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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(54)【発明の名称】アッセイ装置およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20220406BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549920
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(85)【翻訳文提出日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 US2020019875
(87)【国際公開番号】W WO2020176607
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】62/810,857
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】520325108
【氏名又は名称】トルビアン サイエンシズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンダークライン イアン
(72)【発明者】
【氏名】トーバー アルマンド
(72)【発明者】
【氏名】ホーキンス ジェフリー エイ.
(72)【発明者】
【氏名】リー フローレンス イン
(72)【発明者】
【氏名】デルメニコ ピーター アール.
(72)【発明者】
【氏名】マリヌッチ デナ
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058DA07
2G058GA01
(57)【要約】
アッセイ装置およびその使用方法が記載される。アッセイ装置は、最上面と最下面とを有する平坦基板を含む。アッセイ装置は、平坦基板内に配置されて最上面と最下面との間で平坦基板の寸法に沿って延在する1つまたは複数の流れチャネルをさらに含む。アッセイ装置は、1つまたは複数の流れチャネルに流体結合された取り入れ口と、1つまたは複数のチャネルに流体結合された1つまたは複数の排出口とをさらに含み、これらは、1つまたは複数の流れチャネルを通る液体試料、例えば全血の流れを促進するように機能する。1つまたは複数の流れチャネルは、取り入れ口から液体試料を受け取って液体試料の流れを可能にするように構成される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最上面と最下面とを有する平坦基板と;
前記平坦基板内に配置されて、前記最上面と前記最下面との間で前記平坦基板の寸法に沿って延在する流れチャネルと;
前記流れチャネルに流体結合された取り入れ口と;
前記流れチャネルに流体結合されて、前記チャネルを通る液体試料の流れを促進するように機能する排出口と
を具備するアッセイ装置であって、
前記取り入れ口から液体試料を受け取り、前記流れチャネル内での液体試料の流れを可能にし、それにより前記液体試料の分析物を前記流れチャネル内で単層として分配するように、前記流れチャネルが構成される、アッセイ装置。
【請求項2】
前記平坦基板内に配置される1つまたは複数のさらなる流れチャネルをさらに具備する、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項3】
前記1つまたは複数のさらなる流れチャネルのそれぞれが、前記取り入れ口に流体結合されている、請求項2に記載のアッセイ装置。
【請求項4】
少なくとも2つの流れチャネルを具備する、請求項3に記載のアッセイ装置。
【請求項5】
1つまたは複数のさらなる取り入れ口をさらに具備し、前記1つまたは複数のさらなる流れチャネルのそれぞれが、別個の取り入れ口に流体結合されている、請求項2に記載のアッセイ装置。
【請求項6】
前記取り入れ口が前記最上面に配置されている、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項7】
前記平坦基板が単一材料によって形成される、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項8】
前記平坦基板の最下面が、前記流れチャネルの最下面および前記流れチャネルの側壁面を画定する第1の材料層によって形成され、前記平坦面の最上面が、前記流れチャネルの上面を画定する第2の材料層によって形成される、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項9】
前記第1および第2の材料層が、異なる材料で構成されるか、または同一材料から構成される、請求項8に記載のアッセイ装置。
【請求項10】
前記平坦基板の最下面が、前記流れチャネルの最下面を画定する第1の材料層によって形成され、前記平坦面の最上面が、前記流れチャネルの上面を画定する第2の材料層によって形成され、前記第1および第2の材料層の間に介在する第3の材料層が、前記流れチャネルの側壁面を画定する、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項11】
前記第1、第2、および第3の材料層が、異なる材料から構成されるか、または同一材料から構成される、請求項10に記載のアッセイ装置。
【請求項12】
前記第1および第2の材料層が、第1の材料から構成され、前記第3の材料層が、第2の材料から構成される、請求項10に記載のアッセイ装置。
【請求項13】
前記流れチャネルが、第1の側壁部分と第2の側壁部分とを具備し、前記第1の側壁部分が、前記取り入れ口から前記第2の側壁部分まで延在しており、前記第1の側壁部分と前記第2の側壁部分が、約30°~60°の角度で接合されている、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項14】
前記流れチャネルが、約0.02~0.250ミリメートルの深さを有する、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項15】
前記流れチャネルにわたって配置された前記平坦面の上面が、約0.05~0.5ミリメートルの厚さを有する、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項16】
前記流れチャネルにわたって配置された前記平坦基板の上面が、透明または半透明である、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項17】
前記平坦基板の最下面が、透明または半透明である、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項18】
前記流れチャネルにわたって配置された前記平坦面の上面が、実質的に自家蛍光性でない、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項19】
前記平坦基板の最下面が、実質的に自家蛍光性でない、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項20】
前記取り入れ口が、前記流れチャネル中への液体試料の流れを促進するように機能するチャネルまたは斜角付きの特徴を具備する、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項21】
前記流れチャネルが、約30~90マイクロリットルの体積を有する、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項22】
前記取り入れ口に液体試料を投入すると、約5~45秒以内に液体試料で満たされるように前記流れチャネルが構成される、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項23】
前記流れチャネルの表面が、官能化されたコーティングを具備する、またはテクスチャ加工されている、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項24】
最下面、最上面、側壁面、またはそれらのいずれかの組み合わせが親水性である、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項25】
前記液体試料が体液である、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項26】
前記流体試料が、羊水、房水、硝子体液、血液、全血、分画済み血液、血漿、血清、母乳、脳脊髄液(CSF)、セルメン(耳垢)、乳糜、糜粥、内リンパ液、周囲リンパ液、糞便、呼気、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻水、痰を含む)、心嚢液、腹膜液、胸膜液、膿、粘膜分泌物、唾液、呼気凝縮液、皮脂、精液、喀痰、汗、滑液、涙、嘔吐物、前立腺液、乳頭吸引液、涙液、発汗、口腔粘膜検体採取物、細胞溶解物、胃腸液、生検組織、および尿からなる群から選択される、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項27】
前記液体試料が全血である、請求項26に記載のアッセイ装置。
【請求項28】
前記流れチャネルの撮像領域内に、赤血球、白血球、または血小板のうちの少なくとも1つの実質的に均一な分布を生成するように前記流れチャネルが構成される、請求項27に記載のアッセイ装置。
【請求項29】
二分木を形成する一連のノードを通じて前記取り入れ口に流体結合された複数の流れチャネルを具備する、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項30】
前記流れチャネル内に配置されて前記流れチャネルの最下面から前記流れチャネルの上面まで延在する複数の柱をさらに具備する、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項31】
各柱が、丸、多角形、円形、正方形、矩形、卵形、楕円形、またはそれらのいずれかの組み合わせから選択される断面形状を有する、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項32】
前記取り入れ口に結合された第1の複数の柱を有する領域であって、前記取り入れ口から前記流れチャネルへの前記液体試料の流れを制御するように構成される領域をさらに具備する、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項33】
前記流れチャネル内に分配された第2の複数の柱をさらに具備し、
前記第1の複数の柱の第1の密度が、前記第2の複数の柱の第2の密度と異なり、
前記第1および前記第2の複数の柱が、前記平坦基板の上面を支持するようにさらに構成され、
各柱が、前記流れチャネルの最下面から前記流れチャネルの上面まで延在する、
請求項32に記載のアッセイ装置。
【請求項34】
前記単層の少なくとも一部分が均一な厚さを有し、前記単層の均一な厚さが、前記流れチャネルの最下面と前記流れチャネルの上面とによって制限され、前記流れチャネルの最下面と前記流れチャネルの上面とによって調整される、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項35】
前記均一な厚さを有する単層の一部分が、少なくとも1平方ミリメートルである横方向領域にわたって均一である、請求項34に記載のアッセイ装置。
【請求項36】
前記均一な厚さを有する単層の一部分が、最高で+/-5%の厚さ均一性を有する、請求項34に記載のアッセイ装置。
【請求項37】
請求項1~36のいずれか一項に記載のアッセイ装置の取り入れ口の中に液体試料を付着させることと;
前記流れチャネルに前記液体試料を満たすことにより、前記液体試料中に存在する1つまたは複数の分析物を前記流れチャネル全体に分配し、前記流れチャネル内に前記1つまたは複数の分析物の単層を生成することと;
前記流れチャネル内の前記1つまたは複数の分析物を検出することと;
前記1つまたは複数の検出された分析物を分析することと
を含む、アッセイを実行する方法。
【請求項38】
検出が、前記流れチャネルの撮像領域内で前記1つまたは複数の分析物を撮像することによって実行される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
撮像が、蛍光顕微鏡法、明視野顕微鏡法、後方散乱暗視野顕微鏡法、落射蛍光顕微鏡法、干渉反射コントラスト顕微鏡法、暗視野表面反射顕微鏡法、または位相コントラスト顕微鏡法を用いて実行される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記流体試料が体液である、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記流体試料が、羊水、房水、硝子体液、血液、全血、分画済み血液、血漿、血清、母乳、脳脊髄液(CSF)、セルメン(耳垢)、乳糜、糜粥、内リンパ液、周囲リンパ液、便、呼気、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻水および痰を含む)、心嚢液、腹膜液、胸膜液、膿、粘膜分泌物、唾液、呼気凝縮液、皮脂、精液、喀痰、汗、滑液、涙、嘔吐物、前立腺液、乳頭吸引液、涙液、汗、口腔粘膜検体採取物、細胞溶解液、胃腸液、生検組織、および尿からなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記液体試料が全血である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記単層が、赤血球、白血球、または血小板のうちの少なくとも1つの実質的に均一な分布を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
分析が、ヘマトクリット測定値、全血計数、赤血球計数、白血球計数、白血球分類、または血小板計数を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記単層の少なくとも一部分が、均一な厚さを有し、前記単層の均一な厚さが、前記流れチャネルの最下面と前記流れチャネルの上面とによって制限され、前記流れチャネルの最下面と前記流れチャネルの上面とによって調節される、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
前記均一な厚さを有する単層の一部分が、少なくとも1平方ミリメートルである横方向領域にわたって均一である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記均一な厚さを有する単層の一部分が、最高+/-5%の厚さ均一性を有する、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記1つまたは複数の分析物が、細胞、血液細胞、赤血球、白血球、顆粒球、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球、血小板、がん細胞、ウイルス、細菌、菌類、寄生虫、タンパク質、核酸、DNA分子、RNA分子、miRNA分子、mRNA分子、血球、ペプチド、ポリペプチド、組織、ナノ粒子、薬物代謝物、脂質、炭水化物、ホルモン、ビタミン、それらの組み合わせ、およびそれらの断片からなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項49】
前記1つまたは複数の分析物が、染色された細胞を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項50】
前記1つまたは複数の分析物が、赤血球、白血球、または血小板を含む染色された細胞を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項51】
前記1つまたは複数の分析物が、染色された細胞を含み、前記染色が、アバディーン(Aberdeen)オレンジ色素またはアクリジンオレンジ色素を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項52】
検出および/または分析が、前記1つまたは複数の分析物に関連する信号を測定することによって前記1つまたは複数の分析物を検出および/または定量することを含み、前記信号が、光学信号、電気信号、機械的信号、化学物理的信号、またはそれらのいずれかの組み合わせである、請求項37に記載の方法。
【請求項53】
検出および/または分析が、前記1つまたは複数の分析物に関連する光学信号を測定することによって前記1つまたは複数の分析物を検出および/または定量することを含み、前記光学信号が、光の反射、散乱、透過、吸収、スペクトル、色、発光、強度、波長、場所、偏光、ルミネッセンス、蛍光、エレクトロルミネッセンス、ケモルミネッセンス、エレクトロケモルミネッセンス、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項54】
検出および/または分析が、前記1つまたは複数の分析物に関連する電気信号を測定することによって前記1つまたは複数の分析物を検出および/または定量することを含み、前記電気信号が、電荷、電流、インピーダンス、静電容量、抵抗、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項55】
検出および/または分析が、前記1つまたは複数の分析物に関連する機械的信号を測定することによって前記1つまたは複数の分析物を検出および/または定量することを含み、前記機械的信号が、機械的波、音波、衝撃波、または振動を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項56】
検出および/または分析が、前記1つまたは複数の分析物に関連する化学物理的信号を測定することによって前記1つまたは複数の分析物を検出および/または定量することを含み、前記化学物理的信号が、反応において生成される、pH値、イオン、熱、気泡、または色の変化から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項57】
前記画像を生成するのに先立って、前記アッセイ装置を、消耗品である支持パックに入れることをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項58】
最上面と最下面とを有する平坦基板に:
前記平坦基板内に配置されて、前記最上面と前記最下面との間で前記平坦基板の寸法に沿って延在する流れチャネルと;
前記流れチャネルに流体結合された取り入れ口と;
前記チャネルに流体結合され、かつ流れチャネルを通る液体試料の流れを促進するように機能する排出口と
を形成することと;
前記少なくとも1つの表面の親水性の量を増加させるために、前記流れチャネルの少なくとも1つの表面を処理することと
を含む、請求項1~36のいずれか一項に記載のアッセイ装置を組み立てる方法。
【請求項59】
前記平坦基板の最上面を前記平坦基板の最下面に接着して前記流れチャネルを形成する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記接着が、レーザ接着、超音波接着、熱接着、溶剤接着、または接着剤接着のうちの少なくとも1つを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記平坦基板の最上面が、中間層を介して前記平坦基板の最下面に接着されて前記流れチャネルを形成する、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記接着が、レーザ接着、超音波接着、熱接着、溶剤接着、または接着剤接着のうちの少なくとも1つを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記形成が、前記流れチャネル内に1つもしくは複数の柱、または1つもしくは複数の稜線部を形成することをさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項64】
