(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(54)【発明の名称】マイクロ波放射線によって材料を直接還元する方法
(51)【国際特許分類】
B01J 19/12 20060101AFI20220406BHJP
C01G 23/047 20060101ALI20220406BHJP
C01G 49/00 20060101ALI20220406BHJP
C01G 25/00 20060101ALI20220406BHJP
C01G 33/00 20060101ALI20220406BHJP
C01G 41/00 20060101ALI20220406BHJP
C01F 17/241 20200101ALI20220406BHJP
C01F 17/30 20200101ALI20220406BHJP
C01B 33/26 20060101ALI20220406BHJP
C01F 17/235 20200101ALI20220406BHJP
C01B 3/06 20060101ALI20220406BHJP
C01B 32/40 20170101ALI20220406BHJP
【FI】
B01J19/12 A
C01G23/047
C01G49/00 C
C01G25/00
C01G33/00 A
C01G41/00 A
C01F17/241
C01F17/30
C01B33/26
C01F17/235
C01B3/06
C01B32/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549952
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(85)【翻訳文提出日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 ES2020070146
(87)【国際公開番号】W WO2020174118
(87)【国際公開日】2020-09-03
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521171472
【氏名又は名称】ウニベルシタット・ポリテクニカ・デ・バレンシア
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITAT POLITECNICA DE VALENCIA
(71)【出願人】
【識別番号】593005895
【氏名又は名称】コンセホ・スペリオル・デ・インベスティガシオネス・シエンティフィカス(セエセイセ)
【氏名又は名称原語表記】CONSEJO SUPERIOR DE INVESTIGACIONES CIENTIFICAS(CSIC)
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172236
【氏名又は名称】岩木 宣憲
(72)【発明者】
【氏名】セラ アルファロ,ホセ マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】カタラ シベラ,ホセ マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア バニョス,ベアトリス
(72)【発明者】
【氏名】ボラス モレル,フアン フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】ナバレテ アルガバ,ラウラ
【テーマコード(参考)】
4G002
4G047
4G048
4G073
4G075
4G076
4G146
【Fターム(参考)】
4G002AA08
4G002AB01
4G047CA02
4G047CB08
4G047CD03
4G048AA02
4G048AA05
4G048AB03
4G048AD03
4G073AA03
4G073BA10
4G073BA11
4G073BA20
4G073BA57
4G073CE06
4G075AA03
4G075AA13
4G075AA22
4G075AA63
4G075AA65
4G075BA06
4G075BB04
4G075BB05
4G075CA05
4G075CA26
4G075DA02
4G075DA18
4G075EA06
4G075EB01
4G075EB31
4G075FC11
4G076AA02
4G076BF10
4G076BH01
4G076CA02
4G146JA01
4G146JB04
4G146JC02
4G146JD02
(57)【要約】
本発明は、化学還元剤または電気接点を使用する必要のない、マイクロ波放射線による低温(<600℃)での材料の還元に関する。本発明は、より具体的には、材料を還元するための方法に関し、当該方法は以下の工程:
・マイクロ波照射空洞内に載置された材料にマイクロ波放射線を照射する工程と、
・還元された材料から生成された流体酸化生成物を同時に分離する工程と、
を含み、これにより、当該方法は、化学還元剤または電気接点なしで実施される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料の還元のための方法であって、
前記方法は、以下の操作:
・マイクロ波照射器空洞内に配置された材料にマイクロ波放射線を照射することと、
・前記材料においてショット温度を少なくとも超えるまで加熱することと、
・還元された前記材料から生成された流体酸化生成物を分離することと、
を実施することを含み、これにより、前記方法は還元性化学物質を使用せずに実施され、
前記材料は無機材料であり、
前記ショット温度は、前記材料の電気伝導率が、還元を伴わない前記材料の導電性に対して、4℃の温度上昇内で少なくとも4%増加する温度である、方法。
【請求項2】
電気接点を使用せずに実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
流体を排出する能力を有する容器内で実施されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
マイクロ波放射線の前記照射が、前記ショット温度の前後で50~200℃、好ましくは50~100℃の温度上昇をもたらすことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
還元される前記材料が、固体状態であるか、溶融状態であるか、液体中に懸濁または溶解されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記液体が、前記方法が行われる条件下で液体状態であり得る水または炭化水素である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記還元された材料からの前記生成された流体酸化生成物の前記分離が、以下の手段:
・真空の印加、
・同伴流体の使用、
・前記生成された酸化生成物を消費する反応性流体の使用、もしくは
・前記生成された酸化生成物の選択的分離器の使用
のうちの1つまたはそれらの組合せによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第2の放射線源および関連する受波器からのマイクロ波放射線を相互推論なく照射することにより還元される前記材料の導電率のその場測定の工程をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記還元される材料の前記ショット温度の前記その場測定が、前記還元される材料の導電率測定および前記材料の温度測定によって実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記材料が固体材料であり、前記固体材料の組成が、少なくともTi、Fe、Co、Zr、Cr、Nb、Ta、W、Mo、希土類およびUの中からから選択される元素のカチオンを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
以下の工程:
・流体を排出することができ、かつMW放射線に対して不活性な容器内に前記材料を載置する工程と、
・前記容器を、前記照射器空洞の壁に位置決めされたオリフィスを通して、均一かつ効率的な加熱のために、均一かつ可能な限り強い電場の領域に挿入する工程と、
・前記材料の「ショット温度」を確認する工程と、
・前記マイクロ波放射線が照射されている間に、前記放射線のために印加される電力の連続的な調整を実施する工程と、
・前記還元された材料から生成された前記流体酸化生成物を分離する工程と
を含み、これにより前記方法が還元性化学物質を使用せずに実施される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置であって、
・少なくとも1つのマイクロ波放射線源(1)と、
・マイクロ波照射器空洞(2)と、
・前記還元される材料(4)が中に載置される容器(3)と、
・第1の放射線源(1)と干渉しない、その場導電率測定用の第2のマイクロ波放射線源と、
を備える、装置。
【請求項13】
・マイクロ波照射(6)中に前記材料の温度を測定するための少なくとも1つの温度センサ(5)と、
・還元プロセス中に発生した流体(7)を排出するための少なくとも1つの手段と、
をさらに備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
