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特表2022-521647虚血症状、低酸素症状、低酸素誘導因子に関連する症状、または活性酸素種に関連する症状の酸素含有液体を伴う治療
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  • 特表-虚血症状、低酸素症状、低酸素誘導因子に関連する症状、または活性酸素種に関連する症状の酸素含有液体を伴う治療 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-11
(54)【発明の名称】虚血症状、低酸素症状、低酸素誘導因子に関連する症状、または活性酸素種に関連する症状の酸素含有液体を伴う治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/00 20060101AFI20220404BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220404BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220404BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220404BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220404BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20220404BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20220404BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 33/40 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
A61K33/00
A61P9/10
A61P3/00
A61K9/08
A61P3/10
A61P27/02
A61P7/00
A61P9/12
A61P39/06
A61K33/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560477
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 US2020026237
(87)【国際公開番号】W WO2020206013
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】16/727,764
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/371,398
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521441308
【氏名又は名称】ボストン、ジュディス
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ボストン、ジュディス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB24
4C076CC04
4C076CC10
4C076CC11
4C076CC21
4C076DD30
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA08
4C086HA22
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA52
4C086MA58
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZB11
(57)【要約】
本開示は、虚血、低酸素症、電気化学、VEGF、HIF、または活性酸素種の変化、および他の症状に関連する症状を治療するための酸素含有液体の使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
虚血症、低酸素症、低酸素症誘発因子、または活性酸素種に関連する症状を治療する方法であって、前記症状を患う哺乳動物に酸素含有液体を送達することを含む方法。
【請求項2】
前記症状は眼であり、前記酸素含有液体は前記哺乳動物の眼に送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸素含有液体は140mmHgよりも高い酸素圧を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記酸素含有液体は酸素ガスを放出する化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記酸素含有液体は約250mOsm/Lから約350mOsm/Lの浸透圧を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記酸素含有液体は金属酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酸素含有液体は金属水酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酸素含有液体は過酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記酸素含有液体は無菌である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記酸素含有液体を前記哺乳動物に送達することは、前記酸素含有液体を前記哺乳動物の前記眼に投与してから1週間以内にERG機能の改善をもたらす、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記酸素含有液体を前記哺乳動物に送達することは、前記酸素含有液体を前記哺乳動物の前記眼に投与してから1週間以内にVEGF発現の減少をもたらす、