(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(54)【発明の名称】粒子を用いた回転式の放射線治療を提供する方法
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
A61N5/10 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021551935
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(85)【翻訳文提出日】2021-10-15
(86)【国際出願番号】 NZ2020050018
(87)【国際公開番号】W WO2020180198
(87)【国際公開日】2020-09-10
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517150065
【氏名又は名称】エレクタ、インク.
【氏名又は名称原語表記】ELEKTA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100087479
【氏名又は名称】北野 好人
(72)【発明者】
【氏名】スウェードロフ,スチュアート ジュリアン
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AC04
4C082AE03
(57)【要約】
本明細書では、複数のビームレットで構成された粒子ビームを、連続的に回転するガントリからターゲットに向けて送達する技術が示されており、ターゲット上の複数の予め定義されたスポットを決定し、ターゲットの外側にある小さなスポットのセットと、ターゲットの内側にある大きなスポットのセットに構成し、回転ビームの円弧の内縁部と外縁部がターゲットの中心に位置するスポットに送達され、ビームの円弧の中心成分がターゲットの外側に位置するスポットに送達されるように、回転粒子ビームの送達を最適化する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続回転するガントリからターゲットに向けて複数の粒子ビームを送達する方法であって、
前記方法は、
前記ガントリの回転に合わせて、前記複数の粒子ビームを連続して送達するステップであって、前記連続する粒子ビームの各粒子ビームは、関連する円弧を有し、前記関連する円弧の中心は、各粒子ビームの特定のガントリ角度に対応しており、
前記連続する粒子ビームのそれぞれの粒子ビームに対して、それぞれの円弧の始点から前記それぞれの円弧の終点まで複数のビームレットを送達し、
それぞれのガントリ角度に対して、前記それぞれのガントリ角度に対する前記ターゲットにおける複数の予め定義されたスポットを決定し、前記複数の予め定義されたスポットは、スパイラルパターン状に構成されているステップと、
前記スパイラルパターン内の前記複数の予め定義されたスポットを、前記それぞれのガントリ角度の等心軸に最も近いものから、前記等心軸から最も遠いものへと順序付けするステップと
を有し、
前記連続する粒子ビームを送達するステップは、前記複数の予め定義されたスポットの前記スパイラルパターンに従って、前記それぞれの粒子ビームに対する前記複数のビームレットを送達することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記複数のビームレットは、時計回りの構成で送達された後、反時計回りの構成で送達される
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、
前記複数の予め定義されたスポットのうちの1つのスポットと前記複数のビームレットのうちの1つのビームレットは等価である
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、
前記複数の予め定義されたスポットは、連続して配置されている
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、
前記複数のビームレットを送達することは、前記複数のビームレットを前記ターゲットの内側の位置から前記ターゲットの外縁部の位置まで送達することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、
前記複数のビームレットを送達することは、前記複数のビームレットを前記ターゲットの外縁部の位置から前記ターゲットの内部の位置まで送達することを更に含む
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、
前記ターゲットの外縁部に位置する、前記複数の予め定義されたスポットのスポットは、前記ターゲットの内部に位置する前記複数の予め定義されたスポットのスポットよりも小さな直径を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、
大きな直径のスポットに関連するビームレットは、前記小さな直径のスポットに関連するビームレットよりも線量が多い
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、
前記大きな直径のスポットの強度変調は、前記小さな直径のスポットよりも大きい
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、
前記複数のビームレットを送達することは、様々なサイズのスポット間の1回の遷移を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、
ビーム送達の位置を決定するために走査磁石を構成することは、前記スパイラルパターンを使用した、より高いエネルギー効率である
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、
前記複数の予め定義されたスポットのうちの1つのスポットは、ロケーションを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、
前記複数の予め定義されたスポットのうちの前記1つのスポットは、前記ロケーションに送達されるビームレットの直径を含むように構成されている
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項12記載の方法において、
ユーザは、前記ロケーションに対するスポットサイズを選択する
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1記載の方法において、
前記粒子ビームは、複数のプロトン、炭素イオン、イオン、パイオン、または正の荷電粒子のうちの少なくとも1つを有する
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
連続的に回転するガントリからターゲットに向かって複数の粒子ビームを送達するための命令を含む非一時的機械可読媒体であって、
プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
ガントリ角度に対する前記ターゲットにおける複数のスポットを決定するステップであって、前記複数のスポットは、スパイラルパターンに構成されているステップと、
前記スパイラルパターンの前記複数のスポットを、前記ガントリ角度の等心軸に最も近いものから前記等心軸から最も遠いものへと順序付けするステップと、
前記複数のスポットの前記スパイラルパターンに従って、それぞれの円弧の始点から前記それぞれの円弧の終点まで、複数のビームレットの各粒子線に対する複数のビームレットを送達することにより、前記ガントリの回転に伴って前記複数の粒子線を連続的に送達するステップであって、前記それぞれの円弧の中心は、それぞれの粒子線に対する特定のガントリ角度に対応するステップと
を実行させる
ことを特徴とする機械可読媒体。
【請求項17】
請求項16記載の機械可読媒体において、
前記複数のビームレットは、時計回りの構成で送達された後、反時計回りの構成で送達される
ことを特徴とする機械可読媒体。
【請求項18】
請求項16記載の機械可読媒体において、
前記複数のスポットは、連続して配置されている
ことを特徴とする機械可読媒体。
【請求項19】
請求項16記載の機械可読媒体において、
前記ターゲットの外縁部に位置する前記複数のスポットは、前記ターゲットの内側の位置に位置する前記複数の予め定義されたスポットよりも小さな直径を有し 、
大きな直径のスポットに関連付けられたビームレットは、前記小さな直径のスポットに関連付けられた前記ビームレットよりも大きな線量を有し、
前記大きな直径のスポットの強度変調は、前記小さな直径のスポットよりも大きい
ことを特徴とする機械可読媒体。
【請求項20】
請求項16記載の機械可読媒体において、
前記複数のビームレットを送達することは、様々なサイズのスポット間の1回の遷移を含む
ことを特徴とする機械可読媒体。
【請求項21】
請求項16記載の機械可読媒体において、
前記粒子ビームは、複数のプロトン、炭素イオン、イオン、パイオン、または正の荷電粒子のうちの少なくとも1つを有する
ことを特徴とする機械可読媒体。
【請求項22】
連続回転するガントリからターゲットに向けて複数の粒子ビームを送達するシステムであって、
前記システムは、
粒子の流れをインジェクタに供給するように構成されたイオン源であって、前記インジェクタは前記粒子の流れを加速するように構成されているイオン源と、
前記粒子の流れをさらに加速し、前記粒子の流れにエネルギーを供給するように構成された加速器であって、前記エネルギーは組織内の送達深度に対応する加速器と、
送達される前記粒子の流れのエネルギーを選択するように構成されたエネルギーセレクタと、
前記粒子の流れを放射線治療送達室に運ぶように構成された複数の偏向磁石と、
ターゲットに応じて前記粒子の流れを形成するように構成された複数の走査磁石と、
前記ガントリの回転に合わせて、前記複数の粒子ビームを連続して送達し、前記連続する粒子ビームの各粒子ビームは、関連する円弧を有し、前記関連する円弧の中心は、各粒子ビームの特定のガントリ角度に対応し、
前記連続する粒子ビームのそれぞれの粒子ビームに対して、それぞれの円弧の始点から前記それぞれの円弧の終点まで複数のビームレットを送達する
ように構成されたスナウトと、
それぞれのガントリ角度に対して、前記それぞれのガントリ角度に対する前記ターゲットにおける複数の予め定義されたスポットを決定し、前記複数の予め定義されたスポットは、スパイラルパターン状に構成され、
前記スパイラルパターン内の前記複数の予め定義されたスポットを、前記それぞれのガントリ角度の等心軸に最も近いものから、前記等心軸から最も遠いものへと順序付けする
ように構成されたプロセッサと
を有し、
前記連続する粒子ビームの送達は、前記複数の予め定義されたスポットの前記スパイラルパターンに従って、前記それぞれの粒子ビームに対する前記複数のビームレットの送達を含む
ことを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項22記載のシステムにおいて、
前記粒子ビームは、複数のプロトン、炭素イオン、イオン、パイオン、または正の荷電粒子のうちの少なくとも1つを有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項22記載のシステムにおいて、
前記複数のビームレットは、時計回りの構成で送達された後、反時計回りの構成で送達される
ことを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項22記載のシステムにおいて、
前記複数の予め定義されたスポットのうちの1つのスポットと前記複数のビームレットのうちの1つのビームレットは等価である
ことを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項22記載のシステムにおいて、
前記複数の予め定義されたスポットは、連続して配置されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項22記載のシステムにおいて、
