(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】疎水化溶融シリカを含む低損失誘電体複合材料
(51)【国際特許分類】
H05K 1/03 20060101AFI20220407BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20220407BHJP
H01B 3/42 20060101ALI20220407BHJP
C08J 5/04 20060101ALI20220407BHJP
B32B 5/28 20060101ALI20220407BHJP
B32B 17/02 20060101ALI20220407BHJP
H01P 3/08 20060101ALN20220407BHJP
【FI】
H05K1/03 610G
H05K1/03 610R
H05K3/46 G
H05K3/46 T
H01B3/42 G
C08J5/04
B32B5/28
B32B17/02
H01P3/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549844
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(85)【翻訳文提出日】2021-10-22
(86)【国際出願番号】 US2020019849
(87)【国際公開番号】W WO2020176592
(87)【国際公開日】2020-09-03
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521138305
【氏名又は名称】ロジャーズ・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・エー・クース
(72)【発明者】
【氏名】オスカー・オズナ・サンチェス
【テーマコード(参考)】
4F072
4F100
5E316
5G305
5J014
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
一実施形態では、誘電体複合材料は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、トリアリル(イソ)シアヌレート及び官能化ブロック共重合体に由来する熱硬化性樹脂と;疎水化溶融シリカと;補強布と;を含む。誘電体複合材料は、メタクリレート官能化ポリ(アリーレンエーテル)、トリアリル(イソ)シアヌレート、官能化ブロック共重合体、疎水化溶融シリカ、開始剤及び溶媒を含む熱硬化性組成物を形成し;補強布を熱硬化性組成物でコーティングし;熱硬化性組成物を少なくとも部分的に硬化させてプリプレグを形成し;任意にプリプレグと少なくとも1つの導電層を積層して回路材料を形成することによって調製することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能化ポリ(アリーレンエーテル)、トリアリル(イソ)シアヌレート、及び官能化ブロック共重合体に由来する熱硬化性樹脂と;
疎水化溶融シリカと;
補強布と;
を含む、誘電体複合材料。
【請求項2】
前記誘電体複合材料が、
50%の相対周囲湿度に曝された場合、10ギガヘルツで0.005以下、0.003以下、0.0028以下の散逸損失;
84から760μmの厚さにおけるUL94 V0等級;又は
IPC試験方法650,2.4.8に従って測定した、銅に対する0.54から1.25kg/cmの剥離強度;
の内の少なくとも1つを有する、請求項1に記載の誘電体複合材料。
【請求項3】
前記官能化ポリ(アリーレンエーテル)が、ポリスチレン標準に基づいて、500~3,000ダルトン又は1,000~2,000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項1又は2に記載の誘電体複合材料。
【請求項4】
前記熱硬化性樹脂が、熱硬化性成分の総重量に基づいて40~60重量%の官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含む熱硬化性組成物に由来する、請求項1から3のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項5】
前記誘電体複合材料が、前記誘電体複合材料から前記補強布を除いた総重量に基づいて、25~60重量%、又は35~50重量%の熱硬化性樹脂を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項6】
前記熱硬化性樹脂が、熱硬化性成分の総重量に基づいて、0.1~10重量%、又は0.5~5重量%、又は2~5重量%の前記官能化ブロック共重合体を含む熱硬化性組成物に由来する、請求項1から5のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項7】
前記官能化ブロック共重合体の少なくとも1つが、マレイン化スチレンブロック共重合体を含む、又は、前記官能化ポリ(アリーレンエーテル)が、メタクリレート官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項8】
前記官能化スチレンブロック共重合体が、
1g当たり10から50、又は28から40ミリ当量のKOHのカルボン酸数;
ポリスチレン標準に基づいて、1,000~20,000ダルトン又は8,000~15,000ダルトンの数平均分子量;及び
前記官能化スチレンブロック共重合体の総重量に基づいて10~50重量%又は15~30重量%のスチレン含量;
の内の少なくとも1つを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項9】
前記誘電体複合材料が、前記誘電体複合材料から前記補強布を除いた総重量に基づいて、20~60重量%、又は35~50重量%、35~40重量%の前記疎水化溶融シリカを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項10】
前記疎水化溶融シリカが、フェニルシラン又はフルオロシランの内の少なくとも1つに由来する表面処理を含み;前記疎水化溶融シリカが、1~20μm又は5~15μmのD90粒子サイズを有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項11】
前記疎水化溶融シリカ以外のセラミック充填材をさらに含み、前記セラミック充填材が、任意に、ヒュームドシリカ、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、コランダム、珪灰石、Ba
2Ti
9O
20、中空セラミック球体、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ベリリア、アルミナ、アルミナ三水和物、マグネシア、雲母、タルク、ナノクレイ、又は水酸化マグネシウムの内の少なくとも1つを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項12】
前記セラミック充填材が、疎水性ヒュームドシリカを含む、請求項11に記載の誘電体複合材料。
【請求項13】
前記疎水性ヒュームドシリカが、メタクリレート官能化疎水性ヒュームドシリカを含む、請求項12に記載の誘電体複合材料。
【請求項14】
前記誘電体複合材料が、前記誘電体複合材料から前記補強布を除いた総重量に基づいて、0.1~5重量%、又は1~5重量%の前記疎水性ヒュームドシリカを含む、請求項12又は13に記載の誘電体複合材料。
【請求項15】
前記疎水性ヒュームドシリカが、2-プロペン酸、2-メチル-、3-(トリメトキシシリル)プロピルエステルに由来する表面処理を含み;前記疎水性ヒュームドシリカが、1g当たり100~200平方メートル、又は1g当たり145~155平方メートルのBET表面積を有する、請求項12~14のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項16】
前記セラミック充填材が二酸化チタンを含む、請求項11~15のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項17】
前記誘電体複合材料が、前記誘電体複合材料から前記任意の補強布を除いた総重量に基づいて、0.1~10重量%、又は0.1~5重量%の前記二酸化チタンを含む、請求項16に記載の誘電体複合材料。
【請求項18】
前記セラミック充填材が、0.5~10μm又は0.5~5μmのD90粒子サイズを有する、請求項11~17のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項19】
前記セラミック充填材が、疎水性ヒュームドシリカ及び二酸化チタンを含み、前記疎水性ヒュームドシリカの前記二酸化チタンに対する重量比が1:2~2:1である、請求項11~18のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項20】
難燃剤をさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項21】
前記誘電体複合材料が、前記誘電体複合材料から前記補強布を除いた総重量に基づいて、1~15重量%、又は5~10重量%の前記難燃剤を含む、請求項20に記載の誘電体複合材料。
【請求項22】
前記誘電体複合材料が、前記誘電体複合材料の総重量に基づいて5~40重量%又は15~25重量%の量で前記補強布を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項23】
前記補強布が、Lガラス繊維又は石英繊維の内の少なくとも1つを含み、前記補強布が、前記誘電体複合材料の総重量に基づいて5~40重量%、又は15~25重量%の量で存在する延伸織補強布である、請求項1から22のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項24】
前記誘電体複合材料が、1~1,000μmの厚さを有するプリプレグであり;前記熱硬化性樹脂が部分的にのみ硬化された、請求項1から23のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項25】
前記誘電体複合材料が:
官能化ポリ(フェニレンエーテル)、トリアリルイソシアヌレート、及び、スチレンブロックと共役ジエンに由来するブロックとを含むマレイン化スチレンブロック共重合体に由来する25~60重量%の熱硬化性樹脂と;
20~60重量%の前記疎水化溶融シリカと;
0~5重量%又は0.1~5重量%の疎水性ヒュームドシリカであって、前記疎水性ヒュームドシリカが、メタクリレート官能化疎水性ヒュームドシリカを含む、疎水性ヒュームドシリカと;
0~10重量%又は0.1~10重量%の二酸化チタンであって、前記二酸化チタンが、0.5~10μm又は0.5~5μmのD90粒子サイズを有する、二酸化チタンと;
0から15重量%、又は1から15重量%の難燃剤と;
(これらはすべて前記誘電体複合材料から前記補強布を除いた総重量に基づいて)
前記誘電体複合材料の総重量に基づいて、5~40重量%のガラス布と;
を含む、任意で請求項1から24のいずれか一項に記載の、誘電体複合材料。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか一項に記載の前記誘電体複合材料と少なくとも1つの導電層とを含む回路材料。
