(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】伸縮式のネイルおよび関連する穿孔器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/72 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
A61B17/72
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547821
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(85)【翻訳文提出日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 EP2020055563
(87)【国際公開番号】W WO2020178287
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】102019000003285
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516023685
【氏名又は名称】オーソフィックス エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴェントゥリニ、ダニエレ
(72)【発明者】
【氏名】フィニドリ、ジョルジュ、フェルナンド、ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ペジン、ザゴーカ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL27
4C160LL44
(57)【要約】
例えば骨形成不全症または偽関節の症例でのような、長骨の骨折または変形の治療のための伸縮式のネイル(1)であって、中空のステム(2)と、上記中空のステム(2)に伸縮式に挿入されるロッド(10)と、第1の長骨端部に固定するために上記中空のステム(2)の端部に結合された第1の圧締め要素(20)と、第2の長骨端部に固定するために上記ロッド(10)の端部に結合された第2の圧締め要素(30)とを備える。有利には、上記中空のステム(2)の一端には、ネイルの挿入のために骨の中に形成された空洞に挿入することができる器具の端部に結合するための結合手段(40)が備わっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えば骨形成不全症または偽関節の症例でのような長骨の骨折または変形の治療のための伸縮式のネイルであって、
-中空のステムと、
-前記中空のステムに伸縮式に挿入されるロッドと、
-第1の長骨端部に固定するために前記中空のステムの一端に結合された第1の圧締め要素と、
-第2の長骨端部に固定するために前記ロッドの端部に結合された第2の圧締め要素と、
を備え、
-前記中空のステムの反対側の端部には、前記ネイルの挿入のために骨の中に形成された空洞に挿入することができる器具の端部に結合するためのねじ山付きの結合部が備わっており、
-前記第1の圧締め要素は、前記中空のステムの前記一端に結合されるべき柄と、前記骨に固定するための固定ヘッドとを備えるねじとして構築される、伸縮式のネイル。
【請求項2】
前記ねじ山付きの結合部は、前記中空のステムの前記一端にも存在する、請求項1に記載の伸縮式のネイル。
【請求項3】
前記ねじ山付きの結合部は、ねじ込みを利用して、前記器具の結合端部の外側のねじ山を受け入れるための前記ステムの内側にねじ山付きの端部である、請求項2に記載の伸縮式のネイル。
【請求項4】
前記ねじの前記柄は、前記中空のステムの一方または反対側の内側にねじ山付きの端部に結合され得る外側のねじ山を備える、請求項1に記載の伸縮式のネイル。
【請求項5】
前記第2の圧締め要素は、前記ロッドの一端に対して一体型の構造として固定される、または形成される、請求項1に記載の伸縮式のネイル。
【請求項6】
前記固定ヘッドは、前記骨の内部で把持されるのに適したねじ山付きのヘッド部分を備え、前記ねじ山付きのヘッド部分は、145°±20%のテーパ角および/または3mm±20%の高さを備えた円錐形の外形を有する、請求項1に記載の伸縮式のネイル。
【請求項7】
前記第2の圧締め要素は、前記骨に固定されるように設計された固定ヘッドを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の伸縮式のネイル。
