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特表2022-521578銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品およびその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-11
(54)【発明の名称】銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 25/02 20060101AFI20220404BHJP
   C03B 20/00 20060101ALI20220404BHJP
   H01L 23/13 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
C03B25/02
C03B20/00 E
C03B20/00 K
H01L23/12 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547707
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(85)【翻訳文提出日】2021-10-15
(86)【国際出願番号】 US2020016488
(87)【国際公開番号】W WO2020171940
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】62/808,566
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】オコロ,チュクウディ アズバイケ
【テーマコード(参考)】
4G014
4G015
【Fターム(参考)】
4G014AH00
4G015CA01
4G015CA02
4G015CB01
(57)【要約】
銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を加熱する方法は、その物品を第1の温度から第2の温度に加熱する工程を含む。その第1の温度は、200℃以上かつ300℃以下であり、その第2の温度は、350℃以上かつ450℃以下である。第1の温度から第2の温度への物品の加熱中の平均加熱速度は、0.0℃/分超かつ8.7℃/分未満である。物品は、ガラスまたはガラスセラミック基板であって、厚さ方向にその基板を貫通する少なくとも1つの貫通孔を有する基板、およびその少なくとも1つの貫通孔内に存在する銅を含む。その物品は、放射状亀裂を含まない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法において、
銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を第1の温度から第2の温度に加熱する工程であって、該第1の温度は、200℃以上かつ300℃以下であり、該第2の温度は、350℃以上かつ450℃以下である、工程、
を含み、
前記第1の温度から前記第2の温度への、前記銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品の加熱中の平均加熱速度は、0.0℃/分超かつ8.7℃/分未満である、方法。
【請求項2】
前記銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を前記第1の温度から前記第2の温度に加熱する工程が、該銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品中に放射状亀裂を生じない、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を室温から前記第1の温度に加熱する工程をさらに含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を室温から前記第1の温度に加熱する工程中の平均加熱速度が、0.0℃/分超かつ8.7℃/分未満である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記第1の温度が225℃以上かつ275℃以下である、請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2019年2月21日に出願された米国仮特許出願第62/808566号に優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、広く、ガラスまたはガラスセラミックを製造する方法および銅金属化導電性貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品に関し、特に、放射状亀裂を減少させるために、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を加熱する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスおよびガラスセラミック基板は、通常、電子機器の他の構成部材と反応しないので、電子機器の構成部材に使用されている。これは、一部には、ガラスおよびガラスセラミック基板は低い誘電率を有するからであろうし、またガラスおよびガラスセラミック基板は熱的に安定しているからであろう。多くの電子機器において、例えば、インターポーザなどの、ガラスおよびガラスセラミック基板は、貫通孔中に金属を導入することによって、導電性にすることができる貫通孔を有する。例えば、インターポーザなどの、電子機器の構成部材用のガラスおよびガラスセラミック基板を使用するために、そのガラスおよびガラスセラミック基板の1つ以上の表面に導電性金属層が施され、その導電性金属は、ガラスおよびガラスセラミック基板中の貫通孔を満たす。ガラスおよびガラスセラミック基板中の貫通孔を満たすために一般に使用される金属の1つは、その高い導電率のために、銅(Cu)である。しかしながら、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を加熱する際に、その貫通孔に隣接して、放射状亀裂が形成し得、これにより、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品が効率的でなくなるか、または使用不能になり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、加熱中に、銅金属化貫通孔を有するガラスおよびガラスセラミック物品における放射状亀裂を減少させる方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の項目によれば、方法は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を第1の温度から第2の温度に加熱する工程を含み、その第1の温度は、200℃以上かつ300℃以下であり、その第2の温度は、350℃以上かつ450℃以下であり、第1の温度から第2の温度への、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品の加熱中の平均加熱速度は、0.0℃/分超かつ8.7℃/分未満である。
【0006】
第2の項目は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を第1の温度から第2の温度に加熱する工程が、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品中に放射状亀裂を生じない、第1の項目の方法を含む。
【0007】
第3の項目は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を室温から第1の温度に加熱する工程をさらに含む、先の項目のいずれかの方法を含む。
【0008】
第4の項目は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を室温から第1の温度に加熱する工程中の平均加熱速度が、0.0℃/分超かつ8.7℃/分未満である、第3の項目の方法を含む。
【0009】
第5の項目は、第1の温度が225℃以上かつ275℃以下である、先の項目のいずれかの方法を含む。
【0010】
第6の項目は、第2の温度が375℃以上かつ425℃以下である、先の項目のいずれかの方法を含む。
【0011】
