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▶ ネーデルランセ オルハニサチエ フォール トゥーヘパスト−ナツールウェーテンシャッペルック オンデルズク テーエヌオーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-12
(54)【発明の名称】中核温センサ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/01 20060101AFI20220405BHJP
   G01K 13/20 20210101ALI20220405BHJP
【FI】
A61B5/01 100
G01K13/20 341Z
A61B5/01 250
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021548633
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(85)【翻訳文提出日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 NL2020050097
(87)【国際公開番号】W WO2020171701
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】19158064.6
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595115802
【氏名又は名称】ネーデルランセ オルハニサチエ フォール トゥーヘパスト-ナツールウェーテンシャッペルック オンデルズク テーエヌオー
【氏名又は名称原語表記】Nederlandse Organisatie voor toegepast-natuurwetenschappelijk onderzoek TNO
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】スミッツ、エドガー コンスタント ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ヘック、ヘーラルトゥス ティテュス
(72)【発明者】
【氏名】キンフマ、ボリス レネ モトロナ
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン ブランド、イェロン
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XC26
4C117XD04
4C117XD21
4C117XD31
4C117XE03
4C117XE14
4C117XE16
4C117XE20
4C117XE23
(57)【要約】
本開示は、体の表面に中核温センサを適用することにより、非侵襲的な方法で体の中核温を測定するための中核温センサに関する。中核温センサは、第1の断熱材を横切って対向するサーミスタの少なくとも第1のサーミスタ対と、第2の断熱材を横切って対向するサーミスタの第1のサーミスタ対に隣接する第2のサーミスタ対と、血液灌流を測定する手段と、を備える。中核温センサは、対向するキャリアの間に挟まれたそれぞれの第1の断熱材及び第2の断熱材を横切る少なくとも第1のサーミスタ対及び第2のサーミスタ対から形成される、実質的な平面サンドイッチ構造体である。本開示はさらに、中核温を決定するための方法及び中核温センサの製造方法に関する。
【選択図】図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中核温センサ(1)を体(20)の表面(21)に適用することにより、体(20)の中核温(T)を測定するための中核温センサ(1)であって、
第1の断熱材(6)を横切って対向するサーミスタ(4a、5a)の少なくとも第1のサーミスタ対(10)と、
第2の断熱材(7)を横切って対向するサーミスタ(4b、5b)の、前記第1のサーミスタ対(10)に隣接する第2のサーミスタ対(11)と、
を備え、
前記中核温センサ(1)は、対向する第1のキャリア(2)と第2のキャリア(2a)との間に挟まれたそれぞれの前記第1の断熱材(6)及び前記第2の断熱材(7)を横切る少なくとも第1のサーミスタ対(10)及び第2のサーミスタ対(11)から形成される平面サンドイッチ構造体(S)であり、
使用中、体の中核部から周囲(A)への外向きの熱流束(F)及び皮膚血液灌流による熱流に起因する、前記第1の断熱材(6)と前記第2の断熱材(7)とを横切って測定された温度差から、前記中核温(T)を計算することを可能にするために、前記第1の断熱材(6)の熱抵抗(α1)と前記第2の断熱材の熱抵抗(α2)とは異なり、
前記中核温センサは、血液灌流を測定して前記皮膚血液灌流を修正する手段(18)をさらに備える、
中核温センサ(1)。
【請求項2】
第1のキャリア(2)及び第2のキャリア(2a)は、単一の折り畳まれた構造体から形成されている、
請求項1に記載の中核温センサ(1)。
【請求項3】
前記サンドイッチ構造体(S)は、使用中に、前記中核温センサ(1)を周囲温度変動から保護するための断熱カバー層(15)を前記サンドイッチ構造体(S)の外面に備える、
請求項1又は2に記載の中核温センサ(1)。
【請求項4】
前記サンドイッチ構造体(S)は、使用中に、少なくとも第1のサーミスタ対(10)及び第2のサーミスタ対(11)が受ける周囲温度を等しくするためのヒートスプレッダ(16)を備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の中核温センサ(1)。
【請求項5】
前記センサは、前記体(20)の前記表面(21)に接続して中核温パッチ(100)を形成するための面に皮膚適合性接着剤層(17)を備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の中核温センサ(1)。
【請求項6】
前記サーミスタ(4a、4b、5a、5b)から信号を読み取るための伸縮可能な導電性配線(14)をさらに備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載の中核温センサ(1)。
【請求項7】
3つ以上の隣接するサーミスタ対、好ましくは隣接するサーミスタ対のアレイを備え、前記第3の及びさらなるサーミスタ対が前記第1の断熱材(6)及び前記第2の断熱材(7)の全体に分散された、
請求項1~6のいずれか1項に記載の中核温センサ(1)。
【請求項8】
中核温(T)を決定するための方法であって、
請求項1~7のいずれか1項に記載の血液灌流を測定する手段(18)を備えた中核温センサ(1)を提供することと、
皮膚血流(FSBF)による熱流について、前記第1の断熱材(6)及び前記第2の断熱材(7)の全体で決定された熱流を修正することと、
を備える、
方法。
【請求項9】
前記中核温センサは、3つ以上の隣接するサーミスタ対、好ましくは隣接するサーミスタ対のアレイを備え、前記第3及びさらなるサーミスタ対が前記第1の断熱材(6)及び前記第2の断熱材(7)の全体に分散されており、
3つ以上の隣接するサーミスタ対を備える前記中核温センサ(1)を体(20)の表面(21)に接触させ、
前記3つ以上の隣接するサーミスタ対が備える前記サーミスタの各々の温度測定値を取得する、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記3つ以上の隣接するサーミスタ対からのデータを使用して前記中核温(T)を決定し、オフ温度の測定値を持つ前記サーミスタ対からの温度測定値を無視することを備える、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記中核温センサ(1)は、隣接するサーミスタ対のアレイを備え、
前記方法は、
隣接するサーミスタ間で得られた温度測定値の差に基づいて、横方向の熱流を決定することを備える、
請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
中核温センサ(1)を体(20)の表面(21)に適用することにより、体(20)の中核部の温度を測定するための中核温センサ(1)の製造方法であって、
少なくとも隣接する第1のサーミスタ(4a)及び第2のサーミスタ(4b)を第1のパターン(P1)でキャリア(2)の第1の領域に電気的に接続するための導電性リード(3a)を提供することと、
少なくとも隣接する第3のサーミスタ(5a)及び第4のサーミスタ(5b)を第2のパターン(P2)で前記キャリア(2)の第2の領域に電気的に接続するための導電性リード(3b)を提供することと、
前記第1のサーミスタ(4a)を覆うために第1の断熱材(6)を提供することと、
前記第2のサーミスタ(5a)を覆うために前記第1の断熱材(6)に隣接し前記第1の断熱材とは異なる第2の断熱材(7)を提供することと、
