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特表2022-521781標的実体を検出するためのシステム、組成物、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-12
(54)【発明の名称】標的実体を検出するためのシステム、組成物、及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6813 20180101AFI20220405BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20220405BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20220405BHJP
   C12Q 1/6888 20180101ALI20220405BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20220405BHJP
【FI】
C12Q1/6813 Z
G01N33/53 M ZNA
C12Q1/6851 Z
C12Q1/6888 Z
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549902
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(85)【翻訳文提出日】2021-08-24
(86)【国際出願番号】 US2020020529
(87)【国際公開番号】W WO2020180741
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】62/812,878
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/962,722
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】521375346
【氏名又は名称】マーシー バイオアナリティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】セドラック, ジョゼフ チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ボートリン, ローラ テレサ
(72)【発明者】
【氏名】セイラム, ダニエル パーカー
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ03
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
本開示は、標的実体を検出するための技術を提供する。本開示の一態様は、疾患、障害、または状態(例えば、がん)を検出する(例えば、早期検出する)ための技術を提供する。別の態様では、本明細書において提供される技術は、それを必要とする対象、例えば、がんを有するか、またはそれに易罹患性であると決定された対象に投与される処置を選択する、及び/またはモニターする、及び/またはその有効性を評価するために有用である。一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、治療と併せて、例えば、腫瘍量及び腫瘍量の変化を測定することによるコンパニオン診断を開発するために有用である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
(a)目的の生物学的実体を含み得る試料を、標的をそれぞれ指向する検出プローブの少なくとも1つのセットと接触させることであって、そのセットが少なくとも、第1の標的のための第1の検出プローブ及び第2の標的のための第2の検出プローブを含むので、前記目的の実体及び検出プローブの前記セットを含む組合せが生じ、
その際、前記第1の検出プローブが、第1の標的結合部分と、前記第1の標的結合部分にカップリングしている第1のオリゴヌクレオチドドメインとを含み、前記第1のオリゴヌクレオチドドメインが、第1の二本鎖部分と、前記第1のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している第1の一本鎖オーバーハングとを含み;
前記第2の検出プローブが、第2の標的結合部分と、前記第2の標的結合部分にカップリングしている第2のオリゴヌクレオチドドメインとを含み、前記第2のオリゴヌクレオチドドメインが、第2の二本鎖部分と、前記第2のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している第2の一本鎖オーバーハングとを含み、前記第2の一本鎖オーバーハングが、前記第1の一本鎖オーバーハングの少なくとも一部分に相補的なヌクレオチド配列を含み、それにより、前記第1の一本鎖オーバーハングとハイブリダイズすることができ;かつ
前記第1のオリゴヌクレオチドドメイン及び前記第2のオリゴヌクレオチドドメインが、前記第1及び第2の標的が前記目的の実体上に同時に存在し、かつ検出プローブの前記セットの前記プローブが前記目的の実体上のそれらのそれぞれの標的に結合した場合に、前記第1の一本鎖オーバーハング及び前記第2の一本鎖オーバーハングが一緒にハイブリダイズし得るような合計長さを有する、前記接触させること;
(b)前記目的の実体が前記第1の標的及び前記第2の標的を含む場合に、前記第1の検出プローブ及び前記第2の検出プローブが前記目的の実体に結合して二本鎖複合体を形成するように、検出プローブの前記セットが前記目的の実体上のそれらのそれぞれの標的に結合することを可能にする条件下で、前記組み合わせを維持すること;
(c)前記二本鎖複合体を核酸リガーゼと接触させて、前記第1の二本鎖部分の鎖及び前記第2の二本鎖部分の鎖を含むライゲートされたテンプレートを生成すること;ならびに
(d)前記ライゲートされたテンプレートを検出することであって、その際、前記ライゲートされたテンプレートの存在が、前記第1の標的及び前記第2の標的を含む前記目的の実体が前記試料中に存在することを示す、前記検出すること
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記検出が、前記ライゲートされたテンプレートの増幅を実行すること、及び前記増幅産物の存在を検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記増幅が、定量的ポリメラーゼ連鎖反応であるか、またはそれを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の一本鎖オーバーハング及び/または前記第2の一本鎖オーバーハングが4ヌクレオチド長を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の一本鎖オーバーハングまたは前記第2の一本鎖オーバーハングがGAGTのヌクレオチド配列を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記合計長さが200nm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記目的の実体が固体基材上に固定化されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記固体基材がビーズであるか、またはそれを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記固体基材が表面であるか、またはそれを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記表面が、フィルター、マトリックス、膜、プレート、管、及び/またはウェルの捕捉表面である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(c)の接触前に、前記二本鎖複合体を、前記第1のオリゴヌクレオチドを前記第2のオリゴヌクレオチドドメインと会合させるコネクターオリゴヌクレオチドと接触させることを含まない、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記コネクターオリゴヌクレオチドが、前記第1のオリゴヌクレオチドドメインの少なくとも一部分及び前記第2のオリゴヌクレオチドドメインの少なくとも一部分とハイブリダイズする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の標的結合部分及び/または前記第2の標的結合部分が抗体因子を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
検出プローブの前記セットがさらに、第3の標的のための追加の検出プローブを含み、前記追加の検出プローブが、第3の標的結合部分と、前記第3の標的結合部分にカップリングしている第3のオリゴヌクレオチドドメインとを含み、前記第3のオリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分と、前記第3のオリゴヌクレオチドドメインのそれぞれの末端から伸長している第3の一本鎖オーバーハングとを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
検出プローブの前記セットが、それぞれ特異的標的のための2~20の検出プローブを含み、前記検出プローブのそれぞれが、標的結合部分と、前記標的結合部分にカップリングしているオリゴヌクレオチドドメインとを含み、前記オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分と、前記オリゴヌクレオチドドメインの少なくとも1つの末端から伸長している一本鎖オーバーハングとを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
(i)検出プローブの前記セットが2つの別個の検出プローブを含み;かつ(ii)前記二本鎖複合体が、前記二本鎖複合体の各鎖が核酸リガーゼの存在下でライゲート可能であることにおいて特徴づけられる、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
(i)検出プローブの前記セットが少なくとも3つまたはそれ以上の別個の検出プローブを含み;かつ(ii)前記二本鎖複合体が、前記二本鎖複合体の一方の鎖が、核酸リガーゼの存在下でライゲート可能である一方で、前記二本鎖複合体の別の鎖が、核酸リガーゼの存在下でライゲート不可能であることにおいて特徴づけられる、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記二本鎖複合体の前記ライゲート不可能な鎖がギャップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
検出プローブの前記セットがさらに、対照プローブを含み、その際、前記対照プローブが、前記目的の実体への前記対照プローブの結合により、ライゲートされたテンプレートの生成が阻害される、及び/または非標的生物学的実体からのライゲートされたテンプレートの増幅が阻害されることにおいて特徴づけられる、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記対照プローブが、対照基準に結合するように構成されている、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記核酸リガーゼが、DNAリガーゼ(例えば、T4またはT7DNAリガーゼ)であるか、またはそれを含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記試料が、対象の血液由来試料(例えば、血漿または血液試料)に由来する、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記目的の実体が、インタクトな細胞またはその断片であるか、またはそれを含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記目的の実体が、細胞外小胞であるか、またはそれを含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記オリゴヌクレオチドドメインが、共有結合手段により、前記標的結合部分にカップリングしている、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記試料がヒト対象に由来する、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
検出プローブの前記セットが、がん特異的であり;かつ前記ライゲートされたテンプレートの存在が、ヒト対象ががんに罹患しているか、またはがんを発症するリスクを有することを示す、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記がんが、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、胆管癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃腸癌、ホジキンリンパ腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、皮膚癌、及び胃癌からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記がんが結腸直腸癌である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記がんが肺癌である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記がんが乳癌である、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記がんが卵巣癌である、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記ヒト対象が無症候性ヒト対象である、請求項26~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記無症候性ヒト対象が、がんの家族歴を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記無症候性ヒト対象が、がんについて以前に処置されたことがある、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記無症候性ヒト対象が、がん処置後にがん再発のリスクを有する、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記無症候性ヒト対象が、がん処置後に寛解している、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記無症候性ヒト対象が、少なくとも1つのがんバイオマーカーの存在について以前に、または周期的にスクリーニングされている、請求項33~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記ヒト対象が、がんについて以前にスクリーニングされている、請求項26~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記ヒト対象が、がんに罹患しているか、または易罹患性であると以前に診断された、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
無症候性ヒト対象を、早期ステージがんまたはがん再発について周期的にスクリーニングするために実行する、請求項26~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記ヒト対象が、がんに罹患していると決定されたヒト対象である、請求項26~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記ヒト対象が、前記ライゲートされたテンプレートの存在及び/または量に基づき、治療に応答する可能性があるかどうかを決定することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ライゲートされたテンプレートの存在及び/または量に基づき、前記ヒト対象に投与するための治療を選択することをさらに含む、請求項42または43に記載の方法。
【請求項45】
前記ヒト対象が、治療を受けているヒト対象である、請求項26~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記ヒト対象を一時期にわたって処置した後に、前記ヒト対象からの第2の試料で、前記方法の前記ステップ(a)~(d)を繰り返すことをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ライゲートされたテンプレートの量の変化に基づき、前記ヒト対象が受けた治療の有効性を評価することをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
標的をそれぞれ指向する検出プローブの少なくとも1つのセットを含むキットであって:
a.第1の標的結合部分と、前記第1の標的結合部分にカップリングしている第1のオリゴヌクレオチドドメインとを含み、前記第1のオリゴヌクレオチドドメインが、第1の二本鎖部分と、前記第1のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している第1の一本鎖オーバーハングとを含む、第1の標的のための第1の検出プローブ;及び
b.第2の標的結合部分と、前記第2の標的結合部分にカップリングしている第2のオリゴヌクレオチドドメインとを含み、前記第2のオリゴヌクレオチドドメインが、第2の二本鎖部分と、前記第2のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している第2の一本鎖オーバーハングとを含み、その際、前記第2の一本鎖オーバーハングが、前記第1の一本鎖オーバーハングの少なくとも一部分と相補的であるヌクレオチド配列を含み、それにより、前記第1の一本鎖オーバーハングとハイブリダイズし得る、第2の標的のための第2の検出プローブ
を含み;
その際、前記第1のオリゴヌクレオチドドメイン及び前記第2のオリゴヌクレオチドドメインが、前記第1及び第2の標的が目的の実体(例えば、目的の生物学的実体)上に同時に存在し、かつ検出プローブの前記セットの前記プローブが前記目的の実体上のそれらのそれぞれの標的に結合した場合に、前記第1の一本鎖オーバーハング及び前記第2の一本鎖オーバーハングが一緒にハイブリダイズし得るような合計長さを有する、前記キット。
【請求項49】
検出プローブの前記セットが、それぞれ特異的標的のための2~20の検出プローブを含み、前記検出プローブのそれぞれが、標的結合部分と、前記標的結合部分にカップリングしているオリゴヌクレオチドドメインとを含み、前記オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分と、前記オリゴヌクレオチドドメインの少なくとも1つの末端から伸長している一本鎖オーバーハングとを含む、請求項48に記載のキット。
【請求項50】
検出プローブの複数のセットを含み、その際、検出プローブの前記複数のセットが:
(a)それぞれのセットが、同じがんのための少なくとも1つの別個のバイオマーカーを認識する;または
(b)それぞれのセットが、異なるがんのための少なくとも1つの別個のバイオマーカーを認識する;または;
(c)それぞれのセットが、同じがんのための(例えば、少なくとも2つの)バイオマーカーの別個の組合せを認識する;または
(b)それぞれのセットが、異なるがんのための(例えば、少なくとも2つの)バイオマーカーの別個の組合せを認識する
ことにおいて特徴づけられ;
その際、(a)、(b)、(c)または(d)のそれぞれのセットが、少なくとも2つまたはそれ以上の検出プローブを含み、前記検出プローブのそれぞれが、標的結合部分と、前記標的結合部分にカップリングしているオリゴヌクレオチドドメインとを含み、前記オリゴヌクレオチドドメインが、二本鎖部分と、前記オリゴヌクレオチドドメインの少なくとも1つの末端から伸長している一本鎖オーバーハングとを含む、請求項48に記載のキット。
【請求項51】
前記がんが、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、胆管癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃腸癌、ホジキンリンパ腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、皮膚癌、及び胃癌からなる群から選択される、請求項50に記載のキット。
【請求項52】
目的の実体を捕捉するための固体基材をさらに含む、請求項48~51のいずれか1項に記載のキット。
【請求項53】
固定剤をさらに含む、請求項48~52のいずれか1項に記載のキット。
【請求項54】
透過化剤をさらに含む、請求項48~53のいずれか1項に記載のキット。
【請求項55】
遮断剤をさらに含む、請求項48~54のいずれか1項に記載のキット。
【請求項56】
核酸リガーゼをさらに含む、請求項48~55のいずれか1項に記載のキット。
【請求項57】
増幅されるテンプレートのためのプライマーの1つまたは複数の対をさらに含む、請求項48~56のいずれか1項に記載のキット。
【請求項58】
早期ステージがんについて対象をスクリーニングする際に使用するための、請求項48~57のいずれか1項に記載のキット。
【請求項59】
前記対象が無症候性ヒト対象である、請求項58に記載のキット。
【請求項60】
前記無症候性ヒト対象ががんの家族歴を有する、請求項59に記載のキット。
【請求項61】
前記無症候性ヒト対象が、がんについて以前に処置されたことがある、請求項59に記載のキット。
【請求項62】
前記無症候性ヒト対象が、がん処置後にがん再発のリスクを有する、請求項59に記載のキット。
【請求項63】
前記無症候性ヒト対象が、がん処置後に寛解している、請求項59に記載のキット。
【請求項64】
前記対象が、がんについて以前にスクリーニングされている、請求項58~63のいずれか1項に記載のキット。
【請求項65】
前記ヒト対象が、がんに罹患しているか、または易罹患性であると以前に診断された、請求項64に記載のキット。
【請求項66】
がんについて処置されたことがある対象において、腫瘍再発をモニターする際に使用するための、請求項48~57のいずれか1項に記載のキット。
【請求項67】
コンパニオン診断として、がん処置と組み合わせて使用するための、請求項48~57のいずれか1項に記載のキット。
【請求項68】
それを必要とする対象に投与された治療の有効性をモニターまたは評価する際に使用するための、請求項48~57のいずれか1項に記載のキット。
【請求項69】
それを必要とする対象のための治療を選択する際に使用するための、請求項48~57のいずれか1項に記載のキット。
【請求項70】
二本鎖複合体であって、
(a)第1の標的及び第2の標的を含む目的の実体(例えば、目的の生物学的実体);
(b)第1の標的結合部分と、前記第1の標的結合部分にカップリングしている第1のオリゴヌクレオチドドメインとを含み、前記第1のオリゴヌクレオチドドメインが、第1の二本鎖部分と、前記第1のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している第1の一本鎖オーバーハングとを含む、前記第1の標的結合部分を介して第1の標的に結合している第1の検出プローブ;及び
(c)第2の標的結合部分と、前記第2の標的結合部分にカップリングしている第2のオリゴヌクレオチドドメインとを含み、前記第2のオリゴヌクレオチドドメインが、第2の二本鎖部分と、前記第2のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している第2の一本鎖オーバーハングとを含み、前記第2の標的結合部分を介して第2の標的に結合している第2の検出プローブ
を含み、
その際、前記第1の一本鎖オーバーハングが、前記第2の一本鎖オーバーハングとハイブリダイズしている、前記二本鎖複合体。
【請求項71】
第3の標的結合部分と、前記第3の標的結合部分にカップリングしている第3のオリゴヌクレオチドドメインとを含み、前記第3のオリゴヌクレオチドドメインが、第3の二本鎖部分と、前記第3のオリゴヌクレオチドドメインの少なくとも一方の末端から伸長している第3の一本鎖オーバーハングとを含む、第3の標的結合部分を介して前記目的の実体上に存在する第3の標的に結合している第3の検出プローブをさらに含み、かつ
前記第3の一本鎖オーバーハングが、前記第1及び/または第2の一本鎖オーバーハングとハイブリダイズしており;かつ
前記オリゴヌクレオチドドメインの鎖を含む前記二本鎖複合体の一方の鎖が、核酸リガーゼの存在下でライゲート可能である一方で、前記オリゴヌクレオチドドメインの鎖を含む前記二本鎖複合体の他方の鎖が、核酸リガーゼの存在下でライゲート不可能である、請求項70に記載の二本鎖複合体。
【請求項72】
前記ライゲート不可能な鎖がギャップを含む、請求項71に記載の二本鎖複合体。
【請求項73】
前記ギャップが、少なくとも2~8ヌクレオチド長のものである、請求項72に記載の二本鎖複合体。
【請求項74】
前記ギャップが、少なくとも6ヌクレオチド長のものである、請求項72に記載の二本鎖複合体。
【請求項75】
前記オーバーハングが8ヌクレオチド長を有する、請求項70~74のいずれか1項に記載の二本鎖複合体。
【請求項76】
目的の実体(例えば、目的の生物学的実体)において少なくとも2つの標的を検出するための検出プローブのセットを提供する方法であって、
a.第1の標的結合部分と、前記第1の標的結合部分にカップリングしている第1のオリゴヌクレオチドドメインとを含み、前記第1のオリゴヌクレオチドドメインが、第1の二本鎖部分と、前記第1のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している第1の一本鎖オーバーハングとを含み、その際、前記第1のオリゴヌクレオチドドメインが約20nm~約500nmの長さを有する、第1の標的のための第1の候補検出プローブを得ること;
b.第2の標的結合部分と、前記第2の標的結合部分にカップリングしている第2のオリゴヌクレオチドドメインとを含み、前記第2のオリゴヌクレオチドドメインが、第2の二本鎖部分と、前記第2のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している第2の一本鎖オーバーハングとを含み、その際、前記第2の一本鎖オーバーハングが、前記第1の一本鎖オーバーハングの少なくとも一部分と相補的であるヌクレオチド配列を含み、それにより、前記第1の一本鎖オーバーハングとハイブリダイズすることができ、その際、前記第2のオリゴヌクレオチドドメインが約20nm~約500nmの長さを有する、第2の標的のための第2の候補検出プローブを得ること;
c.前記第1の標的及び前記第2の標的を含む目的の実体を、前記第1の候補検出プローブ及び前記第2の候補検出プローブと接触させること;及び
d.前記第1の一本鎖オーバーハングが、二本鎖複合体中で前記第2の一本鎖オーバーハングとハイブリダイズしている、前記目的の実体、前記目的の実体に結合している前記第1の候補検出プローブ、及び前記目的の実体に結合している前記第2の候補検出プローブを含む前記二本鎖複合体の形成を検出することを含み、
それにより、前記二本鎖複合体の存在に基づき、前記第1のオリゴヌクレオチドドメイン及び前記第2のオリゴヌクレオチドドメインの長さを選択して、第1の標的のための第1の検出プローブ及び第2の標的のための第2の検出プローブを含む検出プローブのセットを得る、前記方法。
【請求項77】
前記第1のオリゴヌクレオチドドメインを、前記第1の標的結合部分にカップリングさせることをさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記第2のオリゴヌクレオチドドメインを前記第2の標的結合部分にカップリングさせることをさらに含む、請求項76または77に記載の方法。
【請求項79】
前記目的の実体が、細胞外小胞であるか、またはそれを含む、請求項76~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記第1のオリゴヌクレオチドドメインが約20nm~約100nmの長さを有し;かつ前記第2のオリゴヌクレオチドドメインが約20nm~約100nmの長さを有する、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
方法であって:
(A)対象から血液由来試料を用意する、または得るステップ;
(B)前記血液由来試料中で、疾患、障害、または状態についての標的バイオマーカーシグネチャーを発現する細胞外小胞(「標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞」)を検出するステップであって、その際、
(a)前記標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞を、前記標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーをそれぞれ指向する検出プローブのセットと接触させることであって、そのセットが、少なくとも2つの検出プローブを含むので、前記細胞外小胞及び検出プローブの前記セットを含む組合せが生じ、
前記セット中の少なくとも2つの検出プローブのそれぞれが:
(i)前記標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーを指向する標的結合部分と;
(ii)前記標的結合部分にカップリングしているオリゴヌクレオチドドメインとを含み、前記オリゴヌクレオチドドメインが二本鎖部分と、前記オリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している一本鎖オーバーハング部分とを含み、
前記少なくとも2つの検出プローブの一本鎖オーバーハング部分が、前記少なくとも2つの検出プローブが同じ細胞外小胞に結合している場合に、相互にハイブリダイズし得ることにおいて特徴づけられる、前記接触させること
(b)前記組合せを、前記少なくとも2つの検出プローブが、前記細胞外小胞上のそれらのそれぞれの標的に結合することを可能にする条件下で維持して、前記少なくとも2つの検出プローブが、前記標的バイオマーカーシグネチャーを発現する同じ細胞外小胞に結合して、二本鎖複合体を形成し得るようにすること;
(c)前記二本鎖複合体を核酸リガーゼと接触させて、ライゲートされたテンプレートを生成すること;及び
(d)前記ライゲートされたテンプレートを検出/測定することであって、その際、前記ライゲートされたテンプレートの存在が、前記血液由来試料における前記標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞の存在及び/またはレベルを示す、前記検出/測定すること
を含む検出アッセイを含む、前記検出するステップ;
(C)前記検出アッセイから得られた試料情報を、基準閾値レベルを含む基準情報と比較するステップ;
(D)前記血液由来試料が、前記基準閾値レベルと比べて上昇したレベルの標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞を示す場合に、前記対象を、疾患、障害、または状態を有する、またはそれに易罹患性であると分類するステップを含む、前記方法。
【請求項82】
前記検出アッセイが、前記核酸リガーゼとの接触前に、前記二本鎖複合体を、前記少なくとも2つの検出プローブの前記オリゴヌクレオチドドメインを会合させるコネクターオリゴヌクレオチドと接触させることを含まない、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記コネクターオリゴヌクレオチドが、前記少なくとも2つの検出プローブの前記オリゴヌクレオチドドメインのそれぞれの少なくとも一部分とハイブリダイズする、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記セットが、前記標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーをそれぞれ指向する少なくとも3つの検出プローブを含む、請求項81~83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記セットが、前記標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーをそれぞれ指向する2~50の検出プローブまたは3~50の検出プローブを含む、請求項81~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記基準閾値レベルを、基準対象の集団からの比較可能な試料において観察された標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞のレベルにより決定する、請求項81~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記基準対象の集団が、次の対象集団:健康な対象、良性腫瘍または腫瘤と診断されている対象、ならびに無関係の疾患、障害、及び/または状態を有する対象のうちの1つまたは複数を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記標的バイオマーカーシグネチャーが、(1)細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドを含む第1の標的バイオマーカー;ならびに(2)表面タンパク質バイオマーカー、小胞内タンパク質バイオマーカー、及び小胞内RNAバイオマーカーからなる群から選択される標的バイオマーカーを含む第2の標的バイオマーカーを含み、その際、前記第2の標的バイオマーカーが、前記表面タンパク質バイオマーカーの1つまたは複数から選択される場合、前記選択された表面タンパク質バイオマーカー(複数可)及び前記第1の標的バイオマーカーの前記細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドが異なる、請求項81~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
細胞外小胞を含む目的のサイズ範囲を有するナノ粒子を(例えば、前記血液由来試料から直接)単離するために、前記血液由来試料がサイズ排除クロマトグラフィーに掛けられている、請求項81~88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記検出ステップが捕捉アッセイをさらに含む、請求項81~89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記検出アッセイの前に、前記捕捉アッセイを実行する、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記捕捉アッセイが、前記血液由来試料を、細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドを含む前記第1の標的バイオマーカーに結合する標的捕捉部分を含む捕捉因子と接触させることを含む、請求項90または91に記載の方法。
【請求項93】
前記捕捉因子が、コンジュゲートした前記標的捕捉部分を含む固体基材であるか、またはそれを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記固体基材が磁気ビーズを含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記標的捕捉部分が抗体因子であるか、またはそれを含む、請求項92~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記検出プローブの前記標的結合部分が前記第2の標的バイオマーカーを指向する、請求項88~95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記検出プローブの前記標的結合部分が、前記第2の標的バイオマーカーを指向する少なくとも1つの抗体因子であるか、またはそれを含む、請求項88~96のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記少なくとも2つの検出プローブの前記標的結合部分が、前記標的バイオマーカーシグネチャーの同じ標的バイオマーカーを指向する、請求項81~97のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
前記少なくとも2つの検出プローブの前記オリゴヌクレオチドドメインが異なる、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記標的バイオマーカーシグネチャーが少なくとも1つの小胞内RNAバイオマーカーを含む場合、前記検出アッセイが逆転写PCRをさらに含む、請求項88~99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
前記標的バイオマーカーシグネチャーが少なくとも1つの小胞内タンパク質バイオマーカーを含む場合、前記標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞を、前記検出アッセイの前に、固定化及び/または透過化を含めて処理する、請求項88~100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記標的バイオマーカーシグネチャーが少なくとも1つの表面タンパク質バイオマーカー及び/または小胞内タンパク質バイオマーカーを含む場合、前記検出アッセイが、イムノアッセイ(例えば、免疫-PCR、及び/または近接ライゲーションアッセイを含む)をさらに含む、請求項88~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記標的バイオマーカーシグネチャーが特異的である疾患、障害、または状態が、がんである、請求項81~102のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
前記対象において早期ステージがん、後期ステージがん、または再発がんについてスクリーニングするために実行する、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記がんが、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、胆管癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃腸癌、ホジキンリンパ腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、皮膚癌、及び胃癌からなる群から選択される、請求項103または104に記載の方法。
【請求項106】
前記対象が、次の特徴:
(i)がんに易罹患性である無症候性対象(例えば、がんについて平均的集団リスクを有する(すなわち、遺伝的リスクを有さない)、または遺伝的リスクを有する);
(ii)がんの家族歴を有する対象(例えば、1人または複数の一等親血縁者ががんの履歴を有する対象);
(iii)1つまたは複数のがん関連遺伝子において1つまたは複数の生殖細胞系変異を有すると決定された対象;
(iv)例えば、65歳またはそれ以上の年齢の高齢対象;
(v)がんの1つまたは複数の非特異的症状を有する対象;及び
(vi)周期的ながんスクリーニングを推奨されている対象;
(vii)画像で確認される腫瘤を有すると診断されている対象;
(viii)リスクを低減する外科的介入を施される前の、がんについて遺伝的リスクを有する対象;
(ix)良性腫瘍を有する対象;及び
(x)がんについて以前に処理されたことがある対象
のうちの少なくとも1つまたはそれ以上を有する、請求項103~105のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
次の診断アッセイ:
(i)前記対象の毎年の理学的検査;
(ii)がんスクリーニング検査;
(iii)がんに関連する循環腫瘍DNA及び/またはタンパク質バイオマーカーにおける遺伝子変異について、血漿をスクリーニングするための遺伝子アッセイ;
(iv)細胞表現型及びマーカー発現を同定するための免疫蛍光染色、続いて、次世代シーケンシングによる増幅及び分析を含むアッセイ;ならびに
(v)生殖細胞系及び体細胞突然変異アッセイ、または細胞非含有腫瘍DNA、リキッドバイオプシー、血清タンパク質及び細胞非含有DNA、及び/または循環腫瘍細胞を伴うアッセイ
のうちの1つまたは複数と組み合わせて使用する、請求項103~106のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
抗がん治療の処置に対する応答について、及び/またはがん再発/転移についてがん患者をモニターするために実行する、請求項103~107のいずれか1項に記載の方法。
【請求項109】
疾患、障害、または状態(例えば、がん)を検出するためのキットであって:
(a)細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドを指向する標的捕捉部分を含む捕捉因子;及び
(b)疾患、障害、または状態(例えば、がん)についての標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーをそれぞれ指向する少なくとも2つの検出プローブを含む、検出プローブのセット
を含み、
その際、前記少なくとも2つの検出プローブのそれぞれが:
(i)前記標的バイオマーカーシグネチャーの前記標的バイオマーカーを指向する標的結合部分;及び
(ii)前記標的結合部分にカップリングしているオリゴヌクレオチドドメインであって、二本鎖部分と、前記オリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している一本鎖オーバーハング部分とを含む、前記オリゴヌクレオチドドメイン
を含み、
前記少なくとも2つの検出プローブの前記一本鎖オーバーハング部分が、前記少なくとも2つの検出プローブが同じ細胞外小胞に結合している場合に、それらが相互にハイブリダイズし得ることにおいて特徴づけられ;
疾患、障害、または状態(例えば、がん)についての前記標的バイオマーカーシグネチャーが:
少なくとも1つの細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドと、
表面タンパク質バイオマーカー、小胞内タンパク質バイオマーカー、及び小胞内RNAバイオマーカーからなる群から選択される少なくとも1つの標的バイオマーカーとを含み、
前記少なくとも1つの標的バイオマーカーが、前記表面タンパク質バイオマーカーのうちの1つまたは複数から選択される場合、前記選択された表面タンパク質バイオマーカー(複数可)及び前記少なくとも1つの細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドが異なる、前記キット。
【請求項110】
前記少なくとも2つの検出プローブの前記標的結合部分がそれぞれ、前記標的バイオマーカーシグネチャーの同じ標的バイオマーカーを指向する、請求項109に記載のキット。
【請求項111】
前記少なくとも2つの検出プローブの前記オリゴヌクレオチドドメインが異なる、請求項110に記載のキット。
【請求項112】
前記少なくとも2つの検出プローブの前記標的結合部分がそれぞれ、前記標的バイオマーカーシグネチャーの別個の標的バイオマーカーを指向する、請求項109~111のいずれか1項に記載のキット。
【請求項113】
少なくとも1つの追加の試薬(例えば、リガーゼ、固定化剤、及び/または透過化剤)をさらに含む、請求項109~112のいずれか1項に記載のキット。
【請求項114】
複合体であって:
(a)疾患、障害、または状態(例えば、がん)についての標的バイオマーカーシグネチャーを発現する細胞外小胞であって、前記標的バイオマーカーシグネチャーが、(1)少なくとも1つの細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドを含む第1の標的バイオマーカーと;(2)表面タンパク質バイオマーカー、小胞内タンパク質バイオマーカー、及び小胞内RNAバイオマーカーからなる群から選択される少なくとも1つの標的バイオマーカーを含む第2の標的バイオマーカーとを含み、
前記第2の標的バイオマーカーが、前記表面タンパク質バイオマーカーのうちの1つまたは複数から選択される場合、前記第2の標的バイオマーカーの前記選択された表面タンパク質バイオマーカー(複数可)及び前記第1の標的バイオマーカーの前記少なくとも1つの細胞外小胞関連膜結合タンパク質が異なり;
前記細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドを指向する標的捕捉部分を含む固体基材上に固定化されている、前記細胞外小胞と;
(b)第1の検出プローブ及び第2の検出プローブであって、それぞれが、
(i)前記標的バイオマーカーシグネチャーの前記第2の標的バイオマーカーを指向する標的結合部分;及び
(ii)前記標的結合部分にカップリングしているオリゴヌクレオチドドメインであって、二本鎖部分と、前記オリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している一本鎖オーバーハング部分とを含む、前記オリゴヌクレオチドドメイン
を含み、
前記第1及び第2の検出プローブの前記一本鎖オーバーハング部分が相互にハイブリダイズしている、前記細胞外小胞にそれぞれ結合している、前記第1の検出プローブ及び第2の検出プローブとを含む、前記複合体。
【請求項115】
前記少なくとも2つの検出プローブの前記標的結合部分がそれぞれ、前記標的バイオマーカーシグネチャーの同じ標的バイオマーカーを指向する、請求項114に記載の複合体。
【請求項116】
前記少なくとも2つの検出プローブの前記オリゴヌクレオチドドメインが異なる、請求項115に記載の複合体。
【請求項117】
前記少なくとも2つの検出プローブの前記標的結合部分がそれぞれ、前記標的バイオマーカーシグネチャーの別個の標的バイオマーカーを指向する、請求項114に記載の複合体。
【請求項118】
前記固体基材が磁気ビーズを含む、請求項114~117のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項119】
前記標的捕捉部分が、抗体因子であるか、またはそれを含む、請求項114~118のいずれか1項に記載の複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、それぞれの全体が本明細書に援用される2019年3月1日出願の米国特許仮出願第62/812,878号、及び2020年1月17日出願の米国特許仮出願第62/962,722号の利益を請求する。
【背景技術】
【0002】
がんの早期検出により、処置が成功する見込みが大幅に増大する。しかしながら、多くのがんに未だに、有効なスクリーニング推奨基準がない。がんスクリーニング検査についての典型的な課題には、限定的な感受性及び特異性が含まれる。高率の擬陽性結果が特に懸念され得、それというのも、それにより、望ましくない副作用を潜在的に有し得る抗がん治療を不必要に投与したくないであろう(または投与されたくないであろう)臨床医及び患者にとって、管理決定が困難になり得るためである。逆に、高率の偽陰性結果は、治療を必要とする患者を見落として、処置の遅延をもたらし、その結果、成功の可能性を低下させるので、スクリーニング検査の目的を満たすことができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は特に、有効ながんスクリーニングを達成するための洞察及び技術を提供する。一部の実施形態では、提供される技術は、早期ステージのがんを検出するために有効である。一部の実施形態では、提供される技術は、無症候性個体を含むか、またはその個体からなる集団に適用される場合にも、有効である(例えば、十分に高い感受性及び/または低率の擬陽性及び/または偽陰性結果により)。一部の実施形態では、提供される技術は、がんを発症する遺伝的リスクのない個体(例えば、無症候性個体)を含むか、またはその個体からなる集団に適用される場合に有効である。一部の実施形態では、本明細書において提供される開示を読むことで、当業者には明らかであるとおり、提供される技術は、1つまたは複数の組成物(例えば、分子実体または複合体、系、細胞、収集物、組合せ、キットなど)及び/または方法(例えば、製造する、使用する、評価する方法など)であり得るか、またはそれらを含み得る。
【0004】
一部の実施形態では、本開示は、例えば、がん検出及び診断のためのある特定の従来のアプローチを含むある特定の先行技術を用いて、問題の原因を同定する。例えば、本開示は、例えば、無細胞核酸、循環腫瘍細胞、タンパク質、血清タンパク質に基づく多くの従来の診断アッセイ、及び/または細胞外小胞のバルク分析は時間がかかり得、経費がかかり得、及び/または信頼できる包括的な診断評価を得るために十分な感受性、及び/または特異性を欠き得ることを認めるものである。一部の実施形態では、本開示は、そのような問題を特に、個体標的実体(例えば、生物学的実体)上の分子またはエピトープの相互作用及び/または共局在に基づく標的実体検出アプローチを開発することにより解決する技術(システム、組成物、及び方法を含む)を提供する。
【0005】
一部の実施形態では、本開示は特に、無症候性個体のスクリーニング、例えば、症候(複数可)の発症前の、またはそうでなければその非存在下での定期的なスクリーニングが、がんの有効な管理(例えば、処置の成功)には有利で、重要でもあり得るという洞察を提供する。別法では、または加えて、一部の実施形態では、本開示はさらに、異なる種類のがん(例えば、複数の異なるがん)についてのスクリーニング(例えば、定期的なスクリーニング)が、がんの有効な管理(例えば、処置の成功)には有利で、重要でもあり得るという洞察を提供する。一部の実施形態では、本開示は、一部の実施形態では、無症候性個体(例えば、がんの遺伝的リスクのない個体)において、例えば、早期ステージがんを含むがんを検出するために実施することができる、がんスクリーニングシステムを提供する。一部の実施形態では、提供される技術を、無症候性個体(例えば、がんの遺伝的リスクのない個体)の、及び/または複数のがんについての定期的なスクリーニングを達成するために実施する。本開示は、例えば、組成物(例えば、試薬、キット、構成成分など)、ならびにそれらを得る方法、及び/または1つまたは複数の個体(例えば、無症候性個体)の定期的な検査を伴うストラテジーを含む、それらを使用する方法を提供する。本開示は、そのようなシステムの有用性を定義し、かつそれらを実施するための組成物及び方法を提供する。
【0006】
一部の実施形態では、提供される技術は、単回及び/または定期的な(例えば、周期的)評価への、提供される技術の有用な適用を可能にするために適した感受性及び/または特異性(例えば、擬陽性及び/または擬陰性結果の率)で、がん及び/または複数のがんの1つまたは複数の特徴(例えば、発生、進行、治療に対する応答性、再発など)の検出(例えば、無症候性個体(複数可)及び/または集団(複数可)における、例えば、早期検出)を達成する。一部の実施形態では、提供される技術は、個体の周期的理学的検査と併せて有用である。一部の実施形態では、提供される技術は、処置レジメン(複数可)と併せて有用である;一部の実施形態では、提供される技術は、そのような処置レジメン(複数可)の1つまたは複数の特徴(例えば、許容されるパラメーターによる成功率)を改善し得る。
【0007】
一部の態様では、少なくとも2つまたはそれ以上の標的(例えば、分子標的)を含むが、一部の実施形態では、そのような少なくとも2つまたはそれ以上の標的が、同じであってもよい一方で、一部の実施形態では、そのような少なくとも2つまたはそれ以上の標的が別個であってもよい目的の実体(例えば、生物学的または化学的実体、例えば、細胞、細胞外小胞、または分析物など)を検出する際に使用するための技術を提供する。一部の実施形態では、本開示は、複数(例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、またはそれ以上)の検出プローブを、それぞれ特異的なそのような標的のために含むシステムを提供する。一部の実施形態では、提供されるシステムは、2つまたはそれ以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上)の検出プローブを含み得る。一部の実施形態では、個々の検出プローブは、異なる標的を指向し得る。一部の実施形態では、2つまたはそれ以上の個々の検出プローブは、同じ標的を指向し得る。一部の実施形態では、提供されるシステムは、異なる標的を指向する2つまたはそれ以上の異なる検出プローブを含み、かつ任意選択で、別の検出プローブが指向する標的を同様に指向する少なくとも1つの追加の検出プローブを含み得る。一部の実施形態では、提供されるシステムは、検出プローブの複数のサブセットを含み、そのそれぞれのサブセットは、同じ標的を指向する2つまたはそれ以上の検出プローブを含む。
【0008】
典型的には、本明細書において提供及び/または利用されるとおりの検出プローブは、標的結合部分と、その標的結合部分にカップリングしているオリゴヌクレオチドドメインとを含み、その際、上記オリゴヌクレオチドドメインは、二本鎖部分と、上記オリゴヌクレオチドドメインの少なくとも一方の末端から伸長している一本鎖オーバーハングとを含む。多くの実施形態で、一本鎖オーバーハングの少なくとも一部分は、第2の検出プローブの一本鎖オーバーハングに相補的であり、したがって、相補的一本鎖オーバーハングのハイブリダイゼーションを介して第2の検出プローブと共に二本鎖複合体を形成するように設計されている。多くの実施形態で、検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインは、第1の検出プローブ及び第2の検出プローブが、目的の同じ実体上の(例えば、目的の特定の生物学的実体上の)それらのそれぞれの標的に結合した場合に、上記第1の一本鎖オーバーハング及び上記第2の一本鎖オーバーハングが、ハイブリダイゼーションを可能にするために十分に近接しているような長さを有するように構成されている。
【0009】
本明細書において記載及び/または利用されるとおりの検出プローブを含む一部の実施形態では、対応するオリゴヌクレオチドドメインは、少なくとも4~15ヌクレオチド長の一本鎖オーバーハングを有する。一部の実施形態では、一本鎖オーバーハングは、目的の特異的核酸リガーゼ(例えば、DNAリガーゼ、例えば、T4またはT7リガーゼ)によるライゲーションのために優先的に選択されるヌクレオチド配列を有する。例えば、そのような一本鎖オーバーハングは、GAGTのヌクレオチド配列を有し得る。
【0010】
本明細書において記載及び/または利用されるとおりの検出プローブを含む一部の実施形態では、対応するオリゴヌクレオチドドメインの長さは、例えば、目的の実体(例えば、目的の生物学的実体)の物理的特徴、及び/または目的の実体(例えば、目的の生物学的実体)における標的(例えば、分子標的)の選択及び局在と共に変化し得る。例えば、生物学的実体が細胞外小胞(例えば、エクソソーム)であるか、またはそれを含む場合、検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインはそれぞれ独立に、それらのそれぞれの一本鎖オーバーハングが、対応する検出プローブが同じ細胞外小胞に結合したときに相互にアニールするために十分に近接しているように、例えば、約20nm~約200nmの長さを有し得る。
【0011】
本明細書において記載及び/または利用されるとおりのシステム中に、2つの検出プローブからなる少なくとも1つのセット(すなわち、少なくとも1対)を含む一部の実施形態では、そのような検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインは、第1の検出プローブ及び第2の検出プローブの一本鎖オーバーハングが相互にアニールして二本鎖複合体を形成したときに、それぞれ個々の標的結合部分が上記二本鎖複合体の各末端に位置するように構成される。そのような二本鎖複合体の一部の実施形態では、上記二本鎖複合体の両方の鎖は、例えば、増幅及び/または検出のために、核酸リガーゼの存在下で、ライゲート可能である。
【0012】
本明細書において記載及び/または利用されるとおりのシステム中に少なくとも3つまたはそれ以上(n>3)の検出プローブを含む一部の実施形態では、検出プローブの一本鎖オーバーハングがそれぞれ個々のパートナー(複数可)にアニールして二本鎖複合体を形成する場合、少なくとも(n-2)の標的結合部分が、上記二本鎖複合体の内部位置(複数可)に存在する。そのような二本鎖複合体の一部の実施形態では、上記二本鎖複合体の一方の一本鎖に存在する内部標的結合部分を有し、上記二本鎖複合体の他方の鎖は、いずれの内部標的結合部分も含まず、したがって、例えば、増幅及び/または検出のために、核酸リガーゼの存在下でライゲート可能であるようになっていることが望ましい。
【0013】
一部の実施形態では、本開示は、一緒になってがん(例えば、本明細書に記載のとおりの特定のがん及び/またはがんのステージ)に特異的である検出プローブ(例えば、2つまたはそれ以上の検出プローブ)のセットを利用するが、1つまたは複数の個々のそのようなプローブが、それ自体は上記がんに特異的ではない標的を指向してもよい。例えば、一部の実施形態では、検出プローブの有用なセットは、関連がんに特異的な標的(すなわち、がん特異的標的)を指向する少なくとも1つの検出プローブを含んでよく、かつ関連がんに必ずしも、または全く特異的ではない(例えば、がん性ではない一部または全部の細胞においても見い出され得、特定のがんのものではなく、及び/または目的の特定のステージのものではない)標的を指向する少なくとも1つの検出プローブをさらに含んでよい。すなわち、本明細書を読むことで当業者には分かるであろうとおり、本発明に従って利用される検出プローブのセットが、一緒になって目的の関連標的生物学的実体(例えば、目的のがん細胞またはがん細胞により分泌される細胞外小胞)について特異的である(すなわち、検出するための関連標的生物学的実体(例えば、目的のがん細胞またはがん細胞により分泌される細胞外小胞)を検出のための目的ではない他の生物学的実体から十分に識別する)複数の個々の検出プローブであるか、またはそれを含む限り、上記セットは、本発明のある特定の実施形態に従って有用である。
【0014】
二本鎖複合体の一方の鎖が少なくとも1つまたはそれ以上の内部標的結合部分を含む一部の実施形態では、上記鎖は、上記内部標的結合部分がカップリングしている検出プローブのオリゴヌクレオチド鎖の末端と、別の検出プローブのオリゴヌクレオチド鎖の末端との間にギャップを含む。一部の実施形態では、二本鎖複合体の鎖内のギャップのサイズは、上記鎖が核酸リガーゼの存在下でライゲート不可能となるように十分に大きい。一部の実施形態では、上記ギャップは、少なくとも2~8ヌクレオチドのサイズであってよい。一部の実施形態では、上記ギャップは、約6ヌクレオチドのサイズである。
【0015】
本明細書において記載及び/または利用されるとおりの検出プローブを含む一部の実施形態では、標的結合部分は、特異的標的(例えば、特異的分子標的)を指向する抗体因子であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、標的結合部分は、特異的標的(例えば、特異的分子標的)のためのアプタマーであるか、またはそれを含む。例えば、一部の実施形態では、検出プローブの標的結合部分は、がん関連標的、例えば、がん関連エピトープに対する抗体因子であり得るか、またはそれを含み得る。例えば、一部の実施形態では、がん関連標的は、1つより多いがん(すなわち、少なくとも2つまたはそれ以上のがん)と関連する標的であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、がん関連は、典型的にがんと関連する一般的標的であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、がん関連標的は、特異的組織のがんと関連する標的であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、がん関連標的は、特定のがんに特異的である標的であり得るか、またはそれを含み得る。
【0016】
本明細書において記載及び/または利用されるとおりの検出プローブを含む一部の実施形態では、検出プローブの標的結合部分は、組織特異的標的(例えば、正常で健康な組織及び/または罹患組織、例えば、腫瘍に存在する)を指向し得る。一部の実施形態では、標的結合部分は、対象の正常で健康な状態と特異的に関連する標的を指向し得る。
【0017】
本明細書において記載及び/または利用されるとおりの検出プローブを含む一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインを、共有結合により(例えば、結合及び/またはリンカーを介して)標的結合部分にカップリングさせる。オリゴヌクレオチドを様々な作用因子、例えば、ペプチド、核酸、または抗体に共有結合性にカップリングする方法は当技術分野で公知であり、かつオリゴヌクレオチドドメインを標的結合部分にカップリングして、本明細書において提供及び/または利用されるとおりの検出プローブを形成するために使用することができる。
【0018】
一部の実施形態では、本開示に従って使用するために適したシステムは、対照プローブを(例えば、標的特異的検出プローブに加えて)含むことができる。例えば、一部の実施形態では、対照プローブを、対照基準(control reference)に結合するように構成して、目的の実体(例えば、目的の生物学的実体)へのその結合が、検出シグナルの生成を阻害または排除するようにする(例えば、2つまたはそれ以上の検出プローブのライゲーション及び/またはテンプレート、例えば、2つまたはそれ以上の検出プローブのライゲーションから生じるテンプレートの増幅を阻害または排除することにより)。
【0019】
一部の実施形態では、本明細書に記載の技術は特に、2つまたはそれ以上の標的(例えば、一部の実施形態では、単一の分子標的、複合体、作用因子などの上の異なる部位を表し得るか、またはより一般的には、異なる分子標的上にあり得る分子標的)との相互作用を介して、試料(例えば、生物学的、環境的、または他の試料)中の1つまたは複数の目的の実体(例えば、1つまたは複数の生物学的及び/または化学的実体)を検出する際に有用である。当業者は、本開示を読むことで、提供される技術が広範囲の様々な用途及び/または目的のために有用であることを理解するであろう。そのような当業者はさらに、本明細書に記載のある特定の実施形態が、本明細書において記載及び/または利用されるとおりの複数の(例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、またはそれ以上の)検出プローブを使用する方法に関することが分かるであろう。一部の実施形態では、方法は、試料中の目的の実体(例えば、生物学的実体)を、本開示に従って使用するために適した検出プローブのセットと接触させることを含む。
【0020】
一部の実施形態では、本明細書において提供される方法は、アッセイされる目的の実体(例えば、生物学的実体)を固体基材上に固定化することを含み得る。例示的な固体基材は、ビーズまたは表面であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、固体基材は、例えば、ビーズ、フィルター、マトリックス、膜、プレート、管、及び/またはウェルを含む、アッセイチャンバーの捕捉表面(例えば、実体捕捉表面)であり得るか、またはそれを含み得る。
【0021】
一部の実施形態では、本明細書において提供される方法は、検出プローブのセット(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)が試料中の1つまたは複数の目的の実体(例えば、1つまたは複数の生物学的実体)に結合することを可能にして、検出プローブが、目的の実体(例えば、生物学的実体)中の、存在するならば、それぞれの標的(例えば、分子標的)に結合して、1つまたは複数の二本鎖複合体を形成するようにすることを含む。一部の実施形態では、二本鎖複合体は、目的の実体(例えば、生物学的実体)に結合した検出プローブの相補的一本鎖オーバーハングの直接的なハイブリダイゼーションまたはアニーリングにより形成される。したがって、少なくとも一部の実施形態では、検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインを間接的に連結するために、コネクターオリゴヌクレオチドは必要ない;一部の実施形態では、そのようなコネクターオリゴヌクレオチドを利用しない。したがって、一部の実施形態では、本明細書において提供される方法は、目的の実体(例えば、生物学的実体)を複数の検出プローブと接触させた後に、第1の検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインの少なくとも一部分及び第2の検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインの少なくとも一部分に結合し得るコネクターオリゴヌクレオチドを添加することを含まない。
【0022】
二本鎖複合体(目的の実体(例えば、生物学的実体)と、例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりの検出プローブとの接触から生じる)を核酸リガーゼと接触させて、少なくとも第1の検出プローブのオリゴヌクレオチド鎖及び第2の検出プローブのオリゴヌクレオチド鎖を含む、ライゲートされたテンプレートを生成することができる。そのようなライゲートされたテンプレートの検出は、試料中の目的の実体(例えば、生物学的実体)が、検出プローブが指向する標的について陽性または陰性であるかどうかに関する情報を提供する。例えば、検出可能なレベル(例えば、基準レベルを例えば少なくとも10%以上超えるレベル(その際、一部の実施形態では、基準レベルは、陰性対照試料、例えば、そのような標的を含む目的の実体が存在しない試料において観察されるレベルであり得る))のそのようなライゲートされたテンプレートは、試験された目的の実体(例えば、生物学的実体)が目的の標的(例えば、分子標的)を含むことを示している一方で、検出不可能なレベル(例えば、検出可能なレベルの閾値未満であるレベル)のそのようなライゲートされたテンプレートは、目的の標的(例えば、分子標的)の少なくとも1つが、試験された目的の実体(例えば、生物学的実体)には存在しないことを示している。
【0023】
ライゲートされたテンプレートは、当技術分野で公知の適切な核酸検出方法により検出することができる。例えば、一部の実施形態では、ライゲートされたテンプレートを、そのライゲートされたテンプレートの増幅を行い、任意選択で続いて、増幅産物の存在を検出することにより検出する。例示的な核酸検出方法は、定量的ポリメラーゼ連鎖反応を含む。
【0024】
