(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(54)【発明の名称】骨肉腫を治療するための組成物及び使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20220406BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220406BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20220406BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20220406BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220406BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220406BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20220406BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20220406BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20220406BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P35/00 ZNA
A61P19/08
A61P35/04
A61K39/395 D
A61K39/395 T
A61K39/395 E
A61P43/00 121
A61K45/00
C07K16/18
C07K16/46
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021550227
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(85)【翻訳文提出日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 US2020020343
(87)【国際公開番号】W WO2020176844
(87)【国際公開日】2020-09-03
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518256430
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ ザ ユニヴァーシティ オブ テキサス システム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】リケルメ マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】グー スミン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZA961
4C084ZA962
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB41
4C085BB43
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG06
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
【課題】 骨肉腫を治療または予防する方法を提供する。
【解決手段】 コネキシン43抗体またはその断片を投与する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象にて骨肉腫を治療するまたは予防する方法であって、前記方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む、前記方法。
【請求項2】
対象にて骨肉腫を治療するまたは予防する方法であって、前記方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は配列番号63に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む、前記方法。
【請求項3】
対象にて骨肉腫を治療するまたは予防する方法であって、前記方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を前記対象に投与することを含み、前記抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号63に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む、前記方法。
【請求項4】
前記抗体またはその断片が、
a)配列番号19の配列を含む相補性決定領域1(CDR1)またはそのバリアント、
b)配列番号20の配列を含む相補性決定領域2(CDR2)またはそのバリアント、及び/または
c)配列番号21の配列を含む相補性決定領域3(CDR3)またはそのバリアント
を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む、請求項1または3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記抗体またはその断片が、
a)配列番号49の配列を含む相補性決定領域1(CDR1)またはそのバリアント、
b)配列番号50の配列を含む相補性決定領域2(CDR2)またはそのバリアント、及び/または
c)配列番号51の配列を含む相補性決定領域3(CDR3)またはそのバリアント
を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む、請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記重鎖CDR1、CDR2またはCDR3または前記軽鎖CDR1、CDR2、またはCDR3のいずれか1つが親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記重鎖CDR1、CDR2またはCDR3のバリアントまたは前記軽鎖CDR1、CDR2、またはCDR3のバリアントのいずれか1つが親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアミノ酸置換がシステイン残基から別のアミノ酸への、またはグリシンから別のアミノ酸への置換である、請求項7または8に記載の方法。
【請求項9】
前記抗体またはその断片が、
(a)配列番号19に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、
(b)配列番号20に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または
(c)配列番号21に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)
を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む、請求項1または3のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記抗体またはその断片が、
(a)配列番号49に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、
(b)配列番号50に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または
(c)配列番号51に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)
を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
さらに、骨肉腫を有する対象にて肺、肝臓、脳または乳房への転移を治療するまたは防止するための方法として定義される、請求項1~5のいずれかに記載の方法。有効量の前記抗体をコードする発現ベクターを前記対象に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記抗体が、薬学的に許容される組成物で投与される、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記抗体が全身投与される、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記抗体が、静脈内、皮内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、皮下、または局所に投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
さらに、少なくとも第2の抗癌療法を前記対象に施すことを含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記第2の抗癌療法が外科療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、免疫療法、またはサイトカイン療法である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記抗体またはその断片がCx43ヘミチャネルに結合する、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記抗体またはその断片がさらにタグ配列を含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記抗体またはその断片がCx43ヘミチャネルの開口を刺激する、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記その断片がFab断片、Fab’断片またはF(ab’)2断片である、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記医薬組成物が凍結乾燥される、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記体またはその断片が、
(a)i)配列番号19に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、
ii)配列番号20に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域2、及び
iii)配列番号21に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域3
を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、ならびに
(b)i)配列番号49に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1、
ii)配列番号50に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域2、及び
iii)配列番号51に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域3
を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項24】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記抗体またはその断片が、
(a)配列番号19に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、
(b)配列番号20に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または
(c)配列番号21に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む、請求項1または3のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記抗体またはその断片が、
(a)配列番号49に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、
(b)配列番号50に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または
(c)配列番号51に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)
を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む、請求項1または3のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記抗体またはその断片が、
(a)i)配列番号19と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、
ii)配列番号20と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域2、及び
iii)配列番号21と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域3
を含む重鎖免疫グロブリン可変領域、ならびに
(b)i)配列番号49と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性領域1、
ii)配列番号50と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性領域2、及び
iii)配列番号51と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性領域3
を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域
を含む、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2019年2月28日に出願された米国仮出願第62/811,938号の利益を主張する。この先願出願の内容は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の組み込み
本出願は、本出願の出願と同時にEFS-Webを介して提出されている、2020年2月25日に作成された24,576バイトのサイズであるファイル名「21105_0070P1_SL.txt」を含有する配列表を含有し、この配列表はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
コネキシンヘミチャネルは、細胞及び組織の機能において重要な役割を担っており、コネキシンヘミチャネルの異常な作用は本明細書に記載されているような種々の病的状態に関与し得る。したがって、ヘミチャネル活性に関連する病的状態を治療するための追加の治療法、と同様にそのような治療法を特定するための方法に対するニーズが残っている。
【0004】
骨肉腫は若年成人を含む患者に発生し、通常は肺に転移し、この疾患を治療不能にする。現在利用可能な治療法は症状の軽減に関連するが、これらの治療法はどれも疾患を治癒させることはない。骨肉腫または肺転移、骨転移、脳転移または他の臓器への転移を治療することを、それを必要とする骨肉腫患者において行うことに関するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示されているのは、対象にて骨肉腫を治療するまたは予防する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。
【0006】
本明細書に開示されているのは、対象にて骨肉腫を治療するまたは予防する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は配列番号63に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。
【0007】
本明細書に開示されているのは、対象にて骨肉腫を治療するまたは予防する方法であり、該方法は治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含み、その際、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号63に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む。
【0008】
本明細書に記載されているのは、コネキシン43(Cx43)ヘミチャネルに結合してチャネル開口を増強する抗体または該抗体をコードする発現ベクターを有効量で対象に投与することを含む、骨肉腫を有する対象にて骨肉腫または肺転移、骨転移、脳転移、または他の臓器への転移を治療するまたは予防する方法である。いくつかの態様では、方法は有効量の抗体を対象に投与することを含むことができる。いくつかの態様では、本方法は有効量の抗体をコードする発現ベクターを対象に投与することを含むことができる。いくつかの態様では、コネキシン43(Cx43)ヘミチャネルに結合し、チャネル開口を増強する抗体は、ギャップチャネルの結合になんらの影響も及ぼさないものであることができる。
【0009】
本明細書に記載されているのは、コネキシン43(Cx43)ヘミチャネルに結合してチャネル開口を増強する抗体、または該抗体をコードする発現ベクターを有効量で対象に投与することを含む、対象にて骨肉腫を治療するまたは予防する方法である。いくつかの態様では、方法は有効量の抗体を対象に投与することを含む。いくつかの態様では、方法は有効量の抗体をコードする発現ベクターを対象に投与することを含む。いくつかの態様では、骨肉腫は対象の肺に転移している。いくつかの態様では、コネキシン43(Cx43)ヘミチャネルに結合し、チャネル開口を増強する抗体は、ギャップチャネルの結合になんらの影響も及ぼさないものであることができる。
【0010】
本明細書に記載されているのは、薬学的に許容される組成物で投与することができる抗体をコードする発現ベクターである。いくつかの態様では、抗体は全身性に投与することができる。いくつかの態様では、抗体は、静脈内、皮内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、皮下、または局所に投与することができる。
【0011】
本明細書に開示されているのは、配列番号19に対応する第1のVHCDRと、配列番号20に対応する第2のVHCDRと、配列番号21に対応する第3のVHCDRと、配列番号49に対応する第1のVLCDRと、配列番号50に対応する第2のVLCDRと、配列番号51に対応する第3のVLCDRとを含む抗体である。いくつかの態様では、抗体はヒト化抗体であることができる。いくつかの態様では、抗体は、配列番号19に対応する第1のVHCDRと、配列番号20に対応する第2のVHCDRと、配列番号21に対応する第3のVHCDRと、配列番号49に対応する第1のVLCDRと、配列番号50に対応する第2のVLCDRと、配列番号51に対応する第3のVLCDRとを含む、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE、または遺伝子操作されたIgGクラスの抗体であることができる。いくつかの態様では、抗体は、IgGクラスの抗体であることができ、その際、IgGクラスの抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のクラスの抗体である。いくつかの態様では、抗体は配列番号58と少なくとも90%同一であるVHのアミノ酸配列及び/または配列番号63と少なくとも90%同一であるVLのアミノ酸配列を含むことができる。いくつかの態様では、抗体は配列番号58に従うVHアミノ酸配列及び/または配列番号63に従うVLアミノ酸配列を含む。
【0012】
いくつかの態様では、開示されている方法はさらに、少なくとも第2の抗癌療法を対象に施すことを含むことができる。いくつかの態様では、第2の抗癌療法には、外科療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、免疫療法、またはサイトカイン療法であることができる。
【0013】
