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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(54)【発明の名称】通信システムの作動方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/04 20090101AFI20220406BHJP
   H04W 84/20 20090101ALI20220406BHJP
   H04L 1/00 20060101ALI20220406BHJP
   H04J 3/00 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
H04W28/04 110
H04W84/20
H04L1/00 B
H04J3/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549358
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(85)【翻訳文提出日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2020053889
(87)【国際公開番号】W WO2020173718
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】19160020.4
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518091705
【氏名又は名称】アール3-リライアブル リアルタイム レディオ コミュニケーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】グロス,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ドムブロースキ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】クミール,ドミニク
【テーマコード(参考)】
5K014
5K028
5K067
【Fターム(参考)】
5K014AA02
5K014EA01
5K014FA03
5K014GA01
5K028KK31
5K067AA15
5K067CC04
5K067EE25
5K067HH24
5K067HH28
(57)【要約】
本発明の実施形態は、マスタノード(MN)及び少なくとも2つのスレーブノード(SN1~SN4)を有し、時分割多重化技術で動作する通信システムの作動方法に関する。伝送サブフレーム(TSF)は、マスタノードからスレーブノードへのダウンリンクデータパケット(DDP)の伝送のための少なくとも1つのダウンリンクスロット(DS)と、スレーブノードの夫々からマスタノードへのアップリンクデータパケット(UDP)の伝送のための少なくとも1つのアップリンクスロット(US1~US4)とを有する。マスタノードは、アップリンクデータパケットを評価し、補助サブフレーム(ASF)でのアップリンク及び/又はダウンリンクデータパケットの再送を定義する再送スケジュール(RTS)を生成する。補助サブフレームでのアップリンク及び/又はダウンリンクデータパケットの再送の前に、マスタノードは、再送スケジュールをスレーブノードへブロードキャストする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタノード及び少なくとも2つのスレーブノードを有し、時分割多重化技術で動作する通信システムの作動方法であって、
通信が連続した時間フレームで実行され、各フレームが、少なくとも1つの伝送サブフレームと、該伝送サブフレームの後にスケジューリングされる少なくとも1つの補助サブフレームとを有し、
前記伝送サブフレームは、前記マスタノードから前記スレーブノードへのダウンリンクデータパケットの伝送のための少なくとも1つのダウンリンクスロットと、前記スレーブノードの夫々から前記マスタノードへのアップリンクデータパケットの伝送のための少なくとも1つのアップリンクスロットとを有し、
前記マスタノードは、前記ダウンリンクスロット中にダウンリンクデータパケットを前記スレーブノードの全て又は少なくともサブセットへ送信し、前記スレーブノードの夫々は、その各々のアップリンクスロット中に少なくとも1つのアップリンクデータパケットを前記マスタノードへ送信し、
前記マスタノードは、前記伝送サブフレームの前記アップリンクスロット中に前記スレーブノードから受信された前記アップリンクデータパケットを評価し、前記各々のアップリンクスロットでの前記スレーブノードからの正当なアップリンクデータパケットの受信に失敗する場合に、又は前記スレーブノードから受信された前記アップリンクデータパケットが前のダウンリンクスロット中のダウンリンクデータパケットの受信の失敗を示す場合に、前記補助サブフレームでのアップリンク及び/又はダウンリンクデータパケットの再送を定義する再送スケジュールを生成し、
