(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(54)【発明の名称】グレージングユニット及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20220406BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
C03C27/06 101H
B60J1/00 Z
B60J1/00 W
C03C27/06 101G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021550009
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(85)【翻訳文提出日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2020054337
(87)【国際公開番号】W WO2020173785
(87)【国際公開日】2020-09-03
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ネアンデル
(72)【発明者】
【氏名】ビアンカ ベルグス
【テーマコード(参考)】
4G061
【Fターム(参考)】
4G061AA02
4G061AA23
4G061AA31
4G061BA01
4G061CD02
4G061CD24
(57)【要約】
本発明は、スペーサ(4;4´)又は熱可塑性中間層を介して所定の距離で互いに結合している少なくとも1つの第1及び第2のガラス又はプラスチックのペイン(3、6;6´)を有しているグレージングユニット(1;1´)に関し、第1及び第2のガラス又はプラスチックのペインのうちの少なくとも1つ(6´)が、グレージングユニットの内側で、透明電気伝導性コーティング(9)、及び、その端部領域における、伝導性コーティングの電気的な接続のためのバスバー(10)、を有しており、バスバーが、少なくともその表面の大部分にわたって、不透明カバー(11)を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペーサ(4;4´)又は熱可塑性中間層を介して、所定の距離で互いに結合している、少なくとも1つの第1及び第2のガラス又はプラスチックのペイン(3、6;6´)を有しているグレージングユニット(1;1´)であって、
前記第1及び第2のガラス又はプラスチックのペインのうちの少なくとも1つ(6´)が、前記グレージングユニットの内側で、透明電気伝導性コーティング(9)、及び、その端部領域における、前記伝導性コーティングの電気的な接続のためのバスバー(10)、を有しており、
前記バスバーが、少なくともその表面の大部分にわたって、不透明カバー(11)を備えている、
グレージングユニット。
【請求項2】
前記バスバー(10)が、細長い形状を有しており、かつ、前記ガラス又はプラスチックのペイン(6´)の端部又は端部近傍に配置されており、かつ、前記端部に平行に延在しており、
前記不透明カバー(11)が、前記端部の全長にわたって延在している、
請求項1に記載のグレージングユニット。
【請求項3】
前記バスバー(10)が、前記ガラス又はプラスチックのペイン(6´)の前記端部から距離を有して配置されており、
一方で、前記不透明カバー(11)が、前記ガラス又はプラスチックのペインの前記端部にまで延在している、
請求項1又は2に記載のグレージングユニット。
【請求項4】
前記不透明カバー(11)が、接着テープ、又は、ペイント若しくはラッカー層を有している、請求項1~3のいずれか一項に記載のグレージングユニット。
【請求項5】
前記第1及び第2のガラス又はプラスチックのペイン(3;6´)が、端部スペーサ装置(4´)によって、互いに結合しており、かつ距離を有して保持されており、この端部スペーサ装置が、スペーサ要素(4a´)、並びに、それぞれ、前記スペーサ要素と前記第1及び第2のガラス又はプラスチックのペインとの間の封止ストリップ材(4b´)、を有しており、かつ
前記バスバー(10)が、前記スペーサ装置の内部側に配置されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載のグレージングユニット。
【請求項6】
前記不透明カバー(11)が、ペインの部分のうち、前記封止ストリップ材のうちの1つと接触する部分を覆っており、
前記カバー(11)が、前記封止ストリップ材の材料と適合性のある材料でできている、
請求項5に記載のグレージングユニット。
【請求項7】