本明細書に開示されているのは、組換えコネキシン43(Cx43)ヘミチャネル結合抗体またはその断片である。いくつかの態様では、抗体は、配列番号19に対応する第1のVHCDRまたはその断片と、配列番号20に対応する第2のVHCDRまたはその断片と、配列番号21に対応する第3のVHCDRまたはその断片と、配列番号49に対応する第1のVLCDRまたはその断片と、配列番号50に対応する第2のVLCDRまたはその断片と、配列番号51に対応する第3のVLCDRまたはその断片とを含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片はヒト化抗体であることができる。いくつかの態様では、抗体は、配列番号19に対応する第1のVHCDRと、配列番号20に対応する第2のVHCDRと、配列番号21に対応する第3のVHCDRと、配列番号49に対応する第1のVLCDRと、配列番号50に対応する第2のVLCDRと、配列番号51に対応する第3のVLCDRとを含む、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE、または遺伝子操作されたIgGクラスの抗体であることができる。いくつかの態様では、抗体は、IgGクラスの抗体であることができ、その際、IgGクラスの抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のクラスの抗体である。いくつかの態様では、抗体は配列番号58と少なくとも90%同一であるVHのアミノ酸配列またはその断片及び/または配列番号63と少なくとも90%同一であるVLのアミノ酸配列またはその断片を含む。いくつかの態様では、抗体は、配列番号58に従うVHアミノ酸配列またはその断片及び/または配列番号63に従うVLアミノ酸配列またはその断片を含んでもよい。
【0014】
本明細書に開示されているのは、対象にて骨肉腫を治療する方法であり、該方法は、本明細書に記載されている組成物に従う抗体を含む、または本明細書に記載されている態様に従う抗体をコードする発現ベクターを含む有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む。いくつかの態様では、医薬組成物は対象に対して本明細書に記載されている態様に従う抗体をコードする発現ベクターを含む。他の態様では、医薬組成物は対象に対して本明細書に記載されている態様に従う抗体を含む。いくつかの態様では、方法はさらに、対象におけるがん肺転移を抑制するまたは防止するための方法として定義されてもよい。いくつかの態様では、対象は骨肉腫を有する及び/または肺転移、骨転移、脳転移または他の臓器への転移を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は全身性に投与されてもよい。いくつかの態様では、医薬組成物は静脈内、皮内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、皮下、または局所に投与される。
【0015】
いくつかの態様では、医薬組成物は、配列番号19と同一の第1のVHCDRと、配列番号20と同一の第2のVHCDRと、配列番号21と同一の第3のVHCDRと、配列番号31と同一の第1のVLCDRと、配列番号32と同一の第2のVLCDRと、配列番号65と同一の第3のVLCDRとを含んでもよい。いくつかの態様では、方法はさらに、少なくとも第2の抗癌療法を対象に施すことを含んでもよい。さらなる態様では、第2の抗癌療法は、外科療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、免疫療法、またはサイトカイン療法である。
【0016】
本明細書に開示されているのは、ヘミチャネルポリペプチドに対する抗体、及び前記抗体をコードする核酸分子である。いくつかの態様では、抗体は、FLSRPTEKTI(配列番号13)、KRDPCPHQVD(配列番号14)、またはLSAVYTCKR(配列番号15)のアミノ酸配列を有するエピトープと結合することができる。いくつかの態様では、抗体は、FLSRPTEKTI(配列番号13)のアミノ酸配列を有するエピトープと結合することができる。
【0017】
さらなる実施形態では、実施形態に従って使用するための抗体は、抗体を作製するまたは発現させるための抗体、ベクター、及び細胞のそれらの教示について参照によって本明細書に組み込まれる国際(PCT)特許公開番号WO2015-027120またはWO2017-147561に記載されているもののいずれかであることができる。
【0018】
いくつかの態様では、第1の重鎖領域は、配列番号2の残基13から37のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含むことができ、第2の重鎖領域は配列番号2の残基46から66に対応するアミノ酸配列を有し、第3の重鎖領域は配列番号2の残基97から116のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む。
【0019】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている抗体は、完全長抗体、抗体断片、単鎖抗体、二重特異性抗体、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体及び抗体融合物、ならびにそれらの断片を含むことができる。
【0020】
本明細書に開示されているのは、薬学的に許容される担体と共に本明細書に記載されているような抗体またはその断片のいずれかを含む医薬組成物である。本明細書に開示されているのはまた、骨肉腫を治療するための、または肺へのがん転移を抑制するまたは防止するための薬物として使用するための、または治療法に使用するための抗体または医薬組成物である。
【0021】
本明細書に開示されているのは、がん転移を治療するまたは予防する方法である。いくつかの態様では、がんは、骨肉腫患者における肺癌の骨転移、脳転移、または他の臓器への転移であることができる。治療の方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載されているような有効量の単離された抗体を投与することを含むことができる。本明細書に開示されているのはまた、がん転移(例えば、肺癌)の治療または予防のための薬物の製造において本明細書に記載されている抗体のいずれかを使用する方法である。
【0022】
本明細書に開示されているのは、Cx43ヘミチャネルを活性化するまたは増強するための、本明細書に記載されている抗体、化合物または試薬のいずれかを使用する試験管内の方法である。いくつかの態様では、本明細書に記載されている方法を使用して、(i)LuciferイエローまたはAlexa色素を用いた色素取り込みアッセイによってヘミチャネル開口を決定すること、(ii)ATPレベルを測定することによってヘミチャネル開口に対する刺激効果を評価すること(例えば、Cx43ヘミチャネルを介した骨細胞からのATP放出の増加は、試験されている化合物もしくは抗体が腫瘍を抑制することができる、または細胞増殖及び/またはコロニー形成を中止することができることを示すことができる)、(iii)流体の流れのせん断応力の形態での機械的負荷によるヘミチャネル開口に対する試薬の刺激効果を調べることによって、骨細胞におけるCx43ヘミチャネル開口の活性化に対する効果を判定することができる。いくつかの態様では、コネキシン43(Cx43)ヘミチャネルに結合し、チャネル開口を増強する抗体は、ギャップチャネルの結合になんらの影響も及ぼさないものであることができる。
【0023】
本明細書で使用されるとき、「抗原」という用語は、抗体またはT細胞受容体が結合することができる分子である。いくつかの態様では、抗体以外の結合部分を、抗原、例えば、アプタマー、アビマーなどに特異的に結合するように操作することができる。
【0024】
「抗体」または「免疫グロブリン」という用語は、無傷の抗体及びその結合断片/結合セグメントを含めるように使用される。本明細書で使用されるとき、「抗体」という用語は、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE及び遺伝子操作したIgG、ならびに抗原結合活性を保持する抗体CDRドメインを含むポリペプチドのような任意の免疫学的結合剤を広く指すように意図される。抗体は、キメラ抗体、親和性成熟抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、または抗原結合抗体断片または天然もしくは合成のリガンドから成る群から選択されてもよい。通常、断片は抗原への特異的結合について、それらが由来する無傷の抗体と競合する。断片には、別々になった重鎖、軽鎖、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fabc、及びFvが含まれる。断片/セグメントは組換えDNA技術によって、または無傷の免疫グロブリンの酵素的もしくは化学的な分離によって作り出される。「抗体」という用語はまた、他のタンパク質との融合タンパク質に化学的に結合している、またはそのように発現されている1以上の免疫グロブリン鎖も含む。「抗体」という用語には二重特異性抗体も含まれる。二重特異性または二機能性の抗体は、2つの異なる重鎖/軽鎖の対と2つの、異なる結合部位を有する人工的なハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結を含む種々の方法で作り出すことができる。例えば、Songsivilai and Lachmann,Clin.Exp.Immunol.79:315-21,1990、Kostelny et al.,J.Immunol.148:1547-53,1992を参照のこと。
【0025】
「抗体」という用語は、5つの異なるクラスのヒト免疫グロブリン、すなわちIgG、IgA、IgM、IgD、及びIgEを含むことができる。いくつかの態様では、開示されている抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4の4つのサブクラスに分類することができるIgGクラスの抗体であることができる。いくつかの態様では、開示されている抗体は、IgA1及びIgA2の2つのサブクラスに分類することができるIgAクラスの抗体であることができる。免疫グロブリンの基本構造は、2つの相同L鎖(軽鎖)と2つの相同H鎖(重鎖)で構成される。免疫グロブリンのクラス及びサブクラスはH鎖によって決定される。いくつかの態様では、抗体(単数)または抗体(複数)またはそのバリアントまたは断片はIgG4であることができる。
【0026】
抗原結合特異性を維持しながら、IgG4の抗体安定性を向上させることができる。いくつかの態様では、抗体は、例えば、IgG4のアルギニン(R)をグルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、イソロイシン(I)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、バリン(V)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、リジン(K)、スレオニン(T)、メチオニン(M)、またはロイシン(L)で置換することによって改善することができる。
【0027】
「単離された」という用語は、起源の細胞物質、細菌物質、ウイルス物質、もしくは培養培地(組換えDNA技術によって産生される場合)、または化学前駆体もしくは他の化学物質(化学合成された場合)を実質的に含まない核酸またはポリペプチドを指すことができる。さらに、単離された化合物は、単離された化合物として対象に投与することができるものを指す。言い換えれば、化合物がカラムに付着したり、アガロースゲルに埋め込まれたりしたならば、その化合物が単純に「単離された」と見なされるというわけではない場合がある。さらに、「単離された核酸断片」または「単離されたペプチド」は、断片として天然に存在しない及び/または通常、機能状態にはない核酸またはタンパク質の断片である。
【0028】
ポリペプチド、ペプチド、抗原、または免疫原のような本発明の部分は、アジュバント、タンパク質、ペプチド、支持体、蛍光部分、または標識のような他の部分に共有結合もしくは非共有結合でコンジュゲートされてもよく、または共有結合もしくは非共有結合で連結されてもよい。「コンジュゲート」または「免疫コンジュゲート」という用語は、ある部分と別の薬剤との作用する会合を定義するために広く使用され、何らかの種類の作用する会合のみを指すことを意図せず、特に化学的に「コンジュゲートすること」に限定されない。
【0029】
「提供すること」という用語は、「使用するために供給するまたは与える」という通常の意味に従って使用される。いくつかの実施形態では、タンパク質はタンパク質を投与することによって直接提供されるが、他の実施形態では、タンパク質はタンパク質をコードする核酸を投与することによって効果的に提供される。ある特定の態様では、本発明は核酸、抗原、ペプチド、及び/またはエピトープの種々の組み合わせを含む組成物を企図する。
【0030】
標的に「特異的に結合する」または「特異的に免疫反応性である」という表現は、他の生物製剤の不均質な集団の存在下での分子の存在を決定する結合反応を指す。したがって、指定された免疫測定条件下では、特定された分子は特定の標的に優先的に結合し、試料中に存在する他の生物製剤に有意な量で結合しない。そのような条件下での標的に対する抗体の特異的結合は、その抗体が、標的に対するその特異性について選択されることを必要とする。種々の免疫アッセイフォーマットを使用して、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を選択してもよい。例えば、固相ELISA免疫アッセイを日常的に使用して、タンパク質と特異的に免疫反応性のモノクローナル抗体を選択する。特異的な免疫反応性を判定するのに使用することができる免疫アッセイのフォーマット及び条件の記載については、例えば、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,1988を参照のこと。
【0031】
本発明の他の態様は本出願の全体を通して論じられる。本発明の一態様に関して論じられた任意の態様は同様に本発明の他の態様にも適用され、逆もまた同様である。本明細書に記載されている各態様は、本発明の他の態様に適用可能である本発明の態様であると理解される。本明細書で論じられる任意の態様は、本発明の任意の方法または組成物に関して実施することができ、逆もまた同様であることが企図される。さらに、本発明の組成物及びキットを使用して本発明の方法を達成することができる。
【0032】
クレーム及び/または明細書にて用語「comprising(含む)」と併せて使用される場合の単語「a」または「an」の使用は、「1つ」を意味し得るが、「1以上」、「少なくとも1」、及び「1または1を超える」の意味とも矛盾しない。
【0033】
本出願の全体を通して、「約」という用語は、値がその値を決定するために採用される装置または方法についての誤差の標準偏差を含むことを示すのに使用される。
【0034】
クレームにおける「または」という用語の使用は、二者択一のみを指すよう明示的に示されない限り、また二者択一が相互排他的でない限り、「及び/または」を意味するように使用されるが、本開示は、二者択一及び「及び/または」のみを指す定義を支持する。
【0035】
本明細書及びクレーム(複数可)で使用されるとき、「含むこと(comprising)」(及び例えば、「含む(comprise)」や「含む(comprises)」のような任意の形態)、「有すること(having)」(及び例えば、「有する(have)」や「有する(has)」のような任意の形態)、「含むこと(includeing)」(及び例えば、「含む(includes)」や「含む(include)」のような任意の形態)または「含有すること(containing)」(及び例えば、「含有する(contains)」や「含有する(contain)」のような任意の形態)という単語は、包括的または無制限であり、追加の、引用されていない要素または方法ステップを排除しない。
【0036】
本明細書で使用されるとき、「アミノ酸」及び「アミノ酸同一性」という用語は、開示されている抗体、バリアント、または断片のいずれかに存在し得る20の天然に存在するアミノ酸または任意の非天然の類似体の1つを指す。したがって、本明細書で使用されるとき「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸の双方を意味する。例えば、ホモフェニルアラニン、シトルリン及びノルロイシンは本発明の目的のためのアミノ酸と見なされる。「アミノ酸」には、プロリン及びヒドロキシプロリンのようなアミノ酸残基も含まれる。側鎖は(R)配置または(S)配置のいずれかであってもよい。いくつかの態様では、アミノ酸は(S)配置またはL-配置にある。天然に存在しない側鎖が使用される場合、例えば、生体内分解を防止するまたは遅延させるために、非アミノ酸置換基が使用されてもよい。
【0037】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の精神及び範囲の範囲内にある種々の変更や修正はこの詳細な説明から当業者に明らかになるので、この詳細な説明及び具体例は、本発明の具体的な実施形態を示している一方で、例示としてのみ与えられることを理解すべきである。
【0038】
以下の図面は本明細書の一部をなし、本発明のある特定の態様をさらに実証するために含まれる。本発明は、本明細書に提示される明細書の実施形態の詳細な説明と併せてこれらの図面の1以上を参照することによってさらに良好に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】A~Cは、骨における乳癌の増殖が、ヒト・マウスキメラ抗Cx43抗体HMAb2(この抗体は、「M2」抗体と同じマウス可変ドメイン及びCDRを含む)によって抑制されたことを示す図である。Py8119-Luc細胞を対照及びcKO雌マウスの右脛骨に注射した。左脛骨に対照としてPBSを注射した。Aは生物発光撮像によって4週間毎週記録され、定量化された腫瘍増殖を示す。データは平均値±SEMとして表される。
**:P<0.01。群あたりn=7。Bは白い矢頭で示される、腫瘍が肺及び脳に広がったCx43 cKOマウスの代表的な画像を示す。CはPy8119細胞が注入された脛骨を用いた代表的なX線写真が、どこに腫瘍細胞が注入され、溶骨性病変が発生したか(矢頭)を示すことを示す。PBSを注射した左脛骨は溶骨性病変を示さなかった。
【
図2】A~Bは、MLO-Y4骨細胞(A)または初代マウス骨細胞(B)におけるCx43ヘミチャネルがHMAb2によって活性化されたが、HMAb1によってブロックされたことを示す図である。E2(ポリクローナル)、HMAb1抗体及びHMAb2抗体、またはコネキシンチャネルブロッカーであるカルベノキソロン(CBX)と共に細胞をインキュベートした。臭化エチジウム(EtBr)色素取り込みアッセイを実施した。SEMとして提示されるデータ。基礎対照と比較、
***:P<0.001。
【
図3】A~Bは、生体内での骨細胞におけるMHAb2によるヘミチャネルの活性化を示す図である。エバンスブルー色素をWTマウスの尾静脈に注射し、25μg/mlのMHAb2を腹腔内注射した。注射の2時間後にマウスを屠殺し、PBSで灌流した。脛骨を分離し、固定した脛骨組織切片を作成した。Aは抗体の存在がローダミン結合抗ヒトIgGで検出されたことを示す。棒:50μm。Bは、色素取り込みがエバンスブルー(EB)蛍光によって皮質骨及び海綿骨で測定され、定量化されたことを示す。
*:P<0.05、
***:P<0.001。
【
図4】A~Cは、HMAb2が乳癌細胞の溶骨性増殖を抑制し、骨折から骨を保護することを示す図である。Aは、Py8119-Luc乳癌細胞が雌マウスの脛骨に注射されたことを示す図である。Bは25mg/kgでのHMAb2を週に1回または2回、4週間腹腔内注射したことを示す。対照マウスでは生理食塩水を週に2回注射した。腫瘍増殖を生物発光撮像によって毎週4週間記録し、定量化した(下のパネル)。データは平均値±SEMとして表す。HMAb2及び生理食塩水についてn=6。CはMHAb2または生理食塩水を注射されたマウスをX線によって撮像したことを示す。
*:P<0.05。
【
図5】A~Bは、HMAb2抗体及びHAb2抗体の双方がCx43を認識し、骨細胞表面上のCx43と結合することを示す図である。Aは、親HeLa細胞またはCx43を発現しているHeLa細胞がHMAb2(MHC2)抗体またはHAb2(HC2)抗体で免疫標識されたことを示す。Bは、非透過性骨細胞MLO-Y4細胞が、抗HMAb2(MHC2)抗体またはHAb2(HC2)抗体で免疫蛍光標識されたことを示す。
【
図6】MHAb2による溶骨性乳癌増殖の用量依存性阻害を示す図である。Py8119-Luc乳癌細胞を雌マウスの脛骨に注射した。5、15、及び25mg/kgのHMAb2を週に1回、4週間腹腔内注射した。対照マウスでは生理食塩水を週に1回注射した。腫瘍増殖を生物発光撮像によって毎週4週間記録し、定量化した。データは平均値±SEMとして表す。HMAb2及び生理食塩水についてn=6。
