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特表2022-522135ホログラムから形成されたカラー画像
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】ホログラムから形成されたカラー画像
(51)【国際特許分類】
   B42D 25/328 20140101AFI20220407BHJP
   B42D 25/435 20140101ALI20220407BHJP
   B42D 25/324 20140101ALI20220407BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20220407BHJP
   G03H 1/04 20060101ALI20220407BHJP
   G03H 1/22 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
B42D25/328 120
B42D25/328 100
B42D25/435
B42D25/324
G02B5/18
G03H1/04
G03H1/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549411
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(85)【翻訳文提出日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 FR2020050262
(87)【国際公開番号】W WO2020174153
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】1902066
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519260337
【氏名又は名称】アイデミア フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100202201
【弁理士】
【氏名又は名称】兒島 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】ベルト,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】デュリエ,クリストフ
【テーマコード(参考)】
2C005
2H249
2K008
【Fターム(参考)】
2C005HA02
2C005HA04
2C005HA08
2C005HB01
2C005JA18
2C005JB02
2C005JB08
2H249AA25
2H249AA31
2H249AA60
2K008AA13
2K008CC00
(57)【要約】
本発明は、それぞれ別個の色のサブピクセル(32)を含むピクセル(30)の配列(29)を形成するホログラフィック構造を含む第1の層(10)と、パーソナライズされたカラー画像を明らかにするように、ピクセル(30)において互いに対するサブピクセル(32)の比色寄与を変更することにより、ピクセル(30)の色を選択するように構成された色変調手段とを含むカラー画像(IG)に関する。色変調手段は、レーザによって局所的に破壊されている、破壊領域と呼ばれるホログラフィック構造の領域、サブピクセルの全部又は一部を局所的にマスキングするためにピクセルの配列に面して配置されたマスキング手段又は更にサブピクセルの全部又は一部の光度を局所的に増幅するためにピクセルの配列に面して配置された増幅手段を含み得る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュアドキュメント(2)であって、
- それぞれ別個の色の複数のサブピクセルを含むピクセルの配列を形成するホログラフィック構造を含む第1の層と、
- 色変調手段であって、前記変調手段と組み合わされた前記ピクセルの配列から、カスタマイズされたカラー画像を明らかにするように、少なくとも前記ピクセルの一部において互いに対する前記サブピクセルの比色寄与を変更することにより、前記ピクセルの色を選択するように構成された色変調手段と
を含み、前記色変調手段は、
○レーザによって局所的に破壊されている、破壊領域と呼ばれる前記ホログラフィック構造の領域、
○前記サブピクセルの全部又は一部を局所的にマスキングするために前記ピクセルの配列に面して配置されたマスキング手段、及び
○前記サブピクセルの全部又は一部の明度を局所的に増幅するために前記ピクセルの配列に面して配置された増幅手段
のうちの少なくとも1つを含む、セキュアドキュメント(2)。
【請求項2】
前記ピクセルの配列における各サブピクセルは、回折によって前記サブピクセルの対応する色を生成するように構成されたそれぞれのホログラフィック格子によって形成される、請求項1に記載のドキュメント。
【請求項3】
前記ピクセルの配列の各ピクセルは、カラーサブピクセルの同一のパターンを形成する、請求項1又は2に記載のドキュメント。
【請求項4】
前記ピクセルの配列の各ピクセルは、各サブピクセルが前記ピクセル内において固有の色を有するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のドキュメント。
【請求項5】
前記ピクセルの配列は、前記サブピクセルが基板上又は基板内に均一に分布されるように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のドキュメント。
【請求項6】
前記ピクセルの配列は、サブピクセルの連続した線を形成する、請求項1~5のいずれか一項に記載のドキュメント。
【請求項7】
前記ホログラフィック構造内において破壊された前記領域は、前記ピクセルの配列における前記サブピクセルの全部又は一部に対応する前記ホログラフィック格子のレーザアブレーションによって破壊された領域に対応する、請求項1~6のいずれか一項に記載のドキュメント。
【請求項8】
前記破壊領域は、サブピクセルであって、その対応するホログラフィック格子は、レーザマイクロアブレーションによって部分的に破壊されている、サブピクセルを含む、請求項7に記載のドキュメント。
【請求項9】
前記色変調手段の一部を形成する前記マスキング手段は、
- 前記サブピクセルの全部又は一部を局所的にマスキングするために前記ピクセルの配列に面して印刷されたインクパターン、及び
- 前記サブピクセルの全部又は一部を局所的にマスキングするために前記ピクセルの配列に面して配置されるように、第2の層と呼ばれる層に形成された異なるグレースケールのレーザポイント
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のドキュメント。
【請求項10】
前記色変調手段の一部を形成する前記増幅手段は、
- レンズのアレイであって、前記サブピクセルの少なくとも一部上において、前記レンズを通した入射光の集束又は発散により、前記カスタマイズされたカラー画像を生成するように前記ピクセルの配列に面して配置されたレンズのアレイ、及び
- 第3の層と呼ばれる透明なレーザ可能層と、前記第1の層と前記第3の層との間に配置された透明な分離層とを含む光増幅デバイスであって、前記第3の層は、レーザで局所的に不透明化された領域であって、前記不透明化領域に対応する領域内の前記ピクセルの配列においてサブピクセルの明度の増幅を引き起こすように前記第1の層に面する領域を含む、光増幅デバイス
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のドキュメント。
【請求項11】
前記レンズのアレイの各レンズは、反対側に配置された関連するピクセルに対して、前記関連するピクセルの前記サブピクセルの少なくとも1つにおいて入射光を集束又は発散させて、前記レンズとは無関係に前記関連するピクセルによって本質的に形成された前記パターンに対して、前記レンズを通して生成された前記カスタマイズされたカラー画像の領域において、前記関連するピクセルの前記サブピクセルの前記それぞれの色の前記寄与を変更するように配置される、請求項10に記載のドキュメント。
【請求項12】
前記第1の層に面する、第4の層と呼ばれる透明なレーザ可能層を更に含み、前記第4の層は、前記カスタマイズされたカラー画像においてグレースケールを生成するために、前記ピクセルの配列のサブピクセルに面する局所的に不透明化された領域を含むようにレーザ放射によって少なくとも部分的に炭化される、請求項1~11のいずれか一項に記載のドキュメント。
【請求項13】
前記第1の層は、