前記複数のビームレットを送達するために、前記スナウトは、更に、前記複数のビームレットを前記ターゲットの内側の位置から前記ターゲットの外縁部の位置まで送達するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項22記載のシステムにおいて、
前記複数のビームレットを送達するために、前記スナウトは、更に、前記複数のビームレットを前記ターゲットの外縁部の位置から前記ターゲットの内部の位置まで送達するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項22記載のシステムにおいて、
前記ターゲットの外縁部に位置する前記複数の予め定義されたスポットのスポットは、前記ターゲットの内部に位置する前記複数の予め定義されたスポットのスポットよりも小さな直径を有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項29記載のシステムにおいて、
大きな直径を有するスポットに関連するビームレットは、前記小さな直径のスポットに関連する前記ビームレットよりも線量が大きい
ことを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項30記載のシステムにおいて、
前記大きな直径のスポットの強度変調は、前記小さな直径のスポットよりも大きい
ことを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項22記載のシステムにおいて、
前記複数のビームレットを送達するために、前記スナウトは、更に、様々なサイズのスポット間の単一の遷移で前記複数のビームレットを送達するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項32記載のシステムにおいて、
ビーム送達の位置を決定するために走査磁石を構成することは、前記スパイラルパターンを使用した、より高いエネルギー効率である
ことを特徴とするシステム。
【請求項34】
請求項22記載のシステムにおいて、
前記複数の予め定義されたスポットのうちの1つのスポットは、ロケーションを構成している
ことを特徴とするシステム。
【請求項35】
請求項34記載のシステムにおいて、
前記複数の所定のスポットのうちの前記1つのスポットは、前記ロケーションに送達されるビームレットの直径を含むように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項36】
請求項34記載のシステムにおいて、
ユーザは、前記ロケーションのスポットサイズを選択する
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
[0001]
本特許出願は、2019年3月1日に出願された米国出願番号16/290,372の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]
放射線治療(radiation therapy)、すなわち「放射線療法(radiotherapy)」は、哺乳類(例えば、ヒトや動物)の組織の癌やその他の病気を治療するために使用される。「ガンマナイフ(gamma knife)」と呼ばれる放射線治療では、低強度のガンマ線を複数回照射し、それらのガンマ線を腫瘍などの標的部位に高強度かつ高精度に集束させて照射する。別の例では、線形加速器(「リニアック(linac)」)を使用して、高エネルギー粒子(例えば、電子、高エネルギー光子など)を標的領域に照射する放射線治療が提供される。別の例では、重荷電粒子加速器(例えば、陽子、炭素イオンなど)を用いて放射線治療を行い、放射線ビームの配置と線量を正確に制御して、標的領域に所定の線量の放射線を照射する。また、一般的には、周囲の健康な組織(OARs:Organ(s) at risk)と呼ばれる)へのダメージを軽減または最小化するように放射線ビームを制御する。放射線は「処方された(prescribed)」と呼ばれることがあるが、これは一般的に医師が腫瘍などの標的部位に照射するために予め定義された量の放射線を指示するためである。
【0003】
[0003]
一般的には、コリメートされたビーム状の電離放射線が、外部放射線源から患者に向けて照射される。放射線ビームの変調は、1つまたはそれ以上のアッテネータまたはコリメータ(例えば、マルチリーフコリメータ)によって提供することができる。放射線ビームの強度と形状は、投影されたビームを標的組織のプロファイルに適合させることにより、標的組織に隣接する健康な組織(例えば、OARs)を損傷しないようにコリメーションによって調整することができる。
【0004】
[0004]
治療計画の手順には、患者の3次元画像を使用して、標的領域(例えば、腫瘍)を特定し、腫瘍の近くの重要な器官を特定することが含まれる。治療計画の作成は、プランナーが、臨床的に受け入れられる治療計画を作成するために、様々な治療目的や制約(例えば、DVH(Dose Volume Histogram)の目的やその他の制約)を、それぞれの制約の重要性(例えば、重み付け)を考慮しながら遵守しようとする、時間のかかるプロセスである。この作業は、時間のかかる試行錯誤的なプロセスであり、様々な危険臓器(OAR)があるため、OARの数が増えると(例えば、頭と首の治療では約13個)、プロセスが複雑になる。腫瘍から遠く離れたOARは放射線を免れやすいが、標的腫瘍に近い、あるいは重なるOARは、治療中の放射線被ばくを免れることが難しい場合がある。
【0005】
[0005]
一般的に、各患者に対して、初期治療計画が「オフライン」で生成されることがある。治療計画は、1つまたはそれ以上の医療用画像処理技術を使用するなど、放射線治療が送達される(delivered)前に十分に検討することができる。画像情報には、例えば、X線、コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)、核磁気共鳴(MR:nuclear magnetic resonance)、PET(Positron Emission Tomography)、SPECT(Single-Photo Emission Computed Tomography)、超音波(ultrasound)の画像がある。医師などの医療従事者は、患者の解剖学的特徴を示す3次元画像情報を用いて、1つまたはそれ以上の標的腫瘍を、腫瘍の近くにある危険な器官とともに特定することができる。医療従事者は、手技を用いて、所定の放射線量を受ける標的腫瘍を描出することができ、医療従事者は、同様に、放射線治療によって損傷を受ける可能性のある臓器などの周辺組織を描出することができる。
【0006】
[0006]
代替的または追加的に、自動化されたツール(例えば、スウェーデンのElekta AB社により提供されるABAS(登録商標)を使用して、ターゲットとなる腫瘍やリスク臓器を特定または明確にすることができる。次に、臨床的および線量的な目的と制約(例えば、腫瘍および重要な器官に対する放射線の最大、最小、および平均線量)に基づく最適化技術を用いて、放射線治療の治療計画(「治療計画」)を作成することができる。
【0007】
[0007]
治療計画の手順には、患者の3次元画像を使用して、ターゲット領域(例えば、腫瘍)を特定し、腫瘍の近くの重要な器官を特定することが含まれる。画像の取得(acquisition)は、指定した放射線治療のフラクションの送達(delivery)を開始する直前に行うことができる。このような撮像(イメージング)は、ターゲット領域の位置を特定したり、ターゲット領域の動きを特定したりするのに役立つ情報を提供することができる。このような同時期の撮像(イメージング)は、一般的に「リアルタイム」と呼ばれることがあるが、一般的には、画像の取得(acquisition)と放射線治療の送達(delivery)の間には、待ち時間や時間的な遅れが存在する。
【0008】
[0008]
治療計画の作成は、プランナーが、臨床的に受け入れられる治療計画を作成するために、様々な治療目的または制約(例えば、DVH(Dose Volume Histogram)の目的)を、それぞれの重要性(例えば、重み付け)を考慮しながら遵守しようとする、時間のかかるプロセスである可能性がある。この作業は、時間のかかる試行錯誤的なプロセスになる可能性があるが、様々な危険臓器(OAR)があるため、OARの数が増えると(例えば、頭と首の治療では最大13個)、プロセスも複雑になる。腫瘍から遠く離れたOARは放射線の影響を受けにくいが、標的腫瘍に近い、あるいは重なっているOARは放射線の影響を受けにくい場合がある。
【0009】
[0009]
その後、治療計画は、患者を配置し、所定の放射線治療を行うことで実行される。放射線治療計画には、「フラクショニング(fractioning)」が含まれる場合があり、それにより、例えば、各治療の送達(delivery)には、所定の総線量のうちの特定のフラクションが含まれるように、一連の放射線治療の送達が、所定の期間(例えば、45フラクション、またはいくつかの他のフラクションの総計)にわたって提供される。治療時には、治療ビームに対する患者の位置や対象部位の位置が、対象部位と健康な組織のどちらに照射されるかを決定する要素となるため、重要である。
【0010】
[0010]
あるアプローチでは、電子の代わりに陽子などの粒子を用いて放射線治療を行うことができる。これは通常、陽子線治療と呼ばれる。陽子線治療の利点は、X線治療などの他の放射線治療と比較して、最小の射出線量(exit dose)で優れた線量分布が得られることである。最小の射出線量であるので、危険臓器(OAR)への線量を大幅に低減することができる。さらに、治療当たりの線量が少ないため、副作用のリスクが低く、陽子線治療中や治療後のQOL(生活の質)の向上にもつながると考えられる。
【0011】
[0011]
陽子線治療のひとつの方法は、複数のエネルギーを持つ均一なビームを提供する広がったブラッグピーク(Bragg peak)のような、ブロードプロトンビーム(broad proton beam)を使用することである。様々なエネルギー領域を使って治療する場合、ブロードビーム(broad beam)では実現できないことがある。例えば、ブロードビームの場合、患者ごとにカスタマイズされた治療分野ごとにイオンビーム補償装置(compensator)が必要になる。つまり、すべての角度に対して1つの補償装置が必要となるため、1人の患者を治療するためには複数の補償装置を使用しなければならないのである。例えば、少なくとも4度ごとに異なる補償装置を使用しなければならない。360度回転する陽子線治療を行うためには、90種類のイオン補償装置(ion compensator)を使って治療を中断したり開始したりしなければならない。また、広いビームを使用した場合、ターゲットとなる腫瘍の近位縁(proximal edge)で線量が望ましくない形状になるという問題もある。
【0012】
(定義の説明)
[0012]
スポット(spot)とは、そのロケーション(location)に送達される(delivered)ビームレットの直径に合わせて構成されたロケーション(location)のことである。
【0013】
[0013]
ビームレット(beamlet)とは、所定の速度で始点と終点で送達される(delivered)公称直径(nominal diameter)を有する粒子の流れ(stream)のことである。
【0014】
[0014]
ラインセグメント(line segment)とは、開始位置と終了位置の間で複数の粒子を均一に送達する(deliver)ように構成されるものである。
【0015】
(概要)
[0015]
