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特表2022-521889超音波デバイスのための向上されたハンドセット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(54)【発明の名称】超音波デバイスのための向上されたハンドセット
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
A61B17/32 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021545474
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(85)【翻訳文提出日】2021-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2020054505
(87)【国際公開番号】W WO2020169744
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】19158499.4
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516023685
【氏名又は名称】オーソフィックス エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴェントゥリニ、ダニエレ
(72)【発明者】
【氏名】ドニチ、マリオ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL01
(57)【要約】
骨セメント除去および/または骨切断手術のための超音波デバイスのためのハンドセット(1)は、少なくとも1つの圧電変換器(2a)およびホーン(2b)を含む超音波発生手段(2)を含むハンドセット本体(1')と、上記ハンドセット(1)を、超音波発生手段(2)によって発生された超音波が送出される器具に接続するよう構成された接続手段(4f)と、冷却媒体の循環のためのダクト(5)であって、ハンドセット(1)の少なくとも部分的に外側に延在するダクト(5)と、そのアクティブ化が超音波発生手段(2)をアクティブ化させるトリガ要素(10、11、14)と、接続点(9)でハンドセット本体(1')に結合された制御レバー(8)であって、上記接続点(9)を中心にしたその動きによってトリガ要素(10、11、14)をアクティブ化させるよう構成された制御レバー(8)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨セメント除去および/または骨切断手術のための超音波デバイスのためのハンドセットであって、
-少なくとも1つの圧電変換器およびホーンを含む超音波発生手段を含む、ハンドセット本体と、
-前記ハンドセットを、前記超音波発生手段によって発生された超音波が送出される器具に接続するよう構成された接続手段と、
-冷却媒体の循環のためのダクトであって、前記ハンドセットの少なくとも部分的に外側に延在するダクトと、
-そのアクティブ化が前記超音波発生手段をアクティブ化させるトリガ要素と、
-接続点で前記ハンドセット本体に結合された制御レバーであって、前記接続点を中心にしたその動きによって前記トリガ要素をアクティブ化させるよう構成された制御レバーと、
-少なくとも部分的に前記器具を被覆して前記ハンドセットおよび/または前記ホーンと関連付けるよう設計された被覆要素
を備え、
前記被覆要素は、前記ダクトのための接続要素を含み、前記接続要素は、前記ダクトが前記被覆要素の内側と流体連通して置かれるよう構成され、前記冷却媒体は、前記ダクトから供給され、前記被覆要素の内側を流れる、ハンドセット。
【請求項2】
前記トリガ要素はホール効果センサおよび前記制御レバー上に配置された磁石を含み、前記接続点を中心にした前記制御レバーの動きは、前記ホール効果センサと前記磁石との間の相対距離を変動させ、前記超音波発生手段をアクティブ化させる、請求項1に記載のハンドセット。
【請求項3】
前記トリガ要素はプッシュボタンであり、前記接続点を中心にした前記制御レバーの動きは、前記プッシュボタンに対する前記制御レバーの圧接をもたらし、前記超音波発生手段をアクティブ化させる、請求項1に記載のハンドセット。
【請求項4】
前記接続手段は、前記超音波発生手段の前記ホーンの端部でのねじ接続を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のハンドセット。
【請求項5】
前記ホーンを被覆するよう設計された中間被覆要素を含み、前記中間被覆要素は前記ハンドセット本体に着脱可能に接続されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のハンドセット。
【請求項6】
前記被覆要素は、前記中間被覆要素に接続されるように、かつ少なくとも部分的に前記器具を被覆するように適合され、前記中間被覆要素は、前記被覆要素と前記ハンドセット本体との間に配置されている、請求項5に記載のハンドセット。
【請求項7】
前記ダクトは、前記ハンドセットに着脱可能に関連付けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載のハンドセット。
【請求項8】
前記ハンドセットの動作状態を操作者に示すよう設計された少なくとも1つの発光信号伝達要素を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のハンドセット。
【請求項9】
前記発光信号伝達要素は前記ハンドセット本体内部に収納されており、前記制御レバーは、前記発光信号伝達要素によって発せられた信号の通過を可能にするよう構成された、請求項8に記載のハンドセット。
【請求項10】
前記発光信号伝達要素は前記トリガ要素中に組み込まれたLEDであるか、または前記発光信号伝達要素は、前記ハンドセット中のプリント回路基板(PCB)に接続されたLEDであり、かつ前記LEDによって発せられた放射は、前記プリント回路基板(PCB)と前記制御レバーとの間に配置されたライトガイドによって送出される、請求項9に記載のハンドセット。
