(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-12
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システムおよびエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20220405BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20220405BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20220405BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/42
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545462
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(85)【翻訳文提出日】2021-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2020055206
(87)【国際公開番号】W WO2020174073
(87)【国際公開日】2020-09-03
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】ベッソ クレマン
(72)【発明者】
【氏名】ギュンデュツ ナザン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC41
(57)【要約】
エアロゾル発生物品(10)とエアロゾル発生装置(30)とを備えるエアロゾル発生システム(40)。物品(10)は、上流端(11)および下流端(12)を有し、長軸方向を画定し、上流セグメントおよび下流セグメント(14)を備える。上流セグメントは、基体外径(D2)を有する基体外表面(17)を有するエアロゾル形成基体(13)を含む。下流セグメント(14)は、基体外径(D2)よりも大きな下流セグメント外径(D1)を有する。装置(30)は、装置空洞内径(D4)を有する装置空洞内表面(33)を備え、装置空洞(32)は、少なくともエアロゾル形成基体(13)を受容するように構成される。装置(30)は、少なくとも一つの発熱体(31)を備える。エアロゾル形成基体(13)は、装置空洞(32)内に受容され、気流通路(35)は、基体外表面(17)と装置空洞内表面(33)との間に画定される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムであって、
上流端および下流端を有するエアロゾル発生物品であって、前記エアロゾル発生物品が前記上流端と前記下流端との間に長軸方向を画定し、前記エアロゾル発生物品が、
前記エアロゾル発生物品の前記上流端に配置された上流セグメントであって、前記上流セグメントが、エアロゾル形成基体を含み、前記エアロゾル形成基体が、基体外径を有する基体外表面を含む、上流セグメント、および、
前記エアロゾル発生物品の前記下流端に配置された下流セグメントであって、前記下流セグメントが、下流セグメント外径を有し、前記下流セグメント外径が、前記基体外径よりも大きい、下流セグメント、を含む、エアロゾル発生物品と、
エアロゾル発生装置であって、
装置空洞内径を有する装置空洞内表面を含む装置空洞であって、前記装置空洞が、少なくとも前記エアロゾル発生物品の前記エアロゾル形成基体を受容するように構成される、装置空洞、および、
前記エアロゾル形成基体が前記装置空洞内に受容された時に、前記エアロゾル形成基体を加熱するように構成された少なくとも一つの発熱体、を含む、エアロゾル発生装置と、を備え、
前記エアロゾル発生物品の前記エアロゾル形成基体が前記装置空洞内に受容された時に、気流通路が前記基体外表面と前記装置空洞内表面との間に画定され、前記気流通路が、前記エアロゾル形成基体の長さに沿って前記長軸方向に延びる、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記エアロゾル形成基体が、基体内径を有する基体内表面を含み、前記基体内表面が、前記エアロゾル形成基体内に前記長軸方向に延びる内側空洞を区切る、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記基体内径が、前記基体外径の約60%~約90%である、請求項2に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
熱伝導性材料の層が、前記基体内表面上に配置される、請求項2または3のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記上流セグメントおよび前記下流セグメントが、前記エアロゾル形成物品の長軸方向軸と同軸に整列して配設される、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記下流セグメントが、フィルターを含む、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記下流セグメントがさらに、冷却要素、および前記エアロゾル形成基体と前記フィルターとの間に配置された間隔保持要素のうちの少なくとも一つを含む、請求項6に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記基体外径が、前記下流セグメント外径の約50%~約98%である、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記基体外表面が、円形形状または楕円形状の横断断面を有する、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記エアロゾル形成基体が、たばこキャストリーフを含む、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記エアロゾル形成基体が、前記長軸方向に実質的に均質な組成物を有する、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記エアロゾル形成基体が、前記長軸方向に延びる第一のエアロゾル形成基体セグメントと、前記長軸方向に前記第一のエアロゾル形成基体セグメントと隣接している第二のエアロゾル形成基体セグメントと、を含む、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記エアロゾル発生装置空洞が、前記装置空洞の上流端と前記装置空洞の下流端との間に長軸方向を画定し、前記少なくとも一つの発熱体が、前記装置空洞の前記長軸方向に互いから離隔した第一の発熱体および第二の発熱体を含む、請求項1~12のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記エアロゾル発生物品の前記下流セグメント外径が、前記装置空洞内径と実質的に同じ、またはそれよりも大きい、請求項1~13のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生物品、エアロゾル発生装置、ならびにエアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ含有基体などのエアロゾル形成基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品は、当業界で公知である。このような加熱式エアロゾル発生物品の目的は、従来の紙巻たばこにおけるたばこの燃焼および熱分解によって生成される有害または潜在的に有害な副産物を低減させることである。
【0003】
エアロゾル発生物品では、吸入可能なエアロゾルは、典型的に、発熱体からエアロゾル形成基体への熱伝達によって生成される。加熱中、揮発性化合物は、エアロゾル形成基体から放出され、空気中に混入される。例えば、揮発性化合物は、エアロゾル発生物品の近傍を通り抜け、通り、その周りに、または別の方法で引き寄せられる空気中に混入する場合がある。放出された揮発性化合物は冷却されるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。エアロゾルは、ユーザーによって吸入され得る。エアロゾルには、香り、風味、ニコチン、および他の望ましい要素が含有され得る。
【0004】
発熱体は、エアロゾル発生装置に含まれ得る。エアロゾル発生物品とエアロゾル発生装置の組み合わせによりエアロゾル発生システムが形成され得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様において、エアロゾル発生システムが提供されており、システムは、
上流端および下流端を有するエアロゾル発生物品であって、エアロゾル発生物品が上流端と下流端との間に長軸方向を画定し、エアロゾル発生物品が、
エアロゾル発生物品の上流端に配置された上流セグメントであって、上流セグメントが、エアロゾル形成基体を含み、エアロゾル形成基体が、基体外径を有する基体外表面を含む、上流セグメント、および、
エアロゾル発生物品の下流端に配置された下流セグメントであって、下流セグメントが、下流セグメント外径を有し、下流セグメント外径が、基体外径よりも大きい、下流セグメント、を含む、エアロゾル発生物品と、
エアロゾル発生装置であって、
装置空洞内径を有する装置空洞内表面を含む装置空洞であって、装置空洞が、少なくともエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を受容するように構成される、装置空洞、および、
エアロゾル形成基体が装置空洞内に受容された時に、エアロゾル形成基体を加熱するように構成された少なくとも一つの発熱体、を含む、エアロゾル発生装置と、を備え、
エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体が装置空洞内に受容された時に、気流通路が基体外表面と装置空洞内表面との間に画定され、気流通路は、エアロゾル形成基体の長さに沿って長軸方向に延びる。
【0006】
エアロゾル発生装置は、装置空洞を備える。使用時に、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体は、エアロゾル発生装置の装置空洞内に受容される。その後、エアロゾル発生物品は、発熱体によって加熱されてエアロゾル形成基体から揮発性化合物を放出し、揮発性化合物は凝縮してエアロゾルを形成し得る。
【0007】
装置空洞がエアロゾル形成基体を受容すると、気流通路が基体外表面および装置空洞内表面によって画定される。装置空洞の内表面と基体の外表面との間のギャップは、気流通路を少なくとも部分的に区切る。気流通路は、エアロゾル形成基体の外部にあり、エアロゾル発生装置の装置空洞内に含まれる。
【0008】
気流通路は、ユーザーによって引き出された空気が、エアロゾル形成基体を通してではなく、エアロゾル形成基体の外表面に沿って流れることを可能にし、それ故にエアロゾル形成基体を通って移動する空気の量を低減または最小化し得る。結果として、装置内の気流は、その厚さ全体を通して基体を冷却するのではなく、気流通路に沿って流れるのに伴い主に基体の外表面を冷却する。有利なことに、これは、ユーザーがエアロゾル発生物品を吸うことによる基体の温度の変動を低減し得る。
【0009】
有利なことに、基体外径と装置空洞内径との間に気流通路を提供することにより、加熱されたエアロゾル形成基体から放出された揮発性化合物がその中へと移動し得る空間が提供される。ユーザーによって物品を通して引き出された空気は基体の外表面にわたって引き出されるため、このような気流通路は、加熱された基体からの揮発性化合物の放出を促進し得る。
