(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(54)【発明の名称】熱的に安定な抗菌性第四級アンモニウムナノ粒子
(51)【国際特許分類】
A01N 25/12 20060101AFI20220406BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20220406BHJP
A01N 33/12 20060101ALI20220406BHJP
A61L 31/06 20060101ALI20220406BHJP
A61L 31/16 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
A01N25/12
A01P3/00
A01N33/12 101
A61L31/06
A61L31/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021550117
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(85)【翻訳文提出日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 IL2020050228
(87)【国際公開番号】W WO2020174477
(87)【国際公開日】2020-09-03
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519257924
【氏名又は名称】ノビオ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NOBIO LTD.
【住所又は居所原語表記】P.O. Box 50502, 8 Hamatechet St., Kadima, Israel 6092000
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ザルツマン,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】ワイス,エルビン・イツァーク
(72)【発明者】
【氏名】サレンバーガー,ユヴァル
【テーマコード(参考)】
4C081
4H011
【Fターム(参考)】
4C081AB38
4C081AC07
4C081AC08
4C081AC10
4C081BA14
4C081CA271
4C081CE01
4C081DA01
4C081DA03
4C081DA05
4C081DA06
4C081DC13
4H011BB04
4H011BC18
4H011DA02
(57)【要約】
本発明は、抗菌活性粒子、組成物、及び表面又は装置上の細菌の増殖を阻害するための使用に関する。本発明は更に、そのような抗菌活性粒子を作製する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造(I)で表される抗菌粒子であって、
【化1】
式中、
コアは有機ポリマー又は無機材料であり、
L
1は、第1のリンカー又は結合であり、
L
2は、第2のリンカーであり、
L
3は、第3のリンカー又は結合であり、
Z
1は、
【化2】
であり、
Z
2は、
【化3】
であり、
R
1及びR
1’は、それぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
2及びR
2’は、それぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
3及びR
3’は、それぞれ独立して、存在しないか、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、フェニル、ベンジル、複素環、共役アルキル、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
4及びR
4’は、それぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
5及びR
5’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
6及びR
6’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
7及びR
7’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
8及びR
8’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、結合、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、又はそれらの任意の組合せであり、
X
3及びX
4は、それぞれ独立して、結合、-O-C(=O)-、メチレン、-O-C(=O)-CH
2-、2,2-二置換C
2~C
20アルキレン、アリーレン、1-アルケニレン、1-アルキニレン、2-アルケニレン、2-アルキニレン又はそれらの任意の組合せであり、
Rは、アルキル、アリール、シクロアルキル、複素環、又はそれらの任意の組合せであり、
pは、コア表面の1平方nm(nm
2)当たりの抗菌活性単位の数を定義し、ここで、当該密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm
2)当たり0.01~30の抗菌単位であり、
n
1は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
n
2は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
式中、n
1+n
2≧1であり、
mは1~200の整数であり、繰返し単位は同じ又は異なる、構造(I)で表される抗菌粒子。
別の実施形態では、Z
1又はZ
2が(ピリジニウムではない)アンモニウム態窒素を含む場合、抗菌活性単位のそれぞれにおいて、アンモニウム上の1つの部分のみが、ホフマン脱離に利用可能なベータ水素を有し得る。別の実施形態では、Z
1又はZ
2が(ピリジニウムではない)アンモニウム態窒素を含む場合、抗菌活性単位のそれぞれにおいて、アンモニウム上の2つの部分が、ホフマン脱離に利用可能なベータ水素を有し得る。
【請求項2】
構造(Ia)で表される、請求項1に記載の抗菌粒子。
【化4】
【請求項3】
構造(II)で表される抗菌粒子であって、
【化5】
式中、
n
3及びn
4はそれぞれ独立して0又は1である、請求項1に記載の抗菌粒子。
【請求項4】
構造(III)で表される、請求項3に記載の抗菌粒子。
【化6】
【請求項5】
構造(IV)で表される、請求項3に記載の抗菌粒子。
【化7】
【請求項6】
構造(V)で表される、請求項3に記載の抗菌粒子。
【化8】
【請求項7】
構造(VI)で表される、請求項1に記載の抗菌粒子。
【化9】
【請求項8】
構造(VII)で表される、請求項1に記載の抗菌粒子。
【化10】
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のポリマー材料及び抗菌粒子を含む組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の抗菌粒子又は組成物を投与することを含む、バイオフィルムの形成又は成長を阻害又は防止するための方法。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の抗菌粒子又は組成物を含む医療用装置。
【請求項12】
前記医療用装置が、ポリマー材料及び前記抗菌粒子を含有する組成物を含む、請求項11に記載の医療用装置。
【請求項13】
前記医療用装置が、ステント、カテーテル、外科用ドレーン、外科用メッシュ又は乳房インプラントであり、前記ポリマー材料が、シリコーン系ポリマーである、請求項11又は12のいずれか一項に記載の医療用装置。
【請求項14】
前記粒子のコアがシリカを含む、請求項13に記載の医療用装置。
【請求項15】
前記シリカが、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)、非晶質シリカ、高密度シリカ、エアロゲルシリカ、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ及びヒュームドシリカである、請求項14に記載の医療用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌活性粒子、組成物、及び表面又は装置上の細菌の増殖を阻害するための使用に関する。本発明は更に、そのような抗菌活性粒子を作製する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
個人の皮膚、胃腸管、及び口腔内の細菌の圧倒的な多様性は十分に文書化されており、多菌バイオフィルムが標準である複雑な生態系を解剖学的かつ動的に示している。
【0003】
生物の外側及び内側の組織に形成されたバイオフィルムは、感染症の主な原因である。例えば、口腔内では、歯の硬組織又は軟組織に形成されたバイオフィルムが虫歯及び歯周病の主な原因である(Sbordone L.、Bortolaia C.、Clin Oral Investig 2003;7:181-8)。細菌のバイオフィルムは、天然表面及び人工表面の両方に形成される。
【0004】
近年、生物と接触する人工表面に特別な注意が払われており、これらの表面は、バイオフィルムと闘うための主要な自然メカニズムである上皮の脱落を欠いているため、したがってバイオフィルムの蓄積は、生命を脅かす合併症を引き起こす可能性のある医学的問題の主要な原因になりつつある。細菌を蓄積するよう表面の感受性に影響を与える2つの主要な要因は、使用される材料の特性である表面粗さ及び表面自由エネルギーである。表面粗さは、表面自由エネルギーよりも細菌の付着に大きな影響を及ぼす。これに関連して、人工修復材料は通常、天然の表面よりも表面粗さが高いため、したがって細菌が蓄積しやすい傾向がある。したがって、バイオフィルムの形成を減少させる新しい材料の開発は重要なトピックである。
【0005】
抗バイオフィルム特性を備えた材料の開発の最終的な目標は、健康を改善し、病気の発生を減らすことである。既存の医療用装置はいずれも、バイオフィルムの即時かつ包括的な排除又は二次感染の予防を保証することはできない。
【0006】
例えば、口腔防御を維持するために、以下の抗バイオフィルム特性、(1)微生物の初期結合の阻害、(2)バイオフィルム成長の防止、(3)バイオフィルム中の菌代謝に影響を与える、(4)バイオフィルム細菌を死滅させる、(5)バイオフィルムを分離する、を有する歯科材料が求められている(Busscher HJ、Rinastiti M、Siswomihardjo W、van der Mei HC.、J Dent Res、2010;89:657-65;Marsh PD.J Dent、2010;38)。
【0007】
樹脂系複合材料は、疎水性の樹脂マトリックス及び低疎水性フィラー粒子で構成される複雑な歯科用材料であり、これは、樹脂系複合材料表面が均一な界面ではなく、マトリックスが豊富でフィラーが少ない領域、及びマトリックスが少なくフィラーが豊富な領域を生じさせている界面であることを示唆する(Ionescu A、Wutscher E、Brambilla E、Schneider-Feyrer S、Giessibl FJ、Hahnel S.;EurJ Oral Sci 2012;120:458-65)。
【0008】
複合材料上のバイオフィルムは、表面の劣化を引き起こす可能性がある。研磨、及び樹脂系複合材料の組成の違いは、樹脂系複合材料表面のバイオフィルム形成に影響を与える可能性がある(Ono M.et al.、Dent Mater J、2007;26:613-22)。研磨によって駆動される樹脂複合材料の表面劣化は、in vitroにおけるバイオフィルムへの曝露時に、粗さの増加、微小硬度の変化、及びフィラー粒子の曝露を導く。更に、複合材料上のバイオフィルムは表面の劣化を引き起こす可能性がある。抗菌活性材料の必要性は依然として残っており、費用対効果が高く、毒性がなく、汚染された表面及び装置、特に歯科用製品に簡単に適用できる、多種多様な抗菌活性材料を得ることは有利であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、表面にコーティングでき、マトリックスに埋め込まれるか又は原材料に埋め込まれて、広範囲の抗菌活性を示す組成物を形成することができる、抗菌活性官能化粒子を提供する。本発明の組成物は、好ましくは、粘膜表面、皮膚表面、歯の表面、及び/又は創傷(慢性及び急性)に対する局所的投与のために配合される。抗菌粒子は、表面及び装置上のバイオフィルムの形成を防ぎ、内部のバイオフィルム又は細菌を処理、分解、又は死滅させる。更に、本発明は、抗菌活性粒子の調製のための用途が広く、費用対効果の高い方法論を提供する。
【0010】
本発明は、無機又は有機の不活性コア、及びコアに直接又はリンカーを介して化学的に結合したオリゴマー又はポリマーの抗菌活性基を、10平方nm当たり少なくとも1つの抗菌活性基の表面密度で含む粒子が、そのままでは微生物の増殖が自然に発生する可能性のある表面及び装置に適用又は組み込まれた場合、幅広い抗菌活性を示すという驚くべき発見に基づいている。したがって、そのような抗菌活性は、バイオフィルムの形成を防ぎ、その中のバイオフィルム又は細菌を処理、分解、及び/又は死滅させる可能性がある。いくつかの実施形態において、粒子は、一般に、本明細書に記載されるような有機ポリマー材料又は無機材料から作製され得る不活性コア及び抗菌活性基を含む。本発明の粒子は高い熱安定性を有することが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0011】
いくつかの実施形態において、本発明は、
(i)無機又は有機コアと、
(ii)直接又は間接的に(第3のリンカーを介して)コアに化学的に結合したポリマー又はオリゴマーの抗菌活性単位と、とを含み、
ポリマー又はオリゴマーの抗菌活性単位は、抗菌活性基を含む2つ以上のモノマー単位を含み、
各抗菌活性単位当たりの抗菌活性基の数は、1~200である、抗菌活性粒子を提供する。
【0012】
一実施形態では、抗菌粒子は、構造(I)によって表され、
【化1】
式中、
コアは有機ポリマー又は無機材料であり、
L
1は、第1のリンカー又は結合であり、
L
2は、第2のリンカーであり、
L
3は、第3のリンカー又は結合であり、
Z
1は、
【化2】
であり、
Z
2は、
【化3】
であり、
R
1及びR
1’は、それぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
2及びR
2’は、それぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
3及びR
3’は、それぞれ独立して、存在しないか、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、フェニル、ベンジル、複素環、共役アルキル、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
4及びR
4’は、それぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
5及びR
5’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
6及びR
6’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
7及びR
7’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
8及びR
8’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、結合、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、又はそれらの任意の組合せであり、
X
3及びX
4は、それぞれ独立して、結合、-O-C(=O)-、メチレン、-O-C(=O)-CH
2-、2,2-二置換C
2~C
20アルキレン、アリーレン、フェニレン、ベンジレン、シクロアルキレン、複素環、共役アルキレン、テルペノイド部分、1-アルケニレン、1-アルキニレン、2-アルケニレン、2-アルキニレン又はそれらの任意の組合せであり、
Rは、アルキル、アリール、シクロアルキル、複素環、又はそれらの任意の組合せであり、
pは、コア表面の1平方nm(nm
2)当たりの抗菌活性単位の数を定義し、ここで、当該密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm
2)当たり0.01~30の抗菌単位であり、
n
1は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
n
2は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
式中、n
1+n
2≧1であり、
mは1~200の整数であり、繰返し単位は同じ又は異なる。
【0013】
別の実施形態では、Z1又はZ2が(ピリジニウムではない)アンモニウム態窒素を含む場合、抗菌活性単位のそれぞれにおいて、アンモニウム上の1つの部分のみが、ホフマン脱離に利用可能なベータ水素を有し得る。別の実施形態では、Z1又はZ2が(ピリジニウムではない)アンモニウム態窒素を含む場合、抗菌活性単位のそれぞれにおいて、アンモニウム上の2つの部分が、ホフマン脱離に利用可能なベータ水素を有し得る。
【0014】
別の実施形態では、抗菌粒子は、構造(Ia)によって表され、
【化4】
式中、
コアは有機ポリマー又は無機材料であり、
L
1は、第1のリンカー又は結合であり、
L
3は、第3のリンカー又は結合であり、
Z
1は、
【化5】
であり、
R
1は、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
2は、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
3は、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、2,2-二置換C
3~C
120アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、フェニル、ベンジル、複素環、共役アルキル、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
4は、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
5は、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
6は、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
7は、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
8は、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
X
1は、結合、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、又はそれらの任意の組合せであり、
X
3は、結合、-O-C(=O)-、メチレン、-O-C(=O)-CH
2-、2,2-二置換C
2~C
20アルキレン、アリーレン、フェニレン、ベンジレン、シクロアルキレン、複素環、共役アルキレン、テルペノイド部分、1-アルケニレン、1-アルキニレン、2-アルケニレン、2-アルキニレン又はそれらの任意の組合せであり、
Rは、アルキル、アリール、シクロアルキル、複素環、又はそれらの任意の組合せであり、
pは、コア表面の1平方nm(nm
2)当たりの抗菌活性単位の数を定義し、ここで、当該密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm
2)当たり0.01~30の抗菌単位である。
【0015】
別の実施形態では、Z1が(ピリジニウムではない)アンモニウム態窒素を含む場合、抗菌活性単位のそれぞれにおいて、アンモニウム上の1つの部分のみが、ホフマン脱離に利用可能なベータ水素を有し得る。別の実施形態では、Z1又はZ2が(ピリジニウムではない)アンモニウム態窒素を含む場合、抗菌活性単位のそれぞれにおいて、アンモニウム上の2つの部分が、ホフマン脱離に利用可能なベータ水素を有し得る。
【0016】
別の実施形態では、抗菌粒子は、構造(II)によって表され、
【化6】
式中、
コアは有機ポリマー又は無機材料であり、
L
1は、第1のリンカー又は結合であり、
L
2は、第2のリンカーであり、
L
3は、第3のリンカー又は結合であり、
R
1及びR
