(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-12
(54)【発明の名称】エチレンアミン化合物を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
C07C 209/86 20060101AFI20220405BHJP
C07C 211/10 20060101ALI20220405BHJP
C07C 213/10 20060101ALI20220405BHJP
C07C 215/08 20060101ALI20220405BHJP
C07D 295/023 20060101ALI20220405BHJP
C07D 295/027 20060101ALI20220405BHJP
C07D 295/13 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
C07C209/86
C07C211/10
C07C213/10
C07C215/08
C07D295/023
C07D295/027
C07D295/13
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547157
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(85)【翻訳文提出日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2020053751
(87)【国際公開番号】W WO2020165338
(87)【国際公開日】2020-08-20
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509131443
【氏名又は名称】ヌーリオン ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フェノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】Nouryon Chemicals International B.V.
【住所又は居所原語表記】Velperweg 76, 6824 BM Arnhem, the Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】エドヴィンソン,ロルフ クリスター
(72)【発明者】
【氏名】テン ケイト,アントーン ジェイコブ ベレンド
(72)【発明者】
【氏名】ラーイジェマーカズ,ミッシェル ジョセフ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェネマン,レンス
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴィック,スラヴィサ
(72)【発明者】
【氏名】ズベイル,ラウィエン フェイサル
(72)【発明者】
【氏名】カンツァー,アイケ ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】エーラス,イナ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ダム,ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】レイク,カール フレデリック
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB46
4H006AD16
4H006BN10
4H006BU32
(57)【要約】
本発明は、2つの反応シーケンスを含む、エチレンアミンおよびヒドロキシエチルエチレンアミンの群から選択されるエチレンアミン化合物を製造するための方法であって、第1の反応シーケンスが、- 付加ステップにおいて、-NH-CH2-CH2-NH-部分もしくは-NH-CH2-CH2-OH部分、またはHO-CH2-CH2-OHを含む出発化合物のCO2付加物を提供するステップと、- 鎖延長ステップにおいて、エタノールアミンおよびジヒドロキシエタンから選択されるヒドロキシ官能性化合物をエチレンアミン化合物と反応させて、鎖延長エチレンアミン化合物のCO2付加物を形成するステップであり、ヒドロキシ官能性化合物およびエチレンアミン化合物の合計の少なくとも一部をCO2付加物の形で提供する、ステップと、- 脱離ステップにおいて、カルボニル基の除去により、鎖延長エチレンアミン化合物のCO2付加物を、対応する生成物エチレンアミン化合物に変換するステップとを含み、第2の反応シーケンスが、- 二塩化エチレン反応ステップにおいて、二塩化エチレンと、アンモニア、エチレンアミン、および/またはエタノールアミンの群から選択される少なくとも1種の化合物とを反応させて、エチレンアミンおよび/またはエタノールアミンの塩酸塩を形成するステップと、- 苛性処理ステップにおいて、エチレンアミンまたはエタノールアミンの塩酸塩と、塩基とを反応させて、エチレンアミン化合物および無機塩化物塩を形成するステップと、- 塩分離ステップにおいて、無機塩を、エチレンアミン化合物から分離するステップとを含み、第1の反応シーケンスおよび第2の反応シーケンスが、下記:- 第1の反応シーケンスのステップからの流出物が、第2の反応シーケンスのステップに出発材料として供給される、- 第2の反応シーケンスのステップからの流出物はが第1の反応シーケンスのステップに出発材料として供給される、- 第1の反応シーケンスのステップおよび第2の反応シーケンスのステップが組み合わされる、または-第1の反応シーケンスのステップからの流出物が、第2の反応シーケンスのステップからの流出物と組み合わされる、の少なくとも1つが行われる点において接続される、方法に関する。本発明による方法は、使用される出発材料および生成物に関する柔軟性と、装置の効率的な使用および廃棄流の効率的な処理とを兼ね備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの反応シーケンスを含む、エチレンアミンおよびヒドロキシエチルエチレンアミンの群から選択されるエチレンアミン化合物を製造するための方法であって、
第1の反応シーケンスが、
- 付加ステップにおいて、-NH-CH
2-CH
2-NH-部分もしくは-NH-CH
2-CH
2-OH部分、またはHO-CH
2-CH
2-OHを含む、出発化合物のCO
2付加物を提供するステップと、
- 鎖延長ステップにおいて、エタノールアミンおよびジヒドロキシエタンから選択されるヒドロキシ官能性化合物をエチレンアミン化合物と反応させて、鎖延長エチレンアミン化合物のCO
2付加物を形成するステップであり、ヒドロキシ官能性化合物およびエチレンアミン化合物の合計の少なくとも一部をCO
2付加物の形で提供する、ステップと、
- 脱離ステップにおいて、カルボニル基の除去により、鎖延長エチレンアミン化合物のCO
2付加物を、対応する生成物エチレンアミン化合物に変換するステップと
を含み、
第2の反応シーケンスが、
- 二塩化エチレン反応ステップにおいて、二塩化エチレンと、アンモニア、エチレンアミン、および/またはエタノールアミンの群から選択される少なくとも1種の化合物とを反応させて、エチレンアミンおよび/またはエタノールアミンの塩酸塩を形成するステップと、
- 苛性処理ステップにおいて、エチレンアミンまたはエタノールアミンの前記塩酸塩と、塩基とを反応させて、エチレンアミン化合物および無機塩化物塩を形成するステップと、
- 塩分離ステップにおいて、前記無機塩を、前記エチレンアミン化合物から分離するステップと
を含み、
前記第1の反応シーケンスおよび前記第2の反応シーケンスが、下記:
- 前記第1の反応シーケンスのステップからの流出物は、前記第2の反応シーケンスのステップに出発材料として供給される、
- 前記第2の反応シーケンスのステップからの流出物は、前記第1の反応シーケンスのステップに出発材料として供給される、
- 前記第1の反応シーケンスのステップおよび前記第2の反応シーケンスのステップは、組み合わされる、または
- 前記第1の反応シーケンスのステップからの流出物は、前記第2の反応シーケンスのステップからの流出物と組み合わされる
の少なくとも1つが行われるという点において接続される、方法。
【請求項2】
前記第2の反応シーケンスで生成されたエチレンアミンが、前記第1の反応シーケンスの前記吸収ステップ、前記鎖延長ステップ、および前記脱離ステップの1つまたは複数に供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の反応シーケンスからのエチレンアミン化合物のCO
2付加物が、前記第2の反応シーケンスの前記苛性処理ステップに供給される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の反応シーケンスの前記脱離ステップが苛性処理を含み、前記第1の反応シーケンスの前記苛性処理の生成物が、前記第2の反応シーケンスの前記苛性処理からの生成物と組み合わされ、前記組み合わされた生成物が前記塩分離ステップに供される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の反応シーケンスからのエチレンアミン反応混合物が、前記第2の反応シーケンスからのエチレンアミン反応混合物と組み合わされ、前記組み合わされた生成物が分離ステップに供される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の反応シーケンスからのエチレンアミンのCO
2付加物が、前記第2の反応シーケンスからの前記二塩化エチレン反応ステップに供給される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の反応シーケンスで形成されたCO
2付加物が、前記第2の反応シーケンスの前記二塩化エチレン反応ステップに供給され、前記第2の反応シーケンスの前記二塩化エチレン反応ステップまたは前記苛性処理ステップからのCO
2付加物が、前記第1の反応シーケンスの前記脱離ステップに供給される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
- 前記第2の反応シーケンスで生成されたエチレンアミンが、前記第1の反応シーケンスの前記吸収ステップ、前記鎖延長ステップ、または前記脱離ステップの1つまたは複数に、特に前記鎖延長ステップおよび/または前記脱離ステップに供給され、ならびに
前記第2の反応シーケンスの前記塩分離ステップからのエチレンアミン生成物が、分画ステップに供給されて種々のエチレンアミン生成物画分に分画され、およびエチレンアミン化合物画分が、前記第1の反応シーケンスの前記脱離ステップから引き出され、かつ前記第2の反応シーケンスからの前記分画ステップに供給され、および/または前記第1の反応シーケンスの分離ステップから引き出された生成物が、前記第2の反応シーケンスの前記分画ステップに供給される、
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の反応シーケンスおよび前記第2の反応シーケンスが、前記第1の反応シーケンスの前記鎖延長ステップからの流出物および前記第2の反応シーケンスの前記塩分離ステップからの流出物が同じ分離ステップに供給されるという点において接続される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレンアミン、およびヒドロキシエチルエチレンアミンの群から選択されるエチレンアミン化合物の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレンアミン化合物、より詳細にはエチレンアミンおよびヒドロキシエチルエチレンアミンは、多くの用途で有用である。
【0003】
エチレンアミンは、エチレン単位によって連結された2個以上の窒素原子からなる。エチレンアミンは、直鎖H2N(-CH2-CH2-NH)p-Hの形で存在することができる。p=1、2、3、4、・・・の場合、式はそれぞれ、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、直鎖状トリエチレンテトラミン(L-TETA)、および直鎖状テトラエチレンペンタミン(L-TEPA)を示す。明らかにされるように、この範囲は拡げることができる。3個以上のエチレン単位がある場合、分岐状エチレンアミン、例えばN(CH2-CH2-NH2)3、トリスアミノエチルアミン(TAEA)を創出することも可能である。2個の隣接する窒素原子は、ピペラジン環が形成されるように2個のエチレン単位によって接続することができる。ピペラジン環は、対応するピペラジン環含有エチレンアミンが生成されるように、より長い鎖に存在することができる。
