(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】軸方向に非対称なスクリュー輪郭内に少なくとも2個の作図点を有するスクリュー輪郭を有するスクリュー要素
(51)【国際特許分類】
B29C 48/505 20190101AFI20220407BHJP
B29C 48/40 20190101ALI20220407BHJP
B29C 48/68 20190101ALI20220407BHJP
B29B 7/48 20060101ALI20220407BHJP
B29C 45/48 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
B29C48/505
B29C48/40
B29C48/68
B29B7/48
B29C45/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549502
(86)(22)【出願日】2020-02-17
(85)【翻訳文提出日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 EP2020054003
(87)【国際公開番号】W WO2020173729
(87)【国際公開日】2020-09-03
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520204744
【氏名又は名称】コベストロ・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・アンド・コー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンネル ビルギット
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ビーアデル ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】コンツェン カルステン
【テーマコード(参考)】
4F201
4F206
4F207
【Fターム(参考)】
4F201AJ08
4F201AR07
4F201AR12
4F201BA01
4F201BC02
4F201BD05
4F201BK02
4F201BK13
4F201BK40
4F206AR07
4F206AR12
4F206JA07
4F206JD01
4F206JL02
4F206JL06
4F206JM01
4F206JM04
4F206JN03
4F206JN11
4F206JQ11
4F206JQ15
4F206JQ16
4F206JQ17
4F206JQ90
4F207AJ08
4F207AM10
4F207AR07
4F207AR12
4F207KK13
4F207KL01
4F207KL05
4F207KM20
(57)【要約】
本発明は、軸方向に非対称なスクリュー断面輪郭内に位置する少なくとも2個の作図点を有するスクリュー断面輪郭を有するスクリュー要素に関する。本発明に係るスクリュー要素は、プラスチック材料を押出成形物として加工又は生産するために、同じ方向かつ同じ速度において回転する2個の駆動シャフトを有する押出成形機における使用に適している。本発明は、同じ方向かつ同じ速度において回転する2個の駆動シャフトを有する押出成形機における、本発明に係る2個の同一の又は異なるスクリュー要素の配置にも関し、本発明に係るスクリュー要素は、2個の駆動シャフト上で対になって互いに反対に位置する。本発明は、本発明に係る2個の同一の又は異なるスクリュー要素を備えるとともに、同じ方向かつ同じ速度において回転する2個の駆動シャフトを有する押出成形機に更に関し、本発明に係るスクリュー要素は、2個の駆動シャフト上で対になって互いに反対に位置する。さらに、本発明は、プラスチック材料を加工又は生産するための本発明に係るスクリュー要素の使用に関する。
【選択図】
図6b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝の数Zを有するスクリュー要素であって、
ツインシャフトねじ切り盤に適しており、該ツインシャフトねじ切り盤は、
同じ方向かつ同じ速度において回転する2個のスクリューシャフトSW1及びSW2であって、該スクリューシャフトSW1の回転軸D1及び該スクリューシャフトSW2の回転軸D2は、軸方向距離aだけ離れている、2個のスクリューシャフトSW1及びSW2と、
互いに貫通する2個の円形ハウジングボアであって、該ハウジングボアのそれぞれは、同一のハウジング内半径rgと、前記軸方向距離aに等しい距離だけ離れている該ハウジングボアのボア中心M1及びM2とを有し、該ハウジングボアの前記ボア中心M1及びM2は、前記スクリューシャフトSW1及びSW2のそれぞれの前記回転軸D1及びD2の断面の中心に一致する、2個の円形ハウジングボアと、
を有し、
該スクリュー要素は、スクリュー輪郭であって、
(1)閉凸線を形成し、
(2)半径が前記軸方向距離a以下である円弧のみから構成され、直接隣接する円弧は異なる半径を有し、
(3)該スクリュー輪郭内に存在する第1の作図点K1を有し、
(4)前記作図点K1に対して軸対称ではなく、
(5)少なくとも4個の円弧から構成され、
(6)前記作図点K1に一致せず、該スクリュー輪郭内に存在する第2の作図点K2を有し、
(7)前記作図点K2に対して点対称又は軸対称ではなく、
(8)前記ボア中心M1又はM2のうちの一方に一致し、前記作図点K1から前記作図点K2までの経路上に存在する回転点DPを有し、
(9)厳密の1個の主ねじ山ランドHKを有し、該主ねじ山ランドHKは、1個のみの円弧から形成され、この円弧の中心が前記作図点K2であり、前記主ねじ山ランドHKと、該主ねじ山ランドHKに直接隣接する2個の円弧の接点とは、前記作図点K2から最も遠い該スクリュー輪郭の点の組であり、
(10)少なくとも1個の溝を有し、1個の溝は、中心が前記作図点K1である1個のみのそれぞれの円弧から形成され、1個の溝は、半径が前記コア半径riと同じ円弧であり、1個の溝にそれぞれ直接隣接する2個の円弧は、前記それぞれの共通の接点を除いて、この溝の前記円弧よりも前記作図点K1からの距離が大きく、
(11)複数のフランクを有し、フランクは、前記作図点K1でも前記作図点K2でもない中心を有する円弧である該スクリュー輪郭の領域であり、
(12)フランクである少なくとも1個の円弧によって前記主ねじ山ランドHKの最も近い点から溝が分離される、
スクリュー輪郭を有する、スクリュー要素。
【請求項2】
前記主ねじ山ランドHKを形成する前記円弧は、0度よりも大きい、好ましくは1度~179度である中心角を有する、請求項1に記載のスクリュー要素。
【請求項3】
前記スクリュー要素は、前記作図点K1に対して点対称ではない、又は点対称であり、好ましくは、前記スクリュー要素は、前記作図点K1に対して点対称ではない、請求項1又は2に記載のスクリュー要素。
【請求項4】
前記スクリュー輪郭の円弧の数は、前記溝の数Zに4を乗算したものに等しいか、又は、前記溝の数に4を乗算し、1だけ加算した数に等しく、好ましくは、前記スクリュー要素の前記スクリュー輪郭は、
溝の数Z=1の場合、厳密に4個の円弧、又は厳密に5個の円弧から構成され、特に好ましくは厳密に5個の円弧から構成され、
溝の数Z=2の場合、厳密に8個の円弧、又は厳密に9個の円弧から構成され、好ましくは厳密に9個の円弧から構成され、
溝の数Z=3の場合、厳密に12個の円弧、又は厳密に13個の円弧から構成され、好ましくは厳密に13個の円弧から構成され、
溝の数Z=4の場合、好ましくは厳密に16個の円弧、又は厳密に17個の円弧から構成され、好ましくは厳密に17個の円弧から構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のスクリュー要素。
【請求項5】
前記スクリュー輪郭の前記第2の作図点K2は、中心として前記作図点K1と、半径として前記コア半径riとを有する円の中に存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載のスクリュー要素。
【請求項6】
本発明に係る前記スクリュー要素の前記回転点DPは、好ましくは前記作図点K1に対するよりも前記作図点K2に対して近くに存在し、好ましくは、前記回転点DPは前記作図点K2上に存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載のスクリュー要素。
【請求項7】
前記主ねじ山ランドHKの前記円弧の半径rHKは、前記ハウジング内半径rgを前記主ねじ山ランド間隙c_HKだけ減算したものに対応する、請求項1~6のいずれか一項に記載のスクリュー要素。
【請求項8】
前記溝を形成する前記円弧は、
溝の数Z=1の場合、90度~150度の中心角、好ましくは95度~140度の中心角、特に好ましくは100度~130度の中心角を有し、
溝の数Z=2の場合、それぞれ、5度~50度の中心角、好ましくは10度~40度の中心角、特に好ましくは15度~30度の中心角を有し、前記溝の前記中心角は同じもの又は異なるものとすることができ、
溝の数Z=3の場合、それぞれ、3度~30度の中心角、好ましくは6度~24度の中心角、特に好ましくは9度~18度の中心角を有し、前記溝の前記中心角は同じもの又は異なるものとすることができ、
溝の数Z=4の場合、それぞれ、2度~20度の中心角、好ましくは4度~16度の中心角、特に好ましくは6度~12度の中心角を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のスクリュー要素。
【請求項9】
前記スクリュー輪郭は、第3の作図点K3を有し、前記スクリュー輪郭は、前記作図点K3に対して軸対称又は点対称ではなく、前記作図点K3は、前記作図点K1に対して前記作図点K2と同じ距離を有する点であり、前記作図点K1、K2及びK3は、直線上に存在し、K1、K2及びK3は同一ではない、請求項1~8のいずれか一項に記載のスクリュー要素。
【請求項10】
前記スクリュー輪郭は、単数の副ねじ山ランドNK、又は複数の副ねじ山ランドNK
1~NK
nを有することができ、各副ねじ山ランドNK
iは、1個のみの円弧から形成され、該円弧の中心が、前記作図点K1、又は前記作図点K2、又は前記作図点K3である、請求項1~9のいずれか一項に記載のスクリュー要素。
【請求項11】
フランクである少なくとも1個の円弧によって副ねじ山ランドNK
iの最も近い点から溝が分離される、請求項1~10のいずれか一項に記載のスクリュー要素。
【請求項12】
前記スクリュー輪郭の前記回転点DPが前記作図点K2であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のスクリュー要素。
【請求項13】
前記スクリュー要素は、別のスクリュー要素であって、同じ又は異なるスクリュー輪郭と、他方のスクリューシャフト上の回転点と同じ又は異なる配置とを有する、別のスクリュー要素とともに対にして前記ねじ切り盤に配置して操作するのに適しており、好ましくは請求項1~12のいずれか一項に記載の2個の同一のスクリュー要素が使用される、請求項1~12のいずれか一項に記載のスクリュー要素。
【請求項14】
スクリュー輪郭の前記コア半径ri、前記溝の数Z、及び外半径raは、基準スクリュー輪郭の前記コア半径ri、前記溝の数Z、及び前記外半径raに対応し、
スクリュー輪郭の前記作図点K1は、基準輪郭の前記作図点K1と同じであり、
前記基準スクリュー外半径rfraは、前記ハウジング内半径rgよりも、0.2%~10%だけ小さく、好ましくは0.4%~7.5%だけ小さく、特に好ましくは0.6%~5%だけ小さく、非常に特に好ましくは0.8%~2.5%だけ小さく、
2個の類似の基準輪郭は、
前記基準輪郭が、前記軸方向距離aに対応する基準距離rfaを有する場合、及び、
前記基準輪郭が、そのそれぞれの基準回転点rfDP1及びrfDP2において同じ速度で同じ回転方向において回転する場合、
対になって互いを正確に洗浄する、請求項1~13のいずれか一項に記載のスクリュー要素。
【請求項15】
同じ方向かつ同じ速度において回転する2個以上の駆動シャフトを有する押出成形機であって、請求項1~14のいずれか一項に記載のスクリュー要素のうち、2個以上の同一の又は異なるスクリュー要素を備える、押出成形機。
【請求項16】
プラスチック材料を加工又は生産するための請求項1~14のいずれか一項に記載のスクリュー要素の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非軸対称なスクリュー断面輪郭内に存在する少なくとも2個の作図点を有するスクリュー断面輪郭を有するスクリュー要素に関する。本発明に係るスクリュー要素は、プラスチック材料を押出成形物の形態で加工又は生産するために、同じ方向かつ同じ速度において回転する2個の駆動シャフトを有する押出成形機における使用に適している。また、本発明は、同じ方向かつ同じ速度において回転する2個の駆動シャフトを有する押出成形機における、本発明に係る2個の同一の又は異なるスクリュー要素の配置にも関し、本発明に係るスクリュー要素は、2個の駆動シャフト上で対になって互いに反対に位置する。本発明は、本発明に係る2個の同一の又は異なるスクリュー要素を備えるとともに、同じ方向かつ同じ速度において回転する2個の駆動シャフトを有する押出成形機に更に関し、本発明に係るスクリュー要素は、2個の駆動シャフト上で対になって互いに反対に位置する。さらに、本発明は、プラスチック材料を加工又は生産するための本発明に係るスクリュー要素の使用に更に関する。
【背景技術】
【0002】
同じ方向かつ同じ速度において回転する2個の駆動シャフトを有する押出成形機における、本発明に係る2個の同一の又は異なるスクリュー要素の配置であって、本発明に係るスクリュー要素が、2個の駆動シャフト上で対になって互いに反対に位置する、配置において、2個の駆動シャフト上で対になって互いに反対に位置する本発明に係るスクリュー要素は、完全にではなく部分的に互いを洗浄する。
【0003】
本発明に係るスクリュー要素は、3個以上の駆動シャフトを有する押出成形機、例えば、4個以上若しくは5個以上の駆動シャフトを有する押出成形機、又は、互いに対して環状に配置される8個~16個、特に12個の駆動シャフトを有する環状押出成形機として既知のものにおける使用にも適している。この点において、本発明に係る同一の又は異なるスクリュー要素は、駆動シャフト上で互いに反対に、それぞれの押出成形機の駆動シャフトの数に対応する数で配置される。
【0004】
同じ方向かつ同じ速度において回転する3個以上の駆動シャフトを有する押出成形機における、本発明に係る3個以上の同一の又は異なるスクリュー要素の配置であって、本発明に係るスクリュー要素が、3個以上の駆動シャフト上で対になって互いに反対に位置する、配置であっても、3個以上の駆動シャフト上で対になって互いに反対に位置する本発明に係るスクリュー要素は、完全にではなく部分的に互いを洗浄する。
【0005】
スクリュー断面輪郭は、以下、簡潔にスクリュー輪郭とも呼ばれる。本発明に関して、作図点とは、スクリュー輪郭の少なくとも1個の円弧が作図されるとともに、この少なくとも1個の円弧の中心である点を意味するものと理解される。これに関して、円弧の中心は、関連する円弧が一部分である円の中心である点を表す。
【0006】
「円弧」という用語は、円弧がスクリュー輪郭上の点であるだけでなく、互いに異なるとともに非ゼロの角度間隔(angular interval)を有する少なくとも2個の点を円弧が有することを表し、円弧の全ての点は、同じ中心及び同じ半径を有し、円弧は、扇形に属する円形線の部分である。角度間隔は、以下、中心角とも呼ばれる。
【0007】
特定の円弧に直接隣接する2個の円弧は、
一方では、当該特定の円弧に直接先行する円弧であり、
他方では、当該特定の円弧に直接後続する円弧である。
【0008】
直接隣接する円弧は、共通の接点を有する。スクリュー輪郭にこの接点において違いを付けることができる場合、この共通の接点を有する2個の円弧は、異なる半径を有する。なぜなら、そうではなくこれらの2個の円弧が同じ半径を有する場合、2個の円弧が組み合わさり、より大きな円弧が形成され得るからである。スクリュー輪郭にこの接点において違いを付けることができない場合、この共通の接点を有する2個の円弧は、異なる半径又は同じ半径を有する。
【0009】
スクリュー要素を備える押出成形機の駆動シャフトは、スクリュー要素が本発明に係るものか又は従来技術に係るものであるかを問わず、以下、スクリューシャフトとも呼ばれる。
【0010】
プラスチック材料を押出成形物の形態で加工又は生産するために、同じ方向かつ同じ速度において回転する2個の駆動シャフトを有する押出成形機における使用に適したスクリュー要素は、長年にわたって既知である。例えば、非特許文献1は、そのようなスクリュー要素及び押出成形機に関する従来技術を詳細かつ適切に概観している。「押出成形機」は、以下、「ねじ切り盤」とも呼ばれる。
【0011】
従来技術によるスクリュー要素の場合、高い頻度で個別に発生する又は併発する問題としては、以下のものがある。
-混合作用が不適切であること。
-押出成形機のハウジング内壁とこれらのスクリュー要素のねじ山ランドとの間、特に、ハウジング内壁と、ハウジングに最も近いスクリューねじ山ランドとの間に不均一な力分布が発生すること。
-ハウジングに最も近いスクリューねじ山ランドの角度を自由に選択できないこと。
-押出成形機が部分的に充填されている場合、押出成形物の均一な分布が保証されないこと。「部分的に充填されている」とは、押出成形機の一部において、押出成形物の実際のスループットが、圧力の蓄積なしにこの部分を通して可能な最大スループットよりも低い、好ましくは少なくとも10%低い、特に好ましくは少なくとも20%低い、非常に特に好ましくは25%~75%低いことを特に意味するものと理解される。
-ここ数年において、スクリュー輪郭がErdmengerスクリュー輪郭等の標準的なスクリュー輪郭に基づいておらず、その結果、作図費用及び製造費用が増大していること。
【0012】
特許文献1の
図5は、Erdmengerスクリュー輪郭を開示しており、Erdmengerスクリュー輪郭の中心(83、83’)は、回転軸(84、84’)又はハウジングボアと同一ではない。このようなスクリュー輪郭は偏心と呼ばれる。特許文献1の
図5に開示されている3個のねじ山のErdmengerスクリュー輪郭は、厳密に1個のスクリューねじ山ランド80(又は80’)が、ハウジング内壁に対して対称かつ狭い間隙を形成するとともに、他の2個のねじ山ランドが、ハウジング内壁に対して同じだが著しく大きい間隙を形成するように、偏心状に位置決めされている。この種の位置決めにより、スクリューねじ山ランド80(又は80’)とハウジングとの間に不均一な間隙が生まれ、その結果、不均一な力分布が発生する。
【0013】
また、特許文献1に開示されている2個のねじ山及び3個のねじ山のErdmengerスクリュー輪郭は、ねじ山ランド先端を1個のみ有する。すなわち、当該Erdmengerスクリュー輪郭は、0度のねじ山ランド角度を有する。このようなねじ山ランド先端は機械的に不安定である。0度よりも大きいねじ山ランド角度を有する、偏心状に位置決めされた2個のねじ山ランドErdmengerスクリュー輪郭も同様に、スクリューねじ山ランドとハウジングとの間に不均一な間隙を有し、その結果、不均一な力分布が発生する。
