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特表2022-521973抗CD6抗体組成物およびループスを処置するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(54)【発明の名称】抗CD6抗体組成物およびループスを処置するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20220406BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20220406BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220406BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220406BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220406BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220406BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20220406BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220406BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20220406BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20220406BHJP
   A61K 31/365 20060101ALI20220406BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220406BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20220406BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20220406BHJP
【FI】
G01N33/68 ZNA
G01N33/53 D
A61P13/12
A61P29/00
A61P37/02
A61P43/00 121
A61K45/06
A61K45/00
A61K31/573
A61K31/675
A61K31/365
A61K39/395 D
A61K39/395 N
C12N15/13
C12N15/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549772
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(85)【翻訳文提出日】2021-10-25
(86)【国際出願番号】 US2020019990
(87)【国際公開番号】W WO2020176682
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】62/810,628
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/933,294
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520326035
【氏名又は名称】エクイリウム,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】EQUILLIUM,INC.
【住所又は居所原語表記】2223 Avenida de la Playa,La Jolla,California 92037,United States of America
(71)【出願人】
【識別番号】511248249
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ ヒューストン システム
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】コネリー,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ポル,クリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】モハン,チャンドラ
【テーマコード(参考)】
2G045
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045CA26
2G045CB03
2G045CB04
2G045CB07
2G045CB30
2G045DA36
2G045FA37
2G045FB03
2G045FB06
4C084AA17
4C084AA19
4C084AA20
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB082
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZC082
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB36
4C085BB41
4C085BB44
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA17
4C086DA10
4C086DA38
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA81
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、EQ001などのCD6-ALCAM経路インヒビターを使用して炎症性または自己免疫疾患(例として、ループス腎炎)を処置する方法、およびかかるインヒビターに応答する可能性のある対象を同定するための方法および診断試験を提供する。とりわけ、本開示は、CD6-ALCAM経路のインヒビター(例として、EQ001)に対する感受性を示す、尿および他の生体試料における可溶性ALCAMおよび/またはCD6タンパク質およびタンパク質フラグメントの上昇したレベルに関する診断および治療用途を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象がCD6-ALCAM経路阻害に対して感受性があるループス腎炎の形態を有するかどうかを同定するための方法であって、対象が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを示すかどうかを決定することを含む、前記方法。
【請求項2】
ループス腎炎をCD6-ALCAM経路インヒビターで処置するための方法であって、以下:
a.ループス腎炎を有する、または有すると疑われる対象から得られた生体試料が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを含むかどうかを決定すること;および
b.生体試料が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを含む場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与すること
を含む、前記方法。
【請求項3】
ループス腎炎を有する対象を処置するためにCD6-ALCAM経路インヒビターを使用するための方法であって、以下のステップ:
a.対象が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを示すかどうかを決定すること;および
b.対象が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを示す場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与すること
を含む、前記方法。
【請求項4】
対象をCD6-ALCAM経路インヒビターで処置するための方法であって、対象はループス腎炎を有し、前記方法は、以下のステップ:
a.対象がCD6-ALCAM経路インヒビター感受性の疾患を有するかどうかを以下:
i.対象から生体試料を得ること、または得たこと;および
ii.試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを示すかどうかを決定するために、生体試料に対してアッセイを実施すること、または実施したこと
によって決定すること;および
b.対象が、上昇した可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質を有する場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与すること
を含む、前記方法。
【請求項5】
対象が、CD6-ALCAM経路阻害に対して感受性がある炎症性または自己免疫疾患を有するかどうかを同定するための方法であって、対象が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを示すかどうかを決定することを含む、前記方法。
【請求項6】
炎症性または自己免疫疾患をCD6-ALCAM経路インヒビターで処置するための方法であって、以下:
a.炎症性または自己免疫疾患を有する、または有すると疑われる対象から得られた生体試料が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを含むかどうかを決定すること;および
b.生体試料が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを含む場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与すること
を含む、前記方法。
【請求項7】
炎症性または自己免疫疾患を有する対象を処置するためにCD6-ALCAM経路インヒビターを使用するための方法であって、以下のステップ:
a.対象が、上昇した可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質を示すかどうかを決定すること;および
b.対象が、上昇した可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質を示す場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与すること
を含む、前記方法。
【請求項8】
対象をCD6-ALCAM経路インヒビターで処置するための方法であって、対象は炎症性または自己免疫疾患を有し、前記方法は、以下のステップ:
a.対象がCD6-ALCAM経路インヒビター感受性の疾患を有するかどうかを以下:
i.対象から生体試料を得ること、または得たこと;および
ii.試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを示すかどうかを決定するために、生体試料に対してアッセイを実施すること、または実施したこと
によって決定すること;および
b.対象が、上昇した可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質を有する場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与すること
を含む、前記方法。
【請求項9】
CD6-ALCAM経路インヒビターが、EQ001である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
CD6-ALCAM経路インヒビターが、抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントが、ヒト化抗体である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントが、CD6上のドメイン1または3へ結合する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントが、CD6上のドメイン3へ結合する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントが、EQ001、ALZUMAb、UMCD6 mAb、イトリズマブ、T1h、表1に記載の抗CD6抗体、および本明細書に開示の抗CD6抗体からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
抗CD6モノクローナル抗体が、寄託番号ECACC 96112640としてECACCに寄託された分泌ハイブリドーマIOR-T1Aによって産生される抗体;該分泌ハイブリドーマによって産生される該抗体と同じ配列を有する抗体;または該分泌ハイブリドーマによって産生される該抗体の同じCDR配列を有する抗体である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
抗原結合性フラグメントが、Fv、Fab、CDRl、CDR2、CDR3、CDRの組み合わせ、可変領域、重鎖(単数または複数)、および軽鎖(単数または複数)から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントが、配列番号5~10から選択される1以上のCDR配列を含む、請求項10~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントが、配列番号1および2で表されるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域を含む、請求項10~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
配列番号1および2が、それぞれ配列番号3および4によってコードされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントが、配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、または95%同一であるVH配列を含む、請求項10~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントが、配列番号2で表されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、または95%同一であるVK配列を含む、請求項10~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントが、配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるVH配列および配列番号2で表されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるVK配列を含む、請求項10~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
対象が、血液、血清、尿、唾液、CSF、BALF、および糞便から選択される試料において、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを示す、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
対象が、尿において、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを示す、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
対象が、ループス腎炎を有する、請求項5~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質が、ループス腎炎を有さない個体と比較して、対象において上昇している、請求項1~4および25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質が、炎症性または自己免疫疾患を有さない個体と比較して、対象において上昇している、請求項5~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルが、対象からの第1および1以上の第2の試料において決定される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルが、第1の試料において存在した可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルと比較して、第2の試料において上昇している、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
第2の試料における可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルが、対象における活動性疾患を示す、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
第2の試料における可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの減少が、対象における活動性疾患から受動性疾患への移行を示す、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
第1の試料と比較して、第2の試料における可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの閾値増加が、対象における受動性疾患から活動性疾患への移行を示す、請求項29または30に記載の方法。
【請求項33】
可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルが、第1の試料において存在した可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルと比較して、第2の試料において上昇しない、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
第2の試料における可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルが、対象がループス腎炎または任意の炎症性または自己免疫疾患を有さないことを示す、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
CD6および/またはALCAMのレベルが、数日、数週間、数ヶ月、または数年の時間経過にわたって対象から得られた複数の第2の試料において測定される、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
CD6および/またはALCAMのレベルタンパク質が、シングルプレックスELISA;マルチプレックスELISA、FACSをベースとした検出によるビーズベースの免疫捕獲;ELISAベースの検出によるビーズベースの免疫捕獲;化学発光ベースの検出によるビーズベースの免疫捕獲;メソスケール診断(MSD);定量的ウェスタンブロット;高速液体クロマトグラフィー(HPLC);およびそれらの組み合わせから選択される方法を使用して検出される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
検出されるCD6および/またはALCAMタンパク質が、全長タンパク質である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
検出されるCD6および/またはALCAMタンパク質が、全長タンパク質のフラグメントである、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
検出される全長CD6タンパク質のフラグメントが、CD6の細胞外ドメイン全体、またはCD6の細胞外ドメインの一部を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
EQ001を対象へ投与することを含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
追加の治療剤を投与することをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
追加の治療剤が、ステロイドまたは免疫抑制薬である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ステロイドが、コルチコステロイドである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
コルチコステロイドが、プレドニゾンである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
剤が、ミコフェノラートおよびシクロホスファミドから選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
以下のステップ:
i.数日、数週間、数ヶ月、または数年の時間経過にわたって対象から複数の生体試料を得ること、または得たこと;および
ii.試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な変化があるかどうかを決定するために、生体試料の各々に対してアッセイを実施すること、または実施したこと;
を含む、ループス腎炎を有する対象の予後を予測する方法であって、
b.試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な増加を示す場合、次いで予後は不良であると決定される;
c.試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な変化を示さない場合、次いで予後は中立であると決定される;および
d.試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な減少を示す場合、次いで予後は良好であると決定される、
前記方法。
【請求項47】
以下のステップ:
i.数日、数週間、数ヶ月、または数年の時間経過にわたって対象から複数の生体試料を得ること、または得たこと;および
ii.試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な変化があるかどうかを決定するために、生体試料の各々に対してアッセイを実施すること、または実施したこと;
を含む、炎症性または自己免疫疾患を有する対象の予後を予測する方法であって、
b.試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な増加を示す場合、次いで予後は不良であると決定される;
c.試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な変化を示さない場合、次いで予後は中立であると決定される;および
d.試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な減少を示す場合、次いで予後は良好であると決定される、
前記方法。
【請求項48】
a.対象からの試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第1の濃度を決定すること;
b.活動性ループス腎炎を有さない対照者、または対照者の集団からの同様の試料においてそれぞれ存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第2の濃度、または平均濃度を決定すること;および
c.第1の濃度が第2の濃度よりも大きい場合、対象が活動性腎炎を有すると決定すること
を含む、対象が活動性ループス腎炎を有するかどうかを決定する方法。
【請求項49】
a.対象からの試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第1の濃度を決定すること;
b.活動性ループス腎炎を有さない対照者、または対照者の集団からの同様の試料においてそれぞれ存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第2の濃度、または平均濃度を決定すること;および
c.第1の濃度が第2の濃度よりも大きい場合、対象が活動性腎炎を有すると決定すること
を含む、対象が活動性炎症性または自己免疫疾患を有するかどうかを決定する方法。
【請求項50】
a.対象からの第1の試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第1の濃度を決定すること;ここで、第1の試料は、対象が非活動性ループス腎炎を有するときに対象から得られる;
b.対象からの1以上の第2の試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第2の濃度を決定すること;ここで、各第2の試料は、第1の試料が得られた後に対象から得られる;および
c.可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第2の濃度が第1の濃度よりも大きい場合、対象が活動性ループス腎炎を有するか、または活動性腎炎に移行していると決定すること
