(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(54)【発明の名称】ヘキソースからの含酸素化合物の生成のための微生物および方法
(51)【国際特許分類】
C12N 1/21 20060101AFI20220406BHJP
C12N 15/52 20060101ALI20220406BHJP
C12P 7/02 20060101ALN20220406BHJP
C12P 7/40 20060101ALN20220406BHJP
【FI】
C12N1/21
C12N15/52 Z ZNA
C12P7/02
C12P7/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021548671
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(85)【翻訳文提出日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 BR2020050052
(87)【国際公開番号】W WO2020168407
(87)【国際公開日】2020-08-27
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319007767
【氏名又は名称】ブラスケム エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】コッホ ダニエル ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ペデルセン パリッツィ ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】ガルゼラーニ フェリペ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AC02
4B064AD02
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA16
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065BB15
4B065BB16
4B065BB17
4B065BB18
4B065CA05
4B065CA10
4B065CA54
4B065CA60
(57)【要約】
本願は、1つまたは複数のヘキソース原料からのモノエチレングリコール(MEG)、または任意でMEGと1つもしくは複数の同時生成物との生合成に有用な組換え微生物に関する。本願はまた、1つまたは複数のヘキソース原料からのグリコール酸(GA)、または任意でGAと1つもしくは複数の同時生成物との生合成に有用な組換え微生物にも関する。本願は、1つまたは複数のヘキソース原料からのキシリトール、または任意でキシリトールと1つもしくは複数の同時生成物との生合成に有用な組換え微生物に関する。この組換え微生物を使用して1つまたは複数のヘキソース原料からMEG(もしくはGAもしくはキシリトール)、または任意でMEG(もしくはGAもしくはキシリトール)と1つもしくは複数の同時生成物とを生成する方法に加えて、この組換え微生物および/あるいは生成物MEG(もしくはGAもしくはキシリトール)、または任意でMEG(もしくはGAもしくはキシリトール)と1つもしくは複数の同時生成物とを含む組成物もまた提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してモノエチレングリコール(MEG)またはグリコール酸(GA)を生成する1つまたは複数の生化学経路を含む、組換え微生物。
【請求項2】
1つまたは複数の同時生成物が、MEGまたはGAと同時生成される、請求項1記載の組換え微生物。
【請求項3】
1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体が、D-リボース-5-リン酸、D-キシルロース-5-リン酸またはD-リブロース-5-リン酸のうちの1つまたは複数である、請求項1または2記載の組換え微生物。
【請求項4】
前記1つまたは複数の生化学経路が、トランスケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む、請求項1~3のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項5】
トランスケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌(E. coli)由来tktA tktBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、請求項4記載の組換え微生物。
【請求項6】
前記1つまたは複数の生化学経路が、トランスアルドラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項7】
トランスアルドラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来talBまたはtalBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、請求項6記載の組換え微生物。
【請求項8】
前記1つまたは複数の生化学経路が、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む、請求項1~7のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項9】
リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来rpeと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、請求項8記載の組換え微生物。
【請求項10】
前記1つまたは複数の生化学経路が、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む、請求項1~9のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項11】
リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来rpiAまたはrpiBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、請求項10記載の組換え微生物。
【請求項12】
グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼおよび/またはホスホグリセリン酸ムターゼより選択される少なくとも1つの内在性酵素における欠失または減少した活性をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項13】
前記1つまたは複数の生化学経路が、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む、請求項1~11のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項14】
フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、ビフィドバクテリウム・デンティウム(Bifidobacterium dentium)BDP_1006、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)xfp、ラクトバチルス・パラプランタルム(Lactobacillus paraplantarum)xpkAおよびビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)xfpからなる群より選択されるフルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、請求項13記載の組換え微生物。
【請求項15】
前記1つまたは複数の生化学経路が、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む、請求項13記載の組換え微生物。
【請求項16】
リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌ptaおよびクロストリジウム・アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)ptaより選択されるリン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、請求項15記載の組換え微生物。
【請求項17】
内在性6-ホスホフルクトキナーゼ酵素における欠失または減少した活性をさらに含む、請求項1~11または13~16のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項18】
前記1つまたは複数の生化学経路が、ペントースホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、請求項1~17のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項19】
ペントースホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、D-ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、D-キシルロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、D-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、およびD-リブロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素のうちの1つまたは複数より選択される、請求項18記載の組換え微生物。
【請求項20】
前記1つまたは複数の生化学経路が、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、請求項1~19のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項21】
アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、およびD-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素のうちの1つまたは複数より選択される、請求項20記載の組換え微生物。
【請求項22】
前記1つまたは複数の生化学経路が、ホスホペントムターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、請求項1~21のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項23】
グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコノラクトナーゼおよび6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼより選択される1つまたは複数の内在性酵素における欠失または減少した活性をさらに含む、請求項1~22のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項24】
1つまたは複数の同時生成物が、アセトン、イソプロパノール、プロペン、イソブテンおよび1つまたは複数のセリン経路化合物より選択される、請求項1~23のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項25】
1つまたは複数のセリン経路化合物が、セリン、グリシン、モノエタノールアミン(MEA)およびエチレンジアミン(EDA)より選択される、請求項24記載の組換え微生物。
【請求項26】
1つまたは複数のヘキソース原料が、グルコースまたはそのグルコースのオリゴマーより選択される、請求項1~25のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項27】
グルコースのオリゴマーが、フルクトース、スクロース、デンプン、セロビオース、マルトース、ラクトースおよびセルロースより選択される、請求項26記載の組換え微生物。
【請求項28】
トランスケトラーゼ活性を有する酵素またはフルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素の発現が、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い変換を可能にする、請求項1~27のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項29】
MEGまたはGAが、C2経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じて、およびC3経路におけるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)またはピルビン酸の変換を通じて生成される、請求項1~28のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項30】
GAが、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼによるグリコールアルデヒドの酸化によって生成される、請求項29記載の組換え微生物。
【請求項31】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じたMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、グリセリン酸デカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、請求項29記載の組換え微生物。
【請求項32】
MEGまたはGAが、C2経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じて生成され、1つまたは複数の同時生成物が、C3経路におけるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)またはピルビン酸の変換を通じて生成される、請求項1~31のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項33】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、およびアセト酢酸デカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、アセトンを含む、請求項32記載の組換え微生物。
【請求項34】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、および二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、イソプロパノールを含む、請求項32記載の組換え微生物。
【請求項35】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性、およびデヒドラターゼ-イソメラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、プロペンを含む、請求項32記載の組換え微生物。
【請求項36】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、3-ヒドロキシイソ吉草酸(3HIV)シンターゼ活性、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性、3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性、3HIVキナーゼ活性、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性、および3HIVデカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、イソブテンを含む、請求項32記載の方法。
【請求項37】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、L-セリンを含む、請求項32記載の方法。
【請求項38】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、トランスフェラーゼ活性、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性、グリシン開裂系に関連する活性、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、グリコール酸デヒドロゲナーゼ活性、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性、アラニントランスアミナーゼ活性、NAD(P)H依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、グリシンを含む、請求項32記載の方法。
【請求項39】
グリシン開裂系に関連する活性が、グリシンデカルボキシラーゼ(Pタンパク質)、アミノメチルトランスフェラーゼ(Tタンパク質)、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(Lタンパク質)、およびHタンパク質より選択される酵素またはタンパク質を含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、トランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、およびエタノールアミンアンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、モノエタノールアミン(MEA)を含む、請求項32記載の方法。
【請求項41】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、セリンデヒドロゲナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドデカルボキシラーゼ活性、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、アルデヒドオキシダーゼ活性、N-アセチルトランスフェラーゼまたはO-アセチルトランスフェラーゼ活性、N-アセチルセリンデヒドロゲナーゼ活性、トランスアミナーゼ活性、デアセチラーゼ活性、セリンアミナーゼ活性、および2,3-ジアミノプロパン酸アンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、エチレンジアミン(EDA)を含む、請求項32記載の方法。
【請求項42】
C2経路におけるグリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素が、D-タガトース3-エピメラーゼ活性、D-リブロキナーゼ活性、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、D-キシルロース1-キナーゼ活性、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼ活性、キシリトールデヒドロゲナーゼ活性、キシロースイソメラーゼ活性、キシロースデヒドロゲナーゼ活性、キシロノラクトナーゼ活性、キシロン酸デヒドロゲナーゼ活性、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性およびグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、請求項29~41のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項43】
グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、キシロースイソメラーゼ、キシルロースキナーゼまたはそれらの組合せにおける活性を減少または欠失させるための1つまたは複数の改変をさらに含む、請求項1~42のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項44】
C3経路において生成された過剰のNADHの少なくとも一部が、C2経路において還元当量源として使用される、請求項1~43のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項45】
C3経路において生成された過剰のNADHの少なくとも一部が、ATPを生成するために使用される、請求項1~43のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項46】
過剰のバイオマス形成が最小限にされ、MEG(もしくはGA)、またはMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との生成が最大限にされる、請求項1~45のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項47】
前記請求項のいずれか一項記載の組換え微生物を使用してMEGまたはグリコール酸(GA)を生成する方法であって、炭素源を提供する1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中でMEGまたはGAが生成されるまで組換え微生物を培養する工程を含む、前記方法。
【請求項48】
1つまたは複数の同時生成物が、MEGまたはGAと同時生成される、請求項47記載の方法。
【請求項49】
1つまたは複数の同時生成物が、アセトン、イソプロパノール、プロペン、イソブテンおよび1つまたは複数のセリン経路化合物より選択される、請求項48記載の方法。
【請求項50】
1つまたは複数のセリン経路化合物が、セリン、グリシン、モノエタノールアミン(MEA)およびエチレンジアミン(EDA)より選択される、請求項49記載の方法。
【請求項51】
1つまたは複数の外来性ヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してMEGまたはグリコール酸(GA)を生成または蓄積する組換え微生物を生成する方法であって、
1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;
1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;
グリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含むC2経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;および
DHAPまたはピルビン酸に由来するMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含むC3経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;および
MEGまたはGAを生成または蓄積させるために、1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中で組換え微生物を培養する工程
を含み、
グリコールアルデヒドおよびDHAP(またはピルビン酸)が、C2経路で生成される中間体であり、MEGまたはGAが、C2およびC3経路の両方で生成される、前記方法。
【請求項52】
1つまたは複数の外来性ヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してMEGまたはグリコール酸(GA)および1つまたは複数の同時生成物を生成または蓄積する組換え微生物を生成する方法であって、
1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;
1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;
グリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含むC2経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;および
DHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素を含むC3経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;および
MEGまたはGAおよび1つまたは複数の同時生成物を生成または蓄積させるために、1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中で組換え微生物を培養する工程
を含み、
グリコールアルデヒドおよびDHAP(またはピルビン酸)が、C2経路で生成される中間体であり、MEGまたはGAが、C2経路で生成され、1つまたは複数の同時生成物が、C3経路で生成される、前記方法。
【請求項53】
グリコールアルデヒドが、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼによってグリコール酸に酸化される、請求項51または52記載の方法。
【請求項54】
1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素が、トランスケトラーゼ活性、トランスアルドラーゼ活性、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性、およびリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、請求項51~53のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(gapA)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(pgk)およびホスホグリセリン酸ムターゼ(gpmAおよび/またはgpmM)より選択される1つまたは複数の内在性酵素における活性を減少または欠失させるために組換え微生物に1つまたは複数の改変を導入する工程をさらに含む、請求項51~54のいずれか一項記載の方法。
【請求項56】
1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素が、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性、トランスケトラーゼ活性、トランスアルドラーゼ活性、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性、およびリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、請求項51~53のいずれか一項記載の方法。
【請求項57】
内在性6-ホスホフルクトキナーゼ(pfkAおよび/またはpfkB)酵素における活性を減少または欠失させるために組換え微生物に1つまたは複数の改変を導入する工程をさらに含む、請求項56記載の方法。
【請求項58】
グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコノラクトナーゼ、および6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼより選択される1つまたは複数の内在性酵素における活性を減少または欠失させるために組換え微生物に1つまたは複数の改変を導入する工程をさらに含む、請求項51~57のいずれか一項記載の方法。
【請求項59】
1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素が、ペントースホスファターゼ活性、D-リブロース-5-ホスファターゼ活性、D-リボース-5-ホスファターゼ活性、D-リボースイソメラーゼ活性、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性、およびホスホペントムターゼ活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、請求項51~58のいずれか一項記載の方法。
【請求項60】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来するMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、グリセリン酸デカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、請求項51記載の方法。
【請求項61】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、およびアセト酢酸デカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、アセトンを含む、請求項52記載の方法。
【請求項62】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、および二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、イソプロパノールを含む、請求項52記載の方法。
【請求項63】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性、およびデヒドラターゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、プロペンを含む、請求項52記載の方法。
【請求項64】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、3-ヒドロキシイソ吉草酸(3HIV)シンターゼ活性、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性、3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性、3HIVキナーゼ活性、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性、および3HIVデカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、イソブテンを含む、請求項52記載の方法。
【請求項65】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、L-セリンを含む、請求項52記載の方法。
【請求項66】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、トランスフェラーゼ活性、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性、グリシン開裂系に関連する活性、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、グリコール酸デヒドロゲナーゼ活性、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性、アラニントランスアミナーゼ活性、およびNAD(P)H依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、グリシンを含む、請求項52記載の方法。
【請求項67】
グリシン開裂系に関連する活性が、グリシンデカルボキシラーゼ(Pタンパク質)、アミノメチルトランスフェラーゼ(Tタンパク質)、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(Lタンパク質)、およびHタンパク質より選択される酵素またはタンパク質を含む、請求項66記載の方法。
【請求項68】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、トランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、およびエタノールアミンアンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、モノエタノールアミン(MEA)を含む、請求項52記載の方法。
【請求項69】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、セリンデヒドロゲナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドデカルボキシラーゼ活性、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、アルデヒドオキシダーゼ活性、N-アセチルトランスフェラーゼまたはO-アセチルトランスフェラーゼ活性、N-アセチルセリンデヒドロゲナーゼ活性、トランスアミナーゼ活性、デアセチラーゼ活性、セリンアミナーゼ活性、および2,3-ジアミノプロパン酸アンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、エチレンジアミン(EDA)を含む、請求項52記載の方法。
【請求項70】
C2経路におけるMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素が、D-タガトース3-エピメラーゼ活性、D-リブロキナーゼ活性、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、D-キシルロース1-キナーゼ活性、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼ活性、キシリトールデヒドロゲナーゼ活性、キシロースイソメラーゼ活性、キシロースデヒドロゲナーゼ活性、キシロノラクトナーゼ活性、キシロン酸デヒドロゲナーゼ活性、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性およびグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、請求項51~69のいずれか一項記載の方法。
【請求項71】
グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、キシロースイソメラーゼ、キシルロースキナーゼまたはそれらの組合せにおける活性を減少または欠失させるために組換え微生物に1つまたは複数の改変を導入する工程をさらに含む、請求項51~70のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年2月20日に出願された「MICROORGANISMS AND METHODS FOR THE PRODUCTION OF OXYGENATED COMPOUNDS FROM HEXOSES」という名称の米国特許仮出願第62/808,247号に対する優先権を主張し、該出願の開示は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
技術分野
本願は、1つまたは複数のヘキソース原料からモノエチレングリコールまたはモノエチレングリコールと1つまたは複数の同時生成物との生合成に有用な組換え微生物に関する。加えて本願は、1つまたは複数のヘキソース原料からのグリコール酸またはグリコール酸と1つもしくは複数の同時生成物との生合成に有用な組換え微生物に関する。本願はさらに、組換え微生物を使用して1つまたは複数のヘキソース原料からモノエチレングリコールまたはモノエチレングリコールと1つもしくは複数の同時生成物とを生成する方法、ならびに組換え微生物を使用して1つまたは複数のヘキソース原料からグリコール酸またはグリコール酸と1つもしくは複数の同時生成物とを生成する方法に関する。本願はさらに、これらの化合物および/または組換え微生物のうちの1つまたは複数を含む組成物に関する。
【0003】
配列表に関する陳述
本願に付随する配列表は、紙のコピーの代わりにテキストフォーマットで提供され、これによって参照により本明細書中に組み入れられる。配列表を含有するテキストファイルの名称は、BRSK-004_02WO_ST25.txtである。テキストファイルは、約616KBであり、2020年2月18日に作成されて、EFS-Webを介して電子的に提出されている。
【背景技術】
【0004】
背景
現在、多数の化学化合物が石油化学製品に由来する。モノエチレングリコール(MEG)、グリコール酸、アセトン、イソプロパノール(IPA)、プロペン、セリン、グリシン、モノエタノールアミン、およびエチレンジアミンなどの化合物は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(MEGから)、プラスチックであるポリプロピレン(プロペンから)、ポリグリコール酸および他の生体適合性コポリマー(グリコール酸から)ならびにポリウレタン繊維(エチレンジアミンから)のような生成物の生成における原材料として価値がある。アルケン(例えば、エチレン、プロピレン、種々のブテン、およびペンテンなど)は、プラスチック工業、燃料に、および化学工業の他の分野で使用されている。例えば、イソブテンは、燃料添加剤、ゴムおよびゴム添加剤、ならびに特殊化学薬品を含む多種多様な生成物を製造するためのプラットフォーム化学薬品として広く使用されている、小型高反応性分子である。
【0005】
しかし現在、化合物は、気候変動の一因となる化石燃料を起源とする前駆物質から生成される。MEGの生成のための、環境によりやさしいプロセスを開発するために、研究者らは、MEGを生成するように微生物の生合成経路を操作している。しかし、これらの経路は実行が大変であり、生成物の収量低下、酸化還元バランスおよび過剰のバイオマス形成が、克服すべきいくつかの大きな障害である。
【0006】
従って、工業的および薬学的応用に有用なMEGおよび他の化学化合物の生成のための改良された生合成経路の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
本開示の概要
本願は、1つまたは複数のヘキソース原料からのモノエチレングリコール(MEG)もしくはグリコール酸(GA)、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との生成のための1つまたは複数の生合成経路を有する組換え微生物に関する。
【0008】
本開示の組換え微生物および方法は、グルコースベースの発酵MEG生成およびキシロースベースの発酵MEG生成の利点を組み合せたものである。いくつかの態様において、本開示の組換え微生物および方法は、高収量のMEG(もしくはGA)、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との形成のためのキシロース分解生化学反応の利点を、容易に入手可能な純粋ヘキソース糖原料の利点と組み合せたものである。
【0009】
いくつかの態様において、本開示の組換え微生物および方法は、キシロース原料の入手性の問題を解決する。いくつかの態様において、本開示の組換え微生物および方法は、手の届かないキシロース原料価格の問題を解決する。いくつかの態様において、本開示の組換え微生物および方法は、キシロース原料の不純物の問題を解決する。いくつかの態様において、本開示の組換え微生物および方法は、微生物による非効率的なキシロース取り込みの問題を解決する。いくつかの態様において、本開示の組換え微生物および方法は、キシロース利用のグルコース誘導阻害の問題を解決する。いくつかの態様において、本開示の組換え微生物および方法は、MEG(またはGA)生成経路におけるATP不足の問題を解決する。いくつかの態様において、本開示の組換え微生物および方法は、MEG(またはGA)生成経路におけるNADH過剰の問題を解決する。いくつかの態様において、本開示の組換え微生物および方法は、生成物の合計潜在収量が低いという問題を解決する。
【0010】
いくつかの態様において、本開示の組換え微生物および方法は、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い変換を提供する。いくつかの態様において、1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体は、1つまたは複数のキシロースベースの発酵方法によるMEG(もしくはGA)、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との生成のために使用される。いくつかの態様において、グルコースフラックスは、解糖経路の代わりにペントースリン酸経路に流れ込む。
【0011】
一局面において、本開示は、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)を生成する1つまたは複数の生化学経路を含む組換え微生物を提供する。一態様において、1つまたは複数の同時生成物は、MEG(もしくはグリコール酸)と同時生成される。別の態様において、1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体は、D-キシルロース-5-リン酸、D-リブロース-5-リン酸またはD-リボース-5-リン酸のうちの1つまたは複数である。
【0012】
従って、一態様において本願は、1つまたは複数のヘキソース原料を1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体にロスの無い変換で変換する活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む1つまたは複数の生化学経路を含む組換え微生物に関する。
【0013】
いくつかの態様において、組換え微生物は、トランスケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。いくつかの態様において、トランスケトラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌(E. coli)由来tktAと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様において、トランスケトラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来tktAである。いくつかの態様において、トランスケトラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来tktBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様において、トランスケトラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来tktBである。別の態様において、トランスケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:148および150からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、トランスケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、tktAまたはそのホモログである。いくつかの態様において、トランスケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、tktBまたはそのホモログである。さらなる態様において、トランスケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:147および149からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0014】
いくつかの態様において、組換え微生物は、トランスアルドラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。いくつかの態様において、トランスアルドラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来talAまたはtalBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、トランスアルドラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来talAである。他の態様において、トランスアルドラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来talBである。別の態様において、トランスアルドラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:152および154からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、トランスアルドラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:151および153からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0015】
いくつかの態様において、組換え微生物は、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。いくつかの態様において、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来rpeと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様において、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来rpeである。別の態様において、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:158に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:157に示される核酸配列によってコードされる。
【0016】
いくつかの態様において、組換え微生物は、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。いくつかの態様において、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来rpiAと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様において、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来rpiAである。他の態様において、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来rpiBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様において、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来rpiBである。別の態様において、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:156に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:155に示される核酸配列によってコードされる。
【0017】
いくつかの態様において、組換え微生物は、トランスケトラーゼ活性、トランスアルドラーゼ活性、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性、およびリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。他の態様において、組換え微生物は、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼおよびホスホグリセリン酸ムターゼより選択される1つまたは複数の内在性酵素における欠失または減少した活性をさらに含む。いくつかの態様において、内在性グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ酵素はgapAであり、ホスホグリセリン酸キナーゼはpgkであり、ホスホグリセリン酸ムターゼはgpmAおよび/またはgpmMである。
【0018】
いくつかの態様において、組換え微生物は、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。いくつかの態様において、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素は、ビフィドバクテリウム・デンティウム(Bifidobacterium dentium)BDP_1006、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)xfp、ラクトバチルス・パラプランタルム(Lactobacillus paraplantarum)xpkAおよびビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)xfpからなる群より選択されるフルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様において、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素は、ビフィドバクテリウム・デンティウムBDP_1006、ビフィドバクテリウム・ラクティスxfp、ラクトバチルス・パラプランタルムxpkAおよびビフィドバクテリウム・ブレベxfpからなる群より選択される。別の態様において、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:212、214、216および218からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:211、213、215および217からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0019】
いくつかの態様において、組換え微生物は、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。いくつかの態様において、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌ptaおよびクロストリジウム・アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)ptaより選択されるリン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様において、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌ptaおよびクロストリジウム・アセトブチリクムptaより選択される。別の態様において、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:220および222より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:219および221より選択される核酸配列によってコードされる。
【0020】
いくつかの態様において、組換え微生物は、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性、トランスケトラーゼ活性、トランスアルドラーゼ活性、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性、およびリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。他の態様において、組換え微生物は、内在性6-ホスホフルクトキナーゼ酵素における欠失または減少した活性をさらに含む。いくつかの態様において、内在性6-ホスホフルクトキナーゼ酵素は、pfkAおよび/またはpfkBである。
【0021】
別の態様において、1つまたは複数のヘキソース原料のロスの無い変換で生成される1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体は、1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体への変換による公知のC2 MEG生成経路またはグリコール酸生成経路のいずれか1つと接続することができる。いくつかの態様において、組換え微生物は、ペントースホスファターゼ活性、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性、および/またはホスホペントムターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。いくつかの態様において、ホスホペントムターゼは(Pgm3)である。いくつかの態様において、ホスホペントースムターゼは、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来Pgm3である。いくつかの態様において、ホスホペントースムターゼは、サッカロミセス・セレビシエ由来Pgm3と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。
【0022】
いくつかの態様において、組換え微生物は、ペントースホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。他の態様において、ペントースホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素は、D-ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、D-キシルロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、D-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、およびD-リブロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素のうちの1つまたは複数より選択される。いくつかの態様において、ペントースホスファターゼは、大腸菌phoA、大腸菌yfbTおよび大腸菌yidAからなる群より選択されるD-ペントース-5-ホスファターゼと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素は、枯草菌(Bacillus subtilis)araLと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、D-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)SGPP、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)PFLU_2693、および大腸菌ybiVからなる群より選択されるD-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、D-リブロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素は、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)PF10_0325と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、D-ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:159、161、163、165、167、169、171および173からなる群より選択される。別の態様において、D-ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:160、162、164、166、168、170、172および174からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0023】
いくつかの態様において、組換え微生物は、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。いくつかの態様において、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、およびD-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素のうちの1つまたは複数より選択される。
【0024】
いくつかの態様において、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、エンテロコッカス・アビウム(Enterococcus avium)由来APDHと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様において、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、エンテロコッカス・アビウム由来APDHである。いくつかの態様において、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:175に示される。別の態様において、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:176に示されるアミノ酸配列を含む。
【0025】
いくつかの態様において、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、エンテロコッカス・アビウム由来APDHと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様において、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、エンテロコッカス・アビウム由来APDHである。いくつかの態様において、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:175に示される。別の態様において、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:176に示されるアミノ酸配列を含む。
【0026】
いくつかの態様において、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)ARD1、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)ARD1、シェフェルソミセス・スチピチス(Scheffersomyces stipitis)ARDH、枯草菌egsA(araM)、アエロピルム・ペルニクス(Aeropyrum pernix)egsA、大腸菌gpsAおよびサッカロミセス・セレビシエGPD1からなる群より選択されるD-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様において、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、カンジダ・アルビカンスARD1、カンジダ・トロピカリスARD1、シェフェルソミセス・スチピチスARDH、枯草菌egsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスegsA、大腸菌gpsAおよびサッカロミセス・セレビシエGPD1からなる群より選択される。いくつかの態様において、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:177、179、181、189、191、193および195からなる群より選択される。別の態様において、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:178、180、182、190、192、194および196からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0027】
いくつかの態様において、D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、シュードモナス・フルオレッセンスmtlD、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)dalD、ラルストニア・ソラナセラム(Ralstonia solanacearum)dalD、枯草菌egsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスegsA、大腸菌gpsAおよびサッカロミセス・セレビシエGPD1からなる群より選択されるD-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様において、D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、シュードモナス・フルオレッセンスmtlD、クレブシエラ・ニューモニエdalD、ラルストニア・ソラナセラムdalD、枯草菌egsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスegsA、大腸菌gpsAおよびサッカロミセス・セレビシエGPD1からなる群より選択される。いくつかの態様において、D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:183、185、187、189、191、193および195からなる群より選択される。別の態様において、D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:184、186、188、190、192、194および196からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0028】
いくつかの態様において、組換え微生物は、ホスホペントムターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。いくつかの態様において、ホスホペントムターゼ活性を有する酵素は、大腸菌deoB、大腸菌pgm、枯草菌pgcA、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)pgmB、大腸菌ycjU、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)algC、および大腸菌cpsGからなる群より選択されるホスホペントムターゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様において、ホスホペントムターゼ活性を有する酵素は、大腸菌deoB、大腸菌pgm、枯草菌pgcA、ラクトコッカス・ラクチスpgmB、大腸菌ycjU、シュードモナス・エルギノーサalgC、および大腸菌cpsGからなる群より選択される。いくつかの態様において、ホスホペントムターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:197、199、201、203、205、207および209からなる群より選択される。別の態様において、ホスホペントムターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:198、200、202、204、206、208および210からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0029】
上記組換え微生物のいずれかのいくつかの態様において、組換え微生物は、グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコノラクトナーゼ、および6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼより選択される1つまたは複数の内在性酵素における減少した活性をさらに含む。さらなる態様において、グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼはzwfであり、6-ホスホグルコノラクトナーゼはpglであり、6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼはgndである。
【0030】
いくつかの態様において、本願は、MEG(もしくはグリコール酸)と、アセトン、イソプロパノール、プロペン、イソブテンおよび1つまたは複数のセリン経路化合物より選択される1つまたは複数の同時生成物とを同時生成する組換え微生物を提供する。いくつかの好ましい態様において、1つまたは複数のセリン経路化合物は、セリン、グリシン、モノエタノールアミン(MEA)およびエチレンジアミン(EDA)より選択される。
【0031】
いくつかの態様において、1つまたは複数のヘキソース原料は、グルコースまたはそのグルコースのオリゴマーより選択される。他の態様において、グルコースのオリゴマーは、フルクトース、スクロース、デンプン、セロビオース、マルトース、ラクトースおよびセルロースより選択される。
【0032】
いくつかの態様において、トランスケトラーゼ活性を有する酵素またはフルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素の組換え微生物における発現は、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い変換を可能にする。
【0033】
いくつかの態様において、組換え微生物は、C2経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じて、およびC3経路におけるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)またはピルビン酸の変換を通じてMEGまたはグリコール酸(GA)を生成する。他の態様において、グリコールアルデヒドは、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼによってグリコール酸に酸化される。
【0034】
いくつかの態様において、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じたMEGまたはGAの生成のための少なくとも1つの酵素は、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、グリセリン酸デカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する少なくとも1つの酵素より選択される。
【0035】
いくつかの態様において、組換え微生物は、C2経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じてMEGまたはグリコール酸(GA)を生成し、C3経路におけるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)またはピルビン酸の変換を通じて1つまたは複数の同時生成物を生成する。他の態様において、1つまたは複数の同時生成物は、アセトン、イソプロパノール、プロペン、イソブテンおよび1つまたは複数のセリン経路化合物より選択される。いくつかの好ましい態様において、1つまたは複数のセリン経路化合物は、セリン、グリシン、モノエタノールアミン(MEA)およびエチレンジアミン(EDA)より選択される。
【0036】
いくつかの態様において、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための少なくとも1つの酵素は、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、およびアセト酢酸デカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する少なくとも1つの酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物は、アセトンを含む。
【0037】
いくつかの態様において、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための少なくとも1つの酵素は、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、および二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する少なくとも1つの酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物は、イソプロパノールを含む。
【0038】
いくつかの態様において、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための少なくとも1つの酵素は、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性、およびデヒドラターゼ活性より選択される活性を有する少なくとも1つの酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物は、プロペンを含む。
【0039】
いくつかの態様において、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための少なくとも1つの酵素は、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、3-ヒドロキシイソ吉草酸(3HIV)シンターゼ活性、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性、3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性、3HIVキナーゼ活性、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性、および3HIVデカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する少なくとも1つの酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物は、イソブテンを含む。
【0040】
いくつかの態様において、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための少なくとも1つの酵素は、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する少なくとも1つの酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物は、L-セリンを含む。
【0041】
いくつかの態様において、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための少なくとも1つの酵素は、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、トランスフェラーゼ活性、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性、グリシン開裂系に関連する活性、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、グリコール酸デヒドロゲナーゼ活性、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性、アラニントランスアミナーゼ活性、NAD(P)H依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する少なくとも1つの酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物は、グリシンを含む。別の態様において、グリシン開裂系に関連する活性は、グリシンデカルボキシラーゼ(Pタンパク質)、アミノメチルトランスフェラーゼ(Tタンパク質)、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(Lタンパク質)、およびHタンパク質より選択される酵素またはタンパク質を含む。
【0042】
いくつかの態様において、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための少なくとも1つの酵素は、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、トランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、およびエタノールアミンアンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する少なくとも1つの酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物は、モノエタノールアミン(MEA)を含む。
【0043】
いくつかの態様において、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための少なくとも1つの酵素は、セリンデヒドロゲナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドデカルボキシラーゼ活性、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、アルデヒドオキシダーゼ活性、N-アセチルトランスフェラーゼまたはO-アセチルトランスフェラーゼ活性、N-アセチルセリンデヒドロゲナーゼ活性、トランスアミナーゼ活性、デアセチラーゼ活性、セリンアミナーゼ活性、および2,3-ジアミノプロパン酸アンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する少なくとも1つの酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物は、エチレンジアミン(EDA)を含む。
【0044】
いくつかの態様において、C2経路におけるグリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための少なくとも1つの酵素は、D-タガトース3-エピメラーゼ活性、D-リブロキナーゼ活性、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、D-キシルロース1-キナーゼ活性、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼ活性、キシリトールデヒドロゲナーゼ活性、キシロースイソメラーゼ活性、キシロースデヒドロゲナーゼ活性、キシロノラクトナーゼ活性、キシロン酸デヒドロゲナーゼ活性、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性およびグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する少なくとも1つの酵素より選択される。いくつかの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性を有する酵素はaldoBである。いくつかの態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性を有する酵素はfucAである。
【0045】
上記の組換え微生物のいずれかのいくつかの態様において、組換え微生物は、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、キシロースイソメラーゼ、キシルロースキナーゼまたはそれらの組合せにおける活性を減少または欠失させるための1つまたは複数の改変をさらに含む。
【0046】
一態様において、C3経路において生成された過剰のNADHの少なくとも一部は、C2経路において還元当量源として使用される。別の態様において、C3経路において生成された過剰のNADHの少なくとも一部は、ATPを生成するために使用される。
【0047】
一態様において、過剰のバイオマス形成は最小限にされ、MEG(もしくはグリコール酸)またはMEG(もしくはグリコール酸)と1つもしくは複数の同時生成物との生成は最大限にされる。
【0048】
別の局面において、本願は、上記態様のいずれかの組換え微生物を使用してMEGまたはグリコール酸(GA)を生成する方法を提供し、ここで、該方法は炭素源を提供する1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中でMEGまたはGAが生成されるまで組換え微生物を培養する工程を含む。いくつかの態様において、1つまたは複数の同時生成物は、MEGまたはGAと同時生成される。さらなる態様において、1つまたは複数の同時生成物は、アセトン、イソプロパノール、プロペン、イソブテンおよび1つまたは複数のセリン経路化合物より選択される。なおさらなる態様において、1つまたは複数のセリン経路化合物は、セリン、グリシン、モノエタノールアミン(MEA)およびエチレンジアミン(EDA)より選択される。
【0049】
なお別の局面において、1つまたは複数の外来性ヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してMEGまたはグリコール酸(GA)を生成または蓄積する組換え微生物を作製する方法は、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;グリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含む1つまたは複数のC2経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;およびDHAPまたはピルビン酸に由来するMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含む1つまたは複数のC3経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;およびMEGまたはGAを生成または蓄積させるために、1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中で組換え微生物を培養する工程を含み、ここで、グリコールアルデヒドおよびDHAP(またはピルビン酸)は、C2経路で生成される中間体であり、MEGまたはGAは、C2およびC3経路の両方で生成される。
【0050】
いくつかの態様において、本願は、1つまたは複数の外来性ヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してMEGまたはグリコール酸(GA)および1つまたは複数の同時生成物を生成または蓄積する組換え微生物を作製する方法を提供し、該方法は、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;グリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含む1つまたは複数のC2経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;およびDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素を含む1つまたは複数のC3経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;およびMEGまたはGAおよび1つまたは複数の同時生成物を生成または蓄積させるために、1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中で組換え微生物を培養する工程を含み、グリコールアルデヒドおよびDHAP(またはピルビン酸)は、C2経路で生成される中間体であり、MEGまたはGAは、1つまたは複数のC2経路で生成され、1つまたは複数の同時生成物は、1つまたは複数のC3経路で生成される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
本開示の例証的な態様を以下の図面に例証する。
【0052】
(
図1)グルコースのペントース-リン酸へのロスの無い転換を示す。記号
は、酵素が潜在的にダウンレギュレーションまたは不活性化される/消失すること、すなわち、それぞれの遺伝子が潜在的に減弱または欠失されることを意味する。
(
図2)D-キシルロース-1-リン酸を介するMEGおよび可能性のある同時生成経路を示す。
(
図3)D-キシロン酸を介するMEGおよび可能性のある同時生成経路を示す。
(
図4)D-リブロース-1-リン酸を介するMEGおよび可能性のある同時生成経路を示す。
(
図5)ペントースリン酸経路およびペントースホスファターゼ(PP)を介するMEG生成経路を接続するための選択肢のスキームを示す。
(
図6)ペントースリン酸経路からアラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ(APD)を介してペントース-1-リン酸および誘導体を生成するためのスキームを示す。
(
図7)アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ(APD)によって媒介されるペントースリン酸の異性化を示す。
(
図8)ペントースリン酸経路からホスホペントムターゼ(PPM)を介してペントース-1-リン酸および誘導体を生成するためのスキームを示す。
(
図9)グルコースからのペントースリン酸およびアセチルCoAへのロスの無い転換を示す。記号
は、酵素が潜在的にダウンレギュレーションされる、または不活性化される/消失すること、すなわち、それぞれの遺伝子が潜在的に減弱または欠失されることを意味する。
(
図10)MEGおよびSer、Gly、MEA、EDAの同時生成経路の概要を示す。
(
図11)公表されたEDA生成経路を示す。WO2014/049382から。反応F:L-セリンアミナーゼを介するL-セリンの直接アミノ化。反応G:2,3-ジアミノプロピオン酸アンモニアリアーゼを介するピルビン酸の直接アミノ化。
(
図12)ホスファターゼを使用するグルコースからのキシリトールの生合成経路を示す。記号
は、酵素が潜在的にダウンレギュレーションされる、または不活性化される/消失すること、すなわち、それぞれの遺伝子が潜在的に減弱または欠失されることを意味する。
(
図13)アラビトール-Pデヒドロゲナーゼ(ADP)を使用するグルコースからのキシリトールの生合成経路を示す。記号
は、酵素が潜在的にダウンレギュレーションされる、または不活性化される/消失すること、すなわち、それぞれの遺伝子が潜在的に減弱または欠失されることを意味する。
(
図14)ホスホペントムターゼ(PPM)を使用するグルコースからのキシリトールの生合成経路を示す。記号
は、酵素が潜在的にダウンレギュレーションされる、または不活性化される/消失すること、すなわち、それぞれの遺伝子が潜在的に減弱または欠失されることを意味する。
(
図15)その天然基質、グルコース-1Pに対するインビトロのホスホグルコムターゼアッセイについてのスキームである。
(
図16)ホスホグルコムターゼ酵素によって作用される、ペントースから主要なペントース-5P中間体を経由するグリコール酸前駆体へのインビトロ変換についてのスキームである。
(
図17)ペントース糖からグリコール酸への変換を容易にするための主要な酵素候補のインビボスクリーニングについてのスキームである。
(
図18)アルドラーゼ酵素によって作用される、ペントースから主要なペントース-1P中間体を経由するグリコール酸前駆体へのインビトロ変換についてのスキームである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
詳細な説明
定義
以下の定義および略語が、本開示の解釈のために使用されるべきである。
【0054】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、そうでないことを前後関係が明白に指示しない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「酵素」への言及には、複数のそのような酵素が含まれ、「微生物」への言及には、1種類または複数種類の微生物への言及が含まれ、他も同様である。
【0055】
本明細書において使用されるように、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有している(contains)」、「含有している(containing)」という用語、またはそれらの他の語尾変化は、非排他的な包含をカバーするものとする。要素のリストを含む組成物、混合物、過程、方法、物体、または装置は、必ずしも、それらの要素のみに限定されず、明示的にリストされていない、またはそのような組成物、混合物、過程、方法、物体、もしくは装置に固有でない他の要素を含んでいてもよい。さらに、反対のことが明示されない限り、「または」とは、包括的な「または」をさし、排他的な「または」をさすのではない。
【0056】
「約」および「およそ」という用語は、数値を修飾するために本明細書において使用されるように、その明示的な値の周りの近い範囲を示す。「X」が値である場合、「約X」または「およそX」は、0.9X~1.1Xの値、または、いくつかの態様において、0.95X~1.05Xの値を示すであろう。「約X」または「およそX」への言及は、具体的には、値X、0.95X、0.96X、0.97X、0.98X、0.99X、1.01X、1.02X、1.03X、1.04X、および1.05Xを少なくとも示す。従って、「約X」および「およそX」とは、例えば、「0.98X」の、特許請求の範囲の限定のための記載サポートを教示し提供するものとする。
【0057】
本明細書において使用されるように、「微生物の」、「微生物(microbial organism)」、および「微生物(microorganism)」という用語には、古細菌、細菌、または真核生物のドメインに含まれる微視的な細胞として存在する任意の生物が含まれ、後者には、酵母および糸状菌、原虫、藻類、または高等原生生物が含まれる。従って、その用語には、微視的なサイズを有する原核細胞もしくは真核細胞、または原核生物もしくは真核生物が包含されるものとし、全ての種の細菌、古細菌、および真正細菌が含まれ、酵母および真菌のような真核微生物も含まれる。化学物質の生成のために培養され得る任意の種の細胞培養物も含まれる。
【0058】
本明細書中に記載されるように、いくつかの態様において、組換え微生物は、原核微生物である。いくつかの態様において、原核微生物は、細菌である。「細菌」または「真正細菌」とは、原核生物のドメインをさす。細菌には、以下のような少なくとも11の別個の群が含まれる:(1)次の2つの主要な亜群が存在するグラム陽性(グラム+)菌:(1)高G+C群(放線菌(Actinomycetes)、マイコバクテリア(Mycobacteria)、ミクロコッカス(Micrococcus)他)、(2)低G+C群(バチルス(Bacillus)、クロストリジウム(Clostridia)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、ブドウ球菌(Staphylococci)、連鎖球菌(Streptococci)、マイコプラズマ(Mycoplasmas));(2)プロテオバクテリア(Proteobacteria)、例えば、紅色光合成+非光合成グラム陰性菌(大部分の「一般的な」グラム陰性菌を含む);(3)シアノバクテリア(Cyanobacteria)、例えば、酸素発生型光栄養生物;(4)スピロヘータ(Spirochetes)および近縁種;(5)プランクトマイセス(Planctomyces);(6)バクテロイデス(Bacteroides)、フラボバクテリア(Flavobacteria);(7)クラミジア(Chlamydia);(8)緑色硫黄細菌;(9)緑色非硫黄細菌(嫌気性光栄養生物も);(10)放射線抵抗性ミクロコッカスおよび近縁種;(11)サーモトガ(Thermotoga)およびサーモシホ・サーモフィレス(Thermosipho thermophiles)。
【0059】
「グラム陰性菌」には、球菌、非腸内桿菌、および腸内桿菌が含まれる。グラム陰性菌の属には、例えば、ナイセリア(Neisseria)、スピリルム(Spirillum)、パスツレラ(Pasteurella)、ブルセラ(Brucella)、エルシニア(Yersinia)、フランシセラ(Francisella)、ヘモフィルス(Haemophilus)、ボルデテラ(Bordetella)、エシェリキア(Escherichia)、サルモネラ(Salmonella)、シゲラ(Shigella)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、ビブリオ(Vibrio)、シュードモナス(Pseudomonas)、バクテロイデス(Bacteroides)、アセトバクタ-(Acetobacter)、アエロバクター(Aerobacter)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、アゾトバクター(Azotobacter)、スピリルム(Spirilla)、セラチア(Serratia)、ビブリオ(Vibrio)、リゾビウム(Rhizobium)、クラミジア(Chlamydia)、リケッチア(Rickettsia)、トレポネーマ(Treponema)、およびフソバクテリウム(Fusobacterium)が含まれる。
【0060】
「グラム陽性菌」には、球菌、非胞子形成桿菌、および胞子形成桿菌が含まれる。グラム陽性菌の属には、例えば、アクチノマイセス(Actinomyces)、バチルス、クロストリジウム(Clostridium)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、エリシペロスリクス(Erysipelothrix)、ラクトバチルス、リステリア(Listeria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ミキソコッカス(Myxococcus)、ノカルジア(Nocardia)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、およびストレプトマイセス(Streptomyces)が含まれる。
【0061】
「組換え微生物」および「組換え宿主細胞」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、内在性酵素を発現するかもしくは過剰発現するよう遺伝学的に改変された微生物、ベクターに含まれるもの、組み込み構築物に含まれるもののような異種酵素を発現するよう遺伝学的に改変された微生物、または内在性遺伝子の発現の変化を有する微生物をさす。「変化」とは、発現、レベル、または活性が、変化の非存在下で観察されるものより大きくまたは小さくなるよう、遺伝子の発現、または1つもしくは複数のポリペプチドもしくはポリペプチドサブユニットをコードするRNA分子もしくは等しいRNA分子のレベル、または1つもしくは複数のポリペプチドもしくはポリペプチドサブユニットの活性が、アップレギュレートされるかまたはダウンレギュレートされることを意味する。例えば、「変化する」という用語は、「阻害する」を意味することができるが、「変化する」という単語の使用は、この定義に限定されない。「組換え微生物」および「組換え宿主細胞」という用語は、特定の組換え微生物のみならず、そのような微生物の子孫または可能性のある子孫もさすことが理解される。変異または環境的影響のいずれかによって、ある特定の改変が、後続世代において起こり得るため、そのような子孫は、実際、親細胞と同一でない場合もあるが、それでも、本明細書において使用されるその用語の範囲内に含まれる。
【0062】
遺伝子配列に関する「発現」という用語は、遺伝子の転写をさし、適宜、得られたmRNA転写物のタンパク質への翻訳もさす。従って、前後関係から明らかであるように、タンパク質の発現は、オープンリーディングフレーム配列の転写および翻訳に起因する。宿主細胞における所望の産物の発現のレベルは、細胞内に存在する対応するmRNAの量または選択された配列によってコードされた所望の産物の量のいずれかに基づき決定され得る。例えば、選択された配列から転写されたmRNAは、qRT-PCRまたはノーザンハイブリダイゼーションによって定量化され得る(Sambrook et al., Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)を参照すること)。選択された配列によってコードされたタンパク質は、様々な方法によって、例えば、ELISAによって、タンパク質の生物学的活性についてアッセイすることによって、またはタンパク質を認識しそれに結合する抗体を使用したウエスタンブロットもしくはラジオイムノアッセイのようなそのような活性に依存しないアッセイを利用することによって定量化され得る。Sambrook et al.,1989(前記)を参照すること。
【0063】
「ポリヌクレオチド」という用語は、「核酸」という用語と交換可能に本明細書において使用され、任意の長さの一本鎖または二本鎖のセンスまたはアンチセンスのデオキシリボ核酸(DNA)を含み、適宜、siRNAを含む任意の長さの一本鎖または二本鎖のセンスまたはアンチセンスのリボ核酸(RNA)も含むが、これらに限定されるわけではない、ヌクレオチド、ヌクレオシド、またはそれらの類似体を含む、2個以上の単量体から構成された有機ポリマーをさす。「ヌクレオチド」という用語は、プリン塩基またはピリミジン塩基およびリン酸基に接合されたリボース糖またはデオキシリボース糖からなり、核酸の基本的な構造単位である数個の化合物のうちのいずれかをさす。「ヌクレオシド」という用語は、デオキシリボースまたはリボースと化合したプリン塩基またはピリミジン塩基からなり、特に、核酸に見出される(グアノシンまたはアデノシンとしての)化合物をさす。「ヌクレオチド類似体」または「ヌクレオシド類似体」という用語は、それぞれ、1個または複数個の個々の原子が異なる原子または異なる官能基に交換されたヌクレオチドまたはヌクレオシドをさす。従って、ポリヌクレオチドという用語には、任意の長さの核酸、DNA、RNA、それらの類似体および断片が含まれる。3ヌクレオチド以上のポリヌクレオチドは、ヌクレオチドオリゴマーまたはオリゴヌクレオチドとも呼ばれる。
【0064】
本明細書中に記載されたポリヌクレオチドには、「遺伝子」が含まれ、本明細書中に記載された核酸分子には、「ベクター」または「プラスミド」が含まれることが理解される。従って、「構造遺伝子」とも呼ばれる「遺伝子」という用語は、1つまたは複数のタンパク質または酵素の全部または一部を含み、例えば、遺伝子が発現される条件を決定するプロモーター配列のような制御性(非転写)DNA配列を含んでいてもよい、アミノ酸の特定の配列をコードするポリヌクレオチドをさす。遺伝子の転写される領域には、コード配列のみならず、イントロン、5'非翻訳領域(UTR)、および3'-UTRを含む非翻訳領域も含まれ得る。
【0065】
「酵素」という用語は、本明細書において使用されるように、1つまたは複数の化学的または生化学的な反応を触媒するかまたは促進する任意の物質をさし、一般的には、完全にまたは部分的にポリペプチドから構成された酵素を含むが、ポリヌクレオチドを含む異なる分子から構成された酵素も含み得る。
【0066】
本明細書において使用されるように、「天然に存在しない」という用語は、本開示の微生物または酵素活性に関して使用される時、言及された種の野生型株を含む言及された種の天然に存在する株に通常見出されない少なくとも1つの遺伝的変化を、微生物または酵素が有することを意味するものとする。遺伝的変化には、例えば、代謝ポリペプチドをコードする発現可能核酸を導入する改変、その他の核酸付加、核酸欠失、および/または微生物の遺伝材料のその他の機能的破壊が含まれる。そのような改変には、例えば、言及された種についての、異種ポリペプチド、相同ポリペプチド、または異種ポリペプチドおよび相同ポリペプチドの両方についての、コード領域およびその機能性断片が含まれる。さらなる改変には、例えば、改変が遺伝子またはオペロンの発現を変化させる非コード制御領域が含まれる。例示的な天然に存在しない微生物または酵素活性には、前記のヒドロキシル化活性が含まれる。
【0067】
「外来性」という用語は、様々な分子、例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、酵素等に関して本明細書において使用されるように、自然界の所定の酵母、細菌、生物、微生物、または細胞において、通常または天然には見出されずかつ/または生成されない分子をさす。
【0068】
他方、「内在性」または「ネイティブ」という用語は、様々な分子、例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、酵素等に関して本明細書において使用されるように、自然界の所定の酵母、細菌、生物、微生物、または細胞において、通常または天然に見出されかつ/または生成される分子をさす。
【0069】
「異種」という用語は、改変された宿主細胞に関して本明細書において使用されるように、以下の少なくとも一つに当てはまる様々な分子、例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、酵素等をさす:(a)分子が、宿主細胞に対して外来(「外来性」)である(即ち、天然に見出されない);(b)分子が、所定の宿主微生物もしくは宿主細胞において天然に見出される(例えば、「内在性」である)が、細胞内で非天然の位置においてもしくは非天然の量で生成される;および/または(c)分子が、内在性のヌクレオチド配列もしくはアミノ酸配列と、ヌクレオチド配列もしくはアミノ酸配列が異なっており、そのため、内在性に見出される内在性のヌクレオチドもしくはアミノ酸と、ヌクレオチド配列もしくはアミノ酸配列が異なる分子が、細胞内で非天然の(例えば、天然に見出されるより大きい)量で産生される。
【0070】
「相同体」という用語は、第1の科または種の最初の酵素または遺伝子に関して本明細書において使用されるように、機能的分析、構造的分析、またはゲノム分析によって、第1の科または種の最初の酵素または遺伝子に相当する第2の科または種の酵素または遺伝子であると決定された第2の科または種の別個の酵素または遺伝子をさす。相同体は、最もしばしば、機能、構造、またはゲノムの類似性を有する。酵素または遺伝子の相同体を、遺伝子プローブおよびPCRを使用して容易にクローニングすることができる技術が、公知である。クローニングされた配列の相同体としての同一性は、機能的アッセイを使用して、かつ/または遺伝子のゲノムマッピングによって、確認され得る。
【0071】
遺伝子によってコードされたアミノ酸配列が、第2の遺伝子のものと類似のアミノ酸配列を有する場合、そのタンパク質は、第2のタンパク質との「相同性」を有するかまたは第2のタンパク質と「相同」である。あるいは、2つのタンパク質が「類似の」アミノ酸配列を有する場合、そのタンパク質は、第2のタンパク質との相同性を有する。従って、「相同タンパク質」という用語は、2つのタンパク質が類似のアミノ酸配列を有することを意味するものとする。ある特定の場合において、2つのタンパク質の間の相同性は、進化によって関連しているその共通の祖先を示す。「相同配列」または「相同体」という用語は、機能的に関連していると考えられているか、信じられているか、または公知である。機能的関係は、(a)配列同一性の程度、および/または(b)同一もしくは類似の生物学的機能を含むが、これらに限定されるわけではない、多数の方式のうちのいずれかで示され得る。好ましくは、(a)および(b)の両方が示される。配列同一性の程度は、変動し得るが、一つの態様において、(当技術分野において公知の標準的な配列アライメントプログラムを使用した時)少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも98.5%、または少なくとも約99%、または少なくとも99.5%、または少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%である。相同性は、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al., eds.,1987)Supplement 30,section 7.718,Table 7.71に記述されたもののような当技術分野において容易に入手可能なソフトウェアプログラムを使用して決定され得る。いくつかのアライメントプログラムは、MacVector(Oxford Molecular Ltd,Oxford,U.K.)およびALIGN Plus(Scientific and Educational Software,Pennsylvania)である。他の非限定的なアライメントプログラムには、Sequencher(Gene Codes,Ann Arbor,Michigan)、AlignX、およびVector NTI(Invitrogen,Carlsbad,CA)が含まれる。類似の生物学的機能には、以下のものが含まれ得るが、これらに限定されるわけではない:同一または類似の酵素反応を触媒すること;基質もしくは補助因子に対して同一もしくは類似の選択性を有すること;同一もしくは類似の安定性を有すること;様々な発酵条件(温度、pH等)に対して同一もしくは類似の耐性を有すること;および/または様々な代謝基質、生成物、副生成物、中間体等に対して同一もしくは類似の耐性を有すること。生物学的機能の類似性の程度は、変動し得るが、一つの態様において、所定の生物学的機能を決定するための当業者に公知の1つまたは複数のアッセイによって、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも98.5%、または少なくとも約99%、または少なくとも99.5%、または少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%である。
【0072】
「バリアント」という用語は、本明細書中に記載された任意のポリペプチドまたは酵素をさす。バリアントには、多量体の1つまたは複数の成分、個々の成分を含む多量体、複数の個々の成分を含む多量体(例えば、参照分子の多量体)、化学的分解生成物、および生物学的分解生成物も包含される。具体的な非限定的な態様において、酵素は、参照酵素をコードするポリペプチド配列の任意の部分における変化によって、参照酵素に対して「バリアント」であり得る。参照酵素のバリアントは、参照酵素の調製物の酵素活性を測定するために使用された標準的なアッセイにおいて、少なくとも10%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも105%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、またはそれ以上の酵素活性を有していてよい。いくつかの態様において、バリアントとは、本開示の全長のまたはプロセシングを受けていない酵素との少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドもさすことができる。いくつかの態様において、バリアントとは、本開示の成熟型のまたはプロセシングを受けた酵素との少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドもさすことができる。
【0073】
「シグナル配列」という用語は、本明細書において使用されるように、細胞内の位置へ、または細胞外環境へ、ペプチドおよびポリペプチドをターゲティングするアミノ酸配列をさす。シグナル配列は、典型的には、ポリペプチドのN末端部分にあり、典型的には、酵素的に除去される。シグナル配列を有するポリペプチドは、全長でありかつ/またはプロセシングを受けていないと呼ばれる。シグナル配列が除去されたポリペプチドは、成熟型でありかつ/またはプロセシングを受けていると呼ばれる。
【0074】
「生産力」という用語は、本明細書において使用されるように、生合成経路からの生成物の収率をさす。一つの態様において、生産力は、出発化合物の重量当たりの最終生成物の重量パーセントとして表され得る。
【0075】
「熱力学的最大収率」という用語は、本明細書において使用されるように、原料と比較した生成物のエネルギー値に基づく、グルコースのような所定の原料の発酵から入手される生成物の最大収率をさす。例えば、光、水素ガスまたはメタンまたは電気のような付加的なエネルギー源を使用しない、通常の発酵において、生成物は、原料より多くのエネルギーを含有し得ない。熱力学的最大収率とは、原料からの全てのエネルギーおよび質量が生成物へ変換される生成物収率を意味する。この収率は、計算可能であり、具体的な経路に依存しない。生成物への特定の経路が、熱力学的最大収率より低い収率を有する場合、それは質量を失っており、生成物へのより効率的な経路によって改善され得るか、または該経路に置き換えられ得る可能性が最も高い。
【0076】
「酸化還元バランスがとれている」という用語は、それらが消費するのと同量の酸化還元補助因子を全体として生成する1セットの反応をさす。酸化還元補助因子のバランスがとれているかまたはほぼとれているよう、代謝経路を設計し、生物を操作することによって、一般的には、所望の化合物のより効率的なより高い収率での生成がもたらされる。酸化還元反応は、一方が酸化反応であり、他方が還元反応である、同時に起こる2つの半反応として常に共に起こる。酸化還元過程においては、還元体が酸化体に電子を移す。従って、反応中、還元体または還元剤は、電子を失い酸化され、酸化体または酸化剤は、電子を獲得し還元される。一つの態様において、酸化還元反応は、生物系において起こる。生物学的エネルギーは、酸化還元反応によって、保管され、放出される場合が多い。光合成は、二酸化炭素の糖への還元および水の分子状酸素への酸化を含む。逆反応である呼吸は、糖を酸化して二酸化炭素および水を生成する。中間段階として、還元された炭素化合物が、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を還元するために使用され、次いで、それが、アデノシン三リン酸(ATP)の合成を駆動し、酸素の還元によって維持される、プロトン勾配の作出に寄与する。酸化還元状態という用語は、細胞または器官のような生物系におけるGSH/GSSG、NAD+/NADH、およびNADP+/NADPHのバランスを記載するためにしばしば使用される。酸化還元状態は、相互変換がこれらの比に依存する、代謝物のいくつかのセット(例えば、ラクテートおよびピルベート、βヒドロキシ酪酸およびアセト酢酸)のバランスに反映される。異常な酸化還元状態は、低酸素、ショック、および敗血症のような多様な有害な状況において発生し得る。
【0077】
「C2経路」、「C2分枝経路」、「C2生化学的経路」、または「C2ストリーム」という用語は、本明細書において使用されるように、MEGがグリコールアルデヒドを介して生成され得る生化学的経路をさす。
【0078】
本明細書において使用される用語「C3経路」、「C3分岐経路」、「C3生化学経路」または「C3ストリーム」は、ピルビン酸、アセチルCoAまたはジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)を介してMEGならびに/またはアセトン、イソプロパノール、プロペン、イソブテンおよび/もしくはセリン経路化合物などの1つもしくは複数の同時生成物を生成できる生化学経路をさす。
【0079】
序論
本開示は、高収量のMEG(もしくはグリコール酸)またはMEG(もしくはグリコール酸)と同時生成物との形成のためのキシロース分解生化学反応の利点を、容易に入手可能な純粋ヘキソース糖原料の利点と組み合わせるものである。これは、前記のD-キシロースベースの方法のいずれか1つによるMEG(もしくはグリコール酸)またはMEG(もしくはグリコール酸)と同時生成物との生成のための中間体として使用されるために、ヘキソースであるグルコースから中間体D-キシルロース-5-リン酸へ、およびさらにペントースであるD-キシルロースまたはD-リブロースへのロスの無い変換を提供することによって組み合わせる。グルコースの他に、フルクトースなどの他のヘキソースまたはデンプンもしくはスクロースもしくはセロビオースなどのヘキソースオリゴ糖を使用することができる。いくつかの態様において、ヘキソースは、D-アロース、D-アルトロース、D-グルコース、D-マンノース、D-グロース、D-イドース、D-ガラクトース、D-タロース、D-タガトース、D-ソルボース、D-フルクトース、D-プシコース、および当技術分野において公知の他のヘキソースより選択され得る。いくつかの態様において、ペントースは、D-キシロース、D-リボース、D-アラビノース、D-リキソース、D-キシルロース、D-リブロース、および当技術分野において公知の他のペントースより選択され得る。いくつかの態様において、ヘキソースおよびペントースは、本明細書において開示されるヘキソースおよびペントースのいずれかの左旋性または右旋性鏡像異性体より選択され得る。
【0080】
他のグルコースベースのMEGまたはグリコール酸生成方法と比較して、本方法は、以下の問題を解決する:同時生成が利用される場合のATP不足;NADHの大過剰;生成物の低い合計潜在収量。
【0081】
他のキシロースベースのMEGまたはグリコール酸生成方法と比較して、本方法は、以下の課題および問題を解決する:キシロースに依存するプロセス(入手性/販売の制限、価格、純度);キシロース利用のグルコース誘導阻害。
【0082】
発酵MEG生成は、その全体で本明細書に組み入れられるWO2010/076324(またはUS2011/0294178; Metabolic Explorer)に記載されている。この出願は、ジオールの生成が、2-ケト酸の脱炭酸および還元を介し、中間体ヒドロキシピルビン酸へ、およびさらにエチレングリコールへのセリン生合成ベースの経路を含むことを示唆した。しかし、開示された経路は、0.69g_MEG/g_グルコースという低下した合計潜在収量を有し、一方で、グルコース→MEG変換についての熱力学的最大収量は0.82g/gである。この経路は、酸化還元バランスも崩れており、大過剰の、消費されるグルコース1molあたり2molのNADHを有し、細胞が生存可能であるために、NADHのすべてが再酸化される必要がある。好気的発酵では、このNADHを使用してATPを発生することができるが、しかし、ATPは大過剰であり(2NADH→6ATP)、生成期の間の過剰のバイオマス形成を、従って低下した生成物形成および収量をもたらす。
【0083】
従って、WO2010/076324に開示された発酵MEG生成経路は、ATP不足(MEG 1つあたり-1 ATP)、過剰のNADH(MEG 1つあたり+1 NADH)、低い潜在収量(ymax=0.69g_MEG/g_グルコース)を有し、高い効率/生産性で実証されていない難しい経路である。
【0084】
WO2011/130378A1(またはUS2011/0312049; Genomatica)の開示は、グルコースからヒドロキシピルビン酸を介してMEGを生成するためのWO2010/076324と類似のアプローチを提唱しているが、代替的であるが関係する主要な中間体グリセリン酸またはエタノールアミンを有する変形経路にも言及している。
【0085】
WO2011/130378A1の開示は、ATP不足を除きWO2010/076324と同じ欠点を有する。ATPは、利用される酵素に応じてMEG 1つあたり+0または+1であることができる。
【0086】
グリコール酸の場合、グルコースからの記載された経路もまた3-ホスホグリセリン酸およびセリン経路反応を通過する、またはグリオキシル酸シャントを介する。両方の場合、グリコール酸1つあたり1つのCO2が失われ、熱力学的最大潜在収量(1.7g/g)よりもずっと低い最大収量(0.84g/g)をもたらす。
【0087】
キシロースからリブロース-1-リン酸を介するMEGの実証された発酵生成(WO2013/126721)は、熱力学的最大収量に等しい高い潜在収量(0.82g_MEG/g_キシロース)を有する。それは、平行して活性な2つの異なる経路である2炭素ストリーム(グリコールアルデヒドを介する)および3炭素ストリーム(ジヒドロキシアセトンリン酸を介する)を介してMEGを生成する。C2ストリームは実行が容易であるが、C3ストリームは、代謝工学を介して高効率で実行することが困難である。C3ストリームは、WO2010/076324またはWO2011/130378に提示された経路を利用する。
【0088】
キシロース搬入は典型的にATPに駆動されると仮定すると、プロセス全体は少なくともATP中立性(ATP neutral)である。従って、細胞の増殖および維持に必要な余分なATPをいくらか得るために、キシロース、従って収量がいくらか失われる。
【0089】
しかし、キシロースの取り込みは、大部分の微生物の好ましい炭素源であるグルコースほど効率的でも迅速でもない。また、培地中のグルコースの存在は、通常、キシロースなどの他の糖の利用を阻害する。より効率的なプロセスのためには、この選好的消費をもたらす生物制御を中断する必要があり、その株は、キシロースの選好または糖の同時消費に向けて適応する必要がある。
【0090】
しかし、大きな課題は、キシロースを入手可能できれいな原料として得ることである。純粋な化学物質としてのキシロースは高価であり、バルク量で入手不可能である。ヘミセルロース加水分解物の状態のキシロースは大量に入手可能であり、グルコースよりも潜在的に低コストであるが、多くの不純物および発酵を阻害する物質を伴う。
【0091】
従って、キシロースからのMEG(またはグリコール酸)の発酵生成(WO2013/126721)は、キシロースを原料として使用すること(入手性、価格、純度、グルコースによるキシロース利用の阻害)、および高い効率/生産性で実証されていないC3経路を使用することに関する課題を提起している。そのうえ、+0 ATP(またはグリセリン酸キナーゼを使用しない場合、-1 ATP)というATP不足があり、これは細胞の維持に不十分である。
【0092】
キシロースからキシルロース-1-リン酸を介したMEGのさらに実証された発酵生成(Alkim et al., Microb Cell Fact (2015) 14:127)は、WO2013/126721によって記載されたルートと非常に類似している。これは、同じく高い潜在収量(0.82g/g)を有し、DHAPを介したMEG生成のためにC3ストリームを実行することが困難であり、ATP不足および原料の課題を有する。
【0093】
キシロースからキシロン酸を介したMEGの別の実証された発酵生成(WO2013/119020)は、WO2013/126721によって記載されるルートと類似性を共有する。これは、主要な中間体としてグリコールアルデヒドおよびピルビン酸を生成し、グリコールアルデヒドからのMEG生成を0.41g/gの潜在収量で可能にする。これはフラックスのわずか半分で達成されるので、高い相対収量に相当する。しかし、WO2013/119020などに残りのピルビン酸をMEGに変換する経路は提示されていない。現在、ピルビン酸をMEGに変換するための現実的で効率的な経路は知られていない。同時生成物としてのピルビン酸自体により、酸化還元中立(redox neutral)(+0 NADH)なプロセス全体が可能になるであろうが、一方、ピルビン酸は経済的に興味がもたれる生成物ではなく、プロセスに1 ATP(おそらく、ピルビン酸搬出のため、さらに約2 ATP)が不足するであろう。従って、理想的には、余分なATPを送達する、ピルビン酸から誘導された経済的に関心がもたれる同時生成物が高い収量で必要である。従って、キシロースからキシロン酸を介したMEGの発酵生成(WO2013/119020)は、キシロースを原料として使用すること(入手性、価格、純度、グルコースによるキシロースの利用阻害)、MEGの低い絶対収量、ATP不足(同時生成物に依存、ピルビン酸では-1~-3 ATPの可能性もある)、ピルビン酸から誘導された同時生成物が高い潜在収量および余分なATPと共に必要なことに関する課題を提起している。
【0094】
そのそれぞれがその全体で本明細書に組み入れられる米国特許出願第62/305,814号、米国特許出願第62/430,742号および米国特許出願第62/406,684号は、MEGおよびアセトン、イソプロパノール(IPA)、プロペンまたはイソブテンなどの化合物の同時生成のための高い収量の実行が容易な経路を記載しており、上述のMEG生成方法について記載された課題の大部分への解決法を提案している。それらは、さらに、グルコースから以前に記載されたIPAまたはイソブテンの生成のために遭遇する課題の解決法を提案している。
【0095】
原料としてグルコースを使用するすべての現在公知のMEG(もしくはグリコール酸)生成方法は、低い潜在収量を有する。これは、グルコースがMEGに分解される生化学反応の固有の欠点であり、すべての提唱された経路および公知の経路について生成された1分子のMEG(もしくはグリコール酸)あたり1つの脱炭酸が起こる。しかし、1つのMEGあたり1つの脱炭酸というのは、酸化還元中立性を、従って最適な収量を達成するには多すぎる。
【0096】
原料としてキシロースを使用するすべての提示されたMEG(もしくはグリコール酸)生成方法は、特異的で有益なキシロース分解生化学反応の利用により、高い潜在収量または高い相対潜在収量を有し、1つのMEG分子あたり理想的な0.5またはそれに近い脱炭酸反応をもたらす。しかし、すべてのこれらの方法は、その販売の限定および原料の不純物による技術的課題などの、キシロースを原料として使用する課題を共有している。
【0097】
本開示は、高い収量のMEG(もしくはグリコール酸)、または任意でMEG(もしくはグリコール酸)と1つもしくは複数の同時生成物との形成のためのキシロース分解生化学反応の利点を、容易に入手可能な純粋なヘキソース糖原料という利点と組み合わせたものである。以前に記載されたD-キシロースベースの方法のいずれか1つによるMEG(もしくはグリコール酸)、または任意でMEG(もしくはグリコール酸)と1つもしくは複数の同時生成物との生成のための中間体として使用するためのヘキソースグルコースから中間体D-キシルロース-5-リン酸への、さらにはペントースD-キシルロースまたはD-リブロースへのロスの無い変換を提供することによって、これを行う。グリコールアルデヒドの酸化によってMEGの代わりにグリコール酸(GA)を生成することができる。グルコース以外に、フルクトースなどの他のヘキソースまたはデンプンもしくはスクロースなどのヘキソースオリゴ糖を使用することができる。
【0098】
他のグルコースベースのMEG(もしくはグリコール酸)生成方法と比較して、本開示の組換え微生物および方法は、同時生成が利用される場合のATP不足の問題、NADHの大過剰の問題、生成物の低い全体潜在収量の問題を解決する。
【0099】
他のキシロースベースのMEG(もしくはグリコール酸)生成方法と比較して、本開示の組換え微生物および方法は、キシロースに依存するプロセスの課題(入手性/販売の限定、価格、純度)およびキシロース利用のグルコース誘導阻害の問題を解決する。
【0100】
本開示は、好ましくは大腸菌におけるヘキソースからのMEG、または任意でMEGと1つもしくは複数の同時生成物との生成に関する。あるいは、グリコール酸(GA)を、グリコールアルデヒドの酸化によりMEGの代わりに生成することができる。
【0101】
グルコースが、大腸菌および大部分の他の生物の標準的な分解経路である解糖によって利用される場合、それは、今までに記載されたMEG方法に共通な、すべてのグルコースについての主要中間体である3-ホスホグリセリン酸を介して分解される。しかし、この3炭素化合物は、1つの2炭素化合物(MEG)に分解され、1つのMEGあたり1つのCO2を失う。これは、NADHが過剰であるすべての記載された経路のバリエーションについてあてはまり、潜在収量の顕著な低下を意味する(熱力学的最大潜在収量が0.82g_MEGであるのに対して、糖1グラムあたりわずかに0.69g_MEG)。
【0102】
ペントースリン酸経路への非酸化的流入の利用
本開示において、グルコースフラックスは、解糖経路の代わりにペントースリン酸経路に送られる(
図1)。大腸菌由来tktAまたはtktBによってコードされるようなトランスケトラーゼは、解糖中間体フルクトース-6-リン酸およびグリセルアルデヒド-3-リン酸をD-キシルロース-5-リン酸およびD-エリトロース-4-リン酸に転換するためにペントースリン酸経路への非酸化的流入として使用される(
図1)。これは、主要な中間体D-キシルロース-5-リン酸を生成する。
【0103】
あるいは、フルクトース6-リン酸ホスホケトラーゼ(Fpk)およびリン酸アセチルトランスフェラーゼ(PTA)は、ペントースリン酸経路への流入として使用することができ、フルクトース-6-リン酸から1つのエリトロース-4-リン酸および1つのアセチルCoAを産生する(
図9)。
【0104】
ペントース中間体への全変換のためのペントースリン酸経路の利用
すべてのヘキソース炭素からペントース中間体へのロスの無い変換のために、D-エリトロース-4-リン酸をさらにプロセシングする必要がある。大腸菌由来talAまたはtalBによってコードされるようなトランスアルドラーゼは、D-エリトロース-4-リン酸およびD-フルクトース-6-リン酸の変換を触媒して、D-セドヘプツロース-7-リン酸およびD-グリセルアルデヒド-3-リン酸を発生する。これらの中間体は、大腸菌由来tktAまたはtktBによってコードされるようなトランスケトラーゼによってさらにプロセシングされて、D-リボース-5-リン酸およびD-キシルロース-5-リン酸を発生する。D-リボース-5-リン酸は、それぞれリボース-5-リン酸イソメラーゼ(大腸菌においてrpiAまたはrpiBによってコードされるような)およびリブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ(大腸菌においてrpeによってコードされるような)を介して、D-リブロース-5-リン酸に、さらにD-キシルロース-5-リン酸に容易に変換することができる。従って、すべてのグルコースまたはフルクトースは、D-キシルロース-5-リン酸に完全に変換することができる。全体化学量論式は、以下の通りである:
2.5 グルコース + 2.5 ATP + 0.5 リン酸 → 2 D-キシルロース-5-リン酸 + D-リボース-5-リン酸
【0105】
イソメラーゼおよびエピメラーゼの二方向反応は、もちろん、生成された2つのD-キシルロース-5-リン酸および1つのD-リボース-5-リン酸分子を3つのD-リブロース-5-リン酸に転換することもできる。全体的な純転換は、結局、D-キシルロース-5-リン酸またはD-リブロース-5-リン酸のどちらの中間体がその後の経路によって実際に消費されるかに依存する。
【0106】
Fpkを介したペントースリン酸経路への代替流入の場合(
図9)、化学量論式は、以下の通りである:
2 グルコース + 2 ATP + CoA → 2 D-キシルロース-5-リン酸 + 1 アセチルCoA
【0107】
ペントースリン酸経路への非酸化的流入に向けたフラックスの最適化
ペントースリン酸経路の酸化的分岐の非活性化
大腸菌における一般的な経路である、6-ホスホD-グルコノ-1,5-ラクトンを介したペントースリン酸経路への酸化的流入およびD-リブロース-5-リン酸への酸化的脱炭酸は、1つの炭素を失ってヘキソースグルコースをペントースに転換するので利用すべきではない(
図1)。原因となる遺伝子のうちの1つまたは複数を欠失させることによって、ペントースリン酸経路の酸化的分岐における1つまたは複数の適切な反応を触媒する少なくとも1つまたは複数の酵素、すなわちグルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコノラクトナーゼ、および6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼを阻害することは有利である。例えば大腸菌では、遺伝子は、zwf(グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼ)、pgl(6-ホスホグルコノラクトナーゼ)、およびgnd(6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ)である。
【0108】
解糖の下流の反応のダウンレギュレーション
解糖の上部は、2.5のグルコースまたはフルクトースを、主要な中間体、2×フルクトース-6-リン酸および1×グリセルアルデヒド-3-リン酸に転換するために必要である。解糖の下部を経由するさらなるフラックス、すなわち、グリセルアルデヒド-3-リン酸から1,3-ビスホスホD-グリセリン酸への酸化的リン酸化およびそれの3-ホスホ-D-グリセリン酸および2-ホスホ-D-グリセリン酸へのその後の変換を低下させるまたは除去するために、大腸菌におけるそれぞれgapA、pgkおよびgpmA/gpmMによるグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼおよびホスホグリセリン酸ムターゼの活性を減少させることができる。
【0109】
しかし、フルクトース6-リン酸ホスホケトラーゼ(Fpk)を介するペントースリン酸経路への代替的流入が利用される場合、グリセルアルデヒド3-リン酸は必要なく、適切な6-ホスホフルクトキナーゼ活性を減少または欠失させることができる(大腸菌におけるpfkAおよび/またはpfkB遺伝子)。
【0110】
ペントース-リン酸中間体とMEG生成ルートとの接続
ペントースリン酸経路中間体D-キシルロース-5-リン酸を公知のMEGまたはグリコール酸生成経路のいずれか1つと接続するために、ペントース5-ホスファターゼによってD-キシルロース-5-リン酸中間体を脱リン酸して、D-キシルロースを発生させる必要がある(
図2および
図5)。同様に、D-リブロース-5-リン酸中間体が公知のMEGまたはグリコール酸生成経路のいずれか1つとペントース5-ホスファターゼによる脱リン酸を通じて接続されて、D-リブロースを発生する場合がある(
図4および
図5)。
【0111】
MEGへのキシロン酸ベースの経路の場合、発生するD-キシルロースをD-キシロースに転換するために、大腸菌由来XylAなどのキシロースイソメラーゼの機能がさらに必要である(
図3)。
【0112】
ペントース-リン酸経路をMEG生成ルートと接続する場合の代替および変形
D-リブロース-1-リン酸ベースの経路の場合、エピマー化およびリン酸化(dteおよびfucKが媒介)に続くD-キシルロースの形成を介して、D-キシルロース-5-リン酸中間体を記載されたようなペントースリン酸経路に接続することができる(
