(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(54)【発明の名称】交換可能な走査先端部を有する走査装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/247 20060101AFI20220406BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20220406BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
A61B1/247
A61B1/00 511
A61B1/045 610
A61B1/045 622
A61B1/00 715
A61B1/00 640
A61B1/00 730
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549765
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(85)【翻訳文提出日】2021-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2020054936
(87)【国際公開番号】W WO2020173955
(87)【国際公開日】2020-09-03
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508158023
【氏名又は名称】3シェイプ アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】エスペン ローセンロン ハンスン
(72)【発明者】
【氏名】アナス ローバト イェリンゴー
(72)【発明者】
【氏名】ピーダ デール アイビュー イェンスン
(72)【発明者】
【氏名】モーデン ベンデルボー フォーオズ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ バンナーメ
(72)【発明者】
【氏名】ミケール ピーダスン
(72)【発明者】
【氏名】セーアン グレーベ イェンスン
(72)【発明者】
【氏名】ドミートロ シュプリーナ オーレゴビク
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA08
4C161AA09
4C161BB01
4C161BB08
4C161CC06
4C161FF40
4C161LL02
4C161NN01
4C161PP11
4C161RR25
4C161SS21
4C161WW17
4C161WW20
(57)【要約】
本開示は、対象物を走査するための走査システムであって、走査システムが、画像を取得するためのイメージセンサ、複数のタイプの走査先端部のうちの少なくとも1つを取り外し可能に取り付けるための取り付けインターフェースであって、複数のタイプの走査先端部の各自が、複数のタイプの走査先端部の各自に関して異なる照明モードで対象物に光を提供するように構成されている、取り付けインターフェースを含む、走査装置を含む走査システムを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を走査するための走査システムであって、
該走査システムは、
走査装置であって、
画像を取得するためのイメージセンサと、
複数のタイプの走査先端部のうちの少なくとも1つを取り外し可能に取り付けるための取り付けインターフェースであって、前記複数のタイプの走査先端部の各自が、複数のタイプの走査先端部の各自に関して異なる照明モードで前記対象物に光を提供するように構成されている、取り付けインターフェースと、
該取り付けインターフェースに取り付けられた走査先端部のタイプを認識するための認識構成部分と、を含む走査装置と、
前記イメージセンサによって取得された画像を処理して処理済データにするように構成されたプロセッサと、
前記認識構成部分によって認識された走査先端部のタイプに従って前記プロセッサの動作を制御するように構成されたコントローラであって、該コントローラはさらに前記プロセッサを制御するように構成され、第1タイプの走査先端部が取り付けられ、かつ認識されるとき、前記プロセッサが前記第1タイプの走査先端部に相応する第1処理モードで動作するべく制御され、そして第2タイプの走査先端部が取り付けられ、かつ認識されるとき、前記プロセッサが前記第2タイプの走査先端部に相応する第2処理モードで動作するべく制御され、前記第2処理モードは前記第1処理モードとは異なる、コントローラと、
を備え、
前記第1処理モードにあるときに、前記プロセッサは、3次元幾何形状の第1データ及び前記対象物の表面質感の第1データの形態で前記処理済データを提供するように、第1照明モードで取得された第1複数画像を処理し、
前記3次元幾何形状の第1データは、
前記第1タイプの走査先端部に従って選択され、これにより前記第1処理モードの部分を定義する、前記第1複数画像の第1サブセット、及び/又は
前記第1タイプの走査先端部に従って選択され、これにより前記第1処理モードの部分を定義する、前記第1複数画像内の画素の第1サブセットに基づき、
前記対象物の表面質感の第1データは、
前記第1タイプの走査先端部に従って選択され、これにより前記第1処理モードの部分を定義する、前記第1複数画像の第2サブセット、及び/又は
前記第1タイプの走査先端部に従って選択された、これにより前記第1処理モードの部分を定義する、前記第1複数画像内の画素の第2サブセットに基づいており、
前記第2処理モードにあるときに、前記プロセッサが、3次元幾何形状の第2データ及び前記対象物の表面質感の第2データの形態で前記処理済データを提供するように、第2照明モードで取得された第2複数画像を処理し、
前記3次元幾何形状の第2データは、
前記第2タイプの走査先端部に従って選択され、これにより前記第2処理モードの部分を定義する、前記第2複数画像の第1サブセット、及び/又は
前記第2タイプの走査先端部に従って選択され、これにより前記第2処理モードの部分を定義する、前記第2複数画像内の画素の第1サブセットに基づき、
前記対象物の表面質感の第2データは、
前記第2タイプの走査先端部に従って選択され、これにより前記第2処理モードの部分を定義する、前記第2複数画像の第2サブセット、及び/又は
前記第2タイプの走査先端部に従って選択され、これにより前記第2処理モードの部分を定義する、前記第2複数画像内の画素の第2サブセット基づいている、
走査システム。
【請求項2】
前記プロセッサが前記走査装置内に組み込まれている、請求項1に記載の走査システム。
【請求項3】
前記コントローラが前記走査装置の外部にある、請求項1又は2に記載の走査システム。
【請求項4】
前記認識構成部分によって認識される走査先端部のタイプは、認識データの形態を成し、前記走査装置は前記認識データを前記コントローラへ伝送するように構成されている、請求項1~3の何れか一項に記載の走査システム。
【請求項5】
前記認識構成部分は、前記複数のタイプの走査先端部の各自の走査先端部上の一体型メモリから認識データを読み取るように構成されたメモリ・リーダを含む、請求項1~4の何れか一項に記載の走査システム。
【請求項6】
1つのタイプの走査先端部のための照明モードは光の波長によって定義され、及び/又は1つのタイプの走査先端部のための照明モードは光の強度によって定義される、請求項1~5の何れか一項に記載の走査システム。
【請求項7】
1つのタイプの走査先端部のための照明モードは光の異なる波長によって定義され、これにより1つのタイプの走査先端部は光の異なる波長間で切り換わる、請求項1~6の何れか一項に記載の走査システム。
【請求項8】
1つのタイプの走査先端部のための照明モードは光の視野によって定義され、且つ/又は1つのタイプの走査先端部のための照明モードは光のパターンによって定義される、請求項1~7の何れか一項に記載の走査システム。
【請求項9】
前記3次元幾何形状の第1データは、前記第1複数画像の第1サブセット、及び前記第1複数画像内の画素の第1サブセットに基づき、そして前記対象物の表面質感の第1データは、前記第1複数画像の第2サブセット、及び前記第1複数画像内の画素の第2サブセットに基づいており、
前記第1複数画像の第1サブセットは前記第1複数画像の第2サブセットと同一であり、
前記第1複数画像内の画素の第1サブセットは前記第1複数画像内の画素の第2サブセットとは異なる、
請求項1~8の何れか一項に記載の走査システム。
【請求項10】
前記3次元幾何形状の第1データは、前記第1複数画像の第1サブセット、及び前記第1複数画像内の画素の第1サブセットに基づき、前記対象物の表面質感の第1データは、前記第1複数画像の第2サブセット、及び前記第1複数画像内の画素の第2サブセットに基づいており、
前記第1複数画像の第1サブセットは前記第1複数画像の第2サブセットとは異なり、
前記第1複数画像内の画素の第1サブセットは前記第1複数画像内の画素の第2サブセットとは異なる、
請求項1~9の何れか一項に記載の走査システム。
【請求項11】
前記3次元幾何形状の第1データは、前記第1複数画像の第1サブセット、及び前記第1複数画像内の画素の第1サブセットに基づき、前記対象物の表面質感の第1データは、前記第1複数画像の第2サブセット、及び前記第1複数画像内の画素の第2サブセットに基づいており、
前記第1複数画像の第1サブセットは前記第1複数画像の第2サブセットとは異なり、
前記第1複数画像内の画素の第1サブセットは前記第1複数画像内の画素の第2サブセットと同一である、
請求項1~10の何れか一項に記載の走査システム。
【請求項12】
前記第1複数画像の第1サブセットは、複数の波長の無彩色光で記録された複数画像のうちの1つおきの画像であり、前記第1複数画像の第2サブセットは、第1波長の単色光で記録された複数画像のうちの残りの画像である、請求項10に記載の走査システム。
【請求項13】
前記第1複数画像の第1サブセットは、複数の波長によって定義された無彩色光で記録された第1複数画像のうちの2つおきの画像であり、前記第1複数画像の第2サブセットは、第1波長及び第2波長の単色光で記録された第1複数画像のうちの残りの画像である、請求項10に記載の走査システム。
【請求項14】
前記第1複数画像の第2サブセットは、複数の波長によって定義された無彩色光で記録された単一画像である、請求項9に記載の走査システム。
【請求項15】
前記3次元幾何形状の第2データは、前記第2複数画像の第1サブセット、及び前記第2複数画像内の画素の第1サブセットに基づき、前記対象物の表面質感の第2データは、前記第2複数画像の第2サブセット、及び前記第2複数画像内の画素の第2サブセットに基づいており、
前記第2複数画像の第1サブセットは前記第2複数画像の第2サブセットと同一であり、
前記第2複数画像内の画素の第1サブセットは前記第2複数画像内の画素の第2サブセットとは異なる、
請求項1~14の何れか一項に記載の走査システム。
【請求項16】
前記3次元幾何形状の第2データは、前記第2複数画像の第1サブセット、及び前記第2複数画像内の画素の第1サブセットに基づき、前記対象物の表面質感の第2データは、前記第2複数画像の第2サブセット、及び前記第2複数画像内の画素の第2サブセットに基づいており、
前記第2複数画像の第1サブセットは前記第2複数画像の第2サブセットとは異なり、
前記第2複数画像内の画素の第1サブセットは前記第2複数画像内の画素の第2サブセットとは異なる、
請求項1~15の何れか一項に記載の走査システム。
【請求項17】
前記3次元幾何形状の第2データは、前記第2複数画像の第1サブセット、及び前記第2複数画像内の画素の第1サブセットに基づき、前記対象物の表面質感の第1データは、前記第2複数画像の第2サブセット、及び前記第2複数画像内の画素の第2サブセットに基づいており、
前記第2複数画像の第1サブセットは前記第2複数画像の第2サブセットとは異なり、
前記第2複数画像内の画素の第1サブセットは前記第2複数画像内の画素の第2サブセットと同一である、
請求項1~16の何れか一項に記載の走査システム。
【請求項18】
前記走査装置は、前記第1複数画像及び/又は第2複数画像が取得されている間、前後に並進運動するように構成されたレンズをさらに含む、請求項1~17の何れか一項に記載の走査システム。
【請求項19】
前記走査システムは前記対象物の3次元モデルを作成するように構成されたプロセッサをさらに含み、
前記3次元モデルは前記3次元幾何形状の第1データに基づいて作成されるが、前記3次元モデルは前記3次元幾何形状の第2データに基づいて作成されず、又は
前記3次元モデルは前記3次元幾何形状の第2データに基づいて作成されるが、前記3次元モデルは前記3次元幾何形状の第1データに基づいて作成されない、
請求項1~18の何れか一項に記載の走査システム。
【請求項20】
前記3次元モデルが前記3次元幾何形状の第2データに基づいて作成されない場合には、前記3次元幾何形状の第2データが前記3次元幾何形状の第1データと比較され、これにより前記対象物の表面質感の第2データが前記3次元モデルとマッチングされる、請求項19に記載の走査システム。
【請求項21】
前記3次元モデルが前記3次元幾何形状の第1データに基づいて作成されない場合には、前記3次元幾何形状の第1データが前記3次元幾何形状の第2データと比較され、これにより前記対象物の表面質感の第1データが前記3次元モデルとマッチングされる、請求項19に記載の走査システム。
【請求項22】
スクリーン上のグラフィカルユーザーインターフェースに表示される口腔の3次元表示画像を作成する、コンピュータによる実施方法であって、
複数の走査選択肢をグラフィカルユーザーインターフェースに表示するステップであって、前記走査選択肢のうちの1つを選択するようにユーザーが前記グラフィカルユーザーインターフェースで命令されるようにする、ステップと、
ユーザーによって前記走査選択肢のうちの1つ又は2つ以上を受信するステップと、
グラフィカルユーザーインターフェースにおいて、受信された1つの走査選択肢に基づいて、ユーザーが第1走査先端部を走査装置に取り付けるように第1取り付け命令を表示するステップと、
前記第1走査先端部が前記走査装置に取り付けられたときに、前記第1走査先端部に関連する前記走査装置からの第1情報を受信するステップと、
グラフィカルユーザーインターフェースにおいて、前記走査装置からの第1情報に基づいて、前記第1走査先端部が取り付けられている走査装置によってユーザーが走査するための第1走査命令及び/又は第1走査指示を表示するステップと、
前記第1走査先端部を備えた走査装置による第1走査データを受信し、3次元表示画像の第1部分を作成するステップと、