前記補助サブフレームでのアップリンク及び/又はダウンリンクデータパケットの最初の再送の前に、前記マスタノードは、前記再送スケジュールを前記スレーブノードへブロードキャストする、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記マスタノードは、前記伝送サブフレームと前記補助サブフレームとの間の制御パケットで前記再送スケジュールをブロードキャストする、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記再送スケジュールは、前記補助サブフレームの開始前又はその間に前記再送スケジュール又は前記制御パケットを再送するよう要求される少なくとも1つのスレーブノードを定義する、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ダウンリンクスロットでの前記マスタノードからのデータパケットの受信が成功する場合に、各スレーブノードは、その連続したアップリンクスロットでこの成功した受信を確認する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記スレーブノードのうちのいずれかに関してダウンリンクデータパケットの受信が失敗する場合に、前記再送スケジュールは、前記マスタノードそれ自体が、影響を受けるスレーブノードへ各々のダウンリンクデータパケットを再送することを示す、
ことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記スレーブノードの夫々は、他のスレーブノードへ割り当てられる又は他のスレーブノードから前記マスタノードへ送信されるデータパケットを含む、前記スレーブノードが前記伝送サブフレーム中に受信する全てのアップリンク及びダウンリンクデータパケットを記憶する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記スレーブノードのうちのいずれかに関してダウンリンクデータパケットの受信が失敗する場合に、前記再送スケジュールは、前記他のスレーブノードのうちの1つ以上に、各々の記憶されているダウンリンクデータパケットを再送するよう要求する、
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記スレーブノードのうちのいずれかに関してアップリンクデータパケットの受信が失敗する場合に、前記再送スケジュールは、前記他のスレーブノードのうちの1つ以上に、各々の記憶されているアップリンクデータパケットを再送するよう要求する、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
記憶されているデータパケットを再送するよう要求される前記他のスレーブノードのうちの前記1つ以上の選択は、任意であるか、あるいは、チャネル品質データと無関係である所与の選択スキームに従って行われる、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記マスタノードは、チャネル品質データに応じて、記憶されているデータパケットを再送するよう要求される前記他のスレーブノードのうちの前記1つ以上を選択する、
ことを特徴とする請求項7乃至9のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記スレーブノードの夫々は、残りのスレーブノードの夫々から及び前記マスタノードから受信されたデータパケットに関してチャネル品質データを決定し、該品質データをそのアップリンクスロット中に前記マスタノードへ送る、
ことを特徴とする請求項1乃至10のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
影響を受けるアップリンクスレーブノードと呼ばれる前記スレーブノードのうちの1つのアップリンクスロット中のアップリンクデータパケットの受信が失敗する場合に、前記マスタノードは、アップリンク再送スレーブノードと呼ばれる残りのスレーブノードのうちの少なくとも1つに、前記影響を受けるアップリンクスレーブノードのそれらの各々の記憶されているアップリンクデータパケットを再送するよう要求し、前記マスタノードは、該マスタノードによるデータパケットの受信に関して最良のチャネル品質データを有するスレーブノードを、前記アップリンク再送スレーブノード又はその1つとして選択し、かつ/あるいは、
影響を受けるダウンリンクスレーブノードと呼ばれる前記スレーブノードのうちの1つに関して前記ダウンリンクスロット中のダウンリンクデータパケットの受信が失敗する場合に、前記マスタノードは、ダウンリンク再送スレーブノードと呼ばれる残りのスレーブノードのうちの少なくとも1つに、前記影響を受けるダウンリンクスレーブノードの各々のダウンリンクスロットのそれらの記憶されているデータパケットを再送するよう要求し、前記マスタノードは、前記影響を受けるダウンリンクスレーブノードによるデータパケットの受信に関して最良のチャネル品質データを有するスレーブノードを、前記ダウンリンク再送スレーブノード又はその1つとして選択する、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1つ以上の前の時間フレームに基づいて、前記マスタノードは、前記伝送サブフレームでの前記アップリンクスロットへのスレーブノードの割り当てを再配置し、
前記マスタノードからのデータパケットの受信に関してより良いチャネル品質データを有するスレーブノードが、チャネル品質データがより悪いスレーブノードの後にスケジューリングされる、
ことを特徴とする請求項1乃至12のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