電気的に制御可能な特性を有する建物グレージングユニット、又は加熱可能なガラス若しくはプラスチックのペインを有する建物グレージングユニットとして実施されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のグレージングユニット。
【請求項8】
電気的に制御可能な特性を有する、複合乗り物ペインとして実施されており、特には、電気的に制御可能な特性を有する、乗用車のルーフグレージング又はウィンドシールドとして実施されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のグレージングユニット。
【請求項9】
電気的に加熱可能な、複合乗り物ペインとして実施されており、特には、乗用車のルーフグレージング又はウィンドシールドとして実施されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のグレージングユニット。
【請求項10】
電気的に制御可能な光学的特性を有する、家電製品、家具、若しくは類似の物の装置グレージングユニットとして実施されており、又は、家電製品、家具、若しくは類似の物の加熱可能な装置グレージングユニットとして実施されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のグレージングユニット。
【請求項11】
エレクトロクロミック特性を有する、請求項7、8又は10に記載のグレージングユニット。
【請求項12】
前記不透明カバー(11)が、電気的に非伝導性である、請求項1~11のいずれか一項に記載のグレージングユニット。
【請求項13】
少なくとも下記を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のグレージングユニット(1;1´)を製造する方法:
- 第1及び第2のガラス又はプラスチックのペイン(3、6;6´)を提供すること、ここで、前記第1及び第2のガラス又はプラスチックのペイン(3、6;6´)のうちの少なくとも1つが、1つの面に、透明電気伝導性コーティング(9)を有している、
- 前記透明電気伝導性コーティングの上に、その端部領域において、バスバー(10)を製造又は適用すること、
- 前記バスバー(10)に、供給ラインを取り付けること、
- 前記バスバーの表面の大部分に、電気的に非伝導性の不透明カバーを提供すること。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載のグレージングユニット(1;1´)を製造するための、請求項13に係る方法であって、
前記ガラス又はプラスチックのペイン(6´)に透明電気伝導性コーティング(9)を提供した後で、
前記伝導性コーティングの上に、前記バスバー(10)を製造又は適用し、
供給ライン(8)を、前記バスバーにはんだ付けし又は伝導的に結合させ、
その後で、前記バスバーに、前記不透明カバー(11)を提供し、同時に、前記はんだ付けの部分又は前記結合の部分を覆う、
方法。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載のグレージングユニット(1;1´)を製造するための、請求項13に係る方法であって、
前記ガラス又はプラスチックのペイン(6´)に透明電気伝導性コーティング(9)を提供した後で、
前記伝導性コーティングの上に、前記バスバー(10)を製造又は適用し、
その後で、はんだ付け部分又は結合部分として意図されている部分を覆わないままで、前記バスバーに、前記不透明カバー(11)を提供し、
そして、供給ラインを、前記バスバーに、前記はんだ付け部分又は前記結合部分において、はんだ付けし、又は伝導的に結合させる、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサ又は熱可塑性中間層を介して所定の距離で互いに結合している、少なくとも1つの、第1及び第2のガラス又はプラスチックのペインを有するグレージングユニットに関し、第1及び第2のガラス又はプラスチックのペインのうちの少なくとも1つが、グレージングユニットの内側において、透明電気伝導性コーティング、及び、特にはその端部領域において、伝導性コーティングの電気的な接続のためのバスバーを、有している。本発明は、さらに、そのようなグレージングユニットを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グレージングは、建物及び乗り物の、特には道路乗り物の、機能的に必須でありかつ美的に重要な部品であるだけではなく、家電製品若しくは家具又は類似の物品において用いられることもある。慣用的に、それらの目的は、内部の自然な照明を確保し、かつ、同時に、(建物及び乗り物において)それらからの周囲への視界を確保することである。使用者からの増加する要求に起因して、かつ、同時に、新しい技術によって可能となって、追加的な保護機能及び快適性機能を実装するグレージングが、益々、開発され製造されている。