【0010】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾルを発生するためにエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用する発熱体を備える装置を指す。
【0011】
本発明のさらに別の態様によると、上記のエアロゾル発生システムに適したエアロゾル発生物品が提供されており、物品は、
上流端および下流端を備え、上流端と下流端との間に長軸方向を画定し、エアロゾル発生物品は、
エアロゾル発生物品の上流端に配置された上流セグメントであって、エアロゾル形成基体を含み、基体が基体外径を有する基体外表面を含む、上流セグメント、および、
エアロゾル発生物品の下流端に配置された下流セグメントであって、下流セグメント外径を有し、下流セグメント外径が基体外径よりも大きい、下流セグメントを含む。
【0012】
下流セグメントは、エアロゾル形成基体の外径よりも大きな外径を有する。物品の長さに沿って一定の外径を有するエアロゾル発生物品と比較して、異なる外径を有するセグメントを有するエアロゾル発生物品を提供することは、エアロゾル形成基体を含む物品のセグメントを、フィルターまたは冷却要素などの物品の他の構成要素よりも薄くすることを可能にし得る。有利なことに、エアロゾル形成基体の厚さを減少させることにより、発熱体から基体に加えられた熱が基体の厚さを通して急速に伝播することが可能になり、発熱体から最も離れている基体の領域における基体の温度を上昇させるのに必要な時間が低減される。これは、エアロゾル形成基体の厚さにわたる温度の変動を低減し、発熱体によって加熱される領域から最も離れている基体の領域に、加熱されずに未使用であるエアロゾル形成基体が残っている可能性を低減し得る。エアロゾル形成基体の厚さにわたる温度の変動が低減され得るため、基体から発生されるエアロゾルの組成物および他の特性は、ユーザー体験全体を通してより均一であり、異なる基体を用いたユーザー体験間の制御がより容易であり得る。有利なことに、これにより、ユーザーにとってより一貫した体験が作り出され得る。
【0013】
本発明のこの態様のエアロゾル発生物品は、本発明の上述の態様のエアロゾル発生システムに適しているため、本システムに対して上記で特定された利点は、物品自体にも当てはまる。
【0014】
本明細書において「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを生成してユーザーに送達するよう加熱可能であるエアロゾル形成基体を備える物品を示すために使用される。本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、加熱に伴い揮発性化合物を放出してエアロゾルを発生する能力を有する基体を意味する。
【0015】
エアロゾル発生物品は、概してロッドの形態を取り得る。物品は、上流端から下流端まで、長軸方向にロッドを通して中央に延びる中央長軸方向軸を備え得る。エアロゾル発生物品の上流セグメントおよび下流セグメントは、エアロゾル形成物品の中央長軸方向軸と同軸に整列して配設されてもよい。エアロゾル発生物品の上流セグメントおよび下流セグメントは、エアロゾル形成物品の中央長軸方向軸と同軸に整列して端と端を接して配設されてもよい。
【0016】
エアロゾル発生物品は、約30ミリメートル~約100ミリメートルの全長を有してもよい。
【0017】
好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品は、約40ミリメートル~約50ミリメートルの全長を有する。エアロゾル発生物品は、約45ミリメートルの全長を有することが好ましい。
【0018】
エアロゾル発生物品は、複数の構成要素を備え得る。例えば、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体と、熱伝導性層、マウスピース、フィルター、冷却要素、間隔保持要素、および風味要素のうちの任意の一つ、またはこれらのうちの任意の一つ以上の組み合わせを備えてもよい。
【0019】
下流セグメントは、基体外径よりも大きな下流セグメント外径を有する。下流セグメント外径は、少なくとも下流セグメントの上流端において、基体外径よりも大きい。本明細書で使用される場合、「上流端」という用語は、物品の上流端に最も近い物品の特徴または態様の端部を指し、「下流端」という用語は、物品の下流端に最も近い物品の特徴または態様の端部を指す。
【0020】
一部の好ましい実施形態では、下流セグメントは、下流セグメントの長さに沿って一定の下流セグメント外径を有する。しかしながら、一部の実施形態では、下流セグメント外径は、物品の上流端から下流端まで、下流セグメントの長さに沿って変化する。下流セグメント外径は、下流セグメントの上流端から物品の下流端まで増大してもよい。下流セグメント外径は、下流セグメントの上流端から物品の下流端まで減少してもよい。
【0021】
下流セグメントは、約5ミリメートル~約13ミリメートルの下流セグメント外径を有してもよい。下流セグメントは、セグメントの長さに沿って実質的に一定の外径を有することが好ましい。
【0022】
下流セグメントは、約7ミリメートル~約25ミリメートルの長さを有してもよい。
【0023】
下流セグメントは、一つ以上の構成要素を含んでもよい。例えば、下流セグメントは、マウスピース、フィルター、間隔保持要素、冷却要素、および風味要素のうちの任意の一つ、またはこれらのうちの任意の一つ以上の任意の組み合わせを含み得る。
【0024】
上流セグメントはマウスピースを含み得る。マウスピースは、エアロゾル発生物品が加熱された時に、エアロゾル発生物品からエアロゾルを受容するためにユーザーによって吸われるように構成された構成要素である。
【0025】
上流セグメントは、フィルターを含んでもよい。「フィルター」という用語は、フィルターを通して引き出された主流のエアロゾルから、少なくとも部分的に気相または粒子相成分、または気相および粒子相成分の両方を除去するように構成される、エアロゾル発生物品のセクションを示すために使用される。したがって、フィルターは、形成されたエアロゾル中の望ましくない成分の存在を最小化するのに有益であり得る。フィルターは、セルロースアセテートフィルタープラグであることが好ましい。下流セグメントは、フィルターの形態のマウスピースを含むことが好ましい。下流セグメントは、約7ミリメートルの長さであるが、約5ミリメートル~約10ミリメートルの長さを有することができるフィルターの形態のマウスピースを含むことが好ましい。
【0026】
一部の実施形態では、下流セグメントは、フィルターからなる。これは、部品の数が最小限に低減される、コンパクトなエアロゾル発生物品を提供し得る。
【0027】
一部の実施形態では、冷却要素および間隔保持要素のうちの少なくとも一つは、エアロゾル形成基体とフィルターとの間に配置されてもよい。こうした追加的な構成要素は、エアロゾル発生物品の熱特性または機械的特性を改善するために使用され得る。
【0028】
本明細書で使用される「冷却要素」は、使用中にエアロゾル形成基体から放出された揮発性化合物によって形成されたエアロゾルが、ユーザーによって吸入される前に冷却要素を通過して冷却要素によって冷却されるように、エアロゾル形成基体の下流に位置するエアロゾル発生物品の構成要素を指す。冷却要素は広い表面積を有するが、低い圧力降下を生じさせる。高い圧力降下を発生させるフィルターおよび他のマウスピース(例えば繊維の束で形成されたフィルター)は、エアロゾル冷却要素とは見なされない。エアロゾル発生物品内のチャンバーおよび空洞は、エアロゾル冷却要素とは見なされない。
【0029】
間隔保持要素は、エアロゾル形成基体の中への発熱体の挿入中に、エアロゾル形成基体の下流への移動に抵抗するように構成された支持要素であり得る。間隔保持要素は、中空管を含み得る。間隔保持要素は、セルロースアセテートの中空管を含み得る。
【0030】
一部の実施形態では、下流セグメントは風味要素を含む。風味要素は、一つ以上の風味剤を含んでもよい。本明細書に使用される場合、「風味剤」という用語は、使用中に、エアロゾル形成基体の加熱によって発生されるエアロゾルに味覚または芳香の一方または両方を与える薬剤を意味する。好適な風味剤の一例は、メントールである。風味要素は、下流セグメントの任意の適切な場所に配設され得る。
【0031】
上流セグメントは、エアロゾル形成基体を含む。上流セグメントはまた、熱伝導性材料の層、冷却要素、および間隔保持要素などの一つ以上の追加的な構成要素を含んでもよい。上流セグメントは、エアロゾル形成基体と、随意に熱伝導性材料の層とからなることが好ましい。
【0032】
上流セグメントは、約3ミリメートル~約12ミリメートルの外径を有してもよい。上流セグメントは、セグメントの長さに沿って実質的に一定である外径を有し得る。
【0033】
上流セグメントは、約8ミリメートル~約25ミリメートルの長さを有してもよい。
【0034】
エアロゾル形成基体は、基体外径を有するエアロゾル形成基体外表面を有する。エアロゾル形成基体は、約3ミリメートル~約12ミリメートルの外径を有し得る。基体外径は、エアロゾル形成基体の長さに沿って実質的に一定であることが好ましい。
【0035】
基体外径は、下流セグメント外径の約50%~約98%、または下流セグメント外径の約60%~約95%、または下流セグメント外径の約70%~約90%であってもよい。
【0036】
エアロゾル形成基体は、約8ミリメートル~約12ミリメートルの長さを有し得る。
【0037】
エアロゾル形成基体は、任意の適切な横断断面を有してもよい。本明細書で使用される場合、「横断断面」とは、長軸方向に対して直角を成す断面である。例えば、基体は、円形、楕円形、スタジアム形状、長方形、または三角形の横断断面形状を有してもよい。基体は、円形の横断断面形状を有することが好ましい。
【0038】
エアロゾル形成基体は固体のエアロゾル形成基体であることが好ましい。エアロゾル形成基体は、たばこを含むことが好ましい。エアロゾル形成基体は、たばこを含む固体エアロゾル形成基体であることが好ましい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。
【0039】
固体エアロゾル形成基体は、たばこのプラグを含んでもよい。たばこのプラグは、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎、膨化たばこおよび均質化したたばこのうち一つ以上を含む、例えば、粉末、顆粒、ペレット、断片、ストランド、細片またはシートのうちの一つ以上を含み得る。用語「均質化したたばこ材料」は本明細書で使用される時、粒子状たばこを凝集することによって形成される材料を意味する。均質化したたばこ材料を提供することは、エアロゾル発生と、エアロゾル発生物品の加熱中に発生したエアロゾルのニコチン含有量および風味プロファイルとを改善する場合がある。具体的には、均質化したたばこを作製するプロセスは、たばこ葉を粉砕することを伴い、これは加熱時のニコチンおよび風味の放出をより効果的に可能にする。たばこプラグが均質化したたばこ材料を含む場合、均質化したたばこ材料は、シートの形態であってもよい。本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さよりも実質的に大きい幅および長さを有する層状の要素を意味する。
【0040】
