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特表2022-521649生化学反応試験管及びその使用方法と、遺伝子増幅試薬キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-11
(54)【発明の名称】生化学反応試験管及びその使用方法と、遺伝子増幅試薬キット
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20220404BHJP
   C12M 1/24 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572696
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(85)【翻訳文提出日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 CN2020076666
(87)【国際公開番号】W WO2020173445
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】201920239379.X
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010110246.X
(32)【優先日】2020-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521375221
【氏名又は名称】上海快▲リン▼生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】QUICKING BIOTECH CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.48 Gucui Road,Xinchang Industry District,Pudong New District,Shanghai 201314,China
(71)【出願人】
【識別番号】521375232
【氏名又は名称】上海快▲リン▼生物工程有限公司
【氏名又は名称原語表記】QUICKING BIOENGINEERING CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.48 Gucui Road,Xinchang Industry District,Pudong New District,Shanghai 201314,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】許 向華
(72)【発明者】
【氏名】何 小明
(72)【発明者】
【氏名】周 中人
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲レイ▼
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB20
4B029CC01
4B029FA12
4B029GA02
(57)【要約】
本発明は生化学反応試験管及びその使用方法と遺伝子増幅試薬キットを公開し、生化学反応試験管は管部と蓋部とを含み、管部は第1のチャンバーと下部が上記の第1のチャンバーの下部から一定的に離れた第2のチャンバーとを含む管本体と、上記の管本体の外側に配置される制限ユニットとを備え、上記の蓋部は上記の管部を閉じると、上記の第1のチャンバーの上部が上記の第2のチャンバーの上部とつながる。有益効果は高さの異なる位置に設けられた第1のチャンバーと第2のチャンバーを設定することにより異なる反応組成と溶液を配置する。実際に使用するとき、第1のチャンバーと第2のチャンバーのうちの一つだけ単独に加熱され、他の一つは加熱されずに、生化学反応を完了する。試験管を180°反転させて振動操作を行う時に、第1のチャンバーと第2のチャンバー中の溶液を混合させ、更なる反応をする。よって、有害結果を排除できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管部と蓋部を含む生化学反応試験管であり、上記の管部は、
第1のチャンバーと、下部が上記の第1のチャンバーの下部から一定的に離れた第2のチャンバーとを含む管本体と、
上記の管本体の外側に配置される制限ユニットと、
を備え、
上記の蓋部は上記の管部を閉じると、上記の第1のチャンバーの上部が上記の第2のチャンバーの上部とつながることを特徴とする生化学反応試験管。
【請求項2】
上記の第2のチャンバーの下部と上記の第1のチャンバーの下部の間の距離は少なくとも3mmであることを特徴とする請求項1に記載の生化学反応試験管。
【請求項3】
上記の第2のチャンバーは上記の第1のチャンバーの外側に配置され、及び/または、上記の第2のチャンバーは上記の第1のチャンバーの内側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の生化学反応試験管。
【請求項4】
上記の第2のチャンバーの軸線は上記の第1のチャンバーとの共線、または平行であることを特徴とする請求項3に記載の生化学反応試験管。
【請求項5】
上記の第2のチャンバーの下部は上記の制限ユニットの上部と同じ水平面に位置され、または、上記の第2のチャンバーの下部は上記の制限ユニットの上部の上側にあることを特徴とする請求項1に記載の生化学反応試験管。
【請求項6】
上記の制限ユニットの少なくとも一部分が上記の管本体の外側に周囲的に配置されることを特徴とする請求項1に記載の生化学反応試験管。
【請求項7】
上記の制限ユニットは生化学反応装置によって接触伝導加熱される時、上記の第1のチャンバーまたは上記の第2のチャンバーは上記の生化学反応装置の熱源に接触することを特徴とする請求項1に記載の生化学反応試験管。
【請求項8】
上記の管部は、さらに上記の管本体の内側壁の円周面に配置される第1の嵌合部材を含み、
上記の蓋部は、上記の蓋部の外側壁の円周面に配置される第2の嵌合部材を含み、
上記の第2の嵌合部材は上記の第1の嵌合部材と接続すると、上記の蓋部は上記の管部を閉じることを特徴とする請求項1に記載の生化学反応試験管。
【請求項9】
上記の第1の嵌合部材は複数あり、複数の上記の第1の嵌合部材は上記の管部の軸方向に配置され、
上記の第2の嵌合部材は複数あり、複数の上記の第2の嵌合部材は上記の蓋部の軸方向に配置され、
少なくとも上記の蓋部の最下側にある上記の第2の嵌合部材が上記の管部の最上側にある上記の第1の嵌合部材と接続されることを特徴とする請求項8に記載の生化学反応試験管。
【請求項10】
一端が上記の管部と繋がり、他の一端が上記の蓋部と繋がる接続部材をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の生化学反応試験管。
