(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(54)【発明の名称】内燃機関における処理済み排気ガス再循環のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
F02M 26/07 20160101AFI20220406BHJP
F02M 26/05 20160101ALI20220406BHJP
F02B 37/00 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
F02M26/07 311
F02M26/05
F02B37/00 302F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560568
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(85)【翻訳文提出日】2021-10-25
(86)【国際出願番号】 US2020027149
(87)【国際公開番号】W WO2020210282
(87)【国際公開日】2020-10-15
(32)【優先日】2019-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521443254
【氏名又は名称】エスピーアイ.システムズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ジョン フランシス シックラー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー アール. コマレク
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ヒュー スコット,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ジェイ. カレロ
【テーマコード(参考)】
3G005
3G062
【Fターム(参考)】
3G005EA14
3G005GB15
3G005GB24
3G062AA05
3G062EA10
3G062ED02
3G062ED12
(57)【要約】
内燃機関のための処理済み排気ガス再循環(EGR)のためのシステムおよび方法が開示される。内燃機関は、排気ガスを排出する排気マニホルドと、コンプレッサからの強制空気を受け入れる吸気マニホルドを有する。1つまたは複数の排気処理装置が排気ガスを処理し、処理済み排気ガスを生成する。EGRシステムは1つまたは複数の排気処理装置の下流側にあり、コンプレッサの下流側のエンジン吸気ラインに接続されたEGRラインを含み、処理済みEGRラインは、処理済み排気ガスを、コンプレッサを通過することなくエンジンの吸気マニホルドに再循環させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの下流側に配置されたターボチャージャのタービンに排気ガスを排出する排気マニホルドと、前記ターボチャージャのコンプレッサの下流側で強制空気を受け取るエンジン吸気ラインに接続された吸気マニホルドとを有する、内燃機関用の排気ガス再循環(EGR)システムであって、
1つまたは複数の排気処理装置が、前記排気ガスを処理し、処理済み排気ガスを生成するために、前記タービンの下流側に配置され、
前記EGRシステムは、
前記1つまたは複数の排気処理装置の下流側の点に接続された第1の端部と、前記ターボチャージャの前記コンプレッサの下流側の前記エンジン吸気ラインに接続された第2の端部とを有する、第1の処理済みEGRラインを備え、
前記第1の処理済みEGRラインは、前記コンプレッサを通過することなく、前記エンジンの前記吸気マニホルドに、処理済み排気ガスを再循環させる、EGRシステム。
【請求項2】
前記第1の処理済みEGRラインの前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置された前記第1の処理済みEGRライン内に配置された逆流防止バルブをさらに備える、請求項1に記載のEGRシステム。
【請求項3】
前記第1の処理済みEGRラインの前記第2の端部は、前記エンジン吸気ラインに接続された第1出口を備え、前記EGRシステムは、前記第1の処理済みEGRラインの前記第1出口と前記エンジン吸気ラインの接続部に配置された第1のベンチュリをさらに備える、請求項2に記載のEGRシステム。
【請求項4】
前記第1の処理済みEGRライン内に配置された第1のバルブをさらに備える、請求項1に記載のEGRシステム。
【請求項5】
前記第1の処理済みEGRライン内の前記処理済み排気ガスをモニタリングするためのセンサと、
前記センサに接続されたEGR制御モジュールと、をさらに備え、
前記EGR制御モジュールは、前記センサの出力に基づいて前記第1のバルブを制御するように構成された、請求項4に記載のEGRシステム。
【請求項6】
前記エンジンの前記排気マニホルドの下流であり、かつ前記ターボチャージャの前記タービンの上流である点に接続された第1の端部と、前記ターボチャージャの前記コンプレッサの下流の前記エンジン吸気ラインに接続された第2の端部とを有する、プレタービンEGRラインを、さらに備え、
前記第1の処理済みEGRラインの前記第2の端部は、前記プレタービンEGRラインに接続された第2出口を備え、前記EGRシステムはさらに、前記第1の処理済みEGRラインの前記第2出口と前記プレタービンEGRラインとの接続部に配置された第2のベンチュリを備える、請求項2に記載のEGRシステム。
【請求項7】
前記1つまたは複数の排気処理装置は、第2の排気処理装置の上流に第1の排気処理装置を備え、前記第1の処理済みEGRラインの前記第1の端部は第2の排気処理装置の下流側の点に接続され、前記EGRシステムは、
前記第2の排気処理装置の上流であって、かつ前記第1の排気処理装置の下流である点に接続された第1の端部と、前記逆流防止バルブの上流の前記第1の処理済みEGRラインに接続された第2の端部とを有する、第2の処理済みEGRラインを、さらに備える、請求項2に記載のEGRシステム。
【請求項8】
エンジンの下流側に配置されたターボチャージャのタービンに排気ガスを排出する排気マニホルドと、前記ターボチャージャのコンプレッサの下流側で強制空気を受け取るエンジン吸気ラインに接続された吸気マニホルドとを有する、内燃機関用の排気ガス再循環(EGR)システムであって、前記EGRシステムは、
前記エンジンの前記排気マニホルドの下流であり、かつ前記ターボチャージャの前記タービンの上流である点に接続された第1の端部と、前記ターボチャージャの前記コンプレッサの下流の前記エンジン吸気ラインに接続された第2の端部とを有する、プレタービンEGRラインと、
前記排気ガスを処理し、処理済み排気ガスを生成するために、前記プレタービンEGRラインに配置された、1つまたは複数の排気処理装置と、を備え、
前記プレタービンEGRラインは、前記コンプレッサを通過することなく、前記エンジンの前記吸気マニホルドに、処理済み排気ガスを再循環させる、EGRシステム。
【請求項9】
前記1つまたは複数の排気処理装置が、ディーゼル酸化触媒、ディーゼル還元触媒、ディーゼル微粒子フィルタ、選択的接触還元、またはアンモニア酸化触媒からなる群から選択される、請求項8に記載のEGRシステム。
【請求項10】
前記プレタービンEGRライン内に配置されたバルブをさらに備える、請求項8に記載のEGRシステム。
【請求項11】
前記プレタービンEGRライン内の前記処理済み排気ガスをモニタリングするためのセンサと、
前記センサに接続されたEGR制御モジュールと、をさらに備え、
前記EGR制御モジュールは、前記センサの出力に基づいて前記バルブを制御するように構成された、請求項10に記載のEGRシステム。
【請求項12】
内燃機関のための排気ガス再循環(EGR)のための方法であって、該方法は、
ターボチャージャのコンプレッサの下流のエンジン吸気ラインに接続されたエンジンの吸気マニホルドに空気を強制的に送り込むステップと、
前記エンジンの排気マニホルドから、前記エンジンの下流に配置された前記ターボチャージャのタービンに、排気ガスを排出するステップと、
