(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(54)【発明の名称】金属から成る、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システム
(51)【国際特許分類】
E04D 3/366 20060101AFI20220406BHJP
E04D 3/365 20060101ALI20220406BHJP
E04D 3/16 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
E04D3/366 102C
E04D3/365 Z
E04D3/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021514494
(86)(22)【出願日】2019-05-21
(85)【翻訳文提出日】2020-12-21
(86)【国際出願番号】 IB2019000411
(87)【国際公開番号】W WO2019224598
(87)【国際公開日】2019-11-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520450499
【氏名又は名称】クラフト・ホールディングス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】クラフト・グラント
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108AZ01
2E108BB04
2E108CC01
2E108DF03
2E108DF06
2E108DF11
2E108ER15
2E108GG05
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システムに関する。本発明の課題は、1つの固定システムを提供することであり、この固定システムが、構造的に簡単に構成され、少ない部材から成り、迅速に組み付け可能であり、且つ、この固定システムが、高い負の風負荷のために適している。この固定は、起立する長手方向リブ2の内側で行われ、これら長手方向リブが、起立する板金脚部11によって形成されている。これら長手方向リブ11は、折り曲げられており、且つ、突出部13を備えている。本発明に従い、起立する長手方向リブ2の内側で、長手方向に、一貫して、または、ただ所々にだけ延びるT字形のベース条片3が配置および固定されている。T字形のベース条片3の、基礎脚部5と称される両方の水平の脚部が、下方または上方に向かって配置されていることは可能である。これらT字形のベース条片3内において、これらT字形のベース条片3の垂直の脚部内で、基礎脚部5に至るまで達する状態で、左側および右側に、窪み部6が形成されている。これら窪み部6内に、前記屋根要素、板金板または板金帯状体1の板金脚部11の、特別に形成された突出部13が係合している。これら予成形された突出部13は、中央脚部4においてもしくはこの中央脚部の上に配置可能な、押圧プレート9との関連において、形状による係合を生じる。これら押圧プレート9は、適当な構造およびやり方において、ベース条片頭部7と、形状による係合状態で、または、例えば、ねじ止めされて固定されている。これら押圧プレート9は、これら押圧プレート9が、相並んで位置している前記屋根要素、板金板または板金帯状体1の、前記板金脚部11の前記突出部13を覆うように成形されている。このことによって、耐久性のある、形状による係合状態の結合が、T字形のベース条片3(または、ベース要素)と、中央脚部4と、および、押圧プレート9とを用いて生じる。上方に向かって突出する板金脚部11の、上側の端部において、上方に向かって、長手方向リブ全体が、カバー条片12によって閉鎖されて形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相並んで配置可能な、平面状の屋根要素、板金板または板金帯状体を屋根下側構造物または壁下側構造物の上に固定するための、金属から成る、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システムであって、
その際、前記屋根要素、板金板または板金帯状体が、平面状に平坦に、または、波形に、または、輪郭付与されて形成されており、
前記固定が、
起立する長手方向リブを用いて行われ、これら長手方向リブが、起立する板金脚部によって形成されており、および、
これら長手方向リブが、互いに平行にまたは傾斜して延びて、屋根被覆または壁被覆にわたって分配されて形成されている様式の上記固定システムにおいて、
前記屋根下側構造物または壁下側構造物の上で、前記起立する長手方向リブ(2)の内側で、長手方向に延びるT字形のベース条片(3)が配置および固定されており、