【請求項11】
処置ゾーンを照光するよう設計された照明要素を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のハンドセット。
【請求項12】
前記照明要素は前記ハンドセットに着脱可能に接続されている、請求項11に記載のハンドセット。
【請求項13】
前記ハンドセット本体に対して実質的に横方向に配置された把持システムを含み、前記把持システムには、前記制御レバーを動かす機械式動力伝達装置を動作させるよう構成された制御要素が設けられており、前記把持システムは前記ハンドセット本体に着脱可能に接続されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のハンドセット。
【請求項14】
前記機械式動力伝達装置は、前記ハンドセット本体に向かう動きを有するカムタイプのものであり、前記制御要素によって動作され、前記着脱可能な接続は、ハンドルを形成する本体の上部に設けられた偏心リングナットを用いて実現される、請求項13に記載のハンドセット。
【請求項15】
前記ハンドセット本体は、実質的に円柱状の形態を有し、長手方向軸周りに延在する、請求項1~14のいずれか一項に記載のハンドセット。
【請求項16】
前記制御レバーを被覆するよう設計されたシリコーン被覆要素をさらに備え、前記被覆要素は固定スロットによって前記ハンドセット本体に接続されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のハンドセット。
【請求項17】
前記超音波発生手段は、前記骨セメント除去のために使用される器具および骨切断手術のために使用される器具の両方に超音波を送出するよう構成されている、請求項1~16のいずれか一項に記載のハンドセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波デバイスのためのハンドセット、具体的には、骨セメント除去および/または骨切断手術を行うための器具に接続することができるハンドセットに関し、その例示を簡略にすることのみを目的としてこの技術分野を参照しながら、以下の記載は提供される。
【背景技術】
【0002】
この技術分野において周知であるように、補綴修正手技中、ポリメチルメタクリレート(PMMA)からなる骨セメントの除去が必要となることはよくある。これは特に慎重を要する手技であり、その不正確な実行は、骨組織への深刻な損傷を引き起こすおそれがある。
【0003】
超音波が送出される特殊な器具を用いて骨セメントを除去することができる超音波デバイスが存在する。これにより、インプラントを正しい位置に保つセメントが超音波の作用により軟化されるため、補綴修正手技中の骨セメントの除去が簡素化される。したがって、器具は、軟化したセメントをホストの骨から回収し除去するように位置付けられる。この手法により手動労力が低減し、骨折および骨穿孔のリスクの低減が可能になる。
【0004】
超音波デバイスはまた、超音波を用いて事前に定義された方法で刃を移動させる、骨部の切除が関わる骨切断手術において使用される。
【0005】
公知の解決法は一般に、超音波発生要素を含むハンドセットが接続される発電機の存在を想定し、上記発電機は、ハンドセットの動力供給およびその動作パラメータの設定を可能にする。手術中に超音波が送出される器具はハンドセットに接続されている。
【0006】
しかしながら、今日利用可能な解決法には、主に手術中の把持部の取り扱いが容易でないことに起因するいくつかの欠点があり、これは操作者の作業を複雑にする。
【0007】
具体的には、ハンドセットは一般に、その長手方向軸に沿って延在するハンドルを有し、これは一方で、外科医によって実施されるいくつかの特定の動きに好都合であるが、他方で、このハンドルにアクティブ化プッシュボタンがある場合、このプッシュボタンを手術中押されたままにすることが容易でないという欠点を有する。さらに、ハンドル上のアクティブ化プッシュボタンの存在により、滅菌プロセスに耐え得るために必要な封止を提供することが困難になる。
【0008】
いくつかの公知の解決法において、使用することがより容易であり、手術室でのコンポーネントの数を低減するため、ハンドルの手動制御が好ましい場合でもハンドセットはペダル制御を用いて操作される。
【0009】
公知の解決法において頻繁に生じる別の欠点は、非常に多くの場合、公知のハンドセットは容易に再構成することができないため、ハンドセットを様々な種類の操作に適合させることが容易でないことである。
【0010】
米国特許第6,139,561号は、超音波作動のためのレバーとして構成された部分を有する超音波デバイスのためのハンドピースを開示している。同様の構成が、国際公開第2012/061730号、米国特許第2017/0172614号、および米国特許第2017/0172606号に開示されている。
【0011】
したがって、本発明の根底をなす技術的問題は、公知の解決法にこれまで影響を与えている限定および欠点を克服できるなどの、具体的には、ハンドセットのより簡易で同時により効果的で融通性のある使用を可能にするなどの、機能的および構造的特徴を有する超音波デバイスのためのハンドセットを考案するという問題である。
【発明の概要】
【0012】
本発明の根拠を形成する、提案される解決法は、外科医によるハンドセットのより簡易でより効率的な操作を可能にしながら手術中の取り扱いおよびその使用を簡素化する手段、ならびに種々の状況に適合できるようにハンドセットを容易に再構成することを可能にする手段を有する超音波デバイスのためのハンドセットを提供する解決法である。
【0013】