グラフィカルユーザーインターフェースにおいて、受信された第1走査データに基づいて、前記第1走査先端部を第2走査先端部と交換するように第2取り付け命令を表示するステップと、
前記第2走査先端部が前記走査装置に取り付けられたときに、前記第2走査先端部に関連する前記走査装置からの第2情報を受信するステップと、
グラフィカルユーザーインターフェースにおいて、前記走査装置からの第2情報に基づいて、前記第2走査先端部を有する走査装置によってユーザーが走査するために第2走査命令及び/又は第2走査指示を表示するステップと、
前記第2走査先端部を備えた走査装置による第2走査データを受信し、3次元表示画像の第2部分を作成するステップと、
を含む、
コンピュータによる実施方法。
【請求項23】
前記走査選択肢のうちの1つが無歯走査に関連する、請求項22に記載のコンピュータによる実施方法。
【請求項24】
ユーザーによって前記走査選択肢のうちの1つ又は2つ以上を受信するステップが、前記グラフィカルユーザーインターフェースで前記走査選択肢のうちの1つ又は2つ以上をユーザーがクリックすることにより提供される、請求項22又は23に記載のコンピュータによる実施方法。
【請求項25】
前記第1走査先端部に関連する前記走査装置からの第1情報を受信するステップ、及び/又は前記第2走査先端部に関連する前記走査装置からの第2情報を受信するステップが、前記走査装置に取り付けられたときに走査先端部のタイプを認識する前記走査装置内の認識構成部分から提供される、請求項22~24の何れか一項に記載のコンピュータによる実施方法。
【請求項26】
前記第1走査先端部に関連する前記走査装置からの第1情報を受信するステップが、前記第1走査先端部の視野内で前記第1走査先端部の少なくとも一部を視覚的に認識することから提供され、及び/又は、前記第2走査先端部に関連する前記走査装置からの第2情報を受信するステップが、前記第2走査先端部の視野内で前記第2走査先端部の少なくとも一部を視覚的に認識することから提供される、請求項22~24の何れか一項に記載のコンピュータによる実施方法。
【請求項27】
前記第1走査先端部が前記第2走査先端部と比較してより広い視野で操作するように構成されており、これにより前記3次元表示画像の第1部分が前記3次元表示画像の第2部分のための基準モデルとして使用され、前記3次元表示画像の第2部分が前記基準モデルにマッチングされる、請求項22~26の何れか一項に記載のコンピュータによる実施方法。
【請求項28】
前記第1走査先端部を第2走査先端部と交換するように第2取り付け命令を表示するステップが、ユーザーからの確認入力に基づいており、該確認入力が、作成された前記3次元表示画像の第1部分が十分であることを確認する情報を含む、請求項22~27の何れか一項に記載のコンピュータによる実施方法。
【請求項29】
十分であることが確認された前記3次元表示画像の第1部分が、
前記ユーザー、及び/又は
複数の異なるユーザー、から時間外に収集され、
十分であることが確認された履歴3次元表示画像を作成し、これにより、前記第1走査先端部を第2走査先端部と交換するための命令を表示するステップは、自動化され、十分であることが確認された前記履歴3次元表示画像に基づく、請求項28に記載のコンピュータによる実施方法。
【請求項30】
十分であることが確認された前記履歴3次元表示画像は、作成された3次元表示画像が十分となったらそれを判定するように構成されたアルゴリズムのための入力として使用され、
前記アルゴリズムは前記履歴3次元表示画像を平均化することに基づき、及び/又は前記アルゴリズムは機械学習及び/又は人工知能に基づく、請求項29に記載のコンピュータによる実施方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基本的に、異なる交換可能な走査先端部を有する走査装置(scanner device)を含む走査システムに関する。より具体的にいえば、本開示は、走査装置が異なる交換可能な走査先端部とともにどのように動作するかに関する。最も具体的にいえば、本開示は口腔内走査及び/又は耳内走査のための走査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交換可能な走査先端部を有する走査装置が走査分野において知られている。例えば口腔内走査分野では、異なる光学形態を有する走査先端部がよく知られている。
【0003】
1つの走査先端部が例えば1つの特定の視野を有するように構成され、そして別の走査先端部が例えば異なる視野を有するように構成されてもよい。このことは視野を変えることを可能にするだけでなく、視野は走査先端部の物理的寸法に関連するので、走査先端部のサイズが変えられることをも可能にする。こうして、1つの走査先端部を成人の口腔内走査のために使用することができ、そして他方の走査先端部を小児の口腔内走査のために使用することができる。
【0004】
また、1つの走査先端部が例えば光学要素、例えば鏡を1つの周波数で動かすように構成され、別の走査先端部が例えば同一の光学要素、例えば同一の鏡を別の周波数で動かすように構成されてもよい。このことは例えば、使用される走査先端部に応じて異なる走査速度で操作するのを可能にする。
【0005】
全体として見ると、走査先端部を交換することにより、走査動作が特定の走査状況に適合され、及び/又は走査動作が特定の被走査対象物に適合されるようにすることは走査分野においてよく知られている。
【0006】
しかしながら、走査動作の変化の融通性はハードウェアに、又は走査に関与するハードウェアの動作の変化に限られている。
【0007】
さらに、走査動作だけが、走査装置の操作者が変えたい動作なのではない。
【0008】
従って、より融通性の高い走査装置が走査分野において望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示の1つの目的は、より融通性の高い走査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は第1態様において、対象物を走査するための走査システムであって、前記走査システムが走査装置を含み、前記走査装置が、画像を取得するためのイメージセンサと、複数のタイプの走査先端部のうちの少なくとも1つを取り外し可能に取り付けるための取り付けインターフェースであって、前記複数のタイプの走査先端部の各自が、複数のタイプの走査先端部の各自に関して異なる照明モードで前記対象物に光を提供するように構成されている、取り付けインターフェースと、前記取り付けインターフェースに取り付けられた走査先端部のタイプを認識するための認識構成部分と、を含む走査システムを提供する。さらに、前記走査装置は、前記イメージセンサによって取得された画像を処理して処理済データにするように構成されたプロセッサを含んでよい。さらに、前記走査装置は、前記認識構成部分によって認識された走査先端部のタイプに従って前記プロセッサの動作を制御するように構成されたコントローラを含んでよい。
【発明の効果】
【0011】
ここに開示された走査装置は、プロセッサの動作を特定の操作状況に、又は特定の走査対象物に適合させ得るので有利である。このことは例えば、2つの異なる走査状況に対して、又は2つの異なる走査対象物に対して同じ形式で走査装置を操作するが、しかし、走査状況又は走査対象物に応じて、取得された画像を異なった形で処理するのを可能にし得る。例えば、走査先端部を走査対象物の2つの異なる走査状況に対して同じ形式で操作することができる。このようにすると、使用される走査先端部のタイプに基づいて、操作者が処理済画像の異なる結果を得ることができる。
【0012】
さらに、開示された走査装置は例えば2つの異なる走査状況に対して、又は2つの異なる走査対象物に対して異なる形式でスキャナを操作し、走査状況又は走査対象物に応じて、取得された画像を異なった形で処理することをも可能にし得る。例えば、走査先端部は2つの異なる走査状況に対して、又は2つの異なる走査対象物に対して異なる形式で操作することができる。このようにすると、走査先端部の走査動作に基づいて使用される走査先端部のタイプに基づいて、操作者はやはり処理済画像の異なる結果を得ることができる。
【0013】
従って、本開示は典型的な走査装置よりも著しく融通性の高い走査装置を提供する。この利点をよりよく理解するために、典型的なスキャナがどのように働くかの例を以下に説明する。
【0014】
走査装置によって取得された画像を処理するように構成された、典型的な走査装置におけるプロセッサは、典型的には、走査状況とは無関係に、及び/又は走査される走査対象物とは無関係に、十分に定義されたタスクを実施する。例えば固定された、又は十分に定義された処理タスクは以下のものにあるかもしれない。すなわち、
共焦点スキャナ、すなわち、例えばイメージセンサ上の単一像点の強度を隔離分析し、そして単一像点が最大となり、ひいては合焦するとそれを判定することによって、イメージセンサ上の単一像点を隔離分析することに基づいて、深さ座標を導出するように構成されたプロセッサを少なくとも含むスキャナ、
三角測量スキャナ、すなわち、例えばイメージセンサ上の既知の位置に対する光ストライプの位置を分析することによって、イメージセンサ上の1つ又は2つ以上の光ストライプを三角測量することに基づき深さ座標を導出するように構成されたプロセッサを少なくとも含むスキャナ、及び/又は
構造化光投影焦点スキャナ、すなわち、例えばイメージセンサを基準とした複数の点の相関を分析し、そして例えば複数の像点の相関が最大となりひいては合焦したらそれを判定することにより、イメージセンサ上の複数の像点を比較分析することに基づき深さ座標を導出するように構成されたプロセッサを少なくとも含むスキャナ。
【0015】
上述のような種々異なる処理タスクのうちの1つは、例えば所与の走査装置内に位置するフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)プロセッサによって実施することができる。プロセッサはこの場合所与のタスクを実施することができる。なぜならば、プロセッサは、走査装置上を走行し得る予め定義されたスクリプトによってそのように命令されるからである。従って、典型的なスキャナは、画像の処理に関していえば融通性があまり高くない。
【0016】
ここに開示された走査装置の発明者が理解するところによれば、認識構成部分によって認識された走査先端部のタイプに従ってプロセッサの動作を制御するように構成されたコントローラを有することにより、走査装置は例えば走査装置上に予め定義されているような固定的な処理タスクを有する必要がなく、そして走査装置は操作者によって定義又は再定義されているような種々異なるスクリプトを走行させる必要はない。
【0017】
本開示によるスキャナによって、プロセッサによって実施される取得済画像の処理タスク又はモードは、適合可能な形式で定義され、そしてひとたび特定の走査先端部が走査装置に取り付けられると、認識構成部分によって定義されたとおりにコントローラによって定義される。
【0018】
この適合の技術的な効果は、プロセッサの処理タスク又はモードが、所与の走査状況及び/又は走査対象物に適合されることに加えて、効率的に制御されることである。例えばコントローラに制御させることにより、プロセッサのプロセスは、プロセッサが取得済画像を処理することを手動で選択するか又はプロセッサに手動で命令するよりも著しく高速である。
【0019】
全体として見れば、本開示はスキャナ及びスキャナ出力、すなわち処理済画像の両方を所与の走査状況及び/又は走査対象物に効率的に適合させる走査装置を提供する。
【0020】
第2態様において、本開示は、スクリーン上のグラフィカルユーザーインターフェースに表示される口腔の3次元表示画像を作成する、コンピュータによる実施方法であって、
複数の走査選択肢をグラフィカルユーザーインターフェースに表示することにより、前記走査選択肢のうちの1つを選択するようにユーザーが前記ユーザーインターフェースで命令されるようにするステップと、
ユーザーによって前記走査選択肢のうちの1つ又は2つ以上を受信するステップと、
グラフィカルユーザーインターフェースにおいて、受信された1つの走査選択肢に基づいて、ユーザーが第1走査先端部を走査装置に取り付けるように第1取り付け命令を表示するステップと、
前記第1走査先端部が前記走査装置に取り付けられたとき、前記第1走査先端部に関連する前記走査装置からの第1情報を受信するステップと、
グラフィカルユーザーインターフェースにおいて、前記スキャナからの第1情報に基づいて、前記第1走査先端部が取り付けられている走査装置によってユーザーが走査するように第1走査命令及び/又は第1走査指示を表示するステップと、
前記第1走査先端部を備えた走査装置による第1走査データを受信し、前記第1走査データから3次元表示画像の第1部分を作成するステップと、
グラフィカルユーザーインターフェースにおいて、受信された前記第1走査データに基づいて、前記第1走査先端部を第2走査先端部と交換するように第2取り付け命令を表示するステップと、
前記第2走査先端部が前記走査装置に取り付けられたとき、前記第2走査先端部に関連する前記走査装置からの第2情報を受信するステップと、
グラフィカルユーザーインターフェースにおいて、前記走査装置からの第2情報に基づいて、前記第2走査先端部を有する走査装置によってユーザーが走査するように第2走査命令及び/又は第2走査指示を表示するステップと、
前記第2走査先端部を備えた走査装置による第2走査データを受信し、前記第2走査データから3次元表示画像の第2部分を作成ステップと、
を含む、コンピュータによる実施方法を提供する。
【0021】
上記開示された方法を用いて作成された3次元表示画像、すなわち、少なくとも3次元表示画像の第1部分と3次元表示画像の第2部分とから作成された最終3次元表示画像は、ユーザーとユーザーインターフェースとの相互作用に依存する。さらに、例えばコンピュータ上のプロセッサによって実施されてよい上記開示された方法の利点は、ユーザーがユーザーインターフェースを介して命令されたことを行うときにのみ作成されることである。例えば、第1走査データは、ユーザーがユーザーインターフェースで表示された第1走査先端部を取り付けたときにのみプロセッサによって受信され、そして第2走査データは、ユーザーがユーザーインターフェースで表示された第2走査先端部を取り付けたときにのみプロセッサによって受信される。従って、本明細書中に開示された方法は、3次元表示画像を作成する方法を変える少なくとも2つのステップを提供する。さらに、適切な走査先端部が取り付けられたときのみ、プロセスはデータ受信ステップまで進み続けることができるので、この方法は、ユーザーが正しい走査先端部を正しく取り付けたときのみ実施することができる。こうして、ユーザーがエラーによって、命令された走査先端部を正しく取り付けない場合、及び/又は、ユーザーが命令された正しい走査先端部を取り付けない場合には、プロセスは実施されない。従って、ユーザーはまた、望まれないプロセスを実施することを防止される。従って、ユーザーインターフェースと物理的世界との相互作用が、3次元表示画像作成プロセスを変化させる。
