(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】ポリアミドの調製プロセス
(51)【国際特許分類】
C08G 69/28 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
C08G69/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549240
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(85)【翻訳文提出日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 IB2020051411
(87)【国際公開番号】W WO2020170179
(87)【国際公開日】2020-08-27
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】317013603
【氏名又は名称】インヴィスタ テキスタイルズ(ユー.ケー.)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】カウシヴァ,ブライアン ディー.
【テーマコード(参考)】
4J001
【Fターム(参考)】
4J001DA01
4J001DB01
4J001DC12
4J001EB08
4J001EB09
4J001EB35
4J001EB36
4J001EB37
4J001EB46
4J001EB57
4J001EC08
4J001EC09
4J001EC14
4J001EC16
4J001EC45
4J001EC46
4J001GA15
4J001GB02
4J001GB06
4J001GC04
4J001GC05
4J001JC01
(57)【要約】
本開示は、より簡易なプロセス制御、より小さい熱劣化、及びより大きい組成的柔軟性の利益を有するポリアミドの生成方法に関する。
より具体的には、ジアミン及びジカルボン酸の塩を、溶融相を含まない固体状態のポリアミドに変換するプロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド又はポリアミド塩のうちの少なくとも一方を製造するためのプロセスであって、流動化ガスにおいて超微粒子状固体二酸を流動化させることと、反応ゾーンにおいて前記超微粒子状固体二酸をジアミンと反応させることと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記流動化ガスは、ジアミン液滴又はジアミンガスを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記超微粒子状固体二酸は、脂肪族二酸を含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記脂肪族二酸は、アジピン酸を含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ジアミンは、脂肪族ジアミンを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記脂肪族ジアミンは、ヘキサメチレンジアミンを含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記反応ゾーンにわたって圧力差を調整することによって、前記反応ゾーン内の流動化レジームを制御することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記圧力調整は、前記反応ゾーンの出口に真空を適用することと、所望の流動化度を達成するように、前記反応ゾーンへの入口での流れを制御することと、を含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記圧力調整は、所望の流動化度を達成するように、加圧流体を前記反応ゾーンに供給することを含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項10】
前記圧力調整は、前記反応ゾーンからの真空引きの非存在下で行われる、請求項10に記載のプロセス。
【請求項11】
ジアミンの液体又は蒸気を前記反応ゾーンに充填することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
ジアミンの充填速度は、前記反応ゾーンにおける所望の二酸:ジアミンのバランスを維持するように制御される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記反応ゾーンにわたる様々な点において、分散様式でジアミンの液体又は蒸気を充填することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
ジアミンの充填速度分布は、前記反応ゾーンにわたって、所望の二酸:ジアミンのバランスプロファイルを維持し、最終生成物において前記所望の二酸:ジアミンのバランスを達成するように制御される、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
水又は水蒸気を前記反応ゾーンに導入することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記水又は前記水蒸気は、前記反応ゾーンにわたって様々な点で分散様式で導入される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
水蒸気導入速度は、少なくとも1つの生成物の品質尺度を改善するように制御される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項18】
前記生成物の品質尺度は、白色度を含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項19】
a.複数の一連の反応層において、バッチモード又は連続モードでポリアミド化を実施することと、
b.完全不活性供給物を流動化させるための不活性ガスを、少なくとも1つの後の一連の反応層に注入して、ポリアミド化反応を流動化させることと、