を含む、対象が非活動性ループス腎炎から活動性ループス腎炎へ移行したかどうかを決定する方法。
【請求項51】
a.対象からの第1の試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第1の濃度を決定すること;ここで、第1の試料は、対象が非活動性ループス腎炎を有するときに対象から得られる;
b.対象からの1以上の第2の試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第2の濃度を決定すること;ここで、各第2の試料は、第1の試料が得られた後に対象から得られる;および
c.可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第2の濃度が第1の濃度よりも大きい場合、対象が活動性ループス腎炎を有するか、または活動性腎炎に移行していると決定すること
を含む、対象が非活動性炎症性または自己免疫疾患から活動性炎症性または自己免疫疾患に移行したかどうかを決定する方法。
【請求項52】
対象が活動性LNを有するか、または活動性LNに移行している場合、EQ001を対象へ投与することをさらに含む、請求項48~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
追加の治療剤を投与することをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
追加の治療剤が、ステロイドまたは免疫抑制薬である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
ステロイドが、コルチコステロイドである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
コルチコステロイドが、プレドニゾンである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
剤が、ミコフェノラートおよびシクロホスファミドから選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
CD6-ALCAM経路インヒビターが、非経口送達によって投与される抗CD6モノクローナル抗体である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
CD6-ALCAM経路インヒビターが、薬学的に許容し得る担体とともに投与される抗CD6モノクローナル抗体である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
抗CD6抗体が、ヒト化抗体である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2019年2月26日に出願された米国仮出願第62/810,628号、および2019年11月8日に出願された米国仮出願第62/933,294号に優先権を主張し、これらの出願の各々は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表に関する陳述
本出願に関連する配列表は、紙のコピーの代わりにテキスト形式で提供され、参照により本明細書に組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名前はEQIL_009_02WO_ST25.txtである。テキストファイルは6KBであり、2020年2月26日に作成され、EFS-Webを介して電子的に提出されている。
【0003】
本発明の分野
本開示は、なかでも、抗CD6抗体などのCD6-ALCAM経路インヒビターを使用する炎症性または自己免疫疾患(例として、ループス腎炎)を処置するための方法に関する。具体的に言うと、いくつかの態様において、本開示は、抗CD6抗体(例として、EQ001)による処置の候補として同定される対象における炎症性または自己免疫疾患(例として、ループス腎炎)を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
本発明の背景
炎症性および自己免疫疾患は、正常な臓器系に対する免疫系の正常でない応答を伴う状態である。正常でない免疫応答は、先天性および適応性の両方の免疫細胞応答を伴う可能性があり、T細胞、B細胞、樹状細胞、単球、および好中球などの複数の細胞型を伴う可能性がある。これらの疾患は、複数の臓器系に影響を与える全身性のものであり得るか、または単一の臓器に限定され得る。これらの疾患の原因はしばしば未知である。それらはファミリーで実行(run)し得るか、環境の引き金または感染に関連し得る。これらの疾患の処置は疾患によって異なり、免疫系を広く抑制するか、またはT細胞、B細胞、サイトカイン、および補体を含む免疫系のアーム(arm)を標的とし得る治療を伴う。多くの異なる免疫細胞がこれらの炎症性および自己免疫疾患の病因に関与している一方で、T細胞が免疫応答の開始および炎症性カスケード後において中心的役割を果たしていることが認識されている。さらに、T細胞は病原性であり得、組織への輸送、炎症性サイトカインの分泌、および組織の破壊および傷害につながる他の炎症性細胞の動員も可能である。80を超える自己免疫疾患があり、これらの疾患の多くはFDA承認の治療がない。免疫系を抑制または調節する薬物の毒性に関する課題を考えると、所与の標的治療に応答する可能性が最も高い患者を同定するのに役立ち得るバイオマーカーは、所与の治療に対する所与の疾患を有する患者の集団のベネフィットリスクを最大化する上で臨床的有用性を有するであろう。
【0005】
ヒト全身性自己免疫疾患の原型であるループスは、多種多様な多臓器損傷によって特徴付けられる。それは、結合組織を攻撃する抗体を伴う自己免疫疾患である。前記疾患は、大体100万人の米国人、主に20~40歳の女性に影響を与えると推定される。ループスの主な形態は全身性のもの(全身性エリテマトーデス;SLE)であり、抗核(anti-nuclear)抗体の産生、循環免疫複合体、および補体系の活性化に関連する。SLEの病因はまだ十分に理解されていないが、B細胞、T細胞および単球が疾患の進行に重大な役割を果たすことに関係することが知られている。
【0006】
具体的に言うと、ポリクローナルB細胞およびT細胞活性の著しい増加があり、かかる増加は、T細胞の発達および様々な自己抗原に対する抗体応答によって特徴付けられ得る。T細胞の活性化は、特定のエピトープへの自己反応性B細胞の産生を刺激し、次いで、他のエピトープに広がり得ると理論付けられる。かかる抗体応答は、上記のように、抗核抗体(ANA)および抗二本鎖DNA抗体などの自己抗原に対する自己抗体の産生を含み得る。
【0007】
SLEは、任意の臓器系に影響を与えることができ、重度の組織損傷を引き起こし得る。未処置のループスは、皮膚および関節の発作から肺、心臓、および腎臓を含む臓器に進行するため、致命的となり得、ループス腎炎(LN)と呼ばれる腎疾患が主な懸念事項である。ループスは主に一連の再燃として現れ(「活動性疾患」)、その間に疾患の発現がほとんどまたはまったくない期間がある(「非活動性疾患」)。
【0008】
LNは、SLEにおける病原性に関連する最も急性の損傷の領域の1つであり、疾患の死亡率および罹患率の少なくとも50%を占める。LNは、免疫病因を促進する複数の異なる免疫細胞タイプを伴う不均一な疾患である。図1。現在、SLEまたはLNと診断された患者に対する完全な根治的処置はない。実用的な観点から、医者は一般的に、高用量のコルチコステロイド、例として、プレドニゾン、またはアザチオプリンまたはシクロホスファミドなどの多数の強力な免疫抑制薬を用いる(これらは頻繁な再燃の期間中に与えられるが、頻繁な再燃を経験した人のために持続的に与えられることもある)。症状を低減し、寿命を延ばす有効な処置を行っても、これらの薬物の多くは重度に有害な副作用を有し、慎重な管理を必要とする。加えて、いくつかの患者はステロイド処置に耐性または抵抗性である。
【0009】
LN疾患管理の複雑さをさらに増すのは、疾患の上記の動的な性質である。例えば、LN免疫病因は、T次いでB細胞駆動型疾患の種々の段階を経て患者において動的に進行し、いつ疾患の病因が、例として、よりT細胞駆動型であるかを理解することで、治療的介入が成功する可能性が最も高い時期を一時的に知ることができる(T細胞が免疫応答を開始しているとき、疾患の進行は早い段階で予防可能であり得るため)。さらに、病理の根底にある機構を理解することで、有効である可能性が最も高い処置のタイプについて知ることができ、よって、一般的な免疫抑制剤または化学治療で免疫系全体をただ単に非特異的にオフまたはダウンするのではなく、根底にある疾患を処置する標的治療を可能にする。
【0010】
B細胞単独を標的とする薬物は、LNの処置において有意または一貫した有効性を示すことができず、T細胞標的治療は利益を示したが、それらの使用は、疾患の不均一性に起因し得、そして、疾患が活動性であるか非活動性であるかに関する信頼できる情報が欠如しているため、最適な処置計画に満たないことに起因し得る毒性によって限定される。
【0011】
肝生検は、LNの疾患状態および進行についてある程度知らせる可能性があるが、それらはまれな使用に限定され、疾患はサンプリングされた臓器全体に均等に分布しない可能性があるため、それらは様々な結果に影響を受けやすい。血液マーカーはいくつかの適応症に好適であり得るが、組織において局所的に起こっている生物学を常に示すとは限らない。
【0012】
そのため、有害な副作用がより少ない、LNに対するより有効な処置の必要性が残っている。加えて、患者が活動性の病状にあるか、または非活動性の状態から活動性の病状に移行しているときを有効に知らせるために、SLEおよびLNの疾患の進行をモニタリングする方法の必要性が残っている。さらに、SLEまたはLNの特定の治療で処置可能であり得る患者を同定するための精密治療方法について当該技術分野において大きな必要性があり、その結果、強力な免疫抑制剤および化学療法剤で処置するショットガンアプローチを利用する必要性が低減または排除され得る。本開示は、これらの欠陥に対処する。
【発明の概要】
【0013】
本発明の概要
本開示は、特定の処置の候補であると決定された対象のあるサブセットにおける炎症性または自己免疫疾患または障害(SLEまたはLNなど)を処置する方法に関する。特定の態様は、CD6-ALCAM経路のインヒビターによる処置の候補であると決定された対象のあるサブセットにおける炎症性または自己免疫疾患または障害(SLEまたはLNなど)を処置する方法に関する。
【0014】
いくつかの態様において、本発明は、対象がCD6-ALCAM経路阻害に対して感受性があるループス腎炎の形態を有するかどうかを同定するための方法を提供し、該方法は、対象が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを示すかどうかを決定することを含む。
【0015】
いくつかの態様において、本発明は、ループス腎炎をCD6-ALCAM経路インヒビターで処置するための方法を提供し、該方法は、以下:
(a)ループス腎炎を有する、または有すると疑われる対象から得られた生体試料が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを含むかどうかを決定すること;および
(b)生体試料が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを含む場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与することを含む。
【0016】
いくつかの態様において、本発明は、ループス腎炎を有する対象を処置するためにCD6-ALCAM経路インヒビターを使用するための方法を提供し、該方法は、以下のステップ:
(a)対象が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを示すかどうかを決定すること;および
(b)対象が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを示す場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与することを含む。
【0017】
いくつかの態様において、本発明は、対象をCD6-ALCAM経路インヒビターで処置するための方法を提供し、ここで、対象はループス腎炎を有し、該方法は、以下のステップ:
(a)対象がCD6-ALCAM経路インヒビター感受性の疾患を有するかどうかを以下:
(b)対象から生体試料を得ること、または得たこと;および
(c)試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを示すかどうかを決定するために、生体試料に対してアッセイを実施すること、または実施したこと
によって決定すること;および
(d)対象が、上昇した可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質を有する場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与することを含む。
【0018】
いくつかの態様において、本発明は、対象がCD6-ALCAM経路阻害に対して感受性がある炎症性または自己免疫疾患を有するかどうかを同定するための方法を提供し、該方法は、対象が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを示すかどうかを決定することを含む。
【0019】
いくつかの態様において、本発明は、炎症性または自己免疫疾患をCD6-ALCAM経路インヒビターで処置するための方法を提供し、該方法は、以下:
(a)炎症性または自己免疫疾患を有する、または有すると疑われる対象から得られた生体試料が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを含むかどうかを決定すること;および
(b)生体試料が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを含む場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与することを含む。
【0020】
いくつかの態様において、本発明は、炎症性または自己免疫疾患を有する対象を処置するためにCD6-ALCAM経路インヒビターを使用するための方法を提供し、該方法は、以下のステップ:
(a)対象が、上昇した可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質を示すかどうかを決定すること;および
(b)対象が、上昇した可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質を示す場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与することを含む。
【0021】
いくつかの態様において、本発明は、対象をCD6-ALCAM経路インヒビターで処置するための方法を提供し、ここで、対象は炎症性または自己免疫疾患を有し、該方法は、以下のステップ:
(a)対象がCD6-ALCAM経路インヒビター感受性の疾患を有するかどうかを以下:
(b)対象から生体試料を得ること、または得たこと;および
(c)試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを示すかどうかを決定するために、生体試料に対してアッセイを実施すること、または実施したこと
によって決定すること;および
(d)対象が、上昇した可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質を有する場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与することを含む。
【0022】
いくつかの態様において、本発明は、対象がCD6-ALCAM経路阻害に対して感受性があるループス腎炎の形態を有するかどうかを同定するための方法を提供し、該方法は、対象がCD6および/またはALCAMポリヌクレオチドの上昇したレベルを示すかどうかを決定することを含む。ある態様において、前記方法は、ALCAMまたはCD6ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのメッセンジャーRNA(mRNA)発現のレベルを決定することを含む。
【0023】
いくつかの態様において、本発明は、ループス腎炎をCD6-ALCAM経路インヒビターで処置するための方法を提供し、該方法は、以下:
(a)ループス腎炎を有する、または有すると疑われる対象から得られた生体試料が、対象がCD6および/またはALCAM mRNAの上昇したレベルを示すかどうかを決定することを含む前記方法の上昇したレベルを含むかどうかを決定すること、および
(b)生体試料が、CD6および/またはALCAM mRNAの上昇したレベルを含む場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与することを含む。
【0024】
様々な態様において、用語「CD6 mRNA」および「ALCAM mRNA」は、CD6またはALCAMポリペプチドをコードするmRNAポリペプチドを指すために本明細書にそれぞれ使用される。
【0025】
いくつかの態様において、本発明は、ループス腎炎を有する対象を処置するためにCD6-ALCAM経路インヒビターを使用するための方法を提供し、該方法は、以下のステップ:
(a)対象が、CD6および/またはALCAM mRNAの上昇したレベルを示すかどうかを決定すること;および
(b)対象が、CD6および/またはALCAM mRNAの上昇したレベルを示す場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与することを含む。
【0026】
いくつかの態様において、本発明は、対象をCD6-ALCAM経路インヒビターで処置するための方法を提供し、ここで、対象はループス腎炎を有し、該方法は、以下のステップ:
(a)対象がCD6-ALCAM経路インヒビター感受性の疾患を有するかどうかを以下:
(b)対象から生体試料を得ること、または得たこと;および
(c)試料が、CD6および/またはALCAM mRNAの上昇したレベルを示すかどうかを決定するために生体試料に対してアッセイを実施すること、または実施したこと
によって決定すること;および
(d)対象が、CD6および/またはALCAM mRNAの上昇したレベルを有する場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与することを含む。
【0027】
いくつかの態様において、本発明は、対象がCD6-ALCAM経路阻害に対して感受性がある炎症性または自己免疫疾患を有するかどうかを同定するための方法を提供し、該方法は、対象がCD6および/またはALCAM mRNAの上昇したレベルを示すかどうかを決定することを含む。
【0028】
いくつかの態様において、本発明は、炎症性または自己免疫疾患をCD6-ALCAM経路インヒビターで処置するための方法を提供し、該方法は、以下:
(a)炎症性または自己免疫疾患を有する、または有すると疑われる対象から得られた生体試料が、CD6および/またはALCAM mRNAの上昇したレベルを含むかどうかを決定すること;および
(b)生体試料が、CD6および/またはALCAM mRNAの上昇したレベルを含む場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与することを含む。
【0029】
いくつかの態様において、本発明は、炎症性または自己免疫疾患を有する対象を処置するためにCD6-ALCAM経路インヒビターを使用するための方法を提供し、該方法は、以下のステップ:
(a)対象が、上昇したCD6および/またはALCAM mRNAを示すかどうかを決定すること;および
(b)対象が、上昇したCD6および/またはALCAM mRNAを示す場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与することを含む。
【0030】
いくつかの態様において、本発明は、対象をCD6-ALCAM経路インヒビターで処置するための方法を提供し、ここで、対象は炎症性または自己免疫疾患を有し、該方法は、以下のステップ:
(a)対象がCD6-ALCAM経路インヒビター感受性の疾患を有するかどうかを以下:
(b)対象から生体試料を得ること、または得たこと;および
(c)試料がCD6および/またはALCAM mRNAの上昇したレベルを示すかどうかを決定するために、生体試料に対してアッセイを実施すること、または実施したこと
によって決定すること;および
(d)対象が、CD6および/またはALCAM mRNAの上昇したレベルを有する場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与することを含む。
【0031】
いくつかの態様において、本明細書に開示の方法のいずれか1つは、EQ001であるCD6-ALCAM経路インヒビターを含み得る。
【0032】
いくつかの態様において、本明細書に開示の方法のいずれか1つは、抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントであるCD6-ALCAM経路インヒビターを含み得る。いくつかの態様において、抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントは、ヒト化抗体である。いくつかの態様において、抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントは、CD6上のドメイン1または3へ結合する。いくつかの態様において、抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントは、CD6上のドメイン3へ結合する。いくつかの態様において、抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントは、EQ001、ALZUMAb、UMCD6 mAb、イトリズマブ、T1h、表1に記載の抗CD6抗体、および本明細書に開示の抗CD6抗体からなる群から選択される。いくつかの態様において、抗CD6モノクローナル抗体は、寄託番号ECACC 96112640としてECACCに寄託された分泌ハイブリドーマIOR-T1Aによって産生される抗体;該分泌ハイブリドーマによって産生される該抗体と同じ配列を有する抗体;または該分泌ハイブリドーマによって産生される該抗体の同じCDR配列を有する抗体である。いくつかの態様において、抗原結合性フラグメントは、Fv、Fab、CDRl、CDR2、CDR3、CDRの組み合わせ、可変領域、重鎖(単数または複数)、および軽鎖(単数または複数)から選択される。いくつかの態様において、抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントは、配列番号5~10から選択される1以上のCDR配列を含む。いくつかの態様において、抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントは、配列番号1および2で表されるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域を含む。いくつかのかかる態様において、配列番号1および2は、それぞれ配列番号3および4のヌクレオチド配列によってコードされる。いくつかの態様において、抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントは、配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、または95%同一であるVH配列を含む。いくつかの態様において、抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントは、配列番号2で表されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、または95%同一であるVK配列を含む。いくつかの態様において、抗CD6抗体、またはその抗原結合性フラグメントは、配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるVH配列および配列番号2で表されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるVK配列を含む。
【0033】
いくつかの態様において、血液、血清、尿、唾液、CSF、BALF、および糞便から選択される試料は、開示された方法に従って可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルについて分析される。いくつかの態様において、かかる試料は、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベル(例として、患者からの以前の試料と比較して、または正常な非罹患患者または非罹患患者において通常見られるタンパク質の参照レベルと比較して、上昇したレベル)を示す。いくつかの態様において、尿試料は、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベル(例として、患者からの以前の試料と比較して、または正常な非罹患患者または非罹患患者において通常見られるタンパク質の参照レベルと比較して、上昇したレベル)を示す。
