(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】外科用締結装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
A61B17/00 600
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539051
(86)(22)【出願日】2020-01-03
(85)【翻訳文提出日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 IB2020000017
(87)【国際公開番号】W WO2020141458
(87)【国際公開日】2020-07-09
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】514152107
【氏名又は名称】ヴィーア サージカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レヴィン、オフェク
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ、アリエ
(72)【発明者】
【氏名】レヴィン、レーナ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160MM53
(57)【要約】
組織内の制御された特定の深さまで外科用締結具を送出して、締結具を閉じた状態にロックし、安全で信頼性の高い取り付けをもたらすための装置及び方法。装置は、ハンドルを伴う本体であって、該本体からトリガが延在する本体と、本体から延在するシャフトと、シャフトの遠位端部にある送出チップと、シャフト内に配置される駆動部材と、送出チップに保持される尖端、鉤状部、又は、鋭利なエッジを伴わない締結具とを含む。締結具は、所定の深さに挿入されて閉ループ状態へとロックする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位部及び遠位端部を備えるシャフトと、
前記シャフトの前記遠位端部にある位置決め可能な送出チップであって、前記シャフトの軸に沿って実質的に延在する第1の位置と前記シャフトの前記軸から離れるように角度付けられる第2の位置とに位置決め可能な送出チップと、
前記シャフト内に配置される駆動部材と、
前記送出チップに保持される締結具であって、受け入れ端部と反対側の端部とを伴う延在本体を有する、締結具と、
を備え、
前記駆動部材は、
送出チップの遠位端部に向かって戻る経路に沿って、前記締結具の前記受け入れ端部を前記送出チップから押し出し、
前記送出チップの前記遠位端部に向けて前記反対側の端部を前記受け入れ端部に押し込んで、前記締結具を閉鎖締結具の状態へと形成し、
前記閉鎖締結具から解放する、
ように動作できる、外科用締結装置。
【請求項2】
前記シャフトの前記近位部に接続される本体を更に備え、前記本体は、ハンドルを備えるとともに、前記本体から延在するトリガを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記トリガの操作により、前記駆動部材は、前記閉鎖締結具が解放された後に、前記シャフト内へと引き込み、第2の締結具と係合する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記受け入れ端部が前記送出チップ内に戻った時点で、前記反対側の端部を前記送出チップに沿ってその遠位端部へと押すようになっている少なくとも1つの内部駆動部材を更に備える、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記送出チップは、前記シャフトに対して、前記第1の位置と前記第2の位置との間で回転可能である、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記送出チップは、外部拘束力が加えられるときに前記第1の位置にある、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記装置がトラカール内にあるときに、前記送出チップが前記第1の位置にあり、前記装置が前記トラカールから抜け出るときに、前記送出チップが前記第2の位置をとる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記送出チップは、前記シャフトから突出するとともに、出口ポートを伴って成る組織対向面を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記締結具は、少なくとも部分的にガイドスロット内で前記送出チップに保持される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記送出チップは、前記第2の位置にあるときに前記シャフトの前記軸と前記組織対向面とが鋭角を成すべく前記シャフトから離れるように付勢される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記駆動部材は、該駆動部材を湾曲形状へと付勢する形状記憶材料を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記駆動部材が前記シャフト内に配置されると、前記駆動押圧部材が前記シャフトによって直線形状へと拘束される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記駆動部材は、組織を穿通するようになっている少なくとも1つの鋭利なチップを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記駆動部材は、前記締結具の前記受け入れ端部と係合するようになっている少なくとも1つのフックを更に備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記締結具の前記反対側の端部が鉤状部又は鋭利なエッジを備えず、前記受け入れ端部がループとして成形される、請求項2に記載の装置。
【請求項16】
前記シャフトは、少なくとも15cmの長さLを有するとともに、1.55cm未満の直径Dを有する、請求項2に記載の装置。
【請求項17】
前記送出チップは、拘束されないときに、前記第2の位置をとるとともに、前記シャフトの前記軸に向けて屈曲可能である、請求項2に記載の装置。
【請求項18】
前記シャフトと共に配置される複数の更なる締結具を更に備え、前記トリガのそれぞれの操作が、単一の締結具を送出するとともに、前記更なる締結具を前記送出チップに向けて前進させる、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記締結具は、前記送出チップから延在する他の部材を伴うことなく、前記駆動部材のみを通じて前記閉鎖締結具の状態へと形成される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記締結具の前記反対側の端部を前記締結具の前記受け入れ端部と係合するべく前記送出チップを通じて所定位置に押し込んで閉鎖締結具を形成するように動作可能な少なくとも1つの内部駆動部材を更に備える、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
近位部及び遠位端部を備える延在シャフトと、
前記シャフトの遠位端部にある送出チップであって、該送出チップが、前記シャフトから突出するとともに、出口ポートを伴って成る組織対向面を有し、前記シャフトの軸と前記組織対向面とが鋭角を成すべく前記送出チップが前記シャフトから離れるように付勢され、前記送出チップが前記シャフトの軸に向けて屈曲可能であり、前記シャフトを貫通して延在する送出スロットの遠位端部に前記出口ポートがある、送出チップと、
前記シャフト内に配置される駆動部材と、
前記出口ポートと空間的に連通するガイドスロット内で少なくとも部分的に送出チップに保持される少なくとも1つの締結具であって、該締結具が反対側の端部と受け入れ端部とを伴う延在本体を有し、前記反対側の端部が、少なくとも1つの係合構成と、押圧部材の遠位チップと係合される押圧可能面とを備え、前記受け入れ端部が、開口と開口に張り出すリップとを伴うボウルを画定する、締結具と、
を備え、
トリガの操作により、前記駆動部材は、
前記締結具の前記受け入れ端部を、前記送出チップへ向けて戻る経路に沿って、前記送出チップから押し出し、
前記反対側の端部が、前記送出チップの前記遠位端部に向けて前記締結具の受け入れ端部内へと押し込まれ、それにより、前記締結具を閉鎖締結具の状態へと形成し、
前記閉鎖締結具を解放する、
外科用締結装置。
【請求項22】
前記シャフトの前記近位部に取り付けられる本体であって、該本体からハンドルが延在する、本体と、前記ハンドル上のトリガとを更に備える、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記反対側の端部の前記係合構成は、前記締結具を前記閉鎖締結具の状態へと形成するべく前記ボウルによって捕捉される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記トリガの操作により、前記駆動部材は、前記閉鎖締結具が解放された後に、前記シャフト内へと引き込み、第2の締結具と係合する、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記送出チップは、前記シャフトの軸にほぼ沿って延在する直線位置へと変形可能であるとともに、トラカールを通過する間、前記トラカールによって前記直線位置に保持され得る、請求項22に記載の装置。