固体エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料を含み得る。固体エアロゾル形成材料は、均質化したたばこ材料の断片、ストランド、または細片を含み得る。固体エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料のシートを含み得る。
【0041】
エアロゾル形成基体は、実質的に均質な組成物を有し得る。一実施形態では、エアロゾル形成基体は、少なくとも長軸方向に実質的に均質な組成物を有してもよい。
【0042】
均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉茎のうちの一方または両方を粉砕またはその他の方法で細分することによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。均質化したたばこ材料シートは、例えばたばこの処理、取り扱い、輸送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉、その他の粒子状たばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこおよび一つ以上の結合剤を含むスラリーをコンベヤーベルトまたはその他の支持表面上にキャスティングすることと、キャストスラリーを乾燥させて均質化したたばこ材料シートを形成することと、均質化したたばこ材料シートを支持表面から取り外すこととを一般的に含むタイプのキャスティングプロセスによって形成されていることが好ましい。
【0043】
固体エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料のシートの集合体を含み得る。本明細書に使用される「集められた」という用語は、巻き込まれ、折り畳まれ、または別途エアロゾル発生物品の長軸方向軸に対して実質的に横方向に圧縮され、または収縮したシートを記述するために使用される。
【0044】
一部の好ましい実施形態において、エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料のきめのあるシートの集合体を含む。本明細書で使用される「テクスチャ加工されたシート」という用語は、捲縮された、エンボス加工された、デボス加工された、穿孔された、またはその他の方法で変形されたシートを意味する。均質化したたばこ材料のテクスチャードシートの使用は有利なことに、均質化したたばこ材料シートを集合してエアロゾル形成基体を形成するのを容易にし得る。エアロゾル形成基体は、複数の間隔を置いたへこみ、突起、穿孔またはそれらの組み合わせを含む均質化したたばこ材料のきめのあるシートの集合体を含んでもよい。
【0045】
特に好ましい実施形態において、エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行した隆起またはコルゲーションを有するシートを意味する。実質的に平行な隆起または波型形状は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に沿って、またはそれに平行に延びることが好ましい。これは、均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合を都合良く容易にしてエアロゾル発生物品を形成する。しかし、エアロゾル発生物品に含めるための均質化したたばこ材料の捲縮したシートが、別の方法としてまたは追加的に、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に鋭角または鈍角で配置される複数の実質的に平行した隆起または波型形状を有してもよいことが認識される。
【0046】
エアロゾル形成基体は、たばこ含有材料および非たばこ含有材料を含んでもよい。
【0047】
エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、単一のエアロゾル形成体または二つ以上のエアロゾル形成体の組み合わせを含んでもよい。本明細書で使用される「エアロゾル形成体」という用語は、使用時にエアロゾルの形成を容易にし、かつエアロゾル発生物品の動作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物を説明するために使用される。適切なエアロゾル形成体としては、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、もしくはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、および最も好ましくはグリセリンなど)またはこれらの混合物である。エアロゾル形成基体のエアロゾル形成体の含有量は、乾燥重量基準で5パーセントを超えてもよい。エアロゾルエアロゾル形成基体は、乾燥重量基準で約5パーセント~約30パーセントのエアロゾル形成体含有量を有し得る。エアロゾル形成基体は、乾燥重量基準で約20パーセントのエアロゾル形成体含有量を有し得る。
【0048】
エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料と、エアロゾル形成体と、水とを含むことが好ましい。
【0049】
均質化したたばこ材料は、折り畳まれた、捲縮された、または細片に切断されたのうちの一つのシートで提供され得る。特に好ましい実施形態では、シートは、約0.2ミリメートル~約2ミリメートル、より好ましくは約0.4ミリメートル~約1.2ミリメートルの幅を持つ細片に切断される。一つの実施形態では、細片の幅は約0.9ミリメートルである。
【0050】
一部の実施形態において、エアロゾル形成基体は内側空洞を含み得る。言い換えれば、エアロゾル形成基体は中空の管状基体であってもよい。エアロゾル形成基体は、基体内径を有する基体内表面を含んでもよく、基体内表面は、エアロゾル形成基体内に長軸方向に延びる内側空洞を区切っている。内側空洞をエアロゾル形成基体内に提供することにより、基体を貫通することなく、そして基体の構造を変更することなく、空洞内で、発熱体をエアロゾル形成基体の中へと挿入することが可能になり得る。内側空洞の提供はまた、エアロゾル形成基体の厚さをさらに減少させ、上記で説明した熱伝達の利点を強化するのにも有益であり得る。
【0051】
基体内径は、基体外径の約60%~約90%であってもよく、または約70%~約90%、または約80%~約90%であってもよい。こうした範囲は、基体に必要な機械的特性を与えると同時に、エアロゾル形成基体内に必要な熱の伝播を提供し得る。
【0052】
エアロゾル形成基体が、内側空洞を区切る基体内表面を含む場合、基体内表面は、基体外表面と同じ横断断面形状を有してもよい。特に、基体内表面は、実質的に円形、楕円形、またはスタジアム形状の横断断面を有してもよい。
【0053】
一部の実施形態では、エアロゾル発生物品は、熱伝導性材料の層を備える。一部の実施形態では、熱伝導性材料の層は、少なくともそうでなければ露出されるエアロゾル形成基体の少なくとも部分を覆ってもよい。一部の実施形態では、熱伝導性材料の層は、少なくとも基体外表面上に配置されてもよい。一部の実施形態では、熱伝導性材料の層は、少なくとも基体内表面上に配置されてもよい。一部の実施形態では、熱伝導性材料の層は、少なくとも基体内表面上および基体外表面上に配置されてもよい。そうでなければ露出される基体表面上に熱伝導性材料の層を提供することによって、基体によって受容される、または基体と係合する発熱体からの熱を、エアロゾル形成基体のより広い領域に配分することが可能になり、発熱体とエアロゾル形成基体との間の熱伝達効率が改善され得る。熱伝導性材料の層はまた、内側空洞内に受容される発熱体とエアロゾル形成基体との間に物理的分離を作り出し得、これは、発熱体の近くの基体の領域においてエアロゾル形成基体を過熱するリスクを低減し得る。熱伝導性材料の層はまた、内側空洞の提供による基体の厚さの減少によって低減されている場合がある、管状エアロゾル形成基体の堅牢性を増大し得る。
【0054】
本明細書で使用される場合、「熱伝導性」という用語は、摂氏23度および50%の相対湿度で、少なくとも10W/m.K、好ましくは少なくとも40W/m.K、より好ましくは少なくとも100W/m.Kの熱伝導率を有する材料を指す。好ましい実施形態では、熱伝導性材料の層は、摂氏23度および50%の相対湿度で、少なくとも40W/m.K、好ましくは少なくとも100W/m.K、より好ましくは少なくとも150W/m.K、最も好ましくは少なくとも200W/m.Kの熱伝導率を有する材料を含む。
【0055】
適切な導電材料の例としては、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、銀、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
エアロゾル形成基体は、複数の別個のセグメントで提供されてもよい。一部の実施形態において、各セグメントは、同じエアロゾル形成基体組成物を含んでもよい。一部の実施形態では、一つ以上のセグメントは、異なる組成物を有するエアロゾル形成基体を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、第一の組成物を有する第一のエアロゾル形成基体セグメント、および第二の組成物を有する第二のエアロゾル形成基体セグメントを含み得る。
【0057】
第一および第二のエアロゾル形成基体セグメントの異なる組成物は、異なる組成物を有するエアロゾルを単一のエアロゾル発生物品から発生させることを可能にし得る。これはまた、ユーザーが、体験中に特定のエアロゾルを発生するために加熱される特定のエアロゾル形成基体を選択することを可能にし得る。
【0058】
第一および第二のエアロゾル形成基体セグメントは、連続的に加熱されるように構成され得る。これは、少なくとも二つのタイプのエアロゾルが予め設定された時間で連続的に発生する、所定のユーザー体験を確立するのに有益であり得る。
【0059】
一部の好ましい実施形態では、個別のセグメントは、物品の長軸方向に端と端を接して配設されてもよい。
【0060】
一部の実施形態において、エアロゾル発生物品は、上流セグメントを囲むラッパーを備えてもよい。有利なことに、こうしたラッパーは、ユーザーがエアロゾル形成基体に触れることを防止し、これは高い衛生レベルを維持するのに役立ち得る。ラッパーは任意の適切な材料から作製され得る。特に、ラッパーは多孔性材料から形成され得る。ラッパーは、ラッパーが下流セグメントの周りに配置された時に、揮発性化合物がエアロゾル形成基体から放出されることを許容する材料から作製され得る。
【0061】
一部の実施形態において、エアロゾル発生物品は、下流セグメントを囲むラッパーを備えてもよい。有利なことに、下流セグメントが複数の構成要素を含む場合、ラッパーは複数の構成要素を一緒に保持し得る。
【0062】
一部の実施形態では、エアロゾル発生物品は、上流セグメントおよび下流セグメントを囲むラッパーを備えてもよい。有利なことに、ラッパーは、上流セグメントと下流セグメントを一緒に保持し得る。
【0063】
有利なことに、一つ以上のラッパーの提供は、エアロゾル発生物品の構造の完全性を改善し得る。
【0064】
上流セグメントおよび下流セグメントは一緒に固定されてもよい。上流セグメントおよび下流セグメントは、任意の適切な手段によって一緒に固定されてもよい。例えば、エアロゾル発生物品は、接続機構を備えてもよい。接続機構は、上流セグメントおよび下流セグメントを一緒に保持することに寄与し得る。一実施形態では、接続機構は、上流セグメントの下流端が挿入される下流セグメントの上流端に提供される空洞を含んでもよい。上流セグメントの下流端は、空洞に挿入される突起部を含み得る。
【0065】
