(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-11
(54)【発明の名称】吸入可能な治療剤
(51)【国際特許分類】
A61K 9/127 20060101AFI20220404BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20220404BHJP
A61K 9/50 20060101ALI20220404BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20220404BHJP
A61K 31/185 20060101ALI20220404BHJP
A61K 31/19 20060101ALI20220404BHJP
A61K 31/136 20060101ALI20220404BHJP
A61K 31/375 20060101ALI20220404BHJP
A61K 38/06 20060101ALI20220404BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20220404BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220404BHJP
A61P 11/12 20060101ALI20220404BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20220404BHJP
A61K 38/46 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
A61K9/127
A61K9/12
A61K9/50
A61K31/198
A61K31/185
A61K31/19
A61K31/136
A61K31/375
A61K38/06
A61K38/05
A61K45/00
A61P11/12
A61K9/72
A61K38/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549431
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(85)【翻訳文提出日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2020019317
(87)【国際公開番号】W WO2020172594
(87)【国際公開日】2020-08-27
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521370846
【氏名又は名称】シラ セラピューティック インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンダーウッド,デニス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マームッド,アッシュファク
(72)【発明者】
【氏名】リズヴィ,サフィア ケー.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076AA24
4C076AA61
4C076AA93
4C076AA95
4C076BB27
4C076CC15
4C076FF27
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
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4C084BA14
4C084BA15
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4C084NA05
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4C086MA13
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4C086NA05
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA34
4C086ZA59
4C086ZB11
4C206AA01
4C206JA52
4C206JA58
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4C206MA76
4C206NA05
4C206NA13
4C206ZA59
4C206ZB11
(57)【要約】
対象の気道を治療するための治療剤であって、1つまたは複数の種類またはサイズの粒子を含み、各粒子がさらに、粘液溶解薬または別の薬物をその中に含有する生分解性エンクロージャを含む、治療剤。分散器を使用して、定量の粘液溶解薬を送達してもよく、分散器は、対象によって自己投与されるように構成されてもよい。粘液溶解薬をリポソーム製剤内にカプセル封入すると、上気道または下気道中の標的位置への送達時に、早期の酸化を防ぎ、薬物の有効性を維持することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の気道を治療するための治療剤であって、改善が前記治療剤によって特徴付けられ、前記治療剤が、第1の吸入可能な粒子と第2の吸入可能な粒子との組み合わせを、前記治療剤を繰り返し適用において自己投与するように構成された分散器内に含み、前記第1の吸入可能な粒子の各々が、第1の生分解性カプセル内に含有された第1の粘液溶解薬を含み、前記第2の吸入可能な粒子の各々が、第2の生分解性カプセル内に含有された前記第1のまたは第2の粘液溶解薬を含み、
