(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】パルセータ洗濯機及び制御方法
(51)【国際特許分類】
D06F 37/12 20060101AFI20220407BHJP
D06F 33/36 20200101ALI20220407BHJP
【FI】
D06F37/12 Z
D06F33/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525302
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(85)【翻訳文提出日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 CN2019115979
(87)【国際公開番号】W WO2020098541
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】201811364585.X
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521199292
【氏名又は名称】佛山市順徳海爾電器有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】520148792
【氏名又は名称】海爾智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】劉尊安
(72)【発明者】
【氏名】楊麗梅
(72)【発明者】
【氏名】朱国防
【テーマコード(参考)】
3B165
3B167
【Fターム(参考)】
3B165AA15
3B165AD07
3B165AE01
3B165AE02
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3B165CB52
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3B165JM03
3B167AA15
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3B167AE02
3B167BA52
3B167BA82
3B167BA84
3B167KA52
3B167LA08
3B167LA23
3B167LA38
3B167LA39
3B167LC03
3B167LD03
3B167LD12
3B167LD13
(57)【要約】
本発明は、パルセータ洗濯機及び制御方法を開示する。本発明のパルセータ洗濯機は内槽を含み、内槽の底部にパルセータが設置されている。洗浄/すすぎ時には、前記内槽が貯水槽となる。また、内槽の外壁には循環水路が設置されており、循環水路の両端が内槽の底部及び上部とそれぞれ連通している。パルセータが回転する際に、底部の水流は循環水路に押し込まれて上昇し、内槽内に噴射されて水流の循環を形成する。本発明では、孔無し内槽の外壁に循環水路を設置している。こうすることで、内槽の内壁に対する水路の設置を回避可能となるため、内槽の収容体積が増大し、清潔さが維持されるとともに、ユーザが1回に洗浄する衣類の数量が増加する。更に、水流を上部のスプレー口から内槽内に噴射可能となるため、噴射力が大きくなる。これにより、ダウンジャケット等の浮力が大きく、浮遊高さの高い衣類に対する吹き付けが可能となるほか、各種衣類に対する洗浄効果を強化することも可能となる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内槽を含み、内槽は内槽底を含み、前記内槽底にパルセータが設置されているパルセータ洗濯機であって、
洗浄/すすぎ時には前記内槽が貯水槽となり、前記内槽の外壁には循環水路が設置されており、前記循環水路の両端は前記内槽底及び前記内槽の上部とそれぞれ連通しており、前記パルセータが回転する際に、底部の水流は前記循環水路に押し込まれて上昇し、前記内槽内に噴射されて水流の循環を形成することを特徴とするパルセータ洗濯機。
【請求項2】
前記内槽底には導流経路が設けられており、前記内槽の上部にはスプレー口が設けられており、前記循環水路の下端は前記導流経路に接続されており、前記循環水路の上端は前記スプレー口に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のパルセータ洗濯機。
【請求項3】
前記導流経路は前記パルセータの外側の内槽底に位置するとともに、横向きに貫通するよう設置され、前記導流経路の入水口が前記パルセータに面し、前記導流経路の吐水口が前記循環水路に面することで、前記内槽と前記循環水路が連通しており、
好ましくは、前記内槽底は互いに接続される底壁と側壁を含み、前記導流経路は、前記内槽底の側壁に設置される、又は、前記側壁と前記底壁との接続箇所に設置されることを特徴とする請求項2に記載のパルセータ洗濯機。
【請求項4】
前記パルセータはベースを含み、前記ベースの上面には、前記ベースの中心から前記ベースの外周に向かって延伸する突出リブが設けられており、前記導流経路の入水口の高さは突出リブの最高位置の高さ以下であり、
好ましくは、前記導流経路の入水口は前記突出リブの中間部に正対しており、入水口の高さは前記突出リブの中間部の高さと等しいことを特徴とする請求項2又は3に記載のパルセータ洗濯機。
【請求項5】
水路カバープレートを含み、前記水路カバープレートは前記内槽の外壁に固設され、前記内槽の外壁との間に空洞経路を囲繞することで前記循環水路を形成し、
好ましくは、前記水路カバープレートは前記内槽の中心軸線と平行に設置されており
好ましくは、前記水路カバープレートは、前記内槽の外壁と対向し且つ間隔を置いて設置される側面プレートと、前記側面プレートの両側に位置し且つ前記内槽の外壁にそれぞれ接続される接続プレートを含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のパルセータ洗濯機。