第7の項目は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を第1の温度から第2の温度に加熱する工程中の平均加熱速度が、1.0℃/分以上かつ6.5℃/分以下である、先の項目のいずれかの方法を含む。
【0012】
第8の項目は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を第1の温度から第2の温度に加熱する工程中の平均加熱速度が、実質的に一定である、先の項目のいずれかの方法を含む。
【0013】
第9の項目は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を第1の温度から第2の温度に加熱する工程中の平均加熱速度が、可変である、第1から第7の項目のいずれかの方法を含む。
【0014】
第10の項目は、前記方法が、10分以上かつ1時間以下の期間に亘り、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を第1の温度に保持する工程をさらに含む、先の項目のいずれかの方法を含む。
【0015】
第11の項目は、前記方法が、10分以上かつ1時間以下の期間に亘り、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を第2の温度に保持する工程をさらに含む、先の項目のいずれかの方法を含む。
【0016】
第12の項目は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を第1の温度から第2の温度に加熱する工程が、10分以上かつ45分以下の期間に亘り、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を一定温度に保持する工程を含む、先の項目のいずれかの方法を含む。
【0017】
第13の項目は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品中の貫通孔の直径が、25μm以上かつ75μm以下である、先の項目のいずれかの方法を含む。
【0018】
第14の項目は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品中の貫通孔のピッチが、60μm以上かつ800μm以下である、先の項目のいずれかの方法を含む。
【0019】
第15の項目は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品中の貫通孔の深さが、50μm以上かつ600μm以下である、先の項目のいずれかの方法を含む。
【0020】
第16の項目は、ガラスまたはガラスセラミック物品が、少なくとも90質量%のシリカを含む、先の項目のいずれかの方法を含む。
【0021】
第17の項目は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を第1の温度から第2の温度に加熱する工程を含む方法であって、その第1の温度は、240℃以上かつ260℃以下であり、その第2の温度は、400℃以上かつ450℃以下であり、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を第1の温度から第2の温度に加熱する工程中の平均加熱速度は、0.0℃/分超かつ6.5℃/分以下である、方法を含む。
【0022】
第18の項目は、ガラスまたはガラスセラミック物品において、ガラスまたはガラスセラミック基板であって、厚さ方向にこのガラスまたはガラスセラミック基板を貫通する少なくとも1つの貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック基板;およびその少なくとも1つの貫通孔内に存在する銅を含み、450℃以下へのアニール後に放射状亀裂を含まない、ガラスまたはガラスセラミック物品を含む。
【0023】
第19の項目は、ガラスまたはガラスセラミック基板が少なくとも90質量%のシリカを含む、項目18のガラスまたはガラスセラミック物品を含む。
【0024】
第20の項目は、ガラスまたはガラスセラミック基板中の少なくとも1つの貫通孔の直径が、25μm以上かつ75μm以下である、項目18および19のいずれか1つのガラスまたはガラスセラミック物品を含む。
【0025】
第21の項目は、ガラスまたはガラスセラミック基板中の少なくとも1つの貫通孔のピッチが、60μm以上かつ800μm以下である、項目18から20のいずれか1つのガラスまたはガラスセラミック物品を含む。
【0026】
第22の項目は、ガラスまたはガラスセラミック基板中の少なくとも1つの貫通孔の深さが、50μm以上かつ600μm以下である、項目18から21のいずれか1つのガラスまたはガラスセラミック物品を含む。
【0027】
追加の特徴および利点が、以下の詳細な説明に述べられており、一部には、その説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載された実施の形態を実施することによって、認識されるであろう。
【0028】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、様々な実施の形態を記載しており、請求項に記載された主題の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供することが意図されていることが理解されよう。添付図面は、様々な実施の形態のさらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、ここに記載された様々な実施の形態を示しており、説明と共に、請求項に記載された主題の原理および作動を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】放射状亀裂を含むガラスまたはガラスセラミック基板における銅金属化貫通孔の上面図
図2】放射状亀裂を含む、複数の銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品の上面図
図3】銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を加熱する最中に生じる、半径方向応力および周方向応力を示すグラフ
図4】銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を加熱するための、熱処理温度に対する周方向応力を示すグラフ
図5A】銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を加熱する時間に対する温度の実質的に一定の加熱速度を示すグラフ
図5B】銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を加熱する時間に対する温度の可変加熱速度を示すグラフ
図6】26.0℃/分の実質的に一定の加熱速度で加熱したときの、放射状亀裂を含む、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品の拡大写真
図7A】13.0℃/分の実質的に一定の加熱速度で加熱したときの、放射状亀裂を含む、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品の50倍の拡大写真
図7B】13.0℃/分の実質的に一定の加熱速度で加熱したときの、放射状亀裂を含む、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品の200倍の拡大写真
図8A】8.7℃/分の実質的に一定の加熱速度で加熱したときの、放射状亀裂を含む、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品の50倍の拡大写真
図8B】8.7℃/分の実質的に一定の加熱速度で加熱したときの、放射状亀裂を含む、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品の500倍の拡大写真
図9A】ここに開示され、記載された実施の形態による、6.5℃/分の加熱速度で加熱したときの、放射状亀裂のない、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品の50倍の拡大写真
図9B】ここに開示され、記載された実施の形態による、6.5℃/分の実質的に一定の加熱速度で加熱したときの、放射状亀裂のない、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品の200倍の拡大写真
