(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システム及び処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/72 20060101AFI20220407BHJP
B01F 23/23 20220101ALI20220407BHJP
【FI】
C02F1/72 101
B01F3/04 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547842
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 CN2020092689
(87)【国際公開番号】W WO2021189634
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】202010215132.1
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520307724
【氏名又は名称】南京延長反応技術研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANJING YANCHANG REACTION TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE CO. LTD
【住所又は居所原語表記】ZHOU, Zheng No.88, South Tuan District, Jiangbei New District Nanjing , Jiangsu 210047 China
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【氏名又は名称】山下 隆志
(72)【発明者】
【氏名】張 志炳
(72)【発明者】
【氏名】周 政
(72)【発明者】
【氏名】張 鋒
(72)【発明者】
【氏名】李 磊
(72)【発明者】
【氏名】孟 為民
(72)【発明者】
【氏名】王 宝栄
(72)【発明者】
【氏名】楊 高東
(72)【発明者】
【氏名】羅 華勲
(72)【発明者】
【氏名】楊 国強
(72)【発明者】
【氏名】田 洪舟
(72)【発明者】
【氏名】曹 宇
【テーマコード(参考)】
4D050
4G035
【Fターム(参考)】
4D050AA12
4D050AB07
4D050BB01
4D050BC01
4D050BC02
4D050BD08
4D050CA02
4D050CA15
4D050CA16
4D050CA17
4G035AB05
(57)【要約】
【課題】本発明は、内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システム及び処理方法を提供する。本発明の処理システムは、湿式酸化反応器の内部にマイクロインターフェイスユニットを設けることで、製紙排水処理システムの温度と圧力を下げ、空気や酸素の消費量を減らし、エネルギー消費量が低く、処理効率が高い効果を実現する。
【解決手段】
処理システムは、順次接続される製紙排水池、グリル汚れ除去機、調節池、遠心フィルタ、沈殿池及び熱交換器、予熱器、湿式酸化反応器、気液分離器、生分解池を含み、湿式酸化反応器の内部にガスを気泡に分散破砕させるためのマイクロインターフェイスユニットが設けられ、マイクロインターフェイスユニットにエアマイクロインターフェイスジェネレータが含まれ、湿式酸化反応器の側壁に吸気口が設けられ、吸気口が管路を通って前記エアマイクロインターフェイスジェネレータの内部まで延びる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次接続される製紙排水池、グリル汚れ除去機、調節池、遠心フィルタ、沈殿池及び熱交換器、予熱器、湿式酸化反応器、気液分離器、生分解池を含み、
前記熱交換器に第1の入口、第1の出口、第2の入口、第2の出口が設けられており、
前記沈殿池が前記第1の入口に接続され、前記第1の出口が前記予熱器を介して前記湿式酸化反応器の底部に接続され、前記湿式酸化反応器の頂部に酸化出口が設けられており、前記酸化出口が前記第2の入口に接続され、前記第2の出口が前記気液分離器に接続され、前記気液分離器が前記生分解池に接続され、
前記湿式酸化反応器の内部にガスを気泡に分散破砕させるためのマイクロインターフェイスユニットが設けられており、前記マイクロインターフェイスユニットにエアマイクロインターフェイスジェネレータが含まれており、前記湿式酸化反応器の側壁に吸気口が設けられており、前記吸気口が管路を通って前記エアマイクロインターフェイスジェネレータの内部まで延びている、
