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特表2022-522193経皮的空気圧心臓補助のための装置、システム、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】経皮的空気圧心臓補助のための装置、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/191 20210101AFI20220407BHJP
   A61M 60/295 20210101ALI20220407BHJP
   A61M 60/843 20210101ALI20220407BHJP
   A61M 60/17 20210101ALI20220407BHJP
   A61M 60/515 20210101ALI20220407BHJP
   A61M 60/569 20210101ALI20220407BHJP
【FI】
A61M60/191
A61M60/295
A61M60/843
A61M60/17
A61M60/515
A61M60/569
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021550094
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(85)【翻訳文提出日】2021-10-13
(86)【国際出願番号】 US2020019974
(87)【国際公開番号】W WO2020176670
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】62/810,866
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521377616
【氏名又は名称】パーカシスト, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ノリエガ, ヘラルド
(72)【発明者】
【氏名】タング, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】マクロウ, ケヴィン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】スー, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】チン, アルバート ケー.
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077BB10
4C077CC03
4C077DD09
4C077EE01
4C077KK25
(57)【要約】
心臓補助システムは、心膜の下に、かつ患者の左心室を覆う心筋表面にわたって埋込される、空気圧エフェクタを含む。ポートが、埋込され、経皮的に導入されたカニューレを受容する。ポートは、カニューレから受容された駆動ガスを空気圧エフェクタに供給するために接続される。外部駆動ユニットが、ポンプアセンブリと、患者の感知された心臓律動に応答して、空気圧エフェクタを作動させるようにポンプを動作させる、制御回路とを含む。接続管が、ポンプに接続される、ポンプ端部と、埋込可能ポートに取り付けられる、経皮的ポート接続端部とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓補助システムであって、
空気圧エフェクタであって、前記空気圧エフェクタは、患者の心膜の下に、かつ前記患者の左心室を覆う心筋表面にわたって埋込されるように構成される、空気圧エフェクタと、
経皮的に導入されたカニューレを受容するように構成される埋込可能ポートであって、前記ポートは、前記カニューレから受容された駆動ガスを前記空気圧エフェクタに供給するために接続される、埋込可能ポートと、
外部駆動ユニットであって、
(a)ポンプアセンブリと、
(b)制御回路であって、前記制御回路は、前記患者の感知された心臓律動に応答して、前記空気圧エフェクタを作動させるように前記ポンプを動作させるように構成される、制御回路と
を含む、外部駆動ユニットと、
接続管であって、前記接続管は、前記ポンプアセンブリに取付可能なポンプ端部と、前記カニューレに取り付けられるカニューレ端部とを有する、接続管と
を備える、心臓補助システム。
【請求項2】
前記空気圧エフェクタは、膨張可能ブラダを備える、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項3】
前記空気圧エフェクタは、ピストンを備える、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項4】
前記埋込可能ポートは、針貫通可能隔膜を備え、前記カニューレは、前記隔膜を経皮的に貫通するように構成される針を備える、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項5】
前記隔膜は、針貫通のための複数の部位を提供するために十分に大きい面積を有する、請求項4に記載の心臓補助システム。
【請求項6】
前記埋込可能ポートは、前記カニューレを受容するための機械弁を備える、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項7】
