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特表2022-521634自動注射器用のドロップテスト機能付き硬質針シールド除去器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-11
(54)【発明の名称】自動注射器用のドロップテスト機能付き硬質針シールド除去器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
A61M5/32 502
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021550002
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(85)【翻訳文提出日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2020055011
(87)【国際公開番号】W WO2020173997
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】19305229.7
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピエール ドゥカルージュ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066NN04
(57)【要約】
本明細書で提供されるのは、薬物送達デバイスのサブアセンブリであって、ハウジングと、フランジを含む遠位端を有する変位可能な針カバーとを備え、針カバーは、ハウジング内に受け入れられ、針カバーがハウジングから延びる使用前位置と、針カバーが少なくとも部分的にハウジング内に変位する使用位置とを有するように構成される。針カバーをハウジング内に変位させると、薬物送達デバイスは作動する。サブアセンブリは、針カバーが使用位置に移動するのを防ぐように構成されたキャップアセンブリをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(310)と、
フランジ(340)を含む遠位端を有する変位可能な針カバー(330)であって、前記ハウジング(310)内に受け入れられ、前記針カバー(330)が前記ハウジング(310)から延びる使用前位置と、前記針カバー(330)が少なくとも部分的に前記ハウジング(310)内に変位する使用位置とを有するように構成され、前記針カバー(330)の前記ハウジング(310)への変位は、駆動機構との相互作用を介して前記薬物送達デバイスを作動させる、前記針カバーと、
キャップアセンブリ(100)であって、
ユーザにより把持されるように構成されたキャップ除去器(150)、及び
前記キャップ除去器(150)内に受け入れられ、前記薬物送達デバイスの前記針カバー(330)の前記フランジ(340)と係合するように構成されたリテーナ(110)を備える前記キャップアセンブリと、
を備える薬物送達デバイスのサブアセンブリであって、
前記フランジ(340)に対する前記リテーナ(110)の配置は、前記針カバー(330)の前記使用位置への移動を防止するように構成され、
前記リテーナは、少なくとも1つの半径方向に延びる突起部(135)を備え、前記キャップ除去器(150)は、その側壁に少なくとも1つの開口部(170)を含む、サブアセンブリ。
【請求項2】
前記リテーナ(110)は、前記針カバー(330)の前記フランジ(340)と係合するように構成された少なくとも1つの突起部(136)を備える、請求項1に記載のサブアセンブリ。
【請求項3】
前記リテーナ(110)の前記少なくとも1つの突起部(136)と、前記針カバー(330)の前記フランジ(340)との係合は、前記針カバー(330)の前記使用位置への移動を防止する、請求項2に記載のサブアセンブリ。
【請求項4】
前記フランジ(340)は、前記針カバー(330)の外面に配置され、前記突起部(136)は、前記フランジ(340)の半径方向外側に配置された内向きの突起である、請求項2又は3に記載のサブアセンブリ。
【請求項5】
前記突起部(136)は、その近位端で前記フランジ(340)に隣接する、請求項2から4のいずれか1項に記載のサブアセンブリ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの半径方向に延びる突起部(135)は、前記少なくとも1つの半径方向に延びる突起部(135)がキャップ除去器(150)の少なくとも1つの開口部(170)と整列するときに、半径方向外向きに偏向するように構成される、請求項5に記載のサブアセンブリ。
【請求項7】
前記リテーナ(110)は、前記キャップ除去器(150)に対して、前記少なくとも1つの半径方向に延びる突起部(135)が前記キャップ除去器(150)の少なくとも1つの開口部(170)と整列しておらず、半径方向外向きに偏向できない第1の位置から、前記少なくとも1つの半径方向に延びる突起部(135)がキャップ除去器(150)の少なくとも1つの開口部(170)と整列している第2の位置まで、シフト可能であり、その結果前記少なくとも1つの半径方向に延びる突起部が半径方向外向きに偏向することができる、請求項6に記載のサブアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載の薬物送達デバイスのサブアセンブリを備え、
針(220)を含み、ハウジング(310)内に少なくとも部分的に受け入れられるシリンジ(200)を更に備え、
使用位置では、前記針(220)は、前記針カバー(330)の少なくとも部分的に外側に配置され、
前記使用位置では、前記針カバーは、前記薬物送達デバイスを作動させて、薬物を送達するように構成される薬物送達デバイス(500)。
【請求項9】
前記リテーナ(110)は、前記針カバー(330)の前記フランジ(340)と係合するように構成された少なくとも1つの突起部(136)を含む、請求項8に記載の薬物送達デバイス。