【請求項6】
前記側面プレートは、下から上に向かって、順に接続されるか一体的に成型される下接続部、傾斜部、垂直部及び上接続部を含み、前記下接続部及び前記上接続部はそれぞれ前記内槽底の外壁及び上部の外壁に接続されており、前記垂直部は前記内槽の外壁に対向して設置されており、前記傾斜部は前記内槽底の側壁に対向して設置されていることを特徴とする請求項5に記載のパルセータ洗濯機。
【請求項7】
前記傾斜部は、前記導流経路の吐水口に対向して設置されており、且つ、下から上に向かって前記内槽の中心から離れる方向に傾斜するよう設置されており、
好ましくは、前記水路カバープレートの下接続部と前記内槽との接続箇所は、前記導流経路の吐水口の下縁よりも低い、又は、下縁と面一であることを特徴とする請求項6に記載のパルセータ洗濯機。
【請求項8】
前記内槽の外側には、前記内槽から排出された水を収集するための集水装置が更に設けられており、前記集水装置は上開口を有する集水室を含み、前記内槽は前記集水室の上開口と連通し、前記循環水路の下端は前記集水室内に位置しており、
好ましくは、前記循環水路の下端の外側壁と前記集水室の内側壁の間には一定の距離が隔てられており、
好ましくは、前記集水室の側壁と前記循環水路の下端の外側壁は、いずれも下から上に向かって前記内槽の中心から離れる方向に傾斜するよう設けられており、
好ましくは、前記集水室の側壁の高さは内槽口の高さよりも低いことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のパルセータ洗濯機。
【請求項9】
パルセータ洗濯機の制御方法であって、
パルセータ洗濯機は内槽を含み、洗浄/すすぎ時に前記内槽は貯水槽となり、前記内槽の外壁には循環水路が設置されており、前記循環水路の両端がそれぞれ前記内槽の底部及び上部と連通しており、
パルセータ洗濯機が洗浄プログラムを実行する際には、渦巻き式洗浄過程が少なくとも1回実行され、前記渦巻き式洗浄過程では、パルセータが高速回転することで、前記内槽の底部の水流が循環水路に押し込まれて上昇し、前記内槽内に噴射されて水流の循環が形成されることを特徴とする制御方法。
【請求項10】
洗浄プログラムは通常洗浄過程と渦巻き式洗浄過程を含み、渦巻き式洗浄過程におけるパルセータの回転速度は通常洗浄過程におけるパルセータの回転速度よりも大きく、
好ましくは、前記通常洗浄過程と渦巻き式洗浄過程を交互に実行することを特徴とする請求項9に記載の洗濯機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機の分野に属し、具体的には、パルセータ洗濯機及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パルセータ洗濯機の洗濯過程では、洗濯物を洗浄水に浸してから、パルセータの連続回転又は定時的な正逆回転により洗浄を行う。従来のパルセータ洗濯機は、一般的に、外槽蓋、筐体、外槽、内槽から構成されており、筐体と外槽、外槽と内槽の間にいずれも隙間が存在する。また、内槽の槽体には孔があるため、洗濯時の汚水が外槽と内槽との隙間に進入し、長期的に蓄積されることで洗濯機に汚れや垢が溜まるとの問題が発生する。
【0003】
上記の課題に鑑みて、汚れや垢が溜まるとの問題を解決するために、既存の技術では、外槽を簡略化して受水トレイにするとともに、内槽を孔無し内槽としている。これにより、洗浄時には内槽の内部にのみ水が存在するため、内槽と外槽の間に汚れや垢が溜まるとの問題が解決される。且つ、外槽を簡略化して受水トレイにしているため、内槽と筐体との隙間が大きくなり、内槽のサイズ拡大を実現可能なことから、より多くの衣類を洗浄できる。
【0004】
しかし、このような孔無し内槽を有する洗濯機は、水が内槽内にのみ存在するため、洗浄時に衣類に邪魔されて上下層の水の循環が不足する。これにより、洗剤の分布が不均一となり、洗浄効果にムラができてしまう。且つ、底部のパルセータのみで攪動及び洗濯を行うため、ダウンジャケット等の浮きやすい衣類をしっかりと浸けることが難しい。そこで、このような孔無し内槽について、外槽を有さない洗濯機における水流循環の問題を解決する必要がある。
【0005】
以上に鑑みて、本発明を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術の瑕疵を解消するために、パルセータ洗濯機及び制御方法を提供することである。本発明では、孔無し内槽の外壁に循環水路を設置することで、内槽の内壁に対する水路の設置を回避可能となるため、内槽の収容体積が増大し、ユーザが1回に洗浄する衣類の数量が増加する。更に、水流を上部のスプレー口から内槽内に噴射可能となるため、噴射力が大きくなる。これにより、ダウンジャケット等の浮力が大きく、浮遊高さの高い衣類に対する吹き付けが可能となるほか、各種衣類に対する洗浄効果を強化することも可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を解決するために、本発明で採用する技術方案の基本思想は以下の通りである。
【0008】
本発明の第1の目的は、パルセータ洗濯機を提供することである。パルセータ洗濯機は内槽を含む。内槽は内槽底を含み、内槽底にパルセータが設置されている。洗浄/すすぎ時には前記内槽が貯水槽となる。また、内槽の外壁には循環水路が設置されている。循環水路の両端は、内槽底及び内槽の上部とそれぞれ連通している。パルセータが回転する際に、底部の水流は循環水路に押し込まれて上昇し、内槽内に噴射されて水流の循環を形成する。
【0009】
更なる方案として、前記内槽底には導流経路が設けられており、内槽の上部にはスプレー口が設けられている。前記循環水路の下端は導流経路に接続されており、循環水路の上端はスプレー口に接続されている。
【0010】
