(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-11
(54)【発明の名称】アバロパラチドの送達のための経皮系および使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/29 20060101AFI20220404BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20220404BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20220404BHJP
A61K 33/30 20060101ALI20220404BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20220404BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20220404BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20220404BHJP
【FI】
A61K38/29
A61P19/10
A61K9/70 401
A61K33/30
A61K9/70 405
A61K47/02
C07K14/47 ZNA
C12N15/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532151
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(85)【翻訳文提出日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 IB2020051699
(87)【国際公開番号】W WO2020174443
(87)【国際公開日】2020-09-03
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513073898
【氏名又は名称】ラジウス ヘルス,インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521044431
【氏名又は名称】キンデバ ドラッグ デリバリー エル.ピー.
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ケニス
(72)【発明者】
【氏名】ハメッド,エハブ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,アラン
(72)【発明者】
【氏名】ハタスリー,ガリー
(72)【発明者】
【氏名】モーゼマン,ジョーン
(72)【発明者】
【氏名】サー,ジャマル
(72)【発明者】
【氏名】ディック,リサ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA72
4C076BB31
4C076DD22Z
4C076FF61
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA19
4C084DB32
4C084MA02
4C084MA32
4C084MA63
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA97
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA03
4C086HA09
4C086HA15
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA32
4C086MA63
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA97
4C086ZC75
4H045BA19
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA10
(57)【要約】
ZnCl2:アバロパラチドの2.2:1のモル比の約300μgのアバロパラチドおよびZnCl2により負荷された経皮パッチを約5分間、1日1回投与する工程を含む、骨粗鬆症を治療するためおよび骨密度を増加するための方法が本明細書に提供される。ZnCl2:アバロパラチドの2.2:1のモル比の約300μgのアバロパラチドおよびZnCl2により負荷された単回使用経皮パッチも提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨粗鬆症の治療を必要とする被験体において骨粗鬆症を治療するための方法であって:該方法が:
被験体の大腿に適用される経皮パッチを約5分間毎日投与する工程を含み、ここで該パッチは:300μgのアバロパラチドおよびZnCl
2をZnCl
2:アバロパラチドの2.2:1のモル比で含み、
被験体が骨粗鬆症について治療される、方法。
【請求項2】
骨密度(BMD)の増加を必要とする被験体においてBMDを増加する方法であって、該方法が:
被験体の大腿に適用される経皮パッチを約5分間毎日投与する工程を含み、ここで該パッチは:300μgのアバロパラチドおよびZnCl
2をZnCl
2:アバロパラチドの2.2:1のモル比で含み、
被験体が6か月までにBMDの少なくとも5%の増加を達成する、方法。
【請求項3】
80mcgのアバロパラチドの皮下注射と生物学的同等である量のアバロパラチドを被験体に経皮送達するための方法であって、該方法が:
被験体の大腿に適用される経皮パッチを約5分間毎日投与する工程を含み、該パッチは:300μgのアバロパラチドおよびZnCl
2をZnCl
2:アバロパラチドの2.2:1のモル比で含み、
80mcgのアバロパラチドの皮下注射と生物学的同等である量のアバロパラチドが被験体に経皮送達される、方法。
【請求項4】
それぞれがZnCl
2:アバロパラチドの2.2:1のモル比の約300μgのアバロパラチドおよびZnCl
2により負荷された、複数の単回使用経皮パッチ;ならびに
該経皮パッチの1つを毎日1回大腿に約5分間投与するための指示書
を含む、アバロパラチドの送達のための毎日1回の経皮系。
【請求項5】
300μgのアバロパラチド、亜鉛をZn:アバロパラチドの2.2:1のモル比で含む、経皮パッチのコーティングに適した水性製剤。
【請求項6】
パッチまたは製剤が、塩酸をさらに含む、前記請求項いずれかに記載の方法、系または製剤。
【請求項7】
塩化亜鉛に対する塩酸のモル比が少なくとも0.025である、請求項6記載の方法、系または製剤。
【請求項8】
パッチまたは製剤のpHが約4.5である、前記請求項いずれかに記載の方法、系または製剤。
【請求項9】
パッチまたは製剤のpHが約4~4.75である、前記請求項いずれかに記載の方法、系または製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2019年2月28日に出願された米国仮特許出願第62/812,140号の優先権を主張し、該出願の全内容は、この参照により本明細書に明白に援用される。
【0002】
技術分野
技術分野は、アバロパラチド(abaloparatide)の経皮製剤を用いた骨粗鬆症および他の障害の治療、例えば骨折修復である。
【背景技術】
【0003】
背景
ヒト副甲状腺ホルモン関連ペプチド[PTHrP(1-34)]アナログアバロパラチドは、骨折のリスクが高い骨粗鬆症を有する閉経後の女性への毎日1回80cmgの皮下注射としてFDAに承認される。アバロパラチドを用いた治療の安全性および効力を損なうことのないアバロパラチドの毎日の自己注射についての代替物が本発明において提供される。
【発明の概要】
【0004】
発明の概要
アバロパラチドは、アミノ配列:
【化1】
配列番号:1(TYMLOSアバロパラチド注射ラベル)を有する合成PTHrPアナログである。アバロパラチドは、低下した骨吸収、より低いカルシウム動員能力および向上した室温安定性を伴って、強力な同化作用活性を示した。80μgのアバロパラチドの皮下投与は、新規の椎骨的、非椎骨的、主要な骨粗鬆症的および臨床的な骨折の発生数を有意に低減することが示されている。皮下アバロパラチド投与はまた、腰椎、股関節部全体および大腿骨頸部において、治療された被験体の骨密度(BMD)および/または海綿骨スコア(TBS)を向上することが示されている。
【0005】
アバロパラチドの経皮投与は、そのより低い侵襲性の性質のために、皮下投与に対する魅力的な代替物である。特に、その明らかにされたSC効力から利益を受けるために、皮下(SC)アバロパラチド投与と実質的に生物学的同等(bioequivalent)または生物学的同等である経皮アバロパラチド投与を開発することは、いくつかの文脈において、有利であり得る。
【0006】
アバロパラチドについての現在利用可能な自己注射送達オプションと同等の利益を提供する、アバロパラチドの経皮送達を可能にする製剤、送達デバイスおよび投与養生法が本明細書に開示される。
【0007】
一局面において、骨粗鬆症の治療を必要とする被験体において骨粗鬆症を治療するための方法が提供される。該方法は、被験体の大腿に適用される経皮パッチを約5分間毎日投与する工程を含み、該パッチは:300μgのアバロパラチドおよびZnCl2をZnCl2:アバロパラチドの2.2:1のモル比で含み、被験体は骨粗鬆症について治療される。
【0008】
別の局面において、骨密度(bone mass density)(BMD)の増加を必要とする被験体においてBMDを増加する方法が提供される。該方法は、被験体の大腿に適用される経皮パッチを約5分間毎日投与する工程を含み、該パッチは:300μgのアバロパラチドおよびZnCl2をZnCl2:アバロパラチドの2.2:1のモル比で含み、被験体は、6か月までにBMDの少なくとも5%の増加を達成する。
【0009】
別の局面において、それぞれがZnCl2:アバロパラチドの2.2:1のモル比の約300μgのアバロパラチドおよびZnCl2で負荷された複数の単回使用経皮パッチ;ならびに経皮パッチの1つを大腿に毎日1回約5分間投与するための指示書を含む、アバロパラチドの送達のための毎日1回の経皮系が提供される。いくつかの態様において、毎日1回の経皮系は、複数回使用アプリケーターをさらに含む。いくつかの態様において、毎日1回の経皮系はさらに、複数の単回使用アプリケーターを含む。
【0010】
さらに別の局面において、アバロパラチドを80mcgのアバロパラチドの皮下注射と生物学的同等な量で被験体に経皮送達するための方法が提供される。該方法は、被験体の大腿に適用される経皮パッチを約5分間毎日投与する工程を含み、該パッチは:300μgのアバロパラチドおよびZnCl2をZnCl2:アバロパラチドの2.2:1のモル比で含み、80mcgのアバロパラチドの皮下注射と生物学的同等であるアバロパラチドの量が被験体に経皮送達される。
【0011】