【請求項10】
前記リテーナ(110)の前記少なくとも1つの突起部(136)と前記針カバー(330)の前記フランジ(340)との係合が前記針カバー(330)の前記使用位置への動きを防止する、請求項9に記載の薬物送達デバイス。
【請求項11】
前記リテーナは、少なくとも1つの半径方向に延びる突起部(135)を含み、前記キャップ除去器(150)は、その側壁に少なくとも1つの開口部(170)を含む、請求項8~10のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの半径方向に延びる突起部(135)は、前記少なくとも1つの半径方向に延びる突起部(135)が前記キャップ除去器(150)の少なくとも1つの開口部(170)と整列しているとき、半径方向外向きに偏向するように構成される、請求項11に記載の薬物送達デバイス。
【請求項13】
前記リテーナ(110)は、前記キャップ除去器(150)に対して、前記少なくとも1つの半径方向に延びる突起部(135)が前記キャップ除去器(150)の少なくとも1つの開口部(170)と整列しておらず、半径方向外向きに偏向できない第1の位置から、前記少なくとも1つの半径方向に延びる突起部(135)がキャップ除去器(150)の少なくとも1つの開口部(170)と整列している第2の位置まで、シフト可能であり、その結果前記少なくとも1つの半径方向に延びる突起部が半径方向外向きに偏向することができる、請求項11又は12に記載のサブアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、自動注射器及びそれを組み立てる方法、より具体的には、自動注射器から針シールドを除去するための装置、自動注射器の意図しない作動を防止するための装置、並びに、そのような装置を含む自動注射器を組み立てるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動注射器等の自動薬物送達デバイスは、針の無菌性を維持し、針とユーザとの間の不注意な接触を防ぐために、取り外し可能なシールドを備えて設計される。これらの針シールドの多くは弾性であり、針シールドとキャップ又は他の取り外し装置との間の正確な配置としっかりとしたグリップを確保することが困難な場合があり、その結果、シールド又は滑りを取り除くために過剰な力が必要になり、シールドをまったく取り外すことができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、自動注射器が使用される場合に針シールドを迅速かつ容易に取り外すために確実に配置することができる針シールド除去器の必要性が当技術分野に存在する。
【0004】
さらに、自動薬物送達デバイスは、力がデバイスに加えられたときに、不注意に作動する傾向に悩まされる可能性がある。特に、「プッシュオン」作動のデバイスは、デバイスを落としたときに不注意に作動する可能性がありうる。従って、自動注射器の意図しない作動を防ぐことができる装置の必要性が当技術分野に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で提供される薬物送達デバイスのサブアセンブリは、ハウジングと、フランジを含む遠位端を有する変位可能な針カバーであって、ハウジング内に受け入れられ、針カバーがハウジングから延びる使用前位置と、針カバーが少なくとも部分的にハウジング内に変位する使用位置とを有するように構成され、針カバーのハウジングへの変位は、駆動機構との相互作用を介して薬物送達デバイスを作動させる針カバーと、キャップアセンブリであって、ユーザにより把持されるように構成されたキャップ除去器、及び、キャップ除去器内に受け入れられ、薬物送達デバイスの針カバーのフランジと係合するように構成されたリテーナを備えるキャップアセンブリと、を備え、フランジに対するリテーナの配置は、針カバーの使用位置への移動を防止するように構成される。
【0006】
また、本明細書で提供される薬物送達デバイスは、ハウジングと、針を有しハウジングを少なくとも部分的に受け入れるシリンジと、その遠位端にフランジを有し、針が針カバー内に配置される使用前位置、及び、針が針カバーの少なくとも部分的に外側に配置される使用位置を有し、使用位置において針カバーが薬物送達デバイスを作動させて薬物を送達するように構成される針カバーと、キャップ除去器、及び、キャップ除去器内に受け入れられたリテーナを含むキャップアセンブリとを備え、リテーナは、針カバーが使用前の位置から使用位置に移動するのを防ぐように構成される。
【0007】
さらなる実施形態及び態様を以下に記載する。
【0008】
本明細書で提供される薬物送達デバイスのサブアセンブリは、ハウジングと、フランジを含む遠位端を有する変位可能な針カバーであって、ハウジング内に受け入れられ、針カバーがハウジングから延びる使用前位置と、針カバーが少なくとも部分的にハウジング内に変位する使用位置とを有するように構成され、針カバーのハウジングへの変位は、駆動機構との相互作用を介して薬物送達デバイスを作動させる針カバーと、キャップアセンブリであって、ユーザにより把持されるように構成されたキャップ除去器、及び、キャップ除去器内に受け入れられ、薬物送達デバイスの針カバーのフランジと係合するように構成されたリテーナを備えるキャップアセンブリと、を備え、フランジに対するリテーナの配置は、針カバーの使用位置への移動を防止するように構成される。
【0009】
上述のサブアセンブリにおいて、リテーナが針カバーのフランジと係合するように構成された少なくとも1つの突起部を含む。
【0010】
上述のサブアセンブリにおいて、リテーナの少なくとも1つの突起部と針カバーのフランジとの係合が、針カバーの使用位置への移動を防止する。
【0011】
上述のサブアセンブリにおいて、フランジが針カバーの外面に配置され、突起部がフランジの半径方向外側に配置された内向きの突起部である。
【0012】