図10】ここに開示され、記載された実施の形態による、可変加熱速度および2.3℃/分の平均加熱速度で加熱されたときの、放射状亀裂のない、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品の200倍の拡大写真
図11】銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品に関する、加熱速度に対する加熱亀裂密度を示すグラフ
図12A】20.5℃/分で加熱した銅金属化貫通孔の放射状亀裂の形成を示す図
図12B図12Aの10秒後の図
図12C図12Bの1分後の図
図13】アニール加熱速度に対する銅の突出を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0030】
電子機器における多くの構成部材には、基板の厚さを通じての電気伝導が必要である。これは、コンピュータ数値制御(CNC)穿孔またはレーザ穿孔により、ガラスまたはガラスセラミック基板などの基板に貫通孔を製造し、次に、その貫通孔に、例えば、銅などの導電性金属を被覆および/または充填することにより一般に作製される導電性孔を使用して行われる。固体が充填された導電性孔の場合、均一な導電性層が施され、次いで、貫通孔が充填されたら、電解/ガルバニメッキが完了する。これらの方法により、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品が形成される。しかしながら、多くの方法では、貫通孔に銅が充填された後に、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を加熱する必要がある。
【0031】
しかしながら、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を加熱する場合、このガラスまたはガラスセラミック基質と、銅との間の熱膨張係数(CTE)の不一致により、熱機械的な難題が生じる。ガラスまたはガラスセラミックにおいて熱機械的に誘発される破壊モードの1つは、放射状亀裂の形成である。放射状亀裂は、熱処理過程の加熱または昇温工程中に形成される。どの特定の理論により束縛されるものでもないが、放射状亀裂は、貫通孔中の銅と、ガラスまたはガラスセラミック基質との間のCTEの不一致の結果として、ガラスまたはガラスセラミックにおける周方向の高い引張応力のために形成されると考えられる。このCTEの差異は高い応力の蓄積をもたらし、これにより、ガラスまたはガラスセラミック中の亀裂、空隙、側壁の剥離など、他にも多数ある、異なる破壊モードがもたらされる。
【0032】
亀裂の形成を防ぐための一般的なやり方に、CTEがより良好に一致するガラスまたはガラスセラミック組成物の使用;環状またはコンフォーマルにメッキされた貫通孔の使用;より低いアニール温度(無鉛はんだのリフロー温度に対応する、通常、300℃未満);より小さい孔サイズ;または導電率が銅より低いが、CTEがガラスまたはガラスセラミックとより良好に一致する金属化材料の使用がある。しかしながら、これらの解決策は、金属化貫通孔の施用を制限し得る。例えば、環状孔および小口径孔は、厚い金属化層が必要とされる、電源デバイスなどの高通電用途にとって、好ましくない。また、高周波用途にとって、シリカの含有量が高いガラスが、一般に使用される。
【0033】
上記課題や、他の課題に対処するために、ここに開示され、記載された実施の形態による方法は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を第1の温度から第2の温度に加熱する工程を含み、その第1の温度は、200℃以上かつ300℃以下であり、その第2の温度は、350℃以上かつ450℃以下であり、第1の温度から第2の温度への、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品の加熱中の平均加熱速度は、0.0℃/分超かつ8.7℃/分未満である。実施の形態は、ガラスまたはガラスセラミック物品において、ガラスまたはガラスセラミック基板であって、厚さ方向にこのガラスまたはガラスセラミック基板を貫通する少なくとも1つの貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック基板;およびその少なくとも1つの貫通孔内に存在する銅を含み、放射状亀裂を含まない、ガラスまたはガラスセラミック物品も含む。
【0034】
先に述べられたように、図1を参照すると、ガラスまたはガラスセラミック物品100の実施の形態は、ガラスまたはガラスセラミック基板110および銅金属化貫通孔120を含む。銅金属化貫通孔120は、円筒形であり、貫通孔の少なくとも一部に銅金属を含む。ここに開示され、記載された実施の形態にしたがって、どの貫通孔の形状を使用しても差し支えないことを理解すべきである。そのような形状としては、以下に限られないが、円錐貫通孔、円錐台状貫通孔、縮まった(pinched)貫通孔(例えば、砂時計形の貫通孔)が挙げられる。銅金属化貫通孔120は、半径「r」を有する。ガラスまたはガラスセラミック基板110と、貫通孔内に存在する銅との間のCTEの不一致により、銅金属化貫通孔120から半径方向に延在する亀裂130が形成されることがある。銅金属化貫通孔120から半径方向に延在するこれらの亀裂130は、ここでは、放射状亀裂と称される。どの特定の理論により束縛されるものでもないが、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品100が加熱されるときに、ガラスまたはガラスセラミック基板110の比較的小さい膨張は、銅金属化貫通孔120内に存在する銅の自由膨張を抑制し、よって、高い圧力が蓄積され、ガラスまたはガラスセラミック基板110中に放射状亀裂130が形成されると考えられる。
【0035】
実施の形態は銅金属化貫通孔に関するが、ここに開示され、記載された方法は、どの金属材料で金属化された貫通孔に使用してもよいことを理解すべきである。具体的には、ここに開示され、記載された方法は、貫通孔内に存在する材料とCTEが一致しないガラスおよびガラスセラミック基板に関するので、どの金属材料で金属化された貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック基板にも、放射状亀裂を最小にするまたはなくすことができる。
【0036】
いくつかの実施の形態において、ここで図2を参照すると、ガラスまたはガラスセラミック基板110は、ガラスまたはガラスセラミック基板110において直線に沿って位置付けられた複数の銅金属化貫通孔120a~102fを有することがある。そのような配置において、複数の放射状亀裂130a~130eが、放射状亀裂130a~130eが隣接する銅金属化貫通孔120a~102fの間の距離に亘るようにガラスまたはガラスセラミック基板110内に形成されることがある。例えば、放射状亀裂130aは、隣接する銅金属化貫通孔120aおよび102bの間に延在することがあり、放射状亀裂130bは、隣接する銅金属化貫通孔120bおよび102cの間に延在することがある。このようにして、放射状亀裂130a~130eは、ガラスまたはガラスセラミック基板110において銅金属化貫通孔120a~102fの各々の間に亘り得る。
【0037】
先に述べたように、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品100中に存在する応力は、ガラスまたはガラスセラミック物品100を加熱する際に、放射状亀裂130を形成することがある。放射状亀裂130を生じることのあるこれらの応力は、下記に示されるように、理論的に近似することができ、ここに開示され、記載された実施の形態にしたがって、その応力を制御し、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品100における放射状亀裂を最小にするまたはなくす方法を開発することができる。
【0038】
ガラスまたはガラスセラミック物品100中の銅金属化貫通孔120は、略円筒形であり、ガラスまたはガラスセラミック基質により囲まれているので、ガラスまたはガラスセラミック中の応力は、Lameの厚い/中実壁円筒方程式(Lame's thick/solid wall cylinder equation)を使用して決定でき、ここで、面内応力-半径方向および周方向応力-は、下記の式1:
【0039】
【数1】
【0040】
