(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】超音波デバイスを駆動するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20220407BHJP
A61B 17/16 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
A61B17/32 510
A61B17/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545472
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(85)【翻訳文提出日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2020054220
(87)【国際公開番号】W WO2020169592
(87)【国際公開日】2020-08-27
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516023685
【氏名又は名称】オーソフィックス エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴェントゥリニ、ダニエレ
(72)【発明者】
【氏名】ドニチ、マリオ
(72)【発明者】
【氏名】コロンボ、ピエラルビノ
(72)【発明者】
【氏名】フィネッツォ、アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ザンドナ、ジャンルカ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ25
4C160JJ48
4C160LL01
4C160LL70
(57)【要約】
骨セメント除去および/または骨切断手術のための超音波デバイスを駆動するためのシステム(1)は、制御ユニット(6)、メモリユニット(MEM)、および、制御ユニット(6)と超音波デバイスのハンドセット(5)とを一緒に接続するための接続手段を備える。好都合なことに、制御ユニット(6)は、信号(Sg1)をハンドセット(5)へ送信し、送信された信号(Sg1)に対する応答(Sg2)をハンドセットから受信し、この応答(Sg2)に基づいて超音波デバイスの動作条件をチェックするよう構成される。送信された信号(Sg1)は、周波数範囲内の周波数変動を有する信号であり、上記応答(Sg2)に基づいて、制御ユニット(6)は、超音波デバイスの周波数特性を示す少なくとも1つのパラメータを計算するよう構成され、上記パラメータは、周波数の関数としてのインピーダンスの変動であり、超音波デバイスの周波数特性を表すインピーダンス曲線を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨セメント除去および/または骨切断手術のための超音波デバイスを駆動するためのシステムであって、
制御ユニットと、
メモリユニットと、
前記制御ユニットおよび前記超音波デバイスのハンドセットを一緒に接続するための接続手段と
を備え、
前記制御ユニットは、
信号を前記ハンドセットへ送信し、
前記ハンドセットから、送信された前記信号に対する応答を受信し、
前記応答に基づいて前記超音波デバイスの動作条件をチェックする
よう構成され、
送信された前記信号は、周波数範囲内の周波数変動を有する信号であり、
前記制御ユニットは、前記応答に基づいて、前記超音波デバイスの周波数特性を示す少なくとも1つのパラメータを計算するよう構成され、前記パラメータは、周波数の関数としてのインピーダンスの変動であり、前記超音波デバイスの前記周波数特性を表すインピーダンス曲線を提供する、
システム。
【請求項2】
前記制御ユニットによってチェックされる前記超音波デバイスの前記動作条件は、前記ハンドセットの圧電トランスデューサの状態、前記ハンドセットに関連付けられたツールのタイプ、および/または、前記ツールの状態のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記ハンドセットに関連付けられたツールの前記インピーダンスを、または、前記ツールが前記ハンドセットに関連付けられていない場合、周波数の変動時の前記ハンドセットの圧電トランスデューサの前記インピーダンスを測定するよう構成され、
前記メモリユニットは、前記ハンドセットに関連付けられた前記ツールについて予想される前記周波数特性に関するデータ、および/または、前記ハンドセットの前記圧電トランスデューサについて予想される前記周波数特性に関するデータを含み、
前記制御ユニットは更に、測定された前記インピーダンス曲線を、前記メモリユニットに格納された予想値と比較するよう構成される、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御ユニットは、最大値、最小値、1次導関数、および2次導関数を含む、測定されたインピーダンス曲線の異なる数学的特性を、以前に格納された既知のインピーダンス曲線の数学的特性と比較するよう構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御ユニットは、
複数の格納された動作モードのうちの動作モードを前記メモリユニットから選択し、
前記ハンドセットから受信された前記応答が、選択された前記動作モードに関連付けられた、格納されたデータに対応しない場合にエラーを生成する
よう構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御ユニットは、機械学習および/または人工知能技法を採用する自動学習プロシージャを実装するよう適合される、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
動作パラメータの入力、動作パラメータの表示、動作パラメータが以前に前記メモリユニットに格納された複数の動作モードのうちの動作モードの選択、のうち少なくとも1つを可能にするよう構成されるユーザインタフェースを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御ユニットは、前記ハンドセットに組み込まれた電子ユニットと通信するよう、および、前記電子ユニットからデータを受信するよう構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記データは、少なくとも前記ハンドセットのシリアル番号を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御ユニットは、互いにデータ通信する、制御盤と、前記メモリユニットを含むコンピュータ化ユニットとを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
アクチュエータによって動作し、冷却流体を前記ハンドセットへ運ぶために前記制御ユニットと通信するポンプを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御ユニットに接続され、超音波を生成するのに好適な高電力信号を前記ハンドセットへ送信するよう適合される少なくとも1つの電力盤を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記接続手段は、データおよび電力を前記ハンドセットへ送るために、前記電力盤および前記制御ユニットに動作可能に接続された回路部分を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御ユニットは、動作モードに基づいて前記周波数範囲を設定するよう構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の超音波デバイスを駆動するためのシステムと、
前記システムに接続されて動作可能に通信するハンドセットと、
前記ハンドセットに接続されたツールと
を備える超音波デバイス。