この提案された解決法に基づいて、前述の技術的問題は、骨セメント除去および/または骨切断手術のための超音波デバイスのためのハンドセットによって解決され、上記ハンドセットは、少なくとも1つの圧電変換器およびホーンを含む超音波発生手段を含むハンドセット本体と、上記ハンドセットを、超音波発生手段によって発生された超音波が送出される器具に接続するよう構成された接続手段と、冷却媒体の循環のためのダクトであって、ハンドセットの少なくとも部分的に外側に延在するダクトと、そのアクティブ化が超音波発生手段をアクティブ化させるトリガ要素と、接続点でハンドセット本体に結合された制御レバーであって、上記接続点を中心にしたその動きによってトリガ要素をアクティブ化させるよう構成された制御レバーとを含む。ハンドセットはまた、少なくとも部分的に器具を被覆してハンドセットおよび/またはホーンと関連付けるよう設計された被覆要素を含み、上記被覆要素はダクトのための接続要素を含み、この接続要素は、上記ダクトが上記被覆要素の内側と流体連通して置かれるよう構成され、冷却媒体はダクトから供給され、上記被覆要素の内側を流れる。
【0014】
より具体的には、本発明は、個別に、または必要に応じて組み合わせて検討される、以下のさらなる任意選択の特徴を含む。
【0015】
本発明の一態様によれば、トリガ要素はホール効果センサ、および制御レバー上に配置された磁石を含んでもよく、接続点を中心にした制御レバーの動きは、ホール効果センサと磁石との間の相対距離の変動をもたらし、超音波発生手段をアクティブ化させる。
【0016】
代替的には、トリガ要素はプッシュボタンであってもよく、接続点を中心にした制御レバーの動きは、このプッシュボタンに対するこの制御レバーの圧接をもたらし、超音波発生手段をアクティブ化させる。
【0017】
本発明の一態様によれば、接続手段は、上記超音波発生手段のホーンの端部でのねじ接続を含んでもよい。
【0018】
本発明の別の態様によれば、ハンドセットは、ホーンを少なくとも部分的に被覆するよう設計された中間被覆要素を含んでもよく、この中間被覆要素はハンドセット本体に着脱可能に接続されている。
【0019】
本発明の態様によれば、被覆要素は、中間被覆要素に、好ましくは着脱可能に接続されるように適合させることができ、上記中間被覆要素は、被覆要素とハンドセット本体との間に配置されている。
【0020】
代替的には、被覆要素は、ホーン、および場合により器具の少なくとも一部を被覆するように、ハンドセット本体に直接接続されていてもよく、好ましくは着脱可能に上記本体に接続されていてもよい。
【0021】
本発明の別の態様によれば、ダクトはハンドセットに着脱可能に関連付けられていてもよい。
【0022】
本発明の別の態様によれば、ハンドセットは、ハンドセットの動作状態を操作者に示すよう設計された少なくとも1つの発光信号伝達要素を含んでもよい。
【0023】
具体的には、発光信号伝達要素はハンドセット本体内部に収納されていてもよく、制御レバーは、この発光信号伝達要素によって発せられた信号を送出し、可視にするように成形されていてもよい。
【0024】
さらにより具体的には、発光信号伝達要素はトリガ要素内に組み込まれたLEDであってもよく、または発光信号伝達要素はプリント回路基板に接続されたLEDであってもよく、当該LEDの発せられた放射は、プリント回路基板と制御レバーとの間に配置されたライトガイドによって送出される。
【0025】
本発明の別の態様によれば、ハンドセットはまた、処置ゾーンを照光するよう設計された照明要素を含んでもよい。より具体的には、照明要素はハンドセットに着脱可能に接続されていてもよい。
【0026】
本発明の別の態様によれば、ハンドセットは、ハンドセット本体に対して実質的に横方向に配置された把持システムを含んでもよく、この把持システムには、制御レバーを動かす機械式動力伝達装置を動作させるよう構成された制御要素が設けられており、この把持システムはハンドセット本体に着脱可能に接続されている。
【0027】
具体的には、機械式動力伝達装置は、ハンドセット本体方向の動きを有するカムタイプのものであり、制御要素によって動作されてもよく、着脱可能な接続は、ハンドルを形成する本体の上部に設けられた偏心リングナットを用いて実現される。
【0028】
本発明のさらに別の態様によれば、ハンドセット本体は実質的に円柱状の形態を有してもよく、長手方向軸周りに延在していてもよい。
【0029】
本発明のさらに別の態様によれば、ハンドセットは、制御レバーを被覆するよう設計されたシリコーン被覆要素を含んでもよく、上記被覆要素は固定スロットによってハンドセット本体に接続されている。
【0030】
最後に、超音波発生手段は、骨セメント除去のために使用される器具および骨切断手術のために使用される器具の両方に超音波を送出するよう構成されてもよい。
【0031】
本発明によるハンドセットの特長および利点は、その実施形態の非限定的な例の、添付の図面への参照を伴う、本明細書において以下に提供される記載から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図面において、
図1】本発明によるハンドセットの模式断面図を示す。
図2A】本発明の好ましい実施形態によるハンドセットの斜視図を示す。
図2B】本発明の実施形態によるハンドセットの分解斜視図を示す。
図3A】本発明の実施形態によるハンドセットの斜視図を示す。
図3B図3Aによるハンドセットの細部を示す。
図4】本発明の実施形態によるハンドセットを貫通する断面を示す。
図5】本発明の代替の実施形態によるハンドセットを貫通する断面を示す。
図6A】本発明の実施形態によるハンドセットの斜視図を示す。
図6B】本発明の実施形態によるハンドセットの細部を示す。
図6C】本発明の代替の実施形態によるハンドセットの斜視図を示す。
図6D】本発明の代替の実施形態によるハンドセットの細部を示す。
図7A】本発明の実施形態によるハンドセット本体の細部の斜視図を示す。
図7B】本発明の実施形態によるハンドセット本体の細部の斜視図を示す。
図8A】本発明の代替の実施形態によるハンドセットの斜視図を示す。
図8B図8Aによるハンドセットの細部の斜視図を示す。
図8C図8Aによるハンドセットの細部の断面図を示す。
図9A】本発明の実施形態によるハンドセットの図を示す。
図9B図9Aによるハンドセットの細部を示す。
図9C図9Aによるハンドセットの細部を示す。
図9D図9Aによるハンドセットの細部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
