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特表2022-521956BCMAに結合する抗原結合性タンパク質
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(54)【発明の名称】BCMAに結合する抗原結合性タンパク質
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20220406BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220406BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20220406BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220406BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220406BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220406BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20220406BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20220406BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220406BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220406BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220406BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220406BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220406BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220406BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20220406BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20220406BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220406BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220406BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220406BHJP
   C12N 1/15 20060101ALN20220406BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C07K16/28
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C12Q1/04
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61P35/02
A61P35/00
A61P37/02
A61P17/00
A61P9/10
A61P7/00
A61P7/06
A61P29/00 101
A61P21/00
A61P19/02
C12N1/15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549630
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(85)【翻訳文提出日】2021-10-19
(86)【国際出願番号】 US2020019763
(87)【国際公開番号】W WO2020176549
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】62/810,771
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/811,431
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514291864
【氏名又は名称】ソレント・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Sorrento Therapeutics, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ, ヘユエ
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ, シア
【テーマコード(参考)】
4B063
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QQ08
4B063QR48
4B063QR77
4B063QS38
4B063QS40
4B063QX02
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB17
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、BCMAに特異的に結合するBCMA結合性タンパク質、特に抗BCMA抗体、またはその抗原結合性部分、およびその使用を提供する。一実施形態では、抗BCMA抗体は、ヒトBCMAエピトープに結合し、ヒトAPRILおよび/またはヒトBAFFのヒトBCMAエピトープへの結合を遮断する(例えば、結合を阻害する)抗原結合性部分を含む。抗BCMA抗体の様々な態様は、抗体断片、一本鎖抗体、医薬組成物、核酸、組換え発現ベクター、宿主細胞、ならびにこのような抗BCMA抗体を調製および使用するための方法に関する。抗BCMA抗体を使用するための方法は、BCMAに結合し、BCMAを検出し、BCMA過剰発現に関連する疾患を処置するための、in vitroおよびin vivo方法を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖と軽鎖とを含む完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片であって、
(a)前記重鎖が、配列番号29のアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号30のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号31のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、前記軽鎖が、配列番号32のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号33のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号34のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、
(b)前記重鎖が、配列番号35のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号36のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号37のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、前記軽鎖が、配列番号38のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号39のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号40のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、
(c)前記重鎖が、配列番号41のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号43のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、前記軽鎖が、配列番号44のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、
(d)前記重鎖が、配列番号47のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号48のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号49のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、前記軽鎖が、配列番号50のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号51のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号52のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、
(e)前記重鎖が、配列番号53のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号54のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号55のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、前記軽鎖が、配列番号56のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号57のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号58のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、
(f)前記重鎖が、配列番号59のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号60のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号61のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、前記軽鎖が、配列番号62のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号63のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号64のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、
(g)前記重鎖が、配列番号65のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号66のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号67のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、前記軽鎖が、配列番号68のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号69のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号70のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、
(h)前記重鎖が、配列番号71のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号72のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号73のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、前記軽鎖が、配列番号74のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号75のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号76のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、
(i)前記重鎖が、配列番号77のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号78のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号79のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、前記軽鎖が、配列番号80のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号81のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号82のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、
(j)前記重鎖が、配列番号83のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号84のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号85のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、前記軽鎖が、配列番号86のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号87のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号88のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、または
(k)前記重鎖が、配列番号53のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号54のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号55のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、前記軽鎖が、配列番号89のアミノ酸配列を有するラムダ軽鎖CDR1、配列番号90のアミノ酸配列を有するラムダ軽鎖CDR2、および配列番号91のアミノ酸配列を有するラムダ軽鎖CDR3を含む、
完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片。
【請求項2】
重鎖と軽鎖とを含む完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域が、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有し、軽鎖可変領域が、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片。
【請求項3】
重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含む完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片であって、前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域が、配列番号8および9(本明細書において、BCA7と呼ばれる)、配列番号10および11(本明細書において、BC4C9と呼ばれる)、配列番号12および13(本明細書において、CD5C4と呼ばれる)、配列番号14および15(本明細書において、BC6G8と呼ばれる)、配列番号8および16(本明細書において、BCA7-2C5と呼ばれる)、配列番号8および17(本明細書において、BCA7-2E1と呼ばれる)、配列番号8および18(本明細書において、BCA7-2D11と呼ばれる)、配列番号8および19(本明細書において、BCA7-2G2と呼ばれる)、配列番号8および20(本明細書において、BCA7-2D8と呼ばれる)、配列番号8および21(本明細書において、BCA7-2E8と呼ばれる)、または配列番号22および23(本明細書において、全長BCA7-2C5と呼ばれる)のアミノ酸配列を含む、完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片。
【請求項4】
重鎖由来の可変ドメイン領域と軽鎖由来の可変ドメイン領域とを有するFab断片を含み、前記重鎖由来の前記可変ドメイン領域が、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含み、前記軽鎖由来の前記可変ドメイン領域が、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、請求項2に記載の抗原結合性断片。
【請求項5】
ペプチドリンカーによって一緒に連結された重鎖由来の可変ドメイン領域と軽鎖由来の可変ドメイン領域とを含む一本鎖抗体を含み、前記重鎖由来の前記可変ドメイン領域が、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含み、前記軽鎖由来の前記可変ドメイン領域が、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、請求項2に記載の抗原結合性断片。
【請求項6】
IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4クラス抗体を含む、請求項2または3に記載の完全ヒト抗BCMA抗体。
【請求項7】
APRIL(増殖誘導リガンド、TNF13およびCD256としても公知)タンパク質とBCMAタンパク質との間の結合を遮断する、先行請求項のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
【請求項8】
ヒト、カニクイザルおよびマウス由来のBCMAタンパク質に結合する、先行請求項のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
【請求項9】
BCMAタンパク質を発現する細胞に結合する、先行請求項のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
【請求項10】
BCMAタンパク質を発現するヒト骨髄腫細胞に結合する、先行請求項のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
【請求項11】
先行請求項のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項12】
請求項2に記載の抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸であって、前記抗体重鎖可変領域のアミノ酸配列が、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、第1の核酸と、請求項2に記載の抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドをコードする第2の核酸であって、前記抗体軽鎖可変領域のアミノ酸配列が、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、第2の核酸。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体または抗体結合性断片をコードする1つまたは複数の核酸。
【請求項14】
請求項12に記載の第1および第2の核酸に作動可能に連結された1つまたは複数のプロモーターを含む1つまたは複数の発現ベクター。
【請求項15】
請求項13に記載の1つまたは複数の核酸に作動可能に連結された1つまたは複数のプロモーターを含む1つまたは複数の発現ベクター。
【請求項16】
請求項13または15に記載の1つまたは複数の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項17】
抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドおよび抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドまたは抗体もしくは抗原結合性断片を調製するための方法であって、請求項16に記載の宿主細胞の集団(複数の宿主細胞)を、前記第1のポリペプチドおよび前記第2のポリペプチドまたは前記抗体もしくは抗原結合性断片を発現するのに適する条件下で、培養するステップを含む、方法。
【請求項18】
発現した前記第1のポリペプチドおよび発現した前記第2のポリペプチドまたは発現した前記抗体もしくは抗原結合性断片を、請求項16に記載の宿主細胞の集団から回収するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
BCMA発現細胞を死滅させるためのin vitro方法であって、(i)エフェクター細胞の集団を、(ii)BCMAを発現する標的細胞の集団と、(iii)請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片の存在下、前記BCMA発現細胞を死滅させるのに適する条件下で接触させるステップを含む、方法。
【請求項20】
BCMA過剰発現に関連する疾患またはBCMA陽性がんを有する被験体を処置するための方法であって、請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片を含む治療組成物の有効量を前記被験体に投与するステップを含む、方法。
【請求項21】
BCMA陽性がんを有する被験体を処置するための方法であって、前記BCMA陽性がんが、B細胞白血病、B細胞リンパ腫またはB細胞骨髄腫を含み、請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片を含む治療組成物の有効量を前記被験体に投与するステップを含む、方法。
【請求項22】
BCMA発現に関連する疾患を有する被験体を処置するための方法であって、BCMA発現に関連する前記疾患が、多発性骨髄腫(MM)、バーキットリンパ腫(BL)を含む非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性Bリンパ球性白血病(B-CLL)、全身性エリテマトーデス(SLE)、急性BおよびTリンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性骨髄性白血病(CML)、ヘアリー細胞白血病(HCL)、濾胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、形質細胞性骨髄腫、前駆B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、形質細胞腫、巨細胞骨髄腫、形質細胞性骨髄腫、重鎖骨髄腫、軽鎖またはベンスジョーンズ骨髄腫、リンパ腫様肉芽腫症、移植後リンパ増殖性障害、免疫調節性障害、関節リウマチ、重症筋無力症、特発性血小板減少性紫斑病、抗リン脂質症候群、シャーガス病、グレーブス病、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎、シェーグレン症候群、尋常性天疱瘡、強皮症、多発性硬化症、抗リン脂質症候群、ANCA関連血管炎、グッドパスチャー病、川崎病、自己免疫性溶血性貧血、および急速進行性糸球体腎炎、重鎖病、原発性または免疫細胞関連アミロイドーシス、および意味未確定の単クローン性高ガンマグロブリン血症であり、前記方法が、請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片を含む治療組成物の有効量を前記被験体に投与するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年2月26日に出願した米国仮出願第62/810,771号、および2019年2月27日に出願した米国仮出願第62/811,431号に基づく米国特許法第119条の下での優先権の利益を主張する。前述の出願の全ての開示の内容全体が、参照により組み込まれる。
【0002】
本出願全体を通して様々な刊行物、特許、および/または特許出願が参照される。刊行物、特許、および/または特許出願の開示は、本開示が属する技術分野の現状をより十分に説明するために、その内容全体がこれにより参照により本出願に組み込まれる。
【0003】
技術分野
本開示は、B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する抗原結合性タンパク質および抗原結合性タンパク質をコードする核酸、核酸を含むベクター、ベクターを含む宿主細胞、ならびにそれらの使用方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
背景
TNFRSF17およびCD269(UniProt Q02223)としても公知であるB細胞成熟抗原(BCMA)は、腫瘍壊死受容体スーパーファミリーのメンバーである。BCMAは、分化した形質細胞で発現される非グリコシル化III型膜貫通タンパク質であり(Laabi et al., 1992 The EMBO Journal 11(11):3897-3904;Laabi et al., 1994 Nucleic Acids Research 22(7):1147-1154;Madry et al., 1998 International Immunology 10(11):1693-1702)、B細胞の発生および生存に関与する細胞表面受容体である。
【0005】
BCMAは、TNFスーパーファミリーの2つのリガンドAPRIL(増殖誘導リガンド(A PRoliferation-Inducing Ligand))およびBAFFに対する細胞表面受容体である。APRILおよびBAFFは、それぞれ、BCMAに対する高親和性および低親和性リガンドである。APRILは、増殖誘導リガンドであり、BAFFは、Bリンパ球刺激因子である。TACIは、APRILおよびBAFFに結合する負の制御因子である。APRILおよびBAFFのBCMAおよび/またはTACIへの協調した結合は、因子NF-κBの転写を誘導し、生存促進性Bcl-2ファミリーメンバーの発現を増加させ、アポトーシス促進因子の発現を下方調節して、生存を促進し、アポトーシスを阻害する。この複雑な相互作用は、B細胞の分化、増殖、生存および抗体産生を促進する(Rickert 2011 Immunology Review 244(1):115-133)。BCMAは、悪性ヒトB細胞の成長および生存をサポートすることが公知であり、BCMAおよびTACIの発現の上方調節は、多発性骨髄腫(MM)細胞を含む悪性ヒトB細胞において報告されている(Mackay et al., 2004 Annual Review Immunology 21:231-264による"BAFF and APRIL: a tutorial on B cell survival"における概説を参照されたい)。さらに、BCMA、APRILおよびBAFFのシグナル伝達は、B細胞新生物および多発性骨髄腫においてNFκBを活性化することが報告されている。