前記患者の心律動を検出するように配置および構成される少なくとも1つのECG電極をさらに備える、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのECG電極は、前記カニューレの少なくとも一部を構成する、請求項7に記載の心臓補助システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのECG電極は、前記埋込可能ポート上に位置する、請求項7に記載の心臓補助システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのECG電極は、前記接続管上に位置する、請求項7に記載の心臓補助システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのECG電極は、前記空気圧エフェクタ上に位置する、請求項7に記載の心臓補助システム。
【請求項12】
前記外部駆動ユニット内にECG回路をさらに備える、請求項7に記載の心臓補助システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのECG電極は、前記接続管を通して配置される導体を通して前記ECG回路に接続する、請求項12に記載の心臓補助システム。
【請求項14】
前記少なくとも1つのECG電極は、前記患者に外部から取り付けられるように構成され、外部導線によって前記ECG回路に接続される、請求項12に記載の心臓補助システム。
【請求項15】
前記制御回路は、前記ECGによって測定されるような前記患者の心律動と同期して前記空気圧エフェクタを作動させるように構成される、請求項12に記載の心臓補助システム。
【請求項16】
前記制御回路は、R波ピークの発生時に前記空気圧エフェクタを作動させるように構成される、請求項15に記載の心臓補助システム。
【請求項17】
前記制御回路はさらに、異常な心律動を検出するように構成される、請求項15に記載の心臓補助システム。
【請求項18】
前記制御回路は、連続する個々のRピークの間の時間を比較し、前記時間が、所定の閾値パーセンテージを上回って増加または減少する場合、前記異常な心律動が異常であると決定する、請求項17に記載の心臓補助システム。
【請求項19】
前記制御回路は、連続する累積Rピークの間の時間を比較し、総計の変動性が、所定の閾値パーセンテージを超える場合、前記異常な心律動が異常であると決定する、請求項17に記載の心臓補助システム。
【請求項20】
前記制御回路はさらに、異常な心律動が、検出されると、前記空気圧エフェクタの作動を停止させるように構成される、請求項17に記載の心臓補助システム。
【請求項21】
前記制御回路はさらに、異常な心律動が、検出されると、心律動と同期されない所定のレートにおいて前記空気圧エフェクタを作動させるように構成される、請求項17に記載の心臓補助システム。
【請求項22】
前記制御回路はさらに、異常な心律動が、検出されると、前記患者の心律動に対して比例的に修正されたレートにおいて前記空気圧エフェクタを作動させるように構成される、請求項17に記載の心臓補助システム。
【請求項23】
前記制御回路はさらに、頻拍が、検出されると、前記患者の心律動に対して低減されたレートにおいて前記空気圧エフェクタを作動させるように構成される、請求項22に記載の心臓補助システム。
【請求項24】
前記ポンプアセンブリは、交互に、前記駆動ガスを前記空気圧エフェクタに送達し、前記空気圧エフェクタから前記駆動ガスを抜去するように構成される、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項25】
前記ポンプアセンブリは、弁に接続される1つのポンプを備え、前記ポンプは、1つの方向において駆動ガスを流動させるように構成され、前記弁は、交互に、前記駆動ガスを前記空気圧エフェクタに送達し、前記空気圧エフェクタから前記駆動ガスを抜去するように構成される、請求項24に記載の心臓補助システム。
【請求項26】
前記ポンプアセンブリは、駆動ガスを空気圧駆動装置に送達するための第1のポンプと、前記空気圧駆動装置から駆動ガスを除去するための第2のポンプとを備える、請求項24に記載の心臓補助システム。
【請求項27】
心不全を患う患者における心機能を補助するための方法であって、前記方法は、
前記患者のECGを検出し、心律動を決定することと、
カニューレを用いて埋込されたポートに経皮的にアクセスすることと、
前記カニューレを通して、前記患者の左心室にわたって埋込された空気圧エフェクタに接続される埋込されたポートに駆動ガスを送達することと
を含み、
前記駆動ガス送達は、前記空気圧エフェクタに、前記心律動に合致するレートにおいて前記心臓を圧縮させるために、前記決定された心律動と同期される、方法。
【請求項28】