【0022】
本発明の第2態様の1実施態様では、第1及び第2の走査先端部は複数のタイプの走査先端部のうちの2つであってよく、2つのタイプの走査先端部の各自が、2つのタイプの走査先端部の各自に関して異なる照明モードで前記対象物に光を提供するように構成されている。
【0023】
いくつかの実施態様では、2つの態様は組み合わされてよい。例えば、第1態様に基づく走査システムは、第2態様に基づくコンピュータによる実施方法を実施するためのプロセッサを含んでよい。
【0024】
従って、第2態様の別の実施態様では、第1走査先端部に関連する前記走査装置からの第1情報を受信するステップ、及び/又は第2走査先端部に関連する前記走査装置からの第2情報を受信するステップは、本発明の第2態様に基づく走査装置内の認識構成部分から提供される。認識構成部分は、走査装置に取り付けられたときに走査先端部のタイプを認識する。
【0025】
添付の図面を参照しながら、本開示の実施態様を以下に例示的及び非制限的に詳細に説明することにより、本開示の上記の及び/又は付加的な目的、特徴、及び利点をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は本発明による走査システム1の一例を示す。
【
図2】
図2は口腔内走査モードに関連する処理モードの一例を示す。
【
図3】
図3は耳内走査モードに関連する処理モードの一例を示す。
【
図4】
図4は口腔内の赤外線走査モードに関連する処理モードの一例を示す。
【
図5】
図5は口腔内の蛍光走査モードに関連する処理モードの一例を示す。
【
図6】
図6は口腔内の視野低減走査モードに関連する処理モードの一例を示す。
【
図7a】
図7aは顔走査・視野拡大走査モードに関連する処理モードを示す。
【
図7b】
図7bは顔走査のために使用される走査先端部の詳細を示す。
【
図8】
図8は口腔内走査モードに関連する処理モードの一例を示す。
【
図9】
図9は口腔内走査モードに関連する処理モードの一例を示す。
【
図10a】
図10aは本発明の第2態様に基づくユーザーインターフェースの一例を示す。
【
図10b】
図10bは本発明の第2態様に基づくユーザーインターフェースの他の一例を示す。
【
図10c】
図10cは本発明の第2態様に基づくユーザーインターフェースの他の一例を示す。
【
図10d】
図10dは本発明の第2態様に基づくユーザーインターフェースの他の一例を示す。
【
図10e】
図10eは本発明の第2態様に基づくユーザーインターフェースの他の一例を示す。
【
図10f】
図10fは本発明の第2態様に基づくユーザーインターフェースの他の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
コントローラ及び処理モード
走査システムの1実施態様では、第1タイプの走査先端部が取り付けられ認識されると、プロセッサが第1タイプの走査先端部に相応する第1処理モードで動作するべく制御され、そして第2タイプの走査先端部が取り付けられ認識されると、プロセッサが第2タイプの走査先端部に相応する第2処理モードで動作するべく制御されるように、コントローラはプロセッサを制御するようにさらに構成されている。第2処理モードは第1処理モードとは異なる。
【0028】
第1の好ましい実施態様では、第1処理モードにあるときには、プロセッサは、3次元幾何形状の第1データ及び対象物の表面質感の第1データの形態で処理済データを提供するように、第1照明モードで取得された第1複数画像を処理する。3次元幾何形状の第1データは、第1タイプの走査先端部に従って選択された、これにより第1処理モードの部分を定義する、第1複数画像の第1サブセット、及び/又は第1タイプの走査先端部に従って選択された、これにより第1処理モードの部分を定義する、前記第1複数画像内部の画素の第1サブセットに基づいている。そして対象物の表面質感の第1データは、第1タイプの走査先端部に従って選択された、これにより第1処理モードの部分を定義する、第1複数画像の第2サブセット、及び/又は第1タイプの走査先端部に従って選択された、これにより第1処理モードの部分を定義する、前記第1複数画像内部の画素の第2サブセットに基づいている。
【0029】
第2の好ましい実施態様では、第2処理モードにあるときには、プロセッサが、3次元幾何形状の第2データ及び対象物の表面質感の第2データの形態で処理済データを提供するように、第2照明モードで取得された第2複数画像を処理し、3次元幾何形状の第2データが、第2タイプの走査先端部に従って選択された、これにより第2処理モードの部分を定義する、第2複数画像の第1サブセット、及び/又は第2タイプの走査先端部に従って選択された、これにより第2処理モードの部分を定義する、前記第2複数画像内部の画素の第1サブセットに基づいており、対象物の表面質感の第2データが、第2タイプの走査先端部に従って選択された、これにより第2処理モードの部分を定義する、第2複数画像の第2サブセット、及び/又は第2タイプの走査先端部に従って選択された、これにより第2処理モードの部分を定義する、前記第2複数画像内部の画素の第2サブセットに基づいている。
【0030】
例えば、第1タイプの走査先端部は、白色光を使用して走査するためのものであってよく、そして第2タイプの走査先端部は、赤外光を使用して走査するためのものであってよい。こうして、第1処理モードにあるときには、プロセッサは例えば白色光照明に相応する第1照明モードで取得された第1複数画像を処理することにより、3次元幾何形状の第1データ及び対象物の表面質感の第1データの形態で処理済データを提供することができる。
【0031】
上記第1の好ましい実施態様によれば、第1処理モードにあるときには、プロセッサはすべての第1複数画像を処理し、そしてこれらの第1複数画像から、プロセッサは、第1タイプの走査先端部に従って選択された、これにより第1処理モードの部分を定義する、前記第1複数画像内部の画素の第1サブセットを処理することができる。第1画素サブセットは例えばすべての緑画素、又は選択された緑画素集合であってよい。前記緑画素を処理すると、3次元幾何形状の第1データが提供される。
【0032】
さらに、上記第1の好ましい実施態様によれば、第1処理モードにあるときには、プロセッサはまた、すべての第1複数画像を処理し、そしてこれらの第1複数画像から、プロセッサは、第1タイプの走査先端部に従って選択された、これにより前記第1処理モードの部分を定義する、前記第1複数画像内部の画素の第1サブセットを処理することができる。画素の第1のサブセットは例えば選択された緑、赤、及び青画素であってよい。前記緑、赤、及び青画素を処理すると、対象物の表面質感の第1データが提供される。
【0033】
さらに、第2処理モードにあるときには、プロセッサは例えば赤外光照明に相応する第2照明モードで取得された第2複数画像を処理することにより、3次元幾何形状の第2データ及び対象物の表面質感の第2データの形態で処理済データを提供することができる。
【0034】
上記第2の好ましい実施態様によれば、第2処理モードにあるときには、プロセッサは第2複数画像のうちの1つおきの画像を処理し、そしてこれらの第1複数画像から、プロセッサは、第1タイプの走査先端部に従って選択された、これにより第2処理モードの部分を定義する、前記第1複数画像内部の画素の第1サブセットを処理することができる。画素の第1サブセットは例えばすべての緑画素、又は選択された緑画素であってよい。前記緑画素を処理すると、3次元幾何形状の第2データが提供される。
【0035】
さらに、上記第1の好ましい実施態様によれば、第2処理モードにあるときには、プロセッサはまた、画像を3次元幾何形状に関して処理された1つおきの画像間の画像を処理し、そしてこれらの画像から、プロセッサは、第2タイプの走査先端部に従って選択された、これにより第2処理モードの部分を定義する、前記第2複数画像内部の画素の第1サブセットを処理することもできる。画素の第1サブセットは例えば選択された赤画素であってよい。前記赤画素を処理すると、対象物の表面質感の第2データが提供される。
【0036】
上記例から判るように、第1処理モードは第2処理モードとは異なっており、またその逆も同様である。
【0037】
さらに詳しく述べるならば、上記例が示す実施態様の場合、3次元幾何形状の第1データが第1複数画像の第1サブセット、及び前記第1複数画像内部の画素の第1サブセットに基づいており、そして対象物の表面質感の第1データが第1複数画像の第2サブセット、及び前記第1複数画像内部の画素の第2サブセットに基づいており、第1複数画像の第1サブセットが、第1複数画像の第2サブセットと同一であり、そして前記第1複数画像内部の画素の第1サブセットが、前記第1複数画像内部の画素の第2サブセットとは異なる。
【0038】
さらに、上記例が同様に示す実施態様の場合、3次元幾何形状の第2データが第2複数画像の第1サブセット、及び前記第2複数画像内部の画素の第1サブセットに基づいており、そして対象物の表面質感の第2データが第2複数画像の第2サブセット、及び前記第2複数画像内部の画素の第2サブセットに基づいており、第2複数画像の第1サブセットが、第2複数画像の第2サブセットとは異なり、そして前記第2複数画像内部の画素の第1サブセットが、前記第2複数画像内部の画素の第2サブセットとは異なる。
【0039】
上記のように、そして本明細書中に開示された走査システムに基づいて、第2処理モードとは異なる第1処理モードを有することの1つの利点は、データ処理を低減することにより、3次元モデルを作成するためにプロセッサに送信されるデータ量を制限することにある。3次元モデルを作成するためのデータ量を低減することによって、走査装置と、3次元モデルを作成するための外部プロセッサとの無線接続を、ある程度のデータ量だけ無線伝送し得るという点で確立することができる。さらに、3次元モデルを作成するためのデータ量を低減することにより、走査先端部とは無関係にすべてのデータを同様に処理する場合よりも迅速に3次元モデルを作成することができる。
【0040】
第1処理モードが第2処理モードとは異なる、そしてその逆の他の例を下記実施態様によって説明する。
【0041】
第1実施態様では、3次元幾何形状の第1データが第1複数画像の第1サブセット、及び前記第1複数画像内部の画素の第1サブセットに基づいており、そして対象物の表面質感の第1データが第1複数画像の第2サブセット、及び前記第1複数画像内部の画素の第2サブセットに基づいており、第1複数画像の第1サブセットが、第1複数画像の第2サブセットとは異なり、そして前記第1複数画像内部の画素の第1サブセットが、前記第1複数画像内部の画素の第2サブセットとは異なる。
【0042】
第2実施態様では、3次元幾何形状の第1データが第1複数画像の第1サブセット、及び前記第1複数画像内部の画素の第1サブセットに基づいており、そして前記対象物の表面質感の第1データが第1複数画像の第2サブセット、及び前記第1複数画像内部の画素の第2サブセットに基づいており、第1複数画像の第1サブセットが、第1複数画像の第2サブセットとは異なり、そして前記第1複数画像内部の画素の第1サブセットが、前記第1複数画像内部の画素の第2サブセットと同一である。
【0043】
第3実施態様では、第1複数画像の第1サブセットが、複数の波長の無彩色光で記録された複数画像のうちの1つおきの画像であり、そして第1複数画像の第2サブセットが、第1波長の単色光で記録された複数画像のうちの残りの画像である。
【0044】
第4実施態様では、前記第1複数画像の第1サブセットが、複数の波長によって定義された無彩色光で記録された第1複数画像のうちの2つおきの画像であり、そして前記第1複数画像の第2サブセットが、第1波長及び第2波長の単色光で記録された第1複数画像のうちの残りの画像である。
【0045】
第5実施態様では、第1複数画像の第2サブセットが、複数の波長によって定義された無彩色光で記録された単一画像である。
【0046】
第6実施態様では、3次元幾何形状の第2データが第2複数画像の第1サブセット、及び前記第2複数画像内部の画素の第1サブセットに基づいており、そして前記対象物の表面質感の第2データが第2複数画像の第2サブセット、及び前記第2複数画像内部の画素の第2サブセットに基づいており、第2複数画像の第1サブセットが、第2複数画像の第2サブセットと同一であり、そして第2複数画像内部の画素の第1サブセットが、前記第2複数画像内部の画素の第2サブセットとは異なる。
【0047】
第7実施態様では、3次元幾何形状の第2データが第2複数画像の第1サブセット、及び第2複数画像内部の画素の第1サブセットに基づいており、そして対象物の表面質感の第1データが第2複数画像の第2サブセット、及び前記第2複数画像内部の画素の第2サブセットに基づいており、第2複数画像の第1サブセットが、第2複数画像の第2サブセットとは異なり、そして前記第2複数画像内部の画素の第1サブセットが、前記第2複数画像内部の画素の第2サブセットと同一である。
【0048】
上記実施態様はすべて、3次元モデルを作成するためにプロセッサに送信されるデータ量を制限するようにデータ処理量を低減するシステムを提供することにより、有益である。
【0049】
3次元幾何形状のデータは、点群、又は点群を作成するように適合可能なデータの形態を成していてよい。点群は典型的には3次元領域、例えばユークリッド空間内の点に関連する。
【0050】
表面質感のデータは、色データ、例えばRGB色データを含んでよく、及び/又は、ダイレクトカラー、圧縮フォーマット、又はインデックスカラーの形態を成してもよい。
【0051】
本明細書中に記載されたプロセッサは、走査先端部に応じた種々の方法で、3次元幾何形状及び表面質感のデータを導出することに関与することができる。例えば、白色光照明とともに先端部を使用する場合には、プロセッサは点群と、点群内の各点に対して相応のRGB色との両方を導出することができる。データの導出は走査装置の画像に明らかに基づく。処理モードのいくつかの実施態様では、第1処理モード又は第2処理モードは、3次元幾何形状のデータ及び表面質感のデータが画像スタック内の各自の単独画像から誘導されるように構成されている。他の実施態様では、第1処理モード又は第2処理モードは、3次元幾何形状の第1データ及び表面質感のデータ、又は3次元幾何形状の第2データ及び表面質感の第2データが画像スタック内の画像集合から誘導されるように、例えば少なくとも1つの画像が3次元モデルの第1データ又は3次元モデルの第2データを導出するように使用され、そして別の別個の少なくとも1つの画像が、3次元モデルのための表面質感の第1データ、又は3次元モデルのための表面質感の第2データを導出するために使用されるように、構成されている。