多発性骨髄腫は、骨髄の複数の部位において発症し、次いで、循環によって広がるクローン性B細胞リンパ腫である。BCMAは、正常組織と比較して、多発性骨髄腫細胞において有意に高いレベルで発現され、BCMAは免疫療法のための優れた標的抗原となる。よって、BCMAは、抗体による標的化に対する魅力的な抗原である。本開示は、BCMAに特異的に結合するBCMA結合性タンパク質、特に抗BCMA抗体またはその抗原結合性部分、およびその使用を提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Laabi et al., 1992 The EMBO Journal 11(11):3897-3904
【非特許文献2】Laabi et al., 1994 Nucleic Acids Research 22(7):1147-1154
【非特許文献3】Madry et al., 1998 International Immunology 10(11):1693-1702
【非特許文献4】Rickert 2011 Immunology Review 244(1):115-133
【非特許文献5】Mackay et al., 2004 Annual Review Immunology 21:231-264
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
要旨
本開示は、重鎖と軽鎖とを含む完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片であって、(a)重鎖が、配列番号29のアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号30のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号31のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖が、配列番号32のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号33のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号34のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(b)重鎖が、配列番号35のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号36のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号37のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖が、配列番号38のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号39のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号40のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(c)重鎖が、配列番号41のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号43のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖が、配列番号44のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(d)重鎖が、配列番号47のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号48のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号49のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖が、配列番号50のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号51のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号52のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(e)重鎖が、配列番号53のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号54のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号55のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖が、配列番号56のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号57のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号58のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(f)重鎖が、配列番号59のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号60のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号61のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖が、配列番号62のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号63のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号64のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(g)重鎖が、配列番号65のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号66のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号67のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖が、配列番号68のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号69のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号70のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(h)重鎖が、配列番号71のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号72のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号73のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖が、配列番号74のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号75のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号76のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(i)重鎖が、配列番号77のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号78のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号79のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖が、配列番号80のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号81のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号82のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(j)重鎖が、配列番号83のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号84のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号85のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖が、配列番号86のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号87のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号88のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、または(k)重鎖が、配列番号53のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号54のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号55のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖が、配列番号89のアミノ酸配列を有するラムダ軽鎖CDR1、配列番号90のアミノ酸配列を有するラムダ軽鎖CDR2、および配列番号91のアミノ酸配列を有するラムダ軽鎖CDR3を含む、完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片を提供する。
【0008】
本開示は、重鎖と軽鎖とを含む完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片であって、重鎖が、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含み、軽鎖が、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む、完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片を提供する。
【0009】
本開示は、重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含む完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片であって、重鎖可変領域および軽鎖可変領域が、配列番号8および9(例えば、本明細書において、BCA7と呼ばれる)、配列番号10および11(例えば、本明細書において、BC4C9と呼ばれる)、配列番号12および13(例えば、本明細書において、CD5C4と呼ばれる)、配列番号14および15(例えば、本明細書において、BC6G8と呼ばれる)、配列番号8および16(例えば、本明細書において、BCA7-2C5と呼ばれる)、配列番号8および17(例えば、本明細書において、BCA7-2E1と呼ばれる)、配列番号8および18(例えば、本明細書において、BCA7-2D11と呼ばれる)、配列番号8および19(例えば、本明細書において、BCA7-2G2と呼ばれる)、配列番号8および20(例えば、本明細書において、BCA7-2D8と呼ばれる)、配列番号8および21(例えば、本明細書において、BCA7-2E8と呼ばれる)、または配列番号22および23(例えば、本明細書において、ラムダ軽鎖を有するBCA7-2C5と呼ばれる)のアミノ酸配列を含む、完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片を提供する。
【0010】
本開示は、完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片であって、抗原結合性断片が、重鎖由来の可変ドメイン領域と軽鎖由来の可変ドメイン領域とを含むFab断片であり、(a)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号29のアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号30のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号31のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号32のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号33のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号34のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(b)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号35のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号36のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号37のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号38のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号39のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号40のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(c)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号41のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号43のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号44のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(d)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号47のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号48のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号49のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号50のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号51のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号52のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(e)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号53のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号54のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号55のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号56のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号57のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号58のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(f)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号59のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号60のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号61のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号62のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号63のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号64のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(g)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号65のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号66のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号67のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号68のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号69のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号70のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(h)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号71のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号72のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号73のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号74のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号75のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号76のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(i)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号77のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号78のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号79のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号80のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号81のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号82のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(j)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号83のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号84のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号85のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号86のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号87のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号88のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、または(k)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号53のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号54のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号55のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号89のアミノ酸配列を有するラムダ軽鎖CDR1、配列番号90のアミノ酸配列を有するラムダ軽鎖CDR2、および配列番号91のアミノ酸配列を有するラムダ軽鎖CDR3を含む、完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片を提供する。
【0011】
本開示は、完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片であって、抗原結合性断片が、重鎖由来の可変ドメイン領域と軽鎖由来の可変ドメイン領域とを含むFab断片であり、重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片を提供する。
【0012】
本開示は、完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片であって、抗原結合性断片が、重鎖由来の可変ドメイン領域と軽鎖由来の可変ドメイン領域とを含むFab断片であり、重鎖由来の可変ドメイン領域および軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号8および9(例えば、本明細書において、BCA7と呼ばれる)、配列番号10および11(例えば、本明細書において、BC4C9と呼ばれる)、配列番号12および13(例えば、本明細書において、CD5C4と呼ばれる)、配列番号14および15(例えば、本明細書において、BC6G8と呼ばれる)、配列番号8および16(例えば、本明細書において、BCA7-2C5と呼ばれる)、配列番号8および17(例えば、本明細書において、BCA7-2E1と呼ばれる)、配列番号8および18(例えば、本明細書において、BCA7-2D11と呼ばれる)、配列番号8および19(例えば、本明細書において、BCA7-2G2と呼ばれる)、配列番号8および20(例えば、本明細書において、BCA7-2D8と呼ばれる)、配列番号8および21(例えば、本明細書において、BCA7-2E8と呼ばれる)、または配列番号22および23(例えば、本明細書において、ラムダ軽鎖を有するBCA7-2C5と呼ばれる)である、完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片を提供する。
【0013】
本開示は、完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片であって、抗原結合性断片が、ペプチドリンカーによって一緒に連結された重鎖由来の可変ドメイン領域と軽鎖由来の可変ドメイン領域とを含む一本鎖抗体であり、(a)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号29のアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号30のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号31のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号32のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号33のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、配列番号34のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(b)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号35のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号36のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号37のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号38のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号39のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号40のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(c)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号41のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号43のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号44のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(d)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号47のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号48のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号49のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号50のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号51のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号52のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(e)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号53のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号54のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号55のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号56のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号57のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号58のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(f)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号59のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号60のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号61のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号62のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号63のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号64のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(g)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号65のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号66のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号67のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号68のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号69のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号70のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(h)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号71のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号72のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号73のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号74のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号75のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号76のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(i)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号77のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号78のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号79のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号80のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号81のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号82のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、(j)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号83のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号84のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号85のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号86のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号87のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号88のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含むか、または(k)重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号53のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号54のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号55のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号89のアミノ酸配列を有するラムダ軽鎖CDR1、配列番号90のアミノ酸配列を有するラムダ軽鎖CDR2、および配列番号91のアミノ酸配列を有するラムダ軽鎖CDR3を含む、完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片を提供する。
【0014】
本開示は、完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片であって、抗原結合性断片が、ペプチドリンカーによって一緒に連結された重鎖由来の可変ドメイン領域と軽鎖由来の可変ドメイン領域とを含む一本鎖抗体であり、重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含み、軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片を提供する。
【0015】
本開示は、完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片であって、抗原結合性断片が、ペプチドリンカーによって一緒に連結された重鎖由来の可変ドメイン領域と軽鎖由来の可変ドメイン領域とを含む一本鎖抗体であり、重鎖由来の可変ドメイン領域および軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号8および9(例えば、本明細書において、BCA7と呼ばれる)、配列番号10および11(例えば、本明細書において、BC4C9と呼ばれる)、配列番号12および13(例えば、本明細書において、CD5C4と呼ばれる)、配列番号14および15(例えば、本明細書において、BC6G8と呼ばれる)、配列番号8および16(例えば、本明細書において、BCA7-2C5と呼ばれる)、配列番号8および17(例えば、本明細書において、BCA7-2E1と呼ばれる)、配列番号8および18(例えば、本明細書において、BCA7-2D11と呼ばれる)、配列番号8および19(例えば、本明細書において、BCA7-2G2と呼ばれる)、配列番号8および20(例えば、本明細書において、BCA7-2D8と呼ばれる)、配列番号8および21(例えば、本明細書において、BCA7-2E8と呼ばれる)、または配列番号22および23(例えば、本明細書において、ラムダ軽鎖を有するBCA7-2C5と呼ばれる)である、完全ヒト抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片を提供する。
【0016】
一実施形態では、本明細書に開示されている完全ヒト抗BCMA抗体のいずれか、またはその抗原結合性断片のいずれかは、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4抗体を含む。
【0017】
一実施形態では、本明細書に開示されている完全ヒト抗BCMA抗体のいずれか、またはその抗原結合性断片のいずれかは、IgG1またはIgG4アイソタイプ抗体を含む。
【0018】
一実施形態では、本明細書に開示されている完全ヒト抗BCMA抗体のいずれか、またはその抗原結合性断片のいずれかは、ヒトAPRIL(増殖誘導リガンド、TNF13およびCD256としても公知)タンパク質のヒトBCMAタンパク質への結合を遮断することができる。
【0019】
一実施形態では、本明細書に開示されている完全ヒト抗BCMA抗体のいずれか、またはその抗原結合性断片のいずれかは、ヒトBCMAタンパク質に結合し、マウスおよびカニクイザル由来のBCMAタンパク質と交差反応する。
【0020】
一実施形態では、本明細書に開示されている完全ヒト抗BCMA抗体のいずれか、またはその抗原結合性断片のいずれかは、ヒトBCMAタンパク質に結合し、マウスまたはカニクイザル由来のBCMAタンパク質と交差反応しない。
【0021】
一実施形態では、本明細書に開示されている完全ヒト抗BCMA抗体のいずれか、またはその抗原結合性断片のいずれかは、10-8Mまたはそれより少ないKでヒトBCMAタンパク質と結合する。
【0022】
一実施形態では、本明細書に開示されている完全ヒト抗BCMA抗体のいずれか、またはその抗原結合性断片のいずれかは、10-7Mまたはそれより少ないKでカニクイザルBCMAタンパク質と結合する。
【0023】
一実施形態では、本明細書に開示されている完全ヒト抗BCMA抗体のいずれか、またはその抗原結合性断片のいずれかは、10-5Mまたはそれより少ないKでマウスBCMAタンパク質と結合する。
【0024】
一実施形態では、本明細書に開示されている完全ヒト抗BCMA抗体のいずれか、またはその抗原結合性断片のいずれかは、例えば、BCMAタンパク質を発現するヒト骨髄腫細胞を含む、BCMAタンパク質を発現する細胞に結合する。
【0025】
本開示は、本開示のヒト抗BCMA抗体のいずれか1つ、またはその抗原結合性断片のいずれか、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0026】
本開示は、本開示のヒト抗BCMA抗体のいずれか1つ、またはその抗原結合性断片のいずれかを含むキットを提供する。
【0027】
本開示は、(a)配列番号29のアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域(CDR)1、配列番号30のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、および配列番号31のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、または(b)配列番号35のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号36のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、および配列番号37のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、または(c)配列番号41のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号42のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、および配列番号43のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、または(d)配列番号47のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号48のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号49のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、または(e)配列番号53のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号54のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、および配列番号55のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、または(f)配列番号59のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号60のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号61のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、または(g)配列番号65のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号66のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、および配列番号67のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、または(h)配列番号71のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号72のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、および配列番号73のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、または(i)配列番号77のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号78のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、および配列番号79のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、または(j)配列番号83のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号84のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、および配列番号85のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの重鎖CDRを有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸を提供する。
【0028】
本開示は、本明細書に開示されている本開示のヒト抗BCMA抗体のいずれか1つのCDR1、2および3を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクターを提供する。
【0029】
本開示は、本明細書に開示されている本開示のヒト抗BCMA抗体のいずれか1つのCDR1、2および3を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクターを含む第1の宿主細胞を提供する。一実施形態では、第1のベクターは、第1の発現ベクターを含む。一実施形態では、第1の宿主細胞は、本明細書に開示されている本開示のヒト抗BCMA抗体のいずれか1つのCDR1、2および3を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドを発現する。
【0030】
本開示は、CDR1、2および3を含む抗体重鎖可変領域を有する第1のポリペプチドを調製するための方法であって、CDR1、2および3を含む抗体重鎖可変領域を有する第1のポリペプチドを発現するのに適した条件下で、第1の発現ベクターを含む第1の宿主細胞の集団(例えば、複数の宿主細胞)を培養するステップを含む、方法を提供する。一実施形態では、方法は、CDR1、2および3を含む抗体重鎖可変領域を有する発現された第1のポリペプチドを、第1の宿主細胞の集団から回収するステップをさらに含む。
【0031】
本開示は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸を提供する。
【0032】
本開示は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクターを提供する。
【0033】
本発明は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクターを含む第1の宿主細胞を提供する。一実施形態では、第1のベクターは、第1の発現ベクターを含む。一実施形態では、第1の宿主細胞は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドを発現する。
【0034】
本開示は、抗体重鎖可変領域を有する第1のポリペプチドを調製するための方法であって、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を有する第1のポリペプチドを発現するのに適した条件下で、第1の発現ベクターを含む第1の宿主細胞の集団(例えば、複数の宿主細胞)を培養するステップを含む、方法を提供する。一実施形態では、方法は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する発現された第1のポリペプチドを、第1の宿主細胞の集団から回収するステップをさらに含む。
【0035】
本開示は、(a)配列番号32のアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域(CDR)1、配列番号33のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号34のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、または(b)配列番号38のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号39のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号40のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、または(c)配列番号44のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号45のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号46のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、または(d)配列番号50のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号51のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号52のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、または(e)配列番号56のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号57のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号58のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、または(f)配列番号62のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号63のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号64のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、または(g)配列番号68のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号69のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号70のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、または(h)配列番号74のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号75のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号76のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、または(i)配列番号80のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号81のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号82のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、または(j)配列番号86のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号87のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号88のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3、または(k)配列番号89のアミノ酸配列を有するラムダ軽鎖CDR1、配列番号90のアミノ酸配列を有するラムダ軽鎖CDR2、配列番号91のアミノ酸配列を有するラムダ軽鎖CDR3を含む、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの軽鎖CDRを有する抗体軽鎖可変領域を含むポリペプチドをコードする第2の核酸を提供する。
【0036】
本開示は、本明細書に開示されている本開示のヒト抗BCMA抗体のいずれか1つのCDR1、2および3を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドをコードする第2の核酸に作動可能に連結された第2のベクターを提供する。
【0037】
本開示は、本明細書に開示されている本開示のヒト抗BCMA抗体のいずれか1つのCDR1、2および3を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドをコードする第2の核酸に作動可能に連結された第2のベクターを含む第2の宿主細胞を提供する。一実施形態では、第2のベクターは、第2の発現ベクターを含む。一実施形態では、第2の宿主細胞は、本明細書に開示されている本開示のヒト抗BCMA抗体のいずれか1つのCDR1、2および3を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドを発現する。
【0038】
本開示は、CDR1、2および3を含む抗体軽鎖可変領域を有する第2のポリペプチドを調製するための方法であって、CDR1、2および3を含む抗体軽鎖可変領域を有する第2のポリペプチドを発現するのに適した条件下で、第2の発現ベクターを含む第2の宿主細胞の集団(例えば、複数の宿主細胞)を培養するステップを含む、方法を提供する。一実施形態では、方法は、CDR1、2および3を含む抗体軽鎖可変領域を有する発現された第2のポリペプチドを、第2の宿主細胞の集団から回収するステップをさらに含む。
【0039】
本開示は、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドをコードする第2の核酸を提供する。
【0040】
本開示は、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドをコードする第2の核酸に作動可能に連結された第2のベクターを提供する。
【0041】
本発明は、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドをコードする第2の核酸に作動可能に連結された第2のベクターを含む第2の宿主細胞を提供する。一実施形態では、第2のベクターは、第2の発現ベクターを含む。一実施形態では、第2の宿主細胞は、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドを発現する。
【0042】
本開示は、抗体軽鎖可変領域を有する第2のポリペプチドを調製するための方法であって、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を有する第2のポリペプチドを発現するのに適した条件下で、第2の発現ベクターを含む第2の宿主細胞の集団(例えば、複数の宿主細胞)を培養するステップを含む、方法を提供する。一実施形態では、方法は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する発現された第2のポリペプチドを、第2の宿主細胞の集団から回収するステップをさらに含む。
【0043】
本開示は、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの重鎖相補性決定領域(HC-CDR1、2および3)を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸と、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの軽鎖相補性決定領域(LC-CDR1、2および3)を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドをコードする第2の核酸であって、(a)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号29、30および31のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号32、33および34のアミノ酸配列を含むか、または(b)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号35、36および37のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号38、39および40のアミノ酸配列を含むか、または(c)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号41、42および43のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号44、45および46のアミノ酸配列を含むか、または(d)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号47、48および49のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号50、51および52のアミノ酸配列を含むか、または(e)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ配列番号53、54および55のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号56、57および58のアミノ酸配列を含むか、または(f)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号59、60および61のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号62、63および64のアミノ酸配列を含むか、または(g)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号65、66および67のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号68、69および70のアミノ酸配列を含むか、または(h)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号71、72および73のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号74、75および76のアミノ酸配列を含むか、または(i)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号77、78および79のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号80、81および82のアミノ酸配列を含むか、または(j)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号83、84および85のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号86、87および88のアミノ酸配列を含むか、または(k)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号53、54および55のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号89、90および91のアミノ酸配列を含む、第1の核酸と第2の核酸を提供する。
