発明の特徴によれば、少なくとも1つの丸編みは、環境に対して不活性な、少なくとも1つの糸で作られる。
【0055】
このようにして、シースは、シースが配置される環境に影響されにくい。
【0056】
本発明の特徴によれば、少なくとも1つの丸編みは、50%未満の弾性を有する少なくとも1つの糸で作られる。
【0057】
また、本発明は、鉄筋コンクリート杭の製造方法に関し、前記製造方法は、
坑井を形成するための掘削の工程と、
前記発明のいずれか1つに記載のシースに補強ロッドの一端を挿入する工程と、
補強ロッドの所定の領域上に前記シースを位置決めする工程と、
前記補強ロッドを坑井に導入する工程と、
鉄筋の内側にトレミー管を設置する工程と、
前記トレミー管を用いてコンクリートで坑井を満たす工程とを含む。
【0058】
この方法により、鉄筋コンクリート杭を容易に作ることができる。
【0059】
さらに、この方法は、坑井の所定の高さ部分にシースを位置決めすることを可能にし、坑井全体を覆うことを可能にしたり、坑井の一部を覆うことを可能にしたりする。
【0060】
本発明の特徴によれば、前記補強ロッドの所定の領域は、前記補強ロッドの全高に対応する領域よりも小さい。
【0061】
したがって、前記所定の領域は、補強ロッドの全高よりも低い高さを有する。このようにして、シースは鉄筋コンクリート杭全体を覆わず、その一部だけを覆う。シースは、質の悪い下層土に面する鉄筋コンクリート杭の部分を保護するのに対し、鉄筋コンクリート杭の残りの部分は下層土と直接接触する。コンクリートと下層土が直接接触するため、従来の方法で鉄筋コンクリート杭からの力の伝達を確実にすることができ、したがって、伝統的な鉄筋コンクリート杭に適用可能な技術データを維持することができる。
【0062】
本発明は、非限定的な例として与えられ、添付の概略図を参照して説明される、本発明による実施形態に関する以下の説明により、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】メッシュの概略図である。
図2】編物の概略図である。
図3】タックメッシュの概略図である。
図4】幾つかのメッシュの織り交ぜパターンを示す図である。
図5】掘削工程の概略図である。
図6】挿入工程の概略図である。
図7】導入工程の概略図である。
図8】導入工程の拡大図である。
図9】設置工程の概略図である。
図10】充填工程の概略図である。
図11】充填工程を拡大して示す図である。
図12】本発明による方法で作られた鉄筋コンクリート杭の概略図である。
図13図12の鉄筋コンクリート杭の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
編物10は、図2に示すように、「メッシュ」4と呼ばれる糸5のループで形成された織物である。図1に示すように、メッシュ4は、ヘッド1と、2つの脚部2と、2つの足部3とから構成されている。
【0065】
水平方向において、すなわち、メッシュ4の脚部2の伸長軸Yを横切るX軸に沿う一連のメッシュ4は、メッシュ4の列と呼ばれる。垂直方向、すなわち、メッシュ4の脚部2の伸長軸Yに沿う一連のメッシュ4をメッシュ4の柱と呼ぶ。
【0066】
編物10は、複数のタックメッシュ7を含む。図3は、1つの単一のタックメッシュ7を示す。タックメッシュ7は、メッシュ4であり、その上に荷重ループ6が配置されている。
【0067】
タックメッシュ7は、編物10内に均等に配置されている。好ましくは、タックメッシュ7は、7行毎又は17行毎に配置される。
【0068】
さらに、編物10のメッシュ4は、図4に示されるように、異なるパターンに従って組み合わされてもよい。
【0069】
例えば、メッシュ4は、「ジャージー」11と呼ばれるパターンに従って織り交ぜることができる。このパターンでは、全てのメッシュ4は、下の行のメッシュ4に同じ方法で通される。
【0070】
例えば、メッシュ4は、「1/1リブ」12と呼ばれるパターンに従って織り交ぜられてもよく、このパターンでは、「内側」と呼ばれるメッシュ4と「外側」と呼ばれるメッシュ4とが交互に存在する。