前記第1の粘液溶解薬及び/または前記第2の粘液溶解薬が、前記第1の生分解性カプセルまたは前記第2の生分解性カプセルのそれぞれから放出され、前記対象の前記気道の標的位置で吸収される前に酸化から保護される、前記治療剤。
【請求項2】
前記第1の粘液溶解薬または前記第2の粘液溶解薬が、N-アセチルシステイン、2-メルカプトエタンスルホネート、L-α-ウレイド-メルカプトプロピオン酸、ブロムヘキシン、アスコルビン酸、N-ブチルシステイン、還元型グルタチオン、アミノ酸システインのN-誘導体及びC-誘導体、システイン及びグルタミン酸のジ-ペプチド、アスパラギン酸のジ-ペプチド、塩酸アンブロキソール、DNアーゼ、ならびにDNA切断剤からなる化合物の群から選択される、請求項1に記載の治療剤。
【請求項3】
前記第1の生分解性カプセルの少なくとも1つがリポソーム製剤を有する、請求項1に記載の治療剤。
【請求項4】
前記第1の粒子が約5ミクロン~約50ミクロンのサイズにされ、前記第2の粒子が約0.01ミクロン~約6ミクロンのサイズにされ、
前記第1の粒子が前記気道の第1の標的位置で優勢に吸収されるように構成され、前記第2の粒子が前記気道の第2の標的位置で優勢に吸収されるように構成された、請求項1に記載の治療剤。
【請求項5】
前記気道の前記第1の標的位置が上気道であり、前記気道の前記第2の標的位置が下気道である、請求項4に記載の治療剤。
【請求項6】
生分解性カプセルに含有された粘液溶解薬の追加的粒子をさらに含み、前記追加的粒子が、前記対象による前記治療剤の吸入時に前記気道の追加的位置で優勢に吸収されるようなサイズにされている、請求項4に記載の治療剤。
【請求項7】
前記第1の生分解性カプセルが、前記対象による前記治療剤の吸入時に前記第1の粘液溶解薬を即時に放出するように構成され、前記第2の生分解性カプセルが、所定の遅延を伴って前記第2の粘液溶解薬を放出するように構成され、徐放性の粘液溶解薬療法を前記対象に提供する、請求項1に記載の治療剤。
【請求項8】
追加的な所定の遅延を伴って粘液溶解薬を放出するように構成された生分解性カプセル内に含有された前記粘液溶解薬を含む、追加的粒子をさらに含む、請求項7に記載の治療剤。
【請求項9】
前記第1の吸入可能な粒子及び前記第2の吸入可能な粒子が、溶液の形態または乾燥粉末の形態で保管される、請求項1に記載の治療剤。
【請求項10】
前記分散器が、作動時に、約5mg~約200ミリグラムの前記第1の粘液溶解薬を含有する、各用量の前記治療剤を提供するように構成された、請求項1に記載の治療剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照データ
本特許出願は、同じ発明者によって2019年2月22日に出願された「Specific Inhaled Formulations of Small and Large Molecules as Therapeutic Agents」と題される仮米国特許出願第62809316号の優先日の利益を主張するものであり、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
本発明の範囲を限定することなく、吸入可能な治療剤に関連するその背景を説明する。より詳細には、本発明は、肺、気道、及び呼吸器疾患を治療するための、リポソーム製剤などの生分解性カプセル内に含有された粘液溶解薬を含む吸入可能な粒子について記載する。
【0003】
呼吸器系の主な機能は、対象の肺に空気を引き込み、肺組織を循環し、灌流する血液とガスの交換をさせることである。肺は、身体の最も重要な呼吸器官であり、そこで不可欠な酸素と二酸化炭素及び一酸化炭素との正常なガス交換が効果的かつ効率的に行われる。肺がそのガス交換機能を実行するのは、このガス交換が行われる外側の空気及び環境に直接接しており、それに暴露されているからである。この不可欠な役割を果たすために、上皮肺組織は、水分を含んだ粘液の薄膜で湿った状態に保たれており、この粘液は、ムチンを含めた様々なタンパク質、水性浸透圧濃度に維持された生理的陽イオン及び陰イオン、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、塩素イオン、炭酸水素イオン、炭酸イオン、リン酸イオンを、他のタンパク質及び酵素に加えて含んでいる。
【0004】
粘液輸送系は、吸入された壊死組織片、細菌、及び他の感染病原体に対する気道の基本的な防御である。吸入された外来粒子は粘液層に捕捉され、続いて粘液線毛クリアランスを介して肺から押し出される。十分に水分を含んだ粘液は、これらの外来作用物質のこうした線毛クリアランスを促進し、呼吸道を保護された状態に保つ。健康で正常な肺における粘液線毛クリアランス(MCC)は、水分を含んだ粘液/液体を取り除く線毛の運動によって促進され、そして細胞のイオン輸送系、例えばナトリウムイオン及び塩素イオン輸送系によっても促進される。十分な粘液の含水及び機能する線毛及びイオン輸送系が存在しなければ、粘液は過度に粘性になり、粘着して「粘液栓子」を形成する。これによって、気道閉塞、適切な呼吸不能(不十分な酸素交換)、ならびに反復性の肺、気道、及び耳の感染がもたらされる。反復性感染は永続的な肺損傷を引き起こし、呼吸不全に至るおそれがある。