ひとつのアプローチでは、連続回転するガントリからターゲットに向けて粒子ビームを送達する方法であって、粒子ビームが複数のビームレットで構成されている。このような方法の例としては、ターゲット上の複数の予め定義されたスポットを決定し、予め定義されたスポットを、ターゲットの外側にある小さなスポットのセットに構成し、ターゲットの内側にある大きいスポットのセットに構成し、粒子ビームをターゲットの内側からターゲットの外側に向けて回転パターンで送達し、その後、ターゲットの外側からターゲットの内側に向けて戻し、粒子ビームが、それが描く円弧の内縁部、それが描く円弧の外縁部、および中心成分を有する方法がある。最後に、この方法では、回転する粒子ビームの円弧の内縁部と外縁部が、ターゲットの中心に位置するスポットに粒子ビームが送達されたときに発生し、粒子ビームの円弧の中心成分が、ターゲットの外側に位置するスポットに粒子ビームが送達されたときに発生するように、回転する粒子ビームの送達を最適化する。
【0016】
[0016]
この概要は、本特許出願の主題の概要を示すことを目的としている。これは、本発明の排他的、網羅的な説明を意図したものではない。詳細な説明は、本特許出願についてのさらなる情報を提供するために含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
[0017]
【
図1】
図1は、一実施形態による、粒子線治療システムコントローラを含むようなシステムの一般的な実施例を示す。
【0018】
[0018]
【
図2】
図2は、一実施形態による、粒子線治療システムおよび画像取得装置を含むような、放射線治療システムの一般的な実施例を示す。
【0019】
[0019]
【
図3】
図3は、一実施形態による、陽子治療ビームを提供するように構成された放射線治療出力を含む粒子治療システムの概要を示す。
【0020】
[0020]
【
図4】
図4は、一実施形態による、様々なタイプの粒子に対するヒト組織における一般的な放射線量の深さを示す。
【0021】
[0021]
【
図5】
図5は、一実施形態による、広がったブラッグピーク(Bragg Peak)の概要を示す。
【0022】
[0022]
【
図6】
図6は、不規則な形状のボリュームを遠位端から近位端までペンシルビームでスキャンする様子の概要を示す。
【0023】
[0023]
【
図7】
図7は、一実施形態による、アクティブスキャニング陽子ビーム送達システムの概要を示す。
【0024】
[0024]
【
図8C】
図8A乃至
図8Cは、一実施形態による、静止したスポットとしてのビームレット送達システムの概要を示す。
【0025】
[0025]
【
図9】
図9は、一実施形態による、ラインセグメントとしてのビームレット送達システムの概要を示す。
【0026】
[0026]
【
図10A】
図10Aは、一実施形態による、グリッド上の直線的なスポット送達経路の概要を示す。
【0027】
【0028】
[0028]
【
図11A】
図11Aは、一実施形態による、異なるスポットサイズとラスターパターンを有する直線的なスポット送達経路を示す。
【0029】
[0029]
【
図11B】
図11Bは、一実施形態による、スポットサイズが異なるスパイラルなスポット送達経路を示す。
【0030】
【0031】
[0031]
【
図13A】
図13Aは、一実施形態による、様々な角度の円弧角のターゲットロケーション強度とブラッグピーク(Bragg Peak)を示す。
【0032】
[0032]
【
図13B】
図13Bは、一実施形態による、複合ターゲットロケーション強度を示す。
【0033】
[0033]
【
図15】
図14乃至
図15は、一実施形態による、回転ガントリからターゲットに向けて複数の粒子ビームを送達する手法を示すフローチャートである。
【0034】
[0034]
図面は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、同様な数字は、異なる図において同様の構成要素を表す。異なる文字の接尾辞を持つ同様の数字は、類似したコンポーネントの異なる例を表す。図面は、本明細書で議論されている様々な実施形態を、限定するものではなく、一般的な例示として示している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[0035]
本明細書に記載されたシステムおよび方法は、患者に放射線治療を提供する。放射線治療は、回転するガントリを用いて行われ、例えば、ガントリに取り付けられた粒子線によって行われる。ガントリは、粒子線が複数のビームレットを照射している間、連続的に回転することができる。ビームレットは、ターゲット(例えば、腫瘍や、腫瘍の一部、その他のスポット)にスパイラルパターンで照射することができる。一実施例では、粒子ビームを送達しながらガントリを回転させることは、非効率的な場合(例えば、1度ごと、または1/2度ごとに投与量および透過率の情報が計画されている場合)がある。他の実施例では、ガントリを回転させると、誤差が生じる場合(例えば、5度ごと、または10度ごとなどの数度ごとに計画されている場合)がある。回転式の陽子線治療を行うことには多くの利点がある。第1に、少数の角度で望ましくない入射線量を送達させる代わりに、多くの角度から線量を送達させることができる。
【0036】
[0036]
本明細書に記載されたシステムと方法は、ビームレットの送達にスパイラルパターンを導入することで、これらの問題の両方を考慮している。スパイラルパターンは、5度、10度、15度など、様々な角度で計画して使用することができる。一実施例では、スパイラルパターンは、誤差が最も大きいときにターゲットの中央部分に粒子ビームを送達すること、および、誤差が最も小さいときにターゲットの外側部分に粒子ビームを送達すること、を行うことができる。誤差の大きさは、実際のガントリの角度と計画された角度との差に依存し、例えば、角度の差が大きいほど誤差が大きく、角度の差が小さいほど誤差が小さい。
【0037】
[0037]
一実施例では、粒子線をターゲットに照射するためのスパイラルパターンは、放射線治療の完了に必要な時間を短縮することができる。例えば、治療中に送達されるビームレットのサイズが異なる場合がある。ビームレットのサイズを変更することは、例えば、時間やエネルギーを要するなど、治療に支障をきたす可能性がある。ラスタタイプのパターンを使用する場合、ビームレットサイズを何度も変更する必要がある。スパイラルパターンを使用することで、ビームレットのサイズを1回だけ変更のようなことが許される。例えば、小さいビームレットはターゲットの外縁部に、大きいビームレットはターゲットの内側に使用することができる。
【0038】
[0038]
図1は、一実施形態による、粒子線治療システムコントローラを含むようなシステム100の一般的な一実施例を示す。システム100は、データベースまたは病院データベースを含むことができる。粒子線治療システムコントローラは、プロセッサ、通信インターフェース、またはメモリを含むことができる。メモリには、治療計画ソフトウェア、オペレーティングシステム、または配信コントローラを含むことができる。送達コントローラは、スポット送達(例えば、スポット送達モジュールを使用)またはラインセグメント送達(例えば、ラインセグメント送達モジュールを使用)を決定または計画するためのビームレットモジュールを含むことができる。
【0039】
[0039]
一実施例では、スポット送達モジュールまたはビームレットモジュールは、ビームレットのサイズ、ターゲットまたはスポットの位置などを計画するように構成することができる。ビームレットモジュールは、例えば、本明細書に記載されているようなスパイラルパターンでのビームレットの送達の順序付けを決定するために使用することができる。送達順序付けモジュールは、ビームレットの送達を計画するための治療計画ソフトウェアと通信することができる。例えば、治療計画ソフトウェアを使用して、ガントリ角度、ガントリ速度、ビームレットサイズ、スパイラルパターン(例えば、時計回りまたは反時計回りの)、特定のスパイラルパターンの角度範囲(例えば、ガントリ回転の10度ごと)などを決定または計画することができる。
【0040】
[0040]
プロセッサは、通信インターフェースなどを介して、プランを実行するために使用されるコンポーネント(例えば、
図3を参照して後述するような制御装置またはコンポーネント)に通信するなどして、プランを実行することができる。一実施例では、通信インターフェースは、データベースまたは病院データベースから保存された情報(例えば、患者情報、患者または他の患者の過去の処置情報、処置の指示、特定のデバイスまたはコンポーネントに関する情報など)を取得するために使用することができる。
【0041】
[0041]
図2は、一実施形態による、粒子線治療システムおよび画像取得装置を含むような、放射線治療システムの一般的な実施例を示す。粒子線治療装置は、イオン源、加速器、走査磁石を含み、それぞれの詳細については
図3を参照して後述する。粒子線治療システムは、ガントリとテーブルを含み、ガントリは、テーブルに取り付けられてもよく、テーブルに貼り付けられてもよく、テーブルに対して安定している。テーブルには患者を乗せることができる。ガントリは、回転ガントリであり、テーブルに対して(例えば、テーブルの周りを)回転することができ、患者に対して回転することができる(また、テーブルまたはテーブルの一部がガントリと一緒に回転することができる)。
【0042】
[0042]
粒子処理システムは、処理制御システムと通信することができ、これは粒子処理システムの動作を制御するために使用される。治療制御システムは、画像取得装置(例えば、画像取得装置によって撮影された画像または画像データベースの画像を受信するため)と通信することができ、またはオンコロジー情報システムと通信することができる。オンコロジー情報システムは、治療計画システムから受け取ったような治療計画の詳細を治療制御システムに提供することができる。治療制御システムは、治療計画を使用して、粒子治療システムを制御する(例えば、ガントリ、イオン源、加速器、走査型磁石、粒子ビームなどを作動させる)ことができる。治療制御システムは、例えば、ビームレット強度制御、ビームレットエネルギー制御、走査磁石制御、テーブル制御、ガントリ制御などを含むことができる。一実施例では、ビームレット強度制御およびビームレットエネルギー制御は、特定のサイズのビームレットを活性化するため、または特定の場所をターゲットにするために使用することができる。走査磁石制御は、例えばスパイラルパターンのように、治療計画に従ってビームレットを送達するために使用することができる。ガントリの回転には、ガントリ制御やテーブル制御を使用することができる。
【0043】
[0043]
治療計画ソフトウェアは、例えば、スポットまたはラインセグメントに対するビームレットを、例えば、個別制御する、ビームレット送達および順序付けモジュールのようなコンポーネントを含むことができる。治療計画ソフトウェアは、
図1により上記においてより詳細に説明されている。治療計画ソフトウェアは、画像データベースにアクセスして、画像を取得したり、情報を保存したりすることができる。治療計画が完了すると、治療計画ソフトウェアは、治療制御システムとの通信のために、治療計画をオンコロジー情報システムに送信する。
【0044】
[0044]
図3は、陽子治療ビームを提供するように構成された放射線治療出力を含む粒子治療システム300の一実施形態を示す。粒子処理システム300は、イオン源301、インジェクタ303、加速器305、エネルギー選択器307、複数の偏向磁石309、複数の走査磁石311、およびスナウト313を含む。
【0045】
[0045]
シンクロトロン(図示せず)のようなイオン源301は、陽子などの粒子の流れを提供するように構成されている。粒子の流れは、クーロン力を利用して荷電粒子に初期加速を与えるインジェクタ303に運ばれる。この粒子は、加速器305によってさらに光速の約10%まで加速される。加速することで粒子にエネルギーが与えられ、粒子が組織内を移動する深さが決まる。エネルギー選択器307(例えば、範囲散乱)は、患者に送達されるプロトンのエネルギーを選択するために使用される。受動的散乱と呼ばれる一実施形態では、オプションのレンジモジュレータ308(例えば、リッジフィルターまたはレンジモジュレーションホイールとも呼ばれる)を利用して、腫瘍に合わせてビームを広げることができる。エネルギーを選択した後、一組の偏向磁石309を利用して、陽子の流れを病院の放射線治療の治療室に運ぶことができる。さらに、走査磁石311(例えば、x-y磁石)を使用して、陽子ビームを腫瘍の形状の正確なイメージに合わせて広げたり、トレースしたりする。スナウト313は、陽子ビームをさらに成形するために用いられる。様々な実施形態において、粒子の流れは、炭素イオン、パイオン、または正電荷イオンで構成され得る。