【請求項11】
上記の蓋部は、上記の蓋部の外側壁に配置される補助部材を含み、上記の蓋部は上記の管部を閉じる時に、上記の補助部材は上記の管部から突出するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の生化学反応試験管。
【請求項12】
上記の補助部材の厚さが上記の蓋部の上部の厚さより小さい、または、上記の補助部材の厚さは0.4mm以下であることを特徴とする請求項11に記載の生化学反応試験管。
【請求項13】
上記の蓋部は、
上記の蓋部の内部を貫通して配置される中空部材と、
上記の中空部材を密封する密封部材と、
を備え、
上記の中空部材は、
上記の中空部材の上端に配置される第1の開口要素と、
上記の中空部材の下端に配置される第2の開口要素と、
を含み、
上記の密封部材は、
上記の第1の開口要素を密封する第1の密封要素と、
上記の第2の開口要素を密封する第2の密封要素と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の生化学反応試験管。
【請求項14】
上記の密封部材は上記の中空部材を密封する場合に、上記の第1の密封要素は上記の第2の密封要素と接触しない;または、上記の第1の密封要素は上記の第2の密封要素を破壊することを特徴とする請求項13に記載の生化学反応試験管。
【請求項15】
上記の中空部材は、
上記の中空部材の内側壁に周囲的に配置される第3の嵌合部材を含み、
上記の密封部材は、上記の第1の密封要素の外側壁に周囲的に配置され、上記の第1の密封要素が上記の第1の開口要素を密封するように、上記の第3の嵌合部材と接続する第4の嵌合部材を含むことを特徴とする請求項13に記載の生化学反応試験管。
【請求項16】
上記の第1のチャンバーの下部は円筒構造または円錐構造を呈することを特徴とする請求項1に記載の生化学反応試験管。
【請求項17】
上記の円筒構造または円錐構造の上部の内径が1.5~8mmであることを特徴とする請求項16に記載の生化学反応試験管。
【請求項18】
上記の第2のチャンバーの上部の内径が5~15mmであることを特徴とする請求項1に記載の生化学反応試験管。
【請求項19】
上記の生化学反応試験管にある生化学反応溶液を接触式加熱伝導させる金属浴装置を含むことを特徴とする請求項7に記載の生化学反応試験管。
【請求項20】
上記の生化学反応試験管が接触式加熱伝導された時に、上記の生化学反応試験管にある生化学反応溶液の光学的信号を収集する生化学反応光学的検出装置を含むことを特徴とする請求項7または19に記載の生化学反応試験管。
【請求項21】
請求項1~20のいずれかの記載の生化学反応試験管と、
核酸増幅試薬と、
機能性反応試薬と、
を含み、
上記の核酸増幅試薬と上記の機能性反応試薬のうちの一つが上記の第1のチャンバーの内部に配置され、上記の核酸増幅試薬と上記の機能性反応試薬のうちの他の一つが上記の第2のチャンバーの内部に配置され;
上記の蓋部が上記の管部を閉じる場合には、
その中に、上記の蓋部は上記の管部を閉じ、生化学反応を行う時、上記の核酸増幅試薬は熱源を接触し、上記の機能性反応試薬は熱源を接触しない、
上記の核酸増幅試薬を加熱して増幅反応を完了した後、上記の生化学反応試験管を垂直に180°反転して、上記の機能性反応試薬を増幅反応が完了した増幅産物と混合させることを特徴とする遺伝子増幅試薬キット。
【請求項22】
上記の核酸増幅試薬はdUTPを含み、上記の機能性反応試薬はUNG酵素を含む溶液であり、または、
上記の核酸増幅試薬はエンドヌクレアーゼと対応する切断配列を含む核酸増幅産物を含み、上記の機能性反応試薬はエンドヌクレアーゼを含む溶液であり、または、
上記の核酸増幅試薬は核酸増幅プライマーを含み、上記の機能性反応試薬はヌクレアーゼを含む溶液であることを特徴とする請求項21に記載の遺伝子増幅試薬キット。
【請求項23】
核酸増幅試薬と機能性反応試薬のうちの一つを上記の第1のチャンバー内に配置し、核酸増幅試薬と機能性反応試薬のうちの他の一つを上記の第2のチャンバー内に配置し、
上記の生化学反応試験管を増幅装置に挿入して、上記の核酸増幅試薬が配置されている上記の第1のチャンバーまたは第2のチャンバーのみ接触式加熱伝導させ、
核酸増幅反応が終了した後、上記の機能性反応試薬を増幅反応済の増幅産物と混合させることを特徴とする請求項1~20のいずれかに記載の生化学反応試験管の使用方法。
【請求項24】
上記の機能性試薬はリアーぜであり、上記の機能性反応試薬は増幅反応が終了した増幅産物と混合して上記の増幅産物を切断することを特徴とする請求項23に記載の生化学反応試験管の使用方法。
【請求項25】
上記の増幅装置はPCR装置、蛍光検出装置を含むことを特徴とする請求項23に記載の生化学反応試験管の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物工学分野に関し、特に、生化学反応試験管及びその使用方法と、遺伝子増幅試薬キットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の小規模の生化学反応で、一般的には単なる試験管の中に一つのキャビティ及び一種類の溶液が収納され、複数の溶液が反応に必要な場合には、異なる試験管から溶液を吸収して他の反応試験管に加入することである。薬汚染などの特別な原因がある場合は、バッフルを試験管に設置して試験管を2つの部分に分割し、2つの溶液A / Bを同じ試験管の異なるキャビティに配置することができる。そうすると、蓋を開けずに、A/ B溶液を混合して反応させ、試薬の漏れや汚染を防ぐようにできる。
【0003】
PCR反応などの核酸増幅は、大きな増幅能力と高感度という最大の特徴を有するが、汚染されやすい。実験室のサンプルと増幅ターゲットが同じ条件を多数持つことが多い場合には、核酸エアロゾル汚染は実験区域に蓄積し続け、汚染のリスクが高まり、誤検知の頻度が高まることにつながる。PCRによる高増幅能力により生成された核酸エアロゾル汚染は偽陽性の結果を引き起こす。誤検知は、実験の信頼性が低く、実験室に直接的に経済的損失をもたらすことを意味する。さらに深刻なのは、エアロゾル汚染が形成されると、PCRラボ全体の汚染を引き起こしたり、ラボを閉鎖したりする可能性がある。
【0004】