これらT字形のベース条片(3)内において、これらT字形のベース条片の中央脚部(4)内で基礎脚部(5)に至るまで達する状態で、左側および右側に、窪み部(6)が形成されており、
これら窪み部(6)内に、前記屋根要素、板金板または板金帯状体(1)の板金脚部(11)の突出部(13)が係合し、
前記中央脚部(4)において、押圧プレート(9)が固定されており、
その際、これら押圧プレート(9)が、相並んで位置している前記屋根要素、板金板または板金帯状体(1)の、前記板金脚部(11)の前記突出部(13)を覆い、且つ、
これら長手方向リブ(2)に沿って、これら板金脚部(11)が、端部において、上方に向かってカバー条片(12)によって閉鎖されて形成されている、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記板金脚部(11)内における、前記突出部(13)の寸法および形状は、前記T字形のベース条片(3)の、前記中央脚部(4)および前記基礎脚部(5)内における、前記窪み部(6)の寸法および形状に対応していることを特徴とする請求項1に記載の大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システム。
【請求項3】
前記中央脚部(4)および前記基礎脚部(5)内における、両方の前記窪み部(6)は、対称的に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システム。
【請求項4】
前記中央脚部(4)および前記基礎脚部(5)内における、両方の前記窪み部(6)は、断面において、蟻接ぎ形状、または、長円形状、または、円形に形成されていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システム。
【請求項5】
付加的に、前記板金脚部(11)の前記突出部(13)内において、補強ロッド(14)が配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システム。
【請求項6】
前記補強ロッド(14)の寸法および横断面形状は、前記板金脚部(11)の前記突出部(13)の寸法および横断面形状、および、前記押圧プレート(9)の寸法および横断面形状に適合されていることを特徴とする請求項5に記載の大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システム。
【請求項7】
前記中央脚部(4)において固定されている押圧プレート(9)は、適当な間隔において、前記ベース条片頭部(7)に、頭ねじ(10)を用いてねじ止めされて固定されていることを特徴とする請求項1に記載の大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システム。
【請求項8】
前記T字形のベース条片(3)は、交互にまたは対の状態で、前記屋根下側構造物または壁下側構造物に、ベースねじ(8)を用いて固定されていることを特徴とする請求項1に記載の大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システム。
【請求項9】
前記T字形のベース条片(3)及び/または前記押圧プレート(9)は、成形レールとして形成されていることを特徴とする請求項1に記載の大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システム。
【請求項10】
前記カバー条片(12)は、前記板金脚部(11)に、形状による係合状態の折り畳み結合部を用いて結合されていることを特徴とする請求項1に記載の大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システム。
【請求項11】
前記T字形のベース条片(3)は、前記押圧プレート(9)と交換されて配置されており、且つ、これら両者が、中心の貫通する固定ねじ(15)を用いて、前記屋根下側構造物または壁下側構造物に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システム。
【請求項12】
前記補強ロッド(14)は、特殊鋼、アルミニウム、プラスチック、または、ゴム材料から成っていることを特徴とする請求項1に記載の大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システム。
【請求項13】
前記補強ロッド(14)は、異なる材料から形成されていることを特徴とする請求項1または12に記載の大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システム。
【請求項14】
前記補強ロッド(14)は、直線状の、ねじ状にまたは点状に配置された隆起部(17)を有して形成されていることを特徴とする請求項1、12または13に記載の大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システム。