本明細書において提供される技術は、アッセイされる目的の実体(例えば、生物学的または化学的実体、例えば、細胞外小胞及び/または分析物)を含む目的の試料に適用することができる。例えば、一部の実施形態では、試料は、生物学的試料であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、試料は、環境試料であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、試料は、一次試料であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、試料は、処理された試料であり得るか、またはそれを含み得る。例えば、一部の実施形態では、試料を、アッセイされる1つまたは複数の目的の実体を単離するために処理することができる。
【0025】
試料が生物学的試料を含むか、または生物学的試料である一部の実施形態では、そのような試料は、そのようなアッセイを必要とする対象(例えば、ヒト対象)の血漿または血液試料に由来し得る。一部の実施形態では、生物学的試料は、そのようなアッセイを必要とする対象(例えば、ヒト対象)に由来する一次試料(例えば、組織または腫瘍試料)であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、生物学的試料を処理して、1つまたは複数の目的の実体を目的の非標的実体から分離する、及び/または1つまたは複数の目的の実体を富化することができる。一部の実施形態では、試料中に存在する目的の実体は、生物学的実体、例えば、細胞または細胞外小胞(例えば、エクソソーム)であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、そのような生物学的実体を化学試薬で処理するか、またはそれと接触させて、例えば、生物学的実体中のアッセイされる標的を安定化及び/または架橋する、及び/または検出プローブとの非特異的結合を減少させることができる。一部の実施形態では、生物学的実体は、任意選択で、例えば、標的(例えば、分子標的)を安定化及び/または架橋するための、及び/または非特異的結合を減少させるための化学試薬で処理されていてよい細胞であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、生物学的実体は、任意選択で、例えば、標的(例えば、分子標的)を安定化及び/または架橋するための、及び/または非特異的結合を減少させるための化学試薬で処理されていてよい細胞外小胞(例えば、エクソソーム)であるか、またはそれを含む。
【0026】
一部の実施形態では、本開示は特に、少なくとも1つの細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドと、表面タンパク質バイオマーカー、内部タンパク質バイオマーカー、及びRNAバイオマーカーからなる群から選択される少なくとも1つの標的バイオマーカーとを含む、個々の細胞外小胞におけるがんの標的バイオマーカーシグネチャーの共局在を検出することにより、例えば、無細胞核酸、血清タンパク質、及び/または細胞外小胞のバルク分析に基づく従来のがん診断に関連する問題を解決する技術(システム、組成物、及び方法を含む)を提供する。一部の実施形態では、本開示は、特に、個々の細胞外小胞における少なくとも2つまたはそれ以上の標的実体(例えば、標的バイオマーカーシグネチャー)の相互作用及び/または共局在に基づく標的実体検出アプローチ(例えば、本明細書に記載のもの)を使用して、がんのそのような標的バイオマーカーシグネチャーを検出することにより、そのような問題を解決する技術(システム、組成物、及び方法を含む)を提供する。
【0027】
一部の態様では、対象(例えば、無症候性対象)を、がんを有するか、またはがんに易罹患性であると分類する際に使用するための技術を提供する。一部の実施形態では、本開示は、対象(例えば、無症候性対象)を、がんを有するか、またはがんに易罹患性であると分類するための方法またはアッセイを提供する。一部の実施形態では、提供される方法またはアッセイは、(a)それを必要とする対象からの血液由来試料において、がんの標的バイオマーカーシグネチャーを発現する細胞外小胞を検出すること(その際、上記標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくとも1つの細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドと、表面タンパク質バイオマーカー、小胞内タンパク質バイオマーカー、及び小胞内RNAバイオマーカーからなる群から選択される少なくとも1つの標的バイオマーカーとを含む);(b)上記血液由来試料中の標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞のレベルを示す試料情報を、基準閾値レベルを含む基準情報と比較すること;ならびに(c)上記血液由来試料が上記基準閾値レベルと比べて、標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞のレベルの上昇を示す場合に、上記対象を、がんを有するか、またはがんに易罹患性であると分類することを含む。
【0028】
一部の実施形態では、本明細書において使用される、及び/または記載されるがんの標的バイオマーカーシグネチャーにおいて使用するための細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドは、腫瘍特異的バイオマーカー及び/または組織特異的バイオマーカーであり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、そのような細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドは、非特異的マーカーであり得るか、またはそれを含み得、例えば、1つまたは複数の非標的腫瘍中に、及び/または1つまたは複数の非標的組織中に存在する。
【0029】
一部の実施形態では、がんの標的バイオマーカーシグネチャーは、細胞外小胞関連膜結合ポリペプチド及び少なくとも1つの追加の標的表面タンパク質バイオマーカーを含み得る。
【0030】
一部の実施形態では、がんの標的バイオマーカーシグネチャーは、細胞外小胞関連膜結合ポリペプチド及び少なくとも1つの標的小胞内RNA(例えば、mRNA)バイオマーカーを含み得る。
【0031】
一部の実施形態では、がんの標的バイオマーカーシグネチャーは、細胞外小胞関連膜結合ポリペプチド(例えば、本明細書に記載のもの)及び少なくとも1つの追加の標的小胞内タンパク質バイオマーカーを含み得る。
【0032】
一部の実施形態では、提供される方法または本明細書に記載のアッセイにおいて使用するための基準閾値レベルを、非がん対象の集団からの比較可能な試料において観察された標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞のレベルにより決定する。
【0033】
一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーに含まれる細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドを、抗体ベースの作用因子を使用して検出することができる。一部の実施形態では、そのような細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドを、抗体ベースの作用因子を含む捕捉アッセイを使用して検出することができる。例えば、一部の実施形態では、細胞外小胞において細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドの存在を検出するための捕捉アッセイは、細胞外小胞を含む血液由来試料を、そのような細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドを指向する捕捉因子と接触させることを含み得る。一部の実施形態では、そのような捕捉因子は、固体基材に任意選択でコンジュゲートされていてよい細胞外小胞関連膜結合ポリペプチド(例えば、本明細書に記載のもの)を指向する結合部分を含み得る。限定ではないが、細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドのための例示的な捕捉因子は、固体基材(例えば、磁気ビーズ)及び細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドを指向する結合部分(例えば、抗体因子)であり得るか、またはそれを含み得る。
【0034】
一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーに含まれる標的バイオマーカーを、検出される分析物の種類(例えば、表面タンパク質、小胞内タンパク質、小胞内RNA(例えば、mRNA))で変化し得る当技術分野で公知の適切な方法を使用して検出することができる。例えば、当業者は、本開示を読むことで、一部の実施形態では、表面タンパク質バイオマーカー及び/または小胞内タンパク質バイオマーカーを、抗体ベースの作用因子を使用して検出することができる一方で、一部の実施形態では、小胞内RNA(例えば、mRNA)バイオマーカーを、核酸ベースの作用因子を使用して、例えば、定量的逆転写PCRを使用して検出することができることが分かるであろう。
【0035】
例えば、標的バイオマーカーが表面タンパク質バイオマーカー及び/または小胞内タンパク質マーカーであるか、またはそれを含む一部の実施形態では、例えば、細胞外小胞関連膜結合ポリペプチド(例えば、本明細書において使用及び/または記載されるとおりのもの)を発現する細胞外小胞を捕捉するための捕捉アッセイ(例えば、本明細書に記載のとおりのもの)の後に、近接ライゲーションアッセイを含めて、そのような標的バイオマーカーを検出することができる。一部の実施形態では、そのような近接ライゲーションアッセイは、細胞外小胞を含む血液由来試料を、標的バイオマーカーをそれぞれ指向する検出プローブのセットと接触させることを含み得るが、その際、そのセットは、少なくとも2つの別個の検出プローブを含むので、上記細胞外小胞と、上記検出プローブのセットを含む組み合わせが生じ、上記2つの検出プローブはそれぞれ、(i)表面タンパク質バイオマーカー及び/または小胞内タンパク質バイオマーカーを指向する結合部分;ならびに(ii)上記結合部分にカップリングしていて、二本鎖部分と、上記オリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している一本鎖オーバーハング部分とを含むオリゴヌクレオチドドメインを含む。上記検出プローブのそのような一本鎖オーバーハング部分は、上記検出プローブが同じ細胞外小胞に結合した場合にそれらが相互にハイブリダイズし得ることにおいて特徴づけられる。次いで、上記細胞外小胞及び上記検出プローブのセットを含むそのような組合せを、上記検出プローブのセットが細胞外小胞上のそれらのそれぞれの標的に結合することを可能にする条件下で維持すると、上記検出プローブが同じ細胞外小胞に結合して、二本鎖複合体を形成し得るようになっている。そのような二本鎖複合体は、上記二本鎖複合体を核酸リガーゼと接触させて、ライゲートされたテンプレートを生成すること;及び上記ライゲートされたテンプレートを検出することにより検出することができる。そのようなライゲートされたテンプレートの存在は、がんの標的バイオマーカーシグネチャーについて陽性である細胞外小胞の存在を示している。そのような近接ライゲーションアッセイは、他の既存の近接ライゲーションアッセイよりも良好に、例えば高い特異性及び/または感受性で行うことができるが、当業者は、本開示を読むことで、当技術分野で公知の他の形態の近接ライゲーションアッセイを代わりに使用することもできることが分かるであろう。
【0036】
標的バイオマーカーが小胞内RNA(例えば、mRNA)マーカーであるか、またはそれを含む一部の実施形態では、そのような標的バイオマーカーを、核酸検出アッセイを含めて検出することができる。一部の実施形態では、例示的な核酸検出アッセイは逆転写PCRであり得るか、またはそれを含み得る。
【0037】
標的バイオマーカーが小胞内バイオマーカー(例えば、小胞内タンパク質バイオマーカー及び/または小胞内RNA(例えば、mRNA)バイオマーカー)であるか、またはそれを含む一部の実施形態では、そのような標的バイオマーカーを、検出アッセイ(例えば、本明細書に記載のとおりの近接ライゲーションアッセイ)の前に、その後の検出のために小胞内バイオマーカー(複数可)を露出するための試料の処理(例えば、固定化及び/または透過化)を含めて、検出することができる。
【0038】
本開示は特に、単一の細胞外小胞の分析においてとは異なり、バルク試料(例えば、細胞外小胞のバルク試料)に基づく単一のがん関連血清タンパク質もしくはバイオマーカーまたは複数のがん関連バイオマーカーの検出は典型的には、その試料を得た対象がおそらく、がんに罹患しているか、または易罹患性であるかどうかを決定する際に、十分な特異性及び/または感受性を提供しないことを認めるものである。本開示は特に、例えば、検出のための個々の標的実体(例えば、個々の生物学的実体、例えば、個々の細胞外小胞)が、標的(例えば、分子標的)の組合せの存在により特徴づけられることを特異的に必要とすることを含めて、そのような問題を解決するシステム、組成物、及び/または方法を含む技術を提供する。一部の実施形態では、そのような標的の組合せは、少なくとも1つまたは複数の細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドと、少なくとも1つまたは複数の標的バイオマーカーとの組合せを含む標的バイオマーカーシグネチャーであり得る。特定の実施形態では、本開示は、そのような個々の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)が、がん特異的である標的(例えば、分子標的)(すなわち、関連がんの「標的バイオマーカーシグネチャー」)の組合せの存在により(例えば、発現により)特徴づけられる一方で、標的化組合せ(例えば、標的バイオマーカーシグネチャー)を含まない生物学的実体(例えば、細胞外小胞)が、検出可能なシグナル(例えば、基準レベルを、例えば、少なくとも10%以上超えるレベルであり、その際、一部の実施形態では、基準レベルは、陰性対照試料、例えば、そのような標的化組合せ(例えば、標的バイオマーカーシグネチャー)を含む個々の生物学的実体(例えば、個々の細胞外小胞)が存在しない試料で観察されるレベルであり得る)を生成しないことを必要とする技術を教示する。
【0039】
したがって、一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、対象において、及び/または対象の集団全体でがんの発生または再発を検出するために有用であり得る。一部の実施形態では、標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャー)の組合せを、がん検出のために選択することができる。一部の実施形態では、標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャー)の組合せを、特異的ながんまたはそのステージ及び/またはそのサブタイプを検出するために選択することができる。一部の実施形態では、バイオマーカー(例えば、標的バイオマーカーシグネチャー)の組合せを、検出プローブの複数(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)の一対またはオルトゴナルな組合せにより検出することができ、その際、検出プローブの各対は、少なくとも1つの別個の標的を指向し得る。一部の実施形態では、バイオマーカー(例えば、標的バイオマーカーシグネチャー)の組合せを、相互にハイブリダイズして、線状複合体を形成するようにそれぞれ設計されている検出プローブのセットにより検出することができる。一部の実施形態では、バイオマーカーの複数(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)の組合せを、がん検出のために選択することができる。一部の実施形態では、バイオマーカーの複数(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)の組合せを、特異的ながんまたはそのステージ及び/またはそのサブタイプを検出するために選択することができる。一部の実施形態では、バイオマーカーの複数(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)のオルトゴナルな組合せを、がん検出のために選択することができる。一部の実施形態では、バイオマーカーの複数(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)のオルトゴナルな組合せを、特異的ながんまたはそのステージ及び/またはそのサブタイプを検出するために選択することができる。一部の実施形態では、複数(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)の標的バイオマーカーシグネチャーを、がん検出のために選択することができる。一部の実施形態では、複数(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)の標的バイオマーカーシグネチャーを、特異的ながんまたはそのステージ及び/またはそのサブタイプを検出するために選択することができる。一部の実施形態では、本明細書において提供される技術を、周期的に(例えば、毎年)使用して、早期ステージがんまたはがん再発についてヒト対象を、またはヒト対象の集団全体でスクリーニングすることができる。
【0040】
一部の実施形態では、検出プローブの組合せ(例えば、セット)を、特異的がんを検出するためのシステムまたは方法(例えば、本明細書に記載のもの)のために選択することができる。一部の実施形態では、検出プローブの組合せ(例えば、セット)を、1つまたは複数のがんを検出するためのシステムまたは方法(例えば、本明細書に記載のもの)のために選択する。一部の実施形態では、検出プローブの組合せ(例えば、セット)は、検出プローブの複数(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)の一対またはオルトゴナルな組合せを含んでよく、その際、検出プローブの各対は、少なくとも1つの別個の標的を指向し得る。一部の実施形態では、組合せ(例えば、セット)中の検出プローブをそれぞれ、相互にハイブリダイズして線状複合体を形成するように設計することができる。一部の実施形態では、本明細書において提供される技術により検出され得るがんの例には、これに限定されないが、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、胆管癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃腸癌、ホジキンリンパ腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、皮膚癌、及び胃癌が含まれる。
【0041】
一部の実施形態では、がんの発生または再発を検出するために、本明細書において提供される技術に適した対象は、無症候性ヒト対象及び/または無症候性集団全体であってよい。そのような無症候性対象は、がんの家族歴を有する、がんについて以前に処置されたことがある、がんの処置後にがんの再発リスクを有する、がんの処置後に寛解している、及び/または少なくとも1つのがんバイオマーカーの存在について以前に、または周期的にスクリーニングされている対象であり得る。別法では、一部の実施形態では、無症候性対象は、がんについて以前に処置されたことがない、がんについて診断されたことがない、及び/またはがん治療を以前に受けたことがない対象であり得る。
【0042】
一部の実施形態では、対象または対象の集団を、1つまたは複数の特徴、例えば、年齢、人種、遺伝的履歴、病歴、個人的履歴(例えば、喫煙、アルコール、薬物、発がん因子、食事、肥満、物理的活性、日光曝露、放射線曝露、感染因子、例えば、ウイルスへの暴露、及び/または職業上の危険)に基づき選択することができる。
【0043】
一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、がんに罹患しているか、または易罹患性である対象について治療を選択するために有用であり得る。一部の実施形態では、がん治療及び/または補助治療を、本明細書において提供される技術に基づく所見を考慮して選択することができる。
【0044】
一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、対象(例えば、がん対象)に投与される治療の有効性をモニター及び/または評価するために有用であり得る。
【0045】
一部の実施形態では、本開示は、例えば、1つまたは複数の個々の対象のために、及び/または対象の集団全体で患者看護を管理するための技術を提供する。ほんのいくつかの例を提供するために、一部の実施形態では、本開示は、スクリーニング(例えば、一時的に、または偶発的に動機づけられたスクリーニング及び/または非一時的に、または非偶発的に動機づけられたスクリーニング、例えば、年1回、半年に1回、2年に1回、またはいくつかの他の頻度などの周期的スクリーニング)において利用することができる技術を提供する。例えば、一部の実施形態では、一時的に動機づけられたスクリーニングにおいて使用するために提供される技術は、ある特定の年齢または年齢群、例えば、ある特定の年齢よりも高齢(例えば、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70歳超、またはそれ以上に高齢)の1つまたは複数の個々の対象を、または対象(例えば、無症候性対象)の集団全体でスクリーニングするために有用であり得る。一部の実施形態では、偶発的に動機づけられたスクリーニングにおいて使用するために提供される技術は、本明細書に記載のとおりのがんについてのスクリーニングを動機づける出来事または事象を経験していてもよい個々の対象をスクリーニングするために有用であり得る。例えば、一部の実施形態では、がんまたはその易罹患性の1つまたは複数の指標の決定に関連する偶発的動機づけは、例えば、それらの家族歴(例えば、近親者、例えば、血縁者が以前にがんと診断された)、がんについての1つまたは複数の危険因子の同定(例えば、喫煙、アルコール、食事、肥満、職業上の危険など)及び/または遺伝子検査(例えば、ゲノムシーケンシング)からの先行の偶発所見、及び/または画像診断検査(例えば、超音波、コンピューター断層撮影(CT)及び/または磁気共鳴画像法(MRI)スキャン)、がんに特徴的な1つまたは複数の徴候または症状の発生(例えば、肺癌を潜在的に示す持続性の咳;乳癌を潜在的に示す乳房組織における腫瘍;GI癌を潜在的に示す胃腸(GI)管出血、または卵巣癌を潜在的に示す生理中の異常な出血など)に基づく出来事であり得るか、またはそれを含み得る。
【0046】
一部の実施形態では、患者看護を管理するために提供される技術は、処置及び/または支払い(例えば、処置費の償還)の決定及び/または行為を通知し得る。例えば、一部の実施形態では、提供される技術は、個々の対象が疾患または障害(例えば、がん)の発生または再発の1つまたは複数の指標を有するかどうかの決定を提供し得て、それにより、医師及び/または患者に、そのような所見を考慮して治療を開始する時期を通知する。加えて、または別法では、一部の実施形態では、提供される技術は、例えば、特異的応答性バイオマーカー(例えば、がん応答性バイオマーカー)の所見に基づき、医師及び/または患者に、処置の選択を通知し得る。一部の実施形態では、提供される技術は、例えば、疾患、障害、または状態(例えば、がん)と関連する1つまたは複数の分子標的のレベルの変化の所見に基づき、個々の対象が現行の処置に応答性であるかどうかの決定を提供し得て、それにより、医師及び/または患者に、そのような所見を考慮して、そのような治療の有効性及び/または治療を維持または変更する決定を通知する。
【0047】
一部の実施形態では、提供される技術は、例えば、(1)スクリーニング自体(例えば、周期的/定期的なスクリーニングにのみ有効な、または一時的及び/または偶発的に動機づけられたスクリーニングにのみ有効な償還)について;及び/または(2)提供された技術による所見を考慮しての治療の開始、維持、及び/または変更について、健康保険提供者が償還する(または償還しない)かどうかについてに関する判定を通知し得る。例えば、一部の実施形態では、本開示は、(a)本明細書に記載のとおりのスクリーニングの結果を受け取ること、及び同じく、スクリーニング及び/または特定の治療レジメンの償還についての要求を受け取ること;(b)適切なスケジュールまたは関連の出来事に対する応答に従って対象で行われた場合に、スクリーニングの償還を承認すること、及び/または受け取ったスクリーニング結果を考慮して適切な処置である場合に、治療レジメンの償還を承認すること;ならびに、任意選択で(c)償還を実施すること、または償還が拒否されるとの通知を提供することに関する方法を提供する。一部の実施形態では、受け取ったスクリーニング結果が、関連治療レジメンについて承認されたバイオマーカーであるバイオマーカーを検出している場合に、治療レジメンは、受け取ったスクリーニング結果を考慮して適切である(例えば、指示情報ラベルにおいて、及び/または承認されているコンパニオン診断により特記されている場合があるとおり)。別法では、または加えて、本開示は、スクリーニング結果、及び/または本明細書に記載のとおりの償還決定の報告及び処理を可能または容易にする報告システム(例えば、適切な電子デバイス(複数可)及び/またはコミュニケーションシステム(複数可)により実行される)を企図する。
【0048】
本明細書において提供される一部の態様は、提供される技術において使用するためのシステム及びキットに関する。一部の実施形態では、システムまたはキットは、それぞれ標的を指向する検出プローブ(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)の少なくとも1つのセットを含む。一部の実施形態では、提供されるシステムまたはキット中の検出プローブのセットは、2つまたはそれ以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上)の検出プローブを含む。一部の実施形態では、個々の検出プローブは、異なる標的を指向し得る。一部の実施形態では、2つまたはそれ以上の個々の検出プローブは、同じ標的を指向し得る。一部の実施形態では、提供されるシステムまたはキットは、異なる標的を指向する2つまたはそれ以上の異なる検出プローブを含み、かつ任意選択で、別の検出プローブが指向する標的を同じく指向する少なくとも1つの追加の検出プローブを含み得る。
【0049】
本明細書において提供される一部の態様は、バイオマーカー検出及び/または特徴付けに関連して提供される技術において使用するためのシステム及びキットに関する。一部の実施形態では、システムまたはキットは、疾患または障害(例えば、がん)の標的バイオマーカーシグネチャーのための検出因子を含み得る。一部の実施形態では、そのようなシステムまたはキットは、疾患または障害(例えば、がん)と関連する細胞外小胞中に存在する細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドのための捕捉因子;及び(b)追加の表面タンパク質バイオマーカー(複数可)、小胞内タンパク質バイオマーカー(複数可)、及び/または小胞内RNA(例えば、mRNA)バイオマーカー(複数可)であり得るか、またはそれを含み得る、そのような疾患または障害(例えば、がん)の標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の標的バイオマーカーを指向する少なくとも1つまたはそれ以上の検出因子を含み得る。
【0050】
一部の実施形態では、システム及び/またはキットに含まれる捕捉因子は、細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドを指向する結合部分を含み得る。一部の実施形態では、そのような結合部分は、固体基材にコンジュゲートしていてよく、これは、一部の実施形態では、固体基材であり得るか、またそれを含み得る。一部の実施形態では、そのような固体基材は、磁気ビーズであり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、提供されるシステム及び/またはキットに含まれる例示的な捕捉因子は、それにコンジュゲートされる細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドを指向する固体基材(例えば、磁気ビーズ)及び抗体因子であり得るか、またはそれを含み得る。
【0051】
標的バイオマーカーが表面タンパク質バイオマーカー及び/または小胞内タンパク質バイオマーカーを含む一部の実施形態では、システム及び/またはキットは、近接ライゲーションアッセイ(例えば、本明細書に記載のもの)を実行するための検出因子を含み得る。一部の実施形態では、近接ライゲーションアッセイを実行するためのそのような検出因子は、標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーをそれぞれ指向する検出プローブのセットを含み得、そのセットは、少なくとも2つの検出プローブを含み、その際、上記2つの検出プローブはそれぞれ、(i)標的バイオマーカーを指向するポリペプチド結合部分;及び(ii)上記結合部分にカップリングしているオリゴヌクレオチドドメインを含み、上記オリゴヌクレオチドドメインは、二本鎖部分と、上記オリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している一本鎖オーバーハング部分とを含み、上記検出プローブの一本鎖オーバーハング部分は、上記検出プローブが同じ細胞外小胞に結合した場合に、それらが相互にハイブリダイズし得ることにおいて特徴づけられる。
【0052】
一部の実施形態では、提供されるシステム及び/またはキットは、検出プローブの複数(例えば、2、3、4、5つ以上)のセットを含み得、そのそれぞれのセットが、2つまたはそれ以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上)の検出プローブを含む。一部の実施形態では、それぞれのセットは、異なる疾患、障害、または状態の検出を指向し得る。一部の実施形態では、2つまたはそれ以上のセットを、同じ疾患、障害、または状態の検出を指向し得る。一部の実施形態では、検出プローブの少なくとも1つまたはそれ以上のセット(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、またはそれ以上)は、がんの検出を指向し得る。例えば、一部の実施形態では、それぞれのセットは、異なるがん(例えば、同じか、または異なる組織と関連する異なるがん種)の検出を指向し得る。一部の実施形態では、2つまたはそれ以上のセットは、同じがんの検出を指向し得る。一部の実施形態では、提供されるシステム及び/キットは、ある1つのがんを検出するための検出プローブの少なくとも1つのセット、及び異なるがん(例えば、膵臓癌)を検出するための検出プローブの少なくとも1つのセットを含み得る。一部の実施形態では、2つまたはそれ以上の検出プローブは、がんの異なるサブタイプ及び/または分類を指向し得る。一部の実施形態では、2つまたはそれ以上のセットは、異なるステージのがんの検出を指向し得る。一部の実施形態では、2つまたはそれ以上のセットは、同じステージのがんの検出を指向し得る。
【0053】
一部の実施形態では、提供されるキット中の検出プローブを、1つの容器内で単一の混合物として提供することができる。一部の実施形態では、検出プローブの複数のセットを、個々の混合物として別々の容器内で提供することができる。一部の実施形態では、それぞれの検出プローブを個々に、別々の容器内で提供する。
【0054】
標的バイオマーカーが小胞内RNA(例えば、mRNA)バイオマーカーを含む一部の実施形態では、そのようなシステム及び/またはキットは、核酸検出アッセイを実行するための検出因子を含み得る。一部の実施形態では、そのようなシステム及び/またはキットは、定量的逆転写PCRを実行するための検出因子を含み得、これは例えば、小胞内RNA(例えば、mRNA)標的(複数可)を指向するプライマーを含み得る。
【0055】
一部の実施形態では、提供されるシステム及び/またはキットは、例えば、試料及び/またはその中の目的の実体(例えば、細胞外小胞)を処理するための少なくとも1つの化学試薬を含み得る。一部の実施形態では、提供されるシステム及び/またはキットは、例えば、これに限定されないが、固定剤、透過化剤、及び/または遮断剤を含む、試料中の目的の実体(例えば、目的の生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を処理するための少なくとも1つの化学試薬を含み得る。一部の実施形態では、提供されるシステム及び/またはキットは、核酸リガーゼ及び/または核酸ポリメラーゼを含み得る。一部の実施形態では、提供されるシステム及び/またはキットは、1つまたは複数のプライマー及び/またはプローブを含み得る。一部の実施形態では、提供されるシステム及び/またはキットは、例えば、PCR、例えば、定量的PCR(qPCR)反応のために、一対または複数対のプライマーを含み得る。一部の実施形態では、提供されるシステム及び/またはキットは、例えば、一部の実施形態では、qPCR(例えば、TaqManプローブ)の特異性を上昇させるように設計されていてよい加水分解プローブなどの1つまたは複数のプローブを含み得る。一部の実施形態では、提供されるシステム及び/またはキットは、例えば、同期または平行qPCR反応が使用される場合に有用であり得るように(例えば、読み出しを容易にするか、または改善するために)、1つまたは複数の多重プローブを含み得る。
【0056】
一部の実施形態では、提供されるシステム及び/またはキットを、個体(例えば、無症候性または症候性対象)のスクリーニング(例えば、定期的なスクリーニング)及び/または他の評価のために使用して、疾患または障害(例えば、がん)を検出(例えば、早期検出)することができる。一部の実施形態では、提供されるシステム及び/またはキットを、疾患または障害(例えば、がん)に易罹患性の個体(例えば、既知の遺伝的、環境、または経験上のリスクを有する個体など)のスクリーニング及び/または他の評価のために使用することができる。一部の実施形態では、提供されるシステム及び/またはキットを、以前に処置されたことのある対象において疾患または障害(例えば、がん)の再発をモニターするために使用することができる。一部の実施形態では、提供されるシステム及び/またはキットを、コンパニオン診断として、疾患または障害(例えば、がん)に罹患している対象のための治療と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、提供されるシステム及び/またはキットを、疾患または障害(例えば、がん)に罹患している対象に投与される治療の有効性をモニターまたは評価するために使用することができる。一部の実施形態では、提供されるシステム及び/またはキットを、疾患または障害(例えば、がん)に罹患している対象のために治療を選択するために使用することができる。一部の実施形態では、提供されるシステム及び/またはキットを、疾患または障害(例えば、がん)と関連する1つまたは複数の症状(例えば、非特異的症状)を有する対象のために、治療を決定する、及び/または選択するために使用することができる。
【0057】
一部の実施形態では、キットまたはシステムにおいて提供される、及び/または利用される検出プローブのセットを、特異的ながん(例えば、これに限定されないが、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、胆管癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃腸癌、ホジキンリンパ腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、皮膚癌、及び胃癌を含む)のスクリーニング(例えば、定期的スクリーニング)または診断のために選択することができる。
【0058】
一部の実施形態では、提供されるキットまたはシステムは、検出プローブの複数のセットを含み得、その際、それぞれのセットは、異なるがんを検出するために少なくとも2つまたはそれ以上の検出プローブを含む。例えば、そのようなキットは、単一のアッセイで様々ながん(例えば、これに限定されないが、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、胆管癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃腸癌、ホジキンリンパ腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、皮膚癌、及び胃癌を含む)について対象を、または対象の集団全体でスクリーニングする(例えば、定期的にスクリーニングする)ために使用することができる。
【0059】
目的の実体(例えば、化学的または生物学的実体、例えば、細胞外小胞または分析物)に結合した少なくとも2つまたはそれ以上の検出プローブ(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)により形成される二本鎖複合体も、本開示の範囲内である。
【0060】
本明細書に記載の方法を実行すること、及び/または本明細書に記載のシステム及び/またはキットを使用することにより形成される複合体も、本開示の範囲内である。例えば、一部の実施形態では、複合体は、(a)標的バイオマーカーシグネチャーを発現する細胞外小胞を含み、その際、標的バイオマーカーシグネチャーのうちの少なくとも2つは、少なくとも1つの細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドと、表面タンパク質バイオマーカー、小胞内タンパク質バイオマーカー、及び小胞内RNAバイオマーカーからなる群から選択される少なくとも1つの標的バイオマーカーとを含み、その細胞外小胞は、そのような細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドを指向する結合部分を含む固体基材上に固定化されている。そのような複合体はさらに、上記細胞外小胞に存在する標的バイオマーカーシグネチャーの少なくとも1つの標的バイオマーカーを指向する少なくとも2つの検出プローブを含み、その際、それぞれの検出プローブは、そのような標的バイオマーカーに結合し、かつそれぞれは、(i)標的バイオマーカーを指向する結合ドメイン;及び(ii)結合部分にカップリングしているオリゴヌクレオチドドメインを含み、上記オリゴヌクレオチドドメインは、二本鎖部分と、上記オリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している一本鎖オーバーハング部分とを含み、上記検出プローブの一本鎖オーバーハング部分は相互にハイブリダイズする。
【0061】
本開示に包含されるこれらの、及び他の態様を下記において、かつ特許請求の範囲において、より詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】個々の細胞外小胞(EV)をプロファイルする例示的なワークフローを示す概略図である。この図は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)及び特異的膜結合タンパク質マーカーを提示するEVの免疫親和性捕捉を使用して、血漿からEVを精製すること(パネルA);本明細書に記載の一部の実施形態による標的実体検出アッセイを使用して、捕捉されたEV上で共局在している標的マーカー(例えば、小胞内タンパク質または表面タンパク質)を検出すること(パネルB)を示している。
図2-1】本明細書に記載の一部の実施形態による標的実体検出アッセイを示す概略図である。一部の実施形態では、がんの検出に特異的である検出プローブの組合せを使用する標的実体検出アッセイが示されている。一部の実施形態では、標的タンパク質1(例えば、がんマーカー1)のための第1の検出プローブ及び標的タンパク質2(例えば、がんマーカー2)のための第2の検出プローブを含む二重システムを、生物学的実体(例えば、細胞外小胞または分析物)を含む試料に添加する。一部の実施形態では、検出プローブはそれぞれ、二本鎖部分と、そのオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している一本鎖オーバーハングとを含むオリゴヌクレオチドドメインにカップリングしている標的結合部分(例えば、標的タンパク質に対する抗体因子)を含む。第1及び第2の検出プローブの別個の標的結合部分(例えば、それぞれ標的タンパク質1及び標的タンパク質2に対する抗体因子)が同じ生物学的実体(例えば、細胞外小胞または分析物)に近接して局在化していて、対応する一本鎖オーバーハングが相互にハイブリダイズし、したがって、それらのオリゴヌクレオチドドメインのライゲーションが生じることが可能になった場合に、検出シグナルが生じる。例えば、対照実体(例えば、健康な対象試料からの生物学的実体)は標的タンパク質1(例えば、がんマーカー1)及び標的タンパク質2(例えば、がんマーカー2)の一方または両方を発現せず、したがって、シグナルの検出は生じ得ない。しかしながら、がん試料からの生物学的実体が標的タンパク質1及び標的タンパク質2を発現し、かつそれらの標的タンパク質が、同じ生物学的実体(例えば、細胞外小胞)において相互に十分に短距離内に存在する場合に、検出シグナルが生じる。
図2-2】本明細書に記載の一部の実施形態による標的実体検出アッセイを示す概略図である。それらのそれぞれの一本鎖オーバーハングの直接的なハイブリダイゼーションを介して相互に連結している第1の検出プローブ及び第2の検出プローブを含む二本鎖複合体の非限定的例が示されている。
図3】DNAリガーゼ(例えば、T4またはT7リガーゼ)を用いて、及び用いずにライゲートされたテンプレートのqPCR検出を示すグラフである。
図4】種々の細胞試料(例えば、がん細胞試料、例えば、T84、MeWo、またはSK-MEL-1細胞試料)におけるライゲートされたテンプレートのqPCR検出を示すグラフである。
図5-1】本明細書に記載の一部の実施形態による標的実体検出アッセイを示す概略図である。この図は、例示的な三重標的実体検出システムを示しており、その際、一部の実施形態では、それぞれ標的タンパク質のための3つまたはそれ以上の検出プローブを、生物学的実体(例えば、細胞外小胞)を含む試料に添加することができる。一部の実施形態では、検出プローブはそれぞれ、二本鎖部分と、そのオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している一本鎖オーバーハングとを含むオリゴヌクレオチドドメインにカップリングしている標的結合部分(例えば、標的タンパク質に対する抗体因子)を含む。3つまたはそれ以上のすべての検出プローブの対応する一本鎖オーバーハングが相互にハイブリダイズして、線状二本鎖複合体を形成し、かつその二本鎖複合体の少なくとも1本の鎖のライゲーションが生じ、したがって、生じたライゲートされた産物を検出することが可能になった場合に、検出シグナルが生じる。
図5-2】それらのそれぞれの一本鎖オーバーハングのハイブリダイゼーションを介して線状配置で相互に連結された4つの検出プローブを含む二本鎖複合体の非限定的例である。
図6】3つのすべて別個の検出プローブの対応するオリゴヌクレオチドドメインが存在する場合の、ライゲートされた産物のqPCR検出を示すグラフである。
図7】3つの検出プローブのうちの2つ(例えば、標的1及び標的3)が存在する場合の、ライゲートされた産物のqPCR検出を示すグラフである。
図8】3つの検出プローブのうちの2つ(例えば、標的1及び標的2)が存在する場合の、ライゲートされた産物のqPCR検出を示すグラフである。
図9】3つの検出プローブのうちの2つ(例えば、標的2及び標的3)が存在する場合の、ライゲートされた産物のqPCR検出を示すグラフである。
図10】本明細書に記載の例示的な実施形態の標的実体検出アッセイを示す概略図である。一部の実施形態では、それぞれ別個の標的のための複数の検出プローブを、生物学的実体(例えば、細胞外小胞)を含む試料に添加する。一部の実施形態では、検出プローブはそれぞれ、二本鎖部分と、そのオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している一本鎖オーバーハングとを含むオリゴヌクレオチドドメインにカップリングしている標的結合部分(例えば、抗体因子)を含む。すべての検出プローブが同じ生物学的実体(例えば、細胞外小胞または分析物)に近接して局在化して、対応する一本鎖オーバーハングがハイブリダイズして、線状二本鎖複合体を形成し、かつ生じた二本鎖複合体の少なくとも1本の鎖のライゲーションが生じ、それにより、ライゲートされた産物を検出することが可能になった場合に、検出シグナルが生じる。
図11】本明細書に記載の例示的な実施形態の標的実体検出アッセイを示す概略図である。一部の実施形態では、標的実体検出アッセイは、がん(例えば、特定のがん、例えば、例えば、黒色腫、及び/または特定のステージのがんなど)の検出のために特異的である検出プローブの組合せを利用する。一部の実施形態では、検出プローブのそのような組合せは、標的タンパク質(一部の実施形態では同じ標的タンパク質であってもよいし、または一部の実施形態では別個のタンパク質であってもよい)をそれぞれ指向する少なくとも2つまたはそれ以上の標的特異的検出プローブと、少なくとも1つまたは複数の対照プローブ、例えば、その結合が検出プローブのライゲーションを阻害または排除する陰性対照プローブとを含み;一部の実施形態では、対照プローブは、例えば、がんと関連しないタンパク質またはペプチド、例えば、目的の実体(例えば、生物学的実体)におけるその存在が、目的の実体が疾患、障害、または状態(例えば、がん)について陰性であることを示すものを指向し得る。一部の実施形態では、検出プローブのそのような組合せを、生物学的実体(例えば、細胞外小胞または分析物)を含む試料に添加する。一部の実施形態では、検出プローブはそれぞれ、二本鎖部分と、そのオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している一本鎖オーバーハングとを含むオリゴヌクレオチドドメインにカップリングしている標的結合部分(例えば、抗体因子またはアプタマー)を含む。対照プローブではなく、すべての標的特異的検出プローブ(例えば、それぞれ標的タンパク質1、標的タンパク質2、及び標的タンパク質3を指向する)が同じ生物学的実体(例えば、細胞外小胞または分析物)に近接して局在化している場合に、検出シグナルが生じる。標的特異的検出プローブの対応する一本鎖オーバーハングがハイブリダイズして二本鎖複合体を形成し、かつ生じる二本鎖複合体の少なくとも1本の鎖のライゲーションが生じると、それにより、ライゲートされた産物を検出することができる。例えば、対照実体(例えば、健康な対象試料からの生物学的実体)が3つすべての標的タンパク質を発現している場合にも、がんと関連しない対照タンパク質の存在により、検出シグナルは生じ得ない。しかしながら、がん試料(例えば、黒色腫)からの生物学的実体が、がんと関連しない対照タンパク質の非存在下で3つすべての標的タンパク質を発現していて、かつ標的タンパク質が、同じ生物学的実体(例えば、細胞外小胞または分析物)において相互に十分に短距離内に存在する場合、検出シグナルが生じ得る。一部の実施形態では、対照プローブを含むことで、偽陽性を選択的に排除し、それにより、検出の特異性を改善することができる。
図12】ライゲーションの競合阻害を含む、本明細書に記載の例示的な実施形態の標的実体検出アッセイを示す概略図である。図11に示されているとおり、対照プローブが、同じ生物学的実体に対する他の標的特異的検出プローブと共に局在化している場合、ライゲーション産物は形成され得ない。一部の実施形態では、対照プローブは、(i)2つの標的特異的検出プローブの間に配置される;及び(ii)対照プローブの一方の末端がブラント末端であり、したがって、他の検出プローブとライゲート不可能であるように設計される。加えて、または別法では、対照プローブは、ライゲート不可能であるように、鎖の一方の末端にジデオキシヌクレオチドを有し得る。
図13-1】黒色腫細胞系(MeWo)由来細胞外小胞、結腸直腸癌細胞系(T84)由来細胞外小胞、及びテンプレートなし(陰性対照)を含む試料におけるライゲートされたテンプレートのqPCR検出を示すグラフである。例示的な二重システム(例えば、本明細書に記載のとおりのもの)から得られた実験データが示されている。
図13-2】黒色腫細胞系(MeWo)由来細胞外小胞、結腸直腸癌細胞系(T84)由来細胞外小胞、及びテンプレートなし(陰性対照)を含む試料におけるライゲートされたテンプレートのqPCR検出を示すグラフである。例示的な三重システム(例えば、本明細書に記載のとおりのもの)から得られた実験データが示されている。
図14-1】表4に示されているとおりのバイオマーカーの特異的なセットを指向する検出プローブを用いての例示的な二重検出アッセイを使用して、既知量のがん細胞系由来細胞外小胞をスパイクされた血漿試料における細胞外小胞のアッセイから得られた平均デルタCt値(基線として、健康な患者試料を使用)を示すグラフである。標的マーカーA及び標的マーカーB(組合せ1)を指向する検出プローブの使用に基づくデータが示されている。
図14-2】表4に示されているとおりのバイオマーカーの特異的なセットを指向する検出プローブを用いての例示的な二重検出アッセイを使用して、既知量のがん細胞系由来細胞外小胞をスパイクされた血漿試料における細胞外小胞のアッセイから得られた平均デルタCt値(基線として、健康な患者試料を使用)を示すグラフである。標的マーカーE及び標的マーカーF(組合せ2)を指向する検出プローブの使用に基づくデータが示されている。
図14-3】表4に示されているとおりのバイオマーカーの特異的なセットを指向する検出プローブを用いての例示的な二重検出アッセイを使用して、既知量のがん細胞系由来細胞外小胞をスパイクされた血漿試料における細胞外小胞のアッセイから得られた平均デルタCt値(基線として、健康な患者試料を使用)を示すグラフである。標的マーカーE及び標的マーカーA(組合せ3)を指向する検出プローブの使用に基づくデータが示されている。
図14-4】表4に示されているとおりのバイオマーカーの特異的なセットを指向する検出プローブを用いての例示的な二重検出アッセイを使用して、既知量のがん細胞系由来細胞外小胞をスパイクされた血漿試料における細胞外小胞のアッセイから得られた平均デルタCt値(基線として、健康な患者試料を使用)を示すグラフである。標的マーカーG及び標的マーカーF(組合せ4)を指向する検出プローブの使用に基づくデータが示されている。
図15-1】標的マーカーE及び標的マーカーAの組合せ(表4に示されているとおりの組合せ3)を指向する検出プローブを用いての例示的な二重検出アッセイを使用して、ステージIV肺腺癌患者及び正常で健康な対象から得られた血漿試料における細胞外小胞のアッセイから得られた実験データを示すグラフである。平均デルタCt値が示されている(基線として、健康な患者試料Aを使用)。
図15-2】標的マーカーE及び標的マーカーAの組合せ(表4に示されているとおりの組合せ3)を指向する検出プローブを用いての例示的な二重検出アッセイを使用して、ステージIV肺腺癌患者及び正常で健康な対象から得られた血漿試料における細胞外小胞のアッセイから得られた実験データを示すグラフである。2デルタ_Ctとして計算された正規化シグナルが示されている。
図15-3】標的マーカーE及び標的マーカーAの組合せ(表4に示されているとおりの組合せ3)を指向する検出プローブを用いての例示的な二重検出アッセイを使用して、ステージIV肺腺癌患者及び正常で健康な対象から得られた血漿試料における細胞外小胞のアッセイから得られた実験データを示すグラフである。受信者動作特性(ROC)曲線が、平均健康正規化シグナルの閾値及び3つの標準偏差と共に示されており、試料を健康またはステージIV肺腺癌と分類している。
図16-1】標的マーカーE及び標的マーカーHの組合せ(表4に示されているとおりの組合せ5)を指向する検出プローブを用いての例示的な二重検出アッセイを使用して、ステージIV肺腺癌患者及び正常で健康な対象から得られた血漿試料における細胞外小胞のアッセイから得られた実験データを示すグラフである。平均デルタCt値が示されている(基線として、健康な患者試料Aを使用)。
図16-2】標的マーカーE及び標的マーカーHの組合せ(表4に示されているとおりの組合せ5)を指向する検出プローブを用いての例示的な二重検出アッセイを使用して、ステージIV肺腺癌患者及び正常で健康な対象から得られた血漿試料における細胞外小胞のアッセイから得られた実験データを示すグラフである。2デルタ_Ctとして計算された正規化シグナルが示されている。
図16-3】標的マーカーE及び標的マーカーHの組合せ(表4に示されているとおりの組合せ5)を指向する検出プローブを用いての例示的な二重検出アッセイを使用して、ステージIV肺腺癌患者及び正常で健康な対象から得られた血漿試料における細胞外小胞のアッセイから得られた実験データを示すグラフである。受信者動作特性(ROC)曲線が、平均健康正規化シグナルの閾値及び3つの標準偏差と共に示されており、試料を健康またはステージIV肺腺癌と分類している。
図17】それぞれ図15B及び図16Bに示されているとおりの組合せ3のマーカー及び組合せ5のマーカーを使用して得られた正規化シグナル間の相関が示されている。
図18】非特異的なライゲートされたテンプレートを減少させるか、またはそれが検出可能なシグナルを生成することを阻害して、それにより、バックグラウンドシグナルを減少させるために使用することができる例示的な阻害因子オリゴヌクレオチドを示す概略図である。
図19】例えば、図1または図2A~2Bに例示のアッセイを使用して、種々の細胞系由来細胞外小胞試料においてライゲートされた試料のqPCR検出からの実験データが示されている。一部の実施形態では、標的実体検出アッセイは、がんマーカー1に基づき細胞外小胞を捕捉するための作用因子(「がんマーカー1捕捉」)及び例示的な二重システムを含み、これは例えば、二本鎖部分と、そのオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している一本鎖オーバーハングとを含む別個のオリゴヌクレオチドドメインにカップリングしているがんマーカー2を指向する結合部分(例えば、抗がんマーカー2抗体)をそれぞれ含む少なくとも2つの検出プローブ(「がんマーカー2+がんマーカー2抗体プローブ」)を含む。パネルAは、バイオマーカー陰性がん細胞系EV(陰性細胞系)に対してバイオマーカー陽性がん細胞系EV(陽性細胞系)の検出を比較するqPCRデータのグラフを示している。パネルBは、基線として陰性対照細胞系(例えば、バイオマーカー陰性がん細胞系)を使用して、対応する平均デルタCt値を示している。
図20】がん患者血漿試料研究に含まれる患者の人口統計を示すグラフであり、例示的なアッセイにより評価された患者コホートでの年齢及びコホートサイズが示されている。
図21】がんマーカー1捕捉とがんマーカー2+がんマーカー2抗体プローブとに基づく二重システム(例えば、図1または図2A~2Bに記載のとおりのもの)を含む、標的がんを検出するための例示的なアッセイの性能を、2つの異なるカットオフと共に示すグラフである。カットオフ1は、特異性99.8%に関し、カットオフ2は、特異性98%に関する。
図22】標的がんのための現行の標準治療と比較して、標的がんを検出するための例示的なアッセイの性能を示すデータのセットである:血清タンパク質及び/またはイメージング。特異性(パネルA及びD)、感受性(パネルB及びE)、及び陽性予測値(パネルC及びF)を、標的がんについて遺伝的リスク(パネルA、B、及びC)、及び平均的リスク(パネルD、E、及びF)を有する対象をスクリーニングするために比較した。
図23】がん細胞系 対 陰性対照細胞系からのEVにおける標的バイオマーカー1 mRNAの検出を示すグラフのセットである。(パネルA)RT-qPCRを使用してのバルクEVにおける標的バイオマーカー1 mRNAの検出。(パネルB)バルクでのEVと比較しての、抗標的バイオマーカー2官能化ビーズを使用して捕捉されたEVにおける標的バイオマーカー1 mRNAの検出。
図24】アッセイシグナルに対するオリゴヌクレオチド長さの作用を示す生qPCRデータを示すグラフである。細胞系EVを、抗標的1官能化磁気ビーズを使用して捕捉し、シグナルを、本明細書に記載の例示的な二重標的実体検出システムのための抗標的1及び抗標的2検出プローブを使用して生成した。
図25】表6に示されているとおりの組合せ1を指向する検出プローブを用いる例示的な二重検出アッセイを使用して細胞系EVをアッセイすることから得られた平均デルタCt値(基線として健康な血漿試料を使用)を示すグラフである。
図26】本明細書に記載の例示的な実施形態の標的実体検出アッセイを示す概略図である。一部の実施形態では、標的実体検出アッセイは、検出プローブの組合せを利用し、この組み合わせは、一部の実施形態では、標的に、例えば、目的の組織(図26に示されているとおりの組織A)からの標的実体の検出に特異的である。一部の実施形態では、検出プローブのそのような組合せは、目的の実体に存在する標的(一部の実施形態では、同じ標的であってもよいし、または一部の実施形態では、別個の標的であってもよい)をそれぞれ指向する少なくとも2つまたはそれ以上の標的特異的検出プローブを含む。一部の実施形態では、検出プローブはそれぞれ、二本鎖部分と、オリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している一本鎖オーバーハングとを含むオリゴヌクレオチドドメインにカップリングしている標的結合部分(例えば、抗体因子またはアプタマー)を含む。一部の実施形態では、そのような標的実体検出アッセイはさらに、少なくとも1つ、または少なくとも1つまたはそれ以上より多い対照プローブ、例えば、非標的との交差反応性を低下させるように設計されている阻害因子プローブを含む。例えば、一部の実施形態では、阻害因子プローブは、非標的実体へのその結合が、別のプローブ、例えば、検出プローブとのライゲーションを可能にしながら、ライゲートされたテンプレートの増幅を阻害または排除するように設計されている。例えば、図26に示されているとおり、一部の実施形態では、阻害因子プローブは、非標的、例えば、標的組織と関連していないマーカー、または診断される疾患、障害、もしくは状態(例えば、がん)と関連していないマーカーを指向し得る。一部のそのような実施形態では、阻害因子プローブは、本明細書に記載の検出プローブと同様であって、検出プローブ及び阻害因子プローブが近接している場合に、それらの一本鎖オーバーハングが相互にハイブリダイズして、したがって、ライゲーションを可能にするようになっている。しかしながら、本明細書に記載の検出プローブとは異なり、そのような阻害因子プローブのオリゴヌクレオチドドメインの少なくとも1本の鎖は、プライマー部位を有さず、したがって、検出プローブと阻害因子プローブとの間の相互作用の結果として形成され得る何らかのライゲートされたテンプレートの増幅を阻止する。一部の実施形態では、検出プローブ及び阻害因子プローブ(複数可)の組合せを、生物学的実体(例えば、細胞外小胞または分析物)を含む試料に添加する。阻害因子プローブではなく、すべての標的特異的検出プローブ(例えば、組織Aからの標的1、組織Aからの標的2を指向するもの)が、同じ生物学的実体(例えば、細胞外小胞または分析物)に近接して局在化した場合に、検出シグナルが生じる。標的特異的検出プローブの対応する一本鎖オーバーハングがハイブリダイズして二本鎖複合体を形成し、かつ生じた二本鎖複合体の少なくとも1本の鎖のライゲーションが生じると、それにより、ライゲートされた産物を検出することが可能になる。非標的実体(例えば、異なる組織からの生物学的実体)への阻害因子プローブ結合の存在下では、阻害因子プローブがテンプレートの増幅を阻害するので、検出シグナルは生じ得ない。一部の実施形態では、そのような阻害因子プローブを含むことで、偽陽性を選択的に排除し、それにより、検出の特異性を改善することができる。
図27】示されているとおりのテンプレートの13の異なる組合せからの生qPCRデータを示すグラフである。
図28】示されているとおりの阻害因子プローブを用いて、及び用いずに、溶液中でライゲートされたテンプレートのqPCR検出を示すグラフである:(1+3)+(2+4)鎖;(1+3)+(2+4)+1X(1i+3i)鎖;(1+3)+(2+4)+1X(2i+4i)鎖;(1+3)+(2+4)+2X(1i+3i)鎖;(1+3)+(2+4)+2X(2i+4i)鎖;及び(1+3)+(2+4)+1X(1i+3i)+1X(2i+4i)鎖。
図29】阻害因子プローブ(例えば、図26において図示されているとおりのもの)の存在下または非存在下で検出プローブを用いる例示的な二重検出アッセイを使用して、細胞系EVをアッセイすることから生成した生qPCRデータを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0063】
一定の定義
投与すること:本明細書で使用される場合、「投与すること」または「投与」という用語は典型的には、組成物を対象に投与して、組成物であるか、または組成物に含まれる作用因子を、標的部位または処置される部位に送達することを指す。当業者は、適切な状況で、対象、例えば、ヒトに投与するために利用することができる様々な経路が分かるであろう。例えば、一部の実施形態では、投与は非経口であり得る。一部の実施形態では、投与は経口であり得る。一部の実施形態では、投与は、単回用量のみを含み得る。一部の実施形態では、投与は、固定された数の用量を適用することを含み得る。一部の実施形態では、投与は、断続的(例えば、時間を空けて複数の用量)及び/または周期的(例えば、共通期間を空けて個々の用量)投与である投与を含み得る。一部の実施形態では、投与は、少なくとも選択された期間にわたる連続的投与(例えば、潅流)を含み得る。
【0064】
増幅:「増幅」及び「増幅する」という用語は、その当初の量及び/またはレベルと比べて、核酸分子の量及び/またはレベルの上昇をもたらすテンプレート依存的プロセスを指す。テンプレート依存的プロセスは一般に、プライマー分子のテンプレート依存的伸長を含むプロセスであり、その際、新たに合成される核酸の鎖の配列は、相補的塩基対合の周知の規則により規定される(例えば、Watson,J.D.et al.,In:Molecular Biology of the Gene,4th Ed.,W.A.Benjamin,Inc.,Menlo Park,Calif.(1987)を参照されたい)。
【0065】
分析物:本明細書で使用される場合、「分析物」という用語は、アッセイされる試料中の実体、物質、構成成分、または複合体を指す。一部の実施形態では、分析物は、生物学的分析物であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、分析物は、化学的分析物であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、分析物は、ポリペプチドまたはタンパク質であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、分析物は、核酸であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、分析物は、ウイルス、またはその断片もしくは産物を含む細胞または微生物(例えば、これに限定されないが、細胞内分子、細胞もしくは微生物により分泌される分子、細胞表面分子、細胞外小胞表面分子、または膜結合細胞を含む)であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、分析物は、本明細書に記載の技術(例えば、本開示により同じ標的を指向する少なくとも2つの検出プローブを含む)を使用して検出される少なくとも1つの標的を含む実体である。一部の実施形態では、分析物は、本明細書に記載の技術(例えば、本開示による、異なる標的を指向する少なくとも2つまたはそれ以上の検出プローブを含む)を使用して検出される少なくとも2つの標的またはそれ以上(例えば、少なくとも2つ、少なくとも3、少なくとも4つ、またはそれ以上の標的を含む)を含む実体である。一部の実施形態では、分析物は、単一の実体、または相互に共有結合していてもよいし、もしくはしていなくてもよく、及び/または同じでも、もしくは異なってもよい2つまたはそれ以上の分子サブユニットを含む複合体であり得る。一部の実施形態では、分析物は、タンパク質複合体であり得るか、またはそれを含み得る。そのような複合体は、ホモ-またはヘテロ-多量体であり得る。分子、例えば、タンパク質もしくはポリペプチドの凝集体、またはポリペプチドもしくはタンパク質(例えば、制御因子、例えば転写因子)と複合もしくは凝集している核酸(例えば、DNAまたはRNA)も、標的分析物であり得る。
【0066】