【0004】
エチレンアミン、特にジエチレントリアミン(DETA)、さらに高級エチレンアミン、例えば直鎖状トリエチレンテトラミン(L-TETA)、および直鎖状テトラエチレンペンタミン(L-TEPA)は、商業的な観点から魅力ある生成物である。特に、これらの化合物には、例えば、アスファルト添加剤、腐食防止剤、エポキシ硬化剤、織物柔軟剤、燃料添加剤、炭化水素精製剤、イオン交換樹脂、潤滑油添加剤、紙湿潤強度樹脂、石油生成化学物質、溶媒、アミド樹脂などの合成樹脂、無機加工助剤、および界面活性物質(界面活性剤)用の、またはそれらに使用される、出発材料として、数多くの商業的用途があるので、高級エチレンアミンへの関心は高まりつつある。
【0005】
ヒドロキシエチルエチレンアミンは、溶媒としてまたは反応物として、化学プロセスでの用途を見出している。例えば、式H2N-CH2-CH2-NH-CH2-CH2-OHのアミノエチルエタノールアミンまたはAEEAは、燃料および油添加剤、キレート剤、および界面活性剤の工業的製造で使用される有機塩基である。連鎖延長エタノールアミン、例えば、式H2N-(CH2-CH2-NH)q-CH2-CH2-OH(式中、qは2以上である)のモノエタノールアミン化合物は、様々なタイプの有機合成、例えばカルボン酸のエステルの製造に興味深い中間体である。これらは例えば、合成樹脂の形成に、界面活性剤として、乳化剤の生成に、織物柔軟剤に、およびエポキシ硬化剤として、使用することもできる。
【0006】
今日、EDCをベースにした方法は、少なくとも2つのエチレン部分を持つエチレンアミンとして本明細書の解釈上、定義された高級エチレンアミンを生成するための主な方法である。EDC経路は、エチレンアミンとNaClの混合物を発生させるように後で苛性物質と反応させるエチレンアミンの塩酸塩を形成するための、EDC(二塩化エチレン)とアンモニアおよび/またはエチレンアミンとの高温および高圧での置換反応である。EDC経路には、その欠点がある。この経路は、高価で取扱いが難しくかつHSEの問題に関連する、二塩化エチレンの使用に依存する。さらに、EDC経路は、多くの異なるエチレンアミンの混合物を与える。それにも関わらず、その広範な使用により実証されるように、エチレンアミンを製造するための魅力ある方法であり続ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それらの製造で使用されるエチレンアミン化合物および出発材料に関する浮動する市場条件の鑑み、当技術分野では、生成される生成物のおよび使用される出発材料および生成物の柔軟性を可能にする方法が求められている。また、使用される出発材料および生成物の柔軟性と、装置の効率的な使用および廃棄流の効率的な処理を兼ね備える方法も、当技術分野では求められている。本発明は、これらの課題に対処する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、2つの反応シーケンスを含む、エチレンアミンおよびヒドロキシエチルエチレンアミンの群から選択されるエチレンアミン化合物を製造するための方法であって、
第1の反応シーケンスが、
- 付加ステップにおいて、-NH-CH2-CH2-NH-部分もしくは-NH-CH2-CH2-OH部分、またはHO-CH2-CH2-OHを含む出発化合物のCO2付加物を提供するステップと、
- 鎖延長ステップにおいて、エタノールアミンおよびジヒドロキシエタンから選択されるヒドロキシ官能性化合物をエチレンアミン化合物と反応させて、鎖延長エチレンアミン化合物のCO2付加物を形成するステップであり、ヒドロキシ官能性化合物およびエチレンアミン化合物の合計の少なくとも一部をCO2付加物の形で提供する、ステップと、
- 脱離ステップにおいて、カルボニル基の除去により、鎖延長エチレンアミン化合物のCO2付加物を、対応する生成物エチレンアミン化合物に変換するステップと
を含み、
第2の反応シーケンスが、
- 二塩化エチレン反応ステップにおいて、二塩化エチレンと、アンモニア、エチレンアミン、および/またはエタノールアミンの群から選択される少なくとも1種の化合物とを反応させて、エチレンアミンおよび/またはエタノールアミンの塩酸塩を形成するステップと、
- 苛性処理ステップにおいて、エチレンアミンまたはエタノールアミンの塩酸塩と、塩基とを反応させて、エチレンアミン化合物および無機塩化物塩を形成するステップと、
- 塩分離ステップにおいて、無機塩を、エチレンアミン化合物から分離するステップと
を含み、
第1の反応シーケンスおよび第2の反応シーケンスが、下記:
- 第1の反応シーケンスのステップからの流出物が、第2の反応シーケンスのステップに出発材料として供給される、
- 第2の反応シーケンスのステップからの流出物が、第1の反応シーケンスのステップに出発材料として供給される、
- 第1の反応シーケンスのステップおよび第2の反応シーケンスのステップが、組み合わされる、または
- 第1の反応シーケンスのステップからの流出物は、第2の反応シーケンスのステップからの流出物と組み合わされる、
の少なくとも1つが行われる点において接続される、方法に関する。
【0009】
本発明による方法は、エチレンアミン化合物の製造のために、2つの接続された反応シーケンスを使用する。各反応シーケンスには、それ自体の利点がある。第1の反応シーケンスの方法は、高分子量エチレンアミン化合物、特に直鎖化合物の製造を可能にする。第2の反応シーケンスの方法は、生成物それ自体としてそのいくつかは興味深いものであるがその他は高級エチレンアミン化合物の生成のための出発材料としてより魅力的となり得る、多くの異なるエチレンアミン化合物の混合物を含む反応生成物の、効率的な手法での製造を可能にする。以下に、より詳細に論じるように、本発明による方法は、使用される出発材料および生成される生成物における柔軟性、ならびに装置の効率的な使用を可能にする。
【0010】
一部の実施形態では、本発明による方法は、別の反応シーケンスにおける出発材料として1つの反応シーケンスからの生成物を使用することを可能にし、それと共に所望の生成物を効率的な手法で製造することを可能にする。他の実施形態では、本発明による方法は、効率的な対策である、組み合わせた生成物の後処理および廃棄処理の可能性に役立つ。
【0011】
本発明およびその特定の実施形態のさらなる利点は、さらなる明細書から明らかにされよう。
【0012】
本発明を、それにまたはそれにより限定されることのない下記の図を参照しながら明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明による方法の第1の実施形態を示す図である。
【
図2】本発明による方法のさらなる実施形態を示す図である。
【
図2a】本発明による方法のさらなる実施形態を示す図である。
【
図3】本発明による方法のさらなる実施形態を示す図である。
【
図4】本発明による方法のさらなる実施形態を示す図である。
【
図5】本発明による方法のさらなる実施形態を示す図である。
【
図6】本発明による方法のさらなる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
下記では、2つ個々の反応シーケンスについて論じる。次いで反応シーケンスを接続することができる様々な手法について論じる。
【0015】
第1の反応シーケンス
第1の反応シーケンスは、
- 付加ステップにおいて、-NH-CH2-CH2-NH-部分もしくは-NH-CH2-CH2-OH部分、またはHO-CH2-CH2-OHを含む出発化合物のCO2付加物を提供するステップと、
- 鎖延長ステップにおいて、エタノールアミンおよびジヒドロキシエタンから選択されるヒドロキシ官能性化合物をエチレンアミン化合物と反応させて、鎖延長エチレンアミン化合物のCO2付加物を形成するステップであり、ヒドロキシ官能性化合物およびエチレンアミン化合物の合計の少なくとも一部をCO2付加物の形で提供する、ステップと、
- 脱離ステップにおいて、カルボニル基の除去により、鎖延長エチレンアミン化合物のCO2付加物を、対応する生成物エチレンアミン化合物に変換するステップと
を含む。
【0016】
第1の反応シーケンスの出発材料は、エタノールアミンおよびジヒドロキシエタン、およびエチレンアミン化合物から選択される、ヒドロキシ官能性化合物である。第1の反応シーケンスの中心は、ヒドロキシ官能性化合物をアミン官能性化合物と反応させ、第1級アミンを第2級アミンに変換しまたは第2級アミンを第3級アミンに変換させることである。例えば、式R-OHにより具体化される化合物を、式H2NR’により具体化される化合物と反応させて、水の形成と共に式R-NH-R’により具体化される化合物を形成してもよい。さらなる例では、式R-OHにより具体化される化合物を、水の形成と共に式RNR’R”により具体化される化合物と反応させてもよい。
【0017】
ヒドロキシル官能性化合物は、エタノールアミンおよびジヒドロキシエタンの群から選択される。本明細書の文脈において、エタノールアミンの群は、モノエタノールアミンまたはMEAとも示される2-ヒドロキシ-エチルアミン、およびヒドロキシエチルエチレンアミンを包含する。好ましいヒドロキシ官能性化合物には、モノエタノールアミン(MEA)、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)、ヒドロキシエチル-ジエチレントリアミン(HE-DETA)、ヒドロキシエチルトリエチレンテトラアミン(HE-TETA)、およびジエタノールアミンが含まれる。
【0018】
ヒドロキシル官能性化合物は、エチレンアミン化合物と反応させる。エチレンアミン化合物は、少なくとも1つの-NH2基を含む。好ましいエチレンアミン化合物には、エチレンジアミン(EDA)、N-メチルエチレンミアミン(MeEDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、ピペラジン(PIP)、N-アミノエチルピペラジン(AEP)、トリエチレンテトラミン(TETA)、N,N’-ジアミノエチルピペラジン(DAEP)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、およびペンタエチレンヘキサミン(PEHA)が含まれる。
【0019】
エチレンアミン化合物は、上述のエタノールアミンを包含してもよい。エタノールアミンがエチレンアミン化合物として使用される場合、第1の反応シーケンスは、(鎖延長)ヒドロキシエチルエチレンアミンの形成をもたらすことになる。エチレンアミンを製造することが望まれる場合、ヒドロキシ官能性化合物と反応させることになるエチレンアミン化合物は、エタノールアミンであってはならず、ヒドロキシ基を含有しないエチレンアミンから選択される。
【0020】
エチレンアミンおよびヒドロキシ官能性化合物のいくつかの構造を、以下に提示する。
【化1】
【0021】
生成物ポリエチレンアミン化合物の好ましい例は、トリエチレンテトラミン(TETA)、N,N’-ジアミノエチルピペラジン(DAEP)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、N-[(2-アミノエチル)2-アミノエチル]ピペラジン)(PEEDA)、および1-[2-[[2-[(2-アミノエチル)アミノ]エチル]アミノ]エチル]ピペラジン) (PEDETA)である。
【0022】
付加ステップ
本発明の第1の反応シーケンスにおける第1のステップは、付加ステップであり、-NH-CH2-CH2-NH-部分もしくは-NH-CH2-CH2-OH部分、またはHO-CH2-CH2-OHを含む出発材料のCO2付加物が、提供される。付加ステップは、様々な手法で実施することができる。
【0023】
一実施形態では、付加ステップは、気体状CO2と、-NH-CH2-CH2-NH-部分もしくは-NH-CH2-CH2-OH部分またはHO-CH2-CH2-OHを含む出発化合物とを反応させて、それぞれのCO2付加物の形成を得るステップを含む。このステップは、本明細書では吸収ステップとも示される。
【0024】
付加ステップの別の実施形態では、CO2付加物は、-NH-CH2-CH2-NH-部分もしくは-NH-CH2-CH2-OH部分またはHO-CH2-CH2-OHを含む出発化合物と、カルボニル基を出発化合物に転移させることができるCO2ではない化合物とを反応させて、それらのCO2付加物の形成をもたらすことによって形成される。これらの化合物は、炭素酸化物送達剤と示すことができる。