【請求項27】
前記少なくとも1つの導電層が、5μm以下、又は0.1~3μmのRz表面粗さを有する、請求項26に記載の回路材料。
【請求項28】
任意に請求項1~25のいずれか一項に記載の、誘電体複合材料を作製する方法であって、
メタクリレート官能化ポリ(アリーレンエーテル)、トリアリル(イソ)シアヌレート、前記官能化ブロック共重合体、前記疎水化溶融シリカ、開始剤及び溶媒を含む熱硬化性組成物を形成するステップと;
前記補強布を前記熱硬化性組成物でコーティングするステップと;
前記熱硬化性組成物を少なくとも部分的に硬化させてプリプレグを形成するステップと;
任意に、前記プリプレグと少なくとも1つの導電層を積層して、前記回路材料を形成するステップと;
を含む、方法。
【請求項29】
前記方法は前記積層するステップを含み、前記積層するステップは、100~180℃の温度及び1~1.5メガパスカルの圧力で5~50分間行われる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記熱硬化性組成物を形成するステップの前に、溶融シリカを疎水性シランで前処理して前記疎水化溶融シリカを形成するステップをさらに含む、請求項28又は29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年2月27日に出願された米国仮特許出願番号第62/811,186号の利益を主張する。関連する出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0001] 回路材料が高周波で又は高データ転送レートで動作する高性能回路アプリケーションは、低誘電損失(散逸損失とも呼ばれる)及び低挿入損失を有する材料から利益を得る。
【0003】
[0002] 誘電正接は、散逸系における電気的振動モードのエネルギーの損失率の尺度である。電気ポテンシャルエネルギーは、すべての誘電体材料においてある程度消散され、通常熱として現れ、誘電体材料及び振動電気信号の周波数に依存して変化することができる。
【0004】
[0003] 挿入損失は、所定の回路に出入りするとき、又は特定のコンポーネントに出入りするときの信号の損失である。挿入損失は、デシベル(dB)又はdB/インチで表され、3dBの損失は、信号強度を50%減少することに相当する。挿入損失は、誘電体の散逸損失、導電体の表面粗さプロファイル、及び振動電気信号の周波数に依存して変化し得る。導体中の誘導された磁場は、電流の分布に影響を与え、周波数が増加するにつれて、電流が導体の表面に近づくように流れさせる。この現象(表皮効果としても知られている)は、電流を運ぶ断面を効果的に減少させる。5~100ギガヘルツ(GHz)の範囲の周波数では、電流は、すべてのピーク及び谷をナビゲートしなければならない導体(深さ0.2~1.0μm)の表面付近を流れるように強制され、それによって経路長及び抵抗が増大する。
【0005】
[0004] 散逸損失及び挿入損失は、特にプリント回路基板(PCB)アンテナに関連する可能性があり、これは、任意の伝送システム又は無線通信インフラストラクチャにおける、例えば、セルラー基地局アンテナにおける又は高いデータ転送レートを必要とするデジタルアプリケーションにおける、重要なコンポーネントである。低散逸損失を有する誘電体材料を設計することは困難であるが、誘電体材料中の1つのコンポーネントを修正して所望の低散逸損失を得ることは、剥離強度、可燃性等級、熱及び酸化安定性、吸水性、又は耐薬品性などの他の重要なパラメータに悪影響を及ぼすことが多い。加えて、低挿入損失設計は、特に高周波数において、より滑らかな導電体を必要とし、剥離強度を低下させる傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0005] 上記に鑑みて、回路材料において使用するための改良された高性能誘電体複合材料が依然として必要とされている。特に、他の所望の電気的、熱的及び物理的特性の中でも、極めて低いプロファイルの金属箔に対する高い剥離強度、低い散逸損失、及び低い挿入損失を含む特性の改良された組み合わせを有する回路材料が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0006] 本明細書において開示されるのは、疎水化溶融シリカを含む低損失誘電体複合材料である。
【0008】
[0007] 一実施形態では、誘電体複合材料は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、トリアリル(イソ)シアヌレート及び官能化ブロック共重合体に由来する熱硬化性樹脂と;疎水化溶融シリカと;補強布と;を含む。
【0009】
[0008] 一実施形態では、回路材料は、誘電体複合材料と少なくとも1つの導電層とを含む。
【0010】
[0009] 一実施形態では、誘電体複合材料は、メタクリレート官能化ポリ(アリーレンエーテル)、トリアリル(イソ)シアヌレート、官能化ブロック共重合体、疎水化溶融シリカ、開始剤及び溶媒を含む熱硬化性組成物を形成し;熱硬化性組成物で補強布をコーティングし;熱硬化性組成物を少なくとも部分的に硬化させてプリプレグを形成することによって調製することができる。
【0011】
[0010] 上記及び他の特徴は、以下の図、詳細な説明、及び特許請求の範囲によって例示される。
【0012】
[0011] 以下の図は例示的な実施形態であり、本開示を説明するために提供される。図は例示であり、本開示に従って作製されるデバイスを本明細書に記載される材料、条件、又はプロセスパラメータに限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0012] 周波数による比誘電率(回路誘電率Dkとしても知られる)のグラフ図である。
【0014】
【
図2】[0013] 周波数による挿入損失のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0014] 1つの特性を最適化すると、しばしば異なる特性が悪影響を受けるため、特性のバランスが良好な誘電体複合材料を開発することは困難である。例えば、散逸損失を低下させるのを助けることができるより低い極性の重合体を使用すると、固有の可燃性が増大する可能性があり、難燃剤を添加すると、電気特性、熱安定性、吸水性、耐薬品性、又は剥離強度などの他の特性に悪影響を及ぼす可能性がある。同様に、より高いガラス転移温度を有する重合体を選択することは、所望のより低い散逸損失を犠牲にすることがある。最終的な誘電体材料の特性を考慮することに加えて、加工条件に影響を及ぼす配合の考慮事項も考慮する必要がある。例えば、プリプレグの最小溶融粘度(MMV)又は樹脂流動特性は、製造中及び後続の積層中の両方において、特に多層基板(MLB)において良好な回路基板製造性能を得るために重要であり得る。
【0016】
[0015] 驚くべきことに、官能化ポリ(アリーレンエーテル)及びトリアリル(イソ)シアヌレートに由来する熱硬化性樹脂と;官能化ブロック共重合体と;疎水化溶融シリカと;疎水化溶融シリカ以外のセラミック充填材と;補強布(本明細書では布ともいう)と;を含む誘電体複合材料(本明細書では複合材料ともいう)が、優れた特性のバランスをもたらすことができることが発見された。具体的には、疎水化溶融シリカの組み込みにより、得られる複合材料の吸湿を削減(疎水性を付与)することができ、50%の相対周囲湿度に曝された場合に10GHzにおいて0.005以下の低散逸損失(Df)を維持することができることを見出した。また、追加のセラミック充填材(例えば、疎水性ヒュームドシリカ)を組み込むことにより、b-ステージング中のプリプレグ樹脂のランバック(カスケード)を削減することができ、また、微粒子サイズのセラミック充填材(例えば、2μm以下のD90を有する)は、積層中の横方向樹脂せん断粘度に影響を与え、樹脂-充填材分離を抑制することができることも発見された。さらに、官能化ブロック共重合体(例えば、カルボン酸官能化ブロック共重合体)の組み込みは、銅への化学吸着を促進することにより、極めて低いプロファイルの銅箔に対しても剥離強度を向上させることができることが見出された。
【0017】
[0016] 複合材料は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)(例えば、メタクリレート官能化ポリ(アリーレンエーテル))及びトリアリル(イソ)シアヌレートに由来する熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂は、他のフリーラジカル重合性単量体、例えば、1,2-ビニルポリブタジエン、ポリイソプレン、(メタ)アクリレート単量体、スチレン単量体、又は環状オレフィン単量体の内の少なくとも1つ、に由来する繰り返し単位を含むことができる。
【0018】
【0019】
[0017] 官能化ポリ(アリーレンエーテル)は、式(1)の繰り返し単位を含み、ここで、各Rは独立して水素、第一級又は第二級C1~7アルキル基、フェニル基、C1~7アミノアルキル基、C1~7アルケニルアルキル基、C1~7アルキニルアルキル基、C1~7アルコキシ基、C6~10アリール基、又はC6~10アリールオキシ基であり、各R1は独立して水素又はメチルである。各Rは、独立して、C1~7又はC1~4のアルキル又はフェニルであり得る。
【0020】
[0018] ポリ(アリーレンエーテル)は、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジエチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジプロピル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-アリル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジアリル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(ジ-tert-ブチル-ジメトキシ-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジクロロメチル-1,4-フェニレンエーテル、ポリ(2,6-ジブロモメチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジ(2-クロロエチル)-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジトリル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジクロロ-1,4-フェニレンエーテル)、又はポリ(2,6-ジフェニル-1,4-フェニレンエーテル)の内の少なくとも1つを含むことができる。ポリ(アリーレンエーテル)は、2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル単位を含むことができ、任意に、2,3,6-トリメチル-1,4-フェニレンエーテル単位を伴う。
【0021】