抗体因子:本明細書で使用される場合、「抗体因子」という用語は、特定の抗原に特異的に結合する作用因子を指す。一部の実施形態では、この用語は、特異的な結合を付与するために十分な免疫グロブリン構造要素を包含するいずれのポリペプチドまたはポリペプチド複合体も包含する。例示的な抗体因子には、これに限定されないが、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体が含まれる。一部の実施形態では、抗体因子は、マウス、ウサギ、霊長類、またはヒト抗体に特徴的である1つまたは複数の定常領域配列を含み得る。一部の実施形態では、抗体因子は、当技術分野で公知であるとおり、ヒト化されている、霊長類化されている、キメラなどの1つまたは複数の配列要素を含み得る。多くの実施形態で、「抗体因子」という用語は、代替の提示において抗体の構造的及び機能的特徴を利用するために当技術分野で公知であるか、または開発されたコンストラクトまたはフォーマットのうちの1つまたは複数を指すために使用される。例えば、実施形態、本発明に従って利用される抗体因子は、これに限定されないが、インタクトなIgA、IgG、IgEまたはIgM抗体;二重-または多重特異的抗体(例えば、Zybodies(登録商標)など);抗体断片、例えば、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fd’断片、Fd断片、及び単離相補性決定領域(CDR)またはそのセット;一本鎖Fv;ポリペプチド-Fc融合体;シングルドメイン抗体(例えば、サメシングルドメイン抗体、例えば、IgNARまたはその断片);ラクダ抗体;マスク抗体(例えば、Probodies(登録商標));Small Modular ImmunoPharmaceuticals(「SMIP(商標)」);一本鎖またはタンデム二重特異性抗体(TandAb(登録商標));VHH;Anticalin(登録商標);Nanobodies(登録商標)ミニボディ;BiTE(登録商標);アンキリンリピートタンパク質またはDARPIN(登録商標);Avimer(登録商標);DART;TCR様抗体;Adnectin(登録商標);Affilin(登録商標);Trans-bodies(登録商標);Affibodies(登録商標);TrimerX(登録商標);マイクロタンパク質;Fynomers(登録商標)、Centyrin(登録商標);ならびにKALBITOR(登録商標)から選択されるフォーマットである。一部の実施形態では、抗体は、天然に産生された場合に有するであろう共有結合修飾(例えば、グリカンの付着)を欠いていてよい。一部の実施形態では、抗体は、共有結合修飾(例えば、グリカン、ペイロード[例えば、検出可能な部分、治療用部分、触媒部分など]、または他のペンダント基[例えば、ポリ-エチレングリコールなど]の付着を含んでよい。多くの実施形態で、抗体因子は、そのアミノ酸配列が当業者により相補性決定領域(CDR)と認識される1つまたは複数の構造要素を含むポリペプチドであるか、またはそれを含む;一部の実施形態では、抗体因子は、そのアミノ酸配列が基準抗体において見い出されるものと実質的に同一である少なくとも1つのCDR(例えば、少なくとも1つの重鎖CDR及び/または少なくとも1つの軽鎖CDR)を含むポリペプチドであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、含まれるCDRは、基準CDRと実質的に同一であり、その際、これは、配列が同一であるか、または基準CDRと比較して、1~5つのアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、含まれるCDRは、基準CDRと実質的に同一であり、その際、これは、基準CDRと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%配列同一性を示す。一部の実施形態では、含まれるCDRは、基準CDRと実質的に同一であり、その際、これは、基準CDRと少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%配列同一性を示す。一部の実施形態では、含まれるCDRは、基準CDRと実質的に同一であり、その際、基準CDRと比較して、含まれるCDR内の少なくとも1個のアミノ酸が欠失、付加、または置換されているが、含まれるCDRは、他の点では基準CDRのものと同一であるアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、含まれるCDRは、基準CDRと実質的に同一であり、その際、基準CDRと比較して、含まれるCDR内の少なくとも1~5個のアミノ酸が欠失、付加、または置換されているが、含まれるCDRは、他の点では基準CDRのものと同一であるアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、含まれるCDRは、基準CDRと実質的に同一であり、その際、基準CDRと比較して、含まれるCDR内の少なくとも1個のアミノ酸が置換されているが、含まれるCDRは、他の点では基準CDRのものと同一であるアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、含まれるCDRは、基準CDRと実質的に同一であり、その際、基準CDRと比較して、含まれるCDR内の1~5個のアミノ酸が欠失、付加、または置換されているが、含まれるCDRは、他の点では基準CDRと同一であるアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、抗体因子は、そのアミノ酸配列が当業者により免疫グロブリン可変ドメインと認識される複数の構造要素を含むポリペプチドであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、抗体因子は、免疫グロブリン結合ドメインと相同な、または広く相同な結合ドメインを有するポリペプチドタンパク質である。
【0067】
当業者は、抗体因子を、当技術分野で公知の方法ならびに市販のサービス及びキットを使用して作製することができる。例えば、モノクローナル抗体を調製する方法は、当技術分野で周知であり、それには、ハイブリドーマ技術及びファージディスプレイ技術が含まれる。本開示で使用するために適したさらなる抗体が、例えば、次の刊行物に記載されている:Antibodies A Laboratory Manual,Second edition.Edward A.Greenfield.Cold Spring Harbor Laboratory Press(September 30,2013);Making and Using Antibodies:A Practical Handbook,Second Edition.Eds.Gary C.Howard and Matthew R.Kaser.CRC Press(July 29,2013);Antibody Engineering:Methods and Protocols,Second Edition(Methods in Molecular Biology).Patrick Chames.Humana Press(August 21,2012);Monoclonal Antibodies:Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology).Eds.Vincent Ossipow and Nicolas Fischer.Humana Press(February 12,2014);及びHuman Monoclonal Antibodies:Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology).Michael Steinitz.Humana Press(September 30,2013))。
【0068】
抗体は、標準的な技術により、例えば、適切なポリペプチドもしくはその部分(複数可)での免疫化により、またはファージディスプレイライブラリを使用することにより生成することができる。ポリクローナル抗体が望ましい場合には、選択された哺乳類(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマなど)を、任意選択で別のポリペプチドにハプテン化された所望のエピトープ(複数可)を有する免疫原性ポリペプチドで免疫化する。ホスト種に応じて、様々なアジュバントを使用して、免疫応答を増大させることができる。そのようなアジュバントには、これに限定されないが、フロイントアジュバント、ミネラルゲル、例えば、水酸化アルミニウム、及び表面活性物質、例えば、リゾレシチン、プルロニック(登録商標)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、及びジニトロフェノールが含まれる。免疫化動物からの血清を収集し、公知の手順に従って処理する。所望のエピトープに対するポリクローナル抗体を含有する血清が他の抗原に対する抗体を含有する場合、上記ポリクローナル抗体を、イムノアフィニティークロマトグラフィーまたは当技術分野で公知の任意の他の方法により精製することができる。ポリクローナル抗血清を生成または処理する技術は、当技術分野で周知である。
【0069】
およそまたは約:本明細書で使用される場合、「およそ」または「約」という用語は、目的の1つまたは複数の値に適用される場合、定められた基準値と同様である値を指す。一般に、その文脈を熟知している当業者は、その文脈において「約」または「およそ」に包含される関連分散度が分かるであろう。例えば、一部の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、関連値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満内にある値の範囲を包含し得る。
【0070】
アプタマー:本明細書で使用される場合、「アプタマー」という用語は典型的には、特異的標的分子(例えば、エピトープ)に結合する核酸分子またはペプチド分子を指す。一部の実施形態では、核酸アプタマーは、ヌクレオチド配列により記載され得、かつ典型的には、約15~60ヌクレオチド長である。核酸アプタマーは、一本鎖及び/または二本鎖構造であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、核酸アプタマーは、DNAであり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、核酸アプタマーは、RNAであり得るか、またはそれを含み得る。いずれの理論にも束縛されることは望まないが、アプタマー中のヌクレオチドの鎖が分子を複合体三次元形状に折り畳む分子内相互作用を形成し、かつこの三次元形状が、アプタマーがその標的分子の表面に緊密に結合することを可能にすることが企図されている。一部の実施形態では、ペプチドアプタマーは、タンパク質スキャフォールドにより提示される可変配列の1つまたは複数のペプチドループを有すると記載され得る。ペプチドアプタマーは、コンビナトリアルライブラリから単離することができ、かつ多くの場合に続いて、指向変異または可変領域変異誘発及び選択のラウンドにより改善することができる。すべての可能なヌクレオチド及び/またはペプチド配列のユニバース内に存在する分子形状の非常な多様性を考慮すると、アプタマーを、タンパク質及び小分子を含む幅広い分子標的について得ることができる。高い特異性に加えて、アプタマーは典型的には、それらの標的について非常に高い親和性(例えば、タンパク質またはポリペプチドについて、ピコモルから低いナノモルまでの範囲の親和性)を有する。アプタマーは典型的には合成分子であるので、アプタマーは、それらの機能を特定の用途のために最適化し得る様々な修飾に適している。
【0071】
と関連する:この用語が本明細書において使用される場合、一方の存在、レベル及び/または形態が、他方のそれらと相関しているならば、その2つの事象または実体は相互に「関連」している。例えば、特定の生物学的現象(例えば、特異的バイオマーカーの発現)は、その存在が疾患、障害、または状態の発生及び/または易罹患性(例えば、関連集団全体)と相関しているならば、特定の疾患、障害、または状態(例えば、がんの特異的な種類及び/またはがんのステージ)と関連していると判断される。
【0072】
生物学的実体:適切な状況では、当業者には文脈から明らかであるように、「生物学的実体」という用語を、一部の実施形態では、細胞または生体、例えば、動物またはヒトであり得るか、もしくはそれを含み得る、または一部の実施形態では、生物学的組織または流体であり得るか、もしくはそれを含み得る、例えば、一部の実施形態では、対象に由来するか、またはそこから得られる生物学的試料中に存在する実体もしくは構成成分を指すために利用することができる。一部の実施形態では、生物学的実体は、細胞もしくは微生物、またはその画分、抽出物、または構成成分(例えば、細胞内構成成分及び/または細胞もしくは微生物により分泌される分子を含む)であるか、またはそれを含む。例えば、一部の実施形態では、生物学的実体は、細胞であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、生物学的実体は、細胞外小胞であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、生物学的実体は、生物学的分析物(例えば、代謝産物、炭水化物、タンパク質またはポリペプチド、酵素、脂質、細胞器官、サイトカイン、受容体、リガンド、及びそれらの任意の組合せ)であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、試料中に存在する生物学的実体は、天然の状態にある(例えば、タンパク質またはポリペプチドが、天然に存在する高次構造で維持されている)。一部の実施形態では、生物学的実体を、例えば、試料から単離すること、または天然に存在する生物学的実体から得ることにより処理する。例えば、生物学的実体を、本明細書において提供される技術を利用して検出するためにより望ましいものであるように、1つまたは複数の化学剤で処理することができる。例にすぎないが、生物学的実体は、固定剤(例えば、これに限定されないが、メタノール及び/またはホルムアルデヒド)と接触すると、細胞または細胞外小胞中に存在するタンパク質及び/またはペプチドの架橋の形成をもたらす細胞または細胞外小胞であり得る。一部の実施形態では、生物学的実体は、単離された、または純粋な形態である(例えば、血液または血漿試料から単離される)。一部の実施形態では、生物学的実体は、複合マトリックス(例えば、血液または血漿試料)中に存在し得る。
【0073】
バイオマーカー:「バイオマーカー」という用語は典型的には、その存在、レベル、程度、種類、及び/または形態が特定の生物学的事象または目的の状態と相関し、したがって、その事象または状態の「マーカー」であると判断される実体、事象、または特徴を指す。いくつかの例を示すと、一部の実施形態では、バイオマーカーは、特定の病態、または特定の疾患、障害もしくは状態が発生し得る、起こり得る、もしくは再発し得る可能性についてのマーカーであり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、バイオマーカーは、特定の疾患もしくは治療成績、またはその可能性についてのマーカーであり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、バイオマーカーは、特定の組織(例えば、これに限定されないが、脳、乳房、結腸、卵巣及び/または女性生殖系と関連する他の組織、膵臓、前立腺及び/または男性生殖系と関連する他の組織、肝臓、肺、及び皮膚)についてのマーカーであり得るか、またはそれを含み得る。特定の組織についてのそのようなマーカーは、一部の実施形態では、健康な組織に特異的であり得るか、罹患組織に特異的であり得るか、または一部の実施形態では、正常で健康な組織及び罹患組織(例えば、腫瘍)に存在し得て;当業者は、本開示を読むことで、そのような種類のバイオマーカーそれぞれについての適切な状況が分かるであろう。一部の実施形態では、バイオマーカーは、がん特異的マーカー(例えば、特定のがんに特異的であるマーカー)であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、バイオマーカーは、非特異的がんマーカー(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上のがんに存在するマーカー)であり得るか、またはそれを含み得る。非特異的がんマーカーは、一部の実施形態では、がんについての一般的なマーカー(例えば、組織種にかかわらず、がんに典型的に存在するマーカー)、または一部の実施形態では、特異的な組織のがんについてのマーカー(例えば、これに限定されないが、脳、乳房、結腸、卵巣及び/または女性生殖系と関連する他の組織、膵臓、前立腺及び/または男性生殖系と関連する他の組織、肝臓、肺、及び皮膚)であり得るか、またはそれを含み得る。したがって、一部の実施形態では、バイオマーカーは予測的であり;一部の実施形態では、バイオマーカーは予後的であり;一部の実施形態では、バイオマーカーは、関連生物学的事象または目的の状況について診断的である。バイオマーカーは、任意の化学的群の実体であり得るか、またはそれを含み得、かつ実体の組合せであり得るか、またはそれを含み得る。例えば、一部の実施形態では、バイオマーカーは、核酸、ポリペプチド、脂質、炭水化物、小分子、無機因子(例えば、金属またはイオン)、またはそれらの組合せであり得るか、またはそれらを含み得る。一部の実施形態では、バイオマーカーは、特定の分子、複合体、または構造の一部分であるか、またはそれを含み;例えば、一部の実施形態では、バイオマーカーは、エピトープであり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、バイオマーカーは、生物学的実体(例えば、細胞外小胞)の表面マーカー(例えば、表面タンパク質マーカー)である。一部の実施形態では、バイオマーカーは細胞内マーカーである。一部の実施形態では、バイオマーカーは、細胞の外部で検出され、例えば、分泌されるか、もしくは別段に生成されるか、細胞の外部に、例えば、体液、例えば、血液、血漿、尿、涙、唾液、脳脊髄液などの中に存在する。一部の実施形態では、バイオマーカーは、小胞内(例えば、細胞外小胞内に存在するタンパク質またはRNAマーカー)である。一部の実施形態では、バイオマーカーは、遺伝的または後成的シグネチャーであり得るか、またそれを含み得る。一部の実施形態では、バイオマーカーは、遺伝子発現シグネチャーであり得るか、またそれを含み得る。一部の実施形態では、本開示に従って使用するために適した「バイオマーカー」は、標的マーカーに存在する分子実体(例えば、エピトープ)の存在、レベル、及び/または形態を指し得る。例えば、一部の実施形態では、分子実体として2つまたはそれ以上の「バイオマーカー」(例えば、エピトープ)が、同じ標的マーカー(例えば、マーカータンパク質、例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞中に存在する表面タンパク質)上に存在し得る。
【0074】
血液由来試料:「血液由来試料」という用語は、本明細書で使用される場合、それを必要とする対象の血液試料(すなわち、全血試料)に由来する試料を指す。血液由来試料の例には、これに限定されないが、血漿(例えば、新鮮凍結血漿を含む)、血清、血液画分、血漿画分、血清画分、赤血球(RBC)を含む血液画分、血小板、白血球など、及びその画分を含む細胞溶解産物(例えば、細胞、例えば、赤血球、白血球などを細胞溶解産物を得るために収集及び溶解させることができる)が含まれる。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法、システム、及び/またはキットで使用される血液由来試料は血漿試料である。
【0075】
がん:「がん」という用語は本明細書では、目的の組織の細胞が相対に異常な、無制御の、及び/または自律的成長を示し、したがってそれらが、細胞増殖の制御の有意な喪失により特徴づけられる異常な成長表現型を示す疾患または状態を一般に指すために使用される。一部の実施形態では、がんは、前がん性(例えば、良性)、悪性、転移前、転移性、及び/または非転移性である細胞を含み得る。一態様では、本開示は、がんを検出するための技術を提供する。一部の実施形態では、がんは、固形腫瘍により特徴づけられ得る。一部の実施形態では、がんは、血液腫瘍により特徴づけられ得る。一般に、当技術分野で公知の異なる種類のがんの例には、例えば、白血病を含む造血器がん、リンパ腫(ホジキン及び非ホジキン)、骨髄腫及び骨髄増殖性障害;肉腫、黒色腫、腺腫、固体組織の癌腫、口腔、咽喉、咽頭、及び肺の扁平上皮細胞癌、肝臓癌、尿生殖器癌、例えば、前立腺癌、子宮頸部癌、膀胱癌、子宮癌、及び子宮内膜癌及び腎細胞癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、皮膚または眼内黒色腫、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、頭頚部癌、卵巣癌、乳癌、神経膠芽腫、結腸直腸癌、胃腸癌及び神経系癌、良性病変、例えば、乳頭腫などが含まれる。
【0076】
近接:「近接」という用語は、本明細書で使用される場合、検出プローブ間の相互作用(例えば、それぞれのオリゴヌクレオチドドメインを介して)がおそらく起こると予測されるほど十分に近い2つの検出プローブ(例えば、一対における2つの検出プローブ)間の距離を指す。例えば、一部の実施形態では、規定の条件下で(例えば、検出プローブが目的の実体、例えば、細胞外小胞においてそれぞれの標的に結合している場合に)相互に十分に近接している場合に、ある期間にわたって2つの検出プローブが相互に相互作用する確率(例えば、それぞれのオリゴヌクレオチドドメインを介して)は、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれ以上を含めて、少なくとも50%またはそれ以上である。一部の実施形態では、相互に十分に近接している場合の2つの検出プローブ間の距離は、およそ0.1~1000nm、または0.5~500nm、または1~250nmの範囲であり得る。一部の実施形態では、相互に十分に近接している場合の2つの検出プローブ間の距離は、およそ0.1~10nmまたはおよそ0.5~5nmであり得る。一部の実施形態では、相互に十分に近接している場合の2つの検出プローブ間の距離は、例えば、90nm未満、80nm未満、70nm未満、60nm未満、50nm未満、40nm未満、30nm未満、20nm未満、10nm未満、5nm未満、1nm未満、またはそれ以下を含めて、100nm未満またはそれ以下であり得る。一部の実施形態では、相互に十分に近接している場合の2つの検出プローブ間の距離は、およそ40~1000nmまたは40nm~500nmの範囲であり得る。
【0077】
比較可能な:本明細書で使用される場合、「比較可能な」という用語は、相互に同一でなくてもよいが、それらの間の比較を可能にするために十分に類似していて、当業者が、観察される相違または類似性に基づき結論を合理的に導き出せると認めるであろう2つまたはそれ以上の作用因子、実体、状況、条件のセットなどを指す。一部の実施形態では、条件、状況、個体、または集団の比較可能なセットは、複数の実質的に同一な特徴及び様々な特徴のうちの1つまたは小数により特徴づけられる。当業者は、文脈において、任意の所与の状況で2つまたはそれ以上のそのような作用因子、実体、状況、条件のセットなどが比較可能と判断されるためには、どの程度の同一性が必要とされるかを理解するであろう。例えば、当業者は、状況、個体、または集団の種々のセットの下で得られた結果、またはそれを用いて観察された現象の相違が、変化させた特徴における変化に起因するか、またはそれを示すとの合理的な結論を保証するために十分な数及び種類の実質的に同一の特徴により特徴づけられた場合に、状況、個体、または集団のセットは相互に比較可能であることが分かるであろう。
【0078】
相補的:本明細書で使用される場合、「相補的」という用語は、塩基対合規則により関連付けられるオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションに対する言及において使用される。例えば、配列「C-A-G-T」は、配列「G-T-C-A」に相補的である。相補性は、部分的または全体であり得る。したがって、任意の程度の部分的相補性が、「相補的」という用語の範囲内に含まれることが意図されているが、ただし、その部分的相補性がオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを許容することを条件とする。1つまたは複数の核酸塩基が塩基対合規則に従ってマッチしない場合が、部分的相補性である。いずれもすべての核酸塩基が塩基対合規則下で他方の塩基とマッチする場合が、核酸間の全体または完全相補性である。
【0079】
疾患:本明細書で使用される場合、「疾患」という用語は、典型的には、対象(例えば、ヒト対象)において組織または系の正常な機能を損ない、かつ典型的には、特徴的な徴候及び/または症状により症状発現される障害または状態を指す。本開示に従って検出するために適した疾患の例には、これに限定されないが、自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、代謝性疾患、神経性及び神経変性疾患、がん、心臓血管疾患、アレルギー及び喘息、アルツハイマー病、ならびにホルモン関連疾患が含まれる。
【0080】
検出すること:「検出すること」という用語は、試料を本明細書において記載及び/または利用されるとおりの検出プローブと接触させた後に、目的の実体または目的の実体の測定の任意の形態(例えば、ライゲートされたテンプレート)の存在または非存在を決定する適切な手段を含むために本明細書において広く使用される。したがって、「検出すること」は、任意の方法で標的バイオマーカーシグネチャーの部分に対応する目的の実体(例えば、表面タンパク質バイオマーカー、及び/または小胞内タンパク質バイオマーカー、及び/または小胞内RNAバイオマーカー、及び/または目的の上述の実体を示す測定の形態、例えば、表面タンパク質バイオマーカー及び/または小胞内タンパク質バイオマーカーを示すライゲートされたテンプレート、または小胞内mRNAを示すPCR増幅産物)の存在または非存在、レベル、量、及び/または位置を決定すること、測定すること、評価すること、またはアッセイすることを含み得る。半定量的を含めて、定量的及び定性的決定、測定または評価が含まれる。例えば、目的の実体(例えば、表面タンパク質バイオマーカー、及び/または小胞内タンパク質バイオマーカー、及び/または小胞内RNAバイオマーカー、及び/または目的の上述の実体を示す測定の形態、例えば、表面タンパク質バイオマーカー及び/または小胞内タンパク質バイオマーカーを示すライゲートされたテンプレート、または小胞内mRNAを示すPCR増幅産物)が対照基準、または絶対と比べて検出されている場合、そのような決定、測定または評価は相対的であり得る。したがって、目的の実体(例えば、表面タンパク質バイオマーカー、及び/または小胞内タンパク質バイオマーカー、及び/または小胞内RNAバイオマーカー、及び/または目的の上述の実体を示す測定の形態、例えば、表面タンパク質バイオマーカー及び/または小胞内タンパク質バイオマーカーを示すライゲートされたテンプレート、または小胞内mRNAを示すPCR増幅産物)を定量化する文脈において使用される場合、「定量化すること」という用語は、絶対的または相対的定量化を指し得る。絶対的定量化は、目的の実体の検出されたレベル(例えば、表面タンパク質バイオマーカー、及び/または小胞内タンパク質バイオマーカー、及び/または小胞内RNAバイオマーカー、及び/または目的の上述の実体を示す測定の形態、例えば、表面タンパク質バイオマーカー及び/または小胞内タンパク質バイオマーカーを示すライゲートされたテンプレート、または小胞内mRNAを示すPCR増幅産物)を、既知の対照標準に相関させること(例えば、標準曲線の生成を介して)により達成することができる。別法では、相対的定量化は、2つまたはそれ以上の異なる目的の実体(例えば、異なる表面タンパク質バイオマーカー、及び/または小胞内タンパク質バイオマーカー、及び/または小胞内RNAバイオマーカー)の間で検出されたレベルまたは量を比較して、目的の2つまたはそれ以上の異なる実体のそれぞれの、すなわち、相互に対する相対的定量化を得ることにより達成することができる。
【0081】
検出ラベル:「検出ラベル」という用語は、本明細書で使用される場合、検出可能な任意の元素、分子、官能基、化合物、断片または部分を指す。一部の実施形態では、検出ラベルを、単独で提供または利用する。一部の実施形態では、検出ラベルを、別の作用因子と会合させて(例えば、結合させて)提供及び/または利用する。検出ラベルの例には、これに限定されないが:様々なリガンド、放射性核種(例えば、H、14C、18F、19F、32P、35S、135I、125I、123I、64Cu、187Re、111In、90Y、99mTc、177Lu、89Zrなど)、蛍光色素、化学発光剤(例えば、アクリジニウムエステル、安定化ジオキセタンなど)、生物発光剤、スペクトル解析可能な無機蛍光半導体ナノ結晶(すなわち、量子ドット)、金属ナノ粒子(例えば、金、銀、銅、白金など)ナノクラスター、常磁性金属イオン、酵素、比色ラベル(例えば、色素、コロイド金など)、ビオチン、ジオキシゲニン(dioxigenin)、ハプテン、及び抗血清またはモノクローナル抗体が利用可能であるタンパク質が含まれる。
【0082】
検出プローブ:「検出プローブ」という用語は典型的には、特異的標的の検出を指向するプローブを指す。本開示では、検出プローブは、オリゴヌクレオチドドメインに直接的または間接的にカップリングしている標的結合実体を含む組成物を指し、その際、上記標的結合実体は、それぞれの標的(例えば、分子標的)に特異的に結合し、かつオリゴヌクレオチドドメインの少なくとも一部分が、別個の標的のための別の検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインの一部分とのハイブリダイゼーションを可能にするように設計されている。多くの実施形態で、本開示により使用するために適したオリゴヌクレオチドドメインは、二本鎖部分と、少なくとも1つの一本鎖オーバーハングとを含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、二本鎖部分と、二本鎖部分の各末端の一本鎖オーバーハングとを含み得る。
【0083】
二本鎖:本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチドドメインの文脈における「二本鎖」という用語は、当業者により、一対のオリゴヌクレオチドが、水素結合したらせん配置で、典型的には例えば、DNAなどの核酸と関連して存在していることと理解される。二本鎖オリゴヌクレオチドの100%相補的形態に加えて、「二本鎖」という用語は、本明細書で使用される場合、ミスマッチ(例えば、部分的相補性)及び/またはバルジ、ループ、またはヘアピンとしての構造的特徴を含む形態を指すことも意図されている。
【0084】
二本鎖複合体:本明細書で使用される場合、「二本鎖複合体」という用語は典型的には、検出プローブの相補的一本鎖オーバーハングのハイブリダイゼーションを介して線状配置で相互に連結またはカップリングしている、標的(同じ標的でも、または別個の標的でもよい)をそれぞれ指向する少なくとも2つまたはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上を含む)の検出プローブ(例えば、本明細書において提供及び/または利用されるとおりのもの)を含む複合体を指す。一部の実施形態では、そのような二本鎖複合体は、生物学的実体(例えば、細胞外小胞)を含んでよく、その際、検出プローブのそれぞれの標的結合部分は、生物学的実体(例えば、細胞外小胞)に同時に結合している。
【0085】
エピトープ:本明細書で使用される場合、「エピトープ」という用語は、免疫グロブリン(例えば、抗体または受容体)結合構成成分またはアプタマーにより特異的に認識される任意の部分を含む。一部の実施形態では、エピトープは、抗原上の複数の化学原子または基からなる。一部の実施形態では、その抗原が関連三次元構造を採用する場合、そのような化学原子または基は表面暴露される。一部の実施形態では、そのような化学原子または基は、上記抗原がそのような構造を採用する場合に、空間的に物理的に相互に近い。一部の実施形態では、上記抗原が代替の構造を採用している(例えば、線状化されている)場合、基である少なくとも一部のそのような化学原子は、物理的に相互に分離されている。
【0086】
細胞外小胞:本明細書で使用される場合、「細胞外小胞」という用語は典型的には、例えば、細胞により分泌される、細胞の外側の小胞を指す。分泌される小胞の例には、これに限定されないが、エクソソーム、微小小胞体、マイクロ粒子、エクトソーム、オンコソーム、及びアポトーシス小体が含まれる。理論に束縛されることは望まないが、エクソソームは、多胞性エンドソーム(MVE)の境界膜の内向き出芽(inward budding)により形成され得る細胞内由来のナノメートルサイズの小胞体(例えば、40nm~120nm)である一方で、微小小胞体は典型的には細胞表面から出芽し、かつそれらのサイズは、50nm~1000nmで変動し得る。一部の実施形態では、細胞外小胞は、エクソソーム及び/または微小小胞体であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、細胞外小胞を含む試料は、アポトーシス小体を実質的に非含有である。一部の実施形態では、細胞外小胞を含む試料は、1つまたは複数の組織(例えば、癌性組織及び/または非癌性または健康な組織)から放出されるか、または由来する細胞外小胞を含み得る。一部の実施形態では、試料中の細胞外小胞は、疾患、障害、または状態と関連する組織から放出され得るか、または由来し得る。一部の実施形態では、試料中の細胞外小胞は、標的がんの腫瘍から放出され得るか、または由来し得る;一部の実施形態では、細胞外小胞は、非標的がんの腫瘍から放出されるか、または由来する。一部の実施形態では、細胞外小胞は、健康な組織から放出されるか、または由来する。一部の実施形態では、細胞外小胞は、良性腫瘍から放出されるか、または由来する。一部の実施形態では、細胞外小胞は、がんと関連する症状(例えば、非特異的症状)を有する対象の組織から放出されるか、または由来する。
【0087】
細胞外小胞関連膜結合ポリペプチド:本明細書で使用される場合、そのような用語は、細胞外小胞の膜に存在するポリペプチドを指す。一部の実施形態では、そのようなポリペプチドは、腫瘍特異的であり得る。一部の実施形態では、そのようなポリペプチドは、組織特異的(例えば、皮膚、肺、膵臓、生殖系などの標的組織に特異的である組織)であり得る。一部の実施形態では、そのようなポリペプチドは、非特異的であり得、例えば、これは、1つまたは複数の非標的腫瘍に、及び/または1つまたは複数の非標的組織に存在する。
【0088】
ハイブリダイゼーション:本明細書で使用される場合、「ハイブリダイズすること」、「ハイブリダイズする」、「ハイブリダイゼーション」、「アニールすること」、または「アニールする」という用語は、ハイブリダイズ複合体を形成する塩基対合を介して核酸の1本の鎖が相補鎖と一緒になる任意のプロセスを使用して相補的核酸の対合に言及する際に互換的に使用される。ハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションの強度(例えば、核酸間の会合の強度)は、例えば、核酸間の相補性の程度、関係する条件のストリンジェンシー、形成されるハイブリダイゼーション複合体の融解温度(T)、及び核酸内のG:C比を含む様々な因子により影響を受ける。
【0089】
小胞内タンパク質バイオマーカー:本明細書で使用される場合、「小胞内タンパク質バイオマーカー」という用語は、生物学的実体(例えば、細胞または細胞外小胞)内に存在するポリペプチドの状態(例えば、存在、レベル、及び/または活性)を示すマーカーを指す。多くの実施形態で、小胞内タンパク質バイオマーカーは、細胞外小胞と会合しているか、またはその中に存在する。
【0090】
小胞内RNAバイオマーカー:本明細書で使用される場合、「小胞内RNAバイオマーカー」という用語は、生物学的実体(例えば、細胞または細胞外小胞)内に存在するRNA(例えば、mRNA)の状態(例えば、存在及び/またはレベル)を示すマーカーを指す。多くの実施形態で、小胞内RNAバイオマーカーは、細胞外小胞と会合しているか、またはその中に存在する。
【0091】
リガーゼ:本明細書で使用される場合、「リガーゼ」または「核酸リガーゼ」という用語は、核酸をライゲートする際に使用するための酵素を指す。一部の実施形態では、リガーゼは、ポリヌクレオチドの3’末端をポリヌクレオチドの5’末端にライゲートする際に使用するための酵素である。一部の実施形態では、リガーゼは、付着末端ライゲーションを行うために使用するための酵素である。一部の実施形態では、リガーゼは、平滑末端ライゲーションを行うために使用するための酵素である。一部の実施形態では、リガーゼは、DNAリガーゼであるか、またはそれを含む。
【0092】
ライゲーション:本明細書で使用される場合、「ライゲートする」、「ライゲートすること」または「ライゲーション」という用語は、2つのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを結合するために当技術分野で公知の方法または組成物を指す。ライゲーションは、付着末端ライゲーションまたは平滑末端ライゲーションであり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、提供される技術に含まれるライゲーションは、付着末端ライゲーションであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、ライゲーションは、ポリヌクレオチドの3’末端をポリヌクレオチドの5’末端に結合させることを指す。一部の実施形態では、ライゲーションをリガーゼの使用により促進する。
【0093】
非がん対象:本明細書で使用される場合、「非がん対象」という用語は一般に、目的の非良性がんを有さない対象を指す。例えば、一部の実施形態では、非がん対象は、健康な対象である。一部の実施形態では、非がん対象は、ある特定の年齢群の健康な対象である。一部の実施形態では、非がん対象は、標的がんと関連しない疾患、障害、または状態を有する対象である。一部の実施形態では、非がん対象は、良性腫瘍を有する対象である。
【0094】
核酸/オリゴヌクレオチド:本明細書で使用される場合、「核酸」という用語は、少なくとも10のヌクレオチドまたはそれ以上からなるポリマーを指す。一部の実施形態では、核酸は、DNAであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、核酸は、RNAであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、核酸は、ペプチド核酸(PNA)であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、核酸は、一本鎖核酸であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、核酸は、二本鎖核酸であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、核酸は、一本鎖及び二本鎖部分の両方を含む。一部の実施形態では、核酸は、1つまたは複数のホスホジエステル結合を含む骨格を含む。一部の実施形態では、核酸は、ホスホジエステル及び非ホスホジエステル結合の両方を含む骨格を含む。例えば、一部の実施形態では、核酸は、1つまたは複数のホスホロチオアートまたは5’-N-ホスホラミダイト結合及び/または1つまたは複数のペプチド結合を、例えば、「ペプチド核酸」においてのように含む骨格を含み得る。一部の実施形態では、核酸は、1つまたは複数、またはすべての天然残基(例えば、アデニン、シトシン、デオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、グアニン、チミン、ウラシル)を含む。一部の実施形態では、核酸は、1つもしくは複数、またはすべての非天然残基を含む。一部の実施形態では、非天然残基は、ヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、6-O-メチルグアニン、2-チオシチジン、メチル化塩基、インターカレートされた塩基、及びそれらの組合せ)を含む。一部の実施形態では、非天然残基は、天然残基においてのものと比較して、1つまたは複数の修飾糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、及びヘキソース)を含む。一部の実施形態では、核酸は、RNAまたはポリペプチドなどの機能性遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を有する。一部の実施形態では、核酸は、1つまたは複数のイントロンを含むヌクレオチド配列を有する。一部の実施形態では、核酸を、天然源からの単離、酵素的合成(例えば、例えばin vivoまたはin vitroでの相補的テンプレートに基づく重合、組換え細胞もしくはシステムにおける再現、または化学合成により調製することができる。一部の実施形態では、核酸は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、20、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10,000、10,500、11,000、11,500、12,000、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500、15,000、15,500、16,000、16,500、17,000、17,500、18,000、18,500、19,000、19,500、または20,000またはそれ以上の残基またはヌクレオチド長である。
【0095】
ヌクレオチド:本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド」という用語は、その当技術分野において承認されている意味を指す。いくつかのヌクレオチドが、例えば、オリゴヌクレオチドのサイズの表示として使用される場合、ある特定数のヌクレオチドは、例えば、オリゴヌクレオチドの一本鎖上のヌクレオチドの数を指す。
【0096】
患者:本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、疾患または障害または状態に罹患しているか、そのリスクを有する任意の生体を指す。典型的な患者には、動物(例えば、哺乳類、例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及び/またはヒト)が含まれる。一部の実施形態では、患者はヒトである。一部の実施形態では、患者は、1つまたは複数の疾患または障害または状態に罹患しているか、または易罹患性である。一部の実施形態では、患者は、疾患または障害または状態の1つまたは複数の症状を表示する。一部の実施形態では、患者は、1つまたは複数の疾患または障害または状態を有すると診断されている。一部の実施形態では、提供される技術に適した疾患または障害または状態は、がん、または1つもしくは複数の腫瘍の存在であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、患者は、疾患、障害、または状態を診断する、及び/または処置するためのある特定の治療を投与されているか、または投与されたことがある。
【0097】
ポリペプチド:「ポリペプチド」という用語は、本明細書で使用される場合、典型的には、少なくとも3つのアミノ酸またはそれ以上からなるポリマーの、その当技術分野において承認されている意味を有する。当業者は、「ポリペプチド」という用語は、本明細書において列挙されている完全な配列を有するポリペプチドだけが包含されるのではなく、そのような完全なポリペプチドの機能的に活性な、または特徴的な断片、部分またはドメイン(例えば、少なくとも1つの活性を保持している断片、部分、またはドメイン)を表すポリペプチドも包含されるほど十分に一般的であると意図されていることが分かるであろう。一部の実施形態では、ポリペプチドは、L-アミノ酸、D-アミノ酸、またはその両方を含んでよく、及び/または当技術分野で公知の様々なアミノ酸修飾または類似体のいずれも含んでよい。有用な修飾には、例えば、末端アセチル化、アミド化、メチル化などが含まれる。一部の実施形態では、ポリペプチドは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、合成アミノ酸、及びそれらの組合せを含み得る(例えば、ペプチド模倣物質であり得るか、またはそれを含み得る)。
【0098】
予防する、または予防:本明細書で使用される場合、「予防する」」または「予防」は、疾患、障害、及び/または状態の発生と関連して使用される場合、その疾患、障害及び/または状態が発生するリスクを低下させること、及び/または疾患、障害または状態の1つまたは複数の特徴または症状の開始を遅延させることを指す。予防は、疾患、障害または状態の開始が事前に規定された期間にわたって遅延されている場合に、完全と判断され得る。
【0099】
プライマー:本明細書で使用される場合、「プライマー」という用語は、核酸鎖に相補的であるプライマー伸長産物の合成が誘導される条件下に(例えば、ヌクレオチド及び誘導剤、例えば、DNAポリメラーゼの存在下に、かつ適切な温度及びpHに)置いた場合に、合成開始点として作用し得るオリゴヌクレオチドを指す。プライマーは好ましくは、増幅の最大効率のために一本鎖である。プライマーは、誘導剤の存在下で伸長産物の合成をプライムするために十分に長くあるべきである。プライマーの正確な長さは、多くの因子、例えば、温度に依存し得る。
【0100】
基準:本明細書で使用される場合、「基準」は、それに対して比較が行われる標準または対照を記述するものである。例えば、一部の実施形態では、目的の作用因子、動物、個体、集団、試料、配列または値を、基準または対照作用因子、動物、個体、集団、試料、配列または値と比較する。一部の実施形態では、基準または対照を、目的の試験または決定と実質的に同時に試験及び/または決定する。一部の実施形態では、基準または対照は、任意選択で有形媒体中で実施される履歴基準または対照である。一部の実施形態では、標的の基準レベルの文脈における基準または対照は、正常で健康な対象または正常で健康な対象の集団における標的のレベルを指す。一部の実施形態では、標的の基準レベルの文脈における基準または対照は、処置前の対象における標的のレベルを指す。当業者には理解されるであろうとおり、典型的には、基準または対照は、比較可能な条件または状況下で、評価中のものに対して決定または特徴付けられる。当業者は、特定の可能な基準または対照に対して信頼性を正当化し、及び/またはそれに対して比較するために十分な類似性が存在する場合が分かるであろう。
【0101】
リスク:文脈から理解されるであろうとおり、疾患、障害、及び/または状態の「リスク」は、特定の個体が疾患、障害、及び/または状態を発生させる可能性を指す。一部の実施形態では、リスクは、パーセンテージとして表される。一部の実施形態では、リスクは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90から最高100%までである。一部の実施形態では、リスクは、基準試料または基準試料の群と関連するリスクに対するリスクとして表される。一部の実施形態では、基準試料または基準試料の群は、疾患、障害、状態及び/または事象の既知のリスクを有する。一部の実施形態では、基準試料または基準試料の群は、特定の個体に比較可能な個体からのものである。一部の実施形態では、相対リスクは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上である。
【0102】
試料:本明細書で使用される場合、「試料」という用語は典型的には、目的の供給源から得られたか、またはそれに由来する物質の一定部分を指す。一部の実施形態では、試料は、目的の環境源(例えば、土壌、水、空気、接触表面などを含む)から得られるか、またはそれに由来する。一部の実施形態では、試料は、目的の生物源(例えば、組織または生体または細胞培養物)から得られるか、またはそれに由来する。一部の実施形態では、目的の供給源は、細胞または生体、例えば、動物またはヒトであり得るか、またそれを含み得る。一部の実施形態では、目的の供給源は、生物学的組織または流体であるか、またそれを含む。一部の実施形態では、生物学的組織または流体は、羊水、房水、腹水、胆汁、骨髄、血液、母乳、脳脊髄液、耳垢、乳糜、チャイム(chime)、射出精液、内リンパ、浸出液、糞便、胃酸、胃液、リンパ、粘液、囲心腔液、外リンパ、腹腔液、胸膜液、膿、カタル性分泌物、唾液、皮脂、精液、血清、恥垢、痰、滑液、汗、涙、尿、膣分泌物、硝子体液、嘔吐物、及び/またはそれらの組合せまたは構成成分であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、生体液は、細胞内流体、細胞外液、小胞内流体(血漿)、間質液、リンパ液、及び/または細胞透過液であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、生物学的組織または試料は、例えば、吸引液、生検(例えば、微細針または組織生検)、スワブ(例えば、口腔、経鼻、皮膚、または膣スワブ)、擦過、外科手術、洗浄または潅注(例えば、気管支肺胞、管、鼻、眼、口腔、子宮、膣、または他の洗浄または潅注)により得ることができる。一部の実施形態では、生物学的試料は、リキッドバイオプシーであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、生物学的試料は、個体から得られた細胞であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、試料は、任意の適切な手段により目的の供給源から直接的に得られた「一次試料」である。一部の実施形態では、文脈から明白であろうとおり、「試料」という用語は、一次試料を(例えば、その1つまたは複数の構成成分を除去することにより、及び/またはそれに1つまたは複数の薬剤を添加することにより)処理することにより得られる調製物を指す。例えば、試料は、目的の生物学的実体を他の非標的実体から分離するために半透膜または抗体ベースの方法などの親和性ベースの方法を使用することにより処理された調製物である。そのような「処理済み試料」は、例えば、一部の実施形態では、細胞外小胞を含み得る一方で、一部の実施形態では、試料から抽出された核酸及び/またはタンパク質などを含み得る。一部の実施形態では、処理済み試料を、一次試料を1つまたは複数の技術、例えば、核酸の増幅または逆転写、ある特定の構成成分などの単離及び/または精製に掛けることにより得ることができる。
【0103】
選択的または特異的:「選択的」または「特異的」という用語は、活性を有する作用因子に関して本明細書で使用される場合、上記作用因子が潜在的な標的実体、状態、または細胞を識別することを意味すると当業者には理解される。例えば、一部の実施形態では、作用因子が1つまたは複数の競合する代替の標的の存在下で、その標的と優先的に結合するならば、その作用因子は、その標的に「特異的に」結合すると記載される。多くの実施形態で、特異的相互作用は、標的実体(例えば、エピトープ、クレフト、結合部位)の特定の構造的特徴の存在に依存する。特異性は絶対的である必要はないことは理解されるべきである。一部の実施形態では、特異性を、1つまたは複数の他の潜在的な標的実体(例えば、競合因子)についての標的結合部分の特異性と比べて評価することができる。一部の実施形態では、特異性を、基準特異的結合部分の特異性と比べて評価する。一部の実施形態では、特異性を、基準非特異的結合部分の特異性と比べて評価する。一部の実施形態では、標的結合部分は、その標的実体に結合する条件下で、競合代替標的に検出可能に結合しない。一部の実施形態では、標的結合部分は、競合代替標的(複数可)と比較して高いオンレート、低いオフレート、上昇した親和性、減少した解離、及び/または上昇した安定性で、その標的実体に結合する。
【0104】
小分子:本明細書で使用される場合、「小分子」という用語は、低分子量有機及び/または無機化合物を意味する。一般に、「小分子」は、サイズが約5キロダルトン(kD)未満である分子である。一部の実施形態では、小分子は、約4kD、3kD、約2kD、または約1kD未満である。一部の実施形態では、小分子は、約800ダルトン(D)、約600D、約500D、約400D、約300D、約200D、または約100D未満である。一部の実施形態では、小分子は、約2000g/mol未満、約1500g/mol未満、約1000g/mol未満、約800g/mol未満、または約500g/mol未満である。一部の実施形態では、小分子は、ポリマーではない。一部の実施形態では、小分子は、ポリマー部分を含まない。一部の実施形態では、小分子は、タンパク質またはポリペプチドではない(例えば、オリゴペプチドまたはペプチドではない)。一部の実施形態では、小分子は、ポリヌクレオチドではない(例えば、オリゴヌクレオチドではない)。一部の実施形態では、小分子は、多糖ではない。一部の実施形態では、小分子は、多糖を含まない(例えば、糖タンパク質、プロテオグリカン、糖脂質などではない)。一部の実施形態では、小分子は、脂質ではない。一部の実施形態では、小分子は、生物学的に活性である。一部の実施形態では、適切な小分子は、化合物の大きなライブラリのスクリーニング(Beck- Sickinger & Weber(2001) Combinational Strategies in Biology and Chemistry(John Wiley & Sons,Chichester,Sussex);核磁気共鳴による構造活性相関(Shuker et al.(1996) ”Discovering high-affinity ligands for proteins:SAR by NMR.” Science 274:1531-1534);コードされた自己集合化学ライブラリ(Melkko et al.(2004) ”Encoded self-assembling chemical libraries.” Nature Biotechnol.22:568-574);DNA-テンプレート化学(Gartner et al.(2004) ”DNA-templated organic synthesis and selection of a library of macrocycles.” Science 305:1601-1605);動的コンビナトリアル化学(Ramstrom & Lehn(2002) ”Drug discovery by dynamic combinatorial libraries.” Nature Rev.Drug Discov.1:26-36);テザリング(Arkin & Wells(2004) ”Small-molecule inhibitors of protein-protein interactions:progressing towards the dream.” Nature Rev.Drug Discov.3:301-317);及びスピードスクリーニング(Muckenschnabel et al.(2004) ”SpeedScreen:label-free liquid chromatography-mass spectrometry-based high- throughput screening for the discovery of orphan protein ligands.” Anal.Biochem.324:241-249)などの方法により同定することができる。一部の実施形態では、小分子は、標的についてナノモル範囲の解離定数を有し得る。
【0105】
特異的結合:本明細書で使用される場合、「特異的結合」という用語は、結合が起こり得る環境において、可能な結合パートナーを識別する能力を指す。他の潜在的な標的が存在する場合に、ある特定の標的と相互作用する標的結合部分は、それが相互作用する標的に「特異的に結合する」と記載され得る。一部の実施形態では、特異的結合を、標的結合部分とそのパートナーとの間の会合を検出すること、またはその程度を決定することにより評価し;一部の実施形態では、特異的結合を、標的結合部分-パートナーの複合体の解離を検出すること、またはその程度を決定することにより評価し;一部の実施形態では、特異的結合を、そのパートナーと及び別の実体との間の代替の相互作用と競合する標的結合部分の能力を検出すること、またはそれを決定することにより評価する。一部の実施形態では、特異的結合を、そのような検出または決定を一連の濃度にわたって実行することにより評価する。
【0106】
がんのステージ:本明細書で使用される場合、「がんのステージ」という用語は、がんの進行レベルの定性または定量的評価を指す。一部の実施形態では、がんのステージを決定するために使用される基準には、これに限定されないが、がんが身体に位置するかどうか、腫瘍サイズ、がんがリンパ節に展開しているかどうか、がんが1つまたは複数の異なる身体部位に拡散しているかどうかなどのうちの1つまたは複数が含まれ得る。一部の実施形態では、がんを、AJCC病期分類システムを使用して段階付けることができる。AJCC病期分類システムは、がん患者における疾患進行の程度を記載するためにAmerican Joint Committee on Cancerにより開発された分類システムであり、これは一部では、TNMスコアリングシステム:腫瘍サイズ、罹患しているリンパ節、転移を利用する。一部の実施形態では、がんを、TNMスコアリングシステムを一部では含む分類システムを使用して段階付けることができ、これによると、Tは、通常原発腫瘍と呼ばれる主要な腫瘍のサイズ及び規模を指し;Nは、がんを有する近接リンパ節の数を指し;かつMは、がんが転移しているかどうかを指す。一部の実施形態では、がんは、ステージ0(異常な細胞が存在するが、近接組織に拡散しておらず、上皮内癌、またはCISとも呼ばれ;CISはがんではないが、がんになり得る)、ステージI~III(がんが存在し;数字が大きいほど、腫瘍は大きく、かつ近接組織に広く展開している)、またはステージIV(がんが身体の遠位部位に拡散している)と称され得る。一部の実施形態では、がんを、in situ(異常な細胞は存在するが、近接組織に展開していない);局在化(がんが、出発した場所に限定されており、拡散している徴候がない);局所的(がんが近接リンパ節、組織、または器官に拡散している):遠位(がんが身体の遠位部分に拡散している);及び不明(ステージを理解するための情報が十分にない)からなる群から選択されるステージに指定することができる。
【0107】
対象:本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、例えば、実験、診断、予防、及び/または治療目的でそこから試料を得る生体を指す。典型的な対象には、動物(例えば、哺乳類、例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、家庭内ペットなど)及びヒトが含まれる。一部の実施形態では、対象は、ヒト対象である。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、または状態(例えば、がん)に罹患している。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、または状態(例えば、がん)に易罹患性である。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、または状態(例えば、がん)の1つまたは複数の症状または特徴を提示する。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、または状態(例えば、がん)の1つまたは複数の非特異的症状を提示する。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、または状態(例えば、がん)のいずれの症候または特徴も提示しない。一部の実施形態では、対象は、易罹患性に特徴的な1つもしくは複数の特徴または疾患、障害、もしくは状態(例えば、がん)のリスクを有するものである。一部の実施形態では、対象は、患者である。一部の実施形態では、対象は、診断及び/または治療が投与される、及び/または投与されたことがある個体である。一部の実施形態では、対象は、良性腫瘍または腫瘤を有すると決定された対象である。一部の実施形態では、対象は、無症候性対象である。そのような症候性対象は、平均的集団リスクを有するか、または疾患、障害、もしくは状態(例えば、特定のがん)について遺伝的リスクを有する対象であり得る。例えば、そのような無症候性対象は、がんの家族歴を有する、がんについて以前に処置されたことがある、がん処置後にがんの再発についてリスクを有する、がん処置後に寛解している、及び/または少なくとも1つのがんバイオマーカーの存在について以前に、または周期的にスクリーニングされている対象であり得る。別法では、一部の実施形態では、無症候性対象は、がんについて以前にスクリーニングされたことがない、がんについて診断されたことがない、及び/またはがん治療を以前に受けたことがない対象であり得る。一部の実施形態では、提供される技術に適した対象は、1つまたは複数の特徴、例えば、年齢、人種、遺伝的履歴、病歴、個人的履歴(例えば、喫煙、アルコール、薬物、発がん因子、食事、肥満、物理的活性、日光曝露、放射線曝露、感染因子、例えば、ウイルスへの暴露、及び/または職業上の危険)に基づき選択された個体である。
【0108】
~に罹患している:疾患、障害、及び/または状態「に罹患している」個体は、疾患、障害、及び/または状態の1つまたは複数の症状を有すると診断されている、及び/または提示する。
【0109】
表面ポリペプチドまたは表面タンパク質:本明細書において互換的に使用されるとおり、「表面ポリペプチド」、「表面タンパク質」、及び「膜結合ポリペプチド」という用語は、生物学的実体(例えば、細胞、細胞外小胞など)の膜の表面中に、及び/またはその上に存在する1つまたは複数のドメインまたは領域を有するポリペプチドまたはタンパク質を指す。一部の実施形態では、表面タンパク質は、生物学的実体(例えば、細胞、細胞外小胞など)の形質膜を貫通する、及び/またはそれと会合している1つまたは複数のドメインまたは領域を含み得る。一部の実施形態では、表面タンパク質は、生物学的実体(例えば、細胞、細胞外小胞など)の形質膜を貫通する、及び/またはそれと会合していて、また、細胞内及び/または小胞内空間に突出している1つまたは複数のドメインまたは領域を含み得る。一部の実施形態では、表面タンパク質は、例えば、1つまたは複数の非ペプチド結合を介して生物学的実体(例えば、細胞、細胞外小胞など)の形質膜と会合している1つまたは複数のドメインまたは領域を含み得る。一部の実施形態では、表面タンパク質は、生物学的実体(例えば、細胞、細胞外小胞など)の形質膜の両側に係留されている1つまたは複数のドメインまたは領域を含み得る。一部の実施形態では、表面タンパク質は、細胞外小胞と会合しているか、またはその中に存在する。一部の実施形態では、表面ポリペプチドまたは膜結合ポリペプチドは、対象からの細胞外小胞(例えば、疾患、障害、または状態(例えば、がん)に罹患しているか、またはそれらに易罹患性である対象の血液または血液由来試料から得られたか、または由来する細胞外小胞)と会合しているか、またはその中に存在し得る。当業者には理解されるであろうとおり、細胞外小胞上/その中の表面ポリペプチドまたは表面タンパク質の少なくとも一部分の存在の検出は、対象からの生物学的試料(例えば、血液または血液由来試料)からの細胞外小胞の分離及び/または単離を容易にし得る。一部の実施形態では、表面ポリペプチドまたは表面タンパク質の存在の検出は、そのような表面ポリペプチドまたは表面タンパク質の小胞内部分(例えば、小胞内エピトープ)の検出であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、表面ポリペプチドまたは表面タンパク質の存在の検出は、そのような表面ポリペプチドまたは表面タンパク質の膜貫通部分の検出であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、表面ポリペプチドまたは表面タンパク質の存在の検出は、そのような表面ポリペプチドまたは表面タンパク質の小胞外部分の検出であり得るか、またはそれを含み得る。
【0110】
表面タンパク質バイオマーカー:本明細書で使用される場合、「表面タンパク質バイオマーカー」という用語は、生物学的実体(例えば、細胞または細胞外小胞)の表面タンパク質(例えば、本明細書に記載のとおりのもの)の状態(例えば、存在、レベル、及び/または活性)を示すマーカーを指す。一部の実施形態では、表面タンパク質は、生物学的実体(例えば、細胞または細胞外小胞)の膜の表面中に、またはその上に位置する1つまたは複数のドメインまたは領域を有するポリペプチドまたはタンパク質を指す。一部の実施形態では、表面タンパク質バイオマーカーは、上記膜の内側(小胞内)または外側(小胞外)の上に存在するエピトープであり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、表面タンパク質バイオマーカーは、細胞外小胞と会合しているか、またはその中に存在する。
【0111】
~に易罹患性な(である):疾患、障害、及び/または状態「に易罹患性である」個体は、疾患、障害、及び/または状態を発生させるリスクが、一般人が発生させるよりも高い個体である。一部の実施形態では、疾患、障害、及び/または状態に易罹患性である個体は、疾患、障害、及び/または状態を有すると診断されたことがなくてもよい。一部の実施形態では、疾患、障害、及び/または状態に易罹患性である個体は、疾患、障害、及び/または状態の症状を示し得る。一部の実施形態では、疾患、障害、及び/または状態に易罹患性である個体は、疾患、障害、及び/または状態の症状を示さないことがある。一部の実施形態では、疾患、障害、及び/または状態に易罹患性である個体は、疾患、障害、及び/または状態を発生させるであろう。一部の実施形態では、疾患、障害、及び/または状態に易罹患性である個体は、疾患、障害、及び/または状態を発生させないであろう。
【0112】
標的結合部分:一般に、「標的結合部分」及び「結合部分」という用語は、目的の標的(例えば、目的の分子標的、例えば、バイオマーカーまたはエピトープ)に結合する任意の実体または部分を指すために本明細書で互換的に使用される。多くの実施形態で、目的の標的結合部分は、その標的(例えば、標的バイオマーカー)と特異的に結合して、特定の相互作用の状況において、その標的を他の潜在的な結合パートナーから識別するものである。一般に、標的結合部分は、任意の化学群(例えば、ポリマー、非ポリマー、小分子、ポリペプチド、炭水化物、脂質、核酸など)の実体または部分であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、標的結合部分は、単一の化学的実体である。一部の実施形態では、標的結合部分は、関連条件下で非共有結合相互作用により相互に会合している2つまたはそれ以上の別個の化学的実体の複合体である。例えば、当業者は、一部の実施形態では、標的結合部分は、一般的結合部分のパートナーに結合する「一般的」結合部分(例えば、ビオチン/アビジン/ストレプトアビジン及び/またはクラス特異的抗体の部分)及び「特異的」結合部分(例えば、特定の分子標的との抗体またはアプタマー)を含み得ることが分かるであろう。一部の実施形態では、そのようなアプローチは、種々の特異的結合部分と一般的結合部分パートナーとの結合を介して、複数の標的結合部分のモジュラーアセンブリを可能にし得る。
【0113】
標的バイオマーカーシグネチャー:「標的バイオマーカーシグネチャー」という用語は、本明細書で使用される場合、(例えば、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、またはそれ以上を含む、例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)のバイオマーカーの組合せを指し、この組み合わせは、特定の生物学的事象または目的の状態と相関していて、当業者は、これがその事象または状態の「シグネチャー」であると適切に判断され得ることが分かるであろう。いくつかの例を示すにすぎないが、一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、特定の疾患または病態と、及び/または特定の疾患、障害または状態が発生し得る、起こり得る、または再発し得る可能性と相関し得る。一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、特定の疾患または治療成績、またはその可能性と相関し得る。一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、特異的がん及び/またはそのステージ及び/またはサブタイプと相関し得る。一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、一緒に特定のがんまたはそのサブタイプ及び/または疾患ステージについて特異的である(例えば、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、またはそれ以上を含む、例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)のバイオマーカーの組合せを含むが、そのような組合せの中の1つまたは複数のバイオマーカーは、がんに特異的でない標的(例えば、表面タンパク質バイオマーカー、小胞内タンパク質バイオマーカー、及び/または小胞内RNA)を指向してもよい。一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーを構成するバイオマーカーの組合せは、検出プローブの複数(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)の対の組合せまたはオルトゴナルな組合せにより検出され得、その際、検出プローブの各対は少なくとも1つの別個の標的を指向し得る。一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーを構成するバイオマーカーの組合せは、相互にハイブリダイズして線状複合体を形成するようにそれぞれ設計されている検出プローブのセットにより検出され得る(例えば、図5A~5B、及び図10に示されているとおりのものを参照されたい)。例えば、一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーは、特定のがんまたはそのステージ及び/またはサブタイプ(すなわち、がん特異的標的)に特異的な少なくとも1つのバイオマーカーを含み得、かつ必ずしも、またはまったくがんに特異的ではないバイオマーカー(例えば、一部または全部の生物学的実体、例えば、細胞、細胞外小胞などにおいても見い出されるもので、がん性ではなく、関連がんのものではなく、及び/または目的の特定のステージ及び/またはサブタイプのものではない)をさらに含み得る。すなわち、当業者であれば本明細書を読むことで分かるであろうとおり、標的バイオマーカーシグネチャーにおいて利用されるバイオマーカーの組合せが一緒に、目的の関連標的生物学的実体(例えば、目的のがん細胞またはがん細胞により分泌される細胞外小胞)に特異的である(すなわち、検出のための関連標的生物学的実体(例えば、目的のがん細胞またはがん細胞により分泌される細胞外小胞)を、検出の目的ではない他の生物学的実体から十分に識別する)複数のバイオマーカーであるか、またはそれを含む限り、そのようなバイオマーカーの組合せは、本開示のある特定の実施形態によると有用な標的バイオマーカーシグネチャーである。