前記第1の断熱材(6)及び前記第2の断熱材(7)を前記第1のキャリアと前記第2のキャリアとの間に挟み込んで、平面サンドイッチ構造体(S)を形成することと、を備え、
前記第1のパターン(P1)及び前記第2のパターン(P2)は、前記第1の断熱材(6)を横切って対向するサーミスタ(4a、5a)の少なくとも第1のサーミスタ対(10)と、前記第2の断熱材(7)を横切る隣接するサーミスタ(4b、5b)の第2のサーミスタ対(11)と、を形成するように、挟み込み時に配置され、
使用中、体の中核部から周囲(A)への外向きの熱流束(F)及び皮膚血液灌流による熱流に基づく、前記第1の断熱材(6)と前記第2の断熱材(7)とを横切って測定された温度差から、前記中核温(T)を計算することを可能にするために、前記第1の断熱材(6)の熱抵抗(α1)と前記第2の断熱材(7)の熱抵抗(α2)とは異なり、
前記方法は、血液灌流を測定して前記皮膚血液灌流を修正する手段(18)を提供することをさらに備える、
中核温センサ(1)の製造方法。
【請求項13】
前記第1のキャリア及び前記第2のキャリアを単一の折り畳まれた構造体に形成することをさらに備える、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記サーミスタは、NTCセンサを形成するために負の温度係数の材料を印刷することを備えるステップで提供される、
請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、使用中、前記体(20)の前記表面(21)に接続して中核温パッチ(100)を形成するための面に皮膚適合性熱伝導性接着剤層(17)を形成するための皮膚適合性熱伝導性接着剤材料を印刷することをさらに備える、
請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、中核温センサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の重要なパラメータは中核温である。この温度は、健康状態及び/又は体が耐える熱ストレスの程度に関する情報を提供する場合がある。
【0003】
胸郭内の視床下部と肺動脈の温度とは、一般的に中核温の基準として使用される。これらの部位は体の奥深くに埋め込まれているため、これらの温度を直接測定することは実用的ではなく、潜在的に危険である。中核温の測定に関連して、利用可能な多くの技術がある。これらには、従来の接触温度計、赤外線温度計、電波温度計、及び、熱流の測定に基づく温度計が含まれる。直腸に適用される従来の接触体温測定は、一般に、中核温の適度に正確な推定値を提供すると考えられている。中核温の測定に関して不利な点は、これが一般に侵襲的方法であると考えられているのに対し、接触温度測定は侵襲性の低い身体部分に適用されることである。口の中、額又は脇の下では、精度や再現性が低いと考えられる。IR温度測定、例えばインイヤー型IR測定は、非侵襲的であるが、測定値がIRプローブの位置と測定角度の影響とを受けて測定の精度が低下する可能性があるため、少なくとも中核温の測定には不利である。電波温度測定、例えば遠隔測定ピルは、少なくとも被験者がピルを飲み込む必要があるため、被験者の中核温を評価するのに不利である。測定は消化された食品によって影響を受ける可能性があり、さらに潜在的な健康リスクのために、この方法はさらに不利である。例えば、炎症性及び/又は消化器組織への損傷である。熱流(流束)の測定に基づく温度測定は、物体から周囲等の外部への熱流及び/又は温度勾配を測定することによって、物体の中核部の温度を取得することを目的としている。熱がより高温の媒体から周囲に伝達されるとき、熱流束の大きさは、媒体と媒体を取り巻く層との熱伝導特性、並びに、媒体、層及び周囲の間の温度差に依存する。熱流(流束)の測定に基づく温度測定には、ゼロ熱流法(ZHFM)とデュアルセンサ法(DSM)とが含まれる。
【0004】
ZHFMでは、物体の中核部の温度は、体の皮膚等の外面と接触している層の温度勾配を測定する一対のセンサを使用して導出される。層を覆う外部ヒータエレメントは、熱流束がゼロに達するまで加熱される。温度勾配がゼロになる温度、つまり熱流束がゼロになる温度は、中核温に相当する。非侵襲的であるにもかかわらず、ZHFM法は、少なくとも動作するのにかなりの量のエネルギーを必要とするため、不利である。さらに、長時間の加熱は、火傷の危険性を引き起こし、並びに/又は、皮膚及び/若しくは筋肉等の皮下組織の温度を上昇させる可能性がある。これにより、中核温測定の精度が低下する可能性がある。
【0005】
デュアルセンサ方式(DSM)は、体の外面と接触しているが外部ヒータからの温度補償なしで、絶縁層上の温度勾配を測定する一対のセンサを備えたデバイスも使用する。デュアルセンサ法では、中核温は、皮膚から周囲へ、即ち断熱層を通る伝導経路、の熱流(流束)を、体の中核部から皮膚へ、即ち皮膚を通る伝導経路、の熱流に等しくすることによって計算される。ただし、計算には、両方の伝導経路の熱抵抗値、又は少なくとも両方の熱抵抗値の比率に関する正確な知識が必要である。これらの値は体(人)によって異なり、注意深い較正が必要である。
【0006】
Kitimuraらは、中核温の非侵襲的プロービングのための代替方法及びプローブを開示している(非特許文献1)。プローブは、それぞれが異なる厚さの断熱材層を横切って配置された二対の温度センサで構成され、異なる熱抵抗を持つデュアル熱フローチャネルを形成する。二重の熱流チャネルを互いに近くに配置することにより、各チャネル上の出て行く熱流束の熱バランスを再配置して、皮膚の抵抗を排除することができる。
【0007】
Kitimuraによって開示されたデュアルヒートフロー法(DHFM)は、中核温を決定するために使用できるが、プローブ及び方法には多くの欠点がある。これらには、遅い応答時間が含まれる。例えば、報告されたDHFMプローブの初期応答時間は、DSMベースの比較測定の約2倍である。さらに、異なる厚さの断熱材層を横切る熱流路を有するプローブのかなりかさばる設計は、横方向の熱損失(横方向の熱放散)を起こしやすい。換言すれば、断熱材の垂直設計により、熱は断熱材層の厚さに沿った方向に放散するだけでなく、横方向にも放散することができる。これらの熱損失は、報告されたプローブの精度を低下させる中核温の以下の決定では考慮されていない。さらに、断熱材の垂直設計は、プローブの効果的な大量生産を妨げる。例えば、プローブを覆うキャッピング層は、断熱材層の3D形状に正確に従うように提供する必要があるためである。
【0008】
現在開示されている中核温センサは、上記又はさらなる不利な点の少なくとも1つを軽減することを目的としている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kitamura,Med.Eng.&Phys,2010,32,1-6
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の態様は、中核温センサを体の表面に適用することによって、体又は物体の中核温度を測定するための中核温センサに関する。中核温センサは、少なくとも、第1の断熱材を横切って対向するサーミスタの第1のサーミスタ対と、第2の断熱材を横切って対向するサーミスタの第1の、サーミスタ対に隣接する第2のサーミスタ対と、を備える。好ましくは、中核温センサは、対向するキャリアの間に挟まれたそれぞれの第1の断熱材及び第2の断熱材を横切る少なくとも第1のサーミスタ対及び第2のサーミスタ対から形成される実質的に平面のサンドイッチ構造体である。使用中、体の中核部から周囲への外向きの熱流束に起因する、第1の断熱材及び第2の断熱材全体で測定された温度降下(温度勾配)からの中核温を決定、例えば計算することができるように、好ましくは、第1の断熱材の熱抵抗は第2の断熱材の熱抵抗とは異なる。好ましくは、中核温の決定は、それぞれの断熱材層全体で平衡又はほぼ平衡の温度勾配に達した後に開始する。断熱材層全体で平衡又は平衡に近い温度勾配(測定の時間枠内)に達した後、中核温を決定することにより、測定の精度を向上させることができる。あるいは、又はさらに、例えば与えられた時間内で、体の中核部の温度の変動等の変化を測定するため、中核温を連続的に又は繰り返し測定することができる。中核温センサは、血液灌流を測定する手段を備える。血液灌流を測定することにより、センサを通る総熱流(流束)に対する皮膚血流による熱流の憂慮すべき寄与を決定することができる。血液灌流による寄与、例えば血液灌流の変動、について、センサを横切って決定された外向き熱流束を修正することは、被験者の中核部の代謝による熱流のより正確な推定を提供するために有利に使用することができ、従って、中核温のより正確な測定値を提供することができる。
【0011】