これらの図、および特に図1における例を参照すると、1は全体的に、且つ模式的形態において、本発明による超音波デバイスのためのハンドセットを示す。
【0034】
図は模式図を示し、縮尺どおりに描画されていないが、その代わりに本発明の主な特長を強調するように示されていることが指摘されるべきである。それに加えて、図において、様々な部分が模式的形態で示されており、それらの形態は望ましい適用に応じて異なる。最後に、図において同一の参照番号は、形態または機能に関して同一である部分を指すことが留意されるべきである。最後に、1つの図に示される1つの実施形態に関係して記載される特定の特徴は、他の図に示される他の実施形態のためにも使用されてもよい。
【0035】
本発明によるハンドセット1は、主に、補綴修正手技中に骨セメントを除去するために、または、同様に骨切断手術中の骨部の切除のために使用される。
【0036】
ハンドセット1は、実質的に円柱状の形態を有し、遠位端(すなわち操作者に最も近い端部)と近位端(すなわち処置されるゾーンに最も近い端部)との間に、長手方向軸H-Hに沿って延在するハンドセット本体1'を含む。したがって、ハンドセット1は、長手方向軸H-Hに沿って延在するハンドルを有し、手術中の外科医のある種の特定の動きに好都合である。ハンドルにはまた、より安定した把持を可能にする溝Sが設けられている。
【0037】
ハンドセット本体1'は、当技術分野で公知のように、圧電変換器2aおよびホーン2bを含む超音波発生手段2を含み、超音波発生手段2のための保護要素として働く。
【0038】
より具体的には、ハンドセット1は、電気ケーブルによって発電機(図示せず)に接続されており、この電気ケーブルは、好ましくはハンドセット本体1'の遠位端に、特に、上記ハンドセット本体1'の基部に設けられた適切なソケットPによってハンドセット1と関連付けられている。
【0039】
圧電変換器2aは、発電機からの電気エネルギを、一般に0~100MHz、好ましくは20kHz~20MHzで変動する範囲の機械的振動に変換するよう設計されている。
【0040】
したがって、以下に例示されるように、ホーン2bは、圧電変換器2aによって発生された振動を増幅し、それに接続された器具Tに移送するよう設計される。圧電変換器2aとホーン2bとの間に配置された増幅器も想定される。
【0041】
一般に、圧電変換器2aとは反対側のホーン2bの端部は、ハンドセット本体1'から突出しており、この理由から、この突出部は、ハンドセット本体1'と関連付けられた中間被覆要素3によって少なくとも部分的に被覆されている。換言すれば、中間被覆要素3は、ホーン2bのための保護要素として働く。
【0042】
より具体的には、中間被覆要素3は、ハンドセット本体1'に、例えば適切なねじ接続3fによって着脱可能に接続されている。
【0043】
中間被覆要素3は様々な形態をとってもよい。例えば、中間被覆要素3は封止Oリングを収容するための溝を有してもよい。
【0044】
上に言及されるように、ハンドセット1は、それを、発生された超音波が送出される器具T(プローブとも呼ばれる)に接続するための接続手段4を含む。好ましくは、接続手段4は、ホーン2bの近位端にあるねじ接続4fの形態である。
【0045】
ハンドセット1と関連付けられた器具は、種々の形態および機能を有してもよく、本詳細な説明においては記載されず、これらの器具の形態および機能は実際、本発明の一部を形成しない。
【0046】
さらに、超音波システムの操作中、ハンドセット1と関連付けられた器具の温度、および処置される領域の温度が、機器および患者にとって潜在的に危険である高い値になり得ることは公知である。この理由から、本発明によるハンドセット1は、器具および患者の処置されるゾーン上に噴霧される冷却媒体の循環のためのダクト5を含む。
【0047】
有益には、ダクト5はハンドセット1と着脱可能に関連付けられており、ハンドセット1の部分的に外側に、特にハンドセット本体1'の完全に外側に延在する。
【0048】
図2Aに示される本発明の好ましい実施形態において、ハンドセット1'の遠位端は、ダクト5を収納する凹部を有するように成形されている。
【0049】
図2Bに示される代替の実施形態において、ダクト5は、遠位端に配置された適切な係合手段5aによってハンドセット本体1'に着脱可能に関連付けられている。
【0050】
ダクト5が、ハンドセット本体1'において一体に形成されたくぼんだ部分によってハンドセット1と関連付けられた(接続された)実施形態では、係合手段5aを排除することができ、したがってハンドセット1は簡素化される。
【0051】
いずれの場合でも、冷却媒体は、ハンドセット1の外側でダクト5によって、器具Tおよび処置される領域に向かって移送される。
【0052】
本発明の一実施形態において、以下にさらに例示されるように、ハンドセット本体1'はまた、その外表面全体(遠位端においてだけではない)を覆う、ダクト5を収納し、それによってその全体積を低減するための収納台座を含んでもよい。
【0053】
発電機に組み込まれており、流量を制御し、計測することができるぜん動容積式ポンプによって、冷却媒体(通常は生理溶液からなる)の流れは保証される。ポンプは、外科医によって、例えばペダルスイッチを用いて、または対応するプッシュボタンを用いてアクティブ化させることができる。したがって、ぜん動ポンプを通る一連の管を用いて、冷却媒体容器をダクト5に接続することが可能であり、後者は正確な量の冷却媒体を処置ゾーンに移送することができる。
【0054】
図3Aおよび図3Bを参照すると、本発明の実施形態において、ハンドセット1はまた、少なくとも部分的に器具Tを被覆してハンドセット1と関連付けるよう設計された被覆要素6を含む。
【0055】
好都合には、被覆要素6は、中間被覆要素3に、例えばスナップ式接続またはねじ接続によって着脱可能に接続されている。この場合においては、ハンドセット1の取り付けの間、最初にホーン2Bに器具を接続し、次いで第2の被覆6を第1の被覆3に接続する。
【0056】