更なる方案として、前記導流経路はパルセータの外側の内槽底に位置するとともに、横向きに貫通するよう設置される。また、前記導流経路の入水口がパルセータに面し、導流経路の吐水口が循環水路に面することで、内槽と循環水路が連通している。
【0011】
好ましくは、前記内槽底は互いに接続される底壁と側壁を含む。前記導流経路は、内槽底の側壁に設置されるか、側壁と底壁との接続箇所に設置される。
【0012】
更なる方案として、前記パルセータはベースを含む。ベースの上面には、ベースの中心からベースの外周に向かって延伸する突出リブが設けられている。導流経路の入水口の高さは、突出リブの最高位置の高さ以下である。
【0013】
好ましくは、導流経路の入水口は突出リブの中間部に正対しており、入水口の高さは突出リブの中間部の高さと等しい。
【0014】
更なる方案として、水路カバープレートを含む。前記水路カバープレートは内槽の外壁に固設され、内槽の外壁との間に空洞経路を囲繞することで循環水路を形成する。
【0015】
好ましくは、前記水路カバープレートは内槽の中心軸線と平行に設置されている。
【0016】
好ましくは、前記水路カバープレートは、内槽の外壁と対向し且つ間隔を置いて設置される側面プレートと、側面プレートの両側に位置し且つ内槽の外壁にそれぞれ接続される接続プレートを含む。
【0017】
更なる方案として、前記側面プレートは、下から上に向かって、順に接続されるか一体的に成型される下接続部、傾斜部、垂直部及び上接続部を含む。下接続部と上接続部はそれぞれ内槽底の外壁と上部の外壁に接続されている。また、垂直部は内槽の外壁に対向して設置されており、傾斜部は内槽底の側壁に対向して設置されている。
【0018】
更なる方案として、前記傾斜部は、導流経路の吐水口に対向して設置されており、且つ、下から上に向かって内槽の中心から離れる方向に傾斜するよう設置されている。
【0019】
好ましくは、前記水路カバープレートの下接続部と内槽との接続箇所は、導流経路の吐水口の下縁よりも低いか、下縁と面一である。
【0020】
更なる方案として、前記内槽の外側には、内槽から排出された水を収集するための集水装置が更に設けられている。前記集水装置は上開口を有する集水室を含む。前記内槽は集水室の上開口と連通し、前記循環水路の下端が集水室内に位置している。
【0021】
好ましくは、前記循環水路の下端の外側壁と集水室の内側壁の間には一定の距離が隔てられている。
【0022】
好ましくは、前記集水室の側壁と循環水路の下端の外側壁は、いずれも下から上に向かって内槽の中心から離れる方向に傾斜するよう設けられている。
【0023】
好ましくは、前記集水室の側壁の高さは内槽口の高さよりも低い。
【0024】
本発明の第2の目的は、パルセータ洗濯機の制御方法を提供することである。パルセータ洗濯機は内槽を含む。洗浄/すすぎ時には前記内槽が貯水槽となる。また、内槽の外壁には循環水路が設置されており、循環水路の両端が内槽の底部及び上部とそれぞれ連通している。
【0025】
パルセータ洗濯機が洗浄プログラムを実行する際には、渦巻き式洗浄過程が少なくとも1回実行される。前記渦巻き式洗浄過程では、パルセータが高速回転することで、内槽底部の水流が循環水路に押し込まれて上昇し、内槽内に噴射されて水流の循環が形成される。
【0026】
更なる方案として、洗浄プログラムは通常洗浄過程と渦巻き式洗浄過程を含む。渦巻き式洗浄過程におけるパルセータの回転速度は通常洗浄過程におけるパルセータの回転速度よりも大きい。
【0027】
好ましくは、前記通常洗浄過程と渦巻き式洗浄過程を交互に実行する。
【発明の効果】
【0028】
上記の技術方案を用いることで、本発明は従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0029】
1.本発明では、孔無し内槽の外壁に循環水路を設置している。こうすることで、内槽の内壁に対する水路の設置を回避可能となるため、内槽の収容体積が増大し、ユーザが1回に洗浄する衣類の数量が増加する。更に、水流を上部のスプレー口から内槽内に噴射可能となるため、噴射力が大きくなる。これにより、ダウンジャケット等の浮力が大きく、浮遊高さの高い衣類に対する吹き付けが可能となるほか、各種衣類に対する洗浄効果を強化することも可能となる。
【0030】
2.本発明の導流経路はパルセータ外側の内槽の底側壁に設置されており、横向きに貫通している。また、入水口はパルセータの中心軸線に面して設置されている。パルセータが高速回転すると、水流は邪魔されることなく非常にスムーズに導流経路を通過して内槽と外槽の間に振り出される。これにより、水流は上昇のための動力が十分となり、且つストロークが短く、噴射力が大きくなる。
【0031】
3.本発明の内槽は孔無し内槽であり、洗浄/すすぎ時に前記内槽が貯水槽となる。内槽の外部に集水装置を設けることで、内槽から水が排出される際に、集水装置により水を堰き止めて、水が溢れ出すのを防止する。また、集水装置は高さが低いため、内槽の容量拡大を制限する作用を持たず、内槽の容量拡大のために十分なスペースが提供される。
【0032】
以下に、図面を組み合わせて、本発明の具体的実施形態につき更に詳細に述べる。
【0033】
図面は、本発明の一部として本発明の更なる理解のために用いられる。また、本発明の概略的実施例及びその説明は本発明の解釈のために用いられるが、本発明を不当に限定するものではない。なお、言うまでもなく、以下で記載する図面は実施例の一部にすぎず、当業者であれば、創造的労働を要することなくこれらの図面から更にその他の図面を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、本発明におけるパルセータ洗濯機の内槽を上方から見た立体構造を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明におけるパルセータ洗濯機の内槽を裏面から見た立体構造を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明におけるパルセータ洗濯機の内槽の断面構造を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明におけるパルセータ洗濯機の内槽と循環水路及び集水装置を組み付けたあとの断面構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