照射用の前記マイクロ波放射線源(1)が、マグネトロンに基づくマイクロ波発生器もしくは固体増幅器に基づくマイクロ波発生器であり得る、請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記マイクロ波放射線源(1)が、300MHz~300GHzの周波数で動作する手段を有する、請求項12から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記マイクロ波放射線源(1)を保護するための電力遮断器(9)を備える、請求項12から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記照射器空洞(2)がマイクロ波共振器である、請求項12から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記マイクロ波共振器が、円筒形、角柱多面体または球形の形状を有する、請求項12から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記マイクロ波放射線が、導波路を介して、または電気プローブもしくは磁気プローブに基づく結合部もしくは開口部(10)を介して、前記照射器空洞(2)に導入される、請求項12から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
内部に配置された前記材料の表面温度を測定することを可能にするアクセスオリフィス(13)を側壁に備える、請求項12から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記照射器空洞(2)が、物質の通過を可能にする、上壁に配置された少なくとも1つの非放射オリフィス(11)と、底壁(11)に配置された第2の非放射オリフィスとを有する、請求項12から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記上壁および前記底壁(11)に配置された前記非放射オリフィスが、ガスの導入および排出を可能にする、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記還元プロセス中に生じる流体を排出する手段をさらに備える、請求項12から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法によって得られた還元された材料。
【請求項25】
工業プロセス、農業プロセスもしくは医薬プロセスにおける、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法の使用、または請求項24に記載の還元された材料の使用。
【請求項26】
前記還元された材料が、ガス状流を処理するための選択的吸収剤として使用される、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
前記工業プロセスが、ガス状流からのO
2、F
2、Cl
2、Br
2、HCl、HBr、HF、H
2Sまたはそれらの混合物の選択的除去である、請求項25に記載の使用。
【請求項28】
前記工業プロセスが、還元状態の前記材料と酸化された分子との反応による化学生成物の生成であり、前記酸化された分子は還元された後に前記化学生成物を生成する、請求項25に記載の使用。
【請求項29】
前記酸化された分子が、
・CO
2で所望の生成物がCOであるか、または
・前記酸化された分子がH
2OとH
2Sとから選択され、前記所望の生成物がH
2であるか、または
・前記酸化された分子が、H
2OおよびCO
2を含むガスの混合物であり、所望の生成物が炭化水素である、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
前記工業プロセスが、新しい官能基を有する生成物を形成するための、還元状態の前記材料と還元され得る第2の有機分子との反応による化学生成物の生成である、請求項25に記載の使用。
【請求項31】
前記工業プロセスが、新しい官能性を有する生成物を形成するための、還元状態の前記材料と、アルカン、アルケン、ナフテンおよび芳香族炭化水素から選択される分子との反応による化学生成物の生成である、請求項25に記載の使用。
【請求項32】
材料(4)の活性化(オン-オフ)のための請求項25に記載の使用であって、前記材料の還元状態を変化させることにより、前記材料の触媒特性を化学反応のために調整することができる、前記使用。
【請求項33】
前記還元された材料にエネルギーを貯蔵するための、請求項25に記載の使用。
【請求項34】
負極に含まれる材料の選択的還元および酸化生成物の同時排出による電池の迅速な再充電のための、請求項25に記載の使用。
【請求項35】
地球外O
2、H
2、O
2から選択される生成物を得ることを含む工業プロセスにおける、請求項25に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元性化学物質の使用および化学生成物の複合生成を必要としない、材料の還元に使用される電磁放射線、より具体的には、マイクロ波放射線の使用の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
持続可能性の将来は、現在の安価なエネルギーの利用可能性によって推進される完全な再生可能エネルギーシステムに依存する。再生可能エネルギーの変動性のため、エネルギーを貯蔵および変換するための新たな効率的方法、ならびに電気の合理的使用が必要とされる。
【0003】
持続可能性を改善し、CO2排出量を削減することを目的とする、化石燃料から再生可能資源へのエネルギーシステムの転換は、電力部門とプロセス工業部門の両方が直面する主要な課題の1つである。
【0004】
再生可能エネルギー源からの電気の不安定かつ断続的な特性のあるため、発電のピーク時におけるエネルギーを貯蔵する方法が必要とされ、これにより、貯蔵したエネルギーを発電の硲で使用することで、需要変動に基づく効率的な電力網の安定性を維持できるようになる。同様に、プロセス工業に必要とされるのは、主に化石もしくは再生可能な供給源からの炭化水素の燃焼または酸化に基づく熱プロセスに代わる、(再生可能な)電気の直接使用によって、様々なユニットプロセス、例えば、化学変換ユニットもしくは分子分離ユニットの操業を可能にする新たなより効率的な方法である。
【0005】
エネルギー変換および貯蔵(ECS)は、過剰な再生可能エネルギーの吸収に基づく、燃料(水素、メタン、他)または化学物質の形態の化学エネルギー担体を生成する上での重要な概念である。ECSの現在の方法は、電気化学セルである。電気化学セルは、化学エネルギー担体を得るために、電解槽(燃料および電気供給原料を生成する、例えば、PEM EC:プロトン交換膜電解槽セル、もしくはSOEC:固体酸化物電解槽セル)、または固体電解燃料電池(SOFC、燃料から電気を生み出す)、固体電解質酸素分離器(SEOS)、または熱的方法(集光型太陽光エネルギー:CSPもしく廃熱)として機能する。このPower to X(PtX)変換は、O2、H2または炭化水素のみならず、先進のアルカリ燃料電池の生産、エネルギー貯蔵材料としてのアンモニアまたは窒化物の合成のためにさらに拡張可能である。
【0006】
しかしながら、これらのプロセスで必要とされる熱エネルギーおよび/または電気エネルギーは非常に高くつく。
【0007】
ある場合には、材料の還元などのこれらの変換を高温および/または接触電極を使用して実施可能であるが、設備が非常に複雑になるため、投資(CAPEX)が非常に膨大になり、制御が困難化し、プロセスの操作性が非常に難しくなるのみならず、運転費用(OPEX)がかなり嵩み、エネルギー効率および質量効率が低い。
【0008】
マイクロ波処理は、多くの科学分野および技術分野において従来の加熱に対しての明らかな利点を示している。この技術は、セラミック、複合材料、金属、触媒および他の反応系[Zhou他、2016]などの様々な材料を処理する上での効果的かつ効率的な方法となっており、材料との超高速マイクロ波相互作用、特に高温でのマイクロ波相互作用は、他の照射方法を用いては不可能な新たな反応経路およびプロセスを形成することが可能である。
【0009】
Catala-Civeraらによる文献「Dynamic Measurement of Dielectric Properties of Materials at High Temperature During Microwave Heating in a Dual Mode Cylindrical Cavity」、IEEE Trans.Microw.Theory Tech.2015年第63巻2905~2914頁には、マイクロ波処理および誘電率のその場動的測定のためのマイクロ波空洞および加熱システムが記載されている。しかしながら、この論文に記載された装置は、本発明に記載された装置と本質的に異なり、例えば、とりわけ、物質を排出する能力を有していないことが挙げられる。
【0010】
米国特許第5507927号明細書は、解重合が起こるが熱分解されず、還元が還元雰囲気中で起こるような有機材料の還元方法を開示している。
【0011】
本発明は、最新技術の上述の問題を解決する。本発明のマイクロ波支援プロセスにより、他の方法では不可能であった材料の還元が可能になった。さらに、材料の還元は、新規装置により実施され、この装置により、電気化学反応用材料の電気化学的活性化、ならびにO2およびCOなどの化学生成物およびH2などのエネルギー担体の生成、電池のアノードの還元が実現される。マイクロ波と材料の固有の性質との相互作用を利用して、この種の材料では観察されなかった温度、場合によっては300℃未満でも、こういった材料の還元を生じさせる。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、化学還元剤または電気接点を使用する必要のない、マイクロ波放射線による低温(<600℃)における材料の直接還元に関する。
【0013】
「マイクロ波」という用語は、電磁スペクトルにおける赤外線周波数と無線周波数との間の周波数帯域を占める非電離電磁放射線を指す。
【0014】
「材料を還元する」という表現は、材料を構成するカチオンの少なくとも一部の酸化状態の低下として理解される。材料は、マイクロ波放射線を直接吸収し、有機分子、ポリマー、金属または金属合金などの吸収および電子移動のための他の添加剤の存在を必要としない。
【0015】