なおも図3Aおよび図3Bに示される実施形態を参照すると、被覆要素6は、ダクト5のための接続要素7を含み、その結果、ダクト5の近位端がこの接続要素7に係合され得る。このように、ダクト5が係合する接続要素7によって、このダクト5によって輸送される冷却媒体は、被覆要素6の内側を流れ、器具および処置されるゾーンに到達することが可能となる。この場合において、接続要素7は、ダクト5の内側を被覆要素6の内側と流体連通した状態に置く。
【0057】
換言すると、ダクト5は、ポンプに接続された第1の遠位端および接続要素7によって被覆要素6に接続された第2の近位端を有し、したがって冷却媒体が上記被覆要素に流入することが可能になり、それによって器具(この被覆要素6によって部分的に被覆されている)および処置されるゾーンの効果的な洗浄が可能になる。好都合にはこの場合において、被覆要素6により、解剖学的部位の領域を占め、ハンドセット1を取り扱う際に外科医の邪魔になるダクトなしで、冷却媒体を器具に移送することが可能になる。明らかに、長手方向軸H-Hに沿って測定される被覆要素6の長さは、使用される器具に応じて選択される。
【0058】
図面に示されない実施形態によれば、被覆要素6はまた、プローブ本体に直接接続されていてもよく、例えば、上記本体に着脱可能に接続されていてもよく、中間被覆要素は存在しなくてもよい。この実施形態において、被覆要素6は、器具も被覆することは必要ではなく、ホーンのみを被覆するよう設計されてもよく、ホーンおよび器具の両方を被覆してもよい。いずれの場合でも、ダクトのための接続要素に関係して詳述されるすべての特徴は、この実施形態においてもなおも有効である。
【0059】
(例えば図6Aおよび図6Cに示すように)係合要素5b、および係合要素5aも含む、ある実施形態において、ダクト5は、ハンドセット1を中心に回転させてもよく、適用に応じて最も簡便な位置に位置付けられてもよい。具体的には、係合要素5aおよび5b(ダクト5との係合のための部分が設けられたリングの形態であってもよい)は、挿入中の融通性および使用中の安定性を保証する。
【0060】
これらの場合において、様々な係合手段を収納するための適切な溝を有し、要件および/または状況(ホーンを保護するためなどの任意の場合)に応じて異なる長さを有し得る、被覆要素3のみを使用することで十分であり得る。被覆要素3は、さらなるガイドへの接続のために、任意の場合において使用されてもよい。
【0061】
いずれの場合でも、ダクト5は、好ましくはハンドセット1の外形をなぞるように、したがって全体寸法を低減するように成形される。この場合において、先に言及したように、管が外科医の手を妨害しないように収納されることを可能にするハンドセット本体1'の構成のおかげで、ダクト5によって占められる空間は低減される。Oリングを用いて提供されてもよい摩擦作用は、管を適切な位置に保つことを助け得る。
【0062】
さらに、ハンドセット1は、トリガ要素を含み、トリガ要素のアクティブ化により超音波発生手段2がアクティブ化され、特に圧電変換器2aによる超音波が発生される。
【0063】
有益には、本発明によれば、ハンドセット1はまた、所与の接続点9でハンドセット本体1'に回転可能に接続された制御レバー8を含む。より具体的には、接続点9は、外科医によって圧力がかけられた後にレバーがそれを中心に動く支点(すなわち、レバーがそれを中心に回転する傾向がある点)である。
【0064】
制御レバー8は、ハンドセット本体1'に形成された特殊収納台座8'の内側に収納されている。外科医との相互作用がない静止構成において、制御レバー8は長手方向軸H-Hに対して実質的に平行であり、超音波発生手段2はアクティブ化されない。
【0065】
制御レバー8は、外科医によって圧力がかけられた後の接続点9を中心にしたその動きの結果として、トリガ要素をアクティブ化させるよう適切に構成されている。このように、制御レバー8がその静止構成から変位されると、すなわちこのレバーが接続点9を中心に動かされる際、レバーはトリガ要素をアクティブ化させ、したがって、以下に説明する仕方で超音波発生手段2をアクティブ化させる。換言すると、アクティブ化は、制御レバー8のその支点(ハンドセット本体1'上のその回転可能な接続点に相当する)を中心にした回転によって決定される。
【0066】
図4に示される、本発明の好ましい実施形態において、トリガ要素は、プリント回路基板(本明細書において以下、単にPCBと表される)に接続されたホール効果センサ10、および制御レバー8上に配置された磁石11を含む。この実施形態において、磁石11は、制御レバー8の一端、好ましくは遠位端に配置されており、一方で、レバーの反対端でハンドセット1の実質的に重心に、制御レバー8をハンドセット本体1'に接続し、この制御レバー8を静止構成に保つよう構成された弾性変形可能な要素12(ばねなど)が存在する。接続点9はそうではなく、磁石11と弾性変形可能な要素12との間に位置される。
【0067】
この実施形態において、接続点9周りの制御レバー8の動き(ばね12の、結果として生じる圧縮を伴う)は、ホール効果センサ10と磁石11との間の相対距離を変動させ、したがってこのホール効果センサ10によって記録される磁界を変動させ、この距離が所定の閾値を超えると超音波発生手段2をアクティブ化させる。
【0068】
PCBに接続されたLED13の存在も想定され、このLED13はハンドセット1の動作状態の表示を提供する。この場合において、ハンドセット本体1'の表面に沿ってLED13によって発せられた光放射を導くライトガイド13'も提供され、上記ライトガイド13'はLED13および他の内部電子コンポーネントを同時に保護し、それはその保護および最適な封止を保証する一対のOリングORのガイド周りへの配置のおかげでもある。
【0069】
代替的には、図5に示すように、トリガ要素は、接続点9を中心にして制御レバー8が動く間の制御レバー8との圧接によって動作されるプッシュボタン14である。このように、制御レバー8を押すと、次には制御レバー8が、システムがアクティブ化されるようにプッシュボタン14を押すことになる。
【0070】
プッシュボタン14は、例えばLEDが組み込まれたIP67プッシュボタンであってもよく、このLEDはハンドセット1の動作状態を示す。
【0071】