【0005】
様々な呼吸器疾患の初期の原因は様々であり得る。それには、様々な化合物、フリーラジカル、活性酸素種(ROS)などへの環境暴露(喫煙、毒物暴露、慢性呼吸器感染症などによる)だけでなく、遺伝的病因、例えば、嚢胞性線維症(CF)及び原発性線毛機能不全(PCD)における機能性タンパク質の変異が含まれる。様々な呼吸器及び肺疾患において、疾患に共通の徴候は、正常な粘液クリアランスの欠如または減少、及び濃い、粘性及び粘着性の粘液または痰の形成であることが広く確立されている。粘液または痰の粘性及び粘着性が次第に高くなるのは、慢性の「酸化ストレス」の増大、粘液の含水及び運動の欠如によって粘液の状態の変化がもたらされることによって引き起こされると考えられ、その共通の成分は、ムチン及び他のタンパク質などの正常な粘液のタンパク質が、複数の分子間及び分子内ジスルフィド結合形成を介してオリゴマー化したものである。これに非共有結合のタンパク質-タンパク質相互作用の増大が加わり、これによって、水素結合ならびに疎水性の分子間及び分子内タンパク質相互作用が増大するために、タンパク質(複数可)構造がさらに凝集する。これらの分子変化/相互作用によって、天然に維持された粘液の弾性及び粘性が増加し、それによって天然の粘液クリアランス機構及び系の効率が減少する。粘液クリアランスは、関連タンパク質の遺伝子変異によって引き起こされる線毛(呼吸器に並ぶ小さな毛様構造)及びイオン輸送タンパク質の機能障害によっても妨害される。総括すると、生じるタンパク質間及びタンパク質内ジスルフィド結合、ならびに様々な水素結合、タンパク質-タンパク質の親水性及び疎水性相互作用が原因となって、正常な粘液構造が変化し、タンパク質のオリゴマー化が構築及び維持され、それによって一般に「粘液栓子」として知られる網状のタンパク質ネットワークがもたらされる。さらに、炎症部位への好中球の動員を含めた炎症過程、毒物暴露、または感染は、付随する細胞死を伴う酸化環境の増大をもたらし、これによって今度はDNA、脂質、フィブリン、及び外来粒子、ならびに病原体を含めた細胞壊死組織片が蓄積し、正常な流動及び除去などには粘性及び粘着性過ぎる濃い粘液をもたらす。MCCの減少は、今度は粘液栓子を増悪させる役割を果たし、呼吸器の細菌増殖のための豊かな増殖環境を提供する。この分子プロセスのカスケードは、慢性の呼吸障害、反復性の気道、肺、及び鼻腔の感染を累積的に引き起こし、それは持続性及び肺損傷への進行を伴う。
【0006】
構造化され、高度に粘性に変化した粘液栓子は、原発性線毛疾患(PCD)、嚢胞性線維症、気管支拡張症、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、及び慢性閉塞性肺疾患(COPD、気腫、気管支炎などの広範囲の肺障害に使用される包括的用語)などの複数の肺疾患の鍵となる徴候である。凝集構造の粘液または痰は、疾患に応じて変化した高分子組成及び生物物理学的特性を有する。これらの疾患の根本にある原因は遺伝及び環境要因に基づいて異なるが、これらの疾患すべてに共通する特徴は粘液クリアランスの減少であり、それによって、気道閉塞、細菌及び病原体の捕捉、反復性感染、ならびに繰り返される炎症がもたらされる。これは今度は、肺を次第に損傷し、最終的には呼吸不全または/及び肺移植の必要性を引き起こす場合がある。
【0007】
これらの疾患の大半に対する現在の標準治療は(ある種の集団におけるCFを除いて)、未だに症状及び合併症に対処することに重点を置いている。これらは、以下を含む:
・ 肺、副鼻腔、及び耳の感染の防止、制御、及び治療(経口及びIVの抗生物質及び抗感染薬)
・ 絡まった粘性の粘液及び痰の含水及び除去。(水分吸入器及び生理食塩水での気管支洗浄)
・ 腫れ及び炎症の低減(副腎皮質ステロイド及び気管支拡張剤)
・ 呼吸を促進するための気道の拡張(気管支拡張剤)
・ 手作業によるまたはデバイスを活用したCPT(胸部理学療法)。
・ 手術(鼓膜切開術、副鼻腔手術、肺移植)
【0008】
手術を除き、これらの方法のすべては、わずかなまたは一時的な緩和しか示さず、主な原因であり、呼吸困難、捕捉された細胞の粒子状壊死組織片及び病原体、反復性感染、ならびに不可逆的な進行性の肺損傷を引き起こす、濃く、粘性で、粘着性の粘液栓子の基本的問題に効果的に対処していない。
【0009】
したがって、安全で効果的であり、かつ信頼できる治療上の選択肢、例えば、タンパク質の重合/粘液栓子の形成の原因となる重大な結合を分断し、それによって粘性の粘液を流動化するための本発明に記載する組成物は、多くの稀な及び一般的な肺及び呼吸器/肺疾患における基本的問題に対処及び緩和し、MCCを促進するために非常に必要とされている。これは、上述の疾患を有する患者の生活の質を有意に改善するはずである。それは、第1に、粘液を流動化し、気道閉塞を取り除き、ガス交換を改善し、呼吸障害に対処するはずであり、第2に、病原体を抗生物質に対して完全に暴露し(以前は粘液栓子に遮蔽されていた)、それによって他の介入をより効果的にすることによって、反復する感染を防止するはずであり、第3に、永続的な肺損傷を防止するはずである。
【0010】