「ショット温度」という表現は、材料中の電荷担体の活性化に起因して材料の電気伝導率の急激な変化が確認され、マイクロ波を用いて処理された材料の還元をもたらす温度として理解される。
【0016】
本発明は、材料の還元のための方法に関し、この方法は、以下の操作:
・マイクロ波照射器空洞内に配置された材料にマイクロ波放射線を照射することと、
・材料において少なくともショット温度を超えるまで加熱することと、
・還元された材料から生成された流体酸化生成物を分離することと、
を実施することを含み、この結果、この方法は還元性化学物質を用いずに実施される。
【0017】
本発明の方法は、電気接点を用いることなく実施される。
【0018】
本発明の方法では、上述の定義において記載の操作および請求項1に記載の操作を、示された順序で実施する必要はない。すなわち、示された順序は時系列ではなく、動作は記載された順序で行うことができ、または別の順序で行うことができる。
【0019】
好ましい実施形態によれば、本発明の方法は、流体を排出する能力を有する容器内で実施される。
【0020】
温度の上昇自体が導電率の上昇をもたらす。ショット温度では、導電率の急激な変化があり、単に温度の上昇による導電率の増加の効果よりもはるかに重要である。これは、マイクロ波放射線によって引き起こされる電子担体の伝導の急激な増加に起因する。
【0021】
マイクロ波放射線の照射は、ショット温度を超えて50~250℃、好ましくは50~100℃の温度上昇が達成されるまで維持される。
【0022】
「急激な」または「突然の」は、この文脈において、摂氏4度の温度上昇において導電率が少なくとも4%増加することを意味する。
【0023】
本発明の方法では、温度を4℃上昇させることによって、材料の電気伝導率は、非還元材料の導電率に対して少なくとも50%上昇する。
【0024】
材料の還元において、生成物は、カチオンに関連するアニオンの酸化の結果として放出され、カチオンは還元される。酸化生成物は不安定な生成物であることが多い。しかしながら、この酸化生成物は「その場」で有用であり得る。
【0025】
特定の実施形態によれば、排出される酸化生成物は、O2、O3、Cl2、F2、Br2、CO2、SO3またはそれらの混合物である。固体酸化物が還元される場合、例えば、O2が放出され、塩化物の場合には、Cl2が放出され、硫化物の場合は、Sが放出される、等である。
【0026】
当該酸化生成物が、材料が内部の空洞内に収容されている容器から排出されない場合、マイクロ波放射が停止すると、前記酸化生成物は一般に、材料と再び反応し、材料を再酸化して元の状態に戻す。
【0027】
本発明の方法によって還元され得る材料は、固体状態、溶融状態、流体に懸濁または溶解された状態であり得る。前記流体は、例えば、水(例えば、液体の水もしくは超臨界状態の水)または本発明の方法の条件下で液体状態であり得る炭化水素(例えば、パラフィン、ワックス、油)であってもよい。
【0028】
マイクロ波放射線の吸収による還元の現象が実際の工業的使用の条件下(例えば、600℃未満)で起こるためには、還元される材料は以下の特定の特性を満たす必要がある。
・材料は、結晶形態または非晶質形態において、還元可能なカチオンを有する必要がある。材料還元は、Ti、Fe、Co、Zr、Cr、Nb、Ta、W、Mo、希土類およびU(例えば、Ce+4、Ti+4、Zr+4、W+6、Pr+4、Nd+3、Nb+5)から選択される元素の特定の金属カチオンの還元を介して起こり、その結果、その対アニオンが酸化して、排出可能な生成物を形成する。
・固体では、固体(粒子の内側および外側)の均一な還元のために、(酸化された特定のアニオンの)イオン伝導率をある程度有することが有利であり、その結果、アニオンは酸化後に固体の粒子を介して外部に向かって拡散し、放出され得る。
・(ナノ粒子状または高い表面積を有する)拡張された固体の場合、固体イオン伝導過程は各材料粒内の微視的レベルでは必要ないためイオン伝導特性は有利とはいえない。
【0029】
さらなる特定の実施形態によれば、還元された材料から生成された流体酸化生成物の同時分離は、以下の手段のうちの1つまたはそれらの組合せによって実施される。
・真空の印加、
・同伴流体の使用、
・生成された酸化生成物を消費する反応性流体の使用、もしくは
・生成された酸化生成物の選択的分離器の使用。
【0030】
本発明の方法は、第2のマイクロ波源および関連する受波器からマイクロ波放射線を相互推論なしに照射することによって、還元される材料の導電率のその場測定の工程をさらに含んでもよい。この還元される材料の導電率のその場測定の工程または操作は、手順全体を通して実施することができ、予備工程である必要はない。
【0031】
第1のマイクロ波源は、試料を加熱し、ショット温度を超えることを保証し、閾値電位を印加して材料の還元を発生させる役割を果たす。第2のマイクロ波源は、導電率測定に必要なマイクロ波信号を発生させる役割を果たすものであり、したがって、高度なプロセス制御に必須である。これにより、ショット温度の監視および検出、ならびに導電率の変化が起こる瞬間、したがって材料の還元を検知可能となる。
【0032】
材料のショット温度のその場測定は、還元される材料の導電率測定および材料の温度測定によって実施することができる。
【0033】
本発明の方法はまた、特定の実施形態によれば、導電率および材料温度の測定による材料のショット温度のその場での連続測定を考慮する。
【0034】
「ショット温度」を超えると、材料上の放射線の均一性の制御および印加電力の制御が可能な装置内にマイクロ波放射線を照射することによって還元プロセスが発生する。したがって、不均一性および起こり得る材料の劣化が防止される。
【0035】
還元プロセスの間、材料の電気伝導率が温度と共に変化するという事実に基づいて電力伝送を最適化するために、照射のために印加されるマイクロ波電力の連続的な調整をすることができる。印加電力の連続的な調整は、還元された材料の量の改善を意味する。
【0036】
照射およびマイクロ波出力の制御は、本発明の方法においてもっとも重要である。
【0037】
本発明の方法は、特定の実施形態によれば、放射線を照射している間、照射のために印加される電力の連続的な調整を実施することをさらに含む。
【0038】
本発明の方法は、さらなる特定の実施形態によれば、以下の工程:
・流体を排出することができ、かつMW放射線に対して不活性な容器内に材料を載置する工程と、
・照射器空洞の壁内に位置決めされたオリフィスを通して、均一で効率的な加熱のために、均一で強い(好ましくは、可能な限り強い)電場の領域に容器を挿入する工程と、
・その材料の「ショット温度」を確認する工程と、
・材料が還元されるまでマイクロ波放射線を照射する工程と、
・材料においてショット温度を少なくとも超えるまで加熱する工程と、
・放射線を照射しながら、照射のための印加電力の連続的な調整を実施する工程と、
・還元された材料から発生した流体酸化生成物を分離する工程と
を含み、その結果、前記方法が還元性化学物質を用いずに実施される。
【0039】
本発明はまた、上記で定義された手順を実施するための装置(
図1)に関し、この装置は、
・少なくとも1つのマイクロ波放射線源(1)と、
・マイクロ波照射器空洞(2)と、
・還元される材料(4)が中に載置される容器(3)と、を備える。
【0040】
本発明の装置は、
・マイクロ波照射(6)中に材料の温度を測定するための少なくとも1つの温度センサ(5)と、
・還元プロセス中に発生した流体を排出するための少なくとも1つの手段(7)と、をさらに備える。
【0041】
照射用のマイクロ波放射線源(1)は、マグネトロンに基づくマイクロ波発生器または固体増幅器に基づくマイクロ波発生器であり得る。
【0042】
マイクロ波放射線源(1)は、300MHz~300GHzの周波数で動作可能である。例えば、特定の実施形態によれば、マイクロ波放射線源(1)は、個人ライセンスを必要としない工業、科学、もしくは医療用途向けの周波数915MHz、2450MHz、または5800MHzで動作する(ISM周波数:「産業科学医療用」周波数と呼ばれる)。
【0043】
装置は、照射器空洞(2)からの反射電力からマイクロ波放射線源を保護するための電力遮断器(9)を備えることができる。
【0044】
照射器空洞(2)は、必要なマイクロ波放射線の強度が高い場合、マイクロ波共振器とすることができる。さらに、マイクロ波共振器は、円筒形、多面体(例えば角柱状)または球形を有することができる。
【0045】
マイクロ波放射線(6)は、導波路を介して、またはその側壁もしくは上/底壁の一方にある結合部(10)もしくは開口部を介して照射器空洞(2)に導入される。
【0046】
特定の用途によれば、マイクロ波放射線を照射器空洞に導入するための結合部(10)は、電気プローブ、磁気プローブ(電流ループ)、または壁(側壁、頂壁および底壁)の一方の開口部に基づく。
【0047】
照射器空洞(2)は、物質の通過、特にガスの導入および排出(7)を可能にする、上壁に位置決めされた少なくとも1つの非放射オリフィスと、底壁に位置決めされた第2の非放射オリフィス(11)とを有することができる。
【0048】
空洞の内側に配置される容器(3)は、不活性材料、すなわち、マイクロ波を吸収せず、還元される材料と反応せず、電気化学プロセスの最高温度に耐える不活性材料で作製する必要がある。前記容器は、例えば、石英またはアルミナチューブのような、マイクロ波に対して不活性であり、高温(>600℃)に耐えることができる材料とすることができる。さらに、容器(3)は、一般にガスの形態の様々な化学生成物と接触して作動可能である必要がある。
【0049】
特定の実施形態によれば、容器(3)は、照射される固体状態で材料(4)を保持する機械的支持体(12)として機能する多孔質媒体を含む。支持体の例として、多孔質セラミック膜(フリット)、セラミックフォーム、繊維メッシュもしくはフェルト、または微小穿孔板が挙げられる。
【0050】