この実施形態において、静止構成において、制御レバー8は圧力を全くかけることなくプッシュボタン14の上部と直接接触しており、一方で、外科医によってレバーに圧力がかけられた後、プッシュボタン14は押されて超音波発生手段2をアクティブ化させる。外科医によってかけられる圧力がレバーの反対端に、すなわちハンドセット1の重心に適用されるように、接続点9は遠位端に位置されている。圧力がもはやかけられなくなると、プッシュボタン14はレバーを静止構成へと戻す。
【0072】
したがって、すべての実施形態において、制御レバー8は、ハンドセット1の遠位部分から重心へとアクティブ化点を移す機能を有し、使用を大幅に簡素化し、取り扱い中のより快適な把持位置を可能にする。
【0073】
さらに、図4に示される実施形態におけるLEDを収納し、駆動するPCBは、両方の実施形態において存在し、一般に、ハンドセット1と接続された発電機との間の通信を可能にする。
【0074】
具体的には、ハンドセット1には、通信回路(例えばマイクロプロセッサを含む)が設けられており、通信回路は次に、その識別および動作に有用なすべての情報を含む記憶装置(例えばEEPROMメモリ)を含む。例えば、ハンドセット1の記憶装置は、そのシリアル番号を含んでもよく、シリアル番号は発電機に通信され、したがってハンドセットの即時の識別を可能にする。ハンドセットの型式に加えて、回路はまた、温度センサを含み、好ましい実施形態において、そのアクティブ化のためのホール効果センサ10を含む。
【0075】
本発明の好ましい実施形態に従って、発電機とのデータ通信は、RS485標準を使用する通信バッファによって管理される。したがって、ハンドセットは、データ通信バスによる発電機とのリンクを維持するそれ自体のCPUを有する。
【0076】
ソケットPにより、データの転送、および圧電変換器のための動力の供給が可能になる。
【0077】
上に示されたように、ハンドセット1はまた、ハンドセット1の動作状態を外科医に示すよう設計された発光信号伝達要素、好ましくはLEDを有する。
【0078】
具体的には、図4に示される実施形態において、LED13はPCB上に配置されており、発せられた光はガイド13'を通って送出され、ガイド13'は発せられた光照射を導き、開口部8g(例えば、円形状を有する)を通して送出させることができ、開口部8gは図6Aおよび図6Bに詳細に示されるように制御レバー8に形成されている。
【0079】
図5に示される実施形態においてはそうではなく、LEDはプッシュボタン14中に組み込まれており、制御レバー8がこのプッシュボタン14の反対側により細い部分8rを有し、このより細い部分8rがLEDによって発せられた光の通過を可能にするため、発せられた光は可視である。より細い部分8rは、例えば、プッシュボタン14と接触する点で制御レバー8の側面から材料を除去することによって実現されてもよい。
【0080】
一般に、ハンドセット1のLEDは、様々な動作モードまたは信号を操作者に示すことができるRGB型のLEDである。
【0081】
別な表現をすると、本発明に従って、発光信号伝達要素はハンドセット本体1'内部に収納されており、一方で制御レバー8は、この発光信号伝達要素によって発せられた信号を転送するように適切に成形されている。
【0082】
明らかに、上に例示される様々な実施形態は本発明の範囲を限定するものと見なされてはならず、制御レバー8は異なるようにも成形されていてもよく、同様に発光信号伝達要素は他の位置にも配置されていてもよい。
【0083】
ハンドセット1の発光信号伝達要素はまた、システムがアクティブであることを信号伝達することに加えて、器具と大変硬い材料(鋼鉄およびチタンなど)との間に起こる接触の事象の際にフィードバックを提供し、したがって外科医が器具を移動させるか、または手術を中断することができるよう構成されていてもよいことも指摘される。発光信号伝達要素はまた、デバイス全般の状態についてフィードバックが提供されることを可能にし、発電機、器具、およびハンドセット1それ自体に影響を与えるいかなる不具合および誤動作の存在についても外科医に警告する。
【0084】
さらに、処置ゾーンにおける不良な視界に関連付けられる問題を解決するために、ハンドセット1は、このゾーンを照光するよう設計された照明要素15を含む。
【0085】
本発明の好ましい実施形態において、照明要素15は、ハンドセット1に、例えば中間被覆要素3に、特殊係合要素15aによって着脱可能に接続されている。
【0086】
したがって、被覆要素3は、ホーン2bを任意の潜在的に危険である偶発的接触から保護することに加えて、照明要素15がハンドセット1に接続されることを可能にする機能を有する。さらに、被覆要素3は、ハンドセット1の外側のみにダクト5が延在する場合に、このダクト5との接続のための係合リングの固定を可能にする。
【0087】
図に示されない代替の実施形態において、照明要素15はハンドセット1の内側に組み込まれていてもよい。照明要素15がハンドセット1に係合によって着脱可能に関連付けられている場合、この照明要素15が特定の適用のために最も簡便な位置に配置され得るため、本発明によるシステムはより融通性があることが指摘される。そうではなく、照明要素15がハンドセット1の内側にある場合、システムはよりコンパクトであるが、その融通性はより限定される。
【0088】
いずれの場合でも、照明要素15は、器具の先端部に合焦された光ビームを放射するレーザまたはLEDであってもよく、それは手術するゾーンにおける視界を向上し、同時に照準デバイスとして働くため、外科医の作業を容易にする。
【0089】
本発明によるハンドセット1は、最適な漏出防止を保証することができる。ここで図7Aおよび図7Bを参照すると、ハンドセット本体1'は、封止された仕方で適切に互いに接続される2つの部分P'(後部キャップ)とP"(スリーブ)とに分割される。
【0090】
図5に示される実施形態に対応する図7Aにおいて、円柱状部分P'およびP"の適正な形状は、滅菌中のより良好な漏出防止、制御レバー8の構成が理由であるより良好な手術時の視界、溝Sの存在に起因する安定した把持を保証するよう設計されている。
【0091】