*:P<0.05。
【
図7】A~Dは、HMAb2が海綿骨の質量、体積及び厚さを増加させることを示す図である。4ヵ月齢のマウスに25mg/kgのHMAb2抗体または生理食塩水を週に1回、2週間腹腔内注射した。骨パラメーターである、(A)骨体積、(B)海綿骨の厚さ、(C)海綿骨の数、及び(D)骨塩密度(BMD)を微細CT撮像によって決定し、定量化した。データは平均値±SEMとして表す。n=6、
*:P<0.05、
**:P<0.01。
【
図8】A~Bは、MHAb2による溶骨性ヒト乳癌増殖の阻害を示す図である。Aは、MDA-MB231ヒト乳癌細胞を免疫不全の雌のヌードマウスの脛骨に注射したことを示す。25mg/kgでのHMAb2を週に1回、7週間腹腔内注射した。対照マウスでは生理食塩水またはヒトIgGを週に1回注射した。腫瘍増殖を生物発光撮像によって毎週7週間記録し、定量化した。データは平均値±SEMとして表す。n=6、
*:P<0.05。Bは、7週間後にマウスを屠殺し、腫瘍を単離したことを示す。
【
図9】キメラMHC2抗体(マウス・ヒトキメラM2抗体に対応する)によるマウス骨肉腫がん細胞の骨芽細胞増殖の阻害を示す図である。DML8-Lucマウス骨肉腫細胞をC3Hマウス系統の脛骨に移植した。25mg/kgでのMHC2を週に1回腹腔内注射した。対照マウスでは生理食塩水を週に1回注射した。腫瘍増殖を生物発光撮像によって毎週6週間記録し、定量化した。n=6/群。データは平均値±SEMとして表す。
*:P<0.05。
【
図10】A~Bは、最適化され(重鎖CDRにおける単一アミノ酸の変化)、ヒト化されたM2抗体が、ヒト骨肉腫がん細胞における骨芽細胞の増殖を阻害することを示す図である。Aは、最適化されたヒト化HC2抗体(最適化されたヒト化M2抗体に対応する)によるヒト骨肉腫がん細胞の骨芽細胞増殖の用量依存性阻害を示す。OS17-Luc骨肉腫細胞を免疫不全マウスの脛骨に移植した。5、15、及び25mg/kgでのHC2を週に1回腹腔内注射した。対照マウスでは生理食塩水を週に1回注射した。腫瘍増殖を生物発光撮像によって毎週7週間記録し、定量化した。Bは、HC2抗体(最適化されたヒト化M1抗体に対応する)による腫瘍移植後42日での用量依存性阻害を示す。n=5/群。データは平均値±SEMとして表す。
*:P<0.05、
**:P<0.01。
【発明を実施するための形態】
【0040】
開示されている方法及び組成物は、特定の実施形態の以下の詳細な説明及びそこに含まれる実施例、ならびに図及びそれらの前後の説明を参照することによってさらに容易に理解され得る。
【0041】
開示されている方法及び組成物は、他に特定されない限り、特定の合成方法、特定の分析技術、または特定の試薬に限定されず、したがって、異なってもよいことを理解すべきである。また、本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を単に記載する目的のためのものであり、限定であることを意図されないことも理解すべきである。
【0042】
開示されているのは、開示されている方法及び組成物に使用することができる、それらと併せて使用することができる、それらの調製に使用することができる材料、組成物、及び成分であり、または開示されている方法及び組成物の産物である。これら及び他の材料は、本明細書において開示され、これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが開示される場合、これら化合物の様々な個別のまたはまとめての組み合わせ及び変形のそれぞれについての具体的な言及が明白に開示されない場合があるが、それぞれが、具体的に企図され、本明細書に記載されていると理解される。分子A、B、及びCのクラスならびに分子D、E、及びFのクラスが開示され、組み合わせ分子の例として、A-Dが開示されている場合、それぞれ個別に列挙されなかったとしても、各組み合わせが個別に及びまとめて企図される。したがって、この例では、A、B及びC;D、E及びF;ならびにA-Dの組み合わせの例の開示から、A-E、A-F、B-D、B-E、B-F、C-D、C-E及びC-Fの組み合わせのそれぞれが具体的に企図され、開示されていると見なされるべきである。同様に、これらの任意のサブセットまたは組み合わせはまた、具体的に企図され、開示されている。したがって、例えば、A、B及びC;D、E及びF;ならびにA-Dの組み合わせの例の開示から、A-E、B-F及びC-Eという亜群が具体的に企図されて、開示されていると見なされるべきである。この概念は、本開示の組成物を生成及び使用する方法のステップを含むが、それに限定されない、本出願の全ての態様に当てはまる。したがって、行われ得る多様な追加のステップがある場合、これらの追加ステップのそれぞれは、開示されている方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組み合わせにより行われ得ること、及びそのような組み合わせのそれぞれが、具体的に企図されて、開示されていると見なされるべきであることが理解される。
【0043】
本明細書で言及される刊行物はすべて、併せてそれらの刊行物が引用される方法及び/または材料を開示する及び記載するために、参照によって本明細書に組み込まれる。本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示に対してのみ提供される。本明細書のいずれも、本開示が先行開示によってそのような刊行物に先行する権利がないという承認として解釈されるべきではない。さらに、本明細書に提供する公開日は、実際の公開日と異なる場合があり、個別の確認が必要な場合がある。
【0044】
定義
開示されている方法及び組成物が記載されている特定の手順、プロトコール、及び試薬に限定されることはなく、したがって、変化し得ることが理解される。本明細書で使用されている用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、添付のクレームによってのみ限定される本発明の範囲を限定するとは意図されないことも理解すべきである。
【0045】
本明細書及び添付のクレームにて使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上、明らかに別段に指示されない限り、複数の参照を含むことに留意する必要がある。「任意の」または「任意で」は、その後に記載される事象、状況、または物質が発生してもしなくてもよく、または存在してもしなくてもよく、その記載が、事象、状況、または物質が発生するもしくは存在する場合と、それが発生しないもしくは存在しない場合を含むことを意味する。
【0046】
本明細書で使用される「または」という単語は、特定のリストの任意の1つの成員を意味するとともに、そのリストの成員の任意の組み合わせも含む。
【0047】
範囲は、「約」1つの特定の値から、及び/または「約」別の特定の値までのように本明細書において表現され得る。そのような範囲が表現される場合、具体的に企図され、開示されていると見なされるのはまた、文脈が具体的に指示しない限り、1つの特定の値から及び/または他の特定の値に及ぶ範囲である。同様に、先行する「約」の使用によって、値が近似値として表される場合、当然のことながら、文脈が具体的に別のことを示さない限り、特定の値が、開示されていると見なされるべき別の具体的に企図される実施形態を形成する。さらに、文脈が具体的に別のことを示さない限り、範囲の各端点は、他の端点と関連しても、他の端点と無関係でも双方で有効であることが理解されるであろう。最後に、明示的に開示された範囲内に含有される個々の値及び値のサブ範囲のすべても具体的に企図されて、文脈が特に明記しない限り、開示されたと見なされるべきであることを理解すべきである。上述のことは、特定の場合にこれらの実施形態の一部またはすべてが明示的に開示されているかどうかに関係なく適用される。
【0048】
本明細書の説明及びクレーム全体にわたって、「含む(comprise)」という単語ならびにその単語の変形、例えば「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」は、「含むがそれらに限定されない」ことを意味しており、例えば、他の付加物、構成要素、完全体またはステップを除外することを意図しない。特に、1以上のステップまたは操作を含むと記述された方法では、各ステップは列挙されるものを含むことが具体的(そのステップが「から成る」のような限定する用語を含まない限り)に企図され、各ステップが、例えば、そのステップに列挙されていない他の付加物、構成要素、完全体またはステップを除外することを意図しないことを意味する。
【0049】
「阻害する」、「阻害すること」、及び「阻害」は、活性、レベル、反応、状態、疾患、または他の生物学的パラメーターを弱めるまたは減少させることを意味する。これは、該活性、反応、状態、または疾患の完全な除去を含むことができるがこれに限定されない。これはまた、例えば、天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、該活性、反応、状態、または疾患における10%の阻害または低下を含んでもよい。従って、いくつかの態様では、該阻害または低下は、天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、またはその間の任意の低下量であることができる。いくつかの態様では、該阻害または低下は、天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、または90~100%である。いくつかの態様では、該阻害または低下は、天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、0~25、25~50、50~75、または75~100%である。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「調節する」、「調節すること」、及び「調節」は活性または機能または数の変化を意味する。該変化は、該活性、機能、または数の増加または減少、向上または阻害であり得る。
【0051】
「促進する」、「促進」、及び「促進すること」は、活性、反応、状態、疾患、または他の生物学的パラメーターにおける増加を指す。これは、該活性、反応、状態、または疾患の開始を含むことができるが、これに限定されない。これはまた、例えば、天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、該活性、反応、状態、または疾患における10%の増加を含んでもよい。従って、いくつかの態様では、該増加または促進は、天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、またはそれ以上、またはその間の任意の促進量であることができる。いくつかの態様では、該増加または促進は、天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、または90~100%である。いくつかの態様では、該増加または促進は、天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、0~25、25~50、50~75、もしくは75~100%、またはそれ以上であり、例えば、200、300、500、または1000%多い。いくつかの態様では、該増加または促進は、天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、100パーセントを超える場合があり、例えば、該天然のレベルまたは対照のレベルと比べて、100、150、200、250、300、350、400、450、500%、またはそれ以上であることができる。
【0052】
「治療」及び「治療すること」は、対象への治療剤(例えば、本明細書に記載されている抗Cx43抗体)の投与もしくは適用、または疾患もしくは健康に関連する状態の治療上の利益を得る目的のための対象への処置または治療形態の実行を指す。例えば、治療は、Cx43ヘミチャネルの開口を増強するまたは刺激する薬学的に有効な量の抗体の投与を含んでもよい。いくつかの態様では、コネキシン43(Cx43)ヘミチャネルに結合し、チャネル開口を増強する抗体はギャップチャネルの結合になんらの影響も及ぼさないものであることができる。
【0053】
本明細書で使用されるとき、「治療すること」という用語は、特定の疾患、障害及び/または状態の1以上の症状または特徴を部分的にまたは完全に緩和する、改善する、軽減する、その発症を遅延させる、その進行を抑制するもしくは緩徐にする、その重症度を低減させる、及び/またはその発生率を低減させることを指す。疾患、障害及び/または状態と関連付けられる病態を発症するリスクを低下させる目的で、疾患、障害及び/または状態の徴候を示さない対象に対して、及び/または疾患、障害及び/または状態の初期の徴候のみを示す対象に対して、治療を施すことができる。例えば、疾患、障害、及び/または状態は骨肉腫またはがんであることができる。
【0054】
本明細書で使用されるとき、「対象」という用語は投与の標的、例えば、ヒトを指す。したがって、開示されている方法の対象は、脊椎動物、例えば、哺乳動物、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類であることができる。「対象」という用語にはまた、飼育動物(例えば、ネコ、イヌなど)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、及び実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、ミバエなど)も含まれる。一態様では、対象は哺乳動物である。別の態様では、対象はヒトである。この用語は、特定の年齢または性別を示さない。したがって、性別にかかわらず、成人、小児、青年、及び新生児の対象、ならびに胎児が包含されることが意図される。
【0055】
本明細書で使用されるとき、「患者」という用語は疾患または障害に罹患している対象を指す。「患者」という用語は、ヒト及び動物の対象を含む。開示されている方法のいくつかの態様では、「患者」は、例えば、投与するステップの前に治療が必要であると診断されている。
【0056】
「断片」という用語は、参照タンパク質または核酸と実質的に同一であり、参照の生物活性を保持するタンパク質または核酸分子の一部(例えば、少なくとも5、10、25、50、100、125、150、200、250、300、350、400または500などのアミノ酸または核酸)を指すことができる。いくつかの態様では、断片または部分は、本明細書に記載されている参照のタンパク質または核酸の生物活性の少なくとも50%、75%、80%、85%、90%、95%または99%を保持する。さらに、参照ペプチドの断片は参照ポリペプチドの連続部分または隣接部分であることができる(例えば、10アミノ酸長である参照ペプチドの断片は、その参照ペプチド内の任意の2~9の隣接残基であることができる)。
【0057】
「バリアント」は、N末端及び/またはC末端のアミノ酸残基(単数)または残基(複数)の単なる欠失以外の、参照配列との何らかの差異を意味することができる。バリアントがアミノ酸残基の置換を含む場合、その置換は保存的または非保存的であるとみなすことができる。保存的置換は、以下の群、Ser、Thr、及びCys;Leu、Ile、及びVal;Glu及びAsp;Lys及びArg;Phe、Tyr、及びTrp;及びGln、Asn、Glu、Asp、及びHisの範囲内における置換である。バリアントは、少なくとも1つの置換及び/または少なくとも1つの付加を含むことができ、少なくとも1つの欠失が存在してもよい。バリアントは1以上の天然に存在しない残基を含むこともできる。例えば、バリアントは、システインの位置を含む任意の位置にセレノシステイン(例えば、セレノ-L-システイン)を含んでもよい。他の多数の「非天然」アミノ酸代替物が当該技術分野において知られており、商業的供給源から入手可能である。天然に存在しないアミノ酸の例には、D-アミノ酸、システインのイオウ原子に結合したアセチルアミノメチル基を有するアミノ酸残基、PEG化アミノ酸、ならびに式NH2(CH2)nCOOH(式中、nは2~6である)のオメガアミノ酸、中性非極性アミノ酸、例えば、サルコシン、t-ブチルアラニン、t-ブチルグリシン、N-メチルイソロイシン及びノルロイシンが挙げられる。フェニルグリシンは、Trp、TyrまたはPheの代替となり得る。シトルリン及びメチオニンスルホキシドは中性非極性であり、システイン酸は酸性であり、オルニチンは塩基性である。プロリンはヒドロキシプロリンで置換され得、プロリンの特性をもたらす立体構造を保持し得る。
【0058】
「単鎖可変断片(scFv)」とは、抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域を含むタンパク質を意味する。scFvは、可変重鎖、リンカー、及び可変軽鎖を含む融合タンパク質であることができる。いくつかの態様では、リンカーは、長さが約8~20のアミノ酸であることができる、短く、柔軟な断片であることができる。例えば、(G4S)nを使用することができる(n=1、2、3または4)。
【0059】
「断片抗原結合断片(Fab)」とは抗原に結合する抗体の領域である。Fabは重鎖と軽鎖の双方由来の定常領域と可変領域を含む。
【0060】
「CDR」または相補性決定領域は、「フレームワーク領域」(FR)と呼ばれるさらに保存されている領域内に分散した超可変性の領域である。
【0061】
「モノクローナル抗体」(モノクローナル抗体)という用語は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体または同様の抗体の集団を指し、特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではなく、Kohler及びMilstein(Nature,256:495-497,1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法、または組換えDNA法によって作製することができるモノクローナル抗体を含むが、これらに限定されない。
【0062】
「キメラ抗体」(または「キメラ免疫グロブリン」)という用語は、特定の種に由来する、または特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同であるが、鎖(複数可)の残りが、別の種に由来する、または別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体、ならびにそれらが所望の生物活性を示す限り、そのような抗体の断片における対応する配列と同一または相同である重鎖及び/または軽鎖を含む分子を指す(Cabilly et al.(1984)、以下、Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.81:6851)。
【0063】
「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト(例えば、マウス)抗体ならびにヒト抗体に由来する配列を含有する抗体の形態を指す。ヒト化抗体は、その結合及び/または生物活性を有意に変化させない、同じまたは異なる種からの保存的アミノ酸置換または非天然の残基を含むことができる。そのような抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。ヒト化抗体は、大部分がヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、レシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、所望の特性を有するマウス、ラット、ラクダ、ヤギまたはウサギのような非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基によって置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、または移入されたCDR配列もしくはフレームワーク配列にも見いだされない残基を含むことができる。これらの修飾は抗体性能をさらに改良し、最大化するために行われる。したがって、一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、一態様では2つの可変ドメインの全て、または実質的に全てを含むことができ、超可変ループの全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFRである。ヒト化抗体はまた任意で、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、またはヒト免疫グロブリンのそれを含むこともできる(例えば、Cabilly et al.,米国特許第4,816,567号、Cabilly et al.,欧州特許第0,125,023号B1、Boss et al.,米国特許第4,816,397号、Boss et al.,欧州特許第0,120,694号B1、Neuberger,M.S.et al.,WO86/01533、Neuberger,M.S.et al.,欧州特許第0,194,276号B1、Winter,米国特許第5,225,539号、Winter,欧州特許第0,239,400号B1、Padlan,E.A.et al.,欧州特許出願第0,519,596号A1、Queen et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol86:10029-10033を参照のこと)。