照射器空洞(2)は、材料の表面の温度または内部に配置された材料を含む容器の表面の温度を測定することを可能にするアクセスオリフィス(13)を側壁に備えることができる。この温度は、例えば、空洞の外側に配置された赤外線温度計(5)によって測定することができる。
【0051】
さらなる特定の実施形態によれば、照射器空洞(2)は、その場導電率測定および同時導電率測定を実施する目的で、低電力マイクロ波の第2の放射線源(15)および関連する受波器の追加の結合部(14)を含む。当該第2の放射線源は、第1の放射線源との干渉から保護される。
【0052】
また、必要に応じて、空洞は、還元プロセス中に材料を観察するためのビデオカメラなどの記録媒体を提供するための追加のオリフィス(16)を有することができる。
【0053】
前記オリフィス、そして一般に、空洞内のオリフィスは、それらが両方の共振モードの場および共振を妨げないことを保証し、マイクロ波漏れを回避するように、寸法設定および位置決めされる。
【0054】
また、必要に応じて、空洞は、還元プロセス中に放出された生成物の組成の分析のための手段(8)を有することができ、その手段がプロセス全体の制御および操作性を容易にする。
【0055】
装置はまた、マイクロ波放射中に生成されるガスを分析するための質量分析計(8)を備えることができる。装置は、還元プロセス中に生じた流体を排出するための手段(7)、例えば、真空を印加するための手段、または流体を同伴させるための手段、または還元中に生成された流体を消費する反応性流体を循環させるための手段をさらに備えることができる。
【0056】
装置は、水冷システム(17)をさらに備えてもよい。
【0057】
本発明の方法によるマイクロ波材料還元のための装置の特定の実施形態によれば、装置(
図5)は、マイクロ波照射器空洞(2)と、マイクロ波発生器(1)と、マイクロ波発生器を保護するための絶縁体(9)と、還元される材料(4)を導入するための容器(3)と、容器(3)および材料(4)の温度を空洞(2)の外側から測定するためのセンサ(5)と、還元プロセス中に生じる流体の排出のためのシステム(7)(
図5には含まれず)とを備える。
【0058】
マイクロ波照射器空洞(2)は、特定の実施形態によれば、同じ空洞を有する材料自体から低誘電損失および高誘電損失を有する材料を照射することができるように、円筒形状のマイクロ波共振器として設計される。
【0059】
マイクロ波照射のための電磁場構成は、TE111電気横共振モードの構成に対応するように、試料(4)が載置された共振器空洞の中心に均一で強い電場を発現する。
【0060】
TE111円筒形照射モードは、2.45GHzのISM周波数付近の共振を有するように選択され、これにより、その照射またはその後の工業的実装が容易になる。空洞寸法は、他の共振モードからの干渉を回避するように慎重に設計される。これらの空洞寸法は、工業用途(例えば、0.915GHz、5.8GHzなど)にも利用可能な追加のISM周波数付近の等価TE111共振モードを有するように修正することができる。
【0061】
材料を照射するためのマイクロ波電力信号(マイクロ波放射線)は、Nコネクタ(内径約3mm)との結合部(10)を介して側壁に配置された電気プローブを介して共振空洞(2)(照射器空洞)に導入される。
【0062】
マイクロ波照射源(1)は、ベクトルネットワークアナライザのRF出力によって駆動される固体増幅器またはマグネトロンに基づくマイクロ波発生器(1)とすることができる。
【0063】
マイクロ波源(1)の出射口には、空洞からの反射電力からマイクロ波源を保護するために電力遮断器(9)が通常配置される。
【0064】
この特定の実施形態では、還元される材料(4)の試料体積は、空洞内の電場に従って、直径10mmおよび高さ15mmに設定される。
【0065】
材料は、容器(3)の内部にある、多孔性によりガスの流れを可能にする、試料を保持するための多孔質膜上に載置される(
図1および
図5)。
【0066】
試料用の容器(3)は、高温(約1300℃)に耐えることができる石英管(内径約10mm、外径約12mm)である。空洞の中心にある電場の最大強度の位置に材料を配置するまで、上壁および底壁に位置決めされた1つ以上の非放射オリフィス(11)を通して、容器(3)をマイクロ波照射器空洞(2)内に導入し、均一な試料処理を確保する。さらに、これにより、強力で非常に効率的な照射サイクルが可能になる。
【0067】
これらのオリフィス(11)は、容器を介してガスの導入および排出を可能にする。
【0068】
この特定の実施形態では、容器(3)への入口管はガス供給導管に接続され、出口(11)は質量分析計(8)などのガス分析装置(8)への入口導管に接続される。入口ガスが定常状態の材料を通過すると、マイクロ波放射線が照射され、支持床(12)に固定された材料(4)が還元され、その結果、酸化ガスが放出される。当該ガスは、担体ガスによって同伴され、流体排出器(7)を通って抽出され、最終的に質量分析計(8)によって分析される。
【0069】
操作中の空洞の熱膨張を回避するために、空洞共振器の温度は、必要に応じて水冷システム(17)によって制御することができる。
【0070】
分析器をGP-IBリンクでコンピュータに接続することによって、マイクロ波放射プロセスの自動操作が実現される。
【0071】
赤外線温度計(5)を使用して、還元される試料(4)の表面温度を空洞の側壁に位置する直径7mmの剪断オリフィス(13)を通して空洞の外側から測定する。別の7mmオリフィス(16)を使用してビデオカメラを配置し、マイクロ波放射中に還元される試料を観察する。空洞内のアクセスホールの寸法および位置は、それらが両方のモードにおいて場または共振を妨げないことを保証し、マイクロ波漏れを回避するように設計された。
【0072】
温度センサ(5)、すなわち赤外線高温計を用いた材料の表面温度の測定によるマイクロ波が照射された材料の温度の正確で連続的な決定のために、温度制御された基準試料の導入および表面から測定された温度に基づく較正手順が調整されている。
【0073】
マイクロ波駆動還元機構は、特定の照射条件を必要とする。還元が起こるためには、「ショット温度」に到達する必要があり、この温度を超えると、マイクロ波放射線が適切に照射されたときに還元プロセスが常に起こる。「適切に」とは、過剰な電力の印加によって材料が損傷しないことを意味する。
【0074】
材料におけるこのショット温度は、電気伝導率の急激な変化によって確認される。電気伝導率の変化は、マイクロ波吸収の急激な増大および材料の温度の急激な上昇によっても顕在化する。
【0075】
この特定の実施形態では、ショット温度は、還元される材料の導電率の測定から確認することができ、この温度確認試験は、
図5の同じ空洞内で放射マイクロ波と同時に実施することもでき、試料との物理的接触の必要性を排除するというさらなる利点を有する。
【0076】
この特定の実施形態では、
図1の照射器空洞内の還元される材料の導電率測定のために、SMAコネクタ(内径:1.5mm)を使用して照射器空洞の底壁に電気的結合(14)が追加され、干渉なしにTE111空洞内のマイクロ波放射線の主モードと共存することができる第2の共振モードTM010を供給するために、2.1GHz周波数付近の第2の低電力マイクロ波源およびマイクロ波受波器が設置されている。
【0077】
すべての同時操作の安全性を確保するために、100dBを超える高レベルの絶縁を提供するために、受波器測定積層体に追加のフィルタを配置することができる。
【0078】
これらの測定の自動操作は、分析器をGP-IBリンクでコンピュータに接続することによっても行われる。
【0079】
この特定の実施形態では、試料内の電場の脱分極が考慮されているMCPT技術(マイクロ波空洞摂動法)を使用して電気伝導率が計算される。
【0080】
容器(3)は、例えば、真空を印加すること、同伴流体の使用、放出された成分を消費する反応性流体の使用、もしくは放出された元素の選択的分離器の使用、またはそれらの組合せによって、放出された成分(一般に気体もしくは液体の形態の酸化された物質)の抽出もしくは排出を可能にする。当該成分が、材料が空洞の内部にある容器から排出されない場合、マイクロ波放射を停止すると、当該成分は一般に、固体と再び反応して再酸化し(エネルギー的、形態学的、結晶的または組成的状態に関して)元の状態に戻す。
【0081】
特定の場合(上記で
図13Aを説明した箇所を参照されたい)では、流動床触媒反応器または移動吸着塔の触媒反応器プロセスで工業的に行われているように、材料は容器内に固定されず、流体として出入りすることができる。このような場合、マイクロ波放射線の照射後に放出される酸化された成分は、還元された材料と混合されて排出され、後続の分離器、例えば、還元された材料の特定の状態に応じて、サイクロン式分離器型または多孔質フィルタ型が存在する。この特定の場合、還元された材料の排出および分離は、放出された成分とマイクロ波放射線の非存在下で接触している還元された材料の再酸化を制限するために、必然的に高速で行われる。
【0082】
この還元プロセスは、一般に真空または担体ガスを使用し、必要とされるのがマイクロ波放射ならびに流体制御(組成および流体力学)のみであるため、これまでに知られている技術よりも技術的により簡単である。これとは別の方法では、還元には、かなりの高温(>1000℃、材料に依存)およびH2、COまたは固体炭素などの還元性化学物質の使用が必要であり、非常に高いプロセス複雑性、安全性リスクおよび高い製造コストを伴う。
【0083】
還元されて材料の構造に組み込み可能な原子を含有する、O2、H2O、Cl2、F2、HF、HCl、H2S、N2O、NOxまたはCO2などの分子を用いた材料の再酸化プロセスは、最低温度を必要としないが、再酸化は「ショット温度」を超えると完全かつ迅速になる。
【0084】
用途に応じて、あれこれの材料を使用して、プロセスの速度論、「マイクロ波サイクル」に対する材料の安定性、還元能力、あれこれの酸化性分子に対する選択性、および(典型的には、固体と流体との間、または流体間の界面の)反応の触媒活性を調整する必要がある。この選択では、還元サイクルと酸化サイクルの両方におけるエネルギー要件を考慮し、両方のプロセスにおける熱の放出または消費を制御する(一般に最小限に抑えたい)ことも必要である。