【0003】
広範囲の種類の機能性コーティング、例えば、太陽光の特定の放射成分の選択的な吸収のための機能性コーティング、又は、外部への熱放射を低減するための機能性コーティングを有するグレージングユニットに加えて、調節可能な機能を有するグレージングも、益々、重要性を増している。加熱可能ペインを有するグレージングユニットが、長い間知られており、限られた範囲で実際に使用もされている一方で、透過性の選択的な制御のための、エレクトロクロミック特性を有しているグレージングユニット又は電気的に制御可能な液晶層を有しているグレージングユニットが、近年、さらに流通するようになっている。
【0004】
このタイプの現代的な発展では、ガラス又はプラスチックのペインのうちの少なくとも1つが、部分的又はさらには全面的な透明電気伝導性コーティングを有しており、これを介して、電気的光学的な活性層に電圧を適用し、光学特性を制御するための制御電極として働く。これらのコーティングは、少なくとも、金属、金属合金、又は透明導電性酸化物(TCO)を有している。例えば、表面電極が、銀、金、銅、ニッケル、クロム、及び/若しくはタングステン、又は、インジウムスズ酸化物(ITO)、ガリウムでドープされている若しくはアルミニウムでドープされている若しくはその他でドープされているスズ酸化物を、含有することができる。ペインの可能な限り高い透明度のために、これらは、非常に薄い必要があり、好ましくは、10nmと2μmとの間の範囲の厚みを有している。
【0005】
薄い厚みに起因して、コーティングは、電気供給ラインとの直接の接続、例えば、はんだ付けによる直接の接続には適していない。結果として、実際には、バスバーを使用して、電気供給ラインへの接続を行う。バスバーは、例えば、ストリップの形状であり、又はワイヤの形状である。バスバーは、電気伝導性の材料、例えば、銀、銅、銅合金、又はアルミニウムでできている。これは、例えば、導電性ペースト、特には銀ペーストを、電気導電性かつ/又は電気的に切り替え可能なコーティングに、電気的な接触のために、プリント(印刷)することによって、製造することができる。伝導性銀ペーストは、銀粒子を含有し、随意に、ガラスフリットを有する。
【0006】
米国特許出願公開第2014/0247475号明細書、及び米国特許出願公開第2014/0133005号明細書は、エレクトロクロミック層及びその上に少なくとも部分的に配置されているバスバーを有するグレージングユニットを、開示している。
【0007】
国際公開第2014/019780号及び国際公開第2012/004280号は、電気的に加熱可能なコーティング、及びその上に配置されているバスバーを有する、複合ペインを開示している。
【0008】
バスバーを形成するための伝導性ペーストは、多くの場合、比較的単純な手段によって、対応するペインに適用され、そして、熱処理(焼結)によって、本質的に金属性の厚い層へと変換される。適用及び熱処理の際に、美的な側面について期待することは容易でなく、そのため、対応するグレージングユニットのバスバーは、多くの場合、あまり魅力的ではない。金属ストリップ又は金属ワイヤとして実施されるバスバーも、また、あまり魅力的ではない。バスバーが、後に、適切な枠構造体によって覆われない場合には、これは、グレージングユニットの美的外観に悪影響をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、美的に改善されており、かつ特には機能的に改善されている、グレージングユニット、及び、簡便かつ経済的に実行することができるその製造方法を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、その物の側面において、請求項1の特徴を有しているグレージングユニットによって達成され、かつ、その方法の側面において、請求項13の特徴を有している製造方法によって、達成される。有利なさらなる発展が、従属請求項の特定事項となっている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、斜視断面図での、一般的なグレージングユニットの概略的な図である。
【
図2】