前記取り入れ口、前記流れチャネル、または前記排出口を形成することが、モールド成形すること、ホットエンボス加工すること、レーザ彫刻すること、三次元印刷すること、ラミネートすること、またはエッチングすることをさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項65】
前記表面を官能化するために、前記流れチャネルの表面を処理することをさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項66】
請求項1~36のいずれか一項に記載のアッセイ装置と;
撮像装置と、
を具備する、アッセイを実行するための自動化されたシステム。
【請求項67】
処理装置をさらに具備し、
(i)前記撮像装置がアッセイ装置を撮像し;(ii)前記処理装置が、前記撮像装置によって得られた1つまたは複数の画像を処理して分析物を分析する、
請求項66に記載のシステム。
【請求項68】
前記処理装置によって実行される場合に、粒子計数アルゴリズム、ルックアップテーブル(LUT)フィルタ、粒子フィルタ、パターン認識アルゴリズム、モルフォロジー決定アルゴリズム、ヒストグラム、線輪郭、トポロジー表現、二値変換、カラーマッチングプロファイル、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の画像処理アルゴリズムを用いて前記1つまたは複数の画像を処理する命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体を、前記処理装置が具備する、請求項67に記載のシステム。
【請求項69】
前記装置の異なる領域を撮像するように前記撮像装置が構成される、請求項66に記載のシステム。
【請求項70】
測定装置をさらに具備し、
前記測定装置が、前記分析物に関連する信号を測定することによって前記分析物を検出および/または定量し、前記信号が、光学信号、電気信号、機械的信号、化学物理的信号、またはそれらのいずれかの組み合わせである、
請求項66に記載のシステム。
【請求項71】
測定装置をさらに具備し、
前記測定装置が、前記分析物に関連する光学信号を測定することによって前記分析物を検出および/または定量し、前記光学信号が、光の反射、散乱、透過、吸収、スペクトル、色、発光、強度、波長、場所、偏光、ルミネッセンス、蛍光、エレクトロルミネッセンス、ケモルミネッセンス、エレクトロケモルミネッセンス、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む、
請求項66に記載のシステム。
【請求項72】
測定装置をさらに具備し、
前記測定装置が、前記分析物に関連する電気信号を測定することによって前記分析物を検出および/または定量し、前記電気信号が、電荷、電流、インピーダンス、静電容量、抵抗、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む、
請求項66に記載のシステム。
【請求項73】
測定装置をさらに具備し、
前記測定装置が、前記分析物に関連する機械的信号を測定することによって前記分析物を検出および/または定量し、前記機械的信号が、機械的波、音波、衝撃波、または振動を含む、
請求項66に記載のシステム。
【請求項74】
測定装置をさらに具備し、
前記測定装置が、前記分析物に関連する化学物理的信号を測定することによって前記分析物を検出および/または定量し、前記化学物理的信号が、反応において生成される、pH値、イオン、熱、気泡、色の変化を含むがこれらには限定されない、
請求項66に記載のシステム。
【請求項75】
アッセイを行うための、請求項1~36のいずれか一項に記載のアッセイ装置の使用。
【請求項76】
アッセイを行うための、請求項66~74のいずれか一項に記載のシステムの使用。
【請求項77】
被験者の疾患または障害を診断するための、請求項1~36のいずれか一項に記載のアッセイ装置の使用。
【請求項78】
被験者の疾患または障害を診断するための、請求項66~74のいずれか一項に記載のシステムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年2月26日に出願された米国仮特許出願第62/810,857号の恩典を主張するものである。前記の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示の発明は、概して診断に関するものであり、より詳細には、全血試料の特性評価のための装置に関すると共に、そうした装置を使用および製造する関連方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
背景情報
全血成分、例えば、赤血球、白血球、および血小板の計数は、疾患および/または他の医療上の課題の診断において重要である。血液細胞の自動計数は、全血試料の画像を撮影し、その画像を処理および分析することによって達成することができる。自動計数の精度は、画像によって取り込まれたデータの質、例えば、一貫性および/または信頼性に直接依存する可能性がある。データの質はさらに、全血試料の質、例えば、均一性に依存することがある。例えば、全血試料内に気泡が取り込まれたり、血液細胞が積み重なったりすると、全血試料の均一性が損なわれる可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
概要
様々な実施形態において、本開示は、アッセイ装置を提供する。アッセイ装置は、最上面と最下面とを有する平坦基板を含む。アッセイ装置は、平坦基板内に配置されて最上面と最下面との間で平坦基板の寸法に沿って延在する1つまたは複数の流れチャネルをさらに含む。アッセイ装置は、1つまたは複数の流れチャネルに流体結合された取り入れ口と、1つまたは複数のチャネルに流体結合された1つまたは複数の排出口とをさらに含み、これらは、1つまたは複数の流れチャネルを通る液体試料、例えば全血の流れを促進するように機能するものである。1つまたは複数の流れチャネルは、取り入れ口から液体試料を受け取り、1つまたは複数のチャネル内での液体試料の流れを可能にし、これによって、液体試料の分析物が単層として1つまた複数のチャネル内に分配されるように、構成される。
【0005】
別の実施形態においては、アッセイ装置は、最上面を有する平坦スライドを含む。アッセイ装置は、最上面に配置され、かつ液体試料、例えば赤血球、白血球、および血小板を含む全血を受け取るように構成される、取り入れ口をさらに含む。アッセイ装置は、取り入れ口に流体結合されて最上面に沿って延在する1つまたは複数のチャネルをさらに含み、チャネルは、液体試料を受け取って1つまたは複数のチャネル内の撮像領域全体にわたって広げ、撮像領域内に液体試料中の成分の単層を存在させるように、構成される。アッセイ装置は、撮像領域の少なくとも一部分を覆うカバーをさらに含む。アッセイ装置は、最上面から1つまたは複数のチャネルに延在する、そして1つまたは複数のチャネルを通る液体試料の流れを促進するように構成される、1つまたは複数の排出口をさらに含む。1つまたは複数のチャネルおよびカバーは組み合わせで、単層の深さを制御するように構成される。
【0006】
さらに別の実施形態においては、本明細書に記載のアッセイ装置を用いてアッセイを実行する方法が提供される。この方法は、液体試料、例えば全血をアッセイ装置の取り入れ口の中に付着させることを含む。方法は、1つまたは複数の流れチャネルに液体試料を満たすことによって、液体試料中に存在する1つまた複数の分析物を流れチャネル全体に分配することと、1つまたは複数の流れチャネル内に1つまたは複数の分析物の単層を生成することとをさらに含む。次いで、1つまたは複数の流れチャネル内の1つまたは複数の分析物が検出され、次いで分析される。
【0007】
さらに別の実施形態においては、本開示は、本明細書に記載のアッセイ装置を使用する方法を提供する。この方法は、液体試料をアッセイ装置の取り入れ口の中に付着させることを含む。方法は、液体試料中に存在する成分の単層を含むアッセイ装置の撮像領域を撮像することをさらに含む。液体試料、例えば赤血球、白血球、血小板、または他の分析物を含む全血の成分は、撮像に基づいて特性評価される。
【0008】
別の実施形態においては、本開示は、本明細書に記載のアッセイ装置を組み立てる方法を提供する。この方法は、最上面と最下面とを有する平坦基板に:(i)平坦基板内に配置されて最上面と最下面との間で平坦基板の寸法に沿って延在する流れチャネルと;(ii)流れチャネルに流体結合された取り入れ口と;(iii)流れチャネルに流体結合され、かつ流れチャネルを通る液体試料の流れを促進するように機能する排出口と、を形成することを含む。この方法は、流れチャネルの少なくとも1つの表面を処理して少なくとも1つの表面の親水性の量を増加させることをさらに含む。
【0009】
本明細書に記載のアッセイ装置を組み立てる別の実施形態においては、方法は、平坦スライドの最上面に取り入れ口を形成することを含む。取り入れ口は、液体試料、例えば赤血球、白血球、血小板または他の分析物を含む全血を受け取るように構成される。最上面には、1つまたは複数のチャネルが形成される。1つまたは複数のチャネルは、取り入れ口に流体結合され、最上面に沿って延在する。1つまたは複数のチャネルは、撮像領域内に液体試料中の成分の単層を存在させるように、液体試料を受け取って1つまたは複数のチャネル内の撮像領域全体にわたって広げるように構成される。1つまたは複数の排出口が、最上面から1つまたは複数のチャネルまで延在しており、1つまたは複数のチャネルを通る液体試料の流れを促進するように構成される。平坦スライドまたはカバーのうちの少なくとも1つは、平面スライドまたはカバーの親水性の量を増加させるように処理される。カバーは、撮像領域の少なくとも一部分に重なるようにして平坦スライドに接着される。1つまたは複数のチャネルおよびカバーは組み合わせで、単層の深さを制御するように構成される。
【0010】
さらに別の実施形態においては、本開示は、アッセイを実行するための自動化されたシステムを提供する。このシステムは、本明細書に記載のアッセイ装置と検出モジュールとを含む。検出モジュールは、撮像装置と、任意で処理装置とを含んでもよく、(i)撮像装置は、アッセイ装置を撮像し;(ii)処理装置は、撮像装置によって得られた1つまたは複数の画像を処理し、分析物を分析する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】アッセイ装置中の液体試料の画像を撮像するように構成されるシステムにおける撮像領域の斜視図である。
図2】本開示の一実施形態における、単一の流れチャネルを有するアッセイ装置の斜視図である。
図3】本開示の一実施形態における、2つの流れチャネルを有するアッセイ装置の斜視図である。
図4A図3に図示されたアッセイ装置の上面図である。
図4B図3に図示されたアッセイ装置の断面図である。
図5】本開示の一実施形態における、3つの流れチャネルを有するアッセイ装置の斜視図である。
図6図2に図示されるアッセイ装置の、流れチャネルを通り装置の幅を横切る断面図であり、平坦基板が単一の単位材料層から形成され、流れチャネルが平坦基板内に形成される装置を示す。
図7図2に図示されるアッセイ装置の、流れチャネルを通り装置の幅を横切る断面図であり、平坦基板が2つの材料層から形成され、流れチャネルが2つの材料層を結合させることにより形成される装置を示す。
図8図2に図示されるアッセイ装置の、流れチャネルを通り装置の幅を横切る断面図であり、平坦基板が3つの材料層から形成され、流れチャネルが3つの材料層を結合させることにより形成される装置を示す。
図9】本開示の一実施形態において、複数の流れチャネルによって共有される単一の取り入れ口を有するアッセイ装置であり、各チャネルは、共有されない排出口を有する。
図10】複数の流れチャネルによって共有される単一の取り入れ口を有するアッセイ装置であり、各チャネルは、単一の排出口を共有する。
図11】本開示の一実施形態における、平坦スライドとカバーとを含むアッセイ装置である。
図12図12Aおよび12Bはそれぞれ、本開示の一実施形態における、「二分木」設計を有するアッセイ装置の上面図および斜視図である。
図13図13Aおよび13Bはそれぞれ、本開示の一実施形態における、複数の柱群を有するアッセイ装置の上面図および斜視図である。
図14図14Aおよび14Bはそれぞれ、本開示の一実施形態における、柱と、稜線部と、チャネルとを有するアッセイ装置の上面図および斜視図である。
図15図15Aおよび15Bはそれぞれ、本開示の一実施形態における、稜線部と排出口とを有するアッセイ装置の上面図および斜視図である。
図16図16Aおよび16Bはそれぞれ、本開示の一実施形態における、毛細管停止構造を有する複数の稜線部と、複数の排出口とを有するアッセイ装置の上面図および斜視図である。
図17】本開示の一実施形態におけるアッセイ装置の一部分を形成する排出口を図示する図である。
図18】本開示の一実施形態におけるアッセイ装置を使用する工程流れ図を示す。
図19】本開示の一実施形態におけるアッセイ装置を組み立てる工程流れ図を示す。
図20】本開示の一実施形態における検出システムにおいて使用する、消耗品である支持トレイ内のアッセイ装置の例示である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
「単層」、例えば、液体試料の成分の単一層、を生成することで、試料中に存在する分析物を検出し易くすることができる。例えば、全血試料の成分の単層を生成することで、全血試料内の細胞成分、例えば、赤血球、白血球、および血小板の撮像および計数をし易くすることができる。
【0013】
したがって、本明細書で提供されるアッセイ装置を使用して、液体試料を受け取り、液体試料中に存在する1つまたは複数の分析物の成分の単層を生成することができる。例えば、本明細書で提供されるアッセイ装置は、全血試料を、任意で指定された希釈物として受け取り、撮像用に細胞の単層を生成することができる。細胞成分の画像分析をさらに容易にするために、全血試料は、アッセイ装置に投入する前に、蛍光色素で染色するか、または別の方法で処理してもよい。
【0014】
実施形態においては、アッセイ装置内の構成要素の形状および接続性によって、液体試料の深さおよび流れを制御することができる。一例としては、構成要素の形状および接続性によって、液体試料の厳密に制御された深さを生み出すことができ、そのような検出は、z方向に一定寸法を有する単層から実現することができる。別の例としては、構成要素の形状および接続性によって、液体試料内の気泡の捕捉を低減させることができる。
【0015】
実施形態においては、アッセイ装置内の構成要素の形状および接続性によって、全血試料の深さおよび流れを制御することができ、これにより、従来の血液特性評価装置および方法に見られる問題を軽減させることができる。一例としては、構成要素の形状および接続性により、全血試料の厳密に制御された深さを生み出すことができ、xおよびy方向に撮像が実行される間、撮像システムは、z方向に一定寸法を仮定することができる。別の例としては、構成要素の形状および接続性によって、全血試料内の気泡の捕捉を低減させることができる。
【0016】
全血試料の流量は、アッセイ装置内の構成要素の表面処理のみならず、構成要素の形状、寸法、および接続性に依存する可能性がある。流量を制御することにより、単層内での気泡形成を低減させることができる。実施形態においては、装置は、約25μL/分から最高2000μL/分までの範囲の流量に合わせて構成される。本明細書に記載のアッセイ装置は、臨床現場即時(POC)システムに関連して使用することができ、少量の血液試料を使用して、化学的性質、イムノアッセイ、および血液学的アッセイを含む包括的な血液検査を可能にする。結果は、その場で作成して数分以内に患者に届けることができる。
【0017】
実施形態においては、本明細書に記載のアッセイ装置は、米国特許出願公開第2019/0086324号に記載の多分析物検出を実行するシステムと関連して使用され、この出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。実施形態においては、アッセイ装置は、撮像を行う前に、検出システムの消耗品である支持パックに入れることができ、次いで、検出システムの機能を通じて分析することができる。実施形態においては、消耗品である支持パックは、少なくとも一次元で移動するように構成することができる。本明細書に記載のアッセイ装置は、1つまたは複数の異なるアッセイ様式、例えば生化学的アッセイおよび/または蛍光を用いたアッセイと組み合わせてもよい。
【0018】
アッセイ装置
図1は、アッセイ装置内の全血試料の画像を撮像するように構成されるシステムにおける撮像領域100の斜視図を示している。撮像領域100は、大きな平行四辺形に相当しており、撮像機器の視野(FOV)110に相当する複数のさらに小さな平行四辺形を含む。FOV110は二次元であり、x方向とy方向とを含む。z方向は、撮像される全血試料の深さを表す。一変形例においては、撮像機器はx方向に移動し、アッセイ装置はy方向に移動する。別の変形例においては、撮像機器は静止しているが、アッセイ装置はx方向とy方向の両方に移動する。さらに別の変形例では、アッセイ装置が静止している一方、撮像機器がx方向とy方向の両方に移動する。
【0019】
撮像領域は、約50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000平方ミリメートル以上とすることができる。FOV110の寸法は、y方向に約0.7ミリメートル、x方向に約0.5ミリメートルを含むことができる。各画像は、液体の体積と相関させることができる。よって、z方向に厳密に制御された深さを撮像領域内の全血試料が有する場合、各FOV110に相当する体積を容易に計算することができる。参考として、0.7ミリメートル×0.5ミリメートルで深さが0.1~0.15ミリメートルであるFOVは、希釈された全血試料の場合、1、100、1000、5000、または10,000のオーダーで赤血球を含むことができ、希釈されていない全血試料の場合、50,000、100,000、または150,000のオーダーで赤血球を含むことができる。
【0020】
実施形態においては、FOVは、約0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、および0.25ミリメートルを含む、約0.02~0.25ミリメートルの深さを有する。実施形態においては、FOVは、約0.08、0.09、0.1、0.11、および0.12ミリメートルを含む、約0.08~0.12ミリメートルの深さを有する。
【0021】
当業者に理解されるであろうとおり、所与のFOV内に存在する細胞の数は、FOVの寸法に依存するだけでなく、希釈が行われる場合には元の試料に対する希釈にも依存する。実施形態においては、FOVは、1、10、50、100、500、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、または5000個の細胞を含む、少なくとも約1~5000個の細胞、例えば、赤血球、白血球、および/または血小板を含む血液細胞を含む。
【0022】