- 前記ホログラフィック格子のレリーフを形成するワニスの第1のサブ層と、
- 前記第1のサブ層の前記レリーフ上に堆積された第2のサブ層であって、前記第1のサブ層の屈折率よりも大きい屈折率を有する第2のサブ層と
を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のドキュメント。
【請求項14】
ドキュメントを作製するための方法であって、
- それぞれ別個の色の複数のサブピクセルを含むピクセルの配列を形成するホログラフィック構造を第1の層に作成するステップ(S2)、
- 色変調手段であって、前記変調手段と組み合わされた前記ピクセルの配列から、カスタマイズされたカラー画像を明らかにするように、少なくとも前記ピクセルの一部において互いに対する前記サブピクセルの比色寄与を変更することにより、前記ピクセルの色を選択するための色変調手段を形成するステップ(S4)
を含み、前記色変調手段は、
○単一の第1のレーザ放射によって前記サブピクセルの全部又は一部にわたって局所的に破壊されている、破壊領域と呼ばれる前記ホログラフィック構造の領域、
○前記サブピクセルの全部又は一部を局所的にマスキングするために前記ピクセルの配列に面して配置されたマスキング手段、及び
○前記サブピクセルの全部又は一部の明度を局所的に増幅するために前記ピクセルの配列に面して配置された増幅手段
のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項15】
前記色変調手段の前記形成は、
- 前記ピクセルの配列における前記サブピクセルの全部又は一部を除外するための、前記ホログラフィック構造の領域の、単一の第1のレーザ放射を用いたレーザアブレーションによる局所的な破壊、
- 前記ピクセルの配列における前記サブピクセルの全部又は一部を局所的にマスキングするための、前記第1の層に面するインクパターンの印刷、
- レンズのアレイであって、前記ピクセルの配列の前記サブピクセルの少なくとも一部上において、前記レンズを通した入射光の集束又は発散により、前記カスタマイズされたカラー画像を生成するように前記ピクセルの配列に面して配置されたレンズのアレイの、単一の第2のレーザ放射を用いた形成、及び
- 第3の層と呼ばれる透明なレーザ可能層と、前記第1の層と前記第3の層との間に配置された透明な分離層とを含む光増幅デバイスの形成であって、前記第3の層は、単一の第3のレーザ放射を用いて局所的に不透明化された領域であって、前記不透明化領域に対応する領域内の前記ピクセルの配列においてサブピクセルの明度の増幅を引き起こすように前記第1の層に面する領域を含む、形成
のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像を形成する技術、より具体的にはカラー画像が形成されるピクセルの配列を形成するホログラフィック構造を含むドキュメントに関する。
【背景技術】
【0002】
今日の身分証明市場では、セキュアな身分証明書(身分証明書とも呼ばれる)が一層必要になっている。これらのドキュメントは、簡単に認証でき、偽造が困難(可能な場合には改ざん防止)でなければならない。この市場は、身分証明カード、パスポート、アクセスバッジ、運転免許証など、異なるフォーマット(カード、小冊子など)で提示され得る多様なドキュメントに関係している。
【0003】
カラー印刷を達成するために、様々な印刷技術が長年にわたって開発されてきた。特に、上記のような身分証明書の作成には、悪意のある個人による改ざんのリスクを制限するために、安全な方法でカラー画像を作成する必要がある。特に、持参人の身分証明画像におけるそのようなドキュメントの作製は、許可されていない個人による複製又は改ざんを困難にするために十分に複雑である必要がある。
【0004】
したがって、既知の解決策は、カラーサブピクセルから構成されるピクセルのマトリクスを媒体上に印刷することと、ピクセルのマトリクスに面して配置されたレーザ可能層にレーザ炭化によってグレースケールを形成することとを含み、それにより改ざん又は複製が困難なカスタマイズされたカラー画像を明らかにする。この技術の例示的な実施形態は、例えば、文献欧州特許第2580065B1号明細書(2014年8月6日付け)及び欧州特許第2681053B1号明細書(2015年4月8日付け)に記載されている。
【0005】
この既知の技術は、良好な結果を提供するが、特にそのように形成された画像の視覚的レンダリングの品質に関して依然として改善が可能である。この画像形成技術から、高レベルの彩度を達成することは、実際には困難である。換言すれば、この既知の技術の色域(色の範囲を再現する能力)は、制限され得、いくつかの使用例では問題となり得る。これは、特に、カラーサブピクセルが従来の印刷方法、例えばサブピクセルの十分に直線的で連続的な線を形成することを可能にしない、サブピクセルの印刷中に不均一性(ピクセルの線の中断、不規則な輪郭など)及び劣化した比色レンダリングを生成する、オフセットタイプ印刷によって形成されるという事実の結果である。
【0006】
現在の印刷技術では、更に印刷機の精度に起因して位置決め精度が制限され、またピクセル及びサブピクセルの互いに対する位置ずれ(サブピクセルの重なりの問題、ミスアライメントなど)に起因して又はサブピクセル間の印刷を欠いている許容間隔の存在により、最終的な画像の品質を低下させる。
【0007】
図1は、別個の色のサブピクセルの線6の形態をとるピクセルオフセット4による印刷2の例を表す。示されるように、サブピクセルの各線6の輪郭は、不規則性を示す。印刷中の位置決めの不正確さのために、これらの線の位置決めに対して許容誤差を考慮する必要がある。
【0008】
図1に示されるように、これらの不均一性及び各ピクセルのサブピクセルの位置ずれを補償するために(したがって隣接するサブピクセルの重なり及び所望の色の劣化を回避するために)、サブピクセル間に白領域8を保つようにサブピクセルを印刷することが可能である。しかしながら、白領域を追加するこの技術には、所与の色に対して得られ得る彩度のレベルが制限され、十分な色域を得ることを妨げるという欠点がある。
【0009】
ここで、特に身分証明書などのドキュメントにおいて、カスタマイズされたカラー画像を安全に形成する必要性がある。特に、カラー画像を柔軟且つ安全にカスタマイズできるようにする必要性があり、それにより、生成された画像の改ざん又は複製が困難になり且つ簡単に認証できる。
【0010】
更に、今日、適切なレベルのセキュリティ及び柔軟性を提供できる解決策では、画像の良好なレベルの明度及び十分な色域、特に例えば画像領域が所与の色で高度な彩度レベルを有する必要がある場合、高品質の色を形成するために必要な色合いを得ることができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、セキュアドキュメントであって、
- それぞれ別個の色の複数のサブピクセルを含むピクセルの配列を形成するホログラフィック構造を含む第1の層と、
- 色変調手段であって、前記変調手段と組み合わされたピクセルの配列から、カスタマイズされたカラー画像を明らかにするように、少なくともピクセルの一部において互いに対するサブピクセルの比色寄与を変更することにより、ピクセルの色を選択するように構成された色変調手段と
を含み、色変調手段は、
○レーザによって局所的に破壊されている、破壊領域と呼ばれるホログラフィック構造の領域、
○サブピクセルの全部又は一部を局所的にマスキングするためにピクセルの配列に面して配置されたマスキング手段、及び
○サブピクセルの全部又は一部の明度を局所的に増幅するためにピクセルの配列に面して配置された増幅手段
のうちの少なくとも1つを含む、セキュアドキュメントに関する。
【0012】
本発明は、有利には、色変調手段と、ホログラフィック層によって形成されたピクセルの配列との間の相互作用によってセキュアカラー画像を形成するように色合いを作成することを可能にする。したがって、カラー画像は、色変調手段と、反対側に配置されたピクセルの配列との組み合わせによって形成される。入射光の通過を方向付けるか又は慎重に選択する色変調手段を追加しない場合、このアセンブリがカラー画像を特徴付ける情報を欠いている限り、ピクセルは、空白の配列を形成するのみである。色変調手段は、サブピクセルの選択された配置に応じてピクセルの視覚的外観をカスタマイズし、したがって最終的なカラー画像を明らかにするように構成される。
【0013】
本発明は、安全であり、したがって改ざん及び不正な複製に対して耐性がある一方、良好な画質を有するカラー画像を生成することを可能にする。
【0014】