【0025】
本発明の範囲内にあるCO2以外の炭素酸化物送達剤は、上述のように転移させるのにカルボニル部分が利用可能である有機化合物を含む。カルボニル部分が利用可能である有機化合物は、尿素およびその誘導体;直鎖状および環状エチレン尿素、特に環状エチレン尿素、一または二置換エチレン尿素、アルキルおよびジアルキル尿素、直鎖状および環状カルバメート、有機カーボネート、およびその誘導体または前駆体を含む。そのような誘導体または前駆体としては、例えば、炭酸または重炭酸塩、カルバメートおよび関連する塩などのイオン性化合物を挙げることができ、これらは、一部の実施形態では本発明の方法においてin situで、それらの非イオン性対応物、例えば直鎖状および環状カルバメートまたは尿素化合物に変換できる。そのようなイオン性化合物が本発明で使用される場合、それらは有機炭化水素をベースにした炭酸塩、重炭酸塩、またはカルバメート塩である。好ましくはCO送達剤は、CO2、または炭素酸化物送達剤として使用するのに適した有機化合物、または尿素もしくはエチレンカーボネートであり、より好ましくは、炭素酸化物送達剤は、二酸化炭素または尿素として少なくとも部分的に付加される。前述の尿素またはカルバメート化合物を使用することによって、炭素酸化物送達剤は、方法において、アミン官能性またはエタノールアミン官能性化合物と同じ分子内に存在することができる。
【0026】
炭素酸化物送達剤の例としては、以下が挙げられる。
【化2】
【0027】
上記の図において、CAEEAはやはりアミノエチルエタノールアミンの環状カルバメートを表し、UDETAはジエチレントリアミンの尿素を表し、DAEUはジアミノエチル尿素を表し、AE AEカルバメートはアミノエチルアミノエタノールカルバメートを表し、CHE-DETAはヒドロキシエチルジエチレントリアミンのカルバメートを表し、U1TETAは、トリエチレンテトラミンの末端尿素を表し、DUTETAは、トリエチレンテトラミンの1,3-二尿素を表す。
【0028】
炭素酸化物送達剤は、最も好ましくは、二酸化炭素、尿素、エタノールアミン官能性化合物のカルバメート誘導体、またはエチレンアミン化合物の尿素誘導体、またはこれらの組合せの形で反応に添加される。例には、CMEA、EU、UDETA、およびUAEEAであってアミノエチルエタノールアミンのCO2付加物であるものが含まれる。
【0029】
-NH-CH2-CH2-NH-部分もしくは-NH-CH2-CH2-OH部分またはHO-CH2-CH2-OHを含む出発化合物と、カルボニル基を出発化合物に転移させることができるCO2ではない化合物との反応によって、CO2付加物が形成される付加ステップの実施形態は、CO2転移ステップと示すこともできる。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、付加ステップは吸収ステップであり、CO2が、-NH-CH2-CH2-NH-部分もしくは-NH-CH2-CH2-OH部分またはHO-CH2-CH2-OHを含む出発化合物を含む反応媒体に吸収されて、前記出発化合物のCO2付加物を形成し、また脱離ステップは脱着ステップであり、生成物ポリエチレンアミン化合物のCO2付加物が水と反応して、対応するエチレンアミン化合物およびCO2を形成する。
【0031】
吸収ステップ
本発明による方法の一実施形態で実施される吸収ステップでは、CO
2が、-NH-CH
2-CH
2-NH-部分もしくは-NH-CH
2-CH
2-OH部分またはHO-CH
2-CH
2-OHを含む出発化合物を含む反応媒体に吸収されて、前記出発化合物のCO
2付加物を形成する。したがってこれらの化合物のCO
2付加物は、-NH-CH
2-CH
2-NH-部分が、2個の窒素原子がカルボニル部分およびエチレン部分を介して接続されている尿素部分に変換された下式:
【化3】
による、化合物を含む。
【0032】
CO2付加物は、環状カルバメート化合物も含む。
【0033】
CO2付加物は、HO-CH2-CH2-OHが、HO-CH2-CH2-OHの2個のO原子がカルボニル部分およびエチレン部分を介して接続されているエチレンカーボネート分子に変換される、化合物も含む。
【0034】
上記において、CO2付加物は、単一分子内の反応によって形成された付加物として提示される。当然ながら、CO2付加物は、異なる分子の反応性基の反応によって形成することもできる。本明細書の文脈において、CO2付加物部分は、多くの実施形態で、2個の窒素原子または窒素原子もしくは酸素原子または2個の酸素原子が-C(O)-部分を通して接続されている、部分である。さらに、CO2付加物は、末端単一側基の単一のアミンまたはアルコールで形成することもでき、即ち、唯一の窒素または酸素原子に連結された付加物とすることができる。
【0035】
吸収ステップは、CO2と、-NH-CH2-CH2-NH-部分もしくは-NH-CH2-CH2-OH部分またはHO-CH2-CH2-OHを含む出発化合物を含む反応媒体とを接触させて、CO2付加物を形成することにより、実施される。接触ステップは、CO2が吸収されるおよびCO2付加物が形成されるような条件下で実施されることになる。
【0036】
反応条件は、一般に少なくとも120℃である反応温度を含む。120℃よりも低い温度では、反応速度は一般に、妥当な時間枠内で意味のある変換を可能にするのに低過ぎる。反応温度は少なくとも140℃、特に少なくとも150℃、さらに特別には少なくとも170℃であることが好ましいと考えられる。反応は一般に、最高で400℃の温度で実施される。したがって温度は、最高で300℃、特に最高で250℃、さらに最高で220℃であってもよい。170~220℃の温度での操作が好ましいと見なされる。
【0037】
反応中の圧力は、CO2を反応媒体に供給することによって、大部分に関して決定されるが、系内の全圧は、CO2の消費に起因して反応中に低下するものである。一般に、系内の全圧は、最大で75baraである。全圧は一般に、少なくとも2bara、特に少なくとも5bara、より特別には少なくとも10baraである。
【0038】
反応に供給されるCO2の量は、重要ではない。最小量は、出発材料アミン化合物をその対応するCO2付加物に変換するのに必要とされる量に支配される。したがって、CO2と、-NH-CH2-CH2-NH-部分、-NH-CH2-CH2-OH部分、またはHO-CH2-CH2-OHと間のモル比は、一般に少なくとも0.1:1である。少なくとも0.2:1の比、特に少なくとも0.5:1の比は、より多くの尿素付加物が目的とされる場合に、より魅力的になり得る。大過剰のCO2は、方法に有害ではないが、一般に、経済的な理由でそれほど魅力的ではない。したがって、一般的な最大値として、500:1の値を挙げてもよい。投与されるCO2の量は、最終生成物中の尿素付加物の所望の量に依存することになる。
【0039】
一実施形態では、吸収ステップは、少なくとも1つの-NH-CH2-CH2-NH-部分および合計で少なくとも2つのエチレン部分を含む出発エチレンアミンおよびヒドロキシ官能性化合物の群から選択される化合物と、CO2とを、エチレンジアミン(EDA)、モノエタノールアミン(MEA)、およびこれらの混合物から選択される補助化合物の存在下、少なくとも0.02:1である補助化合物とアミン化合物とのモル比で反応させることによって、実施される。
【0040】
この実施形態の方法については、エチレンアミン化合物は、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(L-TETA)、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)、およびヒドロキシエチルジエチレントリアミン(HE-DETA)から選択されることが好ましい。補助化合物とアミン化合物とのモル比は、少なくとも0.05:1、特に少なくとも0.1:1、および/または最大で10:1であることが好ましい。反応は、少なくとも120℃、好ましくは少なくとも140℃、特に少なくとも150℃、より特別には少なくとも170℃、および/または最高で400℃、特に最高で350℃、より特別には最高で300℃、さらにより特別には最高で250℃、またはさらに最高で220℃、例えば170~250℃または170~220℃の温度で実施されることが好ましい。CO2とアミン化合物中の-NH-CH2-CH2-NH-部分との間のモル比は、少なくとも0.5:1および/または最大で500:1であることが好ましい。反応時間は、最長で10時間、特に最長で6時間、より特別には最長で3時間、および/または少なくとも5分、特に0.5から2時間の間であることが好ましい。
【0041】
一実施形態では、吸収ステップは、下記の2ステップ法を介して実施され、
- 吸収ステップにおいて、直鎖状-NH-CH2-CH2-NH-基を有するエチレンアミン化合物を含む液体媒体を、最大20baraの圧力でCO2含有ガス流に接触させ、その結果、CO2が吸収されている液体媒体の形成が得られ、
- 液体媒体をCO2付加物形成条件にし、エチレンアミン化合物のCO2付加物を形成するCO2付加物形成ステップでは、CO2付加物形成条件が少なくとも120℃の温度を含み、CO2付加物形成ステップの終わりの全圧が最大で20baraであり、吸収ステップの温度が、CO2付加物形成ステップの温度よりも低い。
【0042】
この実施形態でCO2吸収ステップを尿素形成ステップから切り離すことにより、CO2吸収ステップは、比較的低い温度および圧力で実施することができる。吸収ステップでは、CO2が液体反応媒体に吸収される。反応ステップでは、吸収されたCO2をエチレンアミン化合物と反応させて、環状尿素付加物を形成する。これは、尿素形成ステップにおいてさらなるCO2の供給を必要とせず、尿素形成ステップでエチレンアミン化合物から環状尿素への所望の変換が実現されるよう十分なCO2が液体媒体に吸収されるまで吸収ステップが実施されることを、意味する。上述のように、尿素形成ステップ中にさらなるCO2を反応媒体に供給することは(吸収ステップ中に供給されたCO2に加えて)必要ではなく、一般に、尿素形成ステップ中の圧力を上昇させることになるので魅力的ではない。いくつかの理由でそれが望まれる場合には、所望の尿素変換を実現するのに必要な全CO2の最大20%を、尿素形成ステップ中に添加し、特に最大10%を添加する。この実施形態の一実施形態では、CO2含有ガス流が、CO2を少なくとも95体積%含む。この実施形態の別の実施形態では、CO2含有ガス流が、CO2を最大で70体積%、特にCO2を最大で60体積%、および0.01体積%よりも上で、特に4から60体積%の間で含む。液体媒体を、吸収ステップでCO2含有ガス流と接触させるステップは、0℃から200℃の間の温度で、特に最高190℃の温度で、より特別には最高で150℃、または最高で130℃、より特別には最高で110℃、および好ましくは少なくとも20℃の値で、特に少なくとも40℃で実施することが好ましいと考えられる。吸収ステップでの最大全圧は、1から15baraの間、特に1から10baraの間、さらにより特別には1から3baraの間が好ましいと考えられる。尿素形成ステップの温度は、少なくとも140℃、特に少なくとも150℃、特に少なくとも170℃、好ましくは最高で400℃、特に最高で300℃、より特別には最高で250℃、またはさらに最高で220℃であることが好ましいと考えられる。尿素形成ステップは、好ましくは、密閉された槽内で実施される。尿素形成ステップは、槽内の液体媒体の体積が槽の全容積(ヘッドスペースを含む)の少なくとも50%を構成し、特に少なくとも70%、より特別には少なくとも85%を構成する、槽内で実施することが好ましいと考えられる。環状尿素形成ステップの終わりの圧力は、15baraよりも下、特に10baraよりも下、一部の実施形態では5baraよりも下、またはさらに3baraよりも下であることが好ましいと考えられる。
【0043】
CO2転移ステップ
一実施形態では、付加ステップは、CO2転移ステップを含む。CO2転移ステップでは、カルボニル基が、付加ステップで、CO供給源から、-NH-CH2-CH2-NH-部分もしくは-NH-CH2-CH2-OH部分またはHO-CH2-CH2-OHを含む出発化合物へと供給され、-NH-CH2-CH2-NH-部分もしくは-NH-CH2-CH2-OH部分またはHO-CH2-CH2-OHを含む出発化合物のCO2付加物を提供する。CO供給源については、上記にて論じている。
【0044】