図2は、本発明に係るグレージングユニットの1つの実施態様の断面図(詳細図)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、美的に不十分である一般的なグレージングユニットのバスバー構成を保持する一方で、追加的な要素又は追加的な製造工程によって、外観を向上させるというアイデアを含んでいる。特には、バスバーに、少なくともその表面の大部分にわたって、不透明なカバー(覆い)が提供される。
【0013】
本発明は、スペーサ又は熱可塑性中間層を介して所定の距離で互いに結合している、少なくとも1つの、第1及び第2のガラス又はプラスチックのペインを有するグレージングユニットに関し、第1及び第2のガラス又はプラスチックのペインのうちの少なくとも1つが、グレージングユニットの内側において、透明電気伝導性コーティング、及び、その端部領域における、伝導性コーティングの電気的な接続のためのバスバーを有しており、このバスバーが、少なくともその表面の大部分にわたって、不透明なカバーを備えている。
【0014】
この透明導電性コーティングは、例えば、少なくとも、金属、金属合金、又は透明導電性酸化物(TCO)を含有することができる。例えば、表面電極が、銀、金、銅、ニッケル、クロム、及び/若しくはタングステン、又は、インジウムスズ酸化物(ITO)、ガリウムでドープされている若しくはアルミニウムでドープされている若しくはその他でドープされているスズ酸化物を、含有することができる。
【0015】
特に適切な透明電気伝導性コーティングは、少なくとも、金属、好ましくは、銀、ニッケル、クロム、ニオブ、スズ、チタン、銅、パラジウム、亜鉛、金、カドミウム、アルミニウム、ケイ素、タングステン、若しくはこれらの合金、並びに/又は、少なくとも、金属酸化物層、好ましくは、スズでドープされているインジウム酸化物(ITO)、アルミニウムでドープされている亜鉛酸化物(AZO)、フッ素でドープされているスズ酸化物(FTO、SnO2:F)、アンチモンでドープされているスズ酸化物(ATO、SnO2:Sb)、並びに/又は、カーボンナノチューブ、並びに/又は、光学的に透明な電気伝導性ポリマー、好ましくは、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリスチレンスルホネート、ポリ(4,4-ジオクチルシクロペンタジチオフェン)、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン、これらの混合物及び/若しくはコポリマーを、有する。
【0016】
ペインの可能な限り高い透明性のために、電気伝導性コーティングは、非常に薄く、好ましくは、10nmと5μmとの間の範囲の厚み、特に好ましくは30nmと1μmとの間の厚みを、有する。透明電気伝導性コーティングのシート抵抗は、例えば、0.35オーム/スクエア~200オーム/スクエアであり、好ましくは、0.6オーム/スクエア~30オーム/スクエアであり、特には、2オーム/スクエア~20オーム/スクエアである。
【0017】
本発明に係るグレージングユニットでは、伝導性コーティングの電気的な接続のためのバスバーが、例えば、リボン形状又はワイヤ形状である。バスバーは、電気伝導性材料、例えば、銀、銅、銅合金、又はアルミニウムでできている。これは、例えば、導電性ペースト、特には銀ペーストを、電気伝導性かつ/又は電気的に切り替え可能なコーティングの上に、電気的な接触のために、プリント(印刷)することによって、製造することができる。伝導性銀ペーストは、銀粒子を含有し、随意に、ガラスフリットを含有する。焼成された伝導性ペーストの層厚は、例えば、約5μm~20μmである。
【0018】
バスバーは、銅、銅合金、又はアルミニウムを含有しており又はこれらからできている金属箔ストリップ又は金属ワイヤから形成されていてもよい。金属箔ストリップ又は金属ワイヤは、電気伝導性接着剤によって、電気的伝導性かつ/又は電気的に切り替え可能なコーティングに、適用することができる。
【0019】
提案されている不透明なカバーは、既知のグレージングユニットの美的な欠陥を排除し、同時に、腐食又は機械的な影響に対するバスバーの追加的な保護を提供することができる。その製造は、既知で容易に入手可能な補助的手段を用いることによって、簡便かつ経済的であり、対応するように設計されたグレージングユニットの特定の構造及び使用条件に、柔軟に適合させることができる。
【0020】
用語「カバー(覆い)」は、適切な手段による美的な向上及び/又は追加的な保護を必要としているバスバーの、任意の形態の広範なカバー(覆い)を意味している。特に、これは、市販されている(用途条件に応じて黒色であり又は着色されている)接着テープ、顔料を多く含有するラッカーのコーティング、若しくはペイントのその他の適用物、又はさらには、随意に、多かれ少なかれ自立的であるカバーストリップ若しくはカバープロファイル材、であってよい。