【請求項16】
前記システムおよび前記ハンドセットは、骨セメント除去手術および骨切断手術の両方のためのツールへ超音波を送るよう構成され、前記制御ユニットは、
複数の格納された動作モードのうちの動作モードを前記メモリユニットから選択し、
前記ハンドセットから受信された前記応答が、前記ハンドセットに関連付けられた前記ツールについて予想される前記応答に対応しない場合にエラーを生成する
よう構成される、請求項15に記載の超音波デバイス。
【請求項17】
骨セメント除去および/または骨切断手術のための超音波デバイスを駆動するための方法であって、
少なくとも、制御ユニットと、前記超音波デバイスのハンドセットとの間のデータ接続を確立する段階と、
信号を前記ハンドセットへ送信する段階と、
送信された前記信号に対する応答を前記ハンドセットから受信する段階と、
前記応答に基づいて前記超音波デバイスの動作条件をチェックする段階と
を備え、前記送信する段階は、周波数範囲内の周波数変動を有する信号の形式の前記信号を前記ハンドセットへ送信する段階を含み、前記チェックする段階は、前記超音波デバイスの周波数特性を示す少なくとも1つのパラメータを計算する段階を含み、前記チェックする段階は更に、前記周波数特性を、格納されたデータと比較する段階を含み、計算された前記パラメータは、前記信号の周波数の関数としてのインピーダンスの変動であり、前記超音波デバイスの前記周波数特性を表すインピーダンス曲線を提供する、方法。
【請求項18】
測定された前記周波数特性が、予想された格納された応答と異なる場合にエラー信号を生成する段階を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記エラー信号を生成する前記段階は、エラーの解決法を表示する段階も含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
複数の格納された動作モードから動作モードを選択する段階を備え、前記チェックする段階は、前記ハンドセットに関連付けられたツールが、選択された前記動作モードに対応するかどうかをチェックする段階を含み、前記チェックする段階は、測定された前記インピーダンス曲線の異なる数学的特性を、格納されたインピーダンス曲線の数学的特性と比較する段階を含む、請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記制御ユニットを用いて、前記ハンドセット内の温度が閾値より高いかどうかをチェックする段階を備える、請求項17から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
プロセッサに、請求項17から21のいずれか一項に記載の方法を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、骨セメントを除去するため、または、骨切断手術を実行するために使用される、超音波デバイスを駆動するためのシステムおよび対応する方法に関し、以下では、開示を簡略化する目的のみで、本願の分野を参照して説明する。
【背景技術】
【0002】
この技術分野において既知であるように、義肢再置換処置中、ポリメチルメタクリレート(PMMA)からできている骨セメントを除去する必要があることが多い。これは、非常に繊細な処置であり、不正確に実行すると、骨組織に深刻な損傷を与えるリスクがある。
【0003】
超音波が送られる特殊なツールを用いて骨セメントを除去することが可能な超音波デバイスがある。これにより、義肢再置換処置中に骨セメントの除去が簡略化される。超音波の作用により、インプラントを所定位置に維持するセメントが軟化するからである。従って、ツールは、軟化されたセメントを被移植体の骨から回収および除去するように配置される。この技法により、手動の労力が減少し、骨折および穿孔のリスクを低減することが可能となる。
【0004】
超音波デバイスはまた、骨部分を切断するための骨切断手術において使用され、超音波を用いて予め定義された方式でブレードが動かされる。
【0005】
既知の超音波システムは一般に、超音波生成要素を含むハンドセットが接続された生成器の存在を想定し、上記生成器は、ハンドセットの電力供給、および、その動作パラメータの設定を可能にする。動作中に超音波が伝導されるツールは次にハンドセットに接続され、ツールは骨セメントまたは骨に接触する。
【0006】
いくつかの既知の解決法によれば、生成器は、2つの個別のハンドセットについての2つの個別の接続要素、より具体的には、骨セメントを除去することが意図された第1のハンドセットについての接続要素、および、骨切断手術のために意図された更なるハンドセットについての異なる接続要素を含む。
【0007】
更に、いくつかの既知の解決法によれば、生成器は、異なるタイプの動作モードに関する複数の動作パラメータを格納すること、および、特定の所望の動作モード、例えば、実行される特定の動作がオペレータによって選択されると、これらのパラメータを使用することが可能である。
【0008】
欧州特許出願第EP 1 199 042 A2は、ハンドセットに関連付けられるブレードの存在を検証可能な超音波システムを開示する。
【0009】
しかしながら、本明細書で利用可能な解決法は、ハンドセットおよび/またはそれに接続されたツールの条件に関する、オペレータに対する効果的なフィードバックの欠如、ならびに、オペレータが動作パラメータを正確に設定できるように助けるためのシステムの欠如を含む多くの欠点を有する。従って、オペレータとのインタラクションの改善を確実にするシステムを提供する必要がある。
【0010】
本発明の技術的課題は、既知の解決法にまだ影響を与える限界および欠点を克服することを可能にする、特に、超音波デバイスの使用を簡略化してセットアップ中のエラーの可能性を限定しながら、オペレータとのインタラクションの改善を可能にするように、構造的および機能的特徴を有する超音波デバイスについての駆動システムを提供することである。
【発明の概要】
【0011】
本発明の基礎にある解決策は、入力信号をデバイスのハンドセットへ送信し、この入力信号に対するハンドセットおよび/またはハンドセットに関連付けられたツールの特性応答を測定するよう構成される駆動/制御システムを超音波デバイスに提供することであり、この応答は、駆動システムのメモリに以前に格納された予想される応答と比較される。このようにして、本発明は、ハンドセットと駆動システムとの間のデータ交換を可能にし、ハンドセットの状態、および、それに関連付けられたツールのタイプおよび/またはそれらの状態についてのフィードバックなどの有用情報をオペレータに提供する。
【0012】
この解決策を基に、上記の技術的課題は、超音波デバイスの制御ユニットと、メモリユニットと、制御ユニットおよびハンドセットを一緒に接続するための接続手段とを含む、骨セメント除去および/または骨切断手術についての超音波デバイスを駆動するためのシステムによって解決され、制御ユニットは、信号をハンドセットへ送信し、送信された信号への応答をハンドセットから受信し、応答に基づいて超音波デバイスの動作条件をチェックするよう構成されることを特徴とする。
【0013】
より具体的には、発明は、別個に、または必要な場合は組み合わせて取られる以下の追加的特性を有する。
【0014】
本発明の一態様によれば、制御ユニットによってチェックされる超音波デバイスの動作条件は、ハンドセットの圧電トランスデューサの状態、ハンドセットに関連付けられるツールのタイプ、および/または、ツールの状態の少なくとも1つを含み得る。
【0015】
本発明の文脈において、「ツールのタイプ」という用語は、単一のツール、および、共通の特徴(例えば、共通の形状および/または機能)を有するツールのクラスの両方を識別するために使用される。
【0016】
本発明の一態様によれば、送信された信号は、予め定められた周波数範囲内の周波数変動を有する信号であり得、応答に基づいて、制御ユニットは、超音波デバイスの周波数特性を示す少なくとも1つのパラメータを計算するよう構成され得る。
【0017】