【0044】
本開示は、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの重鎖相補性決定領域(HC-CDR1、2および3)を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸に作動可能に連結されたベクターであって、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの軽鎖相補性決定領域(LC-CDR1、2および3)を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドをコードする第2の核酸に作動可能に連結された、ベクターを提供する。
【0045】
本開示は、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの重鎖相補性決定領域(HC-CDR1、2および3)を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸と、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの軽鎖相補性決定領域(LC-CDR1、2および3)を含む第2のポリペプチドをコードする第2の核酸とに作動可能に連結されたベクターを含む宿主細胞を提供する。一実施形態では、ベクターは、発現ベクターを含む。一実施形態では、宿主細胞は、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの重鎖相補性決定領域(HC-CDR1、2および3)を含む第1のポリペプチドと、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの軽鎖相補性決定領域(LC-CDR1、2および3)を含む第2のポリペプチドを発現する。
【0046】
本開示は、第1および第2のポリペプチドを調製するための方法であって、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの重鎖相補性決定領域(HC-CDR1、2および3)を含む第1のポリペプチドと、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの軽鎖相補性決定領域(LC-CDR1、2および3)を含む第2のポリペプチドを発現するのに適した条件下で、発現ベクターを含む宿主細胞の集団(例えば、複数の宿主細胞)を培養するステップを含む、方法を提供する。一実施形態では、方法は、発現された第1および第2のポリペプチドを、宿主細胞の集団から回収するステップをさらに含む。
【0047】
本開示は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸と、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドをコードする第2の核酸とを提供する。
【0048】
本開示は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸に作動可能に連結されたベクターを提供し、ベクターは、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドをコードする第2の核酸に作動可能に連結されている。
【0049】
本発明は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸に作動可能に連結されたベクターを含む宿主細胞を提供し、ベクターは、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドをコードする第2の核酸に作動可能に連結されている。一実施形態では、ベクターは、発現ベクターを含む。一実施形態では、宿主細胞は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドを発現し、宿主細胞は、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドを発現する。
【0050】
本開示は、抗体重鎖可変領域を有する第1のポリペプチドと抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドを調製するための方法であって、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドを発現し、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を有する第2のポリペプチドを発現するのに適した条件下で、発現ベクターを含む宿主細胞の集団(例えば、複数の宿主細胞)を培養するステップを含む、方法を提供する。一実施形態では、方法は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を含む発現された第1のポリペプチドと、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する発現された第2のポリペプチドを、宿主細胞の集団から回収するステップをさらに含む。
【0051】
本開示は、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの重鎖相補性決定領域(HC-CDR1、2および3)を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸と、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの軽鎖相補性決定領域(LC-CDR1、2および3)を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドをコードする第2の核酸とであって、(a)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号29、30および31のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号32、33および34のアミノ酸配列を含むか、または(b)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号35、36および37のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号38、39および40のアミノ酸配列を含むか、または(c)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号41、42および43のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号44、45および46のアミノ酸配列を含むか、または(d)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号47、48および49のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号50、51および52のアミノ酸配列を含むか、または(e)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ配列番号53、54および55のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号56、57および58のアミノ酸配列を含むか、または(f)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号59、60および61のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号62、63および64のアミノ酸配列を含むか、または(g)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号65、66および67のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号68、69および70のアミノ酸配列を含むか、または(h)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号71、72および73のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号74、75および76のアミノ酸配列を含むか、または(i)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号77、78および79のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号80、81および82のアミノ酸配列を含むか、または(j)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号83、84および85のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号86、87および88のアミノ酸配列を含むか、または(k)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号53、54および55のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号89、90および91のアミノ酸配列を含む、第1の核酸と第2の核酸を提供する。
【0052】
本開示は、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの重鎖相補性決定領域(HC-CDR1、2および3)を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクターと、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの軽鎖相補性決定領域(LC-CDR1、2および3)を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドをコードする第2の核酸に作動可能に連結された第2のベクターとを提供する。
【0053】
本開示は、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの重鎖相補性決定領域(HC-CDR1、2および3)を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクターを含む宿主細胞を提供し、宿主細胞は、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの軽鎖相補性決定領域(LC-CDR1、2および3)を含む第2のポリペプチドをコードする第2の核酸に作動可能に連結された第2のベクターを含む。一実施形態では、第1および第2のベクターは、それぞれ、第1および第2の発現ベクターである。一実施形態では、宿主細胞は、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの重鎖相補性決定領域(HC-CDR1、2および3)を含む第1のポリペプチドを発現し、宿主細胞は、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの軽鎖相補性決定領域(LC-CDR1、2および3)を含む第2のポリペプチドを発現する。
【0054】
本開示は、第1および第2のポリペプチドを調製するための方法であって、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの重鎖相補性決定領域(HC-CDR1、2および3)を含む第1のポリペプチドと、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの軽鎖相補性決定領域(LC-CDR1、2および3)を含む第2のポリペプチドとを発現するのに適した条件下で、第1および第2の発現ベクターを含む宿主細胞の集団(例えば、複数の宿主細胞)を培養するステップを含む、方法を提供する。一実施形態では、方法は、発現された第1および第2のポリペプチドを、宿主細胞の集団から回収するステップをさらに含む。
【0055】
本開示は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸と、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドをコードする第2の核酸とを提供する。
【0056】
本開示は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクターを提供し、第2のベクターは、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドをコードする第2の核酸に作動可能に連結されている。
【0057】
本発明は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドをコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクターを含む宿主細胞を提供し、宿主細胞は、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドをコードする第2の核酸に作動可能に連結された第2のベクターを含む。一実施形態では、第1および第2のベクターは、それぞれ、第1のおよび第2の発現ベクターを含む。一実施形態では、宿主細胞は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドを発現し、宿主細胞は、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を含む第2のポリペプチドを発現する。
【0058】
本開示は、抗体重鎖可変領域を有する第1のポリペプチドと、抗体軽鎖可変領域を有する第2のポリペプチドとを調製するための方法であって、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドを発現し、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を有する第2のポリペプチドを発現するのに適した条件下で、第1および第2の発現ベクターを含む宿主細胞の集団(例えば、複数の宿主細胞)を培養するステップを含む、方法を提供する。一実施形態では、方法は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を含む発現された第1のポリペプチドと、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する発現された第2のポリペプチドを、宿主細胞の集団から回収するステップをさらに含む。
【0059】
本開示は、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの重鎖相補性決定領域(HC-CDR1、2および3)を有する抗体重鎖可変領域と、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの軽鎖相補性決定領域(LC-CDR1、2および3)を有する抗体軽鎖可変領域とを含むポリペプチド(例えば、scFvを含む一本鎖抗体)をコードする核酸であって、(a)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号29、30および31のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号32、33および34のアミノ酸配列を含むか、または(b)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号35、36および37のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号38、39および40のアミノ酸配列を含むか、または(c)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号41、42および43のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号44、45および46のアミノ酸配列を含むか、または(d)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号47、48および49のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号50、51および52のアミノ酸配列を含むか、または(e)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号53、54および55のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号56、57および58のアミノ酸配列を含むか、または(f)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号59、60および61のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号62、63および64のアミノ酸配列を含むか、または(g)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号65、66および67のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号68、69および70のアミノ酸配列を含むか、または(h)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号71、72および73のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号74、75および76のアミノ酸配列を含むか、または(i)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号77、78および79のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号80、81および82のアミノ酸配列を含むか、または(j)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号83、84および85のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号86、87および88のアミノ酸配列を含むか、または(k)重鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号53、54および55のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2および3領域が、それぞれ、配列番号89、90および91のアミノ酸配列を含む、核酸を提供する。
【0060】
本開示は、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの重鎖相補性決定領域(HC-CDR1、2および3)を有する抗体重鎖可変領域と、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの軽鎖相補性決定領域(LC-CDR1、2および3)を有する抗体軽鎖可変領域とを含むポリペプチド(例えば、scFvを含む一本鎖抗体)をコードする核酸に作動可能に連結されたベクターを提供する。
【0061】
本開示は、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの重鎖相補性決定領域(HC-CDR1、2および3)を有する抗体重鎖可変領域と、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの軽鎖相補性決定領域(LC-CDR1、2および3)を有する抗体軽鎖可変領域とを含むポリペプチド(例えば、scFvを含む一本鎖抗体)をコードする核酸に作動可能に連結されたベクターを含む宿主細胞を提供する。一実施形態では、ベクターは、発現ベクターを含む。一実施形態では、宿主細胞は、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの重鎖相補性決定領域(HC-CDR1、2および3)を有する抗体重鎖可変領域と、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの軽鎖相補性決定領域(LC-CDR1、2および3)を有する抗体軽鎖可変領域とを含むポリペプチドを発現する。
【0062】
本開示は、ポリペプチドを調製するための方法であって、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの重鎖相補性決定領域(HC-CDR1、2および3)を有する抗体重鎖可変領域と、開示されたヒト抗BCMA抗体のいずれか1つの軽鎖相補性決定領域(LC-CDR1、2および3)を有する抗体軽鎖可変領域とを含むポリペプチドを発現するのに適した条件下で、発現ベクターを含む宿主細胞の集団(例えば、複数の宿主細胞)を培養するステップを含む、方法を提供する。一実施形態では、方法は、発現されたポリペプチドを宿主細胞の集団から回収するステップをさらに含む。
【0063】
本開示は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域と、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域とを含むポリペプチド(例えば、scFvを含む一本鎖抗体)をコードする核酸を提供する。
【0064】
本開示は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域と、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域とを含むポリペプチド(例えば、scFvを含む一本鎖抗体)をコードする核酸に作動可能に連結されたベクターを提供する。
【0065】
本発明は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域と、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域とを含むポリペプチド(例えば、scFvを含む一本鎖抗体)をコードする核酸に作動可能に連結されたベクターを含む宿主細胞を提供する。一実施形態では、ベクターは、発現ベクターを含む。一実施形態では、宿主細胞は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域と、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域とを含むポリペプチド(例えば、scFvを含む一本鎖抗体)を発現する。
【0066】
本開示は、ポリペプチド(例えば、scFvを含む一本鎖抗体)を調製するための方法であって、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域と、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域とを含むポリペプチド(例えば、scFvを含む一本鎖抗体)を発現するのに適した条件下で、発現ベクターを含む宿主細胞の集団(例えば、複数の宿主細胞)を培養するステップを含む、方法を提供する。一実施形態では、方法は、配列番号8、10、12、14または22のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域と、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域とを含む発現されたポリペプチド(例えば、scFvを含む一本鎖抗体)を、宿主細胞の集団から回収するステップをさらに含む。
【0067】
本開示は、BCMA発現細胞の成長または増殖を阻害するための方法(例えば、in vitro方法)であって、(i)エフェクター細胞の集団(例えば、複数のエフェクター細胞)を、(ii)BCMAを発現する標的細胞の集団(例えば、複数の標的細胞)と、(iii)本明細書に開示されているヒト抗BCMA抗体のいずれか1つまたは2~3個の任意の組合せの存在下、BCMA発現細胞の成長または増殖を阻害するのに適する条件下で接触させるステップを含む、方法を提供する。一実施形態では、エフェクター細胞の集団は、PBMCまたはNK細胞を含む。一実施形態では、標的細胞の集団は、BCMAを発現する多発性骨髄腫(MM)細胞またはBCMAを発現するトランスジェニック細胞を含む。一実施形態では、エフェクター細胞対標的細胞の比は、1:1、2:1、3:1、4:1または5:1である。一実施形態では、エフェクター細胞対標的細胞の比は、5~10:1、10~20:1、または20~30:1である。
【0068】
本開示は、BCMA発現細胞を死滅させるための方法(例えば、in vitro方法)であって、(i)エフェクター細胞の集団(例えば、複数のエフェクター細胞)を、(ii)BCMAを発現する標的細胞の集団(例えば、複数の標的細胞)と、(iii)本明細書に記載されているヒト抗BCMA抗体のいずれか1つまたは2~3個の任意の組合せの存在下、BCMA発現細胞を死滅させるのに適する条件下で接触させるステップを含む、方法を提供する。一実施形態では、エフェクター細胞の集団は、PBMCまたはNK細胞を含む。一実施形態では、標的細胞の集団は、BCMAを発現する多発性骨髄腫(MM)細胞またはBCMAを発現するトランスジェニック細胞を含む。一実施形態では、エフェクター細胞対標的細胞の比は、1:1、2:1、3:1、4:1または5:1である。一実施形態では、エフェクター細胞対標的細胞の比は、5~10:1、10~20:1、または20~30:1である。
【0069】
本開示は、BCMAの過剰発現に関連する疾患を有する被験体を処置するための方法であって、本明細書に記載されているヒト抗BCMA抗体のいずれか1つまたは2~3個の任意の組合せを含む治療組成物の有効量を被験体に投与するステップを含む、方法を提供する。一実施形態では、BCMAの過剰発現に関連する疾患は、B細胞白血病、B細胞リンパ腫またはB細胞骨髄腫を含む。一実施形態では、BCMAの過剰発現に関連する疾患には、多発性骨髄腫(MM)、バーキットリンパ腫(BL)を含む非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性Bリンパ球性白血病(B-CLL)、全身性エリテマトーデス(SLE)、急性BおよびTリンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性骨髄性白血病(CML)、ヘアリー細胞白血病(HCL)、濾胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、形質細胞性骨髄腫、前駆B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、形質細胞腫、巨細胞骨髄腫、形質細胞性骨髄腫、重鎖骨髄腫、軽鎖またはベンスジョーンズ骨髄腫、リンパ腫様肉芽腫症、移植後リンパ増殖性障害、免疫調節性障害、関節リウマチ、重症筋無力症、特発性血小板減少性紫斑病、抗リン脂質症候群、シャーガス病、グレーブス病、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎、シェーグレン症候群、尋常性天疱瘡、強皮症、多発性硬化症、抗リン脂質症候群、ANCA関連血管炎、グッドパスチャー病、川崎病、自己免疫性溶血性貧血、および急速進行性糸球体腎炎、重鎖病、原発性または免疫細胞関連アミロイドーシス、および意味未確定の単クローン性高ガンマグロブリン血症が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1図1は、BCA7抗体の結合動態のSPRセンサーグラムを示す図である。
