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特表2022-522108多段ポンプ本体、及びアプリケーションを含む多段ポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】多段ポンプ本体、及びアプリケーションを含む多段ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 23/00 20060101AFI20220407BHJP
   F04C 29/04 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
F04C23/00 F
F04C29/04 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545806
(86)(22)【出願日】2019-02-06
(85)【翻訳文提出日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2019052939
(87)【国際公開番号】W WO2020160770
(87)【国際公開日】2020-08-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500119813
【氏名又は名称】アテリエ ビスク ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Atelier Busch SA
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イルチェフ,セオドア
(72)【発明者】
【氏名】デシ,セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァリン,ステファニ
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA01
3H129AA10
3H129AA15
3H129AA22
3H129AB12
3H129BB12
3H129CC09
3H129CC23
3H129CC48
(57)【要約】
多段ポンプ本体は、第一のポンプ室(20)及び第二のポンプ室(21)を備える。接続ダクト(26a)は、第一のポンプ室(20)の出口(27)を第二のポンプ室(21)の入口(28)と連通させる。冷却液を循環させるために、耐漏洩性の導管(40)が設けられている。接続ダクト(26a)は、多段ポンプ本体の横方向ダクトである。熱伝導壁(33)は、接続ダクト(26a)を部分的に区切っており、外側に外部表面(34)を有する。接続ダクト(26a)の少なくとも一部は、熱伝導壁(33)の外部表面(34)と耐漏洩性の導管(40)との間を通る。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のポンプ室(20)、
第二のポンプ室(21)、
前記第一のポンプ室(20)の出口(27)を前記第二のポンプ室(21)の入り口(28)と連通させる接続ダクト(26a)、及び
冷却液が循環する耐漏洩性の導管(40)
を少なくとも備える多段ポンプ本体であって、
前記接続ダクト(26a)は、前記多段ポンプ本体の横方向ダクトであり、
前記多段ポンプ本体は、前記接続ダクト(26a)を部分的に画成し、外側に外部表面(34)を有する、少なくとも一つの熱伝導壁(33)を含み、
前記接続ダクト(26a)の少なくとも一部は、前記熱伝導壁(33)の前記外部表面(34)と、前記耐漏洩性の導管(40)との間を通ることを特徴とする多段ポンプ本体。
【請求項2】
前記耐漏洩性の導管(40)の少なくとも一部は、前記接続ダクト(26a)と、前記第一及び第二のポンプ室(20,21)の少なくとも一方との間を通ることを特徴とする請求項1に記載の多段ポンプ本体。
【請求項3】
前記耐漏洩性の導管(40)の少なくとも一部は、前記第一のポンプ室(20)と、前記第二のポンプ室(21)との間を通ることを特徴とする請求項1又は2に記載の多段ポンプ本体。
【請求項4】
前記多段ポンプ本体は、前記接続ダクト(26a)と、前記耐漏洩性の導管(40)とを互いに隔てる少なくとも一つの熱伝導パーティション(42)を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の多段ポンプ本体。
【請求項5】
前記多段ポンプ本体は、前記耐漏洩性の導管(40)と、前記第一のポンプ室(20)とを互いに隔てる少なくとも一つの熱伝導パーティションを備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の多段ポンプ本体。
【請求項6】
