(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(54)【発明の名称】ハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法
(51)【国際特許分類】
B29C 70/10 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
B29C70/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549096
(86)(22)【出願日】2019-04-17
(85)【翻訳文提出日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 CN2019083031
(87)【国際公開番号】W WO2020211012
(87)【国際公開日】2020-10-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513324321
【氏名又は名称】大連理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】田 闊
(72)【発明者】
【氏名】馬 祥涛
(72)【発明者】
【氏名】王 博
(72)【発明者】
【氏名】郭 杰
(72)【発明者】
【氏名】▲はう▼ 鵬
(72)【発明者】
【氏名】周 演
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG03
4F205HA14
4F205HA35
4F205HA43
4F205HB01
4F205HK19
(57)【要約】
ハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法であって、複合材料構造最適化設計の技術分野に属し、1)代替材料ライブラリを確立するステップと、2)3次元有限要素数値モデルを確立し、幾何学的分割を行うステップと、3)モデル次数低減法を用いて次数低減数値解析モデルを確立するステップと、4)最適化行列式を確立し、離散材料最適化設計を行うステップと、を含む。連続補間関数を用いて離散代替材料ライブラリにおける離散材料を特徴付け、モデルの幾何学的分割及び最適化目標並びに制約に従って設計変数を割り当て、次数低減モデルを用いて数値計算を行って目標と制約応答を得て、離散材料最適化設計を行い、マルチ変数の協調最適化を達成し、最適化設計構成を得る。本発明は、ハイブリッド繊維複合材料構造の一体化設計を達成し、構造トポロジー、繊維含有量、繊維角度、積層順序などの複数積層変数の協調最適化設計を達成し、構造機能的要件を満たすとともに、構造重量を軽減し、材料コストを低減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法であって、以下のステップを含み、
第1のステップでは、代替材料ライブラリを確立し、
試験方法、解析方法、数値計算方法を用いて、異なる繊維体積分率、異なるミクロ繊維分布を有する複合材料の材料属性を求め、古典的な積層板理論を用いて、異なる繊維角度及び積層順序積層板の一般的なシェル剛性係数を計算し、異なる組合積層板のシェル剛性係数を、後続の離散材料最適化の準備としてハイブリッド繊維複合材料の代替材料ライブラリを確立する離散材料最適化における設計変数として使用され、
代替材料ライブラリを確立し、異なるレベルの強さを有する材料を代替材料ライブラリに入れ、異なるスケールの設計変数を同じ階層に統合し、ハイブリッド繊維複合材料構造のマクロスケール、複数階層の変数協調最適化設計を達成し、
第2のステップでは、3次元有限要素数値モデルを確立し、幾何学的分割を行い、
複合材料の板巻きシェル構造の3次元有限要素数値モデルを確立し、有限要素数値モデルを構造の幾何学的形状、機能的要件に応じて幾何学的分割処理し、板巻きシェル構造に対する分割最適化設計は、構造の設計空間を拡大することができ、続いて、離散材料最適化により、各隣接する領域がいずれも異なる代替材料である可変剛性の板巻きシェル構造を得ることができ、
第3のステップでは、モデル次数低減法を用いて次数低減数値解析モデルを確立し、
モデル次数低減法を用いて有限要素数値モデルの次元を低減し、数値解析の計算コストを低減することで、ハイブリッド複合材料の高速協調最適化設計を可能にし、
第4のステップでは、最適化行列式を確立し、離散材料最適化設計を行い、