ことを特徴とする内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システム。
【請求項2】
前記マイクロインターフェイスユニットに液動式マイクロインターフェイスジェネレータがさらに含まれており、前記液動式マイクロインターフェイスジェネレータに前記湿式酸化反応器内から循環してきた排水を流通させ、前記液動式マイクロインターフェイスジェネレータに先端が前記湿式酸化反応器の液面から突出して空気や酸素を回収するための導気管が接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システム
【請求項3】
前記液動式マイクロインターフェイスジェネレータの出口が前記エアマイクロインターフェイスジェネレータの出口に対向することで相互に衝撃させて反応効果を向上させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システム。
【請求項4】
前記液動式マイクロインターフェイスジェネレータと前記エアマイクロインターフェイスジェネレータの間に互いに支持するための複数枚の支持板が設けられており、前記支持板が上から下へ順次積層されて設けられており、支持板の間で相対的に摺動しないように、隣接する前記支持板の間に滑り止めパッドまたは滑り止めリングが設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システム。
【請求項5】
前記湿式酸化反応器の外側に前記湿式酸化反応器内から循環してきた排水を流通させるための排水循環管路がさらに設けられており、前記排水循環管路の一端が前記湿式酸化反応器の側壁に接続され、他端が前記液動式マイクロインターフェイスジェネレータの頂部に接続される、
ことを特徴とする請求項2に記載の内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システム。
【請求項6】
前記排水循環管路に循環ポンプが設けられており、前記沈殿池と熱交換器の間に加圧ポンプが設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載の内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システム。
【請求項7】
COD濃度検出装置と清水池をさらに含み、水質の検出に合格した後で前記清水池に排出されるために、前記COD濃度検出装置が前記生分解池の吐出口に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システム。
【請求項8】
前記湿式酸化反応器のタイプがバブリングスラリー床反応器である、
ことを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システム。
【請求項9】
製紙排水は、まずグリル汚れ除去機に入った後、大きいサイズの浮遊物と懸濁物を除去し、続いて調節池に入って水量と水質を調節し、さらに遠心フィルタ内に入り、排水中の浮遊粒子が遠心力の作用を受けた後で分離され、遠心ろ過された液体が沈殿池内に入ることで、重金属と粒子物質の沈殿を除去するステップと、
上述ステップで処理された後の排水が加熱された後で湿式酸化反応器内に入って湿式酸化処理を行うと同時に、湿式酸化反応器内に圧縮空気や酸素を導入し、排水中の有機物に酸化分解反応させ、前記圧縮空気や酸素がマイクロインターフェイスユニットで分散破砕されるステップと、
湿式酸化処理された産物は熱交換された後で気液分離器に入り、分離された液体が生分解池に入り生分解を行い、基準を満たした後で回収するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載の内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理方法。
【請求項10】
前記湿式酸化処理的反応温度は、175~185℃であり、反応圧力は、3.1~3.6MPaである、
ことを特徴とする請求項9に記載の内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙排水処理の技術分野に属し、具体的には、内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システム及び処理方法に属する。
【背景技術】
【0002】