に示されるように、ガラスまたはガラスセラミックの厚さの中央領域で等しいが反対であり、式中、σは半径方向応力であり、σθは周方向(またはフープ)応力である。
【0041】
1つの銅ビアを取り囲むガラスまたはガラスセラミック中の面内熱機械的応力は、以下の例示の値により、下記の式2:
【0042】
【数2】
【0043】
を使用して、計算することができ、式中、αCuは銅のCTE(16.7ppm/℃)であり;αglassはガラスまたはガラスセラミックのCTE(0.6ppm/℃)であり;υglassおよびυCuは、それぞれ、ガラスまたはガラスセラミック(0.26)および銅(0.35)のポアソン比であり;rは、孔の中心からのガラスまたはガラスセラミックにおける距離である。これは、ガラスまたはガラスセラミック基板と銅との間の界面で、rが金属化貫通孔の半径であることを意味する。DCuは貫通孔の直径(50μm)であり;ECuおよびEglassは、それぞれ、銅(120GPa)およびガラスまたはガラスセラミック(70GPa)の弾性率であり;ΔTは温度変化である。式2および銅とガラスまたはガラスセラミックについて先に与えられた値を使用して、室温(約25℃)から最高温度までの加熱中のガラスまたはガラスセラミック基板中の応力を計算することができ、ここで、銅およびガラスまたはガラスセラミックは、弾性材料とされている。貫通孔のエッジから計算されたガラスまたはガラスセラミックの応力が、図3に示されており、ここで、周方向応力および半径方向応力は、大きさは等しいが、方向は反対であることが示されている。図3において、ガラスまたはガラスセラミック中の引張周方向応力は、亀裂が引張応力場のために形成することが公知であるので、加熱中の放射状亀裂の形成の主因であると予測される。最大応力はビアのエッジで生じ、これは、貫通孔のエッジから離れるにつれて、指数関数的に減衰し、ここで、貫通孔は、別の貫通孔と密接に隣接していない。
【0044】
先の式2は、温度の関数として最大引張周方向応力値を決定するために使用することができる。図4は、熱処理温度(℃)対周方向応力(MPa)のプロットを示す。図4のプロットは、熱処理中の温度の上昇は、周方向応力において実質的に線形の増加をもたらすことを示し、これは、放射状亀裂を形成する確率が、熱処理の温度の上昇と共に増加することを示す。それゆえ、より高い温度では、放射状亀裂が生じる可能性が高い。
【0045】
上記式および分析を使用して、ここに開示され、記載された実施の形態による、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品における放射状亀裂の形成を最小にするまたはなくす、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を加熱する方法を考案した。どの特定の理論により束縛されるものでもないが、熱処理の高温部分中に低い平均加熱速度を使用すると、応力緩和機構を起動させることができ、これにより高温で存在するより高い周方向応力の効果が最小になり、それによって、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品における放射状亀裂の形成が減少するまたはなくなると考えられる。
【0046】
実施の形態による、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を加熱する方法を、ここに記載する。先に述べたように、式2を使用して、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品中の周方向応力-放射状亀裂の形成をもたらすことがある-は、加熱処理温度が上昇するにつれて、増加すると判断された。したがって、実施の形態による、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を加熱する方法において、放射状亀裂が形成する確率が著しくなる第1の温度があり、この第1の温度より高い温度での平均加熱速度は、低い平均加熱速度であるように制御され、それによって、放射状亀裂の形成が減少するまたは最小になると判断された。いくつかの実施の形態によれば、第1の温度より低い温度での加熱速度は、限定する必要はない。それゆえ、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品は、どの平均加熱速度を使用して第1の温度に加熱しても差し支えない。したがって、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を加熱する方法の実施の形態は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品の温度が、第1の温度以上であり、かつ熱処理が通常終わる第2の温度以下である過程中の平均加熱速度を制御することに関する。ここに開示された温度は、オーブン、炉、窯、焼き鈍し炉など、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を加熱するために使用される機器の測定大気温度を称することを理解すべきである。
【0047】
この情報を使用して、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品に熱処理を行って、放射状亀裂が形成する温度を決定した。様々な熱処理の目視観測により、放射状亀裂が形成する確率は、210℃以上の温度、220℃以上の温度、230℃以上の温度、240℃以上の温度、250℃以上の温度、260℃以上の温度、270℃以上の温度、280℃以上の温度、または290℃以上の温度など、200℃以上の温度で著しく増加することが判明した。したがって、実施の形態による、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を加熱する方法において、第1の温度より低い温度での放射状亀裂の形成の確率は低いので、第1の温度より低い温度での加熱速度は、制御する必要がない。実施の形態において、第1の温度は、210℃以上かつ300℃以下、220℃以上かつ300℃以下、230℃以上かつ300℃以下、240℃以上かつ300℃以下、250℃以上かつ300℃以下、260℃以上かつ300℃以下、270℃以上かつ300℃以下、280℃以上かつ300℃以下、または290℃以上かつ300℃以下など、200℃以上かつ300℃以下である。いくつかの実施の形態において、第1の温度は、200℃以上かつ280℃以下、200℃以上かつ270℃以下、200℃以上かつ260℃以下、200℃以上かつ250℃以下、200℃以上かつ240℃以下、200℃以上かつ230℃以下、200℃以上かつ220℃以下、または200℃以上かつ210℃以下など、200℃以上かつ290℃以下である。いくつかの実施の形態において、第1の温度は、225℃以上かつ275℃以下、または240℃以上かつ260℃以下など、220℃以上かつ280℃以下である。
【0048】
銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品における放射状亀裂の形成する確率は、上述したような、第1の温度から、熱処理が一般に終わる第2の温度まで、高い。実施の形態において、第2の温度は、360℃以上かつ450℃以下、370℃以上かつ450℃以下、380℃以上かつ450℃以下、390℃以上かつ450℃以下、400℃以上かつ450℃以下、410℃以上かつ450℃以下、420℃以上かつ450℃以下、430℃以上かつ450℃以下、または440℃以上かつ450℃以下など、350℃以上かつ450℃以下である。いくつかの実施の形態において、第2の温度は、350℃以上かつ430℃以下、350℃以上かつ420℃以下、350℃以上かつ410℃以下、350℃以上かつ400℃以下、350℃以上かつ390℃以下、350℃以上かつ380℃以下、350℃以上かつ370℃以下、または350℃以上かつ360℃以下など、350℃以上かつ440℃以下である。実施の形態において、第2の温度は、375℃以上から425℃以下など、375℃以上かつ450℃以下である。
【0049】