【請求項26】
前記駆動部材は、該駆動部材を湾曲形状へと付勢する形状記憶材料を備える、請求項22に記載の装置。
【請求項27】
前記駆動部材が前記シャフト内に配置されると、前記駆動押圧部材が前記シャフトによって直線形状へと拘束される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記締結具の前記反対側の端部の前記係合構成が鉤状部又は鋭利なエッジを備えない、請求項22に記載の装置。
【請求項29】
前記シャフトは、少なくとも15cmの長さLを有するとともに、1.55cm未満の直径Dを有する、請求項22に記載の装置。
【請求項30】
前記送出チップが前記シャフトの前記軸に向けて屈曲されるときに、前記シャフトの前記遠位端部が約1.5cm未満の直径を有するトラカールに挿通嵌合する、請求項22に記載の装置。
【請求項31】
前記シャフトが複数の締結具を支持し、前記装置が前記締結具を送出するときに、前記駆動部材は、前記複数の締結具のうちの次の締結具と係合し、前記複数の締結具のうちの前記次の締結具を前記送出チップ内へと移動させる、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
外科用締結装置において、
手術部位に挿入するように寸法付けられる延在シャフトと、
前記シャフトの遠位端部にある送出チップであって、該送出チップが、自然状態では前記シャフトの軸から離れるように角度付けられるデフォルト形態にあるとともに、前記シャフトと一直線に合わせられる第2の形態に適合可能である、送出チップと、
前記シャフト内に配置される駆動部材と、
前記送出チップに保持される締結具であって、受け入れ端部と係合端部とを伴う延在本体を有する、締結具と、
を備え、
前記装置は、前記駆動部材を介して、前記締結具の前記受け入れ端部を、前記送出チップの前記遠位端部に向けて戻る経路に沿って前記送出チップから押し出し、前記係合端部を前記送出チップの前記遠位端部に向けて前記受け入れ端部に押し込んで前記締結具を閉鎖締結具の状態へと形成するとともに、前記閉鎖締結具から解放するように動作可能である、
外科用締結装置。
【請求項33】
前記受け入れ端部が開ループを備え、前記係合端部は、該係合端部が前記受け入れ端部に押し込まれるときに前記開ループによって捕捉される幅広部を備える、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
ハンドルを備える本体であって、該本体から延在するトリガを有する本体を更に備え、延在シャフトが前記本体から延在する、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記トリガの操作により、前記駆動部材は、前記閉鎖締結具が解放された後に、元の前記シャフト内へと引き込み、第2の締結具と係合する、請求項32に記載の装置。
【請求項36】
前記装置がトラカール内にあるときに、前記送出チップが前記第2の形態にあり、前記装置が前記トラカールから抜け出るときに、前記送出チップが前記デフォルト形態をとる、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記組織対向面を組織に当て付けて配置し、前記装置を操作することにより、前記閉鎖締結具が組織の表面を横切って幅Wに及んで組織内の深さHまで穿通するように、前記駆動部材が前記受け入れ端部を組織に押し通して組織の外側の前記締結具の前記係合端部に押し当てる、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記シャフトは、少なくとも15cmの長さLを有するとともに、1.55cm未満の直径Dを有する、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
L≧25cm及びD≦10mmである、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
H<D<Wである、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記駆動部材は、組織を穿通するようになっている少なくとも1つの鋭利なチップを備える、請求項32に記載の装置。
【請求項42】
前記駆動部材は、前記締結具の前記受け入れ端部と係合するようになっている少なくとも1つのフックを更に備え、前記フックは、前記締結具の前記受け入れ端部を握持するようになっており、前記締結具の前記受け入れ端部は、前記フックと前記駆動部材の前記鋭利なチップとによって取り囲まれる、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記係合端部がいかなる尖端又は鉤状部も有さない、請求項32に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、参照により本願に組み入れられる、2019年1月4日に出願された米国仮出願第62/788,359号の優先権を主張する。
【0002】
外科用締結装置、外科用締結具、及び、外科的方法。
【背景技術】
【0003】
脱出は、子宮などの器官が所定の位置から脱落する又は滑脱する医学的状態である。例えば、骨盤内器官脱出は、子宮を保持する結合組織の緩みを伴い、この緩みにより、子宮が膣内へと下降し得る。50歳を超える全女性の半数が症候性脱出を経験し得ると推定される。脱出の医療上の影響は、老年人口に基づいて拡大する可能性がある。脱出の外科的修復術は、70歳を超える女性において行なわれる最も一般的な手技のうちの1つであった。
【0004】
腹腔鏡下仙骨膣固定術は、骨盤内器官脱出を修復するための外科的技術であり、この技術では、予め成形された一片のメッシュが腹部に挿入され、そのメッシュの一端が膣組織に取り付けられるとともに、メッシュの他端が仙骨岬角の後部に取り付けられ、それにより、膣を持ち上げて、脱出を防止する。縫合による膣壁に対するメッシュの取り付けは、膣壁内への特定の深さに対する縫合糸の挿入を必要とするため、困難である。縫合糸は、確実な取り付けを行なわなければならないが、重大な合併症を引き起こす可能性があるため、膣壁を通過してはならない。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、組織内の制御された特定の深さまで外科用締結具を送出して、締結具を閉じた状態にロックし、安全で信頼性の高い取り付けをもたらすための装置及び方法を提供する。本発明の締結具は、鉤状部、尖端、或いは、同様の外傷性エッジ又は特徴を有しておらず、代わりに、非外傷性締結具を組織内へ送出するための穿刺機能を与える送出装置が提供される。本発明の装置及び締結具は、メッシュを組織に固定するために使用することができ、したがって、骨盤内器官脱出などの脱出状態を処置するための仙骨膣固定術手技で使用することができる。外科用締結装置は、メッシュを通じて膣壁内へと個々の締結具を自動的に適用する。縫合糸は、所定の深さへと挿入され、それにより、膣壁を刺通するリスクが最小限に抑えられるとともに、信頼できる取り付けがもたらされる。装置は個々の締結具を閉ループ状態にロックするため、結び目を作る必要がなく、したがって、この開示の装置及び方法は、そのような手技を実行するのに必要な時間及び技能を低減する。手技を他の方法よりも容易且つ迅速に行なうことができるため、手技がより安価であり、したがって、より幅広く利用可能である。本発明の装置は、より多くの人々を処置して脱出状態の苦痛を軽減することを可能にする。
【0006】
本明細書に記載の外科用締結装置及び締結具は、骨盤内器官脱出(POP)のための腹腔鏡下仙骨膣固定術などの外科的手技に利益及び利点を与える。例えば、締結具をシャフト直径よりも幅広くすることができるため、締結具は、幅が腹腔鏡器具の5mm直径に限定されない。浅い深さまでしか穿通しない締結具であっても、それらの締結具を幅広くすることができる(例えば、穿通深さよりも幅広い)。広い幅は、メッシュを組織に確実に固定することに寄与する。
【0007】
更に、装置は、組織又は装置のシャフトに対して角度付けられるチップを有する。このことは、装置シャフトが標的組織表面に向かって真っ直ぐに向く必要がなく、締結具がシャフトのチップの側面へとやや向けて締結具を展開できることを意味する。これは、多くの手技において好都合であることが分かり得る。
【0008】
幾つかの用途にとって重要である非常に小さな深さにのみ締結具を適用するために装置を使用できる。装置は、組織対向面から鋭角に延在して組織対向面に戻るように湾曲する駆動部材を含むため、穿通深さを非常に浅くすることができる。鋭角は、5°~60°となり得ることが好ましい。締結具の閉ループは、幅広く、したがって強い、組織を横切る幅に及ぶことができる。実際に、幅は、装置のシャフトの直径よりも幅広くなり得る。非常に浅い穿通深さは、締結具が膣壁を通過することなく確実な取り付けを行なわなければならない腹腔鏡下仙骨膣固定術などの用途において重要である。
【0009】
更に、本明細書中に開示される締結具は、組織中へ突入する鋭利なエッジを有さない。そのような鋭利なエッジは、さもなければ神経及び組織を刺激し得る。開示された締結具は、閉じられると、材料の滑らかなボウル内に全ての尖端又は鉤状部を収容し、周囲組織に滑らかな表面のみを与える。
【0010】
外科用締結装置は、組織対向面から鋭角に延在して組織対向面に湾曲して戻る駆動部材を含む。駆動部材は、ニチノールなどの超弾性材料から形成される。そのような材料は、腹腔鏡下仙骨膣固定術などの手技にとって有用且つ有益な浅い、広い、エッジのない形態で締結具を締結できるようにするのに必要な強度及び形状を駆動部材に与えるため有利である。