前記耐漏洩性の導管(40)は、前記第一のポンプ室(20)、及び/又は前記第二のポンプ室(21)の周りに部分的に回り込んでいることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の多段ポンプ本体。
【請求項7】
前記耐漏洩性の導管(40)は、前記冷却液用に少なくとも一つの入口(16)と、前記冷却液用に少なくとも一つの出口(17)とを備えることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の多段ポンプ本体。
【請求項8】
前記多段ポンプ本体は、少なくとも一つの回転シャフト(8)に対応する軸通路(53)、前記第一及び第二のポンプ室(20,21)を接続するこの軸通路(53)のセグメントを含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の多段ポンプ本体。
【請求項9】
前記多段ポンプ本体は、第一の側部と、前記軸通路(53)に対して前記第一の側部と反対側の第二の側部とを有し、前記接続ダクト(26a)は、前記多段ポンプ本体の前記第一の側部を通り、前記多段ポンプ本体は、前記第一のポンプ室(20)の前記出口(27)を前記第二のポンプ室(21)の前記入口(28)と連通させる別の接続ダクト(26b)を画成し、この別の接続ダクト(26b)は、前記多段ポンプ本体の前記第二の側部を通ることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の多段ポンプ本体。
【請求項10】
前記接続ダクト(26a)は、第一の接続ダクト(26a)であり、
前記多段ポンプ本体は、第三のポンプ室(22)と、前記第二のポンプ室(21)の出口(30)を前記第三のポンプ室の入口(31)と連通させるダクトである第二の接続ダクト(29a)とを備え、
前記熱伝導壁(33)が、第一の熱伝導壁(33)であり、
前記多段ポンプ本体は、少なくとも第二の熱伝導壁(36)を含み、
この第二の熱伝導壁(36)は、前記第二の接続ダクト(29a)を部分的に画成し、外側に外部表面(37)を有し、
前記第二の接続ダクト(29a)の少なくとも一部が、前記第二の熱伝導壁(36)の前記外部表面(37)と、前記耐漏洩性の導管(40)との間を通ることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の多段ポンプ本体。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の多段ポンプ本体(2)を含む多段ポンプであって、前記熱伝導壁(33)の前記外部表面(34)が、前記ポンプの外側にあることを特徴とする多段ポンプ。
【請求項12】
前記多段ポンプは、
前記第一のポンプ室(20)内で下流に向かうガスの流動を生じさせるための少なくとも一つの第一のローター(9)と、
前記第二のポンプ室(21)内で下流に向かうガスの流動を生じさせるための少なくとも一つの第二のローターと、
前記第一及び第二のローターを支持する回転シャフト(8)と
を含むことを特徴とする請求項11に記載の多段ポンプ。
【請求項13】
前記多段ポンプは、ローブポンプ又はローポンプまたはギアポンプであり、
前記多段ポンプは、
前記第一のポンプ室(20)内の少なくとも別の第一のローター(9)と、
前記第二のポンプ室(21)内の少なくとも別の第二のローターと、
前記別の第一及び第二のローターを支持する別の回転シャフト(8)を含み、
前記第一のローター及び前記別の第一のローター(9)は、反対方向に駆動されることにより、前記第一のポンプ室(20)内で下流に向かうガスの流動を生じさせることができ、
前記第二のローター及び前記別の第二のローターは、反対方向に駆動されることにより、前記第二のポンプ室(21)内で下流に向かうガスの流動を生じさせることができることを特徴とする請求項11又は12に記載の多段ポンプ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段ポンプ本体、及び、特に、真空ポンプであり得る多段ポンプに関する。以下の説明、及び添付する特許請求の範囲において、「ポンプ」という用語は、ガス駆動ポンプ、真空ポンプ、及びコンプレッサーをも含み、「ポンプ本体」という用語は、そのようなガス駆動ポンプ、そのような真空ポンプ、又はそのようなコンプレッサーに属し得る部分品を示す。
【背景技術】
【0002】
多段ポンプは、複数の連続するポンプ室を含むポンプであり、最後のポンプ室を除く、ある一つのポンプ室内の圧縮ガスが、次に続くポンプ室の入口に導かれるように、接続ダクトが接続されることが知られている。
【0003】
各ポンプ室で行われるガス圧縮により熱が放出され、その除去のために、さまざまな冷却装置が提案されている。