製紙業は、伝統的な大量用水の業界であり、水汚染を引き起こす重要な汚染源の一つであり、わが国の工業製紙排水の排出量は、各種類の工業排出量の首位を占め、製紙工業は、水環境に対する汚染が最も深刻であり、わが国の製紙工業の汚染防止の第一の問題だけでなく、わが国で工業排水に関し排出基準を満たすための処理の第一の問題でもある。
【0003】
製紙排水に含まれる化学成分が複雑で、排水温度が高いため、工業では、物理法、化学法、生化学法などを組み合わせた排水処理プロセスが採用されているが、現在、湿式酸化の技術は、適応性が高く、処理効果が優れているなどの利点から、他のプロセスと組み合わせて製紙排水を処理することが成功しているが、湿式酸化法は、高い反応温度、圧力及び長い滞留時間を必要としているのは、空気や酸素が液相中に滞留する時間が短く、伝達時間が不足し、気泡の直径が大きく、反応器内に形成される気液相境界面積が小さく、伝達空間が不足しているためであり、これにより、反応時間が長すぎ、エネルギー消費量が高く、反応効率が低下するという問題がある。
【0004】
上述を鑑み、ここに、本発明を提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、湿式酸化反応器の内部にマイクロインターフェイスユニットを設けることで、マイクロインターフェイスユニットを設けることで、二相間の伝達効果、反応効率を向上させ、気泡をミクロンレベルの気泡に破砕することができることによって、気相と液相の間の相境界面積を増やし、伝達空間を十分に満たし、空気や酸素の液相中での滞留時間を増やすことにより、空気や酸素の消費量を下げると、温度と圧力があまり高くなくても、反応自体の効率的な発生を確保でき、高温高圧による一連の安全上の危険の発生を避け、反応過程の省エネに更に有利であり、コストが低い、内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システムを提供することを第1の目的とする。
【0006】
本発明は、上述処理システムを用いて製紙排水を行う処理方法であって、操作が簡単で、操作条件がより柔軟で、エネルギー消費量が低く、既存のプロセスより優れた処理効果を達成した処理方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上述目的を実現するために、特に以下の技術的手段を採用する。
【0008】
本発明は、順次接続される製紙排水池、グリル汚れ除去機、調節池、遠心フィルタ、沈殿池及び熱交換器、予熱器、湿式酸化反応器、気液分離器、生分解池を含み、前記熱交換器に第1の入口、第1の出口、第2の入口、第2の出口が設けられており、前記沈殿池が前記第1の入口に接続され、前記第1の出口が予熱器を介して前記湿式酸化反応器の底部に接続され、前記湿式酸化反応器の頂部に酸化出口が設けられており、前記酸化出口が前記第2の入口に接続され、前記第2の出口が前記気液分離器に接続され、前記気液分離器が前記生分解池に接続され、前記湿式酸化反応器の内部にガスを気泡に分散・破砕させるためのマイクロインターフェイスユニットが設けられており、前記マイクロインターフェイスユニットにエアマイクロインターフェイスジェネレータが含まれており、前記湿式酸化反応器の側壁に吸気口が設けられており、前記吸気口が管路を通って前記エアマイクロインターフェイスジェネレータの内部まで延びている、ことを特徴とする、内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システムを提供する。
【0009】
従来の技術では、製紙排水の処理プロセスにおいて、湿式酸化処理法は、高い反応温度、圧力及び長い滞留時間を必要としていることが多く、空気や酸素が液相中に滞留する時間が短く、伝達時間が不足し、気泡の直径が大きく、反応器内に形成される気液相境界面積が小さく、伝達空間が不足しているためであり、これにより、反応時間が長すぎ、エネルギー消費量が高く、反応効率が低下するという問題がある。
【0010】
上述の処理システムでは、湿式酸化処理を行う前に一定の前処理を行う必要があり、前処理システムは、製紙排水池、グリル汚れ除去機、調節池、遠心フィルタ、沈殿池を順に含み、上述の処理設備が順次接続され、製紙プロセスで排出された排水は、先ず水量と揚水量を調節するための製紙排水池に入って処理を待ち、排水には有毒有害または可燃性揮発性物質が含まれているため、製紙排水池は、密閉型に設置され、池の平面距離が最大となる2点に通風孔を設けることで、液面より上の空気が最大限対流するようにし、池から流出した排水は、グリル汚れ除去機に入り、大きいサイズの浮遊物と懸濁物を除去し、グリル汚れ除去機の材質は、限定されないが、回転代かき式グリル、階段グリル、円弧グリルまたはスクリューグリルが好ましく、続いてグリル汚れ除去機からの排水は、調節池内に入り、水量と水質を調節し、水質を均一にするとともに、その後の処理で装置に過度の水量がかかるのを防ぐために、差流方式の調節池が好ましく、他の調節池に比べ、差流方式のほうは、ランニングコストが全くかからず、コストを節約し、調節後の排水は、さらに遠心フィルタ内に入り、排水中の浮遊粒子は、遠心作用を受けて分離され、遠心ろ過された液体は、沈殿池内に入り、重力沈降法で重金属と粒子物質を除去し、沈殿池は、平流式、縦流式、輻射流、斜板または斜管沈殿池、水平管沈殿池のいずれでもよい。