【0021】
不透明なカバーは、好ましくは、電気的に非伝導性の、不透明カバーである。
【0022】
本発明に係るグレージングユニットの1つの態様では、不透明カバーが、ペイント又はラッカー層を有しており、このペイント又はラッカー層は、好ましくは、焼成する必要のないペイント又はラッカー層である。
【0023】
バスバーのカバーは、グレージングユニットの内部に向かう視線に、配置される。したがって、本発明によれば、カバーは、バスバーと電気伝導性コーティングとの間には配置されない。
【0024】
本発明によれば、バスバーのカバーが、バスバーに直接に隣接してバスバーを覆う領域に配置されている。このため、この領域では、カバーとバスバーとの間に配置される更なる層は、存在しない。
【0025】
他の実施態様では、バスバーが、ガラス又はプラスチックのペインの端部又は端部の近傍で、細長い形状を有して配置されており、端部に平行に延在しており、かつ、不透明カバーが、実質的に端部の全長にわたって、延在している。代替的には、カバーが、端部領域の一部のみを覆うように実施されてもよく、この部分的なカバーが、視覚的に魅力的になるように構成されていてもよい。
【0026】
具体的には、乗り物ウィンドウが、特定の実施態様では建物ウィンドウが、湾曲した端部を有してよい。したがって、透明伝導性カバーの対応する外側端部も、通常、湾曲しており、そこに配置されるバスバーも、直線的ではない経路を有することができる。本発明の実施においては、この場合、不透明カバーが、バスバーの湾曲した経路、及びグレージングユニットの端部経路に適合してよい。バスバーが、グレージングユニットのコーナー領域に提供されていることも可能であり、角度のある形状を有することも可能であり、この場合、カバーの幾何学的な構成を、これに対応して選択することが合理的である。
【0027】
さらには、バスバーを、ガラス又はプラスチックのペインの端部から距離を有して配置する一方で、不透明カバーを、ガラス又はプラスチックのペインの端部にまで延在させることができる。しかしながら、代替的には、特定の用途において、提案されているカバーを、グレージングユニットの直接の端部領域に提供しないことも可能であり、それによって、例えば、そこに提供されている端部封止部に、その機能性及び性能パラメータの観点で悪影響が及ばないようにすることができる。
【0028】
本発明に係るグレージングユニットの好ましい実施態様では、第1及び第2のガラス又はプラスチックのペインが、端部スペーサ装置によって互いに結合されており、かつ互いに距離を有して保持されており、この端部スペーサ装置が、スペーサ要素、並びに、それぞれスペーサ要素と第1及び第2のガラス又はプラスチックのペインのとの間にある、封止ストリップ材、を有しており、かつ、バスバーが、スペーサ装置の内部側に、配置されている。
【0029】
第1及び第2のガラス又はプラスチックのペインが、スペーサ要素並びにそれぞれスペーサ要素と第1及び第2のガラス又はプラスチックのペインのとの間の封止ストリップ材を有している端部スペーサ装置によって、互いに結合されており、かつ互いに距離を有して保持されており、バスバーが、スペーサ装置の内部側に配置されており、かつ、不透明カバーが、ペインの部分のうち、封止ストリップ材のうちの1つと接触する部分を覆う場合には、カバーが、封止ストリップ材の材料と適合する材料でできているように注意する必要がある。具体的な材料選択は、材料及び端部封止部の製造に高度に依存し得るので、この点に関して一般的な記載をすることができない。
【0030】
「スペーサ装置の内部側に配置」という表現は、バスバーが、ペイン内部において、電気伝導性コーティング上で、スペーサ装置から距離を有して配置されていることを意味している。
【0031】
一般的なタイプのグレージングユニットに、別個に制御可能な複数の部分を有する電気的光学的機能性要素を提供することができる。この場合、特には、伝導性コーティング(表面電極)に分離ラインを導入することができ、そのようにして、コーティングが、互いに隔離されているセグメント(区域)に分割されるようにすることができる。この場合、これらのセグメントは、それぞれ別個のバスバーを有する。したがって、本発明を実施する際には、不透明カバーも、グレージングユニットの1又は複数の側方端部において、区域化(セグメント化)されていてよい。しかしながら、発明者の観点からは、複数のバスバーのための連続的な不透明カバーを提供することが好ましく、これはなぜならば、そのようなカバーは、製造するのが容易であり、一般的に、視覚的により魅力的でもあるからである。
【0032】