【0004】
特許文献1には、二つの連続するポンプ室間の経路において、冷却フィンを備え、外部の大気に熱を除去するためのプレートに沿って、純然たる自然対流によって、ガスが流動する多段ポンプが記載されている。
【0005】
多段ポンプでガスを圧縮する際に放出される熱を除去する別の解決策は、二つの連続するポンプ室間を移動する際に、ガスが冷却される熱交換器を使用することである。特許文献2は、この別の解決策に基づいて冷却することを提案している。
【0006】
さらに、水などの冷却液を循環させることにより、多段ポンプを冷却することも知られている。特許文献3では、冷却回路が、最後のポンプ室と最後から二番目のポンプ室の間を通り、次いで、他のポンプ室の下を通っている。特許文献4では、冷却液が流れる直管が、二つのポンプ室間、又は二つの連続するポンプ室間のガス接続ダクト内を通っている。
【0007】
特許文献5及び特許文献6のいずれも、冷却液によって冷却することを提案する。この冷却は、冷却液が、ポンプ室の周りと、これらのポンプ室を相互に接続する接続ダクトの周りとを通るという点で、外部冷却である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第2626562号公報
【特許文献2】特開2001-27190号公報
【特許文献3】米国特許第8573956号公報
【特許文献4】特開2014-55580号公報
【特許文献5】特開2001-20884号公報
【特許文献6】特開平2-95792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記文献及び特許に記載されている多段ポンプの冷却は、十分に満足できる効率を有するものではない。
【0010】
本発明の目的は、少なくとも、多段ポンプの運転時に、その多段ポンプ本体内のガス圧縮によって発生する熱の除去効率を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、この目的は、第一のポンプ室、第二のポンプ室、第一のポンプ室の出口を第二のポンプ室の入り口と連通させる接続ダクト、及び冷却液が循環する耐漏洩性の導管を少なくとも備える多段ポンプ本体によって達成される。接続ダクトは、多段ポンプ本体の横方向ダクトであり、多段ポンプ本体は、接続ダクトを部分的に画成し、外側に外部表面を有する、少なくとも一つの熱伝導壁を含む。接続ダクトの少なくとも一部は、熱伝導壁の外部表面と、耐漏洩性の導管との間を通る。
【0012】
第一及び第二のポンプ室のそれぞれは、下流に向かうガスの流動を生じさせることができる、少なくとも一つの部材を収容できるように設計されている。第一及び第二のポンプ室のそれぞれにおける圧縮中に、ポンプで送られるガスは熱くなる。このガスは、接続ダクトを通過するときに、周囲の大気によってそれ自身が冷却される熱伝導壁によって冷却される。このようにして、多段ポンプ本体の第一の冷却は、自然対流と、周囲の大気への放熱によって行われる。同時に、多段ポンプ本体の第二の冷却は、耐漏洩性の導管内を循環する冷却液への熱伝導によってもたらされる。したがって、本発明に係る多段ポンプ本体の二重冷却が行われる。
【0013】
それが冷却を改善するので、本発明は、より良いポンプ効率を得ることを可能とし、これは有利な点である。特に、ポンプ効率の向上により、最大ポンプ流量を増やすことができる。換言すれば、本発明は、一つのポンプがポンプ輸送できる最大流量を増加させることを可能にするという有利な点を有する。
【0014】
上記した多段ポンプ本体は、特に、以下に規定されるものの中から、単独で、又は組み合わせて、一以上の他の有利な特徴を組み込むことができる。
【0015】
好ましくは、耐漏洩性の導管の少なくとも一部は、接続ダクトと、第一及び第二のポンプ室の少なくとも一方との間を通る。そのような場合、耐漏洩性の導管内を循環する冷却液は、接続ダクトと、第一及び第二のポンプ室の少なくとも一方との両方を冷却し、その結果、さらに効率的な冷却がもたらされる。
【0016】
好ましくは、耐漏洩性の導管の少なくとも一部は、第一のポンプ室と、第二のポンプ室との間を通る。このような場合、耐漏洩性の導管内を循環する冷却液は、第一及び第二のポンプ室を効率的に冷却します。
【0017】
好ましくは、多段ポンプ本体は、接続ダクトと、耐漏洩性の導管とを互いに隔てる少なくとも一つの熱伝導パーティションを備える。このような熱伝導パーティションは、接続ダクトから、耐漏洩性の導管内を循環する冷却液に、効率的に熱を除去する。
【0018】
好ましくは、多段ポンプ本体は、耐漏洩性の導管と、第一のポンプ室とを互いに隔てる少なくとも一つの熱伝導パーティションを備える。このような熱伝導パーティションは、第一のポンプ室から、耐漏洩性の導管内を循環する冷却液に、効率的に熱を除去する。