説明すべき点として、これらの図面及び文字記載は何らかの方式で本発明の構想の範囲を制限するとの意図ではなく、特定の実施例を参照して当業者に本発明の概念を説明するためのものである。
【0036】
本発明における実施例の目的、技術方案及び利点をより明確とすべく、以下では、本発明の実施例にかかる図面を組み合わせて、実施例の技術方案につき明瞭簡潔に述べる。なお、以下の実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を制限するものではない。
【0037】
本発明の記載において、説明すべき点として、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係であって、本発明の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、且つ特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと理解すべきではない。
【0038】
本発明の記載において、説明すべき点として、別途明確に規定及び限定しない限り、「装着する」、「連なる」、「接続する」との用語は広義に解釈すべきである。例えば、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体的な接続であってもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。更には、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよい。当業者であれば、具体的状況に応じて本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
【実施例1】
【0039】
図1~
図4に示すように、本実施例は、内槽1を含むパルセータ洗濯機を提供する。内槽1は内槽底2を含み、内槽底2にパルセータ3が設置されている。洗浄/すすぎ時には前記内槽1が貯水槽となる。また、内槽1の外壁には循環水路200が設置されている。循環水路200の両端は、内槽底2及び内槽1の上部とそれぞれ連通している。パルセータ3が回転する際に、底部の水流は循環水路200に押し込まれて上昇し、内槽1内に噴射されて水流の循環を形成する。
【0040】
従来の一般的なパルセータ洗濯機では、水の循環効果を強化するために、内槽1の内壁に水路を設置する方式を採用している。しかし、この場合には、内槽1の有効収容空間が縮小されて、ユーザが1回に洗浄可能な衣類の数量が減少するだけでなく、水路を設置可能な高さが限られるため、内槽1の開口部分から下方へ吹き付けるとの効果を達成することもできない。また、このことから、浮力の大きなダウンジャケット等の一部衣類について、水流を上から下へ噴射して洗浄するとの効果を達成し得ない。
【0041】
本実施例の内槽1は孔無し内槽1となっている。洗浄時には内槽1の内部にのみ水が存在し、内槽1が貯水槽となる。また、孔無し内槽1の外壁に循環水路200を設置することで、循環水路200によって内槽1の上部と底部を連通させている。パルセータ3が高速回転する際には、水流が循環水路200に押し込まれ、内槽1に再び噴射されることで、吹き付けが実現されるとともに、水流の循環が形成される。このようにすることで、内槽1の内壁に対する水路の設置が回避されるか減少するため、内槽1の収容体積が増大し、ユーザが1回に洗浄する衣類の数量が増加する。更には、孔無し内槽1内における上下層の水流循環も実現可能となる。水流は、上部のスプレー口201から内槽1内に噴射されるため、噴射力が大きくなる。これにより、ダウンジャケット等の浮力が大きく、浮遊高さの高い衣類に対する吹き付けが可能となるほか、各種衣類に対する洗浄効果を強化することも可能となる。
【0042】
更なる方案として、前記内槽底2には導流経路4が設けられており、内槽1の上部にはスプレー口201が設けられている。前記循環水路200の下端は導流経路4に接続されており、循環水路200の上端はスプレー口201に接続されている。
【0043】
導流経路4は内槽底2に開設された開孔である。内槽1は一定の厚さを有しているため、当該開孔は、一定の長さを有して水流を通過可能とする経路を形成している。よって、本発明では当該開孔を導流経路4と称する。また、スプレー口201は内槽1の上部に開設されているが、必要に応じて高さを設定すればよい。例えば、内槽1の上部における収縮押し型の下方に開設すればよい。このようにすることで、循環水路200は内槽1の底部と上部を連通させる。パルセータ3が高速回転する際には、導流経路4、循環水路200、スプレー口201を経由して内槽底2部分の水流を内槽1内に噴射することで、衣類に対する吹き付けを行うことが可能である。
【0044】
導流経路4とスプレー口201は、上下に対をなすよう対応させて設置してもよいし、1つを複数に対応させて設置してもよい。好ましい方案としては、1つの導流経路4を複数のスプレー口201に対応させる。これにより、循環水路200内の水は複数のスプレー口201を通じて内槽1内に噴射されるため、吹き付け効果が強化される。
【0045】
更なる方案として、前記導流経路4は、パルセータ3の外側の内槽底2に位置するとともに、横向きに貫通するよう設置される。また、前記導流経路4の入水口41がパルセータ3に面し、導流経路4の吐水口42が循環水路200に面することで、内槽1と循環水路200が連通している。