図4の実施形態に対応する図7Bに示される解決法において、2つの部分P'とP"との間の封止は、標準的なOリングによって保証される。具体的には、封止作用は、部分P"の前端部に、ホーンのつば部(すなわち被覆要素3が係合する場所)に、部分P'に、ライトガイド13'に、およびソケットP域において、二重Oリングによって提供される。
【0092】
両方の解決法において、溝Sは、重量を低減し、より良好な把持作用を保証する機能を有する。いずれの場合においても、可能である場合、様々な実施形態が組み合わされてもよい。
【0093】
さらに、図8A図8Cに示される本発明の実施形態において、ハンドセット1はまた、ハンドセット本体1'に対して実質的に横方向に配置された把持システム16を含む。
【0094】
具体的には、把持システム16は、ハンドルを形成する本体16b、およびこの本体16b上に配置された制御要素16c(例えばプッシュボタン)を有し、上記制御要素16cは、制御レバー8を動かす機械式動力伝達装置16mを動作させるよう構成されている。換言すると、制御要素16c(例えばプッシュボタンである)によって、機械式動力伝達装置16mは動かされ、制御レバー8を押し、したがって超音波発生手段2をアクティブ化させる。
【0095】
有益には、把持システム16は、ハンドセット本体1'に、例えば本体16bの端部上に配置されたつば部によって、着脱可能に接続されている。このように、外科医は、長手方向軸に沿ってハンドルがついたハンドセットを使用するかどうか、または把持システム16によって提供される銃様のハンドルを使用するかどうかを選択することができ、したがって本発明によるシステムは特に簡便かつ応用の利くものとなる。
【0096】
さらにより具体的には、機械式動力伝達装置16mは、ハンドセット本体1'の方向の、すなわち図を局所的に基準にして下部から上方向の動きを有するカムタイプのものであり、制御要素16cによって動作される。
【0097】
さらに、把持システム16とハンドセット本体1'との間の着脱可能な接続は、本体16bの上部に設けられた偏心リングナット16gを用いて実現される。
【0098】
図9A図9Dに示される実施形態に従って、ハンドセット1は、シリコーンでできており、制御レバー8を完全に被覆する被覆要素17をさらに含む。具体的には、被覆要素17は、固定穴/スロット18を用いてハンドセット本体1'に接続されて(固定されて)おり、これらの固定スロット18は、制御レバー8の周りに形成された成形異形材19において設けられている。換言すれば、成形異形材19は、ハンドセット本体1'から突出しており、制御レバー8を囲んでいる(成形異形材19は、本明細書において例示される他の実施形態においても設けられてもよいことが留意されるべきである)。被覆要素17は、制御レバー8を保護し、同時に発光信号伝達要素からの光が通過できるように位置付けられる。
【0099】
最後に、本発明によると好都合には、超音波発生手段2は、骨セメント除去のために使用される器具および骨切断手術のために使用される器具の両方に超音波を送出するよう構成されている。したがって、本発明は、骨セメント除去のための器具および骨切断術のために使用される器具の両方に接続することができるハンドセットを提供し、これら両方の手術は同じハンドセットを使用して実施される。この場合において、圧電変換器2aは、両方の用途と適合するように、種々の動力出力を提供し、種々の周波数を管理することができる。この機能的特徴は、発電機によって与えられるハンドセット1を制御するための適切なシステムを用いて得られる。
【0100】
結論として、本発明は、より簡易でより効率的な仕方で外科医によってハンドセットがアクティブ化されることを可能にしながら、同時に手術中の取り扱いおよびその使用を簡素化する手段、ならびに種々の状況に適合できるようにハンドセットを容易に再構成することを可能にする手段を有する超音波デバイスのためのハンドセットを提供する。
【0101】
本発明によると有益には、ハンドセットは、大変簡易で効率的な仕方で外科医によって使用されてもよいものであり、ハンドセットの形態および使用されるコンポーネントの組み合わせは、手術中の外科医の作業を容易にし、特により簡素化された把持ピースの取り扱いを可能にする。
【0102】
具体的には、トリガ要素(プッシュボタンまたは特殊なセンサ)と制御レバーとの組み合わせにより、機器の人間工学的特性が向上され、はるかに簡易な仕方で、ハンドセットの使用および取り扱い中に所与のプッシュボタンを押されたままにする必要なしに、しかし単に制御レバーを操作することによって、外科医が超音波発生手段をアクティブ化させることが可能になる。したがって、ハンドセット筐体に沿って配置された制御レバーの存在により、外科医による使用中のすべての異なる把持位置におけるシステムの簡易なアクティブ化が可能となる。
【0103】
本発明によるハンドセットは、その長手方向軸に沿ってハンドルを有し、したがって、アクティブ化点をハンドセットの重心にも変位させる制御レバーの存在は、公知の解決法と比較して著しい向上を意味し、操作者にとってのより快適な把持行為および自然な動きを保証することが実際指摘される。この向上はまた、最適な封止システムと一緒に得られる。
【0104】
本発明によるハンドセットのさらなる融通性のある特徴は、軸方向の円柱状把持部を、ハンドセットの軸に対して実質的に垂直であり、制御レバーのアクティブ化のための機械式動力伝達装置を内部に有する把持システムの簡易な適用によって銃様の把持部に変換する可能性である。
【0105】
本発明によるハンドセットにはまた、処置される領域を照明するためのシステム、および冷却流体(例えば生理溶液)を供給するためのダクトが設けられており、これら両方のコンポーネントはハンドセットと着脱可能に関連付けられている。このように、処置される領域の照明および冷却の問題は解決され、それと同時に、本発明によるハンドセットの再構成の高度の応用性および可能性を保証する。
【0106】
別の大変有益である特徴は、単一のハンドセットを使用して骨セメント除去のための器具および骨切断手術のための器具両方を管理し、本発明によるシステムをさらに簡素化する可能性である。
【0107】