特に、パラメータは、周波数の関数としてのインピーダンスの変動であり得るので、超音波デバイスの周波数特性を表すインピーダンス曲線を提供する。
【0018】
本発明の一態様によれば、制御ユニットは、受信された応答と、メモリユニットに格納されたデータとを比較するよう構成され得、上記メモリユニットは、ハンドセットに関連付けられるツールについての予想される周波数特性に関するデータ、および/または、ハンドセットの圧電トランスデューサについての予想される周波数特性に関するデータを含む。
【0019】
本発明の一態様によれば、制御ユニットは、ツールがハンドセットに関連付けられていないときに送信される信号の周波数の変動時のハンドセットの圧電トランスデューサの特性インピーダンスを測定するよう構成され得、上記制御ユニットは更に、圧電トランスデューサの周波数特性曲線を表示する、および/または、それを予想値と比較するよう構成される。
【0020】
本発明の一態様によれば、制御ユニットは、送信された信号の周波数の変動時のツールの特性インピーダンスを測定し、特性インピーダンスを、メモリユニットに格納された、上記ツールについて予想される値と比較するよう構成され得、上記制御ユニットは少なくとも、測定された共振周波数を予想される周波数と比較するよう構成される。
【0021】
換言すると、制御ユニットは、送信された信号の周波数の変動時の、ハンドセットに関連付けられるツールのインピーダンスを、または、ツールがハンドセットに関連付けられていない場合は、ハンドセットの圧電トランスデューサのインピーダンスを測定するよう構成され得、メモリユニットは、ハンドセットに関連付けられるツールについて予想される周波数特性に関するデータ、および、ハンドセットの圧電トランスデューサについて予想される周波数特性に関するデータを含み、制御ユニットは更に圧電トランスデューサの上記周波数特性曲線を表示する、および/または、それを上記メモリユニットに格納された予想値と比較するよう構成される。制御ユニットは次に、少なくとも、測定された共振周波数を、格納された予想周波数と比較するよう構成され得る。
【0022】
より具体的には、制御ユニットは、最大値、最小値、1次導関数、2次導関数を含む、測定されたインピーダンス曲線の異なる数学的特性を、以前に格納された既知のインピーダンス曲線の特性と比較するよう構成され得、このようにして、共振周波数間の比較が間接的に実行される。
【0023】
本発明の別の態様によれば、制御ユニットは、複数の格納された動作モードからの動作モードをメモリユニットから選択するよう、および、ハンドセットから受信された応答が、選択された動作モードに関連付けられる、格納されたデータに対応しない場合にエラーを生成するよう構成され得、上記格納されたデータは、少なくとも、超音波デバイスの特性周波数を含む。
【0024】
本発明の別の態様によれば、制御ユニットは、機械学習および/または人工知能技法を採用する自動学習プロシージャを実装するよう適合され得る。
【0025】
本発明の別の態様によれば、システムは、動作パラメータの入力および/または表示、および/または、動作パラメータが予めメモリユニットに格納されている、複数の動作モードのうちの動作モードの選択を可能にするよう構成されるユーザインタフェースを含み得る。
【0026】
更に、制御ユニットは、ハンドセットに組み込んだ電子ユニットとの間で通信し、それからデータを受信するよう構成され得る。特に、そのようなデータは少なくとも、ハンドセットのシリアル番号を含み得る。
【0027】
本発明の別の態様によれば、制御ユニットは、制御盤と、メモリユニットを含むコンピュータ化ユニットとを含み得、それらは互いにデータ通信する。
【0028】
本発明の更に別の態様によれば、システムは、アクチュエータによって動作され、かつ、冷却流体をハンドセットに運ぶために制御ユニットと通信するポンプを含み得る。
【0029】
本発明の更に別の態様によれば、駆動システムは、制御ユニットに接続された少なくとも1つの電力盤を含み得、超音波を生成するのに好適な高電力信号をハンドセットへ送信するのに適している。
【0030】
本発明の更に別の態様によれば、接続手段は、データおよび電力をハンドセットへ送るために電力盤および制御ユニットに動作可能に接続された回路部分を含み得る。
【0031】
本発明の更に別の態様によれば、中央ユニットは、動作モードに基づいて周波数範囲を設定するよう構成され得る。
【0032】
本発明はまた、上に示されるような駆動システムを含む超音波デバイス、この駆動システムに接続されて動作可能に通信するハンドセット、および、ハンドセットに接続されたツールに関する。
【0033】
特に、駆動システムおよびハンドセットは、骨セメント除去手術および骨切断手術の両方のためのツールに超音波を送るよう構成され得、制御ユニットは、メモリユニットから、格納された複数の動作モードのうちの動作モードを選択するよう、および、関連付けられるツールのタイプについて予想される応答に対応しないハンドセットから応答が受信された場合にエラーを生成するよう構成され得る。
【0034】
ハンドセットに関連付けられるツールの制御は、ツールのタイプが識別されること、ひいては、スキャンを用いて(すなわち、インピーダンス曲線を評価することによって)識別されたツールが選択された動作モードに対応しない場合にエラーが生成されることを可能にする上記の周波数スキャンシステムを用いて実行される。
【0035】
本発明はまた、骨セメント除去および/または骨切断手術についての超音波デバイスを駆動するための方法に関し、少なくとも制御ユニットと超音波デバイスのハンドセットとの間のデータ接続を確立する段階と、送信された信号をハンドセットへ送信する段階と、信号への応答をハンドセットから受信する段階と、この応答に基づいて超音波デバイスの動作条件をチェックする段階とを備える方法に関する。
【0036】
本発明の態様によれば、送信する段階は、周波数の範囲内の周波数変動を有する信号の形式で上記信号をハンドセットへ送信する段階を含み得、チェックする段階は、超音波デバイスの周波数特性を示す少なくとも1つのパラメータを計算する段階を含み、このチェックする段階は、周波数特性を格納されたデータと比較する段階を含み得る。
【0037】
本発明の一態様によれば、上記計算されたパラメータは、信号周波数の関数としてのインピーダンスの変動であり得、超音波デバイスの周波数特性を表すインピーダンス曲線を提供する。
【0038】
更に、方法は、中央ユニットを用いて、ハンドセット内の温度が閾値より高いかどうかをチェックする段階を備え得る。
【0039】
本発明の一態様によれば、方法は、受信された応答が予想される応答と異なる場合に、エラー信号を生成する、および任意選択で表示する段階を含み得る。更に、エラー信号を表示する段階はまた、このエラーの解決法を表示する段階を含み得る。
【0040】
特に、方法は、複数の格納された動作モードから動作モードを選択する段階を含み得、上記チェック段階(ツールがハンドセットに関連付けられるとき)は、ハンドセットに関連付けられるツールが、選択された動作モードに対応するかどうかをチェックする段階を含み得、チェック段階は、測定されたインピーダンス曲線の異なる数学的特性を、格納されたインピーダンス曲線のそれと比較する段階を含む。
【0041】
このようにして、オペレータは、ハンドセットに関連付けられるツールが正確なものでないかどうかを即時に認識可能である。これは特に、本発明によるシステムは骨セメント除去手術および骨切断手術の両方についての単一ハンドセットのみの使用を可能にするので、有用である。
【0042】
本発明の更なる別の態様によれば、方法は、インピーダンス曲線の変動に基づいて、ハンドセットに関連付けられるツールが異なる材料に接触しているかどうかをチェックする段階を含み得る。
【0043】
最後に、本発明は、骨セメント除去および/または骨切断手術についての超音波デバイスを駆動するためのコンピュータプログラム製品に関し、上記コンピュータプログラム製品は、上に示される方法によるシステムを制御するよう適合されたコード部分を含む。