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記症状は糖尿病性網膜症である、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記症状は、黄斑変性症、糖尿病性黄斑浮腫、鎌状赤血球眼症、眼炎症、高血圧性網膜症、眼虚血症候群、分枝網膜静脈閉塞症、分枝網膜動脈閉塞症、網膜中心静脈閉塞症、網膜中心動脈閉塞症、または網膜剥離である、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記症状は浸透性眼球損傷である、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記症状は外傷性視神経症である、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記症状は視神経炎である、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記症状は炎症性眼症である、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
前記酸素含有液体はヒトの眼に注入される、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
前記酸素含有液体はヒトの眼に局所投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項20】
前記酸素含有液体はヒトに経口投与される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年4月1日に出願された米国特許出願第16/371,398号(現在の特許文献1)の一部継続出願である、2019年12月26日に出願された米国特許出願第16/727,764号の優先権を主張する。これらの基礎出願の両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
虚血症状および低酸素症に関連する他の症状を治療する効果的な方法に対する継続的必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10561682号明細書
【特許文献2】米国特許第8802049号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】レミントン薬学、第16版、E.W.マーティン(Mack出版、ペンシルベニア州イーストン、1980年)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、虚血、低酸素症、電気化学、VEGF、HIF、または活性酸素種の変化に関連する症状、癌、および他の症状を治療するための酸素含有液体の使用に関する。
【0006】
いくつかの実施形態は、眼症状を患う哺乳動物の眼に酸素含有液体を投与することまたは送達することを含む、眼症状を治療する方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】対照群と比較した、高圧酸素溶液で治療を受けた虚血症のウサギの眼の暗所視b波応答。
図2】低酸素状態にさらされ、かつ高圧酸素溶液で処理された網膜色素上皮(RPE)細胞におけるVEGFのレベル。
図3】低酸素状態にさらされ、かつ高圧酸素溶液で処理されたRPE細胞におけるHIFのレベル。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、眼の虚血症状、低酸素症に関連する他の症状、または活性酸素種に関連する症状などの虚血症状を治療する方法であって、酸素含有液体をヒトなどの哺乳動物に、その症状のその治療のために、投与または送達することを含む方法に関する。
【0009】
用語「治療する」または「治療」は、ヒトまたは他の動物の病気の診断、治癒、緩和、または予防を含むあらゆる種類の治療活動、または他の方法で、人または他の動物の身体の、構造またはあらゆる機能に、影響を与えるあらゆる活動を広く含む。
【0010】
酸素含有液体は、酸素を含む任意の液体組成物であってもよいし、または液体に酸素圧を与える化合物であってもよく、ヒトを含む哺乳動物における治療目的での使用に適している。酸素含有液体は、水性であってもよく、または適した有機溶媒に基づいていてもよく、または水性および有機溶媒の組み合わせであってもよい。その液体は、溶液、または多相液体、例えば懸濁液、コロイド、乳濁液、ずり流動化ゲルなど、の形態でありうる。多くの投与経路、例えば注射など、においては、酸素含有液体を無菌にすることが重要でありうる。
【0011】
いくつかの実施形態では、酸素含有液体は、直接投与されるのではなく、インプラントまたは薬物送達装置を標的組織の中または近くに挿入することによって標的組織内で生成されることができ、これは、酸素含有液体の長期送達を提供しうる。例えば、インプラントは、ポリマー中に分散された酸素化組成物の成分を有する生分解性または生浸食性ポリマーを含むことができる。ポリマーが分解または侵食されると、酸素化組成物の成分は、インプラントが挿入される組織の水性環境中で混合し、そして、標的となる組織でまたはその近くで酸素含有液体が生成する。インプラントまたは装置は、静脈内(例えば注射によって)、硝子体内(例えば注射によって)、または網膜下(例えば注射によって)を含む、上記の任意の経路によって投与されうる。酸素含有液体は、また、酸素化組成物の成分を含む涙点プラグおよびコンタクトレンズなどの他のタイプの固体装置によって生成され得、それらの装置から徐々に拡散する。あるいは、涙点プラグまたはコンタクトレンズは、生分解性または生浸食性であってもよい。
【0012】