【0011】
本開示の態様は、近位部及び遠位端部を備えるシャフトと、シャフトの遠位端部にある位置決め可能な送出チップであって、シャフトの軸に沿って実質的に延在する第1の位置とシャフトの軸から離れるように角度付けられる第2の位置とに位置決め可能な送出チップと、シャフト内に配置される駆動部材と、送出チップに保持される締結具であって、受け入れ端部と反対側の端部とを伴う延在本体を有する、締結具とを備え、駆動部材が、送出チップの遠位端部に向かって戻る経路に沿って、締結具の受け入れ端部を送出チップから押し出し、送出チップの遠位端部に向けて反対側の端部を受け入れ端部に押し付けて締結具を閉鎖締結具の状態へと形成し、閉鎖締結具から解放するように動作できる、外科用締結装置を提供する。装置は、シャフトの近位部に接続される本体を含んでもよく、本体は、ハンドルを備えるとともに、本体から延在するトリガを有する。好ましくは、トリガの操作によって、駆動部材は、閉鎖締結具が解放された後にシャフト内へ引き込んで第2の締結具と係合する。装置は、前記受け入れ端部が送出チップ内に戻った時点で、前記反対側の端部を送出チップに沿ってその遠位端部へと押すようになっている少なくとも1つの内部駆動部材を含んでもよい。好ましくは、送出チップは、シャフトに対して、第1の位置と第2の位置との間で回転可能である。所望により、送出チップは、外部拘束力が加えられるときに前記第1の位置にある。幾つかの実施形態では、装置がトラカール内にあるときに、送出チップが前記第1の位置にあり、前記装置が前記トラカールから抜け出るときに、送出チップが第2の位置をとる。好ましくは、送出チップは、シャフトから突出し、出口ポートを伴う組織対向面を有する。締結具は、少なくとも部分的にガイドスロット内で送出チップに保持されてもよい。送出チップは、第2の位置にあるときにシャフトの軸と組織対向面とが鋭角を成すべくシャフトから離れるように付勢されることが好ましい。駆動部材は、該駆動部材を湾曲形状へと付勢する形状記憶材料を含んでもよい。所望により、駆動部材が前記シャフト内に配置され、駆動押圧部材がシャフトによって直線形状へと拘束される。特定の実施形態において、駆動部材は、組織を穿通するようになっている少なくとも1つの鋭利なチップを備える。駆動部材は、前記締結具の受け入れ端部と係合するようになっている少なくとも1つのフックを更に備えてもよい。特定の実施形態では、締結具の反対側の端部が鉤状部又は鋭利なエッジを備えず、受け入れ端部がループとして成形される。幾つかの実施形態において、シャフトは、少なくとも15cmの長さLを有するとともに、1.55cm未満の直径Dを有する。好ましくは、送出チップは、拘束されないときに、第2の位置をとるとともに、シャフトの軸に向けて屈曲可能である。より好ましくは、装置は、シャフトと共に配置される複数の更なる締結具を更に含み、この場合、トリガのそれぞれの操作が、単一の締結具を送出するとともに、更なる締結具を送出チップに向けて前進させる。好ましくは、締結具は、送出チップから延在する他の部材を伴うことなく、駆動部材のみを通じて閉鎖締結具の状態へと形成される。装置は、前記締結具の反対側の端部を前記締結具の受け入れ端部と係合するべく送出チップを通じて所定位置に押し込んで閉鎖締結具を形成するように動作可能な少なくとも1つの内部駆動部材を含んでもよい。
【0012】
本開示の特定の態様は、近位部及び遠位端部を備える延在シャフトと、シャフトの遠位端部にある送出チップであって、該送出チップが、シャフトから突出するとともに、出口ポートを伴って成る組織対向面を有し、シャフトの軸と組織対向面とが鋭角を成すべく送出チップがシャフトから離れるように付勢され、送出チップがシャフトの軸に向けて屈曲可能であり、シャフトを貫通して延在する送出スロットの遠位端部に出口ポートがある、送出チップと、シャフト内に配置される駆動部材と、出口ポートと空間的に連通するガイドスロット内で少なくとも部分的に送出チップに保持される少なくとも1つの締結具であって、該締結具が反対側の端部と受け入れ端部とを伴う延在本体を有し、反対側の端部が、少なくとも1つの係合構成と、押圧部材の遠位チップと係合される押圧可能面とを備え、受け入れ端部が、開口と開口に張り出すリップとを伴うボウルを画定する、締結具とを含み、トリガの操作により、駆動部材は、締結具の受け入れ端部を、送出チップへ向けて戻る経路に沿って、送出チップから押し出し、反対側の端部が、送出チップの遠位端部に向けて締結具の受け入れ端部内へと押し込まれ、それにより、締結具を閉鎖締結具の状態へと形成し、閉鎖締結具を解放する、外科用締結装置を提供する。装置は、シャフトの近位部に取り付けられる本体であって、該本体からハンドルが延在する、本体と、ハンドル上のトリガとを含んでもよい。幾つかの実施形態において、反対側の端部の係合構成は、締結具を閉鎖締結具の状態へと形成するべくボウルによって捕捉される。好ましくは、トリガの操作によって、駆動部材は、閉鎖締結具が解放された後にシャフト内へ引き込んで第2の締結具と係合する。最も好ましくは、送出チップは、シャフトの軸にほぼ沿って延在する直線位置へと変形可能であるとともに、トラカールを通過する間、トラカールによって直線位置に保持され得る。幾つかの実施形態において、駆動部材は、該駆動部材を湾曲形状へと付勢する形状記憶材料を備える。駆動部材がシャフト内に配置されてもよく、また、駆動押圧部材がシャフトによって直線形状へと拘束される。締結具の反対側の端部の係合構成が鉤状部又は鋭利なエッジを有さなくてもよい。幾つかの実施形態において、シャフトは、少なくとも15cmの長さLを有するとともに、1.55cm未満の直径Dを有する。好ましくは、送出チップがシャフトの軸に向けて屈曲されるときに、シャフトの遠位端部が約1.5cm未満の直径を有するトラカールに挿通嵌合する。好ましくは、シャフトが複数の締結具を支持し、また、装置が締結具を送出するときに、駆動部材は、複数の締結具のうちの次の締結具と係合し、複数の締結具のうちの次の締結具を送出チップ内へと移動させる。
【0013】
本開示の他の態様は、外科用締結装置において、手術部位に挿入するように寸法付けられる延在シャフトと、シャフトの遠位端部にある送出チップであって、該送出チップが、自然状態ではシャフトの軸から離れるように角度付けられるデフォルト形態にあるとともに、前記シャフトと一直線に合わせられる第2の形態に適合可能である、送出チップと、シャフト内に配置される駆動部材と、送出チップに保持される締結具であって、受け入れ端部と係合端部とを伴う延在本体を有する、締結具とを備え、装置が、駆動部材を介して、締結具の受け入れ端部を、送出チップの遠位端部に向けて戻る経路に沿って送出チップから押し出し、係合端部を送出チップの遠位端部に向けて受け入れ端部に押し込んで締結具を閉鎖締結具の状態へと形成するとともに、閉鎖締結具から解放するように動作可能である、外科用締結装置を提供する。好ましくは、係合端部がいかなる尖端又は鉤状部も有さない。幾つかの実施形態では、受け入れ端部が開ループを備え、係合端部は、該係合端部が受け入れ端部に押し込まれるときに開ループによって捕捉される幅広部を備える。装置は、ハンドルを備える本体であって、該本体から延在するトリガを有する本体を含んでもよく、延在シャフトが本体から延在する。トリガの操作によって、駆動部材は、閉鎖締結具が解放された後にシャフト内へ引き込んで第2の締結具と係合してもよい。好ましくは、前記装置がトラカール内にあるときに、送出チップが前記第2の形態にあり、前記装置が前記トラカールから抜け出るときに、送出チップがデフォルト形態をとる。幾つかの実施形態では、組織対向面を組織に当て付けて配置し、装置を操作することにより、閉鎖締結具が組織の表面を横切って幅Wに及んで組織内の深さHまで穿通するように、駆動部材が受け入れ端部を組織に押し通して組織の外側の締結具の係合端部に押し当てる。例えば、シャフトは、少なくとも15cmの長さL及び1.55cm未満の直径Dを有してもよい(例えば、L≧25cm及びD≦10mm、より好ましくはH<D<W)。所望により、駆動部材が組織を穿通するようになっている少なくとも1つの鋭利なチップを備える。駆動部材は、前記締結具の受け入れ端部と係合するようになっている少なくとも1つのフックを更に備えてもよく、フックは、前記締結具の受け入れ端部を握持するようになっており、前記締結具の受け入れ端部は、前記フックと駆動部材の前記鋭利なチップとによって取り囲まれる。
【0014】
特定の態様では、本発明は外科用締結装置を提供する。装置は、ハンドルを伴う本体であって、該本体からトリガが延在する本体と、本体から延在するシャフトと、シャフトの遠位端部にある送出チップと、シャフト内に配置される駆動部材と、送出チップに保持される締結具とを含む。締結具は、鉤状端部及び受け入れ端部を伴う延在本体を有する。トリガの操作により、駆動部材は、締結具の鉤状端部を送出チップの組織対向面から湾曲経路に沿って押して組織対向面へと戻し、受け入れ端部内へと押し込み、それにより、締結具を閉鎖締結具の状態へと形成して、閉鎖締結具から解放するとともに、シャフト内へと引き込んで、第2の締結具と係合する。好ましくは、単一の駆動部材のみが送出チップから延在して締結具を締結する。送出チップは、シャフトから突出し、出口ポートを伴う組織対向面を有してもよい。締結具は、少なくとも部分的に出口ポートと空間的に連通するガイドスロット内で送出チップに保持される。好ましくは、送出チップは、シャフトの軸と組織対向面とが鋭角を成すべくシャフトから離れるように付勢される。
【0015】