c.少なくとも1つの前の一連の反応層のヘッドスペースに溶融又は蒸気化されたジアミンを注入して、二酸:ジアミンのバランスを制御することと、
d.静止層固相反応器又はステージにおいて前記ポリアミド化を実施することと、
e.少なくとも1つの二軸押出機において前記ポリアミド化を実施することと、を更に含む、請求項1~18のうちの少なくとも一項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記ポリアミド化反応は、ナイロン-6,6を生成する、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記ポリアミド化は、二軸押出機において実施され、
前記二軸押出機からの吐出物における前記二酸:ジアミンのバランスを監視し、前記監視された前記二軸押出機からの吐出物における二酸:ジアミンのバランスに基づいて、前記二軸押出機へのジアミンのトリム供給速度を制御する、請求項19に記載のプロセス。
【請求項22】
前記二軸押出機の吐出物の含水量及び相対粘度のうちの少なくとも一方を測定することと、前記二軸押出機内の真空レベルを制御して、前記二軸押出機の吐出物の前記含水量及び前記相対粘度のうちの少なくとも一方を制御することと、を更に含む、請求項20に記載のプロセス。
【請求項23】
連続重合器の出口における、少なくとも部分的に重合した供給物が生成する所望の相対粘度又は含水量を予測することと、前記連続重合器の前記出口において、前記所望の相対粘度又は含水量を達成するように、前記二軸押出機の吐出物の含水量又は相対粘度を調節することと、を更に含む、請求項21に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、より簡易なプロセス制御、より小さい熱劣化、及びより大きい組成的柔軟性の利益を有するポリアミドの生成方法に関する。
【0002】
より具体的には、本開示は、ジアミン及びジカルボン酸の塩を、溶融相を含まない固体状態のポリアミドに変換するプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
ナイロン塩水溶液からポリアミドを調製する従来の方法にはいくつかの欠点がある。
塩の調製、塩溶液の貯蔵及び蒸発プロセスは、大略的には、相均一性を維持するように、塩溶解度の制限内で設計され、高圧仕様及び高温仕様を更に生じさせている。
塩溶液の相安定性は、常に重要な懸念事項であり、出発物質の一部の組み合わせにとって困難である場合がある。
これは、処理中に均質な溶液を維持することによって、ランダムコポリマーの品質が部分的に決定される場合、更なる懸念事項である。
劣化は通常、溶液のプロセス温度及び貯蔵温度を制限することによって制御されているが、これはプロセス条件に更なる制限を課している。
蒸発速度及び圧力の変化は、このようなプロセススキームにおいて更に複雑なものであり、プロセスが終了すると、前工程の溶液又は溶融物のいずれか一方の安定性を中心に再度設計しなければならない。
溶融状態の処理において高い重合度を達成する場合、起こり得る熱劣化にポリマーを暴露することとなる。これは特に、高い溶融温度を有する組成物に当てはまる。
最後に、溶液及び溶融プロセスはまた、泡の発生及び巻き込み、並びに排出水蒸気による材料の損失から生じる懸念事項を伴う場合がある。
沈殿した塩を処理することにより、代替手段が提供される。
【0004】
このような塩は、溶解性を維持するために必要な温度よりもはるかに低い温度で水溶液又は非水溶液から回収することができる。
限定された溶解性を示し、困難な溶融処理特性を提供する複合塩組成物は、比較的沈殿しやすい。
固体状態で重合するプロセスは、上記で検討されたより複雑な相エンベロープではなく、単に固形物の流動性を維持するように設計される必要がある。
このような固相重合プロセスは、類似の溶融相プロセスよりも約70~230℃低い温度で稼働することができ、それにより、熱分解を大幅に低減することができる。
作業員は、この重合手段のこれらの見込まれる利益を活用することを求めている。
【0005】
米国特許第4,131,712号は、高分子量のポリアミドを製造するためのプロセスを開示しており、本開示において、二酸豊富成分及びジアミン豊富成分は、非化学量論比で別々に調製されている。
【0006】
米国特許第4,925,914号は、多様な組成の沈殿したナイロン塩に基づく重合プロセスを開示している。
超微粒子状塩の分散液又は懸濁液が、液体脂肪族炭化水素媒体中において生成される。
0.01~5%の次亜リン酸塩触媒を、加熱前のある時点で均一にブレンドする。
次いで、混合物は、塩又は最終ポリアミドのいずれか一方の融解温度のうちの最低温度よりも約15~20℃低い100℃超の温度で還流状態に保持される。
【0007】
日本国特許出願第04-093323号は、低濃度の架橋分解性ビスヘキサメチレントリアミンを含む高分子量のポリヘキサメチレンアジポアミドを調製するための多工程のプロセスを開示している。
【0008】
米国特許第5,128,442号は、ポリアミドの生成のための3工程のプロセスを開示している。
【0009】
米国特許第5,403,910号及び同第5,665,854号は、大気圧及び低温で実施される2工程のポリアミド化プロセスを開示している。
【0010】
欧州特許第2,614,105(B1)号は、0.01~10バールの圧力下で、キャリアガス及び酸、無水物、ラクトン、アンモニア、アミン、又は多様な混合物を使用するポリアミドの後縮合加工を記載している。
【0011】
塩からのポリアミドの生成は、利点を有することができるが、塩を出発物質として有する必要がある。
また、ベースモノマーのみが供給されるプロセスを有することも有利であり得る。
【0012】
米国特許出願公開第2013/0172521(A1)号は、ナイロン塩粉末を生成し、続いてナイロン塩粉末を重合させるための不連続乾燥プロセスを開示している。
【0013】
欧州特許第2,951,147(B1)号は、ジアミン及びジカルボン酸から塩を調製するためのプロセスに関し、その塩は、ジアミン塩/ジカルボン酸塩と呼ばれる。
【0014】