【0014】
特許文献2も同様に、偏心した3個のねじ山のスクリュー要素を開示している。このスクリュー要素のスクリューねじ山ランドは全て0度のねじ山ランド角度を有し、したがって機械的に不安定である。
【0015】
特許文献3は、偏心した3個のねじ山及び4個のねじ山のスクリュー要素を開示している。このスクリュー要素のスクリューねじ山ランドは全て0度のねじ山ランド角度を有し、したがって機械的に不安定である。
【0016】
特許文献4は、スクリュー要素の断面輪郭がハウジングボアの中心及び搬送シャフトの回転中心に対して偏心状にオフセットして配置されているスクリュー要素を開示している。スクリュー要素の輪郭は、搬送シャフト上で互いに反対に配置される場合、互いを完全にすり減らす。この配置の場合、意図としては、製品品質を向上すること及び支持シャフトに対するトルクの負荷ピークを低減すること、ひいては押出成形機の費用対効果を本質的に向上することである。ここでも同様に、特許文献1と類似のこの位置決めにより、スクリューねじ山ランドとハウジングとの間に不均一な間隙が生まれ、その結果、不均一な力分布が発生することが当てはまる。さらに、スクリュー要素が制限なく自己洗浄する結果、物質移動が相対的に乏しい。すなわち、不適切な混合作用しか達成されない。
【0017】
特許文献5は、少なくとも2個のねじ山を有するとともに、第1のねじ山ランドが小さい間隙を有する押出成形機ハウジングの内壁を洗浄し、第2のねじ山ランドが相対的に大きい間隙を有する押出成形機ハウジングの内壁を洗浄する、スクリュー要素を開示している。この配置の場合、意図としては、製品品質が大幅かつ効果的に向上される、制限なく自己洗浄するマルチスクリュー押出成形機を提供することである。スクリュー要素が制限なく自己洗浄するため、結果として物質移動が相対的に乏しい。すなわち、不適切な混合作用しか達成されない。
【0018】
結果として、特許文献4又は特許文献5に係るスクリュー要素を用いたとしても、上述の問題を満足に解決することが可能ではない。
【0019】
特許文献5について上記で説明したことは、特許文献6及び特許文献7にも同様に当てはまる。
【0020】
特許文献8の
図6~
図8は、2個のねじ山のスクリュー要素を開示しており、このスクリュー要素のねじ山ランドは、ハウジング間隙よりも大幅な分だけハウジング内壁の半径から逸脱する半径を有する。特許文献1と類似のこの構成によっても、スクリューねじ山ランドとハウジングとの間に不均一な間隙が生まれ、その結果、不均一な力分布が発生する。特許文献8の
図9において開示されているスクリュー要素については、特許文献5について上記で説明したことと同じことが当てはまる。特許文献8の
図7において、ねじ山ランドは0度のねじ山ランド角度を有する。既に上記で更に説明したように、このようなねじ山ランド先端は機械的に不安定である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第4131371号
【特許文献2】欧州特許出願公開第850738号
【特許文献3】独国特許出願公開第3412258号
【特許文献4】国際公開第2011116965号
【特許文献5】国際公開第2011006516号
【特許文献6】欧州特許出願公開第0002131号
【特許文献7】欧州特許出願公開第0788868号
【特許文献8】独国特許出願公開第19718292号
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Klemens Kohlgruber「Der gleichlaufige Doppelschneckenextruder [The co-rotating twin-screw extruder]」Hanser Verlag, Munich, 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
したがって、本発明の目的は、上述の問題を解決することができるスクリュー要素を提供することである。
【0024】
特に、本発明の目的は、2個以上の駆動シャフトを有する押出成形機において使用されるときに以下を可能にするスクリュー要素を提供することである。
-混合作用を改善すること。
-スクリュー要素の単数又は複数のねじ山ランドと押出成形機のハウジング内壁との間の均一な力分布を保証すること。
-押出成形物をより丁寧に扱うこと。
-押出成形機が部分的に充填されているときに押出成形物の均一な分布を保証すること。
これに関して、本発明に係るスクリュー要素の単数又は複数のねじ山ランドは、機械的に安定しているべきである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的は、主クレームの特徴を有するスクリュー要素によって達成される。
【0026】
特に、上記目的は、
溝の数Zを有するスクリュー要素であって、
ツインシャフトねじ切り盤に適しており、ツインシャフトねじ切り盤は、
同じ方向かつ同じ速度において回転する2個のスクリューシャフトSW1及びSW2であって、スクリューシャフトSW1の回転軸D1及びスクリューシャフトSW2の回転軸D2は、軸方向距離aだけ離れている、2個のスクリューシャフトSW1及びSW2と、
互いに貫通する2個の円形ハウジングボアであって、ハウジングボアのそれぞれは、同一のハウジング内半径rgと、軸方向距離aに等しい距離だけ離れているハウジングボアのボア中心M1及びM2とを有し、ハウジングボアのボア中心M1及びM2は、スクリューシャフトSW1及びSW2のそれぞれの回転軸D1及びD2の断面の中心に一致する、2個の円形ハウジングボアと、
を有し、
スクリュー要素は、スクリュー輪郭であって、
(1)閉凸線を形成し、
(2)半径が軸方向距離a以下である円弧のみから構成され、直接隣接する円弧は異なる半径を有し、
(3)スクリュー輪郭内に存在する第1の作図点K1を有し、
(4)作図点K1に対して軸対称ではなく、
(5)少なくとも4個、好ましくは4個~25個、特に好ましくは4個~17個の円弧から構成され、
(6)作図点K1に一致せず、スクリュー輪郭内に存在する第2の作図点K2を有し、
(7)作図点K2に対して点対称又は軸対称ではなく、
(8)ボア中心M1又はM2のうちの一方に一致し、作図点K1から作図点K2までの経路上に存在する回転点DPを有し、
(9)厳密の1個の主ねじ山ランドHKを有し、主ねじ山ランドHKは、1個のみの円弧から形成され、この円弧の中心が作図点K2であり、主ねじ山ランドHKと、主ねじ山ランドHKに直接隣接する2個の円弧の接点とは、作図点K2から最も遠いスクリュー輪郭の点の組であり、
(10)少なくとも1個の溝を有し、1個の溝は、中心が作図点K1である1個のみのそれぞれの円弧から形成され、1個の溝は、半径がコア半径riと同じ円弧であり、1個の溝にそれぞれ直接隣接する2個の円弧は、それぞれの共通の接点を除いて、この溝の円弧よりも作図点K1からの距離が大きく、
(11)複数のフランクを有し、フランクは、作図点K1でも作図点K2でもない中心を有する円弧であるスクリュー輪郭の領域であり、
(12)フランクである少なくとも1個の円弧によって主ねじ山ランドHKの最も近い点から溝が分離される、
スクリュー輪郭を有する、スクリュー要素によって達成される。
【0027】
ここで、溝の数Zとは、スクリュー輪郭における溝の数を意味するものと理解される。溝の数Zは、1以上の自然数である。溝の数Zは好ましくは1~4の自然数であり、2個の溝が特に好ましい。
【0028】
本発明によれば、好ましくは、本発明に係るスクリュー輪郭は、作図点K1に対して点対称ではない、又は点対称であり、好ましくは、本発明に係るスクリュー輪郭は、作図点K1に対して点対称ではない。
【0029】
主ねじ山ランドHKを形成する円弧は、0度よりも大きい中心角を有することが好ましく、主ねじ山ランドHKを形成する円弧は、1度~179度の中心角を有することが好ましい。その結果、スクリュー要素が意図したように使用される際、最も大きい機械的負荷に一般的に晒される主ねじ山ランドHKは、従来技術と比較して高い機械的安定性を有する。
【0030】
本発明によれば、本発明に係るスクリュー輪郭の円弧の数は、好ましくは、溝の数Zに4を乗算したものに等しいか、又は、溝の数に4を乗算し、1だけ加算した数に等しく、すなわち、本発明に係るスクリュー輪郭は、
-溝の数Z=1の場合、好ましくは厳密に4個の円弧、又は厳密に5個の円弧から構成され、特に好ましくは厳密に5個の円弧から構成され、
-溝の数Z=2の場合、好ましくは厳密に8個の円弧、又は厳密に9個の円弧から構成され、特に好ましくは厳密に9個の円弧から構成され、
-溝の数Z=3の場合、好ましくは厳密に12個の円弧、又は厳密に13個の円弧から構成され、特に好ましくは厳密に13個の円弧から構成され、
-溝の数Z=4の場合、好ましくは厳密に16個の円弧、又は厳密に17個の円弧から構成され、特に好ましくは厳密に17個の円弧から構成される。
【0031】
本発明によれば、本発明に係るスクリュー輪郭の第2の作図点K2は、中心として作図点K1と、半径としてコア半径riとを有する円の中に存在することが好ましく、コア半径riは、作図点K1及びスクリュー輪郭上の点からの最小距離に対応する半径である。
【0032】
本発明によれば、本発明に係るスクリュー輪郭の第2の作図点K2は、中心として作図点K1と、コア半径riの最大30%、非常に特に好ましくは最大20%である半径とを有する円の中に存在することが特に好ましい。
【0033】
これにより、スクリュー要素が、意図したように使用されている際、従来技術と比較して高い機械的安定性を有するという状況が達成される。また、これにより、従来技術と比較して押出成形物をより丁寧に扱うことが可能になる。
【0034】
本発明に係るスクリュー要素の回転点DPは、好ましくは作図点K1に対するよりも作図点K2に対して近くに存在し、特に好ましくは、回転点DPは作図点K2上に存在する。
【0035】
主ねじ山ランドHKの円弧の半径rHKは、好ましくは、ハウジング内半径rgを主ねじ山ランド間隙c_HKだけ減算したものに対応する。主ねじ山ランド間隙c_HKは、この場合、0よりも大きい。ここで、主ねじ山ランド間隙c_HKは、好ましくはハウジング内半径rgの0.1%~3.2%、好ましくは0.2%~2.6%、特に好ましくは0.3%~2.0%、非常に特に好ましくはおよそ0.8%~1.4%である。主ねじ山ランド間隙c_HKは、主ねじ山ランドHK全体にわたって一定であることが特に好ましく、このようにして、主ねじ山ランドHKとハウジング内壁との間に一定の距離を有する剪断ギャップが形成される。
【0036】
溝を形成する円弧は、好ましくは、
-溝の数Z=1の場合、90度~150度の中心角、好ましくは95度~140度の中心角、特に好ましくは100度~130度の中心角を有し、
-溝の数Z=2の場合、それぞれ、5度~50度の中心角、好ましくは10度~40度の中心角、特に好ましくは15度~30度の中心角を有し、溝の中心角は同じもの又は異なるものとすることができるが、同じものとすることが好ましく、
-溝の数Z=3の場合、それぞれ、3度~30度の中心角、好ましくは6度~24度の中心角、特に好ましくは9度~18度の中心角を有し、溝の中心角は同じもの又は異なるものとすることができるが、同じものとすることが好ましく、
-溝の数Z=4の場合、それぞれ、2度~20度の中心角、好ましくは4度~16度の中心角、特に好ましくは6度~12度の中心角を有し、溝の中心角は同じもの又は異なるものとすることができるが、同じものとすることが好ましい。
【0037】
本発明に係るスクリュー輪郭は、第3の作図点K3を有し、スクリュー輪郭は、作図点K3に対して軸対称又は点対称ではなく、作図点K3は、作図点K1に対して作図点K2と同じ距離を有する点であり、作図点K1、K2及びK3は、直線上に存在し、K1、K2及びK3は同一ではない。
【0038】
本発明に係るスクリュー輪郭は、単数の副ねじ山ランド、又は複数の副ねじ山ランドNKi=NK1~NKnを有することができ、各副ねじ山ランドNKiは、1個のみの円弧から形成され、円弧の中心が、作図点K1、又は作図点K2、又は作図点K3である。下付き文字i及びnは自然数を表す。添字nは、副ねじ山ランドNK1~NKnの数を指定する。ねじ山ランドNK1~NKnの数nは、溝の数Zに等しいことが好ましい。
【0039】
本発明に係るスクリュー輪郭が少なくとも1個の副ねじ山ランドNKiを有する場合,フランクである少なくとも1個の円弧によって副ねじ山ランドNKiの最も近い点から溝が分離される。既に上記で説明したように、フランクである少なくとも1個の円弧によって主ねじ山ランドNKの最も近い点から溝が分離されるため、本発明に係るスクリュー輪郭が少なくとも1個の副ねじ山ランドNKiを有する場合、溝は、フランクである少なくとも1個の円弧によって主ねじ山ランドNKの最も近い点から分離されるだけでなく、フランクである少なくとも1個の円弧によって副ねじ山ランドNKiの最も近い点からも分離されることが当てはまる。
【0040】
副ねじ山ランドNKiを形成する円弧は、0度よりも大きい中心角を有することが好ましく、副ねじ山ランドNKiを形成する円弧は、1度~179度の中心角を有することが好ましい。その結果、スクリュー要素が意図したように使用される際、主ねじ山ランドHKの次に最も大きい機械的負荷に一般的に晒される副ねじ山ランドNKiは、従来技術と比較して高い機械的安定性を有する。
【0041】
副ねじ山ランドNKiを形成するとともに、2個の直接隣接する円弧がいずれも、この事例における主ねじ山ランドHKではない円弧は、特に好ましくは、
-溝の数Z=2の場合、5度~50度の中心角、好ましくは10度~40度の中心角、特に好ましくは15度~30度の中心角、
-溝の数Z=3の場合、3度~30度の中心角、好ましくは6度~24度の中心角、特に好ましくは9度~18度の中心角、
-溝の数Z=4の場合、2度~20度の中心角、好ましくは4度~16度の中心角、特に好ましくは6度~12度の中心角、
を有し、複数の副ねじ山ランドNK1~NKnの場合、副ねじ山ランドNK1~NKnの中心角は同じもの又は異なるものとすることができる。
【0042】
副ねじ山ランドNKiを形成するとともに、2個の直接隣接する円弧のうちの一方が、この事例における主ねじ山ランドHKである円弧は、特に好ましくは、
-溝の数Z=1の場合、0度よりも大きく140度までの中心角、好ましくは5度~110度の中心角、特に好ましくは10度よりも大きく80度までの中心角、
-溝の数Z=2の場合、それぞれ、0度よりも大きく45度までの中心角、好ましくは5度~30度の中心角、特に好ましくは10度よりも大きく15度までの中心角、
-溝の数Z=3の場合、それぞれ、0度よりも大きく27度までの中心角、好ましくは2度~18度の中心角、特に好ましくは4度~9度の中心角、
-溝の数Z=4の場合、それぞれ、0度よりも大きく18度までの中心角、好ましくは1度~12度の中心角、特に好ましくは2度~6度の中心角、
を有し、複数の副ねじ山ランドNK1~NKnの場合、副ねじ山ランドNK1~NKnの中心角は同じもの又は異なるものとすることができる。
【0043】
本発明に係るスクリュー輪郭を有することができる1個の副ねじ山ランド又は複数の副ねじ山ランドNKi=NK1~NKnについて、以下のことが更に当てはまる。
-1個の副ねじ山ランドNKiにそれぞれ直接隣接する2個の円弧は、副ねじ山ランドNKiを形成する円弧の中心が作図点K1である場合、副ねじ山ランドNKiとのそれぞれの共通の接点を除いて、作図点K1に対する距離がより小さいこと、又は、副ねじ山ランドNKiを形成する円弧の中心が作図点K2である場合、作図点K2に対する距離がより小さいこと、又は、副ねじ山ランドNKiを形成する円弧の中心が作図点K3である場合、作図点K3に対する距離がより小さいこと、
-副ねじ山ランドNKiを形成する円弧の中心が作図点K2である場合、副ねじ山ランドNKiを形成する円弧は、主ねじ山ランドHKよりも作図点K2に対する距離がより小さいこと。
【0044】
主ねじ山ランドHKを形成する円弧は、副ねじ山ランドNKiを形成する円弧と接触することが好ましく、副ねじ山ランドNKiの円弧は、中心として作図点K1と、ハウジング内半径rgを副ねじ山ランド間隙c_NKだけ減算したものに対応する半径rNKとを有する。
【0045】
主ねじ山ランドHKを形成するとともに、2個の直接隣接する円弧がいずれも、副ねじ山ランドNKiではない円弧は、好ましくは、
-溝の数Z=1の場合、90度~150度の中心角、好ましくは95度~140度の中心角、特に好ましくは100度~130度の中心角、
-溝の数Z=2の場合、5度~50度の中心角、好ましくは10度~40度の中心角、特に好ましくは15度~30度の中心角、
-溝の数Z=3の場合、3度~30度の中心角、好ましくは6度~24度の中心角、特に好ましくは9度~18度の中心角、
-溝の数Z=4の場合、2度~20度の中心角、好ましくは4度~16度の中心角、特に好ましくは6度~12度の中心角、
を有する。
【0046】
主ねじ山ランドHKを形成するとともに、2個の直接隣接する円弧のうちの一方が、副ねじ山ランドNKiである円弧は、好ましくは、
-溝の数Z=1の場合、10度~150度の中心角、好ましくは30度~140度の中心角、特に好ましくは50度~130度の中心角、
-溝の数Z=2の場合、5度~50度の中心角、好ましくは10度~40度の中心角、特に好ましくは15度~30度の中心角、
-溝の数Z=3の場合、3度~30度の中心角、好ましくは6度~24度の中心角、特に好ましくは9度~18度の中心角、
-溝の数Z=4の場合、2度~20度の中心角、好ましくは4度~16度の中心角、特に好ましくは6度~12度の中心角、
を有する。
【0047】
特に、主ねじ山ランドHKの円弧と、主ねじ山ランドHKの円弧に直接先行するとともに主ねじ山ランドHKの円弧との共通の接点を有する円弧、及び主ねじ山ランドHKの円弧に直接後続するとともに主ねじ山ランドHKの円弧との共通の接点を有する円弧の双方との間の2個の内角は、130度~180度、好ましく135度~180度、特に好ましくは140度~180度である。この点において、これらの2個の内角は同じもの又は異なるものとすることができるが、異なるものとすることが好ましい。
【0048】
本発明に関して、2個の直接隣接する円弧の間の内角は、スクリュー輪郭内で関連する円弧の接線の間に存在する角度であり、接線は、関連する円弧の共通の接点を通る。
【0049】
さらに、特に、副ねじ山ランドNKiの円弧と、副ねじ山ランドNKiの円弧に直接先行するとともに副ねじ山ランドNKiの円弧との共通の接点を有する円弧、及び副ねじ山ランドNKiに直接後続するとともに副ねじ山ランドNKiの円弧との共通の接点を有する円弧の双方との間の2個の内角は、130度~180度、好ましく135度~180度、特に好ましくは140度~180度である。この点において、これらの2個の内角は同じもの又は異なるものとすることができる。
【0050】
最も特に、本発明に係るスクリュー輪郭の2個の直接隣接する円弧の間の内角は全て、130度~180度、好ましく135度~180度、特に好ましくは140度~180度である。
【0051】
これにより、スクリュー要素が、意図したように使用されている際、従来技術と比較して高い機械的安定性を有するという状況が更に達成される。また、これにより、従来技術と比較して押出成形物をより丁寧に扱うことが可能になる。
