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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(54)【発明の名称】低周波オゾン発生器
(51)【国際特許分類】
   C01B 13/11 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
C01B13/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021572703
(86)(22)【出願日】2020-02-24
(85)【翻訳文提出日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 EP2020054753
(87)【国際公開番号】W WO2020173865
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】19159104.9
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521375210
【氏名又は名称】プリモゾン プロダクション アーべー
【氏名又は名称原語表記】Primozone Production AB
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スコット, ミカエル
【テーマコード(参考)】
4G042
【Fターム(参考)】
4G042CA01
4G042CB29
4G042CD04
(57)【要約】
本発明は、オゾン発生器、変圧器アセンブリ、及び、30~40kHzなど、25~40kHzの動作周波数範囲で動作するよう構成されたオゾン発生装置の動作方法に関する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧電極部(16、36)と、
第1(23、43)及び第2(24、44)の誘電体要素と、
第1(14、34)及び第2(15、35)のアース電極とを備えるオゾン発生部(27、45)を備え、
前記高電圧電極部は、前記第1の誘電体要素と前記第2の誘電体要素との間に配置され、
前記オゾン発生部は、30~40kHzの動作周波数範囲で動作するように構成され、
変圧器アセンブリなどの低周波数、高電圧のAC電源装置が、30~40kHzの周波数で50~800ワットをオゾン発生部に供給するように構成された、オゾン発生装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の誘電体要素は、前記高電圧電極部から0.01~0.1ミリメートルの範囲内、例えば、0.01~0.075ミリメートルの距離に配置される、請求項1に記載のオゾン発生装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の誘電体要素は、1又は複数のスペーサ要素によって前記高電圧電極部から離間される、請求項1及び2のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の誘電体が前記高電圧電極の両側に配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項5】
前記第1及び第2のアース電極が、第1及び第2の反応室を前記第1及び第2の誘電体によって分画する、請求項1~4のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項6】
前記高電圧電極は前記第1及び第2の誘電体上に金属被覆として配置される、請求項1~5のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項7】
前記高電圧電極は金属箔又は金属シートである、請求項1~5のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の反応室は、それぞれ、酸素ガス又は酸素含有ガスを供給するための少なくとも入口(19、20、39、40)及びオゾンガスを放出するための少なくとも出口(21、22、41、42)を備える、請求項5~7のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の反応室の外面が、冷却フィンなどの冷却要素を備える、請求項5~8のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項10】
前記第1及び第2の誘電体要素が、前記第1及び第2の反応室の内面と接触する、請求項5~9のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項11】