PCR増幅産物のコンタミネーションが最も一般的な汚染である。非常に少量のPCR産物のコンタミネーションは、誤検出を引き起こす可能性がある。PCR産物のコンタミネーションの最も可能性の高い形態は、エアロゾル汚染である。核酸エアロゾル、またはDNA / RNAエアロゾルは、ガス状媒体に分散および懸濁された核酸エアロゾルは、ガス媒体に懸濁された一般に0.001μmから1000μmの粒子サイズの小さな固体および液体粒子から形成されたゾルの分散系である。核酸エアロゾル、即ちDNA / RNAエアロゾルは、ガス状媒体に分散および懸濁された核酸ポリマーであり、実験室のデスクトップ、機器、消耗品、および空気に広く存在している。計算によると、一つのエアロゾル粒子には48,000コピーが含まれる。核酸エアロゾルはPCRプロセスを伴い、操作中において、液面が空気に触れるとか、遠心分離機にて遠心分離するとか、反応管を激しく振るとか、反応管を開くとか、サンプルを吸引するとか、ピペットを繰り返し吸引するとか、およびコンタミネーション物質の漏出とか、上記の工程の中から、いずれも核酸エアゾロルを生成する可能性がある。
【0005】
PCR増幅法に加えて、現在の核酸定温増幅法が徐々に実験室に入ってきた。現在、主に次のものが含まれている:ループ仲介等温増幅(loop-mediated isothermal amplification, LAMP)、NEMA(nicking enzyme mediated amplification)、SDA(strand displacement amplification)、ローリング サークル増幅(RCA、rolling circle amplification)、HAD(helicase-dependent isothermal DNA amplification) 、TAS(transcription - based amplification system)、3SR(self-sustained sequence replication)とも言うNASBA(Nucleic acid sequence-based amplification)、Q-beta replicase -amplified assayなどである。等温増幅はサーマルサイクリングを行う必要がないため、その応用範囲が大幅に拡大していて、それに、現在使用されている等温増幅法は感度や特異性に優れ、核酸検査での応用範囲は非常に広い。しかし、高感度は増幅産物のコンタミネーションによる偽陽性などの問題をもたらし、反応結果の判断が不正確になるという問題となる。
【0006】
核酸生成物を試薬組成と区別して、核酸反応試薬組成という点からコンタミネーション問題を克服するのは多くの試薬メーカーが取り組んでいる方向で、その中で、酵素UNG(Uracil‐N‐Glycosila)によるコンタミ予防効果はますます評価され、肯定されてきた。PCR産物またはプライマーにおいて、dTの代わりにdUを用いる。UDGは、ウラシル塩基と糖-リン酸骨格の間のN-グリコシド結合を切断でき、dUを除去してTaq-DNAポリメラーゼの伸長を防ぐことができるため、上記のdU化したPCR産物は、UDGとインキュベーションすると再増幅の能力を失う。UNGはdUを含まない鋳型には影響を与えない。UNGは一本鎖DNAからも、二本鎖DNAからもウラシルを除去できるが、RNA中のウラシルおよび一本鎖ウラシル分子には影響を与えない。増幅反応では、dTTPの代わりにdUTPを使用するため、生成物に大量のdUが取り込まれる。次のPCR増幅を行う前に、PCR混合物をUNGで処理すると、PCR産物のキャリーオーバコンタミネーションを除去することができる。ただし、酸素反応の効率が高くなく、消化時間が通常5分しかないため、上記の技法ではUNGにてPCR混合物中の軽度のPCR産物コンタミしか処理できず、問題を解決することができない。
【0007】
プライマーを合成する際に、dTの代わりにdUを使用すれば、PCR産物に5’末端のみdUを含む。UNGにて処理後、プライマーは結合部位を失い、増幅できない。長いフラグメント(1~2KB以上)の増幅において、dUTP法による効率はdTTP法による効率より低いが、dU法にて欠点を克服することができる。dUプライマーはdUを3’末端または’端近くに設計するのが好ましいが、当該方法はプライマー以外の試薬しか使用できない。
【0008】
現在のUNG酸素によるコンタミ予防法は、核酸増幅反応前の増幅産物に対する酵素加水分解にのみ注意を払い、核酸増幅反応後の増幅産物の直接酵素加水分解を考慮していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は既存技術の欠陥を考慮して、生化学反応試験管およびその使用方法と、遺伝子増幅試薬キットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の実施形態では、生化学反応試験管を提供し、管部と蓋部を含み、上記の管部は、
第1のチャンバーと、下部が上記の第1のチャンバーの下部から一定的に離れた第2のチャンバーとを含む管本体と、
上記の管本体の外側に配置される制限ユニットと、
を備え、
ここで、上記の蓋部は上記の管部を閉じると、上記の第1のチャンバーの上部が上記の第2のチャンバーの上部とつながる。
【0011】
好ましくは、上記の第2のチャンバーの下部と上記の第1のチャンバーの下部の間の距離は少なくとも3mmである。
【0012】
好ましくは、上記の第2のチャンバーは上記の第1のチャンバーの外側に配置され、及び/または、上記の第2のチャンバーは上記の第1のチャンバーの内側に配置される。
【0013】
好ましくは、上記の第2のチャンバーの軸線は上記の第1のチャンバーのと共線、または平行である。
【0014】
好ましくは、上記の第2のチャンバーの下部は上記の制限ユニットの上部と同じ水平面に位置され、または、上記の第2のチャンバーの下部は上記の制限ユニットの上部の上側にある。
【0015】
好ましくは、少なくとも上記の制限ユニットの一部分が上記の管本体の外側に周囲的に配置される。
【0016】
好ましくは、上記の制限ユニットは生化学反応装置によって接触伝導加熱される時、上記の第1のチャンバーまたは上記の第2のチャンバーは上記の生化学反応装置の熱源に接触する。
【0017】
好ましくは、上記の管部は、さらに上記の管本体の内側壁の円周面に配置される第1の嵌合部材を含み、
上記の蓋部は、上記の蓋部の外側壁の円周面に配置される第2の嵌合部材を含み、
上記の第2の嵌合部材は上記の第1の嵌合部材と接続すると、上記の蓋部は上記の管部を閉じる。
【0018】
好ましくは、上記の第1の嵌合部材は複数あり、複数の上記の第1の嵌合部材は上記の管部の軸方向に配置され、
上記の第2の嵌合部材は複数あり、複数の上記の第2の嵌合部材は上記の蓋部の軸方向に配置され、
ここで、少なくとも上記の蓋部の最下側にある上記の第2の嵌合部材が上記の管部の最上側にある上記の第1の嵌合部材と接続される。
【0019】
好ましくは、さらに、一端が上記の管部と繋がり、他の一端が上記の蓋部と繋がる接続部材を含む。
【0020】
好ましくは、上記の蓋部は、上記の蓋部の外側壁に配置される補助部材を含み、ここで、上記の補助部材は、上記の蓋部は上記の管部を閉じる時に、上記の管部から突出するように配置される。
【0021】
好ましくは、上記の補助部材の厚さが上記の蓋部の上部の厚さより小さい、または、上記の補助部材の厚さは0.4mm以下である。