酸素含有液体は、例えば、室温(例えば23℃)または体温(例えば37℃)で、普通の水よりも高い酸素分圧を有していてよく、酸素含有液体は、酸素圧、すなわち、少なくとも120mmHg、少なくとも140mmHg、少なくとも145mmHg、少なくとも150mmHg、少なくとも155mmHg、少なくとも160mmHg、少なくとも165mmHg、少なくとも170mmHg、最大180mmHg、最大200mmHg、最大約250mmHg、最大約300mmHg、最大約350mmHg、最大約400mmHg、最大約450mmHg、最大約500mmHg、約120-500mmHg、約20-40mmHg、約40-60mmHg、約60-80mmHg、約80-100mmHg、約100-120mmHg、約120-140mmHg、約140-145mmHg、約145-150mmHg、約150-155mmHg、約155-160mmHg、約160-165mmHg、約165-170mmHg、約170-175mmHg、約175-180mmHg、約140-150mmHg、約150-160mmHg、約160-170mmHg、約170-180mmHg、約180-190mmHg、約190-200mmHg、約200-210mmHg、約210-220mmHg、約220-230mmHg、約230-240mmHg、約240-250mmHg、約250-260mmHg、約260-270mmHg、約270-280mmHg、約280-290mmHg、約290-300mmHg、約300-320mmHg、約320-340mmHg、約340-360mmHg、約360-380mmHg、約380-400mmHg、約400-420mmHg、約420-440mmHg、約440-460mmHg、約460-480mmHg、約480-500mmHg、約140-160mmHg、約160-180mmHg、約180-200mmHg、約160-200mmHg、約200-250mmHg、約250-300mmHg、約300-350mmHg、約350-400mmHg、約400-450mmHg、約450-500mmHg、約140-200mmHg、約200-300mmHg、約300-400mmHg、約400-500mmHg、500-750mmHg、750-1,000mmHg、1,000-1,250mmHg、1,250-1,500mmHg、約175mmHg、またはこれらの値のいずれかによって境界づけられる範囲内の任意の酸素圧を有しうる。いくつかの実施形態では、酸素含有液体は高圧酸素溶液である(例えば、以下の実施例1-3)。
【0013】
液体に酸素を加える多くの方法がありうるが、いくつかの酸素含有液体は、例えば化学反応または化学分解によって酸素ガスを放出する酸素化組成物、例えば化合物、または化合物の組み合わせなど、を含みうる。適する酸素化組成物は、金属酸化物(CaO、MgOなど)、金属水酸化物(Ca(OH)、Mg(OH)など)、過酸化物(過酸化水素または有機過酸化物など)、またはそれらの組み合わせを含みうる。他の成分を、特定の必要性に応じて、酸素放出の速度を増加または減少させるために加えることができる。例えば、酸素放出が速いほど、酸素圧が高くなりうる。他方、酸素放出が遅いほど、酸素圧が、より長く、より一貫し、またはより持続的になりうる。適した酸素化組成物の例は特許文献2に記載されており、特許文献2は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。1つの有用な酸素化組成物は、酸素含有液体の総重量に基づいて約20-30%のCa(OH)、約10-15%のH、約0.5-5%の酢酸ナトリウム、約0.5-5%のKHPO、および約1-20%のカラギーナンを含む。いくつかの実施形態では、酸素含有液体中に存在する、全ての金属酸化物、金属水酸化物、および過酸化物の中に存在する酸素原子の総量は、酸素含有液体の総重量の約20-70%、約20-50%、約50-70%、約20-30%、約30-40%、約40-50%、約50-60%、約60-70%、約70-90%、または約80-95%である。
【0014】
上記のように、金属酸化物、金属水酸化物、および/または過酸化物などのこれらの酸素化組成物の成分は、シリコン系ポリマー、ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリホスホエステル、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリオキサレート、ポリ(アミノ酸)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテート、ポリヒドロキシ酸、ポリ無水物、またはこれらのコポリマーまたは混合(例えば、乳酸とグリコール酸とのコポリマー)などの生体内分解性または生物分解性ポリマーに分散させることができる。
【0015】
酸素含有液体は、非経口、坐剤、静脈内、皮内(例えば、皮内注射)、皮下、経口、吸入、経皮、眼への局所的(例えば眼の前部に送達するための点眼薬または眼の後部に送達するための点眼薬)、または皮膚への局所的、経粘膜、直腸、膣内、腹腔内、筋肉内、病巣内、鼻腔内、皮下(例えば皮下注射)、口腔内、眼内注射、硝子体内注射、網膜下注射、髄腔内注射(例えば心臓への直接注射)などを含むがこれらに限定されない、任意の望ましい送達経路のために製剤化されうる。用語「注射」は、医薬組成物の注射、インプラントまたは薬物送達機器の挿入、ならびに他の種類の注射を含む。
【0016】
酸素含有液体中での使用に適する添加剤は、例えば、1以上の担体、結合剤、充填剤、ビヒクル、等張化剤、緩衝剤、崩壊剤、界面活性剤、分散剤または懸濁助剤、増粘または乳化剤、防腐剤、潤滑剤など、またはこれらの組み合わせを、所望の特定の剤形に合わせたものを含みうる。非特許文献1は、薬学的に許容される組成物の製剤化に使用される様々な担体およびその調製のための既知の技術を開示している。この文書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