粘液溶解薬が治療部位に送達される間に、それを酸化から保護する必要性も存在する。ある種の粘液溶解剤は、その標的に到達する前に容易に酸化されることがあり、それによってその有効性が減少することがある。これは、臨床試験での一貫性のない結果によって説明することができる。粘液溶解薬の効力を最大限にするために、粘液溶解薬を酸化から保護する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0011】
したがって、本発明の目的は、粘液の効果的な溶解を可能にする新規の吸入可能な治療剤を提供することによって、先行技術のこれらの及び他の欠点を克服することである。
【0012】
本発明の別の目的は、起こり得る副作用を低減し、複数回実行される繰り返し適用での投与が可能になるように、より低用量の薬物で効果的な治療を提供するように設計された、新規の吸入可能な治療剤を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、そのような治療を家庭での送達に適したものにするように、医療専門家または自己投与のいずれによっても投与されるように構成された、新規の吸入可能な治療剤を提供することである。
【0014】
本発明のなお別の目的は、気道の標的部位に活性薬物を直接送達する前に、それを酸化及び粘液溶解薬の活性の喪失から保護し、それによって標的部位でそれが直接相互作用するまでその効力を保持するように構成された、新規の吸入可能な治療剤を提供することである。
【0015】
最も基本的な形態では、本発明は、少なくとも1つのまたは幾つかの複数の吸入可能な粒子として説明することができる。各粒子は、1種類または数種類の生分解性カプセル内に含有された粘液溶解薬または別の適切な活性な治療剤を含むことができる。少なくとも1種の粘液溶解薬を含む治療剤の数及びそれぞれの濃度、各治療剤に選択された生分解性カプセルの種類、ならびに吸入可能な粒子のサイズは、基礎症状を効果的に治療するために意図された薬物療法を気道の意図された位置に送達するように、気道障害の特定の種類に応じて調整することができる。
【0016】
実施形態において、少なくとも2つの種類及び/またはサイズの吸入可能な粒子は、所定のスケジュールに基づく繰り返し適用において対象によって自己投与されるように構成された単一の分散器内に封入されてもよい。そのような吸入可能な粒子の少なくとも1種は、リポソーム製剤、微小球、ナノ粒子、または工学操作された噴霧粒子などの生分解性カプセル内に粘液溶解薬を含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明は、特許請求する主題の完全な理解をもたらすために特定の詳細と共に様々な例を示している。しかしながら、特許請求する主題は、本明細書に開示する特定の詳細の1つまたは複数を用いなくても実践できることが、当業者には理解されるであろう。さらに、ある状況では、周知の方法、手順、システム、構成要素及び/または回路は、特許請求する主題を不必要に不明瞭にすることを避けるために詳細には説明していない。詳細な説明及び特許請求の範囲に記載される例示的な実施形態は、限定することを意味するものではない。本明細書に提示する主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を行うことができる。本明細書に概して説明するような本開示の態様は、多種多様な異なる構成にアレンジし、置き換え、組み合わせ、設計することができ、それらのすべては明確に企図され、本開示の一部をなすことが容易に理解されよう。
【0018】
本発明は、呼吸器疾患の根底にある病状、すなわち、粘液栓子、粘液線毛クリアランスの減少、及びそれに後続する結果的事象に、以降に特定するようなアミノ酸誘導体、天然及び合成ペプチド、小分子、ビタミン、及び/またはタンパク質分解及びDNA切断酵素からなる化合物の医薬組成物を含有する生分解性エンクロージャを含む吸入可能な粒子を用いて、直接対処することを目的とする。これらの分子は、ジスルフィド結合及び他の結合を切断し、局所的な抗酸化物質の濃度/潜在能力を増大させ、凝集し、変化した粘液タンパク質、ならびに核酸及び脂質における水素結合及び疎水性相互作用を切断及び分断するように設計し、選択することができる。さらに、吸入される生分解性粒子は、場合により、薬物、分子的実体、または他の作用剤を、単独で、あるいは同じエンクロージャまたは同じもしくは異なるサイズの別々のエンクロージャ内にカプセル封入されたこれらの機能剤の2種以上を様々に組み合わせて含有するように調整されてもよい。異なる薬物/作用剤を含有するこれらの別々に製剤化されたエンクロージャは、場合により一緒にまたは逐次異なる時間に投与して、治療におけるそれらの個々の有効性を強化することができる。
【0019】
本発明は、点鼻、気管内注入、及び気管支内注入を含めた経路の任意の1つまたは複数を通してそれらを直接肺内投与するための治療剤及び方法を包含する。本発明の粒子は、吸入可能なリポソーム、微小球、ナノ粒子を肺及び呼吸道に直接投与することによって送達されてもよい。さらに、本発明の吸入可能な粒子は、直接注入、吸入、霧状化吸入、エアロゾル化吸入によって、または霧状化、もしくはエアロゾル化、もしくは吸入による気道経路を介して配置されてもよい。吸入または鼻腔内経路によるこの直接送達のための方法は、エアロゾル化定量吸入器、ハンドヘルド携帯型ネブライザ、またはコンプレッサ式ネブライザ吸入デバイスなどの、吸入及び/または鼻腔内経路を介して薬物をカプセル封入した粒子を送達することができる分散器の使用を想定している。さらに、本発明の治療剤の粒子は、乾燥粉末の形態(定量吸入器用など)または液体の形態(ネブライザ用など)で保管されてもよい。