最後に、上述のすべての特徴により、外科医によるより容易な使用が保証することに加えて、本発明によるハンドセットを使用して実施される手術の効率および安全性が増大されることが指摘される。
【0108】
明らかに、当業者は、生じ得る任意の特定の要件を満たすために、ハンドセットに対して多数の修正または変更を行ってもよく、以下の請求項によって定義されるように、そのすべてが本発明の保護の範囲内に含まれる。
[項目1]
骨セメント除去および/または骨切断手術のための超音波デバイスのためのハンドセット(1)であって、
-少なくとも1つの圧電変換器(2a)およびホーン(2b)を含む超音波発生手段(2)を含む、ハンドセット本体(1')と、
-上記ハンドセット(1)を、上記超音波発生手段(2)によって発生された超音波が送出される器具に接続するよう構成された接続手段(4f)と、
-冷却媒体の循環のためのダクト(5)であって、上記ハンドセット(1)の少なくとも部分的に外側に延在するダクト(5)と、
-そのアクティブ化が上記超音波発生手段(2)をアクティブ化させるトリガ要素(10、11、14)と、
-接続点(9)で上記ハンドセット本体(1')に結合された制御レバー(8)であって、上記接続点(9)を中心にしたその動きによって上記トリガ要素(10、11、14)をアクティブ化させるよう構成された制御レバー(8)と、
-少なくとも部分的に上記器具を被覆して上記ハンドセット(1)および/または上記ホーン(2b)と関連付けるよう設計された被覆要素(6)
を備え
上記被覆要素(6)は、上記ダクト(5)のための接続要素(7)を含み、上記接続要素(7)は、上記ダクト(5)が上記被覆要素(6)の内側と流体連通して置かれるよう構成され、上記冷却媒体は、上記ダクト(5)から供給され、上記被覆要素(6)の内側を流れる、ハンドセット(1)。
[項目2]
上記トリガ要素はホール効果センサ(10)および上記制御レバー(8)上に配置された磁石(11)を含み、上記接続点(9)を中心にした上記制御レバー(8)の動きは、上記ホール効果センサ(10)と上記磁石(11)との間の相対距離を変動させ、上記超音波発生手段(2)をアクティブ化させる、項目1に記載のハンドセット(1)。
[項目3]
上記トリガ要素はプッシュボタン(14)であり、上記接続点(9)を中心にした上記制御レバー(8)の動きは、上記プッシュボタン(14)に対する上記制御レバー(8)の圧接をもたらし、上記超音波発生手段(2)をアクティブ化させる、項目1に記載のハンドセット(1)。
[項目4]
上記接続手段は、上記超音波発生手段(2)の上記ホーン(2b)の端部でのねじ接続(4f)を含む、前述の項目のいずれか一項に記載のハンドセット(1)。
[項目5]
上記ホーン(2b)を被覆するよう設計された中間被覆要素(3)を含み、上記中間被覆要素(3)は上記ハンドセット本体(1')に着脱可能に接続されている、前述の項目のいずれか一項に記載のハンドセット(1)。
[項目6]
上記被覆要素(6)は、上記中間被覆要素(3)に接続されるように、かつ少なくとも部分的に上記器具(T)を被覆するように適合され、上記中間被覆要素(3)は、上記被覆要素(6)と上記ハンドセット本体との間に配置されている、項目5に記載のハンドセット(1)。
[項目7]
上記ダクト(5)は、上記ハンドセット(1)に着脱可能に関連付けられている、前述の項目のいずれか一項に記載のハンドセット(1)。
[項目8]
上記ハンドセット(1)の動作状態を操作者に示すよう設計された少なくとも1つの発光信号伝達要素(13、14)を備える、前述の項目のいずれか一項に記載のハンドセット(1)。
[項目9]
上記発光信号伝達要素(13、14)は上記ハンドセット本体(1')内部に収納されており、上記制御レバー(8)は、上記発光信号伝達要素(13)によって発せられた信号の通過を可能にするよう構成された、項目8に記載のハンドセット(1)。
[項目10]
上記発光信号伝達要素は上記トリガ要素(14)中に組み込まれたLEDであるか、または上記発光信号伝達要素は、上記ハンドセット(1)中のプリント回路基板(PCB)に接続されたLED(13)であり、かつ上記LED(13)によって発せられた放射は、上記プリント回路基板(PCB)と上記制御レバー(8)との間に配置されたライトガイド(13')によって送出される、項目9に記載のハンドセット。
[項目11]
処置ゾーンを照光するよう設計された照明要素(15)を備える、前述の項目のいずれか一項に記載のハンドセット(1)。
[項目12]
上記照明要素(15)は上記ハンドセット(1)に着脱可能に接続されている、項目11に記載のハンドセット(1)。
[項目13]
上記ハンドセット本体(1')に対して実質的に横方向に配置された把持システム(16)を含み、上記把持システム(16)には、上記制御レバー(8)を動かす機械式動力伝達装置(16m)を動作させるよう構成された制御要素(16c)が設けられており、上記把持システム(16)は上記ハンドセット本体(1')に着脱可能に接続されている、前述の項目のいずれか一項に記載のハンドセット(1)。
[項目14]
上記機械式動力伝達装置(16m)は、上記ハンドセット本体(1')に向かう動きを有するカムタイプのものであり、上記制御要素(16c)によって動作され、上記着脱可能な接続は、ハンドルを形成する本体(16b)の上部に設けられた偏心リングナット(16g)を用いて実現される、項目13に記載のハンドセット(1)。
[項目15]
上記ハンドセット本体(1')は、実質的に円柱状の形態を有し、長手方向軸(H-H)周りに延在する、前述の項目のいずれか一項に記載のハンドセット(1)。
[項目16]
上記制御レバー(8)を被覆するよう設計されたシリコーン被覆要素(17)をさらに備え、上記被覆要素(17)は固定スロット(18)によって上記ハンドセット本体(1')に接続されている、前述の項目のいずれか一項に記載のハンドセット(1)。
[項目17]
上記超音波発生手段(2)は、上記骨セメント除去のために使用される器具および骨切断手術のために使用される器具の両方に超音波を送出するよう構成されている、前述の項目のいずれか一項に記載のハンドセット(1)。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
【国際調査報告】