[0019] 官能化ポリ(アリーレンエーテル)、例えば、ポリ(フェニレンエーテル)は、少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合を含む官能基を含む。例えば、官能化ポリ(アリーレンエーテル)の官能基は、ビニル基、アリル基、アルキン基、(メタ)アクリレート基、環状オレフィン、又はマレネイネート(maleinate)基の少なくとも1つを含むことができる。具体的には、官能化ポリ(アリーレンエーテル)は、式(I)(ここで、Yは二価の連結基である)のようなジメタクリレートポリ(フェニレンエーテル)を含むことができる。
【0022】
【0023】
[0020] 官能基は、任意に、カルボキシ基(例えば、カルボン酸)、無水物、アミド、アミン、エステル、又は酸ハロゲン化物の内の少なくとも1つをさらに含むことができる。カルボン酸官能基を提供できる多官能化合物としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クエン酸の内の少なくとも1つを挙げることができる。
【0024】
[0021] 官能化ポリ(アリーレンエーテル)は、ポリスチレン標準に基づいて、500~4,000ダルトン(Da)、又は500~3,000Da、又は1,000~2,000Daの数平均分子量を有することができる。
【0025】
[0022] 官能化ポリ(アリーレンエーテル)オリゴマーの例には、以前は三菱ガスによって製造されていたMGC OPE-2St、SABIC Innovative Plasticsから市販されているSA9000及びSA5587、旭化成から市販されているXYRON変性ポリフェニレンエーテル重合体が含まれる。
【0026】
[0023] トリアリル(イソ)シアヌレートは、式(2A)及び式(2B)に示されるように、それぞれトリアリルイソシアヌレート及びトリアリルシアヌレートの内の少なくとも1つを含む。
【0027】
【0028】
[0024] 熱硬化性樹脂は、熱硬化性成分(例えば、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、トリアリル(イソ)シアヌレートトリアリル、及び官能化ブロック共重合体)の総重量に基づいて、40~60重量%(重量%)の官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含む熱硬化性組成物に由来することができる。熱硬化性樹脂は、熱硬化性成分の総重量に基づいて、35~60重量%又は35~45重量%のトリアリル(イソ)シアヌレートを含む熱硬化性組成物に由来することができる。熱硬化性樹脂は、熱硬化性成分の総重量に基づいて、0.1~10重量%、又は0.5~5重量%、又は2~5重量%の官能化ブロック共重合体を含む熱硬化性組成物に由来することができる。熱硬化性組成物は、熱硬化性組成物から布又はいずれかの溶媒を除いた総重量に基づいて、5~30重量%、又は15~23重量%、又は15~20重量%のトリアリル(イソ)シアヌレートを含むことができる。複合材料は、複合材料から布を除いた総重量に基づいて、25~60重量%、又は35~50重量%の熱硬化性樹脂を含むことができる。
【0029】
[0025] 複合材料は、疎水化溶融シリカを含む。疎水化された溶融シリカは、溶融シリカ上に疎水性化合物をグラフトすることによって形成することができる。疎水性化合物は、フェニルシラン又はフルオロシランの内の少なくとも1つを含むことができる。フェニルシランは、p-クロロメチルフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニル-トリス-(4-ビフェニリル)シラン、(フェノキシ)トリフェニルシラン、又は官能化フェニルシランの内の少なくとも1つを含むことができる。官能化フェニルシランは、式R’SiZ1R2Z2(式中、R’は、1~3個の炭素原子を有するアルキル、-SH、-CN、-N3又は水素であり;Z1及びZ2は、それぞれ独立して、塩素、フッ素、臭素、6個以下の炭素原子を有するアルコキシ、NH、-NH2、-NR2’であり;R2は
【0030】
【0031】
式中、S-置換基S1、S2、S3、S4及びS5の各々は独立して水素、1~4個の炭素原子を有するアルキル、メトキシ、エトキシ又はシアノである。ただし、S-置換基の内の少なくとも1つが水素以外であり、メチル又はメトキシS-置換基が存在する場合には、(i)S-置換基の内の少なくとも2つが水素以外であり、(ii)2つの隣接するS-置換基がフェニル核とともに形成するナフタレン又はアントラセン基、又は(iii)3つの隣接するS-置換基がフェニル核とともに形成するピレン基であり、Xは基-(CH2)n-であり、ここでnは0~20であり、又はnが0でない場合には10~16であり、言い換えれば、Xは任意のスペーサー基である。基又は化合物に関して「より低い」という用語は、1~7個及び/又は1~4個の炭素原子を意味する。
【0032】
[0026] 疎水性化合物はフルオロシランを含むことができる。フッ素原子は全ての原子の中で最も低い分極率を有し、従ってフッ素化分子は非常に弱い分子間分散力を示すので、フルオロシランは他の疎水性シランと比較して有益であり得る。その結果、フッ素化分子は著しく疎水性であり、同時に疎油性である。複合材料中のフッ素化化合物の疎水化能力を十分に利用するために、複合材料中の溶融シリカのインサイチュのシラン化を行う代わりに、複合材料を形成する前に、溶融シリカをフッ素化シランで前処理することができる。溶融シリカの前処理は、複合材料中のフッ素化シランの疎油性(非混和性)のために優先的であり得る。複合材料を形成する前に溶融シリカをフッ素化シランで前処理することが有益であり得るのと同様に、溶融シリカを他の疎水性シランで前処理することも同様に有益であり得ることに留意されたい。
【0033】
[0027] フルオロシランコーティングは、次式を有する過フッ素化アルキルシランから形成することができる。CF3(CF2)n-CH2CH2SiX(式中、Xは加水分解性官能基であり、n=0又は整数である)。フルオロシランは、(3,3,3-トリフルオロプロピル)トリクロロシラン、(3,3,3-トリフルオロプロピル)ジメチルクロロシラン、(3,3,3-トリフルオロプロピル)メチルジクロロシラン、(3,3,3-トリフルオロプロピル)メチルジメトキシシラン、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)-1-トリクロロシラン、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)-1-メチルジクロロシラン、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)-1-ジメチルクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル)-1-メチルジクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル)-1-トリクロロシラン、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル)-1-ジメチルクロロシラン、(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルメチルジクロロシラン、3-(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリクロロシラン、3-(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、又はペルフルオロオクチルトリエトキシシランの内の少なくとも1つを含むことができる。フルオロシランは、ペルフルオロオクチルトリエトキシシランを含むことができる。
【0034】
[0028] フェニルシラン及びフルオロシランの代わりに、又はこれらに加えて、他のシランを使用することができ、例えば、アミノシラン、及びアクリル及びメタクリル基などの重合性官能基を含有するシランを使用することができる。アミノシラン類の例としては、N-メチル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-エチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-メチル-β-アミノエチルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-メチル-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(β-N-メチルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(γ-アミノプロピル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(γ-アミノプロピル)-N-メチル-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びγ-アミノプロピルエチルジエトキシシランアミノエチルアミノトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-エチルピペリジノトリメチルシラン、2-エチルピペリジノジメチルヒドリドシラン、2-エチルピペリジノメチルフェニルクロロシラン、2-エチルピペリジノジシクロペンチルクロロシラン、(2-エチルピペリジノ)(5-ヘキセニル)メチルクロロシラン、モルホリノビニルメチルクロロシラン、又はn-メチルピペラジノフェニルジクロロシランの内の少なくとも1つが挙げられる。
【0035】
[0029] 重合性官能基を含むシランとしては、式Ra
xSiRb
(3-x)Rのシランが挙げられ、ここで、各Raは同一又は異なっており(例えば、同一)、ハロゲン(例えば、Cl又はBr)、C1~4アルコキシ(例えば、メトキシ又はエトキシ)又はC2~6アシルであり;各RbはC1~8アルキル又はC6~12アリールであり(例えば、Rbはメチル、エチル、プロピル、ブチル又はフェニルであり得る);xは1、2、又は3(例えば、2又は3)であり;Rは-(CH2)nOC(=O)C(Rc)=CH2であり、ここで、Rcは水素又はメチルであり、nは1~6又は2~4の整数である。シランは、メタクリルシラン(3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)又はトリメトキシフェニルシランの内の少なくとも1つを含むことができる。
【0036】
[0030] 疎水化溶融シリカは、1~20μm又は5~15μmのD90粒子サイズを有することができる。本明細書で使用する場合、粒子サイズは動的光散乱を使用して決定することができ、D90は、その数未満の粒子サイズを有する90体積%の粒子を指す。複合材料は、複合材料から布を除いた総重量に基づいて、20~60重量%、又は35~50重量%、又は35~40重量%の疎水化溶融シリカを含むことができる。
【0037】
[0031] 複合材料は、官能化ブロック共重合体を含む。官能化ブロック共重合体は、第1のブロック、第1のブロックとは組成的に異なる第2のブロック、及び任意に追加のブロックを含む。第1のブロックは、スチレン又はパラ置換スチレン単量体(例えば、メチルスチレン、パラ-エチルスチレン、パラ-n-プロピルスチレン、パラ-イソ-プロピルスチレン、パラ-n-ブチルスチレン、パラ-sec-ブチルスチレン、パラ-イソ-ブチルスチレン、パラ-t-ブチルスチレン、パラ-デシルスチレンの異性体、又はパラ-ドデシルスチレンの異性体)の内の少なくとも1つに由来することができる。第2のブロックは、共役ジエン、例えば、イソプレン又は1,3-ブタジエンの内の少なくとも1つに由来する繰り返し単位を含むことができる。さらに、第2のブロックは、第1のブロック内に存在する繰り返し単位を含むことができる。
