(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(54)【発明の名称】光導波路ユニット、アレイ及び平板レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 30/56 20200101AFI20220406BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
G02B30/56
G02B5/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549103
(86)(22)【出願日】2019-06-26
(85)【翻訳文提出日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 CN2019092939
(87)【国際公開番号】W WO2020258069
(87)【国際公開日】2020-12-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521009979
【氏名又は名称】安徽省東超科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ANHUI EASPEED TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Level 1, Building A3, Chuanggu Technology Park, No. 900 Wangjiang West Road, High-Tech District, Hefei, Anhui 230088, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】範 超
(72)【発明者】
【氏名】韓 東成
【テーマコード(参考)】
2H042
2H199
【Fターム(参考)】
2H042AA02
2H042AA03
2H042AA26
2H199BA32
2H199BB17
2H199BB29
(57)【要約】
光導波路ユニット(100)は、複数の反射ユニット(1)と、互いに積み重ねられた複数のサブ導波路(2)とを含む。前記反射ユニット(1)の構成は同じであり、前記反射ユニット(1)は金属層(1a)、全反射層(1b)、媒体反射層(1c)のうちの任意の1つ又は任意の2つの組み合わせである。各前記サブ導波路(2)の両側にそれぞれ1つの前記反射ユニット(1)があり、前記複数のサブ導波路(2)の積み重ね方向において、前記複数のサブ導波路(2)の高さのうちの少なくとも2つが異なり、前記サブ導波路(2)の異なる高さ値は、異なる入射角方向に対応する。本開示はまた、光導波路アレイ(1000a、1000b)及び平板レンズを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の反射ユニットと、互いに積み重ねられた複数のサブ導波路とを含み、
前記反射ユニットの構成は同じであり、前記反射ユニットは金属層、全反射層、媒体反射層のうちの任意の1つ又は任意の2つの組み合わせであり、
各前記サブ導波路の両側にそれぞれ1つの前記反射ユニットがあり、前記複数のサブ導波路の積み重ね方向において、前記複数のサブ導波路の高さのうちの少なくとも2つが異なり、前記サブ導波路の異なる高さの値は、異なる入射角方向に対応する、ことを特徴とする光導波路ユニット。
【請求項2】
各前記サブ導波路の高さの範囲は0.1mm~5mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路ユニット。
【請求項3】
前記サブ導波路の屈折率がn>1.46である、ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路ユニット。
【請求項4】
前記複数のサブ導波路は複数種類を含み、各種類のサブ導波路の高さが同じであり、第i種類の前記サブ導波路の高さは、
パラメータθ
iは、観測視角範囲内で選択された予め設定された角度であり、nは前記サブ導波路の光学屈折率であり、
前記複数種類のサブ導波路の高さは、対応するサブ導波路の数に反比例する、ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路ユニット。
【請求項5】
前記反射ユニットは金属層、金属層と全反射層、及び金属層と媒体反射層のうちの1つである、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の光導波路ユニット。
【請求項6】