【0044】
本発明によるシステムおよび方法の特徴および利点は、添付図面を参照して、非限定的な例として与えられる実施形態の以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明による駆動システムのブロック図を示す。
【
図2】動作条件をチェックするための、本発明による駆動システムとハンドセットとの間の信号の交換を概略的に示す。
【
図3】本発明による駆動システムのユーザインタフェースの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
これらの図、特に、
図1の例を参照すると、本発明による超音波デバイスについての駆動システムは、全体的および概略的に参照番号1で示される。
【0047】
図は概略的な図を表すものであり、縮尺通りではなく、むしろ、発明の重要な特徴を強調するように描かれたものであることに留意されたい。更に、図において、異なる要素が概略的な方式で描かれ、それらの形状は所望の適用に応じて変動する。また、同一の参照番号の図は、形状または機能が同一である要素を指すことに留意されたい。最後に、図に示される実施形態に結合して説明される特定の特徴はまた、他の図において示される他の実施形態に適用可能である。
【0048】
本発明によるシステム1は、所与の方法を実装することにより、医療上の使用のために超音波を生成することが可能であるハンドセットを駆動することを可能にする。特に、システム1は、骨セメント除去に、または、骨切断手術にも使用される。本発明の文脈において、駆動システム1は、当技術分野において既知である「生成器」という用語を使用しても示されることにも留意されたい。
【0049】
図1において概略的に示されるように、システム1は、そのメインコンポーネントすべてを包含する筐体2を含む。
【0050】
特に、システム1は第一に、入力電圧を、システムコンポーネントに供給されるDC電圧へ変換するための電力供給ユニット3(PSUとしても示される)を含む。従って、PSU3は、制御ユニット、一対の電力盤等、電力供給されるシステム1のコンポーネントの電力供給入力部に接続される。電磁干渉を低減するべく、当技術分野において既知であるように、PSU3の入力部にEMIフィルタ4が配置される。
【0051】
本発明の実施形態において、PSU3は、24VのDC電圧、および、特に超音波の生成に使用される48Vの第2DC電圧を提供する。
【0052】
本発明による駆動システム1は実際には、超音波を使用することによって、義肢再置換処置中に骨セメントを除去するために、および、骨切断手術中に骨部分を切断するために使用されるハンドセット5の動作を制御することが意図される。好都合なことに、下で詳細に説明されるように、システム1は、1種類のハンドセット5のみが骨セメント除去および骨切断手術の両方に使用されることを可能にする。
【0053】
より具体的には、ハンドセット5は、当技術分野において既知であるように、圧電トランスデューサおよびホーンを含む超音波生成手段の防護要素を包含し、そのように機能する本体を含む。ハンドセット5は、電気ケーブルを用いて駆動システム1に接続され、上記電気ケーブルは、好ましくはハンドセット5の本体の遠位端で形成される好適なソケットを用いてハンドセット5に関連付けられる。圧電トランスデューサは、生成器によって供給された電気エネルギーを、約28.350kHzの周波数を有する機械的振動に変換するよう設計される。しかしながら、本発明によるシステム1は、電力レベルが0~350Wの範囲である、広い範囲の周波数内、すなわち、20kHz~100kHzの超音波の生成を制御することが可能であり、このシステムは特に、多目的であり、様々な適用において使用可能である。
【0054】
ハンドセット5のホーンは、圧電トランスデューサによって生成された振動を増幅して、それに接続されたツールT(「プローブ」とも呼ばれる)へ送るのに適している。
【0055】
従って、ハンドセット5は、生成された超音波が送られるツールTに接続するための接続手段を含む。好ましくは、接続手段は、ホーンの近位端においてネジ連結の形式である。
【0056】
ハンドセット5に関連付けられたツールTは、異なる形態および機能を有し得、本明細書の詳細な説明において説明されず、これらのツール(およびハンドセット5の内部構造)の形態および機能は、本発明の部分を形成しない。本明細書の説明の目的にとって重要なこととして、特定のツールTは、特定の動作のために意図され、それらの形式およびサイズは、実行される動作に応じて変動し、好都合なことに、本発明によるシステム1は、以下で更に説明されるように、各動作において使用される単一ハンドセット5を駆動し、このハンドセットに関連付けられたツールTを識別することを可能にする。
【0057】
本発明によるシステム1は、超音波の生成、システム1の様々なコンポーネント間の通信、ハンドセット5との通信、および、その制御など、そのメイン機能を制御および管理することが意図される中央制御ユニット6を含む。
【0058】
特に、制御ユニット6は、その入力部でPSU3から24ボルトを受信する制御盤6'を含み、超音波を制御するために特定の命令を実行する、それ自体の統合CPUが設けられる。
【0059】
例えばCPUは、特に、生成された超音波の実際の周波数の、公称周波数からの逸脱、出力電流および出力電圧の振幅、ならびにそれらの時間的関係を評価するべく、制御盤6'に統合された、それに接続されたアナログデジタルコンバータからデータを受信するよう構成される。より具体的には、アナログデジタルコンバータに入力されたデータは例えば、システムのハンドセット5または他のコンポーネントからのフィードバックデータである。従ってCPUは、その動作周波数を追跡し、ひいては、超音波の正確な生成をチェックするべく、電圧および電流データをハンドセット5から受信することが可能である。下で更に説明される方法によれば、このCPUはまた、圧電トランスデューサ、および、ハンドセット5に関連付けられたツールTの状態をチェックするよう構成され、そのような構造を有する。本発明の非限定的な例として、制御盤6'のCPUは、ARM Cortexプロセッサであり得る。
【0060】
更に、制御盤6'のCPUは、制御盤6'にも統合され、かつ、アクティブ化信号の生成の元となる位相シフトPWM信号を管理するよう適合されたPWMコントローラ(不図示)に動作可能に接続される。これらのアクティブ化信号は次に、下で更に説明されるように、超音波の生成のために電力盤によって使用される。
【0061】
本発明の実施形態において、アナログデジタルコンバータおよびPWMコントローラはARM Cortexプロセッサに統合され、超音波の管理のための同一の制御ループの一部を形成する。上記制御ループは、上に示されるCPUによって管理される。
【0062】
制御盤6'はまた、DC電圧、特に24ボルトDC電圧をPSU3から受信することに適した電力供給入力を含む。この電力供給入力部には、制御盤6'の潜在的振動に対する防護を確実にする機械要素が設けられる。更に、制御盤6'の電力供給入力はまた、システムの性能を増加させるように、高周波数妨害コンポーネントのフィルタリングを提供する。
【0063】
制御盤6'はまた、ハンドセット5を有するデータ通信の部分を含むことにより、ハンドセットがシステム1とインタフェース接続することを可能にする。特に、制御盤6'は、ハンドセット5との通信のために、一連のI/Oポートを含む。ハンドセット5との通信は、RS485規格を使用して通信バッファによって管理され、本発明の好ましい実施形態によれば、下で説明されるように、通信回路を用いて実行される。
【0064】
本発明によるシステム1はまた、超音波の生成のために高電圧信号を出力として発生させる手段を含む。特に、本発明によるシステム1は、制御ユニット6に接続された、一連の信号(例えば4つのPWM信号)をそれから受信するよう、および、これらの信号に基づいて、超音波の生成のためにハンドセット5へ送信されるのに好適な電力を有する信号を生成するよう適合された少なくとも1つの電力盤7を含む。