別の局面において、被験体の大腿に適用される経皮パッチを約5分間毎日投与する工程を含む、骨粗鬆症の治療を必要とする被験体において骨粗鬆症を治療するための方法が提供され、該パッチは:300μgのアバロパラチドおよび1つ以上の薬学的に許容され得る亜鉛塩をアバロパラチドに対する薬学的に許容され得る亜鉛塩の2.2:1のモル比で含み、被験体は、骨粗鬆症について治療される。一態様において、1つ以上の薬学的に許容され得る亜鉛塩は塩化亜鉛を含む。別の態様において、1つ以上の薬学的に許容され得る亜鉛塩は酢酸亜鉛であるかまたは酢酸亜鉛を含む。
【0012】
別の局面において、被験体の大腿に適用される経皮パッチを約5分間毎日投与する工程を含む骨密度(BMD)の増加を必要とする被験体においてBMDを増加する方法が提供され、該パッチは:300μgのアバロパラチドおよび1つ以上の薬学的に許容され得る亜鉛塩をアバロパラチドに対する薬学的に許容され得る亜鉛塩の2.2:1のモル比で含み、被験体は、6か月までにBMDの少なくとも5%の増加を達成する。一態様において、1つ以上の薬学的に許容され得る亜鉛塩は塩化亜鉛を含む。別の態様において、1つ以上の薬学的に許容され得る亜鉛塩は酢酸亜鉛であるかまたは酢酸亜鉛を含む。
【0013】
さらに別の局面において、それぞれが薬学的に許容され得る亜鉛塩:アバロパラチドの2.2:1のモル比の約300μgのアバロパラチドおよび1つ以上の薬学的に許容され得る亜鉛塩で負荷される、複数の単回使用経皮パッチ、ならびに該経皮パッチの1つを大腿に毎日1回約5分間投与するための指示書を含む、アバロパラチドの送達のための毎日1回の経皮系が提供される。一態様において、1つ以上の薬学的に許容され得る亜鉛塩は塩化亜鉛を含む。別の態様において、1つ以上の薬学的に許容され得る亜鉛塩は酢酸亜鉛であるかまたは酢酸亜鉛を含む。別の態様において、1つ以上の薬学的に許容され得る亜鉛塩は、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛およびそれらの組合せであるかまたはそれらを含む。一態様において、該系は複数回使用アプリケーターを含む。代替的に、毎日1回の経皮系は、複数の単回使用アプリケーターを含む。
【0014】
さらに別の局面において、アバロパラチドを、80mcgのアバロパラチドの皮下注射と生物学的同等な量で被験体に経皮送達するための方法が提供される。該方法は、被験体の大腿に適用される経皮パッチを約5分間毎日投与する工程を含み、該パッチは:300μgのアバロパラチドおよび1つ以上の薬学的に許容され得る亜鉛塩を薬学的に許容され得る亜鉛塩:アバロパラチドの2.2:1のモル比で含み、80mcgのアバロパラチドの皮下注射と生物学的同等であるアバロパラチドの量が被験体に経皮送達される。
【0015】
一態様において、1つ以上の薬学的に許容され得る亜鉛塩は塩化亜鉛を含む。別の態様において、1つ以上の薬学的に許容され得る亜鉛塩は酢酸亜鉛であるかまたは酢酸亜鉛を含む。別の態様において、1つ以上の薬学的に許容され得る亜鉛塩は、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛およびそれらの組合せであるかまたはそれらを含む。
【0016】
別の局面において、経皮パッチをコーティングするのに適した水性製剤が提供され、ここで該水性製剤は、300μgのアバロパラチド、Zn:アバロパラチドの2.2:1のモル比の亜鉛、ならびに塩酸を含む。いくつかの態様において、水性製剤のpHは約4.5~約5である。いくつかの態様において、pHは約4~約4.75である。いくつかの態様において、pHは約4.5である。いくつかの態様において、pHは4.75未満である。いくつかの態様において、塩化亜鉛に対するHClのモル比は約0.025、少なくとも約0.025、約0.02~約0.1または約0.02~約0.07である。
【0017】
さらに別の局面において、アバロパラチドの送達のための経皮系が提供される。該系は、経皮パッチの表面により画定される複数の微小突起を上記の水性製剤でコーティングすることにより作製されるアバロパラチド経皮パッチ、および該経皮パッチの1つを大腿に毎日1回約5分間投与するための指示書を含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面の簡単な説明
【
図1】
図1Aおよび
図1Bは、コホート1、100mcg、150mcgおよび200mcg用量での製剤Aについての経時的な血漿濃度のグラフおよび薬物動態学的パラメーターの表のそれぞれである。
【
図2】
図2Aおよび
図2Bは、コホート2、100mcg、150mcgおよび200mcg用量での製剤Bについての経時的な血漿濃度のグラフおよび薬物動態学的パラメーターの表のそれぞれである。
【
図3】
図3Aおよび
図3Bは、コホート3、100mcg、150mcgおよび200mcg用量での製剤Cについての経時的な血漿濃度のグラフおよび薬物動態学的パラメーターの表のそれぞれである。
【
図4】
図4Aおよび
図4Bは、コホート4についての経時的な血漿濃度のグラフおよび薬物動態学的パラメーターの表のそれぞれである。
【
図5】
図5Aおよび
図5Bは、コホート5についての経時的な血漿濃度のグラフおよび薬物動態学的パラメーターの表のそれぞれである。
【
図6-1】
図6A~6Eは、線形目盛(
図6A)および半対数目盛(
図6B)におけるコホート6についての血漿濃度のグラフ;ならびにコホート6(
図6C)、コホート比較内(
図6D)ならびに用量、適用部位および着用時間(wear time)の間の相対的バイオアベイラビリティパラメーター(
図6E)についての薬物動態学的パラメーターの表である。
【
図6-2】
図6A~6Eは、線形目盛(
図6A)および半対数目盛(
図6B)におけるコホート6についての血漿濃度のグラフ;ならびにコホート6(