【0085】
別の特定の実施形態(
図3A)では、形成されたガス(酸化された流体)は、還元される材料と混合されて排出され、照射器空洞の外側には、還元された固体材料を酸化されたガス流から分離する、例えば、サイクロン分離器型または多孔質フィルタ型の後続の分離器が存在する。還元される材料(4)は、移動する流体中の液体または固体粒子として、例えば、FCC(「流動接触分解」)、「化学的ループ形成」システムまたはエントレインメントを伴う流動床反応器などの工業システムで生じるように、容器を通って連続的に流れることができる。(
図3A)
図4は、材料のマイクロ波放射誘起還元および純粋な化学的な酸化の完全なサイクルが別々のユニットで起こり、その結果、レドックス化学サイクル全体にわたって循環するのは材料であるプロセスを示す。
【0086】
あるいは、マイクロ波の照射による材料の還元によって放出された酸化された成分を循環流体の残りの部分から分離する選択的分離器を空洞の内部に組み込むことができる(
図3B)。
【0087】
本発明はさらに、上記で定義された方法によって得られる還元された材料に関する。
【0088】
本発明はさらに、工業プロセス、農業プロセスもしくは医薬プロセスにおける上記で定義された方法の使用、または本発明の方法によって還元された材料の使用に関する。
【0089】
特定の用途によれば、還元された材料は、ガス状流を処理するための選択的吸収剤として使用される。
【0090】
さらなる特定の使用によれば、工業プロセスは、ガス状流からの、例えばO2、O3、Cl2、F2、Cl2、Br2、HCl、HBr、HF、H2Sまたはそれらの混合物などのガスの選択的除去である。これは、不純物(例えば、O2、O3、Cl2、F2、Cl2、Br2、HCl、HBr、HF、H2S、N2O、NOxまたはそれらの混合物)と反応し、それらをその結晶構造中に固定することができる還元状態の材料を使用して行われる。この「吸収体」材料は、マイクロ波放射線によって即座に再生される。
【0091】
工業プロセスは、還元状態の材料と還元され得る第2の有機分子(酸化された分子)との反応による化学生成物の生成であり得、新しい官能基を有する生成物を形成する。酸化された分子は、CO2、および酸化された分子と還元された材料COとの反応から得られた生成物であり得る。酸化された分子は、H2OおよびH2Sから選択することもでき、酸化された分子と還元された材料との反応から得られる生成物はH2である。酸化された分子は、還元状態の材料と反応して炭化水素生成物(例えば、アレン、オレフィン、芳香族化合物、アルコールまたは他の酸素化炭化水素)を直接形成するH2OおよびCO2を含むガスの混合物であり得る。
【0092】
本発明の方法のさらなる特定の使用は、例えば、アニオンの酸化から生じる生成物を使用した、O2、Cl2、F2、Br2、Sなどを生成するための酸化剤分子の生成である。マイクロ波放射線によって誘発される当該分子の生成は、炭化水素または他の分子の酸化(ケミカルルーピング型)用の化学反応器内で実施することができ、酸化剤分子がその場で生成される(例えば、O2またはBr2)。このようにして酸化剤分子の別の設備またはユニット内での生成が回避され、同時に当該酸化剤分子の反応器内の濃度を制御することができ、同時に反応酸化目標における高い選択性を達成しつつも爆発限界または可燃限界を超えることを回避することができる。
【0093】
本発明の方法のさらなる特定の使用は、還元状態の材料とアルカン、アルケン、ナフテンおよび芳香族炭化水素の中から選択された分子との反応による化学生成物を生成であり、新しい官能性を有する生成物を形成する。これにより、オレフィン、水素、合成ガスもしくは芳香族炭化水素を生成する、メタンもしくはエタンなどの炭化水素の官能化または活性化が達成される。
【0094】
「活性化」という用語は、飽和炭化水素中のC-H結合を、そのC-に官能基を含めることができるように切断することを指し、その結果、分子がより活性(または反応性)になり、新しい官能基を有する。
【0095】
炭化水素は、例えば、ある種の酸化によって官能化され、このときの反応生成物は、通常、オレフィン、アルキン、芳香族化合物および酸素化化合物(アルコール、ケトン/アルデヒド、酸など)である。
【0096】
さらなる特定の使用によれば、工業プロセスは、例えば、センサの材料、例えば磁気要素、電子装置内の要素などの活性化(オン-オフ)であり、それにより、その還元状態が変化したとき、その触媒特性を所与の反応のために調整することができる。この場合、材料はオンであるかオフであるかに応じて還元または酸化される。この使用の特定の例は、ZrO2、Nb2O5などの活性化であり、これらの低温での活性化は化学還元剤を用いないと不可能である。この工業プロセスを通して、材料または部品に電子伝導性を誘導することができ、センサ、ガス分離膜(混合イオン電子伝導膜)、セキュリティシステム、電気通信などでの使用が可能となる。
【0097】
さらなる特定の用途によれば、本発明の方法によって得られる、マイクロ波放射線の効果によって還元された材料は、還元された材料にエネルギーを貯蔵するために使用される。
【0098】
さらなる特定の使用によれば、還元された材料は、負極に含まれる材料の選択的還元および酸化生成物の同時排出のために、電池の迅速な再充電に使用される。すなわち、還元された材料におけるエネルギーの貯蔵とは、マイクロ波によって即座に再充電する電池または化学反応器における将来の使用のための化学的貯蔵である。一実施形態は、いわゆる金属空気電池に関し、そこではアノードがマイクロ波還元によって再充電され、生成されたO2がアノードチャンバから排出され、電池の使用(放電)中には、アノードは、イオン拡散によって、例えば、酸素イオンを選択電極(例えば、ドープされたCeO2またはZrO2)を介して徐々に放出し、より高い電位を有するアノードで電子を生み出し、電子は電池外部回路(充電)を通って循環する。金属空気電池における用途の別の代替法は、H2Oのその場還元と組み合わせたプロトン伝導体に基づく電解質の使用である。
【0099】
さらなる特定の使用によれば、工業プロセスは、遠隔地または地球外鉱物を用いる宇宙ミッションにおいて、地球外O2、H2、O2から選択される生成物を得ることを含む。
【0100】
本発明はさらに、上記で定義されたプロセスを使用する方法、または本発明の方法によって還元された材料を工業プロセス、農業プロセス中もしくは医薬プロセスにおいて使用する方法に関する。
【0101】
特定の実施形態によれば、当該方法は、還元された材料をガス状流と接触させる工程と、ガス状流の1つ以上の成分の選択的吸収を実施する工程と、を含む。
【0102】
さらなる特定の実施形態によれば、当該方法は、還元された材料をガス状流と接触させ、ガス流から、例えば,O2、O3、Cl2、F2、Cl2、Br2、HCl、HBr、HF、N2O、NOx、H2Sまたはそれらの混合物などのガスの選択的除去を行う工程を含む。これは、不純物(例えば、O2、O3、Cl2、F2、Cl2、Br2、HCl、HBr、HF、H2Sまたはそれらの混合物)と反応し、それらをその結晶構造中に固定することができる還元状態の材料を使用して行われる。この「吸収体」材料は、マイクロ波放射線によって即座に再生される。
【0103】
さらなる特定の実施形態によれば、当該方法は、還元状態の材料と、還元され得る第2の有機分子(酸化分子)との反応を実施する工程と、新しい官能基を有する化学生成物を生成する工程と、を含む。酸化された分子は、CO2であってもよく、またはH2OおよびH2Sであってもよく、またはH2OおよびCO2を含有するガス混合物であってもよく、対応する生成物は上記のものである。
【0104】
さらなる特定の実施形態によれば、当該方法は、アニオンの酸化から生じる生成物を使用する工程と、例えばO2、Cl2、F2、Br2、Sなどであり得る酸化剤分子を発生させる工程と、を含む。
【0105】
さらなる特定の実施形態によれば、当該方法は、還元状態の材料と、アルカン、アルケン、ナフテンおよび芳香族炭化水素の中から選択される分子との反応を実施して、新しい官能性を有する生成物を形成する工程を含む。
【0106】
さらなる特定の実施形態によれば、当該方法は、例えば、磁気要素、電子要素などのセンサ用材料の活性化(オン-オフ)を実施する工程を含み、それにより、還元状態が変化したとき、触媒特性を所与の反応のために調整することができる。
【0107】
本明細書ならびに特許請求の範囲を通して、「備える(comprise)」という語およびその変形は、他の技術的特徴、添加剤、成分または工程を排除することを意図しない。当業者にとって、本発明の他の目的、利点および特徴は、部分的には説明から、部分的には本発明の実施から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【
図1】マイクロ波放射線による処理によって材料を還元するための装置の構成の概略図である。
【
図2】マイクロ波で材料を還元するための照射器空洞および追加の構成要素のスキームである。
【
図3】Aは、還元される材料(4)が連続的に供給される実施形態のスキームであり、照射器空洞(2)および還元された材料に関して、下流側の構成要素である還元で生成されたガスの分離器(7)のスキームである。Bは、還元される材料(4)が連続的に供給される実施形態のスキームであり、照射器空洞(2)および空洞自体(2)内に含まれる構成要素である還元で生成されたガスの選択的分離器のスキームである。
【
図4】還元される材料(4)が連続的に供給され、マイクロ波放射線(6)によって誘発される還元と、異なるユニットで起こる材料(4)の純粋な化学酸化との完全な循環を行うプロセスが行われ、酸化還元化学サイクル全体にわたって循環するのが材料(4)である実施形態のスキームである。
【