反応条件は、一般に少なくとも100℃である反応温度を含む。100℃よりも低い温度では、反応速度は一般に、妥当な時間枠内での意味のある変換を可能にするのに低過ぎる。反応温度は、少なくとも125℃、特に少なくとも150℃、より特別には少なくとも170℃であることが好ましいと考えられる。反応は一般に、最高400℃の温度で実施される。したがって温度は、最高で300℃であってもよく、特に最高で250℃、またはさらに最高で220℃であってもよい。170~220℃の温度での操作が好ましいと見なされる。
【0045】
一般に、系の全圧は最大で75baraである。全圧は一般に、少なくとも2bara、特に少なくとも5bara、より特別には少なくとも10baraである。
【0046】
反応に供給されるCO部分の量は、重要ではない。最小量は、出発材料アミン化合物をその対応するCO2付加物に変換するのに必要とされる量に支配される。したがって、CO部分と、独立する-NH-CH2-CH2-NH-部分、-NH-CH2-CH2-OH部分、またはHO-CH2-CH2-OHとの間のモル比は、一般に少なくとも0.1:1である。少なくとも0.2:1の比、特に少なくとも0.5:1は、より多くの尿素付加物を目標とするのにより魅力的であると考えられる。大過剰なCO部分は、方法に有害ではないが、一般に、経済的な理由でそれほど魅力的なものではない。したがって、一般的な最大値として、500:1の値が挙げられる。投与されたCO部分の量は、最終生成物中の尿素付加物の所望の量に依存することになる。
【0047】
反応ステップ
本発明による方法の反応ステップでは、エタノールアミンおよびジヒドロキシエタンの群から選択されるヒドロキシ官能性化合物と、エチレンアミン化合物とを反応させて、生成物ポリエチレンアミン化合物のCO2付加物を形成させ、ヒドロキシ官能性化合物とエチレンアミン化合物との合計の少なくとも一部は、CO2付加物の形で提供する。
【0048】
反応ステップは、好ましくは少なくとも100℃の温度で行う。温度は、好ましくは400℃よりも低くあるべきである。より好ましくは、温度は200から360℃の間である。さらにより好ましくは、温度は230から340℃の間である。最も好ましくは、温度は250から310℃の間である。エタノールアミン官能性化合物がモノエタノールアミンである実施形態では、最も好ましい温度範囲が230から290℃の間である。
【0049】
方法の間の反応時間は、実施形態では、5分から15時間の間であり、好ましくは0.5から10時間の間、より好ましくは1から6時間の間である。
【0050】
過度に長い反応時間は、プロセス経済上の理由だけではなく望ましくない高沸点副生成物の形成がもたらされ得るという理由で有害になることが、当業者に明らかにされよう。長過ぎる反応時間は、望ましくない分解および色の形成をもたらす可能性がある。
【0051】
出発化合物のいずれかがピペラジン単位
【化4】
を含有する場合、好ましくは、反応は、水を含む液体中で行われるが、それは後に収率と選択性の両方を増大させることができるからである。ヒドロキシ官能性化合物、エチレンアミン化合物、または炭素酸化物送達剤の1種または複数が、反応条件で液体である場合、これらは、本発明の方法が内部で行われる上記液体の一部とは見なされない。
【0052】
好ましい実施形態では、本発明の方法でピペラジン単位を持つ化合物を有するとき、液体は、水を少なくとも50重量%から水を最大100重量%含有し、より好ましくは、残りの最大50重量%は、本発明の方法の間に用いられる条件で水と均質に混合される極性液体である。さらにより好ましくは、液体は、全液体重量に対して水を少なくとも75重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%を含有する。
【0053】
用いられる反応器は、連続撹拌槽型反応器、パイプライン反応器、管状または多管状反応器を含む任意の適切な反応器とすることができる。反応器は、断熱的であってもよく、または外部もしくは内部加熱デバイスを備えていてもよい。供給は、単一点であってもよく、または多数の点に分割されてもよい。段階間熱交換がなされる多数の段階からなるものとすることができる。
【0054】
当業者に明らかにされるように、本発明による方法の反応ステップで使用されるが、様々なその他のステップでも使用される装置は、その目的に適合されるべきである。即ち、他に記述されるようなかなりの温度および圧力を含む反応条件下で、反応物および生成物との長期相互作用に耐えることができるべきである。反応器、および反応条件に耐えることができるその他の装置に加え、それらは生成される生成物の品質に悪影響を及ぼす可能性のある材料を放出しないことも重要である。例えば、金属イオンは生成物に色の形成をもたらす可能性があるので、様々な装置の構成材料は、金属イオンが許容できない程度まで放出されないように、選択されるべきである。適切な材料には、オーステナイト系ステンレス鋼、スーパーオーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化マルテンサイト系ステンレス鋼、およびDuplexステンレス鋼などの高品質の鋼が含まれるが、これらに限定するものではない。適切な構成材料を選択することは、当業者の範囲内である。
【0055】
方法は、1つまたは多数のバッチ反応器で、おそらくは供給バッチ操作で、および/または1つの反応器の連続操作システムで、あるいは連続流動反応器のカスケードで、任意選択で多数の供給点により、実施することができる。
【0056】
エチレンアミン化合物に炭素酸化物送達剤の少なくとも0.6モル当量を添加するとき、エチレンアミンの収率はかなり増大し、副生成物の量も減少することが見出された。
【0057】
したがって、CO2および/または炭素酸化物送達剤とエチレンアミン化合物とのモル比が少なくとも0.6から1であることが好ましい。
【0058】
好ましくは、エチレンアミン化合物に対するCO2および/または炭素酸化物送達剤のモル量は、アミン官能性化合物のモル数に対する炭素酸化物送達剤が0.7から20モル当量の間であり、より好ましくは0.7から6:1の間、さらにより好ましくは0.8:1から3:1の間である。
【0059】
高収率をもたらす別の実施形態では、ヒドロキシ官能性化合物とエチレンアミン化合物とのモル比が少なくとも0.7:1であり、炭素酸化物送達剤とエチレンアミン化合物とのモル比が少なくとも0.05:1である。そのような実施形態では、エチレンアミンの収率も高い。
【0060】
さらにより好ましくは、ヒドロキシ官能性化合物とエチレンアミン化合物とのモル比が、0.8から5:1の間であり、炭素酸化物送達剤とアミン官能性化合物とのモル比が0.2:1から20:1の間である。
【0061】
さらになおより好ましくは、ヒドロキシ官能性化合物とエチレンアミン化合物とのモル比が1:1から2:1の間であり、炭素酸化物送達剤とエチレンアミン化合物とのモル比が0.7:1から3:1の間である。
【0062】
一実施形態では、出発材料に対する、特にヒドロキシ官能性化合物に対する、エチレンアミンの高い選択性を実現するために、ヒドロキシ官能性化合物とエチレンアミン化合物とのモル比は、好ましくは0.05:1から0.7:1の間であり、CO2および/または炭素酸化物送達剤とエチレンアミン化合物とのモル比は、ヒドロキシ官能性化合物とエチレンアミン化合物とのモル比よりも高い。
【0063】
より好ましくは、CO2および/または炭素酸化物送達剤とエチレンアミン化合物とのモル比は、ヒドロキシ官能性化合物とエチレンアミン化合物とのモル比よりも少なくとも10%高い。別のより好ましい実施形態では、ヒドロキシ官能性化合物とエチレンアミン化合物とのモル比が0.1から0.5の間である。
【0064】
例えばDU-TETAなど、ヒドロキシ官能性化合物に転移するために分子から放出することができる、複数のカルボニル基を含有する炭素酸化物送達剤が存在することに、留意すべきである。そのような化合物に関するモル比を決定するとき、ヒドロキシ官能性化合物への転移のためにそれらが放出することができる酸化炭素のモル量の調整がなされるべきである。したがって、DU-TETA 1モルは、炭素酸化物送達剤2モルと見なすべきである。
【0065】
化合物間の上記モル比は、反応物に用いられる投与レジームとは独立して、方法の反応物によって決定される。
【0066】
脱離ステップ
本発明による方法の脱離ステップでは、ポリエチレンアミン化合物のCO2付加物が、対応するポリエチレンアミン化合物に変換される。カルボニル基が分子から脱離されるので、脱離ステップと呼ばれる。
【0067】
脱離ステップを実施する様々なやり方がある。
【0068】
一実施形態では、脱離ステップは、ポリエチレンアミン化合物のCO2付加物と水とを反応させて、CO2および対応するエチレンアミン化合物を形成するステップを含む。この実施形態は、本明細書で脱着ステップとも示される。
【0069】
別の実施形態では、脱離ステップは、ポリエチレンアミン化合物のCO2付加物と無機塩基とを反応させて、ポリエチレンアミン化合物および炭酸塩の形成を得ることによって実施される。このステップは、本明細書では苛性処理ステップとも示される。本発明の文脈において、無機塩基は、炭素-炭素結合を含有しないルイスまたはブレンステッド塩基である。多くの実施形態において、無機塩基は、金属、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属陽イオンを含有し、多くの実施形態でそれはブレンステッド塩基である。好ましくは、無機塩基は、炭素-炭素結合を含有せずかつ1未満のpKbを有する塩基である、強無機塩基である。
【0070】
別の実施形態では、脱離ステップは、カルボニル基をポリエチレンアミン化合物のCO2付加物から、-NH-CH2-CH2-NH-部分もしくはNH-CH2-CH2-OH部分またはHO-CH2-CH2-OHを有する化合物に転移させることによって実施される。このステップは、CO2転移ステップとも示される。
【0071】
本発明の一実施形態では、脱離ステップは、第1の脱離ステップと他の脱離ステップとを含み、第1の脱離ステップおよび他の脱離ステップは独立して、
- ポリエチレンアミン化合物のCO2付加物を水と反応させてCO2および対応するポリエチレンアミン化合物を形成する、脱着ステップ、
- ポリエチレンアミン化合物のCO2付加物を無機塩基と反応させ、その結果、ポリエチレンアミン化合物および炭酸塩の形成をもたらす、苛性処理ステップ、および
- ポリエチレンアミン化合物のCO2付加物からのカルボニル基が、-NH-CH2-CH2-NH-部分もしくは-NH-CH2-CH2-OH部分またはHO-CH2-CH2-OHを有する化合物に転移する、CO2転移ステップ
の群から選択され、
第1の脱離ステップは、そこへの供給材中に存在するポリエチレンアミンのCO2付加物の一部をポリエチレンアミン化合物に変換し、一方、第1の脱離ステップへの供給材中に存在するポリエチレンアミンのCO2付加物の一部は、第1の脱離ステップで変換されず、第2の脱離ステップに供給される。当然ながら、さらなる脱離ステップを設けることも可能である。
【0072】
第1の脱離ステップが脱着ステップまたはCO2転移ステップであり、他の脱離ステップが脱着ステップまたは苛性処理ステップであり、これらのステップが同じではないことが、好ましいと考えられる。
【0073】
一実施形態では、脱離ステップは、全てのCO2付加物がポリエチレンアミン化合物に変換されるわけではない脱着ステップを含む。したがって、脱着ステップから得られる生成物は、ポリエチレンアミン化合物のCO2付加物を依然として含み得る。この場合は、CO2付加物が、より低沸点の出発材料のCO2付加物ではなく、一般に、高級ポリエチレンアミン化合物のCO2付加物であることが見出された。この場合、分離ステップが実施されるなら、第1の場所で出発材料の、第2の場所で高級ポリエチレンアミン化合物の生成物画分の、および第3の場所で高級ポリエチレンアミン化合物のCO2付加物を含む画分の、分離をもたらす。
【0074】
脱着ステップ
本発明の一実施形態で実施される脱着ステップでは、エチレンアミン化合物のCO2付加物が、水との反応によってエチレンアミン化合物に変換され、CO2が除去される。反応は、液相で行われる。
【0075】
水との反応は、一般に、少なくとも150℃の温度で生じる。反応温度が150℃よりも低い場合、エチレンアミン化合物のCO2付加物は、かなりの程度まで反応しなくなる。反応は、少なくとも180℃の温度で、特に少なくとも200℃で、より特別には少なくとも230℃で、またはさらに少なくとも250℃で実施されることが好ましい。好ましくは、このステップ中の温度は400℃を超えず、特に最高で350℃であり、より特別には最高で320℃である。