上述のサブアセンブリにおいて、突起部がその近位端でフランジに隣接する。
【0013】
上述のサブアセンブリにおいて、リテーナが少なくとも1つの半径方向に延びる突起部を含み、キャップ除去器がその側壁に少なくとも1つの開口部を含む。
【0014】
上述のサブアセンブリにおいて、少なくとも1つの半径方向に延びる突起部が、キャップ除去器の少なくとも1つの開口部と整列するときに、少なくとも1つの半径方向に延びる突起部が半径方向外向きに偏向するように構成される。
【0015】
上述のサブアセンブリにおいて、リテーナは、少なくとも1つの半径方向に延びる突起部がキャップ除去器の少なくとも1つの開口部と整列しておらず、半径方向外向きに偏向することができない第1の位置から、少なくとも1つの半径方向に延びる突起部がキャップ除去器の少なくとも1つの開口部と整列している第2の位置まで、キャップ除去器に対してシフト可能であり、その結果少なくとも1つの半径方向に延びる突起部が半径方向外向きに偏向することができる。
【0016】
また、本明細書で提供される薬物送達デバイスは、ハウジングと、針を有しハウジングを少なくとも部分的に受け入れるシリンジと、その遠位端にフランジを有し、針が針カバー内に配置される使用前位置、及び、針が針カバーの少なくとも部分的に外側に配置される使用位置を有し、使用位置において針カバーが薬物送達デバイスを作動させて薬物を送達するように構成される針カバーと、キャップ除去器、及び、キャップ除去器内に受け入れられたリテーナを含むキャップアセンブリとを備え、リテーナは、針カバーが使用前位置から使用位置に移動するのを防ぐように構成される。
【0017】
上述のサブアセンブリにおいて、リテーナが針カバーのフランジと係合するように構成された少なくとも1つの突起部を備える。
【0018】
上述の薬物送達デバイスにおいて、リテーナの少なくとも1つの突起部と針カバーのフランジとの係合が、針カバーの使用位置への移動を防止する。
【0019】
上述の薬物送達デバイスにおいて、リテーナが少なくとも1つの半径方向に延びる突起部を含み、キャップ除去器がその側壁に少なくとも1つの開口部を含む。
【0020】
上述のサブアセンブリにおいて、少なくとも1つの半径方向に延びる突起部が、キャップ除去器の少なくとも1つの開口部と整列するときに、少なくとも1つの半径方向に延びる突起部が半径方向外向きに偏向するように構成される。
【0021】
上述の薬物送達デバイスにおいて、リテーナは、少なくとも1つの半径方向に延びる突起部がキャップ除去器の少なくとも1つの開口部と整列しておらず、半径方向外向きに偏向することができない第1の位置から、少なくとも1つの半径方向に延びる突起部がキャップ除去器の少なくとも1つの開口部と整列している第2の位置まで、キャップ除去器に対してシフト可能であり、その結果少なくとも1つの半径方向に延びる突起部が半径方向外向きに偏向することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるキャップアセンブリの側面図である。
図1B】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるキャップアセンブリの底面図である。
図2A】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるキャップアセンブリの分解図である。
図2B図2Aに示されるキャップアセンブリの斜視図である。
図3】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるキャップアセンブリの断面図である。
図4A】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるキャップアセンブリの斜視図である。
図4B】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるキャップアセンブリの斜視図である。
図5A】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるキャップアセンブリの分解斜視図である。
図5B】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるキャップアセンブリのキャップ除去器の斜視図である。
図5C】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるキャップアセンブリのリテーナの斜視図である。
図6】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるキャップアセンブリの断面斜視図である。
図7】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるキャップアセンブリを含む自動注射器の断面図である。
図8】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるキャップアセンブリを含む自動注射器の断面図である。
図9】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるキャップアセンブリを含む自動注射器の断面図である。
図10】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるキャップアセンブリを含むサブアセンブリの断面図である。
図11A】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるサブアセンブリの組み立て行程を示す図である。
図11B】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるサブアセンブリの組み立て行程を示す図である。
図11C】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるサブアセンブリの組み立て行程を示す図である。