【0011】
排水は、上述の前処理システムにおいて、雑物除去、沈殿などの前処理措置を初歩的に行った後で、後続の湿式酸化処理をさらに行うことで、より一層の排水浄化効果を得る。
【0012】
なお、当該処理システムは、湿式酸化反応器の内部にマイクロインターフェイスユニットが設けられることで、湿式酸化反応器に入った空気や酸素を気泡に破砕分散し、気泡と排水が気液乳化物を形成することにより、気体と排水の間の相境界面積を増やし、反応効率がさらに向上し、反応相境界面の伝達効果が増加すると、操作温度と圧力もあまり高くする必要がなくなり、エネルギー消費量が低く、操作コストが低いという効果を図った。
【0013】
本発明に係るマイクロインターフェイスユニットにエアマイクロインターフェイスジェネレータが含まれると、空気圧縮機により圧縮された空気や酸素は、吸気口からエアマイクロインターフェイスジェネレータの内部に導入され、マイクロインターフェイスジェネレータの破砕分散作用によって、気体を微小な気泡に分散破砕することによって、液膜の厚さを減らし、空気や酸素と排水との間の伝達面積を効果的に増やし、伝達抵抗を下げ、反応効率を向上させる。
【0014】
より好ましくは、前記マイクロインターフェイスユニットは、液動式マイクロインターフェイスジェネレータをさらに含み、前記液動式マイクロインターフェイスジェネレータに前記湿式酸化反応器内から循環してきた排水を流通させ、前記液動式マイクロインターフェイスジェネレータに先端が前記湿式酸化反応器内の液面上方から突出して空気や酸素を回収するための導気管が接続される。反応中に大量の未反応空気や酸素が湿式酸化反応器内の上方に大量に蓄積されるため、十分に回収するために、導気管を通って再び底部に入り、何度も循環反応させることで、伝達効率を向上させ、導入される循環排水により液動式マイクロインターフェイスジェネレータに動力を供給する効果が得られる。
【0015】
さらに、液動式マイクロインターフェイスジェネレータに液動力をよりよく提供するために、前記湿式酸化反応器の外側に前記湿式酸化反応器内から循環してきた排水を流通させるための排水循環管路がさらに設けられており、前記排水循環管路の一端が前記湿式酸化反応器の側壁に接続され、他端が前記液動式マイクロインターフェイスジェネレータの頂部に接続される。
【0016】
これによりわかるように、反応中の未反応の空気や酸素は、液面を離れて前記湿式酸化反応器の上方に上昇するとともに、循環管路の動力作用によって液動式マイクロインターフェイスジェネレータによるエントレインメント作用で、導気管で液動式マイクロインターフェイスジェネレータに取り込まれ分散破砕された後で、反応器の底部に送られて引き続き反応に参加し、動力を供給するために、排水循環管路に循環ポンプが設けられており、循環ポンプは、縦型でも横型でもよく、ポンプ本体の個数は、限定されず、1つまたは複数直列または並列に実装されてもよい。
【0017】
さらに、前記マイクロインターフェイスユニットに含まれるマイクロインターフェイスジェネレータの設置形態は、限定されず、設置位置は、限定されず、数は、限定されない。
【0018】
さらに、前記液動式マイクロインターフェイスジェネレータの出口は、前記エアマイクロインターフェイスジェネレータの出口に対向して相互に衝撃させて反応効果を向上させる。液動式マイクロインターフェイスジェネレータは、湿式酸化反応器内の上方寄りに配置され、エアマイクロインターフェイスジェネレータは、湿式酸化反応器内の下方寄りに配置され、二つのマイクロインターフェイスジェネレータの出口は、ちょうど上下に対向して設けられると、前記液動式マイクロインターフェイスジェネレータで発生した気泡が下方へ動き、前記エアマイクロインターフェイスジェネレータで発生した気泡が上方へ動き、両者が衝突してより小さな気泡が発生することによって、接触面積をさらに増やし、反応効率を速める。
【0019】