好ましくは、サーミスタは、それぞれの断熱材全体の温度降下を正確に決定するように選択される。関心の対象が人である場合、予想される温度変動は小さい。小さな温度変動を記録するのに特に適しているのは、いわゆる負の温度係数(NTC)サーミスタであり、NTC抵抗器又はNTCセンサとも呼ばれ、温度の上昇とともに再現性をもって電気抵抗が減少する。通常、NTCセンサでは、電圧の、例えば電圧降下を測定することでセンサ位置の温度を決定できる。好ましくは、NTCセンサの抵抗は、少なくとも対象の温度範囲にわたって、直線的に温度とともに減少する。あるいは、又はさらに、NTCセンサの温度依存性は、Steinhart-Hart方程式等の3次近似によって、所与の範囲にわたって近似することができる。好ましくは、断熱材のうちの1つの熱抵抗が、例えば第1の断熱材では、0.01から0.5W/mKの範囲内で例えば約0.25W/mKであり、より好ましくは、0.01から0.3W/mKの範囲で例えば、約0.02又は約0.03、約0.05又は約0.07W/mKである。好ましくは、第1の断熱材の熱抵抗及び第2の断熱材の熱抵抗は、少なくとも1.2倍、好ましくは少なくとも1.5倍、最も好ましくは少なくとも2倍だけ、さらに異なる。より高い熱抵抗を有する断熱材を使用すると、体の中核部から周囲への外向きの熱流束のために、前記層全体でより大きな温度勾配(温度降下)が形成される可能性がある。層間の熱抵抗に大きな差がある2つの層を使用すると、前記層全体で異なる温度降下が形成され、それぞれの層間の熱抵抗の差が大きくなるにつれて大きさが増加する可能性がある。2つの層間の温度降下の差を大きくすると、中核温センサの解像度が向上する場合がある。好ましくは、断熱材は、ゴム及び独立気泡発泡体等の発泡体からなる群から選択される材料から形成される。例えば、ポリウレタンフォーム、ポリウレタンゴム、ポリプロピレンフォーム等である。本明細書に記載の適切な熱抵抗及び抵抗比を提供する他の材料から形成された断熱材も、同様に使用できることが理解されるだろう。層内の対流が形成された温度勾配に悪影響を与える可能性があるため、断熱層としてエアギャップを使用することはあまり好ましくない場合がある。好ましくは、第1の断熱材及び第2の断熱材は、一致する厚さを有するか、又はそれぞれの層が実質的に平らであるサンドイッチ構造体を形成することを可能にする厚さを有する。一致する厚さの断熱層を提供することにより、実質的に平面である中核温センサを形成することができる。好ましくは、対向するキャリアは、単一の折り畳まれた構造体、例えば箔から形成され得る。単一の折り畳まれた構造体から中核温センサを形成することは、有利なことに、少なくとも製造可能性を改善する。箔等の単一の折り畳み式構造体を使用することにより、サーミスタを含む中核温センサの構成要素を単一の構造に提供することができる。有利なことに、サーミスタを含むこれらの構成要素への配線は、同じ折り畳み可能な構造に提供され得る、及び/又は、単一のコネクタに導かれ得る。さらに、単一の折り畳み式構造体を使用すると、中核温センサのスケーラビリティが向上する可能性がある。換言すれば、中核温センサは、3つ以上の隣接するサーミスタ対、例えば3対以上、アレイ又は追加のセンサを備えることができる。単一の折り畳み可能な基板上に構成要素を提供することは、対向するサーミスタとのサンドイッチ構造体の形成に関連する複雑さ、例えば位置合わせの問題を容易にし、軽減する。
【0012】
平面中核温センサは、使用中、装着感が改善されている可能性がある。さらに、平面中核温センサは、より効率的に製造されることができ、平面中核温センサは、本明細書で以下に明らかになるように、改善された精度及び/又はより短い応答時間を有し得る。好ましい実施形態では、中核温センサは、人の皮膚の領域に着用するためのパッチを形成する。好ましくは、センサ(パッチ)は、皮膚を刺激することなく長期間、例えば、3時間を超える期間、好ましくは8時間を超える期間で例えば一晩、より好ましくは1日を超える期間で例えば48時間以上又は1週間等のさらなる長期間、着用することができる。
【0013】
さらなる態様によれば、本発明は、中核温を決定する方法に関する。この方法は、血液灌流を測定する手段を含む中核温センサを提供することを備える。この方法はさらに、皮膚血流による熱流について、第1の断熱材及び第2の断熱材を横切って決定された熱流を修正することを備え、皮膚血流による熱流の値を決定することは、皮膚灌流による熱流の事前に決定されたベースライン値に、血液灌流を測定するための手段の時間的出力値と血液灌流を測定する手段の参照値との比を乗算することを備える。
【0014】
いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも3つの隣接するサーミスタ対を使用して、第1の断熱材及び第2の断熱材を横切る熱流を測定することを備える。少なくとも3つの隣接するサーミスタ対、好ましくはアレイを備える中核温センサを使用することにより、中核温センサと体の表面との間の接触不良の可能性に関連するエラーを修正することができる。さらに、隣接するサーミスタの温度差及び/又は隣接するサーミスタ対にわたって観察される温度降下の差を使用して、例えばセンサ内の横方向の熱放散効果について、及び/又は、皮膚の血液灌流による横方向の熱流について、決定された中核温を修正することができる。
【0015】
さらに別の態様によれば、本発明は、体の表面に中核温センサを適用することによって体の中核部の温度を測定するための中核温センサの製造方法に関する。この方法は、少なくとも隣接する第1のサーミスタ及び第2のサーミスタを第1のパターンで第1のキャリアに電気的に接続するための導電性リードを提供することと、少なくとも隣接する第3のサーミスタ及び第4のサーミスタを第2のキャリアに電気的に接続するための導電性リードを提供することと、を備える。一実施形態では、この方法は、第1のキャリア及び第2のキャリアを単一の折り畳まれた構造体に形成することをさらに備える。換言すれば、中核温センサの一部は、折り畳まれた構造体を形成するために単一の基板上に提供され得る。一実施形態では、この方法は、サーミスタを配置すること、例えば、市販のNTCセンサをそれぞれの導電性リード上に配置することをさらに備える。この方法はさらに、第1のサーミスタを覆うための第1の断熱材を提供することと、第2のサーミスタを覆うために、第1の断熱材に隣接する第1の断熱材とは異なる第2の断熱材を提供することと、第1の断熱材及び第2の断熱材を第1のキャリア及び第2のキャリアの間に挟み込んで、実質的に平面のサンドイッチ構造体を形成することと、を備える。好ましくは、第1のパターン及び第2のパターンは、第1の断熱材を横切って対向するサーミスタの少なくとも第1のサーミスタ対と、第2の断熱材を横切る2つのサーミスタの、隣接する第2のサーミスタ対と、を形成するように、挟み込み時に配置される。使用中、第1の断熱材と第2の断熱材とを横切って測定された温度差から中核温を計算することを可能にするために、第1の断熱材の熱抵抗と第2の断熱材の熱抵抗とは異なる。本明細書で以下に説明するように、センサは、血液灌流を測定するための手段18を含む。前記は、好ましくは、第1のサーミスタ対及び第2のサーミスタ対に近接して配置される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の装置、方法並びに使用の上記及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解されるであろう。
【0017】
図1A】中核温センサの断面側面図を概略的に示す図である。
図1B】中核温センサを通る熱流及び付随する温度を概略的に示す図である。
図1C】中核温センサ内の熱流及び熱抵抗の簡略化されたモデルを提供する図である。
図2A】1つ又は複数のカバー層を備えた中核温センサの断面側面図を概略的に示す図である。
図2B】1つ又は複数のカバー層を備えた中核温センサの断面側面図を概略的に示す図である。
図2C】接着剤層を備えた中核温センサの断面側面図を概略的に示す図である。
図3A】プレチスモグラムセンサを備えた中核温センサの断面側面図を概略的に示す図である。
図3B】対向するサーミスタ対のアレイを備える中核温センサの断面側面図を概略的に示す図である。
図4A】導電性リード及びサーミスタの位置を定義するパターンを概略的に示す図である。
図4B】開示された方法に従って製造された中核温センサの写真を示す図である。
図5】被験者の皮膚に適用されて製造された中核温センサの写真と、得られた中核温時間プロファイルと、を示す図である。
図6】中核温センサの熱流及び温度測定値のモデルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