【0038】
[0032] 官能化ブロック共重合体は、任意に、エチレン、3~18個の炭素原子を有するアルファオレフィン(例えば、プロピレン)、1,3-シクロジエン単量体、水素化前に35モル%未満のビニル含量を有する共役ジエンの単量体、アクリロニトリル、又は(メタ)アクリル酸エステルの内の少なくとも1つに由来する繰り返し単位を含むことができる。これらの任意の繰り返し単位は、第1のブロック又は第2のブロックの一方又は両方に存在することができる。これらの任意の繰り返し単位は、第3のブロックに存在することができる。(メタ)アクリル酸エステルは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、トリフルオロメチルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、トリフルオロメチルアクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、又はtert-ブチルアクリレートの内の少なくとも1つを含むことができる。
【0039】
[0033] 官能化ブロック共重合体は、単量体をブロック共重合体の主鎖上にグラフトすることによって官能化することができる。グラフト単量体は、1つ以上の飽和基又はその誘導体を有する不飽和単量体の内の少なくとも1つを含むことができる。官能化ブロック共重合体は、カルボン酸官能化ブロック共重合体を含むことができる。グラフト単量体は、モノカルボン酸化合物又はポリカルボン酸化合物(例えば、マレイン酸)又は誘導体(例えば、無水マレイン酸)の内の少なくとも1つを含むことができる。グラフト単量体は、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、アクリルポリエーテル、アクリル酸無水物、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸、無水マレイン酸、イタコン酸無水物、又はシトラコン酸無水物の内の少なくとも1つを含むことができる。グラフト単量体は、マレイン酸又は無水マレイン酸の内の少なくとも1つを含むことができる。
【0040】
[0034] 官能化ブロック共重合体は、1g当たり10~50又は28~40ミリ当量のKOH(meq KOH/g)のカルボン酸数を有することができる。官能化ブロック共重合体は、ポリスチレン標準に基づいて、1,000~20,000Da、又は8,000~15,000Daの数平均分子量を有することができる。官能化ブロック共重合体は、官能化ブロック共重合体の総重量に基づいて10~50重量%又は15~30重量%の第1のブロック含量を有することができる。
【0041】
[0035] 複合材料は、疎水化溶融シリカ以外のセラミック充填材を含むことができる。セラミック充填材は、ヒュームドシリカ、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、コランダム、珪灰石、Ba2Ti9O20、中空セラミック球体、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ベリリア、アルミナ、アルミナ三水和物、マグネシア、雲母、タルク、ナノクレイ、又は水酸化マグネシウムの内の少なくとも1つを含むことができる。複合材料は、中実ガラス球体、中空ガラス球体、又はコアシェルゴム球体の内の少なくとも1つを含むことができる。セラミック充填材は、0.1~10μm又は0.5~5μmのD90粒子サイズを有することができる。セラミック充填材は、2μm以下又は0.1~2μmのD90粒径を有することができる。セラミック充填材は、複合材料から布を除いた総重量に基づいて、0.1~10重量%又は0.1~5重量%の量で存在することができる。
【0042】
[0036] 複合材料は、疎水性ヒュームドシリカを含むことができる。疎水性ヒュームドシリカは、複合材料から布を除いた総重量に基づいて、0.1~5重量%又は1~5重量%の量で存在することができる。疎水性ヒュームドシリカは、1g当たり10~500平方メートル(m2/g)、又は50~350m2/g、又は100~200m2/g、又は145~155m2/gのBrunauer、Emmett及びTeller(BET)表面積を有することができる。市販のジメチル官能化疎水性ヒュームドシリカの例は、Evonikから市販されているAEROSIL(登録商標)R-972である。
【0043】
[0037] 疎水性ヒュームドシリカは、メタクリレート官能基を含むメタクリレート官能化ヒュームドシリカを含むことができる。例えば、ヒュームドシリカは、メタクリレート官能基を含む化合物で官能化して、メタクリレート官能化ヒュームドシリカを形成することができる。メタクリレート官能性疎水性ヒュームドシリカは、熱硬化性組成物の重合に関与することによって、得られた複合材料の熱的及び機械的特性を高めることができる。ヒュームドシリカ官能化化合物は、メタクリルシラン(例えば、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、又はγ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン)を含むことができる。ヒュームドシリカは、任意に、オクチルトリメトキシシランに由来するオクチル官能基又はジメチルジクロロシランに由来するジメチル官能基を含むことができる。市販のメタクリレート官能化疎水性ヒュームドシリカの例は、Evonikから市販されているAEROSIL(登録商標)R-711である。
【0044】
[0038] 複合材料は、二酸化チタンを含むことができる。二酸化チタンは、0.1~10μm又は0.5~5μmのD90粒子サイズを有することができる。二酸化チタンは、2μm以下、又は0.1~2μmのD90粒子サイズを有することができる。二酸化チタンは、複合材料から布を除いた総重量に基づいて0.1~10重量%又は0.1~5重量%の量で存在することができる。疎水性ヒュームドシリカと二酸化チタンとの重量比は、1:2~2:1とすることができる。
【0045】
[0039] 複合材料は、任意に難燃剤を含むことができる。複合材料は、複合材料から布を除いた総重量に基づいて、1~15重量%、又は5~10重量%の難燃剤を含むことができる。難燃剤は、例えば1~500ナノメートル(nm)、1~200nm、5~200nm、10~200nmの体積平均粒径を有する金属水和物を含むことができ;代わりに、体積平均粒径は500nm~15μm、例えば1~5μmであり得る。金属水和物は、金属、例えば、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu又はNiの内の少なくとも1つ、の水和物を含むことができる。Mg、Al又はCaの水和物、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化ニッケル、アルミン酸カルシウム、二水石膏、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、メタホウ酸バリウムの水和物の内の少なくとも1つを用いることができる。これらの水和物の複合材料としては、例えば、Mgと、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu又はNiの内の少なくとも1つとを含有する水和物を用いることができる。複合材料金属水和物は、式MgMx(OH)y(式中、MはCa、Al、Fe、Zn、Ba、Cu又はNiであり、xは0.1~10であり、yは2~32である)を有することができる。難燃剤は、分散及び他の特性を改善するために、コーティング又は他の方法で処理することができる。複合材料は、任意に、ヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(HET酸)、テトラブロモフタル酸、又はジブロモネオペンチルグリコールなどの有機ハロゲン化難燃剤を含むことができる。複合材料は、任意に、ハロゲンフリー難燃剤(例えば、メラミンシアヌレート)、リン含有化合物(例えば、ホスフィナート、ジホスフィナート、ホスファゼン、ホスホネート、微粒子サイズのメラミンポリホスフェート、又はホスフェート)、ポリシルセスキオキサン、又はシロキサンを含むことができる。
【0046】
[0040] 難燃剤は、臭素化難燃剤を含むことができる。臭素系難燃剤は、ビス-ペンタブロモフェニルエタン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、デカブロモジフェニルオキサイドの内の少なくとも1つを含むことができる。難燃剤は、相乗剤と組み合わせて使用することができ、例えば、ハロゲン化難燃剤は、三酸化アンチモンなどの相乗剤と組み合わせて使用することができる。複合材料は、複合材料から布を除いた総重量に基づいて、1~15重量%、又は5~10重量%の臭素化難燃剤を含むことができる。
【0047】
[0041] 複合材料は、布、例えば、複数の熱的に安定な繊維を含む繊維層を含む。布は、織物、又は、フェルトのように不織物であり得る。布は、複合材料の平面内での硬化時に複合材料の収縮を低減することができる。さらに、布の使用は、複合材料を比較的高い寸法安定性及び機械的強度(弾性率)にするのを助けることができる。このような材料は、商業的使用における方法、例えば、ロール・ツー・ロール積層を含む積層によって、より容易に加工することができる。熱的に安定な繊維は、Eガラス繊維、Sガラス繊維、Dガラス繊維の内の少なくとも1つなどのガラス繊維、又は、Lガラス繊維若しくは石英繊維などのより低い誘電率、より低い散逸損失繊維を含むことができる。例えば、日東紡績Co.,Ltd.(Tokyo,Japan)から市販されているNITTOBO NE又はAGY(Aiken,South Carolina)から市販されているLガラス繊維などの、より低い誘電率、より低い誘電正接、熱的に安定な繊維が挙げられる。ガラス繊維を含む熱的に安定な布は、平織又は延伸織であることができ、バランスをとることができる。延伸織は、インピーダンス制御、導電性陽極フィラメント(CAF)成長に対する抵抗、寸法安定性、プリプレグの歩留まりを向上させることができ、回路製造中のレーザ穿孔により適している。布は、複合材料の総重量に基づいて、5~40重量%又は15~25重量%の量で、より低い誘電率、より低い誘電正接の延伸織布を含むことができる。
【0048】
[0042] 熱的に安定な繊維は、高温重合体繊維、パルプ又はフィブリル化パルプなどの重合体ベースの繊維を含むことができる。重合体ベースの繊維は、Kuraray America Inc.,Fort Mill,SCから市販されているVECTRAN(登録商標)などの液晶重合体を含むことができる。重合体ベースの繊維は、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES又はPESU)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリm-アラミド(繊維又はフィブリド)、ポリp-アラミド、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)又はポリエステル(PETなど)の内の少なくとも1つを含むことができる。布は、5~100μm、又は10~60μmの厚さを有し得る。複合材料は、複合材料の総重量に基づいて、5~40重量%又は15~25重量%の量で布を含むことができる。