さらに、前記液動式マイクロインターフェイスジェネレータと前記エアマイクロインターフェイスジェネレータとの間に互いに支持するための複数枚の支持板が設けられており、前記支持板が上から下へ順次積層されて設けられており、隣接する前記支持板の間に滑り止めパッドまたは滑り止めリングが設けられており、前記支持板の数は、限定されず、滑り止めパッドまたは滑り止めリングは、板と板との間で摺動するのを阻止するために用いられ、支持板は、湿式酸化反応器内の激しい反応による衝撃の圧力を受け、良好な補強作用を果たし、支持板の具体的な材質、形状及び数は、限定されない。
【0020】
当業者に理解され得るように、本発明に用いられるマイクロインターフェイスジェネレータは、本発明人の先行特許に登場し、例えば、開示番号が106215730Aの特許のように、マイクロインターフェイスジェネレータの中心は、気泡の破砕であり、気泡破砕器の原理は、高速ジェットが運ぶ気体同士が衝突してエネルギーを伝達し、気泡を破砕させることであり、マイクロインターフェイスジェネレータの構造は、上記の特許においてその一実施例により開示されており、ここで、詳しい説明を省略する。マイクロインターフェイスジェネレータと湿式酸化反応器との接続構造、接続位置を含む接続について、マイクロインターフェイスジェネレータの構造によって決定され、ここで、限定されない。マイクロインターフェイスジェネレータの反応機構及び制御方法について、本発明人は先行特許CN107563051Bにおいて既に開示されており、ここで、詳しい説明を省略する。
【0021】
さらに、前記沈殿池と熱交換器の間に加圧ポンプが設けられている。前記加圧ポンプの内部に圧力監視モジュールと制御モジュールがさらに備えられており、プロセス中にもし圧力が高すぎたり低すぎたりするのを監視するとき、制御モジュールは、いつでも加圧ポンプを開閉することができ、加圧ポンプは、複数の直列または並列に使用されることで多段過給を実現することもでき、多段過給を採用することは、実際の必要な圧力に応じて調節することができる。
【0022】
さらに、前記処理システムは、COD濃度検出装置、清水池をさらに含み、水質の検出に合格した後で前記清水池に排出されるために、前記COD濃度検出装置が前記生分解池の吐出口に接続される。COD濃度検出により、排水処理の指標が要求を満たすか否かをタイムリーに検出することができ、さらに処理システム全体に問題がないか否かを同時に監視することができ、タイムリーな点検が容易である。清水池は、紫外またはオゾン消毒装置を設け、処理後の水が消毒された後で回収して再利用することが好ましい。
【0023】
さらに、前記湿式酸化反応器は、バブリングスラリー床反応器であり、前記バブリングスラリー床反応器では、固体触媒が液相の上方に浮上することができるため、操作を停止したまま触媒を交換しやすくし、触媒のシンタリング現象が起こらない。
【0024】
これに加え、本発明において、製紙排水は、まずグリル汚れ除去機に入った後、大きいサイズの浮遊物と懸濁物を除去し、続いて調節池に入って水量と水質を調節し、さらに遠心フィルタ内に入り、排水中の浮遊粒子が遠心力の作用を受けた後で分離され、遠心ろ過された液体が沈殿池内に入ることで、重金属と粒子物質沈殿を除去するステップと、上述ステップで処理された後の排水が加熱された後で湿式酸化反応器内に入って湿式酸化処理を行うと同時に、湿式酸化反応器内に圧縮空気や酸素を導入し、排水中の有機物に酸化分解反応させ、前記圧縮空気や酸素がマイクロインターフェイスユニットで分散破砕されるステップと、湿式酸化処理された産物は、熱交換された後で気液分離器に入り、分離された液体が生分解池に入り生分解を行い、基準を満たした後で回収するステップと、を含む製紙排水の処理方法をさらに提供する。
【0025】
好ましくは、前記湿式酸化処理の反応温度は、175~185℃であり、反応圧力は、3.1~3.6MPaであり、好ましくは、反応温度は、180℃であり、反応圧力は、3.3MPaである。上述のマイクロ処理方法を用いた後で、処理效率を向上させ、空気や酸素と排水との間の融合度を増やし、低い温度、圧力でも良好な処理效果を達成でき、エネルギー消費量を十分に下げる。
【0026】
本発明に係る排水処理方法は、操作が簡単で、操作条件がより柔軟で、エネルギー消費量が低く、既存のプロセスより優れた処理効果を達成した。
【0027】
従来の技術と比べ、本発明の有益な効果は、下記の通りである。
【発明の効果】
【0028】
(1)マイクロインターフェイスユニットを設けることで、二相間の伝達効果、反応効率を向上させ、気泡をミクロンレベルの気泡に破砕することができることによって、気相と液相の間の相境界面積を増やし、伝達空間を十分に満たし、空気や酸素の液相中での滞留時間を増やすことにより、空気や酸素の消費量を下げると、温度と圧力があまり高くなくても、反応自体の効率的な発生を確保でき、高温高圧による一連の安全上の危険の発生を避け、反応過程の省エネに更に有利であり、コストが低い。