最適化行列式及び離散材料最適化モデルを設計要求に従って確立し、目標及び制約は、剛性、周波数、屈曲などの力学的応答を含む設計初期の具体的な要求に従うものとし、最適化行列式の一般式は、以下のとおりであり、
式中、xは設計変数、x
iは設計変数のi番目の成分、Lは設計変数の数、uは力学制御方程式、Fは目標関数、Gは制約関数であり、
第1のステップで得られた代替材料ライブラリにおける離散材料を設計変数として、連続補間関数を用いて代替材料ライブラリにおける離散材料を特徴付け、第2のステップで得られた分割3次元有限要素数値モデルを設計の幾何学的モデルとして、モデルの幾何学的分割及び最適化目標並びに制約に従って設計変数を割り当て、第3のステップで得られた次数低減モデルを最適化過程で用いる数値解析モデルとして、次数低減モデルを用いて数値計算を行って目標と制約応答を得て、離散材料最適化設計を行うとともに、繊維体積分率、繊維角度、積層順序などのマルチ変数のクロススケール協調最適化設計を行い、機能的要件を満たす最適化設計構成を得る、
ことを特徴とするハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法。
【請求項2】
第4のステップは、具体的には、以下を含み、
(1)連続補間式を用いて離散材料を連続的に特徴付け、材料補間フォーマットが式(2)に示される。
(2)有限要素次数低減モデルに基づいて、目標関数及び制約を計算し、感度情報を計算し、ここで、感度情報の計算方法には、直接法、付随法、差分法が含まれ、
(3)最適化問題が収束するまで、勾配クラス最適化方法を用いて最適化問題を解き、ここで、最適化方法には、ニュートン法、擬似ニュートン法、移動漸近線法などが含まれ、
(4)最適化結果における中間密度を排除し、材料選択の明確な設計結果を得る、
ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法。
【請求項3】
第1のステップに記載の解析方法は、混合式法であり、数値方法は、均一化方法、代表体積要素法などを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法。
【請求項4】
第2のステップに記載のモデル次数低減法は、特徴正値固有直交分解法POD、動力学モード分解法DMDを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法。
【請求項5】
第2のステップに記載のモデル次数低減法は、特徴正値固有直交分解法POD、動力学モード分解法DMDを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料構造最適化設計の技術分野に属し、ハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化複合材料は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの強化繊維材料と母材が、巻き付け、圧印、又は引き抜きなどの成形プロセスにより形成された複合材料である。繊維強化複合材料は、(1)比強度が高く、比弾性率が大きい、(2)材料特性が意匠性を有する、(3)耐食性及び耐久性が高い、(4)熱膨張係数がコンクリートに近い、という特徴を有する。これらの特徴により、繊維強化複合材料は、近年の構造物の大スパン化、嵩高化、高負荷化、軽量化かつ高強度、過酷な条件での動作開発の要件を満たすとともに、近年の建築施工の工業化開発の要件を満たすことができるため、各種の民生用建築物、橋梁、道路、海洋、水上構造物及び地下構造物などの分野に幅広く利用されている。繊維強化複合材料は、多種多様であり、炭素繊維複合材料は、比強度が大きく、比剛性が高いが、高価であり、伸びが低いなど、強化繊維複合材料のそれぞれに特有の利点及び欠点があるため、1970年代にハイブリッド繊維複合材料が出現している。ハイブリッド繊維複合材料は、2種類以上の繊維が異なるハイブリッド方式により形成された強靭な構造材料である。これは、繊維のそれぞれの特徴を保持し、異なる属性を並立させるだけでなく、いくつかの固有の優勢を示す。現在、ハイブリッド繊維複合材料は、航空、宇宙、自動車、船舶、医療などの分野で幅広く利用されている。ハイブリッド複合材料部材は、単一繊維複合材料よりも設計の自由度が大きい。