【0034】
いくつかの態様において、本明細書に開示の方法のいずれか1つにおいて、対象は、ループス腎炎を有し得る。いくつかの態様において、本明細書に開示の方法のいずれか1つにおいて、ループス腎炎を有する対象は、ループス腎炎を有さない個体と比較して、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを有する。
【0035】
いくつかの態様において、本明細書に開示の方法のいずれか1つにおいて、炎症性または自己免疫疾患を有する対象は、炎症性または自己免疫疾患を有さない個体と比較して、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを有する。
【0036】
いくつかの態様において、本明細書に開示の方法のいずれか1つにおいて、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルは、対象からの第1および1以上の第2の試料において決定される。ある態様において、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルは、第1の試料において存在した可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルと比較して、第2の試料において上昇している。ある態様において、第2の試料におけるかかる可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルは、対象における活動性疾患を示す。ある態様において、第2の試料における可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの減少は、対象における活動性疾患から受動性疾患への移行を示す。
【0037】
いくつかの態様において、第1の試料と比較して、第2の試料における可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの閾値増加は、対象における受動性疾患から活動性疾患への移行を示す。いくつかの態様において、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルは、第1の試料において存在した可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルと比較して、第2の試料において上昇しない。いくつかの態様において、第2の試料における可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルは、対象がループス腎炎または任意の炎症性または自己免疫疾患を有さないことを示す。いくつかの態様において、CD6および/またはALCAMのレベルは、数日、数週間、数ヶ月、または数年の時間経過にわたって対象から得られた複数の第2の試料において測定される。
【0038】
いくつかの態様において、本明細書に開示の方法のいずれか1つにおいて、CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルは、シングルプレックスELISA;マルチプレックスELISA、FACSをベースとした検出によるビーズベースの免疫捕獲;ELISAベースの検出によるビーズベースの免疫捕獲;化学発光ベースの検出によるビーズベースの免疫捕獲;メソスケール診断(MSD);定量的ウェスタンブロット;高速液体クロマトグラフィー(HPLC);およびそれらの組み合わせから選択される方法を使用して検出される。
【0039】
いくつかの態様において、本明細書に開示の方法のいずれか1つにおいて、検出されるCD6および/またはALCAMタンパク質は、全長タンパク質である。いくつかの態様において、検出されるCD6および/またはALCAMタンパク質は、全長タンパク質のフラグメントである。いくつかの態様において、検出される全長CD6タンパク質のフラグメントは、CD6の細胞外ドメイン全体、またはCD6の細胞外ドメインの一部を含む。
【0040】
いくつかの態様において、本明細書に開示の方法のいずれか1つにおいて、方法は、EQ001を対象へ投与することを含み得る。特定の態様において、対象が、本明細書に開示の方法に従って活動性疾患を有すると決定される場合、および/または、本明細書に開示の方法に従って、対象が、CD6-ALCAM経路阻害に対して感受性があるループス腎炎または炎症性または自己免疫疾患の形態を有すると決定される場合、本明細書に開示の方法は、EQ001を対象へ投与することを含み得る。いくつかの態様において、方法は、追加の治療剤を投与することをさらに含む。いくつかの態様において、追加の治療剤は、ステロイドまたは免疫抑制薬である。いくつかの態様において、ステロイドは、コルチコステロイドである。いくつかの態様において、コルチコステロイドは、プレドニゾンである。いくつかの態様において、剤は、ミコフェノラートおよびシクロホスファミドから選択される。
【0041】
いくつかの態様において、本発明は、ループス腎炎を有する対象の予後を予測する方法を提供し、該方法は、以下のステップ:
(a)数日、数週間、数ヶ月、または数年の時間経過にわたって対象から複数の生体試料を得ること、または得たこと;および
(b)試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な変化があるかどうかを決定するために、生体試料の各々に対してアッセイを実施すること、または実施したこと;
を含み、ここで、
(i)試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な増加を示す場合、次いで予後は不良であると決定される;
(ii)試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な変化を示さない場合、次いで予後は中立であると決定される;および
(iii)試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な減少を示す場合、次いで予後は良好であると決定される。
【0042】
いくつかの態様において、本発明は、炎症性または自己免疫疾患を有する対象の予後を予測する方法を提供し、該方法は、以下のステップ:
(a)数日、数週間、数ヶ月、または数年の時間経過にわたって対象から複数の生体試料を得ること、または得たこと;および
(b)試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な変化があるかどうかを決定するために、生体試料の各々に対してアッセイを実施すること、または実施したこと;
を含み、ここで、
(i)試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な増加を示す場合、次いで予後は不良であると決定される;
(ii)試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な変化を示さない場合、次いで予後は中立であると決定される;および
(iii)試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な減少を示す場合、次いで予後は良好であると決定される。
【0043】
いくつかの態様において、本発明は、
(a)対象からの試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第1の濃度を決定すること;
(b)活動性ループス腎炎を有さない対照者、または対照者の集団からの同様の試料においてそれぞれ存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第2の濃度、または平均濃度を決定すること;および
(c)第1の濃度が第2の濃度よりも大きい場合、対象が活動性腎炎を有すると決定すること
を含む、対象が活動性ループス腎炎を有するかどうかを決定する方法を提供する。
【0044】
いくつかの態様において、本発明は、
(a)対象からの試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第1の濃度を決定すること;
(b)活動性ループス腎炎を有さない対照者、または対照者の集団からの同様の試料においてそれぞれ存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第2の濃度、または平均濃度を決定すること;および
(c)第1の濃度が第2の濃度よりも大きい場合、対象が活動性腎炎を有すると決定すること
を含む、対象が活動性炎症性または自己免疫疾患を有するかどうかを決定する方法を提供する。
【0045】
いくつかの態様において、本発明は、
(a)対象からの第1の試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第1の濃度を決定すること;ここで、第1の試料は、対象が非活動性ループス腎炎を有するときに対象から得られる;
(b)対象からの1以上の第2の試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第2の濃度を決定すること;ここで、各第2の試料は、第1の試料が得られた後に対象から得られる;および
(c)可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第2の濃度が第1の濃度よりも大きい場合、対象が活動性ループス腎炎を有するか、または活動性腎炎に移行していると決定すること
を含む、対象が非活動性ループス腎炎から活動性ループス腎炎へ移行したかどうかを決定する方法を提供する。
【0046】
いくつかの態様において、本発明は、
(a)対象からの第1の試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第1の濃度を決定すること;ここで、第1の試料は、対象が非活動性ループス腎炎を有するときに対象から得られる;
(b)対象からの1以上の第2の試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第2の濃度を決定すること;ここで、各第2の試料は、第1の試料が得られた後に対象から得られる;および
(c)可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第2の濃度が第1の濃度よりも大きい場合、対象が活動性ループス腎炎を有するか、または活動性腎炎に移行していると決定すること
を含む、対象が非活動性炎症性または自己免疫疾患から活動性炎症性または自己免疫疾患に移行したかどうかを決定する方法を提供する。
【0047】
いくつかの態様において、本明細書に開示の方法のいずれか1つは、対象が活動性LNを有するか、または活動性LNに移行している場合、EQ001を対象へ投与することをさらに含み得る。いくつかの態様において、方法は、追加の治療剤を投与することをさらに含む。いくつかの態様において、追加の治療剤は、ステロイドまたは免疫抑制薬である。いくつかの態様において、ステロイドは、コルチコステロイドである。いくつかの態様において、コルチコステロイドは、プレドニゾンである。いくつかの態様において、剤は、ミコフェノラートおよびシクロホスファミドから選択される。
【0048】
いくつかの態様において、本明細書に開示の方法のいずれか1つにおいて、CD6-ALCAM経路インヒビターは、非経口送達によって投与される抗CD6モノクローナル抗体である。
【0049】
いくつかの態様において、本明細書に開示の方法のいずれか1つにおいて、CD6-ALCAM経路インヒビターは、薬学的に許容し得る担体とともに投与される抗CD6モノクローナル抗体である。
【0050】
いくつかの態様において、本明細書に開示の方法のいずれか1つにおいて、抗CD6抗体は、ヒト化抗体である。
【0051】
本明細書に記載の様々な態様の特性の1つ、いくつか、またはすべてを組み合わせて、本発明の他の態様を形成することができることを理解されたい。本発明のこれらおよび他の側面は、当業者に明らかになるであろう。
【0052】
配列の簡単な記載
配列番号1:EQ001 VH配列のアミノ酸配列
【0053】
配列番号2:EQ001 VK配列のアミノ酸配列
【0054】
配列番号3:EQ001 VH配列のヌクレオチド(DNA)配列
【0055】
配列番号4:EQ001 VK配列のヌクレオチド(DNA)配列
【0056】
配列番号5:EQ001 VH CDR1のアミノ酸配列
【0057】
配列番号6:EQ001 VH CDR2のアミノ酸配列
【0058】
配列番号7:EQ001 VH CDR3のアミノ酸配列
【0059】
配列番号8:EQ001 VK CDR1のアミノ酸配列
【0060】
配列番号9:EQ001 VK CDR2のアミノ酸配列
【0061】
配列番号10:EQ001 VK CDR3のアミノ酸配列
【図面の簡単な説明】
【0062】
図面の簡単な記載
図1図1.ループス腎炎における不均一性。LN腎臓生検の分析は、患者による浸潤性免疫細胞集団の違いを強調する。
【0063】
図2図2 CD6標的治療に応答するLN患者の同定。LNの固有の不均一性に基づき、他の患者よりも有効にCD6標的治療に応答する患者のあるサブセットが同定される。
【0064】
図3A図3 腎組織内でのCD6およびALCAMの発現。図3A~3Dは、LNおよび対照対象の尿試料から得られた凍結した腎組織試料または細胞から得られた公的に利用可能な(Arazi 2019)単細胞RNA Seqデータのde novo分析を示す。図3Aは、腎細胞タイプ全体にわたるCD6およびALCAMの発現を示す。
図3B図3Bは、LNおよび対照対象から得られた腎生検から単離された上皮細胞および浸潤性白血球におけるCD6およびALCAMの発現、ならびにLN患者から収集された尿白血球におけるCD6およびALCAMの発現を示す。
図3C図3Cは、健康な患者からの対照試料におけるCD6発現と比較した、疾患の異なる段階のLN患者から得られた試料における腎臓のCD6発現を示す。
図3D図3Dは、健康な患者またはLN患者からの試料におけるCD6陽性T細胞、ALCAM陽性尿細管、およびALCAM陽性マクロファージの数を示す。
【0065】
図4A図4 LN患者における尿ALCAMレベルの上昇。図4Aは、活動性LN、活動性非腎SLE、非活動性SLE、および健康対照を有する患者から得られた尿試料におけるALCAMレベル(pg/ml)を示す。
図4B図4Bは、LNのバイオマーカーとしての尿ALCAMタンパク質検出の性能を示す。
【0066】
図5A-D】図5 複数の民族性および多様な疾患活性のSLE患者からの尿ALCAMタンパク質レベル。図5A~5D:Crで正規化された尿ALCAMは、複数の民族性の活動性LN患者、および多様な疾患活性を有する識別された患者において有意に上昇した。
図5E-G】図5E~5G:尿ALCAMは、SLEDAI、SLEDAIの腎ドメインおよびPGAを含むいくつかの臨床パラメータとよく相関した。HC、健康対照、ANR、活動性の非腎ループス;AR、活動性の腎ループス。
【0067】
図6図6 ALCAM(CD166)およびCD6の腎発現は、SLE疾患マウスにおいて増加している。腎炎を有する生後6ヶ月のMRL/lprマウス、および腎炎を有さない対照C57BL/6マウスから採取された腎臓は、骨髄マーカーCD11bまたはT細胞マーカーCD6およびCD3を含む示される他のマーカーとともに、ALCAM(CD166、赤色、図6Aおよび図6B)およびCD6(赤色、図6C)について染色された。MRL/lprマウスの糸球体に浸潤するマクロファージは、ALCAM+であり、図6Aにおいて白色の矢印で示されている。CD6+T細胞浸潤は、図6Cにおいて白色の矢印で示されている)。画像は、1つの群あたり3匹のマウスを表す。
【0068】
図7図7 MRL/lprモデルを使用する実験の研究設計。
【0069】
図8A-G】図8 CD6遮断は、SLEのモデルにおいて、疾患および活性化された腎浸潤性T細胞の数を低減する。図8Aは、ウリスティックス(uristix)によって測定された長期的なタンパク尿を示す。図8Bは、尿アルブミン:クレアチニン比によって測定されたタンパク尿を示す。図8Cは、末端血清における血液尿素窒素(BUN)レベルによって測定された腎臓機能を示す。図8Dは、処置群ごとの生存を描くカプランマイヤー曲線を示す。図8E~8Fはリンパ節腫脹を示す。図8Eは、終了時の左右の鼠径リンパ節の体積測定の平均によるリンパ節腫脹の評価を示す。図8Fは、リンパ節腫脹をスコアリングすることによるリンパ節腫脹の評価を示す。図8Gは、腎臓浸潤性免疫細胞の頻度を示し、終了時のT細胞は、抗mCD6処置によって低減される。
図8H-I】図8Hは、終了時の腎臓における総、エフェクター/メモリー(CD44+)、および活性化(CD25+CD69+)CD4T細胞の数を示す。図8Iは、終了時の腎臓における総およびエフェクター/メモリー(CD44+)CD8T細胞の数を示す。図8のすべての図について、****p<0.0001;***p<0.001;**p<0.01;p<0.05。
【0070】
図9図9.CD6遮断は、腎臓の病理を減少させる。糸球体(図9A)および腎尿細管(図9B)の組織学的なスコアリングは、盲検化された病理学者によって行われ、糸球体の病理の有意な改善を示した。***p<0.001;**p<0.01;p<0.05。
【0071】
図10図10.CD6遮断は、SLEの皮膚症状を改善する。図10Aは、皮膚組織の組織学的な検査を示す。図10Bは、終了時の皮膚病変の肉眼的なスコアリングを示す。
【0072】
図11図11.CD6遮断は、皮膚における浸潤性リンパ球を減少させる。MRL/lprマウスからの皮膚組織切片は、マクロファージ(緑色)、C3(赤色)、およびIgG(オレンジ色)について染色された。図11Aは、アイソタイプ対照で処置されたMRL/lprマウスからの試料の染色を示す。図11Bは、抗mCD6抗体で処置されたMRL/lprマウスからの試料の染色を示す。図11Cは、MPJ健康対照マウスからの試料の染色を示す。
【0073】
図12A図12.腎毒性血清腎炎(NTN)の促進マウスモデルにおけるCD6遮断によるSLE/ループス腎炎(LN)の処置。図12Aは、実験的処置スケジュールを示す。
図12B-D】図12Bは、ビヒクルおよび抗mCD6抗体で処置された動物からの腎組織の組織切片を示す。図12Cは、熟達した腎臓病理学者によって0~4までのスケールで評価された、管内増殖、半月体、および沈着物についての糸球体切片の盲検化されたスコアリングを示す。図12Dは、熟達した腎臓病理学者によって0~4までのスケールで評価された、尿細管円柱および間質性炎症についての尿細管切片の盲検化されたスコアリングを示す。
図12E-G】図12Eは、ウリスティックスによって測定された長期的なタンパク尿を示す。図12Fは、尿アルブミン:クレアチニン比を示す。図12Gは、終了時(11日目)の血清血液尿素窒素レベル(右パネル)を示す。12E~12Gのデータは、2つの独立した実験を表す。
【0074】
図13図13.CD6遮断は、腎炎における腎サイトカインレベルを減少させる。図13Aは、腎臓組織におけるVCAMのmRNA発現レベルを示す。図13Bは、腎臓組織におけるCCL5/RantesのmRNA発現を示す。図13Cは、マルチプレックス、フローサイトメトリーをベースとした検出によって評価された、腎臓における炎症性サイトカインのタンパク質レベルを示す。
【0075】
図14図14.CD6遮断は、腎組織への免疫浸潤を低減する。免疫細胞浸潤に対する抗mCD6処置の効果を評価するために、フローサイトメトリーが腎臓で行われた。図14Aは、抗CD6処置マウス対アイソタイプおよびビヒクル対照マウスの両方における免疫細胞蓄積(CD45+)の相対的な数を示す。図14B~14Dは、炎症性骨髄細胞を示す。図14Bは、単球(CD11b+)の相対的な数を示す。図14Cは、炎症性マクロファージの相対的な数を示す。図14Dは、好中球の相対的な数を示す。図14E~14Fは、T細胞集団の相対的な数を示す。図14Eは、CD3+T細胞の相対的な数を示す。図14Fは、活性化されたCD4(CD25+CD69+)T細胞の相対的な数を示す。
【0076】
図15図15.CD6-ALCAM経路は、SLEのNZB/W F1およびB6.Sle1yaaモデルにおいて活動性である。図15Aは、ALCAM(尿クレアチニンレベルに正規化)が、疾患発症後(12ヶ月)対疾患前(≦6ヶ月)のNZB/W F1マウスにおいて増加することを示す。図15Bは、ALCAM(尿クレアチニンレベルに正規化)が、疾患発症後(6ヶ月)対疾患前(≦3ヶ月)のB6.Sley1aaマウスにおいて増加することを示す。図15Cは、26週(約6ヶ月)から始まるNZB/W F1メスマウスの抗mCD6による処置が、腎機能の重要な尺度であるタンパク尿を減少させることを示す。
【0077】
本発明の詳細な記載
一般的な方法
本発明の実施は、特に反対に示されない限り、当業者の範囲内での分子生物学の従来の方法および組換えDNA技術を用い、それらの多くは、説明の目的で以下に記載される。かかる技術は、文献において完全に説明されている。例として、Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3rd Edition, 2000); DNA Cloning: A Practical Approach, vol. I & II (D. Glover, ed.); Oligonucleotide Synthesis (N. Gait, ed., 1984); Oligonucleotide Synthesis: Methods and applications (P. Herdewijn, ed., 2004); Nucleic Acid Hybridization (B. Hames & S. Higgins, eds., 1985); Nucleic Acid Hybridization: Modern applications (Buzdin and Lukyanov, eds., 2009); Transcription and Translation (B. Hames & S. Higgins, eds., 1984); Animal Cell Culture (R. Freshney, ed., 1986); Freshney, R.I. (2005) Culture of Animal Cells, a Manual of Basic Technique, 5th Ed. Hoboken NJ, John Wiley & Sons; B. Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning (3rd Edition 2010); Farrell, R., RNA Methodologies: A Laboratory Guide for Isolation and Characterization (3rd Edition 2005). Poly(ethylene glycol), Chemistry and Biological Applications, ACS, Washington, 1997; Veronese, F., and J.M. Harris, Eds., Peptide and protein PEGylation, Advanced Drug Delivery Reviews, 54(4) 453-609 (2002); Zalipsky, S., et al., “Use of functionalized Poly(Ethylene Glycols) for modification of polypeptides” in Polyethylene Glycol Chemistry: Biotechnical and Biomedical Applicationsを参照。上記の刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示のためにのみ提供されている。本明細書のいかなるものも、本発明が先行発明のためにかかる開示に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0078】
定義
別様に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または同等の任意の方法および材料が本発明の実施または試験において使用され得るが、好ましい方法および材料が記載されている。本発明の目的のために、以下の用語が以下に定義される。
【0079】
冠詞「a」および「an」は、本明細書では、冠詞の文法的な目的語の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。一例として、「an element」は、1つの要素または複数の要素を意味する。
【0080】
本開示において用語「および/または」は、別様に明記されない限り、「および」または「または」のいずれかを意味するために使用される。
【0081】
用語「例として」は、本明細書では「例えば」を意味するために使用され、記載されたステップまたは要素またはステップまたは要素の群を含むことを意味するが、他のステップまたは要素またはステップまたは要素の群を排除しないことを意味すると理解される。
【0082】