特定の実施形態を説明するために使用される用語は、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形“a”、“an”及び“the”は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。「及び/又は(and/or)」という用語は、関連するリストされた事項の1つ又は複数のありとあらゆる組み合わせを含む。「備える(comprises)」及び/又は「備える(comprising)」という用語は、述べられた特徴の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴の存在又は追加を排除するものではないことが理解されるだろう。方法の特定のステップが別のステップに続くと呼ばれる場合、別段の指定がない限り、特定のステップを実行する前に、他のステップに直接従うことができるか、又は1つ又は複数の中間ステップを実行できることがさらに理解されるだろう。同様に、構造又は構成要素間の接続が説明される場合、この接続は、別段の指定がない限り、直接又は中間の構造又は構成要素を介して確立され得ることが理解されるであろう。
【0019】
本発明は、本発明の実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下により十分に説明される。図面では、システム、構成要素、層、及び、領域の絶対サイズ及び相対サイズは、理解しやすくするために誇張されている場合がある。実施形態は、おそらく理想化された実施形態及び本発明の中間構造の概略図及び/又は断面図を参照して説明することができる。説明及び図面において、同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。相対的な用語及びその派生語は、その時点で説明されている、又は議論中の図面に示されている方向を指すと解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜上のものであり、特に明記しない限り、システムを特定の方向で構築又は操作する必要はない。
【0020】
本開示による中核温センサは、中核温センサ1を前記体の表面領域に適用することによって、体の中核温度を決定するために使用することができる。従って、中核温センサを使用して、中核温センサを人の皮膚の領域に適用することにより、人の体の部分等のその人の体温を決定することができる。例えば、中核温センサ1を人の胸部又は背中等の胴体に適用することによって、センサの下の場所、つまりそれぞれの体の部分の内部の温度を決定し得る。より具体的には、センサを人の額に適用することにより、頭の中核温を決定することができ、一方、センサを上肢に適用することにより、前記脚の内部の温度、例えば筋肉の温度を決定することができる。中核温センサ1の使用は、人又は人の体の部分に限定されないことが理解されるだろう。中核温センサ1は、動物及び(化学)反応器及び加熱された建物等の無生物を含む、外向きの熱流を示す他の物体に同様の利点を提供し得る。
【0021】
図1Aは、中核温Tを有する体20の表面21に適用された中核温センサ1の断面側面図を概略的に示す。わかりやすくするために、導電性の配線は示していない。体の白い波状構造は、体の中核部とその表面21が比較的遠く離れている可能性があることを示しているが、それでもなお熱的に接触している。中核温センサ1、例示されるように、第1の断熱材6を横切って対向するサーミスタ4a、5aの少なくとも第1のサーミスタ対10と、第1のサーミスタ対10に隣接し、第2の断熱材7を横切って対向するサーミスタ4b、5bの第2のサーミスタ対11と、を備える。好ましくは、中核温センサ1は、対向するキャリア2、2aの間に挟まれた第1の断熱材6及び第2の断熱材7のそれぞれを横切る少なくとも第1のサーミスタ10及び第2のサーミスタ対11から形成された、実質的に平面のサンドイッチ構造体Sである。対向するキャリアは、単一の折り畳まれた構造体(図示せず)から形成され得る。使用中、体の中核部から周囲Aへの外向きの熱流束Fに基づく第1の断熱材6と第2の断熱材7とを横切って測定された温度差から、中核温Tを計算することを可能にするために、第1の断熱材6の熱抵抗α1と第2の断熱材の熱抵抗α2とは異なる。
【0022】
好ましい実施形態では、最小の第1のサーミスタ10及び第2のサーミスタ対11は、それらのそれぞれの断熱層を横切る中央位置に配置される。本発明者らは、中央位置に最小の第1のサーミスタ対及び第2のサーミスタ対11を提供することにより、センサは、使用中、実質的に平坦な熱プロファイル、例えば、温度勾配が実質的にサーミスタ対間の方向に向けられているプロファイルにさらされることを見出した。換言すれば、横方向の熱放散効果は最小限に抑えられる。例えば、横方向の熱放散効果は、外向きの熱流束Fの10%未満、好ましくは5%未満を放散する。
【0023】
好ましくは、第1のサーミスタ対及び第2のサーミスタ対は、使用中に、両方の対が、同様の熱伝導特性を持つ皮膚の領域の上方に、例えば接触して配置され得るように、互いに比較的近く間隔を置いて配置される。換言すれば、両方の対は、各対が同様の条件にさらされるように、例えば同様の熱抵抗を持つ皮膚の領域、例えば同様の血液灌流と同様の厚さの皮膚の領域に配置されることが好ましい。。好ましくは、対向するサーミスタ4a、4b;5a、5b間の温度差(抵抗器の両端の温度勾配)は大きく、例えば、少なくともより大きく、サーミスタのノイズレベルの好ましくは少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも10倍大きく、温度差(抵抗器両端の温度降下)が効果的に測定できる。温度差が大きいほど、より正確な温度降下の決定が可能になる。本発明者らは、実用的な最小温度降下、例えば、NTCセンサを使用する場合、対向するサーミスタ全体で少なくとも0.1℃で例えば0.2℃であり、好ましくは少なくとも0.5℃で例えば1℃又は2℃である。温度降下がますます大きくなることは、すなわち厚い断熱材層が精度の観点から好ましい場合があり得るが、実際の断熱材の厚さは横方向の熱放散によって制限される場合がある。本発明者らは、所与の幅に対して断熱層の厚さを増加させると、温度プロファイルに対する横方向の熱放散の寄与が増加することを見出した。温度プロファイルは、例えば断熱層などの断熱材内の平衡温度プロファイルである。与えられた厚さの幅を増やすと、熱プロファイル、例えば層内の平衡熱プロファイルへの横方向の熱放散の寄与が減少する。絶縁体層がますます厚くなると、使用中に、所与の外乱、例えば中核温の変化の後に、センサが平衡応答を達成するのに必要な時間をさらに増加させる可能性がある。例えば、中核温の急激な変化の後に中核温センサ1から安定した平衡応答に到達する時間は、次第に厚くなる断熱層を備えるセンサでは増加するであろう。
【0024】
例えば人の身体等での使用目的に適している、いくつかの好ましい実施形態において、本発明者らは、断熱材などの中核温センサ1の直径が、好ましくは5mmから300mmの範囲で例えば200mmであり、好ましくは10から100mmの範囲で例えば15mmであり、より好ましくは20から70mmの範囲で例えば30又は40mmである、ことを見出した。上限は、測定される体20の表面21の寸法によって定義され得る。例えば、標的の表面領域は、人の額又は胴体又は手足の領域であり得る。下限は、サーミスタの最小寸法によって定義できる。下限は、サーミスタを覆う断熱材の最小寸法によってさらに定義することができ、温度プロファイル、例えば、断熱材内の定常状態の温度プロファイルは実質的に平面である。すなわち、断熱材内の温度勾配は、対向するサーミスタ対間の方向に実質的に配置される。換言すれば、最小寸法は、使用時に、横方向、すなわち測定される体20の表面21に沿った熱損失がサンドイッチ構造体Sを横切る方向の熱放散熱流束と比較して無視できる、断熱材の最小寸法によって定義され得る。十分に平坦な平衡温度プロファイルを提供するために、本発明者らは、断熱材6、7が、好ましくは、厚さを長さで除算したものとして定義されるアスペクト比が、0.5から0.001の範囲で例えば0.4又は0.05であり、好ましくは0.3から0.05の範囲で例えば0.2又は0.1であり、より好ましくは0.2から0.1の範囲で例えば0.13である、ことを見出した。従って、本発明者らは、断熱層の厚さが、例えば、好ましくは約4mmで例えば3mm又は4.5mmであり、幅が約30mmであることを見出した、。あるいは、厚さが約2mmで例えば1.5mm又は2.5mmであり、幅が15mmであり得る。あるいは、厚さが約3mmで例えば2mm又は3.5mmであり、幅が40mmであり得る。任意選択で、断熱層を5mm、10mm又はさらには20mmの適当な厚さのフォームのように、さらに厚くすることができる。
【0025】