前記変圧器アセンブリは高電力変圧器である、請求項1~10のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項12】
前記変圧器アセンブリは、1次巻線及び2次巻線を取り囲むフェライトシェル型コアを備える高出力変圧器であり、前記1次巻線は14よりも少ない巻数を有し、前記2次巻線は107より多い巻数を有し、前記フェライトシェル型コアは2mm未満のエアギャップを有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の前記オゾン発生装置の動作方法であって、前記方法は、
前記オゾン発生装置を、30~40kHzなどの25~40kHzの周波数で動作させる、オゾン発生装置の動作方法。
【請求項14】
前記動作は、
酸素ガスを含む流体の流れを前記オゾン発生装置に供給することと、
前記酸素ガスを含む流体の流れを制御することと、
電源装置から前記オゾン発生器に供給される電力を、30~40kHzの周波数で制御することとを含む、請求項13に記載のオゾン発生装置の動作方法。
【請求項15】
前記周波数は、32~35kHzの周波数など、31~40kHzの周波数である、請求項13~15のいずれか1項に記載のオゾン発生装置の動作方法。
【請求項16】
30~40kHz、好ましくは31~37kHzの周波数範囲内で電力を提供するように構成された高電力変圧器などの変圧器アセンブリ。
【請求項17】
1次巻線及び2次巻線を取り囲むフェライトシェル型コアを備え、前記1次巻線は14よりも少ない巻数を有し、前記2次巻線は107より多い巻数を有し、前記フェライトシェル型コアは2mm未満のエアギャップを有する、請求項16に記載の変圧器アセンブリ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、25~40kHzの動作周波数範囲で動作するよう構成されたオゾン発生装置に関する。
【0002】
また、本発明は、25~40kHzの周波数でオゾン発生装置を動作させる方法に関する。
【0003】
本発明はまた、25~40kHzの周波数範囲の電力を提供するように構成された又は提供するように適用された、高電力変圧器などの変圧器アセンブリに関する。
【背景技術】
【0004】
オゾン水処理設備の適否は、必要なレベルのオゾンを常に水中に確保する能力があるかによる。
【0005】
汚染された地下水からの重金属の正確な除去、コロイド固体、溶解した有機化合物の適切な除去、水産養殖システムでの亜硝酸塩の硝酸塩への変換、及び、地方自治体のオゾン水処理問題の効率的な解決策は、必要なレベルのオゾンを常に水中に確保する能力にかかっている。
【0006】
オゾン発生装置は、例えば、国際公開第2008/074767号によって開示されるように、人の可聴範囲を超える周波数、すなわち15~25kHzの周波数範囲で動作されるのが好ましい。
【0007】
高周波数での動作はまた、例えば、KogelschatzによるPlasma Chemistry and Plasma processing,Vol23,(1):(1-46)で開示されるように、低周波数での動作と比較して、所与の入力電力に対して必要とされる動作電圧がより低いという利点を有する点についても望ましい。
【0008】
ただし、高周波数で動作するオゾン発生器は、必要なレベルのオゾン放出量を常に保証するわけではない。例えば、オゾンの実際の放出量、すなわち放出されるオゾンの濃度が、場合によっては設定値よりも低い又は許容限界よりも低いことがある。
【0009】
したがって、オゾン発生器を改良することに利点があり、特に、処理対象の水中に必要なレベルのオゾンを常に確保することができる、より効率的で信頼性の高いオゾン発生装置が有利であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、処理対象の水中に必要なレベルのオゾンを常に確保することが可能なオゾン発生装置を提供することである。
【0011】
本発明の更なる目的は、処理対象の水中に必要なレベルのオゾンを常に確保することが可能なオゾン発生装置の動作方法を提供することである。
【0012】
本出願の更なる目的は、処理対象の水中に必要なレベルのオゾンを常に確保することが可能なオゾン発生装置に対して電力を供給するための変圧器アセンブリを提供することである。
【0013】
本発明の目的はまた、従来技術の代替案を提供することにあると見なされてもよい。
【0014】
