(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】溶媒の可塑化および発泡によるエアロゲル材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 38/02 20060101AFI20220407BHJP
C08J 9/04 20060101ALI20220407BHJP
C01B 32/198 20170101ALI20220407BHJP
C01G 39/06 20060101ALI20220407BHJP
C01B 32/192 20170101ALI20220407BHJP
【FI】
C04B38/02
C08J9/04
C01B32/198
C01G39/06
C01B32/192
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530993
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(85)【翻訳文提出日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 CN2020078904
(87)【国際公開番号】W WO2021179232
(87)【国際公開日】2021-09-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517312490
【氏名又は名称】ヂェァジァン ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.866,Yuhangtang Road,Xihu District,Hangzhou, Zhejiang China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュ ヂェン
(72)【発明者】
【氏名】ガオ チャオ
(72)【発明者】
【氏名】パン カイ
【テーマコード(参考)】
4F074
4G019
4G048
4G146
【Fターム(参考)】
4F074AA02
4F074AH04
4F074BA07
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4G019JA01
4G019JA05
4G048AA07
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4G146AA01
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4G146BA02
4G146CB11
4G146CB12
4G146CB13
4G146CB32
4G146CB34
4G146CB35
4G146CB37
(57)【要約】
本発明は、溶媒の可塑化および発泡に基づくエアロゲルの製造方法を初めて提案する。溶媒の可塑化とインサイチュ気泡の発生とを組み合わせてエアロゲル材料を製造することを実現する。非ポリマーでは熱可塑性発泡技術を実現することが難しいという課題を克服し、幅広い用途へ利用できる。また、この方案は任意の発泡系が多く、実施が容易であり、特殊な乾燥技術を利用する必要がないため、多孔質エアロゲルの産業の発展を大幅に推進させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒の可塑化および発泡に基づいて実現されるエアロゲル材料の製造方法であり、発泡材料と発泡剤前駆体とを混合した後、マクロ材料に組み立て、
得られたマクロ材料を可塑性溶液にいれて可塑化および発泡させ、
可塑化および発泡後、乾燥し、エアロゲル材料を得ることを含むことを特徴とするエアロゲル材料の製造方法。
【請求項2】
前記可塑性溶液は、前記発泡剤前駆体にガスの発生を開始させる開始剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のエアロゲル材料の製造方法。
【請求項3】
加熱により、前記発泡剤前駆体にガスの発生を開始させることを特徴とする請求項1に記載のエアロゲル材料の製造方法。
【請求項4】