【0046】
導流経路4は、パルセータ3の外側の内槽底2に設置されている。即ち、パルセータ3の外側と対向する内槽底2の側壁に設置されているため、水流が円滑に導流経路4を通過して循環水路200に進入するのに有利である。これにより、水流は十分な動力を持って循環水路200沿いに上昇する。
【0047】
現在のパルセータ3は、垂直方向の軸を中心に、水平方向において時計回り又は反時計回りに回転するため、水流は水平方向において外側に振り出される。また、導流経路4は、横向きに貫通するよう設置されている。つまり、水平方向に貫通するよう設置されている。そのため、パルセータ3の回転により押し出された水は、入水口41から円滑に導流経路4に進入し、吐水口42から循環水路200に進入可能であるとともに、外側へ振り出される比較的強い遠心力を有したまま、循環水路200の内壁沿いに上昇することが可能である。本実施例の導流経路4は、従来の洗濯機の孔無し内槽1に直接改造を加えればよいため、変更が小さく、コストが抑えられる。また、方式も簡単且つスピーディーである。
【0048】
本実施例において、循環水路200は独立したパーツとすることができる。当該パーツは、それ自体が水流を通過させる空洞経路を有していてもよいし、内槽1の外壁と共に空洞経路を囲繞するよう形成してもよい。いずれの方式であったとしても、導流経路4とスプレー口201を連通させて水流の循環を形成できればよい。好ましくは、本実施例では囲繞方式により循環水路200を形成する。具体的には下記の通りである。
【0049】
洗濯機は水路カバープレート202を含む。前記水路カバープレート202は内槽1の外壁に固設され、内槽1の外壁との間に空洞経路を囲繞することで循環水路200を形成する。こうすることで、内槽1の外壁を循環水路200の一方の側の内壁として利用可能となるため、装着パーツの厚みが小さくなり、重量が減少するほか、占有スペースが縮小される。よって、洗濯機の有効洗浄空間の拡大に有利である。
【0050】
本実施例の水路カバープレート202は内槽1の外壁に装着されるが、垂直に設置してもよいし、傾けて設置してもよい。好ましくは、前記水路カバープレート202は内槽1の中心軸線と平行に設置する。これにより、水流の上昇を実現可能となるほか、加工及び位置決め、装着も容易となる。
【0051】
好ましくは、前記水路カバープレート202は、内槽1の外壁と対向し且つ間隔を置いて設置される側面プレート203と、側面プレート203の両側に位置し且つ内槽1の外壁にそれぞれ接続される接続プレートを含む。
【0052】
水路カバープレート202における側面プレート203の長辺は内槽1の高さ方向と平行であり、且つ内槽1の周方向にならっている。また、接続プレートは、内槽1の径方向に沿って設置されるか、径方向と一定の角度をなすよう設置される。側面プレート203と両側の接続プレートは、一体的に成型及び設置されることで凹型の空洞を形成しており、水路カバープレート202を内槽1の外壁に装着することで、内槽1の外壁と水路カバープレート202により循環水路200が囲繞されるよう形成される。
【0053】
更なる方案として、前記側面プレート203は、下から上に向かって、順に接続されるか一体的に成型される下接続部204、傾斜部205、垂直部206及び上接続部207を含む。下接続部204と上接続部207はそれぞれ内槽底2の外壁と上部の外壁に接続されている。また、垂直部206は内槽1の外壁に対向して設置されており、傾斜部205は内槽底2の側壁に対向して設置されている。
【0054】
上接続部207と下接続部204は接続及び固定の役割を発揮する。また、垂直部206は循環水路200の主要部を形成する。且つ、傾斜部205は内槽底2の側壁に対向して設置されている。即ち、内槽底2の導流経路4に対向して設置されている。これにより、水流が循環水路200に進入したときの急速上昇に有利となるため、水流の運動エネルギーロスが減少し、噴射強度が強化される。
【0055】
更なる方案として、前記傾斜部205は、導流経路4の吐水口42に対向して設置されており、且つ、下から上に向かって内槽1の中心から離れる方向に傾斜するよう設置されている。これにより、水流が循環水路200に進入したときの急速上昇に有利となるため、水流の運動エネルギーロスが減少し、噴射強度が強化される。
【0056】
好ましくは、前記水路カバープレート202の下接続部204と内槽1との接続箇所は、導流経路4の吐水口42の下縁よりも低いか、下縁と面一である。こうすることで、導流経路4から排出された水流全てを確実に循環水路200に進入させて、内槽1内に循環及び噴射させることが可能となる。
【0057】
更なる方案として、前記導流経路は、内槽底11の周方向に間隔を置いて均一に複数設置されており、循環水路も導流経路に対応して複数設置されている。各導流経路の入水口はいずれもパルセータの中心軸線に面して設置されており、吐水口はパルセータの中心軸線に背向して設置されている。
【0058】
一般的なパルセータ3はディスク状をなしており、回転時にその周囲の水流を外側へ遠心力により振り出す。導流経路4は、内槽底11の周方向に沿って複数設置されている。導流経路4の数は奇数とし、周方向に均一に間隔を置いて設置してもよいし、偶数として中心軸線を中心に対称に設置してもよい。また、入水口41はいずれもパルセータ3の中心軸線に面して設置されており、対応する吐水口42はパルセータ3の中心軸線に背向して設置されている。これにより、各入水口41は、回転する水流を最大の角度で確実に受け入れ可能となる。また、水流に対する阻害作用が低下するため、水流は、対応する循環水路に進入したあとも十分な運動エネルギーを持ったまま上昇する。
【0059】
好ましくは、水路カバープレートのうち内槽に面する内側壁には下から上に向かって延伸する導流リブが設けられており、導流経路4から排出された水の上昇を補助する。