前記空気圧エフェクタは、前記患者の心膜の下に、かつ心筋表面にわたって埋込される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ECGは、前記埋込された空気圧ポート上に位置する1つ以上の電極を用いて検出される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記ECGは、前記埋込された空気圧エフェクタ上に位置する1つ以上の電極を用いて検出される、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記ECGは、ECG電極として作用する前記カニューレを用いて検出される、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記ECGは、外部電極を用いて検出される、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
異常な心律動を検出することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記駆動ガスの送達は、異常な心律動が、検出されると、停止される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記駆動ガスを送達するレートは、異常な心律動が、検出されると、変更される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記レートは、前記検出された心律動のレートを下回る、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記レートは、所定の固定されたレートである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記アクセス部位の感染が、観察されるとき、前記アクセス部位から前記カニューレを除去することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
前記感染を治療し、前記埋込されたポート内の前記カニューレを交換することをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記カニューレは、異なる場所を通して前記ポートに進入するのではなく、異なる部位を通して交換される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記カニューレは、針を備え、前記ポートは、針貫通可能隔膜を備え、前記異なる場所は、前記隔膜上の異なる領域である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
外部駆動ユニットとの併用のための埋込可能心臓補助カテーテルであって、前記埋込可能心臓補助カテーテルは、
カテーテル本体であって、前記カテーテル本体は、近位端と、遠位端とを有する、カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位端における空気圧エフェクタであって、前記空気圧エフェクタは、患者の心膜の下に、かつ前記患者の左心室を覆う心筋表面にわたって埋込されるように構成される、空気圧エフェクタと、
前記カテーテルの近位端における埋込可能ポートであって、前記埋込可能ポートは、経皮的に導入されたカニューレを受容するように構成され、前記ポートは、前記カニューレから受容された駆動ガスを前記カテーテル本体内のガス管腔を通して前記空気圧エフェクタに供給するために接続される、埋込可能ポートと
を備える、埋込可能心臓補助カテーテル。
【請求項43】
前記カテーテル本体は、進入ポートおよび退出ポートを伴うガイドワイヤ管腔を有する遠位先端を備え、両方のポートは、前記空気圧エフェクタの遠位に位置する、請求項42に記載の埋込可能心臓補助カテーテル。
【請求項44】
前記ガス管腔は、前記近位端と前記空気圧エフェクタとの間の前記カテーテル本体内の唯一の管腔である、請求項43に記載の埋込可能心臓補助カテーテル。
【請求項45】
前記カテーテル本体上の前記空気圧エフェクタの遠位に配置されるアンカをさらに備える、請求項42に記載の埋込可能心臓補助カテーテル。
【請求項46】
埋込可能心臓補助カテーテルとの併用のための外部駆動ユニットであって、前記外部駆動ユニットは、
(a)ポンプアセンブリと、
(b)制御回路であって、前記制御回路は、前記患者の感知された心臓律動に応答して、前記埋込可能心臓補助カテーテル上の空気圧エフェクタを作動させるように前記ポンプアセンブリを動作させるように構成される、制御回路と
を備える、外部駆動ユニット。
【請求項47】
接続管をさらに備え、前記接続管は、前記ポンプアセンブリに接続されるポンプ端部と、前記埋込可能心臓補助カテーテル上の前記空気圧エフェクタに流体的に接続される埋込可能ポートに可撤式に取り付けられるように構成される経皮的ポート接続端部とを有する、請求項46に記載の外部駆動ユニット。
【請求項48】
前記外部駆動ユニット内にECG回路をさらに備え、前記ECG回路は、少なくとも1つのECG電極から信号を受信するように構成され、前記少なくとも1つのECG電極は、前記患者の心律動を検出するように配置および構成される、請求項47に記載の外部駆動ユニット。
【請求項49】
前記接続管は、1つ以上のECG電極に電気的に結合される前記埋込可能ポートに可撤式に接続するように構成される少なくとも1つの導体を備える、請求項48に記載の外部駆動ユニット。
【請求項50】
前記制御回路は、ECG電極によって測定されるような前記患者の心律動と同期して前記空気圧エフェクタを作動させるように構成される、請求項46に記載の外部駆動ユニット。
【請求項51】