米国特許第4,131,712号は、高分子量のポリアミドを調製するためのプロセスに関し、このプロセスは、有機溶媒又は大量の水の非存在下で液相において実施される。
【0015】
したがって、課題が未だ存在していることが分かり得る。
機械的撹拌の複雑性が不要である連続稼働に適したプロセス及び設計を有することが所望されると考えられる。
このような設計は、層が粉末又は微粒子として稼働し続けるように、共晶融解挙動を避ける必要がある。
【発明の概要】
【0016】
ポリアミド及びポリアミド塩のうちの少なくとも一方を製造するためのプロセスであって、流動化ガスにおいて超微粒子状固体二酸を流動化させることと、反応ゾーンにおいて超微粒子状固体二酸をジアミンと反応させることと、を含む、プロセスが開示される。
【0017】
流動化ガスは、ジアミン液滴又はジアミンガスを含み得る。
【0018】
超微粒子状固体二酸は、脂肪族二酸を含み得る。
【0019】
脂肪族二酸は、アジピン酸を含み得る。
【0020】
ジアミンは、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミンを含み得る。
【0021】
プロセスは、反応ゾーンにわたって圧力差を調整することによって、反応ゾーン内の流動化レジームを制御することを含み得る。
【0022】
圧力調整は、反応ゾーンの出口に真空を適用することと、所望の流動化度を達成するように、反応ゾーンへの入口での流れを制御することと、を含み得る。
【0023】
圧力調整は、所望の流動化度を達成するように、加圧流体を反応ゾーンに供給することを含み得る。
【0024】
圧力調整は、反応ゾーンからの真空引きの非存在下で行われ得る。
【0025】
プロセスは、ジアミン蒸気を反応ゾーンに充填することを含み得る。
【0026】
ジアミン蒸気の充填速度は、反応ゾーンにおける所望の二酸:ジアミンのバランスを維持するように制御され得る。
【0027】
プロセスは、反応ゾーンに不活性ガスを導入することを含み得る。
好適な不活性ガスの例としては、窒素及び水蒸気が挙げられる。
【0028】
水蒸気の導入速度は、少なくとも1つの生成物の品質尺度を改善するように制御され得る。
生成物の品質の例としては、白色度が挙げられる。
【0029】
プロセスは、
(a)複数の一連の反応層において、バッチモード又は連続モードでポリアミド化を実施することと、
(b)完全不活性(すなわち、水蒸気若しくは窒素又は他の不活性ガス又は蒸気)供給物を流動化させるための不活性ガスを、少なくとも1つの後の一連の反応層に注入して、ポリアミド化反応を流動化させることと、
(c)少なくとも1つの前の一連の反応層のヘッドスペースに溶融又は蒸気化されたジアミンを注入して、二酸:ジアミンのバランスを制御することと、を更に含み得る。
【0030】
開示されたポリアミド化反応は、部分的に芳香族ポリアミドを含む任意の好適なポリアミドを生成することができる。
1つの好適なポリアミドは、ナイロン-6,6である。
【0031】
開示されたプロセスでは、ポリアミド化は、二軸押出機においてポリアミド化の少なくとも一部を実施することと、
二軸押出機からの吐出物における二酸:ジアミンのバランスを監視することと、監視された二軸押出機からの吐出物における二酸:ジアミンのバランスに基づいて、二軸押出機へのジアミンのトリム供給速度を制御することと、を含み得る。
【0032】
ポリアミド化プロセスは、二軸押出機で重合を実施することと、二軸押出機の吐出物の含水量及び相対粘度のうちの少なくとも一方を測定することと、二軸押出機内の真空レベルを制御して、二軸押出機の吐出物の含水量及び相対粘度のうちの少なくとも一方を制御することと、を更に含み得る。
【0033】
二軸押出機の吐出物は、任意選択的に、所望の重合化を終了させるための連続重合器に供給され得る。
本実施形態は、連続重合器の出口における、少なくとも部分的に重合した供給物が生成すると考えられる所望の相対粘度又は含水量を予測することと、連続重合器の出口において、所望の相対粘度又は含水量を達成するように、二軸押出機の吐出物の含水量又は相対粘度を調節することと、を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本開示による実施例1の実施形態の概略図である。
【
図2】本開示による実施例2~4におけるような実施形態の概略図である。
【
図3】本開示による実施例5~6におけるような実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
本明細書に記載されるものと同様又は同等の任意の方法及び材料もまた本開示の実施又は試験に使用され得るが、好適な方法及び材料がここで説明される。
【0036】
本開示を読むことにより当業者に明らかとなるように、本明細書に記載及び例示される個々の実施形態の各々は、本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に分離され得るか、又はそれらと組み合わされ得る別個の構成要素及び特徴を有する。
列挙されるいずれの方法も、列挙された事象の順序、又は論理的に可能である任意の他の順序で実行され得る。
【0037】
以下の実施例は、本明細書に開示及び特許請求される方法をどのように実施するか、並びに組成物及び化合物をどのように使用するかについての完全な開示及び説明を当業者に提供するように提示される。
数(例えば、量、温度など)に対する精度を確実にする努力がなされてきたが、いくつかの誤差及び偏差が考慮されるべきである。
別途記載のない限り、百分率は重量百分率であり、部は重量部であり、温度は℃単位であり、圧力は気圧である。
例えば、全ての百分率組成は、特に明記しない限り、重量百分率として与えられる。
成分の溶液について言及される場合、百分率は、別途記載のない限り、溶媒(例えば、水)を含む組成物の重量百分率を意味する。
ポリマーの全ての分子量は、特に明記しない限り、重量平均分子量である。
標準温度及び標準圧力は、20℃及び1絶対気圧として定義される。
【0038】
ナイロン塩は、多工程バッチ反応器又は多段階連続プロセスのいずれか一方でナイロンポリマーに変換される。