1つの特定の実施形態によれば、ピクセルの配列における各サブピクセルは、回折によって前記サブピクセルの対応する色を生成するように構成されたそれぞれのホログラフィック格子によって形成される。
【0015】
1つの特定の実施形態によれば、前記ピクセルの配列の各ピクセルは、カラーサブピクセルの同一のパターンを形成する。
【0016】
1つの特定の実施形態によれば、前記ピクセルの配列の各ピクセルは、各サブピクセルが前記ピクセル内において固有の色を有するように構成される。
【0017】
1つの特定の実施形態によれば、ピクセルの配列は、サブピクセルが基板上又は基板内に均一に分布されるように構成される。
【0018】
1つの特定の実施形態によれば、ピクセルの配列は、サブピクセルの連続した線を形成する。
【0019】
1つの特定の実施形態によれば、ホログラフィック構造内において破壊された前記領域は、ピクセルの配列におけるサブピクセルの全部又は一部に対応するホログラフィック格子のレーザアブレーションによって破壊された領域に対応する。
【0020】
1つの特定の実施形態によれば、前記破壊領域は、サブピクセルであって、その対応するホログラフィック格子は、レーザマイクロアブレーションによって部分的に破壊されている、サブピクセルを含む。
【0021】
1つの特定の実施形態によれば、色変調手段の一部を形成する前記マスキング手段は、
- サブピクセルの全部又は一部を局所的にマスキングするためにピクセルの配列に面して印刷されたインクパターン、及び
- サブピクセルの全部又は一部を局所的にマスキングするためにピクセルの配列に面して位置決めされるように、第2の層と呼ばれる層に形成された異なるグレースケールのレーザポイント
のうちの少なくとも1つを含む。
【0022】
1つの特定の実施形態によれば、色変調手段の一部を形成する前記増幅手段は、
- レンズのアレイであって、サブピクセルの少なくとも一部上において、レンズを通した入射光の集束又は発散により、カスタマイズされたカラー画像を生成するようにピクセルの配列に面して配置されたレンズのアレイ、及び
- 第3の層と呼ばれる透明なレーザ可能層と、第1の層と第3の層との間に配置された透明な分離層とを含む光増幅デバイスであって、前記第3の層は、レーザで局所的に不透明化された領域であって、前記不透明化領域に対応する領域内の前記ピクセルの配列においてサブピクセルの明度の増幅を引き起こすように第1の層に面する領域を含む、光増幅デバイス
のうちの少なくとも1つを含む。
【0023】
1つの特定の実施形態によれば、レンズのアレイの各レンズは、反対側に配置された関連するピクセルに対して、前記関連するピクセルのサブピクセルの少なくとも1つにおいて入射光を集束又は発散させて、前記レンズとは無関係に関連するピクセルによって本質的に形成されたパターンに対して、前記レンズを通して生成されたカスタマイズされたカラー画像の領域において、関連するピクセルのサブピクセルのそれぞれの色寄与を変更するように配置される。
【0024】
1つの特定の実施形態によれば、ドキュメントは、第1の層に面する、第4の層と呼ばれる透明なレーザ可能層を更に含み、前記第4の層は、カスタマイズされたカラー画像においてグレースケールを生成するために、ピクセルの配列のサブピクセルに面する局所的に不透明化された領域を含むようにレーザ放射によって少なくとも部分的に炭化される。
【0025】
1つの特定の実施形態によれば、第1の層は、
- ホログラフィック格子のレリーフを形成するワニスの第1のサブ層と、
- 第1のサブ層のレリーフ上に堆積された第2のサブ層であって、第1のサブ層の屈折率よりも大きい屈折率を有する第2のサブ層と
を含む。
【0026】
本発明は、対応する作製方法にも関する。より具体的には、本発明は、ドキュメントを作製するための方法であって、
- それぞれ別個の色の複数のサブピクセルを含むピクセルの配列を形成するホログラフィック構造を第1の層に作成するステップ、
- 色変調手段であって、前記変調手段と組み合わされたピクセルの配列から、カスタマイズされたカラー画像を明らかにするように、少なくともピクセルの一部において互いに対するサブピクセルの比色寄与を変更することにより、ピクセルの色を選択するための色変調手段を形成するステップ
を含み、色変調手段は、
○単一の第1のレーザ放射によってサブピクセルの全部又は一部にわたって局所的に破壊されている、破壊領域と呼ばれるホログラフィック構造の領域、
○サブピクセルの全部又は一部を局所的にマスキングするためにピクセルの配列に面して配置されたマスキング手段、及び
○サブピクセルの全部又は一部の明度を局所的に増幅するためにピクセルの配列に面して配置された増幅手段
のうちの少なくとも1つを含む、方法に関する。
【0027】
1つの特定の実施形態によれば、色変調手段の前記形成は、
- ピクセルの配列におけるサブピクセルの全部又は一部を除外するための、ホログラフィック構造の領域の、(単一の波長における)単一の第1のレーザ放射を用いたレーザアブレーションによる局所的な破壊、
- ピクセルの配列におけるサブピクセルの全部又は一部を局所的にマスキングするための、第1の層に面するインクパターンの印刷、
- レンズのアレイであって、ピクセルの配列のサブピクセルの少なくとも一部上において、レンズを通した入射光の集束又は発散により、カスタマイズされたカラー画像を生成するようにピクセルの配列に面して配置されたレンズのアレイの、(単一の波長における)単一の第2のレーザ放射を用いた形成、及び
- 第3の層と呼ばれる透明なレーザ可能層と、第1の層と第3の層との間に配置された透明な分離層とを含む光増幅デバイスの形成であって、前記第3の層は、(単一の波長における)単一の第3のレーザ放射を用いて局所的に不透明化された領域であって、前記不透明化領域に対応する領域内の前記ピクセルの配列においてサブピクセルの明度の増幅を引き起こすように第1の層に面する領域を含む、形成
のうちの少なくとも1つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】すでに上述した媒体上のカラーサブピクセルの線の印刷を概略的に表す。
図2】本発明の1つの特定の実施形態によるカラー画像を概略的に表す。
図3】本発明の1つの特定の実施形態によるセキュアドキュメントを概略的に表す。
図4】本発明の1つの特定の実施形態によるセキュア画像のホログラフィック層を概略的に表す。
図5】本発明の1つの特定の実施形態によるホログラフィック層のレリーフを概略的に表す。
図6A】本発明の1つの特定の実施形態による、ホログラフィック構造の領域によって形成されたピクセルを概略的に表す。
図6B】本発明の1つの特定の実施形態による、ホログラフィック構造の領域によって形成されたピクセルを概略的に表す。
図7A】本発明の特定の実施形態によるピクセル及びサブピクセルの配列を概略的に表す。
図7B】本発明の特定の実施形態によるピクセル及びサブピクセルの配列を概略的に表す。
図7C】本発明の特定の実施形態によるピクセル及びサブピクセルの配列を概略的に表す。
図8】本発明の1つの特定の実施形態によるカラー画像を概略的に表す。
図9】本発明の1つの特定の実施形態によるサブピクセルの部分的破壊を概略的に示す。
図10】本発明の1つの特定の実施形態によるカラー画像を概略的に表す。
図11】本発明の1つの特定の実施形態によるカラー画像を概略的に表す。
図12】本発明の1つの特定の実施形態によるカラー画像を概略的に表す。
図13】本発明の1つの特定の実施形態によるカラー画像を概略的に表す。
図14】本発明の1つの特定の実施形態による作製方法を概略的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
上記のように、本発明は、一般に、カラー画像の形成に関し、特にそのような画像を含むセキュアドキュメントに関する。
【0030】
本発明は、ピクセルの配列を形成するホログラムを含むホログラフィック層から安全な方法でカラー画像を形成することを提案し、これらのピクセル自体は、複数のカラーサブピクセルを含み、少なくともピクセルの一部において互いに対するサブピクセルの相対的な比色寄与を変更することにより、ホログラフィック層内のピクセルの色を選択するように構成される色変調手段を形成する。以下でより詳細に説明するように、様々な実施形態が可能である。特に、前述の色変調手段は、図面を参照して以下に説明するように様々な形態をとることができる。
【0031】
色変調手段は、ピクセルの配列と前記変調手段との組み合わせから、カスタマイズされたカラー画像を明らかにするように、対応するピクセル内の隣接するサブピクセルに対するサブピクセルの比色寄与(又は重み)を変更する。
【0032】