【0029】
(2)本発明は、反応温度と圧力の低下により、空気圧縮機のエネルギー消費量を著しく節約した。湿式酸化の過程で有機物が酸化すると多くの熱が発生し、装置操作の熱自給をほぼ維持することができる。そのランニングコストは、主に空気圧縮機とポンプのエネルギー消費量であり、その中で空気圧縮機は、エネルギー消費量の大部分を占めている。圧縮機の出口圧力を下げ、圧縮機のエネルギー消費を大幅に削減し、企業にとってコストを節約した。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施例により提供される内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システムの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に示すように、本発明の実施例に係る内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システムであり、順次接続される製紙排水池10、グリル汚れ除去機20、調節池30、遠心フィルタ40、沈殿池50及び熱交換器70、予熱器140、湿式酸化反応器80、気液分離器90、生分解池100を含み、ここに、熱交換器70に第1の入口71、第1の出口72、第2の入口73、第2の出口74が設けられており、沈殿池50が加圧ポンプ60を介して第1の入口71に接続され、第1の出口72が予熱器140を介して湿式酸化反応器80の底部に接続され、排水が熱交換された後で、湿式酸化反応器80に入る前に先ず予熱され、湿式酸化器80の頂部に酸化出口81が設けられており、酸化出口81が第2の入口73に接続され、酸化出口81からの酸化水が第2の入口73を介して熱交換器70に入って熱交換され、冷却されると同時に、処理を待つ排水を加熱することによって、エネルギーを十分に利用する効果を達成し、さらに、第2の出口74が気液分離器90に接続され、気液分離器90が生分解池100に接続される。
【0032】
なお、湿式酸化反応器80の内部に気体を微小な気泡に分散破砕するためのマイクロインターフェイスユニット130が設けられており、マイクロインターフェイスユニットは、エアマイクロインターフェイスジェネレータ132を含み、湿式酸化反応器80の側壁に管路を通ってエアマイクロインターフェイスジェネレータ132の内部まで延びている吸気口82が設けられており、吸気口82が空気圧縮機と連通し、空気や酸素が空気圧縮機によって圧縮された後で吸気口82からエアマイクロインターフェイスジェネレータ132の内部に入り、気泡に分散破砕されることによって、気液相の接触面積を増やし、伝達効果を向上させる。ここで、空気圧縮機は、遠心式圧縮機が好ましく、遠心式圧縮機は、空気量が多く、内部の潤滑が不要で、燃費がよく、圧縮されたガスを汚染しないためである。
【0033】
さらに、マイクロインターフェイスユニット130は、液動式マイクロインターフェイスジェネレータ131をさらに含み、液動式マイクロインターフェイスジェネレータ131に湿式酸化反応器80内から循環してきた排水を流通させ、循環ポンプで排水の循環を実現するのが好ましく、液動式マイクロインターフェイスジェネレータ131に先端が湿式酸化反応器80の液面から突出して空気や酸素を回收するための導気管が接続されている。
【0034】
本実施例では、液動式マイクロインターフェイスジェネレータ131の出口がエアマイクロインターフェイスジェネレータ132の出口に対向して相互に衝撃させて反応効果を向上させ、液動式マイクロインターフェイスジェネレータ131とエアマイクロインターフェイスジェネレータ132の間に互いに支持するための複数枚の支持板133が設けられており、支持板133が上から下へ順次積層されて設けられており、好ましくは、板と板の間で相対的に摺動しないように、隣接する支持板133の間に滑り止めパッドまたは滑り止めリングが設けられている。
【0035】
具体的には、湿式酸化反応器80の外側に排水循環管路がさらに設けられていることによって、前記液動式マイクロインターフェイスジェネレータ131に液体駆動を供給し、循環管路の一端が液動式マイクロインターフェイスジェネレータ131の頂部と連通し、他端が湿式酸化反応器80の側壁に接続され、排水循環管路は、液動式マイクロインターフェイスジェネレータ131にエントレインメント動力を供給し、湿式酸化反応器80の液面以上の空気や酸素を導気管で取り込むことによって、液面の上の部分の空気や酸素を十分に回収して、気液二相の間の伝達効果を増やす。