特に、本発明の更なる目的は、オゾン発生装置、オゾン発生装置に電力を供給するための変圧器アセンブリ、及び、25~40kHzの動作周波数範囲で動作するよう構成されることによって従来技術の上記問題を解決するオゾン発生装置の動作方法を提供することであると見なすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、上記目的及び他のいくつかの目的は、本発明の第1の態様において、高電圧電極部、第1及び第2の誘電体要素、並びに、第1及び第2のアース電極を備えるオゾン発生部を備えるオゾン発生装置を提供することで得られることが意図される。
【0016】
発生部は、25~40kHzの動作周波数範囲で動作するように構成又は適用される。
【0017】
例えば、動作周波数は、30~40kHz(31~37kHzなど)であってもよい。
【0018】
本発明者らは、オゾン発生分野で最適化を求める中で、動作周波数の減少がオゾン発生器の生産性を高めることに気づいた。
【0019】
一般的には、オゾン発生器を高周波数で動作させることで所与の入力電力に対して動作電圧を低下させる利点があるため、低周波数での動作は望ましくない。
【0020】
さらに、動作周波数の低下は、オゾン発生部から発生する可聴ノイズを増加させる。実際のところ、オゾン発生装置は、人間の可聴範囲をはるかに超える周波数で動作させるのが望ましい。
【0021】
本発明者らは、オゾン発生分野で最適化を求める中で、動作中に発生する望ましくないバックグラウンドノイズ、及び、最適なオゾン放出量に関して、動作周波数範囲を調査した。
【0022】
その結果、本発明者らは、オゾン放出量の設定値と実測値との間の対応が、動作による可聴障害を最小に抑えながら最適化される周波数範囲を特定した。
【0023】
本発明の第1の態様に係わるオゾン発生装置は、オゾン発生部に対して25~40kHzの周波数で50~800ワットを提供するように構成又は適用された、高電力変圧器又は変圧器アセンブリなどの低周波数、高電圧AC電源を更に備えることがある。
【0024】
例えば、高電圧AC電源は、30~40kHz、好ましくは31~37kHzなどの周波数で50~800ワットを提供するように構成又は適用され得る。
【0025】
50~800ワットを提供するよう構成又は適用された高電圧AC電源があることで、オゾン発生部に25~40kHzの動作周波数を提供することが可能になる。
【0026】
本発明の高電圧AC電源は、本明細書中で、高電力変圧器、変圧器、又は、変圧器アセンブリと呼ばれることがある。
【0027】
高電圧電極部、第1及び第2の誘電体要素、並びに、第1及び第2のアース電極などのオゾン発生部の構造に関しては、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第02/20398号に開示される構造及び要素を参照されたい。
【0028】
第1及び第2の誘電体要素は、ポリマー材料の薄層、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートなどのポリマー層であってもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、高電圧電極部は、第1の誘電体要素と第2の誘電体要素との間に配置される。
【0030】
第1及び第2の誘電体要素は、高電圧電極部から0.01~0.5ミリメートルの範囲内(例えば、0.01~0.4ミリメートル、0.01~0.3ミリメートル、0.01~0.1ミリメートルなど)の距離に配置され得る。
【0031】
いくつかの更なる実施形態では、第1及び第2の誘電体要素は、1つ又は複数のスペーサ要素によって高電圧電極部から離間されてもよい。
【0032】
第1及び第2の誘電体要素は、高電圧電極部から、1つ以上のスペーサ要素によって、0.01~0.5ミリメートルの範囲内(例えば、0.01~0.4ミリメートル、0.01~0.3ミリメートル、0.01~0.1ミリメートルなど)の距離に離間されることがある。
【0033】
第1及び第2の誘電体は、高電圧電極の両側に配置され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のアース電極は、第1及び第2の誘電体によって、第1及び第2の反応室を分画する。
【0035】
第1及び第2の反応室は、それぞれ、酸素ガス又は酸素含有ガスを供給する入口と、オゾンガスを放出する出口とを備え得る。
【0036】
第1及び第2の反応室の外面は、冷却フィンなどの冷却要素を備えることがある。
【0037】
いくつかの実施形態では、空気冷却を単独で、又は、水冷却と組み合わせて用いて、オゾン発生部の効率を上げることができる。
【0038】
他のいくつかの実施形態では、オゾン発生部を冷却するために水冷却のみが用いられることがある。
【0039】