「約」は、参照分量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さに対して、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1%まで変化する分量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さを意味する。
【0083】
用語「投与すること」は、本明細書に使用されるとき、化合物などの物質(例として、医薬化合物、または抗原などの他の剤)を対象に移動、送達、導入、または輸送する任意の方法を指す。投与の方法は、経口投与、局所接触、静脈内、腹腔内、筋肉内、鼻腔内、または皮下投与を含む。1以上の治療剤などのさらなる物質と「組み合わせた」投与は、任意の順序での同時(併用)および連続的な投与を含む。
【0084】
用語「結合パートナー」は、本明細書に使用されるとき、剤が核酸分子、ペプチド、タンパク質または糖類、多糖類または脂質と、一般的に非共有結合を介して複合体を形成することを可能にするのに十分な相互作用を通じて、DNAまたはmRNA分子を含むRNA分子などの核酸分子、ならびにペプチド、タンパク質、糖類、多糖類または脂質に結合し得る分子、とりわけポリマー分子などの物質を指す。いくつかの態様において、結合パートナーは、PNA分子である。いくつかの態様において、結合パートナーは、免疫グロブリンまたは以下に定義されるような免疫グロブリン様機能を有するタンパク質性結合分子である。いくつかの態様において、結合パートナーは、アプタマーである。いくつかの態様において、結合パートナーは、特定の標的に特異的である。いくつかの態様において、結合パートナーは、複数の結合部位を含み、各結合部位は、特定の標的に特異的である。実例として、結合パートナーは、2つの結合部位を有する免疫グロブリン様機能を有するタンパク性剤であり得る。それは、例えば、抗体の抗原結合性フラグメントであり得る。それは、例えば、二重特異性の一本鎖二重特異性抗体などの二重特異性の二重特異性抗体であり得る。
【0085】
用語「担体」は、本開示において使用されるとき、担体、賦形剤、および希釈剤を含み、対象のある臓器または体の一部から対象の別の臓器または体の一部へ医薬品を運搬または輸送することに関わる、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材料などの材料、組成物またはビヒクルを意味する。
【0086】
用語「キメラ抗体」は、本明細書に使用されるとき、複数の種からの配列を含む免疫グロブリンポリペプチドまたはドメイン抗体を指す。キメラ抗体では、重鎖または軽鎖は、ヒトなどのある種からの可変領域配列およびマウスなどの別の種からの定常領域配列を含み得る。一例として、「キメラ抗体」は、別の分子、例えば、ヒト抗体に由来する定常ドメインに融合された、ラットまたはマウス抗体などの動物抗体に由来する可変領域を有する免疫グロブリンであり得る。用語「キメラ抗体」は、以下の抗体を含むことを意図する:(i)重鎖はキメラであるが、軽鎖は1つの種のみからのVおよびC領域を含む;(ii)軽鎖はキメラであるが、重鎖は1つの種のみからのVおよびC領域を含む;および(iii)重鎖および軽鎖の両方がキメラである。
【0087】
「有効量」は、化合物に関連して使用されるとき、所望される応答を引き出すのに必要な、抗CD6抗体(例として、EQ001)などの化合物の量である。いくつかの態様において、所望される応答は、(例として、対象における)生物学的応答である。いくつかの態様において、化合物(例として、抗CD6抗体)は、対象において生物学的応答をもたらすために有効量で対象に投与され得る。いくつかの態様において、有効量は「治療有効量」である。
【0088】
用語「治療有効量」および「治療用量」は、本明細書では互換的に使用され、抗CD6抗体(例として、EQ001)などの化合物の量を指し、これは、本明細書に記載の対象における疾患または障害を処置するための対象への投与後に有効である。
【0089】
用語「予防的有効量」は、本明細書では、本明細書に記載の対象における疾患または障害の発病を予防または遅延させるために、対象への投与後に有効である抗CD6抗体(例として、EQ001)などの化合物の量を指すために使用される。
【0090】
この点に関し、「ヒト化抗体」は、本明細書に使用されるとき、ヒト抗体の構造要素および非ヒト抗体の抗原結合部位を含む免疫グロブリンポリペプチドまたはドメイン抗体である。「ヒト化抗体」は、それらが由来する非ヒト抗体からの最小数の残基を含む。例えば、それらは、非ヒト抗体のCDR領域のみ、または非ヒト抗体の超可変領域を構成するそれらの残基のみを含み得る。それらはまた、非ヒト抗体の構造を模倣するために、または立体障害を最小限にするために必要な残基など、非ヒトポリペプチドの可変領域の外側からのある残基を含み得る。典型的には、ヒト化抗体は、ヒトフレームワーク、非ヒト抗体からの少なくとも1つのCDRを含み、存在する任意の定常領域は、ヒト免疫グロブリン定常領域と実質的に同一、すなわち、少なくとも約85~90%(少なくとも95%など)同一である。ゆえに、いくつかの場合において、おそらくCDRを除いて、ヒト化免疫グロブリンのすべての部分が、1以上のネイティブなヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一である。加えて、ヒト化抗体は、ヒトまたは非ヒト抗体のいずれにも対応しない残基を含み得る。
【0091】
本明細書に使用されるとき、用語「抗体フラグメント」は、全長形態以外の任意の形態の抗体を指す。本明細書の抗体フラグメントは、全長抗体内に存在するより小さな構成要素である抗体、および操作された抗体を含む。抗体フラグメントは、Fv、Fc、Fab、および(Fab’)2、一本鎖Fv(scFv)、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、二機能性ハイブリッド抗体、CDR1、CDR2、CDR3、CDRの組み合わせ、可変領域、フレームワーク領域、定常領域、重鎖、軽鎖、代替スキャフォールド非抗体分子、および二重特異性抗体を含むが、これらに限定されない。特に明記しない限り、用語「抗体(単数)」または「抗体(複数)」を使用する陳述および請求項は、具体的に言うと「抗体フラグメント(単数)」および「抗体フラグメント(複数)」を含み得る。
【0092】
用語「VH」は、本明細書では、抗体の可変重鎖を示すために使用される。
【0093】
用語「VK」は、本明細書では、抗体の可変軽鎖を示すために使用される。
【0094】
抗体に関する用語「抗原結合性フラグメント」は、親全長抗体が結合する抗原に対する結合親和性を保持する任意の抗体フラグメントを指し、抗原結合性フラグメントは、Fv、Fab、(Fab’)2、scFv、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、二機能性ハイブリッド抗体、CDR1、CDR2、CDR3、CDRの組み合わせ、可変領域、重鎖、軽鎖、および二重特異性抗体を含むが、これらに限定されない。
【0095】
本明細書全体を通して、文脈が別段の定めをしない限り、語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」および「含む(comprising)」は、記載されたステップまたは要素またはステップまたは要素の群を含むことを意味するが、他のステップまたは要素またはステップまたは要素の群を排除しないことを意味すると理解される。「からなる(consisting of)」は、句「からなる(consisting of)」に続くものを含み、これに限定されることを意味する。よって、句「からなる(consisting of)」は、列挙された要素が必要または必須であり、他の要素が存在しない可能性があることを示す。「本質的にからなる(consisting essentially of)」は、句の後に列挙された任意の要素を含むことを意味し、列挙された要素について本開示で特定された活性または作用に干渉または寄与しない他の要素に限定されることを意味する。よって、句「本質的にからなる(consisting essentially of)」は、列挙された要素が必要または必須であるが、他の要素は任意であり、それらが列挙された要素の活性または作用に重大な影響を与えるかどうかに応じて存在する場合と存在しない場合があることを示す。
【0096】
用語「調節する」は、「増加する」、「増強する」または「刺激する」、ならびに「減少する」または「低減する」を含み、典型的には、対照と比較して、統計的に有意または生理学的に有意な量である。「増加した」、「刺激された」または「増強された」量は、典型的には「統計的に有意な」量であり、組成物なし(例として、本発明の抗CD6抗体のいずれも存在しない)または対照組成物、試料または試験対象によって産生される量の1.1、1.2、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または30倍以上(例として、500、1000倍)(その間および1より大きいもののすべての整数および小数点を含む、例として、1.5、1.6、1.7、1.8など)の増加を含み得る。「減少した」または「低減した」量は、典型的には「統計的に有意な」量であり、組成物なし(剤または化合物の不在)または対照組成物によって産生される量の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%(その間にあるすべての整数を含む)の減少を含み得る。
【0097】
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書では互換的に使用され、アミノ酸残基のポリマー、およびそのバリアントおよび合成類似体を指す。よって、これらの用語は、1以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の化学的類似体などの合成の天然に存在しないアミノ酸であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーに適用される。
【0098】
「対象」または「患者」は、本明細書に使用されるとき、抗CD6抗体またはその抗原結合性フラグメントで処置または診断され得る、症状を示す、または症状を呈するリスクがある任意の動物を含む。好適な対象(患者)は、好ましくは、ヒトの患者を含む。好適な対象は、実験動物(マウス、ラット、ウサギ、またはモルモットなど)、家畜(ブタ、ウマ、ウシなど)、および飼育動物またはペット(ネコまたはイヌなど)も含む。霊長目の非ヒト動物(サル、チンパンジー、ヒヒ、アカゲザルなど)も含まれる。様々な態様において、用語「対象」および「患者」は、互換的に使用される。
【0099】
「実質的に」または「本質的に」は、ほぼ完全にまたは完全に、例えば、ある所与の分量の95%以上を意味する。
【0100】
「処置(treatment)」または「処置する(treating)」は、本明細書に使用されるとき、疾患または状態の症状または病理に対する任意の所望の効果を含み、処置される疾患または状態の1以上の測定可能なマーカーの最小限の変化または改善さえ含み得る。「処置(treatment)」または「処置する(treating)」は、必ずしも、疾患または状態、またはそれらに関連する症状の完全な根絶または治癒を示すものではない。この処置を受ける対象は、それを必要とする任意の対象である。臨床的改善の例示のマーカーは、当業者には明らかであろう。
【0101】
別様に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または同等の任意の方法、組成物、試薬、細胞が本発明の実施または試験において使用され得るが、好ましい方法および材料が本明細書に記載されている。本明細書で引用される、特許および特許出願を含むがこれらに限定されないすべての刊行物および参照は、個々の刊行物または参照の各々が完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個々に示されるかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本出願が優先権を主張する任意の特許出願もまた、刊行物および参照について上に記載の様式で、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0102】
概要
本開示は、特定の処置(例として、EQ001および/またはCD6-ALCAM経路の別のインヒビターによる処置)の候補であると決定される対象のあるサブセットにおける炎症性または自己免疫疾患または障害(SLEまたはLNなど)を処置する方法に関する。いくつかの態様において、本開示は、本明細書に開示されるかまたは当該技術分野において知られている、活動性SLE、LN、または別の炎症性または自己免疫疾患または障害を示す、および/または治療的介入に有利に応答する患者の可能性を示す、バイオマーカーとしての可溶性CD6タンパク質、可溶性ALCAMタンパク質、またはその両方の使用を提供する。本発明は、高可溶性CD6タンパク質、高可溶性ALCAMタンパク質、またはその両方の、活動性T細胞駆動性の炎症性または自己免疫疾患または障害(SLEまたはLN)との相関に部分的に基づいている。炎症性または自己免疫疾患または障害(例として、SLEまたはLN)を有する、または有すると疑われる患者からの試料(例として、尿試料)におけるこれらのマーカーの一方または両方の高発現は、CD6-ALCAM経路を通じて増加したシグナリングを示し得、これは、次に異常なT細胞応答が活動性疾患の病理の根底にあり得ることを知らせる。
【0103】
CD6は、主としてヒトT細胞およびB細胞のサブセットによって、ならびにいくつかのB細胞慢性リンパ球性白血病およびニューロンによって発現される重要な細胞表面タンパク質である。CD6は、I型マクロファージのスカベンジャー受容体システインリッチドメイン(SRCR)に相同なドメインを少なくとも1つ有することによって特徴付けられるタンパク質の大きなファミリーのメンバーである。抗CD6モノクローナル抗体(mAb)を使用する遮断研究は、CD6が胸腺上皮(TE)細胞とのT細胞接着相互作用を制御することによりT細胞の発達に重要な役割を果たすことを示唆する。
【0104】
追加の研究は、CD6がT細胞活性化において重要なアクセサリー分子として機能し得ることを示した。例えば、ある抗CD6mAbはT細胞に対して直接的に分裂促進的であるが[1、2]、他のものは抗CD3、抗CD2またはホルボール12ミリスタート13アセタート(PMA)と併せてT細胞増殖を共刺激することができる[1、3、4]。T細胞活性化におけるCD6の役割のさらに追加の証拠は、CD6がT細胞活性化後にSerおよびThr残基で高リン酸化され[5、6、7]、Tyr残基でリン酸化される[8]ことを示す研究から得られる。これらおよび他の研究は、CD6を、T細胞活性化およびシグナル伝達の両方に影響を与える、in vivoでの未成熟および成熟T細胞機能の両方の重要なモジュレーターとして意味づける。
【0105】
成熟CD6タンパク質の細胞外ドメインは、3つのSRCRドメイン(以下、D1、D2、およびD3と呼ぶ)から構成される。D3は、膜近位SRCRドメインに対応し、短い33アミノ酸の茎(stalk)領域がこれに続く。これらの細胞外ドメインは、短い膜貫通ドメインとこれに続く可変長の細胞質ドメインを介して細胞膜に固定される[13]。
【0106】
未知の起源のCD6(sCD6)の可溶性形態が、健康な個体からの血清において極めて低いレベル(ピコ/ナノモル濃度範囲)で循環することが報告されている[14]。さらに、全身性炎症反応症候群[15]および原発性シェーグレン症候群[16]を有する個体では、sCD6の上昇したレベルが観察されたが、これらの事象間の直接的な機構的および機能的関係性は欠如している。報告は、sCD6がメタロプロテイナーゼのADAMファミリーのメンバーのタンパク質分解作用を介して膜結合受容体の脱落によって形成されることを示唆する。さらに、T細胞生理学におけるsCD6の機能的役割はまだ知られていないが、in vitroの結果は、sCD6がT細胞の活性化および免疫シナプスの成熟を阻害することを示唆しており、いくらかの研究者はsCD6がデコイ受容体として作用して炎症の部位の近くのバイスタンダーT細胞を不活性化すると仮定することを促す。
【0107】
ヒトIgG1定常ドメイン(CD6-Rgs)に融合されたCD6の選択された細胞外ドメインを含むCD6-免疫グロブリン融合タンパク質を使用する研究は、「活性化白血球細胞接着分子」(ALCAM)(CD166としても知られている)と呼ばれるCD6リガンドの同定およびクローニングをもたらした[9、10]。
【0108】
ALCAMは、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、5つの細胞外免疫グロブリンドメイン(2つのNH2末端、膜遠位可変(V)型(V1、V2またはD1、D2)および3つの膜近位定常-(C2)Ig型フォールド)[C1、C2、C3]、膜貫通領域、および短い細胞質尾部を含む、100~105kDのI型膜貫通糖タンパク質である。N末端ドメイン(D1)はリガンド結合にもっぱら関与するが、膜近位ドメイン(C2、C3またはD4、D5)は同種親和性相互作用に必要とされる。
【0109】
ALCAMは、膜近位SRCRドメインに対応するCD6のドメイン3へ結合する[11]。
【0110】
T細胞調節におけるCD6/ALCAM相互作用の役割の研究は、この受容体-リガンド対が、胸腺上皮細胞へのCD6発現細胞の接着を媒介することができることを示した[10]。この証拠および他の証拠は、CD6/ALCAM相互作用がT細胞の発達および活性化を調節するために重要であることを示唆する。
【0111】
その上、ALCAMの脱落も報告されており、sCD6と同様に、プロセスはADAMファミリーメタロプロテイナーゼ媒介性切断の産物であるように思われる。[17]さらに、膀胱がんを有する患者の尿において脱落ALCAMの上昇したレベルが報告されており、それは生存の予後バイオマーカーとして役立つ可能性がある。[18]その上、ある報告では、健康な患者と比較してSLE患者で上昇した尿ALCAMおよびVCAMが観察されたが、ALCAMは健康試料と比較して活動性腎試料ではそれほど高くはなく、これにより研究者はVCAMがより良好なマーカーであると結論付けた。[19]
【0112】
CD6の機能的特徴付けは不完全なままであるが、抗CD6mAbは、T細胞およびT細胞前駆体の骨髄をパージするために臨床の場において成功裏に適用されてきた。これらの知見は、CD6がin vivoでT細胞機能を調節する上で重要な役割を果たすという仮説をさらに支持する。CD6は、初期および後期のT細胞-抗原提示細胞(APC)の相互作用を媒介する免疫シナプスの一部であるとも報告されている。[12]
【0113】
米国特許第6,372,215号は、ヒトCD6(hCD6)またはヒトCD6茎ドメイン(CD6S)のSRCRドメイン3(D3)に特異的に結合し、活性化白血球細胞接着分子(ALCAM)のCD6への結合を阻害する抗体および他の結合剤を開示する。
【0114】
初期の刊行物および特許は、マウス抗CD6(IOR-T1)モノクローナル抗体の配列およびIOR-T1をT1h(ヒト化IOR-T1)にヒト化するために実施されたアミノ酸改変を開示した。米国特許第5,712,120号およびそれに相当するEP0699755は、マウスモノクローナル抗体をヒト化するための特定の方法およびIOR-T1およびT1hの配列を開示する。米国特許第6,572,857号およびその同等のEP0807125は、IOR-T1およびT1h(ヒト化IOR-T1)の配列を開示する。「モノクローナル抗体およびその方法」と題されたPCT/IN2008/00562は、NS0細胞における抗CD6抗体の産生を開示し、これは、本明細書に配列番号1および2として提供される重鎖および軽鎖配列を有する。この抗体のINN名はイトリズマブである。イトリズマブは、マウス由来のNS0細胞株およびチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で産生され、本明細書では、CHO細胞で産生されるときはその商品名EQ001で、NS0細胞で産生されるときはその商品名ALZUMAbで呼ばれる。EQ001(すなわち、CHO細胞で産生されるイトリズマブ)は、当該技術分野において「Bmab-600」としても知られている。本明細書の様々な態様において、我々は、その産生方法に関係なく、そのINN名、イトリズマブによって抗体自体を指す。よって、用語イトリズマブは、本明細書に使用されるとき、その各々がイトリズマブと同じ配列を有するALZUMAbおよびEQ001を含む。イトリズマブ(およびEQ001/ALZUMAb)の可変重(VH)および可変軽(VK)のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号1および2として本明細書に提供される。イトリズマブ(およびEQ001/ALZUMAb)のVHおよびVKのヌクレオチド(DNA)配列は、それぞれ配列番号3および4として本明細書に提供される。イトリズマブ(およびEQ001/ALZUMAb)VH CDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号5~7として提供される。イトリズマブ(およびEQ001/ALZUMAb)VK CDR1~3のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8~10として提供される。
【0115】
CD6を標的とする抗体は、少なくとも部分的に、異常なT細胞活性によって引き起こされる広範囲の疾患および状態の治療として有望であることが示されている。例えば、PCT/IN2008/000562は、ナイーブT細胞の増殖を阻害し、多発性硬化症、移植拒絶反応、リウマチ性関節炎、および乾癬を含む様々な炎症性障害を処置するためのイトリズマブの使用を開示する。実際、ALZUMAbは現在、乾癬の処置のためにインドで販売されている。さらに、ループスを処置するためのイトリズマブの使用は、PCT/IB2017/056428に開示されている。しかしながら、これらの疾患の不均一性およびT細胞、B細胞、樹状細胞、単球、および好中球によって媒介される種々の疾患形態間を循環するそれらの傾向に起因して、これらの抗体の可能性をより完全に引き出すには、より的を絞った処置治療が必要である。
【0116】
現時点では、患者が抗CD6抗体(例として、EQ001)による処置またはより一般的にはCD6-ALCAM経路のインヒビターに有利に応答する可能性が最も高い時期を決定するためにバイオマーカー戦略は臨床的に用いられていない。
【0117】
結果的に、本開示のいくつかの側面は、対象(または全体を通して互換的に「患者」)が、CD6-ALCAM経路阻害に感受性がある炎症性または自己免疫疾患を有するかどうかを同定するための方法を提供し、該方法は、対象が可溶性CD6タンパク質、可溶性ALCAMタンパク質、またはその両方の上昇したレベル(例として、尿試料などの対象から得られた生体試料における上昇したレベル)を示すかどうかを決定することを含む。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、神経炎症性疾患、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、炎症性腎臓疾患、および全身性炎症性疾患から選択される。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、炎症性腎臓疾患である。いくつかの態様において、炎症性腎臓疾患は、LN、IgA腎症、抗好中球細胞質抗体関連糸球体腎炎、自己免疫(以前は特発性)膜性腎症、抗糸球体基底膜糸球体腎炎、およびC3腎症から選択される。特定の態様において、本開示は、かかる方法を提供し、ここで、該方法は、対象が、対象から(例として、対象の尿から)得られた試料における可溶性CD6タンパク質、可溶性ALCAMタンパク質、またはその両方のレベルに基づいて、CD6-ALCAM経路阻害に対して感受性があるLNの形態を有するかどうかを同定する。可溶性CD6タンパク質、可溶性ALCAMタンパク質、またはその両方の(例として、それらの尿における)上昇したレベルを有することが見出されたLN対象(またはより一般的にはSLEまたは炎症性または自己免疫疾患の対象)は、活動性T細胞駆動性の疾患を有する可能性がより高い場合があり得る。その上、非活動性LNを有することが知られている対象(またはより一般的には非活動性SLEまたは炎症性または自己免疫疾患の対象)からの試料(例として、尿)におけるこれらのマーカーの基礎濃度を分析し、次いで続いてこれらのマーカーのレベルに変化が経時的に(例として、数日、数ヶ月、数年の間に)生じるかどうかを分析することによって、これらのマーカーの増加の初期検出は、非活動性形態から活動性形態への疾患の初期移行相を知らせ得る。これにより、臨床医は、再活性化のその初期相で疾患の進行を阻止し、よって活動性の病状への末期の移行を抑制し得るT細胞遮断治療(および/または他の治療、例として免疫抑制剤)を投与することができる。以下でさらに議論されるように、CD6-ALCAM経路インヒビターは、CD6-ALCAM経路を通じたシグナリングを遮断または減少させることができる任意の剤であり得る。かかるインヒビターは、これらに限定されないが、抗CD6抗体および抗ALCAM抗体、ならびにそれらの抗原結合フラグメントを含む。特定の態様において、CD6-ALCAM経路インヒビターはイトリズマブである。ある特定の態様において、CD6-ALCAM経路インヒビターはEQ001である。
