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特表2022-521767ワイヤ又はストリップ材料の矯正方法及び装置
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  • 特表-ワイヤ又はストリップ材料の矯正方法及び装置 図1
  • 特表-ワイヤ又はストリップ材料の矯正方法及び装置 図2
  • 特表-ワイヤ又はストリップ材料の矯正方法及び装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-12
(54)【発明の名称】ワイヤ又はストリップ材料の矯正方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 1/05 20060101AFI20220405BHJP
   B21F 1/02 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
B21D1/05 A
B21D1/05 G
B21F1/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549711
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(85)【翻訳文提出日】2021-08-24
(86)【国際出願番号】 AT2020000001
(87)【国際公開番号】W WO2020172694
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】A77/2019
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519216208
【氏名又は名称】イーブイジー エントビクルングス-ウント フェルヴェールトゥングス-ゲゼルシャフト エム.ベー.ハー.
【氏名又は名称原語表記】EVG ENTWICKLUNGS- U. VERWERTUNGS-GESELLSCHAFT M.B.H.
【住所又は居所原語表記】Gustinus-Ambrosi-StraBe 1-3,8074 Raaba Austria
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミューレンフェルト アーント
(72)【発明者】
【氏名】レッシュ ウォルター
【テーマコード(参考)】
4E003
4E070
【Fターム(参考)】
4E003AA02
4E003BA14
4E003BA25
4E070AC01
4E070BB01
(57)【要約】
本発明は、ドレス装置によってワイヤ又はストリップ材料を矯正する方法であって、ドレス装置は通過する材料(1)の両側においてずれて押圧する矯正ローラ(3、4、6、10)を備え、それらのうち一部は、材料の入力データ、及び、真直度要件を満たすように材料がドレス装置を通過する間に決定されたワイヤ及びドレス装置に関するデータ、に基づいて確率的に決定されたモデルに従って自動的に起動し、少なくとも1つの矯正ローラの位置がドレス装置を通過する間に検出されたデータに基づき連続して修正変更され、データは目標真直度を示し、(i)矯正ローラに作用する力の大きさ及び方向、及び/又は、(ii)矯正ローラのアセンブリを通過する前後の材料の温度、及び/又は、(iii)材料の位置が各矯正ローラで測定され、得られた測定値は調整可能な矯正ローラの調整を制御するモデルに入力される方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレス装置によってワイヤ又はストリップ材料を矯正する方法であり、前記ドレス装置は通過する材料(1)の両側においてずれて押圧する矯正ローラ(3、4、6、10)を備え、それらのうち一部は、前記材料(1)の入力データ、及び、真直度要件を満たすように前記材料が前記ドレス装置を通過する間に前記ドレス装置によって決定された前記材料(1)及び前記ドレス装置のデータ、に基づいて確率的に決定されたモデルに従って自動的に起動し、少なくとも1つの矯正ローラの位置が前記ドレス装置を通過する間記録される前記データに基づき連続して修正変更され、前記データは目標真直度を示す方法であって、
(i)前記矯正ローラ自体上で前記矯正ローラ(3、4、6、10)にかかる力の大きさ及び方向、及び/又は、
(ii)配置された矯正ローラ(3、4、6、10)を通過する前後の前記材料(1)の温度、及び/又は、
(iii)前記各矯正ローラの後の前記材料(1)の位置が測定され、得られた測定値は調整可能な矯正ローラ(6、4、10)の調整を制御する前記モデルに入力されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記ワイヤ又は前記ストリップ材料の温度は各矯正ローラ(3、4、6、10)の出口で測定されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の方法であって、前記矯正ローラ(3、4、6、10)にかかる前記力は、前記矯正ローラ(3、4、6、10)の軸受ボルト(12)に配置された歪みゲージ(17)によって測定され、前記歪みゲージは軸方向、垂直方向、及び/又は水平方向に曲げモーメントを測定することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法であって、前記各矯正ローラ(3、4、6、10)の後の前記ワイヤの又は前記ストリップ材料の位置の測定は、通過軸からの、すなわち、前記矯正ローラ(3、4、6、10)の調整方向に平行な前記材料(1)のずれの測定であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法であって、前記ワイヤ又はストリップ材料に生じる振動も測定され、測定値も同様