下流セグメントを囲むラッパーが提供され、エアロゾル発生物品が接続機構を備える場合、ラッパーは、接続機構に圧力を加えるように構成され得る。一実施形態では、ラッパーは、下流セグメントの下流端を受容する空洞の周りに圧力を加え得る。これはまた、上流セグメントと下流セグメントを一緒に保持することにも寄与し得る。
【0066】
エアロゾル発生物品の下流セグメント外径は、装置空洞内径と実質的に同じ、またはそれよりも大きい場合がある。これは、気流通路の下流縁を通して気流通路を出るエアロゾルが、エアロゾル発生システムの外側に向かって直接放出される代わりに、下流セグメントを通して引き出され得ることを確実にするのに有益であり得る。
【0067】
少なくとも一つの発熱体は、装置空洞内に位置付けられる。少なくとも一つの発熱体は、任意の適切なタイプの発熱体であり得る。一部の実施形態では、装置は、一つの発熱体のみを備える。一部の実施形態では、装置は、複数の発熱体を備える。例えば、一部の実施形態では、装置は、二つ以上の発熱体を備える。一部の実施形態では、少なくとも一つの発熱体は、エアロゾル形成基体の外表面を加熱するように配設される。一部の好ましい実施形態では、少なくとも一つの発熱体は、エアロゾル形成基体が装置空洞内に受容された時に、エアロゾル形成基体の中へと少なくとも部分的に挿入されるように配設される。エアロゾル形成基体が内側空洞を含む場合、一部の実施形態では、少なくとも一つの発熱体は、エアロゾル形成基体が装置空洞内に受容された時に基体の内側空洞の中へと挿入されるように配設され得る。少なくとも一つの発熱体は、細長い発熱体であり得る。少なくとも一つの細長い発熱体は、ブレード形状であってもよい。少なくとも一つの細長い発熱体は、ピン形状であってもよい。少なくとも一つの細長い発熱体は、先細り形状、または少なくとも先細りした端部を有してもよい。少なくとも一つの細長い発熱体は、先の尖った端部を有してもよい。少なくとも一つの細長い発熱体は、円錐形状であってもよい。少なくとも一つの細長い発熱体は、エアロゾル形成基体の中への発熱体の挿入を促進するように配設される、任意の適切な形状であってもよい。有利なことに、細長い発熱体は、エアロゾル形成基体と装置の発熱体のより容易な係合もしくはより容易な係合解除、またはより容易な係合およびより容易な係合解除の両方を提供し得る。
【0068】
少なくとも一つの発熱体は、少なくとも一つの抵抗発熱体を含み得る。少なくとも一つの発熱体は、複数の抵抗発熱体を含むことが好ましい。抵抗発熱体は、平行な配設で電気的に接続されていることが好ましい。有利なことに、平行な配設で電気的に接続された複数の抵抗発熱体を提供することは、望ましい電力を提供するために必要とされる電圧を低減または最小化しながら、少なくとも一つの発熱体への望ましい電力の送達を容易にし得る。有利なことに、少なくとも一つの発熱体を動作させるために必要とされる電圧を低減または最小化することは、電源の物理的なサイズを低減または最小化することを容易にし得る。
【0069】
一部の実施形態では、少なくとも一つの発熱体は、電気的に絶縁された基体、および電気的に絶縁された基体上に一つ以上の導電トラックを含み得る。
【0070】
電気的に絶縁された基体は、少なくとも一つの発熱体の動作温度で安定していることが好ましい。電気的に絶縁された基体は、最高で摂氏約400度の温度で安定していることが好ましく、摂氏約500度で安定していることがより好ましく、摂氏約600度で安定していることがより好ましく、摂氏約700度で安定していることがより好ましく、摂氏約800度で安定していることがより好ましい。使用中の少なくとも一つの発熱体の動作温度は、少なくとも摂氏約200度であってもよい。使用中の少なくとも一つの発熱体の動作温度は、摂氏約700度未満であってもよい。使用中の少なくとも一つの発熱体の動作温度は、摂氏約600度未満であってもよい。使用中の少なくとも一つの発熱体の動作温度は、摂氏約500度未満であってもよい。使用中の少なくとも一つの発熱体の動作温度は、摂氏約400度未満であってもよい。
【0071】
電気的に絶縁された基体は、任意の適切な材料を含み得る。例えば、電気的に絶縁された基体は、紙、ガラス、セラミック、陽極酸化金属、被覆金属、およびポリイミドのうちの一つ以上を含み得る。セラミックは、マイカ、アルミナ(Al2O3)またはジルコナ(ZrO2)を含み得る。電気的に絶縁された基体は、約40ワット/メートルケルビン以下、好ましくは約20ワット/メートルケルビン以下、理想的には約2ワット/メートルケルビン以下の熱伝導率を有することが好ましい。
【0072】
少なくとも一つの抵抗発熱体、および特に一つ以上の導電トラックを形成するための適切な材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」セラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、金属合金、ならびにセラミック材料および金属材料で作製された複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な金属合金の例としては、ステンレス鋼、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、ならびに鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。
【0073】
一部の実施形態において、少なくとも一つの抵抗発熱体は、電気抵抗性材料(ステンレス鋼など)の一つ以上のスタンプ加工された部分を含む。別の方法として、少なくとも一つの抵抗発熱体は、加熱ワイヤーまたはフィラメント(例えばNi-Cr(ニッケル-クロム)、白金、タングステンもしくは合金のワイヤー)を含んでもよい。
【0074】
一部の実施形態では、少なくとも一つの発熱体は、誘導発熱体を含み得る。誘導発熱体は、インダクタコイルと、高周波振動電流をインダクタコイルに提供するように構成される電源とを含み得る。本明細書で使用される高周波振動電流とは、500kHz~30MHzの周波数を有する振動電流を意味する。少なくとも一つの発熱体は、有利なことに、DC電源によって供給されるDC電流を交流電流に変換するためのDC/ACインバータを含み得る。インダクタコイルは、電源から高周波発振電流を受容すると高周波振動電磁場を発生するように配設され得る。インダクタコイルは、装置空洞内に高周波振動電磁場を発生するように配設されてもよい。一部の好ましい実施形態では、インダクタコイルは、装置空洞を実質的に囲んでもよい。インダクタコイルは、装置空洞の長さに沿って少なくとも部分的に延び得る。
【0075】
誘導発熱体は、サセプタ素子を含み得る。本明細書で使用される「サセプタ素子」という用語は、電磁エネルギーを熱に変換する能力を有する材料を含む要素を指す。したがって、サセプタ素子が交流電磁場内に位置している時に、サセプタは加熱される。サセプタ素子の加熱は、サセプタ材料の電気特性および磁性に依存して、サセプタ内で誘導されるヒステリシス損失および/または渦電流の結果であり得る。ヒステリシス損失は、交流電磁場の影響下で切り替えられる材料内の磁区に起因して、強磁性またはフェリ磁性のサセプタ材料の中で生じる。渦電流は、サセプタ材料が導電性である場合に誘発されうる。導電性の強磁性またはフェリ磁性サセプタ材料である場合、渦電流およびヒステリシス損失の両方によって熱を発生させることができる。したがって、サセプタ素子は、サセプタ材料の電気的特性および磁性に依存して、ヒステリシス損失または渦電流のうちの少なくとも一つにより加熱可能であり得る。
【0076】
サセプタ素子は、エアロゾル発生物品が装置空洞内に受容された時に、インダクタコイルによって発生される振動電磁場がサセプタ素子内に電流を誘発し、サセプタ素子を加熱するように配設される。エアロゾル発生装置は、1~5キロアンペア/メートル(kA/m)、好ましくは2~3kA/m、例えば約2.5kA/mの磁界強度(H場の強度)を有する変動電磁場を発生させる能力があることが好ましい。電気的に動作するエアロゾル発生装置は、周波数が1~30MHz、例えば1~10MHz、例えば5~7MHzである、変動電磁場を発生させる能力があることが好ましい。
【0077】
一部の実施形態では、サセプタ素子は、エアロゾル発生物品内に位置する。これらの実施形態では、サセプタ素子は、エアロゾル形成基体に接触して位置することが好ましい。サセプタ素子は、エアロゾル形成基体内に位置し得る。サセプタ素子は、物品の長軸方向に、基体の長さに沿って延びる細長いサセプタであることが好ましい。エアロゾル形成基体が内側空洞を含む場合、サセプタ素子は、内側空洞内に配設されてもよい。エアロゾル形成基体が内側空洞を含む場合、サセプタ素子は基体内表面上に配設されてもよい。エアロゾル発生物品は、一つ以上のサセプタ素子を備えてもよい。エアロゾル発生物品は、複数のサセプタ素子を備えてもよい。
【0078】
一部の実施形態では、サセプタ素子は、エアロゾル発生装置内に位置する。これらの実施形態では、サセプタ素子は、装置空洞内に位置してもよい。サセプタ素子は、エアロゾル発生物品が装置空洞内に受容された時に、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の中へと少なくとも部分的に挿入されるように構成され得る。エアロゾル形成基体が内側空洞を含む場合、サセプタ素子は、エアロゾル発生物品が装置空洞内に受容された時に、エアロゾル形成基体の内側空洞の中へと少なくとも部分的に挿入されるように構成され得る。サセプタ素子は、装置空洞の長軸方向に装置空洞の中へと延び得る。サセプタ素子は、細長くてもよい。細長いサセプタ素子は、ブレード形状であってもよい。細長いサセプタ素子は、ピン形状であってもよい。細長いサセプタ素子は、先細り形状、または少なくとも先細りした端部を有してもよい。細長いサセプタ素子は、先の尖った端部を有してもよい。細長いサセプタ素子は、円錐形状であってもよい。エアロゾル発生装置は、一つ以上のサセプタ素子を含み得る。エアロゾル発生装置は、複数のサセプタ素子を備え得る。
【0079】
サセプタ素子は、任意の適切な材料を含み得る。サセプタ素子は、エアロゾル形成基体から揮発性化合物を放出するのに十分な温度に誘導加熱され得る任意の材料から形成されてもよい。細長いサセプタ素子に適した材料には、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼、ニオブ、アルミニウム、ニッケル、ニッケル含有化合物、チタン、および金属材料の複合体が挙げられる。好ましいサセプタ素子は金属または炭素を含む。有利なことに、サセプタ素子は、例えばフェライト鉄、強磁性鋼またはステンレス鋼などの強磁性合金、強磁性粒子、およびフェライトなどの強磁性材料を含む、またはその強磁性材料から成り得る。適切なサセプタ素子はアルミニウムであってよく、またはアルミニウムを含んでもよい。サセプタ素子は、5パーセント超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことが好ましく、20パーセント超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことが好ましく、50パーセント超または90パーセント超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことがより好ましい。好ましい細長いサセプタ素子は摂氏250度を超える温度に加熱されうる。
【0080】
サセプタ素子は、非金属コア上に配置された金属層を有する非金属コアを含んでもよい。例えば、サセプタ素子は、セラミックコアまたは基体の外表面上に形成された金属トラックを含み得る。
【0081】