ハイブリッド複合材料部材プロセスは、単一繊維複合材料よりも実現可能性が高く、それに応じて部材の設計の自由度をさらに拡大する。ガラス繊維複合材料の航空機翼の翼端部の剛性が不十分である場合、剛性を高めるために、炭素繊維を翼端部に適切に使用してハイブリッド複合材料部材を製造することができる。また、そのようなハイブリッド複合材料部材の設計は、プロセス上困難ではない。ハイブリッド繊維複合材料は、構造的使用性能要件に応じて、異なるタイプの繊維、異なる繊維の相対的含有量、異なるハイブリッド方式により、複合材料構造と機能の並立に対する要件を満たすように設計することができる。また、性能が許す限り、高価な繊維の一部を安価な繊維で置換してハイブリッド複合材料部材を製造することにより、材料コストを低減することができる。一方、ハイブリッド複合材料部材を、適当に高価ではあるが高性能な繊維を使用して製造することにより、材料の高性能/価格比が得られ、同様に大きな経済効果が得られる。ハイブリッド繊維複合材料の使用は、構造設計の自由度と材料の適用範囲を拡大し、構造重量を軽減し、材料コストを低減し、経済効果を高めることができる。したがって、ハイブリッド繊維複合材料の構造に適用するための効率的な最適化設計方法を発明することは、ますます重要であり、これは、ハイブリッド繊維複合材料の潜在的な優勢を十分に発揮するための有効なアプローチでもあり、ハイブリッド繊維複合材料の幅広い適用を推進するために必要な手段である。
【0003】
有限要素などの数値解析方法の高速な発展に伴い、数値モデルに基づく構造最適化方法が複合材料構造最適化設計の重要なアプローチの1つとなっている。従来の複合材料構造設計では、一般に、トポロジー、形状、寸法の最適化の順序に従って、複合材料の繊維角度、繊維含有量、積層順序を設計変数として、異なるスケールの設計変数をレベルに応じて段階的にデカップリング最適化する。変数のグループ化かつデカップリングの方式は最適化効率を向上させるが、構造応答に対する変数間カップリング関係の影響を無視し、設計空間を制限し、ハイブリッド繊維複合材料の優勢を十分に発揮できない。文献の検討によれば、現在、有効なハイブリッド繊維の板巻きシェル構造の効率的な最適化設計方法はない。したがって、ハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法を発明するとともに、ハイブリッド複合材料の構造トポロジー、繊維含有量、繊維角度、積層順序などのクロススケール変数を達成する効率的な協調最適化設計を発明し、構造機能的要件を満たすとともに、構造重量を軽減し、材料コストを低減し、経済効果を高めることが強く望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ハイブリッド繊維複合材料構造のクロススケール設計変数の協調最適化が難しい問題を主に解決し、工学における大規模構造の計算最適化効率が低い問題を解決するために、ハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法を提供する。繊維含有量、繊維角度、トポロジー変数などのクロススケール、複数階層の設計変数を同じマクロスケールに統合し、代替材料ライブラリを確立し、離散材料最適化方法を用いてハイブリッド繊維複合材料構造の協調最適化を達成し、異なる構造機能的要件における複合材料一体化設計を解決する。かつ、幾何学的分割とモデル次数低減技術を組み合わせて数値解析と最適化効率を向上させ、大規模構造の最適化効率が低い問題を解決する。この方法は、構造のマクロ応答に対する異なるスケールの変数カップリング関係の影響を十分に考慮し、材料分割レイアウト最適化によりマクロ変剛性の革新的設計をもたらし、設計空間を拡大し、ハイブリッド繊維複合材料の潜在力を十分にマイニングし、設計要件を満たし、材料コストを低減する革新的設計構成を提供することで、経済効果を高めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目標を達成するために、本発明の技術的解決手段は、以下のとおりである。
【0006】
ハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法であって、具体的に以下のステップを含む。
【0007】
第1のステップでは、代替材料ライブラリを確立する。
【0008】