【0060】
導流リブは複数設けられ、隣接する2つの導流リブの間に各導流経路4の吐水口42が位置する。導流リブは、下から上に向かって垂直に設置してもよいし、下から上に向かって斜めに設置してもよい。導流リブを斜めに設置する場合には、傾斜した直線型のリブとしてもよいし、湾曲した円弧状のリブとしてもよいし、導流経路4からの水の排出方向に応じて設置してもよい。且つ、導流リブは水路カバープレートの強度を強化することも可能である。
【0061】
このほか、本実施例における内槽の外部には外槽を設置可能であるが、内槽と外槽の間に水は介在させない。また、外槽を設置することなく、集水装置を設置して内槽から排出される水を収集してもよい。好ましい方案では、内槽の外部に外槽を設置しない。これにより、占有スペースが小さくなるため、洗濯機の有効容積が拡大される。
【実施例2】
【0062】
図1~
図4に示すように、本実施例では実施例1を更に限定する。本実施例の内槽底11は、互いに接続される底壁111と側壁112を含む。側壁112は底壁111の外周縁に設置され、底壁111と側壁112によって内槽底11が囲繞されている。前記導流経路4は、内槽底11の側壁112に設置されるか、側壁112と底壁111との接続箇所に設置される。
【0063】
内槽底11の底壁111は水平に設置される。また、側壁112は、底壁111の外縁から上方へ屈曲することで形成可能である。側壁112、及び側壁112と底壁111との接続箇所にはいずれも横向きに貫通する導流経路4を設置可能であり、回転する水流を内槽1と外槽2の間に案内することができる。しかし、導流経路4の高さが異なると、対応するパルセータ3の位置も異なり、対応する水流の回転強度も異なってくる。そこで、パルセータ3の回転に伴い発生する最大回転水流に対応する高さ位置に導流経路4を設置すれば、水流の強度が大幅に向上し、水流の噴射力及びストロークを強化可能となる。
【0064】
好ましくは、導流経路4を側壁112と底壁111との接続箇所に設置し、導流経路4の入水口41の下縁を上縁よりも内側に突出させる。
【0065】
側壁112と底壁111との接続箇所に設置される導流経路4の位置はやや低く、パルセータ3の中間部よりも下寄りの位置に対向する。この位置において回転により発生する水流は強度が大きく、遠心力も大きいため、外槽2に進入したあと急速に上昇することが可能である。且つ、側壁112と底壁111との接続箇所は支持強度が高いため、導流経路4を開設したあとに内槽底11の全体強度に及ぼす影響が比較的小さい。よって、改造を加えつつ、内槽1の正常な動作と安全性を保証することが可能である。
【0066】
更なる方案として、パルセータ3はベース31を含む。ベース31の上面には、ベース31の中心からベース31の外周に向かって延伸する突出リブ32が設けられている。また、導流経路4の入水口41の高さは、突出リブ32の最高位置の高さ以下である。
【0067】
パルセータ3のベース31はディスク状をなしており、好ましくは円盤状をなしている。ベース31の上面の突出リブ32は上方へ突出している。且つ、均一に間隔を置いて複数設置されており、撹水作用を奏することが可能である。また、突出リブ32の両側は曲面をなしている。突出リブ32は、上方へ突出するとともに底部が広くなっており、且つ下から上に向かって徐々に収縮することで突出リブ32の上部を形成している。突出リブ32は中空構造をなしている。また、突出リブ32の底は開放されている。突出リブ32は、ベース31の中心からベース31の外周に向かって、低い側から高い側へ向かう曲線形をなすように延伸している。また、突出リブ32の上部は、最高位置からなだらかな曲面を経て下方に延伸し、ベース31の外周に接続されている。これにより、パルセータ3における突出リブ32の底部から上部の最高位置までの領域には、パルセータ3の高速回転時に大きな遠心力が発生し得るため、水流はこの領域の外側に振り出される。また、導流経路4の入水口41の高さは突出リブ32の最高位置の高さ以下となっているため、水流が大きな強度で外側に振り出される領域に導流経路4を確実に位置させることができる。これにより、水流が導流経路4を経由したあと、急速に外槽2の内壁に沿って上昇可能となるよう保証している。且つ、洗浄する衣類が水流に伴って導流経路4に流れ込むとの事態を回避できるため、衣類へのダメージも回避される。
【0068】
好ましくは、導流経路4の入水口41は突出リブ32の中間部に正対しており、入水口41の高さは突出リブ32の中間部の高さと等しい。突出リブ32の中間部は面積が大きく、攪拌力が強いため、発生する回転水流の動力が十分であり、強度も大きい。よって、水流が急速に外槽2の内壁に沿って上昇し、比較的大きな強度を維持したまま内槽1内に噴射されるのにいっそう有利である。
【0069】
各導流経路4の直径サイズの設定は、内槽底11の支持強度、規格、材質等から総合的に決定する必要がある。且つ、内槽底11の支持強度を十分に保証することを前提に、複数の導流経路4を設置して水流を循環水路に進入させ、内槽1内への吹き付けを実現する。また、水流が導流経路4を経由して循環水路に進入したあと、できるだけ運動エネルギーを保持したまま上昇可能となるよう、導流経路4の内部を水流の方向に応じて設置することで、水流を円滑に排出する必要がある。具体的な方案には以下のいくつかが考えられるが、これらに限らない。
【0070】
方案1:前記導流経路4の入水口41と吐水口42の高さが等しく、入水口41側から吐水口42側に向かって導流経路4が直線状に水平に延伸している。本方案の導流経路4は直線状に水平に延伸しており、内槽底11の底壁111とほぼ平行となっている。よって、水流は入水口41に進入したあと、阻害されることなくそのまま円滑に排出され得る。この場合、水流に対する阻害作用が小さいため、水流が運動エネルギーを保持したまま上昇するのに有利である。