1’は、それぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
2及びR
2’は、それぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
3及びR
3’は、それぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、フェニル、ベンジル、複素環、共役アルキル、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
5及びR
5’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
6及びR
6’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
7及びR
7’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
8及びR
8’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、結合、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、又はそれらの任意の組合せであり、
Rは、アルキル、アリール、シクロアルキル、複素環、又はそれらの任意の組合せであり、
pは、コア表面の1平方nm(nm
2)当たりの抗菌活性単位の数を定義し、ここで、当該密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm
2)当たり0.01~30の抗菌単位であり、
n
1は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
n
2は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
n
3及びn
4はそれぞれ独立して0又は1であり、
式中、n
1+n
2≧1であり、
mは1~200の整数であり、繰返し単位は同じ又は異なる。
【0017】
別の実施形態では、抗菌活性単位のそれぞれにおいて、アンモニウム上の1つの部分のみが、ホフマン脱離に利用可能なベータ水素を有し得る。
【0018】
別の実施形態では、抗菌粒子は、構造(III)によって表され、
【化7】
式中、
コアは有機ポリマー又は無機材料であり、
L
1は、第1のリンカー又は結合であり、
L
2は、第2のリンカーであり、
L
3は、第3のリンカー又は結合であり、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、結合、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、又はそれらの任意の組合せであり、
pは、コア表面の1平方nm(nm
2)当たりの抗菌活性単位の数を定義し、ここで、当該密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm
2)当たり0.01~30の抗菌単位であり、
n
1は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
n
2は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
式中、n
1+n
2≧1であり、
mは1~200の整数であり、繰返し単位は同じ又は異なる。
【0019】
別の実施形態では、抗菌粒子は、構造(IV)によって表され、
【化8】
式中、
コアは有機ポリマー又は無機材料であり、
L
1は、第1のリンカー又は結合であり、
L
2は、第2のリンカーであり、
L
3は、第3のリンカー又は結合であり、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、結合、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、又はそれらの任意の組合せであり、
pは、コア表面の1平方nm(nm
2)当たりの抗菌活性単位の数を定義し、ここで、当該密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm
2)当たり0.01~30の抗菌単位であり、
n
1は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
n
2は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
式中、n
1+n
2≧1であり、
mは1~200の整数であり、繰返し単位は同じ又は異なる。
【0020】
別の実施形態では、抗菌粒子は、構造(V)によって表され、
【化9】
式中、
コアは有機ポリマー又は無機材料であり、
L
1は、第1のリンカー又は結合であり、
L
2は、第2のリンカーであり、
L
3は、第3のリンカー又は結合であり、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、結合、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、又はそれらの任意の組合せであり、
pは、コア表面の1平方nm(nm
2)当たりの抗菌活性単位の数を定義し、ここで、当該密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm
2)当たり0.01~30の抗菌単位であり、
n
1は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
n
2は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
式中、n
1+n
2≧1であり、
mは1~200の整数であり、繰返し単位は同じ又は異なる。
【0021】
別の実施形態では、抗菌粒子は、構造(VI)によって表され、
【化10】
式中、
コアは有機ポリマー又は無機材料であり、
L
1は、第1のリンカー又は結合であり、
L
2は、第2のリンカーであり、
L
3は、第3のリンカー又は結合であり、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、結合、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、又はそれらの任意の組合せであり、
pは、コア表面の1平方nm(nm
2)当たりの抗菌活性単位の数を定義し、ここで、当該密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm
2)当たり0.01~30の抗菌単位であり、
n
1は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
n
2は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
式中、n
1+n
2≧1であり、
mは1~200の整数であり、繰返し単位は同じ又は異なる。
【0022】
別の実施形態では、抗菌粒子は、構造(VII)によって表され、
【化11】
式中、
コアは有機ポリマー又は無機材料であり、
L
1は、第1のリンカー又は結合であり、
L
2は、第2のリンカーであり、
L
3は、第3のリンカー又は結合であり、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、結合、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、又はそれらの任意の組合せであり、
pは、コア表面の1平方nm(nm
2)当たりの抗菌活性単位の数を定義し、ここで、当該密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm
2)当たり0.01~30の抗菌単位であり、
n
1は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
n
2は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
式中、n
1+n
2≧1であり、
mは1~200の整数であり、繰返し単位は同じ又は異なる。
【0023】
一実施形態では、本発明は、本明細書で上に記載したようにポリマー材料及び抗菌粒子を含む組成物を提供する。
【0024】
一実施形態では、本発明は、本明細書で上に記載したように抗菌粒子又は組成物を投与することを含む、バイオフィルムの形成又は成長を阻害又は防止するための方法を提供する。
【0025】
一実施形態では、本発明は、本明細書で上に記載したように抗菌粒子又は組成物を含む医療装置を提供する。
【0026】
本発明とみなされる主題は、本明細書の結論部分で特に指摘され、明確に特許請求される。しかしながら、本発明は、その目的、特徴、及び利点とともに、構成及び動作方法の両方に関して、添付の図面とともに読まれる場合、以下の詳細な説明を参照することによって最良に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】
図1A~
図1Cは、抗菌活性粒子スキームを示す図である。
図1Aは、1つの抗菌活性単位当たりのオリゴマー/ポリマーバックボーンである。
【
図1B】
図1Bは、1つの抗菌活性単位当たりのモノマーバックボーンである。
【0028】
【
図2】
図2は、本発明による粒子の調製のスキームを示し、抗菌活性基が第四級アンモニウム基であり、抗菌単位が1つのモノマー単位(
図1Bに示されるようなモノマーバックボーン)を有し、円は有機又は無機コアを表し、R及びR’はそれぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、1-アルケニル又は1-アルキニルであり、式中Rは、アルキル、アリール、シクロアルキル、複素環、又はそれらの任意の組合せであり、R
1は、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、Yは、ハロゲン又はスルホネート等の脱離基である。
【0029】
【
図3A】
図3A~
図3Cは、第四級アンモニウム塩(QAS)官能化粒子の調製のための3つの経路を示すスキームを表し、抗菌単位は、1つのモノマー単位(
図1Bに示されているようなモノマーバックボーン)を有し、円は有機又は無機コアを表す。
図3Aは、R
1-Y/R
2-Yでのアルキル化による第三級アミンの生成、続いてベンジル化反応を示す。
【
図3C】
図3Cは、脱離基(例えば、Cl又は他のハロゲン)で官能化されたリンカーを第三級アミンと反応させる。R
1及びR
2は、それぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、式中、Rは、アルキル、アリール、シクロアルキル、複素環又はそれらの任意の組合せである。Yは、任意の脱離基、例えばCl、Br、I、又はスルホネート(例えば、メシル、トシル)を表す。
【0030】
【
図4】
図4は、本発明の粒子を調製するための固体支持体及び溶液法のスキームを示し、抗菌単位は、1つのモノマー単位(
図1Bに示されているようなモノマーバックボーン)を有する。円は有機又は無機のコアを表す。Q
1、Q
2及びQ
3は、独立して、エトキシ、メトキシ、メチル、エチル、水素、スルホネート及びハロゲン化物からなる群から選択され、ここで、Q
1、Q
2及びQ
3の少なくとも1つは、エトキシ、メトキシ、スルホネート(例えば、メシル、トシル)及びハロゲン化物から選択される脱離基である。Q
1、Q
2及びQ
3が脱離基を表す場合を示すスキームを明瞭化するために、Q
4は、抗菌基を表し、Wは、アリーレン-NH
2、ベンジレン-NH
2、ハロゲン化物、スルホネート及びヒドロキシルからなる群から選択され、nは1~16の整数である。
【0031】
【
図5】
図5は、固体支持体法による本発明の粒子の調製ための代表的なスキームを示しており、抗菌単位がオリゴマー又はポリマーバックボーン(複数のモノマー単位)を有する。円はコアを表す。出発材料は、表面がヒドロキシル基で終端されたコアであり、Q
101、Q
102及びQ
103は、それぞれ独立して、アルコキシ、アルキル又はアリールであり、LGはCl、Br、I、メシレート、トシレート又はトリフラートであり、HalはCl、Br、又はIであり、q、q
1、q
2及びq
3はそれぞれ独立して、0~16の整数であり、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、R
3はメチル、CF
3、ペルハロアルキル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、フェニル、ベンジル、複素環、共役アルキル、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せである。
【0032】
【
図6A】
図6A~
図6Cは、トリアルコキシシランリンカーの自己重合を示している。
図6Aは、固体支持体法によるトリアルコキシシランリンカーの自己重合である。
【
図6B】
図6Bは、溶液中のトリアルコキシシランリンカーの自己重合である。
【
図6C】
図6Cは、シラン基の重合化と単純なシラン化との比較である。
【
図7】
図7は、溶液法による本発明の粒子の調製のための代表的なスキームを示し、抗菌単位が複数のモノマー単位を有する(すなわち、オリゴマー又はポリマーバックボーンを有する)。円はコアを表す。出発材料は、表面がヒドロキシル基で終端されたコアであり、Q
101、Q
102及びQ
103は、それぞれ独立して、アルコキシ、アルキル又はアリールであり、LGはCl、Br、I、メシレート、トシレート又はトリフラートであり、HalはCl、Br、又はIであり、q、q
1、q
2及びq
3は独立して、0~16の整数であり、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、R
3はメチル、CF
3、ペルハロアルキル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、フェニル、ベンジル、複素環、共役アルキル、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せである。
【0033】
【
図8】
図8は、固体支持体法において抗菌活性基としてジメチルベンジルアンモニウムを含む、本発明のシリカ系の抗菌粒子の調製のためのスキームを示し、抗菌単位は、複数のモノマー単位を有する(すなわち、オリゴマー又はポリマーバックボーンを有する)。
【0034】
【
図9】
図9は、溶液法において抗菌活性基としてジメチルベンジルアンモニウムを含む、本発明のシリカ系の抗菌粒子の調製のためのスキームを示し、抗菌単位は、複数のモノマー単位を有する(すなわち、オリゴマー又はポリマーバックボーンを有する)。
【0035】
【
図10】
図10は、3つのサンプルに対して実行された示差走査熱量測定実験の結果を示し、(2QA POSS)-リンカーは脂肪族鎖であり、疎水性基はオクチルであり、(2QA BP)-リンカーは脂肪族鎖、疎水性基はベンジルであり、(QA BP)-リンカーは、β-炭素上へのヒドロキシを含む脂肪族鎖であり、疎水性基はベンジルである。
【0036】
【
図11A】
図11A~
図11Cは、実施例2で詳述されるように、本発明による、抗菌粒子の培養後のブレインハートインフュージョン(BHT)中のE.フェカリス(E.faecalis)懸濁液の寒天プレートの写真を示す。
図11Aは、左側にポリプロピレン(PP)ロッド(対照)、右側にPP中5%w/wの粒子である。
【
図11C】
図11Cは、左側にポリプロピレン(PP)ロッド(対照)、右側にPP中の10%w/wの粒子である。
【0037】
【
図12A】
図12A~
図12Bは、実施例3に詳述されている、本発明による、抗菌粒子を用いた直接接触試験(DCT)後の結果を示している。
図12Aは、細菌の成長曲線を示す。
【
図12B】
図12Bは、DCTで使用されるE.フェカリス(E.faecalis)懸濁液のために作成された較正曲線であり、各曲線の名前(「1」、「1.3E-01」等)がその相対濃度に対応している。
【0038】
実例を簡略かつ明確にするために、図に示される要素は、必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されよう。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確にするために他の要素に比較して誇張され得る。更に、適切であると考えられる場合、対応する要素又は類似の要素を示すために、参照番号が図の間で繰り返され得る。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の詳細な説明において、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載される。しかし、本発明は、これらの具体的な詳細を伴わずに実行できることが当業者には理解されるだろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないために、周知の方法、手順、及び構成要素は、詳細には説明されていない。いくつかの実施形態において、本発明は、
(i)無機又は有機コアと、
(ii)直接又は間接的に(第3のリンカーを介して)コアに化学的に結合したポリマー又はオリゴマーの抗菌活性単位と、とを含み、
ポリマー又はオリゴマーの抗菌活性単位は、抗菌活性基を含む2つ以上のモノマー単位を含み、
各抗菌活性単位当たりの抗菌活性基の数は、1~200である、抗菌活性粒子を提供する。
【0040】
いくつかの実施形態において、抗菌粒子は、高い熱安定性を有する。メカニズムや理論に縛られることなく、高い安定性は、アンモニウム上の利用可能なベータ(β)水素が欠如しているか又はそれらがわずかしかなく、したって、熱安定性を減少させるホフマン脱離が発生する可能性が低いことに由来する。
【0041】
いくつかの実施形態では、抗菌粒子は、(i)無機又は有機コアと、(ii)コアに化学的に結合した抗菌活性部分と、とを含む。一実施形態では、抗菌活性部分は、1つのモノマー単位を含む。一実施形態では、抗菌活性部分は、2つ以上のモノマー単位を含む。別の実施形態では、2つ以上のモノマー単位を有する抗菌活性部分は、2つ以上のリンカーを含む。別の実施形態では、抗菌活性単位は、2~200個のモノマー単位を有する。別の実施形態では、抗菌活性単位は、2~5個のモノマー単位を有する。別の実施形態では、抗菌活性単位は、5~10個のモノマー単位を有する。別の実施形態では、抗菌活性単位は、10~20個のモノマー単位を有する。別の実施形態では、抗菌活性単位は、20~50個のモノマー単位を有する。別の実施形態では、抗菌活性単位は、50~100個のモノマー単位を有する。別の実施形態では、抗菌活性単位は、100~200個のモノマー単位を有する。
【0042】
一実施形態では、抗菌活性単位は、2つ以上のモノマー単位を含む。別の実施形態では、モノマー単位は、第1のリンカー、第2のリンカー、又はその両方を介して互いに結合している。別の実施形態では、各モノマー単位は、抗菌活性基である。別の実施形態では、抗菌活性単位は、少なくとも1つの抗菌活性基を含む。別の実施形態では、抗菌活性単位は、少なくとも2つの抗菌活性基を含む。別の実施形態では、
図1A、1B及び1Cは、本発明の抗菌活性粒子を概略的に示す(
図1A:2つ以上のモノマー、
図1B:1つのモノマー単位、及び
図1C:1つのモノマーの詳細なスキーム)。
【0043】
一実施形態では、抗菌粒子は、構造(I)によって表され、
【化12】
式中、
コアは有機ポリマー又は無機材料であり、
L
1は、第1のリンカー又は結合であり、
L
2は、第2のリンカーであり、
L
3は、第3のリンカー又は結合であり、
Z
1は、
【化13】
であり、
Z
2は、
【化14】
であり、
R
1及びR
1’は、それぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
2及びR
2’は、それぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
3及びR
3’は、それぞれ独立して、存在しないか、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、フェニル、ベンジル、複素環、共役アルキル、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
4及びR
4’は、それぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
5及びR
5’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
6及びR
6’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