駆動部材は、該駆動部材を湾曲形状へと付勢する形状記憶材料を備える。駆動部材がシャフト内に配置されると、駆動部材がシャフトによって直線形状へと拘束される。幾つかの実施形態において、締結具の鉤状端部は、1又は複数の鉤状部と、例えば出口ポートで終端する送出スロット内に配置される、駆動部材の遠位チップと係合される押圧可能面とを含む。締結具の受け入れ端部は、開口と、開口に張り出すリップとを伴うボウルを画定してもよい。受け入れ端部は、送出チップ内のガイドスロットの遠位端部内に送出するように配置されてもよい。特定の実施形態において、出口ポートは、送出スロットの遠位端部を取り囲むとともに、ガイドスロットの遠位端部と空間的に連通している。
【0016】
トリガを操作することにより、駆動部材は、締結具の鉤状端部を、送出スロットの遠位端部から、ガイドスロットの遠位端部へと向かう湾曲経路に沿って、1又は複数の鉤状部が受け入れ端部のボウルのリップと係合されるように締結具の受け入れ端内へと押し込み、それにより、締結具を閉鎖締結具の状態へと形成する。好ましくは、組織対向面を組織に当て付けて配置するとともに、トリガを引くことにより、閉鎖締結具が組織の表面を横切って幅Wに及んで組織内の深さHまで穿通するように、駆動部材が鉤状端部を組織に押し通して組織の外側の締結具の受け入れ端部に押し込む。シャフトは、少なくとも15cmの長さLを有するとともに、1cm未満の直径Dを有してもよい。特定の実施形態では、L≧25cm及びD≦7mm及びH<D<Wである。
【0017】
送出チップは、シャフトの軸に向かって屈曲可能であってもよい。
【0018】
装置は、シャフトと共に配置される複数の更なる締結具を含んでもよく、この場合、トリガのそれぞれの操作が、単一の締結具を送出するとともに、更なる締結具を送出チップに向けて前進させる。
【0019】
本発明の態様は、延在本体を含む外科用締結具を提供し、延在本体の少なくとも一部が柔軟に変形可能であり、延在本体が係合端部及び受け入れ端部で終端し、受け入れ端部が開口を有するループを画定する。係合端部は、尖端又は鉤状部を何ら含まない。延在本体の変形可能部を曲げ、係合端部を受け入れ端部に挿入することにより、締結具が閉ループ状態でロックされる。好ましくは、係合端部は、受け入れ端部と連結するより幅広い部分を備える。締結具が閉ループ状態でロックされると、係合端部がループによって拘束される。閉鎖締結具は、受け入れ端部のループによって捕捉された係合端部のより幅広い部分と、ループから略直線状に延在する延在本体の第1の部分と、第1の部分の端部にある延在本体の屈曲部と、係合端部と屈曲部との間で湾曲を規定する延在本体の弓状部とを含んでもよい。特定の実施形態において、閉ループは、ボウル内に拘束された鉤状端部から屈曲部までの幅Wに及び、また、弓状部は、深さH以下で第1の部分から離間される。好ましくは、3cm>W>H、H<6mm、又は、その両方である。
【0020】
幾つかの実施形態では、鉤状端部が1又は複数の鉤状部を備え、また、締結具が閉ループ状態でロックされると、鉤状部は、ボウルの開口に張り出すリップによって保持される。締結具が閉ループ状態でロックされると、鉤状部がボウル内に拘束される。鉤状端部は、尖端チップの背後に押圧可能面を含んでもよい。
【0021】
幾つかの態様において、本発明は、延在本体を含む外科用締結具を提供し、延在本体の少なくとも一部が柔軟に変形可能であり、延在本体は、丸い端部とループを画定する受け入れ端部とで終端する。丸い端部は、丸い端部がループを通過するためにループが弾性的に変形することを必要とする球形状を備える。延在本体の変形可能部を曲げて、丸い端部を受け入れ端部に挿入することにより、締結具が閉ループ状態でロックされる。特定の実施形態において、閉ループは、ボウル内に拘束された鉤状端部から屈曲部までの幅Wに及び、また、弓状部は、深さH以下で第1の部分から離間される。好ましくは、3cm>W>H、H<6mm、又は、その両方である。
【0022】
関連する態様において、本発明は、本体であって、該本体からハンドルが延在する、本体と、ハンドル上のトリガと、本体から延在するシャフトと、シャフトの遠位端部にある送出チップであって、該送出チップが、シャフトから突出するとともに、出口ポートを伴う組織対向面を有し、シャフトの軸と組織対向面とが鋭角を成すべく送出チップがシャフトから離れるように付勢され、送出チップがシャフトの軸に向けて屈曲可能であり、出口ポートが、シャフト内に位置される締結具の鉤状でも尖端でもない端部を支持する送出スロットの遠位端部を含み、出口ポートが、締結具の受け入れ端部を含むガイドチャネルの遠位部と空間的に連通する、送出チップと、シャフト内に配置される駆動部材であって、駆動部材が、駆動部材を湾曲形状へと付勢する形状記憶材料を備え、駆動部材がシャフト内に配置されるときに駆動部材がシャフトによって直線形状へと拘束される、駆動部材と、送出スロットにより保持される鉤状端部とガイドスロットにより保持される受け入れ端部とを伴う延在本体を有する少なくとも1つの締結具であって、鉤状端部が、1又は複数の鉤状部と、押圧部材の遠位チップと係合される押圧可能面とを備え、受け入れ端部が、開口と開口に張り出すリップとを伴うボウルを画定する、少なくとも1つの締結具とを含み、トリガの操作により、駆動部材は、締結具の鉤状端部を、送出スロットの遠位端部から湾曲経路に沿ってガイドスロットの遠位端部へと押して、1又は複数の鉤状部が受け入れ端部のボウルのリップと係合されるように締結具の受け入れ端部内へと押し込み、それにより、締結具を閉鎖締結具の状態へと形成し、閉鎖締結具を解放ポートから解放するとともに、第2の締結具と係合するべくシャフト内へと引き込む、外科用締結装置を提供する。
【0023】
幾つかの態様において、本発明は、メッシュを取り付ける外科的方法を提供する。方法は、ハンドルを伴う本体であって、該本体からトリガが延在する本体と、本体から延在するシャフトと、シャフトの遠位端部にある送出チップと、シャフト内に配置される駆動部材と、送出チップで保持される締結具とを含む外科用締結装置を得ることを含む。締結具は、鉤状端部及び受け入れ端部を伴う延在本体を有する。
【0024】
方法は、トリガを操作することにより、駆動部材が、締結具の鉤状端部を送出チップから湾曲経路に沿って受け入れ端部内へと押し出し、それにより、締結具を閉鎖締結具の状態へと形成して、閉鎖締結具から解放するとともに、シャフト内へと引き込んで、第2の締結具と係合することを含む。好ましくは、送出チップは、シャフトから突出し、出口ポートを伴って成る組織対向面を有する。締結具は、少なくとも部分的に出口ポートで終端する送出スロット内で送出チップに保持される。好ましくは、締結具の遠位端部は、シャフトを通じて延在するガイドスロットの遠位端部内に保持される。方法の好ましい実施形態において、送出チップは、シャフトの軸と組織対向面とが鋭角を成すべくシャフトから離れるように付勢され、また、駆動部材は、駆動部材を湾曲形状に付勢する形状記憶材料を備える。
【0025】
方法は、駆動部材をシャフト内に配置することによって駆動部材を直線形状に拘束することを含む。
【0026】
好ましくは、締結具の鉤状端部は、1又は複数の鉤状部と、駆動部材の遠位チップと係合される押圧可能面とを備え、締結具の受け入れ端部は、開口と、開口に張り出すリップとを有するボウルを画定する。鉤状端部が送出スロットによって保持されてもよく、また、受け入れ端部がガイドスロットによって(例えば、送出スロット及びガイドスロットの遠位端部で)保持されてもよい。
【0027】
方法は、トリガを操作することにより、駆動部材が、締結具の鉤状端部を、送出スロットの遠位端部から、ガイドスロットの遠位端部へと向かう湾曲経路に沿って、1又は複数の鉤状部が受け入れ端部のボウルのリップと係合されるように締結具の受け入れ端内へと押し込み、それにより、締結具を閉鎖締結具の状態へと形成することを含んでもよい。
【0028】
好ましくは、方法は、組織対向面を組織に当て付けて配置するとともに、トリガを引くことにより、閉鎖締結具が組織の表面を横切って幅Wに及んで組織内の深さHまで穿通するように、駆動部材が鉤状端部をメッシュ及び組織に押し通して組織の外側の締結具の受け入れ端部に押し込むことも含む。シャフトは、少なくとも15cmの長さLを有するとともに、1.55cm未満の直径Dを有してもよい。方法の好ましい実施形態では、L≧25cm及びD≦10mmである。また、H<D<Wである。
【0029】
方法は、送出チップをシャフトの軸に向けて屈曲させることを含んでもよい(例えば、低侵襲手術中に標準的なトラカール又は切開部に挿通するため)。方法は、単一の締結具を送出して任意の残りの締結具を送出チップに向けて前進させるべくトリガを操作することによって1又は複数の更なる締結具をシャフトから送出することを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図5】送出チップ内に保持されている締結具を示す。
【
図6】締結具の鉤状端部及び駆動部材の詳細図を与える。
【
図7】湾曲経路に沿って延在される駆動部材を示す。
【
図8】閉じられた締結具から解放される駆動部材を示す。
【
図9】送出スロットから解放される閉じられた締結具を示す。
【
図11】装置を組織の表面に当て付けて位置決めすることを示す。
【
図12】組織を貫通して延在される駆動部材を示す。
【
図13】メッシュを組織に保持する閉ループを示す。
【
図17】送出チップがように含まれ得るスリットを示す。
【
図20】本発明の第2の実施形態に係る外科用締結装置を示す。
【
図21A】本発明の第2の実施形態に係る外科用締結具であって、閉ループ状態に形成された締結具を示す。
【
図21B】本発明の第2の実施形態に係る外科用締結具であって、開放締結具を示す。
【
図21C】本発明の第2の実施形態に係る外科用締結具であって、閉ループ状態に形成された締結具を示す。
【