【請求項15】
前記挿入される前記補強ロッド(14)の代わりに、前記突出部(13)内へと、一貫したロープが引き込まれて、または、ロープが、張力を受けながら引き込まれ、且つ、次いで弛緩されて配置されていることを特徴とする請求項1、12または13に記載の大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相並んで配置可能な、平面状の屋根要素、板金板または板金帯状体を屋根下側構造物または壁下側構造物の上に固定するための、金属から成る、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システムに関し、
その際、前記屋根要素、板金板または板金帯状体が、平面状に平坦に、波形に、または、輪郭付与されて形成されている。
【背景技術】
【0002】
屋根被覆または壁被覆のための、敷設され相並んで位置している板金帯状体、または、大きな面の薄板状にされた屋根板において、一方では、屋根パネルを貫通する固定手段は放棄されるべきであり、しかしながら、他方では、強度な突風、または、ハリケーン級の暴風の吸引作用によって、この屋根パネルの下に位置する担持体下側構造物の上での、屋根パネルの確実な固定が必要であるという危険が存在する。
個々の隣接する屋根板金は、しかしながら、部分的に極めて大きな、異なって傾斜された、且つ、異なって湾曲された屋根または壁面の、隙間の無いオーバーラップを可能とするべきである。所定の屋根形状において、専ら湾曲部だけによって、この吸引作用は、個々の領域内において、付加的に強化可能である。正および負の風負荷と、温度変動との間の相互作用は、付加的な負荷を導入する。
屋根固定に対する要求は、正の風負荷(押圧力)、負の風負荷(引張力)、加熱の際の膨張、および、冷却の際の収縮(摺動力およびせん断力)の作用を抑制すべきであり、且つ、それにもかかわらず、密閉性が保証されるべきである。それ故、個々の板金帯状体または板金板が、屋根下側構造物または壁下側構造物の屋根パネルの上の、相互に離間された長手方向リブに沿って保持される、構造および敷設方法が達成した。
一連の異なる屋根固定は公知であり、これら屋根固定において、信頼性の理由から、異なる位置において、相互に離間されて屋根パネルを貫通する固定手段が使用され、このことは、遅かれ早かれ、常に、このような屋根被覆または壁被覆の密閉性の問題を誘起する。このことは、それ故、多数の屋根および壁配置のために不適当であり、且つ、高いメンテナンス経費を必要とする。
屋根貫通部の無しで十分である、屋根被覆または壁被覆は、それ故、有利である。通常、それ故、固定のために、異なって構成された、内側に配置された保持具が使用され、これら保持具は、屋根パネルを高い信頼性で固定するべきである。これら保持具は、それぞれの構造様式に応じて、相互に所定の間隔において、配置されている。その際、密閉性を形成可能とするために、板金帯状体は、次の板金帯状体を覆う。
【0003】
そのような技術的な解決策は、特許文献1から公知であり、この解決策において、屋根被覆が、相並んで位置して配置されている、形状付与された板金帯状体を用いて行われ、その際、それぞれに、一方の側で、同じ方向に、その傍らに位置する板金帯状体が、上方に向かって形成された長手方向リブに沿って、次の板金帯状体を覆う。十分な固定を保証するために、これら板金帯状体は、フック形状の保持具内へと形状による係合状態で固定されている異なる曲げ折り目によって、屋根下側構造物の上で保持される。
但し、この固定の解決策は、異なって予成形された板金帯状体を前提とする。この固定のために、フック形状の保持具が利用され、このフック形状の保持具は、担持体下側構造物の上で固定されている。このフック形状の保持具は、一般的に通常のように、この下側構造物とねじ止めされている。このフック形状の保持具が、その際、異なって成形されていることは可能である。
但し、この固定様式において、常に、内側に位置するねじ止めされた保持要素との、板金帯状体のただ純粋に形状による係合状態な固定だけが可能である。多様な、作用する力によって、形状による係合は、しかしながら、より長い時間間隔にわたって見ると、曲げて開く可能性があり、且つ、強度が、個々の板金帯状体が大暴風の際に全く被覆が取り除かれ得る程に、小さくなる。
【0004】
特許文献2内において、壁構造のためのモジュールシステムが記載されており、ここで、板形状の建物表面の構造が、保持要素内に掛け留め固定され得、且つ、その際、それぞれの板要素において、左側および右側で、フランジが、所定の角度において配置されており、これらフランジの自由な端部が、湾曲されて形成されており、従って、この端部において、突出部が生成され、これら突出部が、保持要素の窪み部内へと係合する。この保持要素は、下側構造物とねじ止めされている。
この解決策は、この形状による係合状態な結合が、ただ条件付けられてだけ、高い負の風負荷に耐えることが可能であり、且つ、更に、この建物表面の構造が耐水性でないことの欠点を伴っている。