図4)。あるいは、D-リブロース-5-リン酸を流入点として使用し、D-リブロース5-ホスファターゼを利用することによってD-リブロースに分解することができる。このように、必要な異性化反応がDTEではなくRPEのレベルで行われる(
図4)。
【0113】
いくつかの態様において、ペントース-5-リン酸は、連続する2つのアラビトールデヒドロゲナーゼ反応を使用してペントース-1-リン酸に転換することができる(
図6)。ここで、D-キシルロース-5-リン酸またはD-リブロース-5-リン酸の2-ケト位が還元され、次いで4-ヒドロキシ位がケト基に酸化され、ペントース-5-リン酸をペントース-1-リン酸に向ける(
図7)。
【0114】
さらなる態様において、ペントースホスホムターゼ(ホスホペントムターゼまたはPPMとしても公知)の作用を通じてペントース-5-リン酸をペントース-1-リン酸に直接転換することができる。ホスホグルコムターゼまたはホスホマンノムターゼと同様に、それは、リン糖酸の最終位からリン酸残基を1位に転移する。
【0115】
ヘキソースの利用
本開示における経路の流入分子は、両方とも大部分の生物におけるグルコースまたはフルクトースの通常の解糖分解から得られるフルクトース-6-リン酸およびグリセルアルデヒド-3-リン酸である。生物が、例えばスクロースインベルターゼの発現を介して、デンプンまたはスクロースまたはセルロースを消費する能力を有する場合、この生物は、依然としてグルコース(およびフルクトース)を発生し、それが本開示の方法を同じように同じ程度まで利用し、同じ利益を生じることができるようにする。
【0116】
モノエチレングリコール(MEG)
モノエチレングリコール(MEG)は、産業的適用のための重要な原材料である。MEGの主な用途は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、フィルム、および繊維の製造である。さらに、MEGは、不凍液、冷却水、航空機の防氷装置および除氷装置、ならびに溶媒の生成において重要である。MEGは、エタン-1,2-ジオールとしても公知である。
【0117】
エチレングリコールは、例えば、自動車および液冷コンピュータにおいて、対流熱伝達媒体としても使用される。
【0118】
高い沸点および水に対する親和性のため、エチレングリコールは、有用な乾燥剤である。エチレングリコールは、遠隔ガス田からガス処理施設まで天然ガスを運搬する長い多相パイプラインにおいて天然ガスクラスレート(水和物)の形成を阻害するために広く使用されている。エチレングリコールは、天然ガスから回収され、水および無機塩を除去する精製処理の後に阻害剤として再使用され得る。
【0119】
エチレングリコールのマイナーな用途には、コンデンサーの製造における用途、1,4-ジオキサンの製造における化学的中間体としての用途、およびパソコンのための液冷系における腐食を防止するための添加剤としての用途が含まれる。エチレングリコールは、いくつかのワクチンの製造においても;靴ずみ、インク、および色素の微量成分としても;森のための腐敗および真菌処理としても;生物学的標本のための保存剤としても、使用される。
【0120】
グリコール酸
グリコール酸は、染料およびなめし剤として繊維工業に、香味料および保存料として食品加工に、ならびにスキンケア剤として製薬工業に使用される。これは、接着剤およびプラスチック中にも使用される。グリコール酸は、しばしば、フロー特性を改善し、光沢を付与するためにインクおよびペンキ用の乳化ポリマー、溶媒および添加剤中に含まれる。これは、タイル床の摩擦係数を増加させるための表面処理製品中に使用される。
【0121】
皮膚を透過するその優れた能力により、グリコール酸は、皮膚の外観および肌理を改善するためのスキンケア製品に応用される。これは、皮膚科医が行うケミカルピールとして20~70%の濃度で、または家庭用キットとして10から20%の間のより低い濃度で使用することができる。濃度に加えて、pHもまた溶液中のグリコール酸の効力を決定することに大きな役割を果たす。
【0122】
グリコール酸は、様々な方法で合成することができる。主なアプローチは、その低いコストから、ホルムアルデヒドと合成ガスとの触媒反応(ホルムアルデヒドのカルボニル化)を使用する。これはまた、クロロ酢酸と水酸化ナトリウムとの反応に続く再酸性化によって調製される。あまり使用されていない他の方法は、シュウ酸の水素化、およびホルムアルデヒドに由来するシアノヒドリンの加水分解を含む。今日のグリコール酸の一部はギ酸不含である。グリコール酸は、サトウキビ、テンサイ、パイナップル、カンタループおよび未熟のブドウなどの天然供給源から単離することができる。
【0123】
グリコール酸は、有機合成に、酸化-還元、エステル化および長鎖重合を含む一連の反応で有用な中間体である。これは、ポリグリコール酸および他の生体適合性コポリマー(例えばPLGA)の調製にモノマーとして使用される。商業的には、重要な誘導体には、容易に蒸留可能なメチルエステル(CAS# 96-35-5)およびエチルエステル(CAS# 623-50-7)が含まれる。ブチルエステルは、一部のワニスの成分であって、不揮発性であり、良好な溶解特性を有するので望ましい。
【0124】
アセトン
(プロパノンとしても公知である)アセトンは、式(CH3)2COを有する有機化合物である。それは、無色、揮発性、可燃性の液体であり、最も単純なケトンである。
【0125】
アセトンは、水と混和性であり、典型的には、実験室における洗浄のための重要な溶媒として役立つ。主として、溶媒として使用するため、そしてメタクリル酸メチルおよびビスフェノールAの生成のため、670万トン超が世界中で生成されている。それは、有機化学における一般的なビルディングブロックである。アセトンの周知の家庭用の用途は、除光液の活性成分としての用途、およびペンキ希釈剤としての用途である。
【0126】
イソプロパノール
イソプロパノールとも呼ばれるイソプロピルアルコール(IUPAC名2-プロパノール)は、化学式C3H8OまたはC3H7OHまたはCH3CHOHCH3を有する化合物である。それは、強い臭いを有する無色の可燃性の化学的化合物である。それは、(CH3)2CHOHとして時に示される、2個の他の炭素原子にアルコール炭素原子が付着した二級アルコールの最も単純な例である。それは、プロパノールの構造異性体である。それは、多様な産業用および家庭用の用途を有する。
【0127】
プロピレンまたはメチルエチレンとしても公知のプロペンは、化学式C3H6を有する不飽和有機化合物である。それは、1個の二重結合を有し、アルケンクラスの炭化水素の2番目に単純なメンバーである。
【0128】
プロペンは、化石燃料(石油、天然ガス)から生成され、はるかに少ない程度に、石炭から生成される。プロペンは、油精製および天然ガス処理の副生成物である。
【0129】
イソブテン
イソブテン(イソブチレンまたは2-メチルプロペンとしても知られる)は、工業的に重要な炭化水素である。これは、ブチレン(ブテン)の4つの異性体の1つである4炭素分岐アルケン(オレフィン)である。標準的な温度および圧力で、これは無色の可燃性気体である。
【0130】
イソブテンは、多様な生成物の生成における中間体として使用される。これは、ガソリン含酸素剤であるメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)およびエチルtert-ブチルエーテル(ETBE)の製造において、それぞれメタノールおよびエタノールと反応される。ブタンを用いたアルキル化は、別の燃料添加剤であるイソオクタンを生成する。イソブテンはまた、メタクロレインの生成にも使用される。イソブテンの重合は、ブチルゴム(ポリイソブテン)を生成する。ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)などの抗酸化物は、イソブテンを使用するフェノールのフリーデル-クラフツアルキル化によって生成される。
【0131】
ポリマーおよび化学等級イソブテンは、典型的には第三級ブチルアルコールの脱水またはイソブタンの触媒的脱水素によって得られる。ガソリン含酸素剤、MTBEおよびETBEは、一般的にメタノールまたはエタノールを、オレフィンストリーム分解装置または精製所からのブテンストリーム中に含有されるイソブテンと反応させることによって生成される。残りのブテンからエーテルを分離する方が簡単であるので、イソブテンは反応前に単離されない。
【0132】
セリン経路化合物
MEG(またはグリコール酸)と同時生成され得る化合物には、セリン経路化合物、例えば、セリン、グリシン、モノエタノールアミン(MEA)およびエチレンジアミン(EDA)が含まれる。
【0133】
セリンは、人体で合成することができる可欠アミノ酸である。高度に水溶性であるので、セリンは医薬-化粧品工業のローション中に保湿剤として応用されている。さらに、セリンは、プラスチック、洗剤、栄養補助食品および多種多様な他の製品などの他の化学物質に変換することができるので、化学工業にセリンの巨大な市場がある。実際にセリンは、石油工業由来の化学物質に取って代わる30種のもっとも有望な生物学的物質の1つであると指摘されている。
【0134】
セリンのα-脱炭酸は、除草剤工業、織物工業、金属工業、洗剤工業、プラスチック工業、およびパーソナルケア製品工業における中間体として年間数十万トンに達する生産量で使用される工業用品であるエタノールアミンをもたらす(Scott, E. et al. (2007) Biomass in the manufacture of industrial products-the use of proteins and amino acids. Appl Microbiol Biotechnol. 75(4): 751-762)。
【0135】
最も単純なアミノ酸であるグリシンは、医薬および工業応用に貴重である。グリシンは、ペットフードおよび動物飼料に添加剤として含まれる。ヒトに関して、グリシンは甘味料/調味料(taste enhancer)として販売されている。ある種の栄養補助食品およびプロテイン飲料はグリシンを含有する。ある種の医薬製剤は、薬物の胃吸収を改善するためにグリシンを含む。グリシンは、制酸薬、鎮痛薬、制汗薬、化粧品、およびトイレタリー中の緩衝剤として役立つ。スポンジゴム製品、肥料および金属錯化剤の生成のように、種々雑多な製品がグリシンまたはその誘導体を使用している。グリシンはまた、多種多様な化学生成物の合成における中間体としても貴重である。グリシンは、除草剤グリホセートの製造に使用される。グリシンをシュウ酸に変換することができ、シュウ酸は、織物およびパルプ工業ならびに廃水処理における漂白剤として使用されている。グリシンはまた、実験研究、例えばゲル電気泳動にも広く使用されている。
【0136】
エチレンジアミン(EDA)(1,2-ジアミノエタン、C2H4(NH2)2)は、多くの工業用化学物質の生成のために大量に使用される。これは、カルボン酸(脂肪酸を含む)、ニトリル、アルコール(高温で)、アルキル化剤、二硫化炭素、ならびにアルデヒドおよびケトンと共に誘導体を形成する。2つのアミンを有するというその二官能性のせいで、これは、イミダゾリジンのような複素環を容易に形成する。エチレンジアミンの最も顕著な誘導体は、エチレンジアミンから、シアン化物およびホルムアルデヒドを伴うストレッカー合成を介して誘導されるキレート剤EDTAである。ヒドロキシエチルエチレンジアミンは、別の商業的に重要なキレート剤である。一部の抗ヒスタミン剤を含む数多くの生物活性化合物および薬物がN-CH2-CH2-N結合を含有する。エチレンビスジチオカルバメートの塩は、ブランド名Maneb、Mancozeb、Zineb、およびMetiramで商業的に重要な殺真菌薬である。一部のイミダゾリン含有殺真菌薬はエチレンジアミンに由来する。エチレンジアミンは、一般的な気管支拡張薬アミノフィリン中の成分であり、そこでエチレンジアミンは活性成分テオフィリンを可溶化するために役立つ。エチレンジアミンはまた、皮膚科用製剤中にも使用されている。薬学的賦形剤として使用される場合、経口投与後のかなりの初回通過効果のせいでそのバイオアベイラビリティーは約0.34である。20%未満が尿排泄により消失する。エチレンジアミンは、2つのアミン基を含有するので、様々なポリマーに広く使用される前駆物質である。ホルムアルデヒドに由来する縮合物は可塑剤である。これは、ポリウレタン繊維の生成に広く使用されている。PAMAMクラスのデンドリマーはエチレンジアミンに由来する。漂白活性化剤テトラアセチルエチレンジアミンはエチレンジアミンから発生する。誘導体N,N-エチレンビス(ステアラミド)(EBS)は、商業的に重要な離型剤ならびにガソリンおよびモーターオイル中の界面活性剤である。
【0137】
エチレンジアミンはまた、アルブミンおよびカゼインなどのタンパク質を可溶化するための溶媒、ある種の電気めっき浴、ペンキおよび冷却材中の防錆剤、カラー写真現像用の化学物質、結合剤、接着剤、衣類用柔軟剤、エポキシ用の硬化剤、ならびに染料として使用される。二ヨウ化水素酸エチレンジアミン(EDDI)はヨウ素源として動物飼料に添加される。
【0138】
キシリトール
キシリトールは、甘味料としてかなりの価値がある化学化合物、糖アルコールである。これは、ヒト味覚によってスクロースとほとんど同じように甘いと検出され、無毒で非う食性である。
【0139】
キシリトールを生成する一方法は、硬材およびトウモロコシの穗軸から抽出されるヘミセルロース、キシランを利用する。キシランは、キシロースに加水分解することができ、次いでそれは、キシリトールに触媒的水素化される。キシリトールへの触媒ルートは、プロセスに関与する大規模な分離段階および精製段階を使用するせいで、費用およびエネルギー集約的であり、低い合計収量を有する。キシリトールを生成する別の方法は、細菌、真菌、および/または酵母細胞における発酵および生物触媒プロセスを利用することを含む。
【0140】
酵素
MEG(もしくはグリコール酸)、または任意でMEG(もしくはグリコール酸)と1つもしくは複数の同時生成物との本明細書に開示される生合成経路に使用され得る例示的な酵素を表1に記載する。
【0141】
【0142】
D-タガトース3-エピメラーゼ(EC 5.1.3.31)
本開示は、様々なケトースのC-3位のエピマー化を触媒し、DフルクトースとD-プシコース、D-タガトースとD-ソルボース、D-リブロースとD-キシルロース、およびL-リブロースとL-キシルロースを相互変換することができる酵素を記載する。特異性は種に依る。シュードモナス・シコリイおよびロドバクター・スフェロイデスに由来する酵素は、Mn
2+を必要とする。一つの態様において、酵素は、D-タガトース3-エピメラーゼ(dte)である。もう一つの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、D-キシルロースのD-リブロースへの変換を触媒する。
【0143】
一つの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、シュードモナス属の種、メソリゾビウム属の種、およびロドバクター属の種からなる群より選択される微生物から入手される1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、シュードモナス・シコリイ、シュードモナス属種ST-24、メソリゾビウム・ロティ、およびロドバクター・スフェロイデスからなる群より選択される微生物から入手される1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、1つまたは複数の核酸分子は、dteおよび/もしくはFJ851309.1またはそれらの相同体である。さらなる態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、SEQ ID NO:3および5からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、D-タガトース3-エピメラーゼは、SEQ ID NO:1、2、および4からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0144】
D-タガトース3-エピメラーゼは、L-リブロース3-エピメラーゼまたはケトース3-エピメラーゼとしても公知であり得る。
【0145】
D-リブロキナーゼ(EC 2.7.1.16)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
L-フクロース+ATP→L-フクロース1-リン酸+ADP+H+
D-リブロース+ATP→D-リブロース1-リン酸+ADP+H+
【0146】
D-リブロキナーゼは、L-フクロキナーゼ、フクロキナーゼ、ATP:L-フクロース1-ホスホトランスフェラーゼ、またはL-フクロースキナーゼとしても公知であり得る。
【0147】
従って、いくつかの態様において、本開示は、フコース分解経路、フコースおよびラムノースの分解のスーパーパスウェイ、ならびに/またはD-アラビノース分解I経路において役割を果たす酵素を提供する。
【0148】
いくつかの態様において、酵素は、それぞれ、L-フコースおよびD-アラビノースの分解経路の第2の酵素であるL-フクロキナーゼおよびD-リブロキナーゼの両方として機能することができる。
【0149】
具体的な態様において、酵素は、D-リブロースをD-リブロース-1-リン酸へ変換する。一つの態様において、D-リブロキナーゼは、大腸菌から入手される1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、1つまたは複数の核酸分子は、fucKまたはその相同体である。さらなる態様において、D-リブロキナーゼは、SEQ ID NO:8に示されたアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、D-リブロキナーゼは、SEQ ID NO:6および7からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0150】
D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ(EC 4.1.2.17)
本開示は、以下の可逆反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0151】
D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、L-フクロースリン酸アルドラーゼ、L-フクロース1-リン酸アルドラーゼ、またはL-フクロース-1-リン酸(S)-ラクトアルデヒドリアーゼとしても公知であり得る。
【0152】
従って、いくつかの態様において、本開示は、フコース分解経路、フコースおよびラムノースの分解のスーパーパスウェイ、ならびに/またはD-アラビノース分解I経路において役割を果たす酵素を提供する。一つの態様において、酵素は、補助因子としてZn2+を使用し得る。もう一つの態様において、この酵素の阻害剤は、ホスホグリコロヒドロキサム酸であり得る。
【0153】
いくつかの態様において、酵素は、それぞれ、L-フコースおよびD-アラビノースの分解経路の第3の酵素、L-フクロースリン酸アルドラーゼおよびD-リブロースリン酸アルドラーゼの両方として機能することができる。
【0154】
酵素の基質特異性は、大腸菌株から部分精製された調製物によって試験されている。
【0155】
酵素および多数の点変異体の結晶構造が解析されている。変異体の構造データおよび酵素活性の組み合わせは、酵素の触媒機序のモデリングおよび改良を可能にした。酵素の鏡像異性体選択性が研究されている。
【0156】
具体的な態様において、酵素は、D-リブロース-1-リン酸をグリコールアルデヒドおよびDHAPへ変換する。一つの態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、大腸菌から入手される1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、1つまたは複数の核酸分子は、fucAまたはその相同体である。さらなる態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、SEQ ID NO:11に示されたアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼは、SEQ ID NO:9および10からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0157】
グリコールアルデヒドレダクターゼ(EC 1.1.1.77)
本開示は、以下の可逆反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0158】
グリコールアルデヒドレダクターゼは、ラクトアルデヒドレダクターゼ、プロパンジオールオキシドレダクターゼ、(R)[もしくは(S)]-プロパン-1,2-ジオール:NAD+オキシドレダクターゼ、またはL-1,2-プロパンジオールオキシドレダクターゼとしても公知であり得る。
【0159】
従って、いくつかの態様において、本開示は、エチレングリコール分解経路、グリコールの代謝および分解のスーパーパスウェイ、嫌気的L-ラクトアルデヒド分解経路、ならびに/またはフコースおよびラムノースの分解のスーパーパスウェイにおいて役割を果たす酵素を提供する。一つの態様において、酵素は、補助因子としてFe2+を使用し得る。
【0160】
L-1,2-プロパンジオールオキシドレダクターゼは、鉄依存性III群デヒドロゲナーゼである。それは、L-フコースおよびL-ラムノースの両方の異化経路の生成物、L-ラクトアルデヒドを、L-1,2-プロパンジオールへ嫌気的に還元し、次いで、それは細胞から排出される。
【0161】
酵素の結晶構造が解析され、金属、補助因子、および基質の結合部位が位置し得るドメインスワッピングによる二量体(domain-swapped dimer)が示されている。1個のアスパラギン酸残基および3個の保存されたヒスチジン残基が、Fe2+結合および酵素活性のために必要とされる。
【0162】
インビトロで、酵素は、高濃度のNAD+によって不活化され、Fe3+およびアスコビル酸またはFe2+およびH2O2の混合物によって効率的に再活性化され得る。保存されたHis277残基の金属によって触媒される酸化は、不活化の原因となることが提唱されている。
【0163】
FucOの発現は、β酸化サイクルの操作された1回転の逆転を可能にする。FucO活性は、操作された株において、イソブチルアルデヒドのイソブタノールへの変換に寄与する。
【0164】
具体的な態様において、酵素は、グリコールアルデヒドをMEGへ変換する。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、fucO遺伝子によってコードされる。
【0165】
一つの態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、大腸菌および出芽酵母より選択される微生物から入手される1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、1つまたは複数の核酸分子は、gldA、GRE2、GRE3、yqhD、ydjG、fucO、yafB(dkgB)、および/もしくはyqhE(dkgA)、またはそれらの相同体より選択される。もう一つの態様において、1つまたは複数の核酸分子は、yqhDである。いくつかの態様において、yqhDは、G149E変異を含む。さらなる態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、SEQ ID NO:13、15、17、20、23、25、28、30、および32からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、グリコールアルデヒドレダクターゼは、SEQ ID NO:12、14、16、18、19、21、22、24、26、27、29、および31からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0166】
アルデヒドレダクターゼ
多数のアルデヒドレダクターゼが、グリコールアルデヒドをMEGへ変換するために使用され得る。
【0167】
NADPH依存性アルデヒドレダクターゼ(YqhD)は、以下の反応を触媒することができる:
【0168】
YqhDは、グリオキサール解毒に関与することができ、かつ/または脂質過酸化に対するグルタチオン非依存性応答の一部である、NADPH依存性アルデヒドレダクターゼである。
【0169】
様々なアルコール、アルデヒド、アミノ酸、糖、およびαヒドロキシ酸が、YqhDの基質として試験されたことが報告されている。精製されたタンパク質のみが、C(3)より長いアルコールを好み、NADP依存性アルコールデヒドロゲナーゼ活性を示すが、Km値はミリモル範囲であり、そのことから、それらが生理学的基質ではないことが示唆される。対照的に、YqhDは、プロパンアルデヒド、アセトアルデヒド、およびブタンアルデヒド、ならびにアクロレインおよびマロンジアルデヒドのような基質で短鎖アルデヒドレダクターゼ活性を示す。代謝的に操作された株において、フェニルアセトアルデヒドおよび4-ヒドロキシフェニルアセトアルデヒドは、内在性アルデヒドレダクターゼYqhD、YjgB、およびYahKによって、2-フェニルエタノールおよび2-(4-ヒドロキシフェニル)エタノールへ還元される。
【0170】
YqhDの過剰発現は、細胞の1,3-プロパンジオールオキシドレダクターゼ活性を増加させる。1,3-プロパンジオールの産業的生成のため、YqhDを発現するよう大腸菌が操作されている。YqhD活性は、イソブタノール、1,2-プロパンジオール、1,2,4-ブタントリオール、およびアセトールの生成にも同様に寄与する。yqhDの変異は、β酸化サイクルの操作された1回転の逆転によるブタノールの生成を可能にする。
【0171】
YqhDは、フルフラールレダクターゼ活性を有し、リグノセルロースバイオマスからアルコールを生成する代謝的に操作された株において、NADPHの枯渇による増殖阻害を引き起こすようである。
【0172】
YqhDの結晶構造は、2Åの解像度で解析された。YqhDは、二量体の非対称二量体であり、活性部位はZn2+イオンを含有している。NADPH補助因子は、ニコチンアミド環の5位および6位においてヒドロキシル基によって修飾される。
【0173】
yqhDの過剰発現は、過酸化水素、パラコート、クロム酸、およびテルル酸カリウムのような活性酸素発生化合物に対する増加した耐性をもたらす。yqhD欠失変異株は、これらの化合物およびグリオキサールに対する増加した感受性を示し、脂質過酸化において作成される反応性アルデヒドの増加したレベルを含有している。反対に、yqhD欠失は、増加したフルフラール耐性をもたらす。
【0174】
具体的な態様において、NADPH依存性アルデヒドレダクターゼは、グリコールアルデヒドをMEGへ変換する。いくつかの態様において、NADPH依存性アルデヒドレダクターゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、NADPH依存性アルデヒドレダクターゼは、yqhD遺伝子によってコードされる。
【0175】
多機能性メチルグリオキサールレダクターゼ(DkgA)は、以下の反応を触媒することができる:
【0176】
DkgA(YqhE)は、アルド・ケトレダクターゼ(AKR)ファミリーに属し、メチルグリオキサールレダクターゼ活性およびβケトエステルレダクターゼ活性を有することが示されている。
【0177】
dkgAは、大腸菌における2つの25DKGレダクターゼのうちの1つである、2,5-ジケト-D-グルコン酸レダクターゼ(25DKGR)Aをコードすることが報告されている。酵素は、好ましい電子ドナーとしてNADPHを使用し、ケトグルコン酸代謝に関与していると考えられる。2,5-ジケト-D-グルコン酸に対する酵素の比活性は、メチルグリオキサールに対する活性よりほぼ1000倍低いことが報告されている。
【0178】
NADPHに対する低いKmのため、DkgAによるフランの還元は、NADPHプールを枯渇させ、それによって、細胞の生合成を制限することができる。アルデヒドレダクターゼの広範な調査は、DkgAが、代謝工学の所望のアルデヒド最終生成物の分解に寄与する数種類の内在性アルデヒドレダクターゼのうちの1つであることを示した。
【0179】
DkgAの結晶構造は、2.16Åの解像度で解析された。
【0180】
具体的な態様において、多機能性メチルグリオキサールレダクターゼは、グリコールアルデヒドをMEGへ変換する。いくつかの態様において、多機能性メチルグリオキサールレダクターゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、多機能性メチルグリオキサールレダクターゼは、dkgA遺伝子によってコードされる。
【0181】
多機能性メチルグリオキサールレダクターゼ(DkgB)は、以下の反応を触媒することができる:
【0182】
DkgB(YafB)は、アルド・ケトレダクターゼ(AKR)サブファミリー3Fのメンバーである。DkgBは、2,5-ジケト-D-グルコン酸レダクターゼ活性、メチルグリオキサールレダクターゼ活性、および4-ニトロベンズアルデヒドレダクターゼ活性を有することが示された。
【0183】
dkgBは、大腸菌における2つの25DKGレダクターゼのうちの1つである、2,5-ジケト-D-グルコン酸レダクターゼ(25DKGR)Bをコードすることが報告されている。酵素は、好ましい電子ドナーとしてNADPHを使用し、ケトグルコン酸代謝に関与すると考えられている。しかしながら、2,5-ジケト-D-グルコン酸に対する酵素の比活性は、メチルグリオキサールに対する活性よりほぼ1000倍低いことが報告されている。
【0184】
具体的な態様において、多機能性メチルグリオキサールレダクターゼは、グリコールアルデヒドをMEGへ変換する。いくつかの態様において、多機能性メチルグリオキサールレダクターゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、多機能性メチルグリオキサールレダクターゼは、dkgB遺伝子によってコードされる。
【0185】
メチルグリオキサールレダクターゼ(YeaE)は、以下の反応を触媒することができる:
【0186】
YeaEは、メチルグリオキサールレダクターゼ活性を有することが示されている。
【0187】
YeaEのサブユニット構造は決定されていないが、アルド・ケトレダクターゼDkgA(YqhE)およびDkgB(YafB)とのアミノ酸配列類似性は、それが単量体であることを示唆する。
【0188】
具体的な態様において、メチルグリオキサールレダクターゼは、グリコールアルデヒドをMEGへ変換する。いくつかの態様において、メチルグリオキサールレダクターゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、メチルグリオキサールレダクターゼは、yeaE遺伝子によってコードされる。
【0189】
L-グリセルアルデヒド3-リン酸レダクターゼ(yghZ)は、以下の反応を触媒することができる:
【0190】
YghZは、L-グリセルアルデヒド3-リン酸(L-GAP)レダクターゼである。酵素は、低い速度でメチルグリオキサールを解毒することもできる。YghZは、AKR14(アルド・ケトレダクターゼ14)タンパク質ファミリーを定義する。
【0191】
L-GAPは、天然の代謝物でなく、大腸菌に対して毒性である。L-GAPは、大腸菌K-12のグリセロール-3-リン酸輸送系およびヘキソースリン酸輸送系の両方の基質である。YghZの生理学的役割は、GAPの非酵素的ラセミ化または未知の細胞過程によって形成され得るL-GAPの解毒であると仮定されている。
【0192】
大腸菌酵素の結晶構造は、決定されており、四量体であることが示唆されている。しかしながら、他の者は、ゲルろ過および電子顕微鏡研究に基づき、タンパク質が八量体を形成することを見出している。
【0193】
具体的な態様において、L-グリセルアルデヒド3-リン酸レダクターゼは、グリコールアルデヒドをMEGへ変換する。いくつかの態様において、L-グリセルアルデヒド3-リン酸レダクターゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、L-グリセルアルデヒド3-リン酸レダクターゼは、yghZ遺伝子によってコードされる。
【0194】
L-1,2-プロパンジオールデヒドロゲナーゼ/グリセロールデヒドロゲナーゼ(GldA)は、以下の反応を触媒することができる:
【0195】
GldA酵素の生理学的機能は、長い間、不明であった。酵素は、グリセロールデヒドロゲナーゼおよびD-1-アミノ-2-プロパノール:NAD+オキシドレダクターゼとして無関係に単離された。当時、D-1-アミノ-2-プロパノールは、ビタミンB12の生合成の中間体であると考えられおり、大腸菌は新たにビタミンB12を合成することができないが、この化合物の合成を触媒する酵素が求められた。その後、GldAは両方の活性を担うことが見出された。
【0196】
GldAの主なインビボの役割は、グリセロールへの変換によるジヒドロキシアセトンの除去であることが最近提唱された。しかしながら、グリセロールの発酵における二重の役割も最近確立された。大腸菌におけるグリセロール異化は、2つの異なる経路によって達成され得る。グリセロールおよびグリセロホスホジエステルの分解経路は、終末電子アクセプターの存在を必要とし、グリセロールをグリセロール-3-リン酸へリン酸化するGlp系のATP依存性キナーゼを利用する。しかしながら、キナーゼの不活化およびグリセロールでの増殖についての選択によって、NAD+関連デヒドロゲナーゼGldAが、グリセロール発酵を支持し得ることが見出された。最近、GldAは、ジヒドロキシアセトンを生成するグリセロールデヒドロゲナーゼとしても、アセトールから1,2-プロパンジオールを生成することによってNAD+を再生させる1,2-プロパンジオールデヒドロゲナーゼとしても、グリセロール発酵に関与していることが示された。
【0197】
酵素は、2つの触媒活性形態、8サブユニットの大きい形態および2サブユニットの小さい形態で見出される。大きい形態が、主要な種であるようである。
【0198】
具体的な態様において、L-1,2-プロパンジオールデヒドロゲナーゼ/グリセロールデヒドロゲナーゼは、グリコールアルデヒドをMEGへ変換する。いくつかの態様において、L-1,2-プロパンジオールデヒドロゲナーゼ/グリセロールデヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、L-1,2-プロパンジオールデヒドロゲナーゼ/グリセロールデヒドロゲナーゼは、gldA遺伝子によってコードされる。
【0199】
出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)に由来するNADPH依存性メチルグリオキサールレダクターゼ(GRE2)は、以下の反応を触媒することができる:
【0200】
Gre2は、補助因子としてNADPHを使用して、脂肪族および芳香族のケトン、ジケトン、およびアルデヒドを含む広範囲の基質の立体選択的な還元を触媒する多用途の酵素である。
【0201】
出芽酵母に由来するGre2の結晶構造は、アポ型については2.00Å、NADPH複合体化型については2.40Åの解像度で解析されている。Gre2は、同種二量体を形成し、そのサブユニットは、各々、N末端ロスマンフォールドドメインおよび基質認識に関与する可変性のC末端ドメインを含有している。補助因子NADPHとの結合時に誘導される適合は、2個のドメインを相互に向かってシフトさせ、基質によりよく適合するドメイン間間隙を生成する。部位特異的変異誘発および酵素活性分析と組み合わせられた計算的シミュレーションは、触媒作用のためのストリンジェントな基質立体選択性を決定する、可能性のある基質結合ポケットの特徴決定を可能にした。
【0202】
Gre2は、グリオキサラーゼI GLO1によるMGの解毒の代わりに、細胞傷害性化合物メチルグリオキサール(MG)の(S)-ラクトアルデヒドへの不可逆的還元を触媒する。MGは、ジヒドロキシアセトンリン酸から解糖のバイパスを介して合成され、細胞周期制御およびストレス適応において役割を果たすと信じられている。GRE2は、イソバレルアルデヒドのイソアミルアルコールへの還元も触媒する。酵素は、細胞がフィラメント形成によって応答するシグナル、イソバレルアルデヒドのレベルをモジュレートすることによって、イソアミルアルコールによって誘導されるフィラメント形成を抑制するよう機能する。GRE2は、エルゴステロール代謝にも関与している。
【0203】
具体的な態様において、NADPH依存性メチルグリオキサールレダクターゼは、グリコールアルデヒドをMEGへ変換する。いくつかの態様において、NADPH依存性メチルグリオキサールレダクターゼは、出芽酵母に由来する。いくつかの態様において、NADPH依存性メチルグリオキサールレダクターゼは、GRE2遺伝子によってコードされる。
【0204】
チオラーゼ/アセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ(EC 2.3.1.9)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0205】
チオラーゼ/アセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼはまた、アセチルCoA-C-アセチルトランスフェラーゼ、アセトアセチルCoAチオラーゼ、アセチルCoA:アセチルCoA C-アセチルトランスフェラーゼまたはチオラーゼIIとしても知られる場合がある。
【0206】
従って、いくつかの態様において、本開示は、(アセチルCoAへの)アセト酢酸分解に役割を果たす酵素を提供する。一態様において、この酵素の阻害剤は、アセトアセチルCoAであり得る。
【0207】
特定の態様において、この酵素は、アセチルCoAをアセトアセチルCoAに変換する。一態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、クロストリジウム属の種(Clostridium sp.)、バチルス属の種(Bacillus sp.)、大腸菌、サッカロミセス属の種(Saccharomyces sp.)およびマリノバクター属の種(Marinobacter sp.)からなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、クロストリジウム・アセトブチリクム、クロストリジウム・サーモサッカロリティクム(Clostridium thermosaccharolyticum)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、大腸菌、サッカロミセス・セレビシエおよびマリノバクター・ヒドロカルボノクラスチクス(Marinobacter hydrocarbonoclasticus)からなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、1つまたは複数の核酸分子は、thlA、atoBおよび/もしくはERG10、またはそれらのホモログである。さらなる態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:35、37および40からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様において、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼは、SEQ ID NO:33、34、36、38および39からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0208】
アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼ(EC 2.8.3.-)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0209】
アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼは、酢酸:アセトアセチルCoAトランスフェラーゼまたはアセトアセチルCoAトランスフェラーゼとしても公知であり得る。
【0210】
従って、いくつかの態様において、本開示は、(アセチルCoAへの)アセト酢酸分解において役割を果たす酵素を提供する。一態様において、この酵素の阻害剤には、アセチルCoAおよび補酵素Aが含まれ得る。
【0211】
短鎖脂肪酸(C3~C6)での大腸菌の増殖は、それぞれのチオエステルへの酸の活性化を必要とする。この活性化は、アセトアセチルCoAトランスフェラーゼによって触媒される。その反応は、共有結合性の酵素-CoAを含む2つの半反応において起こる。酵素は、反応中に2個の検出可能なコンフォメーション変化を受ける。反応はピンポン機構によって進行する可能性が高いと考えられる。酵素は、多様な短鎖アシルCoA基質およびカルボン酸基質を利用することができるが、直鎖状の基質および3-ケト基質で最大活性を示す。
【0212】
具体的な態様において、酵素は、アセトアセチルCoAをアセト酢酸へ変換する。いくつかの態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼは、クロストリジウム属の複数種(Clostridium spp.)に由来する。いくつかの態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼは、クロストリジウム・アセトブチリクムに由来する。いくつかの態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼは、atoA遺伝子およびatoD遺伝子によってコードされる。別の態様において、アセトアセチルCoAトランスフェラーゼのサブユニット組成は、[(AtoA)2][(AtoD)2]であり、(AtoA)2がβ複合体であり、(AtoD)2がα複合体である。一態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼは、融合したアセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼ:αサブユニット/βサブユニットである。別の態様において、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼは、ydiF遺伝子によってコードされる。
【0213】
酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ(EC 3.1.2.11)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0214】
アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、アセトアセチル補酵素Aヒドロラーゼ、アセトアセチルCoAデアシラーゼ、またはアセトアセチル補酵素Aデアシラーゼとしても公知であり得る。
【0215】
この酵素は、ヒドロラーゼのファミリー、具体的には、チオエステル結合に作用するものに属している。
【0216】
具体的な態様において、酵素は、アセトアセチルCoAをアセト酢酸へ変換する。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、クロストリジウム属の種に由来する。いくつかの態様において、酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、クロストリジウム・アセトブチリクムに由来する。もう一つの態様において、アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、ctfA(サブユニットA)遺伝子および/またはctfB(サブユニットB)遺伝子によってコードされる。
【0217】
さらなる態様において、アセチルCoA: アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、SEQ ID NO:43、46、97、99、101、および103からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに、さらなる態様において、アセチルCoA: アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼは、SEQ ID NO:41、42、44、45、96、98、100、および102からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0218】
アセト酢酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.4)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
アセト酢酸+H+→アセトン+CO2
【0219】
アセト酢酸デカルボキシラーゼは、ADC、AADC、またはアセト酢酸カルボキシリアーゼとしても公知であり得る。
【0220】
従って、いくつかの態様において、本開示は、イソプロパノール生合成、ピルビン酸のアセトンへの発酵、クロストリジウム・アセトブチリクムの酸生成発酵およびソルベント生成発酵のスーパーパスウェイ、ならびに/またはクロストリジウム・アセトブチリクムのソルベント生成発酵のスーパーパスウェイにおいて役割を果たす酵素を提供する。
【0221】
アセト酢酸デカルボキシラーゼ(ADC)は、クロストリジウム・アセトブチリクムにおけるソルベント生成において重要な役割を果たす。増殖の酸生成期においては、酸が蓄積し、ソルベント生成への代謝シフトを引き起こす。この期においては、酸が、再同化され、代謝され、アセトン、ブタノール、およびエタノールが生成される。
【0222】
酵素の予備精製および結晶化は、リジン残基が活性部位に関与することを明らかにした。酵素は、単一の型のサブユニットの12コピーから構成される大きい複合体である。
【0223】
クロストリジウム・アセトブチリクムATCC 824の酵素が精製され、それをコードするadc遺伝子がクローニングされている。関連株クロストリジウム・アセトブチリクムDSM 792からも酵素が精製され、遺伝子がクローニングされ配列決定されている。脱カルボキシル反応は、シッフ塩基中間体の形成によって進行する。
【0224】
ADCは、CoAトランスフェラーゼ反応をアセト酢酸形成の方向に効果的に引き寄せる、酸取り込みにおいて重要な酵素である。
【0225】
具体的な態様において、酵素は、アセト酢酸をアセトンへ変換する。一つの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、クロモバクテリウム属の種、およびシュードモナス属の種からなる群より選択される微生物から入手される1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、クロストリジウム・アセトブチリクム、クロストリジウム・ベイジェリンキイ(Clostridium beijerinckii)、クロストリジウム・セルロリティカム、バチルス・ポリミキサ、クロモバクテリウム・ビオラセウム、およびシュードモナス・プチダからなる群より選択される微生物から入手される1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、adcまたはその相同体である。さらなる態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:49および52からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、アセト酢酸デカルボキシラーゼは、SEQ ID NO:47、48、50、および51からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0226】
アルコールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.-)
本開示は、一級アルコールまたは二級アルコールの、それぞれ、アルデヒドまたはケトンへの可逆的酸化を触媒することができる酵素を記載する。一つの態様において、酵素は、二級アルコールデヒドロゲナーゼ(S-ADH)であり、アセトンのようなケトンの、2-プロパノール(イソプロパノール)のような二級アルコールへの還元を触媒する。
【0227】
いくつかの態様において、S-ADHは、バークホルデリア属の種に由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、バークホルデリア属種AIU 652に由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、アルカリゲネス属の種に由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、アルカリゲネス・ユートロファスに由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、クロストリジウム属の種に由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、クロストリジウム・ラグスダレイに由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、クロストリジウム・ベイジェリンキイに由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、サーモアナエロバクター属の種に由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、サーモアナエロバクター・ブロッキイに由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、サーモアナエロバクター・エタノリカス(クロストリジウム・サーモヒドロスルフリカム)に由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、adhB遺伝子によってコードされる。いくつかの態様において、S-ADHは、トリパノソーマ、フィトモナス属の種に由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、ロドコッカス属の種に由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、ロドコッカス・ルーバーに由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、メタノバクテリウム・パルストレに由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、メタン生成古細菌メタノゲニウム・リミナタンスに由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、寄生性原生生物エントアメーバ・ヒストリティカ、(EhAdh1)に由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、寄生性原生動物トリトリコモナス・フィータスに由来する。いくつかの態様において、S-ADHは、ヒト寄生虫トリコモナス・バギナリスに由来する。
【0228】
いくつかの態様において、S-ADHは、相同性から予測され、サーモアナエロバクター・マスラニイ、ミクロコッカス・ルテウス、ノカルディオプシス・アルバ、マイコバクテリウム・ハッシアカム、ヘリコバクター・スイス、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・パラプシローシス、カンジダ・オルトプシローシス、カンジダ・メタプシローシス、グロスマンニア・クラビゲラ、およびシェフェルソミセス・スチピチスに由来し得る。
【0229】
いくつかの態様において、アルコールデヒドロゲナーゼは、クロストリジウム属の種由来のアルコールデヒドロゲナーゼと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有する。他の態様において、アルコールデヒドロゲナーゼは、クロストリジウム・ベイジェリンキイadhおよびクロストリジウム・カルボキシジボランスadhより選択されるアルコールデヒドロゲナーゼである。さらなる態様において、アルコールデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:138および140からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様において、アルコールデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:136、137、および139からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0230】
デヒドラターゼ(EC 4.2.1.-)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0231】
D-キシルロース1-キナーゼ(EC 2.7.1.-)
本開示は、D-キシルロースのD-キシルロース-1-リン酸への変換を触媒することができる酵素を記載する。いくつかの態様において、変換は、フルクトキナーゼとしても公知のヒトケトヘキソキナーゼC(khk-C)によって触媒され得る。
【0232】
ケトヘキソキナーゼまたはフルクトキナーゼは、フルクトースをフルクトース-1-リン酸へリン酸化する。酵素は、炭水化物代謝の一部であるフルクトース代謝に関与する。それは、肝臓、腸、および腎皮質に見出される。
【0233】
ヒト肝臓において、精製されたフルクトキナーゼは、アルドラーゼと共役した時に、キシリトールからシュウ酸を生成する代替機序に寄与することが発見された。共役したシーケンスにおいて、フルクトキナーゼおよびアルドラーゼは、D-キシルロースから、D-キシルロース1-リン酸を介して、シュウ酸の前駆物質であるグリコールアルデヒドを生成する。
【0234】
具体的な態様において、酵素は、D-キシルロースをD-キシルロース-1-リン酸へ変換する。一つの態様において、D-キシルロース1-キナーゼは、ホモ・サピエンスから入手される1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、D-キシルロース1-キナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、ケトヘキソキナーゼC(khk-C)またはその相同体である。もう一つの態様において、D-キシルロース1-キナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:55または256に示されたアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、D-キシルロース1-キナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:53および54からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0235】
D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ(EC 4.1.2.-)
本開示は、D-キシルロース-1-リン酸のグリコールアルデヒドおよびDHAPへの変換を触媒することができる酵素を記載する。いくつかの態様において、変換は、フルクトースビスリン酸アルドラーゼBまたは肝臓型アルドラーゼとしても公知であるヒトアルドラーゼBによって触媒され得る。
【0236】
アルドラーゼBは、クラスIフルクトース1,6-ビスリン酸アルドラーゼ酵素(EC 4.1.2.13)の3つのアイソザイム(A、B、およびC)のうちの1つであり、解糖および糖新生の両方において重要な役割を果たす。一般的なフルクトース1,6-ビスリン酸アルドラーゼ酵素は、フルクトース1,6-ビスリン酸(FBP)のグリセルアルデヒド3-リン酸およびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への可逆的な切断を触媒し、フルクトース1-リン酸(F1P)のグリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸への可逆的な切断も触媒する。哺乳動物において、アルドラーゼBは、肝臓において優先的に発現されるが、アルドラーゼAは、筋肉および赤血球において発現され、アルドラーゼCは、脳において表現される。アイソザイム構造のわずかな違いは、2種類の基質分子:FBPおよびフルクトース1-リン酸に対する異なる活性をもたらす。アルドラーゼBは、好みを示さず、従って、両方の反応を触媒するが、アルドラーゼAおよびCは、FBPを好む。
【0237】
アルドラーゼBは、4個のサブユニットから構成される同種四量体酵素である。各サブユニットは、36kDaの分子量を有し、リジン229(触媒作用のために重要であるシッフ塩基形成アミノ酸)を囲む8本鎖α/βバレルを含有している。
【0238】
具体的な態様において、酵素は、D-キシルロース-1-リン酸をグリコールアルデヒドおよびDHAPへ変換する。一つの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼは、ホモ・サピエンスから入手される1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、アルドラーゼB(aldoB)またはその相同体である。いくつかの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:58に示されたアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:56および57からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0239】
D-キシロースイソメラーゼ(EC 5.3.1.5)
本開示は、以下の可逆反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0240】
D-キシロースイソメラーゼは、キシロースイソメラーゼまたはD-キシロースケトールイソメラーゼとしても公知であり得る。
【0241】
従って、いくつかの態様において、本開示は、キシロース分解において役割を果たす酵素を提供する。
【0242】
キシロースイソメラーゼは、D-キシロースの異化における最初の反応を触媒する。
【0243】
2個の保存されたヒスチジン残基H101およびH271が、触媒作用のために必須であることが示された。2個の保存されたトリプトファン残基W49およびW188の蛍光は、キシロースの結合において消光され、W49が触媒作用のために必須であることが示された。Mg2+、Mn2+、またはCo2+の存在は、熱変性から酵素を保護する。
【0244】
サブユニット組成は、実験的に確立されていない。
【0245】
具体的な態様において、酵素は、D-キシロースをD-キシルロースへ変換する。一つの態様において、組換え微生物は、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を触媒する内在性または外来性のキシロースイソメラーゼをさらに含む。一つの態様において、キシロースイソメラーゼは、外来性である。もう一つの態様において、キシロースイソメラーゼは、ピロマイセス(Pyromyces)属の種または大腸菌から入手される1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、xylAまたはその相同体である。さらにもう一つの態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:95および144より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、キシロースイソメラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:93、94および143からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0246】
いくつかの態様において、MEGまたはGA、または任意でMEGもしくはGAおよび1つまたは複数の同時生成物を生成する組換え微生物は、D-キシロースのD-キシルロースへの変換を防止し、代わりに、D-キシロースのD-キシロン酸への変換に反応を向けるため、D-キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入、または機能喪失型変異を含む。
【0247】
D-キシルロース5-キナーゼ/キシルロキナーゼ
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
D-キシルロース+ATP→D-キシルロース5-リン酸+ADP+H+(EC 2.7.1.17)
ATP+1-デオキシ-D-キシルロース→1-デオキシ-D-キシルロース5-リン酸+ADP+H+(EC 2.7.1.-)
【0248】
D-キシルロース5-キナーゼは、キシルロースキナーゼまたはキシルロキナーゼとしても公知であり得る。
【0249】
キシルロキナーゼは、キシロース分解経路の第2段階、D-キシルロースのリン酸化を触媒して、ペントースリン酸経路の中間体、D-キシルロース-5-リン酸を生成する。
【0250】
基質の非存在下で、キシルロキナーゼは、弱いATPアーゼ活性を有する。キシルロキナーゼは、1-デオキシ-D-キシルロースのリン酸化も触媒することができる。これは、テルペノイド、チアミン、およびピリドキサールの生合成において使用するための1-デオキシ-D-キシルロース5-リン酸の生成のための可能性のあるサルベージ経路を可能にするであろう。1-デオキシ-D-キシルロースのリン酸化の速度は、D-キシルロースのリン酸化の速度より32倍低い。
【0251】
細菌酵素の動力学的機序が研究されており、主に秩序のある反応機序が示唆された。酵素は、基質およびATPの結合時に有意なコンフォメーション変化を受ける。2個の保存されたアスパラギン酸残基D6およびD233が、触媒活性のために必須であることが見出され、触媒機序が提唱された。
【0252】
細菌キシルロキナーゼのアポ型およびD-キシルロース結合型の結晶構造は、それぞれ、2.7Åおよび2.1Åの解像度で決定されている。
【0253】
具体的な態様において、酵素は、D-キシルロースをD-キシルロース-5-リン酸へ変換する。いくつかの態様において、D-キシルロース5-キナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、D-キシルロース5-キナーゼは、xylB遺伝子によってコードされる。いくつかの態様において、D-キシルロース5-キナーゼは、出芽酵母に由来する。いくつかの態様において、D-キシルロース5-キナーゼは、XKS1遺伝子によってコードされる。いくつかの態様において、D-キシルロース5-キナーゼは、ピキア・スチピチス(Pichia stipitis)に由来する。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-キナーゼは、XYL3遺伝子によってコードされる。
【0254】
いくつかの態様において、D-キシルロース5-キナーゼは、大腸菌由来xylBと少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。さらなる態様において、D-キシルロース5-キナーゼは、大腸菌由来xylBと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。なおさらなる態様において、D-キシルロース5-キナーゼは、大腸菌由来xylBと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様において、D-キシルロース5-キナーゼは大腸菌由来xylBである。
【0255】
一態様において、D-キシルロース5-キナーゼは、大腸菌から得られた1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、D-キシルロース5-キナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、xylBまたはそのホモログである。別の態様において、D-キシルロース5-キナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:146に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、D-キシルロース5-キナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:145に示される核酸配列によってコードされる。
【0256】
キシロースデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.175またはEC 1.1.1.179)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0257】
キシロースデヒドロゲナーゼは、D-キシロースデヒドロゲナーゼ、D-キシロース1-デヒドロゲナーゼ、(NAD+)関連D-キシロースデヒドロゲナーゼ、NAD+-D-キシロースデヒドロゲナーゼ、D-キシロース:NAD+ 1-オキシドレダクターゼとしても公知であり得る。
【0258】
D-キシロースデヒドロゲナーゼは、D-キシロースのD-キシロノラクトンへのNAD+依存的な酸化を触媒する。これは、カウロバクター・クレセンタスにおけるD-キシロースの分解のための酸化的非リン酸化経路の最初の反応である。この経路は、アゾスピリルム・ブラジレンス(Azospirillum brasilense)におけるL-アラビノース分解のための経路と類似している。C.クレセンタス酵素のアミノ酸配列は、古細菌ハロアーキュラ・マリスモーツイに由来するキシロースデヒドロゲナーゼまたはアゾスピリルム・ブラジレンスのL-アラビノース1-デヒドロゲナーゼのものに関連していない。
【0259】
D-キシロースは、カウロバクター・クレセンタスに由来する組換えD-キシロースデヒドロゲナーゼのための好ましい基質である。酵素は、L-アラビノースを使用することができるが、それは不十分な基質である。L-アラビノースに対するKmは166mMである。D-アラビノース、L-キシロース、D-リボース、D-ガラクトース、D-グルコース、およびD-グルコース-6-リン酸のような他の基質は、NADH生成によって測定されるように、アッセイにおいてほとんどまたは全く活性を示さなかった。C.クレセンタスD-キシロースデヒドロゲナーゼは、D-キシロースを直接D-キシロン酸へ変換することができる。
【0260】
C.クレセンタスから部分精製されたネイティブのD-キシロースデヒドロゲナーゼは、D-キシロースに対して70μMというKmを有していた。この値は、組換えのHisタグ付き酵素に対する760μMというKmより低かった。
【0261】
いくつかの態様において、D-キシロースデヒドロゲナーゼは、好塩性古細菌ハロフェラックス・ボルカニ(Haloferax volcanii)に由来する。ハロフェラックス・ボルカニD-キシロースデヒドロゲナーゼは、好塩性古細菌ハロフェラックス・ボルカニの酸化的キシロース分解経路の最初の反応を触媒する。H.ボルカニイD-キシロースデヒドロゲナーゼは、ハロアーキュラ・マリスモーツイに由来する機能的に特徴決定されたキシロースデヒドロゲナーゼとの59%のアミノ酸配列同一性を示し、ハロルブラム・ラクスプロファンディにおけるオルソログとの56%の同一性を示すが、カウロバクター・クレセンタスCB15に由来する細菌NAD+依存性キシロースデヒドロゲナーゼとは11%しか同一でない。
【0262】
具体的な態様において、酵素は、D-キシロースをD-キシロノラクトンへ変換する。一つの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼは、カウロバクター属の種、ハロアーキュラ属の種、ハロフェラックス属の種、ハロルブラム属の種、およびトリコデルマ属の種からなる群より選択される微生物から入手される1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼは、カウロバクター・クレセンタス、ハロアーキュラ・マリスモーツイ、ハロフェラックス・ボルカニ、ハロルブラム・ラクスプロファンディ、およびトリコデルマ・リーゼイからなる群より選択される微生物から入手される1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、xylB、xdh1(HVO_B0028)、および/もしくはxyd1、またはそれらの相同体より選択される。さらなる態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:61、63、および65からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、キシロースデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:59、60、62、および64からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0263】
キシロノラクトナーゼ(3.1.1.68)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0264】
この酵素は、ヒドロラーゼ、具体的には、カルボン酸エステル結合に作用するもののファミリーに属する。この酵素は、ペントースおよびグルクロン酸の相互変換に関与する。
【0265】
キシロノラクトナーゼは、D-キシロノラクトナーゼ、キシロノ-1,4-ラクトナーゼ、キ
シロノ-ガンマ-ラクトナーゼ、またはD-キシロノ-1,4-ラクトンラクトノヒドロラーゼとしても公知であり得る。
【0266】
具体的な態様において、酵素は、D-キシロノラクトンをD-キシロン酸へ変換する。一態様において、キシロノラクトナーゼは、カウロバクター属の種(Caulobacter sp.)およびハロフェラックス属の種(Haloferax sp.)より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様において、キシロノラクトナーゼは、カウロバクター・クレセンタス、ハロフェラックス・ボルカニおよびハロフェラックス・ギボンシイ(Haloferax gibbonsii)からなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロノラクトナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、xylCまたはそのホモログである。さらなる態様において、キシロノラクトナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:67に示されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様において、キシロノラクトナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:66に示される核酸配列によってコードされる。
【0267】
キシロン酸デヒドラターゼ(EC 4.2.1.82)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0268】
この酵素は、炭素-酸素結合を切断するリアーゼ、具体的には、ヒドロリアーゼのファミリーに属する。この酵素は、ペントースおよびグルクロン酸の相互変換に関与する。
【0269】
キシロン酸デヒドラターゼは、D-キシロン酸ヒドロリアーゼ、D-キシロアルドン酸デヒドラターゼ、またはD-キシロン酸デヒドラターゼとしても公知であり得る。
【0270】
具体的な態様において、酵素は、D-キシロン酸を2-ケト-3-デオキシD-キシロン酸へ変換する。一つの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、カウロバクター属の種、スルホロブス属の種、および大腸菌からなる群より選択される微生物から入手される1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロン酸デヒドラターゼは、カウロバクター・クレセンタス、スルホロブス・ソルファタリカス、および大腸菌からなる群より選択される微生物から入手される1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、xylD、yjhG、および/もしくはyagF、またはそれらの相同体より選択される。さらなる態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:69、72、および75からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、キシロン酸デヒドラターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:68、70、71、73、および74からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0271】
2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼ(4.1.2.28)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0272】
この酵素は、炭素-炭素結合を切断するリアーゼ、具体的には、アルデヒド-リアーゼのファミリーに属する。この酵素は、ペントースおよびグルクロン酸の相互変換に関与する。
【0273】
2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼは、2-デヒドロ-3-デオキシ-D-ペントン酸グリコールアルデヒド-リアーゼ(ピルベート形成)、2-デヒドロ-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼ、3-デオキシ-D-ペンツロソン酸アルドラーゼ、および2-デヒドロ-3-デオキシ-D-ペントン酸グリコールアルデヒド-リアーゼとしても公知であり得る。
【0274】
YjhHは、2-デヒドロ-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼであるようである。遺伝学的証拠は、YagEも、2-デヒドロ-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼとして機能し得ることを示唆する。yagEは、プロファージCP4-6の一部である。
【0275】
yjhH yagE二重変異体は、唯一の炭素源としてD-キシロン酸を使用することができず、粗細胞抽出物は、2-デヒドロ-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼ活性を含有していない。両方の表現型が、プラスミド上のyjhHを提供することによって補完される。
【0276】
ArcAは、嫌気生活下でのyjhH遺伝子発現を活性化するようである。この遺伝子の211bp上流および597bp上流に2個の推定ArcA結合部位が同定されたが、その上流にプロモーターは同定されていない。
【0277】
YagEの結晶構造は、タンパク質が同種四量体であることを示唆する。ピルベートおよび2-ケト-3-デオキシガラクトン酸の存在下でのYagEの共結晶構造が解析されている。
【0278】
具体的な態様において、酵素は、2-ケト-3-デオキシキシロン酸をグリコールアルデヒドおよびピルビン酸へ変換する。一つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼは、シュードモナス属の種および大腸菌より選択される微生物から入手される1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼは、大腸菌から入手される1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、yjhHおよび/もしくはyagEまたはそれらの相同体より選択される。さらなる態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:78および81からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらにもう一つの態様において、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:76、77、79、および80からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0279】
グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ(1.2.1.21)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0280】
この酵素は、オキシドレダクターゼ、具体的には、NAD+またはNADP+をアクセプターとして、ドナーのアルデヒド基またはオキソ基に作用するもののファミリーに属する。この酵素は、グリオキシル酸およびジカルボン酸の代謝に関与する。
【0281】
グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、グリコールアルデヒド:NAD+オキシドレダクターゼまたはグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼとしても公知であり得る。
【0282】
大腸菌において、アルデヒドデヒドロゲナーゼA(AldA)は、小さいαヒドロキシアルデヒド基質に対する比較的広い基質特異性を有する酵素である。従って、それは、いくつかの代謝経路において利用される。
【0283】
L-フコースおよびL-ラムノースは、平行な経路を通して代謝されるが、対応するアルドラーゼ反応の後に収束して、同一の生成物:ジヒドロキシ-アセトンリン酸およびL-ラクトアルデヒドを与える。好気的に、アルデヒドデヒドロゲナーゼAは、L-ラクトアルデヒドをL-ラクテートへ酸化する。
【0284】
同一の酵素を利用する平行な経路において、D-アラビノースおよびL-キシロースは、ジヒドロキシ-アセトンリン酸およびグリコールアルデヒドへ代謝され、それが、アルデヒドデヒドロゲナーゼAによってグリコール酸へ酸化される。
【0285】
単独の酵素、三元複合体、および二元複合体の結晶構造が解析されている。
【0286】
アルデヒドデヒドロゲナーゼAは、好気条件下でのみ存在し、フコース、ラムノース、またはグルタミン酸の存在によって最も高度に誘導される。酵素は、ラクトアルデヒドの酸化から、プロパンジオールオキシドレダクターゼによる還元へシフトするためのスイッチとして機能し得るNADHによって阻害される。AldAは、グルコース制限への短期順応においてアップレギュレートされる。
【0287】
配列類似性に基づき、AldAは、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼであると予測された。
【0288】
aldA発現の制御は、調査されている。遺伝子は、異化産物抑制、ArcAを介した嫌気条件下での抑制、および炭素源による誘導によって制御される。
【0289】
具体的な態様において、酵素は、グリコールアルデヒドをグリコール酸へ変換する。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、aldA遺伝子によってコードされる。
【0290】
いくつかの態様において、MEG、または任意でMEGと1つもしくは複数の同時生成物とを生成する組換え微生物は、グリコールアルデヒドからのグリコール酸の生成を妨げ、代わりに、グリコールアルデヒドからMEGへの変換に向けて反応を切り換えるために、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子において欠失、挿入、または機能喪失変異を含む。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼの欠失、破壊、変異、および/またはその活性の低下は部分的であり、ここで、グリコール酸の量がまだ生成される。
【0291】
他の態様において、グリコール酸を生成している組換え微生物は、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1種類の核酸分子を含む、またはそれを発現する。
【0292】
乳酸デヒドロゲナーゼ(1.1.1.28)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
(R)-乳酸 + NAD+ ← ピルビン酸 + NADH + H+
【0293】
乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)は、動物、植物、および原核生物のようなほぼ全ての生細胞に見出される酵素である。LDHは、NADHからNAD+へおよびその逆の変換と同様に、乳酸からピルビン酸へおよびその逆の変換を触媒する。デヒドロゲナーゼは、ある分子からもう一つの分子へヒドリドを移す酵素である。
【0294】
LDHは4つの別個の酵素クラスに存在する。最も一般的なものは、NAD(P)依存性L-乳酸デヒドロゲナーゼである。他のLDHは、D-乳酸に作用し、かつ/またはチトクロムc:D-乳酸デヒドロゲナーゼ(チトクロム)およびL-乳酸デヒドロゲナーゼ(チトクロム)に対して依存性である。
【0295】
LDHは、血球および心筋のような身体組織に広範に見出されるため、医学的に重要である。それは、組織傷害において放出されるため、一般的な損傷および心不全のような疾患のマーカーである。
【0296】
乳酸デヒドロゲナーゼは、ラクテートデヒドロゲナーゼ、(R)-乳酸:NAD+オキシドレダクターゼ、またはD-乳酸デヒドロゲナーゼ(発酵的)としても公知であり得る。
【0297】
大腸菌において、乳酸デヒドロゲナーゼ(LdhA)は、D-乳酸の生成に特異的な可溶性NAD関連乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)である。LdhAは、ホモ四量体であり、より高いpH条件の下で正のホモトロピック協同性を示す。
【0298】
大腸菌は、2つの他の乳酸デヒドロゲナーゼ:D-乳酸デヒドロゲナーゼおよびL-乳酸デヒドロゲナーゼを含有している。いずれも、ラクテートでの好気増殖のために必要とされる膜結合型フラボタンパク質である。
【0299】
LdhAは、好気条件下で存在するが、大腸菌が、酸性pHにおいて嫌気条件下で多様な糖により増殖する時に誘導される。嫌気性呼吸に関与する遺伝子の大部分と異なり、ldhAは、Fnrによって活性化されず、むしろ、ArcAB系ならびに炭水化物代謝の調節に関与する数種類の遺伝子(csrABおよびmlc)が、発現を制御するようである。ldhAの発現は、転写制御因子ArcAによって負の影響を受ける。ldhAはσ32レギュロンに属する。
【0300】
ldhA遺伝子は、しばしば、代謝工学における変異の標的となり、それは、望ましくない発酵副産物の生成を排除するためである場合が最も多いが、D-乳酸を特異的に生成するためでもあり得る。
【0301】
具体的な態様において、酵素は、ピルビン酸を乳酸へ変換する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、ldhA遺伝子によってコードされる。
【0302】
いくつかの態様において、MEGもしくはGA、または任意でMEGもしくはGAと1つもしくは複数の同時生成物とを生成する組換え微生物は、ピルベートからのラクテートの生成を妨げ、代わりに、1つまたは複数の同時生成物の生成に向けて反応を切り替えるために、乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子において欠失、挿入、または機能喪失変異を含む。
【0303】
キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼ(EC 1.1.1.21)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0304】
アルドースレダクターゼは、アルジトール:NAD(P)+ 1-オキシドレダクターゼ、ポリオールデヒドロゲナーゼ、またはアルデヒドレダクターゼとしても公知であり得る。
【0305】
アルドースレダクターゼは、単糖を含む多様なアルデヒドおよびカルボニルの還元を触媒するサイトゾルオキシドレダクターゼである。
【0306】
アルドースレダクターゼは、アルド・ケトレダクターゼ酵素スーパーファミリーの原型酵素と見なされ得る。酵素は、315アミノ酸残基を含み、8本の平行なβ鎖から構成されるβ/αバレル構造モチーフに折り畳まれている。隣接した鎖は、逆平行向きの8個の外側αヘリカルセグメントによってβシートに接続されている。触媒活性部位は、バレルコアに位置している。NADPH補助因子は、β/αバレルの最上部に位置しており、ニコチンアミド環がバレルの中心において下へ突き出し、ピロリン酸がバレルリップにまたがっている。
【0307】
アルデヒド還元の方向におけるアルドースレダクターゼの反応機序は、NADPHが結合し、続いて、基質が結合する、連続的な秩序のあるパスに従う。NADPHの結合は、安全ベルトと同様にNADPHの一部をカバーするための表面ループ(残基213~217)のヒンジ様移動を含むコンフォメーション変化(酵素・NADPH → 酵素*・NADPH)を誘導する。基質のカルボニル炭素の面への、NADPHのプロR水素化物の転移を介して、アルコール生成物が形成される。アルコール生成物の放出の後、NADP+を放出するため、もう一つのコンフォメーション変化が起こる(E*・NAD(P)+ → E・NAD(P)+)。動力学的研究は、NADP+の放出を可能にするこのループの再配向が、アルデヒド還元の方向における律速段階を表すようであることを示した。補酵素放出の速度が触媒速度を制限するため、補酵素結合を安定化する相互作用の妨害は、最大速度(Vmax)に対して劇的な効果を及ぼし得ることが分かる。
【0308】
D-キシロース発酵性のピキア・スチピチスおよびカンジダ・シェハテは、NADPHおよびNADHの両方で活性を有する単一のアルドースレダクターゼ(ALR)を生成することが示された。パキソレン・タンノフィルスおよびC.トロピカリスのようなその他の酵母は、異なる補酵素特異性を有するALRの複数の型を合成する。有意な二重補酵素特異性は、哺乳動物または微生物の起源からこれまでに単離された大部分の他のALRと、P.スチピチスおよびC.シェハテの酵素を区別する。酵母カンジダ・テヌイスCBS 4435は、D-キシロースでの増殖中に、比較可能なNADHおよびNADPHに関連したアルデヒド還元活性を生成する。
【0309】
具体的な態様において、酵素は、D-キシロースをキシリトールへ変換する。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、ヒポクレア属の種、シェフェルソマイセス属の種、サッカロミセス属の種、パキソレン属の種、ピキア属の種、カンジダ属の種、アルペルギルス属の種、ニューロスポラ属の種、およびクリプトコッカス属の種からなる群より選択される微生物から入手される1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼは、ヒポクレア・ジェコリナ、シェフェルソミセス・スチピチス、出芽酵母、パキソレン・タンノフィルス、ピキア・スチピチス、ピキア・クエルカム、カンジダ・シェハテ、カンジダ・テヌイス、カンジダ・トロピカリス、アスペルギルス・ニガー、ニューロスポラ・クラッサ、およびクリプトコッカス・ラクタチボルスからなる群より選択される微生物から入手される1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。もう一つの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、xyl1および/もしくはGRE3またはそれらの相同体である。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:84および87からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:82、83、85、および86からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0310】
キシリトールデヒドロゲナーゼ(1.1.1.9)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0311】
キシリトールデヒドロゲナーゼは、D-キシルロースレダクターゼ、NAD+依存性キシリトールデヒドロゲナーゼ、エリスリトールデヒドロゲナーゼ、2,3-cis-ポリオール(DPN)デヒドロゲナーゼ(C3-5)、ペンチトール-DPNデヒドロゲナーゼ、キシリトール-2-デヒドロゲナーゼ、またはキシリトール:NAD+ 2-オキシドレダクターゼ(D-キシルロース形成)としても公知であり得る。
【0312】
キシリトールデヒドロゲナーゼ(XDH)は、真核生物代謝へのキシロースの同化を担う数種類の酵素のうちの1つであり、エタノールを生成するための、農業副生成物に含有されているキシロースの発酵のために有用である。高いフラックス速度での効率的なキシロース利用のためには、NAD+特異的XDHと、経路の別の酵素であるNADPHを好むキシロースレダクターゼとの間で、共基質が再利用されるべきである。
【0313】
具体的な態様において、酵素は、キシリトールをD-キシルロースへ変換する。上記に開示された任意の局面の一態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼは、シェフェルソマイセス属の種(Scheffersomyces sp.)、トリコデルマ属の種(Trichoderma sp.)、ピキア属の種(Pichia sp.)、サッカロミセス属の種、グルコノバクター属の種(Gluconobacter sp.)、ガラクトカンジダ属の種(Galactocandida sp.)、ニューロスポラ属の種(Neurospora sp.)、およびセラチア属の種(Serratia sp.)からなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼは、シェフェルソミセス・スチピチス、トリコデルマ・リーゼイ、ピキア・スチピチス、サッカロミセス・セレビシエ、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)、ガラクトカンジダ・マストテルミティス(Galactocandida mastotermitis)、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)およびセラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)からなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、xyl2および/もしくはxdh1、またはそれらのホモログである。いくつかの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:90および92からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、キシリトールデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:88、89および91からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。別の態様において、この酵素は、D-キシルロースをキシリトールに変換する。別の態様において、この酵素は、D-キシルロースからキシリトールへの変換について高い活性を有し、好ましくは、逆の反応、すなわちキシリトールからD-キシルロースへの変換について低い活性または無活性を有する。別の態様において、これは、酵素工学を通じて達成される。
【0314】
可溶性ピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼ(EC 1.6.1.1.)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0315】
可溶性ピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼは、NAD(P)+トランスヒドロゲナーゼ(B-特異的)、STH、ピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼ、またはトランスヒドロゲナーゼとしても公知であり得る。
【0316】
大腸菌は、可溶性および膜結合型の両方のピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼを含有する。可溶性ピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼは、sthAまたはudhA遺伝子生成物であり;その主要な生理学的役割は、NADPHの再酸化であるように見える。膜結合型プロトン輸送性トランスヒドロゲナーゼはpntAB遺伝子産物であり、PntABはNADPHの主な供給源である。
【0317】
UdhAは、非共有結合型FADを含有し、7または8つの単量体からなる形態で存在する。
【0318】
UdhA(SthA)の中等度の過剰発現は、ホスホグルコースイソメラーゼ変異体の最大増殖速度を増加させ、pgi sthA二重変異体は生存不可能である。これらの表現型は、UdhAが過剰のNADPH形成の条件下で細胞の酸化還元バランスを回復する能力が原因であり得る。sthAにおける変異は、グルコース最少培地での増殖にpgi変異株が適応する間に出現する。
【0319】
sthAの転写は、グリセロールでの増殖によってダウンレギュレーションされる。
【0320】
いくつかの態様において、トランスヒドロゲナーゼの発現は、NADPH依存性アルコールデヒドロゲナーゼの活性を増加させ、アセトンから2-プロパノールへの変換の改善をもたらすことができる。一態様において、可溶性ピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼは、大腸菌から得られた1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様において、可溶性ピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、udhAまたはそのホモログである。いくつかの態様において、可溶性ピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:142に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、可溶性ピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:141に示される核酸配列によってコードされる。
【0321】
ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ(EC 2.3.3.-)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0322】
ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼは、(S)-3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoAアセトアセチルCoA-リアーゼ(CoAアセチル化)、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoAシンセターゼ、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素Aシンターゼ、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素Aシンセターゼ、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoAシンターゼ、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素Aシンターゼ、β-ヒドロキシ-β-メチルグルタリルCoAシンターゼ、HMG-CoAシンターゼ、アセトアセチル補酵素Aトランスアセターゼ、ヒドロキシメチルグルタリル補酵素Aシンターゼ、およびヒドロキシメチルグルタリル補酵素A縮合酵素としても公知であり得る。
【0323】
ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼは、コレステロールの前駆体(R)-メバロン酸の合成初期段階である、アセチルCoAとアセトアセチルCoAとを縮合させて(S)-3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoAを形成することを触媒する。
【0324】
酵素は、4つの段階に分割できる複合反応を触媒する。第一の段階は、酵素アセチルCoA二元複合体の形成に続く、CoAチオエステルから酵素のシステイン残基へのアセチル基の転移を伴い、チオエステルアシル-酵素中間体を形成する。次の段階で、今回還元されたCoAが解離し、第二の基質、アセトアセチルCoAが酵素と結合する。第三の段階は、アセチルシステインのメチルからプロトンの除去によるカルバニオンの形成を伴う。次いで、活性化されたアセチルシステインが、アセトアセチルCoAリガンドのγ-炭素とのクライゼン様縮合を受け、酵素とのチオエステル結合を保ちながらHMG-CoAを形成する。最終段階は、この結合の加水分解を含み、遊離HMG-CoAをもたらす。
【0325】
ホモ・サピエンスからのHMGCS1遺伝子が、クローニングされ、配列決定されている(Russ AP et al. (1992) Amplification and direct sequencing of a cDNA encoding human cytosolic 3-hydroxy-3-methylglutaryl-coenzyme A synthase. Biochim Biophys Acta 1132(3): 329-31)。この遺伝子は大腸菌に発現され、組換えタンパク質が精製され、特徴付けられた(Rokosz LL et al. (1994) Human cytoplasmic 3-hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme A synthase: expression, purification, and characterization of recombinant wild-type and Cys129 mutant enzymes. Arch Biochem Biophys 312(1): 1-13)。この酵素は、120kDaのホモ二量体である。触媒作用は、共有結合的アセチル-酵素中間体の形成によって進行する。速度論データは、2つの基質(アセチルCoAおよびアセトアセチルCoA)が同じ部位への結合を競合することを示唆している。
【0326】
一態様において、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼは、3-ヒドロキシイソ吉草酸(3HIV)シンターゼ活性を有することができ、以下の反応を触媒することができる:
【0327】
一態様において、3HIVシンターゼは、ハツカネズミ属の種(Mus sp.)、サッカロミセス属の種、ラクトバチルス属の種(Lactobacillus sp.)およびポラロモナス属の種(Polaromonas sp.)より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様において、3HIVシンターゼは、マウス、サッカロミセス・セレビシエ、ラクトバシラス・クリスパタスおよびポラロモナス・ナフタレニボランスより選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、3HIVシンターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、Hmgcs1、ERG13、PksGおよび/もしくはPnap_0477、またはそれらのホモログより選択される。さらなる態様において、3HIVシンターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:105、107、109および111からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様において、3HIVシンターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:104、106、108および110からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、hmgSまたはそのホモログである。さらなる態様において、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:123に示されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様において、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:122に示される核酸配列によってコードされる。
【0328】
メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ(EC 4.2.1.18)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0329】
この酵素は、ロイシン分解経路における3-メチルグルタコニルCoAから(S)-3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoAへの水のシン付加を触媒する。細菌酵素は、シュードモナス・プチダで特徴付けられている。この酵素は、その活性部位にグルタミル残基を2つでなく、1つだけ有し、結果として異なる反応機構をもたらすことが、哺乳動物酵素と異なる。これらの酵素は、クロトナーゼスーパーファミリーのメンバーであり(Wong BJ and Gerlt JA (2004) Evolution of function in the crotonase superfamily: (3S)-methylglutaconyl-CoA hydratase from Pseudomonas putida. Biochemistry 43(16): 4646-4654)、(Hamed RB et al. (2008) Mechanisms and structures of crotonase superfamily enzymes--how nature controls enolate and oxyanion reactivity. Cell Mol Life Sci 65(16): 2507-2527)に総説されている。
【0330】
組換え酵素が大腸菌において発現され、精製され、特徴付けられた。10-Hisタグ付きポリペプチドの見かけの分子量は、ESI-MSによって32.251kDaであると決定された。その後、酵素の特徴付けの前に10-Hisタグが除去された(Wong and Gerlt 2004)。
【0331】
一態様において、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼは、シュードモナス属の種(Pseudomonas sp.)から得られた1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様において、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼは、シュードモナス・プチダから得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、liuCまたはそのホモログである。さらなる態様において、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:125に示されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様において、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:124に示される核酸配列によってコードされる。
【0332】
メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ(EC 6.4.1.4)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0333】
酵素活性は、3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ複合体に関連する。この酵素は、シュードモナス・エルギノーサPAO1のL-ロイシン(およびイソ吉草酸)分解経路に関与するビオチン含有ビオチン依存性カルボキシラーゼである。この経路はまた、非環式テルペン利用経路(シトロネロール分解経路およびcis-ゲナニルCoA分解経路)の最終段階でもある。この酵素は、シトロネロールまたはシトロネレート増殖細胞において発現されず、イソバレレート増殖細胞において発現される。遺伝子liuBおよびliuDは、3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼの2種のサブユニットをコードする。これらのサブユニットは、この生物のliuRABCDE遺伝子クラスター中にコードされる(Hoschle B et al. (2005) Methylcrotonyl-CoA and geranyl-CoA carboxylases are involved in leucine/isovalerate utilization (Liu) and acyclic terpene utilization (Atu), and are encoded by liuB/liuD and atuC/atuF, in Pseudomonas aeruginosa. Microbiology 151(Pt 11): 3649-3656; Forster-Fromme K and Jendrossek D (2010). Catabolism of citronellol and related acyclic terpenoids in pseudomonads. Appl Microbiol Biotechnol 87(3): 859-869)。
【0334】
この酵素は、アビジンアフィニティークロマトグラフィーによって細胞抽出物から精製され、SDS-ゲルで単離されたサブユニットが、トリプシンフィンガープリント分析およびESI-MSに供され、それらの対応する遺伝子の同定が可能になった(Hoschle et al. 2005)。
【0335】
シュードモナス・シトロネロリス(Pseudomonas citronellolis)の3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼが、より初期の研究で特徴付けられた(Hector ML and Fall RR (1976) Multiple acyl-coenzyme A carboxylases in Pseudomonas citronellolis. Biochemistry 15(16): 3465-3472; Fall RR and Hector ML (1977) Acyl-coenzyme A carboxylases. Homologous 3-methylcrotonyl-CoA and geranyl-CoA carboxylases from Pseudomonas citronellolis. Biochemistry 16(18): 4000-4005; Fall RR (1981) 3-Methylcrotonyl-CoA and geranyl-CoA carboxylases from Pseudomonas citronellolis. Methods Enzymol 71 Pt C: 791-799)。
【0336】
一態様において、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼは、シュードモナス属の種から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様において、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼは、シュードモナス・エルギノーサから得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、liuBおよび/もしくはliuD、またはそれらのホモログより選択される。さらなる態様において、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:127および129より選択されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様において、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:126および128より選択される核酸配列によってコードされる。
【0337】
メチルクロトニルCoAヒドラターゼ(EC 4.2.1.17)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0338】
例示的な酵素は3-ケトアシルCoAチオラーゼである。これは、β-酸化サイクルを介する脂肪酸分解に関与する。これは、基質に対して広い鎖長特異性を有するが、中鎖基質でその最高の活性を示す。これは、多酵素複合体の一部分であり、fadA遺伝子によってコードされる(Yang SY et al (1990) Nucleotide sequence of the fadA gene. Primary structure of 3-ketoacyl-coenzyme A thiolase from Escherichia coli and the structural organization of the fadAB operon. J Biol Chem 265(18): 10424-10429; )。
【0339】
3-ケトアシルCoAチオラーゼは、アセチルCoA C-アシルトランスフェラーゼ、β-ケトチオラーゼ、アセチルCoAアシルトランスフェラーゼおよびアシルCoA:アセチルCoA C-アシルトランスフェラーゼとしても公知であり得る。
【0340】
別の例示的な酵素はエノイルCoAヒドラターゼである。アルファサブユニットは、それに関連する4つの酵素活性を有する。これは、多酵素複合体の一部分である。活性のうち2つ、エノイルCoAヒドラターゼ(EC 4.2.1.17)および3-OHアシルCoAエピメラーゼ(EC 5.1.2.3)は、同じN末端活性部位によって実行される(Yang SY and Elzinga M (1993) Association of both enoyl coenzyme A hydratase and 3-hydroxyacyl coenzyme A epimerase with an active site in the amino-terminal domain of the multifunctional fatty acid oxidation protein from Escherichia coli. J Biol Chem 268(9): 6588-6592)。
【0341】
一態様において、メチルクロトニルCoAヒドラターゼは3-ケトアシルCoAチオラーゼである。別の態様において、メチルクロトニルCoAヒドラターゼは、大腸菌から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、メチルクロトニルCoAヒドラターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、fadAまたはそのホモログである。さらなる態様において、メチルクロトニルCoAヒドラターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:131に示されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様において、メチルクロトニルCoAヒドラターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:130に示される核酸配列によってコードされる。
【0342】
一態様において、メチルクロトニルCoAヒドラターゼはエノイルCoAヒドラターゼである。別の態様において、メチルクロトニルCoAヒドラターゼは、大腸菌から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、メチルクロトニルCoAヒドラターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、fadBまたはそのホモログである。さらなる態様において、メチルクロトニルCoAヒドラターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:133に示されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様において、メチルクロトニルCoAヒドラターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:132に示される核酸配列によってコードされる。
【0343】
3-ヒドロキシ-イソバレリルCoAチオエステラーゼ(EC 3.1.2.-)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0344】
例示的なアシルCoAチオエステラーゼはTesBである。チオエステラーゼII(TesB)は、大腸菌に存在するいくつかのチオエステラーゼのうちの1つである。酵素は、比較的広い基質特異性を有し、中鎖および長鎖アシルCoA基質を切断し;試験された基質の最高のものは3,5-テトラデカジエノイルCoAであった(Nie L et al. (2008) A novel paradigm of fatty acid beta-oxidation exemplified by the thioesterase-dependent partial degradation of conjugated linoleic acid that fully supports growth of Escherichia coli. Biochemistry 47(36): 9618-9626)。チオエステラーゼIIは、唯一の炭素源としてのオレエートまたは共役リノール酸での増殖を支援するチオエステラーゼの1つである(Nie et al. 2008)。
【0345】
酵素の結晶構造は、分解能1.9Åで解析されている。D204残基が活性部位中にあると予測され、その重要性は、変異体の動態解析によって確認された(Li J et al. (2000) Crystal structure of the Escherichia coli thioesterase II, a homolog of the human Nef binding enzyme. Nat Struct Biol 7(7): 555-559)。
【0346】
tesBを欠如または過剰生成している株は、明らかな欠損を有するわけではない(Narasimhan ML et al. (1986) Genetic and biochemical characterization of an Escherichia coli K-12 mutant deficient in acyl-coenzyme A thioesterase II. J Bacteriol 165(3): 911-917; Naggert J et al. (1991) Cloning, sequencing, and characterization of Escherichia coli thioesterase II. J Biol Chem 266(17): 11044-11050)。TesBの過剰生成は、グリセロール飢餓時に蓄積する長鎖アシル-ACP分子による脂肪酸の合成阻害を緩和する(Jiang P and Cronan JE (1994) Inhibition of fatty acid synthesis in Escherichia coli in the absence of phospholipid synthesis and release of inhibition by thioesterase action. J Bacteriol 176(10): 2814-2821)。
【0347】
一態様において、3-ヒドロキシ-イソバレリルCoAチオエステラーゼは、大腸菌から得られた1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、3-ヒドロキシ-イソバレリルCoAチオエステラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、tesBまたはそのホモログである。さらなる態様において、3-ヒドロキシ-イソバレリルCoAチオエステラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:135に示されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様において、3-ヒドロキシ-イソバレリルCoAチオエステラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:134に示される核酸配列によってコードされる。
【0348】
メバロン酸-3-キナーゼ(EC 2.7.1.-)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0349】
メバロン酸-3-キナーゼは、(R)-MVA 3-ホスホトランスフェラーゼまたは3-ヒドロキシイソ吉草酸(3HIV)キナーゼとしても公知であり得る。
【0350】
サーモプラズマ・アシドフィルム由来のこの酵素のサブユニット構造は、報告されていない。
【0351】
好熱性古細菌サーモプラズマ・アシドフィルム由来メバロン酸-3-キナーゼは、古細菌に見出されたメバロン酸経路のバリアントに関係すると考えられる(Azami Y et al. (2014) (R)-Mevalonate 3-Phosphate Is an intermediate of the Mevalonate Pathway in Thermoplasma acidophilum. J Biol Chem 289(23): 15957-15967; Vinokur JM et al. (2014) Evidence of a Novel Mevalonate Pathway in Archaea. Biochemistry 53(25): 4161-4168)。
【0352】
組換えHisタグ付き酵素が、大腸菌において発現され、精製および特徴付けられた。それとジホスホメバロン酸デカルボキシラーゼとの相同性にかかわらず、それはデカルボキシラーゼ活性を示さなかった(Azami et al. 2014; Vinokur et al. 2014)。この酵素は、弱いホスホメバロン酸キナーゼ活性を示し、少量の(R)-メバロン酸二リン酸を生成した(Azami et al. 2014)。これは、メバロン酸-5-キナーゼ活性を有しなかった(Vinokur et al. 2014)。
【0353】
一態様において、3HIVキナーゼは、サーモプラズマ属の種(Thermoplasma sp.)およびピクロフィルス属の種(Picrophilus sp.)からなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様において、3HIVキナーゼは、サーモプラズマ・アシドフィルムおよびピクロフィルス・トリダス(Picrophilus torridus)からなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、3HIVキナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、TA1305および/もしくはPTO1356、またはそれらのホモログである。いくつかの態様において、TA1305は、L200E変異を含む。さらなる態様において、3HIV-キナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:113、115および117からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様において、3HIVキナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:112、114および116からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0354】
メバロン酸二リン酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.-)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
(R)-メバロン酸二リン酸 + ATP → イソペンテニル二リン酸 + CO2 + ADP + リン酸
3-ホスホノオキシイソ吉草酸 → CO2 + イソブテン
3-ヒドロキシイソ吉草酸 → CO2 + イソブテン
【0355】
メバロン酸二リン酸デカルボキシラーゼは、ピロホスホメバロネートデカルボキシラーゼ、メバロン酸-5-ピロリン酸デカルボキシラーゼ、ピロホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ、5-ピロホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ、メバロン酸5-二リン酸デカルボキシラーゼ、およびATP:(R)-5-ジホスホメバロン酸カルボキシリアーゼ(脱水)、3-ホスホノオキシイソ吉草酸デカルボキシラーゼ、3-ヒドロキシイソ吉草酸-3-リン酸デカルボキシラーゼ、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ、3-ヒドロキシイソ吉草酸デカルボキシラーゼおよび3HIVデカルボキシラーゼとしても公知であり得る。
【0356】
この酵素は、ATP依存性脱炭酸を通じてメバロン酸5-二リン酸(MVAPP)をイソペンテニル二リン酸(IPP)に変換する。この酵素の2種の基質は、ATPおよびメバロン酸5-二リン酸であり、一方、その4種類の生成物は、ADP、リン酸、イソペンテニル二リン酸、およびCO2である。
【0357】
メバロン酸二リン酸デカルボキシラーゼは、メバロン酸経路における最終段階を触媒する。メバロン酸経路は、酢酸からのイソプレノイドの生合成を担う。この経路は、ステロールであるイソプレノイド、例えばコレステロール、および非ステロールであるイソプレノイド、例えばドリコール、ヘムA、tRNAイソペンテニルトランスフェラーゼ、およびユビキノンを合成することによって複数の細胞過程に主要な役割を果たす。この酵素は、リアーゼのファミリー、具体的には炭素-炭素結合を切断するカルボキシリアーゼに属する。
【0358】
メバロン酸二リン酸デカルボキシラーゼは、2種類の基質:ATPおよびメバロン酸5-二リン酸を認識し、それらと結合する。結合後、酵素は、2つの主段階に分けることができる3つの反応を行う。第一に、リン酸化が起こる。これは、反応性中間体を創出し、第二段階で反応性中間体は協調した脱リン酸および脱炭酸を受ける。
【0359】
一態様において、反応3-ホスホノオキシイソ吉草酸 → CO2 + イソブテンを触媒する酵素は、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼである。別の態様において、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼは、ストレプトコッカス属の種(Streptococcus sp.)から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、微生物は、ストレプトコッカス・ミティスおよび/またはストレプトコッカス・ゴルドニイより選択される。いくつかの態様において、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:119および121より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:118および120より選択される核酸配列によってコードされる。
【0360】
一態様において、反応3-ヒドロキシイソ吉草酸 → CO2 + イソブテンを触媒する酵素は3HIVデカルボキシラーゼである。別の態様において、3HIVデカルボキシラーゼは、ストレプトコッカス属の種、サーモプラズマ属の種およびピクロフィルス属の種からなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様において、3HIVデカルボキシラーゼは、ストレプトコッカス・ゴルドニイ、サーモプラズマ・アシドフィルムおよびピクロフィルス・トリダスからなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様において、3HIVデカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、mvaD、TA1305および/もしくはPTO1356、またはそれらのホモログを含む。さらなる態様において、3HIVデカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:113、117および121からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様において、3HIVデカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:112、116および120からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0361】
トランスケトラーゼ(EC 2.2.1.1)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0362】
トランスケトラーゼは、グリコールアルデヒドトランスフェラーゼとしても公知であり得る。
【0363】