【0052】
フランクは、軸方向距離aに対応する半径を有することが好ましい。更に好ましくは、フランクを形成する円弧は、作図点K1でも作図点K2でも作図点K3でもない中心を有する。
【0053】
更に好ましくは、作図点K1から作図点K2までの距離は、ハウジング内半径rgの0.2%~20%、好ましくは0.4%~15%、特に好ましくは0.6%~10%、非常に特に好ましくは0.8%~5%である。
【0054】
更に好ましくは、本発明に係るスクリュー輪郭の場合、
-溝の数Z=1の場合、溝の角二等分線と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、0度~90度、好ましくは45度~70度、特に好ましくはおよそ55度であり、
-溝の数Z=2の場合、溝の角二等分線(溝の角二等分線上に存在する、その溝の円弧点は、小さい方の曲線長さによって主ねじ山ランドHKの最も近い点から分離される)と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、110度~160度、好ましくは125度~145度、特に好ましくはおよそ135度であり、
-溝の数Z=3の場合、溝の角二等分線(溝の角二等分線上に存在する、その溝の円弧点は、小さい方の曲線長さによって主ねじ山ランドHKの最も近い点から分離される)と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、130度~170度、好ましくは140度~160度、特に好ましくはおよそ150度であり、
-溝の数Z=4の場合、溝の角二等分線(溝の角二等分線上に存在する、その溝の円弧点は、小さい方の曲線長さによって主ねじ山ランドHKの最も近い点から分離される)と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、140度~175度、好ましくは150度~165度、特に好ましくはおよそ157.5度である。
【0055】
上記から以下のようになる。
-主ねじ山ランドHKの各点における作図点K1からの主ねじ山ランドHKの距離は、コア半径よりも大きく、したがって、この距離は、同様に溝と作図点K1との間の距離よりも大きい。
-主ねじ山ランドHKの各点における作図点K2からの主ねじ山ランドHKの距離は、ハウジング内半径rg以下である。
-関連する副ねじ山ランドNKiの各点における作図点K1からの各副ねじ山ランドNKiの距離は、コア半径よりも大きく、したがって、この距離は、同様に溝と作図点K1との間の距離よりも大きい。
-主ねじ山ランドHK及び副ねじ山ランドNKiは、互いに直接隣り合い、共通の接点を有することができる。
【0056】
本発明に係るスクリュー要素は、2個以上の駆動シャフトを有する押出成形機において使用されるときに以下を可能にする。
-混合作用を改善すること。
-スクリュー要素の単数又は複数のねじ山ランドと押出成形機のハウジング内壁との間の均一な力分布を保証すること。
-押出成形物をより丁寧に扱うこと。
-押出成形機が部分的に充填されているときに押出成形物の均一な分布を保証すること。
この場合、スクリュー要素、特に主ねじ山ランドHK、及び存在する場合、副ねじ山ランドNKi又は副ねじ山ランドNK1~NKn、最も特に主ねじ山ランドHKは、従来技術と比較して高い機械的安定性を有する。
【0057】
これは驚くべきことである。なぜなら、既に上記で説明したように、同じ方向かつ同じ速度において回転する2個の駆動シャフトを有する押出成形機における、本発明に係る2個の同一の又は異なるスクリュー要素の配置であって、本発明に係るスクリュー要素が、2個の駆動シャフト上で対になって互いに反対に位置する、配置の場合、2個の駆動シャフト上で対になって互いに反対に位置する本発明に係るスクリュー要素は、完全にではなく部分的に互いを洗浄するからである。同じことが同様に、上記で説明したように、同じ方向かつ同じ速度において回転する3個以上の駆動シャフトを有する押出成形機における、本発明に係る3個以上の同一の又は異なるスクリュー要素の配置であって、本発明に係るスクリュー要素が、それぞれ3個以上の駆動シャフト上で対になって互いに反対に位置する、配置についても当てはまる。
【0058】
これまで、互いに完全に洗浄するスクリュー要素が目的の達成に必要であると想定されてきた。
【0059】
しかしながら、驚くべきことに、本発明に係るスクリュー要素を用いることによって、
-自己洗浄していないスクリュー要素の領域に押出成形物が戻るように流れることによる、より良好な混合作用と、
-主ねじ山ランドHKとハウジング内壁との間の一定の距離を有する剪断ギャップによる、均一な力分布と、
-自己洗浄していないスクリュー要素の領域に押出成形物が戻るように流れることによる、部分的な充填の場合におけるプラスチック材料のより均一な分布と、
が達成されることが分かった。これにより、従来技術と比較して押出成形物をより丁寧に扱うことが更に可能になる。
【0060】
ねじ切り盤において使用されているとき、本発明に係るスクリュー要素の主ねじ山ランドHKは、均一な流れギャップがハウジング内壁に沿って形成されるように形成される流れチャネルを短くする。その結果、力分布が均一になる。
【0061】
本発明に係るスクリュー要素は、同じ方向かつ同じ速度において回転するとともに、本発明に係る別のスクリュー要素であって、同じ又は異なるスクリュー輪郭と、他方のスクリューシャフト上の回転点と同じ又は異なる配置とを有する、別のスクリュー要素を有する2個の駆動シャフトを有するねじ切り盤において対にして配置して操作するのに適しており、同じスクリュー輪郭を有する本発明に係るスクリュー要素が使用されることが好ましい。本発明に係るスクリュー要素は、同様に、同じ方向かつ同じ速度において回転する3個以上の駆動シャフトを有するねじ切り盤における使用にも適している。
【0062】
本発明に係るスクリュー要素は、搬送要素、混練要素又は混合要素の形態とすることができ、好ましくは搬送要素又は混練要素の形態とすることができる。
【0063】
したがって、本発明は、同じ方向かつ同じ速度において回転する2個の駆動シャフトを有する押出成形機における、本発明に係る2個の同一の又は異なるスクリュー要素の配置にも関し、本発明に係るスクリュー要素は、2個の駆動シャフト上で対になって互いに反対に位置する。これに対応して、したがって本発明は、同じ方向かつ同じ速度において回転する3個以上の駆動シャフトを有する押出成形機における、本発明に係る3個以上の同一の又は異なるスクリュー要素の配置にも関し、本発明に係るスクリュー要素は、それぞれ3個以上の駆動シャフト上で対になって互いに反対に位置する。
【0064】
また、本発明は、本発明に係る2個の同一の又は異なるスクリュー要素を備えるとともに、同じ方向かつ同じ速度において回転する2個の駆動シャフトを有する押出成形機に更に関し、本発明に係るスクリュー要素は、2個の駆動シャフト上で対になって互いに反対に位置する。これに対応して、したがって本発明は、本発明に係る3個以上の同一の又は異なるスクリュー要素を備えるとともに、同じ方向かつ同じ速度において回転する3個以上の駆動シャフトを有する押出成形機に更に関し、本発明に係るスクリュー要素は、それぞれ3個以上の駆動シャフト上で対になって互いに反対に位置する。
【0065】
本発明に係るスクリュー輪郭は、単純な方法で基準スクリュー輪郭から作図することができる。この基準スクリュー輪郭は、好ましくは従来技術によるスクリュー輪郭であり、特に好ましくはErdmenger輪郭として知られるものである(非特許文献1の頁249~253参照)。
【0066】
この点において、以下のことが当てはまる。
・本発明に係るスクリュー輪郭のコア半径ri、溝の数Z、及び外半径raは、基準スクリュー輪郭のコア半径ri、溝の数Z、及び外半径raに対応し、本発明に係るスクリュー輪郭の作図点K1は、基準輪郭の作図点K1と同じであること。
・基準スクリュー輪郭の外半径rfraは、ハウジング内半径rgよりも、0.2%~10%だけ小さく、好ましくは0.4%~7.5%だけ小さく、特に好ましくは0.6%~5%だけ小さく、非常に特に好ましくは0.8%~2.5%だけ小さく、
・基準スクリュー輪郭のうちの2個の類似の基準輪郭は、
○基準スクリュー輪郭のうちの一方が、軸方向距離aに対応する基準距離fraを有する場合、及び、
○基準スクリュー輪郭が、そのそれぞれの基準回転点である基準回転点1(rfDP1)及び基準回転点2(rfDP2)において同じ速度で同じ回転方向において回転する場合、
対になって互いを正確に洗浄する。
【0067】
それゆえ、このような基準スクリュー輪郭には、上記で説明したように第2の作図点K2が挿入され、適宜、同様に上記で説明したように、第3の作図点K3も挿入される。この作図点K2から進行し、存在する場合は作図点K3からも進行し、スクリュー輪郭に少なくとも1個の更なる円弧が挿入され、この少なくとも1個の更なる円弧は、基準スクリュー輪郭において既に存在する少なくとも1個の円弧と交差し、少なくとも1個の更なる円弧によって「切断」された少なくとも1個の既に存在する円弧の部分は、少なくとも1個の更なる円弧に置き換わる。
【0068】
本発明は、プラスチック材料を加工又は生産するための本発明に係るスクリュー要素の使用に更に関する。
【0069】
本発明に関して、プラスチック材料とは、以下を意味するものと理解される。
懸濁液、ペースト、ガラス溶融物、未焼成セラミックス、金属溶融物、プラスチック、プラスチック溶融物又は溶液、ポリマー溶融物又は溶液、エラストマー、ゴム溶融物又は溶液。
【0070】
プラスチック、ポリマー溶液又はポリマー溶融物、特に好ましくは熱可塑性ポリマーを使用することが好ましい。使用する熱可塑性ポリマーは、好ましくは、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、特にポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレート、ポリラクチド、ポリエーテル、熱可塑性ポリウレタン、ポリアセタール、フルオロポリマー、特にフッ化ポリビニリデン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、特にポリエチレン及びポリプロピレン、ポリイミド、ポリアクリレート、特にポリ(メチル)メタクリレート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、スチレンポリマー、特にポリスチレン、スチレンコポリマー、特にスチレン-アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、並びにポリ塩化ビニルの群から選択される少なくとも1つである。同様に好ましく使用されるのは、例示したポリマーのブレンドとして知られているものであり、当業者は、2個以上のポリマーの組合せであると理解している。特に好ましいのは、ポリカーボネート、及びポリカーボネートを含有する混合物であり、非常に特に好ましいのは、ポリカーボネートであり、ポリカーボネートは、例えば、界面プロセス又は溶融エステル交換プロセスによって得られる。
【0071】
他の好ましい供給材料はゴムである。使用するゴムは、好ましくは、スチレン-ブタジエンゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、ブタジエン-アクリロニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ブチルゴム、ハロブチルゴム、クロロプレンゴム、エチレン-酢酸ビニルゴム、ポリウレタンゴム、熱可塑性ポリウレタン、ガッタパーチャ、アクリレートゴム、フッ素化ゴム、シリコーンゴム、硫化ゴム、及びクロロスルホニルポリエチレンゴムの群から選択される少なくとも1つである。当然、例示した2個以上のゴムの組合せ、又は1個以上のゴムと1個以上のプラスチックとの組合せも可能である。
【0072】
これらの熱プラスチック及びエラストマーは、純粋な形態で使用することもできるし、特にガラス繊維等の充填剤又は補強剤との混合物として、互いとの若しくは他のポリマーとの混合物として、又は従来のポリマー添加剤との混合物として使用することもできる。
【0073】
好ましい実施形態において、添加剤は、プラスチック材料に、特にポリマー溶融物、及びポリマー溶融物の混合物に添加される。この添加剤は、ポリマーとともに固体、液体若しくは溶液の形態において押出成形機に添加することができるか、又はそうでなければ、添加剤の少なくとも一部又は全ては、サイドストリームを介して供給される。
【0074】
添加剤は、ポリマーに様々な特性を与えることができる。この添加剤は、例えば、着色剤、顔料、加工助剤、充填剤、酸化防止剤、強化剤、UV吸収剤及び光安定剤、金属不活性化剤、過酸化物スカベンジャー、塩基性安定剤、核形成剤、安定化作用又は抗酸化作用を有するベンゾフラン及びインドリノン、離型剤、難燃添加剤、帯電防止剤、染料、並びに溶融安定剤とすることができる。これらの例としては、カーボンブラック、ガラス繊維、粘土、雲母、黒鉛繊維、二酸化チタン、炭素繊維、カーボンナノチューブ、イオン性液体、及び天然繊維が挙げられる。
【0075】
以下、図面を参照して本発明をより詳細に例として説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図面は全てコンピュータープログラムを使用して作図されたものである。
【0076】
スクリュー輪郭又はスクリュー要素を作製又は説明する目的で、異なるサイズのスクリュー要素又は押出成形機への互換性(transferability)を簡単にするために、無次元特性を使用することが適切である。例えば、長さ、半径又は間隙等の幾何学的変数のための基準変数として、軸方向距離aが適している。なぜなら、押出成形機におけるこの変数は変化し得ないからである。無次元軸方向距離Aについて、A=a/a=1が成立する。無次元ハウジング内半径RGは、RG=rg/aとして計算され、ここで、rgはハウジング内半径である。スクリュー輪郭の無次元スクリュー外半径RAについては、RA=ra/aということになり、ここで、raはスクリュー外半径である。スクリュー輪郭の無次元コア半径RIは、RI=ri/aとして計算され、ここで、riはコア半径である。スクリューねじ山ランドとハウジングとの間の無次元間隙Cは、C=c/aとして計算され、ここで、cは、ハウジングに対するスクリューねじ山ランドの間隙である。主ねじ山ランドHKの対応する無次元間隙は、C_HKによって表され、副ねじ山ランドNKiの対応する無次元間隙は、C_NKによって表される。無次元半径Rについて、対応するようにR=r/aが成立する。
【0077】
図中、それぞれの図面の右横にある幾何学的変数は全て、無次元の形式で使用される。角度は全てラジアン又は度で記録される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1a】従来技術に係る、溝の数Z=1を有するスクリュー輪郭を示す図である。
【
図1b】偏心変位における
図1aのスクリュー輪郭を示す図である。本発明に関して、「偏心変位における」とは、スクリュー輪郭の作図点K1が回転点に存在しないことを意味するものと理解される。作図点K1は、単数又は複数の溝を形成する単数又は複数の円弧の中心である点である。
【
図2a】溝の数Z=1を有する、本発明に係るスクリュー輪郭を示す図である。
【
図2b】偏心変位における
図2aのスクリュー輪郭を示す図である。
【
図3a】溝の数Z=1を有する、本発明に係る更なるスクリュー輪郭を示す図である。
【
図3b】偏心変位における
図3aのスクリュー輪郭を示す図である。
【
図4a】溝の数Z=1を有する、本発明に係る更なるスクリュー輪郭を示す図である。
【
図4b】偏心変位における
図4aのスクリュー輪郭を示す図である。
【
図5a】従来技術に係る、溝の数Z=2を有するスクリュー輪郭を示す図である。
【
図5b】偏心変位における
図5aのスクリュー輪郭を示す図である。
【
図6a】溝の数Z=2を有する、本発明に係るスクリュー輪郭を示す図である。
【
図6b】偏心変位における
図6aのスクリュー輪郭を示す図である。
【
図7a】溝の数Z=2を有する、本発明に係る更なるスクリュー輪郭を示す図である。
【
図7b】偏心変位における
図7aのスクリュー輪郭を示す図である。
【
図8a】溝の数Z=2を有する、本発明に係る更なるスクリュー輪郭を示す図である。
【
図8b】偏心変位における
図8aのスクリュー輪郭を示す図である。
【
図9a】溝の数Z=2を有する、本発明に係るスクリュー輪郭を示す図である。
【
図9b】偏心変位における
図9aのスクリュー輪郭を示す図である。
【
図10a】溝の数Z=2を有する、本発明に係る更なるスクリュー輪郭を示す図である。
【
図11a1】従来技術に係る、溝の数Z=3を有するスクリュー輪郭を示す図である。
【
図11a2】
図11a1のスクリューねじ山ランド(円弧6)の周囲の拡大詳細図である。
【
図11b2】
図11b1のスクリューねじ山ランド(円弧6)の周囲の拡大詳細図である。
【
図12a1】溝の数Z=3を有する、本発明に係るスクリュー輪郭を示す図である。
【
図12a2】
図12a1の主ねじ山ランドHK(円弧6a)及び副ねじ山ランドNK
i(円弧6)の周囲の拡大詳細図である。
【
図12b2】
図12b1の主ねじ山ランドHK(円弧6a)及び副ねじ山ランドNK
i(円弧6)の周囲の拡大詳細図である。
【
図13a1】従来技術に係る、溝の数Z=4を有するスクリュー輪郭を示す図である。
【
図13a2】スクリューねじ山ランド(円弧6)の周囲の拡大詳細図である。
【
図13b2】
図13b1のスクリューねじ山ランド(円弧6)の周囲の拡大詳細図である。
【
図14a1】溝の数Z=4を有する、本発明に係るスクリュー輪郭を示す図である。
【
図14a2】
図14a1の主ねじ山ランドHK(円弧6a)及び副ねじ山ランドNK
i(円弧6)の周囲の拡大詳細図である。
【
図14b2】
図14b1の主ねじ山ランドHK(円弧6a)及び副ねじ山ランドNK
i(円弧6)の周囲の拡大詳細図である。
【
図15】
図2bの溝の数Z=1を有する、本発明に係るスクリュー輪郭を、2個の同一のスクリュー輪郭の対として示す図である。
【
図16】
図6bの溝の数Z=2を有する、本発明に係るスクリュー輪郭を、2個の同一のスクリュー輪郭の対として示す図である。
【
図17】
図12bの溝の数Z=3を有する、本発明に係るスクリュー輪郭を、2個の同一のスクリュー輪郭の対として示す図である。
【
図18】
図14bの溝の数Z=4を有する、本発明に係るスクリュー輪郭を、2個の同一のスクリュー輪郭の対として示す図である。
【
図19】
図16の本発明に係るスクリュー輪郭を、搬送要素の対として示す図である。
【
図20】
図5aの溝の数Z=2を有する、本発明に係るスクリュー輪郭を、2個の同一のスクリュー輪郭の対として示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1~