【0036】
また、酸化出口81からの酸化水に一部の酸素が含まれるので、熱交換器70に入って熱交換を行った後で、さらに第2の出口74を通って気液分離器90に入って気液分離を行うが、第2の出口74と気液分離器90との間に冷却器を増設し、排水が熱交換を経た後で、気液分離器90に入る前に冷却されることが好ましく、排ガスは、気液分離器90の頂部から回収され、液体は、気液分離器90の底部で収集された後、生分解処理池100に入って生分解処理される。
【0037】
本実施例において、当該処理システムは、COD濃度検出装置110と清水池120をさらに含み、水質の検出に合格した後で清水池120に排出されるために、COD濃度検出装置110が前記生分解池100の吐出口に接続され、生分解処理された水がCOD濃度検出装置110に入って検出され、最終的にはCOD濃度が要求を満たす浄水を得、浄水が清水池120に流通し紫外またはオゾン消毒を行った後、回収して再利用される。
【0038】
上述の実施例に係るマイクロインターフェイスジェネレータは、個数に限定されず、分散、伝達効果を増やすために、余分なマイクロインターフェイスジェネレータを増設してもよく、特にマイクロインターフェイスジェネレータの実装位置は、限定されず、外付けでも内蔵でもよく、内蔵する場合、湿式酸化反応器内の側壁に実装されて対向して設けられる形態をさらに用いることができ、これにより、マイクロインターフェイスジェネレータの出口からの微小な気泡を互いに衝撃させることを図ることが理解され得る。
【0039】
以下、本発明に係る内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システムの作動過程と原理を簡単に説明する。
【0040】
製紙排水は、製紙排水池10からグリル汚れ除去機20に入った後で大きいサイズの浮遊物と懸濁物を除去し、次に調節池30内に入って水量と水質を調節してから、さらに遠心フィルタ40内に入り、排水中の浮遊粒子が遠心力の作用を受けた後で分離され、遠心ろ過された液体が沈殿池内に入ることで、重金属と粒子物質の沈殿を除去する。
【0041】
上述のステップで処理された排水は、加熱された後で湿式酸化反応器80内に入って湿式酸化処理を行うと同時に、空気や酸素が空気圧縮機によって圧縮された後でマイクロインターフェイスユニット130内に入って微小な気泡に分散破砕された後で排水と酸化反応し、反応器における湿式酸化反応温度は、175~185℃であり、反応圧力は、3.1~3.6MPaであり、反応温度は、180℃であり、反応圧力は、3.3MPaであることが好ましい。酸化水は、酸化出口81を介して熱交換器70に入って処理を待つ排水と熱交換した後で冷却器を経て気液分離器90に入り、排ガスは、気液分離器90の頂部から回収され、液体は、気液分離器90の底部で収集された後、生分解処理池100に入って生分解処理され、生分解された水は、COD濃度検出装置110によって基準を満たすと検出された後で清水池120に入って消毒された後で回収再利用される。
【0042】
当業者は、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、本発明に対して様々な変更と変形を加えることができことが明らかである。このように、本発明のこれらの変更および変形が、本発明の請求項およびその同等技術の範囲内にある場合には、本発明もこれらの変更および変形を含むことを意図する。
【符号の説明】
【0043】
10-製紙排水池
20-グリル汚れ除去機;
30-調節池
40-遠心フィルタ
50-沈殿池
60-加圧ポンプ
70-熱交換器
71-第1の入口
72-第1の出口
73-第2の入口
74-第2の出口
80-湿式酸化反応器
81-酸化出口
82-吸気口
90-気液分離器
100-生分解池
110-COD濃度検出装置
120-清水池
130-マイクロインターフェイスユニット
131-液動式マイクロインターフェイスジェネレータ
132-エアマイクロインターフェイスジェネレータ
133-支持板
140-予熱器
【手続補正書】
【提出日】2021-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次接続される製紙排水池、グリル汚れ除去機、調節池、遠心フィルタ、沈殿池及び熱交換器、予熱器、湿式酸化反応器、気液分離器、生分解池を含み、
前記熱交換器に第1の入口、第1の出口、第2の入口、第2の出口が設けられており、
前記沈殿池が前記第1の入口に接続され、前記第1の出口が前記予熱器を介して前記湿式酸化反応器の底部に接続され、前記湿式酸化反応器の頂部に酸化出口が設けられており、前記酸化出口が前記第2の入口に接続され、前記第2の出口が前記気液分離器に接続され、前記気液分離器が前記生分解池に接続され、