【0052】
一実施態様では、第1処理モードにあるときには、3次元幾何形状の第1データ及び対象物の表面質感の第1データの両方は、複数の画像の中の各画像に対して導出される。処理モードが相異なる本明細書中に開示された走査システムによれば、今説明した実施態様に関連して、第2処理モードは1つの実施態様において、3次元幾何形状の第2データ及び対象物の表面質感の第2データが複数の画像の中の画像集合に対して導出されるように構成されていてよい。しかしながら前述のように、これは逆であってもよい。例えば、別の実施態様では、第1処理モードにあるときには、3次元幾何形状の第1データ及び対象物の表面質感の第1データの両方は複数の画像の中の画像集合に対して導出される。処理モードが相異なっている実施態様によれば、今説明した実施態様に関連して、第2処理モードは1つの実施態様において、3次元幾何形状の第2データ及び対象物の表面質感の第2データが複数の画像の中の各画像に対して導出されるように構成されていてよい。
【0053】
いくつかの実施態様では、第1処理モードにあるときには、3次元幾何形状の第1データ及び対象物の表面質感の第1データは複数の画像の中の異なる画像に対して導出される。また、いくつかの他の実施態様では、第2処理モードにあるときには、3次元幾何形状の第2データ及び対象物の表面質感の第2データは複数の画像の中の異なる画像に対して導出される。
【0054】
一実施態様では、3次元幾何形状の第1データ及び/又は表面質感の第1データは、複数の画像の中の1つおきの画像に対して導出される。別の実施態様では、3次元幾何形状の第2データ及び/又は表面質感の第2データは、複数の画像の中の1つおきの画像に対して導出される。例えば、複数の画像の中の1つおきの画像は白色光照明で取得することができ、その間の画像は赤外照明又は蛍光照明によって取得することができる。白色光照明を用いる場合、プロセッサはいくつかの実施態様では、3次元幾何形状のデータ及び表面質感のデータを、白色光照明によって取得された画像の各自から導出するように構成され、及び/又は導出するようにコントローラによって命令されてよい。赤外光照明を用いる場合、プロセッサはいくつかの実施態様では、表面質感のデータだけを、赤外光照明によって取得された画像の各自から導出するように構成され、及び/又は導出するようにコントローラによって命令されてよい。蛍光照明を用いる場合には、プロセッサはいくつかの実施態様では、表面質感のデータだけを、蛍光照明によって取得された画像の各自から導出するように構成され、及び/又は導出するようにコントローラによって命令されてよい。
【0055】
他の実施態様では、走査装置は、第1複数画像及び/又は第2複数画像が取得されている間、前後に並進運動するように構成されたレンズをさらに含む。このことは例えば共焦点走査装置、又は構造化光投影焦点スキャナに当てはまり得る。三角測量スキャナはこのようなレンズを必要としない場合がある。
【0056】
いくつかの実施態様では、表面質感の第2データは、レンズ要素を前後に並進運動させながら取得された複数の画像の中の単独の画像に対して導出される。例えば、単独の画像は赤外光照明によって取得される。このことは2次元赤外光画像が取得されるのを可能にするので、2次元赤外光画像はその後、レンズの並進運動中に取得された他の2次元画像によって提供された3次元モデルと相関させることができる。
【0057】
好ましい実施態様では、コントローラは走査装置の外部にある。従って本発明の一実施態様によれば、認識構成部分が取り付けインターフェースに取り付けられた走査先端部のタイプを認識すると、(認識構成部分によって認識された走査先端部のタイプに従ってプロセッサの動作を制御するように構成された)コントローラがプロセッサの動作を制御する。このことは、この実施態様では、認識構成部分が情報(例えば識別番号の形態を成す、取り付けられた走査先端部の情報)を、走査装置から遠隔配置されたコントローラに伝送し得ることを意味する。走査装置は従って、例えば外部コンピュータ又はクラウドサービスに遠隔配置されたコントローラにこのような情報を伝送するように構成されていてよい。この伝送は例えば有線伝送又は無線伝送であってよい。コントローラが、取り付けられた走査先端部の情報を受信すると、コントローラは(先端部の情報に応じた)命令を、例えば走査装置上に配置されたプロセッサに伝送することができる。従って、コントローラ及び/又は外部コンピュータは、このような情報を走査装置へ戻すように構成されていてよい。このような伝送もやはり有線伝送又は無線伝送であってよい。大抵の実施態様では、(走査装置からコントローラへ、そしてコントローラから走査装置への)伝送のタイプは同一である。最後に、プロセッサが命令を受信すると、プロセッサは、命令されたとおり、そして先端部に関する情報に応じて、画像を処理することができる。コントローラを走査装置の外部に有することの1つの利点は、コントローラを走査装置から独立して改変し得ること、例えばインターネットを介して改変し得ることである。別の利点は、コントローラが走査装置内に存在する必要がなく、ひいては走査装置自体をよりコンパクトに形成し得ることである。さらに、プロセッサへの命令時にコントローラが発熱するので、走査装置は発熱量が低く、ひいては出力も少なくなる。このことは、例えば走査装置が無線モードで動作するように構成され、及び/又はバッテリーによって給電される場合に有利である。
【0058】
別の好ましい実施態様では、コントローラは走査装置内に組み込まれている。走査装置内にコントローラを有することの1つの利点は、コントローラからプロセッサまでの通信リンクが(例えば今説明した実施態様と比較して)短くなることである。これは、プロセッサの命令をコントローラへ効率的に伝送し得ることを意味する。
【0059】
プロセッサ
一実施態様では、プロセッサは走査装置内に組み込まれている。この実施態様では、プロセッサは、イメージセンサによって取得された画像を走査装置内で処理して処理済データにするように構成されている。プロセッサは、画像に基づいて、3次元幾何形状のデータ及び対象物の表面質感のデータの形態でデータを導出することができる。
【0060】
処理済データ又は導出されたデータは空間領域内に分布される必要がないこともある。例えば、処理済データは部分的には空間領域内に、そして部分的には時間領域内にあってよい。処理済データにさらに処理を施すことにより、処理済データを純粋に空間的な領域のデータに変換することもできる。一実施態様では、処理済データはデータ3次元幾何形状であり、そしてここに説明したように、このデータは、空間領域又は時間領域内の処理済データ、又はこれらを混合したものであってよい。
【0061】
プロセッサを走査装置内に組み込むことの利点は、走査装置それ自体によって伝送される必要のあるデータ量が少なくなることである。このようにして、データを外部処理表示画像へ転送する無線通信モジュールの負荷を減らすために、走査装置上で可能な限り多くのデータを処理するので有利である。
【0062】
手持ち式表示画像上で画像を処理するために種々のプロセッサが知られているが、しかしむしろシンプルに処理するために、例えば強度を比較するため、又はより大まかにいえば乗算及び/又は加算のような作業を実施するためには、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)プロセッサが望ましい。従って、好ましい実施態様では、プロセッサはFPGAプロセッサを含む。
【0063】
最も好ましい実施態様では、プロセッサは、処理済データを圧縮するようにさらに構成されている。このことはまた、走査装置内の無線通信モジュールが処理済データを圧縮データの形態でプロセッサから受信し、そして処理済データを圧縮データの形態で無線伝送するのを可能にし得る。このようにいくつかの実施態様では、FPGAプロセッサがデータの処理及びデータの圧縮の両方を行う。
【0064】
一実施態様では、走査装置は、プロセッサから処理済データを受信し、処理済データを外部処理表示画像へ無線伝送する無線通信モジュールを含む。無線通信モジュールがプロセッサから処理済データを受信するために、プロセッサは処理済データを無線通信モジュールへ伝送するように構成されている。
【0065】
別の実施態様では、走査装置上の無線通信モジュールへのデータの伝送は、プロセッサ、好ましくは縮小命令セットコンピュータ(RISC)アーキテクチャを含む中央処理装置(CPU)によって実施される。例えば、無線通信モジュールへ処理済データを伝送するために、プロセッサは、32ビット又は64ビットの命令に基づくようなAdvanced RISC Machines(ARM)プロセッサの形態を成していてよい。
【0066】
換言すれば、別の実施態様では、プロセッサはARMプロセッサを含む。ARMプロセッサはFPGAプロセッサとは異なっており、2つのタイプのプロセッサは相異なるタスクを行うように設計されている。こうして、最も好ましい実施態様では、プロセッサはFPGAプロセッサ及びARMプロセッサの両方を含む。
【0067】
いくつかの実施態様では、プロセッサは走査装置の外部に、例えば外部処理装置上に配置されている。
【0068】
走査装置の外部にプロセッサを有することの利点は、プロセッサが走査装置自体内にある必要がないことである。従って、このことは走査装置の重量及びサイズを小さくし得る。
【0069】
他の実施態様では、走査システムはさらに、対象物の3次元モデルを作成するように構成されたプロセッサを含み、3次元モデルは処理済データに基づいて、そして認識構成部分によって認識された走査先端部のタイプに従って作成され、そして3次元モデルは3次元幾何形状の第1データに基づいて作成されるが、しかし3次元モデルは3次元幾何形状の第2データに基づいては作成されず、あるいは3次元モデルは3次元幾何形状の第2データに基づいて作成されるが、しかし3次元モデルは3次元幾何形状の第1データに基づいては作成されない。
【0070】
このようなプロセッサは外部処理表示画像上に配置されることが好ましい。しかしながら、いくつかの実施態様では、これは走査装置上に配置されてもよい。
【0071】
一実施態様では、3次元モデルが3次元幾何形状の第2データに基づいては作成されない場合には、3次元幾何形状の第2データは3次元幾何形状の第1データと比較される。これにより対象物の表面質感の第2データは3次元モデルにマッチングされる。
【0072】
別の実施態様では、3次元モデルが3次元幾何形状の第1データに基づいては作成されない場合には、3次元幾何形状の第1データは3次元幾何形状の第2データと比較される。これにより対象物の表面質感の第1データは3次元モデルにマッチングされる。
【0073】
3次元幾何形状の第1又は第2データを幾何形状の第2又は第1データと比較するだけで、3次元モデルを作成しないことによって、データ処理は処理速度の増大、及びデータ転送の低減の両方において最適化される。
【0074】
走査先端部及び認識構成部分
本発明によれば、複数のタイプの走査先端部の各自が、複数のタイプの走査先端部の各自とは異なる照明モードで対象物に光を提供するように構成されている。
【0075】
対象物への光の提供は一実施態様では、走査先端部内に配置された光学要素を介して、例えば鏡を介して行われてよく、これにより光を走査装置内で作成し、そして走査先端部へ向け、鏡を介して対象物へ向け直すことができる。走査装置内で作成される光は走査装置内部に、そして走査先端部の外部に位置する光源から作成することができる。
【0076】
対象物への光の提供は別の実施態様では、走査先端部内から直接に行われてよく、これにより光を走査先端部内で生成することができる。走査先端部内で生成される光は走査先端部内部及び/又は走査先端部上に位置する光源から生成することができる。いくつかの実施態様では、走査先端部内部及び/又は走査先端部上の光源は複数の光源、例えば複数の発光ダイオード(LED)であってよい。
【0077】
さらに、本発明によれば、走査装置は、取り付けインターフェースに取り付けられた走査先端部のタイプを認識するための認識構成部分を含む。
【0078】
一実施態様では、認識構成部分は複数のタイプの走査先端部の各自の先端部上の一体的なメモリから認識データを読み取るように形成されたメモリ・リーダを含む。
【0079】
別の実施態様では、認識構成部分によって認識された走査先端部のタイプは認識データの形態を成しており、そして走査装置は認識データをコントローラに伝送するように構成されている。
【0080】
走査先端部のための照明モード
一実施態様では、走査先端部の1つのタイプのための照明モードは、光の波長によって定義される。例えば、1つの照明モードは白色光照明として定義されてよく、白色光は波長領域400nm~700nmの光を意味する。別の照明モードは、例えば波長が約850nmの赤外光照明として定義されてよい。第3の照明モードは蛍光照明として定義されてよく、約415~405nmの青色光又はUV光を使用して、照明された歯から蛍光反応を励起させることができる。
【0081】
別の実施態様では、走光査先端部の1つのタイプのための照明モードは、光の強度によって定義される。
【0082】
さらに別の実施態様では、走光査先端部の1つのタイプのための照明モードは、光の視野によって定義される。
【0083】
いくつかの実施態様では、走光査先端部の1つのタイプのための照明モードは、光のパターンによって定義される。
【0084】
いくつかの実施態様では、走光査先端部の1つのタイプのための照明モードは、光の種々異なる波長によって定義され、これにより走査先端部の1つのタイプは光の種々異なる波長間で切り換わる。例えば、走査先端部の第1タイプは白色光及び赤外光の両方を対象物に提供するように構成されていてよく、そして走査先端部の第2タイプは白色光及び青色光/UV光の両方を提供することにより、照明された対象物から蛍光反応を励起させるように構成されていてよい。このような走査先端部を本明細書中に開示された走査システムと組み合わせることの1つの利点は、3次元モデルがこのような先端部によって提供される3次元幾何形状に基づいて作成される必要がないことである。3次元モデルは、光の種々異なる波長間で切り換わらない先端部によって提供されたデータに基づいて既に作成することができる。