【0076】
方法の間の圧力は、反応媒体が液相にある限り重要ではない。一般的な範囲として、所望の温度に応じて0.5から100baraの値が挙げられる。CO2除去ステップは、媒体中に十分な量のアミンおよび水が維持されるよう、少なくとも5barの圧力で、特に少なくとも10barで実施されることが好ましい。高圧装置に伴う高コストに鑑み、圧力は、最大で50bar、特に最大で40barであることが好ましいと考えられる。
【0077】
水の量は、所望の程度の変換におよびプロセス条件に依存する。一般に水の量は、供給材料中のCO2付加物部分のモル当たり、少なくとも0.1モルである。より多くの量がしばしば使用され、例えばCO2付加物部分のモル当たり少なくとも0.2モル、特にCO2付加物部分のモル当たり少なくとも0.5モルの水が使用される。最大値は、本発明による方法に関して重要ではないが、多過ぎる量の水は、不必要に大きい設備が必要になることに繋がる。一般的な最大値として、環状エチレンCO2付加物部分のモル当たり最大で500モルの水の量が挙げられ、特に最大で300モル、より特別には最大で200モル、一部の実施形態では最大で100モル、または最大で50モルである。
【0078】
反応温度および所望の変換の程度に応じて、反応時間を広い範囲内で変化させることができ、例えば少なくとも1分、特に少なくとも5分、より特別には15分から24時間の間にすることができる。一実施形態では、反応時間は少なくとも30分であってもよく、または少なくとも1時間であってもよい。反応時間は、1時間から12時間の間で、特に1時間から6時間の間で変化することが好ましいと考えられる。より低い温度を使用するとき、所望の変換の程度を得るために、より長い反応時間が必要とされる可能性がある。
【0079】
本発明の一実施形態では、脱着ステップは、液相中のエチレンアミン化合物のCO2付加物と水とを、CO2付加物部分のモル当たり0.1~20モルの水の量で、少なくとも230℃の温度で反応させ、CO2を除去することによって実施される。比較的高い温度およびCO2の除去と組み合わせた、少量の水の使用は、変換が良好でありかつ副生成物の形成が少ない効率的な方法をもたらすことがわかった。本発明による方法のこの実施形態では、CO2付加物部分のモル当たり最大で20モルという比較的限られた量の水で、良好な変換を得ることが可能であることがわかった。さらに少ない量の水で、例えばCO2付加物部分のモル当たり最大で15モルの水の量で、より特別にはCO2付加物部分のモル当たり最大で10モルの水の量で、またはさらにCO2付加物部分のモル当たり最大で5モルの水で、作用することが可能であることがわかった。
【0080】
CO2付加物部分のモル当たり0.1~20モルの水の範囲は、反応の開始時に供給材料中の尿素部分の量に対して計算された、方法の間に添加された水の全量を指す。完全変換を得るには、変換されるCO2付加物部分のモル当たり、水1モルが必要である。完全変換は必ずしも必要ではないので、より少ない量の水が可能となり得る。したがって、水は、CO2付加物部分のモル当たり少なくとも0.1モルの量で使用される。より高い量がしばしば使用され、例えばCO2付加物部分のモル当たり少なくとも0.2モル、特にCO2付加物部分のモル当たり少なくとも0.5モルの水が使用される。
【0081】
水は、脱着ステップの開始時に、1回の投与で添加することができる。しかし、数回の投与でまたは連続的に、方法の間に水を添加することが好ましい。連続操作では、多数の供給点を使用してもよい。添加される水の量を、反応によって消費される水の量に一致させることによって、反応混合物中の過剰な水を制限することができる。このことは、副生成物の形成を制限することがわかった。
【0082】
水と尿素部分とのモル比は、液体反応媒体中に存在する水に対して計算される。水が水蒸気の形で添加される場合、これは水の添加と反応混合物への熱の供給とを組み合わせるのに魅力的な実施形態となり得るが、水蒸気中の水の大部分は、液体反応媒体に吸収されなくなる。所望の量の水が反応媒体により吸収されるように、流れを介して水添加プロセスの条件を調節することは、当業者がなし得る範囲内である。水は、反応の開始時から、例えば方法によって供給材料が生成された結果として、供給材料中に存在することもできる。水は、液体として添加することもできる。
【0083】
脱着ステップの一実施形態では、CO2が除去される。CO2の除去は、エチレン尿素からエチレンアミン化合物への変換が終了したときに実施することができる。しかし、反応中にCO2除去を実施することが好ましい。CO2の除去は、当技術分野で公知のやり方で実施することができる。これを行う最も基本的なやり方は、反応槽を排気することである。ストリッピング流体、特にストリッピングガスを、CO2除去速度を上昇させるのに使用することができる。CO2の除去を改善するためのその他の対策は、当業者に明らかにされ、反応混合物の撹拌、ストリッピングガスの散布、薄膜蒸着、パッキングまたはトレイの使用などのような対策を含む。
【0084】
ストリッピングガスが使用される場合、流量は、典型的には、反応器の容積1m3当たり1時間につき少なくとも1m3であり(反応温度および圧力で)、反応器の容積1m3当たり1時間につき最大で100m3である(反応温度および圧力で)。ストリッピング流量は、反応器の槽内での液体の蒸発によって発生させることができ、その結果、ストリッピングガスのin situでの発生がもたらされる。上記範囲は、この実施形態にも適用される。当然ながら、ストリッピングガスの添加と、ストリッピングガスのin situでの形成とを組み合わせることも可能である。
【0085】
CO2除去ステップから除去されたCO2含有ストリッピング流体は、例えば、1から99モル%のCO2を含む。他の実施形態では、ストリッピング流体は、1~80モル%のCO2、または1~60モル%のCO2を含んでいてもよい。一部の実施形態では、CO2除去ステップからの流出物は、1~40モル%のCO2、または1~20モル%のCO2を含んでいてもよい。より少ないCO2含量は、より効率的なストリッピングをもたらすが、より多くのストリッピングガスの使用ももたらす。これらのパラメーターの間の適切なバランスを見出すことは、当業者の範囲内である。
【0086】
そのように望まれる場合、脱着ステップは、第1級アミン、環状第2級アミン、および2環式第3級アミンの群から選択されるアミン化合物の存在下、水により実施することができる。
【0087】
第1級アミンは、アミン基が式R4-NH2のものであるアミン官能性化合物であり、式中、R4は、任意の有機基、好ましくは、酸素および/または窒素などの任意選択のヘテロ原子を持つ脂肪族炭化水素とすることができる。第2級環状アミンは、式R5-NH-R6のアミンであり、式中、R5およびR6は一緒になって、任意選択で酸素および/または窒素などのヘテロ原子を持つ炭化水素環、好ましくはピペラジン環を形成する。第3級2環式アミンは、式R7-N(-R9)-R8のアミンであり、式中R7およびR8は一緒になって、任意選択で酸素および/または窒素などのヘテロ原子を持つ炭化水素環を形成し、R7およびR9は一緒になって、任意選択で酸素および/または窒素などのヘテロ原子を持つ別の炭化水素環を形成する。上記の基R4からR9の全てに関し、アルキルまたはヒドロキシアルキル基のような置換基が存在することができる。第1級アミン、環状第2級アミン、および2環式第3級アミンは全て、立体的に比較的障害を受けていないアミン基を含有する。本文書において、化合物中のアミン基の1つが第1級アミンまたは第2級環状アミンまたは第3級2環式アミン基である場合、この化合物が、その性質が異なっていてもよい他のアミン基を含有するか否かとは無関係に、化合物は、第1級アミンまたは第2級環状アミンまたは第3級2環式アミンと定義される。化合物は、2個以上の異なるアミン官能基、例えば第1級アミンおよび第2級環状アミン官能基、または第1級アミン、第2級環状アミン、および第3級2環式アミン官能基を含有することもできる。
【0088】
第1級アミンの好ましい例は、アルキルアミン、直鎖状エチレンアミン、およびアルカノールアミンである。環状第2級アミンの好ましい例は、末端ピペラジン環を含有するアミンである。2環式第3級アミンの好ましい例は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-イル)メタノール、および1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(キヌクリジン)である。
【0089】
アミン化合物は、好ましくは、複数のアミン基を持つ化合物であって、アミン基の少なくとも1個が第1級アミンである化合物であり、さらにより好ましくは、2個のアミン基が第1級アミンである、アミンである。
【0090】
好ましいアミン化合物には、エチレンジアミン(EDA)、N-メチルエチレンジアミン(MeEDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、エタノールアミン(MEA)、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)、ピペラジン(PIP)、N-アミノエチルピペラジン(AEP)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-イル)メタノール、トリエチレンテトラミン(TETA)、N-ジエチルジアミン-2-イミダゾリジノン(U1TETA)、N,N’-ジアミノエチルピペラジン(DAEP)、N, N’-ジアミノエチル-2-イミダゾリジノン(U2TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)ならびにTEPAおよびPEHAの単環式尿素(即ち、U1TEPA、U2TEPA、U1PEHA、U2PEHA、U3PEHA)、およびPEHAの2環式尿素異性体(即ち、DUPEHA)、ポリエチレンイミン(PEI)、または固体担体上のエチレンアミンが含まれる。
【0091】
アミン化合物は、好ましくは、CO2付加物部分のモル当たり0.001から100当量の間のモル量で、より好ましくは0.01から50当量の間、さらにより好ましくは0.05から30当量の間、さらにより好ましくは0.15から25当量の間、最も好ましくは0.20から20当量の間で存在する。
【0092】
脱着ステップで、エチレンアミン化合物のCO2付加物は、CO2およびエチレンアミン化合物に変換される。系内のCO2付加物部分の少なくとも10モル%が、対応するエチレンアミン部分に変換されることが好ましい。最大値は、後に続く脱着およびリサイクルステップに依存することになる。
【0093】
(強)無機塩基による処理
一実施形態で、脱離ステップは、(強)無機塩基を使用して実施される。本発明の文脈において、強無機塩基は、炭素-炭素結合を含有せずかつ1未満のpKbを有する材料を持つ塩基である。
【0094】
一実施形態では、強無機塩基は、金属水酸化物の群から、特にアルカリおよびアルカリ土類金属の水酸化物の群から、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および水酸化バリウムから選択される。一実施形態では、強無機塩基は、金属酸化物の群から、特にアルカリおよびアルカリ土類金属の酸化物の群から、特に酸化カルシウム、酸化マグネシウム、および酸化バリウムから選択される。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、(水)酸化マグネシウム、および(水)酸化カルシウムの群から強無機塩を選択することが、好ましいと考えられる。水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムの使用は、特に好ましいと見なすことができる。水酸化アンモニウムなど、その他の強無機塩基を使用してもよい。当業者に明らかにされるように、様々な無機塩基の混合物を使用することができる。反応媒体中で無機塩基に変換される化合物のように、塩基を含む化合物をその他の成分に加えて使用することもできる。
【0095】
無機塩基とCO2付加物部分とのモル比の下限は、重要ではない。少なくとも0.2:1の値が挙げられる。CO2付加物部分から対応するエチレンアミン化合物への完全変換を得ることが望まれる場合、より多くの量の使用が好ましいと考えられ、例えば少なくとも0.5:1のモル比、特に少なくとも1:1のモル比である。反応速度を増大させるのに、より多くの量を使用することが好ましいと考えられ、例えば無機塩基とCO2付加物部分とのモル比は少なくとも1.5:1、特に少なくとも2:1である。