【0071】
方案2:前記導流経路4の吐水口42の高さが入水口41よりも高くなっており、入水口41側から吐水口42側に向かって導流経路4の内壁の高さが徐々に上昇している。本方案では、導流経路4が内側から外側に向かって一定の角度傾斜している。即ち、水流が入水口41から進入して吐水口42経由で排出されるにあたり、上向きの揚程を有している。導流経路4は上方へ傾斜して流れを案内する作用を有しているため、水流の上昇にとって有利である。この傾斜角度は、パルセータ3の回転速度や水流の方向等の要因に基づいて具体的に決定する必要がある。
【0072】
好ましくは、導流経路4の内壁は、入水口41側から吐水口42側に向かって曲線をなしつつ上方へ延伸する。導流経路4の内壁が曲線をなすことで、より円滑に水流を案内できるため、水流の上昇にとって有利となる。
【0073】
更なる方案として、上記2種類の方案では、導流経路4が入水口41側から吐水口42側に向かって徐々に狭まることで、内槽底11の側壁112の周方向に沿って一定の距離だけ延伸する細長い吐水口42が形成されている。
【0074】
入水口41は内槽底11の側壁112に滑らかに連なっているため、水の抵抗力が小さくなり、水の円滑な流動に有利である。好ましくは、入水口41の形状は、四方の辺縁が滑らかに連なる四角形の開口とする。入水口41は垂直方向の一定の範囲にわたり延伸しているため、突出リブ32が異なる高さ位置で攪動した水流を比較的広い範囲において収集可能である。このことは、大量の水流を経路に進入させるのに有利である。また、吐水口42と入水口41の形状は異なっている。吐水口42は、内槽底11の側壁112の周方向に沿って一定の距離だけ延伸しており、周方向における細長い四角形の出口を形成している。これにより、吐水口42において水流を分散させられるため、水流がまとまって外槽2の内壁に衝撃を与える結果、一部の水流が外槽2の底部に再び落下するとの事態が回避される。また、水流の運動エネルギーの無駄や消耗が回避される。このように設置することで、導流経路4内の水を分散させてから外槽2の内壁沿いに上昇させることができるため、内槽1内に噴射される水流が一段と均一に分散する。
【0075】
好ましくは、入水口41の面積は吐水口42の面積よりも大きい。水流は導流経路4を経由したあとに部分的な増圧作用を有し得るため、水流の上昇にとって有利である。
【0076】
更なる方案として、導流経路4の吐水口42の辺縁は上方へ傾斜するよう延伸している。また、吐水口42は外槽2の内壁に面している。吐水口42の辺縁は上方へ傾斜するよう延伸しているため、排出された水は上向きの揚程を有することができ、上方へ案内されてから、外槽2の内壁に到達したあとも上昇を続ける。このことは、水流の上昇距離を短縮するのに有利であり、水流を内槽1内に噴射するのに都合がよい。吐水口42の辺縁は、全て又は一部を上方へ傾斜するよう延伸させればよい。
【0077】
好ましくは、導流経路4の吐水口42は、少なくとも上縁が曲面をなして上方へと延伸する。この方式は加工が容易であり、コストの節約となる。且つ、水流の上昇を比較的良好に補助するとの役割を発揮し得る。
【実施例3】
【0078】
図4に示すように、本実施例では実施例1を更に限定する。前記内槽1の外側には、内槽1から排出された水を収集するための集水装置208が更に設けられている。前記集水装置208は上開口を有する集水室209を含む。前記内槽1は集水室209の上開口と連通し、前記循環水路200の下端が集水室209内に位置している。
【0079】
本実施例における洗濯機の内槽1は孔無し内槽1である。内槽1は、脱水した水を振り出す脱水孔が上部にのみ設けられている。よって、内槽1を貯水に用いることが可能である。集水装置208は外槽としてもよく、好ましくは、槽口の高さが洗濯機の内槽1の槽口よりも低い。より好ましくは、外槽の槽口の高さは内槽1の槽底よりもやや高くなっている。或いは、洗濯機の集水装置208は、別途設置される改良構造としてもよい。この場合には、洗濯機の容積を拡大するとの作用を更に奏し得る。
【0080】
集水装置208を設けることで、内槽1から水が排出される際に、内槽1から脱水時に振り出された水を集水装置208により収集して、水が溢れ出すのを防止する。一方、集水装置208は全体を内槽1の槽底の下部に設置すればよい。集水装置208全体が内槽1の下方に位置することで、集水装置208は内槽1と筐体の間のスペースを占有することがなくなる。よって、内槽1の容量拡大を制限する作用を持たず、内槽1の容量拡大のために十分なスペースが提供される。
【0081】
前記循環水路200の下端は集水室209内に位置している。これは、内槽底2の導流経路4の位置に対応させるためであるほか、占有スペースの縮小を可能とするためでもある。また、これにより、水が接続箇所から流出して外部に漏れるとの事態も回避される。
【0082】
好ましくは、前記循環水路200の下端の外側壁と集水室209の内側壁の間には一定の距離が隔てられている。これにより、内槽1の回転又は震動時に槽と衝突する恐れがなくなるため、集水室209の使用寿命が延び、洗濯機の安全な運転が保証される。
【0083】
好ましくは、前記集水室209の側壁と循環水路200の下端の外側壁は、いずれも下から上に向かって内槽1の中心から離れる方向に傾斜するよう設けられている。
【0084】
前記集水装置208は、装着プレート210と、装着プレート210に設けられる止水リブ211を含む。前記装着プレート210と止水リブ211で囲繞することで集水室209が形成されている。前記止水リブ211は環状をなしており、前記止水リブ211と装着プレート210で囲繞することで環状の集水室209が形成されている。前記止水リブ211は斜めに設置されており、且つ上から下へ集水室209の中心軸線に向かう方向に徐々に収縮している。つまり、下から上に向かって内槽1の中心から離れる方向に斜めに設置されている。止水リブ211を傾斜状に設置することで、集水量を最大限増加させられるため、一段と使用しやすくなる。また、循環水路200の下端の外側壁、即ち実施例1で記載した傾斜部205は、止水リブ211にならっているため衝突を回避可能である。且つ、循環水路200内の水流の上昇にとっても有利であり、噴射強度を強化することが可能である。