【0085】
ユーザーインターフェース
第2の態様の一実施態様では、ユーザーによって前記走査選択肢のうちの1つ又は2つ以上を受信するステップが、ユーザーインターフェースで前記走査選択肢のうちの1つ又は2つ以上をユーザーがクリックすることにより提供される。
【0086】
第2態様の第2実施態様では、前記走査選択肢のうちの1つが無歯走査に関連する。この選択肢を選択することによって、方法は、本発明の第2態様によれば、広い視野で走査するように構成された第1走査先端部を先ず取り付けるようにユーザーに命令することができる。これによりこの走査先端部は、顎全体の大部分(例えば顎の約50%)をカバーするように構成されている。このような走査先端部を使用することにより、3次元登録は顎構造全体に依存する。本発明の第2態様による方法は、その後、狭い視野で走査するように構成された第2走査先端部、例えば従来の口腔内走査先端部を取り付けるように、ユーザーに命令する。このような走査先端部を使用することにより、3次元登録は構造全体の一部にのみ依存する。
【0087】
典型的には、無歯患者を従来の走査先端部で走査すると、束縛されていない歯肉が走査中にシフトすることに基づき、3次元登録(構造全体の一部にのみ依存する)が損なわれることがある。しかしながら、第1走査先端部を使用し、次いで第2走査先端部と交換することによって、第2走査先端部に関連するデータの3次元登録を改善することができる。なぜならば、第1走査先端部は、第2走査先端部と関連するデータの3次元登録のための参照を提供することができるからである。さらに、上記のように、そして本発明の第2態様に従って、第1走査先端部を使用し、次いで第2走査先端部と交換することによって、処理時間も短縮される。なぜならば登録エラーを補正する必要がないからである。
【0088】
いくつかの実施態様では、第1走査先端部は、第2走査先端部と比較してより広い視野で走査するように構成されている。これにより、3次元表示画像の第1部分は3次元表示画像の第2部分のための基準モデルとして使用される。3次元表示画像の第2部分は基準モデルにマッチングされる。今説明したように、このような実施態様は3次元登録を改善する。
【0089】
前述したように、第1走査先端部に関連する第1情報を走査装置から受信するステップ、及び/又は第2走査先端部に関連する第2情報を走査装置から受信するステップは、走査装置内の認識構成部分から提供される。認識構成部分は、走査先端部のタイプを、これが走査装置に取り付けられると認識する。
【0090】
これに加えて、及び/又はこれの代わりに、第1走査先端部に関連する第1情報を走査装置から受信するステップは、第1走査先端部の視野内で第1走査先端部の少なくとも一部を視覚的に認識することから提供され、及び/又は、第2走査先端部に関連する第2情報を走査装置から受信するステップは、第2走査先端部の視野内で第2走査先端部の少なくとも一部を視覚的に認識することから提供される。
【0091】
前記第1走査先端部を第2走査先端部と交換するように第2取り付け命令を表示するステップが、ユーザーからの確認入力に基づいており、前記確認入力が、作成された前記3次元表示画像の第1位部分が十分であることを確認する情報を含む。例えば、ユーザーはユーザーインターフェースのボタンをクリックすることができる。ボタンは3次元表示画像が十分であるとユーザーが判定したことを示すテキストを含んでよい。ボタンは例えばまた、ユーザーがプロセスにおける次の手続きに進み、ひいては「次の」ボタンを押す準備が今やできていることを示してよい。入力が行われたら、ユーザーは第1走査先端部を第2走査先端部と交換する次のステップへ案内される。ここに開示されたユーザーからの確認入力は、少なくともユーザーが入力を行うことによって、3次元表示画像を提供するプロセスを、コンピュータによる実施方法に変更し、これによりこの方法がどのステップにあるのかを判定することができ、そしてコンピュータによる実施方法が次のステップに進むことができる。
【0092】
本発明の第2態様のより好ましい実施態様では、十分であることが確認された3次元表示画像の第1部分が、ユーザー、及び/又は複数の異なるユーザーから時間外に収集され、これにより、十分であることが確認された履歴3次元表示画像を作成し、これにより、第1走査先端部を第2走査先端部と交換するように命令を表示するステップは自動化され、十分であることが確認された履歴3次元表示画像に基づく。ここに記載したようにプロセスを自動化することによって、プロセスは最適化されるので、具体的には、最終的な3次元表示画像を作成するプロセスは時間的に短縮され、そしてより信頼性が高くなる。
【0093】
本発明の第2態様の最も好ましい実施態様では、十分であることが確認された履歴3次元表示画像が、作成された3次元表示画像が十分となったらそれを判定するように構成されたアルゴリズムのための入力として使用され、そしてアルゴリズムは履歴3次元表示画像を平均することに基づいており、及び/又はアルゴリズムは、機械学習及び/又は人工知能に基づいている。
【0094】
実施例1-走査システム及び走査システムの動作モード
図1は、本発明による走査システム1の一例を示している。
図1は具体的には、対象物を走査するための走査システム1を示している。被走査対象物は示されていない。走査システムは第一に走査装置2を含む。走査装置2は、画像を取得するためのイメージセンサ3と、複数のタイプの走査先端部5a,5b,5cのうちの少なくとも1つを取り外し可能に取り付けるための取り付けインターフェース4であって、複数のタイプの走査先端部5a,5b,5cの各自(5a又は5b又は5c)が、複数のタイプの走査先端部5a,5b,5cの各自とは異なる照明モードで対象物に光を提供するように構成されている、取り付けインターフェース4とを含む。走査装置はさらに、取り付けインターフェース4に取り付けられた走査先端部5a,5b,5cのタイプを認識するための認識構成部分6を含む。走査システム1は第二に、イメージセンサによって取得された画像を処理して処理済データにするように構成されたプロセッサ7を含む。走査システム1は第三に、認識構成部分6によって認識された走査先端部5a又は5b又は5cのタイプに従ってプロセッサ7の動作を制御するように構成されたコントローラ8を含む。
【0095】
コントローラ8は、走査装置2内、例えば走査装置2のスキャナハウジング10の内部に配置されるか、又は走査装置2の外部、例えばここではラップトップ型コンピュータ11(lab top)として示された外部処理装置11上に配置されていてよい。
【0096】
あるいは、コントローラ8は走査装置2及び走査装置2の外部の両方に配置されてもよい。例えば、コントローラ8の第1部分はスキャナハウジング10内に配置されており、そしてコントローラ8の第2部分はラップトップ型コンピュータ11内に配置されている。
【0097】
コントローラ8が走査装置2内に配置されている場合には、コントローラ8はプリント基板(PCB)9を介して走査装置(2)内のプロセッサ7と通信する。PCB9はコントローラ8とプロセッサ7との間でデータ及び制御命令を往復伝送する。
【0098】
コントローラが走査装置2の外部に配置されている場合には、外部処理装置11は、少なくとも通信モジュール12を介して走査装置内のプロセッサ7と通信する。PCB9は走査装置2、すなわちプロセッサ7と、外部処理装置11、すなわちコントローラ8との通信に関与してもよい。通信モジュール12は例えばUSBケーブル又はイーサネット(登録商標)ケーブルを含む有線通信モジュール12であってよい。有線通信モジュールは、走査装置2と外部処理装置11との間でデータ及び制御命令を往復伝送するように構成されている。あるいは、通信モジュール12は例えば無線通信モジュール12であってもよい。無線通信モジュールは、走査装置2と外部処理装置11との間でデータ及び制御命令を往復無線伝送するように構成されている。
【0099】
この実施例では、プロセッサ7は走査装置2内に組み込まれている。しかしながら、この実施例では、コントローラ8は走査装置2の外部にだけ配置されている。
【0100】
コントローラ8はさらに、第1タイプの走査先端部が取り付けられ認識されると、プロセッサ7が第1タイプの走査先端部、例えば5(a)に相応する第1処理モードで動作するべく制御されるように、プロセッサ7を制御するように構成されている。
【0101】
このことは下記のように作用する。第1タイプの走査先端部5(a)は白色光を使用して歯を口腔内走査するためのものである。白色光は走査装置2内に位置する白色光源によって発せられる。第1タイプの走査先端部5(a)は、走査先端部5(a)の遠位端に配置された鏡を、反射面が走査先端部内部にある状態で含むので、鏡が白色光源から受光すると、走査先端部5(a)は第1照明モードで光を対象物へ提供する。第1タイプの走査先端部5(a)を走査装置2に取り付けることにより、認識構成部分6は、第1タイプの走査先端部5(a)上の一体型メモリから認識データを読み取るように構成されたメモリ・リーダを含むので、認識構成部分6はどのタイプの走査先端部が走査装置2に取り付けられているのかを少なくとも読み取る。認識構成部分6によって認識された走査先端部、ここでは5(a)のタイプは認識データの形態を成している。この認識データは無線通信モジュール12を介して外部処理装置11へ伝送される。コントローラ8は今や認識データを受信する。その入力、すなわち認識データに基づいて、コントローラ8は第1の制御命令集合を無線通信モジュール12を介して走査装置2へ、より具体的にはプロセッサ7へ伝送する。これにより、プロセッサ7は、第1タイプの走査先端部5(a)に相応する第1処理モードで動作するように命令される。第1処理モードにあるときには、プロセッサ7は、3次元幾何形状の第1データ及び対象物の表面質感の第1データの形態で処理済データを提供するように、第1照明モードで、すなわち白色光で取得された第1複数画像を処理する。3次元幾何形状のデータは3次元位置、すなわち空間内の点に関連する。これらは必ずしも空間座標の形態を成しているわけではないが、しかし少なくとも空間座標に変換可能である。対象物の表面質感のデータは対象物の表面の色に関連する。処理済データは次いで無線通信モジュール12を介して外部処理装置11へ伝送される。処理装置は、対象物の3次元モデル13を作成するように構成されたプロセッサを含む。3次元モデル13は、認識構成部分6によって認識された走査先端部のタイプとは無関係に処理済データに基づいて作成される。3次元モデル13は最後に、ここではラップトップ型コンピュータ11のスクリーン14上に示された、外部処理装置11のディスプレイ14上に表示される。
【0102】
コントローラ8はさらに、第2タイプの走査先端部が取り付けられて認識されると、プロセッサ7が第2タイプの走査先端部、例えば5(b)又は5(c)に相応する第2処理モードで動作するべく制御されるように、プロセッサ7を制御するように構成されている。
【0103】
このことは下記のように作用する。先ず、第1タイプの走査先端部5(a)が第2タイプの走査先端部によって交換され、この実施例では5(c)が選択される。このことは第1タイプの走査先端部5(a)を取り外し、次いで第2タイプの走査先端部5(c)を取り付けることにより実施される。
【0104】
第1タイプの走査先端部5(c)は赤外光を使用して歯を口腔内走査するためのものである。赤光は走査先端部5(c)の遠位端内に位置する複数の赤外光源によって発せられるので、走査先端部5(c)は第2照明モードで対象物に光を提供する。第2照明モードは第1照明モードとは異なる。第2タイプの走査先端部5(c)を走査装置2に取り付けることにより、認識構成部分6は、第2タイプの走査先端部5(c)上の一体型メモリから認識データを読み取るように構成されたメモリ・リーダを含むので、認識構成部分6はどのタイプの走査先端部が走査装置2に取り付けられているのかを少なくとも読み取る。認識構成部分6によって認識された走査先端部のタイプ、ここでは5(c)のタイプは認識データの形態を成している。この認識データは無線通信モジュール12を介して外部処理装置11へ伝送される。コントローラ8は今や認識データを受信する。その入力、すなわち認識データに基づいて、コントローラ8は第2の制御命令集合を無線通信モジュール12を介して走査装置2へ、より具体的にはプロセッサ7へ伝送する。これにより、プロセッサ7は、第2タイプの走査先端部5(c)に相応する第2処理モードで動作するように命令される。第2処理モードにあるときには、プロセッサ7は、3次元幾何形状の第2データ及び対象物の表面質感の第2データの形態で処理済データを提供するように、第2照明モードで、すなわち赤外光で取得された第2複数画像を処理する。第2処理モードは第1処理モードとは異なる。3次元幾何形状のデータは3次元位置、すなわち空間内の点に関連する。これらは必ずしも空間座標の形態を成しているわけではないが、しかし少なくとも空間座標に変換可能である。対象物の表面質感のデータは対象物の内部構造の色に関連する。処理済データは次いで無線通信モジュール12を介して外部処理装置11へ伝送される。処理装置は、対象物の3次元モデル13を作成するように構成されたプロセッサを含む。3次元モデル13は、処理済データに基づいて、そしてここでは認識構成部分6によって認識された走査先端部のタイプに基づいて作成される。このことは、第2タイプの走査先端部5(c)が認識されるので、そしてこの先端部が内部構造を記録するように構成された赤外光を発することに基づいて、外部処理装置11内の3次元モデル作成が、白色光を使用して作成された3次元モデル13を、歯の内部構造を有するようにアップデートすることを意味する。
【0105】
アップデートされた3次元モデル13は最後に、ここではラップトップ型コンピュータ11のスクリーン14上に示された、外部処理装置11のディスプレイ14上に表示される。
【0106】
実施例2-口腔内走査モードにおける処理モード
この実施例では、走査システム1は歯の少なくとも一部を口腔内走査するように構成されている。
【0107】
さらに、この実施例では、走査システム1、より具体的にはプロセッサ7は、走査先端部(5a)を使用する口腔内走査に相応する第1処理モードで動作するように構成されている。
【0108】
この第1処理モードは、遠位端に鏡を備えた口腔内用の走査先端部5(a)を取り付けることにより開始される。鏡は光学的視野全体をカバーし、走査装置2からの光を被走査対象物へ向ける。口腔内用の走査先端部5(a)は取り付けられた状態で
図2に示されている。この先端部は、患者の口腔内へ挿入されるように構成されている。