一部の実施形態では、エアロゾル発生システムは、少なくとも一つの抵抗発熱体および少なくとも一つの誘導発熱体を備える。一部の実施形態では、エアロゾル発生システムは、抵抗発熱体と誘導発熱体との組み合わせを備える。
【0082】
エアロゾル発生装置は、複数の発熱体を備え得る。エアロゾル発生装置は、第一の発熱体および第二の発熱体を備え得る。一部の実施形態では、第二の発熱体は、第一の発熱体から離隔していてもよい。第二の発熱体は、装置空洞の長軸方向に第一の発熱体から離隔していてもよい。互いから離隔した発熱体を提供することにより、エアロゾル発生装置が、エアロゾル形成基体が装置空洞内に受容された時に、エアロゾル形成基体の異なるセクションを個別に加熱することが可能になり得る。
【0083】
エアロゾル形成基体は、第一のエアロゾル形成基体セグメントおよび第二のエアロゾル形成基体セグメントを含み得る。第一のエアロゾル形成基体セグメントは、長軸方向に第二のエアロゾル形成基体セグメントに隣接してもよい。エアロゾル形成基体が装置空洞内に受容された時に、第一の発熱体は、第一の長軸方向基体セグメントを加熱するように配設されてもよく、第二の発熱体は、第二の長軸方向基体セグメントを加熱するように配設されてもよい。
【0084】
第二のエアロゾル形成基体セグメントは、第一のエアロゾル形成基体セグメントとは異なる組成物を有し得る。第一および第二のエアロゾル形成基体セグメントの異なる組成物は、異なる組成物を有するエアロゾルを単一のエアロゾル発生物品から発生させることを可能にし得る。これは、ユーザーが、体験中に特定のエアロゾルを発生するために加熱される特定のエアロゾル形成基体を選択することを可能にし得る。
【0085】
第一および第二の発熱体は、ユーザー体験中に第一および第二のエアロゾル形成基体セグメントを連続的に加熱するように構成され得る。これは、少なくとも二つのタイプのエアロゾルが予め設定された時間で連続的に発生する、所定のユーザー体験を確立するのに有益であり得る。
【0086】
第一の発熱体は、第二のエアロゾル形成基体セグメントを、第二のエアロゾル形成基体セグメントから揮発性化合物が放出される温度に加熱することなく、第一のエアロゾル形成基体セグメントを、第一のエアロゾル形成基体セグメントから揮発性化合物が放出される温度に加熱するように配設され得る。第二の発熱体は、第一のエアロゾル形成基体セグメントを、第一のエアロゾル形成基体セグメントから揮発性化合物が放出される温度に加熱することなく、第二のエアロゾル形成基体セグメントを、第二のエアロゾル形成基体セグメントから揮発性化合物が放出される温度に加熱するように配設され得る。言い換えれば、各発熱体は、個々のエアロゾル形成基体セグメントを加熱するように配設され得る。これは、このようなエアロゾル形成基体セグメントの連続的な加熱を促進し得る。
【0087】
エアロゾル発生装置は、電源を備えることが好ましい。電源はDC電圧源であってもよい。好ましい実施形態において、電源は電池である。例えば、電源はニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、またはリチウムポリマー電池)であってもよい。別の方法として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、またエアロゾル発生装置を一つ以上のエアロゾル形成基体とともに使用するために十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を有する場合がある。
【0088】
電源は、少なくとも一つの発熱体に電力を供給するために、少なくとも一つの発熱体に電気的に接続されてもよい。発熱体が電源から電力を受容すると、発熱体は熱を発生し得る。電源は、少なくとも一つの発熱体に十分な電力を供給して、エアロゾル形成基体を、揮発性化合物が基体から放出される温度に加熱するように構成され得る。
【0089】
エアロゾル発生装置はハウジングを備えることが好ましい。ハウジングは、エアロゾル形成基体を受容するための空洞を少なくとも部分的に画定することが好ましい。
【0090】
エアロゾル発生装置は、空洞と流体連通する少なくとも一つの空気吸込み口を備えることが好ましい。エアロゾル発生装置がハウジングを備える実施形態において、ハウジングは、少なくとも一つの空気吸込み口を少なくとも部分的に画定することが好ましい。少なくとも一つの空気吸込み口は、空洞の上流端と流体連通していることが好ましい。少なくとも一つの発熱体が、空洞内に位置付けられた細長い少なくとも一つの発熱体である実施形態では、細長い少なくとも一つの発熱体は、空洞の上流端から空洞の中へと延びることが好ましい。
【0091】
エアロゾル発生装置は、コントローラを備えてもよい。コントローラは、電源から少なくとも一つの発熱体への電力供給を制御するように構成され得る。コントローラは、任意の適切なコントローラであってもよい。コントローラは、任意の適切な電気回路および電気構成要素を含み得る。コントローラは、プロセッサおよびメモリを含むことが好ましい。コントローラはマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラム可能マイクロプロセッサであってもよい。
【0092】
エアロゾル発生装置は、ユーザーが吸煙していることを示す気流を検出するためのセンサーを備えてもよい。気流センサーは電気機械装置であってもよい。気流センサーは、機械式装置、光学式装置、光学機械式装置、および微小電気機械システム(MEMS)ベースのセンサーのうちのいずれかであってもよい。エアロゾル発生装置は、ユーザーが吸煙を開始するための手動スイッチを備えてもよい。
【0093】
エアロゾル発生装置は、少なくとも一つの発熱体が起動された時を示すためのインジケータを備えることが好ましい。インジケータは、少なくとも一つの発熱体が起動された時に起動されるライトを含み得る。
【0094】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置を別の電気的な装置に接続することを可能にする、外部プラグまたはソケットのうちの少なくとも一つと、少なくとも一つの外部電気接点とを備えてもよい。例えば、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置を別のUSB使用可能装置に接続することを可能にする、USBプラグまたはUSBソケットを備えてもよい。例えば、USBプラグまたはソケットは、エアロゾル発生装置内の再充電可能電源を充電するために、USB充電装置へのエアロゾル発生装置の接続を可能にする場合がある。追加的に、または別の方法として、USBプラグまたはソケットは、エアロゾル発生装置へのデータ転送、またはエアロゾル発生装置からのデータ転送、またはエアロゾル発生装置へのデータ転送とエアロゾル発生装置からのデータ転送との両方に対応する場合がある。追加的に、または別の方法として、新しいエアロゾル発生物品のための新しい加熱プロファイルなどのデータを装置に転送するために、エアロゾル発生装置をコンピュータに接続してもよい。
【0095】
エアロゾル発生装置がUSBプラグまたはソケットを備える実施形態において、エアロゾル発生装置は、使用されていない時にUSBプラグまたはソケットを覆う取り外し可能なカバーをさらに備えてもよい。USBプラグまたはソケットがUSBプラグである実施形態において、USBプラグは追加的に、または別の方法として、装置内に選択的に格納可能であってもよい。
【0096】
本発明のさらなる態様によれば、エアロゾル形成基体を受容するためのエアロゾル発生装置が提供され、エアロゾル発生装置は、
少なくとも一つの発熱体と、
第一のハウジング部分および第二のハウジング部分を含むハウジングであって、第一のハウジング部分が第一の空洞を有する、ハウジングとを備え、
第二のハウジング部分は、開位置と閉位置との間で第一のハウジング部分に対して移動可能であり、
閉位置において、第一の空洞および第二のハウジング部分は、装置空洞を画定し、装置空洞は、上流端および下流端を有し、かつ上流端と下流端との間に長軸方向を画定し、
少なくとも一つの発熱体は、エアロゾル形成基体が装置空洞内に受容された時にエアロゾル形成基体を加熱するように配設され、
開位置において、開口部が第一のハウジング部分と第二のハウジング部分との間に形成されて、エアロゾル形成基体が、長軸方向とは異なる方向に、第一の空洞の中へと挿入される、または第一の空洞から取り外されることを可能にする。
【0097】
有利なことに、この態様のエアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を、空洞の長軸方向以外の方向に、装置の空洞の中へと挿入し、装置の空洞から取り外すことを可能にする。これにより、基体を装置空洞の中へと挿入し、装置空洞から特に容易に取り外すことが可能になり、エアロゾル形成基体の挿入および取り外し時に基体または装置を損傷するリスクを低減することが可能になり得る。
【0098】
特に、第一のハウジング部分と第二のハウジング部分との間の開口部は、エアロゾル形成基体が、長軸方向とは異なる方向に、第一の空洞の中へと挿入される、または第一の空洞から取り外されることを可能にする。長軸長軸方向とは異なる方向は、長軸方向とは異なる任意の適切な方向であり得る。方向は、長軸方向に対して実質的に直角を成すことが好ましい。
【0099】
装置空洞は、細長い空洞であってもよい。言い換えれば、装置空洞は、直径などの、空洞の他の寸法よりも大きな長さを有し得る。細長い装置空洞の長さは、長軸方向に延びてもよい。典型的には、装置空洞は、円形の円筒状空洞である。しかしながら、装置空洞は、任意の適切な形状およびサイズを有してもよい。例えば、装置空洞は、任意の適切な横断断面を有してもよい。特に、装置空洞は、円形、楕円形、スタジアム形状、正方形、または三角形の横断断面を有し得る。
【0100】
装置空洞は、長軸方向を中心としてエアロゾル形成基体を囲むように構成されてもよい。言い換えれば、装置空洞は、エアロゾル形成基体の側面を囲むかまたは封入する管を形成するように構成され得る。装置空洞は開放端を有してもよい。装置空洞は、両端で開いていてもよい。装置空洞は、一つの開放端と、一つの実質的な閉鎖端とを有し得る。開放端は、装置空洞の下流端にあってもよく、実質的な閉鎖端は、装置空洞の上流端にあってもよい。実質的な閉鎖端は、周囲空気が装置空洞内に引き込まれるように構成された一つ以上の空気吸込み口を含み得る。
【0101】
装置空洞は、周囲空気が装置空洞内に引き込まれるように構成された一つ以上の空気吸込み口を有し得る。第一のハウジング部分は、周囲空気が装置空洞内に引き込まれるように構成された一つ以上の空気吸込み口を含んでもよい。第二のハウジング部分は、周囲空気が装置空洞内に引き込まれるように構成された一つ以上の空気吸込み口を含んでもよい。
【0102】
この態様のエアロゾル発生装置は、少なくとも一つの発熱体を備える。この態様の装置は、複数の発熱体を備えることが好ましい。一部の実施形態では、少なくとも一つの発熱体は、第一のハウジング部分に配設される。一部の実施形態では、少なくとも一つの発熱体は、第二のハウジング部分に配設される。
【0103】