溶媒の可塑化および発泡に基づいて実現されるエアロゲル材料の製造方法であり、発泡材料をマクロ材料に組み立て、得られたマクロ材料を発泡剤を含む可塑性溶液にいれ、可塑化および発泡させ、
可塑化および発泡後、乾燥し、エアロゲル材料を得ることを特徴とするエアロゲル材料の製造方法。
【請求項5】
前記発泡剤は、自己発泡剤と、反応型発泡剤とを含み、
前記反応型発泡剤は、発泡材料と反応し、ガスを発生する発泡剤であり、
前記自己発泡剤は、分解し、ガスを発生する発泡剤であることを特徴とする請求項4に記載のエアロゲル材料の製造方法。
【請求項6】
前記可塑性溶液は、可塑剤または可塑剤を含む溶液であり、
前記可塑剤は、発泡材料の分子間作用力を低下させる物質であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のエアロゲル材料の製造方法。
【請求項7】
前記発泡材料は、グラフェン、二硫化モリブデン、Mxene、セルロースまたは銀ナノワイヤーを含むことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のエアロゲル材料の製造方法。
【請求項8】
前記発泡材料は、酸化グラフェンであり、
組み立てることによって得られた前記マクロ材料は、酸化グラフェン膜、酸化グラフェン繊維、酸化グラフェン不織布または酸化グラフェンエアロゲルであり、
前記可塑性溶液は、水、有機溶媒、または水と有機溶媒との混合溶液であることを特徴とする請求項7に記載のエアロゲル材料の製造方法。
【請求項9】
前記有機溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、イソプロパノールまたはエタノールであることを特徴とする請求項8に記載のエアロゲル材料の製造方法。
【請求項10】
前記酸化グラフェンのサイズは1um以上であることを特徴とする請求項8に記載のエアロゲル材料の製造方法。
【請求項11】
グラフェン多孔質エアロゲル材料は、酸化グラフェンと発泡剤前駆体とを混合して膜を形成した後、可塑性溶液中で可塑化および発泡させ、乾燥することにより得られることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項12】
前記可塑性溶液中で前記発泡剤前駆体に発泡を開始させる方法は、開始剤を加えることおよび加熱することの少なくとも一方を含み、前記開始剤は、前記発泡剤前駆体にガスの発生を開始させることを含むこと特徴とする請求項11に記載のエアロゲル材料の製造方法。
【請求項13】
酸化グラフェン層を積層して組み立てられたマクロ材料を、発泡剤を含有する可塑性溶液中で可塑化および発泡させ、乾燥させることによりグラフェン多孔質エアロゲル材料が得られることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項14】
前記発泡剤は、自己発泡剤と、反応型発泡剤とを含み、
前記反応型発泡剤は、酸化グラフェンの酸素を含む官能基と反応し、ガスを発生する発泡剤であり、
前記自己発泡剤は、分解し、ガスを発生する発泡剤であることを特徴とする請求項13に記載のエアロゲル材料の製造方法。
【請求項15】
前記反応型発泡剤は、ヒドラジン水和物または水素化ホウ素塩を含み、
前記自己発泡剤は、炭酸水素塩を含むことを特徴とする請求項14に記載のエアロゲル材料の製造方法。
【請求項16】
前記乾燥は、直接乾燥および溶媒置換乾燥の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のエアロゲル材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機能性材料の技術分野に属し、具体的には溶媒の可塑化および発泡によるエアロゲル材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性発泡材料は、超軽量、絶縁性、断熱性、耐疲労性などの優れた性能を有するため、日常生活の中に広く応用されている。熱可塑性発泡技術は、主に高温下でポリマーの分子鎖をとくことによりガスを浸透させ、その後、低温定形によりガスによって生成したセル(気泡)をポリマーの内部に固定することにより、熱可塑性発泡材料を得る。しかし、現在の熱可塑性発泡技術は、ポリウレタン、ポリプロピレンなど、比較的低い温度で可塑化することができるポリマー材料にしか適用されていないが、炭素材料、無機材料、金属材料などでは、可塑化温度(最大3000℃)が非常に高いため、現在の熱可塑性技術では、このような材料に適用するために非常に多くのエネルギー消費を必要とする。