図14は基本的に同じ構造を有し、これについてはより詳細に後述する。図面のぞれぞれは、x/y座標系の原点も位置する作図点K1を有する。作図点K1に加えて、図面は、作図点K2も有する場合があり、さらには、作図点K3も有する場合がある。スクリュー輪郭の円弧は、円弧のそれぞれの番号が与えられている太い実線によって識別される。円弧は、反時計回りに、すなわち、数学的に正の方向に連続的に付番されている。この点において、円弧を数学的に正の方向において横移動させたとき、この円弧の始点は、円弧の最初の点であり、終点は、円弧の最後の点である。円弧の中心は、小さい円によって表されている。円弧の中心は、細い実線によって、関連する円弧の始点及び終点の双方に結ばれている。無次元スクリュー外半径RAは、細い破線によって特徴付けられ、外半径RAの数値は、図中右下の4個の有効数字として記録されている。無次元ハウジング内半径RGは、細い実線によって特徴付けられ、内半径RGの数値は、図中右下の4個の有効数字として同様に記録されている。図面右横には、円弧ごとに、関連する無次元半径Rと、関連する中心角αと、円弧中心Mの関連する無次元x座標Mxと、円弧中心Mの関連する無次元y座標Myと、円弧の始点APの関連する無次元x座標Axと、円弧の始点APの関連する無次元y座標Ayとが、各事例において4個の有効数字として記録されている。この情報がスクリュー輪郭を明確に定義するものである。さらに、これらの図面のそれぞれにおいて、無次元スクリュー外半径RA及び無次元ハウジング内半径RGが記録されている。
【0080】
図15~
図18のそれぞれにおいては、無次元ハウジング内半径RGが記録されており、
図20においては、無次元基準ハウジング内半径RFRG及び無次元基準スクリュー外半径RFRAが記録されている。
【0081】
図15及び
図17のそれぞれにおいては、左側及び右側の双方のスクリュー輪郭について、円弧が数学的に正の様式で連続的に付番されており、
図16及び
図18のそれぞれにおいては、左側のスクリュー輪郭について、円弧が数学的に正の様式で連続的に付番され、右側のスクリュー輪郭について、数学的に負の様式で連続的に付番されている。
【0082】
図1a:
図1aは、従来技術に係る、溝の数Z=1を有するスクリュー輪郭を示している。無次元スクリュー外半径はRA=0.61である。無次元ハウジング内半径はRG=0.66である。作図点K1は、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する。
【0083】
この実施形態は、ハウジングとスクリューねじ山ランド(円弧2)との間の間隙が大きく、その結果、ハウジングの洗浄が不良であるため、不利である。
【0084】
図1b:
図1bにおけるスクリュー輪郭は、
図1aのスクリュー輪郭を変位させることによって得られた。この変位は、円弧3の始点に対応する円弧2の終点、作図点K1及び作図点K2が直線上に存在するように行われた。作図点K2は、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する。円弧3の始点に対応する円弧2の終点は、無次元スクリュー外半径RA上に存在する。無次元スクリュー外半径はRA=0.65である。無次元ハウジング内半径はRG=0.66である。
【0085】
図1aに係る実施形態と比較して、この実施形態は、ハウジングと円弧2の終点との間に狭い間隙を有し、その結果、ハウジングの洗浄が良好である。しかしながら、この実施形態は、ハウジングとスクリューねじ山ランド(円弧2)との間の間隙が一定ではなく、その結果、回転方向に応じてハウジングとスクリューねじ山ランド(円弧2)との間に収束チャネル又は拡散チャネルがもたらされるという点において、不利である。スクリュー輪郭が作図点K2の周りに時計回りで回転すると、ポリマー質量体がハウジングとスクリューねじ山ランド(円弧2)との間の収束チャネルに圧入され、その結果、スクリュー要素がハウジング及び/又は直接隣接するスクリュー要素と接触するほど十分に回転点DP1から遠くにスクリュー要素を移動させ得る大きな圧縮力がスクリュー要素に作用し、これにより、スクリュー要素の機械的摩耗に繋がる。
【0086】
図2a:
図2aは、溝の数Z=1を有するとともに5個の円弧から構成される、本発明に係る閉じたスクリュー輪郭を示している。無次元ハウジング内半径はRG=0.66である。無次元スクリュー外半径はRA=0.61である。ハウジングに対する副ねじ山ランドNK
i(円弧2)の無次元間隙は、C_NK=0.05である。
【0087】
スクリュー輪郭は、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する作図点K1を有する。スクリュー輪郭は、作図点K1に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K1は円弧2の中心である。円弧2は、無次元半径R_2=0.61を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_2=0.8186≒46.9度である。円弧2は、副ねじ山ランドNKiを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び2aは、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧4の中心である。円弧4は、無次元半径R_4=0.39を有し、これは無次元コア半径RIと同じである。中心角は、α_4=1.9217≒110.1度である。円弧4は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び3は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。
【0088】
スクリュー輪郭は、作図点K1とは一致せず、スクリュー輪郭内に存在し、さらには、その中心が作図点K1であるとともに、その無次元半径が無次元コア半径RIと同じである円の中に存在する作図点K2を有する。スクリュー輪郭は、作図点K2に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K2は円弧2aの中心である。円弧2aは、無次元半径R_2a=0.65を有し、これは無次元ハウジング内半径RG=0.66よりも幾分小さい。中心角は、α_2a=1.0799≒61.9度である。円弧2aは、主ねじ山ランドHKを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧2及び3は、共通の接点を除いて作図点K2に対する距離がより小さいからである。
【0089】
作図点K2と作図点K1との間の距離は、無次元ハウジング内半径RGのおよそ0.121倍である。溝(円弧4)の角二等分線と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、55.1度である。作図点K1、作図点K2、及び円弧1の中心は、1個の線上に存在する。
【0090】
円弧1及び3はフランクを表す。2個の円弧1及び3の無次元半径R_1及びR_3は、それぞれ、R_1=R_3=1.00である。これら2個の円弧の中心は、各事例において、作図点K1及びK2と同一ではない。
【0091】
主ねじ山ランドHK(円弧2a)及び副ねじ山ランドNKi(円弧2)は互いに接触する。主ねじ山ランドHK及び副ねじ山ランドNKiは、フランクによってそれぞれ溝から分離される。
【0092】
図2b:
図2bにおけるスクリュー輪郭は、
図2aのスクリュー輪郭を変位させることによって得られた。この変位は、作図点K2が、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在するように行われた。無次元ハウジング内半径はRG=0.66である。無次元スクリュー外半径はRA=0.65である。円弧2aは、無次元半径R_2a=0.65を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。ハウジングに対する主ねじ山ランドHK(円弧2a)の無次元間隙は、C_HK=0.01である。作図点K1、作図点K2、及び円弧1の中心は、1個の線上に存在する。
【0093】
この実施形態は、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧2a)との間に一定の狭い間隙を有し、その結果、ハウジングの洗浄が良好であるため、有利である。また、この実施形態は、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧2)との間の収束チャネル又は拡散チャネル(回転方向に応じる)の長さが、
図1bに係る実施形態における長さよりも実質的に小さいため、有利である。したがって、時計回りに回転すると、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧2a)との間に収束チャネルが生まれ、反時計回りに回転すると、拡散チャネルが生まれる。
【0094】
図3a:
図3aは、溝の数Z=1を有するとともに5個の円弧から構成される、本発明に係る閉じたスクリュー輪郭を示している。無次元ハウジング内半径はRG=0.66である。無次元スクリュー外半径はRA=0.61である。ハウジングに対する副ねじ山ランドNK
i(円弧2)の無次元間隙は、C_NK=0.05である。
【0095】
スクリュー輪郭は、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する作図点K1を有する。スクリュー輪郭は、作図点K1に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K1は円弧2の中心である。円弧2は、無次元半径R_2=0.61を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_2=0.6946≒39.8度である。円弧2は、副ねじ山ランドNKiを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び2aは、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧4の中心である。円弧4は、無次元半径R_4=0.39を有し、これは無次元コア半径RIと同じである。中心角は、α_4=1.9217≒110.1度である。円弧4は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び3は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。
【0096】
スクリュー輪郭は、作図点K1とは一致せず、スクリュー輪郭内に存在し、さらには、その中心が作図点K1であるとともに、その無次元半径が無次元コア半径RIである円の中に存在する作図点K2を有する。スクリュー輪郭は、作図点K2に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K2は円弧2aの中心である。円弧2aは、無次元半径R_2a=0.65を有し、これは無次元ハウジング内半径RG=0.66よりも幾分小さい。中心角は、α_2a=1.1594≒66.4度である。円弧2aは、主ねじ山ランドHKを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧2及び3は、共通の接点を除いて作図点K2に対する距離がより小さいからである。
【0097】
作図点K2と作図点K1との間の距離は、ハウジング内半径RGのおよそ0.091倍である。溝の角二等分線と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、35.0度である。作図点K1と円弧1の中心との間の線、及び作図点K2と円弧3の始点との間の線は、ほぼ平行である。
【0098】
円弧1及び3はフランクを表す。2個の円弧の半径は、それぞれ、R_1=R_3=1.00である。これら2個の円弧の中心は、各事例において、作図点K1及びK2と同一ではない。
【0099】
主ねじ山ランドHK(円弧2a)及び副ねじ山ランドNKi(円弧2)は互いに接触する。主ねじ山ランド及び副ねじ山ランドNKiは、フランクによってそれぞれ溝から分離される。
【0100】
図3b:
図3bにおけるスクリュー輪郭は、
図3aのスクリュー輪郭を変位させることによって得られた。この変位は、作図点K2が、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在するように行われた。無次元ハウジング内半径はRG=0.66である。無次元スクリュー外半径はRA=0.65である。円弧2aは、無次元半径R_2a=0.65を有し、これは無次元スクリュー外半径RAに等しい。ハウジングに対する主ねじ山ランドHK(円弧2a)の無次元間隙は、C_HK=0.01である。
【0101】
この実施形態は、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧2a)との間に一定の狭い間隙を有し、その結果、ハウジングの洗浄が良好であるため、有利である。また、この実施形態は、ハウジングと副ねじ山ランドNK
i(円弧2)との間の収束チャネル又は拡散チャネル(回転方向に応じる)の長さが、
図1bに係る実施形態における長さよりも実質的に小さいため、有利である。したがって、時計回りに回転すると、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧2a)との間に収束チャネルが生まれ、反時計回りに回転すると、拡散チャネルが生まれる。
【0102】
図4a:
図4aは、溝の数Z=1を有するとともに5個の円弧から構成される、本発明に係る閉じたスクリュー輪郭を示している。無次元ハウジング内半径はRG=0.66である。無次元スクリュー外半径はRA=0.61である。ハウジングに対する副ねじ山ランドNK
i(円弧2)の無次元間隙は、C_NK=0.05である。ここで、円弧1の中心は、円弧3の始点と同じである。
【0103】
スクリュー輪郭は、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する作図点K1を有する。スクリュー輪郭は、作図点K1に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K1は円弧2の中心である。円弧2は、半径R_2=0.61を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_2=0.5238≒30.0度である。円弧2は、副ねじ山ランドNKiを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び2aは、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧4の中心である。円弧4は、無次元半径R_4=0.39を有し、これは無次元コア半径RIと同じである。中心角は、α_4=1.9217≒110.1度である。円弧4は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び3は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。
【0104】
スクリュー輪郭は、作図点K1とは一致せず、スクリュー輪郭内に存在し、さらには、その中心が作図点K1であるとともに、その無次元半径がコア半径RIである円の中に存在する作図点K2を有する。スクリュー輪郭は、作図点K2に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K2は円弧2aの中心である。円弧2aは、無次元半径R_2a=0.65を有し、これは無次元ハウジング内半径RG=0.66よりも幾分小さい。中心角は、α_2a=1.2966≒74.3度である。円弧2aは、主ねじ山ランドHKを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧2及び3は、共通の接点を除いて作図点K2に対する距離がより小さいからである。
【0105】
作図点K2と作図点K1との間の距離は、無次元ハウジング内半径RGのおよそ0.077倍である。溝の角二等分線と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、15.0度である。円弧3のサイズ及び位置は、
図1aと比較して変化しないままである。
【0106】
円弧1及び3はフランクを表す。2個の円弧の無次元半径は、それぞれ、R_1=R_3=1.00である。これら2個の円弧の中心は、各事例において、作図点K1及びK2と同一ではない。
【0107】
主ねじ山ランドHK(円弧2a)及び副ねじ山ランドNKi(円弧2)は互いに接触する。主ねじ山ランドHK及び副ねじ山ランドNKiは、フランクによってそれぞれ溝から分離される。
【0108】
図4b:
図4bにおけるスクリュー輪郭は、
図4aのスクリュー輪郭を変位させることによって得られた。この変位は、作図点K2が、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在するように行われた。無次元ハウジング内半径はRG=0.66である。無次元スクリュー外半径はRA=0.65である。円弧2aは、半径R_2a=0.65を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。ハウジングに対する主ねじ山ランドHK(円弧2a)の無次元間隙は、C_HK=0.01である。円1の中心は、円3の始点に対応する。
【0109】
この実施形態は、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧2a)との間に一定の狭い間隙を有し、その結果、ハウジングの洗浄が良好であるため、有利である。また、この実施形態は、ハウジングと副ねじ山ランドNK
i(円弧2)との間の収束チャネル又は拡散チャネル(回転方向に応じる)の長さが、
図1bに係る実施形態における長さよりも実質的に小さいため、有利である。したがって、時計回りに回転すると、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧2a)との間に収束チャネルが生まれ、反時計回りに回転すると、拡散チャネルが生まれる。
【0110】
図5a:
図5aは、従来技術に係る、溝の数Z=2を有するスクリュー輪郭を示している。無次元スクリュー外半径はRA=0.61である。無次元ハウジング内半径はRG=0.66である。作図点K1は、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する。
【0111】
この実施形態は、ハウジングと第1のねじ山ランド(円弧2)との間の間隙、及びまた、ハウジングと第2のねじ山ランド(円弧6)との間の間隙が大きく、その結果、ハウジングの洗浄が不良であるため、不利である。
【0112】
図5b:
図5bにおけるスクリュー輪郭は、
図5aのスクリュー輪郭を変位させることによって得られた。この変位は、円弧8の角二等分線と、作図点K1及び作図点K2を結ぶ線との間の小さい方の角度が135度となるように行われた。作図点K2は、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する。円弧7の始点に対応する円弧6の終点は、無次元スクリュー外半径RA上に存在する。無次元スクリュー外半径はRA=0.65である。無次元ハウジング内半径はRG=0.66である。
【0113】