少なくとも一つの発熱体は、任意の適切なタイプの発熱体であり得る。一部の実施形態では、少なくとも一つの発熱体は、エアロゾル形成基体の外表面を加熱するように配設される。一部の好ましい実施形態では、少なくとも一つの発熱体は、エアロゾル形成基体が装置空洞内に受容された時に、エアロゾル形成基体の中へと少なくとも部分的に挿入されるように配設される。エアロゾル形成基体が内側空洞を含む場合、一部の実施形態では、少なくとも一つの発熱体は、エアロゾル形成基体が装置空洞内に受容された時に基体の内側空洞の中へと挿入されるように配設され得る。少なくとも一つの発熱体は、細長い発熱体であり得る。少なくとも一つの細長い発熱体は、ブレード形状であってもよい。少なくとも一つの細長い発熱体は、ピン形状であってもよい。少なくとも一つの細長い発熱体は、先細り形状、または少なくとも先細りした端部を有してもよい。少なくとも一つの細長い発熱体は、先の尖った端部を有してもよい。少なくとも一つの細長い発熱体は、円錐形状であってもよい。少なくとも一つの細長い発熱体は、エアロゾル形成基体の中への発熱体の挿入を促進するように配設される、任意の適切な形状であってもよい。有利なことに、細長い発熱体は、エアロゾル形成基体と装置の発熱体のより容易な係合もしくはより容易な係合解除、またはより容易な係合およびより容易な係合解除の両方を提供し得る。
【0104】
抵抗発熱体は、平行な配設で電気的に接続されていることが好ましい。有利なことに、平行な配設で電気的に接続された複数の抵抗発熱体を提供することは、望ましい電力を提供するために必要とされる電圧を低減または最小化しながら、少なくとも一つの発熱体への望ましい電力の送達を容易にし得る。有利なことに、少なくとも一つの発熱体を動作させるために必要とされる電圧を低減または最小化することは、電源の物理的なサイズを低減または最小化することを容易にし得る。
【0105】
一部の実施形態では、少なくとも一つの発熱体は、電気的に絶縁された基体、および電気的に絶縁された基体上に一つ以上の導電トラックを含み得る。
【0106】
電気的に絶縁された基体は、少なくとも一つの発熱体の動作温度で安定していることが好ましい。電気的に絶縁された基体は、最高で摂氏約400度の温度で安定していることが好ましく、摂氏約500度で安定していることがより好ましく、摂氏約600度で安定していることがより好ましく、摂氏約700度で安定していることがより好ましく、摂氏約800度で安定していることがより好ましい。使用中の少なくとも一つの発熱体の動作温度は、少なくとも摂氏約200度であってもよい。使用中の少なくとも一つの発熱体の動作温度は、摂氏約700度未満であってもよい。使用中の少なくとも一つの発熱体の動作温度は、摂氏約600度未満であってもよい。使用中の少なくとも一つの発熱体の動作温度は、摂氏約500度未満であってもよい。使用中の少なくとも一つの発熱体の動作温度は、摂氏約400度未満であってもよい。
【0107】
電気的に絶縁された基体は、任意の適切な材料を含み得る。例えば、電気的に絶縁された基体は、紙、ガラス、セラミック、陽極酸化金属、被覆金属、およびポリイミドのうちの一つ以上を含み得る。セラミックは、マイカ、アルミナ(Al2O3)またはジルコナ(ZrO2)を含み得る。電気的に絶縁された基体は、約40ワット/メートルケルビン以下、好ましくは約20ワット/メートルケルビン以下、理想的には約2ワット/メートルケルビン以下の熱伝導率を有することが好ましい。
【0108】
少なくとも一つの抵抗発熱体、および特に一つ以上の導電トラックを形成するための適切な材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」セラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、金属合金、ならびにセラミック材料および金属材料で作製された複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な金属合金の例としては、ステンレス鋼、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、ならびに鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。
【0109】
一部の実施形態において、少なくとも一つの抵抗発熱体は、電気抵抗性材料(ステンレス鋼など)の一つ以上のスタンプ加工された部分を含む。別の方法として、少なくとも一つの抵抗発熱体は、加熱ワイヤーまたはフィラメント(例えばNi-Cr(ニッケル-クロム)、白金、タングステンもしくは合金のワイヤー)を含んでもよい。
【0110】
一部の実施形態では、少なくとも一つの発熱体は、誘導発熱体を含み得る。誘導発熱体は、インダクタコイルと、高周波振動電流をインダクタコイルに提供するように構成される電源とを含み得る。本明細書で使用される高周波振動電流とは、500kHz~30MHzの周波数を有する振動電流を意味する。少なくとも一つの発熱体は、有利なことに、DC電源によって供給されるDC電流を交流電流に変換するためのDC/ACインバータを含み得る。インダクタコイルは、電源から高周波発振電流を受容すると高周波振動電磁場を発生するように配設され得る。インダクタコイルは、装置空洞内に高周波振動電磁場を発生するように配設されてもよい。一部の好ましい実施形態では、インダクタコイルは、装置空洞を実質的に囲んでもよい。インダクタコイルは、装置空洞の長さに沿って少なくとも部分的に延び得る。
【0111】
誘導発熱体は、サセプタ素子を含み得る。本明細書で使用される「サセプタ素子」という用語は、電磁エネルギーを熱に変換する能力を有する材料を含む要素を指す。したがって、サセプタ素子が交流電磁場内に位置している時に、サセプタは加熱される。サセプタ素子の加熱は、サセプタ材料の電気特性および磁性に依存して、サセプタ内で誘導されるヒステリシス損失および/または渦電流の結果であり得る。ヒステリシス損失は、交流電磁場の影響下で切り替えられる材料内の磁区に起因して、強磁性またはフェリ磁性のサセプタ材料の中で生じる。渦電流は、サセプタ材料が導電性である場合に誘発されうる。導電性の強磁性またはフェリ磁性サセプタ材料である場合、渦電流およびヒステリシス損失の両方によって熱を発生させることができる。したがって、サセプタ素子は、サセプタ材料の電気的特性および磁性に依存して、ヒステリシス損失または渦電流のうちの少なくとも一つにより加熱可能であり得る。
【0112】
サセプタ素子は、エアロゾル発生物品が装置空洞内に受容された時に、インダクタコイルによって発生される振動電磁場がサセプタ素子内に電流を誘発し、サセプタ素子を加熱するように配設される。エアロゾル発生装置は、1~5キロアンペア/メートル(kA/m)、好ましくは2~3kA/m、例えば約2.5kA/mの磁界強度(H場の強度)を有する変動電磁場を発生させる能力があることが好ましい。電気的に動作するエアロゾル発生装置は、周波数が1~30MHz、例えば1~10MHz、例えば5~7MHzである、変動電磁場を発生させる能力があることが好ましい。
【0113】
一部の実施形態では、サセプタ素子は、エアロゾル発生物品内に位置する。これらの実施形態では、サセプタ素子は、エアロゾル形成基体に接触して位置することが好ましい。サセプタ素子は、エアロゾル形成基体内に位置し得る。サセプタ素子は、物品の長軸方向に、基体の長さに沿って延びる細長いサセプタであることが好ましい。エアロゾル形成基体が内側空洞を含む場合、サセプタ素子は、内側空洞内に配設されてもよい。エアロゾル形成基体が内側空洞を含む場合、サセプタ素子は基体内表面上に配設されてもよい。エアロゾル発生物品は、一つ以上のサセプタ素子を備えてもよい。エアロゾル発生物品は、複数のサセプタ素子を備えてもよい。
【0114】
一部の実施形態では、サセプタ素子は、エアロゾル発生装置内に位置する。これらの実施形態では、サセプタ素子は、装置空洞内に位置してもよい。サセプタ素子は、エアロゾル発生物品が装置空洞内に受容された時に、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の中へと少なくとも部分的に挿入されるように構成され得る。エアロゾル形成基体が内側空洞を含む場合、サセプタ素子は、エアロゾル発生物品が装置空洞内に受容された時に、エアロゾル形成基体の内側空洞の中へと少なくとも部分的に挿入されるように構成され得る。サセプタ素子は、装置空洞の長軸方向に装置空洞の中へと延び得る。サセプタ素子は、細長くてもよい。細長いサセプタ素子は、ブレード形状であってもよい。細長いサセプタ素子は、ピン形状であってもよい。細長いサセプタ素子は、先細り形状、または少なくとも先細りした端部を有してもよい。細長いサセプタ素子は、先の尖った端部を有してもよい。細長いサセプタ素子は、円錐形状であってもよい。エアロゾル発生装置は、一つ以上のサセプタ素子を含み得る。エアロゾル発生装置は、複数のサセプタ素子を備え得る。
【0115】
サセプタ素子は、任意の適切な材料を含み得る。サセプタ素子は、エアロゾル形成基体から揮発性化合物を放出するのに十分な温度に誘導加熱され得る任意の材料から形成されてもよい。細長いサセプタ素子に適した材料には、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼、ニオブ、アルミニウム、ニッケル、ニッケル含有化合物、チタン、および金属材料の複合体が挙げられる。好ましいサセプタ素子は金属または炭素を含む。有利なことに、サセプタ素子は、例えばフェライト鉄、強磁性鋼またはステンレス鋼などの強磁性合金、強磁性粒子、およびフェライトなどの強磁性材料を含む、またはその強磁性材料から成り得る。適切なサセプタ素子はアルミニウムであってよく、またはアルミニウムを含んでもよい。サセプタ素子は、5パーセント超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことが好ましく、20パーセント超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことが好ましく、50パーセント超または90パーセント超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことがより好ましい。好ましい細長いサセプタ素子は摂氏250度を超える温度に加熱されうる。
【0116】
サセプタ素子は、非金属コア上に配置された金属層を有する非金属コアを含んでもよい。例えば、サセプタ素子は、セラミックコアまたは基体の外表面上に形成された金属トラックを含み得る。
【0117】
一部の実施形態では、エアロゾル発生システムは、少なくとも一つの抵抗発熱体および少なくとも一つの誘導発熱体を備える。一部の実施形態では、エアロゾル発生システムは、抵抗発熱体と誘導発熱体との組み合わせを備える。
【0118】
この態様の少なくとも一つの発熱体は、第一のハウジング部分および第二のハウジング部分が閉位置にあり、エアロゾル形成基体が装置空洞内に受容された時に、エアロゾル形成基体の中へと挿入されるように構成されることが好ましい。したがって、少なくとも一つの発熱体は、第一および第二のハウジング部分が閉位置にある時に、第一のハウジング部分から装置空洞の中へと突出し得る。したがって、少なくとも一つの発熱体は、第一および第二のハウジング部分が閉位置にある時に、第二のハウジング部分から装置空洞の中へと延びる、または突出し得る。
【0119】
発熱体が第一および第二のハウジング部分のうちの一つから装置空洞の中へと延びる場合、発熱体は、任意の適切な方向に装置空洞の中へと延び得る。一部の実施形態では、発熱体は、長軸方向に対して実質的に直角を成す方向に装置空洞の中へと延びることが好ましい。装置が装置空洞の中へと延びる複数の発熱体を備える場合、発熱体の全ては実質的に互いに平行であることが好ましい場合がある。
【0120】
本態様の装置は、任意の適切な数の発熱体を備えてもよい。例えば、装置は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個または12個の発熱体を備え得る。装置が複数の発熱体を備える場合、発熱体は間隙を介していてもよい。発熱体は、装置空洞の上流端と下流端との間に、装置空洞の長軸方向に間隙を介してもよい。発熱体は、長軸方向に平行に、装置空洞の横断方向に間隙を介してもよい。