【0020】
実施形態において、分散器には、圧縮/加圧された吸入可能なエアロゾル送達デバイスが含まれ、場合により患者のコンプライアンスをモニタリングするためのスマートデジタル測定機能を備えていてもよい。そのようなデバイスとして、パルス振動膜式ネブライザ、振動メッシュ式ネブライザ、小容量ネブライザ、加圧式定量吸入器、乾燥粉末吸入器、及び本発明の粒子を含有する乾燥粉末またはこれらの粒子を含有する液体を吸入により送達することができる同様のデバイスを挙げることができるが、これらに限定されない。そのような分散デバイスは、以降に記載するような吸入される粒子を含有し、所定のスケジュールに従ってそのような粒子を同時または逐次投与するように構成された、1つまたは複数の別々の薬剤収容室を有してもよい。
【0021】
本明細書の目的のために、「エンクロージャ」、「カプセル」、「リポソーム」、「製剤」、及び「コーティング」という用語は、気道の治療に適した薬物を含有する生分解性粒子を説明するために相互に交換可能に使用される。「生分解性」という用語は、本明細書では、気道の組織と接触すると分解され、その内部の薬物を放出する生体適合性材料を説明するために使用される。これらのエンクロージャ内からの活性薬物の放出は、即時放出、制御放出、持続放出、及び/または徐放性プロセスであってもよい。加えて、所定の間隔を空けたスケジュールで所望の薬物を徐放するために、様々な粒子を一緒に組み合わせてもよい。
【0022】
実施形態において、例示的なリポソーム送達ビヒクルには、脂質、リン脂質、スフィンゴ脂質、糖脂質、長鎖脂肪酸、及び様々なサイズ及び組成のリポソームを形成する生物学的に許容可能な界面活性剤によって形成される、閉じたベシクル、コロイド、二重層構造が含まれてもよい。特定の組成物は吸入リポソーム製剤であり得るが、これらの分子、化合物、作用剤、及び/または酵素をカプセル封入すると、これらの薬物/作用剤のための生理学的適合性の薬物送達ビヒクルを生成するのに貢献し得る。
【0023】
吸入リポソーム製剤(複数可)は、病状の呼吸器部位の標的位置に個別に合わせて、そこに直接投与されてもよく、それによって前記薬物または作用剤が静脈内、動脈内、筋肉内に、または経口製剤で投与されたときに引き起こされる全身の薬物暴露を回避してもよい。これによって結果的にこれらの作用剤の用量を有意に低減させることが可能になり、それによって今度は、それに伴う副作用の多くを緩和することができる。
【0024】
リポソーム及びナノ粒子は、環境(血液、代謝、空気への暴露など)との相互作用から薬物を保護しながら薬物を部位特異的に送達することができる、独特な薬物担体となっている。そうしたものとして、これらのビヒクルは、粘液溶解薬または選択された別の薬物を早期の酸化から保護し、それによって薬物が標的部位に放出されるまでその効力を保持するのに適している。リポソームの構造/製剤に固有であるのは、ある種のリン脂質、界面活性剤、及び他の水性賦形剤分子である。標的化部位に送達されると、これらの構成成分は、これらのタンパク質内及びタンパク質間の疎水性相互作用を分断することによって粘液を液化すると共に、脂質を通して粘液に浸透するのにさらに貢献し得る。
【0025】
生分解性カプセル内に含有されるべき主な機能性薬物は、粘液溶解薬である。概して、そのような粘液溶解薬は、活性剤としてアミノ酸誘導体、ペプチド、ペプチド類似体、及び/または小分子を、単独で、または作用剤の1種もしくは複数と組み合わせて含み得る。実施形態において、そのような粘液溶解薬は、以下の化合物から選択し得る:
・ 約5%~約25%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%の濃度、または本発明はこれに関して限定されないのでその間の任意の濃度の、N-アセチルシステイン;
・ 約5%~約25%、例えば、5%、10%、15%、20%、25%の濃度、または本発明はこれに関して限定されないのでその間の任意の濃度の、2-メルカプトエタンスルホネート;
・ 約50mg/ml~約250mg/ml、例えば、50mg/ml、100mg/ml、150mg/ml、200mg/ml、250mg/mlの濃度、または本発明はこれに関して限定されないのでこの範囲内の任意の他の濃度の、L-α-ウレイド-メルカプトプロピオン酸;
・ ブロムヘキシン;
・ アスコルビン酸、例えば、ビタミン-C(還元型アスコルビン酸またはそのアスコルビン酸塩);
・ N-ブチルシステイン;
・ 還元型グルタチオン、例えば、グルタチオンの還元型の天然のトリ-ペプチドグルタチオン;
・ アミノ酸システインのN-誘導体及びC-誘導体;
・ システイン及びグルタミン酸のジ-ペプチド;
・ アスパラギン酸のジ-ペプチド;
・ 塩酸アンブロキソール;
・ DNアーゼ、例えば、組換えDNアーゼ;ならびに
・ DNA切断剤。
【0026】
実施形態において、活性剤は、次式によるD及び/またはL-異性体誘導体から選択されるアミノ酸誘導体を含んでもよい:
【化1】
【0027】
本発明のさらなる実施形態において、粘液溶解薬は、アミノ酸誘導体、例えば、次式によるアミノ酸誘導体のD-及び/またはL-異性体であってもよい:
【化2】
【0028】
本発明のさらなる実施形態において、粘液溶解薬は、ペプチドまたはペプチド類似体、例えば、次式によるアミノ酸のD-及び/またはL-異性体であってもよい:
【化3】
【0029】
本発明のなおさらなる実施形態において、粘液溶解薬は、ペプチドまたはペプチド類似体、例えば、次式によるペプチドにおけるアミノ酸のD-及び/またはL-異性体であってもよい:
【化4】
【0030】
なお他の実施形態において、粘液溶解薬は、ビタミン-E、または小分子である2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩であってもよい。
【0031】
粘液は細菌の覆いの形態としての役割を果たし得るので、汎用される抗生物質は、これらの細菌に到達して攻撃することができないことがある。構造化された粘液を破壊し、続いてそれを液化すると、抗生物質を病原体及び細菌に到達させ、感染を除去することができる可能性がある。したがって、本発明は、粘液溶解薬の吸入リポソーム製剤だけでなく、抗生物質、抗ウイルス、抗真菌、または別の抗感染化合物との同時または逐次投与をさらに含む。
【0032】
実施形態において、抗感染剤として、キノロン類(例えば、ナリジクス酸、シノキサシン、シプロフロキサシン、及びノルフロキサシンなど)、スルホンアミド類(例えば、スルファニルアミド、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、スルフィソキサゾール、スルファセタミドなど)、アミノグリコシド類(例えば、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、カナマイシンなど)、テトラサイクリン類(例えば、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリンなど)、パラ-アミノ安息香酸、ジアミノピリミジン類(例えば、トリメトプリム(スルファメトキサゾールと併せて使用されることが多い)、ピラジナミドなど)、ペニシリン類(例えば、ペニシリンG、ペニシリンV、アンピシリン、アモキシシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、カルベニシリンインダニル、チカルシリン、アズロシリン、メズロシリン、ピペラシリンなど)、ペニシリナーゼ耐性ペニシリン(例えば、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリンなど)、第一世代セファロスポリン類(例えば、セファドロキシル、セファレキシン、セフラジン、セファロチン、セファピリン、セファゾリンなど)、第二世代セファロスポリン類(例えば、セファクロル、セファマンドール、セフォニシド、セフォキシチン、セフォテタン、セフロキシム、エフロキシムアキセチル(Aefuroxime axetil)、セフィネタゾール(Cefinetazole)、セフプロジル、ロラカルベフ、セフォラニドなど)、第三世代セファロスポリン類(例えば、セフェピム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフィキシム、セフポドキシム、セフチブテンなど)、他のベータ-ラクタム類(例えば、イミペネム、メロペネム、アズトレオナム、クラブラン酸、スルバクタム、タゾバクタムなど)、ベータ-ラクタマーゼ阻害剤類(例えば、クラブラン酸)、クロラムフェニコール、マクロライド類(例えば、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシンなど)、リンコマイシン、クリンダマイシン、スペクチノマイシン、ポリミキシンB、ポリミキシン類(例えば、ポリミキシンA、B、C、またはD、E1。コリスチンA)、またはE2、コリスチンBまたはCなど)コリスチン、バンコマイシン、バシトラシン、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、エチオナミド、アミノサリチル酸、サイクロセリン、カプレオマイシン、スルホン類(例えば、ダプソン、スルホキソンナトリウムなど)、クロファジミン、サリドマイド、または脂質にカプセル封入することができる任意の他の抗菌剤を挙げることができる。抗感染薬として、抗真菌剤、例えば、ポリエン抗真菌薬(例えば、アンフォテリシンB、ニスタチン、ナタマイシンなど)、フルシトシン イミダ(imida)(例えば、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ケトコナゾールなど)、トリアゾール類(例えば、イトラコナゾール、フルコナゾールなど)、グリセオフルビン、テルコナゾール、ブトコナゾール シクロピラクス(Ciclopirax)、シクロピロクスオラミン、ハロプロジン、トルナフテート、ナフチフィン、テルビナフィン、または脂質にカプセル封入するまたは脂質と複合体を形成することができる任意の他の抗真菌薬、及び医薬として許容されるそれらの塩、ならびにそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0033】
実施形態において、2種以上の生分解性粒子が、単一の治療剤中に一緒に含有されてもよい。例えば、本発明の治療剤は、第1の吸入可能な粒子と第2の吸入可能な粒子との組み合わせを分散器内に含んでもよい。第1の吸入可能な粒子の各々は、今度は、上記のように第1の生分解性カプセル内に含有された第1の粘液溶解薬を含んでもよい。第2の吸入可能な粒子の各々は、今度は、第2の生分解性カプセル内に含有された同じ第1のまたは第2の粘液溶解薬を含んでもよい。他の実施形態において、第2の粒子は、抗感染剤または別の薬物を含有してもよい。結果として、第1の粘液溶解薬及び/または第2の粘液溶解薬は、これらのそれぞれの第1の生分解性カプセルまたは第2の生分解性カプセルから放出され、続いて対象の気道の標的位置で吸収される前に、酸化から保護される。