【0071】
例えば、「インターロック」14と呼ばれるパターンに従って、メッシュ4を織り交ぜることができ、このパターンでは、2つの「1/1リブ」パターン12が織り交ぜられる。
例えば、メッシュ4を「2/2リブ」13と呼ばれるパターンに従って織り交ぜることができ、このパターンでは、「内側」と呼ばれる2つのメッシュ4と「外側」と呼ばれる2つのメッシュ4とが交互に存在する。
【0072】
編物10のメッシュ4は、「1/1リブ」と呼ばれるパターンよりも、メッシュ4の脚部2の伸長軸Yを横切る軸Xに沿ってさらに伸長可能であり、「ジャージー」と呼ばれるパターンよりも容易にほぐれず、より迅速に製造できるため、「2/2リブ」と呼ばれるパターンに従って組み合わされることが好ましい。
【0073】
編物10は、合成材料で作られた糸5で製造される。
【0074】
本発明によるシース15は、管を形成するように螺旋状に配置された一連のメッシュ4を含む丸編み10によって形成される。換言すれば、丸編み10は、それ自体に巻き付いて螺旋を形成するメッシュ4の列を含む。上側ターンの各メッシュ4は、下側ターンのメッシュ4に結合されている。
【0075】
可撓性であるシース15は、平面内に配置されるように折り畳むことができる。折り畳み位置では、シース15の内壁の各点は、直径方向に対向した内壁の点に接触する。折り畳まれた位置では、シース15は、2つの対向するエッジによって相互接続された、互いに接触する2つの層を有する。丸編み10の平坦なときの直径は、2つのエッジの間で、それらの横方向に測定される、長さである。
【0076】
シース15は、下層土20内の鉄筋コンクリート杭100の製造を可能にすることを意図している。
【0077】
考慮される下層土20は、一連の層によって形成される。上層、すなわち構造物と接触する層は、表層土21と呼ばれる。それは実質的に0メートルから-5メートルの間に延びている。次の層は、-5メートルから-15メートルの間に延びており、圧縮性材料を高比率で含んでいる、いわゆる軟質層22によって形成されている。15メートル以下の層は、安定層23によって形成される。それは、鉄筋コンクリート杭100の基部としての役割を果たすことができる。
【0078】
鉄筋コンクリート杭100を作製する方法は、図5に示すように掘削工程を含み、掘削工程は、一般に掘削方法によって、表層土21と安定層23との間に坑井30を形成するように下層土20を掘削することからなる。坑井30は、1ミリメートル以上1600ミリメートル以下の直径を有する。図5に示す、本実施形態の例では、坑井は、100ミリメートルの直径及び20メートルの長さを有する。
【0079】
この方法は、図6に示すように、補強ロッド40の一端をシース15に挿入する工程を含む。
【0080】
補強ロッド40は、中空の金属構造であり、実質的に平行六面体又は円筒形であり、補強ロッド40の伸長軸Aに沿う長さは、坑井30の長さに実質的に等しく、補強ロッド40の伸長軸Aを横切る軸Bに沿う幅は、坑井30の直径よりも小さい。
【0081】
さらに、補強ロッド40は、補強ロッド40の長さに沿って均等に配置されたスペーサ41を備える。スペーサ41は、補強ロッド40の外側部分に肩部を形成する金属要素である。
【0082】
シース15は、静止時の直径、すなわち、シース15に力が作用していないときに、補強ロッド40の幅よりも実質的に小さい直径を有する。このようにして、シース15は、補強ロッド40を通過させるために、半径方向に、すなわち、シース15の伸長軸に対して横方向の軸に沿って延伸されなければならない。
【0083】
さらに、シース15は、坑井の直径よりも大きく延伸されたときに最大直径を有する。
【0084】
最後に、シース15は、軟質層22の高さよりも大きい、その伸長軸に沿う長さを有する。
【0085】
挿入工程を行うために、シース15を半径方向に伸ばし、次に補強ロッド40の一端をシース15の内側に配置する。
【0086】