に前記調整可能な矯正ローラ(4、6、10)の調整を制御する前記モデルに入力されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法であって、前記ワイヤ又はストリップ材料は2つのドレス装置を連続して通過し、一方のドレス装置は水平に配置された矯正ローラ(3、4、6、10)を有し、他方は垂直に配置された矯正ローラを有することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のワイヤ又はストリップ材料を矯正する方法を実施するための装置であり、当該装置は互いに長手方向にずれて配置された2列の非駆動矯正ローラ(3、4、6、10)を有するドレス装置を備え、前記矯正ローラは作動時に前記列の間を通過する材料(1)に押圧して前記材料を矯正し、前記矯正ローラの一部(6、4、10)は、前記ドレス装置からでる前記材料の真直度要件を満たすようにモデルに応じて自動的に制御可能に前記材料(1)に合わせて調整可能であり、前記モデルは前記材料(1)の入力された入力データに基づきかつ前記ドレス装置に記録された前記ドレス装置及び前記材料のデータに基づき確率的に決定されている装置であって、前記材料(1)に最初に作用する前記矯正ローラ(3)は1列の固定軸を有し、前記材料(1)に押圧する前記矯正ローラ(4)と同じ側において通過する前記材料(1)に合わせてその後個別に調整可能であること、及び、反対側の列の前記矯正ローラ(6、10)はいずれも前記材料(1)に合わせて調整可能であり、前記材料(1)に最初に作用する当該列の前記矯正ローラ(6)は合同で調整可能であり、その後前記材料(1)に押圧する同じ列の矯正ローラ(10)は個別に調整可能であり、前記矯正ローラ(3、4、6、10)にかかる前記力の大きさ及び方向は歪みゲージ(17)といったこれらの自律的に調整された測定装置によって測定可能であり、前記材料(1)の温度は前記ドレス装置の入口及び出口に配置された測定装置(16)によって測定可能であり、得られた測定値は全て前記調整可能な矯正ローラ(6、4、10)の調整を制御する前記モデルに提供されること、を特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、1つ又はいくつかの矯正ローラ(3、4、6、10)の後の前記材料(1)の温度はそれらに各々に配置された測定装置によって測定可能であり、得られた測定値は全て調整可能な矯正ローラ(6、4、10)の調整を制御するモデルに同様に提供可能であることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の装置であって、1つ又はいくつかの矯正ローラ(3、4、6、10)の後の前記材料(1)の位置はそれらに各々に配置された測定装置によって測定可能であり、得られた測定値は全て調整可能な矯正ローラ(6、4、10)の調整を制御するモデルに同様に提供可能であることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレス装置によってワイヤ又はストリップ材料を矯正する方法であって、前記ドレス装置は通過する材料の両側においてずれて押圧する矯正ローラを備え、それらのうち一部は、前記材料の入力データ、及び、真直度要件を満たすように前記材料が前記ドレス装置を通過する間に決定された前記材料及び前記ドレス装置のデータに基づいて確率的に決定されたモデルに従って自動的に起動し、少なくとも1つの矯正ローラの位置が前記ドレス装置を通過する間記録される前記データに基づき連続して修正変更され、前記データは目標真直度を示す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような方法はDE-A-196 53 569に記載される。しかしながら、当該文献は現在進行中の矯正処理時に単に極めて一般的に測定された製品及び/又は処理データを扱っているに過ぎず、データはオンラインでモデルに組み込まれ、これに必要な測定値を特定することなく変化する。また、このモデルによって、矯正されたエンドプロダクトの正確な形状から推論を構成可能であるのかあるいはどの程度可能であるのかが明確でない。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、未知の可変曲率を有する矯正対象の材料を矯正するために、自律的な方法のための閉鎖制御回路を提供することである。この方法は、矯正ワイヤの目標真直度をより確実に保証するものである。
【0004】
このことは前述の方法で実現され、当該方法では、
(i)矯正ローラ自体上で矯正ローラにかかる力の大きさ及び方向、及び/又は、
(ii)配置された矯正ローラを通過する前後の材料の温度、及び/又は、
(iii)各矯正ローラの後の材料の位置が測定され、得られた測定値は、調整可能な矯正ローラの調整を制御するモデルに入力される。
【0005】
利点として、(ii)材料の温度は各矯正ローラ又は各矯正ブロックの出口で測定される。
【0006】
矯正ローラでかかる力の測定(i)は、便宜的には、矯正ローラの軸受ボルトに配置され、軸方向、垂直方向、及び/又は水平方向に曲げモーメントを測定する歪みゲージによって行われる。
【0007】
温度の測定(ii)は、矯正対象の材料に加えられる変形エネルギーを記録する。モデルに流れ込む材料特性は、この測定により任意で補正することができる。この測定は矯正処理の開始時又は矯正装置をキャリブレーションする際にのみ実施される。
【0008】
材料の位置の測定(iii)は便宜的には、矯正ローラの位置決め方向における通過軸からの材料のずれを測定することにより、各矯正ローラの後で行われる。その際に周知の光学的な又は非接触の(例えば、磁気的な)測定方法が使用される。このことは、通過するワイヤ材料の便宜的な測定のためにさらに生じる振動にも適用され、この振動の測定値も同様に、調整可能な矯正ローラの調整を制御するモデルに入力される。現在行われている操作では、本発明に係る方法を実施するために矯正ローラでかかる力を測定すればよく、位置測定(iii)はキャリブレーション処理の方法の開始時にのみ実施されることが考えられる。