【0034】
2つ以上の標的位置への送達を確実にするために、第1の粒子は、第2の粒子と異なるサイズにされてもよい。実施形態において、第1の粒子は、上気道への優勢な送達のために約5~約50ミクロンのサイズにされてもよい。実施形態において、第1の粒子のサイズは、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50ミクロンであってもよく、または、本発明はこれに関して限定されないのでその間の任意のサイズであってもよい。
【0035】
第2の粒子は、下気道への優勢な送達を確実にするために、約0.01~約6ミクロンのサイズにされてもよい。実施形態において、第2の粒子は、約0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6ミクロンのサイズにされてもよく、または、本発明はこれに関して限定されないのでその間の任意のサイズであってもよい。
【0036】
他の実施形態において、薬物濃度も第1の粒子と第2の粒子の間で異なっていてもよい。第1の粒子のための粘液溶解薬の例示的な濃度は約5mg~約200mgであってもよく、第2の粒子のためには約10mg~約100mgであってもよい。
【0037】
さらなる実施形態において、3種以上の粒子が提供され、対象による治療剤の吸入時に気道に沿った異なる位置に異なる粒子が優勢的に沈着することを確実にするようなサイズにされてもよい。実施形態において、3つ、4つ、またはそれ以上の粒径を提供して、気道の所望の部分を本発明の治療剤でより均一に覆うことが可能になるようにしてもよい。
【0038】
脂質を有するリポソーム製剤に加えて、他の生分解性材料または界面活性剤を使用して本発明の生分解性エンクロージャを生成してもよい。これは、徐放を目的として行われてもよい。一例では、第1の粒子は、標的部位と接触すると即時に薬物を放出するように設計されてもよく、一方、第2の粒子は、所定の遅延を伴って薬物を放出するように設計されてもよい。所定の薬物放出時間を有する2種以上の徐放粒子の組み合わせを使用して、単回のまたは限定された回数の吸入後の薬物放出の持続スケジュールを作成してもよい。この持続または制御放出製剤は、患者に便利な投薬を提供するはずである。
【0039】
粒子は、サイズだけでなく、薬物の含有量も互いに異なっていてもよい。実施形態において、同じ粘液溶解薬が、異なる放出時間に設計された生分解性粒子内で2つ以上の濃度で提供されてもよい。他の実施形態において、2つの異なる粘液溶解薬を使用して、2つ以上の種類の本発明の粒子を形成してもよい。なおさらなる実施形態において、第1の粒子は粘液溶解薬を含有してもよく、一方、第2の粒子は抗生物質または抗ウイルス薬を含有してもよい。
【0040】
実施形態において、単回の適用で送達される粘液溶解薬の総用量は、約5ミリグラムから約200ミリグラムまで変動してもよく、例えば、5、10、20、30、40、50、75、100、125、150、175、200ミリグラムであってもよく、上記の方法及びデバイスのいずれかを使用して送達することができる。
【0041】
上記の通りの本発明は、粘液線毛クリアランス(MCC)の強化を可能にするために有利に使用することができ、肺及び呼吸気道疾患に観察される共通の基本的問題及び症状を緩和し、治療することを直接対象とする。本発明から利益を得ることができる状態及び疾患の一覧に、以下を含むことができる:
・ 原発性線毛機能不全(PCD)、
・ 嚢胞性線維症(CF)、
・ 気管支拡張症(BE)、
・ 副鼻腔炎
・ 鼻副鼻腔炎
・ 閉塞性細気管支炎(BO)、
・ 気腫、
・ 気管支炎、
・ 肺炎、
・ 間質性肺炎、
・ COPD、
・ 他の肺及び気道疾患、
・ 他の粘液閉塞性疾患
・ 肺、副鼻腔、及び耳のウイルス及び細菌感染
【0042】
本明細書で考察する任意の実施形態は、本発明の任意の方法に関して実行することができ、かつその逆も同様であることが企図される。本明細書に記載する特定の実施形態は、実例として示されており、本発明を限定するものとしては示されていないことも理解されるであろう。本発明の主要な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく様々な実施形態に用いることができる。当業者であれば、本明細書に記載する特定の手順に対する数多くの等価物を認識し、日常的な実験のみを使用して確認することができるであろう。そのような等価物は、本発明の範囲内であり、特許請求の範囲に含まれるとみなされる。
【0043】
本明細書で言及されるすべての刊行物及び特許出願は、本発明が属する分野における当業者の技術水準を示している。すべての刊行物及び特許出願は、あたかも各々の個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれると明確に及び個々に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。参照による組み込みは、本明細書における明確な開示に反する主題が組み込まれないように、該文書に含まれる特許請求の範囲が参照により本明細書に組み込まれないように、該文書に示される任意の定義が本明細書に明白に含まれていない限り参照により本明細書に組み込まれないように、制限される。