実際上重要な実施態様のカテゴリーでは、グレージングユニットが、電気的に制御可能な特性、例えば選択的な着色のためのエレクトロクロミック特性を有する、建物グレージングユニットであり、又は、透明性若しくは不透明性の選択的な制御のためのLCD機能層を有する、建物グレージングユニットである。
【0033】
電気的に制御可能な特性を有する、複合乗物ペイン、特には乗用車のルーフグレージング又はウィンドシールドは、提案されているグレージングユニットの別の重要な実施態様のカテゴリーである。そのような乗り物グレージングは、エレクトロクロミック特性又はLCD機能層を備えていてよく、後者は、それぞれのグレージングユニットの一部分のみに(例えばサンバイザー部分として)特定的に提供されることができる。
【0034】
さらに、本発明は、加熱目的のための透明加熱導体層又は透明加熱導体トラックを備えている建物又は乗り物グレージングユニットにおいて使用することもできる。
【0035】
最後に、本発明は、特定の技術的な装置、例えば、高級冷蔵庫若しくは他の家電製品、又は、例えばバーキャビネットなどの収容家具、のためのグレージングユニットにおいて使用することもでき、この場合、加熱は、曇りを防止するために実施され、又は、他の理由で光学的特性を制御するために、実施される。
【0036】
本発明は、また、本発明に係るグレージングユニットを製造するための方法にも関し、この方法が、少なくとも、下記の工程を含む:
- 第1及び第2の、ガラス又はプラスチックのペインを提供すること、ここで、第1及び第2のガラス又はプラスチックのペインのうちの少なくとも1つが、1つの側面に、透明電気伝導性コーティングを有している、
- 透明電気伝導性コーティングの上に、その端部領域において、バスバーを、製造又は適用すること、
- バスバーに供給ラインを取り付けること、
- バスバーの表面の大部分に、電気的に非伝導性の不透明カバーを提供すること。
【0037】
本発明に係る方法では、言及した最後の2つの工程を、任意の順番で実施することができる。
【0038】
言うまでもないが、第1及び第2のガラス又はプラスチックのペインを提供し、第1及び第2のガラス又はプラスチックのペインのうちの少なくとも1つがその1つの側面に透明電気伝導性コーティングを有している場合、電気伝導性コーティングは、本発明に係るグレージングユニットにおける内側である、1つの側面に、適用される。
【0039】
したがって、本発明に係るグレージングユニットを、下記の方法に従って製造することができる:すなわち、この方法では、ガラス又はプラスチックのペインに透明電気伝導性コーティングを提供した後で、バスバーを、伝導性コーティングの上に製造又は適用し、その上に、供給ラインを、はんだ付けし、又は伝導的に結合させ、その後で、バスバーに、不透明カバーを提供し、同時に、はんだ付け部分又は結合部分を覆う。
【0040】
代替的には、本発明に係るグレージングユニットを、下記の方法に従って製造することができる:すなわち、この方法では、ガラス又はプラスチックのペインに透明電気伝導性コーティングを提供した後で、伝導性コーティングの上にバスバーを製造又は提供し、そして、バスバーに、不透明カバーを提供するとともに、はんだ付け部分又は結合部分として意図されている部分が覆われていないままにし、その後で、はんだ付け部分又は結合部分において、供給ラインを、バスバーにはんだ付けし、又は伝導的に結合させる。
【0041】
提案されている方法に関して、カバーの可能な限り最良な美的効果及び保護効果を達成する場合には、1又は複数のペインの上の表面電極の電気的な接続に必要な工程の完了の後で、不透明カバーを適用することが好ましいことに留意する必要がある。この実施態様では、接着テープ、又は、(随意に接着性コーティングを有する)事前形成されたカバーストリップ又はカバープロファイル材の使用が、適切である。1又は複数のバスバーのカバーを供給ラインのはんだ付け又は結合の前に適用する代替的な手順は、現状では、光学的かつ機能的にそれほど好ましくはないと考えられるものの、グレージングユニットの一連の製造手順に、良好にかつより経済的に統合されうる可能性もある。これは、特に、初めは液体又はペースト状である層を適用するためのコーティング装置を用いて不透明カバーを実現する場合に、当てはまる。
【0042】
言うまでもないが、好ましい態様に関して、本発明に係るグレージングユニットに関して上述した記載は、本発明の方法に、等しく当てはまる。
【0043】
本発明の種々の実施態様は、別個に、又は任意に組み合わせて、実現することができる。特に、上述の特徴、及び下記で説明される特徴を、示されている組み合わせで用いることができるだけではなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組み合わせ又は単独で、用いることができる。