前記金属層の材料は、銀、アルミニウム、又はクロムであり、前記金属層の高さhmは、0.001mm<hm<0.1mmを満たす、ことを特徴とする請求項5に記載の光導波路ユニット。
【請求項7】
前記反射ユニットが金属層と全反射層、又は金属層と媒体反射層である場合、対応するサブ導波路に向いている前記金属層の側面は、予め設定された粗さを有し、
且つ/又は、前記金属層は、酸化され黒くなった金属膜層である、ことを特徴とする請求項5に記載の光導波路ユニット。
【請求項8】
前記反射ユニットは全反射層であり、前記全反射層の屈折率の範囲n
eiは、次の式で計算され、
パラメータθeiは、全反射条件を満たす光導波路ユニットの表面の最大入射角であり、nは、前記サブ導波路の光学屈折率である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の光導波路ユニット。
【請求項9】
前記全反射層の高さh2は、0.004mm<hr<(0.1H)を満たし、Hは、前記全反射層が位置する対応するサブ導波路の高さである、ことを特徴とする請求項8に記載の光導波路ユニット。
【請求項10】
前記反射ユニットは干渉型媒体反射層であり、前記干渉型媒体反射層は、次の種類の1つ又は複数の透明媒体膜層を含み:1/4波長膜、1/2波長膜、前記1/4波長膜の膜層の光学的厚さが入射光の波長の1/4であり、前記1/2波長膜の膜層の光学的厚さが入射光の波長の1/2であり、
【請求項11】
前記媒体反射層の高さhjは、hj<(0.1H)を満たし、Hは、前記全反射層が位置する対応するサブ導波路の高さである、ことを特徴とする請求項10に記載の光導波路ユニット。
【請求項12】
光導波路アレイであって、複数の請求項1~11のいずれか一項に記載の光導波路ユニットを含み、各前記光導波路ユニットの断面は矩形を呈し、複数の前記光導波路ユニットは並べて接合され、
前記光導波路アレイの外側輪郭は矩形を呈し、前記光導波路ユニットの延在方向は、前記光導波路アレイの外側輪郭の少なくとも2つの辺のそれぞれと30~60度の角をなす、ことを特徴とする光導波路アレイ。
【請求項13】
前記光導波路ユニットの延在方向は、前記光導波路アレイの外側輪郭の少なくとも2つの辺のそれぞれと45度の角をなす、ことを特徴とする請求項12に記載の光導波路アレイ。
【請求項14】
前記複数の前記光導波路ユニットは、接着剤層によって互いに接合され、前記接着剤層の厚さは0.001mmよりも厚い、ことを特徴とする請求項12に記載の光導波路アレイ。
【請求項15】
平板レンズであって、2つの透明基板と、2つの請求項12~14のいずれか一項に記載の光導波路アレイを含み、
各前記透明基板は2つの光学面を有し、
前記2つの光導波路アレイは、接着剤によって前記2つの透明基板の間に配置され、前記2つの光導波路アレイの光導波路の延在方向は直交して配置される、ことを特徴とする平板レンズ。
【請求項16】
前記光導波路アレイから離れた前記各透明基板の光学面には増透膜が設けられる、ことを特徴とする請求項15に記載の平板レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学表示の分野に関し、特に、光導波路ユニット、前記光導波路ユニットを含む光導波路アレイ、及び前記光導波路アレイを含む平板レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
結像表示技術の発展に伴い、結像特性の要件は増え続けている。一方では、歪みが小さいという要件を満たしながら、観察された画像の鮮明さを確保するために、より高い解像度が必要である。他方では、3次元立体表示の特性が必要となるとともに、裸眼の3次元ホログラフィック表示の要件も必要である。既存の結像技術は、主にレンズを採用して結像を行うため、主に視野と開口部によって制限され、球面収差、コマ、非点収差、像面湾曲、歪み、色収差などの光学収差があり、広い視野と大開口の結像及び表示の分野ではさらに制限される。一方、既存の裸眼3次元表示技術のほとんどは、実際の3次元表示技術ではなく、左眼と右眼の間の視差の調整に基づいて3次元感覚を実現するものである。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、従来技術における技術的問題の少なくとも1つを解決することを目的としている。そのため、本発明は光導波路ユニットを提案する。
【0004】
本発明の実施例に係る光導波路ユニットは、複数の反射ユニットと、互いに積み重ねられた複数のサブ導波路とを含む。前記反射ユニットの構成は同じであり、前記反射ユニットは金属層、全反射層、媒体反射層のうちの任意の1つ又は任意の2つの組み合わせである。各前記サブ導波路の両側にそれぞれ1つの前記反射ユニットがあり、前記複数のサブ導波路の積み重ね方向において、前記複数のサブ導波路の高さのうちの少なくとも2つが異なり、前記サブ導波路の異なる高さの値は、異なる入射角方向に対応する。