【0071】
図2図2は、GSK J6M0抗体の結合動態のSPRセンサーグラムを示す図である。
【0072】
図3図3は、BC4C9抗体の結合動態のSPRセンサーグラムを示す図である。
【0073】
図4図4は、BC5C5抗体の結合動態のSPRセンサーグラムを示す図である。
【0074】
図5図5は、BCA7-2C5抗体の結合動態のSPRセンサーグラムを示す図である。
【0075】
図6図6は、BCA7-2D11抗体の結合動態のSPRセンサーグラムを示す図である。
【0076】
図7図7は、BCA7-2G2抗体の結合動態のSPRセンサーグラムを示す図である。
【0077】
図8図8は、BCA7-2E1抗体の結合動態のSPRセンサーグラムを示す図である。
【0078】
図9図9は、BCA7-2D8抗体の結合動態のSPRセンサーグラムを示す図である。
【0079】
図10図10は、BCA7-2E81抗体の結合動態のSPRセンサーグラムを示す図である。
【0080】
図11A図11Aは、ヒトBCMAタンパク質に対するBCA7-2C5抗体の結合動態のSPRセンサーグラムを示す図である。
【0081】
図11B図11Bは、ヒトBCMAタンパク質に対するBCA7-2E1抗体の結合動態のSPRセンサーグラムを示す図である。
【0082】
図12A図12Aは、カニクイザルBCMAタンパク質に対するBCA7-2C5抗体の結合動態のSPRセンサーグラムを示す図である。
【0083】
図12B図12Bは、カニクイザルBCMAタンパク質に対するBCA7-2E1抗体の結合動態のSPRセンサーグラムを示す図である。
【0084】
図13A図13Aは、マウスBCMAタンパク質に対するBCA7-2C5抗体の結合動態のSPRセンサーグラムを示す図である。
【0085】
図13B図13Bは、マウスBCMAタンパク質に対するBCA7-2E1抗体の結合動態のSPRセンサーグラムを示す図である。
【0086】
図14図14は、様々な抗BCMA抗体のマウス、カニクイザルまたはヒトBCMAタンパク質との交差反応性に関するELISAアッセイの結果を示す棒グラフである。縦軸は吸光度を示す。
【0087】
図15図15は、フローサイトメトリーによる、様々な抗BCMA抗体のMM1R細胞系への結合の結果を示すグラフである。
【0088】
図16図16は、サンドイッチELISA手順を使用する、エピトープマッピングアッセイの結果を示す棒グラフである。縦軸は吸光度を示す。
【0089】
図17図17は、BCMAタンパク質の代表例のリボンダイアグラムを示す図である。
【0090】
図18図18は、バイオレイヤー干渉法を使用して行ったタンパク質-タンパク質結合アッセイの結果を示すグラフである。
【0091】
図19図19は、バイオレイヤー干渉法を使用して行ったタンパク質-タンパク質結合アッセイの結果を示すグラフである。
【0092】
図20図20は、バイオレイヤー干渉法を使用するエピトープマッピングアッセイの結果を示す棒グラフである。
【0093】
図21図21は、バイオレイヤー干渉法を使用するタンパク質結合遮断アッセイの結果を示す図である。
【0094】
図22図22は、バイオレイヤー干渉法を使用して行った抗体-タンパク質結合アッセイの結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0095】
定義:
【0096】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、別段の定義がない限り当業者によって一般に理解される意味を有する。一般的に、本明細書に記載されている細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、トランスジェニック細胞産生、タンパク質化学および核酸化学ならびにハイブリダイゼーションの手法に関する用語は、当技術分野で周知であり、一般に使用されている。本明細書に提供されている方法および手法は一般的に、特に指示のない限り、当技術分野で周知の、ならびに本明細書に引用され、論じられている様々な一般的およびより具体的な参考文献に記載されている従来の手順に従って行われる。例えば、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)、およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates (1992)を参照のこと。Borrebaeck (ed) Antibody Engineering, 2nd Edition Freeman and Company, NY, 1995;McCafferty et al. Antibody Engineering, A Practical Approach, IRL at Oxford Press, Oxford, England, 1996;およびPaul (1995) Antibody Engineering Protocols Humana Press, Towata, N.J., 1995;Paul (ed.),Fundamental Immunology,Raven Press, N.Y, 1993;Coligan (1991) Current Protocols in Immunology Wiley/Greene, NY;Harlow and Lane (1989) Antibodies: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Press, NY;Stites et al. (eds.) Basic and Clinical Immunology (4th ed.) Lange Medical Publications, Los Altos, Calif.、およびその中に引用された参考文献;Coding Monoclonal Antibodies: Principles and Practice (2nd ed.) Academic Press, New York, N.Y., 1986、およびKohler and Milstein Nature 256:495-497, 1975を含むいくつかの基本テキストが標準的な抗体産生方法を記載している。本明細書に引用されている参考文献は全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。酵素反応および濃縮/精製法もまた周知であり、当技術分野で一般に達成され、または本明細書に記載されているように製造者の仕様書に従って行われる。本明細書に記載されている分析化学、合成有機化学、ならびに医薬品化学および製薬化学に関連して使用される用語、ならびにこの実験手順および手法は、当技術分野で周知であり、一般に使用されている。標準的な手法は、化学合成、化学分析、医薬品の調製、製剤化、および送達、ならびに患者の処置に使用することができる。
【0097】
本明細書に提供される見出しは、本開示の様々な態様を限定するものではなく、該態様は全体として本明細書を参照することによって理解することができる。
【0098】
本明細書では文脈によって特に必要とされない限り、単数用語は複数形を含むものとし、複数用語は単数形を含むものとする。単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」および「その(the)」、ならびに任意の単語の単数使用は、明示的および明白に1つの指示対象に限定されない限り、複数の指示対象を含む。
【0099】
本明細書では代替物(例えば、「または」)の使用は、代替物の一方もしくは両方またはその任意の組合せを意味すると解釈されることが理解される。
【0100】
本明細書で使用される用語「および/または」は、他方の有無にかかわらず、指定された特徴または構成要素のそれぞれの具体的な開示を意味すると解釈されるべきである。例えば、用語「および/または」は、本明細書で「Aおよび/またはB」などの句で使用される場合、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、用語「および/または」は、「A、B、および/またはC」などの句で使用される場合、以下の態様:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)のそれぞれを包含することが意図される。
【0101】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」および「含有する(containing)」、ならびにそれらの文法的変形は、本明細書で使用される場合、リスト中の1つの項目または複数の項目が、置換され得るまたはリストされた項目に追加され得る他の項目を排除しないように、非限定的であることが意図される。態様が、語「含む(comprising)」と共に本明細書に記載される場合は常に、「からなる(consisting of)」および/または「~から本質的になる(consisting essentially of)」に関して記載されたその他の類似の態様も提供されることが理解される。
【0102】
本明細書で使用される場合、用語「約(about)」は、当業者によって決定される特定の値または組成の許容される誤差範囲内にある値または組成を指し、これは値または組成がどのように測定または決定されるか、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存することになる。例えば、「約(about)」または「本質的に~を含む(comprising essentially of)」は、当技術分野の慣例により1標準偏差または1標準偏差を超える値以内を意味し得る。あるいは、「約」または「本質的に~を含む」は、測定システムの限界に応じて最大10%(すなわち、±10%)またはそれよりも大きい範囲を意味し得る。例えば、約5mgは、4.5mg~5.5mgの間の任意の数を含み得る。さらに、特に生物システムまたはプロセスに関して、該用語は、値の1桁分までまたは5倍までを意味し得る。特定の値または組成が本開示で示される場合、特に明記されない限り、「約」または「本質的に~を含む」の意味は、その特定の値または組成の許容される誤差範囲内にあると想定されるべきである。
【0103】
本明細書で使用される用語「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」ならびに他の関連する用語は、互換的に使用され、アミノ酸のポリマーを指し、任意の特定の長さに限定されない。ポリペプチドは、天然および非天然アミノ酸を含んでもよい。ポリペプチドには、組換え形態または化学的に合成された形態が含まれる。これらの用語は、天然および人工のタンパク質、タンパク質断片およびタンパク質配列のポリペプチドアナログ(ムテイン、バリアント、キメラタンパク質および融合タンパク質など)、ならびに翻訳後修飾タンパク質、または他の方法で共有結合的もしくは非共有結合的に修飾されたタンパク質を包含する。組換え手順を使用して調製された、BCMAに結合する結合性タンパク質(例えば、抗BCMA抗体またはその抗原結合性部分)のアミノ酸配列を含むポリペプチドが本明細書に記載される。
【0104】
本明細書で使用される用語「核酸」、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」ならびに他の関連する用語は、互換的に使用され、ヌクレオチドのポリマーを指し、任意の特定の長さに限定されない。核酸には、組換え形態および化学的に合成された形態が含まれる。核酸には、DNA分子(cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチドアナログ(例えば、ペプチド核酸および天然に存在しないヌクレオチドアナログ)を使用して生成されたDNAまたはRNAのアナログ、およびそれらのハイブリッドが含まれる。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であってもよい。一実施形態では、本開示の核酸分子は、抗体、またはその断片もしくはscFv、誘導体、ムテイン、もしくはバリアントをコードする隣接するオープンリーディングフレームを含む。一実施形態では、核酸は、1つのタイプのポリヌクレオチド、または2つもしくはそれより多い異なるタイプのポリヌクレオチドの混合物を含む。抗BCMA抗体またはその抗原結合性部分をコードする核酸が本明細書に記載される。
【0105】
用語「回収する」または「回収」または「回収すること」、および他の関連する用語は、宿主細胞培養培地からまたは宿主細胞溶解物からまたは宿主細胞膜から、タンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合性部分)を得ることを指す。一実施形態では、タンパク質は、発現されたタンパク質の分泌を媒介する分泌シグナルペプチド配列に融合された組換えタンパク質として宿主細胞によって発現される。分泌されたタンパク質は、宿主細胞培地から回収され得る。一実施形態では、タンパク質は、分泌シグナルペプチド配列を欠く組換えタンパク質として宿主細胞によって発現され、宿主細胞溶解物から回収され得る。一実施形態では、タンパク質は、膜結合タンパク質として宿主細胞によって発現され、宿主細胞膜から発現されたタンパク質を放出するための界面活性剤を使用して回収され得る。一実施形態では、タンパク質を回収するのに使用される方法に関係なく、タンパク質は、回収されたタンパク質から細胞残屑を除去する手順に供され得る。例えば、回収されたタンパク質は、クロマトグラフィー、ゲル電気泳動および/または透析に供され得る。一実施形態では、クロマトグラフィーは、親和性クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーおよび/またはシリカクロマトグラフィーを含む、任意の1つのまたは任意の組合せのまたは2つもしくはそれより多い手順を含む。一実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、プロテインAまたはG(Staphylococcus aureus由来の細胞壁成分)を含む。
【0106】
用語「単離された(isolated)」は、他の細胞物質を実質的に含まないタンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合性部分)またはポリヌクレオチドを指す。タンパク質は、当技術分野で周知のタンパク質精製法を使用する単離によって、天然において付随する成分(または抗体を産生するのに使用される細胞発現系もしくは化学合成方法に付随する成分)を実質的に含まなくなるようにされ得る。用語、単離された、は、一部の実施形態では、同じ種の他の分子を実質的に含まないタンパク質またはポリヌクレオチド、例えば、それぞれ異なるアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を有する他のタンパク質またはポリヌクレオチドも指す。所望の分子の均一性の純度は、ゲル電気泳動などの低分解能方法およびHPLCまたは質量分光光度法などの高分解能方法を含む、当技術分野で周知の手法を使用してアッセイすることができる。一実施形態では、抗BCMA抗体のいずれかまたはその抗原結合性タンパク質が単離される。
【0107】
本明細書で使用される「抗原結合性タンパク質」および関連する用語は、抗原に結合する部分、および必要に応じて、抗原結合性部分が、抗原への抗原結合性タンパク質の結合を促進するコンフォメーションをとることを可能にする足場部分またはフレームワーク部分を含むタンパク質を指す。抗原結合性タンパク質の例としては、抗体、抗体断片(例えば、抗体の抗原結合性部分)、抗体誘導体、および抗体アナログが挙げられる。抗原結合性タンパク質は、例えば、移植CDRまたはCDR誘導体を含む代替のタンパク質足場または人工足場を含んでもよい。そのような足場には、これらに限定されないが、例えば抗原結合性タンパク質の三次元構造を安定化するために導入された変異を含む抗体由来足場、および例えば生体適合性ポリマーを含む完全合成足場が含まれる。例えば、Korndorfer et al., 2003, Proteins: Structure, Function, and Bioinformatics, Volume 53, Issue 1: 121-129;Roque et al., 2004, Biotechnol. Prog. 20:639-654を参照のこと。さらに、ペプチド抗体模倣体(「PAM」)だけでなく、フィブロネクチン(fibronection)成分を足場として利用する抗体模倣体に基づく足場も使用され得る。BCMAに結合する抗原結合性タンパク質が本明細書に記載される。
【0108】
抗原結合性タンパク質は、例えば、免疫グロブリンの構造を有してもよい。一実施形態では、「免疫グロブリン」は、2つの同一のポリペプチド鎖対から構成され、各対が一本の「軽」鎖(約25kDa)および一本の「重」鎖(約50~70kDa)を有する、四量体分子を指す。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識に関与する約100~110個またはそれより多いアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、主にエフェクター機能に関与する定常領域を規定する。ヒト軽鎖は、カッパまたはラムダ軽鎖として分類される。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、またはイプシロンとして分類され、それぞれIgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEとして抗体のアイソタイプを規定する。軽鎖および重鎖内では、可変および定常領域は、約12個またはそれより多いアミノ酸の「J」領域によって連結され、重鎖は約10個またはそれより多いアミノ酸の「D」領域も含む。一般的に、Fundamental Immunology Ch. 7(Paul, W., ed.,2nd ed. Raven Press, N.Y.(1989))(あらゆる目的でその全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。各軽鎖/重鎖対の可変領域は、インタクトな免疫グロブリンが2つの抗原結合性部位を有するように抗体結合性部位を形成する。一実施形態では、抗原結合性タンパク質は、四量体免疫グロブリン分子とは異なるが、依然として1個の標的抗原に結合する、または2個もしくはそれより多い標的抗原に結合する構造を有する合成分子であってもよい。例えば、合成抗原結合性タンパク質は、抗体断片、1~6もしくはそれより多いポリペプチド鎖、ポリペプチドの非対称アセンブリー、または他の合成分子を含んでもよい。BCMAに特異的に結合する免疫グロブリン様特性を有する抗原結合性タンパク質が本明細書に記載される。
【0109】
免疫グロブリン鎖の可変領域は、相補性決定領域またはCDRとも呼ばれる3つの超可変領域によって連結された比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般構造を示す。N末端からC末端へ、軽鎖および重鎖は両方とも、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。
【0110】
1つまたは複数のCDRは、分子を抗原結合性タンパク質にするために共有結合的または非共有結合的に分子に組み込まれてもよい。抗原結合性タンパク質は、CDRをより大きなポリペプチド鎖の一部として組み込んでもよく、CDRを別のポリペプチド鎖に共有結合させてもよく、またはCDRを非共有結合的に組み込んでもよい。CDRにより、抗原結合性タンパク質は、目的の特定の抗原に特異的に結合できるようになる。
【0111】
各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed., US Dept. of Health and Human Services, PHS, NIH, NIH Publication no. 91-3242,1991のKabatらの定義に従う。免疫グロブリン鎖のアミノ酸に対する他のナンバリングシステムには、IMGT.RTM.(international ImMunoGeneTics information system;Lefranc et al, Dev. Comp. Immunol. 29:185-203; 2005)およびAHo(Honegger and Pluckthun, J. Mol. Biol. 309(3):657-670; 2001);Chothia(Al-Lazikani et al., 1997 Journal of Molecular Biology 273:927-948;Contact(Maccallum et al., 1996 Journal of Molecular Biology 262:732-745、およびAho(Honegger and Pluckthun 2001 Journal of Molecular Biology 309:657-670が含まれる。
【0112】
本明細書で使用される「抗体(antibody)」および「抗体(antibodies)」ならびに関連する用語は、抗原に特異的に結合するインタクトな免疫グロブリンまたはその抗原結合性部分(またはその抗原結合性断片)を指す。抗原結合性部分(または抗原結合性断片)は、組換えDNA法またはインタクトな抗体の酵素的もしくは化学的切断によって産生されてもよい。抗原結合性部分(または抗原結合性断片)には、特に、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、ドメイン抗体(dAb)、および相補性決定領域(CDR)断片、一本鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、およびポリペプチドに特異的抗原結合を付与するのに十分な免疫グロブリンの少なくとも一部を含有するポリペプチドが含まれる。
【0113】
抗体には、組換え的に産生された抗体および抗原結合性部分が含まれる。抗体には、非ヒト、キメラ、ヒト化および完全ヒト抗体が含まれる。抗体には、単一特異性抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性、三重特異性および高次の特異性)が含まれる。抗体には、四量体抗体、軽鎖単量体、重鎖単量体、軽鎖二量体、重鎖二量体が含まれる。抗体には、F(ab’)断片、Fab’断片およびFab断片が含まれる。抗体には、単一ドメイン抗体、一価抗体、一本鎖抗体、一本鎖可変断片(scFv)、ラクダ化抗体(camelized antibody)、アフィボディ(affibody)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ抗体(抗Id)、ミニボディ(minibody)が含まれる。抗体には、モノクローナルおよびポリクローナル集団が含まれる。抗BCMA抗体が本明細書に記載される。
【0114】
本明細書で使用される「抗原結合性ドメイン」、「抗原結合性領域」、または「抗原結合性部位」および他の関連する用語は、抗原と相互作用し、抗原に対する抗原結合性タンパク質の特異性および親和性に寄与するアミノ酸残基(または他の部分)を含有する抗原結合性タンパク質の一部を指す。その抗原に特異的に結合する抗体に関して、これは、そのCDRドメインのうちの少なくとも1つの少なくとも一部を含むことになる。抗BCMA抗体由来の抗原結合性ドメインが本明細書に記載される。
【0115】
用語「特異的結合」、「特異的に結合する」または「特異的に結合すること」および他の関連する用語は、抗体または抗原結合性タンパク質または抗体断片の文脈において本明細書で使用される場合、他の分子または部分と比較して抗原への非共有結合的または共有結合的な優先的結合を指す(例えば、抗体は、他の利用可能な抗原と比較して特定の抗原に特異的に結合する)。一実施形態では、抗体が、10-5Mもしくはそれより少ない、または10-6Mもしくはそれより少ない、または10-7Mもしくはそれより少ない、または10-8Mもしくはそれより少ない、または10-9Mもしくはそれより少ない、または10-10Mもしくはそれより少ない解離定数Kで抗原に結合するならば、抗体は標的抗原に特異的に結合する。BCMAを特異的に結合する抗BCMA抗体が本明細書に記載される。
【0116】
一実施形態では、解離定数(K)は、BIACORE表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイを使用して測定することができる。表面プラズモン共鳴は、例えばBIACOREシステム(GE HealthcareのBiacore Life Sciences部、Piscataway、NJ)を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することによりリアルタイム相互作用の分析を可能にする光学現象を指す。
【0117】
本明細書で使用される場合、「エピトープ」および関連する用語は、抗原結合性タンパク質が(例えば、抗体またはその抗原結合性部分が)結合する抗原の一部を指す。エピトープは、抗原結合性タンパク質が結合する2個またはそれより多い抗原の一部を含んでもよい。エピトープは、1個の抗原または2個もしくはそれより多い抗原の非隣接部分を含んでもよい(例えば、抗原の一次配列では隣接しないが、抗原の三次および四次構造の文脈では、抗原結合性タンパク質が結合するのに互いに十分近いアミノ酸残基)。一般的に、抗体の可変領域、特にCDRは、エピトープと相互作用する。BCMAポリペプチドのエピトープに結合する抗BCMA抗体、およびその抗原結合性タンパク質が本明細書に記載される。
【0118】
本明細書で使用される「抗体断片」、「抗体部分」、「抗体の抗原結合性断片」、または「抗体の抗原結合性部分」および他の関連する用語は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、これらに限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’);Fd;およびFv断片、ならびにdAb;ダイアボディ;直鎖状抗体;一本鎖抗体分子(例えばscFv);ポリペプチドに特異的抗原結合を付与するのに十分な抗体の少なくとも一部を含有するポリペプチドが挙げられる。抗体の抗原結合性部分は、組換えDNA法またはインタクトな抗体の酵素的もしくは化学的切断によって産生されてもよい。抗原結合性部分には、特に、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ドメイン抗体(dAb)、および相補性決定領域(CDR)断片、キメラ抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、および抗体断片に抗原結合性特性を付与するのに十分な免疫グロブリンの少なくとも一部を含有するポリペプチドが含まれる。抗BCMA抗体の抗原結合性断片が本明細書に記載される。
【0119】