前記湿式酸化反応器の内部にガスを気泡に分散破砕させるためのマイクロインターフェイスユニットが設けられており、前記マイクロインターフェイスユニットにエアマイクロインターフェイスジェネレータが含まれており、前記湿式酸化反応器の側壁に吸気口が設けられており、前記吸気口が管路を通って前記エアマイクロインターフェイスジェネレータの内部まで延び
、
前記マイクロインターフェイスユニットに液動式マイクロインターフェイスジェネレータがさらに含まれており、前記液動式マイクロインターフェイスジェネレータに前記湿式酸化反応器内から循環してきた排水を流通させ、前記液動式マイクロインターフェイスジェネレータに先端が前記湿式酸化反応器の液面から突出して空気や酸素を回収するための導気管が接続される、
ことを特徴とする内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システム。
【請求項2】
前記液動式マイクロインターフェイスジェネレータの出口が前記エアマイクロインターフェイスジェネレータの出口に対向することで相互に衝撃させて反応効果を向上させる、
ことを特徴とする請求項
1に記載の内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システム。
【請求項3】
前記液動式マイクロインターフェイスジェネレータと前記エアマイクロインターフェイスジェネレータの間に互いに支持するための複数枚の支持板が設けられており、前記支持板が上から下へ順次積層されて設けられており、支持板の間で相対的に摺動しないように、隣接する前記支持板の間に滑り止めパッドまたは滑り止めリングが設けられている、
ことを特徴とする請求項
1に記載の内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システム。
【請求項4】
前記湿式酸化反応器の外側に前記湿式酸化反応器内から循環してきた排水を流通させるための排水循環管路がさらに設けられており、前記排水循環管路の一端が前記湿式酸化反応器の側壁に接続され、他端が前記液動式マイクロインターフェイスジェネレータの頂部に接続される、
ことを特徴とする請求項
1に記載の内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システム。
【請求項5】
前記排水循環管路に循環ポンプが設けられており、前記沈殿池と熱交換器の間に加圧ポンプが設けられている、
ことを特徴とする請求項
4に記載の内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システム。
【請求項6】
COD濃度検出装置と清水池をさらに含み、水質の検出に合格した後で前記清水池に排出されるために、前記COD濃度検出装置が前記生分解池の吐出口に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システム。
【請求項7】
前記湿式酸化反応器のタイプがバブリングスラリー床反応器である、
ことを特徴とする請求項1~
6の何れか1項に記載の内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理システム。
【請求項8】
製紙排水は、まずグリル汚れ除去機に入った後、大きいサイズの浮遊物と懸濁物を除去し、続いて調節池に入って水量と水質を調節し、さらに遠心フィルタ内に入り、排水中の浮遊粒子が遠心力の作用を受けた後で分離され、遠心ろ過された液体が沈殿池内に入ることで、重金属と粒子物質の沈殿を除去するステップと、
上述ステップで処理された後の排水が加熱された後で湿式酸化反応器内に入って湿式酸化処理を行うと同時に、湿式酸化反応器内に圧縮空気や酸素を導入し、排水中の有機物に酸化分解反応させ、前記圧縮空気や酸素がマイクロインターフェイスユニットで分散破砕されるステップと、
湿式酸化処理された産物は熱交換された後で気液分離器に入り、分離された液体が生分解池に入り生分解を行い、基準を満たした後で回収するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載の内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理方法。
【請求項9】
前記湿式酸化処理的反応温度は、175~185℃であり、反応圧力は、3.1~3.6MPaである、
ことを特徴とする請求項8に記載の内蔵マイクロインターフェイス製紙排水の処理方法。
【国際調査報告】