これらのプロセスは、固形物の層の流動化に影響を及ぼすように、大気圧と十分に異なる圧力で行われる。
【0039】
開示されるプロセスは、少なくとも2つの段階、すなわち、予備重合化段階及び重合化段階によって稼働することができる。
代替的な実施形態では、溶融ブレンド段階は、反応物質供給物のブレンドの更なる重合化又は完全な共重合化をもたらすように、重合化又は重合化段階のいずれか一方に続いて組み込むことができる。
代替的な実施形態では、プロセスの工程は物理的に分離され、固体ポリアミド前駆体は、後の別個の処理のための初期段階の後に回収される。
【0040】
生成物が前駆体形成段階後に固形物として回収される場合(この段階は、多くの場合、約200℃未満、例えば、約180~190℃未満で実施されるが、アミド化度によって定義される)、流動化反応層は、最終生成物中の所望のバランス度を達成するのに十分なジアミンを含有しなければならない。
例えば、前駆体形成段階は、200℃以下、例えば、20℃以上120℃以下、例えば、40℃以上100℃以下で稼働され得る。
温度限界は、生成される組成物に対して定義されるように、共晶融解を避けるための要件によって決定される。
ジアミン又はジアミン類は、液体として高温流動化層に注入されてもよく、又は流入蒸気若しくはガス供給物内に担持されてもよい。
前駆体の形成は、生成物が許容可能なバランスの仕様から逸脱することなく、ガス又は蒸気供給物中のジアミンを終端させることができる場合、効果的に達成される。
【0041】
固体前駆体を別個に回収しない場合、それぞれの連続的な段階の温度は、共晶融解を避ける構成組成物によって定義されるように上昇する。
ナイロン6,6に関して固形物中のジアミンのモル分率が約0.23~0.24を超えると、温度を100℃超まで上昇させることができる。
これらの後の段階で重合を行うためには、ジアミン蒸気損失の増加につながるより高い温度が必要とされる。
したがって、ジアミンは、最終的に所望のバランス度を達成するために、追加のより下の段階で供給される。
流動化反応層は、ガス又は蒸気供給物中にジアミンを含有してもよいが、あるいは実質的に不活性であってもよい。
例えば、重合化段階は195℃超、例えば200℃超、例えば210℃超で稼働することができる。
流動化反応層は、完全に不活性(すなわち、二酸とジアミンとの間において化学量論的に平衡が保たれている)であり得、それにより、反応塊がモノマーを喪失することを回避し、モノマー反応物質の不均衡に起因して、最終的な使用において最終生成物を許容できないリスクを低減させる。
【0042】
重合触媒を使用してもよい。
そのような触媒は、塩結晶化の前に塩溶液を介して、又は固形物の添加によって、又は固形物を共に圧縮若しくは粉砕若しくは磨砕することによってのいずれかで取り込むことができる。
【0043】
任意の便利な段階でポリマー添加剤を取り込んでもよい。
所望のポリマー添加剤が、高温で、不要な生成物に反応する傾向がある場合、例えば、商業的に合理的であるように重合化の完了に近いプロセスにおいて後で添加剤が添加されてもよい。
【0044】
プロセスは通常、固形物の反応ブレンドが決して完全に溶融しないように制御される。
【0045】
一部のコポリマーの組成に関して、様々な組成の乾燥ナイロン塩を供給すること、又は複数のモノマーを適切な割合で供給することが有利である。
これらのブレンドが、完全溶融均質化されずに完全に変換されることが一部の用途に対して受け入れられる。
他の用途に対して、ブレンドは、押出機などの溶融ブレンドプロセスに供給する前に、少なくとも予備重合化段階によって変換され得る。
溶融ブレンド作業のペレット化生成物は、固相重合によって更に変換されてもよく、又は成形若しくは製作作業において直接使用されてもよい。
【0046】
本明細書に記載されたポリアミドは、任意の好適なポリアミドであり得る。
ポリアミド及びコポリアミドは、ジアミン及びジカルボン酸に由来するか、かつ/又はアミノカルボン酸若しくは対応するラクタムに由来し、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド69、ポリアミド612、ポリアミド46、ポリアミド1212、ポリアミド11、ポリアミド12など、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine、MXD)及びアジピン酸などの、ただし限定的ではないが、ジアミン及びジカルボン酸に由来する半芳香族ポリアミド(業界ではポリアミドMXD6として知られる)、
ヘキサメチレンジアミン並びにイソフタル酸及び/又はテレフタル酸などの、ただし限定的ではないが、ジアミン及びジカルボン酸から調製されたその他の半ポリアミドである。
【0047】
例えば、モノマーは、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン(D)、ジアミノデカン、ジアミノドデカン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸及び/又はテレフタル酸、ε-カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ラウロラクタム、並びにこれらの混合物からなる群から選択され得る。
モノマーはまた、リン含有モノマー、例えば、ビス(2-カルボキシエチル)フェニルホスフィンオキシドなどの系全体の難燃挙動に寄与し得るモノマーを含んでもよい。
【0048】
モノマーは、ヘキサメチレンジアミン及びアジピン酸を含み得る。
例えば、ポリアミドは、ポリアミドPA46、PA66、PA69、PA610、PA612、PA1012、PA1212、PA6、PA11、PA12、PA66/6T、PA6I/6T、PADT/6T、PA66/6I/6T、又はPA6/PA66などこれらのブレンドであり得る。
ポリアミドはナイロン66であってもよく、組成物は、任意選択的に、他の全てのポリアミドを実質的に含まなくてもよい(例えば、ナイロン66は、組成物を形成するために使用される唯一のポリアミドであり得る)。
【0049】
ポリアミドは、ジカルボン酸及び二酸誘導体並びにジアミンの重合によって製造することができる。