【0064】
本明細書で使用されるとき、「M1H」という用語は、ハイブリドーマクローンからクローン化された抗体を指す。「M1」はハイブリドーマモノクローナル1を指し、「H」は可変重鎖を指す。
【0065】
本明細書で使用されるとき、「M1M7K」という用語は、ハイブリドーマクローンM1及びM7から同定された可変軽鎖を指す。
【0066】
他に定義されない限り、本明細書中で使用するすべての技術用語及び科学用語は開示されている方法及び組成物が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似するまたは等価の任意の方法及び材料を本発明の方法及び組成物の実施または試験に使用することができるが、特に有用な方法、機器、及び材料は記載されているとおりである。本明細書において引用される刊行物及びそれらが引用される資料は参照によって本明細書に具体的に組み込まれる。本明細書のいずれも、本発明が先行発明によってそのような開示に先行する権利がないという承認として解釈されるべきではない。参照が先行技術を構成することを認めるものではない。参考文献の考察は、著者が主張することを述べており、出願人は、引用された文書の正確性と適切性に異議を唱える権利を留保する。本明細書においていくつかの刊行物が参照されているが、そのような参考文献は、これらのいかなる文書も当該技術分野における共通の一般知識の一部を形成していると認めるものではないことは明確に理解されるであろう。
【0067】
種々の細胞が、タンパク質コネキシンによって形成されたヘミチャネル及びギャップ結合を介して相互に、及び細胞外環境と情報交換することができる。コネキシンタンパク質は身体全体に遍在的に発現される。6つのコネキシンタンパク質が1つのヘミチャネルを構成し、2つのヘミチャネルが1つのギャップ結合チャネルを構成する。ギャップ結合は、隣接する細胞間の原形質膜に位置するチャネルのクラスターであり、細胞間情報伝達に介在する。ヘミチャネルは、ギャップ結合チャネルとは別の実体である。ヘミチャネルは、細胞内区画と細胞外環境の間の分子の交換を可能にする。
【0068】
骨細胞は、コネキシン(Cx)43ヘミチャネルとして知られるヘミチャネルを発現する。これらの骨細胞のヘミチャネルは通常閉じており、機械的刺激にさらされると開くことができ、それは骨の微小環境への種々の因子の放出をもたらす。ヘミチャネル開口によって放出される因子は、腫瘍細胞の移動及び骨転移を減らすことができる他のプロセスに介在することができる。
【0069】
本明細書に開示されているのは、コネキシンヘミチャネルの開口を調節する試薬を同定する方法である。いくつかの態様では、調節は、1以上のコネキシンヘミチャネルの開口を刺激するまたは増強することを意味することができる。いくつかの態様では、コネキシンヘミチャネルはCx43ヘミチャネルであることができる。いくつかの態様では、方法は、コネキシンヘミチャネルの開口を正に調節する(すなわち、刺激するまたは増強する)化合物または薬物を同定することができる。他の実施形態は、骨肉腫と診断された、または骨肉腫を有する患者に、コネキシン43ヘミチャネルを開く、またはコネキシン43ヘミチャネルの開口を刺激するもしくは増強する化合物を投与することによって骨肉腫を治療する方法を対象とする。いくつかの態様では、患者は原発腫瘍を有する。いくつかの態様では、Cx43ヘミチャネルを開く、またはCx43ヘミチャネルの開口を刺激するもしくは増強する化合物を使用して、肺への転移を予防する、抑制するまたは減らすことができる。いくつかの態様では、Cx43チャネルを開く、またはCx43ヘミチャネルの開口を刺激するもしくは増強する化合物を使用して、骨肉腫を治療することができる。いくつかの態様では、コネキシン43(Cx43)ヘミチャネルに結合し、チャネル開口を増強する抗体は、ギャップチャネルの結合になんらの影響も及ぼさないものであることができる。
【0070】
がんの転移は、がんが発生した体の部分(例えば、骨)から体の他の部分(例えば、肺)に広がり、二次腫瘍を確立するときに発生する。肺は骨肉腫患者のがん転移の最も一般的な部位の1つである。肺に転移するがんには、乳癌、前立腺癌、骨癌及び皮膚癌(例えば、黒色腫)が挙げられるが、これらに限定されない。肺転移は骨肉腫の患者で確認することができる。肺転移(mets)は、例えば、難治性の痛み、吐き気、頭痛、息切れ、喀血、胸水、運動障害のような、しかし、これらに限定されない多くの重大な臨床的結果及び生活の質の結果に関連している。多くの症例では、がんの全身性の存在は、がんを不治にもすることができる。
【0071】
正常な骨は、3つの主要な細胞型、すなわち骨形成性の骨芽細胞、骨吸収性の破骨細胞、及び骨細胞で構成されている。骨細胞は骨の細胞の約95%を構成し、溶骨性活性及び造骨性活性を調整することによって骨のリモデリングプロセスを維持する。がん細胞が骨に侵入すると、正常な骨機能の多くが影響を受ける。がん細胞は局所の微小環境と相互作用して、骨の破壊と血管新生を介してがん細胞の生存を促進する。
【0072】
骨細胞コネキシン(Cx)43ヘミチャネルの開口とそれらの放出された因子(複数可)はがんの増殖、移動、及び転移において抑制的な役割を有する一方で、ヘミチャネルの不活化は反対の効果を有する。Cx43ヘミチャネルは細胞内と細胞外の微小環境間の情報交換に介在する。Cx43ヘミチャネルは骨の骨細胞に豊富に存在し、Cx43ヘミチャネルを介して骨細胞から放出されるATPはがんの骨転移に対して腫瘍抑制の役割を発揮する。したがって、骨細胞におけるCx43ヘミチャネルの活性化の増強は、がん細胞の増殖とコロニー形成に対して骨格組織を保護する上で重要な戦略であることができる。いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗体は、骨の腫瘍細胞の増殖、例えば、脛骨内腫瘍の増殖を減らすまたは阻害することができる。
【0073】
骨細胞におけるCx43ヘミチャネルは、効果的で且つ一般的に使用されているビスフォスフォネート薬であるアレンドロネート(AD)による処置によって開くことが示されている。ビスフォスフォネートは、骨転移を含む多くの骨障害を治療することで知られている薬物のクラスである。Powles et al.は、ビスフォスフォネートの投与が、乳癌患者における骨転移の発生率の低下と死亡率の低下に関連することを示している。ADは腫瘍増殖の減少、ならびに骨破壊及び疼痛の減少に関連づけられている。ADは破骨細胞活性を阻害し、骨細胞におけるCx43ヘミチャネルの開口を誘導する(Plotkin et al.,2002)。しかしながら、AD投与には複数の重篤な副作用が伴う。
【0074】
抗体
本明細書に開示されているのは、開口ヘミチャネル、特にCx43ヘミチャネルを刺激するまたは増強することができる抗体である。いくつかの態様では、コネキシン43(Cx43)ヘミチャネルに結合し、チャネル開口を増強する抗体はギャップチャネルの結合になんらの影響も及ぼさないものであることができる。モノクローナル抗体を同定し、単離する例を以下に説明する。
【0075】
本明細書で使用されるとき、「CDR」という用語は抗体の可変ドメインの相補性決定領域を指す。CDRに含まれる残基の体系的な識別はKabat et al.によって開発されている(1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,United States Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda)。可変軽鎖(VL)CDRは本明細書では、27~32位(CDR1)、50~56位(CDR2)、及び91~97位(CDR3)の残基を含むように定義されている。可変重鎖(VH)CDRは本明細書では、27~33位(CDR1)、52~56位(CDR2)、及び95~102位(CDR3)の残基を含むように定義されている。
【0076】
本明細書に開示されているCDRはまたバリアントを含んでもよい。一般に、個々のバリアントCDRの間におけるアミノ酸同一性は、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%である。したがって、「バリアントCDR」は、本発明の親CDRまたは参照CDRに対して特定の同一性を有し、親CDRの特異性及び/または活性の少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%を含むが、これらに限定されない生物学的機能を共有するものである。例えば、「バリアントCDR」は、本発明の親CDRまたは参照CDRと比べて1、2、3または4のアミノ酸の変化を含有する配列であることができ、親CDRの生物学的機能、特異性及び/または活性を共有する、またはそれらを改善する。
【0077】
いくつかの態様では、本明細書に開示されているCDR配列のいずれも、親CDRまたは参照CDRと比べて単一のアミノ酸変化を含むことができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されているCDR配列のいずれも、親CDRまたは参照CDRと比べて少なくとも2つのアミノ酸変化を含むことができる。いくつかの態様では、アミノ酸の変化はシステイン残基から別のアミノ酸への変化であることができる。いくつかの態様では、アミノ酸の変化はグリシン残基から別のアミノ酸への変化であることができる。個々のバリアントCDRの間におけるアミノ酸同一性は、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%であることができる。したがって、「バリアントCDR」は、本発明の親CDRと特定された同一性を有し、親CDRの特異性及び/または活性の少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%を含むが、これらに限定されない生物学的機能を共有するものであることができる。例えば、親CDR配列は配列番号19、20、21、49、50及び/または51の1以上であることができる。バリアントCDR配列は配列番号19、20、21、49、50及び/または51のいずれか1つと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であることができる。バリアントCDR配列は親CDRの特異性及び/または活性の少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を共有することもできる。
【0078】
本明細書で論じれるように、本明細書に開示されている抗体のいずれのアミノ酸配列における軽微な変化も、アミノ酸配列における変化が親配列との少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも80%、90%、95%、及び最も好ましくは99%の配列同一性を維持することを条件として、本開示によって包含されることが企図される。いくつかの態様では、保存的アミノ酸置換が企図される。保存的置換は、側鎖において関連するアミノ酸のファミリー内で起こる置換である。遺伝的にコードされているアミノ酸は一般に、以下のファミリー、すなわち(1)酸性=アスパラギン酸、グルタミン酸、(2)塩基性=リジン、アルギニン、ヒスチジン、(3)非極性=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、及び(4)無電荷極性=グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシンに分けられる。さらに好ましいファミリーは以下の通りである。セリン及びスレオニンは脂肪族ヒドロキシファミリーであり、アスパラギン及びグルタミンはアミド含有ファミリーであり、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンは脂肪族ファミリーであり、ならびにフェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシン芳香族ファミリーである。例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンとの、アスパラギン酸のグルタミン酸との、スレオニンのセリンとの分離された置換、またはアミノ酸の構造的に関連したアミノ酸との類似した置換は、特に、置換がフレームワーク部位内のアミノ酸に関与しない場合、結果として得られる分子の結合または特性に対して主要な影響を有さないと予想することは妥当である。アミノ酸変化が機能性ペプチドをもたらすかどうかは、ポリペプチド誘導体の比活性をアッセイすることによって容易に決定することができる。アッセイは当業者に知られている。
【0079】
いくつかの態様では、アミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低減するもの、(2)酸化に対する感受性を低減するもの、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変更するもの、(4)結合親和性を変更するもの、及び(4)そのような類似体の他の物理化学的または機能的な特性を付与する、または修飾するものであることができる。いくつかの態様では、単一または複数のアミノ酸置換(好ましくは保存的アミノ酸置換)が、重鎖、軽鎖、またはその双方の非CDR配列にて行われてもよい。いくつかの態様では、1以上のアミノ酸置換は、重鎖、軽鎖、またはその双方のCDR配列の1以上にて行うことができる。
【0080】
抗体、及びFab断片及びF(ab’)2断片を含むそれらの一般的な断片の特性の化学的標識及び強化のために、多くの方法が開発されている。いくつかの抗体ジスルフィド結合のいくらか選択的な還元は以前に達成されており、定義された部位にて標識することができる抗体及び抗体断片を生成し、それらの有用性及び特性を強化している。穏やかな還元を使用したF(ab’)2断片に存在する2つのヒンジのジスルフィド結合の選択的還元は有用となっている。いくつかの態様では、システイン及びメチオニンは、急速な酸化を受けやすい可能性があり、それは、合成及びその後のペプチド精製の間に保護基の切断に悪い影響を及ぼし得る。場合によっては、抗体産生に使用されるペプチドにおけるシステイン残基は抗体の結合力に影響を与え得る。これは、遊離のシステインが生体内では稀であるので、ネイティブペプチド構造によって認識されない場合があるためである。いくつかの態様では、開示される抗体及びその断片は、CDRの外側(例えば、重鎖、軽鎖、またはその双方の非CDR配列)に存在するシステイン残基が置換されている配列を含む。いくつかの態様では、システインはセリンで置き換え、メチオニンはノルロイシン(Nle)で置き換えることができる。ジチオスレイトール(DTT)のような還元剤を緩衝液に添加しない限り、またはシステインをセリン残基で置き換えることができない限り、ペプチドまたは開示されている抗体またはその断片の1つにある複数のシステインはジスルフィド結合を形成しやすくてもよい。
【0081】
アミノ酸配列の変異を導入するための部位または領域が予め決定されているが、変異自体は予め決定される必要はない。例えば、所与の部位での変異の性能を最適化するために、標的のコドンまたは領域にて無作為変異誘発を行い、発現された抗原結合タンパク質のCDRバリアントを所望の活性の最適な組み合わせについてスクリーニングしてもよい。既知の配列を有するDNAの所定の部位にて置換変異を行う技法は周知であり、例えば、M13プライマー変異誘発及びPCR変異誘発が挙げられる。変異体のスクリーニングは、本明細書に記載されているような抗原結合タンパク質活性のアッセイを使用して行われる。
【0082】
アミノ酸置換は通常、単一残基である。挿入は通常、約1~約20のアミノ酸残基程度であろうが、かなり大きな挿入が許容されても得る。欠失は約1から約20のアミノ酸残基の範囲であるが、場合によっては、欠失ははるかに大きくてもよい。
【0083】
置換、欠失、挿入、またはそれらの任意の組み合わせを使用して最終的な誘導体またはバリアントに達し得る。一般に、これらの変更は、分子の変化、特に抗原結合タンパク質の免疫原性及び特異性の変化を最小限に抑えるために、少数のアミノ酸に対して行われる。しかしながら、ある特定の状況では、さらに大きな変更が許容されてもよい。
【0084】
本明細書で使用されるとき「Fab」または「Fab領域」とは、VH、CH1、VL、及びCLの免疫グロブリンドメインを含むポリペプチドを意味する。Fabは、この領域を単独で、または完全長抗体、抗体断片もしくはFab融合タンパク質、もしくは本明細書に概説されるような他の任意の抗体の実施形態との関連でこの領域を指してもよい。
【0085】
本明細書で使用されるとき「Fv」または「Fv断片」または「Fv領域」とは、単一抗体のVLドメイン及びVHドメインを含むポリペプチドを意味する。
【0086】
本明細書で使用されるとき「フレームワーク」とは、CDRとして定義されるそれらの領域を除く抗体可変ドメインの領域を意味する。各抗体可変ドメインのフレームワークはさらに、CDRによって分離された隣接領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)に細分化することができる。
【0087】
本明細書で使用されるとき、抗体の「抗原結合部分」(または単純に「抗体部分」)という用語は、抗原(例えば、ヘミチャネル)に特異的に結合する能力を保持する、抗体の1以上の断片を指す。抗体の抗原結合機能は完全長抗体の断片によって実行され得ることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語の中に包含される結合断片の例には、(i)VL/VK、VH、CL、及びCH1のドメインから成る一価の断片であるFab断片、(ii)ヒンジ領域にてジスルフィド架橋によって連結される2つのFab断片を含む二価の断片であるF(ab’)2断片、(iii)ヒンジの一部を伴うFabであることができるFab’(FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY(Paul ed.,3rd ed.1993を参照のこと)、(iv)VHドメインとCH1ドメインとから成るFd断片、(v)抗体の単一アームのVLドメイン及びVHドメインから成るFv断片、(vi)VHドメインから成るdAb断片(Ward et al.,(1989),Nature,341:544-546)、(vii)単離された相補性決定領域(CDR)、ならびに(viii)単一の可変ドメインと2つの定常ドメインとを含有する重鎖可変領域であるナノボディが挙げられる。
【0088】
「特異的に結合する」(または「免疫特異的に結合する」)という用語は、抗体がその意図された標的に排他的に結合することを示すように意図するものではない。むしろ、抗体は、その意図された標的に対するその親和性が非標的分子に対するその親和性と比べて約5倍大きいならば、「特異的に結合する」。好適には、望ましくない物質との有意な交差反応または交差結合はない。抗体の親和性は、例えば、非標的分子に対する親和性よりも標的分子に対して少なくとも約5倍、例えば、10倍、例えば、25倍、特に50倍、及び特に100倍以上であろう。いくつかの実施形態では、抗体または他の結合剤と抗原との間の特異的結合は、少なくとも106M-1の結合親和性を意味する。抗体は、例えば、約108M-1~約109M-1の間、約109M-1~約1010M-1の間、または約1010M-1~約1011M-1の間のような少なくとも約107M-1の親和性で結合し得る。抗体は、例えば、50nM以下、10nM以下、1nM以下、100pM以下、またはさらに好ましくは10μM以下のEC50で結合し得る。いくつかの態様では、抗体は、約60μg/ml、59μg/ml、58μg/ml、57μg/ml、56μg/ml、55μg/ml、54μg/ml、53μg/ml、52μg/ml、51μg/ml、50μg/ml、またはそれ以下のEC50で結合することができる。いくつかの態様では、抗体は約50μg/ml、49μg/ml、48μg/ml、47μg/ml、46μg/ml、45μg/ml、44μg/ml、43μg/ml、42μg/ml、41μg/ml、40μg/ml、またはそれ以下のEC50で結合することができる。いくつかの態様では、抗体は約40μg/ml、39μg/ml、38μg/ml、37μg/ml、36μg/ml、35μg/ml、34μg/ml、33μg/ml、32μg/ml、31μg/ml、30μg/ml、またはそれ以下のEC50で結合することができる。