先に述べたように、ここに開示され、記載された実施の形態による、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を加熱する方法は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品が、第1の温度以上かつ第2の温度以下の温度にある-亀裂形成の確率が高い-ときに、平均加熱速度を制御する。ここに用いられているように、平均加熱速度は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を第1の温度から第2の温度に加熱するのにかかる時間で割った、第2の温度と第1の温度の差である。それゆえ、ここに用いられているような平均加熱速度は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品が、第1の温度以上かつ第2の温度以下の温度にある、任意の温度保持を含む。一例として、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品が、10分間で300℃の第1の温度から350℃に加熱され、10分間に亘り350℃に保持され、次いで、10分間で350℃から400℃の第2の温度に加熱された場合、平均加熱速度は、3.33℃/分(すなわち、(400℃-300℃)/30分)である。
【0050】
実施の形態において、第1の温度から第2の温度までの平均加熱速度は、0.0℃/分超かつ8.5℃/分以下、0.0℃/分超かつ8.2℃/分以下、0.0℃/分超かつ8.0℃/分以下、0.0℃/分超かつ7.8℃/分以下、0.0℃/分超かつ7.5℃/分以下、0.0℃/分超かつ7.2℃/分以下、0.0℃/分超かつ7.0℃/分以下、0.0℃/分超かつ6.8℃/分以下、0.0℃/分超かつ6.5℃/分以下、0.0℃/分超かつ6.2℃/分以下、0.0℃/分超かつ6.0℃/分以下、0.0℃/分超かつ5.8℃/分以下、0.0℃/分超かつ5.5℃/分以下、0.0℃/分超かつ5.2℃/分以下、または0.0℃/分超かつ5.0℃/分以下など、0.0℃/分超かつ8.7℃/分未満である。いくつかの実施の形態において、第1の温度から第2の温度までの平均加熱速度は、2.2℃/分以上かつ8.7℃/分未満、2.5℃/分以上かつ8.7℃/分未満、2.8℃/分以上かつ8.7℃/分未満、2.8℃/分以上かつ8.7℃/分未満、3.0℃/分以上かつ8.7℃/分未満など、2.0℃/分以上かつ8.7℃/分未満である。実施の形態において、第1の温度から第2の温度までの平均加熱速度は、2.2℃/分以上かつ6.5℃/分以下、2.5℃/分以上かつ6.5℃/分未満、2.8℃/分以上かつ6.5℃/分未満、または3.0℃/分以上かつ6.5℃/分未満など、2.0℃/分以上かつ6.5℃/分以下である。銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を、上記平均加熱速度で第1の温度から第2の温度に加熱すると、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品に放射状亀裂が生じない。
【0051】
いくつかの実施の形態によれば、第1の温度から第2の温度への加熱速度は、第1の温度から第2の温度までの全温度範囲に均一な加熱速度が使用されるように、実質的に一定に維持される。ここに用いられているように、実質的に一定の加熱速度は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を加熱するのに使用される機器により制御できるような、加熱速度設定点にできるだけ近く維持される加熱速度を称する。例えば、第1の温度から第2の温度までの温度範囲における加熱速度は、一定であり、6.5℃/分に設定されるべきであると判断されることがある。しかしながら、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を加熱するのに使用される機器における固有の一貫性のなさと非効率性を考慮すると、加熱速度は、たとえ加熱速度が6.5℃/分で一定であることが意図されたとしても、例えば、6.2℃/分まで減少する、または6.8℃/分まで上昇することがある。ここに用いられているように、この状況は、「実質的に一定の」加熱速度であろう。いくつかの実施の形態において、第1の温度から第2の温度までの加熱速度は可変であることがある。ここに用いられているように、「可変の」加熱速度は、第1の温度から第2の温度までの温度範囲において意図的に変えられる加熱速度を称する。可変加熱速度を有する実施の形態の一例は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品が、6.5℃/分の加熱速度で、300℃の第1の温度から350℃の温度まで加熱され、次いで、2.3℃/分の加熱速度で350℃から400℃の第2の温度まで意図的に加熱されるものであろう。
【0052】
実施の形態において、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品が、室温(約25℃)から第1の温度までの温度にあるときの平均加熱速度は限定されないが、いくつかの実施の形態において、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品が、室温(約25℃)から第1の温度までの温度にあるときの平均加熱速度は、放射状亀裂が形成されないことを確実にするのに役立つように低く維持される。したがって、実施の形態において、室温から第1の温度までの平均加熱速度は、0.0℃/分超かつ8.5℃/分以下、0.0℃/分超かつ8.2℃/分以下、0.0℃/分超かつ8.0℃/分以下、0.0℃/分超かつ7.8℃/分以下、0.0℃/分超かつ7.5℃/分以下、0.0℃/分超かつ7.2℃/分以下、0.0℃/分超かつ7.0℃/分以下、0.0℃/分超かつ6.8℃/分以下、0.0℃/分超かつ6.5℃/分以下、0.0℃/分超かつ6.2℃/分以下、0.0℃/分超かつ6.0℃/分以下、0.0℃/分超かつ5.8℃/分以下、0.0℃/分超かつ5.5℃/分以下、0.0℃/分超かつ5.2℃/分以下、または0.0℃/分超かつ5.0℃/分以下など、0.0℃/分超かつ8.7℃/分未満である。いくつかの実施の形態において、室温から第1の温度までの平均加熱速度は、2.0℃/分以上かつ8.7℃/分未満、2.5℃/分以上かつ8.7℃/分未満、2.8℃/分以上かつ8.7℃/分未満、2.8℃/分以上かつ8.7℃/分未満、3.0℃/分以上かつ8.7℃/分未満など、1.0℃/分以上かつ8.7℃/分未満である。実施の形態において、室温から第1の温度までの平均加熱速度は、2.0℃/分以上かつ6.5℃/分以下、2.2℃/分以上かつ6.5℃/分以下、2.5℃/分以上かつ6.5℃/分未満、2.7℃/分以上かつ6.5℃/分未満、または3.0℃/分以上かつ6.5℃/分未満など、1.0℃/分以上かつ6.5℃/分以下である。
【0053】
先に述べたように、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を第1の温度から第2の温度に加熱する方法は、様々な温度保持を含むことがあり、ここで、温度は、ある期間に亘り一定に保持される。どの特定の理論にも束縛されないが、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を一定温度に保持することによって、温度保持中に緩和が生じ、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品中の応力が減少するであろうと考えられる。したがって、亀裂形成が生じる前に、温度保持が行われると、温度保持から生じる緩和によって、亀裂が形成されないほど十分に、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品中の応力が減少するであろう。それに加え、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品中の応力が緩和できるように、第1の温度および第2の温度の1つ以上で温度保持が使用されることがある。
【0054】
実施の形態において、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品は、十五(15)分以上かつ120分以下、三十(30)分以上かつ120分以下、四十五(45)分以上かつ120分以下、六十(60)分以上かつ120分以下、七十五(75)分以上かつ120分以下、九十(90)分以上かつ120分以下、または105分以上かつ120分以下など、十(10)分以上かつ120分以下の期間に亘り第1の温度に保持されることがある。実施の形態において、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品は、十(10)分以上かつ九十(90)分以下、十(10)分以上かつ七十五(75)分以下、十(10)分以上かつ六十(60)分以下、十(10)分以上かつ四十五(45)分以下、十(10)分以上かつ三十(30)分以下、または十(10)分以上かつ十五(15)分以下など、十(10)分以上かつ105分以下の期間に亘り第1の温度に保持されることがある。