【0109】
この実施例では、プロセッサ7はフォーカスレンズを調節しながら、イメージセンサ3によって取得された画像15を処理して処理済データ16にする。フォーカスレンズの調節は特定のスパン長に限定される。フォーカスレンズは、対象物上の投影パターンの複数の2次元画像15を記録しながら前後に動かされる。処理済データ16は複数の2次元画像15を処理することによって抽出される。
【0110】
走査先端部5(a)が走査装置2に取り付けられると、走査装置2は先端部の識別番号17の形態を成す認識データ17を読み取る。識別データは走査先端部5(a)の内部メモリ上に記憶されている。識別番号17は、外部に接続されたコンピュータ11上に配置されたコントローラ8に転送される。走査先端部の識別番号17に基づいて、コントローラ8は、対象物上の白色光照明パターンによって記録された、連続する一連の2次元画像15を処理するように、走査装置2上のプロセッサ7に命令する。白色光は、各2次元画像から、3次元幾何形状のデータ及び表面質感のデータの両方を導出するのを可能にする。換言すれば、処理済データ16は、3次元幾何形状のデータの形態と、表面質感のデータの形態とを成している。
【0111】
従って、走査装置2上のプロセッサ7は、複数の2次元画像15のサブセットを処理することにより、サブスキャン(sub-scan)と呼ばれる深さフレームとカラーフレームとの組み合わせを構築する。この実施例では、プロセッサ7から得られる処理済データ16はこのように処理モードに依存する。
【0112】
サブスキャンの処理済データ16はデータパッケージとして、3次元モデル13を作成することに関与する、外部に接続されたコンピュータ11上の走査アプリケーションへ送信される。
【0113】
走査アプリケーションの主要なタスクは、データパッケージの個々のパッチを処理し、これらを再構築して完全スキャン又はグローバルスキャンにすることである。そのタスクは2つの主要ルーティンに分けることできる。すなわち、
登録:サブスキャンの位置がグローバルスキャンに関連して特定される。
ステッチング:サブスキャンを融合して上記登録されたグローバルスキャンにする。
【0114】
認識される走査先端部の識別番号17から、プロセッサ7は処理済データを伝送する前に後処理することができる。例えば処理済データ16又はその部分を、伝送前にプロセッサによってミラーリングすることができる。その後、登録及びステッチングを外部処理装置11上で実施することができる。あるいは処理済データは外部処理装置11上でミラーリングされてもよい。
【0115】
実施例3-耳内走査モードにおける処理モード
この実施例では、走査システム1は耳の少なくとも一部を耳内走査するように構成されている。さらに、この実施例では、走査システム1、より具体的にはプロセッサ7は、走査先端部(5b)を使用する耳内走査に相応する第2処理モードで動作するように構成されている。
【0116】
この第1処理モードは、耳用の走査先端部5(b)を取り付けることにより開始される。この走査先端部5(b)は開放型及び前方観察型であり、延長アームに小型鏡が設けられている。小型鏡は遠位端にあり、鏡は光学的視野を部分的にのみカバーし、走査装置2からの光の一部を被走査対象物へ向ける。耳内用の走査先端部5(b)は取り付けられた状態で
図3に示されている。この耳内用の走査先端部5(b)は、患者の耳内へ挿入されるように構成されている。
【0117】
この実施例では、プロセッサ7はフォーカスレンズを調節しながら、イメージセンサ3によって取得された画像15を処理して処理済データ16にする。フォーカスレンズの調節は特定のスパン長に限定される。フォーカスレンズは、対象物上の投影パターンの複数の2次元画像15を記録しながら前後に動かされる。処理済データ16は複数の2次元画像15を処理することによって抽出される。
【0118】
走査先端部5(b)が走査装置2に取り付けられると、走査装置2は走査先端部5(b)の識別番号17の形態を成す認識データ17を読み取る。識別データは走査先端部5(b)の内部メモリ上に記憶されている。識別番号17は、外部に接続されたコンピュータ11上に配置されたコントローラ8に転送される。走査先端部の識別番号17に基づいて、コントローラ8は、対象物上の白色光照明パターンによって記録された、連続する一連の2次元画像15を処理するように、走査装置2上のプロセッサ7に命令する。白色光は、各2次元画像から、3次元幾何形状のデータ及び表面質感のデータの両方を導出するのを可能にする。換言すれば、処理済データ16は、3次元幾何形状のデータの形態と、表面質感のデータの形態とを成している。
【0119】
従って、走査装置2上のプロセッサ7は、複数の2次元画像15のサブセットを処理することにより、サブスキャン(sub-scan)と呼ばれる深さフレームとカラーフレームとの組み合わせを構築する。この実施例では、プロセッサ7から得られる処理済データ16はこのように処理モードに依存する。
【0120】
サブスキャンの処理済データ16はデータパッケージとして、3次元モデル13を作成することに関与する、外部に接続されたコンピュータ11上の走査アプリケーションへ送信されてよい。
【0121】
走査アプリケーションの主要なタスクは、データパッケージの個々のパッチを処理し、これらを再構築して完全スキャン又はグローバルスキャンにすることである。そのタスクは2つの主要ルーティンに分けることできる。すなわち、
登録:サブスキャンの位置がグローバルスキャンに関連して特定される。
ステッチング:サブスキャンを融合して上記登録されたグローバルスキャンにする。
【0122】
認識される走査先端部の識別番号17から、プロセッサ7は処理済データ16を後処理することができる。このようにすると、後処理済データ18が得られる。例えば、後処理済データ18、又はその一部18(a)は処理前にプロセッサ7によってミラーリングすることができる。
図3は、後処理済データの一部18(a)がどのように部分ミラーリングされるか、そして後処理済データ18内に存在するノイズ18(b)が処理済データ16内で除去されることを示している。この場合、プロセッサ7は実施例2において記載された例とは異なる形で動作し、そしてコントローラ8は、認識構成部分6によって認識された走査先端部(5a,5b又は5c)のタイプに従ってプロセッサ7の動作を制御するように構成されている。その後、登録及びステッチングを外部処理装置11上で実施することができる。あるいは処理済データは外部処理装置11上でミラーリング又は部分ミラーリングされてもよい。
【0123】
処理及び/又は後処理がどこで行われるかとは無関係に、処理済データ16は特定の走査先端部に応じて処理される。換言すれば、処理済データ16の一部を反映し補正するための後処理に際して、先端特異的なデータマスクを適用することができる。より具体的には、走査先端部の識別番号17を特定の反射行列と連携させることにより、走査先端部5(b)が走査装置2上で認識されると、識別番号がプロセッサ7によって、及び/又はデータ後処理マスクとしての走査アプリケーションによって適用されるようにすることができる。
【0124】
実施例4-赤外透過照明走査モードにおける処理モード
この実施例では、走査システム1は、少なくとも赤外光を使用して歯の少なくとも一部を口腔内走査するように構成されている。
【0125】
さらに、この実施例では、走査システム1、より具体的にはプロセッサ7は、走査先端部5(c)を使用して少なくとも赤外光で口腔内走査することに相応する第2処理モードで動作するように構成されている。
【0126】
この第2処理モードは、遠位端に鏡を備えたの走査先端部5(c)を取り付けることにより開始される。鏡は光学的視野全体をカバーし、走査装置2からの光を被走査対象物へ向ける。口腔内用の走査先端部5(c)は取り付けられた状態で
図4に示されている。この先端部は、患者の口腔内へ挿入されるように構成されている。さらに、走査装置2の1つの形態では、光は被走査対象物を透過照明するように選択される。
【0127】
走査先端部5(c)が走査装置2に取り付けられると、走査装置2は走査先端部5(c)の識別番号17の形態を成す認識データ17を読み取る。識別データは走査先端部5(c)の内部メモリ上に記憶されている。識別番号は、外部に接続されたコンピュータ11上に配置されたコントローラ8に転送される。走査先端部の識別番号17に基づいて、コントローラ8は、対象物上の赤外光照明によって記録された、連続する一連の2次元画像15を処理するように、走査装置2上のプロセッサ7に命令する。これを行うために、走査装置2は、赤外光で対象物内、例えば歯内及び周囲の歯肉内を照明するように構成されている。走査先端部5(c)は、赤光が歯茎及び歯の物質を通して伝搬して内側から歯を証明するように構成されている。赤外光照明はコントローラ8によって、そして走査先端部識別番号17に基づいて制御される。換言すれば、コントローラ8が走査先端部識別番号17を受信すると、コントローラ8は加えて、赤外光を発するように走査装置2に命令する。コントローラからの、そして走査先端部5(c)への命令19が
図4に示されている。さらに、コントローラ8はこれに加えて白色光を発するように走査装置2に命令する。
【0128】
こうして、規則的な一連の画像15が白色光照明によって記録される。しかしながら特定の時点において、白色光記録は、赤外線照明で単独の画像20を記録するために一時的に中断される。中断は、コントローラ8と走査装置2との間の走査データフィードバック21に基づく。フィードバック21はまたプロセッサ7からのデータ22に基づく。プロセッサ7からのデータ22は例えば赤外光画像19の2次元画像指数であってよい。この指数は、一連の画像15における各画像に対して動的に決定されてよい。
【0129】
さらに、第2処理モードにあるときには、プロセッサ7は白色光画像を処理することにより、3次元幾何形状のデータと、表面の表面質感のデータとの両方を導出する。さらに、プロセッサ7は、単独の赤外光画像を処理することにより、対象物の内部構造の表面質感のデータを導出する。最後に、プロセッサは、対象物の内部構造の表面質感のデータを、3次元幾何形状のデータと相関させる。
【0130】
この実施例では、走査アプリケーションは赤外線の画像15を、3次元モデル13上の対応位置と相関させる。
【0131】
実施例5-蛍光走査モードにおける処理モード
この実施例では、走査システム1は、少なくとも蛍光を使用して歯の少なくとも一部を口腔内走査するように構成されている。
【0132】
さらに、この実施例では、走査システム1、より具体的にはプロセッサ7は、走査先端部5(d)を使用して少なくとも蛍光で口腔内走査することに相応する第2処理モードで動作するように構成されている。
【0133】
この第2処理モードは、遠位端に鏡を備えた口腔内用先端部を取り付けることにより開始される。鏡は光学的視野全体をカバーし、走査装置2からの光を被走査対象物へ向ける。口腔内用の走査先端部5(d)は取り付けられた状態で
図5に示されている。この先端部は、患者の口腔内へ挿入されるように構成されている。さらに、走査装置の1つの形態において、光は、被走査対象物中の蛍光物質を励起させるように選択される。
【0134】
走査先端部5(d)が走査装置2に取り付けられると、走査装置2は先端部の識別番号17の形態を成す認識データ17を読み取る。識別データは走査先端部5(d)の内部メモリ上に記憶されている。識別番号17は、外部に接続されたコンピュータ11上に配置されたコントローラ8に転送される。走査先端部の識別番号17に基づいて、コントローラ8は、対象物上の白色光照明パターン及び青色光照明パターンの両方によって記録された、連続する一連の2次元画像15を処理するように、走査装置2上のプロセッサ7に命令する。これを行うために、走査装置2は、交互に対象物を照明するように構成されている。光は白色光と青色光との間で切り換えられる。光の切り換えはコントローラ8によって、そして走査先端部識別番号17に基づいて制御される。
【0135】
換言すれば、コントローラ8が走査先端部識別番号17を受信すると、コントローラ8は加えて、白色光と青色光とを交互に発するように走査装置2に命令する。コントローラからの、そして走査先端部5(d)への命令18が
図5に示されている。
【0136】
このように、1つおきの画像23が深さ情報及び反射色情報に関連する情報を含み、これらの画像23間の後続の画像24がいずれも、放出した蛍光反応を含んでいる。
【0137】
第2処理モードでは、プロセッサ7は、連続白色光画像23と青色光画像24とから成る各自の対を1つにバンドルするように命令されるので、白色光画像フレームの深さ情報は後続の青色光画像の蛍光の質感に付着される。その結果、実施例2と比較して3次元幾何形状の処理済データ16は少ないが、しかし反射色の質感の代わりに放出した蛍光の質感を含む。処理済データ16はデータパッケージとして、3次元モデル13を作成することに関与する、外部に接続されたコンピュータ11上の走査アプリケーションへ送信される。
【0138】
この実施例では、走査アプリケーションは、3次元モデル13上に蛍光の質感を正しく重ねるために、3次元モデル13上の特定の位置を特定するために3次元幾何形状のデータだけを使用する。
【0139】
実施例6-縮小視野走査モードにおける処理モード
この実施例では、走査システム1は、縮小視野を使用して歯の少なくとも一部を口腔内走査するように構成されている。
【0140】
さらに、この実施例では、走査システム1、より具体的にはプロセッサ7は、走査先端部5(e)を使用して少なくとも縮小視野で口腔内走査することに相応する第2処理モードで動作するように構成されている。
【0141】
この第2処理モードは、遠位端に鏡を備えた口腔内用の走査先端部5(e)を取り付けることにより開始される。鏡は光学的視野全体をカバーし、走査装置2からの光を被走査対象物へ向ける。口腔内用の走査先端部5(e)は取り付けられた状態で
図6に示されている。この走査先端部5(e)は、患者の口腔内へ挿入されるように構成されている。走査先端部内の視野は実施例2に記載された走査先端部5(a)と比較して縮小されていてよく、あるいは実施例2に記載された走査先端部5(a)と同じ視野を有していてもよい。
【0142】
走査先端部が走査装置2に取り付けられると、走査装置2は先端部の識別番号17の形態を成す認識データ17を読み取る。識別データは走査先端部5(e)の内部メモリ上に記憶されている。識別番号17は、外部に接続されたコンピュータ11上に配置されたコントローラ8に転送される。走査先端部の識別番号17に基づいて、コントローラ8は、例えば縮小視野によって記録された、連続する一連の2次元画像15を処理するように、走査装置2上のプロセッサ7に命令する。