本発明は、そのようなカラー画像を形成するための方法にも関する。
【0033】
本発明の他の態様及び利点は、上記の図面を参照して以下に説明する例示的な実施形態から明らかになるであろう。
【0034】
本明細書の残りの部分では、本発明の原理によるカラー画像を含むドキュメントの場合の本発明の実装形態の例を説明する。本明細書は、小冊子又はカードタイプなど、セキュアドキュメントと呼ばれる任意のドキュメントであり得る。本発明は、身分証明カード、デビットカード、パスポート、運転免許証、セキュアエントリバッジなどの身分証明書での身分証明画像の形成における特定のアプリケーションを見出す。本発明は、少なくとも1つのカラー画像を含むセキュリティドキュメント(銀行券、公証ドキュメント、公的証明書等)にも適用される。
【0035】
一般に、本発明による画像は、任意の適切な媒体上に形成することができる。
【0036】
同様に、以下に記載される例示的な実施形態は、身分証明画像を形成することを目的としている。しかしながら、考慮されるカラー画像は、任意のカラー画像であり得ることが理解される。これは、例えば、関連ドキュメントの所有者のポートレートを表す画像であり得るが、他の実装形態が可能である。
【0037】
特に明記しない限り、いくつかの図に共通又は類似の要素は、同じ参照記号を有し、且つ同一又は類似の特性を有するため、これらの共通の要素は、一般的に、簡単にするために再度説明されない。
【0038】
図2は、本発明の1つの特定の実施形態によるカラー画像IGを概略的に表す。
【0039】
この図に示されるように、カラー画像IGは、色変調手段10に結合されたか又はそれを含むホログラフィック層(第1の層とも呼ばれる)12を含む。ホログラフィック層12は、ピクセル30の配列29を形成するホログラフィック構造を含み、各ピクセルは、別個の色の複数のサブピクセル32を含む。
【0040】
以下に説明するように、ホログラフィック層12は、ピクセル30が、形成されることが望まれる画像IGのパターンを定義する情報を含まないという意味において本質的に空白のピクセルの配列29を形成する。このピクセルの配列29を色変調手段10と組み合わせることにより、カスタマイズされたカラー画像のパターンが明らかになる。そうするために、色変調手段10は、ホログラフィック層12によって形成されたピクセル30の少なくとも一部において互いに対するサブピクセル32の比色寄与を変更することにより、ピクセル30の色を選択するように構成され、それにより、色変調手段10と組み合わされたピクセルの配列29から、カスタマイズされたカラー画像IGを明らかにする。
【0041】
換言すれば、色変調手段10は、ホログラフィック層12から画像IGの外部の観測点に向かって光の選択的(又はマスキング、増幅などによって変更された)通過を引き起こすように構成される。したがって、これらの変調手段10は、最終的な画像IGの視覚的レンダリングにおけるいくつかのサブピクセルの寄与を変更することにより、ピクセル30に色合いを生成する。
【0042】
色変調手段10は、光の通過を特に変調することを可能にし、その結果、少なくともピクセル30の一部に対して、少なくとも1つのサブピクセルは、関連するピクセルに隣接する少なくとも1つの他のサブピクセルの寄与と比較して増大又は減少した寄与を有する。
【0043】
すでに示したように、カラー画像IGは、任意の媒体上に形成することができる。図3に表されるように、図2を参照して上述したように、その中又はその上にセキュア画像IGが形成される、ドキュメント本体14を含むセキュアドキュメント20が以下で考慮される。
【0044】
以下の例示的な実施形態では、セキュアドキュメント20は、例えば、身分証明カード、身分証明バッジなどのカードの形態の身分証明書であると想定されている。これらの実施例では、画像IGは、パターンがドキュメント所有者のポートレートに対応するカラー画像である。しかしながら、すでに示したように、他の実施例が可能である。
【0045】
一般に、ホログラフィック層12は、入射光の回折、屈折及び/又は反射により、ホログラムの形態でピクセルの配列29を生成するようなホログラフィック構造を有する。ホログラムの原理は、当業者に周知である。いくつかの要素が参照のために以下で想定される。ホログラフィック構造の例示的な実施形態は、例えば、文献欧州特許第2567270B1号明細書に記載されている。
【0046】
図4は、1つの特定の実施形態による上記のカラー画像IGのホログラフィック層12を表す。本発明の説明を容易にするために、ホログラフィック層14は、ここでは、その固有の形態、すなわち(後述することになる)色変調手段10が存在しない状態で表されている。
【0047】
ホログラフィック層12は、媒体として機能する層22から形成される三次元情報を含む層(又はサブ層)22及びレリーフ(又はレリーフ構造)24を含む。これらのレリーフ24は、凹部(「谷」とも呼ばれる)によって分離された突出部分(「山」とも呼ばれる)を形成する。
【0048】
ホログラフィック層22は、レリーフ24の屈折率n1よりも大きい屈折率n2を有する、高屈折率層と呼ばれる層(又はサブ層)28を更に含む(ここでは、レリーフ24が媒体として機能する層22の一体部分を形成し、その結果、レリーフ24及び層22が同じ屈折率n1を有すると想定されている)。金属層及び/又は誘電体層であり得るこの層28は、ホログラフィック層12のレリーフ24を覆う。当業者によって理解されるように、レリーフ24は、層28と組み合わせて、ホログラム(ホログラフィック効果)を生成するホログラフィック構造27を形成する。
【0049】
ホログラフィック構造27のレリーフ24は、例えば、回折構造を作成するための既知の方法において、(この実施例では層22に含まれる)スタンピングワニスの層をエンボス加工することによって形成することができる。したがって、レリーフ24の刻印された表面は、その深さ及び周期がそれぞれ例えば百~数百ナノメートルのオーダーであり得る周期的配列の形態である。この刻印された表面は、例えば、透明な誘電体材料(高い光学屈折率を有する)又は/及び金属材料の真空堆積により、層28でコーティングされている。ホログラフィック効果は、レリーフ24と、ホログラフィック構造27を形成する層28との連携から生じる。
【0050】
ホログラフィック層12は、任意選択的に、ホログラムの光学的特性を維持し、且つ/又はアセンブリの機械的及び化学的抵抗を確実にすることを可能にするために必要な他のサブ層(表されていない)を含み得る。
【0051】
高屈折率層28(図4)は、以下の材料、すなわちアルミニウム、銀、銅、硫化亜鉛、酸化チタンなどのうちの少なくとも1つから形成され得る。
【0052】
本明細書に記載されている例示的な実施形態では、ホログラフィック層12は、透明であり、それにより、カラー画像IGを明らかにするホログラフィック効果は、回折、反射及び屈折によって可視である。しかしながら、ホログラフィック層12が不透明であるため、カラー画像IGがホログラフィック構造27への入射光の反射によってのみ可視である他の配置を想定することができる。
【0053】
ホログラフィック構造12は、当業者に既知である任意の適切な方法によって作成される。
【0054】
レリーフ24は、例えば、波長λ=656nmにおいて、1.56のオーダーにおいて、n1で示される屈折率を有する。
【0055】
ここで考慮した実施例(図4)では、層22は、透明なワニス層である。ホログラフィック構造27は、例えば、アルミニウム又は硫化亜鉛で作成され、例えば硫化亜鉛の場合、波長λ=660nmにおいて、2.346の(n1と比較して)高屈折率n2を有する薄層28でコーティングされている。薄層28は、例えば、30~200nmの厚さを有する。
【0056】
層22は、熱成形可能な層であり得、それにより媒体として機能する層22上にエンボス加工することにより、ホログラフィック構造27のレリーフ24を形成することを可能にする。変形形態として、ホログラフィック構造27のレリーフ24は、紫外線(UV)架橋技術を使用して作成することができる。これらの作製技術は、当業者に既知であるため、簡単にするために、それらは、より詳細に説明されていない。
【0057】
図5は、突出部分及び凹部を含むホログラフィック構造27のレリーフ24の例を表す。
【0058】
更に図4を参照すると、ホログラフィック層12は、様々な他の層と共にカプセル化又はアセンブルされ得る。更に、すでに示したように、ホログラフィック層12は、ピクセル30の配列29を形成する。各ピクセル30は、複数のカラーサブピクセル32、すなわちここで考慮される実施例では3つのサブピクセル32を含む。
【0059】