影響を受けるスレーブノードと呼ばれる前記スレーブノードのうちの1つに関して前記アップリンクスロット及び前記ダウンリンクスロット中の受信が失敗する場合に、前記マスタノードは、前記影響を受けるスレーブノードの前記ダウンリンクスロット及び前記アップリンクスロットの両方のデータパケットを受信及び記憶している、選択されたスレーブノードと呼ばれる残りのスレーブノードのうちの少なくとも1つを決定し、該選択されたスレーブノードに前記再送スケジュール内で、前記影響を受けるスレーブノードの各々のダウンリンクスロット及びアップリンクスロットの記憶されているデータパケットを再送するよう要求し、
前記再送スケジュールの受信後に、前記選択されたスレーブノードは、前記影響を受けるスレーブノードの前記ダウンリンクスロット及び前記アップリンクスロットのデータパケットに基づいて、ネットワークコーディングされたデータパケットを生成し、該ネットワークコーディングは、前記アップリンクスロットの1つ以上のデータパケットに基づいて及び前記ダウンリンクスロットの1つ以上のデータパケットに基づいて前記コーディングされたデータパケットを復号することを可能にするコーディングスキームに基づいて行われ、
前記選択されたスレーブノードは、前記再送スケジュールに従って、前記ネットワークコーディングされたデータパケットをブロードキャストする、
ことを特徴とする請求項1乃至13のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
マスタノード及び少なくとも2つのスレーブノードを有する通信システムで動作するよう構成される通信ノードであって、
請求項1乃至14のうちいずれか一項に記載の方法を実装するようにマスタノード又はスレーブノードとして動作するよう構成される通信ノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時分割多重化技術で通信システムを作動させる方法と、それに応じて動作するよう構成される通信ノードとに関する。
【背景技術】
【0002】
信頼できるデータ伝送を提供する必要がある通信システムについては、伝送されたデータの自動再送要求(automatic repeat request、いわゆるARQ)を用いることが標準のアプローチである。典型的な実施は、元の伝送の後に、受信側がパケットの正確な受信を確認することを確かにする。この確認応答が所与の時間スパン内に最初の送信側によって受け取られない場合には、送信側は、受信側が正確にパケットを復号していないと仮定して、データパケットの伝送を繰り返す。これはまた、経過時に再送をトリガする送信側でのタイマの使用を暗に示す。このメカニズムの簡略版は、直ぐに確認応答を受信するとの送信側での期待であり、さもなければ、伝送されたデータを特定の回数(最大再送数)まで繰り返す。
【0003】
超高信頼データ伝送との関連で、特に無線システムでは、非常に高い程度の信頼性を実現するための主たるアプローチは、ダイバーシティ、すなわち、無線チャネルの不規則な変動にかかわらず、この不規則な状態がチャネルの異なった次元(時間、周波数、空間、複数端末)において統計的に独立しており、よって、同じデータの無線チャネルの複数のこれらのインスタンスにわたる伝送が受信信頼性を劇的に高める、という事実、を利用することである。それでも、ARQは、無線チャネル品質全般の不確かさと、そのような超高信頼無線システムが配備されることになる高度に異なった伝送環境とにより、将来のシステム実装の必須の部分になる。しかしながら、重要な問題は、ARQの効率的な実装に関係がある。
【0004】
国際特許出願公開第2017/157663(A1)号には、少なくとも4つの通信ノードを有する通信システムを作動させる方法が開示されている。通信システムは、スロットに分割される連続した時間フレームで通信が行われる時分割多重化技術で動作する。少なくとも1つのスロットが、通信ノードの夫々に割り当てられる。スロットの夫々は、少なくとも2つの連続したサブスロットを有するか、望ましくは、それらから成る。エコー信号がエコーサブスロット中に伝送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際特許出願公開第2017/157663(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、通信システムを作動させる非常に信頼性が高い方法を提供することである。
【0007】
本発明の更なる目的は、信頼できる通信に関して、改善された通信ノードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、マスタノード及び少なくとも2つのスレーブノードを有し、時分割多重化技術で動作する通信システムの作動方法に関する。方法は、通信が連続した時間フレームで実行され、各フレームが、少なくとも1つの伝送サブフレームと、該伝送サブフレームの後にスケジューリングされる少なくとも1つの補助サブフレームとを有する、ことを特徴とする。伝送サブフレームは、マスタノードからスレーブノードへのダウンリンクデータパケットの伝送のための少なくとも1つのダウンリンクスロットと、スレーブノードの夫々からマスタノードへのアップリンクデータパケットの伝送のための少なくとも1つのアップリンクスロットとを有する。マスタノードは、ダウンリンクスロット中にダウンリンクデータパケットをスレーブノードの全て又は少なくともサブセットへ送信し、スレーブノードの夫々は、その各々のアップリンクスロット中に少なくとも1つのアップリンクデータパケットをマスタノードへ送信する。マスタノードは、伝送サブフレームのアップリンクスロット中にスレーブノードから受信されたアップリンクデータパケットを評価し、各々のアップリンクスロットでのスレーブノードからの正当なアップリンクデータパケットの受信に失敗する場合に、又はスレーブノードから受信されたアップリンクデータパケットが前のダウンリンクスロット中のダウンリンクデータパケットの受信の失敗を示す場合に、補助サブフレームでのアップリンク及び/又はダウンリンクデータパケットの再送を定義する再送スケジュールを生成する。補助サブフレームでのアップリンク及び/又はダウンリンクデータパケットの最初の再送の前に、マスタノードは、再送スケジュールをスレーブノードへブロードキャストする。