【0049】
[0043] 誘電体複合材料は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)及びトリアリル(イソ)シアヌレートに由来する熱硬化性樹脂;官能化ブロック共重合体;疎水化溶融シリカ;並びに布を含むことができる。官能化ポリ(アリーレンエーテル)は、ポリスチレン標準に基づいて、500~3,000ダルトン、又は1,000~2,000ダルトンの数平均分子量を有することができる。熱硬化性樹脂は、熱硬化性成分の総重量に基づいて40~60重量%の官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含む熱硬化性組成物に由来することができる。誘電体複合材料は、補強布を除いた誘電体複合材料の総重量に基づいて、25~60重量%の熱硬化性樹脂を含むことができる。
【0050】
[0044] 熱硬化性樹脂は、熱硬化性成分の総重量に基づいて0.1~10重量%の官能化ブロック共重合体を含む熱硬化性組成物に由来することができる。官能化ブロック共重合体の少なくとも1つは、マレイン化スチレンブロック共重合体を含むことができ、又は官能化ポリ(アリーレンエーテル)は、メタクリレート官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含むことができる。官能化スチレンブロック共重合体は、1g当たり10~50又は28~40ミリ当量のKOHのカルボン酸数を有することができる。官能化スチレンブロック共重合体は、10~50、又は28~40meq KOH/gのカルボン酸数を有することができる。官能化スチレンブロック共重合体は、ポリスチレン標準に基づいて、1,000~20,000Daの数平均分子量を有することができる。官能化スチレンブロック共重合体は、官能化スチレンブロック共重合体の総重量に基づいて10~50重量%のスチレン含量を有することができる。
【0051】
[0045] 誘電体複合材料は、誘電体複合材料から補強布を除いた総重量に基づいて、20~60重量%の疎水化溶融シリカを含むことができる。疎水化溶融シリカは、フェニルシラン又はフルオロシランの内の少なくとも1つに由来する表面処理を含むことができる。疎水化溶融シリカは、1~20μmのD90粒子サイズを有することができる。
【0052】
[0046] 誘電体複合材料は、疎水化溶融シリカ以外のセラミック充填材をさらに含むことができる。セラミック充填材は、ヒュームドシリカ、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、コランダム、珪灰石、Ba2Ti9O20、中空セラミック球体、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ベリリア、アルミナ、アルミナ三水和物、マグネシア、雲母、タルク、ナノクレイ、又は水酸化マグネシウムの内の少なくとも1つを含むことができる。セラミック充填材は、疎水性ヒュームドシリカを含むことができる。疎水性ヒュームドシリカは、メタクリレート官能化疎水性ヒュームドシリカを含むことができる。誘電体複合材料は、補強布を除いた誘電体複合材料の総重量に基づいて、0.1~5重量%の疎水性ヒュームドシリカを含むことができる。疎水性ヒュームドシリカは、2-プロペン酸、2-メチル-、3-(トリメトキシシリル)プロピルエステルに由来する表面処理を含むことができる。疎水性ヒュームドシリカは、100~200m2/gのBET表面積を有することができる。セラミック充填材は、二酸化チタンを含むことができる。誘電体複合材料は、誘電体複合材料から任意の補強布を除いた総重量に基づいて、0.1~10重量%の二酸化チタンを含むことができる。セラミック充填材は、0.5~10μmのD90粒子サイズを有することができる。セラミック充填材は、疎水性ヒュームドシリカ及び二酸化チタンを含むことができ、疎水性ヒュームドシリカと二酸化チタンとの重量比は1:2~2:1であることができる。
【0053】
[0047] 誘電体複合材料は、難燃剤を含むことができる。誘電体複合材料は、補強布を除いた誘電体複合材料の総重量に基づいて1~15重量%の難燃剤を含むことができる。誘電体複合材料は、誘電体複合材料の総重量に基づいて5~40重量%の量で補強布を含むことができる。補強布は、Lガラス繊維又は石英繊維の内の少なくとも1つを含むことができる。補強布は、誘電体複合材料の総重量に基づいて5~40重量%の量で存在する延伸織補強布であることができる。誘電体複合材料は、熱硬化性樹脂が部分的にのみ硬化された1~1,000μmの厚さを有するプリプレグであることができる。
【0054】
[0048] プリプレグは、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、トリアリル(イソ)シアヌレート、官能化ブロック共重合体、疎水化溶融シリカ、開始剤、及び任意に溶媒を含む熱硬化性組成物で布を処理し;熱硬化性組成物を部分的に硬化(b-ステージング)することによって形成することができる。本明細書で使用される場合、用語b-ステージングは、以下を指すことができる:(1)溶媒キャリア中に任意に存在する熱硬化性組成物は、(2)表面、例えば、織物ガラス繊維に適用され、次いで(3)重合のための開始温度未満で任意の溶媒キャリアが蒸発し、次いで(4)熱のさらなる印加をし、(5)熱硬化性組成物を部分的に重合(又は部分的に硬化)し、次いで(6)熱硬化性組成物を完全に重合しないように冷却する。熱硬化性組成物を部分的に硬化させることは、熱及び圧力がb-ステージ化システムに印加されるときに生じる樹脂流動量を調節することが重要である用途に特に有用であり得る。b-ステージ化システムを形成した後、b-ステージ化システムを追加の熱に曝すことができ、部分的に硬化された熱硬化性組成物を完全に硬化させることができる。この最終的な重合は、しばしばc-ステージングと呼ばれる。部分的に硬化された複合材料を介して複合材料を形成する例としては、最初に、b-ステージ化した熱硬化性組成物(他にはプリプレグとして知られている)を製造し、次に同じ設備でプリプレグを積層してc-ステージ化した積層体を形成するか、又は別の設備でプリプレグを積層することが挙げられる。積層は、通常、熱及び圧力の両方の印加を含み、多層構造を形成することができる。
【0055】
[0049] 熱硬化性組成物は、種々の成分を任意の順序で、任意に、溶融状態又は不活性溶媒中で、組み合わせることによって形成することができる。混合は、ブレンド、混合、又は撹拌などの任意の適切な方法によることができる。熱硬化性組成物を形成するために使用される成分は、成分を溶媒に溶解又は懸濁させることによって組み合わせることができ、コーティング混合物又は溶液を提供できる。プリプレグの形成は、配合溶媒を揮発させ、熱硬化性組成物を少なくとも部分的に硬化(b-ステージ)させるのに十分な時間、処理された布を高温で保持することを含むことができる。プリプレグを形成した後、プリプレグは、例えば、回路積層体又は他の回路サブアセンブリの製造中に材料を完全に硬化させる前に一定期間保管することができる。一つのタイプの構造では、多層積層体は、導電層間にプリプレグの2つ以上の層を含むことができる。
【0056】
[0050] 開始剤は、熱的に分解してフリーラジカルを形成することができ、その後、フリーラジカルは、配合物内でエチレン性不飽和二重結合の重合を開始する。これらの開始剤は一般に、弱い結合、例えば解離エネルギーの小さい結合を提供する。フリーラジカル開始剤は、過酸化物開始剤、アゾ開始剤、炭素-炭素開始剤、過硫酸塩開始剤、ヒドラジン開始剤、ヒドラジド開始剤、ベンゾフェノン開始剤、又はハロゲン開始剤の内の少なくとも1つを含むことができる。開始剤は、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン、又はポリ(1,4-ジイソプロピルベンゼン)を含むことができる。開始剤は、有機過酸化物、例えばジクミルペルオキシド、t-ブチルペルベンゾエート、α,α’-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、又は2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシンの内の少なくとも1つを含むことができる。任意に、開始剤は、例えば、α-ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジメチルケタール、α-アミノケトン、モノアシルホスフィン(MAPO)、ビスアシルホスフィン(BAPO)、ホスフィンオキシド又はメタロセンを含み、光感受性であり得る。開始剤は、熱硬化性組成物の総重量に基づいて、0.1~5重量%又は0.1~1.5重量%の量で存在することができる。
【0057】
[0051] 溶媒は、熱硬化性成分を溶解し、粒子状添加剤及び存在し得るあらゆる他の任意の添加剤を分散し、形成、乾燥及びb-ステージングに都合の良い蒸発速度を有するように選択することができる。溶媒は、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ヘキサン、より高い液体の直鎖アルカン(例えば、ヘプタン、オクタン、又はノナン)、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、イソホロン、グリコールエーテルPM、グリコールエーテルPMアセテート、又はテルペン系溶媒の内の少なくとも1つを含むことができる。溶媒は、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はヘキサンの内の少なくとも1つを含むことができる。溶媒は、キシレン又はトルエンの内の少なくとも1つを含むことができる。溶媒は、熱硬化性組成物の総重量に基づいて、2~20重量%、2~10重量%、2~5重量%の量で存在することができる。熱硬化性組成物は、熱硬化性組成物の総重量に基づいて、80~98重量%の固形分(溶媒以外の全ての成分)、又は15~40重量%の固形分を含むことができる。
【0058】
[0052] 熱硬化性組成物によって布を処理する方法は限定されず、例えば、ディップコーティング又はロールコーティングによって、任意に温度を上げて行うことができる。単一層のプリプレグは、10~200μm又は30~150μmの厚さを有することができる。単一層の非クラッド材料が望ましい場合には、熱硬化性組成物を完全に硬化させて複合材料を形成することができることに留意されたい。
【0059】
[0053] 2以上のプリプレグを一緒に積層して複合材料を形成することができる。複合材料を含む回路材料は、同様に、プリプレグの少なくとも1つの層(ply)と少なくとも1つの導電層とを積層することによって形成することができる。
【0060】
[0054] 積層は、積層体を形成するために、1つ又は複数のプリプレグの誘電体スタック、導電層、及び誘電体スタックと導電層との間の任意の中間層を含む層状構造を積層することを伴うことができる。同様に、層状構造は、必要に応じて、導電層のない誘電体スタックを含むことができる。導電層は、中間層なしで、誘電体スタックと直接接触することができる。誘電体スタックは、1~200層、又は2~50層、又は5~100層を含むことができ、少なくとも1つの導電層を誘電体スタックの最外側に配置することができる。層状構造は、次に、層を接合して積層体を形成するのに適した圧力及び温度及び時間の下で、例えば真空プレスなどのプレス内に配置することができる。任意に、層状構造は、ロール・ツー・ロール積層又はオートクレーブ処理することができる。