アッセイ装置中の全血試料は、蛍光顕微鏡法、明視野顕微鏡法、後方散乱暗視野顕微鏡法、落射蛍光顕微鏡法、干渉反射コントラスト顕微鏡法、暗視野表面反射顕微鏡法、位相コントラスト顕微鏡法、または他の光学技術を用いて撮像することができる。例えば5×、10×、20×、30×、40×、50×、10×、70×、80×、90×、100×、110×、120×、130×、140×、150×、または200×と、約0.5~1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、または2.0NAの、倍率と開口数を使用して、細胞形態を解像することができる。一実施形態においては、20×の倍率と0.75NAの開口数を用いて、細胞形態を解像することができる。目標の血液学的アッセイに応じて、さらに高いおよびさらに低い倍率と解像度を含む、他の光学装置設定を使用することができる。
【0023】
様々な実施形態において、ヘマトクリット測定、赤血球計数、血小板計数、白血球計数、または白血球分類のいずれかを含むがこれらに限定されない目標の血液学的アッセイを実行するように、本開示のアッセイ装置が機能する。
【0024】
一実施形態においては、撮像機器は、一列の画像の端から端まで、x方向に移動することができる。アッセイ装置は、y方向に移動することができ、撮像機器は、第2列の画像の端から端まで、x方向に移動することができる。撮像機器は、撮像領域100全体が撮像されるまで、各FOV110を撮像する。画像は、一つにつなぎ合わせてさらに大きな画像を形成することができる。あるいは、画像は重ね合わせることができ、重なり合っている部分、すなわち縁は廃棄することができる。
【0025】
本開示は、撮像を使用して液体試料中の分析物を検出する例を示しているが、撮像に加えて、またはその代わりに、他のタイプの検出方法を利用することができることに留意されたい。
【0026】
図2は、最上面156と最下面157とを有する平坦基板155を含むアッセイ装置150である。アッセイ装置は実質的に平坦である。アッセイ装置は、平坦基板155内に配置されて最上面156と最下面157との間で平坦基板155の寸法に沿って延在する流れチャネル158をさらに含む。アッセイ装置は、流れチャネル158に流体結合された取り入れ口159と、流れチャネル158に流体結合された排出口160とをさらに含み、これらは、流れチャネル158を通る液体試料、例えば全血の流れを促進するように機能する。流れチャネル158は、取り入れ口159の中に付着された液体試料を受け取り、排出口160に向かって流れチャネル158内の液体試料の流れを可能にし、これによって液体試料の分析物が流れチャネル158内に分配されるように、構成される。一実施形態においては、分析物は、単層として流れチャネル158内に分配される。
【0027】
実施形態においては、最上面156の全部または一部分を、例えば撮像による分析物の検出が容易になるように、透明または半透明、および/または蛍光性とすることができる。アッセイ装置150は、最上部から撮像することができる。撮像領域、例えば、撮像領域100を、アッセイ装置の一部分と一致させることができる。
【0028】
平坦基板155は、長さL、幅W、および厚さTを有する。長さLおよび幅Wの寸法は、同じであってもよいし、長さLの寸法が幅Wより大きくてもよい。厚さTの寸法は,長さLおよび幅Wの寸法より小さい。
【0029】
様々な実施形態において、アッセイ装置は、複数の流れチャネルを含んでもよい。例えば、アッセイ装置は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上の数の流れチャネルを含んでもよい。流れチャネルは互いに対して、いかなる数の構成で平坦基板上に並べられてもよい。例えば、各流れチャネルの長手方向の軸が平行に並べられて、平坦基板の長さLに沿って延在してもよい。あるいは、流れチャネルは、中央の取り入れ口からスポーク状に放射状に延在するようにして並べられてもよい。あるいは、本開示で詳述するように、流れチャネルは「二分木」構成で並べられてもよい。
【0030】
様々な実施形態において、各流れチャネルが単一の取り入れ口および単一の排出口に流体結合されており、取り入れ口および排出口は別の流れチャネルによって共有されない。代替実施形態では、複数の流れチャネルが単一の取り入れ口を共有し、各流れチャネルが、異なる共有されない排出口に流体結合される。代替実施形態においては、複数の流れチャネルが単一の排出口を共有し、各流れチャネルが、異なる共有されない取り入れ口に流体結合される。
【0031】
様々な実施形態において、アッセイ装置は、単一の流れチャネルまたは複数の流れチャネルにそれぞれ流体結合される複数の排出口を含んでもよい。実施形態においては、流れチャネルは単一の排出口に流体結合される。代替実施形態においては、流れチャネルは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の数の排出口に流体結合される。
【0032】
アッセイ装置の排出口は、平坦基板上、様々な場所に配置されてもよい。例えば、排出口は、平坦基板の最上面または最下面に配置されてもよい。あるいは、排出口は、アッセイ装置の側面、例えば最上面と最下面の間に配置されてもよく、そして平坦基板の厚さTに対して垂直に並んでいてもよい。
【0033】
図3および4A~4Bは、2つの流れチャネル158を有するアッセイ装置170を図示しており、両流れチャネル158が単一の取り入れ口159を共有し、異なる排出口160を有する。
【0034】
図5は、3つの流れチャネル158を有するアッセイ装置175を図示しており、チャネルそれぞれが、共有されない取り入れ口159と共有されない排出口160とを有する。
【0035】
複数の流れチャネル158によって共有される単一の取り入れ口159を有するアッセイ装置180であって、共有されない排出口160を各チャネルが有する装置が、図9に例示される。
【0036】
複数の流れチャネル158によって共有される単一の取り入れ口159を有するアッセイ装置185であって、単一の共有される排出口160を各チャネルが有する装置が、図10に例示される。
【0037】
一実施形態においては、平坦基板は、単一材料層を形成する単一の単位から構成されてもよい。そうした実施形態においては、流れチャネルが、材料の単一層の中に形成される。図6は、図2に図示されるアッセイ装置150の、流れチャネル158を通り装置の幅を横切る断面図である。例示のとおり、平坦基板155は、単一の単位材料層から形成されており、流れチャネル158は、平坦基板155内に形成されている。
【0038】
代替実施形態においては、平坦基板155は、2つの材料層から形成される。図7は、図2に図示されるアッセイ装置150の、流れチャネル158を通り装置の幅を横切る断面図であり、平坦基板155は、2つの材料層を有する。平坦基板155の最下面157は、流れチャネル158の最下面162と流れチャネル158の側壁面163とを画定する第1の材料層161によって形成され、平坦基板155の最上面156は、流れチャネル158の上面165を画定する第2の材料層164によって形成される。図7に例示されるとおり、流れチャネル158は、第1の材料層161を第2の材料層164に結合させることによって形成される。実施形態においては、流れチャネル158は、第1の材料層161を第2の材料層164に結合させる前に形成される。
【0039】
別の代替実施形態においては、平坦基板155は3つの材料層から形成される。図8は、図2に図示されるアッセイ装置150の、流れチャネル158を通り装置の幅を横切る断面図であり、平坦基板155は3つの材料層を有する。平坦基板158の最下面157は、流れチャネル158の最下面162を画定する第1の材料層161によって形成され、平坦基板155の最上面156は、流れチャネル158の上面165を画定する第2の材料層164によって形成され、第1の材料層161と第2の材料層164の間に介在する第3の材料層166が、流れチャネル158の側壁面163を画定する。図8に例示されるとおり、流れチャネル158は、第1の材料層161と第2の材料層164との間に第3の材料層166を介在させることによって、そしてそれらの層を結合させることによって形成される。実施形態においては、流れチャネル158は、第1の材料層161と第2の材料層164との間の飛び飛びの場所に第3の材料層166を配置することによって形成される。これは、例えば、飛び飛びの場所で第1の材料層161または第2の材料層164のいずれかの上に第3の材料層166を付着させることによって、そして引き続き、層のすべてを一緒に結合させ、それにより流れチャネル158を形成することによって、達成される場合がある。
【0040】
このタイプのラミネート構造が、図3および4A~4Bに図示される。また、アッセイ装置170はまた、先細り部分を含む流れチャネル158を含んでおり、この部分は各流れチャネル158を取り入れ口159に接続する。例えば、流れチャネル158は、第1の側壁部分171と第2の側壁部分172とを含み、第1の側壁部分171は、取り入れ口159から第2の側壁部分172まで延在する。実施形態においては、第1の側壁部分171および第2の側壁部分172は、30、31、32、33、34、35、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、46、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、および60度を含む、約30~60度の角度で接合される。
【0041】
様々な実施形態において、取り入れ口と排出口との間の流れチャネルの長さは、液体試料で満たされるには、そして分析物の単層の形成を可能にするには、充分なものである。実施形態においては、取り入れ口と排出口との間の流れチャネルの長さは、任意で希釈された全血試料で満たされるには、そして赤血球、白血球、および血小板を含む血液細胞の単層の形成を可能にするには、充分なものである。例えば、流れチャネルの長さは、約5.0~100.0ミリメートルであり、流れチャネルの幅は、約1.0~50.0ミリメートルである。特定の実施形態においては、流れチャネルの長さは、約10.0、20.0、30.0、40.0、50.0、60.0、70.0、80.0、90.0、または100.0ミリメートルであり、流れチャネルの幅は、約1.0、5.0、10.0、20.0、30.0、40.0、または50.0ミリメートルである。一実施形態においては、流れチャネルの長さは、約40.0ミリメートルであり、流れチャネルの幅は、約5.0、10.0、または15.0ミリメートルであり、流れチャネルの高さは、約0.9、1.0、または1.1ミリメートルである。
【0042】
様々な実施形態において、平坦基板の最上面は、光学的に透明または半透明の材料、例えばポリマーフィルムを含む。流れチャネルを覆う材料の厚さは、約0.05、0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.25~0.3ミリメートルである。一実施形態においては、厚さは約0.175ミリメートルである。
【0043】
実施形態においては、アッセイ装置は、3つの材料層を含む。第2の材料層164は、光学的に透明または半透明の材料、例えばポリマーフィルムを含む。流れチャネルを覆う材料の厚さは、約0.05、0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.25~0.3ミリメートルである。一実施形態においては、厚さは約0.175ミリメートルである。第1の材料層161は、光学的に透明または半透明の材料を含む。第1の材料層の厚さは、約0.1、0.5、1.0、1.5~2.0ミリメートルである。一実施形態においては、厚さは約1.0ミリメートルである。第3の材料層166は、光学的に透明、半透明、または不透明の材料を含む。流れチャネルの高さを画定する第3の材料層の厚さは、約0.02ミリメートル~約0.25ミリメートルであり、これは両端の値を含む。いくつかの実施形態においては、厚さは、約0.075~0.125ミリメートルであり、これは両端の値を含む。実施形態においては、深さは、約0.08または0.09ミリメートル~約1.0、1.1、または1.2ミリメートルである。一実施形態においては、厚さは約1.0ミリメートルである。
【0044】
様々な実施形態において、平坦基板の層は、当技術分野で公知の複数の技術を用いて互いに結合されてもよい。例えば、層は、レーザ接着、ラミネート、超音波接着、熱接着、溶剤接着、または接着剤接着を介して互いに接着されてもよい。一実施形態では、第1の材料層161および第2の材料層164は、感圧接着剤である介在する第3の材料層166を介して、互いに接着剤接着される。
【0045】
理解されるであろうとおり、アッセイ装置の層のそれぞれは、互いに異なる材料タイプから構成されてもよいし、同一材料タイプから構成されてもよい。例えば、一実施形態においては、第1および第2の材料層のそれぞれは、同一材料タイプから構成される。代替実施形態においては、第1および第2の材料層のそれぞれは、異なる材料タイプから構成される。別の実施形態においては、第1、第2、および第3の材料層のそれぞれは、同一材料タイプから構成される。代替実施形態においては、第1、第2、および第3の材料層のそれぞれは、異なる材料タイプから構成される。さらに別の実施形態においては、第1および第3の材料層が、同一材料タイプから構成されてもよく、第2の層は、異なる材料タイプから構成されてもよい。
【0046】
各層の材料の選択は、例えば、透明度、蛍光性、剛性などを含め、所望の特性をアッセイ装置に付与するように選択されてもよい。いくつかの実施形態においては、層は、以下のパラメータ、つまり材料、厚さ、形状、面積、可撓性、剛性、表面特性、および/または光学的透明度のそれぞれについて、同一のまたは異なるパラメータを有する。
【0047】
平坦基板を、そのいずれかの層も含め形成するのに利用してもよいいくつかの材料タイプがある。様々な実施形態において、平坦基板は、単一材料、複合材料、複数の材料、多層の材料、合金、またはそれらの組み合わせから構成される。平坦基板を、そのいずれかの層も含め形成するのに使用される材料は、無機材料、有機材料、または混合物を含む。平坦基板に、そのいずれかの層も含め適した無機材料には、ガラス、石英、酸化物、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ハフニウム(HfO)、酸化アルミニウム(AlO)、半導体:(シリコン、GaAs、GaNなど)、金属(例えば金、銀、銅、アルミニウム、Ti、Niなど)、セラミックス、またはこれらのいずれかの組み合わせなどが挙げられるが、これらには限定されない。平坦基板に、そのいずれかの層も含め適した有機材料には、ポリマー(例えば、プラスチック)または非晶質有機材料などが挙げられるが、これらには限定されない。平坦基板に、そのいずれかの層も含め適したポリマーには、アクリラートポリマー、ビニルポリマー、オレフィンポリマー、セルロース系ポリマー、非セルロース系ポリマー、ポリエステルポリマー、ナイロン、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンポリマー(COP)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(フェニレンエーテル)(PPE)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ(エチレンフタラート)(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ゴム、またはこれらのいずれかの組み合わせなどが挙げられるが、これらには限定されない。いくつかの実施形態においては、平坦基板は、感圧接着剤を含む。
【0048】
理解されるであろうとおり、流れチャネルを通る液体試料の流れに影響を与えるいくつかのパラメータがある。例として、いくつかのパラメータは:流れチャネルの寸法および構成;流れチャネルの表面の表面エネルギー;流れチャネルの表面の疎水性または親水性の程度;流れチャネルの表面に官能化コーティングを含むこと;ならびに流れチャネルの表面へのテクスチャ形成または微細パターン形成を含むことを含む。本開示のアッセイ装置は、これらのパラメータのいずれかの組み合わせを制御するように修正されてもよいことが想定される。
【0049】
このように、実施形態においては、平坦基板の表面、例えば流れチャネルの内面を処理して、表面エネルギー、そしてその結果として分析物と表面との接着の程度を変更してもよい。特定の一実施形態においては、表面をコーティングして基板表面の親水性を高め、所望の流量および単層生成を確実なものとする。
【0050】
実施形態においては、平坦基板の表面、例えば流れチャネルの表面が官能化されてもよい。表面は、リンカー、足場、基本構成要素、またはその表面に取り付けられた他の反応性部分を含む場合、「官能化された」と称されることがある一方、表面は、それに取り付けられたそのような反応性部分のない場合、「非官能化され」ていてもよい。
【0051】
官能化された表面とは、官能基を有する表面を指すことがある。官能基は、別の官能基との付着部を形成することができる基であってもよい。例えば、官能基はビオチンであってもよく、これは、別の官能基であるストレプトアビジンとの付着部を形成してもよい。例示的な官能基には、アルデヒド類、ケトン類、カルボキシ基、アミノ基、ビオチン、ストレプトアビジン、核酸、小分子(例えば、クリックケミストリー用のもの)、ホモおよびヘテロ二官能性試薬(例えば、N-スクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノベンゾアート(STAB)、ジマレイミド、ジチオ-ビス-ニトロ安息香酸(DTNB)、N-スクシンイミジル-S-アセチル-チオアセタート(SATA)、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル4-(N-マフェイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)、および6-ヒドラジノニコチミド(HYNIC)、ならびに抗体などを挙げてもよいが、これらには限定されない。いくつかの実例においては、官能基はカルボキシ基(例えば、COOH)である。
【0052】
様々な実施形態においては、表面を処理またはコーティングして、表面を親水性または疎水性にしてもよい。様々な表面処理および表面修飾技術を使用して、表面の特性を変更してもよい。例としては、疎水性材料表面をさらに親水性にする酸素プラズマ処理、シリコン表面を平滑化(または粗化)する湿式または乾式エッチング技術を使用すること、基板表面にポリエチレンオキシドまたは他のポリマー層を吸着および/またはグラフト化させて、基板表面をさらに親水性にして生体分子や細胞の非特異的吸着を起こしにくくさせること、シラン反応を使用して、そうでなければ不活性なシリコン表面に、化学反応性官能基をグラフト化することなどが挙げられるが、これらには限定されない。光脱保護技術は、表面の特定の場所で化学反応性官能基を選択的に活性化するのに使用することができ、例えば、表面への一級アミンやカルボキシル基などの化学反応性官能基の選択的な付加または活性化を使用して、オリゴヌクレオチドプローブ、ペプチド、タンパク質、または他の生体分子を表面に共有結合させてもよい。概して、表面処理または表面修飾の選択は、所望される表面特性のタイプと、基板を作る元の材料のタイプの両方に依存する。
【0053】