【0055】
実施の形態において、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品は、十五(15)分以上かつ120分以下、三十(30)分以上かつ120分以下、四十五(45)分以上かつ120分以下、六十(60)分以上かつ120分以下、七十五(75)分以上かつ120分以下、九十(90)分以上かつ120分以下、または105分以上かつ120分以下など、十(10)分以上かつ120分以下の期間に亘り第2の温度に保持されることがある。実施の形態において、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品は、十(10)分以上かつ九十(90)分以下、十(10)分以上かつ七十五(75)分以下、十(10)分以上かつ六十(60)分以下、十(10)分以上かつ四十五(45)分以下、十(10)分以上かつ三十(30)分以下、または十(10)分以上かつ十五(15)分以下など、十(10)分以上かつ105分以下の期間に亘り第2の温度に保持されることがある。
【0056】
実施の形態において、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品は、十五(15)分以上かつ120分以下、三十(30)分以上かつ120分以下、四十五(45)分以上かつ120分以下、六十(60)分以上かつ120分以下、七十五(75)分以上かつ120分以下、九十(90)分以上かつ120分以下、または105分以上かつ120分以下など、十(10)分以上かつ120分以下の期間に亘り第1の温度と第2の温度との間の一定温度に保持されることがある。実施の形態において、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品は、十(10)分以上かつ九十(90)分以下、十(10)分以上かつ七十五(75)分以下、十(10)分以上かつ六十(60)分以下、十(10)分以上かつ四十五(45)分以下、十(10)分以上かつ三十(30)分以下、または十(10)分以上かつ十五(15)分以下など、十(10)分以上かつ105分以下の期間に亘り第1の温度と第2の温度との間の一定温度に保持されることがある。
【0057】
ここに開示された方法は、どのサイズの銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品に使用してもよいが、ここに開示された方法は、比較的小さい銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品に使用するのに特に適しているであろう。実施の形態において、銅金属化貫通孔は、30μm以上かつ70μm以下、35μm以上かつ70μm以下、40μm以上かつ70μm以下、45μm以上かつ70μm以下、50μm以上かつ70μm以下、55μm以上かつ70μm以下、60μm以上かつ70μm以下、または65μm以上かつ70μm以下など、25μm以上かつ75μm以下の直径を有することがある。実施の形態において、銅金属化貫通孔は、25μm以上かつ60μm以下、25μm以上かつ55μm以下、25μm以上かつ50μm以下、25μm以上かつ45μm以下、25μm以上かつ40μm以下、25μm以上かつ35μm以下、または25μm以上かつ30μm以下など、25μm以上かつ65μm以下の直径を有することがある。実施の形態において、銅金属化貫通孔は、40μm以上かつ60μm以下など、35μm以上かつ65μm以下の直径を有することがある。
【0058】
ここに開示され、記載された方法は、どのピッチを有する貫通孔に使用してもよいことを理解すべきである。具体的に、ここに開示され、記載された実施の形態にしたがってガラスまたはガラスセラミック物品を加熱することによって、貫通孔のピッチにかかわらず、放射状亀裂を最小にするまたはなくすことができる。さらに、貫通孔のピッチは、基板中の貫通孔の直径に依存する。しかしながら、貫通孔の直径が約50μmである、いくつかの実施の形態において、銅金属化貫通孔は、100μm以上かつ750μm以下、150μm以上かつ700μm以下、200μm以上かつ650μm以下、250μm以上かつ600μm以下、300μm以上かつ550μm以下、350μm以上かつ500μm以下、または400μm以上かつ450μm以下など、60μm以上かつ800μm以下のピッチを有することがある。実施の形態において、銅金属化貫通孔は、60μm以上かつ130μm以下、60μm以上かつ120μm以下、60μm以上かつ110μm以下、60μm以上かつ100μm以下、60μm以上かつ90μm以下、60μm以上かつ80μm以下、または60μm以上かつ70μm以下など、60μm以上かつ140μm以下のピッチを有することがある。
【0059】
ここに開示され、記載された方法は、どの深さを有する貫通孔に使用してもよいことを理解すべきである。具体的に、ここに開示され、記載された実施の形態にしたがってガラスまたはガラスセラミック物品を加熱することによって、貫通孔の深さにかかわらず、放射状亀裂を最小にするまたはなくすことができる。しかしながら、いくつかの実施の形態において、銅金属化貫通孔は、75μm以上かつ575μm以下、100μm以上かつ550μm以下、125μm以上かつ525μm以下、150μm以上かつ500μm以下、175μm以上かつ475μm以下、200μm以上かつ450μm以下、225μm以上かつ425μm以下、250μm以上かつ400μm以下、275μm以上かつ375μm以下、または300μm以上かつ350μm以下など、50μm以上かつ600μm以下の深さを有することがある。実施の形態において、銅金属化貫通孔は、200μm以上かつ375μm以下、200μm以上かつ350μm以下、200μm以上かつ325μm以下、200μm以上かつ300μm以下、200μm以上かつ275μm以下、200μm以上かつ250μm以下、または200μm以上かつ225μm以下など、200μm以上かつ400μm以下の深さを有することがある。
【0060】
ここに開示され、記載された実施の形態による、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品のガラスまたはガラスセラミック基板として、どのガラスまたはガラスセラミック材料を使用してもよい。具体的に、ここに開示され、記載された実施の形態にしたがってガラスまたはガラスセラミック物品を加熱することによって、ガラスまたはガラスセラミックの組成にかかわらず、放射状亀裂を最小にするまたはなくすことができる。しかしながら、上述したように、実施の形態の方法は、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品のガラスまたはガラスセラミック基板として使用されるガラスまたはガラスセラミック材料が、銅のCTEと高いCTE不一致を有する場合に特に有用である。したがって、いくつかの実施の形態において、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品のガラスまたはガラスセラミック基板は、多量のシリカを含む。いくつかの実施の形態において、その基板は、55モル%以上のシリカ、60モル%以上のシリカ、65モル%以上のシリカ、70モル%以上のシリカ、75モル%以上のシリカ、80モル%以上のシリカ、85モル%以上のシリカ、90モル%以上のシリカ、95モル%以上のシリカ、または約100モル%のシリカなど、50モル%以上のシリカを含む。いくつかの実施の形態において、その基板は、少なくとも90質量%のシリカを含む。
【0061】
ここに開示され、記載された方法にしたがって製造された、銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品は、50倍以上の倍率で見たときに、熱処理後に放射状亀裂を含まないであろう。
【実施例
【0062】
以下の実施例によって、実施の形態をさらに明白にする。
【0063】