【0143】
上記のように、縮小視野は、実施例2に記載された走査先端部5(a)と比較して走査先端部の視野が低減されていることに基づいていてよい。しかしながら、縮小視野はこれに加えて、又はこれの代わりにプロセッサ7によって定義されてもよい。例えば、プロセッサ7は、走査先端部の縮小視野に基づき反射光に晒されていない画像の外側部分25を処理するのを回避するように、コントローラ8によって命令されてよい。換言すれば、プロセッサ7は、低減された深さ・色サブスキャンを構築するために複数画像のうちの各自の画像の特定部分26だけを処理するように命令される。
【0144】
サブスキャンの処理済データ16はデータパッケージとして、3次元モデル13を作成することに関与する、外部に接続されたコンピュータ11上の走査アプリケーションへ最後に送信される。
【0145】
実施例7-拡大視野走査モードにおける処理モード
この実施例では、走査システム1は、拡大視野を使用して顔又はより大きい対象物の少なくとも一部を顔走査するように構成されている。
【0146】
さらに、この実施例では、走査システム1、より具体的にはプロセッサ7は、走査先端部5(f)を使用して少なくとも拡大視野で口腔内走査することに相応する第2処理モードで動作するように構成されている。
【0147】
この第2処理モードは、
図7aにおいて取り付けられた状態で示されているように走査先端部5(f)を取り付けることにより開始される。走査先端部5(f)は、50mm超のサイズまで、口腔内用走査と比較して10倍超の体積まで走査エリアを増大させるための光学要素を含む。走査先端部内の視野は実施例2に記載された走査先端部5(a)と比較して拡大されている。
【0148】
走査先端部が走査装置2に取り付けられると、走査装置2は先端部の識別番号17の形態を成す認識データ17を読み取る。識別データは走査先端部5(e)の内部メモリ上に記憶されている。識別番号17は、外部に接続されたコンピュータ11上に配置されたコントローラ8に転送される。走査先端部の識別番号17に基づいて、コントローラ8は、拡大視野によって記録された、連続する一連の2次元画像15を処理するように、走査装置2上のプロセッサ7に命令する。視野が拡大されていることに基づき、プロセッサは歪んだデータを受信する。
図7は、歪んだデータが先ず後処理済データ18になるように後処理され、最後に処理済データ16になるように処理される様子を示している。この実施例、並びに実施例2~7の全てにおいて、プロセッサ7は、取り付けられる走査先端部のタイプに応じて異なる形で動作する。すべての実施例において、コントローラ8は、認識構成部分6によって認識された走査先端部(5a,5b,5c,5d,5e,5f)のタイプに従ってプロセッサ7の動作を制御するように構成されている。
【0149】
処理済データ16はデータパッケージとして、3次元モデル13を作成することに関与する、外部に接続されたコンピュータ11上の走査アプリケーションへ最後に送信される。
【0150】
走査先端部5(f)の種々異なる概略的なバージョンが、複雑さが増す順に5(f)1~4として
図7bに示されている。
【0151】
先端部バージョン5(f)-1は、取り付けられたときにイメージセンサ(図示せず)への直接のレンズ反射を回避するために傾斜レンズを備えた拡大視野先端部を示している。このシンプルな設定は製造が容易であるが、しかし歪みをもたらすことがあり、これにより走査信号が低減される。
【0152】
先端部バージョン5(f)-2は、5(f)-1と類似しているが、しかし四分の一波長(QW)が付加された拡大視野先端部を示している。この実施例では、QWは反射を最小化するように回転させることができる。
【0153】
先端部バージョン5(f)-3は、5(f)-2と類似しているが、しかし付加的な四分の一波長板が付加された拡大視野先端部を示している。この形態は、先端部が光の偏光を保持するのを可能にし、ひいては歯や目のような半透明の対象物を走査するために先端部が使用されるのを可能にする。
【0154】
先端部バージョン5(f)-4は、性能を微調整するためのいくつかの光学要素を含む、最適化された拡大視野先端部を示している。このバーションは5(f)1~3と比較して優れた性能を有している。
【0155】
実施例8-口腔内走査モードにおける処理モード
この実施例では、走査システム1は歯の少なくとも一部を口腔内走査するように構成されている。
【0156】
さらに、この実施例では、走査システム1、より具体的にはプロセッサ7は、走査先端部(5a)を使用する口腔内走査に相応する第1処理モードで動作するように構成されている。
【0157】
この第1処理モードは、遠位端に鏡を備えた口腔内用の走査先端部5(a)を取り付けることにより開始される。鏡は光学的視野全体をカバーし、走査装置2からの光を被走査対象物へ向ける。口腔内用の走査先端部5(a)は取り付けられた状態で
図8に示されている。この先端部は、患者の口腔内へ挿入されるように構成されている。
【0158】
この実施例では、プロセッサ7はフォーカスレンズを調節しながら、イメージセンサ3によって取得された画像15を処理して処理済データ16にする。フォーカスレンズの調節は特定のスパン長に限定される。フォーカスレンズは、対象物上の投影パターンの複数の2次元画像15を記録しながら前後に動かされる。処理済データ16は複数の2次元画像15を処理することによって抽出される。
【0159】
走査先端部5(a)が走査装置2に取り付けられると、走査装置2は先端部の識別番号17の形態を成す認識データ17を読み取る。識別データは走査先端部5(a)の内部メモリ上に記憶されている。識別番号17は、外部に接続されたコンピュータ11上に配置されたコントローラ8に転送される。走査先端部の識別番号17に基づいて、コントローラ8は、対象物上の白色光照明パターンによって記録された、連続する一連の2次元画像15を処理するように、(この実施例では走査装置2の外部に配置された)プロセッサ7に命令する。白色光は、各2次元画像から、3次元幾何形状のデータ及び表面質感のデータの両方を導出するのを可能にする。換言すれば、処理済データ16は、3次元幾何形状のデータの形態と、表面質感のデータの形態とを成している。
【0160】
従って、外部コンピュータ11上のプロセッサ7は、複数の2次元画像15を処理することにより、処理済データ16にする。この実施例では、プロセッサ7から得られる処理済データ16は処理モードに依存する。
【0161】
処理済データ16は3次元モデル13を作成するために外部コンピュータ11によって使用される。
【0162】
実施例9-走査先端部例の概説
いくつかの走査先端部(5a,5b,5c,5d及び5e)が一例として実施例1~8に記載されている。この実施例では、種々異なる走査先端部について概説する。
【0163】
白色光を提供するための口腔内走査先端部
一例において、走査装置2のための交換可能な走査先端部5(a)が提供される。走査先端部5(a)は、歯を口腔内走査するように、そして歯に白色光を提供するように構成されている。走査先端部5(a)は、本発明による走査装置2のための、又は任意のタイプの走査装置のためのものであってよい。白色光は走査装置2内に位置する白色光源によって発せられてよい。交換可能な走査先端部5(a)は、走査先端部5(a)の遠位端に配置された鏡を、反射面が走査先端部内部にある状態で含んでよく、これにより鏡が白色光源から受光すると、走査先端部は光を対象物へ提供する。鏡は、白色光を歯からの逆反射として受けるように構成されていてもよく、これにより鏡が歯からの光を受けると、走査先端部5(a)は光をイメージセンサ3へ提供する。
【0164】
白色光を提供するための耳内用の走査先端部
別の例において、走査装置2のための交換可能な走査先端部5(b)が提供される。走査先端部5(b)は、耳の内部を耳内走査するように、そして耳の内部に白色光を提供するように構成されている。走査先端部5(b)は、本発明による走査装置2のための、又は任意のタイプの走査装置のためのものであってよい。白色光は走査装置2内に位置する白色光源によって発せられてよい。交換可能な走査先端部5(b)は、走査先端部5(b)の遠位端に配置された鏡を、反射面が走査先端部5(b)の内部にある状態で含んでよく、これにより鏡が白色光源から受光すると、走査先端部5(b)は光を内耳へ提供する。鏡は、白色光を内耳からの逆反射として受けるように構成されていてもよく、これにより鏡が内耳からの光を受けると、走査先端部5(c)は白色光をイメージセンサ3へ提供する。走査先端部5(b)が耳内へ挿入されるように、鏡は内耳の寸法に従って寸法設定されてよい。
【0165】
白色光及び赤外光を提供するための口腔内走査先端部
第3の例において、走査装置2のための交換可能な走査先端部5(c)が提供される。走査先端部5(c)は、歯を口腔内走査するように、そして歯に白色光及び赤外光を提供するように構成されている。走査先端部5(c)は、本発明による走査装置2のための、又は任意のタイプの走査装置のためのものであってよい。白色光は走査装置2内に位置する白色光源によって発せられてよい。赤外光は、交換可能な走査先端部5(c)内又は走査先端部5(c)上に配置された赤外光源又は複数の光源によって発せられてよい。交換可能な走査先端部5(c)は、走査先端部5(c)の遠位端に配置された鏡を、反射面が走査先端部5(c)内部にある状態で含んでよく、これにより鏡が白色光源から受光すると、走査先端部5(c)は白色光を歯へ提供する。鏡は、白色光を歯からの逆反射として受けるように構成されていてもよく、これにより鏡が歯からの白色光を受けると、走査先端部5(c)は白色光をイメージセンサ3へ提供する。さらに鏡は、赤外光を歯からの逆反射として受けるように構成されていてもよく、これにより鏡が歯からの赤外光を受けると、走査先端部5(c)は赤外光をイメージセンサ3へ提供する。
【0166】
白色光及び蛍光を提供するための口腔内用の走査先端部
第4の例において、走査装置2のための交換可能な走査先端部5(d)が提供される。走査先端部5(d)は、歯を口腔内走査するように、そして歯に白色光及び赤外光を提供するように構成されている。走査先端部5(c)は、本発明による走査装置2のための、又は任意のタイプの走査装置のためのものであってよい。白色光及び蛍光の両方は走査装置2内に位置する白色光源及び蛍光源、例えば白色光及び蛍光の両方を発するように構成された単独の光源によって発せられてよい。交換可能な走査先端部5(d)は、走査先端部5(d)の遠位端に配置された鏡を、反射面が走査先端部5(d)内部にある状態で含んでよく、これにより鏡が白色光源及び蛍光源から受光すると、走査先端部5(d)は白色光及び蛍光を対象物へ提供する。鏡は、白色光及び蛍光を歯からの逆反射として受けるように構成されていてもよく、これにより鏡が歯から白色光及び蛍光を受けると、走査先端部5(d)は白色光をイメージセンサ3へ提供する。
【0167】
白色光及び縮小視野を提供するための口腔内用の走査先端部
第5の例において、走査装置2のための交換可能な走査先端部5(e)が提供される。走査先端部5(e)は、歯を口腔内走査するように、そして歯に白色光を縮小視野で提供するように構成されている。走査先端部5(e)は、本発明による走査装置2のための、又は任意のタイプの走査装置のためのものであってよい。白色光は走査装置2内に位置する白色光源によって発せられてよい。交換可能な走査先端部5(e)は、走査先端部5(e)の遠位端に配置された鏡を、反射面が走査先端部5(e)内部にある状態で含んでよく、これにより鏡が白色光源から受光すると、走査先端部は光を歯へ縮小視野で提供する。鏡は、白色光を歯からの逆反射として受けるように構成されていてもよく、これにより鏡が歯からの光を受けると、走査先端部5(e)は光をイメージセンサ3へ提供する。
【0168】
白色光及び拡大視野を提供するための顔走査先端部
第6の例において、走査装置2のための交換可能な走査先端部5(e)が提供される。走査先端部5(f)は、顔を表面走査するように、そして顔に白色光を拡大視野で提供するように構成されている。走査先端部5(e)は、本発明による走査装置2のための、又は任意のタイプの走査装置のためのものであってよい。白色光は走査装置2内に位置する白色光源によって発せられてよい。交換可能な走査先端部5(e)はオープンエンド型であってよく、これにより鏡が白色光源から受光すると、走査先端部5(f)は光を顔へ拡大視野で提供する。オープンエンド型開口は、白色光を顔からの逆反射として受けるように構成されていてもよく、これによりオープンエンド型開口が顔からの光を受けると、走査先端部5(f)は光をイメージセンサ3へ提供する。
【0169】
実施例10-二重角度鏡走査モード(dual angle mirror scanning mode)における処理モード
この実施例では、走査システム1は平滑な走査を実施し、困難な部位からデータが得られるように構成されている。これらの部位は例えば第2又は第3大臼歯の近心面であり、いわゆる前側クロスオーバー(anterior crossover)であってよい。全顎口腔内走査を実施するときには、走査セッションは典型的には大臼歯の咬合面で開始される。顎のデジタルモデルは、走査装置が歯列弓に沿って動かされるのに伴って、連続的に作成される。ある時点において、走査装置は犬歯及び切縁を横切るように動かされる。この部位は走査装置にとって特に難関である。それというのも歯のトップビューが、歯の形態学的性質に基づき極めて小さく、その結果3次元情報が限定されるからである。典型的には、この状況は、正確なモデル再構築を容易にするために顔/舌/口蓋面を連続的に記録するために、小刻みな走査運動を実施するようにオペレータに命令することによって対処される。
図9に示された走査プローブは、二重角度鏡走査先端部5(g)を使用することによってこの問題を解決する。二重角度鏡走査先端部5(g)は、複数の角度から対象物からの3次元データを同時に記録するように構成され、従って3次元データのより大きいパッチをもたらすからである。従って、この先端部は、口腔内の、さもなければ到達が困難な部位へアクセスするように構成されている。
【0170】
さらに、この実施例では、走査システム1、より具体的にはプロセッサ7は、二重角度鏡走査先端部5(g)を使用して少なくともスプリット・ビュー(split-view)で口腔内走査することに相応する第2処理モードで動作するように構成されている。
【0171】
この第2処理モードは、二重角度鏡走査先端部5(g)を取り付けることにより開始される。二重角度鏡走査先端部は遠位端に、少なくとも2つの個々の反射セグメントに分離された光学要素を有している。これらの反射セグメントは、走査装置を起源とする入射光に対して相異なる角度を成している。個々の反射セグメントは光学的視野全体をカバーし、走査装置2(図示せず)からの光を被走査対象物へ向ける。走査先端部5(g)の遠位部分は