【0003】
エアロゲルは一般的に湿潤ゲルから特殊な乾燥方法で製造された低密度多孔質材料であり、最初のエアロゲルはKistlerから製造されたシリコーンエアロゲルであり、世界最小密度の固体であった。現在、エアロゲルには様々な種類があり、熱可塑性発泡技術を実現できないものは主に炭素材料、無機材料、金属材料などに集中しているが、現在、エアロゲルの製造技術は主に超臨界乾燥又は凍結乾燥の製造方法を採用して得られるものであり、その消費エネルギーは比較的高く、得られた構造は不安定であるため、大規模な産業化の応用につながっていない。
【0004】
背景技術の部分に開示された情報は、単に発明の全体的な背景の理解を高めることを意図したものであり、当該情報が当業者に周知の先行技術を構成することを認識し又は如何なる形であれ暗示するものとはみなされない。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、溶媒の可塑化および発泡によるエアロゲル材料の製造方法であり、主として溶媒の可塑化とインサイチュ気泡(In-Situ Bubble)の発生とを組み合わせてエアロゲル材料を得る方法を提供する。当該方法は既存の熱可塑性発泡とは異なり、溶液環境下で可塑剤が巨視的な組立材料に浸透し、組立材料内部の分子間作用力を低減し、発泡抵抗力も低減し、同時に、発泡剤に基づいてインサイチュ発泡を実現し、エアロゲル材料を得ることであり、非熱可塑性ポリマーの発泡の問題を解決する。
【0006】
本発明の別の目的は、溶媒の可塑化および発泡によるエアロゲル材料の製造方法であり、主として溶媒の可塑化とインサイチュ気泡の発生とを組み合わせてエアロゲル材料を得る方法を提供することである。当該方法は既存の熱可塑性発泡とは異なり、溶液環境下で可塑剤が巨視的な組立材料に浸透し、組立材料内部の分子間作用力を低減してインサイチュ発泡を行うことにより、分子レベルの構造制御を可能とし、ナノスケールに達することができ、エアロゲルの壁厚、孔径などのミクロ組成の制御が可能となった。
【0007】
本発明の別の目的は、溶媒の可塑化および発泡による多孔質エアロゲル材料の製造方法であり、主として溶媒の可塑化とインサイチュ気泡の発生とを組み合わせてエアロゲル材料を得る方法を提供することである。この方法は熱処理を必要とせず、エネルギー消費量を低減することができる。
【0008】
上述の目的のいずれかを達成する方法は、次のとおりである。
(1)発泡材料(発泡する材料)と発泡剤前駆体とを混合した後、マクロ材料に組み立て、得られたマクロ材料を可塑性溶液にいれて可塑化および発泡させ、可塑化および発泡後、乾燥し、エアロゲル材料を得る。
【0009】
又は、(2)発泡材料(発泡する材料)をマクロ材料に組み立て、得られたマクロ材料を発泡剤を含む可塑性溶液にいれて可塑化および発泡させ、可塑化と発泡後、乾燥し、エアロゲル材料を得る。
【0010】
方法(1)と方法(2)は実質的に同じであり、いずれも可塑化発泡を採用しているが、違いは発泡方式が異なることである。方法(1)において、組み立て前に発泡剤前駆体を混ぜて加えた後、可塑性溶液中で発泡を開始する。方法(2)において、組み立てが完了した材料をそのまま使用し、可塑性溶液中で発泡を開始する。
【0011】
前記可塑性溶液は、可塑剤または可塑剤を含む溶液である。従って、本明細書では、可塑剤を溶媒としてもよく、前記発泡開始剤と共に溶質としてもよい。
【0012】
前記可塑剤は、発泡材料(発泡する材料)の分子間作用力を低下させる物質であり、膜内部の分子間作用力を低下させる物質は、通常、材料と親和性のある物質である。例えば、以下が挙げられる。セルロースと極性溶剤(水、DMF、DMSOなど);銀ナノワイヤーと銀ナノワイヤーの表面張力を下げることができる界面活性剤(両者のHLB値は近い);Mxeneとジメチルピロリドン、ポリエチレングリコール;二硫化モリブデンとジメチルピロリドン、ポリエチレングリコール;グラフェンとジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、イソプロパノール、エタノールなどである。