場合によっては、アミノカルボン酸、アミノニトリル、又はラクタムの重合によってポリアミドを生成することもできる。
ジカルボン酸成分は、好適には、分子式HO2C-R1-CO2H;
(式中、R1は、二価の脂肪族、脂環式、又は芳香族ラジカル、又は共有結合を表す)の少なくとも1つのジカルボン酸である。
R1は、好適には、2~20個の炭素原子、例えば2~12個の炭素原子、例えば2~10個の炭素原子を含む。
R1は、直鎖又は分枝鎖、例えば直鎖の、2~12個の炭素原子、又は2~10個の炭素原子、例えば、2、4、6又は8個の炭素原子を含むアルキレンラジカル、非置換フェニレンラジカル、又は非置換シクロヘキシレンラジカルであり得る。
任意選択的に、R1は、1つ以上のエーテル基を含有してもよい。
例えば、R1は、2~12個の炭素原子、又は2~10個の炭素原子、例えば、2、4、6又は8個の炭素原子を含むアルキレンラジカル、例えば直鎖アルキレンラジカルである。
【0050】
好適なジカルボン酸の具体例としては、ヘキサン-1,6-二酸(アジピン酸)、オクタン-1,8-二酸(スベリン酸)、デカン-1,10-二酸(セバシン酸)、ドデカン-1,12-二酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサン二酢酸、1,3-シクロヘキサン二酢酸、ベンゼン-1,2-ジカルボン酸(フタル酸)、ベンゼン-1,3-ジカルボン酸(イソフタル酸)、ベンゼン-1,4-ジカルボン酸(テレフタル酸)、4,4’-オキシビス(安息香酸)、及び2,6-ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。
好適なジカルボン酸は、ヘキサン-1,6-二酸(アジピン酸)である。
【0051】
ジアミン成分は、好適には、式H2N-R2-NH2;
(式中、R2は、二価の脂肪族、脂環式、又は芳香族ラジカルを表す)の少なくとも1つのジアミンである。
R2は、好適には、2~20個の炭素原子、例えば4~12個の炭素原子、例えば4~10個の炭素原子を含む。
R2は、直鎖又は分枝鎖、例えば直鎖の、4~12個の炭素原子、例えば4~10個の炭素原子、例えば、4、6又は8個の炭素原子を含むアルキレンラジカル、非置換フェニレンラジカル、又は非置換シクロヘキシレンラジカルであり得る。
任意選択的に、R2は、1つ以上のエーテル基を含有してもよい。
例えば、R2は、4~12個の炭素原子、又は4~10個の炭素原子、例えば、2、4、6又は8個の炭素原子を含むアルキレンラジカル、例えば直鎖アルキレンラジカルである。
【0052】
好適なジアミンの具体例としては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、3-メチルペンタメチレンジアミン、2-メチルヘキサメチレンジアミン、3-メチルヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,7-ジメチルオクタメチレンジアミン、2,2,7,7-テトラメチルオクタメチレンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン、ベンゼン-1,2-ジアミン、ベンゼン-1,3-ジアミン、及びベンゼン-1,4-ジアミンが挙げられる。
好適なジアミンは、ヘキサメチレンジアミンである。
【0053】
芳香族二酸は、好適には、式HO-C(O)-R3-C(O)-OHの少なくとも1つの二酸であり、式中、変数R3は、フェニルなどの置換又は非置換アリールである。
一態様では、芳香族二酸は、テレフタル酸である。
【0054】
ポリアミド樹脂は、触媒を更に含み得る。
一態様では、触媒は、ポリアミド樹脂中に、10重量ppm~1,000重量ppmの範囲の量で存在し得る。
別の態様では、触媒は、10重量ppm~300重量ppmの範囲の量で存在し得る。
触媒としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、次リン酸、アリールホスホン酸、アリールホスフィン酸、これらの塩、及びこれらの混合物などのリン化合物及びオキシリン化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
一態様では、触媒は、次亜リン酸ナトリウム(sodium hypophosphite、SHP)、次亜リン酸マンガン、フェニルホスフィン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスフィン酸カリウム、フェニルホスホン酸カリウム、ビス-フェニルホスフィン酸ヘキサメチレンジアンモニウム、トルイルホスフィン酸カリウム、又はこれらの混合物であり得る。
一態様では、触媒は、次亜リン酸ナトリウム(SHP)であり得る。
【0055】
開示されたプロセスの一態様では、アミド化反応を避け、流動性を維持し、共晶融解を避けるために、前駆体形成ゾーンの温度を120℃未満、例えば、100℃未満に維持することが所望される。
示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)試験分析は、オリゴマー及び/又はポリマー形成のいずれかの開始を決定するために、塩形成ゾーンから得られたサンプルに対して行うことができる。
固体前駆体が別個の生成物として回収される場合、これは、前駆体形成プロセスの温度プロファイルを最適化するための有用な方法である。
【0056】
本開示の工業的有用性を実現することができる。本開示に従って調製された超微粒子状塩は、溶融反応器、例えばオートクレーブ又は押出機、例えば二軸押出機に好適な供給物であり得る。
超微粒子状塩はまた、添加剤、特に、超微粒子状にされたマスターバッチ添加剤を含む乾燥添加剤との均一なブレンドにも有利である。
【0057】
本開示の塩調製プロセスは、流動化層機器において好適に達成され得る。
乾燥超微粒子状二酸は、層における良好な逆混合のための機械的エネルギー入力及び流動化乱流のバランスが存在するように、ジアミン含有流動化ガス流を使用して十分に流動化することができる。
流動化のための機械的エネルギー入力の下限において、局所的なホットスポット及び高温領域が発生し、粒子が互いに付着し、塊に凝集することがあることを理解されたい。