したがって、観察者OBは、特定の観察方向に従い、ホログラフィック層12のホログラフィック構造27から屈折、反射及び/又は回折された光からのピクセルの配列29を視覚化することができる。
【0060】
以下に示されるように、ピクセルの配列29は、様々な形態をとることができる。
【0061】
図6A及び図6Bは、1つの特定の実施形態による、ホログラフィック層12に存在するホログラフィック構造27の領域によって形成されたピクセル30を表す。より具体的には、ここでは、ホログラフィック構造27(図4)のレリーフ24がサブピクセルの平行線34を形成すると考えられるが、他の実装形態が可能である。したがって、各ピクセル30に対して、その構成サブピクセル32は、それぞれの線30の一部によって形成され、この部分は、回折及び/又は反射によって前記サブピクセルの対応する色を生成するように構成されたそれぞれのホログラフィック格子(又はホログラフィック格子部分)を構成する。
【0062】
したがって、ここで想定される例では、ピクセル30は、別個の色の3つのサブピクセルを含むが、他の実施例が可能である。各サブピクセル32は、単色であると想定されている。各ホログラフィック格子は、所定の観察角度に対応する各サブピクセル32に色を生成するように構成され、この色は、異なる観察角度において変更される。例えば、各ピクセル30のサブピクセル32は、それぞれ所定の観察角度において別個の基本色(例えば、緑/赤/青又はシアン/黄/マゼンタ)を有すると想定されている。
【0063】
図6A及び図6Bに表されるように、同じピクセル30のサブピクセル32を形成する、3つの線34に対応するホログラフィック格子は、所望の別個の色を生成するように特定の幾何学的仕様を有する。特に、この実施例の3つのサブピクセル32を形成するホログラフィック格子は、lで示される幅と、pで示される各ホログラフィック格子間のピッチとを有する。
【0064】
したがって、各ピクセル30が4つのサブピクセル32から構成されると考えられる実施例では、同じピクセル内のサブピクセルの色のうちの1つにおける理論上の最大彩度容量Sは、以下のように記述することができる。
【数1】
【0065】
例として、l=60μm及びp=10μmと考えることができ、理論上の最大彩度容量S=0.21となる。
【0066】
ピッチpがゼロに向かう傾向があるようにサブピクセル32を形成するホログラフィック格子を形成することが可能であり、それにより色の理論上の最大彩度容量を1サブピクセルだけ増大させることが可能になる(Sは、その後、0.25に向かう傾向がある)。
【0067】
1つの特定の実施例によれば、ピッチは、p=0に設定され、それにより0.25に等しい理論上の最大彩度容量Sに到達することが可能になる。この場合、図6A及び図6Bに表されるようなサブピクセルの線34は、隣接している(サブピクセルの線間にスペース又は白領域が存在しない)。
【0068】
したがって、本発明は、隣接する、すなわち各線間に分離する白領域を残す必要なしに又は場合により白領域を分離し続けるが、サブピクセルの線間の寸法が制限された(ピッチpが小さい)、互いに隣接したサブピクセルの線を形成することを可能にする。以下の例示的な実施形態に照らしてより明確に明らかになるように、ホログラフィック格子のこの特定の構成は、最終的な画像IGの品質を大幅に改善すること(より良好な色彩度)を可能にする。これは、ホログラフィック構造の形成により、サブピクセルの従来の印刷による(オフセットなどによる)よりも、サブピクセルの位置決めの良好な精度及び良好な均一性を達成できるため、特に可能である。
【0069】
すでに示したように、ホログラフィック層12(図2)によって形成されたピクセル30の配列29は、様々な形態をとることができる。例示的な実施形態を以下に説明する。
【0070】
一般に、ピクセルの配列29は、サブピクセル32がホログラフィック層12に均一に分布されるように構成することができる。サブピクセル32は、例えば、サブピクセルの平行線又は別の六角形(バイエル型)アレイを形成することができ、他の実施例が可能である。
【0071】
サブピクセル32は、例えば、直交マトリクスを形成することができる。
【0072】
ピクセル30は、同じパターンのサブピクセル32がホログラフィック層12内で周期的に繰り返されるように配置29内に均一に分布され得る。
【0073】
更に、ピクセルの配列29の各ピクセル30は、各サブピクセル32が、前記考慮されるピクセルに固有の色を有するように構成され得る。1つの特定の実施例によれば、ピクセルの配列29内の各ピクセル32は、カラーサブピクセルの同一のパターンを形成する。
【0074】
ここで、セキュアドキュメント20(図3)に実装され得るピクセルの配列(又はタイリング)29の特定の実施例を、図7A図7B及び図7Cを参照して説明する。これらの実装形態は、非限定的な例としてのみ提示され、特にピクセル及びサブピクセルの配列及び形状並びにこれらのサブピクセルに割り当てられた色に関して多くの変形形態が可能であることを留意されたい。
【0075】
図7Aに表される第1の実施例によれば、ピクセルの配列29のピクセル30は、長方形(又は正方形)であり、別個の色の3つのサブピクセル32a、32b及び32c(まとめて32と示される)を含む。図6A図6Bを参照してすでに説明したように、サブピクセル32は、それぞれサブピクセルの線34の一部によって形成され得る。したがって、この実施例では、タイリング29は、互いに直交するピクセル30の行及び列のマトリクスを形成する。
【0076】
図7Bは、各ピクセル30が、それぞれ別個の色である、32a~32cで示された3つのサブピクセル32から構成される、規則的なタイリングの別の実施例を表す上面図である。サブピクセル32は、ここでは六角形である。
【0077】
図7Cは、各ピクセル30が、それぞれ別個の色である、32a~32dで示された4つのサブピクセル32から構成される、規則的なタイリングの別の実施例を表す上面図である。サブピクセル32は、ここでは三角形である。
【0078】
考慮されるピクセルの配列のそれぞれに対して、各ピクセル30の形状及び寸法並びに必要に応じてサブピクセル間を現在分離している白領域の寸法を適合させて、所望の最大彩度レベル及び所望の明度レベルを達成することが可能である。
【0079】
すでに説明したように、画像IG(図2図3)に含まれる色変調手段10は、異なる形態を有することができる。一般に、色変調手段10は、
- レーザによって局所的に破壊されている、破壊領域と呼ばれるホログラフィック構造12の領域、
- サブピクセル32の全部又は一部を局所的にマスキングするためにピクセル30の配列29に面して配置されたマスキング手段、及び
- サブピクセル32の全部又は一部の明度を局所的に増幅するためにピクセル30の配列29に面して配置された増幅手段
のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0080】
図2図7Cを参照して前述したようなカラー画像IGを含むセキュアドキュメント20の特定の実装形態の例を以下に説明する。このように、これらの実施例では、画像IG(より具体的にはそれぞれIG1~IG5と示されている)は、すでに一般的に説明されているように、ホログラフィック層12及び色変調手段10を含む。
【0081】
より具体的には、セキュアドキュメント2(図1)の第1の特定の実施形態は、図8及び図9を参照して説明されている。この実施例では、ホログラフィック層12は、透明層40及び42間に挿入される。ここで考慮する実施例では、これらの2つの層は、ポリカーボネート又はホログラフィック層12を覆うための他の適切な材料で作成される。
【0082】
ホログラフィック層12は、レーザによって局所的に破壊されている、破壊領域と呼ばれるホログラフィック構造27の領域RG1を含む。ホログラフィック構造27のこの選択的破壊により、少なくともピクセル30の一部において1つ又は複数のサブピクセル32の部分的又は全体的な破壊をもたらし、それにより関連する領域においてホログラフィック効果の変更を引き起こす。したがって、ホログラフィック効果は、ホログラフィック構造27の破壊領域において除外又は減少され、それにより、関連するピクセル30の少なくとも1つの他の隣接するサブピクセル32に対して、破壊領域RG1に面して配置された1つ又は複数のサブピクセル32の相対的な色寄与を低減(又は完全に除外)させる。換言すれば、ホログラフィック構造27のこの選択的破壊により、関連するピクセル30に隣接する少なくとも1つの他のサブピクセル32に対して、ここではIG1と示された最終的なカラー画像におけるいくつかのサブピクセル32の比色重みの変更をもたらす。