図9の断面図に示されている。走査先端部5(g)は、第1セグメント28と第2セグメント29とを含む光学要素を含む。2つの反射セグメントは、第2セグメント29から反射された光が、第1セグメント28から反射された光とは異なる角度を成して、被走査対象物に向けられるように配置される。2つのセグメント28及び29は、セグメントからの個々の視野が、走査ボリューム30内でかなりの量でオーバーラップするように、位置決めされる。二重角度鏡走査先端部における組み合わされた視野はこのように、実施例2に記載された走査先端部5(a)と比較して異なる。
【0172】
二重角度鏡走査先端部が走査装置2(図示せず)に取り付けられると、走査装置2は先端部の識別番号17の形態を成す認識データ17を読み取る。識別データは二重角度鏡走査先端部5(g)の内部メモリ上に記憶されている。識別番号17は、外部に接続されたコンピュータ11上に配置されたコントローラ8に転送される。二重角度鏡走査先端部の識別番号17に基づいて、コントローラ8は、対象物上の混合視野によって記録された、連続する一連の2次元画像15を処理するように、走査装置2上のプロセッサ7に命令する。混合視野に基づき、プロセッサは、互いに混合された異なる方向からの同じ対象物ビューの3次元情報を含む歪んだデータを受信する。
【0173】
図9は、(2つのセグメント28及び29で記録された)混合データが後処理済データ18になるように先ず後処理され、最後に処理済データ16になるように処理される様子を示している。
【0174】
比較すると、実施例1は、走査ボリューム(すなわち走査装置がデータを収集し得るボリューム)内の各自の点が画像内の画素に1対1でマッピングする。この実施例では、二重角度鏡走査先端部5(g)が取り付けられると、走査ボリュームの幾何形状はより複雑になり、そして二つの鏡セグメント28及び29から同時に記録することができ、ひいては2つ以上の画素にマッピングできる走査ボリューム30内の点が存在し得る。
【0175】
走査ボリュームと深さ画像との間、そしてその逆のマッピングのデータプロセスは、3次元モデルの登録及び再構築のために用いられる。これらの変換は、専用の自動較正ルーティンと一緒にモデリングされる。従ってこの実施例では、プロセッサ7は、取り付けられる走査先端部のタイプに応じて種々異なる形で動作する。すべての実施例において、コントローラ8は、認識構成部分6によって認識された走査先端部(5a,5b,5c,5d,5e,5f)のタイプに従ってプロセッサ7の動作を制御するように構成されている。
【0176】
処理済データ16はデータパッケージとして、3次元モデル13を作成することに関与する、外部に接続されたコンピュータ11上の走査アプリケーションへ最後に送信される。
【0177】
実施例11-ユーザーインターフェース
専用のユーザーインターフェースが
図10(a~e)に示されている。ユーザーインターフェースの目的の第1部分は、走査セッションを介してオペレータを案内することである。これにより、オペレータは、第1走査先端部を使用し、次いで第2走査先端部を使用するように案内される。ユーザーインターフェースの目的の別の部分は、ユーザーからの入力に応じてプロセスを少なくとも変更することによって、3次元モデルを効率的に提供することである。この実施例は3次元モデルが効率的に提供される様子を示す。
【0178】
典型的には、無歯患者からの3次元モデルは提供するのが困難なことがある。さらに、歯のない顎には明確なランドマークがないため、走査が難しい場合がある。束縛されていない歯肉が走査中にシフトし、これにより、走査されるべき剛性対象物に依存する登録アルゴリズムが難しくなることがある。実施例7から走査先端部を、そして実施例2から通常の走査先端部を使用するめの命令を伴う、コンピュータによる実施方法を以下に示す。
【0179】
この実施例は、スクリーン上のグラフィカルユーザーインターフェース30に表示される口腔の3次元表示画像13を下記ステップで作成する、コンピュータによる実施方法を示す。
【0180】
先ず
図10aに示されているように、ユーザーは複数の走査選択肢31を有するディスプレイを提示されるので、ユーザーは前記走査選択肢のうちの1つ32を選択するように、ユーザーインターフェースで命令される。例えば、この事例では、オペレータは無歯患者を走査しようとしており、オペレータは従って、例えばスクリーンカーソルを(ポインティング装置を介して)使用することにより、及び/又はスクリーンをクリックすることにより、及び/又は走査装置を使用することにより、例えば総入れ歯32に関連して走査するという選択肢を選ぶ。
【0181】
走査選択肢32を選択すると、ディスプレイは
図10bに示されたディスプレイにシフトする。コンピュータによる実施方法によって受信された1つの走査選択肢32に基づいて、コンピュータによる実施方法は、走査装置に第1走査先端部を取り付けるようにユーザーに命令33を出す。この事例では、ユーザーインターフェースは、拡大視野走査先端部5(f)を走査装置2に取り付けるようにユーザーを促す。
【0182】
走査装置2内の認識構成部分に基づいて、走査装置2及びコンピュータによる実施方法の両方は、走査先端部5(f)が取り付けられることを登録する。その後、コンピュータによる実施方法は、3次元モデルを作成するプロセスにおいて次のステップに進む。いくつかの実施態様では、走査システムはこれに加えて、取り付けられた走査先端部5(f)に光学的較正を実施するようにユーザーを促すことができる。較正は事前に記録されてよい。
【0183】
コンピュータによる実施方法は、走査先端部が走査装置2上に適切に取り付けられると、取り付けられた走査先端部に関連する第1情報を走査装置2から受信する。このことは、コンピュータによる実施方法が、ディスプレイモードを変更し、
図10cに示された走査ディスプレイにユーザーを導くのを可能にする。走査ディスプレイへのディスプレイモードの変更はそれ自体、第1の走査先端部5(f)が取り付けられた走査装置2によって走査するというユーザーに対する第1の走査指示34である。
【0184】
今説明したように、そして本発明の第2態様によれば、コンピュータによる実施方法は、グラフィカルユーザーインターフェースに、そして走査装置2からの第1情報に基づいて、第1の走査先端部5(f)が取り付けられている走査装置2によってユーザーが走査するように第1の走査命令34及び/又は第1の走査指示34を表示する。
【0185】
この事例において、そして走査ディスプレイのディスプレイモードにあるときには、グラフィカルユーザーインターフェースはさらに、第1の走査指示34の付加的部分としてライブ・ビュー・ボックス(
図10cの右下の角)を、そして第1の走査指示の別の付加的部分として、3次元モデル13が作成される、又はされることになっている3次元ビューボックス(
図10cの中央)を示す。
【0186】
走査ディスプレイに変更した後、走査装置上又はユーザーインターフェースのスクリーン上で走査ボタンを押すことによって、走査装置2による走査を開始することができる。いくつかの実施態様では、ライブ・ビュー・ボックス及び/又は3次元ビューボックスは、走査の開始後に走査ディスプレイ上に現れることができる。
【0187】
さらに、ユーザーが走査装置2によって走査するように第1の走査指示34を示す走査ディスプレイ(
図10c)において、システムは走査装置から走査データを受信する。この走査データは、3次元表示画像13(a)の第1部分を構築するために使用される。
【0188】
ここでは、顎は拡大視野走査先端部5(f)で走査される。拡大視野走査先端部5(f)は口の外側に置かれるか、又は口腔内へわずかにだけ挿入される。拡大視野走査先端部5(f)の視野は顎全体のかなりの部分をカバーするので(ライブ・ビュー・ボックス34に示されている)(例えば顎の50%)、登録は顎構造全体に依存する。顎全体の拡大視野走査先端部5(f)は臨床目的には十分でない。これは顎の頬側だけしかカバーすることができない。それというのは、例えば舌側からの画像を得るために、走査先端部5(f)を口腔内へ深く挿入してあちこちに動かすことができないからである。拡大視野走査先端部5(f)はまた、走査装置2の視野を拡張するので、解像度が低い。従って、この事例では、通常の走査先端部5(a)によるより詳細な走査を用いて臨床的必要性を満たすことができる。こうして、顎の十分な部分が拡大視野走査先端部5(f)で走査されたら、ユーザーは、最後の3次元モデル(13c)の作成を続けるために「次ボタン」35をクリックすることにより、作成された3次元表示画像13(a)の第1部分が十分であることを確認することができる。従って、ユーザーはここでは「次ボタン」35をクリックすることにより確認入力を提供している。確認入力は、作成された3次元表示画像13(a)の第1部分が十分であることを確認する情報を含む。この事例では、ユーザーは、
図10cに示されている3次元モデル13(a)の第1部分が十分であることを判定している。
【0189】
ユーザーは3次元表示画像13(a)のいくつかの第1部分、例えば下顎及び上顎を作成することができる。従って、ユーザーは3次元モデル13(c)の第1部分の作成を続けるために、第1「次ボタン」35をクリックし(下顎が十分であることを示す)、そして次いで、第2「次ボタン」36をクリックする(上顎が十分であることを示す)ことにより、作成された3次元表示画像13(a)の第1部分が十分であることを数回にわたって確認することができる。
【0190】
加えて、十分であることが確認された3次元表示画像13(a)の第1部分はユーザー及び/又は複数の異なるユーザーから時間外に収集することができる。これらの3次元表示画像13(a)はこれにより、十分であることが確認された履歴3次元表示画像を作成することができ、これにより、第1の走査先端部を第2の走査先端部と交換するように命令を表示するステップは自動化され、十分であることが確認された履歴3次元表示画像に基づく。換言すれば、第1の3次元表示画像13(a)が十分であることを確認するステップは、履歴3次元表示画像に基づく自動化された手順によって引き継ぐことができる。例えば、十分であることが確認された履歴3次元表示画像を、作成された3次元表示画像13(a)の第1部分が十分となったらそれを判定するように構成されたアルゴリズムのための入力として使用することができ、そしてアルゴリズムは履歴3次元表示画像を平均することに基づいており、及び/又はアルゴリズムは、機械学習及び/又は人工知能(AI)に基づいている。従って、ユーザーによって提供された入力は、最後の3次元表示画像13(c)を得るプロセスを変更する。例えば、ユーザーからの入力に基づき、ユーザーインターフェースは、「次ボタン」を押すことがもはやできないように変更することができる。その代わりに、第1の3次元表示画像13(a)が十分になったら、「次ボタン」35及び36内の緑のチェックマークで「次ボタン」に自動的にチェックを入れることができる。これにより、ユーザーからの入力は、最後の3次元表示画像13(c)を作成するプロセスを著しく効率的にし、実際にはまた信頼性をより高くする。
【0191】
ユーザーからの判断に加えて、人間の顎は特定の認識可能な形状を有しており、ひいてはこのような形状を分析するためのアルゴリズムを教示することもできる。従って、アルゴリズムはユーザーの入力に加えて最適化することができる。AIと連携するデータ分析はユーザーインターフェースにおいて可能化又は不能化することができる。
【0192】
拡大視野走査先端部5(f)で顎全体の走査が完了したら、コンピュータによる実施方法は、第1の走査先端部5(f)を第2の走査先端部5(a)と交換することにより、通常の走査先端部5(a)を取り付けるように第2取り付け命令37によってオペレータを促す。このことは
図10dに示されている。
【0193】
通常の走査先端部5(a)が電子装置を備えた先端部である場合には、コンピュータによる実施方法は、通常の走査先端部5(a)が取り付けられることを登録することができ、コンピュータによる実施方法は、次いでこの実施方法における次のステップに進むことができる。走査先端部5(a)が電子コネクタを備えていない先端部である場合、走査装置2内の記録済画像の視覚的特徴を分析することにより、コンピュータによる実施方法が走査先端部5(a)を識別することが可能である。このこともまた、コンピュータによる実施方法が、この実施方法における次のステップに続いて進むのを可能にする。
【0194】
今説明したように、そして
図10dに示されているように、ユーザーインターフェースは、受信された第1走査データに基づいて、今や第1の走査先端部を第2の走査先端部5(a)と交換するように命令37を表示する。ユーザーは、拡大視野走査先端部5(f)を標準的な走査先端部5(a)と交換することによりモデルを完成するように促される。ここでもやはり、コンピュータによる実施方法は走査先端部の交換を認識し、そしてユーザーインターフェースにおいて走査ディスプレイ(今は
図10eに示されているが、しかし
図10cの走査ディスプレイと類似している)に戻るようにユーザーを導くことにより、標準的な走査先端部5(a)による走査を続行する。標準的な走査先端部5(a)は、口腔内部を走査するように構成されており、種々異なる角度からデータを捕捉するために容易に動かされる。
【0195】
走査中、コンピュータによる実施方法は、第2の走査先端部5(f)を備えた走査装置2から第2走査データを受信する。第2走査データからは3次元表示画像13(b)の第2部分が作成される。3次元表示画像13(b)の第2部分は
図10eに示されているように、第1の(拡大視野)走査先端部5(f)によっては到達されなかった(又は適切に解像されなかった)部位に由来し得る。(拡大視野走査先端部5(f)と比較してより小さな視野の走査先端部5(a)(左下角のライブ・ビュー・ボックス34でも見られる)で記録されることに基づいて)パッチの形態を成す3次元表示画像13(b)の第2部分は、完成した3次元モデル13(c)を得るために、3次元モデル13(a)の第1部分上に記録され登録される。換言すれば、今説明したパッチは高度なディテールを有している。これらのパッチはこうして、完全な3次元モデル13(c)の再構築のためのフレームワークとして使用される第1部分モデル(第1の3次元表示画像13(a))上に登録される。このようにすると、小さな登録エラーが回避される。
【0196】
ここでは単独の顎の最終結果は、
図10fに表示された最後の3次元登録13(c)である。
【国際調査報告】