【請求項8】
前記固定ヘッドは、前記骨の内部で把持されるのに適したねじ山付きのヘッド部分を備え、前記ねじ山付きのヘッド部分は、145°±20%のテーパ角および/または3mm±20%の高さを備えた円錐形の外形を有する、請求項7に記載の伸縮式のネイル。
【請求項9】
前記固定ヘッドは、軸方向移動器具の端部に固定されるように設計された内部移動空洞と、操作器具の端部との形状一致結合を提供するように設計された少なくともくぼんだ座面とを備え、
前記くぼんだ座面は、前記軸方向移動器具および前記操作器具の同時の結合を可能にするために、前記内側にねじ山付きの空洞の外側に形成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の伸縮式のネイル。
【請求項10】
長骨の内部に、伸縮式のネイルの挿入のための空洞を形成するように設計された穿孔端部を備えた穿孔器具であって、前記穿孔端部の反対側に、請求項1から9のいずれか一項に記載の伸縮式のネイルの前記中空のステムの端部の対応する結合手段と結合されるように設計された対抗する結合手段を備える結合端部を備える、穿孔器具。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の伸縮式のネイルと、請求項10に記載の穿孔器具とを備える組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の長骨に挿入することができる伸縮式のネイルおよびネイルの植え込みのための穿孔器具に関する。このネイルは、長骨の端部に固定することができる中空のステムと、長骨の他端に固定することができ、中空のステムに摺動可能に挿入されるロッドとを備えるタイプである。
【0002】
本発明は、詳細には、但し排他的ではなく、例えば骨形成不全症または偽関節の症例でのように、長骨の骨折または変形の治療を対象とした伸縮式のネイルに関する。
【0003】
本発明は、例えば、骨形成不全症または先天性偽関節による、長骨の骨変形の矯正のために、小児整形外科学の分野で有益な用途を有する。したがって、以下に続く記載は、この分野の文脈での非制限的使用を参照して提供される。
【背景技術】
【0004】
骨形成不全症によって影響を受けた、成長年齢での患者の長骨の変形を矯正するための既知の技術は、少なくとも1つの骨切り術、骨断端の位置合わせ、および骨に沿って予め形成された空洞またはチャネルへのネイルの挿入の実行を伴う。
【0005】
このタイプの作業で使用されるネイルは、伸縮式のタイプであり、すなわちそれらは、長骨の端部に固定することができる中空のステムと、長骨の他端に固定することができ、中空のステムに摺動可能に挿入されるロッドとを有する。骨の成長中の2つの構成要素の摺動によって、位置合わせを維持しつつ、ネイルが上記骨の長さの変化に適応することが可能になる。
【0006】
Bailey-Dubow Sheffieldの従来技術による伸縮式のネイルおよびインターロックタイプの伸縮式のネイルは、ロッドおよび中空のステムの自由端に、骨の対応する端部を支承するように設計された、ネイルの軸を横切る要素を有し、構成要素が骨自体を貫通するのを阻止する。
【0007】
このタイプのネイルは、成長軟骨との干渉を最小限にするためなどの寸法を有するが、それらは、骨の成長中のネイルの端部の適切な固定する動作および回転の安定性は保証しない。横断要素は、ネイルが骨を貫通することのみを阻止するが、その他の自由度は制限しない。
【0008】
安定性に関連する欠点は、例えば、PCT特許出WO2016/175729A1号または米国特許第6,524,313B1号に開示されるような、ねじ込みを利用して骨に固定することができるネイルの端部にねじ切りを設けることによって、従来技術によって対処されてきた。
【0009】
詳細には、この第2のタイプの伸縮式のネイル、例えばFassier-Duvalネイルなどは、長骨の骨端にねじ込まれるように設計されたねじ山付きの先端を有するロッドと、反対側の骨端にねじ込むことができるねじ山付きヘッドを有する中空のステムとを備える。
【0010】
Fassier-Duvalネイルのねじ山付きの端部は、適切な固定の安定性を保証するが、それらは、特定の体積で成長軟骨を貫通して、骨の一様な成長にマイナスの影響を与えるなどする。
【0011】
上述から、植え込みの適切な安定性を保証し、成長軟骨との干渉を最小限にすることを保証することができる伸縮式のネイルを開発するための要望があることは明らかである。