【0013】
方法(1)において、発泡剤前駆体に発泡を開始させる方法は、以下を含むが、これらに限定されない
開始剤を加え、加熱する。ここで、前記開始剤は、前記発泡剤前駆体に、ガスの発生を開始させる。発泡開始剤と発泡剤前駆体との組み合わせは、炭酸塩と酸、水素化ホウ素ナトリウムと水などの任意の形態であってもよい。加熱方式で開始する場合には、添加する発泡剤前駆体は、加熱条件下でガスを発生し得る物質、例えば炭酸水素ナトリウムである。
【0014】
方法(2)には、発泡剤は、自己発泡剤と、反応型発泡剤とを含み、前記反応型発泡剤は、発泡材料(発泡する材料)と反応してガスを発生することが可能な発泡剤であり、前記自己発泡剤は、分解してガスを発生する発泡剤、例えば炭酸水素塩などである。
【0015】
上記方法において、前記乾燥は任意の形式を採用してもよく、例えば、直接乾燥、溶媒置換乾燥などの方式を採用して実現してもよい。いくつかの好ましい実施例では、エネルギー消費は、直接乾燥によって低減され得る。
【0016】
上記方法に基づいて、本発明はあらゆる材料の発泡に適し、特にグラフェン、二硫化モリブデン、Mxene、セルロース、銀ナノワイヤーなどの非熱可塑性ポリマーの発泡に適している。
【0017】
いくつかの好ましい実施例では、上記(1)または(2)の方法を用いてグラフェンエアロゲルを製造する。
【0018】
目的は、気体と液体との作用を利用してグラフェンベースの緻密な組立材料を発泡させ、高多孔質なグラフェンエアロゲル材料を得る。
【0019】
もう一つの目的は、気体と液体との作用を利用してグラフェンベースの緻密な組立材料を可塑化および発泡させ、極性溶液は、酸化グラフェンの層間作用力を低減し、発泡抵抗力を低減する。緻密なグラフェンベース材料は一般的に層同士が接触した構造であるため、発泡して得られたグラフェンエアロゲルの内部の孔は向き合って重なりつながっていることが多く、機械的特性に優れている。
【0020】
もう一つの目的は、液体可塑化発泡の手段を用いて、酸化グラフェンを利用して組み立てられた緻密なマクロ材料、例えば1次元の繊維、2次元の膜などを3次元の多孔質エアロゲル材料に変換する。得られたエアロゲルの形状及びパターンは制御可能であり、加工が容易であり、しかも得られたエアロゲルの構造を緻密なマクロ材料に依存させることができるため、一定の構造制御性があり、日常生活の中の各種領域、例えば遮音、断熱、減衰、吸着及び電磁シールドなどに用いることができる。
【0021】
上記の目的を実現するためには以下の技術的解決手段を採用する。
【0022】
方法(1):グラフェン多孔質エアロゲル材料は、酸化グラフェンと発泡剤前駆体とを混合して膜を形成した後、可塑性溶液中で可塑化および発泡させ、乾燥することにより得られる。
【0023】
前述したように、前記可塑性溶液中で発泡剤前駆体に発泡を開始させる方法は、開始剤を加えることおよび加熱することの少なくとも一方を含む。
【0024】
方法(2):酸化グラフェン層を積層して組み立てられたマクロ材料を、発泡剤を含有する可塑性溶液中で可塑化および発泡させ、乾燥させることによりグラフェン多孔質エアロゲル材料が得られる。
【0025】
前述したように、前記発泡剤は自己発泡剤と反応型発泡剤とを含み、前記反応型発泡剤は酸化グラフェンの酸素を含む官能基と反応してガスを発生することができる発泡剤であり、例えばヒドラジン水和物、水素化ホウ素塩である。前記自己発泡剤は、炭酸水素塩などの分解をしてガスを生成する発泡剤である。
【0026】
いくつかの好ましい実施例では、マクロ酸化グラフェン材料は、1umを超える大きさの酸化グラフェン層を用いて積層組立されて形成されてもよく、本出願に記載された方法により可塑化および発泡された後、より高い膨張比及びより良い構造的完全性を有する。
【0027】
このような平均サイズは1um以上であり、Hummers法及びHummers法などの方法を改良した方法を用いて製造することができる。