少なくとも90質量%のシリカを含むガラス基板において、完全に充填された円筒形のボトムアップ式電気メッキされた銅金属化貫通孔を使用した。ボトムアップ式電気メッキにより貫通孔に銅を充填した後、化学機械研磨(CMP)を使用して、銅の被りを除去した。その後、基板を、14mm×14mmのダイサイズに切断し、196mmのダイ面積を得た。各ダイは、4列の銅金属化貫通孔のアレイを含み、合計で952の銅金属化貫通孔となった。銅金属化貫通孔の直径、ピッチおよび深さは、それぞれ、50μm、100μmおよび300μmであった。次に、試料に、420℃の最高温度まで異なる加熱速度を使用してアニール処理を施し、次に、試料を、室温(25℃)まで炉の冷める速度で冷却した。図5Aは、6.5℃/分、8.7℃/分、13.0℃/分、および26.0℃/分の実質的に一定の加熱速度を有する4つの試料のアニールプロファイルをグラフで示す。図5Bは、2.3℃/分の平均加熱速度で、可変加熱速度を有するアニールプロファイルをグラフで示す。したがって、2.3℃/分から26.0℃/分の加熱速度を研究し、それらの全詳細が、表1に示されている。
【0064】
【表1】
【0065】
60分の期間に一定温度の保持を使用した、2.3℃/分の平均加熱速度を有する試験条件を除いて、全ての試験条件に、420℃での30分の期間について、一定温度の保持を使用した。冷却は、炉の冷める速度で行い、この冷却は、変化させず、約120分かかった。
【0066】
アニール処理後、ダイの光学検査を行って、放射状亀裂の形成に対する昇温速度に依存性を決定した。異なる昇温速度に関するダイ上の亀裂の数を計数し、各試験条件について、式3を使用して、亀裂密度を計算した。亀裂は、50倍および500倍の倍率で光学顕微鏡により観察した。各加熱速度の研究に、1つの試料を使用した。
【0067】
【数3】
【0068】
亀裂が発生した温度を決定するために、その場温度依存性研究を行った。この研究において、試料を、20.5℃/分の昇温速度で420℃に加熱した。その場イメージングシステムを使用することによって、同じ特定の組のビアの画像を、10秒毎に温度の関数として収集し、これらを、後に分析して、亀裂が発生した温度を決定した。
【0069】
それに加え、Zygoトポグラフィー測定方法を使用して、使用したアニール加熱速度に関して、どれだけ多くの銅突出が生じたかを決定した。この測定に基づいて、突出した銅の高さを決定した。
【0070】
図6は、26.0℃/分の加熱/昇温速度を有する試料の50倍の光学画像を表す。この速い加熱速度を使用すると、試料に亀裂が形成されることが観察された。放射状亀裂は、隣接する銅金属化貫通孔からの亀裂と結合し、放射状亀裂の網状構造をもたらすことが判明したので、それらは、試料を通じて亀裂の鎖を形成することが示されている。14mm×14mmのダイ上の放射状亀裂の総数は、375の亀裂であり、1.91亀裂/mmの亀裂密度を生じた。
【0071】
加熱速度を13.0℃/分および8.7℃/分に遅くすると、放射状亀裂の形成をもたらし続けた。13.0℃/分の加熱速度で形成された亀裂が、図7A(50倍)および図7B(200倍)で示されている。8.7℃/分の加熱速度で形成された亀裂が、図8A(50倍)および図8B(500倍)で示されている。しかしながら、亀裂の数において著しい継続的な低下が観察された。13.0℃/分の加熱速度に関する放射状亀裂の総数は、たった8の亀裂であることが分かり、8.7℃/分の加熱速度に関する放射状亀裂の総数はたった4の亀裂であり、それぞれ、0.04亀裂/mmおよび0.02亀裂/mmの密度を生じた。
【0072】
しかしながら、6.5℃/分の加熱速度では、図9A(50倍)および図9B(200倍)に示されるように、亀裂は観察されなかった。同様に、図10(200倍)に示されるように、2.3℃/分の平均加熱速度の可変加熱速度を使用してアニールした試料について、亀裂は観察されなかった。
【0073】
下記の表2に、上記試験の結果が纏められている。
【0074】
【表2】
【0075】
表2に纏められた結果から、8.7℃/分未満の加熱速度について、放射状亀裂は最小であり、8.7℃/分以上の加熱速度では、ダイ上の放射状亀裂の数は、加熱速度の増加と共に増加することが観察された。しかしながら、8.7℃/分未満の加熱速度では、亀裂の数は最小であり、最終的に、6.5℃/分以下の加熱速度では、亀裂は存在しなかった。これは、放射状亀裂の形成は、時間依存性の現象であることを示す。
【0076】
それに加え、亀裂密度を、表2に示されたように計算し、図11にグラフで示した。亀裂密度は、使用したアニール加熱速度により指数関数的に増加することが分かった。図11は、放射状亀裂の形成は、速度依存性の現象であることを明白に示す。これは、放射状亀裂の形成は、応力主導であり、銅とその周りのガラス基質のCTEの不一致から生じることも示す。それゆえ、6.5℃/分以下の加熱速度に関する亀裂の不在は、銅金属化貫通孔における速度制御される応力緩和機構の十分な起動を示唆する。さらに、8.7℃/分未満の加熱速度では、限られた量の亀裂しか観察されないので、これは、8.7℃/分未満の加熱速度について、銅金属化貫通孔中の応力はより低く、ガラスにおいて亀裂が発生するのに必要な限界臨界応力値未満である、ガラスにおけるより低い誘起応力をもたらすことを意味する。
【0077】
図12A~12Cは、銅金属化貫通孔のその場温度依存性画像である。視覚的に、317℃では、放射状亀裂は観察されなかった(図12A)。しかしながら、10秒後に、亀裂が、左から3番目の銅金属化貫通孔から伝搬することが観察され、これは、321℃の温度に相当する(図12B)。さらに温度が上昇すると、図12Cに示されるように、60秒後に、隣接する銅金属化貫通孔(すなわち、左から4番目の銅金属化貫通孔)に最終的に結合されるまで、亀裂が成長した。放射状亀裂は321℃で最初に観察されたが、試験プロトコルの設定のために、より低い温度で生じたのかもしれない。例えば、画像は、10秒毎にしか捉えられなかった。
【0078】
応力緩和機構の活動をより十分に理解するために、図13に示されている、アニール加熱速度に関するアニール後の銅の突出を測定することによって、さらなる実験研究を行った。銅の突出は、非弾性の面外変形である。これは、銅と周囲のガラス基板のCTEの不一致のために、銅内に高い圧縮応力が蓄積して、加熱中に生じる。銅の突出は、塑性変形した銅、並びに凸部の形成の組合せである。塑性変形は、銅の降伏強度の達成により生じ、これは、上昇する温度と共に減少する。他方で、凸部の形成は、粒界滑り(GBS)現象によるCu粒子の優先的な面外変位である。GBSは、境界界面に平行な、ある粒子の別の粒子の上の近似平行移動をもたらす拡散制御機構である応力緩和機構である。GBSは、平行移動中の粒子の垂直変位のために、銅の突出を形成する。
【0079】
図13において、銅の突出の高さは、増加する加熱時間と共に増加する、言い換えると、銅の突出は、減少する加熱速度と共に増加することが測定された。例えば、26.0℃/分の加熱速度でのCu突出の量は、400nmと測定されたが、6.5℃/分の加熱速度が使用された場合、銅の突出の高さは、約1100nmであると測定された。図13は、使用したアニール加熱速度に対する銅の突出の強い依存性を示す。表2および図13に基づいて、銅の突出における増加は、形成された放射状亀裂の数の減少をもたらすと推測できる。これは、増加した加熱時間または減少した加熱速度による応力緩和機構の増加した活動のためである。GBSは、微小空洞の形成もともない、それゆえ、その活動がより低いアニール加熱速度と共に増加する、速度制御される応力緩和機構であることが公知である。これは、GBSおよび塑性変形の活動は、6.5℃/分以下など、8.7℃/分未満の昇温速度を使用した場合、銅に蓄積した応力を、放射状亀裂の形成に必要な臨界応力閾値より低く十分に緩和させることを意味する。
【0080】
ここに用いられているように、「約」という用語は、量、サイズ、配合、パラメータ、および他の数量と特徴は、正確ではなく、その必要がないが、必要に応じて、公差、変換係数、丸め、測定誤差など、および当業者に公知の他の要因を反映して、近似である、および/またはそれより大きいかまたは小さいことのあることを意味する。値または範囲の端点を記載する上で、「約」という用語が使用されている場合、本開示は、称されている特定の値または範囲の端点を含むことを理解すべきである。本明細書において数値または範囲の端点に「約」が付いていようとなかろうと、その数値または範囲端点は、「約」により修飾されているもの、および「約」により修飾されていないものの2つの実施の形態を含むことが意図されている。範囲の各々の端点は、他方の端点に関してと、他方の端点に関係なくの両方で、有意であることがさらに理解されよう。
【0081】