他の又はさらに好ましい実施形態では、第1の断熱材6及び第2の断熱材7の外周の部分は、断熱バリア等の連続的な断熱層から互いに相補的である。中核温センサ1に隣接する断熱材を設けることにより、断熱材層間のエアギャップを回避することができる。連続的な断熱等の相補的な断熱層を提供することにより、断熱層からの層の横方向の熱放散は、隣接する断熱層の間の界面で低減され得る。横方向の熱放散を減らすことにより、断熱層の全体的な寸法、例えば、連続断熱層は、周囲への対流経路等のエアギャップによって互いに分離された断熱層を備えるセンサと比較して低減することができる。
【0026】
理論に拘束されることを望まないが、本発明者らは、中核温Tが、Kitimuraらによって最初に記載されたように、DFHMのモデルを使用して決定され得ると考えている。このモデルでは、深部体組織から皮膚及び皮下組織の層を通って周囲に向かう外向きの熱流束が、等価熱伝導回路によってモデル化される。図1Bは、それぞれが対向するサーミスタ4a、5a、及び、4b、5bを備えた第1の断熱材6及び第2の断熱材7によって覆われた中核温Tを有する体20の断面側面図を概略的に示す。図1Cは、等価熱伝導回路を示す。皮膚21を介して中核部から周囲Aへの外向きの熱流束F、Fは、それぞれの断熱材全体で温度降下を引き起こす。これらの温度降下(T-T)及び(T-T)の大きさは、付属のサーミスタ4a、5a、及び、4b、5bを介して測定でき、それぞれの断熱材R、Rの熱伝導率、及び、断熱材Rの下の組織の熱伝導率に依存する。本発明者らは、両方の温度降下が互いに比較的近くで測定されるという条件で、それぞれの断熱材の下の組織の熱伝導率が各経路について等しいと仮定できること、例えば、サーミスタ対10、11の下の組織の血液灌流は等しいと仮定することを見出した。。それぞれの経路を横切る熱流F、Fを互いに等しくし(eq.1)、それぞれの数式を書き直すことにより、断熱材Rの下の組織の熱抵抗を決定せずに中核温Tを計算できる(eq.2)。
【0027】
【数1】
【0028】
別の又はさらに好ましい実施形態では、中核温センサは伸縮可能である。好ましくは、キャリア2は伸縮性キャリアである。伸縮性のあるキャリアを提供することにより、中核温センサ1を人の額又は胴体等の非平坦体にコンフォーマル(conformal)な方法で適用することが容易になり得る。コンフォーマルな方法で中核温センサ1を体20に提供することは、センサへの熱接触を改善、例えば、体とセンサの間の空気含有物の数を減らし得る。中核温センサ1を体20にコンフォーマルな方法で提供することは、中核温T測定の精度を改善することができ、及び/又は、着用者の快適さを改善することができる。必要に応じて、又はさらに、サーミスタの1つ又は複数及び/又はサーミスタに電気的に接続するための配線の1つ又は複数、及び/又は断熱材の1つ又は複数等の、中核温センサ1のさらなる構成要素は、伸縮性がある。別の又はさらに好ましい実施形態では、中核温センサは、サーミスタ4a、4b、5a、5bのうちの少なくとも1つ又は複数から信号を読み取るための伸縮可能な導電性配線14をさらに備える。好ましくは、キャリア及び/又はさらなる成分の1つ以上、例えば、中核温センサ1の配線は、少なくとも1%であり、好ましくは少なくとも5%で例えば7%であり、より好ましくは少なくとも10%で例えば中核温センサ1の機能を失うことなく、15%、20%、さらには30%から100%まで、である。好ましくは、キャリアは、サンドイッチ構造体Sにおいて、例えば第1の断熱材6及び第2の断熱材7において水分の取り込みを防ぐために、低い透湿性を有する。代替的又は追加的に、水分バリア層を追加して、使用中に、サンドイッチ構造体Sにおける湿度の取り込みを低減することができる。サンドイッチ構造体Sへの水分の取り込みは、第1の断熱材6の熱抵抗α1と第2の断熱材7の熱抵抗α2とに影響を与える可能性がある。本発明者らは、ポリウレタン及び/又はシリコーン材料で形成されたキャリア及び/又は水分バリア層が特に適している可能性があることを見出した。
【0029】
いくつかの好ましい実施形態では、例えば、図2Aに示されるように、中核温センサ1は、使用中に、例えば風等の空気流によって誘発される周囲温度変動から中核温センサ1(サンドイッチ構造体S)を保護するために、断熱カバー層15を備える。断熱カバー層15は、好ましくは、サンドイッチ構造体Sの外面に提供され、好ましくは、少なくとも第1のサーミスタ対10及び第2のサーミスタ対11を覆う。必要に応じて、又はさらに、断熱カバー層15は、使用中に、中核温センサ1を完全に覆うことができる。好ましくは、断熱カバー層15層は、断熱材料、例えばフォームを備える。必要に応じて又はさらに、断熱カバー層15は、中核温センサ1を熱放射から保護するための反射層を備えることができる。
【0030】
他の又はさらに好ましい実施形態では、例えば、図2Bに示されるように、サンドイッチ構造体Sは、使用中に、少なくとも第1のサーミスタ対10及び第2のサーミスタ対11が受ける周囲温度を等しくするために、ヒートスプレッダ16を備える。好ましくは、ヒートスプレッダ16は、少なくとも第1のサーミスタ対10及び第2のサーミスタ対11を覆う。
【0031】
好ましい実施形態では、例えば、図2Cに示されるように、中核温センサ1は、体20の表面21に接続するための面に、接着剤層17、好ましくは皮膚適合性接着剤層を備える。中核温センサ1に接着剤層17を提供することにより、追加の固定手段を必要としない人等の体20の皮膚の領域に適用され得るパッチが形成され得る。好ましくは、皮膚適合性接着剤層17は、少なくとも測定期間中、好ましくは長期間、中核温センサ1を身体に取り付けることを可能にする。好ましくは、中核温センサ1はまた、例えば中核温を測定し、例えば体20の表面21の異なる領域に再適用した後、皮膚から除去され得る。本発明者らは、感圧接着剤及び/又は温度伝導性接着剤が特に適している可能性があることを見出した。
【0032】
いくつかの実施形態では、例えば図3Aに示されるように、中核温センサ1は、使用中に血液灌流を測定するための手段18を備える。血液灌流を測定することで、例えば皮膚灌流による熱輸送に関連するモデルの不正確さを修正できる場合がある。そのような不正確さは、例えば、断熱材6、7を介したすべての熱伝達は下の組織から来るが、その一部は血液の灌流によって組織と平行に輸送される可能性があるという仮定の不正確さに関連している。好ましくは、手段18は、血液灌流等の血流を測定するためのフォトプレチスモグラム(photoplethysmogram)センサ(ppgセンサ)である。好ましくは、前記主電源は、隣接するサーミスタ対10、11の間の位置に提供される。サーミスタ対10、11に近い、好ましくはその間の位置で血液灌流を測定することにより、前記仮定は検証及び/又は修正され得る。
【0033】
中核温センサによって得られた中核温測定値の修正は、ある熱状態から別の熱状態に(例えば、中温から高温に、又は、高温から低温に)移行する人等の対象者にとって特に関連性がある可能性がある。すなわち、中核温センサ1を通る熱流は、中核部の代謝から来る熱によって実質的に支配されておらず、皮膚血流を介した熱流の寄与は、時間とともに変化する。中核温センサ1を通る対象の熱流が、中核部の代謝測定値から来る熱によって実質的に支配されていない対象については、数式eq.1及びeq.2に関連して説明したモデルを改善することができる。熱流モデルは一般に、センサを通過する熱流が体の代謝からの熱流に等しいという仮定に基づいているため、一時的に存在する追加の熱流、例えば、局所的な皮膚の血流による熱流は、中核温Tの決定に不正確さをもたらす可能性がある。
【0034】
使用中に血液灌流を測定するための手段18を中核温センサ1に提供することにより、サーミスタ対に直接近接している皮膚の部分の血液灌流の、一時的な測定値等の測定値を提供することができる。本発明者らは、この測定値により、体の代謝からの決定された熱流に修正を適用して、中核温Tのより正確な決定を可能にすることができることを見出した。
【0035】
血液灌流を測定する手段の組み込みは、代謝熱流(例えば、図1BのF及び図6のFmetを参照)が、通常、センサに向かう唯一の熱流ではないという認識に基づいている。皮膚血流(FSBF)による熱流は、センサで観察される熱流に寄与する。
【0036】
【数2】
【0037】
SBFの寄与は、基礎血流よりも小さい(センサによって測定された熱流への代謝の基礎寄与よりも大きい)か、基礎血流よりも大きい(センサによって測定された熱流への代謝の基礎寄与よりも小さい)可能性がある。皮膚の血流の大きさは、熱的にストレスの多い状況等の一過性の状態にさらされている人にとって特に顕著である可能性がある。熱的にストレスの多い状況は、例えば、屋外の気象条件、太陽及び/又は熱放射、変化する屋内条件、及び/又は、運動、ストレス及び病状を含むがこれらに限定されない一時的に変化する個人的状況によって引き起こされ得る。そのような熱的にストレスの多い状況は、局所的な血管収縮/拡張、及び/又は、発汗若しくは震え等の、血液灌流の一時的な(すなわち、時間に依存する)変化をもたらす可能性がある。当該変化は、サーミスタ対に近接した位置で血液灌流18を測定する手段によって拾い上げることができる。