【0028】
一部の実施例では、得られたグラフェンエアロゲルを元のマクロ材料に比べて体積膨張倍数が10~800倍となるものにでき、遮音、断熱、減衰、吸着及び電磁シールドなどの分野において極めて大きな潜在的応用価値を有し得る。
【0029】
いくつかの好ましい実施例では、上記(1)または(2)の方法を用いて電磁シールド用グラフェンエアロゲルを製造する。これは、主に、大きいサイズの酸化グラフェンを組み立てて得られた膜を、可塑化液体を用いて発泡させて三次元多孔質エアロゲル材料に変えることで、得られたエアロゲルは、形状やパターンが制御可能であり、加工が容易であり、且つ高度に配向した層ごとの配列の構造であるため、電磁シールド分野に適し、優れたシールド効果を有し、また、エアロゲルの密度が極めて低く、マイクロナノデバイスの開発の統合の次の段階の可能性を提供した。
【0030】
具体的な方法は、以下である。
サイズが20umを超え、C/Oが2を超える酸化グラフェンを用いて膜を形成する。その後、発泡剤を含有する可塑性溶液に浸漬した後、可塑性溶液を揮発性溶剤に置換し、乾燥処理して揮発性溶剤を除去することにより、グラフェン多孔質材料を得る。高温アニール処理により欠陥密度を低減し、ID/IGが0.01~1になるようにしてグラフェン電磁シールド材料を得る。
【0031】
前述したように、前記可塑性溶液は、可塑剤または可塑剤を含む溶液である。可塑剤を溶媒として使用してもよく、前記発泡開始剤と共に溶質として使用してもよい。可塑剤は、水でもよく、有機溶媒でもよく、または水と有機溶媒との混合溶液であってもよい。
【0032】
前述したように、前記発泡剤はヒドラジン水和物、水素化ホウ素塩、炭酸水素塩などのガス生成可能な溶液であってもよい。
【0033】
前記高温アニール処理の温度範囲は500~3000℃である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、実施例1で得られた多孔質のMxenesエアロゲル材料である。
【
図2】
図2は、実施例2で得られた多孔質の二硫化モリブデンエアロゲル材料である。
【
図3】
図3は、実施例3で得られた多孔質のセルロースエアロゲル材料である。
【
図4】
図4は、実施例4で得られた多孔質のグラフェンエアロゲル材料である。
【
図5】
図5は、実施例5で得られた多孔質のグラフェンエアロゲル材料である。
【
図6】
図6は、実施例6で得られた多孔質のMxenesエアロゲル材料である。
【
図7】
図7は、実施例7で使用した緻密なマクロ酸化グラフェン膜材料及びそれによって得られたエアロゲル材料である。
【
図8】
図8は、実施例8で使用した緻密なマクロ酸化グラフェン膜材料及びそれによって得られたエアロゲル材料である。
【
図9】
図9は、実施形態12で得られた異なる形状のエアロゲルである。
【
図10】
図10は、実施例13で得られた超大型エアロゲルである。
【
図11】
図11は、実施例10で得られたエアロゲル材料の圧縮変形を変えた圧縮曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、実施例ともに本発明についてさらに説明する。しかしながら、本発明の保護範囲は、これに限定されない。
【0036】
実施例1
Mxenesの水懸濁液5mg/mlと炭酸水素ナトリウムとを均一に混合し(Mxenesと炭酸水素ナトリウムとの質量比は1:1),乾燥し膜を形成した後,10%の塩酸の中にいれて気泡を発生させ、1分後、
図1に示す、壁厚(Pore wall thickness)195nm、平均孔径100μm、密度11mg/cm
3の多孔質Mxenesエアロゲル材料を得た。
【0037】
実施例2
二硫化モリブデンの水懸濁液5mg/mlと炭酸水素ナトリウムとを均一に混合し(質量比は1:1)、乾燥し膜を形成後、10%の塩酸の中にいれてガス発泡を発生させ、5分後、
図2に示す、壁厚(Pore wall thickness)105nm、平均孔径87μm、密度15mg/cm
3の多孔質二硫化モリブデンエアロゲル材料を得た。
【0038】
実施例3
バクテリアセルロースの水懸濁液11mg/mlと炭酸ナトリウムとを均一に混合し(質量比は1:5),乾燥し膜を形成後,15%塩酸の中にいれてガス発泡を発生させ、1分後、