【0089】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗体はそれらの意図された標的に特異的に結合することができる。いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗体は部位から外れた結合を有さない。例えば、本明細書に記載されている抗体は心臓、肝臓、または脊髄に結合しない、またはそれらに分布しない。
【0090】
本明細書に記載されている抗体は、断片(例えば、四量体抗体の例えば、Fab断片またはF(ab’)2断片)、scFvまたはダイアボディの断片、または1以上のアミノ酸残基の付加及び/または置換によって異なる四量体抗体、scFv、ダイアボディのバリアント、またはそれらの断片を含むが、これらに限定されないバリアントであることができる。抗体部分は、例えば、ジダイアボディとしてさらに操作することができる。
【0091】
当該技術分野で周知のように、ある特定の型の抗体断片は「完全長」抗体の酵素的処理によって生成することができる。パパインによる消化は、それぞれが単一の抗原結合部位を持つ2つの同一のFab断片と、残りのFc断片とを生成する。Fab断片は軽鎖の定常ドメインと重鎖のChiドメイも含有する。対照的に、ペプシンによる消化は2つの抗原結合部位を有し、且つ依然として抗原に架橋することができるF(ab’)2断片が得られる。
【0092】
Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1以上のシステイン残基を含め、ChiドメインのC末端に追加の残基を有する点でFab断片とは異なる。定常ドメインのシステイン残基は遊離チオール基を有する。F(ab’)2抗体断片は、ヒンジ領域のシステイン残基によって連結されたFab’断片の対である。抗体断片の他の化学カップリングも当該技術分野で既知である。
【0093】
Fv領域は1つの重鎖と1つの軽鎖の可変ドメインから成る完全な抗原認識及び結合部位を含有する最小断片である。各可変ドメインの3つのCDRがVH-VL二量体の表面上の抗原結合部位を規定するように相互作用する。まとめて、6つのCDRは抗体に抗原結合特異性を付与する。当該技術分野で知られているように、「単鎖」抗体または「scFv」断片は、抗体のVHドメイン及びVLドメインが抗原を認識して結合する単一のポリペプチド鎖に含まれるときに形成される単鎖Fvバリアントである。通常、単鎖抗体は、scFvが抗原結合のため所望の3次元構造を形成できるようにする、VHドメインとVLドメインの間にポリペプチドリンカーを含む(例えば、Pluckthun,In The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,Rosenburg and Moore Eds.,Springer-Verlag,New York,113:269-315.1994を参照のこと)。
【0094】
いくつかの態様では、抗体はダイアボディであることができる。ダイアボディは2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片である。各断片はVLドメインに連結されたVHドメインを含有する。しかしながら、ドメイン間でのリンカーが同じ鎖上にてそれらの間で対合を可能にするには短すぎるので、連結されたVh-Vlドメインを別の鎖の相補性ドメインと強制的に対合させ、2つの抗原結合部位を作り出す。ダイアボディは、例えば、EP404,097;WO93/11161、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448,1993にさらに詳述されている。
【0095】
いくつかの態様では、Cx43タンパク質の少なくとも一部に結合し、Cx43ヘミチャネルの開口を刺激し、促進しまたは増強し、シグナル伝達を刺激しまたは増強し、且つがん細胞の成長、増殖及び/またはコロニー形成を減少させる抗体またはその断片が企図される。いくつかの態様では、Cx43タンパク質の少なくとも一部に結合し、Cx43ヘミチャネルの開口を刺激し、促進しまたは増強し、シグナル伝達を刺激しまたは増強し、がん細胞の成長、増殖及び/またはコロニー形成を減少させ、且つギャップ結合のカップリングにはなんらの影響も及ぼさない抗体またはその断片が企図される。いくつかの態様では、抗Cx43抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはヒト化抗体であることができる。従って、既知の手段によっておよび本明細書に記載されているように、Cx43タンパク質に、その各エピトープのうちの1以上に、または前述のいずれかのコンジュゲートに対して特異的であるポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体、抗体断片、ならびに結合ドメイン及びCDR(前述のいずれかの操作された形態を含む)が作り出され得、そのような抗原またはエピトープは、天然の供給源から単離されるか、または天然化合物の合成誘導体もしくはバリアントのいずれかである。
【0096】
好適な抗体断片の例には限定しないで、(i)VL、VH、CL、及びCH1のドメインから成るFab断片、(ii)VII及びCmのドメインから成る「Fd」断片、(iii)単一抗体のVL及びVHのドメインから成る「Fv」断片、(iv)VHドメインから成る「dAb」断片、(v)単離されたCDR領域、(vi)2つの結合したFab断片を含む二価の断片であるF(ab’)2断片、(vii)単鎖Fv分子(「scFv」)(ここでは、VIIドメイン及びVLドメインは、2つのドメインを結合させて結合ドメインを形成するペプチドリンカーによって連結される)、(viii)二重特異性単鎖Fv二量体(米国特許第5,091,513を参照のこと)、ならびに(ix)遺伝子融合によって構築される多価のまたは多重特異性の断片であるダイアボディ(米国特許出願公開20050214860)が挙げられる。Fv、scFv、またはダイアボディの分子は、VHドメインとVLドメインとを連結するジスルフィド架橋の組み込みによって安定化されてもよい。CH3ドメインに結合されるscFvを含むミニボディも生成されてもよい(Hu et al.,1996)。
【0097】
抗体様結合ペプチド模倣体もまた企図される。Liu et al.(2003)は、「抗体様結合ペプチド模倣体」(ABiP)を記載しており、これは、縮小された抗体として作用し、より長い血清半減期ならびに面倒な合成法が少ないという、ある特定の利点を有するペプチドである。
【0098】
Cx43タンパク質に特異的な抗体を産生するために、動物にCx43細胞外ドメインタンパク質のような抗原を接種してもよい。頻繁に、免疫応答を増強するために、抗原は別の分子と結合されまたはコンジュゲートされる。本明細書で使用されるとき、コンジュゲートは、動物にて免疫応答を引き出すのに使用される、抗原に結合されたペプチド、ポリペプチド、タンパク質または非タンパク様物質である。抗原接種に応答して動物にて産生される抗体は、種々の個々の抗体産生Bリンパ球から生成された多様な非同一分子(ポリクローナル抗体)を含む。ポリクローナル抗体は、抗体種の混合集団であり、そのそれぞれが同一の抗原上の異なるエピトープを認識し得る。動物におけるポリクローナル抗体の生成のための適正な条件があれば、動物の血清中の大部分の抗体は、動物が免疫化された抗原化合物上の集団的エピトープを認識するであろう。この特異性は、関心の抗原またはエピトープを認識する抗体だけを選択するための親和性精製によってさらに増強される。
【0099】
モノクローナル抗体は、抗体の単一種であり、抗体産生細胞が単一のBリンパ球細胞株に由来するので、全ての抗体分子が同一のエピトープを認識する。モノクローナル抗体(MAb)を生成するための方法は、一般的に、ポリクローナル抗体を調製するための方法と同様に開始する。いくつかの態様では、マウス及びラットのような齧歯類がモノクローナル抗体を生成するのに使用される。いくつかの態様では、ウサギ、ヒツジ、またはカエルの細胞がモノクローナル抗体を生成するのに使用される。ラットの使用が周知であり、特定の利点を提供し得る。マウス(例えば、BALB/cマウス)は日常的に使用され、一般的に高いパーセンテージの安定した融合を提供する。
【0100】
ハイブリドーマ技術は、前もってCx43抗原で免疫したマウスからの単一のBリンパ球の不死化骨髄細胞(通常はマウス骨髄)との融合を含む。この技術は、単一抗体産生細胞を無限の世代数まで増殖させる方法を提供することで、同一の抗原またはエピトープへの特異性を有する構造的に同一の無制限の量の抗体(モノクローナル抗体)が産生され得る。
【0101】
形質B細胞は、免疫したウサギの新たに調製されたウサギ末梢血単核細胞から単離され、Cx43結合細胞についてさらに選択されてもよい。抗体産生B細胞を富化した後、全RNAを単離し、cDNAを合成してもよい。重鎖及び軽鎖の双方からの抗体可変領域のDNA配列を増幅し、ファージディスプレイFab発現ベクターに構築し、E.coliで形質転換してもよい。Cx43特異的結合Fabは、複数回の富化パンニングを介して選択され、配列決定されてもよい。選択されたCx43結合ヒットはヒト胎児腎臓(HEK293)細胞(Invitrogen)にて哺乳類発現ベクターシステムを用いてウサギ及びウサギ/ヒトのキメラ形態で完全長のIgGとして発現されてもよく、高速プロテイン液体クロマトグラフィー(FPLC)分離ユニットを備えたプロテインG樹脂を使用して精製されてもよい。
【0102】
いくつかの態様では、抗体はキメラ抗体、例えば、異種非ヒト、ヒト、またはヒト化の配列(例えば、フレームワーク配列及び/または定常ドメイン配列)に移植された非ヒトドナー由来の抗原結合配列を含む抗体であることができる。モノクローナル抗体の軽鎖及び重鎖定常ドメインをヒト起源の類似のドメインで置き換えて、外来抗体の可変ドメインを無傷で残存させるための方法が開発されている。あるいは、「完全なヒト型」モノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子について遺伝子組み換えしたマウスにて産生させることができる。齧歯類、例えばマウス及びヒトのアミノ酸配列の双方を有する抗体可変ドメインを組換えにより構築することによってモノクローナル抗体の可変領域をさらにヒト型に変換するための方法も開発されている。「ヒト化」モノクローナル抗体では、超可変性CDRのみがマウスモノクローナル抗体に由来し、フレームワーク及び定常領域はヒトアミノ酸配列に由来する(米国特許第5,091,513号及び同第6,881,557号を参照のこと)。齧歯類に特徴的である抗体にてアミノ酸配列をヒト抗体の対応する位置で見いだされるアミノ酸配列で置き換えることは、治療上の使用の際に有害な免疫反応の可能性を減らすであろうと考えられている。ハイブリドーマまたは他の抗体産生細胞は遺伝子突然変異または他の変化に供してもよく、それは、ハイブリドーマによって産生された抗体の結合特異性を変更する場合も、変更シない場合もある。
【0103】
様々な動物種においてポリクローナル抗体を産生するための方法、ならびにヒト化抗体、キメラ抗体、及び完全ヒト抗体を含む種々のタイプのモノクローナル抗体を産生するための方法は当該技術分野において周知であり、容易に予想可能である。例えば、以下の米国特許及び特許出願はそのような方法の説明を可能にする:米国特許出願番号2004/0126828及び2002/0172677、ならびに第3,817,837号、同第3,850,752号、同第3,939,350号、同第3,996,345号、同第4,196,265号、同第4,275,149号、同第4,277,437号、同第4,366,241号、同第4,469,797号、同第4,472,509号、同第4,606,855号、同第4,703,003号、同第4,742,159号、同第4,767,720号、同第4,816,567号、同第4,867,973号、同第4,938,948号、同第4,946,778号、同第5,021,236号、同第5,164,296号、同第5,196,066号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,420,253号、同第5,565,332号、同第5,571,698号、同第5,627,052号、同第5,656,434号、同第5,770,376号、同第5,789,208号、同第5,821,337号、同第5,844,091号、同第5,858,657号、同第5,861,155号、同第5,871,907号、同第5,969,108号、同第6,054,297号、同第6,165,464号、同第6,365,157号、同第6,406,867号、同第6,709,659号、同第6,709,873号、同第6,753,407号、同第6,814,965号、同第6,849,259号、同第6,861,572、同第6,875,434号、及び同第6,891,024号。本明細書で引用される特許、特許出願公開、及び他の刊行物、及びそれらで引用される特許、特許出願公開、及び他の刊行物はすべて、本出願において参照によって本明細書に組み込まれる。
【0104】
抗体は、鳥類及び哺乳動物を含む任意の動物源から産生されてもよい。好ましくは、抗体は、ヒツジ、ネズミ(例えば、マウス及びラット)、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリの抗体である。加えて、新しい技術が、ヒトコンビナトリアル抗体ライブラリーからのヒト抗体についての開発及びスクリーニングを可能にする。例えば、バクテリオファージ抗体発現技術は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,946,546号に記載されているように、動物の免疫付与なしで特異的抗体が産生されるのを可能にする。これらの手法は、Marks(1992);Stemmer(1994)、Gram et al.(1992)、Barbas et al.(1994);及びSchier et al.(1996)にてさらに説明されている。
【0105】
Cx43に対する抗体が、動物種、モノクローナル細胞株、または抗体の他の供給源にかかわらず、Cx43の効果を中和する、またはそれに対抗する能力を有するであろうことは十分に期待される。ある特定の動物種は、抗体の「Fc」部分を通しての補体系の活性に起因して、これらがアレルギー反応を引き起こす可能性が高いために、治療的抗体を生成するために好ましさの程度は比較的低い場合がある。しかしながら、全抗体が「Fc」(補体結合)断片に、そして結合ドメインまたはCDRを有する抗体断片に酵素により消化されることが可能である。Fc部分の除去は抗原抗体断片が望ましくない免疫学的応答を誘発する可能性を減らすので、Fcを含まない抗体が予防上または治療上の処置のために優先され得る。本明細書に記載されているように、抗体はまた、他の種で産生された、または他の種に由来の配列を有する抗体を動物に投与することから生じる有害な免疫学的結果を減らすまたは排除するために、キメラまたは部分的にもしくは完全にヒト型であるように構築されてもよい。
【0106】
置換型バリアントは通常、タンパク質内の1以上の部位における1つのアミノ酸の別のアミノ酸への交換を含有し、他の機能または特性の喪失の伴い、または伴わずに、ポリペプチドの1以上の特性を調節するよう設計されてもよい。置換は、保存的であってもよく、すなわち、1つのアミノ酸が同様な形状または電荷の1つで置き換えられる。保存的置換は、当該技術分野において周知であり、例えば、アラニンのセリンへの変更、アルギニンのリジンへの変更、アスパラギンのグルタミンまたはヒスチジンへの変更、アスパラギン酸のグルタミンへの変更、システインのセリンへの変更、グルタミンのアスパラギンへの変更、グルタミン酸のアスパラギン酸への変更、グリシンのプロリンへの変更、ヒスチジンのアスパラギンまたはグルタミンへの変更、イソロイシンのロイシンまたはバリンへの変更、ロイシンのバリンまたはイソロイシンへの変更、リジンのアルギニンへの変更、メチオニンのロイシンまたはイソロイシンへの変更、フェニルアラニンのチロシンへの変更、ロイシンのメチオニンへの変更、セリンのスレオニンへの変更、スレオニンのセリンへの変更、トリプトファンのチロシンへの変更、チロシンのトリプトファンまたはフェニルアラニンへの変更、及びバリンのイソロイシンまたはロイシンへの変更が含まれる。あるいは、置換は、ポリペプチドの機能または活性が影響を受けるように、非保存的であってもよい。非保存的変化は通常、残基を化学的に異なるもので置換すること、例えば、極性または荷電アミノ酸を非極性または非荷電アミノ酸で置換することを伴い、逆もまた同様である。
【0107】
タンパク質は組換え体であっても、または試験管内で合成されてもよい。あるいは、非組換えまたは組換えタンパク質が細菌から単離されてもよい。こうしたバリアントを含有する細菌が組成物及び方法において適用されてもよいことも企図される。その結果、タンパク質は単離される必要がない。
【0108】
組成物中に、1ml当たり約0.001mg~約10mgの総ポリペプチド、ペプチド、及び/またはタンパク質が存在することが企図される。したがって、組成物中のタンパク質の濃度は、約、少なくとも約または最大で約0.001、0.010、0.050、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0mg/mlまたはそれ以上(またはこれらの中で導き出せる任意の範囲)であることができる。このうちの、約、少なくとも約、または最大で約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%がCx43を結合する抗体であり得る。
【0109】
抗体または好ましくは抗体の免疫部分は、他のタンパク質と化学的にコンジュゲートされるか、または融合タンパク質として発現され得る。本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のために、全てのこうした融合タンパク質は、抗体または抗体の免疫部分の定義に含まれる。
【0110】
本明細書に記載されているのは、抗体コンジュゲートまたはペイロードを形成するために少なくとも1つの薬剤に連結される、Cx43、ポリペプチド、及びペプチドに対する抗体及び抗体様分子である。診断剤または治療剤としての抗体分子の有効性を高めるために、抗体を少なくとも1つの所望の分子または部分に結合する、共有結合する、またはそれと複合体形成することができる。そのような分子または部分は少なくとも1つのエフェクター分子またはレポーター分子であってもよいが、これらに限定されない。エフェクター分子は、所望の活性、例えば、細胞毒性活性を有する分子を含む。抗体に取り付けられたエフェクター分子の非限定的な例としては、毒素、治療的酵素、抗生物質、放射標識ヌクレオチド等が含まれる。対照的に、レポーター分子は、アッセイを用いて検出され得る任意の部分として定義される。抗体にコンジュゲートされているレポーター分子の非限定的な例には、酵素、放射性標識、ハプテン、蛍光標識、燐光分子、化学発光分子、発色団、発光分子、光親和性分子、着色粒子、またはビオチンのようなリガンドが挙げられる。
【0111】
抗体のそのコンジュゲート部分への取付けまたはコンジュゲートのためのいくつかの方法が当該技術分野において知られている。一部の取付け方法には、例えば、抗体に取り付けられる有機キレート剤、例えば、ジエチレントリアミンペンタ酢酸無水物(DTPA)、ジエチレントリアミンテトラ酢酸、N-クロロ-p-トルエンスルホンアミド、及び/またはテトラクロロ-3-6-ジフェニルグリコウリル-3を採用する金属キレート錯体の使用が伴う。モノクローナル抗体はまた、グルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩のようなカップリング剤の存在下で酵素と反応させてもよい。フルオレセインマーカーとのコンジュゲートは、これらのカップリング剤の存在下で、またはイソチオシアネートとの反応によって調製される。
【0112】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗Cx43抗体は、配列番号19の配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号20の配列を含むCDR2と、配列番号21の配列を含むCDR3とを含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。表2は重鎖のCDRの例を示す。