高電圧電極は、第1及び/又は第2の誘電体の金属被覆として配置されてもよい。
【0040】
他のいくつかの実施形態では、高電圧電極は、金属箔又は金属シートである。
【0041】
いくつかの更なる実施形態では、第1及び第2の誘電体要素は、第1及び第2の反応室の内面と接触することがある。
【0042】
上述した特定の構成には、第1及び第2の反応室の一部である冷却されたアース電極と、第1及び第2の反応室の内面と接触する第1及び第2の誘電体との間の熱交換がより効率的なため、オゾン生成中に発生した熱をより効率的に放散できるという利点がある。
【0043】
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様に係わるオゾン発生装置の動作方法に関する。本方法は、オゾン発生装置を25~40kHz(30~40kHzなど)の周波数で動作させることを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様に係わるオゾン発生装置の動作は、酸素ガスを含む流体の流れをオゾン発生部に供給することと、酸素ガスを含む流体の流れを制御することと、電源装置からオゾン発生器に供給される電力を、25~40kHz(30~40kHzなど)の周波数で制御することとを含む。
【0045】
第3の態様では、本発明は、オゾン発生装置の動作方法に関する。本方法は、オゾン発生装置を25~40kHz(30~40kHzなど)の周波数で動作させることを含む。
【0046】
本発明の第3の態様に係わるオゾン発生装置の動作方法のいくつかの実施形態では、オゾン発生器の動作は、酸素ガスを含む流体の流れをオゾン発生器に供給することと、酸素ガスを含む流体の流れを制御することと、電源装置からオゾン発生器に供給される電力を、25~40kHz(30~40kHzなど)の周波数で制御することとを含む。
【0047】
本発明の第1、第2、又は第3の態様のいくつかの更なる実施形態では、動作周波数は、31~40kHzの周波数(32~35kHzの周波数など)である。
【0048】
第4の態様では、本発明は、25~40kHz(30~40kHzなど)の周波数範囲内で電力を供給するように構成又は適用された高電力変圧器などの、変圧器アセンブリ又は変圧器に関する。
【0049】
第4の態様に係わる変圧器アセンブリは、1次巻線及び2次巻線を取り囲むフェライトシェル型コアを備え得る。
【0050】
1次巻線は14より少ない巻数を有し、2次巻線は107より多い巻数を有することがある。フェライトシェル型コアは、2.0mm未満のエアギャップを有することがある。
【0051】
いくつかの実施形態では、フェライトシェル型コアは、2.0mm未満のエアギャップによって互いから分離された少なくとも2つの部分を備える。
【0052】
本発明者らは、オゾン発生部の動作周波数が、リアクタの静電容量及び高圧変圧器の2次側のインダクタンスに依存することを考慮して、高電力変圧器を考案した。高圧変圧器の1次側のインダクタンスと直列インダクタンスも、オゾン発生部の動作周波数にいくらかの影響を及ぼす。
【0053】
動作周波数を変化させるために、本発明は、インダクタンスを増加させた変圧器アセンブリを用いる。
【0054】
インダクタンスの近似は、次の式で計算できる。
【0055】
【数1】
【0056】
μは物理定数であり、変更できない。変圧器アセンブリの機械的寸法は、オゾン発生部の大きさによって制約される。さらに、変圧器アセンブリのフェライトコアも、変更不可能な所定の寸法を有する。
【0057】
実際に、上記式によれば、
【0058】
【数2】
【0059】
(コアの幾何学的定数)及びA(コアの面積)を変更することはできない。μは使用する材料の定数であり、最新のフェライトである。
【0060】
本発明の解決策は、N(1次巻線の巻数)及びG(コアのエアギャップ)を変更することである。
【0061】
ただし、発生部の機械的寸法の制約は、変圧器の1次巻線の巻数を減らさずには、2次巻線の巻数を増やす余地がないことを示唆する。本発明の解決策は、例えば、1次巻線を、動作周波数がおよそ45kHzの変圧器アセンブリで現在使用されている値、例えば、約14巻きから1、2、3、4又は5巻減らすなどの一定数減らすことによって、1次巻線の巻数を変更することであった。これにより、例えば、2次巻線の巻数を、動作周波数がおよそ45kHzの変圧器アセンブリで現在使用されている値、例えば、約107巻きから1、2、3、4又は5巻増やすなどの一定数増やすなど、2次巻線の巻数を変更するために充分な空間が生じた。
【0062】