用語「Fab」、「Fab断片」および他の関連する用語は、可変軽鎖領域(V)、定常軽鎖領域(C)、可変重鎖領域(V)、および第1の定常領域(CH1)を含む一価の断片を指す。Fabは、抗原に結合することができる。F(ab’)断片は、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2個のFab’断片を含む二価の断片である。F(ab’)は、抗原結合能を有する。Fd断片は、VおよびCH1領域を含む。Fv断片は、VおよびV領域を含む。Fvは、抗原に結合することができる。dAb断片は、Vドメイン、Vドメイン、またはVもしくはVLドメインの抗原結合性断片を有する(米国特許第6,846,634号および第6,696,245号;米国特許出願公開第2002/02512号、第2004/0202995号、第2004/0038291号、第2004/0009507号、第2003/0039958号;ならびにWard et al., Nature 341:544-546,1989)。抗BCMA抗体由来の抗原結合性部分を含むFab断片が本明細書に記載される。
【0120】
一本鎖抗体(scFv)は、VおよびV領域がリンカー(例えば、アミノ酸残基の合成配列)を介して連結されて、連続タンパク質鎖を形成する抗体である。好ましくはリンカーは、タンパク質鎖がそれ自体に折り重なり、一価抗原結合性部位を形成することを可能にするのに十分に長い(例えば、Bird et al., 1988, Science 242:423-26およびHuston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-83を参照のこと)。抗BCMA抗体由来の抗原結合性部分を含む一本鎖抗体が本明細書に記載される。
【0121】
ダイアボディは、2本のポリペプチド鎖を含む二価の抗体であり、各ポリペプチド鎖は、同じ鎖の2つのドメイン間での対合を可能にするには短すぎ、故に各ドメインを別のポリペプチド鎖の相補性ドメインと対合させるリンカーによって連結されたVおよびVドメインを含む(例えば、Holliger et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-48、およびPoljak et al., 1994, Structure 2:1121-23を参照のこと)。ダイアボディの2本のポリペプチド鎖が同一であるならば、それらの対合により生じるダイアボディは2つの同一の抗原結合性部位を有することになる。異なる配列を有するポリペプチド鎖は、2つの異なる抗原結合性部位を有するダイアボディを作製するのに使用することができる。同様に、トリボディ(tribody)およびテトラボディは、それぞれ3本および4本のポリペプチド鎖を含み、それぞれ同じであっても異なっていてもよい3つおよび4つの抗原結合性部位を形成する抗体である。ダイアボディ、トリボディ(tribody)およびテトラボディ構築物は、本明細書に記載されている抗BCMA抗体のいずれか由来の抗原結合性部分を使用して調製することができる。
【0122】
用語「ヒト抗体」は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する1つまたは複数の可変領域および定常領域を有する抗体を指す。一実施形態では、可変および定常ドメインの全てが、ヒト免疫グロブリン配列(例えば、完全ヒト抗体)に由来する。これらの抗体は様々な方法で調製することができ、組換え方法または、ヒト重鎖および/もしくは軽鎖コード遺伝子に由来する抗体を発現するように遺伝子改変されたマウスの目的の抗原を用いた免疫化を含め、その例が以下に記載されている。完全ヒト抗BCMA抗体およびその抗原結合性タンパク質が本明細書に記載される。
【0123】
「ヒト化」抗体は、ヒト被験体に投与される場合、非ヒト種抗体と比べて免疫応答を誘導する可能性が低い、および/またはより重度でない免疫応答をヒト化抗体が誘導するように、1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失、および/または付加によって非ヒト種に由来する抗体の配列とは異なる配列を有する抗体を指す。一実施形態では、非ヒト種抗体の重鎖および/または軽鎖のフレームワークおよび定常ドメイン中のある特定のアミノ酸が、ヒト化抗体を産生するように変異を導入される。別の実施形態では、ヒト抗体由来の定常ドメインが非ヒト種の可変ドメインに融合される。別の実施形態では、ヒト被験体に投与される場合、非ヒト抗体の可能性のある免疫原性を低減するために、非ヒト抗体の1つまたは複数のCDR配列の1つまたは複数のアミノ酸残基が変更される。変更されたアミノ酸残基はいずれも、抗体のその抗原への免疫特異的結合に重要でなく、または抗原へのヒト化抗体の結合が抗原への非ヒト抗体の結合より著しく悪くならないように、行われるアミノ酸配列の変更は保存的変更である。ヒト化抗体の作製方法の例は、米国特許第6,054,297号、第5,886,152号および第5,877,293号に見出すことができる。
【0124】
本明細書で使用される用語「キメラ抗体」および関連する用語は、第1の抗体由来の1つまたは複数の領域、および1つまたは複数の他の抗体由来の1つまたは複数の領域を含有する抗体を指す。一実施形態では、CDRの1つまたは複数はヒト抗体に由来する。別の実施形態では、CDRの全てがヒト抗体に由来する。別の実施形態では、1つより多いヒト抗体由来のCDRがキメラ抗体において混合され、マッチングされる。例えば、キメラ抗体は、第1のヒト抗体の軽鎖由来のCDR1と、第2のヒト抗体の軽鎖由来のCDR2およびCDR3と、第3の抗体からの重鎖由来のCDRとを含んでもよい。別の例では、CDRは、ヒトおよびマウス、またはヒトおよびウサギ、またはヒトおよびヤギなどの異なる種に由来する。当業者は、他の組合せが可能であることを理解するであろう。
【0125】
さらに、フレームワーク領域は、同じ抗体のうちの1つ、ヒト抗体などの1つもしくは複数の異なる抗体、またはヒト化抗体に由来してもよい。キメラ抗体の一例では、重鎖および/または軽鎖の一部分は、特定の種由来の抗体または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体と同一であり、相同であり、またはこれに由来するが、該鎖の残りの部分は、別の種由来の抗体または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体と同一であり、相同であり、またはこれに由来する。また、所望の生物活性(すなわち、標的抗原に特異的に結合する能力)を示すそのような抗体の断片も含まれる。キメラ抗体は、本明細書に記載されている抗BCMA抗体のいずれかの一部から調製することができる。
【0126】
本明細書で使用される場合、用語「バリアント」ポリペプチドおよびポリペプチドの「バリアント」は、参照ポリペプチド配列と比較して、1つまたは複数のアミノ酸残基がアミノ酸配列に挿入され、該配列から欠失されおよび/または該配列へと置換により導入されているアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。ポリペプチドバリアントには、融合タンパク質が含まれる。同様に、バリアントポリヌクレオチドは、別のポリヌクレオチド配列と比較して、1つまたは複数のヌクレオチドがヌクレオチド配列に挿入され、該配列から欠失されおよび/または該配列へと置換により導入されているヌクレオチド配列を含む。ポリヌクレオチドバリアントには、融合ポリヌクレオチドが含まれる。
【0127】
本明細書で使用される場合、用語ポリペプチドの「誘導体」は、例えば、ポリエチレングリコール、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)などの別の化学的部分へのコンジュゲーション、リン酸化、およびグリコシル化を例えば介して、化学的に改変されているポリペプチド(例えば、抗体)である。特に指示のない限り、用語「抗体」には、2本の完全長重鎖と2本の完全長軽鎖とを含む抗体に加えて、その誘導体、バリアント、断片、およびムテインが含まれ、その例が以下に記載される。
【0128】
用語「Fc」または「Fc領域」は、本明細書で使用される場合、ヒンジ領域中またはその後で始まり、重鎖のC末端で終わる抗体重鎖定常領域の部分を指す。Fc領域は、CHおよびCH3領域の少なくとも一部を含み、ヒンジ領域の一部を含んでも含まなくてもよい。それぞれが半分のFc領域を有する2本のポリペプチド鎖は、二量体化して完全Fcドメインを形成することができる。Fcドメインは、Fc細胞表面受容体および免疫補体系の一部のタンパク質に結合することができる。Fcドメインは、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性ファゴサイトーシス(ADP)、オプソニン化および/または細胞結合を含む、2つまたはそれより多い活性のいずれか1つまたは任意の組合せを含むエフェクター機能を示す。Fcドメインは、FcγRI(例えば、CD64)、FcγRII(例えば、CD32)および/またはFcγRIII(例えば、CD16a)を含むFc受容体に結合することができる。
【0129】
用語「標識抗体」または関連する用語は、本明細書で使用される場合、非標識である、または検出のための検出可能な標識もしくは部分に連結された抗体およびその抗原結合性部分を指し、検出可能な標識または部分は、放射性、比色、抗原性、酵素性、検出可能なビーズ(磁気または高電子密度(例えば、金)ビーズなど)、ビオチン、ストレプトアビジンまたはプロテインAである。放射性核種、蛍光体(fluorescer)、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤およびリガンド(例えば、ビオチン、ハプテン)を含むがこれらに限定されない様々な標識が用いられ得る。本明細書に記載されている抗BCMA抗体はいずれも、非標識であってもよく、または検出可能な標識もしくは部分に連結されてもよい。
【0130】
本明細書で使用される「同一性パーセント」または「相同性パーセント」および関連する用語は、2つのポリペプチド配列間または2つのポリヌクレオチド配列間の類似性の定量的測定値を指す。2つのポリペプチド配列間の同一性パーセントは、2つのポリペプチド配列のアライメントを最適化するために導入する必要があり得るギャップの数、および各ギャップの長さを考慮した、2つのポリペプチド配列間で共有される、アライメントされた位置における同一のアミノ酸の数の関数である。同様の方法で、2つのポリヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、2つのポリヌクレオチド配列のアライメントを最適化するために導入する必要があり得るギャップの数、および各ギャップの長さを考慮した、2つのポリヌクレオチド配列間で共有される、アライメントされた位置における同一のヌクレオチドの数の関数である。2つのポリペプチド配列間、または2つのポリヌクレオチド配列間の配列の比較および同一性パーセントの決定は、数学アルゴリズムを使用して達成することができる。例えば、2つのポリペプチド配列または2つのポリヌクレオチド配列の「同一性パーセント」または「相同性パーセント」は、デフォルトパラメータを使用するGAPコンピュータプログラム(GCG Wisconsin Package、version 10.3(Accelrys、San Diego、Calif.)の一部)を使用して配列を比較することによって決定されてもよい。
【0131】
一実施形態では、テスト抗体のアミノ酸配列は、本明細書に記載されている抗BCMA抗体のいずれか、またはその抗原結合性タンパク質を構成するポリペプチドのアミノ酸配列のいずれかと類似し得るが、同一でなくてもよい。テスト抗体とポリペプチドとの間の類似性は、本明細書に記載されている抗BCMA抗体のいずれか、またはその抗原結合性タンパク質を構成するポリペプチドのいずれかに対して、少なくとも95%、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であってもよい。一実施形態では、類似のポリペプチドは、重鎖および/または軽鎖内にアミノ酸置換を含有してもよい。一実施形態では、アミノ酸置換は、1つまたは複数の保存的アミノ酸置換を含む。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、化学的特性(例えば、電荷または疎水性)が類似している側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基によって置換されているものである。一般に、保存的アミノ酸置換は、実質的にタンパク質の機能特性を変更させることはない。2つまたはそれより多いアミノ酸配列が保存的置換によって互いに異なる場合、配列同一性パーセントまたは類似度は、置換の保存的性質を補正するために上方調整され得る。この調整を行う手段は当業者に周知である。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Pearson (1994) Methods Mol. Biol. 24:307-331を参照のこと。化学的特性が類似している側鎖を有するアミノ酸の群の例としては、以下が挙げられる。(1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン;(2)脂肪族-ヒドロキシル側鎖:セリンおよびスレオニン;(3)アミド含有側鎖:アスパラギンおよびグルタミン;(4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン;(5)塩基性側鎖:リシン、アルギニン、およびヒスチジン;(6)酸性側鎖:アスパラギン酸およびグルタミン酸、ならびに(7)硫黄含有側鎖はシステインおよびメチオニンである。
【0132】
抗体は、様々な抗原特異性を有する免疫グロブリンを含有する血清または血漿などの供給源から得ることができる。そのような抗体が親和性精製に供される場合、抗体は特定の抗原特異性を濃縮することができる。抗体のそのような濃縮された調製物は、通常、特定の抗原に対して特異的結合活性を有する約10%未満の抗体で作製されている。これらの調製物を数回の親和性精製に供すると、抗原に対して特異的結合活性を有する抗体の割合を増加させることができる。このようにして調製された抗体は、しばしば「単一特異性」であると言及される。単一特異性抗体調製物は、特定の抗原に対して特異的結合活性を有する約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または99.9%の抗体で構成され得る。抗体は、下記のように組換え核酸技術を使用して産生されてもよい。
【0133】
本明細書で使用される「ベクター」および関連する用語は、外来遺伝物質(例えば、核酸導入遺伝子)に作動可能に連結することができる核酸分子(例えば、DNAまたはRNA)を指す。ベクターは、外来遺伝物質を細胞(例えば、宿主細胞)に導入するビヒクルとして使用することができる。ベクターは、ベクターに導入遺伝子を挿入するための少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ認識配列を含んでもよい。ベクターは、抗生物質耐性またはベクター-導入遺伝子構築物を含む宿主細胞の選択に役立つ選択可能な特徴を付与する少なくとも1つの遺伝子配列を含んでもよい。ベクターは、一本鎖または二本鎖核酸分子であってもよい。ベクターは、直鎖状または環状核酸分子であってもよい。ベクターの1つのタイプは「プラスミド」である。プラスミドは、導入遺伝子に連結することができ、宿主細胞中で複製し、導入遺伝子を転写および/または翻訳することができる、直鎖状または環状二本鎖染色体外DNA分子を指す。ウイルスベクターは、典型的には、導入遺伝子に連結することができるウイルスRNAまたはDNA骨格配列を含有する。ウイルス骨格配列は、感染を無効にするが宿主細胞ゲノムへのウイルス骨格および共連結導入遺伝子の挿入を保持するように修飾され得る。ウイルスベクターの例としては、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴、バキュロウイルス、パポバウイルス、ワクシニアウイルス、単純ヘルペスウイルスおよびエプスタインバーウイルスベクターが挙げられる。ある特定のベクターは、これらが導入される宿主細胞中で自律複製することができる(例えば、細菌複製起点を含む細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、これにより宿主ゲノムと一緒に複製される。
【0134】
「発現ベクター」は、誘導性および/または構成的プロモーターならびにエンハンサーなどの、1つまたは複数の調節配列を含有することができるベクターの1つのタイプである。発現ベクターは、リボソーム結合部位および/またはポリアデニル化部位を含んでもよい。調節配列は、宿主細胞に形質導入される発現ベクターに連結された導入遺伝子の転写、または転写および翻訳を指示する。調節配列は、導入遺伝子の発現のレベル、タイミングおよび/または位置を制御することができる。調節配列は、例えば、導入遺伝子に対するその効果を直接発揮してもよく、または1つもしくは複数の他の分子(例えば、調節配列および/または核酸に結合するポリペプチド)の作用を通じて発揮してもよい。調節配列は、ベクターの一部であってもよい。調節配列のさらなる例は、例えば、Goeddel, 1990, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif.およびBaron et al., 1995, Nucleic Acids Res. 23:3605-3606に記載されている。発現ベクターは、本明細書に記載されている抗BCMA抗体のいずれかの少なくとも一部を含み得る。
【0135】
ベクターに含有された導入遺伝子配列の機能または発現を可能にするための導入遺伝子とベクターとの間の連結がある場合、導入遺伝子はベクターに「作動可能に連結され」ている。一実施形態では、調節配列が導入遺伝子の発現(例えば、発現のレベル、タイミング、または位置)に影響を与える場合、導入遺伝子は、調節配列に「作動可能に連結され」ている。
【0136】
本明細書で使用される用語「トランスフェクトされた」もしくは「形質転換された」もしくは「形質導入された」または他の関連する用語は、外因性核酸(例えば、導入遺伝子)が宿主細胞に移入または導入されるプロセスを指す。「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」宿主細胞は、外因性核酸(導入遺伝子)をトランスフェクト、形質転換または形質導入したものである。宿主細胞には、初代被験体細胞およびその子孫が含まれる。本明細書に記載されている抗BCMA抗体のいずれかの少なくとも一部をコードする外因性核酸が、宿主細胞に導入されてもよい。本明細書に記載されている抗BCMA抗体のいずれかの少なくとも一部を含む発現ベクターが、宿主細胞に導入されてもよく、宿主細胞は、抗BCMA抗体の少なくとも一部を含むポリペプチドを発現し得る。
【0137】
用語「宿主細胞」もしくは「宿主細胞の集団」または関連する用語は、本明細書で使用される場合、外来(外因性または導入遺伝子)核酸が導入されている細胞(またはその集団もしくは複数の宿主細胞)を指す。外来核酸は、導入遺伝子に作動可能に連結された発現ベクターを含んでもよく、核酸、および/または外来核酸(導入遺伝子)によってコードされたポリペプチドを発現するのに宿主細胞が使用され得る。宿主細胞(またはその集団)は、培養細胞であってもよく、または被験体から抽出されてもよい。宿主細胞(またはその集団)には、継代数に関係なく初代被験体細胞およびその子孫が含まれる。子孫細胞は、親細胞と比べて同一の遺伝物質を含んでも含んでいなくてもよい。宿主細胞は、子孫細胞を包含する。一実施形態では、宿主細胞は、本明細書に開示されているように、抗体を発現させるための任意の方法で修飾、トランスフェクト、形質導入、形質転換、および/または操作されている任意の細胞(その子孫を含む)を説明する。1つの例では、宿主細胞(またはその集団)は、本明細書に記載されている所望の抗体、またはその抗原結合性部分をコードする核酸に作動可能に連結された発現ベクターを導入されてもよい。宿主細胞およびその集団は、宿主のゲノムに安定に組み込まれた発現ベクターを含んでもよく、または染色体外発現ベクターを含んでもよい。一実施形態では、宿主細胞およびその集団は、数回の細胞分裂後に存在する、または一時的に存在し、そして数回の細胞分裂後に消失する染色体外ベクターを含んでもよい。
【0138】
宿主細胞は、原核生物、例えば、E.coliであってもよく、または真核生物、例えば、単細胞真核生物(例えば、酵母または他の真菌)、植物細胞(例えば、タバコまたはトマト植物細胞)、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞、サル細胞、ハムスター細胞、ラット細胞、マウス細胞、また昆虫細胞)もしくはハイブリドーマであってもよい。一実施形態では、宿主細胞に、所望の抗体をコードする核酸に作動可能に連結された発現ベクターを導入してもよく、これにより、トランスフェクト/形質転換された宿主細胞による抗体の発現に適した条件下で培養されるトランスフェクト/形質転換された宿主細胞を生成し、必要に応じて、トランスフェクト/形質転換された宿主細胞から抗体を回収(例えば、宿主細胞溶解物からの回収)、または培養培地から回収してもよい。一実施形態では、宿主細胞は、CHO、BHK、NS0、SP2/0、およびYB2/0を含む非ヒト細胞を含む。一実施形態では、宿主細胞は、HEK293、HT-1080、Huh-7およびPER.C6を含むヒト細胞を含む。宿主細胞の例としては、サル腎臓細胞のCOS-7系(ATCC CRL 1651)(Gluzman et al., 1981, Cell 23:175を参照のこと)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞もしくはその派生物、例えばVeggie CHOおよび血清不含有培地で増殖する関連する細胞系(Rasmussen et al., 1998, Cytotechnology 28:31を参照のこと)もしくはDHFRが欠損しているCHO株DX-B11(Urlaub et al., 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-20を参照のこと)など、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL 10)細胞系、アフリカミドリザル腎臓細胞系CV1に由来するCV1/EBNA細胞系(ATCC CCL 70)(McMahan et al., 1991, EMBO J. 10:2821を参照のこと)、ヒト胎児腎臓細胞、例えば293、293EBNAまたはMSR293など、ヒト上皮A431細胞、ヒトColo205細胞、他の形質転換された霊長類細胞系、正常な二倍体細胞、一次組織のin vitro培養物に由来する細胞系、一次外植片、HL-60、U937、HaKまたはJurkat細胞が挙げられる。一実施形態では、宿主細胞には、Y0、NS0またはSp20などのリンパ球系細胞が含まれる。一実施形態では、宿主細胞は哺乳動物宿主細胞であるが、ヒト宿主細胞ではない。典型的には、宿主細胞は、ポリペプチドコード核酸を形質転換またはトランスフェクトされ得、次いで宿主細胞において発現され得る培養細胞である。句「トランスジェニック宿主細胞」または「組換え宿主細胞」は、発現されるべき核酸を形質転換またはトランスフェクトされている宿主細胞を表すのに使用され得る。宿主細胞はまた、核酸を含むものの、調節配列が核酸と作動可能に連結されるように宿主細胞に導入されない限り、所望のレベルの核酸を発現しない細胞であってもよい。用語宿主細胞は、特定の被験体細胞だけでなく、そのような細胞の子孫または潜在的子孫も指すことが理解される。ある特定の修飾が、例えば変異または環境的影響により後続世代で起こり得るので、そのような子孫は、親細胞と実際に同一でない場合があるが、本明細書で使用される用語の範囲内に依然として含まれる。
【0139】
本開示のポリペプチド(例えば、抗体および抗原結合性タンパク質)は、当技術分野で公知の任意の方法を使用して産生され得る。1つの例では、ポリペプチドは、宿主細胞に導入され、発現を促進する条件下で宿主細胞によって発現される組換え発現ベクターに、ポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、DNA)を挿入することによる組換え核酸方法によって産生される。
【0140】
組換え核酸操作の一般的な手法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2 ed., 1989、またはF. Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology(Green PublishingおよびWiley-Interscience: New York, 1987)および定期的更新版に記載されている。ポリペプチドをコードする核酸(例えば、DNA)は、哺乳動物、ウイルス、または昆虫遺伝子に由来する1つまたは複数の適切な転写または翻訳調節エレメントを有する発現ベクターに作動可能に連結される。そのような調節エレメントには、転写プロモーター、転写を制御するための必要に応じたオペレーター配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、ならびに転写および翻訳の終結を制御する配列が含まれる。発現ベクターは、宿主細胞における複製能を付与する複製起点を含んでもよい。発現ベクターは、トランスジェニック宿主細胞(例えば、形質転換体)の認識を容易にするための選択を付与する遺伝子を含んでもよい。
【0141】
組換えDNAは、タンパク質の精製に有用であり得る任意のタイプのタンパク質タグ配列もコードすることができる。タンパク質タグの例には、これらに限定されないが、ヒスチジンタグ、FLAGタグ、mycタグ、HAタグ、またはGSTタグが含まれる。細菌、真菌、酵母、および哺乳動物細胞宿主と使用するための妥当なクローニングおよび発現ベクターは、Cloning Vectors: A Laboratory Manual, (Elsevier, N.Y., 1985)に見出すことができる。
【0142】
発現ベクター構築物は、宿主細胞にとって妥当な方法を使用して宿主細胞に導入することができる。電気穿孔;塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストラン、または他の物質を用いるトランスフェクション;ウイルストランスフェクション;非ウイルストランスフェクション;微粒子銃;リポフェクション;および感染(例えば、ベクターが感染病原体である場合)を含むがこれらに限定されない、核酸を宿主細胞に導入するための様々な方法が、当技術分野で公知である。適切な宿主細胞には、原核生物、酵母、哺乳動物細胞、または細菌細胞が含まれる。
【0143】
適切な細菌には、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば、E.coliまたはBacillus spp.が含まれる。S.cerevisiaeなどの好ましくはSaccharomyces種由来の酵母も、ポリペプチドの産生に使用され得る。様々な哺乳動物または昆虫細胞培養系も、組換えタンパク質を発現させるのに用いられ得る。昆虫細胞における異種タンパク質の産生のためのバキュロウイルス系は、Luckow and Summers, (Bio/Technology, 6:47, 1988)によって概説されている。適切な哺乳動物宿主細胞系の例としては、内皮細胞、COS-7サル腎臓細胞、CV-1、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、ヒト胎児腎臓細胞、HeLa、293、293T、およびBHK細胞系が挙げられる。精製ポリペプチドは、組換えタンパク質を発現させるのに適切な宿主/ベクター系を培養して調製される。多くの適用に関して、本明細書に開示されているポリペプチドの小さいサイズの多くが、発現の好ましい方法としてE.coliで発現することになる。タンパク質は、次いで培養培地または細胞抽出物から精製される。抗BCMA抗体、またはその抗原結合性タンパク質はいずれも、トランスジェニック宿主細胞によって発現され得る。
【0144】