7及びR
7’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
8及びR
8’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、結合、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、又はそれらの任意の組合せであり、
X
3及びX
4は、それぞれ独立して、結合、-O-C(=O)-、メチレン、-O-C(=O)-CH
2-、2,2-二置換C
2~C
20アルキレン、アリーレン、フェニレン、ベンジレン、シクロアルキレン、複素環、共役アルキレン、テルペノイド部分、1-アルケニレン、1-アルキニレン、2-アルケニレン、2-アルキニレン又はそれらの任意の組合せであり、
Rは、アルキル、アリール、シクロアルキル、複素環、又はそれらの任意の組合せであり、
pは、コア表面の1平方nm(nm
2)当たりの抗菌活性単位の数を定義し、ここで、当該密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm
2)当たり0.01~30の抗菌単位であり、
n
1は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
n
2は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
式中、n
1+n
2≧1であり、
mは1~200の整数であり、繰返し単位は同じ又は異なる。
【0044】
別の実施形態では、Z1又はZ2が(ピリジニウムではない)アンモニウム態窒素を含む場合、抗菌活性単位のそれぞれにおいて、アンモニウム上の1つの部分のみが、ホフマン脱離に利用可能なベータ水素を有し得る。別の実施形態では、Z1又はZ2が(ピリジニウムではない)アンモニウム態窒素を含む場合、抗菌活性単位のそれぞれにおいて、アンモニウム上の2つの部分が、ホフマン脱離に利用可能なベータ水素を有し得る。別の実施形態では、ホフマン脱離に利用可能なベータ水素は、ベータ(アンモニウム態窒素と比較して)脂肪族炭素上に見出され、脱離してオレフィン及び第三級アミンを放出することができるものである。
【0045】
別の実施形態では、抗菌粒子は、構造(Ia)によって表され、
【化15】
式中、
コアは有機ポリマー又は無機材料であり、
L
1は、第1のリンカー又は結合であり、
L
3は、第3のリンカー又は結合であり、
Z
1は、
【化16】
であり、
R
1は、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
2は、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
3は、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、フェニル、ベンジル、複素環、共役アルキル、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
4は、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
5は、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
6は、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
7は、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
8は、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
X
1は、結合、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、又はそれらの任意の組合せであり、
X
3は、結合、-O-C(=O)-、メチレン、-O-C(=O)-CH
2-、2,2-二置換C
2~C
20アルキレン、アリーレン、フェニレン、ベンジレン、シクロアルキレン、複素環、共役アルキレン、テルペノイド部分、1-アルケニレン、1-アルキニレン、2-アルケニレン、2-アルキニレン又はそれらの任意の組合せであり、
Rは、アルキル、アリール、シクロアルキル、複素環、又はそれらの任意の組合せであり、
pは、コア表面の1平方nm(nm
2)当たりの抗菌活性単位の数を定義し、ここで、当該密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm
2)当たり0.01~30の抗菌単位である。
【0046】
別の実施形態では、Z1が(ピリジニウムではない)アンモニウム態窒素を含む場合、抗菌活性単位のそれぞれにおいて、アンモニウム上の1つの部分のみが、ホフマン脱離に利用可能なベータ水素を有し得る。別の実施形態では、Z1又はZ2が(ピリジニウムではない)アンモニウム態窒素を含む場合、抗菌活性単位のそれぞれにおいて、アンモニウム上の2つの部分が、ホフマン脱離に利用可能なベータ水素を有し得る。
【0047】
別の実施形態では、抗菌粒子は、構造(II)によって表され、
【化17】
式中、
コアは有機ポリマー又は無機材料であり、
L
1は、第1のリンカー又は結合であり、
L
2は、第2のリンカーであり、
L
3は、第3のリンカー又は結合であり、
R
1及びR
1’は、それぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
2及びR
2’は、それぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
3及びR
3’は、それぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、フェニル、ベンジル、複素環、共役アルキル、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
5及びR
5’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
6及びR
6’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
7及びR
7’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
R
8及びR
8’は、それぞれ独立して、H、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル、又はそれらの任意の組合せであり、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、結合、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、又はそれらの任意の組合せであり、
Rは、アルキル、アリール、シクロアルキル、複素環、又はそれらの任意の組合せであり、
pは、コア表面の1平方nm(nm
2)当たりの抗菌活性単位の数を定義し、ここで、当該密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm
2)当たり0.01~30の抗菌単位であり、
n
1は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
n
2は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
n
3及びn
4はそれぞれ独立して0又は1であり、
式中、n
1+n
2≧1であり、
mは1~200の整数であり、繰返し単位は同じ又は異なる。
【0048】
別の実施形態では、抗菌活性単位のそれぞれにおいて、アンモニウム上の1つの部分のみが、ホフマン脱離に利用可能なベータ水素を有し得る。
【0049】
別の実施形態では、抗菌粒子は、構造(III)によって表され、
【化18】
式中、
コアは有機ポリマー又は無機材料であり、
L
1は、第1のリンカー又は結合であり、
L
2は、第2のリンカーであり、
L
3は、第3のリンカー又は結合であり、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、結合、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、又はそれらの任意の組合せであり、
pは、コア表面の1平方nm(nm
2)当たりの抗菌活性単位の数を定義し、ここで、当該密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm
2)当たり0.01~30の抗菌単位であり、
n
1は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
n
2は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
式中、n
1+n
2≧1であり、
mは1~200の整数であり、繰返し単位は同じ又は異なる。
【0050】
別の実施形態では、抗菌粒子は、構造(IV)によって表され、
【化19】
式中、
コアは有機ポリマー又は無機材料であり、
L
1は、第1のリンカー又は結合であり、
L
2は、第2のリンカーであり、
L
3は、第3のリンカー又は結合であり、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、結合、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、又はそれらの任意の組合せであり、
pは、コア表面の1平方nm(nm
2)当たりの抗菌活性単位の数を定義し、ここで、当該密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm
2)当たり0.01~30の抗菌単位であり、
n
1は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
n
2は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
式中、n
1+n
2≧1であり、
mは1~200の整数であり、繰返し単位は同じ又は異なる。
【0051】
別の実施形態では、抗菌粒子は、構造(V)によって表され、
【化20】
式中、
コアは有機ポリマー又は無機材料であり、
L
1は、第1のリンカー又は結合であり、
L
2は、第2のリンカーであり、
L
3は、第3のリンカー又は結合であり、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、結合、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、又はそれらの任意の組合せであり、
pは、コア表面の1平方nm(nm
2)当たりの抗菌活性単位の数を定義し、ここで、当該密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm
2)当たり0.01~30の抗菌単位であり、
n
1は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
n
2は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
式中、n
1+n
2≧1であり、
mは1~200の整数であり、繰返し単位は同じ又は異なる。
【0052】
別の実施形態では、抗菌粒子は、構造(VI)によって表され、
【化21】
式中、
コアは有機ポリマー又は無機材料であり、
L
1は、第1のリンカー又は結合であり、
L
2は、第2のリンカーであり、
L
3は、第3のリンカー又は結合であり、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、結合、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、又はそれらの任意の組合せであり、
pは、コア表面の1平方nm(nm
2)当たりの抗菌活性単位の数を定義し、ここで、当該密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm
2)当たり0.01~30の抗菌単位であり、
n
1は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
n
2は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
式中、n
1+n
2≧1であり、
mは1~200の整数であり、繰返し単位は同じ又は異なる。
【0053】
別の実施形態では、抗菌粒子は、構造(VII)によって表され、
【化22】
式中、
コアは有機ポリマー又は無機材料であり、
L
1は、第1のリンカー又は結合であり、
L
2は、第2のリンカーであり、
L
3は、第3のリンカー又は結合であり、
X
1及びX
2は、それぞれ独立して、結合、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、又はそれらの任意の組合せであり、
pは、コア表面の1平方nm(nm
2)当たりの抗菌活性単位の数を定義し、ここで、当該密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm
2)当たり0.01~30の抗菌単位であり、
n
1は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
n
2は、それぞれ独立して、0~200の整数であり、
式中、n
1+n
2≧1であり、
mは1~200の整数であり、繰返し単位は同じ又は異なる。
【0054】
いくつかの実施形態では、「抗菌活性基」という用語及び「モノマー抗菌活性基」は、同じものも言及し、次の式、
【化23】
で表されるように、第4級アンモニウム及び/又はピリジニウムを含み、式中、
R
1~R
8及びR
1’~R
8’は、本明細書で上に記載した通りである。
【0055】
別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりの抗菌活性基の数は、少なくとも2つ、すなわちn1+n2≧2及びm≧1である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりの抗菌活性基の数は1つであり、すなわち、n1+n2=1及びm=1である。
【0056】
別の実施形態では、構造(Ia)の粒子は、1つの抗菌活性単位当たり1つのモノマー単位を含む。別の実施形態では、構造(I)及び(II)~(VII)の粒子は、1つの抗菌活性単位当たり1つ又は複数の抗菌活性基を含む。
【0057】
本発明の抗菌活性基は、コア表面の10平方nm当たり少なくとも1つの抗菌活性基の面密度で、化学的にコアに結合している。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり少なくとも1つの抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~300の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~250の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~200の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~150の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~100の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~50の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~20の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~17の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~15の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~10の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~4の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~1の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり50~100の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり100~150の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり150~200の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり200~250の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり250~300の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり1~4の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり1~6の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり1~20の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり1~10の抗菌基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり1~15の抗菌基である。
【0058】
いくつかの実施形態では、各抗菌活性単位当たりの抗菌活性基の数[(n1+n2)×m]は、1~200である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりの抗菌活性基の数は、1~150である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりの抗菌活性基の数は、1から100である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりの抗菌活性基の数は、1~50である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりの抗菌活性基の数は、1~30である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりの抗菌活性基の数は、1~20である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりの抗菌活性基の数は、1~10である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりの抗菌活性基の数は、50~100である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりの抗菌活性基の数は、100~150である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりの抗菌活性単位の数は、150~200である。
【0059】
いくつかの実施形態では、各抗菌活性単位当たりのモノマー単位の数は、1~200である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりのモノマー単位の数は、1~150である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりのモノマー単位の数は、1~100である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりのモノマー単位の数は、1~50である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりのモノマー単位の数は、1~30である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりのモノマー単位の数は、1~20である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりのモノマー単位の数は、1~10である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりのモノマー単位の数は、50~100である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりのモノマー単位の数は、100~150である。別の実施形態では、各抗菌活性単位当たりのモノマー単位の数は、150~200である。