【0038】
図6は、皮膚血流FSBFによる熱流と、使用中の中核温センサの温度測定値と、を含む熱流Fのモデルを示す。図1Bに沿って、熱流Fは、熱抵抗Rを持つ最初の断熱材を横切る熱流に関係することに注意されたい(温度記録TとT、及び、図1Bの参照番号4a、5a、6を参照)。熱流Fは、熱抵抗Rを持つ2番目の断熱材を横切る熱流に関係する(温度記録T及びT、並びに、図1Bの参照番号7を参照)。
【0039】
各サーミスタ対を通る熱流は、数式eq.4及びeq.5を使用して計算できる。
【0040】
【数3】
ここで、Fは最初のサーミスタ対を横切る熱流であり、Fは2番目のサーミスタ対を横切る熱流であり、FSBF,1は最初のサーミスタ対に向かう皮膚の血流による熱流束であり、FSBF,2は2番目のサーミスタ対に向かう皮膚の血流による熱流束である。eq.1と同様に、F及びFは、それぞれの全体で記録された温度差、サーミスタT-T又はT-Tをそれぞれの熱抵抗R、Rで除算してそれぞれ決定することができる。
【0041】
eq.1と同様に、中核温Tは、以下の一連の数式を使用して計算することができる。
【0042】
【数4】
ここで、Tは最初のサーミスタ対で記録された皮膚温度であり、Tは2番目のサーミスタ対で記録された皮膚温度である。
【0043】
【数5】
【0044】
eq.2に関連して説明した手順と同様に、上記の一連の数式(Eq.6a-d)を再配置して、FSBFの値を決定できる場合は、Rb,metとは無関係に中核温Tを決定できる。
【0045】
SBF値は、次のように決定できることが見出された。
【0046】
【数6】
ここで、Q10はローカルSBF規制係数[単位なし]であり、βは腹部での基礎熱流値で単位W.K-1.m-3であり、Nは神経SBF調節係数[単位なし]である。
【0047】
ローカルSBF規制係数Q10は、次のように計算される。
【0048】
【数7】
ここで、ΔTskは、記録された皮膚温度と、腹部で平衡状態(順応状態)にある健康な人間の33.4℃に設定された標準の中性皮膚温度と、の差である。動物等の他の被験者の中性皮膚温度の値は、参照データから検索するか、個別に決定することができる。
【0049】
腹部βでの基礎熱流は、次のように決定される。
【0050】
【数8】
ここで、Vblはセンサの下の血液量で単位mであり、ρblは血液の密度であり(健康な人間の場合は1069kg.m-3)、cblは血液の比熱容量であり(健康な人間の場合は3650J.kg-1.K-1)、wbl,0はm組織あたりの基礎血流量である(健康な人間の場合、腹部で0.0023095L.m-3.s-1)。センサVblの下の血液量は、センサの総面積に測定位置での灌流皮膚の厚さを乗算して計算される。灌流皮膚の厚さは、体の測定位置によって異なる(腹部の場合、灌流皮膚の厚さは約0.001mである)。中性皮膚温度の場合と同様に、それぞれのパラメータの値は、個別に決定するか、参照データから検索することができる(例えば、Human Thermoregulation - A synergy between physiology and mathematical modelling by Kingma; Maastricht, 2011, UniveRitaire PeR, ISBN: 978 94 6159 106 7; section ‘Model parameteR’ on pages 127-131を参照)。
【0051】
中立状態(平衡状態)の場合、皮膚の血流は定義上、基礎的な皮膚の血流に等しいため、Q10xN=1である。従って、PPGセンサ等の血液灌流を決定するための手段18を含む中核温センサ1は、以下に従って皮膚灌流FSBF,0による熱流のベースライン値を決定するために使用できる。
【0052】
【数9】
ここで、Vbl;ρbl;cbl及びwbl,0の値は、既知のセンサ寸法と組み合わせた上記のそれぞれの値とすることができ、PPGは、血液灌流を決定するための手段18の出力測定値、例えば、PPGセンサの出力電圧を表す。皮膚血流の熱量はwblに線形に比例するので、皮膚血流灌流による熱流の時間値FSBF,iは、感知手段18の時間出力を参照出力で除算したものを使用して推定することができる。
【0053】
【数10】
ここで、PPGは検知手段の時間出力である。
【0054】
被験者の皮膚温度が測定の過程で平衡温度から逸脱する場合、皮膚血流に起因する可能性のある熱流の量は、灌流測定を介して計算することができる。例えば、皮膚の温度が上昇したとき、例えば周囲の変動及び/又は運動又は肉体労働のために、この帰属は総熱流束の測定値(F、F)から差し引くことができる。同様に、寒い状態では、総熱バランスに対して、血管収縮による等の皮膚血流の影響の減少を修正することができる。
【0055】
いくつかの好ましい実施形態では、例えば、図3Bに示されるように、中核温センサ1は、第1のサーミスタ対及び第2のサーミスタ対に加えて、1つ又は複数のさらなるサーミスタ対、例えば3つ以上の隣接するサーミスタ対を備える。いくつかの実施形態では、例えば、図4に示すように、追加の3番目のサーミスタ対は、第1の断熱材又は第2の断熱材の両端に配置された第1のサーミスタ対及び第2のサーミスタ対と同様である。任意選択で、中核温センサ1は、隣接するサーミスタ対のアレイを備えることができる。好ましくは、アレイ等のさらなるサーミスタ対が、第1の断熱材6及び第2の断熱材7に分散されている。一実施形態では、例えば、示されているように、サーミスタ対は、第1の断熱材6及び第2の断熱材7の全体に均等に分散されている。提供される追加のサーミスタ及び/又はサーミスタ対は、使用中に、体20の表面21と中核温センサ1との間の接触品質を検証するのに役立つ可能性がある。例えば、接触不良、例えば第1のサーミスタ対の位置における中核温センサ1と表面21との間のエアギャップは、体20の表面21に最も近いサーミスタのオフ温度測定値、例えば、体との熱的接触が良好なセンサと比較して低い温度測定値によって検出され得る。例えば、体との熱的接触が良好なセンサと比較して低い温度測定値である。あるいは、又はさらに、サーミスタ対全体で測定された温度勾配を比較することにより、不十分な熱接触を特定することができる。接触エラー、例えば断続的な接触は、体20の表面21に近いサーミスタの変動する測定値によって、及び/又は、変動する熱勾配によって識別され得る。特に、隣接するサーミスタ対のアレイを備える実施形態では、さらなるサーミスタ対は、使用において、隣接するサーミスタ対の間の方向のサンドイッチ構造体における横方向の熱放散FL(横方向の熱流)のレベルを特徴づけるのに役立ち得る。中核温Tを決定するための提示されたモデルは、サーミスタ対上の熱流が、熱抵抗器上で周囲に流れる体の中核部内のセンサの下で生成された熱によって支配されると仮定することが理解されるだろう。追加の熱流、例えばセンサ内の横方向の熱損失などの横方向の熱流、及び/又は、体の皮膚の血液灌流に関連する横方向の熱流は、上記のように、取得した読み取り値に影響を与える可能性がある。対向するサーミスタのアレイを備える、及び/又は、血液灌流を測定するための追加の手段、例えばPPGセンサを備えた中核温センサ1を使用して、前記横方向の熱放散効果について決定された中核温を修正するために使用され得るデータを提供する。
【0056】
さらなる態様によれば、本発明は、改善された精度で中核温を決定する方法、特に、3つ以上の隣接するサーミスタ対を備える中核温センサ1を使用して中核温Tを決定する方法に関する。この方法は、3つ以上の隣接するサーミスタ対を備える中核温センサを提供し、前記中核温センサを体の表面に接触させ、3つ以上の隣接するサーミスタ対が備える各サーミスタの温度測定値を取得することを備える。例えば上記の方法により、隣接するサーミスタ対の2つからの記録を使用して、中核温を決定することができる。中核温センサ1に追加のサーミスタ、例えば1つの追加の隣接するサーミスタ対を提供し、決定された中核温Tの精度を改善するために有利に使用され得る追加の温度測定値を提供する。例えば、上記のように、追加の温度記録を使用して、センサと体との間の接触不良の可能性を特定することができる。従って、一実施形態では、この方法は、オフ温度の測定値を有するサーミスタ対、例えば温度降下が最小のサーミスタ対からのデータを無視して、3つ以上の隣接するサーミスタ対からのデータを使用して中核温を決定することを備える。代替的又は追加的に、追加の温度測定値は、少なくとも第3のサーミスタ対で、例えば、例えば横方向の熱流の識別、例えば特徴づけに使用され得る。上記のように、横方向の熱流は、決定された中核温の精度に悪影響を与える可能性がある。識別、好ましくは横方向の熱流の特徴付けを使用して、精度を向上させる、例えば決定された中核温を修正することができる。中核温センサ1に3つ以上の例えば隣接するサーミスタのアレイを提供することは横方向の熱流の特性を改善する可能性があることが理解されよう。そのような3つ以上の隣接するサーミスタのアレイは、例えば合計4、9、16、又はそれ以上、好ましくは2D配置で例えば表面21の領域をカバーする3x3または4x4の正方形アレイである。従って、別の又はさらなる実施形態では、センサは、隣接するサーミスタ対のアレイを備え、この方法は、隣接するサーミスタ間で得られた温度測定値の差に基づいて横方向の熱流を決定することを備える。