【0005】
本発明の実施例に係る光導波路ユニットは、複数の高さのサブ導波路を配置することで、複数の高さで異なる視角に対して変調を行う。それにより、複数の損失領域のない角度でのエネルギーを分配することができ、全結像視角範囲内における結像光ビームのエネルギーの均一性を改善することができる。
【0006】
本発明の幾つかの実施例によれば、各前記サブ導波路の高さの範囲は0.1mm~5mmである。このようにして、光導波路アレイの結像品質が回折の影響を受けることを防止するだけでなく、光導波路アレイによる物体点の鮮明な結像を改善することもできる。
【0007】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記サブ導波路の屈折率はn>1.46である。
【0008】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記複数のサブ導波路は複数種類を含み、各種類のサブ導波路の高さが同じであり、第i種類の前記サブ導波路の高さは、
パラメータθ
iは、観測視角範囲内で選択された予め設定された角度であり、nは前記サブ導波路の光学屈折率であり、
前記複数種類のサブ導波路の高さは、対応するサブ導波路の数に反比例する。
【0009】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記反射ユニットは金属層、金属層と全反射層、及び金属層と媒体反射層のうちの1つである。
【0010】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記金属層の材料は、銀、アルミニウム、又はクロムであり、前記金属層の高さhmは、0.001mm<hm<0.1mmを満たす。
【0011】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記反射ユニットが金属層と全反射層、又は金属層と媒体反射層である場合、対応するサブ導波路に向いている前記金属層の側面は、予め設定された粗さを有し、且つ/又は、前記金属層は、酸化され黒くなった金属膜層である。
【0012】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記反射ユニットは全反射層であり、前記全反射層の屈折率の範囲n
eiは、次の式で計算され、
パラメータθeiは、全反射条件を満たすときの光導波路ユニットの表面の最大入射角であり、nは、前記サブ導波路の光学屈折率である。
【0013】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記全反射層の高さh2は、0.004mm<hr<(0.1H)を満たし、Hは、前記全反射層が位置する対応するサブ導波路の高さである。
【0014】
【0015】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記媒体反射層の高さhjは、hj<(0.1H)を満たし、Hは、前記全反射層が位置する対応するサブ導波路の高さである。
【0016】
本発明の第2態様の実施例に係る光導波路アレイは、複数の本発明の第1態様の実施例に記載の光導波路ユニットを含み、各前記光導波路ユニットの断面は矩形を呈し、複数の前記光導波路ユニットは並べて接合される。前記光導波路アレイの外側輪郭は矩形を呈し、前記光導波路ユニットの延在方向は、前記光導波路アレイの外側輪郭の少なくとも2つの辺のそれぞれと30~60度の角をなす。
【0017】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記光導波路ユニットの延在方向は、前記光導波路アレイの外側輪郭の少なくとも2つの辺のそれぞれと45度の角をなす。
【0018】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記複数の前記光導波路ユニットは、接着剤層によって互いに接合され、前記接着剤層の厚さは0.001mmよりも厚い。
【0019】
本発明の第3態様の実施例に係る平板レンズは、2つの透明基板と、2つの本発明の第2態様の実施例に記載の光導波路アレイとを含み、各前記透明基板は2つの光学面を有し、前記2つの光導波路アレイは、接着剤によって前記2つの透明基板の間に配置され、前記2つの光導波路アレイの光導波路の延在方向は直交して配置される。
【0020】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記光導波路アレイから離れた前記各透明基板の光学面には増透膜が設けられる。