溶媒、酸素、および/または酸素化組成物に加えて、ヒトを含む哺乳動物への、IV注射(例えば眼内注射、網膜下注射、髄腔内、心臓への直接注射)、局所(例えば目への)、または経口投与のための液体剤形は、増量剤(マンニトール、ラクトース、スクロース、トレハロース、ソルビトール、グルコース、ラフィノース、グリシン、ヒスチジン、ポリビニルピロリドンなど)、等張化剤(例えば、デキストロース、グリセリン、マンニトール、塩化ナトリウムなど)、緩衝剤(例えば、酢酸、例えば酢酸ナトリウム、酢酸、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、クエン酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、トリエタノールアミン、アルギニン、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸塩、重炭酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トロメタミン、ジエタノールアミンなど)、防腐剤(例えば、フェノール、m-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなどのパラベン、塩化ミリスチルガンマ-ピコリニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、2-フェノキシエタノール、クロロブタノール、チメロサール、フェニル水銀塩など)、界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートまたはTween80、ソルビタンモノオレエートポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートまたはTween20、レシチン、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体など)、溶媒(例えば、プロピレングリコール、グリセリン、エタノール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ジメチルアセトアミド、クレモフォールEL、安息香酸ベンジル、ヒマシ油、綿実油、N-メチル-2-ピロリドン、PEG、PEG300、PEG400、PEG600、PEG600、PEG3350、PEG400、ケシ種子油、プロピレングリコール、ベニバナ油、植物油など)、キレート剤(EDTAカルシウム二ナトリウム、EDTA二ナトリウム、EDTAナトリウム、カルシウムベルセタミドNa、カルテリドール、DTPAなど)、または他の添加剤、などの添加剤を含みうる。
【0018】
例えばヒトを含む哺乳動物へのIV注射(例えば、眼内注射、網膜下注射など)、局所(例えば、眼への)、または経口投与のための、酸素含有液体を含む液体剤形では、例えば、約2-12、約2-4、約4-6、約6-8、約8-10、約10-12、約6-7、約7-8、約8-9、約6-6.5、約6.5-7、約7-7.5、約7.5-8、約8-8.5、約8.5-9、約7-7.2、約7.2-7.4、約7.4-7.6、約7.6-7.8、約7.8-8などの、任意の適切なpH、または、これらの値のいずれかによって境界づけられる範囲内の任意のpHをとりうる。
【0019】
多くの投与経路において、高張性または高浸透圧性であること、例えば、張度または浸透圧が約290mOsm/Lを超えること(約290-600mOsm/L、約290-400mOsm/L、約400-500mOsm/L、または約500-600mOsm/Lなど)、等張性または等浸透圧性であること、例えば、張度または浸透圧が、それが投与された体組織の張性または浸透圧に近いこと(約290mOsm/L、約250-350mOsm/L、約250-320mOsm/L、約270-310mOsm/L、または約280-300mOsm/Lなど)、または、低張性または低浸透圧性であること、例えば、張度または浸透圧が約290mOsm/L未満であること(約150-290mOsm/L、約150-200mOsm/L、約200-290mOsm/L、約200-250mOsm/L、または約250-290mOsm/Lなど)は、酸素含有液体に有用でありうる。
【0020】
酸素含有液体は、また、ナノ粒子送達システム、ナノエマルジョン送達システム、マイクロエマルジョン送達システム、ミクロソーム送達システム、リポソーム送達システム、またはリソソーム送達システムにおいて潜在的に送達されうる。例えば、酸素含有液体は、逆ミセル内、またはナノ粒子、ナノエマルジョン、マイクロエマルジョン、ミクロソーム、リポソーム、またはリソソーム内に含まれうる。
【0021】
上記に加えて、経口投与される液体に、スクロースまたはサッカリンなどの甘味料、または、ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジフレーバーなどのフレーバー剤が含まれることが、望ましいことがある。
【0022】
クリーム、ゲル、軟膏などの場合、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、カルナウバワックス、ステアリン酸、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ゼラチン、シリカ、ベントナイト、ステアリン酸アルミニウムマグネシウムなどの増粘剤を含めることが望ましいときがある。
【0023】
酸素含有液体を含む液体剤形は、医薬品の一部とすることができ、その医薬品は、酸素含有液体、酸素センサー、および薬物分配機器を含む。いくつかの実施形態では、酸素含有液体は、酸素含有液体が上記の酸素圧などの所望の酸素圧を有する場合にのみ分配されることができる。
【0024】
任意の適切な酸素センサーを使用することができるが、ユニセンスから入手可能な高性能マイクロセンサーは、有用な酸素センサーの例である。
【0025】
注射器または他の形態の注射機器、液滴分配装置などの任意の適切な薬物分配装置を使用することができる。
【0026】
低酸素症、虚血性および反応性代謝産物は、多くの病気の発症および悪化の一因となる。組織修復の阻害をもたらす一般的な共通点は、組織低酸素症である。
【0027】
組織への酸素の送達を促進することは、多種多様な病状において補助的かつ直接的な治療をもたらすことができる。
【0028】
組織低酸素症は、組織酸素レベルが低く、通常、循環障害と関連している。組織低酸素症、虚血性および反応性代謝産物は、多くの病気の発症および悪化の一因となる。
【0029】