【0046】
[0046]
図4は、ヒト組織における様々な種類の粒子の放射線量の深さを比較の説明を示す。図示するように、光子(例えば、X線(X=RAYS))と陽子(PROTONS)と炭素イオン(CARBON IONS)の人体組織への相対的な浸透深度が示されている(例えば、表面下の距離で提供される、二次放射線や散乱を含む、あらゆる放射線量を含む。各放射線量は、100%に設定された単一のエネルギーを持つ陽子ビームのピーク線量と比較して示されている。
【0047】
[0047]
単色エネルギー(例えば、単一エネルギー)の陽子ビームは、約25%から始まるプラトー領域(plateau region)を示し、組織の深さ約10cmまで徐々に増加し、15cmでブラッグピーク(Bragg Peak)まで急速に増加し、その後、有利なことに短い距離でゼロになる。ブラッグピークの終わりで追加の線量は送達されない。
【0048】
[0048]
光子ビーム(例えば、X線と表示されている)は、電子散乱による初期蓄積を示している(例えば、X線が組織に線量を送達する主な手段は、組織内の電子へのエネルギー移動である)。この後、指数関数的に落ちていき、ターゲットの遠位端(図では約15cmの深さ)を過ぎても続く。X線ビームは、陽子ビームと同じように入口(皮膚)線量が設定されている。深さ15cmで正規化(例えばスケーリング)すると、X線による線量は陽子線による線量の40%になるが、X線は深さ約3cmで95%以上(100%に近い)のピーク線量になる。15cmで100%の線量を得るためにX線データを再正規化すると、深さ約3cmでのピーク線量は約240%となり、線量が望まれない場所(例えば、ターゲットの前の場所)になる。そのため、X線では、かなりの量の線量がターゲットの前の場所に送達され、かなりの量の線量がターゲットを過ぎてから送達される。
【0049】
[0049]
単一エネルギーの炭素ビームは、陽子ビームよりも低い入射線量でプラトー領域を示す。炭素ビームは、陽子ビームよりもシャープなブラッグピークを有し、より急激に落下するが、炭素ビームにはテール(例えば、炭素原子核の一部がヘリウムイオンに砕け散る「核破砕テール(spallation tail)」)があり、目的のターゲットを数センチ過ぎた時点で、約10%以下の追加線量となる。炭素イオンビームは、陽子ビームに比べて入射線量と皮膚線量が望ましくないが、炭素イオンビームはターゲットを通過しても問題のない線量が送達される。
【0050】
[0050]
図5は、SOBP(Spread-Out Bragg Peak)の説明を提供する。SOBPは、様々な初期エネルギーの陽子ビームを組み合わせた場合の相対的な深さ方向の線量曲線を示し、それぞれの陽子ビームは、エネルギーのある広がり(例えば、組織におけるエネルギーの吸収の変化)を有する。特定の厚さのターゲットに均一な線量を与えるという望ましい結果が得られる。図示するように、ターゲットは、近位の深さが約10cm、遠位の深さが約13cm、ターゲットの厚さが約3cmとなっている。ターゲット内では、線量は(100%で正規化された平均値を有し)完全に均一である。この図は深さ0cmから始まっておらず、入口(皮膚)線量を明示していないが、陽子線の入口領域の性質は、比較的平坦な深さ線量曲線である。一般的に、入口(皮膚)線量は目標線量(例えば、X軸の右端に表示)の約70%となるであろう。SOBPは、散乱した陽子ビームを様々な装置(静的リッジフィルターやダイナミックレンジモジュレーションホイールなど)を用いてエネルギーを変調(可変吸収)して使用する方法や、散乱しない単一のエネルギーの陽子ビームを選択して使用する方法のように、様々な方法で得ることができる。
【0051】
[0051]
図6は、不規則な形状のボリュームを遠位端(例えば、下端)から近位端(例えば、上端)までペンシルビームでスキャンする様子の概要を示す。図示するように、不規則な形状の腫瘍のボリュームは陽子の照射層である。例えば、最初の時間スナップショット602は、陽子の第1の層が送達されていることを示し、後の時間スナップショット604は、ほとんどの層が送達されていることを示す。それぞれの層は、同じエネルギーの陽子が送達される断面領域を有する。全体の放射線量は、ビームレットのレイヤごとのセットとして提供される。それぞれの層は、異なるエネルギーを有し得る。断面積に対してビームレットのセットを指定して送達する最も一般的な手段は、一定の直径(「スポットサイズ」)のビームレットを定義し、各層の選択されたグリッドポイントに送達することである。ビームレットからの線量の大部分はターゲット層に送達されるが、ターゲット層までの経路にそってかなりの線量が送達される。遠位層に対して定義されたビームレットによる近位層への線量は、近位層に対して定義されたビームレットの詳細が考慮されている。所定のビームレットに対する粒子数(例えば、メーターセット(meterset))を個別に指定することは、照射されるボリュームの各部分に望ましい線量を確実に与えることを保証する。
【0052】
[0052]
図7は、典型的なアクティブスキャニング陽子ビーム送達システムを図式化した説明図を示す。図示するように、シングルレイヤのペンシルビームスキャンが送達され、粒子が送達される断面の輪郭と連動して、患者の上に格子状のスポットが描かれる。入射した単一エネルギーの陽子ビームレットは、レンジシフター(Range Shifter)(例えば、
図7ではレンジシフタープレート(Range Shifter plate))によってそのエネルギーの所定の量が吸収され、その結果、所定の層を治療するために患者のブラッグピーク(Bragg Peak)に対して所定の深さを達成するための所望のエネルギーを有するビームレットとなる。粒子を垂直方向と水平方向の両方に偏向させる機能を有する磁気スキャナがある。磁場の強さを調整することで、磁場と入射ビームレットに垂直な方向の偏向を制御することができる。磁場の強さを調整する速度は、スキャンを行う速度を決定するように調整される。例えば、陽子ビームレットの強度と走査速度の組み合わせにより、特定の領域(例えば、
図7では「スポット」)に特定の時間でどれだけの線量(例えば、単位領域当たりの粒子)を照射できるかが決定する。理論的には、磁場の強さは互いに独立して調整することができる(カナダのトロントにあるSpin MasterTM社が提供している子供用玩具「Etch a Sketch(登録商標)」に似ているが、鉛筆のビームレットの強さは子供用玩具にはない変数である)。最も一般的なスキャン方式は、初期のテレビ(例えば、陽子の代わりに電子を使うCRT(Cathode Ray Tube))の制御方法と同じように、一方向に素早く走査し、垂直方向にはゆっくりと走査するラスター方式であるが、(前述の玩具と同様に)任意のパターンを走査することもできる。走査磁界の強さを変化させ、その間にペンシルビームの強度を調整することで、明確なスポットを送達することができる。
【0053】
[0053]
図8A乃至
図8Cは、一実施形態による、静止したスポットとしてのビームレット送達システムの概要を示す。説明のため、静止しているスポットにビームレットを送達する場合、スポットはカルテシアングリッド(Cartesian grid)上で互いに隣接している。スポットは、グリッド間隔にほぼ等しいサイズパラメータ(例えば、名目上の直径(nominally a diameter)を有する名目上の円形(nominally circular)の形状をしている。実際には、各スポットの端が互いにぶつかるように、グリッドレイアウトで隣り合って配置される。スポットサイズの直径は、機械の性能に応じてユーザが選択することができる。一実施形態では、小スポットの直径は2~4ミリメートル、大スポットの直径は8~12ミリメートルである。一実施形態では、小さなスポットは3ミリ、大きなスポットは10ミリの大きさである。
図8Aに示すように、スポットは、半短軸が約2ミリ、半長軸が約5ミリの楕円形をしているように配置され得る。この実施例では、ビームレットの送達が、X-Y両方向に5mmの間隔で提供される。
【0054】
[0054]
図8Bは、4つの隣接するスポットを有するグリッドを示しており、各スポット(例えば、スポット802)は、半径1/2Dの同じ直径Dを有している。実際には、スポットでの強度パターン(例えば、単位体積当たりに送達される粒子)は、
図8Cに示すように、ガウス関数として近似することができ、放射線量のガウス分布、半値全幅(full width-half max)を示している。スポットのサイズパラメータ(例えば直径)は、隣接する2つのスポットの中心におけるピーク強度の「半値全幅(Full Width at Half Max)」を定義する。
【0055】
[0055]
グリッドの間隔と同じサイズパラメータを設定すると、隣接するスポットに照射されるビームレットが重なる。スポットAとスポットBの間で等距離にある点804は、例えば、各スポットが寄与するガウス分布の半分の強度(例えば、単位面積当たりの粒子数)を合計したもの(あるいは、全ての3次元x-y-zを考慮した場合の体積)を有する。スポットのメーターセット(meterset)が等しい場合(例えば、全てのスポットに同じ数の粒子が送達される場合)、スポットAとスポットBの間の等距離にある点804は、強度が合計されるため、隣接するスポットの中心と同じ強度を有する。これにより、高い均一性の線量送達面が得られる。
【0056】
[0056]
図9は、ラインセグメントとしてのビームレット伝送の説明を示す。粒子ビームレットのラインセグメントの送達モードは、直線的なスキャンモードの一種であるラインスキャンと呼ばれることがある。ターゲットに送達される各ビームレットは、始点と終点を有する。図示するように、ビームレットは右のスポットから左のスポットへと連続的にスキャンされる。ラインセグメントの大きさや間隔によって、均一な線量の送達が許される。スキャンは、連続的または段階的に任意の組み合わせで制御することができ、粒子ビームレット強度を独立して制御することで、任意のパターンを生成することができる。
【0057】
[0057]
散乱を用い、広がったブラッグピークを利用して生成されるようなプロトンブロードビームは、ターゲットボリューム全体に比較的均一な線量を送達するビームを提供する。多くのフィールドを使って患者を治療する場合、プロトンブロードビームを用いて実現できないことがある。例えば、ブロードビームでは、患者ごとにカスタマイズされた治療分野ごとに、イオンブロック(ion block)とイオンビーム補償器(ion beam compensator)が必要になる。これは、すべての角度に対して1つのブロックと1つの補償器が必要となり、したがって、患者の治療には複数のブロックと複数の補償器を使用しなければないことを意味している。例えば、少なくとも4度ごとに異なるブロックと異なる補償器を使用しなければならない。360度回転する陽子線治療を行うためには、90種類のイオンブロックと90種類のイオン補償器を使って、治療を止めたり開始したりしなければなりない。イオンブロックの代わりにマルチリーフコリメータを使用したシステムだとしても、イオン補償器が必要になる。広いビームを使用する他の場合には、イオン補償器を使用するため、ターゲットとなる腫瘍の近位端の線量が望ましくない形状になるという問題がある。
【0058】
[0058]
図10Aは、一実施形態による、グリッド上の直線的なスポット送達経路の概要を示す。粒子線治療のひとつにスポットスキャンがある。スポットスキャンでは、複雑な線量分布の送達が可能である。回転ガントリでは、粒子線のスポットが瞬時に送達されないので、粒子線のスポット配置の問題があり、そして、ガントリが移動すると、計画された正規のガントリ角度とは異なる角度でスポットが送達される。このシステムでは、(振動や屈曲を避けるために)ガントリを一定の速度で回転させながら、特定のガントリ角度で、特定の粒子エネルギーを用いて複数のビームレットを送達する必要がある。これは、治療計画が個々の角度のサンプリングを前提としているならば、放射線治療の治療計画において計画した内容を正確に反映させるために達成しなければならない。