トランスケトラーゼは、いくつかのドナー基質とアクセプター基質との間のケトール基の可逆転移を触媒する。この主要な酵素は、解糖とペントースリン酸経路との間の可逆的な連結である。この酵素は、ペントース糖の異化、D-リボース5-リン酸の形成、ならびに芳香族アミノ酸およびPLPの前駆体であるD-エリトロース4-リン酸の提供に関与する。大腸菌は、2種のトランスケトラーゼアイソザイム、TktAおよびTktBを含有する。TktAは、主要なトランスケトラーゼ活性を担う。
【0364】
中心炭素の代謝におけるその機能に加えて、トランスケトラーゼは、染色体の構造に予想外の役割も有するように見え、tktA変異体は染色体のトポロジーに影響する。
【0365】
ドナー基質およびアクセプター基質と複合体化したTktAの結晶構造が解析されており、トランスケトラーゼの反応機構および作用様式を解明している。量子力学/分子力学方法を用いたトランスケトラーゼ活性の計算モデルが提唱されており、チアミン二リン酸活性化についての新しいルートを規定している。トランスケトラーゼI(TktA)はホモ二量体性である。TktAの野生型および活性部位変異体の尿素変性経路が研究されており、トランスケトラーゼの構造、安定性、集合および活性に対する温度およびpHの影響が決定されている。TktAのアクセプター特異性が研究されている。
【0366】
TktAの存在量は、SOS誘導物質および変異原、7-メトキシ-2-ニトロナフト[2,1-b]フラン(R7000)によって影響される。tktAは、静止期への流入の間に負の制御がされる。RpoSによる影響は、間接的である可能性があり、それ自体がRpoSによって直接制御される中間体制御因子によって媒介される場合がある。
【0367】
トランスケトラーゼII(TktB)のサブユニット構造は、明確には決定されていない。TktBの過剰生成は、tktA変異体の表現型を抑制する。tktBの発現は、フェニルアラニンの存在下のtyrR変異体で増加される。tktBの発現は、静止期で増加され、RpoSおよびppGppによって正の制御をされる。TktBタンパク質のレベルは、浸透圧ストレス中に好気的条件下で増加するが、嫌気的増殖条件下で増加しない。TktBは、デグラドソームと会合されるように見え、炭素代謝を複製と結び付ける場合がある。
【0368】
tktAおよびtktBの発現は相補的であり、増殖の間、ほぼ一定レベルのトランスケトラーゼ発現をもたらす。
【0369】
いくつかの態様において、トランスケトラーゼは、大腸菌由来tktAと少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。さらなる態様において、トランスケトラーゼは、大腸菌由来tktAと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。なおさらなる態様において、トランスケトラーゼは、大腸菌由来tktAと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様において、トランスケトラーゼは大腸菌由来tktAである。いくつかの態様において、トランスケトラーゼは、大腸菌由来tktBと少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。さらなる態様において、トランスケトラーゼは、大腸菌由来tktBと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。なおさらなる態様において、トランスケトラーゼは、大腸菌由来tktBと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様において、トランスケトラーゼは大腸菌由来tktBである。
【0370】
いくつかの態様において、トランスケトラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、tktAまたはそのホモログである。いくつかの態様において、トランスケトラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、tktBまたはそのホモログである。別の態様において、トランスケトラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:148および150からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、トランスケトラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:147および149からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0371】
トランスアルドラーゼ(EC 2.2.1.2)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0372】
トランスアルドラーゼは、ジヒドロキシアセトントランスフェラーゼ;ジヒドロキシアセトンシンターゼ;ホルムアルデヒドトランスケトラーゼとしても公知であり得る。
【0373】
トランスアルドラーゼBは、ペントースリン酸経路の非酸化的分岐の酵素である。トランスケトラーゼと共に、トランスアルドラーゼは、ペントースリン酸経路と解糖との間の可逆的連鎖を創出する。これは、グリセルアルデヒド-3-リン酸およびセドヘプツロース-7-リン酸からフルクトース-6-リン酸およびエリトロース-4-リン酸への相互変換を触媒する。この反応およびペントースリン酸経路を通る炭素フラックスの可逆性は、実験的および理論的の両方で取り組まれている。
【0374】
大腸菌におけるtalAおよびtalBによってコードされる2つの密接に関係するトランスアルドラーゼがある。トランスアルドラーゼBだけが生化学的に特徴付けられている。TalBは、溶液中および結晶構造で二量体である。R300残基の変異は、触媒活性単量体の形成をもたらす。触媒的に重要な活性部位残基は、部位特異的変異誘発によって同定されている。
【0375】
トランスアルドラーゼBの結晶構造が決定され、活性部位にシッフ塩基中間体の存在を確認し、提唱された反応機構をもたらしている。
【0376】
talBヌル変異体は、グルコースを炭素源として有する最少培地で増殖欠損を有しない。
【0377】
いくつかの態様において、トランスアルドラーゼは、大腸菌由来talAまたはtalBと少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。さらなる態様において、トランスアルドラーゼは、大腸菌由来talAまたはtalBと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。なおさらなる態様において、トランスアルドラーゼは、大腸菌由来talAまたはtalBと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様において、トランスアルドラーゼは大腸菌由来talAである。なおさらなる態様において、トランスアルドラーゼは大腸菌由来talBである。
【0378】
いくつかの態様において、トランスアルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、talAまたはそのホモログである。いくつかの態様において、トランスアルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、talBまたはそのホモログである。別の態様において、トランスアルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:152および154からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、トランスアルドラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:151および153からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0379】
リボース-5-リン酸イソメラーゼ(EC 5.3.1.6)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0380】
リボース-5-リン酸イソメラーゼは、ホスホペントースイソメラーゼ;ホスホリボイソメラーゼ;リボースリン酸イソメラーゼ;5-ホスホリボースイソメラーゼ;D-リボース5-リン酸イソメラーゼ;D-リボース-5-リン酸ケトール-イソメラーゼとしても公知であり得る。
【0381】
大腸菌には、2つの物理的および遺伝的に別個のリボース-5-リン酸イソメラーゼが存在する。構成的リボース-5-リン酸イソメラーゼA(rpiA)は通常、細胞におけるリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性の99%超を占め、ペントースリン酸経路(非酸化的分岐)において機能する。誘導性リボース-5-リン酸イソメラーゼB(rpiB)は、その発現が誘導された場合、rpiAの機能の代わりをすることができる。2つの酵素の間に配列類似性はない。
【0382】
rpiAの結晶構造が解析されており、活性部位残基および酸-塩基触媒機構が予測された。rpiA変異体は、増殖のためにリボースを必要とする。
【0383】
いくつかの態様において、リボース-5-リン酸イソメラーゼは、大腸菌由来rpiAまたはrpiBと少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。さらなる態様において、リボース-5-リン酸イソメラーゼは、大腸菌由来rpiAまたはrpiBと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。なおさらなる態様において、リボース-5-リン酸イソメラーゼは、大腸菌由来rpiAまたはrpiBと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様において、リボース-5-リン酸イソメラーゼは、大腸菌由来rpiAまたはrpiBである。
【0384】
いくつかの態様において、リボース-5-リン酸イソメラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、rpiAまたはそのホモログである。別の態様において、リボース-5-リン酸イソメラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:156に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、リボース-5-リン酸イソメラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:155に示される核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、リボース-5-リン酸イソメラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、rpiBまたはそのホモログである。別の態様において、1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:253に示されるアミノ酸配列を含むリボース-5-リン酸をコードする。さらなる態様において、リボース-5-リン酸イソメラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:254に示される核酸配列によってコードされる。
【0385】
リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ(EC 5.1.3.1)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0386】
リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼは、リブロース-リン酸3-エピメラーゼ;ホスホリブロースエピメラーゼ;エリトロース-4-リン酸イソメラーゼ;ホスホケトペントース3-エピメラーゼ;キシルロースリン酸3-エピメラーゼ;ホスホケトペントースエピメラーゼ;D-リブロースリン酸-3-エピメラーゼ;D-リブロース5-リン酸エピメラーゼ;D-リブロース-5-P 3-エピメラーゼ;D-キシルロース-5-リン酸3-エピメラーゼ;ペントース-5-リン酸3-エピメラーゼとしても公知であり得る。
【0387】
リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ(Rpe)は、ペントースリン酸経路の非酸化的分岐の酵素である。
【0388】
Rpeは、活性に二価鉄を必要とし、フェントン化学反応が原因のH2O2による損傷に対して脆弱である。Mn2+、Co2+およびZn2+で様々な程度にFe2+の代わりをすることができ、これらの代替陽イオンを含有するRpeはH2O2に脆弱ではない。マンガン輸送体の誘導は、H2O2損傷からRpeを保護することができる。
【0389】
いくつかの態様において、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼは、大腸菌由来rpeと少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。さらなる態様において、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼは、大腸菌由来rpeと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。なおさらなる態様において、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼは、大腸菌由来rpeと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様において、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼは、大腸菌由来rpeである。
【0390】
いくつかの態様において、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、rpeまたはそのホモログである。別の態様において、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:158に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:157に示される核酸配列によってコードされる。
【0391】
フルクトース6-リン酸ホスホケトラーゼ(Fpk、EC 4.1.2.22)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0392】
β-D-フルクトフラノース6-リン酸がD-エリトロース4-リン酸およびアセチルリン酸に変換されるホスホケトラーゼ反応は、ビフィドバクテリウムシャントにおける主要な反応の1つである。ビフィドバクテリウムに2つの別個のF6P-ホスホケトラーゼ酵素が存在する証拠がある。一方はF6P単独に特異的であるのに対し、他方は、F6PおよびD-キシルロース5-リン酸の両方を利用することができ(EC:4.1.2.9)、これはビフィドバクテリウムシャントの後期に出現する反応である。ビフィドバクテリウム・アニマリス・ラクティスで本来発見されたxfp遺伝子によってコードされる酵素は、二重特異性の酵素である。ホスホケトラーゼは、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc nesenteroides)(LEUM_1961)からも精製されている。
【0393】
いくつかの態様において、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素は、ビフィドバクテリウム・デンティウムBDP_1006、ビフィドバクテリウム・ラクティスxfp、ラクトバチルス・パラプランタルムxpkAおよびビフィドバクテリウム・ブレベxfpからなる群より選択されるフルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様において、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素は、ビフィドバクテリウム・デンティウムBDP_1006、ビフィドバクテリウム・ラクティスxfp、ラクトバチルス・パラプランタルムxpkAおよびビフィドバクテリウム・ブレベxfpからなる群より選択される。別の態様において、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:212、214、216および218からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:211、213、215および217からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0394】
リン酸アセチルトランスフェラーゼ(EC 2.3.1.8)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0395】
リン酸アセチルトランスフェラーゼ(Pta)は、酢酸の代謝における一段階であるアセチルCoAとアセチルリン酸との間の可逆的変換を触媒する。ピルビン酸およびホスホエノールピルビン酸の両方は、アセチルリン酸合成の方向でこの酵素を活性化し、アセチルCoA合成の方向でこの酵素を阻害する。アセチルCoA I経路からの酢酸形成は、酢酸へのフラックスを低下させ、商業的に所望の最終生成物の生成を増加するための代謝工学の標的であった。これはまた、代謝モデリングおよびフラックスバランス解析などのシステム生物学のアプローチを使用して研究されている。
【0396】
Ptaは3つのドメインから構成され、C末端ドメインだけがリン酸アセチルトランスフェラーゼ活性に必要とされる。N末端ドメインは、天然の四次構造の安定化および代謝制御に関与する。
【0397】
Ptaは、アセチルCoAおよびプロピオニルCoAの両方を利用することができ得る。ack pta二重変異体は、L-トレオニンからのプロピオン酸の低下したレベルを有し、この酵素がL-トレオニンをプロピオン酸に代謝する嫌気的経路の一部であることを示唆している。pta変異体は、酢酸を唯一の炭素源として増殖しない。pta変異体およびpta ackA変異体の両方は、グルコース飢餓から生存する能力に欠陥がある。pta変異体の増殖欠損は、アセチルCoAフラックスの撹乱が原因であるように見える。pta変異体は、微好気性条件下でグルコースを炭素源として増殖した場合に多量のラクテートを生成する。代謝、酵素活性および遺伝子発現に対するpta変異の作用は、近年、徹底的に研究されている。pta変異体およびrecBC変異体は、合成的に増殖阻害されている。
【0398】
Ptaのレベルは、アセテートでの増殖によって低pH条件下で減少する。ptaは、CreBCレギュロンに属する。FNRは、pta発現にわずかにプラスの作用を有する。pta-ackAの増殖速度依存性発現パターンが測定された。
【0399】
この酵素をコードするptaは、クロストリジウム・アセトブチリクムからクローニングされ、配列決定され、大腸菌において発現されている。この遺伝子は、第二の段階を触媒する酵素、酢酸キナーゼをコードするackA遺伝子に隣接する。サブクローンを保有する大腸菌およびクロストリジウム・アセトブチリクム由来の細胞抽出物に行われた酵素活性アッセイは、上昇した活性を示した。酵素は、生物が溶媒形成段階に達した場合に比活性の減少を示す。
【0400】
リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素またはリン酸アセチルトランスフェラーゼ遺伝子はまた、大腸菌(eutD、pta)、ロセオバリウス・ヌビンヒベンス(Roseovarius nubinhibens)ISM、クロストリジウム・クライベリ(Clostridium kluyveri)、クラミドモナス・レインハルドティ(Chlamydomonas reinhardtii)(PAT2)、ダシトリカ・ルミナンチウム(Dasytricha ruminantium)、ペロバクター・アセチレニクス(Pelobacter acetylenicus)、ゴッチャルキア・アシズリチ(Gottschalkia acidurici)、ラクトバチルス・サンフランシセンシス(Lactobacillus sanfranciscensis)、パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans)NKNIS、ユーバクテリウム・オキシドレズセンス(Eubacterium oxidoreducens)G41、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)M129、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)、ムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)、メタノサルシナ・サーモフィル(Methanosarcina thermophile)、クロストリジウム・プロピオニクム(Clostridium propionicum)およびフソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)からも同定または測定されている。
【0401】
いくつかの態様において、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌ptaおよびクロストリジウム・アセトブチリクムptaより選択されるリン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様において、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌ptaおよびクロストリジウム・アセトブチリクムptaより選択される。別の態様において、リン酸アセチルトランスフェラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:220および222より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、リン酸アセチルトランスフェラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:219および221より選択される核酸配列によってコードされる。
【0402】
ペントースホスファターゼ(EC 3.1.3.23およびEC 3.1.3.1)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
D-ペントース5-リン酸 + H2O → D-ペントース + リン酸
D-リボース5-リン酸 + H2O → D-リボース + リン酸
D-キシルロース5-リン酸 + H2O → D-キシルロース + リン酸
D-リブロース5-リン酸 + H2O → D-リブロース + リン酸
糖リン酸 + H2O → 糖 + リン酸
【0403】
大腸菌YbiVは、II型ハロ酸デハロゲナーゼ(HAD)様ヒドロラーゼのファミリーに属する糖ホスファターゼである。これは、その選好される基質の間で低レベルの識別を示す。加えて、YbiVは、一リン酸をリン酸ドナーとして使用して低レベルのホスホトランスフェラーゼ活性を有するように見える。YbiVのホスファターゼ活性は、精製タンパク質の高スループットスクリーニングでも発見された。YbiVの結晶構造が解析されており、触媒メカニズムが示唆された。YbiVは、溶液中でホモ二量体として存在し得る。
【0404】
大腸菌YidAは、ハロ酸デハロゲナーゼ(HAD)様ヒドロラーゼのスーパーファミリーに属する基質特異性が極めて寛容な(promiscuous)糖ホスファターゼである。それの選好される基質は、エリトロース-4-リン酸である。YidAは、α-D-グルコース-1-リン酸を選択的に加水分解し、β型とは活性を有しない。反応は、C1-O結合でなくP-O結合の切断を伴う標準的ホスホモノエステルヒドロラーゼ機構を介して進行する。YidAのホスファターゼ活性は、精製タンパク質の高スループットスクリーニングで最初に発見された。YidA中の予測される触媒Asp残基の変異誘発はホスファターゼ活性の喪失をもたらす。YidAは、糖アクセプターへのホスホリル転移を触媒しない。
【0405】
大腸菌アルカリホスファターゼ(phoA)は、多種多様なリン酸モノエステルの加水分解およびリン酸転移を触媒するペリプラズム性ホモ二量体酵素である。反応は、ホスホセリル中間体に続く、無機リン酸およびアルコールの放出を通じて進行する。リン酸転移反応は、トリスまたはエタノールアミンなどのアクセプターのアルコールへのホスホリル基転移をもたらす。アルカリホスファターゼは、1つの単量体あたり2つの亜鉛原子および1つのマグネシウムイオンと結合する金属酵素である。アルカリホスファターゼは、その相対比率が増殖条件に依存する、アイソザイム1、2および3と名づけられた3つの主要形態で存在する。アイソザイムは、NH2末端アルギニン残基の存在または非存在によって区別され、これは、アイソザイム1の両方のサブユニットに存在し、アイソザイム3の両方のサブユニットに存在せず、アイソザイム2では不均一である。N末端アルギニンの除去は、膜結合型のタンパク質分解酵素Iapによって触媒される。前駆体ポリペプチドは、シグナル配列の除去と同時に、内膜を通って細胞周辺腔に分泌される。PhoAのインビボでのフォールディングは、ペリプラズムタンパク質、DsbAによって触媒され、ポリペプチドがリボソームから伸長するときに起こると考えられている。phoAは、リン酸レギュロンの一部分であり;その発現は、PhoB転写制御因子によって正の制御をされる。
【0406】
いくつかの態様において、ペントースホスファターゼはアルカリホスファターゼである。いくつかの好ましい態様において、アルカリホスファターゼは、標的化されたペントース5-リン酸に選好的に作用するように進化される場合がある。いくつかの態様において、ペントースホスファターゼは糖ホスファターゼである。他の態様において、糖ホスファターゼは、標的化されたペントース5-リン酸に選好的に作用するように進化される場合がある。いくつかの態様において、ペントースホスファターゼはハロ酸デハロゲナーゼ様ヒドロラーゼである。別の態様において、ハロ酸デハロゲナーゼ様ヒドロラーゼは、標的化されたペントース5-リン酸に選好的に作用するように進化される場合がある。
【0407】
いくつかの態様において、ペントースホスファターゼは、D-ペントース-5-ホスファターゼ、D-キシルロース-5-ホスファターゼ、D-リボース-5-ホスファターゼ、およびD-リブロース-5-ホスファターゼの1つまたは複数より選択される。いくつかの態様において、ペントースホスファターゼは、大腸菌phoA、大腸菌yfbTおよび大腸菌yidAからなる群より選択されるD-ペントース-5-ホスファターゼと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、D-キシルロース-5-ホスファターゼは、枯草菌araLと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、D-リボース-5-ホスファターゼは、シロイヌナズナSGPP、シュードモナス・フルオレッセンスPFLU_2693、および大腸菌ybiVからなる群より選択されるD-リボース-5-ホスファターゼと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、D-リブロース-5-ホスファターゼは、熱帯熱マラリア原虫PF10_0325と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。
【0408】
いくつかの態様において、D-ペントース-5-ホスファターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:159、161、163、165、167、169、171および173からなる群より選択される。別の態様において、D-ペントース-5-ホスファターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:160、162、164、166、168、170、172および174からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0409】
アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.-)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0410】
エンテロコッカス・アビウム由来D-アラビトール-リン酸デヒドロゲナーゼAPDHは、均一になるまで精製されている。ホモ四量体を形成するこのタンパク質は、D-アラビトール1-リン酸およびD-アラビトール5-リン酸の両方の脱水素を触媒し、それぞれD-キシルロース5-リン酸およびD-リブロース5-リン酸を生成する。D-アラビトール1-リン酸との最大速度は、D-アラビトール5-リン酸との10倍であった。精製タンパク質が部分的に配列決定され、それをコードするAPDH遺伝子がクローニングされた。酵素は、Mn2+を必要とし、活性のためにZn2+を利用することができない。NAD(+)およびNADP(+)の両方がコファクターとして受け入れられたが、NAD+/NADHとの反応速度はNADP+/NADPHとの反応速度よりも約14倍高かった。酵素は、可逆的な反応を触媒するが、還元反応の速度は酸化反応よりもずっと高い。速度論データは、この酵素がその基質およびNADHと三元複合体を形成することを示唆している。生化学的証拠およびタンパク質配列の相同性比較の両方は、類似の酵素がグラム陽性細菌の間で広く普及し、アラビトールの異化に関与することを示している。
【0411】
いくつかの態様において、ペントールデヒドロゲナーゼ活性は、ペントールリン酸に適用するように進化される場合がある。
【0412】
いくつかの態様において、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼは、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、およびD-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素のうちの1つまたは複数より選択される。
【0413】
いくつかの態様において、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、エンテロコッカス・アビウム由来APDHと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様において、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、エンテロコッカス・アビウム由来APDHである。いくつかの態様において、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:175に示される。別の態様において、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:176に示されるアミノ酸配列を含む。
【0414】
いくつかの態様において、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、エンテロコッカス・アビウム由来APDHと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様において、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、エンテロコッカス・アビウム由来APDHである。いくつかの態様において、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:175に示される。別の態様において、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:176に示されるアミノ酸配列を含む。
【0415】
いくつかの態様において、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、カンジダ・アルビカンスARD1、カンジダ・トロピカリスARD1、シェフェルソミセス・スチピチスARDH、枯草菌egsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスegsA、大腸菌gpsAおよびサッカロミセス・セレビシエGPD1からなる群より選択されるD-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様において、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、カンジダ・アルビカンスARD1、カンジダ・トロピカリスARD1、シェフェルソミセス・スチピチスARDH、枯草菌egsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスegsA、大腸菌gpsAおよびサッカロミセス・セレビシエGPD1からなる群より選択される。いくつかの態様において、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:177、179、181、189、191、193および195からなる群より選択される。別の態様において、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:178、180、182、190、192、194および196からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0416】
いくつかの態様において、D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、シュードモナス・フルオレッセンスmtlD、クレブシエラ・ニューモニエdalD、ラルストニア・ソラナセラムdalD、枯草菌egsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスegsA、大腸菌gpsAおよびサッカロミセス・セレビシエGPD1からなる群より選択されるD-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様において、D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、シュードモナス・フルオレッセンスmtlD、クレブシエラ・ニューモニエdalD、ラルストニア・ソラナセラムdalD、枯草菌egsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスegsA、大腸菌gpsAおよびサッカロミセス・セレビシエGPD1からなる群より選択される。いくつかの態様において、D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:183、185、187、189、191、193および195からなる群より選択される。別の態様において、D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:184、186、188、190、192、194および196からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0417】
ホスホペントムターゼ(EC 5.4.2.-)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0418】
大腸菌ホスホペントムターゼdeoBは、リボースおよびデオキシリボースのそれぞれC1炭素原子とC5炭素原子との間のリン酸基の転移を触媒する分解酵素である。
【0419】
deoBにおける変異は、thy変異体の増殖のための高いチミン要求性を抑制し、静止期におけるthyA変異体の生存を改善する。deoBにおけるトランスポゾン挿入変異は、tktA tktB変異体の増殖欠損を抑制する。deoBの欠失は、野生型と比較してグリセロールの消費ならびに水素およびエタノールの生成を増加させ、操作された株でのリコペン生成を増加させる。deoオペロンは、複雑な制御パターンを有する。deoBの発現は、窒素飢餓によってダウンレギュレーションされる。大腸菌ホスホペントムターゼは、哺乳動物ホスホペントムターゼと生化学的および構造的に別個であるように見え、これを抗生物質開発の潜在的標的にしている。
【0420】
いくつかの態様において、本明細書においてホスホ糖ムターゼ(PSM)とも名づけられるホスホペントムターゼ(PPM)は、ホスホグルコムターゼ活性も有し、サッカロミセス・セレビシエ・ホスホリボムターゼPRM15(PGM3としても公知)(SEQ ID NO. 255またはSEQ ID NO:258)である。いくつかの態様において、ホスホペントースムターゼは、サッカロミセス・セレビシエ由来Pgm3と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。
【0421】
いくつかの態様において、ホスホペントムターゼはホモ・サピエンスのホスホグルコムターゼ-2(PGM2)である。
【0422】
いくつかの態様において、ホスホペントムターゼ活性は、D-キシルロース5-リン酸に適用するように進化される場合がある。他の態様において、ホスホペントムターゼ活性は、D-リブロース5-リン酸に適用するように進化される場合がある。いくつかの態様において、アルファ-ホスホグルコムターゼ活性は、D-リブロース5-リン酸またはD-キシルロース5-リン酸に適用するように進化される場合がある。クラスEC 5.4.2.2からのこの酵素は、α-グルコース1,6-ビスリン酸をコファクターとして必要とすると報告されている。さらなる態様において、ベータ-ホスホグルコムターゼ活性は、D-リブロース5-リン酸またはD-キシルロース5-リン酸に適用するように進化される場合がある。クラスEC 5.4.2.6からの酵素は、それ自体、自己リン酸化できると報告されており、従って、外部のグルコース1,6-ビスリン酸をコファクターとして必要としない。なおさらなる態様において、ホスホマンノムターゼ活性は、D-リブロース5-リン酸またはD-キシルロース5-リン酸に適用するように進化される場合がある。クラスEC 5.4.2.8からのこの酵素は、α-グルコース1,6-ビスリン酸またはα-D-マンノース1,6-ビスリン酸をコファクターとして必要とすると報告されている。
【0423】
いくつかの態様において、ホスホペントムターゼ活性を有する酵素は、大腸菌deoB、大腸菌pgm、枯草菌pgcA、ラクトコッカス・ラクチスpgmB、大腸菌ycjU、シュードモナス・エルギノーサalgC、および大腸菌cpsGからなる群より選択されるホスホペントムターゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様において、ホスホペントムターゼ活性を有する酵素は、大腸菌deoB、大腸菌pgm、枯草菌pgcA、ラクトコッカス・ラクチスpgmB、大腸菌ycjU、シュードモナス・エルギノーサalgC、S.セレビシエPGM3、および大腸菌cpsGからなる群より選択される。いくつかの態様において、ホスホペントムターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:197、199、201、203、205、207および209からなる群より選択される。別の態様において、ホスホペントムターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:198、200、202、204、206、208および210からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0424】
グルコース-6-リン酸 1-デヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.49)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0425】
グルコース-6-リン酸1-デヒドロゲナーゼは、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(NADP+);NADP-グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ;中間発酵素;D-グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ;グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ(NADP);NADP依存性グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ;6-ホスホグルコースデヒドロゲナーゼ;エントナー-ドュドロフ酵素;G6PDH;GPD;グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼとしても公知であり得る。
【0426】
グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)は、ペントースリン酸経路の第一の酵素であり、同化に必要なNADPHの大部分を提供する。
【0427】
大腸菌G6PDHは、NAD+よりもNADP+に強い選好性を示す。分子シミュレーション、部位特異的変異体の動態特徴付けおよび系統発生解析を使用してこの選好性の構造基盤が研究された。
【0428】
中心炭素の代謝経路を通過する代謝フラックスは、GC-MSおよび13C標識および2D NMR分光法を使用して測定された。異なる増殖条件下のこれらの経路の制御は、酵素発現および活性のレベルで測定された。
【0429】
天然NADPH生成酵素に代わるNADH生成グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼの使用は、その他の点で野生型の細胞の増殖速度を低下させるのに対し、Δpgi変異体の増殖速度を増加させる。これは、G6PDHによるNADHの生成が、インビボで有益であるか、それとも有害であるかが、上部のエムデン-マイヤーホフ経路の作動に依存することを示唆している。
【0430】
中心炭素の代謝におけるその役割に加えて、G6PDHは、MazEF媒介細胞死のための「細胞外デス因子」(EDF)として作用するアミノ酸配列Asn-Asn-Trp-Asn-Asn(NNWNN)を有する直鎖ペプチド源であることが見出された。このペプチドは、毒素MazFおよびChpBKのエンドリボヌクレアーゼ活性を増加させることによって作用する。ストレス条件下のEDF生成は、MazFにより特異的ACA部位でzwf mRNAが切断されて、リーダーを有しない短縮mRNAを発生することが原因である。MazF切断部位に関するEDFコード領域の位置が重要であり、トランス翻訳系が必要とされる。
【0431】
zwfは、撹乱時の発現移行パターンがそれらの対応するフラックス値と相関する遺伝子である、もっとも一貫してフラックスと共役する遺伝子の1つである。zwfの発現は、転写レベルで増殖速度により制御される。G6PDH活性は、迅速増殖細胞の方が大きく、炭素制限増殖条件と比較して窒素制限増殖条件下で大きい。zwfは、スーパーオキシドストレスに応答するSoxRSレギュロンの一部分である。追加的な制御因子は、zwfの転写を活性化することが示されている。亜テルル酸塩への曝露は、zwfの転写を活性化し、それによりNADPHの合成を増加させる。
【0432】
zwfヌル変異は、増殖速度にあまり影響しない。しかし、中心炭素の代謝および代謝フラックスが変化する。pgi zwf二重変異体は、グルコースを唯一の炭素原として増殖しない。グルコースの存在下で、これは、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼI活性を阻害するグルコース-6-リン酸を高レベル蓄積する。zwfの欠失は、大腸菌JM109の有機溶媒耐性を低下させる。
【0433】
いくつかの態様において、MEG(もしくはグリコール酸)、または任意でMEG(もしくはグリコール酸)と1つもしくは複数の同時生成物とを生成する組換え微生物は、ペントースリン酸経路の酸化的分岐を経由するグルコース-6-リン酸のフラックスを妨げ、代わりに、グルコース-6-リン酸をペントースリン酸経路の非酸化的分岐を経由して切り替えるために、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子において欠失、挿入、または機能喪失変異を含んで、1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を生成する。
【0434】
6-ホスホグルコノラクトナーゼ(EC 3.1.1.31)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
6-ホスホD-グルコノ-1,5-ラクトン + H2O → D-グルコン酸6-リン酸 + H+
【0435】
6-ホスホグルコノラクトナーゼは、ホスホグルコノラクトナーゼ;6-PGLとしても公知であり得る。
【0436】
6-ホスホグルコノラクトナーゼは、酸化的ペントースリン酸経路の酵素である。
【0437】
pgl変異株は、グルコースを唯一の炭素原として野生型よりもごくわずかに遅く増殖する。グルコースでの増殖は、6-ホスホD-グルコノ-1,5-ラクトンの非酵素的加水分解、またはグルコノラクトンの脱リン酸および搬出、グルコン酸への加水分解、続いてグルコン酸の再搬入およびリン酸化を伴うバイパス経路が原因であり得る。マルトース培地で増殖した場合、Pgl活性を欠如する株はヨウ素処理後に青変する。pgl欠失株の表現型は、シュードモナス・プチダ由来pgl遺伝子の発現によって補完されることができるが、これら2つの遺伝子の間に検出可能な類似性はない。
【0438】
リボフラビンの生成のための大腸菌の代謝操作のための戦略は、リボフラビン力価の増加をもたらすpglの過剰発現を含んでいた。
【0439】
pglは、大腸菌B株BL21で欠失しているが、K-12株MG1655に存在するゲノム領域の一部分である。
【0440】
いくつかの態様において、MEG(もしくはグリコール酸)、または任意でMEG(もしくはグリコール酸)と1つもしくは複数の同時生成物とを生成する組換え微生物は、ペントースリン酸経路の酸化的分岐を経由するグルコース-6-リン酸のフラックスを妨げ、代わりに、グルコース-6-リン酸を、ペントースリン酸経路の非酸化的分岐を経由して切り換えるために、6-ホスホグルコノラクトナーゼをコードする遺伝子において欠失、挿入、または機能喪失変異を含んで、1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を生成する。
【0441】
6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ、脱炭酸(EC 1.1.1.44)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
D-グルコン酸6-リン酸 + NADP+ → D-リブロース5-リン酸 + CO2 + NADPH
【0442】
6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼは、ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ(NADP+依存性、脱炭酸);ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ;6-ホスホグルコニックデヒドロゲナーゼ;6-ホスホグルコニックカルボキシラーゼ;6-ホスホ-D-グルコン酸デヒドロゲナーゼ;グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼとしても公知であり得る。
【0443】
6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼは、ペントースリン酸経路の酸化的分岐の酵素である。
【0444】
基質化合物および補助基質化合物と複合体化したこの酵素の3つの結晶構造が解析されている。NADP+の結合は、酵素にコンフォメーション変化を誘導し得る。触媒機構が提唱されている。
【0445】
gndは、おそらく株間伝播および組換えを原因とする、大腸菌集団内で高度に多形性の遺伝子である。これは、gndがO抗原構造を決定するrfb領域に近接する結果であり得る。
【0446】
6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼの発現は、増殖速度により制御される。Gndレベルにおける増殖速度依存性増加の大部分は、より高いmRNAレベルをもたらす転写の増加が原因である。転写後制御は、gnd mRNAのコドン67と78との間に二次構造エレメントを必要とする。この領域は、mRNA二次構造への翻訳開始領域の隔離によって機能し、従って翻訳開始の効率を低下させる場合がある。しかし、この制御機構のエフェクターは、見たところまだ同定されていない。truA(hisT)変異体は、転写後制御によってGnd発現の増殖速度依存性増加を低下させる。酸性条件下での増殖は、gndの発現をアップレギュレーションする。gndは、撹乱時の発現移行パターンがそれらの対応するフラックス値と相関する遺伝子である、もっとも一貫してフラックスと共役する遺伝子(FCG)の1つである。
【0447】
ある種の増殖条件は、gndの転写増加および酵素活性の増加をもたらすプロモーター領域における欠失変異を選択した。edd gnd二重変異体は、グルコネートで増殖できない。gndにおけるヌル変異は、増殖速度をあまり変更しない。しかし、細胞代謝および代謝フラックスは変化し、スクシネートの生成はグルコースまたはグリセロールでの増殖中に増加する。gnd欠失変異体は、グリセロールでの嫌気的増殖中に野生型と比較してエタノールおよびH2生成の強化を示し、一方、重度に操作された別の株では、gndの過剰発現が、エタノールおよびH2の生成を増加させる。
【0448】
いくつかの態様において、MEG(もしくはグリコール酸)、または任意でMEG(もしくはグリコール酸)と1つもしくは複数の同時生成物とを生成する組換え微生物は、ペントースリン酸経路の酸化的分岐を経由するグルコース-6-リン酸のフラックスを妨げ、代わりに、グルコース-6-リン酸を、ペントースリン酸経路の非酸化的分岐を経由して切り換えるために、6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子において欠失、挿入、または機能喪失変異を含んで、1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を生成する。
【0449】
グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ、リン酸化(EC 1.2.1.12)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0450】
グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼは、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(リン酸化);トリオースリン酸デヒドロゲナーゼ;デヒドロゲナーゼ、グリセルアルデヒドリン酸;ホスホグリセルアルデヒドデヒドロゲナーゼ;3-ホスホグリセルアルデヒドデヒドロゲナーゼ;NAD+依存性グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ;グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ(NAD+);グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(NAD+);NADH-グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ;グリセルアルデヒド-3-P-デヒドロゲナーゼとしても公知であり得る。
【0451】
グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼAは、大腸菌における解糖および糖新生の間にNAD+およびリン酸の存在下でD-グリセルアルデヒド-3-リン酸から1,3-ビスホスホ-D-グリセリン酸への可逆的酸化的リン酸化を触媒する。この酵素はまた、多数の他の生物にも見出され、その特性が広く研究されている。
【0452】
大腸菌は、gapAおよびepd(gapB)によってコードされる2つのグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)活性を有する点で珍しい。しかし、gapAによってコードされる酵素は、高効率的リン酸化グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ活性および低いリン酸化エリトロース-4-リン酸デヒドロゲナーゼ活性を有し、一方で、epdによってコードされる酵素は、効率的な非リン酸化エリトロース-4-リン酸デヒドロゲナーゼ活性および非常に低いリン酸化グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する。
【0453】
GapAタンパク質は、好熱性細菌酵素および一般的な原核生物酵素よりも真核生物配列に類似する配列を有する。gapA生成物は解糖に必要とされるのに対し、epd生成物は必要とされない。両方の酵素は、ピリドキサール5'-リン酸(PLP)の生成に関与し得る。
【0454】
大腸菌K-10由来gapA変異体の初期研究は、解糖におけるその役割を意味づけ、その触媒特性のいくつかを実証した。gapA変異体は、増殖欠損を示し、高塩培地によって救出される凝集表現型および溶解表現型の増加も示す。
【0455】
gapA遺伝子発現の制御が研究されている。fkpA、gapA、およびhslT遺伝子の制御は、慢性熱ストレスの条件下での進化によって影響される。
【0456】
大腸菌配列は、すべてのGAPDHで保存されており、かつNAD+結合または触媒機構に関与すると仮定されているいくつかのアミノ酸を含有する。
【0457】
NAD+存在下の野生型酵素の結晶構造は、分解能1.80Åで決定されており、他のGAPDHの結晶構造と類似していた。N313T変異体の結晶構造は、分解能2.17Åでも決定された。NAD+と結合した、および結合していない、ならびにヘミアセタール中間体状態の、いくつかの他の大腸菌GAPDH結晶構造が報告されている。
【0458】
NAD+補因子の立体特異性を担う分子要因が、部位特異的変異誘発を用いて研究されている。この酵素は、プロ-S水素の転移を触媒し、NAD(H)とニコチンアミドのシン配向で結合するB特異的デヒドロゲナーゼである。変性した大腸菌GAPDHの、シャペロンタンパク質であるTigトリガー因子の存在下での再フォールディングが研究されている。
【0459】
ADP-リボシル化GAPDHは、一部の真菌およびグラム陽性病原体ならびに病原性大腸菌株における分泌型ビルレンス因子である。非病原性大腸菌はGAPDHを分泌しない。証拠は、大腸菌GAPDHがDNA修復にも関与することを示唆している。
【0460】
末端対形成アンチセンスRNAを誘導的に発現している一連のベクターが、宿主大腸菌K-12 MG1655における中心的炭素代謝をサイレンシングするために構築された。gapAを93%の効力でサイレンシングしたベクターは、重度の増殖阻害を引き起こした。温度変化により操作大腸菌gapAの発現を制御することが解糖をコントロールすると実証された。
【0461】
いくつかの態様において、MEG(もしくはグリコール酸)、または任意でMEG(もしくはグリコール酸)と1つもしくは複数の同時生成物とを生成する組換え微生物は、グリセルアルデヒド3-リン酸から1,3-ビスホスホ-D-グリセリン酸への変換を妨げ、代わりに、トランスケトラーゼによって(フルクトース-6-リン酸からD-エリトロース-4-リン酸への同時変換と共に)D-グリセルアルデヒド3-リン酸をD-キシルロース-5-リン酸に変換させるために、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子において欠失、挿入、または機能喪失変異を含み、従って、MEG(もしくはグリコール酸)、または任意でMEG(もしくはグリコール酸)と1つもしくは複数の同時生成物との生成に必要なペントース-5-リン酸中間体を生成し、ペントースリン酸経路の非酸化的分岐のためのより多くのD-エリトロース-4-リン酸を提供して、1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体をさらに生成する。
【0462】
6-ホスホフルクトキナーゼ(EC 2.7.1.11)
ホスホフルクトキナーゼ(Pfk)は、解糖の間にC1炭素へのフルクトース-6-リン酸のリン酸化を触媒する。大腸菌は、配列類似性を共有しない2つのPfkアイソザイムである、Pfk-1(pfkA)およびPfk-2(pfkB)を含有する。野生型大腸菌に存在するホスホフルクトキナーゼ活性の90%超は、Pfk-1に帰することができる。
【0463】
PfkAは、フルクトース-6-リン酸のリン酸化を触媒し、解糖経路を制御している主要な酵素である。酵素は、逆反応をインビボで触媒することができない。この酵素は、基質フルクトース-6-リン酸と共に協同動態を示すが、他方の基質、ATPとは示さない。近年、PfkAがセドヘプツロース-7-リン酸のリン酸化もセドヘプツロースビスリン酸バイパスの一部分として触媒することが示された。PfkAの結晶構造は、活性化物質および阻害物質の存在下および非存在下で解析されている。配列類似性に基づき、PfkAはNAD+キナーゼであると予測された。
【0464】
PfkBは、糖キナーゼのリボキナーゼファミリーのメンバーである。PfkAと異なりPfkBは、フルクトース-6-リン酸との協同相互作用、PEPによる阻害またはADPによる活性化を示さない。MgATP2-は、酵素の真の基質である。PfkBはまた、タガトース-6-リン酸を基質として使用することもできる。この反応は、ガラクチトール異化経路の一部分である。MgATPによって阻害された四量体形態のPfkBの結晶構造が、1.98Åの分解能で解析されている。この構造と、フルクトース-6-リン酸と複合体化したPfkBの結晶構造との比較は、フルクトース-6-リン酸の結合とMgATPの結合との間のマイナスの相互関係を示唆している。
【0465】
いくつかの態様において、MEG(もしくはグリコール酸)、または任意でMEG(もしくはグリコール酸)と1つもしくは複数の同時生成物とを生成する組換え微生物は、フルクトース-6-リン酸から1,6-ビスリン酸への変換を妨げ、代わりに、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼによってフルクトース-6-リン酸をエリトロース-4-リン酸およびアセチル-リン酸に変換させるために、6-ホスホフルクトキナーゼをコードする遺伝子に欠失、挿入、または機能喪失変異を含み、ペントースリン酸経路の非酸化的分岐のためのより多くのエリトロース-4-リン酸を提供して、MEG(もしくはGA)、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との生成に必要な1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体をさらに生成する。いくつかの態様において、6-ホスホフルクトキナーゼはpfkAおよび/またはpfkBである。
【0466】
ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ、2-オキソグルタル酸デカルボキシラーゼ、2-ケト酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.-)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0467】
ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼは、ヒドロキシピルビン酸カルボキシリアーゼとしても公知であり得る。
【0468】
2-オキソグルタル酸デカルボキシラーゼは、オキソグルタル酸デカルボキシラーゼ;アルファ-ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ;アルファ-ケトグルタリックデカルボキシラーゼ;プレ-2-オキソグルタル酸デカルボキシラーゼ;2-オキソグルタル酸カルボキシリアーゼとしても公知であり得る。
【0469】
大腸菌SucAは、2-オキソグルタル酸(2-ケトグルタル酸)からNADHの生成を伴うスクシニルCoAおよびCO2への変換を触媒する2-オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ多酵素複合体(OGDHC)の2-オキソグルタル酸デカルボキシラーゼ活性を担う。
【0470】
OGDHCは、2-オキソ酸デヒドロゲナーゼファミリーのメンバーである。このファミリーのメンバーは、3種類の酵素成分:2-オキソグルタル酸デカルボキシラーゼ(E1)、リポアミドアシルトランスフェラーゼ(E2)およびリポアミドデヒドロゲナーゼ(E3)の複数のコピーを含有する。大部分のグラム陽性細菌において、およびミトコンドリアにおいて、E1成分は、2つのサブユニットから構成されるヘテロ二量体であるのに対し、大部分(であるが、すべてではない)のグラム陰性細菌において、これは、1種類のサブユニットからできている。両方の場合で、E1成分の複数のコピーがE3成分の複数のコピーと一緒に八面体対称性の24個のサブユニット、または二十面体対称性の60個のサブユニットのE2コア周囲に集合される(どの複合体および種であるかに依存)。大腸菌において、E3成分は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼおよびグリシン切断多酵素複合体と共有される。E1およびE2は、2-オキソグルタル酸およびピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体とわずかに異なり、それらを区別するために(o)および(p)と名付けられる。
【0471】
大腸菌OGDHCは、12ユニットのE1(o)成分、sucAによってコードされるチアミン要求性2-オキソグルタル酸デカルボキシラーゼ、24ユニットのE2(o)成分、sucBによってコードされるジヒドロリポイルトランススクシニラーゼ、および2ユニットのE3成分、lpdによってコードされるリポアミドデヒドロゲナーゼを含有する。24個のE2(o)ユニットは、複合体の八面体コアを形成する。E2(o)ユニットは、リポイルリシンならびにE1(o)およびE3サブユニットの二量体に対する結合部位を含有する。電子クライオトモグラフィーは、それらがE2コアに柔軟に繋留されることを示した。
【0472】
OGDHC反応サイクルの間、2-オキソグルタル酸は、SucA、チアミン二リン酸補因子含有酵素によって結合され、脱炭酸される。N末端の77個の残基を欠如する切断型アポ形態のSucAの結晶構造が、分解能2.6Åで決定されている。チアミン二リン酸およびMg2+を有するホロ形態の構造が、分解能3.5Åで決定された。切断型はデカルボキシラーゼ活性を保持したが、E2(o)と集合してOGDH複合体になることはなかった。データはまた、AMP結合部位の存在も示唆した。OGDHC中に酸素依存性チアミンフリーラジカルが実証され、それは、O2との副反応によって発生した。
【0473】
His260およびHis298の飽和変異誘発によって調製された操作SucAの研究は、His260が基質認識のために必要とされるが、His298は類似のサイズの疎水性残基によって置き換えることができたことを示唆した。データはまた、E2(o)が特異性に役割を有することも示唆した。
【0474】
初期の研究でsucA遺伝子がクローニングおよび配列決定され、sucABCDの制御が研究された。sucABおよびsucCD遺伝子は相互に不可欠であることが示され、どちらか一方のペアがスクシニルCoAを生成するために十分であったが、sucABおよびsucCDの同時欠失は生存不可能であった。
【0475】
α-ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼは、3-メチル-2-オキソブタン酸からイソブタナールへの脱炭酸を触媒する。酵素は、3-メチル-2-オキソブタン酸に高度に特異的であるが、他の分岐鎖2-ケト酸とも活性を示す(4-メチル-2-オキソペンタン酸は22.7%の相対活性;(S)-3-メチル-2-オキソペンタン酸は16.7%、2-オキソ-3-フェニルプロパン酸は7.1%および4-(メチルチオ)-2-オキソブタン酸は5.8%)。
【0476】
この酵素は、配列決定およびクローニングされているkivd遺伝子によってコードされるホモ四量体である。推定されるタンパク質配列は、ipd遺伝子(この遺伝子は、IS983エレメントの挿入によってL439位で中断されている)によってコードされるL.ラクティスIL1403株タンパク質と98.6%の同一性を共有する(その最初の438個のアミノ酸にわたり)。kivd遺伝子は、L.ラクティスMG1363株およびSK11株の配列決定されたゲノム中のいかなる遺伝子ともいかなる相同性を有しない。
【0477】
156個の乳酸細菌株(ラクトコッカス、ラクトバチルス、ロイコノストック)を試験するKivd活性の研究は、L.ラクティス株だけが活性を保有し、ラクトコッカス株の中であっても、45株中7株だけが活性を有したことを示した。
【0478】
L.ラクティスB1157株由来の分岐鎖α-ケト酸デカルボキシラーゼとしての相同タンパク質が記載されている。そのタンパク質は、Kivdと89.8%の同一性を示し、2-ケト-イソ吉草酸に対する選好性も有する。
【0479】
いくつかの態様において、2-ケト酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素または2-オキソグルタル酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、ヒドロキシピルビン酸をグリコールアルデヒドに変換する。いくつかの態様において、ヒドロキシピルビン酸をグリコールアルデヒドに変換する酵素は、KivdまたはSucAと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、2-ケト酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素はKivdである。いくつかの態様において、2-オキソグルタル酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素はSucAである。
【0480】
いくつかの態様において、2-オキソグルタル酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、sucAまたはそのホモログである。いくつかの態様において、2-ケト酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Kivdまたはそのホモログである。別の態様において、2-ケト酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素または2-オキソグルタル酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:224および226より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、2-ケト酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素または2-オキソグルタル酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:223および225より選択される核酸配列によってコードされる。
【0481】
2-オキソグルタル酸レダクターゼ、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.-)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0482】
3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼは、ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ;PHGDH(遺伝子名);D-3-ホスホグリセリン酸:NAD+オキシドレダクターゼ;アルファ-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ;3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ;D-3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ;グリセリン酸3-リン酸デヒドロゲナーゼ;グリセリン酸-1,3-リン酸デヒドロゲナーゼ;ホスホグリセリン酸オキシドレダクターゼ;ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ;SerA;3-ホスホグリセリン酸:NAD+ 2-オキシドレダクターゼ;SerA 3PGデヒドロゲナーゼ;3PHPレダクターゼとしても公知であり得る。
【0483】
3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼは、L-セリンの生合成における最初の関与した段階を触媒する。この酵素は、協同性を示すアロステリック最終生成物阻害によって制御される。セリンによる阻害は、主として触媒速度の低下を通じて作用し、基質のKmに小さな効果だけを有し;従って、SerAは、V型アロステリック酵素として分類される。
【0484】
セリンによるアロステリック阻害および協同阻害の基盤が広く研究されている。ホモ四量体中の4つのセリン結合部位のうち2つの占有は、活性の85%阻害をもたらす。セリンのさらなる結合は、負の協同性を示す。リン酸は、セリンの結合に対する部位間の協同効果を低下させることができ、その効果は、主に、内因的に結合したNADHの存在が原因であった。Trp139Gly変異は、セリンの結合とアロステリック阻害との協同性を失ったホモ二量体酵素をもたらす。エフェクター結合部位内の残基、サブユニット間の制御界面、および柔軟なヒンジ領域の部位特異的変異誘発は、隣接ドメインの運動が酵素活性の阻害に関与するモデルを支持している。過渡速度論解析は、触媒活性の阻害の協同性がセリン結合によるコンフォメーション変化に起因することを示した。制御ドメインのない酵素は、セリンによってもはや阻害されないが、他の動態パラメーターは同じままである。雑種四量体は、アロステリック阻害機構へのさらなる洞察を提供した。
【0485】
部位特異的変異誘発は、基質の結合および触媒作用の一因となる活性部位内の残基の同定を可能にした。基質とヌクレオチド結合ドメインとの間のヒンジ領域における変異は、酵素のkcatに影響し、ある種の変異がセリン結合と触媒的阻害とを脱共役させる。
【0486】
大規模な部位特異的変異誘発および構造研究が、アロステリック制御と、協同性と、触媒活性との相互作用の詳細な見解に寄与した。触媒経路へのさらなる洞察が、ストップトフロー動態解析によって提供され、この解析は、両方の触媒方向における律速段階が酵素のコンフォメーション変化であることを示した。セリンの結合が、酵素と、補酵素と、基質と、エフェクターとの間のデッドエンド四元複合体の形成をもたらし、エフェクターが基質結合に続くコンフォメーション変化を消失させるように見える。
【0487】
この酵素は、α-ケトグルタル酸レダクターゼ活性も有し、2-ヒドロキシグルタル酸を生成することが示されている。この反応の代謝的役割はまだ知られていないものの、これは、セリン生合成の制御、および特に嫌気生活の間にNADHをNAD+に戻すリサイクルに役割を果たす場合があると考えられている。
【0488】
野生型酵素および様々な変異体の結晶構造が解析されている。この構造は、ホモ四量体の各サブユニットが3つの異なるドメイン、ヌクレオチド結合ドメイン、基質結合ドメイン、および制御/セリン結合ドメインからなることを示した。
【0489】
serAは、グリセロール最少培地での増殖に不可欠であり;増殖欠損は、セリンの添加によって救済することができる。
【0490】
いくつかの態様において、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素または2-オキソグルタル酸レダクターゼ活性を有する酵素であることができる。いくつかの態様において、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素、または2-オキソグルタル酸レダクターゼ活性を有する酵素は、グリセリン酸3-リン酸から3-ホスホヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する。いくつかの態様において、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素、または2-オキソグルタル酸レダクターゼ活性を有する酵素は、serAと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素、または2-オキソグルタル酸レダクターゼ活性を有する酵素はserAである。
【0491】
いくつかの態様において、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、serAまたはそのホモログである。別の態様において、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素、または2-オキソグルタル酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:228に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素、または2-オキソグルタル酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:227に示される核酸配列によってコードされる。
【0492】
ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ、セリンアミノトランスフェラーゼ、L-セリントランスアミナーゼ(EC 2.6.1.52)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0493】
ホスホセリンアミノトランスフェラーゼは、ホスホセリントランスアミナーゼ;PSAT;3-ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ;ヒドロキシピルビン酸ホスフェート-グルタミン酸トランスアミナーゼ;L-ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ;ホスホヒドロキシピルビン酸トランスアミナーゼ;ホスホヒドロキシピルビン酸-グルタミン酸トランスアミナーゼ;3-O-ホスホ-L-セリン:2-オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ;SerC;PdxC;3PHPトランスアミナーゼとしても公知であり得る。
【0494】
serCによってコードされる酵素、ホスホセリン/ホスホヒドロキシトレオニンアミノトランスフェラーゼは、異なる基質を使用することによってセリンおよびピリドキシンの両方の生合成において機能する。ピリドキサール5'-リン酸は、両方の酵素の活性のための補因子であり、それが自己触媒的に作用してそれ自体の生合成を刺激できることを示唆している。
【0495】
アミノトランスフェラーゼ酵素の間の重複性および基質特異性の寛容性が研究されている。非リン酸化基質で活性を観察することができなかったが;しかし、3-ヒドロキシピルビン酸は、SerCの酵素活性のアッセイのための基質として使用することができた。加えて、遺伝学的実験は、SerCがマイナーなアラニントランスアミナーゼであることを示した。
【0496】
2種の酵素、ArgDおよびSerCの通常の活性は、スクシニルジアミノピメリン酸(SDAP)およびリシン生合成のために十分であり;第三の酵素、AstCは、SDAPの生合成に十分であるが、単独では細胞のリシン要求性を満たすことができない。GabTおよびPuuEを含む追加的な酵素は、SDAPの生合成に寄与することができ得る。プラスミドからのargD、astC、serC、aspC、gabT、hisC、ilvE、patA、puuE、またはtyrBの発現は、最少培地での三重ΔargD serC astC変異体の増殖を可能にする。
【0497】
非連結型の酵素および基質類似体α-メチル-L-グルタミン酸と複合体化した酵素の結晶構造が解析されており、分子反応機構が提唱された。
【0498】
serCは、グリセロール最少培地での増殖に不可欠であり;増殖欠陥は、セリンおよびピリドキソール/ピリドキシンの添加によって救済することができる。
【0499】
いくつかの態様において、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、L-セリントランスアミナーゼ活性を有する酵素またはセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素であることができる。いくつかの態様において、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素、L-セリントランスアミナーゼ活性を有する酵素またはセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、L-セリンからヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する。いくつかの態様において、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素、L-セリントランスアミナーゼ活性を有する酵素またはセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、serCと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素、L-セリントランスアミナーゼ活性を有する酵素またはセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素はserCである。
【0500】
いくつかの態様において、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、serCまたはそのホモログである。別の態様において、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素、L-セリントランスアミナーゼ活性を有する酵素、またはセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:230に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素、L-セリントランスアミナーゼ活性を有する酵素またはセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:229に示される核酸配列によってコードされる。
【0501】
3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸 + H2O → ヒドロキシピルビン酸 + リン酸
【0502】
YeaB(NudL)は、Nudixファミリーのヒドロラーゼに属するが、CoAピロホスホヒドロラーゼ活性を有すると予測された。
【0503】
yeaB(nudL)は、pgsA変異体のflhDC転写のリプレッションの多コピー抑制因子として単離された。この抑制は、nudLを過剰発現する細胞におけるσS発現の低下が原因であり得る。
【0504】
yeaB(nudL)はまた、pdxB欠失株のPLP栄養要求性の多コピー抑制因子として単離された。NudLは、ピリドキサール5'-リン酸生合成I経路の中間体である、PdxBの下流の4-ホスホ-ヒドロキシ-L-トレオニンを生成する偶然発見された代謝経路の一部分であることが見出された。この経路は、セリン生合成からの3-ホスホヒドロキシピルビン酸の進路を変える。Kcatが5.7×10-5であって、NudLは、3-ホスホヒドロキシピルビン酸からヒドロキシピルビン酸への変換の非効率的な触媒であるが、その活性は、PLPの生成に十分であるように見える。
【0505】
いくつかの態様において、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性を有する酵素は、yeaBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性を有する酵素はyeaBである。
【0506】
いくつかの態様において、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、yeaBまたはそのホモログである。別の態様において、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:232に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:231に示される核酸配列によってコードされる。
【0507】
ホスホセリンホスファターゼ(EC 3.1.3.3)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
3-ホスホ-L-セリン + H2O → L-セリン + リン酸
【0508】
ホスホセリンホスファターゼは、セリン生合成における最終段階を触媒する。この酵素は、ハロ酸デハロゲナーゼ(HAD)様ヒドロラーゼのスーパーファミリーに属する。酵素研究は、本来、大腸菌由来W株の部分精製された酵素を使用して行われ;精製酵素のアッセイは、酵素のHADスーパーファミリーの研究の一部分として行われた。
【0509】
serBは、グリセロール最少培地での増殖に不可欠であり、増殖欠損は、セリンの添加によって救済することができる。Gph、HisBおよびYtjCは、条件付きΔserB表現型の複数コピー抑制因子として同定された。定向進化実験は、これらの抑制因子の適応度および酵素活性を増加させた変異を同定した。
【0510】
いくつかの態様において、ホスホセリンホスファターゼ活性を有する酵素は、serBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、ホスホセリンホスファターゼ活性を有する酵素はserBである。
【0511】
いくつかの態様において、ホスホセリンホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、serBまたはそのホモログである。別の態様において、ホスホセリンホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:234に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、ホスホセリンホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:233に示される核酸配列によってコードされる。
【0512】
セリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.51)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0513】
セリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼは、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼとしても公知であり得る。
【0514】
ペルオキシソームのセリン--ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ(AGXT1)およびミトコンドリアに局在するアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ2(AGXT2)は、両方ともアラニンをアミノドナーとして使用してグリオキシル酸からグリシンへの変換を触媒する。AGXT2とは異なり、AGXT1は、不斉ジメチルアルギニン(ADMA)をアミノドナーして利用することができない。
【0515】
ペルオキシソームのセリン--ピルビン酸アミノトランスフェラーゼは、ホモ二量体から構成されるピリドキサールリン酸依存性肝臓特異的酵素である。ペルオキシソーム中のその位置は、適当な酵素活性に重大である。C末端のペルオキシソーム標的化配列(PTS1)が、ペルオキシソームへの移行のために必要である。
【0516】
肝臓ペルオキシソームの非存在につながるセリン--ピルビン酸アミノトランスフェラーゼの機能障害または誤標的化は、グリオキシル酸をサイトゾルに逃避させ、サイトゾルでこれはシュウ酸およびグリコール酸にさらに代謝される。シュウ酸は、ヒトではさらに代謝できず、腎臓および尿路における不溶性シュウ酸カルシウムの形成をもたらす。AGXT1遺伝子における変異は、不適当なペルオキシソーム標的化をもたらし、不可逆的な腎損傷を招く常染色体劣性代謝障害である原発性高シュウ酸尿症1型を引き起こす。原発性高シュウ酸尿症1型患者の3分の1は、肝臓ペルオキシソーム酵素がミトコンドリアに誤標的化される独特なタンパク質ソーティング欠損を有する。
【0517】
いくつかの態様において、セリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、ホモ・サピエンスAGXT1と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、セリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素はホモ・サピエンスAGXT1である。
【0518】
いくつかの態様において、セリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、AGXT1またはそのホモログである。いくつかの態様において、セリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:244に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、セリン-ピルビン酸アミノトランセラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:243に示される核酸配列によってコードされる。
【0519】
セリンデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.65)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
3-O-sn-ホスファチジル-L-セリン + H+ → L-1-ホスファチジルエタノールアミン + CO2
【0520】
セリンデカルボキシラーゼは、ホスファチジルセリンデカルボキシラーゼ;PSデカルボキシラーゼ;ホスファチジル-L-セリンカルボキシ-リアーゼとしても公知であり得る。
【0521】
ホスファチジルセリンデカルボキシラーゼは、共有結合したピルボイル補欠分子族を使用する酵素の小クラスの1つである。ピルボイル基は、基質のアミノ基と共にシッフ塩基を形成し、次いで脱炭酸を促進するために電子シンクとして役立てることによってピリドキサールリン酸補因子と同様に作用すると考えられている。
【0522】
これらの酵素の4種、ヒスチジンデカルボキシラーゼ(E.C. 4.1.1.22)、ホスファチジルセリンデカルボキシラーゼ、アスパラギン酸1-デカルボキシラーゼ、およびS-アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼは、重要な生体アミンを形成するデカルボキシラーゼである。これらの酵素のすべては、アミド結合を介してαサブユニットのアミノ末端に結合したピルボイル補欠分子族を有することが公知である。この群の2つの他の酵素は、D-プロリンレダクターゼおよびグリシンレダクターゼ(E.C. 1.21.4.2)である。
【0523】
ピルボイル含有酵素は、セリノリシス(serinolysis)と呼ばれる自己成熟切断によって翻訳後プロセシングされるチモーゲンとして発現される。このプロセスにおいて、セリン残基からピルボイル基が形成され、前駆タンパク質を2つの部分に分割し、それらの部分がαサブユニットおよびβサブユニットになる。いくつかの場合では、追加的なサブユニットが関与し得る。
【0524】
この酵素は、ピルビン酸補欠分子族がより小さなサブユニットと会合している点で、非同一のサブユニットから構成される他のピルボイル依存性デカルボキシラーゼと異なる。この酵素は、未知数のヘテロ二量体の多量体である。
【0525】
いくつかの態様において、セリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、L-セリンからエタノールアミンへの変換を触媒する。
【0526】
いくつかの態様において、セリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、シロイヌナズナSDCと少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、セリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、シロイヌナズナSDCである。
【0527】
いくつかの態様において、セリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SDCまたはそのホモログである。いくつかの態様において、セリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:236に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、セリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:235に示される核酸配列によってコードされる。
【0528】
エタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)(EC 1.4.3.8)、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.-)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
エタノールアミン + 酸素 + H2O → アンモニア + 過酸化水素 + グリコールアルデヒド
エタノールアミン + 2-オキソグルタル酸 → グリコールアルデヒド + L-グルタミン酸
【0529】
エタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)は、エタノールアミンオキシダーゼとしても公知であり得る。この酵素は、オキシドレダクターゼのファミリー、具体的には酸素をアクセプターとしてドナーのCH-NH2基に作用するものに属する。
【0530】
いくつかの態様において、エタノールアミンオキシダーゼまたはエタノールアミンアミノトランスフェラーゼは、エタノールアミンからグリコールアルデヒドへの変換を触媒する。
【0531】
いくつかの態様において、エタノールアミンオキシダーゼ活性を有する酵素は、大腸菌tynAと少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、エタノールアミンオキシダーゼ活性を有する酵素は大腸菌tynAである。
【0532】
いくつかの態様において、エタノールアミンオキシダーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、tynAまたはそのホモログである。いくつかの態様において、エタノールアミンオキシダーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:238に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、エタノールアミンオキシダーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:237に示される核酸配列によってコードされる。
【0533】
いくつかの態様において、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌alaAと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素は大腸菌alaAである。
【0534】
いくつかの態様において、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、alaAまたはそのホモログである。いくつかの態様において、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:240に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:239に示される核酸配列によってコードされる。
【0535】
ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ(EC 1.1.1.-)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0536】
ヒドロキシピルビン酸レダクターゼは、ベータ-ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ;NADH:ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ;D-グリセリン酸デヒドロゲナーゼとしても公知であり得る。
【0537】
ヒドロキシピルビン酸レダクターゼは、高等植物、藻類、哺乳動物の組織および細菌に見出される酵素である。大部分の場合、これは、ヒドロキシピルビン酸をグリセリン酸に変換すると仮定されている。しかし、大部分の酵素はまた、グリオキシル酸からグリコール酸への還元を行う。
【0538】
セリンサイクルメチロトローフにおいて、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼは、炭素の同化に主要な役割を果たす。これは、セリンサイクルの主要段階であるヒドロキシピルビン酸からグリセリン酸への変換を触媒するが、グリオキシル酸およびグリコール酸の相互変換によりC2化合物の代謝にも重要な役割を果たす。
【0539】
いくつかの態様において、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼは、グリセリン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する。
【0540】
いくつかの態様において、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素は、大腸菌ghrBと少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素は大腸菌ghrBである。
【0541】
いくつかの態様において、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、ghrBまたはそのホモログである。いくつかの態様において、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:242に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:241からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0542】
グリセリン酸デカルボキシラーゼ
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
D-グリセリン酸+ H+ → エチレングリコール + CO2
【0543】
いくつかの態様において、グリセリン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、グリセリン酸からエチレングリコールへの変換を触媒する。
【0544】
3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ(EC 3.1.3.38)または2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ(EC 3.1.3.20)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
3-ホスホ-D-グリセリン酸 + H2O → D-グリセリン酸 + リン酸
2-ホスホ-D-グリセリン酸 + H2O → D-グリセリン酸 + リン酸
【0545】
3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼは、D-3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ;3-PGAホスファターゼとしても公知であり得る。2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼは、D-2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ;2-PGAホスファターゼとしても公知であり得る。これらの酵素は、ヒドロラーゼのファミリー、具体的にはリン酸モノエステル結合に作用するものに属する。
【0546】
いくつかの態様において、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素または2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素は、大腸菌phoAと少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素または2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素は大腸菌phoAである。
【0547】
いくつかの態様において、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素または2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、phoAまたはそのホモログである。いくつかの態様において、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素または2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:246に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素または2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:245に示される核酸配列によってコードされる。
【0548】
グリセリン酸キナーゼ(EC 2.7.1.31)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0549】
グリセリン酸キナーゼは、グリセリン酸3-キナーゼ;グリセリン酸キナーゼ(リン酸化)(不明瞭(ambiguous));D-グリセリン酸3-キナーゼ;D-グリセリン酸キナーゼ(不明瞭);グリセリン酸-キナーゼ(不明瞭);GK(不明瞭);D-グリセリン酸キナーゼ(不明瞭);ATP:(R)-グリセリン酸3-ホスホトランスフェラーゼとしても公知であり得る。
【0550】
この酵素は、トランスフェラーゼのファミリー、具体的にはアルコール基をアクセプターとしてリン含有基を転移するもの(ホスホトランスフェラーゼ)に属する。この酵素は、3つの代謝経路:セリン/グリシン/トレオニン代謝、グリセロ脂質代謝、およびグリオキシル酸-ジカルボン酸代謝に関与する。
【0551】
いくつかの態様において、グリセリン酸キナーゼ活性を有する酵素は、3-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する。他の態様において、グリセリン酸キナーゼ活性を有する酵素は、2-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する。
【0552】
いくつかの態様において、グリセリン酸キナーゼ活性を有する酵素はグリセリン酸3-キナーゼである。いくつかの態様において、グリセリン酸3-キナーゼ活性を有する酵素は、シロイヌナズナGLYKと少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、グリセリン酸3-キナーゼはシロイヌナズナGLYKである。
【0553】
いくつかの態様において、グリセリン酸3-キナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、GLYKまたはそのホモログである。いくつかの態様において、グリセリン酸3-キナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:248に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、グリセリン酸3-キナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:247に示される核酸配列によってコードされる。
【0554】
いくつかの態様において、グリセリン酸キナーゼ活性を有する酵素は、グリセリン酸2-キナーゼ活性を有する酵素である。いくつかの態様において、グリセリン酸2-キナーゼ活性を有する酵素は、大腸菌glxKと少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、グリセリン酸2-キナーゼ活性を有する酵素は、大腸菌garKと少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様において、グリセリン酸2-キナーゼ活性を有する酵素は大腸菌glxKである。いくつかの態様において、グリセリン酸2-キナーゼは大腸菌garKである。
【0555】
いくつかの態様において、グリセリン酸2-キナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、glxKまたはそのホモログである。いくつかの態様において、グリセリン酸2-キナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、garKまたはそのホモログである。いくつかの態様において、グリセリン酸2-キナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:250および252より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、グリセリン酸2-キナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:249および251より選択される核酸配列によってコードされる。
【0556】
一炭素基を転移するトランスフェラーゼ(EC 2.1.2.-)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0557】
ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、ホルミルトランスフェラーゼおよび関連トランスフェラーゼなどのトランスフェラーゼが使用され得る。ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、ホルミルトランスフェラーゼおよび関連トランスフェラーゼの例は、グリシンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、ホスホリボシルグリシンアミドホルミルトランスフェラーゼ、ホスホリボシルアミノイミダゾールカルボキサミドホルミルトランスフェラーゼ、グリシンホルムイミドイルトランスフェラーゼ、グルタミン酸ホルムイミノトランスフェラーゼ、D-アラニン2-ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、デオキシシチジル酸5-ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、メチオニル-tRNAホルミルトランスフェラーゼ、アミノメチルトランスフェラーゼ、3-メチル-2-オキソブタン酸ヒドロキシメチルトランスフェラーゼおよびUDP-4-アミノ-4-デオキシ-L-アラビノースホルミルトランスフェラーゼを含む。
【0558】
セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(EC 2.1.2.1)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
【0559】
セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(GlyA)は、セリンをグリシンに変換し、メチル基をテトラヒドロ葉酸に転移し、従って、5,10-メチレン-テトラヒドロ葉酸(M-THF)を形成する。M-THFは、細胞中のC1ユニットの主な供給源であるので、GlyAはプリン、チミジン、メチオニン、コリンおよび脂質の生合成における主要な酵素になる。
【0560】
この酵素はまた、5,10-メテニルTHFから5-ホルミルTHFへの加水分解および3-ヒドロキシアミノ酸(L-トレオニン、アロトレオニン、3-フェニルセリン)からグリシンおよびアルデヒドへの可逆切断を含むいくつかの副反応を触媒する。D-アラニンは、ピリドキサールリン酸補欠分子族と反応してピリドキサミンリン酸を形成することによってこの酵素を不活性化する。
【0561】
酵素の保存された領域内のThr226残基は、基質識別に関与するように見える。His228残基は、反応特異性の決定に役割を果たす。Lys229は、触媒的役割を果たすようには見えない。Arg363は、アミノ酸基質のカルボキシル基に対する結合部位であるように見える。Tyr65のヒドロキシル基は、閉鎖型から開放型コンフォメーションへの活性部位の変換に関与する場合がある。Tyr55およびArg235の両方が、トランスアルジミネーション反応に必要である。
【0562】
酵素の再フォールディングに関する研究は、ピリドキサール5'-リン酸(PLP)だけがフォールディング経路の最後に二量体性アポ酵素に結合することを示している。PLP付加の機構がさらに研究されている。高濃度のPLPで、PLPの第二の分子はLys346で結合することができる。保存された疎水性接触域はPLP結合部位の安定性に関与する。Tyr55は、PLP補因子の正しい位置決めに必要とされる。
【0563】
野生型および変異型セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼの結晶構造が解析されている。
【0564】
glyA変異体は、グリシンを唯一の窒素源として使用することができない。glyA変異体はグリシンについて栄養要求性であり;glyAは、グリセロール最少培地での増殖に不可欠であることがその後示された。
【0565】
glyA mRNA内の構造遺伝子から3'の配列が、mRNAの安定性に必要とされる。
【0566】
いくつかの態様において、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌glyAと少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼを有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P0A825に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼを有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、遺伝子ID 947022に示される核酸配列によってコードされる。
【0567】
ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.46およびEC 1.2.1.-)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
ホルムアルデヒド + NAD+ + H2O → ギ酸 + NADH + 2 H+
【0568】
ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼは、NAD連結型ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、NAD依存性ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼまたはホルムアルデヒド:NAD+オキシドレダクターゼとしても公知であり得る。
【0569】
動物、植物および細菌に見出される大部分のホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼは、クラスIIIアルコールデヒドロゲナーゼ群と呼ばれる群に属し、活性のためにグルタチオンの添加を必要とする。実際のところ、これらの酵素についての真の基質は、ホルムアルデヒドではなく、ホルムアルデヒドおよびグルタチオンから非酵素的に形成されるS-ヒドロキシメチルグルタチオンであることが示された。
【0570】
それらの酵素とは異なり、シュードモナス・プチダから単離された酵素は、グルタチオンの添加なしにホルムアルデヒドからギ酸への不可逆的酸化を触媒する。その基質はホルムアルデヒドであるので、本質的にこれは「本物の」ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼである。他のホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼのように、P.プチダFDHは亜鉛含有金属酵素である。これはまた、電子アクセプターとしてNAD+も必要とする。しかし、クラスIIIアルコールデヒドロゲナーゼ群に属する酵素と異なり、これは4-メチルピラゾールに感受性である。一態様において、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼはシュードモナス・プチダ由来である。いくつかの態様において、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼは、P.プチダfdhAと少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、GenBankアクセッションBAA04743.1に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、GenBankアクセッションD21201.1に示される核酸配列によってコードされる。
【0571】
工業的に重要な放線菌、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)ATCC 13032において、遺伝子fadHによってコードされるマイコチオール依存性ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、およびより低い程度に遺伝子aldによってコードされるアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ)という2種の酵素が、有毒なホルムアルデヒドの分解に寄与することを証拠が示唆している。これらの酵素の両方を欠如する変異体は、ホルムアルデヒド含有培地中で増殖できなかった。バニリン酸の酸化が細胞内ホルムアルデヒドを生成するので、この変異体は、バニリン酸含有培地中でも増殖しなかった。土壌細菌がその生息地でホルムアルデヒドと遭遇する場合、またはバニリン酸などの環境化合物の代謝の間にホルムアルデヒドが発生する場合、ホルムアルデヒドの解毒が必要である。FadHによって生成されるギ酸は、遺伝子fdhFによってコードされるギ酸デヒドロゲナーゼによってCO2にさらに酸化されることができる。
【0572】
ald変異体は、野生型と比較してホルムアルデヒド分解の約30%の低下を示した。染色体ald遺伝子の不活性化は、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の欠如およびこの生物がエタノールで増殖するまたはエタノールを利用する能力の欠如を招き、エタノールから酢酸への二段階酸化を示唆している。遺伝子aldの発現は、転写制御因子RamAに依存し、一方で、RamBは発現にわずかにマイナスの効果を有する。一態様において、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼは、コリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13032由来である。いくつかの態様において、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼは、コリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13032 aldと少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID Q8NLZ0に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、遺伝子ID 1020739に示される核酸配列によってコードされる。
【0573】
いくつかの態様において、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、シュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)alkHと少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。
【0574】
サッカロミセス・セレビシエにおいて、2つのタンデムリピート遺伝子ALD2およびALD3は、アルデヒドデヒドロゲナーゼの2つの細胞質ストレス誘導性アイソフォームをコードする。これらのアイソフォームの発現は、一般的ストレス転写因子Msn2およびMsn4に依存するが、HOG MAPキナーゼ経路に依存しない。両方の形態は、NADP+よりもずっと効率的に補因子NAD+を使用することができ、いかなる陽イオンによっても活性化されない。ALD3は、浸透圧ショック、熱ショック、グルコース枯渇、酸化ストレスを含む多様なストレスおよび薬物によって誘導され、ALD2は浸透圧ストレスおよびグルコース枯渇だけによって誘導される。
【0575】
いくつかの態様において、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、サッカロミセス・セレビシエALD2と少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様において、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、サッカロミセス・セレビシエALD3と少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P47771およびUniProt ID P54114より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、遺伝子ID 855206および遺伝子ID 855205より選択される核酸配列によってコードされる。
【0576】
いくつかの態様において、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、ホモ・サピエンスALDH3A2と少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様において、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、ホモ・サピエンスALDH9A1と少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P51648およびUniProt ID P49189より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、遺伝子ID 224および遺伝子ID 223より選択される核酸配列によってコードされる。
【0577】
ギ酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.-)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
ギ酸 + 酸化型電子アクセプター + H+ → CO2 + 還元型電子アクセプター
ギ酸 + H+ → CO2 + H2(複合体により触媒される)
ギ酸 + 酸化型ヒドロゲナーゼ3 → CO2 + 還元型ヒドロゲナーゼ3
【0578】
ギ酸デヒドロゲナーゼ-Hは、大腸菌における膜結合ギ酸デヒドロゲナーゼの3つのイソ酵素の1つである。すべては、生物の嫌気的代謝において機能性である。
【0579】
ギ酸デヒドロゲナーゼ-H(FDH-H)は、ヒドロゲナーゼ-3と一緒に細胞質中に位置し、FDH-Hは、ギ酸-水素リアーゼ複合体を形成する。この酵素は酸素感受性であり、セレンを、FdhFオープンリーディングフレーム中のUGA終止コドンのフレーム内の位置に共翻訳的に組み入れられたセレノシステインとして含有する。FDH-Hの結晶構造は、分解能2.3Åで解析されており、[4Fe-4S]クラスターの存在、セレノシステインによるMo補因子の配位、および阻害剤である硝酸塩に対する結合部位の位置を確認している。fdhFの発現は、ギ酸および外部電子アクセプターの非存在によって誘導され、硝酸塩、亜硝酸塩、トリメチルアミンN-オキシド、および酸素によってリプレッションされる。ギ酸は、酸素ではなく、硝酸塩によるリプレッションを克服することができる。DNAジャイレースの阻害は、fdhFの発現を強化する。
【0580】
fdnGHIは、硝酸塩およびトリメチルアミンN-オキシドなどの嫌気的呼吸基質の還元のためのキノンプールに電子を供与する、ギ酸から二酸化炭素への酸化を触媒する呼吸酵素、である膜結合型ギ酸デヒドロゲナーゼN(FDH-N)をコードする。FDH-Nは、錯体鉄-イオウ-モリブデン酵素(CISM)ファミリーのメンバーである。FDH-Nによるギ酸の酸化は起電性であり(H+/e- = 1);ペリプラズム中のギ酸の酸化は、内膜の細胞質面でのメナキノン還元を伴う。ギ酸デヒドロゲナーゼ-Nの発現は、それぞれNarLおよびFnrによって媒介される硝酸塩および嫌気生活によって誘導される。精製されたFDH-Nは、α(FdnG)、β(FdnH)およびγ(FdnI)と称される3種類のサブユニットを含有する。1.6Åで分解された結晶構造は、この部分複合体が、さらに組織化されて、内膜のペリプラズム面方向に位置するαおよびβサブユニットならびに細胞質方向に位置するγサブユニットを有する生理的に関連する三量体になることを示している。電子は、αサブユニット中のギ酸酸化部位から膜を通過してγサブユニット中のメナキノン還元部位に伝達される。水素イオンは、細胞質からメナキノン還元部位で取り込まれる。
【0581】
fdoGHIは、ギ酸から二酸化炭素への酸化を触媒し、硝酸塩の還元のための膜可溶性キノンプールに電子を供与する呼吸モリブデン酵素であるギ酸デヒドロゲナーゼO(FDH-O)をコードする。FDH-Oおよび硝酸レダクターゼZは、細胞が好気的条件から嫌気的条件に移行する場合に活性な、ギ酸から硝酸への電子輸送経路に関与する。この経路は、メナキノンまたはユビキノンのいずれかと共に機能する。FDH-Oは、構成的に発現されるように見え;ギ酸デヒドロゲナーゼN(FDH-N)とは異なり、これは、FnrによってもNarLによっても制御されない。FDH-Oの発現は、好気的条件下で増加され;嫌気的条件下で、硝酸塩は発現をわずかに刺激し;汎制御因子H-NSおよびCRPは、FDH-O発現の制御に役割を果たす場合がある。FDH-Oは、細胞が嫌気生活に迅速に適応する能力に寄与する場合があるのに対し、FDH-Nのレベルはまだ不十分である。FDH-Oは、α(FdoG)、β(FdoH)およびγ(FdoI)サブユニットからなるヘテロ三量体複合体であり、これは、嫌気的に発現されたFDH-Nと広い配列類似性および免疫特性を共有する。
【0582】
カンジダ・ボイジニ(Candida boidinii)ギ酸デヒドロゲナーゼFDH1は、ギ酸の解毒を媒介するNAD依存性酵素であって、Cu2+、Hg、p-クロロ第二水銀安息香酸、シアン化物、アジド、チオシアン酸およびシアン酸によって強く阻害される。シアン化物の阻害は、可逆であり、ギ酸と競合する。タンパク質の発現は、メタノールによって誘導され、グルコースによってリプレッションされる。このギ酸デヒドロゲナーゼによって触媒される酵素反応はNADHを再生することができるので、これは、NADH要求性操作経路を最適化するために大腸菌にクローニングされている。
【0583】
工業的に重要な放線菌コリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13032において、証拠は、ギ酸デヒドロゲナーゼがギ酸からCO2への酸化を触媒することを示唆している。ギ酸および有毒ホルムアルデヒドの両方は、環境中に存在し、この土壌細菌によってホルムアルデヒドの酸化を介してギ酸へと異化されることができる。これは、FadHおよびAldを介して達成することができる。次いで、ギ酸はFdhFによってCO2に変換される。FdhFは、有酸素条件下で活性なモリブデン補因子依存性ギ酸デヒドロゲナーゼであり、ストレス応答に関与すると推測された。FdhFによって使用される正確な電子アクセプターは定義されていない。遺伝子fdhFは、変異体解析によってギ酸デヒドロゲナーゼ活性のために必要とされると示された関連遺伝子fdhDおよびcg0617を含有する遺伝子クラスターの一部である。コリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13032の増殖は、ギ酸の存在下である程度阻害され、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性を欠如する株は、阻害の増加を示す。放射性トレーサー実験は、コリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13032がグルコースおよび13C-ギ酸塩と共に増殖された場合に、それが13C-二酸化炭素に代謝されたことを示した。fdhF欠失変異体は、ギ酸を代謝できなかった。増殖研究はまた、Mo2+の要求性も実証した。タンパク質配列分析は、FdhFが膜内在性タンパク質でなく、サイトゾル関連または膜結合型のいずれかである可能性が高いことを示唆した。推定上のオルソログが、多種多様な他の土壌細菌から同定されている。
【0584】
カプリアビダス・オキサラティクス(Cupriavidus oxalaticus)がギ酸塩を主な炭素源およびエネルギー源として増殖される場合、NAD+依存性ギ酸デヒドロゲナーゼは、NADHおよびCO2を発生する主な酵素である。後者は、リブロース二リン酸カルボキシラーゼ反応に入る。この酵素は、ギ酸塩と共に増殖された細胞から均一になるまで精製されている。酵素は、2つのFMN(フラビンモノヌクレオチド)、18~25個の非ヘム鉄原子および15~20個の酸不安定性スルフィドを含有する複合フラボタンパク質である。比活性は42ユニット/mgであった。この酵素は、その天然基質であるギ酸に特異的であるが、メチルビオロゲン、フェナジンメトサルフェート、メチレンブルー、ニトロブルーテトラゾリウム塩、FMN、FAD、リボフラビン、および酸素を含む複数の非生理学的電子アクセプターを受容することができる。この酵素が反対方向の反応も触媒できることが示されている。しかし、採用された条件下でこの酵素は、CO2還元よりも約30倍速いギ酸の酸化を触媒した。
【0585】
ゴッチャルキア・アシズリチ由来のNAD+依存性ギ酸デヒドロゲナーゼは可逆反応を触媒する。この酵素は、ギ酸からCO2への酸化を触媒する一方で、後者からギ酸への還元も触媒し、次いでギ酸は酢酸に変換される。この酵素は、部分的に精製されており、酸素および光に非常に敏感な大きな酵素複合体(分子量は少なくとも200kDa)であることが見出されている。この酵素は、L-セレノシステインを含有する。酵素の粗調製物は、フェレドキシンを経由するギ酸酸化の間にNAD還元と共役することができた。人工電子アクセプターであるメチルビオロゲンがNADの代わりに使用された場合、フェレドキシンは必要とされなかった。シアン化物はこの酵素を90%阻害した。細胞抽出物中の基礎ギ酸酸化活性は0.85μmol/min/mgタンパク質であったが、タングステン酸塩および亜セレン酸塩を添加すると12倍増加した。興味深いことに、関連生物クロストリジウム・シリンドロスポルム(Clostridium cylindrosporum)由来の酵素は、類似の亜セレン酸塩要求性を有するものの、この酵素に拮抗作用を有するタングステン酸塩よりもむしろモリブデン酸塩を必要とする。
【0586】
メチロバクテリウム・エキストロクエンス(Methylobacterium extorquens)由来のタングステン含有NAD+依存性ギ酸デヒドロゲナーゼは、鉄-硫黄クラスター、FMNおよびタングステンを含有するヘテロ二量体である。好気性細菌中からタングステン含有酵素を見出すことはいくらか珍しいが、いくつかの他の例が見出されている。より小さなβサブユニットは、融合タンパク質であるように見え、そのN末端ドメインはNueE様サブユニットに関係し、そのC末端ドメインは、公知のNADH-ユビキノンオキシドレダクターゼのNuoF様サブユニットと関係した。
【0587】
2つの異なる形態のギ酸デヒドロゲナーゼFDHは、メチロシヌス・トリコスポリウム(Methylosinus trichosporium)OB3bから2つのグループによって独立して精製されており、2つのタンパク質が異なる特性を有することが見出された。このタンパク質は、見かけのα2β2配置の2種類のサブユニットから構成され、合計サイズは315kDaである。これは、非ヘム鉄およびスルフィドを含有し、他の金属を含有せず、FMNを必要とするように見える。
【0588】
モラクセラ属の種(Moraxella sp.)のNAD+依存性ギ酸デヒドロゲナーゼfdhは、補欠分子族を有しない相対的に単純な二量体タンパク質である。
【0589】