変圧器のギャップを小さくすると、コアの磁束が増加する。周波数を下げると磁束が増加し、コアの損失増加につながる。一方、周波数を下げると、磁束方向の変化の数が減少する。これは、逆に損失を減少させる。このように、動作周波数がおよそ45kHzの変圧器アセンブリで現在使用されている値、例えば約2.1~2.2mmから0.25、0.5、0.75、1、1.1、1.2mm減少させるといったようにギャップを変更した。
【0063】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、1次巻線及び2次巻線を取り囲むフェライトシェル型コアを含む変圧器アセンブリに関する。ここで、1次巻線は14より少ない巻数を有し、2次巻線は107より多い巻数を有し、フェライトシェル型コアは2mm未満のエアギャップを有する。
【0064】
ギャップを減少させ、2次巻線の巻数を増やし、1次巻線の巻数を減らすことにより、動作周波数はおよそ45kHzからおよそ30kHzに減少した。
【0065】
この変更は、動作温度をわずかに上昇させる場合がある。ただし、冷却改善の解決策により、動作温度の上昇を抑えることができる。
【0066】
本発明の第1、第2、第3及び他の態様、並びに、実施形態はそれぞれ、他の態様及び実施形態のいずれかと組み合わされ得る。本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態を参照することで明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0067】
次に、本発明に係わるオゾン発生器、オゾン発生器の動作方法、及び変圧器アセンブリについて、添付の図面を参照してより詳細に説明する。これらの図面は、本発明を実施する1つの方法を示し、添付の特許請求の範囲内にある他の可能な実施形態に対して、限定的であると解釈されるべきではない。
【0068】
図1図1は、本発明のいくつかの実施形態に係わるオゾン発生部の断面を示す。
図2図2は、本発明の他のいくつかの実施形態に係わるオゾン発生部の断面を示す。
図3図3は、動作周波数に対する加重可聴ノイズのグラフで、オゾン生成の実測値と生成の設定値の比率を示す。
図4図4は、本発明のいくつかの実施形態に係わる変圧器アセンブリの分解図である。
図5図5は、本発明のいくつかの実施形態に係わる変圧器アセンブリの斜視図である。
図6図6は、本発明のいくつかの実施形態に係わるオゾン発生器の動作方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1は、高電圧電極16を取り囲む第1のPTFEシート23及び第2のPTFEシート24を備えるオゾン発生部27を示す。
【0070】
オゾンを生成する第1及び第2の反応室は、片側が第1のPTFEシート23及び第2のPTFEシート24、並びに、ハウジング又はアース電極14及び15の内面によってそれぞれ分画されている。
【0071】
酸素ガスは、入口19及び20を介してオゾン発生部27に入り、第1及び第2の反応室内でコロナ放電に曝され、オゾンガスの形成をもたらし、オゾンガスはそれぞれオゾン出口21及び22から放出される。
【0072】
ハウジング又はアース電極14及び15は、水冷室11及び13を流れる水冷却によって冷却される。水冷室11及び13は、カバー10及び12で覆われたアース電極14及び15の外面上のくぼみによって規定される。
【0073】
ステンレス鋼ネット又はシート25及び26は、アース電極14及び15の内面と、第1のPTFEシート23及び第2のPTFEシート24との間に配置される。ステンレス鋼ネット又はシート25及び26は、電極間の放電を促進するコロナ効果促進構造である。
【0074】
支持PTFEリング17及び18は、アース電極14及び15の間に配置される。
【0075】
支持PTFEリングにスペーサの機能があってもよく、これによって、アース電極と高電圧電極との間に反応室が確実に形成される。
【0076】
図2は、高電圧電極36を取り囲む第1のPTFEシート43及び第2のPTFEシート44を備えるオゾン発生部45を示す。
【0077】
オゾンを生成する第1及び第2の反応室は、片側が第1のPTFEシート43及び第2のPTFEシート44、並びに、ハウジング又はアース電極34及び35の内面によってそれぞれ分画されている。
【0078】
酸素ガスは、入口39及び40を介してオゾン発生部45に入り、第1及び第2の反応室内でコロナ放電に曝され、オゾンガスの形成をもたらし、オゾンガスはそれぞれオゾン出口41及び42から放出される。
【0079】
ハウジング又はアース電極34及び35は、水冷室31及び33を流れる水冷却によって冷却される。水冷室31及び33は、カバー30及び32で覆われたアース電極34及び35の外面上のくぼみによって画成される。
【0080】