いくつかの実施形態では、虚血、低酸素症、電気化学、VEGF、HIF、または活性酸素種の変化に関連する眼症状などの、虚血、低酸素症、電気化学、VEGF、HIF、または活性酸素種の変化に関連する症状を患う哺乳動物に、高圧酸素含有液体などの酸素含有液体を投与または送達すると、虚血のある組織(例えば、眼組織)の低酸素誘導因子(HIF)レベルが、酸素含有液体の投与直前の虚血のある組織(例えば、眼組織)のHIFレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、またはそれより更に低下する結果となる。
【0030】
いくつかの実施形態では、虚血、低酸素症、電気化学、VEGF、HIF、または活性酸素種の変化に関連する眼症状などの、虚血、低酸素症、電気化学、VEGF、HIF、または活性酸素種の変化に関連する症状を患う哺乳動物に、高圧酸素含有液体などの酸素含有液体を投与または送達すると、虚血のある組織(例えば、眼組織)のHIFレベルが、非虚血組織(例えば反対側の目)のHIFレベルの約50%以内、約40%以内、約30%以内、約20%以内、約10%以内、約5%以内、約3%以内、または約1%以内になるように低下する結果となる。
【0031】
いくつかの実施形態では、組織のHIFレベルの低下は、1日間以内、2日間以内、3日間以内、4日間以内、5日間以内、6日間以内、7日間以内、14日間以内、21日間以内、28日間以内、2ヶ月間以内、3ヶ月間以内、4ヶ月間以内、6ヶ月間以内、1年間以内、またはより長い期間内に観察されうる。
【0032】
いくつかの実施形態では、組織のHIFレベルの低下は、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、または少なくとも28日間、継続しうる。
【0033】
高圧酸素含有液体などの酸素含有液体を哺乳動物に投与または送達することは、創傷、血管障害、悪性腫瘍、関節炎、アテローム性動脈硬化血小板、癌、腫瘍、火傷、神経組織の炎症を含む炎症症状(例えば震とう)などの任意のタイプの虚血症状を治療するために用いられうる。
【0034】
いくつかの実施形態では、虚血症状は、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫、緑内障、鎌状眼症、眼の炎症、高血圧性網膜症、眼虚血症候群、分枝網膜静脈閉塞症、分枝網膜動脈閉塞症、網膜中心静脈閉塞症、網膜中心動脈閉塞症、網膜剥離、貫通性眼球損傷、外傷性視神経症、視神経炎、炎症性眼症状などの眼症状である。いくつかの実施形態では、眼の虚血症状は糖尿病性網膜症である。
【0035】
いくつかの実施形態では、眼の虚血症状は黄斑変性症である。いくつかの実施形態では、眼の虚血症状は糖尿病性黄斑浮腫である。いくつかの実施形態では、眼の虚血症状は緑内障である。いくつかの実施形態では、眼の虚血症状は鎌状赤血球眼症である。いくつかの実施形態では、眼の虚血症状は眼炎症である。いくつかの実施形態では、症状は高血圧性網膜症である。いくつかの実施形態では、症状は眼虚血症候群である。いくつかの実施形態では、症状は網膜静脈閉塞症である。いくつかの実施形態では、症状は網膜などの動脈閉塞である。いくつかの実施形態では、症状は分枝網膜静脈閉塞症である。いくつかの実施形態では、症状は分枝網膜動脈閉塞である。いくつかの実施形態では、症状は網膜中心静脈閉塞症である。いくつかの実施形態では、症状は網膜中心動脈閉塞である。いくつかの実施形態では、症状は網膜剥離である。いくつかの実施形態では、症状は、貫通性眼球損傷である。いくつかの実施形態では、症状は外傷性視神経障害である。いくつかの実施形態では、症状は視神経炎である。いくつかの実施形態では、症状は炎症性眼の症状である。
【0036】
いくつかの実施形態では、虚血症状は、例えば、心臓発作、脳卒中、神経虚血、中枢神経系の損傷、外傷性脳損傷、脊髄損傷、急性および慢性の外傷性脳症、免疫細胞毒性など、電気化学が変化する。高圧酸素含有液体などの酸素含有液体を投与または送達することも、日焼けによる損傷または酸化に関連し、またはそれによって引き起こされる、病気または症状を治療するのに有用でありうる。
【0037】
いくつかの実施形態では、酸素含有液体は、癌の治療のために使用することができる。例えば、酸素含有液体は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、有糸分裂阻害剤などの化学療法剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態では、化学療法薬と酸素含有物の共投与は、化学療法薬の活性改善を助けることができる。いくつかの実施形態では、化学療法薬を水溶液中で投与、例えば静脈内または癌の部位に注射、することができる。酸素含有液体はまた、癌の治療について他の治療効果を有する可能性がある。
【0038】
酸素含有液体で治療できる他の症状は、貧血、片頭痛、食性骨髄炎、コロナウイルス感染症(COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2など)、ウイルス感染症、細菌感染症などを含む。
【0039】
酸素含有液体はまた、遺伝子治療を受けている哺乳動物に投与され得、そして遺伝子治療の結果を改善できる。酸素含有液体はまた、眼、例えば網膜、視神経、または他の眼構造の幹細胞、などの幹細胞の治療とともに哺乳動物に投与されうる。
【0040】
酸素含有液体はまた、血液酸素化を改善するため、哺乳動物に投与されうる。これは、経皮的酸素測定、パルスオキシメトリ、または血液ガス測定によって測定されうる。
【0041】
酸素含有液体はまた、硝子体網膜酸素化、網膜の酸素化、網膜下の酸素化、またはそれらの組み合わせを改善するため、哺乳動物に投与されうる。
【0042】
本明細書に記載の多くの症状における改善は、光コヒーレントトモグラフィー(OCT)、光コヒーレントトモグラフィー血管造影法、血管造影法、網膜酸素測定法、または他のいくつかの画像化技術によって測定されうる。高圧酸素含有液体などの酸素含有液体を哺乳動物に投与または送達することはまた、慢性症状における血中酸素レベルを改善し、輸血の必要性を減らすために用いられうる。
【0043】