いくつかの態様において、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、大腸菌fdhF(chlF、FDH-H)、大腸菌FDH-N、大腸菌FDH-O、カンジダ・ボイジニFDH1、コリネバクテリウム・グルタミクムfdhF、カプリアビダス・オキサラティクスNAD+依存性ギ酸デヒドロゲナーゼ、ゴッチャルキア・アシズリチNAD+依存性ギ酸デヒドロゲナーゼ、メチロバクテリウム・エキストロクエンスFdh1、メチロシヌス・トリコスポリウムのギ酸デヒドロゲナーゼ、およびモラクセラ属の種のNAD+依存性ギ酸デヒドロゲナーゼfdhからなる群より選択されるギ酸デヒドロゲナーゼと少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、ギ酸デヒドロゲナーゼまたはギ酸デヒドロゲナーゼサブユニットをコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P07658、UniProt ID P0AEK7、UniProt ID P0AAJ3、UniProt ID P24183、UniProt ID P32176、UniProt ID P0AAJ5、UniProt ID P0AEL0、UniProt ID O13437、UniProt ID Q8NSY6、UniProt ID Q8KTI7、UniProt ID Q8KTI8、およびUniProt ID O08375より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、ギ酸デヒドロゲナーゼまたはギ酸デヒドロゲナーゼサブユニットをコードする1つまたは複数の核酸分子は、遺伝子ID 948584、遺伝子ID 946038、遺伝子ID 948794、遺伝子ID 946035、遺伝子ID 948394、遺伝子ID 948395、遺伝子ID 948383、GenBankアクセッションAJ011046.2、遺伝子ID 1021531、GenBankアクセッションAF489516、およびGenBankアクセッションY13245.1より選択される核酸配列によってコードされる。
【0590】
ギ酸水素リアーゼ複合体
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を記載する:
ギ酸 + H+ → CO2 + H2(複合体によって触媒される)
【0591】
ギ酸水素リアーゼ複合体の成分酵素は:1)ギ酸デヒドロゲナーゼH(ChlF、FdhF、FDH-Hとしても知られる)、2)複数種のサブユニット(hycBCDEFG遺伝子:hycB、hycC、hycD、hycE、hycF、hycG)を有するヒドロゲナーゼ3である。
【0592】
ギ酸デヒドロゲナーゼ-H(FDH-H)は、上に記載されている。
【0593】
微生物ヒドロゲナーゼは、プロトンから分子状水素への可逆的還元を触媒する。hyc遺伝子(hycD、hycC、hycF、hycG、hycBおよびhycE)によってコードされる大腸菌ヒドロゲナーゼ3は、ギ酸から二酸化炭素および分子状水素への発酵または嫌気的酸化を担うギ酸水素リアーゼ(FHL)複合体の一部分を形成する多サブユニット酵素である。
【0594】
ヒドロゲナーゼ3は、主としてH2の生成に機能し、酸性pHでのH2生成に重要である。ヒドロゲナーゼ1およびヒドロゲナーゼ2を欠如する株における水素取り込みは、hycE変異の組入れによってさらに低下し、ヒドロゲナーゼ3がまた水素取り込みにも機能することができることを示唆している。ヒドロゲナーゼ3は、生成物(H2)阻害に高い耐性を示す。
【0595】
ヒドロゲナーゼ3は、膜結合型H2放出呼吸[NiFe]ヒドロゲナーゼである。これは、「標準的な」NiFeヒドロゲナーゼに特徴的な大(HycE)サブユニットおよび小(HycG)サブユニットに加えて、2種類の追加的な親水性サブユニット(HycBおよびHycF)および2種類の内膜サブユニット(HycCおよびHycD)を含有する。複合体の親水性部分に位置するFe-S補欠分子族は、電子輸送経路を形成し得る。アフィニティークロマトグラフィーを使用するFHLの単離は、インビトロでギ酸水素リアーゼ活性を有する、HycE、HycB、HycF、HycGおよびFdhFを含有するコア複合体の存在を示し、膜結合型サブユニットHyCおよびHycDを含有するより大きな複合体は、洗剤の存在下で単離される。
【0596】
ヒドロゲナーゼ1およびヒドロゲナーゼ2酵素を欠如する嫌気的に増殖された発酵大腸菌株におけるギ酸酸化は、膜電位を発生する。
【0597】
ヒドロゲナーゼ3をコードする遺伝子と、エネルギー保存NADH:キノンオキシドレダクターゼ(複合体I)のコアを形成するサブユニットをコードする遺伝子との間の配列類似性が報告されており、これら2つの間の進化的関係が提唱されている。
【0598】
hycオペロン内の遺伝子の挿入変異を有する株は、ヒドロゲナーゼ活性を欠損している。
【0599】
ヒドロゲナーゼ3は、ニッケル含有Fe-Sタンパク質である。
【0600】
hycオペロンは、ギ酸デヒドロゲナーゼHについての構造遺伝子を用いて協調的に制御される。発酵増殖条件下で発現は、酸素および硝酸塩によってリプレッションされ、ギ酸塩によって誘導される。ギ酸塩は、ギ酸水素リアーゼ複合体遺伝子の絶対誘導物質(obligate inducer)である。
【0601】
大腸菌K-12は、3種の他のヒドロゲナーゼ:ヒドロゲナーゼ1およびヒドロゲナーゼ2(H2取り込みに機能する呼吸酵素)およびヒドロゲナーゼ4(あまり十分に特徴付けられていない;サイレントである可能性)を含有する。
【0602】
いくつかの態様において、ヒドロゲナーゼ3は、大腸菌hycB、大腸菌hycC、大腸菌hycD、大腸菌hycE、大腸菌hycF、および大腸菌hycGからなる群より選択されるヒドロゲナーゼ3と少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、ヒドロゲナーゼ3またはギ酸水素リアーゼ複合体をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P0AAK1、UniProt ID P16429、UniProt ID P16430、UniProt ID P16431、UniProt ID P16432、およびUniProt ID 16433より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、ギ酸水素リアーゼ複合体またはギ酸水素リアーゼサブユニットをコードする1つまたは複数の核酸分子は、遺伝子ID 948002、遺伝子ID 945327、遺伝子ID 948994、遺伝子ID 947396、遺伝子ID 947048、および遺伝子ID 947191より選択される核酸配列によってコードされる。
【0603】
グリシン開裂系
グリシン開裂系は、4種類のタンパク質:3種類の酵素および担体タンパク質から構成される。動物において、この系は、ミトコンドリア内膜と緩く結合している。これらの酵素は、i)Pタンパク質(ピリドキサールリン酸含有タンパク質)またはグリシンデヒドロゲナーゼ(脱炭酸)(EC1.4.4.2)、ii)Tタンパク質またはアミノメチルトランスフェラーゼ(EC2.1.2.10)、およびiii)Lタンパク質またはジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(EC1.8.1.4)である。担体タンパク質は、Hタンパク質(リポ酸含有タンパク質)と呼ばれる。
【0604】
【0605】
この系は、3つの部分反応に分割される。反応は完全に可逆的であり、グリシン切断およびグリシン合成の両方において、リポ酸に結合したHタンパク質アミノメチル部分は中間体に相当し、続いてこの中間体は、Tタンパク質の作用によってメチレン-テトラヒドロ葉酸(M-THF)およびアンモニアに分解されるか、またはそれらから形成されることができる。可能性があることに、この反応は、重大な中間状態としてPタンパク質、グリシンのアミノメチル部分およびHタンパク質の三元複合体を含み得る。
【0606】
Pタンパク質によって触媒される反応
グリシン分解の最初の部分反応は、Pタンパク質(グリシンデカルボキシラーゼ)によって触媒される脱炭酸である。Hタンパク質は、補助基質として役立つ。グリシン切断反応のもっとも特徴的な特性の1つは、Pタンパク質がピリドキサールリン酸依存性アミノ酸デカルボキシラーゼのクラスに属するはずであるとはいえ、Pタンパク質がグリシンの脱炭酸を顕著に触媒するためにHタンパク質を必要とすることである。この反応は、グリシンのカルボキシル炭素が二酸化炭素に変換される連続ランダム機構を介して進行する。残りのグリシン分子は、Hタンパク質に結び付いたリポエート中のジスルフィドの還元的切断によって形成されるスルフヒドリル基の1つに転移される。
【0607】
Pタンパク質、約200kDaのピリドキサールリン酸含有タンパク質は、ホモ二量体か、またはヘテロ二量体の二量体かのいずれかである。前者は、サブユニット1つあたり1分子のピリドキサールリン酸を有し、後者は、βサブユニットへの二量体1つあたり1分子の補因子を有する。ピリドキサール補因子は、特定のリシン残基に結び付いている。ピリドキサール補因子は、活性部位ポケットと非共有結合的に相互作用する。T.サーモフィルス(T. thermophilus)Pタンパク質の活性部位は、溶媒に面した広い入口を有するチャネルによって分子表面に接続される。チャネル周囲の分子表面は、いくつかの正荷電したアミノ酸残基から構成され、それらの残基は、Hタンパク質との複合体形成に関与している可能性がある。
【0608】
いくつかの態様において、グリシンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌gcvPと少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、グリシンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P33195に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、グリシンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、遺伝子ID 947394に示される核酸配列によってコードされる。
【0609】
Tタンパク質によって触媒される反応
Hタンパク質と結び付いたグリシンの脱炭酸部分は、Tタンパク質(アミノメチルトランスフェラーゼ)によって触媒されるさらなる分解に供される。反応はTHFを必要とし、アンモニア、M-THF、および還元型リポ酸を有するHタンパク質を産生する。THFの非存在下で、M-THFの代わりにホルムアルデヒドが生成されるが、その反応速度は、THFの存在下で測定される速度の0.05%未満である。逆反応において、Tタンパク質は、M-THF、アンモニア、および還元型リポ酸を有するHタンパク質から順序Ter Bi機構(ordered Ter Bi mechanism)を介したHタンパク質結合型アミノメチルリポ酸中間体の形成を触媒し、ここでHタンパク質は、結合する最初の基質であり、続いてM-THFおよびアンモニアが結合する。生成物放出の順序は、THFおよびメチルアミンを負荷されたHタンパク質である。
【0610】
Tタンパク質は、約40kDaの単量体であり、Hタンパク質と共に1:1複合体を形成する。大腸菌タンパク質を採用している架橋研究は、Hタンパク質とTタンパク質との相互作用がTタンパク質のコンフォメーション変化を引き起こすことを明らかにした。Tタンパク質のLys-288とHタンパク質のAsp-43との間の分子間接触が見出された。Tタンパク質のN末端領域は、Hタンパク質との相互作用のため、およびTタンパク質をコンパクトな形態に保つために不可欠である。ヒトTタンパク質の遊離形態の結晶構造およびM-THFの類似体、N5-メチル-テトラヒドロ葉酸と結合した結晶構造が、解析されている。全体的な構造は、THF補因子が結合される中心腔を有し、プテリジン環が疎水性ポケットに深く埋まり、グルタミル基がC末端側表面に向いた、三つ葉のクローバー葉構造からなる。この構造は、テルモトガ・マリティマ(Termotoga naritima)、大腸菌、およびパイロコッカス・ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)OT3由来細菌Tタンパク質の構造と類似している。ヒトTタンパク質の構造分析および変異分析は、インバリアントAsp-101が葉酸基質のN10原子の求核性を増加させることによって触媒作用の開始に主要な役割を果たす場合があることを示した。
【0611】
葉酸の結合に関与する残基が、架橋および部位特異的変異誘発によって同定されている。GvcTのN末端領域は、GvcTの適当なコンフォメーションに重要であり、Hタンパク質との相互作用を可能にする。
【0612】
いくつかの態様において、アミノメチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌gcvTと少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、アミノメチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P27248に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、アミノメチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、遺伝子ID 947390に示される核酸配列によってコードされる。
【0613】
Lタンパク質によって触媒される反応
グリシン切断反応の最終段階は、Lタンパク質によって触媒される、Hタンパク質に結び付いた還元リポ酸の再酸化である。Lタンパク質は、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ、リポアミドデヒドロゲナーゼ、ジヒドロリポイルデヒドロゲナーゼ、または2-オキソ酸(ピルビン酸、2-オキソグルタル酸、および分岐鎖2-オキソ酸)デヒドロゲナーゼ多酵素複合体のE3タンパク質成分として周知である。これは、最終的アクセプター、NADへの電子伝達を触媒する。
【0614】
エンドウマメLタンパク質およびHタンパク質を採用した実験は、ジヒドロリポイルHタンパク質の酸化がapoHタンパク質またはオクタノイル化Hタンパク質などの構造関連類似体の存在によって影響されなかったことを示した。Lタンパク質とHタンパク質との間の構造相互作用は、酸化反応に可欠であり得る。
【0615】
反応動態が研究されており、改変されたピンポン機構を示唆している。部位特異的変異誘発を使用して、FAD補因子の酸化還元電位に影響する酸化還元活性ジスルフィドおよび荷電残基が同定され、特徴付けされた。FAD補因子の挿入は、二量体化および完全活性のために不可欠である。
【0616】
lpdヌル変異体は、好気的条件下でより多くのピルビン酸およびL-グルタミン酸を生成する。代謝フラックス分析は、エントナー-ドゥドロフ経路Iおよびグリオキシル酸シャントが活性化されることを示している。別のジヒドロリポ酸デヒドロゲナーゼ活性が、大腸菌lpd変異体から検出されており;従って、アイソザイムが存在し得る。
【0617】
大腸菌におけるlpd遺伝子の変異は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体をNADH阻害に低感受性にし、嫌気性増殖中に活性にする。NADH阻害に対する酵素の感受性を低下させたGlu354でのアミノ酸置換は、NADHの運動を制限することによって作用すると提唱された。
【0618】
lpdのサプレッサー変異は、チオレドキシンおよびグルタチオン/グルタレドキシン還元経路の両方を欠如する酸化還元欠損変異体の増殖を保つことが示されている。サプレッサー変異はLpd活性を低下させ、ジヒドロリポアミドの蓄積をもたらし、次いでそれがグルタレドキシンの還元を介して電子供与体として働くこともできる。Lpdの再酸化はTCAサイクルの機能を保った。
【0619】
lpdは、差次的コドン適応を示し、偏性嫌気性菌と比較して酸素耐性嫌気性菌において差次的翻訳効率シグネチャーをもたらす。従って、これは酸化ストレス応答に役割を果たすと予測された。lpd欠失変異体は、他のストレスに対してではなく、過酸化水素曝露に対して特異的に、野生型よりも高い感受性であることが示された。
【0620】
いくつかの態様において、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、大腸菌lpd(lpdA、E3サブユニット)と少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P0A9P0に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、遺伝子ID 944854に示される核酸配列によってコードされる。
【0621】
Hタンパク質
Hタンパク質は、約14kDaの単量体性熱安定タンパク質である。脊椎動物Hタンパク質は、125個のアミノ酸残基から構成され、リポ酸は、Lys-59に共有結合される。エンドウ葉リポイル化Hタンパク質(131残基)のX線結晶構造は、このタンパク質の表面にリポイルリシンが局在したことを明らかにした。上述のように、Hタンパク質のリポイルリシン腕は、グリシン開裂系の成分の活性部位間で反応中間体および還元等価物をシャトルする。この機構は、2-オキソ酸デヒドロゲナーゼ複合体に見られるものと類似している。
【0622】
Hタンパク質のリポイル化および2-オキソ酸デヒドロゲナーゼ複合体のアシルトランスフェラーゼ(E2)成分は、大腸菌におけるリポ酸タンパク質リガーゼA(LplA)によって触媒される。この酵素は、リポ酸およびATPからのリポイル-AMPの形成およびリポイル-AMPからHタンパク質およびE2成分へのリポイル部分の転移の両方を触媒する。X線結晶学研究は、LplAが大型N末端ドメインおよび小型C末端ドメインからなり、2つのドメインの間の界面に基質結合ポケットを有することを示した。
【0623】
哺乳動物において、リポイル化はミトコンドリア内の事象である。リポ酸は、GTPを高エネルギー化合物として採用してリポ酸活性化酵素によって最初にリポイル-GMPに活性化される。リポ酸活性化酵素は、異物代謝性中鎖脂肪酸CoAリガーゼ-IIIとして既知の、まさにそのタンパク質である。次いで、リポ酸は、リポイルトランスフェラーゼの作用によってリポイル-GMPからアポタンパク質に転移される。
【0624】
大腸菌におけるgcvH遺伝子によってコードされるHタンパク質は、グリシンのメチルアミン基をPタンパク質からTタンパク質へとシャトルするときに還元され、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼによって再酸化される、リポイルタンパク質である。GcvHは、gcv複合体の3種の酵素についての基質として機能する。
【0625】
残基61~65は、これらの残基の保存およびエンドウ(Pisum sativum)タンパク質のリポ酸結合部位へのそれらの対応に基づき、(リシンでの)リポイル改変を含有すると予測される。
【0626】
GcvHとGcvTとの間の相互作用が検討されている。これら2つのタンパク質の相互作用は、葉酸結合部位を形成するために必要であり得る。葉酸結合部位に葉酸のポリグルタミル領域が結合し、プテリジン環を露出する。GcvTのN末端は、おそらくコンフォメーション変化を媒介することによってGcvHとの相互作用のために重要であり、GcvHの残基D43は、GcvH-GcvT複合体中でGcvTの近位である。
【0627】
いくつかの態様において、Hタンパク質は、大腸菌gcvHと少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、Hタンパク質をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P0A6T9に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、Hタンパク質をコードする1つまたは複数の核酸分子は、遺伝子ID 947393に示される核酸配列によってコードされる。
【0628】
グリコール酸デヒドロゲナーゼまたはグリコール酸オキシダーゼ(EC 1.1.99.14)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を説明する:
グリコール酸+酸化された電子受容体→グリオキシル酸+還元された電子受容体
【0629】
グリコール酸デヒドロゲナーゼはまた、グリコール酸オキシダーゼ、グリコール酸オキシドレダクターゼおよびグリコール酸(受容体)2-オキシドレダクターゼとしても公知であり得る。
【0630】
グリコール酸オキシダーゼは、グリコール酸の単独炭素源としての利用における最初の工程を触媒する。該酵素は、膜結合型であり得る。大腸菌 ATCC11775(血清型O1:K1:H7)から細胞質膜結合型グリコール酸オキシドレダクターゼ活性が単離されており、膜画分においてのみGlcFサブユニットそれ自体を検出することができた。生理学的電子受容体は知られていない。多コピープラスミドからglcDEFを発現する大腸菌系統の粗抽出物は、グリコール酸オキシダーゼ活性を含有する。glcD、glcEまたはglcFのいずれかの挿入変異体は、この活性を無効にするが、このことは、3つの遺伝子産物すべてがグリコール酸オキシダーゼ複合体のサブユニットであることを示唆している。glcDEFGBオペロンの発現は、グリコール酸による成長によって誘導される。
【0631】
シロイヌナズナにおける推定グリコール酸オキシダーゼは、1単量体当たり1個のFADに結合し、葉、茎、花および根において発現される、ミトコンドリアホモ二量体タンパク質である。酵素活性は、シアン化物イオンによって阻害される。該酵素は、D-乳酸からピルビン酸への酸化を立体特異的に触媒し、メチルグリオキサールおよびD-乳酸の解毒を媒介する。
【0632】
いくつかの態様では、グリコール酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、大腸菌のグリコール酸デヒドロゲナーゼGLCおよびシロイヌナズナのグリコール酸デヒドロゲナーゼから選択されるグリコール酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、グリコール酸デヒドロゲナーゼまたはグリコール酸デヒドロゲナーゼサブユニットをコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P0AEP9、UniProt ID P52073、UniProt ID P52074、およびUniProt ID Q94AX4から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、グリコール酸デヒドロゲナーゼまたはグリコール酸デヒドロゲナーゼサブユニットをコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 947353、Gene ID 2847718、Gene ID 2847717、およびGenBankアクセッションY13245.1から選択される核酸配列によってコードされる。
【0633】
アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.44)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を説明する:
【0634】
サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)において、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼサブユニットは、グリシン合成に使用される3つの異なる酵素の1つである。この酵素をコードするAGX1遺伝子が、ノックアウト系統で酵素比活性を比較することによって特定された。グリシン合成に関与する他の酵素を欠いたバックグラウンドに置いたとき、AGX1の変異は、完全なグリシン栄養要求性をもたらした。該酵素は、その後、精製および特徴付けられた。補因子としてピリドキサール5'-リン酸を含有する該酵素は、約80kDaのホモ二量体であり、L-アラニンおよびグリオキシル酸に高特異的である。
【0635】
ミトコンドリアに局在化したホモサピエンスのアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ2(AGXT2)およびペルオキシソームのセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ(AGXT1、上記参照)は共に、アラニンをアミノドナーとして使用してグリオキシル酸からグリシンへの変換を触媒する。しかしながら、AGXT2はまた、不斉ジメチルアルギニン(ADMA)をアミノドナーとして利用して、α-ケト-δ-(NN-ジメチルグアニジノ)吉草酸(DMGV)の形成を導くこともできるが、AGXT1はできない。ADMAは、一酸化窒素(NO)シンターゼの強力な内因性阻害剤である。ADMAレベルはまた、ADMAをシトルリンおよびジメチルアミンに加水分解する細胞質ゾルのジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ(DDAH)によって制御される。上昇したADMAレベルは、糖尿病、高血圧、うっ血性心不全およびアテローム性動脈硬化に関連する。AGXT2は、腎臓において主に発現されるピリドキサールリン酸依存性酵素であり、その活性は、腎臓が血圧を調節する1つのメカニズムである。
【0636】
シロイヌナズナでは、4つのアミノトランスフェラーゼ活性を有するアラニントランスアミナーゼが特定されている。AOAT1(GGAT1)は、ペルオキシソームに局在化している。ノックアウト植物は、低下した、AOAT、GPAT(グルタミン酸:ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ)、AGAT(アラニン:グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ)およびGGAT(グルタミン酸:グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ)活性を有する。GGATおよびAGAT活性が最も激しく低下した。これらは、AOAT1が光呼吸に主に関与していることを示している。同様に、ペルオキシソームに局在していると予測されるAOAT2(GGAT2)も光呼吸に関与している可能性が高い。組換えタンパク質のインビトロアッセイは、GGAT1およびGGAT2が、4つのアミノトランスフェラーゼ活性、すなわち、GGAT、AGAT、GPATおよびAOATを有することを示した。2つの組換えタンパク質は、アミノ酸基質であるグルタミン酸およびアラニン、ならびにオキソ酸基質であるグリオキシル酸、ピルビン酸および2-オキソグルタル酸に対して極めてよく似たKm値を呈した。
【0637】
いくつかの態様では、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、サッカロミセス・セレビシエのAGX1、ホモサピエンスのAGXT2、シロイヌナズナのAOAT1およびシロイヌナズナのAOAT2から選択されるアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P43567、UniProt ID Q9BYV1、UniProt ID Q9LR30およびUniProt ID Q9S7E9から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 850514、Gene ID 64902、TAIRアクセッションAT1G23310およびTAIRアクセッションAT1G70580から選択される核酸配列によってコードされる。
【0638】
アラニントランスアミナーゼ(EC 2.6.1.2)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を説明する:
【0639】
いくつかの態様では、アラニントランスアミナーゼは、グルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼである。AlaAは、大腸菌における3つの主要なアラニン合成トランスアミナーゼの1つである。AlaAおよびAlaCは合わせて、細胞におけるグルタミン酸-ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)活性の90%を占める。AlaAの結晶構造は、2.11Åの分解能で解明されている。構造は、フォールドタイプIアミノトランスフェラーゼに特有の対称のα2ホモ二量体を示す。alaA欠失系統は、成長欠陥を有していないが、alaA avtA二重変異体は、寒天プレート上に小さなコロニーを形成する。alaA avtA alaC三重変異体は、液体培地中で低成長表現型を有する。二重変異体および三重変異体の欠陥は、アラニンの添加によって救済することができる。適応性および競合成長実験を異なる成長条件下で実施した。特に、酸素制限条件下、最少培地中のΔalaA系統の倍加時間は、富栄養培地中の成長と比較して増加する。競合成長条件下、ΔalaA変異は、富栄養培地中であっても野生型と比較して不利益をもたらす。alaAは、ストレスの致死効果を低下させる遺伝子のスクリーンにおいて特定された。alaA挿入変異体は、マイトマイシンCおよび他のストレスに対して野生型よりも感受性であり、10% SDSに対して低感受性である。alaA遺伝子は、リーキー(leaky)なアラニンまたはバリン要求性の変異体として最初に特定された。
【0640】
AlaBは、大腸菌における3つの主要なアラニン合成トランスアミナーゼの1つである。AlaBは、グルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ反応を触媒して、ピルビン酸とアミノドナーとしてのグルタミン酸からアラニンを生成する。この活性は、粗細胞抽出物においてアッセイされており、AlaBをコードする遺伝子は、プラスミド上で単離されている。多コピープラスミドからのalaBの発現は、ilvE alaA変異体系統の成長欠陥を部分的に抑制する。
【0641】
AlaCは、大腸菌における3つの主要なアラニン合成トランスアミナーゼの1つである。該酵素のalaAの結晶構造に基づいた相同モデルが作製されている。alaC欠失系統は、成長欠陥を有していないが、alaA avtA alaC三重変異体は、液体培地中で低成長表現型を有する。その欠陥は、アラニンの添加によって救済することができる。適応性および競合成長実験を異なる成長条件下で実施した。特に、酸素制限条件下、最少培地中のΔalaC系統の倍加時間は、富栄養培地中の成長と比較して増加する;alaAおよびavtA変異体の場合と異なり、L-アラニンの添加は、その倍加時間を、DMEM培地中で観察された倍加時間に戻す。競合成長条件下、ΔalaC変異は、富栄養培地中であっても野生型と比較して不利益をもたらす。alaCの発現は、転写調節因子SgrRによって活性化される。したがって、AlaCは、グルコース-リン酸ストレスにおいて役割を果たし得る。しかしながら、alaC欠失変異体は、糖-リン酸ストレスを誘導するα-メチルグルコシドに対して感受性の変化を示さない。
【0642】
ホモサピエンスでは、アラニンアミノトランスフェラーゼは、L-アラニンと2-オキソグルタル酸との間の可逆的アミノ基転移を触媒してピルビン酸およびL-グルタミン酸を形成する、細胞質酵素である。これらの4つの主要な代謝中間体の相互変換は、この酵素に分解性と生合成の両方の役割を与える。該酵素は、骨格筋および肝臓のアラニン-グルコースサイクル、糖新生、ならびに脳におけるグルタミン酸生成に関与する。アラニンアミノトランスフェラーゼは、腎臓、骨格筋、脂肪組織および心臓において発現される。該酵素には、2つのアイソフォーム:アラニンアミノトランスフェラーゼ1(GPT)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ2(GPT2)がある。ヒトアラニンアミノトランスフェラーゼ1(GPT)は、肝臓から精製された。脂肪組織からの組換えヒトアラニンアミノトランスフェラーゼ2(GPT2)は大腸菌において発現されており、その分子量はSDS-PAGEによって決定された。該酵素は、脂肪組織、筋肉、脳および腎臓において高レベルで、乳房および肝臓においてより低レベルで発現される。
【0643】
海生環形動物多毛類のタマシキゴカイ(Arenicola marina)(ゴカイ)由来のアラニントランスアミナーゼのサブユニット構造は報告されていない。該酵素は、ゲル濾過クロマトグラフィーによって決定された場合に、見かけの天然分子量91kDaを有する。この生物において該酵素をコードする遺伝子は特定されていない。海生環形動物および軟体動物では、この反応は、低酸素または酸素欠乏期中に作動する嫌気的エネルギー生成経路に関与する。この生物由来のアラニントランスアミナーゼ(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)は、体壁筋から部分的に精製され、特徴付けられている。高いアラニントランスアミナーゼ活性がこの組織で見いだされた。また、特異的で可逆的なL-グルタミン酸依存性L-アラニントランスアミナーゼおよびL-アスパラギン酸トランスアミナーゼ活性がイガイのムラサキイガイ(Mytilus edulis)の組織において実証されている。
【0644】
シロイヌナズナのトリプトファンアミノトランスフェラーゼTAA1タンパク質は、多くの植物種において植物ホルモンとして作用する生物学的に重要なオーキシンであるインドール-3-ピルビン酸(インドール-3-酢酸(IAA)の前駆体)の形成に関与する。インビトロアッセイは、このピリドキサール5'-リン酸(PLP)依存性アミノトランスフェラーゼが、ピルビン酸または2-オキソグルタル酸のいずれかを補基質として使用して、L-フェニルアラニン、L-チロシン、L-ロイシン、L-アラニン、L-メチオニンおよびL-グルタミンを含む多数の異なるL-アミノ酸に作用することができることを明らかにしている。しかしながら、酵素アッセイ、インシリコドッキング実験および変異体表現型解析はすべて、L-トリプトファンがこの酵素のインビボ基質であることを示唆している。TAA1は、L-トリプトファンおよびピルビン酸を用いて試験したときに0.29mMのKmおよび12.9μM/minのVmaxを有する。ピルビン酸または2-オキソグルタル酸が、この酵素のより生物学的に関連する補基質であるかどうかは不明である。
【0645】
このタンパク質をコードする遺伝子は、避陰変異体および弱いエチレン低感受性を有する変異体のスクリーンにおいて特定されており、このことは、TAA1媒介経路を通じて合成されるオーキシンが、特定の環境刺激およびホルモン刺激への応答に特に重要であることを示唆している。加えて、適正なオーキシンレベルを必要とする胚発生などの正常な発生過程は、アラビドプシス属植物においてTAA1およびその密接に関連するファミリーメンバー(すなわち、TAR1およびTAR2)の1つまたは複数がノックアウトされたとき、崩壊する。この酵素活性は、16のファミリー間に分布する30の異なる種からの酵素抽出物がトランスアミナーゼ反応のIPAの形成を触媒できることからして、植物界に広く分布していると思われる。藻類の3つの種もこの活性を有する。
【0646】
シロイヌナズナでは、4つのアミノトランスフェラーゼ活性を有するアラニントランスアミナーゼが特定されている。AOAT1(GGAT1)は、ペルオキシソームに局在化している。ノックアウト植物は、低下した、AOAT、GPAT(グルタミン酸:ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ)、AGAT(アラニン:グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ)およびGGAT(グルタミン酸:グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ)活性を有する。GGATおよびAGAT活性が最も激しく低下した。これらは、AOAT1が光呼吸に主に関与していることを示している。同様に、ペルオキシソームに局在していると予測されるAOAT2(GGAT2)も光呼吸に関与している可能性が高い。組換えタンパク質のインビトロアッセイは、GGAT1およびGGAT2が、4つのアミノトランスフェラーゼ活性、すなわち、GGAT、AGAT、GPATおよびAOATを有することを示した。2つの組換えタンパク質は、アミノ酸基質であるグルタミン酸およびアラニン、ならびにオキソ酸基質であるグリオキシル酸、ピルビン酸および2-オキソグルタル酸に対して極めてよく似たKm値を呈した。
【0647】
また、カンジダ・マルトーサ(Candida maltosa)、クロストリジウム・プロピオニクム、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、メガチルサス・マキシマス(Megathyrsus maximus)およびパニカム・ミリアセアム(Panicum miliaceum)に由来するアラニンアミノトランスフェラーゼ活性も記載されている。パニカム・ミリアセアムの推定アラニンアミノトランスフェラーゼは、このNAD-MEタイプC4植物からクローン化され、葉肉と維管束鞘細胞の両方において発現することが見いだされており、その遺伝子発現は光誘発性であった。mRNA蓄積は、両細胞タイプで緑化の間に劇的に増加したが、このことは、C4光合成におけるその予測された役割と一致する。
【0648】
いくつかの態様では、アラニントランスアミナーゼ活性を有する酵素は、大腸菌のグルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼalaA、大腸菌のグルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼalaB、大腸菌のグルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼalaC、ホモサピエンスのアラニンアミノトランスフェラーゼ1(GPT)、ホモサピエンスのアラニンアミノトランスフェラーゼ2(GPT2)、タマシキゴカイのアラニントランスアミナーゼ、シロイヌナズナのトリプトファンアミノトランスフェラーゼTAA1、シロイヌナズナのAOAT1、シロイヌナズナのAOAT2、カンジダ・マルトーサのアラニンアミノトランスフェラーゼ、クロストリジウム・プロピオニクムのアラニンアミノトランスフェラーゼ、ピロコッカス・フリオサスのアラニンアミノトランスフェラーゼaat、メガチルサス・マキシマスのアラニントランスアミナーゼ、およびパニカム・ミリアセアムのアラニントランスアミナーゼAlaAT-2から選択されるアラニントランスアミナーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、アラニントランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P0A959、UniProt ID P77434、UniProt ID P24298、UniProt ID Q8TD30、UniProt ID Q9S7N2、UniProt ID Q9LR30、UniProt ID Q9S7E9、UniProt ID Q9P9M8、およびUniProt ID P34106から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、アラニントランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 946772、Gene ID 946850、Gene ID 2875、Gene ID 84706、Gene ID 843393、TAIRアクセッションAT1G23310、TAIRアクセッションAT1G70580、GenBankアクセッションAF163769.1およびGenBankアクセッションX69421.1から選択される核酸配列によってコードされる。
【0649】
グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.2およびEC 1.4.1.3)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を説明する:
【0650】
いくつかの態様では、グルタミン酸デヒドロゲナーゼは、グルタミン酸をアンモニアおよびアルファ-ケトグルタル酸に分解する、サッカロミセス・セレビシエ由来のNAD依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH2)である。GDH2の発現は、窒素異化抑制および細胞内アンモニアレベルに感受性がある。
【0651】
アラビドプシス属において、それぞれアルファサブユニットおよびベータサブユニットをコードする、2つのNAD依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)遺伝子GDH1およびGDH2がある。異なる比率のアルファサブユニットおよびベータサブユニットから構成されるGDHの7つの六量体アイソフォームが検出されている。異なるアイソフォームは、異なる環境および生理学的条件下で異なる組織に分布している。GDHの酵素活性は、ある程度、転写レベルで制御される。
【0652】
ペプトニフィラス・アサッカロリチカス(Peptoniphilus asaccharolyticus)由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼは、L-グルタミン酸から2-オキソグルタル酸へのNAD依存性の酸化的脱アミノ化を触媒する。反応は、高度に基質特異的である。D-グルタミン酸、D-もしくはL-アスパラギン酸、グルタミンの存在下またはNADPがNADに置き換わったとき、活性は観察されなかった。スクロース密度勾配遠心法を使用して、研究者は、天然酵素の分子量が300~340kDaであると推定したが、このことは、該酵素がホモ六量体であり得ることを示唆している。他の研究者は、一方で、ゲル濾過を使用して天然酵素の分子量がおよそ226kDaであると推定した。L-グルタミン酸およびNAD+のKM値は、それぞれ、1.3mMおよび0.25mMであった。
【0653】
ハロバクテリウム・サリナルム(Halobacterium salinarum)は、異なる形態が異なる補因子(NADおよびNADP)を利用する、2つ以上の形態のGDHを有すると報告されている生物の1つである。最終的に、該生物が4つの異なるグルタミン酸デヒドロゲナーゼ酵素をコードする4つの遺伝子を有することが示された。これらの遺伝子産物の2つが精製され、生化学的に特徴付けられた。該遺伝子の1つである当初NADP特異的形態をコードすると予測されたgdhA1は、NAD特異的酵素をコードすることが分かった。
【0654】
ホモサピエンスのグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)は、L-グルタミン酸から2-オキソグルタル酸およびアンモニアへの可逆的な酸化的脱アミノ化を触媒する、ホモ六量体のミトコンドリアマトリックス酵素である。哺乳動物のGDHは、これらが補因子としてNADまたはNADPのいずれかを使用できるという点で珍しい酵素である。ヒトは、2つのGDHイソ酵素を発現する。グルタミン酸デヒドロゲナーゼ1(GLUD1)は、肝臓、脳、膵臓および腎臓において高レベルで発現される。グルタミン酸デヒドロゲナーゼ2(GLUD2)は、X染色体に関連したイントロンを含まない遺伝子によってコードされ、網膜、精巣および脳において発現される。酵素過剰活性を導くGLUD1の変異は、高インスリン血をもたらす。ADPおよびL-ロイシンのような正のエフェクターならびにGTPのような負のエフェクターによる哺乳動物のGDH活性のアロステリック制御が大規模に研究されている。
【0655】
枯草菌PCI 219は、NAD(H)およびNADP(H)に対する二重補酵素特異性を有する単一のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)を有する。その分子量は、ゲル濾過によって250,000+/-20,000、スクロース密度勾配におけるゾーン遠心分離によって270,000+/-30,000と推定された。サブユニットサイズは約57,000であったが、このことは、それがホモ四量体であることを示唆している。
【0656】
cDNAクローンがソラヌム・リコペルシクム(Solanum lycopersicum)の組織から単離された。cDNAは、植物のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)と同一性を共有するタンパク質をコードした。このタンパク質の発現分析は、このタンパク質が、茎、根および葉において発現されるが果実組織には存在しないことを示した。研究はまた、トマトのGDH1の2つのサブユニットが単一の遺伝子によってコードされていることも示した。この酵素は、2-オキソグルタル酸をL-グルタミン酸へ変換する。
【0657】
また、クロストリジウム・プロピオニクムおよびサーモトガ・マリティマに由来するグルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性も記載されている。
【0658】
いくつかの態様では、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、サッカロミセス・セレビシエのNAD依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼGDH2、シロイヌナズナのNAD依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼGDH2、シロイヌナズナのNAD依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼGDH1、ペプトニフィラス・アサッカロリチカスのNAD依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼgdhA、ハロバクテリウム・サリナルムのNAD依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼgdhA、サーモトガ・マリティマのグルタミン酸デヒドロゲナーゼ、ホモサピエンスのグルタミン酸デヒドロゲナーゼ1(GLUD1)、ホモサピエンスのグルタミン酸デヒドロゲナーゼ2(GLUD2)、枯草菌のグルタミン酸デヒドロゲナーゼおよびソラヌム・リコペルシクムのグルタミン酸デヒドロゲナーゼGDH1から選択されるグルタミン酸デヒドロゲナーゼに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P33327、UniProt ID Q38946、UniProt ID Q38946、UniProt ID P28997、UniProt ID P29051、UniProt ID P00367、UniProt ID P49448およびUniProt ID P93541から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 461927、TAIRアクセッションAT5G07440、TAIRアクセッションAT5G18170、GenBankアクセッションM76403.1、GenBankアクセッションX63837.1、Gene ID 2746、Gene ID 2747およびGenBankアクセッションU48695.1から選択される核酸配列によってコードされる。
【0659】
アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.10)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を説明する:
【0660】
大腸菌mhpFは、アシル化アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする。MhpFは、単量体として活性である;反応の律速段階は、チオエステル交換であるように思われる。MhpFは、工学操作された逆β酸化経路におけるn-ブタノールの合成に関与する。MhpEの発現は、MhpFに翻訳共役され、2つのタンパク質間の相互作用は、MhpEの溶解性に必要であるように思われる。
【0661】
大腸菌AdhEは、3つのFe2+依存性触媒機能:アルコールデヒドロゲナーゼ、補酵素A依存性アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼおよびピルビン酸ギ酸-リアーゼデアクチバーゼを有する、ホモ多量体タンパク質である。しかしながら、AdhEのピルビン酸ギ酸-リアーゼデアクチバーゼ活性の存在は議論中である。AdhEのホモ多量体構造は、棒状の超微細構造を形成するように20~60のサブユニットがらせん状に配置されているという点で珍しい。発酵条件下、AdhEは、アセチルCoAからアセトアルデヒドへの還元および後者の化合物からエタノールへの還元を触媒する。好気的には、逆方向に、AdhEは、アセトアルデヒドからアセチルCoAへの酸化を触媒することができる。adhEの発現は、転写および翻訳レベルで、かつ、おそらくは翻訳後レベルで調節されるように思われる。adhEの発現は、好気的成長中よりも嫌気的成長中でおよそ10倍高い。大腸菌 B由来AdhEは、初期研究において部分的に精製および特徴付けられた。これはその後、大腸菌Bから均質まで精製され、その補酵素A関連アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性が詳細な動態解析に供された。bi-uni-uni-uniピンポン機構が提唱された。ネズミチフス菌(Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhimurium)由来のAdhEは、大腸菌のものと70%のアミノ酸配列同一性を示した。これは、大腸菌酵素と比較してアルコール基質に対してより低いKmおよび基質特異性のある程度の違いを有していた。代謝工学分野では、adhEの欠失は、コハク酸、D-乳酸およびポリヒドロキシアルカン酸などの化合物の生成における決定因子である。
【0662】
クラミドモナス・レインハルドティのADH1は、二重機能のアルコールデヒドロゲナーゼ/アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする。これは、酸素欠乏条件下で活性であるように思われ、クラミドモナスにおける2つの異なる嫌気的エタノール生成経路に関与する。
【0663】
DmpFは、シュードモナス属の種由来のアシル化アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼである。シュードモナス属の種CF600におけるメタ開裂経路の最後の2工程は、4-ヒドロキシ-2-オキソ吉草酸アルドラーゼおよびアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(アシル化)という酵素による(S)-4-ヒドロキシ-2-オキソペンタン酸からピルビン酸およびアセチルCoAへの変換を伴う。生化学研究は、これらの2つの酵素が二機能性のアルドラーゼ-デヒドロゲナーゼヘテロ二量体を含むことを実証し、アルドラーゼ反応の生成物であるアセトアルデヒドがチャネリング機構を介してデヒドロゲナーゼ活性部位に移送されることを示唆している。このことは、毒性のアセトアルデヒドによる細胞への危険性を最小限に抑える。
【0664】
シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)F1におけるtodI遺伝子産物の存在は、プラスミド構築物のタンパク質発現パターンによって示唆された。todI遺伝子産物の予測されたアミノ酸配列は、他の細菌のアシル化アルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子産物と非常に高い同一性を示した。
【0665】
クロストリジウム・アセトブチリクムATCC 824のadhE遺伝子は、アルコールデヒドロゲナーゼ活性とアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の両方を有する多機能性酵素をコードする。両活性は、ソルベント生成期中のブタン-1-オールおよびエタノールの形成に必要である。adhE遺伝子は、solオペロンの一部であり、pSOL1メガプラスミド上に位置している。クロストリジウム・アセトブチリクムATCC 824におけるプラスミドからの該遺伝子の発現は、NADH依存性ブタノールデヒドロゲナーゼ、NAD依存性アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼおよびブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼの活性上昇、ならびにNADH依存性エタノールデヒドロゲナーゼの小さな増加をもたらした。ブタノールもアセトンも生成しないブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アセト酢酸デカルボキシラーゼおよびアセトアセチル-補酵素A:酢酸/酪酸:補酵素A-トランスフェラーゼ活性欠損変異体のadhE遺伝子による補完は、いかなるアセトン形成もいかなる有意なエタノール生成の増加も伴うことなくブタノール形成を回復させたが、このことは、該酵素の主な役割が、ブタノール形成にあり、ブタナールデヒドロゲナーゼ活性(ブタノイルCoAからブタン-1-アールへ変換)とブタノールデヒドロゲナーゼ活性の両方を提供することを示唆している。加えて、該遺伝子の不活化は、ブタノール生成を大幅に低下させ(85%)、このことがこの役割を裏付けている。pSOL1プラスミド由来の別の遺伝子であるadhE2は、ブタノール生成に関与する第2の多機能性アルデヒド/アルコールデヒドロゲナーゼをコードする。しかしながら、その酵素は、アルコール生成条件下でのみ生成され、ソルベント生成条件下では発現されない。ATCC 824系統由来の遺伝子は当初、aadと呼ばれた。
【0666】
また、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ペロバクター・アセチレニクスおよびシュードモナス・プチダに由来するアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性も記載されている。部分的に精製されたロイコノストック・メセンテロイデスのCoA依存性アルデヒドデヒドロゲナーゼは、それと共に精製されたNAD関連アルコールデヒドロゲナーゼから分離できなかった。該酵素は、NADに特異的であり、NADPを使用できなかった。アセトアルデヒドおよび1-プロパナールが最良の基質であった一方で、該酵素は、ブタン-1-アール(アセトアルデヒドでの活性の31%)およびイソブタナール(14%)も使用できた。
【0667】
いくつかの態様では、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、大腸菌mhpF、大腸菌AdhE、クラミドモナス・レインハルドティのADH1、ロイコノストック・メセンテロイデスのCoA依存性アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ、ペロバクター・アセチレニクスのアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ、シュードモナス属の種のdmpF、シュードモナス・プチダのアシル化アルデヒドデヒドロゲナーゼtodI、シュードモナス・プチダのアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼのcmtHおよびクロストリジウム・アセトブチリクムのアルコール/アルデヒドデヒドロゲナーゼAdhEから選択されるアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P77580、UniProt P0A9Q7、UniProt ID A8JI07、UniProt ID Q52060、UniProt ID Q51949およびUniProt ID P33744から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 945008、Gene ID 945837、Gene ID 5729132、GenBankアクセッションX60835.1、GenBankアクセッションU09250.1およびGene ID 1116167から選択される核酸配列によってコードされる。
【0668】
エタノールアミンアンモニアリアーゼ(EC 4.3.1.7)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を説明する:
【0669】
エタノールアミンアンモニア-リアーゼ(EAL)は、外部のビタミンB12の存在下で、大腸菌がエタノールアミンを単独の窒素および炭素源として利用することを可能にする。EALは、その基質によって自然に不活化され、EutAによって再活性化され得る、アデノシルコバラミン依存性酵素である。該酵素は、非K-12系統NCIB 8114で最初に研究された。N末端短縮型であるが活性型の該酵素と補因子および基質との二元複合体および三元複合体の結晶構造が解明されている。該酵素は、(αβ)2二量体の六量体から構成されており、αサブユニットが活性部位を保持し、αサブユニットとβサブユニットとの間の界面にコバラミン補因子が結合している。著者は、過去に記載されているアデノシルコバラミン依存性再配列の機構と一致する反応機構を提唱している。該反応の立体化学的過程が結晶構造に基づいてモデル化されており、該酵素の見かけの立体特異性の欠如を説明している。EALの生成は、異化生成物によって抑制され、エタノールアミンおよびアデノシルコバラミン補因子が同時に存在することによって誘導される。エタノールアミンアンモニア-リアーゼは、α(EutB)およびβ(EutC)という2つのサブユニットを含む。
【0670】
いくつかの態様では、エタノールアミンアンモニアリアーゼ活性を有する酵素は、エタノールアミンアンモニアリアーゼ活性を有する大腸菌酵素に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、エタノールアミンアンモニアリアーゼサブユニットをコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P0AEJ6およびUniProt ID P19636から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、エタノールアミンアンモニアリアーゼサブユニットをコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 946924およびGene ID 946925から選択される核酸配列によってコードされる。
【0671】
セリンアミナーゼ(EC 2.6.1.-)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を説明する:
L-セリン+NH4+ → (S)-2,3-ジアミノプロパン酸
【0672】
いくつかの態様では、セリンアミナーゼ活性を有する酵素は、セリン-グリオキシル酸トランスアミナーゼであることができる。他の態様では、セリンアミナーゼ活性を有する酵素は、セリン-ピルビン酸トランスアミナーゼ(上記参照)であることができる。
【0673】
セリン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼは、L-セリンのα-アミノ基のグリオキシル酸への転移を触媒して、グリシンおよびヒドロキシピルビン酸を形成する。セリンサイクルメチル栄養細菌では、この酵素は、2つの重要な役割:一炭素単位のための受容体(グリシン)の形成、および同化経路におけるL-セリンからヒドロキシピルビン酸への変換を果たす。これは、精製される最初の微生物のセリン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼであり、その数年後、その酵素をコードする遺伝子も特定された。
【0674】
シロイヌナズナのAGT1によってコードされるセリン:グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼは、ホモ二量体である。精製された組換えタンパク質は、セリン:グリオキシル酸アミノ基転移で最も高い活性を有する。それはまた、アラニン:グリオキシル酸アミノ基転移およびセリン:ピルビン酸アミノ基転移をはるかに低い特異的活性で触媒した。
【0675】
sgaAは、メチロバクテリウム・エキストロクエンス染色体上のセリン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼをコードする遺伝子であると推定される。クローン化された遺伝子の産物は発現されなかったが、変異補完を使用してその役割が調査された。この遺伝子の変異は、C1化合物で成長する能力を無効にし、その遺伝子断片のクローン化された不活性型による変異体の補完は活性を回復させた。加えて、sgaA配列は、多数のアミノトランスフェラーゼに類似している。
【0676】
さらなる態様では、セリンアミナーゼ活性を有する酵素は、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素であることができる。いくつかの態様では、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、serC、またはそのホモログである。別の態様では、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素、L-セリントランスアミナーゼ活性を有する酵素またはセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:230に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素、L-セリントランスアミナーゼ活性を有する酵素またはセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:229に示される核酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、ホモサピエンスのPSAT1、またはそのホモログである。一態様では、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID Q9Y617に示されるアミノ酸配列を含む。別の態様では、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 29968に示される核酸配列によってコードされる。
【0677】
いくつかの態様では、セリンアミナーゼ活性を有する酵素は、シロイヌナズナのセリン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼAGT1、ヒホミクロビウム・メチロボルム(Hyphomicrobium methylovorum)GM2のセリン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼsgaAおよびメチロバクテリウム・エキストロクエンスのsgaAに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、セリン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID Q56YA5およびUniProt ID O08374から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、セリン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、TAIRアクセッションAT2G13360、GenBankアクセッションD86125.1およびGenBankアクセッションL27235.1から選択される核酸配列によってコードされる。
【0678】
いくつかの態様では、セリンアミナーゼ活性を有する酵素は、セリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素である。いくつかの態様では、セリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、ホモサピエンスのAGXT1に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、セリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、ホモサピエンスのAGXT1である。いくつかの態様では、セリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、AGXT1、またはそのホモログである。いくつかの態様では、セリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:244に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、セリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:243に示される核酸配列によってコードされる。
【0679】
いくつかの態様では、セリンアミナーゼ活性を有する酵素は、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素である。いくつかの態様では、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、サッカロミセス・セレビシエのAGX1、ホモサピエンスのAGXT2、シロイヌナズナのAOAT1およびシロイヌナズナのAOAT2から選択されるアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P43567、UniProt ID Q9BYV1、UniProt ID Q9LR30およびUniProt ID Q9S7E9から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 850514、Gene ID 64902、TAIRアクセッションAT1G23310およびTAIRアクセッションAT1G70580から選択される核酸配列によってコードされる。
【0680】
いくつかの態様では、セリンアミナーゼ活性を有する酵素は、アラニントランスアミナーゼ活性を有する酵素である。いくつかの態様では、アラニントランスアミナーゼ活性を有する酵素は、大腸菌のグルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼalaA、大腸菌のグルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼalaB、大腸菌のグルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼalaC、ホモサピエンスのアラニンアミノトランスフェラーゼ1(GPT)、ホモサピエンスのアラニンアミノトランスフェラーゼ2(GPT2)、タマシキゴカイのアラニントランスアミナーゼ、シロイヌナズナのトリプトファンアミノトランスフェラーゼTAA1、シロイヌナズナのAOAT1、シロイヌナズナのAOAT2、カンジダ・マルトーサのアラニンアミノトランスフェラーゼ、クロストリジウム・プロピオニクムのアラニンアミノトランスフェラーゼ、ピロコッカス・フリオサスのアラニンアミノトランスフェラーゼaat、メガチルサス・マキシマスのアラニントランスアミナーゼ、およびパニカム・ミリアセアムのアラニントランスアミナーゼalaAT-2から選択されるアラニントランスアミナーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、アラニントランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P0A959、UniProt ID P77434、UniProt ID P24298、UniProt ID Q8TD30、UniProt ID Q9S7N2、UniProt ID Q9LR30、UniProt ID Q9S7E9、UniProt ID Q9P9M8、およびUniProt ID P34106から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、アラニントランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 946772、Gene ID 946850、Gene ID 2875、Gene ID 84706、Gene ID 843393、TAIRアクセッションAT1G23310、TAIRアクセッションAT1G70580、GenBankアクセッションAF163769.1およびGenBankアクセッションX69421.1から選択される核酸配列によってコードされる。
【0681】
ジアミノ酪酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.86)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を説明する:
【0682】
この酵素クラスの系統名は、L-2,4-ジアミノブタン酸カルボキシ-リアーゼ(プロパン-1,3-ジアミン形成)である。ジアミノ酪酸デカルボキシラーゼはまた、DABA DC、L-2,4-ジアミノ酪酸デカルボキシラーゼ、L-2,4-ジアミノブタン酸カルボキシ-リアーゼとしても公知であり得る。
【0683】
この酵素は、トランスフェラーゼのファミリー、具体的には、受容体としてアルコール基を有する、リン含有基を転移させるトランスフェラーゼ(ホスホトランスフェラーゼ)に属する。この酵素は、3つの代謝経路:セリン/グリシン/トレオニン代謝、グリセロ脂質代謝およびグリオキシル酸-ジカルボン酸代謝に関与する。
【0684】
いくつかの態様では、L-2,4-ジアミノ酪酸デカルボキシラーゼをコードする遺伝子は、シノリゾビウム・メリロティ(Sinorhizobium meliloti)Rm2011のrhbB遺伝子である。rhbB遺伝子は、アシネトバクター・バウマニイ(Acinetobacter baumannii)のddc遺伝子に相同であり、その生物によるプロパン-1,3-ジアミンの生成に関与する。したがって、これらの遺伝子が、それぞれ、ジアミノ酪酸-2-オキソグルタル酸トランスアミナーゼおよびL-2,4-ジアミノ酪酸デカルボキシラーゼをコードすると提唱されている。
【0685】
いくつかの態様では、ジアミノ酪酸デカルボキシラーゼは、L-2,4-ジアミノ酪酸デカルボキシラーゼである。いくつかの態様では、L-2,4-ジアミノ酪酸デカルボキシラーゼは、シノリゾビウム・メリロティRm2011のrhbBに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、L-2,4-ジアミノ酪酸デカルボキシラーゼは、シノリゾビウム・メリロティRm2011のrhbBである。
【0686】
いくつかの態様では、L-2,4-ジアミノ酪酸デカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、rhbB、またはそのホモログである。いくつかの態様では、L-2,4-ジアミノ酪酸デカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID Q9Z3R2に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、L-2,4-ジアミノ酪酸デカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 1236295に示される核酸配列によってコードされる。
【0687】
オルニチンデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.17)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を説明する:
【0688】
この酵素クラスの系統名は、L-オルニチンカルボキシ-リアーゼ(プトレシン形成)である。オルニチンデカルボキシラーゼはまた、SpeCおよびL-オリニチンカルボキシ-リアーゼとしても公知であり得る。大腸菌は、生合成(構成的)SpeCおよび分解性(誘導性)SpeFという2つのオルニチンデカルボキシラーゼ酵素をコードする。SpeFは、グアノシンヌクレオチドGTP、GDP、pppGppおよびppGppによって活性化される。SpeFは、細胞がpH 7ではなくpH 5.2で成長したときにSpeF含有プラスミドから過剰生成される。プラスミドからのRNase IIIの過剰発現は、speFプロモーターからの発現を、おそらく5' UTRのプロセシングによって増加させる。
【0689】
オルニチンが利用可能であるとき、大腸菌は、2つの経路を介してプトレシンを合成可能である。1つ目の経路は、オルニチンデカルボキシラーゼによって触媒される反応によってオルニチンから直接プトレシンを生成する。もう一方の経路は、アルギニンを使用した2つの反応を伴う。加えて、大腸菌は、見かけ上すべての系統に存在する生合成(または構成的)形態と大腸菌の一部の系統に存在する生分解性(または誘導性)形態の2つの形態のオルニチンデカルボキシラーゼを保有する。これらの2つのタイプのオルニチンデカルボキシラーゼは、大腸菌 K-12で特徴付けられている。生分解性オルニチンデカルボキシラーゼは、低いpHによっておよび成長培地中のオミチンの存在によって誘導される。生合成オルニチンデカルボキシラーゼの活性は、多数の正および負のエフェクターによってモジュレートされる。正のエフェクターは、ヌクレオチドを含み、GTPは、オルニチンデカルボキシラーゼを活性化する際により効果的である一方で、ppGppは、オルニチンデカルボキシラーゼの負のエフェクターとして反応する。ppGppの蓄積は、安定したRNA合成の停止を導き、タンパク質合成の忠実度に関係しているように思われる。
【0690】
オルニチンデカルボキシラーゼ調節は、オルニチンデカルボキシラーゼに結合してその活性を非競合的に阻害する抗酵素と命名されたタンパク質阻害剤によって起こると報告された。抗酵素は、ポリアミンによって誘導される。大腸菌の抗酵素をコードする遺伝子がクローン化され、二機能性の抗酵素/転写調節因子として特定された。しかしながら、別の刊行物は、大腸菌の抗酵素は、哺乳動物の抗酵素遺伝子の直接の対応物ではないと結論付けた。その後、大腸菌遺伝子atoCの産物(AtoC転写活性化因子;ODCのAzタンパク質阻害剤を参照のこと)は、抗酵素活性(ポリアミン生合成酵素の翻訳後阻害)と短鎖脂肪酸異化に関与する遺伝子の転写調節因子としての活性の両方を有する、二機能性タンパク質として特定された。ポリアミンは、atoCの転写を活性化した。AtoCは、センサーヒスチジンキナーゼAtoSと共に、二成分シグナル伝達系の一部である。AtoSによって触媒されるAtoCのリン酸化は、短鎖脂肪酸の異化のためのatoDAEBオペロンの転写活性化に必須であるが、抗酵素のリン酸化がオルニチンデカルボキシラーゼの調節において役割を果たしているかどうかはまだ分かっていない。
【0691】
いくつかの態様では、オルニチンデカルボキシラーゼをコードする遺伝子は、大腸菌のspeCおよびspeF遺伝子である。いくつかの態様では、オルニチンデカルボキシラーゼは、L-オルニチンデカルボキシラーゼである。いくつかの態様では、オルニチンデカルボキシラーゼは、大腸菌のspeCまたはspeFに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、オルニチンデカルボキシラーゼは、大腸菌のspeCまたはspeFである。
【0692】
いくつかの態様では、オルニチンデカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、speC、またはそのホモログである。いくつかの態様では、オルニチンデカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、speF、またはそのホモログである。いくつかの態様では、オルニチンデカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P21169およびUniProt ID P24169から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、オルニチンデカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 947457およびGene ID 945297から選択される核酸配列によってコードされる。
【0693】
2,3-ジアミノプロピオン酸アンモニア-リアーゼ(EC 4.3.1.15)
本開示は、以下の反応を触媒することができる酵素を説明する:
【0694】
2,3-ジアミノプロピオン酸アンモニア-リアーゼは、立体特異的ではなく、2,3-ジアミノプロピオン酸のDとLの両立体異性体のα,β-脱離を触媒する。該酵素はまた、D-セリンに対して弱い活性を呈し、L-セリン、D-β-Cl-アラニンまたはL-β-Cl-アラニンに対して活性を呈しない。
【0695】
該酵素は、ホモ二量体であり、ピリドキサール5'-リン酸補欠分子族を含有し、PLP含有酵素のフォールドタイプIIファミリーに属する。アポおよびホロ酵素ならびに該酵素の反応中間体および基質との複合体の結晶構造が解明されている。活性部位残基の変異体の動態特性が分析され、反応機構が提唱された。
【0696】
いくつかの態様では、2,3-ジアミノプロピオン酸アンモニア-リアーゼ活性を有する酵素は、大腸菌の2,3-ジアミノプロピオン酸アンモニア-リアーゼygeXに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様では、2,3-ジアミノプロピオン酸アンモニア-リアーゼ活性を有する酵素は、大腸菌ygeXである。いくつかの態様では、2,3-ジアミノプロピオン酸アンモニア-リアーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P66899に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、2,3-ジアミノプロピオン酸アンモニア-リアーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 947012に示される核酸配列によってコードされる。
【0697】
グリオキシル酸シャント
トリカルボン酸サイクルの一種であるグリオキシル酸サイクルは、植物、細菌、原生生物および真菌において生じる同化経路である。グリオキシル酸サイクルは、炭水化物の合成のためのアセチルCoAからコハク酸への変換が中心である。微生物では、グリオキシル酸サイクルは、グルコースなどの複雑な供給源が利用可能でないときに細胞が炭素源として単純炭素化合物を利用するのを可能にする。該サイクルは、一般に、胚発生の初期段階にある線虫類を除き、動物には存在しないと想定される。しかしながら、近年、グリオキシル酸サイクルに関与する重要な酵素であるリンゴ酸シンターゼおよびイソクエン酸リアーゼが一部の動物組織において検出されたことは、細菌および動物における酵素の進化的関係に関する疑問を提起し、非後生動物種の公知のリンゴ酸シンターゼおよびイソクエン酸リアーゼと機能が異なる代替のサイクル酵素を動物がコードすることを示唆している。
【0698】
グリオキシル酸サイクルは、トリカルボン酸サイクルに関連する8つの酵素のうち5つ:クエン酸シンターゼ、アコニターゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ、フマラーゼ、およびリンゴ酸デヒドロゲナーゼを利用する。2つのサイクルは、グリオキシル酸サイクルにおいて、イソクエン酸が、イソクエン酸リアーゼによってα-ケトグルタル酸の代わりにグリオキシル酸およびコハク酸へと変換されるという点で異なる。これは、TCAサイクルで行われる脱炭酸工程を迂回し、単純炭素化合物がその後のグルコースを含む巨大分子の合成において使用されることが可能となる。グリオキシル酸は、その後、アセチルCoAと結合し、リンゴ酸シンターゼによって触媒されて、リンゴ酸を生成する。リンゴ酸はまた、コハク酸デヒドロゲナーゼおよびフマラーゼの作用によって、コハク酸からと並行して形成される。
【0699】
脂肪酸は、ベータ酸化を通じて酢酸分子に分解されるので、脂質由来の脂肪酸は、通常、脊椎動物によってエネルギー源として使用される。補酵素Aの活性チオール基に結合したこの酢酸は、クエン酸サイクル(TCAサイクル)に進入し、そこで、二酸化炭素へと完全に酸化される。したがって、この経路は、細胞が脂肪からエネルギーを得ることを可能にする。脂肪由来の酢酸を炭水化物の生合成に利用するために、初期反応がTCAサイクルと同一であるグリオキシル酸サイクルが使用される。
【0700】
植物、真菌および細菌などの細胞壁含有生物は、セルロース、グルカンおよびキチンなどの複雑な構造の多糖の生合成のために成長中に大量の炭水化物を必要とする。これらの生物では、利用可能な炭水化物の非存在下(例えば、ある特定の微生物環境中または植物の種子発芽中)、グリオキシル酸サイクルは、脂肪酸β-酸化で生成された酢酸を介して脂質からのグルコースの合成を許可する。
【0701】
グリオキシル酸サイクルは、炭素がCO2の形態で失われるクエン酸サイクルの工程を迂回する。グリオキシル酸サイクルの2つの初期工程は、クエン酸サイクルのものと同一である:酢酸→クエン酸→イソクエン酸。第1のグリオキシル酸サイクル酵素であるイソクエン酸リアーゼによって触媒される次の工程では、イソクエン酸は、コハク酸およびグリオキシル酸(後者は、サイクルにその名称を与える)へと開裂される。グリオキシル酸は、アセチルCoAと縮合して(リンゴ酸シンターゼによって触媒される工程)、リンゴ酸を生成する。リンゴ酸とオキサロ酢酸は共に、ホスホエノールピルビン酸へと変換されることができ、それは、糖新生における第1の酵素であるホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼの生成物である。それゆえ、グリオキシル酸サイクルの最終結果は、脂肪酸からのグルコースの生成である。最初の工程で生成されたコハク酸は、クエン酸サイクルに進入して、最終的にオキサロ酢酸を形成することができる。
【0702】
MEG(またはグリコール酸)、または任意でMEG(またはグリコール酸)および1つもしくは複数の同時生成物の組換え微生物を使用した生合成
上で議論したように、一局面では、本開示は、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)を生成する1つまたは複数の生化学経路を含む、組換え微生物を提供する。一態様では、1つまたは複数の同時生成物は、MEG(またはグリコール酸)と同時生成される。別の態様では、1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体は、D-キシルロース-5-リン酸、D-リブロース-5-リン酸またはD-リボース-5-リン酸の1つまたは複数である。
【0703】
それゆえ、一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料をロスの無い変換で1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へと変換する活性を有する少なくとも1つの酵素を含む1つまたは複数の生化学経路を含む、組換え微生物に関する。
【0704】
いくつかの態様では、組換え微生物は、トランスケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。いくつかの態様では、トランスケトラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来tktAに対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様では、トランスケトラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来tktAである。いくつかの態様では、トランスケトラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来tktBに対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様では、トランスケトラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来tktBである。別の態様では、トランスケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:148および150からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、トランスケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、tktA、またはそのホモログである。いくつかの態様では、トランスケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、tktB、またはそのホモログである。さらなる態様では、トランスケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:147および149からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0705】
いくつかの態様では、組換え微生物は、トランスアルドラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。いくつかの態様では、トランスアルドラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来talAまたはtalBに対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、トランスアルドラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来talAである。他の態様では、トランスアルドラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来talBである。別の態様では、トランスアルドラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:152および154からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、トランスアルドラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:151および153からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0706】
いくつかの態様では、組換え微生物は、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。いくつかの態様では、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来rpeに対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様では、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来rpeである。別の態様では、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:158に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:157に示される核酸配列によってコードされる。
【0707】
いくつかの態様では、組換え微生物は、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。いくつかの態様では、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来のrpiAまたはrpiBに対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様では、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来のrpiAまたはrpiBである。別の態様では、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有するrpiA酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:156に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有するrpiA酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:155に示される核酸配列によってコードされる。別の態様では、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有するrpiB酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:253に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有するrpiB酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:254に示される核酸配列によってコードされる。
【0708】
いくつかの態様では、組換え微生物は、トランスケトラーゼ活性、トランスアルドラーゼ活性、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性およびリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。他の態様では、組換え微生物はさらに、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼおよびホスホグリセリン酸ムターゼから選択される1つまたは複数の内因性酵素の欠失または減少した活性を含む。いくつかの態様では、内因性のグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ酵素はgapAであり、ホスホグリセリン酸キナーゼはpgkであり、ホスホグリセリン酸ムターゼはgpmAおよび/またはgpmMである。
【0709】
いくつかの態様では、組換え微生物は、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。いくつかの態様では、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素は、ビフィドバクテリウム・デンティウムのBDP_1006、ビフィドバクテリウム・ラクティスのxfp、ラクトバチルス・パラプランタルム(Lactobacillus paraplantarum)のxpkAおよびビフィドバクテリウム・ブレベのxfpからなる群より選択されるフルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様では、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素は、ビフィドバクテリウム・デンティウムのBDP_1006、ビフィドバクテリウム・ラクティスのxfp、ラクトバチルス・パラプランタラムのxpkAおよびビフィドバクテリウム・ブレーベのxfpからなる群より選択される。別の態様では、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:212、214、216および218からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:211、213、215および217からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0710】
いくつかの態様では、組換え微生物は、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。いくつかの態様では、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌のptaおよびクロストリジウム・アセトブチリクムのptaから選択されるリン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様では、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌のptaおよびクロストリジウム・アセトブチリクムのptaから選択される。別の態様では、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:220および222から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:219および221から選択される核酸配列によってコードされる。
【0711】
いくつかの態様では、組換え微生物は、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性、トランスケトラーゼ活性、トランスアルドラーゼ活性、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性およびリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。他の態様では、組換え微生物はさらに、内因性6-ホスホフルクトキナーゼ酵素の欠失または減少した活性を含む。いくつかの態様では、内因性6-ホスホフルクトキナーゼ酵素は、pfkAおよび/またはpfkBである。
【0712】
別の態様では、1つまたは複数のヘキソース原料のロスの無い変換で生成された1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体は、1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体への変換によって、公知のC2 MEG生成経路またはグリコール酸生成経路のいずれか1つと接続することができる。いくつかの態様では、組換え微生物は、ペントースホスファターゼ活性、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性および/またはホスホペントムターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。
【0713】
いくつかの態様では、組換え微生物は、ペントースホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。他の態様では、ペントースホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素は、D-ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、D-キシルロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、D-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、およびD-リブロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素の1つまたは複数から選択される。いくつかの態様では、ペントースホスファターゼは、大腸菌phoA、大腸菌yfbTおよび大腸菌yidAからなる群より選択されるD-ペントース-5-ホスファターゼに対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、D-キシルロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素は、枯草菌のaraLに対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、D-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素は、シロイヌナズナのSGPP、シュードモナス・フルオレッセンスのPFLU_2693、および大腸菌ybiVからなる群より選択されるD-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、D-リブロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素は、熱帯熱マラリア原虫のPF10_0325に対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、D-ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:159、161、163、165、167、169、171および173からなる群より選択される。別の態様では、D-ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:160、162、164、166、168、170、172および174からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0714】
いくつかの態様では、組換え微生物は、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。いくつかの態様では、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、およびD-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素の1つまたは複数から選択される。
【0715】
いくつかの態様では、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、エンテロコッカス・アビウム由来のAPDHに対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様では、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、エンテロコッカス・アビウム由来のAPDHである。いくつかの態様では、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:175に示される。別の態様では、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:176に示されるアミノ酸配列を含む。
【0716】
いくつかの態様では、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、エンテロコッカス・アビウム由来のAPDHに対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様では、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、エンテロコッカス・アビウム由来のAPDHである。いくつかの態様では、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:175に示される。別の態様では、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:176に示されるアミノ酸配列を含む。
【0717】
いくつかの態様では、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、カンジダ・アルビカンスのARD1、カンジダ・トロピカリスのARD1、シェフェルソミセス・スチピチスのARDH、枯草菌のegsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスのegsA、大腸菌のgpsAおよびサッカロミセス・セレビシエのGPD1からなる群より選択されるD-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様では、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、カンジダ・アルビカンスのARD1、カンジダ・トロピカリスのARD1、シェフェルソミセス・スチピチスのARDH、枯草菌のegsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスのegsA、大腸菌のgpsAおよびサッカロミセス・セレビシエのGPD1からなる群より選択される。いくつかの態様では、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:177、179、181、189、191、193および195からなる群より選択される。別の態様では、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:178、180、182、190、192、194および196からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0718】
いくつかの態様では、D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、シュードモナス・フルオレッセンスのmtlD、クレブシエラ・ニューモニエのdalD、ラルストニア・ソラナセラムのdalD、枯草菌のegsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスのegsA、大腸菌のgpsAおよびサッカロミセス・セレビシエのGPD1からなる群より選択されるD-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様では、D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、シュードモナス・フルオレッセンスのmtlD、クレブシエラ・ニューモニエのdalD、ラルストニア・ソラナセラムのdalD、枯草菌のegsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスのegsA、大腸菌のgpsAおよびサッカロミセス・セレビシエのGPD1からなる群より選択される。いくつかの態様では、D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:183、185、187、189、191、193および195からなる群より選択される。別の態様では、D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:184、186、188、190、192、194および196からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0719】
いくつかの態様では、組換え微生物は、ホスホペントムターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む。いくつかの態様では、ホスホペントムターゼ活性を有する酵素は、大腸菌deoB、大腸菌pgm、枯草菌のpgcA、ラクトコッカス・ラクチスのpgmB、大腸菌ycjU、シュードモナス・エルギノーサのalgC、および大腸菌cpsGからなる群より選択されるホスホペントムターゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様では、ホスホペントムターゼ活性を有する酵素は、大腸菌deoB、大腸菌pgm、枯草菌のpgcA、ラクトコッカス・ラクチスのpgmB、大腸菌ycjU、シュードモナス・エルギノーサのalgC、および大腸菌cpsGからなる群より選択される。いくつかの態様では、ホスホペントムターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:197、199、201、203、205、207および209からなる群より選択される。別の態様では、ホスホペントムターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:198、200、202、204、206、208および210からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0720】
上述した組換え微生物のいずれかのいくつかの態様では、組換え微生物はさらに、グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコノラクトナーゼおよび6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼから選択される1つまたは複数の内因性酵素の減少した活性を含む。さらなる態様では、グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼはzwfであり、6-ホスホグルコノラクトナーゼはpglであり、6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼはgndである。
【0721】
いくつかの態様では、本出願は、MEG(またはグリコール酸)とアセトン、イソプロパノール、プロペン、イソブテンおよび1つまたは複数のセリン経路化合物から選択される1つまたは複数の同時生成物とを同時生成する組換え微生物を提供する。いくつかの好ましい態様では、1つまたは複数のセリン経路化合物は、セリン、グリシン、モノエタノールアミン(MEA)およびエチレンジアミン(EDA)から選択される。
【0722】
いくつかの態様では、1つまたは複数のヘキソース原料は、グルコースまたはそのグルコースのオリゴマーから選択される。他の態様では、グルコースのオリゴマーは、フルクトース、スクロース、デンプン、セロビオース、マルトース、ラクトースおよびセルロースから選択される。
【0723】
いくつかの態様では、トランスケトラーゼ活性を有する酵素またはフルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素の組換え微生物における発現は、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い変換を可能にする。
【0724】
いくつかの態様では、組換え微生物は、C2経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じておよびC3経路におけるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)またはピルビン酸の変換を通じて、MEGまたはグリコール酸(GA)を生成する。他の態様では、グリコールアルデヒドは、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼによってグリコール酸へと酸化される。
【0725】
いくつかの態様では、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じたMEGまたはGAの生成のための少なくとも1つの酵素は、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、グリセリン酸デカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性から選択される活性を有する少なくとも1つの酵素から選択される。
【0726】
いくつかの態様では、組換え微生物は、C2経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じてMEGまたはグリコール酸(GA)を生成し、C3経路におけるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)またはピルビン酸の変換を通じて1つまたは複数の同時生成物を生成する。他の態様では、1つまたは複数の同時生成物は、アセトン、イソプロパノール、プロペン、イソブテンおよび1つまたは複数のセリン経路化合物から選択される。いくつかの好ましい態様では、1つまたは複数のセリン経路化合物は、セリン、グリシン、モノエタノールアミン(MEA)およびエチレンジアミン(EDA)から選択される。
【0727】
いくつかの態様では、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための少なくとも1つの酵素は、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、およびアセト酢酸デカルボキシラーゼ活性から選択される活性を有する少なくとも1つの酵素から選択され、1つまたは複数の同時生成物は、アセトンを含む。
【0728】
いくつかの態様では、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための少なくとも1つの酵素は、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、および第二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性から選択される活性を有する少なくとも1つの酵素から選択され、1つまたは複数の同時生成物は、イソプロパノールを含む。
【0729】
いくつかの態様では、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための少なくとも1つの酵素は、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、第二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性、およびデヒドラターゼ活性から選択される活性を有する少なくとも1つの酵素から選択され、1つまたは複数の同時生成物は、プロペンを含む。
【0730】
いくつかの態様では、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための少なくとも1つの酵素は、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、3-ヒドロキシイソ吉草酸(3HIV)シンターゼ活性、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性、3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性、3HIVキナーゼ活性、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性、および3HIVデカルボキシラーゼ活性から選択される活性を有する少なくとも1つの酵素から選択され、1つまたは複数の同時生成物は、イソブテンを含む。
【0731】
いくつかの態様では、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための少なくとも1つの酵素は、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性から選択される活性を有する少なくとも1つの酵素から選択され、この際、1つまたは複数の同時生成物は、L-セリンを含む。
【0732】
いくつかの態様では、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための少なくとも1つの酵素は、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、トランスフェラーゼ活性、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性、グリシン開裂系に関連する活性、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、グリコール酸デヒドロゲナーゼ活性、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性、アラニントランスアミナーゼ活性、NAD(P)H依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性から選択される活性を有する少なくとも1つの酵素から選択され、この際、1つまたは複数の同時生成物は、グリシンを含む。別の態様では、グリシン開裂系に関連する活性は、グリシンデカルボキシラーゼ(Pタンパク質)、アミノメチルトランスフェラーゼ(Tタンパク質)、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(Lタンパク質)、およびHタンパク質から選択される酵素またはタンパク質を含む。
【0733】
いくつかの態様では、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための少なくとも1つの酵素は、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、トランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、およびエタノールアミンアンモニアリアーゼ活性から選択される活性を有する少なくとも1つの酵素から選択され、この際、1つまたは複数の同時生成物は、モノエタノールアミン(MEA)を含む。
【0734】
いくつかの態様では、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための少なくとも1つの酵素は、セリンデヒドロゲナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドデカルボキシラーゼ活性、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、アルデヒドオキシダーゼ活性、N-アセチルトランスフェラーゼまたはO-アセチルトランスフェラーゼ活性、N-アセチルセリンデヒドロゲナーゼ活性、トランスアミナーゼ活性、デアセチラーゼ活性、セリンアミナーゼ活性、および2,3-ジアミノプロパン酸アンモニアリアーゼ活性から選択される活性を有する少なくとも1つの酵素から選択され、この際、1つまたは複数の同時生成物は、エチレンジアミン(EDA)を含む。
【0735】
いくつかの態様では、C2経路におけるグリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための少なくとも1つの酵素は、D-タガトース3-エピメラーゼ活性、D-リブロキナーゼ活性、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、D-キシルロース1-キナーゼ活性、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼ活性、キシリトールデヒドロゲナーゼ活性、キシロースイソメラーゼ活性、キシロースデヒドロゲナーゼ活性、キシロノラクトナーゼ活性、キシロン酸デヒドロゲナーゼ活性、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性およびグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性から選択される活性を有する少なくとも1つの酵素から選択される。
【0736】
上述した組換え微生物のいずれかのいくつかの態様では、組換え微生物はさらに、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、キシロースイソメラーゼ、キシルロースキナーゼまたはそれらの組み合わせの活性を減少または欠失させる1つまたは複数の改変を含む。
【0737】
一態様では、C3経路において生成された過剰なNADHの少なくとも一部は、C2経路における還元等価体の供給源として使用される。別の態様では、C3経路において生成された過剰なNADHの少なくとも一部は、ATPを生成するために使用される。
【0738】
一態様では、過剰なバイオマス形成が最小限に抑えられ、MEG(またはグリコール酸)またはMEG(またはグリコール酸)および1つもしくは複数の同時生成物の生成が最大化される。
【0739】
ヘキソースからペントース-5-リン酸中間体
本開示において、ペントースリン酸経路への非酸化的進入を使用することによって、解糖系経路の代わりにペントースリン酸経路にグルコースフラックスが送り込まれる。
【0740】
[A]それゆえ、一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を生成可能な組換え微生物であって、以下の(a)~(d):
(a)フルクトース-6-リン酸およびグリセルアルデヒド-3-リン酸からそれぞれエリトロース-4-リン酸およびD-キシルロース-5-リン酸への可逆的変換を触媒する、ならびに/または(b)からのグリセルアルデヒド-3-リン酸および(b)からのセドヘプツロース-7-リン酸からそれぞれD-リボース-5-リン酸およびD-キシルロース-5-リン酸への可逆的変換を触媒する、トランスケトラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からのフルクトース-6-リン酸およびエリトロース-4-リン酸からそれぞれグリセルアルデヒド-3-リン酸およびセドヘプツロース-7-リン酸への可逆的変換を触媒するトランスアルドラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(a)からのD-リボース-5-リン酸とD-リブロース-5-リン酸の相互変換を触媒するリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(a)からのD-キシルロース-5-リン酸と(c)からのD-リブロース-5-リン酸の相互変換を触媒するリブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を発現し;
任意で、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失をさらに含み;
1つまたは複数のヘキソース原料が、その内因性解糖系経路を通じて、フルクトース-6-リン酸およびグリセルアルデヒド-3-リン酸へと変換され、
そして、生成された1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体が、D-リボース-5-リン酸、D-キシルロース-5-リン酸またはD-リブロース-5-リン酸の1つまたは複数である、組換え微生物に関する。
【0741】
[B]別の態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を生成可能な組換え微生物であって、以下の(a)~(f):
(a)フルクトース-6-リン酸からエリトロース-4-リン酸およびアセチル-リン酸への可逆的変換を触媒するフルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からのアセチル-リン酸からアセチルCoAへの可逆的変換を触媒するリン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(a)からのフルクトース-6-リン酸およびエリトロース-4-リン酸からそれぞれグリセルアルデヒド-3-リン酸およびセドヘプツロース-7-リン酸への可逆的変換を触媒するトランスアルドラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(c)からのグリセルアルデヒド-3-リン酸および(c)からのセドヘプツロース-7-リン酸からそれぞれD-リボース-5-リン酸およびD-キシルロース-5-リン酸への可逆的変換を触媒するトランスケトラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)(d)からのD-リボース-5-リン酸とD-リブロース-5-リン酸の相互変換を触媒するリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(d)からのD-キシルロース-5-リン酸と(e)からのD-リブロース-5-リン酸の相互変換を触媒するリブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を発現し;
任意で、6-ホスホフルクトキナーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失をさらに含み;
1つまたは複数のヘキソース原料が、その内因性解糖系経路を通じて、フルクトース-6-リン酸へと変換され、
工程(b)で生成されたアセチルCoAを使用して、アセトン、イソプロパノール、プロペン、イソブテンおよびセリン経路化合物から選択される1つまたは複数の同時生成物を生成することができ;
そして、生成された1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体が、D-リボース-5-リン酸、D-キシルロース-5-リン酸またはD-リブロース-5-リン酸の1つまたは複数である、組換え微生物に関する。
【0742】
いくつかの態様では、ペントースリン酸経路の酸化分岐は、ペントースリン酸経路への非酸化的進入へのフラックスを最適化するために欠失または不活化される。
【0743】
[C]それゆえ、一態様では、態様[A]または態様[B]の組換え微生物は、任意で、
(i)グルコース-6-リン酸から6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンへの変換を触媒するグルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失;
(ii)6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンからグルコン酸-6-リン酸への変換を触媒する6-ホスホグルコノラクトナーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失;および
(iii)グルコン酸-6-リン酸からD-リブロース-5-リン酸への変換を触媒する6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失
からなる群より選択される1つまたは複数の改変をさらに含む。
【0744】
いくつかの態様では、トランスケトラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌tktAに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様では、トランスケトラーゼは、大腸菌tktBに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、トランスケトラーゼは、大腸菌tktAである。他の態様では、トランスケトラーゼは、大腸菌tktBである。
【0745】
いくつかの態様では、トランスケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、tktA、またはそのホモログである。いくつかの態様では、トランスケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、tktB、またはそのホモログである。別の態様では、トランスケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:148および150からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、トランスケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:147および149からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0746】
いくつかの態様では、トランスアルドラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来のtalAまたはtalBに対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、トランスアルドラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来talAである。他の態様では、トランスアルドラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来talBである。別の態様では、トランスアルドラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:152および154からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、トランスアルドラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:151および153からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0747】
一態様では、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌のrpiAまたはrpiBに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌のrpiAまたはrpiBである。
【0748】
いくつかの態様では、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、rpiA、またはそのホモログである。別の態様では、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:156に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:155に示される核酸配列によってコードされる。
【0749】
一態様では、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌rpeに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌rpeである。
【0750】
いくつかの態様では、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、rpe、またはそのホモログである。別の態様では、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:158に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:157に示される核酸配列によってコードされる。
【0751】