【0009】
マスタノードは、望ましくは、伝送サブフレームと補助サブフレームとの間の制御パケットで再送スケジュールをブロードキャストする。
【0010】
再送スケジュールは、補助サブフレームの開始前又はその間に再送スケジュール又は制御パケットを再送するよう要求される少なくとも1つのスレーブノードを定義してよい。
【0011】
ダウンリンクスロットでのマスタノードからのデータパケットの受信が成功する場合に、各スレーブノードは、望ましくは、その連続したアップリンクスロットでこの成功した受信を確認する。
【0012】
スレーブノードのうちのいずれかに関してダウンリンクデータパケットの受信が失敗する場合に、再送スケジュールは、マスタノードそれ自体が、影響を受けるスレーブノードへ各々のダウンリンクデータパケットを再送することを示してよい。
【0013】
スレーブノードの夫々は、望ましくは、他のスレーブノードへ割り当てられる又は他のスレーブノードからマスタノードへ送信されるデータパケットを含む、スレーブノードが伝送サブフレーム中に受信する全てのアップリンク及びダウンリンクデータパケットを記憶する。
【0014】
スレーブノードのうちのいずれかに関してダウンリンクデータパケットの受信が失敗する場合に、再送スケジュールは、他のスレーブノードのうちの1つ以上に、各々の記憶されているダウンリンクデータパケットを再送するよう要求してよい。
【0015】
スレーブノードのうちのいずれかに関してアップリンクデータパケットの受信が失敗する場合に、再送スケジュールは、他のスレーブノードのうちの1つ以上に、各々の記憶されているアップリンクデータパケットを再送するよう要求してよい。
【0016】
記憶されているデータパケットを再送するよう要求される他のスレーブノードのうちの1つ以上の選択は、任意であっても、あるいは、チャネル品質データと無関係である所与の選択スキームに従って行われてもよい。
【0017】
しかし、好適な実施形態に従って、マスタノードは、望ましくは、チャネル品質データに応じて、記憶されているデータパケットを再送するよう要求される他のスレーブノードのうちの1つ以上を選択する。
【0018】
スレーブノードの夫々は、残りのスレーブノードの夫々から及びマスタノードから受信されたデータパケットに関してチャネル品質データを決定し、該品質データをそのアップリンクスロット中にマスタノードへ送ってよい。
【0019】
以降で「影響を受けるアップリンクスレーブノード」と呼ばれるスレーブノードのうちの1つのアップリンクスロット中のアップリンクデータパケットの受信が失敗する場合に、マスタノードは、以降で「アップリンク再送スレーブノード」と呼ばれる残りのスレーブノードのうちの少なくとも1つに、それらの各々の記憶されているアップリンクデータパケットを再送するよう要求してよく、マスタノードは、該マスタノードからのデータパケットの受信に関して最良のチャネル品質データを有するスレーブノードを、アップリンク再送スレーブノード又はその1つとして選択してよい。
【0020】
以降で「影響を受けるダウンリンクスレーブノード」と呼ばれるスレーブノードのうちの1つに関してダウンリンクスロット中のダウンリンクデータパケットの受信が失敗する場合に、マスタノードは、以降で「ダウンリンク再送スレーブノード」と呼ばれる残りのスレーブノードのうちの少なくとも1つに、各々のダウンリンクスロットのそれらの記憶されているデータパケットを再送するよう要求してよく、マスタノードは、影響を受けるダウンリンクスレーブノードからのデータパケットの受信に関して最良のチャネル品質データを有する少なくともスレーブノードを、ダウンリンク再送スレーブノード又はその1つとして選択してよい。
【0021】
1つ以上の前の時間フレームに基づいて、マスタノードは、望ましくは、伝送サブフレームでのアップリンクスロットへのスレーブノードの割り当てを再配置し、マスタノードからのデータパケットの受信に関してより良いチャネル品質データを有するスレーブノードが、チャネル品質データがより悪いスレーブノードの後にスケジューリングされる。
【0022】
以降で「影響を受けるスレーブノード」と呼ばれるスレーブノードのうちの1つに関してアップリンク及びダウンリンクスロット中の受信が失敗する場合に、マスタノードは、影響を受けるスレーブノードのダウンリンクスロット及びアップリンクスロットの両方のデータパケットを受信及び記憶している、以降で「選択されたスレーブノード」と呼ばれる残りのスレーブノードのうちの少なくとも1つを決定してよく、その選択されたスレーブノードに再送スケジュール内で、影響を受けるスレーブノードの各々のダウンリンクスロット及びアップリンクスロットの記憶されているデータパケットを再送するよう要求してよい。再送スケジュールの受信後に、選択されたスレーブノードは、影響を受けるスレーブノードのダウンリンク及びアップリンクスロットのデータパケットに基づいて、ネットワークコーディングされたデータパケットを生成してよい。ネットワークコーディングは、望ましくは、アップリンクスロットの1つ以上のデータパケットに基づいて及びダウンリンクスロットの1つ以上のデータパケットに基づいて、コーディングされたデータパケットを復号することを可能にするコーディングスキームに基づいて行われる。選択されたスレーブノードは、再送スケジュールに従って、ネットワークコーディングされたデータパケットをブロードキャストしてよい。