【0022】
好ましくは、上記の蓋部は、
上記の蓋部の内部を貫通して配置される中空部材と、
上記の中空部材を密封する密封部材と、
を備え、
上記の中空部材は、
上記の中空部材の上端に配置される第1の開口要素と、
上記の中空部材の下端に配置される第2の開口要素と、
を含み、
上記の密封部材は、
上記の第1の開口要素を密封する第1の密封要素と、
上記の第2の開口要素を密封する第2の密封要素と、
を含む。
【0023】
好ましくは、上記の密封部材は上記の中空部材を密封する場合に、上記の第1の密封要素は上記の第2の密封要素と接触しない;または、上記の第1の密封要素は上記の第2の密封要素を破壊する。
【0024】
好ましくは、上記の中空部材は、
上記の中空部材の内側壁に周囲的に配置される第3の嵌合部材を含み、
上記の密封部材は、上記の第1の密封要素の外側壁に周囲的に配置され、上記の第1の密封要素が上記の第1の開口要素を密封するように、上記の第3の嵌合部材と接続する第4の嵌合部材を含む。
【0025】
好ましくは、上記の第1のチャンバーの下部は円筒構造または円錐構造を呈する。
【0026】
好ましくは、上記の円筒構造または円錐構造の上部の内径が1.5~8mmである。
【0027】
好ましくは、上記の第2のチャンバーの上部の内径が5~15mmである。
【0028】
好ましくは、さらに、上記の生化学反応試験管にある生化学反応溶液を接触式加熱伝導させる金属浴装置を含む。
【0029】
好ましくは、好ましくは、上記の生化学反応試験管が接触式加熱伝導された時に、上記の生化学反応試験管にある生化学反応溶液の光学的信号を収集する生化学反応光学的検出装置をさらに含む。
【0030】
本発明の第2の実施形態では、遺伝子増幅試薬キットを提供し、その遺伝子増幅試薬キットは、
上記に生化学反応試験管と、
核酸増幅試薬と、
機能性反応試薬と、
を含み、
ここで、上記の核酸増幅試薬と上記の酵素溶液のうちの一つが上記の第1のチャンバーの内部に配置され、上記の核酸増幅試薬と上記の機能性反応試薬のうちの他の一つが上記の第2のチャンバーの内部に配置され;
上記の蓋部が上記の管部を閉じる場合には、
その中に、上記の蓋部は上記の管部を閉じる時、
上記の核酸増幅試薬は熱源を接触して増幅反応を完了した後、上記の機能性反応試薬の反応活性が良好なままであり、
上記の生化学反応試験管を垂直に180°反転した後、上記の機能性反応試薬を増幅反応が完了した増幅産物と混合させる。
【0031】
好ましくは、上記の核酸増幅試薬はdUTPを含み、上記の機能性反応試薬はUNG酵素を含む溶液であり、または、
上記の核酸増幅試薬はエンドヌクレアーゼと対応する切断配列を含む核酸増幅産物を含み、上記の機能性反応試薬はエンドヌクレアーゼを含む溶液であり、または、
上記の核酸増幅試薬は核酸増幅プライマーを含み、上記の機能性反応試薬はヌクレアーゼを含む溶液である。
【0032】
本発明の第3の実施形態では、生化学反応試験管の使用方法を提供し、
核酸増幅試薬と機能性反応試薬のうちの一つを上記の第1のチャンバー内に配置し、核酸増幅試薬と機能性反応試薬のうちの他の一つを上記の第2のチャンバー内に配置し、
上記の生化学反応試験管を増幅装置に挿入して、上記の核酸増幅試薬が配置された上記の第1のチャンバーまたは第2のチャンバーのみ接触式加熱伝導させ、温度をコントロールし、
核酸増幅反応が終了した後、上記の機能性反応試薬を増幅反応済の増幅産物と混合させる。
【0033】
好ましくは、核酸増幅反応が終了した後、上記の生化学反応試験管を上記の増幅装置から取り外し、上記の生化学反応試験管を垂直に180°反転させて、上記の生化学反応試験管が倒置した状態で、上記の機能性反応試薬を増幅反応を完了した増幅産物と混合させる。
【0034】
好ましくは、上記の機能性試薬はリアーぜであり、上記の機能性反応試薬は増幅反応が終了した増幅産物と混合して上記の増幅産物を切断する。
【0035】
好ましくは、上記の増幅装置はPCR装置、蛍光検出装置を含む。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、以上の技術案を採用し、既存技術と比べて、以下の技術効果がある。
本発明による生化学反応試験管で、高さの異なる位置に設られた第1のチャンバーと第2のチャンバーを設定することにより異なる反応組成と溶液を配置する。実際の使用では、第1のチャンバーと第2のチャンバーのうちの一つだけ単独に加熱され、他の一つは加熱されずに、生化学反応を完了し、装置によって蛍光信号など関連する生化学反応信号を収集することができる。試験管を180°反転させて振動操作を行う時に、第1のチャンバーと第2のチャンバー中の溶液を混合させ、更なる反応をする。よって、有害結果を排除できる。例えば、異なるチャンバー中の核酸分解酵素溶液を核酸増幅産物溶液と混合すると、増幅産物を分解でき、増幅産物溶液の漏れにより操作環境を汚染することを防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は本発明に係る一つの例示的実施例による蓋部が管部を閉じていない生化学反応試験管を示す断面図である。
図2図2は本発明に係る一つの例示的実施例による蓋部は管部を閉じてた生化学反応試験管を示す断面図である。
図3図3は本発明に係る一つの例示的実施例による生化学反応試験管の管部を示す断面図である。
図4図4は本発明に係る一つの例示的実施例による生化学反応試験管の蓋部を示す断面図である。
図5図5は本発明に係る一つの具体的実施例による蓋部は管部を閉じていない生化学反応試験管を示す断面図である。
図6図6は本発明に係る一つの具体的実施例による生化学反応試験管を示す平面図である。
図7図7は本発明に係る一つの具体的実施例による蓋部は管部を閉じていない生化学反応試験管を示す断面図である。
図8図8は本発明に係る一つの具体的実施例による生化学反応試験管を示す平面図である。
図9図9は本発明に係る一つの具体的実施例による蓋部は管部を閉じていない生化学反応試験管を示す断面図である
図10図10は本発明に係る一つの具体的実施例による蓋部は管部を閉じた生化学反応試験管を示す断面図である。
図11図11は本発明に係る一つの具体的実施例による蓋部は管部を閉じた生化学反応試験管を示す断面図である。
図12図12は本発明に係る一つの具体的実施例による生化学反応試験管の中空部材を示す断面図である。
図13図13は本発明に係る一つの具体的実施例による生化学反応試験管の第1の密封要素を示す断面図である。
図14図14は本発明に係る一つの具体的実施例による金属浴装置付きの生化学反応試験管を示す図である。