【0065】
電力盤7は、上で示されるように、24ボルトおよび48ボルトの電力供給をPSU3から受信し、制御ユニット6と通信する。
【0066】
電力盤7は従って、超音波の生成に好適な信号を生成してハンドセット5の圧電トランスデューサへ送信することが可能な手段を含む。
【0067】
更に、電力盤7には、その動作を独立して管理し、超音波の生成を制御することが可能なそれ自体のCPUが設けられる。例えば、CPUは、特に超音波の生成のために設計された電力盤7のコンポーネントを駆動するためのロジック信号を生成するよう適合される。
【0068】
電力盤7に統合されるCPUはまた、その識別のためにハンドセット5からデータを受信し、それに統合された温度センサからのデータを基に、電力盤7の温度を制御するためのシステムを管理可能である。
【0069】
好ましくは、システム1は、2つの対応する出力チャネルに接続された一対の電力盤7を含み、システム1の動作中、これらの出力チャネルの1つのみが制御ユニット6によってアクティブ化される。また、本発明によるシステムは好ましくは2つの電力盤7を有するが、要件および/または状況に応じて任意の数の電力盤が設けられ得ることにも留意されたい。第2の追加の電力盤7の存在は、動作中に利用可能な第2の出力を提供するので、システムのより高い安全および効率を確実にする。
【0070】
更に、本発明によるシステム1は、ハンドセット5に接続されることを可能にする、特に、ハンドセット5と制御ユニット6との間の接続、および、ハンドセット5と電力盤7との間の接続を可能にする接続手段13を含む。従って、各電力盤7は好ましくは、制御ユニット6と接続手段13との間に配置される。
【0071】
接続手段13は、ハンドセット5へ、その動作に必要なデータおよび電力供給の両方を送るよう適合され、このハンドセット5をシステム1と物理的にインタフェース接続することを可能にするソケットを含む。
【0072】
ハンドセット5は、ケーブル(不図示)を用いてシステム1の接続手段13に接続される。これにより、データおよび電力供給の両方を送ることを可能にする。このケーブルは、4つのポールとのコネクタを含み、そのうち2つは、超音波を生成するための信号(特に、例えば600Vの2つの高電圧信号)の伝送に使用される。そのうち1つは、ハンドセットに電力を供給するために使用され、1つはデータ転送に使用され、このケーブルは外側シリコーンシースを含む。また、参照電位を送るために、アース防護および通信バスの両方の2つのスクリーニングブレイドが提供される。
【0073】
接続手段13は、ハンドセット5に接続するためのソケットに接続される通信回路(または通信インタフェース)を含む。接続手段13の通信回路は、超音波を生成するための高電力信号を電力盤7から受信し、それをハンドセット5へ送信し、また、データを送信/受信し、24V電力供給を受信するべく、制御ユニット6、特に制御盤6'に接続される。通信回路はまた、ハンドセット5とのデータ通信を管理するそれ自体のCPUに提供される。上記通信はRS485規格を使用して実行される。
【0074】
換言すれば、制御ユニット6は、上記ハンドセット5との連続的な通信のためのそれ自体のRS485送受信機が設けられた接続手段13の通信回路を用いて、例えば、ハンドセット自体を識別する、アクティブ化信号を受信する、または、超音波の周波数をチェックするべく、ハンドセット5と通信することが可能である。
【0075】
同様に、電力盤7は、通信手段13の特殊な回路を用いて超音波の生成のための高電圧信号をハンドセット5へ送信する。上記回路は例えば、通信回路に沿って配置され、通信回路の通信バスと干渉しないように最大600Vの公称電圧に対する絶縁のための手段を設けられる。上記スクリーニングは、ハンドセットの通信回路とは別個である。
【0076】
通信バスは代わりに、上に示すように、好ましくはRS485送受信機を用いて、データ通信のみに使用される。
【0077】
ハンドセット5は、接続手段13の通信回路と同様の、それと通信する回路を含むアーキテクチャを有する。特に、ハンドセット5にはまた、識別に有用な情報をすべて含むメモリユニット(例えばEEPROMメモリを含む)を有する通信回路(例えばマイクロプロセッサを含む)が設けられる。例えば、ハンドセット5のメモリユニットは、このハンドセット5が接続されるとすぐシステム1の制御ユニット6へ通信されるそのシリアル番号を含み得る。これにより、ハンドセットの即時の識別を可能にする。回路はまた、温度センサ、システムのステータスを示すLEDを駆動するための手段、および、好ましい実施形態においては、それのアクティブ化のためのホール効果センサを含み、制御ユニット6は、これらのセンサからデータを受信するよう構成される。
【0078】
従って、制御ユニット6は、ハンドセット5に統合されたこの通信回路からデータを通信および受信するよう構成され、上記通信は、上に示されるように、接続手段13の通信回路を介して発生する。基本的に、駆動システム1は、(接続手段13の回路を介して)ハンドセット5の電力供給を提供し、上記ハンドセットとの2方向(双方向)データ交換を特徴とする。
【0079】
更に、制御盤6'は、システム1のデータを格納するよう適合されたメモリユニットMEMに動作可能に連結される。特に、骨セメント除去手術についての動作パラメータまたは骨切断手術についての動作パラメータなど、異なるタイプの動作についての格納された動作パラメータすべてを維持するように、メモリユニットMEMは制御ユニット6に含まれ、制御盤6'に接続される。
【0080】
更に具体的には、メモリユニットMEMは、制御ユニット6のコンピュータ化ユニット8に含まれ、コンピュータ化ユニット8は、制御盤6'とデータおよび電力通信し、システム1のすべての機能およびロジックを管理するソフトウェアをサポートする。制御盤6'は、コンピュータ化ユニット8と電力盤7との間の通信の管理を担う。上記のアーキテクチャによれば、コンピュータ化ユニット8はシステムソフトウェアを含み、制御盤6'はファームウェアを含む。制御盤6'およびコンピュータ化ユニット8は、RS485規格を介して互いに通信する。当然、上に示されるように、説明されたアーキテクチャは、本発明の範囲を限定するものではなく、特定の要件および/または状況に応じて他のタイプのアーキテクチャが使用され得る。
【0081】
メモリユニットMEMは、ハンドセットおよびそれに関連付けられたツールに関する情報をすべて含むデータマトリクスを含み、動作パラメータおよび予想される動作条件のすべては、選択され得る各動作モードに関連付けられる。下で詳細に説明されるように、本発明によるシステム1は、オペレータが所望の動作モードを選択することを可能にし、そのモードについて格納されたパラメータを自動で設定し、それにより、ハンドセットに接続される所与のツールは上記モードに対応する。
【0082】
有利なことに、本発明によれば、制御ユニット6は、信号Sg1をハンドセット5へ送信し、それから、送信された上記信号Sg1への応答Sg2を受信するよう構成される。
【0083】
特に、メモリユニットMEMに含まれるソフトウェアの命令を実行するとき、制御盤6'は、低電力刺激信号として定義され得る信号Sg1をハンドセット5の圧電トランスデューサへ送信し、ハンドセット5から受信された上記応答Sg2に基づいて超音波デバイスの動作条件(または動作状態)をチェックする目的で応答Sg2を測定する。
【0084】
ハンドセット5へ送信される信号Sg1は特に、
図2に示されるように、最小周波数f
minから最大周波数f
maxまでの所与の周波数範囲内の周波数変動を有する信号である。当然、選択された周波数範囲は、適用に応じて変動し得る。
【0085】
更に具体的には、従ってハンドセット5およびそれに関連付けられた任意のツール5のスキャン範囲を表す周波数範囲[f
min,f