請求項に記載された主題の精神および範囲から逸脱せずに、ここに記載された実施の形態に、様々な改変および変更が行えることが、当業者に明白であろう。それゆえ、明細書は、ここに記載された様々な実施の形態の改変および変更を、そのような改変および変更が付随の特許請求の範囲およびその等価物に入るという前提で、包含することが意図されている。
【0082】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0083】
実施形態1
方法において、
銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を第1の温度から第2の温度に加熱する工程であって、該第1の温度は、200℃以上かつ300℃以下であり、該第2の温度は、350℃以上かつ450℃以下である、工程、
を含み、
前記第1の温度から前記第2の温度への、前記銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品の加熱中の平均加熱速度は、0.0℃/分超かつ8.7℃/分未満である、方法。
【0084】
実施形態2
前記銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を前記第1の温度から前記第2の温度に加熱する工程が、該銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品中に放射状亀裂を生じない、実施形態1に記載の方法。
【0085】
実施形態3
前記銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を室温から前記第1の温度に加熱する工程をさらに含む、実施形態1または2に記載の方法。
【0086】
実施形態4
前記銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を室温から前記第1の温度に加熱する工程中の平均加熱速度が、0.0℃/分超かつ8.7℃/分未満である、実施形態3に記載の方法。
【0087】
実施形態5
前記第1の温度が225℃以上かつ275℃以下である、実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
実施形態6
前記第2の温度が375℃以上かつ425℃以下である、実施形態1から5のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
実施形態7
前記銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を前記第1の温度から前記第2の温度に加熱する工程中の平均加熱速度が、1.0℃/分以上かつ6.5℃/分以下である、実施形態1から6のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
実施形態8
前記銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を前記第1の温度から前記第2の温度に加熱する工程中の平均加熱速度が、実質的に一定である、実施形態1から7のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
実施形態9
前記銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を前記第1の温度から前記第2の温度に加熱する工程中の平均加熱速度が、可変である、実施形態1から7のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
実施形態10
前記方法が、10分以上かつ120分以下の期間に亘り、前記銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を前記第1の温度に保持する工程をさらに含む、実施形態1から9のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
実施形態11
前記方法が、10分以上かつ120分以下の期間に亘り、前記銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を前記第2の温度に保持する工程をさらに含む、実施形態1から10のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
実施形態12
前記銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を前記第1の温度から前記第2の温度に加熱する工程が、10分以上かつ60分以下の期間に亘り、該銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を一定温度に保持する工程を含む、実施形態1から11のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
実施形態13
前記銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品中の該貫通孔の直径が、25μm以上かつ75μm以下である、実施形態1から12のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
実施形態14
前記銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品中の該貫通孔のピッチが、60μm以上かつ800μm以下である、実施形態1から13のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
実施形態15
前記銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品中の該貫通孔の深さが、50μm以上かつ600μm以下である、実施形態1から14のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
実施形態16
前記ガラスまたはガラスセラミック物品が、少なくとも90質量%のシリカを含む、実施形態1から15のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
実施形態17
方法において、
銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を第1の温度から第2の温度に加熱する工程であって、該第1の温度は、240℃以上かつ260℃以下であり、該第2の温度は、400℃以上かつ450℃以下である、工程、
を含み、
前記銅金属化貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック物品を前記第1の温度から前記2の温度に加熱する工程中の平均加熱速度は、0.0℃/分超かつ6.5℃/分以下である、方法。
【0100】
実施形態18
ガラスまたはガラスセラミック物品において、
ガラスまたはガラスセラミック基板であって、厚さ方向に該ガラスまたはガラスセラミック基板を貫通する少なくとも1つの貫通孔を有するガラスまたはガラスセラミック基板、および
前記少なくとも1つの貫通孔内に存在する銅、
を含み、
放射状亀裂を含まない、ガラスまたはガラスセラミック物品。
【0101】
実施形態19
前記ガラスまたはガラスセラミック基板が少なくとも90質量%のシリカを含む、実施形態18に記載のガラスまたはガラスセラミック物品。
【0102】
実施形態20
前記ガラスまたはガラスセラミック基板中の前記少なくとも1つの貫通孔の直径が、25μm以上かつ75μm以下である、実施形態18または19に記載のガラスまたはガラスセラミック物品。
【0103】
実施形態21
前記ガラスまたはガラスセラミック基板中の前記少なくとも1つの貫通孔のピッチが、60μm以上かつ800μm以下である、実施形態18から20のいずれか1つに記載のガラスまたはガラスセラミック物品。
【0104】
実施形態22
前記ガラスまたはガラスセラミック基板中の前記少なくとも1つの貫通孔の深さが、50μm以上かつ600μm以下である、実施形態18から21のいずれか1つに記載のガラスまたはガラスセラミック物品。
【符号の説明】
【0105】
100 ガラスまたはガラスセラミック物品
110 ガラスまたはガラスセラミック基板
120、120a~120f 銅金属化貫通孔
130 亀裂
130a~130e 放射状亀裂
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
【国際調査報告】