【0061】
[0055] 積層及び任意の硬化は、例えば真空プレスを使用する一段階プロセスによることができ、又は多段階プロセスによることもできる。一段階プロセスでは、層状構造をプレス内に配置し、積層圧力にして、積層温度に加熱することができる。積層温度は、100~390摂氏(℃)、100~250℃、100~200℃、100~175℃、150~170℃とすることができる。積層圧力は、1~3メガパスカル(MPa)、1~2MPa、1~1.5MPaとすることができる。積層温度及び圧力は、所望の滞留(ソーク)時間、例えば5~150分間、又は5~100分間、又は10~50分間維持することができ、その後、制御された冷却速度(加圧の有無にかかわらず)で、例えば150℃以下に冷却することができる。
【0062】
[0056] 驚くべきことに、積層パラメータ、例えば温度、滞留(ソーク)時間及び圧力を変更することによって、積層体の結果として得られる特性を変更できることが発見された。理論に拘束されることを意図するものではないが、標準的なエポキシ硬化サイクル(積層温度180~200℃、滞留(ソーク)時間90分、圧力1.6~2.1MPaを使用)が、熱力学的反応制御により適したエネルギープロファイルを付与することが提案されている。付与された温度、滞留時間(ソーク)、圧力を低下させると(例えば、温度140~170℃、滞留時間(ソーク)10~60分、圧力1~1.5MPaまで)、得られた誘電体はより低い誘電正接を示すことが分かった。
【0063】
[0057] 導電層は、レーザー直接構造化によって適用することができる。ここで、複合材料は、レーザー直接構造化添加剤を含むことができ;レーザー直接構造化は、レーザーを使用して基板の表面を照射し、レーザー直接構造化添加剤のトラックを形成し、トラックに導電性金属を適用することを含むことができる。レーザー直接構造化添加剤は、金属酸化物粒子(例えば、酸化チタン及び銅クロム酸化物)を含むことができる。レーザー直接構造化添加剤は、スピネル銅などの、スピネルベースの無機金属酸化物粒子を含むことができる。金属酸化物粒子は、例えば、スズ及びアンチモンを含む組成物(例えば、コーティングの総重量に基づいて、50~99重量%のスズ及び1~50重量%のアンチモン)でコーティングすることができる。レーザー直接構造化添加剤は、100部の組成物に基づいて2~20部の添加剤を含むことができる。照射は、波長1,064nmのYAGレーザーを用いて、出力10W、周波数80kHz、レート3m/秒で行うことができる。導電性金属は、例えば銅を含む無電解めっき浴又は電解めっき浴においてめっきステップを用いて適用することができる。
【0064】
[0058] 導電層は、ステンレス鋼、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、スズ、鉛、ニッケル、又は遷移金属の内の少なくとも1つを含むことができる。導電層の厚さに関して特に制限はなく、導電層の表面の形状、サイズ、テクスチャにも制限はない。導電層は、3~200μm、又は9~180μmの厚さを有することができる。2つ以上の導電層が存在する場合、2つの層の厚さは、同じであっても異なっていてもよい。導電層は、銅層を含むことができる。適切な導電層は、現在回路の形成に使用されている銅箔などの導電性金属の薄層、例えば、電着又はアニールされた銅箔を含む。
【0065】
[0059] 銅箔は、5μm以下、又は0.1~3μm、又は0.05~0.7μmの二乗平均平方根(RMS)粗さを有することができる。本明細書で使用されるように、導電層の粗さは、接触モードにおける原子間力顕微鏡法によって決定することができ、測定された5つの最も高いピークの合計から5つの最も低い谷の合計を引いて5で割ることによって計算されたRz(μm)を報告する(JIS(日本工業規格)-B-0601);又は、粗さは、非接触モードにおける白色光走査干渉法を使用して決定することができ、処理された側面のトポグラフィー及びテクスチャを特徴付けるためのスティッチング技術を使用して、Sa(算術平均高さ)、Sq(二乗平均平方根高さ)、Sz(最大高さ)の高さパラメータ(μm)として報告される(ISO 25178)。銅箔は、例えば、0.05~0.4μmのSa、0.01~1μmのSq、0.5~10μmのSz、又は0.5~30パーセント(%)のSdr(展開界面面積率)の内の少なくとも1つを有する、亜鉛フリーの低いプロファイルの処理がされた側面粗さを有する電池箔層であり得る。
【0066】
[0060] 複合材料は、無水雰囲気中で10MHzにおいて、0.005以下、0.003以下、0.0028以下、又は0.002~0.005の散逸損失を有することができる。複合材料は、50%の相対周囲湿度に曝された場合、10ギガヘルツ(GHz)で0.005以下の散逸損失、又は0.0045以下、又は0.002~0.005の損失を有することができる。複合材料は、10GHzで2~5、又は3~3.5の誘電率を有することができる。散逸損失及び誘電率は、“Stripline Test for Permittivity and Loss Tangent at X-Band”試験方法(IPC-TM-650 2.5.5.5)に従って、温度23~25℃で測定することができる。
【0067】
[0061] 複合材料は、UL94 V0等級を84~760μmの厚さで有することができ、これは、Underwriter’s Laboratory UL 94 Standard for Safetyの“Tests for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances”に従って決定される。複合材料は、IPC試験方法650, 2.4.8に従って測定した、銅に対する3から7lb/直線インチ(pli)(1センチメートル当たり0.54から1.25キログラム(kg/cm))、又は4から7pliの剥離強度を有することができる。複合材料のガラス転移温度は、“Glass Transition Temperature and Thermal Expansion of Materials Used in High Density Interconnection (HDI) and Microvias - TMA Method”(IPC-TM-650 2.4.24.5)に従って決定され、200℃以上であり得る。
【0068】
[0062] プリプレグ、ビルドアップ材料、ボンド層、樹脂コーティング導電層、又はカバーフィルムは、複合材料を含むことができる。複合材料は、非クラッド又はデクラッド誘電体層、単一クラッド誘電体層、又は二重クラッド誘電体層であることができる。二重クラッド積層体は、複合材料の各側面に1つずつ、2つの導電層を有する。回路材料は、複合材料を含むことができる。回路材料は、複合材料に固定して取り付けられた、導電層、例えば、銅、を有する一種の回路サブアセンブリである。例えば、印刷及びエッチングによって導電層をパターニングすることによって、回路を提供することができる。多層回路は、複数の導電層を含むことができ、そのうち少なくとも1つは導電配線パターンを含む。典型的には、多層回路は、熱又は圧力を加えながら、接着層を使用して、2つ以上の材料を適切な配列で一緒に積層することによって形成され、そのうち少なくとも1つは回路層を含む。回路材料はそれ自体アンテナとして機能することができる。
【0069】
[0063] 以下の実施例は、本開示を説明するために提供される。実施例は単なる例示であり、本開示に従って作製されるデバイスを本明細書に記載される材料、条件、又はプロセスパラメータに限定することを意図しない。
【0070】
実施例
[0064] 実施例において、誘電率(Dk)及び散逸損失(Df)(損失正接とも呼ばれる)は、“Stripline Test for Permittivity and Loss Tangent at X-Band”試験方法(IPC-TM-650 2.5.5.5)に従って、温度23~25℃において測定された。銅の剥離強度は、“Peel strength of metallic clad laminates”試験方法(IPC-TM-650 2.4.8)に従って決定された。火炎等級は、Underwriter’s Laboratory UL 94 Standard For Safety “Tests for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances”に従って決定され、V0の火炎等級は達成することが最も困難である。プリプレグ樹脂流量は、“Resin Flow Percent of Prepreg”試験方法(IPC-TM-650 2.3.17)に従って決定された。x,y方向における及びz方向におけるガラス転移温度(Tg)及び熱膨張係数(CTE)を“Glass Transition Temperature and Thermal Expansion of Materials Used in High Density Interconnection (HDI) and Microvias - TMA Method”(IPC-TM-650 2.4.24.5)に従って決定した。
【0071】
[0065] 銅の粗さは、接触モードで原子間力顕微鏡を使用して決定され、5つの最も高い測定ピークの合計から5つの最も低い谷の合計を除いたものを決定し、次に5で割ることによって計算されたμm単位のRzとして報告される(JIS(日本工業規格)-B-0601);又は、銅の粗さは、非接触モードで白色光走査干渉法を使用して決定され、処理された側面のトポグラフィー及びテクスチャを特徴付けるためのスティッチング技術を使用してμm単位のSa、Sq、Szの高さパラメータとして報告される(ISO 25178)。
【0072】
[0066] この実施例では、1オンス(oz.)銅箔という用語は、1オンス(29.6ミリリットル)の銅を平坦にプレスして、1平方フィート(929cm2)の面積に均一に広げたときに達成される銅層の厚さを指す。相当する厚さは1.37ミル(0.0347ミリメートル)である。1/2オンスの銅箔は、それに対応して0.01735ミリメートルの厚さを有する。
【0073】
[0067] 実施例で使用した成分を表1に示す。
【0074】
【0075】
実施例1:疎水化溶融シリカの調製
[0068] フルオロシラン194g(g)、フェニルシラン583g、蒸留水179g、1.5ノルマル(N)塩酸3g及び塩化メチレン182gのシラン混合物を混合しながら調製した。シラン混合物が透明になった後、シラン混合物を2時間混合した。
【0076】
[0069] 85.5ポンド(lbs)(38.8キログラム(kg))の溶融シリカをPKブレンダーに添加し、均一に広げた。ブレンダーを開始し、インテンシファイアバーをオンにした。次いで、シラン混合物をインライン1μmフィルターを用いて濾過し、蠕動ポンプの補助を介してブレンダーに添加した。シラン混合物を7分間にわたって一定速度で添加した。シラン混合物を添加した後、インテンシファイアバーを5分間オンのままにし、その後、ブレンダー及びインテンシファイアバーをオフにした。ブレンダーの内側表面から材料を除去するのを助けるために、ブレンダーの外側をマレットでタップし、ブレンダーを180度回転させ、再びタップした。次いで、ブレンダーをさらに10分間運転して、疎水化溶融シリカを形成した。