図6C)、コホート比較内(
図6D)ならびに用量、適用部位および着用時間の間の相対的バイオアベイラビリティパラメーター(
図6E)についての薬物動態学的パラメーターの表である。
【
図6-3】
図6A~6Eは、線形目盛(
図6A)および半対数目盛(
図6B)におけるコホート6についての血漿濃度のグラフ;ならびにコホート6(
図6C)、コホート比較内(
図6D)ならびに用量、適用部位および着用時間の間の相対的バイオアベイラビリティパラメーター(
図6E)についての薬物動態学的パラメーターの表である。
【
図7】
図7Aおよび
図7Bは、線形および半対数目盛のそれぞれのコホート7についての経時的な血漿濃度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
経皮デバイスの形態のアバロパラチドの毎日自己注射の安全、有効かつ痛みのない代替物が本明細書において提供される。適用時間はわずか約5分であるが、驚くべきことに、自己注射により達成されるものと生物学的同等量のアバロパラチドが提供される。デバイスは、放出調整剤ZnCl2と共にパッチ上に配置される300μgのアバロパラチドを含む毎日1回の経皮パッチである。この放出調整剤は、経皮デバイス上にZnCl2:アバロパラチドの2.2:1のモル比で存在する。有効かつ安全な量のかかる送達は、パッチについて約5分の滞留時間で達成され得、これは例示において示されるように予期されず、驚くべきことである。
【0020】
定義および略語
用語「ZnCl2」および「塩化亜鉛」は交換可能に使用され、全ての水和物および溶媒和物を含む塩化亜鉛の分子をいう。
【0021】
用語「薬学的に許容され得る亜鉛塩」は、資格のある専門家により、意図される使用条件下で安全であると一般的に認識される(例えばFDAにより認識されるようなGRAS)溶媒和物および水和物を含む薬学的に許容され得る亜鉛塩をいう。亜鉛塩としては、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、酸化亜鉛および硫酸亜鉛が挙げられる。亜鉛塩中の亜鉛は、水中で塩化物から解離されてもよく(またはされなくてもよく)、乾燥されて元の化合物とは異なる形態を含み得るが、参照の容易さおよび明確性のために、依然として亜鉛塩と称される。
【0022】
本願において、アバロパラチドに対する薬学的に許容され得る亜鉛塩の量は、そうではないと記されない限りは本明細書において「M」と表されるモル比として記載される。例えば、2.2M ZnCl2と記載されるコーティング溶液は、2.2:1のアバロパラチドに対するZnCl2のモル比を示す。モル比は、例えばモル基準でコーティング溶液に添加されるアバロパラチドに対するZnCl2の比の計算により決定される。ZnCl2中の亜鉛は水中の塩化物から解離され得、乾燥されて種々の水和物、溶媒和物および他の形態を含み得るが、モル基準の亜鉛の量は、添加されるものとは実質的に異ならず、結果的に、依然として経皮パッチ中のZnCl2と称される。
【0023】
用語「経皮デバイス」および「パッチ」は、本願において交換可能に使用される。適切な経皮デバイスとしては、薬剤を下の組織に送達するために皮膚に対して押された場合に、角質層を貫通する微小構造のアレイを有するデバイスが挙げられる。マイクロブレードまたは微小構造の形態のマイクロニードル(例えば2017年10月26日に公開され、2017年4月6日にPCT/US2017/026462として出願されたWO2017/184355に開示される)は、力をかけた際に角質層を貫通し、アバロパラチドが身体に送達され得る通路として働く複数の小さな開口またはスリットを作製する。代替的に、マイクロニードルは、レザバーからマイクロニードルへの液体流路を提供するために中空であり得る。これらの経皮デバイスは、単回使用アプリケーターまたは複数回使用され得る適用により展開(deploy)され得る。経皮パッチまたはデバイスは、本明細書に記載されるか、または2016年10月8日に出願されWO2017/062922として公開された国際出願番号PCT/US2016/056196、2017年4月6日に出願されWO 2017/184355として公開された同PCT/2017/026462または2016年10月7日に出願されWO2017/062727として公開された同PCT/US2016/055924に記載されるパッチのいずれかであり得る。それらの全内容は、この参照により本明細書に明確に援用される。
【0024】
用語「アプリケーター」は、マイクロニードルアレイが角質層を貫通して、アバロパラチドを被験体に送達するのに十分な力で、経皮デバイスまたはパッチを皮膚に適用するためのデバイスをいう。
【0025】
本願において使用される略語を表1:略語の一覧に提供する。
【表1】
【実施例】
【0026】
例示
オープンラベル、部分無作為化、単回用量クロスオーバー、パイロットPKの安全性および許容性試験を健康な閉経後の女性において行い、TYMLOSアバロパラチド皮下注射(アバロパラチド-SC)と同等のPKプロフィールを有する経皮アバロパラチド(アバロパラチド-TD)のための製剤、用量、適用部位および着用時間を選択した。
【0027】
コホートにおいて使用される製剤を表2:試験製剤に示す。
【表2】
【0028】
製剤化パッチは、1回または多数のコーティング反復においてコーティング溶液でコーティングすることおよび次いでパッチを乾燥させるかまたはパッチをほとんど一定な重量まで乾燥させることにより作製される。
【0029】
製剤A:0.7M ZnCl