図3に示す、壁厚(Pore wall thickness)360nm、平均孔径230μm、密度35mg/cm
3の多孔質セルロースエアロゲル材料を得た。
【0039】
実施例4
酸化グラフェンの懸濁液8mg/mlと、これと同じ質量の硫酸とを均一に混合し、乾燥し膜を形成後、10%炭酸水素ナトリウム溶液にいれてガス発泡を発生させ、1分後、
図4に示す、壁厚(Pore wall thickness)50nm、平均孔径310μm、密度12mg/cm
3の多孔質グラフェンエアロゲル材料を得た。
【0040】
実施例5
酸化グラフェンの懸濁液8mg/mlと、これと同じ質量の硫酸とを均一に混合し、乾燥し膜を形成後、1%の水素化ホウ素ナトリウムとDMFとを含む水溶液にいれた。ここで、DMFと水との体積比は1:1である。ガス発泡を発生させ、10分後、
図5に示す、壁厚(Pore wall thickness)30nm、平均孔径350μm、密度11mg/cm
3の多孔質グラフェンエアロゲル材料を得た。
【0041】
実施例6
Mxenesの水懸濁液5mg/mlと炭酸水素ナトリウムとを均一に混合し(Mxenesと炭酸水素ナトリウムとの質量比は1:1),乾燥して膜を形成した後,水の中にいれ、摂氏40℃で加熱して気泡を発生させ、1分後、
図6に示す、壁厚(Pore wall thickness)207nm、平均孔径122μm、密度25mg/cm
3の多孔質Mxenesエアロゲル材料を得た。
【0042】
実施例7
5mg/mlの酸化グラフェン懸濁液(GO、「ハンヂョウ ガオシー テクノロジー カンパニー リミテッド」から購入、サイズ500~800nm)を用いて、ナイフコーティング法により、厚さ約20umの酸化グラフェン膜材料を製造し、これを円盤状に切った後、10wt%のヒドラジン水和物の水溶液にいれ、5分後、厚さ約8mmのグラフェンエアロゲルを得た。
【0043】
発泡させたグラフェンエアロゲルを水に浸漬し、15分間浸漬させ、発泡剤溶液を置換した後、常圧で乾燥し、揮発性溶剤を除去することにより、密度が約5mg/cm3のグラフェン多孔質エアロゲル材料を得た。
【0044】
圧縮試験機を用いて圧縮試験を行った。製造されたエアロゲルに、90%の圧縮ひずみが生じる圧縮を10000回行った。その後の残留応力は初期応力の85%であり、塑性変形は15%であることがわかった。
【0045】
実施例8
5mg/mlの酸化グラフェン懸濁液(GO、「ハンヂョウ ガオシー テクノロジー カンパニー リミテッド」から購入、サイズ50~100um)を用いて、湿式紡糸により、直径31.4umの酸化グラフェンの繊維材料を製造した。これを85wt%のヒドラジン水和物の水溶液にいれ、60分後、高度に絡み合ったグラフェン繊維エアロゲル材料が得られた。
【0046】
発泡させたグラフェンエアロゲルを揮発性溶媒ノルマルヘキサン(n‐hexane)に浸漬し、15分間浸漬させ、発泡剤溶液を置換した後、直接乾燥処理して揮発性溶剤を除去することにより、密度約3mg/cm3のグラフェン多孔質エアロゲル材料を得た。
【0047】
引張試験機を用いて引張試験を行った。製造されたエアロゲルの破断伸び率は6%前後であり、且つ5%のひずみで1000回繰り返し引張っても破断しないことがわかった。
【0048】
実施例9
-10℃の温度環境下で、過マンガン酸カリウム5gを、速い速度で攪拌されている濃硫酸40mlに、ゆっくりと添加し、十分に溶解させた後、粒度300umのグラファイト1gを加え、60回転/分の速度で、2時間、ゆっくりと攪拌した後、攪拌を止め、低温(10℃)で18時間反応させ、広い分子量分布を有する酸化グラファイト(酸化黒鉛)の結晶を得た。反応液を濃硫酸で希釈し、目開きが150μmのチタン合金メッシュを用いて酸化グラファイトの結晶を取り出し(反応液を回収)、さらに、取り出したものの体積の10倍の氷水であって速い速度で攪拌されている氷水にゆっくりと注ぎ、2時間静置し、H2O2をゆっくりと加え、反応過程での余分な過マンガン酸カリウムを除去し、綿状の酸化グラファイトがなくなるまで適量の塩酸を添加し、チタン合金メッシュを用いて酸化グラファイトの結晶片を取り出した。シェーカー(振とう器)でゆっくりと振動、洗浄することにより、破片のない超大型の酸化グラフェンが得られた。平均サイズは10umであり、分布係数は0.5、C/Oは1.7であった。