【0096】
大量の塩基はさらなる変換に寄与せず、追加のコストをもたらすことになるので、無機塩基での処理へと供給される生成物中の、無機塩基とCO2付加物部分のモル量とのモル比は、最大で20:1、特に最大で15:1、より特別には最大で10:1であることが好ましい。従来技術で開示されてきたものに対し、さらに少ない量の無機塩基で、十分にできることがわかった。より特別には、良好な結果は、最大で7.5:1、特に最大で6.5:1、さらにより特別には最大で5.5:1の、無機塩基とCO2付加物部分とのモル比で得ることができることがわかった。最大で5.5:1のモル比の使用は、CO2付加物部分の完全変換と、得られるエチレンアミン化合物の高収率とをもたらすことがわかった。CO2付加物部分のモル当たり、さらに少ない無機塩基を、例えば最大で5:1のモル比で、特に最大で4:1、より特別には最大で3:1のモル比で使用することが好ましいと考えられる。モル比は、苛性処理ステップに提供される供給材中のCO2付加物部分のモル量に対して計算される。
【0097】
無機塩基での処理は、例えば、無機塩基の濃縮された水溶液で処理されることになる材料を接触させることによって、実施することができる。塩基の性質、および反応混合物のその他の組成に応じて、塩基を固体形態で添加し、それを反応媒体に溶解することが可能であってもよい。当業者に明らかにされるように、その目的は、塩基を溶解状態にすることであり、したがってヒドロキシ基はCO2付加物と反応できるようになると共に反応媒体の不必要な希釈が回避されるようになる。
【0098】
反応は、室温から400℃の間の温度で実施することができる。温度および圧力は、反応混合物が液相にあるように選択されるべきである。より高い温度は、反応時間の短縮に繋がるので有利である。反応を、少なくとも100℃の温度で、特に少なくとも140℃、特に少なくとも170℃で実施することが好ましいと考えられる。一方、より高い温度は、副生成物の望ましくない形成をもたらす可能性がある。したがって、反応を、最高350℃の温度で、特に最高280℃で実施することが好ましいと考えられる。
【0099】
反応温度に応じて、反応時間は広い範囲内で様々にすることができ、例えば15分から24時間の間にすることができる。反応時間は、1時間から12時間の間、特に1時間から6時間の間で様々であることが好ましいと考えられる。より少ない量の塩基を使用するとき、所望の変換の程度を得るのに、より長い反応時間を必要とする可能性がある。
【0100】
一実施形態では、本明細書の他の箇所で論じられるように、第2の反応シーケンスからの苛性処理ステップを、第1の反応シーケンスからの苛性処理脱離ステップと組み合わせてもよい。その場合、エチレンアミン化合物のCO2付加物から対応するエチレンアミン化合物への変換は、エチレンアミンハロゲン化水素塩からエチレンアミンへの変換よりも厳しい条件を必要とする。したがって、2つの反応が単一のステップで組み合わされる場合、条件および塩基の量は、両方の反応が行われるように選択されるべきである。エチレンアミンのCO2付加物から対応するエチレンアミンへの変換に関する上述の条件が、十分であるべきである。
【0101】
反応が終了すると、エチレンアミン化合物と、無機塩基の炭酸塩とを含有する、反応混合物が得られることになる。塩は、当技術分野で公知の方法によって、例えば塩が固体形態にある場合には濾過によって、除去することができる。
【0102】
本発明による方法は、バッチ操作、供給バッチ操作、または連続操作、例えば連続流動反応器のカスケードで実施することができる。操作の規模に応じて、連続操作が好ましいと考えられる。
【0103】
脱離ステップの組合せ
脱離ステップの特定の組合せは、脱着ステップと、その後の強無機塩基での処理を、任意選択で、所望の化合物が除去された分離ステップの後に含む。
【0104】
一実施形態では、この組合せは、
- 第1のステップにおいて、液相の環状エチレン尿素を水と反応させて、CO2を除去して、供給材料中のエチレン尿素部分の5モル%から95モル%の間を対応するアミンに変換するようにすることにより、環状エチレン尿素をその対応するエチレンアミンに変換すること、および
- 第2のステップにおいて、無機塩基を添加し、第1のステップの残りの環状エチレン尿素を、無機塩基と反応させて、それらを完全にまたは部分的にそれらの対応するエチレンアミンに変換すること
を含む方法による、環状エチレン尿素からその対応するエチレンアミンへの変換を包含する。
【0105】
脱離ステップの別の特定の組合せは、1つまたは複数の脱着ステップと、1つまたは複数の反応分離ステップとの組合せを含む。反応分離は、CO2転移を包含し、生成物ポリエチレンアミン化合物のCO2付加物からのカルボニル基が、-NH-CH2-CH2-NH-部分もしくはNH-CH2-CH2-OH部分またはHO-CH2-CH2-OHを有する化合物に転移される。
【0106】
一実施形態では、この組合せは、
- 液相にある環状エチレン尿素を、CO2を除去した水と反応させることによって、環状エチレン尿素がその対応するエチレンアミンに変換される、脱着ステップと
- 方法の間に形成されるエチレンアミンよりも高い沸点を有する第1級アミンまたは第2級アミンの群から選択されるアミン化合物との反応によって、環状エチレン尿素がその対応するエチレンアミンに変換される、反応分離ステップと
を含む方法による、環状エチレン尿素を含む供給材料からその対応するエチレンアミンへの変換を包含する。
【0107】
反応分離ステップは、好ましくは、反応蒸留ステップとして実施されてもよい。この実施形態は、反応ステップの文脈において既に論じられた。
【0108】
一実施形態では、脱着ステップが反応分離ステップに先行する。別の実施形態では、反応分離ステップが脱着ステップに先行する。少なくとも2つの脱着ステップを行って、1つまたは複数の反応分離ステップをそれらの間で行うことも可能であり、または少なくとも2つの反応分離ステップを行って、1つまたは複数の反応脱着ステップをそれらの間で行うことも可能である。
【0109】
反応分離ステップは、任意の適切な圧力で実行されてもよい。反応中、反応分離システムの圧力は、好ましくは最大で127bara、より好ましくは最大で50bara、さらにより好ましくは最大で25baraである。反応媒体の組成に応じて、より低い圧力、例えば15bar未満、または5bar未満を加えてもよい。方法は、大気圧よりも低い圧力、例えば700mbara未満、より好ましくは100mbaraよりも低い、さらにより好ましくは25mbaraよりも低い、最も好ましくは5mbaraよりの低い圧力で実施することもできる。一般に、圧力は少なくとも0.1mbaraになる。
【0110】
反応分離ステップは、好ましくは少なくとも150℃の温度、特に少なくとも180℃、一部の実施形態では少なくとも200℃、または少なくとも230℃、場合によっては250℃で実施される。好ましくは、方法の間の温度は400℃を超えず、より好ましくは350℃である。一実施形態では、反応分離ステップ、アミン除去ステップは、180~300℃の範囲の温度、および最大で2000mbaraの圧力、特に最大で1000mbara、より特別には最大で500mbara、より特別には最大で200mbaraで実施される。反応分離ステップは、200~260℃の温度、および最大で50mbaraの圧力で実施することが好ましいと考えられる。反応分離ステップは、一般に、1分から12時間の間の時間で行われる。好ましくは、反応分離ステップは、10時間未満、より好ましくは8時間未満、最も好ましくは5時間未満実行される。
【0111】
一部の実施形態では、反応ステップを、分離、および/または脱離ステップと、反応蒸留などの反応分離ステップを行うことによって、少なくとも部分的に組み合わせることが好ましい。反応分離ステップでは、上記反応ステップは、出発化合物のCO2付加物が反応して生成物ポリエチレンアミンのCO2付加物をもたらすように選択された条件下で、その役割を見出し、同じ反応分離では、形成された生成物ポリエチレンアミンのCO2付加物が、他の成分から分離され、またはそのCO部分を、出発化合物または副生成物のいずれかのままとすることができる反応器内の別の成分に転移させる。
【0112】
一実施形態では、エチレンアミン化合物のCO2付加物が、その対応するエチレンアミン化合物に、方法の間に形成されたエチレンアミン化合物よりも高い沸点を有する第1級アミンまたは第2級アミンの群から選択されるアミン化合物との反応によって変換され、この方法は反応分離法であり、反応混合物は、反応混合物の全重量に対して水を10重量%未満含有する。全反応混合物に対して水が7重量%未満で、反応を実施することが好ましいと考えられる。圧力は、25bara未満であること、特に500mbara未満であることが好ましいと考えられる。一般に反応は、少なくとも150℃の温度で行われることになる。
【0113】
第2の反応シーケンス
第2の反応シーケンスは、
- 二塩化エチレン反応ステップにおいて、二塩化エチレンと、アンモニア、エチレンアミン、および/またはエタノールアミンの群から選択される少なくとも1種の化合物と反応させて、エチレンアミンおよび/またはエタノールアミンの塩酸塩を形成するステップと、
- 苛性処理ステップにおいて、エチレンアミンまたはエタノールアミンの塩酸塩と塩基とを反応させて、エチレンアミン化合物および無機塩化物塩を形成するステップと、
- 塩分離ステップにおいて、無機塩をエチレンアミン化合物から分離するステップと
を含む。
【0114】
二塩化エチレン反応ステップは、一般に100~220℃の範囲で、特に120~200℃の範囲で実施される。
【0115】
二塩化エチレン反応ステップにおける圧力は、一般に1~80barの範囲、特に5~80barである。特に、アンモニアが反応物として使用される場合、比較的高い圧力で、例えば10~80barの範囲、特に20~50barで作用させることが好ましいと考えられる。
【0116】
反応に必要な時間は、所望の変換の程度、反応物の性質および濃度、ならびに反応温度に依存することになる。一般に、反応時間は5分から24時間の間になり、より詳細には10分から12時間の範囲、一部の実施形態では0.5から8時間の範囲になる。
【0117】
苛性処理ステップでは、二塩化エチレン反応ステップで形成されたエチレンアミンまたはエタノールアミンの塩酸塩を、塩基と反応させて、エチレンアミン化合物および無機塩化物塩と、副生成物として塩化物塩とを形成する。
【0118】
NaOHおよびKOHなどの強無機塩基の使用は、一般に、経済的な観点から好ましく、それは得られるNa-ハロゲン化物塩およびK-ハロゲン化物塩を生成物から分離することが比較的容易だからである。
【0119】
塩基の量は、エチレンアミンまたはエタノールアミンの塩酸塩の量から計算することができる。一般に、塩基から誘導された水酸化物イオンと塩における塩化物イオンとのモル比は、1:1から10:1の範囲にある。塩基は、溶解形態で、例えば水溶液の形で提供することができ、反応は、一般に0から200℃の範囲の温度で、特に10から150℃の範囲の温度で行われることになる。
【0120】
反応圧力は、それほど重要ではなく、例えば大気圧から15barの範囲、より詳細には大気圧から3barの範囲とすることができる。一般に、中和ステップの処理時間は、1分から24時間の間、より詳細には10分から12時間の範囲、一部の実施形態では、0.5から8時間の範囲になる。
【0121】
第2の反応シーケンスは、無機塩化物塩がエチレンアミン化合物から分離される塩分離ステップも含む。このステップは、様々な手法で実施することができる。例えば、エチレンアミン化合物は、蒸発によって除去することができる。別の例では、エチレンアミン化合物は、結晶化およびその後の相分離によって除去することができる。さらなる実施例では、逆溶媒の添加が、溶液中にハロゲン化物塩を保持しながらエチレンアミン化合物の沈殿をもたらす可能性があり、またはその逆も同様であり、その後、沈殿物が除去される。様々な分離方法の組合せも可能である。
【0122】
第1および第2の反応シーケンスの接続
本発明による方法では、第1の反応シーケンスおよび第2の反応シーケンスは、下記:
- 第1の反応シーケンスのステップからの流出物が、出発材料として第2の反応シーケンスのステップに供給され、
- 第2の反応シーケンスのステップからの流出物が、出発材料として第1の反応シーケンスのステップに供給され、
- 第1の反応シーケンスからのステップおよび第2の反応シーケンスからのステップが組み合わされ、または