【0021】
本発明の追加の態様及び利点は、部分的に以下の説明で与えられ、部分的に以下の説明から明らかになるか、又は本発明の実施により知られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面と併せた実施例の説明から、明らかになり、理解しやすくなる。
【
図1a】本発明の実施例に係る光導波路アレイの模式図であり、2つの光導波路アレイは直交して配置される。
【
図2a】接着剤層によって適合される、
図2bに示される2つのサブ導波路の模式図である。
【
図2b】
図2aの任意のサブ導波路の断面図であり、Wは幅であり、Hは高さである。
【
図3】本発明の実施例に係る2つの光導波路ユニットが直交して配置されている場合の、重なり合う領域における変調光の原理図である。
【
図4】本発明の実施例に係る2つの光導波路アレイが直交している場合の結像の原理図である。
【
図5】従来技術の同等の光導波路ユニットは、ある角度θaで光が入射するときに損失領域がない原理図である。
【
図6】従来技術の同等の光導波路ユニットは、ある角度θbで光入射するときに損失領域がない原理図である。
【
図7】本発明の実施例に係る光導波路ユニットに光が入射する原理図である。
【
図8】本発明の一実施例に係る光導波路ユニットの模式図である。
【
図9】本発明の別の実施例に係る光導波路ユニットの模式図である。
【
図10】本発明の一実施例に係る、反射ユニットが金属層である光導波路ユニットの模式図である。
【
図11】本発明の別の実施例に係る、反射ユニットが全反射層又は干渉型媒体反射層である光導波路ユニットの模式図である。
【
図12】本発明の一実施例に係る、反射ユニットが金属層と全反射層又は干渉型媒体反射層との組み合わせである光導波路ユニットの模式図である。
【
図13】本発明の実施例に係る平面レンズの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。添付の図面を参照しながら説明される実施例は例示的なものである。以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0024】
本発明の説明では、「高さ」、「厚さ」、「頂」、「底」などの用語で示される方位又は位置関係は、図面で示される方位又は位置関係に基づいて、本出願の説明を容易にし、説明を簡単にするためのものに過ぎず、言及された装置又は部品が必ず特定の方位を有し特定の方位で構造及び操作されることを指示又は示唆するものではないため、本発明を制限するものではないと理解されるべきある。本発明の説明では、「第1特徴」、「第2特徴」は、1つ又は複数の該特徴を含み得る。本発明の説明では、「複数」の意味は、2つ又は2つ以上である。
【0025】
以下、
図1~
図5の説明を参照しながら、本発明の実施例に係る光導波路アレイを説明する。
【0026】
図1aと
図1bに示すように、光導波路アレイ1000a、1000bは、複数の光導波路ユニット100を含み、各光導波路ユニット100の断面は矩形を呈し、複数の光導波路ユニット100は並べて接合される。光導波路アレイの外側輪郭は矩形を呈し、光導波路ユニット100の延在方向は、光導波路アレイの外側輪郭の少なくとも2つの辺のそれぞれと30~60度の角をなす。オプションで、光導波路ユニット100の延在方向は、光導波路アレイの外側輪郭の少なくとも2つの辺のそれぞれと45度の角をなす。当然のことながら、本発明はこれに限定されるものではなく、大画面に表示する際に複数の光導波路アレイを接合することで大きなサイズの要件を実現することができる。光導波路アレイの全体的な形状は、使用の場面に応じて設定される。
【0027】
図1aに示される例では、光導波路アレイ1000a、1000bの外側輪郭はいずれも矩形である。
図1bに示すように、矩形の2つの対角の間で延在する光導波路ユニットの長さが最も長い。2つの対角での光導波路ユニット100は三角形であり、最も短い長さを有する。中央の光導波路ユニットは、台形又は平行四辺形の構造であり、個々の光導波路の長さが等しくない。幾つかの更なるオプションの例では、矩形の2つの対角の間で延在する光導波路ユニットは基準として使用され、その両側に位置する光導波路ユニットは対称的に配置することができる。
【0028】
同等の負の屈折率の平面レンズを形成するように、2つの光導波路アレイ1000a、1000bの光導波路の延在方向は直交して配置される。光導波路アレイ1000aの各光導波路の延在方向も、光導波路アレイ1000bの各光導波路の延在方向に直交する。
【0029】