【0012】
この第2のタイプのネイルは通常、2つの代替の外科技術を利用して植え込まれる。
【0013】
最初の技術は、より侵襲性であり、骨の骨幹上のアクセスポイントの形成、骨の露出、骨切り術作業の実行、および内部にネイルが収容される空洞を形成するために穿孔器を利用する単一の骨断端の穴開けを伴う。
【0014】
他方の技術は、代わりに、前進移動中に経皮的に、骨に沿った、上記骨の端部の一方に導入された穿孔器の骨切り術作業の実行を伴う。
【0015】
両方の外科技術において、空洞がひとたび形成されると、穿孔器は除去される。
【0016】
その後、ロッドが、ねじ山付きの先端が反対側の端部の骨端の内部にねじ込まれるまで、骨の一端で空洞に挿入される。摺動可能にロッドを受け入れ、ねじ山付きヘッドを骨にねじ込むために、中空のステムがその後空洞に挿入される。
【0017】
ネイル構成要素の挿入は、挿入の補助および空洞の内部でのネイルの前進移動のためのハンドグリップを有する、構成要素の端部に結合された器具を使用して行われる。
【0018】
このような外科作業で使用される穿孔器は、回転式の前進移動中に骨を除去するように成形された穿孔端部を有する。
【0019】
様々な態様において有利ではあるが、従来技術の伸縮式のネイルは、空洞がひとたび形成されると、ネイルの挿入に関連する欠点を有する。
【0020】
実際には、ワイヤガイドは空洞と比べて小さい断面を有するため、外科医はネイルの挿入に随行するためにワイヤガイドを使用し得るが、穿孔器が除去されるとき、骨断端が骨切り術作業中に位置合わせ不良となることが起こり易くなる場合がある。骨の位置合わせ不良は、植え込みおよび治療の結果の成功に悪影響を与える必然的なリスクを伴って、ネイルの挿入のための処置を複雑にする。
【0021】
さらに、従来技術によるネイル挿入処置は、外科医が使用しなければならない器具の数が多く、そのサイズが大きいことにより複雑である。
【0022】
上記から、それ故、外科処置の複雑さを低下させ、骨断端の位置合わせ不良の可能性を最小限にすることができる伸縮式のネイルおよび器具を開発するための要望が生じる。
【0023】
本発明の目的は、従来技術の問題を解決することである。
【0024】
本発明の特定の目的は、ネイルを空洞に挿入する間、突起部分を位置合わせしたままにすることが可能であり、ネイルの正確な挿入を保証する伸縮式のネイルおよび穿孔器具を考案することである。
【0025】
本発明の別の特定の目的は、骨端への端部の高度な固定の安定性を保証し、同時に正しい骨成長を妨害しない伸縮式のネイルを考案することである。
【0026】
本発明の別の特定の目的は、外科植え込み方法の複雑さを低下させ、植え込みに必要とされる器具の数およびサイズを削減することができる伸縮式のネイルおよび穿孔器具を考案することである。
【発明の概要】
【0027】
上記に挙げた目的は、例えば、骨形成不全症または偽関節の症例でのように、長骨の骨折または変形の治療のための伸縮式のネイルを備えるタイプである、本発明によるネイルによって達成され、このネイルは、
-中空のステムと、
-上記中空のステムに伸縮式に挿入されるロッドと、
-第1の長骨端部に固定するために上記中空のステムの一端に結合された第1の圧締め要素と、
-第2の長骨端部に固定するために上記ロッドの端部に結合された第2の圧締め要素とを備え、
-上記中空のステムの反対側の端部には、ネイルの挿入のために骨の中に形成された空洞に挿入することができる器具の端部に結合するためのねじ山付きの結合部が備わっており、
-上記第1の圧締め要素は、上記中空のステムの上記一端に結合されるべき柄と、骨に固定するための固定ヘッドとを備えるねじとして構築される。
【0028】
本発明の基本的概念は、手短に言えば、ネイル自体の挿入のために骨の中に形成された空洞に挿入することができる器具の端部に結合することができる、伸縮式のネイルの中空のステムを設けることである。
【0029】
この方法において、実際には、器具を前に進め、それと共に上記中空のステムを引っ張ることによって空洞の内部に中空のステムを挿入することが可能である。
【0030】
有利には、この器具は、ネイルを挿入するために、空洞を形成するのに使用される穿孔器具であってよい。中空のステムがひとたび空洞内に挿入されると、ロッドが中空のステムに挿入され、2つの構成要素は、関連する圧締め要素を利用して骨に固定される。詳細には、第1の圧締め要素は、中空のステムの端部に結合され、その後骨の対応する端部に固定されてよい。