【0019】
好ましくは、耐漏洩性の導管は、第一のポンプ室、及び/又は第二のポンプ室の周りに部分的に回り込んでいる。そのような場合、第一及び第二のポンプ室の少なくとも一方の冷却は、非常に効率的である。
【0020】
好ましくは、耐漏洩性の導管は、冷却液用に少なくとも一つの入口と、冷却液用に少なくとも一つの出口とを備える。
【0021】
好ましくは、多段ポンプ本体は、少なくとも一つの回転シャフトに対応する軸通路、第一及び第二のポンプ室を接続するこの軸通路のセグメントを含む。
【0022】
好ましくは、多段ポンプ本体は、第一の側部と、軸通路に対して第一の側部と反対側の第二の側部とを有し、接続ダクトは、多段ポンプ本体の第一の側部を通り、多段ポンプ本体は、第一のポンプ室の出口を第二のポンプ室の入口と連通させる別の接続ダクトを画成し、この別の接続ダクトは、多段ポンプ本体の第二の側部を通る。
【0023】
好ましくは、多段ポンプ本体は、第三の側部と、軸方向通路に対して第三の側部の反対側の第四の側部とを有し、第一のポンプ室の出口は、多段ポンプ本体の第三の側部に位置し、第二のポンプ室の入口は、多段ポンプ本体の第四の側部に位置している。
【0024】
好ましくは、第一のポンプ室の入口は、多段ポンプ本体の第四の側部に配置され、第二のポンプ室の出口は、多段ポンプ本体の第三の側部に配置される。
【0025】
好ましくは、接続ダクトは、第一の接続ダクトであり、多段ポンプ本体は、第三のポンプ室と、第二のポンプ室の出口を第三のポンプ室の入口と連通させるダクトである第二の接続ダクトとを備え、熱伝導壁が、第一の熱伝導壁であり、多段ポンプ本体は、少なくとも第二の熱伝導壁を含み、この第二の熱伝導壁は、第二の接続ダクトを部分的に画成し、外側に外部表面を有し、第二の接続ダクトの少なくとも一部が、第二の熱伝導壁のこの外部表面と、耐漏洩性の導管との間を通る。このような場合、ガスは、第一の接続ダクト内を通過する際と、第二の接続ダクト内の通過する際との両方で冷却される。
【0026】
好ましくは、多段ポンプ本体は、軸方向通路又は各軸方向通路と交差する2つの端部を含み、熱伝導壁の外部表面は、多段ポンプ本体の2つの端部の間に延在する側面の一部を形成する。
【0027】
好ましくは、熱伝導壁は、二つの対向する主面と、これらの二つの対向する主面間の一定の又は不定の厚さとを含み、主面のうち一つは、熱伝導壁の外部表面である。
【0028】
接続ダクトは、横方向ダクトであるため、第一のポンプ室と第二のポンプ室との間を通ることなく、第一のポンプ室の出口を第二のポンプ室の入口と連通させる。
【0029】
好ましくは、接続ダクトは、その長さの大部分にわたって、軸通路に実質的に平行な方向に長い断面を有する。
【0030】
同様に、本発明は、主題として多段ポンプを有し、それは、先に規定したような多段ポンプ本体を含む。熱伝導壁の外部表面は、ポンプの外側にある。
【0031】
上記した多段ポンプは、特に、以下で規定されるものの中から、単独で又は組み合わせて、一以上の他の有利な特徴を組み込むことができる。
【0032】
好ましくは、多段ポンプは、第一のポンプ室内で下流に向かうガスの流動を生じさせるための少なくとも一つの第一のローターと、第二のポンプ室内で下流に向かうガスの流動を生じさせるための少なくとも一つの第二のローターと、第一及び第二のローターを支持する回転シャフトとを含む。
【0033】
好ましくは、多段ポンプは、ローブポンプ又はローポンプまたはギアポンプであり、好ましくは、多段ポンプは、第一のポンプ室内の少なくとも一つの別の第一のローターと、第二のポンプ室内の少なくとも一つの別の第二のローターと、別の第一及び第二のローターを支持する別の回転シャフトを含み、第一のローター及び別の第一のローターは、反対方向に駆動されることにより、第一のポンプ室内で下流に向かうガスの流動を生じさせることができ、第二のローター及び別の第二のローターは、反対方向に駆動されることにより、第二のポンプ室内で下流に向かってガスの変位を生成することができる。
【0034】
他の有利な点及び特徴は、非限定的な例として提示され、添付の図面に示された、本発明の詳細な実施形態についての以下の説明からより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態に係る多段ポンプの側面図である。
図2図1のII-II線に沿った断面図であり、図1と同じ多段ポンプを示している。
図3】本発明の実施形態に係る多段ポンプ本体であって、図1及び図2の多段ポンプの一部を形成する多段ポンプ本体の斜視図である。
図4図3の垂直面IVに沿った縦断面図であり、図3と同じ多段ポンプ本体を示している。
図5図4のV-V水平線に沿った縦断面図であり、図3及び図4と同じ多段ポンプ本体を示している。