【0077】
[0070] 疎水化溶融シリカの相対的疎水性は、攪拌下で水と混合することによって確認されたが、疎水化溶融シリカは濡れなかった。
実施例2:熱硬化性組成物の調製
[0071] 織物ガラス強化複合材料のプリプレグを調製する際に使用するために、表2に記載のように熱硬化性組成物を形成した。
【0078】
【0079】
実施例3-5:織物ガラス強化複合材料のプリプレグの形成
[0072] プリプレグは、ガラス布1、2又は3を実施例2の熱硬化性組成物で処理することによって形成した。必要に応じて、1.7メガパスカル(MPa)の圧力で185℃において90分の典型的なエポキシ硬化サイクルを使用して、プリプレグのいずれかの側に配置された1/2オンスの銅箔と共に単一層プリプレグ又はプリプレグのスタックを積層した。得られた積層体の各特性を表3に示す。表において、誘電体樹脂濃度の重量%は、ガラス布を含む硬化複合材料の総重量に基づいている。
【0080】
【0081】
[0073] 表3は、本熱硬化性組成物から形成された複合材料が、10GHzで3.0~3.5の誘電率及び10GHzで0.005未満の散逸損失を示すことを示す。複合材料は、x,y,z方向における良好なTg及び良好なCTE値も示した。
【0082】
[0074] 実施例3~5に関連したプリプレグ層に由来する厚さ76~798μmの範囲の複合材料は、全てUL94 V0の火炎等級を示した。
【0083】
実施例6-14:典型的なエポキシ硬化サイクルを用いた銅クラッド積層体の形成
[0075] 実施例3、4及び5にそれぞれ従うプリプレグ層を用いて複合材料を調製した(実施例6-8、9-11及び12-14)。次に、プリプレグスタックの両側に配置された1/2オンスの銅箔と共に各プリプレグのスタックを、1.7メガパスカル(MPa)の圧力で185℃において90分の典型的なエポキシ硬化サイクルを用いて積層した。実施例の半分では、銅クラッド積層体をそのままの状態(AR)での剥離強度について試験し、実施例の残りの半分では、銅クラッド積層体を288℃の温度に10秒間加熱して熱応力を加えた(AS)後の剥離強度について試験した。各銅クラッド積層体(AR及びAS)の剥離強度結果を表4に示す。
【0084】
【0085】
[0076] 表4は、全ての積層体が、3pli(0.54kg/cm)以上の銅箔で良好な剥離強度を示したことを示す。
【0086】
実施例15-18:修正硬化サイクルを用いた銅クラッド積層体の形成
[0077] 実施例1の熱硬化性混合物をガラス布2上に処理してプリプレグを形成した。誘電体樹脂は81.6重量%の量で存在し、プリプレグは84μmの層厚を有した。次に、表5に示すような修正硬化サイクルを用いて、両側に銅箔層を有するプリプレグの2層及び7層のスタックを積層した。152μm及び533μmの誘電体厚さを有する銅クラッド積層体を、受け取ったままの(AR)銅を用いて剥離強度について試験し、その結果を表6に示す。
【0087】
【0088】
【0089】
[0078] 表6は、実施例15-18の積層体が3pli(0.54kg/cm)以上の銅箔による良好な剥離強度を示しただけでなく、10GHzにおいて0.003未満の極めて低い散逸損失値を達成することができたことを示す。
【0090】
実施例19-25:市販品との比較
[0079] 4つの銅クラッド積層体を、標準的なエポキシ積層サイクルを用いて調製した。銅箔の種類及び複合材料誘電体の厚さを表7に示す。実施例19-22の誘電率及び実施例21-22の挿入損失を、異なる銅箔を積層した市販の積層体(CL)と比較した:ED(CL23)、H-VLP(CL24)及びH-VLP(CL25)。本明細書において使用される場合、H-VLPは、両側に2~3μmのRzを有する超極低プロファイルである銅箔を指し、EDは、電着されている銅箔を指す。周波数に対する誘電率及び挿入損失の値をそれぞれ
図1及び
図2に示す。
【0091】
【0092】
[0080]
図1は、実施例20、21及び22の積層体が全て、試験した市販の積層体の全てと比較してより低い誘電率値を有し、実施例19の積層体が、市販の積層体23及び24と比較してより低い誘電率値を有したことを示す。
【0093】
[0081]
図2は、本積層体が、市販品と比較して改善された挿入損失値を達成できることを示す。例えば、実施例21の積層体は、市販の積層体23及び24と比較して改善された挿入損失を有し、電池箔NNを有する実施例22の積層体は、市販の積層体25よりも改善された挿入損失を有した。
【0094】
実施例23-29:ブロック共重合体の効果
[0082] 積層温度218℃、積層圧力2MPaで120分間の積層サイクル(1)又は上記の標準エポキシ積層サイクル(2)と、1/2オンスのCu箔1とを用いて、7枚の銅クラッド積層体を調製した。成分の量は、熱硬化性組成物中の固形分の総重量に基づいた重量%であり、樹脂の量は、プリプレグの総重量に基づいた重量%である。
【0095】
【0096】
[0083] 表8は、1.2重量%のブロック共重合体のみを含む実施例24の積層体が、0重量%のブロック共重合体を含む実施例23のほぼ2倍である4.1kg/cmの剥離強度を有することを示す。実施例25及び実施例26は、単に積層温度、時間及び圧力を低下させることによって、剥離強度が4.2kg/cmから4.8kg/cmに増加したことを示す。実施例26-29は、樹脂量及びガラス布タイプを変化させることによって、剥離強度にも影響を及ぼすことを示す。
【0097】
[0084] 以下に述べるのは、本開示の非限定的な態様である。
【0098】
[0085] 態様1:官能化ポリ(アリーレンエーテル)、トリアリル(イソ)シアヌレート、及び官能化ブロック共重合体に由来する熱硬化性樹脂と;疎水化溶融シリカと;布と;を含む誘電体複合材料。
【0099】
[0086] 態様2:複合材料が、50%の相対周囲湿度に曝された場合に10GHzにおいて0.005以下、0.003以下、又は0.0028以下の散逸損失;84~760μmの厚さにおけるUL94 V0等級;又は0.54~1.25kg/cmの銅に対する剥離強度;の内の少なくとも1つを有する、態様1の複合材料。
【0100】
[0087] 態様3:官能化ポリ(アリーレンエーテル)が、ポリスチレン標準に基づいて、500~3,000ダルトン、又は1,000~2,000ダルトンの数平均分子量を有する、先の態様のいずれか一つ以上の複合材料。
【0101】
[0088] 態様4:熱硬化性樹脂が、熱硬化性成分の総重量に基づいて40~60重量%の官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含む熱硬化性組成物に由来する、先の態様のいずれか一つ以上の複合材料。
【0102】
[0089] 態様5:複合材料が、複合材料から布を除いた総重量に基づいて、25~60重量%又は35~50重量%の熱硬化性樹脂を含む、先行する態様のいずれか一つ以上の複合材料。
【0103】
[0090] 態様6:熱硬化性樹脂が、熱硬化性成分の総重量に基づいて、0.1~10重量%、又は0.5~5重量%、又は2~5重量%の官能化ブロック共重合体を含む熱硬化性組成物に由来する、先の態様のいずれか一つ以上の複合材料。
【0104】
[0091] 態様7:官能化ブロック共重合体の少なくとも1つが、マレイン化スチレンブロック共重合体を含む、又は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)が、メタクリレート官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含む、先の態様のいずれか一つ以上の複合材料。
【0105】
[0092] 態様8:官能化スチレンブロック共重合体が、10~50又は28~40meq KOH/gのカルボン酸数;ポリスチレン標準に基づいて1,000~20,000Da又は8,000~15,000Daの数平均分子量;及び官能化スチレンブロック共重合体の総重量に基づいて10~50重量%又は15~30重量%のスチレン含量;の内の少なくとも1つを有する、先の態様のいずれか一つ以上の複合材料。
【0106】
[0093] 態様9:複合材料が、複合材料から布を除いた総重量に基づいて、20~60重量%、又は35~50重量%、35~40重量%の疎水化溶融シリカを含む、先の態様のいずれか一つ以上の複合材料。
【0107】
[0094] 態様10:疎水化溶融シリカが、フェニルシラン及びフルオロシランの内の少なくとも1つに由来する表面処理を含み、疎水化溶融シリカが、1~20μm又は5~15μmのD90粒子サイズを有する、先の態様のいずれか一つ以上の複合材料。
【0108】
[0095] 態様11:疎水化溶融シリカ以外のセラミック充填材をさらに含み、セラミック充填材が、任意に、ヒュームドシリカ、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、コランダム、珪灰石、Ba2Ti9O20、中空セラミック球体、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ベリリア、アルミナ、アルミナ三水和物、マグネシア、雲母、タルク、ナノクレイ、又は水酸化マグネシウムの内の少なくとも1つを含む、先の態様のいずれか一つ以上の複合材料。
【0109】
[0096] 態様12:セラミック充填材が、疎水性ヒュームドシリカを含む、態様11の複合材料。
【0110】
[0097] 態様13:疎水性ヒュームドシリカが、メタクリレート官能化疎水性ヒュームドシリカを含む、態様12の複合材料。
【0111】
[0098] 態様14:複合材料が、複合材料から布を除いた総重量に基づいて、0.1~5重量%又は1~5重量%の疎水性ヒュームドシリカを含む、態様12~13のいずれか一つ以上の複合材料。
【0112】
[0099] 態様15:疎水性ヒュームドシリカが、2-プロペン酸、2-メチル-、3-(トリメトキシシリル)プロピルエステルに由来する表面処理を含み;疎水性ヒュームドシリカが、100~200m2/g又は145~155m2/gのBET表面積を有する、態様12~14のいずれか一つ以上の複合材料。
【0113】
[0100] 態様16:セラミック充填材が二酸化チタンを含む、態様11~15のいずれか一つ以上の複合材料。
【0114】
[0101] 態様17:複合材料が、複合材料から任意の布を除いた総重量に基づいて、0.1~10重量%、又は0.1~5重量%の二酸化チタンを含む、態様16の複合材料。
【0115】
[0102] 態様18:セラミック充填材が、0.5~10、又は0.5~5μmのD90粒子サイズを有する、態様11~17のいずれか一つ以上の複合材料。
【0116】
[0103] 態様19:セラミック充填材が、疎水性ヒュームドシリカ及び二酸化チタンを含み、疎水性ヒュームドシリカの二酸化チタンに対する重量比が1:2~2:1である、態様11~18のいずれか一つ以上の複合材料。
【0117】
[0104] 態様20:難燃剤をさらに含む、先の態様のいずれか一つ以上の複合材料。
【0118】
[0105] 態様21:複合材料が、複合材料から布を除いた総重量に基づいて1~15重量%又は5~10重量%の難燃剤を含む、態様20の複合材料。
【0119】
[0106] 態様22:複合材料が、複合材料の総重量に基づいて5~40重量%又は15~25重量%の量で布を含む、先の態様のいずれか一つ以上の複合材料。