【0118】
本開示のいくつかの側面は、炎症性または自己免疫疾患をCD6-ALCAM経路インヒビターで処置するための方法を提供し、該方法は、以下を含む:炎症性または自己免疫疾患を有する、または有すると疑われる対象から得られた生体試料が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを含むかどうかを決定すること;および生体試料が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを含む場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与すること。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、神経炎症性疾患、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、炎症性腎臓疾患、および全身性炎症性疾患から選択される。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、炎症性腎臓疾患である。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、ループス腎炎、IgA腎症、抗好中球細胞質抗体関連糸球体腎炎、自己免疫(以前は特発性)膜性腎症、抗糸球体基底膜糸球体腎炎、およびC3腎症から選択される。特定の態様において、本開示は、かかる方法を提供し、ここで、該方法は、LNをCD6-ALCAM経路インヒビターで処置するためのものであり、該方法は、以下を含む:LNを有する、または有すると疑われる対象から得られた生体試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを含むかどうかを決定すること;および生体試料が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを含む場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与すること。以下でさらに議論されるように、CD6-ALCAM経路インヒビターは、CD6-ALCAM経路を通じたシグナリングを遮断または減少させることができる任意の剤であり得る。かかるインヒビターは、これらに限定されないが、抗CD6抗体および抗ALCAM抗体、ならびにそれらの抗原結合フラグメントを含む。特定の態様において、CD6-ALCAM経路インヒビターはイトリズマブである。ある特定の態様において、CD6-ALCAM経路インヒビターはEQ001である。
【0119】
本開示のいくつかの側面は、炎症性または自己免疫疾患を有する対象を処置するためにCD6-ALCAM経路インヒビターを使用するための方法を提供し、該方法は、以下のステップを含む:対象が、上昇した可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質を示すかどうかを決定すること;および対象が、上昇した可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質を示す場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与すること。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、神経炎症性疾患、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、炎症性腎臓疾患、および全身性炎症性疾患から選択される。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、炎症性腎臓疾患である。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、ループス腎炎、IgA腎症、抗好中球細胞質抗体関連糸球体腎炎、自己免疫(以前は特発性)膜性腎症、抗糸球体基底膜糸球体腎炎、およびC3腎症から選択される。特定の態様において、本開示は、ループス腎炎を有する対象を処置するためにCD6-ALCAM経路を使用するためのかかる方法を提供し、該方法は、以下のステップを含む:対象が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを示すかどうかを決定すること;および対象が、可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを示す場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与すること。以下でさらに議論されるように、CD6-ALCAM経路インヒビターは、CD6-ALCAM経路を通じたシグナリングを遮断または減少させることができる任意の剤であり得る。かかるインヒビターは、これらに限定されないが、抗CD6抗体および抗ALCAM抗体、ならびにそれらの抗原結合フラグメントを含む。特定の態様において、CD6-ALCAM経路インヒビターはイトリズマブである。ある特定の態様において、CD6-ALCAM経路インヒビターはEQ001である。
【0120】
本開示のいくつかの側面は、対象をCD6-ALCAM経路インヒビターで処置するための方法を提供し、ここで、対象は炎症性または自己免疫疾患を有し、該方法は、以下のステップを含む:(A)対象がCD6-ALCAM経路インヒビター感受性の疾患を有するかどうかを以下:(i)対象から生体試料を得ること、または得たこと;および(ii)試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを示すかどうかを決定するために、生体試料に対してアッセイを実施すること、または実施したことによって決定すること;および(B)対象が、上昇した可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質を有する場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与すること。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、神経炎症性疾患、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、炎症性腎臓疾患、および全身性炎症性疾患から選択される。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、炎症性腎臓疾患である。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、ループス腎炎、IgA腎症、抗好中球細胞質抗体関連糸球体腎炎、自己免疫(以前は特発性)膜性腎症、抗糸球体基底膜糸球体腎炎、およびC3腎症から選択される。特定の態様において、本開示は、対象をCD6-ALCAM経路インヒビターで処置するためのかかる方法を提供し、ここで、対象はループス腎炎を有し、該方法は、以下のステップを含む:(A)対象がCD6-ALCAM経路インヒビター感受性の疾患を有するかどうかを以下:(i)対象から生体試料を得ること、または得たこと;および(ii)試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の上昇したレベルを示すかどうかを決定するために、生体試料に対してアッセイを実施すること、または実施したことによって決定すること;および(B)対象が、上昇した可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質を有する場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与すること。以下でさらに議論されるように、CD6-ALCAM経路インヒビターは、CD6-ALCAM経路を通じたシグナリングを遮断または減少させることができる任意の剤であり得る。かかるインヒビターは、これらに限定されないが、抗CD6抗体および抗ALCAM抗体、ならびにそれらの抗原結合フラグメントを含む。特定の態様において、CD6-ALCAM経路インヒビターはイトリズマブである。ある特定の態様において、CD6-ALCAM経路インヒビターはEQ001である。
【0121】
本開示のいくつかの側面は、炎症性または自己免疫疾患を有する対象の予後を予測する方法を提供し、該方法は、以下のステップを含む:(i)時間経過にわたって対象から複数の生体試料を得ること、または得たこと;および(ii)試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な変化があるかどうかを決定するために、生体試料の各々に対してアッセイを実施すること、または実施したこと;ここで、(a)試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な増加を示す場合、次いで予後は不良であると決定される;(b)試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な変化を示さない場合、次いで予後は中立であると決定される;および(c)試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な減少を示す場合、次いで予後は良好であると決定される。時間経過は任意の好適な時間経過であり得る。いくつかの態様において、時間経過は、数日、数週間、数ヶ月、または数年の経過にわたって行われる。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、神経炎症性疾患、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、炎症性腎臓疾患、および全身性炎症性疾患から選択される。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、炎症性腎臓疾患である。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、ループス腎炎、IgA腎症、抗好中球細胞質抗体関連糸球体腎炎、自己免疫(以前は特発性)膜性腎症、抗糸球体基底膜糸球体腎炎、およびC3腎症から選択される。特定の態様において、本開示は、LNを有する対象の予後予測するためのかかる方法を提供し、該方法は、以下のステップを含む:時間経過にわたって対象から複数の生体試料を得ること、または得たこと;および(ii)試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な変化があるかどうかを決定するために、生体試料の各々に対してアッセイを実施すること、または実施したこと;ここで、(a)試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な増加を示す場合、次いで予後は不良であると決定される;(b)試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な変化を示さない場合、次いで予後は中立であると決定される;および(c)試料が可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質のレベルの経時的な減少を示す場合、次いで予後は良好であると決定される。時間経過は任意の好適な時間経過であり得る。いくつかの態様において、時間経過は、数日、数週間、数ヶ月、または数年の経過にわたって行われる。かかる予後方法は、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与することをさらに含み得る。以下でさらに議論されるように、CD6-ALCAM経路インヒビターは、CD6-ALCAM経路を通じたシグナリングを遮断または減少させることができる任意の剤であり得る。かかるインヒビターは、これらに限定されないが、抗CD6抗体および抗ALCAM抗体、ならびにそれらの抗原結合フラグメントを含む。特定の態様において、CD6-ALCAM経路インヒビターはイトリズマブである。ある特定の態様において、CD6-ALCAM経路インヒビターはEQ001である。
【0122】
本開示のいくつかの側面は、(a)対象からの試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第1の濃度を決定すること;(b)活動性炎症性または自己免疫疾患を有さない対照者、または対照者の集団からの同様の試料においてそれぞれ存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第2の濃度、または平均濃度を決定すること;および(c)第1の濃度が第2の濃度よりも大きい場合、対象が活動性炎症性または自己免疫疾患を有すると決定することを含む、対象が活動性炎症性または自己免疫疾患を有するかどうかを決定する方法を提供する。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、神経炎症性疾患、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、炎症性腎臓疾患、および全身性炎症性疾患から選択される。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、炎症性腎臓疾患である。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、ループス腎炎、IgA腎症、抗好中球細胞質抗体関連糸球体腎炎、自己免疫(以前は特発性)膜性腎症、抗糸球体基底膜糸球体腎炎、およびC3腎症から選択される。特定の態様において、本開示は、(a)対象からの試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第1の濃度を決定すること;(b)活動性ループス腎炎を有さない対照者、または対照者の集団からの同様の試料においてそれぞれ存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第2の濃度、または平均濃度を決定すること;および(c)第1の濃度が第2の濃度よりも大きい場合、対象が活動性腎炎を有すると決定することを含む、対象が活動性ループス腎炎を有するかどうかを決定するためのかかる方法を提供する。いくつかの場合において、分析される試料は尿試料である。いくつかの場合において、疾患が炎症性腎臓疾患(例として、LN)であるとき、分析される試料は尿試料である。決定する方法 対象が活動性炎症性または自己免疫疾患(例として、活動性LN)を有するかどうかを決定するかかる方法は、該方法によって患者が活動性炎症性または自己免疫疾患(例として、活動性LN)を有すると決定される場合、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与することをさらに含み得る。以下でさらに議論されるように、CD6-ALCAM経路インヒビターは、CD6-ALCAM経路を通じたシグナリングを遮断または減少させることができる任意の剤であり得る。かかるインヒビターは、これらに限定されないが、抗CD6抗体および抗ALCAM抗体、ならびにそれらの抗原結合フラグメントを含む。特定の態様において、CD6-ALCAM経路インヒビターはイトリズマブである。ある特定の態様において、CD6-ALCAM経路インヒビターはEQ001である。
【0123】
本開示のいくつかの側面は、(a)対象からの第1の試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第1の濃度を決定すること;ここで、第1の試料は、対象が非活動性ループス腎炎を有するときに対象から得られる;(b)対象からの1以上の第2の試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第2の濃度を決定すること;ここで、各第2の試料は、第1の試料が得られた後に対象から得られる;および(c)可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第2の濃度が第1の濃度よりも大きい場合、対象が活動性ループス腎炎を有するか、または活動性腎炎に移行していると決定することを含む、対象が非活動性炎症性または自己免疫疾患から活動性炎症性または自己免疫疾患に移行したかどうかを決定する方法を提供する。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、神経炎症性疾患、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、炎症性腎臓疾患、および全身性炎症性疾患から選択される。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、炎症性腎臓疾患である。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、ループス腎炎、IgA腎症、抗好中球細胞質抗体関連糸球体腎炎、自己免疫(以前は特発性)膜性腎症、抗糸球体基底膜糸球体腎炎、およびC3腎症から選択される。特定の態様において、本開示は、(a)対象からの第1の試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第1の濃度を決定すること;ここで、第1の試料は、対象が非活動性ループス腎炎を有するときに対象から得られる;(b)対象からの1以上の第2の試料において存在する可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第2の濃度を決定すること;ここで、各第2の試料は、第1の試料が得られた後に対象から得られる;および(c)可溶性CD6および/またはALCAMタンパク質の第2の濃度が第1の濃度よりも大きい場合、対象が活動性ループス腎炎を有するか、または活動性腎炎に移行していると決定することを含む、対象が非活動性ループス腎炎から活動性ループス腎炎へ移行したかどうかを決定するためのかかる方法を提供する。対象が非活動性炎症性または自己免疫疾患から活動性炎症性または自己免疫疾患に移行(例として、非活動性LNから活動性LNに移行)したかどうかを決定するかかる方法は、CD6-ALCAM経路インヒビターを対象へ投与することをさらに含み得る。以下でさらに議論されるように、CD6-ALCAM経路インヒビターは、CD6-ALCAM経路を通じたシグナリングを遮断または減少させることができる任意の剤であり得る。かかるインヒビターは、これらに限定されないが、抗CD6抗体および抗ALCAM抗体、ならびにそれらの抗原結合フラグメントを含む。特定の態様において、CD6-ALCAM経路インヒビターはイトリズマブである。ある特定の態様において、CD6-ALCAM経路インヒビターはEQ001である。
【0124】
炎症性または自己免疫疾患
当業者に明らかであるように、いくつかの態様において、本明細書に開示のすべての方法は、任意の炎症性または自己免疫疾患に関連して用いられ得る。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、神経炎症性疾患、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、炎症性腎臓疾患、および全身性炎症性疾患から選択される。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、炎症性腎臓疾患である。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫疾患は、ループス腎炎、IgA腎症、抗好中球細胞質抗体関連糸球体腎炎、自己免疫(以前は特発性)膜性腎症、抗糸球体基底膜糸球体腎炎、およびC3腎症から選択される。
【0125】
試料
いくつかの態様において、本明細書に開示の方法のいずれか1つは、炎症性または自己免疫疾患を有する、または有すると疑われる対象から得られた試料に対して実施または利用され得る。例えば、いくつかの態様において、試料は、神経炎症性疾患、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、炎症性腎臓疾患、または全身性炎症性疾患を有する、または有すると疑われる対象から得ることができる。試料は、ループスを有する、または有すると疑われる対象から得ることができる。試料は、SLEを有する、または有すると疑われる対象から得ることができる。試料は、炎症性腎臓疾患を有する、または有すると疑われる対象から得ることができる。試料は、IgA腎症、抗好中球細胞質抗体関連糸球体腎炎、自己免疫(以前は特発性)膜性腎症、抗糸球体基底膜糸球体腎炎、およびC3腎症から選択される炎症性腎臓疾患を有する、または有すると疑われる対象から得ることができる。試料は、LNを有する、または有すると疑われる対象から得ることができる。
【0126】
本明細書に開示の方法で利用される試料は、任意の好適な供給源からのものであり得る。例えば、試料は、生検試料(例として、肝臓生検試料)であり得る。いくつかの好ましい場合において、試料は、非侵襲的または低侵襲的手順を介して入手可能であり得る。例えば、いくつかの場合において、試料は任意の体液から選択され得る。いくつかの場合において、試料は、血液、血清、尿、唾液、脳脊髄液(CSF)、気管支肺胞洗浄液(BALF)、および糞便のいずれか1つから選択され得る。ある好ましい態様において、試料は尿(例として、LNを有する、または有すると疑われる対象からの尿)である。
【0127】
ある態様において、最適な試料供給源は、対象が有する、または有すると疑われる炎症性または自己免疫疾患のタイプによって決定される。例えば、ある態様において、炎症性または自己免疫疾患は炎症性腎臓疾患であり、試料は尿である。ある態様において、炎症性または自己免疫疾患は神経炎症性疾患であり、試料はCSFである。ある態様において、炎症性または自己免疫疾患は炎症性腸疾患であり、試料は糞便である。ある態様において、炎症性または自己免疫疾患は炎症性肺疾患であり、試料は唾液またはBALFである。ある態様において、炎症性または自己免疫疾患は全身性炎症性疾患であり、試料は血液または血清である。
【0128】
いくつかの場合において、例として、経時的に対象の可溶性CD6および/または可溶性ALCAMのレベルをモニタリングするために、単一の対象から複数の試料を収集することが有用であり得る。かかる場合において、試料の収集を分離する時間は厳密に定義されておらず、最良のコースは、周知の手順に従って臨床医によって決定され得る。例えば、試料は、数日、数週間、数ヶ月、または数年の時間経過にわたって収集され得る。時間経過にわたる試料における可溶性CD6および/または可溶性ALCAMの観察されたレベルの減少または増加は、活動性状態から非活動性状態へ、または非活動性状態から活動性状態への疾患(例として、炎症性または自己免疫疾患、例として、LNなど)の進行について知らせ得る。時間経過にわたる試料における可溶性CD6および/または可溶性ALCAMの観察されたレベルの変化は、患者の疾患の予後について知らせ得る。その上、炎症性または自己免疫疾患(例として、LN)の活性に対する治療剤の効果が観察されるかどうかを決定するために、時間経過にわたる試料における可溶性CD6および/または可溶性ALCAMの観察されたレベルの変化は、治療剤、例として、本明細書に開示のCD6-ALCAM経路インヒビターまたはステロイドまたは免疫抑制薬の投与の前後にモニタリングされ得る。例えば、時間経過にわたる試料における可溶性CD6および/または可溶性ALCAMの観察されたレベルの変化は、CD6-ALCAM経路を通じたシグナリングを遮断または減少させることができる任意の剤の投与の前後にモニタリングされ得る。いくつかの場合において、時間経過にわたる試料における可溶性CD6および/または可溶性ALCAMの観察されたレベルの変化は、抗CD6抗体、抗ALCAM抗体、ならびにかかる抗体の抗原結合フラグメント、またはそれらの組み合わせから選択されるCD6-ALCAM経路インヒビターの投与の前後にモニタリングされ得る。特定の態様において、時間経過にわたる試料における可溶性CD6および/または可溶性ALCAMの観察されたレベルの変化は、イトリズマブの投与の前後にモニタリングされ得る。ある特定の態様において、時間経過にわたる試料における可溶性CD6および/または可溶性ALCAMの観察されたレベルの変化は、EQ001の投与の前後にモニタリングされ得る。いくつかの態様において、CD6-ALCAM経路インヒビターおよび/またはステロイドまたは免疫抑制薬の投与は、時間経過にわたる対象の試料における可溶性CD6および/または可溶性ALCAMの検出されたレベルの減少をもたらす。いくつかの態様において、かかる減少は、治療が有効であり、活動性疾患(例として、活動性炎症性または自己免疫疾患、例として、活動性LNなど)が非活動性状態に移行している、または非活動性状態に移行したことを示す。
【0129】
検出方法
本明細書に開示の方法で検出される可溶性CD6タンパク質は、全長CD6タンパク質またはCD6タンパク質のフラグメントであり得る。CD6タンパク質のフラグメントは、CD6タンパク質の細胞外部分、またはそのフラグメントであり得る。可溶性CD6の任意の検出可能な部分は、現在開示されている方法に従って検出の標的とされ得る。