【0114】
治療薬:本明細書において互換的に使用されるとおり、「治療薬」または「治療」という語句は、対象または患者に投与された場合に、治療効果を有する、及び/または所望の生物学的及び/または薬理学的効果を誘導する作用因子または介入を指す。一部の実施形態では、治療薬または治療は、疾患、障害、及び/または状態の1つまたは複数の症状または特徴を緩和する、寛解する、軽減する、阻害する、予防する、その開始を遅延させる、その重症度を低下させる、及び/またはその発生率を低下させるために使用することができる任意の物質である。一部の実施形態では、治療薬または治療は、疾患、障害、及び/または状態の1つまたは複数の症状または特徴を緩和する、軽減する、阻害する、提示する、その開始を遅延させる、その重症度を低下させる、及び/またはその発生率を低下させるために実行することができる医学的介入(例えば、外科手術、放射線、光線療法)である。
【0115】
閾値レベル(例えば、カットオフ):本明細書で使用される場合、「閾値レベル」という用語は、測定の結果、例えば、アッセイにおいて得られた測定結果についての情報を得る、及び/または分類するための基準として使用されるレベルを指す。例えば、一部の実施形態では、閾値レベル(例えば、カットオフ)は、集団の2つのサブセット(例えば、正常及び/または非がん対目的のがん)の間の境界線を定義する、アッセイにおいて測定された値を意味する。したがって、閾値レベル以上である値は、集団の一方のサブセットを定義し、かつ閾値レベル未満である値は、集団の他方のサブセットを定義する。閾値レベルは、1つまたは複数の対照試料に基づき、または対照試料の集団全体で決定することができる。閾値レベルは、目的の測定を実施する前に、それと同時に、またはその後に決定することができる。一部の実施形態では、閾値レベルは、ある範囲の値であってよい。
【0116】
処置する:本明細書で使用される場合、「処置する」、「処置」、または「処置すること」という用語は、疾患、障害、及び/または状態の1つまたは複数の症状または特徴を部分的に、または完全に緩和する、寛解する、軽減する、阻害する、予防する、その開始を遅延させる、その重症度を低下させる、及び/またはその発生率を低下させるために使用される任意の方法を指す。処置を、疾患、障害、及び/または状態の徴候を示していない対象に投与することができる。一部の実施形態では、処置を、例えば、疾患、障害、及び/または状態と関連する病態を発生させるリスクを低下させる目的で、疾患、障害、及び/または状態の初期徴候のみを示している対象に投与することができる。一部の実施形態では、処置を、疾患、障害、及び/または状態の後期ステージにある対象に投与することができる。
【0117】
組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、及び組織培養及び形質転換(例えば、電気穿孔法、リポフェクション)のために、標準的な技術を使用することができる。酵素反応及び精製技術を、製造者仕様書に従って、または当技術分野で一般に達成されるとおり、または本明細書に記載のとおりに実行することができる。上述の技術及び手順を一般に、当技術分野で周知の従来の方法に従って、かつ本明細書を通じて引用及び論述されている様々な一般的で、より具体的な参照文献に記載されているとおりに実行することができる。例えば、何らかの目的について参照により本明細書に援用されるSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989))を参照されたい。
【0118】
本開示は特に、目的の個々の実体(例えば、生物学的実体)上の、またはその中の分子またはエピトープの相互作用及び/または共局在に基づく標的実体検出アプローチに関する技術を提供する。そのような技術は、種々の用途及び/または目的のために、様々な種類の試料中で目的の実体を検出するために有用であり得る。例えば、本開示は特に、疾患または障害(例えば、がん)の有効なスクリーニングを達成するための洞察及び技術を提供する。一部の実施形態では、提供される技術は、早期ステージのがんを検出するために有効である。一部の実施形態では、本開示は、早期ステージがんについて遺伝的リスク及び平均的リスクを有する対象をスクリーニングするための技術を提供する。一部の実施形態では、提供される技術は、無症候性または症候性個体を含むか、またはそれからなる集団に適用された場合にも(例えば、十分に高い感受性、及び/または低い確率の擬陽性及び/または擬陰性結果により)、有効である。一部の実施形態では、提供される技術は、がんの発生において遺伝的リスクを有さない個体(例えば、無症候性または症候性個体)を含むか、またはそれからなる集団に適用された場合に、有効である。一部の実施形態では、提供される技術は、がんの発生において遺伝的リスクを有する個体(例えば、無症候性または症候性個体)を含むか、またはそれからなる集団に適用された場合に、有効である。一部の実施形態では、提供される技術は、がんに易罹患性である個体(例えば、既知の遺伝的、環境的、または経験的リスクを有する個体など)を含むか、またはそれからなる集団に適用された場合に、有効である。一部の実施形態では、本明細書において提供される開示を読むことで当業者には明白であろうとおり、提供される技術は、1つまたは複数の組成物(例えば、分子実体または複合体、システム、細胞、収集、組合せ、キットなど)及び/または方法(例えば、製造、使用、評価方法など)であり得るか、またはそれを含み得る。
【0119】
一部の実施形態では、提供される技術は、例えば、がん検出及び診断のためのある特定の従来のアプローチを含む、ある特定の先行技術を上回る技術的利点を提供する。例えば、本開示は、例えば、細胞非含有核酸、循環腫瘍細胞、タンパク質、血清タンパク質に基づく多くの従来の診断アッセイ、及び/または細胞外小胞のバルク分析は時間がかかり得、経費が掛かり得、及び/または信頼できる包括的な診断評価を得るために十分な感受性及び/または特異性を欠き得ることを認めるものである。具体的には、本開示は特に、生物学的実体(例えば、細胞外小胞)における単一のがん関連バイオマーカー、または単一の生物学的実体の分析においてではなく、バルク試料に基づく複数のがん関連バイオマーカーの検出は典型的には、生物学的実体をそこから得た対象がおそらくがんに罹患しているか、または易罹患性であるかどうかの決定において十分な特異性及び/または感受性を提供しないことを認識している。本開示は特に、例えば、検出のための個々の実体が標的(例えば、分子標的)の組合せの存在により特徴づけられることを具体的に必要とすることによるものを含めて、そのような問題を解決するシステム、組成物及び方法を含む技術を提供する。特定の実施形態では、本開示は、そのような個々の実体が、がん特異的(すなわち、関連がんの「標的バイオマーカーシグネチャー」)である分子標的の組合せ(例えば、セット)の存在により(例えば、発現により)特徴づけられることを必要とする一方で、標的化組合せを含まない生物学的実体が検出可能なシグナルを生成しない技術を教示する。
【0120】
一部の実施形態では、本開示は特に、症候(複数可)の発生前、またはそうでなければその非存在下での無症候性個体のスクリーニング、例えば、定期的なスクリーニングが有利であり得、がんの有効な管理(例えば、処置の成功)にも重要であり得るという洞察を提供する。別法では、または加えて、一部の実施形態では、本開示はさらに、異なる種類のがんについての(例えば、複数の異なるがんについての)スクリーニング(例えば、定期的なスクリーニング)が有利であり得、がんの有効な管理(例えば、処置の成功)にも重要であり得るという洞察を提供する。一部の実施形態では、本開示は、例えば、一部の実施形態では、無症候性個体(例えば、がんの遺伝的リスクを有さない)において早期ステージがんを含むがんを検出するために実施することができるがんスクリーニングシステムを提供する。一部の実施形態では、提供される技術を、無症候性個体(例えば、がんの遺伝的リスク(複数可)を有するか、または有さない)及び/または複数のがんの定期的なスクリーニングを達成するために実施する。一部の実施形態では、提供される技術を、症候性個体(例えば、がんの遺伝的リスク(複数可)を有するか、または有さない)の定期的なスクリーニングを達成するために実施する。一部の実施形態では、提供される技術は、提供される技術の単回及び/または定期的な(例えば、周期的)評価への有用な適用を可能にする適切な感受性及び/または特異性(例えば、擬陽性及び/または偽陰性結果の割合)で、がん(例えば、特定のがん及び/または複数のがん)の1つまたは複数の特徴(例えば、発生、進行、治療に対する応答性、再発など)の検出(例えば、無症候性個体(複数可)及び/または集団(複数可)における、例えば、早期検出)を達成する。一部の実施形態では、提供される技術は、個体の周期的な理学的検査と併せて有用である。一部の実施形態では、提供される技術は、処置レジメン(複数可)と併せて有用である;一部の実施形態では、提供される技術は、そのような処置レジメン(複数可)の1つまたは複数の特徴(例えば、認められているパラメーターによる成功の割合)を改善し得る。本開示は、例えば、組成物(例えば、試薬、キット、構成成分など)、ならびにそれらを提供する、及び/または使用する方法を提供し、その際、1つまたは複数の個体(例えば、無症候性個体及び/または疾患または障害、例えば、がんに罹患しているか、または易罹患性である個体)の検査(例えば、定期的な検査)を含むストラテジーを含む。本開示は、そのようなシステムの有用性を定義し、かつそれらを実施するための組成物及び方法を提供する。
【0121】
I.提供される標的実体検出システム
本開示は、試料(例えば、生物学的、環境的、または他の試料)において、一部の実施形態では、少なくとも2つまたはそれ以上の標的(例えば、分子標的)を含む目的の実体(例えば、目的の生物学的または化学的実体、例えば、細胞外小胞または分析物)を、単一の実体レベルで検出するための標的実体検出システムを提供する。当業者は、本開示を読むことで、提供される標的実体検出システムが、広範囲の様々な用途及び/または目的に有用であることを認めるであろう。例えば、一部の実施形態では、提供される標的実体検出システムは、医学的用途及び/または目的に有用であり得る。一部の実施形態では、提供される標的実体検出システムは、疾患または状態(例えば、がん)について個体(例えば、無症候性個体)をスクリーニングするために(例えば、定期的にスクリーニングするために)有用であり得る。一部の実施形態では、提供される標的実体検出システムは、異なる種類のがん(例えば、複数の異なるがん)について個体(例えば、無症候性個体)をスクリーニングするために(例えば、定期的にスクリーニングするために)有用であり得る。一部の実施形態では、提供される標的実体検出システムは、無症候性個体を含むか、またはその個体からなる集団に適用される場合にも、有効である(例えば、十分に高い感受性及び/または低率の擬陽性及び/または偽陰性結果により)。一部の実施形態では、提供される標的実体検出システムは、コンパニオン診断として、疾患処置と併せて有用であり得る。
【0122】
一部の実施形態では、標的実体検出システムは、それぞれ特異的標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャーの分子標的またはバイオマーカー)のための複数の検出プローブを含む。一部の実施形態では、そのようなシステムは、それぞれ特異的標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャーの分子標的またはバイオマーカー)のための少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、またはそれ以上の検出プローブを含み得る。一部の実施形態では、そのようなシステムは、それぞれ特異的標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャーの分子標的またはバイオマーカー)のための2~50の検出プローブを含み得る。一部の実施形態では、そのようなシステムは、それぞれ特異的標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャーの分子標的またはバイオマーカー)のための2~30の検出プローブを含み得る。一部の実施形態では、そのようなシステムは、それぞれ特異的標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャーの分子標的またはバイオマーカー)のための2~25の検出プローブを含み得る。一部の実施形態では、そのようなシステムは、それぞれ特異的標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャーの分子標的またはバイオマーカー)のための5~30の検出プローブを含み得る。一部の実施形態では、そのようなシステムは、それぞれ特異的標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャーの分子標的またはバイオマーカー)のための5~25の検出プローブを含み得る。一部の実施形態では、セット中のそのような検出プローブのうちの少なくとも2つは、同じ標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャーの同じ分子標的または同じバイオマーカー)を指向し得る。一部の実施形態では、セット中のそのような検出プローブのうちの少なくとも2つは、同じ標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャーの同じ分子標的または同じバイオマーカー)の同じエピトープを指向し得る。一部の実施形態では、セット中のそのような検出プローブのうちの少なくとも2つは、同じ標的(例えば、標的バイオマーカーシグネチャーの同じ分子標的または同じバイオマーカー)の異なるエピトープを指向し得る。
【0123】
一部の実施形態では、本明細書において提供される標的実体検出システムにおいて使用するために適した検出プローブを、単一の疾患または状態、例えば、特定のがんを検出するために使用することができる。一部の実施形態では、本明細書において提供される標的実体検出システムにおいて使用するために適した検出プローブは、少なくとも2つまたはそれ以上の疾患または状態、例えば、異なる種類のがん(例えば、皮膚癌と卵巣癌)、または異なるサブタイプの特定のがん;及び/または異なるステージの特定のがんの検出を可能にし得る。一部の実施形態では、本明細書において提供される標的実体検出システムにおいて使用するために適した検出プローブは、ある特定のサブタイプの特定のがんの検出を可能にし得る。例にすぎないが、卵巣癌検出のための一部の実施形態では、標的実体検出システムにおいて使用するために適した検出プローブは、例えば、これに限定されないが、高悪性度漿液性卵巣癌、類内膜卵巣癌、明細胞卵巣癌、低悪性度漿液性卵巣癌、及び/または粘液性卵巣癌を含む、卵巣癌の1つまたは複数のサブタイプの検出を可能にし得る。一部の実施形態では、本明細書において提供される標的実体検出システムにおいて使用するために適した検出プローブは、例えば、ステージI、ステージII、ステージIII、及び/またはステージIVを含む、ある特定のステージの特定のがんの検出を可能にし得る。したがって、一部の実施形態では、本明細書において提供される標的実体検出システムにおいて使用するために適した検出プローブは、複数(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、またはそれ以上)のセットの検出プローブを含み得、その際、それぞれのセットは、異なる疾患または異なる種類の疾患もしくは状態の検出を指向する。例えば、一部の実施形態では、本明細書において提供される標的実体検出システムにおいて使用するために適した検出プローブは、複数(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、またはそれ以上)のセットの検出プローブを含み得、その際、一部の実施形態では、それぞれのセットは、異なる種類のがんの検出を指向するか、または一部の実施形態では、それぞれのセットは、様々なサブタイプ及び/またはステージの同じがんの検出を指向する。
【0124】
検出プローブ
一部の実施形態では、本明細書において提供及び/または利用される検出プローブは、標的結合部分と、その標的結合部分にカップリングしているオリゴヌクレオチドドメインとを含む。一部の実施形態では、標的結合部分にカップリングしているオリゴヌクレオチドドメインは、二本鎖部分と、オリゴヌクレオチドドメインの少なくとも一方の末端から伸長している一本鎖オーバーハングとを含み得る。一部の実施形態では、標的結合部分にカップリングしているオリゴヌクレオチドドメインは、二本鎖部分と、オリゴヌクレオチドドメインの各末端から伸長している一本鎖オーバーハングとを含み得る。
【0125】
A.標的結合部分
オリゴヌクレオチドドメインにカップリングしている標的結合部分は、標的(例えば、疾患、障害、または状態、例えば、がんについての標的バイオマーカーシグネチャーの分子標的またはバイオマーカー)に特異的に結合する実体または作用因子である。一部の実施形態では、標的結合部分は、標的(例えば、分子標的)について少なくとも約10-4M、少なくとも約10-5M、少なくとも約10-6M、少なくとも約10-7M、少なくとも約10-8M、少なくとも約10-9M、またはそれ未満の結合親和性(例えば、解離定数により測定されるとおりのもの)を有し得る。当業者は、場合によっては、結合親和性(例えば、解離定数により測定されるとおりのもの)が、2つの分子間の非共有結合分子間相互作用、例えば、水素結合、静電相互作用、疎水性及びファンデルワールス力により影響を受け得ることが分かるであろう。別法では、または加えて、リガンドと、その標的分子との間の結合親和性は、他の分子の存在により影響を受け得る。当業者は、例えば、これに限定されないが、ELISA、ゲル-シフトアッセイ、プルダウンアッセイ、平衡透析法、分析用超遠心分離、表面プラスモン共鳴(SPR)、バイオレイヤー干渉法、グレーティング結合干渉法、及び分光学的アッセイを含む、本開示に従って結合親和性及び/または解離定数を測定するための様々な技術を熟知しているであろう。
【0126】
一部の実施形態では、標的結合部分は、任意の化学群の作用因子、例えば、炭水化物、核酸、脂質、金属、ポリペプチド、小分子など、及び/またはそれらの組合せであり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、標的結合部分は、抗体因子及び/またはアプタマーであり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、標的結合部分は、抗体因子、例えば、標的またはそのエピトープに特異的に結合する抗体因子、例えば、疾患、障害、もしくは状態(例えば、がん)についての標的バイオマーカーシグネチャーのバイオマーカーまたはそのエピトープであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、標的結合部分は、アプタマー、例えば、標的またはそのエピトープ、例えば、疾患、障害、もしくは状態(例えば、がん)についての標的バイオマーカーシグネチャーのバイオマーカーまたはそのエピトープに特異的に結合するアプタマーであるか、またそれを含む。一部の実施形態では、標的は、がんと関連する標的であり得るか、またはそれを含み得る。例えば、一部のそのような実施形態では、がん関連標的は、1つよりも多いがん(すなわち、少なくとも2つまたはそれ以上のがん)と関連する標的であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、がん関連標的は、典型的にはがんと関連する標的であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、がん関連標的は、特異的組織のがんと関連する標的であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、がん関連標的は、特定のがんに特異的である標的であり得るか、またはそれを含み得る。
【0127】
一部の実施形態では、標的結合部分は、生物学的実体(例えば、これに限定されないが、細胞及び/または細胞外小胞を含む)に存在する標的を認識し、それに特異的に結合する。例えば、一部の実施形態では、標的結合部分は、腫瘍関連抗原またはそのエピトープを認識し得る。一部の実施形態では、腫瘍関連抗原は、がん、例えば、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、胆管癌、膀胱癌、脳癌(例えば、神経膠芽腫を含む)、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃腸癌、ホジキンリンパ腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、皮膚癌、及び胃癌などと関連する抗原であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、標的結合部分は、皮膚癌(例えば、黒色腫)と関連する腫瘍抗原を認識し、かつそれに特異的に結合し得る。一部の実施形態では、標的結合部分は、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)と関連する腫瘍抗原を認識し得る。一部の実施形態では、標的結合部分は、乳癌と関連する腫瘍抗原を認識し得る。一部の実施形態では、標的結合部分は、卵巣癌(例えば、上皮由来の卵巣癌、例えば、高悪性度漿液性卵巣癌)と関連する腫瘍抗原を認識し得る。
【0128】
一部の実施形態では、標的結合部分は、細胞内標的に特異的に結合し得る。一部の実施形態では、標的結合部分は、小胞内標的、例えば、小胞内タンパク質またはRNA(例えば、mRNA)に特異的に結合し得る。
【0129】
一部の実施形態では、標的結合部分は、表面標的に特異的に結合し得る。例えば、一部の実施形態では、標的結合部分は、細胞表面上、またはその内部に存在する表面標的に特異的に結合し得る。一部の実施形態では、標的結合部分は、細胞外小胞上、またはその内部に存在する表面標的、例えば、疾患、障害、または状態(例えば、がん)と関連する細胞外小胞上、またはその内部に存在する膜結合ポリペプチドに特異的に結合し得る。
【0130】
一部の実施形態では、標的結合部分は、特異的状態または疾患(例えば、がん)のためのバイオマーカーを指向し、そのバイオマーカーは、例えば、そのようなバイオマーカー(例えば、予測バイオマーカー)を同定するために、患者生検及び/または患者データの集団またはライブラリ(例えば、10、100、1000、10000、100000、またはそれ以上)を分析することにより決定されるか、または決定されている。
【0131】
一部の実施形態では、関連バイオマーカーは、例えば、データ解析を介して同定及び/または特徴付けられたものであり得る。一部の実施形態では、疾患または状態(例えば、がん)に高度に特異的であるバイオマーカー(例えば、予測マーカー)を同定するために、例えば、多様なセットのデータ(例えば、一部の実施形態では、バルクRNAシーケンシング、単一細胞RNA(scRNA)シーケンシング、質量分析法、組織診、翻訳後修飾データ、in vitro及び/またはin vivo実験データのうちの1つまたは複数を含む)を、機械学習及び/または計算モデルを介して解析することができる。
【0132】
一部の実施形態では、標的結合部分は、組織特異的標的、例えば、特異的組織、例えば、脳、乳房、結腸、卵巣及び/または女性生殖系と関連する他の組織、膵臓、前立腺及び/または男性生殖系と関連する他の組織、肝臓、肺、及び皮膚などと関連する標的を指向する。一部の実施形態では、そのような組織特異的標的は、正常な健康な組織及び/または罹患組織、例えば腫瘍と関連し得る。一部の実施形態では、標的結合部分は、対象の正常で健康な状態と特異的に関連する標的を指向する。
【0133】
一部の実施形態では、複数の検出プローブ(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)において利用される個々の標的結合部分は、異なる標的を指向する。一部の実施形態では、そのような異なる標的は、異なるマーカータンパク質またはポリペプチドであってよい。一部の実施形態では、そのような異なる標的は、同じマーカータンパク質またはポリペプチドの異なるエピトープであり得る。一部の実施形態では、複数の検出プローブ(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)において利用される2つまたはそれ以上の個々の標的結合部分は、同じ標的を指向し得る。
【0134】
一部の実施形態では、疾患、障害、または状態(例えば、がん)を検出するために複数の検出プローブにおいて利用される個々の標的結合部分は、特定の疾患、障害、または状態(例えば、特定のがん)についての標的バイオマーカーシグネチャーの異なる標的バイオマーカーを指向し得る。一部の実施形態では、疾患、障害、または状態(例えば、がん)を検出するために複数の検出プローブにおいて利用される個々の標的結合部分は、特定の疾患、障害、または状態(例えば、特定のがん)についての標的バイオマーカーシグネチャーの同じ標的バイオマーカーを指向し得る。一部の実施形態では、そのような標的結合部分は、特定の疾患、障害、または状態(例えば、特定のがん)のためのそのような標的バイオマーカーシグネチャーの同じ標的バイオマーカーの同じか、または異なるエピトープを指向し得る。
【0135】
B.オリゴヌクレオチドドメイン
一部の実施形態では、本開示により使用するためのオリゴヌクレオチドドメイン(例えば、標的結合部分にカップリングしていてよい)は、二本鎖部分と、オリゴヌクレオチドドメインの一方または両方の末端から伸長している一本鎖オーバーハングとを含み得る。オリゴヌクレオチドドメインが各末端から伸長している一本鎖オーバーハングを含む一部の実施形態では、一本鎖オーバーハングは、二本鎖部分の異なる鎖から伸長している。オリゴヌクレオチドドメインがそのオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している一本鎖オーバーハングを含む一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの他方の末端は、平滑末端であり得る。
【0136】
オリゴヌクレオチドドメインを含む一部の実施形態では、二本鎖部分の少なくとも1本の鎖は、増幅のためのプライマー部位を含む。一部のそのような実施形態では、そのようなプライマー部位は、二本鎖部分の末端部分に位置していてよい。
【0137】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、ワトソン-クリックタイプまたは類似の塩基対合相互作用、及びそれらの任意の組合せに参加し得るリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、合成ヌクレオチド残基を含み得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、DNAであるか、またそれを含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、ペプチド核酸(PNA)であるか、またはそれを含む。
【0138】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも部分的に、例えば、例えば検出される目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)の物理的特徴、及び/または検出される目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)における分子標的の選択及び局在により決定される長さを有し得る。一部の実施形態では、第1の検出プローブ及び第2の検出プローブが目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)に結合した場合に、第1の一本鎖オーバーハング及び第2の一本鎖オーバーハングが、一本鎖オーバーハング間の相互作用(例えば、ハイブリダイゼーション)を可能にするために十分に近接しているような長さを有するように、検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインを構成する。例えば、目的の実体(例えば、生物学的実体)が細胞外小胞(例えば、エクソソーム)である場合、検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインはそれぞれ独立に、それらのそれぞれの一本鎖オーバーハングが、対応する検出プローブが同じ細胞外小胞に結合した場合に相互にアニールする、または相互作用するほど十分に近接するような長さを有し得る。例えば、一部の実施形態では、細胞外小胞(例えば、エクソソーム)を検出する際に使用するための検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインはそれぞれ独立に、約20nm~約200nm、約40nm~約500nm、約40nm~約300nm、または約50nm~約150nmの長さを有し得る。一部の実施形態では、細胞外小胞(例えば、エクソソーム)を検出する際に使用するための検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインはそれぞれ独立に、約20nm~約200nmの長さを有し得る。一部の実施形態では、セット内の検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインの長さをそれぞれ独立に変化させて、目的の同じ実体に同時に結合した場合にそれらが相互を見い出す確率を上昇させる、及び/または最大化することができる。
【0139】
したがって、一部の実施形態では、本明細書において提供される技術において使用するためのオリゴヌクレオチドドメインは、約30~約1000ヌクレオチドの範囲の長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、約30~約500ヌクレオチド、約30~約250ヌクレオチド、約30~約200ヌクレオチド、約30~約150ヌクレオチド、約40~約150ヌクレオチド、約40~約125ヌクレオチド、約40~約100ヌクレオチド、約50~約90ヌクレオチド、約50~約80ヌクレオチドの範囲の長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、例えば、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも250、少なくとも500、少なくとも750、少なくとも1000ヌクレオチドまたはそれ以上を含めて、少なくとも30またはそれ以上のヌクレオチドの長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、例えば、900以下、800以下、700以下、600以下、500以下、400以下、300以下、200以下、100以下、90以下、80以下、70以下、60以下、50以下、40以下のヌクレオチドまたはそれ未満を含めて、1000ヌクレオチド以下またはそれ未満の長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、約50ヌクレオチド~約90ヌクレオチドの範囲の長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、約30ヌクレオチド~約50ヌクレオチドの範囲の長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、約10ヌクレオチド~約30ヌクレオチドの範囲の長さを有し得る。
【0140】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、約20nm~約500nmの長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、約20nm~約400nm、約30nm~約200nm、約50nm~約100nm、約30nm~約70nm、または約40nm~約60nmの長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、例えば、少なくとも約30nm、少なくとも約40nm、少なくとも約50nm、少なくとも約60nm、少なくとも約70nm、少なくとも約80nm、少なくとも約90nm、少なくとも約100nm、少なくとも約200nm、少なくとも約300nm、少なくとも約400nmまたはそれ以上を含めて、少なくとも約20nmまたはそれ以上の長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインは、例えば、900nm以下、800nm以下、700nm以下、600nm以下、500nm以下、400nm以下、300nm以下、200nm以下、100nm以下またはそれ未満を含めて、1000nm以下またはそれ未満の長さを有し得る。
【0141】
一部の実施形態では、本明細書において提供される技術において使用するためのオリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、約30~約1000ヌクレオチドの範囲の長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、約30~約500ヌクレオチド、約30~約250ヌクレオチド、約30~約200ヌクレオチド、約30~約150ヌクレオチド、約40~約150ヌクレオチド、約40~約125ヌクレオチド、約40~約100ヌクレオチド、約50~約90ヌクレオチド、約50~約80ヌクレオチドの範囲の長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、例えば、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも250、少なくとも500、少なくとも750、少なくとも1000ヌクレオチドまたはそれ以上の長さを含めて、少なくとも30またはそれ以上のヌクレオチドを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、例えば、900以下、800以下、700以下、600以下、500以下、400以下、300以下、200以下、100以下、90以下、80以下、70以下、60以下、50以下、40以下のヌクレオチドまたはそれ未満を含めて、1000ヌクレオチド以下またはそれ未満の長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、約50ヌクレオチド~約90ヌクレオチドの範囲の長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、約30ヌクレオチド~約50ヌクレオチドの範囲の長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、約10ヌクレオチド~約30ヌクレオチドの範囲の長さを有し得る。
【0142】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、約20nm~約500nmの長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、約20nm~約400nm、約30nm~約200nm、約50nm~約100nm、約30nm~約70nm、または約40nm~約60nmの長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、例えば、少なくとも約30nm、少なくとも約40nm、少なくとも約50nm、少なくとも約60nm、少なくとも約70nm、少なくとも約80nm、少なくとも約90nm、少なくとも約100nm、少なくとも約200nm、少なくとも約300nm、少なくとも約400nmまたはそれ以上を含めて、少なくとも約20nmまたはそれ以上の長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、例えば、900nm以下、800nm以下、700nm以下、600nm以下、500nm以下、400nm以下、300nm以下、200nm以下、100nm以下またはそれ未満を含めて、1000nm以下またはそれ未満の長さを有し得る。
【0143】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、検出プローブが、それぞれの相補的一本鎖オーバーハング(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)のハイブリダイゼーションを介して相互に連結した場合に、それぞれのオリゴヌクレオチドドメインの合計長さ(もしあるならば、標的結合部分をオリゴヌクレオチドドメインに結合させるリンカーを含む)が、それぞれの標的結合実体が目的の実体(例えば、細胞外小胞)のすべての特徴的な長さ(例えば、直径)を実質的にカバーすることを可能にするほど十分に長いことにおいて特徴づけられる。例えば、細胞外小胞が目的の実体である一部の実施形態では、検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインの合計長さ(もしあるならば、標的結合部分をオリゴヌクレオチドドメインに結合させるリンカーを含む)は、検出プローブが相互に十分に連結している場合、およそ50~200nmであり得る。
【0144】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、プライマーのための結合部位を含み得る。一部の実施形態では、プライマーのためのそのような結合部位は、ミスプライミングまたはプライマー二量体の可能性を低下させる、または最小化するように設計されているヌクレオチド配列を含み得る。そのような特徴は、一部の実施形態では、検出限界を低下させて、本明細書において提供されるシステムの感受性を上昇させることができる。一部の実施形態では、プライマーのための結合部位は、別のプライマー結合部位と類似のアニーリング温度を有するように設計されているヌクレオチド配列を含み得る。
【0145】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、対象(例えば、ヒト対象)のゲノム及び/または遺伝子転写産物(例えば、ゲノムDNA及び/またはRNA、例えば遺伝子のmRNA)と典型的に関連する核酸配列(例えば、DNA及び/またはRNA配列)とのオーバーラップを減少させる、または最小化するように設計されているヌクレオチド配列を含み得る。そのような特徴は、一部の実施形態では、検出中に試料中に(例えば、混入物として)存在し得る対象の何らかのゲノムDNA及び/またはmRNA転写産物の干渉を減少させる、または最小化することができる。
【0146】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、自己二量体、ホモ二量体、またはヘテロ二量体の形成を減少させる、または最小化するように設計されているヌクレオチド配列を有し得る。
【0147】
一部の実施形態では、本明細書において提供される技術において使用するためのオリゴヌクレオチドドメインの一本鎖オーバーハングは、約2~約20ヌクレオチドの長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの一本鎖オーバーハングは、約2~約15ヌクレオチド、約2~約10ヌクレオチド、約3~約20ヌクレオチド、約3~約15ヌクレオチド、約3~約10ヌクレオチドの長さを有し得る。一部の実施形態では、一本鎖オーバーハングは、少なくとも1~5ヌクレオチド長を有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの一本鎖オーバーハングは、例えば、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20ヌクレオチド、またはそれ以上を含めて、少なくとも2またはそれ以上のヌクレオチドの長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの一本鎖オーバーハングは、例えば、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下のヌクレオチドまたはそれ未満を含めて、20ヌクレオチド以下またはそれ未満の長さを有し得る。
【0148】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの一本鎖オーバーハングは、約1nm~約10nmの長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの一本鎖オーバーハングは、約1nm~約5nmの長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの一本鎖オーバーハングは、例えば、少なくとも約1nm、少なくとも約1.5nm、少なくとも約2nm、少なくとも約3nm、少なくとも約4nm、少なくとも約5nm、少なくとも約6nm、少なくとも約7nm、少なくとも約8nm、少なくとも約9nm、少なくとも約10nmまたはそれ以上を含めて、少なくとも約0.5nmまたはそれ以上の長さを有し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドドメインの一本鎖オーバーハングは、例えば、9nm以下、8nm以下、7nm以下、6nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下、1nm以下またはそれ未満を含めて、10nm以下またはそれ未満の長さを有し得る。
【0149】
オリゴヌクレオチドドメインの一本鎖オーバーハングは、第2の検出プローブの一本鎖オーバーハングの少なくとも一部分と相補的であるヌクレオチド配列を含み、相補的一本鎖オーバーハングのハイブリダイゼーションを介して、第1の検出プローブ及び第2の検出プローブを含む二本鎖複合体が形成され得るように設計されている。一部の実施形態では、相補的一本鎖オーバーハングのヌクレオチド配列は、適切な核酸リガーゼの存在下での最適なライゲーション効率のために選択される。一部の実施形態では、一本鎖オーバーハングは、目的の特異的な核酸リガーゼ(例えば、DNAリガーゼ、例えば、T4またはT7リガーゼ)による効率的なライゲーションのために優先的に選択されるヌクレオチド配列を有する。例えば、そのような一本鎖オーバーハングは、例えば、Song et al.,“Enzyme-guided DNA sewing architecture” Scientific Reports 5:17722(2015)に記載されているとおり、GAGTのヌクレオチド配列を有し得る。
【0150】
2つの検出プローブが、それぞれの相補的一本鎖オーバーハングのハイブリダイゼーションを介して一緒にカップリングしている場合、ハイブリダイズした一本鎖オーバーハングを含むそれらのそれぞれのオリゴヌクレオチドドメインは、一部の実施形態では、目的の実体(例えば、生物学的実体)の特徴的な長さ(例えば、直径)の約90%~110%または約95%~105%の合計長さを有し得る。例えば、生物学的実体がエクソソームである一部の実施形態では、上記合計長さは、約50nm~約200nm、または約75nm~約150nm、または約80nm~約120nmであり得る。
【0151】
C.標的結合部分とオリゴヌクレオチドドメインとの間のカップリング
オリゴヌクレオチドドメイン及び標的結合部分を、共有結合により、及び/または非共有結合会合(例えば、タンパク質間相互作用、例えば、ストレプトアビジン-ビオチン相互作用及び/またはイオン相互作用など)により、検出プローブにおいて一緒にカップリングさせることができる。一部の実施形態では、本開示に従って使用するために適した検出プローブは、標的結合部分及びオリゴヌクレオチドドメインを含むコンジュゲート分子であり、その際、それらの2つの構成成分は典型的には、例えば、直接的に結合により、または間接的に1つもしくは複数のリンカーにより相互に共有結合性にカップリングしている。一部の実施形態では、標的結合部分は、共有結合(例えば、直接的に結合により、または間接的に1つもしくは複数のリンカーにより)、及び/または非共有結合性会合(例えば、タンパク質間相互作用、例えば、ストレプトアビジン-ビオチン相互作用及び/またはイオン相互作用など)により、オリゴヌクレオチドドメインの2本の鎖のうちの一方にカップリングしている。
【0152】
リンカーを用いる場合、一部の実施形態では、選択されたリンカーを介してオリゴヌクレオチドドメインの1本または両方の鎖への標的結合部分の共有結合が得られるように、リンカーを選択する。一部の実施形態では、標的結合部分とオリゴヌクレオチドドメインの1本または両方の鎖とで生じる共有結合が、その標的についての標的結合部分の所望の結合親和性を維持するように、リンカーを選択する。一部の実施形態では、その標的についての標的結合部分の結合特異性を増強するように、リンカーを選択する。目的のリンカー及び/またはコンジュゲーション方法は、標的結合部分、例えば、そのサイズ及び/または電荷に依存して広く変化し得る。一部の実施形態では、リンカーは、生物学的に不活性である。
【0153】
標的結合部分をオリゴヌクレオチドにカップリングするための様々なリンカー及び/または方法が、当業者に公知であり、本開示に従って使用することができる。一部の実施形態では、リンカーは、スペーサー基をいずれの末端にも、標的結合部分に共有結合し得る反応性官能基と共に含み得る。リンカーにおいて使用することができるスペーサー基の例には、これに限定されないが、脂肪族及び不飽和炭化水素鎖(例えば、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、またはそれ以上の長さをを含む)、酸素などのヘテロ原子を含有するスペーサー(例えば、エーテル、例えば、ポリエチレングリコール)または窒素(ポリアミン)、ペプチド、炭水化物、ヘテロ原子を含有してよい環式または非環式システムが含まれる。共有結合を促進する反応性官能基の非限定的例には、求核性官能基(例えば、アミン、アルコール、チオール、ヒドラジド)、求電子性官能基(例えば、アルデヒド、エステル、ビニルケトン、エポキシド、イソシアナート、マレイミド)、付加環化反応、ジスルフィド結合の形成、または金属への結合が可能な官能基が含まれる。一部の実施形態では、例示的な反応性官能基は、これに限定されないが、第一級及び第二級アミン、ヒドロキサム酸、N-ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステル、ジベンゾシクロオクチン(DBCO)-NHSエステル、アジド-NHSエステル、アジド酢酸NHSエステル、プロパルギル-NHSエステル、トランス-シクロオクテン-NHSエステル、N-ヒドロキシスクシンイミジルカルボナート、オキシカルボニルイミダゾール、ニトロフェニルエステル、トリフルオロエチルエステル、グリシジルエーテル、ビニルスルホン、マレイミド、アジドベンゾイルヒドラジド、N-[4-(p-アジドサリチルアミノ)ブチル]-3’-[2’-ピリジルジチオ]プロピオンアミド)、ビス-スルホスクシンイミジルスベラート、ジメチルアジピミダート、ジスクシンイミジルタルトラート、N-マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-アジドベンゾアート、N-スクシンイミジル[4-アジドフェニル]-1,3’-ジチオプロピオナート、N-スクシンイミジル[4-ヨードアセチル]アミノベンゾアート、グルタルアルデヒド、及びスクシンイミジル4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシラート、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(SPDP)、4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(SMCC)、ならびにその任意の組合せ。
【0154】
一部の実施形態では、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル化学を使用して、標的結合部分(例えば、標的結合抗体因子)をオリゴヌクレオチドドメインの一方または両方の鎖にカップリングまたはコンジュゲートする。NHSエステルは遊離の第一級アミンと反応して、安定な共有結合をもたらす。一部の実施形態では、第一級アミノ基は、スペーサー基、例えば、これに限定されないが、脂肪族及び不飽和炭化水素鎖(例えば、C6またはC12スペーサー基)と共に、末端に位置し得る。
【0155】
一部の実施形態では、例えば、コンジュゲートされた標的結合部分(例えば、コンジュゲートされた標的結合抗体因子)の結合特異性を増強するために、当技術分野で公知の部位特異的コンジュゲーション方法を使用して、標的結合部分(例えば、標的結合抗体因子)をオリゴヌクレオチドドメインの一方または両方の鎖にカップリングまたはコンジュゲートすることができる。部位特異的コンジュゲーション方法の例には、これに限定されないが、ジスルフィド結合、C末端、炭水化物残基またはグリカン、及び/または非天然アミノ酸ラベリングを介してのカップリングまたはコンジュゲーションが含まれる。標的結合部分が抗体因子またはペプチドアプタマーであるか、またはそれを含む一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドを、標的結合部分に存在する少なくとも1個またはそれ以上の遊離アミン基を介して、標的結合部分にカップリングまたはコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドを、標的結合部分に存在する少なくとも1個またはそれ以上の反応性チオール基を介して、抗体因子またはペプチドアプタマーであるか、またはそれを含む標的結合部分にカップリングまたはコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドを、標的結合部分に存在する少なくとも1個またはそれ以上の炭水化物残基を介して、抗体因子またはペプチドアプタマーであるか、またはそれを含む標的結合部分にカップリングまたはコンジュゲートすることができる。
【0156】
一部の実施形態では、複数のオリゴヌクレオチド(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、またはそれ以上)を、標的結合部分(例えば、標的結合抗体因子)にカップリングまたはコンジュゲートすることができる。
【0157】
例示的な二重標的実体検出システム
一部の実施形態では、本開示により提供されるとおりの(及び、例えば、少なくとも1つまたはそれ以上の標的(例えば、分子標的)を含む目的の実体(例えば、目的の生物学的実体)を、例えば、単一実体レベルで検出するために有用な)標的実体検出システムは、第1の標的(例えば、第1の標的バイオマーカー)のための第1の検出プローブ(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)の第1の集団、及び第2の標的(例えば、第2の標的バイオマーカー)のための第2の検出プローブ(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)の第2の集団を含み得る。一部の実施形態では、第1の検出プローブ及び第2の検出プローブが指向する第1の標的(例えば、第1の標的バイオマーカー)及び第2の標的(例えば、第2の標的バイオマーカー)はそれぞれ、同じ標的(例えば、同じ標的バイオマーカー)であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、第1の検出プローブ及び第2の検出プローブが指向する第1の標的(例えば、第1の標的バイオマーカー)及び第2の標的(例えば、第2の標的バイオマーカー)はそれぞれ、異なる標的(例えば、異なる標的バイオマーカー)である。
【0158】
図2A~2Bは、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を、単一の実体レベルで検出するための例示的な二重標的実体検出システムを図示しており、これは、(i)その発現レベルが、同じ標的の2つの分子が近接して見い出されるほど十分に高い、少なくとも1つの標的(例えば、疾患、障害、または状態、例えば、がんについての標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカー)、または(ii)少なくとも2つまたはそれ以上の別個の標的(例えば、疾患、障害、または状態、例えば、がんについての標的バイオマーカーシグネチャーのバイオマーカー)を含む。第1の検出プローブは、第1の標的結合部分(例えば、標的1、例えば標的がんマーカー1を指向)と、第1の標的結合部分にカップリングしている第1のオリゴヌクレオチドドメインとを含み、その際、第1のオリゴヌクレオチドドメインは、第1の二本鎖部分と、第1のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している第1の一本鎖オーバーハングとを含む。図2Aに示されているとおり、第1のオリゴヌクレオチドドメインは、長鎖(鎖3)及び短鎖(鎖1)のハイブリダイゼーションから生じ得て、それにより、二本鎖部分と、一方の末端の一本鎖オーバーハングとを形成している。一部の実施形態では、第1の標的結合部分(例えば、標的1、例えば、標的がんマーカー1を指向)を、第1のオリゴヌクレオチドドメインの鎖(例えば、鎖1)の5’末端または3’末端にカップリングする(例えば、共有結合性にカップリングする)。一部の実施形態では、第1の標的結合部分にカップリングしている鎖の5’末端または3’末端をリンカー(例えば、スペーサー基を含むか、または含まない本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)で修飾することができる。一部の実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドドメイン(例えば、鎖3)の別の鎖の5’末端は、遊離リン酸基を有する。
【0159】
図2Aに図示されている実施形態では、第2の検出プローブは、第2の標的結合部分(例えば、標的2、例えば標的がんマーカー2を指向)と、第2の標的結合部分にカップリングした第2のオリゴヌクレオチドドメインとを含み、その際、第2のオリゴヌクレオチドドメインは、第2の二本鎖部分と、第2のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している第2の一本鎖オーバーハングとを含む。図2Aに示されているとおり、第2のオリゴヌクレオチドドメインは、長鎖(鎖4)及び短鎖(鎖2)のハイブリダイゼーションから生じ得て、それにより、二本鎖部分及び一方の末端の一本鎖オーバーハングを形成している。一部の実施形態では、第2の標的結合部分(例えば、標的2、例えば、標的がんマーカー2を指向)を、第2のオリゴヌクレオチドドメインの鎖(例えば、鎖2)の5’末端にカップリングする(例えば、共有結合性にカップリングする)。一部の実施形態では、第2の標的結合部分にカップリングしている鎖の5’末端は、リンカー(例えば、スペーサー基を含むか、または含まない本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)で修飾されてよい。一部の実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドドメインの別の鎖(例えば、鎖4)の5’末端は、遊離リン酸基を有する。
【0160】
第1の一本鎖オーバーハング及び第2の一本鎖オーバーハングの少なくとも一部分は、相互に相補的であって、それらが、十分に近接している場合に、例えば、第1の検出プローブ及び第2の検出プローブが同じ目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)に同時に結合した場合に、ハイブリダイズして、二本鎖複合体を形成し得るようになっている。一部の実施形態では、第1の一本鎖オーバーハング及び第2の一本鎖オーバーハングは同じ長さを有して、それらがハイブリダイズして二本鎖複合体を形成した場合に、それらのそれぞれのオリゴヌクレオチドドメイン間にギャップ(ライゲートするためのニックを除いて)が存在せず、それぞれ個々の標的結合部分が、二本鎖複合体の反対側の末端に位置するようになっている。例えば、図2Bに図示されている一実施形態では、ライゲーションが生じる前に、二本鎖複合体は形成しており、その際、上記二本鎖複合体は、それらのそれぞれの一本鎖オーバーハング(例えば、4ヌクレオチド長を有する)の直接的なハイブリダイゼーションを介して相互にカップリングしている第1の検出プローブ及び第2の検出プローブを含み、それぞれ個々の標的結合部分(例えば、それぞれ標的1及び標的2を指向)は、二本鎖複合体の反対側の末端に存在する。そのような実施形態では、二本鎖複合体の両方の鎖(それぞれのオリゴヌクレオチドドメイン間にニックを含む)は、例えば、増幅及び検出のためにライゲート可能である。図2Bは、第1の検出プローブと第2の検出プローブとのハイブリダイゼーションを示していて、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)へのそのような検出プローブの結合は示していないが、一部の実施形態では、二本鎖複合体は(例えば、ライゲーションが起こる前に)、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を含み得、その際、第1の標的結合部分(例えば、標的1、例えば、標的がんマーカー1を指向する)及び第2の標的結合部分(例えば、標的2、例えば、標的がんマーカー2を指向する)が目的の実体に同時に結合する。
【0161】
一部の実施形態では、第1の標的結合部分は、正常で健康な細胞及び/または組織(例えば、がん細胞が由来する)と特異的に関連するバイオマーカーを指向し得、かつ第2の標的結合部分は、1つより多いがんと関連するバイオマーカー(しかし、正常で健康な細胞及び/または組織には存在しない)を指向し得る。例えば、一部の実施形態では、第2の標的結合部分は、がん(組織種にかかわらず)のための一般的バイオマーカーを指向し得る。
【0162】
一部の実施形態では、第1の標的結合部分は、組織特異的がんバイオマーカー(例えば、典型的には特異的組織のがんと関連するバイオマーカー)を指向し得、かつ第2の標的結合部分は、正常で健康な状態ではあるが、がんの同じ組織と特異的に関連するバイオマーカーを指向し得る。
【0163】
一部の実施形態では、第1の標的結合部分及び第2の標的結合部分はそれぞれ、別個のがん関連バイオマーカーを指向し得る。例えば、一部の実施形態では、第1の標的結合部分及び第2の標的結合部分はそれぞれ、異なるがん(例えば、同じ組織または異なる組織と関連するがん)と関連するバイオマーカーを指向し得る。一部の実施形態では、第1の標的結合部分及び第2の標的結合部分はそれぞれ、同じがんと関連するバイオマーカーを指向し得る。
【0164】
疾患、障害、または状態(例えば、がん)を検出するための二重標的実体検出システムの一部の実施形態では、第1の検出プローブの第1の標的結合部分は、第1の標的表面タンパク質バイオマーカーを指向し得る一方で、第2の検出プローブの第2の標的結合部分は、第2の標的表面タンパク質バイオマーカーを指向し得る。一部の実施形態では、第1の検出プローブの第1の標的結合部分は、第1の標的小胞内タンパク質バイオマーカーを指向し得る一方で、第2の検出プローブの第2の標的結合部分は、第2の標的小胞内タンパク質バイオマーカーを指向し得る。一部の実施形態では、第1の標的結合部分及び第2の標的結合部分は、同じ標的表面タンパク質バイオマーカーまたは同じ標的小胞内タンパク質バイオマーカーの同じ、または異なるエピトープを指向し得る。一部の実施形態では、第1の標的結合部分及び第2の標的結合部分は、異なる標的表面タンパク質バイオマーカーまたは異なる標的小胞内タンパク質バイオマーカーを指向し得る。
【0165】
一部の実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドドメイン及び第2のオリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、同じであってよい。一部の実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドドメイン及び第2のオリゴヌクレオチドドメインの二本鎖部分は、異なってよい。
【0166】
例示的な三重または多重(n≧3)標的実体検出システム
一部の実施形態では、本開示により提供されるような(及び例えば、目的の実体(例えば、目的の生物学的実体)を、例えば、単一の実体レベルで検出するために有用な)標的実体検出システムは、別個のプローブ(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)のn集団を含み得、ここで、n≧3(例えば、n=3、4、5またはそれ以上)である。例えば、n=3である場合の一部の実施形態では、標的実体検出システムは、第1の標的のための第1の検出プローブ(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)、第2の標的のための第2の検出プローブ(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)の集団、及び第3の標的のための第3の検出プローブ(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)の集団を含み得る。一部の実施形態では、第1、第2、及び第3の標的は、同じ標的である。一部の実施形態では、第1、第2、及び第3の標的は、別個の標的である。一部の実施形態では、第1、第2、及び第3の標的のうちの少なくとも2つは、別個の標的である。
【0167】
図5Aは、少なくとも1つまたはそれ以上の標的(例えば、分子標的)を含む目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を、単一の実体レベルで検出するための例示的な三重標的実体検出システムを図示している。第1の検出プローブは、第1の標的結合部分(例えば、抗標的1抗体因子、例えば、抗がんマーカー1抗体因子)と、第1の標的結合部分にカップリングしている第1のオリゴヌクレオチドドメインとを含み、その際、第1のオリゴヌクレオチドドメインは、第1の二本鎖部分と、第1のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している第1の一本鎖オーバーハングとを含む。図5Aに示されているとおり、第1のオリゴヌクレオチドドメインは、長鎖(鎖8)及び短鎖(鎖1)のハイブリダイゼーションから生じ得、それにより、二本鎖部分と、一方の末端の一本鎖オーバーハングとを形成している。一部の実施形態では、第1の標的結合部分(例えば、抗標的1抗体因子、例えば、抗がんマーカー1抗体因子)は、第1のオリゴヌクレオチドドメインの鎖(例えば、鎖1)の5’末端にカップリングしている(例えば、共有結合性カップリングしている)。一部の実施形態では、第1の標的結合部分にカップリングしている鎖の5’末端を、リンカー(例えば、スペーサー基を含む、または含まない本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)で修飾することができる。一部の実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドドメイン(例えば、鎖8)の別の鎖の5’末端は、遊離リン酸基を有する。
【0168】
図5Aに図示されている実施形態では、第2の検出プローブは、第2の標的結合部分(例えば、抗標的3抗体因子、例えば、抗がんマーカー3抗体因子)と、第2の標的結合部分にカップリングしている第2のオリゴヌクレオチドドメインとを含み、その際、第2のオリゴヌクレオチドドメインは、第2の二本鎖部分と、第2のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している第2の一本鎖オーバーハングとを含む。図5Aに示されているとおり、第2のオリゴヌクレオチドドメインは、長鎖(鎖4)及び短鎖(鎖2)のハイブリダイゼーションから生じ得、それにより、二本鎖部分と、一方の末端の一本鎖オーバーハングとを形成している。一部の実施形態では、第2の標的結合部分(例えば、抗標的3抗体因子、例えば、抗がんマーカー3抗体因子)は、第2のオリゴヌクレオチドドメイン(例えば、鎖2)の鎖の5’末端にカップリングしている(例えば、共有結合性カップリングしている)。一部の実施形態では、第2の標的結合部分にカップリングしている鎖の5’末端を、リンカー(例えば、スペーサー基を含む、または含まない本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)で修飾することができる。一部の実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドドメインの別の鎖(例えば、鎖4)の5’末端は、遊離リン酸基を有さない。
【0169】
第3の検出プローブは、第3の標的結合部分(例えば、抗標的2抗体因子、例えば、抗がんマーカー2抗体因子)と、第3の標的結合部分にカップリングしている第3のオリゴヌクレオチドドメインとを含み、その際、第3のオリゴヌクレオチドドメインは、第3の二本鎖部分と、第3のオリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している一本鎖オーバーハングとを含む。例えば、一本鎖オーバーハングは、第3のオリゴヌクレオチドドメインの鎖の一方の末端から伸長している一方で、別の一本鎖オーバーハングは、第3のオリゴヌクレオチドドメインの異なる鎖の反対側の末端から伸長している。図5Aに示されているとおり、第3のオリゴヌクレオチドドメインは、2本の鎖(例えば、鎖9及び10)の部分のハイブリダイゼーションから生じ得、それにより、二本鎖部分と、一方の末端の一本鎖オーバーハングとを形成している。例えば、一本鎖オーバーハング(3A)は、第3の検出プローブの鎖9の5’末端に形成され、その際、鎖9の5’末端は遊離リン酸基を有する。加えて、一本鎖オーバーハング(3B)が、同じ第3の検出プローブの鎖10の5’末端に形成されており、第3の標的結合部分(例えば、抗標的2抗体因子、例えば、抗がんマーカー2抗体因子)も、鎖10の5’末端にカップリングしている(例えば、共有結合性カップリングしている)。一部の実施形態では、第3の標的結合部分にカップリングしている鎖(例えば、鎖10)の5’末端を、リンカー(例えば、スペーサー基を含む、または含まない本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)で修飾することができる。