機械的エネルギーが漸進的に増加するにしたがって、混合のための良好な乱流、並びに均一な運動量及び熱伝達によって流動化が安定的に達成され得る。
この流動化レジームでは、ホットスポットが回避され、粒子の凝集がもたらされ得る。
流動化のための機械的エネルギー入力の上限において、大きいガス運動量により、粒子を浮遊させ、それによって流動化の有効性を低減させる場合がある。
【0058】
本開示の塩調製プロセスにおいて、乾燥固体二酸の工業的又は商業的供給は、例えば、乾燥アジピン酸固形物などの流動化条件下で好適であり得る。
工業用のアジピン酸製品は、以下の範囲において利用可能であり得る。
・平均粒径[D
50]は100~450マイクロメートルの範囲に及ぶ。
・微粉率(%)(75マイクロメートル未満)は、<5~25(体積%)の範囲に及び、場合によっては45体積%に達する。
・嵩密度は、721~881kg/m
3の範囲に及ぶ。
・微粉率(%)は、以下のように平均粒径(単位:マイクロメートル)によって異なる。
【表1】
【0059】
本開示の流動化条件は、約10~1000マイクロメートル、又は約20~800マイクロメートル、又は更には約25~700マイクロメートルなどの、約10~5000マイクロメートルの平均粒径を有する乾燥二酸固形粒子を収容するように調節することができることを理解されたい。
流動化条件が最も効率的な様式で達成され得る限り限定されない。
【0060】
粒径の考察はまた、得られる塩で生成されるポリアミドの種類に応じて、二酸粉末のブレンドにも適用可能である。
ポリアミドを製造する従来の生成方法は、(塩のバランスをとる(salt strike)工程として一般的に知られている)塩生成以降も継続することに依拠し、重縮合反応を介してアミド化に進む。
固体塩結晶が更に反応し始めると、典型的には粒子からジアミン損失が観察される。
したがって、本開示によるプロセス条件を制御して、塩を形成し、分離された固形生成物として前駆体が回収される場合、ポリアミドに進まないことが特に重要である。
【0061】
開示されたプロセスは、従来のポリアミドプロセスにおける最もエネルギー集約的な工程において顕著な改善であり、開示されたプロセスにおいて、過剰のアジピン酸[AA]固形物がヘキサメチレンジアミン[HMD]と共に水に溶解され、次いで、AA及びHMDを重合して、圧力-温度サイクルを実施することによってナイロン6,6を製造しながら水を蒸発させる。
【0062】
制御の観点から、特許請求されるプロセスは反直感的である。
AA対HMDのバランスを制御するための方法の例としては、(a)流動粒子の流れを引き込み、水に溶解させ、pHを測定すること、
(b)ラマン分光法、
(c)FTIR又は近赤外、及び(d)排出ガス中のHMDを監視することが挙げられる。
選択肢(d)に関して、HMDの正味損失はゼロに近づくことが所望される。
【0063】
実施例1
流動層反応器システム100が
図1に概略的に表されている。
300mm(0.3m)の直径の流動層反応器105は、プレナムとして機能するガラスフリット110の上で接合されている。
流動層は、フリットからベントまで約300mm(0.3m)の作業高さを有する。
供給ガスは、調整器を介して圧力が制限される窒素である。
反応器ユニット105は、圧力調整弁がより低い設定に設定された建造物内真空系(図示せず)への流れ接続部10を介して真空下で稼働することができる。
あるいは、反応器ユニット105は、窒素供給圧調整弁の設定を変更することによって、圧力下で稼働することができる。
流動層105への流れは、ニードル弁115を介して設定される。
流入するガスの流れは、インラインガスヒータ120を使用して設定点まで加熱される。
反応器ユニット105は、ガスヒータ120を出る加熱されたガスが加熱された液体容器125を通って供給されて、ガス供給流3に蒸気量を取り込むか、あるいは迅速に切り替えられて、加熱された液体容器125を回避し、ガス供給流5内に蒸気成分を含まずに稼働することができるように設計されている。
反応器ユニット105はまた、気体/固体分離ユニット130及び凝縮物トラップユニット135を介して排出する排出流接続部15を有する。
捕捉容器ユニット140は、任意の分離された固形物を回収するための気体/固体分離ユニット130に接続されている。
【0064】
約3kgの乾燥ナイロン6,6塩が、流動層ユニット105の上部ポートを介して装填される。
その後、ポートは栓で封止される。
塩は、非加熱窒素ガス供給流7のパージによって酸素が除去される。
次いで、ガス供給流9は、約180℃に加熱されたインラインガスヒータ120を通って流れ、高温ガス供給流25は、また180℃に維持されている大量の無水溶融ヘキサメチレンジアミン[HMD]の中を通してバブリングするための加熱された液体容器125内のバブラーを介して供給される。
加熱された液体容器125を出る高温ガス供給流3は、ヘキサメチレンジアミン[HMD]蒸気を取り込んでいる。
供給圧力調整弁は、1バールに設定され、建造物内真空系はオンにされ、流れは、ニードル弁115を介して流動層ユニット105によって調整される。
HMD蒸気含有高温ガス供給流は、毎分約1700リットル[lpm]の速度に制御される。
これにより、流動層ユニット105内で安定したバブリングがもたらされる。
流動層ユニット105は、この状態で約4時間維持される。
【0065】
その後、高温ガス供給流3の温度は、220℃まで漸増される。
流れは、1700lpmで維持される。
流動層ユニット105は、この状態で更に2時間維持される。
【0066】
この後、220℃の高温ガス供給物の温度を維持しながら、ガスヒータ120を出るガス流は、無水溶融ヘキサメチレンジアミン[HMD]を含有する加熱された液体容器125を回避するように方向転換される。
この状態において、加熱されたガス流5は、流動層ユニット105に供給される。
流動層ユニット105は、この供給により更に2時間稼働する。
【0067】
その後、ガスヒータ120をオフにし、流動化窒素供給物を使用して、流動化固形物を周囲温度まで冷却する。
【0068】