図5aに係る実施形態と比較して、この実施形態は、ハウジングと円弧6の終点との間に狭い間隙を有し、その結果、ハウジングの洗浄が良好である。しかしながら、この実施形態は、ハウジングと第2のねじ山ランド(円弧6)との間の間隙が一定ではなく、その結果、回転方向に応じてハウジングと第2のねじ山ランド(円弧6)との間に収束チャネル又は拡散チャネルがもたらされる点において、不利である。スクリュー輪郭が作図点K2の周りに時計回りで回転すると、ポリマー質量体がハウジングと第2のねじ山ランド(円弧6)との間の収束チャネルに圧入され、その結果、スクリュー要素がハウジング及び/又は直接隣接するスクリュー要素と接触するほど十分に回転点DP1から遠くにスクリュー要素を移動させ得る大きな圧縮力がスクリュー要素に作用し、これにより、スクリュー要素の機械的摩耗に繋がる。
【0114】
図6a:
図6aは、溝の数Z=2を有するとともに9個の円弧から構成される、本発明に係る閉じたスクリュー輪郭を示している。無次元ハウジング内半径はRG=0.66である。無次元スクリュー外半径はRA=0.61である。ハウジングに対する第1の副ねじ山ランドNK
1(円弧2)及び第2の副ねじ山ランドNK
2(円弧6)の無次元間隙は、それぞれC_NK=0.05である。
【0115】
スクリュー輪郭は、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する作図点K1を有する。スクリュー輪郭は、作図点K1に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K1は円弧2の中心である。円弧2は、無次元半径R_2=0.61を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_2=0.3509≒20.1度である。円弧2は、副ねじ山ランドNKiを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び3は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧6の中心である。円弧6は、半径R_6=0.61を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_6=0.0001≒0.006度である。円弧6は、副ねじ山ランドNKiを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧5及び6aは、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧4の中心である。円弧4は、半径R_4=0.39を有し、これは無次元コア半径RIと同じである。中心角は、α_4=0.3509≒20.1度である。円弧4は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧3及び5は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。作図点K1は円弧8の中心である。円弧8は、半径R_8=0.39を有し、これは無次元コア半径RIと同じである。中心角は、α_8=0.3509≒20.1度である。円弧8は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び7は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。
【0116】
スクリュー輪郭は、作図点K1とは一致せず、スクリュー輪郭内に存在し、さらには、その中心が作図点K1であるとともに、その半径が無次元コア半径である円の中に存在する作図点K2を有する。スクリュー輪郭は、作図点K2に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K2は円弧6aの中心である。円弧6aは、無次元半径R_6a=0.65を有し、これは無次元ハウジング内半径RG=0.66よりも幾分小さい。中心角は、α_6a=0.3618≒20.7度である。円弧6aは、主ねじ山ランドHKを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧6及び7は、共通の接点を除いて作図点K2に対する距離がより小さいからである。
【0117】
作図点K2と作図点K1との間の距離は、無次元ハウジング内半径RGのおよそ0.100倍である。溝の角二等分線(溝の角二等分線上に存在する、その溝の円弧点は、小さい方の曲線長さによって主ねじ山ランドHKの最も近い点から分離される)と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、135.0度である。
【0118】
円弧1、3、5及び7はフランクを表す。4個の円弧の無次元半径は、それぞれ、R_1=R_3=R_5=R_7=1.00である。これら4個の円弧の中心は、各事例において、作図点K1及びK2と同一ではない。
【0119】
主ねじ山ランドHK(円弧6a)及び第2の副ねじ山ランドNK2(円弧6)は互いに接触する。主ねじ山ランドHK、第1の副ねじ山ランドNK1(円弧2)及び第2の副ねじ山ランドNK2(円弧6)は、フランクによってそれぞれ溝から分離される。
【0120】
図6b:
図6bにおけるスクリュー輪郭は、
図6aのスクリュー輪郭を変位させることによって得られた。この変位は、作図点K2が、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在するように行われた。無次元ハウジング内半径はRG=0.66である。無次元スクリュー外半径はRA=0.65である。円弧6aは、無次元半径R_6a=0.65を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。ハウジングに対する主ねじ山ランドHK(円弧6a)の無次元間隙は、C_HK=0.01である。
【0121】
この実施形態は、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧6a)との間に一定の狭い間隙を有し、その結果、ハウジングの洗浄が良好であるため、有利である。また、この実施形態は、ハウジングと副ねじ山ランドNK
i(円弧6)との間の収束チャネル又は拡散チャネル(回転方向に応じる)の長さが、
図5bとは対照的に実質的にゼロに等しいため、有利である。したがって、時計回りに回転すると、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧6a)との間に収束チャネルが生まれ、反時計回りに回転すると、拡散チャネルが生まれる。
【0122】
図7a:
図7aは、溝の数Z=2を有するとともに9個の円弧から構成される、本発明に係る閉じたスクリュー輪郭を示している。無次元ハウジング内半径はRG=0.66である。無次元スクリュー外半径はRA=0.61である。ハウジングに対する第1の副ねじ山ランドNK
1(円弧2)及び第2の副ねじ山ランドNK
2(円弧6)の無次元間隙は、それぞれC_NK=0.05である。
【0123】
スクリュー輪郭は、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する作図点K1を有する。スクリュー輪郭は、作図点K1に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K1は円弧2の中心である。円弧2は、無次元半径R_2=0.61を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_2=0.3509≒20.1度である。円弧2は、副ねじ山ランドNKiを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び3は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧6の中心である。円弧6は、無次元半径R_6=0.61を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_6=0.0837≒4.8度である。円弧6は、副ねじ山ランドNKiを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧5及び6aは、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧4の中心である。円弧4は、無次元半径R_4=0.39を有し、これは無次元コア半径RIと同じである。中心角は、α_4=0.3509≒20.1度である。円弧4は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧3及び5は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。作図点K1は円弧8の中心である。円弧8は、無次元半径R_8=0.39を有し、これは無次元コア半径RIと同じである。中心角は、α_8=0.3509≒20.1度である。円弧8は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び7は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。
【0124】
スクリュー輪郭は、作図点K1とは一致せず、スクリュー輪郭内に存在し、さらには、その中心が作図点K1であるとともに、その半径が無次元コア半径RIである円の中に存在する作図点K2を有する。スクリュー輪郭は、作図点K2に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K2は円弧6aの中心である。円弧6aは、無次元半径R_6a=0.65を有し、これは無次元ハウジング内半径RG=0.66よりも幾分小さい。中心角は、α_6a=0.2731≒15.6度である。円弧6aは、主ねじ山ランドHKを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧6及び7は、共通の接点を除いて作図点K2に対する距離がより小さいからである。
【0125】
作図点K2と作図点K1との間の距離は、無次元ハウジング内半径RGのおよそ0.091倍である。溝の角二等分線(溝の角二等分線上に存在する、その溝の円弧点は、小さい方の曲線長さによって主ねじ山ランドHKの最も近い点から分離される)と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、135.0度である。
【0126】
円弧1、3、5及び7はフランクを表す。4個の円弧の半径は、それぞれ、R_1=R_3=R_5=R_7=1.00である。これら4個の円弧の中心は、各事例において、作図点K1及びK2と同一ではない。
【0127】
主ねじ山ランドHK(円弧6a)及び第2の副ねじ山ランドNK2(円弧6)は互いに接触する。主ねじ山ランドHK、第1の副ねじ山ランドNK1(円弧2)及び第2の副ねじ山ランドNK2(円弧6)は、フランクによってそれぞれ溝から分離される。
【0128】
図7b:
図7bにおけるスクリュー輪郭は、
図7aのスクリュー輪郭を変位させることによって得られた。この変位は、作図点K2が、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在するように行われた。無次元ハウジング内半径はRG=0.66である。無次元スクリュー外半径はRA=0.65である。円弧6aは、無次元半径R_6a=0.65を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。ハウジングに対する主ねじ山ランドHK(円弧6a)の無次元間隙は、C_HK=0.01である。
【0129】
この実施形態は、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧6a)との間に一定の狭い間隙を有し、その結果、ハウジングの洗浄が良好であるため、有利である。また、この実施形態は、ハウジングと副ねじ山ランドNK
i(円弧6)との間の収束チャネル又は拡散チャネル(回転方向に応じる)の長さが、
図5bに係る実施形態における長さよりも実質的に小さいため、有利である。したがって、時計回りに回転すると、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧6a)との間に収束チャネルが生まれ、反時計回りに回転すると、拡散チャネルが生まれる。
【0130】
図8a:
図8aは、溝の数Z=2を有するとともに9個の円弧から構成される、本発明に係る閉じたスクリュー輪郭を示している。ハウジング内半径はRG=0.61である。無次元スクリュー外半径はRA=0.58である。ハウジングに対する第1の副ねじ山ランドNK
1(円弧2)及び第2の副ねじ山ランドNK
2(円弧6)の無次元間隙は、それぞれC_NK=0.03である。
【0131】
スクリュー輪郭は、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する作図点K1を有する。スクリュー輪郭は、作図点K1に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K1は円弧2の中心である。円弧2は、無次元半径R_2=0.58を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_2=0.5079≒29.1度である。円弧2は、副ねじ山ランドNKiを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び3は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧6の中心である。円弧6は、無次元半径R_6=0.58を有し、これはスクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_6=0.0320≒1.9度である。円弧6は、副ねじ山ランドNKiを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧5及び6aは、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧4の中心である。円弧4は、無次元半径R_4=0.42を有し、これは無次元コア半径RIと同じである。中心角は、α_4=0.5079≒29.1度である。円弧4は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧3及び5は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。作図点K1は円弧8の中心である。円弧8は、無次元半径R_8=0.42を有し、これは無次元コア半径RIと同じである。中心角は、α_8=0.5079≒29.1度である。円弧8は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び7は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。
【0132】
スクリュー輪郭は、作図点K1とは一致せず、スクリュー輪郭内に存在し、さらには、その中心が作図点K1であるとともに、その無次元半径が無次元コア半径RIである円の中に存在する作図点K2を有する。スクリュー輪郭は、作図点K2に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K2は円弧6aの中心である。円弧6aは、無次元半径R_6a=0.60を有し、これはハウジング内半径RG=0.61よりも幾分小さい。中心角は、α_6a=0.4895≒28.0度である。円弧6aは、主ねじ山ランドHKを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧6及び7は、共通の接点を除いて作図点K2に対する距離がより小さいからである。
【0133】
作図点K2と作図点K1との間の距離は、ハウジング内半径RGのおよそ0.055倍である。溝の角二等分線(溝の角二等分線上に存在する、その溝の円弧点は、小さい方の曲線長さによって主ねじ山ランドHKの最も近い点から分離される)と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、135.0度である。
【0134】
円弧1、3、5及び7はフランクを表す。4個の円弧の無次元半径は、それぞれ、R_1=R_3=R_5=R_7=1.00である。これら4個の円弧の中心は、各事例において、作図点K1及びK2と同一ではない。
【0135】
主ねじ山ランドHK(円弧6a)及び第2の副ねじ山ランドNK2(円弧6)は互いに接触する。主ねじ山ランドHK、第1の副ねじ山ランドNK1(円弧2)及び第2の副ねじ山ランドNK2(円弧6)は、フランクによってそれぞれ溝から分離される。
【0136】
図8b:
図8bにおけるスクリュー輪郭は、
図8aのスクリュー輪郭を変位させることによって得られた。この変位は、作図点K2が、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在するように行われた。無次元ハウジング内半径はRG=0.61である。無次元スクリュー外半径はRA=0.60である。円弧6aは、無次元半径R_6a=0.60を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。ハウジングに対する主ねじ山ランドHK(円弧6a)の無次元間隙は、C_HK=0.01である。
【0137】
この実施形態は、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧6a)との間に一定の狭い間隙を有し、その結果、ハウジングの洗浄が良好であるため、有利である。また、この実施形態は、ハウジングと副ねじ山ランドNK
i(円弧6)との間の収束チャネル又は拡散チャネル(回転方向に応じる)の長さが、
図5bに係る実施形態における長さよりも実質的に小さいため、有利である。したがって、時計回りに回転すると、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧6a)との間に収束チャネルが生まれ、反時計回りに回転すると、拡散チャネルが生まれる。
【0138】
図9a:
図9aは、溝の数Z=2を有するとともに10個の円弧から構成される、本発明に係る閉じたスクリュー輪郭を示している。無次元ハウジング内半径はRG=0.66である。無次元スクリュー外半径はRA=0.61である。ハウジングに対する第1の副ねじ山ランドNK
1(円弧2)及び第2の副ねじ山ランドNK
2(円弧6)の無次元間隙は、それぞれC_NK=0.05である。
【0139】