【0120】
[0107] 態様23:布が、Lガラス繊維又は石英繊維の内の少なくとも1つを含み、布が、複合材料の総重量に基づいて5~40重量%又は15~25重量%の量で存在する延伸織布である、先の態様のいずれか一つ以上の複合材料。
【0121】
[0108] 態様24:複合材料が、1~1,000μmの厚さを有するプリプレグであり;熱硬化性樹脂が部分的にのみ硬化された、先の態様のいずれか一つ以上の複合材料。
【0122】
[0109] 態様25:複合材料が:官能化ポリ(フェニレンエーテル)、トリアリルイソシアヌレート、及び、スチレンブロックと共役ジエンに由来するブロックとを含むマレイン化スチレンブロック共重合体に由来する25~60重量%の熱硬化性樹脂と;20~60重量%の疎水化溶融シリカと;0~5重量%又は0.1~5重量%の疎水性ヒュームドシリカであって、疎水性ヒュームドシリカが、メタクリレート官能化疎水性ヒュームドシリカを含む、疎水性ヒュームドシリカと;0~10重量%又は0.1~10重量%の二酸化チタンであって、二酸化チタンが、0.5~10μm又は0.5~5μmのD90粒子サイズを有する、二酸化チタンと;0から15重量%、又は1から15重量%の難燃剤と;(これらはすべて複合材料から布を除いた総重量に基づいて)誘電体複合材料の総重量に基づいて、5~40重量%のガラス布と;を含む、任意に先の態様のいずれか一つ以上の、複合材料。
【0123】
[0110] 態様26:先の態様のいずれか一つ以上の複合材料と少なくとも1つの導電層とを含む回路材料。
【0124】
[0111] 態様27:少なくとも1つの導電層が、5μm以下、又は0.1~3μmのRz表面粗さを有する、態様26の回路材料。
【0125】
[0112] 態様28:態様1~25のいずれか一つ以上の複合材料を作製する方法であって、メタクリレート官能化ポリ(アリーレンエーテル)、トリアリル(イソ)シアヌレート、官能化ブロック共重合体、疎水化溶融シリカ、開始剤、及び溶媒を含む熱硬化性組成物を形成するステップと;熱硬化性組成物で布をコーティングするステップと;熱硬化性組成物を少なくとも部分的に硬化させてプリプレグを形成するステップと;を含む方法。
【0126】
[0113] 態様29:プリプレグを積層するステップをさらに含み、積層するステップは、100~180℃、1~1.5MPaで5~50分間行われる、態様28の方法。
【0127】
[0114] 態様30:熱硬化性組成物を形成する前に、溶融シリカを疎水性シランで前処理して疎水化溶融シリカを形成するステップをさらに含む、態様28~29の一つ以上の方法。
【0128】
[0115] 組成物、方法及び物品は、代替的に、本明細書に開示された任意の適切な材料、ステップ又は成分を含むか、これらからなるか、又はこれらから本質的になることができる。組成物、方法及び物品は、追加的に、又は代替的に、組成物、方法及び物品の機能又は目的を達成するために必要でない任意の材料(又は種)、ステップ、又は成分を欠くか、又は実質的に含まないように処方され得る。
【0129】
[0116] 本明細書中で使用されるように、「a」、「an」、「the」及び「少なくとも1つ」は、量の制限を示さず、文脈が他に明確に示さない限り、単数及び複数の両方をカバーすることが意図される。例えば、「要素」は、文脈が明確に他の意味を示さない限り、「少なくとも1つの要素」と同じ意味を有する。「組み合わせ」という用語は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含む。また、「少なくとも1つ」は、リストが各要素を個別に含むこと、並びにリストの2つ以上の要素の組み合わせ、及びリストの少なくとも1つの要素と、名前が付けられていない同様の要素との組み合わせを含むことを意味する。
【0130】
[0117] 「又は」という用語は、文脈により他に明確に示されない限り、「及び/又は」を意味する。本明細書全体を通じて、「一態様」、「別の態様」、「いくつかの態様」などを参照することは、その態様に関連して記載される特定の要素(例えば、特徴、構造、ステップ、又は特性)が、本明細書に記載される少なくとも1つの態様に含まれ、他の態様に存在してもしなくてもよいことを意味する。さらに、説明された要素は、様々な態様において任意の適切な方法で組み合わされ得ることが理解されるべきである。本明細書で使用される「第1」、「第2」などの用語は、いかなる順序、量、又は重要性も示すものではなく、むしろ1つの要素を別の要素から区別するために使用される。他に定義されない限り、本明細書で使用される技術的及び科学的用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0131】
[0118] 本明細書に別段の記載がない限り、すべての試験基準は、本出願の出願日時点で有効な最新の基準であるか、又は、優先権が主張される場合は、当該試験基準が現れる最も早い優先出願の出願日である。同じ構成要素又は特性に向けられたすべての範囲の端点は、端点を含み、独立して結合可能であり、すべての中間点及び範囲を含む。例えば、「25重量%まで、又は5~20重量%まで」の範囲は、10~23重量%などの「5~25重量%」の範囲の終点及びすべての中間値を含む。
【0132】
[0119] 化合物は標準的な命名法を用いて記載される。例えば、示されたいずれの基によっても置換されていないいずれの位置も、示された結合又は水素原子によって充填されたその原子価を有すると理解される。2つの文字又は記号の間にないダッシュ(“-”)は、置換基の結合点を示すために使用される。たとえば、-CHOはカルボニル基の炭素を介して結合する。本明細書中で使用される場合、用語「(メタ)アクリル」は、アクリル基及びメタクリル基の両方を包含する。本明細書中で使用される場合、用語「(イソ)シアヌレート」は、シアヌレート基及びイソシアヌレート基の両方を包含する。
【0133】
[0120] 引用されたすべての特許、特許出願、及び他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、本出願における用語が、組み込まれる参考文献における用語と矛盾するか又は対立する場合、本出願からの用語は、組み込まれる参考文献からの対立する用語よりも優先される。特定の実施形態を説明してきたが、現時点では予測できない、又は予測できない可能性のある代替、修正、変形、改良、及び実質的同等物が、出願人又は他の当業者に生じ得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、出願時及び補正時に、そのようなすべての代替、修正、変形、改良、及び実質的等価物を包含することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2021-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能化ポリ(アリーレンエーテル)、トリアリル(イソ)シアヌレート、及び官能化ブロック共重合体に由来する熱硬化性樹脂と;
疎水化溶融シリカと;
補強布と;
を含む、誘電体複合材料。
【請求項2】
前記官能化ポリ(アリーレンエーテル)が、ポリスチレン標準に基づいて、500~3,000ダルトン又は1,000~2,000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項
1に記載の誘電体複合材料。
【請求項3】
前記熱硬化性樹脂が、熱硬化性成分の総重量に基づいて40~60重量%の官能化ポリ(アリーレンエーテル)
及び0.1~10重量%、又は0.5~5重量%、又は2~5重量%の前記官能化ブロック共重合体を含む熱硬化性組成物に由来する、請求項1
又は2に記載の誘電体複合材料。
【請求項4】
前記官能化ブロック共重合体の少なくとも1つが、マレイン化スチレンブロック共重合体を含む、又は、前記官能化ポリ(アリーレンエーテル)が、メタクリレート官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項5】
前記誘電体複合材料が、前記誘電体複合材料から前記補強布を除いた総重量に基づいて、20~60重量%、又は35~50重量%、35~40重量%の前記疎水化溶融シリカを含む
;又は、
前記疎水化溶融シリカが、フェニルシラン又はフルオロシランの内の少なくとも1つに由来する表面処理を含み、前記疎水化溶融シリカが、1~20μm又は5~15μmのD90粒子サイズを有する、請求項1から
4のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項6】
前記疎水化溶融シリカ以外のセラミック充填材をさらに含み、前記セラミック充填材が、任意に、ヒュームドシリカ、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、コランダム、珪灰石、Ba
2Ti
9O
20、中空セラミック球体、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ベリリア、アルミナ、アルミナ三水和物、マグネシア、雲母、タルク、ナノクレイ、又は水酸化マグネシウムの内の少なくとも1つを含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項7】
前記補強布が、Lガラス繊維又は石英繊維の内の少なくとも1つを含み、前記補強布が、前記誘電体複合材料の総重量に基づいて5~40重量%、又は15~25重量%の量で存在する延伸織補強布である、請求項1から
6のいずれか一項に記載の誘電体複合材料。
【請求項8】
前記誘電体複合材料が:
官能化ポリ(フェニレンエーテル)、トリアリルイソシアヌレート、及び、スチレンブロックと共役ジエンに由来するブロックとを含むマレイン化スチレンブロック共重合体に由来する25~60重量%の熱硬化性樹脂と;
20~60重量%の前記疎水化溶融シリカと;
0~5重量%又は0.1~5重量%の疎水性ヒュームドシリカであって、前記疎水性ヒュームドシリカが、メタクリレート官能化疎水性ヒュームドシリカを含む、疎水性ヒュームドシリカと;
0~10重量%又は0.1~10重量%の二酸化チタンであって、前記二酸化チタンが、0.5~10μm又は0.5~5μmのD90粒子サイズを有する、二酸化チタンと;
0から15重量%、又は1から15重量%の難燃剤と;
(これらはすべて前記誘電体複合材料から前記補強布を除いた総重量に基づいて)
前記誘電体複合材料の総重量に基づいて、5~40重量%のガラス布と;
を含む、任意で請求項1から
7のいずれか一項に記載の、誘電体複合材料。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載の前記誘電体複合材料と少なくとも1つの導電層とを含む回路材料。
【請求項10】
任意に請求項1~
8のいずれか一項に記載の、誘電体複合材料を作製する方法であって、
メタクリレート官能化ポリ(アリーレンエーテル)、トリアリル(イソ)シアヌレート、前記官能化ブロック共重合体、前記疎水化溶融シリカ、開始剤及び溶媒を含む熱硬化性組成物を形成するステップと;
前記補強布を前記熱硬化性組成物でコーティングするステップと;
前記熱硬化性組成物を少なくとも部分的に硬化させてプリプレグを形成するステップと;
任意に、前記プリプレグと少なくとも1つの導電層を積層して、前記回路材料を形成するステップと;
を含む、方法。
【国際調査報告】