図15図15は本発明に係る一つの具体的実施例による生化学反応光学的検出装置付きの生化学反応試験管を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下は図面を参考して本発明の実施例を説明するが、本発明の限定とするものではない。明らかに、記載された実施例はただ本発明の一部にすぎず、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者によって創造的な努力なしに得られた他のすべての実施例は本発明の保護範囲に含まれるものである。
【0039】
注意すべきなのは、本発明中の各実施例の特徴は組み合わせることができる。
【実施例1】
【0040】
図1~2に示すように、本発明による一つの例示的実施例の生化学反応試験管は、管部10と蓋部20とを含み、管部10は管本体11と管本体11の外側壁に配置される制限ユニット12とを含み、管本体11は第1のチャンバー13と第2のチャンバー14とを含み、蓋部20は管部10を閉じてる場合には、第1のチャンバー13の上部は第2のチャンバー14の上部と繋がる。
【0041】
ここで、第1のチャンバー13の中に核酸増幅試薬を配置し、第2のチャンバー14の中には、第1のチャンバー13の中に配置されている増幅産物を分解する機能性反応試薬を配置する。あるいは、第2のチャンバー14の中に核酸増幅試薬を配置し、第1のチャンバー13の中に、第2のチャンバー14の中に配置されている増幅産物を分解する機能性反応試薬を配置する。核酸増幅反応が終了した後、生化学反応試験管を垂直に180°反転すると、機能性反応試薬が増幅産物と混合して、増幅産物を分解することができるようになる。
【0042】
ここで、機能性試薬は分解酵素、細胞溶解液、プローブ、緩衝液、希釈剤など、または、増幅反応が完了した後の後続の反応のための試薬が含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
第2のチャンバー14の下部は第1のチャンバー13の下部から一定の距離があり、即ち、第2のチャンバー14の下部と水平面との間の距離は第1のチャンバー13の下部と水平面との間の距離より大きい。
【0044】
第2のチャンバー14の下部と第1のチャンバー13の下部との間の距離は少なくとも3mmである。
【0045】
第2のチャンバー14は第1のチャンバー13の外側に位置し、第2のチャンバー14は管本体11の内側壁と第1のチャンバー13の外側壁との間に位置し、それに第2のチャンバー14は環状なチャンバーであり、即ち、第2のチャンバー14は第1のチャンバー13の外側壁に周囲的に配置される。この場合には、第2のチャンバー14の軸線は第1のチャンバー13の軸線と同じである。
【0046】
一方で、第2のチャンバー14は第1のチャンバー13の内側壁にも配置されてもよいし、さらに第2のチャンバー14は環状なチャンバーであり、即ち、第2のチャンバー14は第1のチャンバー13の内側壁に周囲的に配置される。この場合にも、第2のチャンバー14の軸線は第1のチャンバー13の軸線と同じである。
【0047】
本実施例の他の実施方式において、第2のチャンバー14は第1のチャンバー13の外側に位置し、第2のチャンバー14は管本体11の内側壁と第1のチャンバー13の外側壁との間に位置し、さらに第2のチャンバー14は円形なチャンバーであり、即ち、第2のチャンバー14の外側壁の円周面は第1のチャンバー13の外側壁の円周面に対して接線をなす。この場合には、第2のチャンバー14の軸線は第1のチャンバー13の軸線と平行する。ここで、第2のチャンバー14は複数あってもよく、複数の第2のチャンバー14は第1のチャンバー13を中心として第1のチャンバー13の外側壁の円周面に周囲的に配置されうる。
【0048】
一方で、第2のチャンバー14は第1のチャンバー13の内側に配置されてもよいし、それに第2のチャンバー14は円形なチャンバーであり、第2のチャンバー14の外側壁の円周面は第1のチャンバー13の内側壁の円周面に対して接線をなす。この場合には、第2のチャンバー14の軸線は第1のチャンバー13の軸線と平行する。ここで、第2のチャンバー14は複数あってもよく、複数の第2のチャンバー14は第1のチャンバー13を中心として第1のチャンバー13の内側壁の円周面に周囲的に配置されうる。
【0049】
上記の構造において、第2のチャンバー14および第1のチャンバー13は、一体的に配置されてもよいし、別々に配置されてもよい。第2のチャンバー14および第1のチャンバー13が別々に配置される場合に、第2のチャンバー14は、第1のチャンバー13の外側に取り外し可能に配置され、取り外し可能な方法は、スナップ接続を含むが、これに限定されない。
【0050】
制限ユニット12は少なくとも一部が管本体11の周囲に配置され、即ち、制限ユニット12は管本体11との接続は円弧形となし、当該の円弧形の中心角は少なくとも鋭角である。具体的には、制限ユニット12は、フルスカート、ハーフスカート、またはクォータースカートであり得る。
【0051】
制限ユニット12の上部と第2のチャンバー14の下部との間の距離は0、即ち制限ユニット12の上部と第2のチャンバー14の下部は同じ水平面にあってもよいし、制限ユニット12の上部と第2のチャンバー14の下部との間の距離は0より大きい、即ち、制限ユニット12は垂直方向に第2のチャンバー14の下側に位置してもよい。
【0052】
制限ユニット12は対称的な柱体や錐体であり、任意の角度で生化学反応装置に挿入することができ、例えば、任意の角度でPCR増幅装置の加熱ベースに挿入して固定し、それに、第1のチャンバー13の下面または下面に近い側面から、第1のチャンバー13内の溶液の生化学反応の結果に対して、光学的信号を収集および検出することができる。
【0053】
または、限界ユニット12は非対称柱体であり、単一の角度からしか生化学反応装置に挿入することができず、それに単一の角度からしか第1のチャンバー13内の溶液の生化学反応結果に対して光学的信号を収集および検出することができない。
【0054】
限界ユニット12が生化学反応装置によって接触伝導加熱により加熱されると、第1のチャンバー13の下部溶液(核酸増幅試薬を含む)が接触伝導加熱を行い、第2のチャンバー14の下部溶液(機能性反応試薬を含む)は接触伝導加熱を行わない。または、第2のチャンバー14の下部溶液(核酸増幅試薬を含む)は接触伝導加熱を行うが、第1のチャンバー13の下部溶液(機能性反応試薬を含む)は接触伝導加熱を行わない。
【0055】
図1~3に示すように、第1のチャンバー13の下部は、円筒構造または円錐構造を呈し、生化学反応装置の加熱ベースの内穴と一致することができる。
【0056】
第1のチャンバー13の円筒構造または円錐構造の上部の内径は1.5~8mmであり、第2のチャンバー14の上部の内径は5~15mmである。
【0057】
管部10と蓋部20との密封効果を向上させるために、管部10と蓋部20には、それぞれ第1の嵌合部材15と第2の嵌合部材21が設けられている。
【0058】