【0049】
10mg/mlの酸化グラフェン懸濁液を準備し、吸引濾過(suction filtration)法を用いて厚さ約20umの酸化グラフェン不織布を製造した。酸化グラフェン不織布を100mg/mlの炭酸水素アンモニウム水溶液中にいれ、摂氏60℃で20分間反応させることにより、高さ約7mmのグラフェンエアロゲル材料を得た。
【0050】
発泡させたグラフェンエアロゲルを揮発性溶剤シクロヘキサンに15分間浸漬し、発泡剤溶液を置換した後、直接乾燥処理して揮発性溶剤を除去し、密度約2.4mg/cm3のグラフェン多孔質エアロゲル材料を得た。
【0051】
圧縮試験機を用いて圧縮試験を行った。製造されたエアロゲルに、90%の圧縮ひずみが生じる圧縮を50000回行った。その後の残留応力は初期応力の95%であり、塑性変形は5%であることがわかった。
【0052】
実施例10
-10℃の温度環境下で、過マンガン酸カリウム5gを、速い速度で攪拌されている濃硫酸30mlに、ゆっくりと添加し、十分に溶解させた後、粒度2mmのグラファイト1gを加え、60回転/分の速度で、2時間、ゆっくりと攪拌した後、攪拌を止め、低温(20℃)で48時間反応させ、広い分子量分布を有する酸化グラファイトの結晶を得た。反応液を濃硫酸で希釈し、目開きが150μmのチタン合金メッシュを用いて酸化グラファイトの結晶を取り出し(反応液を回収)、さらに、取り出したものの体積の10倍の氷水であって速い速度で攪拌されている氷水にゆっくりと注ぎ、2時間静置して、H2O2をゆっくりと加え、反応過程での余分な過マンガン酸カリウムを除去し、綿状の酸化グラファイトがなくなるまで適量の塩酸を添加し、チタン合金メッシュを用いて酸化グラファイト片を取り出した。シェーカー(振とう器)でゆっくりと振動、洗浄することにより、破片のない超大型の酸化グラフェンが得られた。得られた酸化グラフェンを測定した。平均サイズは108um、分布係数は0.2、C/Oは3.1であった。
【0053】
10mg/mlの酸化グラフェン懸濁液を準備し、ナイフコーティング法により、厚さ約20umの酸化グラフェン膜材料を製造した。酸化グラフェン膜材料を10mg/mlの水素化ホウ素ナトリウム水溶液中にいれ、20分後、高さ約6.5mmのグラフェンエアロゲル材料を得た。
【0054】
発泡させたグラフェンエアロゲルを揮発性溶剤のアセトンに15分間浸漬させ、発泡剤溶液を置換した後、直接乾燥処理して揮発性溶剤を除去し、密度約5.9mg/cm3のグラフェン多孔質エアロゲル材料を得た。
【0055】
圧縮試験機で圧縮試験を行った。製造されたエアロゲルに、90%の圧縮ひずみが生じる圧縮を10000回行った。その後の残留応力は初期応力の98%であり、塑性変形は2%であることがわかった。
【0056】
実施例11
-10℃の温度環境下で、過マンガン酸カリウム5gを、速い速度で攪拌されている濃硫酸30mlに、ゆっくりと添加し、十分に溶解させた後、粒度2mmのグラファイト1gを加え、60回転/分の速度で2時間、ゆっくりと攪拌した後、攪拌を止め、20℃で6時間反応させ、酸化グラフェンを得た。測定したところ、平均サイズは47um、分布係数は0.5、C/Oは4.2であった。
【0057】
10mg/mlの酸化グラフェン懸濁液を準備し、ナイフコーティング法により厚さ約20umの酸化グラフェン膜材料を準備した。
【0058】
水とジメチルホルムアミドとの体積比が1:1の混合溶液に、水素化ホウ素ナトリウムを質量体積比80mg/mlで加え、発泡剤溶液を得た。
【0059】
酸化グラフェン膜材料を発泡剤の溶液中にいれた。20分後、高さ約6.5mmのグラフェンエアロゲル材料が得られた。
【0060】
発泡させたグラフェンエアロゲルを直接乾燥処理し、揮発性溶剤を除去し、密度約5.9mg/cm3のグラフェン多孔質エアロゲル材料を得た。
【0061】
圧縮試験機で圧縮試験を行った。製造されたエアロゲルに、90%の圧縮ひずみが生じる圧縮を10000回行った。その後の残留応力は初期応力の97%であり、塑性変形は3%であることがわかった。