【0170】
3つすべての検出プローブが十分に近接している場合、例えば、3つすべての検出プローブが同じ目的の実体(例えば、生物学的実体)に同時に結合する場合、(i)第3の検出プローブの一本鎖オーバーハング(例えば、3A)の少なくとも一部分は、第2の検出プローブの一本鎖オーバーハングの対応する相補的部分にハイブリダイズし、かつ(ii)第3の検出プローブの別の一本鎖オーバーハング(例えば、3B)の少なくとも一部分は、第1の検出プローブの一本鎖オーバーハングの対応する相補的部分にハイブリダイズする。結果として、線状配置で相互にカップリングしている3つすべての検出プローブを含む二本鎖複合体が、対応する一本鎖オーバーハングの直接的なハイブリダイゼーションにより形成される。例えば、図5Aを参照されたい。
【0171】
提供される技術において少なくとも3つまたはそれ以上(n>3)の検出プローブの使用を含む一部の実施形態では、検出プローブの一本鎖オーバーハングがそれぞれ個々のパートナー(複数可)にアニールして二本鎖複合体を形成する場合、少なくとも(n-2)の標的結合部分が、二本鎖複合体の内部部分(複数可)に存在する。そのような実施形態では、内部標的結合部分は二本鎖複合体の一本鎖に存在して、二本鎖複合体の他方の鎖はいずれの内部標的結合部分も含有せず、したがって、例えば、増幅及び検出のために、ライゲートされたテンプレートを形成するためにライゲート可能であるようになっていることが望ましい。例えば、図5A(3つの検出プローブを使用)、図5B(4つの検出プローブを使用)、及び図10(nの検出プローブを使用)を参照されたい。
【0172】
二本鎖複合体の鎖が少なくとも1つまたはそれ以上の内部標的結合部分を含む一部の実施形態では、上記鎖は、内部標的結合部分がカップリングしている検出プローブのオリゴヌクレオチド鎖の末端と、別の検出プローブのオリゴヌクレオチド鎖の末端との間にギャップを含む。上記ギャップのサイズは、上記鎖が核酸リガーゼの存在下でライゲート不可能となるほど十分に大きい。一部の実施形態では、上記ギャップは、2~8のヌクレオチドのサイズまたは2~6ヌクレオチドのサイズであり得る。一部の実施形態では、上記ギャップは、6ヌクレオチドのサイズである。一部の実施形態では、上記オーバーラップ(一本鎖オーバーハング間のハイブリダイゼーション領域)は、2~15ヌクレオチドの長さまたは4~10ヌクレオチドの長さであり得る。一部の実施形態では、上記オーバーラップ(一本鎖オーバーハング間のハイブリダイゼーション領域)は、8ヌクレオチド長である。ギャップ及び/またはハイブリダイゼーション領域のサイズは、ライゲートされたテンプレート(内部標的結合部分を含まない)及びライゲートされなかったテンプレート(少なくとも1つの内部標的結合部分を含む)から最適なシグナル分離が得られるように選択する。図5A~5B及び図10は、目的の実体(例えば、生物学的実体)への検出プローブの結合を示していないが、二本鎖複合体(例えば、ライゲーションが生じる前に)は目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を含み得、その際、少なくとも3つまたはそれ以上の標的結合部分が目的の実体に同時に結合することに注意すべきである。
【0173】
一部の実施形態では、本明細書において提供される標的実体検出システム(例えば、本明細書に記載の二重、三重または多重標的実体検出システム)において使用するための検出プローブの組合せ(例えば、セット)の選択(例えば、検出プローブ及び/または特異的バイオマーカーの数)は、例えば、特定の用途に最適であると考えられる所望の特異性及び/または所望の感受性に基づく。例えば、一部の実施形態では、検出プローブの組合せを、がんを(例えば、ステージI、II、III、またはIVについて)検出するために、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%またはそれ以上を含めて、少なくとも95%またはそれ以上の特異性をもたらすように選択する。一部の実施形態では、検出プローブの組合せを、がんを(例えば、ステージI、II、III、またはIVについて)検出するために、例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれ以上を含めて、少なくとも30%またはそれ以上の感受性をもたらすように選択する。一部の実施形態では、検出プローブの組合せを、がんを(例えば、ステージI、II、III、またはIVについて)検出するために、例えば、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれ以上を含めて、少なくとも8%またはそれ以上の陽性予測値をもたらすように選択する。一部の実施形態では、検出プローブの組合せを、がんを(例えば、ステージI、II、III、またはIVについて)検出するために、例えば、7×10EV/試料mL未満、6×10EV/試料mL未満、5×10EV/試料mL未満、4×10EV/試料mL未満、3×10EV/試料mL未満、2×10EV/試料mL未満、1×10EV/試料mL未満、またはそれ未満を含めて、1×10EV/mL試料未満またはそれ未満の検出限界(LOD)をもたらすように選択する。一部の実施形態では、そのようながん検出アッセイを、異なるがん、または特定のがんのサブタイプ及び/またはステージを検出するために使用することができる。一部の実施形態では、そのような検出アッセイを使用して検出することができる1つまたは複数のがんは、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、胆管癌、膀胱癌、脳癌(例えば、神経膠芽腫を含む)、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃腸癌、ホジキンリンパ腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、皮膚癌、及び胃癌のうちの1つまたは複数を含み得る。一部の実施形態では、検出アッセイ(例えば、本明細書に記載のもの)を、皮膚癌(例えば、黒色腫)を検出するために使用することができる。一部の実施形態では、検出アッセイ(例えば、本明細書に記載のもの)を、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)を検出するために使用することができる。一部の実施形態では、検出アッセイ(例えば、本明細書に記載のもの)を、乳癌を検出するために使用することができる。一部の実施形態では、検出アッセイ(例えば、本明細書に記載のもの)を、上皮由来の卵巣癌、例えば、高悪性度漿液性卵巣癌)を検出するために使用することができる。
【0174】
一部の実施形態では、個々の検出プローブではなく、検出プローブの組合せ(例えば、セット)が、疾患、障害、または状態(例えば、本明細書に記載のとおりの特定のがん及び/またはがんのステージ)の検出に対する特異性を付与し、例えば、1つまたは複数の個々のプローブが、それ自体はそのような疾患、障害、または状態(例えば、がん)に特異的ではない標的を指向し得る。例えば、一部の実施形態では、本明細書において提供される標的実体検出システム(例えば、本明細書に記載の二重、三重または多重標的実体検出システム)における検出プローブの有用な組合せは、関連疾患、障害、または状態に特異的な標的(すなわち、関連疾患、障害、または状態に特異的な標的)を指向する少なくとも1つの検出プローブを含み得、かつ関連疾患、障害、または状態に必ずしも、またはまったく特異的ではない(例えば、健康である一部または全部の細胞においても見い出され得、特定の疾患、障害、または状態のものではなく、及び/または目的の特定の疾患ステージのものではない)標的を指向する少なくとも1つの検出プローブをさらに含み得る。すなわち、当業者には、本明細書を読むことで分かるであろうとおり、本発明に従って利用される検出プローブのセットが、一緒になって関連疾患、障害、または状態の検出について特異的である(すなわち、関連疾患、障害、または状態と関連する検出のための生物学的実体を、検出のための目的ではない他の生物学的実体から十分に識別する)複数の個々の検出プローブであるか、またはそれを含む限り、上記セットは、本開示のある特定の実施形態に従って有用である。
【0175】
一部の実施形態では、本明細書において提供される標的実体検出システム(例えば、本明細書に記載の二重、三重または多重標的実体検出システム)における有用な検出プローブは、次の検出プローブの少なくとも1つの種類またはそれ以上を含み得る:
a.正常で健康な細胞、細胞外小胞、及び/または組織(例えば、罹患細胞、例えば、がん細胞が由来する正常で健康な細胞、細胞外小胞、及び/または組織)と特異的に関連するバイオマーカーを指向する検出プローブ;
b.1つよりも多い疾患、例えば、1つよりも多いがんと関連するバイオマーカー(ただし、正常で健康な細胞、細胞外小胞、及び/または組織に存在しない)を指向する、例えば、がんに(組織の種類にかかわらず)一般的なバイオマーカーを指向する検出プローブ;ならびに
c.組織特異的疾患バイオマーカー(例えば、組織特異的がんバイオマーカー、例えば、特異的組織、例えば、これに限定されないが、脳、乳房、結腸、卵巣及び/または女性生殖系と関連する他の組織、膵臓、前立腺及び/または男性生殖系と関連する他の組織、肝臓、肺、及び皮膚でのがんと特異的に関連するバイオマーカーなど)を指向する検出プローブ。
【0176】
一部の実施形態では、がんを検出するための検出プローブの有用な組合せ(例えば、セット)は、正常で健康な細胞、細胞外小胞、及び/または組織(例えば、がん細胞が由来する)と特異的に関連するバイオマーカーを指向する第1の検出プローブと、1つよりも多いがんと関連する(ただし、正常で健康な細胞、細胞外小胞、及び/または組織には存在しない)バイオマーカーを指向する第2の検出プローブを含み得る。例えば、一部の実施形態では、そのような第2の検出プローブは、(組織の種類にかかわらず)がんに一般的なバイオマーカーを指向し得る。
【0177】
一部の実施形態では、がんを検出するための検出プローブの組合せは、組織特異的がんバイオマーカー(例えば、特異的組織のためのがんと典型的に関連するバイオマーカー)を指向する第1の検出プローブと、正常で健康な状態ではあるが、がんの同じ組織と特異的に関連するバイオマーカーを指向する第2の検出プローブとを含み得る。
【0178】
一部の実施形態では、がんを検出するための検出プローブの組合せは、別個のがん関連バイオマーカーをそれぞれ指向する第1の検出プローブ及び第2の検出プローブを含み得る。例えば、一部の実施形態では、第1の及び第2の検出プローブは、異なるがん(例えば、同じ組織または異なる組織と関連するがん)と関連するバイオマーカーをそれぞれ指向し得る。一部の実施形態では、第1及び第2の検出プローブは、同じがんと関連するバイオマーカーをそれぞれ指向し得る。一部の実施形態では、第1及び第2の検出プローブは、異なるステージの同じがんと関連するバイオマーカーをそれぞれ指向し得る。
【0179】
一部の実施形態では、本明細書において提供される標的実体検出システム(例えば、本明細書に記載の二重、三重または多重標的実体検出システム)は、少なくとも1つまたはそれ以上(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)の対照プローブを(例えば、一部の実施形態では、疾患特異的バイオマーカー、例えば、がん特異的バイオマーカー及び/または組織特異的バイオマーカーを認識するための、例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりの標的特異的検出プローブに加えて)含み得る。一部の実施形態では、対照プローブを、目的の実体(例えば、生物学的実体)へのその結合が検出シグナルの生成を促進し得るように設計する。一部の実施形態では、対照プローブを、目的の実体(例えば、生物学的実体)へのその結合が検出シグナルの生成を(完全に、または部分的に)阻害するように設計する(「阻害プローブ」)。例えば、一部の実施形態では、対照プローブを、非標的実体で起こるライゲーションを阻害するように設計することができる。一部の実施形態では、対照プローブを、非標的実体からのライゲートされたテンプレートの増幅を阻害するように設計することができる。
【0180】
一部の実施形態では、対照プローブは、対照結合部分と、上記対照結合部分にカップリングしているオリゴヌクレオチドドメイン(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)を含み、その際、上記オリゴヌクレオチドドメインは、二本鎖部分と、上記オリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している一本鎖オーバーハングとを含む。対照結合部分は、対象基準に結合する実体または部分である。一部の実施形態では、対照基準は、正常で健康な細胞または細胞外小胞に優先的に関連するバイオマーカーであり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、対照基準は、非標的組織から優先的に関連するバイオマーカーであり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、対照プローブを含むことで、擬陽性(例えば、対照基準を、任意選択で、検出される1つまたは複数の標的と組み合わせて含む目的の実体)から生成される検出可能なシグナルを選択的に除去する、または最小化することができる。
【0181】
例えば、図11~12に示されているとおり、標的実体検出システム(例えば、本明細書に記載のもの)は、複数(例えば、少なくとも2、少なくとも3、またはそれ以上)の標的特異的検出プローブ及び少なくとも1つの対照プローブ(例えば、正常で健康な細胞または細胞外小胞及び/または非特異的組織からの細胞または細胞外小胞を認識するために)を含み得る。対照プローブが目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)に結合した場合に、少なくとも1つまたは全部の標的特異的検出プローブが同じ目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)において結合しても、ライゲートされたテンプレートの形成を必ずしももたらさないように、上記標的特異的検出プローブ及び対照プローブのオリゴヌクレオチドドメインを設計及び決定することができる。同じ目的の実体への対照結合の非存在下で、すべての標的特異的検出プローブが単一の目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)に結合すると、ライゲートされたテンプレート、したがって、検出可能なシグナルの優先的な形成が生じる。説明のためにすぎないが、図12は、ライゲーションの競合阻害因子として作用する対照プローブの例示的な使用を示している。例えば、目的の実体(例えば、生物学的実体)に結合する対照プローブ(例えば、正常で健康な細胞または細胞外小胞及び/または非特異的組織からの細胞または細胞外小胞を認識するためのもの)の非存在下では、同じ目的の実体への第1の標的特異的検出プローブ及び第2の標的特異的プローブの結合は、それらがオリゴヌクレオチドドメインのそれらのそれぞれの一本鎖オーバーハングの直接的なハイブリダイゼーションを介して相互に相互作用するほど十分に近接すること、それによるライゲーションテンプレートの形成を可能にする。対照プローブを、そのそれぞれの標的結合パートナーのための標的特異的検出プローブのうちの少なくとも1つとの競合により、標的特異的検出プローブ間のそのようなハイブリダイゼーションを阻止するように設計することができる。例に過ぎず、説明のためにすぎないが、図12は、対照プローブの一方の末端は、標的特異的検出プローブ(例えば、標的特異的検出プローブ2)に結合するように設計されているが、対照プローブの他方の末端は、そうでなく対照プローブの非存在下では前者(例えば、標的特異的検出プローブ2)に結合するであろう別の標的特異的検出プローブ(例えば、標的特異的検出プローブ1)と相互作用し得ないように設計されていることを示している。一部の実施形態では、対照プローブの一方の末端は、別の検出プローブの一本鎖オーバーハングとハイブリダイズし得ないように、平滑末端であるように設計されている。一部の実施形態では、対照プローブのオリゴヌクレオチド鎖(例えば、図12において示されているような対照プローブの鎖9)の3’末端は、ライゲーションが不可能であるように、ジデオキシヌクレオチドを有し得る。
【0182】
一部の実施形態では、対照プローブは、非標的実体からのライゲートされたテンプレートの増幅を阻害するように設計されている。説明のためにすぎないが、図26には、例示的な阻害因子プローブが示されており、これは、非標的実体へのその結合が、別のプローブ、例えば、検出プローブとのライゲーションを可能にしつつ、非標的実体からのライゲートされたテンプレートの増幅を阻害するように設計されている。一部の実施形態では、阻害因子プローブは、非標的、例えば、標的組織と関連しないマーカー、または診断される疾患、障害、もしくは状態(例えば、がん)と関連しないマーカーを指向し得る。一部のそのような実施形態では、検出プローブ及び阻害因子プローブが近接している場合に、それらの一本鎖オーバーハングが相互にハイブリダイズして、ライゲーションを可能にするように、阻害因子プローブは、検出プローブ(例えば、本明細書に記載のもの)と類似してよい。しかしながら、検出プローブ(例えば、本明細書に記載のもの)とは異なり、そのような阻害因子プローブのオリゴヌクレオチドドメインの少なくとも1本の鎖は、プライマー部位を有さず、したがって、検出プローブと非標的実体中に存在する阻害因子との間の相互作用の結果として形成され得るいずれのライゲートされたテンプレートの増幅も妨害する。プライマー部位を含まない阻害因子はテンプレートの増幅を許さないので、非標的実体(例えば、異なる組織からの生物学的実体)に結合する阻害因子プローブの存在下では、検出シグナルは生成され得ない。一部の実施形態では、そのような阻害因子プローブを含むことで、擬陽性を排除し、それにより、検出の特異性を改善することができる。
【0183】
本明細書に記載の対照プローブ(複数可)を含む一部の実施形態では、そのような対照プローブ(複数可)において使用されるオリゴヌクレオチドドメインの長さは、検出プローブ(例えば、本明細書に記載のもの)において使用されるオリゴヌクレオチドドメインの長さと比較可能であるか、またはそれとは異なってよい。例えば、一部の実施形態では、対照プローブのオリゴヌクレオチドドメインは、約30~約1000ヌクレオチドの範囲の長さを有し得る。一部の実施形態では、対照プローブのオリゴヌクレオチドドメインは、約30~約500ヌクレオチド、約30~約250ヌクレオチド、約30~約200ヌクレオチド、約30~約150ヌクレオチド、約40~約150ヌクレオチド、約40~約125ヌクレオチド、約40~約100ヌクレオチド、約50~約90ヌクレオチド、約50~約80ヌクレオチドの範囲の長さを有し得る。一部の実施形態では、対照プローブのオリゴヌクレオチドドメインは、約50ヌクレオチド~約90ヌクレオチドの範囲の長さを有し得る。一部の実施形態では、対照プローブのオリゴヌクレオチドドメインは、約30ヌクレオチド~約50ヌクレオチドの範囲の長さを有し得る。一部の実施形態では、対照プローブのオリゴヌクレオチドドメインは、約10ヌクレオチド~約30ヌクレオチドの範囲の長さを有し得る。当業者は、本開示を読むことで、オリゴヌクレオチドドメインの長さを調節して、検出アッセイにおける対照プローブの性能を改善することができることを理解するであろう。
【0184】
一部の実施形態では、本開示は特に、本明細書において記載または利用するとおりの検出プローブは、固体基材表面に非特異的に結合し得、かつそのうちの一部は、何らかの過剰か、または非結合検出プローブを除去するための複数回の洗浄の後にもアッセイ試料中に残り得て;かつそのような非特異的に結合した検出プローブは、ライゲーション反応において、固体基材表面から外れて、浮遊性になり得て、したがって、それらが相互に相互作用して、望ましくないバックグラウンドシグナルを生成する非特異的なライゲートされたテンプレートを生成することを可能にするという洞察を提供する。したがって、一部の実施形態では、本明細書において提供される標的実体検出システム(例えば、本明細書に記載の二重、三重、または多重標的実体検出)は、目的の実体に結合しないが、ライゲーション反応において遊離作用因子として残留する残留検出プローブを捕捉して、それにより、そのような浮遊性検出プローブが、他の浮遊性相補性検出プローブと相互作用して、望ましくないバックグラウンドシグナルを生成することを阻止するように設計されている少なくとも1つまたはそれ以上(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)の阻害因子オリゴヌクレオチドを含み得る。一部の実施形態では、阻害因子オリゴヌクレオチドは、検出プローブ(例えば、本明細書において記載または利用するとおりのもの)の一本鎖オーバーハングのための結合ドメインを含む一本鎖または二本鎖オリゴヌクレオチドであり得るか、またはそれを含み得、その際、阻害因子オリゴヌクレオチドは、プライマー結合部位を含まない。阻害因子オリゴヌクレオチド中にそのようなプライマー結合部位が存在しないことで、プライマーは、阻害因子オリゴヌクレオチドへの検出可能なプローブのライゲーションから生じる非特異的なライゲートされたテンプレートに結合することを阻止され、それにより、非特異的なライゲートされたテンプレートの、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応による増幅及び/または検出が減少するか、または阻害される。
【0185】
一部の実施形態では、阻害因子オリゴヌクレオチドは、検出プローブ(例えば、本明細書において記載または利用するとおりのもの)の一本鎖オーバーハングのための結合ドメインを含み、その際、上記結合ドメインは、検出プローブの一本鎖オーバーハングに実質的に相補的であるヌクレオチド配列であるか、またはそれを含み、相補的一本鎖オーバーハングを有する遊離の非結合検出プローブが阻害因子オリゴヌクレオチドの結合ドメインに結合し得るようになっている。一部の実施形態では、阻害因子オリゴヌクレオチドは、一方の末端にヘアピンを有し得る。一部の実施形態では、阻害因子オリゴヌクレオチドは、一方の末端に検出プローブの一本鎖オーバーハングのための結合ドメインを含む一本鎖オリゴヌクレオチドであってよく、その際、例えば、図18に図示されているとおり、一本鎖オリゴヌクレオチドの一部分は、自己ハイブリダイズして、他方の末端にヘアピンを形成し得る。
【0186】
一部の実施形態では、本明細書において提供される標的実体検出システム(例えば、本明細書に記載の二重、三重または多重標的実体検出システム)は、検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインを別の検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインと会合させるコネクターオリゴヌクレオチドを含まない。一部の実施形態では、コネクターオリゴヌクレオチドは、目的の実体に結合した場合にそうでなければ相互に相互作用しないであろういずれか2つの検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインを架橋するように設計されている。一部の実施形態では、コネクターオリゴヌクレオチドは、検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインの少なくとも一部分、及び別の検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインの少なくとも一部分とハイブリダイズするように設計されている。コネクターオリゴヌクレオチドは、一本鎖、二本鎖、またはそれらの組合せであり得る。コネクターオリゴヌクレオチドは、いずれの標的結合部分(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)または対照結合部分も含有しない。少なくとも一部の実施形態では、コネクターオリゴヌクレオチドは、検出プローブオリゴヌクレオチドドメインを間接的に連結するために必ずしも必要なく;一部の実施形態では、そのようなコネクターオリゴヌクレオチドは利用されず、それというのも一部では、本明細書において記載及び/または利用するとおりの検出プローブは、それらのそれぞれのオリゴヌクレオチドドメインが、それらが十分に近接している場合に、例えば、検出プローブが目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)に同時に結合した場合に、相互に届いて相互作用するほどの十分な長さを有するように設計されているためである。
【0187】
一部の実施形態では、標的実体検出システムは、(i)それぞれ特異的標的(例えば、分子標的または標的バイオマーカーシグネチャーのバイオマーカー)のための複数の検出プローブ(例えば、本明細書に記載のとおりのもの);及び(ii)目的の標的実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を捕捉するための作用因子を含む。一部の実施形態では、そのような捕捉因子は、それにコンジュゲートした標的捕捉部分を含む固体基材(例えば、本明細書に記載のもの、例えば、一部の実施形態では磁気ビーズなど)であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、標的捕捉部分は、目的の標的実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を指向する抗体因子であり得るか、またはそれを含み得る。
【0188】
II.提供される標的実体検出システムを使用する例示的な方法
提供される標的実体検出システムは、例えば、一部の実施形態では、特定の疾患、障害、もしくは状態(例えば、がん)または複数の疾患、障害、もしくは状態(例えば、複数のがん)の検出と関連して様々な用途及び/または目的のために、試料中で(例えば、生物学的、環境的、または他の試料中で)、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を検出する際に有用である。したがって、本明細書において提供される一部の態様は、本開示に従って使用するために適した複数の(例えば、少なくとも2、少なくとも3、またはそれ以上の)検出プローブを使用する方法に関する。一部の実施形態では、方法は、試料(例えば、ヒト対象からの血液または血液由来試料)中の目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を、少なくとも2つまたはそれ以上(例えば、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20またはそれ以上を含む)の本明細書において記載及び/または利用されるとおりの検出プローブを含む検出プローブのセットと接触させることを含む。一部の実施形態では、方法は、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を含む試料を、標的実体検出システム(例えば、本明細書において提供されるとおりのもの)に掛けることを含む。複数の検出プローブ(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)を、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を含む試料に、同時に、または別の時間に(例えば、連続的に)添加することができる。
【0189】
一部の実施形態では、特定の疾患、障害、または状態(例えば、がん)の検出に特異的である検出プローブのセットを単一アッセイチャンバーに添加することができる。一部の実施形態では、複数の疾患、障害、または状態(例えば、がん)の検出に特異的である検出プローブのセットを単一アッセイチャンバーに添加することができる。一部の実施形態では、検出プローブのセットを複数のサブセット(例えば、それぞれのセットは別個の疾患または状態の検出を指向する)に分割することができ、その各サブセットを、同じ試料からのアリコットに添加することができる。したがって、一部の実施形態では、検出プローブの異なるセット(例えば、それぞれ、別個の疾患または状態の検出を指向する)を異なるアリコットに添加することができるように、試料をアリコットに分割することができる。そのような実施形態では、提供される技術を、同時に1つのアリコットで、または同時に複数のアリコットで(例えば、スループットを上昇させるために平行アッセイで)実施することができる。
【0190】
一部の実施形態では、検出プローブが、目的の実体(例えば、生物学的実体)に結合せずに、少なくとも多大に無作為に相互に近接しないことを保証するために、試料に添加される検出プローブの量は、混合物中で検出プローブの十分に低い濃度をもたらす。したがって、多くの実施形態で、検出プローブが、検出プローブのそれぞれの標的結合部分と目的の実体(例えば、生物学的実体)の結合部分との間の結合相互作用を介して、同じ目的の実体(例えば、生物学的実体)に同時に結合した場合、検出プローブは、二本鎖複合体(例えば、本明細書に記載のとおりのもの)を形成するほど十分に相互に近接する。一部の実施形態では、試料と組み合わせた後の混合物中の検出プローブの濃度は、約1fM~1μM、例えば、約1pM~約100nMを含めて、約1pM~約1nMの範囲であり得る。
【0191】
一部の実施形態では、同じ目的の実体(例えば、生物学的実体)にそれぞれの検出プローブが結合せずに、ある目的の実体(例えば、生物学的実体)に結合している検出プローブが、別の目的の実体(例えば、生物学的実体)に結合している別の検出プローブと、少なくとも多大に無作為に近接しないように、試料中の目的の実体(例えば、生物学的実体)の濃度は十分に低い。例にすぎないが、目的の非標的実体(例えば、非癌性生物学的実体、例えば、第1の標的を含む細胞外小胞)に結合している第1の標的検出プローブが、別の目的の非標的実体(例えば、非癌性生物学的実体、例えば、細胞外小胞)に結合している別の異なる標的検出プローブと、少なくとも多大に無作為に近接せず、擬陽性検出可能なシグナルを生成しないように、試料中の目的の実体(例えば、生物学的実体)の濃度は十分に低い。
【0192】
一部の実施形態では、目的の実体を本開示に従って使用するために適した検出プローブと接触させる前に、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を、固体基材上に捕捉または固定化することができる。一部の実施形態では、目的の実体を、例えば、吸着を含む非特異的相互作用により固体基材表面上に捕捉することができる。一部の実施形態では、目的の実体を、固体基材表面上に選択的に捕捉することができる。例えば、一部の実施形態では、固体基材表面を、目的の実体(例えば、目的の実体、例えば、細胞外小胞またはがん関連細胞外小胞を特異的に標的とする抗体因子)に特異的に結合する作用因子でコーティングすることができる。一部の実施形態では、固体基材表面を親和性結合対のメンバーでコーティングすることができ、かつ捕捉される目的の実体を、上記親和性結合対の相補的メンバーにコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、例示的な親和性結合対には、例えば、これに限定されないが、ビオチン及びアビジン様分子、例えば、ストレプトアビジンが含まれる。当業者には理解されるであろうとおり、他の適切な親和性結合対を、固体基材表面への目的の実体の捕捉を促進するために使用することもできる。一部の実施形態では、例えば、未希釈ヒト血液または血漿試料から細胞外小胞を単離するための交流動電マイクロアレイチップデバイスの使用を両方とも記載しているIbsen et al.ACS Nano.、11:6641-6651(2017)及びLewis et al.ACS Nano.、12:3311-3320(2018)に記載されているとおり、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を、本出願による固体基材表面上に捕捉することができる。
【0193】
固体基材を、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)を捕捉するために適しており、かつ下流での取り扱い、処理、及び/または検出に干渉しない形態で得ることができる。例えば、一部の実施形態では、固体基材は、ビーズ(例えば、磁気ビーズ)であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、固体基材は、表面であり得るか、またはそれを含み得る。例えば、一部の実施形態では、そのような表面は、アッセイチャンバーの捕捉表面(例えば、管、ウェル、マイクロウェル、プレート、フィルター、膜、マトリックスなどを含む)であり得る。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、目的の実体(例えば、生物学的実体)を複数の検出プローブと接触させる前に、目的の実体を固体基材上に捕捉すること、または固定化することを含む。
【0194】
一部の実施形態では、目的の実体を固体基材表面に捕捉する前に、目的の実体を含む試料を、望ましくない実体、例えば、細胞破片または細胞を除去するために処理することができる。例えば、一部の実施形態では、そのような試料を、例えば、細胞破片、細胞、及び/または他の微粒子を除去するために、遠心分離に掛けることができる。加えて、または別法では、一部の実施形態では、そのような試料を、サイズ排除ベースの精製または濾過に掛けることができる。様々なサイズ排除ベースの精製または濾過が当技術分野で公知であり、当業者は、場合によっては試料を、特異的な分子量または粒径カットオフに基づくスピンカラム精製に掛けることができることが分かるであろう。当業者はまた、精製目的での適切な分子量または粒径カットオフを、例えば、目的の実体(例えば、生物学的実体、例えば、細胞外小胞)のサイズに基づき選択することができることが分かるであろう。例えば、一部の実施形態では、ある特定のサイズ(例えば、30nm~1000nm)である細胞外小胞の画分を単離するために、サイズ排除分離方法を、細胞外小胞を含む試料に適用することができる。一部の実施形態では、70nm超及び以下200nmである細胞外小胞の画分を単離するために、サイズ排除分離方法を、細胞外小胞を含む試料に適用することができる。
【0195】
一部の実施形態では、目的の実体を、本明細書において記載及び/または利用される複数の検出プローブと接触させる前に、試料中の目的の実体(例えば、生物学的実体)を処理することができる。例えば、検出される目的の実体(例えば、生物学的実体)中の標的(例えば、分子標的)を安定化させるために、及び/または検出プローブへの標的(例えば、分子標的、例えば、細胞内標的)の暴露を促進するために、及び/または検出プローブの非特異的結合を減少させるために、種々の試料処理及び/または調製を実行することができる。そのような試料処理及び/または調製の例は当技術分野で公知であり、それには、これに限定されないが、分子標的の架橋(例えば、固定)、生物学的実体(例えば、細胞または細胞外小胞)の透過化、及び/または非特異的結合部位の遮断が含まれる。
【0196】
試料中の目的の実体(例えば、生物学的実体)を検出プローブのセットと接触させた後に、そのような混合物を、検出プローブが、存在するならば目的の実体中の対応する標的(例えば、分子標的)に結合して、二本鎖複合体(例えば、本明細書に記載のとおりのもの)を形成するために十分な時間にわたってインキュベートすることができる。一部の実施形態では、そのような混合物を、約30分~約2時間を含む約5分~約5時間の範囲の期間にわたって、約20℃~約37℃を含む約10~約50℃の範囲の温度でインキュベートする。
【0197】
次いで、二本鎖複合体(目的の実体、例えば生物学的実体を検出プローブと接触させたことから生じた)を続いて、核酸リガーゼと接触させて、検出プローブのオリゴヌクレオチド鎖の遊離3’末端ヒドロキシル及び5’末端リン酸末端の核酸ライゲーションを行って、それにより、少なくとも2つまたはそれ以上の検出プローブのオリゴヌクレオチド鎖を含むライゲートされたテンプレートを生じさせることができる。一部の実施形態では、二本鎖複合体を含むアッセイ試料を核酸リガーゼと接触させる前に、少なくとも1つまたはそれ以上の阻害因子オリゴヌクレオチド(例えば、本明細書に記載のとおりのもの)をアッセイ試料に添加することができ、そうして、阻害因子オリゴヌクレオチドが、そうでなければライゲーション反応中に相互に相互作用し得るいずれの残留浮遊性検出プローブも捕捉することができるようにする。
【0198】
当技術分野で公知であるとおり、リガーゼは、2つの直接的に隣接する核酸が相補的である第3の核酸配列にアニーリングまたはハイブリダイズした場合に、それらの並置された3’-ヒドロキシルと5’-リン酸末端との間でのホスホジエステル結合の形成を触媒する。任意の既知の核酸リガーゼ(例えば、DNAリガーゼ)を使用することができ、これに限定されないが、温度感受性及び/または熱安定性リガーゼが含まれる。温度感受性リガーゼの非限定的例には、バクテリオファージT4DNAリガーゼ、バクテリオファージT7リガーゼ、及びE.coliリガーゼが含まれる。熱安定性リガーゼの非限定的例には、Taqリガーゼ、Tthリガーゼ、及びPfuリガーゼが含まれる。熱安定性リガーゼは、これに限定されないが、原核、真核、または古細菌生体を含む好熱または超好熱生物から得ることができる。一部の実施形態では、核酸リガーゼは、DNAリガーゼである。一部の実施形態では、核酸リガーゼは、RNAリガーゼであり得る。
【0199】
一部の実施形態では、ライゲーションステップにおいて、必要であり、及び/または望ましい適切な核酸リガーゼ(例えば、DNAリガーゼ)及び任意の試薬を反応混合物と合わせ、ハイブリダイズされたライゲーションオリゴヌクレオチドのライゲーションが生じるために十分な条件下で維持する。ライゲーション反応条件は、当業者に周知である。ライゲーション中、反応混合物を、一部の実施形態では、約20℃~約45℃、例えば、約25℃~約37℃の範囲の温度で、約5分~約16時間、例えば、約1時間~約4時間の範囲の時間にわたって維持することができる。また他の実施形態では、反応混合物を、約35℃~約45℃、例えば約37℃~約42℃の範囲、例えば、38℃、39℃、40℃または41℃の温度か、またはほぼその温度で、約5分~約16時間、例えば約2~約8時間を含む約1時間~約10時間の範囲の時間にわたって維持することができる。
【0200】
そのようなライゲートされたテンプレートの検出は、試料中の目的の実体(例えば、生物学的実体)が、検出プローブが指向する標的について陽性または陰性であるかどうかに関する情報をもたらし得る。例えば、そのようなライゲートされたテンプレートの検出可能なレベルは、試験された目的の実体(例えば、生物学的実体)が目的の標的(例えば、分子標的)を含むことを示している。一部の実施形態では、検出可能なレベルは、基準レベルを、例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれ以上を含む、例えば、少なくとも10%またはそれ以上超えるレベルである。一部の実施形態では、基準レベルは、陰性対照試料、例えば、そのような標的を含む目的の実体が存在しない試料において観察されるレベルであり得る。逆に、そのようなライゲートされたテンプレートの検出不可能なレベル(例えば、検出可能なレベルの閾値未満であるレベル)は、目的の標的(例えば、分子標的)の少なくとも1つが、試験された目的の実体(例えば、生物学的実体)に存在しないことを示している。当業者は、検出可能なレベルを検出不可能なレベルから分ける閾値を、例えば、それぞれの用途及び/または目的に最適であると考えられる所望の感受性レベル、及び/または所望の特異性レベルに基づき決定することができることが分かるであろう。例えば、一部の実施形態では、99.7%の特異性を、本明細書で提供されるシステムを使用して、例えば、基準レベル(例えば、陰性対照試料、例えば、1つまたは複数の正常で健康な個体に由来する試料などにおいて観察されるレベル)を3標準偏差超える閾値を設定することにより達成することができる。加えて、または別法では、当業者は、検出可能なレベル(例えば、検出シグナル強度により反映されるとおりのレベル)の閾値が基準レベルの1~100倍超であってよいことが分かるであろう。
【0201】
一部の実施形態では、本明細書において提供される方法は、ライゲーションの後に、ライゲートされたテンプレートを、例えば、試料中の目的の実体の存在及び/または量の測定として検出することを含む。様々な実施形態で、ライゲートされたテンプレートの検出は、定性的または定量的であり得る。したがって、検出が定性的である一部の実施形態では、方法は、少なくとも2つまたはそれ以上の標的(例えば、分子標的)を含む目的の実体(例えば、生物学的実体)が、アッセイされる試料中に存在するかしないかの読取りまたは評価、例えば、評定を提供する。他の実施形態では、方法は、少なくとも2つまたはそれ以上の標的(例えば、分子標的)を含む目的の実体(例えば、生物学的実体)がアッセイされる試料中に存在するかどうかの定量的検出、例えば、アッセイされる試料中に少なくとも2つまたはそれ以上の標的(例えば、分子標的)を含む目的の実体(例えば、生物学的実体)の実際量の評価または評定を提供する。一部の実施形態では、そのような定量的検出は、絶対的または相対的であり得る。
【0202】
本明細書において提供される技術を使用することにより形成されるライゲートされたテンプレートを、当技術分野で公知の適切な方法により検出することができる。当業者は、適切な検出方法を、例えば、所望の感受性レベル及び/または方法が実行されている用途に基づき選択することができることが分かるであろう。一部の実施形態では、ライゲートされたテンプレートを、何らかの増幅を伴わずに直接的に検出することができる一方で、他の実施形態では、例えば、特定のアッセイの感受性を増強するために、ライゲートされたテンプレートのコピー数を増加させるように、ライゲートされたテンプレートを増幅することができる。増幅を伴わずに検出が実行可能である場合、ライゲートされたテンプレートを、種々の方法で検出することができる。例えば、検出プローブ(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)のオリゴヌクレオチドドメインは、ライゲートされたテンプレートが直接的に標識されるように、直接的に標識、例えば、蛍光または放射性同位体標識されていてよい。例えば、一部の実施形態では、検出プローブ(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)のオリゴヌクレオチドドメインは、検出可能な標識を含み得る。検出可能な標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、導電的、光学的または化学的手段により検出可能な組成物であってよい。そのような標識には、標識されたストレプトアビジンコンジュゲートで染色するためのビオチン、磁気ビーズ(例えば、Dynabeads(登録商標))、蛍光色素(例えば、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質など)、放射標識(例えば、H、125I、34S、14C、または32P)、酵素(例えば、ELISAで一般に使用されるホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)、及びコロイド金または着色ガラスまたはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズなどの熱量ラベルが含まれる。一部の実施形態では、ライゲートされたテンプレートを検出するために、直接的に標識されライゲートされたテンプレートを、ライゲートされていない直接的に標識されたライゲーションオリゴヌクレオチドを含む反応混合物の残りからサイズ分離することができる。
【0203】
一部の実施形態では、ライゲートされたテンプレートの検出は、例えば、アッセイの感受性を増強するために、ライゲートされた核酸のコピー数を増加させる増幅ステップを含み得る。上記増幅は、所望に応じて、直線的または指数関数的であってよく、その際、増幅には、これに限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR);定量的PCR、等温増幅、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、デジタルドロップレットPCRなどが含まれ得る。
【0204】
PCR増幅を達成するための様々な技術が当技術分野で公知であり;当業者は、PCR技術の様々な実施形態を十分に熟知しているであろうし、かつ本明細書において提供される技術を使用して生成されるライゲートされたテンプレートを増幅するために適したものを容易に選択することができるであろう。例えば、一部の実施形態では、ライゲートされたテンプレートを含む反応混合物を、プライマー伸長反応において使用される1つまたは複数のプライマー、例えば、PCRプライマー(幾何学的(または指数関数的)増幅で用いられるフォワード及びリバースプライマー、または直線的増幅で用いられる単一プライマーなど)と合わせる。1つまたは複数のライゲートされたテンプレートを接触させるオリゴヌクレオチドプライマーは、適切なアニーリング条件下で相補的テンプレートDNAへのハイブリダイゼーションをもたらすために十分な長さのものであるべきである。プライマーは典型的には、例えば、少なくとも15bp長、少なくとも20bp長、少なくとも25bp長、少なくとも30bp長またはそれ以上を含めて、少なくとも10bp長である。一部の実施形態では、プライマーの長さは典型的には、約15~50bp長、約18~30bp長、または約20~35bp長の範囲であり得る。テンプレートDNAのプライマー伸長、直線的、または指数関数的増幅が所望であるかどうかに応じて、ライゲートされたテンプレートを、単一のプライマーまたは2つのプライマーのセット(フォワード及びリバースプライマー)と接触させることができる。上記の構成成分に加えて、ライゲートされたテンプレートを含む反応混合物は典型的には、ポリメラーゼ及びデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)を含む。所望のポリメラーゼ活性を、1つまたは複数の別個のポリメラーゼ酵素により得ることができる。反応混合物を調製する際に、例えば、ライゲートされたテンプレートを増幅するために、様々な構成成分を、任意の簡便な順序で合わせることができる。例えば、適切なバッファーを、1つまたは複数のプライマー、1つまたは複数のポリメラーゼ及び検出されるライゲートされたテンプレートと合わせることができるか、または様々な構成成分のすべてを同時に合わせて、反応混合物を生成することができる。
【0205】
III.個々の生物学的実体(例えば、細胞外小胞)における標的組合せ(複数可)(例えば、標的バイオマーカーシグネチャー(複数可))の検出
一部の実施形態では、本明細書において提供される技術(例えば、システム、組成物、及び方法を含む)は、個々の生物学的実体(例えば、細胞外小胞)において1つまたは複数の標的組合せ(例えば、疾患、障害、または状態、例えば、がんのための1つまたは複数の標的バイオマーカーシグネチャー)を検出するために有用であり得る。一部の実施形態では、本開示は、個々の細胞外小胞における疾患、障害、または状態(例えば、がん)の1つまたは複数の標的組合せ(例えば、1つまたは複数の標的バイオマーカーシグネチャー)の共局在を検出することにより、例えば、細胞非含有核酸、血清タンパク質、及び/または細胞外小胞のバルク分析に基づく多くの従来の診断アッセイの問題を解決する技術(システム、組成物、及び方法を含む)を提供する。一部の実施形態では、本開示に従って検出される標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくとも1つの細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドと、そのような疾患、障害、または状態(例えば、がん)と関連する細胞外小胞に存在する表面タンパク質バイオマーカー、内部タンパク質バイオマーカー、及びRNAバイオマーカーからなる群から選択される少なくとも1つの標的バイオマーカーとを含む。一部の実施形態では、そのような標的バイオマーカーシグネチャーを、バイオインフォマティクス分析により同定することができる。
【0206】
一態様では、本開示は特に、個々の生物学的実体(例えば、細胞外小胞)中において1つまたは複数のバイオマーカーシグネチャーを検出するための組成物(例えば、システム及びキット)及び方法を提供する。多くの実施形態で、そのような標的バイオマーカーシグネチャーは、疾患、障害、または状態、例えば、がんに特異的である。一部の実施形態では、そのような標的バイオマーカーシグネチャーは、多方向バイオインフォマティクス分析及び生物学的アプローチにより同定することができ、これは例えば、一部の実施形態では、機械学習及び/または計算モデリングを介した、例えば、一部の実施形態では、シーケンシングデータ、発現データ、質量分析法、組織診、翻訳後修飾データ、及び/またはin vitro及び/またはin vivo実験データのうちの1つまたは複数を含むデータの多用なセットの計算分析を含む。
【0207】
一部の実施形態では、バイオマーカーの組合せ(例えば、標的バイオマーカーシグネチャー)を、検出プローブの複数(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)の一対またはオルトゴナルな組合せにより検出することができ、その際、検出プローブの各対は、少なくとも1つの別個の標的を指向し得る。一部の実施形態では、バイオマーカーの組合せ(例えば、標的バイオマーカーシグネチャー)を、それぞれ相互にハイブリダイズして線状複合体を形成するように設計されている検出プローブのセットにより検出することができる。一部の実施形態では、バイオマーカーの複数(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)の組合せを、がん検出のために選択することができる。一部の実施形態では、バイオマーカーの複数(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)の組合せを、特異的がんまたはそのステージ及び/またはそのサブタイプを検出するために選択することができる。一部の実施形態では、バイオマーカーの複数(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)のオルトゴナルな組合せをがん検出のために選択することができる。一部の実施形態では、バイオマーカーの複数(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)のオルトゴナルな組合せを、特異的がんまたはそのステージ及び/またはそのサブタイプを検出するために選択することができる。一部の実施形態では、複数(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)の標的バイオマーカーシグネチャーをがん検出のために選択することができる。一部の実施形態では、複数(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)の標的バイオマーカーシグネチャーを、特異的がんまたはそのステージ及び/またはそのサブタイプを検出するために選択することができる。例にすぎないが、一部の実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカー組合せA及び1つのバイオマーカー組合せBを、特異的がんまたはそのステージ及び/またはそのサブタイプを検出するために選択することができ、その際、バイオマーカー組合せAは、標的1及び標的2であり得るか、またはそれを含み得;かつバイオマーカー組合せBは、標的1及び標的3であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカー組合せA及び1つのバイオマーカー組合せBを、特異的がんまたはそのステージ及び/またはそのサブタイプを検出するために選択することができ、その際、バイオマーカー組合せAは、標的1及び標的2であり得るか、またはそれを含み得;かつバイオマーカー組合せBは、標的3及び標的4であり得るか、またはそれを含み得る。
【0208】
一部の実施形態では、疾患、障害、または状態(例えば、がん)についての標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくとも1つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上)の細胞外小胞関連膜結合ポリペプチド(例えば、疾患、障害、または状態(例えば、がん)と関連する細胞外小胞中に存在する表面ポリペプチドと、表面タンパク質バイオマーカー(複数可)、小胞内タンパク質バイオマーカー(複数可)、及び小胞内RNAバイオマーカー(複数可)からなる群から選択される少なくとも1つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上)の標的バイオマーカーとを含み、疾患、障害、または状態(例えば、がん)の標的バイオマーカーシグネチャーを表すそのような細胞外小胞関連膜結合ポリペプチド(複数可)と、そのような標的バイオマーカー(複数可)との組合せが、本明細書において提供される技術(例えば、本明細書に記載の標的実体検出システム)を使用して検出されると、(a)擬陽性の数を最小化する高い特異性(例えば、99%超またはそれ以上、例えば、99.5%超)、及び(b)診断される疾患、障害、または状態(例えば、がんまたは予後が最も有利である早期ステージがん)についての高い感受性(例えば、40%超)をもたらすようになっている。一部の実施形態では、疾患、障害、または状態(例えば、がん)の標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくとも1つの細胞外小胞関連膜結合ポリペプチド(例えば、疾患、障害、または状態(例えば、がん)と関連する細胞外小胞中に存在する表面ポリペプチドと、表面タンパク質バイオマーカー(複数可)、小胞内タンパク質バイオマーカー(複数可)、及び小胞内RNAバイオマーカー(複数可)からなる群から選択される少なくとも1つの標的バイオマーカーとを含み、疾患、障害、または状態(例えば、がん)の標的バイオマーカーシグネチャーを表すそのような細胞外小胞関連膜結合ポリペプチド(複数可)と、そのような標的バイオマーカー(複数可)との組合せが、本明細書において提供される技術(例えば、本明細書に記載の標的実体検出システム)を使用して検出されると、例えば、少なくとも15%またはそれ以上を含む、少なくとも10%またはそれ以上の陽性予測値(PPV)をもたらすようになっている。
【0209】
一部の実施形態では、疾患、障害、または状態(例えば、がん)についての標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくとも1つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上)の細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドと、少なくとも1つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上)の表面タンパク質バイオマーカーとを含み、その際、上記細胞外小胞関連膜結合ポリペプチド(複数可)及び表面タンパク質バイオマーカー(複数可)は別個である。
【0210】
一部の実施形態では、疾患、障害、または状態(例えば、がん)についての標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくとも1つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上)の細胞外小胞関連膜結合ポリペプチド(例えば、本明細書に記載のもの)と、少なくとも1つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上)の小胞内タンパク質バイオマーカー(例えば、本明細書に記載のもの)とを含む。一部のそのような実施形態では、上記細胞外小胞関連膜結合ポリペプチド(複数可)と、上記小胞内タンパク質バイオマーカー(複数可)とは、同じ遺伝子によりコードされ得る一方で、前者は、細胞外小胞の膜で発現され、かつ後者は、細胞外小胞内で発現される。一部のそのような実施形態では、上記細胞外小胞関連膜結合ポリペプチド(複数可)と、上記小胞内タンパク質バイオマーカー(複数可)とは、異なる遺伝子によりコードされ得る。
【0211】
一部の実施形態では、疾患、障害、または状態(例えば、がん)についての標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくとも1つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上)の細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドと、少なくとも1つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上)の小胞内RNA(例えば、mRNA)バイオマーカーとを含む。一部のそのような実施形態では、上記細胞外小胞関連膜結合ポリペプチド(複数可)と、上記小胞内RNA(例えば、mRNA)バイオマーカー(複数可)とは、同じ遺伝子によりコードされ得る。一部のそのような実施形態では、上記細胞外小胞関連膜結合ポリペプチド(複数可)と、上記小胞内RNA(例えば、mRNA)バイオマーカー(複数可)とは、異なる遺伝子によりコードされ得る。
【0212】
IV.標的バイオマーカーシグネチャー(複数可)を検出する例示的な方法
一般に、本開示は、それを必要とする対象からの細胞外小胞を含む血液由来試料において標的バイオマーカーシグネチャーを分析し、及び/または評定する技術を提供する;一部の実施形態では、診断または治療の決定を、そのような分析及び/または評定に基づき行う。当業者は、本開示を読むことで、本明細書に記載の検出方法の様々な組合せを、試料において1つまたは複数の標的バイオマーカーシグネチャーを検出するために使用することができることを認めるであろう。例えば、一部の実施形態では、バルクEV分析及び単一EVプロファイリング分析の組合せを、試料において1つまたは複数の標的バイオマーカーシグネチャーを検出するために使用することができる。一部の実施形態では、標的実体検出システム(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)を含む単一EVプロファイリング分析を、標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数のタンパク質-及び/または核酸ベースのバイオマーカーを検出するための1つまたは複数の方法(例えば、本明細書に記載のとおりのもの)と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、細胞外小胞を含む試料を複数のアリコットに分割することができ、それにより、本明細書において記載されている、及び/または利用される異なる検出技術を使用して単一試料において標的バイオマーカーシグネチャーの複数(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)のバイオマーカーの検出が可能になり得る。
【0213】
例えば、一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の標的バイオマーカーを検出する方法は、タンパク質としての標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数のマーカーを検出するための方法を含み得る。1つまたは複数のマーカーを検出する例示的なタンパク質ベースの方法には、これに限定されないが、近接ライゲーションアッセイ、質量分析法(MS)及びイムノアッセイ、例えば、免疫沈降;ウェスタンブロット;ELISA;免疫組織化学;免疫細胞化学;フローサイトメトリー;及び免疫PCRが含まれる。一部の実施形態では、イムノアッセイは、化学発光イムノアッセイであり得る。一部の実施形態では、イムノアッセイは、ハイスループット及び/または自動イムノアッセイプラットフォームであり得る。
【0214】
一部の実施形態では、試料においてタンパク質としての標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数のマーカーを検出する方法は、試料を、そのような1つまたは複数の目的のマーカーを指向する1つまたは複数の抗体因子と接触させることを含む。一部の実施形態では、そのような方法はまた、そのような試料を1つまたは複数の検出ラベルと接触させることを含む。一部の実施形態では、抗体因子を1つまたは複数の検出ラベルで標識する。
【0215】
一部の実施形態では、目的のバイオマーカーと、目的のバイオマーカーのための抗体因子との間の結合の検出は、1つまたは複数の検出因子での吸光値または発光値を決定することを含む。例えば、吸光値または発光値は、細胞外小胞により発現される目的のバイオマーカーの量及び/または濃度を示す(例えば、吸光度が高いほど、細胞外小胞により発現される目的のバイオマーカーのレベルが高いことを示す)。一部の実施形態では、検出因子での吸光値または発光値は、閾値を超える。一部の実施形態では、検出因子での吸光値または発光値は、閾値よりも少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2.0、少なくとも2.5、少なくとも3.0、少なくとも3.5倍またはそれ以上高い。一部の実施形態では、閾値を、対照または基準群の集団(例えば、がん検出の文脈における健康な対象または非がん対象)全体で決定する。
【0216】
一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の標的バイオマーカーを検出する方法は、核酸としての1つまたは複数のマーカーを検出するための方法を含み得る。1つまたは複数のマーカーを検出する例示的な核酸ベースの方法は、これに限定されないが、核酸増幅方法、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、転写-媒介増幅(TMA)、リガーゼ鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、及び核酸配列ベースの増幅(NASBA)を実行することを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数のマーカーを検出する核酸ベースの方法は、1つまたは複数の核酸プローブと、目的のバイオマーカーをコードする1つまたは複数のヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーションを検出することを含む。一部の実施形態では、上記核酸プローブは、目的のバイオマーカーをコードする1つまたは複数のヌクレオチドうちの1つの少なくとも一部分に対してそれぞれ相補的である。一部の実施形態では、目的のバイオマーカーをコードするヌクレオチドには、DNA(例えば、cDNA)が含まれる。一部の実施形態では、目的のバイオマーカーをコードするヌクレオチドには、RNA(例えば、mRNA)が含まれる。
【0217】
一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の標的バイオマーカーを検出する方法は、近接-ライゲーション-免疫定量的ポリメラーゼ連鎖反応(pliq-PCR)を含み得る。pliq-PCRは、EVをプロファイルするための他の技術を上回るある特定の利点を有し得る。例えば、pliq-PCRは、他の標準的なイムノアッセイ、例えば、ELISAよりも3桁高い感受性を有し得る(Darmanis et al.、2010)。一部の実施形態では、pliq-PCR反応を、痕跡レベルの腫瘍由来EV、例えば、1mLあたり1000までのEVを検出することを可能にする極めて低いLODを有するように設計することができる。
【0218】
一部の実施形態では、標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の標的バイオマーカーを検出する方法は、例えば、それぞれ約10及び約10EVのLODが報告されている(Shao et al.,2018)、Nanoplasmic Exosome(nPLEX)Sensor(Im et al.,2014)及びIntegrated Magnetic-Electrochemical Exosome(iMEX)Sensor(Jeong et al.、2016)を含む、EVを検出するための他の技術を含み得る。
【0219】
一部の実施形態では、細胞外小胞において標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の標的バイオマーカーを検出する方法は、バルクEV試料分析を含み得る。
【0220】
一部の実施形態では、細胞外小胞において標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の標的バイオマーカーを検出する方法は、個々のEVをプロファイルすること(例えば、単一EVプロファイリングアッセイ)に基づき得、これは、下記の「個々の細胞外小胞(EV)をプロファイルするために提供される方法」と標題したセクションにおいてさらに論述する。
【0221】
一部の実施形態では、試料中の細胞外小胞を、本開示に従って標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の標的バイオマーカーを検出する前に、固体基材上に捕捉または固定化することができる。一部の実施形態では、細胞外小胞を、例えば、吸着を含む非特異的相互作用により固体基材表面上に捕捉することができる。一部の実施形態では、細胞外小胞を、固体基材表面上に選択的に捕捉することができる。例えば、一部の実施形態では、固体基材表面を、細胞外小胞(例えば、例えば疾患、障害、または状態、例えば、がんと関連する細胞外小胞を特異的に標的とする抗体因子)に特異的に結合する作用因子でコーティングすることができる。一部の実施形態では、固体基材表面を、親和性結合対の膜でコーティングすることができ、かつ捕捉される目的の実体(例えば、細胞外小胞)を、上記親和性結合対の相補的メンバーにコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、例示的な親和性結合対には、例えば、これに限定されないが、ビオチン及びアビジン様分子、例えば、ストレプトアビジンが包含される。当業者に理解されるとおり、固体基材表面への目的の実体の捕捉を促進するために、他の適切な親和性結合対を使用することもできる。一部の実施形態では、例えば、未希釈ヒト血液または血漿試料から細胞外小胞を単離するための交流動電マイクロアレイチップデバイスの使用を両方とも記載しているIbsen et al.ACS Nano.、11:6641-6651(2017)及びLewis et al.ACS Nano.、12:3311-3320(2018)に記載されているとおり、目的の実体を電流の適用により固体基材表面上に捕捉することができる。