虚血、低酸素症、電気化学、VEGF、HIF、または活性酸素種の変化に関連する眼症状などの、虚血、低酸素症、電気化学、VEGF、HIF、または活性酸素種の変化に関連する症状を患う哺乳動物に、高圧酸素含有液体などの酸素含有液体を投与または送達すると、虚血組織のERG機能が増加する結果になりうる。例えば、虚血のある眼の暗所視b波応答は、約0-5mV、約5-10mV、約10-15mV、約15-20mV、約20-50mV、約50-100mV、または約100-120mVでありうる。
【0044】
いくつかの実施形態では、高圧酸素含有液体などの酸素含有液体を、眼の虚血症状を患う哺乳動物に投与または送達すると、虚血のある眼の暗所視b波応答が、酸素含有液体の投与の直前の虚血のある眼の暗所視b波応答と比較して、少なくとも約20mV、少なくとも約30mV、少なくとも約40mV、少なくとも約50mV、少なくとも約60mV、少なくとも約70mV、少なくとも約80mV、少なくとも約90mV、少なくとも約100mV、またはそれより更に増加する結果となる。
【0045】
いくつかの実施形態では、虚血、低酸素症、VEGF、HIF、電気化学、または活性酸素種の変化に関連する眼症状などの、虚血、低酸素症、VEGF、HIF、電気化学、または活性酸素種の変化に関連する症状を患う哺乳動物に、高圧酸素含有液体などの酸素含有液体を投与または送達すると、虚血のある組織(例えば眼組織)の暗所視b波応答が、酸素含有液体の投与直前の虚血のある組織(例えば眼組織)の暗所視b波応答と比較して、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、またはそれより更に増加する結果となる。
【0046】
いくつかの実施形態では、虚血、低酸素症、VEGF、HIF、電気化学、または活性酸素種の変化に関連する眼症状などの、虚血、低酸素症、VEGF、HIF、電気化学、または活性酸素種の変化に関連する症状を患う哺乳動物に、高圧酸素含有液体などの酸素含有液体を投与または送達すると、虚血のある組織(例えば眼組織)の暗所視b波応答が、正常または非虚血性組織(例えば反対側の眼)の暗所視b波応答の約50%以内、約40%以内、約30%以内、約20%以内、約10%以内、約5%以内、約3%以内、または約1%以内になるように低下する結果となる。
【0047】
いくつかの実施形態では、ERG機能の改善は、1日間以内、2日間以内、3日間以内、4日間以内、5日間以内、6日間以内、7日間以内、14日間以内、21日間以内、28日間以内、2ヶ月間以内、3ヶ月間以内、4ヶ月間以内、6ヶ月間以内、1年間以内、またはそれより長い期間内に観察されうる。
【0048】
いくつかの実施形態では、虚血、低酸素症、VEGF、HIF、電気化学、または活性酸素種の変化に関連する眼症状などの、虚血、低酸素症、VEGF、HIF、電気化学、または活性酸素種の変化に関連する症状を患う哺乳動物に、高圧酸素含有液体などの酸素含有液体を投与または送達すると、哺乳動物(例えばヒト)の視力が、約10%、約20%、約30%、約50%、約70%、約90%増加し、または正常な眼(例えば反対側の眼)の視力の約50%以内、約40%以内、約30%以内、約20%以内、約10%以内、約5%以内、約3%以内、または約1%以内になるように増加する結果となる。
【0049】
いくつかの実施形態では、視力の改善は、1日間以内、2日間以内、3日間以内、4日間以内、5日間以内、6日間以内、7日間以内、14日間以内、21日間以内、28日間以内、2か月間以内、3か月間以内、4か月間以内、6か月間以内、1年間以内、またはそれより長い期間内に観察されうる。
【0050】
いくつかの実施形態では、虚血、低酸素症、VEGF、HIF、電気化学、または活性酸素種の変化に関連する眼症状などの、虚血、低酸素症、VEGF、HIF、電気化学、または活性酸素種の変化に関連する症状を患う哺乳動物に、高圧酸素含有液体などの酸素含有液体を投与または送達すると、哺乳動物(例えばヒト)の網膜の厚さが、約10%、約20%、約30%、約50%、約70%、約90%減少し、または正常な眼(例えば反対側の眼)の網膜の厚さの約50%以内、約40%以内、約30%以内、約20%以内、約10%以内、約5%以内、約3%以内、または約1%以内になるように減少する結果となる。
【0051】
いくつかの実施形態では、網膜の厚さの改善は、1日間以内、2日間以内、3日間以内、4日間以内、5日間以内、6日間以内、7日間以内、14日間以内、21日間以内、28日間以内、2か月間以内、3か月間以内、4か月間以内、6か月間以内、1年間またはそれより長い期間内に観察されうる。
【0052】
いくつかの実施形態では、虚血、低酸素症、VEGF、HIF、電気化学、または活性酸素種の変化に関連する眼症状などの、虚血、低酸素症、VEGF、HIF、電気化学、または活性酸素種の変化に関連する症状を患う哺乳動物に、高圧酸素含有液体などの酸素含有液体を投与または送達すると、哺乳動物(例えばヒト)の新血管形成が、約10%、約20%、約30%、約50%、約70%、約90%減少し、または正常な眼(例えば反対側の眼)の新血管形成の約50%以内、約40%以内、約30%以内、約20%以内、約10%以内、約5%以内、約3%以内、または約1%以内になるように減少する結果となる。
【0053】
いくつかの実施形態では、新血管形成の改善は、1日間以内、2日間以内、3日間以内、4日間以内、5日間以内、6日間以内、7日間以内、14日間以内、21日間以内、28日間以内、2か月間以内、3か月間以内、4か月間以内、6か月間以内、1年間以内、またはそれより長い期間内に観察されうる。
【0054】
いくつかの実施形態では、虚血、低酸素症、電気化学、VEGF、HIF、または活性酸素種の変化に関連する眼症状などの、虚血、低酸素症、電気化学、VEGF、HIF、または活性酸素種の変化に関連する症状を患う哺乳動物に、高圧酸素含有液体などの酸素含有液体を投与または送達すると、虚血のある組織(例えば眼組織)の血管内皮増殖因子(VEGF)レベルが、酸素含有液体の投与の直前の虚血のある眼(例えば眼組織)のVEGFレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、またはそれより更に低下する結果となる。
【0055】