【0083】
したがって、これらの破壊領域RG1は、すでに上述したように、ホログラフィック層12と組み合わせて、カスタマイズされたカラー画像IG1(図2図3)を明らかにするように構成された色変調手段10を集合的に形成する。
【0084】
レーザ破壊により、ホログラフィック構造27の形状、より具体的にはレリーフ24及び/又は前記レリーフを覆う層28の局所的な除外(又は変形)を引き起こす。これらの局所的な破壊は、対応するピクセル及びサブピクセルにおける光の挙動(すなわち光の反射、回折及び/又は屈折)の変更をもたらす。
【0085】
1つの特定の実施例によれば、ホログラフィック構造27内のこれらの破壊領域RG1は、ピクセルの配列29におけるサブピクセル32の全部又は一部に対応するホログラフィック格子内のレーザアブレーションによって破壊された領域に対応する。したがって、図9に例として示されるように、サブピクセル32の部分的なレーザアブレーションを実行して、関連するピクセル30において前記サブピクセルの色寄与を低減することが可能である。
【0086】
レーザアブレーション(図8図9)は、例えば、Nd、すなわち例えば1,064nmのオーダーの単一の波長を有するYAGタイプであるレーザ放射LS1によって実行することができる。
【0087】
ここで、セキュアドキュメント2(図1)の第2の特定の実施形態を、図10を参照して説明する。この実施例では、図2図7Cを参照して前述したホログラフィック層12も、図9を参照してすでに説明したように層40と層42との間に挿入される。
【0088】
パターン50は、サブピクセル32の全部又は一部を局所的にマスキングするためにホログラフィック構造27に面して、すなわちピクセル30の配列29に面して更に印刷される。このパターン50は、ホログラフィック構造27のいくつかの領域を少なくとも部分的にマスキングすることを可能にするインク(又は均等な材料)から形成される。
【0089】
全体的構造におけるこの印刷パターン50の追加により、関連するピクセル30の少なくとも1つの他の隣接するサブピクセル32に対して、印刷パターン50に面して配置された1つ又は複数のサブピクセル32の相対的な色寄与を低減(更に完全に除外)することが可能になる。換言すれば、ホログラフィック構造27のこの選択的マスキングにより、関連するピクセル30に隣接する少なくとも1つの他のサブピクセル32に対して、ここではIG2と示された最終的なカラー画像におけるいくつかのサブピクセル32の比色重みの変更をもたらす。
【0090】
したがって、この印刷パターン50は、すでに上述したように、ホログラフィック層12と組み合わせて、カスタマイズされたカラー画像IG2(図2図3)を明らかにするように構成された色変調手段10を形成する。このパターン50がいくつかのサブピクセルを局所的にマスキングすることを目的とする限り、より具体的には本発明の意味の範囲内のマスキング手段を構成する。
【0091】
この印刷パターン50を形成するために使用されるインクは、ピクセルの配列29のピクセル30の色を変調するように、所望のマスキング効果に応じて黒、白又は他の任意の色であり得る。
【0092】
例えば、インクジェットタイプの印刷を実行して、サブピクセル32の一部のみ(更にサブピクセル32全体)をマスキングすることが特に可能であり、それにより関連するピクセル30内の前記サブピクセル32の相対的な色寄与を低減することが可能である。
【0093】
図10に表される実施例では、パターン50は、ホログラフィック構造27の反対側のホログラフィック層12の上面に印刷される。しかしながら、他の実施形態が可能である。例えば、ホログラフィック層12に面する別の層上、例えば層40上、層42上又は表されていない追加の層上にパターン50を印刷することが可能である。パターン50の印刷は、ホログラフィック層12の下面にも可能である。
【0094】
ここで、セキュアドキュメント2(図1)の第3の特定の実施形態を、図11を参照して説明する。この実施例では、図2図7Cを参照してすでに説明したホログラフィック層12も、図9を参照してすでに説明したように透明層40及び42間に挿入される。
【0095】
この実施例では、レーザ可能層と呼ばれる、レーザに敏感な透明層60もホログラフィック層12と層40との間の界面に配置される。このレーザ可能層60は、光の通過を少なくとも部分的に遮断するために、レーザ放射LS2によって局所的に不透明化することができ、それによって1つ又は複数のサブピクセルを少なくとも部分的にマスキングすることを可能にする。
【0096】
図示されるように、レーザ可能層40は、したがって、レーザ放射LS2によって局所的に不透明化された、不透明領域と呼ばれる領域(又はボリューム)62を含み、これらの不透明領域は、サブピクセル32の全部又は一部を局所的にマスキングするようにホログラフィック構造27に面して配置される。より具体的には、これらの不透明領域62は、レーザ可能層60の局所炭化によって形成される、様々な形状及び不透明度のレーザポイントを構成する。特に、レーザLS2の出力を調整することにより且つ/又は衝撃の持続時間にわたって所望の不透明領域62を形成することができる。したがって、黒化の程度は、レーザ放射LS2によって適用されるエネルギーの関数となる。
【0097】
不透明(非反射)領域60は、ここで、IG3で示される最終的なカラー画像にグレースケールを生成するようにいくつかのサブピクセル32に面して形成される。
【0098】
これらの不透明領域62の追加により、関連するピクセル30に隣接する少なくとも1つの他のサブピクセル32に対して、互いに面して配置された1つ又は複数のサブピクセル32の相対的な色寄与を低減(更に完全に除外)することを可能にする。換言すれば、ホログラフィック構造27のこの選択的マスキングにより、関連するピクセル30に隣接する少なくとも1つの他のサブピクセル32に対して、最終的なカラー画像IG1におけるいくつかのサブピクセル32の比色重みの変更をもたらす。
【0099】
したがって、これらの不透明領域62は、すでに上述したように、ホログラフィック層12と組み合わせて、カスタマイズされたカラー画像IG3(図2図3)を明らかにするように構成された色変調手段10を集合的に形成する。これらの不透明領域62がいくつかのサブピクセルを局所的にマスキングすることを目的とする限り、より具体的には本発明の意味の範囲内のマスキング手段を構成する。
【0100】
図11に表される実施例では、レーザ可能層60は、ホログラフィック構造27の側面のホログラフィック層12の下に配置される。しかしながら、他の実装形態が可能である。レーザ可能層60は、ホログラフィック構造27の反対側でホログラフィック層12の上に特に配置することができる。変形形態として、不透明領域を含むいくつかのレーザ可能層をホログラフィック層12の上下に配置することができる。
【0101】
本明細書に記載されているレーザ可能層を形成するために使用され得るレーザ可能材料は、非限定的な例として、ポリカーボネート、いくつかの処理されたポリ塩化ビニル、処理されたアクリロニトリルブタジエンスチレン又は処理されたポリエチレンテレフタレートである。
【0102】
ここで、セキュアドキュメント2(図1)の第4の特定の実施形態を、図12を参照して説明する。この実施例では、図2図7Cを参照してすでに説明したホログラフィック層12も透明層40及び42a間に挿入される。層40及び42aは、ポリカーボネート又は他の任意の適切な材料で作成することができる。
【0103】
この実施例では、複数のレンズLNを含むレンチキュラーアレイ68は、ホログラフィック層12によって形成されたピクセルの配列29に面して配置され、それにより、サブピクセル32の少なくとも一部上において、レンズLNを通した入射光の集束又は発散により、カスタマイズされたカラー画像(ここではIG4で示されている)を生成する。
【0104】
この実施例では、レンチキュラーアレイ68が上層42aの表面に形成されるが、他の実装形態が可能である。レンズLNは、例えば、レーザ放射LS3の投影によって形成することができる。例えば、CO2タイプのレーザ放射などを使用して、レンチキュラーアレイ68のレンズLNを定義する表面変形を作成することが可能である。層42aは、それ自体がホログラフィック層12上又は任意選択的に層42aとホログラフィック層12との間に配置された中間層上に積層される。
【0105】