【0060】
別の実施形態では、構造(I)~(VII)の粒子は、無機コアを有する。別の実施形態では、構造(I)~(VII)の粒子は、有機コアを有する。別の実施形態では、有機コアはポリマー有機コアである。別の実施形態では、コアは不活性である。
【0061】
一実施形態では、Z
1は、
【化24】
であり、式中、X
3及びR
1~R
8は、本明細書で以下に記載される通りである。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0062】
一実施形態では、Z
2は、
【化25】
であり、式中、X
4及びR
1’~R
8’は、本明細書で以下に記載される通りである。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0063】
一実施形態では、R1及び/又はR1’、R2及び/又はR2’並びにR4及び/又はR4’は同じ又は異なっており、独立して、メチル、CF3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C3~C20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH2C(=O)OR、-CH2C(=O)OC(=O)R、-CH2C(=S)OR、-CH2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH2C(=O)R、-CH2C(=S)R、-CH2CF3、-CH2NO2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、Rは本明細書で以下に記載される通りである。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0064】
一実施形態では、R3及びR3’は、それぞれ独立して、存在しないか、メチル、CF3、ペルハロアルキル、2,2-二置換C3~C20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH2C(=O)OR、-CH2C(=O)OC(=O)R、-CH2C(=S)OR、-CH2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH2C(=O)R、-CH2C(=S)R、-CH2CF3、-CH2NO2、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、フェニル、ベンジル、複素環、共役アルキル、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せである。
それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0065】
一実施形態では、R5及び/又はR5’、R6及び/又はR6’、R7及び/又はR7’並びにR8及び/又はR8’は同じ又は異なり、独立してH、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニル又はそれらの任意の組合せである。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0066】
一実施形態では、X1及び/又はX2は、同じ又は異なり、独立して、結合、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、又はそれらの任意の組合せである。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
一実施形態では、X3及びX4は、それぞれ独立して、結合、-O-C(=O)-、メチレン、-O-C(=O)-CH2-、2,2-二置換C2~C20アルキレン、アリーレン、フェニレン、ベンジレン、シクロアルキレン、複素環、共役アルキレン、テルペノイド部分、1-アルケニレン、1-アルキニレン、2-アルケニレン、2-アルキニレン又はそれらの任意の組合せである。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0067】
一実施形態では、Rは、アルキル、アリール、シクロアルキル、複素環、又はそれらの任意の組合せである。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0068】
いくつかの実施形態では、R1及びR1’は、同一である。いくつかの実施形態では、R2及びR2’は、同一である。いくつかの実施形態では、R3及びR3’は、同一である。いくつかの実施形態では、R4及びR4’は、同一である。いくつかの実施形態では、R5及びR5’は、同一である。いくつかの実施形態では、R6及びR6’は、同一である。いくつかの実施形態では、R7及びR7’は、同一である。いくつかの実施形態では、R8及びR8’は、同一である。いくつかの実施形態では、X1及びX2は、同一である。いくつかの実施形態では、X3及びX4は、同一である。いくつかの実施形態では、R1及びR1’は、異なる。いくつかの実施形態では、R2及びR2’は、異なる。いくつかの実施形態では、R3及びR3’は、異なる。いくつかの実施形態では、R4及びR4’は、異なる。いくつかの実施形態では、R5及びR5’は、異なる。いくつかの実施形態では、R6及びR6’は、異なる。いくつかの実施形態では、R7及びR7’は、異なる。いくつかの実施形態では、R8及びR8’は、異なる。いくつかの実施形態では、X1及びX2は、異なる。いくつかの実施形態では、X3及びX4は、異なる。
【0069】
本明細書で使用される場合、「アルキル」又は「アルキレン」という用語は、特に明記しない限り、最大約24個の炭素を含有する任意の直鎖又は分枝鎖アルキル基を指す。一実施形態では、アルキルは、C1~C3の炭素を含む。一実施形態では、アルキルはC1~C4の炭素を含む。一実施形態では、アルキルは、C1~C5炭素を含む。別の実施形態では、アルキルは、C1~C6の炭素を含む。別の実施形態では、アルキルは、C1~C8の炭素を含む。別の実施形態では、アルキルは、C1~C10の炭素を含む。別の実施形態では、アルキルは、C1~C12の炭素を含む。別の実施形態では、アルキルは、C4~C8の炭素を含む。別の実施形態では、アルキルは、C4~C10の炭素を含む。別の実施形態では、アルキルは、C4~C18の炭素を含む。別の実施形態では、アルキルは、C4~C24の炭素を含む。別の実施形態では、アルキルは、C1~C18の炭素を含む。別の実施形態では、アルキルは、C2~C18の炭素を含む。別の実施形態では、分枝鎖アルキルは、1~5個の炭素のアルキル側鎖によって置換されたアルキルである。一実施形態では、アルキル基は、非置換であってもよい。別の実施形態では、アルキル基は、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、CO2H、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ、及び/又はチオアルキルで置換されてもよい。別の実施形態では、アルキルは、2,2-二置換C3~C20アルキルである。用語「2,2-二置換C3~C20アルキル」は、本明細書に記載される場合、3~20個の炭素を有し、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、CO2H、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ及び/又はチオアルキルで、(接続点から)第2番目の炭素において3回置換された、アルキルを指し、それらの置換は同じでも異なっていてもよく、あるいは代替的に、2番目の炭素において1回、オキソ(=O)又は元素(例:S)若しくは部分(例:ビニル炭素又はNH)への他の二重結合で置換され、更に上記の第1の可能性のリストから選択された置換基で置換されており、あらゆる場合において、この2番目の炭素位置には引き抜きのために利用可能な水素は存在しない(すなわち、この位置には水素はなく、非水素置換基のみが存在する)。2,2-二置換C3~C20アルキルの非限定的な例としては、ネオペンチル(-CH2-C(CH3)3、-CH2-C(CH3)2-CH2CH3、CH2-CF2CH3及び-CH2C(=O)CH3である。別の実施形態では、アルキルは、2,2-二置換C3~C8アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、2,2-二置換C3~C10アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、2,2-二置換C3~C12アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、2,2-二置換C3~C18アルキルである。用語「2,2-二置換C3~C8アルキル」、「2,2-二置換C3~C10アルキル」、「2,2-二置換C3~C12アルキル」及び「2,2-二置換C3~C18アルキル」は、「2,2-二置換C3~C20アルキル」と類似しているが、それぞれ、C3~C8、C3~C10、C3~C12及びC3~C18アルキルを有する、部分を指す。別の実施形態では、アルキレンは、2,2-二置換C2~C20アルキレンである。用語「2,2-二置換C2~C20アルキレン」は、「2,2-二置換C3~C20アルキル」と類似しているが、2~20個の炭素を有する本明細書に記載されるアルキレンを有する部分を指す。2,2-二置換C2~C20アルキレンの非限定的な例は、ネオペンチレン(-CH2-C(CH3)2-CH2、-CH2-C(CH3)2-CH2CH2-、-CH2-CF2CH2-及び-CH2C(=O)CH2-である。別の実施形態では、アルキレンは、2,2-二置換C2~C8アルキレンである。別の実施形態では、アルキレンは、2,2-二置換C2~C10アルキレンである。別の実施形態では、アルキレンは、2,2-二置換C2~C12アルキレンである。別の実施形態では、アルキレンは、2,2-二置換C2~C18アルキレンである。用語「2,2-二置換C2~C8アルキレン」、「2,2-二置換C2~C10アルキレン」、「2,2-二置換C2~C12アルキレン」及び「2,2-二置換C2~C18アルキレン」は、2,2-二置換C2~C20アルキレンと類似しているが、それぞれ、C2~C8、C2~C10、C2~C12及びC2~C18アルキレンを有する部分を指す。
【0070】
別の実施形態では、アルキルは、2,2,2-三置換エチルである。用語「2,2,2-三置換エチル」は、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、CO2H、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ及び/又はチオアルキルによって、第2番目の炭素において3回置換されたエチルを指し、それらの置換は同じでも異なっていてもよく、あるいは代替的に、2番目の炭素において1回、オキソ(=O)又は元素(例えばS)若しくは部分(例えばビニル炭素又はNH)への他の二重結合で置換され、更に第1の可能性の上記のリストから選択された置換基で置換されており、あらゆる場合において、この2番目の炭素位置には引き抜きのために利用可能な水素は存在しない(すなわち、この位置には水素はなく、非水素置換基のみが存在する)。2,2,2-三置換エチルの非限定的な例としては、2,2,2トリハロエチル、及び-CH2C(=O)-NH2が挙げられる。別の実施形態において、疎水性アルキルは、少なくとも4つの炭素を有するアルキルを指す。別の実施形態において、疎水性アルキルは、C4~C24アルキルを指す。別の実施形態において、疎水性アルキルは、C4~C8アルキルを指す。別の実施形態において、疎水性アルキルは、C4アルキルを指す。別の実施形態において、疎水性アルキルは、C5アルキルを指す。別の実施形態において、疎水性アルキルは、C6アルキルを指す。別の実施形態において、疎水性アルキルは、C7アルキルを指す。別の実施形態において、疎水性アルキルは、C8アルキルを指す。
【0071】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、別の基に直接結合し、置換又は非置換のいずれかであり得る、任意の芳香族環を指す。本明細書で使用される場合、「アリーレン」という用語は、2つの基に直接結合している場合の同じものを指す(すなわち、アリーレンは、例えば、フェニレン、-C6H4である)。別の実施形態では、アリーレンは、3つ以上の基に直接結合することができる。アリール基又はアリーレン基は、唯一の置換基であり得るか、又はアリールアルキル、アリールアミノ、アリールアミド中等、より大きい置換基の構成要素であり得る。例示的なアリール基(及び同様にアリーレン基)には、フェニル、トリル、キシリル、フラニル、ナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チオフェン-イル、ピロリル、フェニルメチル、フェニルエチル、フェニルアミノ、フェニルアミド等が含まれるが、これらに限定されない。置換には、F、Cl、Br、I、C1~C5直鎖若しくは分岐アルキル、C1~C5直鎖若しくは分岐ハロアルキル、C1~C5直鎖若しくは分岐アルキル若しくはアルコキシ、C1~C5直鎖若しくは分岐ハロアルキル又はハロアルコキシ、CF3、CN、NO2、-CH2CN、NH2、NH-アルキル、N(アルキル)2、ヒドロキシル、-OC(O)CF3、-OCH2Ph、-NHCO-アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-アルキル、C(O)H、又は-C(O)NH2が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態では、疎水性アリール又はアリーレンは、少なくとも6個の炭素を有するアリール又はアリーレンを指す。
【0072】
本明細書で使用される場合、「ベンジル」という用語は、-CH2-C6H5部分を指し、非置換であるか、又は置換基の以下の非限定的な置換体のリスト、F、Cl、Br、I、C1~C5直鎖又は分岐アルキル、C1~C5直鎖又は分岐のハロアルキル、C1~C5直鎖又は分岐アルキル又はアルコキシ、C1~C5直鎖又は分岐ハロアルキル又はハロアルコキシ、CF3、CN、NO2、-CH2CN、NH2、NH-アルキル、N(アルキル)2、ヒドロキシル、-OC(O)CF3、-OCH2Ph、-NHCO-アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-アルキル、C(O)H、又は-C(O)NH2で置換することができる。同様に、「ベンジレン」は、-CH2-C6H4-部分を指し、非置換であるか、又はベンジル部分について上記の置換基で置換することができる。
【0073】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」という用語は、本明細書において上に記載されるようなアルキルであり、ハロゲン化物(すなわち、F、Cl、Br又はI)によって少なくとも1回置換されたアルキルを指す。一実施形態では、全てのアルキルがハロゲン化物で置換されており、すなわち、ハロアルキル中に水素が見られず、「ペルハロアルキル」と呼ばれる(例えば、CF3:ペルフルオロメチル又はCCl3:パークロロメチル)。一実施形態では、アルキルの一部のみがハロゲン化物(例えば、CH2CF3)で置換されている。別の実施形態では、ハロアルキルの非限定的な例としては、CF3、CCl3、CH2CF3、CF2CF3、CCl2CCl3及びCI3が挙げられる。
【0074】
「アルケニル」又は「アルケニレン」という用語は、少なくとも2つの炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を含む物質を指す。「1-アルケニル」又は「1-アルケニレン」という用語は、二重結合が(接続点からの)第1の炭素上にある同じものを指す。「2-アルケニル」又は「2-アルケニレン」という用語は、二重結合が(接続点からの)第2の炭素上にある同じものを指す。「3-アルケニル」又は「3-アルケニレン」という用語は、二重結合が(接続点からの)第3の炭素上にある同じものを指す。一実施形態では、アルケニルは、2~7個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルは、2~12個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルは2~10個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルは3~6個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルは、2~4個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルは4~8個の炭素原子を有する。別の実施形態では、疎水性アルケニルは、少なくとも4個の炭素を有するアルケニルを指す。別の実施形態では、疎水性アルケニルは、C4~C8アルケニルを指す。
【0075】
「アルキニル」又は「アルキニレン」という用語は、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1個の三重結合を含む物質を指す。「1-アルキニル」又は「1-アルキニレン」という用語は、三重結合が(接続点からの)第1の炭素上にある同じものを指す。「2-アルキニル」又は「2-アルキニレン」という用語は、三重結合が(接続点からの)第2の炭素上にある同じものを指す。「3-アルキニル」又は「3-アルキニレン」という用語は、三重結合が(接続点からの)第3の炭素上にある同じものを指す。一実施形態では、アルキニルは、2~7個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルは、2~12個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルは、2~10個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルは3~6個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルは2~4個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルは3~6個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルは4~8個の炭素原子を有する。別の実施形態では、疎水性アルキニルは、少なくとも4個の炭素を有するアルキニルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキニルは、C4~C8アルケニルを指す。
【0076】
「アルコキシ」という用語は、一実施形態では、酸素に結合した上記で定義されたアルキを指す。アルコキシ基の非限定的な例には、メトキシ、エトキシ、及びイソプロポキシが含まれる。
【0077】
「シクロアルキル」基は、一実施形態では、炭素原子を環原子として含む環構造を指し、これは、飽和又は不飽和、置換又は非置換のいずれかであってよく、1つの基に直接結合する(例えば、シクロヘキシル-、C6H11-)。別の実施形態では、シクロアルキルは、3~12員環である。別の実施形態では、シクロアルキルは、6員環である。別の実施形態では、シクロアルキルは、5~7員環である。別の実施形態では、シクロアルキルは、3~8員環である。別の実施形態では、シクロアルキル基は、非置換であってもよいか、あるいはハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、CO2H、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ、及び/又はチオアルキルで置換されてもよい。別の実施形態では、シクロアルキル環は、別の飽和若しくは不飽和のシクロアルキル又は複素環式3~8員環に縮合されてもよい。別の実施形態では、シクロアルキル環は、飽和環である。別の実施形態では、シクロアルキル環は、不飽和環である。シクロアルキル基の非限定的な例には、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロプロピル、シクロプロペニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロクチル、シクロクタジエニル(COD)、シクロオクタエン(COE)等が含まれる。別の実施形態では、疎水性シクロアルキルは、少なくとも6個の炭素を有するシクロアルキルを指す。「シクロアルキレン」基は、一実施形態では、上記の「シクロアルキル」と同じ定義を指すが、シクロアルキレンは、2つの基(例えば、-シクロヘキシレン-、-C6H10-)に直接結合している。別の実施形態では、シクロアルキレン基は、3つ以上の基に直接結合している。