【0222】
固体基材を、細胞外小胞を捕捉するために適していて、かつ下流での取り扱い、処理、及び/または検出に干渉しない形態で得ることができる。例えば、一部の実施形態では、固体基材は、ビーズ(例えば、磁気ビーズ)であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、固体基材は、表面であり得るか、またはそれを含み得る。例えば、一部の実施形態では、そのような表面は、アッセイチャンバーの捕捉表面(例えば、管、ウェル、マイクロウェル、プレート、フィルター、膜、マトリックスなどを含む)であり得る。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、試料において得られたバイオマーカーを検出する前に、細胞外小胞を固体基材上に捕捉すること、または固定化することを含む。
【0223】
一部の実施形態では、細胞外小胞を固体基材表面上に捕捉する前に、試料を例えば、望ましくない実体、例えば、細胞破片または細胞を除去するために処理することができる。例えば、一部の実施形態では、そのような試料を、例えば、細胞破片、細胞、及び/または他の微粒子を除去するために、遠心分離に掛けることができる。加えて、または別法では、一部の実施形態では、そのような試料を、サイズ排除ベースの精製または濾過に掛けることができる。様々なサイズ排除ベースの精製または濾過が当技術分野で公知であり、当業者は、場合によっては試料を、特異的な分子量または粒径カットオフに基づきスピンカラム精製に掛けることができることが分かるであろう。当業者はまた、精製目的での適切な分子量または粒径カットオフを、例えば、細胞外小胞のサイズに基づき選択することができることが分かるであろう。例えば、一部の実施形態では、ある特定のサイズ(例えば、30nm超及び1000nm以下、または70nm超及び200nm以下)である細胞外小胞の画分を単離するために、サイズ排除分離方法を、細胞外小胞を含む試料に適用することができる。典型的には、細胞外小胞は、直径30nmから数マイクロメートルの範囲であり得る。例えば、種々の細胞外小胞(EV)サブタイプでのサイズ:ミグラソーム(0.5~3μm)、微小小胞体(0.1~1μm)、オンコソーム(1~10μm)、エキソマー(<50nm)、小エクソソーム(60~80nm)、及び大エクソソーム(90~120nm)の情報を提供しているChuo et al.,“Imaging extracellular vesicles:current and emerging methods” Journal of Biomedical Sciences 25:91(2018)を参照されたい。一部の実施形態では、特異的EVサブタイプ(複数可)を単離するために、サイズ排除分離方法を、細胞外小胞を含む試料に適用することができる。
【0224】
一部の実施形態では、疾患、障害、または状態、例えば、がんについての標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の標的バイオマーカーを検出する前に、試料中の細胞外小胞を処理することができる。例えば、検出される細胞外小胞中の標的(例えば、標的バイオマーカー)を安定化するために、及び/または検出アッセイ(例えば、本明細書に記載のとおりのもの)への標的(例えば、小胞内タンパク質及び/またはRNA、例えば、mRNA)の曝露を促進するために、及び/または非特異的結合を減少させるために、種々の試料処理及び/または調製を行うことができる。そのような試料処理及び/または調製の例は当技術分野で公知であり、かつ、それには、これに限定されないが、分子標的の架橋(例えば、固定)、生物学的実体(例えば、細胞または細胞外小胞)の透過化、及び/または非特異的結合部位の遮断が含まれる。
【0225】
一態様では、本開示は、疾患、障害、または状態、例えば、がんなどの標的バイオマーカーシグネチャーが、一部の実施形態では、細胞外小胞を含む血液由来試料であってよいそれを必要とする対象からの生物学的試料中に存在するか、または存在しないかを検出するための方法を提供する。一部の実施形態では、そのような方法は、(a)対象からの生物学的試料、例えば、血液由来試料(例えば、血漿試料)において、疾患、障害、または状態、例えば、がんなどの標的バイオマーカーシグネチャーを発現する目的の生物学的実体(例えば、細胞外小胞を含む)を検出すること;及び(b)生物学的試料(例えば、血液由来試料)における目的の標的バイオマーカーシグネチャー発現生物学的実体(例えば、細胞外小胞)のレベルを示す試料情報を、基準閾値レベルを含む基準情報と比較することを含む。一部の実施形態では、基準閾値レベルは、基準対象、例えば、非がん対象の集団からの比較可能な試料における、そのような標的バイオマーカーシグネチャーを発現する目的の生物学的実体(例えば、細胞外小胞)のレベルに対応する。一部の実施形態では、例示的な非がん対象には、健康な対象(例えば、例えば20~30歳、または30~40歳、または40~50歳、または50~60歳、または60~70歳、または70歳超またはそれ以上などの指定の年齢範囲の健康な対象)、非がん関連の健康上の疾患、障害、または状態を有する対象(例えば、炎症性腸疾患または障害の症状を有する対象を含む)、良性腫瘍または腫瘤を有する対象、及びそれらの組合せが含まれる。
【0226】
一部の実施形態では、試料が、基準閾値レベル(例えば、本明細書に記載のもの)と比べて上昇したレベルの標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞を示す場合に、その試料を、標的バイオマーカーシグネチャー(例えば、本明細書に記載のもの)を発現する細胞外小胞を有すると決定する。一部の実施形態では、そのレベルが、基準閾値レベルと比較して、例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれ以上を含めて、少なくとも30%またはそれ以上高ければ、試料を標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞について陽性であると決定する。一部の実施形態では、そのレベルが、基準閾値レベルと比較して、例えば、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも250倍、少なくとも500倍、少なくとも750倍、少なくとも1000倍、少なくとも2500倍、少なくとも5000倍、またはそれ以上を含めて、少なくとも2倍またはそれ以上高ければ、試料を、標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞について陽性であると決定する。
【0227】
一部の実施形態では、2項分類システムを、試料が標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞について陽性であるかどうかを決定するために使用することができる。例えば、一部の実施形態では、そのレベルが基準閾値レベル、例えば、カットオフ値であるか、またはそれを超えているならば、試料を標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞について陽性であると決定する。一部の実施形態では、そのような基準閾値レベル(例えば、カットオフ値)を、健康な対象(例えば、既定の年齢範囲の対象)での対数正規分布及び目的の特異性(例えば、少なくとも95%またはそれ以上高い特異性[例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれ以上高い特異性を含む]、例えば、一部の実施形態では、少なくとも99.8%の特異性)を達成するために必要な標準偏差(SD)(例えば、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2、少なくとも2.1、少なくとも2.2、少なくとも2.3、少なくとも2.4、少なくとも2.5、少なくとも2.6、少なくとも2.7、少なくとも2.8、少なくとも2.9、少なくとも3、少なくとも3.1、少なくとも3.2、少なくとも3.3、少なくとも3.4、少なくとも3.5、少なくとも3.6またはそれより高いSD)の数の選択に基づき、例えば、疾患、障害、または状態、例えば、ある特定のがんの有病率に基づき決定することができる。
【0228】
本開示は特に、対象が疾患、障害、または状態、例えば、がんなどを有するか、またはそれに易罹患性であるかどうかを決定するための技術も提供する。例えば、一部の実施形態では、それを必要とする対象からの血液由来試料が基準閾値レベル、例えば、カットオフ値であるか、またはそれを超える標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞のレベルを示した場合に、上記対象を、疾患、障害、または状態、例えば、がんなどを有するか、またはそれに易罹患性であると分類する。一部のそのような実施形態では、基準閾値レベル(例えば、カットオフ値)を、健康な対象(例えば、既定の年齢範囲の対象)での対数正規分布及び目的の特異性(例えば、少なくとも95%またはそれ以上高い特異性[例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれ以上高い特異性を含む]、例えば、一部の実施形態では、少なくとも99.8%の特異性)を達成するために必要な標準偏差(SD)(例えば、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2、少なくとも2.1、少なくとも2.2、少なくとも2.3、少なくとも2.4、少なくとも2.5、少なくとも2.6、少なくとも2.7、少なくとも2.8、少なくとも2.9、少なくとも3、少なくとも3.1、少なくとも3.2、少なくとも3.3、少なくとも3.4、少なくとも3.5、少なくとも3.6またはそれより高いSD)の数の選択に基づき、例えば、疾患、障害、または状態、例えば、ある特定のがんの有病率に基づき決定することができる。一部の実施形態では、それを必要とする対象からの血液由来試料が、基準閾値レベルと比べて上昇したレベルの標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞を示す場合に、上記対象を、疾患、障害、または状態、例えば、がんなどを有するか、またはそれに易罹患性であると分類する。一部の実施形態では、それを必要とする対象の血液由来試料が、基準閾値レベルと比較して、例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれ以上を含めて、少なくとも30%またはそれ以上高い標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞のレベルを示す場合に、そのような対象を、疾患、障害、または状態、例えば、がんなどを有するか、またはそれに易罹患性であると分類する。一部の実施形態では、それを必要とする対象の血液由来試料が、基準閾値レベルと比較して、例えば、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも250倍、少なくとも500倍、少なくとも750倍、少なくとも1000倍、またはそれ以上を含めて、少なくとも2倍またはそれ以上高い標的バイオマーカーシグネチャー発現細胞外小胞のレベルを示す場合に、そのような対象を、疾患、障害、または状態、例えば、がんなどを有するか、またはそれに易罹患性であると分類する。それを必要とする対象からの血液由来試料が基準閾値レベルと比較可能なレベル(例えば、10~20%内)を示す場合に、上記対象を、疾患、障害、または状態、例えば、がんなどをおそらく有さないか、またはそれに易罹患性ではないと分類する。一部のそのような実施形態では、基準閾値レベルは、基準対象、例えば、非がん対象の集団からの比較可能な試料における標的バイオマーカーシグネチャーを発現する細胞外小胞のレベルに対応する。一部の実施形態では、例示的な非がん対象には、健康な対象(例えば、例えば20未満(例えば、乳児を含む)、20~30歳、または30~40歳、または40~50歳、または50~60歳、または60~70歳、または70歳超またはそれ以上などの指定の年齢範囲の健康な対象)、非がん関連の健康上の疾患、障害、または状態を有する対象(例えば、炎症性腸疾患または障害の症状を有する対象を含む)、良性腫瘍または腫瘤を有する対象、及びそれらの組合せが含まれる。
【0229】
V.個々の細胞外小胞(EV)をプロファイルするために提供される方法
一部の実施形態では、個々の細胞外小胞をプロファイルするためのアッセイ(例えば、単一のEVプロファイリングアッセイ)を、1つまたは複数の疾患、障害、または状態(例えば、がん)についての1つまたは複数の標的バイオマーカーシグネチャーを検出するために使用することができる。例えば、一部の実施形態では、そのようなアッセイは、(i)疾患、障害、または状態(例えば、がん)についての標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数のマーカーを標的とすることによる捕捉アッセイと、(ii)そのような標的バイオマーカーシグネチャーの少なくとも1つまたはそれ以上の追加の提供されるマーカーについての1つまたは複数の検出アッセイとを含み得、その際、そのような捕捉アッセイを、そのような検出アッセイの前に実行する。
【0230】
一部の実施形態では、捕捉アッセイを、それを必要とする対象の血液または血液由来試料(例えば、血漿試料)から細胞外小胞を選択的に捕捉するために実行する。一部の実施形態では、捕捉アッセイを、ある特定のサイズ範囲、及び/またはある特定の特徴(複数可)の細胞外小胞、例えば、疾患、障害、または状態(例えば、がん)と関連する細胞外小胞を選択的に捕捉するために実行する。一部のそのような実施形態では、捕捉アッセイの前に、血液または血液由来試料を事前処理して、例えば、これに限定されないが、可溶性タンパク質及び干渉実体、例えば、細胞破片などを含む、非細胞外小胞を除去することができる。例えば、一部の実施形態では、細胞外小胞を、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、対象の血液または血液由来試料から精製する。一部のそのような実施形態では、一部の実施形態では可溶性タンパク質及び他の干渉因子、例えば、細胞破片などの少なくとも90%またはそれ以上(例えば、少なくとも93%、95%、97%、99%またはそれ以上を含む)を除去することができるサイズ排除クロマトグラフィーを使用して、細胞外小胞を血液または血液由来試料から直接的に精製することができる。
【0231】
一部の実施形態では、捕捉アッセイは、血液または血液由来試料を、疾患、障害、または状態(例えば、がん)についての標的バイオマーカーシグネチャーの少なくとも1つのバイオマーカーに結合する標的捕捉部分を含む少なくとも1つの捕捉因子と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、捕捉アッセイを多重化してよく、これは、血液または血液由来試料を、捕捉因子のセットと接触させるステップを含み、その際、各捕捉因子は、疾患、障害、または状態(例えば、がん)について標的バイオマーカーシグネチャーの別個のバイオマーカーに結合する標的捕捉部分を含む。一部の実施形態では、標的捕捉部分は、細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドを指向する。
【0232】
一部の実施形態では、そのような標的捕捉部分を固体基材に固定化することができる。したがって、一部の実施形態では、捕捉アッセイにおいて使用される捕捉因子は、それにコンジュゲートした少なくとも1つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上)の標的捕捉部分を含む固体基材であるか、またはそれを含み、その際、各標的捕捉部分は、細胞外小胞関連膜結合ポリペプチド(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)を指向する。固体基材を、細胞外小胞を捕捉するために適しており、かつ下流での取り扱い、処理、及び/または検出に干渉しない形態で得ることができる。例えば、一部の実施形態では、固体基材は、ビーズ(例えば、磁気ビーズ)であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、固体基材は、表面であり得るか、またはそれを含み得る。例えば、一部の実施形態では、そのような表面は、アッセイチャンバーの捕捉表面(例えば、管、ウェル、マイクロウェル、プレート、フィルター、膜、マトリックスなどを含む)であり得る。一部の実施形態では、捕捉因子は、それにコンジュゲートした標的捕捉部分を含む磁気ビーズであるか、またはそれを含む。
【0233】
一部の実施形態では、検出アッセイを、捕捉アッセイ(例えば、上記のとおりのもの)により捕捉される細胞外小胞において標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数のバイオマーカー(例えば、捕捉アッセイにおいて標的化されるものとは異なるもの)を検出するために実行する。一部の実施形態では、検出アッセイは、免疫PCRを含み得る。一部の実施形態では、免疫PCRは、標的バイオマーカーシグネチャーの単一のバイオマーカーを標的とする少なくとも1つのプローブを含み得る。一部の実施形態では、免疫PCRは、標的バイオマーカーシグネチャーの同じバイオマーカーの異なるエピトープを指向する複数の(例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、またはそれ以上)のプローブを含み得る。一部の実施形態では、免疫PCRは、標的バイオマーカーシグネチャーの異なるバイオマーカーをそれぞれ指向する複数(例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、またはそれ以上)のプローブを含み得る。
【0234】
一部の実施形態では、検出アッセイは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を含み得る。一部の実施形態では、RT-PCRは、標的バイオマーカーシグネチャーの単一のバイオマーカーを標的とする少なくとも1つのプライマー/プローブセットを含み得る。一部の実施形態では、RT-PCRは、複数(例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、またはそれ以上)のプライマー/プローブセットを含み得、その際、各セットはそれぞれ、標的バイオマーカーシグネチャーの異なるバイオマーカーを指向する。
【0235】
一部の実施形態では、例えば、細胞外小胞(例えば、少なくとも1つの細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドを発現する捕捉細胞外小胞)内での標的バイオマーカーシグネチャーのバイオマーカータンパク質の共局在を決定するために、検出アッセイは、近接-ライゲーション-免疫定量的ポリメラーゼ連鎖反応(pliq-PCR)を含み得る。
【0236】
一部の実施形態では、検出アッセイは、一部では、個々の細胞外小胞における標的バイオマーカーシグネチャーの相互作用及び/または共局在に基づく本明細書に記載の標的実体検出システム(例えば、「提供される標的実体検出システム」と標題されたセクションに記載のとおりのもの)を使用する。例えば、そのような標的実体検出システムは、試料(例えば、生物学的、環境的、または他の試料)において、一部の実施形態では、少なくとも1つまたはそれ以上の(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上の)標的(例えば、分子標的)を含む目的の実体(例えば、目的の生物学的または化学的実体、例えば、細胞外小胞または分析物)を、単一の実体レベルで検出することができる。当業者は、本開示を読むことで、提供される標的実体検出システムが、例えば、疾患、障害、または状態(例えば、がん)の検出のためを含めて、広範囲の様々な適用及び/または目的のために有用であることを認めるであろう。例えば、一部の実施形態では、提供される標的実体検出システムは、医学的用途及び/または目的に有用であり得る。一部の実施形態では、提供される標的実体検出システムは、疾患または状態(例えば、がん)について個体(例えば、無症候性個体)をスクリーニングする(例えば、定期的にスクリーニングする)ために有用であり得る。一部の実施形態では、提供される標的実体検出システムは、異なる種類のがんについて個体(例えば、無症候性個体)をスクリーニングする(例えば、定期的にスクリーニングする)ために有用であり得る。一部の実施形態では、提供される標的実体検出システムは、無症候性個体を含むか、またはその個体からなる集団に適用される場合にも、有効である(例えば、十分に高い感受性及び/または低率の擬陽性及び/または偽陰性結果により)。一部の実施形態では、提供される標的実体検出システムは、コンパニオン診断として、疾患処置(例えば、疾患、障害、または状態、例えば、がんなどの処置)と併せて有用であり得る。
【0237】
一部の実施形態では、細胞外小胞、例えば、捕捉アッセイ(例えば、上記のとおりのもの)により捕捉されるものにおいて1つまたは複数の標的バイオマーカーシグネチャー(例えば、捕捉アッセイにおいて標的化されるものとは異なるもの)の複数のバイオマーカー(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)を検出するために、複数(例えば、少なくとも2つまたはそれ以上)の検出アッセイを実行することができる。一部の実施形態では、複数の検出アッセイは、(i)提供される標的実体検出システムまたは本明細書に記載のシステム(例えば、「提供される標的実体検出システム」と標題されたセクションに記載のとおりのもの)と;(ii)免疫-PCRとを含み得る。一部の実施形態では、複数の検出アッセイは、(i)提供される標的実体検出システムまたは本明細書に記載のシステム(例えば、「提供される標的実体検出システム」と標題されたセクションに記載のとおりのもの)と;(ii)RT-PCRとを含み得る。
【0238】
VI.使用
一部の実施形態では、本明細書において提供される技術を、アッセイされる生物学的実体を含む目的の試料に適用することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の技術を、標的の組合せ(例えば、セット)の存在または非存在について試料をスクリーニングするために使用することができる。したがって、提供される技術は、様々な研究及び/または医学用途において使用することができる。そのような用途の例には、これに限定されないが、複合体内の分子(例えば、タンパク質、転写因子、及び/または核酸分子)の相互作用の研究、特異的な疾患または状態についての患者のスクリーニング、疾患または状態の再発及び/または進行のモニタリング、疾患または状態に罹患している患者の治療の選択、及び/またはそれを必要とする対象に投与される処置の有効性の評価及び/またはモニタリングが含まれる。本明細書に記載の技術により検出またはスクリーニングされ得る疾患の例には、これに限定されないが、自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、代謝性疾患、神経性及び神経変性疾患、がん、心臓血管疾患、アレルギー及び喘息、アルツハイマー病、及びホルモン関連疾患が含まれる。
【0239】
一部の実施形態では、本明細書に記載のとおりの検出及び/またはアッセイ方法を使用して、疾患、障害、または状態(例えば、がん)についての1つまたは複数の標的バイオマーカーシグネチャーを、生物学的実体(例えば、細胞、循環腫瘍細胞、細胞非含有DNA、細胞外小胞などを含む)を含む試料において検出することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載のとおりの検出方法及び/またはアッセイを使用して、疾患、障害、または状態(例えば、がん)についての1つまたは複数の標的バイオマーカーシグネチャーを、細胞外小胞を含む試料において検出することができる。
【0240】
一部の実施形態では、試料は、生物学的試料であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、生物学的試料は、そのようなアッセイを必要とする対象(例えば、ヒト対象)の血液または血液由来試料に由来し得る。一部の実施形態では、生物学的試料は、そのようなアッセイを必要とする対象(例えば、ヒト対象)に由来する一次試料(例えば、組織または腫瘍試料)であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、目的の非標的実体から1つまたは複数の目的の実体(例えば、生物学的実体)を分離するために、及び/または1つまたは複数の目的の実体(例えば、生物学的実体)を富化するために、生物学的試料を処理することができる。一部の実施形態では、試料中に存在する目的の実体は、生物学的実体、例えば、細胞または細胞外小胞(例えば、エクソソーム)であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、例えば、生物学的実体中のアッセイされる標的(例えば、提供される標的バイオマーカー)を安定化及び/または架橋するために、及び/または検出プローブとの非特異的結合を減少させるために、そのような生物学的実体(例えば、細胞外小胞)を処理するか、または化学試薬と接触させることができる。一部の実施形態では、生物学的実体は、細胞であるか、またはそれを含み、これを任意選択で、例えば、標的(例えば、分子標的)を安定化及び/または架橋するために、及び/または非特異的結合を減少させるために化学試薬で処理することができる。一部の実施形態では、生物学的実体は、細胞外小胞(例えば、エクソソーム)であるか、またはそれを含み、これを、任意選択で、例えば、標的(例えば、分子標的)を安定化及び/または架橋するために、及び/または非特異的結合を減少させるために化学試薬で処理することができる。
【0241】
一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、例えば、1つまたは複数の個々の対象について、及び/または対象の集団全体で患者看護を管理するために有用であり得る。例に過ぎないが、一部の実施形態では、提供される技術を、例えば、周期的に、例えば、当業者が適切と考えるであろう年1回、半年に1回、2年に1回、またはいくつかの他の頻度で行うことができるスクリーニングで利用することができる。一部の実施形態では、そのようなスクリーニングは、一時的に動機づけられた、または偶発的に動機づけられたものであってよい。例えば、一部の実施形態では、提供される技術を、ある特定の年齢(例えば、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80歳超、またはそれ以上)よりも高齢である1つまたは複数の個々の対象についての、または対象の集団(例えば、無症候性対象)全体での、一時的に動機づけられたスクリーニングにおいて利用することができる。当業者には分かるであろうとおり、一部の実施形態では、スクリーニング年齢及び/または頻度を、例えば、これに限定されないが、疾患、障害、または状態(例えば、がん)の有病率に基づき決定することができる。一部の実施形態では、提供される技術を、特定の疾患、障害、または状態(例えば、がん)についてのスクリーニングを動機づける出来事または事象を経験していてもよい個々の対象のための偶発的動機づけのスクリーニングにおいて利用することができる。例えば、一部の実施形態では、当業者には分かるであろうとおり、疾患、障害、もしくは状態(例えば、がん)またはそれへの易罹患性の1つまたは複数の指標の決定に関連する偶発的動機づけは、例えば、それらの家族歴(例えば、近親者、例えば、血縁者が以前にそのような疾患、障害、または状態、例えば、がんと診断されている)、疾患、障害、または状態(例えば、がん)についての1つまたは複数の危険因子の同定及び/または遺伝子検査(例えば、ゲノムシーケンシング)からの先行の偶発的所見、及び/または画像診断検査(例えば、超音波、コンピューター断層撮影(CT)及び/または磁気共鳴画像(MRI)スキャン)、特定の疾患、障害、または状態に特徴的な1つまたは複数の徴候または症状の発生(例えば、がんの状況では、肺癌を潜在的に示す持続性の咳;乳癌を潜在的に示す乳房組織における腫瘍;GI癌を潜在的に示す胃腸(GI)管出血、または卵巣癌を潜在的に示す生理中の異常な出血など)及び/または他の出来事または事象に基づく出来事であり得るか、またはそれを含み得る。
【0242】
一部の実施形態では、患者看護を管理するために提供される技術は、処置及び/または支払い(例えば、処置費の償還)の決定及び/または行為を通知することができるものである。例えば、一部の実施形態では、提供される技術は、個々の対象が疾患または障害(例えば、がん)のリスク、発生または再発の1つまたは複数の指標を有するかどうかの決定を提供することができ、それにより、医師及び/または患者に、そのような所見を考慮して、治療または予防の推奨を提供する/投与する、及び/またはそのような治療を開始する時を通知する。一部の実施形態では、そのような個々の対象は、定期的な頻度(例えば、年1回、半年に1回、2年に1回、または当業者が適切と考えるであろう他の頻度)で、一時的動機づけ、または偶発的動機づけでスクリーニングされ得る無症候性対象であり得る。
【0243】
加えて、または別法では、一部の実施形態では、提供される技術は、例えば、特異的応答性バイオマーカー(例えば、がん応答性バイオマーカー)の所見に基づき、医師及び/または患者に、処置の選択を通知することができる。一部の実施形態では、提供される技術は、例えば、疾患と関連する1つまたは複数の分子標的のレベルの変化の所見に基づき、個々の対象が現行の処置に応答性であるかどうかの決定を提供することができ、それにより、医師及び/または患者に、そのような所見を考慮して、そのような治療及び/または決定の有効性を通知し、治療を維持または変更することができる。一部の実施形態では、提供される技術は、例えば、個々の対象に対して推奨される処置の治療効果を予測する分子標的(例えば、疾患、障害、または状態についての標的バイオマーカーシグネチャー)の所見に基づき、個々の対象が、推奨される処置に応答しそうかどうかの決定を提供し得る、それにより、医師及び/または患者に、そのような所見を考慮して、そのような治療の潜在的有効性及び/または治療を投与する、または変更する決定を通知することができる。
【0244】
一部の実施形態では、提供される技術は、例えば、(1)スクリーニング自体(例えば、周期的/定期的なスクリーニングにのみ利用可能な、または一時的及び/または偶発的に動機づけられたスクリーニングにのみ利用可能な償還)について;及び/または(2)提供される技術による所見を考慮して治療を開始する、維持する、及び/または変更するかについて、健康保険提供者が償還する(または償還しない)かどうかについてに関する判定を通知し得る。例えば、一部の実施形態では、本開示は、(a)提供される技術を用いるスクリーニングの結果を受け取ること、及び同じく、スクリーニング及び/または特定の治療レジメンの償還についての要求を受け取ること;(b)適切なスケジュール(例えば、ある特定の年齢よりも高齢であるなどのスクリーニング年齢、例えば、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80歳またはそれ以上、及び/またはスクリーニング頻度、例えば、3カ月ごと、6か月ごと、毎年、2年ごと、3年ごと、または一部の他の頻度に基づく)または関連の出来事に対する応答に従って対象で行われた場合に、スクリーニングの償還を承認すること、及び/または受け取ったスクリーニング結果を考慮して適切な処置である場合に、治療レジメンの償還を承認すること;ならびに、任意選択で(c)償還を実施すること、または償還が拒否されるとの通知を提供することに関する方法を提供する。一部の実施形態では、受け取ったスクリーニング結果が、関連治療レジメンについて承認されたバイオマーカーであるバイオマーカーを検出している場合に、治療レジメンは、受け取ったスクリーニング結果を考慮して適切である(例えば、処方情報ラベルにおいて、及び/または承認されているコンパニオン診断により特記され得るとおり)。
【0245】
別法では、または加えて、本開示は、スクリーニング結果(例えば、本開示に従って生成されるもの)、及び/または本明細書に記載のとおりの償還決定の報告及び処理を可能または容易にする報告システム(例えば、適切な電子デバイス(複数可)及び/またはコミュニケーションシステム(複数可)により実行される)を企図する。様々な報告システムが当技術分野で公知であり;当業者は、様々なそのような実施形態を十分に熟知しているであろうし、かつ実施態様に適したものを容易に選択することができるであろう。
【0246】
例示的な使用
A.がん発生または再発の検出
本開示は特に、単一の生物学的実体(例えば、個々の細胞外小胞)の分析ではなく、バルク試料に基づく生物学的実体(例えば、細胞外小胞)または複数のがん関連バイオマーカーにおける単一のがん関連バイオマーカーの検出が典型的には、その生物学的実体を得た対象ががんにおそらく罹患しているか、またはそれに易罹患性であるかどうかを決定する際に十分な特異性及び/または感受性をもたらし得ないことを認識している。本開示は特に、例えば、検出のための実体(例えば、細胞外小胞)が標的の組合せの存在により特徴づけられることを特異的に必要とすることを含む、そのような問題を解決する組成物及び/または方法を含む技術を提供する。例えば、一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、少なくとも2つまたはそれ以上の標的の組合せの存在により実体(例えば、細胞外小胞)を特徴づけるために有用である。例えば、一部のそのような実施形態では、提供される標的実体検出システムを用いて、少なくとも2つまたはそれ以上の標的を決定することができる。別法では、一部のそのような実施形態では、少なくとも1つの標的を、捕捉アッセイ(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)により検出することができる一方で、少なくとも1つの別の標的を、例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりの標的実体検出システムを含む検出アッセイにより決定することができる。特定の実施形態では、本開示は、そのような実体(例えば、細胞外小胞)が、がんに特異的である分子標的の組合せ(すなわち、関連がん、例えば、がんの「標的バイオマーカーシグネチャー」)の存在により(例えば、発現により)特徴づけられる一方で、標的化組合せ(例えば、標的バイオマーカーシグネチャー)を含まない生物学的実体(例えば、細胞外小胞)は、検出可能なシグナルを生成しないことを必要とする技術を教示する。したがって、一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、対象においてがんのリスク、発生、及び/または再発を検出するために有用であり得る。例えば、一部の実施形態では、少なくとも1つまたはそれ以上の標的(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、またはそれ以上の標的を含む)を指向する2つまたはそれ以上の検出プローブ(例えば、本明細書に記載のもの)の組合せを、特異的がんまたは様々ながんを検出するために選択する。一部の実施形態では、がん(複数可)を検出するための標的バイオマーカーシグネチャーの少なくとも1つまたはそれ以上の標的(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、またはそれ以上の標的を含む)を指向する検出プローブ(例えば、本明細書に記載のもの)の特異的組合せを、そのような予測組合せを同定するためにがん患者生検及び/または患者データの集団またはライブラリ(例えば、10、100、1000、10000、100000、またはそれ以上)を分析することにより決定することができる。一部の実施形態では、バイオマーカーの関連組合せは、例えば、データ解析を介して同定される、及び/または特徴づけられるものであり得る。一部の実施形態では、例えば、多様なセットのがん関連データ(例えば、一部の実施形態では、バルクRNAシーケンシング、単一細胞RNA(scRNA)シーケンシング、質量分析法、組織診、翻訳後修飾データ、in vitro及び/またはin vivo実験データのうちの1つまたは複数を含む)を、がんに高度に特異的である予測マーカーの組合せを同定するために、機械学習及び/または計算モデルを介して分析することができる。一部の実施形態では、がんのステージを識別するための予測マーカーの組合せを、異なるステージのがんに関連する多様なデータ(例えば、一部の実施形態では、バルクRNAシーケンシング、scRNAシーケンシング、質量分析法、組織診、翻訳後修飾データ、in vitro及び/またはin vivo実験データを含む)を比較する、及び解析することに基づきin silicoで決定することができる。例えば、一部の実施形態では、本明細書において提供される技術を、がん対象を、例えば、健康な対象、良性腫瘍または腫瘤を有すると診断されている対象、及び非がん関連疾患、障害、及び/または状態を有する対象(例えば、炎症性腸疾患または障害を有する対象)を含む非がん対象から識別するために使用することができる。一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、がんの早期検出、例えば、ステージIまたはステージIIのがんの検出のために有用であり得る。一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、ステージI、II、III、及びIVの黒色腫を、相互に、及び健康な患者から識別するために有用であり得る。一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、ステージI、II、III、及びIVの肺腺癌を、相互に、及び健康な患者から識別するために有用であり得る。一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、ステージI、II、III、及びIVの結腸直腸癌を、相互に、及び健康な患者から識別するために有用であり得る。一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、ステージI、II、III、及びIVの卵巣癌を、相互に、及び健康な患者から識別するために有用であり得る。一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、1つまたは複数のがんサブタイプを検出するために有用であり得る。例に過ぎないが、一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、例えば、高悪性度漿液性卵巣癌、類内膜卵巣癌、明細胞卵巣癌、低悪性度漿液性卵巣癌、または粘液性卵巣癌を含む、1つまたは複数の卵巣癌サブタイプを検出するために有用であり得る。一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、早期ステージがんについて遺伝的リスク及び平均的リスクを有する対象をスクリーニングするために有用であり得る。
【0247】
一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、単一アッセイにおいて、特異的ながんのリスク、発生、または再発について対象をスクリーニングするために有用であり得る。例えば、一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、乳癌のリスク、発生、または再発について対象をスクリーニングするために有用である。一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、肺癌(例えば、これに限定されないが、非小細胞肺癌)のリスク、発生、及び/または再発について対象をスクリーニングするために有用である。一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、皮膚癌(例えば、これに限定されないが、黒色腫)のリスク、発生、または再発についてスクリーニングするために有用である。一部の実施形態では、本明細書において提供される技術は、卵巣癌のリスク、発生、または再発について対象をスクリーニングするために有用である。一部の実施形態では、本明細書において提供される技術を、単一のアッセイにおいて、特異的ながんまたは複数(例えば、少なくとも2、少なくとも3、またはそれ以上)のがんのリスクまたは発生について対象をスクリーニングするために使用することができる。例えば、一部の実施形態では、本明細書において提供される技術を、単一のアッセイにおいて、複数のがんについて対象をスクリーニングするために使用することができ、その際、一部の実施形態では、スクリーニングされるがんは、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、胆管癌、膀胱癌、脳癌(を含む、例えば、神経膠芽腫)、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃腸癌、ホジキンリンパ腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、皮膚癌、及び胃癌からなる群から選択され得る。
【0248】
一部の実施形態では、がん(例えば、早期ステージがん)またはがん再発についてヒト対象をスクリーニングするために、提供される技術を周期的に(例えば、毎年、2年ごと、3年ごとなど)使用することができる。一部の実施形態では、そのようなスクリーニングに適したヒト対象は、それぞれ乳児、幼児、成人または高齢者であり得る。一部の実施形態では、そのようなスクリーニングに適したヒト対象は、約2歳~80歳、または約12歳~約70歳、または約18歳~約65歳の年齢を有し得る。一部の実施形態では、そのようなスクリーニングに適したヒト対象は、例えば、65歳超、70歳超、少なくとも75歳超、少なくとも80歳、またはそれ以上の高齢対象であり得る。一部の実施形態では、そのようなスクリーニングに適したヒト対象は、約50歳またはそれ以上の年齢を有し得る。一部の実施形態では、そのようなスクリーニングに適したヒト対象は、50歳またはそれ未満の年齢を有し得る。一部の実施形態では、そのようなスクリーニングに適したヒト対象は、35歳超の年齢を有し得る。
【0249】
一部の実施形態では、がんの発生または再発を検出するために、提供される技術に適した対象は、無症候性ヒト対象であり、及び/または無症候性集団にわたり得る。そのような無症候性対象及び/または無症候性集団は、がんの家族歴を有する(例えば、1人または複数の一等親血縁者ががんの履歴を有する対象)、がんについて以前に処置されたことがある、がんの処置後に、がん再発のリスクを有する、がんの処置後に寛解している、及び/または例えば少なくとも1つのがんバイオマーカーの存在についてのスクリーニングにより、がんについて以前に、または周期的にスクリーニングされている対象(複数可)であり得る。別法では、一部の実施形態では、無症候性対象は、がんについて以前にスクリーニングされたことがない、がんについて診断されていない、及び/またはがん治療を以前に受けたことがない対象であり得る。一部の実施形態では、無症候性対象は、良性腫瘍または組織腫瘤を有する対象であり得る。一部の実施形態では、無症候性対象は、がんに易罹患性である対象であり得る(例えば、がんについて平均的集団リスクを有するか、または遺伝的リスクを有する)。
【0250】
一部の実施形態では、がんを検出するために、提供される技術に適した対象または対象集団を、1つまたは複数の特徴、例えば、年齢、人種、遺伝的履歴、病歴、個人的履歴(例えば、喫煙、アルコール、薬物、発がん因子、食事、肥満、物理的活性、日光曝露、放射線曝露、感染因子、例えば、ウイルスへの暴露、及び/または職業上の危険)に基づき選択することができる。例えば、一部の実施形態では、がんを検出するために、提供される技術に適した対象または対象集団は、例えば、これに限定されないが、BRCA1、BRCA2、及びTP53、及びそれらの組合せを含む1つまたは複数のがん関連遺伝子において、1つまたは複数の生殖細胞系変異を有すると決定された対象(例えば、ヒト対象)または対象集団であり得る。
【0251】
一部の実施形態では、がんを検出するために、提供される技術に適した対象または対象集団は、画像で確認される組織腫瘤を有すると診断されている対象または対象の集団であり得る。
【0252】
一部の実施形態では、がんを検出するために、提供される技術に適した対象または対象集団は、リスクを低減する外科的介入を施される前の、がんについて遺伝的リスクを有する対象または対象の集団であり得る。
【0253】
一部の実施形態では、がんを検出するために、提供される技術に適した対象または対象集団は、がんの1つまたは複数の非特異的症状を有する対象または対象の集団であり得る。一部の実施形態では、がんの例示的な非特異的症状には、例えば、これに限定されないが、咳、嚥下困難、疲労、食欲不振、腹痛、体重減少などが含まれ得る。
【0254】
一部の実施形態では、がんを検出するために、提供される技術に適した対象または対象集団は、アジア人、アフリカ系アメリカ人、白人、ハワイまたは他の太平洋諸島の先住民、ヒスパニックまたはラテン系、北米インディアンまたはアラスカ先住民、非ヒスパニック系黒人、または非ヒスパニック系白人の対象または対象の集団であり得る。一部の実施形態では、がんを検出するために、提供される技術に適した対象または対象集団は、任意の人種及び/または任意の民族の対象であり得る。
【0255】
一部の実施形態では、本明細書において提供される技術を、例えば、これに限定されないが(i)個体の毎年の理学的検査、(ii)がんに関連する循環腫瘍DNA及び/またはタンパク質バイオマーカーにおける遺伝子変異について血漿をスクリーニングするための遺伝子アッセイ;(iii)細胞表現型及びマーカー発現を同定するための免疫蛍光染色、続いて、次世代シーケンシングによる増幅及び分析を含むアッセイ;ならびに(iv)生殖細胞系及び体細胞突然変異アッセイ(例えば、BRCA1及び/またはBRCA2)、または細胞非含有腫瘍DNA、リキッドバイオプシー、血清タンパク質及び細胞非含有DNA、及び/または循環腫瘍細胞を伴うアッセイを含む、他の診断アッセイと組み合わせて使用することができる。
【0256】
B.治療の選択(例えば、がん治療)
一部の実施形態では、提供される技術を、患者(例えば、がんに罹患しているか、またはそれに易罹患性である患者)のために適切な処置を選択するために使用することができる。例えば、本明細書において提供される一部の実施形態は、治療(例えば、がん及び/または補助処置)のために患者を分類するためのコンパニオン診断アッセイに関し、これは、本明細書において提供される技術を使用して、層状化及び/または応答性バイオマーカーの選択された組合せを患者試料(例えば、患者、例えば、がん患者由来の血液または血液由来試料)において評価することを含む。そのようなアッセイ結果に基づき、治療(例えば、がん治療及び/または補助治療)におそらく応答するであろうと決定された患者に、そのような治療を投与することができるか、または特異的なそのような治療に応答しないであろうと決定された患者に、異なる治療を投与することができる。
【0257】
C.処置有効性(例えば、がん処置有効性)の評価
一部の実施形態では、本明細書において提供される技術を、患者(例えば、がん患者)に投与される治療の有効性をモニター及び/または評価するために使用することができる。例えば、第1の時点で、血液または血液由来試料を、治療(例えば、抗がん治療)前の、または治療を受けている患者(例えば、がん患者)から収集して、患者の疾患、障害、または状態に特異的であるバイオマーカーの組合せを検出または測定することができる。一部の実施形態では、第1の時点で、血液または血液由来試料を、抗がん治療前の、または治療を受けているがん患者(例えば、がん患者)から収集して、例えば、がんの検出に特異的であるバイオマーカーの選択された組合せを含む細胞外小胞の存在または量を検出することにより、腫瘍量を検出または測定することができる。処置期間後に、第2の血液または血液由来試料を同じ患者から収集して、そのような疾患特異的バイオマーカー(複数可)の変化を検出することができる。例えば、一部のそのような実施形態では、処置の期間の後に、第2の血液または血液由来試料を、同じがん患者から収集して、例えば、がんの検出に特異的であるバイオマーカーの選択された組合せを含む細胞外小胞の非存在または量の減少を検出することにより、腫瘍量の変化を検出することができる。処置の間の疾患特異的バイオマーカーのレベル及び/または変化及び/または腫瘍量をモニターすることにより、適切な行動計画、例えば、治療薬の用量の増減、及び/または異なる治療薬の投与を採用することができる。
【0258】
VII.キット
上記のとおりの技術を実行する際に使用することができるキットも提供する。一部の実施形態では、キットは、複数の検出プローブ(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)を含む。一部の実施形態では、提供されるキットは、2つまたはそれ以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上)の検出プローブを含み得る。一部の実施形態では、個々の検出プローブは、異なる標的を指向し得る。一部の実施形態では、2つまたはそれ以上の個々の検出プローブは、同じ標的を指向し得る。一部の実施形態では、提供されるキットは、異なる標的を指向する2つまたはそれ以上の異なる検出プローブを含み、任意選択で、別の検出プローブが指向する標的を同じく指向する少なくとも1つの追加の検出プローブを含み得る。一部の実施形態では、提供されるキットは、同じ標的を指向する2つまたはそれ以上の検出プローブをそれぞれ含む検出プローブの複数のサブセットを含む。一部の実施形態では、複数の検出プローブを、1つの容器中で混合物として提供することができる。一部の実施形態では、検出プローブの複数のサブセットを、別々の容器中で個々の混合物として提供することができる。一部の実施形態では、それぞれの検出プローブを、別々の容器中で個々に提供する。
【0259】
一部の実施形態では、がん検出のためのキットは、(a)細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドを指向する標的捕捉部分を含む捕捉因子;及び(b)がんについての標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーをそれぞれ指向する少なくとも2つの検出プローブを含む検出プローブのセットを含み、その際、上記検出プローブはそれぞれ、(i)がんについての標的バイオマーカーシグネチャーの標的バイオマーカーを指向する標的結合部分と;(ii)上記標的結合部分にカップリングしたオリゴヌクレオチドドメインとを含み、上記オリゴヌクレオチドドメインは、二本鎖部分と、上記オリゴヌクレオチドドメインの一方の末端から伸長している一本鎖オーバーハング部分とを含み、上記少なくとも2つの検出プローブの一本鎖オーバーハング部分は、少なくとも2つの検出プローブが同じ細胞外小胞に結合した場合にそれらが相互にハイブリダイズし得ることにおいて特徴づけられる。これらの実施形態では、がんについてのそのような標的バイオマーカーシグネチャーは、少なくとも1つの細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドと、表面タンパク質バイオマーカー、小胞内タンパク質バイオマーカー、及び小胞内RNAバイオマーカーからなる群から選択される少なくとも1つの標的バイオマーカーとを含み、その際、上記少なくとも1つの標的バイオマーカーが表面タンパク質バイオマーカーのうちの1つまたは複数から選択される場合、上記選択された表面タンパク質バイオマーカー(複数可)及び上記少なくとも1つの細胞外小胞関連膜結合ポリペプチドは異なる。
【0260】
一部の実施形態では、キットで提供される少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分はそれぞれ、標的バイオマーカーシグネチャーの同じ標的バイオマーカーを指向する。一部のそのような実施形態では、そのような少なくとも2つの検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインは異なる。
【0261】
一部の実施形態では、キットで提供される少なくとも2つの検出プローブの標的結合部分はそれぞれ、標的バイオマーカーシグネチャーの別個の標的バイオマーカーを指向する。
【0262】
一部の実施形態では、キットは、少なくとも1つの化学試薬、例えば、固定剤、透過化剤、及び/または遮断剤を含み得る。
【0263】
一部の実施形態では、キットは、1つまたは複数の核酸ライゲーション試薬(例えば、核酸リガーゼ、例えば、DNAリガーゼ及び/またはバッファー液)を含み得る。
【0264】
一部の実施形態では、キットは、少なくとも1つまたはそれ以上の増幅試薬、例えば、PCR増幅試薬を含み得る。一部の実施形態では、キットは、1つまたは複数の核酸ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ)、1つまたは複数の対のプライマー、ヌクレオチド、及び/または緩衝液を含み得る。
【0265】
一部の実施形態では、キットは、目的の実体(例えば、生物学的実体)を捕捉するための固体基材を含み得る。例えば、そのような固体基材は、ビーズ(例えば、磁気ビーズ)であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、そのような固体基材は、表面であり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、表面は、アッセイチャンバーの捕捉表面(例えば、実体捕捉表面)、例えば、フィルター、マトリックス、膜、プレート、管、及び/またはウェル(例えば、これに限定されないが、マイクロウェル)などであり得るか、またはそれを含み得る。一部の実施形態では、固体基材の表面(例えば、捕捉表面)を、目的の実体(例えば、生物学的実体)のための捕捉因子(例えば、ポリペプチドまたは抗体因子)でコーティングすることができる。
【0266】
一部の実施形態では、キットに提供される検出プローブのセットを、特異的ながん(例えば、これに限定されないが、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、胆管癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃腸癌、ホジキンリンパ腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、皮膚癌、及び胃癌を含む)を診断するために選択することができる。
【0267】
一部の実施形態では、キットは、検出プローブの複数のセットを含み得、その際、検出プローブのそれぞれのセットは、特異的がんの検出を指向し、少なくとも2つまたはそれ以上の検出プローブを含む。例えば、そのようなキットを、単一のアッセイにおいて様々ながん(例えば、これに限定されないが、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、胆管癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃腸癌、ホジキンリンパ腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、皮膚癌、及び胃癌を含む)について対象をスクリーニングするために使用することができる。
【0268】
一部の実施形態では、本明細書において提供されるキットは、本明細書に記載の方法を実行するための指示書を含み得る。これらの指示書は、様々な形態でキット内に存在してよく、そのうちの1つまたは複数は、キット内に存在し得る。これらの指示書が存在し得る1つの形態は、キットのパッケージング内、添付文書内などで、適切な媒体または基材上の印刷された情報、例えば、情報が印刷された紙片としてである。また別の手段は、指示情報が記録されているコンピューター読み取り可能な媒体、例えば、ディスク、CD、USBドライブなどであってよい。存在し得るまた別の手段は、インターネットを介して指示情報にアクセスするために使用することができるウェブサイトアドレスである。任意の簡便な手段がキット内に存在してよい。
【0269】
キットがコンパニオン診断として使用される一部の実施形態では、そのようなキットは、治療薬におそらく応答する患者を同定するための指示書(例えば、治療薬に対する患者応答性を示すバイオマーカーの同定)を含み得る。一部の実施形態では、そのようなキットは、コンパニオン診断検査とタンデムで使用するための治療薬を含み得る。
【0270】
本発明を説明するために示すものであって、本発明を限定することを意図したものではない例示的な実施形態の次の記載の過程で、本発明の他の特徴が明らかになるであろう。
【実施例
【0271】
実施例1:単一の生物学的実体中に存在する2つまたはそれ以上の標的(例えば、分子標的)の検出
本実施例では、標的結合部分と、その標的結合部分にカップリングしているオリゴヌクレオチドドメイン(二本鎖部分及び一本鎖オーバーハングを含む)とをそれぞれ含む、異なる標的のための検出プローブの合成を記載する。本実施例ではさらに、2つまたはそれ以上の標的(標的は同じでも、または別個でもよい)を含む生物学的実体の存在または非存在を検出するためのそのような検出プローブの使用を実証する。
【0272】
一部の実施形態では、検出プローブは、一方の末端には標的タンパク質に特異的な抗体因子、及び別の末端には一本鎖オーバーハングを有する二本鎖オリゴヌクレオチドを含み得る。2つまたはそれ以上の検出プローブが同じ生物学的実体(例えば、細胞または細胞外小胞)に結合する場合、検出プローブの一本鎖オーバーハングが近接して、それらが相互にハイブリダイズし、後でライゲートして検出のために増幅することができる二本鎖複合体を形成し得るようになっている。
【0273】
この研究では、それぞれ特異的標的(例えば、分子標的)のための2つの検出プローブを用いたが、それぞれ特異的標的(例えば、分子標的)のための3つまたはそれ以上の検出プローブを使用してもよい。さらに、この実施例に記載の組成物及び方法を、この実施例においてモデル生物学的実体として使用された生物学的細胞とは異なる生物学的試料(例えば、細胞外小胞を含むもの)での適用に拡大することができる。
【0274】
一部の実施形態では、実体検出アッセイは、それぞれ標的を認識する2つの検出プローブを利用する(例えば、一部の実施形態では、別個のがん特異的エピトープをそれぞれに認識する、または一部の実施形態では、一方は正常な細胞及び/または組織と特異的に関連するバイオマーカーを認識するが、他方は、がんについての一般的バイオマーカーを認識する;または一部の実施形態では、両方とも同じ標的を認識する)。例えば、対合二本鎖テンプレートDNAを利用するが、それらはそれぞれ、そのパートナーの5’オーバーハングに相補的な特異的一本鎖5’オーバーハング(例えば、4塩基5’オーバーハング)を有する。標的エピトープ(例えば、がんエピトープ)に特異的な各抗体因子は、上記2つの二本鎖DNAテンプレートの一方にコンジュゲートしている。抗体がそれらの標的エピトープに結合すると、上記それぞれのDNAテンプレートの付着性末端(例えば、一本鎖オーバーハング)は、ハイブリダイズし得る。次いで、これらの付着性末端は、PCR増幅の前に、DNAリガーゼ(例えば、T7リガーゼ)により一緒にライゲートされる。2つのDNAテンプレート間でハイブリダイゼーションが生じるには、上記2つの抗体が相互に近接している必要がある(例えば、50~60nm以内、DNAリンカー及び抗体因子の長さ)。結合しているが、ハイブリダイズされず/ライゲートされないままである任意のテンプレートは、図2Aに示されているとおり、PCR産物を生成しないこととなる。
【0275】
この実施例では、図2Aに示されている2つの抗体及び2つのプライマーの二重システム(EvaGreen蛍光色素を標識プローブとして含む)を使用した。この実施例では、蛍光色素を標識プローブとして使用したが、核酸またはオリゴヌクレオチドを標識するために公知である他の検出可能な標識を使用することもできる。がん(例えば、黒色腫)フィンガープリントに対する第3の標的(例えば、第3の標的タンパク質)を添加することにより説明され得る例外は存在し得るが、一般に、任意の他の細胞型では同時発現されないが、特定のがん、例えば、黒色腫の細胞では同時発現されるので、標的1(例えば、標的タンパク質1)及び標的2(例えば、標的タンパク質2)を選択した。二重システム(例えば、本明細書に記載のもの)を評定するために、実験を2つの黒色腫細胞系、SK-MEL-1及びMeWo、ならびに1つの陰性対照の結腸直腸癌細胞系、T84で行った。表1に示されているとおり、T84は、標的タンパク質1及び標的タンパク質2を非常に低レベルで発現する結腸直腸細胞系である。逆に、SK-MEL-1及びMeWoは、標的タンパク質1及び標的タンパク質2を高レベルで発現する黒色腫細胞系である。本明細書に記載のとおり、「100万あたりの転写産物」または「TPM」は、RNA-シーケンシングについての正規化を指すことに注意すべきであり、これは、「RNA-シーケンシング試料中の1,000,000RNA分子あたり、xが、指定のとおりの遺伝子転写産物に由来する」ことを意味する。
【表1】
【0276】
例示的な方法:
オリゴヌクレオチド
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、次の配列構造及び修飾を有し得る:
鎖1:
/5AmMC12/CAGTCTGACTCACCACTCGTTAATCGTCGCTGCTACCCTTGACATCCGTGACTGGCTAGACAGAGGTGT(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖2:
/5AmMC12/CACCAGACCTACGAAGTCCATAGCCTTGCCTGATTAGCCACTGTCCAGTTTGGCTCCTGGTCTCACTAG(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖3:
/5Phos/GAGTACACCTCTGTCTAGCCAGTCACGGATGTCAAGGGTAGCAGCGACGATTAACGAGTGGTGAGTCAGACTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖4:
/5Phos/ACTCCTAGTGAGACCAGGAGCCAAACTGGACAGTGGCTAATCAGGCAAGGCTATGGACTTCGTAGGTCTGGTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖5:
CAGTCTGACTCACCACTCGT
鎖6:
CACCAGACCTACGAAGTCCA
ポリT:
TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTT
【0277】
ライゲーション及び増幅の検証
DNAテンプレートがライゲートし、かつPCRにより増幅され得るかを検証するために、鎖1及び3の、ならびに鎖2及び4の対をハイブリダイズさせた。次いで、ハイブリダイズした鎖1+3及び2+4を、DNAリガーゼ(例えば、T7またはT4リガーゼ)を使用してライゲートし、かつqPCRを、EvaGreen蛍光色素ならびにプライマーとして鎖5及び6を使用して行った。
【0278】
DNAをハイブリダイズさせるために、500pMの、等体積量の鎖1及び3ならびに鎖2及び4をサーマルサイクラー中で、例えば、次のプロトコルを使用して融解した:95℃で10秒間、65℃で30秒間、4℃で維持。DNA二本鎖を作製した後に、DNAライゲーション(例えば、T4及びT7リガーゼを使用)を、例えば、9uLのハイブリダイズした250pMのDNAを20uL反応で使用して行った。陰性対照は、リガーゼを与えられなかったが、同じバッファーを含有した。ライゲーションをサーマルサイクラー中で、例えば、25℃で、20分間にわたって実行した。例えば、逆転写酵素(RT)を含まないLunaマスターミックスを使用して、ライゲーション後の産物(さらに、リガーゼを含まない試料も)をqPCRに掛けた。すべてのqPCR反応を三重に行い、qPCRシグナルを正規化するために、パッシブ基準(例えば、ROX)を使用した。次いで、データを解析してグラフ化した。
【0279】
抗体因子-DNAコンジュゲーション
オリゴヌクレオチド(例えば、ハイブリダイズした鎖1及び3、ならびにハイブリダイズした鎖2及び4)を標的結合部分(例えば、標的タンパク質に対する抗体因子)にコンジュゲートするために、一本鎖の対をハイブリダイズさせて、一方の末端に一本鎖オーバーハングを有する二本鎖オリゴヌクレオチドを形成し、次いで、例えば、市販のDNA-オリゴヌクレオチドコンジュゲーションキット(例えば、Abcam、ab218260)を使用して、標的結合部分(例えば、標的タンパク質に対する抗体因子)を別の末端で二本鎖オリゴヌクレオチドにコンジュゲートした。
【0280】
2本の一本鎖DNAをハイブリダイズさせて二本鎖DNAを形成するために、50uLの100uMの等モル及び等体積のDNAを、例えば、次のプロトコルを使用して、サーマルサイクリングに掛けた:1.95℃に加熱し、その温度で2分間にわたって維持、2.25℃まで3分ごとに5℃低下させることにより、45分かけて25℃に冷却、3.4℃で維持。50uMの二本鎖DNA産物を使用して、複数の二本鎖DNA(例えば、5つの二本鎖DNAの鎖)を各抗体因子にアニールした。
【0281】
細胞培養
当技術分野で公知の任意の方法を使用して、細胞を培養することができる。例えば、T84細胞を、5%エクソソーム非含有ウシ胎児血清(FBS)及び1mLあたり50単位のペニシリン/ストレプトマイシンを含む1:1のダルベッコ変法イーグル培地(DMEM):ハムF12培地中で成長させた。SK-MEL-1及びMeWo細胞を両方とも、10%エクソソーム非含有FBS及び1mLあたり50単位のペニシリン/ストレプトマイシンを含むイーグル最小必須培地(EMEM)中で成長させた。すべての細胞系を5%CO2及び37℃で維持し、継代数は15未満であった。
【0282】
細胞固定化及び遮断
当技術分野で公知の任意の方法を使用して、細胞を固定化、透過化、及び遮断することができる。例えば、固定化の前に、例えば、TrypLEプロテアーゼを使用して、接着性T84及びMeWo細胞をそれらの基材から取り外した。SK-MEL-1は弱接着性であり、例えば、フラスコを振盪することにより、フラスコ基材から遊離させることができる。溶液中になったら、上記細胞を300rcfで、5分間にわたって室温でペレット化した。上記細胞を1×PBS10mL中で1回洗浄し、上記のとおりペレット化した。次いで、各細胞系を固定化し、透過化した。例えば、細胞を氷冷メタノール中で同時に固定化及び透過化し、かつ-25℃で少なくとも20分間にわたってインキュベートすることができる。遮断前に、細胞を1000rcfで2分間にわたって第1のペレット化により再水和し(固定化すると、それらは、より高いg力に耐え得る)、次いで、1×PBS中で1回洗浄した。次いで、洗浄され再水和されたペレットを遮断バッファー中に再懸濁した。