【0130】
本明細書に開示の方法で検出される可溶性ALCAMタンパク質は、全長ALCAMタンパク質またはALCAMタンパク質のフラグメントであり得る。全長ALCAMタンパク質のフラグメントは、ALCAMタンパク質の細胞外部分、またはそのフラグメントであり得る。可溶性ALCAMの任意の検出可能な部分は、現在開示されている方法に従って検出の標的とされ得る。
【0131】
本明細書に開示の方法で検出される可溶性CD6タンパク質または可溶性ALCAMタンパク質は、当該技術分野において知られている、または本明細書に開示の任意の手段によって検出され得る。多数のタンパク質検出方法が当該技術分野において知られており、本方法での使用に好適である。例えば、決して限定されないが、可溶性CD6タンパク質または可溶性ALCAMタンパク質は、シングルプレックスELISA;マルチプレックスELISA、FACSをベースとした検出によるビーズベースの免疫捕獲;ELISAベースの検出によるビーズベースの免疫捕獲;化学発光ベースの検出によるビーズベースの免疫捕獲;メソスケール診断(MSD);ウェスタンブロット、定量的ウェスタンブロット;高速液体クロマトグラフィー(HPLC);質量分析;およびそれらの組み合わせによって検出される。かかる方法は、当該技術分野において知られている。
【0132】
可溶性CD6タンパク質または可溶性ALCAMタンパク質の検出は定性的であり得る。
【0133】
可溶性CD6タンパク質または可溶性ALCAMタンパク質の検出は定量的であり得る。定量的な検出は、可溶性CD6タンパク質または可溶性ALCAMタンパク質の検出されたレベルを、それぞれ既知分量の可溶性CD6タンパク質または可溶性ALCAMタンパク質と比較することを含み得る。かかる比較は標準曲線を利用し得る。標準曲線の作成および未知の試料におけるタンパク質の量を定量化するためのかかる曲線の使用は当該技術分野においてルーチンであり、かかる方法は当業者に明らかであり、試料における可溶性CD6タンパク質または可溶性ALCAMタンパク質の未知の濃度の検出されたレベルを、既知の濃度の可溶性CD6タンパク質または可溶性ALCAMタンパク質(またはそのフラグメント)の標準的な対照試料の段階希釈の検出されたレベルと比較することを含み得るがこれに限定されない。
【0134】
いくつかの態様において、可溶性CD6および/または可溶性ALCAMの検出は、試料(単数または複数)における可溶性CD6および/または可溶性ALCAMの測定された濃度値を決定し、測定された値を閾値と比較することをさらに含み、ここで、可溶性CD6および/または可溶性ALCAMの「活動性」または「非活動性」レベルのいずれかが同定される。いくつかの態様において、前記方法は、体液試料が対象から得られる時間から180日以内に関心のある事象が多かれ少なかれ生じる可能性のある可能性、リスク、または確率を割り当てる。いくつかの態様において、割り当てられた可能性、リスク、または確率は、18ヶ月、120日、90日、60日、45日、30日、21日、14日、7日、5日、96時間、72時間、48時間、36時間、24時間、または12時間以下を含むが、これらに限定されない期間内に生じる関心のある事象に関する。代替的に、体液試料が対象から得られる時間の0時間にリスクを割り当てることは、現在の状態(例として、活動性または非活動性の炎症性または自己免疫疾患)の診断と同等である。
【0135】
診断閾値を選択することは、とりわけ、疾患の確率、異なる試験閾値での真および偽の診断の分布、および診断に基づく処置(または処置の失敗)の結果の推定を考慮することを伴う。例えば、高度に効果的で低レベルのリスクを有する特定のCD6-ALCAM経路インヒビター(例として、EQ001)の投与を考慮するとき、臨床医は実質的な診断の不確実性を受け入れることができるため、試験はほとんど必要ない。他方、処置の選択肢の効果が低く、リスクが高い事態では、臨床医はより高度な診断の確実性をしばしば必要とする。よって、コスト/利益分析は、診断閾値の選択に関係する。
【0136】
いくつかの態様において、本発明は、生体試料(例として、尿)におけるCD6および/またはALCAMポリヌクレオチドの検出を提供する。例えば、前記方法は、いくつかの態様において、CD6および/またはALCAMのmRNA発現の検出を伴い得る。
【0137】
試料におけるポリヌクレオチドのレベルの検出は、技術水準において既知の任意の方法によって実施され得る。例えば、検出方法は、プローブおよびその相補的な標的が相補的な塩基を対形成することによって安定したハイブリッド二重鎖を形成し得る条件下で、プローブと標的CD6またはALCAM核酸との間の接触による核酸のハイブリダイゼーションを伴い得る。核酸ハイブリダイゼーション方法は当該技術分野において周知である。プローブは蛍光分子で標識され得る。ハイブリダイズした核酸は、試料の核酸およびプローブの1以上の標識を検出することによって検出される。標識は、当業者に既知の任意の方法によって組み込まれ得る。一般的に使用される標識タグは、ビオチン、蛍光分子、放射性分子、発色基質、化学発光マーカー、酵素などを含むが、これらに限定されない。核酸をビオチン化するための方法は、蛍光分子および放射性分子をオリゴヌクレオチドおよびヌクレオチドに導入するための方法と同様に、当該技術分野において周知である。
【0138】
ALCAMおよびCD6のmRNAレベルは、逆転写(RT)PCRおよび定量的RT-PCR(QRT-PCR)またはリアルタイムPCR方法によって決定され得る。RT-PCRおよびQRT-PCRの方法は当該技術分野において周知である。
【0139】
いくつかの態様において、CD6またはALCAMのmRNAのレベルは、定量的な配列決定技術、例として定量的な次世代配列技術によって測定され得る。核酸配列を配列決定する方法は、当該技術分野において周知である。手短に言えば、対象から得られた試料は、標的遺伝子配列に隣接する一本鎖核酸配列に対して特異的にハイブリダイズする1以上のプライマーと接触させることができ、相補鎖が合成される。いくつかの次世代の技術において、アダプター(二本鎖または一本鎖)が試料における核酸分子にライゲーションされ、アダプターまたはアダプター互換プライマーから合成が進行する。いくつかの関連技術において、配列は、例として、プローブのハイブリダイゼーションの場所およびパターンを決定するか、センサーを通過する際の単一分子の1以上の特徴(例として、核酸分子がナノ細孔を通過するときの電界の調節)を測定するによって決定され得る。配列決定の例示の方法は、サンガー配列決定、ジデオキシ鎖終止、454配列決定、SOLiD配列決定、ポロニー配列決定、イルミナ配列決定、イオントレント配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、ナノ細孔配列決定、ヘリオスコープ配列決定、単一分子リアルタイム配列決定、RNAP配列決定などを含むが、これらに限定されない。これらの配列決定方法を実施するための方法およびプロトコルは、当該技術分野において知られている。例として、"Next Generation Genome Sequencing" Ed. Michal Janitz, Wiley- VCH; "High- Throughput Next Generation Sequencing" Eds. Kwon and Ricke, Humanna Press, 2011; and Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (4 ed.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., USA (2012) を参照。これらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0140】
特定の態様において、CD6またはALCAMのmRNA(例として、LNを有することが知られている、または疑われる人からの尿試料から単離された細胞において存在するmRNA)は、RNA配列決定(RNA-Seq)によって検出され得る。RNA配列決定。全トランスクリプトームショットガン配列決定(WTSS)とも呼ばれるRNA-seq(RNA配列決定)は、当該技術分野において周知である技術である。それは次世代の配列決定(NGS)の能力を利用して、所与の時点でのゲノムからのRNAの存在および分量のスナップショットを明らかにする。細胞のトランスクリプトームは動的であり、静的ゲノムとは反対に、それは継続的に変化する。次世代の配列決定の最近の開発は、DNA配列の増加した塩基被覆率(coverage)、ならびにより高い試料スループットを可能にする。これは、細胞におけるRNA転写産物の配列決定を容易にし、代替の遺伝子スプライシング転写産物、転写後変化、遺伝子融合、変異/SNP、および遺伝子発現の変化を調べる能力を提供する。RNA-Seqは、mRNA転写産物に加えて、RNAの種々の集団を調べて、全RNA、miRNA、tRNAなどの低分子RNA、およびリボソームプロファイリングを含み得る。RNA-Seqは、エキソン/イントロン境界を決定し、以前に注釈が付けられた5’および3’遺伝子境界を検証または修正するためにも使用され得る。NGSに先立ち、トランスクリプトミクスおよび遺伝子発現の研究は、以前は標的配列の一致をプローブする数千のDNA配列を含む発現マイクロアレイによってなされ、発現されているすべての転写産物のプロファイルを利用可能なものとした。かかるマイクロアレイはまた、CD6またはALCAMのmRNA発現を検出するために使用され得、遺伝子発現の連続分析(SAGE)であり得、これらの技術の各々は、当該技術分野において周知である。
【0141】
ポリヌクレオチドおよびリボ核酸(RNA)分子は、当該技術分野において周知である多数の手順のいずれかを使用して、特定の生体試料(例として、腎臓生検または尿試料から得られた細胞)から単離され得る。選ばれた特定の単離手順は、特定の生体試料に適切である。例えば、凍結融解およびアルカリ溶解手順は、固体材料から核酸分子を得るのに有用であり得る。熱およびアルカリ溶解手順は、尿から核酸分子を得るのに有用であり得る。プロテイナーゼK抽出は、血液から核酸を得るのに使用され得る(Roiff, A et al. PCR: Clinical Diagnostics and Research, Springer (1994))。
【0142】
閾値
好適な閾値は様々な方法で決定され得る。例えば、活動性LNの診断に推奨される1つの診断閾値は、正常な集団において測定された可溶性CD6および/または可溶性ALCAM濃度の97.5パーセンタイルに診断閾値を設定し得る。診断閾値を決定するための別の方法は、同じ患者からの連続試料を測定することを含み得、ここで、以前の「ベースライン」結果は、バイオマーカーレベルの時間的変化をモニタリングするために使用される。集団研究は閾値を選択するためにも使用され得る。例えば、受信者動作特性(「ROC」)分析は、「罹患」亜集団と「非罹患」亜集団を区別するための閾値を選択するためにしばしば使用される。予測力は、偽陽性(すなわち、例えば、人試験が陽性であるが、実際には疾患を有さないとき)および偽陰性(すなわち、例えば、人試験が陰性であり、健康であることを示唆するが、実際には疾患を有するとき)の発生のバランスを取る。ROC曲線を描くために、決定閾値が絶え間なく変化するとき、真陽性率(TPR)および偽陽性率(FPR)が決定される。TPRは感受性と同等であり、FPRは(1-特異性)に等しいため、ときにはROCグラフは感受性対(1-特異性)プロットと呼ばれる。完全な試験は1.0のROC曲線下面積を有する。ランダム試験は0.5の面積を有する。閾値は、大抵、特異性値と感受性値を合計することによって決定される、許容し得るレベルの特異性および感受性を提供するように選択される。その結果として、計算された閾値が大きいほど、分析下の特定のアッセイ測定の予測力が大きくなる。
【0143】
この文脈において、「罹患」は、1つの特徴(例として、活動性炎症性または自己免疫疾患または状態の存在または何らかの予後の発生)を有する集団を指すことを意味し、「非罹患」は、同じ特徴(例として、非活動性炎症性または自己免疫疾患または状態の存在)を欠如する集団を指すことを意味する。
【0144】
単一の決定閾値はかかる方法の最も単純な適用であるが、複数の決定閾値が使用され得る。例えば、第1の閾値より下では、疾患の不在は比較的高い信頼性で割り当てられ得、第2の閾値より上では、疾患の存在もまた比較的高い信頼性で割り当てられ得る。2つの閾値の間は不確定と考えられ得る。これは、本質的に例示のものに過ぎない。
【0145】
閾値比較に加えて、アッセイ測定を患者分類(例として、疾患の発生または非発生、予後の可能性など)に相関させるための他の方法は、決定ツリー、ルールセット、ベイジアン方法、およびニューラルネットワーク方法を含むが、これらに限定されない。これらの方法は、対象または患者が複数の分類のうちの1つの分類に属する程度を表す確率値を生成し得る。
【0146】
CD6-ALCAM経路インヒビター
いくつかの態様において、CD6-ALCAM経路を阻害することができる任意の剤は、本明細書に開示の方法において利用されるCD6-ALCAM経路インヒビターとしての使用に好適である。
【0147】
ある側面において、CD6-ALCAM経路インヒビターは抗CD6抗体である。抗CD6抗体は当該技術分野において知られており、本明細書に開示されている。本明細書に開示の抗CD6抗体のいずれか1以上は、本明細書に開示の方法のいずれか1つにおいて使用され得る。例えば、ある好ましい場合において、抗CD6抗体はEQ001である。
【0148】
ある側面において、抗CD6抗体は、CD6へ結合し、T細胞におけるCD6媒介下流シグナリングを遮断する任意の抗体であり得る。例えば、抗CD6モノクローナル抗体(mAb)を使用する遮断研究は、CD6が胸腺上皮(TE)細胞とのT細胞接着相互作用を制御することによってT細胞の発達に重要な役割を果たすことを示唆する(Patel et al., J. Exp. Med. (1995) 181:1563-1568)。追加の研究は、CD6がT細胞活性化において重要なアクセサリー分子として機能し得ることを示した。例えば、ある抗CD6mAbはT細胞に対して直接的に分裂促進的であるが(Gangemi et al., J. Immunol. (1989) 143:2439; Bott et al., Int. Immunol. (1993) 7:783)、他のものは抗CD3、抗CD2またはPMAと併せてT細胞増殖を共刺激することができる(Gangemi et al., J. Immunol. (1989) 143:2439; Morimoto et al., J. Immunol. (1988) 140:2165-2170; Osorio et al., Cell. Immunol. (1994) 154:23)。T細胞活性化におけるCD6の役割のさらに追加の証拠は、CD6がT細胞活性化後にSerおよびThr残基で高リン酸化され(Swack et al., Mol. Immunol. (1989) 26:1037-1049; Swack et al., J. Biol. Chem. (1991) 266:7137; Cardenas et al., J. Immunol., 145:1450-1455 (1990))、Tyr残基でリン酸化されること(Wee et al., J. Exp. Med. (1993) 177:219-223)を示す研究に由来する。これらおよび他の研究は、CD6を、T細胞活性化およびシグナル伝達の両方に影響を与える、in vivoでの未成熟および成熟T細胞機能の両方の重要なモジュレーターとして意味づけ(De Wit, J., et al., Blood (2011) 118:6107-6114)、これらの効果を抑制することができる任意の抗体は、本発明での使用に好適である。
【0149】
結果的に、抗CD6抗体は、配列番号1および配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域を含む抗CD6モノクローナル抗体であり得る。
【0150】
抗CD6抗体は、配列番号3で表されるヌクレオチド配列またはその相補体、および(b)配列番号4で表されるヌクレオチド配列またはその相補体を含む核酸分子を含む、重鎖および軽鎖可変領域を含む抗CD6モノクローナル抗体であり得る。
【0151】
抗CD6抗体は、配列番号1および配列番号2で表されるアミノ酸配列と少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域を含む抗CD6モノクローナル抗体であり得る。
【0152】
抗CD6抗体は、CD6に特異的に結合し、配列番号1および2によって表されるアミノ酸残基に対応するその部分において、少なくとも約65%のアミノ酸配列同一性または相同性、少なくとも約70%のアミノ酸配列同一性または相同性、少なくとも約75%のアミノ酸配列同一性または相同性、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性または相同性、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性または相同性、少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性または相同性、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性または相同性、少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性または相同性、少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性または相同性を含む、抗CD6モノクローナル抗体であり得る。
【0153】
抗CD6抗体は、イトリズマブ重鎖CDR1:GFKFSRYAMS(配列番号5);イトリズマブ重鎖CDR2:TISSGGSYIYYPDSVKG(配列番号6);イトリズマブ重鎖CDR3:RDYDLDYFDS(配列番号7);イトリズマブ軽鎖CDR1:KASRDIRSYLT(配列番号8);イトリズマブ軽鎖CDR2:YATSLAD(配列番号9);イトリズマブ軽鎖CDR3:LQHGESP(配列番号10);およびそれらの組み合わせから選択される1以上のCDRを含み得る。
【0154】
特定の態様において、抗CD6抗体は、配列番号5~10として提供されるイトリズマブCDRの各々を含む。特定の態様において、抗CD6抗体は、配列番号5~10として提供されるイトリズマブCDRの各々を含むヒト化抗体である。特定の態様において、抗CD6抗体は、配列番号5~10として提供されるイトリズマブCDRの各々を含むヒト化IgG抗体である。特定の態様において、抗CD6抗体は、配列番号5~10として提供されるイトリズマブCDRの各々を含むヒト化IgG1抗体である。特定の態様において、抗CD6抗体は、CHO細胞において産生されたヒト化抗体であり、ここで、ヒト化抗体は、配列番号5~10として提供されるイトリズマブCDRの各々を含む。
【0155】
抗CD6抗体は、UMCD6 mAb(Li et al., PNAS March 7, 2017, vol. 114, no. 10, 2687-2692、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)および表1に列挙されている抗体のいずれか1つから選択され得る:
【表1】
【0156】
抗CD6抗体は、米国特許第8,524,233号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されているようにT1hであり得る。抗CD6抗体はイトリズマブであり得る。抗CD6抗体はALZUMAbであり得る。
【0157】
抗CD6抗体は、寄託番号ECACC 96112640としてECACCに寄託された分泌ハイブリドーマIOR-T1Aによって産生される抗体、またはそのヒト化バージョンであり得る。
【0158】
抗CD6抗体は、T細胞の表面上のCD6に結合し得る。抗CD6抗体は、T細胞の表面上のCD6のドメイン1、ドメイン2、またはドメイン3に結合し得る。ある側面において、抗CD6抗体は、CD6上のドメイン1またはドメイン3へ結合する。特定の態様において、抗CD6抗体は、CD6上のドメイン3へ結合する。T細胞の表面上のCD6への抗CD6抗体の結合は、T細胞の活性を調節し得る。ある側面において、T細胞の表面上のCD6への抗CD6抗体の結合は、T細胞の活性および/または遊走を調節する。特定の側面において、T細胞の表面上のCD6への抗CD6抗体の結合は、炎症性または自己免疫疾患に冒された組織へのおよびそれを通じたT細胞の遊走を調節する。かかる組織は、例として、皮膚、関節、肺、心臓、および腎臓を含む臓器であり得る。
【0159】
抗CD6抗体(例として、EQ001)は、抗CD6医薬組成物として対象へ送達され得る。
【0160】
CD6-ALCAM経路インヒビター(例として、EQ001などの抗CD6抗体)の送達に好適な医薬組成物およびそれらの調製のための方法は、当業者には容易に明らかになるであろう。かかる組成物およびそれらの調製のための方法は、例として、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 19th Edition (Mack Publishing Company, 1995)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に見出され得る。抗CD6抗体を含む医薬組成物も当該技術分野において知られている。例えば、抗CD6抗体は、米国特許出願番号12/525,449(US20100047242)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示された医薬組成物であり得る。
【0161】
本発明の医薬組成物は、CD6-ALCAM経路インヒビター(例として、EQ001などの抗CD6抗体)などの活性医薬品、および1以上の薬学的に許容し得る担体、賦形剤、希釈剤、界面活性剤、および/またはビヒクルを含み得る。
【0162】
医薬組成物は、CD6-ALCAM経路インヒビター、および担体、賦形剤、希釈剤、抗酸化剤、保存剤、着色、フレーバーおよび希釈剤、乳化剤、懸濁剤、溶媒、充填剤、増量剤、バッファー、送達ビヒクル、等張化剤、共溶媒、湿潤剤、錯化剤、緩衝剤、抗菌剤、および/または界面活性剤からなる群から選択される1以上の剤を含み得る。かかる剤は、当該技術分野において知られている(例として、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th edition, Mack Publishing Co., Easton, PA (1990)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照)。
【0163】
医薬組成物は、EQ001、および担体、賦形剤、希釈剤、抗酸化剤、保存剤、着色、フレーバーおよび希釈剤、乳化剤、懸濁剤、溶媒、充填剤、増量剤、バッファー、送達ビヒクル、等張化剤、共溶媒、湿潤剤、錯化剤、緩衝剤、抗菌剤、および/または界面活性剤からなる群から選択される1以上の剤を含み得る。かかる剤は、当該技術分野において知られている(例として、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th edition, Mack Publishing Co., Easton, PA (1990)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照)。
【0164】
本発明はまた、第2の活性剤と組み合わせた、抗CD6抗体(例として、すなわちEQ001)などのCD6-ALCAM経路インヒビター、またはその抗原結合部分を患者に投与することを含む併用療法、または1以上の喘息関連症状を処置、抑制、または軽減することができるデバイスまたは手順を含む。この文脈において、「組み合わせて投与される」は、以下を意味する:(1)同じ単一剤形の一部;(2)個別だが、同じ治療処置プログラムまたはレジメンの一部として、典型的には(必ずしもそうではないが)同じ日に投与する。
【0165】
これらの併用療法のいくつかの側面において、第2の活性剤は、免疫系を調節することができる1以上の剤である。これらの併用療法のいくつかの側面において、第2の活性剤は1以上の免疫抑制薬である。
【0166】
ある側面において、CD6-ALCAM経路インヒビターは、抗ALCAM抗体または抗原結合部分である。いくつかのかかる場合において、抗ALCAM抗体は、CD6へのALCAMの結合を遮断する。いくつかの態様において、インヒビターは、CD6-ALCAM経路の小分子インヒビター、例として、競合的またはアロステリックインヒビターである。
【0167】