図3に示すように、第1の嵌合部材15は、管本体11の内側壁の円周面に配置され、且つ第1の嵌合部材15が少なくとも一つある。
【0059】
図4に示すように、第2の嵌合部材21は蓋部20の外側壁の円周面に配置され、且つ、第2の嵌合部材21が少なくとも1つある。
【0060】
蓋部20が管部10を閉じる時に、第2の嵌合部材21が第1の嵌合部材15に接続され、蓋部20と管部10が互いに協働して、蓋部20が管部10を密封する効果を向上させる。
【0061】
第1の嵌合部材15は溝(または密封溝)であり、第2の嵌合部材21は突起(または突起密封環)であり、または、第1の嵌合部材15は突起(または突起密封環)であり、第2の嵌合部材21は溝(または密封溝)である。
【0062】
第1の嵌合部材15は複数あり、管部10の軸方向に配置され、同様に、第2の嵌合部材21は複数あり、蓋部20の軸方向にそって配置されている。
【0063】
第1の嵌合部材15と第2の嵌合部材21は一対一に接続されてもよい。具体的には、蓋部20が管部10を閉じている場合、管部10の最下部に位置する第1の嵌合部材15は、蓋部20の再下部に位置する第2の嵌合部材21に接続され、管部10の最上部に位置する第1の嵌合部材15は、蓋部20の最上部に位置する第2の嵌合部材21に接続される。この場合、蓋部20を外して管部10の内部空間を露出させるために、大きな外力を加える必要がある。
【0064】
第1の嵌合部材15と第2の嵌合部材21は一対一に接続されなくてもよい。具体的には、蓋部20が管部10を閉じている場合、管部10の最上部に位置する第1の嵌合部材15は、蓋部20の最下部に位置する第2の嵌合部材21に接続される。この場合、蓋部20を容易に取り外して管部10の内部空間を露出させうる。
【0065】
以上のことから、蓋部20は管部10を密封するよう、管部10の最上部に位置する第1の嵌合部材15は、少なくとも蓋部20の最下部に位置する第2の嵌合部材21と接続する。
【0066】
管部10と蓋部20は一対一対応を確保するために、管部10と蓋部20とを接続する接続部材30も設られている。具体的に、接続部材30の1端は管部10の上部の外側壁に接続され、他の一端は蓋部20の上部の外側壁に接続されている。
【0067】
接続部材30は撚り線接続具である。
【0068】
図2に示すように、蓋部20は管部10を閉じている場合に、折り畳まれた接続部30を除いて、蓋部20の上部の外縁は管部10の上部の外縁を超える部分は一切ない。
【実施例2】
【0069】
本実施例は本発明による一つの具体的な実施例であり、蓋部20の取り外しを容易にすることができる実施例1の改善された実施例である。
【0070】
図5~6に示すように、上記の生化学反応試験管は管部10、蓋部20、接続部分30と補助部分40とを含む。ここで、管部10、蓋部20と接続部分30の構造と接続関係は実施例1とほぼ同じなので、これらに関する説明を省略する。
【0071】
補助部材40は蓋部20の外側壁に配置され、蓋部20は管部10を閉じた時、補助部分40は管部10から突起して配置され、言い換えれば、補助部材40は、管部10の上部の外縁から蓋部20の上部の外縁に沿って一定の長さまで延びる突起である。
【0072】
補助部材40は接続部材30と蓋部20に対して対称に配置される。
【0073】
補助部材40の厚さは蓋部20の上部の厚さより小さい。
【0074】
補助部材40の厚さは0.04mm以下である。
【実施例3】
【0075】
本実施例は本発明による一つの具体的な実施例であり、第2のチャンバー14への溶液の添加を容易にすることができる実施例1の改善された実施例である。
【0076】
図7~8に示すように、生化学反応試験管は、管部10と、蓋部20と接続部材30とを含む。蓋部20と接続部材30の構造と接続関係は、基本的に第1の実施例と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0077】
図7~8に示すように、管部10において、第1のチャンバー13の下部は、生化学反応装置の内穴と一致する円筒構造または円錐構造である。第2のチャンバー14は管本11の外側壁と制限ユニット12の内側壁との間に位置し、かつ、第2のチャンバー14の軸線は第1のチャンバー13の軸線と平行し、即ち、第1のチャンバー13は第2のチャンバー14の下面から偏心して配置されている。
【0078】
具体的に、第1のチャンバー13の外側壁の一方の側は相対する制限ユニット12の内側壁から遠く離れ、第1のチャンバー13の外側壁の他方の側は、相対する制限ユニット12の内側壁に近い。その結果、第2のチャンバー14の径方向へのサイズが大きくなり、ピペットの先端が第2のチャンバー14により深く挿入でき、溶液が第2のチャンバー14にスムーズに入ることができ、操作者による不適切な操作による第1のチャンバー13への溶液の侵入を防ぐ。
【実施例4】
【0079】
本実施例は本発明による一つの具体的実施例であり、生化学反応試験管の汚染の可能性をさらに低減することができる実施例1の改善された実施例である。
【0080】
図9~10に示すように、生化学反応試験管は、管部10と、蓋部20と接続部材30とを含む。ここで、管部10と接続部材30の構造と接続関係は、基本的に第1の実施例と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0081】
図9図10に示すように、実施例1に基づいて、蓋部20は、中空部材50と密封部材と60をさらに含む。中空部材50は、蓋部20の内部を貫通して配置され、密封部材60は中空部材50を閉じている。
【0082】
中空部材50は、中空部材50の上端に配置される第1の開口要素51を含み、溶液は蓋部20の外側から第1の開口要素51を通って中空部材50の内部に入る。
【0083】
対応的に、密封部材60は第1の開口要素51を閉じる第1の密封要素61を含む。
【0084】
具体的に、第1の密封要素61はシールフィルムであり、または、ステッカー付きシールフィルムである。実際に使用する時、第1の密封要素61を外して、中空部材50の内部に生化学反応溶液を入ってから、第1の密封要素61で第1の開口要素51を閉じる。
【0085】
上記の構造に基づいて、更なる操作効率を高めるために、中空部材50は中空部材50の下端に配置する第2の開口要素52を含み、密封部材61は第2の開口要素62を閉じる第2の密封要素62を含む。
【0086】
具体的に、第2の密封要素62はシールフィルム、またはシール接続剤を有するアルミホイルや他のフィルム材料など容易に壊れやすい密封要素である。初めに操作する時、第1の密封要素61を外し、生化学反応溶液を中空部材50内に加えてから、第1の密封要素61で第1の開口要素51を閉じる。次回操作する時、第1の密封要素61を外して、操作者はツールを使用して、中空部材51の内部にある生化学反応溶液を管本体11の内部に入るように、第1の開口要素51と第2の開口要素52を順次に通して第2の密封要素62を破壊し、最後に、第1の密封要素61で第1の開口要素51を閉じる。