各レンズは、反対側に配置されたピクセル30(関連するピクセルと呼ばれる)に対して、前記関連するピクセルのサブピクセル32のうちの少なくとも1つに入射光を集束又は発散させて、前記レンズとは無関係に(又はそれなしに)関連するピクセルによって本質的に形成されるパターンに対して、レンズを通して生成されたカラー画像IG4の領域において、関連するピクセルのサブピクセルのそれぞれの寄与を変更するように配置(又は構成)され得る。
【0106】
換言すれば、各レンズLNは、反対側に配置された関連するピクセル30に対して、前記関連するピクセルのサブピクセル32の少なくとも1つに入射光を集束又は発散させて、前記関連するピクセルに隣接する他のサブピクセルのそれぞれの色寄与に対して、前記ピクセルに対応するカラー画像の領域において、関連するピクセルの少なくとも1つのサブピクセルのそれぞれの相対的な色寄与を変更するように配置(又は構成)され得る。
【0107】
したがって、レンズLNは、いくつかのサブピクセル32の明度を増幅し、他のサブピクセル32の明度を低減することを可能にし、それにより、レンチキュラーアレイ68と、ホログラフィック構造27によって形成されたピクセルの配列29との間の相互作用によって最終的なカラー画像IG4を明らかにすることを可能にする色合いを生成する。このように、ピクセル30の同じ空白の配列29から、様々なカラー画像IG4を生成するようにレンズLNの構成を適合させることが可能である。
【0108】
したがって、レンチキュラーアレイ68は、すでに上述したように、ホログラフィック層12と組み合わせて、カスタマイズされたカラー画像IG4(図2図3)を明らかにするように構成された色変調手段10を形成する。このレンチキュラーアレイ68は、他のサブピクセルに対していくつかのサブピクセルの明度を増幅することを特に目的とする限り、より具体的には本発明の意味の範囲内の増幅手段を構成する。
【0109】
1つの特定の実施例によれば、レンズLN(又は少なくともその一部)は、受け取った入射光を集束するように構成された収束レンズであり、それにより、前記関連するピクセル30に隣接するサブピクセル32の互いのそれぞれの色寄与に対して、前記レンズを通して生成されたカラー画像IG4の対応する領域において、関連するピクセル(反対側に配置されたピクセル)の少なくとも1つのサブピクセル32の相対的な色寄与を強調する。
【0110】
1つの特定の実施例によれば、レンズLNは、関連するピクセル30の単一のサブピクセル32に光を集束するように構成され、それにより、前記レンズを通して生成されたカラー画像IG4の対応する領域において、関連するピクセル30に隣接するサブピクセル32の互いの色をマスキングする。
【0111】
カスタマイズされたカラー画像IG4内にモノクロ領域が現れるように、レンズLNをレンチキュラーアレイ68内に構成して、ホログラフィック構造27の所与の領域のピクセル30内の同じ色のサブピクセル32に光を集束することが更に可能である。
【0112】
変形形態として、レンズLNをレンチキュラーアレイ68内に構成して、関連するピクセル30に隣接する少なくとも2つのサブピクセル32に光を集束することが可能であり、それにより、前記少なくとも2つの隣接するサブピクセル32の色の組み合わせから生じるハイブリッド色をカラー画像IG4の対応する領域に出現させる。
【0113】
1つの特定の実施例によれば、発散レンズLNの少なくとも一部は、レンズによって受け取られた入射光を発散するように構成され、それにより、関連するピクセル30に隣接する他のサブピクセル32のそれぞれの色寄与に対して、前記レンズを通して生成されたカラー画像IG4の対応する領域において、関連するピクセル30の少なくとも1つのサブピクセル32の色寄与を低減する。
【0114】
上記の構成は、例としてのみ説明されており、レンチキュラーアレイ68の他の実装形態が可能である。図12に表される実施例では、レンチキュラーアレイ68は、ホログラフィック層12の上に配置される。変形形態として、レンチキュラーアレイ68は、ホログラフィック層12(ホログラフィック構造27の側面)の下のラミネート層(例えば、層40)上に形成され得る。
【0115】
ここで、セキュアドキュメント2(図1)の第5の特定の実施形態を、図13を参照して説明する。この実施例では、図2図7Cを参照してすでに説明したホログラフィック層12も、すでに上述したように透明層40及び42間に挿入される。
【0116】
ここで、IG5で示されるカラー画像は、すでに上述したホログラフィック層12と、ホログラフィック層12と透明なレーザ可能層との間に配置された透明なレーザ可能層及び透明な分離層70を含む光増幅デバイス74との組み合わせによって形成される。透明なレーザ可能層及び透明な分離層70は、ホログラフィック層12の下、すなわちレリーフ24及び高屈折率層28によって形成されたホログラフィック構造27の側面に配置される。以下に説明するように、透明な分離層70は、ホログラフィック層12と透明なレーザ可能層との間において、e1で示されるギャップを維持することを可能にする。
【0117】
ここで考慮した実施例では、上記の透明なレーザ可能層は、ホログラフィック層12の下に配置された層40であるが、他の配置が可能である。
【0118】
更に、この実施例では、レーザ可能層40は、ホログラフィック層12に面する、レーザ放射LS4によって局所的に不透明化された領域72を含み、それにより、不透明化領域72に対応する最終的なカラー画像IG5の領域内のピクセルの配列30におけるサブピクセル32の明度の増幅を引き起こす。不透明領域72を形成する技術は、不透明領域62を形成するために図11を参照して上述した技術と同一である。レーザ可能層40は、図11を参照して説明したレーザ可能層60と同一であり得る。特に、光を部分的又は完全に遮断する不透明領域72は、レーザ可能層40のいくつかの領域のレーザ炭化によって生成される。
【0119】
透明な分離層70は、ホログラフィック構造27と不透明領域72との間のギャップe1を維持することを可能にする。ホログラフィック構造27から離れた、レーザ可能層40における不透明領域72の形成により、前記不透明領域72に面して配置されたサブピクセル32の明度の局所的な増幅現象を生成することを可能にする。この光増幅効果を得るために、透明な分離層70の厚さe1は、可視スペクトルの最長波長(λmaxで示される)の半分以上である必要がある。換言すれば、以下が必要である。
【数2】
ここで、λmax=750nmである。
【0120】
1つの特定の実施例によれば、厚さe1は、0.375μm~100μm(境界を含む)であり、好ましくは0.375μm~5μm(境界を含む)である。
【0121】
レーザ可能層40の各不透明領域72は、考慮されるピクセル30に隣接する少なくとも1つの他のサブピクセル32に対して、最終的なカラー画像IG5の領域におけるその相対的な比色寄与を増幅するように少なくとも1つのサブピクセル32に面して配置される。
【0122】
したがって、光増幅デバイス74は、すでに上述したように、ホログラフィック層12と組み合わせて、カスタマイズされたカラー画像IG(図2図3)を明らかにするように構成された色変調手段10を形成する。この光増幅デバイス74は、他のサブピクセルに対していくつかのサブピクセルの明度を増幅することを目的とする限り、より具体的には本発明の意味の範囲内の増幅手段を構成する。
【0123】
一般に、上述の実施形態のそれぞれを参照すると、そのような層が前記構造内に依然として存在しない場合、構造全体にレーザ可能層を組み込むことにより、こうして得られたカラー画像IGにコントラストを更に生成することが可能である。このレーザ可能層は、最終的なカラー画像にコントラストを作成し、それによってその視覚的レンダリングの品質を向上させるために、レーザ可能層60(図11)又はレーザ可能層40(図13)に関して上述したものと同一の方法でレーザを用いて局所的に炭化され得る。
【0124】
より具体的には、カラー画像の全体的な構造は、ホログラフィック層12に面するそのような透明なレーザ可能層を更に含み得、このレーザ可能層は、カスタマイズされたカラー画像内にグレースケールを生成するために、ピクセルの配列29のサブピクセル32に面する局所的に不透明化された領域を含むようにレーザ放射によって少なくとも部分的に炭化される。
【0125】
一般に、本発明は、有利には、色変調手段と、ホログラフィック層によって形成されたピクセルの配列との間の相互作用によってセキュアカラー画像を形成するように色合いを作成することを可能にする。したがって、カラー画像は、色変調手段と、反対側に配置されたピクセルの配列との組み合わせによって形成される。入射光の通過を方向付けるか又は慎重に選択する色変調手段を追加しない場合、このアセンブリがカラー画像を特徴付ける情報を欠いている限り、ピクセルは、空白の配列を形成するのみである。色変調手段は、サブピクセルの選択された配置に応じてピクセルの視覚的外観をカスタマイズし、したがって最終的なカラー画像を明らかにするように構成される。