スクリュー輪郭は、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する作図点K1を有する。スクリュー輪郭は、作図点K1に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K1は円弧2の中心である。円弧2は、無次元半径R_2=0.61を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_2=0.0550≒3.2度である。円弧2は、副ねじ山ランドNKiを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧2a及び3は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧6の中心である。円弧6は、無次元半径R_6=0.61を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_6=0.0837≒4.8度である。円弧6は、副ねじ山ランドNKiを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧5及び6aは、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧4の中心である。円弧4は、半径R_4=0.39を有し、これは無次元コア半径RIと同じである。中心角は、α_4=0.3509≒20.1度である。円弧4は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧3及び5は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。作図点K1は円弧8の中心である。円弧8は、半径R_8=0.39を有し、これは無次元コア半径RIと同じである。中心角は、α_8=0.3509≒20.1度である。円弧8は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び7は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。
【0140】
スクリュー輪郭は、作図点K1とは一致せず、スクリュー輪郭内に存在し、さらには、その中心が作図点K1であるとともに、その無次元半径が無次元コア半径RIである円の中に存在する作図点K2を有する。スクリュー輪郭は、作図点K2に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K2は円弧2aの中心である。円弧2aは、無次元半径R_2a=0.564を有し、これは無次元スクリュー外半径RA=0.61よりも小さい。中心角は、α_2a=0.3577≒20.5度である。円弧2aは、副ねじ山ランドNKiを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び2は、共通の接点を除いて作図点K2に対する距離がより小さく、円弧6aは作図点K2に対する距離がより大きいからである。作図点K2は円弧6aの中心である。円弧6aは、無次元半径R_6a=0.65を有し、これは無次元ハウジング内半径RG=0.66よりも幾分小さい。中心角は、α_6a=0.2731≒15.6度である。円弧6aは、主ねじ山ランドHKを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧6及び7は、共通の接点を除いて作図点K2に対する距離がより小さく、円弧2aは、作図点K2に対する距離がより小さいからである。
【0141】
作図点K2と作図点K1との間の距離は、無次元ハウジング内半径RGのおよそ0.091倍である。溝の角二等分線(溝の角二等分線上に存在する、その溝の円弧点は、小さい方の曲線長さによって主ねじ山ランドHKの最も近い点から分離される)と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、135.0度である。
【0142】
円弧1、3、5及び7はフランクを表す。4個の円弧の無次元半径は、それぞれ、R_1=R_3=R_5=R_7=1.00である。これら4個の円弧の中心は、各事例において、作図点K1及びK2と同一ではない。
【0143】
主ねじ山ランドHK(円弧6a)及び第2の副ねじ山ランドNK2(円弧6)は互いに接触する。主ねじ山ランドHK、第1の副ねじ山ランドNK1(円弧2)及び第2の副ねじ山ランドNK2(円弧6)は、フランクによってそれぞれ溝から分離される。
【0144】
図9b:
図9bにおけるスクリュー輪郭は、
図9aのスクリュー輪郭を変位させることによって得られた。この変位は、作図点K2が、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在するように行われた。無次元ハウジング内半径はRG=0.66である。無次元スクリュー外半径はRA=0.65である。円弧6aは、無次元半径R_6a=0.65を有し、これは無次元スクリュー外半径RAに等しい。ハウジングに対する主ねじ山ランドHK(円弧6a)の無次元間隙は、C_HK=0.01である。
【0145】
この実施形態は、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧6a)との間に一定の狭い間隙を有し、その結果、ハウジングの洗浄が良好であるため、有利である。この実施形態は、ハウジングと第1の副ねじ山ランドNK
1(円弧2a)との間に一定の間隙を有するため、更に有利である。また、この実施形態は、ハウジングと副ねじ山ランドNK(円弧2)及び第2の副ねじ山ランドNK
2(円弧6)との間の収束チャネル又は拡散チャネル(回転方向に応じる)の長さが、
図5bに係る実施形態における長さよりも実質的に小さいため、有利である。したがって、時計回りに回転すると、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧6a)との間に収束チャネルが生まれ、反時計回りに回転すると、拡散チャネルが生まれる。
【0146】
図10a:
図10aは、溝の数Z=2を有するとともに10個の円弧から構成される、本発明に係る閉じたスクリュー輪郭を示している。無次元ハウジング内半径はRG=0.66である。無次元スクリュー外半径はRA=0.61である。ハウジングに対する第1の副ねじ山ランドNK
1(円弧2)及び第2の副ねじ山ランドNK
2(円弧6)の間隙は、それぞれC_NK=0.05である。
【0147】
スクリュー輪郭は、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する作図点K1を有する。スクリュー輪郭は、作図点K1に対して点対称である。作図点K1は円弧2の中心である。円弧2は、無次元半径R_2=0.61を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_2=0.0837≒4.8度である。円弧2は、副ねじ山ランドNKiを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧2a及び3は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧6の中心である。円弧6は、無次元半径R_6=0.61を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_6=0.0837≒4.8度である。円弧6は、副ねじ山ランドNK2を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧5及び6aは、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧4の中心である。円弧4は、無次元半径R_4=0.39を有し、これは無次元コア半径RIと同じである。中心角は、α_4=0.3509≒20.1度である。円弧4は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧3及び5は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。作図点K1は円弧8の中心である。円弧8は、無次元半径R_8=0.39を有し、これは無次元コア半径RIと同じである。中心角は、α_8=0.3509≒20.1度である。円弧8は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び7は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。
【0148】
スクリュー輪郭は、作図点K1とは一致せず、スクリュー輪郭内に存在し、さらには、その中心が作図点K1であるとともに、その無次元半径が無次元コア半径RIである円の中に存在する作図点K2を有する。スクリュー輪郭は、作図点K2に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K2は円弧6aの中心である。円弧6aは、無次元半径R_6a=0.65を有し、これは無次元ハウジング内半径RG=0.66よりも幾分小さい。中心角は、α_6a=0.2731≒15.6度である。円弧6aは、主ねじ山ランドHKを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧6及び7は、共通の接点を除いて作図点K2に対する距離がより小さいからである。
【0149】
スクリュー輪郭は、作図点K1に対して作図点K2と同じ距離を有する作図点K3を有する。作図点K1、K2及びK3は直線上に存在し、K1、K2及びK3は同一ではない。スクリュー輪郭は、作図点K3に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K3は円弧2aの中心である。円弧2aは、無次元半径R_2a=0.65を有し、これは無次元ハウジング内半径RG=0.66よりも幾分小さい。中心角は、α_2a=0.2731≒15.6度である。円弧2aは、副ねじ山ランドNK3を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧2及び3は、共通の接点を除いて作図点K3に対する距離がより小さいからである。
【0150】
作図点K2と作図点K1との間の距離は、無次元ハウジング内半径RGのおよそ0.091倍である。溝の角二等分線(溝の角二等分線上に存在する、その溝の円弧点は、小さい方の曲線長さによって主ねじ山ランドHKの最も近い点から分離される)と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、135.0度である。
【0151】
円弧1、3、5及び7はフランクを表す。4個の円弧の無次元半径は、それぞれ、R_1=R_3=R_5=R_7=1.00である。これら4個の円弧の中心は、各事例において、作図点K1及びK2と同一ではない。
【0152】
主ねじ山ランドHK(円弧6a)及び第2の副ねじ山ランドNK2(円弧6)は互いに接触する。主ねじ山ランドHK、第1の副ねじ山ランドNK1(円弧2)及び第2の副ねじ山ランドNK2(円弧6)は、フランクによってそれぞれ溝から分離される。
【0153】
スクリュー輪郭は、作図点K1に対して軸対称ではなく点対称である。このようにして、スクリュー輪郭は、特に容易に作図することができる。
【0154】
図10b:
図10bにおけるスクリュー輪郭は、
図10aのスクリュー輪郭を変位させることによって得られた。この変位は、作図点K2が、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在するように行われた。無次元ハウジング内半径はRG=0.66である。無次元スクリュー外半径はRA=0.65である。円弧6aは、無次元半径R_6a=0.65を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。ハウジングに対する主ねじ山ランド(円弧6a)の無次元間隙は、C_HK=0.01である。
【0155】
この実施形態は、ハウジングと主ねじ山ランド(円弧6a)との間に一定の狭い間隙を有し、その結果、ハウジングの洗浄が良好であるため、有利である。また、この実施形態は、ハウジングと主ねじ山ランド(円弧6)との間の収束チャネル又は拡散チャネル(回転方向に応じる)の長さが、
図5bに係る実施形態における長さよりも実質的に小さいため、有利である。したがって、時計回りに回転すると、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧6a)との間に収束チャネルが生まれ、反時計回りに回転すると、拡散チャネルが生まれる。
【0156】
図11a:
図11a1は、従来技術に係る、溝の数Z=3を有するスクリュー輪郭を示しており、
図11a2は、
図11a1の円弧6の周囲の拡大詳細図を示している。無次元スクリュー外半径はRA=0.54である。無次元ハウジング内半径はRG=0.584である。作図点K1は、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する。
【0157】
この実施形態は、ハウジングと第1のねじ山ランド(円弧2)との間の間隙、及びまた、ハウジングと第2のねじ山ランド(円弧6)との間の間隙、及びまた、ハウジングと第3のねじ山ランド(円弧10)との間の間隙が大きく、その結果、ハウジングの洗浄が不良であるため、不利である。
【0158】
図11b:
図11b1におけるスクリュー輪郭は、
図11a1のスクリュー輪郭を変位させることによって得られた。
図11b2は、
図11b1の円弧6の周囲の拡大詳細図を示している。変位は、円弧8の角二等分線と、作図点K1及び作図点K2を結ぶ線との間の小さい方の角度が150度となるように行われた。作図点K2は、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する。円弧7の始点に対応する円弧6の終点は、無次元スクリュー外半径RA上に存在し、円弧6の始点は、無次元スクリュー外半径RA上に存在しない。無次元スクリュー外半径はRA=0.58である。無次元ハウジング内半径はRG=0.584である。
【0159】
図11a1に係る実施形態と比較して、この実施形態は、ハウジングと円弧6の終点との間に狭い間隙を有し、その結果、ハウジングの洗浄が良好である。しかしながら、この実施形態は、ハウジングと第2のねじ山ランド(円弧6)との間の間隙が一定ではなく、その結果、回転方向に応じてハウジングと第2のねじ山ランド(円弧6)との間に収束チャネル又は拡散チャネルがもたらされるという点において、不利である。したがって、時計回りに回転すると、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧6)との間に収束チャネルが生まれ、反時計回りに回転すると、拡散チャネルが生まれる。
【0160】
図12a:
図12a1は、溝の数Z=3を有するとともに13個の円弧から構成される、本発明に係る閉じたスクリュー輪郭を示しており、
図12a2は、
図12a1の円弧6及び円弧6aの周囲の拡大詳細図を示している。無次元ハウジング内半径はRG=0.584である。無次元スクリュー外半径はRA=0.54である。ハウジングに対する第1の副ねじ山ランドNK
1(円弧2)、第2の副ねじ山ランドNK
2(円弧6)及び第3の副ねじ山ランドNK
3(円弧10)の無次元間隙は、それぞれC_NK=0.044である。
【0161】
スクリュー輪郭は、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する作図点K1を有する。スクリュー輪郭は、作図点K1に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K1は円弧2の中心である。円弧2は、無次元半径R_2=0.54を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_2=0.2726≒15.6度である。円弧2は、副ねじ山ランドNK1を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び3は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧6の中心である。円弧6は、無次元半径R_6=0.54を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_6=0.0501≒2.9度である。円弧6は、副ねじ山ランドNK2を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧5及び6aは、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧10の中心である。円弧10は、無次元半径R_10=0.54を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_10=0.2726≒15.6度である。円弧10は、副ねじ山ランドNK3を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧9及び11は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧4の中心である。円弧4は、無次元半径R_4=0.46を有し、これは無次元コア半径RIと同じである。中心角は、α_4=0.2726≒15.6度である。円弧4は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧3及び5は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。作図点K1は円弧8の中心である。円弧8は、半径R_8=0.46を有し、これは無次元コア半径RIと同じである。中心角は、α_8=0.2726≒15.6度である。円弧8は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧7及び9は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。作図点K1は円弧12の中心である。円弧12は、半径R_12=0.46を有し、これは無次元コア半径RIと同じである。中心角は、α_12=0.2726≒15.6度である。円弧12は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び11は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。
【0162】
スクリュー輪郭は、作図点K1とは一致せず、スクリュー輪郭内に存在し、さらには、その中心が作図点K1であるとともに、その無次元半径が無次元コア半径RIである円の中に存在する作図点K2を有する。スクリュー輪郭は、作図点K2に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K2は円弧6aの中心である。円弧6aは、無次元半径R_6a=0.58を有し、これは無次元ハウジング内半径RG=0.584よりも幾分小さい。中心角は、α_6a=0.2282≒13.1度である。円弧6aは、主ねじ山ランドHKを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧6及び7は、共通の接点を除いて作図点K2に対する距離がより小さいからである。
【0163】
作図点K2と作図点K1との間の距離は、ハウジング内半径RGのおよそ0.073倍である。溝の角二等分線(溝の角二等分線上に存在する、その溝の円弧点は、小さい方の曲線長さによって主ねじ山ランドHKの最も近い点から分離される)と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、150.0度である。