【実施例5】
【0087】
本実施例は本発明による一つの具体的実施例であり、生化学反応試験管の汚染の可能性をさらに低減することができる実施例1の改善された実施例である。
【0088】
図11に示すように、生化学反応試験管は、管部10と、蓋部20と接続部材30とを含む。ここで、管部10と接続部材30の構造と接続関係は、基本的に第1の実施例と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0089】
図11に示すように、実施例1に基づいて、蓋部20は、中空部材50と密封部材と60をさらに含む。中空部材50は、蓋部20の内部を貫通して配置され、密封部材60は中空部材50を閉じている。
【0090】
中空部材50は、中空部材50の上端に配置される第1の開口要素51と、中空部材50の下端に配置される第1の開口要素52とを含む。
【0091】
対応的に、密封部材60は第1の開口要素を閉じる第1の密封要素61と、第2の開口要素を閉じる第2の密封要素62とを含み、第1の密封要素61は第1の開口要素51を完全に閉じる時、第1のシーリング要素61は、第2のシーリング要素を破壊する。
【0092】
第1の密封要素61は制限ユニット611と破壊部品612とを含み、破壊部品612は制限ユニット611の下端に配置される。制限ユニット611の内径は中空部材50の内径より大きい、破壊部品612の内径は中空部材50の内径以下である。第1の密封要素61は完全に第1の開口要素51を閉じる時、破壊部品612の下端は第2の密封要素62を破壊する。
【0093】
具体的に、制限ユニット611は蓋板であり、破壊部品612は中空管である。
【0094】
制限ユニット611と破壊部品612は移動可能に接続されている、すなわち、制限ユニット611に対して特定の操作(開けるなど)を実行することにより、生化学反応組成や溶液を破壊部品612に加えることができる。
【0095】
具体的には、制限ユニット611と破壊部品612は、入れ子接続、ねじ接続、スナップ接続などの接続となる。例えば、制限ユニット611と破壊部品612との接続は、蓋部20と管部10との間の接続方式と同じである。
【0096】
具体的には、第2の密封要素62は、シールフィルム、またはシール接続剤を有するアルミホイルや他のフィルム材料など容易に壊れやすい密封要素である。
【0097】
中空部材50と密封部材60の密封効果を向上させるために、中空部材50と密封部材60には、それぞれ第3の嵌合部材53と第4の嵌合部材63が設けられている。
【0098】
図12に示すように、第3の嵌合部材53が中空部材50の内側壁の円周面には設けられており、かつ、第3の嵌合部材53が少なくとも1つある。
【0099】
図13に示すように、第4の嵌合部材63は、第1の密封要素61の外側壁の円周面に配置されており、かつ、第4の嵌合部材63が少なくとも1つある。
【0100】
第1の密封要素61が第1の開口要素51を閉じる時、第4の嵌合部材63と第3の嵌合部材53が接続され、第1の密封要素61と中空部材50が互いに協働し、第1の密封要素が第1の開口要素51を密封する効果を向上させる。
【0101】
第3の嵌合部材53は溝(または密封溝)であり、第4の嵌合部分63は突起(または突起密封環)であり、または、第3の嵌合部分53は突起(または突起密封環)であり、第4の嵌合部材63は溝(密封溝)である。
【0102】
第3の嵌合部品53が複数あり、かつ第3の嵌合部品53は、中空部品50の軸方向に沿って配置されている。同様に、第4の嵌合部品63が複数あり、かつ、第4の嵌合部品63は、第1の密封要素61の軸方向に沿って配置されている。
【0103】
第3の嵌合部材53と第4の嵌合部材63は一対一に接続されてもよい。具体的には、
中空部材50の最下部に位置する第3の嵌合部材53は第1の密封要素61の最下部に位置する第5の接続部63に接続され、中空部材50の最上部に位置する第3の嵌合部材53は、第1の密封要素61の最上部に位置する第4の嵌合部材63に接続される。この場合、第1の密封要素61は第2の密封要素62を破壊する。
【0104】
第3の嵌合部材53と第4の嵌合部材63は一対一に接続されなくてもよい。具体的には、中空部材50の最上部に位置する第3の嵌合部材53は、第1の密封要素61の最下部に位置する第4の嵌合部材21に接続される。この場合、第1の密封要素61は第2の密封要素62を破壊しない。
【0105】
本実施例の生化学反応試験管を使用するとき、第1の密封要素61の制限ユニット611を開き、特定の生化学反応組成や溶液を破壊部品612の内部に加えて、第1の密封要素61に第1の開口要素51から中空部分50を挿入して第2の密封要素62を破壊すると、破壊部品612内の生化学反応組成や溶液は、管本体11内の溶液と混合し、さらなる生化学反応をすることができる。例えば、生化学反応試験管内に核酸分解酵素を加え、生化学反応試験管の内部にある核酸増幅産物を分解する。
【実施例6】
【0106】
本実施例は本発明による一つの具体的実施例であり、実施例1~5から拡張された実施例である。
【0107】
図14に示すように、生化学反応試験管には、生化学反応試験管内にある溶液を接触式温度伝導制御を行う金属浴装置70を含み、それは特定の温度を設定して、設定された条件に応じて一定の値を維持して、または複数の温度値の間で周期的に変化することができる。
【0108】
図15に示すように、生化学反応試験管はまた、生化学反応試験管内の溶液に対して接触型温度伝導制御を行う生化学反応光学的検出装置80を含み、当該の生化学反応光学的検出装置80は、生化学反応試験管の内部にある溶液に対して温度を伝導するとき、生化学反応試験管の内部にある生化学反応溶液の光学的信号を収集する。
【実施例7】
【0109】
本実施例は実施例1~5の生化学反応試験管の適用である。
【0110】
少なくとも生化学反応試験管と、核酸増幅試薬と機能性反応試薬とを含む遺伝子増幅試薬キットである。ここで、核酸増幅試薬は、管本体11の第1のチャンバー13内に配置され、かつ機能性反応試薬は、管本体11の第2のチャンバー14内に配置され、または、核酸増幅試薬は管本体11の第2のチャンバー14内に配置され、かつ機能性反応試薬は、管本体11の第1のチャンバー13内に配置されている。
【0111】
ここで、機能性反応試薬の熱感受性は、核酸増幅試薬の熱感受性とは異なる。
【0112】
具体的には、機能性試薬は、分解酵素、細胞溶解液、プローブ、緩衝液、希釈剤など、または増幅反応が完了した後の後続の反応のための試薬を含むが、これらに限定されない。
【0113】