【0005】
特許文献3内において、相並んで位置している板金帯状体から成る、他の屋根被覆が記載されており、この屋根被覆は、両側で、組み立て様式において、形成する長手方向リブにわたって互いに結合され、且つ、更に同様に密閉されている。
固定のために、いわゆる保持ストリップが、屋根下側構造物の上にねじ止めされている。左側および右側で、保持条片において、起立するフックが配置されており、これら起立するフックの頭部が、側方へと、フック形状に湾曲されて成形されている。これら板金帯状体は、左側および右側で、直角に起立する長手方向リブを備えている。
この板金帯状体の一方の側は、フックを下側からグリップし、これに対して、他方の側が、この頭部を、同様に、下側からグリップする長手方向リブ内においてフック状に取り囲み、且つ、更に同様に形状による係合が形成される。
同様にここでも、純粋に形状による係合状態の結合は欠点であり、この結合が、より長期間、長続きせず、且つ、それに加えて、確実でなく高負荷可能でもない固定を具現する。
【0006】
特許文献4による、他の屋根固定において、同様に、1つの固定システムが記載されており、この固定システムにおいて、屋根下側構造物との、起立する長手方向リブを介しての固定は、隣接する、いわゆるパンタイルがわらの、起立する長手方向リブの端部が相互に取り囲まれ、且つ、立ちはぜ継ぎが形成されているというやり方で、行われる。この形状による係合状態の結合が、負荷の際に拡開しないために、クリップが固定されており、これらクリップが、一種のクランプ作用を実施する。
その際、固定システムのこの様式が、パンタイルがわら(板金帯状体)を、十分に安定化しない、且つ、固定しないことは問題である。何故ならば、この様式が、ただ立ちはぜ継ぎの上側の端部だけにおいて固定されており、且つ、パンタイルがわらが、それ故に、多様に作用する力において容易に歪められ得るからである。その際、屋根パネルは、部分的に著しく変形する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ヨーロッパ特許出願公開第0 530 483 A1号明細書
【特許文献2】ヨーロッパ特許第204 123 B1号明細書
【特許文献3】ドイツ連邦共和国特許出願公開第199 41 510 A1号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0094921 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、
相並んで配置可能な、平面状の屋根要素、板金板または板金帯状体を屋根下側構造物または壁下側構造物の上に固定するための、金属から成る、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システムを提供することであり、
この固定システムが、構造的に簡単に構成され、少ない部材から成り、迅速に組み付け可能であり、且つ、この固定システムが、高い負の風負荷のために適している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、本発明に従い、請求項1の特徴によって解決される。本発明の更なる合目的な構成は、従属的な請求項の対象である。
金属から成る、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の本発明に従う固定システムは、2つまたは適宜に多数の、相並んで配置可能な、平面状の屋根要素、板金板または板金帯状体を屋根下側構造物または壁下側構造物の上に固定するために適しており、その際、前記屋根要素、板金板または板金帯状体1が、異なる、平面状に平坦に、または、波形に、または、輪郭付与されているように、形成されていることは可能である。
この固定は、起立する長手方向リブ2の内側で行われ、これら長手方向リブが、側方において起立する板金脚部11によって形成されている。これら長手方向リブは、有利には直角に折り曲げられており、しかしながら、同様に他の角度(鈍角または鋭角)も考慮可能である。長手方向リブ2は、その際、互いに平行にまたは傾斜して、被覆の上で延びており、且つ、屋根被覆または壁被覆にわたって分配されて形成されている。
本発明に従い、前記屋根下側構造物または壁下側構造物の上で、前記起立する長手方向リブ2の内側で、長手方向に、一貫して、または、ただ所々にだけ(その際、ベース要素と称される)延びるT字形のベース条片3が配置および固定されている。T字形のベース条片3(またはベース要素)の、基礎脚部5と称される、両方の水平の脚部が、下方または上方に向かって配置されていることは可能である。
これらT字形のベース条片3内において、中央脚部4と称される、これらT字形のベース条片3の垂直の脚部内で、基礎脚部5に至るまで達する状態で、左側および右側に、窪み部6が形成されている。これら窪み部6内に、前記屋根要素、板金板または板金帯状体1の側方の板金脚部11の、特別に形成された突出部13が係合している。