2アバロパラチドコーティング溶液(表3.1)。
【表3-1】
【0030】
製剤A:使用の準備をした(ready to use)パッチ上の0.7M ZnCl
2アバロパラチド製剤(乾燥後)(表3.2)。
【表3-2】
【0031】
製剤B:アバロパラチドPEGコーティング溶液(表3.3)。
【表3-3】
【0032】
製剤B:使用の準備をしたパッチ上のアバロパラチドPEG製剤(乾燥後)(表3.4)。
【表3-4】
【0033】
製剤C:アバロパラチド:ZnCl
2 1:0.7モル比+PEGコーティング溶液(表3.5)。
【表3-5】
【0034】
製剤C:使用の準備をしたパッチ上のアバロパラチド:ZnCl
2 1:0.7モル比+PEG製剤(乾燥後)(表3.6)。
【表3-6】
製剤W:2.2M ZnCl
2アバロパラチドコーティング溶液(表3.7)。
【表3-7】
【0035】
製剤W:使用の準備をしたパッチ上の2.2M ZnCl
2アバロパラチド製剤(乾燥後)(表3.8)。
【表3-8】
【0036】
製剤W-1:使用の準備をしたパッチ上のHClを有する2.2M ZnCl
2アバロパラチド製剤(乾燥後)(表3.8.1)。
【表3-8-1】
【0037】
製剤X:ZnAcアバロパラチドコーティング溶液(表3.9)。
【表3-9】
【0038】
製剤X:使用の準備をしたパッチ上のZnAcアバロパラチド製剤(乾燥後)(表3.10)。
【表3-10】
【0039】
経皮系
被験体は、経皮パッチ(500x550パッチ;針は500μmの長さを有し、針の先端は互いに550μmの間隔であった)の単一適用を受けた。アバロパラチドの製剤でコーティングされたマイクロニードル経皮パッチは、2~8℃で冷蔵保存された。使用の少なくとも1時間前、個々のポーチ内の経皮パッチを室温においた。マイクロニードルを有する単一パッチの面積は典型的に約1.26cm2であった。2つのパッチを使用した場合、それらは約2.52cm2の合わせた面積を有した。パッチを含む送達デバイスを、例えば15~25ニュートンの力で皮膚に押し付けることによりパッチを適用した。送達の際のパッチに対する衝撃(impact)のエネルギーは、例えば50ミリ秒未満またはさらには10ミリ秒未満の貫通時間でかつ角質層を貫通するのに十分なエネルギーで、角質層に非常に速く送達される。
【0040】
薬物動態学的評価
コホート1~5において、合計10の静脈血試料を、それぞれの治療期間においてそれぞれの被験体から引き抜き、以下の時点(時計は適用/注射の時間から始まる):投与後0(投与前)、5、10、20、30および60分ならびに1.5、2、3および24時間でアバロパラチド血漿濃度を測定した。
【0041】
コホート6において開始して、合計11の静脈血試料を、それぞれの治療期間においてそれぞれの被験体から引き抜き、以下の時点:投与後0(投与前)、5、10、20、30および60分ならびに1.5、2、3、4および24時間でアバロパラチド血漿濃度を測定した。
【0042】
コホート7において、合計12の静脈血試料を、それぞれの治療期間においてそれぞれの被験体から引き抜き、以下の時点投与後0(投与前)、5、10、20、30および60分ならびに1.5、2、3、4、8および24時間でアバロパラチド血漿濃度を測定した。
【0043】
血漿アバロパラチドのPKパラメーターは、検証された(validated)PhoenixTM WinNonlin(登録商標)7を使用して計算された。血漿中のアバロパラチドのまとめの表および図を、検証されたバージョンのPhoenixTM WinNonlin(登録商標)7またはRバージョン3.4.4を使用して作成した。検証されたバージョンのPhoenixTM WinNonlin(登録商標)7(平均生物学的同等モジュール)を使用して、推論的統計分析を行った。
【0044】
パッチから放出されるアバロパラチドの総用量は、アバロパラチド-TD後のPKパラメーター計算のために使用した。総放出用量は:総放出用量(μg)=開始パッチ含有量(μg)-パッチ残存薬物(μg)-皮膚スワブ残存薬物(μg)として、ソースデータセットにおいて計算した。アバロパラチド-SC後のPKパラメーター計算のためにアバロパラチドの名目上の用量(すなわち80μg)を使用した。
【0045】
コホート1~3:試験設計
コホート1~3の試験設計は、それぞれのコホートにおいて等しい数の被験体が4治療シーケンスの1つに無作為化された4期間(period)Williams Latin Square Designに従った。この設計において、それぞれの被験体は、4治療期間の経過にわたり、コホートにおいて4治療のそれぞれを受けた(表4)。全てのアバロパラチド-TD製剤は、腹部の臍周囲(periumbilical)領域に15分間適用された。
【表4】
【0046】
被験体は、それぞれのコホートにおいて等しい配分比を使用して示される4つの可能な投与シーケンスの1つを受けるように無作為化された。この設計はコホート1、2および3に使用され、それぞれのコホート後に評価期間があった。異なるTDパッチ製剤をそれぞれのコホートに使用した。被験体を、3コホートのうちの1つに登録し、それぞれのコホートは異なるTD製剤化パッチを受けた。それぞれの治療期間は少なくとも7日の洗い流し(washout)期間により離された。
【0047】
コホート1結果
図1Aおよび
図1Bを参照すると、3用量レベルでのアバロパラチド-TD製剤Aの単回投与後、幾何平均血漿アバロパラチドAUCおよびC