本明細書に開示されている抗体および抗原結合性タンパク質はまた、細胞翻訳系を使用して産生することもできる。そのような目的のために、ポリペプチドをコードする核酸は、mRNAを産生するためのin vitro転写を可能にする、および利用される特定の無細胞系(哺乳動物もしくは酵母無細胞翻訳系などの真核生物無細胞翻訳系、または細菌無細胞翻訳系などの原核生物無細胞翻訳系)でのmRNAの無細胞翻訳を可能にするように修飾されなければならない。
【0145】
本明細書に開示されている様々なポリペプチドのいずれかをコードする核酸は、化学的に合成されてもよい。コドン使用頻度は、細胞における発現を改善するように選択され得る。そのようなコドン使用頻度は、選択される細胞タイプに依存することになる。特殊化されたコドン使用頻度パターンが、E.coliおよび他の細菌、ならびに哺乳動物細胞、植物細胞、酵母細胞および昆虫細胞に関して開発されている。例えば、Mayfield et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 2003 100(2):438-42;Sinclair et al. Protein Expr. Purif. 2002(1):96-105;Connell N D. Curr. Opin. Biotechnol. 2001 12(5):446-9;Makrides et al. Microbiol. Rev. 1996 60(3):512-38;およびSharp et al. Yeast. 1991 7(7):657-78を参照のこと。
【0146】
本明細書に記載されている抗体および抗原結合性タンパク質はまた、化学合成によって(例えば、Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd ed., 1984, The Pierce Chemical Co., Rockford, Ill.に記載されている方法によって)産生することもできる。タンパク質に対する修飾も、化学合成によってもたらされ得る。
【0147】
本明細書に記載されている抗体および抗原結合性タンパク質は、タンパク質化学の分野で一般的に公知のタンパク質の単離/精製方法によって精製することができる。非限定的な例としては、抽出、再結晶、塩析(例えば、硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウムを用いた)、遠心分離、透析、限外濾過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲル濾過、ゲル浸透クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、電気泳動、向流分配またはこれらの任意の組合せが含まれる。精製後、ポリペプチドは、濾過および透析を含むがこれらに限定されない当技術分野に公知の様々な方法のいずれかによって、異なる緩衝液に交換および/または濃縮され得る。
【0148】
本明細書に記載されている精製された抗体および抗原結合性タンパク質は、好ましくは少なくとも65%純粋、少なくとも75%純粋、少なくとも85%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、および最も好ましくは少なくとも98%純粋である。純度の正確な数値とは関係なく、ポリペプチドは、医薬製品としての使用のために十分に純粋である。本明細書に記載されている抗BCMA抗体、またはその抗原結合性タンパク質はいずれも、トランスジェニック宿主細胞によって発現され、次いで当技術分野に公知の任意の方法を使用して、約65~98%の純度または高レベルの純度まで精製され得る。
【0149】
ある特定の実施形態では、本明細書における抗体および抗原結合性タンパク質は、翻訳後修飾をさらに含んでもよい。例示的な翻訳後タンパク質修飾には、リン酸化、アセチル化、メチル化、ADP-リボシル化、ユビキチン化、グリコシル化、カルボニル化、SUMO化、ビオチン化またはポリペプチド側鎖もしくは疎水性基の付加が含まれる。結果として、修飾されたポリペプチドは、脂質、多糖または単糖、およびリン酸塩などの非アミノ酸エレメントを含有することができる。グリコシル化の好ましい形態は、1つまたは複数のシアル酸部分をポリペプチドにコンジュゲートするシアリル化である。シアル酸部分は、溶解度および血清半減期を改善するが、タンパク質の免疫原性の可能性も低減する。Raju et al. Biochemistry. 2001 31; 40(30):8868-76を参照のこと。
【0150】
一実施形態では、本明細書に記載されている抗体および抗原結合性タンパク質は、可溶性ポリペプチドになるように修飾されてもよく、これは、非タンパク質性ポリマーに抗体および抗原結合性タンパク質を連結することを含む。一実施形態では、非タンパク質性ポリマーは、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;第4,791,192号または第4,179,337号に記載されているようにポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレンを含む。
【0151】
PEGは、市販されている水溶性ポリマーであり、または当技術分野で周知の方法(Sandler and Karo, Polymer Synthesis, Academic Press, New York, Vol. 3, pages 138-161)に従って、エチレングリコールの開環重合によって調製することができる。用語「PEG」は、サイズまたはPEGの末端の修飾に関係なく任意のポリエチレングリコール分子を包含するのに広く使用され、式:X-O(CHCHO)-CHCHOH(1)(ここで、nは20~2300であり、XはHまたは末端修飾、例えば、C1~4アルキルである)によって表すことができる。一実施形態では、PEGは、一方の末端がヒドロキシまたはメトキシで終結する(すなわち、XはHまたはCHである(「メトキシPEG」))。PEGは、結合反応に必要な化学基をさらに含有してもよく;これは、分子の化学合成から生じ;または、分子の一部の最適な距離のためのスペーサーである。さらに、そのようなPEGは、一緒に連結された1つまたは複数のPEG側鎖からなってもよい。1つより多いPEG鎖を有するPEGは、多分岐型(multiarmed)または分枝型(branched)PEGと呼ばれる。分枝型PEGは、例えば、グリセロール、ペンタエリスリトール(pentaerythriol)、およびソルビトールを含む様々なポリオールにポリエチレンオキシドを付加して調製することができる。例えば、4アーム分枝型PEGは、ペンタエリスリトールおよびエチレンオキシドから調製することができる。分枝型PEGは、例えば、EP-A0473084および米国特許第5,932,462号に記載されている。PEGの1つの形態は、リシンの一級アミノ基を介して連結された2つのPEG側鎖(PEG2)を含む(Monfardini et al., Bioconjugate Chem. 6(1995) 62-69)。
【0152】
PEG修飾ポリペプチドの血清クリアランス速度は、非修飾抗体および抗原結合性タンパク質結合ポリペプチドのクリアランス速度と比較して、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、またはさらには90%モジュレート(例えば、増加または減少)され得る。PEG修飾抗体および抗原結合性タンパク質は、非修飾ポリペプチドの半減期と比較して増大した半減期(t1/2)を有し得る。PEG修飾ポリペプチドの半減期は、非修飾抗体および抗原結合性タンパク質の半減期と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、400%または500%、またはさらには1000%増大され得る。一部の実施形態では、タンパク質半減期は、緩衝食塩溶液または血清などのin vitroで決定される。他の実施形態では、タンパク質半減期は、動物の血清または他の体液中のタンパク質の半減期などのin vivo半減期である。
【0153】
本開示は、本明細書に記載されている抗BCMA抗体のいずれか、またはその抗原結合性タンパク質、および薬学的に許容される賦形剤を含む治療組成物を提供する。賦形剤は、担体、安定剤および賦形剤を包含する。薬学的に許容される賦形剤の賦形剤には、例えば不活性希釈剤または充填剤(例えば、スクロースおよびソルビトール)、滑沢剤、流動促進剤、および抗接着剤(anti-adhesive)(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、硬化植物油、またはタルク)が含まれる。追加の例としては、緩衝剤、安定化剤、保存料、非イオン性界面活性剤、抗酸化剤および等張化剤が挙げられる。
【0154】
治療組成物およびそれを調製するための方法は当技術分野で周知であり、例えば、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」(20th ed., ed. A. R. Gennaro A R., 2000, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, Pa.)に見出される。治療組成物は、非経口投与用に製剤化されてもよく、例えば、賦形剤、滅菌水、生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物起源の油、または水素化ナフタレン(hydrogenated napthalene)を含有することができる。生体適合性、生分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー、またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーは、本明細書に記載されている抗体(またはその抗原結合性タンパク質)の放出を制御するのに使用することができる。ナノ粒子製剤(例えば、生分解性ナノ粒子、固体脂質ナノ粒子、リポソーム)は、抗体(またはその抗原結合性タンパク質)の体内分布を制御するのに使用することができる。他の潜在的に有用な非経口送達系には、エチレン-酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み型注入系、およびリポソームが含まれる。製剤中の抗体(またはその抗原結合性タンパク質)の濃度は、投与される薬物の投与量、および投与経路を含むいくつかの要因に応じて異なる。
【0155】
抗BCMA抗体(またはその抗原結合性部分)はいずれも、医薬品業界で一般に使用されている非毒性の酸付加塩または金属錯体などの薬学的に許容される塩として、必要に応じて投与されてもよい。酸付加塩の例としては、酢酸、乳酸、パモ酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、安息香酸、パルミチン酸、スベリン酸、サリチル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、またはトリフルオロ酢酸などの有機酸;タンニン酸、カルボキシメチルセルロースなどのポリマー酸;および塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸が挙げられる。金属錯体には、亜鉛、鉄などが含まれる。1つの例では、抗体(またはその抗原結合性部分)は、熱安定性を高める酢酸ナトリウムの存在下で製剤化される。
【0156】
抗BCMA抗体(またはその抗原結合性部分)はいずれも、経口使用のために製剤化されてもよく、これには非毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物中に活性成分を含有する錠剤が含まれる。経口使用のための製剤はまた、チュアブル錠として、または活性成分が不活性固体希釈剤と混合される硬質ゼラチンカプセルとして、または活性成分が水または油媒体と混合される軟質ゼラチンカプセルとしても提供され得る。
【0157】
用語「被験体」は、本明細書で使用される場合、脊椎動物、哺乳動物および非哺乳動物を含むヒトおよび非ヒト動物を指す。一実施形態では、被験体は、ヒト、非ヒト霊長類、サル、類人猿、マウス(murine)(例えば、マウス(mice)およびラット)、ウシ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、ヤギ、オオカミ、カエルまたは魚類であってもよい。
【0158】
用語「投与すること」、「投与された」および文法的変形は、当業者に公知の様々な方法および送達系のいずれかを使用して、被験体に薬剤を物理的に導入することを指す。本明細書に開示されている製剤の例示的な投与経路としては、例えば注射または注入による、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄または他の非経口投与経路が挙げられる。句「非経口投与」は、本明細書で使用される場合、通常は注射による、経腸および局所投与以外の投与様式を意味し、限定するものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、表皮下、関節内、嚢下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内注射および注入、ならびにin vivo電気穿孔が含まれる。一部の実施形態では、製剤は、非経口経路以外の経路を介して、例えば経口的に投与される。他の非経口経路以外の経路には、局所、上皮または粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、膣内、直腸内、舌下または局所投与経路が含まれる。投与はまた、例えば、1回、複数回、および/または1回もしくは複数の長期間にわたって行うこともできる。本明細書に記載されている抗BCMA抗体(またはその抗原結合性タンパク質)はいずれも、当技術分野に公知の方法および送達経路を使用して被験体に投与することができる。
【0159】
用語「有効量」、「治療有効量」もしくは「有効用量」または関連する用語は、互換的に使用されてもよく、被験体に投与された場合、腫瘍またはがん抗原発現に関連する疾患または障害の測定可能な改善または予防をもたらすのに十分な抗体または抗原結合性タンパク質(例えば、本明細書に記載されている抗BCMA抗体のいずれかまたはその抗原結合性タンパク質)の量を指す。本明細書に示されている抗体の治療有効量は、単独でまたは組み合わせて使用される場合、抗体および組合せの相対的活性(例えば、細胞増殖の阻害における)に応じて、ならびに処置されている被験体および疾患状態、被験体の体重および年齢および性別、被験体における疾患状態の重症度、投与様式などに応じて異なり、当業者によって容易に決定され得る。
【0160】
一実施形態では、治療有効量は、処置される被験体および処置される障害のある特定の態様に依存し、公知の手法を使用して当業者によって確認され得る。一般に、ポリペプチドは、1日あたり約0.01g/kg~約50mg/kg、好ましくは1日あたり0.01mg/kg~約30mg/kg、最も好ましくは1日あたり0.1mg/kg~約20mg/kgで投与される。ポリペプチドは、毎日(例えば、毎日1、2、3回、または4回)、または好ましくはより少ない頻度(例えば、毎週、2週間ごと、3週間ごと、毎月、または四半期ごと)で投与され得る。さらに、当技術分野で公知の通り、年齢ならびに体重、全般的健康状態、性別、食事、投与時期、薬物相互作用、および疾患の重症度に対する調整が必要な場合がある。
【0161】
本開示は、BCMAの発現に関連する疾患を有する被験体を処置するための方法を提供する。疾患は、腫瘍関連抗原を発現するがんまたは腫瘍細胞を含む。一実施形態では、がんまたは腫瘍には、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、頭頚部がん、膀胱がん、皮膚がん、結腸直腸がん、肛門がん、直腸がん、膵臓がん、肺がん(非小細胞肺がんおよび小細胞肺がんを含む)、平滑筋腫、脳がん、神経膠腫、神経膠芽腫、食道がん、肝臓がん、腎臓がん、胃がん、結腸がん、子宮頸がん、子宮がん、子宮内膜がん、外陰がん、喉頭がん、膣がん、骨がん、鼻腔がん、副鼻腔がん、鼻咽頭がん、口腔がん、中咽頭がん、喉頭がん、下咽頭(hypolarynx)がん、唾液腺がん、尿管がん、尿道がん、陰茎がんおよび精巣がんが含まれる。
【0162】
一実施形態では、がんは、白血病、リンパ腫、骨髄腫およびB細胞リンパ腫を含む血液がんを含む。血液がんには、多発性骨髄腫(MM)、バーキットリンパ腫(BL)を含む非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性Bリンパ球性白血病(B-CLL)、全身性エリテマトーデス(SLE)、急性BおよびTリンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性骨髄性白血病(CML)、ヘアリー細胞白血病(HCL)、濾胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、形質細胞性骨髄腫、前駆B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、形質細胞腫、巨細胞骨髄腫、形質細胞性骨髄腫、重鎖骨髄腫、軽鎖またはベンスジョーンズ骨髄腫、リンパ腫様肉芽腫症、移植後リンパ増殖性障害、免疫調節性障害、関節リウマチ、重症筋無力症、特発性血小板減少性紫斑病、抗リン脂質症候群、シャーガス病、グレーブス病、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎、シェーグレン症候群、尋常性天疱瘡、強皮症、多発性硬化症、抗リン脂質症候群、ANCA関連血管炎、グッドパスチャー病、川崎病、自己免疫性溶血性貧血、および急速進行性糸球体腎炎、重鎖病、原発性または免疫細胞関連アミロイドーシス、および意味未確定の単クローン性高ガンマグロブリン血症が含まれる。
【0163】
本開示は、BCMAに特異的に結合するBCMA結合性タンパク質、特に抗BCMA抗体またはその抗原結合性部分、およびその使用を提供する。一実施形態では、BCMA結合性タンパク質は、BCMA(B細胞成熟抗原(BCMA))のエピトープに結合する。BCMAは、TNFRSF17およびCD269(例えば、UniProt Q02223)としても公知である。抗BCMA抗体の様々な態様は、抗体断片、一本鎖抗体、医薬組成物、核酸、組換え発現ベクター、宿主細胞、ならびにこのような抗BCMA抗体を調製および使用するための方法に関する。抗BCMA抗体を使用するための方法は、BCMAに結合し、BCMAを検出し、BCMAの発現に関連する疾患を処置するための、in vitroおよびin vivo方法を含む。
【0164】
本開示は、BCMAポリペプチド(例えば、抗原標的)またはBCMAポリペプチドの断片に特異的に結合する抗原結合性タンパク質を提供する。一実施形態では、BCMA標的抗原は、野生型アミノ酸配列または多型アミノ酸配列または変異体アミノ酸配列を有する天然に存在するポリペプチド(例えば、UniProt受託番号Q02223-1)を含む。BCMA標的抗原は、組換え方法によって調製することができ、または化学的に合成することができる。BCMA標的抗原は、可溶性形態であっても、膜結合性形態(例えば、細胞またはファージによって発現される)であってもよい。一実施形態では、BCMA標的抗原は、天然においてBCMAを発現する細胞、例えば、がんもしくは非がん細胞系によって発現されるか、またはBCMA、例えば、U2392、EJM、MMUR、U266、OPM2、H929、JJN-3、RPMI-8226、K562、NCIH929、ANBL-6、DP-6、KAS-6/1、KP6またはJMWを発現するよう操作される。BCMAを発現しない細胞系、例えばK562、A549およびTC71細胞系などは、抗BCMA抗体に結合することが期待されない。BCMA標的抗原は、融合タンパク質であってもよく、または例えばフルオロフォアなどの検出可能な部分とコンジュゲートされてもよい。BCMA標的抗原は、APRILおよび/またはBAFFに結合し得る。BCMA標的抗原は、APRILおよび/またはBAFFへの結合を増加または低下させる変異形態であってもよい。一実施形態では、ヒトBCMA標的抗原は、配列番号1(例えば、LifeSpan BioSciencesからの組換えヒトBCMA、カタログ番号LS-G5771)または配列番号2(例えば、AcroBioSystemsからの組換えhisタグ付きヒトBCMA、カタログ番号BCA-H522y-100ug)のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、BCMA標的抗原は、配列番号3または4のアミノ酸配列を含む変異体ポリペプチドである。一実施形態では、野生型および/または変異ヒトBCMA抗原を、対照抗BCMA抗体と比較して、本明細書に記載されている抗BCMA抗体のいずれかの結合能を比較するアッセイにおいて、および/または対照抗BCMA抗体と比較して、本明細書に記載されている抗BCMA抗体のいずれかの結合能と比較するエピトープマッピングアッセイにおいて、使用することができる。
【0165】
本開示は、BCMAポリペプチドに結合するIgGクラスの完全ヒト抗体を提供する。一実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号8、10、12、14もしくは22のアミノ酸配列、またはその組合せに対して少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含み、および/あるいは抗BCMA抗体は、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21または23のアミノ酸配列、またはその組合せに対して95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。一実施形態では、抗BCMA抗体は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4クラス抗体を含む。一実施形態では、抗BCMA抗体は、IgG1またはIgG4クラス抗体を含む。
【0166】
一実施形態では、抗BCMA抗体、またはその断片は、10-6Mもしくはそれより少ない、10-7Mもしくはそれより少ない、10-8Mもしくはそれより少ない、10-9Mもしくはそれより少ない、または10-10Mもしくはそれより少ない結合親和性(K)でBCMA標的抗原のエピトープに結合する抗原結合性部分を含む(図3~10ならびに表2および3を参照のこと)。一実施形態では、BCMA抗原は、細胞表面BCMA抗原または可溶性BCMA抗原を含む。一実施形態では、BCMA抗原は、細胞表面BCMA抗原の細胞外部分を含む。一実施形態では、BCMA抗原は、ヒトまたは非ヒトBCMA抗原を含む。一実施形態では、BCMA抗原は、ヒトまたは非ヒト細胞によって発現される。一実施形態では、抗BCMA抗体は、ヒトB細胞によって発現される、またはヒト多発性骨髄腫細胞によって発現されるヒトBCMAに結合する。一実施形態では、抗BCMA抗体間、またはその断片間の結合は、表面プラズモン共鳴、フローサイトメトリーおよび/またはELISAを使用して検出および測定することができる。
【0167】
一実施形態では、抗BCMA抗体または抗原結合性断片は、ヒトBCMAエピトープに結合し、ヒトAPRILおよび/またはヒトBAFFのヒトBCMAエピトープへの結合を遮断する(例えば、結合を阻害する)抗原結合性部分を含む。一実施形態では、APRILは、R&D Systems(カタログ番号5860-AP-010/CF)またはIBI Scientific(カタログ番号RPH-151)から市販されているヒト増殖誘導リガンド(TNF13、CD256としても公知)を指す。一実施形態では、BAFFは、ヒトBAFF(例えば、UniProt受託番号Q9Y275)を指す。一実施形態では、抗BCMA抗体または抗原結合性断片は、ヒトAPRILおよび/またはヒトBAFFのヒトBCMAエピトープへの結合を、約5~25%、または約25~45%、または約45~65%、または約65~85%、または約85~95%、またはそれより高いレベルの結合低下だけ、結合のレベルを低下させることによって、遮断する。
【0168】
一実施形態では、抗BCMA抗体は、APRILに依存するかまたはBAFFに依存するNF-κB活性化を、約1~5%(または約1%未満)、約5~25%、または約25~45%、または約45~65%、または約65~85%、または約85~95%、またはそれより高いレベルの結合低下だけ、低下させる。
【0169】
本開示は、ヒト由来のBCMAのエピトープに結合する、またはマウス、ラット、ヤギ、ウサギ、ハムスターおよび/もしくはサル(例えば、カニクイザル)などの非ヒト動物のいずれか1つもしくは任意の組合せ由来のBCMAのエピトープ(例えば、相同抗原)と結合することができる(例えば、交差反応性)抗BCMA抗体または抗原結合性断片を提供する。一実施形態では、抗BCMA抗体または抗原結合性断片は、10-5Mもしくはそれより少ない、または10-6Mもしくはそれより少ない、または10-7Mもしくはそれより少ない、または10-8Mもしくはそれより少ない、または10-9Mもしくはそれより少ない、または10-10Mもしくはそれより少ない結合親和性KでマウスBCMAに結合する。一実施形態では、抗BCMA抗体または抗原結合性断片は、10-5Mもしくはそれより少ない、または10-6Mもしくはそれより少ない、または10-7Mもしくはそれより少ない、または10-8Mもしくはそれより少ない、または10-9Mもしくはそれより少ない、または10-10Mもしくはそれより少ない結合親和性KでカニクイザルBCAMに結合する。一実施形態では、カニクイザルBCMAは、ACROBiosystems(カタログ番号BCA-C52H7)から市販されている。一実施形態では、マウスBCMAは、ACROBiosystems(カタログ番号BCA-M52H3)から市販されている。
【0170】
本開示は、ヒト由来のAPRILおよび/もしくはBAFFのエピトープに結合する、またはマウス、ラット、ヤギ、ウサギ、ハムスターおよび/もしくはサル(例えば、カニクイザル)などの非ヒト動物のいずれか1つもしくは任意の組合せ由来のAPRILおよび/もしくはBAFFのエピトープ(例えば、相同抗原)と結合することができる(例えば、交差反応することができる)抗BCMA抗体または抗原結合性断片を提供する。一実施形態では、ヒトAPRILタンパク質は、R&D Systems(カタログ番号5860-AP-010/CF)またはIBI Scientific(カタログ番号RPH-151)から市販されている。
【0171】
本開示は、重鎖と軽鎖の両方を含み、重鎖/軽鎖可変領域アミノ酸配列が、以下のアミノ酸配列セット:配列番号8および9(本明細書において、BCA7と呼ばれる)、配列番号10および11(本明細書において、BC4C9と呼ばれる)、配列番号12および13(本明細書において、CD5C4と呼ばれる)、配列番号14および15(本明細書において、BC6G8と呼ばれる)、配列番号8および16(本明細書において、BCA7-2C5と呼ばれる)、配列番号8および17(本明細書において、BCA7-2E1と呼ばれる)、配列番号8および18(本明細書において、BCA7-2D11と呼ばれる)、配列番号8および19(本明細書において、BCA7-2G2と呼ばれる)、配列番号8および20(本明細書において、BCA7-2D8と呼ばれる)、配列番号8および21(本明細書において、BCA7-2E8と呼ばれる)、または配列番号22および23(本明細書において、全長BCA7-2C5と呼ばれる)のいずれかに対して少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する、完全ヒト抗体を提供する。
【0172】
本開示は、重鎖由来の重鎖可変領域と軽鎖由来の可変領域とを含み、重鎖由来の可変領域の配列が、配列番号8、10、12、14もしくは22のアミノ酸配列、またはその組合せと少なくとも95%同一、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一である、Fab完全ヒト抗体断片を提供する。軽鎖由来の可変領域の配列は、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21もしくは23のアミノ酸配列、またはその組合せと少なくとも95%同一、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一である。