試験方法、解析方法、数値計算方法を用いて、異なる繊維体積分率、異なるミクロ繊維分布を有する複合材料の材料属性を求め、古典的な積層板理論を用いて、異なる繊維角度及び積層順序積層板の一般的なシェル剛性係数を計算した。異なる組合積層板のシェル剛性係数を、後続の離散材料最適化の準備としてハイブリッド繊維複合材料の代替材料ライブラリを確立する代替材料(離散材料最適化における設計変数)として使用される。代替材料ライブラリを確立し、異なるレベルの強さを有する材料を代替材料ライブラリに入れることは、本特許のマクロスケール協調最適化を達成するための重要な技術であり、異なるスケールの設計変数を同じ階層に統合し、異なるスケール変数間のカップリング関係を十分に考慮することで、ハイブリッド繊維複合材料構造のマクロスケール、複数階層の変数協調最適化設計を達成することができる。
【0009】
前記解析方法は、混合式法であり、数値方法は、均一化方法、代表体積要素法などを含む。
【0010】
第2のステップでは、3次元有限要素数値モデルを確立し、幾何学的分割を行う。
【0011】
複合材料の板巻きシェル構造の3次元有限要素数値モデルを確立し、有限要素数値モデルを構造の幾何学的形状、機能的要件に応じて幾何学的分割処理する。幾何学的分割は、最適化の進行を加速するだけでなく、最適化結果が加工製造プロセスを満たすことを可能にし、加工製造を容易にする新規な構造設計形をもたらす。板巻きシェル構造に対する分割最適化設計は、構造の設計空間を拡大することができ、続いて、離散材料最適化により、各隣接する領域がいずれも異なる代替材料である可変剛性の板巻きシェル構造を得ることができる。
【0012】
第3のステップでは、モデル次数低減法を用いて次数低減数値解析モデルを確立する。
【0013】
複雑な構造詳細を有するハイブリッド繊維板巻きシェル構造について、精密モデルに基づく有限要素解析の展開は、多くの計算リソース及び計算時間を必要とし、最適化の進行を加速するために、本発明は、モデル次数低減法を用いて有限要素数値モデルの次元を低減し、数値解析の計算コストを低減することで、ハイブリッド複合材料の高速協調最適化設計を可能にする。前記モデル次数低減法は、特徴正値固有直交分解法(ProperOrthogonalDecomposition、POD)、動力学モード分解法(DynamicModeDecomposition、DMD)を含む。
【0014】
次数低減モデルを確立するステップは、主に、まずラテン超方格サンプリング、直交サンプリングなどのサンプリング法を用いて離散設計空間において所定数の標本点を抽出し、選択された標本点に対して精密有限要素数値解析を行い、上記の精密解析の結果に基づいて初期縮約基を確立するステップと、次に、主成分解析などの数学的方法により初期短縮基から構造の主な成分を抽出し、短縮基ベクトルを構築するステップと、最後に、短縮基ベクトルに基づいて、精密有限要素数値モデルに対して自由度短縮を行い、次数低減モデルを構築し、精度応答を満たせる次数低減モデルを計算できるようにするとともに、解析時間を減少するステップと、を含む。
【0015】
第4のステップでは、最適化行列式を確立し、離散材料最適化設計を行う。
【0016】
最適化行列式及び離散材料最適化モデルを設計要求に従って確立し、目標及び制約は、一般に、剛性、周波数、屈曲などの力学的応答を含む設計初期の具体的な要求に従うものとする。最適化行列式の一般式は、以下のとおりであり、
式中、xは設計変数、x
iは設計変数のi番目の成分、Lは設計変数の数、uは力学制御方程式、Fは目標関数、Gは制約関数である。
【0017】
第1のステップで得られた代替材料ライブラリにおける離散材料を設計変数として、連続補間関数を用いて代替材料ライブラリにおける離散材料を特徴付ける。第2のステップで得られた分割3次元有限要素数値モデルを設計の幾何学的モデルとして、モデルの幾何学的分割及び最適化目標並びに制約に従って設計変数を割り当てる。第3のステップで得られた次数低減モデルを最適化過程で用いる数値解析モデルとして、次数低減モデルを用いて数値計算を行って目標と制約応答を得て、離散材料最適化設計を行い、繊維体積分率、繊維角度、積層順序などのマルチスケール変数の協調最適化設計を達成し、機能的要件を満たす最適化設計モデルを得る。具体的なステップは、以下を含む。
【0018】
(1) 連続補間式を用いて離散材料を連続的に特徴付け、材料補間フォーマットが式(2)に示される。
【0019】
(2)有限要素次数低減モデルに基づいて、目標関数及び制約を計算し、感度情報を計算する。ここで、感度情報の計算方法には、直接法、付随法、差分法が含まれる。