前記タービンの下流に配置された1つまたは複数の排気処理装置によって排気ガスを処理して処理済み排気ガスを生成するステップと、
前記処理済み排気ガスを、前記1つまたは複数の排気処理装置の下流の点に接続された第1の端部と、前記ターボチャージャの前記コンプレッサの下流の前記エンジン吸気ラインに接続された第2の端部と、を有する処理済みEGRラインを通して、前記コンプレッサを通過することなく、再循環させるステップと、を含む方法。
【請求項13】
前記処理済みEGRラインにおける前記処理済み排気ガスの逆流を防止するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記処理済みEGRライン内の前記処理済み排気ガスをセンサでモニタリングするステップと、前記センサの出力に基づいて、前記処理済みEGRライン内のバルブを制御するステップとをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記タービンの下流側に配置された1つまたは複数の排気処理装置によって前記排気ガスを処理して、処理済み排気ガスを生成するステップが、活性酸素種を生成するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、(i)2019年4月8日に出願され、「エンジン燃焼の較正された蒸気自己加湿の方法」と題された、米国仮特許出願第62/831,133号、(ii)2019年7月28日に出願され、「内燃機関の性能を較正する方法」と題された、米国仮特許出願第62/879,524号、ならびに(iii)2020年1月24日に出願され、「排ガスの導入によるディーゼル燃焼の改善のための方法」と題された、米国仮特許出願第62/965,782号、の利益および優先権を主張する。これらの出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に開示される主題は、エンジン性能を向上させるために内燃機関において処理済み排気ガス再循環(処理済みEGR)のためのシステムおよび方法に関する。このシステムおよび方法において、エンジン排気マニホルドからの排気ガスの少なくとも一部が処理を受けた後、および排気ガスの圧縮なしで、エンジン吸気マニホルドに直接リサイクルされる。
【背景技術】
【0003】
内燃機関は、多くの異なる種類の燃料と共に使用することができる。燃焼は燃料の化学エネルギを機械エネルギに変換し、また、炭素ベースの微粒子(例えば、煤)および窒素酸化物(NOX)を含む、環境汚染を引き起こす可能性がある多数の放出副産物を生成する。環境汚染を減らすために、規制機関はエンジンの排出量を減らすことを要求する、燃焼エンジン用の排出基準を採用した。
【0004】
こうした排出ガス規制に対応して、エンジンメーカーは、排出ガスが大気中に放出される前にエンジンから流出する排出ガスを処理する技術を開発した。
図1は、放出を低減するための内燃機関(例えばディーゼルエンジン)10における従来技術の排気ガス再循環(EGR)システム1を示す。例えば、ターボチャージャ20のコンプレッサ21の上流にある空気取り入れシステム(例えば、空気取り入れライン30および空気取り入れフィルタ31)は、コンプレッサ21の入口に新鮮なまたは大気の取り入れ空気を供給する。吸入空気が圧縮され、ターボチャージャ20のコンプレッサ21で加熱され、コンプレッサ21の流出口からエンジン吸気ライン60を介してコンプレッサ21の下流側に流れ、吸気ラインクーラ62、吸気ライン(スロットル)バルブ61、およびエンジン10の吸気マニホルド11に、燃料(例えば炭化水素C
15H
32)の供給を行う。
【0005】
エンジン10の排気マニホルド12がターボチャージャ20のタービン22の入口に到達する前に(すなわち、タービン22の上流にある)、プレタービンEGRラインバルブ41とプレタービンEGRラインクーラ42を通って、プレタービンEGRライン40を経由して、排気ガスの第1の部分がエンジン10の吸気マニホルド11に逆流する。例えば、プレタービンEGRライン40は、T接続でエンジン吸気ライン60と接続することができる。エンジン10の排気マニホルド12およびターボチャージャ20のタービン22の上流のプレタービンEGRライン40内の圧力は典型的にはエンジン10の吸気マニホルド11内の圧力よりも大きいので、プレタービンEGRシステムは高圧(HP)EGRループと呼ぶことができる。
【0006】
図1に示すように、エンジン10の排気マニホルド12を出る排気ガスの第2の部分は、ターボチャージャ20のタービン22の入口を流れ、タービン22を駆動してコンプレッサ21を回転させる。タービン22の下流でターボチャージャ20のタービン22から出る排気ガスは、触媒およびフィルタを含む排気処理装置80を通って送られ、NO
X、粒子状物質、および他の望ましくない放出を低減する。
【0007】
処理済み排気ガスの第1の部分は排気処理装置80の下流側に配置された例えばテールパイプ70(または例えば車両のマフラー)を通って大気中に流出するが、処理済み排気ガスの第2の部分は処理済みEGRラインクーラ52および処理済みEGRラインバルブ51を含む処理済みEGRライン50を通って逆流する。処理済みEGRライン50内の圧力は典型的にはエンジン10の吸気マニホルド11内の圧力よりも低いので、処理済みEGRシステムは低圧(LP)EGRループと呼ぶことができる。この低圧に対処するために、処理済みEGRライン50内の処理済み排気ガスは、T接続で空気吸気ライン30に接続され、両ライン30、50はターボチャージャ20のコンプレッサ21の入口に、その上流で接続され、コンプレッサ21は、エンジン吸気ラインクーラ62および吸気ライン(スロットル)バルブ61を通ってコンプレッサ21の下流にあるコンプレッサ21の出口からエンジン10の吸気マニホルド11に流れる吸気空気および処理済み排気ガスの混合物を圧縮し、加熱する。
【0008】
前段タービンと処理済みEGRシステムは放出低減に効果があったが、燃料消費の増加とターボチャージャ性能の低下を含むエンジン性能にもマイナスの影響を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
内燃機関における排気ガス再循環(EGR)のためのシステムおよび方法が開示されており、これは、放出要件に対処するだけでなく、エンジン性能も向上させる。内燃機関は、排気ガスを排出する排気マニホルドと、コンプレッサからの強制空気を受け入れる吸気マニホルドを有する。1つまたは複数の排気処理装置が排気ガスを処理し、処理済み排気ガスを生成する。EGRシステムは、1つまたは複数の排気処理装置の下流であって、かつコンプレッサの下流のエンジン吸気ラインに接続された、EGRラインを含み、処理済みEGRラインは、処理済み排気ガスを、コンプレッサを通過することなくエンジンの吸気マニホルドに再循環させる。
【0010】
一実施形態では、内燃機関が、エンジンの下流に配置されたターボチャージャのタービンに排気ガスを排出する排気マニホルドと、ターボチャージャのコンプレッサの下流に強制空気を受け入れるエンジン吸気ラインに接続された吸気マニホルドとを有する。1つまたは複数の排気処理装置は、排気ガスを処理し、処理済み排気ガスを生成するために、タービンの下流側に配置される。EGRシステムは、1つまたは複数の排気処理装置の下流側の点に接続された第1の端部と、ターボチャージャのコンプレッサの下流側のエンジン吸気ラインに接続された第2の端部とを有する処理済みEGRラインを備える。第1の処理済みEGRラインは、処理済み排気ガスを、コンプレッサを通過することなくエンジンの吸気マニホルドに再循環させる。そうすることで、処理済み排ガスの有益な成分は、再循環中に保存され、燃焼を改善する。
【0011】
別の実施形態では、プレタービンEGRラインは、エンジンの排気マニホルドの下流でターボチャージャのタービンの上流の点に接続された第1の端部と、ターボチャージャのコンプレッサの下流のエンジン吸気ラインに接続された第2の端部とを有する。排気ガスを処理し、処理済み排気ガスを生成するために、1つまたは複数の排気処理装置が、プレタービンEGRライン内に配置される。プレタービンEGRラインは、処理済み排気ガスをコンプレッサを通過することなくエンジンの吸気マニホルドに再循環させる。繰り返しになるが、そうすることで、処理済み排気ガスの有益な成分は、再循環中に保存され、燃焼を改善する。