図21D】本発明の第2の実施形態に係る外科用締結具であって、閉ループ状態に形成された締結具を示す。
【
図21E】本発明の第2の実施形態に係る外科用締結具であって、閉ループ状態に形成された締結具を示す。
【
図22】本発明の第2の実施形態に係る駆動部材を示す。
【
図23A】締結具展開を示す等角図であり、装置を組織の表面に当て付けて位置決めすることを示す。
【
図23B】締結具展開を示す等角図であり、送出チップ内に保持されている締結具を示す。
【
図23C】締結具展開を示す等角図であり、送出チップから組織を貫通して延在される駆動部材を示す。
【
図23D】締結具展開を示す等角図であり、送出チップから組織を貫通して延在される駆動部材を示す。
【
図23E】締結具展開を示す等角図であり、組織内での閉ループ保持を示す。
【
図24A】締結具展開を示す断面図であり、装置を組織の表面に当て付けて位置決めすることを示す(断面図)。
【
図24B】締結具展開を示す断面図であり、送出チップから組織を貫通して延在される駆動部材を示す(断面図)。
【
図24C】締結具展開を示す断面図であり、送出チップから組織を貫通して延在される駆動部材を示す(断面図)。
【
図24D】締結具展開を示す断面図であり、送出チップから解放された後の閉ループを示す(断面図)。
【
図24E】締結具展開を示す断面図であり、組織内での閉ループ保持を示す(断面図)。
【
図26】スキンステープラとしての装置の使用を示す。
【
図27A】送出チップがシャフト103に対して90度未満であるデフォルト形態を示す。
【
図27B】送出チップがシャフト103と一直線に合わせられるデフォルト形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
組織内の特定の深さまで外科用締結具を送出して、締結具をロックし、メッシュを組織に固定するための装置及び方法は、骨盤内器官脱出などの脱出状態を処置するための仙骨膣固定術手技にとって有用である。本発明の装置は、一般に、低侵襲手術用に寸法付けられるハンドル及び延在シャフトを伴う本体を有する。すなわち、シャフトは、直径が標準的なトラカール(例えば、直径が約15.5mm未満、好ましくは10mm未満であってもよい)よりも小さいことが好ましい。シャフトは、好ましくは、手術標的に到達するのに十分な長さ、例えば、少なくとも約15cmの長さ、好ましくは少なくとも25cmの長さである。シャフトは、シャフトの軸に対して鋭角を成す組織対向面を有する送出チップで終端する。この構成により、組織対向面が標的組織の表面に対して保持される状態で駆動部材がシャフトから延在すると、駆動部材が最初に鋭角(例えば、約25°~65°)を成して組織を穿通し、それにより、締結具は穿通深さを制限しつつ幅広くなることができ、その結果、組織(例えば、膣壁)に刺入するリスクが最小限に抑えられるとともに、信頼性の高い取り付けが成される。締結具は、装置のシャフトの直径より幅広くてもよく、締結具の幅は腹腔鏡器具の直径に限定されない。浅い深さまでしか穿通しない締結具であっても、それらの締結具を幅広くすることができる(例えば、穿通深さよりも幅広い)。締結具の閉ループは、幅広く、したがって強い、組織を横切る幅に及ぶことができる。実際に、幅は、装置のシャフトの直径よりも幅広くなり得る。締結具は、好ましくは、締結された時点で滑らかなボウル内に任意の尖端又は鉤状部を捕捉し、したがって、さもなければ神経及び組織を刺激するであろう鋭利なエッジを有さない。駆動部材は、ニチノールなどの超弾性材料から形成される。そのような材料は、腹腔鏡下仙骨膣固定術などの手技にとって有用且つ有益な浅い、広い、エッジのない形態で締結具を締結できるようにするのに必要な強度及び形状を駆動部材に与えるため有利である。
【0032】
図1は、外科用締結装置101を示す。装置101は、ハンドル113を伴う本体109であって、該本体からトリガ117が延在する本体109と、本体109から延在するシャフト103と、シャフトの遠位端部にある送出チップ201とを含む。トリガ117は、シャフト103を貫通して延在する駆動部材と動作可能に係合する。任意の適切な係合が使用されてもよい。例えば、トリガは、本体109内に湾曲したギヤ付き表面を有してもよい。湾曲したギヤ付き表面は、(トリガ117が握り込まれて枢軸周りに回転するときに与えられる回転の大きさを増減させる任意の所望により存在するステッパギヤを介して)ギヤ付きスロットホイールと係合してもよい。ハンドル109内のギヤ付きスロットホイールは偏心スロットを含んでもよく、また、駆動部材の近位端部は、スロットに係合するピンを有してもよい。トリガを握り込むと、スロットホイールが回転する。偏心スロットは、シャフト103の軸と平行な変位を含む方向でピンを押す。ピンの変位は、シャフト103に沿って遠位方向に駆動部材を押し、その後、駆動部材を近位方向に引き戻す。したがって、トリガ117を握り込むと、駆動部材がシャフトに沿って外側後方へ並進し、以下に説明されるように締結具を送出する。本発明と共に使用するために変更され得るスロットホイール及びピンを伴う適切なギヤ付きトリガが、参照により本願に組み入れられる米国特許第8,535,339号(例えば、
図14及び添付のテキスト参照)に示される。
【0033】
図2は、送出チップ201を示す。送出チップ201は、シャフト103から突出するとともにガイドスロット215と空間的に連通する出口ポート221を伴う組織対向面207を有する延在部205を含む。出口ポート221は、シャフトの軸付近にあり、送出スロット225の遠位端部を含む。ガイドスロット215は、シャフト103内に延在して、延在部205を貫いて湾曲し、解放ポート209で終端する。送出スロット225は出口ポート221の方へ通じ、それにより、駆動部材をシャフトから出口ポート221を通じて外向きに押すことができる。送出チップ201は、シャフトの軸と組織対向面207とが鋭角を成すべくシャフト103から離れるように付勢される。ガイドスロット215は、内部に締結具301の端部を保持する。
【0034】
図3は、外科用締結具301を示す。締結具301は延在本体321を含み、延在本体321の少なくとも一部319が柔軟に変形可能である。延在本体321は、鉤状端部305及び受け入れ端部339で終端する。好ましくは、受け入れ端部339は、開口と、開口に張り出すリップ333とを伴うボウル327を画定する。
【0035】
鉤状端部305は、組織に刺入するための尖端チップ341を含んでもよい。
【0036】
延在本体の変形可能部319を曲げて鉤状端部305を受け入れ端部339に挿入することにより、締結具301が閉ループ401状態でロックされる。
【0037】
締結具301の鉤状端部305は、1又は複数の鉤状部311を有する。好ましい実施形態において、鉤状端部305は、尖端チップ341の背後にある1又は複数の押圧可能面317を含む。
【0038】
図4は、閉ループ401状態に形成された締結具301を示す。締結具301が閉ループ401状態でロックされると、尖端チップ341がボウル内に拘束される。好ましくは、閉ループ401は、ボウル327内に拘束される鉤状端部305と、ボウル327から実質的に真っ直ぐに延在する延在本体321の第1の部分415と、第1の部分415の端部にある延在本体321の屈曲部411と、鉤状端部305と屈曲部411との間で曲線を規定する延在本体321の弓状部407とを含む。締結具301が閉ループ401状態でロックされると、鉤状部がボウル327内に拘束される。
【0039】
具体的には、締結具301が閉ループ401状態でロックされると、鉤状部311は、ボウル327の開口に張り出すリップ333によって保持される。
【0040】
図5は、送出チップ201内に保持されている締結具301を示す。駆動部材601がシャフト103内に配置され、この場合、駆動部材601は、シャフト103内で延在する送出スロット225によって導かれて案内される。締結具301の受け入れ端部339がガイドスロット225内に保持されるのが分かる。締結具301の鉤状端部305は、送出スロット225によって保持される。鉤状端部305の押圧可能面317は、駆動部材601の遠位チップ611と係合するように向けられる。出口ポート221は、駆動部材601が締結具301の鉤状端部305をシャフト103から押し出すことができる空間を画定する。
【0041】
図5に示されるように、ガイドスロット215が締結具301の受け入れ端部339を保持し、送出スロット225が締結具301の鉤状端部305を保持する。受け入れ端部339は、締結具での張力に起因してそれがシャフト103内へ引き戻されるのを防止するために装置101の動作中に所定位置に保持される。ガイドスロット215は、締結具が送出されてロックされた時点で装置からの閉鎖締結具401の解放を容易にするために、ガイドスロット215の遠位端部の解放ポート209で開口している。好ましくは、ガイドスロット215は、受け入れ端部339をそのスロット215に沿う前進中に保持するために、組織対向面207に沿って狭い幅を有することを特徴とする。幾つかの実施形態において、装置101は、組織をより良好に穿通するために必要となり得るより速い適用を促すべく、操作ハンドルにバネ荷重機構を含む。
【0042】
図6は、締結具301の鉤状端部305及び駆動部材601の遠位チップ611の詳細図を与える。押圧可能面317は、遠位チップ611を受け入れるように画定される凹部を含む。また、駆動部材601は、締結具301の鉤状端部305の押圧可能面317と完全に係合するためのより薄い延在部607も含むことができる。締結具301の鉤状端部305は、鉤状部と、駆動部材601の遠位チップ611と係合される押圧可能面317とを有する(