これら予成形された突出部13は、中央脚部4においてもしくはこの中央脚部の上に配置可能な、押圧プレート9との関連において、形状による係合を生じる。これら押圧プレート9は、通常、相互に多重に、所定の間隔において配置されている。しかしながら、同様に、これら押圧プレートを、一貫した条片状の押圧プレート9として形成することも可能である。
これら押圧プレート9は、適当な構造およびやり方において、ベース条片頭部7と、形状による係合状態で、または、例えば、ねじ止めされて固定されている。しかしながら、同様に、所定の屋根被覆のために、材料構造一体的な結合も可能である。
これら押圧プレート9は、これら押圧プレート9が、相並んで位置している前記屋根要素、板金板または板金帯状体1の、前記板金脚部11の前記突出部13を覆うように成形されている。このことによって、耐久性のある、形状による係合状態の結合が、T字形のベース条片3(または、一つずつ分配されて配置されている場合、ベース要素と称される)と、中央脚部4と、および、押圧プレート9とを用いて生じる。
上方に向かって突出する側方の板金脚部11の、上側の端部において、上方に向かって、長手方向リブ全体が、カバー条片12によって閉鎖されて形成される。
【発明の効果】
【0010】
板金脚部11内における、突出部13の寸法および形状が、中央脚部4および基礎脚部5内における、窪み部6の寸法および形状に対応している場合、屋根要素、板金板または板金帯状体1と、T字形のベース条片3もしくはT字形のベース要素3との間の、特に良好な、耐久性のある、永続的な、形状による係合状態の結合は、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の本発明に従う固定システムにおける、このT字形のベース条片もしくはこのT字形のベース要素の、中央脚部4および基礎脚部5によって、達成される。
押圧プレート9の寸法および形状は、同様に有利には、突出部13の寸法および形状に対応している。
【0011】
中央脚部4および前記基礎脚部5内における、両方の窪み部6が、対称的に形成されている場合、著しく有利である。
その場合に、屋根要素、板金板または板金帯状体1が、起立して前もって製造された突出部13と板金脚部11とによって、左側および右側で同一に(同様に、対称的に)成形されていることは可能である。このことは、既に、予成形された屋根要素、板金板または板金帯状体1の、それらの製造の際の、著しい時間とコストの利点をもたらす。
それに加えて、その場合に、組込み位置は予め設定されてなく、このことは、他方また、現場での屋根または壁組み付けの際に、利点を必然的に伴う。
【0012】
大きな面の屋根被覆または壁被覆用の本発明に従う固定システムにおいて、有利には、窪み部6と所属する突出部13との種々の形状は使用され得る。
従って、中央脚部4および基礎脚部5内における、両方の窪み部6が、圧力領域内における押圧プレート9の形状の考慮のもとで、断面において、蟻接ぎ形状、または、長円形状、または、円形に形成されていることは可能である。
【0013】
大きな面の屋根被覆または壁被覆用の本発明に従う固定システムにおいて、付加的に、板金脚部11の突出部13内において、補強ロッド14が配置されている場合、簡単な構造およびやり方において、負の風負荷に対する信頼性は、著しく改善され得る。これら補強ロッド14は、側方から、突出部13内に押し込まれ、または、既に前もって挿入される。有利には、補強ロッド14の断面は、突出部13の断面に適合されている。
このことによって、しかしながら比較的に薄壁状の、薄板状にされた屋根要素、板金板または板金帯状体が、時間の経過において作用する力によって変形し、且つ、形状による係合が喪失する可能性があることは防止される。しかしながら、同様にこれら断面が互いに相違することも考慮可能である。従って、例えば、同様に補強ロッド14の三角形または四角形の断面も考慮可能である。
これら補強ロッドにより、自動的に特に解離可能でない、力による係合状態の結合は、生成される。更に、補強ロッド14は、長手方向リブ2の間の全屋根の安定性が著しく改善することの作用を有している。全屋根パネル内において、もはやほとんど何らかの変形の状態となることはない。
この屋根パネルは、実用的に、直接的に、屋根下側構造物または壁下側構造物の上で、機械的に固定され且つ締め付けられ、且つ、永続的に、屋根下側構造物に関連するこの屋根パネルの位置および形状を保持する。何故ならば、形状による係合状態の結合は、曲げて開かれ得ないからである。
【0014】
大きな面の屋根被覆または壁被覆用の本発明に従う固定システムにおいて、補強ロッド14の寸法および横断面形状が、精確に、板金脚部11の突出部13の寸法および横断面形状に、および、同様に、窪み部6の横断面形状に適合されている場合、形状による係合状態の結合は、最も確実であり且つ最も安定的である。