【0012】
別の実施形態では、EGRのための方法が開示される。この方法は、ターボチャージャのコンプレッサの下流側のエンジン吸気ラインに接続されたエンジンの吸気マニホルド内に空気を強制的に送り込むステップと、エンジンの排気マニホルドからエンジンの下流に配置されたターボチャージャのタービンに排気ガスを排出するステップと、タービンの下流に配置された1つまたは複数の排気処理装置によって排気ガスを処理して処理済み排気ガスを生成するステップと、処理済み排気ガスを、1つまたは複数の排気処理装置の下流の点に接続された第1の端部と、コンプレッサを通過することなくターボチャージャのコンプレッサの下流のエンジン吸気ラインに接続された第2の端部とを有する処理済みEGRラインを通して再循環させるステップとを含む。繰り返しになるが、そうすることで、処理済み排気ガスの有益な成分は、再循環中に保存され、燃焼を改善する。
【0013】
上記の実施形態は、単に例示的なものである。他の実施形態は、開示された主題の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
上記で簡単に要約した本発明のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって得ることができ、そのいくつかを添付の図面に示されている。しかしながら、添付図面はあくまで本発明の典型的な実施形態を示しているに過ぎず、したがって、これらの添付図面は本発明の範囲を制限するものと解釈されず、本発明は他の同様に効果的な実施形態を含み得ることに留意すべきである。したがって、本発明の性質および目的をさらに理解するために、図面に関連して読まれる以下の詳細な説明を参照することができる。
【0015】
【
図1】
図1は、従来技術の処理済みEGRシステムを示す。
【0016】
【
図2】
図2は、ターボチャージャのタービンおよび排気処理装置の下流の点から、ターボチャージャのコンプレッサの下流側の地点まで、エンジンの吸気マニホルド内に処理済み排気ガスを再循環させる、処理済みEGRシステムの第1の実施形態を示す。
【0017】
【
図3】
図3は、ターボチャージャのタービンおよび排気処理装置の下流の点から、ターボチャージャのコンプレッサの下流側の地点まで、エンジンの吸気マニホルド内に処理済み排気ガスを再循環させる、処理済みEGRシステムの第2の実施形態を示す。
【0018】
【
図4】
図4は、ターボチャージャのタービンおよび1つまたは複数の排気処理装置の下流の1つまたは複数の点から、ターボチャージャのコンプレッサの下流の点まで、エンジンの吸気マニホルド内へ処理済み排気ガスを再循環させる、処理済みEGRシステムの第3の実施形態を示す。
【0019】
【
図5】
図5は、ターボチャージャのタービンの上流の点から1つまたは複数の排気処理装置を通ってエンジンの吸気マニホルド内に排気ガスを再循環させる、処理済みEGRシステムの第4の実施形態を示す。
【0020】
【
図6】
図6は、開示された処理済みEGRシステムにおけるエネルギバランスの計算を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の詳細な説明は、添付の図面を参照する。可能な限り、図面および以下の説明では、同一または類似の要素を参照するために、同一の参照番号が使用される。本明細書で説明されるシステムおよび方法は、本明細書で詳述されるような一定の発明概念を具体化する例であることが理解されるであろう。この目的のために、他の変形および修正は、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0022】
内燃機関における排気ガス再循環(EGR)のためのシステムおよび方法が開示されており、これは、放出要件に対処するだけでなく、エンジン性能も向上させる。本出願人は排気ガスを例えば触媒で処理すると、処理済み排気ガス(例えば、活性酸素種(ROS))中に、エンジン性能を向上させることができる特定の成分が単独でまたは組み合わせて生成されることを発見した。活性酸素種は、酸素を含有する化学的に反応性の化学種である。一重項酸素、ヒドロキシルラジカル、および過酸化水素を含む。
【0023】
処理済み排気ガス中のこれらの反応性成分のうちの1つ以上が、処理済み排気ガスの圧縮を排除または最小限に抑えるように、エンジン吸気マニホルドに迅速に再循環される場合、エンジン性能が改善される。
【0024】
本発明はターボチャージエンジンおよび非ターボチャージエンジン(例えば、圧縮点火(ディーゼル)または火花点火(ガソリン))と共に使用することができ、ディーゼル、ガソリン、天然ガス、エタノール、水素、プロパン、ブタン、ならびに他の適切な燃料タイプおよび空気/燃料混合物を含む、異なる燃料タイプで動作するエンジンと共に使用することができることを理解されたい。このようなエンジンは電力、様々な用途(例えば、自動車、建設機械、鉱山機械、船舶等)に使用することができる。
【0025】
図2は、ターボチャージャ20および排気処理装置80のタービン22の下流の点から、ターボチャージャ20のコンプレッサ21の下流の点へ、エンジン10の吸気マニホルド11の中へ処理済み排気ガスを再循環させる、処理済みEGRシステム100の第1の実施形態を示す。この強制誘導システムにおけるターボチャージャ20は、固定形状タイプのコンプレッサ、可変形状コンプレッサ、または当該技術分野で公知の任意の他のコンプレッサを含むことができるコンプレッサ21を含むことができる。
図1に示す従来技術のEGRシステム1と同様に、
図2に示す処理済みEGRシステム100ではターボチャージャ20のコンプレッサ21の上流の吸気システム(例えば、吸気ライン30および吸気フィルタ31)は新鮮なまたは大気の吸気(酸素(O
2)を含む)をコンプレッサ21の入口に供給する。吸入空気が圧縮され、ターボチャージャ20のコンプレッサ21で加熱され、コンプレッサ21の流出口からエンジン吸気ライン60を介してコンプレッサ21の下流側に流れ、吸気ラインクーラ62、吸気ライン(スロットル)バルブ61、およびエンジン10の吸気マニホルド11に、燃料(例えば炭化水素C
15 H
32)の供給を行う。
【0026】
図1に例示される従来技術のEGRシステム1にも同様に、
図2に例示される処理済みEGRシステム100において、ポンプ10の排気マニホルド12を出る排気ガスがターボチャージャ20のタービン22の入口に到達する前に(すなわち、タービン22のまだ上流にある)、排気ガスの第1部分は、プレタービンEGRライン40を通って、プレタービンEGRライン41とプレタービンEGRラインクーラ42を通って、ポンプ10の吸気マニホルド11に逆流する。エンジン10の排気マニホルド12およびターボチャージャ20のタービン22の上流のプレタービンEGRライン40内の圧力は、典型的にはエンジン10の吸気マニホルド11内の圧力よりも大きいので、プレタービンEGRシステムはHP EGRループと呼ぶことができる。
図2に示されている処理済みEGRシステム100の第1の実施形態はHP EGRループ(例えば、既存のEGRシステムのレトロフィット(改造)用)の有無に関わらず設けることができることが理解されるであろう。
【0027】
図2に示すように、エンジン10の排気マニホルド12を出る排気ガスの第2の部分は、ターボチャージャ20のタービン22の入口を流れ、タービン22を駆動してコンプレッサ21を回転させる。供給された燃料からの炭化水素(C
15H
32)と外気取入れ口からの酸素(O
2)との燃焼によって生成されるこの排ガスは、二酸化炭素(CO
2)、一酸化炭素(CO)、亜酸化窒素(NOx)、粒子状物質(PM)(例えば煤)、未燃焼炭化水素(HC)、酸素(O
2)、および水蒸気の形態の湿気(H