- 第1の反応シーケンスのステップからの流出物が、第2の反応シーケンスのステップからの流出物と組み合わされる
の少なくとも1つが行われる点において、接続される。
【0123】
第1の反応シーケンスおよび第2の反応シーケンスを接続することができる数多くの方法がある。
【0124】
一実施形態では、第2の反応シーケンスで生成されたエチレンアミンが、第1の反応シーケンスにおける吸収ステップ、鎖延長ステップ、および脱離ステップの1つまたは複数に供給され、特に鎖延長ステップおよび/または脱離ステップに供給される。この実施形態は、より高い需要にあるものに、その需要が少ない生成物の産出量をシフトさせることにより、生成物スレート柔軟性の増大を可能にするので、有利である。さらに、非分離(反応)混合物を移送することによって、分離ステップに対する負荷を低減させることができ、そのことが運用コスト(エネルギー、水蒸気)および生産能力に関してプロセス効率を増大させる。
【0125】
一実施形態では、第1の反応シーケンスからのエチレンアミン化合物のCO2付加物が、第2の反応シーケンスの苛性処理ステップに供給される。このことは、第1の反応シーケンスからの脱離ステップおよび第2の反応シーケンスからの苛性処理の組合せを可能にし、装置の改善された使用に役立つ。得られた生成物の後処理も組み合わされ、その場合も装置のより効率的な使用とCAPEXおよびOPEXの節約とに役立つ。
【0126】
一実施形態では、第1の反応シーケンスの脱離ステップは苛性処理を含み、第1の反応シーケンスの苛性処理の生成物は、第2の反応シーケンスの苛性処理からの生成物と組み合わされ、組み合わされた生成物は、塩分離ステップに供される。この実施形態は、上記にて論じた実施形態に近い。この場合、生成物の後処理を組み合わせるが、脱離ステップおよび苛性処理ステップは別々に実施され、したがって指定された条件に合わせて調整することができる。例えば、第1の反応シーケンスの苛性処理と第2の反応シーケンスの苛性処理は、異なる塩をもたらす可能性があり、苛性処理を別々に行うことによって、得られる塩の水蒸気の処理をより容易にすることができる。
【0127】
一実施形態では、第1の反応シーケンスからのエチレンアミン反応混合物は、第2の反応シーケンスのエチレンアミン反応混合物と組み合わされ、組み合わされた生成物は、分離ステップに供される。分離ステップを組み合わせる様々な方法は、両方の反応シーケンスの生成物全体を組み合わせることから、1つの反応シーケンスの生成物の全体を別の反応シーケンスの生成物の一部と組み合わせること、および1つの反応シーケンスの生成物の一部を別の反応シーケンスの生成物の一部と組み合わせることまで、考え出すことができる。一般に、分離ステップを組み合わせることは、装置コストおよび運転コストの両方に関して、運転の観点から効率を増大させるのに役立つ。
【0128】
一実施形態では、第1の反応シーケンスからのエチレンアミンのCO2付加物は、第2の反応シーケンスからの二塩化エチレン反応ステップに供給される。
【0129】
この実施形態の利点は、生成物としてエチレンアミン化合物のCO2付加物も含めたより高い需要にあるものに、その需要が低い生成物の産出量をシフトすることによって、生成物スレート柔軟性を増大させることができる点である。この実施形態の特定の利点は、尿素基が遮断基として作用することができ、それによって環状化合物の形成が低減するので、第2の反応シーケンスに対するエチレンアミン化合物のCO2付加物の供給が、直鎖高級エチレンアミン生成物である化合物のより高い収率を確実にすることができることである。
【0130】
一実施形態では、第1の反応シーケンスで形成されたCO2付加物が、第2の反応シーケンスの二塩化エチレン反応ステップに供給され、第2の反応シーケンスの二塩化エチレン反応ステップまたは苛性処理ステップからのCO2付加物が、第1の反応シーケンスの脱離ステップに供給される。この実施形態は、先の実施形態の利点と、カルボニル含有反応生成物を対応するエチレンアミン化合物に変換する効率的な手法とを組み合わせる。
【0131】
一部の実施形態では、第1の反応シーケンスおよび第2の反応シーケンスは、下記の点において接続される:
- 第2の反応シーケンスで生成されたエチレンアミンが、第1の反応シーケンスの吸収ステップ、鎖延長ステップ、および脱離ステップの1つまたは複数の位置に供給され、特に鎖延長ステップおよび/または脱離ステップに供給される、ならびに
- 第2の反応シーケンスの塩分離ステップからのエチレンアミン生成物が、分画ステップに供給されて、種々のエチレンアミン生成物画分に分画され、エチレンアミン化合物画分が、第1の反応シーケンスの脱離ステップから引き出されかつ第2の反応シーケンスから前記分画ステップに供給され、および/または第1の反応シーケンスの分離ステップから引き出された生成物が、第2の反応シーケンスの分画ステップに供給される。
【0132】
第2の反応シーケンスの分画ステップから1つまたは複数の画分を第1の反応シーケンスに供給すること、およびその逆の組合せは、設備の特に効率的な使用を可能にし、市場の需要に対して生成された生成物の性質を調整することを可能にする。
【0133】
本出願の図は、これを有効にすることができる様々な手法を示す。順序を接続する様々な手法は、それらが異なる図に提示される場合であっても組み合わせることができることが、当業者に明らかにされよう。
【0134】
本発明は、図に限定されずまたは図によって限定されないこれらの図を参照しながら解明されることになる。本明細書に提示される全てのプロセスおよび図に関し、下記が適用される。
- 中間分離ステップは、それらが指定もされずまたは図示されない場合も存在し得る。
- プロセスステップからの流出物は、分離ステップが実施された後であってもそうでなくても、その一部または全体をその他のプロセスステップに供給することができる。
- 出発材料または中間生成物の適切なリサイクルは、指定も図示もされない場合であっても実施され得る。
- パージ流および構成流は、指定も図示もされない場合であっても存在し得る。
- 反応物は、これが指定も図示もされない場合であっても、個々にまたは組合せで提供され得る。
- 図中の異なるステップは、必ずしも異なるユニットまたは反応器を指すものではない。
- 本発明の実施形態は、それらが相互に排他的ではない限り、組み合わされてもよい。
- 図の要素は組み合わせることができ、記述から明らかにされるように、図示される全ての要素が特定の実施形態に必須であるとは限らない。
- 反応流は、簡略した表現であるエチレンアミン化合物で示される場合がある。この表現は、当業者に明らかにされるように、その他の化合物、例えば存在する場合にはエタノールアミン化合物または例えば存在する場合にはエチレンアミンもしくはエタノールアミン化合物のCO付加物も含有し得る画分の含量を限定すると解釈されるべきではない。
【0135】
図1は、第2の反応シーケンスにおけるステップからの流出物が第1の反応シーケンスにおけるステップに供給されるという点で2つの反応シーケンスが接続される、本発明の第1の実施形態を示す。
【0136】
図1において、-NH-CH
2-CH
2-NH-部分もしくは-NH-CH
2-CH
2-OH部分またはHO-CH
2-CH
2-OHを含む出発化合物は、ライン1を経て付加ステップ2に供給され、そこでは炭素酸化物送達剤がライン3を経て添加される。得られた付加物は、ライン4を経て鎖延長反応ステップ5に供給される。追加の反応物は、図示されないラインを経て鎖延長反応ステップ5に供給することができる。例えば、付加ステップからの生成物がエチレンアミン化合物のCO
2付加物である場合、エタノールアミン化合物は、鎖延長反応ステップ5に供給することができる。鎖延長反応ステップ5からの流出物は、ライン6を経て脱離ステップ7に供給される。CO
2脱離ステップ7では、エチレンアミン化合物のCO
2付加物が、対応するエチレンアミン化合物に変換され、それがライン9を経て引き出される。生成物エチレンアミン化合物のCO
2付加物から脱離されたカルボニル基を含む化合物は、ライン10を経て引き出される。したがって図のこの部分は、第1の反応シーケンスを示す。
【0137】
図のその他の部分において、二塩化エチレンは、ライン301を経てEDC反応300に供給され、そこではライン302を経て供給されたアンモニア、エチレンアミン、および/またはエタノールアミンの群から選択される少なくとも化合物と組み合わされる。エチレンアミン化合物の塩酸塩を含む反応媒体は、ライン303を経て引き出され、苛性処理ステップ320に供給される。苛性処理ステップ320では、エチレンアミン化合物の塩酸塩を、ライン321を経て供給された強無機塩基と反応させて、エチレンアミン化合物および無機塩化物塩を形成する。無機塩化物塩は、塩分離ステップ(図示せず)でエチレンアミン化合物から分離され、ライン322を経て引き出される。エチレンアミン化合物の画分は、ライン324を経て引き出され、この図に示される場合、分画ステップ330に供給され、そこでエチレンアミン化合物の画分が種々の画分に分離される。
図1に示される実施形態では、2つのプロセス順序は、エチレンアミン化合物画分が第2の反応シーケンスの分離ステップ330から引き出され、かつ第1の反応シーケンスに、この場合は付加ステップ2に、ライン401を経て供給されるという点で接続される。当業者に明らかにされるように、組成物と画分の量とは、意のままに選択され得る。任意選択で、中間分離ステップが実施されてもよい。そのように望まれる場合、さらなる画分を、分離ステップ330から引き出し、鎖延長反応ステップ5にライン402を経て供給することができる。2つの画分の組成は、同じでも異なっていてもよく、画分401および402の1つのみ有することが可能であることも、当業者に明らかにされよう。さらなるエチレンアミン化合物の画分は、ライン331を経て引き出される。
【0138】
このように、本発明の一実施形態では、第2の反応シーケンスで生成されたエチレンアミンが、第1の反応シーケンスの吸収ステップおよび/または鎖延長ステップに供給される。
【0139】
この実施形態は、第2の反応シーケンスで発生した低分子量エチレンアミン化合物画分を、第1の反応シーケンスの方法を経てより高い分子量のエチレンアミン化合物の製造における出発材料として使用するのを可能にするので、魅力的であり得る。一般に、この実施形態は、より高い需要にあるものに、その需要が少ない生成物の産出量をシフトすることによって、生成物スレート柔軟性を増大させる。さらに、非分離(反応)混合物を移送することによって、分離ユニット330における負荷が低減され、そのことが、運転コスト(エネルギー、水蒸気)および生産能力に関してプロセス効率を増大させる。
【0140】
図2は、第1の反応シーケンスのステップからの流出物が第2の反応シーケンスのステップに供給される点で、2つの反応シーケンスが接続される、本発明の第2の実施形態を示す。
【0141】
図2は、
図1と同じ実体を示す。しかしながら
図1に提示されるライン401および402の代わりに、
図2では、エチレンアミン化合物画分がライン403を経て脱離ステップ7から引き出され、分画ステップ330に供給される。本発明に必須ではないが、
図2は、脱離ステップ7の後に供給される分離ステップ14も含有する。分離ステップ14は、種々の画分の分離をもたらす。例えば、出発材料および/または中間体化合物を、ライン16を経て引き出すことができる。それらは、図示されないラインを経て、付加ステップ2および/または鎖延長ステップ5に供給することができる。分離ステップ14は、高級エチレンアミン化合物の生成物画分ももたらし、ライン15を経て引き出される。第1の反応シーケンスからの分離ステップ14からの画分は、例えば図示されるようにライン404を経て第2の反応シーケンスからの分画ステップ330に供給することができる。
【0142】
このように、本発明の一実施形態では、第2の反応シーケンスにおける塩分離ステップからのエチレンアミン生成物が分画ステップに供給され、そこでは種々のエチレンアミン生成物画分に分画され、エチレンアミン化合物画分は、第1の反応シーケンスにおける脱離ステップから引き出され、前記分画ステップに第2の反応シーケンスから供給され、および/または第1の反応シーケンスにおける分離ステップから引き出された生成物は、第2の反応シーケンスにおける分画ステップに供給される。
【0143】
この実施形態は、分離ステップの効率的かつ費用効果のある調整を可能にする。より詳細には、プロセス効率は、両方の反応シーケンスの分離ユニットを組み合わせることによって増大する。これは最小限のコストで最適な生産能力を創出させる。二重のカラムを回避することにより、冗長性が低減される。さらに、この実施形態では、分離ユニットの使用の柔軟性が増大し、様々な画分の調整された処理が可能になる。