図5】円筒形空洞として構成されたマイクロ波照射器(2)における還元プロセスの特定の実施態様を示す図である。
【
図6】マイクロ波を照射した場合と照射しない場合でのCGO材料の電気伝導率のアレニウス図である。
【
図7】CGO材料にマイクロ波照射中の電気伝導率、温度およびイオン電流(m=32)の時間的変化を示す図である。
【
図8】窒素ガス流れの下でCGO材料にマイクロ波照射中の電気伝導率およびイオン電流(m=32)の時間的変化を示す図である。
【
図9】マイクロ波を照射した場合と照射しない場合での磁器材料の電気伝導率のアレニウス図である。
【
図10】磁器材料へのマイクロ波の照射中の電気伝導率および温度の時間的変化を示す図である。
【
図11】マイクロ波照射した場合とマイクロ波照射なしの場合の8YSZ材料の電気伝導率のアレニウス図である。
【
図12】8YSZ材料へのマイクロ波放射工程の照射中の電気伝導率およびイオン電流(m=32)の時間的変化を示す図である。
【
図13】Aは、O
2に関連する温度ならびにイオン電流(m=31.91およびM=16.03)の時間的変化を示す図である。Bは、O
2に関連する電気伝導率ならびにイオン電流(m=31.91)の時間的変化を示す図である。どちらの場合も、乾燥したN
2の一定の流れの下でペロブスカイト型結晶構造を有するCaTi
0.8Fe
0.2O
3-δ材料に同じマイクロ波を照射している。
【
図14】Aは、マイクロ波の照射による還元前後のCGO材料のX線回折図である。Bは、マイクロ波の照射による還元前後のCGO材料のXPSスペクトルである。
【
図15】Aは、O
2に関連する温度およびイオン電流(m=32)の時間的変化示す図である。Bは、H
2に関連する温度およびイオン電流(m=2.09)の時間的変化を示す図である。両方の場合において、湿潤Ar流下でCGO材料に連続する3つのステップで同じマイクロ波を照射している。
【
図16】Aは、O
2に関連する温度およびイオン電流(m=32)の時間的変化を示す図である。Bは、COに関連する温度およびイオン電流(m=28)の時間的変化を示す図である。どちらの場合も、乾燥Arで希釈され、N
2を含まないCO
2の流れの下でCGO材料に3つの連続ステップで同じマイクロ波を照射している。
【
図17】Aは、O
2に関連する温度およびイオン電流(m=32)の時間的変化を示す図である。Bは、CH
4に関連するイオン電流(m=16および15)を示す図である。Cは、CH
4に関連するイオン電流(m=16および15)を示す図である。Dは、COに関連するイオン電流(m=28)を示す図である。Eは、H
2に関連するイオン電流(m=2)を示す図である。Fは、CO
2に関連するイオン電流(m=44)を示す図である。すべての場合において、ステップ形態の時間プロファイルで、希釈されていない乾燥したN
2を含まないCH
4ガスの流れの下でCGO材料に同じマイクロ波照射している。
【
図18】マイクロ波空洞内で生成された水素および燃料電池の使用によるエネルギーの生成のためのシステムの構成のスキームである。この図は、生成されたO
2およびH
2の測定ならびに制御のための装置(質量分析計)、ならびに燃料電池で発生した電圧(ポテンショスタット)を含む。
【
図19】マイクロ波放射線によるCOGの還元(
図18)によるエネルギーの生成のために燃料電池およびマイクロ波空洞で使用されたセラミック材料、ならびに使用されたガスの流れの組成を詳細に示す図である。
【
図20】異なるH
2およびエネルギー生成サイクル中の、還元材料の温度、空洞の出口におけるイオン電流(m=2は、H
2に関連し、m=32は、O
2に関連する)ならびに燃料電池の電位の時間変化を示す図である。全てのサイクルにおいて、CGO材料は、室温の水中で飽和させたN
2の30ml/分のガス流下にある。燃料電池をポテンショスタットに接続し、開回路電位を測定する。
【
図21】還元材料の温度、空洞の出口におけるイオン電流(m=2は、H
2に関連し、m=32は、O
2に関連する)、ならびにH
2およびエネルギーの生成のための燃料電池の電位の時間変化を示す図である。CGO材料は常に、室温の水中で飽和させたN
2の30ml/分のガス流下にある。燃料電池は、7.85mA/cm
2の電流密度要求を有する定電流モードで電位測定装置に接続されている。
【
図22a】マイクロ波放射線が照射される電池によってエネルギーが生成され、O
2が放出され、還元された材料が再酸化されると、プロセスで生成されたH
2によって電池が再充電される実施形態のスキームである。
【
図22b】マイクロ波放射線が照射される電池によってエネルギーが生成され、O
2が放出され、還元された材料が再酸化されると、プロセスで生成されたH
2によって電池が再充電される実施形態のスキームである。
【発明を実施するための形態】
【0109】
本発明を以下の実施の形態によって説明するが、これらは本発明を限定することを意図するものではない。
【0110】
(実施の形態1)
マイクロ波を試料に照射するプロセスでは、
図5の共振円筒形空洞を使用した。試料は、ガドリニウムCGO(Ce
0.8Gd
0.2O
1.9)がドープされた3gの酸化セリウムからなり、照射器空洞(2)内の支持体(12)上に顆粒の形態で配置された。窒素のガス状流(標準状態で100mL/分の流量で)(0℃および1気圧)を材料に通過させ、マイクロ波放射線を照射して(出力約100W)、気体状O
2の放出を伴う、材料の還元が生じるショット温度に達するまで温度を徐々に上昇させた。
【0111】
このプロセスは、
図6に示す電気伝導率の測定を通じて監視されており、ここでは、4℃で導電率の-18%の増加を伴う136℃のショット温度で導電率の急激なジャンプが観察された。この急激な増加は、マイクロ波放射線の作用による材料の部分的な還元のために生成された電荷担体(ポーラロン)の濃度の増加に関連する。
【0112】
また、この図は、従来の手段である、電気抵抗および/または赤外線放射によって加熱が行われる場合の導電率測定を含む。この測定値は、還元プロセスの不在、すなわち、導電率の急激な変化が観察されなかったことを示す。
【0113】
(7)からの出口ガスは、ファイファーバキューム社製OmniStar型質量分析計(8)によって分析した。
図7は、実験時間の関数としての酸素に対応する質量(m=32)の測定値を示す。この図はまた、時間の関数としての電気伝導率および温度の時間的変化を表す。電気伝導率の急激な変化が検出されたときに始まる酸素の放出の発生が観察された。この分子状酸素(O
2)の放出は、マイクロ波放射線の照射による材料の還元の明確な証拠を構成する。
【0114】
図8は、別の種類の操作の結果を示す。この場合、マイクロ波放射線が照射され、CGO材料の還元が起こり、還元された材料が一定の温度に保たれるように照射を維持した。
【0115】
図8は、電気伝導率の時間的変化および酸素に対応する質量(m=32)の測定値を時間の関数として示す。還元および導電率の安定化の後、「還元された」に対応するレベルで、マイクロ波放射が停止するまでこの導電率レベルを一定に維持することが可能であることが観察された。
【0116】
【0117】
表1は、気体状O2の分圧が材料を通過するガス流れにおいて変化した場合の、マイクロ波によるCGO材料の還元における重要なパラメータ(ショット温度、放出されるO2ガスの量、および電気伝導率の急激な増加)の要約を示す。分圧が低下すると、より低いショット温度で還元が起こり、より多くのO2が放出されたことが観察される。電気伝導率の増加は、O2分圧によって顕著に変化したのではないようである。
【0118】
空気中であっても、CGOによる酸素の放出を検出することができる。放出された酸素は、スイープガスのpO2が減少するにつれて増加し、pO2が約10-4気圧(0.01%O2/Ar)になった後にプラトーに達した。酸素の放出は、印加されたMW電力の関数である。
【0119】
表1はまた、様々な放射出力が照射された場合のCGO材料の還元における重要なパラメータに及ぼす効果を示す。これらの結果は、この出力を調整することによって還元プロセスを制御できることを実証している。印加されるマイクロ波放射の出力が大きいほど、導電性のギャップは大きくなる。酸素をより多く放出できることで、酸素空孔がより多く生成され、その効果は、導電性の急激な増加におけるより高いレベルとして材料の輸送特性において測定される。
【0120】
(実施の形態2)
一方、マイクロ波を照射することができる磁器型材料などの材料があり、この材料は、CGOの挙動を示さず、したがって本発明によるマイクロ波放射線によって還元できない。
図9は、マイクロ波放射線が照射されているときの磁器材料の電気伝導率の測定値を温度の関数として示しており(
図9の実線)、導電率に急激な変化がないことがわかる。これは磁器材料の還元がないことを意味し、したがって、このタイプの材料にショット温度はない。この図はまた、従来の手段である、電気抵抗および/または赤外線放射によって加熱が行われた場合の導電率測定値も示している。当該測定値は、マイクロ波放射線の照射を行った測定値と完全に合致し、これが、この材料については、マイクロ波が本発明で提案された動作範囲内で材料の還元を誘発することができないことが確認される理由である。この挙動は、材料が大気に開放された管で測定された場合と、材料にAr、He、He、N
2、O
2、H
2、Ar/O
2混合物(0.01%、0.1%、1.5%)などの流れおよび飽和H
2O流のガス状流動を通過させた場合との両方で観察された。
【0121】
図10は、マイクロ波放射線が磁器材料に照射されたときの試験時間の関数としての電気伝導率および温度の時間的変化を示す。導電率が熱活性化の典型的な挙動を示しつつ、温度は時間とともに直線的に上昇することが観察されるが、CGO材料(
図7)について観察されたような、マイクロ波還元に関連し得る急激な変化は観察されない。
【0122】
(実施の形態3)
図11は、Ar中のガス状流れ(標準状態で流量100mL/分を有する)を顆粒の形態の当該材料に通過させた場合の、3gのマイクロ波照射されたY