【0121】
一部の実施形態では、この態様の装置は、少なくとも二つの発熱体、第一の発熱体および第二の発熱体を備え、第二の発熱体は、装置空洞の長軸方向に第一の発熱体から間隙を介している。これらの実施形態では、装置は、前述の態様に関連して上述したように、長軸方向に間隙を介したエアロゾル形成基体の二つ以上のセグメントを備えたエアロゾル発生物品での使用に適し得る。これらの実施形態では、第一の発熱体は、装置空洞内に受容されたエアロゾル形成基体の第一のセグメントを加熱するように配設されてもよく、第二の発熱体は、装置空洞内に受容されたエアロゾル形成基体の第二のセグメントを加熱するように配設されてもよい。装置は、第一および第二の発熱体を、異なる時間に、またはシステムによって発生されるエアロゾルおよびユーザーの体験を変化させるよう異なる温度に加熱するように構成され得る。
【0122】
この態様の装置の一部の実施形態では、装置は、第一のハウジング部分から延びる少なくとも一つの発熱体と、第二のハウジング部分から延びる少なくとも一つの発熱体とを備える。有利なことに、第一および第二のハウジング部分の両方に発熱体を提供することにより、発熱体を異なる側面からエアロゾル形成基体の中へと挿入することができ、これにより、エアロゾル形成基体の温度の変動が低減し得る。さらに、開位置と閉位置との間の第一および第二のハウジング部分の移動によって、エアロゾル形成基体をこうした装置の中へと挿入し、またこうした装置から容易に取り外すことが可能になる。
【0123】
第二のハウジング部分は、第一のハウジング部分に対して移動可能である。第一のハウジング部分および第二のハウジング部分は、移動可能に連結可能であり得る。第一および第二のハウジング部分は、任意の適切な連結手段によって一緒に移動可能に連結され得る。
【0124】
一部の実施形態では、第一および第二のハウジング部分は、一緒に摺動可能に連結され得る。これらの実施形態では、第一および第二のハウジング部分は、第二のハウジング部分が、開位置と閉位置との間で第一のハウジング部品に対して摺動することを可能にする相補的なレールを提供されてもよい。
【0125】
一部の実施形態では、第二のハウジング部分は、第一のハウジング部分に取り外し可能なように連結可能であり得る。これらの実施形態では、第一および第二のハウジング部分は、第二のハウジング部分が第一のハウジング部分から取り外される時に、開位置にあり得る。これらの実施形態では、第一および第二のハウジング部分は、第二のハウジング部分が第一のハウジング部分に取り外し可能に連結される時に、閉位置にあり得る。
【0126】
一部の好ましい実施形態では、第一および第二のハウジング部分は共に回転可能に連結される。第二のハウジング部分は、第一のハウジング部分に回転可能に連結され、開位置と閉位置との間で回転可能である。第一および第二のハウジング部分は、任意の適切な手段によって回転可能に連結され得る。例えば、第一および第二のハウジング部分は、ピボットまたはヒンジによって回転可能に連結され得る。
【0127】
第二のハウジング部分は、任意の適切な方向に第一のハウジング部分に対して回転可能であり得る。第二のハウジング部分は、長軸方向に垂直な方向に第一のハウジング部分に対して回転可能であることが好ましい。これは、第一および第二のハウジング部分が長軸方向とは異なる方向に開位置にある時、装置の空洞の中へのエアロゾル形成基体の挿入、および装置の空洞からのエアロゾル形成基体の取り外しを促進し得る。
【0128】
一部の好ましい実施形態では、第二のハウジング部分は第二の空洞を含む。第二の空洞は、閉位置において、第一の空洞および第二の空洞が装置空洞を画定するように配設されてもよい。言い換えれば、第一の空洞および第二の空洞は、第一のハウジング部分および第二のハウジング部分が閉位置にある時に、より大きな空洞である装置空洞を形成するように整列してもよい。
【0129】
一部の実施形態では、第二の空洞は第一の空洞とは異なる。これは、第一および第二の空洞が、非対称形状を有する装置空洞を形成することを可能にし得る。
【0130】
第二の空洞は、第一の空洞と実質的に同一であり、同じ形状およびサイズを有することが好ましい。例えば、第一の空洞は実質的に半円筒状であってもよく、そして第二の空洞は実質的に半円筒状であってもよく、第一および第二の空洞は、第一および第二のハウジング部分が閉位置にある時に、実質的に円筒状の装置空洞を形成する。第一および第二の空洞は、任意の適切な量のエアロゾル形成基体を収容するよう任意の適切なサイズおよび形状を有し得る。
【0131】
その他のすべての態様では、この態様のエアロゾル発生装置は、前述の態様に関連して上述したエアロゾル発生装置と同じであり得る。
【0132】
例えば、装置は、周囲空気を装置空洞内に引き込むことを可能にするように構成された一つ以上の空気吸込み口、電力を少なくとも一つの発熱体に供給するための電源、および電源から少なくとも一つの発熱体への電力供給を制御するためのコントローラを備えることが好ましい。
【0133】
本発明のさらなる態様によると、
前述の態様によるエアロゾル発生装置と、
エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品と、を備えるエアロゾル発生システムが提供されている。
【0134】
この態様のエアロゾル発生装置と組み合わせて使用されるエアロゾル発生物品は、本発明の前述の態様に関連して上述するエアロゾル発生物品と同じ特徴を含み得る。しかしながら、当然のことながら、他のエアロゾル発生物品も、前述の態様の装置を備えるシステムで使用するのに好適であり得る。例えば、それらの長さに沿って実質的に一定の外径を有するエアロゾル発生物品は、前述の態様の装置での使用に適し得る。
【0135】
本発明のこれらのおよび他の特徴および利点は、添付の図を参照して、例証的かつ非限定的な例によってのみ与えられる、好ましい実施形態の以下の詳細な説明に照らして、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【
図1】
図1は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略図を示している。
【
図2】
図2は、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略図を示している。
【
図3】
図3は、本発明の第三の実施形態による、
図1のエアロゾル発生物品を備えるエアロゾル発生システムの概略図を示している。
【
図4】
図4は、本発明の第四の実施形態によるエアロゾル発生システムの概略図を示している。
【
図5】
図5は、本発明の第五の実施形態によるエアロゾル発生システムの概略図を示している。
【
図6】
図6は、本発明の第六の実施形態によるエアロゾル発生システムの概略図を示している。
【
図7】
図7は、本発明の第七の実施形態によるエアロゾル発生装置の概略図を示している。
【
図8】
図8は、
図7のエアロゾル発生装置を備える、本発明の第八の実施形態によるエアロゾル発生システムの概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0137】
図1は、上流端11および下流端12を備えるエアロゾル発生物品10を示す。物品10は、エアロゾル形成基体13を含む上流セグメントと、この実施形態ではフィルター15から成る下流セグメント14とを備える。フィルター15は概して、下流セグメント外径D1を有する外側円筒状表面を有する、円筒状部品を形成する。この実施形態では、エアロゾル形成基体13は概して、均質化したキャストリーフたばこの中空の円筒状管を形成する。管状エアロゾル形成基体13は、基体外径D2を有する基体外表面17と、基体内径D3を有する基体内表面18とを有する。基体内表面18は、エアロゾル形成基体13内で長軸方向に延びる内側空洞16を区切っている。
【0138】
フィルターの外径D1は、基体の外径D2よりも大きい。
【0139】
エアロゾル形成基体13の厚さは、エアロゾル形成基体が管状ではない、その長さおよび物品に沿って一貫した外径を有する物品中のエアロゾル形成基体の厚さと比較して、著しく減少している。エアロゾル形成基体13の厚さの減少により、基体13に加えられた熱が基体の厚さを通して急速に伝播することが可能になり得る。これにより、基体13の温度を上昇させるのに必要な時間が減少し得る。例えば、これは、発熱体31から最も離れている基体13の領域における基体13の温度を上昇させるのに必要な時間を減少させ得る。エアロゾル発生物品10のエアロゾル形成基体13の厚さの減少は、エアロゾル発生物品からのエアロゾル発生の効率を改善し得る。
【0140】
図2のエアロゾル発生物品10は、下流セグメント14が間隔保持要素19およびフィルター15を含むことを除いて、
図1の実施形態の物品と類似している。この実施形態では、間隔保持要素19は、フィルター15とエアロゾル形成基体13との間に配置される。
【0141】
この実施形態では、間隔保持要素19は支持要素である。しかし、当然のことながら、他の実施形態では、物品は、支持要素に加えて、またはその代わりに、フィルター15と基体13との間に配置される冷却要素を提供されてもよい。
【0142】
図3は、
図1のエアロゾル発生物品10とエアロゾル発生装置30とを備えるエアロゾル発生システム40を示す。エアロゾル発生装置30は、エアロゾル発生物品が装置30内に受容された時に、エアロゾル形成基体13の中へと挿入されるように構成された発熱体31を備える。
図3の実施形態では、発熱体31は、基体内表面18によって画定される、物品10の内側空洞16内に受容される。
【0143】
エアロゾル発生装置30は、装置空洞内表面33を有する装置空洞32を備える。装置空洞内表面33は、装置空洞内径D4を有する。
図3では、装置空洞32は、物品10のエアロゾル形成基体13を受容する。エアロゾル形成基体13が装置空洞32内に受容されると、基体外表面17と装置空洞内表面33との間に環状ギャップが形成され、環状ギャップは、基体13の長さに沿った長軸方向に、基体を囲む気流通路35を提供する。気流通路35の幅は、チャンバー内径D4と基体外径D2との差である。気流通路35は、エアロゾル形成基体13の外部にある。
【0144】
エアロゾル発生システム40が使用中である場合、
図3に示すように、発熱体31に電力が供給され、エアロゾル形成基体13を、揮発性化合物が基体13から放出される温度に加熱する。ユーザーが物品10のフィルター15などの下流セグメント14を吸うことにより、空気が、装置空洞32の遠位端にある空気吸込み口36を通り、物品10の長軸方向に気流通路35に沿って気流通路35内に引き込まれ、そして、フィルター15を通してなど、下流セグメント14を通して装置空洞32から流出する。加熱されたエアロゾル形成基体13から放出される揮発性化合物は、
図3の湾曲した矢印によって概略的に表されるように、気流通路35内に放出され、冷却されてユーザーが吸入できるエアロゾルを形成する。エアロゾルは、気流通路35を通って引き出された空気中に混入し、矢印A1で示されるように、物品10のフィルター15を通って下流端部12に向かって装置空洞32から流出する。
【0145】
図3の実施形態では、下流セグメント外径D1は、装置空洞内径D4と同じである。したがって、気流通路は、この実施形態ではフィルター15に対応する下流セグメント14によってその下流縁で区切られる。したがって、気流通路35から出るエアロゾルをフィルター15を通して流す必要がある。
【0146】