2O)を含む。タービン22の下流側にあるタービン20のタービン22から出る排気ガスは触媒およびフィルタを含む排気処理装置80を通って送られ、望ましくない放出を減少させ、それが排気処理装置80の出口85に排出される前に、例えば、排気ガスの処理には、エンジン10の排気マニホルド12の下流側にディーゼル微粒子フィルタ(DPF)82を、排気ガスからPMを除去するためにターボチャージャ20のタービン22を使用することが含まれ得る。いくつかの設計では、ディーゼル酸化触媒(DOC)81などの酸化触媒をDPF82の上流に配置し、排気ガスがDPF82に到達する前に排気ガス中のHCおよびCOを酸化および除去するために使用することができる。他の設計では、選択的接触還元触媒(SCR)83をDPFの下流側に配置し、NOxを窒素(N
2)に変換する化学反応を開始させる還元剤源(例えば、ディーゼル排気流体(DEF))と、大気中に安全に放出され得る水とを使用することもできる。さらに他の実施形態では、アンモニアオキシド触媒(AOC)84をSCR83の後段で使用して、NH
3放出を低減することができる。排気処理装置80は、ディーゼル還元触媒を含む、異なる順序およびタイプであってもよいことが理解される。様々な触媒およびフィルタの目的はPM、HCおよびNOxを減少させた排気ガスを生成することであり、ここで、処理済み排気ガスはO
2、水蒸気(H
2O)の形態の湿気、および大気にとって安全な不活性CO
2を含むことが、当技術分野において理解される。
【0028】
上述したように、本出願人はこれらの処理済み排気ガスを、例えば、これらの酸化または還元触媒および/またはフィルタのうちの少なくとも1つを用いて処理すると、処理済み排気ガス中の特定の反応性成分(例えば、ROSおよび他のもの)が生成され、この反応性成分は、処理済み排気ガス中のこれらの成分のうちの1つ以上が活性を維持するようにエンジン吸気マニホルドに迅速に再循環されるときに、エンジン性能を向上させることができることを発見した。
【0029】
図1に示す従来技術のEGRシステム1では、処理済み排気ガス(エンジン性能を向上させることができる構成要素を含む)の一部がコンプレッサ21の入口に接続された処理済みEGRライン50を通って逆流し、この処理済みEGRラインは圧縮し、エンジン吸気ラインクーラ62を含むエンジン吸気ラインクーラ60を通ってコンプレッサ21の出口からエンジン10の吸気マニホルド11に流れるコンプレッサ21の出口から処理済み排気ガスの混合物を加熱する。処理済み排気ガスはターボチャージャ20のコンプレッサ21および吸気ラインクーラ62を通って再循環されるので、処理済み排気ガスが吸気マニホルド11およびエンジン10に到達するまでに、処理済み排気ガス中の好都合で不安定な成分(例えば、ROS)の全てではないにしても、ほとんどもはや存在しない(例えば、高度に不安定なROSは、二原子酸素(O
2)のようなより安定化された分子を形成するように互いに結合している)。説明するように、従来技術のEGRシステム1とは異なり、
図2に示す処理済みEGRシステム100の第1の実施例では、処理済み排気ガスが処理済み排気ガスの有益な構成要素(例えば、ROS)を保存するために、吸気ラインクーラ62のターボチャージャ20のコンプレッサ21を通過することなく、エンジン10の吸気マニホルド11に再循環される。
【0030】
図2の処理済みEGRシステム100に戻ると、処理済み排気ガスをコンプレッサ21およびエンジン吸気ラインクーラ62を通して再循環させるのではなく、処理済み排気ガスは排気処理装置80の出口85からYパイプ110(または同様の装置(例えば、Tパイプ))の入口まで下流に流れ、第1の処理済み排気ガス出口111および第2の処理済み排気ガス出口112は、処理済み排気ガスの第2の部分を第1の処理済みEGRライン120の第1の端部に送る。
【0031】
図2に示すように、一実施形態では、第1の処理済みEGRライン120内の圧力が典型的にはエンジン10の吸気マニホルド11内の圧力よりも低い。この低圧に対処し、再循環処理済み排気ガスがエンジンの吸気マニホルド11に到達することを確実にするために、一実施形態では、第1の処理済みEGRライン120が逆流防止バルブ140の下流の第1の処理済みEGRライン120の第2の端部の逆流防止バルブ140および第1出口122を通過し、エンジン吸気ラインベンチュリ(またはエジェクタ)130を含むことができるT接続でエンジン吸気ライン60と接続する。一実施形態では、処理済みEGRライン120が逆流防止バルブ140を通過し、また、逆流防止バルブ140の下流の第1の処理済みEGRライン120の第2の端部の第2出口124を通過し、エンジン吸気ラインベンチュリ(またはエジェクタ)131を含み得るT接続において、プレタービンEGRライン40と接続する。ベンチュリ130、131は、断面積が減少した狭窄部または領域を含む任意の適切なサイズの導管(エンジン空気取入れライン60またはEGRライン40および/または第1の処理済みEGRライン120の出口122、124の一部として)を含むことができる。絞りを通る流体速度は増加するが、圧力は減少し、その中でベルヌーイ効果を介して部分的真空を生成する。エンジン空気吸気ライン60およびプレタービンEGRライン40に接続する第1の処理済みEGRライン120の下流側端部にベンチュリ130、131を配置することにより、その点で流体圧力を低下させることができる。第1の処理済みEGRライン120の下流端における減圧は、第1の処理済みEGRライン120を通る処理済み排気ガスの流れを強制的にエンジン10の吸気マニホルド11に送るのに十分な、第1の処理済みEGRライン120を横切る圧力降下を提供することができる。吸気ライン(絞り)バルブ61がベンチュリ130の上流側に示されているが、別の実施形態では吸気ライン(絞り)バルブ61はベンチュリ130の下流にあり得ることが理解されよう。
【0032】
逆流防止バルブ140は、2つの供給源が吸気マニホルドへの混合された入口を生成するように、ターボチャージャコンプレッサ21から来る現在の標準加圧された予備タービンEGRライン40および/またはターボチャージャエンジン吸気ライン60への処理済み排気ガスの吸入を隔離する。第1の処理済みEGRライン120内の処理済み排気ガスをエンジン吸気マニホルド11内に輸送することは、燃焼行程の排気波によって生成される、排気波機構による押し込みガスに加えて吸引ガスの組み合わせによって達成される。逆流防止バルブ140はソースラインおよびデスティネーションラインの振動圧力を利用し、第1の処理済み排気ガス出口111に向かう逆流を制限することによって、エンジン排気マニホルド12からエンジン吸気マニホルド11への一方向性ガス流を生成する。
【0033】
図3に示すように、処理済みEGRシステム200の第2の実施形態では、第1の処理済みEGRライン120が第1の処理済みEGRライン120の第1出口122の前に、処理済みEGRライン第1出口バルブ121を通過する。第2の実施形態では、第1の処理済みEGRライン120はまた、第1の処理済みEGRライン120の第2出口124の前に、処理済みEGRライン第2出口バルブ125を通過する。一実施形態では、処理済みEGRシステム200がセンサ211~212、214~218を使用して様々なパラメータ(例えば、圧力、温度、濃度(例えば、酸素))をモニタリングし、様々なシステム構成要素を制御するために、例えば、プロセッサを装備したEGR制御モジュール210を含むことができる。例えば、ベンチュリ130、131に流入する処理済み排気ガスをモニタリングするベンチュリ入口ラインセンサ214はEGR制御モジュール210が処理済みEGRライン第1出口バルブ121および処理済みEGRライン第2出口バルブ125(および/または他のバルブ41、61のいずれか)を調節してNOxを制御し、最適な燃焼状態を作り出すことができるように、例えば、電力需要変化、および処理済み排気ガス中の酸素濃度に関する情報をEGR制御モジュール210に通信することができる。同様に、センサ(例えば、エンジン吸気ラインセンサ211、プレタービンEGRラインセンサ212、ベンチュリ入口ラインセンサ214、吸気マニホルドセンサ215、排気マニホルドセンサ216(残留酸素(O