【0078】
「複素環」基は、一実施形態では、炭素原子に加えて、硫黄、酸素、窒素、又はそれらの任意の組合せを環の一部として含む環構造を指す。別の実施形態では、複素環は、3~12員環である。別の実施形態では、複素環は6員環である。別の実施形態では、複素環は、5~7員環である。別の実施形態では、複素環は、3~8員環である。別の実施形態では、複素環基は、非置換であってもよいか、あるいはハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、CO
2H、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ、及び/又はチオアルキルで置換されてもよい。別の実施形態では、複素環は、別の飽和若しくは不飽和のシクロアルキル又は複素環式3~8員環に縮合されてもよい。別の実施形態では、複素環は、飽和環である。別の実施形態では、複素環は、不飽和環である。複素環の非限定的な例には、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、チオフェン、ピロール、ベンゾジオキソール、又はインドールが挙げられる。別の実施形態では、疎水性複素環基は、少なくとも6個の炭素を有する複素環を指す。一実施形態では、複素環は、1つの基(例えば、ピリジニル、
【化26】
)に直接結合する。一実施形態では、複素環は、2つの基(例えば、ピリジニレン、
【化27】
)に直接結合する。一実施形態では、複素環は3つ以上の基に直接結合している。
【0079】
別の実施形態では、構造(I)の、R1、R2及びR3の少なくとも1つ並びに/あるいはR1’、R2’及びR3’の少なくとも1つは、疎水性である。
【0080】
「疎水性」という用語は、少なくとも4つの炭素を有する、アルキル、アルケニル、又はアルキニルを指し、又は疎水性という用語は、少なくとも6つの炭素を有する、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、又は複素環を指す。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0081】
別の実施形態では、構造(I)の、R3、R5-R8及びX3のうちの少なくとも1つ並びに/あるいはR3’、R5’-R8’及びX4のうちの少なくとも1つは、テルペノイドである。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0082】
一実施形態では、構造(I)~(VII)の「p」は、コア表面の1平方nm当たりの抗菌活性単位の表面密度を定義する。別の実施形態では、「p」は、コア表面の1平方nm当たり0.01~30の抗菌活性単位である。別の実施形態では、「p」は、コア表面の1平方nm当たり0.01~20の抗菌活性単位である。別の実施形態では、「p」は、コア表面の1平方nm当たり0.01~10の抗菌活性単位である。別の実施形態では、「p」は、コア表面の1平方nm当たり0.01~15の抗菌活性単位である。別の実施形態では、「p」は、コア表面の1平方nm当たり0.01~5の抗菌活性単位である。
【0083】
一実施形態では、構造(I)及び(II)~(VII)のn1は0~200である。別の実施形態では、n1は0~10である。別の実施形態では、n1は10~20である。別の実施形態では、n1は20~30である。別の実施形態では、n1は30~40である。別の実施形態では、n1は40~50である。別の実施形態では、n1は50~60である。別の実施形態では、n1は60~70である。別の実施形態では、n1は70~80である。別の実施形態では、n1は80~90である。別の実施形態では、n1は90~100である。別の実施形態では、n1は100~110である。別の実施形態では、n1は110~120である。別の実施形態では、n1は120~130である。別の実施形態では、n1は130~140である。別の実施形態では、n1は140~150である。別の実施形態では、n1は150~160である。別の実施形態では、n1は160~170である。別の実施形態では、n1は170~180である。別の実施形態では、n1は180~190である。別の実施形態では、n1は190~200である。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0084】
一実施形態では、構造(I)及び(II)~(VII)のn2は0~200である。別の実施形態では、n2は0~10である。別の実施形態では、n2は10~20である。別の実施形態では、n2は20~30である。別の実施形態では、n2は30~40である。別の実施形態では、n2は40~50である。別の実施形態では、n2は50~60である。別の実施形態では、n2は60~70である。別の実施形態では、n2は70~80である。別の実施形態では、n2は80~90である。別の実施形態では、n2は90~100である。別の実施形態では、n2は100~110である。別の実施形態では、n2は110~120である。別の実施形態では、n2は120~130である。別の実施形態では、n2は130~140である。別の実施形態では、n2は140~150である。別の実施形態では、n2は150~160である。別の実施形態では、n2は160~170である。別の実施形態では、n2は170~180である。別の実施形態では、n2は180~190である。別の実施形態では、n2は190~200である。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0085】
一実施形態では、構造(II)のn3及びn4はそれぞれ独立して0又は1である。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0086】
一実施形態では、構造(I)及び(II)~(VII)のmは1~200である。別の実施形態では、mは、1~10である。別の実施形態では、mは、10~20である。別の実施形態では、mは、20~30である。別の実施形態では、mは、30~40である。別の実施形態では、mは、40~50である。別の実施形態では、mは、50~60である。別の実施形態では、mは、60~70である。別の実施形態では、mは、70~80である。別の実施形態では、mは、80~90である。別の実施形態では、mは、90~100である。別の実施形態では、mは、100~110である。別の実施形態では、mは、110~120である。別の実施形態では、mは、120~130である。別の実施形態では、mは、130~140である。別の実施形態では、mは、140~150である。別の実施形態では、mは、150~160である。別の実施形態では、mは、160~170である。別の実施形態では、mは、170~180である。別の実施形態では、mは、180~190である。別の実施形態では、mは、190~200である。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0087】
別の実施形態において、本発明の抗菌活性基は、(a)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第四級アンモニウム基及び(b)ピリジニウム基から選択することができる。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0088】
一実施形態では、構造(I)~(VII)によって表される本発明の粒子は、抗菌活性単位及び不活性コアを含み、抗菌活性単位及びコアは直接又は間接的に結合している。
【0089】
いくつかの実施形態では、L1、L2又はL3は、それぞれ独立して同じ又は異なるリンカーである。いくつかの実施形態では、L1、L2及びL3は、任意の可能な方法で相互に結合している。いくつかの実施形態では、L3は存在せず、L1又はL2はコアに共有結合している。別の実施形態では、L3は共有結合でコアに結合し、L1又はL2は、L3に結合している。別の実施形態では、L1は、X1、L2、及びL3又はコアに結合している。別の実施形態では、「リンカー」は、そのようなリンカーに隣接する少なくとも2つの他の化学部分に結合することができる任意の可能な化学部分を含む。別の実施形態では、抗菌活性単位は、第1及び/又は第2のリンカー(L1又はL2)及び抗菌基を含む。別の実施形態では、L1及び/又はL2は、抗菌活性単位のバックボーン(例えば、アルキレン、ポリペプチド又はオリゴシロキサン(-Si(OH)2-O-又は-Si(CH3)2-O-)部分)である。いくつかの実施形態では、リンカーは官能基を含む。別の実施形態では、リンカーは、2つの(同じ又は異なる)官能基を含む。別の実施形態では、官能基は、ホスフェート、ホスホネート、シロキサン、シラン、エーテル、アセタール、ヒドロキシル、アミド、アミン、無水物、エステル、ケトン、若しくは芳香環又は前述の部分のいずれかで官能化された環を含む。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0090】
別の実施形態では、L
1、L
2、L
3、X
1、X
2、X
3、X
4又はそれらの任意の組合せは、少なくとも1つのカルボキシル部分で置換された、C
1~C
18アルキレン、アルケニレン、アルキニレン又はアリールであり、ここで、カルボキシル末端はコアに結合している。これは、少なくとも1つのカルボキシル部分で置換されたC
1~C
18アルキレンに由来し、抗菌活性基に修飾されたアミノ末端[構造(I)及び(Ia)で定義される、-
+N(R
1)(R
2)(R
3)、-
+N(R
1’)(R
2’)(R
3’)、
【化28】
]を有する。このリンカーは2~18個の炭素原子の鎖長を有する天然又は合成の供給源のアミノ酸(ポリペプチド)、又は当該アミノ酸のハロゲン化アシルに由来する。そのようなアミノ酸の非限定的な例は、18-アミノオクタデカン酸及び18-アミノステアリン酸である。別の実施形態では、L
1、L
2、L
3、X
1、X
2、X
3、X
4又はそれらの任意の組合せは、少なくとも1つのアミン、アミド又はピリジニウム(
【化29】
)部分で置換された、C1~C18アルキレンである。
【0091】
別の実施形態では、L1、L2、L3、X1、X2、X3、X4又はそれらの任意の組合せは、C1~C18アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン又はアリールである。このリンカーは、ジハロアルキレン又はジハロアリーレンに由来し得、これは、コアに結合する官能基にハロゲン部分を置き換えること、及びハロゲン部分の置き換えによって構造(I)~(II)で定義されている-+N(R1)(R2)(R3)又は-+N(R1’)(R2’)(R3’)を得ることによって、コア及び抗菌活性基で各末端においてそれぞれ官能化される。
【0092】
別の実施形態では、L
1、L
2、L
3、X
1、X
2、X
3、X
4又はそれらの任意の組合せは、4,4-ビフェノール、ジ安息香酸、ジ安息香酸ハロゲン化物、ジ安息香酸スルホネート、テレフタル酸、テレフタル酸ハロゲン化物、及びテレフタル酸スルホネートの非限定的な例に由来する芳香族基である。このリンカーは、その官能基(すなわち、ヒドロキシル、カルボキシ又はスルホネート)を介して、それぞれコア及び抗菌活性基で官能化されている。別の実施形態では、このリンカーは、一端でコアに直接結合するか、又は第3のリンカー(L
3)を介して、間接的に結合し、他端で抗菌活性基[構造(I)及び(Ia)で定義される、-
+N(R
1)(R
2)(R
3)、-
+N(R
1)(R
2’)(R
3’)、
【化30】
]へと修飾される。
【0093】
別の実施形態では、L
1、L
2、L
3、X
1、X
2、X
3、X
4、又はそれらの任意の組合せは、トリアルコキシアルキルシラン、トリアルコキシアリールシラン、トリハロアルキルシラン、トリハロアリールシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン及びN-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの非限定的な例から誘導及び/又は選択されたシロキサン又はシラン基である。別の実施形態では、このシロキサン又はシラン基は、官能基(例えば、ヒドロキシル、シロキサン、カルボキシ、アミド又はスルホネート)を含む。別の実施形態では、シロキサン又はシラン基は、一端でコアに直接(L3なしで)結合するか、又は第3のリンカー(L3)を介して、間接的に結合し、これは、他端で抗菌活性基[構造(I)及び(Ia)で定義される、-
+N(R
1)(R
2)(R
3)、-
+N(R
1)(R
2’)(R
3’)、
【化31】
]へと修飾される。
【0094】
別の実施形態では、L
1、L
2、L
3、X
1、X
2、X
3、X
4、又はそれらの任意の組合せは、本発明の抗菌活性単位内のモノマー単位(例えば、
図1B~1C及び式Ia及びI~VIに記載される)であり、式Ib1又はIb2の構造によって表され、
【化32】
式中、
R
1及びR
2は、独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
R
3は、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、フェニル、ベンジル、複素環、共役アルキル、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
Rは、アルキル、アリール、シクロアルキル、複素環、又はそれらの任意の組合せであり、
qは、0~16の整数であり、
ここで、当該モノマー単位は、無機コアの表面に直接、又は第3のリンカー(L
3)を介して化学的に結合している。
【0095】
別の実施形態では、L
1、L
2、L
3、X
1、X
2、X
3、X
4、又はそれらの任意の組合せは、本発明の抗菌活性単位内のモノマー単位(例えば、
図1B~1C及び式Ia及びI~VIに記載される)であり、式Ic1又はIc2の構造によって表され、
【化33】
式中、
R
1~R
3は、本明細書で上に記載した通りであり、
q及びq
1は、独立して、0~16の整数であり、
ここで、当該モノマー単位は、無機コアの表面に直接、又は第3のリンカー(L
3)を介して化学的に結合している。
【0096】
別の実施形態において、本発明の抗菌粒子を調製するプロセスにおいて使用され得るリンカー分子は、式Id1又はId2の構造によって表され、
【化34】
式中、
Q
201、Q
202及びQ
203は、独立して、アルコキシ、メチル、エチル、水素、スルホネート及びハロゲン化物からなる群から選択され、ここで、Q
201、Q
202及びQ
203の少なくとも1つは、エトキシ、メトキシ、スルホネート(例えば、メシル、トシル)及びハロゲン化物から選択され、
qは、0~16の整数であり、
リンカー分子は、シリコン原子を介して無機コアの表面に化学的に結合することができ、
抗菌活性基は、一次アミンを官能化して、上記のような抗菌活性の第四級アンモニウム基を得ることによって導入する。
【0097】
別の実施形態において、本発明の抗菌粒子を調製するプロセスにおいて使用され得るリンカー分子は、式Ieの構造によって表され、
【化35】
式中、
Q
201、Q
202及びQ
203は、独立して、アルコキシ、メチル、エチル、水素、スルホネート及びハロゲン化物からなる群から選択され、ここで、Q
201、Q
202及びQ
203の少なくとも1つは、エトキシ、メトキシ、スルホネート(例えば、メシル、トシル)及びハロゲン化物から選択され、
Wは、アリーレン-NH
2、ベンジレン-NH
2、ハロゲン化物、スルホネート及び ヒドロキシルからなる群から選択され、
qは、0~16の整数であり、
当該リンカーは、シリコン原子を介して当該無機コアの表面に化学的に結合することができ、
抗菌活性基は、基Wを抗菌活性基で置き換えるか、又は基Wを抗菌活性基に変換することによって導入される。
【0098】
本発明の粒子は、増強された抗菌活性を実証する。理論又はメカニズムに縛られることなく、そのような活性は、所与のコアの表面に密集した抗菌基、及びホスト材料の表面に密集した高密度の粒子に由来すると仮定できる。この密度は、本発明の粒子中の各抗菌活性単位が、増加する数の抗菌活性基を含み、活性官能基の局所的な高濃度をもたらすにつれて、増加し、それが効果的な高い濃度の抗菌活性官能基をもたらし、比較的少量の粒子の使用での、効果的な細菌の消滅の達成を可能にする。抗菌基の密集は、とりわけ、各粒子表面から突き出た多数の抗菌活性単位に起因する。したがって、抗菌基は、粒子の利用可能な表面積(表面を占める幅寸法)の大部分を占める。抗菌基の表面密度は、抗菌抑制効果を促進する高い有効濃度をもたらす。本発明の原理によれば、高い表面密度は、高い抗菌効率を決定付ける。
【0099】
本明細書で使用される「ナノ粒子」という用語は、約1,000nm未満の直径を有する粒子を指す。本明細書で使用される「微粒子」という用語は、約1,000nm以上の直径を有する粒子を指す。
【0100】
本発明の抗菌粒子は、約5~約100,000nmの直径を有することによって特性決定され、したがって、ナノ粒子及びマイクロ粒子の両方の組成物を包含する。好ましくは、約10~約50,000nmの粒子である。他の実施形態では、粒子は直径1,000nmを超える。他の実施形態では、粒子は直径10,000nmを超える。他の実施形態では、粒子は、直径1,000~50,000nmである。他の実施形態では、粒子は直径5~250nmである。他の実施形態では、粒子は直径5~500nmである。別の実施形態では、粒子は、直径5~1000nmである。他の粒子サイズ範囲が適用可能であり、本発明の範囲内に含まれることは当業者には明らかである。
【0101】
テルペノイド基を含む抗菌活性基
一実施形態では、本発明の抗菌活性基は、少なくとも1つのテルペノイド基を含む。一実施形態では、抗菌活性基のR
3、R
5~R
8、R
3’及び/又はR
5’~R
8’[構造(I)及び(Ia)で定義される、-
+N(R
1)(R
2)(R
3)、-
+N(R
1’)(R
2’)(R
3’)、
【化36】
]はテルペノイド部分である。別の実施形態では、本発明の抗菌活性基は、少なくとも1つのテルペノイド基を含み、並びに/あるいは本明細書において上で定義されるように、抗菌活性基のR
3、R
5~R
8、R
3’及び/又はR
5’~R
8’がテルペノイド部分である場合、コアは多面体のオリゴマーシルセスキオキサン(POSS)である。
【0102】
「イソプレノイド」としても知られる「テルペノイド」という用語は、5炭素イソプレン単位に由来する天然に存在する化合物の大きなクラスを指す。「テルペノイド部分」は、テルペノイドから誘導される。
【0103】
いくつかの実施形態では、テルペノイド部分は「テルペノイジル」、すなわち1つの基に直接結合するか(例えば、シンナミル、
【化37】
)又は「テルペノイジレン」、すなわち2つの基に直接結合している(例えば、シンナミレン、例えば
【化38】
)。一実施形態では、テルペノイド部分は3つ以上の基に直接結合している。一実施形態では、テルペノイド部分は、シンナムアルデヒド、ケイ皮酸、クルクミン、ビスシドン又はシンナミルアルコールから誘導されるシンナミル又はシンナミレン基である。別の実施形態において、テルペノイド部分は、樟脳、ハロゲン化ボルニル又はボルニルアルコールから誘導されるボルニル又はボルニレン基である。別の実施形態では、テルペノイド部分はシトラールに由来する。別の実施形態では、テルペノイド部分は、ペリルアルデヒドに由来する。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0104】
シンナムアルデヒドは、シナモマム(Cinnamomum)属から抽出された天然アルデヒドである。毒性が低く、様々な細菌や真菌に対する有効性で知られている。
【0105】
樟脳は、クスノキ(Cinnamomum camphora)、及び竜脳樹の木材でみられる。それはまた、月桂樹ファミリーの他のいくつかの関連する木、例えばOcotea usambarensis、及び他の天然資源でも発生する。樟脳は、テレビン油から合成的に製造することもできる。樟脳は、R又はSエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、及びラセミ混合物として見出すことができる。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0106】
シトラール、又は3,7-ジメチル-2,6-オクタジエナール又はレモナールは、2つのジアステレオマーテルペノイドの混合物である。2つの化合物は二重結合異性体である。E-異性体は、ゲラニアール又はシトラールAとして知られている。Z-異性体は、ネラール又はシトラールBとして知られている。シトラールは抗菌活性があることが知られている。
【0107】