流動層ユニット105から回収された、結果として生じた固形物は、固形物1kg当たり30meq未満のアミンを損失し、ポリマー相対粘度(relative viscosity、RV)は9を示すことが観察される。
【0069】
実施例2
連続ポリアミド化システム200が
図2に概略的に表されている。
システム200は、(上から下へ番号付けされているように)16個の流動層セクションで構成されたカスケード反応器ユニット205を備え、各セクションは、越流堰管を備えている。
各越流堰管は、検出可能な蒸気の迂回を避けるように、次の下部層内に十分に深くつながっている。
【0070】
供給ガス配給装置は、実施例1及び
図1に記載されており、すなわち、流入する窒素ガスを加熱することを可能にする]。
また、ガス供給は加熱された液体容器を迂回し、ユニット205に供給することができる。
【0071】
(逆供給器と呼ばれる)定量供給器は、上部ステージに気密に嵌合され、窒素でバックフラッシュされて、反応器への酸素の侵入を防止する。
【0072】
1~10で番号付けされたステージを有する上部セクション211の内径は200mm(0.2m)である。
11~16で番号付けされたステージを有する下部セクション231の内径は300mm(0.3m)である。
これにより、蒸気が上方に流れるにつれて、セクションの直径が小さくなるので、上昇する蒸気流を加速させることが可能になり、ユニット205の上方セクションにおけるより良好な流動化によって、熱及び物質の移動を改善することができる。
【0073】
各ステージ内の温度は、それぞれのステージの流動層にわたって水平に走るチューブを通る熱媒体の再循環によって調整される。
これらは、軸方向温度プロファイルがユニット205に対して維持され得るように、独立した温度制御を有し得る。
熱の保持及び調整を補助するように、任意のセクション又はステージにおいてジャケットヒータもまた使用されてもよい。
これは、上昇する蒸気の流れによってもたらされる熱を増大させる。
【0074】
約1.8kg/時間の乾燥ナイロン6,6塩を、固形物供給部255を使用して最上段のステージに供給する。
1時間当たり約35~40m
3の乾燥窒素が、ガス入口257において最下段のステージに供給される。
上昇している蒸気ガスの速度は、上部セクション211において約約0.2~0.3m/秒、下部セクション231において約0.1~0.2m/秒であると判定される。
図2の脇の表には、ステージ仕様で流動化され流れている固形物の保持時間[HUT(単位:時間)]及び軸方向温度プロファイル[単位:℃]が示されている。
【0075】
底面の生成物ポート259において、約1.55kg/時間のナイロン6,6ポリマーがこの稼働から得られる。
ナイロン6,6ポリマー生成物の相対粘度は15である。
【0076】
実施例3
実施例2及び
図2に記載されているユニット構成及び処理条件を使用して、入口261を介して、ステージ13の上のヘッドスペースに、最下段のステージに供給された加熱された乾燥窒素ガスと組み合わせて、追加の液体ヘキサメチレンジアミン[HMD]が直接供給される。
また、入口265のいずれかを介して
図2に示すような軸方向長さに沿う様々なステージにおいて更なる液体HMDを供給することも可能である。
これにより、カスケードシステム205から回収された生成物におけるより良好なバランスの制御及びより高い相対粘度が提供される。
【0077】
実施例4
実施例2及び
図2に記載のユニット200の構成を使用して、固形供給物を乾燥塩からアジピン酸に変更する。
ヘキサメチレンジアミンアジピン酸塩は、最上部の固形物供給部を介して約1kg/時間でアジピン酸を供給することによって生成され、液体ヘキサメチレンジアミン[HMD]は、最下段のステージ16に供給された加熱された乾燥窒素ガスと組み合わせて、図示される入口を介して、ステージ7、9、11及び13の上のヘッドスペース内に直接供給される。
ステージ16より下のプレナムに接続する際に、乾燥窒素供給物内へのジアミンの制御された注入によって、微細なバランス制御が改善され得ることが見出されている。
固形物層を90~100℃以下に維持するように、記載されている機器によって温度が調整される。
これにより、システムは自由流動状態に維持され、オリゴマー形成を回避する。
これにより、約1.8kg/時間の速度で、実質的に乾燥したナイロン塩が得られる。
【0078】
実施例5
連続ポリアミド化システム300を
図3に概略的に示す。
システム300は、(上から下へ番号付けされているように)15個の流動層セクションで構成されたカスケード反応器ユニット305を備え、各セクションは、越流堰管を備えている。
最後の流動化ステージの下に追加の16番目のステージを追加し、この静的カラムは、生成物をプラグフロー様式で制御されたエンドポイントまで固相化するために使用される。
各越流堰管は、検出可能な蒸気の迂回を避けるように、次の下部層内に十分に深くつながっている。
システム300の全体的なセクション対セクションのユニット構成、内径、及び入口/出口の構成は、実施例2及び
図2に記載されているものと非常に類似している。
【0079】
この実施例では、固形物供給部システム355を使用して、無希釈のアジピン酸が最上段ステージに供給される。
上部ステージは、流入中の固形供給物が流動化され、ユニットを下方に流れる際に流入中の固形供給物を加熱することを支援する。
上部ステージはまた、上昇している蒸気流中に存在する任意の残留ジアミンを吸収する重要な機能を果たす。
【0080】
1~10で番号付けされたステージを有する上部セクション311の内径は200mm(0.20m)である。
13~15で番号付けされたステージを有する中間セクション321の内径は300mm(0.3m)である。
これにより、蒸気が上方に流れるにつれて、セクションの直径が小さくなるので、上昇する蒸気流を加速させることが可能になり、ユニット305の上方セクションにおけるより良好な流動化によって、熱及び物質の移動を改善することができる。
最も低いセクション331は流動化されず、ここではステージ16として示されている。
ステージ16はまた、300mm(0.30m)の内径を有するが、はるかに小さいガス供給速度で供給されている。