図10Aに示すラスターパターンを用いた直線的なスポット送達経路は、ガントリの回転に伴ってエラーが発生する可能性のあるひとつのアプローチを示している。
【0059】
[0059]
治療計画のラスターパターン方式では、複数のビームレットが1つの角度から送達され、静的なビームを構成することを前提としている。1つよりも多くのスタティックビームが、治療計画の一部として定義される場合がある。既存の治療計画システムを活用するためには、陽子アーク治療を、連続した角度ではなく、ひとつのセットの角度から送達するものとしてモデル化しなればならない。システムが、回転中に異なる角度から各ビームレットが送達することをモデル化しようとしても、日によって変化する機械固有の動作を含めて複雑さが増すため、このアプローチは現実的ではない。実際には、計画された角度に関連付けられた複数のビームレットの送達は、現在の計画された角度と前の計画された角度との間の中間点から、現在の計画された角度を経て、現在の計画された角度と次の計画された角度との間の中間点まで(円弧の始まりの最初/初期の計画された角度から360度の角度に潜在的に含む)送達される。
【0060】
[0060]
図10B乃至
図10Cは、一実施形態による、グリッド上のスパイラルな送達経路の概要を示す。
図10B乃至
図10Cに示すスパイラルパターンは、ガントリの回転による誤差を最小限に抑えることができる。図示されているスパイラルパターンは、ガントリが回転している間、
図10Aに示されているラスターパターンと比較して、ターゲットへの精度を向上させ、ターゲット外への放射を減少させる。
【0061】
[0061]
本明細書に記載されているシステムと方法は、陽子アーク療法を使用して、特定のスポットに陽子を送達する際の放射線量を最適化する。特定のスポットに送達する場合、本明細書で説明されるスパイラルパターンスキャンを使用することで、計画されたものと実際に送達されたものとの相違を最小限に抑えることができる。ガントリが現在の計画角度に最も近い状態で、アイソセントリック軸(isocentric axis)から離れたスポットが送達されなければ、結果的に実際のスポット位置が意図したスポット位置から離れてしまい、ビームレットの全体的な軌道が期待した軌道と大きく異なってしまう可能性がある。スパイラルスキャンを使用することで、実際のスポット位置の誤差を最小限に抑え、ビームレットの予想軌道と実際の軌道の不一致を最小限に抑えることができる。
【0062】
[0062]
図11Aは、一実施形態による、異なるスポットサイズとラスターパターンを有する直線的なスポット送達経路を示す。
図11Bは、一実施形態による、スポットサイズが異なるスパイラルなスポット送達経路を示す。
【0063】
[0063]
小さなスポットと大きなスポットとのトレードオフは、小さなスポットに小さなビームレットだけ送達するだけだと、放射線治療に膨大な時間がかかってしまうことである。そのため、時間を短縮するためには、小さなビームレットを腫瘍の外縁/前方に送達し、大きなスポットを腫瘍の内部に送達するのが良いとされている。送達中にスポットサイズを変更するのは時間のかかる作業である。
図11Aのラスターパターンを用いてスポットを送達する場合、腫瘍の外縁部でスポットサイズを変更しようとすると、遷移が発生してしまう。
図11Aに示すように、グリッド上の各ラインでは、スポットサイズが2回変化するため、ビーム全体では、スポットサイズ間の遷移が数十回になる。
図11Bに示すスパイラル送達パターンを使用することにより、腫瘍の外縁部を処理する小さいスポットのセットから、腫瘍の内側領域を処理する大きいスポットのセットに移行する際に、スポットサイズの遷移が1回程度で済ませることができる。同様に、逆方向に進むときのスポットサイズの変化は1回程度で、結果的にビーム全体では2回しか変化しないようにできる。一実施例では、スパイラルパターンは2次元のスパイラルパターンで、ターゲットの各層にドーズ量を送達することができる。
【0064】
[0064]
一実施例では、スパイラルがターゲットの中心にあるときに、ビームレットがアークレンジの端に送達される。例えば、0度から10度までの円弧において、ガントリが5度で静止しているかのようにターゲットを計画することができる。この実施例では、ガントリが5度に近づき離れると、スパイラルの外側が発生し、ガントリが0度に近づき離れると、スパイラルの中心が発生する。例えば、0度からスタートして、ターゲットの中心から外側に向かってスパイラルを描き、5度付近で(スパイラルの外側の点で)終了する。次に、一実施例では、ガントリが5度から10度に移動するのに合わせて、ターゲットの中心に戻る途中でスパイラルを反転させる(例えば、0度から5度まで時計回りに移動した後、5度から10度まで反時計回りに移動する、またはその逆に移動する)。このプロセスは、線量が完了するまで、例えば10度から20度などの別の角度で、ターゲットの別の層で繰り返し行うことができる。
【0065】
[0065]
図12A乃至
図12Bは、一実施形態による、スパイラルなスポット送達を用いた場合の位置決め誤差を示す。
図12Aは、計画されたガントリ角度に対するガントリ角度の回転に等しい、誤差角度1202による位置決め誤差1204を示す。例えば、計画された角度が5度の場合、ガントリが10度まで回転すると、位置決め誤差1204が最大になる。ガントリが5度まで回転すると、誤差が最小になる(あるいは存在しない)。ガントリは、一定の回転速度で、一定の角速度で連続的に回転する。位置の変化(誤差)は、角速度をガントリ角の余弦(cosine)で割ったものに等しい。各パスのエネルギー吸収量を決定することが困難なため、エネルギー吸収によるパスの違い(わずかな場合もある)は無視することができる。これらの誤差を除去するために、誤差が最も大きいとき(例えば、位置決め誤差1204のとき)に粒子ビームをターゲットの中央部分に向けて誤差を最小化し、位置決め誤差1204が小さいとき(例えば、中央の円弧角に近いとき)に粒子ビームをターゲットの外側部分に向ける。
【0066】
[0066]
図12Bは、例えば、ガントリ角度が0度の場合の照射層の断面を示す図であり、その断面は円である。他のガントリ角度では(例えば、
図12Aに示す位置決め誤差1204の高い誤差で示される場合)、断面は楕円形である。
【0067】
[0067]
計画したガントリ角度からの距離が大きくなると、誤差が大きくなる。計画された中心のガントリ角度からの距離がゼロになると、誤差がゼロになる。例えば、中心となる計画ガントリ角度の前の5度から、中心となる計画ガントリ角度の後の5度までの10度の円弧に対して、5度前と5度後で最大の誤差が生じる。この誤差は、ラスタースキャン方式を採用した場合、さらに大きくなる。この誤差は、スパイラルパターン方式を採用した場合、例えば、ラスタースキャン方式を採用した場合に比べて小さくなる。
【0068】
[0068]
図13Aは、一実施形態による、様々な角度の円弧角のターゲットロケーション強度とブラッグピーク(Bragg Peak)を示す。これら角度は、ガントリの角度によって、粒子線の透過性が異なる強度と距離を有することを示している。
【0069】
[0069]
標的とする腫瘍に複数の線量を与える角度を増やすことは、標的とする腫瘍ではない身体の領域に、より少ない線量を与えることになる。多くの角度を使用することで、停止力(stopping power)の統計的な誤差や、患者の位置決めの誤差が、重複する線量の平均化によって相殺され、低減される。このように、位置決めや停止力に誤差があっても、良好な線量分布が得られることで、陽子線治療はより強固なものとなる。
【0070】
[0070]
回転ガントリは、ターゲットの中心でのドーズ量の増加を、スパイラルを「終了」させ、その平面上のターゲットの中心以外の場所で再スタートするように計画するような技術を用いて補正することができる。
図13Aに示すように、角度によって浸透深さが異なり、ターゲットの中心ではないところで終わるようにすることで、患者への過剰投与を避けることができる。アイソセントリックライン(isocentric line)に垂直な線に沿って、ガントリの進行方向に沿って、中心に近いビームレットの強度を下げることで、同様の、より正確な補正が可能になる。
【0071】
[0071]
図13Bは、一実施形態による、複合ターゲットロケーション強度を示す。合成画像では、異なる角度の間で重なりが生じるが、すべての角度がターゲットの同じ深さまで貫通しないことにより、重なりが最小限に抑えられる。
【0072】
[0072]
ペンシルビームスキャンを用いた陽子線治療では、1秒以内にエネルギーが変化するような異なるエネルギーを送達することができる。ペンシルビームスキャンは、強度変調陽子線治療(IMPT:Intensity Modulated Proton Therapy)を可能にする。エネルギーの選択が放射線治療の深さをコントロールするため、エネルギーの選択は非常に重要である。粒子線治療は本来、特定のエネルギーに対して一定の深さで停止する。これにより、組織の一部分への治療の深さが層状になる。各層では、治療のアウトラインが組織の特定の領域に適合しており、これにより、アウトラインが層ごとに異なる腫瘍に対応することができ、危険な器官の近くにある不規則な形状の腫瘍に最適である。回転するガントリから照射する場合、複数のエネルギーを異なる層に送達する時間は限られている。ある角度でのエネルギーの選択は、線量の大部分が腫瘍に送達される深さをコントロールするために重要である。このシステムでは、各角度に対して非常に限られた数のエネルギーを賢明に選択することで、腫瘍に対する所望の総線量を達成し、それをタイムリーに行うことができる。このシステムでは、一定の角度から腫瘍の正中線を越えて送達するエネルギーを選択することで、腫瘍に確実に照射することができる。臨床的に重要なのは、あらゆる角度からの腫瘍への総線量である。
【0073】
[0073]
図14乃至
図15は、一実施形態による、回転ガントリからターゲットに向けて複数の粒子ビームを送達する手法を示すフローチャートである。
【0074】
[0074]
図14は、ガントリが回転する際に複数の粒子ビームを連続的に送達するためのオペレーション1402を含む手法1400を示す。一実施例では、連続する粒子ビームの各粒子ビームは、関連付けられた円弧を有し、例えば、関連付けられた円弧の中心は、各粒子ビームの特定のガントリ角度に対応している。治療計画は、関連付けられた円弧の中心(例えば、中心角)に対して、関連付けられた円弧が一連の角度(例えば、5度、10度、15度など)を占めるように定めることができる。粒子ビームは、複数の陽子、炭素イオン、イオン、パイオン、正荷電粒子のうちの少なくとも1つを含む。
【0075】
[0075]
手法1400は、複数のビームレットをそれぞれの円弧の始点から終点まで送達するためのオペレーション1404を含む。ビームレットは、それぞれの円弧の始点から終点に向けて送達される。例えば、0度から始まる10度の円弧の場合、ビームレットは0度から10度まで送達される。この実施例では、それぞれの円弧の中心が5度になる。
【0076】
[0076]
手法1400は、それぞれのガントリ角度に対するターゲットの複数の予め定義されたスポットを決定するためのオペレーション1406を含む。複数の所定のスポットは、スパイラルに構成される。複数のスポットは、ビームレットと同等(例えば、サイズが)である。スポットは連続して配置される(例えば、ターゲット内、レイヤ上で)。一実施例では、ターゲットの外縁部に位置するスポットは、ターゲット内部の位置(例えば、外縁部ではなく、ターゲットの中心部に位置するスポット)に位置するスポットよりも直径が小さくなる。大きな直径のスポットに関連付けられたビームレットは、小さな直径のスポットに関連付けられたビームレットよりも線量が大きくなる。一実施例では、大きな直径のスポットの強度変調は、小さな直径のスポットよりも大きくなる。スポットは、(例えば、ターゲットのレイヤ内の)ロケーションを含む。スポットは、そのロケーションに送達されるビームレットの直径を含む。一実施例では、ユーザは、そのロケーションのスポットサイズを選択する。