ペリルアルデヒドは、ペリラアルデヒドとしても知られ、一年生草本シソに最も多く見られる天然テルペノイドであり、他の広範囲の種類の植物及びエッセンシャルオイルに含まれている。
【0108】
テルペノイドの他の例には、クルクミノイド、ウコン及びカラシナの種子、Cymbopogon(レモングラス)で見出されるシトロネラール及びOriganum vulgare(オレガノ)で見出されるカルバクロール、タイム、コショウソウ、ヤグルマハッカ、及びメキシコオルガノが含まれるがこれだけに限定されない。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0109】
上記の実施形態によれば、抗菌活性テルペノイド部分は、
【化39】
からなる群から選択される。
それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0110】
本発明の原理による抗菌活性第四級アンモニウム基の非限定的な例は、
【化40】
であり、
式中、R
1及びR
2は、独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、
Rは、アルキル、アリール、シクロアルキル、複素環、又はそれらの任意の組合せである。
【0111】
本発明の抗菌活性基は、本明細書で上に記載したように、第四級アンモニウム塩又はピリジニウム塩の形態であり得る。そのような基は正に帯電しているので、それらの電荷はアニオンとバランスが取れている。アニオンの非限定的な例には、ハロゲン化物、例えばフッ化物、塩化物、臭化物又はヨウ化物及びフッ化物、重炭酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、メシル酸塩、トリフラート、トシラート、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩及び硫酸塩が含まれる。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0112】
一つの長アルキル基を含む抗菌活性基
一実施形態では、本発明の抗菌活性基は、抗菌活性基のR
5~R
8及び/又はR
5’~R
8’として4~24個の炭素原子を有する1つのアルキル基[構造(I)及び(Ia)で定義される、
【化41】
]を含む。別の実施形態では、アルキル基は、4~6、4~8、4~10、4~12、4~14、4~16、4~18、4~20、4~22、8~12、12~16、16~24、18~24、10~24、10~20又は10~18個の炭素原子を有する。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0113】
「第四級アンモニウム基」という用語は、それに結合した4つの置換基(水素とは異なる)を有する窒素原子からなる原子の基を指す。別の実施形態では、「第四級アンモニウム基」は、4つの基を有する窒素原子からなる原子の基を指し、各基は、炭素原子を介して窒素に結合している。「長アルキル基」又は鎖という用語は、第四級アンモニウム基の窒素原子上で置換されているか、又はピリジナムの置換基として見出され、4~24個の炭素原子を有するそのようなアルキル基又は鎖を指す。いくつかの現在好ましい実施形態において、アルキル基は、4~18個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの現在好ましい実施形態において、アルキル基は、4~10個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの現在好ましい実施形態において、アルキル基は、12~16個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの現在好ましい実施形態において、アルキル基は、16~24個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの現在好ましい実施形態において、アルキル基は、18~24個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの現在好ましい実施形態において、アルキル基は、10~24個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの現在好ましい実施形態において、アルキル基は、4~12個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの現在好ましい実施形態において、アルキル基は、4~8個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの現在好ましい実施形態において、アルキル基は、4~10個の炭素原子を有するアルキル基である。他の現在好ましい実施形態において、アルキル基は、6、7、又は8個の炭素原子を有するアルキル基であり、本発明の別個の実施形態をそれぞれ示す可能性がある。
【0114】
有機ポリマーコア
いくつかの実施形態では、抗菌粒子のコアは、有機ポリマーコアである。一実施形態では、有機コアは、少なくとも1つの脂肪族ポリマーを含む。本発明の範囲内で使用される「脂肪族ポリマー」は、芳香族側基を含む(ただしこれらに限定されない)様々な側基で置換され得る脂肪族モノマーからなるポリマーを指す。本発明による粒子に含まれる得る脂肪族ポリマーは、ポリマーバックボーンの一部として窒素原子(及び他のヘテロ原子)を含む。一実施形態では、粒子のコアは、構造Iについて定義されるように、R1、R2、R3、R1’、R2’及び/又はR3’で置換することができるアミンを含む、又はアミンに化学的に修飾され、次に構造Iについて定義されるように、R1、R2、R3、R1’、R2’及び/又はR3’で置換されたイミンを含む有機ポリマーコアである。脂肪族ポリマーの非限定的な例は、ポリスチレン(PS)、架橋PS、塩素化架橋PS、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン(PVA)、ポリ(アリルアミン)(PAA)、ポリ(アミノエチルアクリレート)、保留中のアルキルアミノ基を有するポリペプチド及びキトサンである。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。現在好ましい一実施形態では、ポリマーはポリエチレンイミン(PEI)である。
【0115】
別の実施形態では、有機コアは、以下の群、ポリスチレン、アミノメチル化スチレンポリマー、芳香族ポリエステル、好ましくはポリエチレンテレフタレート、及びポリビニルピリジンから選択される少なくとも1つの芳香族ポリマーを含む。
【0116】
ポリマーコアは、抗菌活性部分に直接(すなわち、構造(I)~(VII)において:L3は結合である)又はリンカーを介して結合することができる。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0117】
一実施形態では、有機ポリマーコアは、2つ以上の異なる有機ポリマーの組合せを含む。別の実施形態では、有機ポリマーコアはコポリマーを含む。
【0118】
いくつかの実施形態において、抗菌活性単位は、有機ポリマーコアに直接(L
3は結合である)、又はリンカー(L
3)を介して結合している。これらの実施形態において、リンカーは、以下から選択され得る。
(a)少なくとも1つのカルボキシル部分で置換されたC1~C18アルキレン。このリンカーは、少なくとも1つのカルボキシル部分及び少なくとも1つのアミノ部分で置換されたアルキレンに由来し得、ここで、カルボキシル末端はコアに結合し、アミノ末端は抗菌活性基[構造(I)及び(Ia)で定義される、-
+N(R
1)(R
2)(R
3)、-
+N(R
1’)(R
2’)(R
3’)、
【化42】
]に修飾される。このリンカーは2~18個の炭素原子の鎖長を有する天然又は合成の供給源のアミノ酸、又は当該アミノ酸のハロゲン化アシルに由来する。そのようなアミノ酸の非限定的な例は、18-アミノオクタデカン酸及び18-アミノステアリン酸である。
(b)C1~C18アルキレン。このリンカーは、ジハロアルキレンに由来し得、これは、コアに結合する官能基にハロゲン部分を置き換えること、及びハロゲン部分の置き換えによって[構造(I)及び(Ia)で定義されている、-
+N(R
1)(R
2)(R
3)又は-
+N(R
1’)(R
2’)(R
3’)]を得ることによって、コア及び抗菌活性基で各末端においてそれぞれ官能化される。(c)4,4-ビフェノール、ジ安息香酸、ジ安息香酸ハロゲン化物、ジ安息香酸スルホネート、テレフタル酸、テレフタル酸ハロゲン化物、及びテレフタル酸スルホネートから誘導された芳香族分子。このリンカーは、その官能基(すなわち、ヒドロキシル、カルボキシ又はスルホネート)を介して、それぞれコア及び抗菌活性基で官能化されている。別の実施形態では、このリンカーは、一端でコアに結合し、他端で抗菌活性基[構造(I)及び(Ia)で定義される、-
+N(R
1)(R
2)(R
3)、-
+N(R
1)(R
2’)(R
3’)、
【化43】
]へと修飾される。別の実施形態では、リンカーは、アルキル、アルケニル、アルキルホスフェート、アルキルシロキサン、カルボキシレート、エポキシ、ハロゲン化アシル及び無水物、又はそれらの組合せであり、官能基はコアに結合している。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0119】
様々なポリマー鎖は、それ自体が様々なポリマー特性の蓄積である可能性がある一連の特性を提供し得、予想外の相乗的特性を提供する可能性さえある。そのような混合ポリアミン粒子の例には、ジハロアルカンを介したポリエチレンイミン及びポリ(4-ビニルピリジン)等の脂肪族及び芳香族ポリアミンの架橋、直鎖短鎖及び分岐高分子量ポリエチレンイミンの混合物、架橋ポリビニルピリジン粒子内に埋め込まれたポリエチレンイミン等のポリアミン足場内のポリアミンの相互貫入組成物、又は更にはポリスチレン粒子等の低密度非アミン足場へのポリアミンの相互貫入が挙げられる。言い換えれば、化学的架橋又は物理的架橋(相互貫入ネットワーク)のいずれかによって粒子を形成する目的でポリアミンの組合せを使用すると、様々な特性の構造が得られる可能性がある(ある細菌を別の種類の細菌に対して、よりよく殺すことができる等)。このような特性は、本質的に相加的又は相乗的であり得る。
【0120】
1つの特定の実施形態では、有機ポリマーコアは、架橋剤で架橋されている。約2%~約5%の架橋が好ましい場合、好ましい架橋度は1%~20%である。架橋は、ポリマーの展開及び粒子を形成する様々なポリマー鎖の分離を妨げる可能性がある。
【0121】
有機合成及びポリマー科学の当業者に知られているように、架橋は、当技術分野でそれ自体が知られている様々な薬剤及び反応によって影響を受ける可能性がある。例えば、架橋は、ジブロモエタン、ジブロモシクロヘキサン、又はビス-ブロモメチルベンゼン等のジハロアルカンでポリマー鎖をアルキル化することによって影響を受ける可能性がある。あるいは、還元的アミノ化による架橋を使用することができる。この方法では、第一級アミンを含むポリアミンをジケトン又はアルカンジアルデヒドと反応させて、イミン架橋剤を形成し、これを更に水素化して対応するアミンを形成する。このアミンは更に反応して、抗菌効果のある第四級アンモニウム基を形成する。そのような方法では、ジハロアルカン又はジアルデヒドの代わりに、トリ若しくはポリハロアルカン又はポリアルデヒド又はポリケトンが使用される。
【0122】
本発明によるポリマーコアの作製に有用な好ましいポリマーは、30個のモノマー単位、好ましくは10%未満の架橋剤を使用して架橋することができる100個のモノマー単位からなる鎖を有するものである。ポリマーが長いほど、不溶性のコアを生成するために必要な架橋結合は少なくなる。不溶性コアを形成するために少量の架橋が必要とされるため、分岐ポリマーが架橋に好ましい。
【0123】
いくつかの実施形態において、有機ポリマーコア中のアミン基の少なくとも約10%は、本明細書に記載されるように、抗菌活性の第三級アミン/アンモニウム又は第四級アンモニウム基あるいはそれらの塩である。
【0124】
一実施形態では、本発明による抗菌粒子は、ホストポリマー又はそのモノマーと反応することができる官能基を有する。このような官能基は、粒子がホスト材料に化学的に結合できるように設計されている。
【0125】
無機コア
いくつかの実施形態では、本発明の抗菌粒子のコアは、1つ又は複数の無機材料を含む無機コアである。無機コアには、有機ポリマーコアに比べていくつかの利点がある。1)高温における安定性が高い。2)様々な溶媒及び試薬に対するより高い化学的安定性。3)機械的強度の向上。4)両親媒性のため、複合材料の取り扱い品質が向上する。5)低コスト。
【0126】
無機コアの追加の利点は、ポリマーマトリックス(ホスト)内のポリマー材料への官能化粒子の挿入に関連している。ラジカル重合によって生成される有機コア(例えば、アクリレート樹脂)とは対照的に、無機コアは、重合プロセスを妨害せず、したがって、重合反応を妨害する傾向がある有機ポリマーコアとは対照的に、最終物質の機械的特性を危うくしない。
【0127】
一実施形態では、無機コアは、シリカ、ガラス、ガラス粉末、金属、金属酸化物、セラミック材料、又はゼオライトを含む。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0128】
一実施形態では、本発明の粒子のコアは、シリカ(SiO2)を含む。シリカは、当技術分野で知られている任意の形態であり得、その非限定的な例には、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)、非晶質シリカ、高密度シリカ、エアロゲルシリカ、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ及びヒュームドシリカが含まれる。
【0129】
粒子表面上の活性基の表面密度は、その抗菌活性に比例的影響を及ぼす。これは、有機粒子及び無機粒子の両方に同じように当てはまる。別の実施形態では、本発明の粒子のコアは、シリケート(SiO4
-4)のガラス又はセラミックを含む。シリケートの非限定的な例には、アルミノシリケート、ボロシリケート、バリウムシリケート、バリウムボロシリケート及びストロンチウムボロシリケートが含まれる。
【0130】
別の実施形態では、本発明の粒子のコアは、銀、金、白金、パラジウム、銅、亜鉛、及び鉄の群から選択される表面活性化金属を含む。
【0131】
別の実施形態では、本発明の粒子のコアは、二酸化ジルコニウム、二酸化チタニウム、二酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化銅、及び磁鉄鉱の群から選択される金属酸化物を含む。
【0132】
無機コアは、典型的には、低多孔性を有する固体の均一な形態、又は約1~約30nmの細孔直径を有する多孔性形態を有する。
【0133】
別の実施形態では、本発明の粒子のコアは、天然又は人工のゼオライトを含む。
【0134】
一実施形態では、セラミック材料の非限定的な例には、酸化物(例えば、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ジルコニウム)、炭化物(例えば、炭化ケイ素、炭化チタニウム)、窒化物(例えば、窒化チタン、窒化ホウ素)、及びホウ化物(例えば、二ホウ化マグネシウム)が含まれる。
【0135】
一実施形態では、コアは、抗菌単位に直接(すなわち、構造(I)~(VII)において、L3は結合である)、又はリンカー(L3)を介して結合することができる。好ましくは、シリカ(SiO2)系無機コアは、リンカー(L3)を介して抗菌部分に付着することができ、一方、シリケート(SiO4
-4)、金属又は金属酸化物のガラス又はセラミックは、抗菌単位に直接(すなわち、構造(I)~(VII)において、L3は結合である)結合することができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、無機コアは、抗菌単位に直接(すなわち、構造(I)~(VII)において、L3は結合である)結合することができる。他の実施形態では、無機コアは、リンカーを介して抗菌単位に結合している。いくつかの実施形態において、リンカーは、以下の群、C1~C18アルキレン、少なくとも1つのシラン又はアルコキシスリアン部分で置換されたC1~C18アルキレン、少なくとも1つのホスフェート部分で置換されたC1~C18アルキレン、少なくとも1つの無水物部分で置換されたC1~C18アルキレン、少なくとも1つのカルボキシレート部分で置換されたC1~C18アルキレン、及び少なくとも1つのグリシジル部分で置換されたC1~C18アルキレンから選択される。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0137】
上記のような粒子の無機コアは、一般に、球、非晶質多角形、薄いフレーク様、及びロッドから選択される形態であり得る。いくつかの代表的な実施形態では、無機コアは球形であり、約5~約100,000nmの直径を有する。いくつかの代表的な実施形態では、無機コアは球形であり、約1000~100,000nmの直径を有する。いくつかの代表的な実施形態では、無機コアは球形であり、直径が約100~1000nmであり、細孔直径が約1から約100nmである。別の実施形態では、無機球状コアは、約1~約50nmの細孔径を有する。別の実施形態では、無機球状コアは、約1~約30nmの細孔径を有する。別の実施形態では、無機粒子は、約5~約1,000nmの直径及び約10~約1,000,000nmの長さを有するロッドの形態である。別の実施形態では、50~100,000nmの長さである。別の実施形態では、100~250,000nmの長さである。別の実施形態では、200~500,000の長さ及び約1~約50nmの細孔直径である。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0138】
1つの抗菌活性部分ごとに1つのモノマー単位を含む抗菌粒子の調製
本発明の粒子は、コアの性質、抗菌活性基、及びリンカーの有無に応じて、様々なプロセスに従って調製することができる。調製方法のいくつかの非限定的な例を以下に提供する。
【0139】
一実施形態では、本発明は、粒子が、1つの抗菌活性単位当たり1つのモノマー単位を含む、抗菌粒子の調製プロセスを提供する。以下では、そのようなプロセスについて詳細に示す。
【0140】
抗菌活性基が第四級アンモニウム基である、本発明による粒子を調製するための代表的な方法が
図2に示されている。
図2に従って、本明細書で定義されるコアは、第一級アミンで官能化されている。第一級アミンはアルデヒドと反応して最初に式(A’)のイミン(シッフ塩基)中間体を生成し、次にこれが還元的アミノ化条件下で第2のアルデヒドと反応して式(B’)の第三級アミンを生成する。R及びR’はそれぞれ独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、1-アルケニル又は1-アルキニルであり、式中、Rはアルキル、アリール、シクロアルキル、複素環又はそれらの任意の組合せである。第三級アミンの第四級アンモニウム基への変換は、第三級アミンと基R
1-Yとの反応を含み、式中、R
1は、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せであり、Yは、ハロゲン又はスルホネート等の脱離基であり、式中、Rはアルキル、アリール、シクロアルキル、複素環、又はそれらの任意の組合せである。
【0141】
基
【化44】
が以下のうち1つ又は複数を示し得ることが理解される。
1.直接NH
2に結合した有機コア。
2.本明細書に記載のリンカーを介してNH
2に結合した有機コア。
3.直接NH
2に結合した無機コア。
4.本明細書に記載のリンカーを介してNH
2に結合した無機コア。
【0142】
例示された反応(
図2)は、「ワンポット合成」であり得るか、又は最初の工程で形成された中間体の単離を伴う2つの連続した反応を含み得る。最初の工程は、還元剤の存在下でアミン官能化コアをRCHOと反応させることにより、イミン(シッフ塩基)である中間体(A’)を形成することである。イミン官能化コアは、必要に応じてこの段階で単離することができる。あるいは、還元剤の存在下で中間体(A’)をR’CHOと更に反応させると、R及びR’部分を含む第三級アミン(B’)が得られる。第四級アンモニウムを得るために、
図2に記載されているように追加のアルキル化工程を行う。
【0143】
抗菌活性基が1つのベンジル基を含む第四級アンモニウム基である、本発明による粒子を調製するための代表的な方法が、
図3A~Cに示されている。この方法には、第4級アンモニウム塩(QAS)官能化粒子を調製するための3つの経路が含まれる。
図3A)はR
1-Y/R
2-Yで反応させて、第三級アミンを生成し、続いてベンジル化反応させる。
図3B)