【0144】
この実施形態の変形例では、塩分離ステップからの流出物は、その全体を、第1の反応シーケンスの分離セクションに供給することができる。
【0145】
図2Aは、ライン401、402、403、および404の全てが提示される本発明の好ましい実施形態を示す。したがってこの図は、第1の反応シーケンスおよび第2の反応シーケンスが下記の点において接続される、本発明の実施形態の例示である:
- 第2の反応シーケンスで生成されたエチレンアミンが、第1の反応シーケンスの吸収ステップおよび/または鎖延長ステップに供給される、および
- 第2の反応シーケンスの塩分離ステップからのエチレンアミン生成物が、分画ステップに供給され、そこで種々のエチレンアミン生成物画分に分画され、エチレンアミン化合物画分が、第1の反応シーケンスの脱離ステップから引き出され、かつ第2の反応シーケンスから前記分画ステップに供給され、および/または第1の反応シーケンスの分離ステップから引き出された生成物が、第2の反応シーケンスの分画ステップに供給される。
【0146】
第2の反応シーケンスの分画ステップから第1の反応シーケンスにおよびその逆で、1つまたは複数の画分を供給することの組合せは、設備の特に効率的な使用を可能にし、市場の需要に対して生成された生成物の性質を調整するのを可能にする。401および402により例示される流れのいずれかまたは両方、ならびに403および404により例示される流れのいずれかまたは両方を有することが可能である。
【0147】
図3は、本発明のさらなる実施形態を示す。
図3の実施形態では、第1の反応シーケンスのステップからの流出物が、第2の反応シーケンスのステップからの流出物と組み合わされる。
【0148】
図3において、第1の反応シーケンスの脱離ステップ7からライン9を経て引き出されたエチレンアミン化合物を含む流出物は、分離セクション501で、無機塩化物塩から分離した後に、苛性処理ステップ320からライン324を経て引き出された流出物と組み合わされる。この実施形態では、第1の反応シーケンスおよび第2の反応シーケンスにより生成されたエチレンアミン化合物が組み合わされ、組み合わされた分離セクション501に供される。分離セクション501は、多数のユニットで実施される多数の分離ステップ、特に蒸留ステップを含むことができる。当然ながら、中間分離ステップまたは分画ステップ、例えば低沸点出発材料の除去は、それぞれ脱離ステップ7と分離セクション501との間で、および苛性処理320と分離セクション501との間で実施することができる。分離セクション501は、異なる組成の少なくとも2つの流出物の流れの形成をもたらす。
図3は、3つの流出物の流れ、すなわち流れ502、503、および504を示すが、より少ないまたはより多い数の流出物の流れを使用してもよい。分離セクション501が多数のユニットを含む場合、個々のユニットのそれぞれは、分離セクションからの流出物の流れと見なすことができる1つまたは複数の流れを発生させてもよい。例えばこれらの流れの1つは、例えば出発材料を含むより軽沸点のエチレンアミン画分、ならびにエチレンアミンおよびエタノールアミンなどの低沸点生成物である。この水蒸気またはその一部は、そのように望まれる場合には、方法のより早期のステップに、例えば付加ステップ2、鎖延長反応ステップ5、またはEDC反応300に、図示されないラインを経てリサイクルすることができる。流れ502、503、および504の別のものは、例えば高沸点エチレンアミンのCO
2付加物を含む高沸点画分であってもよい。この水蒸気またはその一部は、例えば苛性処理ステップ320に供給することによって、苛性処理に供することができる。しかしながら、分離苛性処理ステップに供することが好ましいと考えられる。これは
図3において、流れ504に関して示され、これは苛性処理ステップ505に供給され、そこでは強無機塩基がライン506を経て添加され、その結果、ライン507を経て引き出されたエチレンアミン化合物の画分およびライン508を経て引き出された炭酸塩が形成される。
【0149】
この実施形態で例示される、組み合わされた分離セクションの使用は、支配的な市場条件に応じて、分離設備のより効率的な使用および生成物画分の効率的な調整を可能にする。
図1、2、および2Aの考察において上記にて提示された分離ユニットの連結に関する利点が参照される。
【0150】
図4は、本発明の他の実施形態を示す。
図4の実施形態では、第1の反応シーケンスのステップおよび第2の反応シーケンスのステップが組み合わされる。より詳細には、第1の反応シーケンスは脱離ステップを含み、生成物エチレンアミン化合物のCO
2付加物が対応する生成物エチレンアミン化合物に変換される。このステップは、生成物エチレンアミン化合物のCO
2付加物を強無機塩基と反応させ、エチレンアミン化合物および炭酸塩の形成をもたらすことによって、実施することができる。このステップは、第2の反応シーケンスからの苛性処理ステップと組み合わせることができ、エチレンアミンまたはエタノールアミン化合物の塩酸塩を塩基と反応させて、エチレンアミン化合物および無機塩化物塩を形成する。
図4において、これは鎖延長反応ステップ5からの流出物を、ライン6を経て分離ステップ509に供給することによって示され、エチレンアミン化合物のCO
2付加物が反応媒体から分離されかつライン510を経て苛性処理320に供給される。分離ステップ509は、例えば出発材料およびエチレアミン化合物を含む、さらなる流出物の流れも発生させ、この流れがライン511を経て引き出される。分離ステップ509なしでかつ鎖延長反応ステップ5の流出物を苛性処理320に直接供給することが可能であるが、中間分離ステップの使用は、苛性処理ステップへの反応物流の体積が制限されるので一般に好ましいと見なされる。この実施形態は、装置の効率的な使用ならびに分離および生成物を組み合わせた後処理に役立つ。分離および生成物のこの組合せの後処理は、2つの別々の分離および後処理の流れの使用と比較して、改善されたCAPEXおよびOPEXをもたらす。
【0151】
この実施形態の変形例において、第1の反応シーケンスでは、無機塩基による処理が実施され、得られた無機塩およびエチレンアミンの混合物を、第2の反応シーケンスの塩分離ステップと組み合わせる。この場合、第1の反応シーケンスおよび第2の反応シーケンスの両方において、無機塩基での処理が実施され、塩の分離およびさらなる生成物の後処理が組み合わされる。この実施形態は、分離および生成物の後処理を組み合わせることによって装置を節約しながら、調整された条件下、異なる反応シーケンスで塩基処理の実施を可能にするので、魅力的であり得る。より詳細には、CO2付加物および塩酸塩の形にある化合物に関して別々の苛性処理ステップを有することは、処理がなされる化合物に合わせて条件を調整できることを、意味することになる。同じことが、塩分離ステップにも適用される。
【0152】
このように、一実施形態では、第1の反応シーケンスからのエチレンアミン化合物のCO
2付加物は、直接または分離ステップを通った後に、第2の反応シーケンスの苛性処理ステップに供給される。この実施形態を、
図1の文脈において既に記述したように、第2の反応シーケンスで生成されたエチレンアミンを第1の反応シーケンスの吸収ステップおよび/または鎖延長ステップに供給することと組み合わせることは、魅力的であり得る。
【0153】
本発明の別の実施形態は、エチレンアミン化合物のCO
2付加物が二塩化エチレン反応ステップに供給される実施形態である。これは生成物としてCO
2付加化合物を含む、より高い需要にあるものに、その需要が少ない生成物の産出量をシフトすることによって、反応生成物の組成を調整するのにまたは生成物スレート柔軟性を増大させるのに有利になり得る。この実施形態の特定の利点は、エチレンアミン化合物のCO
2付加物を第2の反応シーケンスに供給することで、尿素基が遮断基として作用することができそれによって環状化合物の形成が低減されるので、直鎖高級エチレンアミン生成化合物のより高い収率が確実になり得ることである。
図5は、そのような方法の様々な実施形態を例示する。
【0154】
図5では、ライン405によって、付加ステップ2で生成されたCO
2付加物をEDC反応ステップ300に供給することが可能になる。ライン406は、鎖延長反応ステップ5で生成されたCO
2付加物をEDC反応ステップ300に供給するのを可能にする。ライン405および406の両方を有することは必ずしも必要ではないことが明らかにされるが、間違いなく有り得ることである。付加ステップ2から、鎖延長反応ステップ5から、またはその両方から引き出された付加物を、EDC反応ステップ300に供給することが望まれるか否かは、目的とする生成物に依存することになり、鎖延長反応ステップ5からの付加物の供給は、一般に、付加ステップ2からの生成物の供給よりも高い分子量の生成物をもたらすことになる。EDC反応300に供給する前に、付加ステップ2または鎖延長反応ステップ5からの流出物に関して中間分離ステップ(図示せず)を実施することが、可能であり、好ましいと考えられる。この実施形態では、苛性処理320の後に残されるCO
2付加物を脱離ステップ7に、一般には、苛性処理ステップ320からの流出物が分離ステップに供給された後に、供給することが望ましいと考えられる。これは苛性処理ステップ320での条件が、全てのCO
2付加物が苛性処理ステップにおいて対応するアミンに変換されるとは限らないような条件であるときに、魅力的であると考えられる。追加としてまたは代替として、エチレンアミン生成物を、脱離ステップからまたは脱離ステップ後の分離ステップから、EDC反応に供給することも可能である。
【0155】
図6は、本発明による方法の実施形態を示し、鎖延長反応ステップ5からの流出物が、ライン6を経て分離ステップ512に供給され、そこではエチレンアミン化合物のCO
2付加物が反応媒体から分離され、ライン407を経てEDC反応300に供給される。分離ステップ512は、例えば出発材料およびエチレンアミン化合物を含むさらなる流出物も発生させ、ライン513を経て引き出される。分離ステップ512なしで済ませかつ鎖延長反応ステップ5の流出物をEDC反応300に直接供給することが可能であるが、苛性処理ステップへの反応物流の体積が制限されるので、中間分離ステップの使用は一般に好ましいと考えられる。したがってこの実施形態では、脱離ステップ7は苛性処理320と組み合わされ、これは低減された運転のCAPEXおよびOPEXをもたらすので魅力的である。
【符号の説明】
【0156】
1 -NH-CH2-CH2-NH-部分もしくは-NH-CH2-CH2-OH部分またはHO-CH2-CH2-OHを含む、出発化合物
2 付加ステップ
3 炭素酸化物送達剤、例えばCO2
4 付加ステップからの流出物
5 鎖延長反応ステップ
6 鎖延長反応ステップからの流出物
7 脱離ステップ
9 エチレンアミン化合物
10 カルボニル基を含む化合物
14 分離ステップ
15 エチレンアミン化合物生成物画分
16 出発材料および/または中間生成物
300 EDC反応
301 EDC
302 アンモニア、エチレンアミン、および/またはエタノールアミンアンモニアの群から選択される化合物
303 エチレンアミン化合物の塩酸塩
320 苛性処理
321 強無機塩基
322 塩化物塩
324 エチレンアミン化合物
330 分画ステップ
331 エチレンアミン化合物
401 付加ステップへのエチレンアミン化合物
402 鎖延長反応ステップへのエチレンアミン化合物
403 脱離ステップから分画ステップへのエチレンアミン化合物
404 分離ステップから分画ステップへのエチレンアミン化合物
405 -NH-CH2-CH2-NH-部分もしくは-NH-CH2-CH2-OH部分またはHO-CH2-CH2-OHを含む出発化合物のCO2付加物
406 -NH-CH2-CH2-NH-部分もしくは-NH-CH2-CH2-OH部分またはHO-CH2-CH2-OHを含む出発化合物のCO2付加物
407 -NH-CH2-CH2-NH-部分もしくは-NH-CH2-CH2-OH部分またはHO-CH2-CH2-OHを含む出発化合物のCO2付加物
501 分離セクション
502 流出物の流れ
503 流出物の流れ
504 流出物の流れ
505 苛性処理
506 強無機塩基
507 エチレンアミン化合物
508 炭酸塩
509 分離ステップ
510 エチレンアミン化合物のCO2付加物
511 流出物の流れ
512 分離ステップ
513 流出物の流れ
【国際調査報告】