max]は、ツールTの予想される共振および反共振周波数がこのスキャン範囲内(例えば25~35kHzであり得る)に収まるように選択される。共振および反共振周波数は、可変周波数信号Sg1に対するツールTの応答の数値シミュレーションを用いて予め決定される。従って、信号Sg1は、ワイドバンドおよび低電力刺激信号(関連するスペクトル内の周波数変動)であり、ひいては、ハンドセットまたはケーブルが故障した場合でも有害でない。更に、信号Sg1は好ましくは、正弦波電圧信号であり、
図2に示されるように、その振幅は、最小振幅V
minと最大振幅V
maxとの間で定義される範囲内に制限される。また、ハンドセット/ツールシステムは、複数の共振周波数を有するが、1つの長手方向の共振(および反共振)周波数のみが識別されるスキャン範囲であることにも留意されたい。
【0086】
更に具体的には、本発明のシステム1では、制御ユニット6および上記信号Sg1を用いて、ハンドセット5の圧電トランスデューサの状態、ハンドセット5に関連付けられたツールTのタイプ、および/または、上記ツールTの状態のうち少なくとも1つを含む、超音波システムの複数の動作条件をチェックすることが可能である。本発明の文脈において、特定の動作モードは、例えば、実行される動作のタイプであり、「動作条件」は、例えば、ハンドセットの状態またはそれに関連付けられたツールのタイプを意味するものとして理解され、上記動作条件は、信号Sg1および応答Sg2を用いてチェックされ、選択された特定の動作モードについての予想値と比較される。本発明によれば、単一ハンドセット5が動作のすべてのタイプに使用され、ひいては、オペレータについて最適なフィードバックが取得されるので、このことは特に興味深い。
【0087】
ハンドセット5へ送信された信号Sg1は、圧電トランスデューサの状態を評価すること(すなわち、接続されたツールTが無いハンドセット5の応答を評価すること)、および、それに接続されたツールTを有するハンドセット5を評価し、また、接続の品質をチェックすることの両方について同一である。
【0088】
周波数スキャンの間、駆動システム1は、応答Sg2に基づいて、吸収された電流および電位を継続的に測定するよう構成される。本発明の実施形態において、電圧Vの時間変動V(t)および電流Iの時間変動I(t)が分かれば、駆動システム1は、中央ユニット6を用いて、(当技術分野において既知の方式で)システムの時間の関数としてのインピーダンスZ(t)を計算するよう構成される。このように、時間の関数としての信号の周波数変動f(t)が分かれば、システムのいわゆるインピーダンス曲線を表すグラフ[f(t),Z(t)]を作成することが可能である。換言すれば、応答信号Sg2を用いて、システムのインピーダンス曲線、すなわち、
図2に示されるように、スキャン周波数の関数としてのインピーダンスを計算し、従って、システムの周波数特性を提供することが可能である。
【0089】
例えば、
図2に示されるように、ハンドセット5およびツールTを備えるシステムがスキャンされるとき、長手方向の共振および反共振(すなわち、機械システムにおいて伝播する長手方向の変形)に起因して、インピーダンス曲線は、2つの特性ピークを示す、第1ピークは共振周波数f
r(その最小値)を識別し、第2ピークは反共振周波数f
AR(その最大値)を識別する。上記の値に加えて、第1導関数Z'(f)および2次導関数Z"(f)の特定の挙動からも、特徴的情報を取得することが可能である。各ハンドセットツールシステムは、それ自体の特性インピーダンス曲線を有し、異なるツールは、それらのフォームファクタに起因して(一般には細長い)、インピーダンス曲線を著しく修正し、ひいては、それら自体の特定の曲線によって特徴付けられ、ハンドセット5に接続されたツールのタイプまたはカテゴリは、下に示されるように、上記インピーダンス曲線の解析を用いて自動的に識別され得る。
【0090】
インピーダンス曲線の解析はまた、ピエゾシステムの状態が決定されること、特に、ハンドセットツールシステムの機械コンポーネントの任意の故障が検出されることを可能にする。むしろ、ハンドセット5は単独で、そのような特性インピーダンス曲線を有しない。
【0091】
制御ユニット6によってチェックされる動作条件が、ハンドセット5の圧電トランスデューサの状態である場合(ひいては、ツールTがハンドセットに関連付けられていないとき)、信号Sg1は上のように定義され、送信されたこの信号Sg1に対するハンドセット5の応答Sg2は、圧電トランスデューサの周波数特性曲線に対応し、すなわち、ツールTを有しない単独で評価されるハンドセットの特性応答(同様にインピーダンス曲線の形式)に対応し、このトランスデューサの状態のインジケーションを提供する。従って、ツールTがハンドセット5に関連付けられていないときに測定される圧電トランスデューサの周波数特性曲線は、圧電トランスデューサおよび機械的増幅および送信システム全体を含む超音波生成システムの基本モデルを表す。正確に機能する圧電トランスデューサの放出周波数のピーク(例えば約28.350kHz)を有する。
【0092】
従って、本発明の文脈において、「周波数特性」という用語は常に、可変周波数電圧によって強調されるシステムのインピーダンスの変動を示す。当然、状況に応じて必要な場合、インピーダンスと同等の他の物理的パラメータが刺激に従って計算され得る。
【0093】
メモリユニットMEMは、圧電トランスデューサの最適周波数特性曲線に関するデータを含み、その結果、下で更により詳細に説明されるように、測定された本物の曲線と、格納された予想曲線との間の比較を実行することによって、このトランスデューサの状態をチェックすることが可能となる。
【0094】
上に示されるように、ツールTがハンドセット5と関連付けられる場合において(ひいては、制御ユニット6が、ハンドセット5に関連付けられたツールTのタイプ、または、ツールの状態をチェックする場合において)、送信された信号Sg1に対するハンドセット5の応答は、接続されたツールTのタイプに応じて変動する。なぜなら、ツールの異なる形式は、異なる応答、特に、異なる共振をもたらすからである。
【0095】
特に、制御ユニット6は、チェック信号Sg1(ハンドセット5単独の場合と同一)の送信に応じて、以前に定義された周波数範囲内の周波数の変動時のツールTの特性インピーダンス曲線を測定するよう構成され、上記インピーダンス曲線は、各ツールT、または、一般にはツールTの各カテゴリについて固有である。
【0096】
従って、駆動システム1は、格納されたデータとの比較、特に共振周波数との比較を実行することによってツールTを認識するよう構成される。
【0097】
この場合、メモリユニットMEMは、ハンドセット5に関連付けられ得るツールTすべてについての周波数の関数としてのインピーダンス曲線に関するデータを含み、制御ユニット6は、測定された応答曲線を、オペレータによって選択された動作モードに関連付けられた所与のツールについての格納された予想される応答曲線と比較するよう構成される。
【0098】
一般的に、制御ユニット6によって実行される比較は、超音波システムの設定が正確性についてチェックされることを可能にし、測定値が予想値と合致しない場合にエラー信号が生成され、これにより、システムの効率性、信頼性、安全性を増加させる。
【0099】
更に具体的には、システムの応答信号Sg2の評価は、全体的なスキャン範囲で実行され、0.1Hzと20Hzとの間で可変である周波数ステップを有するデータベクトル(ひいては、従って、バンドの各周波数についてのモジュラスおよび位相を有する多次元ベクトル)を定義する。上記評価は、予想されるベクトルと、応答Sg2に従って定義されたベクトルとの間の距離の計算に基づく(ひいては、共振周波数の一次元値のみに基づかない)。
【0100】