一態様では、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素は、ビフィドバクテリウム・デンティウムのBDP_1006、ビフィドバクテリウム・ラクティスのxfp、ラクトバチルス・パラプランタラムのxpkAおよびビフィドバクテリウム・ブレーベのxfpからなる群より選択されるフルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様では、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素は、ビフィドバクテリウム・デンティウムのBDP_1006、ビフィドバクテリウム・ラクティスのxfp、ラクトバチルス・パラプランタラムのxpkAおよびビフィドバクテリウム・ブレーベのxfpからなる群より選択される。
【0752】
いくつかの態様では、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、BDP_1006、xfp、xpkA、またはそのホモログから選択される。別の態様では、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:212、214、216および218からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:211、213、215および217からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0753】
一態様では、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌のptaおよびクロストリジウム・アセトブチリクムのptaから選択されるリン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様では、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌のptaおよびクロストリジウム・アセトブチリクムのptaから選択される。
【0754】
いくつかの態様では、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、pta、またはそのホモログである。別の態様では、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:220および222から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:219および221から選択される核酸配列によってコードされる。
【0755】
ペントースリン酸経路とMEG(またはグリコール酸)生成経路の接続
別の局面では、態様[A]または態様[B](および任意で態様[C]を含む)において生成されたペントース-5-リン酸中間体は、ペントースホスファターゼによって公知のMEG生成経路またはグリコール酸生成経路のいずれか1つと接続することができる。
【0756】
[D]それゆえ、一態様では、本出願は、ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する1つまたは複数の酵素を発現する、D-キシルロース-5-リン酸からD-キシルロースを生成可能な組換え微生物であって、D-キシルロース-5-リン酸がペントースリン酸経路の非酸化分岐によって生成され、かつ、D-キシルロースを使用してMEG(またはグリコール酸)および任意で1つまたは複数の同時生成物を生成することができる、組換え微生物に関する。
【0757】
一態様では、ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素は、大腸菌phoA、大腸菌yfbTおよび大腸菌yidAからなる群より選択されるペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。さらなる態様では、ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素は、大腸菌phoA、大腸菌yfbTおよび大腸菌yidAから選択される。
【0758】
いくつかの態様では、ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、phoA、yfbT、yidAまたはそのホモログである。別の態様では、ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:160、168および172からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:159、167および171からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0759】
別の態様では、ペントース-5-ホスファターゼは、D-キシルロース-5-ホスファターゼである。別の態様では、D-キシルロース-5-ホスファターゼは、枯草菌のaraLに対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。さらなる態様では、D-キシルロース-5-ホスファターゼは、枯草菌のaraLである。
【0760】
いくつかの態様では、D-キシルロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、araL、またはそのホモログである。別の態様では、D-キシルロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:164に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、D-キシルロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:163に示される核酸配列によってコードされる。
【0761】
[E]一態様では、本出願は、D-リブロース-5-リン酸からまたはD-リボース-5-リン酸からD-リブロースを生成可能な組換え微生物であって、以下の(a)~(c):
(a)D-リブロース-5-リン酸からD-リブロースへの可逆的変換を触媒するD-リブロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)D-リボース-5-リン酸からD-リボースへの可逆的変換を触媒するD-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からのD-リボースからD-リブロースへの可逆的変換を触媒するD-リボースイソメラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を発現し;
D-リブロース-5-リン酸および/またはD-リボース-5-リン酸がペントースリン酸経路の非酸化分岐によって生成され、かつ、D-リブロースを使用してMEG(またはグリコール酸)および任意で1つまたは複数の同時生成物を生成することができる、組換え微生物に関する。
【0762】
一態様では、ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素は、大腸菌phoA、大腸菌yfbTおよび大腸菌yidAからなる群より選択されるペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。さらなる態様では、ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素は、大腸菌phoA、大腸菌yfbTおよび大腸菌yidAから選択される。
【0763】
いくつかの態様では、ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、phoA、yfbT、yidA、またはそのホモログである。別の態様では、ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:160、168および172からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:159、167および171からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0764】
別の態様では、D-リブロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素は、熱帯熱マラリア原虫のPF10_0325に対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。さらなる態様では、D-リブロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素は、熱帯熱マラリア原虫のPF10_0325である。
【0765】
いくつかの態様では、D-リブロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、PF10_0325、またはそのホモログである。別の態様では、D-リブロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:174に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、D-リブロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:173に示される核酸配列を含む。
【0766】
一態様では、D-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素は、シロイヌナズナのSGPP、シュードモナス・フルオレッセンスのPFLU_2693および大腸菌ybiVからなる群より選択されるD-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、D-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素は、シロイヌナズナのSGPP、シュードモナス・フルオレッセンスのPFLU_2693および大腸菌ybiVからなる群より選択される。
【0767】
いくつかの態様では、D-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SGPP、PFLU_2693、ybiV、またはそのホモログから選択される。別の態様では、D-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:162、166および170からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、D-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:161、165および169からなる群より選択される核酸配列を含む。
【0768】
別の局面では、態様[A]または態様[B](および任意で態様[C]を含む)において生成されたペントース-5-リン酸中間体は、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼによって公知のMEG生成経路またはグリコール酸生成経路のいずれか1つと接続することができる。
【0769】
[F]一態様では、本出願は、1つまたは複数のアラビトールリン酸デヒドロゲナーゼを発現する、D-キシルロース-5-リン酸からD-リブロース-1-リン酸を生成可能またはD-リブロース-5-リン酸からD-キシルロース-1-リン酸を生成可能な組換え微生物であって、1つまたは複数のアラビトールリン酸デヒドロゲナーゼが、以下の(a)~(d):
(a)D-キシルロース-5-リン酸からD-アラビトール-1-リン酸への可逆的変換;
(b)(a)からのD-アラビトール-1-リン酸からD-リブロース-1-リン酸への可逆的変換;
(c)D-リブロース-5-リン酸からD-アラビトール-5-リン酸への可逆的変換;
(d)(c)からのD-アラビトール-5-リン酸からD-キシルロース-1-リン酸への可逆的変換
の1つまたは複数を触媒し、
D-キシルロース-5-リン酸および/またはD-リブロース-5-リン酸がペントースリン酸経路の非酸化分岐によって生成され、かつ、D-リブロース-1-リン酸および/またはD-キシルロース-1-リン酸を使用してMEG(またはグリコール酸)および任意で1つまたは複数の同時生成物を生成することができる、組換え微生物に関する。
【0770】
いくつかの態様では、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、およびD-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素の1つまたは複数から選択される。
【0771】
いくつかの態様では、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、エンテロコッカス・アビウム由来のAPDHに対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様では、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、エンテロコッカス・アビウム由来のAPDHである。いくつかの態様では、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:175に示される。別の態様では、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:176に示されるアミノ酸配列を含む。
【0772】
いくつかの態様では、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、エンテロコッカス・アビウム由来のAPDHに対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様では、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、エンテロコッカス・アビウム由来のAPDHである。いくつかの態様では、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:175に示される。別の態様では、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:176に示されるアミノ酸配列を含む。
【0773】
いくつかの態様では、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、カンジダ・アルビカンスのARD1、カンジダ・トロピカリスのARD1、シェフェルソミセス・スチピチスのARDH、枯草菌のegsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスのegsA、大腸菌のgpsAおよびサッカロミセス・セレビシエのGPD1からなる群より選択されるD-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様では、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、カンジダ・アルビカンスのARD1、カンジダ・トロピカリスのARD1、シェフェルソミセス・スチピチスのARDH、枯草菌のegsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスのegsA、大腸菌のgpsAおよびサッカロミセス・セレビシエのGPD1からなる群より選択される。いくつかの態様では、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:177、179、181、189、191、193および195からなる群より選択される。別の態様では、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:178、180、182、190、192、194および196からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0774】
いくつかの態様では、D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、シュードモナス・フルオレッセンスのmtlD、クレブシエラ・ニューモニエのdalD、ラルストニア・ソラナセラムのdalD、枯草菌のegsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスのegsA、大腸菌のgpsAおよびサッカロミセス・セレビシエのGPD1からなる群より選択されるD-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様では、D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、シュードモナス・フルオレッセンスのmtlD、クレブシエラ・ニューモニエのdalD、ラルストニア・ソラナセラムのdalD、枯草菌のegsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスのegsA、大腸菌のgpsAおよびサッカロミセス・セレビシエのGPD1からなる群より選択される。いくつかの態様では、D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:183、185、187、189、191、193および195からなる群より選択される。別の態様では、D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:184、186、188、190、192、194および196からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0775】
別の局面では、態様[A]または態様[B](および任意で[C]を含む)において生成されたペントース-5-リン酸中間体は、ホスホペントムターゼによって公知のMEG生成経路またはグリコール酸生成経路のいずれか1つと接続することができる。
【0776】
[G]一態様では、本出願は、1つまたは複数のホスホペントムターゼを発現する、D-キシルロース-5-リン酸からD-キシルロース-1-リン酸を生成可能またはD-リブロース-5-リン酸からD-リブロース-1-リン酸を生成可能な組換え微生物であって、D-キシルロース-5-リン酸および/またはD-リブロース-5-リン酸がペントースリン酸経路の非酸化分岐によって生成され、かつ、D-リブロース-1-リン酸および/またはD-キシルロース-1-リン酸を使用してMEG(またはグリコール酸)および任意で1つまたは複数の同時生成物を生成することができる、組換え微生物に関する。
【0777】
いくつかの態様では、ホスホペントムターゼ活性を有する酵素は、大腸菌deoB、大腸菌pgm、枯草菌のpgcA、ラクトコッカス・ラクチスのpgmB、大腸菌ycjU、シュードモナス・エルギノーサのalgC、および大腸菌cpsGからなる群より選択されるホスホペントムターゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。好ましい態様では、ホスホペントムターゼ活性を有する酵素は、大腸菌deoB、大腸菌pgm、枯草菌のpgcA、ラクトコッカス・ラクチスのpgmB、大腸菌ycjU、シュードモナス・エルギノーサのalgC、および大腸菌cpsGからなる群より選択される。いくつかの態様では、ホスホペントムターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:197、199、201、203、205、207および209からなる群より選択される。別の態様では、ホスホペントムターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:198、200、202、204、206、208および210からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0778】
MEG(またはグリコール酸)、または任意でMEG(またはグリコール酸)および同時生成物の生成経路
いくつかの態様では、態様[D]、[E]、[F]および[G]において生成されたペントースまたはペントース-1-リン酸中間体は、公知のMEG(またはグリコール酸)C2生成経路(後述するとおりC3経路に連結される)において使用され、追加のMEG(またはグリコール酸)および/または1つもしくは複数の同時生成物を同時生成する。
【0779】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)は、D-キシルロース-1-リン酸を使用したC2経路を介して生成される。
【0780】
[H]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)を生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、以下の(a)~(d):
(a)態様[D]からのD-キシルロースからD-キシルロース-1-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース1-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)から、態様[F]からおよび/または態様[G]からのD-キシルロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からのグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素またはアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(b)からのグリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
MEG(またはグリコール酸)およびDHAPが生成される、組換え微生物に関する。
【0781】
一態様では、D-キシルロース1-キナーゼ活性を有する酵素は、ホモサピエンスから得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、D-キシルロース1-キナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、ケトヘキソキナーゼC(khk-C)、またはそのホモログである。別の態様では、D-キシルロース1-キナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:55に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、D-キシルロース1-キナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:53および54からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0782】
一態様では、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性を有する酵素は、ホモサピエンスから得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様では、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、アルドラーゼB(aldoB)、またはそのホモログである。いくつかの態様では、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:58に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:56および57からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0783】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)は、D-リブロース-1-リン酸を使用したC2経路を介して生成される。
【0784】
[I]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)を生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、以下の(a)~(e):
(a)態様[D]からのD-キシルロースからD-リブロースへの変換を触媒するD-タガトース3-エピメラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からおよび/または態様[E]からのD-リブロースからD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒するD-リブロキナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)から、態様[F]からおよび/または態様[G]からのD-リブロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(c)からのグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)(c)からのグリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
MEG(またはグリコール酸)およびDHAPが生成される、組換え微生物に関する。
【0785】
一態様では、D-タガトース3-エピメラーゼ活性を有する酵素は、シュードモナス属の種、メソリゾビウム属の種(Mesorhizobium sp.)およびロドバクター属の種(Rhodobacter sp.)からなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、D-タガトース3-エピメラーゼ活性を有する酵素は、シュードモナス・シコリイ(Pseudomonas cichorii)、シュードモナス属の種ST-24、メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)およびロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)からなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、1つまたは複数の核酸分子は、dteおよび/またはFJ851309.1、またはそのホモログである。さらなる態様では、D-タガトース3-エピメラーゼ活性を有する酵素は、SEQ ID NO:3および5からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様では、D-タガトース3-エピメラーゼ活性を有する酵素は、SEQ ID NO:1、2および4からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0786】
一態様では、D-リブロキナーゼ活性を有する酵素は、大腸菌から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、1つまたは複数の核酸分子は、fucK、またはそのホモログである。さらなる態様では、D-リブロキナーゼ活性を有する酵素は、SEQ ID NO:8に示されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様では、D-リブロキナーゼ活性を有する酵素は、SEQ ID NO:6、7、および257からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0787】
一態様では、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、1つまたは複数の核酸分子は、fucA、またはそのホモログである。さらなる態様では、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性を有する酵素は、SEQ ID NO:11に示されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様では、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性を有する酵素は、SEQ ID NO:9および10からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0788】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)は、D-キシロン酸を使用したC2経路を介して生成される。
【0789】
[J]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)を生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]を追加で含み、以下の(a)~(d):
(a)態様[D]からのD-キシルロースからD-キシロースへの変換を触媒するキシロースイソメラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からのD-キシロースからD-キシロノラクトンへの変換を触媒するキシロースデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からのD-キシロノラクトンからD-キシロン酸への変換を触媒するキシロノラクトナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(a)からのD-キシロースからD-キシロン酸への変換を触媒するキシロースデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
以下の(e)~(h):
(e)(c)または(d)からのD-キシロン酸から2-ケト-3-デオキシ-キシロン酸への変換を触媒するキシロン酸デヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(e)からの2-ケト-3-デオキシ-キシロン酸からグリコールアルデヒドおよびピルビン酸への変換を触媒する2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(g)(f)からのグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(h)(f)からのグリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
MEG(またはグリコール酸)およびピルビン酸が生成される、組換え微生物に関する。
【0790】
いくつかの態様では、組換え微生物は、D-キシルロースからD-キシロースへの変換を触媒するキシロースイソメラーゼ活性を有する内因性または外因性酵素を含む。一態様では、キシロースイソメラーゼ活性を有する酵素は、外因性である。別の態様では、キシロースイソメラーゼ活性を有する酵素は、ピロミセス属の種(Pyromyces sp.)から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。さらなる態様では、キシロースイソメラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様では、キシロースイソメラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、xylA、またはそのホモログである。なお別の態様では、キシロースイソメラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:95および144から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、キシロースイソメラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:93、94および143からなる群より選択される核酸配列を含む。
【0791】
一態様では、キシロースデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、カウロバクター属の種、ハロアーキュラ属の種(Haloarcula sp.)、ハロフェラックス属の種、ハロラブラム属の種(Halorubrum sp.)およびトリコデルマ属の種からなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様では、キシロースデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、カウロバクター・クレセンタス(Caulobacter crescentus)、ハロアーキュラ・マリスモルツイ(Haloarcula marismortui)、ハロフェラックス・ボルカニ、ハロラブラム・ラクスプロファンディ(Halorubrum lacusprofundi)およびトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)からなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、キシロースデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、xylB、xdh1(HVO_B0028)および/またはxyd1、またはそのホモログから選択される。さらなる態様では、キシロースデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:61、63および65からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様では、キシロースデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:59、60、62および64からなる群より選択される核酸配列を含む。
【0792】
一態様では、キシロノラクトナーゼ活性を有する酵素は、カウロバクター属の種およびハロフェラックス属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様では、キシロノラクトナーゼ活性を有する酵素は、カウロバクター・クレセンタス、ハロフェラックス・ボルカニおよびハロフェラックス・ギボンシイからなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、キシロノラクトナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、xylC、またはそのホモログである。さらなる態様では、キシロノラクトナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:67に示されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様では、キシロノラクトナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:66に示される核酸配列を含む。
【0793】
一態様では、キシロン酸デヒドラターゼ活性を有する酵素は、カウロバクター属の種、スルホロブス属の種(Sulfolobus sp.)および大腸菌からなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様では、キシロン酸デヒドラターゼ活性を有する酵素は、カウロバクター・クレセンタス、スルホロブス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)および大腸菌からなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、キシロン酸デヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、xylD、yjhGおよび/またはyagF、またはそのホモログから選択される。さらなる態様では、キシロン酸デヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:69、72および75からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様では、キシロン酸デヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:68、70、71、73および74からなる群より選択される核酸配列を含む。
【0794】
一態様では、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼ活性を有する酵素は、シュードモナス属の種および大腸菌から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様では、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、yjhHおよび/またはyagE、またはそのホモログから選択される。さらなる態様では、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:78および81からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様では、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:76、77、79および80からなる群より選択される核酸配列を含む。
【0795】
C2経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびC3経路を介したMEG(またはグリコール酸)の同時生成
一局面では、MEG(またはグリコール酸)は、1つまたは複数のヘキソース原料から、1つまたは複数のヘキソース原料の1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い転換と、それに続く1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体への変換と、それに続く1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体からC2経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびDHAPまたはピルビン酸への変換、ならびにDHAPまたはピルビン酸からC3経路を介したMEGへの変換によって、生成される。
【0796】
いくつかの態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料からMEG(またはグリコール酸)を生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で有し、MEG(またはグリコール酸)の生成のための態様[H]、[I]および[J]から選択される1つまたは複数のC2生合成経路ならびにMEG(またはグリコール酸)の生成のための1つまたは複数のC3生合成経路をさらに含む、組換え微生物に関する。MEGの生成のためのC3生合成経路は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられるWO 2010/076324(Metabolic Explorer)に記載されているとおりである。
【0797】
いくつかの態様では、MEGの生成のためのC3生合成経路は、3-ホスホヒドロキシピルビン酸前駆体(セリンの前駆体)の転換から開始する3つの酵素反応を含む。最初に、ホスファターゼ活性が、ホスホヒドロキシピルビン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を可能にする。次いで、ヒドロキシピルビン酸が2-ケト酸デカルボキシラーゼ活性によりグリコールアルデヒドへと転換される。最後に、ヒドロキシアルデヒドレダクターゼ活性がグリコールアルデヒドからエチレングリコールへの変換を可能にする。エチレングリコールの生成のための別の経路は、前駆体としてL-セリンから開始する。最初に、トランスアミナーゼまたはアミノ酸オキシダーゼ活性が、セリンからヒドロキシピルビン酸への変換を可能にする。ヒドロキシピルビン酸をグリコールアルデヒドへ、その後、MEGへ変換する次の2工程は、上述した最初の経路と類似する。
【0798】
好ましい態様では、本開示は、MEGの生成のための1つまたは複数のC3生合成経路を含む組換え微生物を提供する。いくつかの態様では、組換え微生物、特に細菌は、2-ケト酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子およびヒドロキシアルデヒドレダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードする1つの遺伝子を含有する。これらの遺伝子は、外因性または内因性であることができ、染色体上にまたは染色体外に発現されることができる。
【0799】
本開示のさらなる態様では、組換え微生物、特に細菌は、中間体3-ホスホグリセリン酸のアベイラビリティーが増加する改変を含む。好ましくは、その増加は、ホスホグリセリン酸ムターゼをコードする遺伝子、特にgpmAおよびpgmMの一方または両方の遺伝子の発現のレベルを減弱化することによって達成される。これは、これらの遺伝子の野生型プロモーターをより弱いプロモーターに置き換えることによって、または対応するメッセンジャーRNAもしくはタンパク質を不安定化するエレメントの使用によって行うことができる。必要とあれば、該遺伝子の完全な減弱化を、対応するDNA配列の欠失によって達成することもできる。
【0800】
別の態様では、組換え微生物、特に細菌は、セリン生合成経路へのフラックスが刺激される改変を含む。これは、それぞれserAおよびserC遺伝子によってコードされる3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼおよび/またはホスホセリンアミノトランスフェラーゼの発現のレベルを増加させることによって達成することができる。3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼおよび/またはホスホセリンアミノトランスフェラーゼの発現のレベルを増加させることは、serAおよび/またはserC遺伝子の発現を駆動する人工プロモーターを導入することによって、細胞におけるコピー数を増加させることによって、または対応するタンパク質の活性を増加させる変異をserAおよび/またはserC遺伝子に導入することによって成し遂げることができる。serA遺伝子の発現はまた、野生型lrp遺伝子(ロイシン応答性調節性タンパク質をコードする)をlrp変異アレル(lrpタンパク質中のGLU 114 ASP置換に対応するlrp-1アレルなど)に置き換えることによって増加させることができ、その結果、serA遺伝子の転写の構成的活性化が導かれる。
【0801】
本開示の特定の態様では、フィードバック阻害剤であるセリンへのserAタンパク質の感受性を低下させ、したがってセリンの存在下で活性の増加を許容する変異(フィードバック脱感受性化されたアレル)を、serA遺伝子に導入することができる。脱感受性化されたアレル、すなわち、フィードバック非感受性アレルの例は、EP 0 931 833(Ajinomoto)またはEP 0 620 853(Wacker)に記載されている。
【0802】
別の態様では、組換え微生物、特に細菌は、ヒドロキシピルビン酸生合成経路へのフラックスが刺激される改変を含む。この結果は、セリントランスアミナーゼまたはセリンオキシダーゼの発現のレベルを増加させることによって(前駆体としてセリンから開始する経路について)、または3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼの発現を増加させることによって達成することができる。セリンオキシダーゼの発現のレベルを増加させることは、R.オパカス(R. opacus)由来のL-アミノ酸オキシダーゼをコードする遺伝子を導入および過剰発現させることによって、または対応するタンパク質の活性を増加させる変異を該遺伝子に導入することによって成し遂げることができる。セリントランスアミナーゼの発現の増加は、大腸菌のserC遺伝子の発現を駆動する人工プロモーターを導入することによって、細胞におけるコピー数を増加させることによって、または対応するタンパク質の活性を増加させる変異をserC遺伝子に導入することによって成し遂げることができる。3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼの発現の増加は、大腸菌のyeaB遺伝子またはserB遺伝子の発現を駆動する人工プロモーターを導入することによって、細胞におけるコピー数を増加させることによって、または対応するタンパク質の活性を増加させる変異をyeaB遺伝子またはserB遺伝子に導入することによって成し遂げることができる。3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼの発現の増加はまた、S.セレビシエ(S. cerevisiae)由来の遺伝子GPP2を導入および過剰発現させることによって、または対応するタンパク質の活性を増加させる変異をGPP2遺伝子に導入することによって成し遂げることができる。
【0803】
本開示のさらなる態様では、組換え微生物、特に細菌は、グリコールアルデヒドからエチレングリコール以外の化合物への変換レベルの減弱化を提供する改変を含む。これは、ヒドロキシトレオニンアルドラーゼ(UaEによってコードされる)またはグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ(aldA、aldBによってコードされる)のようなグリコールアルデヒド消費酵素のレベルを減弱化することによって達成され得る。これらの遺伝子の減弱化は、天然プロモーターをより低強度プロモーターまたは対応するメッセンジャーRNAもしくはタンパク質を不安定化するエレメントに置き換えることによって行うことができる。必要とあれば、該遺伝子の完全な減弱化を、対応するDNA配列の欠失によって達成することもできる。
【0804】
本開示のさらなる態様では、グルコースを輸送することが公知であるgalPのようなリンドナー(phosphordonor)としてホスホエノールピルビン酸(PEP)に依拠しない糖輸送系を使用するか、またはより多くのホスホエノールピルビン酸(PEP)を糖-ホスホトランスフェラーゼ系に提供するかによって、糖輸送の効率が増加する。微生物におけるPEPのアベイラビリティーを増加させるために使用してもよい様々な手段が存在する。特に、これは、PEP→ピルビン酸の反応を減弱化するによって成し遂げることができる。優先的には、ピルビン酸キナーゼをコードするpykAおよびpykFの中から選択される少なくとも1つの遺伝子が、前記系統においてこの結果を得るために減弱化される。PEPのアベイラビリティーを増加させる別の方法は、ピルビン酸→PEPの反応を優先させることである。これは、上記反応を触媒するホスホエノールピルビン酸シンターゼの活性を増加させることによって成し遂げることができる。この酵素は、ppsA遺伝子によってコードされる。それゆえ、微生物において、ppsA遺伝子の発現が優先的に増加する。微生物において両方の改変が同時に存在することができる。
【0805】
本開示のさらなる態様では、組換え微生物、特に細菌は、セリンからエチレングリコール以外の化合物への変換レベルの減弱化を提供する改変を含む。この結果は、セリンデアミナーゼ(sdaA、sdaBおよび/またはtdcGによってコードされる)、セリントランスアセチラーゼ(cysEによってコードされる)、トリプトファンシンターゼ(trpABによってコードされる)またはセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(glyAによってコードされる)のようなセリン消費酵素のレベルを減弱化することによって達成され得る。これらの遺伝子は、天然プロモーターをより低強度プロモーターまたは対応するメッセンジャーRNAもしくはタンパク質を不安定化するエレメントに置き換えることによって減弱化することができる。必要とあれば、該遺伝子の完全な減弱化を、対応するDNA配列の欠失によって達成することもできる。
【0806】
本開示のさらなる態様では、組換え微生物、特に細菌は、ヒドロキシピルビン酸からグリコールアルデヒド以外の化合物への変換レベルの減弱化を提供する改変を含む。この結果は、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ(ghrAによってコードされる)またはヒドロキシピルビン酸イソメラーゼ(hyiによってコードされる)のようなヒドロキシピルビン酸消費酵素のレベルを減弱化することによって達成され得る。これらの遺伝子は、天然プロモーターをより低強度プロモーターまたは対応するメッセンジャーRNAもしくはタンパク質を不安定化するエレメントに置き換えることによって減弱化することができる。必要とあれば、該遺伝子の完全な減弱化を、対応するDNA配列の欠失によって達成することもできる。
【0807】
いくつかの態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料からMEG(またはグリコール酸)を生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で有し、MEG(またはグリコール酸)の生成のための1つまたは複数のC3生合成経路をさらに含む、組換え微生物に関する。MEGの生成のためのC3生合成経路は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられるWO 2011/130378(Genomatica)に記載されているとおりである。
【0808】
いくつかの態様では、本開示は、エチレングリコールを生成するのに十分な量で発現されるエチレングリコール経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を有するエチレングリコール経路を含む組換え微生物であって、エチレングリコール経路が、セリンアミノトランスフェラーゼ、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ、グリコールアルデヒドレダクターゼ、セリンデカルボキシラーゼ、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼ、エタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼまたはグリセリン酸デカルボキシラーゼを含む、組換え微生物を提供する。
【0809】
いくつかの態様では、組換え微生物は、エチレングリコールを生成するのに十分な量で発現されるエチレングリコール経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を有するエチレングリコール経路を含み、エチレングリコール経路は、セリンアミノトランスフェラーゼまたはセリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ、およびグリコールアルデヒドレダクターゼを含む。
【0810】
いくつかの態様では、組換え微生物は、エチレングリコールを生成するのに十分な量で発現されるエチレングリコール経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を有するエチレングリコール経路を含み、エチレングリコール経路は、セリンアミノトランスフェラーゼまたはセリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ、およびグリセリン酸デカルボキシラーゼを含む。
【0811】
いくつかの態様では、組換え微生物は、エチレングリコールを生成するのに十分な量で発現されるエチレングリコール経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を有するエチレングリコール経路を含み、エチレングリコール経路は、セリンデカルボキシラーゼ、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)、およびグリコールアルデヒドレダクターゼを含む。
【0812】
いくつかの態様では、本開示は、エチレングリコールを生成するのに十分な量で発現されるエチレングリコール経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を有するエチレングリコール経路を含む組換え微生物であって、エチレングリコール経路が、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ、グリコールアルデヒドレダクターゼ、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ、グリセリン酸デカルボキシラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ、およびグリセリン酸キナーゼを含む、組換え微生物を提供する。
【0813】
いくつかの態様では、組換え微生物は、エチレングリコールを生成するのに十分な量で発現されるエチレングリコール経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を有するエチレングリコール経路を含み、エチレングリコール経路は、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ、およびグリコールアルデヒドレダクターゼを含む。
【0814】
いくつかの態様では、組換え微生物は、エチレングリコールを生成するのに十分な量で発現されるエチレングリコール経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を有するエチレングリコール経路を含み、エチレングリコール経路は、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼまたはグリセリン酸キナーゼ、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ、およびグリコールアルデヒドレダクターゼを含む。
【0815】
いくつかの態様では、組換え微生物は、エチレングリコールを生成するのに十分な量で発現されるエチレングリコール経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を有するエチレングリコール経路を含み、エチレングリコール経路は、グリセリン酸デカルボキシラーゼを含む。
【0816】
いくつかの態様では、組換え微生物は、エチレングリコールを生成するのに十分な量で発現されるエチレングリコール経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を有するエチレングリコール経路を含み、エチレングリコール経路は、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼまたはグリセリン酸キナーゼおよびグリセリン酸デカルボキシラーゼを含む。
【0817】
いくつかの態様では、本開示は、エチレングリコール経路を含む組換え微生物であって、セリンをヒドロキシピルビン酸、ヒドロキシピルビン酸をグリコールアルデヒド、グリコールアルデヒドをエチレングリコール、セリンをエタノールアミン、エタノールアミンをグリコールアルデヒド、3-ホスホグリセリン酸をグリセリン酸、グリセリン酸をヒドロキシピルビン酸、ヒドロキシピルビン酸をグリセリン酸、およびグリセリン酸をエチレングリコールからなる群より選択される基質を生成物へと変換する酵素またはタンパク質をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む、組換え微生物を提供する。当業者は、これらが単なる例示であること、ならびに、所望の生成物を生成するのに適しかつ適切な活性が基質から生成物への変換に利用可能である本明細書に開示される任意の基質-生成物ペアを当業者が本明細書の教示に基づいて容易に決定できることを理解するだろう。したがって、本開示は、酵素またはタンパク質をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含有する組換え微生物であって、そこで該酵素またはタンパク質がエチレングリコール経路の基質および生成物を変換する、組換え微生物を提供する。
【0818】
エチレングリコール経路を含有する組換え微生物として本明細書に一般に記載されるが、本開示は追加で、エチレングリコール経路の中間体を生成するのに十分な量で発現されるエチレングリコール経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む組換え微生物を提供することが理解される。それゆえ、エチレングリコールを生成するエチレングリコール経路を含有する組換え微生物に加えて、本開示は追加で、エチレングリコール経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む組換え微生物であって、エチレングリコール経路中間体、例えば、ヒドロキシピルビン酸、エタノールアミン、グリコールアルデヒドまたはグリセリン酸を生成する、微生物を提供する。
【0819】
いくつかの態様では、セリンアミノトランスフェラーゼまたはセリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)は、セリンからヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する。いくつかの態様では、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼは、ヒドロキシピルビン酸からグリコールアルデヒドへの変換を触媒する。いくつかの態様では、グリコールアルデヒドレダクターゼは、グリコールアルデヒドからエチレングリコールへの変換を触媒する。いくつかの態様では、セリンデカルボキシラーゼは、セリンからエタノールアミンへの変換を触媒する。いくつかの態様では、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)は、エタノールアミンからグリコールアルデヒドへの変換を触媒する。いくつかの態様では、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼは、グリセリン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する。いくつかの態様では、グリセリン酸デカルボキシラーゼは、グリセリン酸からエチレングリコールへの変換を触媒する。いくつかの態様では、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼまたはグリセリン酸キナーゼは、3-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する。
【0820】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)は、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い転換と、それに続く1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体への変換と、それに続く1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体からC2経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびDHAPまたはピルビン酸への変換、ならびにDHAPまたはピルビン酸からC3経路を介したMEG(またはグリコール酸)への変換から、生成される。
【0821】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[H]を含み、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC3経路は、態様[K]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[H]を含み、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC3経路は、態様[L]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[I]を含み、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC3経路は、態様[K]を含む。さらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[I]を含み、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC3経路は、態様[L]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[J]を含み、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC3経路は、態様[K]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[J]を含み、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC3経路は、態様[L]を含む。
【0822】
[K]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)を生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、以下の(a)~(h):
(a)3-ホスホグリセリン酸から3-ホスホヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からの3-ホスホヒドロキシピルビン酸からホスホ-L-セリンへの変換を触媒するホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(a)からの3-ホスホヒドロキシピルビン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(b)からのホスホ-L-セリンからL-セリンへの変換を触媒するホスホセリンホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)(d)からのL-セリンからヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するL-セリントランスアミナーゼまたはセリンオキシダーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(c)または(e)からのヒドロキシピルビン酸からグリコールアルデヒドへの変換を触媒するヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(g)(f)からのグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(h)(f)からのグリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
生成された中間体である態様[H]および/もしくは[I]からのDHAPならびに/または態様[J]からのピルビン酸が、それぞれ、微生物における内因性の解糖系または糖新生を通じて3-ホスホグリセリン酸へと変換され、かつ、MEG(またはグリコール酸)が生成される、組換え微生物に関する。
【0823】
[L]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)を生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、以下の(a)~(j):
(a)2-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはグリセリン酸-2-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)3-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素またはグリセリン酸-3-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(a)および/または(b)からのグリセリン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)L-セリンからヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素またはセリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)L-セリンからエタノールアミンへの変換を触媒するL-セリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(c)および/または(d)からのヒドロキシピルビン酸からグリコールアルデヒドへの変換を触媒するヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(g)(e)からのエタノールアミンからグリコールアルデヒドへの変換を触媒するエタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(h)(a)および/または(b)からのグリセリン酸からMEGへの変換を触媒するグリセリン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(i)(f)および/または(g)からのグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(j)(f)および/または(g)からのグリコールアルデヒドからグリコール酸の変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
生成された中間体である態様[H]および/もしくは[I]からのDHAPならびに/または態様[J]からのピルビン酸が、微生物における内因性の解糖系または糖新生を通じて3-ホスホグリセリン酸および/または2-ホスホグリセリン酸へと変換され、かつ、MEG(またはグリコール酸)が生成される、組換え微生物に関する。
【0824】
いくつかの態様では、2-ケト酸デカルボキシラーゼ、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼまたは2-オキソグルタル酸デカルボキシラーゼは、ヒドロキシピルビン酸をグリコールアルデヒドへと変換する。いくつかの態様では、ヒドロキシピルビン酸をグリコールアルデヒドへと変換する酵素は、kivd、dxs、またはsucAに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、2-ケト酸デカルボキシラーゼは、ラクトコッカス・ラクチス由来のkivdである。なお別の態様では、2-ケト酸デカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:224に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、2-ケト酸デカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:223に示される核酸配列を含む。いくつかの態様では、2-オキソグルタル酸デカルボキシラーゼは、大腸菌由来sucAである。なお別の態様では、2-オキソグルタル酸デカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:226に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、2-オキソグルタル酸デカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:225に示される核酸配列を含む。
【0825】
いくつかの態様では、ヒドロキシアルデヒドレダクターゼは、グリコールアルデヒドレダクターゼであることができる。いくつかの態様では、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素は、yqhDまたはFucOに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素は、大腸菌およびS.セレビシエから選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様では、1つまたは複数の核酸分子は、gldA、GRE2、GRE3、yqhD、ydjG、fucO、yafB(dkgB)、および/またはyqhE(dkgA)、またはそのホモログから選択される。別の態様では、1つまたは複数の核酸分子は、yqhDである。いくつかの態様では、yqhDは、G149E変異を含む。さらなる態様では、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素は、SEQ ID NO:13、15、17、20、23、25、28、30および32からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様では、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素は、SEQ ID NO:12、14、16、18、19、21、22、24、26、27、29および31からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0826】
いくつかの態様では、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼは、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸レダクターゼまたは2-オキソグルタル酸レダクターゼであることができる。いくつかの態様では、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素は、serAに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来serAである。なお別の態様では、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:228に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:227に示される核酸配列を含む。
【0827】
いくつかの態様では、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼは、L-セリントランスアミナーゼ、セリンアミノトランスフェラーゼまたはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼであることができる。いくつかの態様では、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、serCに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来serCである。なお別の態様では、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:230に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:229に示される核酸配列を含む。
【0828】
いくつかの態様では、セリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、ホモサピエンス由来のAGXT1である。なお別の態様では、セリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:244に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、セリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:243に示される核酸配列を含む。
【0829】
いくつかの態様では、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性を有する酵素は、yeaB(nudL)に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来yeaB(nudL)である。なお別の態様では、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:232に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、3-ホスホ-ヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:231に示される核酸配列を含む。
【0830】
いくつかの態様では、ホスホセリンホスファターゼ活性を有する酵素は、serBに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、ホスホセリンホスファターゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来serBである。なお別の態様では、ホスホセリンホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:234に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、ホスホセリンホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:233に示される核酸配列を含む。
【0831】
いくつかの態様では、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素またはグリセリン酸-2-キナーゼ活性を有する酵素は、2-ホスホグリセリン酸をグリセリン酸へと変換する。いくつかの態様では、2-ホスホグリセリン酸をグリセリン酸へと変換する酵素は、phoA、glxKまたはgarKに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来phoAである。なお別の態様では、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:246に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:245に示される核酸配列を含む。いくつかの態様では、グリセリン酸-2-キナーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来glxKである。なお別の態様では、グリセリン酸-2-キナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:250に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、グリセリン酸-2-キナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:249に示される核酸配列を含む。いくつかの態様では、グリセリン酸-2-キナーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来garKである。なお別の態様では、グリセリン酸-2-キナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:252に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、グリセリン酸-2-キナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:251に示される核酸配列を含む。
【0832】
いくつかの態様では、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素またはグリセリン酸-3-キナーゼ活性を有する酵素は、3-ホスホグリセリン酸をグリセリン酸へと変換する。いくつかの態様では、3-ホスホグリセリン酸をグリセリン酸へと変換する酵素は、phoAまたはGLYKに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来phoAである。なお別の態様では、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:246に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:245に示される核酸配列を含む。いくつかの態様では、グリセリン酸-3-キナーゼ活性を有する酵素は、シロイヌナズナ由来のGLYKである。なお別の態様では、グリセリン酸-3-キナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:248に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、グリセリン酸-3-キナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:247に示される核酸配列を含む。
【0833】
いくつかの態様では、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素は、グリセリン酸をヒドロキシピルビン酸へと変換する。いくつかの態様では、グリセリン酸をヒドロキシピルビン酸へと変換する酵素は、ghrBに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来ghrBである。なお別の態様では、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:242に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:241に示される核酸配列を含む。
【0834】
いくつかの態様では、セリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、L-セリンをエタノールアミンへと変換する。いくつかの態様では、L-セリンをエタノールアミンへと変換する酵素は、SDCに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、セリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、シロイヌナズナ由来のSDCである。なお別の態様では、セリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:236に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、セリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:235に示される核酸配列を含む。
【0835】
いくつかの態様では、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素またはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性を有する酵素は、エタノールアミンをグリコールアルデヒドへと変換する。いくつかの態様では、エタノールアミンをグリコールアルデヒドへと変換する酵素は、alaAまたはtynAに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌由来alaAである。なお別の態様では、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:240に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:239に示される核酸配列を含む。いくつかの態様では、エタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性を有する酵素は、大腸菌由来tynAである。なお別の態様では、エタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:238に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、エタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:237に示される核酸配列を含む。
【0836】
別の局面では、MEG(またはグリコール酸)は、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い転換と、それに続く1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体への変換と、それに続く1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体からC2経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびDHAPまたはピルビン酸への変換、ならびにDHAPまたはピルビン酸からC3経路を介した1つまたは複数の同時生成物への変換から、生成される。いくつかの態様では、C2経路は、態様[H]を含む。さらなる態様では、C2経路は、態様[I]を含む。なおさらなる態様では、C2経路は、態様[J]を含む。
【0837】
C2経路を介したMEG(またはグリコール酸)ならびにC3経路を介したアセトン、イソプロパノール、プロペンおよび/またはイソブテンの同時生成
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)は、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い転換と、それに続く1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体への変換と、それに続く1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体からC2経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびDHAPまたはピルビン酸への変換、ならびにDHAPまたはピルビン酸からC3経路を介したアセトンへの変換から、生成される。いくつかの態様では、C2経路は、態様[H]を含む。さらなる態様では、C2経路は、態様[I]を含む。なおさらなる態様では、C2経路は、態様[J]を含む。
【0838】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[H]を含み、アセトンの生成のためのC3経路は、態様[M]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[I]を含み、アセトンの生成のためのC3経路は、態様[M]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[J]を含み、アセトンの生成のためのC3経路は、態様[M]を含む。
【0839】
[M]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびアセトンを同時生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、以下の(a)~(c):
(a)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からのアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒するアセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼ活性を有する酵素または酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;および/または
(c)(b)からのアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
生成された中間体である態様[H]および/もしくは[I]からのDHAPならびに/または態様[J]からのピルビン酸が、微生物における内因性の解糖系を通じてアセチルCoAへと変換され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびアセトンが同時生成される、組換え微生物に関する。
【0840】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)は、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い転換と、それに続く1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体への変換と、それに続く1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体からC2経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびDHAPまたはピルビン酸への変換、ならびにDHAPまたはピルビン酸からC3経路を介したイソブテンへの変換から、生成される。いくつかの態様では、C2経路は、態様[H]を含む。さらなる態様では、C2経路は、態様[I]を含む。なおさらなる態様では、C2経路は、態様[J]を含む。
【0841】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[H]を含み、イソブテンの生成のためのC3経路は、態様[N]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[I]を含み、イソブテンの生成のためのC3経路は、態様[N]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[J]を含み、イソブテンの生成のためのC3経路は、態様[N]を含む。
【0842】
[N]いくつかの態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料からアセトンまたはHMG-CoAを介してモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびイソブテンを同時生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、以下の(a)~(d):
(a)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からのアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒するアセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼ活性を有する酵素または酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からのアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(c)からのアセトンおよびアセチルCoAから3-ヒドロキシイソ吉草酸(3HIV)への変換を触媒する3-ヒドロキシイソ吉草酸シンターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現する、組換え微生物;または
以下の(e)~(j):
(e)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(e)からのアセトアセチルCoAおよびアセチルCoAから3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA(HMG-CoA)への変換を触媒するヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(g)(f)からのHMG-CoAから3-メチルグルタコニルCoAへの変換を触媒するメチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(h)(g)からの3-メチルグルタコニルCoAから3-メチルクロトニルCoAへの変換を触媒するメチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(i)(h)からの3-メチルクロトニルCoAから3-ヒドロキシイソバレリルCoAへの変換を触媒するメチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(j)(i)からの3-ヒドロキシイソバレリルCoAから3HIVへの変換を触媒する3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を発現する、組換え微生物であって;
以下:
(a1)(d)または(j)からの3HIVから3HIV-3-リン酸への変換を触媒する3HIVキナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(a2)(a1)からの3HIV-3-リン酸からイソブテンへの変換を触媒する3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b1)(d)または(j)からの3HIVからイソブテンへの変換を触媒する3HIVデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
から選択される(a1)および(a2)、ならびに/または(b1)をさらに発現し;
生成された中間体である態様[H]および/もしくは[I]からのDHAPならびに/または態様[J]からのピルビン酸が、微生物における内因性の解糖系を通じてアセチルCoAへと変換され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびイソブテンが共産性される、組換え微生物に関する。
【0843】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)は、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い転換と、それに続く1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体への変換と、それに続く1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体からC2経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびDHAPまたはピルビン酸への変換、ならびにDHAPまたはピルビン酸からC3経路を介したイソプロパノールへの変換から、生成される。いくつかの態様では、C2経路は、態様[H]を含む。さらなる態様では、C2経路は、態様[I]を含む。なおさらなる態様では、C2経路は、態様[J]を含む。
【0844】
[O]一態様では、態様[M]および/または[N]からの(任意で態様[EE]を含む)組換え微生物は、任意で、アセトンからイソプロパノールへの変換を触媒する第二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子をさらに発現する。
【0845】
いくつかの態様では、アルコールデヒドロゲナーは、クロストリジウム属の種由来のアルコールデヒドロゲナーゼと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有する。他の態様では、アルコールデヒドロゲナーゼは、クロストリジウム・ベイジェリンキイのadhおよびクロストリジウム・カルボキシジボランス(Clostridium carboxidivorans)のadhから選択されるアルコールデヒドロゲナーゼである。さらなる態様では、アルコールデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:138および140からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様では、アルコールデヒドロゲナーゼは、SEQ ID NO:136、137、および139からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0846】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)は、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い転換と、それに続く1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体への変換と、それに続く1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体からC2経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびDHAPまたはピルビン酸への変換、ならびにDHAPまたはピルビン酸からC3経路を介したプロペンへの変換から、生成される。いくつかの態様では、C2経路は、態様[H]を含む。さらなる態様では、C2経路は、態様[I]を含む。なおさらなる態様では、C2経路は、態様[J]を含む。
【0847】
[P]別の態様では、態様[O]からの(任意で態様[EE]を含む)組換え微生物は、任意で、イソプロパノールからプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子をさらに発現する。
【0848】
イソブテン同時生成のための上述したいずれかの経路の一態様では、3-ヒドロキシイソ吉草酸シンターゼ活性を有する酵素は、ハツカネズミ属の種、サッカロミセス属の種、ラクトバチルス属の種およびポラロモナス属の種から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様では、3-ヒドロキシイソ吉草酸シンターゼ活性を有する酵素は、ハツカネズミ(Mus musculus)、サッカロミセス・セレビシエ、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)およびポラロモナス・ナフタレニボランス(Polaromonas naphthalenivorans)から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、3-ヒドロキシイソ吉草酸シンターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Hmgcs1、ERG13、PksGおよび/またはPnap_0477、またはそのホモログから選択される。さらなる態様では、3-ヒドロキシイソ吉草酸シンターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:105、107、109および111からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様では、3-ヒドロキシイソ吉草酸シンターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:104、106、108および110からなる群より選択される核酸配列を含む。
【0849】
イソブテン同時生成のための上述したいずれかの経路の一態様では、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性を有する酵素は、サッカロミセス属の種から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様では、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性を有する酵素は、サッカロミセス・セレビシエから得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、HmgS、またはそのホモログである。さらなる態様では、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:123に示されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様では、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:122に示される核酸配列を含む。
【0850】
イソブテン同時生成のための上述したいずれかの経路の一態様では、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性を有する酵素は、シュードモナス属の種から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様では、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性を有する酵素は、シュードモナス・プチダから得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、liuC、またはそのホモログである。さらなる態様では、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:125に示されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様では、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:124に示される核酸配列を含む。
【0851】
イソブテン同時生成のための上述したいずれかの経路の一態様では、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、シュードモナス属の種から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様では、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、シュードモナス・エルギノーサから得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、liuB、および/またはliuD、またはそのホモログである。さらなる態様では、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:127および129から選択されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様では、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:126および128から選択される核酸配列を含む。
【0852】
イソブテン同時生成のための上述したいずれかの経路の一態様では、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性を有する酵素は、3-ケトアシルCoAチオラーゼである。別の態様では、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性を有する酵素は、エノイルCoAヒドラターゼである。別の態様では、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性を有する酵素は、大腸菌から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、fadA、および/またはfadB、またはそのホモログである。さらなる態様では、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:131および133から選択されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様では、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:130および132から選択される核酸配列を含む。
【0853】
イソブテン同時生成のための上述したいずれかの経路の一態様では、3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、tesB、またはそのホモログである。さらなる態様では、3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:135に示されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様では、3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:134に示される核酸配列を含む。
【0854】
イソブテン同時生成のための上述したいずれかの経路の一態様では、3HIVキナーゼ活性を有する酵素は、サーモプラズマ属の種およびピクロフィルス属の種からなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様では、3HIVキナーゼ活性を有する酵素は、サーモプラズマ・アシドフィラム(Thermoplasma acidophilum)およびピクロフィルス・トリダスからなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、3HIVキナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、TA1305および/またはPTO1356、またはそのホモログである。いくつかの態様では、TA1305は、L200E変異を含む。さらなる態様では、3HIVキナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:113、115および117からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様では、3HIVキナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:112、114および116からなる群より選択される核酸配列を含む。
【0855】
イソブテン同時生成のための上述したいずれかの経路の一態様では、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、ストレプトコッカス属の種から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様では、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、ストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)およびストレプトコッカス・ゴルドニイ(Streptococcus gordonii)から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、smi_1746および/またはmvaD、またはそのホモログを含む。さらなる態様では、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:119および121から選択されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様では、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:118および120から選択される核酸配列を含む。
【0856】
イソブテン同時生成のための上述したいずれかの経路の一態様では、3HIVデカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、ストレプトコッカス属の種、サーモプラズマ属の種およびピクロフィルス属の種からなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様では、3HIVデカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、ストレプトコッカス・ゴルドニイ、サーモプラズマ・アシドフィラムおよびピクロフィルス・トリダスからなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、3HIVデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、mvaD、TA1305および/またはPTO1356、またはそのホモログを含む。さらなる態様では、3HIVデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:113、117および121からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様では、3HIVデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、SEQ ID NO:112、116および120からなる群より選択される核酸配列を含む。
【0857】
C2経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびC3経路を介した1つまたは複数のセリン経路化合物の同時生成
いくつかの態様では、C2経路を介したMEGの生成は、C3経路を介した1つまたは複数のセリン経路化合物の生成に連結される。一態様では、1つまたは複数のセリン経路化合物は、L-セリン生合成経路に関する。別の態様では、1つまたは複数のセリン経路化合物は、L-セリン(Ser)、グリシン(Gly)、モノエタノールアミン(MEA)、および/またはエチレンジアミン(EDA)である(
図10)。
【0858】
1つまたは複数のC2経路を介したモノエチレングリコール(MEG)またはグリコール酸の生成
MEGを生成するために、1つまたは複数のヘキソース糖またはヘキソース原料は、上述したように、ペントースリン酸経路への非酸化的進入を介して、生産力を維持する様式で、1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へと変換される。次いで、1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体は、ペントース-5-ホスファターゼ、D-アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼおよび/またはホスホペントムターゼによって1つまたは複数のペントース-1-リン酸またはペントース中間体へと変換される(上述したとおり)。次いで、1つまたは複数のペントース-1-リン酸またはペントース中間体は、公知のC2経路(D-キシルロース-1-リン酸経路(Alkim et al., Microb Cell Fact (2015) 14:127)、D-リブロース-1-リン酸経路(WO2013/126721)、またはD-キシロン酸経路(WO2013/119020))によってC2炭素化合物グリコールアルデヒドおよびC3炭素化合物ジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)またはピルビン酸へとアルドラーゼによって分解される。グリコールアルデヒドはMEGへと還元され、NADHを消費する。あるいは、グリコールアルデヒドは、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼによってグリコール酸へと酸化することができる。C3化合物DHAPはさらに、L-セリン経路化合物Ser、Gly、MEAまたはEDAの1つまたは複数へと酸化され、NADHを生成する。
【0859】
アンモニア(NH3)
アンモニアは、式NH3を有する窒素と水素の化合物であり、食品および肥料の前駆体としてならびに医薬品および市販の洗浄製品の合成のための構成成分として役立つ。アンモニアは、正に荷電されるとアンモニウムカチオンとして存在し、その化学式は、NH4
+である。
【0860】
本開示は、アンモニアまたは類似化合物が窒素源として利用されることを教示する。アンモニアまたは類似化合物は、窒素源として使用されると、有機物、例えば、グルタミン酸に固定される。一態様では、通常、2-オキソグルタル酸がグルタミン酸になると、アンモニアが固定され、このプロセスが1つのNADHを消費する。
【0861】
L-セリン(Ser)の生成
Serは、ホスホセリンまたはその変形を介して天然の経路によって生成される。一態様では、C2経路を介したMEG(またはグリコール酸)の生成から生成されたDHAPは、微生物における内因性の解糖系によって3-ホスホ-D-グリセリン酸(3-ホスホグリセリン酸)へと変換される。3-ホスホグリセリン酸は、D-3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.95)によって3-ホスホヒドロキシピルビン酸へと変換される。次いで、3-ホスホヒドロキシピルビン酸は、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.52)によって3-ホスホセリンへと変換される。次いで、3-ホスホセリンは、ホスホセリンホスファターゼ(EC 3.1.3.3)によってL-セリンへと変換される。
【0862】
いくつかの態様では、3-ホスホグリセリン酸からL-セリンへの反応は、以下である:
3-ホスホ-D-グリセリン酸+NAD++L-グルタミン酸+H2O → L-セリン+NADH+2-オキソグルタル酸+リン酸
【0863】
DHAPから3-ホスホヒドロキシピルビン酸へ2つのNADHおよびNH3の固定に1つのNADHの生成が必要と考えると、Ser生成は、正確に1つの過剰なNADHを生成し、これは、1つのMEG(またはグリコール酸)の等モル同時生成に必要である。
【0864】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)およびL-セリンの生成は、1つまたは複数のヘキソースから1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い変換と、それに続く1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントース-1-リン酸および/またはペントース中間体への変換と、次いでそれに続く1つまたは複数のペントース-1-リン酸および/またはペントース中間体からC2経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびC3経路を介したL-セリンの同時生成を使用した熱力学的最大生産力に極めて近い。いくつかの態様では、天然の標準的なC3経路によるグルコースから作られるL-セリンの生成と比較して、本出願に開示される経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびL-セリンの同時生成では熱力学的生産力が14%より良好である。
【0865】
同時生成:ヘキソース+NH3→MEG(またはグリコール酸)+Ser+0 ATP
Y(経路)=(0.371+0.629)g/g=1.00g(MEG(またはグリコール酸)+Ser)/g(ヘキソース+NH3)、Y(最大)(燃焼熱)=1.044g/gの96%
標準経路:グルコース+2 NH3→2 Ser+2 NADH+0 ATP
Y(経路)=0.981g(Ser)/g(グルコース+2NH3)、Y(最大)(燃焼熱)=1.164g/gの84%
【0866】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)およびセリンは、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い転換と、それに続く1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体への変換と、それに続く1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体からC2経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびDHAPまたはピルビン酸への変換、ならびにDHAPまたはピルビン酸からC3経路を介したセリンへの変換から、同時生成される。いくつかの態様では、C2経路は、態様[H]を含む。さらなる態様では、C2経路は、態様[I]を含む。なおさらなる態様では、C2経路は、態様[J]を含む。
【0867】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[H]を含み、セリンの生成のためのC3経路は、態様[Q]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[I]を含み、セリンの生成のためのC3経路は、態様[Q]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[J]を含み、セリンの生成のためのC3経路は、態様[Q]を含む。
【0868】
[Q]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびセリンを同時生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、以下の(a)~(h):
(a)3-ホスホグリセリン酸から3-ホスホヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)3-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはグリセリン酸3-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)2-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはグリセリン酸2-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(a)からの3-ホスホヒドロキシピルビン酸からホスホ-L-セリンへの変換を触媒するホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)(a)からの3-ホスホヒドロキシピルビン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(d)からのホスホ-L-セリンからL-セリンへの変換を触媒するホスホセリンホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(g)(b)および/または(c)からのグリセリン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(h)(e)および/または(g)からのヒドロキシピルビン酸からL-セリンへの変換を触媒するセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
生成された中間体である態様[H]および/もしくは[I]からのDHAPならびに/または態様[J]からのピルビン酸が、微生物における内因性の解糖系または糖新生を通じて3-ホスホグリセリン酸および/または2-ホスホグリセリン酸へと変換され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびセリンが生成される、組換え微生物に関する。
【0869】
グリシン(Gly)の生成
Glyは、天然の経路(例えば、Serを介した)またはその変形によって生成される。
【0870】
一態様では、Glyは、Serに基づく経路を介して生成される。Serに基づく経路では、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸(M-THF)がTHFから生成され、L-セリンがセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼによってグリシンへと変換される。M-THFは、様々な細胞性化合物の生合成、例えば、メチル化反応において利用される。
【0871】
好ましい態様では、M-THFを使用して、もう2つのNADHまたは1つのNADHおよび1つのH
2を生成することもできる:
(EC 2.1.2.-;1炭素基を転移させるトランスフェラーゼ、例えば、ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、ホルミルトランスフェラーゼおよび関連トランスフェラーゼ)、その後のホルムアルデヒドからギ酸およびNADHへの酸化(EC 1.2.1.46;ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ)、ならびにギ酸からCO
2およびNADH(ギ酸デヒドロゲナーゼ、FDH)またはCO
2およびH
2(ギ酸ヒドロゲンリアーゼ複合体)へのさらなる酸化。
【0872】
いくつかの態様では、このTHFの再構成(部分的でも行われれば)を使用して、もう1つの別個のグリシン生合成経路を実行するのに十分なだけのNADHを生成することができる。一態様では、M-THF、NH3、CO2およびNADHを利用してグリシンを直接合成するグリシン開裂系を介した経路を、セリンに基づくグリシン生成と一緒に使用して、生成された過剰なM-THFを利用し、より多くのグリシンを生成することができる。
【0873】
グリシン開裂系(GCV)は、二酸化炭素、アンモニア、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸(M-THF)および還元されたピリジンヌクレオチドを生成する、グリシンの可逆的酸化を触媒する多酵素複合体である:
【0874】
テトラヒドロ葉酸は、グリシン開裂中に生成される一炭素単位の受取手として機能して、メチレン基を形成する。GCV系は、Pタンパク質、Hタンパク質、Tタンパク質およびLタンパク質という4つのタンパク質成分からなる。Pタンパク質(EC 1.4.4.2、グリシンデヒドロゲナーゼ(脱炭酸))は、グリシンからのCO2のピリドキサールリン酸依存性遊離を触媒し、メチルアミン部分が残る。メチルアミン部分は、グリシンの脱炭酸の前にPタンパク質に結合しているHタンパク質のリポ酸基に転移する。Tタンパク質(EC 2.1.2.10、アミノメチルトランスフェラーゼ)は、メチルアミン基からのNH3の放出を触媒し、残っているC1単位をTHFに転移させ、5,10-mTHFを形成する。次いで、Lタンパク質(EC 1.8.1.4、ジヒドロリポイルデヒドロゲナーゼ)がHタンパク質のリポ酸成分を酸化して、電子をNAD+に移動させ、NADHを形成する。
【0875】
同じ酵素セットは、グリシンを形成するために逆方向に進む場合、グリシンシンターゼと称されることもある。嫌気性細菌クロストリジウム・アシジウリシ(Clostridium acidiurici)では、グリシン開裂系は、大抵、グリシン合成の方向に進む。
【0876】
あるいは、別の態様では、グリシンはまた、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.44)によるグリオキシル酸のアミノ基転移を介して生成することもできる。サッカロミセス・セレビシエのような生物では、この経路は、エタノールまたは酢酸のような非発酵性炭素源による成長中に唯一発現されるが、任意の微生物においてこの経路を容易に過剰発現させることができる。アミノ基ドナーのアラニンは、グルタミン酸とのアミノ基転移(アラニントランスアミナーゼ、EC 2.6.1.2)によって再構成され、グルタミン酸は、NADHまたはNADPH依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.2またはEC 1.4.1.3)によるアンモニアの固定によって再構成される。一態様では、このグリシン経路は、中間体L-セリンを回避し、そして、M-THFの生成を導くことなく、むしろNADHなどの2つの還元等価体を直接生成する。
【0877】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)およびグリシンの生成は、1つまたは複数のヘキソースから1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い変換と、それに続く1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントース-1-リン酸および/またはペントース中間体への変換と、次いでそれに続く1つまたは複数のペントース-1-リン酸および/またはペントース中間体からC2経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびC3経路を介したグリシンの同時生成を使用した熱力学的最大生産力に近い。いくつかの態様では、天然の標準的なC3経路によるグルコースから作られるグリシンの生成と比較して、本出願に開示される経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびグリシンの同時生成では熱力学的生産力が37%より良好である。
【0878】
同時生成、セリン経路:ヘキソース+NH3+THF→MEG(またはグリコール酸)+Gly+M-THF+0 ATP
同時生成、セリン経路、ギ酸を介し、FDHを使用したTHF再構成と仮定する:
ヘキソース+NH3→MEG(またはグリコール酸)+Gly+2 NADH+0 ATP
同時生成、グリオキシル酸経路:ヘキソース+NH3→MEG(またはグリコール酸)+Gly+2 NAD(P)H+0 ATP
Y(経路)=(0.371+0.449)g/g=0.820g(MEG(またはグリコール酸)+Gly)/g(ヘキソース+NH3)、Y(最大)(燃焼熱)=1.013g/gの81%
同時生成、セリン経路、ギ酸およびFDHを介した部分的THF再構成+グリシン開裂系を介したグリシン合成と仮定する:
NADH生成を通じた部分的THF再構成:M-THF→2/3 M-THF+1/3 THF+2/3 NADH
残っているM-THFおよび生成されたNADHのグリシン開裂系への利用:
2/3 M-THF+2/3 NADH+2/3 NH3+2/3 CO2→2/3 Gly
ヘキソース+5/3 NH3+2/3 CO2→MEG(またはグリコール酸)+5/3 Gly+0 ATP
y(経路)=(0.348+0.698)g/g=1.046g/g、y(最大)の97%=1.076g/g
標準経路:グルコース+2 NH3+2 THF→2 Gly+2 M-THF+2 NADH+0 ATP
Y(経路)=0.701g(Gly)/g(グルコース+2NH3)、Y(最大)(燃焼熱)=1.197g/gの59%
【0879】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)およびグリシンは、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い転換と、それに続く1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体への変換と、それに続く1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体からC2経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびDHAPまたはピルビン酸への変換、ならびにDHAPまたはピルビン酸からC3経路を介したグリシンへの変換から、同時生成される。いくつかの態様では、C2経路は、態様[H]を含む。さらなる態様では、C2経路は、態様[I]を含む。なおさらなる態様では、C2経路は、態様[J]を含む。
【0880】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[H]を含み、グリシンの生成のためのC3経路は、態様[R]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[H]を含み、グリシンの生成のためのC3経路は、態様[S]を含む。さらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[H]を含み、グリシンの生成のためのC3経路は、態様[T]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[I]を含み、グリシンの生成のためのC3経路は、態様[R]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[I]を含み、グリシンの生成のためのC3経路は、態様[S]を含む。さらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[I]を含み、グリシンの生成のためのC3経路は、態様[T]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[J]を含み、グリシンの生成のためのC3経路は、態様[R]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[J]を含み、グリシンの生成のためのC3経路は、態様[S]を含む。さらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[J]を含み、グリシンの生成のためのC3経路は、態様[T]を含む。
【0881】
[R]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびグリシンを生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、以下の(a)~(e):
(a)L-セリンおよびテトラヒドロ葉酸(THF)からグリシンおよび5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸(M-THF)への変換を触媒するセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からのM-THFからホルムアルデヒドへの変換を触媒するトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からのホルムアルデヒドからギ酸およびNADHへの変換を触媒するホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(c)からのギ酸からCO2およびNADHへの変換を触媒するギ酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)(a)からのM-THF、CO2、NH3および(c)または(d)からのNADHからグリシンおよびTHFへの変換を触媒するグリシン開裂系のタンパク質をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