【0015】
ベース条片頭部7との、押圧プレート9の形状による係合状態の結合の代わりに、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システムにおいて、中央脚部4において、または、この中央脚部の上に固定されている押圧プレート9が、適当な間隔において、同様に力による係合状態で、ベース条片頭部7に、それぞれの負荷に応じて所定の間隔において装入されている頭ねじ10を用いて、ねじ止めされて固定されていることは可能である。
【0016】
強度の理由から、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システムにおいて、これらT字形のベース条片3またはこれらT字形のベース要素3が、交互にまたは対の状態で、前記屋根下側構造物または壁下側構造物に、相応して寸法を設定されたベースねじ8を用いて固定されていることは可能である。
【0017】
大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システムにおいて、T字形のベース条片3及び/または押圧プレート9が、成形レールとして形成されている場合、有利である。
これらT字形のベース条片3は、または、同様に押圧プレート9も、必要に応じて、部分的に中間室を有して、または、同様に強度の理由および安定性の理由から、全屋根広がりにわたって一貫して、即ち間隙無しに延在して配置されていることは可能である。
【0018】
天候の影響、特にあらゆる湿度に対する、確実な密閉のために、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システムにおいて、上側で、長手方向リブ2の上で一貫するカバー条片12は、板金脚部11に、形状による係合状態の折り畳み結合部を用いて結合されている。
【0019】
所定のより幅広の長手方向リブ形成のために、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の本発明に従う固定システムにおいて、これらT字形のベース条片3またはこれらT字形のベース要素3が、押圧プレート9と、これらの位置において、交換されて配置されており、且つ、中心の貫通する固定ねじ15を用いて、屋根下側構造物または壁下側構造物に結合されていることは可能である。
【0020】
それぞれの屋根被覆の、それぞれの構造様式および材料に応じて、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システムにおいて、補強ロッド14が、選択的に、特殊鋼、アルミニウムから、または同様に、ゴム材料に至るまでの種々のプラスチック、または、織物複合材から成っていることは可能である。
【0021】
付加的な補強ロッド14が、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システムにおいて、異なる材料から形成されている場合、同様に有効であり得る。
例えば、プラスチックスリーブは、金属から成る補強ロッド14と屋根被覆板金との間の、異なる膨張および摩擦を補償可能である。
【0022】
この固定システムにおける、特に急勾配の大きな面の屋根被覆または垂直の壁被覆における、突出部13からの補強ロッド14のずり出しを防止するために、補強ロッド14が、直線状の、ねじ状の、または、点状に配置された隆起部17を有して形成されていることは可能である。
このことは、それぞれの屋根材料の成形部の内側の表面内への食い込みを生じさせる。
【0023】
同様に、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の固定システムにおいて、挿入される前記補強ロッド14の代わりに、一貫したロープを、突出部13内へと、引き込むことは可能である。
これら一貫したロープは、必要のある場合に、それぞれに、端部において締め付けられ得、且つ、全屋根パネルが、これに伴って、別個に、屋根構造物または壁構造物と共に歪められて形成され得、且つ、固定され得る。更に、同様に、これらロープは、張力を受けながら、(伸長されて)引き込まれ得、その際、そのようなロープにおいて、断面の弛緩の後に再び拡大され、且つ、突出部を空間的に十分に充填する。
ここで、鋼構成および同様に他の永続的に耐候性のロープ構成が適している。従って、例えば、ロープが、プラスチックまたは炭素繊維から成っていることは可能であり、その際、これらロープが、同様に、付加的に硬化可能な合成樹脂浸透材でもって浸透されていることも可能である。
【0024】