【0020】
(3)最適化問題が収束するまで、勾配クラス最適化方法を用いて最適化問題を解く。ここで、最適化方法には、ニュートン法、擬似ニュートン法、移動漸近線法などが含まれる。
【0021】
(4)最適化結果における中間密度を排除し、材料選択の明確な設計結果を得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明の有益な効果は、本発明のハイブリッド繊維複合材料構造に関するクロススケールの複数階層の設計変数問題を、異なるスケールの設計変数を同じ階層に統合する代替材料ライブラリを確立することにより、離散材料最適化設計を展開することにより、新規な構造材料レイアウト構成を得ることで、ハイブリッド繊維複合材料の協調最適化設計を達成する。また、幾何学的分割とモデル次数低減方法により、最適化プロセスを加速し、高速最適化設計を達成する。本発明にて提供される方法は、ハイブリッド繊維複合材料構造の一体化設計を達成し、構造トポロジー、繊維含有量、繊維角度、積層順序などのクロススケール、マルチ変数の協調最適化設計を達成し、構造機能的要件を満たすとともに、構造重量を軽減し、材料コストを低減し、経済効果を高めることができることである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例にて提供されるハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法を達成するフローチャートである。
【
図2】本発明の矩形状薄板の実施例にて提供される最適化結果の概念図であり、(a)ハイブリッド繊維複合材料板のマクロ材料分布であり、(b)繊維角度の積層順序及び内部繊維体及び繊維分布である。
【
図3】本発明の矩形状薄板の実施例にて提供される設計領域、負荷境界及び幾何学的分割を示す図である。
【
図4】本発明の矩形状薄板の実施例にて提供される初期設計構成であり、(a)積層板の第1層の積層角度の分布図であり、(b)積層板の第2層の積層角度の分布図である。
【
図5】本発明の矩形状薄板の実施例にて提供されるハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法で得られた革新的構成を示す図であり、(a)積層板の第1層の積層角度の分布図であり、(b)積層板の第2層の積層角度の分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明により解決される方法の問題、採用される方法手段、及び達成される方法の効果をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施例にて提供されるハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法を達成するフローチャートである。
図1に示すように、本発明の実施例にて提供されるハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法は、1)代替材料ライブラリを確立するステップと、2)3次元有限要素数値モデルを確立し、幾何学的分割を行うステップと、3)モデル次数低減法を用いて次数低減数値解析モデルを確立するステップと、4)最適化行列式を確立し、離散材料最適化設計を行うステップと、を含む。連続補間関数を用いて離散代替材料ライブラリにおける離散材料を特徴付け、モデルの幾何学的分割及び最適化目標並びに制約に従って設計変数を割り当て、次数低減モデルを用いて数値計算を行って目標と制約応答を得て、離散材料最適化設計を行い、繊維体積分率、繊維角度、積層順序などのマルチ変数の協調最適化を達成し、機能的要件を満たす最適化設計構成を得る。具体的なステップは、以下を含む。
【0026】
第1のステップでは、代替材料ライブラリを確立する。
【0027】
ハイブリッド繊維複合材料の選択可能な繊維体積分率及び繊維角度を決定し、異なる繊維体積分率の材料属性を、解析法を用いて計算し、異なる繊維角度及び積層順序配列を有する組合積層板の等価シェル剛性係数を、古典的な積層理論に基づいて計算し、全ての設計変数をマクロスケールに統合し、後続の離散材料最適化に使用するための代替材料ライブラリを確立する。
図2は、ハイブリッド複合材料構造の協調最適化結果の概念を示す図である。
【0028】
第2のステップでは、3次元有限要素数値モデルを確立し、幾何学的分割を行う。