【0283】
抗体因子-DNAコンジュゲート標識付け及び細胞系の洗浄
DNA-コンジュゲート抗体を添加する前に、3つのメタノール固定化細胞系(SK-MEL-1、MeWo、及びT84)のそれぞれを、1.5mL Protein Lo Bindエッペンドルフ管内で、非特異的結合を遮断するための遮断バッファー1mL中で、3つのアリコットに分けた。3つの細胞系のそれぞれのための3本の管を、抗体因子を含まないもの、DNA-コンジュゲート抗体(一方は標的タンパク質1のため、及び他方は標的タンパク質2のため)を1ug/mLで含むもの、及びDNA-コンジュゲート抗体(一方は標的タンパク質1のため、及び他方は標的タンパク質2のため)を10ng/mLで含むものが得られるように分けた。上記抗体を、遮断された細胞1mLを添加する前に、遮断バッファー中で事前希釈し、かつ抗体因子-DNAコンジュゲートを細胞と共に30分間にわたってインキュベートした。抗体インキュベーションの後に、上記細胞を、例えば、1×PBS1mL中で、1,000rcfで室温で2分間にわたって遠心することにより4回洗浄した。
【0284】
ライゲーション及び標識された細胞のqPCR
遮断され、標識付けされ、かつ洗浄された細胞のDNAライゲーション(例えば、T7ライゲーション)を、例えば次のプロトコルを使用して行った:1.細胞を最終洗浄後に50uLの体積で再懸濁するために、DNAリガーゼマスターミックスを作製した。DNAリガーゼマスターミックスは、例えば、5%(v/v)T7リガーゼ、50%(v/v)2×T7リガーゼバッファー、及び45%(v/v)ヌクレアーゼ非含有水を含有した。2.DNAリガーゼマスターミックス50uLに細胞系のそれぞれを再懸濁した後に、上記細胞-リガーゼミックスをサーマルサイクラー内に、例えば、25℃で20分間置いた。3.例えば、25uLの最終反応体積が得られるように500nM濃度のプライマー(例えば、鎖5及び6)、1×EvaGreen蛍光色素、及びLuna qPCRマスターミックスを使用して、qPCRマスターミックスを作製した。4.細胞-リガーゼ産物約8uLをqPCR反応物25uLのそれぞれに添加した。5.qPCRを、例えば96ウェルプレート内で、例えば、次のPCRプロトコルを使用して実行した:95℃で1分間保持、95℃で10秒間及び60℃で30秒間を50サイクル実行、ならびに標準融解曲線。温度変化の速度は、標準(例えば、1秒あたり2℃)であるように選択した。すべてのqPCR反応を三重に行い、qPCRシグナルを正規化するために、パッシブ基準(例えば、ROX)を使用した。次いで、データを解析してグラフ化した。
【0285】
結果:
qPCRプロットの解釈
qPCRプロットは、二本鎖DNAに挿入されているEvaGreenからの蛍光シグナルがバックグラウンドを超えて上昇するCt(サイクル閾値)を同定している。任意の種類の二本鎖DNAのための非特異的色素を使用したので、テンプレートなしの対照(NTC)が、およそ35サイクル後に、プライマー二量体の増幅から生じるであろう。さらに、PCR反応に参加するいずれか少量のテンプレートが、予測Ct値よりも低いCt値をもたらし、これは、NTCが30未満のCt値を有する場合に生じることである(図4において、NTCで30未満のCt値が生じた。そのような汚染は、例えば、テンプレートが増幅される(または標識プローブもしくは検出ラベルが加水分解され得る)場合にのみ蛍光をもたらすハイブリダイゼーションプローブを用いて増幅を実行することにより管理することができる。
【0286】
増幅には、リガーゼが必要とされる
図3に示されているとおり、プライマー二量体バックグラウンドを超えるqPCRシグナルを達成するためには、リガーゼの存在が必要であった。さらに、T7及びT4リガーゼは、類似のCt値及び一致する結果をもたらした。
【0287】
上記qPCR結果は一貫している
図4に示されているとおり、いずれかの抗体因子も含まない群は、細胞系全体で高いCt値(約33+)を有した。逆に、1ug/mLの抗体因子で標識された群は、18の低いCt値を有した。最も強いシグナルを有した細胞系はMeWoであり、続いて、SK-MEL-1及びT84細胞系であった。この観察結果は、標的タンパク質1及び標的タンパク質2を最も多く発現するMeWo、標的タンパク質1及び標的タンパク質2を2番目に多く発現するSK-MEL-1、ならびに標的タンパク質1及び標的タンパク質2を最も少なく発現するT84細胞系と一致する。最後に、より低い濃度の抗体因子(10ng/mL)は、かなり高いCt値を有し、抗体因子のない対照のものと類似する。
【0288】
考察:
二重システム(例えば、上記のもの)は、細胞系において共局在した標的タンパク質1及び標的タンパク質2を同定することが実証されている。第一に、図3において示されているとおり、上記テンプレートはライゲートし、増幅可能である。第二に、これらのDNAテンプレートを2つの異なる抗体にコンジュゲートし、かつ細胞系を染色した後に、発現依存性シグナルが観察された。すなわち、上記MeWo細胞系は、最も高いレベルの標的タンパク質1及び標的タンパク質2(表1)を発現し、かつ比例して、最も強い標的タンパク質1及び標的タンパク質2シグナルを有し、上記SK-MEL-1細胞系は、標的タンパク質1及び標的タンパク質2をMeWoよりも約4.4倍低く発現し、かつより弱いシグナルを有し、上記T84細胞系は、標的タンパク質1及び標的タンパク質2を発現しないか、非常に少なく発現し、かつ最も弱いシグナルを有する。陰性T84細胞も、非特異的バックグラウンドと一致する高いCt値を有する。しかしながら、抗体因子1ug/mLでのT84はさらに、23の低いCt値を1つ有する。このCt値は、27の他の2つのCt値に対する異常値であり、細胞の凝集に、または他の非特異的プライミング相互作用もしくは汚染に由来し得る。一部の実施形態では、最も強いシグナルと最も弱いシグナルとの間の相違は、さらなる十分な洗浄を行うことにより増大し得る。
【0289】
二重システム(例えば、上記のもの)が、標的タンパク質1及び標的タンパク質2を発現する細胞を正確に同定することが本明細書において実証されているが、そのようなシステムを、標的タンパク質1及び標的タンパク質2を含む他の生物学的実体(例えば、細胞外小胞)を同定するために使用することもできる。例えば、固定化及び任意の下流処理の前に、細胞外小胞を、固体基材(例えば、シリカビーズ)上に捕捉することができる。
【0290】
実施例2:単一の生物学的実体に存在する3つまたはそれ以上の標的(例えば、分子標的)の検出
本実施例では、標的結合部分と、その標的結合部分にカップリングしているオリゴヌクレオチドドメイン(二本鎖部分及び一本鎖オーバーハングを含む)とをそれぞれ含む3つの標的のための検出プローブの合成を記載する。本実施例はさらに、3つの二本鎖オリゴヌクレオチド(一本鎖オーバーハングをそれぞれ有する)をライゲート及び増幅するための混合物において使用することができることを実証し、そのような二本鎖オリゴヌクレオチドが抗体にコンジュゲートしている場合に、例えば、図5Aに示されているとおりの三重システムを、同じ生物学的実体(例えば、個々の細胞外小胞)にすべて共局在している3つの標的(例えば、分子標的)を同定するために実行することができることを示している。一部の実施形態では、そのような3つの標的は、同じ標的であってよい。一部の実施形態では、そのような3つの標的は、別個の標的であってよい。一部の実施形態では、そのような3つの標的のうちの少なくとも2つは、同じ標的であってよい。
【0291】
例示的な方法:
オリゴヌクレオチド
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、次の配列構造及び修飾を有し得る:
鎖1:
/5AmMC12/CAGTCTGACTCACCACTCGTTAATCGTCGCTGCTACCCTTGACATCCGTGACTGGCTAGACAGAGGTGT(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖2:
/5AmMC12/CACCAGACCTACGAAGTCCATAGCCTTGCCTGATTAGCCACTGTCCAGTTTGGCTCCTGGTCTCACTAG(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖4(5’リン酸なし):
/5’ACTCCTAGTGAGACCAGGAGCCAAACTGGACAGTGGCTAATCAGGCAAGGCTATGGACTTCGTAGGTCTGGTG
鎖5:
CAGTCTGACTCACCACTCGT
鎖6:
CACCAGACCTACGAAGTCCA
鎖8:
/5Phos/TTCCAACTAT/CCAACTAT/CTAT/+TTTTTT/TT+ACACCTCTGTCTAGCCAGTCACGGATGTCAAGGGTAGCAGCGACGATTAACGAGTGGTGAGTCAGACTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖9:
/5Phos/GAGTGTGAGGATGTCAGTGTGTCTC/TT/CCAA(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖10:
/5AmMC12/ ATAGTTGGAAGAGACACACTGACATCCTCAC(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
【0292】
特記:「/」は、DNAの所与の鎖のバリアントを示す。鎖8に2つの異なるギャップを含む3つの異なる長さの鎖8及び9を選択した。
【0293】
ライゲーション及び増幅の検証
DNAテンプレートがライゲートし、かつPCRにより増幅され得るかどうかを検証するために、鎖1及び8の、鎖9及び10の、ならびに鎖2及び4の対をハイブリダイズさせた。次いで、DNAリガーゼ(例えば、T7またはT4リガーゼ)を使用して、ハイブリダイズした鎖1+8、9+10、及び2+4をライゲートし、かつqPCRを、EvaGreen蛍光色素ならびにプライマーとして鎖5及び6を使用して行った。
【0294】
DNAをハイブリダイズさせるために、1uMの、等体積量の鎖1及び8、鎖9及び10、ならびに鎖2及び4をサーマルサイクラー中で、例えば、次のプロトコルを使用して融解した:95℃で10秒間、65℃で30秒間、4℃で維持。DNA二本鎖を作製した後に、DNAライゲーション(例えば、T4及びT7リガーゼを使用)を、例えば、9uLのハイブリダイズした100nMのDNAを20uL反応で使用して行った。陰性対照は、リガーゼを与えられなかったが、同じバッファーを含有した。ライゲーションをサーマルサイクラー中で、例えば25℃で、20分間にわたって行った。次いで、例えば、TaqMan Fast Advancedマスターミックスを使用して、ライゲーション後の産物(またはリガーゼを含まない)をqPCRに掛けた。qPCRを例えば、96ウェルプレート内で、例えば、次のPCRプロトコルを使用して実行した:50℃で2分間保持、95℃で2分間保持、95℃で5秒間及び60℃で15秒間を55サイクル実行、ならびに標準融解曲線を実行。すべてのqPCR反応を三重に行い、qPCRシグナルを正規化するために、パッシブ基準(例えば、ROX)を使用した。次いで、データを解析してグラフ化した。
【0295】
結果:
強固なCt値には、リガーゼが必要とされる
図6に示されているとおり、リガーゼの存在が、強固なCt値を生成するために必要である。
【0296】
強いシグナルには、3つすべてのテンプレートが必要とされる
図7~9に示されているとおり、上記3つのテンプレートDNAの各対が反応でライゲートした。3つの鎖のうちの2つのみでは、上記シグナルは、およそ13~14Ct値弱い。これらの所見は、強固なシグナルに必要とされる3つすべての鎖と共に、三重DNAシステムが増幅され得ることを示している。
【0297】
実施例3:単一の細胞外小胞中に存在する2つまたはそれ以上の標的の検出
本実施例では、それぞれ実施例1及び2に記載のとおりの二重システム及び三重システムが、標的のうちの少なくとも1つが欠失している生物学的実体(例えば、細胞外小胞)ではなく、標的の組合せ(例えば、セット)の存在について、異なる種類の生物学的実体(例えば、細胞外小胞)を検出するために有用であることを実証する。本実施例ではまた、標的結合部分と、その標的結合部分にカップリングしているオリゴヌクレオチドドメイン(二本鎖部分及び一本鎖オーバーハングを含む)とをそれぞれ含む個々の標的のための検出プローブの合成を記載する。
【0298】
2つの標的(例えば、分子標的)を含む細胞外小胞の検出における二重システムの性能を評定するために、一部の実施形態では、実施例1に記載のものとは異なる組合せ標的バイオマーカーを使用した。一部の実施形態では、実施例1において使用したEvaGreen蛍光色素などの検出可能なプローブを加水分解プローブに置換した。一部の実施形態では、標的マーカーAは、細胞外小胞のための一般的マーカーであった。一部の実施形態では、標的マーカーBは、正常な皮膚及び黒色腫でのみ発現されるが、他のがんでは発現されない。表2に示されているとおり、T84は、標的マーカーBを(このアッセイの条件下では)検出可能に発現しないが、標的マーカーAをMeWo細胞よりも低いレベルで発現する結腸直腸細胞系である。逆に、MeWo黒色腫細胞系は、標的マーカーA及び標的マーカーBの両方を高レベルで発現する。
表2.細胞系由来細胞外小胞の遺伝子発現
(100万あたりの転写産物/TPM)
【表2】
【0299】
3つの標的バイオマーカーを含む細胞外小胞での検出における三重システムの性能を評定するために、3つの標的マーカーを用いたが、それらはそれぞれ、T84細胞よりもMeWo細胞において高レベルで発現されるか、またはMeWoにおいて高度に発現され、T84ではまったく発現されない。この本実施例では、標的マーカーの少なくとも1つが、T84細胞外小胞では(このアッセイの条件下で)検出可能に発現されないように、3つの標的マーカーの組合せを選択した。
表3.細胞系由来細胞外小胞の遺伝子発現
(100万あたりの転写産物/TPM)
【表3-1】
【表3-2】
【0300】
例示的な方法:
オリゴヌクレオチド
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、次の配列構造及び修飾を有し得る。下の鎖番号が、図2A及び5Aに示されている鎖に付随する数値に対応することに注意する。
鎖1:
/5AmMC12/CAGTCTGACTCACCACTCGTTAATCGTCGCTGCTACCCTTGACATCCGTGACTGGCTAGACAGAGGTGT(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖2:
/5AmMC12/CACCAGACCTACGAAGTCCATAGCCTTGCCTGATTAGCCACTGTCCAGTTTGGCTCCTGGTCTCACTAG(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖3:
/5Phos/GAGTACACCTCTGTCTAGCCAGTCACGGATGTCAAGGGTAGCAGCGACGATTAACGAGTGGTGAGTCAGACTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖4:
/5Phos/ACTCCTAGTGAGACCAGGAGCCAAACTGGACAGTGGCTAATCAGGCAAGGCTATGGACTTCGTAGGTCTGGTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖4(三重システムにおいて使用される場合、5’リン酸はない):
/5’ACTCCTAGTGAGACCAGGAGCCAAACTGGACAGTGGCTAATCAGGCAAGGCTATGGACTTCGTAGGTCTGGTG
鎖5:
CAGTCTGACTCACCACTCGT
鎖6:
CACCAGACCTACGAAGTCCA
ポリT:
TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTT
鎖8:
/5Phos/CCAACTATTTTTTTACACCTCTGTCTAGCCAGTCACGGATGTCAAGGGTAGCAGCGACGATTAACGAGTGGTGAGTCAGACTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖9:
/5Phos/GAGTGTGAGGATGTCAGTGTGTCTCTT(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖10:
/5AmMC12/ATAGTTGGAAGAGACACACTGACATCCTCAC(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
【0301】
抗体-DNAコンジュゲーション
二重システムでは、一部の実施形態では、鎖1及び3を含むオリゴヌクレオチドは、標的マーカーAに特異的な標的結合部分にコンジュゲートしていた一方で、鎖2及び4を含むオリゴヌクレオチドは、標的マーカーBに特異的な標的結合部分にコンジュゲートしていた。一部の実施形態では、実施例1に記載のとおりの、標的結合部分(例えば、抗体因子)をオリゴヌクレオチドにコンジュゲートするための方法を使用して、各標的結合部分(例えば、抗体因子)に対してほぼ2本の二本鎖DNAの鎖をアニールした。
【0302】
三重システムでは、一部の実施形態では、鎖1及び8を含むオリゴヌクレオチドは、標的マーカーCに特異的な標的結合部分にコンジュゲートしており;鎖10及び9を含むオリゴヌクレオチドは、標的マーカーAに特異的な標的結合部分にコンジュゲートしており;かつ鎖2及び4(ここで、鎖4は、遊離5’リン酸を有さない)を含むオリゴヌクレオチドは、標的マーカーDに特異的な標的結合部分にコンジュゲートしていた。一部の実施形態では、実施例1に記載のとおりの、標的結合部分(例えば、抗体因子)をオリゴヌクレオチドにコンジュゲートするための方法を使用して、各標的結合部分(例えば、抗体因子)に対してほぼ2本の二本鎖DNAの鎖をアニールした。
【0303】
細胞培養
T84細胞を、5%エクソソーム非含有ウシ胎児血清(FBS)及び1mLあたり50単位のペニシリン/ストレプトマイシンを含む1:1のダルベッコ変法イーグル培地(DMEM):ハムF12培地中で成長させた。MeWo細胞は両方とも、10%エクソソーム非含有FBS及び1mLあたり50単位のペニシリン/ストレプトマイシンを含むイーグル最小必須培地(EMEM)中で成長させた。すべての細胞系を5%CO2及び37℃で維持し、継代数は20未満であった。
【0304】
細胞培養培地からの細胞外小胞の精製
一部の実施形態では、MeWo及びT84細胞を、約80%の集密度に達するまでそれぞれの培地中で成長させた。細胞培養培地を収集し、300×rcfで5分間にわたって室温で(RT)でスピンさせて、細胞及び破片を除去した。次いで、上清を収集し、-80℃で冷凍した。
【0305】
使用前に、-80℃で貯蔵した冷凍上清を解凍し、次いで、細胞及び大きな(例えば、直径1ミクロン超)細胞断片から清澄にした。解凍した上清を、遠心分離を使用して清澄にした。
【0306】
一部の実施形態では、清澄にした使用済み培地(例えば、約500uL)をサイズ排除精製カラムに流した。約65nm~約200nmのサイズ範囲を有するナノ粒子を各試料で収集した。
【0307】
細胞外小胞ビオチン化
一部の実施形態では、例えば、NanoDropを製造者指示に従って使用して、精製細胞外小胞のタンパク質濃度を測定した。この測定を使用して、各試料に添加するビオチンの量を計算した。製造者指示に従って、例えば、EZ-link Micro NHS-PEG4-ビオチン化キットを使用して、細胞外小胞をビオチン化した。ビオチンを試料に添加した後に、これを45分間にわたって振盪した。2つの連続する5mL、40kDa MWCOカラムスピン(例えば、Zeba(商標)製)を使用して、過剰のビオチンを除去した。
【0308】
粒子カウント
65~200nmのナノ粒子範囲を測定するために、例えば、TS400チップを用いるSpectroDyne粒子計数器を使用して、粒子カウントを得た。
【0309】
ストレプトアビジンコーティングされた96ウェルプレート上でのビオチン化細胞外小胞の捕捉または固定化
一部の実施形態では、等数のビオチン化細胞外小胞を、例えば、アッセイされる各試料条件について3連で、ストレプトアビジンコーティングされた捕捉表面(例えば、96ウェルプレートのウェル)に添加した。プレートをインキュベートし、室温で、しばらく振盪した。
【0310】
細胞外小胞の固定
一部の実施形態では、適切な濃度のホルムアルデヒド(1×PBS中)を、ストレプトアビジンコーティングされた表面上に捕捉された細胞外小胞に添加した。次いで、固定化細胞外小胞を、その後のステップで使用するために洗浄した。
【0311】
試料の遮断及び細胞外小胞の透過化
固定化細胞外小胞を含む試料を遮断バッファーと混合した。一部の実施形態では、遮断バッファーは、リン酸非含有バッファー(例えば、Candor Bioscience製のLowCross-Buffer(登録商標))などの緩衝液中に適切な濃度でTriton X-100またはサポニン及びサケ精子DNAを含み得る。
【0312】
検出プローブの結合
検出プローブ(例えば、抗体因子の量に基づき約0.5ug/mL~約3.5ug/mlの濃度で)を、細胞外小胞(例えば、固定化され、遮断され、かつ任意選択で透過化されたインタクトな細胞外小胞)を含む試料に添加した。次いで、混合物を、検出プローブが標的バイオマーカーを含む細胞外小胞に結合するような条件下でインキュベートする。
【0313】
結合後の洗浄
一部の実施形態では、試料を適切なバッファー中で洗浄した。
【0314】
ライゲーション
非結合検出プローブを除去するために洗浄した後に、検出プローブ結合細胞外小胞(固体基材表面上に捕捉されている)をライゲーションミックスと接触させた。混合物を20分間にわたって室温でインキュベートした。
【0315】
PCR
ライゲーション後に、検出プローブ結合細胞外小胞(固体基材表面上に捕捉されている)をPCRミックスと接触させた。PCRを例えば、Quant Studio 3で、次の例示的なPCRプロトコルで行った:95℃で1分間にわたって保持、95℃で5秒間及び62℃で15秒間を50サイクル実行、及び標準的な融解曲線。温度変化の速度は、標準(1秒あたり2℃)であるように選択した。すべてのqPCRを二重または三重に行い、かつROXを、qPCRシグナルを正規化するためのパッシブ基準として使用した。次いで、データをQuant Studio 3 machineからダウンロードし、Python 3.7で解析及びプロットした。
【0316】
結果:
図13A及び13Bに示されているqPCRの結果は、本明細書に記載のシステム(例えば、二重及び/または三重システム)を使用することで、標的バイオマーカーシグネチャー(例えば、タンパク質-発現パターン)を含有する細胞外小胞が検出可能であり、かつそのような標的バイオマーカーシグネチャーを有さない細胞外小胞から識別可能であることを実証している。本明細書に記載のシステム(例えば、二重及び/または三重システム)を使用することで、親細胞系の示差的遺伝子発現は、それぞれの細胞系由来細胞外小胞において容易に同定可能であった。MeWo細胞及びそれに由来する細胞外小胞は、標的マーカー(二重システムでは標的マーカーA及び標的マーカーB;三重システムでは標的マーカーA、標的マーカーC、及び標的マーカーD)をそれぞれ、T84細胞及びそれに由来する細胞外小胞よりも高いレベルで発現する。したがって、この実施例で実行される二重及び三重アッセイの両方で、MeWo細胞外小胞は続いて、T84細胞外小胞から得られるものよりもかなり低いCt(約6Ct低い)を有した。これらの結果は、表2~3に示されているとおり、各細胞系におけるmRNA発現と一致する。
【0317】
考察:
この本実施例は、共局在した標的マーカーA及び標的マーカーBを同定するための二重システムが、細胞外小胞を標識するレベルで機能し、その際、発現依存性シグナルが観察されることを示している。具体的には、MeWo細胞及びそれに由来する細胞外小胞は、標的マーカーA及び標的マーカーBの両方を、T84細胞及びそれに由来する細胞外小胞と比べて高いレベルで発現し(表2)、したがって、MeWo細胞外小胞を含有する試料では、より強いシグナルが生じた。
【0318】
本実施例はまた、標的マーカーA、標的マーカーC、及び標的マーカーDの組合せを同定するための三重システムが細胞外小胞のレベルで機能し、その際、発現依存性シグナルが観察されることを示している。MeWo細胞及びそれに由来する細胞外小胞は、3つすべてのマーカーを、T84細胞及びそれに由来する細胞外小胞で発現されるものと比較して高いレベルで発現する。特に、標的マーカーのうちの1つ(標的マーカーA)は、T84細胞及びそれに由来する細胞外小胞では発現されなかった。MeWo細胞外小胞におけるこれら3つのマーカーの、このより多くの発現が、T84細胞外小胞と比較して有意に高いシグナルをもたらす(2は、約64倍強い)。
【0319】
理論に拘束されることは望まないが、一部の実施形態では、検出プローブの標的結合部分(例えば、抗体因子)の非特異的結合は、T84試料において検出されるノイズシグナルに寄与し得る(テンプレートなしの陰性対照と比較して)。したがって、一部の実施形態では、細胞外小胞を含む試料を、検出プローブの非特異的結合を減少させる、または最小化するために処理することができる。
【0320】
実施例4:患者血漿試料においてがん関連細胞外小胞を検出するために例示的なシステムを使用するがん検出
本実施例では、本明細書に記載のシステムが複雑な試料マトリックス(例えば、対象からの血漿試料)において標的生物学的実体を検出するために有用であり得ることを実証する。例えば、標的生物学的実体(例えば、がん関連細胞外小胞)を血漿試料(例えば、ヒト対象に由来)にスパイクし、ライゲートされたテンプレートのシグナルを濃度依存的手法で、標的生物学的実体を含む試料中で検出した。
【0321】
本実施例ではまた、本明細書に記載のシステムが、がん検出に有用であり得ることを実証する。具体的には、本実施例は、本明細書に記載のシステムが、がん患者の細胞外小胞を、正常で健康な対象のものから識別するために有用であることを示している。加えて、本実施例は、そのようながん検出アッセイが高い感受性及び/または特異性を提供することを示している。
【0322】
この本実施例では、がん関連細胞外小胞を検出するための本明細書に記載のシステムの能力を実証するために、肺腺癌患者から得られた試料(例えば、血漿試料)を使用したが、当業者は、本開示を読むことで、本明細書に記載のそのようなシステムを使用することで、少なくとも2つまたはそれ以上の標的マーカーの種々の適切な組合せを使用して、他の種類のがんを検出することができることが分かるであろう。さらに、当業者は、本開示を読むことで、本明細書に記載のそのようなシステムが、少なくとも2つまたはそれ以上の標的マーカーの適切なセットを使用することで、異なるステージのがんを診断するために有用でもあり得ることが分かるであろう。
【0323】
本実施例で実証されるとおりの能力は、この本実施例で評価された二重システム(すなわち、標的生物学的実体に特異的な2つの別個の検出プローブのセットを含む)に限られない。当業者には、本開示を読むことで、本明細書に記載の他のシステム(例えば、少なくとも3つまたはさらなる別個の検出プローブのセットを含む三重またはn重システム)も、複雑な試料マトリックス中において標的生物学的実体を検出するために、例えば、がん検出のために有用であり得ることは明らかであろう。当業者は、本開示を読むことで、異なる標的のための追加の検出プローブを含むことで、一部の実施形態では、検出アッセイの特異性及び/または感受性が上昇するであろうことも分かるであろう。
【0324】
スパイクイン実験:一態様では、複雑な試料マトリックスにおいて細胞外小胞を検出するための二重システムの能力を評定した。例えば、がん関連細胞外小胞(EV)を、対象(例えば、ヒト対象)の血漿試料にスパイクした。次いで、スパイクされた血漿試料を精製して、EVを単離した。二重システムアッセイ(例えば、本明細書に記載のとおりのもの)を実行する前に、単離または精製されたEVを固体基材表面(例えば、PCRプレート)上に捕捉または吸着することができる。一部の実施形態では、がん関連細胞外小胞をHCC-4006、肺腺癌細胞系から得た。一部の実施形態では、がん関連細胞外小胞をSK-MEL1、黒色腫細胞系から得た。
【0325】
このスパイクイン実験では、バイオマーカーの4つの例示的な異なる組合せを二重システムアッセイで評定した。加えて、加水分解プローブを、検出可能なフルオロフォア標識SYBRグリーンに置換した。上記4つの例示的な異なる組合せを下に示す:
・ 標的マーカーA+標的マーカーB(黒色腫関連細胞外小胞を検出するためにこのアッセイで利用した組合せマーカー)
・ 標的マーカーE+標的マーカーF(肺腺癌関連細胞外小胞を検出するためにこのアッセイで利用した組合せマーカー)
・ 標的マーカーE+標的マーカーA(肺腺癌関連細胞外小胞を検出するためにこのアッセイで利用した組合せマーカー)
・ 標的マーカーG+標的マーカーF(肺腺癌関連細胞外小胞を検出するためにこのアッセイで利用した組合せマーカー)
下の表4に、種々のがん関連細胞外小胞における様々な標的マーカーの発現をまとめている。表4中の組合せ5は上記スパイクイン実験では評価されなかったが、患者試料をスクリーニングするための実験(下記のとおりのもの)で使用されたことに注意されたい。
表4.肺腺癌細胞系(HCC4006)及び黒色腫細胞系(SKMEL1)で発現された、5つの組合せでの100万あたり転写産物(TPM)のスコア
【表4-1】
【表4-2】
標的マーカーE、標的マーカーF、標的マーカーG、及び標的マーカーHは、他の組織においてよりも肺腺癌で高度に発現される。標的マーカーEはその他に健康な組織でも、ただし一般に、LUADにおいてよりも低レベルで発現されることに注意すべきである。実施例3において論述したとおり、標的マーカーBは黒色腫において、この本実施例において黒色腫関連細胞外小胞のための陽性対照として使用された他の組織においてよりも高度に発現される。実施例3において論述したとおり、標的マーカーAは、多くの種類の細胞外小胞におけるその存在により、細胞外小胞のための一般的マーカーである。
【0326】
健康な血漿 対 ステージIV肺腺癌(LUAD)血漿での実験:別の態様では、健康な患者及びステージIV LUAD患者の血漿試料において細胞外小胞を識別する二重システムの能力を評定した。例えば、細胞外小胞を、ステージIV LUAD患者、ならびに年齢及び性別適合の健康な対象の血漿試料から精製するか、または単離し、次いで、例えば、上の表4に示されているとおりの組合せ3または組合せ5を指向する少なくとも2つまたはそれ以上の検出プローブのセットを使用してプロファイルした。
【0327】
例示的な方法:
オリゴヌクレオチド
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、次の配列構造及び修飾を有し得る。下の鎖番号が、図2Aに示されている鎖に付随する数値に対応することに注意する。
鎖1:
/5AmMC12/CAGTCTGACTCACCACTCGTTAATCGTCGCTGCTACCCTTGACATCCGTGACTGGCTAGACAGAGGTGT(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖2:
/5AmMC12/CACCAGACCTACGAAGTCCATAGCCTTGCCTGATTAGCCACTGTCCAGTTTGGCTCCTGGTCTCACTAG(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖3:
/5Phos/GAGTACACCTCTGTCTAGCCAGTCACGGATGTCAAGGGTAGCAGCGACGATTAACGAGTGGTGAGTCAGACTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖4:
/5Phos/ACTCCTAGTGAGACCAGGAGCCAAACTGGACAGTGGCTAATCAGGCAAGGCTATGGACTTCGTAGGTCTGGTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖5:
CAGTCTGACTCACCACTCGT
鎖6:
CACCAGACCTACGAAGTCCA
【0328】
抗体因子-DNAコンジュゲーション
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドへの抗体因子のコンジュゲーションを、抗体因子の抗原結合部分における変化を最小化または回避するように実行する。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイズした鎖1及び3またはハイブリダイズした鎖2及び4であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、抗体因子を、実施例1及び3に記載のとおりの方法を使用して、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、抗体因子を、その抗体因子の遊離アミン基を介してオリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、抗体因子を、その抗体因子の反応性チオール基を介してオリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、抗体因子を、その抗体因子中に存在する炭水化物残基を介してオリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることができる。
【0329】
細胞培養
SK-MEL-1細胞を、10%エクソソーム非含有FBS及び1mLあたり50単位のペニシリン/ストレプトマイシンを含むイーグル最小必須培地(EMEM)中で成長させた。HCC-4006細胞を、10%エクソソーム非含有FBS及び1mLあたり50単位のペニシリン/ストレプトマイシンを含むRoswell Park Memorial Institute(RPMI 1640)中で成長させた。すべての細胞系を5%CO2及び37℃で維持し、継代数は20未満であった。
【0330】
細胞培養培地からの細胞外小胞の精製
一部の実施形態では、SK-MEL-1及びHCC4006細胞を、約80%の集密度に達するまでそれぞれの培地中で成長させた。細胞培養培地を収集し、300×rcfで5分間にわたって室温で(RT)でスピンさせて、細胞及び破片を除去した。次いで、上清を収集し、-80℃で冷凍した。
【0331】
使用前に、-80℃で貯蔵した冷凍上清を解凍し、次いで、細胞及び大きな(例えば、直径1ミクロン超)細胞断片から清澄にした。
【0332】
一部の実施形態では、清澄にした使用済み培地(例えば、約500uL)をサイズ排除精製カラムに流した。約65nm~約200nmのサイズ範囲を有するナノ粒子を各試料で収集した。
【0333】
正常な血漿試料への細胞系由来細胞外小胞の添加
スパイクイン研究のために、異なる体積(例えば、50、100、及び400uL)の精製SK-MEL-1及びHCC-4006細胞外小胞を、例えば、1mLあたり、SpectraDyne nCS1 TS400カートリッジで測定した場合に直径80nm超のナノ粒子およそ3e10の同じ濃度で、健康な患者BL3からの血漿(「BL3血漿」)にスパイクした。BL3血漿500uLから出発して、異なる体積(例えば、0uL、50uL、100uL、または400uL)の精製細胞系由来細胞外小胞を添加した。次いで、各試料が、細胞外小胞の精製前に900uLの体積になるように、緩衝液、例えば、PBSを添加した。血漿試料からの細胞外小胞精製のための例示的なプロトコルは、下記のセクション「健康な血漿及びステージIV血漿からの細胞外小胞精製」に記載したが、ただし、サイズ排除カラム精製後の細胞外小胞を400uLに濃縮し、ELISA捕捉バッファー中で1mLあたり直径80nm超のナノ粒子約3e9まで希釈し、及びPCRプレートに30uLでプレーティングしたという除外を伴った。
【0334】
健康な血漿及びステージIV血漿からの細胞外小胞精製
一部の実施形態では、血漿細胞外小胞を清澄化に掛け、その後、ただちに、サイズ排除精製カラムに装填した。約65nm~約200nmのサイズ範囲を有するナノ粒子を各試料で収集した。
【0335】
粒子カウント
粒子カウントを、実施例3に記載されているとおりに実行した。
【0336】
PCRプレートウェルへの細胞外小胞の捕捉または固定化
一部の実施形態では、細胞外小胞をPCRプレート上に捕捉した。例えば、がん細胞外小胞を標的とする抗体でコーティングされた表面を使用して、がん細胞外小胞を選択的に捕捉することができる。別の実施例は、細胞外小胞のビオチン化及びストレプトアビジン(例えば、BioTez製)コーティングされたPCRウェル上での捕捉である。
【0337】
細胞外小胞固定化
一部の実施形態では、適切な濃度のホルムアルデヒド(1×PBS中)を、PCRプレート表面上に吸着させた細胞外小胞に添加した。次いで、固定化細胞外小胞をその後のステップでの使用のために洗浄した。
【0338】
試料遮断及び細胞外小胞透過化
固定化細胞外小胞を含む試料を遮断バッファーと混合した。一部の実施形態では、遮断バッファーは、Triton X-100及びサケ精子DNAを適切な濃度で、緩衝液、例えば、リン酸非含有バッファー(例えば、Candor Bioscience製のLowCross-Buffer(登録商標))中に含む。
【0339】
検出プローブ結合
検出プローブ(例えば、抗体因子の量に基づき、約1ug/mlの濃度)を、細胞外小胞(例えば、固定化、遮断、及び任意選択で透過化されたインタクトな細胞外小胞)を含む試料に添加した。次いで、混合物を、検出プローブが標的バイオマーカーを含む細胞外小胞に結合するような条件下でインキュベートする。
【0340】
結合後洗浄
一部の実施形態では、試料を、例えば、適切なバッファー中で複数回洗浄した。
【0341】
ライゲーション
非結合検出プローブを除去するための洗浄の後に、検出プローブ結合細胞外小胞(固体基材表面上に捕捉されている)を、ライゲーションミックスと接触させた。その混合物を20分間にわたって室温でインキュベートした。
【0342】
PCR
ライゲーション後に、検出プローブ結合細胞外小胞(固体基材表面上に捕捉されている)を、PCRミックスと接触させた。PCRを、例えば、Quant Studio 3で、次の例示的なPCRプロトコルで実行した:95℃で1分間保持、95℃で5秒間及び62℃で15秒間を50サイクル実行、ならびに標準融解曲線。温度変化の速度は、標準(1秒あたり2℃)であるように選択した。すべてのqPCRを二重または三重に行い、かつROXを、qPCRシグナルを正規化するためのパッシブ基準として使用した。次いで、データをQuant Studio 3 machineからダウンロードし、Python 3.7で解析及びプロットした。
【0343】
結果及び考察
スパイクイン実験
検出プローブの4つの異なる組合せ(表4に示されているとおりの標的マーカーの異なる組合せを指向)のそれぞれについての生qPCRプロットを得(データは図示せず)、次いで、解析してデルタCtプロットを生成し(図14A~14Dに示されているとおりのもの)、その際、BL3血漿試料(健康な血漿試料)をゼロ基線とした。
【0344】
組合せ1(表4に示されている)は、すべてのSK-MEL-1細胞外小胞濃度について最大のデルタCt(図14A)を生成したが、これは、組合せ1の標的マーカーBが主にSK-MEL-1で発現されるが、肺腺癌、例えば、HCC4006では発現されないためである。SK-MEL-1細胞外小胞血漿試料でのデルタCt値は、HCC4006細胞外小胞血漿試料のものよりも高く、したがって、この組合せマーカーを指向する検出プローブを使用するシステムを使用して、黒色腫を検出することができることを示した。組合せ2(表4に示されている)は、HCC4006細胞外小胞の比較的高い濃度(100uL及び400uL)について、大きなデルタCt(図14B)を生成した。組合せ3(表4に示されている)は、肺腺癌細胞外小胞HCC4006を含有する血漿試料について最大のデルタCt(図14C)を生成した。HCC4006細胞外小胞血漿試料でのデルタCt値は、SK-MEL-1細胞外小胞血漿試料のものよりも高く、したがって、この組合せマーカーを指向する検出プローブを使用するシステムを使用して、肺腺癌を検出することができることを示した。組合せ4(表4に示されている)は、HCC4006細胞外小胞のすべてのレベルについて強いシグナルを示さなかった(図14D)。
【0345】
スパイクイン実験では、黒色腫及び肺腺癌患者血漿試料をシミュレートして、がんスクリーニングのためのバイオマーカーの種々の組合せの有用性を評価した。上記で論述したとおり、組合せ1は、図14Aに示されているとおり、SK-MEL-1細胞外小胞スパイクされた血漿のすべてのレベルと、すべての他の試験試料とを識別することができた。組合せ1がSK-MEL-1スパイクされた試料について最も強いシグナルをもたらしたことを考慮すると、当業者は、本開示を読むことで、例えば、組合せ1において標的マーカーを指向する検出プローブを含む本明細書に記載のシステムが、患者試料のスクリーニングのときに、黒色腫に対して感受性があり、特異的であり得ることが分かるであろう。上記で論述したとおり、組合せ3は、HCC4006スパイクインの3つすべての濃度について最も強いシグナル(図14C)を有し、このことにより、肺腺癌患者試料を試験するための最良の候補となった。
【0346】
健康な対照及び肺腺癌(LUAD)患者血漿試料における組合せ3及び組合せ5
組合せ3を使用してHCC4006細胞外小胞スパイクイン血漿試料において検出された強いシグナルを考慮して、組合せ3を、LUAD患者血漿試料を評定するために選択した。図15A~15Cに示されているとおり、組合せ3は、LUAD患者試料(STIV試料)と、健康な対照(HC試料)とを非常に高い感受性及び特異性で識別することができた。図15Cは、一部の実施形態では、そのようなアッセイが感受性100%及び特異性100%をもたらし得ることを示している。
【0347】
組合せ3に加えて、組合せ5(表4に示されているとおりのもの)も、LUAD患者血漿試料を評定するために選択した。図16A~16Cに示されているとおり、組合せ5は、LUAD患者試料(STIV試料)と健康な対照(HC試料)とを非常に高い感受性及び特異性で識別することができた。図16Cは、一部の実施形態では、そのようなアッセイが感受性100%及び特異性100%をもたらし得ることを示している。
【0348】
興味深いことに、図17に示されているとおり、組合せ3及び5の正規化シグナルの間に非常に高い相関(r=0.99)が存在し、本明細書に示されている結果の一貫性を示した。例えば、試料STIV Aのシグナルの強度は一貫して、他のLUAD試料シグナルの中で最大であり、これは、処置応答の予示において予後値をもたらし得る。
【0349】
本明細書において示された所見は、バイオマーカーの適切な組合せを指向する検出プローブ(例えば、本明細書に記載のとおりのもの)を含むシステム及び方法は、異なる種類のがん患者(例えば、肺腺癌患者と黒色腫患者)を区別するために、またはがん患者を正常で健康な対象から区別するために有用であることを示している。
【0350】
一部の実施形態では、本明細書に記載のシステム及び方法を使用して、がんのステージ(例えば、ステージI、ステージII、ステージIII、及びステージIV)を同定することができる。
【0351】
実施例5:がんと関連する個々の細胞外小胞の検出
本実施例では、標的結合部分と、その標的結合部分にカップリングしているオリゴヌクレオチドドメイン(二本鎖部分及び一本鎖オーバーハングを含む)とをそれぞれ含む、標的(例えば、標的バイオマーカー(複数可))のための検出プローブの合成を記載する。本実施例ではさらに、2つまたはそれ以上の別個の標的を含む生物学的実体(例えば、細胞外小胞)の存在または非存在を検出するためのそのような検出プローブの使用を実証する。
【0352】
一部の実施形態では、検出プローブは、一方の末端には標的がんバイオマーカーに特異的な抗体因子、及び別の末端には一本鎖オーバーハングとを有する二本鎖オリゴヌクレオチドを含み得る。2つまたはそれ以上の検出プローブが同じ生物学的実体(例えば、細胞外小胞)に結合する場合、検出プローブの一本鎖オーバーハングが近接して、それらが相互にハイブリダイズし、後でライゲートして検出のために増幅することができる二本鎖複合体を形成し得るようになっている。
【0353】
この研究では、それぞれ同じ標的バイオマーカーを指向する2つの検出プローブを用いたが、当業者は、本開示を読むことで、2つの検出プローブが異なる標的バイオマーカーを指向する場合、またはそれぞれ別個の標的タンパク質のための3つもしくはそれ以上の検出プローブを使用する場合を理解するであろう。さらに、この実施例に記載の組成物及び方法を、異なる生物学的試料(例えば、細胞外小胞を含む)での適用に拡大することができる。
【0354】
本実施例は、ある特定の実験からの実験データを示しており、本明細書において提供される技術が、がんについての標的バイオマーカー組合せを使用して(がんマーカー1及びがんマーカー2、例えば、一部の実施形態では、捕捉標的としてのがんマーカー1を、がんマーカー2を指向する検出プローブと共に使用して)、患者試料においてがん(例えば、卵巣嚢胞腺癌)を検出することができることを実証している。第1の実験は、本明細書に記載の二重システムアッセイを使用して、PBS中で2つの異なるがん細胞系由来-細胞外小胞(CLD-EV)を検出することを実証した。例えば、図19を参照されたい。
【0355】
CLD-EVを検出することができるそのような二重システムアッセイを用いて、それぞれのステージ(ステージI~IV)及び/またはサブタイプのがんからの、及び様々な対照群(例えば、健康な対象、良性腫瘍、及び非標的がんを有する対象)からの患者試料を含む研究を行った。がん(例えば、卵巣癌)を検出するための例示的な二重システムアッセイの実行を示す実施例6及び図21~22を参照されたい。
【0356】
例示的なアッセイの概観
一部の実施形態では、本明細書に記載の標的実体検出システムは二重システムである。一部の実施形態では、例えば、図2Aに図示のとおりのそのような二重システムは、それぞれ異なるエピトープを認識する2つの抗体を利用する。対合二本鎖テンプレートDNAもqPCRで利用し、それらはそれぞれ、そのパートナー上の5’オーバーハングに相補的な特異的な4塩基5’オーバーハングを有する。各抗体を、2つの二本鎖DNAテンプレートの一方とコンジュゲートさせる。抗体がそれらの標的エピトープに結合すると、それぞれのテンプレートの接着性末端がハイブリダイズし得る。次いで、PCR増幅前に、これらの接着性末端をT7リガーゼにより一緒にライゲートする。2つのDNAテンプレート間でハイブリダイゼーションが生じるためには、上記2つの抗体は、相互に十分に近接して結合している必要がある(例えば、50~60nm以内、DNAリンカー及び抗体因子の長さ)。結合しているが、ライゲートされないままである任意のテンプレートは、図2Aに示されているとおり、PCR産物を生成しないこととなる。
【0357】
健康な対照 対 ステージI、II、III、及びIVのがん患者血漿:
健康な対照及びがん患者(例えば、卵巣癌を有する患者)からの血漿試料を処理して、精製された細胞外小胞を得、これを、下記のとおりの例示的なアッセイを使用して調べた。
【0358】
抗がんマーカー1抗体と共有結合性にコンジュゲートした磁気ビーズを使用して、精製EVを捕捉した。ビーズにより捕捉されたEVを、がんマーカー2を指向する抗体と、別個のオリゴヌクレオチドドメイン(例えば、本明細書に記載のもの)とをそれぞれ含む2つの検出プローブのセットを使用してプロファイルした。
【0359】
がんマーカー1及びがんマーカー2のバイオマーカー組合せを、健康な組織由来の細胞外小胞との交差反応性を最小限にするように慎重に選択した。一部では、標的がん、例えば、卵巣嚢胞腺癌において示差的に発現されるmRNAのヒートマップを使用することにより、そのようなバイオマーカーと健康な組織との交差反応性をバイオインフォマティクスで予測した。したがって、マーカーの種々の組合せが、健康な組織からの細胞外小胞の表面上においてよりも、がん関連細胞外小胞の表面上でかなり豊富であると予測され得る。
表5.ある特定のがん細胞系 対 陰性対照細胞系(例えば、非がん系)で発現される、次のバイオマーカー組合せの転写産物発現スコア
【表5】
【0360】
例示的な方法:
オリゴヌクレオチド
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、次の配列構造及び修飾を有し得る。下の鎖番号が、図2Aに示されている鎖に付随する数値に対応することに注意する。
鎖1v1:
/5AzideN/CAGTCTGACACAGCAGTCGTTAATCGTCGCTGCTACCCTTGACATCCGTGACTGGCTAGACAGAGGTGT(ここで、/5AzideN/は、NHSエステルリンカーを介して5’オリゴヌクレオチドに結合しているアジド基を指す)、または
/5AmMC12/CAGTCTGACACAGCAGTCGTTAATCGTCGCTGCTACCCTTGACATCCGTGACTGGCTAGACAGAGGTGT(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)、または
/5ThiolMC6/CAGTCTGACACAGCAGTCGTTAATCGTCGCTGCTACCCTTGACATCCGTGACTGGCTAGACAGAGGTGT(ここで、/5ThiolMC6/は、6-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているチオールを指す)
鎖2v1:
/5AzideN/GACCTGACCTACAGTGACCATAGCCTTGCCTGATTAGCCACTGTCCAGTTTGGCTCCTGGTCTCACTAG(ここで、/5AzideN/は、NHSエステルリンカーを介して5’オリゴヌクレオチドに結合しているアジド基を指す)、または
/5AmMC12/GACCTGACCTACAGTGACCATAGCCTTGCCTGATTAGCCACTGTCCAGTTTGGCTCCTGGTCTCACTAG(ここで、/5AmMC1/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)、または
/5ThiolMC6/GACCTGACCTACAGTGACCATAGCCTTGCCTGATTAGCCACTGTCCAGTTTGGCTCCTGGTCTCACTAG(ここで、/5ThiolMC6/は、6-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているチオールを指す)。
鎖3v1:
/5Phos/GAGTACACCTCTGTCTAGCCAGTCACGGATGTCAAGGGTAGCAGCGACGATTAACGACTGCTGTGTCAGACTG(ここで、/5Phos/は、オリゴヌクレオチド末端に結合したリン酸基を指す)
鎖4v1:
/5Phos/ACTCCTAGTGAGACCAGGAGCCAAACTGGACAGTGGCTAATCAGGCAAGGCTATGGTCACTGTAGGTCAGGTC(ここで、/5Phos/は、オリゴヌクレオチド末端に結合したリン酸基を指す)
鎖5v1:
CAGTCTGACACAGCAGTCGT
鎖6v1:
GACCTGACCTACAGTGACCA
鎖7(プローブ)v1:
/56-FAM/TGGCTAGAC/ZEN/AGAGGTGTACTCCTAGTGAGA/3IABkFQ/(ここで、/56-FAM/は、5’オリゴヌクレオチド末端のフルオレセイン(例えば、6-FAM)を指し;かつ/3IABkFQ/は、3’オリゴヌクレオチド末端のフルオレセインクエンチャーを指す)。
【0361】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、次の配列構造及び修飾を有し得る。下の鎖番号が、図2Aに示されている鎖に付随する数値に対応することに注意する。
鎖1v2:
/5AzideN/CAGTCTGACTCACCACTCGTTAATCGTCGCTGCTACCCTTGACATCCGTGACTGGCTAGACAGAGGTGT(ここで、/5AzideN/は、NHSエステルリンカーを介して5’オリゴヌクレオチドに結合しているアジド基を指す)、または
/5AmMC12/CAGTCTGACTCACCACTCGTTAATCGTCGCTGCTACCCTTGACATCCGTGACTGGCTAGACAGAGGTGT(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)、または
/5ThiolMC6/CAGTCTGACTCACCACTCGTTAATCGTCGCTGCTACCCTTGACATCCGTGACTGGCTAGACAGAGGTGT(ここで、/5ThiolMC6/は、6-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているチオールを指す)
鎖2v2:
/5AzideN/CACCAGACCTACGAAGTCCATAGCCTTGCCTGATTAGCCACTGTCCAGTTTGGCTCCTGGTCTCACTAG(ここで、/5AzideN/は、NHSエステルリンカーを介して5’オリゴヌクレオチドに結合しているアジド基を指す)、または
/5AmMC12/CACCAGACCTACGAAGTCCATAGCCTTGCCTGATTAGCCACTGTCCAGTTTGGCTCCTGGTCTCACTAG(ここで、/5AmMC1/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)、または
/5ThiolMC6/CACCAGACCTACGAAGTCCATAGCCTTGCCTGATTAGCCACTGTCCAGTTTGGCTCCTGGTCTCACTAG(ここで、/5ThiolMC6/は、6-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているチオールを指す)
鎖3v2:
/5Phos/GAGTACACCTCTGTCTAGCCAGTCACGGATGTCAAGGGTAGCAGCGACGATTAACGAGTGGTGAGTCAGACTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖4v2:
/5Phos/ACTCCTAGTGAGACCAGGAGCCAAACTGGACAGTGGCTAATCAGGCAAGGCTATGGACTTCGTAGGTCTGGTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖5v2:
CAGTCTGACTCACCACTCGT
鎖6v2:
CACCAGACCTACGAAGTCCA
鎖7(Probe)v2:
/56-FAM/TGGCTAGAC/ZEN/AGAGGTGTACTCCTAGTGAGA/3IABkFQ/(ここで、/56-FAM/は、5’オリゴヌクレオチド末端のフルオレセイン(例えば、6-FAM)を指し;かつ/3IABkFQ/は、3’オリゴヌクレオチド末端のフルオレセインクエンチャーを指す)。
【0362】
抗体-オリゴヌクレオチド(例えば、抗体-DNA)コンジュゲーション:
例えば、銅非含有クリック化学を使用して、標的マーカー(例えば、がんマーカー2)を指向する抗体の60ugアリコットを、ハイブリダイズした鎖1+3及び2+4とコンジュゲートした。第1のステップは、アジド修飾オリゴヌクレオチドドメイン(例えば、DNAドメイン)とのコンジュゲーション反応に参加するDBCO官能化抗体を調製することであった。これは、上記抗体とDBCO-PEG5-NHSヘテロ二官能性架橋リンカーとの反応から開始した。NHSエステルと利用可能なリシン基との間の反応を室温で2時間にわたって行い、その後、未反応の架橋剤を、遠心限外濾過を使用して除去した。コンジュゲーションを完了するために、アジド修飾オリゴヌクレオチドドメイン(例えば、DNAドメイン)及びDBCO官能化抗体を終夜、室温で反応させた。
【0363】
細胞培養
陰性対照細胞(例えば、非標的がん細胞、例えば、黒色腫細胞または健康な細胞)を10%エクソソーム非含有FBS及び1mLあたり50単位のペニシリン/ストレプトマイシンを含むイーグル最小必須培地(EMEM)中で成長させた。がん細胞(例えば、卵巣癌細胞)を、10%エクソソーム非含有FBS及び1mLあたり50単位のペニシリン/ストレプトマイシンを含むRoswell Park Memorial Institute(RPMI 1640)中で成長させた。がんを検出するためのアッセイ(例えば、本明細書に記載のもの)を開発するために有用であり得る例示的ながん細胞系には、これに限定されないが、A2780、Caov-3、COV413A、ES2、OVCAR-3、OV90、PA-1、SK-OV-3、SW626、TOV-112、及びInce et al.,“Characterization of twenty-five ovarian tumor cell lines that phenocopy primary tumours” Nature Communications 6:7419(2015)に記載の細胞系が含まれる。すべての細胞系を5%CO2及び37℃で維持し、継代数は20未満であった。
【0364】
細胞培養培地からの細胞外小胞の精製
一部の実施形態では、がん細胞(例えば、卵巣癌細胞)及び陰性対照細胞を、約80%の集密度に達するまでそれぞれの培地中で成長させた。細胞培養培地を収集し、300×rcfで5分間にわたって室温で(RT)でスピンさせて、細胞及び破片を除去した。次いで、上清を収集し、-80℃で冷凍した。
【0365】
使用前に、-80℃で貯蔵した冷凍上清を解凍し、次いで、細胞及び大きな(例えば、直径1ミクロン超)細胞断片から清澄にした。解凍した上清を、遠心分離を使用して清澄にした。
【0366】
一部の実施形態では、清澄にした細胞培養培地(例えば、約500uL)をサイズ排除精製カラムに流した。約65nm~約1000nmのサイズ範囲を有するナノ粒子を各試料で収集した。一部の実施形態では、より小さな粒子範囲が望ましいことがある。
【0367】
粒子カウント
65~1000nmのナノ粒子範囲を測定するために、例えば、TS400チップを用いるSpectroDyne粒子計数器を使用して、粒子カウントを得た。一部の実施形態では、より小さな粒子範囲が望ましいことがある。
【0368】
全血漿清澄化:
EV精製の前に、試料の取り扱いに参加しないことになっている人が、試料を盲検化した。データ解析を可能にするために、実験が完了した後に初めて、患者-同定情報を明らかにした。1mLアリコットの全血漿を-80℃での貯蔵から取り出し、3回の清澄化スピンに掛けて、細胞、血小板、及び破片を除去した。
【0369】
清澄化血漿からのEVのサイズ排除クロマトグラフィー精製:
それぞれの清澄化血漿試料を、使い捨てサイズ排除精製カラムに流して、EVを単離した。約65nm~約1000nmのサイズ範囲を有するナノ粒子を各試料で収集した。一部の実施形態では、より小さな粒子範囲が望ましいことがある。
【0370】
磁気捕捉ビーズへの捕捉-抗体コンジュゲーション:
抗体を、磁気ビーズにコンジュゲートさせた。簡単に述べると、ビーズを滅菌環境下で秤量し、バッファー中に再懸濁させた。抗体を官能化ビーズと混合し、コンジュゲーション反応を転倒型混合で行った。ビーズを、コンジュゲーションキットが提供する洗浄バッファーを使用して複数回洗浄し、4℃で、提供された貯蔵バッファー中で貯蔵した。
【0371】
抗体-コンジュゲートした磁気ビーズを使用しての精製血漿EVの直接的捕捉:
EV捕捉のために、精製血漿EVの希釈試料を、EV標的(例えば、がんマーカー1)を指向する抗体とコンジュゲートした磁気ビーズと共に適切な期間にわたって、例えば、室温でインキュベートした。
【0372】
磁気捕捉ビーズ上に結合したEVへの抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートの結合:
EV捕捉アッセイ(例えば、上記のもの)において使用したものとは異なるEV標的(例えば、がんマーカー2)を指向する抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲート(「抗体プローブ」)を、適切なバッファー中で、それらの最適な濃度で希釈した。抗体プローブを、磁気捕捉ビーズ上に結合したEVを含む試料と相互作用させた。
【0373】
結合後洗浄:
一部の実施形態では、試料を、適切なバッファー中で、例えば複数回洗浄した。
【0374】
ライゲーション:
洗浄して非結合抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを除去した後に、結合した細胞外小胞及び結合した抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを有するビーズをライゲーションミックスと接触させた。混合物を20分間にわたって室温でインキュベートした。
【0375】
PCR:
ライゲーションの後に、結合した細胞外小胞及び結合した抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを有するビーズをPCRミックスと接触させた。PCRを、96ウェルプレートにおいて、例えば、Quant Studio 3で、次の例示的なPCRプロトコルを用いて行った:95℃で1分間にわたって保持、95℃で5秒間及び62℃で15秒間を50サイクル実行。温度変化の速度は、標準(例えば、1秒あたり2℃)であるように選択した。単一のqPCR反応を各実験反復で行い、qPCRシグナルを正規化するために、ROXをパッシブ基準として使用した。次いで、データをQuant Studio 3 machineからダウンロードし、Python 3.7で解析してグラフ化した。
【0376】
データ解析:
一部の実施形態では、2項分類システムをデータ解析のために使用することができる。一部の実施形態では、検出アッセイからのシグナルを、基準シグナルに基づき正規化することができる。例えば、一部の実施形態では、単一抗体二本鎖での正規化シグナルを、基準試料を選択することにより計算した。一部の実施形態では、任意試料iについて正規化シグナルを計算するために使用した式を下に示すが、ここで、Signalmaxは、最高濃度の細胞系EV標準からのシグナルである。
ΔCt=Ctref-Cti
【数1】
【0377】
代表的な結果:
in vitro細胞系実験
精製細胞系EVを、適切なバッファー中で最適な濃度に希釈し、がんマーカー1官能化ビーズ(複製物1mL)を使用して捕捉した。捕捉されたEVを、がんマーカー2をそれぞれ指向する抗体プローブの対を使用して分析した。代表的なqPCRデータ及びΔCt値が図19に示されている。データは、試験されたバイオマーカー組合せ(例えば、例えば本実施例において記載され、かつ図1~2Bに図示されているとおりのものなどの例示的なアッセイとの組合せ)が、がん由来EVを陰性対照細胞系から識別することができ、その際、シグナル強度が、2つのマーカーの発現と十分に相関することを示している(表5を参照されたい)。
【0378】
パイロットがん患者血漿研究
パイロット研究に含まれるがん患者(例えば、卵巣癌患者)の人口統計は図20に示されている。医療を、年齢及び性別を種々の試料コホート全体で可能な限り近くマッチさせるようにした。
【0379】
1ミリリットルの患者試料血漿を上記のとおり清澄化し、EVを、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して精製した。EVを、抗がんマーカー1磁気ビーズを使用して捕捉した。抗がんマーカー1磁気ビーズにより捕捉されたEVを、がんマーカー2を指向する抗体プローブを使用してプロファイルした。がん(例えば、卵巣癌)を検出するための例示的な二重システムアッセイの性能を示す実施例6及び図21~22を参照されたい。
【0380】
考察:
本実施例は、第1の標的バイオマーカー及び第2の標的バイオマーカーの組合せが標的がんの検出のために特異的であるように、第1の標的バイオマーカーを指向する捕捉アッセイ(例えば、本明細書において利用及び/または記載されているとおりのもの)を、第2の標的バイオマーカーを指向する二重検出アッセイ(例えば、本実施例において記載され、かつ図1~2Bに例示されているとおりのもの)と組み合わせると、早期ステージがん(例えば、卵巣嚢胞腺癌)を特異性>99.5%で検出することができることを実証している。
【0381】
一部の実施形態では、例えば、シグナル対ノイズを増強するために、抗体1つあたり合計16本の鎖のオリゴヌクレオチドドメイン(例えば、DNA)になり得るデンドロンを、抗体1つあたり1または2本の鎖のDNAの代わりに使用することができる。
【0382】
実施例6:がんリキッドバイオプシーアッセイの開発
本実施例では、例えば遺伝的-及び平均的リスク対象をスクリーニングするためのがんリキッドバイオプシーアッセイの開発を記載する。すべてのがんのうちで、女性では5番目に多い死因であるにも関わらず(Howlader et al.,2019)、現在、平均的リスクの女性に推奨される卵巣癌スクリーニングツールは存在しない。これは一部では、提案されている卵巣癌スクリーニング技術の不十分な性能による。平均的リスクの女性における卵巣癌の発病率を考慮すると、不適当な検査特異性(<99.5%)は、真の陽性よりも一桁以上多い擬陽性結果をもたらしている。このことは、擬陽性結果が追加の検査、不必要な外科手術、及び感情的/物理的苦痛につながるため、健康管理システムとスクリーニングされた女性に重大な負担を与える(Buys et al.、2011)。結果として、臨床的有用性をもたらす2つの特徴:(1)擬陽性の数を最小化する非常に高い特異性(>99.5%)、及び(2)予後が最も好ましいステージI及びII卵巣癌について高い感受性(>40%)を示し得る卵巣癌スクリーニング検査を開発することが望まれ得る。そのような検査の開発は、毎年1万人の命を救う可能性を有する。
【0383】
いくつかの異なるバイオマーカークラスが、循環腫瘍DNA(ctDNA)、循環腫瘍細胞(CTC)、バルクタンパク質、及び細胞外小胞(EV)を含む卵巣癌リキッドバイオプシーアッセイのために研究されている。EVは、ctDNA及びCTCと比べて、早期ステージがんについての感受性の改善を示唆する血流におけるそれらの豊富さ及び安定性により、特に有望である。さらに、EVは、同じ細胞に由来するカーゴ(例えば、タンパク質、RNA、代謝産物)を含有し、バルクタンパク質の測定を上回る優れた特異性をもたらす。診断有用性EVが研究されているが、この研究の大部分は、バルクEV測定または低スループット単一EV分析に関している。
【0384】
この本実施例では、本明細書において記載及び/または利用されるとおりの技術を使用するヒト血漿中の個々の細胞外小胞(EV)のプロファイリングを介して、早期ステージがんを検出するための例示的なアプローチの一態様を記載する。エクソソーム及び微小小胞体を含むEVは、それらの由来細胞を表す共局在タンパク質、RNA、代謝産物、及び他の化合物を含む(Kosaka et al.,2019)。単一EV内での共局在マーカーの検出は、がん細胞を正常な組織から識別できることを含めて、非常に高い特異性で、細胞型の同定を可能にし得る。バイオマーカーが血液に入る細胞死に依存する他のがん診断アプローチ(すなわち、cfDNA)とは逆に、EVは、細胞を機能させることにより高率で放出される。単一細胞がin vitroで1日あたり10,000という多くのEVを放出することが示されている(Balaj et al.,2011)。加えて、がん細胞が、健康な細胞よりも高い率でEVを放出することが広く認められている(Bebelman et al.2018).