【0126】
本発明は、安全であり、したがって改ざん及び不正な複製に対して耐性がある一方、良好な画質を有するカラー画像を生成することを可能にする。
【0127】
より具体的には、本発明は、増大された画質、すなわち最終的な画像のより良好な全体的な明度(より多くの輝度、より鮮やかな色)及びより良好な彩度容量を得ることを可能にする。換言すれば、本発明は、印刷された画像と比較して改善された比色色域を有する高品質のカラー画像を達成することを可能にする。
【0128】
ピクセルの配列を形成するためのホログラフィック構造の使用は、この技術が、こうして形成されたピクセル及びサブピクセルの高い位置決め精度を提供する点で有利である。この技術により、特にサブピクセル間の重なり又はミスアライメントを回避することを可能にし、それによって全体的な視覚的レンダリングを改善する。
【0129】
図6A図6Bを参照してすでに説明したように、従来の印刷技術の場合と比較して位置決め精度が増大していることにより、本発明は、サブピクセル間で起こり得る重なりを回避するために、そうでなければサブピクセル間(例えば、サブピクセルの線間)に提供する必要がある白領域の分離を減少させ、更に除外することを可能にする。本発明により、したがってサブピクセルの位置決めにおける許容範囲を維持するためにサブピクセル間で白い線を分離し続ける必要がもはやなくなり、それにより各サブピクセルの最大彩度を増大させることが可能になる(1ピクセルあたりの白が少なくなるため、より基本的な色になる)。
【0130】
しかしながら、所望のレベルの輝度を達成するために、場合によりサイズが縮小された白いサブピクセルをピクセルの配列に保つことができる。ホログラムは、本質的に高輝度であり、特に印刷されたインクよりも高い明度を得ることができるため、白いサブピクセルを除去することも更に可能である。したがって、基本的な色のサブピクセルのみをピクセルの配列に保つことが可能であり、それによって増大した色彩度容量を得ることが可能である。例えば、(例えば、六角形パターンによる)3つのサブピクセルからピクセルを形成することが可能であり、それにより各基本色に対して33%の理論上の最大色彩度を達成することが可能となる。
【0131】
本発明の原理を実施することにより、画像が改ざんされるか又は違法に複製された場合、不正を容易に検出することが可能である。更に、本発明によって達成された画像のこのレベルの複雑さ及びセキュリティは、画像の視覚的レンダリングの品質を犠牲にして生じるものではない。
【0132】
本発明の原理による色変調手段は、様々な形態、すなわち(1)ホログラフィック構造の破壊領域、(2)マスキング手段、又は(3)前述の増幅手段をとることができる。しかしながら、本発明によるカラー画像IGは、上記の形態(1)、(2)及び(3)のうちの少なくとも2つの任意の組み合わせ(例えば、(1)及び(2)、又は更に(1)及び(3)、又は更に(2)及び(3))を含むか又はその組み合わせの下にある。
【0133】
ここで、1つの特定の実施形態による、上述のようなカラー画像IGを作製するための方法を、図14を参照して説明する。例えば、図3に示されるように、カラー画像IGがドキュメント20内に形成されると想定する。
【0134】
作成ステップS2中、前述のようにピクセル30の配列29を形成するホログラフィック構造27がホログラフィック層12で作製される。各ピクセル30は、すでに説明した実施例のうちの1つによる別個の色の複数のサブピクセル32を含む。
【0135】
層22(図4)は、熱成形可能な層であり得、それにより媒体として機能する層22上にエンボス加工することにより、ホログラフィック構造27のレリーフ24を形成することを可能にする。変形形態として、ホログラフィック構造27のレリーフ24は、すでに示したように、UV架橋技術を使用して作成することができる。これらの作製技術は、当業者に既知であるため、簡単にするために、それらは、より詳細に説明されていない。
【0136】
接着剤及び/又はのり(図示されていない)の層を使用して、媒体(例えば、すでに上述した層42又は42a)上のホログラフィック層12の接着を確実にすることもできる。
【0137】
形成ステップS4中、色変調手段10は、すでに上述したように形成されて、少なくともピクセル30の一部において互いに対するサブピクセル32の相対的な比色寄与を変更することにより、ピクセル30の色を選択し、それにより、色変調手段10と組み合わされたピクセルの配列29から、カスタマイズされたカラー画像IGを明らかにする。
【0138】
すでに説明したように、このように形成された色変調手段10は、
- 単一の第1のレーザ放射LS1(図8)によってサブピクセル32の全部又は一部にわたって局所的に破壊されている、破壊領域と呼ばれるホログラフィック構造の領域(RG1)、
- サブピクセル32の全部又は一部(図10図11)を局所的にマスキングするためにピクセルの配列29に面して配置されたマスキング手段(50、60~62)、及び
- サブピクセル32の全部又は一部(図12図13)の明度を局所的に増幅するためにピクセルの配列29に面して配置された増幅手段(68、70~72)
のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0139】
したがって、図8に表される破壊領域RG1は、ピクセルの配列におけるサブピクセルの全部又は一部を除外するためのホログラフィック構造の領域のレーザアブレーションにより、単一のレーザ放射LS1を用いた局所的な破壊によって形成される。
【0140】
図10に表されるマスキング手段50は、ピクセルの配列においてサブピクセルの全部又は一部を局所的にマスキングするように、ステップS2で得られたホログラフィック層12に面するインクパターンを印刷することによって形成される。
【0141】
図12に表されるレンチキュラーアレイ68は、単一のレーザ放射LS3による層42aの表面変形によって形成され、このレンチキュラーアレイは、ピクセルの配列29に面して配置され、それによりピクセルの配列のサブピクセルの少なくとも一部にレンズを通して入射光を収束する(又は発散する)ことにより、カスタマイズされたカラー画像を生成する。変形形態として、透明材料の投影は、透明層42aの表面上にレンズを形成するように、3Dプリンタヘッドを使用することによって実行される。
【0142】
図13に表される光増幅デバイス74は、透明なレーザ可能層40及びホログラフィック層12と透明なレーザ可能層40との間に配置された透明な分離層70を含むように形成される。不透明領域72は、単一のレーザ放射LS4を用いて、ホログラフィック層12に面するレーザ可能層40における炭化により局所的に更に形成され、それにより前記不透明領域に対応する領域内のピクセルの配列30におけるサブピクセル32の明度の増幅を引き起こす。
【0143】
したがって、形成することが望まれる色変調手段10のタイプに応じて、単一のレーザ放射、すなわちLS1、LS2、LS3及びLS4のうちの1つを使用して色変調手段10を形成することが可能である。換言すれば、色変調手段10は、
- すでに説明した、破壊領域RG1を生成するために必要なレーザ放射LS1(図8)、
- すでに説明した、不透明領域62を形成するために必要なレーザ放射LS2(図11)、
- すでに説明した、レンチキュラーアレイ68を形成するために必要なレーザ放射LS3(図12)、及び
- すでに説明した不透明領域72を形成するために必要なレーザ放射LS4(図13
のうちの単一のレーザ放射を使用して形成することができる。
【0144】
1つの特定の実施例によれば、色変調手段10は、上述の放射LS1~LS4のうち、最大で2つの別個のレーザ放射を使用して形成することができる。
【0145】
1つの特定の実施例によれば、レーザ放射LS2及びLS4は、同一である。
【0146】
したがって、本発明は、比較的複雑でない作製方法から、高品質のカスタマイズされたカラー画像を安全に生成することを可能にする。
【0147】
当業者であれば、本明細書に記載されている実施形態及び変形形態が本発明の実装形態の非限定的な例のみを構成することを理解するであろう。特に、当業者であれば、非常に特定の必要性を満たすために、上述の特徴及び実施形態の間での任意の適応形態又は組み合わせを想定することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】