図6図4のVI-VI線に沿った断面図であり、図3及び図4と同じ多段ポンプ本体を示している。
図7図4のVII-VII線に沿った断面図であり、図3及び図4と同じ多段ポンプ本体を示している。
図8図4のVIII-VIII線に沿った断面図であり、図3及び図4と同じ多段ポンプ本体を示している。
図9図4のIX-IX線に沿った断面図であり、図3及び図4と同じ多段ポンプ本体を示している。
図10図4のX-X線に沿った断面図であり、図3及び図4と同じ多段ポンプ本体を示している。
図11図4のXI-XI線に沿った断面図であり、図3及び図4と同じ多段ポンプ本体を示している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1に、本発明の一実施形態に係る多段ポンプ1が、単独で示されている。多段ポンプ1は多段ポンプ本体2を含み、多段ポンプ本体2の各端部は、互いに同期された二つの電気モーター4,5の一方を備えたケーシング3を支持している。
【0037】
図2に示すように、多段ポンプ1は、ローブポンプである。しかしながら、本発明は、ローブポンプに限定されない。例えば、クローポンプ、又はギアポンプを本発明に適応し得る。
【0038】
多段ポンプ1は、二つの回転シャフト8を含み、これらは、一方が電気モーター4によって、他方が電気モーター5によって、それぞれ反対方向に回転駆動される。各回転シャフト8は、三つローターを支持し、それぞれのローターが、一対の相補的なローター9の一部を形成する。各ローター9は、複数のローブを含み、図示する例では四つのローブを含む。しかしながら、ローター9のローブの数は、四つでなくてもよい。
【0039】
図3に、多段ポンプ本体2が、単独で示されている。多段ポンプ本体2は、二つのハウジング11,12からなり、ハウジング11,12のそれぞれが、不連続な取り付けフランジ13を有している。取り付けフランジ13に取り付けられたネジ14(図1にのみ示す)は、ハウジング11,12を締め付けて互いに固定する。
【0040】
多段ポンプ本体2は、冷却液用に一つの入口16と、同じ冷却液用に二つの出口17とを備える。
【0041】
図4に示すように、多段ポンプ本体2は、複数の連続するポンプ室を画成する。これらのポンプ室は、第一のポンプ室20、第一のポンプ室20の次に続く第二のポンプ室21、及び第二のポンプ室21の次に続く第三のポンプ室22であり、回転シャフト8に平行な方向に並設されている。
【0042】
図示する例において、ポンプ室20~22は、三つであるが、それらの数は、三つでなくてもよい。
【0043】
図2に示すように、一対の相補的なローター9が、第一のポンプ室20内に配置されている。各ポンプ室21,22内にも同様に、一対の相補的なローターが配置されている。明確さの観点から、多段ポンプ1の二つの回転シャフト8、及びローター9は、図4図11には示していない。
【0044】
図4に示すように、多段ポンプ1の吸引部23は、第一のポンプ室20の入口まで拡張されており、第三のポンプ室22の出口は、多段ポンプ1の排出部24まで拡張されている。
【0045】
ハウジング11は、第一のポンプ室20を部分的に画成しており、ケーシング3の一つが、多段ポンプ本体2の端部2aの一方の面を閉塞している。ハウジング11とハウジング12は、第二のポンプ室21を協働して画成する。ハウジング12は、第三のポンプ室22を部分的に画成しており、ケーシング3の一つが、多段ポンプ本体2の端部2bの一方の面を閉塞している。
【0046】
溝内で圧縮されたガスケットは、ハウジング11とハウジング12との間にシールを形成する。図5において、これらには、符号25が付されている。
【0047】
併せて考察される図4図5とに示すように、互いに対称である二つの接続ダクト26a,26bは、第一のポンプ室20の出口27を第二のポンプ室21の入口28に接続する。ダクト26a,26bは、第一の接続ダクトである。互いに対称である一対の第二の接続ダクト29a,29bは、第二のポンプ室21の出口30を第三のポンプ室22の入口31に接続する。図4において、矢印Cは、吸引部23から排出部24までのガスの流れを表している。
【0048】
第一の接続ダクト26a,26bと、第二の接続ダクト29a,29bは、多段ポンプ本体2の横方向ダクトである。第一の接続ダクト26a,26bのそれぞれは、多段ポンプ1の外側に外部表面34を有する、熱伝導壁33である側壁によって部分的に画成されている。熱伝導壁33は、第一の熱伝導壁である。第二の接続ダクト29a,29bのそれぞれは、多段ポンプ1の外側にそれぞれ外部表面37を有する、第二の熱伝導壁36である二つの側壁のうちの一つによって部分的に画成されている。
【0049】