【0077】
[0077]
手法1400は、スパイラルパターンの複数の所定のスポットを、それぞれのガントリ角度の等心軸に最も近いものから、等心軸から最も遠いものへと順序付けするためのオペレーション1408を含む。
【0078】
[0078]
手法1400は、複数の所定のスポットのスパイラルパターンに従って、それぞれの粒子ビームのための複数のビームレットを送達することを含む、連続した粒子ビームを送達するためのオペレーション1410を含む。一実施例では、複数のビームレットは、時計回りの構成の後に反時計回りの構成で送達されてもよいし、反時計回りの構成の後に時計回りの構成で送達されてもよい。
【0079】
[0079]
複数のビームレットを送達することは、ターゲットの内側の位置からターゲットの外縁部の位置までビームレットを送達することを含む。複数のビームレットを送達することは、例えば、スパイラルのパターンの間、サイズの異なるスポットの間で1回の遷移を行うことを含む。この実施例では、走査磁石は、ビーム伝送の位置を決定するように構成されている。この構成では、ラスターパターンやその他のものよりも、スパイラルパターンを使うことはエネルギー効率が良い。
【0080】
[0080]
図15は、ガントリ角度に対するターゲットの複数のスポットを決定するためのオペレーション1402を含む手法1500を示し、複数のスポットはスパイラルパターンで構成されている。複数のスポットは、ビームレットと同等の大きさ(例えば、サイズ)である。スポットは(例えば、ターゲット内、レイヤ上で)連続して配置される。一実施例では、ターゲットの外縁部に位置するスポットは、ターゲット内部の位置(例えば、外縁部ではなく、ターゲットの中心部に位置するスポット)に位置するスポットよりも直径が小さくなる。大きな直径のスポットに関連付けられたビームレットは、小さな直径のスポットに関連付けられたビームレットよりも線量が大きくなる。一実施例では、大きな直径のスポットの強度変調は、小さな直径のスポットよりも大きくなる。スポットは、(例えば、ターゲットのレイヤ内の)ロケーションを含む。スポットは、そのロケーションに送達されるビームレットの直径を含む。一実施例では、ユーザは、そのロケーションのスポットサイズを選択する。
【0081】
[0081]
手法1400は、スパイラルパターンの複数のスポットを、ガントリ角度の等心軸に最も近いものから、等心軸から最も遠いものへと順序付けするためのオペレーション1404を含む。
【0082】
[0082]
手法1400は、複数のスポットのスパイラルパターンに従って、複数の粒子ビームの各粒子ビームに対して、それぞれの円弧の始点から、それぞれの円弧の終点まで、複数のビームレットを送達することにより、ガントリの回転に伴って複数の粒子ビームを連続的に送達するためのオペレーション1406を含む。
【0083】
[0083]
治療計画は、それぞれの円弧の中心(例えば、中心角)に対して、それぞれの円弧が一連の角度(例えば、5度、10度、15度など)を占めるように定めることができる。粒子ビームは、複数の陽子、炭素イオン、イオン、パイオン、正荷電粒子のうちの少なくとも1つを含む。ビームレットは、それぞれの円弧の始点から終点に向けて送達される。例えば、0度から始まる10度の円弧の場合、ビームレットは0度から10度まで送達される。この実施例では、それぞれの円弧の中心が5度になる。
【0084】
[0084]
一実施例では、複数のビームレットは、時計回りの構成の後に反時計回りの構成で送達されてもよいし、反時計回りの構成の後に時計回りの構成で送達されてもよい。複数のビームレットを送達することは、ターゲットの内側の位置からターゲットの外縁部の位置までビームレットを送達することを含む。複数のビームレットを送達することは、例えば、スパイラルのパターンの中で、サイズの異なるスポットの間で1回の遷移を行う。この実施例では、走査磁石は、ビーム伝送の位置を決定するように構成されている。この構成では、ラスターパターンやその他のものよりも、スパイラルパターンを使うことはエネルギー効率が良い。
【0085】
[0085]
本明細書に記載されている非限定的な各実施例は、それぞれ独立していてもよいし、他の実施例の1つまたは複数と様々な順列または組み合わせで組み合わせてもよい。
【0086】
[0086]
実施例1は、連続回転するガントリからターゲットに向けて複数の粒子ビームを送達する方法であって、前記方法は、前記ガントリの回転に合わせて、前記複数の粒子ビームを連続して送達するステップであって、前記連続する粒子ビームの各粒子ビームは、関連する円弧を有し、前記関連する円弧の中心は、各粒子ビームの特定のガントリ角度に対応しており、前記連続する粒子ビームのそれぞれの粒子ビームに対して、それぞれの円弧の始点から前記それぞれの円弧の終点まで複数のビームレットを送達し、それぞれのガントリ角度に対して、前記それぞれのガントリ角度に対する前記ターゲットにおける複数の予め定義されたスポットを決定し、前記複数の予め定義されたスポットは、スパイラルパターン状に構成されているステップと、前記スパイラルパターン内の前記複数の予め定義されたスポットを、前記それぞれのガントリ角度の等心軸に最も近いものから、前記等心軸から最も遠いものへと順序付けするステップとを有し、前記連続する粒子ビームを送達するステップは、前記複数の予め定義されたスポットの前記スパイラルパターンに従って、前記それぞれの粒子ビームに対する前記複数のビームレットを送達することを含むことを特徴とする方法である。
【0087】
[0087]
実施例2では、実施例1の主題が、前記複数のビームレットは、時計回りの構成で送達された後、反時計回りの構成で送達される、ことを含む。
【0088】
[0088]
実施例3では、実施例1乃至2の主題が、前記複数の予め定義されたスポットのうちの1つのスポットと前記複数のビームレットのうちの1つのビームレットは等価である、ことを含む。
【0089】
[0089]
実施例4では、実施例1乃至3の主題が、前記複数の予め定義されたスポットは連続して配置されている、ことを含む。
【0090】
[0090]
実施例5では、実施例1乃至4の主題が、前記複数のビームレットを送達することは、前記複数のビームレットを前記ターゲットの内側の位置から前記ターゲットの外縁部の位置まで送達することを含む、ことを含む。
【0091】
[0091]
実施例6では、実施例1乃至5の主題が、前記複数のビームレットを送達することは、前記複数のビームレットを前記ターゲットの外縁部の位置から前記ターゲットの内部の位置まで送達することを更に含む、ことを含む。
【0092】
[0092]
実施例7では、実施例1乃至6の主題が、前記ターゲットの外縁部に位置する、前記複数の予め定義されたスポットのスポットは、前記ターゲットの内部に位置する前記複数の予め定義されたスポットのスポットよりも小さな直径を有する、ことを含む。
【0093】
[0093]
実施例8では、実施例7の主題が、大きな直径のスポットに関連するビームレットは、前記小さな直径のスポットに関連するビームレットよりも線量が多い、ことを含む。
【0094】
[0094]
実施例9では、実施例8の主題が、前記大きな直径のスポットの強度変調は、前記小さな直径のスポットよりも大きい、ことを含む。
【0095】
[0095]
実施例10では、実施例1乃至9の主題が、前記複数のビームレットを送達することは、様々なサイズのスポット間の1回の遷移を含む、ことを含む。
【0096】
[0096]
実施例11では、実施例10の主題が、ビーム送達の位置を決定するために走査磁石を構成することは、前記スパイラルパターンを使用した、より高いエネルギー効率である、ことを含む。
【0097】
[0097]
実施例12では、実施例1乃至11の主題が、前記複数の予め定義されたスポットのうちの1つのスポットは、ロケーションを含む、ことを含む。
【0098】
[0098]
実施例13では、実施例12の主題が、前記複数の予め定義されたスポットのうちの前記1つのスポットは、前記ロケーションに送達されるビームレットの直径を含むように構成されている、ことを含む。
【0099】
[0099]
実施例14では、実施例12乃至13の主題が、ユーザは、前記ロケーションに対するスポットサイズを選択する、ことを含む。
【0100】
[0100]
実施例15では、実施例1乃至14の主題が、前記粒子ビームは、複数のプロトン、炭素イオン、イオン、パイオン、または正の荷電粒子のうちの少なくとも1つを有する、ことを含む。
【0101】
[0101]
実施例16は、連続的に回転するガントリからターゲットに向かって複数の粒子ビームを送達するための命令を含む非一時的機械可読媒体であって、プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、ガントリ角度に対する前記ターゲットにおける複数のスポットを決定するステップであって、前記複数のスポットは、スパイラルパターンに構成されているステップと、前記スパイラルパターンの前記複数のスポットを、前記ガントリ角度の等心軸に最も近いものから前記等心軸から最も遠いものへと順序付けするステップと、前記複数のスポットの前記スパイラルパターンに従って、それぞれの円弧の始点から前記それぞれの円弧の終点まで、複数のビームレットの各粒子線に対する複数のビームレットを送達することにより、前記ガントリの回転に伴って前記複数の粒子線を連続的に送達するステップであって、前記それぞれの円弧の中心は、それぞれの粒子線に対する特定のガントリ角度に対応するステップとを実行させることを特徴とする機械可読媒体である。
【0102】
[0102]
実施例17では、実施例16の主題が、前記複数のビームレットは、時計回りの構成で送達された後、反時計回りの構成で送達される、ことを含む。
【0103】
[0103]
実施例18では、実施例16乃至17の主題が、前記複数のスポットは、連続して配置されている、ことを含む。
【0104】
[0104]
実施例19では、実施例16乃至18の主題が、前記ターゲットの外縁部に位置する前記複数のスポットは、前記ターゲットの内側の位置に位置する前記複数の予め定義されたスポットよりも小さな直径を有し、大きな直径のスポットに関連付けられたビームレットは、前記小さな直径のスポットに関連付けられた前記ビームレットよりも大きな線量を有し、前記大きな直径のスポットの強度変調は、前記小さな直径のスポットよりも大きい、ことを含む。
【0105】
[0105]
実施例20では、実施例16乃至19の主題が、前記複数のビームレットを送達することは、様々なサイズのスポット間の1回の遷移を含む、ことを含む。
【0106】
[0106]
実施例21では、実施例16乃至20の主題が、前記粒子ビームは、複数のプロトン、炭素イオン、イオン、パイオン、または正の荷電粒子のうちの少なくとも1つを有する、ことを含む。
【0107】
[0107]
実施例22は、連続回転するガントリからターゲットに向けて複数の粒子ビームを送達するシステムであって、前記システムは、粒子の流れをインジェクタに供給するように構成されたイオン源であって、前記インジェクタは前記粒子の流れを加速するように構成されているイオン源と、前記粒子の流れをさらに加速し、前記粒子の流れにエネルギーを供給するように構成された加速器であって、前記エネルギーは組織内の送達深度に対応する加速器と、送達される前記粒子の流れのエネルギーを選択するように構成されたエネルギーセレクタと、前記粒子の流れを放射線治療送達室に運ぶように構成された複数の偏向磁石と、ターゲットに応じて前記粒子の流れを形成するように構成された複数の走査磁石と、前記ガントリの回転に合わせて、前記複数の粒子ビームを連続して送達し、前記連続する粒子ビームの各粒子ビームは、関連する円弧を有し、前記関連する円弧の中心は、各粒子ビームの特定のガントリ角度に対応し、前記連続する粒子ビームのそれぞれの粒子ビームに対して、それぞれの円弧の始点から前記それぞれの円弧の終点まで複数のビームレットを送達するように構成されたスナウトと、それぞれのガントリ角度に対して、前記それぞれのガントリ角度に対する前記ターゲットにおける複数の予め定義されたスポットを決定し、前記複数の予め定義されたスポットは、スパイラルパターン状に構成され、前記スパイラルパターン内の前記複数の予め定義されたスポットを、前記それぞれのガントリ角度の等心軸に最も近いものから、前記等心軸から最も遠いものへと順序付けするように構成されたプロセッサとを有し、前記連続する粒子ビームの送達は、前記複数の予め定義されたスポットの前記スパイラルパターンに従って、前記それぞれの粒子ビームに対する前記複数のビームレットの送達を含むことを特徴とするシステムである。