【0031】
好ましくは、第2の圧締め要素は、ロッドとの一体型として形成されるが、それでもなお、代替としてそれらは、例えば溶接を利用して、その後一緒に固定される2つの別個の部分であってもよい。
【0032】
有利には、結合手段は、中空のステムの両方の端部に存在する場合があり、その結果、外科医は、中空のステムの挿入の方向に関して悩む必要がない。
【0033】
さらに、好ましくは、ロッドは、円形断面を有し、管状のステムの内部に挿入される。換言すると、円筒形の外形を有する伸縮式の結合部が形成され、これは、摩擦を制限し、それ故、たとえ治療中にネイルの屈曲やねじれが起こった場合でも、構成要素の相対移動中の妨害のリスクを制限しつつ、高い接触の長さを保証する。
【0034】
好ましくは、結合手段は、器具の端部と共にねじ山付きの結合部を形成する。
【0035】
詳細には、結合手段は、ねじ込みを利用して、器具の結合端部の外側のねじ山を受け入れるためのステムの内側にねじ山付きの端部で構成されてよい。
【0036】
第1の圧締め要素は有利には、中空のステムの端部と結合するのに適した第1の柄と、骨に固定するための固定ヘッドとを備える第1のねじで構成されてよい。
【0037】
第1の柄は、中空のステムの内側にねじ山付きの端部にねじ込まれるように設計された外側のねじ山を備え、ねじ山の係合位置での中空のステムの塑性変形を利用してロックする。
【0038】
さらに、有利には、固定ヘッドは、骨の内部で把持するのに適したねじ山付きヘッド部分を備えてよく、ねじ山付きヘッド部分は、145°±20%のテーパ角および3mm±20%の高さを有する円錐状の外形を有する。
【0039】
同様に、またはその一方で、第2の固定要素が、骨に固定されるように設計された固定ヘッドを備えてもよい。
【0040】
この固定ヘッドは、有利には、骨の内部で把持するのに適したねじ山付きヘッド145°±20%のテーパ角および3mm±20%の高さを有する円錐状の外形を有する。
【0041】
ねじ山付きヘッド部分のテーパ角および高さの値は、際立った円錐形状を画定し、これは、成長軟骨を貫通せず、同時に治療の間、植え込みの安定性を保証するような方法で、従来技術よりも小さい骨の厚さで把持が達成されるのを可能にする。
【0042】
固定ヘッドはまた、軸方向移動器具の端部に固定されるように設計された内部移動空洞と、操作器具の端部との形状一致結合を提供するように設計された少なくともくぼんだ座面とを備えてよく、くぼんだ座面は、上記軸方向移動器具および上記操作器具の同時の結合を可能にするために、内側にねじ山付きの空洞の外側に形成されている。
【0043】
上記に挙げた目的は、伸縮式のネイルの挿入のために長骨の内部に空洞を形成するように設計された穿孔端部を備えるタイプの、本発明による穿孔器具によって達成される。
【0044】
有利には、穿孔器具は、穿孔端部の反対側に、伸縮式のネイルの上記中空のステムの端部の対応する結合手段と結合されるように設計された対抗する結合手段を備える結合端部を備える。
【0045】
上記の上述した伸縮式のネイルは、以下に記載される作業技術を利用して有利に植え込まれてよい。
【0046】
伸縮式のネイルを植え込むための方法は、以下のステップ、すなわち、
中空のステムと、
中空のステムに伸縮式に挿入されるロッドと、
第1の長骨端部に固定するために中空のステムの端部に結合された第1の圧締め要素と、
第2の長骨端部に固定するためにロッドの端部に結合された第2の圧締め要素とを備える
-伸縮式のネイルを設けるステップであって、
中空のステムの一端には、ネイルの挿入のために骨に形成された空洞に挿入することができる器具の端部に結合するための結合手段が備わっているステップと、
―ネイルを挿入するために骨に形成された空洞の内部に挿入することができ、
伸縮式のネイルの中空のステムの端部の結合手段に結合されるように設計された対抗する結合手段を備える結合端部を備える器具を準備するステップと、
-骨の第1の端部を通って空洞の内部に結合端部の反対側の器具の端部を挿入するステップと、
-器具の結合端部の対抗する結合手段と、伸縮式のネイルの中空のステムの第1の端部の結合手段を一緒に結合するステップと、
-器具が他方の長骨端部から完全に出てくるまで、器具を空洞の内部で前に進め、それと一緒に中空のステムを空洞内に引っ張るステップと、
-器具を中空のステムから切り離すステップとを含む。
【0047】
ネイルの別の構成要素はその後、以下のステップ、