図3は、2つの光導波路ユニットが直交して配置されている場合の、重なり合う領域における変調光の原理図を示す。a、bは、2つの光導波路ユニットを表し、A、Bは奇数次の反射光ビームを表し、Cは透射迷光を表し、Dは結像光ビームであり、Oは物体側の光源点を表し、Oxは画像側の結像点を表す。
図5に示すように、2つの光導波路ユニットが直交して配置されると、物体面と画像面の光ビームは、同等の負の屈折率の平板レンズに対して鏡面対称となり、負の屈折率の現象が発生し、平板レンズによる結像が実現される。
【0030】
本発明の幾つかの実施例では、
図2aに示すように、複数の光導波路ユニット100は、接着剤層4によって互いに接合され、接着剤層4の厚さは0.001mmよりも厚い。接着剤層4は、例えば、感光性接着剤又は感熱性接着剤である。
【0031】
以下、
図5~
図12を参照しながら本発明の実施例に係る光導波路ユニットを説明する。
【0032】
本発明の一実施例に係る光導波路ユニット100は、複数の反射ユニット1と、互いに積み重ねられた複数のサブ導波路2とを含み、各サブ導波路2の両側にそれぞれ1つの反射ユニット1がある。反射ユニット1は、金属層1a、全反射層1b、媒体反射層1cのうちの任意の1つ又は任意の2つの組み合わせである。即ち、反射ユニット1は、次の幾つかの方式を有し得る:金属層1a、全反射層1b、媒体反射層1c、金属層1aと全反射層1bの組み合わせ、金属層1aと媒体反射層1cの組み合わせ、全反射層1bと媒体反射層1cの組み合わせ。同じ光導波路ユニット内の反射ユニット1の構成は同じであり、即ち、すべてが金属層1aであるか、又はすべてが金属層aと全反射層1bの組み合わせなどである。
【0033】
複数のサブ導波路2の積み重ね方向において、複数のサブ導波路2の高さのうちの少なくとも2つが異なり、サブ導波路2の異なる高さの値は、異なる入射角方向に対応する。
【0034】
以下、本発明の実施例に係る光導波路ユニット100の具体的な原理を説明する。
【0035】
図5と
図6に示すように、1つの光導波路ユニットが1種類の光導波路のみを含む場合、入射光の角度の変化に伴い、光が入射すると、光導波路ユニットには、無損失領域角度と損失領域あり角度とがある。
図6に示すように、損失領域あり角度については、損失領域でのこの部分の光は結像に関与せず、迷光として結像の光ビームのエネルギーを損失させる。且つ、光エネルギーの角分布は、損失領域がないときの角度に対応するエネルギーが最大であり、該角度よりも大きいか、又は該角度よりも小さい光エネルギーが減少し、その結果、結像光ビームの角度の均一性が低下する。
図7に示すように、上記の問題に基づいて、発明者は、光導波路ユニットに複数のサブ導波路を設計し、断面の高さHを変更することによって、損失領域でのこの部分のエネルギーを収集できることを提案する。それにより、該サブ導波路に対応する角度θiでの光のエネルギーの収集が向上し、このとき、θiは、この種類の光導波路の断面長さHiの無損失領域角度である。
【0036】
これに基づいて、複数種類の断面長さHのサブ導波路を追加することで、様々な物体側の光の入射角に対してエネルギー分配を実行する。
図8に示される例では、1つの光導波路ユニットに2種類のサブ導波路が使用され、異なる種類のサブ導波路は、それぞれに対応する無損失領域θaとθbを有する。異なるサブ導波路が異なる無損失領域角度の光ビームに対して収集するエネルギーの断面サイズは、サブ導波路断面高さHiに関連する。断面高さHiが大きいサブ導波路は、それに対応する無損失領域角度で収集するエネルギーが大きい。断面高さHiが小さいサブ導波路は、それに対応する無損失領域角度で収集するエネルギーが小さい。従って、断面高さHiが小さいサブ導波路の数は、断面高さHiが大きいサブ導波路の数よりも多くする必要がある。
【0037】
従って、本発明の幾つかの実施例では、複数のサブ導波路2は複数種類を含み、各種類のサブ導波路2の高さが同じであり、第i種類のサブ導波路2の高さは、
パラメータθiは、観測視角範囲内で選択された予め設定された角度、即ち、光が無損失領域にちょうど当たるときの光ビームの入射角であり、対応するサブ導波路によって変調される視角でもある。nは、サブ導波路2の光学屈折率である。
複数種類のサブ導波路2の高さは、対応するサブ導波路2の数に反比例する。即ち、サブ導波路の断面高さHiが小さいほど、数が多い。
【0038】
図8に示される実施例では、光導波路ユニット100は、2種類のサブ導波路11、12を含む。サブ導波路11の高さH1は、サブ導波路12の高さH2よりも大きく、サブ導波路11の数(1個)は、サブ導波路12の数(2個)よりも小さい。このようにして、様々な入射光のエネルギーを収集することができる。