【0057】
別の又はさらに好ましい実施形態では、この方法は、例えば、図3A及び図6に関連して説明されるように、血液灌流を測定するための手段18を備える中核温センサ1を使用する。この方法では、第1の断熱材6及び第2の断熱材7を通る熱流は、第1のサーミスタ対10及び第2のサーミスタ対11の温度測定値から導き出される。この方法では、導出された熱流は、皮膚血流FSBFによる熱流に対して修正される。皮膚の血流による熱流で第1の断熱材及び第2の断熱材を通る熱流を修正することにより、中核部の代謝からの熱流をより正確に決定することができ、従って、中核温をより正確に決定することができる。特に、皮膚の血流による熱流の値を決定することは、皮膚の血液灌流(β)による熱流の事前に決定されたベースライン値に、血液灌流を測定する手段(PPG)の参照値に対する、血液灌流を測定する手段(PPG)の一時的な出力値の比を乗算することを含む。一般に、修正は、時間出力(時間依存出力)、例えば、血液灌流を測定する手段のPPGセンサ出力電圧の記録を備える。血液灌流を測定する手段の時間的出力は、前記手段の参照出力で除算される。上記のように、血液灌流に対する手段の時間的出力と前記手段の参照出力との間の比率は、皮膚血流FSBF,iによる熱流に比例することが見出された。好ましい実施形態では、皮膚血流による熱流の寄与の大きさは、前記比率に、皮膚血流による熱流のベースライン値FSBF,0を乗算することによって決定される。皮膚の血液灌流による熱流のベースライン値は、eq.11に関して説明したように決定することができる。
【0058】
さらに別の態様によれば、本発明は、中核温センサ1を体20の表面21に適用することにより、体20の中核部の温度を測定するための中核温センサ1の製造方法に関する。中核温センサ1は、血液灌流を測定するための手段18を含む。血液を測定するための手段の製造は、必ずしも本発明の一部ではない。手段は、例えば市販のPPGセンサによることができる。この手段は、好ましくは、第1のサーミスタ対及び第2のサーミスタ対に近接して、例えばサーミスタ対間に提供される。サーミスタのすぐ近くに血液灌流を測定する手段を配置することにより、同じ領域、例えば同じタイプの肌での血液灌流を決定することができる。
【0059】
図4aは、中核温センサ1の製造に使用できる導電性リードを画定する、パターン等の設計を概略的に示す。導電性リード3aの設計において、第1のパターンP1において、第1のサーミスタ4a及び第2のサーミスタ4bの位置4a’及び4b’を定義する。導電性リード3bは、第2のパターンP2で第3のサーミスタ5a及び第4のサーミスタ5bの位置5a’及び5b’を規定する。点線Lは、本明細書で以下に説明するように、キャリアを折りたたんでサンドイッチ構造体Sを形成することができる線を示す。中核温センサ1の製造方法は、少なくとも隣接する第1のサーミスタ4a及び第2のサーミスタ4bを第1のパターンP1で第1のキャリア2に電気的に接続するための導電性リード3aを提供することと、少なくとも隣接する第3のサーミスタ5a及び第4のサーミスタ5bを第2のキャリア2に電気的に接続するための導電性リード3bを提供することと、を備える。この方法は、サーミスタ4a、4b、5a、5bをそれぞれの導電性リード3a、3b、4a、4b上に提供、例えば配置することと、第1のサーミスタ4aを覆うために第1の断熱材6を提供することと、第2のサーミスタ5aをカバーするために、第1のパターンP1に隣接する第1の断熱材とは異なる第2の断熱材7を提供することと、をさらに備える。好ましい実施形態では、この方法は、第1の断熱材6及び第2の断熱材7をキャリア2の第1の領域とキャリア2の第2のキャリア領域の1つとの間に挟み込んで、実質的に平面のサンドイッチ構造体Sを形成することをさらに備え、第1のパターンP1及び第2のパターンP2は、少なくとも、第1の断熱材6を横切って対向するサーミスタ4a、5aの第1のサーミスタ対10と、第2の断熱材7を横切るサーミスタ4b、5bの隣接する第2のサーミスタ対11と、を形成するように挟み込み時に配置される。使用中、体の中核部から周囲Aへの外向きの熱流束Fに基づく第1の断熱材6と第2の断熱材7とを横切って測定された温度差から、中核温Tを計算することを可能にするために、第1の断熱材6の熱抵抗α1と第2の断熱材7の熱抵抗α2とは異なる。
【0060】
いくつかの好ましい実施形態では、導電性リードを提供することは、印刷、例えば導電性インクの印刷又は変換、例えば還元されて導電性構造体を形成するインクの印刷を備える。適切な印刷方法には、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、及び、(ロト)グラビア印刷が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、形成された導電性リード(構造体)は、少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%で例えば7%、より好ましくは少なくとも10%で例えば15%、20%、さらには30%から100%まで、機能を実質的に失うことなく伸縮可能であってもよい。適切なインクは、EMS CI-1062、EMS CI-2051、EMS CI4040、デュポンPE873、デュポンPE671、及び、デュポンPE971からなるリストから選択されるがこれらに限定されない。伸縮性は、パターンデザイン、例えば波状又は曲がりくねった導電性リードを提供するのに適したパターンと組み合わせて提供することができる。任意で、サーミスタは、印刷によって、例えばNTC素材の印刷によって提供され得ることが理解されるだろう。
【0061】
好ましい実施形態では、サンドイッチ構造体Sを形成することは、キャリア2を折り畳むことを備える。換言すれば、この方法は、第1のキャリア及び第2のキャリアを単一の折り畳まれた構造体に形成することをさらに備える。好ましくは、サーミスタ4a、4b及び5a、5bは、キャリアを折り畳んで実質的に平面のサンドイッチ構造体Sを形成することを可能にするパターンP1、P2の単一のキャリア上に提供される。単一のキャリアにすべてのサーミスタ及び/又は導電性リードを提供すると、中核温センサの製造可能性が向上し得る。例えば、製造プロセスの複雑さが軽減され、及び/又は、製造速度が改善され得る。折り畳みを可能にするために単一のキャリア上にすべてのサーミスタ及び/又は導電性リードを提供することで、挟み込みステップ中の位置合わせ要求を減らすことができる。換言すれば、折り畳みは、対向するサーミスタ対を形成するための位置合わせステップを排除し得る。本発明者らは、適切なキャリアには、好ましくは0.05~1mmの範囲の厚さのポリマー箔等の箔が含まれることを見出した。ポリマー箔は、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及び、ポリエチレンナフタレート(PEN)箔である。
【0062】
図4Bは、本発明の方法を使用して製造された中核温センサ1の写真を示す。中核温センサ1は、上記のようなパターンで導電性リード及びサーミスタを備えた可撓性基板を提供することを備える方法で製造された。第1の断熱材6及び第2の断熱材7を、形成された中間生成物1’上に配置し、その後、アセンブリを線Lに沿って折り畳んだ。
【0063】
別の又はさらに好ましい実施形態では、この方法は、使用中に、体20の表面21に接続して中核温センサパッチを形成するための面で、皮膚適合性熱伝導性接着剤層17を形成するために、皮膚適合性熱伝導性接着剤材料を印刷することをさらに備える。
【0064】
図5は、人の胴体上の皮膚21の領域に接着された皮膚適合性接着剤層17を備える中核温センサ1の写真を示す。以下のグラフに示されているように、前記中核温センサ1を使用して、ある期間にわたるその人の中核温Tを決定及び追跡することができる。有利なことに、中核温センサ1は、0.05℃以内の中核部の温度を決定することを可能にする高精度の小さな誤差を有する。有利なことに、中核温センサ1は、応答時間が速く、例えば最大10Hzのサンプリング周波数の、短い温度変化を識別することを可能にする。
【0065】