【0164】
円弧1、3、5、7、9及び11はフランクを表す。6個の円弧の無次元半径は、それぞれ、R_1=R_3=R_5=R_7=R_9=R_11=1.00である。これら6個の円弧の中心は、各事例において、作図点K1及びK2と同一ではない。
【0165】
主ねじ山ランドHK(円弧6a)及び副ねじ山ランドNK2(円弧6)は互いに接触する。主ねじ山ランドHK(円弧6a)、第1の副ねじ山ランドNK1(円弧2)、第2の副ねじ山ランドNK2(円弧6)、及び第3の副ねじ山ランドNK3(円弧10)は、フランクによってそれぞれ溝から分離される。
【0166】
図12b:
図12b1におけるスクリュー輪郭は、
図12a1のスクリュー輪郭を変位させることによって得られた。
図12b2は、
図12b1の円弧6及び円弧6aの周囲の拡大詳細図を示している。変位は、作図点K2が、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在するように行われた。ハウジング内半径はRG=0.584である。無次元スクリュー外半径はRA=0.58である。円弧6aは、無次元半径R_6a=0.58を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。ハウジングに対する主ねじ山ランドHK(円弧6a)の無次元間隙は、C_HK=0.004である。
【0167】
この実施形態は、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧6a)との間に一定の狭い間隙を有し、その結果、ハウジングの洗浄が良好であるため、有利である。また、この実施形態は、ハウジングと主ねじ山ランド(円弧6)との間の収束チャネル又は拡散チャネル(回転方向に応じる)の長さが、
図11bに係る実施形態における長さよりも実質的に小さいため、有利である。したがって、時計回りに回転すると、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧6a)との間に収束チャネルが生まれ、反時計回りに回転すると、拡散チャネルが生まれる。
【0168】
図13a:
図13a1は、従来技術に係る、溝の数Z=4を有するスクリュー輪郭を示しており、
図13a2は、
図13a1の円弧6の周囲の拡大詳細図を示している。無次元スクリュー外半径はRA=0.52である。無次元ハウジング内半径はRG=0.554である。作図点K1は、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する。
【0169】
この実施形態は、ハウジングと第1のねじ山ランド(円弧2)との間の間隙、及びまた、ハウジングと第2のねじ山ランド(円弧6)との間の間隙、及びまた、ハウジングと第3のねじ山ランド(円弧10)との間の間隙、及びまた、ハウジングと第4のねじ山ランド(円弧14)との間の間隙が大きく、その結果、ハウジングの洗浄が不良であるため、不利である。
【0170】
図13b:
図13b1におけるスクリュー輪郭は、
図13a1のスクリュー輪郭を変位させることによって得られた。
図13b2は、
図13b1の円弧6の周囲の拡大詳細図を示している。変位は、円弧8の角二等分線と、作図点K1及び作図点K2を結ぶ線との間の小さい方の角度が157.5度となるように行われた。作図点K2は、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する。円弧7の始点に対応する円弧6の終点は、無次元スクリュー外半径RA上に存在し、円弧6の始点は、無次元スクリュー外半径RA上に存在しない。無次元スクリュー外半径はRA=0.55である。無次元ハウジング内半径はRG=0.554である。
【0171】
図13a1に係る実施形態と比較して、この実施形態は、ハウジングと円弧6の終点との間に狭い間隙を有し、その結果、ハウジングの洗浄が良好である。しかしながら、この実施形態は、ハウジングと第2のねじ山ランド(円弧6)との間の間隙が一定ではなく、その結果、回転方向に応じてハウジングと第2のねじ山ランド(円弧6)との間に収束チャネル又は拡散チャネルがもたらされるという点において、不利である。したがって、時計回りに回転すると、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧6)との間に収束チャネルが生まれ、反時計回りに回転すると、拡散チャネルが生まれる。
【0172】
図14a:
図14a1は、溝の数Z=4を有するとともに17個の円弧から構成される、本発明に係る閉じたスクリュー輪郭を示しており、
図14a2は、
図14a1の円弧6及び円弧6aの周囲の拡大詳細図を示している。無次元ハウジング内半径はRG=0.554である。スクリュー外半径はRA=0.52である。ハウジングに対する第1の副ねじ山ランドNK
1(円弧2)、第2の副ねじ山ランドNK
2(円弧6)、第3の副ねじ山ランドNK
3(円弧10)及び第4の副ねじ山ランドNK
4(円弧14)の間隙は、それぞれC_NK=0.034である。
【0173】
スクリュー輪郭は、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する作図点K1を有する。スクリュー輪郭は、作図点K1に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K1は円弧2の中心である。円弧2は、無次元半径R_2=0.52を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_2=0.2289≒13.1度である。円弧2は、副ねじ山ランドNK1を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び3は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧6の中心である。円弧6は、無次元半径R_6=0.52を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_6=0.0381≒2.2度である。円弧6は、副ねじ山ランドNK2を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧5及び6aは、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧10の中心である。円弧10は、無次元半径R_10=0.52を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_10=0.2289≒13.1度である。円弧10は、副ねじ山ランドNK3を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧9及び11は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧14の中心である。円弧14は、無次元半径R_14=0.52を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。中心角は、α_14=0.2289≒13.1度である。円弧14は、副ねじ山ランドNK4を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧13及び15は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより小さいからである。作図点K1は円弧4の中心である。円弧4は、無次元半径R_4=0.48を有し、これは無次元コア半径と同じである。中心角は、α_4=0.2289≒13.1度である。円弧4は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧3及び5は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。作図点K1は円弧8の中心である。円弧8は、無次元半径R_8=0.48を有し、これは無次元コア半径と同じである。中心角は、α_8=0.2289≒13.1度である。円弧8は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧7及び9は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。作図点K1は円弧12の中心である。円弧12は、無次元半径R_12=0.48を有し、これは無次元コア半径と同じである。中心角は、α_12=0.2289≒13.1度である。円弧12は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧11及び13は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。作図点K1は円弧16の中心である。円弧16は、無次元半径R_16=0.48を有し、これは無次元コア半径と同じである。中心角は、α_16=0.2289≒13.1度である。円弧16は、溝を表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧1及び15は、共通の接点を除いて作図点K1に対する距離がより大きいからである。
【0174】
スクリュー輪郭は、作図点K1とは一致せず、スクリュー輪郭内に存在し、さらには、その中心が作図点K1であるとともに、その無次元半径が無次元コア半径である円の中に存在する作図点K2を有する。スクリュー輪郭は、作図点K2に対して軸対称又は点対称ではない。作図点K2は円弧6aの中心である。円弧6aは、無次元半径R_6a=0.55を有し、これは無次元ハウジング内半径RG=0.554よりも幾分小さい。中心角は、α_6a=0.01950≒11.2度である。円弧6aは、主ねじ山ランドHKを表す。なぜなら、2個の直接隣接する円弧6及び7は、共通の接点を除いて作図点K2に対する距離がより小さいからである。
【0175】
作図点K2と作図点K1との間の無次元距離は、無次元ハウジング内半径RGのおよそ0.051倍である。溝の角二等分線(溝の角二等分線上に存在する、その溝の円弧点は、小さい方の曲線長さによって主ねじ山ランドHKの最も近い点から分離される)と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、157.5度である。
【0176】
円弧1、3、5、7、9、11、13及び15はフランクを表す。8個の円弧の無次元半径は、それぞれ、R_1=R_3=R_5=R_7=R_9=R_11=R_13=R_15=1.00である。これら8個の円弧の中心は、各事例において、作図点K1及びK2と同一ではない。
【0177】
主ねじ山ランドHK(円弧6a)及び第2の副ねじ山ランドNK2(円弧6)は互いに接触する。主ねじ山ランドHK、第1の副ねじ山ランドNK1(円弧2)、第2の副ねじ山ランドNK2(円弧6)、第3の副ねじ山ランドNK3(円弧10)及び第4の副ねじ山ランドNK4(円弧14)は、フランクによってそれぞれ溝から分離される。
【0178】
図14b:
図14b1におけるスクリュー輪郭は、
図14aのスクリュー輪郭を変位させることによって得られた。
図14b2は、
図14b1の円弧6及び円弧6aの周囲の拡大詳細図を示している。変位は、作図点K2が、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在するように行われた。無次元ハウジング内半径はRG=0.554である。無次元スクリュー外半径はRA=0.55である。円弧6aは、無次元半径R_6a=0.55を有し、これは無次元スクリュー外半径RAと同じである。ハウジングに対する主ねじ山ランドHK(円弧6a)の無次元間隙は、C_HK=0.004である。
【0179】
この実施形態は、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧6a)との間に一定の狭い間隙を有し、その結果、ハウジングの洗浄が良好であるため、有利である。また、この実施形態は、ハウジングと主ねじ山ランド(円弧6)との間の収束チャネル又は拡散チャネル(回転方向に応じる)の長さが、
図13bに係る実施形態における長さよりも実質的に小さいため、有利である。したがって、時計回りに回転すると、ハウジングと主ねじ山ランドHK(円弧6a)との間に収束チャネルが生まれ、反時計回りに回転すると、拡散チャネルが生まれる。
【0180】
図1~
図14は、1~4の溝の数Zを有するスクリュー輪郭を示しており、これらのスクリュー輪郭において、無次元スクリュー外半径RAは、異なる離散値を有する。本発明に係るスクリュー要素は、スクリュー外半径のこれらの離散値に限定されない。1個の溝又は2個の溝を有するスクリュー輪郭は、作図点K1が、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する場合、RA=0.57~RA=0.67の範囲、好ましくはRA=0.59~RA=0.65の範囲の無次元スクリュー外半径を有することができる。3個の溝を有するスクリュー輪郭は、作図点K1が、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する場合、RA=0.515~RA=0.56の範囲、好ましくはRA=0.525~RA=0.55の範囲のスクリュー外半径を有することができる。4個の溝を有するスクリュー輪郭は、作図点K1が、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する場合、RA=0.51~RA=0.535の範囲、好ましくはRA=0.515~RA=0.53の範囲のスクリュー外半径を有することができる。
【0181】
作図点K1が、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する場合、無次元スクリュー外半径RAは、無次元ハウジング内半径RGよりも、0.2%~10%小さく、好ましくは0.4%~7.5%小さく、特に好ましくは0.6%~5%小さく、非常に特に好ましくはおよそ0.8%~2.5%小さい。すなわち、作図点K1が、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する場合、副ねじ山ランドNKiとハウジングとの間の無次元間隙C_NKは、無次元ハウジング内半径RGの0.2%~10%、好ましくは0.4%~7.5%、特に好ましくは0.6%~5%、非常に特に好ましくはおよそ0.8%~2.5%である。複数の副ねじ山ランドNK1~NKnの場合、これらの副ねじ山ランドは、同じ又は異なる無次元間隙C_NKを有することができる。
【0182】
作図点K2が、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する場合、無次元スクリュー外半径RAは、無次元ハウジング内半径RGよりも、0.1%~3.2%小さく、好ましくは0.2%~2.6%小さく、特に好ましくは0.3%~2.0%小さく、非常に特に好ましくはおよそ0.4%~1.4%小さい。すなわち、作図点K2が、ハウジングボアの中心M1に存在し、したがって、関連する回転点DP1に存在する場合、主ねじ山ランドHKとハウジングとの間の無次元間隙C_HKは、無次元ハウジング内半径RGの0.1%~3.2%、好ましくは0.2%~2.6%、特に好ましくは0.3%~2.0%、非常に特に好ましくはおよそ0.4%~1.4%である。
【0183】
作図点K1からの作図点K2の距離、及び、溝の角二等分線(溝の角二等分線上に存在する、その溝の円弧点は、小さい方の曲線長さによって主ねじ山ランドHKの最も近い点から分離される)と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度により、主ねじ山ランドHKの位置及びその中心角のサイズ、ひいてはスクリュー輪郭又はこのスクリュー輪郭を有するスクリュー要素を、ツインシャフトねじ切り盤における加工タスクに適合させることが可能になる。したがって、例えば、
図6aに係る輪郭の場合、上記距離(ハウジング内半径の0.1倍)、及び、溝の角二等分線(溝の角二等分線上に存在する、その溝の円弧点は、小さい方の曲線長さによって主ねじ山ランドHKの最も近い点から分離される)と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度(135度)は、円弧6がほとんど存在しなくなるように選択されている。
図7aでは、K1とK2との間の距離は、ハウジング内半径の0.091倍に減少されており、その結果、円弧6の中心角が増大し、主ねじ山ランドHKを表す円弧6aの中心角が減少する。
図6aにおいて、K1とK2との間の距離をハウジング内半径の0.1倍よりも大きく増大させた場合、円弧6は完全にスクリュー輪郭から消失することになる。この場合、円弧5及び6aの中心角を求めることができるように、円弧5と6aとの間の交点を確かめる必要がある。溝の数Z=3又は溝の数Z=4を有するスクリュー輪郭の場合も、上述したことが同様に当てはまる。
【0184】
その中心が作図点K2又は作図点K3である円弧から形成される副ねじ山ランドNK
iをスクリュー輪郭が有する場合、作図点K2又は作図点K3の位置、及び副ねじ山ランドNK
iを形成する円弧の半径により、副ねじ山ランドNK
iをツインシャフトねじ切り盤における加工タスクに適合させることが可能になる。
図9aにおいて、その中心が作図点K2である円弧2aは、対応する副ねじ山ランドNK
iを形成する。
図9aにおいて、円弧2aの半径を減少させた場合、円弧2aの中心角が増大する。円弧2aの半径が十分に小さい場合、円弧2は、完全にスクリュー輪郭から消失することになる。この場合、円弧2a及び3の中心角を求めることができるように、円弧2aと3との間の交点を確かめる必要がある。
図10aにおいて、その中心が作図点K3である円弧2aは、対応する副ねじ山ランドNK
iを形成する。
図10aにおいて、円弧2aの半径を減少させた場合、円弧2aの中心角が増大する。円弧2aの半径が十分に小さい場合、円弧2は、完全にスクリュー輪郭から消失することになる。この場合、円弧1及び2aの中心角を求めることができるように、円弧1と2aとの間の交点を確かめる必要がある。
【0185】
図1~
図14は、溝の数Z=1~Z=4を有するスクリュー輪郭を示しており、これらのスクリュー輪郭において、作図点K1とK2との間の距離は、異なる離散値を有する。本発明に係るスクリュー要素は、これらの離散値に限定されない。作図点K1から作図点K2までの距離は、無次元ハウジング内半径RGの0.2%~20%、好ましくは0.4%~15%、特に好ましくは0.6%~10%、非常に特に好ましくは0.8%~5%である。
【0186】
図1~