【0062】
実施例12
実施例7と同じ材料を使用し、同じ方法を実施した。実施例7と異なる点は、酸化グラフェン膜材料をウサギ、クマ、イルカのような異なる形状に切り、液体発泡後、特殊な形状を有する高多孔質のエアロゲル材料を得たことと、この密度が約5-6mg/cm3であったことである。
【0063】
実施例13
実施例7と同じ材料を使用し、同じ方法を実施した。実施例7と異なる点は、サイズが25×25cmの酸化グラフェン膜材料を製造し、液体発泡後、大きなサイズの高多孔質グラフェンエアロゲル材料を得たことと、この密度が約5mg/cm3であったことである。このことから、本出願の可塑化発泡方法は、大規模生産に適していることが分かる。
【0064】
実施例14
20~30umのサイズに分布し、C/Oが2.5であり、濃度が5mg/mlの酸化グラフェンの懸濁液(「ハンヂョウ ガオシー テクノロジー カンパニー リミテッド」から購入)を用いて、ナイフコーティング法により、厚さ約20umの酸化グラフェン膜材料を製造し、これを円盤状に切った後、85%のヒドラジン水和物の溶液にいれ、1時間後に高さ約8.1mmのグラフェンエアロゲルを得た。発泡剤溶液をエタノールで置換し、60℃で乾燥処理してエタノールを除去し、1600℃で1時間高温処理し、密度3mg/cm3のグラフェンエアロゲルが得られた。このID/IGは0.2であり、5mmでの電磁波のシールド性能は110dBであった。
【0065】
実施例15
80-100umのサイズに分布し、C/Oが2.35であり、濃度が10mg/mlの酸化グラフェンの懸濁液(「ハンヂョウ ガオシー テクノロジー カンパニー リミテッド」から購入)を用いて、ナイフコーティング法により、厚さ約50umの酸化グラフェン膜材料を製造し、これを円盤状に切った後、100mg/mの炭酸水素アンモニウム水溶液にいれた。しばらくすると、高さ約12.6mmのグラフェンエアロゲル材料が得られた。発泡剤の溶液をイソプロパノールで置換し、60℃で乾燥処理してイソプロパノールを除去し、1600℃で1時間高温処理したところ、密度5mg/cm3のグラフェンエアロゲルが得られた。このID/IGは0.15であり、5mmでの電磁波のシールド性能は70dBであった。
【0066】
実施例16
100-200umのサイズに分布し、C/Oが2.14であり、濃度が10mg/mlの酸化グラフェンの懸濁液(「ハンヂョウ ガオシー テクノロジー カンパニー リミテッド」から購入)を用いて、吸引濾過法により、厚さ約30umの酸化グラフェン膜材料を製造した。これを円盤状に切った後、100mg/mlの炭酸水素アンモニウム水溶液にいれた。しばらくすると、高さ約8.5mmのグラフェンエアロゲル材料が得られた。発泡剤の溶液をイソプロパノールで置換し、60℃で乾燥処理してイソプロパノールを除去し、1000℃で1時間高温処理したところ、密度5.3mg/cm3のグラフェンエアロゲルが得られた。このID/IGは0.1であり、5mmでの電磁波のシールド性能は102dBであった。
【0067】
比較例1
20~30umのサイズに分布し、C/Oが2.5であり、濃度が5mg/mlの酸化グラフェンの懸濁液(「ハンヂョウ ガオシー テクノロジー カンパニー リミテッド」から購入)を用いて、ナイフコーティング法により、厚さ約20umの酸化グラフェン膜材料を製造した。これを円盤状に切った後(実施例14と同様)、酸化グラフェン膜材料を、1600℃で、1時間、直接高温処理し、密度100mg/cm3のグラフェンの多孔質膜材料が得られた。このID/IGは0.2であり、電磁波のシールド性能はわずか20dBであった。
【0068】
比較例2
80-100umのサイズに分布し、C/Oが2.35であり、濃度が10mg/mlの酸化グラフェンの懸濁液(「ハンヂョウ ガオシー テクノロジー カンパニー リミテッド」から購入)に炭酸水素アンモニウムを混ぜたものを用いて、ナイフコーティング法により、厚さ約50umの酸化グラフェン膜材料を製造した。これを円盤状に切った後、200℃の温度下で炭酸水素アンモニウムを分解させてグラフェン膜を発泡させ、発泡材料を得た。この発泡材料は、多数の連続していない孔を有する。
【国際調査報告】