【0009】
利点として、前述のように材料は2つのドレス装置を通過する。一方のドレス装置は水平に配置された矯正ローラであり、他方は垂直に配置された矯正ローラである。
【0010】
さらに、本発明は、互いに長手方向に逆向きにずれて配置された2列の非駆動矯正ローラを有するドレス装置を備えた、本発明に係る方法を実施するための装置であって、前記矯正ローラは、作動時に前記列の間を通過するワイヤに押圧して前記ワイヤを矯正し、前記矯正ローラの一部は、前記ドレス装置から出る前記材料の真直度要件を満たすように、モデルに応じて自動的に制御可能に前記材料に合わせて調整可能であり、前記モデルが、前記ワイヤの入力された入力データに基づきかつ前記ドレス装置に記録された前記ドレス装置及び前記材料のデータに基づき確率的に決定される装置に関する。このような装置は先に引用したDE-Aで言及されている。
【0011】
本発明は、材料に最初に作用する矯正ローラが1列の固定軸を有し、その後材料と同じ側で材料に押圧する矯正ローラが通過する材料に合わせて個別で調整可能であり、反対側の列の矯正ローラはいずれも材料に合わせて調整可能であり、そのうち材料に最初に作用する当該列の矯正ローラは合同で調整可能であり、その後材料に押圧する同じ列の矯正ローラは個別で調整可能であり、矯正ローラにかかる力の大きさと方向はこれらの自律的に配置された歪みゲージ等の測定装置により測定可能であり、材料の温度はドレス装置の入口及び出口に配置された測定装置により測定可能であり、得られた測定値は全て調整可能な矯正ローラの調整を制御するモデルに提供される装置に関する。
【0012】
本発明の別の案では、1つ又はいくつかの矯正ローラの後の材料の温度は、それら各々に配置された測定装置により測定可能であり、得られた測定値は全て調整可能な矯正ローラの調整を制御するモデルに同様に提供可能である。
【0013】
別の実施形態では、1つ又はいくつかの矯正ローラの後の材料の位置は、それら各々に配置された測定装置により測定可能であり、得られた測定値は全て調整可能な矯正ローラの調整を制御するモデルに同様に提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面を用いて本願がより詳細に説明される。
【0015】
図1】ワイヤが通過するドレス装置を示す。
図2】個々の矯正ローラで生じる力の測定点が示された同じドレス装置とワイヤ温度を示す。
図3】歪みゲージが配置された矯正ローラを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び図2のドレス装置は、互いに水平方向にずれて配置された2列の水平な矯正ローラ3、4、6、10を有する。一方の列は下から矯正対象のワイヤに押圧し、他方の列は上から矯正対象のワイヤに押圧する。矯正対象の材料1はストリップ材料(図示されず)でもよい。すなわち、以下材料という用語はワイヤ又はストリップ材料とする。矯正ローラ3、4、6、10は回転駆動部を有さない。すなわち、材料1としてのワイヤがドレス装置を通過し、この材料は図示されない供給ローラによって矢印2の方向に移動する。通常、ワイヤはそれぞれ互いに90度ずらされた2つのドレス装置を連続して通過し、このうち一方のドレス装置は水平な矯正ローラを有し、他方のドレス装置は垂直な矯正ローラを有する。本発明の主な作動範囲は約4mmから約20mmの間のワイヤ直径である。
【0017】
図1及び図2に示される下列のうち最初の2つの矯正ローラ3は固定の回転軸を有する。それらに取り付けられた下側の矯正ローラ4は、前述したように調整装置5により通過する材料1に合わせて個別に調整可能である。上列のうち3つの最初の矯正ローラ6は材料1に合わせて合同で調整可能であり、このため共通の支持部7に設置される。当該支持部はレバー8を介してサーボモータ9を用いることにより高さ調整可能である。2つの上側矯正ローラ6に取り付けられた上側の矯正ローラ10は、前述したように調整装置11により材料に合わせて個別に調整可能である。
【0018】
図2は、配置された矯正ローラを通過する前後の材料1における温度測定値のほか、個々の矯正ローラにかかる、fで表される様々な力の測定値を示す。一般的に、材料1は矯正ローラの圧接による矯正中に温度が上がる。温度測定装置は点16で示される。また、温度測定は各矯正ローラ3、4、6、10の出口で行うことも可能である。
各矯正ローラ3、4、6、10の後に配置された、ワイヤの位置を決定するための測定装置は図2に示されない。これらは、矯正ローラ6、4、10の調整方向に平行な、つまり、図示されるケースでは垂直方向の通過軸からの材料1のずれを測定する周知の光学又は磁気測定装置である。また、波形状のワイヤをそれに伴い生じる干渉変数を取り除くために矯正する場合にワイヤに生じる振動を測定する測定装置も図示されていない。
【0019】
前述の測定変数は全て、調整可能な矯正ローラ6、4、10の調整を制御するモデルに入力される。
【0020】
図3は、歪みゲージ17がそれぞれの溝15において軸受ボルト12に配置された矯正ローラ13を拡大して示す。ローラに作用する力及び力の方向の測定を向上すべく、最大4個の歪みゲージ17が矯正ローラの軸受ボルト12に設けられる。この場合、軸受ボルト12において歪みゲージ17は互いに平行に配置される。さらにまた、1/4間隔で(90度ずつずれて)軸受ボルト12の軸周りに配置される。簡単な構成と十分な測定精度という利点がある歪みゲージ17に代わって、例えば同様に構成が簡単なピエゾセンサ等の他の圧力又は曲げ測定センサを軸受ボルト12内又は上に用いることも可能である。
図1
図2
図3
【国際調査報告】