【0385】
一態様では、検出アッセイで使用するためのがん関連バイオマーカー(例えば、本明細書において記載及び/または利用されるとおりのもの)には、健康な組織よりもがんにおいて上方制御される遺伝子が含まれ、それらを例えば、出願人の特許権下のバイオインフォマティクスバイオマーカー発見プロセスを使用して同定することができる。例示的な個々のEVアッセイ(例えば、図1または2A~2Bに例示されている、及び/または本明細書に記載されているものを参照されたい)を使用して、個々の小胞でのそのようなバイオマーカーの共局在を検出するが、これは、そのバイオマーカーの組み分けが同じ細胞に由来したことを示す。これは、多くの上方制御されたがんバイオマーカーが1つまたは複数の健康な組織により発現されることを考慮すると、バルクEVアッセイを含むバルクバイオマーカー測定よりも優れた特異性をもたらす。一部の実施形態では、本開示は、例えば、疾患の有病率が低く、高い陽性予測値(>10%)が必要とされる卵巣癌のがんスクリーニング検査として特に有益である非常に高い特異性を有する技術を提供する(Seltzer et al.,1995)。
【0386】
バイオマーカーの発見
一部の実施形態では、バイオマーカー発見プロセスは、大きなデータベースのバイオインフォマティクス解析ならびにがん(例えば、卵巣癌)及び細胞外小胞の生態学の理解を活用する。
【0387】
個々の細胞外小胞分析
血液中での腫瘍由来EVの検出は、幅広い健康な組織からの10億のEVのバックグラウンドにおいて血漿中1ミリリットルあたり比較的少ない腫瘍由来EVを検出するために、十分な選択性及び感受性を有するアッセイを必要とする。本開示は特に、この難問に対処する技術を提供する。例えば、一部の実施形態では、個々の細胞外小胞分析のためのアッセイは図1に例示されており、これは、下に略述するとおりの3つの重要なステップで行われる:
1.可溶性タンパク質及び他の干渉性化合物の99%超を除去するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して、EVを患者血漿から精製する。
2.膜結合タンパク質に特異的な抗体官能化磁気ビーズを使用して、腫瘍特異的EVを捕捉する。
3.近接-ライゲーション-免疫定量的ポリメラーゼ連鎖反応(pliq-PCR)の変更バージョンを行って、捕捉されたEV上に、またはその中に含まれる追加のタンパク質バイオマーカーの共局在を決定する。
【0388】
pliq-PCRアッセイの変更バージョンの多くの実施形態で、2つまたはそれ以上の異なる抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを、抗体官能化磁気ビーズにより捕捉されたEVに添加すると、その抗体が続いて、それらのタンパク質標的に結合する。上記オリゴヌクレオチドは、相補的である一本鎖オーバーハングを有するdsDNAからなり、したがって、近接した場合に(すなわち、対応するタンパク質標的が同じEV上に位置している場合に)ハイブリダイズし得る。非結合抗体-オリゴヌクレオチド種を洗浄除去した後に、隣接して結合した抗体-オリゴヌクレオチド種を、標準DNAリガーゼ反応を使用してライゲートする。ライゲートされたテンプレート鎖のその後のqPCRは、共局在タンパク質種の検出及び相対的定量化を可能にする。一部の実施形態では、2~20の別個の抗体-オリゴヌクレオチドプローブを、例えば、提供される標的実体検出システムを含むそのようなアッセイに組み込むことができる。
【0389】
pliq-PCRは、EVをプロファイルするための他の技術を上回る多数の利点を有する。例えば、pliq-PCRは、他の標準的なイムノアッセイ、例えばELISAよりも3桁高い感受性を有する(Darmanis et al.,2010)。十分に最適化されたpliq-PCR反応の非常に低いLODは、1mLあたり1000のEVまでの痕跡レベルの腫瘍由来EVの検出を可能にする。これは、約10及び約10のEVのLODをそれぞれ報告している(Shao et al.、2018)Nanoplasmic Exosome(nPLEX)Sensor(Im et al.,2014)及びIntegrated Magnetic-Electrochemical エクソソーム(iMEX)Sensor(Jeong et al.、2016)を含む、他の新興のEV分析技術とも有利に匹敵する。さらに、一部の実施形態では、pliq-PCRアプローチの変更バージョンは、煩雑な設備を必要とせず、かつ個々のEV上の複数のバイオマーカーの共局在を固有に検出することができる。
【0390】
一部の実施形態では、個々のEVプロファイリングアッセイの感受性及び特異性をさらに改善するために、他の群のEVバイオマーカーにはmRNA及び小胞内タンパク質(EV表面タンパク質に加えて)が含まれ、それらをアッセイで同定することができ、アッセイに含ませることができる。
【0391】
先行研究
先行研究により、バイオマーカー候補がEV中に存在し、かつ市販の抗体またはmRNAプライマー-プローブセットにより検出され得ることを確認するワークフローを開発する。目的の所与のバイオマーカーについて、目的のバイオマーカーを発現する(陽性対照)、及びそれを発現しない(陰性対照)1つまたは複数の細胞系を培養して、それらの細胞培養培地を濃縮し、かつ目的のサイズ範囲を有するナノ粒子を単離するための精製(例えば、SECを使用)を実行することにより、それらのEVを収集することができる。典型的には、細胞外小胞は、直径30nm~数マイクロメートルの範囲であり得る。例えば、種々の細胞外小胞(EV)サブタイプでのサイズ:ミグラソーム(0.5~3pm)、微小小胞体(0.1~1pm)、オンコソーム(1~10pm)、エキソマー(<50nm)、小エクソソーム(60~80nm)、及び大エクソソーム(90~120nm)の情報を提供しているChuo et al.,“Imaging extracellular vesicles:current and emerging methods” Journal of Biomedical Sciences 25:91(2018)を参照されたい。一部の実施形態では、約30nm~1000nmのサイズ範囲を有するナノ粒子を検出アッセイのために単離することができる。一部の実施形態では、特異的EVサブタイプ(複数可)を検出アッセイのために単離することができる。
【0392】
特許権下のバイオマーカー発見プロセスにより、健康な組織に対してがん(例えば、卵巣癌)で上方制御される2つの膜結合タンパク質バイオマーカーを同定し、かつ細胞系EV及びがん患者試料での概念証明型実験において使用した。
【0393】
それらの組合せががん(例えば、卵巣癌)の特異的検出である共局在したがんマーカー1及びがんマーカー2を含むEVからアッセイシグナルを検出するために、一部の実施形態では、がんマーカー1を指向する免疫親和性捕捉と、がんマーカー2を指向する2つの別個の抗体-オリゴヌクレオチドプローブとを含むアッセイ構成を開発した。
【0394】
精製細胞系EVを、抗がんマーカー1官能化磁気ビーズを使用して捕捉した。図19(パネルA)は、2つの陽性対照細胞系及び1つの陰性対照細胞系での代表的なqPCRトレースを例示している。このデータは、アッセイシグナルに対する遺伝子発現の影響を実証しており、その際、より多く発現する細胞系は、より少なく発現する細胞系と比べて、シグナルの36倍の上昇(25.2)を示した。これらの結果は、一部の実施形態では、単一のEVプロファイリングアッセイ(例えば、本明細書に記載のもの)が単一のEV上で共局在した膜結合タンパク質マーカーを非常に高い感受性で検出することができることを実証している。
【0395】
捕捉アッセイ及び検出アッセイ(例えば、図1及び2A~2Bに図示されているか、または本明細書に記載されているとおりのもの)の組合せを含むがん検出アッセイを、がん細胞系EVを用いて確認した後に、最適化及びオペレーター盲検アッセイプロトコルを使用して、パイロット研究(最終的に320の患者試料に拡大)をがん患者血漿試料(例えば、卵巣癌患者血漿試料)で実行した。すべての血漿試料を同じ供給源から購入し、同じ血液収集プロトコルにより処理し、患者試料を、任意の処置の開始前に(すなわち、処置ナイーブ)で収集した。この実施例の研究に含まれる患者コホートは図20に記載されている。
【0396】
この臨床パイロット研究の結果は図21に示されている。すべての健康な対照(n=172)全体で対数正規分布を想定し、かつカットオフを特異性99.8%では平均上の標準偏差2.879(カットオフ1)及び特異性98%では平均上の標準偏差2.055(カットオフ2)に設定することにより、特異性を決定した。例に過ぎないが、卵巣癌の文脈では、99.8%の特異性を、平均的リスクの女性をスクリーニングするためのPPVを評価するために使用し、その際、女性10,000人あたり5.7の有病数を使用した。特異性カットオフ98%を、遺伝的リスクの女性をスクリーニングするためのPPVを計算するために使用し、その際、有病数は、女性100人あたりおよそ1人である。これらの別々のカットオフを確立して、異なる患者集団の間での擬陽性許容性の差異を説明する。これらの結果は、一部の実施形態では、単一のEVプロファイリングアッセイ(例えば、本明細書に記載のもの)が、がんスクリーニング検査として使用される大きな可能性を有することを実証している。一部の実施形態では、そのようなアッセイの感受性を、例えば、追加のバイオマーカー(複数可)を指向する検出プローブの1つまたは複数のセット(例えば、本明細書に記載のもの)を含むことにより上昇させることができる。一部の実施形態では、そのようなバイオマーカー(複数可)には、例えば、これに限定されないが、膜結合タンパク質及び小胞内mRNA/タンパク質が含まれ得る。
【0397】
一部の実施形態では、標的がんと関連する転写産物を検出するための図23(パネルA)に示されているとおり、バルク中の精製細胞系EVを使用するEV-mRNA検出の実行可能性を実証した。膜結合タンパク質マーカーの免疫親和性捕捉により、このアプローチは、2つの共局在バイオマーカーの検出を可能にする。さらに、免疫親和性捕捉の直後に、RT-qPCRを実行することができるので、EV-mRNA検出は、よりシンプルなプロトコルを必要とする。EVを使用するmRNA検出は図23(パネルB)で実証されており、その際、EVを初めに、抗EVマーカー1修飾磁気ビーズを使用して捕捉し、EVマーカー2mRNAを検出した。陽性及び陰性細胞系の両方がEVマーカー2を発現するが、しかしながら、陽性細胞系のみがEVマーカー1を発現する。そのような検出システムを用いると、陰性細胞系EVの濃度が1桁高くても、陽性細胞系の選択的検出が実証された。
【0398】
一部の実施形態では、個々のEVにおいて標的バイオマーカーシグネチャー(複数の標的バイオマーカーを含む)を検出するためのがんリキッドバイオプシーアッセイは、(a)少なくとも1つまたはそれ以上の標的バイオマーカー(「捕捉バイオマーカー(複数可)」)を指向する免疫親和性捕捉アッセイ(例えば、本明細書に記載のもの);及び(b)上記捕捉バイオマーカー(複数可)とは別個の標的バイオマーカーシグネチャーのうちの少なくとも1つまたはそれ以上の標的バイオマーカーを指向する本明細書に記載の標的実体検出システムを含む検出アッセイ(例えば、図2Aに図示されているとおりのもの)を含む。一部の実施形態では、そのような検出アッセイはさらに、そのような標的バイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数の標的バイオマーカーを指向するEV-mRNA検出アッセイ(例えば、上記のとおりのもの)を含み得る。
【0399】
実施例7:アッセイシグナルに対する、検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインの長さの作用
本実施例では、標的結合部分と、その標的結合部分にカップリングしている様々な長さのオリゴヌクレオチドドメイン(二本鎖部分及び一本鎖オーバーハングを含む)をそれぞれ含む、標的(例えば、標的バイオマーカー(複数可))のための検出プローブの合成を記載する。本実施例ではさらに、検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインの長さが標的実体検出システム(例えば、本明細書に記載のもの)及び/またはそれを使用する方法の性能に影響を及ぼし得ることを実証する。
【0400】
標的実体検出システム(例えば、本明細書に記載の二重標的実体検出システム)の性能(例えば、アッセイシグナル)に対するオリゴヌクレオチドドメイン長さの作用を評価するために、3つの異なる長さ(下記)のオリゴヌクレオチドドメインにコンジュゲートしている抗体因子を有する検出プローブを合成した:
・ 長さ1(「長」):69-73ヌクレオチド(69ヌクレオチド長の二本鎖部分と、4ヌクレオチド長の一本鎖オーバーハング)
・ 長さ2(「中」):40-44ヌクレオチド(40ヌクレオチド長の二本鎖部分と、4ヌクレオチド長の一本鎖オーバーハング)
・ 長さ3(「短」):20-24ヌクレオチド(20ヌクレオチド長の二本鎖部分と、4ヌクレオチド長の一本鎖オーバーハング)
【0401】
2つの細胞系細胞外小胞(EV)を、この実験のための陽性対照として使用した:HCC4006及びT84。この実験のための陰性対照は、EVを含まない捕捉ビーズであった。EVを、抗標的1官能化磁気ビーズを使用して捕捉し、アッセイシグナルを、抗標的1及び抗標的2検出プローブを使用して生成した。表6に、細胞系EVにおけるこれらのタンパク質の発現をまとめる。
表6.HCC4006及びT84細胞系で発現される100万あたり転写産物(TPM)スコア。
【表6】
【0402】
例示的な方法:
オリゴヌクレオチド
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、次の配列構造及び修飾を有し得る。下の鎖番号が、図2Aに示されている鎖に付随する数値に対応することに注意する。オリゴヌクレオチド官能化を、ある官能基から別の官能基に(例えば、アミンから、アジドに、チオールに、など)変えることができることにも注意する。
【0403】
一部の実施形態では、下記に、長さ1(「長」)のオリゴヌクレオチドドメインを形成するためのオリゴヌクレオチドの例示的なセットを提供する:
鎖1v1:
/5AmMC12/CAGTCTGACTCACCACTCGTTAATCGTCGCTGCTACCCTTGACATCCGTGACTGGCTAGACAGAGGTGT(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す);または
鎖2v1:
/5AmMC12/CACCAGACCTACGAAGTCCATAGCCTTGCCTGATTAGCCACTGTCCAGTTTGGCTCCTGGTCTCACTAG(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖3v1:
/5Phos/GAGTACACCTCTGTCTAGCCAGTCACGGATGTCAAGGGTAGCAGCGACGATTAACGAGTGGTGAGTCAGACTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖4v1:
/5Phos/ACTCCTAGTGAGACCAGGAGCCAAACTGGACAGTGGCTAATCAGGCAAGGCTATGGACTTCGTAGGTCTGGTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
【0404】
一部の実施形態では、下記に、長さ1(「長」)のオリゴヌクレオチドドメインを形成するためのオリゴヌクレオチドの例示的なセットを提供する:
鎖1v2:
/5AmMC12/CAGTCTGACACAGCAGTCGTTAATCGTCGCTGCTACCCTTGACATCCGTGACTGGCTAGACAGAGGTGT(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す);または
鎖2v2:
/5AmMC12/GACCTGACCTACAGTGACCATAGCCTTGCCTGATTAGCCACTGTCCAGTTTGGCTCCTGGTCTCACTAG(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖3v2:
/5Phos/GAGTACACCTCTGTCTAGCCAGTCACGGATGTCAAGGGTAGCAGCGACGATTAACGACTGCTGTGTCAGACTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖4v2:
/5Phos/ACTCCTAGTGAGACCAGGAGCCAAACTGGACAGTGGCTAATCAGGCAAGGCTATGGTCACTGTAGGTCAGGTC(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)。
【0405】
一部の実施形態では、下記に、長さ2(「中」)のオリゴヌクレオチドドメインを形成するためのオリゴヌクレオチドの例示的なセットを提供する:
鎖1v1-中:
/5AmMC12/CAGTCTGACTCACCACTCGTGACTGGCTAGACAGAGGTGT(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖2v1-中:
/5AmMC12/CACCAGACCTACGAAGTCCATTGGCTCCTGGTCTCACTAG(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖3v1-中:
/5Phos/GAGTACACCTCTGTCTAGCCAGTCACGAGTGGTGAGTCAGACTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖4v1-中:
/5Phos/ACTCCTAGTGAGACCAGGAGCCAATGGACTTCGTAGGTCTGGTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)。
【0406】
一部の実施形態では、下記に、長さ2(「中」)のオリゴヌクレオチドドメインを形成するためのオリゴヌクレオチドの例示的なセットを提供する:
鎖1v2-中:
/5AmMC12/CAGTCTGACACAGCAGTCGTGACTGGCTAGACAGAGGTGT(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖2v2-中:
/5AmMC12/GACCTGACCTACAGTGACCATTGGCTCCTGGTCTCACTAG(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖3v2-中:
/5Phos/GAGTACACCTCTGTCTAGCCAGTCACGACTGCTGTGTCAGACTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖4v2-中:
/5Phos/ACTCCTAGTGAGACCAGGAGCCAATGGTCACTGTAGGTCAGGTC(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)。
【0407】
一部の実施形態では、下記に、長さ3(「短」)のオリゴヌクレオチドドメインを形成するためのオリゴヌクレオチドの例示的なセットを提供する:
鎖1v1-短:
/5AmMC12/CAGTCTGACTCACCACTCGT(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖2v1-短:
/5AmMC12/CACCAGACCTACGAAGTCCA(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖3v1-短:
/5Phos/GAGTACGAGTGGTGAGTCAGACTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖4v1-短:
/5Phos/ACTCTGGACTTCGTAGGTCTGGTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
【0408】
一部の実施形態では、下記に、長さ3(「短」)のオリゴヌクレオチドドメインを形成するためのオリゴヌクレオチドの例示的なセットを提供する:
鎖1v2-短:
/5AmMC12/CAGTCTGACACAGCAGTCGT(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖2v2-短:
/5AmMC12/GACCTGACCTACAGTGACCA(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖3v2-短:
/5Phos/GAGTACGACTGCTGTGTCAGACTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖4v2-短:
/5Phos/ACTCTGGTCACTGTAGGTCAGGTC(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖5v1:
CAGTCTGACACAGCAGTCGT
鎖6v1:
GACCTGACCTACAGTGACCA
鎖5v2:
CAGTCTGACTCACCACTCGT
鎖6v2:
CACCAGACCTACGAAGTCCA
【0409】
抗体-オリゴヌクレオチド(例えば、抗体-DNA)コンジュゲーション:
望ましい標的を指向する抗体を、先行の実施例に記載のとおりにオリゴヌクレオチドにコンジュゲートした。当業者は、他の公知のコンジュゲーション方法を使用して、抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを形成することができることが分かるであろう。
【0410】
細胞培養
HCC-4006細胞を、10%エクソソーム非含有FBS及び1mLあたり50単位のペニシリン/ストレプトマイシンを含むRoswell Park Memorial Institute(RPMI 1640)中で成長させた。T84細胞を、5%エクソソーム非含有ウシ胎児血清(FBS)及び1mLあたり50単位のペニシリン/ストレプトマイシンを含む1:1のダルベッコ変法イーグル培地(DMEM):ハムF12培地中で成長させた。すべての細胞系を5%CO2及び37℃で維持し、継代数は20未満であった。
【0411】
細胞培養培地からの細胞外小胞の精製
一部の実施形態では、細胞を、約80%の集密度に達するまでそれぞれの培地中で成長させた。細胞培養培地を収集し、300×refで5分間にわたって室温で(RT)でスピンさせて、細胞及び破片を除去した。次いで、上清を収集し、-80℃で冷凍した。
【0412】
使用前に、-80℃で貯蔵した冷凍上清を解凍し、次いで、細胞及び大きな(例えば、直径1ミクロン超)細胞断片から清澄にした。解凍した上清を、遠心分離を使用して清澄にした。
【0413】
一部の実施形態では、清澄化培養培地(例えば、約500uL)をサイズ排除精製カラムに流した。約65nm~約1000nmのサイズ範囲を有するナノ粒子を各試料で収集した。一部の実施形態では、より小さな粒子範囲が望ましいことがある。
【0414】
粒子カウント:
65~1000nmのナノ粒子範囲を測定するために、例えば、TS400チップを用いるSpectroDyne粒子計数器を使用して、粒子カウントを得た。一部の実施形態では、より小さな粒子範囲、例えば、65~200nmの間が望ましいことがある。
【0415】
磁気-捕捉ビーズへの捕捉-抗体コンジュゲーション:
抗体を、磁気ビーズにコンジュゲートさせた。簡単に述べると、ビーズを滅菌環境下で秤量し、バッファー中に再懸濁させた。抗体を官能化ビーズと混合し、コンジュゲーション反応を転倒型混合で行った。ビーズを、コンジュゲーションキットが提供する洗浄バッファーを使用して複数回洗浄し、4℃で、提供された貯蔵バッファー中で貯蔵した。
【0416】
抗体-コンジュゲートした磁気ビーズを使用しての精製血漿EVの直接的捕捉:
EV捕捉のために、細胞系EVの希釈試料を、EV標的(例えば、標的1)を指向する抗体とコンジュゲートした磁気ビーズと共に適切な期間にわたって、例えば、室温でインキュベートした。
【0417】
磁気捕捉ビーズ上に結合したEVへの抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートの結合:
EV捕捉アッセイ(例えば、上記のもの)において使用したものとは異なるEV標的(例えば、標的2)を指向する抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲート(「抗体プローブ」)を、適切なバッファー中で、それらの最適な濃度で希釈した。抗体プローブを、磁気捕捉ビーズ上に結合したEVを含む試料と相互作用させた。
【0418】
結合後洗浄:
一部の実施形態では、試料を、適切なバッファー中で、例えば、複数回洗浄した。
【0419】
ライゲーション:
洗浄して非結合抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを除去した後に、結合した細胞外小胞及び結合した抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを有するビーズをライゲーションミックスと接触させた。混合物を20分間にわたって室温でインキュベートした。
【0420】
PCR:
ライゲーションの後に、結合した細胞外小胞及び結合した抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを有するビーズをPCRミックスと接触させた。PCRを、96ウェルプレートにおいて、例えば、Quant Studio 3で、次の例示的なPCRプロトコルを用いて実行した:95℃で1分間保持、95℃で5秒間及び62℃で15秒間を50サイクル実行。温度変化の速度は、標準(例えば、1秒あたり2℃)であるように選択した。単一のqPCR反応を各実験反復で実行し、qPCRシグナルを正規化するために、ROXをパッシブ基準として使用した。次いで、データをQuant Studio 3 machineからダウンロードし、Python 3.7で解析してプロットした。
【0421】
代表的な結果:
オリゴヌクレオチドドメイン長さ実験についての生qPCRプロットは図24に示されており、対応するデルタCtデータは図25に示されている。このデータは、このバイオマーカー組合せでは、オリゴヌクレオチド長さの短縮によりアッセイシグナルが強くなることを実証している。69-73ヌクレオチドから20-24ヌクレオチドへのDNA長さの短縮は、約2.5Ctのシグナル上昇をもたらした。さらに、DNA長さの短縮はアッセイバックグラウンドシグナルを有意に上昇させず(EVデータなし)、バックグラウンドの1Ct未満の上昇をもたらした。
【0422】
考察:
この実験では、オリゴヌクレオチド長さの短縮は、免疫親和性捕捉EVからのアッセイシグナルの上昇をもたらした。短いオリゴヌクレオチドは、長いオリゴヌクレオチドよりも約2.5Ct強いシグナルをもたらし、その際、アッセイバックグラウンドでの上昇はわずかのみであった(<1Ct)。しかしながら、理論に束縛されることは望まないが、この観察は、ある特定のバイオマーカー組合せには適用不可能であり得る。一部の実施形態では、標的1及び標的2が相互に相互作用してホモダイマー及び/またはヘテロ二量体を形成し得る、及び/またはEVの膜上で近接して存在する場合、より短いDNA長さが、より望ましいことがある。一部の実施形態では、標的1及び標的2が相互に相互作用せず、及び/またはEVの膜上で分散して存在する場合、より長いDNA長さが、より望ましいことがある。したがって、これらの結果は、オリゴヌクレオチド長さを、本明細書に記載の標的実体検出システム及び/またはアッセイの性能を改善するように構成することができることを実証している。
【0423】
実施例8:標的実体検出システムにおける、検出プローブと組み合わせての阻害因子プローブ(複数可)の使用
本実施例では、標的結合部分と、その標的結合部分にカップリングしているオリゴヌクレオチドドメイン(二本鎖部分及び一本鎖オーバーハングを含む)とをそれぞれ含む標的(例えば、標的バイオマーカー(複数可))のための検出プローブの合成を記載する。本実施例ではまた、非標的(例えば、標的実体と関連しない、及び/または疾患、障害、または状態と関連しないもの)のための阻害因子プローブの合成を記載する。本実施例では、プライマー部位を含まないオリゴヌクレオチドドメイン(例えば、二本鎖DNA部分を含む)の付加が、非標的実体から生じるライゲートされたテンプレートの増幅を阻止し得ることを実証する。本実施例ではまた、そのようなオリゴヌクレオチドドメイン(プライマー部位を含まない)と、非標的実体(例えば、架橋反応性標的)を指向する標的結合実体とのコンジュゲーションが、非標的実体からのバックグラウンドシグナルを減少させ、それにより、本明細書に記載の標的実体検出アッセイのシグナル-対-ノイズ比を上昇させ得ることを実証する。一部の実施形態では、本実施例では、そのようなオリゴヌクレオチドドメイン(例えば、図26に図示されているとおり、プライマー部位を含まない二本鎖DNA部分を含む)と、非標的実体(例えば、架橋反応性標的)を指向する標的結合実体(例えば、抗体因子)とのコンジュゲーションが、非標的実体(例えば、非標的組織からの細胞外小胞)からのバックグラウンドシグナルを減少させ、それにより、標的実体(例えば、標的組織からの細胞外小胞)を検出するために本明細書に記載の標的実体検出アッセイのシグナル-対-ノイズ比を上昇させ得ることを実証する。一部のそのような実施形態では、そのような阻害因子プローブを標的特異的検出プローブと組み合わせて使用することは、がん特異的細胞外小胞を検出するために有用であり得る。
【0424】
実験1:溶液での、標的結合部分を含まない阻害因子プローブの評定:初めに、600pM濃度(または2×阻害因子鎖の場合には1200pM)の次のDNA溶液により生成されるライゲーションテンプレートの相対数を評価した。下の数値は、図26に示されている鎖に随伴する数値に対応する鎖番号を指すことに注意する。「i」は、阻害因子プローブの鎖を示す。オリゴヌクレオチド官能化を、ある官能基から別の官能基(例えば、アミンから、アジドへ、チオールへ、など)に変えることができることにも注意する。
1.(1+3)
2.(2-1-4)
3.(1i+3i)
4.(2i+4i)
5.(1+3)+(2+4)
6.(1-1-3)+(2i+4i)、図26に示されているとおりのもの
7.(1i+3i)+(2+4)
8.(1i+3i)+(2i+4i)
9.(1+3)+(2+4)+(1i+3i)
10.(1-1-3)+(2+4)+(2i+4i)
11.(1+3)+(2+4)+2×(1i+3i)
12.(1-i-3)+(2-1-4)+2×(2i+4i)
13.(1+3)+(2-1-4)+(1i+3i)+(2i+4i)
【0425】
例示的なDNA鎖配列を、下の例示的な方法セクションに示す。二本鎖DNA(例えば、(1+3)、(2+4)など)を、適切な一本鎖配列を一緒にアニールすることにより調製した。
【0426】
各二本鎖DNAまたは二本鎖DNAの組合せを、600pM濃度で、T4リガーゼ溶液30μL中で、製造者の推奨する室温で20分間の時間及び温度に従ってインキュベートした。ライゲーション後に、リガーゼミックス5μLを、TaqMan Advanced Master Mix(Thermo)、プライマー、EvaGreen、DMSO、及び水を含むPCRミックス25pLに二重に移した。PCRミックスを標準qPCRプロトコルにより分析し、かつ増幅された転写産物の相対存在度を測定した。
【0427】
例示的な方法:
オリゴヌクレオチド
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、次の配列構造及び修飾を有し得る。上記のとおり、下の鎖番号は、図26に示されている鎖に随伴する数値に対応する。オリゴヌクレオチド官能化を、ある官能基から別の官能基(例えば、アミンから、アジドへ、チオールへ、など)に変えることができる。
【0428】
I. 検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインのためのオリゴヌクレオチド
一部の実施形態では、検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインを形成するためのオリゴヌクレオチドの例示的なセットを下に示す。
鎖1:
/5AmMC12/CAGTCTGACTCACCACTCGTTAATCGTCGCTGCTACCCTTGACATCCGTGACTGGCTAGACAGAGGTGT(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖2:
/5AmMC12/CACCAGACCTACGAAGTCCATAGCCTTGCCTGATTAGCCACTGTCCAGTTTGGCTCCTGGTCTCACTAG(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖3:
/5Phos/GAGTACACCTCTGTCTAGCCAGTCACGGATGTCAAGGGTAGCAGCGACGATTAACGAGTGGTGAGTCAGACTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖4:
/5Phos/ACTCCTAGTGAGACCAGGAGCCAAACTGGACAGTGGCTAATCAGGCAAGGCTATGGACTTCGTAGGTCTGGTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖5:
CAGTCTGACTCACCACTCGT
鎖6:
CACCAGACCTACGAAGTCCA
【0429】
一部の実施形態では、実施例7に記載のとおりの様々な長さのオリゴヌクレオチドのいずれの例示的なセットも、検出プローブのオリゴヌクレオチドドメインを形成するために使用することができる。
【0430】
II.阻害因子プローブのオリゴヌクレオチドドメインのためのオリゴヌクレオチド
一部の実施形態では、3つの異なる長さ(下記)のオリゴヌクレオチドドメイン(プライマー部位を含まない)を有する阻害因子プローブを合成することができる:
・ 長さ1(「長」):69-73ヌクレオチド(69ヌクレオチド長の二本鎖部分と、4ヌクレオチド長の一本鎖オーバーハング)
・ 長さ2(「中」):40-44ヌクレオチド(40ヌクレオチド長の二本鎖部分と、4ヌクレオチド長の一本鎖オーバーハング)
・ 長さ3(「短」):20-24ヌクレオチド(20ヌクレオチド長の二本鎖部分と、4ヌクレオチド長の一本鎖オーバーハング)
【0431】
一部の実施形態では、下記に、阻害因子プローブのための長さ1(「長」)のオリゴヌクレオチドドメインを形成するためのオリゴヌクレオチドの例示的なセットを提供する:
鎖1i:
/5AmMC12/GCACACACCTCATCGTCTTGTAATCGTCGCTGCTACCCTTGACATCCGTGACTGGCTAGACAGAGGTGT(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖2i:
/5AmMC12/CACAATCTCGACCACGCAAGTAGCCTTGCCTGATTAGCCACTGTCCAGTTTGGCTCCTGGTCTCACTAG(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖3i:
/5Phos/GAGTACACCTCTGTCTAGCCAGTCACGGATGTCAAGGGTAGCAGCGACGATTACAAGACGATGAGGTGTGTGC(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖4i:
/5Phos/ACTCCTAGTGAGACCAGGAGCCAAACTGGACAGTGGCTAATCAGGCAAGGCTACTTGCGTGGTCGAGATTGTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)。
【0432】
一部の実施形態では、下記に、阻害因子プローブのための長さ2(「中」)のオリゴヌクレオチドドメインを形成するためのオリゴヌクレオチドの例示的なセットを提供する:
鎖1i-中:
/5AmMC12/GCACACACCTCATCGTCTTGGACTGGCTAGACAGAGGTGT(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖2i-中:
/5AmMC12/CACAATCTCGACCACGCAAGTTGGCTCCTGGTCTCACTAG(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖3i-中:
/5Phos/GAGTACACCTCTGTCTAGCCAGTCCAAGACGATGAGGTGTGTGC(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖4i-中:
/5Phos/ACTCCTAGTGAGACCAGGAGCCAACTTGCGTGGTCGAGATTGTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
【0433】
一部の実施形態では、下記に、阻害因子プローブのための長さ3(「短」)のオリゴヌクレオチドドメインを形成するためのオリゴヌクレオチドの例示的なセットを提供する:
鎖1i-短:
/5AmMC12/GCACACACCTCATCGTCTTG(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖2i-短:
/5AmMC12/CACAATCTCGACCACGCAAG(ここで、/5AmMC12/は、12-炭素スペーサーを介して5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているアミン基(例えば、第一級アミノ基)を指す)
鎖3i-短:
/5Phos/GAGTCAAGACGATGAGGTGTGTGC(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
鎖4i-短:
/5Phos/ACTCCTTGCGTGGTCGAGATTGTG(ここで、/5Phos/は、5’オリゴヌクレオチド末端に結合しているリン酸基を指す)
【0434】
実験2:細胞系EVにおける阻害因子プローブの評定:この実験では、細胞系EVを、EV捕捉因子、例えば、EVの表面タンパク質(マーカー1)を指向する抗体にコンジュゲートしている磁気ビーズを使用して捕捉した。非標的(マーカー3)を指向する阻害因子プローブの添加を伴って、及び伴わずに、標的のマーカー2(両方のプローブで同じ標的、またはそれぞれのプローブで異なる標的であってよい)をそれぞれ指向する2つの検出プローブを含む二重標的実体検出システムを使用して、アッセイシグナルを生成した。
表7.ある特定の細胞系で発現される、100万あたりの転写産物(TPM)スコア。
【表7】
【0435】
抗体-オリゴヌクレオチド(例えば、抗体-DNA)コンジュゲーション:
望ましい標的を指向する抗体を、先行の実施例に記載のとおりにオリゴヌクレオチドにコンジュゲートした。当業者は、他の公知のコンジュゲーション方法を使用して、抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを形成することができることを分かるであろう。
【0436】
磁気-捕捉ビーズへの捕捉-抗体コンジュゲーション:
抗体を、先行の実施例に記載のとおりに磁気ビーズにコンジュゲートした。
【0437】
抗体-コンジュゲートした磁気ビーズを使用しての精製細胞系EVの直接的捕捉:
EV捕捉のために、細胞系EVの希釈試料を、EV標的(例えば、標的1)を指向する抗体とコンジュゲートした磁気ビーズと共に適切な期間にわたって、例えば、室温でインキュベートした。
【0438】
磁気捕捉ビーズ上に結合したEVへの抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートの結合:
EV捕捉アッセイ(例えば、上記のもの)において使用したものとは異なるEV標的(例えば、標的2)を指向する抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲート(「マーカー2+マーカー2プローブ」;「抗体プローブ」としても既知)を、適切なバッファー中で、それらの最適な濃度で希釈した。抗体プローブを、磁気捕捉ビーズ上に結合したEVを含む試料と相互作用させた。加えて、阻害因子プローブも混合物に加えて、磁気捕捉ビーズ上に結合したEVを含む試料と相互作用させた。
【0439】
結合後洗浄:
一部の実施形態では、試料を、適切なバッファー中で複数回洗浄した。
【0440】
ライゲーション:
洗浄して非結合抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを除去した後に、結合した細胞外小胞及び結合した抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを有するビーズをライゲーションミックスと接触させた。混合物を20分間にわたって室温でインキュベートした。
【0441】
PCR:
ライゲーションの後に、結合した細胞外小胞及び結合した抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを有するビーズをPCRミックスと接触させた。PCRを、96ウェルプレートにおいて、例えば、Quant Studio 3で、次の例示的なPCRプロトコルを用いて実行した:95℃で1分間保持、95℃で5秒間及び62℃で15秒間を50サイクル実行。温度変化の速度は、標準(例えば、1秒あたり2℃)であるように選択した。単一のqPCR反応を各実験反復で実行し、qPCRシグナルを正規化するために、ROXをパッシブ基準として使用した。次いで、データをQuant Studio 3 machineからダウンロードし、Python 3.7で解析してプロットした。
【0442】
代表的な結果及び考察:
実験1:溶液での、阻害因子プローブ(標的結合部分を含まない)の評定:生qPCRデータは図27に示されている。図28に示されているとおり、各阻害因子プローブ(標的結合部分を含まない)では、Ct値の濃度依存的上昇が存在した。同じ濃度(600pM)での阻害因子プローブの添加は、およそ1Ctのシグナル低下をもたらした。阻害因子プローブ(標的結合部分を含まない)のさらなる添加は、シグナルをもう1Ct低下させた。両方の阻害因子プローブ(それぞれ標的結合部分を含まない)の同時の添加は、2×濃度での単一の阻害因子プローブ(標的結合部分を含まない)と比べて、作用をやや減少させる。理論に束縛されることは望まないが、これはおそらく、鎖が増幅反応を阻害することを阻止する、阻害因子プローブの鎖間で生じるライゲーションによるものである。これらのデータは、阻害因子プローブのオリゴヌクレオチドドメインがライゲーションの際に増幅を成功裏に阻止し得ることを実証している。
【0443】
実験2:細胞系EVにおける阻害因子プローブの評定:図29の細胞系データは、プライマー部位を含まないオリゴヌクレオチドドメイン(例えば、プライマー部位を含まない二本鎖DNA部分を含む)にコンジュゲートしている標的結合部分(例えば、抗体因子)を含む阻害因子プローブの添加がアッセイシグナルを成功裏に、かつ選択的に減弱させ得ることを実証している。理論に束縛されることは望まないが、シグナルの中程度の低下はおそらく、標的2のホモ二量体性質の結果である。アッセイシグナルの大部分が標的2二量体(本来、近接している)に由来し得ることを考慮すると、標的3に対する阻害因子プローブの作用は、作用の低下を有し得る。それにも関わらず、これらのデータは、阻害因子プローブを配置することにより、標的実体検出アッセイ(例えば、本明細書に記載のとおりのもの)内の交差反応性組織からのシグナルを選択的に減少させる、及び/または除去することができることを証明している。例えば、このことを、上記例により下の表8に略述する。
表8.交差反応性組織を除去する阻害因子プローブの使用。
【表8】
引用参照文献
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【0444】
均等物
当業者は、ルーチンを超えない実験を使用して、本明細書に記載の本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物が分かるか、または確認することができるであろう。別段に示されていない限り、または矛盾もしくは不整合性が生じるであろうことが当業者に明らかでない限り、本発明は、列挙されている特許請求の範囲のうちの1つまたは複数からの1つまたは複数の限定、要素、項目、記述用語などが、同じ基本請求項(または、関連する任意の他の請求項として)に従属する別の請求項に導入されるすべての変形形態、組合せ、及び順列を包含することは理解されるべきである。さらに、具体的な除外が本明細書に記載されているかどうかにかかわらず、本発明の任意の実施形態または態様は、特許請求の範囲から明らかに除外され得ることも理解されるべきである。本発明の範囲は、上記の記載に限定されることは意図されてなく、むしろ次の特許請求の範囲に記載されている。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13-1】
図13-2】
図14-1】
図14-2】
図14-3】
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図15-1】
図15-2】
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図16-1】
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図17
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図20
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【配列表】
2022521781000001.app
【国際調査報告】