-とりわけ、器具を前に進める前に、第2の圧締め要素の反対側の伸縮式のネイルのロッドの端部を、中空のステムの他端を通して中空のステムに挿入するステップと、
-中空のステムの第1の端部に第1の圧締め要素を結合するステップと、
-第1の圧締め要素を第2の骨端部に固定するステップと、
-第2の圧締め要素を第1の骨端部に固定するステップとを実行することによって植え込まれてよい。
【0048】
上記で挙げた植え込み方法は、骨を位置合わせして維持し、骨自体の内部での機械的連続性を保証することを可能にする。
【0049】
器具は有利には、
伸縮式のネイルの挿入のために空洞を形成するように設計された穿孔端部と、
穿孔端部の反対側に、伸縮式のネイルの中空のステムの端部の対応する結合手段と結合されるように設計された対抗する結合手段を備える結合端部とを備える穿孔器具であってよい。
【0050】
このようなケースでは、空洞は、挿入、および骨の内部での穿孔器具の前進移動の間に形成される。
【0051】
この方法では、単一の器具が、空洞を形成するためと、この空洞にネイルの中空のステムを挿入するための両方に使用されてよく、これにより、既知の技術と比べて使用される器具の数および行われるステップの数の両方の点において植え込み作業の複雑さを低減する。
【0052】
結合手段を対抗する結合手段と結合するステップは、骨に器具を挿入する前に行われてもよい。
【0053】
詳細には、長骨の長さより短い長さを有する器具を使用して中空のステムを器具に結合し、前進ガイドと同じステムを使用して器具を挿入することが可能である。換言すると、ステムは器具として機能する。
【0054】
この方法では、上記器具の製造に関するコストが削減されてよい。
【0055】
器具はまた、ステムに既に結合されて外科医に供給されてもよく、作業のステップの数をさらに削減することも可能である。
【0056】
本発明による伸縮式のネイルおよび穿孔器具のさらなる特徴的機構および利点は、以下に提供される、非制限的な例という目的で提供された実施形態の例の記載からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
本記載は、添付の図面を参照する。
【
図1】組み立て後の状態での、本発明に従って提供された伸縮式のネイルの一実施形態の斜視的な概略図である。
【
図2】解体した状態での、本発明による伸縮式のネイルの概略斜視図である。
【
図3】
図1による伸縮式のネイルの中空のステムの概略斜視図である。
【
図4】長手方向面に沿って横に切断された、
図3による中空のステムの概略斜図である。
【
図5】
図1による伸縮式のネイルのロッドの概略斜視図である。
【
図6】
図2による伸縮式のネイルの詳細の概略斜視図である。
【
図7】
図2による伸縮式のネイルの第1の圧締め要素の概略斜視図である。
【
図8】
図7による第1の圧締め要素を通る長手方向断面を示す図である。
【
図9】第1の圧締め要素の代替の一実施形態の概略斜視図である。
【
図10】
図1による伸縮式のネイルの詳細の概略斜視図である。
【
図11】第2の圧締め要素の代替の一実施形態と併せた伸縮式のネイルの詳細の概略斜視図である。
【
図12】
図11による第2の圧締め要素の詳細の概略斜視図である。
【
図13】本発明に従って提供された穿孔器具の第1の実施形態の概略斜視図である。
【
図15】本発明に従って提供された穿孔器具の第2の実施形態の概略斜視図である。
【
図17】一緒に結合された、
図1による伸縮式のネイルと、
図13による器具とを備える組立体の概略斜視図である。
【
図18】
図1による伸縮式のネイルの第1および/または第2の圧締め要素をねじ込むのに使用することができる締め付け器具の概略斜視図である。
【
図19】
図18による器具の長手方向面に沿った断面図である。
【
図20】
図1による伸縮式のネイルの第1および/または第2の圧締め要素に結合することができる軸方向移動器具の概略斜視図である。
【
図21】
図1による伸縮式のネイルに結合された、
図18および
図20による器具を備えるシステムの概略斜視図である。
【
図23】変形した大腿骨の内部に伸縮式のネイルを挿入するための空洞を形成するためのステップの開始における、本発明による穿孔器具を示す図である。
【
図24】第1の骨切り術の実行後、骨に沿って前に進められる、
図23による穿孔器具を示す図である。
【
図25】大腿骨の内部に完全に挿入された穿孔器具を示す図である。
【