表面の親水性に関して、表面は、その表面上の液体試料の接触角が約90度以下になるように処理またはコーティングされてもよい。実施形態においては、表面の親水性は、表面の接触角が約85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、または10度未満になるように高められる。いくつかの実施形態においては、流れチャネルの最下面の親水性は、表面の接触角が約85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、または10度未満になるように高められる。これにより、この特徴を通る液体試料の流れが向上し、気泡の形成や捕捉のリスクが低減する。
【0054】
表面上の官能基は、表面の異なる領域に対して異なってもよい。また、表面上の官能基は、表面のすべての領域に対して同一であってもよい。例えば、流れチャネルの内面全体が、同一官能基を含んでもよい。あるいは、流れチャネルの内面の異なる領域が、異なる官能基を含んでもよい。
【0055】
表面への官能基の付加を利用して表面上に捕捉領域を形成して、分析物を固定化または結合させてもよい。このようにして、特定の分析物を表面の特定の領域に集中させて、分析物の検出および/または分析を向上させてもよい。これはまた、表面にテクスチャ形成することにより、または分析物の凝集を阻害もしくは逆転させる場合のある微視的構造を含むことにより、達成することもできる。
【0056】
いくつかの実施形態においては、流れチャネルの深さは、流れチャネル全体で実質的に均一である。代替実施形態においては、流れチャネルの深さは、個々の流れチャネル全体にわたって変化している。アッセイ装置が複数の流れチャネルを含む実施形態においては、流れチャネルのすべてが同一深さを有してもよいし、または各流れチャネルが互いに異なる深さを有してもよい。
【0057】
様々な実施形態において、取り入れ口、流れチャネル、または排出口を形成するのに、複数の技術が使用されてもよい。そのような技術には、例えば、モールド成形、ホットエンボス加工、レーザ彫刻、三次元印刷、ラミネート、および/またはエッチングなどが含まれてもよい。
【0058】
実施形態においては、流れチャネルの深さは、約0.02ミリメートル~約0.25ミリメートルとすることができ、これは両端の値を含む。いくつかの実施形態においては、深さは、約0.1ミリメートル~0.15ミリメートルとすることができ、これは両端の値を含む。実施形態においては、深さは、約0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、または0.25ミリメートルである。実施形態においては、深さは、約0.08~0.12ミリメートル、例えば約0.08、0.09、0.1、0.11、または0.12ミリメートルである。本明細書で考察したとおり、液体試料の希釈係数を調整することにより、さらに小さいまたは大きい深さも可能である。
【0059】
実施形態においては、流れチャネル内で生成される単層の高さは、約0.02ミリメートル~0.25ミリメートルとすることができ、これは両端の値を含む。いくつかの実施形態においては、高さは、約0.1~0.15ミリメートルとすることができ、これは両端の値を含む。実施形態においては、高さは、約0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、または0.25ミリメートルである。実施形態においては、高さは、約0.08~0.12ミリメートル、例えば約0.08、0.09、0.1、0.11、または0.12ミリメートルである。本明細書で考察したとおり、液体試料の希釈係数を調整することにより、さらに小さいまたは大きい高さも可能である。
【0060】
図11は、平坦スライド210とカバー215とを含むアッセイ装置200である。アッセイ装置は実質的に平坦である。カバー215は、矢印で示すとおり、平坦スライド210の少なくとも一部分に接着され重なっている。平坦スライド210およびカバー215のそれぞれは、撮像を容易にするよう、透明もしくは半透明、および/または蛍光性とすることができる。アッセイ装置200は、最上部から撮像することができる。撮像領域、例えば、撮像領域100を、アッセイ装置の一部分と一致させることができる。
【0061】
本明細書で考察されたとおり、カバー215は、多数の方法、例えば、レーザ接着、ラミネート、超音波接着、熱接着、溶剤接着、または接着剤接着を使用して、平坦スライド210に接着することができる。カバー215は、厚さTのプラスチックフィルムを含むことができ、ここでTは、100ミクロン~500ミクロンとすることができ、これは両端の値を含む。一変形例においては、カバーは、150ミクロン~200ミクロンの厚さを有することができ、これは両端の値を含む。カバー215は、平坦スライド210と同一の長さLおよび/または幅Wを有することができるか、またはカバー215は、平面スライド210より小さい長さLおよび/または幅Wを有することができる。全血試料を受け取って平坦スライド210の最上部側の上、かつカバー215の下で全血試料の流れおよび深さを制御する形状を、カバー215を平坦スライド210に接着するのに先立って平坦スライドに形成することができる。この形状は、カバー215と平坦スライド210の最上部との間の複数の接触点を含んでもよい。
【0062】
平坦スライド210およびカバー215のそれぞれを親水性とすることで、液体試料の流れを促進させて、単層が生成されるようすることができる。平坦スライド210およびカバー215は、表面処理することで、接触角を減少させ、この特徴を通る試料の流れを向上させ、気泡の形成および捕捉のリスクを低減させることができる。
【0063】
図12Aおよび12Bはそれぞれ、「二分木」設計を有するアッセイ装置300の上面図および斜視図である。アッセイ装置300は、平坦スライド310と、カバー、例えばカバー215とを含む。平坦スライド310は、取り入れ口320と、エッジ332およびノード334を含む二分木330と、平面スライド310の最上面に沿って延在する1つまたは複数のチャネル340と、毛細管停止構造を有する1つまたは複数の排出口350とを含む。取り入れ口320は二分木330に結合され、二分木330は1つまたは複数のチャネル340に結合され、1つまたは複数のチャネル340は1つまたは複数の排出口350に結合される。1つまたは複数のチャネル340は、二分木330および1つまたは複数の排出口350に結合するところで先細りになっている。取り入れ口320は、ピペット先端から液体試料を受容するように構成することができる。アッセイ装置300において、各チャネル340は、対応する排出口350に結合される。別の変形例においては、1つまたは複数のチャネル340は、同一排出口に結合させることができる。
【0064】
アッセイ装置300において、液体試料は、取り入れ口320によって受け取られ、右方向に、取り入れ口320から二分木330を通って1つまたは複数のチャネル340へと流れることができる。二分木330は、1つまたは複数のチャネル340内の液体試料の深さおよび流れを制御して単層を形成させるようにするのに役立てることができる。1つまたは複数のチャネル340のそれぞれは、1つまたは複数のチャネル340に重なるカバー、例えばカバー215を支持する稜線部342によって縁取られている。カバー、1つまたは複数のチャネル340、および稜線部342は、液体試料の深さおよび流れを制御するのに役立てることができる。
【0065】
1つまたは複数の排出口350は、カバーによって覆われていない毛細管停止構造を含むことができる。毛細管停止構造は、液体試料中の気泡の捕捉を防止または低減するのに役立つ場合がある。毛細管停止構造は、液体試料の流れを止める場合があり、そして液体試料がアッセイ装置300からこぼれるのを防ぐ場合がある。
【0066】
図13Aおよび13Bはそれぞれ、複数の柱群を有するアッセイ装置400の上面図および斜視図である。アッセイ装置400は、平坦スライド410と、カバー、例えばカバー215とを含む。平坦スライド410は、取り入れ口420と、第1の複数の柱430と、平面スライド410の最上面に沿って延在し第2の複数の柱445を含む単一のチャネル440と、排出口450とを含む。
【0067】
各柱は、単一のチャネル440の床部の範囲内で、その床部からカバーまで延在する管状構造を含む。第1の複数の柱430の第1の密度は、第2の複数の柱445の第2の密度とは異なる、例えばそれより大きいものとすることができる。第1および第2の柱群430、445は、平坦スライド410に重なるカバーを支持するのに役立つ。単一のチャネル440は、第1の複数の柱430を具備する領域によって取り入れ口420に結合され、そして排出口450に結合される。
【0068】
この例示的なアッセイ装置400においては、液体試料は、取り入れ口420によって受け取られ、右方向に、取り入れ口420から第1の複数の柱430を通って単一のチャネル440の中に、そして第2の複数の柱445を通って流れることができる。第1および第2の柱群430、445、ならびにカバーは、全血試料の深さおよび流れを制御して単層を形成させるようにするのに役立てることができる。排出口450は、カバーによって覆われていない排出口を含むことができる。排出口は、液体試料中の気泡の捕捉を防止または低減させるのに役立てることができ、そして液体試料の流れを促進して、液体試料の所望の深さがさらに速やかに達成されるようにすることができる。
【0069】
図14Aおよび14Bはそれぞれ、柱と、稜線部と、チャネルとを有するアッセイ装置500の上面図および斜視図である。アッセイ装置500は、平坦スライド510と、カバー、例えばカバー215とを含む。平坦スライド510は、取り入れ口520と、複数の柱530と、平坦スライド510の最上面に沿って延在する1つまたは複数のチャネル540と、排出口550とを含む。
【0070】
1つまたは複数のチャネル540のそれぞれは、1つまたは複数のチャネル540に重なるカバー、例えばカバー215を支持する稜線部545によって縁取られている。複数の柱530および稜線部545は、平坦スライド510に重なるカバーを支持するのに役立つ。各柱は、単一のチャネル440の床部の範囲内で、その床部からカバーまで延在する管状構造を含む。各稜線部545は、垂直壁を含んでおり、この壁は、1つまたは複数のチャネル540を分離し、1つまたは複数のチャネル540の床部からカバーまで延在する。1つまたは複数のチャネル540は、複数の柱530を具備する領域によって取り入れ口520に結合され、そして排出口550に結合される。1つまたは複数のチャネル540は、排出口550に結合するところで先細りになっている。
【0071】
例示的なアッセイ装置500において、液体試料は、取り入れ口520によって受け取られて、右方向に、取り入れ口520から複数の柱530を通って1つまたは複数のチャネル540の中に流れることができる。複数の柱530、稜線部545、およびカバーは、全血試料の深さおよび流れを制御して単層を形成させるようにするのに役立てることができる。排出口550は、カバーによって覆われていない1つまたは複数の排出口を含むことができる。排出口は、全血試料中の気泡の捕捉を防止または低減させるのに役立てることができ、液体試料の流れを促進させて、全血試料の所望の深さがさらに速やかに達成されるようにすることができる。
【0072】
図15Aおよび15Bはそれぞれ、稜線部と排出口とを有するアッセイ装置600の上面図および斜視図である。アッセイ装置600は、平坦スライド610と、カバー、例えばカバー215とを含む。平坦スライド610は、取り入れ口620と、平坦スライド610の最上面に沿って延在する1つまたは複数のチャネル640と、1つまたは複数の排出口650とを含む。1つまたは複数のチャネル640のそれぞれは、1つまたは複数のチャネル640に重なるカバー、例えばカバー215を支持する稜線部630によって縁取られている。稜線部630は、平坦スライド610に重なるカバーを支持するのに役立つ。1つまたは複数のチャネル640は、取り入れ口620に、そして1つまたは複数の排出口650に結合される。1つまたは複数のチャネル640は、取り入れ口620に結合するところで先細りになっている。
【0073】
例示的なアッセイ装置600において、液体試料は、取り入れ口620によって受け取られて、右方向に、取り入れ口620から1つまたは複数のチャネル640の中に流れることができる。稜線部645およびカバーは、全血試料の深さおよび流れを制御して単層を形成させるようにするのに役立てることができる。1つまたは複数の排出口650は、液体試料中の気泡の捕捉を防止または低減させるのに役立ち、そして液体試料の流れを促進して、液体試料の所望の深さがさらに速やかに達成されるようにすることができる。
【0074】
例示的なアッセイ装置600において、各チャネル640は、対応する排出口650に結合される。別の変形例においては、1つまたは複数のチャネル640は、同一排出口に結合させることができる。
【0075】
図16Aおよび16Bはそれぞれ、複数の稜線部と、毛細管停止構造を有する複数の排出口とを有するアッセイ装置700の上面図および斜視図である。アッセイ装置700は、平坦スライド710と、カバー、例えばカバー215とを含む。平坦スライド710は、取り入れ口720と、平坦スライド710の最上面に沿って延在する1つまたは複数のチャネル740と、1つまたは複数の排出口750とを含む。1つまたは複数のチャネル740のそれぞれは、1つまたは複数のチャネル640に重なるカバー、例えばカバー215を支持する稜線部730によって縁取られている。稜線部730は、平坦スライド710に重なるカバーを支持するのに役立つ。1つまたは複数のチャネル740は、取り入れ口720に、そして1つまたは複数の排出口750に結合される。1つまたは複数のチャネル740は、取り入れ口720および1つまたは複数の排出口750に結合するところで先細りになっている。
【0076】
この例示的なアッセイ装置700においては、液体試料は、取り入れ口720によって受け取られて、右方向に取り入れ口620から、1つまたは複数のチャネル740の中に流れることができる。稜線部730およびカバーは、液体試料の深さおよび流れを制御して単層を形成させるようにするのに役立てることができる。1つまたは複数の排出口750はそれぞれ、カバーによって覆われていない毛細管停止構造を含むことができる。毛細管停止構造は、液体試料内の気泡の捕捉を防止または低減させるのに役立てることができ、そして液体試料の流れを促進して、液体試料の所望の深さがさらに速やかに達成されるようにすることができる。
【0077】
この例示的なアッセイ装置700において、各チャネル740は、対応する排出口750に結合される。別の変形例においては、1つまたは複数のチャネル740は、同一排出口に結合させることができる。
【0078】
図17は、アッセイ装置800の一部分を形成する排出口を図示している。例示的な排出口800は、液体試料を中に流したチャネル810と、チャネル810の少なくとも一部分を覆うカバー820とを含む。排出口830は、チャネル810の端部のところにある。カバー820は、排出口を覆っていない。排出口830は、平坦スライド840内に形成されている。排出口830は、チャネル810を通る液体試料の流れを可能にし、単層、すなわち単一細胞層の生成を促進する。
【0079】
図18は、アッセイ装置を使用する工程流れ図を図示している。全血試料は、910において、アッセイ装置の取り入れ口の中に付着される。920において、アッセイ装置の撮像領域が撮像される。930において、撮像に基づいて全血の成分が特性評価される。
【0080】
図19は、アッセイ装置を組み立てる工程流れ図を示している。1010において、平坦スライドの最上面に配置された取り入れ口が形成される。この取り入れ口は、赤血球と、白血球と、血小板とを含む成分を有する全血試料を受け取るように構成される。1020において、1つまたは複数のチャネルが最上面に形成される。1つまたは複数のチャネルは、取り入れ口に結合され、最上面に沿って延在する。1つまたは複数のチャネルは、全血試料を受け取って1つまたは複数のチャネル内の撮像領域に広げるように構成されることで、撮像領域内に成分の単層が存在するようにする。1030において、1つまたは複数の排出口が最上面に形成される。1つまたは複数の排出口は、最上面から1つまたは複数のチャネルまで延在しており、1つまたは複数のチャネルを通る全血試料の流れを促進するように構成される。1040において、平坦スライドまたはカバーの親水性の量を増加させるように、平坦スライドまたはカバーのうちの少なくとも1つが処理される。1050において、カバーは、撮像領域の少なくとも一部分に重なるようにして平坦スライドに接着される。1つまたは複数のチャネルおよびカバーは組み合わせで、単層の深さを制御するように構成される。
【0081】
アッセイ装置を組み立てる別の実施形態においては、装置は、最上面および最下面を有する平坦基板から形成され、以下:(i)平坦基板内に配置されて最上面と最下面との間で平坦基板の寸法に沿って延在する流れチャネルと;(ii)流れチャネルに流体結合された取り入れ口と;(iii)流れチャネルに流体結合され、流れチャネルを通る液体試料の流れを促進するように機能する排出口と、が形成されている。この方法は、少なくとも1つの表面の親水性の量を増加させるように、流れチャネルの少なくとも1つの表面を処理することをさらに含む。
【0082】
アッセイ装置の使用
本明細書で考察されたとおり、本開示のアッセイ装置は例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2019/0086324号に記載の、分析物検出を行うシステムと関連して使用してもよい。以下でさらに詳細に考察されるとおり、アッセイ装置が、検出システムの消耗品である支持パックまたは試料プレートに含まれていても、または検出システムの中に装備され、次いで当該システムによって処理および分析されてもよい。
【0083】
あるいは、本開示のアッセイ装置は、固体基板上に置かれた細胞の顕微鏡または細胞計測による検出および可視化、蛍光撮像などを含む、任意の数の他の従来型撮像システムと共に使用されてもよい。
【0084】
検出システム
本開示は、アッセイを実行するための自動化されたシステムを提供する。このシステムは、本明細書に記載のアッセイ装置と、検出モジュール、例えば撮像装置とを含む。本開示は、撮像を使用して液体試料中の分析物を検出する例を示しているが、撮像に加えて、またはその代わりに、他のタイプの検出様式を利用することができる。
【0085】
例えば、いくつかの実施形態においては、分析物検出は、分析物に関連する信号を測定する機能を有する検出モジュールによって行われ、この信号は、光学信号、電気信号、機械的信号、化学物理的信号、またはそれらのいずれかの組み合わせである。
【0086】
いくつかの実施形態においては、分析物検出は、分析物に関連する光信号を測定する機能を有する検出モジュールによって行われ、光学信号は、光の反射、散乱、透過、吸収、スペクトル、色、発光、強度、波長、場所、偏光、ルミネッセンス、蛍光、エレクトロルミネッセンス、ケモルミネッセンス、エレクトロケモルミネッセンス、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む。
【0087】
いくつかの実施形態においては、分析物検出は、分析物に関連する電気信号を測定する機能を有する検出モジュールによって行われ、電気信号は、電荷、電流、インピーダンス、静電容量、抵抗、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。
【0088】
いくつかの実施形態においては、分析物検出は、分析物に関連する機械的信号を測定することによって行われ、機械的な信号は、機械的波、音波、衝撃波、または振動を含む。
【0089】