図6では、押圧可能面317及び遠位チップ611が視覚化を助けるために離間されるが、遠位チップ611が押圧可能面317と係合することは容易に分かる)。
図6~
図10は、トリガ117の一操作に応じた外科用締結装置101の動作を示す。
【0043】
トリガ117を引くと、駆動部材601は、締結具の鉤状端部305を送出チップ201上の送出スロット225から湾曲経路に沿って受け入れ端部339内へと押し出し、それにより、締結具を閉鎖締結具401の状態へと形成して、閉鎖締結具401から解放するとともに、シャフト103内へと引き戻って、第2の締結具と係合する。
【0044】
図7は、湾曲経路に沿って延在されて締結具301の鉤状端部305を受け入れ端部339内へ押し込む駆動部材601を示す。駆動部材601は、
図7に見られるように、駆動部材601を湾曲形状へと付勢する形状記憶材料を含むのが分かる。駆動部材601がシャフト103内に配置されると、駆動部材601は、シャフト103内の送出スロット225によって直線形状へと拘束される。
【0045】
図8は、閉鎖締結具401から解放された駆動部材601を示す。具体的には、トリガ117の動作により、駆動部材601は、締結具301の鉤状端部305を送出チップ201上の出口ポート221から湾曲経路に沿ってガイドスロット215内に保持される受け入れ端部339内へと押し込んでしまっており、それにより、1又は複数の鉤状部311が受け入れ端部339のボウル327のリップ333と係合し、その結果、締結具301を閉鎖締結具401の状態へと形成する。
【0046】
図9は、駆動部材601がシャフト103内へ引き込んで第2の締結具と係合する際に解放ポート209を通じて解放された閉鎖締結具401を示す。
【0047】
外科用締結装置101の重要な特徴は、締結具301と装置101との特定の寸法関係によって与えられる送出深さ及び締結強度の制御である。組織対向面207を組織に当て付けて配置し、トリガ117を引くことにより、駆動部材601は、鉤状端部を組織に押し通して組織の外側にある締結具の受け入れ端部339に押し込み、それにより、締結具301を閉ループ401の状態へと形成する。
【0048】
図10は、送出チップ201が依然として組織505に当て付いて配置された状態で閉ループ401の状態へと形成された締結具301を示す。ここで、装置101は、メッシュ511を組織505に締結するために使用されてしまっている。シャフト103は、送出チップ201の組織対向面207がメッシュ511及び組織505の表面と対向するように位置決めされる。閉鎖締結具401は、組織の表面を横切る幅Wにまたがり、組織内の深さHまで穿通する。送出チップ201は、シャフト103の軸と組織対向面207とが鋭角Aを成すべくシャフト103から離れるように付勢されるため、シャフト103は、組織505の表面と角度Aを成す。好ましい実施形態において、シャフトは、低侵襲手術用に寸法付けられ、少なくとも15cmの長さLを有するとともに、1cm未満の直径Dを有する。より好ましくは、L≧25cm及びD≦7mmである。最も好ましくは、H<D<Wである。
【0049】
【0050】
図11は、組織対向面207を組織505の表面に当て付けて、具体的には組織に締結されるべきメッシュ511に当て付けて位置させることを示す。
【0051】
図12は、締結具301を閉ループ401の状態へと形成するべく組織505を貫通して延在される駆動部材601を示す。
【0052】
図13は、組織511を組織505に対して保持する閉ループ401を示す。閉ループ401は、ボウル327内に拘束される鉤状端部305と、ボウル327から実質的に真っ直ぐに延在する延在本体321の第1の部分415と、第1の部分415の端部にある延在本体321の屈曲部411と、鉤状端部305と屈曲部411との間で組織505を貫通して延在する曲線を規定する延在本体321の弓状部407とを含む。外科的手技を成功させるために、閉鎖締結具401は、好ましくは、ボウル327内に拘束される鉤状端部305から屈曲部411までの幅Wに及び、また、弓状部407は、好ましくは、深さH以下で第1の部分415から離間される。好ましい実施形態では、3cm>W>Hである。これに加えて又は代えて、H<6mmであることが好ましい場合がある。
【0053】
前述したように、トリガ117を引くことにより、装置101は、締結具を閉鎖締結具401の状態へと形成し、閉鎖締結具401から解放して、シャフト103内へと引き込み、第2の締結具と係合する。
【0054】
図14は、締結具301、第2の締結具399、及び、シャフトと共に配置される3つの更なる締結具1401が装填された装置101を示す。シャフト103内には、出口ポート221まで延在する送出スロット225、及び、解放ポート209まで延在するガイドスロット215が見える。各締結具301は開放形態でシャフト103内に保持され、この場合、受け入れ端部がガイドスロット215内に保持され、鉤状端部205が送出スロット225内に保持される。装置101には、任意の適切な数の締結具301が装填されてもよい。トリガの各動作は、単一の締結具を送出して、更なる締結具を送出チップに向けて前進させる。
【0055】
低侵襲手術のため、送出チップ201を、シャフト103の軸に向けて屈曲できる、すなわち、延在シャフトが標準的な外科用トラカールを最も容易に通過できるように屈曲できることが好ましい場合がある。
【0056】
図15は、送出チップ201のプロファイルである。シャフト103の軸Xと組織対向面207とが鋭角を成すべく送出チップ201がシャフト103から離れるように付勢されるのが分かる。例えば、標準的な外科用トラカールにシャフト103を容易に挿通できるように、送出チップ201を変形させることができることが好ましい場合がある。
【0057】
図16は、軸Xに向けて屈曲される送出チップ201を示す。
【0058】
図17は、送出チップ201をシャフト103の軸Xに向けてより容易に屈曲できるように含まれ得る圧縮スリット1701及び拡張スリット1709を示す。軸Xがシャフト103の略円筒状の性質によって規定される理想的な幾何学的概念であり、任意の有形のシャフト軸が存在する必要がないのが分かる。軸Xは、送出チップ201の形態を把握できるように参照される。
【0059】
したがって、本開示は、本体109であって、該本体からハンドル113が延在する、本体109と、ハンドル上のトリガ117と、本体から延在するシャフト013と、シャフト103の遠位端部にある送出チップ201であって、該送出チップ201が、シャフト103から突出するとともに、出口ポート221及びガイドスロット215を伴う組織対向面207を有し、シャフト103の軸と組織対向面207とが鋭角を成すべく送出チップ201がシャフト103から離れるように付勢され、送出チップ201がシャフト103の軸に向けて屈曲可能であり、出口ポート221が送出スロット225の端部を含む、送出チップ201と、シャフト103内に配置される駆動部材601であって、駆動部材601が、駆動部材601を湾曲形状へと付勢する形状記憶材料を備え、駆動部材601がシャフト103内に配置されるときに駆動押圧部材601がシャフト103によって直線形状へと拘束される、駆動部材601と、少なくとも部分的にガイドスロット215内で送出チップ201に保持される少なくとも1つの締結具301であって、締結具が、鉤状端部305と受け入れ端部339とを伴う延在本体321を有し、鉤状端部305が、1又は複数の鉤状部311と、駆動部材601の遠位チップ611と係合される押圧可能面317とを備え、受け入れ端部339が、開口と開口に張り出すリップ333とを伴うボウル327を画定する、少なくとも1つの締結具301とを含み、トリガ117の動作により、駆動部材601は、締結具301の鉤状端部305を、出口ポート221から湾曲経路に沿ってガイドスロット215により保持されている受け入れ端部339へと押し出して、1又は複数の鉤状部311が受け入れ端部339のボウル327のリップ333と係合されるように締結具301の受け入れ端部339内へと押し込み、それにより、締結具を閉鎖締結具401の状態へと形成し、閉鎖締結具を解放ポート209から解放するとともに、第2の締結具399と係合するべくシャフト103内へと引き込む、外科用締結装置101を含むことが分かる。
【0060】
ここで、本発明の他の実施形態を示す
図20を参照する。
【0061】
図20は、外科用締結装置1011を示す。装置1011は、本体109であって、該本体から延在するトリガ117を伴う本体109と、本体109から延在するシャフト103と、シャフトの遠位端部にある送出チップ201とを含む。トリガ117は、シャフト103を貫通して延在する駆動部材と動作可能に係合する。任意の適切な係合が使用されてもよい。例えば、トリガは、本体109内に湾曲したギヤ付き表面を有してもよい。湾曲したギヤ付き表面は、(トリガ117が握り込まれて枢軸周りに回転するときに与えられる回転の大きさを増減させる任意の所望により存在するステッパギヤを介して)ギヤ付きスロットホイールと係合してもよい。本体109内のギヤ付きスロットホイールは偏心スロットを含んでもよく、また、駆動部材の近位端部は、スロットに係合するピンを有してもよい。トリガを握り込むと、スロットホイールが回転する。偏心スロットは、シャフト103の軸と平行な変位を含む方向でピンを押す。ピンの変位は、シャフト103に沿って遠位方向に駆動部材を押し、その後、駆動部材を近位方向に引き戻す。したがって、トリガ117を握り込むと、駆動部材がシャフトに沿って外側後方へ並進し、以下に説明されるように締結具を送出する。
【0062】
本発明と共に使用するために変更され得るスロットホイール及びピンを伴う適切なギヤ付きトリガが、参照により本願に組み入れられる米国特許第8,535,339号(例えば、