0.16Zr
0.86O
2-δ(8YSZ)の温度の関数(逆数)としての測定された電気伝導率のアレニウスプロットを示す。CGO(実施の形態1)について理解されたように、この場合、約200℃のショット温度を確認することができ、そこからマイクロ波の照射による導電率の大幅な増加が起こり、より緩やかな増加に続いた。この電気伝導率の急激な増加は、電子担体の濃度を著しく増加させる材料の還元に関連する。この現象は、還元プロセスが8YSZ材料の蛍石構造の全体性を維持するため、気体状O
2の放出(
図12)および結晶構造中の酸素空孔の形成を伴う。8YSZ材料、特にその構造のZr
+4カチオンの還元は非常に複雑であり、通常、強力な化学還元剤の使用と組み合わせてかなりの高温(>1700℃)を必要とすることを指摘しておく。同様に、マイクロ波還元後、蛍石構造は維持されるが、酸素空孔の数は還元の結果として増加することに留意されたい。
図11はまた、マイクロ波放射線が照射されていない場合の材料の電気伝導率の変化を示しており、8YSZ材料と同様に、急激な活性化の急上昇のない曲線を示し、純粋な酸素イオン(O
2)導体の予想曲線に従っていることが観察される。
【0123】
図12は、マイクロ波放射線を照射し、8YSZ材料を乾燥Ar流(標準状態で100mL/分の流量)下で還元し、還元された材料が一定温度に保たれるように照射を維持した試験の結果を示す。
図12は、電気伝導率の時間的変化および時間の関数としての酸素に対応する質量(m=32)の測定値を示す。還元および導電率の安定化の後、「還元された」に対応するレベルで、マイクロ波放射を停止するまでこの導電率レベルを一定に維持することが可能であることが観察され、その時点で、O
2信号に下向きのピークが観察され(吸収)、このことは、使用されるAr中のO
2含有量が2.10
-5バール未満であるという事実にもかかわらず、材料の再酸化を示す。この実施の形態により、本発明が酸素不純物を百万分率(ppm)未満のレベルまでガス流から除去することが可能である、すなわち、ガス流を選択的に精製することが可能であることを示す。
【0124】
【0125】
表2は、材料を通過するガス状流(標準状態で100mL/分の流量)中のO2ガスの分圧を変化させた場合の、マイクロ波による8YSZ材料の還元における重要パラメータ(ショット温度、O2ガス放出量、電気伝導率の急激な上昇)の要約を示す。O2の分圧が低下するにつれて、放出されるO2の量が増加することが観察された。
【0126】
従来法とマイクロ波との導電率の差が最大となる温度は、8YSZ(実施の形態3)が361℃、CGO(実施の形態1)が216℃であった。Ce3+/4+対の存在はYSZのZr3+/4+対よりも達成が容易であるため、材料間の違いはそれらのカチオンの還元性に関連し得る。
【0127】
(実施の形態4)
実施の形態1に記載の手順に従って、ドープされた酸化セリウムに基づく様々な材料を以下のように還元した:Arを材料に通過させることによって、実施の形態1に記載のシステム内で25~75Wの範囲内の出力でマイクロ波放射線を照射した。様々なドープされていない酸化セリウム材料ならびにGdドープされた酸化セリウム材料(10および20mol%)、Pr(20mol%)、ならびに(Gd 10mol%およびNb 4%)、これらはすべて立方晶蛍石の結晶構造を有する。表3Aは、標準状態で100mL/分の流量で材料にガス状流れを通過させた場合の、マイクロ波による様々な材料の還元における重要パラメータ(ショット温度、O2ガス放出量、電気伝導率の急激な上昇)の要約を示す。還元される材料の結晶格子の組成を制御することによって、還元の結果を特徴付けるパラメータを変え得ることが観察された。ドーピングにより、材料の還元性だけでなく、イオン伝導性をも変更できるが、イオン伝導性は結晶格子内の酸素イオンの移動度が還元プロセスに影響を及ぼすため重要である。
【0128】
【0129】
同様に、表3Bは、ガス状流れが材料を通過するときのマイクロ波による酸化ジルコニウム(Zr0.86Y0.12O2-X、Zr0.94Y0.06O2-XおよびZr0.86Sc0.12O2-X、)に基づく、異なる材料の還元における重要パラメータ(ショット温度、O2ガス放出量、電気伝導率の急激な上昇)の要約を示す。
【0130】
【0131】
表4は、様々な組成および結晶構造を有する様々な材料のマイクロ波の照射による、還元中の導電率の増加、放出されたO
2の量およびショット温度を示す。試料Si
0.4Al
0.3Ti
0.1Fe
0.2O
Xは、月面上の典型的な岩石を表している。プロセスは実施の形態4に従って実施した。様々な材料の還元を行うことが可能であることが観察される。具体的には、以下のカチオン:Ti
+4、Gd
+3、Nb
+5、W
+6、Fe
+3/Fe
+4の還元が観察される、これによりマイクロ波による還元プロセスの特性の調整、したがって、様々な用途でのこの方法の使用が可能になる。
図13Aは、乾燥N
2の一定流量(標準状態で100mL/分の流量)下でマイクロ波放射線が照射されたときのペロブスカイト型結晶構造を有する材料CaTi
0.8Fe
0.2O
3-δの温度の変化、ならびに放出された気体状酸素に対応する質量の測定値(m=31.91およびm=16.03)を時間の関数として示す。
図13Bは、電気伝導率の時間的変化および放出された気体状酸素(m=31.91)に対応する質量の測定値を時間の関数として示す。
【0132】
【0133】
(実施の形態6)
図14は、マイクロ波放射線によって還元された材料の物理化学的特性を説明する。
図13Aは、還元していないCGO試料(実施の形態1)およびマイクロ波による還元後のCGO試料のX線回折図を示す。マイクロ波処理された試料では、回折ピークの右方向へのシフトが観察され、材料が還元されたことが確認される。この結晶格子のサイズの増加は、Ce
+4からCe
+3カチオンへの部分的還元の特徴である。
【0134】
図14Bは、材料の最表面の原子層中の様々な化学元素の酸化状態の特性評価を可能にするXPS(X線光電子分光法)ダイアグラムを示す。この場合、
図14Aのように、本来の未処理のCGO試料およびマイクロ波処理されたCGO試料についての測定値が示されている。一般的に言えば、Ce
+4からCe
+3カチオンへの還元が観察されるが、この場合、Ce
+4カチオンの還元性がより高いことを考えると、Gd
+3カチオンの還元は、この材料では認識されない。
【0135】
(実施の形態7)
この実施の形態は、還元されたCGO材料を(マイクロ波放射線によって)水蒸気と反応させることによって水素を発生させ得る方法を説明する。
【0136】
プロセスは、実施の形態1に記載されているような設定で行い、湿潤(3%体積)Ar流(標準状態で100mL/分の流量)を通過させた。プロセスは3サイクルからなり、各サイクルは以下のように説明される:(i)ショット温度に達するまで昇温し、かつCGO材料が還元されて湿潤Arの流れによって同伴される気体状O
2ガスが放出されるように、マイクロ波放射線を照射し、(ii)マイクロ波放射を継続し、温度を数分間維持し、次いで(iii)マイクロ波放射を停止し、ガス流の水(蒸気)から酸素原子を抽出してCGO材料を酸化し、これによりH
2ガスを発生させ、(iv)最後に、材料を室温にまで放冷した。
図15Aは、温度の時間的変化および酸素の質量(m=32)に対応する測定信号を実験時間の関数として示す。各サイクルにおけるO
2の放出は、マイクロ波放射下で温度が上昇するときに観察され、これにより材料が還元される、続いてマイクロ波放射が停止するまでに到達した最高温度で数分間維持し、次いで室温に冷却した。
図15Bは、温度の時間的変化およびH
2(m=2)に対応する質量の測定値を時間の関数として示す。各サイクルにおいて、マイクロ波放射を停止して温度が低下すると、H
2の放出が観察され、その結果、ガス流中の水蒸気が還元されてH
2が形成され、CGO材料が再酸化された。したがって、この図は、本発明によるH
2生成のための再現可能で循環的な方法を実証する。
【0137】
(実施の形態8)
この実施の形態は、(マイクロ波放射線によって)還元されたCGO材料をガス状流からのCO
2と反応させることによってCO
2を還元してCOを形成する方法を説明する。プロセスは、実施の形態1に記載されているような設定で行い、Arで希釈され、N
2を全く含まないCO
2(25体積%)で構成された乾燥ガス流(標準状態で100ml/分の流量)を通過させた。実施の形態7に記載の方法と同様に、プロセスは3サイクルからなり、それぞれのサイクルは以下のように説明される:(i)ショット温度に達するまで昇温し、CGO材料が還元されるようにマイクロ波放射線を照射し、ガス状流れによって押し流される気体状O
2が放出され、(ii)マイクロ波放射を継続し、その温度で数分間保持し、次いで(iii)マイクロ波放射を停止し、ガス流からのCO
2から酸素原子を抽出して材料CGOを酸化し、これによりCO
2ガスを発生させ、(iv)最後に、材料を室温にまで放冷した。
図16Aは、O
2の質量(m=32)に対応する温度および測定信号の時間的変化を実験時間の関数として示す。各サイクルにおいて、マイクロ波放射下で温度が上昇するとO
2の放出が観察され、これにより材料は還元され、続いて、マイクロ波放射を停止するまでに到達した最高温度で数分間保持してから、室温にまで冷却した。
図16Bは、温度の時間的変化およびCOの存在に直接関係する(m=28)質量測定値を示す。各サイクルにおいて、COの放出は、(a)CGO材料の還元が起こり(全ての気体状O
2が排出され)、温度が安定し始めたとき、すなわち、マイクロ波の制御システムが印加された放射線の出力を低下させ、再酸化する能力を増加させたとき、および(b)マイクロ波放射が完全に停止し、温度が低下したときの2つの工程で観察された。両方の段階において、CGO材料が再酸化される間に、ガス流中のCO
2が還元されてCOを形成した。したがって、この図は、本発明によるCO