換言すると、好ましくは、ハンドセットに関連付けられたツールのチェックは、共振周波数値をそのツールについての予想値と比較することだけではなく、(分類またはクラスタリングを用いて)ツールTのインピーダンス曲線全体を、同様のツールの格納された参照曲線のセット(または「クラスタ」)と比較することによっても実行される。従って、制御ユニット6は、インピーダンス曲線の異なる数学的特性(形式、最大値、最小値、1次導関数、2次導関数等)を考慮する多次元比較を実装するよう構成される。当然、上記の比較はまた、少なくとも間接的に、共振と反共振周波数との間の比較を伴う。結果として、制御ユニットによって実装されるアルゴリズムは、特に機械学習または人工知能技法を用いて、数学的特性評価(共振および反共振周波数の値、第1、第2、および第3導関数等)におけるインピーダンス曲線全体を、各ハンドセットツールの組み合わせについて固有である予想される挙動を特徴とする参照モデル(以前に分類されたインピーダンス曲線のセット)と比較することを可能にする。
【0101】
エラーは、格納された予想値に測定値が一致しない場合に制御ユニット6によって生成される。
【0102】
駆動システム1は、電圧フィードバックおよび電流フィードバックの両方のための2つのガルバニックバリアを用いて、アナログデジタルコンバータへ送信された信号を、圧電トランスデューサへ送信された信号から電気的に分離する、適切に調節され駆動システム1の出力からガルバニック絶縁されたハンドセット5に電力供給する電圧および電流ベクトルからのフィードバックを用いて応答信号Sg2を提供するよう構成される。絶縁バリアは、磁界の伝搬を使用して、高電圧一次回路を二次測定回路から分離し、生成されたそれぞれの電圧ベクトルと電流ベクトルとの間の位相関係を変更させないようにする。バリアの二次回路の電圧フィードバックおよび電流フィードバックは、元のパラメータの実効値および力率の抽出のためにアナログ回路に適用される前に、ワイドバンド、リニア、差動増幅器によって調節されてから、アナログデジタルコンバータのアナログサンプリング回路に適用される。
【0103】
上記のように、本発明によれば、システム1は、オペレータが、メモリユニットMEMに格納された複数の動作モードから所望の動作モードを選択することを可能にし、各動作モードは、ハンドセット5に関連付けられる特定のツールTに対応する。
【0104】
この接続において、本発明によるシステム1は、動作パラメータ、または、動作パラメータがメモリユニットMEMに予め格納された複数の動作モードから選択された所望の動作モードの入力および表示を可能にするよう構成されるユーザインタフェース9を含み、従って、上記ユーザインタフェース9は、システムとの直接的なインタラクションを可能にする。ユーザインタフェース9を介してオペレータによって入力された設定に基づいて、制御ユニット6は、電力盤7についてもっとも適切な入力/出力を設定する。
【0105】
好ましくは、ユーザインタフェース9は、タッチスクリーンインタフェースであるが、当然、他の解決法も本発明の範囲内に含まれる。
【0106】
ユーザインタフェース9の動作はコンピュータ化ユニット8によって制御され、
図3は、本発明の実施形態によるそのようなインタフェースの例を示す。
【0107】
特に、ユーザインタフェース9は、選択されるべき複数の動作モードを最初にオペレータに表示するなどのためであり、望ましいモードが選択されると、対応する動作パラメータが自動で設定される。この時点において、オペレータは、ハンドセット5および/またはそれに関連付けられたツールTの状態をチェックする(すなわち、動作条件チェック)ための機能をアクティブ化する(例えば、所与の押しボタンを押す)オプションを有し、制御ユニット6は、上に示されるように、制御信号Sg1を生成し、受信された応答Sg2を、メモリユニットMEMに格納された情報と比較するよう構成される。本発明の実施形態によれば、システムの状態のチェックはまた、システムがアクティブ化されるたびに自動で実行され得る。このようにして、チェックは手動もしくは自動で、または、例えばツールTがハンドセット5に関連付けられた後にユーザインタフェース9の確認要求に続いて実行され得る。
【0108】
図3に示されるように、測定された応答が予想される応答と異なる場合において、エラー信号は中央ユニット6によって生成され、ユーザインタフェース9を用いて表示されるエラーメッセージに変換される。
【0109】
再び
図1を参照すると、音声シグナリング手段12(スピーカなど)も提供され、上記手段12は、任意のエラーまたは危険な状況をオペレータにシグナリングすることが可能である。
【0110】
更に、ツールTがハンドセット5に関連付けられる場合、入力信号Sg1に対するハンドセット5の応答Sg2は、圧電トランスデューサに起因する効果、および、ツールTの存在に起因する効果の組み合わせによって決定され、結果として、圧電トランスデューサの任意の劣化により、予想される特性応答からツールの特性応答が逸脱することに留意されたい。
【0111】
有利なことに、制御ユニット6はまた、圧電トランスデューサに起因する応答と、使用されるツールTのタイプに起因する応答とを区別するよう構成される。
【0112】
制御ユニット6は実際、機械学習および/または人工知能技法を利用する自動学習プロシージャを実装することを可能にする。特に、学習プロシージャは、分類およびクラスタリングに基づく。このように、機械学習プロシージャを用いて、制御ユニット6は、応答が圧電トランスデューサの劣化に起因する程度を決定するように、ハンドセット5からの応答Sg2を処理することを可能する。これは特に、(例えば老朽化に起因する)圧電トランスデューサの応答の変動が、ハンドセット5に関連付けられたツールTの不正確な識別をもたらし得るので、有利である。
【0113】
このようにして、好都合なことに、効率的で信頼できる方式で、ハンドセット5に搭載されたツールTが、選択された動作モードに事実上対応するかどうかを立証することを可能にする。
【0114】
制御ユニット6は可能、ハンドセット5の周波数特性の解析を用いて、ツールTの状態、例えば、応答の変動をもたらす任意の亀裂の存在をチェックする。
【0115】
更に、超音波システムの動作中、ハンドセット5に関連付けられたツールTの温度、および、治療象エリアの温度は、機器および患者に対して潜在的に危険である高いレベルに到達し得ることが知られている。この理由から、本発明によるハンドセット5は、ツール、ひいては、患者の治療箇所において供給される冷却媒体の循環のためのダクトを含む。
【0116】
冷却媒体(通常は生理溶液から成る)のフローは、駆動システム1の筐体2に組み込まれ、かつ、冷却媒体の流量を制御し測定することが可能な蠕動容積式ポンプ10を用いて確実にされる。
【0117】
ポンプ10は、フットスイッチなどのアクチュエータ11によって動作され、このアクチュエータ11は、中央ユニット6、特に制御盤6'に接続され、アクティブ化信号を上記制御盤6'へ送信する。制御盤6'は、アクチュエータ11から受信されたアクティブ化信号に応じて、次に、ハンドセット5のダクトに接続されたダクト14を介して冷却流体をハンドセット5へ運ぶことが可能であるポンプ10へアクティブ化信号を送信する。従って、ポンプ10の動作は、それが通信可能な制御盤6'によって制御される。
【0118】
ポンプ10を通過する一連のパイプを用いて、冷却媒体容器(システム1の筐体2の外側に位置し得る)をシステム1のダクト14およびハンドセット5に接続することが可能であり、後者は、正確な量の冷却媒体を治療箇所に運ぶことが可能である。
【0119】
同様に、治療象エリアの温度の増加に関連付けられた問題を低減する目的で、制御ユニット6は、ハンドセット5の動作のタイミングを調整するよう構成される。より具体的には、超音波システムへの電力供給の中断により、予め定義された間隔(例えば、30秒ごと)で、圧電トランスデューサのアクティブ化が所与の期間(一般には数秒)にわたって中断される。この動作モードは、温度の間接的な制御を確実にし、また、作業エリアを掃除およびチェックするための時間をオペレータに与える。更に、そのような機能的特徴は、皮質骨の穿孔に関連付けられた問題を克服することが可能である。
【0120】
いずれの場合も、上に示すように、ハンドセット5は、温度センサの内部に提供され、制御ユニット6は、ハンドセット5内に到達した温度に関するデータを受信することが可能である。デバイスに対する損傷のリスクがある場合、制御ユニット6は、所与の期間(例えば数秒)にわたって電力供給、ひいては、電力盤7によって放出される高電力信号の生成を中断することが可能である。