【0108】
[0108]
実施例23では、実施例22の主題が、前記粒子ビームは、複数のプロトン、炭素イオン、イオン、パイオン、または正の荷電粒子のうちの少なくとも1つを有する、ことを含む。
【0109】
[0109]
実施例24では、実施例22乃至23の主題が、前記複数のビームレットは、時計回りの構成で送達された後、反時計回りの構成で送達される、ことを含む。
【0110】
[0110]
実施例25では、実施例22乃至24の主題が、前記複数の予め定義されたスポットのうちの1つのスポットと前記複数のビームレットのうちの1つのビームレットは等価である、ことを含む。
【0111】
[0111]
実施例26では、実施例22乃至25の主題が、前記複数の予め定義されたスポットは、連続して配置されている、ことを含む。
【0112】
[0112]
実施例27では、実施例22乃至26の主題が、前記複数のビームレットを送達するために、前記スナウトは、更に、前記複数のビームレットを前記ターゲットの内側の位置から前記ターゲットの外縁部の位置まで送達するように構成されている、ことを含む。
【0113】
[0113]
実施例28では、実施例22乃至27の主題が、前記複数のビームレットを送達するために、前記スナウトは、更に、前記複数のビームレットを前記ターゲットの外縁部の位置から前記ターゲットの内部の位置まで送達するように構成されている、ことを含む。
【0114】
[0114]
実施例29では、実施例22乃至28の主題が、前記ターゲットの外縁部に位置する前記複数の予め定義されたスポットのスポットは、前記ターゲットの内部に位置する前記複数の予め定義されたスポットのスポットよりも小さな直径を有する、ことを含む。
【0115】
[0115]
実施例30では、実施例29の主題が、大きな直径を有するスポットに関連するビームレットは、前記小さな直径のスポットに関連する前記ビームレットよりも線量が大きい、ことを含む。
【0116】
[0116]
実施例31では、実施例30の主題が、前記大きな直径のスポットの強度変調は、前記小さな直径のスポットよりも大きい、ことを含む。
【0117】
[0117]
実施例32では、実施例22乃至31の主題が、前記複数のビームレットを送達するために、前記スナウトは、更に、様々なサイズのスポット間の単一の遷移で前記複数のビームレットを送達するように構成されている、ことを含む。
【0118】
[0118]
実施例33では、実施例32の主題が、ビーム送達の位置を決定するために走査磁石を構成することは、前記スパイラルパターンを使用した、より高いエネルギー効率である、ことを含む。
【0119】
[0119]
実施例34では、実施例22乃至33の主題が、前記複数の予め定義されたスポットのうちの1つのスポットは、ロケーションを構成している、ことを含む。
【0120】
[0120]
実施例35では、実施例34の主題が、前記複数の所定のスポットのうちの前記1つのスポットは、前記ロケーションに送達されるビームレットの直径を含むように構成されている、ことを含む。
【0121】
[0121]
実施例36では、実施例34乃至35の主題が、ユーザは、前記ロケーションのスポットサイズを選択する、ことを含む。
【0122】
[0122]
実施例37は、処理回路によって実行されると、処理回路に実施例1乃至 36のいずれかを実施するためのオペレーションを行わせる命令を含む、少なくとも1つの機械読取可能な媒体である。
【0123】
[0123]
実施例38は、実施例1乃至36のいずれかを実施する手段を備えた装置である。
【0124】
[0124]
実施例39は、実施例1乃至36のいずれかを実施するシステムである。
【0125】
[0125]
実施例40は、実施例1乃至36のいずれかを実施する方法である。
【0126】
[0126]
上記の詳細な説明には、詳細な説明の一部を構成する添付の図面への参照が含まれる。図面は、説明のために示したものであり、本開示を実施することができる特定の実施形態を示している。これらの実施形態は、本明細書では「実施例」とも呼ばれる。このような実施例は、図示または説明されたものに加えて、要素(element)を含むことができる。しかし、本願発明は、図示または説明された要素のみが提供される実施例も考慮している。さらに、本発明者等は、特定の実施例(または、その1つまたはそれ以上の態様)に関して、または本明細書に図示または説明されている他の実施例(または、その1つまたはそれ以上の態様)に関して、図示または説明されているそれらの要素(またはその1つまたはそれ以上の側面)の任意の組み合わせまたは順列を使用する実施例も考慮している。
【0127】
[0127]
本明細書と参照することにより組み込まれる文書との間で方法が一致しない場合、本明細書の使用方法が優先される。
【0128】
[0128]
本明細書において、「a」または「an」という用語は、特許文献において一般的であるように、「少なくとも1つ」または「1つ以上」の他の例や用法とは無関係に、1つまたはそれ以上の要素を含むように使用される。本明細書において、「または」という用語は、「AまたはB」が「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、「AおよびB」を含むように、非排他的な「または」を指すために使用されるが、別段の記載がない限り、「AまたはB」は「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、「AおよびB」を含む。本明細書において、「including」および「in which」という用語は、「complising」および「wherein」というそれぞれの用語の平易な英語の等価物として使用されている。また、以下の特許請求の範囲において、「including」および「comprising」という用語はオープンエンドであり、すなわち、ある特許請求の範囲でこのような用語の後に記載されている要素に加えて、ある要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、プロセスは、その特許請求の範囲に含まれるものとみなされる。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単にラベルとして使用されており、その対象物に数値的な要求を課すことを意図したものではない。
【0129】
[0129]
本明細書に記載されている方法の実施例は、少なくとも部分的には機械またはコンピュータで実施することができる。いくつかの実施例は、上記の実施例で説明した方法を実行するように電子デバイスを構成するように動作可能な命令でコード化されたコンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含むことができる。このような方法の実装には、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高レベル言語コードなどのコードが含まれ得る。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含み得る。このコードは、コンピュータプログラム製品の一部を構成し得る。さらに、一実施例では、コードは、実行中または他の時に、1つまたはそれ以上の揮発性、非一過性、または不揮発性の有形コンピュータ可読媒体に目に見える方法で(tangibly)格納され得る。これらの有形コンピュータ可読媒体の実施例としては、これらに限定されるものではないが、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカード、メモリスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)などが挙げられる。
【0130】
[0130]
上記の説明は、例示を目的としたものであり、制限的なものではない。例えば、上述した実施例(または、その1つまたはそれ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。当業者であれば、上記の説明を確認した上で、他の実施形態を使用することができる。要約は、37 C.F.R.§1.72(b)に準拠し、読者が技術開示の性質を迅速に把握できるように提供されている。それは、特許請求の範囲の解釈や意味を限定するために使用されるものではないことを理解した上で提出されている。また、上記の発明の詳細な説明では、本開示を効率化するために様々な特徴をまとめている場合がある。これは、請求されていない開示された特徴が、いかなる請求にも必須であることを意図していると解釈すべきではない。むしろ、発明の主題は、開示された特定の実施形態のすべての特徴ではないところにあり得る。したがって、以下の請求項は、実施例または実施形態として発明の詳細な説明に組み込まれており、各請求項は独立した実施形態として自立しており、そのような実施形態は、様々な組み合わせまたは順列で互いに組み合わせることができることが企図されている。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきであり、また、そのような特許請求の範囲に含まれる完全な均等物の範囲も参照する必要がある。
【手続補正書】
【提出日】2021-10-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
[0080]
図15は、ガントリ角度に対するターゲットの複数のスポットを決定するためのオペレーション
1502を含む手法1500を示し、複数のスポットはスパイラルパターンで構成されている。複数のスポットは、ビームレットと同等の大きさ(例えば、サイズ)である。スポットは(例えば、ターゲット内、レイヤ上で)連続して配置される。一実施例では、ターゲットの外縁部に位置するスポットは、ターゲット内部の位置(例えば、外縁部ではなく、ターゲットの中心部に位置するスポット)に位置するスポットよりも直径が小さくなる。大きな直径のスポットに関連付けられたビームレットは、小さな直径のスポットに関連付けられたビームレットよりも線量が大きくなる。一実施例では、大きな直径のスポットの強度変調は、小さな直径のスポットよりも大きくなる。スポットは、(例えば、ターゲットのレイヤ内の)ロケーションを含む。スポットは、そのロケーションに送達されるビームレットの直径を含む。一実施例では、ユーザは、そのロケーションのスポットサイズを選択する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
[0081]
手法1500は、スパイラルパターンの複数のスポットを、ガントリ角度の等心軸に最も近いものから、等心軸から最も遠いものへと順序付けするためのオペレーション1504を含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
[0082]
手法1500は、複数のスポットのスパイラルパターンに従って、複数の粒子ビームの各粒子ビームに対して、それぞれの円弧の始点から、それぞれの円弧の終点まで、複数のビームレットを送達することにより、ガントリの回転に伴って複数の粒子ビームを連続的に送達するためのオペレーション1506を含む。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続回転するガントリからターゲットに向けて複数の粒子ビームを送達する方法であって、
前記方法は、
前記ガントリの回転に合わせて、前記複数の粒子ビームを連続して送達するステップであって、前記連続する粒子ビームの各粒子ビームは、関連する円弧を有し、前記関連する円弧の中心は、各粒子ビームの特定のガントリ角度に対応しており、