明確化及び簡潔な説明の目的で、特徴は、同じ又は別個の実施形態の一部として本明細書に記載されるが、本発明の範囲は、記載される特徴のすべて又はいくつかの組み合わせを有する実施形態を含み得ることが理解される。例えば、ppgセンサを備える中核温センサの実施形態が示されたが、同様の機能及び結果を達成するための本開示の利点を有する当業者によって代替の方法も想定され得る。例えば、隣接するサーミスタ対は、1つ又は複数の代替構成要素に組み合わせるか分割することができる。説明及び示されている実施形態の様々な要素は、高精度、良好な応答速度、及び、良好な製造可能性等の特定の利点を提供する。もちろん、上記の実施形態又はプロセスのいずれか1つを1つ又は複数の他の実施形態又はプロセスと組み合わせて、設計及び利点を見つけて一致させることにおいてさらに改善を提供することができることを理解されたい。本開示は、人及び/又は動物の中核部の温度の測定に特定の利点を提供し、一般に、非侵襲的な方法で中核温の決定を追求する任意の用途に適用できることが理解される。
【0066】
添付の特許請求の範囲を解釈する際に、「備える」という言葉は、所与の特許請求の範囲に記載されているもの以外の要素又は行為の存在を排除するものではないことを理解されたい。要素の前にある「a」又は「an」という単語は、そのような複数の要素の存在を排除するものではない。特許請求の範囲内の参照記号は、その範囲を制限するものではない。いくつかの「手段」は、同じ又は異なるアイテム又は実装された構造又は機能によって表される場合がある。開示されたデバイス又はその一部のいずれかは、特に明記しない限り、一緒に組み合わせるか、又はさらなる部分に分離することができる。ある特許請求の範囲が別の特許請求の範囲を参照している場合、これは、それぞれの機能の組み合わせによって達成される相乗的な利点を示している可能性がある。しかし、特定の措置が相互に異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの措置の組み合わせを有利に使用することもできないことを示すものではない。従って、本実施形態は、文脈によって明確に除外されない限り、各請求項が原則として任意の先行する請求項を参照することができる、請求項のすべての有効な組み合わせを含み得る。
【0067】
(付記)
(付記1)
中核温センサ(1)を体(20)の表面(21)に適用することにより、体(20)の中核温(T)を測定するための中核温センサ(1)であって、
第1の断熱材(6)を横切って対向するサーミスタ(4a、5a)の少なくとも第1のサーミスタ対(10)と、
第2の断熱材(7)を横切って対向するサーミスタ(4b、5b)の、前記第1のサーミスタ対(10)に隣接する第2のサーミスタ対(11)と、
を備え、
前記中核温センサ(1)は、対向する第1のキャリア(2)と第2のキャリア(2a)との間に挟まれたそれぞれの前記第1の断熱材(6)及び前記第2の断熱材(7)を横切る少なくとも第1のサーミスタ対(10)及び第2のサーミスタ対(11)から形成される平面サンドイッチ構造体(S)であり、
使用中、体の中核部から周囲(A)への外向きの熱流束(F)及び皮膚血液灌流による熱流に起因する、前記第1の断熱材(6)と前記第2の断熱材(7)とを横切って測定された温度差から、前記中核温(T)を計算することを可能にするために、前記第1の断熱材(6)の熱抵抗(α1)と前記第2の断熱材の熱抵抗(α2)とは異なり、
前記中核温センサは、血液灌流を測定して前記皮膚血液灌流を修正する手段(18)をさらに備える、
中核温センサ(1)。
【0068】
(付記2)
第1のキャリア(2)及び第2のキャリア(2a)は、単一の折り畳まれた構造体から形成されている、
付記1に記載の中核温センサ(1)。
【0069】
(付記3)
前記サンドイッチ構造体(S)は、使用中に、前記中核温センサ(1)を周囲温度変動から保護するための断熱カバー層(15)を前記サンドイッチ構造体(S)の外面に備える、
付記1又は2に記載の中核温センサ(1)。
【0070】
(付記4)
前記サンドイッチ構造体(S)は、使用中に、少なくとも第1のサーミスタ対(10)及び第2のサーミスタ対(11)が受ける周囲温度を等しくするためのヒートスプレッダ(16)を備える、
付記1~3のいずれか1つに記載の中核温センサ(1)。
【0071】
(付記5)
前記センサは、前記体(20)の前記表面(21)に接続して中核温パッチ(100)を形成するための面に皮膚適合性接着剤層(17)を備える、
付記1~4のいずれか1つに記載の中核温センサ(1)。
【0072】
(付記6)
前記サーミスタ(4a、4b、5a、5b)から信号を読み取るための伸縮可能な導電性配線(14)をさらに備える、
付記1~5のいずれか1つに記載の中核温センサ(1)。
【0073】
(付記7)
3つ以上の隣接するサーミスタ対、好ましくは隣接するサーミスタ対のアレイを備え、前記第3の及びさらなるサーミスタ対が前記第1の断熱材(6)及び前記第2の断熱材(7)の全体に分散された、
付記1~6のいずれか1つに記載の中核温センサ(1)。
【0074】
(付記8)
中核温(T)を決定するための方法であって、
付記1~7のいずれか1つに記載の血液灌流を測定する手段(18)を備えた中核温センサ(1)を提供することと、
皮膚血流(FSBF)による熱流について、前記第1の断熱材(6)及び前記第2の断熱材(7)の全体で決定された熱流を修正することと、
を備える、
方法。
【0075】
(付記9)
前記中核温センサは、3つ以上の隣接するサーミスタ対、好ましくは隣接するサーミスタ対のアレイを備え、前記第3及びさらなるサーミスタ対が前記第1の断熱材(6)及び前記第2の断熱材(7)の全体に分散されており、
3つ以上の隣接するサーミスタ対を備える前記中核温センサ(1)を体(20)の表面(21)に接触させ、
前記3つ以上の隣接するサーミスタ対が備える前記サーミスタの各々の温度測定値を取得する、
付記8に記載の方法。
【0076】
(付記10)
前記3つ以上の隣接するサーミスタ対からのデータを使用して前記中核温(T)を決定し、オフ温度の測定値を持つ前記サーミスタ対からの温度測定値を無視することを備える、
付記9に記載の方法。
【0077】
(付記11)
前記中核温センサ(1)は、隣接するサーミスタ対のアレイを備え、
前記方法は、
隣接するサーミスタ間で得られた温度測定値の差に基づいて、横方向の熱流を決定することを備える、
付記9又は10に記載の方法。
【0078】
(付記12)
中核温センサ(1)を体(20)の表面(21)に適用することにより、体(20)の中核部の温度を測定するための中核温センサ(1)の製造方法であって、
少なくとも隣接する第1のサーミスタ(4a)及び第2のサーミスタ(4b)を第1のパターン(P1)でキャリア(2)の第1の領域に電気的に接続するための導電性リード(3a)を提供することと、
少なくとも隣接する第3のサーミスタ(5a)及び第4のサーミスタ(5b)を第2のパターン(P2)で前記キャリア(2)の第2の領域に電気的に接続するための導電性リード(3b)を提供することと、
前記第1のサーミスタ(4a)を覆うために第1の断熱材(6)を提供することと、
前記第2のサーミスタ(5a)を覆うために前記第1の断熱材(6)に隣接し前記第1の断熱材とは異なる第2の断熱材(7)を提供することと、
前記第1の断熱材(6)及び前記第2の断熱材(7)を前記第1のキャリアと前記第2のキャリアとの間に挟み込んで、平面サンドイッチ構造体(S)を形成することと、を備え、
前記第1のパターン(P1)及び前記第2のパターン(P2)は、前記第1の断熱材(6)を横切って対向するサーミスタ(4a、5a)の少なくとも第1のサーミスタ対(10)と、前記第2の断熱材(7)を横切る隣接するサーミスタ(4b、5b)の第2のサーミスタ対(11)と、を形成するように、挟み込み時に配置され、
使用中、体の中核部から周囲(A)への外向きの熱流束(F)及び皮膚血液灌流による熱流に基づく、前記第1の断熱材(6)と前記第2の断熱材(7)とを横切って測定された温度差から、前記中核温(T)を計算することを可能にするために、前記第1の断熱材(6)の熱抵抗(α1)と前記第2の断熱材(7)の熱抵抗(α2)とは異なり、
前記方法は、血液灌流を測定して前記皮膚血液灌流を修正する手段(18)を提供することをさらに備える、
中核温センサ(1)の製造方法。
【0079】
(付記13)
前記第1のキャリア及び前記第2のキャリアを単一の折り畳まれた構造体に形成することをさらに備える、
付記12に記載の方法。
【0080】
(付記14)
前記サーミスタは、NTCセンサを形成するために負の温度係数の材料を印刷することを備えるステップで提供される、
付記12又は13に記載の方法。
【0081】
(付記15)
前記方法は、使用中、前記体(20)の前記表面(21)に接続して中核温パッチ(100)を形成するための面に皮膚適合性熱伝導性接着剤層(17)を形成するための皮膚適合性熱伝導性接着剤材料を印刷することをさらに備える、
付記12~14のいずれか1つに記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
【国際調査報告】