【0023】
選択されたスレーブノードは、望ましくは、影響を受けるスレーブノードのダウンリンク及びアップリンクスロットのデータパケットにXOR演算を適用することによって、ネットワークコーディングされたデータパケットを生成する。
【0024】
1つ以上の前の時間フレームに基づいて、マスタノードは、来たるべき時間フレームで、例えば、次の時間フレームで再送される必要があるスロットの数を予測し、該来たるべき時間フレームの補助サブフレームの長さをこの予測に従って適応させ、少なくとも各々の時間フレームの補助サブフレームの開始前に、補助サブフレームの適応された長さをスレーブノードに知らせてよい。
【0025】
代替的に、又は追加的に、マスタノードは、進行中の伝送サブフレーム中に、連続した補助サブフレームで再送される必要があるスロットの数を予測し、補助サブフレームの長さをこの予測に従って適応させ、少なくとも各々の時間フレームの補助サブフレームの開始前に、補助サブフレームの適応された長さをスレーブノードに知らせてよい。
【0026】
再送のために使用されない補助時間フレームのスロットは、望ましくは、ベストエフォートデータで満たされる。
【0027】
本発明の更なる実施形態は、マスタノード及び少なくとも2つのスレーブノードを有する通信システムの部分であるよう構成された通信ノードに関する。通信ノードは、望ましくは、上述されたマスタノード又はスレーブノードのどちら一方として動作するよう構成される。
【0028】
通信ノードは、望ましくは、プロセッサ及びメモリを有する。メモリはソフトウェアモジュールを記憶する。ソフトウェアモジュールは、プロセッサがソフトウェアモジュールを実行するときに、通信ノードがマスタノード又はスレーブノードのどちら一方として動作するように構成される。
【0029】
本発明の上記の実施形態の態様は、N個の異なるステーションのN回の送信試行のうち、ほんのわずかのステーションしか再送される必要がないように、超高信頼無線システムが(ダイバーシティを利用して)比較的に高い信頼レベルでそれらの全てのペイロード伝送を作動させると期待できるとの評価に基づく。
【0030】
それにもかかわらず、従来の実施では、それらの再送は1つずつ処理され、特に、TDMAフレームでは、伝送されたペイロードパケットごとに個別に再送を考慮する必要がある(すなわち、伝送スロットごとに、少なくとも1つの再送スロットが計画される必要がある。)。しかし、超高信頼無線システムでは、これらの事前に割り当てられた再送のほとんどが不要である。というのも、最初の伝送が、通常は、非常に信頼性があるからである。
【0031】
従って、上記の本発明の例示的な実施形態は、そのような超高信頼無線システムの効率を向上させる方法に関係がある。ここでの主なアイデアは、再送を、個別にではなく、TDM、例えば、TDMA、時間フレームで伝送(ダウンリンク及びアップリンク)を全て割り当てられているノードのグループにわたって、考えるものである。次いで、超高信頼性は、伝送サブフレームの終わりに向かって動的に割り当てられているこれらのノードのサブセットに対してのみ再送スロットがリザーブされる場合、依然として保たれ得る。例を与えるために、N=10であり、パケット伝送が10-3のPERで起こり、一方、単一のパケット伝送が50マイクロ秒を必要とする、と仮定する。例示のために、アップリンク方向にのみ注目する。再送が個別的に考慮される必要がある場合に、これは、スケジューリングされたTDMAシステムで、ペイロードパケットごとに2つの送信試行が計画される必要があるということで、N=10回の伝送が少なくとも1msを必要とするように、夫々の初期伝送スロット後に、再送スロットが計画される必要があることを意味する。しかし、低いパケットエラー確率により、これらの再送スロットのほとんどは不要となる。
【0032】
これは、ノードNの組全体にわたって再送が考えられる場合には異なる。この場合には、N回の最初の送信試行により、平均してほんのN×10-3回の再送が必要になる。これは、上記の例では、100個のTDMAフレームごとにただ1つの再送に等しい。よって、フレームの終わりに2又は3つの再送スロットをリザーブすることによって、中央ノード(アクセスポイント又はマスタ)が動的に再送を編成する場合に、非常に高い信頼性が達成され得る。従って、そのようなフレーム設計は、(再送が個別的に編成されるアプローチと比較して)再送のために7つの保存されたスロットが、初期伝送を実現するために7つの新しいノードに与えられ得る(すなわち、全体の信頼性を大幅に損なわずに、Nを10から17に拡張する)ということで、より高い容量を実現可能である。
【0033】