いくつかの実施形態では、虚血、低酸素症、電気化学、VEGF、HIF、または活性酸素種の変化に関連する眼症状などの、虚血、低酸素症、電気化学、VEGF、HIF、または活性酸素種の変化に関連する症状を患う哺乳動物に、高圧酸素含有液体などの酸素含有液体を投与または送達すると、虚血のある組織(例えば眼組織)のVEGFレベルが、正常または非虚血性組織(例えば反対側の目)のVEGFレベルの約50%以内、約40%以内、約30%以内、約20%以内、約10%以内、約5%以内、約3%以内、または約1%以内になるように低下する結果となる。
【0056】
いくつかの実施形態では、組織のVEGFレベルの低下は、1日間以内、2日間以内、3日間以内、4日間以内、5日間以内、6日間以内、7日間以内、14日間以内、21日間以内、28日間以内、2か月間以内、3か月間以内、4か月間以内、6か月間以内、1年間以内、またはそれより長い期間内に観察されうる。
【0057】
以下の実施形態が具体的に考えられる。
【0058】
実施形態1.虚血、低酸素症、電気化学、VEGF、HIF、または活性酸素種の変化に関連する症状を患う哺乳動物を治療する方法であって、その症状を患う前記哺乳動物に酸素含有液体を送達することを含み、ここで、前記治療は、前記症状に治療効果をもたらす、方法。
【0059】
実施形態2.前記症状は眼であり、前記酸素含有液体は前記哺乳動物の眼に送達される、実施形態1の方法。
【0060】
実施形態3.前記酸素含有液体は140mmHgよりも高い酸素圧を有する、実施形態1または2の方法。
【0061】
実施形態4.前記酸素含有液体は酸素ガスを放出する化合物を含む、実施形態1、2、または3の方法。
【0062】
実施形態5.前記酸素含有液体は約250mOsm/Lから約350mOsm/Lの浸透圧を有する、実施形態1、2、3、または4の方法。
【0063】
実施形態6.前記酸素含有液体は金属酸化物を含む、実施形態1、2、3、4、または5の方法。
【0064】
実施形態7.前記酸素含有液体は金属水酸化物を含む、実施形態1、2、3、4、5、または6の方法。
【0065】
実施形態8.前記酸素含有液体は過酸化物を含む、実施形態1、2、3、4、5、6、または7の方法。
【0066】
実施形態9.前記酸素含有液体は無菌である、実施形態1、2、3、4、5、6、または8の方法。
【0067】
実施形態10.前記治療は、前記酸素含有液体を前記哺乳動物の前記眼に投与してから1週間以内にERG機能の改善をもたらす、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、または9の方法。
【0068】
実施形態11.前記治療は、前記酸素含有液体を前記哺乳動物の前記眼に投与してから1週間以内にVEGF発現の減少をもたらす、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の方法。
【0069】
実施形態12.前記症状は糖尿病性網膜症である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11の方法。
【0070】
実施形態13.前記症状は黄斑変性症である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11の方法。
【0071】
実施形態14.前記症状は糖尿病性黄斑浮腫である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11の方法。
【0072】
実施形態15.前記症状は鎌状赤血球眼症である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11の方法。
【0073】
実施形態16.前記症状は眼炎症である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11の方法。
【0074】
実施形態17.前記症状は高血圧性網膜症である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11の方法。
【0075】
実施形態18.前記症状は眼虚血症候群である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11の方法。
【0076】
実施形態19.前記症状は分枝網膜静脈閉塞症である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11の方法。
【0077】
実施形態20.前記症状は分枝網膜動脈閉塞症である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11の方法。
【0078】
実施形態21.前記症状は網膜中心静脈閉塞症である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11の方法。
【0079】
実施形態22.前記症状は網膜中心動脈閉塞症である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11の方法。
【0080】
実施形態23.前記症状は網膜剥離である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11の方法。
【0081】
実施形態24.前記症状は浸透性眼球損傷である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11の方法。
【0082】
実施形態25.前記症状は外傷性視神経障害である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11の方法。
【0083】
実施形態26.前記症状は視神経炎である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11の方法。
【0084】
実施形態27.前記症状は炎症性眼症である、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11の方法。
【0085】
実施形態28.前記酸素含有液体はヒトの眼に注入される、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、または27の方法。