maxは、100から150μg用量レベルまで増加し、150から200μg用量レベルまで安定なままであった。アバロパラチド-TD製剤A後の全身性暴露パラメーターは、アバロパラチド-SC AUCの25~44%およびアバロパラチド-SC C
maxの41~56%に達した。
【0048】
全身性暴露における用量比例増加を仮定すると、観察されたCL/Fは、SC 80μg治療と同様の全身性暴露を達成するのに350μgのパッチが必要であることを示唆した。全身性暴露(CmaxおよびAUC0-t)が150~200μg TDの間でプラトーに達するようであることを考慮すれば、製剤Aを用いた標的80μg SC結果に成功裡に匹敵する可能性は低いように思われた。
【0049】
AUC0-t、AUC0-infおよびCmax値に基づいて、100、150および200μgの用量レベルでのアバロパラチド-TD製剤Aの単回投与後のアバロパラチドの相対的バイオアベイラビリティは、アバロパラチド-SCよりも44.1~73.6%低く、90% CIは、全ての比較についての類似性についての80~125%許容基準の外側であった。
【0050】
コホート2結果
図2Aおよび
図2Bを参照すると、アバロパラチド-TD製剤B後、平均血漿アバロパラチド濃度は、100~200μg用量レベルを通じて同様であった。平均血漿アバロパラチド濃度は、アバロパラチド-SCと比較して、全ての用量レベルについて、アバロパラチド-TD製剤B後により低かった。
【0051】
アバロパラチド-TD製剤B後の全身暴露パラメーターは、アバロパラチド-SC AUCの19~29%およびアバロパラチド-SC Cmaxの52~56%に達した。AUC0-t、AUC0-infおよびCmax値に基づいて、100、150および200μgの用量レベルでのアバロパラチド-TD製剤Bの単回投与後のアバロパラチドの相対的バイオアベイラビリティは、アバロパラチド-SCよりも46.6~83.0%低く、90% CIは、全ての比較についての類似性について80~125%許容基準の外側であった。
【0052】
コホート3結果
図3Aおよび
図3Bを参照すると、アバロパラチド-TD製剤C後、平均血漿アバロパラチド濃度は、100~200μg用量レベルを通じて同様であった。平均血漿アバロパラチド濃度は、アバロパラチド-SCと比較して、全ての用量レベルについてアバロパラチド-TD製剤C後により低かった。
【0053】
アバロパラチド-TD製剤C後の全身暴露パラメーターは、アバロパラチド-SC AUCの14~33%およびアバロパラチド-SC Cmaxの30~43%に達した。そしてAUC0-t、AUC0-infおよびCmax値に基づいて、100、150および200μgの用量レベルでのアバロパラチド-TD製剤Cの単回投与後のアバロパラチドの相対的バイオアベイラビリティは、アバロパラチド-SCよりも59.1~86.9%低く、90% CIは、全ての比較についての類似性についての80~125%許容基準の外側であった。
【0054】
コホート1~3のまとめ
全体的に、コホート1~3について、100、150または200μgの用量レベルでのアバロパラチド-TD製剤A、BまたはCの単回投与後のアバロパラチドのAUC0-t、AUC0-infおよびCmaxは、80μgのアバロパラチド-SCについて観察されたものよりも低かった。アバロパラチド-TD製剤Aの全身暴露(CmaxおよびAUC0-t)は、100から150μg用量レベルまで増加し、150~200μgの間でプラトーに達するように見えた。製剤BおよびC(コホート2および3)について、全身暴露は用量の増加に伴って増加せず、100μgですでにプラトーに達しているように見えた。全身暴露における用量比例増加を仮定すると、80μgアバロパラチド-SCの全身暴露に匹敵するために350μgの用量の製剤Aが必要である。
【0055】
コホート4および5
コホート4において、被験体は、15分の着用時間で大腿の腹側正中線に適用される200μg用量のアバロパラチド-TD製剤Aおよび製剤Cを受けた。コホート4、治療期間3において、それぞれの被験体は、腹部の別々の四分円において2つのアバロパラチド-TD 150μgパッチの同時適用により試験医薬を与えられた(アプリケーター1)。アバロパラチド-TDマイクロニードルパッチは15分間適用され、それぞれの治療期間は、少なくとも3日の洗い流し期間により離された。
【0056】
コホート5は、アバロパラチド-TDの4つの製剤を評価した。それぞれのパッチは200μgまたは260μgいずれかのアバロパラチドの用量を含み、大腿への単一パッチ投与として、または異なるパッチアプリケーター(アプリケーター2)を用いた大腿の腹側中線に適用される200μgの同時の二重パッチ適用として適用された。全てのアバロパラチド-TD製剤は15分間適用された。コホート4および5についての設計のまとめを表5に示す。
【表5】
【0057】
図4Aおよび
図4Bを参照すると、平均血漿アバロパラチド濃度は、アバロパラチド-TD製剤C 200μgと比較して、大腿治療に適用されたアバロパラチド-TD製剤A 200μgおよび腹部治療に適用された2x150μg後により高かった。平均血漿アバロパラチド濃度は、大腿に適用された200μg単一パッチと比較して、腹部に適用された二重パッチ製剤A 2x150μgでより高かった。AUC
0-t、AUC
0-infおよびC
max値に基づいて、200μgおよび2x150μgの用量レベルでのアバロパラチド-TD製剤AおよびCの単回投与後のアバロパラチドの相対的バイオアベイラビリティは、製剤A 2x150μgで達成された同様のC
max(108%の幾何学比(geometric ratio))以外は、アバロパラチド-SCよりも20.6~65.5%低かった。