図3A)と同様の経路で、逆の順序で実行する。
図3C)脱離基(例えば、Cl又は他のハロゲン)で官能化されたリンカーを第三級アミンと反応させる。R
1及びR
2は、独立して、メチル、CF
3、ペルハロアルキル、アリール、ベンジル、2,2-二置換C
3~C
20アルキル、2,2,2-三置換エチル、-CH
2C(=O)OR、-CH
2C(=O)OC(=O)R、-CH
2C(=S)OR、-CH
2C(=O)SR、-C(=O)OR、-C(=O)OC(=O)R、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=O)-R、-C(=S)-R、-CH
2C(=O)R、-CH
2C(=S)R、-CH
2CF
3、-CH
2NO
2、1-アルケニル、1-アルキニル、2-アルケニル、2-アルキニル又はそれらの任意の組合せである。Yは、任意の脱離基、例えばCl、Br、I、又はスルホネート(例えば、メシル、トシル)を表す。
【0144】
基
【化45】
が、
図2について上に記載したような意味のうちのいずれか1つを有することが理解される。
【0145】
基
【化46】
が以下のうち1つ又は複数を示し得ることが理解される。
1.直接Yに結合した有機コア。
2.本明細書に記載のリンカーを介してYに結合した有機コア。
3.Yに直接結合した無機コア。
4.本明細書に記載のリンカーを介してYに結合した無機コア。
【0146】
コアの官能化は、固体支持体法又は溶液支持法によって起こる可能性がある。
【0147】
1つの抗菌活性部分ごとに1つのモノマー単位を含む抗菌粒子の調製方法としての固体支持体
官能化粒子の調製は、2つの一般的な工程で行う。最初に、リンカー分子は、脱離基の加水分解を介して粒子表面に凝縮して(表面官能化)、式D’の中間体を得る(
図4、D’)。第2に、リンカー分子の官能部位は、(
図2~3)のいずれか1つに記載されているように更なる官能化(リンカー官能化)を経て、式(E’)の官能化粒子を得る。
【0148】
1つの抗菌活性部分ごとに1つのモノマー単位を含む抗菌粒子の調製方法としての溶液支持体
この方法では、リンカー分子は最初に抗菌活性基で官能化され、式(
図4、F’)の中間体を得る。第2段階では、中間体(F’)が粒子の固体表面に沈降し(表面官能化)、式(
図4、E’)の官能化粒子を得る。
【0149】
1つの抗菌活性単位当たり複数のモノマー単位を含む抗菌粒子の調製
一実施形態では、本発明は、粒子が、1つの抗菌活性単位当たり複数のモノマー単位を含む、本発明の複合材料の粒子の調製プロセスを提供する。以下では、そのようなプロセスについて詳細に示す。
【0150】
1つの抗菌活性単位ごとに複数のモノマー単位を含む抗菌粒子の調製方法としての固体支持体
固体支持体法は、いくつかの段階を含む。最初に、リンカー分子(数パーセントの希薄溶液)が、脱離基の(酸触媒による)加水分解を介して粒子表面に凝縮(表面官能化)して、リンカーのコアへの結合をもたらす(
図5、工程1)。第2に、結合したリンカーが伸長する。別の実施形態では、この段階は、1つの工程又は複数の工程を介して合成的に達成される。別の実施形態では、伸長は、二官能化アルカン及びジアミノアルカンの逐次添加によって達成され、(結合リンカー及びジアミノアルカンの)アミンが、二官能化アルカンの求電子中心を攻撃する(
図5、工程2及び3)。別の実施形態では、そのような逐次添加は、任意に1~10回繰り返される。最後に、抗菌活性基(通常はアリーレンに結合)が、得られた結合及び伸長したリンカーにグラフト化される。別の実施形態において、グラフト化は、結合及び伸長リンカー上のアミンが、グラフト化された抗菌活性基の分子のハロゲン化アシル部分を攻撃する時に達成される(
図5、工程4)。
【0151】
別の実施形態では、同じトリアルコキシシランリンカー分子が最初に使用されるが、より高い濃度(≧10重量%)であり、基本的な触媒作用の下で最初に自己重合する(
図6A)。固体支持リンカーの官能化は、1つの抗菌活性単位当たり1つのモノマー単位を含む粒子について本明細書で上に記載した手順と同様に進行する(
図2~4)。
【0152】
1つの抗菌活性単位ごとに複数のモノマー単位を含む抗菌粒子の調製方法としての溶液法
溶液法はいくつかの段階を含む。最初の工程は、リンカー分子の伸長を含む。別の実施形態では、この段階は、1つの工程又は複数の工程を介して合成的に達成される。別の実施形態では、伸長は、二官能化アルカン及びジアミノアルカンの逐次添加によって達成され、(リンカー及びジアミノアルカンの)アミンが、二官能化アルカンの求電子中心を攻撃する(
図7、工程1及び2)。別の実施形態では、そのような逐次添加は、任意に1~10回繰り返される。第2の段階では、抗菌活性基(通常はアリーレンに結合)が、得られた伸長したリンカーにグラフト化される。別の実施形態において、グラフト化は、伸長リンカー上のアミンが、グラフト化された抗菌活性基の分子のハロゲン化アシル部分を攻撃する時に達成される(
図7、工程3)。最後に、伸長した抗菌活性リンカーは、その官能化を介してコアに結合する。この工程では、リンカー分子(数パーセントの希薄溶液)が、脱離基の(酸触媒による)加水分解を介して粒子表面に凝縮(表面官能化)して、リンカーのコアへの結合をもたらす(
図7、工程4)。
【0153】
このプロセスは、ジメチルベンジルアンモニウムで官能化されたシリカに関する
図8~9に例示されているが、他のヒドロキシル末端コア及び抗菌活性基に適用可能である。
【0154】
別の実施形態では、同じトリアルコキシシランリンカー分子が最初に使用されるが、より高い濃度(≧10重量%)であり、基本的な触媒作用の下で最初に自己重合する(
図6B)。リンカーの官能化は、1つの抗菌活性部分ごとに1つのモノマー単位を含む粒子について本明細書で上に記載した手順と同様に進行する(
図2~4)。
【0155】
コア粒子の調製
いくつかの実施形態では、1つの抗菌活性部分当たり1つ又は複数のモノマー単位を含む本発明の複合材料の粒子は、以下に従って調製されるコアを含む。
【0156】
多孔質シリカ材料は、SiCl4をアルコール又は水と反応させ、続いて遠心分離を使用して乾燥し、及び/又は気流を利用して、若しくは真空条件下で加熱することによって調製することができる。緻密なヒュームドシリカ粒子(発熱性)を、SiCl4の熱分解によって調製した。
【0157】
シリカコア材料の代替調製方法は、アルコール又は水溶液の存在下及び塩基性(ストーバー)又は酸性触媒条件下で、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)又はテトラメチルオルトシリケート(TMS)を加水分解することによって実施することができる。
【0158】
メソポーラスシリカ粒子は、TEOS又はTMSを低温、好ましくは60℃を超えない温度で加水分解した後、遠心分離及び/又は空気流若しくは真空条件下の蒸発によって脱水することによって調製できる。
【0159】
か焼と呼ばれるプロセスで強烈な加熱を利用して、高密度の粒子を調製することができる。通常、このようなプロセスは約250℃の高温で行われる。
【0160】
本発明の粒子を含む組成物
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、本発明の抗菌粒子と、有機ポリマー、無機ポリマー、又はそれらの任意の組合せを含むポリマー材料と、とを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子は、ポリマー材料に分散している。別の実施形態では、粒子は、ポリマー材料内に均一に分散している。別の実施形態では、粒子は、ポリマー材料の表面に見られる。別の実施形態では、粒子はポリマー材料をコーティングする。別の実施形態では、粒子は、ポリマー材料と弱く又は物理的に(機械的に)相互作用する。別の実施形態では、抗菌粒子は、ポリマー材料内に機械的に埋め込まれている。別の実施形態では、これらの粒子は、ポリマー鎖間で三次元的に「ロック」されており、それらが複雑なネットワークから移動するのを防止している。これらの粒子の強い疎水性は、生理学的、歯科的、整形外科的又は他の医療用途の場合等、粒子が親水性の周囲に移動するのを防ぐ役割も果たす。別の実施形態では、ポリマー材料は粒子に対して不活性であり、粒子と反応しない。一実施形態では、粒子は、ポリマー材料の部分と反応することができる官能基を含む。別の実施形態では、粒子はポリマー材料と化学的に相互作用する。別の実施形態では、粒子は、異なる粒子の混合物である。
【0161】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、本発明の抗菌粒子と、有機ポリマー、無機ポリマー、又はそれらの任意の組合せを含むポリマー材料と、とを含む。別の実施形態では、ポリマー材料は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、又はそれらの任意の組合せを含む。別の実施形態では、有機ポリマーは、ヒドロゲル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリスチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、エポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリレート樹脂、ポリウレタン、又はそれらの任意の組合せを含む。別の実施形態では、無機ポリマーは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等のシリコーンポリマー、セラミック、金属、又はそれらの任意の組合せを含む。別の実施形態では、ヒドロゲルはポロキサマー又はアルギネートである。別の実施形態では、市販のポロキサマーが使用されるか、又はポリマーと他の試薬との間の反応によって形成される。別の実施形態では、ポリマーは、反応性末端基(PEG-ジグリシジルエーテル中のエポキシド等)を有するポリ(エチレングリコール)(PEG)であり、試薬は、複数の反応性部位(例えば、ジエチレントリアミン)を有する。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0162】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料に対する粒子の重量比は、0.25~5%である。別の実施形態では、重量比は、0.5~2%である。別の実施形態では、重量比は、1~5%である。
【0163】
本発明の文脈で使用される別のポリマー材料は、歯科、外科、手術及び整形外科的複合材料において使用される樹脂である。このような用途では、抗菌粒子を最初に樹脂部分内に分散させるか、フィラー又はその他の固体成分(存在する場合)と同時に添加することができる。これらの樹脂のほとんどは、in vivoで重合するアクリル又はエポキシタイプのモノマーである。
【0164】
一実施形態では、本発明は、印刷に使用するための本発明の抗菌粒子を含む組成物を提供する。別の実施形態では、3D印刷である。
【0165】
本発明の組成物の調製
いくつかの実施形態では、本発明の複合材料は、抗菌粒子を本発明のポリマー材料に埋め込むことによって調製される。別の実施形態では、1種類の粒子がポリマー材料に埋め込まれている。別の実施形態では、異なる種類の粒子の組合せがポリマー材料に埋め込まれている。いくつかの実施形態では、埋込みは、様々な方法論によって達成され得る。
【0166】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子をポリマー材料に埋め込むことは、2つの方法論によって達成される。A)押出成形技術であり、粒子は、溶融熱可塑性ポリマーに、押出機、好ましくはツインコーン押出機に添加される。B)熱可塑性又は熱硬化性ポリマーを、有機溶媒(非限定的な例として、キシレン、トルエン、それらの誘導体又はそれらの任意の組合せを含む)中で、還流条件下で加熱して、ポリマーの完全な溶解を達成する。次に、抗菌粒子をポリマーに使用したものと同じ溶媒に分散させ、混合物を、オーバーヘッドスターラ又はホモジナイザを使用して、溶解したポリマーに添加する。ポリマー内に粒子が完全に分散した後、従来の蒸留又は蒸発法を使用して溶媒を蒸発させる。
【0167】
いくつかの実施形態では、官能化微粒子をシリコーン系ポリマー材料に埋め込むことは、いくつかの方法論によって達成される。A)シリコーン前駆体の室温加硫(RTV)が達成され、粒子は、0.5~8重量%の粒子/シリコーンポリマーの最終濃度で最終硬化する前に、未重合又は予備重合シリコーンに組み込まれる。別の実施形態では、硬化は水分によって活性化される。別の実施形態では、硬化は熱によって活性化される。B)シリコーン前駆体のRTVが達成され、重合は、重合混合物の2つの成分を混合することによって誘導される。別の実施形態では、粒子は、0.5~8重量%の粒子/シリコーン最終濃度で両方の部分に組み込まれるか、又は2倍の濃度で部分の1つに、0.5~8重量%の粒子/シリコーンポリマーの最終濃度を得るように組み込まれる。
【0168】
したがって、いくつかの実施形態によれば、本発明は、上記のようにポリマー材料に複数の抗菌粒子を埋め込むことを含む組成物を調製するための方法を提供し、粒子は材料に埋め込まれ、本方法は、上記のような粒子を、押出成形を利用して溶融ポリマー材料に、又は溶媒中のポリマー溶液に、又は粒子及びポリマー前駆体との重合を介して添加する工程を含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、本発明による粒子は、ポリマー材料の外面に、1平方マイクロメートル当たり約0.1~約100粒子の表面濃度で均一に分布している。別の実施形態では、本発明による粒子は、ポリマー材料の外面に、1平方マイクロメートル当たり約1~約100粒子の表面濃度で均一に分布している。「均一分布」という用語は、1平方um当たりの粒子数の標準偏差が1平方マイクロメートル当たりの平均粒子数以下であることを特徴とする分布を表すために使用される。再現性及び製品仕様のために、均一な分布が好ましい。分布が均一でない場合、製品は領域によって異なる特性を示す可能性がある。外面から離れた粒子の分布、すなわちそれらのバルク濃度は、外面上のものと同様であり得る。原則として、粒子の全表面は、好ましくは、材料の表面の最大で約20%、好ましくは1%~15%、より好ましくは1%~5%、そして最も好ましくは約1%~3%の間を占める。
【0170】
いくつかの実施形態によれば、平均して、ポリマー材料の外面の平方マイクロメートルごとに、本発明の少なくとも1つの粒子を有する。
【0171】
組成物及びその使用方法
本発明の別の態様によれば、細菌を本発明の抗菌粒子、又は本発明の粒子(複数可)を含む組成物又は医薬組成物と接触させることによって、細菌を阻害するための方法が提供される。「阻害」という用語は、少なくとも99%、好ましくは99.9%、最も好ましくは99.99%の細菌の破壊、すなわち消滅、細菌の増殖速度の低下、細菌の集団のサイズの減少、細菌の増殖の防止、細菌に取り返しのつかないダメージを与えること、そのような細菌のバイオフィルムの破壊、既存のバイオフィルムの一部又は全体に、短期的又は長期的な損傷を誘発すること、そのようなバイオフィルムの形成を防ぐこと、バイオフィルム管理を誘発すること、又は、そのような集団又はバイオフィルムに影響を及ぼし、それに即時又は長期の損傷(部分的又は完全)を課す可能性のある他のいずれかの種類の結果をもたらすことを指す。
【0172】
「バイオフィルム」という用語は、固体表面に付着した生物種(細菌)の集団を指す。
【0173】
「抗菌(anti-microbial、anti-bacterial)」という用語は、本明細書では互換的に使用される。本発明の第四級アンモニウム及びピリジニウム基[構造(I)及び(Ia)で定義される、-
+N(R
1)(R
2)(R
3)、-
+N(R
1’)(R
2’)(R
3’)、
【化47】
]は、抗菌活性を提供する。第四級アンモニウム及びピリジニウムの活性は、どのpHにおいても依然として強い。アンモニウム及びピリジニウム官能基は、皮膚又は粘膜と接触して使用される場合、又は医薬組成物として使用される場合、軟組織の刺激等の望ましくない副作用を引き起こす可能性は低い。
【0174】
好ましい実施形態において、阻害は、細菌を、本発明による粒子又はそれらを含む組成物を最大5%w/w、より好ましくは最大1%含むマトリックスと接触させることによって達成される。
【0175】
一実施形態では、本発明は更に、本明細書において上で言及した抗菌粒子を含む組成物又は医薬組成物を提供する。別の実施形態では、組成物/医薬組成物は、1種類の粒子を含む。別の実施形態では、組成物/医薬組成物は、様々な種類の粒子の組合せを含む。一実施形態では、本発明の組成物/医薬組成物の非限定的な例は、歯科用接着剤、骨セメント、虫歯を埋めるためのあらゆる種類の複合材料系の材料等の歯科修復材料、歯根管治療で歯根管腔を埋めるための歯内充填材料(セメント及びフィラー)、暫定歯及び最終歯の修復又は交換に使用される材料、例えばこれだけに限定されないが、インレイ、アンレイ、クラウン、部分的義歯(固定又は取り外し可能)歯科インプラント、及び歯科で様々な既知の目的に使用される永久及び一時的なセメント、歯科及び整形外科用樹脂系のセメント、シーラー、複合材料、接着剤及びセメント、歯科修復用複合材料、骨セメント、歯磨き粉、ローション、手指消毒剤、皮膚科、創傷治療、又は化粧品産業で使用される軟膏及びクリーム、医療及び研究室用のプラスチックウェア、主に乳製品及び新鮮な肉と魚用の食品包装、医薬品の包装、バイオフィルムの成長を防止し、又は内部のバイオフィルム又は細菌を処理、分解、及び/又は死滅させる船舶用塗料、浴室用塗料、病院及び無菌室用塗料、水濾過媒体及び他の多くのものである。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、粒子又はそれを含む組成物は、歯科及び整形外科用樹脂系セメント、シーラー、複合材料、接着剤及びセメント、歯科及び整形外科用の金属インプラント及びワイヤー、外科縫合用、カテーテル、金属製の外科用ツール、非外科用医療用装置のために使用される。それぞれの可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0176】
一実施形態では、本発明の組成物又は複合材料は、本発明の粒子を含む、歯の表面に塗布されるワニス又はグレーズである、歯又はクラウンの修復物である。別の実施形態では、ワニス又はグレーズは、歯の表面、歯の修復物又はクラウンに対し、保護コーティング、ラッカー、表面的に磨かれた外観を提供する。別の実施形態では、ワニスはフッ化物の高濃度の形態のフッ化物ワニスであって、歯の表面に、局所フッ化物療法の一種として適用される。別の実施形態では、グレージングの目的は、焼成されたポーセレンの表面の開いた細孔を密閉することである。歯科用グレーズは無色のガラス粉末からなり、焼成したクラウンの表面に塗布して光沢のある表面を作り出す。グレージングされていない又はトリミングされたポーセレンは、接触する軟組織の炎症を引き起こす可能性もある。
【0177】
一実施形態では、本発明の組成物/医薬組成物は、クリーム、軟膏、ペースト、外傷用医療材料及びゲルからなる群から選択される形態であり、より好ましくは、組成物は、局所適用又は投与のために配合される。別の実施形態では、組成物は、口腔への投与を目的としている。組成物は、歯磨き粉として配合することができ、及び/又は歯科用クリーナー、衛生治療後の外傷用医療材料又はゲル、粘膜接着剤ペースト、歯科用接着剤、歯、虫歯を充填するための歯科修復用複合材料系の材料、歯根管治療における歯根管腔を充填するための歯科用修復用歯内充填材料、暫定的及び最終的な歯の修復又は交換に使用される歯科修復材料、歯科用インレイ、歯科用アンレイ、クラウン、部分的義歯、完全な義歯、デンタルインプラント及びデンタルインプラントアバットメントからなる群から選択される表面又は医療用装置に適用することができる。
【0178】
一実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に活性な成分を更に含む。別の実施形態において、薬学的に活性な成分の非限定的な例には、鎮痛剤、抗生物質、抗凝固剤、抗うつ薬、抗がん剤、抗てんかん薬、抗精神病薬、抗ウィルス薬、鎮静剤及び抗糖尿病薬が含まれる。別の実施形態では、鎮痛剤の非限定的な例には、パラセタモール、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、モルヒネ、オキシコドンが含まれる。別の実施形態では、抗生物質の非限定な例には、ペニシリン、セファロスポリン、シプロフォルキサシン及びエリスロマイシンが含まれる。別の実施形態では、抗凝固剤の非限定的な例には、ワルファリン、ダビガトラン、アピキサバン及びリバローキサバンが含まれる。別の実施形態では、抗うつ薬の非限定的な例には、セルトラリン、フルオキセチン、シタロプラム及びパロキセチンが含まれる。別の実施形態では、個人フォルダ\梶\9月\Morning\21PT8e362927\校正済\設楽さん\ ">抗がん剤の非限定的な例には、カペシタビン、マイトマイシン、エトポシド、及びペムブロリズマブが含まれる。別の実施形態では、抗てんかん薬の非限定的な例には、アセタゾラミド、クロバザム、エトスクシミド、及びラコサミドが含まれる。別の実施形態では、抗精神病薬の非限定的な例には、リスペリドン、ジプラシドン、パリペリドン、及びルラシドンが含まれる。別の実施形態では、抗ウィルス薬の非限定的な例には、アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビル及びザナミビルが含まれる。別の実施形態では、鎮静剤の非限定的な例には、アルプラゾラム、クロラゼプ酸、ジアゼパム及びエスタゾラムが含まれる。別の実施形態では、抗糖尿病薬の非限定的な例には、グリメピリド、グリクラジド、グリブリド及びグリピジドが含まれる。