図14は、溝の数Z=1~Z=4を有するスクリュー輪郭を示しており、これらのスクリュー輪郭において、溝の角二等分線(溝の角二等分線上に存在する、その溝の円弧点は、小さい方の曲線長さによって主ねじ山ランドHKの最も近い点から分離される)と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、異なる離散値を有する。本発明に係るスクリュー要素は、これらの離散値に限定されない。溝の数Z=1の場合、溝の角二等分線と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、0度~90度の範囲、好ましくは45度~70度の範囲、特に好ましくはおよそ55度である。溝の数Z=2の場合、溝の角二等分線(溝の角二等分線上に存在する、その溝の円弧点は、小さい方の曲線長さによって主ねじ山ランドHKの最も近い点から分離される)と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、110度~160度の範囲、好ましくは125度~145度の範囲、特に好ましくはおよそ135度である。溝の数Z=3の場合、溝の角二等分線(溝の角二等分線上に存在する、その溝の円弧点は、小さい方の曲線長さによって主ねじ山ランドHKの最も近い点から分離される)と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、130度~170度の範囲、好ましくは140度~160度の範囲、特に好ましくはおよそ150度である。溝の数Z=4の場合、溝の角二等分線(溝の角二等分線上に存在する、その溝の円弧点は、小さい方の曲線長さによって主ねじ山ランドHKの最も近い点から分離される)と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度は、140度~175度の範囲、好ましくは150度~165度の範囲、特に好ましくはおよそ157.5度である。
【0187】
図1~
図14は、溝の数Z=1~Z=4を有するスクリュー輪郭を示しており、これらのスクリュー輪郭において、溝を形成する円弧の中心角は、異なる離散値を有する。本発明に係るスクリュー要素は、これらの離散値に限定されない。溝の数Z=1の場合、溝を形成する円弧は、90度~150度の中心角、好ましくは95度~140度の中心角、特に好ましくは100度~130度の中心角を有する。溝の数Z=2の場合、溝を形成する円弧は、それぞれ5度~50度の中心角、好ましくは10度~40度の中心角、特に好ましくは15度~30度の中心角を有する。溝の数Z=3の場合、溝を形成する円弧は、それぞれ3度~30度の中心角、好ましくは6度~24度の中心角、特に好ましくは9度~18度の中心角を有する。溝の数Z=4の場合、溝を形成する円弧は、それぞれ2度~20度の中心角、好ましくは4度~16度の中心角、特に好ましくは6度~12度の中心角を有する。
【0188】
図1~
図14は、溝の数Z=1~Z=4を有するスクリュー輪郭を示しており、これらのスクリュー輪郭において、主ねじ山ランドHKを形成する円弧の中心角は、異なる離散値を有する。本発明に係るスクリュー要素は、これらの離散値に限定されない。第1の状況においては、例えば、主ねじ山ランドHKの2個の隣接する円弧のうちの一方は、副ねじ山ランドNK
iである場合がある。第2の状況においては、例えば、主ねじ山ランドHKの2個の直接隣接する円弧がいずれも、副ねじ山ランドNK
iではない場合があり得る。溝の数Z=1の場合、第1の状況では、主ねじ山ランドHKを形成する円弧は、10度~150度の中心角、好ましくは30度~140度の中心角、特に好ましくは50度~130度の中心角を有する。溝の数Z=1の場合、第2の状況では、主ねじ山ランドHKを形成する円弧は、90度~150度の中心角、好ましくは95度~140度の中心角、特に好ましくは100度~130度の中心角を有する。溝の数が2個の場合、第1の状況では、主ねじ山ランドHKを形成する円弧は、5度~50度の中心角、好ましくは10度~40度の中心角、特に好ましくは15度~30度の中心角を有する。溝の数が2個の場合、第2の状況では、主ねじ山ランドHKを形成する円弧は、5度~50度の中心角、好ましくは10度~40度の中心角、特に好ましくは15度~30度の中心角を有する。溝の数が3個の場合、第1の状況では、主ねじ山ランドHKを形成する円弧は、3度~30度の中心角、好ましくは6度~24度の中心角、特に好ましくは9度~18度の中心角を有する。溝の数が3個の場合、第2の状況では、主ねじ山ランドHKを形成する円弧は、3度~30度の中心角、好ましくは6度~24度の中心角、特に好ましくは9度~18度の中心角を有する。溝の数が4個の場合、第1の状況では、主ねじ山ランドHKを形成する円弧は、2度~20度の中心角、好ましくは4度~16度の中心角、特に好ましくは6度~12度の中心角を有する。溝の数が4個の場合、第2の状況では、主ねじ山ランドHKを形成する円弧は、2度~20度の中心角、好ましくは4度~16度の中心角、特に好ましくは6度~12度の中心角を有する。
【0189】
図1~
図14は、溝の数Z=1~Z=4を有するスクリュー輪郭を示しており、これらのスクリュー輪郭において、副ねじ山ランドNK
1~NK
nを形成する円弧の中心角は、異なる離散値を有する。本発明に係るスクリュー要素は、これらの離散値に限定されない。第1の状況においては、例えば、副ねじ山ランドNK
iの2個の直接隣接する円弧のうちの一方は、主ねじ山ランドHKである場合がある。第2の状況においては、例えば、副ねじ山ランドNK
iの2個の直接隣接する円弧がいずれも、主ねじ山ランドHKではない場合があり得る。溝の数Z=1の場合、第1の状況では、副ねじ山ランドNK
iを形成する円弧は、0度よりも大きく140度までの中心角、好ましくは0度よりも大きく110度までの中心角、特に好ましくは0度よりも大きく80度までの中心角を有する。溝の数Z=2の場合、第1の状況では、副ねじ山ランドNK
iを形成する円弧は、0度よりも大きく45度までの中心角、好ましくは0度よりも大きく30度までの中心角、特に好ましくは0度よりも大きく15度までの中心角を有する。溝の数Z=2の場合、第2の状況では、副ねじ山ランドNK
iを形成する円弧は、5度~50度の中心角、好ましくは10度~40度の中心角、特に好ましくは15度~30度の中心角を有する。溝の数Z=3の場合、第1の状況では、副ねじ山ランドNK
iを形成する円弧は、0度よりも大きく27度までの中心角、好ましくは0度よりも大きく18度までの中心角、特に好ましくは0度よりも大きく9度までの中心角を有する。溝の数Z=3の場合、第2の状況では、副ねじ山ランドNK
iを形成する円弧は、3度~30度の中心角、好ましくは6度~24度の中心角、特に好ましくは9度~18度の中心角を有する。溝の数Z=4の場合、第1の状況では、副ねじ山ランドNK
iを形成する円弧は、0度よりも大きく18度までの中心角、好ましくは0度よりも大きく12度までの中心角、特に好ましくは0度よりも大きく6度までの中心角を有する。溝の数Z=4の場合、第2の状況では、副ねじ山ランドNK
iを形成する円弧は、2度~20度の中心角、好ましくは4度~16度の中心角、特に好ましくは6度~12度の中心角を有する。
【0190】
図15は、
図2bの溝の数Z=1を有する、本発明に係るスクリュー輪郭を、2個の同一のスクリュー輪郭の対として示している。
図15は、
図2bのハウジング及びスクリュー輪郭の円弧1、2、2a、3及び4をコピーし、これらのコピーを正のx軸方向に軸方向距離だけ変位させることによって得られる。コピーされ変位された円弧には、記号1’、2’、2a’、3’及び4’が付与される。左側のスクリュー輪郭の円弧2aは、右側のスクリュー輪郭によって洗浄されない。右側のスクリュー輪郭の円弧2a’は、左側のスクリュー輪郭によって洗浄されない。スクリュー輪郭の自己洗浄が完全には行われない。
【0191】
図16は、
図6bの溝の数Z=2を有する、本発明に係るスクリュー輪郭を、2個の同一のスクリュー輪郭の対として示している。
図16は、
図6bのハウジングをコピーし、これを正のx軸方向に軸方向距離だけ変位させることと、
図6bのスクリュー輪郭の円弧1、2、3、4、5、6、6a、7及び8をコピーし、コピーした円弧をx軸に関して点K2において反転させ、これらを点K2において90度だけ時計回りに回転させ、これらのコピーを正のx軸方向に軸方向距離だけ変位させることとによって得られる。コピーされ変位された円弧には、記号1’、2’、3’、4’、5’、6’、6a’、7’及び8’が付与される。左側のスクリュー輪郭の円弧6aは、右側のスクリュー輪郭によって洗浄されない。右側のスクリュー輪郭の円弧6a’は、左側のスクリュー輪郭によって洗浄されない。スクリュー輪郭の自己洗浄が完全には行われない。
【0192】
図17は、
図12bの溝の数Z=3を有する、本発明に係るスクリュー輪郭を、2個の同一のスクリュー輪郭の対として示している。
図17は、
図12bのハウジング及びスクリュー輪郭の円弧1、2、3、4、5、6、6a、7、8、9、10、11及び12をコピーし、これらのコピーを正のx軸方向に軸方向距離だけ変位させることによって得られる。コピーされ変位された円弧には、記号1’、2’、3’、4’、5’、6’、6a’、7’、8’、9’、10’、11’及び12’が付与される。左側のスクリュー輪郭の円弧6aは、右側のスクリュー輪郭によって洗浄されない。右側のスクリュー輪郭の円弧6a’は、左側のスクリュー輪郭によって洗浄されない。スクリュー輪郭の自己洗浄が完全には行われない。
【0193】
図18は、
図14bの溝の数Z=4を有する、本発明に係るスクリュー輪郭を、2個の同一のスクリュー輪郭の対として示している。
図18は、
図14bのハウジングをコピーし、これを正のx軸方向に軸方向距離だけ変位させることと、
図14bのスクリュー輪郭の円弧1、2、3、4、5、6、6a、7、8、9、10、11、12、13、14、15及び16をコピーし、コピーした円弧をx軸に関して点K2において反転させ、これらを点K2において135度だけ時計回りに回転させ、これらのコピーを正のx軸方向に軸方向距離だけ変位させることとによって得られる。コピーされ変位された円弧には、記号1’、2’、3’、4’、5’,6’,6a’,7’、8’、9’、10’、11’、12’、13’、14’、15’及び16’が付与される。左側のスクリュー輪郭の円弧6aは、右側のスクリュー輪郭によって洗浄されない。右側のスクリュー輪郭の円弧6a’は、左側のスクリュー輪郭によって洗浄されない。スクリュー輪郭の自己洗浄が完全には行われない。
【0194】
図19は、
図16の本発明に係るスクリュー輪郭を、回転軸D1及びD2を有する搬送要素の対の形態において示している。回転軸D1及びD2は、互いから無次元軸方向距離Aだけ離れており、駆動シャフトAW1及び駆動シャフトAW2上に同じ高さで位置する。無次元ハウジング内半径はRG=0.66であり、無次元スクリュー外半径はRA=0.65である。搬送要素の主ねじ山ランドHKとハウジング内壁との間の無次元間隙は、C_HK=0.01である。搬送要素の無次元長さは、無次元軸方向距離Aの1.2倍である。搬送要素の無次元ピッチは、T=1.2であり、ここで、無次元ピッチとは、スクリュー輪郭の回転に必要な軸方向長さを、6.2832=360度の角度及び軸方向距離aで除算したものを意味するものと理解される。ハウジングは、2個の搬送要素の左右をハッチングすることによって示されている。2個の搬送要素の表面上には、ツインシャフト押出成形機及びマルチシャフト押出成形機における流れを計算するのに使用することができる、あり得る計算グリッドも示されている。駆動シャフトAW1又は駆動シャフトAW2等の駆動シャフトAWとスクリュー要素との間の圧力嵌めについては、さねはぎシステム(tongue-and-groove systems)、又は複数の相互係止する歯の機構を使用することができる。複数の相互係止する歯の機構は、台形のものとして構成してもよく、又は、波状でそれぞれ対称又は非対称のものとしてもよい。
【0195】
代替形態として、
図16の本発明に係るスクリュー輪郭は、混練要素の対又は混合要素の対の形態でも使用してもよい。
【0196】
搬送要素は、既知のように(例えば非特許文献1の頁227~248参照)、スクリュー輪郭が、軸方向に連続的な螺旋状のねじれ部及び連続部を有するという点で、区別される。この場合、搬送要素は、右側にあっても左側にあってもよい。搬送要素のピッチは、軸方向距離の0.1倍~10倍の範囲に収まることが好ましく、搬送要素の軸方向長さは、軸方向距離の0.1倍~10倍の範囲に収まることが好ましい。
【0197】
混練要素は、既知のように(例えば非特許文献1の頁227~248参照)、スクリュー輪郭がニーディングディスクの形態で、軸方向にオフセットされた形式で連続しているという点で、区別される。ニーディングディスクの配置は、右側にあっても左側にあっても中立にあってもよい。ニーディングディスクの軸方向距離は、軸方向距離の0.05倍~10倍の範囲に収まることが好ましい。2個の隣接するニーディングディスク間の軸方向距離は、軸方向距離の0.002倍~0.1倍の範囲に収まることが好ましい。
【0198】
既知のように(例えば非特許文献1の頁227~248参照)、混合要素は、スクリューねじ山ランド内に開口を有する搬送要素によって形成される。混合要素は、右側にあっても左側にあってもよい。混合要素のピッチは、軸方向距離の0.1倍~10倍の範囲に収まることが好ましく、当該要素の軸方向長さは、軸方向距離の0.1倍~10倍の範囲に収まることが好ましい。開口は、u字形状又はv字形状の溝の形態を有することが好ましく、この溝は、搬送方向とは反対に、又は軸方向に平行に配置されることが好ましい。
【0199】
駆動シャフトAW上にある搬送要素及び/又は混練要素及び/又は混合要素からなる一連のスクリュー要素は、スクリュー構成と呼ばれる。駆動シャフトAW上の全てのスクリュー要素及び駆動シャフトAW自体は、ともにスクリューシャフトSWを形成する。第1の駆動シャフトはAW1で表され、第1のスクリューシャフトはSW1で表される。第2の駆動シャフトはAW2で表され、第2のスクリューシャフトはSW2で表される。
【0200】
本発明に係るスクリュー輪郭は、とりわけ、作図点K1に対して軸対称である基準輪郭から特に容易に得ることができる。そのような軸対称基準輪郭は、以下を特徴とする。
・そのような軸対称基準輪郭の無次元コア半径RG、溝の数Z及び無次元外半径RAは、本発明に係るスクリュー輪郭の無次元コア半径RG、溝の数Z及び無次元外半径RAに対応する。
・そのような軸対称基準輪郭の作図点K1は、本発明に係るスクリュー輪郭の作図点K1と同じであり、
・溝の数Zが奇数である場合、そのような軸対称基準輪郭は、x軸又はy軸に対して軸対称であり、
・溝の数Zが偶数である場合、そのような軸対称基準輪郭は、x軸及びy軸に対して軸対称であり、
・2個の類似の軸対称基準輪郭は、
○これらの軸対称基準輪郭が、軸方向距離Aに対応する基準距離RFAを有する場合、及び、
○溝の数Zが奇数である場合、これらの軸対称基準輪郭が、そのそれぞれの基準回転軸RFD1及びRFD2において互いに対して回転しないとき、
○溝の数Zが偶数である場合、これらの軸対称基準輪郭が、そのそれぞれの基準回転軸RFD1及びRFD2において、π/Z=180度/Zの角度だけ互いに対して回転するとき、
○これらの軸対称基準輪郭が、そのそれぞれの基準回転軸RFD1及びRFD2において同じ速度で同じ回転方向において回転する場合、
対になって互いを正確に洗浄する。
【0201】
したがって、
-
図1aは、
図2a、
図3a又は
図4aに係る、本発明に係るスクリュー輪郭のための、作図点K1に対して軸対称であるとともに溝の数Z=1を有する基準輪郭を示している。
-
図5aは、
図6a、
図7a、
図9a又は
図10aに係る、本発明に係るスクリュー輪郭のための、作図点K1に対して軸対称であるとともに溝の数Z=2を有する基準輪郭を示している。
-
図11aは、
図12aに係る、本発明に係るスクリュー輪郭のための、作図点K1に対して軸対称であるとともに溝の数Z=3を有する基準輪郭を示している。
-
図13aは、
図14aに係る、本発明に係るスクリュー輪郭のための、作図点K1に対して軸対称であるとともに溝の数Z=4を有する基準輪郭を示している。
-
図5aは、
図7aに係る、本発明に係るスクリュー輪郭のための、作図点K1に対して軸対称であるとともに溝の数Z=2を有する基準輪郭を示している。円弧1~5、円弧8及び作図点K1は、それぞれ同一である。したがって、軸対称基準輪郭及び本発明に係るスクリュー輪郭の無次元コア半径RI、溝の数Z及び無次元外半径RAは、各事例において同じサイズである。したがって、さらには、軸対称基準輪郭の回転点と本発明に係るスクリュー輪郭の回転点とが対応することになる。
【0202】
例えば、作図点K1に対して軸対称である
図5aに係る基準輪郭を、
図7aに係る、本発明に係るスクリュー輪郭に変換するためには、主ねじ山ランドHKを表す円弧6aを、円弧6と7との間で軸対称基準輪郭へと挿入しなければならず、これに対応して円弧6及び7を適合させることが必要である。円弧6aの半径は、無次元ハウジング内半径RG=0.66を無次元間隙C_HK=0.01だけ減算したものと同じであるように選択される。円弧6aの中心は作図点K2において存在する。作図点K2の位置は、溝の角二等分線(溝の角二等分線上に存在する、その溝の円弧点は、小さい方の曲線長さによって主ねじ山ランドHKの最も近い点から分離される)と、K1及びK2を結ぶ線との間の小さい方の角度が135.0度であるとともに、作図点K1とK2との間の距離が0.06に等しくなるように選択される。円弧6の新たな終点は、元の円弧6との円弧6aの交点から生まれる。円弧6aの始点は、円弧6の終点と同じである。円上の点7の新たな始点は、元の円弧7との円弧6aの交点から生まれる。円弧6aの終点は、円弧7の始点と同じである。円弧6、6a及び7の現時点で既知の始点、終点及び中心により、それぞれの中心角を計算することが可能になる。
【0203】
図20は、溝の数Z=2を有する基準輪郭の対を示している。作図点K1に対して軸対称である左側シャフトの基準輪郭は、
図5aに係る軸対称輪郭に対応する。右側シャフトの基準輪郭は、左側シャフトの基準輪郭のコピーを表し、したがって同様に軸対称であり、
・このコピーはx軸に関して反転され、
・x/y座標系の原点において、π/2=180/2=90度の角度だけ時計回りに回転され、
・無次元軸方向距離Aに対応する無次元基準軸方向距離RFAだけ正のx軸方向において変位される。
この手順により、作図点K1に対して軸対称である左側シャフトの基準輪郭の円弧1が、右側シャフトの軸対称基準輪郭の円弧1’へと変換される。同じことが円弧2~8にも同様に当てはまり、これにより、円弧2’~8’が生まれる。作図点K1は、基準回転点RFD1と同一である。正のx方向において基準軸方向距離だけ変位される作図点K1’は、基準回転点RFD2と同一である。軸方向基準輪郭が、そのそれぞれの基準回転軸RFD1及びRFD2において同じ速度で同じ回転方向において回転する場合、左側シャフト及び右側シャフトの軸対称基準輪郭は、対になって互いに洗浄する。
【0204】
図20において、基準スクリュー外半径RFRAは、基準ハウジング内半径RFRG=0.61と同じである。基準スクリュー外半径RFRAは、ハウジング内半径RGよりも、0.2%~10%だけ小さく、好ましくは0.4%~7.5%だけ小さく、特に好ましくは0.6%~5%だけ小さく、非常に特に好ましくは0.8%~2.5%だけ小さい。
【0205】
無次元基準軸方向距離RFAに対応する、所与の無次元軸方向距離Aにおいて、基準輪郭は、非特許文献1の頁95~109に開示されている方法に従って容易に作図することができる。
【国際調査報告】