ステージ15とステージ16との間にプレナムが介在して、追加の流動化ガスの分配を可能にしている。
【0081】
各ステージ内の温度は、それぞれのステージの流動層にわたって水平に走るチューブを通る熱媒体の再循環によって調整される。
これらは、軸方向温度プロファイルがユニット305に対して維持され得るように、独立した温度制御を有し得る。
熱の保持及び調整を補助するように、任意のセクション又はステージにおいてジャケットヒータもまた使用されてもよい。
これは、上昇する蒸気の流れによってもたらされる熱を増大させる。
【0082】
セクション311における上部の流れるステージは、流入中の供給物を適温まで上昇させるために主に使用される。
【0083】
脂肪族二酸のかなりの割合を含有する酸供給物は、層崩壊につながり得る共晶融解挙動を呈する傾向がある。
したがって、ステージ間のHMD供給は、溶融領域から十分遠く離れたそれぞれのステージにわたって組成物を適温に維持して、層崩壊から生じる稼働性の問題を回避するように制御される。
【0084】
共晶組成物が通過すると、二酸及びジアミンを最終平衡に近づけ、吸収及びイオン化の熱を補うことは、カラムの中間ステージの責務となる。
【0085】
カラムには、固形物の組成に関するフィードバックを提供するための光学機器が装着されている。
ABB Talus FTNIR機器又はTornado Ramanのいずれか一方が共に、稼働をサポートするのに十分な良好な較正を提供することが見出されている。
安定した稼働が確立されると、安定した品質でポリマーを維持するために、ステージ15におけるただ1つのフィードバック点が必要であり得ることが見出されている。
システム305の軸方向長さに沿う複数の点は、始動制御を改善することができる。
共晶融解の発生を回避するために、ステージ8において組成を監視することが特に有益である。
【0086】
セクション321~331におけるステージ11~16は、所望の分子量の構築を達成するための滞留時間を提供する。
【0087】
約1~3kg/時間の乾燥アジピン酸固形物は、固形物供給部355を使用して最上段のステージに供給される。
1時間当たり約36~38m3の乾燥窒素が、ガス入口357において最下段のステージに供給される。
上昇する蒸気ガスの速度は、上部セクション311において約0.2~0.3m/秒であり、セクション321において約0.1~0.2m/秒であると判定される。
【0088】
約2~4m
3/時間の乾燥窒素が、ガス入口359においてステージ16の静的層に供給される。
これは、最も下のステージにおいて固相重合を行うのに十分である。このステージ仕様で流動化され流れている固形物の保持時間[HUT(単位:時間)]及び軸方向温度プロファイル[単位:℃]が
図3の脇の表に示されている。
【0089】
底面の生成物ポート361において、約1.5~2.5kg/時間のナイロン6,6ポリマーがこの稼働から得られる。
ナイロン6,6ポリマー生成物の相対粘度は30.5である。
【0090】
実施例6
実施例3に記載のユニット構成及び処理条件は、ステージ16を除去し、ステージ15の生成物をベント付き二軸押出機に直接供給することによって変更される。
この押出機は、添加剤の添加のための1つの無充填セクションを有するように構成されている。
これはまた、大気用ベント及び真空用ベントセクションも装着されている。
HMDトリム供給は、加熱されたHMDを無充填セクションに注入するように構成されている。
【0091】
押出機の吐出接続部は、溶融ナイロンを監視するためのFT-NIRのプローブが装着されている。
この信号は、含水量、両末端比、及び相対粘度に対する様々なスペクトルモデルと共に使用される。
相対粘度モデル及び含水量モデルの出力を使用して、押出機の最後のベント付きセクションにおける真空圧力を調節する。
両末端比は、直接フィードバックループにおいて使用されて、押出機内の無充填注入ステージへのHMDのトリム供給の流量を制御する。
トリム供給は、1~3g/分の速度以内で制御される。
【0092】
押出機の吐出物は、15分間の保持時間を有するパイプラインを通ってポンプ移送される。
これにより、ジアミンの取り込み及びRVの増加が生じることを可能にする。
その後、溶融物をダイを通してレース(lace)内に押し出し、ペレット化する。
この稼働から、約1.5~2.5kg/時間のナイロン6,6ポリマーが相対粘度34.6で得られる。
【0093】
前述の実施例は、1つ以上の特定の用途における本開示の原理を例示するものであるが、本開示の原理及び概念から逸脱することなく、実施の形態、使用、及び詳細の多くの修正が、発明の機能を行使することなく行われ得ることが、当業者には明らかとなろう。
したがって、本開示は、以下に記載される特許請求の範囲によるものを除き、限定されることを意図しない。
【0094】
本開示は、本開示を製造及び使用する当業者にとって十分に詳細に説明かつ例示されているが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な代替例、修正例、及び改善例が当業者に明らかになるであろう。
【0095】
本明細書で参照される全ての特許及び刊行物は、それぞれ個々の刊行物がその全体が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、同程度で、本明細書において参照により組み込まれている。
【0096】
使用されてきた用語及び表現は、限定するものではなく、説明の用語として使用され、そのような用語及び表現の使用において、図示及び記載された特徴又はそれらの部分の任意の等価物を除外する意図はないが、特許請求される本発明の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。
したがって、本開示は、好ましい実施形態及び任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の修正例及び変形例は、当業者によって再分類されてもよく、そのような修正例及び変形例は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲内であると考えられることを理解されたい。
【国際調査報告】