2)を感知することができる)、処理前排気センサ217、処理済み排気センサ218、または任意の他のセンサ)のうちの1つまたは複数の入力に基づいて、EGR制御モジュール210は、次いで、必要に応じて、特定のエンジン動作または排気処理装置80を調整して、最適な燃焼状態を生成することができる。明瞭化のために理解されるであろうが、
図3はEGR制御モジュール210とベンチュリ入口ラインセンサ214との間の接続(例えば、有線または無線)のみを示すが、全てのセンサはEGR制御モジュール210に接続されている。一実施形態ではEGR制御モジュール210がエンジン制御モジュールの一部とすることができ、他の実施形態ではエンジン制御モジュールと通信する別個のモジュールとすることができる。
【0034】
図4は、ターボチャージャ20のタービン22および1つまたは複数の排気処理装置80の下流側の1つまたは複数の点から、ターボチャージャ20のコンプレッサ21の下流側の点へ、エンジン10の吸気マニホルド11内に、処理済み排気ガスを再循環させる、処理済みEGRシステム300の第3の実施形態を示す。排気処理装置80は、異なる順序およびタイプであってもよいことが理解される。この第3の実施形態では、
図3の処理済みEGRシステム200が2つの追加の処理済みEGRライン320、330および関連する処理済みEGRラインバルブ321、331およびセンサ219、220を追加するように修正されている。この実施形態では、第2の処理済みEGRライン320がSCR83の下流およびAOC84の上流の最後の2つの排気処理装置80の間のT接続で接続される。第2の処理済みEGRライン320は第2の処理済みEGRラインバルブ321を通過し、逆流防止バルブ140の上流のT接続において第1の処理済みEGRライン120と接続する。この実施形態では、第3の処理済みEGRライン330がDPF82の下流およびSCR83の上流のT接続で接続される。第3の処理済みEGRライン330は第3の処理済みEGRラインバルブ331を通過し、逆流防止バルブ140の上流のT接続で第1の処理済みEGRライン120と接続する。この実施形態では、第1の処理済みEGRラインバルブ123および第1の処理済みEGRラインセンサ213を、逆流防止バルブ140の上流の第1の処理済みEGRライン120内に追加することができる。
図2で説明した第1の実施形態に関して説明したように、処理済みEGRライン120、320、330の各々における圧力は典型的にはエンジン10の吸気マニホルド11における圧力よりも低いので、処理済みEGRライン120、320、330は低圧EGRループと呼ぶことができる。
【0035】
この低圧に対処し、再循環処理済み排気ガスがエンジンの吸気マニホルド11に到達することを確実にするために、一実施形態では、第1の処理済みEGRライン120(第2の処理済みEGRライン320および第3の処理済みEGRライン330の各々が逆流防止バルブ140の上流に接続される)が逆流防止バルブ140および逆流防止バルブ140の下流側の第1の処理済みEGRライン120の第1出口122を通過し、エンジン吸気ラインベンチュリ(またはエジェクタ)130を含むことができるT接続でエンジン吸気ライン60と接続する。一実施形態では、処理済みEGRライン120が逆流防止バルブ140を通過し、また、逆流防止バルブ140の下流側の第1の処理済みEGRライン120の第2出口124を通過し、エンジン吸気ラインベンチュリ(またはエジェクタ)131を含み得るT接続において、プレタービンEGRライン40と接続する。第1の処理済みEGRライン120の下流端の逆流防止バルブ140と組み合わせた振動圧力は、処理済みEGRライン120、320、330を通る処理済み排気ガスの流れをエンジン10の吸気マニホルド11に押し付けるのに十分な、処理済みEGRライン120、320、330を横切る圧力降下を提供する。
【0036】
図4に示すように、処理済みEGRシステム300は、第1の処理済みEGRライン120を通って流れる処理済み排気ガスをモニタリングするための第1の処理済みEGRラインセンサ213と、第2の処理済みEGRライン320を通って流れる処理済み排気ガスをモニタリングするための第2の処理済みEGRラインセンサ219と、第3の処理済みEGRライン330を通って流れる処理済み排気ガスをモニタリングするための第3の処理済みEGRラインセンサ220とを含むことができる。センサ213、214、219、220の各々は、次いで、バルブ113、121、123、125、321、331を制御して、処理済みEGRライン120、320、330を通る再循環処理済み排気ガスからエンジン吸気ライン60およびHP EGRライン40を通る吸気の理想的な混合を提供することができるEGR制御モジュール210に接続することができる。
【0037】
図2~4に開示された処理済みのEGRシステム100、200、300は
図1に示すように、エンジン10の吸気マニホルド11へのプレタービンEGRライン40を通る未処理の排気ガスの従来技術による再循環を含んでいたが、他の実施形態では未処理の排気ガスの従来技術による再循環を排除することができることが理解されるであろう。これは、NO
X放出を十分に低減しながら、エンジン部品に摩耗を引き起こし得る多量のPM(煤)および汚染物質を含むことが多い未処理排ガスの再循環を回避するという利点を提供する。
【0038】
図2~
図4に開示された処理済みEGRシステム100、200、300は、ターボチャージャ20のタービン22および排気処理装置80の下流側の1つまたは複数の点から処理済み排気ガスを再循環させる処理済みEGRライン120、320、330を含んでいたが、
図5は、ターボチャージャ20のタービン22の上流の点から1つまたは複数の排気処理装置310(触媒および/またはフィルタを含む)を通ってエンジン10の吸気マニホルド11内に排気ガスを再循環させる、処理済みEGRシステム400の第4の実施形態を示す。エンジン10の排気マニホルド12がターボチャージャ20のタービン22の入口に到達する前に(すなわち、タービン22の上流にある)、排気ガスの第1の部分は、プレタービンEGRライン41とプレタービンEGRラインクーラ42を通って、プレタービンEGRライン40を通って、エンジン10の吸気マニホルド11に逆流する。例えば、プレタービンEGRライン40は、T接続でエンジン吸気ライン60と接続することができる。エンジン10の排気マニホルド12およびターボチャージャ20のタービン22の上流のプレタービンHP EGRライン40内の圧力は典型的にはエンジン10の吸気マニホルド11内の圧力よりも大きいので、プレタービンEGRシステム400は高圧(HP)ループと呼ぶことができる。
【0039】
図5に示されるように、処理済みEGRシステム400は排気処理装置310から流れる処理済み排気ガスをモニタリングするために、1つまたは複数の排気処理装置310の下流に配置された処理済み排気センサ221を含むことができる。処理済み排気センサ221は次いで、バルブ41を制御し、エンジン吸気ライン60を通して吸気の理想的な混合を提供することができるEGR制御モジュール210に接続することができる。
【0040】
図2~
図5に開示された処理済みEGRシステム100、200、300、400は
図1に示された従来技術のEGRシステム1を使用せずに開示されたが、処理済みEGRシステム100、200、300は例えば改造用途において、従来のシステム1と共に使用することもできることが理解されよう。同様に、
図2~4に開示された処理済みEGRシステム100、200、300は
図5に開示された処理済みEGRシステム400を含まなかったが、これらのEGRシステム100、200、300、400の全てまたは一部を互いに関連して使用することができることが理解されよう。
【0041】
図2~5から分かるように、各処理済みEGRシステム100、200、300、400内の処理済み排気ガスは、エンジン吸気ライン60に再循環され、ターボチャージャ20のコンプレッサ21およびエンジン吸気ラインクーラ62の下流の地点で新鮮な空気取り入れ口と混合される。処理済み排気ガス中の成分はエンジン10の性能を向上させるために、処理済み排気ガス中の所望の成分の活性を維持するように、エンジン吸気マニホルド11に再循環される。