【0029】
本発明の実施例は、ハイブリッド繊維の矩形状薄板の最適化設計である。ANASYS、ABAQUSなどの市販有限要素ソフトウェア又は有限要素セルフプログラムから確立された構造の3次元有限要素数値モデルに基づいて、境界条件及び負荷を印加し、経験的及び機能的要件に従って幾何学的分割を行う。本実施例では、5×5の矩形の規則的領域に分割される。
図3は、有限要素モデルの境界条件及び幾何学的分割を示す図である。
【0030】
第3のステップでは、モデル次数低減法を用いて次数低減数値解析モデルを確立する。
【0031】
まず、離散設計域において最適なラテン超方格サンプリング法を用いて100個の標本点を抽出し、標本点に基づいて線形屈曲解析を行い、初期ベクトル基を取得する。本実施例では、固有直交分解法(ProperOrthogonalDecomposition、POD)方法を用いて抽出モデルの主成分を解析し、縮約基ベクトルを構築し、次数低減モデルを確立し、高速数値解析を達成する。
【0032】
第4のステップでは、最適化行列式を確立し、離散材料最適化設計を行う。
【0033】
最大屈曲負荷を最適化目標とし、材料コストを制約として最適化行列式を確立し、
【0034】
第1のステップで得られた代替材料ライブラリにおける離散材料を設計変数として、連続補間関数を用いて代替材料ライブラリにおける離散材料を特徴付け、第2のステップで得られた分割された3次元有限要素数値モデルを設計の幾何学的モデルとして、モデルの幾何学的分割及び最適化目標並びに制約に従って設計変数を割り当て、第3のステップで得られた次数低減モデルを最適化過程で用いる数値解析モデルとして、次数低減モデルを用いて数値計算を行って目標と制約応答を得て、離散材料最適化設計を行い、繊維体積分率、繊維角度、積層順序などのマルチスケール変数の協調最適化設計を達成し、機能的要件を満たす最適化設計モデルを得る。
図4は、初期設計構成であり、
図5は、最適化された革新的構成設計であり、最適化の具体的なステップは、以下を含む。
【0035】
(1)連続補間式を用いて離散材料を連続的に特徴付け、材料補間フォーマットが以下に示される。
【0036】
(2)有限要素次数低減モデルに基づいて、線形屈曲解析を行い、構造物の屈曲負荷を計算し、コンパニオン法を用いて感度情報を計算する。
【0037】
(3)最適化問題が収束するまで、数学的計画法における移動漸近線(MMA)法を用いて最適化問題を解く。
【0038】
(4)最適化結果における中間密度を排除し、材料選択の明確な設計結果を得る。
図5に示される。
【0039】
本発明は、ハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法を提供し、ハイブリッド繊維複合材料構造に関するクロススケールの複数階層の設計変数問題を、異なるスケールの設計変数を同じ階層に統合する代替材料ライブラリを確立することにより、離散材料最適化設計を展開することにより、新規な構造材料レイアウト構成を得ることで、ハイブリッド繊維複合材料の協調最適化設計を達成する。また、幾何学的分割とモデル次数低減方法により、最適化プロセスを加速し、高速最適化設計を達成する。本発明にて提供される方法は、ハイブリッド繊維複合材料構造の一体化設計を達成し、構造トポロジー、繊維含有量、繊維角度、積層順序などのクロススケール、マルチ変数の協調最適化設計を達成し、構造機能的要件を満たすとともに、構造重量を軽減し、材料コストを低減し、経済効果を高めることができる。
【0040】
最後に説明すべきなのは、上記の各実施例は、本発明の方法手段を説明するためにのみ使用され、それを限定するものではなく、前述の各実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、前述の各実施例に記載の方法手段に対する修正、又はその中の方法特徴の一部又は全部に対する同等の置換は、対応する方法手段の本質を本発明の各実施例の方法手段の範囲から逸脱しないことが理解されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより処理され実行されるハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法であって、以下のステップを含み、
第1のステップでは、代替材料ライブラリ
が確立
され、