【0113】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗Cx43抗体は、配列番号49の配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号50の配列を含むCDR2と、配列番号51の配列を含むCDR3とを含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。表2は軽鎖のCDRの例を示す。
【0114】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗Cx43抗体は、配列番号19の配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号20の配列を含むCDR2と、配列番号21の配列を含むCDR3とを含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及び配列番号49の配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号50の配列を含むCDR2と、配列番号51の配列を含むCDR3とを含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。
【0115】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗Cx43抗体は、配列番号19、20、または21に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含むことができる(表2を参照のこと)。いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗Cx43抗体は配列番号19、20、または21に示される配列に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む(表2を参照のこと)。
【0116】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗Cx43抗体は、配列番号49、50、または51に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含むことができる(表2を参照のこと)。いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗Cx43抗体は、配列番号49、50、または51に示される配列に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。
【0117】
本明細書に開示されているのは、配列番号52の配列を含むM1Hをコードする核酸配列である。本明細書に開示されているのは、配列番号57の配列を含むM1M7Kをコードする核酸配列である。
【0118】
本明細書に開示されているのは、配列番号52に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含むM1Hをコードする核酸配列である(表3を参照のこと)。いくつかの態様では、M1Hは配列番号52に示される配列に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。
【0119】
本明細書に開示されているのは、配列番号57に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含むM1M7Kをコードする核酸配列である(表3を参照のこと)。いくつかの態様では、M1M7Kは配列番号57に示される配列に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。
【0120】
本明細書に開示されているのは、配列番号16の配列を含むCDR1と、配列番号17の配列を含むCDR2と、配列番号18の配列を含むCDR3とを含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むM1H領域をコードする核酸配列である。
【0121】
本明細書に開示されているのは、配列番号46の配列を含むCDR1と、配列番号47の配列を含むCDR2と、配列番号48の配列を含むCDR3とを含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むM1M7K領域をコードする核酸配列である。
【0122】
本明細書に開示されているのは、配列番号16の配列を含むCDR1と、配列番号17の配列を含むCDR2と、配列番号18の配列を含むCDR3とを含む重鎖免疫グロブリン可変領域、及び配列番号46の配列を含むCDR1と、配列番号47の配列を含むCDR2と、配列番号48の配列を含むCDR3とを含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む抗Cx43ヘミチャネル抗体をコードする核酸配列である。
【0123】
本明細書に開示されているのは、ヒトCx43に結合する抗体またはその断片である。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、表2または4に提供されている可変重鎖アミノ酸配列の1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列を含む可変重鎖を含む。
【0124】
本明細書に開示されているのは、ヒトCx43に結合する抗体またはその断片である。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、表2または4に提供されている可変軽鎖アミノ酸配列の1つに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、配列番号63に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。いくつかの態様では、抗体またはその断片は配列番号63に示される配列を含む可変軽鎖を含む。
【0125】
本明細書に開示されているのは、ヒトCx43ヘミチャネルに結合する抗体またはその断片である。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖、及び配列番号63に示される配列少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む。いくつかの態様では、抗体は配列番号58に示される配列を含む可変重鎖と、配列番号63に示される配列を含む可変軽鎖とを含む。
【0126】
いくつかの態様では、抗体またはその断片はM1H領域を含む。いくつかの態様では、M1H領域は、配列番号19の配列を含むCDR1と、配列番号20の配列を含むCDR2と、配列番号21の配列を含むCDR3とを含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含む。
【0127】
いくつかの態様では、抗体またはその断片はM1M7K領域を含む。いくつかの態様では、M1M7K領域は、配列番号49の配列を含むCDR1と、配列番号50の配列を含むCDR2と、配列番号51の配列を含むCDR3とを含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含む。
【0128】
場合によっては、開示されている抗体またはその断片はさらに、タグ配列を含む。
【0129】
本明細書に開示されているのは、開示されている抗体またはその断片をコードする核酸配列である。例えば、開示されているのは、配列番号52に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む核酸配列である。本明細書に開示されているのは、開示されている抗体またはその断片をコードする核酸配列である。例えば、本明細書に開示されているのは、配列番号52に示される配列を含む可変重鎖を含む核酸配列である。本明細書に開示されているのはまた、配列番号57に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む核酸配列である。開示されているのはまた、配列番号57に示される配列を含む可変軽鎖を含む核酸配列である。
【0130】
本明細書に開示されているのは、配列番号52に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号57に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含む核酸配列である。開示されているのは、配列番号52に示される配列を含む可変重鎖と配列番号57に示される配列を含む可変軽鎖とを含む核酸配列である。
【0131】
本明細書に開示されているのは、配列番号52に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含む単鎖可変断片をコードすることができる核酸配列である。
【0132】
開示されているのは、配列番号57に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含む単鎖可変断片をコードすることができる核酸配列である。
【0133】
開示されているのは、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号63に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを単鎖可変断片をコードすることができる核酸配列である。
【0134】
場合によっては、開示された抗体またはその断片は二重特異性であることができる。例えば、抗体またはその断片は、配列番号58の重鎖及び軽鎖を含む第1のFab領域と、配列番号63の重鎖及び軽鎖を含む第2のFab領域とを含むことができ、その際、第1のFab領域及び第2のFab領域は異なることができる。
【0135】
場合によっては、二重特異性抗体は三機能性であることができる。
【0136】
場合によっては、開示されている抗体またはその断片は、マウス型、ヒト型、ヒト化型、キメラ型、またはそれらの組み合わせであることができる。
【0137】
場合によっては、開示されている抗体またはその断片はモノクローナルである。
【0138】
方法
本明細書に開示されているのは、対象にて骨肉腫を治療するまたは予防する方法である。方法は、治療有効量の抗コネキシン43抗体またはその断片を対象に投与することを含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は配列番号63に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、配列番号58に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変重鎖と、配列番号63に示される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む可変軽鎖とを含むことができる。いくつかの態様では、方法は骨肉腫を伴う対象の寿命を延ばすことができる。いくつかの態様では、方法は骨腫瘍細胞の増殖、例えば、脛骨内腫瘍の増殖を減らすまたは抑制するまたは防止することができる。いくつかの態様では、方法は脛骨内腫瘍の増殖を減らすまたは抑制するまたは防止することができる。いくつかの態様では、方法はより多くの細胞、または悪性腫瘍におけるATP放出を増やす、増強するまたは促進することができる。いくつかの態様では、方法は骨肉腫細胞の移動を減らす、抑制するまたは防止することができる。
【0139】
いくつかの態様では、抗体またはその断片は、配列番号19に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1と、配列番号20に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域2と、配列番号21に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域3とを含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、配列番号49に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第1の相補性決定領域1と、配列番号50に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第2の相補性決定領域2と、配列番号51に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む第3の相補性決定領域3とを含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。
【0140】
いくつかの態様では、抗体またはその断片は、配列番号19と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性決定領域1と、配列番号20と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性決定領域2と、配列番号21と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性決定領域3とを含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、配列番号49と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第1の相補性決定領域1と、配列番号50と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第2の相補性決定領域2と、配列番号51と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む第3の相補性決定領域3とを含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。
【0141】
いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号19の配列を含む相補性決定領域1(CDR1)またはそのバリアント、b)配列番号20の配列を含む相補性決定領域2(CDR2)またはそのバリアント、及び/またはc)配列番号21の配列を含む相補性決定領域3(CDR3)またはそのバリアントを含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、重鎖のCDR1、CDR2またはCDR3のいずれか1つは親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換はシステイン残基から別のアミノ酸であることができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、グリシン残基から別のアミノ酸であることができる。
【0142】
いくつかの態様では、抗体またはその断片は、a)配列番号49の配列を含む相補性決定領域1(CDR1)またはそのバリアント、b)配列番号50の配列を含む相補性決定領域2(CDR2)またはそのバリアント、及び/またはc)配列番号51の配列を含む相補性決定領域3(CDR3)またはそのバリアントを含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、軽鎖のCDR1、CDR2またはCDR3のいずれか1つは親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換はシステイン残基から別のアミノ酸であることができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、グリシン残基から別のアミノ酸であることができる。
【0143】
いくつかの態様では、抗体またはその断片は、配列番号19に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号20に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または配列番号21に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、軽鎖のCDR1、CDR2またはCDR3のいずれか1つは親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換はシステイン残基から別のアミノ酸であることができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、グリシン残基から別のアミノ酸であることができる。
【0144】
いくつかの態様では、抗体またはその断片は、配列番号49に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号50に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または配列番号51に示される配列に対して少なくとも60%の同一性を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、軽鎖のCDR1、CDR2またはCDR3のいずれか1つは親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換はシステイン残基から別のアミノ酸であることができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、グリシン残基から別のアミノ酸であることができる。
【0145】
いくつかの態様では、抗体またはその断片は、配列番号19に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号20に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または配列番号21に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、軽鎖のCDR1、CDR2またはCDR3のいずれか1つは親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換はシステイン残基から別のアミノ酸であることができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、グリシン残基から別のアミノ酸であることができる。
【0146】
いくつかの態様では、抗体またはその断片は、配列番号49に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号50に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、及び/または配列番号51に示される配列と比べて単一のアミノ酸変化を有する配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖免疫グロブリン可変領域を含むことができる。いくつかの態様では、軽鎖のCDR1、CDR2またはCDR3のいずれか1つは親CDRと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換はシステイン残基から別のアミノ酸であることができる。いくつかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸置換は、グリシン残基から別のアミノ酸であることができる。
【0147】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法のいずれも、骨肉腫を有する対象における肺転移または脳転移を治療するまたは防止するための方法としてさらに定義することができる。いくつかの態様では、転移は、対象の乳房、他の骨及び/または他の臓器にあることができる。