図11D】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるサブアセンブリの組み立て行程を示す図である。
図11E】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるサブアセンブリの組み立て行程を示す図である。
図11F】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるサブアセンブリの組み立て行程を示す図である。
図11G】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるサブアセンブリの組み立て行程を示す図である。
図11H】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるサブアセンブリの組み立て行程を示す図である。
図11I】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるサブアセンブリの組み立て行程を示す図である。
図11J】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様によるサブアセンブリの組み立て行程を示す図である。
図12】本明細書に記載の非限定的な実施形態又は態様による自動注射器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明は、当業者が本発明を実施するために企図される説明された実施形態を作成及び使用することを可能にするために提供される。しかしながら、様々な修正、等価物、変形、及び、代替物は、当業者に容易に明らかなことである。任意の、及び、全てのそのような修正、変形、等価物、及び、代替物は、本発明の主旨及び範囲の中に入ることが意図されたものである。
【0024】
以下、説明の目的のために、「上部」、「下部」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「最上部」、「最下部」、「横」、「縦」、及び、それらの派生語は、図面において配向されるように、本発明に関するものとする。しかしながら、本発明は、それとは反対に明示的に特定されない限り、様々な代替的な変形を前提としてもよいことは理解されよう。また、添付の図面に示され、及び、以下の明細書に記載される具体的な装置は、単に、本発明の例示的な実施形態であることも理解されるべきである。そのため、本明細書に開示される実施形態に関連する具体的な寸法、及び、他の物理的な特徴は、限定的であるとしてみなされるべきではない。
【0025】
本明細書で提供されるのは、針を含む薬物送達デバイスのためのシールド除去アセンブリである。非限定的な実施形態又は態様では、薬物送達デバイスは、ユーザへの物質の自動又は手動送達のための自動注射器又は他の同様のデバイスである。図2及び図3を参照すると、キャップアセンブリ100であり、これは、非限定的な実施形態又は態様では、リテーナ110及びキャップ除去器150を含むシールド除去アセンブリである。リテーナ110はキャップ除去器150内にネストされる。非限定的な実施形態又は態様において、キャップ除去器150は、その遠位端でフレア状になって人間工学に基づいた把持面を形成し、ユーザがキャップ除去器をしっかりと把持できるようにする。リテーナ110及びキャップ除去器150は、例えば、プラスチックなどに限定されない、任意の剛性材料で形成することができる。
【0026】
図2A図2B、及び、図5A~5Cは、本明細書に記載のシールド除去アセンブリの非限定的な実施形態又は態様の分解図を示す。キャップ除去器150は、ハウジングに最も近くなるように構成された近位端155と、遠位端160とを含む。非限定的な実施形態又は態様では、キャップ除去器150の近位端155は、自動注射器のハウジング(図示せず)と係合する2つ以上のアームを含む。そのような非限定的な実施形態又は態様では、キャップ除去器150のアームは、自動注射器のハウジングとの安全で解放可能な係合を可能にするために、少なくとも1つの突起部又は肩部を含む。キャップ除去器150の遠位端160は、その中を通過する少なくとも1つの開口部162を含む。非限定的な実施形態又は態様では、キャップ除去器150は、その側壁に少なくとも1つの開口部170を含む。非限定的な実施形態又は態様では、キャップ除去器150は、2つの開口部170を含む。非限定的な実施形態又は態様では、キャップ除去器150は、キャップ除去器150の反対側に配置された2つの開口部170を含む。
【0027】
図1図2A図2B図4図5A、及び、図5Bを引き続き参照すると、リテーナ110は、近位端(115、ハウジングに最も近い)、及び、遠位端120を含む。非限定的な実施形態又は態様では、リテーナ110の近位端115は、自動注射器の針シールド(図示せず)と係合する2つ以上のアームを含む。そのような非限定的な実施形態又は態様では、リテーナ110のアームは、針シールドとの確実な係合を可能にするために少なくとも1つの突起部を含む。リテーナ110の遠位端120は、それを通る少なくとも1つの開口部122を含む。非限定的な実施形態では、リテーナ110の遠位端120は、キャップ除去器150の遠位端160に隣接するように構成される。非限定的な実施形態又は態様では、キャップ除去器150の遠位端160の開口部162は、リテーナ110の遠位端120の開口部122よりも大きな直径である。非限定的な実施形態又は態様では、この直径の違いにより、リテーナ110を、キャップ除去器150の遠位端160の開口部162を通してキャップ除去器150に導入することができる。
【0028】
上述のように、リテーナ110の近位端115は、針シールドとの確実な係合を可能にするために、突起部などの少なくとも1つの把持形体を含むことができる。図3及び図6を見ると、リテーナ110がその近位端115に少なくとも1つの把持形体125を含む、非限定的な実施形態又は態様によるシールド除去アセンブリが示されている。少なくとも1つの把持形体は、少なくとも1つの突起部125であり、そしてそれがそのフランジによって針シールドを把持することができるように構成される。