次に、この方法は、補強ロッド40の所定の領域上にシース15を位置決めする工程を含む。所定の領域は、前記補強ロッド40を坑井30に挿入する工程が実行された後に、下層土20の軟質層22と接触する領域である。シース15が、補強ロッド40の所定の領域上に配置されると、それを半径方向に伸長させる力を伴わずに、その静止時の直径に戻ろうとする。こうして、補強ロッド40上に付着し、引っ掛けられる。
【0087】
図7及び図8は、挿入工程に対応する坑井30内のシース15が配置された補強ロッド40を示す。シース15は、軟質層22に対向しており、補強ロッド40に押し付けられている。補強ロッド40は、スペーサ41のおかげで坑井30の中心に置かれる。
【0088】
その後、図9に示すように補強ロッド40の内部にトレミー管50を設置する工程が行われる。トレミー管50は、坑井30内に降ろされる。
【0089】
最後に、図10及び図11に示すように、充填工程が実行される。充填工程の間、コンクリート51は、それを坑井30に導入するために、トレミー管50に注がれる。具体的な流速51は、一般に30m/h以上70m/h以下に含まれる。
【0090】
コンクリート51は、坑井30の伸長軸に対して半径方向の力を及ぼす。これにより、コンクリート51はシース15を放射状に押し込む。シース15は変形して伸びる。コンクリート51はシース15の内側に保持される。
【0091】
シース15は、最大膨張に達するまで、又は坑井30の壁を形成する岩石と接触するまで、半径方向に膨張する。その膨張は、前記岩石によって保持される。
【0092】
シース15の半径方向の膨張は、コンクリートの静水圧に抵抗することを可能にする。
【0093】
また、シース15の膨張によって、コンクリート51は、酸化現象に対してそれを保護するように、補強ロッドを被覆することができる。
【0094】
坑井30がコンクリートによって充填されるとき、鉄筋コンクリート杭100は、図12及び図13に表わされるように作製される。その後、鉄筋コンクリート杭100を形成するコンクリートが自立するように結晶化する。シース15は、所定の位置に残される。
【0095】
例として、本発明はまた、800mmの直径、80%の水平方向の伸長性、すなわち、編物の直径による伸長性、及び10%の垂直方向の伸長性、すなわち、シースの伸長軸による伸長性を有する編物で作られたシースに関する。シースは、450g/mの重さを有し、合成高靭性ポリエステル糸のみで作られる。
【0096】
上記シースは、実質的に円筒形の中空金属構造を有する補強ロッドの所定の領域内に挿入されるように設計されている。
【0097】
本工法は、鉄筋コンクリート杭の構造を確実に確保するため、互いに独立した2本の同一シースを構造するものである。次に、本発明を実施する方法は、第1のシースを補強ロッドの所定の領域に挿入する工程と、第1のシースを補強ロッドの所定の領域に位置決めする工程と、第2のシースを所定の領域に挿入する工程と、2つのシースが重なるように第2のシースを所定の領域に位置決めする工程とを含む。第2のシースは、最終的に第1のシースを覆う。これにより、一方のシースが破損した場合にも杭の構造が確保される。
【0098】
前記位置決め工程は、前記補強ロッドを坑井内に導入する工程を実施した後に、前記下層土の軟弱層に接する補強ロッドの一方の部分のみに前記シースを配置することを可能にする。このようにして、シースは下層土の軟弱層に面する鉄筋コンクリート杭の部分を保護するのに対し、鉄筋コンクリート杭の残りの部分は下層土と直接接触する。コンクリートと下層土が直接接触するため、従来の方法で鉄筋コンクリート杭からの力の伝達を確実にすることができ、したがって、伝統的な鉄筋コンクリート杭に適用可能な技術データを維持することができる。
【0099】
もちろん、本発明は、添付の図面に記載され、表わされた実施形態に限定されない。特に、様々な要素の構成に関して、又は技術的均等物の置換によって、本発明の保護範囲から逸脱することなく、変形例が依然として可能である。
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】