【0042】
この発見に基づいてエンジン性能を向上させるために、排気処理装置80、310に触媒を使用してこれらの望ましい成分を生成すると、これらの開示された処理済みEGRシステム100、200、300、400が使用されるときにエンジン性能が向上することが理解されるであろう。例えば、本出願人はこのように処理済み排ガスを再循環させることにより、処理済み排ガス中の不安定なROS成分の活性が保たれ、次いで、空気からの二原子酸素よりも大幅に燃焼が促進されることを発見した。ROS成分の活性は、圧縮されないか、または積極的に冷却されない場合に保存される。さらに、処理済み排気ガス自体の成分と処理済みEGRライン120、320、330自体との間の相互作用を最小限に抑えるように処理済みEGRライン120、320、330(例えば、導管)を設計することによって、ROS成分の反応状態は、それらがエンジン10の吸気マニホルド11に到達するまで維持される。これらの処理済みEGRライン120、320、330のうちの1つまたは複数を併用することができると仮定する。
【0043】
異なる実施形態は、エンジン10における処理済み再循環の速度を制御するための異なるアプローチを含む。第1のアプローチは、エンジンの吸気引き込み需要と排気波効果を介したエンジン10の自己較正である。これら2つのパラメータが増加するにつれて、エンジンは適切に吸引し、RPMおよび燃焼出力の増加の結果として、本質的に必要な処理済み排気量を制御する。負荷が増加すると、処理済み再循環ガスは増加するが、アイドル時に負荷が減少すると、処理済み再循環ガスは減少する。自己較正アプローチの適用を通して、エンジンは再循環水分と処理済み排気ガスの導入で較正できる。再循環水分は燃焼プロセスの有益な冷却を提供し、一方、再循環ROSは燃焼を強化する。
【0044】
エンジン10内の処理済み排気ガスの速度を制御するための第2のアプローチは、モジュール210のコンピュータ制御による。処理済み排気ガスの再循環の速度は制御モジュール210によって制御することができ、制御モジュールは、種々のセンサからの入力を使用して、バルブ41、61、113、121、125、123、321、331を制御する。ライン60からの新鮮な吸気と比較して再循環される処理済みROSガスの量を決定するためには、エンジンアウトNOxとテールパイプNOx、システムの異なる点での酸素含有量、ターボ性能に悪影響を及ぼす可能性のある温度および圧力等の因子を比較する必要がある。放出制御、エンジン燃焼効率、およびエンジン部品への過剰ストレスのバランスをとらなければならない。
【0045】
エンジン10に到達するROSは、エンジン性能を高め、燃焼効率を向上させるであろう。これらの利点には、(i)馬力需要に応じた燃料需要の低減、より効率的な燃焼による燃費の改善、(ii)燃料需要の低減によるCO2温室効果ガスの低減、(ii)窒素酸化物の低減(NOX)、(iv)燃焼の強化による粒子状物質の低減、および(v)燃焼の強化に基づく馬力の改善が含まれる。
【0046】
(i)低圧EGRライン50を有さない従来技術のHP EGRシステム(
図1)と(ii)HP EGRシステムとを有し、
図2の処理済み排ガスシステム100を後付けして構成された、NAVISTAR(登録商標)A26エンジンを備えた空のトレーラを引っ張るヘビーデューティディーゼル車両で実施される高速道路試験では、エンジンがより多くの馬力を送出し、NO
X放出を10%よりも下げ、燃費を少なくとも5%低減することによってより良好に機能した。
【0047】
図6は、典型的なディーゼル燃料分子(C
15H
32)の酸化を表す。化学量論的には、1モルのディーゼル燃料(C
15H
32)が分子をその最終生成物に完全に酸化するために23モルのO
2、15モルのCO
2および16モルのH
2Oを必要とし、燃焼エンタルピーを計算するために、反応物の全結合エンタルピー(29,459kJ/モル)を生成物の全結合エンタルピー(38,914kJ/モル)から差し引いて-9,455kJ/モルを得る。この負のエネルギバランスは発熱反応を表す。このエネルギは、結果として生じるシリンダ内のガスの膨張によって、熱力学的に機械的エネルギに変換される。
図6のエネルギ計算から、反応全体は発熱性であるが、反応が完了するためには二原子二重結合酸素(O=O)を破壊するのにかなりの量のエネルギが必要であることが分かる。本出願人らはROS成分が連鎖反応を促進する場合に、この反応が促進されることを発見した。反応に関与するより低い結合エネルギ(すなわち、ROS)を有する任意の酸素含有分子は、燃料のユニット当たりのより高いエネルギ出力を生じる。エネルギ出力が高いほど燃費が良くなる。さらに、中間反応経路またはこれらの中間反応の反応速度に関連する、燃焼室へのROSの添加に関連する他の利点がある。酸化速度に影響を及ぼす様々な反応があることが知られている。これらの反応の各々は全体的な反応速度に影響を及ぼし、それ自体の条件範囲に依存する。本出願人らは、ROS成分の濃度が増加すると、これらの反応のいくつかの速度が促進されることを発見した。ROSが中間反応の反応速度を増大させ、したがって酸素をより効率的に使用すると仮定すると、燃焼効率が増大する。
【0048】
本明細書に開示される特定の実施形態はエンジン性能を向上させる理由の1つとして処理済み排気ガス中のROSに焦点を当てているが、処理済み排気ガス中の他の成分(例えば、処理済み粒子状物質、水分、窒素、二酸化炭素など)もまた、エンジン性能を向上させる特性を有することができ、開示される処理済みEGRシステムの使用によって最適化されることが理解されるであろう。これらの実施形態もまた、開示されたEGRシステムおよび方法の範囲内である。
【0049】
本発明は特定の例示的な実施形態を参照して示され、説明されてきたが、当業者であれば、記述された説明および図面によってサポートされ得る本発明の精神および範囲から逸脱することなく、詳細における様々な変更が、その中で実施され得ることを理解するであろう。さらに、例示的な実施形態が特定の数の要素を参照して説明される場合、例示的な実施形態は、特定の数よりも少ないかまたは多い要素のいずれかを利用して実施され得ることが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0050】
1 EGRシステム(従来技術)
10 内燃機関
11 吸気マニホルド
12 排気マニホルド
20 ターボチャージャ
21 コンプレッサ
22 タービン
30 吸気ライン
31 吸気フィルタ
40 プレタービンEGRライン
41 プレタービンEGRラインバルブ
42 プレタービンEGRラインクーラ
50 処理済みEGRライン
51 処理済みEGRラインバルブ
52 処理済みEGRラインクーラ
60 エンジン吸気ライン
61 エンジン吸気ライン(スロットル)バルブ
62 エンジン吸気ラインクーラ
70 テールパイプ
80 排気処理装置
81 ディーゼル酸化触媒(DOC)
82 ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)
83 選択的接触還元触媒(SCR)
84 アンモニア酸化触媒(AOC)
85 排気処理装置の出口
100 処理済みEGRシステム(第1の実施形態)
110 Yパイプ
111 第1の処理済み排ガス出口
112 第2の処理済み排ガス出口
113 排気バルブ
120 第1の処理済みEGRライン
121 処理済みEGRライン第1出口バルブ
122 第1の処理済みEGRラインの第1出口
123 第1の処理済みEGRラインバルブ
124 第1の処理済みEGRラインの第2出口
125 処理済みEGRライン第2出口バルブ
130 エンジン吸気ラインベンチュリ
131 プレタービンEGRラインベンチュリ
140 逆流防止バルブ
200 処理済みEGRシステム(第2の実施形態)
210 EGR制御モジュール
211 エンジン吸気ラインセンサ
212 プレタービンEGRラインセンサ
213 第1の処理済みEGRラインセンサ
214 ベンチュリ入口ラインセンサ
215 吸気マニホルドセンサ
216 排気マニホルドセンサ
217 処理前排気センサ