【実施例4】
【0085】
本実施例は、実施例1又は実施例2又は実施例3を更に限定するものであり、パルセータ洗濯機の制御方法を提供する。パルセータ洗濯機は内槽を含み、洗浄/すすぎ時に前記内槽が貯水槽となる。内槽の外壁には循環水路が設置されており、循環水路の両端がそれぞれ内槽の底部及び上部と連通している。
【0086】
パルセータ洗濯機が洗浄プログラムを実行する際には、渦巻き式洗浄過程が少なくとも1回実行される。前記渦巻き式洗浄過程では、パルセータが高速回転することで、内槽底部の水流が循環水路に押し込まれて上昇し、スプレー口から内槽内に噴射されて水流の循環が形成される。
【0087】
更なる方案として、洗浄プログラムは通常洗浄過程と渦巻き式洗浄過程を含む。渦巻き式洗浄過程におけるパルセータの回転速度は通常洗浄過程におけるパルセータの回転速度よりも大きい。通常洗浄過程とは従来の洗濯機の洗浄過程であり、洗浄水が内槽内で運動する。
【0088】
更なる方案として、洗浄プログラムにおける通常洗浄過程と渦巻き式洗浄過程はいずれも複数とし、通常洗浄過程と渦巻き式洗浄過程を交互に実行する。
【0089】
通常洗浄過程と渦巻き式洗浄過程を交互に実行することで、渦巻き式洗浄過程で上昇した温度を迅速に通常洗浄過程に吸収させる。これにより、モータの温度が累積上昇するには至らないため、モータの過熱保護停止や破損の恐れが減少し、洗濯機の使用寿命が延びる。
【0090】
渦巻き式洗浄過程を実行する場合、洗濯機はパルセータの回転方向が変わらないよう制御する。一方、通常洗浄過程を実行する場合、洗濯機はパルセータの正回転と逆回転が交互に行われるよう制御する。
【0091】
最適には、渦巻き式洗浄過程を実行する場合、洗濯機はパルセータを正回転させるよう制御する。一方、通常洗浄過程を実行する場合、洗濯機はモータの正回転/逆回転が交互に行われるよう制御する。このような正逆回転を交互に実行する方式によれば、吸収した熱量をより分散させやすくなるため、熱量の散逸に都合がよく、放熱効果が一段と良好となる。また、正回転と逆回転を交互に実行する方式によれば、洗濯用水の流動性が大きくなり、放熱効果が一段と良好となる。
【0092】
更に、通常洗浄過程の継続時間は渦巻き式洗浄過程の継続時間の3~20倍とする。渦巻き式洗浄過程では衣類の洗浄効果を高めることが可能であるが、時間が長すぎるとモータの過熱停止が発生する。そこで、2つの過程の時間比率を制御すれば、渦巻き式洗浄過程で発生した熱量を通常洗浄過程の運転時間中に分散及び吸収可能になるとともに、洗浄時間を短縮することも可能となるため、モータの破損の恐れが低下する。
【0093】
好ましくは、渦巻き式洗浄過程の継続時間は5~300sである。
【0094】
更なる方案として、洗浄プログラムはインターバル過程を更に含む。前記インターバル過程は、隣り合う通常洗浄過程と渦巻き式洗浄過程の間に実行される。インターバル過程を実行する際、洗濯機はパルセータの回転を停止させるよう制御する。インターバル過程を設けることで切り替えが比較的緩やかとなるため、モータの破損が減少する。また、できるだけ短時間で衣類を洗浄可能となるよう、最適には、インターバル過程の継続時間を2sとする。
【0095】
具体的に、洗濯機の制御方法は以下のステップを含む。
【0096】
プログラムの選択:ユーザは洗浄プログラムを選択する。
【0097】
渦巻き式洗浄過程:洗濯機は、パルセータが高速回転するよう制御して、渦巻き式洗浄過程を実行する。水流は、内槽底の側壁の導流経路を経由して循環水路沿いに上昇したあと、内槽内に噴射されて衣類を洗浄する。渦巻き式洗浄過程の継続時間は10~40sである。
【0098】
インターバル過程:洗濯機は、パルセータの回転を停止させるよう制御する。最適には、インターバル過程の継続時間は2sである。
【0099】
通常洗浄過程:洗濯機は、内槽内のパルセータが正逆回転を交互に行うとともに、内槽は回転しないよう制御することで、洗濯用水を攪動して衣類を洗浄する。通常洗浄過程の継続時間は渦巻き式洗浄過程の継続時間の3~20倍である。
【0100】
繰り返し:通常洗浄過程の終了後、再び渦巻き式洗浄過程を実行する。このようにして、洗浄プログラムが終了するまで繰り返す。
【0101】
以上は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に制限するものではない。本発明については好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではない。本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上記で提示した技術内容を用いて実施可能なわずかな変形或いは補足は、同等に変形された等価の実施例とみなされ、いずれも本発明の技術方案の内容を逸脱するものではない。また、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられる任意の簡単な修正、同等の変形及び補足は、いずれも本発明の方案の範囲に属する。
【符号の説明】
【0102】
1 内槽
11 内槽底
111 底壁
112 側壁
2 外槽
3 パルセータ
31 ベース
32 突出リブ
4 導流経路
41 入水口
42 吐水口
200 循環水路
201 スプレー口
202 水路カバープレート
203 側面プレート
204 下接続部
205 傾斜部
206 垂直部
207 上接続部
208 集水装置
209 集水室
210 装着プレート
211 止水リブ
【国際調査報告】