【0029】
非限定的な実施形態又は態様では、シールド除去アセンブリ100のリテーナ110及びキャップ除去器150は、自動注射器(図示せず)の針シールド及び/又はシリンジを、リテーナ110及びキャップ除去器150の遠位端120、160の開口部122、162のそれぞれを通して、ツールなどのデバイスを導入することによりリテーナに対して、移動できるように構成又は配置される。キャップ除去器とリテーナの開口部を通してツールを配置すると、針シールドとシリンジを近位方向に変位できるため、針シールドに対する突起部125の位置を調整して、リテーナ110と針シールドとの間のグリップを確保できる。
【0030】
図3及び図6を引き続き参照すると、非限定的な実施形態又は態様で上述のように、キャップ除去器150は、その側壁に少なくとも1つの開口部170を含む。少なくとも1つの開口部170は、リテーナ110上の少なくとも1つの半径方向に延びる突起部135がその中を通過して延びることを可能にするように構成される。図3及び図6に示される非限定的な実施形態又は態様では、少なくとも1つの半径方向に延びる突起部135は、リテーナ110の遠位端120から近位方向に延びるアームから延びる。他の非限定的な実施形態又は態様(図示せず)では、少なくとも1つの半径方向に延びる突起部135が、リテーナ110の本体上に配置されている。
【0031】
図2A及び図2Bを参照すると、シールド除去アセンブリ100の除去中に、キャップ除去器150とリテーナ110との間に遅れ配置が提供される。リテーナ110は、少なくとも1つの突起部112がキャップ除去器150の少なくとも1つの肩部152の近位に配置されるように、キャップ除去器150内に受け入れられる。非限定的な実施形態又は態様では、少なくとも1つの突起部112は、少なくとも片方の肩部152の近位面との係合により、リテーナ110がキャップ除去器150から遠位方向に変位するのを防ぐ。非限定的な実施形態又は態様では、リテーナ110は、キャップ除去器150の少なくとも1つの肩部152の遠位に配置された少なくとも1つのフランジ114をさらに含む。このようにして、リテーナ110は、少なくとも1つのフランジ114の近位面が少なくとも1つの肩部152の遠位面と係合することにより、キャップ除去器150から近位方向に変位するのを防ぐ。リテーナ110上の少なくとも1つの突起部112と少なくとも1つのフランジ114との間の長手方向の空間は、これらの構成要素間に所定量の「遊び」をもたらす。従って、非限定的な実施形態又は態様では、キャップ除去器150が遠位方向に引っ張られて、シールド除去アセンブリ100が取り付けられている薬物送達デバイスから除去されると、少なくとも1つの肩部152がリテーナ110の少なくとも1つの突起部112と係合する前に、キャップ除去器150が特定の距離だけ引っ張られる。これは、キャップ除去器150の動きの開始とリテーナ110の動きの開始との間に遅れをもたらす。キャップ除去器150が十分に動き、少なくとも1つの肩部152が少なくとも1つの突起部112と係合すると、リテーナ110が薬物送達デバイスから引き離され始め、針シールドに対して少なくとも1つの突起部125の配置のため、針シールドがシリンジ及び針から引き離され始める。
【0032】
また、本明細書には、ハウジング、バレル、針、及び、針シールドを有するシリンジ、並びに、キャップアセンブリを含む自動注射器が提供される。図7図9を参照すると、ハウジングと、バレル210、及び、それに取り付けられた針220を有するシリンジ200と、針を少なくとも部分的に取り囲むように構成された取り外し可能な針シールド230と、シールド除去アセンブリ100と、を備える自動注射器が示されている。自動注射器ハウジング(下部ハウジング310が示されているが、以下に説明するように、自動注射器は上部ハウジングを含むことができることを理解されたい。)は、近位端及び遠位端を含み、遠位端は針220がその中を通過することを可能にするために開放しており、物質がユーザに送達されることを可能にする。
【0033】
取り外し可能な針シールド230は、近位端232、及び、遠位端234を含むことができる。非限定的な実施形態又は態様では、取り外し可能な針シールド230は、エラストマーの内側部分、及び、剛性の外側部分を含む2ピースの針シールドである。非限定的な実施形態又は態様では、剛性の外側部分は、針シールド230のエラストマーの内側部分を少なくとも部分的に取り囲んでいる。非限定的な実施形態又は態様では、針シールド230は、少なくとも1つのフランジ、又は、肩部235を含む。非限定的な実施形態又は態様では、少なくとも1つのフランジ、又は、肩部235は、剛性の外側部分と係合するために、エラストマーの内側部分に配置されている。非限定的な実施形態又は態様では、針シールド230は、その近位端232上に少なくとも1つの相補的な把持特徴233を含む。非限定的な実施形態又は態様では、少なくとも1つの相補的な把持特徴233は、リテーナの少なくとも1つの把持特徴125と相補的であり、それらと係合可能であるように構成される。非限定的な実施形態又は態様では、少なくとも1つの相補的な把持特徴233は、針シールド230の近位端である。
【0034】
非限定的な実施形態又は態様では、針シールド230のエラストマーの部分は、1つ又は複数の天然又は合成ゴム及び/又は熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの組み合わせで形成されている。非限定的な実施形態又は態様では、針シールド230の剛性の外側部分は、剛性のプラスチックで形成されている。非限定的な実施形態又は態様では、剛性の外側部分はポリプロピレンで形成されている。
【0035】