前記連続する粒子ビームのそれぞれの粒子ビームに対して、それぞれの円弧の始点から前記それぞれの円弧の終点まで複数のビームレットを送達し、
それぞれのガントリ角度に対して、前記それぞれのガントリ角度に対する前記ターゲットにおける複数の予め定義されたスポットを決定し、前記複数の予め定義されたスポットは、スパイラルパターン状に構成されているステップと、
前記スパイラルパターン内の前記複数の予め定義されたスポットを、前記それぞれのガントリ角度の等心軸に最も近いものから、前記等心軸から最も遠いものへと順序付けするステップと
を有し、
前記連続する粒子ビームを送達するステップは、前記複数の予め定義されたスポットの前記スパイラルパターンに従って、前記それぞれの粒子ビームに対する前記複数のビームレットを送達することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記複数のビームレットは、時計回りの構成で送達された後、反時計回りの構成で送達される
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、
前記複数の予め定義されたスポットのうちの1つのスポットと前記複数のビームレットのうちの1つのビームレットは等価である
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、
前記複数の予め定義されたスポットは、連続して配置されている
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、
前記複数のビームレットを送達することは、前記複数のビームレットを前記ターゲットの内側の位置から前記ターゲットの外縁部の位置まで送達することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、
前記複数のビームレットを送達することは、前記複数のビームレットを前記ターゲットの外縁部の位置から前記ターゲットの内部の位置まで送達することを更に含む
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、
前記ターゲットの外縁部に位置する、前記複数の予め定義されたスポットのスポットは、前記ターゲットの内部に位置する前記複数の予め定義されたスポットのスポットよりも小さな直径を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、
大きな直径のスポットに関連するビームレットは、前記小さな直径のスポットに関連するビームレットよりも線量が多い
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、
前記大きな直径のスポットの強度変調は、前記小さな直径のスポットよりも大きい
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、
前記複数のビームレットを送達することは、様々なサイズのスポット間の1回の遷移を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、
前記複数の予め定義されたスポットのうちの1つのスポットは、ロケーションを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、
前記複数の予め定義されたスポットのうちの前記1つのスポットは、前記ロケーションに送達されるビームレットの直径を含むように構成されている
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11記載の方法において、
ユーザは、前記ロケーションに対するスポットサイズを選択する
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、
前記粒子ビームは、複数のプロトン、炭素イオン、イオン、パイオン、または正の荷電粒子のうちの少なくとも1つを有する
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
連続的に回転するガントリからターゲットに向かって複数の粒子ビームを送達するための命令を含む非一時的機械可読媒体であって、
プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
ガントリ角度に対する前記ターゲットにおける複数のスポットを決定するステップであって、前記複数のスポットは、スパイラルパターンに構成されているステップと、
前記スパイラルパターンの前記複数のスポットを、前記ガントリ角度の等心軸に最も近いものから前記等心軸から最も遠いものへと順序付けするステップと、
前記複数のスポットの前記スパイラルパターンに従って、それぞれの円弧の始点から前記それぞれの円弧の終点まで、複数のビームレットの各粒子線に対する複数のビームレットを送達することにより、前記ガントリの回転に伴って前記複数の粒子線を連続的に送達するステップであって、前記それぞれの円弧の中心は、それぞれの粒子線に対する特定のガントリ角度に対応するステップと
を実行させる
ことを特徴とする機械可読媒体。
【請求項16】
請求項15記載の機械可読媒体において、
前記複数のビームレットは、時計回りの構成で送達された後、反時計回りの構成で送達される
ことを特徴とする機械可読媒体。
【請求項17】
請求項15記載の機械可読媒体において、
前記複数のスポットは、連続して配置されている
ことを特徴とする機械可読媒体。
【請求項18】
請求項15記載の機械可読媒体において、
前記ターゲットの外縁部に位置する前記複数のスポットは、前記ターゲットの内側の位置に位置する前記複数の予め定義されたスポットよりも小さな直径を有し 、
大きな直径のスポットに関連付けられたビームレットは、前記小さな直径のスポットに関連付けられた前記ビームレットよりも大きな線量を有し、
前記大きな直径のスポットの強度変調は、前記小さな直径のスポットよりも大きい
ことを特徴とする機械可読媒体。
【請求項19】
請求項15記載の機械可読媒体において、
前記複数のビームレットを送達することは、様々なサイズのスポット間の1回の遷移を含む
ことを特徴とする機械可読媒体。
【請求項20】
請求項15記載の機械可読媒体において、
前記粒子ビームは、複数のプロトン、炭素イオン、イオン、パイオン、または正の荷電粒子のうちの少なくとも1つを有する
ことを特徴とする機械可読媒体。
【請求項21】
連続回転するガントリからターゲットに向けて複数の粒子ビームを送達するシステムであって、
前記システムは、
粒子の流れをインジェクタに供給するように構成されたイオン源であって、前記インジェクタは前記粒子の流れを加速するように構成されているイオン源と、
前記粒子の流れをさらに加速し、前記粒子の流れにエネルギーを供給するように構成された加速器であって、前記エネルギーは組織内の送達深度に対応する加速器と、
送達される前記粒子の流れのエネルギーを選択するように構成されたエネルギーセレクタと、
前記粒子の流れを放射線治療送達室に運ぶように構成された複数の偏向磁石と、
ターゲットに応じて前記粒子の流れを形成するように構成された複数の走査磁石と、
前記ガントリの回転に合わせて、前記複数の粒子ビームを連続して送達し、前記連続する粒子ビームの各粒子ビームは、関連する円弧を有し、前記関連する円弧の中心は、各粒子ビームの特定のガントリ角度に対応し、
前記連続する粒子ビームのそれぞれの粒子ビームに対して、それぞれの円弧の始点から前記それぞれの円弧の終点まで複数のビームレットを送達する
ように構成されたスナウトと、
それぞれのガントリ角度に対して、前記それぞれのガントリ角度に対する前記ターゲットにおける複数の予め定義されたスポットを決定し、前記複数の予め定義されたスポットは、スパイラルパターン状に構成され、
前記スパイラルパターン内の前記複数の予め定義されたスポットを、前記それぞれのガントリ角度の等心軸に最も近いものから、前記等心軸から最も遠いものへと順序付けする
ように構成されたプロセッサと
を有し、
前記連続する粒子ビームの送達は、前記複数の予め定義されたスポットの前記スパイラルパターンに従って、前記それぞれの粒子ビームに対する前記複数のビームレットの送達を含む
ことを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項21記載のシステムにおいて、
前記粒子ビームは、複数のプロトン、炭素イオン、イオン、パイオン、または正の荷電粒子のうちの少なくとも1つを有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項21記載のシステムにおいて、
前記複数のビームレットは、時計回りの構成で送達された後、反時計回りの構成で送達される
ことを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項21記載のシステムにおいて、
前記複数の予め定義されたスポットのうちの1つのスポットと前記複数のビームレットのうちの1つのビームレットは等価である
ことを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項21記載のシステムにおいて、
前記複数の予め定義されたスポットは、連続して配置されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項21記載のシステムにおいて、
前記複数のビームレットを送達するために、前記スナウトは、更に、前記複数のビームレットを前記ターゲットの内側の位置から前記ターゲットの外縁部の位置まで送達するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項21記載のシステムにおいて、
前記複数のビームレットを送達するために、前記スナウトは、更に、前記複数のビームレットを前記ターゲットの外縁部の位置から前記ターゲットの内部の位置まで送達するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項21記載のシステムにおいて、
前記ターゲットの外縁部に位置する前記複数の予め定義されたスポットのスポットは、前記ターゲットの内部に位置する前記複数の予め定義されたスポットのスポットよりも小さな直径を有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項28記載のシステムにおいて、
大きな直径を有するスポットに関連するビームレットは、前記小さな直径のスポットに関連する前記ビームレットよりも線量が大きい
ことを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項29記載のシステムにおいて、
前記大きな直径のスポットの強度変調は、前記小さな直径のスポットよりも大きい
ことを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項21記載のシステムにおいて、
前記複数のビームレットを送達するために、前記スナウトは、更に、様々なサイズのスポット間の単一の遷移で前記複数のビームレットを送達するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項21記載のシステムにおいて、
前記複数の予め定義されたスポットのうちの1つのスポットは、ロケーションを構成している
ことを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項32記載のシステムにおいて、
前記複数の所定のスポットのうちの前記1つのスポットは、前記ロケーションに送達されるビームレットの直径を含むように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項34】
請求項32記載のシステムにおいて、
前記プロセッサは、更に、前記ロケーションのスポットサイズ
のユーザ選択を受け取るように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【国際調査報告】