いくつかの実施形態においては、分析物検出は、分析物に関連する化学物理的信号を測定する機能を有する検出モジュールによって行われ、化学物理的信号は、反応で生成されるpH値、イオン、熱、気泡、色の変化などを含むが、これらに限定されない。
【0090】
いくつかの実施形態においては、アッセイ装置は、複数分析物について少量の試料体積(例えば、10~100μlの血液試料)を低コストで検査することを可能にする、米国特許出願公開第2019/0086324号に記載の多分析物検出システムと共に使用される。多分析物検出システムは概して、異なるアッセイ形式(例えば、不均一アッセイおよび溶液アッセイ)または異なる読み出し結果(例えば、蛍光および吸光度)を使用して、2つ以上の異なる分析物(例えば、小分子分析物、タンパク質分析物、および細胞)を分析することを伴う。
【0091】
本開示は、1つまたは複数の追加型検出モジュールに加えて撮像装置を含む多分析物検出システムに言及している可能性があるが、検出システムは、追加のアッセイおよび分析を実行することなく本開示のアッセイ装置を処理するように構成されてもよいことに留意されたい。
【0092】
本開示は、消費者直販型診断(DTC診断)の分野が、消費者の非常に小体積の生物学的試料(例えば、血液試料)を信頼性高く低コストで検査することを可能にするアッセイプラットフォームの恩恵を受けることができるという認識に、部分的に基づいている。望ましいアッセイプラットフォームは、例えば、複数分析物、例えば、多分析物からなる組の中の分析物の並列的かつ着実な分析を行うことができる。多分析物からなる組は、例えば、消費者の健康または一般的なウェルネス(wellness)に関連するものとすることができる。多分析物からなる組は例えば、異なる分析物分類の1つまたは複数の分析物、例えば細胞(例えば、真核細胞;哺乳類細胞;赤血球、または白血球)と、小分子分析物(例えば、<500Da;コレステロール、グルコース)、および/または大分子分析物(例えば、>10kDa;サイトカイン、ヘモグロビン、DNA)との組み合わせを含むことができる。
【0093】
実施形態においては、本明細書に記載のアッセイ装置は、検出システムの消耗品である支持パックに組み込まれ、この支持パックが検出システムの撮像装置によって処理および分析される。図20は、検出システムにおいて使用する消耗品である支持体1010中に設置されたアッセイ装置1000を図示している。
【0094】
検出システムはまた、2つ以上の異なるウェル群を任意で含むマルチウェル試料プレート中で実行されるアッセイを検出する検出モジュールを含んでおり、それによって、異なるウェル群のそれぞれは、1つまたは複数の異なる分析物について1つまたは複数の異なるタイプのアッセイを実行するように構成される。例えば、同一マルチウェルプレート上の2つの異なるウェル群は、1つまたは複数の特性、例えば、ウェルの幾何学的外形(例えば、立方体または円筒)または寸法(例えば体積)、ウェルの壁または床部の色または透明度(例えば、半透明または不透明)、ウェルの表面特性(例えば、高いタンパク質結合性または細胞接着促進性)に関して、または分析物のアッセイの性能に影響を与えるその他のいずれかの特性(例えば、アッセイ試薬)に関して、互いに異なるものとすることができる。
【0095】
したがって、本明細書に記載のシステム、装置、および方法は、細胞の撮像と分析、キネティックアッセイ、および終点アッセイを含む、異なるアッセイによる高度に協働した性能を可能にする。異なるアッセイ形式は、本開示のアッセイ装置を通じ並列に実行することができ、試料プレートの異なるウェル群と、異なるタイプの読み出し結果を、異なるウェルから1つまたは複数の時点で得ることができる。本明細書に記載の多分析物検出システムは、アッセイ装置のみならずマルチウェル試料プレートを処理するように、そして並列に実行されている異なるアッセイを読み出すように、構成される。いくつかの実施形態においては、一人の患者の試料が、試料プレートの異なる検査ウェル群と組み合わせて、アッセイ装置において複数の分析物に対して並列に分析される。これにより、「空間的多重化」、すなわち、同じ血液試料に対する異なる分析アッセイの並列実行が可能になる。
【0096】
マルチウェルプレート
検出システムは、2つ以上の異なるウェル群を具備するマルチウェルプレートを利用する。いくつかの実施形態においては、マルチウェルプレートは、2つ以上の異なるアッセイ形式(例えば、蛍光および吸光度を用いた形式)の並列実行を容易にすることができるか、または、試料中の2つ以上の異なる分析物(例えば、高存在量の分析物および低存在量の分析物)に対する異なるアッセイの実行を容易にすることができる。異なるウェル群のそれぞれは、アッセイ、例えば生化学的アッセイまたは細胞を用いたアッセイの性能に影響を与える1つまたは複数の特性、例えば光学的特性、幾何学的外形すなわち形状、寸法、表面特性、またはアッセイ試薬含有量に関して異なるものとすることができる。典型的には、異なるウェル群それぞれの特性は、特定のアッセイ形式(例えば、均一、不均一、生化学的、細胞を用いたものなど)の性能、または特定の分析物(例えば、高存在量の分析物および低存在量の分析物)に対する所定の形式のアッセイの性能を向上させるように選択される。
【0097】
実施形態においては、マルチウェルプレートは、1つまたは複数のウェル群を具備する円形マルチウェルプレートである。いくつかの実施形態においては、円形マルチウェルプレートは、2つ以上の異なるウェル群を含む。いくつかの実施形態においては、マルチウェルプレート上のウェル群は、プレートの中心の周りに同心円状に並べられる。いくつかの実施形態においては、複数のウェル群は、円形マルチウェルプレートの中心から周辺部に向かってスポーク状に構築されている。
【0098】
本明細書に記載のマルチウェルプレート中で実行可能な例示的なアッセイ、およびそのようなアッセイに影響を与えるマルチウェル特性が、例えば、Taosheng Chen,A Practical Guide To Assay Development and High-Throughhput Screening in Drug Discovery,CRC Press,1st ed.,2009;Lisa K. Minor,Handbook of Assay Development in Drug Discovery,CRC Press,1st ed.,2006;Ge Wu,Assay Development,Wiley,1st ed,2010;Uma Prabhakar,Validation of Cell-based Assays in the GLP Setting,Wiley,1st ed.,2008;Masood Kahn and John Findlay,Ligand-Binding Assays,Wiledy,1st ed.,2009;David Wild,Immunoassays,Elsevier Science;4th ed.,2013;Benjamin Blass,Assay Development,Wiley,1st ed.,2013、およびBenjamin Blass,Basic Principles of Drug Discovery and Development,Academic Press,1st ed.,2015に記載されており、これらは参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0099】
いくつかの実施形態においては、本明細書で提供されるマルチウェルプレートは、吸光度を用いたアッセイ用に構成される複数のウェルと、蛍光を用いたアッセイ用に構成される異なる複数のウェルとを含む。吸光度を用いたアッセイ用に構成されるウェルは例えば、透明または半透明の底部を含むことができる。蛍光を用いたアッセイ用に構成されるウェルは例えば、不透明な(例えば、黒または白の無地の)底部を含むことができる。
【0100】
いくつかの実施形態においては、マルチウェルプレートは、不均一アッセイ(例えば、ELISA)用に構成される複数のウェルと、均一アッセイ(例えば、酵素アッセイ)用に構成される異なる複数のウェルとを含む。不均一アッセイ用に構成されるウェルは例えば、高タンパク質結合性または高ヌクレオチド結合性ウェル表面を含むことができる。均一アッセイ用に構成されるウェルは例えば、低タンパク質結合性または低ヌクレオチド結合性表面を含むことができる。
【0101】
いくつかの実施形態においては、マルチウェルプレートは、細胞を用いたアッセイ(例えば、接着細胞または懸濁細胞を用いるアッセイ)用に構成される複数のウェルと、生化学的アッセイ(例えば、酵素-基質代謝回転アッセイ)用に構成される異なる複数のウェルとを含む。細胞を用いたアッセイ用に構成されるウェルは、例えば、滅菌されているか、または細胞の付着、細胞の分化、または細胞の増殖を促進する表面(例えば、フィブロネクチンコーティング)を含むことができる。生化学的アッセイ用に構成されるウェルは、例えば、低タンパク質結合性または低ヌクレオチド結合性の表面を含むことができる。
【0102】
いくつかの実施形態においては、マルチウェルプレートは、高存在量の分析物(例えば、血中グルコース)を分析するアッセイ用に構成される複数のウェルと、低存在量の分析物(例えば、サイトカイン)を分析するアッセイ用に構成される異なる複数のウェルとを含む。高存在量の分析物を分析するアッセイ用に構成されるウェルは例えば、高い検出限界を有するアッセイ用の試薬(例えば、乾燥させた試薬)を含むことができる。低存在量の分析物を分析するアッセイ用に構成されるウェルは例えば、低い検出限界を有するアッセイ用の試薬(例えば、乾燥させた試薬)を含むことができる。
【0103】
いくつかの実施形態においては、マルチウェルプレートは、吸光度を用いたアッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群と、蛍光を用いたアッセイ用に構成される1つまたは複数の異なるウェル群とを含む。いくつかの実施形態においては、吸光度を用いたアッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群は、円形(例えば、円板形状)のマルチウェルプレートの周辺部上に、ウェルのなす円の形に並べられる。いくつかの実施形態においては、円形マルチウェルプレートの周辺部に並べられたウェルは、0.5mm~3.0mm(例えば、1.5mm)の直径を有する。いくつかの実施形態においては、円形マルチウェルプレートの周辺部に並べられたウェルは、約1~8、12、24、または48の数のウェル、または約36~48の数のウェルを含む。いくつかの実施形態においては、吸光度を用いたアッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群は、細胞を用いたアッセイ(例えば、RBCアッセイ)用に構成される1つまたは複数のウェル群を含む。いくつかの実施形態においては、吸光度を用いたアッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群は、生化学的アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群を含む。いくつかの実施形態においては、生化学的アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群は、均一アッセイ(例えばタンパク質検出、例えば一般的なタンパク質の吸光度(280nm)またはヘモグロビンの吸光度540nm~600nmの範囲(例えば、ヘモグロビン、オキシヘモグロビン、カルボキシヘモグロビン、メトヘモグロビン))用に構成される1つまたは複数のウェル群を含む。いくつかの実施形態においては、生化学的アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群は、不均一アッセイ(例えば、ELISA)用に構成される1つまたは複数のウェル群を含む。いくつかの実施形態においては、蛍光を用いたアッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群は、蛍光を用いた細胞アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群を含む。いくつかの実施形態においては、蛍光を用いた細胞アッセイは、懸濁細胞、ビーズに接着した細胞、またはウェル底部に接着した細胞のアッセイを実行することができる。いくつかの実施形態においては、蛍光を用いたアッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群は、蛍光を用いた生化学的アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群を含む。いくつかの実施形態においては、蛍光を用いた生化学的アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群は、蛍光を用いた均一生化学的アッセイ(例えば、酵素基質代謝回転アッセイ)用に構成される1つまたは複数のウェル群を含む。いくつかの実施形態においては、蛍光を用いた生化学的アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群は、蛍光を用いた不均一生化学的アッセイ(例えば、ELISA)用に構成される1つまたは複数のウェル群を含む。いくつかの実施形態においては、蛍光を用いた不均一生化学的アッセイは、ビーズ表面またはウェル表面への分析物の結合を含む。
【0104】
いくつかの実施形態においては、マルチウェルプレートは、細胞を用いたアッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群と、生化学的アッセイ用に構成される1つまたは複数の異なるウェル群とを含む。いくつかの実施形態においては、細胞を用いたアッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群は、蛍光を用いた細胞アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群を含む。いくつかの実施形態においては、蛍光を用いた細胞アッセイは、懸濁細胞、またはビーズもしくはウェルの表面に付着した細胞のアッセイを実行することができる。いくつかの実施形態においては、細胞を用いたアッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群は、吸光度を用いた細胞アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群を含む。いくつかの実施形態においては、生化学的アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群は、均一生化学的アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群を含む。いくつかの実施形態においては、均一生化学的アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群は、蛍光を用いた均一生化学的アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群を含む。いくつかの実施形態においては、均一生化学的アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群は、吸光度を用いた均一生化学的アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群を含む。いくつかの実施形態においては、生化学的アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群は、不均一生化学的アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群を含む。いくつかの実施形態においては、不均一生化学的アッセイ用に構成される複数のウェルは、蛍光を用いた不均一生化学的アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群を含む。いくつかの実施形態においては、不均一生化学的アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群は、吸光度を用いた不均一生化学的アッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群を含む。いくつかの実施形態においては、吸光度を用いたアッセイ用に構成されるウェル群のうちの1つまたは複数は、円形(例えば、円板形状)のマルチウェルプレートの周辺部に、ウェルのなす円の形に並べられる。いくつかの実施形態においては、円形のマルチウェルプレートの周辺部に並べられたウェルは、約0.5mm~3.0mm(例えば、1.5mm)の直径を有する。いくつかの実施形態においては、円形マルチウェルプレートの周辺部に並べられたウェルは、約1~8、12、24、または48の数のウェル、または約36~48の数のウェルを含む。
【0105】
いくつかの実施形態においては、マルチウェルプレートは、小分子分析物(例えば、単糖類、脂肪酸、塩、薬物)、大分子分析物(例えば、タンパク質、リン脂質、核酸)、および細胞(例えば、赤血球、白血球)から選択される2つ以上の分析物を分析するように構成される2つ以上の異なるウェル群を含む。
【0106】
いくつかの実施形態においては、マルチウェルプレートは、細胞(例えば、RBC、WBC、循環がん細胞(CTC)、細菌細胞)を検出するアッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群と、大分子分析物(例えば、タンパク質分析物)を検出するアッセイ用に構成される1つまたは複数の異なるウェル群とを含む。いくつかの実施形態においては、マルチウェルプレートは、細胞(例えば、RBC、WBC、循環がん細胞(CTC)、細菌細胞)を検出するアッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群と、大分子分析物(例えば、タンパク質分析物)を検出するアッセイ用に構成される1つまたは複数の異なるウェル群と、小分子分析物(例えば、グルコースまたはコレステロール)を検出するアッセイ用に構成される1つまたは複数の異なるウェル群とを含む。
【0107】
いくつかの実施形態においては、マルチウェルプレートは、高存在量の分析物(例えば、アルブミン、グルコース、またはRBC)を検出するアッセイ用に構成される1つまたは複数のウェル群と、中存在量または低存在量の分析物(例えば、腫瘍壊死因子アルファ(TNFcc)またはCTC)を検出するアッセイ用に構成される1つまたは複数の異なるウェル群とを含む。
【0108】
いくつかの実施形態においては、マルチウェルプレートは、円形の形状(例えば、円板形状)または楕円形の形状を有する。いくつかの実施形態においては、マルチウェルプレートは、正方形または長方形の形状を有する。
【0109】