【0039】
図9に示される実施例では、光導波路ユニット100は、3種類のサブ導波路11、12、13を含む。サブ導波路11は、最大の高さH1及び最小の数(1個)を有する。サブ導波路13は、最小の高さH3及び最大の数(2個)を有する。サブ導波路12の高さH2は、H3<H2<H1を満たし、数は2個である。それにより、それぞれ3種類の断面高さHを有する3種類のサブ導波路を1つの光導波路ユニット100に配置することで、3つの無損失領域角度でのエネルギーを分配する。その結果、全体的な結像視角範囲内における結像光ビームのエネルギー均一性を向上させることができる。
【0040】
当然のことながら、
図8と
図9を参照する上記実施例は、本発明によるオプションの例に過ぎず、即ち、高さに従って大きいものから小さいものへ配置するものである。しかしながら、本発明において、サブ導波路の具体的な配置順序は限定されない。即ち、異なる断面高さのサブ導波路2の配置順序は、任意の順序であり得る。高さに従って、小さいものから大きいものへの配置であってもよいし、まず大きいもの、次に小さいもの、その後大きいものの配置であってもよいし、あるいは、まず小さいもの、次に大きいもの、その後小さいものの配置であってもよい。こられは、複数の入射光角度でのエネルギーの分配に影響を与えない。
【0041】
本発明の実施例に係る光導波路ユニット100は、複数の高さのサブ導波路を配置することで、複数の高さで異なる視角に対して変調を行う。それにより、複数の無損失領域角度でのエネルギーを分配することができ、全結像視角範囲内における結像光ビームのエネルギー均一性を改善することができる。
【0042】
本発明の幾つかの実施例によれば、光導波路アレイの結像品質が回折の影響を受けることを防止するために、サブ導波路2の断面高さは小さすぎてはならず、0.1mmよりも大きくてもよい。同時に、光導波路アレイによる物体点の鮮明な結像を改善するために、サブ導波路2の断面高さHは大きすぎてはならず、5mm未満であってもよい。即ち、各サブ導波路2の断面高さHは、0.1mm<H<5mmを満たす。オプションで、サブ導波路2の屈折率はn>1.46である。
【0043】
本発明の幾つかの実施例によれば、反射ユニット1は金属層1aである。
図10に示すように、金属層1aは、銀、アルミニウム、又はクロムなどの金属材料であってもよい。金属層1aの高さhmは、0.001mm<hm<0.1mmを満たす。金属層1aは、清浄度と平滑度が非常に高い光学反射面として使用され、主に反射作用及び光遮断作用を果たすことができる。気泡、不純物、ほこりなどは、光を散乱して迷光を発生しやすいので、金属層1aは、検出器や人間の目などの受光部品に入るそのような光を隔離することができる。オプションで、金属層1aは、1種類の金属層のみを含む。
【0044】
本発明の幾つかの実施例によれば、反射ユニット1は(
図11に示すように)全反射層1bであってもよい。全反射層1bの材料は、樹脂、ガラス、結晶などの透明な光学材料であってもよく、全反射の方式で光を反射する作用を果たすことができる。全反射効果により、入射光を損失なしで反射することができ、その層の表面の反射率を大幅向上させる。全反射層1bの屈折率範囲neiは、式
パラメータθeiは、全反射条件を満たす光導波路ユニット100の表面の最大入射角であり、nは、サブ導波路2の光学屈折率である。
【0045】
オプションで、全反射層1bの高さh2は、0.004mm<hr<(0.1H)を満たし、hは、全反射層1bが位置する対応するサブ導波路2の高さである。全反射層1bの厚さが全反射エバネッセント波の侵入深さよりも小さい場合、全反射層1bが無効になることを回避するために、全反射層の厚さは0.004mmよりも大きい。さらに、光が全反射層に入り、全反射層と光導波路層の異なる屈折率による光の偏向を引き起こして、結像の鮮明さに影響を与えることを回避するために、この全反射層1bの厚さは厚すぎてはならない。
【0046】
本発明の幾つかの実施例によれば、
図11に示すように、反射ユニット1は、干渉型媒体反射層1cである。その反射特性は、入射する光が透明媒体の干渉により反射されることである。この種類の反射膜層の反射率は、他の金属膜層の反射率よりも高く、光に対する反射率を大幅に向上させることができる。干渉型媒体反射層1cは、次の種類の1つ又は複数の透明媒体膜層を含み得る:1/4波長膜、1/2波長膜、1/4波長膜の膜層の光学的厚さが入射光の波長の1/4であり、1/2波長膜の膜層の光学的厚さが入射光の波長の1/2である。
【0047】
透明媒体は、フッ化マグネシウム、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素などの結晶材料であってもよい。