【0058】
図5Aおよび
図5Bを参照すると、アバロパラチド-TD製剤W 2x200μg二重パッチは、最も高い平均血漿アバロパラチドを達成し、その後、製剤W 200μg次いで製剤A 260μgおよび製剤X 200μgは同様の濃度レベルを有した。AUC
0-t、AUC
0-infおよびC
max値に基づいて、200および260μgの用量レベルでのアバロパラチド-TD製剤A、WおよびXの単回投与後のアバロパラチドの相対的バイオアベイラビリティは、製剤A 260μgで達成された同様のC
max(83.2%の幾何学比)以外は、アバロパラチド-SCよりも26.3~63.3%低かった。
【0059】
大腿に15分適用された製剤W 2x200μg(コホート5)は、80μgアバロパラチドSCとほとんど同様であり、AUC0-tおよびCmax値は、アバロパラチドSCのAUC0-tおよびCmax値それぞれの96.2および103%に達した。二重パッチ適用製剤A 2x150μg(合計300μg)(コホート4)および製剤W 2x200μg(合計400μg)(コホート5)は、200μgの単一パッチ適用と比較して、用量比例な様式で全身暴露を増加した。適用部位は異なるが、パッチから放出される用量を増加することにより二重パッチを使用して用量を50%増加した(すなわち2x150μg 対 200μg)後、製剤AによりAUC0-tは約33%増加して、Cmaxは約42%増加し、これはより大きなパッチ負荷用量では達成できなかった。
【0060】
コホート1~5において最良に機能したアバロパラチド製剤は、大腿に15分間適用された製剤W 2x200μgであった。そして製剤Wについての用量比例全身暴露は、パッチの数を増加することにより達成された。製剤Wについての用量、適用部位および着用時間を、コホート6においてさらに評価した。
【0061】
コホート6
コホート6は、アプリケーター2を使用して大腿または腹部への単一パッチ投与としてそれぞれ適用されたアバロパラチド-TDの3つの着用時間および3つの用量を評価した。被験体は、大腿に15分の着用時間適用されるクロスオーバー設計において、アバロパラチド-TD 400μgおよびアバロパラチド-TD 300μgを受けるように治療期間1および2について無作為化された。治療期間3および4について、被験体は、5分間または30分間のそれぞれの着用時間のいずれかで大腿に適用されるアバロパラチド-TD 400μgを受けた。以前のコホートに基づいて、さらなる治療期間(5Aおよび/または5B)を考慮したが、期間5Bのみを評価した。治療期間5Bにおける被験体は、参照SC用量(アバロパラチド-皮下[SC]80μg)を受けた。治療期間6について、被験体は、腹部の上部四分円の1つに15分間の着用時間で適用されるアバロパラチド-TD 300μgを受けた。コホート6についての設計のまとめを表6に示す。
【表6】
【0062】
図6A~6Cを参照すると、アバロパラチドは、SCについての30分と比較して、TD治療について20~60分の範囲の平均tmaxで吸収された。製剤W 300μgは、製剤W 400μg(大腿、15分)よりも25%~40%高いアバロパラチドC
maxおよびAUCを生じた。以前のコホートにおける評価と同様に、大腿への製剤W 300μg適用は、腹部への適用よりも60%~80%高いアバロパラチドC
maxおよびAUCを生じた。
【0063】
図6Cに示されるように、大腿に5分間適用される製剤W 400μgは、被験体の同じコホートにおけるSC 80μgと比較して、同様のAUCおよびC
max(4~20%高いAUCおよび21.1%低いC
max)をもたらした。
【0064】
しかしながら、4つの試験を通じて蓄えられたSC 80μgデータと比較して、
図6Eは、大腿に5分間適用される製剤W 400μgが45~59%高いAUCおよび3.7%低いC
max)をもたらしたことを示す。製剤W 300μgパッチを腹部に適用した場合、達成された全身暴露は、大腿に適用された同じパッチについて達成されたものよりも34.6~46.8%低かった。製剤W 400μgパッチについて、15分後よりも5分後に52~74%高いAUC
0-t、AUC
0-infおよびC
max値を有する最も短い試験された着用時間でパッチを適用した場合に、最も高い全身暴露レベルは達成された。着用時間を30分まで増加することは、全身暴露に何らかの影響を有するとは思われず、15および30分後に同様のAUC
0-t、AUC
0-infおよびC
max値(13%~23%高い幾何平均)を有した。
【0065】
図6Dを参照すると、大腿に適用された製剤W 400μgについて、AUC
5min>AUC
30min>AUC
15minであった(コホート内SCと比較して相対的バイオアベイラビリティはそれぞれ104%~121%、55%~70%および41%~52%であった)。製剤W 300μg(大腿、15分)は、コホート内SCと比較して73%の相対的バイオアベイラビリティを有し、400μg(大腿、15分)よりも良好であった。製剤W 300μg(大腿、5分)はまた、プールされたSC治療と比較して、96%~99%の相対的バイオアベイラビリティを有した。
【0066】