【0121】
更に、ハンドセット5と通信する制御ユニット6は、手術中に外科医によって加えられるツールの任意の過剰な圧力および/または屈曲をシグナリングすることが可能である。このフィードバックは、圧電トランスデューサおよびツールTを保護すると同時に、機器の最適な使用を確実にし、従って、オペレータおよび患者についての安全を増加させる。
【0122】
更に、本発明によるシステム1は、ツールTが鉄、チタン等の異なる密度の材料に接触するときに、(例えば、ユーザインタフェース9上に表示されるメッセージ、または、音声シグナリング手段12によって放出される音声シグナリングを用いて)オペレータに警告することが可能である。この目的で、制御ユニット6は、例えば、ツールTが接触する材料に応じて変動し得る超音波共振の周波数の測定に基づいて、フィードバック制御を実装するよう構成される。
【0123】
上記のように、本発明によれば、好都合なことに、駆動システム1では、骨セメント除去および骨切断手術の両方に同一のハンドセット5が使用され得る。この場合、実行される動作に好適なツールTを選択してハンドセット5に関連付けることのみが必要である。従って、本発明によるシステム1は、両方の適用と適合するように、異なる電力を提供して異なる周波数を管理する、異なるタイプの動作のために同一の圧電トランスデューサを駆動することが可能である。圧電トランスデューサの電力の調整は、制御ユニット6によって管理され、システムの著しい柔軟性を確実にする。
【0124】
上記のように、周波数スキャンを用いてハンドセット5に関連付けられたツールTの正確性をチェックする可能性は特に有利である。なぜなら、骨セメント除去のためのツールおよび骨切断手術を実行するためのツールの両方が同一のハンドセットに関連付けられ得るからである。
【0125】
ここで、
図4を参照すると、本発明はまた、骨セメント除去および/または骨切断手術についての超音波デバイスを駆動するための方法を参照し、上記方法は、特別に設計された接続手段13を用いて制御ユニット6と超音波デバイスのハンドセット5との間の接続を確立する予備段階を含む。
【0126】
そして、当該方法は、信号Sg1をハンドセット5へ送信する段階と、上記送信された信号Sg1に対する応答Sg2をハンドセット5から受信する後続の段階とを含む。
【0127】
最後に、有利なことに、ハンドセット5から受信された応答に基づいて、超音波デバイスの動作条件をチェックする段階が実行される。
【0128】
特に、本発明による方法によれば、チェック段階は、上に定義されるような可変周波数テスト信号をハンドセット5へ送信する段階を含み、上記段階の後に、圧電トランスデューサの周波数特性曲線を、以前に格納された情報と比較する段階が続く。このように、ツールがハンドセット5に関連付けられていないとき、圧電トランスデューサの状態、ひいては、上記ハンドセット5の条件をチェックすることが可能である。
【0129】
好都合なことに、当該方法はまた、好適なユーザインタフェース9を介して、複数の格納された動作モードから動作モードを選択する段階を含む。例えば、骨セメント除去モードと骨切断手術モードとの間で選択することが可能である。所望のモードが選択されると、すべての動作パラメータが自動で設定され、オペレータは動作を実行することが可能となる。当然、選択されたモードについての適切なツールTにハンドセット5を関連付ける必要があり、上記ハンドセット5は、各タイプのツールについての単一ネジ連結を含み、ひいては、セメント除去手術および骨切断手術の両方に使用可能である。
【0130】
より好都合なことに、当該方法は、ハンドセット5に関連付けられるツールT、またはツールのカテゴリが、選択された動作モードに対応するとチェックする段階を含む。
【0131】
より具体的には、チェックは最初に、上で定義される信号Sg1をハンドセット5へ送信する段階と、次に、送信された信号に応じて周波数の変動時のツールTの特性インピーダンス曲線を測定する段階を含む。
【0132】
更に、当該方法は、ハンドセット5からの応答が予想される応答と異なる場合にエラー信号を生成および表示する段階を含む。
【0133】
特に、測定された応答が、以前に格納された予想される応答と異なる場合に、エラー信号を生成および表示する段階が想定される。特に、少なくとも測定された共振周波数および予想される周波数の比較が実行され(一般には、上記のように、データベクトルの比較が実行される)、測定された周波数が、予想される周波数の周囲の予め定義された範囲の外にある場合にエラー信号が生成される。
【0134】
更に、エラー信号を表示する上記段階はまた、可能な限りもっとも効率的な方式でオペレータを補助するように、上記エラーに対する解決法のインジケーションを含む。実際には、オペレータのためのヘルプメッセージが、セットアップ中、および、エラー解決中の両方において提供され、システムとオペレータとの間のインタラクションを著しく改善する。
【0135】
代わりに、エラーが生成されない場合、ハンドセット5の動作が有効化され、従って、上記ハンドセット5は、例えば、オペレータによる所与の制御ボタンの押下に続いて超音波を生成する準備ができる。
【0136】
また、温度制御段階が提供される。特に、ハンドセット5内の温度が所与の閾値より上であるかどうかチェックすることが可能である。
【0137】
更に、ハンドセット5に関連付けられたツールTが様々な材料と接触しているかどうかをチェックする段階も提供され、これは特に、超音波共振周波数の変動の測定結果に基づく。
【0138】
結論として、本発明は、入力信号をデバイスのハンドセットへ送信し、この入力信号に対するハンドセットおよび/またはハンドセットに関連付けられたツールの特性応答を測定するよう構成される駆動/制御システムを超音波デバイスに装備することを提供し、この応答は、駆動システムのメモリに以前に格納された予想される応答と比較される。このようにして、本発明は、ハンドセットと駆動システムとの間のデータ交換を可能にし、ハンドセットの状態、および、それに関連付けられたツールのタイプおよび/またはそれらの状態についてのフィードバックなどの有用情報をオペレータに提供する。
【0139】
有利なことに、本発明によれば、提案されるシステムは、データをハンドセットと双方向的に交換するよう構成され、好適なチェックの後に、複数のフィードバックをオペレータに提供し、効率を増加させ、同時に、超音波デバイスの安全を増加させる。
【0140】
実際、実行される動作が選択されると、オペレータは最初に、選択された動作に好適なツールを選択するときに誘導され、システムは、好適なコンピュータプログラムの命令を実行することによって、選択されたツールが、選択されたモードに対応するかどうかを評価することが可能であり、同時に、圧電トランスデューサの状態を評価し、それにより、超音波システムの完全な診断を実行する。この診断は、本発明によるシステムの制御ユニットを用いてハンドセットの周波数スキャンを実行することによって、リアルタイムで非常に迅速に実行される。
【0141】
従って、提案されたシステムは、本発明の技術的課題を有効に解決し、超音波システムとオペレータとの間のインタラクションを著しく改善し、上記超音波システムの動作条件についての即時のフィードバックを提供する。
【0142】
また、各タイプの動作について単一ハンドセットを使用する可能性があり、本発明によるシステムは、使用されるツールのタイプに関するフィードバックを可能にし、ひいては、ハンドセットに関連付けられたツールが正しいものかどうかを示すことを可能にする。
【0143】
最後に、やはり超音波デバイスの性能および安全を改善する目的で、ツールの状態を測定する可能性も想定される。
【0144】
当然、当業者であれば、特定の必要性および仕様を満たすべく、上記の接触プローブおよびテストヘッドに対して、以下の請求項によって定義される発明の防護範囲にすべて含まれる複数の変更および修正を実行し得る。
【国際調査報告】