図26】そこに結合された、本発明による伸縮式のネイルの中空のステムと共に、
図25による穿孔器具を示す図である。
【
図27】圧締め要素が固定されない状態で、大腿骨の内部に部分的に挿入された、本発明による伸縮式のネイルを示す図である。
【
図28】圧締め要素が骨に固定された状態で、大腿骨の内部に完全に挿入された、
図27による伸縮式のネイルを示す図である。異なる図面では、同様の要素は、同様の参照番号によって識別される。
【発明を実施するための形態】
【0058】
添付の図面を参照して、本発明による伸縮式のネイルおよび穿孔器具の非制限的な例示の実施形態が以下に記載される。
【0059】
本発明による伸縮式のネイルはとりわけ、特に小児患者における、例えば骨形成不全症または偽関節の症例でのような長骨の骨折または変形の治療に適しているが、とはいえ排他的ではない。
【0060】
伸縮式のネイル1は一般に、中空のステム2と、ステム2の内部空洞3の内部に摺動可能に挿入することができるロッド10とを備え、これにより伸縮式の結合部を形成する。
【0061】
例示の実施形態では、この伸縮式の結合部は、円筒形状を有する、すなわちロッドは円形断面を有し、わずかにより大きな直径を有する管状のステムの内部に挿入される。
【0062】
このタイプの外形は、それが、構成要素2、10の相対的な摺動中、また治療中のネイルのいかなる屈曲やねじれにおいても摩擦を制限する高い接触領域を保証するという利点を有するために想定されてきた。この分野で使用される他のタイプの外形、スプライン外形などが、代わりに注目される傾向がある。
【0063】
伸縮式のネイル1はまた、第1および第2のステム端部4、5の一方に取り外し可能に固定され、中空のステム2を骨の端部に固定するように設計された第1の圧締め要素20を有する。
【0064】
第2の圧締め要素30は、第1のロッド端部11に配置され、骨の反対側の端部にロッド10を固定するように設計されている。この第2の圧締め要素30は好ましくは、ロッド10との一体型として形成されるが、別々に作成され、その後、例えば溶接を利用してロッド10の端部11に固定されてもよい(
図10、
図11を参照)。
【0065】
記載の続きにより完全に説明されるように、中空のステム2は、第1のステム端部4に、穿孔器具500の対応する対抗する結合手段540に結合されるように設計された結合手段40を有する。
【0066】
本明細書に記載される好ましい実施形態では、このような結合手段40はまた、第2のステム端部5にも存在し、内部空洞3の内部に形成された内側のねじ山31で構成される。
【0067】
第1の圧締め要素20は代わりに、骨に固定されるように設計された固定ヘッド22と、ステム端部4、5と結合されるように設計された第1の柄21とを備える第1のねじで構成される。
【0068】
詳細には、第1の柄21は、ステム端部4、5の内側のねじ山31を補完する外側のねじ山21aを備える。この第1の柄21はまた、ステム2の内部空洞3の内部に挿入する間のねじのセンタリングおよびその後の内側のねじ山31との係合を容易にするための円錐形の係合部分21bで終端してよい。
【0069】
固定ヘッド22もまた、円錐形状、またはむしろ切頭円錐形状を有し、ステムと円錐面との間の角度として規定されるテーパ角αおよび高さHを有する、ねじ山付きのヘッド部分22aを有する。
【0070】
ねじ山付きの部分22aのねじ山は、骨への固定の安定性を高めるために設けられた対ねじ込み溝22cによって中断されてよい。
【0071】
有利には、ねじ山付きの部分22aは、小さな骨の厚さでのしっかりとした把持を保証するために、際立った円錐形状を有する。成長軟骨を貫通する広い範囲のねじ山を有する従来技術によるネイルのねじ山付きの端部とは異なり、この際立った円錐形状によって、成長軟骨と干渉しないように小さい長さを有するねじ山で安定した固定を実現することが可能になる。
【0072】
詳細には、際立った円錐形状は、145°±20%のテーパ角αと、3mm±20%の高さHによって規定される。より好ましくは、αは、145°±10%に等しく、Hは、3mm±10%に等しい。さらに好ましくは、αは、145°に等しく、Hは、3mmに等しい。
【0073】
固定ヘッド22はまた、固定ヘッド22の頂部面23を介して外側からアクセス可能な内側にねじ山付きの空洞50を有してよい。例えば