本実施例の第1の具体的実施方式において、核酸増幅試薬はdUTPを含む核酸増幅試薬であり、機能性反応試薬はUNG酵素を含む溶液である。本実施方式において、dUTPを含む核酸増幅試薬を使用することにより、特定の温度条件下で核酸増幅反応を完了させて、増幅産物に特定の量のdUを混合することができる。具体的には、第1のチャンバー13(または第2のチャンバー14)内の核酸増幅試薬を加熱して増幅反応を完了した後、第2のチャンバー14(または第1のチャンバー13)内のUNG酵素の反応活性は良好なままの状態で、生化学反応試験管を垂直に180°反転すると、第2のチャンバー14(または第1のチャンバー13)内に事前に添加されたUNG酵素溶液、または事前に添加された第2のチャンバー14(または第1のチャンバー)で溶解および固化したUNG酵素溶液は、第1のチャンバー13(または第2のチャンバー14)内の増幅産物溶液と混合し、dUが混合した核酸産物を酵素分解する。
【0114】
本実施例の第2の具体的実施方式において、核酸増幅試薬はエンドヌクレアーゼと対応する切断配列を含む核酸増幅プライマー及びその増幅試薬であり、機能性反応試薬はエンドヌクレアーゼを含む溶液である。本実施方式において、エンドヌクレアーゼと対応する切断配列を含む核酸増幅プライマー及びその増幅試薬を使用することにより、特定の温度条件下でエンドヌクレアーゼと対応する切断配列を混合した核酸産物の増幅を完了することができる。具体的には、第1のチャンバー13(または第2のチャンバー14)内の核酸増幅試薬を加熱して増幅反応を完了させた後、生化学反応管を垂直方向に180°反転させて振動操作を行い、第2のチャンバー14(または第1のチャンバー13)内に事前に添加されたエンドヌクレアーゼ溶液、または事前に添加された第2のチャンバー14(または第1のチャンバー13)内で溶解及び固化したエンドヌクレアーゼ溶液を、第1のチャンバー13(または第2のチャンバー14)にある増幅産物溶液と混合させ、核酸産物を酵素分解する。
【0115】
本実施例の第3の具体的実施方式において、核酸増幅試薬は核酸増幅プライマー及びその増幅試薬であり、機能性反応試薬はヌクレアーゼを含む溶液である。本実施方式において、核酸増幅プライマー及びその増幅試薬を使用することにより、特定の温度条件下で産物の増幅を完了することができる。具体的には、第1のチャンバー13(または第2のチャンバー14)内の核酸増幅試薬を加熱して増幅反応を完了させた後、生化学反応管を垂直方向に180°反転させて振動操作を行い、第2のチャンバー14(または第1のチャンバー13)内に事前に添加されたヌクレアーゼ溶液、または事前に添加された第2のチャンバー14(または第1のチャンバー13)内で溶解及び固化したヌクレアーゼ溶液を、第1のチャンバー13(または第2のチャンバー14)にある増幅産物溶液と混合させ、核酸産物を酵素分解する。
【実施例8】
【0116】
本実施例は実施例1~5の生化学反応試験管の使用方法である。
【0117】
上記の生化学反応試験管の使用方法は以下を含み、
核酸増幅試薬と機能性反応試薬のうちの一つを第1のチャンバー13内に配置し、核酸増幅試薬と機能性反応試薬のうちの他の一つを上記の第2のチャンバー14内に配置し、
生化学反応試験管を増幅装置に挿入して、核酸増幅試薬が配置されている第1のチャンバー13または第2のチャンバー14のみ接触式加熱伝導させ、
核酸増幅反応が終了した後、機能性反応試薬を増幅反応済の増幅産物と混合させる。
【0118】
具体的には、核酸増幅反応が終了した後、生化学反応試験管を増幅装置から取り外し、生化学反応試験管を垂直に180°反転させて、上記の生化学反応試験管が倒置した状態で、機能性反応試薬を増幅反応が完了した増幅産物と混合させる。
【0119】
本実施例の第1の具体的実施方式は以下を含み、
PCR増幅試薬を第1のチャンバー13内に入れて、PCR増幅産物を切断するヌクレアーゼ溶液を第2のチャンバー14内に入れ、
生化学反応試験管を核酸を増幅するPCR装置に挿入して温度制御を行い、この場合、第1のチャンバー13内の溶液だけが温度伝導を受け、第2のチャンバー14はPCR装置の熱伝導部品と接触しない、
核酸増幅反応が終了した後、生化学反応試験をを取り外し、生化学反応試験管を倒置して、第1のチャンバー13と第2のチャンバー14内の溶液を混合させ、
生化学反応試験管を酵素が産物を分解する温度に適した環境中に倒置したまま、増幅産物が分解されるまで保管する。
【0120】
本実施例の第2の具体的実施方式は以下を含み、
核酸増幅試薬を第2のチャンバー14内に入れて、核酸増幅産物を分解するヌクレアーゼ溶液を第1のチャンバー13内に入れ、
生化学反応試験管を核酸を増幅する増幅装置に挿入して温度制御を行い、この場合、第2のチャンバー14内の溶液だけが温度伝導を受け、第1のチャンバー13内の溶液は増幅装置の加熱部品により熱伝導されない、
核酸増幅反応が終了した後、生化学反応試験をを取り外し、生化学反応試験管を倒置して、第1のチャンバー13と第2のチャンバー14内の溶液を混合させ、
生化学反応試験管を酵素が産物を分解する温度に適した環境中に倒置したまま、増幅産物が分解されるまで保管する。
【0121】
本実施例の第3の具体的実施方式は以下を含み、
核酸増幅試薬を第1のチャンバー13内に入れて、核酸増幅産物を分解するヌクレアーゼ溶液を第2のチャンバー14内に入れ、
生化学反応試験管を核酸を増幅する蛍光検出装置に挿入して温度制御を行い、この場合、第1のチャンバー13内の溶液だけが温度伝導を受け増幅反応をし、
核酸増幅反応が終了した後、生化学反応試験をを取り外し、生化学反応試験管を倒置して、第1のチャンバー13と第2のチャンバー14内の溶液を混合させ、
生化学反応試験管を酵素が産物を分解する温度に適した環境中に倒置したまま、増幅産物が分解されるまで保管する。
【0122】
前述の説明は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明の実施方式および保護範囲を限定するものではない。当業者にとって、本発明の明細書及び図面を使って作られた均等の置換や明らかな変更により得られた方案はすべて本発明の保護範囲内に含まれることが意識すべきである。
【符号の説明】
【0123】
10 管部
11 管本体
12 制限ユニット
13 第1のチャンバー
14 第2のチャンバー
15 第1の嵌合部材
20 蓋部
21 第2の嵌合部材
30 接続部材
40 補助部材
50 中空部材
51 第1の開口要素
52 第2の開口要素
53 第3の嵌合部材
60 密封部材
61 第1の密封要素
62 第2の密封要素
63 第4の嵌合部材
611 ストッパー
612 破壊部品
70 金属浴装置
80 生化学反応光学的検出装置
図1
図2
図3
図4
図5
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【国際調査報告】