前述のように、CD6-ALCAM経路インヒビターは、いくつかの側面において単剤療法として、またはいくつかの側面において併用療法として単独で投与され得る。いくつかの側面において、本明細書に開示の方法に従って患者に投与するための本明細書に記載のCD6-ALCAM経路インヒビター(例として、EQ001)のいずれか1つは、併用療法として1以上の他の治療剤と組み合わせて投与され得る。例えば、CD6-ALCAM経路インヒビター(例として、EQ001または抗ALCAM抗体)は、炎症性または自己免疫疾患の処置のための別の剤との併用療法として患者に投与され得る。併用療法は、CD6-ALCAM経路インヒビター(例として、EQ001または抗ALCAM抗体)および当該技術分野において知られているまたは本明細書に開示される任意の他の抗炎症性または自己免疫疾患治療剤の投与を含み得る。例えば、CD6-ALCAM経路インヒビター(例として、EQ001または抗ALCAM抗体)は、例として、これらに限定されないが、ステロイドまたは免疫抑制薬から選択される剤と組み合わせて対象に投与され得る。ステロイドはコルチコステロイドであり得る。コルチコステロイドはプレドニゾンであり得る。CD6-ALCAM経路インヒビター(例として、EQ001または抗ALCAM抗体)は、例として、これらに限定されないが、ミコフェノラートおよびシクロホスファミドから選択される剤と組み合わせて対象に投与され得る。
【0168】
特定の態様において、EQ001は、例として、これらに限定されないが、ステロイドまたは免疫抑制薬、コルチコステロイド、プレドニゾン、ミコフェノラートおよびシクロホスファミドから選択される剤と組み合わせて対象に投与される。EQ001は、抗ALCAM抗体と組み合わせて対象に投与することもできる。
【0169】
CD6-ALCAM経路インヒビター(例として、EQ001を含む)は、かかる抗炎症性または自己免疫性疾患剤の1以上の前、後、または同時に投与され得る。いくつかの態様において、かかる組み合わせは、治療における相加的または相乗的活性を含む、重要な利点を提供し得る。
【0170】
様々な態様において、本明細書に開示の組成物および方法、例として、本明細書に議論されるかかる炎症性または自己免疫疾患(例として、SLEおよびLN)を処置するための方法は、EQ001などのCD6-ALCAM経路インヒビター、またはEQ001などのCD6-ALCAM経路インヒビターを含む組成物(例として、医薬組成物)の有効量を対象へ投与することを伴う。用語「CD6-ALCAM経路インヒビター」および「CD6-ALCAM経路のインヒビター」は、本明細書では互換的に使用され、CD6-ALCAM経路を通じたシグナリングを阻害することができる任意の化合物または物質を指す。これらの用語は、本明細書に記載の抗CD6抗体、ならびにCD6を通じたシグナリングを減少または抑制することができる他のインヒビター、例えば抗ALCAM抗体を含むが、これらに限定されない。抗CD6抗体の非限定例は当該技術分野において知られており、本明細書に開示されている。例えば、決して限定されないが、いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物および方法は、CD6-ALCAM経路インヒビターとしてEQ001を利用し得る。
【0171】
CD6-ALCAM経路インヒビターは、医薬組成物として投与され得る。CD6-ALCAM経路インヒビターは、1以上の他の治療剤の前、後、および/または同時に投与され得る。1以上の他の治療剤と同時に投与される場合、かかる投与は、同時(例として、単一の組成物)であり得るか、または任意に同じまたは異なる投与の方法(例として、局所、全身、経口、静脈内など)を介して、2以上の別々の組成物を介し得る。
【0172】
開示されたCD6-ALCAM経路インヒビターおよび/または他の治療剤の投与は、治療剤の任意の投与の方法を介して達成され得る。これらの方法は、経口、鼻、非経口、経皮、皮下、膣内、口腔内、直腸または局所の投与方法などの全身または局所の投与を含む。
【0173】
本明細書に記載の使用の方法における投与のために、EQ001などのCD6-ALCAM経路インヒビターは、投与に先立ち、非毒性の薬学的に許容し得る担体物質(例として、通常の生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水)と混合され得、任意の医学的に適切な手順、例として、静脈内または動脈内注射などによる非経口投与(例として、注射)を使用して投与される。
【0174】
本発明に従って使用されるEQ001などのCD6-ALCAM経路インヒビターの製剤は、所望される純度を有する抗体を、凍結乾燥された製剤または水溶液のいずれかの形態において、任意の薬学的に許容し得る担体、賦形剤または安定剤と混合することによって調製され得る。許容し得る担体、賦形剤、または安定剤は、用いられる投薬量および濃度でレシピエントに対して非毒性であり、以下を含む:ホスファート、シトラート、および他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩化物などの保存剤;ヘキサメトニウム塩化物;塩化ベンザルコニウム、ベンズエトニウム塩化物;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノールおよびm-クレゾール;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリシンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、またはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属複合体(例として、Zn-タンパク質複合体);および/またはTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤。
【0175】
EQ001などのCD6-ALCAM経路インヒビターは、例えば、コアセルベーション技術または界面重合によって(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ-(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル)、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルションにおいて、調製したマイクロカプセルに封入することもできる。かかる技術は、当該技術分野において周知である。
【0176】
徐放性調製物が調製され得る。徐放性調製物の好適な例は、EQ001などのCD6-ALCAM経路インヒビターを含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスを含み、これらのマトリックスは、成形された物品の形態(例として、フィルム、またはマイクロカプセル)である。徐放性マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル、L-グルタミン酸のコポリマー、非分解性のエチレン-酢酸ビニル、および分解性の乳酸-グリコール酸コポリマーを含む。
【0177】
EQ001などのCD6-ALCAM経路インヒビターは、ボーラスとしての静脈内投与、または、ある期間にわたる連続的な注入によって、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液嚢内、髄腔内または経口のルートによって、などの既知の方法に従って対象へ投与され得る。EQ001などのCD6-ALCAM経路インヒビターの静脈内または皮下の投与が好ましい。
【0178】
意図される投与の方法に応じて、開示される化合物または医薬組成物は、例えば、注射剤、錠剤、坐薬、丸薬、徐放性カプセル、エリキシル剤、チンキ剤、エマルション、シロップ、粉末、液体、懸濁液などの固体、半固体、または液体の剤形であり得、ときには単位投薬量であり、従来の製薬慣行と一致する。同じく、それらはまた、静脈内(ボーラスおよび注入の両方)、腹腔内、皮下または筋肉内の形態で、およびすべて薬学分野の当業者に周知の形態を使用して投与され得る。CD6-ALCAM経路インヒビター(単独で、または、例として、本開示による別の治療剤と組み合わせて)の送達に好適な医薬組成物、およびそれらの調製のための方法は、当業者には容易に明らかになるであろう。かかる組成物およびそれらの調製のための方法は、例として、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 19th Edition (Mack Publishing Company, 1995)(その全体が本明細書に組み込まれる)に見出され得る。
【0179】
CD6-ALCAM経路インヒビターを利用する投薬レジメンは、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および医学的状態;処置される状態の重症度;投与のルート;患者の腎または肝機能;および用いられる特定の開示された化合物を含む様々な要因に従って選択される。当業者の医者または獣医は、状態の進行を抑制、対抗または阻止するために必要な薬物の有効量を容易に決定および処方することができる。
【0180】
本発明で使用される治療有効量のCD6-ALCAM経路インヒビター(例として、EQ001)の例示の非限定的な範囲は、対象体重あたり約0.01~100mg/kg(約0.01~50mg/kgなど、例えば約0.01~25mg/kg)である。当業者の医療従事者は、必要な医薬組成物の有効量を容易に決定および処方することができる。例えば、医者は、所望される治療効果を達成するために必要なレベルよりも低いレベルでCD6-ALCAM経路インヒビター(例として、EQ001)の用量を開始し、所望される効果が達成されるまで投薬量を徐々に増加させることができる。
【0181】
一態様において、CD6-ALCAM経路インヒビター(例として、EQ001)は、対象体重あたり1~500mg kg(20~200mg/kgなど)の毎週の投薬量で注入によって投与される。かかる投与は、例として、1~8回(3~5回など)繰り返され得る。あるいは、投与は、2~24時間(2~12時間など)の期間にわたる連続的な注入によって行われ得る。
【0182】
一態様において、CD6-ALCAM経路インヒビター(例として、EQ001)は、0mg~200mgの毎週の投薬量で、最大7回(4~6回など)投与される。投与は、2~24時間(2~12時間など)の期間にわたる連続的な注入によって行われ得る。かかるレジメンは、必要に応じて、例えば、6ヶ月または2ヶ月後に1回以上繰り返され得る。
【0183】
いくつかの態様において、本開示はまた、本明細書に記載の方法を実施するためのキットを提供する。好適なキットは、検出アッセイおよび任意の閾値比較を実施するための説明書と一緒に、試料における可溶性CD6および可溶性ALCAMの一方または両方の量を検出および/または定量化するためのアッセイを実施するのに十分な試薬を含み得る。かかるキットはまた、追加のマーカー、例えば他のタンパク質を検出するためのアッセイを実施するのに十分な試薬を含み得る。例えば、キットは、以下を実施することによって可溶性CD6および/または可溶性ALCAMを検出および/または定量化するための試薬を含み得る:シングルプレックスELISA;マルチプレックスELISA、FACSをベースとした検出によるビーズベースの免疫捕獲;ELISAベースの検出によるビーズベースの免疫捕獲;化学発光ベースの検出によるビーズベースの免疫捕獲;メソスケール診断(MSD);定量的ウェスタンブロット;高速液体クロマトグラフィー(HPLC);またはそれらの組み合わせ。これは、限定せずに、可溶性CD6および/または可溶性ALCAM、または可溶性CD6および/または可溶性ALCAMの一部に向けられた抗体またはその抗原結合部分を含み得る。かかるキットはまた、限定せずに、可溶性CD6および/または可溶性ALCAM、または可溶性CD6および/または可溶性ALCAMの一部に結合するアプタマーを含み得る。キットはまた、試料調製を実施するための試薬、例として、試料を得るため、試料を精製するため、試料を保存する(例として、試料を冷蔵または凍結する)ためのバッファー、試薬、チューブなどを含み得る。キットはまた、対象の試料で検出される可溶性CD6および/または可溶性ALCAMのレベルを定量化するための標準曲線を生成することにおける使用のための対照試料(既知の濃度の標準的な対照CD6および/またはALCAMタンパク質試料など)を含み得る。キットは、分析物について、サンドイッチアッセイを実施するための1以上の抗体対、または競合アッセイを実施するための標識種を提供し得る。抗体対は、固相に抱合された一次抗体および検出可能な標識に抱合された二次抗体を含み得、ここで、一次および二次抗体の各々は、可溶性CD6または可溶性ALCAMに結合する。抗体対の抗体はモノクローナルであり得る。
【0184】
本明細書において触れられているか、または任意の出願データシートにおいて挙げられているすべての米国特許、米国特許出願刊行物、米国特許出願、PCT特許出願、PCT特許出願刊行物、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。上記から、本発明の特定の態様は、説明の目的で本明細書に記載されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な改変がなされ得ることが理解されよう。
【0185】

本開示は、以下の例および合成例によってさらに説明され、これらは、範囲または精神において本開示を本明細書に記載の特定の手順に限定すると解釈されるべきではない。例はある態様を説明するために提供されており、それによって本開示の範囲への限定は意図されていないことを理解されたい。本開示の精神および/または添付の請求項の範囲から逸脱することなく、当業者にそれら自体を示唆し得る様々な他の態様、改変、およびその同等物に頼らなければならない可能性があることをさらに理解されたい。
【0186】
例1
ループス腎炎を有する対象の尿における可溶性CD6および可溶性ALCAMタンパク質のELISAベースの検出。
別様に述べられない限り、本明細書に開示の例は、以下の材料および方法を利用する。
【0187】
30mlの尿を患者(または対照個体)から収集し、製造業者の説明書に従って、氷上でプロテアーゼインヒビターカクテル錠剤(MiliporeSigma, バーリントン, MA, USA)で処理する。試料を10,000xgで1分間、または5,000xgで2分間遠心分離し、尿を任意のペレットから取り出し、分注し、ドライアイス/メタノール浴で急速凍結し、使用するまで-80℃で保存する。
【0188】
いくつかの好適なELISAキットが市販されており、可溶性ALCAMおよび可溶性CD6を検出することにおける使用に好適である。例えば、ヒトALCAM DuoSet ELISA(R&D Systems, ミネアポリス, MN)を製造業者の説明書に従って利用して、尿試料における可溶性ALCAMを測定し、標準曲線を生成することによって定量化を行う。ヒトCD6 ELISAキット(サンドイッチELISA)(LifeSpan BioSciences, Inc, シアトル, WA)を製造業者の説明書に従って利用して、尿試料における可溶性CD6を測定し、標準曲線を生成することによって定量化を行う。
【0189】
以下のコホートから試料を収集する:
(a)コホート1:既知または予想される炎症性または自己免疫疾患を有さない12人の正常な対象
(b)コホート2:非活動性である既知のループス腎炎を有する6人の対象
(c)コホート3:活動性ループス腎炎を有する6人の対象
【0190】
尿試料は、1年の時間経過にわたって隔週で対象から収集する。収集後すぐに、上の方法に従って試料を処理、分注、および凍結する。研究の過程でループス腎炎の臨床症状を評価するために、いくつかの疾患活性および損傷指標をモニタリングする(例として、Balow JE, Lupus. 2005;14(1):25-30(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照)。
【0191】
最初に、可溶性CD6および可溶性ALCAMの濃度をコホート間で比較し、コホート3で最も高く、コホート1で最も低いことが見出された。中間濃度がコホート2からの試料に存在する。
【0192】
研究の過程にわたって、可溶性CD6および可溶性ALCAMの増加がコホート2のある対象からの試料で見出され、その増加は、これらの対象の非活動性疾患から活動性疾患への移行と相関している。逆に、可溶性CD6および可溶性ALCAMレベルは、コホート3のある対象では、活動性疾患から非活動性疾患に移行するにつれて減少する。
【0193】
かかる結果は、活動性ループス腎炎のバイオマーカーとしての可溶性CD6および可溶性ALCAMの使用を支持することが見出されている。
【0194】
これらの結果に基づいて、他の炎症性腎臓疾患における疾患進行のバイオマーカーとしての可溶性CD6および可溶性ALCAMの尿レベルの使用を調査するために、コホートの拡大された群を利用して、その後の研究を行う。
【0195】
試料は、以下のコホートから収集する:
(a)コホート1:既知または予想される炎症性または自己免疫疾患を有さない12人の正常な対象
(b)コホート2:非活動性である既知の炎症性腎臓疾患を有する6人の対象/群
(i)コホート2a:既知の非活動性IgA腎症を有する対象
(ii)コホート2b:既知の非活動性の抗好中球細胞質抗体関連糸球体腎炎を有する対象
(iii)コホート2c:既知の非活動性の自己免疫(以前は特発性)膜性腎症を有する対象
(iv)コホート2d:既知の非活動性の抗糸球体基底膜糸球体腎炎を有する対象
(v)コホート2e:既知の非活動性C3腎症を有する対象
(vi)コホート2f:既知の非活動性ループス腎炎を有する対象
(c)コホート3:活動性炎症性腎臓疾患を有する6人の対象/群。
(i)コホート2a:既知の活動性IgA腎症を有する対象
(ii)コホート2b:既知の活動性抗好中球細胞質抗体関連糸球体腎炎を有する対象
(iii)コホート2c:既知の活動性の自己免疫(以前は特発性)膜性腎症を有する対象
(iv)コホート2d:既知の活動性の抗糸球体基底膜糸球体腎炎を有する対象
(v)コホート2e:既知の活動性C3腎症を有する対象
(vi)コホート2f:既知の活動性ループス腎炎を有する対象
【0196】
尿試料を、1年の時間経過にわたって隔週で対象から収集し、疾患状態を上に記載のとおり追跡する。収集後すぐに、上の方法に従って試料を処理、分注、凍結する。
【0197】
コホート間の比較は、最初の研究と同様に行い、ループス腎炎の結果を繰り返し、他の炎症性腎臓コホートの文脈において同様の結果を観察する。
【0198】
かかる結果は、炎症性腎臓疾患、とりわけ活動性ループス腎炎、IgA腎症、抗好中球細胞質抗体関連糸球体腎炎、自己免疫(以前は特発性)膜性腎症、抗糸球体基底膜糸球体腎炎、およびC3腎症のバイオマーカーとしての可溶性CD6および可溶性ALCAMの使用を支持することが見出されている。
【0199】
例2
CD6およびALCAMの発現は、ヒト腎組織生検で有意に上昇し、ループス腎炎(LN)患者の尿細胞で検出可能である
背景/目的:ループス腎炎(LN)は、全身性エリテマトーデス(SLE)患者における罹患率および死亡率の主因である。しかしながら、ループス患者の腎疾患の病因はまだ完全に理解されていない。この調査の目的は、LN患者の腎臓におけるCD6/ALCAMの発現を研究し、LN疾患のバイオマーカーとしての尿ALCAMおよびCD6の可能性を評価することであった。
【0200】
結果の概要:公的に利用可能なRNASeqデータセットのDe novo分析は、ループス腎炎患者が、非罹患個体と比較して有意に高い腎レベルのCD6およびALCAMを発現し、これらのマーカーの高発現が、LN患者から収集した尿細胞で検出可能であることを確認する。
【0201】
方法および結果:単一細胞のRNA Seqデータを、AMPループスネットワークプロジェクト(SDY997)の一部として、ループス腎炎患者または健康対照患者(生検)から単離した[凍結した腎組織試料または尿試料から得た細胞]から得た。各試料のすべての個々の遺伝子にマッピングされる転写読み取りのカウントからなるデータセットが、公開データベースで利用可能になった(Arazi A. et al., Nat Immunol. 2019 Jul; 20(7):(902-914))。scRNA-seq分析を、R用のSeuratパッケージを使用してこれらのデータセットで行った。
【0202】
我々は、バイオインフォマティクスを使用してこれらの公開データセットをマイニングして、対照試料(11人の健康な患者)対LN患者試料(19人のLN患者)におけるCD6およびALCAM発現の比較を作成した。CD6はもっぱらT細胞で発現した(図3A、左パネル)。他方、ALCAMは、マクロファージ、樹状細胞、および尿細管細胞などのプロフェッショナルAPCの両方で発現した(図3A、右パネル)。この実験のデータは、以下の表2に要約される。
【表2】
【0203】
我々の分析は、LN患者対対照においてより高いレベルでのCD6およびALCAMの存在を実証した(図3B)。CD6+およびALCAM+白血球の両方がLN患者対対照の腎臓においてより多く見られ(図3B、左右のパネルの「腎白血球」棒グラフ)、ALCAM+上皮細胞はLN患者でのみ検出可能であった(図3B、左右のパネルの「腎上皮」棒グラフ)。その上、CD6+およびALCAM+白血球の両方がLN患者の尿において存在した(それらの尿において存在する白血球を有さないことが知られている無病患者とは対照的である)。(図3B、左右のパネルの「尿白血球」棒グラフ)。
【0204】
クラスIII(増殖性)またはIV(膜性)LNを有する患者は、対照よりも多くのCD6発現細胞を有する傾向があり(図3C)、CD6発現がLN段階に続く可能性があることを示唆した。さらにまた、ALCAMを発現する尿細管細胞およびマクロファージの数は、健康対照と比較してLNでも上昇した(図3D)。よって、これらのデータは、LN患者が増加したT細胞浸潤に起因して腎臓においてCD6T細胞を増加させたことを示唆し、上皮細胞および浸潤性腎白血球の両方でALCAM発現が増加すると、これらのT細胞が活性化される可能性が高い。
【0205】
尿ALCAMタンパク質レベルは、対照個体と比較して活動性LN患者において有意に上昇し(図4A)、>1100の尿タンパク質の公正なスクリーニングにより、尿ALCAMがLN患者におけるLN疾患活性の強力な予測因子として同定された(図4B)。
【0206】
尿試料を複数の民族性および多様な疾患活性のSLE患者から収集した。ALCAM濃度をELISAによってアッセイし、次いで尿クレアチニンに対して正規化した。ALCAMは、複数の民族性の対照と比較したとき、活動性LN患者の尿で有意に上昇した(図5)。アジア人(図5A)、アフリカ系アメリカ人(図5B)、ヒスパニック(図5C)、および白人患者(図5D)において、尿ALCAMは、活動性LNを非活動性SLEまたはLNを伴わない活動性SLE患者からさらに識別した。図5A~5Dについて、HC=健康対照;ANR=活動性の非腎ループス;AR=活動性の腎ループス。
【0207】
尿ALCAMは、アジア人SLE患者における全身性エリテマトーデス疾患活性指標(SLEDAI)(図5F)、SLEDAIの腎ドメイン(rSLEDAI)(図5E)、およびPGA(図5F)と有意に相関した(すべてp<0.0001)(図5)。
【0208】
結論:ここで、我々は、LN患者の腎組織内のCD6/ALCAM経路の増加した活性を実証する。より具体的に言うと、浸潤性T細胞は実際にCD6を発現し、CD6を発現するT細胞の数は、LNを有する患者対健康対照の腎生検、および増殖性LNを有する患者対膜性LNを有する患者においてより多い。ALCAMを発現するマクロファージもまた、LNを有する患者で数値的に上昇し、LNでのCD6/ALCAMシグナリング経路の増加した活性化を示唆した。LNを有する患者もまた、ALCAMを発現する尿細管細胞の上昇したレベルを有し、これらの常在腎臓細胞がLNの文脈においてT細胞のシグナリングおよび遊走に寄与し得ることを示した。最終的に、尿ALCAMは、複数の民族性の活動性LN患者で有意に上昇し、臨床的疾患状態とよく相関していたため、LNでの疾患評価の有望なバイオマーカーを表し、CD6+およびALCAM+mRNAは、LN患者から得られた尿試料から採取した白血球で検出可能であった。これらのデータは、LNが診断され得ること、および/またはLNの活性状態および疾患の進行が尿におけるALCAMまたはCD6タンパク質および/または尿リンパ球におけるmRNA発現の存在および存在量を分析することによってモニタリングされ得ることを強く支持し、さらに、イトリズマブなどの標的CD6-ALCAM治療がLNの有望な処置となり得ることを示唆する。
【0209】
例3
EQ001による処置に対する感受性のバイオマーカーとしての尿における高レベルの可溶性CD6および可溶性ALCAMタンパク質
高尿レベルの可溶性CD6および可溶性ALCAMをEQ001による処置に対する感受性のバイオマーカーとして使用できるかどうかを決定するために、これらのマーカーの濃度を、EQ001による処置の前後に活動性ループス腎炎を有する対象の尿において分析する臨床試験を行う。
【0210】
試料は、以下のコホートから収集する:
(a)コホート1:ビヒクルによって処置される、既知または予想される炎症性または自己免疫疾患を有さない12人の正常な対象
(b)コホート2:ビヒクルによって処置される、非活動性である既知のループス腎炎を有する6人の対象
(c)コホート3:ビヒクルによって処置される、活動性ループス腎炎を有する6人の対象
(d)コホート4:ビヒクルにおいて送達されるEQ001によって処置される、活動性ループス腎炎を有する6人の対象。