218 処理済み排気センサ
219 第2の処理済みEGRラインセンサ
220 第3の処理済みEGRラインセンサ
221 処理済み排気センサ
300 tTreated EGRシステム(第3実施形態)
310 排気処理装置
320 第2の処理済みEGRライン
321 第2の処理済みEGRラインバルブ
330 第3の処理済みEGRライン
331 第3の処理済みEGRラインバルブ
400 処理済みEGRシステム(第4の実施形態)
【手続補正書】
【提出日】2020-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの下流側に配置されたターボチャージャのタービンに排気ガスを排出する排気マニホルドと、前記ターボチャージャのコンプレッサの下流側で強制空気を受け取るエンジン吸気ラインに接続された吸気マニホルドとを有する、内燃機関用の排気ガス再循環(EGR)システムであって、
1つまたは複数の排気処理装置が、前記排気ガスを処理し、処理済み排気ガスを生成するために、前記タービンの下流側に配置され、
前記EGRシステムは、
前記1つまたは複数の排気処理装置の下流側の点に接続された第1の端部と、前記ターボチャージャの前記コンプレッサの下流側の前記エンジン吸気ラインに接続された第2の端部とを有する、第1の処理済みEGRライン
と、
前記第1の処理済みEGRラインの前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置された前記第1の処理済みEGRライン内に配置された逆流防止バルブと、を備え、
前記第1の処理済みEGRラインは、前記コンプレッサを通過することなく、前記エンジンの前記吸気マニホルドに、処理済み排気ガスを再循環させ
、
前記第1の処理済みEGRラインの前記第2の端部は、前記エンジン吸気ラインに接続された第1出口を備え、前記EGRシステムは、前記第1の処理済みEGRラインの前記第1出口と前記エンジン吸気ラインの接続部に配置された第1のベンチュリをさらに備える、EGRシステム。
【請求項2】
前記第1の処理済みEGRライン内に配置された第1のバルブをさらに備える、請求項1に記載のEGRシステム。
【請求項3】
前記第1の処理済みEGRライン内の前記処理済み排気ガスを監視するためのセンサと、
前記センサに接続されたEGR制御モジュールと、をさらに備え、
前記EGR制御モジュールは、前記センサの出力に基づいて前記第1のバルブを制御するように構成された、請求項
2に記載のEGRシステム。
【請求項4】
エンジンの下流側に配置されたターボチャージャのタービンに排気ガスを排出する排気マニホルドと、前記ターボチャージャのコンプレッサの下流側で強制空気を受け取るエンジン吸気ラインに接続された吸気マニホルドとを有する、内燃機関用の排気ガス再循環(EGR)システムであって、
1つまたは複数の排気処理装置が、前記排気ガスを処理し、処理済み排気ガスを生成するために、前記タービンの下流側に配置され、
前記EGRシステムは、
前記1つまたは複数の排気処理装置の下流側の点に接続された第1の端部と、前記ターボチャージャの前記コンプレッサの下流側の前記エンジン吸気ラインに接続された第2の端部とを有する、第1の処理済みEGRラインと、
前記第1の処理済みEGRラインの前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置された前記第1の処理済みEGRライン内に配置された逆流防止バルブと、
前記エンジンの前記排気マニホルドの下流であり、かつ前記ターボチャージャの前記タービンの上流である点に接続された第1の端部と、前記ターボチャージャの前記コンプレッサの下流の前記エンジン吸気ラインに接続された第2の端部とを有する、プレタービンEGRライン
と、を備え、
前記第1の処理済みEGRラインは、前記コンプレッサを通過することなく、前記エンジンの前記吸気マニホルドに、処理済み排気ガスを再循環させ、
前記第1の処理済みEGRラインの前記第2の端部は、前記プレタービンEGRラインに接続された第2出口を備え、前記EGRシステムはさらに、前記第1の処理済みEGRラインの前記第2出口と前記プレタービンEGRラインとの接続部に配置された第2のベンチュリを備える
、EGRシステム。
【請求項5】
エンジンの下流側に配置されたターボチャージャのタービンに排気ガスを排出する排気マニホルドと、前記ターボチャージャのコンプレッサの下流側で強制空気を受け取るエンジン吸気ラインに接続された吸気マニホルドとを有する、内燃機関用の排気ガス再循環(EGR)システムであって、
1つまたは複数の排気処理装置が、前記排気ガスを処理し、処理済み排気ガスを生成するために、前記タービンの下流側に配置され、
前記EGRシステムは、
前記1つまたは複数の排気処理装置の下流側の点に接続された第1の端部と、前記ターボチャージャの前記コンプレッサの下流側の前記エンジン吸気ラインに接続された第2の端部とを有する、第1の処理済みEGRラインと、
前記第1の処理済みEGRラインの前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置された前記第1の処理済みEGRライン内に配置された逆流防止バルブと、を備え、
前記第1の処理済みEGRラインは、前記コンプレッサを通過することなく、前記エンジンの前記吸気マニホルドに、処理済み排気ガスを再循環させ、
前記1つまたは複数の排気処理装置は、第2の排気処理装置の上流に第1の排気処理装置を備え、前記第1の処理済みEGRラインの前記第1の端部は第2の排気処理装置の下流側の点に接続され、前記EGRシステムは、
前記第2の排気処理装置の上流であって、かつ前記第1の排気処理装置の下流である点に接続された第1の端部と、前記逆流防止バルブの上流の前記第1の処理済みEGRラインに接続された第2の端部とを有する、第2の処理済みEGRラインを、さらに備える
、EGRシステム。
【請求項6】
エンジンの下流側に配置されたターボチャージャのタービンに排気ガスを排出する排気マニホルドと、前記ターボチャージャのコンプレッサの下流側で強制空気を受け取るエンジン吸気ラインに接続された吸気マニホルドとを有する、内燃機関用の排気ガス再循環(EGR)システムであって、前記EGRシステムは、
前記エンジンの前記排気マニホルドの下流であり、かつ前記ターボチャージャの前記タービンの上流である点に接続された第1の端部と、前記ターボチャージャの前記コンプレッサの下流の前記エンジン吸気ラインに接続された第2の端部とを有する、プレタービンEGRラインと、
前記排気ガスを処理し、処理済み排気ガスを生成するために、前記プレタービンEGRラインに配置された、1つまたは複数の排気処理装置と、を備え、
前記プレタービンEGRラインは、前記コンプレッサを通過することなく、前記エンジンの前記吸気マニホルドに、処理済み排気ガスを再循環させる、EGRシステム。
【請求項7】
前記1つまたは複数の排気処理装置が、ディーゼル酸化触媒、ディーゼル還元触媒、ディーゼル微粒子フィルタ、選択的接触還元、またはアンモニア酸化触媒からなる群から選択される、請求項
6に記載のEGRシステム。
【請求項8】
前記プレタービンEGRライン内に配置されたバルブをさらに備える、請求項
6に記載のEGRシステム。
【請求項9】
前記プレタービンEGRライン内の前記処理済み排気ガスを監視するためのセンサと、
前記センサに接続されたEGR制御モジュールと、をさらに備え、
前記EGR制御モジュールは、前記センサの出力に基づいて前記バルブを制御するように構成された、請求項
8に記載のEGRシステム。
【請求項10】
内燃機関のための排気ガス再循環(EGR)のための方法であって、該方法は、
ターボチャージャのコンプレッサの下流のエンジン吸気ラインに接続されたエンジンの吸気マニホルドに空気を強制的に送り込むステップと、
前記エンジンの排気マニホルドから、前記エンジンの下流に配置された前記ターボチャージャのタービンに、排気ガスを排出するステップと、
前記タービンの下流に配置された1つまたは複数の排気処理装置によって排気ガスを処理して処理済み排気ガスを生成するステップと、