キャップアセンブリ100は、上述のように、キャップ除去器150及びリテーナ110を含む。非限定的な実施形態、又は、態様では、キャップ除去器150及び/又はリテーナ110は、上述の特徴のうちの1つ又は複数を含む。非限定的な実施形態又は態様では、キャップ除去器150は、ハウジングの開放した遠位端を少なくとも部分的に取り囲む。非限定的な実施形態又は態様では、キャップ除去器150は、ハウジングに対して回転可能ではない。自動注射器ハウジング、及び/又は、キャップ除去器150は、針シールド230の取り外し中の、ハウジング及び針220に対する、キャップ除去器150、従って、リテーナ110及び針シールド230の回転を防止するための適切な特徴を含むことができる。非限定的な実施形態又は態様では、適切な回転防止機能には、1つ又は複数の突起部、ガイドチャネル、及び/又は、キャップ除去器150、及び/又は、ハウジング上の肩部が含まれる。
【0036】
また、本明細書では、自動注射器の下部ハウジングアセンブリを提供するステップと、シリンジを下部アセンブリに挿入するステップと、上部アセンブリを下部アセンブリに配置するステップとを含む、シールド除去アセンブリを含む自動注射器を組み立てる方法が提供される。第1のステップでは、それに係合するシールド除去アセンブリ100を含む下部ハウジングアセンブリ300が提供される。下部ハウジングアセンブリ300は、下部ハウジング310を含む。非限定的な実施形態又は態様では、下部アセンブリ300は、その近位端にリング320を含む。下部ハウジングアセンブリ300は近位端及び遠位端を含み、遠位端はシリンジの針がその中を通過できるように開放しており、下部ハウジング310の近位端はシリンジが通過できるように開放しており、ハウジングに挿入される。ハウジングは、例えば、限定されないが、剛性のプラスチックを含む、任意の適切な材料で形成されうる。下部アセンブリ300はまた、キャップアセンブリ100を含む。キャップアセンブリ100は、上述のように、キャップ除去器150及びリテーナ110を含み、それぞれが、その中を通過する開口部162、122を有する遠位端160、120を有する。非限定的な実施形態又は態様では、キャップ除去器150及び/又はリテーナ110は、上述の特徴のうちの1つ又は複数を含む。初期構成では(例えば、シールド除去アセンブリ100が下部ハウジング300の上に配置される場合)、リテーナ110の遠位端120は、キャップ除去器150の遠位端160から間隔が空けられる。
【0037】
図7を参照すると、非限定的な実施形態又は態様では、方法の第2のステップにおいて、シリンジ200が下部ハウジング310に挿入される。シリンジ200は、薬剤又は他の物質をその中に保持するためのバレル210、バレル210の遠位端に配置された針220、及び、取り外し可能な針シールド230を含むことができる。シリンジ200、バレル210、針220、及び、針シールド230は、上述の特徴のうちの1つ又は複数を含むことができる。シリンジバレル210は、任意の有用なサイズであり得、ガラス又はプラスチックなどの任意の有用な材料で形成され得る。非限定的な実施形態又は態様では、シリンジ200はユニタリシリンジ(unitary syringe)であり、針220はシリンジバレル210で形成される。非限定的な実施形態又は態様では、シリンジバレル210は、その中に針220を備えて形成されておらず、代わりに、針ハブ(図示せず)が針220を保持している。注射器針220は、任意の有用な材料で形成することができ、任意の適切なゲージであることができる。針シールド230は、エラストマー材料で形成されたワンピースの針シールド、又は、エラストマー材料で形成された内側部分及び剛性材料で形成された外側部分を有するツーピースの針シールドであり得る。針シールド230は、針220を少なくとも部分的に取り囲んでいる。非限定的な実施形態又は態様では、シリンジ200は、その近位端にフランジ240を含む。第2のステップの終わりに、リテーナ110の遠位端120は、キャップ除去器150の遠位端160から長手方向に間隔が空けられたままである。
【0038】
非限定的な実施形態又は態様では、シリンジ200を挿入するステップは、好ましくは少なくとも1つの把持形体125が針シールドの近位端から長手方向に間隔が空けられるように、シリンジ200をハウジング310の遠位端に向かって移動するステップを含む。言い換えれば、少なくとも1つの把持形体125は、その最終位置(図9に示される)よりも近位にある。この位置では、シリンジフランジの遠位端234がリング320に隣接している。この位置では、リテーナ110の近位端115がシリンジバレル210に接触する。
【0039】
上述のように、このステップの終わりに、リテーナ110の遠位端120は、キャップ除去器150の遠位端160に対して近位に維持され、その結果、リテーナ110の遠位端120は、キャップ除去器150の遠位端160から長手方向に間隔が空けられている。非限定的な実施形態又は態様では、ツール(図示せず)が、キャップ除去器150の開口部162内に挿入される。このツールを使用して、リテーナ110を近位方向に押すことができ、その結果、リテーナ110の遠位端120は、キャップ除去器150の遠位端160から長手方向に間隔が空けられる。
【0040】
非限定的な実施形態又は態様では、リテーナ110の近位端115は、突起部125などの少なくとも1つの把持形体を含み、突起部125は、シリンジバレル210の遠位端の近位でシリンジバレル210に接触する。このようにして、リテーナ110は「オーバーストローク」位置にあり、少なくとも1つの把持形体125が針シールド230の非常に近位に配置されている(図7)。非限定的な実施形態又は態様では、針シールド230は、少なくとも1つのフランジ又は肩部235を含み、リテーナ110の近位端115は、少なくとも1つの把持形体125を含み、少なくとも1つの把持形体125は、少なくとも1つのフランジ又は肩部235の近位でシリンジバレル210に接触する。
【0041】