【0148】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法のいずれも、抗体またはその断片をコードする有効量の発現ベクターを対象に投与することを含むことができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は薬学的に許容される組成物にて投与することができる。いくつかの態様では、医薬組成物は凍結乾燥することができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は全身性に投与することができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、静脈内、皮内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、皮下、または局所に投与することができる。いくつかの態様では、抗体またはその断片は、ヒト化抗体またはそのヒト化断片であることができる。いくつかの態様では、抗体は、配列番号19に対応する第1のVHCDRと、配列番号20に対応する第2のVHCDRと、配列番号21に対応する第3のVHCDRと、配列番号49に対応する第1のVLCDRと、配列番号50に対応する第2のVLCDRと、配列番号51に対応する第3のVLCDRとを含むIgG、IgM、IgA、IgD、IgE、または遺伝子操作されたIgGクラスの抗体であることができる。いくつかの態様では、抗体は、IgGクラスの抗体であることができ、IgGクラスの抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のクラスの抗体である。
【0149】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法のいずれも、さらに、少なくとも第2の抗癌療法を対象に施すことを含むことができる。いくつかの態様では、第2の抗癌療法は、外科療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、免疫療法、またはサイトカイン療法であることができる。
【0150】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法のいずれにおいても、抗体またはその断片はCx43ヘミチャネルに結合することができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法のいずれにおいても、抗体またはその断片はCx43ヘミチャネルの開口を刺激することができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法のいずれにおいても、抗体またはその断片はCx43ヘミチャネルの開口を刺激することができ、ギャップ結合のカップリングに対してなんらの影響も及ぼさない。
【0151】
いくつかの態様では、抗体またはその断片はさらにタグ配列を含むことができる。
【0152】
いくつかの態様では、抗体またはその断片はFab断片、Fab’断片またはF(ab’)2断片であることができる。
【0153】
疾患の治療
本明細書に開示されているのは、骨肉腫の対象にて骨肉腫を治療するために、または肺転移及び/または肝臓、脳または乳房への転移を防止するまたは減らすために使用することができる抗体及びその生物学的断片である。Cx43ヘミチャネルのシグナル伝達を増強することは、がん細胞の増殖、成長及び/またはコロニー形成を防ぐための好適な薬物または治療剤によって達成することができる。いくつかの態様では、薬物または治療剤は抗Cx43抗体であることができる。
【0154】
本明細書に記載されている組成物は、臨床疾患の発症を遅延させ、減らし、または好ましくは防止するのに十分な量で対象(例えば、ヒト患者)に投与することができる。したがって、いくつかの態様では、患者はヒト患者であることができる。治療用途では、骨肉腫癌をすでに患っている、または骨肉腫癌であると診断されている対象(例えば、ヒト患者)に、徴候または症状を少なくとも部分的に改善する、または病気の症状、その合併症、及び成り行きの進行を抑制する(及び好ましくは停止させる)のに十分な量で組成物を投与することができる。これを達成するための適切な量は「治療有効量」として定義される。組成物(例えば、医薬組成物)の治療有効量は、治癒を達成する量であることができるが、その成果は達成され得るいくつかのうちの1つにすぎない。言及されているように、治療有効量には、がんの発症もしくは進行を遅延させ、妨害し、もしくは防止する、またはがんもしくはがんの症状を改善させる、もしくはその頻度を減らすことができる治療を提供する量が含まれる。症状のうちの1以上は重症度が低くなり得る。治療されている個体では回復を促進することができる。例えば、がんの治療は、例えば、腫瘍サイズの減少、腫瘍の浸潤性の低下、がんの増殖速度の低下、または転移の防止を伴い得る。がんの治療はまた、がんを伴う対象の生存期間の延長を指し得る。いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗体はがんを伴う対象の寿命を延ばすことができる。いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗体は骨の腫瘍細胞の増殖、例えば、脛骨内腫瘍の増殖を減らすまたは抑制することができる。
【0155】
いくつかの態様では、がんは原発性または続発性の腫瘍であることができる。いくつかの態様では、がんは転移性腫瘍であることができる。他の態様では、原発性または続発性の腫瘍は患者の骨内にある。さらに他の態様では、がんは転移している。いくつかの態様では、がんは骨に起源があり、そして以下の部位、すなわち乳房、肺、脳、肝臓または他の骨の1以上に転移してもよい。
【0156】
本明細書に開示されているのは、がん患者を治療する方法である。がんは骨肉腫であることができる。いくつかの態様では、がんは骨のがんから転移している乳癌、肺癌、脳腫瘍、または肝臓癌であることができる。いくつかの態様では、対象は投与ステップの前にがんであると診断されている。いくつかの態様では、がんは骨肉腫であることができる。
【0157】
本明細書に記載されている組成物は、治療有効量の本明細書に開示されている化合物を含むように製剤化することができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されている抗体が医薬製剤内に含まれ得る。いくつかの態様では、医薬製剤は単位剤形製剤であることができる。
【0158】
哺乳類(例えば、ヒト)に適用される本明細書に開示されているような方法で使用される抗体のいずれかの治療上有効な量または投与量は、年齢、体重、性別、対象の症状の重症度、及び選択される特定の組成物または投与経路、投与される他の薬物、及び主治医の判断における個体差を考慮して当業者が決定することができる。必要な投与量の変動が予想され得る。投与量レベルの変動は、最適化のための標準的な経験的経路を使用して調整することができる。患者に投与される医薬組成物の特定の投与量は、種々の考慮事項(例えば、がん症状の重症度)、対象の年齢及び身体的特徴、ならびに当業者に知られている他の考慮事項に左右されるであろう。投与量は、当業者に知られている臨床的アプローチを使用して確立することができる。抗ヘミチャネル抗体の治療上有効な投与量は、1以上の疾患症状の重症度の低下、疾患症状のない期間の頻度と持続期間の増加、または疾患の苦痛に起因する機能障害もしくは身体障害の防止を生じることができる。治療有効量の治療用化合物または抗体は、対象にて腫瘍転移を減らす、またはさもなければ症状を改善することができる。
【0159】
本明細書で提供されている任意の組成物による治療の継続期間は、最短1日から宿主の寿命という長さ(例えば、多くの年数)までの任意の長さの時間であることができる。例えば、組成物は、週に1回(例えば、4週間から数ヵ月または数年間)、月に1回(例えば、3~12ヵ月または数年間)、または年に1回を5年、10年、またはそれ以上の期間、投与することができる。治療の頻度は変動することができることにも留意する。例えば、本組成物は、毎日、毎週、毎月、または毎年1回(または2回、3回など)投与することができる。
【0160】
本明細書に開示されているような抗体または組成物の総有効量は、比較的短期間にわたるボーラスとしてもしくは注入のいずれかによって対象に単回用量として投与することができ、または複数用量をより長期間にわたり投与する分割治療プロトコールを使用して投与することができる。あるいは、血液中の治療有効濃度を維持するのに十分な連続静脈内注入もまた本開示の範囲内である。
【0161】
本明細書に記載されている抗体または組成物は他の治療法と併せて治療を必要とする対象に投与することができる。本化合物は、他の薬剤または投薬計画による治療の前に、それと同時に、またはその後で投与することができる。例えば、本明細書に開示されている抗体は単独で、またはがんを治療するのに使用される標準的な治療法と併せて投与することができる。いくつかの態様では、本明細書に記載されている抗体または組成物のいずれかは化学療法と一緒に投与するまたは使用することができる。
【0162】
医薬組成物
本明細書に開示されているのは、薬学的に許容される担体と共に製剤化されるモノクローナル抗体1つまたはモノクローナル抗体の組み合わせ、またはその抗原結合部分(複数可)を含む組成物、例えば、医薬組成物である。そのような組成物は、本明細書に記載されている抗体1つまたは(例えば、2以上の異なる)抗体の組み合わせ、または免疫コンジュゲートを含んでもよい。例えば、本発明の医薬組成物は、標的抗原上の異なるエピトープに結合する、または相補性活性を有する抗体の組み合わせを含むことができる。
【0163】
本発明の医薬組成物はまた、併用療法として、すなわち、他の薬剤と組み合わせて投与することもできる。例えば、併用療法は、少なくとも1つの他の抗癌剤と組み合わされた抗ヘミチャネル抗体を含むことができる。
【0164】
本明細書で使用されるとき、「薬剤的に許容される担体」という表現には、生理的に適合性である溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等が含まれる。好ましくは、担体は、(例えば、注射または吸入による)静脈内、筋肉内、皮下、または非経口の投与に好適であることができる。投与経路に応じて、活性化合物、すなわち、抗体または免疫コンジュゲートは化合物を不活性化してもよい酸の作用及び他の天然の条件から化合物を保護するために物質にてコーティングされてもよい。
【0165】
本発明の医薬組成物にて採用されてもよい好適な水性及び非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、及びそれらの好適な混合物、オリーブ油のような植物油、ならびにオレイン酸エチルのような注射用有機エステルが挙げられる。適正な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング材の使用によって、分散の場合には要求される粒度の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0166】
薬学的に許容される担体には、無菌水溶液または無菌分散液、及び注入可能な無菌溶液または無菌分散液を即時調製するための無菌粉末が含まれる。薬学的活性物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は当該技術分野で知られている。任意の従来の媒体または薬剤は、活性化合物と不適合性である限りを除いて、本発明の医薬組成物におけるその使用が企図される。補足的な活性化合物を組成物に組み込むこともできる。
【0167】
治療用組成物は通常、製造及び保管の条件下で無菌及び安定でなければならない。組成物は溶液、マイクロエマルション、リポソーム、または高い薬物濃度に好適な他の秩序構造として製剤化することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、及びそれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒であることができる。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散の場合には必要とされる粒度の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖類、例えば、マンニトール、ソルビトールのような多価アルコール、または塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましいであろう。注射用組成物の持続的吸収は、組成物中に吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩及びゼラチンを含めることによってもたらすことができる。
【0168】
無菌注射液は、必要な量の活性化合物を必要に応じて、本明細書に列挙された成分のうちの1つまたはその組み合わせを伴う適切な溶媒中に組み込み、続いて無菌化精密濾過することによって調製することができる。一般に、分散液は、基本的な分散媒及び本明細書で列挙されたものからの必要とされる他の成分を含有する無菌ビヒクルに活性化合物を組み込むことによって調製される。無菌注射溶液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、有効成分に、事前に無菌濾過したその溶液からの任意の追加の所望の成分を加えた粉末が得られる、真空乾燥及びフリーズドライ(凍結乾燥)である。
【0169】
単一剤形を作り出すために担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、治療される対象及び投与の特定の様式に応じて変化するであろう。担体材料と組み合わせて単一剤形を作り出すことができる有効成分の量は一般に、治療効果を生じる組成物の量であろう。一般に、100パーセントのうち、この量は、薬学的に許容される担体と組み合わせて、約0.01パーセント~約99パーセントの有効成分、好適には約0.1パーセント~約70パーセント、または最も好適には約1パーセント~約30パーセントの有効成分の範囲であろう。
【0170】
投与計画は所望の応答(例えば、治療応答)を提供するために調整される。例えば、単回ボーラスが投与されてもよく、複数の分割用量が経時的に投与されてもよく、またはその用量は、治療状況の緊急の要件によって指示されるように比例して減らしてもよく、または増やしてもよい。投与の容易性及び投与量の均一性のために、非経口組成物を単位剤形で製剤化することがとりわけ有利である。本明細書で使用されるとき単位剤形は、治療される対象のための単位の投与量として適する物理的に別々の単位を指し、各単位は、必要とされる医薬担体とともに所望の治療効果を生じるように算出された既定量の活性化合物を含有する。本発明の単位剤形の仕様は、(a)活性化合物の固有の特徴及び達成されるべき特定の治療効果、ならびに(b)個体における感受性の治療のためにそのような活性化合物を調合する技術分野の本質的な限界によって決定付けられ、且つそれに直接依存する。
【0171】
抗体の投与のために、投与量は宿主の体重の1kgあたり約0.0001~100mg/kg、さらに通常は0.01~5mg/kg、5mg/kg~10mg/kg、10mg/kg~15mg/kg、15mg/kg~20mg/kgまたは20mg/kg~25mg/kgに及ぶ。いくつかの態様では、投与量は0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重または10mg/kg体重または1~10の範囲内mg/kgであることができる。いくつかの態様では、投与量は0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重、10mg/kg体重、15mg/kg体重、20mg/kg体重、25mg/kg体重または30mg/kg体重、または1~30mg/kgの範囲内であることができる。いくつかの態様では、投与量は、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25mg/kg体重であることができる。いくつかの態様では、投与量は5mg/kg体重であることができる。いくつかの態様では、投与量は15mg/kg体重であることができる。いくつかの態様では、投与量は20mg/kg体重であることができる。いくつかの態様では、投与量は25mg/kg体重であることができる。例となる治療計画は、週に1回、2週ごとに1回、3週ごとに1回、4週ごとに1回、1ヵ月に1回、3ヵ月ごとに1回、または3~6ヵ月ごとに1回の投与を伴う。本発明の抗ヘミチャネル抗体についての好ましい投与計画には、静脈内投与による1mg/kg体重または3mg/kg体重が含まれ、抗体は次の投薬スケジュールのうちの1つを使用して与えられる:(i)6回の投薬について4週ごと、次いで3ヵ月ごと、(ii)3週ごと、(iii)3mg/kg体重を1回、続いて3週ごとに1mg/kg体重。
【0172】
いくつかの方法では、異なる結合特異性を有する2以上のモノクローナルが同時に投与され、その場合、投与される各抗体の投与量は指示される範囲内に入る。抗体は通常、複数の機会に投与される。単回投薬の間の間隔は、例えば、毎週、毎月、3ヵ月ごと、または毎年であることができる。間隔はまた、患者にて標的抗原に対する抗体の血中レベルを測定することによって指定される場合、不定期でもあることもできる。いくつかの方法では、投与量を調整して、約1~1000μg/mLの血漿中抗体濃度を、及びいくつかの方法では、約25~300μg/mLの血漿中抗体濃度を達成する。
【0173】
本発明の医薬組成物における有効成分の実際の投与量レベルは、患者に対して毒性であることなく、特定の患者、組成物、及び投与様式に関して所望の治療反応を達成するのに有効である有効成分の量を得るように変化させてもよい。選択される投与量レベルは、採用される本発明の特定の組成物の活性、投与経路、投与時間、採用される特定の化合物の排泄速度、治療の持続期間、採用される特定の組成物と併用される他の薬物、化合物、及び/または物質、治療されている患者の年齢、性別、体重、状態、全般的な健康状態及び既往症を含む種々の薬物動態因子、ならびに医療技術分野にて周知の同様の因子に左右されるであろう。
【0174】
本発明の組成物は、当該技術分野で既知の種々の方法のうちの1以上を使用して1以上の投与経路を介して投与することができる。当業者によって十分に理解されるように、投与の経路及び/または様式は所望の結果に応じて変動するであろう。本発明の抗体のための投与の好ましい経路には、例えば、注射もしくは注入による、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下の投与、または投与の他の非経口経路が挙げられる。本明細書で使用されるとき、「非経口投与」という表現は通常注射による経腸及び局所投与以外の投与様式を意味し、限定しないで、静脈内、筋肉内、動脈内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内の注射及び注入が挙げられる。
【0175】
併用治療
本明細書に記載されている組成物及び方法は、Cx43ヘミチャネルの開口を刺激して、例えば、第2のまたは追加の治療法と組み合わせて、がん細胞の増殖及びコロニー形成に対して骨格組織を保護する、Cx43に対する抗体またはその抗体断片を含むことができる。そのような治療法は、Cx43が介在する細胞増殖に関連する任意の疾患の治療に適用することができる。例えば、疾患は骨肉腫、肺転移、肝臓転移、脳転移及び/または乳房転移であってもよい。
【0176】
併用療法を含む方法及び組成物は、治療効果または保護効果を増強し、及び/または別の抗癌療法または抗過剰増殖性疾患療法の治療効果を増加させる。治療法及び予防法及び組成物は、がん細胞の殺傷及び/または細胞の過剰増殖の抑制のような所望の効果を達成するために有効な組み合せた量で提供され得る。このプロセスは、抗体または抗体断片及び第2の治療法の双方と細胞を接触させることを伴ってもよい。組織、腫瘍、または細胞は、薬剤(すなわち、抗体もしくは抗体断片または抗癌剤)のうちの1以上を含む、1以上の組成物または薬理学的製剤と接触させることができ、組織、腫瘍、及び/または細胞を2またはそれ以上の別個の組成物または製剤と接触させることも可能で、その際、一方の組成物は、1)抗体または抗体断片、2)抗癌剤、または3)抗体または抗体断片と抗癌剤の双方を提供する。また、そのような併用療法が化学療法、放射線療法、外科的療法、または免疫療法と併せて使用され得ることも企図される。
【0177】
「接触させる」及び「曝露させる」という用語は、細胞に適用されるときに、治療的構築物及び化学療法剤または放射線療法剤が標的細胞に送達されるか、もしくは標的細胞と直接並置して配置される処理を説明するために本明細書で使用される。細胞殺傷を達成するために、例えば、双方の薬剤が、細胞を殺傷する、または細胞が分裂することを阻止するのに有効な組み合わせた量で細胞に送達される。
【0178】