これらの結果は、着用時間はアバロパラチドのアベイラビリティにおいて大きな要因を有するが、着用時間と全身暴露の関係は予測されないものであったことを示唆した。例えば、400μgの一般的な用量で、5分の最も短い着用時間は、30分の着用時間よりも高い全身暴露を生じ、これは15分の着用時間についての全身暴露よりもわずかに高かった。着用時間に基づくこの通常でない等級準位(rank order)の理由は明らかではない。15から5分までの着用時間の減少は、全身暴露を本質的に二倍にした。しかしながら、着用時間の30分までの増加は、全身暴露に対して小さな影響のみを有した。適用部位での投与後の全身暴露において約50~60%の増加があったので、大腿は、腹部と比較してより良い適用部位であると思われた。全体的に、400μgパッチの製剤Wを大腿に5分間投与することにより、80μg SC投与と同等の全身暴露が生じた。同じ15分の着用時間および大腿への適用についてではあるが、製剤W 300μgについての全身暴露は、製剤W 400μgについての全身暴露よりも高かった。
【0067】
これらの結果に基づいて、コホート7は、大腿に適用される製剤W-1 300μgパッチについての4つの異なる着用時間(5 min、15 min、30 minおよび24時間)を調べるために設計した。
【0068】
コホート7
コホート7は、アプリケーター3を使用してそれぞれ大腿または腹部への単一パッチ投与として適用されるアバロパラチド-TD製剤W-1の300μgパッチについての4つの着用時間を評価した。コホート7における被験体について6つの治療期間があった。被験体は、治療期間1~4における4つの治療シーケンスの1つに対して無作為化された。無作為化治療段階の被験体を、大腿への異なる着用時間(5、15、30分または24時間)を用いて300μgのアバロパラチド-TDで治療した。その後、全ての被験体は、治療期間5で開始する連続治療段階に入り、15分間の着用時間で腹部の臍周囲領域における300μgのアバロパラチド-TDで治療された。第6および最後の治療期間に、被験体は、腹部の臍周囲領域において80μgのアバロパラチド-SCを注射された。それぞれの治療期間は、少なくとも3日の洗い流し期間により離された。設計を、表7:コホート7についての治療に要約する。
【表7】
【0069】
図7A、7Bおよび7Cに示されるように、アバロパラチドは、SCについて24分と比較して、TD治療について27~35分の範囲の平均tmaxでゆっくりと吸収された。以前のコホートにおける評価と同様に、大腿への製剤W-1 300μg適用により、腹部への適用よりも10%~25%高いアバロパラチドC
maxおよびAUCが生じた。
【0070】
大腿に適用される製剤W-1 300μgについて、AUC5min=AUC24h>AUC30min>AUC15minであった(コホート内SCと比較して相対的バイオアベイラビリティはそれぞれ83%~93%、81~96%、73%~77%および70%~82%であった)。
【0071】
SCと比較した製剤W-1についての相対的バイオアベイラビリティは、製剤Wと同様であった(それぞれ73~77% 対 73%、大腿、15分)。
【0072】
大腿に5分および24時間適用された製剤W-1 300μgは、80μgアバロパラチド-SCと最も同様であり、AUC0-tおよびAUC0-inf値は、それぞれ、アバロパラチド-SCの81.1~95.8%に達した。さらに、4試験を通じて蓄えられたSC 80μgデータと比較して、大腿に5分間適用される製剤W-1 300μgは、12.2%低い~1%高いAUCおよび31.0%低いCmax)をもたらした。製剤W-1 300μg 5分および24時間の着用時間Cmaxは、より低く、コホート内比較についてアバロパラチド-SC Cmaxのそれぞれ62.2および45.0%に達した。
【0073】
製剤W-1 300μgパッチについて、最短の試験着用時間でパッチを適用した場合、最も高い全身暴露レベルが達成され、AUC0-t、AUC0-infおよびCmax値は、15分後よりも5分後に15~21%高かった。着用時間を30分まで増加することでは、全身暴露に対して何ら影響を有するようには思われず、15および30分後に同様のAUC0-t、AUC0-infおよびCmax値(幾何平均比90~106%)を有した。着用時間の24時間までの増加について、AUC0-infは、28%増加し、一方でAUC0-tおよびCmaxは、117および88.4%のそれぞれの幾何平均比でより高く同等であったかまたはより低く同等であった。
【0074】
製剤W 400μgパッチ(コホート6)についておよび製剤W-1 300μg (コホート7)について、パッチを5分適用した場合に、15および30分と比較してより高いアバロパラチド全身暴露レベルが達成された。しかしながら、製剤W-1パッチを24時間適用した場合、総放出用量、およびそのために総全身暴露は15分と比較して増加した。
【0075】
BMDについてのモデル予想
表8:典型的な被験体におけるBMDの%変化についてのモデル予想は、典型的な被験体におけるBMDのパーセント変化についてのモデル予想を示す。これは、-2.7のベースラインTスコアを仮定し、用量応答試験および集団PK/PDモデリングを利用する。任意の特定の理論に拘束されることを望まないが、AUCがBMD増加の重要な駆動(driver)であると考えられる。
【表8】
【0076】
全体的に、大腿へのアバロパラチド適用は、一貫して、腹部への適用よりも高いアバロパラチドAUCをもたらしたが、違いは、製剤W-1についてはより劇的ではなかった。そして5分の着用時間は、製剤W 400μgおよび製剤W-1 300μgの両方について15分および30分間の着用時間よりも高いアバロパラチドAUCをもたらした。大腿に5分間適用される製剤W-1 300μgは、SC 80μgと比較して83~93%の相対的バイオアベイラビリティをもたらし、わずかに低いBMD応答のみが予想された。
【配列表】
【国際調査報告】