図20に示されるものなど、軸方向移動器具600の対応するねじ山付きの端部650を、内側にねじ山付きの空洞50の内部にねじ込むことによって挿入することができる。この図から見ることができるように、ねじ山付きの端部650は、とりわけ、ねじ山付きの端部の反対側の端部に移動ハンドグリップ602を有する移動バー601の先端に位置する。
【0074】
空洞50のねじ山は、
図8に示されるように円筒形である。器具の導入を容易にするための面取り部が存在する場合もある。
【0075】
例えば
図18および
図19に示されるものなど、操作器具700の端部との形状一致結合を提供するように成形されたくぼんだ座面51、51'も、頂部表面23に形成される。くぼんだ座面51、51'は有利には、内側にねじ山付きの空洞50への自由なアクセスを残し、かつ操作器具700とくぼんだ座面51、および軸方向移動器具600と内側にねじ山付きの空洞50との同時結合を可能にするために、内側にねじ山付きの空洞50の外側に形成される。
【0076】
操作器具700は、くぼんだ座面51との形状一致結合を提供するように成形された操作端部702を有する操作バー701と、反対側の操作ハンドグリップ703とを備えてよい。操作器具700は有利にはカニューレ挿入される、すなわち器具の全長にわたって延在し、その内部に、軸方向移動器具600の移動バー601を自由に回転可能であり変位可能なやり方で挿入することができるガイド空洞704を有する。
【0077】
詳細には、くぼんだ座面51は、ねじの長手方向軸に対して反対の半径方向に内側にねじ山付きの空洞の外側に延びる横方向の溝を有してよい(
図6および
図7を参照)。
【0078】
図18に示される一例の操作器具700は、空洞の長手方向軸に対して直径に沿って反対の位置に整列および位置決めされ、ねじ込みトルクを伝達するためにくぼんだ座面51の内部に係合することができる操作歯705を備えた操作端部702を有する。
【0079】
図9は、内側にねじ山付きの空洞50より上方に形成される、Allenキーに好適な、ほぼ全体にねじ山付きの柄およびくぼんだ座面51'を有する点が異なる、第1の圧締め要素20'の代替の一実施形態を示す。操作歯の代わりに、ねじに締め付けトルクを伝達するために、ガイド空洞が交差する六角形の外形の先端を有する操作端部がくぼんだ座面51'の内部に挿入するのに使用されてよい。
【0080】
第2の圧締め要素30もまた好ましくは、第1の圧締め要素20に関連して上記に記載したものなどの固定ヘッド22を有してよい。
【0081】
操作器具700の内部に挿入された軸方向移動器具600で構成される組立体は、それ故、第1または第2の圧締め要素20、30の固定ヘッドと結合されてよく(
図21を参照)、一連の作業を実行するために使用されてよい。
【0082】
詳細には、移動バー601のねじ山付きの端部650を内側にねじ山付きの空洞50にねじ込むことによって第2の圧締め要素30が安定されると、伸縮式のネイル1のロッド10が骨の中に挿入されてよく、操作端部702をくぼんだ座面51に挿入した後、および例えばネイルの除去の間など、操作器具600を利用して行われるネイルの摘出または挿入が必要な場合、第2の圧締め要素30が骨にねじ込まれる。
【0083】
上記に挙げた組立体はまた、挿入をガイドし、第1の圧締め要素20の柄21をステム端部4、5にねじ込むのに使用されてよく、またひとたび安定されると、ステム2の移動をガイドし、第1の圧締め要素20を骨にねじ込むのに使用されてもよい。
【0084】
図13~
図17を参照して、穿孔器具500、500'の説明のための非制限的な実施形態がここで説明される。
【0085】
従来技術による穿孔器具とは異なり、本発明による穿孔器具500、500'は、穿孔端部502の反対側に、ネイルの挿入の空洞の形成中に骨組織を除去するように成形され、伸縮式のネイル1の中空のステム2のステム端部4、5の結合手段40に結合されるように設計された対抗する結合手段540を備える結合端部501を備える。
【0086】
穿孔器具500、500'は、詳細には、結合端部501と穿孔端部502との間に延びるガイドバー503を備え、これは、それ自体既知の特定の形状を有する。
【0087】
図14に示される実施形態では、対抗する結合手段540は、ステム端部4、5の一方の内側のねじ山31の内部にねじ込むことによって固定することができる、外側のねじ山541が備わった端部部品で構成される。
【0088】
代替の実施形態は、異なるタイプの結合手段および対抗する結合手段を想定してもよい。
【0089】
図13および
図25は、穿孔器具を挿入する必要がある長骨より大きな長さを有する穿孔器具500の第1の実施形態を示す。