いくつかの実施形態においては、異なるウェル群のうちの1つまたは複数が、生化学的アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含む。いくつかの実施形態においては、生化学的アッセイは、酵素基質の代謝回転を含む。いくつかの実施形態においては、生化学的アッセイは、結合試薬(例えば、抗体)を目的分析物(例えば、インスリン、サイトカインなど)に結合させることを含む。いくつかの実施形態においては、生化学的アッセイ用の試薬には、酵素または酵素基質が挙げられる。いくつかの実施形態においては、酵素基質は、蛍光性基質(すなわち、酵素に媒介される代謝回転の結果としてその蛍光特性を変化させることができる基質)である。いくつかの実施形態においては、酵素基質は、酵素に媒介される代謝回転の結果として、紫外(例えば、200nm~400nm)または可視スペクトル(例えば、350nm~850nm)におけるその吸光度特性を変化させることができる。いくつかの実施形態においては、生化学的アッセイは、結合アッセイ(例えば、サンドイッチ免疫アッセイ、ELISAなど)である。いくつかの実施形態においては、生化学的アッセイは、競合アッセイ(例えば、ステロイドホルモンに対するイムノアッセイ)である。いくつかの実施形態においては、生化学的アッセイは、均一アッセイ(例えば、(TR-)FRETアッセイ、酵素-基質代謝回転アッセイなど)である。いくつかの実施形態においては、生化学的アッセイは、不均一アッセイ(例えば、ELISA)としてのものである。いくつかの実施形態においては、生化学的アッセイは、キネティックアッセイ(例えば、連続読み取りまたは間欠読み取り)である。いくつかの実施形態においては、生化学的アッセイは、終点アッセイである。いくつかの実施形態においては、生化学的アッセイ試薬は、複数のウェルの表面にコーティングされる(例えば、抗体、ストレプトアビジン、タンパク質A、タンパク質G、アプタマー、オリゴヌクレオチド捕捉プローブなどの、捕捉試薬または結合試薬)。いくつかの実施形態においては、生化学的アッセイ試薬は、(例えば、長期保存を容易にするために)乾燥させた試薬である。いくつかの実施形態においては、生化学的アッセイ試薬は、溶液状態(例えば、水性緩衝液または有機溶媒に溶解させた状態)である。
【0110】
いくつかの実施形態においては、異なるウェル群のうちの1つまたは複数が、細胞を用いたアッセイ用の1つまたは複数の試薬を含む。いくつかの実施形態においては、細胞を用いたアッセイは、細胞表面マーカー(例えば、CD20、CD45など)への結合試薬(例えば、蛍光標識抗体)の結合を含む。いくつかの実施形態においては、細胞を用いたアッセイ用の試薬は、標識された細胞特異的結合試薬(例えば、蛍光標識された抗CD20抗体)を含むか、または細胞特異的結合試薬(例えば、細胞表面マーカーを対象とする抗体、例えば、抗CD20抗体)でコーティングされたビーズを含む。いくつかの実施形態においては、細胞を用いたアッセイ用の試薬は、細胞(例えば、哺乳類細胞、細菌細胞、酵母細胞など)を含む。いくつかの実施形態においては、細胞は、接着細胞(例えば、固形腫瘍由来の細胞)である。いくつかの実施形態においては、細胞は、懸濁細胞(例えば、赤血球(RBC)、白血球(WBC)、循環腫瘍細胞(CTC)など)である。いくつかの実施形態においては、細胞は、哺乳類細胞(例えば、ヒト、霊長類、ハムスター、マウス、ラットなど)である。いくつかの実施形態においては、細胞は、酵母細胞である。いくつかの実施形態においては、細胞は、細菌細胞(例えば、グラム陽性または陰性のもの)である。いくつかの実施形態においては、細胞は、組換え細胞である。いくつかの実施形態においては、細胞を用いたアッセイは、レポーター遺伝子アッセイである。いくつかの実施形態においては、レポーター遺伝子はルシフェラーゼである。いくつかの実施形態においては、細胞を用いたアッセイは、細胞数測定アッセイである。いくつかの実施形態においては、細胞を用いたアッセイの試薬は、(例えば、長期保存を容易にするための)乾燥させた試薬である。いくつかの実施形態においては、細胞を用いたアッセイの試薬は、溶液状態(例えば、水性緩衝液、有機溶媒、または組織培養培地に溶解させた状態)である。
【0111】
いくつかの実施形態においては、異なるウェル群のうちの1つまたは複数が、均一アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含む。いくつかの実施形態においては、均一アッセイは、生化学的アッセイである。いくつかの実施形態においては、均一アッセイは、細胞を用いたアッセイであって懸濁細胞を用いるものである。
【0112】
いくつかの実施形態においては、異なるウェル群のうちの1つまたは複数が、不均一アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含む。いくつかの実施形態においては、不均一アッセイ用の試薬は、固定化された分析物特異的結合試薬(例えば、共有結合したまたは物理的に吸着された抗体、ビオチン、または他の結合試薬)を有する、または可溶性の分析物特異的結合試薬(例えば、蛍光標識されたまたは酵素に結合した抗体、ビオチン、または他の結合試薬)を有する、ビーズまたはウェル表面を含む。
【0113】
いくつかの実施形態においては、第1の複数のウェルは、細胞を用いた蛍光アッセイ(例えば、WBC数測定)用の1つまたは複数の試薬を含む。いくつかの実施形態においては、第1の複数のウェルは、細胞を用いた蛍光アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含み、異なる第2の複数のウェルは、蛍光を用いた生化学的アッセイ(例えば、血中グルコースに対するもの)用の1つまたは複数の試薬を含む。いくつかの実施形態においては、蛍光を用いた生化学的アッセイは、(例えば、血中グルコースに対する)均一アッセイである。いくつかの実施形態においては、蛍光を用いた生化学的アッセイは、(例えば、インスリン、サイトカインなどに対する)不均一アッセイである。いくつかの実施形態においては、第1の複数のウェルは、細胞を用いた蛍光アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含み、異なる第2の複数のウェルは、蛍光を用いた生化学的アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含み、異なる第3の複数のウェルは、吸光度を用いた生化学的アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含む。いくつかの実施形態においては、1つまたは複数の試薬は乾燥させた試薬である。
【0114】
いくつかの実施形態においては、第1の複数のウェルは、吸光度を用いた細胞アッセイ(例えば、RBC数測定)用の1つまたは複数の試薬を含む。いくつかの実施形態においては、第1の複数のウェルは、吸光度を用いた細胞アッセイ(例えば、RBC数測定)用の1つまたは複数の試薬を含み、異なる第2の複数のウェルは、蛍光を用いた生化学的アッセイ(例えば、血中グルコースに対するもの)用の1つまたは複数の試薬を含む。いくつかの実施形態においては、蛍光を用いた生化学的アッセイは、(例えば、血中グルコースに対する)均一アッセイである。いくつかの実施形態においては、蛍光を用いた生化学的アッセイは、(例えば、インスリン、サイトカインなどに対する)不均一アッセイである。いくつかの実施形態においては、第1の複数のウェルは、吸光度を用いた細胞アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含み、異なる第2の複数のウェルは、蛍光を用いた不均一生化学的アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含み、異なる第3の複数のウェルは、蛍光を用いた均一生化学的アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含む。いくつかの実施形態においては、1つまたは複数の試薬は乾燥させた試薬である。
【0115】
いくつかの実施形態においては、第1の複数のウェルは、吸光度を用いた生化学的アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含む。いくつかの実施形態においては、第1の複数のウェルは、吸光度を用いた生化学的アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含み、異なる第2の複数のウェルは、蛍光を用いた生化学的アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含む。いくつかの実施形態においては、蛍光を用いた生化学的アッセイは、均一アッセイである。いくつかの実施形態においては、蛍光を用いた生化学的アッセイは、不均一アッセイである。いくつかの実施形態においては、第1の複数のウェルは、吸光度を用いた生化学的アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含み、異なる第2の複数のウェルは、蛍光を用いた不均一生化学的アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含み、異なる第3の複数のウェルは、蛍光を用いた均一生化学的アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含む。いくつかの実施形態においては、1つまたは複数の試薬は乾燥させた試薬である。
【0116】
いくつかの実施形態においては、第1の複数のウェルは、蛍光を用いた生化学的アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含む。いくつかの実施形態においては、第1の複数のウェルは、蛍光を用いた生化学的アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含み、異なる第2の複数のウェルは、吸光度を用いた生化学的アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含む。いくつかの実施形態においては、吸光度を用いた生化学的アッセイは、均一アッセイである。いくつかの実施形態においては、吸光度を用いた生化学的アッセイは、不均一アッセイである。いくつかの実施形態においては、第1の複数のウェルは、蛍光を用いた生化学的アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含み、異なる第2の複数のウェルは、吸光度を用いた不均一生化学的アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含み、異なる第3の複数のウェルは、吸光度を用いた均一生化学的アッセイ用の1つまたは複数の試薬を含む。いくつかの実施形態においては、1つまたは複数の試薬は乾燥させた試薬である。
【0117】
キット
別の態様において、本明細書で提供されるのは、アッセイ装置と、任意で1つまたは複数のアッセイ試薬、例えばアッセイ緩衝液とを含むキットである。実施形態においては、アッセイ装置は、検出システム用の消耗品である支持トレイに組み込まれる。そうした実施形態においては、1つまたは複数の試薬は、消耗品である支持トレイの1つまたは複数のウェルに含まれてもよい。実施形態においては、消耗品である支持トレイはまた、アッセイを実行する1つまたは複数の使い捨てツール、例えば1つまたは複数の使い捨てピペット先端部などを含んでもよい。いくつかの実施形態においては、このキットはまた、検出システムと共に使用するためのマルチウェルプレートを含んでもよい。
【0118】
いくつかの実施形態においては、キットは、1つまたは複数のアッセイ緩衝液(例えば、酵素または基質の希釈緩衝液、停止液、細胞培養培地など)または希釈剤(例えば、水、リン酸緩衝液、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノール、イソブタノールなど)を含んでもよい。いくつかの実施形態においては、キット中に梱包されたアッセイ緩衝液または希釈剤の体積は、10μl~10ml、例えば、10μl~100μl、100μl~500μl、500μl~1ml、1ml~2ml、2ml~3ml、3ml~4ml、4ml~5ml、5ml~6ml、6ml~7ml、7ml~8ml、8ml~9ml、または9ml~10mlである。いくつかの実施形態においては、1つまたは複数のアッセイ緩衝液または希釈剤は、消耗品である支持トレイと共に処分される。
【0119】
分析物検出の方法
本明細書で提供される分析物検出の方法は概して、本明細書に記載のアッセイ装置、および任意でマルチウェルプレートの使用のみならず、本明細書に記載の装置またはシステムの使用を含む。この方法は、例えば、POCCサイト(例えば、薬局や店舗)でのDTC診断用途に、または臨床現場において(例えば、臨床検査室において、病院において)適用することができる。
【0120】
別の態様においては、本明細書で提供されるのは、分析物検出の方法であって、本開示のアッセイ装置において、そして任意で、異なる分析物を検出するマルチウェルプレートの2つ以上の異なるウェル群において、消費者から得られた試料中の1つまたは複数の目的分析物を検出するアッセイを実行することを含む。いくつかの実施形態においては、方法は、消費者の身元を確認することを含む。いくつかの実施形態においては、方法は、2つ以上の異なるアッセイで検査するために、目的分析物の選択結果を消費者に提示することを含む。いくつかの実施形態においては、方法は、2つ以上の異なるアッセイの結果をデータ処理ユニットに転送することを含む。いくつかの実施形態においては、方法は、異なるアッセイの結果を消費者に提示することを含む。いくつかの実施形態においては、方法は、消費者から得られた試料に対して品質管理検査を行うこと、および、試料が品質管理検査に通らない場合には、消費者から追加の試料を依頼するか、試料を廃棄するか、アッセイを行わないか、またはアッセイの結果を消費者に報告しないこと、を含む。
【0121】
いくつかの実施形態においては、試料中で分析されることになる分析物を選択することは、消費者が、消費者インタフェース(例えば、コンピュータ端末、またはタッチスクリーン)、例えば、本明細書で提供されるシステムにおける消費者インタフェースにより対話することを含む。いくつかの実施形態においては、分析物を選択することは、消費者が、システム操作者(例えば、医療技術者)、例えば本明細書に記載のシステム操作者にその選択結果を連絡することを含む。
【0122】
いくつかの実施形態においては、消費者が消費者インタフェースにより対話することは、消費者が個人アカウントにログインすることを含む。いくつかの実施形態においては、消費者の個人アカウントは、その消費者に関する個人情報を含むことができる。そのような個人情報は、例えば、消費者の識別情報(例えば、生年月日および出生地、居住地)、支払情報(例えば、クレジットカード番号)、保険情報(例えば、健康保険)、健康情報、遺伝子情報(例えば、個人向け遺伝子解析サービスから、または臨床検査からのもの)、消費者の個人的な習慣(例えば、タバコ、アルコール、嗜好用薬物、栄養補助食品、処方薬の使用)などを含むことができる。健康情報は例えば、消費者が入力した情報(例えば、家族の病歴)、分析物の以前の分析結果、例えば、本明細書で提供されるシステムで実行された分析、医療提供者に由来する情報(例えば、画像診断結果)などを含むことができる。いくつかの実施形態においては、方法は、消費者が個人アカウントに情報を入力することを含む。いくつかの実施形態においては、方法は、第三者団体(例えば、医療提供者または保険会社)が個人アカウントに情報を入力することを含む。いくつかの実施形態においては、消費者は、POCCサイトで個人アカウントにアクセスすることができる。いくつかの実施形態においては、消費者は、インターネットを介して、例えば自宅から個人アカウントにアクセスすることができる。
【0123】
いくつかの実施形態においては、消費者インタフェース(例えば、コンピュータ端末またはタッチスクリーン)は、POCCサイトに(例えば、雑貨店または薬局内に)配置される。いくつかの実施形態においては、消費者インタフェースは、インターネットを用いるものである。いくつかの実施形態においては、消費者インタフェースは、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末上の、モバイルアプリである。
【0124】
いくつかの実施形態においては、消費者が消費者インタフェースにより対話することは、消費者が個人情報を入力することを含む。いくつかの実施形態においては、消費者が入力する個人情報は、識別情報、例えば消費者の名前、生年月日、出生地、居住地、運転免許証番号、秘密の質問への回答を含む。いくつかの実施形態においては、消費者が消費者インタフェースにより対話することは、消費者の身元を確認することを含む。いくつかの実施形態においては、消費者の身元を確認することは、消費者の指紋を分析すること、または消費者の網膜をスキャンすることを含む。いくつかの実施形態においては、消費者は、POCCサイトで個人情報を入力することができる。いくつかの実施形態においては、消費者は、インターネットを介して、例えば自宅からまたは移動中に、(例えば、スマートフォンまたはタブレット端末上で)モバイルアプリを使用して、情報を入力することができる。
【0125】
いくつかの実施形態においては、消費者の身元を確認することは、音声認識を含む。いくつかの実施形態においては、消費者の身元を確認することは、顔認識技術を含む。
【0126】
いくつかの実施形態においては、検査用の目的分析物の選択結果を消費者に提示することは、消費者インタフェースを通じて、例えば、例えばコンピュータモニタなどの画面上、またはタブレットもしくはモバイル装置(例えば、スマートフォン)の画面上で、選択を消費者に表示することを含む。
【0127】
いくつかの実施形態においては、分析物は、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、12以上、15以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上、または50以上の数の異なる分析物を含む。
【0128】
いくつかの実施形態においては、方法は、本明細書に記載の検出システムに接続された記憶ユニットにアッセイ装置を記憶させることを含む。いくつかの実施形態においては、方法は、事前に梱包されたアッセイ装置を保管施設(例えば、倉庫または保管キャビネット)から検出システムに移すことを含む。
【0129】
いくつかの実施形態においては、方法は、例えば、バーコードリーダーを使用して、アッセイ装置上のマーカー(例えば、1次元または2次元のバーコード、QRコード、またはRFIDタグ)を読み取ることを含む。
【0130】
いくつかの実施形態においては、本方法は、消費者から試料を採取するステップを含む。いくつかの実施形態においては、試料は、試料容器に採取される。
【0131】
いくつかの実施形態においては、試料容器は、殺菌された容器またはポッド(pod)である。いくつかの実施形態においては、試料容器は、熟練した技術者によって検出システム上に置かれる。
【0132】
いくつかの実施形態においては、方法は、試料に品質管理検査を任意で実行することを含み、試料が品質管理検査に通った場合には、試料は、消費者にとっての目的分析物に対して分析され、試料が品質管理ステップを通らなかった場合には、試料は廃棄されるか、目的分析物は分析されないか、または目的分析物の分析結果は消費者に報告されない。いくつかの実施形態においては、品質管理検査は、消費者にとっての目的分析物を分析する前に実行される。いくつかの実施形態においては、品質管理分析は、消費者にとっての目的分析物の分析と並行して実行される。
【0133】