支持PTFEリング37及び38は、アース電極34及び35の間に配置される。
【0081】
オゾン発生部45は、第1及び第2の反応室の内面、すなわちアース電極34及び35の内面と接触している第1及び第2のPTFEシート43及び44を有する。
【0082】
この構成により、外部で水冷却されるアース電極の内面と接触することで、PTFEシートの改善された効率的な冷却が可能になる。
【0083】
図3は、動作周波数に対する加重可聴ノイズのグラフで、オゾン生成の実測値と生成の設定値の比率を示す。
【0084】
X軸は、本発明の第1の態様に係わるオゾン発生器の動作周波数(Hz)を表す。
【0085】
軸は、可聴ノイズの低減の加重値(dBa)である。
【0086】
線1は、様々な周波数で動作させたオゾン発生器とノイズ低減の集合データを表す。
【0087】
10kHz~30kHzの間で周波数を上げると、ノイズが大幅に低減し、最大で-32.5dBa低減していることが読み取れる。さらに40kHzまで上げると、最大で-37.5dBa低減させることができる。動作周波数をこれより上げても、オゾン発生器から発生する人の可聴ノイズは大幅に減少しない。
【0088】
軸は、オゾン濃度200grO/Nm、2バー、オゾン放出100%容量における、オゾン生成の実測値とオゾン生成の設定値の比率(Oa/Osv)である。
【0089】
軸上の値100は、設定値が実測値に対応する状態を表す。つまり、設定値が200grO/Nmの場合、放出されるオゾンの実測値は200grO/Nmである。100未満の値は、設定値が実際のオゾン放出量よりも高い、つまり、設定値と比較して放出されるオゾンが少ない状態に対応する。
【0090】
100より大きい値は、設定値が実際のオゾン放出量よりも低い、つまり、設定値と比較して放出されるオゾンが多い状態に対応する。
【0091】
線2は、動作周波数による設定値と実測値の対応を示す。
【0092】
動作周波数が高いほど、設定値と放出されたオゾンの実測値との対応が悪くなっていることがわかる。
【0093】
実際、例えば60kHzの高周波数において、対応値90は、設定値200grO/Nmに対して180grO/Nmしか放出されないことを意味する。
【0094】
動作周波数を下げると、オゾン放出の設定値と実測値の対応が改善する。
【0095】
例えば、動作周波数が30kHzの場合、対応値102は、設定値200grO/Nmに対して、204grO/Nmが放出されることを意味する。
【0096】
設定値と実測値の偏差の許容範囲内、つまり、100+/-2の範囲内で、意外にも30~40kHzの動作周波数が、最小の可聴ノイズを発生させる、つまり、dBaを最大に低減させる(すなわち-32.5dBa~-37.5dBa)周波数であることが分かった。
【0097】
そこで、本発明者らは、30~40kHzの周波数で動作するようにオゾン発生器を構成した。
【0098】
図4において、本発明のいくつかの実施形態に係わる変圧器アセンブリ5は、ギャップパッド7と1次及び2次巻線4及び8によって分離された2つの部分3及び6を有するフェライトコアを備える。
【0099】
図5は、図4の分解図で示された変圧器アセンブリ5の斜視図である。
【0100】
図6は、オゾン発生器9、本発明の第1の態様に係わるオゾン発生装置の動作方法のフロー図である。本方法は、オゾン発生装置を25~40kHz(30~40kHzなど)の周波数で動作させることを含む。
【0101】
オゾン発生器の動作には、
・S1、酸素ガスを含む流体の流れをオゾン発生器に供給すること、
・S2、酸素ガスを含む流体の流れを制御すること、
・S3、電源装置からオゾン発生器に供給される電力を25~40kHz(30~40kHzなど)の周波数で制御することが含まれる。
【0102】
本発明は、特定の実施形態に関連して説明されたが、提示された例になんら限定されると解釈されるべきではない。本発明の範囲は、付属する一式の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の文脈において、「comprising」又は「comprises」という用語は、他の可能な要素又は工程を除外するものではない。また、「a」又は「an」などを用いた参照の言及は、複数を除外するものとして解釈されるべきではない。特許請求の範囲において図面に示される要素に関する参照記号が使用されても、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、異なる請求項で言及される個々の特徴は、おそらく有利に組み合わせることができ、異なる請求項でこれらの特徴に言及することは、特徴の組み合わせが不可能であり有利でないことを排除するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2020-11-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧電極部(16、36)と、