【0090】
図15および
図16に示される穿孔器具500'の第2の実施形態は有利には、以下でよりはっきりと現れてくるように、植え込み作業を簡素化し、そのような植え込みを行うのに必要とされる器具を削減するために、穿孔器具を挿入する必要がある長骨より小さい長さを有してよい。
【0091】
穿孔器具500、500'および伸縮式のネイル1の中空のステム2は共に、穿孔器具が、上記ネイルの上で安定化され、上記ネイルから除去されるのを可能にする横方向に圧延された区域70を有してよい。
【0092】
伸縮式のネイル1は、本発明による穿孔器具の使用のおかげで、従来技術のネイルと比べて安定し、かつ効率的なやり方で患者の長骨に有利に植え込まれてよい。
【0093】
説明の目的で、
図23~
図28を参照して、変形した大腿骨800に、穿孔器具500を使用して伸縮式のネイル1を植え込むための方法が以下に記載される。
【0094】
最初に、穿孔器具500の穿孔端部502が大腿骨800の遠位端801に挿入され、穿孔器具500は、伸縮式のネイル1を挿入するための内部空洞を形成するために徐々に前に進められる。同時に、骨の位置合わせのために骨切り術が実行されてもよい。
【0095】
穿孔器具500は、穿孔端部502が骨の近位端802から現れるまで前に進められ、結合端部501は骨の遠位端801の外側に残したままにする(
図25)。
【0096】
第2の圧締め要素30の反対側の、ロッド10の第2のロッド端部12が、第2のステム端部5を利用して中空のステム2の内部空洞3に挿入される。
【0097】
伸縮式のネイル1の中空のステム2の第1のステム端部4が、ねじ込みを利用して穿孔器具500の結合端部501に結合され(
図26)、骨の近位端802から抜き取られた穿孔器具500は、第1のステム端部4が骨の近位端802から現れるまで中空のステム2に沿って後ろに引っ張られる。
この終わりの方のステップの間、ロッド10は、中空のステム2の内部空洞3の内部に挿入されたまま維持され、構造の連続性を保証する。
【0098】
穿孔器具500はその後、中空のステム2から切り離される。
【0099】
第2の圧締め要素30のねじ山付きのヘッド部分22aは、骨の遠位端の内部に固定される。
【0100】
第1の圧締め要素20の外側のねじ山21aは、第1のロッド端部4の内側のねじ山41の内部に固定され、その後、第1の圧締め要素20のねじ山付きのヘッド部分22aは、骨の近位端802の内部に固定される。
【0101】
上記で考察したように、圧締め要素20、30のねじ山付きのヘッド部分22aの際立った円錐形状によって、成長軟骨805に影響を与えることなく(
図28を参照)、それらを骨端部の内部に挿入することが可能になる。
【0102】
さらに、ロッド10を挿入するための作業、圧締め要素20、30を骨の内部に固定する作業、および第1の圧締め要素20を第1のステム端部4と一緒に締め付ける作業は、上記に記載した操作器具と移動器具600で構成された組立体で実行されてよい。
【0103】
代替の外科技術は、
図15および
図16に示されるものなど、穿孔器具が挿入される長骨の長さより短い長さを有する穿孔器具500'の使用を想定する場合もある。より短い器具の製造により、結果として製造コストの点で節約が生じる。
【0104】
この場合、中空のステム2は、穿孔器具500が骨に挿入される前に、穿孔器具500の結合端部501に結合されてもよい(
図17を参照)。
【0105】
詳細には、穿孔器具500は、中空のステム2上に既に組み立てられて提供されてもよく、これにより、外科医がこのステップを省き、それ故、作業ステップの数を削減することが可能になる。
【0106】
このようなケースでは、穿孔器具500'の前進移動中、伸縮式のネイル1の中空のステム2が、器具のより短い長さを補い、それ自体が前進移動をガイドするために器具の延長部として作用する。
【0107】
上記の記載から、本発明による伸縮式のネイルおよび穿孔器具がどのように事前定義された目的を達成し、結果として、従来技術のデバイスと比べて多くの利点が生じることがはっきりと明らかになる。
【0108】
明白なことに、当業者は、生じる可能性のあるいかなる特有の要件も満たすために、上記に記載した本発明に対して多くの修正形態および変形形態を作成してもよく、これらの全ては、以下の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の保護の範囲内にさらに含まれる。
【国際調査報告】