THFが工程(b)~(e)から再構成され、任意で、(c)からのギ酸がさらに、ギ酸ヒドロゲナーゼリアーゼ複合体によってCO2およびH2へと酸化され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびグリシンが生成される、組換え微生物に関する。
【0882】
[S]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびグリシンを同時生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、以下の(a)~(k):
(a)3-ホスホグリセリン酸から3-ホスホヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からの3-ホスホヒドロキシピルビン酸からホスホ-L-セリンへの変換を触媒するホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(a)からの3-ホスホヒドロキシピルビン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(b)からのホスホ-L-セリンからL-セリンへの変換を触媒するホスホセリンホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)(d)からのL-セリンからヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するL-セリントランスアミナーゼまたはセリンオキシダーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(c)または(e)からのヒドロキシピルビン酸からグリコールアルデヒドへの変換を触媒するヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(g)(f)からのグリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(h)(g)からのグリコール酸からグリオキシル酸への変換を触媒するグリコール酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(i)(h)からのグリオキシル酸およびアラニンからグリシンおよびピルビン酸への変換を触媒するアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(j)(i)からのピルビン酸およびグルタミン酸からアラニンおよび2-オキソグルタル酸への変換を触媒するアラニントランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(k)(j)からの2-オキソグルタル酸およびアンモニアからグルタミン酸への変換を触媒するNAD(P)H依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
生成された中間体である態様[H]および/もしくは[I]からのDHAPならびに/または態様[J]からのピルビン酸が、微生物における内因性の解糖系または糖新生を通じて3-ホスホグリセリン酸および/または2-ホスホグリセリン酸へと変換され、工程(i)のためのグリオキシル酸が、任意で、微生物におけるグリオキシル酸シャントからもたらされ、アラニンおよびグルタミン酸が工程(j)および(k)から再構成され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびグリシンが同時生成される、組換え微生物に関する。
【0883】
[T]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびグリシンを同時生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、以下の(a)~(l):
(a)2-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはグリセリン酸-2-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)3-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはグリセリン酸-3-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(a)および/または(b)からのグリセリン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)L-セリンからヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するセリンアミノトランスフェラーゼまたはセリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)L-セリンからエタノールアミンへの変換を触媒するL-セリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(c)および/または(d)からのヒドロキシピルビン酸からグリコールアルデヒドへの変換を触媒するヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(g)(e)からのエタノールアミンからグリコールアルデヒドへの変換を触媒するエタノールアミンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素またはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(h)(f)および/または(g)からのグリコールアルデヒドからグリコール酸の変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(i)(g)からのグリコール酸からグリオキシル酸への変換を触媒するグリコール酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(j)(i)からのグリオキシル酸およびアラニンからグリシンおよびピルビン酸への変換を触媒するアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(k)(j)からのピルビン酸およびグルタミン酸からアラニンおよび2-オキソグルタル酸への変換を触媒するアラニントランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(l)(k)からの2-オキソグルタル酸およびアンモニアからグルタミン酸への変換を触媒するNAD(P)H依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
生成された中間体である態様[H]および/もしくは[I]からのDHAPならびに/または態様[J]からのピルビン酸が、微生物における内因性の解糖系または糖新生を通じて3-ホスホグリセリン酸および/または2-ホスホグリセリン酸へと変換され、工程(j)のためのグリオキシル酸が、任意で、微生物におけるグリオキシル酸シャントからもたらされ、アラニンおよびグルタミン酸が工程(k)および(l)から再構成され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびグリシンが同時生成される、組換え微生物に関する。
【0884】
いくつかの態様では、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、L-セリンをグリシンへと変換する。いくつかの態様では、L-セリンをグリシンへと変換する酵素は、大腸菌glyAに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P0A825に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 947022に示される核酸配列によってコードされる。
【0885】
いくつかの態様では、1炭素基を転移させるトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、M-THFをホルムアルデヒドへと変換するために使用される。ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、ホルミルトランスフェラーゼおよび関連トランスフェラーゼなどのトランスフェラーゼが使用されてよい。ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、ホルミルトランスフェラーゼおよび関連トランスフェラーゼの例は、グリシンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、ホスホリボシルグリシンアミドホルミルトランスフェラーゼ、ホスホリボシルアミノイミダゾールカルボキサミドホルミルトランスフェラーゼ、グリシンホルムイミドイルトランスフェラーゼ、グルタミン酸ホルムイミノトランスフェラーゼ、D-アラニン2-ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、デオキシシチジル酸5-ヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、メチオニル-tRNAホルミルトランスフェラーゼ、アミノメチルトランスフェラーゼ、3-メチル-2-オキソブタン酸ヒドロキシメチルトランスフェラーゼおよびUDP-4-アミノ-4-デオキシ-L-アラビノースホルミルトランスフェラーゼを含む。
【0886】
いくつかの態様では、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、ホルムアルデヒドをギ酸およびNADHへと変換するために使用される。いくつかの態様では、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、サッカロミセス・セレビシエのALD2、サッカロミセス・セレビシエのALD3、ホモサピエンスのALDH3A2およびホモサピエンスのALDH9A1から選択されるホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P47771、UniProt ID P54114、UniProt ID P51648およびUniProt ID P49189から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 855206、Gene ID 855205、Gene ID 224およびGene ID 223から選択される核酸配列によってコードされる。
【0887】
いくつかの態様では、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、ギ酸をCO2およびNADHへと変換するために使用される。いくつかの態様では、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、大腸菌fdhF(chlF、FDH-H)、大腸菌FDH-N、大腸菌FDH-O、カンジダ・ボイジニのFDH1、コリネバクテリウム・グルタミクムのfdhF、カプリアビダス・オキサラティクスのNAD+依存性ギ酸デヒドロゲナーゼ、ゴッチャルキア・アシズリチのNAD+依存性ギ酸デヒドロゲナーゼ、メチロバクテリウム・エキストロクエンスのFdh1、メチロシヌス・トリコスポリウムのギ酸デヒドロゲナーゼ、およびモラクセラ属の種のNAD+依存性ギ酸デヒドロゲナーゼfdhからなる群より選択されるギ酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性に関連する酵素または酵素のサブユニットをコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P07658、UniProt ID P0AEK7、UniProt ID P0AAJ3、UniProt ID P24183、UniProt ID P32176、UniProt ID P0AAJ5、UniProt ID P0AEL0、UniProt ID O13437、UniProt ID Q8NSY6、UniProt ID Q8KTI7、UniProt ID Q8KTI8、およびUniProt ID O08375から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性に関連する酵素または酵素のサブユニットをコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 948584、Gene ID 946038、Gene ID 948794、Gene ID 946035、Gene ID 948394、Gene ID 948395、Gene ID 948383、GenBankアクセッションAJ011046.2、Gene ID 1021531、GenBankアクセッションAF489516、およびGenBankアクセッションY13245.1から選択される核酸配列を含む。
【0888】
いくつかの態様では、グリシン開裂系の1つまたは複数のタンパク質は、M-THF、CO2、NH3およびNADHからグリシンを生成するために使用される。いくつかの態様では、グリシン開裂系のタンパク質は、i)P-タンパク質(ピリドキサールリン酸含有タンパク質)またはグリシンデカルボキシラーゼ(EC 1.4.4.2)、ii)T-タンパク質またはアミノメチル-トランスフェラーゼ(EC 2.1.2.10)、iii)L-タンパク質またはジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(EC1.8.1.4)、およびiv)H-タンパク質と呼ばれる輸送タンパク質(リポ酸含有タンパク質)を含む。いくつかの態様では、グリシンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌gcvPに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、グリシンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P33195に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、グリシンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 947394に示される核酸配列を含む。いくつかの態様では、アミノメチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌gcvTに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、アミノメチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P27248に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、アミノメチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 947390に示される核酸配列を含む。いくつかの態様では、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、大腸菌lpd(lpdA、E3サブユニット)に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P0A9P0に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 944854に示される核酸配列を含む。いくつかの態様では、H-タンパク質は、大腸菌gcvHに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、H-タンパク質をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P0A6T9に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、H-タンパク質をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 947393に示される核酸配列によってコードされる。
【0889】
いくつかの態様では、グリコール酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、グリコール酸をグリオキシル酸へと変換するために使用される。いくつかの態様では、グリコール酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、大腸菌のグリコール酸デヒドロゲナーゼGLCおよびシロイヌナズナのグリコール酸デヒドロゲナーゼから選択されるグリコール酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、グリコール酸デヒドロゲナーゼ活性に関連する酵素または酵素サブユニットをコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P0AEP9、UniProt ID P52073、UniProt ID P52074、およびUniProt ID Q94AX4から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、グリコール酸デヒドロゲナーゼ活性に関連する酵素または酵素サブユニットをコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 947353、Gene ID 2847718、Gene ID 2847717、およびGenBankアクセッションY13245.1から選択される核酸配列を含む。
【0890】
いくつかの態様では、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、グリオキシル酸をグリシンへと変換するために使用される。いくつかの態様では、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、サッカロミセス・セレビシエのAGX1、ホモサピエンスのAGXT2、シロイヌナズナのAOAT1およびシロイヌナズナのAOAT2から選択されるアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P43567、UniProt ID Q9BYV1、UniProt ID Q9LR30およびUniProt ID Q9S7E9から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 850514、Gene ID 64902、TAIRアクセッションAT1G23310およびTAIRアクセッションAT1G70580から選択される核酸配列を含む。
【0891】
いくつかの態様では、アラニントランスアミナーゼ活性を有する酵素は、ピルビン酸およびグルタミン酸からアラニンを再構成するために使用される。いくつかの態様では、アラニントランスアミナーゼ活性を有する酵素は、大腸菌のグルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼalaA、大腸菌のグルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼalaB、大腸菌のグルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼalaC、ホモサピエンスのアラニンアミノトランスフェラーゼ1(GPT)、ホモサピエンスのアラニンアミノトランスフェラーゼ2(GPT2)、タマシキゴカイのアラニントランスアミナーゼ、シロイヌナズナのトリプトファンアミノトランスフェラーゼTAA1、シロイヌナズナのAOAT1、シロイヌナズナのAOAT2、カンジダ・マルトーサのアラニンアミノトランスフェラーゼ、クロストリジウム・プロピオニクムのアラニンアミノトランスフェラーゼ、ピロコッカス・フリオサスのアラニンアミノトランスフェラーゼaat、メガチルサス・マキシマスのアラニントランスアミナーゼ、およびパニカム・ミリアセアムのアラニントランスアミナーゼAlaAT-2から選択されるアラニントランスアミナーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、アラニントランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P0A959、UniProt ID P77434、UniProt ID P24298、UniProt ID Q8TD30、UniProt ID Q9S7N2、UniProt ID Q9LR30、UniProt ID Q9S7E9、UniProt ID Q9P9M8、およびUniProt ID P34106から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、アラニントランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 946772、Gene ID 946850、Gene ID 2875、Gene ID 84706、Gene ID 843393、TAIRアクセッションAT1G23310、TAIRアクセッションAT1G70580、GenBankアクセッションAF163769.1およびGenBankアクセッションX69421.1から選択される核酸配列を含む。
【0892】
いくつかの態様では、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、アンモニアおよび2-オキソグルタル酸からグルタミン酸を再構成するために使用される。いくつかの態様では、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、サッカロミセス・セレビシエのNAD依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼGDH2、シロイヌナズナのNAD依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼGDH2、シロイヌナズナのNAD依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼGDH1、ペプトニフィラス・アサッカロリチカスのNAD依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼgdhA、ハロバクテリウム・サリナルムのNAD依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼgdhA、サーモトガ・マリティマのグルタミン酸デヒドロゲナーゼ、ホモサピエンスのグルタミン酸デヒドロゲナーゼ1(GLUD1)、ホモサピエンスのグルタミン酸デヒドロゲナーゼ2(GLUD2)、枯草菌のグルタミン酸デヒドロゲナーゼおよびソラヌム・リコペルシクムのグルタミン酸デヒドロゲナーゼGDH1から選択されるグルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P33327、UniProt ID Q38946、UniProt ID Q38946、UniProt ID P28997、UniProt ID P29051、UniProt ID P00367、UniProt ID P49448およびUniProt ID P93541から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 461927、TAIRアクセッションAT5G07440、TAIRアクセッションAT5G18170、GenBankアクセッションM76403.1、GenBankアクセッションX63837.1、Gene ID 2746、Gene ID 2747およびGenBankアクセッションU48695.1から選択される核酸配列によってコードされる。
【0893】
モノエタノールアミン(MEA)の生成
MEAは、Serの脱炭酸またはグリコールアルデヒドのアミノ基転移を介して生成することができる。
【0894】
いくつかの好ましい態様では、セリンデカルボキシラーゼは、天然に、すなわち、植物のコリン生合成経路に見いだされるので、これが利用され、グリコールアルデヒド中間体のアミノ基転移は、MEG経路とMEA経路の間にクロストークを生み出すだろう。
【0895】
あるいは、別の態様では、MEAは、エタノールアミンアンモニアリアーゼ(EC 4.3.1.7)によってアセトアルデヒドおよびアンモニアから形成されてもよい:
【0896】
この場合、MEAは、Ser生合成経路を介して形成されるのではなく、むしろアセチルCoAおよびアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼによるアセトアルデヒドへのその還元から形成される。レドックス状況は変化しない一方で、この経路は、Serに基づく経路に対して+1のATPを生成する。それはまた、毒性の中間体Serを回避するが、毒性かつ揮発性の中間体アセトアルデヒドを有する。
【0897】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)およびMEAの生成は、1つまたは複数のヘキソースから1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い変換と、それに続く1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントース-1-リン酸および/またはペントース中間体への変換と、次いでそれに続く1つまたは複数のペントース-1-リン酸および/またはペントース中間体からC2経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびC3経路を介したMEAの同時生成を使用した熱力学的最大生産力に極めて近い。いくつかの態様では、天然または公開されている類似の経路によるグルコースから作られるMEAの生成と比較して、本出願に開示される経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびMEAの同時生成では熱力学的生産力が15%より良好である。
【0898】
同時生成、Ser経路:ヘキソース+NH3→MEG(またはグリコール酸)+MEA+0 ATP
同時生成、アセトアルデヒド経路:ヘキソース+NH3→MEG(またはグリコール酸)+MEA+1 ATP
Y(経路)=(0.371+0.365)g/g=0.736g(MEG(またはグリコール酸)+MEA)/g(ヘキソース+NH3)、Y(最大)(燃焼熱)=0.749g/gの98%
標準経路:グルコース+2 NH3→2 MEA+2 NADH+0 ATP
Y(経路)=0.570g(MEA)/g(グルコース+2NH3)、Y(最大)(燃焼熱)=0.669g/gの85%
【0899】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)およびMEAは、1つまたは複数のヘキソース原料から、1つまたは複数のヘキソース原料の1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い転換と、それに続く1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体への変換と、それに続く1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体からC2経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびDHAPまたはピルビン酸への変換、ならびにDHAPまたはピルビン酸からC3経路を介したMEAへの変換によって、同時生成される。
【0900】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[H]を含み、MEAの生成のためのC3経路は、態様[U]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[H]を含み、MEAの生成のためのC3経路は、態様[V]を含む。さらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[H]を含み、MEAの生成のためのC3経路は、態様[W]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[I]を含み、MEAの生成のためのC3経路は、態様[U]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[I]を含み、MEAの生成のためのC3経路は、態様[V]を含む。さらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[I]を含み、MEAの生成のためのC3経路は、態様[W]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[J]を含み、MEAの生成のためのC3経路は、態様[U]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[J]を含み、MEAの生成のためのC3経路は、態様[V]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[J]を含み、MEAの生成のためのC3経路は、態様[W]を含む。
【0901】
[U]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびモノエタノールアミン(MEA)を同時生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、以下の(a)~(i):
(a)3-ホスホグリセリン酸から3-ホスホヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)3-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはグリセリン酸3-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)2-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはグリセリン酸2-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(a)からの3-ホスホヒドロキシピルビン酸からホスホ-L-セリンへの変換を触媒するホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)(a)からの3-ホスホヒドロキシピルビン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(d)からのホスホ-L-セリンからL-セリンへの変換を触媒するホスホセリンホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(g)(b)および/または(c)からのグリセリン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(h)(e)および/または(g)からのヒドロキシピルビン酸からL-セリンへの変換を触媒するセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(i)(f)および/または(h)からのL-セリンからMEAへの変換を触媒するセリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
生成された中間体である態様[H]および/もしくは[I]からのDHAPならびに/または態様[J]からのピルビン酸が、微生物における内因性の解糖系または糖新生を通じて3-ホスホグリセリン酸および/または2-ホスホグリセリン酸へと変換され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびMEAが同時生成される、組換え微生物に関する。
【0902】
[V]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびモノエタノールアミン(MEA)を同時生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、以下の(a)~(f):
(a)2-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはグリセリン酸-2-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)3-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはグリセリン酸-3-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(a)および/または(b)からのグリセリン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)L-セリンからヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼまたはセリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)(c)および/または(d)からのヒドロキシピルビン酸からグリコールアルデヒドへの変換を触媒するヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(e)からのグリコールアルデヒドからMEAへの変換を触媒するトランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
生成された中間体である態様[H]および/もしくは[I]からのDHAPならびに/または態様[J]からのピルビン酸が、微生物における内因性の解糖系または糖新生を通じて3-ホスホグリセリン酸および/または2-ホスホグリセリン酸へと変換され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびMEAが同時生成される、組換え微生物に関する。
【0903】
[W]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびモノエタノールアミン(MEA)を同時生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、以下の(a)~(b):
(a)アセチルCoAからアセトアルデヒドへの変換を触媒するアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)アセトアルデヒドおよびアンモニアからMEAへの変換を触媒するエタノールアミンアンモニアリアーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
生成された中間体である態様[H]および/もしくは[I]からのDHAPならびに/または態様[J]からのピルビン酸が、微生物における内因性の解糖系を通じてアセチルCoAへと変換され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびMEAが同時生成される、組換え微生物に関する。
【0904】
いくつかの態様では、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、アセチルCoAをアセトアルデヒドへと還元するために使用される。いくつかの態様では、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、大腸菌mhpF、大腸菌AdhE、クラミドモナス・レインハルドティのADH1、ロイコノストック・メセンテロイデスのCoA依存性アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ、ペロバクター・アセチレニクスのアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ、シュードモナス属の種のdmpF、シュードモナス・プチダのアシル化アルデヒドデヒドロゲナーゼtodI、シュードモナス・プチダのアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼのcmtHおよびクロストリジウム・アセトブチリクムのアルコール/アルデヒドデヒドロゲナーゼAdhEから選択されるアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P77580、UniProt P0A9Q7、UniProt ID A8JI07、UniProt ID Q52060、UniProt ID Q51949およびUniProt ID P33744から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 945008、Gene ID 945837、Gene ID 5729132、GenBankアクセッションX60835.1、GenBankアクセッションU09250.1およびGene ID 1116167から選択される核酸配列を含む。
【0905】
いくつかの態様では、エタノールアミンアンモニアリアーゼ活性を有する酵素は、アセトアルデヒドおよびアンモニアをMEAへと変換するために使用される。いくつかの態様では、エタノールアミンアンモニアリアーゼ活性を有する酵素は、大腸菌のエタノールアミンアンモニアリアーゼに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの態様では、エタノールアミンアンモニアリアーゼサブユニットをコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P0AEJ6およびUniProt ID P19636から選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、エタノールアミンアンモニアリアーゼサブユニットをコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 946924およびGene ID 946925から選択される核酸配列によってコードされる。
【0906】
エチレンジアミン(EDA)の生成
EDAは、その全体が本明細書に組み入れられるWO 2014/049382に記載されている経路A~Eのいずれかによって生成することができる(
図11)。
【0907】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)およびEDAは、1つまたは複数のヘキソース原料から、1つまたは複数のヘキソース原料の1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い転換と、それに続く1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体への変換と、それに続く1つまたは複数のペントースおよび/またはペントース-1-リン酸中間体からC2経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびDHAPまたはピルビン酸への変換、ならびにDHAPまたはピルビン酸からC3経路を介したEDAへの変換によって、同時生成される。
【0908】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[H]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[X]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[H]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[Y]を含む。さらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[H]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[Z]を含む。なおさらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[H]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[AA]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[H]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[BB]を含む。
【0909】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[I]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[X]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[I]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[Y]を含む。さらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[I]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[Z]を含む。なおさらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[I]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[AA]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[I]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[BB]を含む。
【0910】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[J]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[X]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[J]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[Y]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[J]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[Z]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[J]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[AA]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[J]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[BB]を含む。
【0911】
[X]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびエチレンジアミン(EDA)を同時生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、以下の(a)~(c):
(a)L-セリンから2-アミノマロン酸セミアルデヒドへの変換を触媒するセリンデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からの2-アミノマロン酸セミアルデヒドからアミノアセトアルデヒドへの変換を触媒する2-アミノマロン酸セミアルデヒドデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からのアミノアセトアルデヒドからEDAへの変換を触媒するアミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
2-アミノマロン酸セミアルデヒドが、任意で、自発反応によってアミノアセトアルデヒドへと変換されてもよく、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびEDAが同時生成される、組換え微生物に関する。
【0912】
本開示のこの局面によれば、組換え微生物は、セリンデヒドロゲナーゼおよびアミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼの活性を呈する酵素をコードする遺伝子の少なくとも1つを過剰発現する。これらの遺伝子は、内因性遺伝子または外因性遺伝子であり得る。
【0913】
L-セリンから2-アミノマロン酸セミアルデヒドへの変換の最初の反応は、セリンデヒドロゲナーゼ酵素によって触媒される。この酵素は、アルデヒドレダクターゼとも呼ばれるアルコールデヒドロゲナーゼの大きな酵素ファミリーに属する。数種の酵素がセリンデヒドロゲナーゼ活性を呈することが公知である。本開示の一態様では、これらの酵素は、本明細書に列記した遺伝子:シュードモナス・プチダ由来、シネココッカス属(Synechococcus)PCC6301由来またはバチルス・セレウス由来のmmsB;シュードモナス・プチダE23由来のhibdh;シュードモナス・エルギノーサ由来のPA0743;大腸菌由来またはバチルス・ブレビス(Bacillus brevis)由来または枯草菌由来のydfG;アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)由来のsdh;ラタス・ノルベギカス(Rattus norvegicus)由来またはサーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)HB8由来のhibadh;大腸菌由来yiaYを非限定的に含む、当技術分野において周知の遺伝子の一覧の中から選択される遺伝子によってコードされる(Chowdhury et al., 1996、Yao et al., 2010、Tchigvintsev et al., 2012、Fujisawa et al., 2003、Hawes et al., 1996、およびLokanath et al., 2005)。
【0914】
本開示の好ましい態様では、セリンデヒドロゲナーゼは、大腸菌由来ydfGまたはシュードモナス・プチダ由来mmsB、または大腸菌由来yiaYによってコードされる。好ましくは、これらの酵素は、L-セリンから2-アミノマロン酸セミアルデヒドへの触媒効率が向上するようにコード遺伝子を変異させることによって最適化される。
【0915】
本開示の別の態様では、セリンデヒドロゲナーゼ酵素は、セリンに対する特異性およびセリンデヒドロゲナーゼ活性を呈する酵素が得られるようにその基質特異性および/またはその触媒効率を改変して酵素を進化させることによって得られる。これらの酵素は、L-セリンと化学的に類似した基質に対して同じタイプの触媒活性を有する酵素群の中から選択される。好ましくは、これらの酵素は、3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼおよびセリンデヒドロゲナーゼの中から選択されてもよい。より好ましくは、これらは、本明細書の遺伝子:大腸菌由来またはロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)由来またはシムビオバクテリウム・サーモフィラム(Symbiobacterium thermophilum)由来のgldA;大腸菌由来のyqhE;大腸菌由来のyafB;ドノバン・リーシュマニア(Leishmania donovani)由来のalr;シネココッカス属の種(Synechococcus sp.)由来のsakR1;枯草菌由来のyhdN;枯草菌由来のytbE;シロイヌナズナ由来のAKR4C9;大腸菌由来のfucOを非限定的に含む、当技術分野において周知の遺伝子の一覧の中から選択される遺伝子によってコードされる。これらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが使用され得る。
【0916】
これらの酵素の進化は、当業者に周知の手段および方法によって、基質であるL-セリンに対して向上した特異性を有しかつ/または向上した活性でL-セリンから2-アミノマロン酸セミアルデヒドへの変換を可能にする酵素が得られるように実施される。進化した酵素の選択は、進化した酵素を本開示の微生物またはインビトロで基質としてL-セリンを用いて発現させ、生成物である2-アミノマロン酸セミアルデヒドを検出することによって行われる。
【0917】
2-アミノマロン酸セミアルデヒドからアミノアセトアルデヒドへの変換の二番目の反応は、細胞において自発的に行われる(Fujisawa et al., 2003)。本開示の別の態様では、2-アミノマロン酸セミアルデヒドからアミノアセトアルデヒドへの変換の二番目の反応は、2-アミノマロン酸セミアルデヒドデカルボキシラーゼ活性を有する酵素によって触媒される。この酵素は、天然に遭遇することはない。それゆえ、その酵素は、公知の酵素の進化によってまたはメタゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって得られる。2-アミノマロン酸セミアルデヒドデカルボキシラーゼ活性は、アミノ酸またはケト酸の脱炭酸を触媒する進化したアミノ酸デカルボキシラーゼまたは進化したケト酸デカルボキシラーゼによって発揮される。好ましくは、進化したアミノ酸デカルボキシラーゼが選択される。より好ましくは、進化したアミノ酸デカルボキシラーゼは、ヒスチジンデカルボキシラーゼ、セリンデカルボキシラーゼ、アスパラギン酸デカルボキシラーゼ、ジアミノブタン酸デカルボキシラーゼ、オミチンデカルボキシラーゼの中から選択される。これらの酵素は、本明細書に列記した遺伝子:シロイヌナズナ由来のsdc;アクイフェックス・エオリカス(Aquifex aeolicus)由来または枯草菌由来のpanD;シロイヌナズナ由来のGADまたはGAD2またはGAD3またはGAD4またはGAD5;ボス・タウルス(Bos Taurus)由来のGADまたはGAD2またはOAZ1またはODC1;大腸菌由来のgadAまたはgadBまたはpanDまたはspeCまたはspeF;ストレプトミセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)由来のSCC105.13;マンヘミア・サクシニシプロデュセンス(Mannheimia succiniciproducens)由来のgadB;ハロフェラックス・ボルカニ由来のbdb;ラクトバチルス属の種由来のodc1;ラクトコッカス・ラクチス亜種ラクチス由来のkivD;ラクトコッカス・ラクチス由来のkdcA;ボス・タウルス由来のOAZ1またはODC1;大腸菌由来のspeCまたはspeF;サッカロミセス・セレビシエ由来のSPE1を非限定的に含む、当技術分野において周知の遺伝子の一覧の中から選択される遺伝子によってコードされる。これらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが使用され得る。好ましくは、シロイヌナズナ由来のsdc遺伝子が、2-アミノマロン酸セミアルデヒドデカルボキシラーゼ活性を得るために使用される。
【0918】
これらの酵素の進化は、当業者に周知の手段および方法によって、基質である2-アミノマロン酸セミアルデヒドに対して特異性を有しかつ2-アミノマロン酸セミアルデヒドからアミノアセトアルデヒドへの変換を可能にする酵素が得られるように実施される。進化した酵素の選択は、進化した酵素を本発明の微生物またはインビトロで基質として2-アミノマロン酸セミアルデヒドを用いて発現させ、生成物であるアミノアセトアルデヒドを定量することによって行われる。
【0919】
アミノアセトアルデヒドからエチレンジアミンへの変換の最後の反応は、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼによって触媒される。この酵素は、天然に遭遇することはない。それゆえ、その酵素は、公知の酵素の進化によってまたはメタゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって得られる。本発明の一態様では、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性は、一方の分子のアミノ基ともう一方の分子上のオキソ基との交換を触媒する進化したトランスアミナーゼまたはアミノトランスフェラーゼによって発揮される。好ましくは、進化したアミノトランスフェラーゼは、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼまたはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼまたはグルタミン酸アミノトランスフェラーゼの中から選択される。より好ましくは、進化したアミノトランスフェラーゼは、アミノ基ドナーとしてグルタミン酸を使用するアミノトランスフェラーゼの中から選択される。これらの酵素は、本明細書に列記した遺伝子:大腸菌由来または枯草菌由来またはコリネバクテリウム・グルタミクム由来のserC;サス・スクロファ(Sus scrofa)由来のGOT1;大腸菌由来のpatA;ブルセラ・カニス(Brucella canis)由来のygjG;リゾビウム属(Rhizobium)NGR 234由来またはストレプトミセス・アベルミチリス(Streptomyces avermitilis)由来のrocD;ストレプトミセス・セリカラー由来のSCO1284;シロイヌナズナ由来のAGTまたはAGT2またはAGT3またはGGT1;ボス・タウルス由来のAGXTを非限定的に含む、当技術分野において周知の遺伝子の一覧の中から選択される遺伝子によってコードされる。これらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが使用され得る。好ましくは、大腸菌由来のserCまたはサス・スクロファ由来のGOT1遺伝子が、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性を得るために使用される。
【0920】
これらの酵素の進化は、当業者に周知の手段および方法によって、基質であるアミノアセトアルデヒドに対して特異性を有しかつアミノアセトアルデヒドからエチレンジアミンへの変換を可能にする酵素が得られるように実施される。進化した酵素の選択は、進化した酵素を本発明の微生物またはインビトロで基質としてアミノアセトアルデヒドを用いて発現させ、生成物であるエチレンジアミンを検出することによって行われる。
【0921】
本開示の別の態様では、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ酵素は、エチレンジアミンを唯一の炭素および窒素源として成長する系統から単離することができる。この目的のために、エチレンジアミンによる環境試料由来の集積培養物を、エチレンジアミンを唯一の窒素および炭素源として含む最小培地上で培養する。これらの培養物からメタゲノムライブラリーを生成し、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ酵素の存在についてスクリーニングする。このアプローチは、その酵素活性に対応する遺伝子の単離を可能にし、その分野の専門家によく知られている。
【0922】
本開示のある具体的な局面によれば、態様[X]からの微生物は、以下の遺伝子:セリンデヒドロゲナーゼをコードするydfG遺伝子またはmmsB遺伝子またはyiaY遺伝子;および/またはアミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性をコードする進化したserC遺伝子またはGOT1遺伝子の少なくとも1つを過剰発現するように工学操作される。
【0923】
[Y]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびエチレンジアミン(EDA)を同時生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、以下の(a)~(c):
(a)L-セリンから2-アミノマロン酸セミアルデヒドへの変換を触媒するセリンデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からの2-アミノマロン酸セミアルデヒドから2,3-ジアミノプロパン酸への変換を触媒する2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からの2,3-ジアミノプロパン酸からEDAへの変換を触媒する2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
MEG(またはグリコール酸)およびEDAが同時生成される、組換え微生物に関する。
【0924】
本開示のこの局面によれば、組換え微生物は、セリンデヒドロゲナーゼ、2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼおよび2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼの活性を呈する酵素をコードする遺伝子の少なくとも1つを過剰発現する。これらの遺伝子は、内因性遺伝子または外因性遺伝子であり得る。
【0925】
L-セリンから2-アミノマロン酸セミアルデヒドへの変換の最初の反応は、セリンデヒドロゲナーゼ酵素によって触媒される。この酵素は、アルデヒドレダクターゼとも呼ばれるアルコールデヒドロゲナーゼの大きな酵素ファミリーに属する。数種の酵素がセリンデヒドロゲナーゼ活性を呈することが公知である。本開示の一態様では、セリンデヒドロゲナーゼは、これらの公知の酵素の中から選択される。これらの酵素は、本明細書に列記した遺伝子:シュードモナス・プチダ由来、シネココッカスPCC6301由来またはバチルス・セレウス由来のmmsB;シュードモナス・プチダE23由来のhibdh;シュードモナス・エルギノーサ由来のPA0743;大腸菌由来またはバチルス・ブレビス由来または枯草菌由来のydfG;アグロバクテリウム・ツメファシエンス由来のsdh;ラタス・ノルベギカス由来またはサーマス・サーモフィラスHB8由来のhibadh;大腸菌由来yiaYを非限定的に含む、当技術分野において周知の遺伝子の一覧の中から選択される遺伝子によってコードされる(Chowdhury et al., 1996、Yao et al., 2010、Tchigvintsev et al., 2012、Fujisawa et al., 2003、Hawes et al., 1996、およびLokanath et al., 2005)。
【0926】
本開示の好ましい態様では、セリンデヒドロゲナーゼは、大腸菌由来ydfGまたはシュードモナス・プチダ由来のmmsB、または大腸菌由来yiaYによってコードされる。好ましくは、これらの酵素は、L-セリンから2-アミノマロン酸セミアルデヒドへの触媒効率が向上するようにコード遺伝子を変異させることによって最適化される。
【0927】
本開示の別の態様では、セリンデヒドロゲナーゼ酵素は、セリンに対する特異性およびセリンデヒドロゲナーゼ活性を呈する酵素が得られるようにその基質特異性および/またはその触媒効率を改変して酵素を進化させることによって得られる。これらの酵素は、L-セリンと化学的に類似した基質に対して同じタイプの触媒活性を有する酵素群の中から選択される。好ましくは、これらの酵素は、3-ヒドロキシイソ酪酸デヒドロゲナーゼおよびセリンデヒドロゲナーゼの中から選択されてもよい。より好ましくは、これらは、本明細書の遺伝子:大腸菌由来またはロイコノストック・シトレウム由来またはシムビオバクテリウム・サーモフィラム由来のgldA;大腸菌由来yqhE;大腸菌由来yafB;ドノバン・リーシュマニア由来alr;シネココッカス属の種由来sakR1;枯草菌由来yhdN;枯草菌由来ytbE;シロイヌナズナ由来AKR4C9;大腸菌由来fucOを非限定的に含む、当技術分野において周知の遺伝子の一覧の中から選択される遺伝子によってコードされる。これらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが使用され得る。
【0928】
これらの酵素の進化は、当業者に周知の手段および方法によって、基質であるL-セリンに対して向上した特異性を有しかつ/または向上した活性でL-セリンから2-アミノマロン酸セミアルデヒドへの変換を可能にする酵素が得られるように実施される。進化した酵素の選択は、進化した酵素を本開示の微生物またはインビトロで基質としてL-セリンを用いて発現させ、生成物である2-アミノマロン酸セミアルデヒドを検出することによって行われる。
【0929】
2-アミノマロン酸セミアルデヒドから2,3-ジアミノプロパン酸への変換の二番目の反応は、2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼによって触媒される。この酵素は、天然に遭遇することはない。それゆえ、その酵素は、公知の酵素の進化によってまたはメタゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって得られる。2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性は、一方の分子のアミノ基ともう一方の分子のオキソ基との交換を触媒する進化したトランスアミナーゼまたはアミノトランスフェラーゼによって発揮される。好ましくは、進化したアミノトランスフェラーゼは、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼまたはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼまたはグルタミン酸アミノトランスフェラーゼの中から選択される。より好ましくは、進化したアミノトランスフェラーゼは、アミノ基ドナーとしてグルタミン酸を使用するアミノトランスフェラーゼの中から選択される。これらの酵素は、本明細書に列記した遺伝子:大腸菌由来または枯草菌由来またはコリネバクテリウム・グルタミクム由来のserC;サス・スクロファ由来のGOT1;大腸菌由来patA;ブルセラ・カニス由来のygjG;リゾビウムNGR 234由来またはストレプトミセス・アベルミチリス由来のrocD;ストレプトミセス・セリカラー由来のSCO1284;シロイヌナズナ由来のAGTまたはAGT2またはAGT3またはGGT1;ボス・タウルス由来のAGXTを非限定的に含む、当技術分野において周知の遺伝子の一覧の中から選択される遺伝子によってコードされる。これらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが使用され得る。好ましくは、大腸菌由来serCまたはサス・スクロファ由来のGOT1遺伝子が、2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性を得るために使用される。
【0930】
これらの酵素の進化は、当業者に周知の手段および方法によって、基質である2-アミノマロン酸セミアルデヒドに対して向上した特異性を有しかつ/または向上した活性で2-アミノマロン酸セミアルデヒドから2,3-ジアミノプロパン酸への変換を可能にする酵素が得られるように実施される。進化した酵素の選択は、進化した酵素を本発明の微生物またはインビトロで基質として2-アミノマロン酸セミアルデヒドを用いて発現させ、生成物である2,3-ジアミノプロパン酸を定量することによって行われる。
【0931】
2,3-ジアミノプロパン酸からエチレンジアミンへの変換の三番目の反応は、2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素によって触媒される。この酵素は、天然に遭遇することはない。それゆえ、その酵素は、公知の酵素の進化によってまたはメタゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって得られる。2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性は、アミノ酸またはケト酸の脱炭酸を触媒する進化したアミノ酸デカルボキシラーゼまたは進化したケト酸デカルボキシラーゼによって発揮される。好ましくは、進化したアミノ酸デカルボキシラーゼが選択される。より好ましくは、進化したアミノ酸デカルボキシラーゼは、ヒスチジンデカルボキシラーゼ、セリンデカルボキシラーゼ、アスパラギン酸デカルボキシラーゼ、ジアミノブタン酸デカルボキシラーゼ、オミチンデカルボキシラーゼの中から選択される。これらの酵素は、本明細書に列記した遺伝子:シロイヌナズナ由来のsdc;枯草菌由来のpadCまたはyclB;カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)由来または大腸菌由来のubiD;サッカロミセス・セレビシエ由来のPAD1またはGAD1またはSPE1;アクイフェックス・エオリカス由来または枯草菌由来のpanD;シロイヌナズナ由来のGADまたはGAD2またはGAD3またはGAD4またはGAD5;ボス・タウルス由来のGADまたはGAD2またはOAZ1またはODC1;大腸菌由来のgadAまたはgadBまたはpanDまたはspeCまたはspeF;ストレプトミセス・セリカラー由来のSCC105.13;マンヘミア・サクシニシプロデュセンス由来のgadB;ハロフェラックス・ボルカニ由来のbdb;ラクトバチルス属の種由来のodc1;ラクトコッカス・ラクチス亜種ラクチス由来のkivD;ラクトコッカス・ラクチス由来のkdcA;ボス・タウルス由来のOAZ1またはODC1;大腸菌由来のspeCまたはspeF;サッカロミセス・セレビシエ由来のSPE1を非限定的に含む、当技術分野において周知の遺伝子の一覧の中から選択される遺伝子によってコードされる。これらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが使用され得る。好ましくは、シロイヌナズナ由来のsdc遺伝子が、2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性を得るために使用される。
【0932】
これらの酵素の進化は、当業者に周知の手段および方法によって、基質である2,3-ジアミノプロパン酸に対して向上した特異性を有しかつ/または向上した活性で2,3-ジアミノプロパン酸からエチレンジアミンへの変換を可能にする酵素が得られるように実施される。進化した酵素の選択は、進化した酵素を本発明の微生物またはインビトロで基質として2,3-ジアミノプロパン酸を用いて発現させ、生成物であるエチレンジアミンを定量することによって行われる。本開示のある具体的な局面によれば、態様[Y]からの微生物は、セリンデヒドロゲナーゼをコードするydfG遺伝子、yiaY遺伝子またはmmsB遺伝子;および/または2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性をコードする進化したserC遺伝子またはGOT1遺伝子;および/または2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼをコードするシロイヌナズナ由来の進化したsdc遺伝子を過剰発現するように工学操作される。
【0933】
[Z]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびエチレンジアミン(EDA)を同時生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、以下の(a)~(c):
(a)L-セリンからエタノールアミンへの変換を触媒するセリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からのエタノールアミンからアミノアセトアルデヒドへの変換を触媒するエタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からのアミノアセトアルデヒドからEDAへの変換を触媒するアミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
MEG(またはグリコール酸)およびEDAが同時生成される、組換え微生物に関する。
【0934】
本開示のこの局面によれば、組換え微生物は、セリンデカルボキシラーゼ、エタノールアミンデヒドロゲナーゼおよびアミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼの活性を呈する酵素をコードする遺伝子の少なくとも1つを過剰発現する。これらの遺伝子は、内因性遺伝子または外因性遺伝子であり得る。
【0935】
L-セリンからエタノールアミンへの変換の最初の反応は、セリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素によって触媒される。この酵素群は、L-セリンからエタノールアミンの脱炭酸を触媒する。本発明の好ましい態様では、セリンデカルボキシラーゼは、シロイヌナズナ由来のsdcによってコードされる(Rontein et al., 2001, W02007/144346)。シロイヌナズナ由来のsdcによってコードされるセリンデカルボキシラーゼによるL-セリンからエタノールアミンへの変換は、特に、参照により本明細書に組み入れられる特許出願W02007/144364に開示されている。好ましくは、これらの酵素は、L-セリンからエタノールアミンへの変換効率が向上するようにコード遺伝子を変異させることによって最適化される。
【0936】
本開示の一態様では、セリンデカルボキシラーゼ活性は、セリンに対する特異性および向上したセリンデカルボキシラーゼ活性を呈する酵素が得られるようにその基質特異性および/またはその触媒効率を改変して酵素を進化させることによって得られる。これらの酵素は、エタノールアミンと化学的に類似した基質に対して同じタイプの触媒活性を有する酵素群の中から選択される。これらの酵素は、本明細書に列記した遺伝子:サッカロミセス・セレビシエ由来のGAD1またはSPE1;アクイフェックス・エオリカス由来または枯草菌由来のpanD;シロイヌナズナ由来のGADまたはGAD2またはGAD3またはGAD4またはGAD5;ボス・タウルス由来のGADまたはGAD2またはOAZ1またはODC1;大腸菌由来のgadAまたはgadBまたはpanDまたはspeCまたはspeF;ストレプトミセス・セリカラー由来のSCC105.13;マンヘミア・サクシニシプロデュセンス由来のgadB;ハロフェラックス・ボルカニ由来のbdb;ラクトバチルス属の種由来のodc1;ボス・タウルス由来のOAZ1またはODC1;大腸菌由来のspeCまたはspeF;サッカロミセス・セレビシエ由来のSPE1を非限定的に含む、当技術分野において周知の遺伝子の一覧の中から選択される遺伝子によってコードされる。これらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが使用され得る。
【0937】
これらの酵素の進化は、当業者に周知の手段および方法によって、基質であるL-セリンに対して向上した特異性を有しかつ向上した活性でL-セリンからエタノールアミンへの変換を可能にする酵素が得られるように実施される。進化した酵素の選択は、進化した酵素を本発明の微生物またはインビトロで基質としてL-セリンを用いて発現させ、生成物であるエタノールアミンを定量することによって行われる。
【0938】
エタノールアミンからアミノアセトアルデヒドへの変換の二番目の反応は、エタノールアミンデヒドロゲナーゼ酵素によって触媒される。この活性を有する天然酵素は、先行技術において開示されていない;しかしながら、いくつかの酵素は、低い触媒活性を有する。それゆえ、低い触媒活性を有するこれらの酵素を、向上した活性を有する進化した酵素へと進化させることが有利である。また、メタゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって有用な酵素を得ることもできる。
【0939】
本開示の一態様では、エタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性は、エタノールアミンに対する特異性およびエタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性を呈する酵素が得られるようにその基質特異性および/またはその触媒効率を改変して酵素を進化させることによって得られる。これらの酵素は、エタノールアミンと化学的に類似した基質に対して同じタイプの触媒活性を有する酵素群の中から選択される。これらの酵素は、本明細書に列記した遺伝子:シュードモナス・プチダ由来、またはシネココッカスPCC6301由来、またはバチルス・セレウス由来のmmsB;シュードモナス・プチダE23由来のhibdh;シュードモナス・エルギノーサ由来のPA0743;大腸菌由来またはバチルス・ブレビス由来または枯草菌由来のydfG;アグロバクテリウム・ツメファシエンス由来のsdh;ラタス・ノルベギカス由来またはサーマス・サーモフィラスHB8由来のhibadh;大腸菌由来またはロイコノストック・シトレウム由来またはシムビオバクテリウム・サーモフィラム由来のgldA;大腸菌由来yqhE;大腸菌由来yafB;エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)由来aladh;ドノバン・リーシュマニア由来alr;シネココッカス属の種由来sakR1;枯草菌由来yhdN;枯草菌由来ytbE;大腸菌由来yiaY;シロイヌナズナ由来AKR4C9;大腸菌由来fucOを非限定的に含む、当技術分野において周知の遺伝子の一覧の中から選択される遺伝子によってコードされる。これらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが使用され得る。好ましくは、大腸菌由来fucOまたは大腸菌由来yiaY遺伝子が、エタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性を得るために使用される。
【0940】
これらの酵素の進化は、当業者に周知の手段および方法によって、基質であるエタノールアミンに対して向上した特異性を有しかつ/または向上した活性でエタノールアミンからアミノアセトアルデヒドへの変換を可能にする酵素が得られるように実施される。進化した酵素の選択は、進化した酵素を本発明の微生物またはインビトロで基質としてエタノールアミンを用いて発現させ、生成物であるアミノアセトアルデヒドを定量することによって行われる。
【0941】
アミノアセトアルデヒドからエチレンジアミンへの変換の最後の反応は、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼによって触媒される。この酵素は、天然に遭遇することはない。それゆえ、その酵素は、公知の酵素の進化によってまたはメタゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって得られる。本開示の一態様では、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性は、一方の分子のアミノ基ともう一方の分子上のオキソ基との交換を触媒する進化したトランスアミナーゼまたはアミノトランスフェラーゼによって発揮される。好ましくは、進化したアミノトランスフェラーゼは、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼまたはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼまたはグルタミン酸アミノトランスフェラーゼの中から選択される。より好ましくは、進化したアミノトランスフェラーゼは、アミノ基ドナーとしてグルタミン酸を使用するアミノトランスフェラーゼの中から選択される。これらの酵素は、本明細書に列記した遺伝子:大腸菌由来または枯草菌由来またはコリネバクテリウム・グルタミクム由来のserC;サス・スクロファ由来のGOT1;大腸菌由来patA;ブルセラ・カニス由来のygjG;リゾビウムNGR 234由来またはストレプトミセス・アベルミチリス由来のrocD;ストレプトミセス・セリカラー由来のSCO1284;シロイヌナズナ由来のAGTまたはAGT2またはAGT3またはGGT1;ボス・タウルス由来のAGXTを非限定的に含む、当技術分野において周知の遺伝子の一覧の中から選択される遺伝子によってコードされる。これらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが使用され得る。好ましくは、大腸菌由来serCまたはサス・スクロファ由来GOT1遺伝子が使用される。
【0942】
これらの酵素の進化は、当業者に周知の手段および方法によって、基質であるアミノアセトアルデヒドに対して向上した特異性を有しかつ/または向上した活性でアミノアセトアルデヒドからエチレンジアミンへの変換を可能にする酵素が得られるように実施される。進化した酵素の選択は、進化した酵素を本発明の微生物またはインビトロで基質としてアミノアセトアルデヒドを用いて発現させ、生成物であるエチレンジアミンを検出することによって行われる。
【0943】
本開示の別の態様では、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ酵素は、エチレンジアミンを唯一の炭素および窒素源として成長する系統から単離することができる。この目的のために、エチレンジアミンによる環境試料由来の集積培養物を、エチレンジアミンを唯一の窒素および炭素源として含む最小培地上で培養する。これらの培養物からメタゲノムライブラリーを生成し、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ酵素の存在についてスクリーニングする。このアプローチは、その酵素活性に対応する遺伝子の単離を可能にし、その分野の専門家によく知られている。
【0944】
本開示のある具体的な局面によれば、態様[Z]からの微生物は、セリンデカルボキシラーゼをコードするシロイヌナズナ由来のsdc遺伝子;および/またはエタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性をコードする大腸菌由来のfucOまたはyiaY遺伝子;および/またはアミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性をコードする進化したserC遺伝子またはGOT1遺伝子を過剰発現するように工学操作される。
【0945】
[AA]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびエチレンジアミン(EDA)を同時生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、以下の(a)~(c):
(a)L-セリンからグリシンへの変換を触媒するセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からのグリシンからアミノアセトアルデヒドへの変換を触媒するアルデヒドオキシダーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からのアミノアセトアルデヒドからEDAへの変換を触媒するアミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
MEG(またはグリコール酸)およびEDAが同時生成される、組換え微生物に関する。
【0946】
好ましくは、大腸菌由来glyA遺伝子が、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を得るために使用される。
【0947】
アルデヒドオキシダーゼ酵素は、グリシンに対する特異性およびアルデヒドオキシダーゼ活性を呈する酵素が得られるようにその基質特異性および/またはその触媒効率を改変して酵素を進化させることによって得られる。これらの酵素は、グリシンと化学的に類似した基質に対して同じタイプの触媒活性を有する酵素群の中から選択される。これらの酵素は、本明細書に列記した遺伝子:アクイフェックス・エオリカス由来のaldH1;アノキシバチルス・フラビサーマス(Anoxybacillus flavithermus)由来のdhaS;アピス・メリフェラ(Apis mellifera)由来のAldh;枯草菌由来のaldX、aldY、dhaS、ycbD、yfmTまたはywdH;大腸菌由来prr;サッカロミセス・セレビシエ由来のALD2、ALD3、ALD4、ALD5、ALD6;ロゼオバクター・デニトリフィカンス(Roseobacter denitrificans)由来のbetB;アルスロバクター・アウレッセンス(Arthrobacter aurescens)由来のAAur_0650を非限定的に含む、当技術分野において周知の遺伝子の一覧の中から選択される遺伝子によってコードされる。これらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが使用され得る。
【0948】
アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性を有する酵素によるアミノアセトアルデヒドからエチレンジアミンへの変換。この酵素は、アミノアセトアルデヒドに対する特異性およびトランスアミナーゼ活性を呈する酵素が得られるようにその基質特異性および/またはその触媒効率を改変して酵素を進化させることによって得られる。これらの酵素は、アミノアセトアルデヒドと化学的に類似した基質に対して同じタイプの触媒活性を有する酵素群の中から選択される。これらの酵素は、本明細書に列記した遺伝子:大腸菌由来または枯草菌由来またはコリネバクテリウム・グルタミクム由来のserC;サス・スクロファ由来GOT1;大腸菌由来patA;ブルセラ・カニス由来ygjG;リゾビウムNGR 234由来またはストレプトミセス・アベルミチリス由来のrocD;ストレプトミセス・セリカラー由来SCO1284;シロイヌナズナ由来のAGTまたはAGT2またはAGT3またはGGT1;ボス・タウルス由来のAGXTを非限定的に含む、当技術分野において周知の遺伝子の一覧の中から選択される遺伝子によってコードされる。これらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが使用され得る。
【0949】
本開示のある具体的な局面によれば、態様[AA]からの微生物は、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性をコードする進化したserC遺伝子またはGOT1遺伝子を過剰発現するように工学操作される。
【0950】
[BB]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびエチレンジアミン(EDA)を同時生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、以下の(a)~(e):
(a)L-セリンからN-アセチルセリンへの変換を触媒するアミノ酸N-アセチルトランスフェラーゼ活性またはO-アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からのN-アセチルセリンからN-アセチルマロン酸セミアルデヒドへの変換を触媒するN-アセチルセリンデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からのN-アセチルマロン酸セミアルデヒドからアセチルアミノプロパン酸への変換を触媒するトランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(c)からのアセチルアミノプロパン酸から2,3-ジアミノプロパン酸への変換を触媒するデアセチラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)(d)からの2,3-ジアミノプロパン酸からEDAへの変換を触媒する2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
MEG(またはグリコール酸)およびEDAが同時生成される、組換え微生物に関する。
【0951】
態様[BB]の第1の変換工程は、OからNへの転換が自発的であるので、アミノ酸N-アセチルトランスフェラーゼ活性であってもO-アセチルトランスフェラーゼ活性であってもよい。好ましくは、大腸菌由来argA遺伝子が、アミノ酸N-アセチルトランスフェラーゼ活性を得るために使用される。
【0952】
N-アセチルセリンデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は、N-アセチルセリンに対する特異性およびN-アセチルセリンデヒドロゲナーゼ活性を呈する酵素が得られるようにその基質特異性および/またはその触媒効率を改変して酵素を進化させることによって得られる。これらの酵素は、N-アセチルセリンと化学的に類似した基質に対して同じタイプの触媒活性を有する酵素群の中から選択される。これらの酵素は、本明細書に列記した遺伝子:シュードモナス・プチダ由来、またはシネココッカスPCC6301由来、またはバチルス・セレウス由来のmmsB;シュードモナス・プチダE23由来のhibdh;シュードモナス・エルギノーサ由来のPA0743;大腸菌由来またはバチルス・ブレビス由来または枯草菌由来のydfG;アグロバクテリウム・ツメファシエンス由来のsdh;ラタス・ノルベギカス由来またはサーマス・サーモフィラスHB8由来のhibadh;大腸菌由来またはロイコノストック・シトレウム由来またはシムビオバクテリウム・サーモフィラム由来のgldA;大腸菌由来yqhE;大腸菌由来yafB;エンテロバクター・アエロゲネス由来aladh;ドノバン・リーシュマニア由来alr;シネココッカス属の種由来sakR1;枯草菌由来yhdN;枯草菌由来ytbE;大腸菌由来yiaY;シロイヌナズナ由来AKR4C9;大腸菌由来fucOを非限定的に含む、当技術分野において周知の遺伝子の一覧の中から選択される遺伝子によってコードされる。これらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが使用され得る。
【0953】
N-アセチルマロン酸セミアルデヒドをアセチルアミノプロパン酸へと変換するトランスアミナーゼ活性を有する酵素は、N-アセチルマロン酸セミアルデヒドに対する特異性およびN-アセチルマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性を呈する酵素が得られるようにその基質特異性および/またはその触媒効率を改変して酵素を進化させることによって得てもよい。これらの酵素は、N-アセチルマロン酸セミアルデヒドと化学的に類似した基質に対して同じタイプの触媒活性を有する酵素群の中から選択される。これらの酵素は、本明細書に列記した遺伝子:大腸菌由来または枯草菌由来またはコリネバクテリウム・グルタミクム由来のserC;サス・スクロファ由来のGOT1;大腸菌由来patA;ブルセラ・カニス由来のygjG;リゾビウムNGR 234由来またはストレプトミセス・アベルミチリス由来のrocD;ストレプトミセス・セリカラー由来の2SCG18.31c;シロイヌナズナ由来のAGTまたはAGT2またはAGT3またはGGT1;ボス・タウルス由来のAGXTを非限定的に含む、当技術分野において周知の遺伝子の一覧の中から選択される遺伝子によってコードされる。これらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが使用され得る。
【0954】
好ましくは、大腸菌由来argE遺伝子が、アセチルアミノプロパン酸を2,3-ジアミノプロパン酸へと変換するデアセチラーゼ活性を得るために使用される。
【0955】
2,3-ジアミノプロパン酸をエチレンジアミンへと変換するアミノ酸デカルボキシラーゼ活性またはケト酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、2,3-ジアミノプロパン酸に対する特異性およびアミノ酸デカルボキシラーゼまたはケト酸デカルボキシラーゼ活性を呈する酵素が得られるようにその基質特異性および/またはその触媒効率を改変して酵素を進化させることによって得てもよい。これらの酵素は、2,3-ジアミノプロパン酸と化学的に類似した基質に対して同じタイプの触媒活性を有する酵素群の中から選択される。これらの酵素は、本明細書に列記した遺伝子:シロイヌナズナ由来sdc;枯草菌由来のpadCまたはyclB;カンピロバクター・ジェジュニ由来または大腸菌由来のubiD;サッカロミセス・セレビシエ由来のPAD1またはGAD1またはSPE1;アクイフェックス・エオリカス由来または枯草菌由来のpanD;シロイヌナズナ由来のGADまたはGAD2またはGAD3またはGAD4またはGAD5;ボス・タウルス由来のGADまたはGAD2またはOAZ1またはODC1;大腸菌由来のgadAまたはgadBまたはpanDまたはspeCまたはspeF;ストレプトミセス・セリカラー由来のSCC105.13;マンヘミア・サクシニシプロデュセンス由来のgadB;ハロフェラックス・ボルカニ由来のbdb;ラクトバチルス属の種由来のodc1;ラクトコッカス・ラクチス亜種ラクチス由来のkivD;ラクトコッカス・ラクチス由来のkdcA;ボス・タウルス由来のOAZ1またはODC1;大腸菌由来のspeCまたはspeF;サッカロミセス・セレビシエ由来のSPE1を非限定的に含む、当技術分野において周知の遺伝子の一覧の中から選択される遺伝子によってコードされる。これらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのいずれかに対して少なくとも90%の配列同一性を有する任意のポリペプチドが使用され得る。
【0956】
本開示のさらなる態様では、セリン生合成が最適化される方法が微生物を用いて実施される。この最適化は、特に、参照により本明細書に組み入れられる特許出願WO 2007/144346に開示されている。
【0957】
あるいは、別の態様では、EDAは、以下のプロセスによって生成することができる:Serを、セリンアミナーゼ(EC 2.6.1.-)によって(S)-2,3-ジアミノプロパン酸へと直接アミノ化し、次いで、例えばL-2,4-ジアミノ酪酸またはオルニチンデカルボキシラーゼのファミリー由来の酵素によって、EDAへと脱炭酸することができる(
図11)。しかしながら、(S)-2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性を有するそのような酵素が特異的でないならば、他のアミノ酸またはセリンそれ自体に作用させてもよい。
【0958】
いくつかの態様では、EDAは、以下のプロセスによって生成することができる:中間体(S)-2,3-ジアミノプロパン酸を、(S)-2,3-ジアミノプロパン酸アンモニアリアーゼ(EC 4.3.1.15)を使用したピルビン酸の直接アミノ化によって生成してもよい(
図11)。
【0959】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)およびEDAの生成は、1つまたは複数のヘキソースから1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い変換と、それに続く1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントース-1-リン酸および/またはペントース中間体への変換と、次いでそれに続く1つまたは複数のペントース-1-リン酸および/またはペントース中間体からC2経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびC3経路を介したEDAの同時生成を使用した熱力学的最大生産力に極めて近い。いくつかの態様では、天然または公開されている類似の経路によるグルコースから作られるEDAの生成と比較して、本出願に開示される経路を介したMEG(またはグリコール酸)およびEDAの同時生成では熱力学的生産力が14%より良好である。
【0960】
同時生成:ヘキソース+2 NH3→MEG(またはグリコール酸)+EDA+0 ATP
Y(経路)=(0.337+0.326)g/g=0.663g(MEG(またはグリコール酸)+EDA)/g(ヘキソース+2NH3)、Y(最大)(燃焼熱)=0.687g/gの97%
標準経路:グルコース+4 NH3→2 EDA+2 NADH+0 ATP
Y(経路)=0.484g(EDA)/g(グルコース+4NH3)、Y(最大)(燃焼熱)=0.571g/gの85%
【0961】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[H]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[CC]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[H]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[DD]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[I]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[CC]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[I]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[DD]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[J]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[CC]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[J]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[DD]を含む。
【0962】
[CC]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびエチレンジアミン(EDA)を同時生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、以下の(a)~(b):
(a)L-セリンから(S)-2,3-ジアミノプロパン酸への変換を触媒するセリンアミナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からの(S)-2,3-ジアミノプロパン酸からEDAへの変換を触媒する(S)-2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
MEG(またはグリコール酸)およびEDAが同時生成される、組換え微生物に関する。
【0963】
[DD]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびエチレンジアミン(EDA)を同時生成可能な組換え微生物であって、態様[A]からまたは態様[B]からの(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、かつ、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、以下の(a)~(b):
(a)ピルビン酸およびアンモニウムから(S)-2,3-ジアミノプロパン酸への変換を触媒する(S)-2,3-ジアミノプロパン酸アンモニアリアーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からの(S)-2,3-ジアミノプロパン酸からEDAへの変換を触媒する(S)-2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数をさらに発現し;
ピルビン酸が内因性の解糖系から生成され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびEDAが同時生成される、組換え微生物に関する。
【0964】
いくつかの態様では、2,3-ジアミノプロピオン酸アンモニア-リアーゼ活性を有する酵素は、ピルビン酸およびアンモニウムを(S)-2,3-ジアミノプロパン酸へと変換するために使用される。いくつかの態様では、2,3-ジアミノプロピオン酸アンモニア-リアーゼ活性を有する酵素は、大腸菌の2,3-ジアミノプロピオン酸アンモニア-リアーゼygeXに対して少なくとも70%の配列同一性を有する、少なくとも80%の配列同一性を有する、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる。他の態様では、2,3-ジアミノプロピオン酸アンモニア-リアーゼ活性を有する酵素は、大腸菌ygeXである。いくつかの態様では、2,3-ジアミノプロピオン酸アンモニア-リアーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、UniProt ID P66899に示されるアミノ酸配列を含む。さらなる態様では、2,3-ジアミノプロピオン酸アンモニア-リアーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、Gene ID 947012に示される核酸配列によってコードされる。
【0965】
上に開示したいずれかの局面の一態様では、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素は、大腸菌およびS.セレビシエから選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様では、1つまたは複数の核酸分子は、gldA、GRE2、GRE3、yqhD、ydjG、fucO、yafB(dkgB)および/またはyqhE(dkgA)、またはそのホモログから選択される。別の態様では、1つまたは複数の核酸分子は、yqhDである。いくつかの態様では、yqhDは、G149E変異を含む。さらなる態様では、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素は、SEQ ID NO:13、15、17、20、23、25、28、30および32からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様では、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素は、SEQ ID NO:12、14、16、18、19、21、22、24、26、27、29および31からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0966】
上に開示したいずれかの局面の一態様では、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、大腸菌、サッカロミセス属の種およびマリノバクター属の種からなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、クロストリジウム・アセトブチリクム、クロストリジウム・サーモサッカロリティクム、バチルス・セレウス、大腸菌、サッカロミセス・セレビシエおよびマリノバクター・ヒドロカルボノクラスチクスからなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、1つまたは複数の核酸分子は、thlA、atoBおよび/またはERG10、またはそのホモログである。さらなる態様では、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、SEQ ID NO:35、37および40からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様では、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、SEQ ID NO:33、34、36、38および39からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0967】
上に開示したいずれかの局面の一態様では、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性を有する酵素は、クロストリジウム属の種および大腸菌から選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様では、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性を有する酵素は、大腸菌から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、atoAおよび/またはatoD、またはそのホモログである。別の態様では、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性を有する酵素は、クロストリジウム・アセトブチリクムから得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、ctfAおよび/またはctfB、またはそのホモログである。さらなる態様では、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性を有する酵素は、SEQ ID NO:43、46、97、99、101および103からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なおさらなる態様では、アセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性を有する酵素は、SEQ ID NO:41、42、44、45、96、98、100および102からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0968】
上に開示したいずれかの局面の一態様では、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、クロストリジウム属の種、バチルス属の種、クロモバクテリウム属の種(Chromobacterium sp.)およびシュードモナス属の種からなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。別の態様では、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、クロストリジウム・アセトブチリクム、クロストリジウム・ベイジェリンキイ、クロストリジウム・セルロリティカム(Clostridium cellulolyticum)、バチルス・ポリミキサ(Bacillus polymyxa)、クロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)およびシュードモナス・プチダからなる群より選択される微生物から得られる1つまたは複数の核酸分子によってコードされる。いくつかの態様では、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子は、adc、またはそのホモログである。さらなる態様では、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、SEQ ID NO:49および52からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。なお別の態様では、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素は、SEQ ID NO:47、48、50および51からなる群より選択される核酸配列によってコードされる。
【0969】
[EE]別の態様では、態様[H]、態様[I]および態様[J]から選択される組換え微生物は、任意で、
(i)D-キシルロースからD-キシロースへの変換を触媒するキシロースイソメラーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失;
(ii)グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失;および
(iii)ピルビン酸から乳酸への変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失
からなる群より選択される1つまたは複数の改変をさらに含む。
【0970】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)、または任意でMEG(またはグリコール酸)および1つもしくは複数の同時生成物を生成する組換え微生物は、D-キシルロースからD-キシロースへの変換を防止して代わりにその反応をD-キシルロースからD-キシルロース-1-リン酸、D-キシルロース-5-リン酸またはD-リブロースへの変換に切り換える、キシロースイソメラーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失を含む。いくつかの態様では、キシロースイソメラーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様では、キシロースイソメラーゼは、xylA遺伝子、またはそのホモログによってコードされる。
【0971】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)、または任意でMEG(またはグリコール酸)および1つもしくは複数の同時生成物を生成する組換え微生物は、グリコールアルデヒドからのグリコール酸の生成を防止して代わりにその反応をグリコールアルデヒドからMEGへの変換に切り換える、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失を含む。いくつかの態様では、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様では、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、aldA遺伝子、またはそのホモログによってコードされる。いくつかの態様では、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失は、部分的であり、ここで、一部のグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ機能はまだ存在し、若干のグリコール酸がまだ生成される。
【0972】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)、または任意でMEG(またはグリコール酸)および1つもしくは複数の同時生成物を生成する組換え微生物は、ピルビン酸からの乳酸の生成を防止して代わりにその反応を1つまたは複数の同時生成物の生成に切り換える、乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失を含む。いくつかの態様では、乳酸デヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様では、乳酸デヒドロゲナーゼは、ldhA遺伝子、またはそのホモログによってコードされる。
【0973】
本明細書に記載される態様の組換え微生物および方法のいずれかの非限定的な組み合わせが、本開示の一部として含まれる。
【0974】
組換え微生物
本開示は、様々な内因性または外因性酵素を発現するように工学操作できる微生物を提供する。
【0975】
本明細書に記載される様々な態様では、組換え微生物は、真核微生物である。いくつかの態様では、真核微生物は、酵母である。例示的な態様では、酵母は、ヤロウイア(Yarrowia)、カンジダ(Candida)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピキア(Pichia)、ハンゼヌラ(Hansenula)、クリベロミセス(Kluyveromyces)、イサチェンキア(Issatchenkia)、チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)、デバリオミセス(Debaryomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、パチソレン(Pachysolen)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、トリコスポロン(Trichosporon)、ロドトルラ(Rhodotorula)、およびミクソザイマ(Myxozyma)からなる群より選択される属のメンバーである。
【0976】
いくつかの態様では、組換え微生物は、原核微生物である。例示的な態様では、原核微生物は、エシェリキア(Escherichia)、クロストリジウム(Clostridium)、ザイモモナス(Zymomonas)、サルモネラ(Salmonella)、ロドコッカス(Rhodococcus)、シュードモナス(Pseudomonas)、バチルス(Bacillus)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、エンテロコッカス(Enterococcus)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、クレブシエラ(Klebsiella)、パエニバチルス(Paenibacillus)、アルスロバクター(Arthrobacter)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、およびブレビバクテリウム(Brevibacterium)からなる群より選択される属のメンバーである。
【0977】
いくつかの態様では、組換え微生物は、本明細書に開示されるモノエチレングリコール(MEG)もしくはグリコール酸(GA)、または任意でMEG(またはGA)および1つもしくは複数の同時生成物を生成するために使用される。
【0978】
したがって、別の局面では、本発明は、本明細書に記載される組換え微生物を使用して、MEGもしくはGA、または任意でMEG(またはGA)および1つもしくは複数の同時生成物を生成する方法を提供する。一態様では、該方法は、組換え微生物を、炭素源を提供する原料を含有する培養培地中で、MEGもしくはGA、または任意でMEG(またはGA)および1つもしくは複数の同時生成物が生成されるまで培養することを含む。さらなる態様では、MEG(またはGA)、または任意でMEG(またはGA)および1つもしくは複数の同時生成物が回収される。回収は、蒸留、膜ベース分離ガスストリッピング、溶媒抽出および膨張床吸着などの当技術分野において公知の方法によることができる。
【0979】
いくつかの態様では、原料は、炭素源を含む。本明細書に記載される様々な態様では、炭素源は、糖、グリセロール、アルコール、有機酸、アルカン、脂肪酸、リグノセルロース、タンパク質、二酸化炭素および一酸化炭素から選択されてもよい。例示的な態様では、炭素源は、糖である。さらなる例示的な態様では、糖は、グルコースまたはそのグルコースのオリゴマーである。他の態様では、グルコースのオリゴマーは、フルクトース、スクロース、デンプン、セロビオース、マルトース、ラクトースおよびセルロースから選択される。
【0980】
キシリトール、または任意でキシリトールおよび1つもしくは複数の同時生成物の組換え微生物を使用した生合成
一局面では、本開示は、1つまたは複数のヘキソース原料からキシリトールを生成する1つまたは複数の生化学経路を含む組換え微生物を提供する。一局面では、本開示は、PPPの非酸化分岐(すなわち、1)トランスケトラーゼ、2)トランスアルドラーゼ、3)リブロース-5Pエピメラーゼおよび4)リボース-5Pイソメラーゼの使用を伴う)を通じてグルコースなどのヘキソースからキシリトールを生成する1つまたは複数の生化学経路を含む、組換え微生物を提供する。別の局面では、本開示は、好ましくは、炭素喪失を低下させるためにPPPの酸化分岐の少なくとも1つの酵素の活性が低下または排除され(すなわち、グルコース-6-リン酸1-デヒドロゲナーゼをコードする大腸菌の遺伝子「zwf」;および/または6-ホスホグルコノラクトナーゼをコードする大腸菌の遺伝子「pgl」;および/または6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ(脱炭酸)をコードする大腸菌の遺伝子「gnd」の欠失または不活化)、キシリトールの収量の増加をもたらす、組換え微生物を提供する。一態様では、1つまたは複数の同時生成物は、キシリトールと同時生成される。
【0981】
それゆえ、一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料をロスの無い変換でキシリトールへと変換する活性を有する少なくとも1つの酵素を含む1つまたは複数の生化学経路を含む組換え微生物に関する。
【0982】
一局面では、本開示の微生物は、ヘキソースまたはヘキソースを含むオリゴマーを、単一の最終生成物としてキシリトールへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、ヘキソースまたはヘキソースを含むオリゴマーを、同時生成物としてキシリトールへと変換可能である。
【0983】
一局面では、本開示の微生物は、(1)グルコースなどのヘキソースを、D-リボース-5Pおよび/または(2)D-キシルロース-5Pおよび/またはD-リブロース-5Pへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、rpiAの発現を介してD-リボース-5PをD-リブロース-5Pへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、rpeの発現を介してD-リブロース-5PをD-キシルロース-5Pへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、rpeの発現を介してD-キシルロース-5PをD-リブロース-5Pへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、ホスファターゼの発現を介してD-キシルロース-5PをD-キシルロースへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、D-リブロース-5Pおよび/またはD-キシルロース-5Pに対して高い特異性および/または高い活性を有するホスファターゼを含む。
【0984】
一局面では、本開示の微生物は、ホスファターゼの発現を介してD-リブロース-5PをD-リブロースへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、D-リブロースをD-キシルロースへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、限定されないがEC 1.1.1.9の発現を介してD-キシルロースをキシリトールへと変換可能である。いくつかの局面では、本開示の微生物は、上記反応のいずれか1つまたは複数を実行可能である。いくつかの局面では、本開示の微生物は、
図12に記載の反応のいずれか1つまたは複数を実行可能である。いくつかの局面では、本開示の微生物は、代謝経路の中間体としてアラビトールおよび/またはキシリトール-5Pを有さない。
【0985】
一局面では、本開示の微生物は、(1)グルコースなどのヘキソースを、D-リボース-5Pおよび/または(2)D-キシルロース-5Pおよび/またはD-リブロース-5Pへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、rpiAの発現を介してD-リボース-5PをD-リブロース-5Pへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、rpeの発現を介してD-リブロース-5PをD-キシルロース-5Pへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、rpeの発現を介してD-キシルロース-5PをD-リブロース-5Pへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、(1)ADPの発現を介してD-リブロース-5PをD-アラビトール-5Pへと、(2)ADPの発現を介してD-アラビトール-5PをD-キシルロース-1Pへと、(3)ADPの発現を介してキシルロース-5PをD-アラビトール-1Pへと、および/または(4)ADPの発現を介してD-アラビトール-1PをD-リブロース-1Pへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、限定されないがEC 3.1.3.-および/またはEC 2.7.1.17の発現を介してD-リブロース-1PをD-リブロースへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、限定されないがEC 5.1.3.30および/またはEC 5.1.3.31の発現を介してD-リブロースをD-キシルロースへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、限定されないがEC 3.1.3.-および/またはEC 2.7.1.17の発現を介してD-キシルロース-1PをD-キシルロースへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、限定されないがEC 1.1.1.9の発現を介してD-キシルロースをキシリトールへと変換可能である。いくつかの局面では、本開示の微生物は、上記反応のいずれか1つまたは複数を実行可能である。いくつかの局面では、本開示の微生物は、
図13に記載の反応のいずれか1つまたは複数を実行可能である。
【0986】
一局面では、本開示の微生物は、(1)グルコースなどのヘキソースを、D-リボース-5Pおよび/または(2)D-キシルロース-5Pおよび/またはD-リブロース-5Pへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、rpiAの発現を介してD-リボース-5PをD-リブロース-5Pへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、rpeの発現を介してD-リブロース-5PをD-キシルロース-5Pへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、rpeの発現を介してD-キシルロース-5PをD-リブロース-5Pへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、PPMの発現を介してD-リブロース-5PをD-リブロース-1Pへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、PPMの発現を介してD-キシルロース-5PをD-キシルロース-1Pへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、限定されないがEC 3.1.3.-および/またはEC 2.7.1.17の発現を介してD-リブロース-1PをD-リブロースへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、限定されないがEC 3.1.3.-および/またはEC 2.7.1.17の発現を介してD-キシルロース-1PをD-キシルロースへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、限定されないがEC 5.1.3.31および/またはEC 5.1.3.30の発現を介してD-リブロースをD-キシルロースへと変換可能である。一局面では、本開示の微生物は、限定されないがEC 1.1.1.9の発現を介してD-キシルロースをキシリトールへと変換可能である。いくつかの局面では、本開示の微生物は、上記反応のいずれか1つまたは複数を実行可能である。いくつかの局面では、本開示の微生物は、
図14に記載の反応のいずれか1つまたは複数を実行可能である。
【0987】
いくつかの局面では、上に示した酵素は、D-キシルロースからキシリトールへの水素化に関与するキシリトールヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.9)を含む。いくつかの局面では、上に示した酵素は、D-キシルロース-1PからD-キシルロースへのおよび/またはD-リブロース-1PからD-リブロースへの変換に関与する糖ホスファターゼ(EC 3.1.3-、またはEC 3.1.3.23)またはキシルロキナーゼ(EC 2.7.1.17)を含む。いくつかの局面では、上に示した酵素は、D-リブロースからD-キシルロースへの変換に関与するD-プシコース3-エピメラーゼ(EC 5.1.3.30)またはD-タガトース3-エピメラーゼ(EC 5.1.3.31)を含む。
【0988】
いくつかの局面では、1つまたは複数の酵素は、微生物に異種である。いくつかの局面では、該酵素のいくつかは、微生物に異種であり、他の酵素は、微生物原産である。
【0989】
MEG(またはグリコール酸)、または任意でMEG(またはグリコール酸)および1つもしくは複数の同時生成物を生成するまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法
上述したように、一局面では、本出願は、組換え微生物に1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を導入することまたは発現させること;組換え微生物に1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を導入することまたは発現させること;組換え微生物にグリコールアルデヒドからMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含むC2経路を導入することまたは発現させること;および組換え微生物にDHAPまたはピルビン酸から導かれるMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含むC3経路を導入することまたは発現させること;および組換え微生物を1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培養培地中で培養してMEGまたはGAを生成するまたは蓄積することを含む、1つまたは複数の外因性ヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してMEG(またはグリコール酸)を生成するまたは蓄積する組換え微生物を生成する方法であって、グリコールアルデヒドおよびDHAP(またはピルビン酸)がC2経路において生成される中間体であり、かつ、MEGまたはGAがC2経路とC3経路の両方において生成される、方法を提供する。いくつかの態様では、グリコールアルデヒドは、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼによってグリコール酸へと酸化される。
【0990】
別の局面では、本出願は、組換え微生物に1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を導入することまたは発現させること;組換え微生物に1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を導入することまたは発現させること;組換え微生物にグリコールアルデヒドからMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含むC2経路を導入することまたは発現させること;および組換え微生物にDHAPまたはピルビン酸から導かれる1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素を含むC3経路を導入することまたは発現させること;および組換え微生物を1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培養培地中で培養してMEGまたはGAおよび1つまたは複数の同時生成物を生成するまたは蓄積することを含む、1つまたは複数の外因性ヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してMEG(またはグリコール酸)および1つまたは複数の同時生成物を生成するまたは蓄積する組換え微生物を作製する方法であって、グリコールアルデヒドおよびDHAP(またはピルビン酸)がC2経路において生成される中間体であり、かつ、MEGまたはGAがC2経路において生成され、1つまたは複数の同時生成物がC3経路において生成される、方法を提供する。いくつかの態様では、グリコールアルデヒドは、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼによってグリコール酸へと酸化される。
【0991】
いくつかの態様では、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための酵素は、トランスケトラーゼ活性、トランスアルドラーゼ活性、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性およびリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する1つまたは複数の酵素から選択される。さらなる態様では、該方法はさらに、組換え微生物に、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(gapA)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(pgk)およびホスホグリセリン酸ムターゼ(gpmAおよび/またはgpmM)から選択される1つまたは複数の内因性酵素の活性を減少または欠失させる1つまたは複数の改変を導入することを含む。
【0992】
いくつかの態様では、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための酵素は、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性、トランスケトラーゼ活性、トランスアルドラーゼ活性、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性およびリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する1つまたは複数の酵素から選択される。さらなる態様では、該方法はさらに、組換え微生物に、内因性6-ホスホフルクトキナーゼ(pfkAおよび/またはpfkB)酵素の活性を減少または欠失させる1つまたは複数の改変を導入することを含む。