図14及び添付のテキスト参照)に示される。
【0063】
図21A~
図21Eは、第2の実施形態に係る外科用締結具301を示す。締結具301は延在本体321を含み、延在本体321の少なくとも一部319が柔軟に変形可能である。延在本体321は、ループ状の受け入れ端部339及び反対側の端部3055(例えば、係合構成を伴う)で終端する。この実施形態に係る反対側の端部に描かれる係合構成は、鉤状ではなく、任意の鋭利な端部を含まない。
【0064】
この実施形態によれば、外科用締結具301は、少なくとも一片のモノフィラメント縫合糸又はマルチフィラメント(編組)縫合糸から形成される。
【0065】
上記外科用締結具301の形状は、超音波溶接又は接着又は既知の任意の他の溶接方法(例えば、レーザ溶接、RF溶接、摩擦溶接)によって得ることができる。
【0066】
延在本体の変形可能部319を曲げて受け入れ端部339を反対側の端部3055に挿入することにより、締結具301が閉ループ状態でロックされることに留意されたい(
図21A参照)。
【0067】
図21Aは、閉ループ状態の外科用締結具301を示し、一方、
図21Bは、開位置にある外科用締結具301を示す。これらの実施形態では、締結具の反対側の端部の端部3056がその上で屈曲されることに留意すべきである。
【0068】
図21C~
図21Dは、外科用締結具301の反対側の端部3055の他の実施形態を示す。この実施形態では、反対側の端部3055がケーブル端部と同様のロッカとして成形される。
【0069】
図21Eは、外科用締結具301の反対側の端部3055の他の実施形態を示す。この実施形態では、反対側の端部3055が湾曲した矢のように成形される。
【0070】
図22は、本発明の第2の実施形態に係る駆動部材601を示す。この実施形態によれば、駆動部材601は、組織を穿通するようになっている鋭利なチップ6012を特徴とする。
【0071】
この実施形態によれば、駆動部材601は、締結具301のループ状受け入れ端部339と係合するようになっている少なくとも1つのフック6011を備える。フックは、受け入れ端部339が送出チップ201から延出するときに受け入れ端部339を「スワイプ」し、それにより、上記締結具301の受け入れ端部が上記フック6011と駆動部材601の鋭利なチップ6012とによって取り囲まれる。
【0072】
駆動部材601は、送出端部201から延在する前に、駆動部材601が導かれるシャフト103内に配置されることに留意すべきである。シャフト103は、駆動部材601がシャフトから抜け出る送出スロット225で終わる。また、少なくとも1つの締結具301がシャフト103内に保持されて配置され、それにより、駆動部材601のフック6011が受け入れ端部339を「掴み取って」送出端部201から外に広がることにも留意すべきである。締結具301の反対側の端部3055は、受け入れ端部339と係合するように向けられる。
【0073】
【0074】
トリガ117を引くと、駆動部材601は、締結具の受け入れ端部339を握持して送出チップ201上の送出スロット225から湾曲経路に沿って反対側の端部3055内へと入れ込み、それにより、締結具を閉鎖締結具の状態へと形成して、閉鎖締結具から解放するとともに、シャフト103内へと引き戻って、第2の締結具と係合する。
【0075】
図23Aは、組織505(明確にするために、残りの図には示されない)に当て付いて保持された送出チップ201の組織対向面207を示す。
【0076】
図23Bは、駆動部材601が受け入れ端部339を「掴み取って」送出スロット225全体にわたって送出端部201においてシャフト103から外へ広がることを示す。
【0077】
図23C~
図23Dは、送出チップの遠位端部2011に近づく駆動部材601及び受け入れ端部339を示す。遠位端部2011は、(受け入れ端部339が係合された)駆動部材601と締結具301の反対側の端部3055の両方が互いに係合して閉ループを形成することができるようにボウルとして成形される。
【0078】
図23Eは、組織505内で解放された閉鎖締結具を示し、駆動部材601は、第2の締結具と係合するためにシャフト103内へ引き込む。
【0079】
ここで、装置1010の動作、すなわち、トリガ117の一操作に応じた締結具301の展開を断面図で示す
図24A~
図24Eを参照する。
【0080】
前述したように、トリガ117を作動させると、駆動部材601は、締結具の受け入れ端部339を握持して送出チップ201上の送出スロット225から湾曲経路に沿って反対側の端部3055内へと入れ込み、それにより、締結具を閉鎖締結具の状態へと形成して、閉鎖締結具から解放するとともに、シャフト103内へと引き戻って、第2の締結具と係合する。
【0081】
図24Aは、組織505(明確にするために、残りの図には示されない)に当て付けて保持された送出チップ201の組織対向面207を示す。
【0082】
図24Bは、駆動部材601が受け入れ端部339を「掴み取って」送出スロット225全体にわたって送出端部201においてシャフト103から外へ広がることを示す。
【0083】
図24Cは、送出チップの遠位端部2011に近づく駆動部材601及び受け入れ端部339を示す。遠位端部2011は、(受け入れ端部339が係合された)駆動部材601と締結具301の反対側の端部3055の両方が互いに係合して閉ループを形成することができるようにボウルとして成形される。
【0084】
図24Dは、組織505内で解放された閉鎖締結具を示し、駆動部材601は、第2の締結具と係合するためにシャフト103内へ引き込む。
【0085】
外科用締結装置1010の重要な特徴は、締結具301と装置1010との特定の寸法関係によって与えられる送出深さ及び締結強度の制御である。組織対向面207を組織に当て付けて配置し、トリガ117を引くことにより、駆動部材601は、反対側の端部3055を組織に押し通して組織の外側にある締結具の受け入れ端部339に押し込み、それにより、締結具301を閉ループの状態へと形成する。
【0086】
図24Eは、送出チップ201が依然として組織505に当て付いて配置された状態で閉ループ401の状態へと形成された締結具301を示す。ここで、装置1010は、メッシュ511を組織505に締結するために使用されてしまっている。シャフト103は、送出チップ201の組織対向面207がメッシュ511及び組織505の表面と対向するように位置決めされる。閉鎖締結具401は、組織の表面を横切る幅Wにまたがり、組織内の深さHまで穿通する。送出チップ201は、シャフト103の軸と組織対向面207とが鋭角Aを成すべくシャフト103から離れるように付勢されるため、シャフト103は、組織505の表面と角度Aを成す。好ましい実施形態において、シャフトは、低侵襲手術用に寸法付けられ、少なくとも15cmの長さLを有するとともに、1cm未満の直径Dを有する。より好ましくは、L>25cm及びD<7mmである。最も好ましくは、H<D<Wである。
【0087】
ここで、この実施形態の他の要素を示す
図25A~
図25Bを参照する。この実施形態によれば、内部ドライバ3011が送出端部201内に設けられ、内部ドライバ3011は、反対側の端部3055を送出チップの遠位端部2011に向けて推進するようになっている。
【0088】
前述したように、遠位端部2011は、(受け入れ端部339が係合された)駆動部材601と締結具301の反対側の端部3055の両方が互いに係合して閉ループを形成することができるようにボウルとして成形される。
【0089】
ここで、本発明の他の使用を示す
図26を参照する。前述の外科用締結装置1010をスキンステープラとして使用することができる。
【0090】
装置101及び1010の重要な主な特徴のうちの1つは、装置が全体にわたって導入されるトラカールの幅よりも大きい縫合糸を提供できる能力を有する外科用締結装置を導入できる能力である。例えば、装置101及び1010は、使用されているトラカールが通常の5mmトラカールである状態で10mmの縫合糸を提供することができる。
【0091】
これは、送出チップ201がシャフト103に対して回転可能であるように、送出チップ201を2つのヒンジ及びバネによってシャフト103に結合することによって可能になる。
【0092】
本発明の1つの実施形態によれば、送出チップ201のデフォルト形態は、シャフト103に対して約90度未満である(
図27A参照)。より好ましくは約55度である。最も好ましくは約45度である。
【0093】
外部拘束力が加えられると、送出チップ201はシャフト103と一直線に合わせられる(
図27B参照)。このようにして、装置がトラカール内にあるとき、外部拘束力が送出チップ201に加えられ、したがって、送出チップがシャフト103に対して一直線に合わせられる。装置がトラカールから抜け出ると、力が加えられず、送出チップ201はそのデフォルト形態(すなわち、シャフト103に対して約90度未満)に戻る。
【0094】
したがって、いずれかの装置(101又は1010)は、装置が全体にわたって導入されるトラカールの幅よりも大きい縫合糸を提供することができる。
【0095】
図20は、外科用締結装置1011を示す。装置1011は、手術部位に挿入するように寸法付けられる延在シャフト103と、シャフトの遠位端部にある送出チップ201とを含む。
【0096】
図22は、シャフト内に配置された駆動部材601を示す、送出チップ201、及び、送出チップに保持された締結具301の拡大図である。
【0097】