【0044】
本発明の利点及び機能が、図面への参照と共に、本発明の例示的な実施態様及び側面の下記の記載からも明らかとなる。図面は、概略図であり、縮尺どおりではなく、決して本発明を限定しない。
【0045】
図1は、ウィンドウ枠2に挿入されている建物グレージングユニットとして、エレクトロクロクロミック特性を有するグレージングユニット1を描写している。グレージングユニット1は、スペーサ4a及び封止プロファイル材4bを有する慣用的な端部封止部4を介してエレクトロクロミック外側ペイン6に結合している慣用的なガラス内側ペイン3を有しており、(例えば希ガスで充填されている)ペイン間空間5が形成されている。外側ペイン6は、2つのペイン6a、6bを有する複合ペインシステムであり、これが、今度は、適切な端部封止部7を有している。端部封止構造4a/4b及び7は、ここでは、概略的かつ単純化された様式で記載されていることに留意する必要がある。さらに、
図1では、エレクトロクロミック効果に必要な外側ペイン6の内側構造が示されていない。これは、当業者に既知である。
【0046】
エレクトロクロミック外側ペイン6のペイン6a、6bは、それらの内側面に、透明伝導性コーティング(表面電極、図示されていない)を有しており、これは、供給ライン8を介して制御ユニットに接続されることができる。上記で説明したように、図には示されていないが、供給ライン8へのはんだ接続のためのバスバーが、ペイン6a、6bの表面電極に提供されている。
【0047】
図2は、ある程度異なって構成されている、本発明に係るグレージングユニット1´の概略図であり、これは、第1のガラスペイン3及び第2のガラスペイン6´を有しており、これらは、互いに結合しており、かつ、端部封止部4´で封止されており、内部空間5が形成されている。ここでも、端部封止部4´は、簡略的な様式で描写されており、示されているように、スペーサ4a´と、そのそれぞれの側部における、ペイン3及び6´に隣接している表面の上の、それぞれのポリイソブチレン(PIB)封止ストリップ材4b´とを、有している。
【0048】
グレージングユニット1´によって電気的光学的効果を実現するために、ここではさらに説明しないが、第2のガラスペイン6´の内側表面が、透明伝導性コーティング(表面電極、TCO)9を備えている。バスバー10が、ガラスペイン6´の端部領域において表面電極9に適用されている一方で、その端部から距離を有しており、端部封止部4´の内部側にある。バスバー10は、銀伝導性ペーストを適用し、その後に、それ自体周知である様式で、この伝導性ペーストを焼成又は焼結することによって形成されており、かつ、その製造条件に起因して、鋭い端部を有しない輪郭を有している。
【0049】
バスバー10が、不透明カバー11で覆われており、これは、例えば、接着テープ又はペイント適用物として実現されており、これが、ここでは、ガラスペイン6´の隣接する端部にまで直接に到達している。したがって、コーティング11は、封止ストリップ材4b´がガラスペイン6´に隣接している領域も覆っており、したがって、封止ストリップ材4b´のPIBと適合性がありかつ端部封止の長期の信頼性を確保する材料でできている必要がある。描写されている例では、グレージングユニット1´の端部領域が、第2のガラスペイン6´の外側において、外側カバー12としてのコーティングも備えており、これは、端部封止4´及びバスバー10の両方を覆っており、そのようにして、グレージングユニット1´の外側から、これらを視覚的に隠している。
【0050】
描写されている構成の代替態様として、カバーが、PIB封止ストリップ材4b´の内部側端部で終端してもよく、すなわち、基本的に、外側ペイン6´のうち、バスバー10が長さ方向に延在しているストリップ状部分のみを覆うことができる。これは、カバーの材料と、封止ストリップ材のPIBとの間の適合性を確保する必要を排除し、端部封止の信頼性が、確実に、カバーによって悪影響を受けないようになる。さらには、カバーを、PIB封止ストリップ材にわずかに重なり合うように適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1、1´ : グレージングユニット
2 : 枠
3 :内側ペイン(第1ペイン)
4、4´ :端部封止部
4a、4a´:スペーサ
4b、4b´:封止ストリップ材/封止性ストリップ材
5 :ペイン内部
6、6´ :外側ペイン(第2ペイン)
7 :外側ペインの端部封止部
8 :接続ライン
9 :透明伝導性コーティング(TCO)
10 :バスバー
11 :バスバーのカバー
12 :外側カバー
【国際調査報告】