【0993】
なおさらなる態様では、該方法はさらに、組換え微生物に、グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコノラクトナーゼおよび6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼから選択される1つまたは複数の内因性酵素の活性を欠失または減少させる1つまたは複数の改変を導入することを含む。いくつかの態様では、グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼはzwfであり、6-ホスホグルコノラクトナーゼはpglであり、6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼはgndである。
【0994】
いくつかの態様では、1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素は、ペントースホスファターゼ活性、D-リブロース-5-ホスファターゼ活性、D-リボース-5-ホスファターゼ活性、D-リボースイソメラーゼ活性、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性およびホスホペントムターゼ活性を有する1つまたは複数の酵素から選択される。
【0995】
いくつかの態様では、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸から導かれるMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素は、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、グリセリン酸デカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性から選択される活性を有する1つまたは複数の酵素から選択される。
【0996】
いくつかの態様では、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸から導かれる1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素は、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、およびアセト酢酸デカルボキシラーゼ活性から選択される活性を有する1つまたは複数の酵素から選択され、1つまたは複数の同時生成物は、アセトンを含む。
【0997】
いくつかの態様では、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸から導かれる1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素は、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、および第二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性から選択される活性を有する1つまたは複数の酵素から選択され、1つまたは複数の同時生成物は、イソプロパノールを含む。
【0998】
いくつかの態様では、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸から導かれる1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素は、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、第二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性、およびデヒドラターゼ活性から選択される活性を有する1つまたは複数の酵素から選択され、1つまたは複数の同時生成物は、プロペンを含む。
【0999】
いくつかの態様では、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸から導かれる1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素は、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、3-ヒドロキシイソ吉草酸(3HIV)シンターゼ活性、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性、3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性、3HIVキナーゼ活性、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性、および3HIVデカルボキシラーゼ活性から選択される活性を有する1つまたは複数の酵素から選択され、1つまたは複数の同時生成物は、イソブテンを含む。
【1000】
いくつかの態様では、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸から導かれる1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素は、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性から選択される活性を有する1つまたは複数の酵素から選択され、1つまたは複数の同時生成物は、L-セリンを含む。
【1001】
いくつかの態様では、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸から導かれる1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素は、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、トランスフェラーゼ活性、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性、グリシン開裂系に関連する活性、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、グリコール酸デヒドロゲナーゼ活性、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性、アラニントランスアミナーゼ活性、およびNAD(P)H依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性から選択される活性を有する1つまたは複数の酵素から選択され、1つまたは複数の同時生成物は、グリシンを含む。他の態様では、グリシン開裂系に関連する活性は、グリシンデカルボキシラーゼ(Pタンパク質)、アミノメチルトランスフェラーゼ(Tタンパク質)、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(Lタンパク質)、およびHタンパク質から選択される酵素またはタンパク質を含む。
【1002】
いくつかの態様では、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸から導かれる1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素は、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、トランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、およびエタノールアミンアンモニアリアーゼ活性から選択される活性を有する1つまたは複数の酵素から選択され、1つまたは複数の同時生成物は、モノエタノールアミン(MEA)を含む。
【1003】
いくつかの態様では、C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸から導かれる1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素は、セリンデヒドロゲナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドデカルボキシラーゼ活性、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、アルデヒドオキシダーゼ活性、N-アセチルトランスフェラーゼまたはO-アセチルトランスフェラーゼ活性、N-アセチルセリンデヒドロゲナーゼ活性、トランスアミナーゼ活性、デアセチラーゼ活性、セリンアミナーゼ活性、および2,3-ジアミノプロパン酸アンモニアリアーゼ活性から選択される活性を有する1つまたは複数の酵素から選択され、1つまたは複数の同時生成物は、エチレンジアミン(EDA)を含む。
【1004】
いくつかの態様では、C2経路におけるMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素は、D-タガトース3-エピメラーゼ活性、D-リブロキナーゼ活性、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、D-キシルロース1-キナーゼ活性、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼ活性、キシリトールデヒドロゲナーゼ活性、キシロースイソメラーゼ活性、キシロースデヒドロゲナーゼ活性、キシロノラクトナーゼ活性、キシロン酸デヒドロゲナーゼ活性、2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性およびグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性から選択される活性を有する1つまたは複数の酵素から選択される。
【1005】
いくつかの態様では、上述した組換え微生物を作製する方法のいずれかはさらに、組換え微生物に、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、キシロースイソメラーゼ、キシルロースキナーゼまたはそれらの組み合わせの活性を減少または欠失させる1つまたは複数の改変を導入することを含む。
【1006】
ヘキソースからペントース-5-リン酸中間体
本開示において、ペントースリン酸経路への非酸化的進入を使用することによって、解糖系経路の代わりにペントースリン酸経路にグルコースフラックスが送り込まれる。
【1007】
[mA]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、組換え微生物に、以下の(a)~(d):
(a)フルクトース-6-リン酸およびグリセルアルデヒド-3-リン酸からそれぞれエリトロース-4-リン酸およびD-キシルロース-5-リン酸への可逆的変換を触媒する、ならびに/または、(b)からのグリセルアルデヒド-3-リン酸および(b)からのセドヘプツロース-7-リン酸からそれぞれD-リボース-5-リン酸およびD-キシルロース-5-リン酸への可逆的変換を触媒する、トランスケトラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からのフルクトース-6-リン酸およびエリトロース-4-リン酸からそれぞれグリセルアルデヒド-3-リン酸およびセドヘプツロース-7-リン酸への可逆的変換を触媒するトランスアルドラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(a)からのD-リボース-5-リン酸とD-リブロース-5-リン酸の相互変換を触媒するリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(a)からのD-キシルロース-5-リン酸と(c)からのD-リブロース-5-リン酸の相互変換を触媒するリブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入するおよび/または過剰発現させることを含み;
任意で、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失を導入することをさらに含み;
1つまたは複数のヘキソース原料が、組換え微生物の内因性解糖系経路を通じて、フルクトース-6-リン酸およびグリセルアルデヒド-3-リン酸へと変換され、
そして、生成された1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体が、D-リボース-5-リン酸、D-キシルロース-5-リン酸またはD-リブロース-5-リン酸の1つまたは複数である、方法に関する。
【1008】
[mB]別の態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、組換え微生物に、以下の(a)~(f):
(a)フルクトース-6-リン酸からエリトロース-4-リン酸およびアセチル-リン酸への可逆的変換を触媒するフルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からのアセチル-リン酸からアセチルCoAへの可逆的変換を触媒するリン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(a)からのフルクトース-6-リン酸およびエリトロース-4-リン酸からそれぞれグリセルアルデヒド-3-リン酸およびセドヘプツロース-7-リン酸への可逆的変換を触媒するトランスアルドラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(c)からのグリセルアルデヒド-3-リン酸および(c)からのセドヘプツロース-7-リン酸からそれぞれD-リボース-5-リン酸およびD-キシルロース-5-リン酸への可逆的変換を触媒するトランスケトラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)(d)からのD-リボース-5-リン酸とD-リブロース-5-リン酸の相互変換を触媒するリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(d)からのD-キシルロース-5-リン酸と(e)からのD-リブロース-5-リン酸の相互変換を触媒するリブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入するおよび/または過剰発現させることを含み;
任意で、6-ホスホフルクトキナーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失を導入することをさらに含み;
1つまたは複数のヘキソース原料が、組換え微生物の内因性解糖系経路を通じて、フルクトース-6-リン酸へと変換され、
工程(b)で生成されたアセチルCoAを使用して、アセトン、イソプロパノール、プロペン、イソブテンおよびセリン経路化合物から選択される1つまたは複数の同時生成物を生成することができ;
そして、生成された1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体が、D-リボース-5-リン酸、D-キシルロース-5-リン酸またはD-リブロース-5-リン酸の1つまたは複数である、方法に関する。
【1009】
いくつかの態様では、ペントースリン酸経路の酸化分岐は、ペントースリン酸経路への非酸化的進入へのフラックスを最適化するために欠失または不活化される。
【1010】
[mC]それゆえ、一態様では、態様[mA]または態様[mB]の方法は、任意で、組換え微生物に、
(i)グルコース-6-リン酸から6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンへの変換を触媒するグルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失;
(ii)6-ホスホ-D-グルコノ-1,5-ラクトンからグルコン酸-6-リン酸への変換を触媒する6-ホスホグルコノラクトナーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失;および
(iii)グルコン酸-6-リン酸からD-リブロース-5-リン酸への変換を触媒する6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失
からなる群より選択される1つまたは複数の改変を導入することをさらに含む。
【1011】
ペントースリン酸経路とMEG(またはグリコール酸)生成経路の接続
別の局面では、態様[mA]または態様[mB](および任意で態様[mC]を含む)の方法によって生成されたペントース-5-リン酸中間体は、ペントースホスファターゼによって公知のC2 MEG生成経路またはグリコール酸生成経路のいずれか1つと接続することができる。
【1012】
[mD]それゆえ、一態様では、本出願は、D-キシルロース-5-リン酸からD-キシルロースを生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、組換え微生物にペントース-5-ホスファターゼの1つまたは複数を導入することまたは発現させることを含み、D-キシルロース-5-リン酸がペントースリン酸経路の非酸化分岐によって生成され、かつ、D-キシルロースを使用してMEG(またはグリコール酸)および任意で1つまたは複数の同時生成物を生成することができる、方法に関する。
【1013】
[mE]一態様では、本出願は、D-リブロース-5-リン酸からまたはD-リボース-5-リン酸からD-リブロースを生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、組換え微生物に、以下の(a)~(c):
(a)D-リブロース-5-リン酸からD-リブロースへの可逆的変換を触媒するD-リブロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)D-リボース-5-リン酸からD-リボースへの可逆的変換を触媒するD-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からのD-リボースからD-リブロースへの可逆的変換を触媒するD-リボースイソメラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入することまたは発現させることをさらに含み;
D-リブロース-5-リン酸および/またはD-リボース-5-リン酸がペントースリン酸経路の非酸化分岐によって生成され、かつ、D-リブロースを使用してMEG(またはグリコール酸)および任意で1つまたは複数の同時生成物を生成することができる、方法に関する。
【1014】
別の局面では、態様[mA]または態様[mB](および任意で態様[mC]を含む)の方法によって生成されたペントース-5-リン酸中間体は、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼによって公知のC2 MEG生成経路またはグリコール酸生成経路のいずれか1つと接続することができる。
【1015】
[mF]一態様では、本出願は、D-キシルロース-5-リン酸からD-リブロース-1-リン酸を生成可能またはD-リブロース-5-リン酸からD-キシルロース-1-リン酸を生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、組換え微生物に1つまたは複数のアラビトールリン酸デヒドロゲナーゼを導入することまたは発現させることを含み、1つまたは複数のアラビトールリン酸デヒドロゲナーゼが、以下の(a)~(d):
(a)D-キシルロース-5-リン酸からD-アラビトール-1-リン酸への可逆的変換;
(b)(a)からのD-アラビトール-1-リン酸からD-リブロース-1-リン酸への可逆的変換;
(c)D-リブロース-5-リン酸からD-アラビトール-5-リン酸への可逆的変換;
(d)(c)からのD-アラビトール-5-リン酸からD-キシルロース-1-リン酸への可逆的変換
の1つまたは複数を触媒し、
D-キシルロース-5-リン酸および/またはD-リブロース-5-リン酸がペントースリン酸経路の非酸化分岐によって生成され、かつ、D-リブロース-1-リン酸および/またはD-キシルロース-1-リン酸を使用してMEG(またはグリコール酸)および任意で1つまたは複数の同時生成物を生成することができる、方法に関する。
【1016】
別の局面では、態様[mA]または態様[mB](および任意で態様[mC]を含む)の方法によって生成されたペントース-5-リン酸中間体は、ホスホペントムターゼによって公知のC2 MEG生成経路またはグリコール酸生成経路のいずれか1つと接続することができる。
【1017】
[mG]一態様では、本出願は、D-キシルロース-5-リン酸からD-キシルロース-1-リン酸を生成可能またはD-リブロース-5-リン酸からD-リブロース-1-リン酸を生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、組換え微生物に1つまたは複数のホスホペントムターゼを導入することまたは発現させることを含み、D-キシルロース-5-リン酸および/またはD-リブロース-5-リン酸がペントースリン酸経路の非酸化分岐によって生成され、かつ、D-リブロース-1-リン酸および/またはD-キシルロース-1-リン酸を使用してMEG(またはグリコール酸)および任意で1つまたは複数の同時生成物を生成することができる、方法に関する。
【1018】
MEG(またはグリコール酸)、または任意でMEG(またはグリコール酸)および1つもしくは複数の同時生成物の生成経路
いくつかの態様では、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]において生成されたペントースまたはペントース-1-リン酸中間体は、公知のMEG(またはグリコール酸)C2生成経路(後述するとおりC3経路に連結される)において使用され、追加のMEG(またはグリコール酸)または1つもしくは複数の同時生成物を同時生成する。
【1019】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)は、D-キシルロース-1-リン酸を使用したC2経路を介して生成される。
【1020】
[mH]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)を生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、組換え微生物に、以下の(a)~(d):
(a)態様[mD]からのD-キシルロースからD-キシルロース-1-リン酸への変換を触媒するD-キシルロース1-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)から、態様[mF]からおよび/または態様[mG]からのD-キシルロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からのグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素またはアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(b)からのグリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入することまたは発現させることをさらに含み;
MEG(またはグリコール酸)およびDHAPが生成される、方法に関する。
【1021】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)は、D-リブロース-1-リン酸を使用したC2経路を介して生成される。
【1022】
[mI]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)を生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、組換え微生物に、以下の(a)~(e):
(a)態様[mD]からのD-キシルロースからD-リブロースへの変換を触媒するD-タガトース3-エピメラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からおよび/または態様[mE]からのD-リブロースからD-リブロース-1-リン酸への変換を触媒するD-リブロキナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)から、態様[mF]からおよび/または態様[mG]からのD-リブロース-1-リン酸からグリコールアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)への変換を触媒するD-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(c)からのグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)(c)からのグリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入することまたは発現させることをさらに含み;
MEG(またはグリコール酸)およびDHAPが生成される、方法に関する。
【1023】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)は、D-キシロン酸を使用したC2経路を介して生成される。
【1024】
[mJ]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)を生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]を追加で含み、組換え微生物に、以下の(a)~(d):
(a)態様[mD]からのD-キシルロースからD-キシロースへの変換を触媒するキシロースイソメラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からのD-キシロースからD-キシロノラクトンへの変換を触媒するキシロースデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からのD-キシロノラクトンからD-キシロン酸への変換を触媒するキシロノラクトナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(a)からのD-キシロースからD-キシロン酸への変換を触媒するキシロースデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入するおよび/または発現させることをさらに含み;
組換え微生物に、以下の(e)~(h):
(e)(c)または(d)からのD-キシロン酸から2-ケト-3-デオキシ-キシロン酸への変換を触媒するキシロン酸デヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(e)からの2-ケト-3-デオキシ-キシロン酸からグリコールアルデヒドおよびピルビン酸への変換を触媒する2-ケト-3-デオキシ-D-ペントン酸アルドラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(g)(f)からのグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(h)(f)からのグリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入することまたは発現させることをさらに含み;
MEG(またはグリコール酸)およびピルビン酸が生成される、方法に関する。
【1025】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mH]を含み、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC3経路は、態様[mK]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mH]を含み、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC3経路は、態様[mL]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mI]を含み、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC3経路は、態様[mK]を含む。さらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mI]を含み、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC3経路は、態様[mL]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mJ]を含み、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC3経路は、態様[mK]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mJ]を含み、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC3経路は、態様[mL]を含む。
【1026】
[mK]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)を生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、態様[mH]、[mI]および[mJ]の1つまたは複数をさらに含み、組換え微生物に、以下の(a)~(h):
(a)3-ホスホグリセリン酸から3-ホスホヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からの3-ホスホヒドロキシピルビン酸からホスホ-L-セリンへの変換を触媒するホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(a)からの3-ホスホヒドロキシピルビン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(b)からのホスホ-L-セリンからL-セリンへの変換を触媒するホスホセリンホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)(d)からのL-セリンからヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するL-セリントランスアミナーゼまたはセリンオキシダーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(c)または(e)からのヒドロキシピルビン酸からグリコールアルデヒドへの変換を触媒するヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(g)(f)からのグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(h)(f)からのグリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入するおよび/または発現させることをさらに含み;
生成された中間体である態様[mH]および/もしくは[mI]からのDHAPならびに/または態様[mJ]からのピルビン酸が、それぞれ、微生物における内因性の解糖系または糖新生を通じて3-ホスホグリセリン酸へと変換され、かつ、MEG(またはグリコール酸)が生成される、方法に関する。
【1027】
[mL]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)を生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、態様[mH]、[mI]および[mJ]の1つまたは複数をさらに含み、組換え微生物に、以下の(a)~(j):
(a)2-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはグリセリン酸-2-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)3-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素またはグリセリン酸-3-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(a)および/または(b)からのグリセリン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)L-セリンからヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素またはセリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)L-セリンからエタノールアミンへの変換を触媒するL-セリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(c)および/または(d)からのヒドロキシピルビン酸からグリコールアルデヒドへの変換を触媒するヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(g)(e)からのエタノールアミンからグリコールアルデヒドへの変換を触媒するエタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(h)(a)および/または(b)からのグリセリン酸からMEGへの変換を触媒するグリセリン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(i)(f)および/または(g)からのグリコールアルデヒドからMEGへの変換を触媒するグリコールアルデヒドレダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(j)(f)および/または(g)からのグリコールアルデヒドからグリコール酸の変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入するおよび/または発現させることをさらに含み;
生成された中間体である態様[mH]および/もしくは[mI]からのDHAPならびに/または態様[mJ]からのピルビン酸が、微生物における内因性の解糖系または糖新生を通じて3-ホスホグリセリン酸および/または2-ホスホグリセリン酸へと変換され、かつ、MEG(またはグリコール酸)が生成される、方法に関する。
【1028】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mH]を含み、アセトンの生成のためのC3経路は、態様[mM]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mI]を含み、アセトンの生成のためのC3経路は、態様[mM]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mJ]を含み、アセトンの生成のためのC3経路は、態様[mM]を含む。
【1029】
[mM]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびアセトンを同時生成可能な組換え微生物を生成する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、態様[mH]、[mI]および[mJ]の1つまたは複数をさらに含み、組換え微生物に、以下の(a)~(c):
(a)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からのアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒するアセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼ活性を有する酵素または酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;および/または
(c)(b)からのアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入するおよび/または発現させることをさらに含み;
生成された中間体である態様[mH]および/もしくは[mI]からのDHAPならびに/または態様[mJ]からのピルビン酸が、微生物における内因性の解糖系を通じてアセチルCoAへと変換され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびアセトンが同時生成される、方法に関する。
【1030】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mH]を含み、イソブテンの生成のためのC3経路は、態様[mN]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mI]を含み、イソブテンの生成のためのC3経路は、態様[mN]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mJ]を含み、イソブテンの生成のためのC3経路は、態様[mN]を含む。
【1031】
[mN]いくつかの態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料からアセトンまたはHMG-CoAを介してモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびイソブテンを同時生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、態様[mH]、[mI]および[mJ]の1つまたは複数をさらに含み、組換え微生物に、以下の(a)~(d):
(a)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からのアセトアセチルCoAからアセト酢酸への変換を触媒するアセチルCoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼ活性を有する酵素または酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からのアセト酢酸からアセトンへの変換を触媒するアセト酢酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(c)からのアセトンおよびアセチルCoAから3-ヒドロキシイソ吉草酸(3HIV)への変換を触媒する3-ヒドロキシイソ吉草酸シンターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入するおよび/または発現させることをさらに含むか;
または
組換え微生物に、以下の(e)~(j):
(e)アセチルCoAからアセトアセチルCoAへの変換を触媒するチオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(e)からのアセトアセチルCoAおよびアセチルCoAから3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA(HMG-CoA)への変換を触媒するヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(g)(f)からのHMG-CoAから3-メチルグルタコニルCoAへの変換を触媒するメチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(h)(g)からの3-メチルグルタコニルCoAから3-メチルクロトニルCoAへの変換を触媒するメチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(i)(h)からの3-メチルクロトニルCoAから3-ヒドロキシイソバレリルCoAへの変換を触媒するメチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(j)(i)からの3-ヒドロキシイソバレリルCoAから3HIVへの変換を触媒する3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入することまたは発現させることを含み;
組換え微生物に、
(a1)(d)または(j)からの3HIVから3HIV-3-リン酸への変換を触媒する3HIVキナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(a2)(a1)からの3HIV-3-リン酸からイソブテンへの変換を触媒する3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b1)(d)または(j)からの3HIVからイソブテンへの変換を触媒する3HIVデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
から選択される(a1)および(a2)、ならびに/または(b1)をさらに導入または発現させ;
生成された中間体である態様[mH]および/もしくは[mI]からのDHAPならびに/または態様[mJ]からのピルビン酸が、微生物における内因性の解糖系を通じてアセチルCoAへと変換され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびイソブテンが同時生成される、方法に関する。
【1032】
[mO]一態様では、態様[mM]および/または[mN](任意で態様[EE]を含む)の方法は、任意で、組換え微生物に、アセトンからイソプロパノールへの変換を触媒する第二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を導入するおよび/または発現させることをさらに含む。
【1033】
[mP]別の態様では、態様[mO](任意で態様[EE]を含む)の方法は、任意で、組換え微生物に、イソプロパノールからプロペンへの変換を触媒するデヒドラターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を導入するおよび/または発現させることをさらに含む。
【1034】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mH]を含み、セリンの生成のためのC3経路は、態様[mQ]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mI]を含み、セリンの生成のためのC3経路は、態様[mQ]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mJ]を含み、セリンの生成のためのC3経路は、態様[mQ]を含む。
【1035】
[mQ]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびセリンを同時生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、態様[mH]、[mI]および[mJ]の1つまたは複数をさらに含み、組換え微生物に、以下の(a)~(h):
(a)3-ホスホグリセリン酸から3-ホスホヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)3-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはグリセリン酸3-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)2-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはグリセリン酸2-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(a)からの3-ホスホヒドロキシピルビン酸からホスホ-L-セリンへの変換を触媒するホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)(a)からの3-ホスホヒドロキシピルビン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(d)からのホスホ-L-セリンからL-セリンへの変換を触媒するホスホセリンホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(g)(b)および/または(c)からのグリセリン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(h)(e)および/または(g)からのヒドロキシピルビン酸からL-セリンへの変換を触媒するセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入するおよび/または発現させることをさらに含み;
生成された中間体である態様[mH]および/もしくは[mI]からのDHAPならびに/または態様[mJ]からのピルビン酸が、微生物における内因性の解糖系または糖新生を通じて3-ホスホグリセリン酸および/または2-ホスホグリセリン酸へと変換され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびセリンが生成される、方法に関する。
【1036】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mH]を含み、グリシンの生成のためのC3経路は、態様[mR]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mH]を含み、グリシンの生成のためのC3経路は、態様[mS]を含む。さらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mH]を含み、グリシンの生成のためのC3経路は、態様[mT]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mI]を含み、グリシンの生成のためのC3経路は、態様[mR]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mI]を含み、グリシンの生成のためのC3経路は、態様[mS]を含む。さらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mI]を含み、グリシンの生成のためのC3経路は、態様[mT]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mJ]を含み、グリシンの生成のためのC3経路は、態様[mR]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mJ]を含み、グリシンの生成のためのC3経路は、態様[mS]を含む。さらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mJ]を含み、グリシンの生成のためのC3経路は、態様[mT]を含む。
【1037】
[mR]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびグリシンを生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、態様[mH]、[mI]および[mJ]の1つまたは複数をさらに含み、組換え微生物に、以下の(a)~(e):
(a)L-セリンおよびテトラヒドロ葉酸(THF)からグリシンおよび5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸(M-THF)への変換を触媒するセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からのM-THFからホルムアルデヒドへの変換を触媒するトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からのホルムアルデヒドからギ酸およびNADHへの変換を触媒するホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(c)からのギ酸からCO2およびNADHへの変換を触媒するギ酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)(a)からのM-THF、CO2、NH3および(c)または(d)からのNADHからグリシンおよびTHFへの変換を触媒するグリシン開裂系のタンパク質をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入することまたは発現させることをさらに含み;
THFが工程(b)~(e)から再構成され、任意で、(c)からのギ酸がさらに、ギ酸ヒドロゲナーゼリアーゼ複合体によってCO2およびH2へと酸化され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびグリシンが生成される、方法に関する。
【1038】
[mS]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびグリシンを同時生成可能な組換え微生物を生成する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、態様[mH]、[mI]および[mJ]の1つまたは複数をさらに含み、組換え微生物に、以下の(a)~(k):
(a)3-ホスホグリセリン酸から3-ホスホヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からの3-ホスホヒドロキシピルビン酸からホスホ-L-セリンへの変換を触媒するホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(a)からの3-ホスホヒドロキシピルビン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(b)からのホスホ-L-セリンからL-セリンへの変換を触媒するホスホセリンホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)(d)からのL-セリンからヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するL-セリントランスアミナーゼまたはセリンオキシダーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(c)または(e)からのヒドロキシピルビン酸からグリコールアルデヒドへの変換を触媒するヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(g)(f)からのグリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(h)(g)からのグリコール酸からグリオキシル酸への変換を触媒するグリコール酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(i)(h)からのグリオキシル酸およびアラニンからグリシンおよびピルビン酸への変換を触媒するアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(j)(i)からのピルビン酸およびグルタミン酸からアラニンおよび2-オキソグルタル酸への変換を触媒するアラニントランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(k)(j)からの2-オキソグルタル酸およびアンモニアからグルタミン酸への変換を触媒するNAD(P)H依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入することまたは発現させることをさらに含み;
生成された中間体である態様[mH]および/もしくは[mI]からのDHAPならびに/または態様[mJ]からのピルビン酸が、微生物における内因性の解糖系または糖新生を通じて3-ホスホグリセリン酸および/または2-ホスホグリセリン酸へと変換され、工程(i)のためのグリオキシル酸が、任意で、微生物におけるグリオキシル酸シャントからもたらされ、アラニンおよびグルタミン酸が工程(j)および(k)から再構成され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびグリシンが同時生成される、方法に関する。
【1039】
[mT]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびグリシンを同時生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[A]または態様[B]の(および任意で態様[C]を含む)組換え微生物であり、態様[D]、[E]、[F]および[G]の1つまたは複数を追加で含み、態様[H]、[I]および[J]の1つまたは複数をさらに含み、組換え微生物に、以下の(a)から(l):
(a)2-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはグリセリン酸-2-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)3-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはグリセリン酸-3-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(a)および/または(b)からのグリセリン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)L-セリンからヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するセリンアミノトランスフェラーゼまたはセリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)L-セリンからエタノールアミンへの変換を触媒するL-セリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(c)および/または(d)からのヒドロキシピルビン酸からグリコールアルデヒドへの変換を触媒するヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(g)(e)からのエタノールアミンからグリコールアルデヒドへの変換を触媒するエタノールアミンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素またはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(h)(f)および/または(g)からのグリコールアルデヒドからグリコール酸の変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(i)(g)からのグリコール酸からグリオキシル酸への変換を触媒するグリコール酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(j)(i)からのグリオキシル酸およびアラニンからグリシンおよびピルビン酸への変換を触媒するアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(k)(j)からのピルビン酸およびグルタミン酸からアラニンおよび2-オキソグルタル酸への変換を触媒するアラニントランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(l)(k)からの2-オキソグルタル酸およびアンモニアからグルタミン酸への変換を触媒するNAD(P)H依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入することまたは発現させることをさらに含み;
生成された中間体である態様[mH]および/もしくは[mI]からのDHAPならびに/または態様[mJ]からのピルビン酸が、微生物における内因性の解糖系または糖新生を通じて3-ホスホグリセリン酸および/または2-ホスホグリセリン酸へと変換され、工程(j)のためのグリオキシル酸が、任意で、微生物におけるグリオキシル酸シャントからもたらされ、アラニンおよびグルタミン酸が工程(k)および(l)から再構成され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびグリシンが同時生成される、方法に関する。
【1040】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mH]を含み、MEAの生成のためのC3経路は、態様[mU]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mH]を含み、MEAの生成のためのC3経路は、態様[mV]を含む。さらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mH]を含み、MEAの生成のためのC3経路は、態様[mW]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mI]を含み、MEAの生成のためのC3経路は、態様[mU]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mI]を含み、MEAの生成のためのC3経路は、態様[mV]を含む。さらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mI]を含み、MEAの生成のためのC3経路は、態様[mW]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mJ]を含み、MEAの生成のためのC3経路は、態様[mU]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mJ]を含み、MEAの生成のためのC3経路は、態様[mV]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mJ]を含み、MEAの生成のためのC3経路は、態様[mW]を含む。
【1041】
[mU]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびモノエタノールアミン(MEA)を同時生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、態様[mH]、[mI]および[mJ]の1つまたは複数をさらに含み、組換え微生物に、以下の(a)~(i):
(a)3-ホスホグリセリン酸から3-ホスホヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)3-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはグリセリン酸3-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)2-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはグリセリン酸2-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(a)からの3-ホスホヒドロキシピルビン酸からホスホ-L-セリンへの変換を触媒するホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)(a)からの3-ホスホヒドロキシピルビン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒する3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(d)からのホスホ-L-セリンからL-セリンへの変換を触媒するホスホセリンホスファターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(g)(b)および/または(c)からのグリセリン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(h)(e)および/または(g)からのヒドロキシピルビン酸からL-セリンへの変換を触媒するセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(i)(f)および/または(h)からのL-セリンからMEAへの変換を触媒するセリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入することまたは発現させることをさらに含み;
生成された中間体である態様[mH]および/もしくは[mI]からのDHAPならびに/または態様[mJ]からのピルビン酸が、微生物における内因性の解糖系または糖新生を通じて3-ホスホグリセリン酸および/または2-ホスホグリセリン酸へと変換され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびMEAが同時生成される、方法に関する。
【1042】
[mV]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびモノエタノールアミン(MEA)を同時生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、態様[mH]、[mI]および[mJ]の1つまたは複数をさらに含み、組換え微生物に、以下の(a)~(f):
(a)2-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはグリセリン酸-2-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)3-ホスホグリセリン酸からグリセリン酸への変換を触媒する3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性を有する酵素および/またはグリセリン酸-3-キナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(a)および/または(b)からのグリセリン酸からヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)L-セリンからヒドロキシピルビン酸への変換を触媒するセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼまたはセリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)(c)および/または(d)からのヒドロキシピルビン酸からグリコールアルデヒドへの変換を触媒するヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(f)(e)からのグリコールアルデヒドからMEAへの変換を触媒するトランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入することまたは発現させることをさらに含み;
生成された中間体である態様[mH]および/もしくは[mI]からのDHAPならびに/または態様[mJ]からのピルビン酸が、微生物における内因性の解糖系または糖新生を通じて3-ホスホグリセリン酸および/または2-ホスホグリセリン酸へと変換され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびMEAが同時生成される、方法に関する。
【1043】
[mW]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびモノエタノールアミン(MEA)を同時生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、態様[mH]、[mI]および[mJ]の1つまたは複数をさらに含み、組換え微生物に、以下の(a)~(b):
(a)アセチルCoAからアセトアルデヒドへの変換を触媒するアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)アセトアルデヒドおよびアンモニアからMEAへの変換を触媒するエタノールアミンアンモニアリアーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入することまたは発現させることをさらに含み;
生成された中間体である態様[mH]および/もしくは[mI]からのDHAPならびに/または態様[mJ]からのピルビン酸が、微生物における内因性の解糖系を通じてアセチルCoAへと変換され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびMEAが同時生成される、方法に関する。
【1044】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mH]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mX]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mH]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mY]を含む。さらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mH]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mZ]を含む。なおさらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mH]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mAA]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mH]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mBB]を含む。
【1045】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mI]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mX]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mI]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mY]を含む。さらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mI]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mZ]を含む。なおさらなる態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mI]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mAA]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mI]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mBB]を含む。
【1046】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mJ]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mX]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mJ]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mY]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mJ]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mZ]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mJ]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mAA]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mJ]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mBB]を含む。
【1047】
[mX]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびエチレンジアミン(EDA)を同時生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、態様[mH]、[mI]および[mJ]の1つまたは複数をさらに含み、組換え微生物に、以下の(a)~(c):
(a)L-セリンから2-アミノマロン酸セミアルデヒドへの変換を触媒するセリンデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からの2-アミノマロン酸セミアルデヒドからアミノアセトアルデヒドへの変換を触媒する2-アミノマロン酸セミアルデヒドデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からのアミノアセトアルデヒドからEDAへの変換を触媒するアミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入することまたは発現させることをさらに含み;
2-アミノマロン酸セミアルデヒドが、任意で、自発反応によってアミノアセトアルデヒドへと変換されてもよく、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびEDAが同時生成される、方法に関する。
【1048】
[mY]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびエチレンジアミン(EDA)を同時生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、態様[mH]、[mI]および[mJ]の1つまたは複数をさらに含み、組換え微生物に、以下の(a)~(c):
(a)L-セリンから2-アミノマロン酸セミアルデヒドへの変換を触媒するセリンデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からの2-アミノマロン酸セミアルデヒドから2,3-ジアミノプロパン酸への変換を触媒する2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からの2,3-ジアミノプロパン酸からEDAへの変換を触媒する2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入することまたは発現させることをさらに含み;
MEG(またはグリコール酸)およびEDAが同時生成される、方法に関する。
【1049】
[mZ]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびエチレンジアミン(EDA)を同時生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、態様[mH]、[mI]および[mJ]の1つまたは複数をさらに含み、組換え微生物に、以下の(a)~(c):
(a)L-セリンからエタノールアミンへの変換を触媒するセリンデカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からのエタノールアミンからアミノアセトアルデヒドへの変換を触媒するエタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からのアミノアセトアルデヒドからEDAへの変換を触媒するアミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入することまたは発現させることをさらに含み;
MEG(またはグリコール酸)およびEDAが同時生成される、方法に関する。
【1050】
[mAA]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびエチレンジアミン(EDA)を同時生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、態様[mH]、[mI]および[mJ]の1つまたは複数をさらに含み、組換え微生物に、以下の(a)~(c):
(a)L-セリンからグリシンへの変換を触媒するセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からのグリシンからアミノアセトアルデヒドへの変換を触媒するアルデヒドオキシダーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からのアミノアセトアルデヒドからEDAへの変換を触媒するアミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入することまたは発現させることをさらに含み;
MEG(またはグリコール酸)およびEDAが同時生成される、方法に関する。
【1051】
[mBB]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびエチレンジアミン(EDA)を同時生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、態様[mH]、[mI]および[mJ]の1つまたは複数をさらに含み、組換え微生物に、以下の(a)~(e):
(a)L-セリンからN-アセチルセリンへの変換を触媒するアミノ酸N-アセチルトランスフェラーゼ活性またはO-アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からのN-アセチルセリンからN-アセチルマロン酸セミアルデヒドへの変換を触媒するN-アセチルセリンデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(c)(b)からのN-アセチルマロン酸セミアルデヒドからアセチルアミノプロパン酸への変換を触媒するトランスアミナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(d)(c)からのアセチルアミノプロパン酸から2,3-ジアミノプロパン酸への変換を触媒するデアセチラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(e)(d)からの2,3-ジアミノプロパン酸からEDAへの変換を触媒する2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入することまたは発現させることをさらに含み;
MEG(またはグリコール酸)およびEDAが同時生成される、方法に関する。
【1052】
いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mH]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mCC]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mH]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mDD]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mI]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mCC]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mI]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mDD]を含む。いくつかの態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mJ]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mCC]を含む。他の態様では、MEG(またはグリコール酸)の生成のためのC2経路は、態様[mJ]を含み、EDAの生成のためのC3経路は、態様[mDD]を含む。
【1053】
[mCC]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびエチレンジアミン(EDA)を同時生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、態様[mH]、[mI]および[mJ]の1つまたは複数をさらに含み、組換え微生物に、以下の(a)~(b):
(a)L-セリンから(S)-2,3-ジアミノプロパン酸への変換を触媒するセリンアミナーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からの(S)-2,3-ジアミノプロパン酸からEDAへの変換を触媒する(S)-2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入することまたは発現させることをさらに含み;
MEG(またはグリコール酸)およびEDAが同時生成される、方法に関する。
【1054】
[mDD]一態様では、本出願は、1つまたは複数のヘキソース原料および窒素源からモノエチレングリコール(MEG)(またはグリコール酸)およびエチレンジアミン(EDA)を同時生成可能な組換え微生物を作製する方法であって、態様[mA]または態様[mB]の(および任意で態様[mC]を含む)方法であり、かつ、態様[mD]、[mE]、[mF]および[mG]の1つまたは複数を追加で含み、態様[mH]、[mI]および[mJ]の1つまたは複数をさらに含み、組換え微生物に、以下の(a)~(b):
(a)ピルビン酸およびアンモニウムから(S)-2,3-ジアミノプロパン酸への変換を触媒する(S)-2,3-ジアミノプロパン酸アンモニアリアーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;
(b)(a)からの(S)-2,3-ジアミノプロパン酸からEDAへの変換を触媒する(S)-2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
の1つまたは複数を導入することまたは発現させることをさらに含み;
ピルビン酸が内因性の解糖系から生成され、かつ、MEG(またはグリコール酸)およびEDAが同時生成される、方法に関する。
【1055】
[mEE]別の態様では、態様[mH]、態様[mI]および態様[mJ]から選択される方法は、任意で、組換え微生物に、
(i)D-キシルロースからD-キシロースへの変換を触媒するキシロースイソメラーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失;
(ii)グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒するグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失;および
(iii)ピルビン酸から乳酸への変換を触媒する乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の機能的変異の欠失、挿入または喪失
からなる群より選択される1つまたは複数の改変を導入することをさらに含む。
【1056】
酵素工学
組換え微生物中の酵素は、基質から生成物への変換の1つまたは複数の局面を向上させるために工学操作することができる。本開示の方法において使用するためにさらに工学操作することができる酵素の非限定例は、トランスケトラーゼ、トランスアルドラーゼ、ペントース-5-ホスファターゼ、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホペントムターゼ、アルデヒドレダクターゼ、アセトアセチル補酵素Aヒドロラーゼ、キシロースイソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ、ホスホセリンホスファターゼ、セリントランスアミナーゼ、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ、3-ホスホヒドロキシピルビン酸レダクターゼ、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ、セリンデカルボキシラーゼ、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)、グリセリン酸デカルボキシラーゼ、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ、グリセリン酸3-キナーゼ、グリセリン酸2-キナーゼ、メバロン酸ジリン酸デカルボキシラーゼ、およびそれらの組み合わせを含む。これらの酵素は、触媒活性の向上、選択性の向上、安定性の向上、様々な発酵条件(温度、pHなど)に対する耐性の向上、または様々な代謝基質、生成物、副生成物、中間体などに対する耐性の向上のために工学操作することができる。本明細書において特定の酵素活性に関して使用される「触媒活性の向上」という用語は、同等な工学操作されていない酵素に対して測定されたものより高いレベルの酵素活性のことを指す。
【1057】
指向性進化法は、実験室で自然の進化過程を模倣することを可能にする分子生物学技法全体を説明するために使用される用語である。酵素について、これは、一般に、1つまたは複数の出発遺伝子のランダム変異誘発と、それに続く、1つまたは複数の望ましい特性が向上した酵素バリアントを単離または濃縮するスクリーニングまたは選択工程を伴う。そのプロセスは、所望の変化レベルに達するまでまたはさらなる変化が誘発されなくなるまで繰り返すことができる。自然では何百万年かかるプロセスを実験室においてわずか数週間または数ヶ月に短縮する多種多様なツールおよび技法が20年以上にわたって開発されている。最も一般的な戦略、例えば、DNA産物の集団にランダム点変異を導入するエラープローンPCR(epPCR)、および典型的には>70%の相同性を有する親遺伝子間でランダム組換えを可能にするDNAシャッフリング法は、自然で起こる進化のメカニズムを模倣する。後者の技法は、事前に選ばれた部位にまたはランダムに分布している部位で標的化された飽和またはカセット式変異誘発を通じて多種多様なアミノ酸にアクセスし、非相同遺伝子のランダム組換えを可能にした。さらなる技法は、コドンのランダム挿入および欠失を創出し、ドメインもしくはエクソンまたはループ領域をシャッフルし、ランダムトランケーションのライブラリーを作製することができる。
【1058】
例えば、アルドラーゼの安定性、基質特異性、および立体特異性を変化させて、生体触媒プロセス用の優れた酵素を作製するために、操作手法が使用されてきた。フルクトース-1,6-ビスリン酸アルドラーゼ(FBP-アルドラーゼ)の耐熱性および溶媒耐性は、大腸菌およびエドワージエラ・イクタルリ(Edwardsiella ictaluri)に由来するfda遺伝子のファミリーDNAシャフリングの使用により増加した。53℃においていずれの親よりも平均280倍高い半減期を示す第4世代のバリアントが同定された。同バリアントは、様々な極性および非極性の有機溶媒においても増強された活性を示した(Hao and Berry 2004 Protein Eng Des Sel 17:689-697)。
【1059】
別の例として、アセトアセチル補酵素Aヒドロラーゼは、アセトアセチルCoAをアセト酢酸へ変換することができる。しかしながら、ヒドロラーゼは、酵素チオラーゼによるアセトアセチルCoA形成のために必要とされる基質であるアセチルCoAともほぼ同じ大きさで反応するという点で非特異的である。従って、より効率的なアセトアセチルCoAヒドロラーゼを作出するため、触媒作用のために重要な酵素βサブユニット内の数個のグルタミン酸残基を交換することによって、アセチルCoA基質より少なくとも10倍高い活性をアセトアセチルCoA基質に対して有するよう、これらの酵素は操作された(WO 2015/042588)。
【1060】
別の例として、大腸菌YqhD酵素は、10種を超えるアルデヒド基質に対してNADPH依存性レダクターゼ活性を有する広基質アルデヒドレダクターゼであって、再生可能バイオ燃料および化学物質を生成するための有用な酵素である(Jarboe 2010 Applied Microbiology and Biotechnology 89:249)。YqhD酵素活性は、毒性アルデヒドの除去を通して有益であるが、酵素は、NADPH依存性でもあり、NADPH枯渇および生物の増殖阻害に寄与する。3-ヒドロキシプロピオンアルデヒド(3-HPA)からの1,3-プロパンジオール生成を改善するため、YqhDのエラープローンPCRが実施された。この定方向の操作は、ある特定のアルデヒド、具体的には、3-HPAに対する減少したKmおよび増加したkcatを有する2つの変異体、D99QN147HおよびQ202Aを与えた(Li et al.2008 Prog.Nat.Sci.18(12):1519-1524)。残基Asp99およびAsn147は両方ともNADPHと相互作用するため、D99QN147H変異体の改善された触媒活性は、YqhDの構造について公知のものと一致している(Sulzenbacher et al.2004 J.Mol.Biol.342(2):489-502)。D99QN147H変異体の使用は、3-HPAからの1,3-プロパンジオール生成を2倍増加させた。NADPHに対する増加した触媒効率(増加したKcat/Km)を有する変異体YqhD酵素は、その全体が本明細書に組み入れられるWO 2011012697 A2にも記載されている。
【1061】
別の例として、キシロースイソメラーゼは、アルドース糖とケトース糖、主として、キシロースとキシルロースおよびグルコースとフルクトースの間の相互変換を触媒する金属依存性酵素である。それは、リキソース糖、アラビノース糖、およびマンノース糖に対してより低い親和性を有する。糖のヒドロキシル基が、糖イソメラーゼの基質の好みを定義し得る。サーマス・サーモフィラスキシロースイソメラーゼの残基256のアスパラギン酸が、アルギニンに交換された(Patel et al.2012 Protein Engineering,Design & Selection vol.25 no.7 pp.331-336)。この変異体キシロースイソメラーゼは、D-リキソース、L-アラビノース、およびD-マンノースに対する特異性の増加を示した。D256Rキシロースイソメラーゼ変異体の、これらの3種類の基質に対する触媒効率も、野生型酵素と比較して高かった。変異体酵素における残基256のアルギニンは、触媒反応において役割を果たすか、または基質配向の変化に影響する可能性があると仮定された。
【1062】
別の例として、酵素キシリトールデヒドロゲナーゼは、キシロースレダクターゼと共に、キシロースの利用において役割を果たす。キシロースレダクターゼ(XR)が、キシロースをキシリトールに還元し、次いで、キシリトールデヒドロゲナーゼ(XDH)が、キシリトールを再酸化してキシルロースを形成させる。しかしながら、XRは共基質としてNADPHを好むが、XDHは共基質として排他的にNAD+を使用するため、共基質再利用問題に遭遇する。一つの解決策は、共基質特異性がNAD+からNADP+へ変化するよう、XDHを操作することである(Ehrensberger et al., 2006 Structure 14:567-575)。グルコノバクター・オキシダンスのホロ酵素の結晶構造は、Asp38がXDHのNAD+特異性を概して担うことを明らかにした。Asp38が、アデノシンリボースのヒドロキシルと相互作用し、Met39が、プリン環下に積み重なり、2'ヒドロキシルの近くにも位置する。酵素活性を失うことなく、NADP+を排他的に使用する二重変異体(D38S/M39R)XDHが構築された。
【1063】
別の例として、酵素メバロン酸二リン酸デカルボキシラーゼ(MVD)は、メバロン酸(MVA)経路において(R)-メバロン酸-5-二リン酸からイソペンテニルピロリン酸(IPP)へのリン酸化/脱炭酸を触媒するATP依存性酵素である。古典的MVA経路において、MVDは、ATPに依存する不可逆的な反応において(R)-メバロン酸-5-二リン酸(MVAPP)からIPPを生成する最終段階を触媒する。MVAPPは、最初にリン酸化され、結果として生じる脱炭酸が、無機リン酸の同時放出と共に起こる。同じ機構で、古典的MVDはまた、非リン酸化3-ヒドロキシイソ吉草酸(3-HIV)からイソブテンへの変換を触媒する。3-ホスホノオキシイソ吉草酸からイソブテンへの変換に改善された活性を有するメバロン酸二リン酸(MDP)デカルボキシラーゼバリアントは、例えば、WO2012052427およびWO2015004211に開示されており、これらの各々は、その全体で本明細書に組み入れられる。
【1064】
代謝工学 - 経路フラックスの増加のための酵素の過剰発現または酵素のダウンレギュレーション/欠失
本明細書中に記載された様々な態様において、本明細書中に記載された生合成経路に関与する外来性および内在性の酵素は、組換え微生物において過剰発現され得る。
【1065】
「過剰発現された」または「過剰発現」という用語は、基底レベルのmRNAを発現するかまたは基底レベルのタンパク質を有する類似の対応する未改変細胞と比較した、タンパク質をコードするmRNAのレベルの上昇(例えば、異常レベル)、および/または細胞内のタンパク質のレベルの上昇をさす。具体的な態様において、mRNAまたはタンパク質は、遺伝子mRNA、タンパク質、および/または活性の増加を示すよう操作された微生物において、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、8倍、10倍、12倍、15倍、またはそれ以上、過剰発現され得る。
【1066】
いくつかの態様において、本開示の組換え微生物は、D-キシルロース、D-リブロース、D-リブロース-1-リン酸、D-キシルロース-1-リン酸、D-リブロース-5-リン酸、D-キシルロース-5-リン酸、D-キシロノラクトン、D-キシロン酸、2-ケト-3-デオキシ-キシロン酸、グリコールアルデヒド、DHAP、ピルビン酸、アセトアセチルCoA、アセト酢酸または3-ヒドロキシイソ吉草酸などの基質を合成する酵素能力を含有する宿主から作製される。いくつかの態様において、例えば、D-キシルロース、D-リブロース、D-リブロース-1-リン酸、D-キシルロース-1-リン酸、D-リブロース-5-リン酸、D-キシルロース-5-リン酸、D-リボース-5-リン酸、D-キシロノラクトン、D-キシロン酸、2-ケト-3-デオキシ-キシロン酸、グリコールアルデヒド、DHAP、ピルビン酸、アセトアセチルCoA、アセト酢酸または3-ヒドロキシイソ吉草酸の合成または蓄積を増加させて、MEG(もしくはGA)、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との生成を増加させるために有用であることができる。
【1067】
いくつかの態様において、例えば、D-キシルロース、D-リブロース、D-リブロース-1-リン酸、D-キシルロース-1-リン酸、D-リブロース-5-リン酸、D-キシルロース-5-リン酸、D-リボース-5-リン酸、D-キシロノラクトン、D-キシロン酸、2-ケト-3-デオキシ-キシロン酸、グリコールアルデヒド、DHAP、ピルビン酸、アセトアセチルCoA、アセト酢酸または3-ヒドロキシイソ吉草酸からのフラックスを増加させるためのMEG(もしくはGA)、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との生合成経路に関与する内在性または外来性の酵素の発現を増加させ、それによって、MEG(もしくはGA)、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との合成または蓄積の増加をもたらすことが有用であり得る。
【1068】
合成または蓄積の増加は、例えば、上記のMEG(もしくはGA)の1つもしくは複数、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との生合成経路酵素をコードする核酸の過剰発現によって達成することができる。MEG(もしくはGA)、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との1つまたは複数の生合成経路酵素の過剰発現は、例えば、1つもしくは複数の内在性遺伝子の発現増加を通じて、または1つもしくは複数の外来性遺伝子の発現もしくは発現増加を通じて、起こすことができる。従って、天然に生じる生物は、MEG(もしくはGA)、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との生合成経路酵素をコードする1つまたは複数の核酸分子の過剰発現を通じて、MEG(もしくはGA)、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物とを生成する非天然微生物を作製するために容易に改変することができる。加えて、天然に存在しない生物は、MEG(もしくはGA)、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との生合成経路中の酵素の活性に増加をもたらす内在性遺伝子の変異誘発によって作製することができる。
【1069】
本開示の組換え微生物は、MEG(もしくはGA)、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物とを生成するのに十分な量で、MEG(もしくはGA)、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との生合成経路酵素をコードする少なくとも1種類の核酸を外因的に発現するように、上記に例示したような当技術分野において周知の方法を用いて構築することができることから、本開示を与えられた当業者は、本明細書において記載された組換え微生物を容易に構築することができる。
【1070】
天然に存在しない、MEG(もしくはGA)を生成する、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物とを生成する、宿主を構築し、その発現レベルを試験する方法は、例えば当技術分野において周知の組換えおよび検出の方法によって実施することができる。そのような方法は、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, New York (2001); Ausubo et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Baltimore, Md. (1999)に記載されるように見出すことができる。
【1071】
外来性または内在性の遺伝子を発現させるかまたは過剰発現させるため、当技術分野において公知の多様な機構を使用することができる。例えば、宿主生物において機能性の発現調節配列に機能的に連結された、本明細書中に例示される核酸をコードする1つもしくは複数のMEG(もしくはGA)、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との生合成経路酵素を保有するよう、1つまたは複数の発現ベクターを構築することができる。本発明の微生物宿主生物において使用するために適用可能な発現ベクターには、例えば、宿主染色体への安定的な組み込みのために機能性のベクターおよび選択配列またはマーカーを含む、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター、エピソーム、および人工染色体が含まれる。例えば、抗生物質もしくは毒素に対する耐性を提供するか、栄養要求の欠乏を補完するか、または培養培地中に存在しない重要栄養素を供給する選択可能マーカー遺伝子も、含まれることができる。発現調節配列には、当技術分野において周知の構成性プロモーターおよび誘導性プロモーター、転写エンハンサー、転写ターミネーター等が含まれることができる。2種類以上の外来性のコード核酸を共発現させたい時には、例えば、単一の発現ベクターに、または別々の発現ベクターに、両核酸を挿入することができる。単一ベクター発現の場合、コード核酸は、1個の共通の発現調節配列に機能的に連結されることができ、または1個の誘導性プロモーターおよび1個の構成性プロモーターのような異なる発現調節配列に連結されることができる。代謝経路または合成経路に関与する外来性の核酸配列の形質転換は、当技術分野において周知の方法を使用して確認することができる。
【1072】
当業者によって理解されるように、特定の宿主におけるその発現を増強するため、コード配列を改変することが有利であることができる。遺伝暗号は64種類の可能なコドンを含み重複しているが、大部分の生物は、典型的には、これらのコドンのサブセットを使用する。種において最も高頻度に利用されるコドンは、最適コドンと呼ばれ、さほど高頻度に利用されないものは、希少または低頻度使用コドンとして分類される。宿主の好ましいコドン使用頻度を反映するため、コドンを置換することができ、そのプロセスは、時に、「コドン最適化」または「種コドンバイアスの調節」と呼ばれる。
【1073】
例えば、翻訳の速度を増加させるため、または最適化されていない配列から生成される転写物と比較して、より長い半減期のような、望ましい特性を有する組換えRNA転写物を生成するため、特定の原核生物または真核生物の宿主にとって好ましいコドンを含有している最適化されたコード配列(Murray et al. (1989) Nucl. Acids Res. 17:477-508も参照すること)を調製することができる。翻訳終止コドンも、宿主の好みを反映するために改変することができる。例えば、S.セレビシエおよび哺乳動物のための典型的な終止コドンは、それぞれ、UAAおよびUGAである。単子葉植物のための典型的な終止コドンは、UGAであるが、昆虫および大腸菌は、一般的に、UAAを終止コドンとして使用する(Dalphin et al. (1996) Nucl. Acids Res. 24: 216-218)。
【1074】
当業者は、遺伝暗号の縮重性のため、多様な核酸配列が、本開示の所定の酵素をコードするために使用できることを認識するであろう。生合成酵素をコードする核酸配列は、本開示の態様を例示するために本明細書中に参照されるに過ぎず、本開示は、本開示の酵素のポリペプチドおよびタンパク質のアミノ酸配列をコードする任意の核酸配列を含む。同様に、ポリペプチドは、典型的には、所望の活性を失うこともまたは顕著に失うこともなく、そのアミノ酸配列内の1個または複数個のアミノ酸の置換、欠失、および挿入を許容することができる。本開示は、改変されたポリペプチドまたはバリアントポリペプチドが、参照ポリペプチドの酵素的な同化活性または異化活性を有する限り、本明細書中に記載された特定のタンパク質と異なるアミノ酸配列を有するそのようなポリペプチドを含む。さらに、本明細書に示された核酸配列によってコードされたアミノ酸配列は、本開示の態様を例示するものに過ぎない。
【1075】
発現調節配列は、当技術分野において公知であり、例えば、宿主細胞におけるポリヌクレオチド配列の発現を提供するプロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、転写ターミネーター、配列内リボソーム進入部位(IRES)等を含む。発現調節配列は、転写に関与する細胞タンパク質と特異的に相互作用する(Maniatis et al., Science, 236: 1237-1245 (1987))。例示的な発現調節配列は、例えば、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology, Vol.185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)に記載されている。
【1076】
様々な態様において、発現調節配列は、ポリヌクレオチド配列に機能的に連結されている場合がある。「機能的に連結された」とは、適切な分子(例えば、転写活性化タンパク質)が発現調節配列に結合した時に遺伝子発現が可能になるような方式で、ポリヌクレオチド配列と発現調節配列とが接続されていることを意味する。機能的に連結されたプロモーターは、転写および翻訳の方向に関して、選択されたポリヌクレオチド配列の上流に位置する。機能的に連結されたエンハンサーは、選択されたポリヌクレオチドの上流、内部、または下流に位置することができる。
【1077】
いくつかの態様において、組換え微生物は、MEG(もしくはGA)、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との生成のための生合成経路と競合する経路における反応を触媒する1つまたは複数の内在性酵素を欠失させる、破壊する、変異させる、かつ/またはその活性を低下させるように操作される。
【1078】
いくつかの態様において、組換え微生物は、ペントースリン酸経路の酸化的分岐における1つまたは複数の内在性酵素を欠失させる、破壊する、変異させる、かつ/またはその活性を低下させるように操作される。いくつかの態様において、操作は、ペントースリン酸経路の酸化的分岐を経由するグルコース-6-リン酸の変換を妨げ、代わりに、グルコース-6-リン酸を、ペントースリン酸経路の非酸化的分岐を経由して切り換えて、MEG(もしくはGA)、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との生成に必要な1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を生成する。いくつかのそのような態様において、1つまたは複数の内在性酵素は、グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコノラクトナーゼ、および6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼより選択される。さらなる態様において、グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼはzwfであり、6-ホスホグルコノラクトナーゼはpglであり、6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼはgndである。
【1079】
いくつかの態様において、組換え微生物は、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼおよび/またはホスホグリセリン酸キナーゼおよび/またはホスホグリセリン酸ムターゼを欠失させる、破壊する、変異させる、かつ/またはその活性を低下させるように操作される。いくつかの態様において、操作は、グリセルアルデヒド3-リン酸から1,3-ビスホスホ-D-グリセリン酸およびその後の中間体への変換を妨げ、代わりに、トランスケトラーゼによってグリセルアルデヒド3-リン酸をキシルロース-5-リン酸に(フルクトース-6-リン酸からエリトロース-4-リン酸への同時変換と共に)変換できるようにし、したがって、MEG、または任意でMEGと1つもしくは複数の同時生成物との生成に必要なペントース-5-リン酸中間体を生成し、1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体をさらに生成するためのペントースリン酸経路の非酸化的分岐のためにより多くのエリトロース-4-リン酸を提供する。いくつかの態様において、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼはgapAであり、ホスホグリセリン酸キナーゼはpgkであり、ホスホグリセリン酸ムターゼはgpmAおよび/またはgpmMである。
【1080】
いくつかの態様において、組換え微生物は、6-ホスホフルクトキナーゼを欠失させる、破壊する、変異させる、かつ/またはその活性を低下させるように操作される。いくつかの態様において、操作は、フルクトース-6-リン酸から1,6-ビスリン酸への変換を妨げ、代わりに、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼによってフルクトース-6-リン酸をエリトロース-4-リン酸およびアセチル-リン酸に変換できるようにし、MEG(もしくはGA)、または任意でMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との生成に必要な1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体をさらに生成するためのペントースリン酸経路の非酸化的分岐のためにより多くのエリトロース-4-リン酸を提供する。いくつかの態様において、6-ホスホフルクトキナーゼはpfkAおよび/またはpfkBである。
【1081】
いくつかの態様において、組換え微生物は、グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒する1つまたは複数の内在性酵素を欠失させる、破壊する、変異させる、かつ/またはその活性を低下させるように操作される。いくつかのそのような態様において、グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒する酵素は、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼである。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは大腸菌由来である。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは、aldA遺伝子またはそのホモログによってコードされる。いくつかの態様において、操作は、グリコールアルデヒドからのグリコール酸の生成を妨げ、代わりに、反応をグリコールアルデヒドからMEGへの変換に切り換える。いくつかの態様において、グリコールアルデヒドからグリコール酸への変換を触媒する1つまたは複数の内在性酵素の欠失、破壊、変異、および/またはその活性の低下は、部分的であり、あるグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼの機能はまだ存在し、グリコール酸の量がまだ生成される。
【1082】
いくつかの態様において、組換え微生物は、ピルビン酸の乳酸への変換を触媒する1つまたは複数の内在性酵素を欠失させる、破壊する、変異させる、かつ/またはその活性を低下させるように操作される。いくつかのそのような態様において、ピルビン酸から乳酸への変換を触媒する酵素は、乳酸デヒドロゲナーゼである。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、大腸菌に由来する。いくつかの態様において、乳酸デヒドロゲナーゼは、ldhA遺伝子またはそのホモログによってコードされる。いくつかの態様において、操作は、ピルビン酸からの乳酸の生成を妨げ、代わりに、イソブテンの生成に向けて反応を切り替える。
【1083】
いくつかの態様において、組換え微生物は、D-キシルロースからD-キシロースへの変換を触媒する1つまたは複数の内在性酵素を欠失させる、破壊する、変異させる、かつ/またはその活性を低下させるように操作される。いくつかのそのような態様において、D-キシルロースからD-キシロースへの変換を触媒する酵素はD-キシロースイソメラーゼである。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼは大腸菌由来である。いくつかの態様において、D-キシロースイソメラーゼは、xylA遺伝子またはそのホモログによってコードされる。いくつかの態様において、操作は、D-キシルロースからD-キシロースへの変換を妨げ、代わりに、反応をD-キシルロースからD-キシルロース-1-リン酸、D-キシルロース-5-リン酸、またはD-リブロースへの変換に向けて切り換える。
【実施例】
【1084】
実施例1
PGM3タンパク質のためのインビトロ酵素アッセイ
ScPGM3(SEQ ID NO:255またはSEQ ID NO:258)(サッカロミセス・セレビシエ由来PGM3)によってコードされるホスホペントムターゼであるホスホグルコムターゼの酵素アッセイをグルコース-1,6-二リン酸の存在下でその天然基質、リボース-1-リン酸およびグルコース-1-リン酸を用いて、NADP+からNADPHへの還元をOD 340nmで10分間モニタリングすることによって測定した(
図15)。両方のグルコース分子をMerckから購入した。反応混合物は、60mM HEPES(pH7.5)、60mM KCl、3mM MgCl
2、精製PGM3タンパク質、0.5mM NADP
+、5μM グルコース-1,6-ビスリン酸、8mM グルコース-1-リン酸、および市販の3U/mL グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(Merck製)を含有していた。
【1085】
図16のスキームに従って、ペントース-5P基質(リブロース-5Pおよびキシルロース-5)での活性を決定した。反応混合物は、60mM HEPES(pH 7.5)、60mM KCl、3mM MgCl
2、0.25mM NADH、5μM グルコース-1,6-二リン酸、5mM ペントース(リブロースまたはキシルロース)、4mM ATP、精製PGM3タンパク質、精製リボキナーゼまたはリブロキナーゼ、および以前に記載されたように得られたaldoB(Cam Y. et al. (2015) Engineering of a Synthetic Metabolic Pathway for the Assimilation of (d)-Xylose into Value-Added Chemicals. ACS Synth Biol)、2U/mL グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GPDH)(Merck)を含有していた。結果により、キシルロース-5P PGM3の比活性が約0.015μmol min-1 mg-1であり、リブロース-5P PGM3の特異性が約0.016 ± 0.002μmol min-1 mg-1であったことが示された。
【1086】
実施例2
PGM3タンパク質のためのインビボ酵素アッセイ
インビボのグリコール酸(GA)生成のためにPGM3を使用する実現可能性を評価するために、遺伝子型MG1655 ΔtktA-ΔtktBを有するスクリーニング株の使用に基づきアッセイを開発した。
図17に記載されるように、そのような株は、トランスケトラーゼ遺伝子tktA(GenBank遺伝子ID:947420)およびtktB(GenBank遺伝子ID:945865)を欠失しているので、それ自体キシロースで増殖することができない。しかし、活性PGM3タンパク質を発現している株は、5位の炭素でリン酸化されたペントースを利用して、1位の炭素がリン酸化されたペントースを生成し、続いてアルドラーゼ活性によりペントース-1PをグリコールアルデヒドおよびDHAPに変換することができた。グリコールアルデヒドおよびグリセルアルデヒド-3-リン酸は、グリオキシル酸シャントおよび解糖に入り、株の増殖を支持することができる。結果として、スクリーニング株におけるインビボPGM3活性は、細胞増殖と直接相関される。
【1087】
標準的な手順を用いた、S.セレビシエPGM3および適当なアルドラーゼ(aldoBまたはfucA)の両方を保有するプラスミドのエレクトロポレーションによってスクリーニング株PGM3(MG1655 ΔtktA-ΔtktB)を形質転換した(Woodall C.A. E. coli Plasmid Vectors. Methods in Molecular Biology(商標). 2003. vol 235)。結果として生じた株をM9キシロース培地(20g/L キシロース)中で50時間増殖させた。カナマイシンを終濃度100μg/mLで添加した。増殖をOD600でモニタリングした(
図17)。
【1088】
リブロース-5Pおよびキシルロース-5Pなどの5位の炭素でリン酸化されたペントース中間体は、PPP経路を介してグルコースから自然に得ることができるので、S.セレビシエ由来の活性PGM3は、類似のアプローチでグルコースからのグリコール酸のインビボ生成を実証するためにも適切である。PGM3.Sc過剰発現プラスミドの非存在下で大腸菌MG1655 ΔtktA-ΔtktBの細胞増殖は観察されない。他方、S.セレビシエ由来の活性PGM3がD-キシルロース-5PおよびD-リブロース-5PをそれぞれD-キシルロース-1PおよびD-リブロース-1Pに変換することができ、それで、ペントース-1P中間体がアルドラーゼ活性(D-キシルロース-1Pに対してaldoBおよびD-リブロース-1Pに対してfucA)によってグリコアルデヒドおよびG3Pに変換された場合、大腸菌MG1655 ΔtktA-ΔtktBは、キシロースで増殖する能力を保持した。
【1089】
実施例3
D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ(aldoB)(Maylay AD, et al. (2002) Arch Biochem Biophys, 408:295-304)活性およびD-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ(FucA)(Elsinghorst EA, et al. (1994) J Bacteriol, 176:7223-7232)活性の酵素アッセイを、それぞれそれらの天然基質、キシルロース-1Pおよびリブロース-1Pを用いて
図18のスキームに従って試験した。反応混合物は、60mM HEPES(pH7.5)、60mM KCl、3mM MgCl
2、0.25mM NADH、4mM ATP、精製キナーゼ、およびアルドラーゼ、2U/mL GPDHを含有した。さらに、ペントース-1Pを生成するために使用されたキナーゼはリブロース-1PについてfucK(SEQ ID NO:257)であり(LeBlanc DJ, et al. (1971) Metabolism of D-arabinose: origin of a D-ribulokinase activity in Escherichia coli. J Bacteriol, 106:82-89)、キシルロース-1Pについてkhk-C(SEQ ID NO:256)(Asipu A, et al. (2003) Properties of normal and mutant recombinant human ketohexokinases and implications for the pathogenesis of essential fructosuria. Diabetes, 52:2426-2432)であった。ペントース-5Pを生成するキナーゼについて以前に記載されたように、両方のタンパク質を試験した。
【1090】
HPLC分析
RI検出器、205nmのUV検出器および50℃のPhenomenexカラム(Rezex H+)を備えるThermo Fisher Scientific system(Courtaboeuf, France)を使用する高速液体クロマトグラフィーによって、移動相として2.5mM H2SO4を0.5mL/minで使用してペントース、グリコレートおよびグリセロールの定量を決定した。
【1091】
本開示の番号が付された態様
1. 1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してモノエチレングリコール(MEG)またはグリコール酸(GA)を生成する1つまたは複数の生化学経路を含む、組換え微生物。
2. 1つまたは複数の同時生成物が、MEGまたはGAと同時生成される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
3. 1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体が、D-リボース-5-リン酸、D-キシルロース-5-リン酸またはD-リブロース-5-リン酸のうちの1つまたは複数である、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
4. 前記1つまたは複数の生化学経路が、トランスケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
5. トランスケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来tktAまたはtktBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
6. トランスケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来tktAまたはtktBを含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
7. 前記1つまたは複数の生化学経路が、トランスアルドラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
8. トランスアルドラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来talAまたはtalBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
9. トランスアルドラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌talAおよび大腸菌talBより選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
10. 前記1つまたは複数の生化学経路が、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
11. リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来rpeと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
12. リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来rpeを含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
13. 前記1つまたは複数の生化学経路が、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、態様1~12いずれか1つの組換え微生物。
14. リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来rpiAまたはrpiBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
15. リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来rpiAまたはrpiBを含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
16. グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼおよびホスホグリセリン酸ムターゼより選択される1つまたは複数の内在性酵素における欠失または減少した活性をさらに含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
17. グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼがgapAであり、ホスホグリセリン酸キナーゼがpgkであり、ホスホグリセリン酸ムターゼがgpmAおよび/またはgpmMである、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
18. 前記1つまたは複数の生化学経路が、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
19. フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、ビフィドバクテリウム・デンティウムBDP_1006、ビフィドバクテリウム・ラクティスxfp、ラクトバチルス・パラプランタルムxpkAおよびビフィドバクテリウム・ブレベxfpからなる群より選択されるフルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
20. フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、ビフィドバクテリウム・デンティウムBDP_1006、ビフィドバクテリウム・ラクティスxfp、ラクトバチルス・パラプランタルムxpkAおよびビフィドバクテリウム・ブレベxfpからなる群より選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
21. 前記1つまたは複数の生化学経路が、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
22. リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌ptaおよびクロストリジウム・アセトブチリクムptaより選択されるリン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
23. リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌ptaおよびクロストリジウム・アセトブチリクムptaより選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
24. 内在性6-ホスホフルクトキナーゼ酵素における欠失または減少した活性をさらに含む、前記態様または18~23のいずれか1つの組換え微生物。
25. 6-ホスホフルクトキナーゼがpfkABである、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
26. 前記1つまたは複数の生化学経路が、ペントースホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
27. ペントースホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、D-ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、D-キシルロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、D-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、およびD-リブロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素のうちの1つまたは複数より選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
28. D-ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌phoA、大腸菌yfbTおよび大腸菌yidAからなる群より選択されるD-ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
29. D-ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌phoA、大腸菌yfbTおよび大腸菌yidAからなる群より選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
30. D-キシルロース-5-ホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、枯草菌araLと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
31. D-キシルロース-5-ホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が枯草菌araLである、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
32. D-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、シロイヌナズナSGPP、シュードモナス・フルオレッセンスPFLU_2693、および大腸菌ybiVからなる群より選択されるD-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
33. D-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、シロイヌナズナSGPP、シュードモナス・フルオレッセンスPFLU_2693、および大腸菌ybiVからなる群より選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
34. D-リブロース-5-ホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、熱帯熱マラリア原虫PF10_0325と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
35. D-リブロース-5-ホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が熱帯熱マラリア原虫PF10_0325である、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
36. 前記1つまたは複数の生化学経路が、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
37. アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、およびD-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素のうちの1または複数より選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