いくつかの実施形態においては、試料は、血液試料である。いくつかの実施形態においては、血液試料は指先穿刺による血液である。いくつかの実施形態においては、血液試料体積は、約15μl~約150μl、約20μl~約125μl、約25μl~約100μl、または約50μl~約70μlである。いくつかの実施形態においては、血液試料体積は、約10μl、約15μl、約20μl、約25μl、約30μl、約35μl、約40μl、約45μl、約50μl、約55μl、約60μl、約65μl、約70μl、約75μl、約80μl、約μl、約90μl、約95μl、約95μl、または約100μlである。いくつかの実施形態においては、血液試料体積は、約50μl~約100μlである。いくつかの実施形態においては、血液試料体積は約55μlである。指先穿刺による血液を採取する装置および方法は、当業者には公知である。指先穿刺による血液を採取するのに有用な例示的な装置には、例えば、セブンス・センス・バイオシステムズ社(Seventh Sense Biosystems)の(例えば、TAPタッチ・アクティベーテッド・フレボトミー(TAP Touch-Activated Phlebotomy(商標))またはヘモリンク(HemoLink(商標))技術を使用する)装置が挙げられる。いくつかの実施形態においては、消費者から採取した指先穿刺による血液は、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、または1%未満の間質液を含む。いくつかの実施形態においては、消費者から採取した指先穿刺による血液は、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の静脈血を含む。いくつかの実施形態においては、消費者から採取した指先穿刺による血液中に、間質液は検出不可能である。
【0134】
いくつかの実施形態においては、血液試料は、静脈穿刺(例えば、針を用いる)によって得られる。いくつかの実施形態においては、血液試料は、採血士(phlebotomist)によって採取される。いくつかの実施形態においては、血液試料は、排気したチューブまたは真空チューブ(例えば、ベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー社(Becton Dickinson & Co)のバクテイナー(Vacutainer(登録商標))、グライナー・バイオ・ワン社(Greiner Bio-one GmbH)のバキュエット(Vacuette(登録商標)))を用いて採取される。いくつかの実施形態においては、血液試料は、約1ml~約50ml、約5ml~約30ml、約10ml~約20mlである。いくつかの実施形態においては、血液試料は約15mlである。いくつかの実施形態においては、血液試料は、さらに大きな試料からのアリコート、例えば、約1μl~約250μl、約5μl~約200μl、約10μl~約175μl、約15μl~約150μl、約20μl~約125μl、約25μl~約100μl、または約50μl~約70μlのアリコートである。いくつかの実施形態においては、アリコートは、約1μl~約10μlである。いくつかの実施形態においては、アリコートは、約50ピコリットル(50pl)~約100ナノリットル(100nl)である。
【0135】
いくつかの実施形態においては、品質管理ステップは、指先穿刺による血液中の静脈血と間質液の比を決定することを含む。いくつかの実施形態においては、指先穿刺による血液試料は、1%より、3%より、5%より、10%より、20%より、25%より、または30%より大きい間質液をその試料が含む場合には、品質管理ステップに通らない。
【0136】
いくつかの実施形態においては、品質管理ステップは、消費者から得られた2つ以上の独立した試料における品質管理分析物のレベルを比較することを含む。いくつかの実施形態においては、消費者から得られた2つ以上の独立した試料は、指先穿刺による血液の2滴以上の連続した滴(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10滴の連続した滴)を含む。いくつかの実施形態においては、消費者から得られた2つ以上の独立した試料に対する品質管理分析物のパーセント変動係数(CV)代表値が、1%より、1.5%より、2%より、2.5%より、3%より、3.5%より、4%より、4.5%より、5%より、5.5%より、6%より、6.5%より、7%より、7.5%より、8%より、8.5%より、9%より、9.5%より、または10%より大きい場合には、試料は、品質管理ステップに通らない。
【0137】
いくつかの実施形態においては、品質管理検査は、指先穿刺による血液の成分の一滴ごとの変動を測定することを含む。いくつかの実施形態においては、指先穿刺による血液の成分は、ヘモグロビン濃度、全白血球(WBC)計数、三分類WBC計数、または血小板計数を含む。いくつかの実施形態においては、指先穿刺による血液の2滴以上の連続した滴の変動係数(CV)が、1%より大きい、2%より大きい、3%より大きい、4%より大きい、5%より大きい、6%より大きい、7%より大きい、8%より大きい、9%より大きい、または10%より大きい場合には、品質管理検査は通らない。いくつかの実施形態においては、指先穿刺による血液の2滴以上の連続した滴は、指先穿刺による血液の2、3、4、5、6、7、8、9、または10滴の連続した滴である。
【0138】
いくつかの実施形態においては、品質管理ステップは、消費者から得られた試料中の品質管理分析物レベルを基準レベルと比較することを含む。いくつかの実施形態においては、基準レベルは、健康な消費者における品質管理分析物のレベルの中央値、平均値、または代表値である。いくつかの実施形態においては、基準レベルは、自身の試料を検査してもらう消費者と1つまたは複数の病態を共有する消費者における品質管理分析物レベルの中央値、平均値、または代表値である。いくつかの実施形態においては、基準レベルは、データベース(例えば、DTC診断システムまたは装置に関連するデータベース)に品質管理分析物のレベルが記録されているあらゆる消費者の品質管理分析物レベルの中央値、平均値、または代表値である。いくつかの実施形態においては、基準レベルは、自身の試料を検査してもらう消費者について一定期間にわたって以前に記録された品質管理分析物レベルの履歴の中央値、平均値、または代表値である。いくつかの実施形態においては、その期間は、少なくとも2週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも6週間、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも2年、または少なくとも3年の期間である。いくつかの実施形態においては、消費者から得られた試料中の品質管理分析物レベルが、基準レベルの平均値、中央値、または代表値の少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、少なくとも3、少なくとも3.5、少なくとも4、少なくとも4.5、または少なくとも5標準偏差だけ、基準レベルから偏差している場合には、試料は品質管理ステップに通らない。いくつかの実施形態においては、消費者から得られた試料中の品質管理分析物レベルが、基準値よりも少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも700%、少なくとも800%、少なくとも900%、または少なくとも1,000%高い場合には、試料は品質管理ステップに通らない。いくつかの実施形態においては、消費者から得られた試料中の品質管理分析物レベルが、基準値よりも少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%低い場合には、試料は品質管理ステップに通らない。
【0139】
品質管理分析物は、消費者にとっての目的分析物に対して分析されることになる、消費者から得られた試料中に検出可能ないずれかの分析物とすることができる。いくつかの実施形態においては、品質管理分析物は、例えば、ヘモグロビン、WBC計数、リンパ球計数、顆粒球計数、血小板計数、または消費者にとっての1つまたは複数の目的分析物を含む。
【0140】
いくつかの実施形態においては、試料に対して品質管理検査を行うことは、試料体積を測定することを含む。いくつかの実施形態においては、試料体積が所定の最小試料体積に等しいか、またはそれを超える場合には、試料は品質管理検査に通る。いくつかの実施形態においては、所定の最小試料体積は、1μl、2μl、3μl、4μl、5μl、6μl、7μl、9μl、10μl、12μl、15μl、20μl、25μl、30μl、35μl、40μl、45μl、50μl、75μl、または100μlである。
【0141】
いくつかの実施形態においては、方法は、試料を遠心分離することをさらに含む。
【0142】
いくつかの実施形態においては、方法は、試料を希釈することをさらに含む。いくつかの実施形態においては、試料は、本明細書で提供されるマルチウェルプレート中で希釈される。いくつかの実施形態においては、試料は希釈され、本明細書で提供されるアッセイ装置に移される。いくつかの実施形態においては、試料を希釈することは、試料の系列希釈液を準備することを含む。いくつかの実施形態においては、試料の希釈液は、例えば、圧電式または音響式の液体処理装置(例えば、ラボサイト・エコー(Labcyte Echo(登録商標)))を使用して準備される。
【0143】
いくつかの実施形態においては、試料を希釈することは、試料の系列希釈液を準備することを含む。いくつかの実施形態においては、系列希釈は、系列の2倍、3倍、5倍、または10倍希釈、例えば系列の2点、3点、4点、5点、6点、7点、8点、9点、10点、11点、または12点希釈を含む。いくつかの実施形態においては、試料は系列希釈されず、例えば、試料の希釈系列は、試料の1:3、1:5、1:10、1:100、および1:500希釈液を含むことができる。いくつかの実施形態においては、希釈系列における希釈係数または希釈回数は、消費者にとっての、どの2つ以上の目的分析物が選択されるかに依存する。
【0144】
いくつかの実施形態においては、本明細書で提供されるアッセイ装置上で実行されるアッセイは、乾燥させたアッセイ試薬(例えば、反応緩衝液成分、酵素、酵素基質、抗体、細胞)を含むウェルに、試料(例えば、試料希釈液のアリコート)を加えることを含む。いくつかの実施形態においては、アッセイ装置上で実行される1つまたは複数のアッセイは、乾燥させた試薬を含むシステムのウェルに反応緩衝液を加えて、例えば、乾燥させた試薬を再懸濁させることを含む。
【0145】
いくつかの実施形態においては、アッセイ装置を用いて実行されるアッセイは、最低限のアッセイ性能基準を満たさなければならない。いくつかの実施形態においては、2つ以上の異なるアッセイ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の数の異なるアッセイ)のそれぞれについてのZファクターは、>0.5、>0.6、>0.7、>0.8、または>0.9である。アッセイのZファクターを決定する方法は、例えば、Zhang J H,et al.(1999).“A simple statistical parameter for use in evaluation and validation of high throughput screening assays”. Journal of Biomolecular Screening 4:67-73に記載されている。いくつかの実施形態においては、2つ以上の異なるアッセイのそれぞれについて、マルチウェルプレート上の陽性対照ウェルおよび陰性対照ウェルのCV値は、<10%、<9%、<8%、<7%、<6%、<5%、<4%、<3%、<2%、または<1%である。
【0146】
いくつかの実施形態においては、本明細書で提供される方法は、アッセイ結果を消費者に報告することをさらに含む。いくつかの実施形態においては、結果は、POCCサイト(例えば、雑貨店や薬局)で、例えば、コンピュータ端末で報告される。いくつかの実施形態においては、結果は、消費者の個人アカウントを通じて消費者が利用できるようになっている(例えば、消費者は、個人アカウントにログオンして結果を閲覧することができる)。いくつかの実施形態においては、結果は、インターネットを通じて、例えば、消費者のパーソナルコンピュータ上で、または、スマートフォンもしくはタブレット端末のアプリを通じて、消費者がアクセスすることができる。
【0147】
いくつかの実施形態においては、消費者にアッセイ結果を報告することは、ある特定の日に得られた結果を過去の結果と比較することにより経時的な結果の追跡を容易にすることを含む。いくつかの実施形態においては、消費者にアッセイ結果を報告することは、消費者に比較データを提供することにより、消費者のアッセイ結果(例えば、分析物レベル)を、他の消費者、例えば、同一年齢の、同一地域からの、またはその消費者と同様の習慣を共有している消費者の結果と比較して大局的に把握してもらうことを含む。
【0148】
いくつかの実施形態においては、消費者にアッセイ結果を報告することは、消費者に推奨事項を提供する(例えば、コンピュータアルゴリズムによって提供される)ことを含む。いくつかの実施形態においては、推奨事項は、医学的処置(例えば、医師への紹介)、食事の変更(例えば、食品、レシピ)、製品の推奨事項(例えば、栄養補助食品、ビタミン等)、行動の変更(例えば、運動、禁煙)のための選択肢を含む。
【0149】
いくつかの実施形態においては、本明細書で提供される方法は、本明細書で提供される方法を用いて得られたあらゆる消費者のアッセイ結果を(例えば、匿名化されたデータとして)データベースに保存することを含む。
【0150】
いくつかの実施形態においては、本明細書で提供される方法は、例えば、凍結融解ステップなどの試料保存ステップを含まない。
【0151】
いくつかの実施形態においては、本明細書で提供される方法は、患者からの試料採取(例えば、指先穿刺)から、試料準備(例えば、遠心分離、バルク試料希釈、マルチウェルプレートへの試料の分注)、試料検査(例えば、マルチウェルプレート中での生化学的または細胞を用いたアッセイの開始)、および消費者への検査結果の報告までの、途切れのない一体化を含む。いくつかの実施形態においては、試料準備は、試料採取の後、60分以内、45分以内、30分以内、20分以内、15分以内、10分以内、5分以内、3分以内、または1分以内に開始する。いくつかの実施形態においては、マルチウェルプレート(例えば、従来型のプレート、または本明細書で提供されるマルチウェルプレート)中での試料検査は、試料採取の後、60分以内、45分以内、30分以内、20分以内、15分以内、10分以内、5分以内、3分以内、または1分以内に開始する。いくつかの実施形態においては、試料検査は、試料採取の後、60分以内、45分以内、30分以内、20分以内、15分以内、10分以内、または5分以内に開始する。いくつかの実施形態においては、試料検査は、試料採取の後、12時間以内、10時間以内、8時間以内、6時間以内、4時間以内、3時間以内、2時間以内、90分以内、60分以内、45分以内、30分以内、または20分以内に完了する。いくつかの実施形態においては、検査結果は、試料採取から、12時間以内、10時間以内、8時間以内、6時間以内、4時間以内、3時間以内、2時間以内、90分以内、60分以内、45分以内、30分以内、または20分以内に、顧客に(例えば、電子メールにより)連絡されるか、またはデータベース内でアクセス可能である。
【0152】
試料
いくつかの実施形態においては、試料は、消費者とも称される被験者から得られた生物学的試料である。いくつかの実施形態においては、生物学的試料は、液体試料である。いくつかの実施形態においては、液体試料は、血液試料(例えば、全血、血漿、または血清)、尿試料、または他のいずれかの体液(例えば、羊水、胆汁、母乳、脳脊髄液、胃酸、リンパ液、粘液(例えば鼻水または痰)、心嚢液、腹膜液、胸膜液、膿、粘膜分泌物、唾液、精液、喀痰、滑液、汗、涙、膣分泌物、嘔吐物など)である。
【0153】
試料は、非侵襲的または侵襲的に得ることができる。侵襲的な試料採取は、例えば、静脈内針または皮下注射針を用いた試料採取を含むことができる。いくつかの実施形態においては、試料は、指先穿刺装置を用いた指先穿刺によって得ることができる。本明細書で提供される方法において使用できる指先穿刺装置には、セブンス・センス・バイオシステムズ社のTAPタッチ・アクティベーテッド・フレボトミー(商標)、またはタッソ社(Tasso,Inc)のヘモリンク(商標)装置などが挙げられるが、これらには限定されない。
【0154】
いくつかの実施形態においては、消費者は、健康なヒトである。いくつかの実施形態においては、健康なヒトは、臨床試験における正常対照群の一員である。
【0155】
いくつかの実施形態においては、消費者は、特定の習慣または特質、例えば、喫煙、食生活(例えば、西洋式食生活、地中海式食生活など)、仕事関連のもの(仕事中毒、夜勤)、運動(例えば、頻繁なもの、不定期のもの、有酸素運動、筋肉量など)、遺伝的素因(例えば、うつ病、糖尿病など)を有する。
【0156】
いくつかの実施形態においては、消費者は、疾患、障害、または他の状態(例えば、代謝性疾患、遺伝子障害、炎症性疾患、自己免疫疾患、神経変性疾患、精神障害など)を有するヒトの患者である。
【0157】
いくつかの実施形態においては、試料は、ヒトの血液試料である。いくつかの実施形態においては、ヒトの血液試料は、指先穿刺装置を用いて得られる。
【0158】
分析物
本明細書に記載のアッセイ装置、マルチウェルプレート、システム、または方法を使用して分析することができる分析物、または臨床パラメータには、消費者の病状、消費者の一般的な健康状態、ウェルネス、もしくは生活様式、消費者の遺伝子型、またはそれらの組み合わせに関連する分析物または臨床パラメータなどを挙げることができる。
【0159】
本明細書に記載の分析物には、生物学的試料のいずれかの分子または細胞成分などを挙げることができる。いくつかの実施形態においては、分析物には、タンパク質(例えば、PSA)、ヌクレオチド(例えば、mRNA発現レベルまたはDNA配列)、糖(例えば、グルコース、または翻訳後のタンパク質修飾物)、脂質(例えば、トリグリセリド類)または脂質粒子(例えば、LDL、HDL、VLDLなど)、代謝物(例えば乳酸塩、ピルビン酸塩)、金属イオンまたはミネラル(例えば、Na+、Fe2+)、ビタミン(例えば、アスコルビン酸)、細胞(白血球、血小板、ウイルス、病原体細胞、例えば細菌性のまたは真核病原体)、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。分析物は、定性的に(例えば、存在または非存在)、または定量的に(例えば、分析物濃度または単位体積あたりの分析物の数)分析することができる。分析物濃度は、絶対的に(例えば、試料中の分析物濃度)、または相対的に(例えば、分布の百分率)表すことができる。
【0160】
いくつかの実施形態においては、消費者の病状には、代謝障害(例えば、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームなど)、肝臓疾患(例えば、肝硬変)、腎臓疾患(例えば、急性または慢性腎臓病、腎臓がん)、膵臓疾患(例えば急性膵炎、慢性膵炎、遺伝性膵炎、膵臓がん)、炎症性障害(例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患)、心血管疾患(例えば、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、アテローム性動脈硬化症)、免疫障害または自己免疫障害(例えば、全身性エリテマトーデス、セリアック病)、がん(例えば、多発性骨髄腫、リンパ腫、白血病、前立腺がん、乳がんなど)、感染症(例えば、ライム病、HIV、性感染症(STD)など)、内分泌系障害(例えば、クッシング症候群、成長ホルモン分泌不全)、血液系障害(例えば、貧血、出血性障害、例えば血友病、または血液がん)、精神障害もしくは行動系障害またはそれらの状態(例えば、注意欠陥障害)などが挙げられるが、これらには限定されない。
【0161】