図21Aは、閉鎖形態に保持された締結具301を示し、締結具301が延在本体を含み、延在本体の少なくとも一部が柔軟に変形可能であり、延在本体が係合端部3055及び受け入れ端部339で終端し、受け入れ端部が開口を有するループを画定することを示す。係合端部は、尖端又は鉤状部を何ら含まない。延在本体の変形可能部を曲げ、係合端部を受け入れ端部に挿入することにより、締結具が閉ループ状態でロックされる。好ましくは、係合端部は、受け入れ端部と連結するより幅広い部分を備える。締結具が閉ループ状態でロックされると、係合端部がループによって拘束される。閉鎖締結具は、受け入れ端部のループによって捕捉された係合端部のより幅広い部分と、ループから略直線状に延在する延在本体の第1の部分と、第1の部分の端部にある延在本体の屈曲部と、係合端部と屈曲部との間で湾曲を規定する延在本体の弓状部とを含んでもよい。
図10を参照すると、閉ループは、ボウル内に拘束された鉤状端部から屈曲部までの幅Wに及び、また、弓状部は、深さH以下で第1の部分から離間される。好ましくは、3cm>W>H、H<6mm、又は、その両方である。
【0098】
図21Bは、開放形態の締結具301を示す。締結具301は、受け入れ端部339及び係合端部3055を有する延在本体319を有する。装置1011は、係合端部がいかなる尖端又は鉤状部も有さないことを特徴とし得る。
【0099】
図23Aは、送出チップが組織対向面を含むことを示す。
【0100】
図23Bは、駆動部材601を介して締結具の受け入れ端部を送出チップから押し出すように装置1011を動作させることを示す。
【0101】
図23Cは、送出チップの遠位端部に向かって戻る経路に沿って受け入れ端部を押すことを示す。
【0102】
図23Dは、締結具を閉鎖締結具の状態へと形成して、閉鎖締結具から装置を解放するために、係合端部を送出チップの遠位端部に向けて受け入れ端部に押し込むことを示す。また、
図24A~
図24Eは、装置1011が、駆動部材を介して、送出チップの遠位端部に向かう経路に沿って、送出チップから締結具の受け入れ端部を押し出し、締結具を閉鎖締結具の状態へと形成するべく係合端部を送出チップの遠位端部に向けて受け入れ端部に押し込み、閉鎖締結具から解放するように動作可能であることも示し、
【0103】
図21B、
図21C、
図21D、及び、
図21Eの装置はそれぞれ、受け入れ端部が開ループを備え、係合端部が受け入れ端部に押し込まれるときに開ループによって捕捉される幅広部を備える締結具の実施形態を示すことを特徴とする。
【0104】
図20は、装置1011が、ハンドルを備える本体であって、該本体から延在するトリガを有する本体を含むことができ、延在シャフトが本体から延在することを示す。所望により、トリガの操作によって、駆動部材は、閉鎖締結具が解放された後にシャフト内へ引き込んで第2の締結具と係合する。
【0105】
好ましくは、送出チップは、2つ以上の位置に適合可能である。
【0106】
図27Aは、送出チップがシャフトに対して90度より小さい角度にあるデフォルト形態に適合した装置1011の送出チップを示す。
【0107】
図27Bは、送出チップが上記シャフトと一直線に合わせられる第2の形態に送出チップを適合させることができることを示す。好ましくは、装置1011がトラカールにあるときに、送出チップ201は、
図27Bに示される第2の形態でトラカールにより保持され、上記装置が上記トラカールから抜け出るときに、送出チップは、
図27Aに示されるデフォルト形態をとる。
【0108】
図22は、駆動部材601が組織を穿通するようになっている少なくとも1つの鋭利なチップを備えることを示す。好ましくは、駆動部材は、上記締結具の受け入れ端部と係合するようになっている少なくとも1つのフックを更に備え、フックは、上記締結具の受け入れ端部を握持するようになっており、上記締結具の受け入れ端部は、上記フックと駆動部材の上記鋭利なチップとによって取り囲まれる。
【0109】
図10は、組織対向面を組織に当て付けて配置し、装置1011を操作することにより、閉鎖締結具が組織の表面を横切って幅Wに及んで組織内の深さHまで穿通するように、駆動部材が受け入れ端部を組織に押し通して組織の外側の締結具の係合端部に押し当てることを示す。幾つかの実施形態において、シャフトは、少なくとも15cmの長さLを有するとともに、1.55cm未満の直径Dを有する。好ましくは、L≧25cm及びD≦10mmである。所望により、H<D<Wである。
【0110】
この開示では、特許、特許公報、及び、論文などの他の文書を参照する。そのような文書は全て、参照により本願に組み入れられる。
【0111】
本明細書に示され記載されたものに加えて、本発明の様々な修正及びその多くの更なる実施形態は、本明細書に引用された科学文献及び特許文献への参照を含むこの文書の全内容から当業者に明らかになる。本明細書の開示は、その様々な実施形態及びその均等物において本発明の実施に適合させることができる情報、例示及びガイダンスを含む。
【0112】
(例)
骨盤内器官脱出(POP)のための腹腔鏡下仙骨膣固定術
【0113】
図18は骨盤内器官脱出を示す。Swift,2000,Am J Obstet Gynecol 183(2):277-85(参照により本願に組み入れられる)で報告されるように、50歳を超える全女性の約半数が症候性脱出を訴える。
【0114】
脱出の医療上の影響は、高齢女性の人口増加における有病率の増加の推定に基づいて拡大する可能性がある。これについては、参照により本願に組み入れられる、Wu et ah,2009,Forecastig the prevalence of pelvic floor disorders in U.S.Women:2010 to 2050,Obstet Gynecol 114:1278を参照されたい。脱出の外科的修復は、1979年~2006年まで70歳を超える女性において行なわれた最も一般的な入院患者手技であった。これについては、参照により本願に組み入れられる、Oliphantら、2010,Trends over time with common performed obstetric and gynecologic inpatient procedures,Obstet Gynecol 116:926を参照されたい。
【0115】
腹腔鏡下仙骨膣固定術は、骨盤内器官脱出を修復するための外科的技術である。
【0116】
図19は、仙骨膣固定術手技を図示する。この手技中、一片の予め成形されたメッシュが、腹部に挿入されて、膣壁に取り付けられ、その後、メッシュの他端が骨盤の背部(仙骨岬角)に取り付けられ、それにより、膣を持ち上げて脱出を防止する。縫合による膣壁に対するメッシュの取り付けは、膣壁内への特定の深さに対する縫合糸の挿入を必要とするため、困難である。縫合糸は、確実な取り付けを行なわなければならないが、重大な合併症を引き起こす可能性があるため、膣壁を通過してはならない。
【0117】
メッシュは、本開示に係るメッシュの取付方法を用いて取り付けられてもよい。方法は、ハンドルを伴う本体であって、該本体からトリガが延在する本体と、本体から延在するシャフトと、シャフトの遠位端部にある送出チップと、シャフト内に配置される駆動部材と、送出チップで保持される締結具とを含む外科用締結装置を得ることを含む。締結具は、鉤状端部及び受け入れ端部を伴う延在本体を有する。
【0118】
方法は、トリガを操作することにより、駆動部材が、締結具の鉤状端部を送出チップから湾曲経路に沿って受け入れ端部内へと押し出し、それにより、締結具を閉鎖締結具の状態へと形成して、閉鎖締結具から解放するとともに、シャフト内へと引き込んで、第2の締結具と係合することを含む。好ましくは、送出チップは、シャフトから突出し、出口ポートを与える組織対向面を有する。締結具は、少なくとも部分的にガイドスロット内で送出チップに保持される。方法の好ましい実施形態において、送出チップは、シャフトの軸と組織対向面とが鋭角を成すべくシャフトから離れるように付勢され、また、駆動部材は、駆動部材を湾曲形状に付勢する形状記憶材料を備える。
【0119】
方法は、駆動部材を送出スロット内のシャフト内に配置することによって駆動部材を直線形状に拘束することを含む。
【0120】
好ましくは、締結具の鉤状端部は、1又は複数の鉤状部と、駆動部材の遠位チップと係合される押圧可能面とを備え、締結具の受け入れ端部は、開口と、開口に張り出すリップとを有するボウルを画定する。出口ポートが送出スロットの端部を取り囲んでもよい。
【0121】
方法は、トリガを操作することにより、駆動部材が、締結具の鉤状端部を、送出スロットの遠位端部から、ガイドスロットの遠位端部へと向かう湾曲経路に沿って、1又は複数の鉤状部が受け入れ端部のボウルのリップと係合されるように締結具の受け入れ端内へと押し込み、それにより、締結具を閉鎖締結具の状態へと形成することを含んでもよい。
【0122】
好ましくは、方法は、組織対向面を組織に当て付けて配置するとともに、トリガを引くことにより、閉鎖締結具が組織の表面を横切って幅Wに及んで組織内の深さHまで穿通するように、駆動部材が鉤状端部を組織に押し通して組織の外側の締結具の受け入れ端部に押し込むことも含む。シャフトは、少なくとも15cmの長さLを有するとともに、1cm未満の直径Dを有してもよい。方法の好ましい実施形態では、L≧25cm及びD≦7mmである。また、H<D<Wである。
【0123】
方法は、送出チップをシャフトの軸に向けて屈曲させることを含んでもよい(例えば、低侵襲手術中に標準的なトラカール又は切開部に挿通するため)。方法は、単一の締結具を送出して任意の残りの締結具を送出チップに向けて前進させるべくトリガを操作することによって1又は複数の更なる締結具をシャフトから送出することを含んでもよい。
【国際調査報告】