【0173】
本開示は、重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含み、重鎖/軽鎖可変領域アミノ酸配列が、以下のアミノ酸配列セット:配列番号8および9(本明細書において、BCA7と呼ばれる)、配列番号10および11(本明細書において、BC4C9と呼ばれる)、配列番号12および13(本明細書において、CD5C4と呼ばれる)、配列番号14および15(本明細書において、BC6G8と呼ばれる)、配列番号8および16(本明細書において、BCA7-2C5と呼ばれる)、配列番号8および17(本明細書において、BCA7-2E1と呼ばれる)、配列番号8および18(本明細書において、BCA7-2D11と呼ばれる)、配列番号8および19(本明細書において、BCA7-2G2と呼ばれる)、配列番号8および20(本明細書において、BCA7-2D8と呼ばれる)、配列番号8および21(本明細書において、BCA7-2E8と呼ばれる)、または配列番号22および23(本明細書において、全長BCA7-2C5と呼ばれる)のいずれかと少なくとも95%同一、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一である、Fab完全ヒト抗体断片を提供する。
【0174】
本開示は、完全ヒト重鎖由来の可変領域および完全ヒト軽鎖由来の可変領域を有するポリペプチド鎖と、必要に応じて、可変重鎖領域および可変軽鎖領域を連結するリンカーとを含み、可変重鎖領域が、配列番号8、10、12、14もしくは22のアミノ酸配列、またはその組合せに対して少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を含む、一本鎖完全ヒト抗体を提供する。可変軽鎖領域は、配列番号9、11、13、15、16、17、18、19、20、21もしくは23のアミノ酸配列、またはその組合せに対して少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を含む。
【0175】
本開示は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を有するポリペプチド鎖を含み、重鎖/軽鎖可変領域アミノ酸配列セットが、以下のアミノ酸配列セット:配列番号8および9(本明細書において、BCA7と呼ばれる)、配列番号10および11(本明細書において、BC4C9と呼ばれる)、配列番号12および13(本明細書において、CD5C4と呼ばれる)、配列番号14および15(本明細書において、BC6G8と呼ばれる)、配列番号8および16(本明細書において、BCA7-2C5と呼ばれる)、配列番号8および17(本明細書において、BCA7-2E1と呼ばれる)、配列番号8および18(本明細書において、BCA7-2D11と呼ばれる)、配列番号8および19(本明細書において、BCA7-2G2と呼ばれる)、配列番号8および20(本明細書において、BCA7-2D8と呼ばれる)、配列番号8および21(本明細書において、BCA7-2E8と呼ばれる)、または配列番号22および23(本明細書において、全長BCA7-2C5と呼ばれる)のいずれかと少なくとも95%同一、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一である、一本鎖完全ヒト抗体を提供する。
【0176】
本開示は、本明細書に記載されている抗BCMA抗体または抗原結合性断片のいずれかと薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。賦形剤は、担体および安定剤を包含する。一実施形態では、医薬組成物は、重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含み、重鎖/軽鎖可変領域アミノ酸配列が、以下のアミノ酸配列セット:配列番号8および9(本明細書において、BCA7と呼ばれる)、配列番号10および11(本明細書において、BC4C9と呼ばれる)、配列番号12および13(本明細書において、CD5C4と呼ばれる)、配列番号14および15(本明細書において、BC6G8と呼ばれる)、配列番号8および16(本明細書において、BCA7-2C5と呼ばれる)、配列番号8および17(本明細書において、BCA7-2E1と呼ばれる)、配列番号8および18(本明細書において、BCA7-2D11と呼ばれる)、配列番号8および19(本明細書において、BCA7-2G2と呼ばれる)、配列番号8および20(本明細書において、BCA7-2D8と呼ばれる)、配列番号8および21(本明細書において、BCA7-2E8と呼ばれる)、または配列番号22および23(本明細書において、全長BCA7-2C5と呼ばれる)のいずれかと少なくとも95%同一、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一である、抗BCMA抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0177】
本開示は、本明細書に記載されている抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片のいずれか1つまたは2つもしくはそれより多くのいずれかの組合せを含むキットを提供する。一実施形態では、キットは、重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含み、重鎖/軽鎖可変領域アミノ酸配列が、以下のアミノ酸配列セット:配列番号8および9(本明細書において、BCA7と呼ばれる)、配列番号10および11(本明細書において、BC4C9と呼ばれる)、配列番号12および13(本明細書において、CD5C4と呼ばれる)、配列番号14および15(本明細書において、BC6G8と呼ばれる)、配列番号8および16(本明細書において、BCA7-2C5と呼ばれる)、配列番号8および17(本明細書において、BCA7-2E1と呼ばれる)、配列番号8および18(本明細書において、BCA7-2D11と呼ばれる)、配列番号8および19(本明細書において、BCA7-2G2と呼ばれる)、配列番号8および20(本明細書において、BCA7-2D8と呼ばれる)、配列番号8および21(本明細書において、BCA7-2E8と呼ばれる)、または配列番号22および23(本明細書において、全長BCA7-2C5と呼ばれる)のいずれかと少なくとも95%同一、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一である、2つまたはそれより多い抗BCMA抗体、またはその抗原結合性断片のいずれか1つまたはそのいずれかの組合せを含む。キットは、例えば生体試料におけるBCMA抗原の有無を検出するために使用することができる。キットは、ELISA、フローサイトメトリーまたは表面プラズモン共鳴の形態の抗原結合アッセイなどのin vitro反応;NF-κB活性化アッセイを含むin vitro細胞活性化アッセイ;ルシフェラーゼ-レポーターアッセイ;ウエスタンブロッティングおよび検出;ならびに他のこのようなin vitroアッセイを行うために使用することができる。キットは、BCMAに関連する疾患または状態、例えば多発性骨髄腫を有する被験体を処置するために使用することができる。
【0178】
本開示は、標的細胞の成長もしくは増殖を阻害するための方法、または標的細胞を死滅させるための方法であって、エフェクター細胞の集団を標的細胞の集団(例えば、BCMAを発現する標的細胞)と、本明細書に記載されている抗BCMA抗体(またはその抗体断片)の存在下、標的細胞を死滅させるのに適する条件下で接触させるステップを含む、方法を提供する。一実施形態では、エフェクター細胞の集団は、末梢血単核球(PBMC)またはナチュラルキラー(NK)細胞を含む。PBMCは、T細胞、B細胞および/またはNK細胞を含むリンパ球を含んでもよい。一実施形態では、標的細胞の集団は、B細胞、多発性骨髄腫(MM)細胞、またはBCMA発現に関連する疾患を有する被験体由来の任意のタイプのB細胞を含む、天然においてBCMAを発現する細胞を含む。一実施形態では、標的細胞の集団は、BCMAを発現するように操作された任意のタイプのトランスジェニック細胞である。一実施形態では、エフェクター細胞の標的細胞に対する比が、約1:1、または約2:1、または約3:1、または約4:1、または約5:1、または約5~10:1、または約10~20:1、または約20~30:1であってもよい。
【0179】
本開示は、BCMAの過剰発現に関連する疾患またはBCMA陽性がんを有する被験体を処置するための方法であって、例えば、本明細書に記載されている完全ヒト抗BCMA抗体のいずれか、本明細書に記載されているFab完全ヒト抗BCMA抗体のいずれか、および本明細書に記載されている一本鎖ヒト抗BCMA抗体のいずれかからなる群より選択される、本明細書に記載されている抗BCMA抗体またはその抗原結合性断片を含む治療組成物の有効量を被験体に投与するステップを含む方法を提供する。一実施形態では、BCMA陽性がんは、B細胞白血病、B細胞リンパ腫またはB細胞骨髄腫を含む。BCMA発現に関連する疾患を有する被験体を処置するための方法であって、BCMA発現に関連する疾患が、多発性骨髄腫(MM)、バーキットリンパ腫(BL)を含む非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性Bリンパ球性白血病(B-CLL)、全身性エリテマトーデス(SLE)、急性BおよびTリンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性骨髄性白血病(CML)、ヘアリー細胞白血病(HCL)、濾胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、形質細胞性骨髄腫、前駆B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、形質細胞腫、巨細胞骨髄腫、形質細胞性骨髄腫、重鎖骨髄腫、軽鎖またはベンスジョーンズ骨髄腫、リンパ腫様肉芽腫症、移植後リンパ増殖性障害、免疫調節性障害、関節リウマチ、重症筋無力症、特発性血小板減少性紫斑病、抗リン脂質症候群、シャーガス病、グレーブス病、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎、シェーグレン症候群、尋常性天疱瘡、強皮症、多発性硬化症、抗リン脂質症候群、ANCA関連血管炎、グッドパスチャー病、川崎病、自己免疫性溶血性貧血、および急速進行性糸球体腎炎、重鎖病、原発性または免疫細胞関連アミロイドーシス、および意味未確定の単クローン性高ガンマグロブリン血症からなる群より選択され、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合性断片を含む治療組成物の有効量を被験体に投与するステップを含む、方法も提供される。
配列表
【0180】
野生型ヒトBCMAタンパク質(5~54) 配列番号1:
【化1】
【0181】
野生型ヒトBCMAタンパク質(1~54) 配列番号2:
【化2】
【0182】
野生型ヒトBCMAタンパク質(UniProt Q02223-1) 配列番号92
【化3】
【0183】
変異体1ヒトBCMAタンパク質 配列番号3:
【化4】
【0184】
変異体2ヒトBCMAタンパク質 配列番号4:
【化5】
【0185】
野生型ヒトBCMAタンパク質-マウスFc 配列番号5:
【化6-1】
【化6-2】
【0186】
変異体1ヒトBCMAタンパク質-マウスFc 配列番号6:
【化7】
【0187】
変異体2ヒトBCMAタンパク質-マウスFc 配列番号7:
【化8】
【0188】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0189】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【実施例
【0190】
実施例
【0191】
以下の実施例は、例示的であることを意図し、および本開示の実施形態をさらに理解するのに使用されてもよく、本教示の範囲を多少なりとも限定すると解釈されるべきではない。
【0192】
(実施例1)
抗BCMA抗体の生成
【0193】
モノクローナルファージELISAを使用して、完全ヒト抗体ライブラリーから抗体を選択した。標準的なパニング手順を用いて、BCMAタンパク質に結合した抗体およびBCMA発現RPMI8226細胞系を選択した。標準的な分子生物学の技術を使用して、scFvをSTI-Fcベクターにクローニングするか、または重鎖および軽鎖可変領域を、それらの各定常領域を含有するSTI重鎖ベクターおよびラムダ軽鎖ベクターにクローニングした。検証された挿入配列を含有するプラスミドを、CHO-S細胞における一過性の発現のために使用し、プロテインA樹脂を使用して、抗体を精製した。選択された抗BCMA抗体は、BCA7、BC4C9、BC5C4およびBC6G8を含んだ。
【0194】
BCA7抗体のクローンを、ソフトランダム化ファージライブラリーを使用して、親和性成熟に供した。BCA8ファージミドDNAをPCR鋳型として使用した。6つの変性したオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして使用して、変異を6つのCDR領域に導入した。PCR断片を制限酵素で消化し、線状化されたファージミドベクターpCGMT3にライゲーションし、E.coli SS320細胞中に電気穿孔させた。ヒトBCMAタンパク質およびBCMA発現PRMI8226細胞系を使用して、パニングを実施した。選択された抗BCMA抗体は、BCA7-2C5、BCA7-2E1、BCA7-2D11、BCA7-2G2、BCA7-2D8およびBCA7-2E8を含んだ。
【0195】
(実施例2)
表面プラズモン共鳴を使用する結合親和性の測定
抗BCMA抗体のhisタグ付きヒトBCMAタンパク質(ACROBiosystems、カタログ番号BCA-H522y-100ug、UniProt Q02223-1、配列番号92)との結合動態を、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して測定した。抗体とhisタグ付きBCMAタンパク質との間の動的相互作用を、Biacore T200表面プラズモン共鳴(GE Healthcare)を使用して25℃で測定した。抗ヒト断片結晶性領域(Fc領域)抗体を、標準的なN-ヒドロキシスクシンイミド/N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(NHS/EDC)カップリング方法を使用して、およそ8000レゾナンスユニット(RU)になるようにCM5センサーチップに固定化した。抗BCMA抗体(2μg/mL)を、流量10μL/分で60秒間捕捉した。hisタグ付きBCMAタンパク質を、0.01MのHEPES pH7.4、0.15MのNaCl、3mMのEDTA、0.05%v/vのSurfactant P20(HBS-EP+)の泳動緩衝液中、3.12、6.25、12.5、25、50、100および200nMの6つの異なる希釈度でランさせた。25nMのBCMAタンパク質のランを2回測定した。全ての測定は、流量30μL/分によりHBS-EP+緩衝液で行った。1:1(Langmuir)結合モデルを使用して、データをフィットさせた。抗BCMA抗体であるBCA7、GSK J6M0、BC4C9およびBC5C4のSPRセンサーグラムを、それぞれ図1、2、3および4に示し、それらの対応する結合動態を表3に列挙する。
【0196】
【表3】
【0197】
最適化された抗BCMA抗体BCA7-2C5、BCA7-2D11、BCA7-2G2、BCA7-2E1、BCA7-2D8およびBCA7-2E8の、hisタグ付きヒトBCMAタンパク質(ACROBiosystems、カタログ番号BCA-H522y-100ug)との結合動態を、上記のように分析した。センサーグラムを、それぞれ図5~10に示し、それらの対応する結合動態を表4に列挙する。最適化された抗BCMA抗体は、BCMAタンパク質への顕著に改善された結合を示した。
【0198】
【表4-1】
【表4-2】
【0199】
(実施例3)
表面プラズモン共鳴を使用する結合親和性の測定
【0200】
抗BCMA抗体のうちの2つ、BCA7-2C5およびBCA7-2E1の、hisタグ付きヒト、カニクイザルまたはマウスのBCMAタンパク質との交差反応性を、上記のようにSPRによって分析した。3つのhisタグ付きBCMAタンパク質の全ては、ACROBiosystemsから入手した:hisタグ付きヒトBCMAタンパク質(カタログ番号BCA-H522y-100ug)、hisタグ付きカニクイザルBCMAタンパク質(カタログ番号BCA-C52H7)、およびhisタグ付きマウスBCMAタンパク質(カタログ番号BCA-M52H3)。センサーグラムを、KD値と共に図11AおよびB(それぞれ、ヒトBCMAタンパク質に結合する2C5抗体および2E1抗体)に;KD値と共に図12AおよびB(それぞれ、カニクイザルBCMAタンパク質に結合する2C5抗体および2E1抗体)に、およびKC値と共に図13AおよびB(それぞれ、マウスBCMAタンパク質に結合する2C5および2E1)に示す。
【0201】
(実施例4)
ELISA交差反応性
【0202】
抗BCMA抗体の、ヒト、カニクイザルまたはマウス由来のhisタグ付きBCMAタンパク質との交差反応性を、ELISAアッセイによって分析した。Ni-NTAプレートを2μg/mLのhisタグ付きBCMAタンパク質(上記実施例2に列挙した)でコーティングし、次いで、20μg/mLの抗BCMA抗体と反応させ、1:2500希釈の抗ヒトFc HRP(KPL Scientific、カタログ番号5220-0279)と反応させた。図14は、左から右に、抗BCMA抗体2C5、2E1、4C9、5C4、Bluebird C11D5(BB C11D5)、GSK J6M0、アイソタイプ対照抗体、およびDulbecco’s Phosphate-Buffered Salineの8セットを示す。各セットは、左から右に、陰性対照抗原、hisタグ付きマウスBCMAタンパク質、hisタグ付きカニクイザルBCMAタンパク質、hisタグ付きヒトBCMAタンパク質、およびDulbecco’s Phosphate-Buffered Salineの5つのテスト抗原または緩衝液を含む。図14は、GSKおよびBluebird抗体が、ヒトおよびカニクイザルのBCMAタンパク質に結合するが、マウスBCMAタンパク質には結合しないこと、2C5および2E1抗体が、ヒト、カニクイザルおよびマウスのBCMAタンパク質に結合すること、ならびに4C9および5C4抗体が、ヒトBCMAタンパク質のみに結合することを示す。
【0203】
(実施例5)
フローサイトメトリーアッセイ
【0204】
フローサイトメトリーを使用して、様々な抗BCMA抗体(5×連続希釈)およびウェル当たり80,000個の細胞を使用して、多発性骨髄腫細胞系MM1Rに対する抗体結合をテストした。二次抗体は、FITC AffiniPure FAB2断片ヤギ抗ヒトIgG(H+L)(Jackson Immuno Researchから)であった。図15は、(A)対照アイソタイプ、(B)BCA7抗体、(C)BCA-2E1抗体、(D)BCA7-2C5抗体、(E)Bluebird C11D5抗体、および(F)GSK J6M0抗体に関する結果を示す。530nmで検出するBL-1検出器(IntelliCyt iQue Screener Plus)を使用した。幾何平均を報告する。
【0205】
(実施例6)
野生型BCMAタンパク質によるエピトープマッピング
【0206】
様々な抗BCMA抗体のエピトープマッピングを、サンドイッチスタイルのELISAアッセイを使用して行った。第1の抗体(Ab-1)は、Bluebird C11D5(図16において「BB」標識を有する白い棒)またはGSK J6M0(図16において「GSK」標識を有する黒い棒)(いずれも4μg/mL)のいずれかであり、抗原は、hisタグ付きヒトBCMAタンパク質(ACROBiosystems、カタログ番号BCA-H522y-100ug)であり、第2の抗体は、様々な抗BCMA抗体のうちの1つであり、第2の抗体は、1:2500の抗ラムダ/HRPであった。様々な抗BCMA抗体は、アイソタイプ対照抗体、2C5、2E1、4C9、5C4、および6G8を含んだ。図16は、BCA7バリアント抗体(2C5、2E1、4C9、5C4、および6G8)が、GSK抗体とのオーバーラップエピトープ(overlapping epitope)に結合するエピトープマッピングの結果を示す。BCA7バリアント抗体(4C9、5C4および6G8)は、Bluebird抗体とのオーバーラップエピトープに結合する。
【0207】
(実施例7)
エピトープマッピングのためのBCMAタンパク質の変異
【0208】
野生型タンパク質および変異体BCMAタンパク質をコードするDNA断片を、IDTによって合成し、C末端マウスFcタグを有するSTIベクターにクローニングした。検証されたプラスミドを、CHO-S細胞における一過性の発現のために使用した。野生型タンパク質および変異体BCMAタンパク質を、プロテインA樹脂を使用して精製した。BCMA野生型タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列を含む。BCMA変異体1タンパク質は、配列番号3のアミノ酸配列を含む。BCMA変異体2タンパク質は、配列番号4のアミノ酸配列を含む。
【0209】
図17は、BCMAタンパク質の代表例のリボンダイアグラムを示す。アスタリスクは、2個の点変異L17GおよびL18Gを有するBCMA変異体1タンパク質において破壊されるアミノ酸配列EYFDSLLH(配列番号28)を有する領域を示す。ジスルフィド架橋ならびに残基A20、I22、およびN30の位置も示す。
【0210】
(実施例8)
タンパク質-タンパク質結合を測定するためのバイオレイヤー干渉法
【0211】
バイオレイヤー干渉法を使用して、APRILタンパク質と野生型BCMAタンパク質との間の結合を測定した。野生型ヒトBCMA-マウスFcタンパク質(配列番号5)をAR2Gセンサー(OctetRED96e from ForteBio)にロードし、ヒトAPRILタンパク質の2つの異なる供給源(IBI Scientific、カタログ番号RPH-151;R&D Systems、カタログ番号5860-AP-010/CFから)のうちの1つと反応させた。結果を図18に示し、これは、ヒトBCMAタンパク質がR&D SystemsからのヒトAPRILタンパク質に結合するが、IBI ScientificからのヒトAPRILタンパク質に結合しないことを示す。
【0212】
バイオレイヤー干渉法を使用して、APRILタンパク質と、野生型または変異体BCMAタンパク質との間の結合も測定した。ヒトAPRILタンパク質(R&D Systems、カタログ番号5860-AP-010/CF)をAr2Gセンサー(OctetRET96e)にロードして、野生型ヒトBCMA-マウスFc(配列番号5)、変異体1ヒトBCMA-マウスFc(17G-18G;配列番号6)、または変異体2ヒトBCMA-マウスFc(del32-35G;配列番号7)を含む、3つのタイプのヒトBCMAタンパク質のうちの1つ、2.5μg/mLと反応させた。図19は、野生型BCMAタンパク質がAPRILに結合すること、変異体1BCMAタンパク質(二重の点変異17G-18G)がAPRILへの結合の喪失を示したこと、および変異体2BCMAタンパク質がAPRILタンパク質への一部の結合能を保持することを示す。
【0213】
(実施例9)
エピトープマッピングのためのバイオレイヤー干渉法
【0214】
実施例8で説明したタンパク質-タンパク質結合アッセイの結果を使用して、バイオレイヤー干渉法を使用してエピトープマッピングアッセイを設計した。様々な抗BCMA抗体(2C5、2E1、4C9、6G8、Bluebird C11D5、GSK J6M0、またはアイソタイプ対照)(100nM)をAR2Gセンサーにロードして、緩衝液、または野生型ヒトBCMA-マウスFc(配列番号5)、変異体1ヒトBCMA-マウスFc(二重変異17G-18G;配列番号6)、もしくは変異体2ヒトBCMA-マウスFc(変異del32-35G;配列番号7)を含む、3つのタイプのヒトBCMAタンパク質のうちの1つと反応させた。図20は、抗体2C5、2E1および4C9が野生型および変異体2BCMAタンパク質に結合し、変異体1BCMAタンパク質への結合の低下を示すこと;Bluebird C11D5抗体は野生型およびBCMAタンパク質の両方の変異体バージョンに結合すること;ならびにGSK J6M0抗体が野生型および変異体1BCMAタンパク質に結合し、変異体2BCMAタンパク質への結合の低下を示すことを示す。抗体6G8は、このアッセイで使用した全ての形態のBCMAタンパク質への結合の有意な低下を示す。このデータは、抗体2C5、2E1および4C9が、Bluebird抗体およびGSK抗体によって結合したエピトープと異なるヒトBCMAタンパク質のエピトープに結合することを示す。
【0215】
(実施例10)
APRILを遮断する活性を測定するためのバイオレイヤー干渉法
【0216】
バイオレイヤー干渉法を使用して、様々な抗BCMA抗体が、ヒトBCMAエピトープに結合し、ヒトAPRILのヒトBCMAエピトープへの結合を遮断する能力を評価した。ヒトAPRILタンパク質(R&D Systems、カタログ番号5860-AP-010/CF)をAR2Gセンサーにロードし(2μg/mL)、様々な抗BCMA抗体のうちの1つまたはアイソタイプ対照(25μg/mL)を含む、予め混合されたヒトBCMAタンパク質(2μg/mL)と1時間反応させた。図21における結果は、様々な抗BCMA抗体(2C5、2E1、4C9、5C4、Bluebird C11D5およびGSK J6M0)が、APRILタンパク質へのBCMAタンパク質の結合を遮断したことを示す。
【0217】
(実施例11)
交差反応を測定するためのバイオレイヤー干渉法
【0218】
バイオレイヤー干渉法を使用して、(1)2つの異なる抗BCMA抗体(BCA7-2C5またはBB C11D5)またはアイソタイプ対照と(2)TACIおよびBAFFRを含む様々なヒト抗原との間の交差結合を測定した。
【0219】
抗体の固定は、標準的なEDCに触媒されるアミド結合の形成によって達成され、タンパク質の反応性アミンとカルボキシ末端バイオセンサー表面との間に共有結合を生じる。簡単には、AR2Gセンサー(OctetRED96e from ForteBio)をEDC-NHSによって6分間活性化させ、次いで、5ug/mlの抗体を10mMの酢酸緩衝液pH5.0中で6分間ロードし(BCA7-2C5抗体、Bluebird C11D5キメラ抗体、またはヒトIgGアイソタイプ抗体)、続いて1MのエタノールアミンpH8.5で6分間クエンチした。3分間のベースラインステップによって、全ての未結合抗体がバイオセンサーから除去され、続いて、3つの分析物であるタンパク質TACI(Sino BiologicalからのヒトTACI/TNFRSF13B(CD267)His-タグ、PBS中1ug/mL)、BAFFR(Sino BiologicalからのヒトBAFFR/TNFRSF13C(CD268)Fcタグ、PBS中2ug/mL)、およびヒトBCMAタンパク質(マウスFcを用いて社内で作製した、PBS中2ug/mL)をそれぞれ1.5分会合させた。アッセイのステップを以下の表4にまとめる。
【0220】
【表4-3】
【0221】
図22の結果は、抗BCMA抗体(BCA7-2C5およびBB C11D5)が、BCMAタンパク質に結合するが、TACIまたはBAFFRタンパク質には結合しないことを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【配列表】
2022521956000001.app
【国際調査報告】