いくつかの実施形態においては、消費者の病状に関連する分析物または臨床パラメータには、例えば、アデノウイルスDNA、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT/SGPT)、アルブミン、アルカリホスファターゼ(ALP)、アルファ-1-酸糖タンパク質、アルファ-1-アンチトリプシン(例えば全量)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、アンフェタミン、アミラーゼ、赤血球(RBC)抗体、抗核抗体(ANA)、アポリポタンパク質(例:アポA-1、アポB)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST/SGOT)、B細胞数、ベータ-2ミクログロブリン、ビリルビン(例えば、直接または全量)、血中尿素窒素(BUN)、ボレリア抗体、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、カルシトニン、カルシウム(例えば、血中、尿中)、がん抗原(CA 125、CA 15-3、CA 27.29、CA 19-9など)、二酸化炭素、癌胎児性抗原(CEA)、カルジオリピン抗体(ACA、例えば、IgG)、全血計数(CBC)、CD4またはCD8計数(例えば、絶対計数または比)、クラミジア・タコマチス(chlamydia tachomatis)、塩化物(例えば、血中、尿中)、コレステロール、コリンエステラーゼ、補体第3成分または4成分抗原、コルチゾール(例えば、全量)、Cペプチド、C反応性タンパク質(CRP、例えば、高感度CRP(hsCRP))、クレアチンキナーゼ、クレアチニン(例えば、血中または尿中)、環状シトルリン化ペプチド(CCP)抗体、IgG、シスタチンC、サイトメガロウイルス(CMV)抗体(例えば、IgGまたはIgM)、D-ダイマー、脱アミド化グリアジンペプチド(DGP)抗体(例えば、IgAまたはIgG)、デヒドロエピアンドロステロン硫酸(DHEA-5)、デオキシピリジノリン架橋体(DPD)(コラーゲン架橋体、例えば尿中)、二本鎖DNA(dsDNA)抗体(例えば、IgG)、大腸菌志賀様毒素、EBV初期D抗原(EA-D)、EBV核抗体、EBVウイルスカプシド抗原(VCA)、筋内膜抗体(EMA、例えば、IgMまたはIgG)、赤血球沈降速度(ESR/Sed Rate)、抽出可能核抗原抗体(ENAパネル)(RNP、Smith、SSA、SSB、SCO-70、JO-1)、フェリチン、フィブリノゲン、ガストリン、グルコース、成長ホルモン(HGH)、ヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)、IgG、ヘマトクリット(HCT)、ヘモグロビン(HGB)、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、A型肝炎(HAV)抗体(例えば、IgM、全量)、B型肝炎(HBV)コア抗体(例、IgM、全量)、B型肝炎(HBV)表面抗体(HBsAb;例えば、全量)、B型肝炎(HBV)、DNA、C型肝炎(HCV)抗体、C型肝炎(HCV)遺伝子型、C型肝炎(HCV)、RNA、HER-2/neu、単純ヘルペス1型(HSV1;例えば、IgG)、単純ヘルペス2型(HSV2、例えば、IgG)、高密度リポタンパク質(HDL)、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1、例えば、RNA)、HIV-1/HIV-2(例えば、抗原または抗体)、ホモシステイン、免疫グロブリン(例:IgA、IgG、IgM、IgE、IgG、IgM)、IGF-1(インスリン様成長因子1型)、インスリン、鉄、鉄結合能(IBC;例えば、全量(TIBC))、乳酸デヒドロゲナーゼ、鉛、リパーゼ、低密度リポタンパク質(LDL)、リンパ球数測定値、マグネシウム、麻疹、流行性耳下腺炎、および風疹(MMR)免疫、ミクロアルブミン(例えば、尿中)、ミオグロビン、淋菌(例えば、DNA)、ナチュラルキラー細胞(NKC;例えば、全計数)、寄生虫卵検査結果、副甲状腺ホルモン(PTH)、部分トロンボプラスチン時間(PTT)、リン、無機物、血小板、カリウム(例えば、血中、尿中)、プレアルブミン、前立腺特異抗原(PSA、例えば、遊離型または全量)、タンパク質(例えば、全量、例えば;血中または尿中)、プロトロンビン時間(PT/INR)、赤血球計数(RBC)、網状赤血球計数(RC)、リウマチ因子(例えば、全量)、風疹(麻疹)抗体(例えば、IgGまたはIgM)、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)、ナトリウム(例えば、血中または尿中)、ストレプトリジン0抗体(ASO;例えば、力価)、T細胞(例:全数)、トリヨードサイロニン、サイログロブリン、サイログロブリン抗体(TAA)、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、サイロキシン結合グロブリン(TBG)、サイロキシン(例えば、遊離型T4または全T4)、組織トランスグルタミナーゼ(tTG)抗体(例:IgAまたはIgG)、トキソプラズマ(例えば、IgGまたはIgM)、トランスフェリン、トリグリセリド類、トリヨードサイロニン(例:遊離型T3または全T3)、トロポニンI(tCNI)、結核、尿酸、水痘・帯状疱疹(VZV)抗体、および白血球計数(WBC)などを挙げることができるが、これらには限定されない。
【0162】
いくつかの実施形態においては、消費者の一般的な健康状態、ウェルネス、または生活様式は、例えば、アレルギー/過敏症、血圧、体重(例えば、ボディマス指数)、食生活(例えば、西洋式食生活、地中海式食生活、加工食品、家庭料理)、飲酒習慣(例えば、アルコール摂取の頻度、量、または種類)、薬物使用(例えば、処方薬、嗜好用薬物、ドーピング)、環境要因(例えば、汚染、気候)、運動習慣(例えば、運動の頻度、強度、種類)、受胎可能性、妊娠、休息期間(例えば、昼間または夜間、持続時間、頻度)、喫煙習慣、ストレスレベル(例えば、慢性、急性)、休暇スケジュール、勤務スケジュール、およびその他の要因ではあるが、これらには限定されないものを含み得る、またはこれらに影響され得る。
【0163】
いくつかの実施形態においては、被験者の一般的な健康状態、ウェルネス、または生活様式に関連する分析物または臨床パラメータには例えば、ACTH(コルチコトロピン)、アルファ-フェトプロテイン(AFP;例えば、母親由来)、アンフェタミン、アンドロステンジオン、抗ミュラー管ホルモン(AMH)、アポリポタンパク質(例えば、アポA-1、アポB)、バルビツラート類(例えば、尿中)、ベンゾジアゼピン類(例えば、尿中)、コルチゾール(例えば、全量)、シクロスポリンA、エクスタシー(MDMA)、エストラジオール、エストリオール(例えば、非結合型)、エストロン、エタノール、葉酸塩(葉酸)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、グルコース、hCG-絨毛性ゴナドトロピン(例えば、血中または尿中、定性的または定量的)、インスリン、リチウム、低密度リポタンパク質(LDL)、マリファナ(THC)、メタドン(ドロフィン)、メタンフェタミン類、オピアート類、フェンシクリジン(PCP)、プロゲステロン、プロラクチン、プロポキシフェン、テストステロン(例えば、遊離型または全量)、三環系抗うつ薬(例えば、尿中)、ビタミンB-12、ビタミンD 25-OHなどを挙げることができるが、これらには限定されない。
【0164】
いくつかの実施形態においては、対象者の遺伝子型は、被験者の健康もしくは病状(例えば、寿命、疾患感受性)、または他の身体的もしくは精神的形質(例えば、エネルギーレベル、運動能力、知能)に関連する遺伝子を含み得る。いくつかの実施形態においては、対象者の遺伝子型は、被験者の祖先(例えば、家族の絆、地理的な起源)に関連する遺伝子を含み得る。
【0165】
いくつかの実施形態においては、そこに記載されているマルチウェルプレート、システム、または方法を使用して分析することができる分析物または臨床パラメータには、患者の薬剤的処置、例えば小分子薬物、または生物学的薬物(例えば、抗体または他の組換えタンパク質)による処置に関連して分析されるバイオマーカー(例えば、患者におけるバイオマーカーレベル)などを挙げることができる。いくつかの実施形態においては、バイオマーカーは、例えば、患者における臨床薬物候補の有効性を分析するために、治療レジメンに対する患者の遵守を分析するために、または処置から恩恵を得る可能性のある患者を選択するために、臨床試験の過程で分析される。いくつかの実施形態においては、バイオマーカーは、市販の治療法に関して、例えば米国食品医薬品局(Food and Drug Adminstration)によって、例えばコンパニオン診断として、承認された小分子薬物に関連して、分析される。
【0166】
本明細書に記載の方法、システム、または装置を用いて分析される分析物または臨床パラメータの一部は、病状、一般的な健康状態、ウェルネス、または生活様式、および遺伝子型を含む複数のカテゴリーに関連し得る。例えば、被験者の血中グルコースレベルは、被験者の生活様式(例えば、食生活)、被験者の病状(例えば、糖尿病)、または被験者の遺伝子型(例えば、インスリンシグナル伝達経路の構成員、例えばインスリン受容体の変異)に関連し得る。
【0167】
いくつかの実施形態においては、分析は、赤血球(RBC;例えば、RBC数)、血小板(例えば、血小板計数)、または白血球(WBC;例えば、WBC計数)の分析を含む。いくつかの実施形態においては、WBCは、血液試料中のWBCの全体(例えば、分化抗原群45(CD45)陽性細胞、例えば、CD45RA-アイソタイプまたはCD45RO-アイソタイプ;例えば、全WBC計数)を含む。いくつかの実施形態においては、WBCは、T細胞(例えば、分化抗原群3(CD3)陽性細胞)、B細胞(例えば、分化抗原群19(CD19)陽性細胞)、ナチュラルキラー(NK)細胞(例えば、CD3陰性、および分化抗原群16(CD16)、および分化抗原群56(CD56)陽性細胞)、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態においては、T細胞は、Tヘルパー細胞(例えば、CD4陽性細胞)または細胞傷害性T細胞(例えば、CD8陽性細胞)を含む。いくつかの実施形態においては、Tヘルパー細胞または細胞傷害性T細胞は、未感作細胞(例えば、CD4RA.sup.+またはCD8RA.sup.+)、または記憶細胞(例えば、CD4RO.sup.+またはCD8RO.sup.-)に、さらに分類することができる。いくつかの実施形態においては、血球パネルは、循環腫瘍細胞(CTC;例えば、CTC数)を含む。いくつかの実施形態においては、CTCは、通常のCTC(例えば、無傷の核を有するCD45陰性、クレアチンキナーゼ(CK)陽性細胞)、サイトケラチン陰性(CK)CTC(例えば、がん細胞様の形態を有するCD45陰性細胞)、小CTC(例えば、WBC代表値に類似したサイズおよび形態を有するCD45陰性細胞)、またはCTC群(例えば、2つ以上のCTCが結合したもの、例えば、通常のCTC、CK陰性CTC、または小CTCの群)である。いくつかの実施形態においては、血球パネルは、CD45(例えば、CD45RAもしくはCD45RO、またはその両方)、CD3、CD16、CD56、CD4、CD8、CK、細胞形態(例えば、細胞のサイズもしくは形状、腫瘍細胞様もしくはWBC様の表現型もしくは外観、無傷のもしくはアポトーシスを誘発した核など)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0168】
いくつかの実施形態においては、分析は、白血球計数(WBC)、白血球分類(DIFF)、絶対好中球計数、%好中球(Neu、PMN、poly)、絶対リンパ球計数、%リンパ球(Lymph)、絶対単球計数、%単球(Mono)、絶対好酸球計数、%好酸球(EOS)、絶対好塩基球計数、%好塩基球(BASO)、赤血球計数(RBC)、赤血球分布(RDW)、ヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット(Hct)、平均赤血球体積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、血小板計数(PIT)、平均血小板容積(MPV)、またはこれらの組み合わせを含む全血球(CBC)分析。
【0169】
そこに記載されたマルチウェルプレート、システム、または方法を用いて分析することができる分析物または臨床パラメータには、試料(例えば、血液試料または尿試料)中に広範囲の異なる濃度で存在する分析物などを挙げることができる。分析物には、高存在量の分析物、中存在量の分析物、および低存在量の分析物などを挙げることができる。いくつかの実施形態においては、高存在量の分析物には、>100.mu.M、例えば、>500.mu.M、>1mM、>2mM、>3mM、>4mM、>5mM、>6mM、>7mM、>8mM、>9mM、>10mM、>15mM、>20mM、>25mM、>50mM、>75mM、>100mM、>125mM、>150mM、または>200mMの濃度で試料中に存在する分析物などが挙げられる。いくつかの実施形態においては、中程度の存在量の分析物には、100nM~100μMの濃度(例えば、100nM~1μM、1μM~10μM、または10μM~100μM)で試料中に存在する分析物などが挙げられる。いくつかの実施形態においては、低存在量の分析物には、<100nM、例えば、<10nM、<1nM、<100pM、<10pM、または<1pMの濃度で試料中に存在する分析物などが挙げられる。
【0170】
さらなる用途
本明細書に記載のシステムおよび方法は、消費者、医師、および科学研究者が、包括的な診断情報に容易にアクセスできるようにすることができる。診断検査へのアクセスを容易にすることにより、本明細書に記載のシステムおよび方法は、健康およびウェルネスに関連する分析物を繰り返し頻繁に検査するよう消費者に奨励し、それにより、例えば、可能な医学的処置の選択肢または生活様式の変更に関して、情報に基づいた選択を消費者およびその医師が行う手助けをする。頻繁な診断検査はまた、新しい医学的処置レジメンによる、または日常生活(例えば、食生活、運動)の変更による、有益または有害な影響の可能性について、消費者に速やかなフィードバックを提供することができ、患者の健康状態の変化に対して、例えば投薬を調整することにより医師がさらにすばやく対応できるようにすることができる。
【0171】
例えば、本明細書に記載のシステムおよび方法は、個人のヘルスケア情報のモニタリングに関心のある消費者にとって有用である可能性がある。例えば、消費者は、慢性の病状(例えば、糖尿病またはメタボリックシンドローム)の状態を追跡すること、または新しい医学的処置の初期効果をモニタリングすることに関心がある場合がある。そのような消費者は、代謝分析物のパネル用に血液試料を定期的に検査することに関心がある場合がある。本明細書に記載のシステムおよび方法を使用して得られた診断結果は、医師に相談すべきかどうか、またはいつ相談すべきかについての消費者の判断に情報提供することができる。
【0172】
また、本明細書に記載のシステムおよび方法は、一般的なウェルネス関連情報に関心のある消費者にとって有用である可能性がある。例えば、消費者は、消費者の一般的なウェルビーイング(wellbeing)(例えば、新しい食生活、禁煙、新しい仕事、休暇、新しい運動レジメン、瞑想、新しいパートナー)に特定の生活様式の選択が及ぼす影響をモニタリングすることに関心がある場合がある。そのような消費者は、例えばストレスホルモンやその他のマーカーを含む分析物パネル用に、定期的に血液試料を検査することに関心がある場合がある。本明細書に記載のシステムおよび方法を使用して得られた診断結果は、消費者の全般的なウェルビーイングの着実な向上に向けて消費者を導く手助けとすることができる。
【0173】
いくつかの実施形態においては、本開示のアッセイ装置、システム、および/または方法を利用することで、被験者の疾患または障害を評価し、次いで治療薬を対象者に投与して疾患または障害を治療する。
【0174】
いくつかの実施形態においては、本開示のアッセイ装置、システム、および/または方法を利用することで、被験者における疾患または障害のリスクを判断し、次いで治療薬を被験者に投与して、疾患もしくは障害の発症を抑制する、および/または疾患もしくは障害を予防する。
【0175】
上記および特許請求の範囲においては、構成要素または特徴の列挙に続いて、「のうちの少なくとも1つ」または「のうちの1つまたは複数」などの語句が存在する場合がある。また、2つ以上の構成要素または特徴の列挙において、「および/または」という用語が存在する場合がある。そのような語句は、そうした語句を使用する文脈によって暗黙裡にまたは明示的に否定されない限り、列挙された構成要素または特徴のいずれかを個別に意味するか、または列挙された要素または特徴のいずれかを、他の列挙された要素または特徴のいずれかと組み合わせて意味することが意図される。例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」;「AおよびBのうちの1つまたは複数」;「Aおよび/またはB」という語句はそれぞれ、「A単独、B単独、またはAおよびBともに」を意味することが意図される。また、3つ以上の項目を含む列挙についても同様の解釈が意図される。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」;「A、B、およびCのうちの1つまたは複数」;「A、B、および/またはC」という語句は、それぞれ「A単独、B単独、C単独、AおよびBともに、AおよびCともに、BおよびCともに、またはAおよびBおよびCともに」を意味することが意図される。加えて、上記および特許請求の範囲における「に基づく(based on)」という用語の使用は、「に少なくとも部分的に基づく」を意味することで、言及されていない特徴または構成要素も許容されるよう意図される。
【0176】
本明細書に記載の主題は、所望の構成に応じて、システム、装置、方法、および/または物品に具現化することができる。先に記載された実施は、本明細書に記載の主題に一致するすべての実施を表しているわけではない。むしろ、それらは、記載の主題に関連する態様に一致する一部の例に過ぎない。以上、いくつかの変形例を詳細に記載してきたが、他の修正例や追加例も可能である。例えば、本主題は、臨床現場即時(POC)血液特性評価システムに関連して使用されるものとして説明されているが、本明細書に記載の装置が、他のタイプのPOCシステムと共に使用できることは理解されよう。加えて、本主題は、他のタイプの液体試料(例えば、他の生物学的流体、環境検査試料など)の特性評価と共に使用することができる。特に、本明細書に記載のものに加えて、さらなる特徴および/または変形例を提供することができる。例えば、上記の実施は、開示された特徴の様々な組み合わせおよび部分的組み合わせ、ならびに/または上記で開示されたいくつかのさらなる特徴の組み合わせおよび部分的組み合わせを対象とすることができる。加えて、添付の図に示された、および/または本明細書に記載された論理の流れは、望ましい結果を得るには、示された特定の順序、または逐次の順序でなければならないというわけでは必ずしもない。
【0177】
本発明を上記の例を参照しつつ記載してきたが、修正例および変形例が本発明の趣旨および範囲に包含されることは理解されよう。したがって、本発明は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
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【国際調査報告】