マスタによるパケット再送のこのような動的な編成は、更なる利点がある。例えば、この編成は、再送の編成において瞬時チャネル状態情報を利用することを可能にする。これを理解するために、上記の例で、各アップリンク伝送中に、伝送されたパケットがマスタに向けられているという事実にかかわらず、N個全てノードが、伝送されたパケットを復号しようと積極的に試みる、とする。更に、各ステーションは、送信局からそれ自体へのチャネル状態を監視し、これはまた、マスタによっても行われる(すなわち、それは、送信局のチャネル状態を監視する。)。あるノードnがそのペイロードをマスタへ送信する番になると、このステーションは、次いで、前のn-1回の全ての伝送の成功した受信をペイロードパケットに付加する一方で、測定されたn-1個のチャネル状態も付加する。従って、この情報を考えると、マスタは、他のステーションのどれが伝送されたペイロードパケットのうちのいくつかを正確に受信したかと、それらの無線チャネルが(お互いの間で及びマスタに向かって)どれほど良好であるかとをある程度知っているということで、動的な再送フェーズの効率は高まる。そのため、対応するペイロードの元のノードからの再送を動的にスケジューリングするのではなく、マスタは、ペイロードを正確に受信した、マスタに対してより良いチャネル状態を有している中間ノードによって実行されるように、再送をスケジューリングすることができる。多くの場合に、これは、元のノードによって行われる再送と比べて、システムの信頼性を劇的に高めることができ、それにより、TDMAフレームの終わりでリザーブされる必要がある再送スロットの数は少なくなる。
【0034】
本発明の上記及び他の利点が得られる様態が容易に理解されるように、簡単に上述された本発明の更に詳細な説明が、添付の図面で表されるその具体的な実施形態を参照して示される。これらの図面が本発明の典型的な実施形態しか表さず、従って、その範囲の限定であると見なされるべきではないと理解して、本発明は、添付の図面の使用によって更なる詳細及び特定をもって記載及び説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明に従う通信システムの例示的な実施形態を表す。
図2図1のシステムを作動させる時間フレームの第1の例示的な実施形態を表す。
図3図2の時間フレームに基づいて図1のシステムを作動させる方法の第1の例示的な実施形態を説明するフローチャートを示す。
図4図1のシステムを作動させる時間フレームの第2の例示的な実施形態を表す。
図5図4の時間フレームに基づいて図1のシステムを作動させる方法の第2の例示的な実施形態を説明するフローチャートを示す。
図6】本発明に従う通信ノードの例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の好適な実施形態は、図面を参照することによって最も良く理解される。本願で図面において一般的に記載及び説明される本発明は、広い範囲で変化し得ることが容易に理解される。よって、図示されている、本発明の例示的な実施形態の下記のより詳細な説明は、請求されている発明の範囲を限定するよう意図されず、本発明の現在好ましい実施形態を表しているにすぎない。
【0037】
図1は、本発明に従う通信システム10の例示的な実施形態を示す。通信システム10は、マスタノードMNと、複数のスレーブノードSN1~SN4、例えば、図1に示される4つのスレーブノードSN1~SN4とを有する。マスタノードMNは、望ましくは無線信号RNを介してスレーブノードSN1~SN4と通信する。
【0038】
通信システム10は、通信が連続した時間フレームFで行われる時分割多重化技術で動作する。時間フレームFの第1の例示的な実施形態は、図2に表されている。
【0039】
時間フレームFは、伝送サブフレームTSFと、補助サブフレームASFと、制御パケットJSPを伝送するための制御スロットSjspとを有する。補助サブフレームASFは、2つの再送スロットRTを有し、伝送サブフレームTSFの後にスケジューリングされる。制御スロットSjspは、伝送サブフレームTSFと補助サブフレームASFとの間にスケジューリングされる。
【0040】
図2の伝送サブフレームTSFは、マスタノードMNからスレーブノードSN1~SN4へのダウンリンクデータパケットDDP(図3のステップ100を参照)の伝送のためのダウンリンクスロットDSと、スレーブノードSN1~SN4の夫々からマスタノードMNへのアップリンクデータパケットUDP(図3のステップ110を参照)の伝送のためのアップリンクスロットUS1~US4とを有する。図2において、アップリンクスロットUS1は、スレーブノードSN1に割り当てられ、アップリンクスロットUS2は、スレーブノードSN2に割り当てられ、アップリンクスロットUS3は、スレーブノードSN3に割り当てられ、アップリンクスロットUS4は、スレーブノードSN4に割り当てられる。
【0041】
図1の通信システムは、図3のフローチャートで示されるように動作してよい。
【0042】
ダウンリンクスロットDS中、マスタノードMNは、ダウンリンクデータパケットDDPをスレーブノードSN1~SN4の全て又は少なくともサブセットへ送る(図3のステップ100を参照)。
【0043】
その後、各スレーブノードSN1~SN4は、その各々のアップリンクスロットUS1~US4の間に少なくとも1つのアップリンクデータパケットUDPをマスタノードMNへ送る(図3のステップ110を参照)。
【0044】
前のダウンリンクスロットDSでのマスタノードMNからのダウンリンクデータパケットDDPの受信が成功する場合に、スレーブノードによって送られたアップリンクデータパケットUDPは、この成功した受信を確認する。全く受信がないか、又は受信が失敗する場合(例えば、受信されたデータパケットが復号され得なかった場合)に、スレーブノードSN1~SN4は、それらの各々のアップリンクデータパケットUDPで、不在又は伝送失敗を報告する。