抗体及びその生物学的断片は、抗癌治療の前に、抗癌治療中に、抗癌治療後に、または抗癌治療に対して種々の組み合わせで投与することができる。投与は、同時的から数分、数日、数週間に至る範囲の間隔で行われてもよい。抗体または抗体断片が、抗癌剤とは別個に患者に提供される態様では、一般に、かなりの長時間の送達によって各々の送達の間に有効期限が切れてしまわないことを確実にし、2つの化合物は患者に対する有利に併用された効果を一層発揮することができるようにする。そのような例では、抗体療法と抗癌療法を互いに対して約12~24時間または72時間以内に、さらに具体的には互いに対して約6~12時間以内に患者に提供してもよいことが企図される。いくつかの状況では、それぞれの投与の間に、数日間(2、3、4、5、6、または7日間)から数週間(1、2、3、4、5、6、7、または8週間)が経過する状態で、治療のための期間をかなり延長させることが望ましくあり得る。
【0179】
いくつかの態様では、治療の過程は、1~90日間またはそれ以上(このような範囲は介在する日を含む)続くことができる。1つの薬剤が1日目から90日目(このような範囲は介在する日を含む)のいかなる日にも、もしくはこれらの日の任意の組み合わせで投与されてもよく、または別の薬剤が1日目から90日目(このような範囲は介在する日を含む)のいかなる日にも、またはこれらの日の任意の組み合わせで投与されることが企図される。1日(24時間の期間)以内に、患者は薬剤(複数可)の1回投与または複数回投与を受けてもよい。さらは、治療の過程後に、抗癌治療が施されない期間があり得ることが企図される。この期間は、例えば、患者の予後、耐久力、健康状態等のような患者の状態に応じて、1~7日間、及び/または1~5週間、及び/または1~12ヵ月間またはそれ以上(このような範囲は介在する日を含む)続いてもよい。治療周期は必要に応じて繰り返されることが予想される。
【0180】
種々の組み合わせが採用されてもよい。例えば、以下で、抗体療法は「A」であり、抗癌療法は「B」である:
【0181】
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B A/B/B B/A/A A/B/B/B B/A/B/B B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A B/A/B/ A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A。
【0182】
本明細書に開示されている任意の化合物または療法の患者への投与は、もしあるなら、薬剤の毒性を考慮して、そのような化合物の投与のための一般的プロトコールに従うであろう。したがって、いくつかの態様では、併用療法に起因し得る毒性をモニタリングするステップがあり得る。
【0183】
化学療法
多種多様な化学療法剤が使用されてもよい。「化学療法」という用語は、がんを治療するための薬物の使用を指す。「化学療法剤」は、がんの治療において投与することができる化合物または組成物を内包するために使用される。これらの薬剤または薬物は、細胞内でのそれらの活性様式、例えば、それらが細胞周期に影響を与えるかどうか、及びどの段階で影響を与えるかによって分類される。あるいは、薬剤は、DNAを直接架橋する、DNAに挿入する、または核酸合成に影響を与えることによって染色体及び有糸分裂の異常を誘導するその能力に基づいて特徴付けられてもよい。
【0184】
化学療法剤の例には、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びシクロホスファミド;アルキルスルホン酸塩類、例えば、ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン;アジリジン類、例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ、及びウレドパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスファオルアミド、及びトリメチルオロメラミンを含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン類(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン類(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンギスタチン;ナイトロジェンマスタード類、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、及びウラシルマスタード;ニトロソウレア類、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン);抗生物質類、例えば、エネジン抗生剤(例えば、カリケアミシン、特にカリケアミシンガンマll及びカリケアミシンオメガIl);ダイネミシAを含むダイネミシン;ビスホスホネート類、例えば、クロドロネート;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エネジン抗生剤発色団、アクラシノマイシン類、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン、カリチアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルチノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン類、例えば、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、及びゾルビシン;代謝拮抗剤類、例えば、メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、プテロプテリン、及びトリメトレキサート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、及びチオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン及びフロクスウリジン;アンドロゲン類、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、及びテストラクトン;抗副腎剤類、例えば、ミトタン、及びトリロスタン;葉酸補充薬、例えば、フォリン酸(frolinic acid);アセグラトン、アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルホルミチン;酢酸エリプチニウム;エプチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド、例えば、マイタンシン及びアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT2毒素、ベラクリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」)、シクロホスファミド;タキソイド類、例えば、パクリタキセル及びドキセタキセル、ゲムシタビ;6-チオグアニン;メルカプトプリン;白金配位錯体、例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレシセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(例えば、CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸;カペシタビン;カルボプラチン、プロカルバジン、プリコマイシン、ゲムシタビン、ナベルビン、ファメシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランスプタチナ、ならびに本明細書のいずれかの薬学的に許容される塩類、酸類、または誘導体が挙げられる。
【0185】
放射線療法
DNA損傷を引き起こし、広く使用されている他の因子には、一般にγ線、X線として知られるもの、及び/または腫瘍細胞への放射性同位元素の直接送達が挙げられる。マイクロ波、陽子線照射(米国特許第5,760,395号及び同第4,870,287号)、及びUV照射のような他の形態のDNA損傷因子も企図される。これらの因子はすべて、DNA、DNAの前駆体、DNAの複製と修復、及び染色体の集合と維持に対する広範囲の損傷に影響を与える可能性が最も高い。X線の線量範囲は、長期間(1週間に3~4回)について1日あたり50~200レントゲンの線量から2000~6000レントゲンの単回線量までに及ぶ。放射性同位元素の線量範囲は大きく異なり、同位体の半減期、放出される放射線の強度と種類、及び腫瘍細胞による取り込みに左右される。
【0186】
免疫療法
当業者は、追加の免疫療法が、本明細書に開示されている方法と組み合わせてまたは併せて使用されてもよいことを理解するであろう。がん治療の文脈では、免疫療法は一般に、がん細胞を標的にして破壊する免疫エフェクターの細胞と分子の使用に依存する。リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))はそのような例である。免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞の表面上にあるマーカーに特異的な抗体であってもよい。抗体だけが治療法のエフェクターとして機能してもよく、またはそれは他の細胞を動員して実際に細胞殺傷に影響を与えてもよい。抗体はまた、薬物または毒素(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)にコンジュゲートされて、標的剤として役立ってもよい。あるいは、エフェクターは、腫瘍細胞標的と直接的または間接的に相互作用する表面分子を運ぶリンパ球であってもよい。種々のエフェクター細胞には細胞傷害性T細胞及びNK細胞が挙げられる。
【0187】
免疫療法の一態様では、腫瘍細胞は標的指向化に適する、すなわち、他の大半の細胞には存在しない何らかのマーカーを持たなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらのいずれも、本実施形態の文脈での標的指向化に好適であり得る。一般的な腫瘍マーカーには、CD20、癌胎児性抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG-72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、ラミニン受容体、erbB、及びp155が挙げられる。免疫療法の別の態様は、抗癌効果を免疫刺激効果と組み合わせることである。IL-2、IL-4、IL-12、GM-CSF、ガンマ-IFNのようなサイトカイン、MIP-1、MCP-1、IL-8のようなケモカイン、及びFLT3リガンドのような増殖因子を含む免疫刺激分子も存在する。
【0188】
現在研究中または使用中の免疫療法の例は、免疫アジュバント、例えば、Mycobacterium bovis、熱帯熱マラリア原虫、ジニトロクロロベンゼン、および芳香族化合物(米国特許第5,801,005号および同第5,739,169号、Hui及びHashimoto,1998、Christodoulides et al.,1998));サイトカイン療法、例えば、インターフェロンa、(3、およびy)、IL-1、GM-CSF、およびTNF(Bukowski et al.,1998、Davidson et al.,1998、Hellstrand et al.,1998);遺伝子療法、例えば、TNF、IL-1、IL-2、およびp53(Qin et al.,1998、Austin-Ward及びVillaseca,1998、米国特許第5,830,880号及び同第5,846,945号);ならびにモノクローナル抗体、例えば、抗CD20、抗ガングリオシドGM2、及び抗p185(Hollander,2012、Hanibuchi et al.,1998、米国特許第5,824,311号)である。1以上の抗癌療法が、本明細書に記載されている抗体療法とともに採用されてもよいことが企図される。
【0189】
手術
がんがある人の約60%は、予防的、診断的または病期分類、治癒的、及び姑息的な手術を含む何らかの種類の手術を受けるであろう。治癒的手術は、がん性組織の全てまたは一部が物理的に取り除かれ、切除され、及び/または破壊される切除術を含み、本実施形態の治療、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法及び/または代替療法のような他の療法と併せて使用されてもよい。腫瘍切除は腫瘍の少なくとも一部の物理的除去を指す。腫瘍切除に加えて、手術による治療には、レーザー手術、凍結手術、電気外科、及び顕微鏡制御手術(モース手術)が含まれる。
【0190】
がん性の細胞、組織、または腫瘍の一部または全部を切除すると、体内に空洞が形成され得る。治療は、灌流、直接注射、または追加の抗癌療法を伴う領域の局所適用によって達成されてもよい。そのような治療は、例えば、1、2、3、4、5、6、もしくは7日ごとに、または1、2、3、4、及び5週ごとに、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヵ月ごとに繰り返されてもよい。これらの治療法は投与量も同様にさまざまであり得る。
【0191】
他の薬剤
治療の治療効果を改善するために、本明細書に開示されている方法または組成物のいずれかと組み合わせて他の薬剤が使用されてもよいことが企図される。これらの追加の薬剤には、細胞表面受容体及びギャップ結合の上方調節に影響を与える薬剤、細胞増殖抑制剤及び分化剤、細胞接着の阻害剤、アポトーシス誘導物質に対する過剰増殖細胞の感受性を高める薬剤、または他の生物学的薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。ギャップ結合の数を増やすことによる細胞間シグナル伝達の増加は、隣接する過剰増殖細胞集団に対する抗過剰増殖効果を高めるであろう。細胞増殖抑制剤または分化剤を、本明細書に開示されている組成物及び方法と組み合わせて使用して、治療の抗過剰増殖効果を改善することができる。細胞接着の阻害剤は、本明細書に開示されている組成物及び方法の有効性を改善するために企図されている。細胞接着阻害剤の例には、限局性接着キナーゼ(FAK)阻害剤及びロバスタチンが挙げられるが、これらに限定されない。抗体c225のような、アポトーシスに対する過剰増殖性細胞の感受性を増加させる他の薬剤を、本明細書に開示されている組成物及び方法と組み合わせて使用して、治療効果を改善してもよいことがさらに企図される。
【0192】
キット及び診断法
本明細書に開示されているのは、1以上の治療剤及び/または他の治療剤及び送達剤を含むキットである。いくつかの態様では、キットは本明細書に開示されている治療を準備する及び/または施行するのに使用することができる。キットは、本明細書に開示されている医薬組成物のいずれかを含有する1以上の密封されたバイアルを含んでもよい。キットは、例えば、少なくとも1つのCx43抗体またはその断片、ならびに本明細書に開示されている組成物の1以上の成分を調製する、製剤化する及び/または投与するための、または本発明の方法の1以上のステップを実行するための試薬を含んでもよい。いくつかの態様では、キットはまた、エッペンドルフチューブ、アッセイプレート、注射器、ボトル、またはチューブのようなキットの構成要素と反応しない容器であることができる好適な容器も含んでもよい。容器は、プラスチックまたはガラスのような滅菌可能な材料で作られてもよい。
【0193】
キットはさらに、本明細書に記述されている方法の手順ステップの概要を説明し、本明細書に記載されているのと実質的に同じ手順に従うであろう、または当業者に知られている使用説明シートを含んでもよい。使用説明情報は、コンピュータを使用して実行されると、薬学的に有効な量の治療剤を送達する実際のまたは仮想の手順の表示をもたらす機械可読な使用説明を含有するコンピュータ可読媒体にあってもよい。
【実施例】
【0194】
以下に続く実施例において開示されている技術は、本発明の実践において良好に機能するように本発明者によって見いだされた技術を表し、従ってその実践に好ましい様式を構成すると見なすことができることが当業者に理解されるべきである。しかしながら、当業者は本開示に照らして、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示されている具体的な実施形態では多くの変更が行われ得るが、それでも同様のまたは類似する結果を得ることができることを理解すべきである。
【0195】
実施例1-抗Cx43モノクローナル抗体
抗Cx43モノクローナル抗体を生成し、Cx43結合モノクローナル抗体を産生するクローンを同定した。抗体配列についてのDNAとアミノ酸の双方のCDR配列を、特徴付けられた各抗体の正しい対合と共に以下の表に示す。M1抗体はCx43ヘミチャネルの開口を阻害する。M2抗体はCx43ヘミチャネルの開口を活性化し、刺激し及び/または強化する。
【0196】
表1:2つの機能的抗体の重鎖と軽鎖の対合。
表2:ハイブリドーマ由来の抗体鎖の配列。
クローン化された可変ドメインを以下のチャートに示す。
【0197】
表3:DNA配列。可変重鎖(太字)及び可変軽鎖(下線)。
【0198】
表4:アミノ酸配列。可変重鎖(太字)及び可変軽鎖(下線)。
【0199】
実施例2-診断及びがん治療での使用
溶骨性腫瘍の成長は、骨細胞特異的Cx43ノックアウトマウスで増強されることが見いだされた。Py8119-Luc細胞を対照及びcKO雌マウスの右脛骨に注射した。左脛骨に対照としてPBSを注射した。腫瘍増殖を生物発光撮像によって毎週4週間記録し、定量化した(
図1A~1C)。
【0200】
MLO-Y4骨細胞及び初代マウス骨細胞をE2(ポリクローナル)、HMAb1及びHMAb2抗体、またはコネキシンチャネルブロッカーであるカルベノキソロン(CBX)と共にインキュベートした。臭化エチジウム(EtBr)色素取り込みアッセイを実施した(
図9A~9B)。Cx43HMAb2抗体はヘミチャネルを活性化することが見いだされた。
【0201】
さらに、Cx43(M1)抗体が生体内で骨細胞に送達され、脛骨の負荷によって誘導されるエバンスブルーの取り込みをブロックすることが見いだされた。エバンスブルー色素をWT、骨細胞特異的Cx43KOの尾静脈に注射した。マウスIgGまたはCx43(M1)mAb(25mg/kg)を色素注入の2時間前に腹腔内注射した。色素注入の30分後、左脛骨に10分間1回機械的に負荷をかけた。マウスを屠殺し、PBSで灌流した。脛骨を分離し、固定した脛骨組織切片を作成した。結果を
図3A~3Cに示す。
【0202】
HMAb2による溶骨性腫瘍増殖の阻害も観察された。Py8119-Luc細胞を雌マウスの右脛骨に注射した(
図4A)。左脛骨に対照としてPBSを注射した。25mg/kgでのHMAb2を週に1回または2回、4週間腹腔内注射した。対照マウスでは生理食塩水を週に2回注射した。腫瘍増殖を生物発光撮像によって毎週4週間記録し、定量化した(
図4B)。
【0203】
実施例3-骨肉腫細胞における骨芽細胞増殖の阻害
骨における骨肉腫の抑制に対するM2抗体の有効性を決定するために、2つの生体内マウスモデルを使用した。第1のモデルは、C3Hマウス株と同系であるマウス骨肉腫細胞株、DLM8であった(Sottnik,J.L.,et al.,Clin.Exp.Metastasis,2010.27(3):p.151-60)。第2のモデルは、免疫不全(ヌード)マウスにおけるOS17ヒト骨肉腫細胞株であった(Kolb,E.A.,et al.Pediatr Blood Cancer,2010.55(1):p.67-75)。双方の骨肉腫細胞を脛骨内注射によって骨に移植した。
実験は
図9及び
図10A~Bの説明文に記載されている。
【0204】
結果は、M2抗体がWTマウス及びヌードマウスにてそれぞれマウスとヒト双方の骨肉腫腫瘍の増殖を有意に抑制したことを示す。このM2抗体(例えば、マウスハウスキメラM2抗体及び最適化されたヒト化M2抗体)は、用量依存性に骨肉腫の増殖を阻害する。
【0205】
本明細書に開示され請求されている方法は全て本開示に照らして、過度の実験をすることなく作成し、実行することができる。本発明の組成物及び方法が好ましい実施形態に関して記載されたが、本発明の概念、精神、または範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されている方法に及びステップにおいてまたは方法のステップの順序において変形が適用されてもよいことが当業者には明らかであろう。さらに具体的には、化学的及び生理学的の双方に関連するある特定の薬剤が本明細書に記載されている薬剤に置き換えられてもよく、それでも同一または類似の結果が達成されるであろうことが明らかであろう。当業者に明確なそのような類似の置換及び修正はすべて、添付のクレームにより定義されるような本発明の精神、範囲、及び概念の範囲内にあると見なされる。
【配列表】
【国際調査報告】