試験方法、解析方法、数値計算方法を用いて、異なる繊維体積分率、異なるミクロ繊維分布を有する複合材料の材料属性
が求め
られ、古典的な積層板理論を用いて、異なる繊維角度及び積層順序積層板の一般的なシェル剛性係数
が計算
され、異なる組合積層板のシェル剛性係数
が、後続の離散材料最適化の準備としてハイブリッド繊維複合材料の代替材料ライブラリを確立する離散材料最適化における設計変数として使用され、
代替材料ライブラリ
が確立
され、異なるレベルの強さを有する材料が代替材料ライブラリに入れ
られ、異なるスケールの設計変数
が同じ階層に統合
されてハイブリッド繊維複合材料構造のマクロスケール、複数階層の変数協調最適化設計
が達成
され、
第2のステップでは、3次元有限要素数値モデル
が確立
され、幾何学的分割
が行
われ、
複合材料の板巻きシェル構造の3次元有限要素数値モデル
が確立
され、有限要素数値モデル
が構造の幾何学的形状、機能的要件に応じて幾何学的分割処理
され、板巻きシェル構造に対する分割最適化設計は、構造の設計空間を拡大することができ、続いて、離散材料最適化により、各隣接する領域がいずれも異なる代替材料である可変剛性の板巻きシェル構造
が得
られ、
第3のステップでは、モデル次数低減法を用いて次数低減数値解析モデル
が確立
され、
モデル次数低減法を用いて有限要素数値モデルの次元を低減し、数値解析の計算コストを低減することで、ハイブリッド複合材料の高速協調最適化設計
が可能に
され、
第4のステップでは、最適化行列式
が確立
され、離散材料最適化設計
が行
われ、
最適化行列式及び離散材料最適化モデル
が設計要求に従って確立
され、目標及び制約は、剛性、周波数、屈曲などの力学的応答を含む設計初期の具体的な要求に従うものとし、最適化行列式の一般式は、以下のとおりであり、
式中、xは設計変数、x
iは設計変数のi番目の成分、Lは設計変数の数、uは力学制御方程式、Fは目標関数、Gは制約関数であり、
第1のステップで得られた代替材料ライブラリにおける離散材料を設計変数として、連続補間関数を用いて代替材料ライブラリにおける離散材料
が特徴付け
られ、第2のステップで得られた分割3次元有限要素数値モデルを設計の幾何学的モデルとして、モデルの幾何学的分割及び最適化目標並びに制約に従って設計変数
が割り当て
られ、第3のステップで得られた次数低減モデルを最適化過程で用いる数値解析モデルとして、次数低減モデルを用いて数値計算
が行
われて目標と制約応答
が得
られ、離散材料最適化設計
が行
われるとともに、繊維体積分率、繊維角度、積層順序などのマルチ変数のクロススケール協調最適化設計
が行
われ、機能的要件を満たす最適化設計構成
が得
られる、
ことを特徴とするハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法。
【請求項2】
第4のステップは、具体的には、以下を含み、
(1)連続補間式を用いて離散材料を連続的に特徴付け、材料補間フォーマットが式(2)に示される。
(2)有限要素次数低減モデルに基づいて、目標関数及び制約
が計算
され、感度情報
が計算
され、ここで、感度情報の計算方法には、直接法、付随法、差分法が含まれ、
(3)最適化問題が収束するまで、勾配クラス最適化方法を用いて最適化問題
が解
かれ、ここで、最適化方法には、ニュートン法、擬似ニュートン法、移動漸近線法などが含まれ、
(4)最適化結果における中間密度
が排除
され、材料選択の明確な設計結果
が得
られる、
ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法。
【請求項3】
第1のステップに記載の解析方法は、混合式法であり、数値方法は、均一化方法、代表体積要素法などを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法。
【請求項4】
第2のステップに記載のモデル次数低減法は、特徴正値固有直交分解法POD、動力学モード分解法DMDを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法。
【請求項5】
第2のステップに記載のモデル次数低減法は、特徴正値固有直交分解法POD、動力学モード分解法DMDを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド繊維複合材料の板巻きシェル構造に対する高速協調最適化方法。
【国際調査報告】