38. D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、エンテロコッカス・アビウム由来APDHと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
39. D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、エンテロコッカス・アビウム由来APDHである、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
40. D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、エンテロコッカス・アビウム由来APDHと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
41. D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、エンテロコッカス・アビウム由来APDHである、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
42. D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、カンジダ・アルビカンスARD1、カンジダ・トロピカリスARD1、シェフェルソミセス・スチピチスARDH、枯草菌egsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスegsA、大腸菌gpsAおよびサッカロミセス・セレビシエGPD1からなる群より選択されるD-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
43. D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、カンジダ・アルビカンスARD1、カンジダ・トロピカリスARD1、シェフェルソミセス・スチピチスARDH、枯草菌egsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスegsA、大腸菌gpsAおよびサッカロミセス・セレビシエGPD1からなる群より選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
44. D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、シュードモナス・フルオレッセンスmtlD、クレブシエラ・ニューモニエdalD、ラルストニア・ソラナセラムdalD、枯草菌egsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスegsA、大腸菌gpsAおよびサッカロミセス・セレビシエGPD1からなる群より選択される、D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
45. D-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、シュードモナス・フルオレッセンスmtlD、クレブシエラ・ニューモニエdalD、ラルストニア・ソラナセラムdalD、枯草菌egsA(araM)、アエロピルム・ペルニクスegsA、大腸菌gpsAおよびサッカロミセス・セレビシエGPD1からなる群より選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
46. 前記1つまたは複数の生化学経路が、ホスホペントムターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
47. ホスホペントムターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌deoB、大腸菌pgm、枯草菌pgcA、ラクトコッカス・ラクチスpgmB、大腸菌ycjU、シュードモナス・エルギノーサalgC、および大腸菌cpsGからなる群より選択されるホスホペントムターゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
48. ホスホペントムターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌deoB、大腸菌pgm、枯草菌pgcA、ラクトコッカス・ラクチスpgmB、大腸菌ycjU、シュードモナス・エルギノーサalgC、および大腸菌cpsGからなる群より選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
49. グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコノラクトナーゼおよび6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼより選択される1つまたは複数の内在性酵素における欠失または減少した活性をさらに含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
50. グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼがzwfであり、6-ホスホグルコノラクトナーゼがpglであり、6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼがgndである、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
51. 1つまたは複数の同時生成物が、アセトン、イソプロパノール、プロペン、イソブテンおよび1つまたは複数のセリン経路化合物より選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
52. 1つまたは複数のセリン経路化合物が、セリン、グリシン、モノエタノールアミン(MEA)およびエチレンジアミン(EDA)より選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
53. 1つまたは複数のヘキソース原料が、グルコースまたはそのグルコースのオリゴマーより選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
54. グルコースのオリゴマーが、フルクトース、スクロース、デンプン、セロビオース、マルトース、ラクトースおよびセルロースより選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
55. トランスケトラーゼ活性を有する酵素またはフルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素の発現が、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い変換を可能にする、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
56. MEGまたはGAが、C2経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じて、およびC3経路におけるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)またはピルビン酸の変換を通じて生成される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
57. GAが、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼによるグリコールアルデヒドの酸化によって生成される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
58. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じたMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、グリセリン酸デカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
59. MEGまたはGAが、C2経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じて生成され、1つまたは複数の同時生成物が、C3経路におけるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)またはピルビン酸の変換を通じて生成される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
60. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、およびアセト酢酸デカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、アセトンを含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
61. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、および二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、イソプロパノールを含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
62. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性、およびデヒドラターゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、プロペンを含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
63. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、3-ヒドロキシイソ吉草酸(3HIV)シンターゼ活性、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性、3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性、3HIVキナーゼ活性、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性、および3HIVデカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、イソブテンを含む、前記態様のいずれか1つの方法。
64. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、L-セリンを含む、前記態様のいずれか1つの方法。
65. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、トランスフェラーゼ活性、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性、グリシン開裂系に関連する活性、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、グリコール酸デヒドロゲナーゼ活性、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性、アラニントランスアミナーゼ活性、NAD(P)H依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、グリシンを含む、前記態様のいずれか1つの方法。
66. グリシン開裂系に関連する活性が、グリシンデカルボキシラーゼ(Pタンパク質)、アミノメチルトランスフェラーゼ(Tタンパク質)、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(Lタンパク質)、およびHタンパク質より選択される酵素またはタンパク質を含む、前記態様のいずれか1つの方法。
67. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、トランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、およびエタノールアミンアンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、モノエタノールアミン(MEA)を含む、前記態様のいずれか1つの方法。
68. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、セリンデヒドロゲナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドデカルボキシラーゼ活性、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、アルデヒドオキシダーゼ活性、N-アセチルトランスフェラーゼまたはO-アセチルトランスフェラーゼ活性、N-アセチルセリンデヒドロゲナーゼ活性、トランスアミナーゼ活性、デアセチラーゼ活性、セリンアミナーゼ活性、および2,3-ジアミノプロパン酸アンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、エチレンジアミン(EDA)を含む、前記態様のいずれか1つの方法。
69. C2経路におけるグリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素が、D-タガトース3-エピメラーゼ活性、D-リブロキナーゼ活性、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、D-キシルロース1-キナーゼ活性、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼ活性、キシリトールデヒドロゲナーゼ活性、キシロースイソメラーゼ活性、キシロースデヒドロゲナーゼ活性、キシロノラクトナーゼ活性、キシロン酸デヒドロゲナーゼ活性、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性およびグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
70. グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、キシロースイソメラーゼ、キシルロースキナーゼまたはそれらの組合せにおける活性を減少または欠失させるための1つまたは複数の改変をさらに含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
71. C3経路において生成された過剰のNADHの少なくとも一部が、C2経路における還元当量源として使用される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
72. C3経路において生成された過剰のNADHの少なくとも一部が、ATPを生成するために使用される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
73. 過剰のバイオマス形成が最小限にされ、MEG(もしくはGA)、またはMEG(もしくはGA)と1つまたは複数の同時生成物との生成が最大限にされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
74. 炭素源を提供する1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中でMEGまたはGAが生成されるまで組換え微生物を培養する工程を含む、前記請求項のいずれか一項記載の組換え微生物を使用してMEGまたはグリコール酸(GA)を生成する方法。
75. 1つまたは複数の同時生成物が、MEGまたはGAと同時生成される、前記態様のいずれか1つの方法。
76. 1つまたは複数の同時生成物が、アセトン、イソプロパノール、プロペン、イソブテンおよび1つまたは複数のセリン経路化合物より選択される、前記態様のいずれか1つの方法。
77. 1つまたは複数のセリン経路化合物が、セリン、グリシン、モノエタノールアミン(MEA)およびエチレンジアミン(EDA)より選択される、前記態様のいずれか1つの方法。
78. 1つまたは複数の外来性ヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してMEGまたはグリコール酸(GA)を生成または蓄積する組換え微生物を生成する方法であって、
1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のために1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入する工程;
1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入する工程;
グリコールアルデヒドからMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含むC2経路を組換え微生物に導入する工程;および
DHAPまたはピルビン酸に由来するMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含むC3経路を組換え微生物に導入する工程;および
MEGまたはGAを生成または蓄積させるために、1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中で組換え微生物を培養する工程
を含み、グリコールアルデヒドおよびDHAP(またはピルビン酸)が、C2経路で生成される中間体であり、MEGまたはGAが、C2およびC3経路の両方で生成される、前記方法。
79. 1つまたは複数の外来性ヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してMEGまたはグリコール酸(GA)および1つまたは複数の同時生成物を生成または蓄積する組換え微生物を生成する方法であって、
1つまたは複数のヘキソース原料の1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入する工程;
1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入する工程;
グリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含むC2経路を組換え微生物に導入する工程;および
DHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素を含むC3経路を組換え微生物に導入する工程;および
MEGまたはGAおよび1つまたは複数の同時生成物を生成または蓄積させるために、1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中で組換え微生物を培養する工程
を含み、グリコールアルデヒドおよびDHAP(またはピルビン酸)が、C2経路で生成される中間体であり、MEGまたはGAが、C2経路で生成され、1つまたは複数の同時生成物が、C3経路で生成される、前記方法。
80. グリコールアルデヒドが、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼによってグリコール酸に酸化される、前記態様のいずれか1つの方法。
81. 1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素が、トランスケトラーゼ活性、トランスアルドラーゼ活性、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性、およびリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、前記態様のいずれか1つの方法。
82. グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(gapA)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(pgk)およびホスホグリセリン酸ムターゼ(gpmAおよび/またはgpmM)より選択される1つまたは複数の内在性酵素における活性を減少または欠失させるための1つまたは複数の改変を組換え微生物に導入する工程をさらに含む、前記態様のいずれか1つの方法。
83. 1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素が、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性、トランスケトラーゼ活性、トランスアルドラーゼ活性、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性、およびリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、前記態様のいずれか1つの方法。
84. 1つまたは複数の改変を組換え微生物に導入して、内在性6-ホスホフルクトキナーゼ(pfkAB)酵素における活性を減少または欠失させる工程をさらに含む、前記態様のいずれか1つの方法。
85. 1つまたは複数の改変を組換え微生物に導入して、グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコノラクトナーゼ、および6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼより選択される1つまたは複数の内在性酵素における活性を減少または欠失させる工程をさらに含む、前記態様のいずれか1つの方法。
86. グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼがzwfであり、6-ホスホグルコノラクトナーゼがpglであり、6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼがgndである、前記態様のいずれか1つの方法。
87. 1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素が、ペントースホスファターゼ活性、D-リブロース-5-ホスファターゼ活性、D-リボース-5-ホスファターゼ活性、D-リボースイソメラーゼ活性、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性、およびホスホペントムターゼ活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、前記態様のいずれか1つの方法。
88. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来するMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、グリセリン酸デカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、前記態様のいずれか1つの方法。
89. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、およびアセト酢酸デカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、アセトンを含む、前記態様のいずれか1つの方法。
90. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、および二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、イソプロパノールを含む、前記態様のいずれか1つの方法。
91. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性、およびデヒドラターゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、プロペンを含む、前記態様のいずれか1つの方法。
92. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、3-ヒドロキシイソ吉草酸(3HIV)シンターゼ活性、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性、3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性、3HIVキナーゼ活性、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性、および3HIVデカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、イソブテンを含む、前記態様のいずれか1つの方法。
93. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、L-セリンを含む、前記態様のいずれか1つの方法。
94. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、トランスフェラーゼ活性、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性、グリシン開裂系に関連する活性、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、グリコール酸デヒドロゲナーゼ活性、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性、アラニントランスアミナーゼ活性、およびNAD(P)H依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、グリシンを含む、前記態様のいずれか1つの方法。
95. グリシン開裂系に関連する活性が、グリシンデカルボキシラーゼ(Pタンパク質)、アミノメチルトランスフェラーゼ(Tタンパク質)、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(Lタンパク質)、およびHタンパク質より選択される酵素またはタンパク質を含む、前記態様のいずれか1つの方法。
96. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、トランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、およびエタノールアミンアンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、モノエタノールアミン(MEA)を含む、前記態様のいずれか1つの方法。
97. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、セリンデヒドロゲナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドデカルボキシラーゼ活性、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、アルデヒドオキシダーゼ活性、N-アセチルトランスフェラーゼまたはO-アセチルトランスフェラーゼ活性、N-アセチルセリンデヒドロゲナーゼ活性、トランスアミナーゼ活性、デアセチラーゼ活性、セリンアミナーゼ活性、および2,3-ジアミノプロパン酸アンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、エチレンジアミン(EDA)を含む、前記態様のいずれか1つの方法。
98. C2経路におけるMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素が、D-タガトース3-エピメラーゼ活性、D-リブロキナーゼ活性、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、D-キシルロース1-キナーゼ活性、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼ活性、キシリトールデヒドロゲナーゼ活性、キシロースイソメラーゼ活性、キシロースデヒドロゲナーゼ活性、キシロノラクトナーゼ活性、キシロン酸デヒドロゲナーゼ活性、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性およびグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、前記態様のいずれか1つの方法。
99. グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、キシロースイソメラーゼ、キシルロースキナーゼまたはそれらの組合せにおける活性を減少または欠失させるための1つまたは複数の改変を組換え微生物に導入する工程をさらに含む、前記態様のいずれか1つの方法。
100. 1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してモノエチレングリコール(MEG)またはグリコール酸(GA)を生成する1つまたは複数の生化学経路を含む、組換え微生物。
101. 1つまたは複数の同時生成物が、MEGまたはGAと同時生成される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
102. 1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体が、D-リボース-5-リン酸、D-キシルロース-5-リン酸またはD-リブロース-5-リン酸のうちの1つまたは複数である、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
103. 前記1つまたは複数の生化学経路が、トランスケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
104. トランスケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来tktA tktBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
105. 前記1つまたは複数の生化学経路が、トランスアルドラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
106. トランスアルドラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来talBまたはtalBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
107. 前記1つまたは複数の生化学経路が、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
108. リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来rpeと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
109. 前記1つまたは複数の生化学経路が、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
110. リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来rpiAまたはrpiBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
111. グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼおよび/またはホスホグリセリン酸ムターゼより選択される少なくとも1つの内在性酵素における欠失または減少した活性をさらに含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
112. 前記1つまたは複数の生化学経路が、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
113. フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、ビフィドバクテリウム・デンティウムBDP_1006、ビフィドバクテリウム・ラクティスxfp、ラクトバチルス・パラプランタルムxpkAおよびビフィドバクテリウム・ブレベxfpからなる群より選択される、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
114. 前記1つまたは複数の生化学経路が、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
115. リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌ptaおよびクロストリジウム・アセトブチリクムptaより選択される、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
116. 内在性6-ホスホフルクトキナーゼ酵素における欠失または減少した活性をさらに含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
117. 前記1つまたは複数の生化学経路が、ペントースホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
118. ペントースホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、D-ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、D-キシルロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、D-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、およびD-リブロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素のうちの1つまたは複数より選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
119. 前記1つまたは複数の生化学経路が、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
120. アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、およびD-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素のうちの1つまたは複数より選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
121. 前記1つまたは複数の生化学経路が、ホスホペントムターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
122. グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコノラクトナーゼおよび6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼより選択される1つまたは複数の内在性酵素における欠失または減少した活性をさらに含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
123. 1つまたは複数の同時生成物が、アセトン、イソプロパノール、プロペン、イソブテンおよび1つまたは複数のセリン経路化合物より選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
124. 1つまたは複数のセリン経路化合物が、セリン、グリシン、モノエタノールアミン(MEA)およびエチレンジアミン(EDA)より選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
125. 1つまたは複数のヘキソース原料が、グルコースまたはそのグルコースのオリゴマーより選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
126. グルコースのオリゴマーが、フルクトース、スクロース、デンプン、セロビオース、マルトース、ラクトースおよびセルロースより選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
127. トランスケトラーゼ活性を有する酵素またはフルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素の発現が、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い変換を可能にする、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
128. MEGまたはGAがC2経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じて、およびC3経路におけるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)またはピルビン酸の変換を通じて生成される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
129. GAが、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼによるグリコールアルデヒドの酸化によって生成される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
130. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じたMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、グリセリン酸デカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
131. MEGまたはGAが、C2経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じて生成され、1つまたは複数の同時生成物が、C3経路におけるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)またはピルビン酸の変換を通じて生成される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
132. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、およびアセト酢酸デカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、アセトンを含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
133. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、および二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、イソプロパノールを含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
134. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性、およびデヒドラターゼ-イソメラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、プロペンを含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
135. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、3-ヒドロキシイソ吉草酸(3HIV)シンターゼ活性、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性、3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性、3HIVキナーゼ活性、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性、および3HIVデカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、イソブテンを含む、前記態様のいずれか1つの方法。
136. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、L-セリンを含む、前記態様のいずれか1つの方法。
137. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、トランスフェラーゼ活性、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性、グリシン開裂系に関連する活性、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、グリコール酸デヒドロゲナーゼ活性、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性、アラニントランスアミナーゼ活性、NAD(P)H依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、グリシンを含む、前記態様のいずれか1つの方法。
138. グリシン開裂系に関連する活性が、グリシンデカルボキシラーゼ(Pタンパク質)、アミノメチルトランスフェラーゼ(Tタンパク質)、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(Lタンパク質)、およびHタンパク質より選択される酵素またはタンパク質を含む、前記態様のいずれか1つの方法。
139. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、トランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、およびエタノールアミンアンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、モノエタノールアミン(MEA)を含む、前記態様のいずれか1つの方法。
140. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、セリンデヒドロゲナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドデカルボキシラーゼ活性、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、アルデヒドオキシダーゼ活性、N-アセチルトランスフェラーゼまたはO-アセチルトランスフェラーゼ活性、N-アセチルセリンデヒドロゲナーゼ活性、トランスアミナーゼ活性、デアセチラーゼ活性、セリンアミナーゼ活性、および2,3-ジアミノプロパン酸アンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、エチレンジアミン(EDA)を含む、前記態様のいずれか1つの方法。
141. C2経路におけるグリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素が、D-タガトース3-エピメラーゼ活性、D-リブロキナーゼ活性、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、D-キシルロース1-キナーゼ活性、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼ活性、キシリトールデヒドロゲナーゼ活性、キシロースイソメラーゼ活性、キシロースデヒドロゲナーゼ活性、キシロノラクトナーゼ活性、キシロン酸デヒドロゲナーゼ活性、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性およびグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
142. グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、キシロースイソメラーゼ、キシルロースキナーゼまたはそれらの組合せにおける活性を減少または欠失させるための1つまたは複数の改変をさらに含む、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
143. C3経路において生成された過剰のNADHの少なくとも一部が、C2経路における還元当量源として使用される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
144. C3経路において生成された過剰のNADHの少なくとも一部が、ATPを生成するために使用される、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
145. 過剰のバイオマス形成が最小限にされ、MEG(もしくはGA)、またはMEG(もしくはGA)と1つまたは複数の同時生成物との生成が最大限にされる、前記態様のいずれか1つの組換え微生物。
146. 前記態様のいずれか記載の組換え微生物を使用してMEGまたはグリコール酸(GA)を生成する方法であって、炭素源を提供する1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中でMEGまたはGAが生成されるまで組換え微生物を培養する工程を含む、前記方法。
147. 1つまたは複数の同時生成物が、MEGまたはGAと同時生成される、前記態様のいずれか1つの方法。
148. 1つまたは複数の同時生成物が、アセトン、イソプロパノール、プロペン、イソブテンおよび1つまたは複数のセリン経路化合物より選択される、前記態様のいずれか1つの方法。
149. 1つまたは複数のセリン経路化合物が、セリン、グリシン、モノエタノールアミン(MEA)およびエチレンジアミン(EDA)より選択される、前記態様のいずれか1つの方法。
150. 1つまたは複数の外来性ヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してMEGまたはグリコール酸(GA)を生成または蓄積する組換え微生物を生成する方法であって、
1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;
1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;
グリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含むC2経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;および
DHAPまたはピルビン酸に由来するMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含むC3経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;および
MEGまたはGAを生成または蓄積させるために、1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中で組換え微生物を培養する工程
を含み、
グリコールアルデヒドおよびDHAP(またはピルビン酸)が、C2経路で生成される中間体であり、MEGまたはGAが、C2およびC3経路の両方で生成される、前記方法。
151. 1つまたは複数の外来性ヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してMEGまたはグリコール酸(GA)および1つまたは複数の同時生成物を生成または蓄積する組換え微生物を生成する方法であって、
1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;
1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;
グリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含むC2経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;および
DHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素を含むC3経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;および
MEGまたはGAおよび1つまたは複数の同時生成物を生成または蓄積させるために、1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中で組換え微生物を培養する工程
を含み、
グリコールアルデヒドおよびDHAP(またはピルビン酸)が、C2経路で生成される中間体であり、MEGまたはGAが、C2経路で生成され、1つまたは複数の同時生成物が、C3経路で生成される、前記方法。
152. グリコールアルデヒドが、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼによってグリコール酸に酸化される、前記態様のいずれか1つの方法。
153. 1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素が、トランスケトラーゼ活性、トランスアルドラーゼ活性、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性、およびリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、前記態様のいずれか1つの方法。
154. グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(gapA)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(pgk)およびホスホグリセリン酸ムターゼ(gpmAおよび/またはgpmM)より選択される1つまたは複数の内在性酵素における活性を減少または欠失させるために組換え微生物に1つまたは複数の改変を導入する工程をさらに含む、前記態様のいずれか1つの方法。
155. 1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素が、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性、トランスケトラーゼ活性、トランスアルドラーゼ活性、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性、およびリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、前記態様のいずれか1つの方法。
156. 内在性6-ホスホフルクトキナーゼ(pfkAおよび/またはpfkB)酵素における活性を減少または欠失させるために組換え微生物に1つまたは複数の改変を導入する工程をさらに含む、前記態様のいずれか1つの方法。
157. グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコノラクトナーゼ、および6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼより選択される1つまたは複数の内在性酵素における活性を減少または欠失させるために組換え微生物に1つまたは複数の改変を導入する工程をさらに含む、前記態様のいずれか1つの方法。
158. 1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素が、ペントースホスファターゼ活性、D-リブロース-5-ホスファターゼ活性、D-リボース-5-ホスファターゼ活性、D-リボースイソメラーゼ活性、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性、およびホスホペントムターゼ活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、前記態様のいずれか1つの方法。
159. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来するMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、グリセリン酸デカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、前記態様のいずれか1つの方法。
160. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、およびアセト酢酸デカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、アセトンを含む、前記態様のいずれか1つの方法。
161. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、および二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、イソプロパノールを含む、前記態様のいずれか1つの方法。
162. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性、およびデヒドラターゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、プロペンを含む、前記態様のいずれか1つの方法。
163. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、3-ヒドロキシイソ吉草酸(3HIV)シンターゼ活性、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性、3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性、3HIVキナーゼ活性、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性、および3HIVデカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、イソブテンを含む、前記態様のいずれか1つの方法。
164. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物がL-セリンを含む、前記態様のいずれか1つの方法。
165. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、トランスフェラーゼ活性、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性、グリシン開裂系に関連する活性、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、グリコール酸デヒドロゲナーゼ活性、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性、アラニントランスアミナーゼ活性、およびNAD(P)H依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、グリシンを含む、前記態様のいずれか1つの方法。
166. グリシン開裂系に関連する活性が、グリシンデカルボキシラーゼ(Pタンパク質)、アミノメチルトランスフェラーゼ(Tタンパク質)、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(Lタンパク質)、およびHタンパク質より選択される酵素またはタンパク質を含む、前記態様のいずれか1つの方法。
167. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、トランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、およびエタノールアミンアンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、モノエタノールアミン(MEA)を含む、前記態様のいずれか1つの方法。
168. C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、セリンデヒドロゲナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドデカルボキシラーゼ活性、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、アルデヒドオキシダーゼ活性、N-アセチルトランスフェラーゼまたはO-アセチルトランスフェラーゼ活性、N-アセチルセリンデヒドロゲナーゼ活性、トランスアミナーゼ活性、デアセチラーゼ活性、セリンアミナーゼ活性、および2,3-ジアミノプロパン酸アンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、エチレンジアミン(EDA)を含む、前記態様のいずれか1つの方法。
169. C2経路におけるMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素が、D-タガトース3-エピメラーゼ活性、D-リブロキナーゼ活性、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、D-キシルロース1-キナーゼ活性、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼ活性、キシリトールデヒドロゲナーゼ活性、キシロースイソメラーゼ活性、キシロースデヒドロゲナーゼ活性、キシロノラクトナーゼ活性、キシロン酸デヒドロゲナーゼ活性、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性およびグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、前記態様のいずれか1つの方法。
170. グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、キシロースイソメラーゼ、キシルロースキナーゼまたはそれらの組合せにおける活性を減少または欠失させるために組換え微生物に1つまたは複数の改変を導入する工程をさらに含む、前記態様のいずれか1つの方法。
【1092】
上記の詳細な説明は、理解を明確にするために提供されるものにすぎず、その改変物は当業者に明らかであろうから、そこからいかなる不必要な制約も導かれるべきでない。
【1093】
本開示は、その具体的態様に関連して記載されているが、さらなる改変が可能であること、および本願は、概ね本開示の原理にしたがう、および本開示の属する技術分野における公知または慣習的な実務の中で可能であり、本明細書に示される本質的特徴に適用され得、添付の特許請求の範囲にしたがうそのような本開示からの逸脱を含む、本開示のあらゆる派生物、用法または適用を網羅することが意図されていることが理解されるであろう。
【1094】
本明細書で引用されている特許、特許出願および公報の各々の特許請求の範囲、表図および/または図面を含む開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【1095】
参照による組入れ
本明細書で引用されているすべての参照、論文、刊行物、特許、特許公報および特許出願は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。しかし、本明細書で引用されている任意の参照、論文、刊行物、特許、特許公報、および特許出願の言及は、それらが有効な先行技術を構成する、または世界の任意の国における共通の一般知識の一部を形成するという承認でも任意の形態の示唆でもなく、そのように受け取られるべきではない。さらに、以下の参考文献が、参照により本明細書に組み入れられる。PCT公報WO2001053306;米国特許第7,226,761B2号;およびEPO公報番号EP2957640を参照されたい。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2021-12-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してモノエチレングリコール(MEG)またはグリコール酸(GA)を生成する1つまたは複数の生化学経路を含む、組換え微生物
であって、特に、
1つもしくは複数の同時生成物が、MEGもしくはGAと同時生成される;および/または
1つもしくは複数のペントース-5-リン酸中間体が、D-リボース-5-リン酸、D-キシルロース-5-リン酸もしくはD-リブロース-5-リン酸のうちの1つもしくは複数である、
組換え微生物。
【請求項2】
(i)前記1つ
もしくは複数の生化学経路が、トランスケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含
み、
特に、該少なくとも1つの酵素が、大腸菌(E. coli)由来tktA tktBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる;ならびに/または
(ii)前記1つもしくは複数の生化学経路が、トランスアルドラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含み、特に、該少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来talBまたはtalBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる;ならびに/または
(iii)前記1つもしくは複数の生化学経路が、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含み、特に、該少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来rpeと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる;ならびに/または
(iv)前記1つもしくは複数の生化学経路が、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含み、特に、該少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来rpiAもしくはrpiBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる;ならびに/または
(v)前記1つもしくは複数の生化学経路が、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含み、特に、該少なくとも1つの酵素が、ビフィドバクテリウム・デンティウム(Bifidobacterium dentium)BDP_1006、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)xfp、ラクトバチルス・パラプランタルム(Lactobacillus paraplantarum)xpkAおよびビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)xfpからなる群より選択されるフルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる;ならびに/または
(vi)前記1つもしくは複数の生化学経路が、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含み、特に、該少なくとも1つの酵素が、大腸菌ptaおよびクロストリジウム・アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)ptaより選択されるリン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、もしくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる;ならびに/または
(vii)前記1つもしくは複数の生化学経路が、ペントースホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含み、特に、該少なくとも1つの酵素が、D-ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、D-キシルロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、D-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、およびD-リブロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素のうちの1つもしくは複数より選択される;ならびに/または
(viii)前記1つもしくは複数の生化学経路が、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含み、特に、該少なくとも1つの酵素が、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、およびD-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素のうちの1つもしくは複数より選択される、;ならびに/または
(ix)前記1つもしくは複数の生化学経路が、ホスホペントムターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、
請求項
1記載の組換え微生物。
【請求項3】
グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼおよび/
もしくはホスホグリセリン酸ムターゼより選択される少なくとも1つの内在性酵素における欠失
もしくは減少した活性をさらに含む、請求項
2(i)~(iv)記載の組換え微生物
;または
内在性6-ホスホフルクトキナーゼ酵素における欠失もしくは減少した活性をさらに含む、請求項
2(i)~(vi)記載の組換え微生物;または
グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコノラクトナーゼおよび6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼより選択される1つもしくは複数の内在性酵素における欠失もしくは減少した活性をさらに含む、請求項2(i)~(ix)記載の組換え微生物。
【請求項4】
1つ
もしくは複数の同時生成物が、アセトン、イソプロパノール、プロペン、イソブテンおよび1つ
もしくは複数のセリン経路化合物より選択され
、特に、該1つもしくは複数のセリン経路化合物が、セリン、グリシン、モノエタノールアミン(MEA)およびエチレンジアミン(EDA)より選択される;ならびに/または
1つもしくは複数のヘキソース原料が、グルコースもしくそのグルコースのオリゴマーより選択され、特に、該グルコースのオリゴマーが、フルクトース、スクロース、デンプン、セロビオース、マルトース、ラクトースおよびセルロースより選択される;ならびに/または
トランスケトラーゼ活性を有する酵素もしくはフルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素の発現が、1つもしくは複数のヘキソース原料から1つもしくは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い変換を可能にする、
請求項1~
3のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項5】
MEG
もしくはGAが、C2経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じて、およびC3経路におけるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)
もしくはピルビン酸の変換を通じて生成され
、特に、GAが、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼによるグリコールアルデヒドの酸化によって生成される;または
C3経路におけるDHAPもしくはピルビン酸の変換を通じたMEGもしくはGAの生成のための1つもしくは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)もしくはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼもしくはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、グリセリン酸デカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つもしくは複数の酵素より選択される、
請求項1~
4のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項6】
MEGまたはGAが、C2経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じて生成され、1つまたは複数の同時生成物が、C3経路におけるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)またはピルビン酸の変換を通じて生成され
、特に、C3経路におけるDHAPもしくはピルビン酸の変換を通じた1つもしくは複数の同時生成物の生成のための1つもしくは複数の酵素が、
(i)チオラーゼもしくはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼもしくは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、およびアセト酢酸デカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つもしくは複数の酵素より選択され、1つもしくは複数の同時生成物が、アセトンを含む;または
(ii)チオラーゼもしくはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼもしくは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、および二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つもしくは複数の酵素より選択され、1つもしくは複数の同時生成物が、イソプロパノールを含む;または
(iii)チオラーゼもしくはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼもしくは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性、およびデヒドラターゼ-イソメラーゼ活性より選択される活性を有する1つもしくは複数の酵素より選択され、1つもしくは複数の同時生成物が、プロペンを含む;または
(iv)チオラーゼもしくはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼもしくは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、3-ヒドロキシイソ吉草酸(3HIV)シンターゼ活性、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性、3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性、3HIVキナーゼ活性、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性、および3HIVデカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つもしくは複数の酵素より選択され、1つもしくは複数の同時生成物が、イソブテンを含む;または
(v) 3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)もしくはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つもしくは複数の酵素より選択され、1つもしくは複数の同時生成物が、L-セリンを含む;または
(vi)セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、トランスフェラーゼ活性、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性、グリシン開裂系に関連する活性、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼもしくはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、グリコール酸デヒドロゲナーゼ活性、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性、アラニントランスアミナーゼ活性、NAD(P)H依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つもしくは複数の酵素より選択され、1つもしくは複数の同時生成物が、グリシンを含み、特に、グリシン開裂系に関連する活性が、グリシンデカルボキシラーゼ(Pタンパク質)、アミノメチルトランスフェラーゼ(Tタンパク質)、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(Lタンパク質)、およびHタンパク質より選択される酵素もしくはタンパク質を含む;または
(vii)3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、トランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)もしくはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、およびエタノールアミンアンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つもしくは複数の酵素より選択され、1つもしくは複数の同時生成物が、モノエタノールアミン(MEA)を含む;または
(viii)セリンデヒドロゲナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドデカルボキシラーゼ活性、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、アルデヒドオキシダーゼ活性、N-アセチルトランスフェラーゼもしくはO-アセチルトランスフェラーゼ活性、N-アセチルセリンデヒドロゲナーゼ活性、トランスアミナーゼ活性、デアセチラーゼ活性、セリンアミナーゼ活性、および2,3-ジアミノプロパン酸アンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つもしくは複数の酵素より選択され、1つもしくは複数の同時生成物が、エチレンジアミン(EDA)を含み、かつ
特に、C2経路におけるグリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素が、D-タガトース3-エピメラーゼ活性、D-リブロキナーゼ活性、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、D-キシルロース1-キナーゼ活性、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼ活性、キシリトールデヒドロゲナーゼ活性、キシロースイソメラーゼ活性、キシロースデヒドロゲナーゼ活性、キシロノラクトナーゼ活性、キシロン酸デヒドロゲナーゼ活性、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性およびグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、請求項
1~
5のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項7】
前記組換え微生物が、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、キシロースイソメラーゼ、キシルロースキナーゼ
もしくはそれらの組合せにおける活性を減少
もしくは欠失させるための1つ
もしくは複数の改変をさらに含む
;および/または
C3経路において生成された過剰のNADHの少なくとも一部が、C2経路において還元当量源として使用される、もしくはC3経路において生成された過剰のNADHの少なくとも一部が、ATPを生成するために使用される;および/または
過剰のバイオマス形成が最小限にされ、MEG(もしくはGA)、もしくはMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との生成が最大限にされる、
請求項1~
6のいずれか一項記載の組換え微生物。
【請求項8】
請求項
1~7のいずれか一項記載の組換え微生物を使用してMEGまたはグリコール酸(GA)を生成する方法であって、炭素源を提供する1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中でMEGまたはGAが生成されるまで組換え微生物を培養する工程を含
み、
特に、1つまたは複数の同時生成物が、MEGまたはGAと同時生成され、かつ1つまたは複数の同時生成物が、アセトン、イソプロパノール、プロペン、イソブテンおよび1つまたは複数のセリン経路化合物より選択され、該1つまたは複数のセリン経路化合物が、特に、セリン、グリシン、モノエタノールアミン(MEA)およびエチレンジアミン(EDA)より選択される、前記方法。
【請求項9】
1つまたは複数の外来性ヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してMEGまたはグリコール酸(GA)を生成または蓄積する組換え微生物を生成する方法であって、
1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;
1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;
グリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含むC2経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程
;
DHAPまたはピルビン酸に由来するMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含むC3経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;および
MEGまたはGAを生成または蓄積させるために、1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中で組換え微生物を培養する工程
を含み、
グリコールアルデヒドおよびDHAP(またはピルビン酸)が、C2経路で生成される中間体であり、MEGまたはGAが、C2およびC3経路の両方で生成される、前記方法。
【請求項10】
1つまたは複数の外来性ヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してMEGまたはグリコール酸(GA)および1つまたは複数の同時生成物を生成または蓄積する組換え微生物を生成する方法であって、
1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;
1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;
グリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含むC2経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程
;
DHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素を含むC3経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;および
MEGまたはGAおよび1つまたは複数の同時生成物を生成または蓄積させるために、1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中で組換え微生物を培養する工程
を含み、
グリコールアルデヒドおよびDHAP(またはピルビン酸)が、C2経路で生成される中間体であり、MEGまたはGAが、C2経路で生成され、1つまたは複数の同時生成物が、C3経路で生成される、前記方法。
【請求項11】
グリコールアルデヒドが、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼによってグリコール酸に酸化され
、特に、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素が、トランスケトラーゼ活性、トランスアルドラーゼ活性、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性、およびリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、請求項
9または
10記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(gapA)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(pgk)およびホスホグリセリン酸ムターゼ(gpmAおよび/
もしくはgpmM)より選択される1つ
もしくは複数の内在性酵素における活性を減少
もしくは欠失させるために組換え微生物に1つ
もしくは複数の改変を導入する工程をさらに含む
;ならびに/または
1つもしくは複数のヘキソース原料から1つもしくは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つもしくは複数の酵素が、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性、トランスケトラーゼ活性、トランスアルドラーゼ活性、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性、およびリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する1つもしくは複数の酵素より選択される、特に、前記方法が、内在性6-ホスホフルクトキナーゼ(pfkAおよび/もしくはpfkB)酵素における活性を減少もしくは欠失させるために組換え微生物に1つもしくは複数の改変を導入する工程をさらに含む;ならびに/または
前記方法が、グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコノラクトナーゼ、および6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼより選択される1つもしくは複数の内在性酵素における活性を減少もしくは欠失させるために組換え微生物に1つもしくは複数の改変を導入する工程をさらに含む;ならびに/または
1つもしくは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つもしくは複数のペントースもしくはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つもしくは複数の酵素が、ペントースホスファターゼ活性、D-リブロース-5-ホスファターゼ活性、D-リボース-5-ホスファターゼ活性、D-リボースイソメラーゼ活性、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性、およびホスホペントムターゼ活性を有する1つもしくは複数の酵素より選択される、
請求項
9~
11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来するMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、グリセリン酸デカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、請求項
9記載の方法。
【請求項14】
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、
(i)チオラーゼ
もしくはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼ
もしくは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、およびアセト酢酸デカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つ
もしくは複数の酵素より選択され、1つ
もしくは複数の同時生成物が、アセトンを含む
;または
(ii)チオラーゼもしくはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼもしくは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、および二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つもしくは複数の酵素より選択され、1つもしくは複数の同時生成物が、イソプロパノールを含む;または
(iii)チオラーゼもしくはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼもしくは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性、およびデヒドラターゼ活性より選択される活性を有する1つもしくは複数の酵素より選択され、1つもしくは複数の同時生成物が、プロペンを含む;または
(iv)チオラーゼもしくはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼもしくは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、3-ヒドロキシイソ吉草酸(3HIV)シンターゼ活性、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性、3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性、3HIVキナーゼ活性、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性、および3HIVデカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つもしくは複数の酵素より選択され、1つもしくは複数の同時生成物が、イソブテンを含む;または
(v)3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)もしくはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つもしくは複数の酵素より選択され、1つもしくは複数の同時生成物が、L-セリンを含む;または
(vi)セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、トランスフェラーゼ活性、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性、グリシン開裂系に関連する活性、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼもしくはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、グリコール酸デヒドロゲナーゼ活性、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性、アラニントランスアミナーゼ活性、およびNAD(P)H依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つもしくは複数の酵素より選択され、1つもしくは複数の同時生成物が、グリシンを含み、かつ、特に、グリシン開裂系に関連する活性が、グリシンデカルボキシラーゼ(Pタンパク質)、アミノメチルトランスフェラーゼ(Tタンパク質)、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(Lタンパク質)、およびHタンパク質より選択される酵素もしくはタンパク質を含む;または
(vii)3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、トランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)もしくはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、およびエタノールアミンアンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つもしくは複数の酵素より選択され、1つもしくは複数の同時生成物が、モノエタノールアミン(MEA)を含む;または
(viii)
セリンデヒドロゲナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドデカルボキシラーゼ活性、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、アルデヒドオキシダーゼ活性、N-アセチルトランスフェラーゼもしくはO-アセチルトランスフェラーゼ活性、N-アセチルセリンデヒドロゲナーゼ活性、トランスアミナーゼ活性、デアセチラーゼ活性、セリンアミナーゼ活性、および2,3-ジアミノプロパン酸アンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つもしくは複数の酵素より選択され、1つもしくは複数の同時生成物が、エチレンジアミン(EDA)を含む、
請求項
10記載の方法。
【請求項15】
C2経路におけるMEG
もしくはGAの生成のための1つ
もしくは複数の酵素が、D-タガトース3-エピメラーゼ活性、D-リブロキナーゼ活性、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、D-キシルロース1-キナーゼ活性、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、キシロースレダクターゼ
もしくはアルドースレダクターゼ活性、キシリトールデヒドロゲナーゼ活性、キシロースイソメラーゼ活性、キシロースデヒドロゲナーゼ活性、キシロノラクトナーゼ活性、キシロン酸デヒドロゲナーゼ活性、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性およびグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つ
もしくは複数の酵素より選択される
;ならびに/または
前記方法が、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、キシロースイソメラーゼ、キシルロースキナーゼもしくはそれらの組合せにおける活性を減少もしくは欠失させるために組換え微生物に1つもしくは複数の改変を導入する工程をさらに含む、
請求項
9~
14のいずれか一項記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
いくつかの態様において、本願は、1つまたは複数の外来性ヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してMEGまたはグリコール酸(GA)および1つまたは複数の同時生成物を生成または蓄積する組換え微生物を作製する方法を提供し、該方法は、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;グリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含む1つまたは複数のC2経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;およびDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素を含む1つまたは複数のC3経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;およびMEGまたはGAおよび1つまたは複数の同時生成物を生成または蓄積させるために、1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中で組換え微生物を培養する工程を含み、グリコールアルデヒドおよびDHAP(またはピルビン酸)は、C2経路で生成される中間体であり、MEGまたはGAは、1つまたは複数のC2経路で生成され、1つまたは複数の同時生成物は、1つまたは複数のC3経路で生成される。
[本発明1001]
1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してモノエチレングリコール(MEG)またはグリコール酸(GA)を生成する1つまたは複数の生化学経路を含む、組換え微生物。
[本発明1002]
1つまたは複数の同時生成物が、MEGまたはGAと同時生成される、本発明1001の組換え微生物。
[本発明1003]
1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体が、D-リボース-5-リン酸、D-キシルロース-5-リン酸またはD-リブロース-5-リン酸のうちの1つまたは複数である、本発明1001または1002の組換え微生物。
[本発明1004]
前記1つまたは複数の生化学経路が、トランスケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む、本発明1001~1003のいずれかの組換え微生物。
[本発明1005]
トランスケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌(E. coli)由来tktA tktBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、本発明1004の組換え微生物。
[本発明1006]
前記1つまたは複数の生化学経路が、トランスアルドラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む、本発明1001~1005のいずれかの組換え微生物。
[本発明1007]
トランスアルドラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来talBまたはtalBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、本発明1006の組換え微生物。
[本発明1008]
前記1つまたは複数の生化学経路が、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む、本発明1001~1007のいずれかの組換え微生物。
[本発明1009]
リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来rpeと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、本発明1008の組換え微生物。
[本発明1010]
前記1つまたは複数の生化学経路が、リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む、本発明1001~1009のいずれかの組換え微生物。
[本発明1011]
リボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌由来rpiAまたはrpiBと少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、本発明1010の組換え微生物。
[本発明1012]
グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼおよび/またはホスホグリセリン酸ムターゼより選択される少なくとも1つの内在性酵素における欠失または減少した活性をさらに含む、本発明1001~1011のいずれかの組換え微生物。
[本発明1013]
前記1つまたは複数の生化学経路が、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む、本発明1001~1011のいずれかの組換え微生物。
[本発明1014]
フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、ビフィドバクテリウム・デンティウム(Bifidobacterium dentium)BDP_1006、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)xfp、ラクトバチルス・パラプランタルム(Lactobacillus paraplantarum)xpkAおよびビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)xfpからなる群より選択されるフルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、本発明1013の組換え微生物。
[本発明1015]
前記1つまたは複数の生化学経路が、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素の発現を含む、本発明1013の組換え微生物。
[本発明1016]
リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、大腸菌ptaおよびクロストリジウム・アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)ptaより選択されるリン酸アセチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素と少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によってコードされる、本発明1015の組換え微生物。
[本発明1017]
内在性6-ホスホフルクトキナーゼ酵素における欠失または減少した活性をさらに含む、本発明1001~1011または1013~1016のいずれかの組換え微生物。
[本発明1018]
前記1つまたは複数の生化学経路が、ペントースホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、本発明1001~1017のいずれかの組換え微生物。
[本発明1019]
ペントースホスファターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、D-ペントース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、D-キシルロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、D-リボース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素、およびD-リブロース-5-ホスファターゼ活性を有する酵素のうちの1つまたは複数より選択される、本発明1018の組換え微生物。
[本発明1020]
前記1つまたは複数の生化学経路が、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、本発明1001~1019のいずれかの組換え微生物。
[本発明1021]
アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する少なくとも1つの酵素が、D-アラビトール1-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、D-アラビトール5-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、D-アラビトール1-リン酸2-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素、およびD-アラビトール5-リン酸4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素のうちの1つまたは複数より選択される、本発明1020の組換え微生物。
[本発明1022]
前記1つまたは複数の生化学経路が、ホスホペントムターゼ活性を有する少なくとも1つの酵素を含む、本発明1001~1021のいずれかの組換え微生物。
[本発明1023]
グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコノラクトナーゼおよび6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼより選択される1つまたは複数の内在性酵素における欠失または減少した活性をさらに含む、本発明1001~1022のいずれかの組換え微生物。
[本発明1024]
1つまたは複数の同時生成物が、アセトン、イソプロパノール、プロペン、イソブテンおよび1つまたは複数のセリン経路化合物より選択される、本発明1001~1023のいずれかの組換え微生物。
[本発明1025]
1つまたは複数のセリン経路化合物が、セリン、グリシン、モノエタノールアミン(MEA)およびエチレンジアミン(EDA)より選択される、本発明1024の組換え微生物。
[本発明1026]
1つまたは複数のヘキソース原料が、グルコースまたはそのグルコースのオリゴマーより選択される、本発明1001~1025のいずれかの組換え微生物。
[本発明1027]
グルコースのオリゴマーが、フルクトース、スクロース、デンプン、セロビオース、マルトース、ラクトースおよびセルロースより選択される、本発明1026の組換え微生物。
[本発明1028]
トランスケトラーゼ活性を有する酵素またはフルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性を有する酵素の発現が、1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体へのロスの無い変換を可能にする、本発明1001~1027のいずれかの組換え微生物。
[本発明1029]
MEGまたはGAが、C2経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じて、およびC3経路におけるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)またはピルビン酸の変換を通じて生成される、本発明1001~1028のいずれかの組換え微生物。
[本発明1030]
GAが、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼによるグリコールアルデヒドの酸化によって生成される、本発明1029の組換え微生物。
[本発明1031]
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じたMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、グリセリン酸デカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、本発明1029の組換え微生物。
[本発明1032]
MEGまたはGAが、C2経路におけるグリコールアルデヒドの変換を通じて生成され、1つまたは複数の同時生成物が、C3経路におけるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)またはピルビン酸の変換を通じて生成される、本発明1001~1031のいずれかの組換え微生物。
[本発明1033]
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、およびアセト酢酸デカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、アセトンを含む、本発明1032の組換え微生物。
[本発明1034]
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、および二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、イソプロパノールを含む、本発明1032の組換え微生物。
[本発明1035]
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性、およびデヒドラターゼ-イソメラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、プロペンを含む、本発明1032の組換え微生物。
[本発明1036]
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、3-ヒドロキシイソ吉草酸(3HIV)シンターゼ活性、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性、3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性、3HIVキナーゼ活性、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性、および3HIVデカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、イソブテンを含む、本発明1032の方法。
[本発明1037]
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、L-セリンを含む、本発明1032の方法。
[本発明1038]
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、トランスフェラーゼ活性、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性、グリシン開裂系に関連する活性、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、グリコール酸デヒドロゲナーゼ活性、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性、アラニントランスアミナーゼ活性、NAD(P)H依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、グリシンを含む、本発明1032の方法。
[本発明1039]
グリシン開裂系に関連する活性が、グリシンデカルボキシラーゼ(Pタンパク質)、アミノメチルトランスフェラーゼ(Tタンパク質)、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(Lタンパク質)、およびHタンパク質より選択される酵素またはタンパク質を含む、本発明1038の方法。
[本発明1040]
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、トランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、およびエタノールアミンアンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、モノエタノールアミン(MEA)を含む、本発明1032の方法。
[本発明1041]
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸の変換を通じた1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、セリンデヒドロゲナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドデカルボキシラーゼ活性、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、アルデヒドオキシダーゼ活性、N-アセチルトランスフェラーゼまたはO-アセチルトランスフェラーゼ活性、N-アセチルセリンデヒドロゲナーゼ活性、トランスアミナーゼ活性、デアセチラーゼ活性、セリンアミナーゼ活性、および2,3-ジアミノプロパン酸アンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、エチレンジアミン(EDA)を含む、本発明1032の方法。
[本発明1042]
C2経路におけるグリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素が、D-タガトース3-エピメラーゼ活性、D-リブロキナーゼ活性、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、D-キシルロース1-キナーゼ活性、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼ活性、キシリトールデヒドロゲナーゼ活性、キシロースイソメラーゼ活性、キシロースデヒドロゲナーゼ活性、キシロノラクトナーゼ活性、キシロン酸デヒドロゲナーゼ活性、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性およびグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、本発明1029~1041のいずれかの組換え微生物。
[本発明1043]
グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、キシロースイソメラーゼ、キシルロースキナーゼまたはそれらの組合せにおける活性を減少または欠失させるための1つまたは複数の改変をさらに含む、本発明1001~1042のいずれかの組換え微生物。
[本発明1044]
C3経路において生成された過剰のNADHの少なくとも一部が、C2経路において還元当量源として使用される、本発明1001~1043のいずれかの組換え微生物。
[本発明1045]
C3経路において生成された過剰のNADHの少なくとも一部が、ATPを生成するために使用される、本発明1001~1043のいずれかの組換え微生物。
[本発明1046]
過剰のバイオマス形成が最小限にされ、MEG(もしくはGA)、またはMEG(もしくはGA)と1つもしくは複数の同時生成物との生成が最大限にされる、本発明1001~1045のいずれかの組換え微生物。
[本発明1047]
前記本発明のいずれかの組換え微生物を使用してMEGまたはグリコール酸(GA)を生成する方法であって、炭素源を提供する1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中でMEGまたはGAが生成されるまで組換え微生物を培養する工程を含む、前記方法。
[本発明1048]
1つまたは複数の同時生成物が、MEGまたはGAと同時生成される、本発明1047の方法。
[本発明1049]
1つまたは複数の同時生成物が、アセトン、イソプロパノール、プロペン、イソブテンおよび1つまたは複数のセリン経路化合物より選択される、本発明1048の方法。
[本発明1050]
1つまたは複数のセリン経路化合物が、セリン、グリシン、モノエタノールアミン(MEA)およびエチレンジアミン(EDA)より選択される、本発明1049の方法。
[本発明1051]
1つまたは複数の外来性ヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してMEGまたはグリコール酸(GA)を生成または蓄積する組換え微生物を生成する方法であって、
1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;
1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;
グリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含むC2経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;および
DHAPまたはピルビン酸に由来するMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含むC3経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;および
MEGまたはGAを生成または蓄積させるために、1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中で組換え微生物を培養する工程
を含み、
グリコールアルデヒドおよびDHAP(またはピルビン酸)が、C2経路で生成される中間体であり、MEGまたはGAが、C2およびC3経路の両方で生成される、前記方法。
[本発明1052]
1つまたは複数の外来性ヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体を介してMEGまたはグリコール酸(GA)および1つまたは複数の同時生成物を生成または蓄積する組換え微生物を生成する方法であって、
1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;
1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;
グリコールアルデヒドからのMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素を含むC2経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;および
DHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素を含むC3経路を組換え微生物に導入するか、または該微生物中で発現させる工程;および
MEGまたはGAおよび1つまたは複数の同時生成物を生成または蓄積させるために、1つまたは複数のヘキソース原料を含有する培地中で組換え微生物を培養する工程
を含み、
グリコールアルデヒドおよびDHAP(またはピルビン酸)が、C2経路で生成される中間体であり、MEGまたはGAが、C2経路で生成され、1つまたは複数の同時生成物が、C3経路で生成される、前記方法。
[本発明1053]
グリコールアルデヒドが、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼによってグリコール酸に酸化される、本発明1051または1052の方法。
[本発明1054]
1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素が、トランスケトラーゼ活性、トランスアルドラーゼ活性、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性、およびリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、本発明1051~1053のいずれかの方法。
[本発明1055]
グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(gapA)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(pgk)およびホスホグリセリン酸ムターゼ(gpmAおよび/またはgpmM)より選択される1つまたは複数の内在性酵素における活性を減少または欠失させるために組換え微生物に1つまたは複数の改変を導入する工程をさらに含む、本発明1051~1054のいずれかの方法。
[本発明1056]
1つまたは複数のヘキソース原料から1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素が、フルクトース-6-リン酸ホスホケトラーゼ活性、リン酸アセチルトランスフェラーゼ活性、トランスケトラーゼ活性、トランスアルドラーゼ活性、リブロース-5-リン酸3-エピメラーゼ活性、およびリボース-5-リン酸イソメラーゼ活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、本発明1051~1053のいずれかの方法。
[本発明1057]
内在性6-ホスホフルクトキナーゼ(pfkAおよび/またはpfkB)酵素における活性を減少または欠失させるために組換え微生物に1つまたは複数の改変を導入する工程をさらに含む、本発明1056の方法。
[本発明1058]
グルコース6-リン酸-1-デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコノラクトナーゼ、および6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼより選択される1つまたは複数の内在性酵素における活性を減少または欠失させるために組換え微生物に1つまたは複数の改変を導入する工程をさらに含む、本発明1051~1057のいずれかの方法。
[本発明1059]
1つまたは複数のペントース-5-リン酸中間体から1つまたは複数のペントースまたはペントース-1-リン酸中間体への変換のための1つまたは複数の酵素が、ペントースホスファターゼ活性、D-リブロース-5-ホスファターゼ活性、D-リボース-5-ホスファターゼ活性、D-リボースイソメラーゼ活性、アラビトールリン酸デヒドロゲナーゼ活性、およびホスホペントムターゼ活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、本発明1051~1058のいずれかの方法。
[本発明1060]
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来するMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、グリセリン酸デカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、本発明1051の方法。
[本発明1061]
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、およびアセト酢酸デカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、アセトンを含む、本発明1052の方法。
[本発明1062]
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、および二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、イソプロパノールを含む、本発明1052の方法。
[本発明1063]
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、二級アルコールデヒドロゲナーゼ活性、およびデヒドラターゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、プロペンを含む、本発明1052の方法。
[本発明1064]
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、チオラーゼまたはアセチル補酵素Aアセチルトランスフェラーゼ活性、アセチルCoA:アセト酢酸トランスフェラーゼまたは酢酸:アセトアセチルCoAヒドロラーゼ活性、アセト酢酸デカルボキシラーゼ活性、3-ヒドロキシイソ吉草酸(3HIV)シンターゼ活性、ヒドロキシメチルグルタリルCoAシンターゼ活性、メチルグルタコニルCoAヒドラターゼ活性、メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ活性、メチルクロトニルCoAヒドラターゼ活性、3-ヒドロキシイソバレリルCoAチオエステラーゼ活性、3HIVキナーゼ活性、3HIV-3-リン酸デカルボキシラーゼ活性、および3HIVデカルボキシラーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、イソブテンを含む、本発明1052の方法。
[本発明1065]
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、およびグリセリン酸2-キナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、L-セリンを含む、本発明1052の方法。
[本発明1066]
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、トランスフェラーゼ活性、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、ギ酸デヒドロゲナーゼ活性、グリシン開裂系に関連する活性、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、セリントランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンアミノトランスフェラーゼまたはエタノールアミンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、グリコール酸デヒドロゲナーゼ活性、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ活性、アラニントランスアミナーゼ活性、およびNAD(P)H依存性グルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、グリシンを含む、本発明1052の方法。
[本発明1067]
グリシン開裂系に関連する活性が、グリシンデカルボキシラーゼ(Pタンパク質)、アミノメチルトランスフェラーゼ(Tタンパク質)、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(Lタンパク質)、およびHタンパク質より選択される酵素またはタンパク質を含む、本発明1066の方法。
[本発明1068]
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、3-ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ活性、3-ホスホヒドロキシピルビン酸ホスファターゼ活性、ホスホセリンホスファターゼ活性、トランスアミナーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンオキシドレダクターゼ(脱アミノ化)またはセリン-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ活性、3-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、2-ホスホグリセリン酸ホスファターゼ活性、グリセリン酸3-キナーゼ活性、グリセリン酸2-キナーゼ活性、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、およびエタノールアミンアンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、モノエタノールアミン(MEA)を含む、本発明1052の方法。
[本発明1069]
C3経路におけるDHAPまたはピルビン酸に由来する1つまたは複数の同時生成物の生成のための1つまたは複数の酵素が、セリンデヒドロゲナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドデカルボキシラーゼ活性、アミノアセトアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2-アミノマロン酸セミアルデヒドトランスアミナーゼ活性、2,3-ジアミノプロパン酸デカルボキシラーゼ活性、セリンデカルボキシラーゼ活性、エタノールアミンデヒドロゲナーゼ活性、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性、アルデヒドオキシダーゼ活性、N-アセチルトランスフェラーゼまたはO-アセチルトランスフェラーゼ活性、N-アセチルセリンデヒドロゲナーゼ活性、トランスアミナーゼ活性、デアセチラーゼ活性、セリンアミナーゼ活性、および2,3-ジアミノプロパン酸アンモニアリアーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択され、1つまたは複数の同時生成物が、エチレンジアミン(EDA)を含む、本発明1052の方法。
[本発明1070]
C2経路におけるMEGまたはGAの生成のための1つまたは複数の酵素が、D-タガトース3-エピメラーゼ活性、D-リブロキナーゼ活性、D-リブロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、D-キシルロース1-キナーゼ活性、D-キシルロース-1-リン酸アルドラーゼ活性、キシロースレダクターゼまたはアルドースレダクターゼ活性、キシリトールデヒドロゲナーゼ活性、キシロースイソメラーゼ活性、キシロースデヒドロゲナーゼ活性、キシロノラクトナーゼ活性、キシロン酸デヒドロゲナーゼ活性、2-ケト-3-デオキシ-D-吉草酸アルドラーゼ活性、グリコールアルデヒドレダクターゼ活性およびグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性より選択される活性を有する1つまたは複数の酵素より選択される、本発明1051~1069のいずれかの方法。
[本発明1071]
グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、キシロースイソメラーゼ、キシルロースキナーゼまたはそれらの組合せにおける活性を減少または欠失させるために組換え微生物に1つまたは複数の改変を導入する工程をさらに含む、本発明1051~1070のいずれかの方法。
【国際調査報告】