起立する長手方向リブ2を用いての、金属から成る、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の本発明に従う固定システムは、極めて異なった傾斜および湾曲の屋根の上で、および、傾斜された、垂直の、または、張り出した壁構造の上での、相並んで配置可能な、平面状の屋根要素、板金板または板金帯状体1の、確実で安定的で耐風的な固定を保証し、且つ、それに加えて、あらゆる環境の影響に対して完全に密閉状態である。
この固定システムは、少量の、構造的に異なる個別部材から成り、コストを節約して迅速に組み付け可能であり、且つ、極めて高い、負の風負荷のために構成可能である。それに加えて、例えば温度膨張により誘起される、異なる大きな被覆の際の少なからぬ張力およびせん断力は、高い信頼性で損傷無しに補償される。
【0025】
本発明を、以下で、1つの実施例内において、
図1から4に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】屋根下側構造物または壁下側構造物(図示されていない)の上での、T字形のベース条片3の、対の状態のねじ止め部を有する長手方向リブ2内における、本発明に従う固定システムの横断面である。
【
図2】押し込まれた補強ロッド14を有する、固定システムの図である。
【
図3】特別に形成されたベース条片頭部7でもっての押圧プレート9のねじ止め部を有する、固定システムの図である。
【
図4】貫通してねじ止めされ且つ上側に配置されたT字形のベース条片3と、対の状態で押し込まれた補強ロッド14を用いての保護部と、および、これら補強ロッドの上に配置された隆起部17とを有する、幅広の交換された構成の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1内において、図示的に示されていない屋根下側構造物または壁下側構造物の上における、T字形のベース条片3の2つのベースねじ8を用いての、対称的で対の状態のねじ止め部を有する長手方向リブ2内における、本発明に従う固定システムの、有利な実施形態の横断面が図示されている。
T字形のベース条片3の中央脚部4の末端部としての、ベース条片頭部7は、押圧プレート9内においてT字形のアンダーカット部を有する、結合切欠き部に対して相補的に、同様にT字形に形成されている。その際、そのT字形のベース条片の幅広の上側のビームを有する該T字形のベース条片3は、下方へと、屋根下側構造物または壁下側構造物の上にねじで固定されている。この幅広の上側のビームは、左側および右側の基礎脚部5を形成し、これら基礎脚部が、ほぼ半円形に成形されている。中央脚部4は、直線状に構成されており、且つ、ベース条片頭部7がT字形に形成されている。
ベース条片頭部7と押圧プレート9との間の、T字形の結合解決策の代わりに、例えば、同様に蟻継ぎ結合も構成され得る。このことは、組み付けの際に利点を有している。何故ならば、押圧プレート9が、側方から、ベース条片頭部7を介して押し込まれるからである。押圧プレート9内において、同様に、結合切欠き部の左側および右側で、下方に向かって、ほぼ半円形の窪み部が形成されている。このようにして、ほぼ長円形の窪み部6が生成する。
T字形のベース条片3が、ベースねじ8を用いて、屋根下側構造物または壁下側構造物の上に固定された後に、予成形された2つの屋根要素、板金板または板金帯状体1が、左側および右側で、T字形のベース条片3内へと挿入される。これら屋根要素、板金板または板金帯状体1は、ほぼ長円形の突出部13を備えており、これらほぼ長円形の突出部13が、ここで、2重の屈曲に引き続いて形成されている。
このことは、左側および右側の屋根要素、板金板または板金帯状体1の、平坦な両方の部分が、可能な限り、全面的に、屋根下側構造物または壁下側構造物の上において載置可能であるために有利である。
【0028】
そのような様式の屋根被覆が全面的な下側構造物の上に敷設されるので、通常は、ビーム構造、担持構造または支柱構造である。突出部13の形状および位置は、これら突出部の寸法および断面において、窪み部6の寸法および断面に対応している。屋根要素、板金板または板金帯状体1は、側方において、上方に向かって、直角に起立する板金脚部11へと移行する。
これら屋根要素、板金板または板金帯状体1が、T字形のベース条片3もしくはベース要素内へと挿入されている場合、側方から、押圧プレート9が、適当な構造およびやり方で押し込まれる。
これら屋根要素、板金板または板金帯状体1が、ここで、長手方向リブ2の内側で固定されている場合、最終的に、上側で、板金脚部11の上側の端部において、一貫したカバー条片12が、折り目を用いて組み付けられる。このことは、機械的に、適当な折り畳み機械によって行われる。これに伴って、長手方向リブ2は、耐気候的に閉鎖されており、且つ、屋根下側構造物または壁下側構造物の上における、永続的で、機械的に確実な固定が形成されている。
【0029】
図2内において、既に