【0045】
スレーブノードSN1~SN4は、望ましくは、他のスレーブノードに割り当てられるか又は他のスレーブノードからマスタノードMNへ送られるデータパケットを含む、伝送サブフレームTSF中にそれらが受信する全てのダウンリンクデータパケットDSP及び全てのアップリンクデータパケットUDPを記憶する。
【0046】
ステップ110で、スレーブノードSN1~SN4は、望ましくは、全ての受信及び記憶されたデータパケットをマスタノードMNに知らせる。以下で更に説明されるように、記憶されているデータパケットに関する情報は、マスタノードMNが中間のスレーブノードを通じたデータパケットの間接的な再送をスケジューリングすることを可能にする。
【0047】
更に、スレーブノードSN1~SN4は、望ましくは、他のノードから受信されたデータパケットUDP及びDDPに関してチャネル品質データを決定する。ステップ110で、スレーブノードSN1~SN4は、望ましくは、品質データをマスタノードMNへ送信する。以下で更に説明されるように、チャネル品質データに関する情報は、マスタノードMNがデータパケットの間接的な再送のための最も適切な中間のスレーブノードを決定することを可能にする。
【0048】
マスタノードMNは、ステップ120で、受信されたアップリンクデータパケットUDPを評価する。
【0049】
スレーブノードSN1~SN4からの各々のアップリンクスロットUS1~US4での正当なアップリンクデータパケットUDPの受信が失敗する場合に、又はアップリンクデータパケットUDPが前のダウンリンクスロットDS中のダウンリンクデータパケットDDPの受信の失敗を示す場合に、マスタノードMNは、来たるべき補助サブフレームASFでのアップリンクデータパケットUDP及び/又はダウンリンクデータパケットDDPの再送を定義する再送スケジュールRTSを生成する。
【0050】
ステップ130で、マスタノードMNは、再送スケジュールRTSをスレーブノードSN1~SN4へブロードキャストする。再送スケジュールRTSは、制御パケットJSPに組み込まれ、制御スロットSjsp中に送信される。
【0051】
再送スケジュールRTSは、望ましくは、スレーブノードSN1~SN4がマスタノードへ送信したチャネル品質データに応じて生成される。より具体的には、再送スケジュールRTSは、望ましくは、次の通りに生成される。
【0052】
a)以降で「影響を受けるアップリンクスレーブノード」と呼ばれるスレーブノードSN1~SN4のうちの1つのアップリンクスロットUS1~US4中のアップリンクデータパケットUDPの受信が失敗する場合に、マスタノードMNは、以降で「アップリンク再送スレーブノード」と呼ばれる残りのスレーブノードのうちの少なくとも1つを、影響を受けるアップリンクスレーブノードのそれらの各々の記憶されているアップリンクデータパケットを再送するように決定してよい。マスタノードMNは、望ましくは、マスタノードMNによる影響を受けるアップリンクデータパケットの受信に関して最良の品質データを有しているスレーブノードを、アップリンク再送スレーブノード又はその1つとして選択する。
【0053】
b)以降で「影響を受けるダウンリンクスレーブノード」と呼ばれるスレーブノードSN1~SN4のうちの1つに関してダウンリンクスロットDS中のダウンリンクデータパケットDDPの受信が失敗する場合に、マスタノードMNは、以降で「ダウンリンク再送スレーブノード」と呼ばれる残りのスレーブノードのうちの少なくとも1つを、影響を受けるダウンリンクスレーブノードに関する各々のダウンリンクスロットDSのそれらの記憶されているデータパケットを再送するように決定してよい。マスタノードMNは、望ましくは、影響を受けるダウンリンクスレーブノードによる影響を受けるダウンリンクデータパケットの受信に関して最良のチャネル品質データを有している少なくともスレーブノードを、ダウンリンク再送スレーブノード又はその1つとして選択する。
【0054】
c)以降で「二重に影響を受けるスレーブノード」と呼ばれるスレーブノードSN1~SN4のうちの1つに関してアップリンク及びダウンリンクスロット中の受信が失敗する場合に、マスタノードMNは、望ましくは、二重に影響を受けるスレーブノードのダウンリンクスロットDS及びアップリンクスロットUS1~US4の両方のデータパケット受信及び記憶している、以降で「選択されたスレーブノード」と呼ばれる残りのスレーブノードSN1~SN4のうちの少なくとも1つを決定する。スレーブノードSN1~SN4が、アップリンクスロット中に、上述されたように、記憶されているデータパケットを報告するので、マスタノードMNは、適切なスレーブノードを容易に決定することができる。
【0055】
d)追加的に、又は代替的に、再送はまた、例えば、チャネル品質データが、中間のスレーブノードの関与なしで、データパケットの直接の再送を求める場合には、マスタノードMNそれ自体によって、あるいは、影響を受けるスレーブノードによって直接に、行われて得る。
【0056】
ステップ140で、再送を任じられたスレーブノードは、制御パケットJSPにおいて定義されている再送スケジュールRTSに従って、再送スロットRTでダウンリンク及びアップリンクデータパケットを再送する。
【0057】