【0044】
「a」または「an」という語の使用は、特許請求の範囲及び/または明細書において「含む」という用語と併せて使用されるとき、「1つ」を意味し得るが、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」、及び「1つまたは2つ以上」の意味とも一致する。特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、本開示では選択肢のみを指す定義と「及び/または」を指す定義とを支持しているが、選択肢のみを指すと明確に示されていない限り、または選択肢が相互に排他的でない限り、「及び/または」を意味するために使用される。本出願を通して、「約」という用語は、ある値が、その値を決定するために用いられているデバイス、方法に固有の誤差の変動、または研究対象間に存在する変動を含むことを示すために使用される。
【0045】
本明細書及び特許請求の範囲(複数可)で使用される場合、「含む(comprising)」(及び含む(comprising)の任意の形態、例えば、「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」)、「有する(having)」(及び有する(having)の任意の形態、例えば「有する(have)」及び「有する(has)」)、「含む(including)」(及び含む(including)の任意の形態、例えば、「含む(includes)」及び「含む(include)」)、または「含有する(containing)」(及び含有する(containing)の任意の形態、例えば、「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」)という語は、包括的または非制限的であり、追加的な、列挙されていない要素または方法ステップを除外しない。本明細書で提供する組成物及び方法のいずれかの実施形態において、「含む(comprising)」は、「~から本質的になる」または「~からなる」に置き換えてもよい。本明細書で使用する場合、「~から本質的になる」という語句は、指定された完全体(複数可)またはステップだけでなく、特許請求される発明の性質または機能に実質的に影響を及ぼさないものも必要とする。本明細書で使用する場合、「からなる」という用語は、列挙された完全体(例えば、特徴、要素、性質、特性、方法/プロセスステップ、または制限)、または完全体の群(例えば、特徴(複数可)、要素(複数可)、性質(複数可)、特性(複数可)、方法/プロセスステップ、または制限(複数可))のみの存在を示すために使用される。
【0046】
「またはそれらの組み合わせ」という用語は、本明細書で使用する場合、その用語に先行する列挙された項目のすべての順列及び組み合わせを指す。例えば、「A、B、C、またはそれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABCの少なくとも1つを含むことが意図され、特定の文脈で順序が重要であるならば、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、またはCABもそれに含まれる。この例を続けると、明白に含まれるのは、1つまたは複数の項目または用語の反復を含有する組み合わせ、例えば、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどである。当業者であれば、文脈から特に明らかでない限り、典型的には任意の組み合わせにおける項目または用語の数に制限がないことを理解するであろう。
【0047】
本明細書で使用する場合、近似の語、例えば、限定するものではないが、「約」、「実質的な」、または「実質的に」は、ある状態がそのように修飾されたときに、必ずしも絶対的または完全ではないと理解されるものの、その状態が存在すると示すことを保証するのに十分に近いと当業者にみなされるであろう状態を指す。その記載の変動可能な程度は、どれほどの大きさの変化が起こり得るか、及び修飾された特徴が修飾されていない特徴に必要とされる性質及び能力をまだ有していると当業者に依然として認識させるかに依存するであろう。一般に、しかし前述の考察に供して、「約」などの近似の語によって修飾される本明細書における数値は、記載の値から少なくとも±1、2、3、4、5、6、7、10、12、15、20または25%変動し得る。
【0048】
本明細書に開示され、特許請求されるデバイス及び/または方法のすべては、本開示に照らして、過度の実験を行うことなく作製及び実行することができる。本発明のデバイス及び方法を好ましい実施形態の点から説明してきたが、本明細書に記載するデバイス及び/または方法、ならびに方法のステップまたはステップの順序に、本発明の概念、趣旨、及び範囲から逸脱することなく変更を加えることができることが当業者には明らかであろう。当業者には明らかなすべてのそのような同様の置き換え及び変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される通りの本発明の趣旨、範囲、及び概念に含まれるとみなされる。
【国際調査報告】