【0211】
尿試料は、個々のベースラインの尿可溶性CD6および可溶性ALCAM濃度を確立するために、隔週で2~3ヶ月間対象から収集する。処置は、少なくとも5つのベースライン測定が得られた後に開始する。対象は、2週間ごとに合計5用量を静脈内投与されるEQ001またはビヒクルを受け、尿試料は、初回投薬の3日後、および、研究の過程でその後は週2回収集し、これは、初回処置後20週間継続する。
【0212】
上に記載のとおり、収集後すぐに、上の方法に従って試料を処理、分注、凍結し、研究の完了時に、試料をELISAによって試験する。
【0213】
最初に、可溶性CD6および可溶性ALCAMの濃度をコホート間で比較し、コホート3および4で最も高く、コホート1で最も低いことが見出された。中間濃度は、コホート2からの試料に存在する。
【0214】
研究の過程で、可溶性CD6および可溶性ALCAMの増加がコホート2のある対象からのいくつかの試料で見られ、その増加は、これらの対象の非活動性疾患から活動性疾患への移行と相関している。逆に、EQ001を受けたコホート4の対象では、可溶性CD6および可溶性ALCAMレベルの有意な減少を観察する。対照的に、ビヒクル単独を受けたコホート3では有意な減少を観察しない。可溶性CD6および可溶性ALCAMの最も高い基礎レベルを有する対象は、EQ009による処置に最も劇的に応答する。
【0215】
かかる結果は、抗CD6抗体EQ001などのCD6-ALCAM経路のインヒビターによる処置に対する感受性のバイオマーカーとしての可溶性CD6および可溶性ALCAMの使用を支持することが見出されている。
【0216】
例4
CD6遮断による自発的SLE/ループス腎炎(LN)の処置
背景/目的:例として、本開示によるLNとの診断後、対象が抗CD6遮断抗体による処置に有益に応答し得るかどうかを決定するために、我々は、MRL/MpJ-Faslpr/2Jマウス系統(またはMRL/lpr)(SLEおよびLNの広く使用されているモデル)を使用して様々なin vivo研究を行った。この系統は、ヒトのSLEおよびLN疾患と多くの類似点を有する自発的な全身性自己免疫を発症し、SLE/LN調査で定型的に使用されている(Richard 2018)。この系統は、全身性自己免疫、リンパ節腫脹、および高活動性T細胞およびB細胞によって特徴付けられるアポトーシスの喪失および制御されていないリンパ球増殖をもたらすfas遺伝子の変異を含む。SLE患者と同様に、マウスは、核抗原(抗核抗体、抗dsDNA、抗Sm、抗Roおよび抗La)に対する自己抗体、免疫複合体の沈着、糸球体腎炎、および関節炎、脳炎、および皮膚の発疹を含む追加のSLE症状を生じる。この研究では、我々は、SLEのこのマウスモデルの文脈内でCD6およびALCAMの発現を評価し、次いで続いてこのシグナリング軸を標的にして、疾患の病因におけるその役割を決定した。
【0217】
我々は、最初に、MRL/MpJ-Faslpr/2Jマウス系統における腎CD6およびALCAM発現を分析して、ヒト試料で観察された過剰発現がこのモデルで再現されることを確認した。最初の実験では、生後6ヶ月のMRL/lprマウスおよびB6腎臓を、ALCAMおよびCD6の両方の存在について染色した。
【0218】
腎臓はMRL/lprマウス(腎炎を有する)から採取し、6月齢のC57BL/6マウス(腎炎を有さない)をALCAM(CD166、赤色、図6Aおよび図6B)およびCD6(赤色、図6C)について染色した。MRL/lprマウスは、B6健康対照マウス(示されているのは、1つの群あたり3匹のマウスを表す画像である)と比較して、それらの尿細管(図6B)および糸球体(図6A)の両方内で、腎ALCAM発現の増加したレベルを示す。加えて、MRL/lprマウスの糸球体に浸潤するマクロファージは、ALCAM+(白色矢印、上段パネル)であり、CD6+T細胞浸潤の同時増加(白色矢印、下段パネル)と対をなした。
【0219】
よって、免疫蛍光染色は、CD6およびALCAMが、非腎炎性腎臓で見られるレベルよりも腎炎を有する動物の腎臓においてより高いレベルで存在することを実際に確認した。結果的に、これらのマウスは、上の例に示したヒトLN組織で観察された発現パターンを再現し、これらのマウスを使用して、CD6/ALCAM経路を通じたシグナリングを遮断できるモノクローナル抗CD6抗体による処置の効果を研究した。
【0220】
再現性および広範なエンドポイントを試験するために、いくつかの独立した実験を行った。これらの実験の設計は、LNにおける治療法の前臨床試験の受け入れられた慣行と一致していた。
【0221】
図7Aは、MRL/lprモデルを使用する実験の研究設計を示す。手短に言えば、メスMRL/lprマウスを9~10週齢まで老化させた後、マウスを、抗CD6抗体(10D12、60ug/用量、腹腔内に週2回)、無関係なポリクローナルラットIgGアイソタイプ対照(60ug/用量、週2回)、またはシクロホスファミド(25mg/kg、週1回)のいずれかで処置した。また、我々は、無処置群および一群のMRL/MpJマウス(類遺伝子の健康対照系統)も含めた。タンパク尿、体重、およびリンパ節腫脹を生涯にわたってモニタリングし、末端のエンドポイントは、尿アルブミンおよびクレアチニンのレベル、リンパ節および脾臓の重量、および腎浸潤性免疫細胞を含んだ。
【0222】
MRL/lpr群における抗DNA抗体、体重、およびタンパク尿のベースラインレベルは同様であった(データは示されていない)。マウスは、タンパク尿、リンパ節腫脹、および肉眼的な皮膚病変について毎週モニタリングした。
【0223】
図8に示されるとおり、抗CD6抗体の投与は、腎臓損傷を減少させ、改善された腎機能および減少した死亡率をもたらした。具体的に言うと、19週齢で、抗CD6抗体で処置したマウスは、ウリスティックス(uristix)によって測定され(図8A、p<0.05)、末端の尿においてアルブミン:クレアチニン比を測定することによって確認されたように(図8B)、アイソタイプ対照マウスと比較して、改善されたタンパク尿を示した。抗CD6抗体による処置はまた、末端の血清における血液尿素窒素(BUN)レベルによって測定されたように、MRL/lprマウスの腎臓機能を改善し(図8C)、抗CD6抗体で処置されたマウスは生存の有意な改善を示した(図8D)。
【0224】
MRL/lprマウスは、異常に大きなリンパ節をもたらすリンパ球増殖性疾患を発症する。19週齢でのリンパ節腫脹を評価し、我々は、終了時の左右の鼠径リンパ節の体積測定の平均(図8E)およびリンパ節腫脹のスコアリング(図8F)によって評価した場合、対照と比較して、抗CD6処置マウスの著しい改善を認めた。その上、終了時の腎臓浸潤性免疫細胞およびT細胞の頻度は、抗mCD6処置によって低減し(図8G図8H、および図8I)、よって、CD6遮断が活性化された腎浸潤性T細胞の数を減少させることを実証した。
【0225】
さらにまた、抗CD6抗体で処置されたマウスおよび対照マウスからの試料における糸球体(図9A)および腎尿細管(図9B)の組織学的なスコアリングを、盲検化した病理学者によって行い、データは、糸球体の病理の有意な改善を実証した。
【0226】
よって、これらのデータは、抗CD6抗体の投与が腎臓損傷を減少させ、改善された腎機能および死亡率をもたらしたことを実証する。
【0227】
MRL/lprマウスはまた、病理においてSLE患者に見られる皮膚ループスと同様であり、自己炎症性疾患の結果である重度の皮膚病変を発症する。図10Aは、対照マウスおよび抗CD6抗体処置を受けたマウスからの皮膚組織の組織学的検査を示す。アイソタイプ対照マウスは、高角化症(表皮の肥厚)、真皮-表皮接合部の損傷、および真皮への大きな細胞浸潤を含む、疾患のある皮膚の組織病理を示した。抗CD6処置は、これらの病態の多くを寛解させ、低減された表皮の肥厚および細胞浸潤を実証した。抗CD6組織学は、アイソタイプ対照マウスよりもMPJマウスの健康対照切片に類似している。これらの病変の肉眼的なスコアリングは、アイソタイプ対照群と比較して、抗CD6処置マウスの皮膚疾患の有意な改善を示した(図10B、p<0.05)。
【0228】
抗CD6処置がMRL/lprマウスの皮膚疾患の発症にどのように影響を与えたかを評価するために、皮膚組織切片をマクロファージ(緑色)、C3(赤色)、およびIgG(オレンジ色)について染色した。アイソタイプ対照マウス(図11A)と比較して、処置マウス(図11B)における蓄積マクロファージの数の顕著な減少がある。しかしながら、C3およびIgGレベルは、両方の処置群間で類似しており、健康対照MPJマウスよりも高いように見える(図11C)。
【0229】
結論:SLEの自発的モデル内で、抗CD6処置は、このモデルのリンパ球増殖性表現型を有意に低減させながら、(すなわち、腎臓および皮膚における)複数の末端の臓器病態を寛解させた。概して、これらの結果は、CD6-ALCAM経路を標的とすることで、SLE内の複数の臓器病態に対して有望な治療可能性を有し得ることを示す。
【0230】
例5
腎毒性血清腎炎(NTN)の促進マウスモデルにおけるCD6遮断によるSLE/ループス腎炎(LN)の処置。
背景/目的:CD6遮断の役割および腎臓に対する特定の効果を調べるために、我々は腎毒性血清腎炎(NTN)の促進モデルを利用した。NTNは、LNの確証された短期間のモデルである。NTNモデルは、LNで観察されたものと機構的および組織学的に類似した糸球体腎炎を示し、その結果、SLEのこの特定の合併症について薬剤を試験するためのモデルとして一般的に使用されている(Fu 2007)。動物は、免疫複合体の沈着、補体活性化、および免疫細胞浸潤(T細胞、好中球、およびマクロファージ)によって特徴付けられる半日体の増殖性糸球体腎炎を示し、減少した糸球体濾過率、タンパク尿、およびアルブミン尿を伴い、すべてヒトの疾患と同様の特徴を示す。
【0231】
NTNモデルは、糸球体基底膜(抗GBM)に対する抗体の注射を介して、非自己免疫マウスにおいて急速発病免疫複合体疾患を開始する。補体媒介性損傷の後に、腎臓へのT細胞の浸潤およびT細胞媒介性破壊が続く。
【0232】
再現性を試験し、LNの治療法の前臨床評価の標準的な様式で広範なエンドポイントを調べるために、2つの独立した実験を行った(1つの群あたりn=6~12/実験)。実験1では、マウスをビヒクル対照または60μg/用量の抗mCD6(10D12)のいずれかで処置した。実験2では、マウスをビヒクルまたは60μg/用量の抗mCD6またはアイソタイプ対照のいずれかで処置した。実験1および2の各々の処置スケジュールが図12Aに描かれている。処置はウサギ血清の注射の1日前(4日目)に開始し、犠牲死まで3日ごとに投与した(実験1:12日目;実験2:11日目)。犠牲死は、毎日の追跡によって決定されるように、タンパク尿のピーク後の2日目に設定した。両方の実験は、対照として健康な(疾患の開始なし)マウスを含んだ。
【0233】
方法:腎毒性血清腎炎は、LNをモデル化するために、両方とも10週齢のメス129/svJマウスの2つの別々のコホートで誘発した。0日目にマウスをウサギIgGおよびCFAで免疫してマウス抗ウサギ抗体を作製し、次いで5日目に与えた腎毒性ウサギ血清と交差反応させて、LNと同様の病理の抗体媒介性腎炎を引き起こした。LN病因におけるCD6/ALCAM経路の重要性を評価するために、マウスを4、7、および10日目に抗CD6モノクローナル抗体(mAb)(60ug/用量、n=12/実験)またはビヒクルまたはアイソタイプIgG(n=12/実験)で処置した。健康なマウス(ウサギIgGで免疫されているが、腎毒性血清は与えられていない)も対照として含まれた(n=12)。我々は、タンパク尿(ウリスティックス(uristix))、尿アルブミン:クレアチニン比、および血清血液尿素窒素(BUN)を介して腎臓疾患の進行をモニタリングし、両方のコホートに対する抗CD6処置の効果を評価した。免疫細胞浸潤に対する処置の効果を評価するために、フローサイトメトリー、RT-PCR、および免疫蛍光染色を終了時に完了した。
【0234】
結果:腎毒性血清腎炎のNTNマウスモデルにおけるCD6遮断は、疾患を阻害し、腎臓機能を保護する(図12B図12G)。図12Bは、ビヒクル対照(上段パネル)またはCD6抗体(下段パネル)で処置したマウスからの腎組織の組織学的な糸球体切片を示す。糸球体切片は、管内増殖、半月体、および沈着物の熟達した腎臓病理学者による盲検化されたスコアリングを介して0~4のスケールで評価され、結果は図12Cにグラフ化されている。抗CD6処置は、ビヒクル対照マウスと比較して糸球体の病理を有意に軽減した。尿細管のスコアは、尿細管円柱および間質性炎症をスケール0~4でスコアリングすることによって同様に決定され、結果は図12Dにグラフ化されている。糸球体のスコアと同様に、抗mCD6処置マウスは、ビヒクル対照と比較して有意に改善された尿細管のスコアを示した。
【0235】
さらに、抗CD6 mAbによるNTNマウスの処置は、ビヒクル対照マウスと比較して、タンパク尿の減少したレベルをもたらした(p<0.001)(図12E)。この結果は、末端の尿におけるアルブミン:クレアチニン比を測定することによって確認された(図12F、p<0.0001)。我々はまた、処置マウスをビヒクル対照マウスと比較したとき、有意に改善されたBUN(p<0.01)を見出した(図12G)。抗CD6処置がNTNモデルの誘発に干渉しないことを確認するために、我々は、マウス抗ウサギIgGレベルおよびウサギ抗マウス糸球体基底膜(GBM)レベルを測定し、群間に違いがないことを見出した(データは示されていない)。
【0236】
腎炎症に対するCD6遮断の効果を決定するために腎サイトカインレベルのRT-PCRを行った。これらの実験は、対照の病気のマウスと比較して、処置マウスの腎臓におけるサイトカインの炎症環境がより少なく、炎症性マーカーVCAM(図13A)およびRANTES(図13B)の発現レベルが有意に減少し、抗炎症性IL-10(図13C)のレベルが増加したことを明らかにした。免疫細胞浸潤に対する抗mCD6処置の効果を評価するために、腎臓でフローサイトメトリーを行った。我々は、抗CD6処置マウス対アイソタイプおよびビヒクル対照マウスの両方において、免疫細胞蓄積の全体的な減少(図14A、CD45+)を認めた。さらなる分析は、炎症性骨髄細胞(図14B図14D)およびT細胞集団(図14E図14F)の減少を示した。T細胞は有意に減少し(図14E)、活性化されたCD4(CD25+CD69+)細胞において有意差が認められた(図14F)。
【0237】
CD6遮断は、腎炎症性サイトカイン発現および腎臓における骨髄およびT細胞の免疫浸潤の低減を介して、このマウスモデルにおける腎臓機能を改善する。
【0238】
これらの結果は、現在提供されている免疫抑制治療よりも選択的である有望な治療的な選択肢としてのCD6-ALCAM経路を強調する。
【0239】
よって、前述の実験は、抗CD6処置によるCD6-ALCAM経路の阻害(例として、本明細書に開示の方法による診断後)が、腎毒性抗体投与(ループス腎炎誘発モデル)に関連する腎炎を寛解させることを実証する。
【0240】
まとめると、本明細書で報告される研究は、LNが診断され得ること、および/またはLN活性状態および疾患の進行が、尿におけるALCAMまたはCD6タンパク質および/または尿リンパ球におけるmRNA発現の存在および存在量を分析することによってモニタリングされ得ることを強く支持する。これらの研究はさらに、イトリズマブなどの標的CD6-ALCAM治療がLNの処置の有望な候補であり得ることを示唆する。
【0241】
例6
CD6-ALCAM経路は、SLEのNZB/W F1およびB6.Sle1yaaモデルにおいて活動性である。
背景/目的:ALCAMの血清レベルに対するCD6遮断の効果のさらなる研究を容易にするために、我々は最初に、我々がヒト患者で観察した尿ALCAMレベルの増加を再現するSLEのマウスモデルを同定しようとした。
【0242】
その目的のために、我々は最初に、SLEのNZB/W F1およびB6.Sle1yaaモデルにおける血清ALCAMレベルを調べた。
【0243】
NZB/W F1モデル。NZB/W F1マウスは、ニュージーランドブラック(NZB)系統とニュージーランドホワイト(NZW)系統との間のF1ハイブリッドである。NZBWF1/Jマウスは、ヒト全身性エリテマトーデスに似た自己免疫疾患を発症する。ヒトの疾患と同様に、自己免疫は、主にメスの動物で発症し、高レベルの抗核抗体、溶血性貧血、タンパク尿、および進行性の免疫複合体糸球体腎炎によって特徴付けられる。NZB/W F1メスの主な死因は、5月齢の前の重いメサンギウム沈着、尿細管円柱形成、糸球体細胞の増殖、顕著な半月体形成、および有意な糸球体周辺および間質性単球浸潤を伴う慢性糸球体腎炎である。IgG2aおよびC3の糸球体外腎沈着物は、尿細管周辺組織および細動脈に存在し、年齢とともに頻度が増加する。
【0244】
B6.Sle1yaaモデル。B6.Sle1yaaオスは、NZM2410/Aeg近交系マウスからの全身性エリテマトーデス感受性1定量的形質遺伝子座およびBXSB/MpJ近交系マウスからの変異型Yaa含有Y染色体を有するC57BL/6J類遺伝子動物である。B6.Sle1yaaオスは、多数の免疫学的異常を伴う自発的なループス様自己免疫症候群を発症する。具体的に言うと、B6.Sle1yaaオスの死亡率は、約12~15週齢で始まり、約30~38週齢までに50%の致死性を示す。加えて、B6.Sle1yaaオスは、ほとんどの腎臓糸球体でヒアリン化した末期疾患によって特徴付けられる重度の腎臓の病理を示す。かなりのレベルの自己抗体が6~8週間で検出可能であり、dsDNAおよび腎臓糸球体抗原に対するIgG自己抗体は、ほぼ4~6ヶ月の重度の糸球体腎炎の発病とともに劇的に増加する。CD4+T細胞系統はB6.Sle1yaaオスで調節不全である。初期および進行性のCD4+T細胞活性化は、IFNγ分泌細胞の増加につながり、最終的には慢性活性化によって誘発される複製老化につながる。
【0245】
ヒトの疾患における尿ALCAMとLNとの間の関連に基づいて、我々は、SLEのこれらのマウスモデルの文脈内で尿ALCAMのレベルを評価し、次いで続いてこのシグナリング軸を標的にして、疾患におけるその役割を決定した。
【0246】
我々は最初に、NZB/W F1メスマウスにおける尿ALCAM発現を分析して、ヒト試料で観察された過剰発現がこのモデルで再現されることを確認した。最初の実験では、生後6ヶ月および生後12ヶ月のマウスから尿を収集し、ALCAMレベルをELISAによって評価した。
【0247】
NZB/W F1モデルのデータは図15Aに示され、これは、疾患発病前(≦6ヶ月)の血清ALCAMレベル(尿クレアチニンレベルに正規化)と比較して、疾患発病後(12ヶ月)の血清ALCAMレベル(尿クレアチニンレベルに正規化)の有意な増加を実証する。
【0248】
我々は次に、B6.Sle1yaaモデルにおける尿ALCAM発現を分析した。尿を生後3ヶ月および生後6ヶ月のマウスから収集し、ALCAMレベルをELISAによって評価した。B6.Sle1yaaモデルのデータは図15Bに示され、これは、疾患発病前(3ヶ月)の血清ALCAMレベル(尿クレアチニンレベルに正規化)と比較して、疾患発病後(6ヶ月)の血清ALCAMレベル(尿クレアチニンレベルに正規化)の有意な増加を実証する。
【0249】
NZB/W F1およびB6.Sle1yaaモデルのデータは両方とも、ヒト患者で観察された腎疾患に関連する尿ALCAMレベルの増加を模倣する。これらの結果は、これらのマウスモデルが、尿ALCAMレベル、および疾患の進行および尿におけるALCAM/CD6レベルに対するCD6遮断の効果のさらなる機構的な調査に適切であることを示す。
【0250】
その目的のために、経過観察実験において、我々は、NZB/W F1メスマウスモデルにおけるCD6遮断が疾患の進行に影響を与えることができるかどうかを試験した。表3は、NZB/W F1モデルを使用する実験の研究設計を示す。
【表3】
【0251】
* シクロホス=シクロホスファミド
【0252】
手短に言えば、メスNZB/W F1マウス(年齢:26週)を、抗CD6抗体(10D12、60または300ug/用量)、シクロホスファミド(25mg/kg)、またはビヒクルのいずれかで週2回腹腔内処置した。タンパク尿および体重を毎週評価した。
【0253】
この実験の結果は、図15Cに示されている。抗mCD6抗体によるこれらのNZB/W F1メスマウスの処置は、タンパク尿(腎機能の重要な測定)の有意な減少をもたらした。よって、NZB/W F1およびB6.Sle1yaaモデルにおける尿ALCAMの変化は、SLE疾患の進行を示し、抗mCD6抗体による処置がいつ有効であるかを決定するのに有用なバイオマーカーとして使用され得る。
【0254】
参照
本明細書で引用されたすべての参照の内容は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【表4A】
【表4B】
【0255】
配列:
EQ001 VHアミノ酸配列:(配列番号1)
EVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFKFSRYAMSWVRQAPGKRLEWVATISSGGSYIYYPDSVKGRFTISRDNVKNTLYLQMSSLRSEDTAMYYCARRDYDLDYFDSWGQGTLVTVSS
EQ001 VKアミノ酸配列:(配列番号2)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASRDIRSYLTWYQQKPGKAPKTLIYYATSLADGVPSRFSGSGSGQDYSLTISSLESDDTATYYCLQHGESPFTLGSGTKLEIK
【0256】
EQ001 VHヌクレオチド(DNA)配列:(配列番号3)
GAAGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTAGTGAAGCCTGGAGGGTCCCTGAAACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCAAGTTTAGTAGATATGCCATGTCTTGGGTTCGCCAGGCTCCGGGGAAGAGGCTGGAGTGGGTCGCAACCATTAGTAGTGGTGGTAGTTACATCTACTATCCAGACAGTGTGAAGGGTCGATTCACCATCTCCAGAGACAATGTCAAGAACACCCTGTATCTGCAAATGAGCAGTCTGAGGTCTGAGGACACGGCCATGTATTACTGTGCAAGACGAGATTACGACCTGGACTACTTTGACTCCTGGGGCCAAGGCACCCTTGTCACCGTCTCCTCA
【0257】
EQ001 VKヌクレオチド(DNA)配列:(配列番号4)
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCGGTGGGAGACAGAGTCACTATCACTTGCAAGGCGAGTCGGGACATTAGAAGCTATTTAACCTGGTACCAGCAGAAACCAGGGAAAGCTCCTAAGACCCTGATCTATTATGCAACAAGCTTGGCAGATGGGGTCCCGTCGAGATTCAGTGGCAGTGGATCTGGGCAAGATTATTCTCTCACCATCAGCAGCCTGGAGTCTGACGATACAGCAACTTACTACTGTCTACAACATGGTGAGAGTCCATTCACGCTCGGCTCGGGGACCAAGCTGGAAATCAAA
【0258】
EQ001重鎖CDR1アミノ酸配列:(配列番号5)
GFKFSRYAMS;
EQ001重鎖CDR2アミノ酸配列:(配列番号6)
TISSGGSYIYYPDSVKG;
EQ001重鎖CDR3アミノ酸配列:(配列番号7)
RDYDLDYFDS
EQ001軽鎖CDR1アミノ酸配列:(配列番号8)
KASRDIRSYLT
EQ001軽鎖CDR2アミノ酸配列:(配列番号9)
YATSLAD
EQ001軽鎖CDR3アミノ酸配列:(配列番号10)
LQHGESP
【0259】
等価物
本発明は、上記の特定の態様と併せて記載されてきたが、その多くの代替、改変および他のバリエーションは、当業者に明らかであろう。すべてのかかる代替、改変およびバリエーションは、本発明の精神および範囲内に入ることが意図されている。本明細書において触れられている、および/または本出願データシートにおいて挙げられているすべての米国特許、米国特許出願刊行物、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。態様の側面は、必要ならば、様々な特許、出願および刊行物の概念を用いてなおさらなる態様を提供するように改変され得る。これらおよび他の変化は、上の詳細な記載に照らして態様に対してなされ得る。一般的に、以下の請求項において、使用される用語は、請求項を本明細書および請求項に開示される特定の態様に限定するものと解釈されるべきではなく、すべての可能な態様を、かかる請求項が権利を与えられる等価物の全範囲とともに含むものと解釈されるべきである。結果的に、請求項は本開示によって限定されない。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A-D】
図5E-G】
図6
図7
図8A-G】
図8H-I】
図9
図10
図11
図12A
図12B-D】
図12E-G】
図13
図14
図15
【配列表】
2022521973000001.app
【国際調査報告】