図1内において前記で説明されているような、金属から成る、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の、固定システムの同じ様式の構成が示されている。但し、ここで、突出部13内に、付加的に、左側および右側で、補強ロッド14が挿入されているまたは押し込まれている。ただ一方の側だけで、補強ロッド14が挿入されているまたは押し込まれていることは、屋根被覆の所定の構成のために十分であり得る。
これら補強ロッド14は、ここで、ほぼ長円形に構成されており、且つ、それら寸法および断面において、屋根要素、板金板または板金帯状体1の突出部13と対応している。このことによって、この構造の強度は、著しく改善される。
相応してより大きなまたはより小さな断面が前もって挿入されるまたは後に押し込まれるというやり方で、これら補強ロッド14のそれぞれの寸法設定に応じて、機械的な安定性は、下側で、安定的な屋根下側構造物または壁下側構造物の領域内において、適宜に調節され得る。これに伴って、負の風負荷に対する信頼性は、著しく改善される。
有利には、補強ロッドの断面は、突出部13の断面に適合されている。このことによって、しかしながら比較的に薄壁状の、薄板状にされた屋根要素、板金板または板金帯状体が、時間の経過において作用する力によって変形し、且つ、形状による係合が喪失する可能性があることは防止される。これら補強ロッド14によって、力による係合状態の永続的な結合が、直接的に平面状の屋根パネル(パンタイルがわら)の領域内において生成する。
【0030】
図3は、特別にねじ止めのために形成されたベース条片頭部7でもっての、押圧プレート9のねじ止め部を有する1つの構成における、相並んで配置可能な、平面状の屋根要素、板金板または板金帯状体1を固定するための、金属から成る、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の、固定システムを示している。全ての他の構造的な詳細は、既に
図1のもとで説明された、技術的な構成に相応している。
ベース条片頭部7は、ここで、特別に補強されて且つ拡大されて形成されており、且つ、内側で中空室が形成されており、従って、押圧プレート9が、ここで例えば簡単に自己でねじ切りする頭ねじ10によって、中央脚部4を介して、T字形のベース条片3と結合されている。
このベース条片は、他方また、対の状態の、自己でねじ切りする2つのベースねじ8によって、図示されていない屋根下側構造物または壁下側構造物に固定されている。この有利な構成は、より迅速な現場での組み付けを可能にする。何故ならば、押圧プレート9が、一方の側から押し込まれる必要がなく、むしろ、上方から載置され得、且つ、ねじ止めされ得るからである。
【0031】
図4内において、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の、固定システムの、より幅広の構成が示されている。
その際、T字形のベース条片3と押圧プレート9とは、既に説明された配置に対して交換されて配置されており、即ち、押圧プレート9が、直接的に下側で、屋根下側構造物または壁下側構造物の上に位置決めされて配置されている。
次いで、予成形された屋根要素、板金板または板金帯状体1が、既に前もって挿入された補強ロッド14と共に載置され、次いで、T字形のベース条片3が、上方から挿入され、且つ、このT字形のベース条片が、その下に配置された押圧プレート9をも含めて、貫通する固定ねじ15によって、屋根下側構造物または壁下側構造物とねじ止めされる。
この幅広の屋根被覆構成の安定性の改善のため、ここで、左側および右側で、再び、2つの補強ロッド14が挿入されている。これら補強ロッド14は、同様に事後になってから押し込まれ得るが、しかしながら、通常は、既にT字形のベース条片3の挿入および固定の以前に、屋根要素、板金板または板金帯状体1の突出部13内へと挿入されている。これに伴って、負の風負荷もしくは他の作用する力によって、屋根パネルおよびパンタイルがわらの、何らかの変形の事態にならない。
ここで2つの材料から成る補強ロッド14の上に、別個の隆起部17が配置されており、これら隆起部が、屋根要素、板金板または板金帯状体1の材料内へと食い込ませ、且つ、これら補強ロッド14の滑り位置ずれを永続的に防止する。
【0032】
これら、前記で説明された技術的な解決策は、先ず第一に、
相並んで配置可能な、平面状の屋根要素、板金板または板金帯状体1を屋根下側構造物または壁下側構造物の上に固定するための、金属から成る、大きな面の屋根被覆または壁被覆用の、固定システムとして、使用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 屋根要素、板金板または板金帯状体
2 長手方向リブ
3 T字形のベース条片、ベース要素3
4 中央脚部
5 基礎脚部
6 窪み部
7 ベース条片頭部
8 ベースねじ
9 押圧プレート
10 頭ねじ
11 板金脚部
12 カバー条片
13 突出部
14 補強ロッド
15 貫通する固定ねじ
16 折り畳み結合部
17 隆起部
【国際調査報告】