図8を参照すると、非限定的な実施形態又は態様では、シリンジを組み立てる方法の第3のステップは、シリンジ200を下部ハウジング310に挿入した後、シリンジ200を近位に動かすステップを含む。非限定的な実施形態又は態様では、シリンジ200を下部ハウジング310内で近位方向に動かすステップは、キャップ除去器150とリテーナ110の遠位端160、120の少なくとも1つの開口部162、122を通してデバイスを挿入するステップと、シリンジ200を近位方向に押し出すために圧力を加えるステップとによって達成される。非限定的な実施形態又は態様では、図8に示すように、シリンジ200が近位方向に押し出されると、リターナ110の少なくとも1つの把持形体125がその最も近位端で針シールドと係合する。非限定的な実施形態又は態様では、少なくとも1つの把持形体125は、針シールド230上の少なくとも1つの対応する相補的な把持形体233と係合する。非限定的な実施形態又は態様では、シリンジ200が近位方向に押し出された後、シリンジフランジ240は、下部アセンブリ300のリング320から長手方向に間隔が空けられる。このステップの終わりに、少なくとも1つの把持形体125は、針シールド230の少なくとも1つの相補的な把持形体233と係合し、リテーナ110の遠位端120は、キャップ除去器150の遠位端160から長手方向に間隔が空けられ、及び、シリンジフランジ240は、リング320から長手方向に間隔が空けられる。
【0042】
非限定的な実施形態又は態様では、この方法は、上部ハウジングを含む上部アセンブリ(図示せず)を下部アセンブリ上に配置する第4のステップを含む。下部アセンブリ及び下部ハウジングと同様に、上部アセンブリ及び上部ハウジングは、例えば、限定されないが、硬質プラスチックを含む、任意の適切な材料で形成することができる。非限定的な実施形態又は態様では、上部アセンブリを下部アセンブリに配置するステップにより、シリンジフランジ240がリング320に隣接するように、シリンジが遠位に移動する。
【0043】
図9を参照すると、組み立て後、リテーナ110の遠位端120が落下するか、そうでなければキャップ除去器150の遠位端160に向かって変位し、その結果、リテーナ110の遠位端120がキャップ除去器150の遠位端160に隣接する。
【0044】
最終ユーザが針シールドを取り外したい場合は、キャップ除去器を引く。上述のように、リテーナ110の少なくとも1つの突起部112とキャップ除去器150の少なくとも1つの肩部152との間のギャップは、下部ハウジングアセンブリ300から離れるキャップ除去器150の長手方向移動の開始と、下部ハウジングアセンブリ300から離れるリテーナ110の長手方向移動の開始との間の遅れを引き起こす。
【0045】
図10を見ると、非限定的な実施形態又は態様では、キャップアセンブリ100は、キャップアセンブリ100が取り付けられている自動注射器などの薬物送達デバイスの作動を防ぐように機能する。図12を参照して、本アセンブリを利用することができる自動注射器の1つの非限定的な実施形態又は態様が示されている。自動注入器500は、上述のように下部ハウジングアセンブリ、又は、サブアセンブリ300、上部ハウジングサブアセンブリ400、キャップ除去器150、及び、リテーナ110を含む。下部サブアセンブリには、ハウジング310と針カバー330が含まれる。図10図12に示される、非限定的な実施形態又は態様では、針カバー330は、例えば、取り外し可能な針シールド230が取り外されたときに、シリンジ200の針220をユーザから保護するように構成される。針カバー330は、拡張位置(使用前)から格納位置(使用中)まで移動可能であり、針カバー330は近位で下部ハウジングアセンブリ300に移動し、2番目の拡張位置(使用後)になる。両方の拡張位置(使用前、及び、使用後)において、針カバー330は、針220を少なくとも部分的にシールドする。使用位置では、針カバー330は針をシールドせず、針はユーザの皮膚に挿入される。
【0046】
図10図12に示される、非限定的な実施形態又は態様では、自動注射器500を使用するために、ユーザは、上記(及び下記)のようにキャップアセンブリ100を取り外し、自動注射器500の遠位端を目的の注射部位の皮膚に適用する。針カバー330は、自動注射器の遠位端に配置され、従って、使用者の皮膚に接触する。皮膚に向かって自動注射器500に力を加えると、針カバー330が下部ハウジングサブアセンブリのハウジング310内に近位方向に移動する。非限定的な実施形態又は態様では、針カバー330の近位方向への移動は、例えば、針カバー330と容器ホルダー(図示せず)との相互作用を介して、薬剤の送達を可能にする。具体的には、非限定的な実施形態又は態様では、針カバー330の近位方向の動きにより、針カバー330は、その近位端335で、上部ハウジングサブアセンブリ400に設けられた容器ホルダーに接触し、これにより、コンテナホルダーが近位方向に変位する。容器ホルダーは、バイアスされたブロッキング要素(図示せず)を可能にする少なくとも1つのウインドウ(図示せず)を有することができ、これは自動注射器500のプランジャ(図示せず)を、注入ばね(図示せず)のバイアス力に抗して使用前の位置に保持し、半径方向に偏りのない位置に移動する。ブロッキング要素の半径方向の動きはプランジャ解放し、プランジャは注射ばねにより容器ホルダーから押し出され、シリンジバレル210内のピストン(図示せず)を動かして、針220を通して薬剤を注射させる。
【0047】
上記の実施形態又は態様から理解できるように、針カバー330の近位方向の動きは、自動注射器500の意図しない作動を引き起こし得る。したがって、図10及び図11に示されるように、非限定的な実施形態又は態様において提供されるのは、自動注射器などの薬物送達デバイスのためのサブアセンブリである。サブアセンブリは、ハウジング310と、針カバー330と、リテーナ110、及び、キャップ除去器150を含むキャップアセンブリ100とを含む。非限定的な実施形態又は態様では、リテーナ110は、針カバー330の意図しない近位移動を防止し、従ってサブアセンブリが構成要素である薬物送達デバイスの意図しない作動を防止する。非限定的な実施形態、又は、態様では、リテーナ110は、内向きの突起部136等の少なくとも1つの突起部を含む。非限定的な実施形態又は態様では、少なくとも1つの内向きの突起部136は、少なくとも1つの半径方向に延びる突起部135が配置される同じ近位に延びるアーム上に配置される。