2還元およびCO生成のための再現性のある循環可能な方法を実証する。
【0138】
(実施の形態9)
この実施の形態は、CGO材料がマイクロ波放射線の影響によって還元されるにつれて、CGO材料の結晶格子からの酸素種の放出によってCH4の部分酸化がどのように起こり得るかを説明する。この例は、材料が還元されるにつれて、酸化生成物を消費する反応性流体(CH4)の使用により、酸化生成物(この場合は酸素)がその場でどのように消費されるかを示す。プロセスは、実施の形態1に記載されているような設定で実施し、Arで希釈され、水分およびN2を全く含まないCH4(10体積%)からなる乾燥ガス流(標準状態で100mL/分の流量)を通過させた。
【0139】
このプロセスは、ショット温度に到達するまでマイクロ波放射線を照射して昇温し、CGO材料を還元する工程と、CGO材料の表面上で反応する酸素種を放出させて、部分酸化生成物(主にCO、H2、CO2)を発生させ、これをガス状流に同伴させて質量分析計で測定する工程とから構成される。続いて、材料を室温にまで放冷した。
【0140】
図17Aは、温度およびO
2の質量(m=32)に対応する測定信号の時間的変化を実験時間の関数として示す。
【0141】
マイクロ波放射下で温度を上昇させた場合、O
2の放出はほとんど検出されず、この結果、材料はショット温度で還元されるが、ガス流中のメタンの部分酸化反応によって酸素が消費された。
図17B~
図17Cは、CH
4に対応する質量m=16およびm=15の変化を示し、ショット温度からかなりの量のCH
4ガスが消費されて他のガス状生成物を生成することを示す。
【0142】
図17D~
図17E、
図17Fは、温度の時間的変化およびCOの存在に直接関係する質量(m=28)、H
2の形成に直接関係する質量(m=2)およびCO
2の存在に直接関係する質量(m=44)の測定値を示す。
【0143】
CGO材料がマイクロ波の作用によって還元されると、CH4の一部が他の部分酸化生成物の中でもCO、H2およびCO2に変換されることが観察される。
【0144】
したがって、この図は、CH4などの耐火性分子の酸化および官能化のための再現可能な方法を実証する。
【0145】
(実施の形態10)
図18に示すこの実施の形態では、マイクロ波エネルギーを使用して生成されたH
2で電力供給される電池の動作が示される。最初の工程では、質量0.963gのCOGをマイクロ波空洞内に配置し、これを、2.5体積%のH
2Oを含む30ml/分のN
2である水蒸気の存在下でマイクロ波放射線(約100Wの出力)によって還元する。生成されたO
2、ならびに空洞から出るガス中に存在するN
2およびH
2Oは、この工程においてベントによって放出される。第2の工程では、マイクロ波放射の出力が低減され(約30W)、材料は、空洞に供給されたN
2中に存在する2.5体積%の水で再酸化される。
【0146】
この第2の工程は、H2の生成をもたらした。このとき、電池を充電し、発生したH2を消費して放電を行った。生成されたH2は燃料電池のアノードに供給し、空気はカソードに導入した。燃料電池の電気化学的特性評価のために、ポテンショスタットを使用した。同様に、マイクロ波空洞内のガスの発生を質量分析計によって制御し、これにより、研究対象の各ガスに関連する信号の連続的な監視が可能になる(H2に関連するm=2、O2に関連するm=32)。
【0147】
(実施の形態11)
図19に示すこの実施の形態では、概念実証およびマイクロ波空洞で使用される電気化学セルの構成要素を詳細に示す。燃料電池は、アノード上に支持された直径15mmのセルからなる。アノードは、ニッケル金属(H
2による還元後)と、ジルコニウムで安定化されたイットリウムとの複合体から構成される。ジルコニウム安定化イットリウム電解質は、約7μmの厚さを有する。カソードは、La
0.85Sr
0.15MnO
3とCe
0.8Gd
0.2O
2の50%体積混合物で構成され、Pr(NO
3)
3・6H
2Oの2M溶液(エタノール-水)が浸透させてある。カソードは、硝酸塩の除去および酸化プラセオジム(PrO
1.833)のナノ粒子(<40nm)の形成のために、750℃の空気中で2時間焼成した。マイクロ波空洞のために、0.963gのCe
0.8Gd
0.2O
2の床を使用し、室温での水(2.5体積%)で飽和したN
2の流れ30ml/分を供給した。マイクロ波放射のスイッチを入れ、ショット温度に達する(約100W)と、O
2が放出されたが、これはベントに送出した。Ce
0.8Gd
0.2O
2を450℃に近い温度まで加熱した。続いて、Ce
0.8Gd
0.2O
2に印加される電力(約30W)を低下させることで、温度(400℃に近い)の一定化および水素の生成の制御を可能にした。このH
2は、燃料電池のアノード側に供給した。流量50ml/分を有する一定流量の合成空気をカソード側に導入した。電気化学セルは700℃の一定温度で作動させた。カソードに存在するO
2は酸素イオン(O
2-)に還元され、これらのイオンはそのイオン伝導により電解質材料を通過する。イオンがアノードに到達すると、イオンは存在するH
2と反応し、H
2Oおよび電子の流れを生成する。この電子の流れは、外部回路を循環し、ポテンショスタットによって制御される。質量分析計を使用して、H
2およびO
2の生成を定性的に制御した。
【0148】
(実施の形態12)
図20に示すこの例では、
図18および
図19に示され説明されたマイクロ波放射線によって生成された水素を供給された燃料電池の動作で得られた実験結果が示される。この試験のために、異なるサイクルを連続的に行った。各サイクルは2つの工程に分けることができる。最初の工程では、CGOに、室温のH
2Oで飽和させた30ml/分のN
2を供給し、マイクロ波を放射した。ショット温度(約100W)を超えた後、O
2が発生した。この空洞出口流は排出した。第2の工程では、印加されるマイクロ波電力を低下させ(約30W)、COG温度を400℃付近に保持した。CGOはH
2Oで再酸化され、燃料電池のアノードに供給されるH
2の連続流を生成した。その間、50ml/分の合成空気を燃料電池のカソードに導入した。
【0149】
(工程2で生成された)H
2を電気化学セルに取り込むことにより、
図20に見られるように、開回路電位が上昇した。H
2の消費後、電気化学セルのアノードに50ml/分のHeの流れを供給し、セルの開回路電位を再び低下させた。開回路電位は、ポテンショスタットを用いて測定した。H
2(m=2)およびO
2(m=32)の生成は、質量分析計によって連続的に監視した。第1の工程では、マイクロ波放射線、O
2関連信号(m=32)の大幅な増加が観察された。出力が低下すると、質量2(H
2)の信号の増加の程度が質量分析計によって検証され、この電流が燃料電池のアノードに供給された。H
2がもはや生成されなくなると、セルにHeを再供給した。同様に、この実施の形態は、マイクロ波が放射された材料(COG)の温度および電気化学セルの開回路電位を時間の関数として示す。
【0150】
(実施の形態13)
図21に示すこの例では、定電流モードで動作する、前の例の同じセル(
図18、
図19および
図20)の結果が示される。燃料電池は、7.85mA/cm
2の電流需要で連続的に動作した。第1の工程では、燃料電池に50l/分のH
2の流れを供給し、出力の低下が観察された。室温のH
2O中で飽和した30ml/分のN
2の流れで0.963gのCGOを還元した後にO
2が放出されると、再酸化で生成したH
2を電気化学セルに供給した。セルの電位が上昇し、マイクロ波空洞内で生成されたH
2を用いて、35分間の動作中に5.6mW/cm
2の平均電力が発生した。マイクロ波空洞から出口流れを切り離し、50ml/分のH
2を再導入した後、セルの電位は再び低下した。この例では、マイクロ波空洞内の温度、ならびに空洞から出るガス流のH
2(m=2)およびO
2(m=32)を質量分析計で測定した信号が示されている。
【0151】
この信号により、マイクロ波空洞内で生成されたすべてのガスの連続的な生成に追従することが可能になる。
【0152】
(実施の形態14)
図22a/
図22bによって示されるこの例では、上述の2つの部品(燃料電池およびマイクロ波空洞)が一体化された電池の動作が説明される。同じ材料は、アノードとして、およびマイクロ波放射線によるH
2の生成のための材料として機能する。デバイスにマイクロ波が放射され、O
2が瞬間的に放出され(
図22a)、この瞬間の後、マイクロ波のスイッチは切られ、H
2が同じチャンバ内で生成された。電池は、電池からのエネルギー需要および生成されたH
2の消費によって放電された(
図22b)。H
2が消費されると、電池を新たなマイクロ波放射線によって再充電した。第2のケースでは、2つのツインデバイスが使用され、一方のツインデバイスは、材料の還元およびそれに続くH
2の生成による酸化を発生させ、他方のツインデバイスは、接続されたシステムによって要求されるエネルギーを供給した。第3のケースでは、マイクロ波が放射された材料と、電極として機能する材料とは分離されていたが、同じデバイス内に組み込まれていた。マイクロ波放射線によって生成したO
2を除去した後、蒸気をチャンバ内に導入し、材料の再酸化後、生成したH
2を電極に供給した。
【符号の説明】
【0153】
(1)マイクロ波放射線源
(2)マイクロ波照射器
(3)還元される材料が中に載置される容器
(4)還元される材料の試料
(5)温度センサ
(6)マイクロ波放射
(7)流体の抽出または分離のための装置、流体(例えば、ガス)の排出器
(8)分析手段
(9)電力遮断器
(10)電力マイクロ波を導入するための結合部
(11)還元される材料の容器を挿入するための抜き孔
(12)還元される材料の支持体
(13)還元される材料の表面温度を測定するための孔
(14)その場導電率測定のための結合部(必要な場合)
(16)プロセスを観察するための孔(必要な場合)。
(17)水冷システム。
【国際調査報告】