【0179】
別の実施形態では、医薬組成物は更に賦形剤を含む。別の実施形態では、賦形剤は、結合剤、コーティング、潤滑剤、フレーバ、防腐剤、甘味料、ビヒクル、及び崩壊剤を含む。別の実施形態では、結合剤の非限定的な例には、糖類、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)及びポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。別の実施形態では、コーティングの非限定的な例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、多糖類、及びゼラチンが含まれる。別の実施形態では、潤滑剤の非限定的な例には、タルク、ステアリン、シリカ、及びステアリン酸マグネシウムが含まれる。別の実施形態では、崩壊剤の非限定的な例には、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)及び変性デンプンのデンプングリコール酸ナトリウムが含まれる。
【0180】
一実施形態では、本発明は、本明細書において上で言及したように、抗菌粒子が埋め込まれた、熱可塑性ポリマー及び/又はヒドロゲルを含む包装用組成物に向けられる。別の実施形態では、熱可塑性ポリマー及び/又はヒドロゲルは、2つ以上の異なる粒子の混合物が埋め込まれている。別の実施形態では、包装用組成物は、食品、飲料、医薬品成分、医療用装置、手術前の外科用機器、手術前用機器、化粧品、及び滅菌機器/材料の包装に使用される。
【0181】
一実施形態では、包装用組成物は、本明細書において上で言及したように、粒子が埋め込まれた、熱可塑性ポリマー及び/又はヒドロゲルを含む。別の実施形態では、熱可塑性ポリマーは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、エポキシ樹脂、又はアクリルポリマーである。別の実施形態では、熱可塑性ポリマーは、ポリメチルメタクリレート又はポリウレタンである。
【0182】
別の実施形態では、包装用組成物は、結合剤、コーティング、潤滑剤、及び崩壊剤を更に含む。別の実施形態では、結合剤の非限定的な例には、糖類、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)及びポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。別の実施形態では、コーティングの非限定的な例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、多糖類、及びゼラチンが含まれる。別の実施形態では、潤滑剤の非限定的な例には、タルク、ステアリン、シリカ、及びステアリン酸マグネシウムが含まれる。別の実施形態では、崩壊剤の非限定的な例には、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)及び変性デンプンのデンプングリコール酸ナトリウムが含まれる。
【0183】
一実施形態では、包装用組成物は、医薬成分を包装するために使用される。別の実施形態では、医薬成分の非限定的な例には、鎮痛剤、抗生物質、抗凝固剤、抗うつ薬、抗がん剤、抗てんかん薬、抗精神病薬、抗ウィルス薬、鎮静剤及び抗糖尿病薬が含まれる。別の実施形態では、鎮痛剤の非限定的な例には、パラセタモール、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、モルヒネ、オキシコドンが含まれる。別の実施形態では、抗生物質の非限定な例には、ペニシリン、セファロスポリン、シプロフロキサシン及びエリスロマイシンが含まれる。別の実施形態では、抗凝固剤の非限定的な例には、ワルファリン、ダビガトラン、アピキサバン及びリバローキサバンが含まれる。別の実施形態では、抗うつ薬の非限定的な例には、セルトラリン、フルオキセチン、シタロプラム及びパロキセチンが含まれる。別の実施形態では、抗がん剤の非限定的な例には、カペシタビン、マイトマイシン、エトポシド、及びペムブロリズマブが含まれる。別の実施形態では、抗てんかん薬の非限定的な例には、アセタゾラミド、クロバザム、エトスクシミド、及びラコサミドが含まれる。別の実施形態では、抗精神病薬の非限定的な例には、リスペリドン、ジプラシドン、パリペリドン、及びルラシドンが含まれる。別の実施形態では、抗ウィルス薬の非限定的な例には、アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビル及びザナミビルが含まれる。別の実施形態では、鎮静剤の非限定的な例には、アルプラゾラム、クロラゼプ酸、ジアゼパム及びエスタゾラムが含まれる。別の実施形態では、抗糖尿病薬の非限定的な例には、グリメピリド、グリクラジド、グリブリド及びグリピジドが含まれる。
【0184】
一実施形態では、包装用組成物は、食品成分の包装に使用される。別の実施形態では、本発明の包装材料とともに包装される食品成分の非限定的な例には、生鮮食品、防腐剤、甘味料、着色添加剤、フレーバ及び香辛料、栄養素、乳化剤、結合剤並びに増粘剤が含まれる。別の実施形態では、生鮮食品の非限定的な例には、肉、鶏肉、魚、乳製品、果物、及び野菜が含まれる。別の実施形態では、防腐剤の非限定的な例には、アスコルビン酸、クエン酸、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、エリソルビン酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、銀、クロルヘキシジン、トリクロザン及び窒化ナトリウムが含まれる。別の実施形態では、甘味料の非限定的な例には、ショ糖(砂糖)、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、コーンシロップが含まれる。別の実施形態では、着色添加剤の非限定的な例には、オレンジB、シトラスレッド2番、アナットー抽出物、ベータカロテン、ブドウ皮抽出物、コチニール抽出物又はカルミン及びパプリカ含油樹脂が含まれる。別の実施形態では、フレーバ及び香辛料の非限定的な例には、グルタミン酸ナトリウム、グリシンスラット、イノシン酸、酢酸イソアミル、リモネン及びヘキサン酸アリルが含まれる。別の実施形態では、栄養素の非限定的な例には、チアミン塩酸塩、リボフラビン(ビタミンB2)、ナイアシン、ナイアシンアミド、フォレート又は葉酸が含まれる。別の実施形態では、乳化剤の非限定的な例には、大豆レシチン、モノグリセリド、ジグリセリド、卵黄、ポリソルベート及びソルビタンモノステアレートが含まれる。別の実施形態では、結合剤及び増粘剤の非限定的な例には、ゼラチン、ペクチン、グアーガム、カラギーナン、キサンタンガム、ホエーが含まれる。
【0185】
一実施形態では、本発明は、感受性又は感染した表面又は医療用装置に、本発明の抗菌粒子又は組成物を適用することを含む、バイオフィルム形成を阻害又は防止するための方法を提供する。
【0186】
別の実施形態では、本発明は、バイオフィルム形成の阻害又は防止に使用するための抗菌粒子又は組成物を提供する。
【0187】
一実施形態では、本発明は、処理される表面に本発明の医療用装置(本明細書において上で言及した本発明の組成物及び/又は抗菌粒子を含む)を配置することを含む、バイオフィルムの形成又は成長を阻害又は防止するための方法を提供する。別の実施形態では、医療用装置は創傷被覆材である。別の実施形態では、創傷被覆材は、本発明の抗菌粒子並びにポリマー及び/又はバイオポリマーを含む。別の実施形態では、ポリマー及び/又はバイオポリマーの非限定的な例には、カルボキシメチルセルロース(CMC)、綿繊維、アルギン酸及びそれらの塩(例えば、Ca/Na)、ゼラチン、コラーゲン、ポリエステル、ナイロン及びそれらの繊維、合成ヒドロゲル、ポロキサマー、ポリエチレングリコール並びにポリプロピレングリコールが含まれる。
【0188】
別の実施形態では、本発明は、バイオフィルムの形成又は成長を阻害又は防止するために使用する本発明の医療用装置を提供する。
【0189】
一実施形態では、本発明は、細菌を本発明の医薬又は包装用の組成物又は複合材料と接触させる工程を含む、細菌を阻害するための方法を提供する。
【0190】
別の実施形態では、本発明は、細菌を阻害するのに使用するための医薬品又は包装用の組成物を提供する。
【0191】
一実施形態では、本発明は、本発明の抗菌粒子又は医薬若しくは包装用の組成物又は複合材料を、感受性又は感染した表面又は医療用装置に適用することを含む、内部のバイオフィルム又は細菌を処理、分解、又は死滅させるための方法を提供する。
【0192】
別の実施形態では、本発明は、内部のバイオフィルム又は細菌を処理、分解、又は死滅させるのに使用するための、本発明の抗菌粒子又は複合材料又は医薬若しくは包装用の組成物を提供する。
【0193】
医療分野以外の用途は、例えば、衣類(例えばスポーツ又は野外活動で細菌による汗の臭いを防ぐため)、細菌が集まる傾向のある運動靴又は靴の内部、野外活動用のスポーツウェア及び衣類、歯ブラシ及び人体と接触するいずれかのブラシ、空気及び水フィルタ、水の処理及び分配システム、ペット用ケージ及び他のペット用のアイテム等であり得る。
【0194】
いくつかの実施形態では、本発明の抗菌組成物又は複合材料は、接触した細菌の少なくとも約99%、好ましくは接触した細菌の少なくとも約99.99%の消滅に影響を与える。
【0195】
更に驚くべきことに、本発明の組成物/複合材料/医療用装置内の粒子は、浸出することなく、またホストマトリックスの特性を変えることなく、経時的に高い抗菌特性を維持することが発見された。このような粒子は、所与の粒子の表面に密集した抗菌基の存在に由来する抗菌活性の増加を実証する。
【0196】
本発明の医療用装置
一実施形態では、本発明は更に、本発明の抗菌粒子又は組成物を含む医療用装置を提供する。一実施形態では、本発明の医療用装置の非限定的な例は、カテーテル、ステント、外科用メッシュ、乳房インプラント、関節置換術、人工骨、人工血管、人工心臓弁(心臓病学)、人工皮膚、整形手術用のインプラント又はプロテーゼ、子宮内避妊器具(婦人科)、神経外科シャント、コンタクトレンズ(眼科)、眼内レンズ、眼プロテーゼ、尿道ステント、皮下コーティング(整形外科又は歯科等))インプラント、インスリンポンプ、避妊具、ペースメーカ、静脈内注入に使用されるチューブ及びカニューレ、透析に使用されるチューブ及びカニューレ、外科的ドレナージチューブ、尿路カテーテル、気管内チューブ、創傷被覆材(外科用医薬材料及び接着包帯)及び治療(バイオフィルムと細菌を減らして創傷治癒を助ける創傷治療用のゲル、軟膏、ペースト、及びクリーム)材料、縫合糸、血管や泌尿器系に一時的又は恒久的に挿入されるあらゆる種類のカテーテル、脳の用途のシャント、手術用手袋、耳の検査のための先端具、医療関係者によって使用される微気圧計及びその他の要素、歯ブラシ、つまようじ、デンタルフロス、歯間及び舌ブラシ、外科用縫合糸、金属製の外科用ツール、非外科用医療用装置、歯科用及び整形外科用の金属製インプラント及びワイヤー、並びに一般的な医療及び歯科処置で使用される外科用ドレーン、注射器、トレイ、先端具、手袋、及びその他の付属品である。別の実施形態では、創傷被覆材は、本発明の抗菌粒子並びにポリマー及び/又はバイオポリマーを含む。別の実施形態では、ポリマー及び/又はバイオポリマーの非限定的な例には、カルボキシメチルセルロース(CMC)、綿繊維、アルギン酸及びそれらの塩(例えば、Ca/Na)、ゼラチン、コラーゲン、ポリエステル、ナイロン及びそれらの繊維、合成ヒドロゲル、ポロキサマー、ポリエチレングリコール並びにポリプロピレングリコールが含まれる。
【0197】
一実施形態では、本発明は更に、歯科用器具を含む医療用装置を提供する。一実施形態では、本発明は更に、歯科矯正器具を含む医療用装置を提供する。歯科用器具及び歯科強制器具は、本発明の粒子及び組成物を含む。いくつかの実施形態では、矯正器具は、歯の調節を加速させるためのアライナ、ブラケット、歯科用アタッチメント、ブラケット補助器具、結紮タイ、ピン、ブラケットスロットキャップ、ワイヤー、ねじ、マイクロステープル、ブラケット及びアタッチメント用セメント及びその他の歯科矯正器具、義歯、部分義歯、歯科用インプラント、歯周プローブ、歯周チップ、フィルム、又は歯の間のスペースを含む。いくつかの実施形態では、歯科用器具は、歯をきしること(歯ぎしり)を防ぐために使用されるマウスガード、ナイトガード、睡眠時無呼吸の治療/予防に使用される口腔装置、スポーツ活動に使用される歯ガードを含む。
【0198】
一実施形態では、本発明は更に、骨の固定及び安定化に使用される整形外科用創外固定ねじ及びワイヤー等の経皮医療用装置、並びにねじ固定又はセメント固定歯科用プロテーゼのためのヒーリングキャップ、アバットメント(マルチユニット等)等の歯科インプラントに使用される経粘膜要素を提供する。
【0199】
一実施形態では、本発明は、結腸内視鏡、胃鏡、十二指腸鏡、気管支鏡、膀胱鏡、耳鼻咽喉科スコープ、腹腔鏡、喉頭鏡、及びそのいずれの部分も含む患者の体内の検査又は治療のための同様の器具を含むがこれらに限定されない内視鏡(剛性及び柔軟性)、並びに体組織又は体液のいずれかと接触する手順で使用される付属品及び他の装置であって、体液、空気、又はガスが患者に送り込まれたり、患者から吸い出されたりして、患者によって汚染されたり、他の患者から汚染物質を移したりする可能性のあるチューブ、ポンプ、容器、及びコネクタ(体の内側又は外側で使用)、このような機器の再処理、クリーニング、輸送、保管に使用され、ホスト生物学的汚染物質を伝達し得る、ブラシ、トレイ、カバー、チューブ、コネクタキャビネット、バッグ等のアイテム、並びに歯科又は医療処置で使用される空気又は水のフィルタ、病院表面(床、テーブルトップ等)、ドレープ、カーテン、リネン、ハンドル等を含む医療用装置を提供する。
【0200】
抗菌特性は、患者から患者へ、又は患者から検査官への相互汚染から患者及び医療スタッフを保護することができる。手術室に入る薬物及びアイテムの自己滅菌包装も有益である。
【0201】
一実施形態では、本発明は、複合材料を含む医療用装置を調製するためのプロセスを更に提供する。別の実施形態では、医療用装置は、本発明の複合材料の流体相を提供することと、流体を成形することと、成形された流体を硬化させることと、からなる工程を通して調製され、所望の医療用装置が得られる。別の実施形態では、医療用装置は、複合材料の固体相を提供することと、固体を成形することと、からなる工程を通して調製され、所望の医療用装置が得られる。別の実施形態では、成形は、押出成形又は成形を介して達成される。別の実施形態では、複合材料の流体相は、溶融複合材料又は溶媒に溶解した複合材料を含む。
【0202】
本発明の文脈で使用される別のポリマー材料は、歯科、外科、手術及び整形外科的複合材料において使用される樹脂である。このような用途では、抗菌粒子を最初に樹脂部分内に分散させるか、フィラー又はその他の固体成分(存在する場合)と同時に添加することができる。これらの樹脂のほとんどは、in vivoで重合するアクリル又はエポキシタイプのモノマーである。
【0203】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態をより完全に例示するために提示される。しかし、それらは決して本発明の広い範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0204】
実施例1
様々な抗菌粒子の熱安定性研究
本発明の粒子の熱安定性は、ISO11357を用いた示差走査熱量測定を使用する比較研究で実証された。3つの異なるサンプルを試験した。
(2QA POSS)-リンカーは脂肪族鎖であり、疎水性基はオクチルであり、(2QA BP)-リンカーは脂肪族鎖、疎水性基はベンジルであり、(QA BP)-リンカーは、-炭素上へのヒドロキシを含む脂肪族鎖であり、β疎水性基はベンジルである。
a.(2QA POSS)-リンカーは脂肪族鎖であり、疎水性基はオクチルである:
【化48】
b.(2QA BP)-リンカーは脂肪族鎖であり、疎水性基はベンジルである。
【化49】
c.(QA BP)-リンカーは、β-炭素の上にヒドロキシを有する脂肪族鎖であり、疎水性基はベンジルである:
【化50】
2QA POSS及び2QA BPの両方で、114.02℃において抗菌粒子の熱分解が起こり(
図10)、QA BPのみ、127.17℃であった。
【0205】
実施例2
第四級アンモニウムに対してベータ位置に水素を有さない粒子の抗菌活性
第四級アンモニウムに対してベータ位置に水素を含まない抗菌ポリマー粒子は、塩素化架橋ポリスチレンを2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミンと反応させ、次に塩化ベンジルと反応させ、ヨウ化メチルで四級化して、以下の粒子を提供することにより調製した。
【化51】
【0206】
調製した粒子をポリプロピレンビーズ5%及び10%(w/w)で化合し、次いでツインコーン混合機を使用して220°で5分間押出成形した。得られた押出物は、約2cmの長さに切断されたプラスチックロードであった。
【0207】
抗菌アッセイ:5%及び10%(w/w)の粒子を含む化合サンプル及び抗菌粒子を含まないポリプロピレンロッドの対照サンプル(対照群)の両方を、70%(w/w)のエタノール溶液に浸して滅菌し、次いで紫外線下で30分間照射した。続いて全てのサンプルに、ブレインハートインフュージョン(BHT)中の20mlのエンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis:E.faecalis)懸濁液を接種し、乾燥させて、サンプル表面と細菌との間の物理的接触を確保した。
次に、各サンプルを寒天BHTプレートに転がし、全てのプレートを一晩培養して、細菌コロニーを発生させた。
【0208】
結果は
図11A~11Cに示され、抗菌粒子濃度の増加が細菌活性のより高い阻害を導くことを示している。
【0209】
実施例3
第四級アンモニウムに対してベータ位置の水素濃度が低い粒子の抗菌活性
ポリシルセスキオキサン(POSS)抗菌粒子は、NaBH4の存在下で、3-アミノプロピルトリメトキシシランを1当量のシンナムアルデヒドと反応させることによって調製した。反応は、ディーンスターク装置を使用して連続的に水を除去しながら、乾燥トルエン中で実施した。続いて、全てのトルエンを熱及び真空下で除去した。乾燥テトラヒドロフランを溶媒として加え、次いで、3当量のヨウ化メチルを添加して、第四級アンモニウムを得た。POSS粒子は、30分間撹拌しながら水中で10%(w/w)NaOH溶液を添加し、続いてPOSS沈殿させることによって得た。得られたPOSS粒子を凍結乾燥し、次に微粉末に粉砕した。
POSS粒子は、Si-cialとして標識され、4%及び8%(w/w)でポリ塩化ビニル(PVC)粉末とブレンドされ、160℃で3分間押出成形した。
【0210】
抗菌活性を評価するために、得られたサンプルを96ウェル滅菌プレートの側壁に置き、直接接触試験で調べて(DCT:Assessment of antibacterial activity of endodontic sealers by a direct contact test、Weiss E.、Shalhav M.、Fuss Z.Endod.Dent.Traumatol.1996 Aug;12(4):179-84)、抗菌活性を評価した。DCTの測定は、
図12Bに示すように実行した。
図12Aに示すように、抗菌粒子濃度の増加は、細菌活性のより高い阻害を引き起こす。既に4%の粒子で、細菌活性は約6log減少し、8%の粒子が完全な細菌阻害を導いた。
【0211】
本明細書では本発明の特定の特徴が図示され、説明されてきたが、多くの修正、置換、変更、及び同等物がここで、当業者に思いつくであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神趣旨に収まるように、全てのそのような修正及び変更を網羅することを意図することを理解されたい。
【国際調査報告】