図4のエアロゾル発生システム40では、エアロゾル発生物品10は、エアロゾル形成基体13が内側空洞を含まず、代わりに、エアロゾル形成基体13が、均質化したたばこキャストリーフの固体の円筒状プラグであるという点で、
図1および3のものとは異なる。エアロゾル発生装置30は、エアロゾル形成基体13が装置空洞32内に受容された時に、エアロゾル形成基体13を貫通する発熱体31を備える点を除いて、
図3のものと同一である。一部の実施形態では、発熱体は、ブレード、ピン、スパイク、またはエアロゾル形成基体の中への発熱体の挿入を容易にするように構成された任意の他の形状のいずれかである。例えば、発熱体は、先細りである、または先の尖った端部を有してもよい。
図4の実施形態では、発熱体は、ブレード形状の発熱体である。
【0147】
図5のエアロゾル発生システム40では、エアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生物品10が、装置空洞内径D4よりも大きな下流セグメント外径D1を有する、この実施形態ではフィルター15である下流セグメント14を備えるという点で、
図1および3のものとは異なる。こうした下流セグメント構成は、フィルター15の上流縁が気流通路35の下流縁を区切ることをさらに確実にし得る。さらに、熱伝導性材料の層23は、基体内表面18上に配置される。熱伝導性材料の層23は、基体内表面18を実質的に覆い、内側空洞16を囲んで、内側空洞16の全長に延びる。これにより、発熱体31から基体13への熱の配分が改善され得る。熱伝導性材料の層23はまた、内側空洞16内に受容される発熱体31とエアロゾル形成基体13との間に物理的分離を作り出し得、これは、発熱体31の近くの基体13の領域においてエアロゾル形成基体13を過熱するリスクを低減し得る。熱伝導性材料の層23はまた、内側空洞16の提供による基体13の厚さの減少によって損なわれている場合がある、管状エアロゾル形成基体13の堅牢性を増大し得る。
【0148】
図5のシステム40の他の特徴は、
図3のシステム40の特徴に対応している。
【0149】
図6のエアロゾル発生システム40では、エアロゾル発生装置30は、装置空洞32の長軸方向に互いから間隙を介した第一の発熱体34および第二の発熱体38を備える。エアロゾル発生物品10は、二つのエアロゾル形成基体セグメントである、物品の長軸方向に端と端を接して配設される第一のエアロゾル形成基体セグメント21および第二のエアロゾル形成セグメント22を有するエアロゾル形成基体13を備える。第一のエアロゾル形成基体セグメント21は、第一のエアロゾル形成基体組成物を含み、第二のエアロゾル形成基体セグメント22は、第一の長軸方向基体セグメント21の組成物とは異なる第二のエアロゾル形成基体組成物を含む。
【0150】
エアロゾル形成基体13が装置空洞32内に受容された時に、第一の発熱体34は、第一のエアロゾル形成基体セグメント21を加熱するように配設され、第二の発熱体38は、第二のエアロゾル形成基体セグメント22を加熱するように配設される。したがって、エアロゾル発生装置30は、エアロゾル形成基体13の各セグメントを個別に加熱するように構成され得る。第一の基体セグメント21および第二の基体セグメント22に熱を選択的に加えることができるため、セグメント21、22は、エアロゾル発生装置40によって連続的に加熱され得る。各セグメントはまた、ユーザーが消費したいエアロゾルのタイプに従って加熱されてもよい。
【0151】
図6のエアロゾル発生装置30はさらに、エアロゾル形成基体13が装置空洞32内に受容された時に、装置空洞32内、装置空洞内表面33上、および気流通路35内に配置されたセンサー37を備える。センサー37は、装置および/またはユーザーに、気流通路35内の吸煙の開始、吸煙の持続時間、エアロゾルの温度、またはエアロゾルの特定の成分の濃度などの関連データを提供し得る。
【0152】
図7は、本発明のさらなる実施形態によるエアロゾル発生装置300を示している。装置300は、エアロゾル形成基体を受容するための装置空洞305を形成することができるハウジングを備える。ハウジングは、互いに対して移動可能である、第一のハウジング部分301および第二のハウジング部分302を含む。この実施形態では、第一および第二のハウジング部分301、302は、互いに対して回転可能であり、相対的な移動は、
図7の矢印R1で表される。ヒンジ307は、第一のハウジング部分301を第二のハウジング部品302に回転可能に取り付ける。
【0153】
第一および第二のハウジング部品301、302は、開位置と閉位置との間で回転可能である。閉位置において、第一および第二のハウジング部品301、302は、エアロゾル形成基体130を受容するための装置空洞を形成するように配設される。閉位置において、形成された装置空洞はエアロゾル形成基体を囲み得る。開位置において、第一および第二のハウジング部分301、302は、エアロゾル形成基体130が本体301、302上に受容され、そして本体301、302から取り外されるように配設される。
【0154】
第一のハウジング部分301は、第一の空洞303を備え、第二のハウジング部品302は、第二の空洞304を含む。この実施形態では、第一の空洞303は、実質的に半円筒状空洞であり、第二の空洞304は実質的に半円筒状空洞である。閉位置において、第一の空洞303および第二の空洞304は、エアロゾル形成基体130を受容するための装置空洞305を形成するように整列される。この実施形態では、装置空洞305は、エアロゾル形成基体130が装置空洞305内に受容された時に、長軸方向Xを中心にエアロゾル形成基体130を囲む。言い換えれば、装置空洞305は、エアロゾル形成基体130を囲むかまたは封入する管状空洞を形成し、管状空洞は長軸方向Xに延びる長さを有する。管状空洞は端部で閉じていてもよい。開位置において、第一の空洞303および第二の空洞304は回転して開口部306を形成し、
図7に示すように、それを通して、長軸方向Xとは異なる方向に第一の空洞303および第二の空洞304のそれぞれの中へとエアロゾル形成基体130を挿入することができる。この実施形態では、エアロゾル形成基体130は、長軸方向Xに対して実質的に直角を成すP1の方向に、第一の空洞303および第二の空洞304のいずれかの中へと挿入され得る。
【0155】
エアロゾル発生装置300は、複数の内部発熱体310を備える。内部発熱体310は、エアロゾル形成基体を少なくとも部分的に貫通するように構成される。この実施形態では、内部発熱体310は、ピン形状の発熱体310である。第一のハウジング部品301は、第一の空洞303の中へと延びる複数のピン形状の発熱体310を備え、第二のハウジング部品302は、第二の空洞304の中へと延びる複数のピン形状の発熱体310を備える。具体的には、図示した実施形態では、装置300は、第一のハウジング部分301から第一の空洞303の中へと延びる6個の発熱体310および第二のハウジング部分302から第二の空洞304の中へと延びる6個の発熱体310、の12個の発熱体310を備える。ピン形状の発熱体310は、チャンバー305内に実質的に横断方向に延びる。ピン形状の発熱体310は、第一のハウジング部分301および第二のハウジング部分302が閉位置にある時に、実質的に互いに平行に、かつ空洞の長軸方向Xに対して直角を成して延びるように配設される。ピン形状の発熱体が本明細書に説明および図示されているが、当然のことながら、様々な形状のいずれかが使用されてもよい。例えば、発熱体は、エアロゾル形成基体の中へと発熱体を挿入することを容易にするように構成されたブレード、ピン、スパイク、または任意の他の形状の任意の一つ、またはそれらの組み合わせを有してもよい。例えば、発熱体は、先細りである、または先の尖った端部を有してもよい。第一の空洞303の発熱体は、互いに同じであってもよく、または変化してもよい。第二の空洞304の発熱体は、互いに同じであってもよく、または変化してもよい。第一の空洞303内の発熱体は、第二の空洞304内の発熱体と比較して、同じ形状を有してもよく、または異なる形状を有してもよい。図示した実施形態を参照すると、12個の発熱体が記載されているが、当然のことながら、他の数の発熱体が使用されてもよい。図示した本発明は、空洞303、304両方の発熱体を記述するが、当然のことながら、一部の実施形態では、一つの空洞から延びる発熱体だけである場合もあり得る。
【0156】
第一のハウジング部分301および第二のハウジング部分302のそれぞれはさらに、空気吸込み口360を含んでもよい。空気吸込み口360は、装置空洞305の一方の端部に配設され、周囲空気が装置空洞305内に引き込まれるように配設される。
【0157】
図8は、エアロゾル発生物品100で使用される、閉位置にある
図7のエアロゾル発生装置300の長軸方向断面を示している。
図8に示されるエアロゾル発生物品100は、
図1のものと類似している。物品100は、上流セグメントにエアロゾル形成基体130を備える。物品100は、この実施形態では、エアロゾル形成基体130のすぐ下流にあるフィルター150を含む下流セグメント140を備える。
図8に示す実施形態では、エアロゾル形成基体130は、内側空洞160を有する円筒状の管状形状を有する。しかしながら、当然のことながら、他のエアロゾル発生物品、特に非管状エアロゾル発生物品は、
図7のエアロゾル発生装置での使用に等しく好適であり得る。
【0158】
エアロゾル発生装置300の装置空洞30は、装置空洞の上流端308から装置空洞の下流端309まで、長軸方向Xに延びる。閉位置において、第一の空洞303および第二の空洞304は整列して、実質的に円筒状の装置空洞305を形成する。
【0159】
エアロゾル形成基体130が第一の空洞303内に配置され、第一のハウジング部分301および第二のハウジング部分302が開位置にある場合、第一のハウジング部分301のピン形状の発熱体310は、エアロゾル形成基体を貫通する。第一のハウジング部分301および第二のハウジング部分302が閉位置へと移動すると、エアロゾル形成基体は、円筒状装置空洞305内に保持され、第二のハウジング部分302のピン形状の発熱体310もまた、エアロゾル形成基体130を貫通する。
図8に示すように、ピン形状の発熱体310は、長軸方向Xおよび横断方向の両方において互いから間隙を介している。このように、ピン形状の発熱体310は、エアロゾル形成基体130の異なる部分を加熱するように配設される。有利なことに、これは、システム400の使用中に、エアロゾル形成基体130のすべてが所望の温度に加熱されることを確実にする。
【0160】
使用中、ユーザーがエアロゾル発生物品100のフィルター150を吸うと、空気が、装置空洞の上流端308の空気吸込み口360を通して、装置空洞内に引き込まれる。この実施形態では、空気吸込み口360は、装置チャンバーの中央長軸方向軸に向けて方向付けられている。空気吸込み口360から装置空洞内に引き込まれてエアロゾル形成基体130の内側空洞160に入る空気は、矢印A10によって示されるように、内側空洞160に沿ってフィルター150に向かって引き出され、エアロゾル発生物品100の下流端120においてフィルター150から放出されて、ユーザーへと送達される。
【0161】
電力が複数の発熱体310に提供されると、複数の発熱体310がエアロゾル形成基体130を、揮発性化合物が基体130から放出される温度まで加熱するが、揮発性化合物は、基体130から基体130の内側空洞160の中へと放出され、冷却されて、ユーザーによって吸入され得るエアロゾルを形成する。エアロゾルは、内側空洞160を通して引き出された空気に混入されて、フィルター150を通して内側空洞160から引き出され、下流端120においてユーザーに送達される。
【国際調査報告】