前記処理済み排気ガスを、前記1つまたは複数の排気処理装置の下流の点に接続された第1の端部と、前記ターボチャージャの前記コンプレッサの下流の前記エンジン吸気ラインに接続された第2の端部と、を有する処理済みEGRラインを通して、前記コンプレッサを通過することなく、再循環させるステップと、を含む方法。
【請求項11】
前記処理済みEGRラインにおける前記処理済み排気ガスの逆流を防止するステップをさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記処理済みEGRライン内の前記処理済み排気ガスをセンサでモニタリングするステップと、前記センサの出力に基づいて、前記処理済みEGRライン内のバルブを制御するステップとをさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
前記タービンの下流側に配置された1つまたは複数の排気処理装置によって前記排気ガスを処理して、処理済み排気ガスを生成するステップが、活性酸素種を生成するステップを含む、請求項
10に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2021-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの下流側に配置されたターボチャージャのタービンに排気ガスを排出する排気マニホルドと、前記ターボチャージャのコンプレッサの下流側で強制空気を受け取るエンジン吸気ラインに接続された吸気マニホルドとを有する、内燃機関用の排気ガス再循環(EGR)システムであって、
1つまたは複数の排気処理装置が、前記排気ガスを処理し、処理済み排気ガスを生成するために、前記タービンの下流側に配置され、
前記EGRシステムは、
前記1つまたは複数の排気処理装置の下流側の点に接続された第1の端部と、前記ターボチャージャの前記コンプレッサの下流側の前記エンジン吸気ラインに接続された第2の端部とを有する、第1の処理済みEGRラインと、
前記第1の処理済みEGRラインの前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置された前記第1の処理済みEGRライン内に配置された逆流防止バルブと、を備え、
前記第1の処理済みEGRラインは、前記コンプレッサを通過することなく、前記エンジンの前記吸気マニホルドに、処理済み排気ガスを再循環させ、
前記第1の処理済みEGRラインの前記第2の端部は、前記エンジン吸気ラインに接続された第1出口を備え、前記EGRシステムは、前記第1の処理済みEGRラインの前記第1出口と前記エンジン吸気ラインの接続部に配置された第1のベンチュリをさらに備える、EGRシステム。
【請求項2】
前記第1の処理済みEGRライン内に配置された第1のバルブをさらに備える、請求項1に記載のEGRシステム。
【請求項3】
前記第1の処理済みEGRライン内の前記処理済み排気ガスを監視するためのセンサと、
前記センサに接続されたEGR制御モジュールと、をさらに備え、
前記EGR制御モジュールは、前記センサの出力に基づいて前記第1のバルブを制御するように構成された、請求項2に記載のEGRシステム。
【請求項4】
エンジンの下流側に配置されたターボチャージャのタービンに排気ガスを排出する排気マニホルドと、前記ターボチャージャのコンプレッサの下流側で強制空気を受け取るエンジン吸気ラインに接続された吸気マニホルドとを有する、内燃機関用の排気ガス再循環(EGR)システムであって、
1つまたは複数の排気処理装置が、前記排気ガスを処理し、処理済み排気ガスを生成するために、前記タービンの下流側に配置され、
前記EGRシステムは、
前記1つまたは複数の排気処理装置の下流側の点に接続された第1の端部と、前記ターボチャージャの前記コンプレッサの下流側の前記エンジン吸気ラインに接続された第2の端部とを有する、第1の処理済みEGRラインと、
前記第1の処理済みEGRラインの前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置された前記第1の処理済みEGRライン内に配置された逆流防止バルブと、
前記エンジンの前記排気マニホルドの下流であり、かつ前記ターボチャージャの前記タービンの上流である点に接続された第1の端部と、前記ターボチャージャの前記コンプレッサの下流の前記エンジン吸気ラインに接続された第2の端部とを有する、プレタービンEGRラインと、を備え、
前記第1の処理済みEGRラインは、前記コンプレッサを通過することなく、前記エンジンの前記吸気マニホルドに、処理済み排気ガスを再循環させ、
前記第1の処理済みEGRラインの前記第2の端部は、前記プレタービンEGRラインに接続された第2出口を備え、前記EGRシステムはさらに、前記第1の処理済みEGRラインの前記第2出口と前記プレタービンEGRラインとの接続部に配置された第2のベンチュリを備える、EGRシステム。
【請求項5】
エンジンの下流側に配置されたターボチャージャのタービンに排気ガスを排出する排気マニホルドと、前記ターボチャージャのコンプレッサの下流側で強制空気を受け取るエンジン吸気ラインに接続された吸気マニホルドとを有する、内燃機関用の排気ガス再循環(EGR)システムであって、
1つまたは複数の排気処理装置が、前記排気ガスを処理し、処理済み排気ガスを生成するために、前記タービンの下流側に配置され、
前記EGRシステムは、
前記1つまたは複数の排気処理装置の下流側の点に接続された第1の端部と、前記ターボチャージャの前記コンプレッサの下流側の前記エンジン吸気ラインに接続された第2の端部とを有する、第1の処理済みEGRラインと、
前記第1の処理済みEGRラインの前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置された前記第1の処理済みEGRライン内に配置された逆流防止バルブと、を備え、
前記第1の処理済みEGRラインは、前記コンプレッサを通過することなく、前記エンジンの前記吸気マニホルドに、処理済み排気ガスを再循環させ、
前記1つまたは複数の排気処理装置は、第2の排気処理装置の上流に第1の排気処理装置を備え、前記第1の処理済みEGRラインの前記第1の端部は第2の排気処理装置の下流側の点に接続され、前記EGRシステムは、
前記第2の排気処理装置の上流であって、かつ前記第1の排気処理装置の下流である点に接続された第1の端部と、前記逆流防止バルブの上流の前記第1の処理済みEGRラインに接続された第2の端部とを有する、第2の処理済みEGRラインを、さらに備える、EGRシステム。
【請求項6】
エンジンの下流側に配置されたターボチャージャのタービンに排気ガスを排出する排気マニホルドと、前記ターボチャージャのコンプレッサの下流側で強制空気を受け取るエンジン吸気ラインに接続された吸気マニホルドとを有する、内燃機関用の排気ガス再循環(EGR)システムであって、前記EGRシステムは、
前記エンジンの前記排気マニホルドの下流であり、かつ前記ターボチャージャの前記タービンの上流である点に接続された第1の端部と、前記ターボチャージャの前記コンプレッサの下流の前記エンジン吸気ラインに接続された第2の端部とを有する、プレタービンEGRラインと、
前記排気ガスを処理し、処理済み排気ガスを生成するために、前記プレタービンEGRラインに配置された、1つまたは複数の排気処理装置と、を備え、
前記プレタービンEGRラインは、前記コンプレッサを通過することなく、前記エンジンの前記吸気マニホルドに、処理済み排気ガスを再循環させる、EGRシステム。
【請求項7】
前記1つまたは複数の排気処理装置が、ディーゼル酸化触媒、ディーゼル還元触媒、ディーゼル微粒子フィルタ、選択的接触還元、またはアンモニア酸化触媒からなる群から選択される、請求項6に記載のEGRシステム。
【請求項8】
前記プレタービンEGRライン内に配置されたバルブをさらに備える、請求項6に記載のEGRシステム。
【請求項9】
前記プレタービンEGRライン内の前記処理済み排気ガスを監視するためのセンサと、
前記センサに接続されたEGR制御モジュールと、をさらに備え、
前記EGR制御モジュールは、前記センサの出力に基づいて前記バルブを制御するように構成された、請求項8に記載のEGRシステム。
【国際調査報告】