第1(23、43)及び第2(24、44)の誘電体要素と、
第1(14、34)及び第2(15、35)のアース電極とを備えるオゾン発生部(27、45)を備え、
前記高電圧電極部は、前記第1の誘電体要素と前記第2の誘電体要素との間に配置され、
前記オゾン発生部は、30~40kHzの動作周波数範囲で動作するように構成され、
変圧器アセンブリである低周波数、高電圧のAC電源装置が、30~40kHzの周波数で50~800ワットをオゾン発生部に供給するように構成された、オゾン発生装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の誘電体要素は、前記高電圧電極部から0.01~0.1ミリメートルの範囲内、例えば、0.01~0.075ミリメートルの距離に配置される、請求項1に記載のオゾン発生装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の誘電体要素は、1又は複数のスペーサ要素によって前記高電圧電極部から離間される、請求項1及び2のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の誘電体が前記高電圧電極の両側に配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項5】
前記第1及び第2のアース電極が、第1及び第2の反応室を前記第1及び第2の誘電体によって分画する、請求項1~4のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項6】
前記高電圧電極は前記第1及び第2の誘電体上に金属被覆として配置される、請求項1~5のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項7】
前記高電圧電極は金属箔又は金属シートである、請求項1~5のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の反応室は、それぞれ、酸素ガス又は酸素含有ガスを供給するための少なくとも入口(19、20、39、40)及びオゾンガスを放出するための少なくとも出口(21、22、41、42)を備える、請求項5~7のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の反応室の外面が、冷却フィンなどの冷却要素を備える、請求項5~8のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項10】
前記第1及び第2の誘電体要素が、前記第1及び第2の反応室の内面と接触する、請求項5~9のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項11】
前記変圧器アセンブリは高電力変圧器である、請求項1~10のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項12】
前記変圧器アセンブリは、1次巻線及び2次巻線を取り囲むフェライトシェル型コアを備える高出力変圧器であり、前記1次巻線は14よりも少ない巻数を有し、前記2次巻線は107より多い巻数を有し、前記フェライトシェル型コアは2mm未満のエアギャップを有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の前記オゾン発生装置の動作方法であって、前記方法は、
前記オゾン発生装置を、30~40kHzの周波数で動作させる、オゾン発生装置の動作方法。
【請求項14】
前記動作は、
酸素ガスを含む流体の流れを前記オゾン発生装置に供給することと、
前記酸素ガスを含む流体の流れを制御することと、
電源装置から前記オゾン発生器に供給される電力を、30~40kHzの周波数で制御することとを含む、請求項13に記載のオゾン発生装置の動作方法。
【請求項15】
前記周波数は、32~35kHzの周波数など、31~40kHzの周波数である、請求項13~15のいずれか1項に記載のオゾン発生装置の動作方法。
【請求項16】
30~40kHzの周波数範囲内で電力を提供するように構成された高電力変圧器などの変圧器アセンブリであって、
1次巻線及び2次巻線を取り囲むフェライトシェル型コアを備え、
前記1次巻線は14よりも少ない巻数を有し、前記2次巻線は107より多い巻数を有し、前記フェライトシェル型コアは2mm未満のエアギャップを有する、変圧器アセンブリ。
【国際調査報告】