【0086】
実施形態29.前記酸素含有液体はヒトに局所投与される、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、または27の方法。
【0087】
実施形態30.前記酸素含有液体はヒトに経口投与される、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、または27の方法。
【0088】
実施例1
虚血性ウサギの眼における高圧酸素溶液の効果を評価した。以下のように6匹のウサギに虚血を誘発させた。針を、その針の開口部に圧力が生じるように持ち上げられた、生理食塩水バッグに接続した。針をウサギの眼に挿入し、ウサギの眼の眼圧を90分間上昇させたところ、ウサギの眼に虚血が生じた。ウサギ1に対して当初は治療を行わず、生理食塩水バッグに取り付けられた針を取り外してから1時間後に高圧酸素溶液の眼内注射を行った。ウサギ2-3に対しては、生理食塩水バッグに取り付けられた針を取り外してから20分後に、通常の生理食塩水(酸素圧112.6mmHg)の眼内注射を行った。ウサギ4-6に対しては、生理食塩水バッグに取り付けられた針を取り外した20分後に、高圧酸素溶液(酸素圧175.2mmHg)の眼内注射を行った。結果を表1と図1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
実施例2
ARPE-19細胞を高圧酸素溶液(酸素圧175.2mmHg)で処理し、低酸素チャンバー内に48時間置いた。対照細胞を、高圧酸素溶液なしに低酸素チャンバー内で培養した。位相差顕微鏡画像は、低酸素ARPE-19細胞が丸くなり、高圧酸素処理された低酸素細胞と比較して異常な形態を示したことを示す。対照低酸素細胞では高倍率視野あたり71個の丸みを帯びた細胞があったのに対し、高圧酸素溶液で処理された低酸素細胞では高倍率視野あたり8個の丸みを帯びた細胞があった。高圧酸素溶液は、低酸素への曝露から生じる典型的な損傷から細胞を保護するように見える、と結論付けられた。
【0091】
実施例3
網膜色素上皮細胞は、低酸素状態に48時間晒された。高圧酸素溶液(175.2mmHgの酸素圧)での処置は、発現された血管内皮増殖因子(VEGF)p<0.05(図2)およびHIF(図3)の細胞レベルの統計的に有意な減少をもたらした。
【0092】
図2に示すように、17.5%の酸素化成分を添加すると、低酸素状態(17.5POI+低酸素状態)に晒された細胞のVEGFレベルは、処置せずに低酸素状態に晒された細胞(未治療の低酸素状態)のHIFレベルよりも低く、低酸素状態に晒されていない細胞(未治療の正常酸素状態)と同等であった。
【0093】
HIFレベルをウエスタンブロット分析により分析した。タンパク質を細胞培養物から抽出し、タンパク質濃度をBCAタンパク質定量試薬キット(ピアス、ロックフォード、イリノイ州)で製造元の手順に従って測定した。
【0094】
図3に示すように、12.5%の酸素化成分を添加すると、低酸素状態に晒された細胞のHIFレベル(12.5POI+H)は、処置せずに低酸素状態に晒された細胞(UH)のHIFレベルよりも低くなった。さらに、17.5%の酸素化成分を添加すると、低酸素状態(17.5POI+H)に晒された細胞のHIFレベルはさらに低くなった。
【0095】
これらの結果は、高圧酸素溶液での処理が、低酸素状態に晒された細胞のVEGFおよびHIFレベルを正常化し、それらがVEGFおよびHIFの基礎レベルと同様になることを示している。
【0096】
(付記)
(付記1)
虚血症、低酸素症、低酸素症誘発因子、または活性酸素種に関連する症状を治療する方法であって、前記症状を患う哺乳動物に酸素含有液体を送達することを含む方法。
【0097】
(付記2)
前記症状は眼であり、前記酸素含有液体は前記哺乳動物の眼に送達される、付記1に記載の方法。
【0098】
(付記3)
前記酸素含有液体は140mmHgよりも高い酸素圧を有する、付記1に記載の方法。
【0099】
(付記4)
前記酸素含有液体は酸素ガスを放出する化合物を含む、付記1に記載の方法。
【0100】
(付記5)
前記酸素含有液体は約250mOsm/Lから約350mOsm/Lの浸透圧を有する、付記1に記載の方法。
【0101】
(付記6)
前記酸素含有液体は金属酸化物を含む、付記1に記載の方法。
【0102】
(付記7)
前記酸素含有液体は金属水酸化物を含む、付記1に記載の方法。
【0103】
(付記8)
前記酸素含有液体は過酸化物を含む、付記1に記載の方法。
【0104】
(付記9)
前記酸素含有液体は無菌である、付記1に記載の方法。
【0105】
(付記10)
前記酸素含有液体を前記哺乳動物に送達することは、前記酸素含有液体を前記哺乳動物の前記眼に投与してから1週間以内にERG機能の改善をもたらす、付記2に記載の方法。
【0106】
(付記11)
前記酸素含有液体を前記哺乳動物に送達することは、前記酸素含有液体を前記哺乳動物の前記眼に投与してから1週間以内にVEGF発現の減少をもたらす、付記2に記載の方法。
【0107】
(付記12)
前記症状は糖尿病性網膜症である、付記2に記載の方法。
【0108】
(付記13)
前記症状は、黄斑変性症、糖尿病性黄斑浮腫、鎌状赤血球眼症、眼炎症、高血圧性網膜症、眼虚血症候群、分枝網膜静脈閉塞症、分枝網膜動脈閉塞症、網膜中心静脈閉塞症、網膜中心動脈閉塞症、または網膜剥離である、付記2に記載の方法。
【0109】
(付記14)
前記症状は浸透性眼球損傷である、付記2に記載の方法。
【0110】
(付記15)
前記症状は外傷性視神経症である、付記2に記載の方法。
【0111】
(付記16)
前記症状は視神経炎である、付記2に記載の方法。
【0112】
(付記17)
前記症状は炎症性眼症である、付記2に記載の方法。
【0113】
(付記18)
前記酸素含有液体はヒトの眼に注入される、付記2に記載の方法。
【0114】
(付記19)
前記酸素含有液体はヒトの眼に局所投与される、付記2に記載の方法。
【0115】
(付記20)
前記酸素含有液体はヒトに経口投与される、付記1に記載の方法。
図1
図2
図3
【国際調査報告】