多段ポンプ本体2は、例えば、水がなり得る冷却液の循環のために、耐漏洩性の導管40を画成する。
【0050】
図6に示すように、耐漏洩性の導管40は、出口17に通じており、出口17を通って、この耐漏洩性の導管内にある冷却流体を排出させることができる。
【0051】
図7に示すように、耐漏洩性の導管40は、第一のポンプ室20を部分的に取り囲んでいる。
【0052】
図9に示すように、耐漏洩性の導管40は、第二のポンプ室21を部分的に取り囲んでいる。
【0053】
図10に示すように、耐漏洩性の導管40は、分配チャンバ40aを含み、入口16が分配チャンバ40a内に抜けて、分配チャンバ40aは、耐漏洩性の導管40に冷却流体を供給することを可能にする。
【0054】
図11に示すように、耐漏洩性の導管40は、第三のポンプ室22を部分的に取り囲んでいる。
【0055】
図5図7に示すように、耐漏洩性の導管40は、第一のポンプ室20と、第一の接続ダクト26a,26bのそれぞれとの間を通っている。熱伝導パーティション42は、第一の接続ダクト26aと、耐漏洩性の導管40とを部分的に画成して、一方を他方から隔てている。別の熱伝導パーティション42は、第一の接続ダクト26bと、耐漏洩性の導管40とを部分的に画成して、一方を他方から隔てている。熱伝導パーティション43は、第一のポンプ室20と、耐漏洩性の導管40とを部分的に画成して、一方を他方から隔てている。
【0056】
ポンプ1が作動すると、このポンプ1によって吸引されたガスは、第一のポンプ室20、第二のポンプ室21、及び第三のポンプ室22で圧縮され、その間に暖まる。
【0057】
第一の接続ダクト26a,26bを通過するガスの熱は、熱伝導壁33と、熱伝導パーティション42との両方によって除去される。第一の冷却が、熱伝導壁33の外部表面34における放熱及び自然対流によって、周囲の空気に熱が伝わることにより行われる。第二の冷却が、熱伝導パーティション42において、耐漏洩性の導管40内を循環する冷却液によってなされる。したがって、第一の接続ダクト26a,26bを通過するガスは、二重の同時冷却の累加に処され、これらの冷却は、第一の接続ダクト26a,26bのそれぞれの二つの広い側面でなされる。
【0058】
熱伝導パーティション42を冷却することに加えて、耐漏洩性の導管40内を循環する冷却液は、熱伝導パーティション43を冷却し、したがって、この熱伝導パーティション43を介して、第一のポンプ室20を冷却する。
【0059】
図5及び図9に示すように、耐漏洩性の導管40は、第二のポンプ室21と、第二の接続ダクト29a,29bのそれぞれとの間を通っている。熱伝導パーティション45は、第二の接続ダクト29aと、耐漏洩性の導管40とを部分的に画成して、一方を他方から隔てている。別の熱伝導パーティション45は、第二の接続ダクト29bと、耐漏洩性の導管40とを部分的に画成して、一方を他方から隔てている。熱伝導パーティション46は、第二のポンプ室21と、耐漏洩性の導管40とを部分的に画成して、一方を他方から隔てている。
【0060】
第二の接続ダクト29a,29bを通過するガスの熱は、熱伝導壁36と、熱伝導パーティション45との両方によって除去される。冷却は、熱伝導壁36の外部表面37において、自然対流及び周囲の空気への熱伝導によって行われる。別の冷却は、熱伝導パーティション45において、耐漏洩性の導管40内を循環する冷却液によってなされる。したがって、第二の接続ダクト29a,29bを通過するガスは、二重の同時冷却の累加に処され、これらの冷却は、第二の接続ダクト29a,29bのそれぞれの二つの広い側面でなされる。
【0061】
熱伝導パーティション45を冷却することに加えて、耐漏洩性の導管40内を循環する冷却液は、熱伝導パーティション46を冷却し、したがって、この熱伝導パーティション46を介して、第二のポンプ室21を冷却する。
【0062】
耐漏洩性の導管40の一部は、第一のポンプ室20と、第二のポンプ室21との間の分離壁50に配置され、これらの間を通り、その結果、これらの第一及び第二のポンプ室20,21の冷却が改善される。耐漏洩性の導管40の一部は、第二のポンプ室21と、第三のポンプ室23との間の分離壁51に配置され、これらの間を通り、これらの第二及び第三のポンプ室21,22の冷却を改善する。
【0063】
図6図10において、回転シャフト8に一つずつ対応する二つの軸通路は、符号53が付されており、分離壁50及び分離壁51を貫通している。
【0064】
本発明は、上記実施形態に限定されない。特に、本発明に係る多段ポンプ本体は、例えば、ロータリーベーンポンプの一部を形成する場合には、単一の回転シャフト8に対する単一の軸方向通路53のみを含み得る。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】