【0048】
オプションで、媒体反射層1cの高さhjは、hj<(0.1h)を満たし、hは、全反射層1bが位置する対応するサブ導波路2の高さである。
【0049】
本発明の幾つかの実施例によれば、反射ユニット1は、金属層1aと全反射層1bの組み合わせである。又は、金属層1aと媒体反射層1cの組み合わせである場合、対応するサブ導波路2に向いている金属層1aの側面は、予め設定された粗さを有する。且つ/又は、金属層1aは、酸化され黒くなった金属膜層である。幾つかのオプションの例では、
図12に示すように、対応するサブ導波路2に向いている金属層1aの側面は、予め設定された粗さを有する粗面11aとして形成することができる。この粗面は、全反射層1b又は媒体反射層1cを透過した光を散乱させるために使用される。他の幾つかのオプションの例では、対応するサブ導波路2に向いている金属層1aの側面は、酸化され黒くなった金属膜層として配置することができ、全反射層1b又は媒体反射層1cを透過した吸收光を吸収するために使用される。当然のことながら、本発明の他の例では、金属層1aに粗面11aと酸化され黒くなった表面を同時に配置することができ、全反射層又は媒体反射層1cを透過した光を吸収し、残りの光を吸収し散乱させるために使用することができる。
【0050】
オプションで、
図12に示すように、本実施例の反射ユニット1が金属層1aと全反射層1bを含む場合、全反射層1bは、射出する光の角度を制御することもできる。入射する光の入射角が全反射層1bの全反射条件を満たさない場合、全反射層1bを通過した光は透過し、透過した光は金属層に到達して、散乱又は吸収することができる。それにより、射出する光の角度が制御される。
【0051】
以下、
図11を参照しながら、本発明の第3態様の実施例に係る平板レンズを説明する。平板レンズは、2つの透明基板2000と、2つの上記の実施例に係る光導波路アレイ1000a、1000bとを含む。
【0052】
各透明基板2000は2つの光学面を有する。光学面は、光導波路アレイ1000a、1000bを保護するために使用される。2つの光導波路アレイは、接着剤によって2つの透明基板2000の間に配置され、2つの光導波路アレイの光導波路の延在方向は直交して配置され、即ち、光導波路ユニットの延在方向は互いに垂直である。それにより、光ビームは一点に集束し、物体面と画像面は、同等の負の屈折率の平板レンズに対して対称であることが保証され、負の屈折率の現象が生じ、平板レンズによる結像が実現される。
【0053】
オプションで、光導波路アレイと透明基板2000は、感光性接着剤又は感熱性接着剤によって互いに接着される。
【0054】
本発明の幾つかの実施例では、
図11に示すように、光導波路アレイから離れた各透明基板200の光学面には、結像效果をさらに改善するために増透膜210が配置される。
【0055】
本発明の実施例に係る平面レンズは、単一列と複数行の、矩形の断面を有する光導波路を使用してアレイ構造を形成し、2次元又は3次元の光源を空気中で直接実像に成形して実際のホログラフィック画像を実現することができ、結像効果が良好であると同時に、裸眼での3次元立体表示の特性を実現することができる。また、反射ユニット1によって分離された複数の高さのサブ導波路2を積み重ねて配置することで形成された光導波路ユニットは、結像視角の均一性を向上させ、ユーザ体験をある程度向上させることができる。
【0056】
本明細書の説明において、「一実施例」、「幾つかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体的な例」、又は「幾つかの例」などの用語を参照する説明は、該実施例又は例と併せて説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性が本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記の用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を指すとは限らない。
【0057】
本発明の実施例を示し説明したが、当業者は、本発明の原理及び趣旨から逸脱することなく、これらの実施例に対して様々な変更、修正、置換、及び変形を行うことができることを理解できる。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその同等物によって限定される。
【符号の説明】
【0058】
光導波路アレイ1000a、1000b;
光導波路ユニット100;反射ユニット1;サブ導波路2;
透明基板2000;増透膜2100
【国際調査報告】