【0048】
図10及び図11を引き続き参照すると、非限定的な実施形態又は態様では、針カバー330は、その遠位端に、外側に突出するリップ又はフランジ340を含む。非限定的な実施形態又は態様では、リテーナ110上の内向きの突起部136は、針カバー330のリップ又はフランジ340の近位に配置され、針カバー330が自動注射器500の作動を可能にするのに十分な距離だけ近位に移動するのを防ぐ。非限定的な実施形態又は態様では、内向きの突起部136は、針カバー330のリップ又はフランジ340に係合又は隣接し、針カバー330の近位方向の動きを実質的に、又は、完全に防止する。
【0049】
図10は、リップ又はフランジ340が針カバー330の外面に配置され、突起部136がリップ又はフランジ340と係合するように構成された内向き突起部である非限定的な実施形態又は態様を示している。非限定的な実施形態又は態様(図示せず)では、突起部は外向きの突起であり、リテーナ110の遠位端から針カバー330によって画定される内部空間を通って近位方向に延びるアーム上に配置され、及び、針カバーの内面に配置されたリップ又はフランジと係合するように構成される。
【0050】
図11を見ると、少なくとも1つの内向き突起部136と針カバー330のリップ又はフランジ340との間、及び、少なくとも1つの半径方向に延びる突起部135と少なくとも1つの開口部170との間の相互作用に焦点を合わせた上述の組み立てプロセスが示される。
【0051】
図11A及び図11Bは、針カバーをキャップアセンブリに配置する前の、リップ又はフランジ340を有する針カバー330(下部ハウジングアセンブリ300の残りの部分から図面上で分離されている)、及び、キャップリムーバ並びにリテーナを含むキャップアセンブリを示す。
【0052】
図11C及び図11Dは、キャップアセンブリが最初に針カバーに配置されたときのアセンブリの最初のステップを示す。リテーナの少なくとも1つの半径方向に延びる突起部135は、少なくとも1つの開口部170に対するその長手方向の位置決めのために、外側に偏向することができる。針カバーのリップ又はフランジ340は、少なくとも1つの内向き突起部136の近位向き表面と係合している。
【0053】
図11E及び図11Fは、組み立てプロセスにおけるさらなるステップを示している。リップ又はフランジ340は、少なくとも1つの内向きの突起部136を越えて遠位方向に動き始めている。少なくとも1つの内向き突起部136がリテーナの少なくとも1つのアーム上に配置される非限定的な実施形態又は態様では、リップ又はフランジ340が少なくとも1つの突起部136、針カバーが突起部136を越えて遠位に移動することを可能にする。
【0054】
図11を引き続き参照すると、図11G及び図11Hは、リップ又はフランジ340が少なくとも1つの内向きの突起部136によって遠位を通過した、組み立てプロセスのさらなるステップを示している。非限定的な実施形態又は態様では、少なくとも1つの内向き突起部136が外向きに屈曲してリップ又はフランジ340が遠位方向に通過できるようになり、アームは偏りのない状態に戻っている。
【0055】
上述のように、下部ハウジング310が針カバー及びキャップアセンブリに組み立てられた後、リテーナは遠位に移動する(図11I及び図11J)。下部ハウジング310のアセンブリの配置により、突起部135は、それらが開口部170と位置合わせされるように動くことが防止される。その結果、突起部135を含むアームは、キャップアセンブリ100が下部ハウジングアセンブリ300に組み立てられている限り、外側に曲がることが防止される。その結果、内向き突起部136は、針カバー330のフランジ340と係合した状態に維持される。この係合は、針カバー330の近位への並進を防ぎ、これは、上記のように、自動注射器の作動を妨げる。このようにして、デバイスの意図しない作動を回避することができる。
【0056】
自動注射器を使用できるようにするために、ユーザは最初にキャップアセンブリ100を取り外す必要がある。そうするためには、キャップ除去器150を下部ハウジング310から引き離す。リテーナ110とキャップ除去器150との間の軸方向の「遊び」のために、キャップ除去器150は、リテーナ110に対して移動し、その結果少なくとも1つの突起部135が再び少なくとも1つの開口部170と位置合わせされ、それにより、リテーナ110のアームを外側に偏向させ、内側向き突起部136と針カバー330のフランジ340との間の係合を解除することができる。これにより、リテーナ110と針カバー33との間の係合を解除できる。次に、針カバー330は、注射を引き起こすために近位に自由に動くことができる。
【0057】
本発明は、最も実用的で及び好ましい実施形態又は態様であると現在考えられていることに基づいて例示の目的のために詳細に説明されたが、そのような詳細は単にその目的のためであり、及び、本発明は、開示された実施形態又は態様に限定されないが、逆に、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内にある修正及び同等の配置を包含することが意図されていることを理解されたい。例えば、本発明は、可能な限り、任意の実施形態の1つ又は複数の特徴が、他の任意の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせられることを企図していることを理解されたい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図11G
図11H
図11I
図11J
図12
【国際調査報告】