二重に影響を受けるスレーブノードの場合に、選択されたスレーブノードは、望ましくは、影響を受けるスレーブノードのダウンリンクスロットDS及びアップリンクスロットUS1~US4の両方のデータパケットに基づいて、ネットワークコーディングされたデータパケットを生成する。ネットワークコーディングは、望ましくは、コーディングされたデータパケットをアップリンクスロットUSの1つ以上のデータパケットに基づいて及びダウンリンクスロットDSの1つ以上のデータパケットに基づいて復号することを可能にするコーディングスキームに基づいて、行われる。選択されたスレーブノードは、影響を受けるスレーブノードのダウンリンクスロット及びアップリンクスロットのデータパケットにXOR演算を適用することによって、ネットワークコーディングされたデータパケットを生成してよい。選択されたスレーブノードは、次いで、再送スケジュールRTSに従って、ネットワークコーディングされたデータパケットをブロードキャストする。
【0058】
時間フレームFの長さ、伝送サブフレームTSFの長さ、補助サブフレームASFの長さ(例えば、再送するようの数)、及び制御スロットSjspの長さは、ノードがそれらの各々の伝送をお互いに対して同期させ、それらのデータを適切なスロット中に適切な時点で送信することを可能にするために、望ましくは一定である。
【0059】
図2及び図3の例示的な実施形態では、補助サブフレームASFは、2つの再送スロットRTを有する。ただ1つの再送スロットRTで十分であるか、あるいは、2つよりも多い再送スロットRTが必要である、とマスタノードMNが認識する場合に、マスタノードMNは、補助サブフレームASFの長さ及び再送スロットRTの数を変更してもよい。
【0060】
このために、マスタノードMNは、1つ以上の前の時間フレームFを評価し、再送スロットRTの数を調整してよい。例えば、マスタノードMNは、来たるべき時間フレームFで、例えば、次の時間フレームFで再送される必要があるスロットの数を予測し、該来たるべき時間フレームFの補助サブフレームASFの長さをこの予測に従って適応させ、補助サブフレームASFの適応された長さをスレーブノードSN1~SN4に知らせてよい。通知は、望ましくは、少なくとも、次の時間フレームFの開始前に、送信される。
【0061】
代替的に、又は追加的に、マスタノードMNは、進行中の伝送サブフレームTSF中に再送される必要があるスロットの数を予測してもよい。この場合に、補助サブフレームASFの長さに関する通知は、少なくとも各々の時間フレームFの補助サブフレームASFの開始前に、送信されるべきである。
【0062】
更には、マスタノードMNは、伝送サブフレームTSFでのアップリンクスロットUS1~US4へのスレーブノードSN1~SN4の割り当てを再配置してよい。望ましくは、マスタノードMNからのデータパケットの受信に関してより良いチャネル品質データを有しているスレーブノードSN1~SN4は、チャネル品質データがより悪いスレーブノードSN1~SN4の後にスケジューリングされる。マスタノードMNは、そのダウンリンクスロットDSの間に、新しい割り当てを通知してよい。マスタノードMNが、(チャネル品質データに関して)より良いノードを、(チャネル品質データに関して)より悪いノードの後にグループ化する場合に、スレーブノードが他のスレーブノードからのデータを再送可能であり得る可能性は高まる。
【0063】
図4は、本発明の従う通信システムの動作のために適切である時間フレームFの第2の例示的な実施形態を示す。
【0064】
図4の時間フレームFは、2つの制御スロットSjsp1及びSjsp2を有する。両方の制御スロットは、伝送サブフレームTSFと補助サブフレームASFとの間にスケジューリングされる。
【0065】
第1制御スロットSjsp1では、マスタノードMNは、制御パケットJSPをブロードキャストし、図1~3を参照して先に説明されたように、再送スケジュールRTSを発行する。更には、制御パケットJSPは、第2制御スロットSjsp2で再送スケジュールRTS又は制御パケットJSP全体を再送するよう要求される、以降で「リピータノード」と呼ばれる少なくとも1つのスレーブノードを定義する。再送スケジュールRTS又は制御パケットJSP全体の再送は、全てのスレーブノードが再送スケジュールRTSを受信する可能性を高める。
【0066】
マスタノードMNは、次の通りに、リピータノード又はリピータノードの1つを決定してよい。最初に、マスタノードMNは、マスタノードとの接続が最悪であるスレーブノードを(例えば、既知のチャネル品質データに基づいて)決定する。後続のスレーブノードとの接続が最良であるスレーブノードが、次いで、リピータノードとして選択される。
【0067】
第2制御スロットSjsp2では、再送スケジュールRTS又は制御パケットJSP全体の再送(図5のステップ135)が、次いで、制御パケットJSPで識別されているリピータスレーブノードとして選択される。
【0068】
補助サブフレームASF内の全てのスロットRTが再送のために必要とされるわけではない場合に、スペアスロットは、ベストエフォートデータ(best effort data)で満たされてよい。
【0069】
図6は、本発明に従う通信ノード300の例示的な実施形態を示す。通信ノード300は、プロセッサ310と、メモリ320と、プロセッサ310によって制御されるトランシーバ330とを有する。メモリ320は、ソフトウェアモジュールSPMを記憶している。ソフトウェアモジュールSPMは、プロセッサ310がソフトウェアモジュールSPMを実行するときに通信ノード300がマスタノード又はスレーブノードのどちら一方として動作するように構成される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】