前記制御回路は、R波ピークの発生時に前記空気圧エフェクタを作動させるように構成される、請求項50に記載の外部駆動ユニット。
【請求項52】
前記制御回路はさらに、異常な心律動を検出するように構成される、請求項50に記載の外部駆動ユニット。
【請求項53】
前記制御回路はさらに、異常な心律動が、検出されると、前記空気圧エフェクタの作動を停止させるように構成される、請求項52に記載の外部駆動ユニット。
【請求項54】
前記制御回路はさらに、異常な心律動が、検出されると、心律動と同期されない所定のレートにおいて前記空気圧エフェクタを作動させるように構成される、請求項53に記載の外部駆動ユニット。
【請求項55】
前記制御回路はさらに、異常な心律動が、検出されると、前記患者の心律動に対して比例的に修正されたレートにおいて前記空気圧エフェクタを作動させるように構成される、請求項53に記載の外部駆動ユニット。
【請求項56】
前記制御回路はさらに、頻拍が、検出されると、前記患者の心律動に対して低減されたレートにおいて前記空気圧エフェクタを作動させるように構成される、請求項55に記載の外部駆動ユニット。
【請求項57】
前記ポンプアセンブリは、交互に、前記駆動ガスを前記空気圧エフェクタに送達し、前記空気圧エフェクタから前記駆動ガスを抜去するように構成される、請求項46に記載の外部駆動ユニット。
【請求項58】
前記ポンプアセンブリは、弁に接続される1つのポンプを備え、前記ポンプは、1つの方向において駆動ガスを流動させるように構成され、前記弁は、交互に、前記駆動ガスを前記空気圧エフェクタに送達し、前記空気圧エフェクタから前記駆動ガスを抜去するように構成される、請求項57に記載の外部駆動ユニット。
【請求項59】
前記ポンプアセンブリは、駆動ガスを空気圧駆動装置に送達するための第1のポンプと、前記空気圧駆動装置から駆動ガスを除去するための第2のポンプとを備える、請求項57に記載の外部駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その全内容が、参照することによって本明細書に組み込まれる、2019年2月26日に出願された米国仮第62/810,866号(弁理士整理番号第56027-703.101号)の利益を主張する。
【0002】
本発明は、概して、医療デバイス、システム、および方法に関する。より具体的には、本発明は、後期心不全を患う患者に心臓補助を提供するためのシステムに関する。
【0003】
種々の心室補助デバイス(VAD)が、重度の心不全を患う患者における血液循環を支援する際の使用のために提案されている。VADはまた、「移植までの橋渡し」として、ドナーの心臓が移植のために入手可能になるまで患者を生存させ続けるために使用される。米国では、年間50,000人もの患者が、末期の心不全に起因して心臓移植を必要としている。ドナーの心臓は、年間2,000~2,500人の患者にしか入手可能ではない。移植を受けることができない多くの患者は、VADを受けることによって生き延びることができる。
【0004】
しかしながら、現在利用可能なVADの設置は、多くの場合、大きい外科手術切開、典型的には、胸骨切開または開胸のいずれかを要求する。心不全の患者がそのような大きい外科手術手技を受けることは、困難である。血管内回転ポンプおよび外部圧縮デバイス等のいくつかの低侵襲性VADが、提案されているが、そのような低侵襲性システムは、通常、埋込されたポンプ補助構成要素を駆動するための電力を提供するために、大きい経皮的な「命綱」を要求する。そのようなコードは、不便であり、不快であり、感染の実質的リスクを提示する。また、感染すると、大きいコードの除去は、多くの場合、外科手術介入を要求する。
【0005】
これらの理由から、後期心不全を患う患者に心臓補助を提供するための改良された装置、システム、および方法を提供することが、望ましいであろう。剣状突起下および他の確立された低侵襲性ルートによって埋込され得るそのようなシステムを提供することが、特に望ましいであろう。感染のリスクを低減させ、それらが感染した状態になる場合、交換および消毒することがより容易である、経皮的コネクタを有するVADシステムを提供することが、さらに望ましいであろう。これらの要件のうちの少なくともいくつかが、本明細書に説明および請求される発明によって満たされるであろう。
【背景技術】
【0006】
関連する特許および公開は、第US2019/0076250号、第US2008/0275295号、第US2007/0073218号、第US10391216号、第US10220128号、第US9259318号、第US8092363号、第US7468029号、第US6602182号、第US6432039号、第US6238334号、第US5713954号、第US4957477、ならびに第WO1998/005289号を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、心不全または他の損なわれた心機能に悩まされる患者のための低侵襲性心臓補助デバイスを提供する。本デバイスは、典型的には、ガイドワイヤにわたって、心筋表面と心嚢の内面との間の患者の心膜内の位置に前進されるように構成される、埋込可能心臓補助カテーテルを備える。埋込可能心臓補助カテーテルは、その遠位端においてバルーンまたは他の空気圧エフェクタを有し、外部駆動ユニットが、通常、バルーン膨張を患者の自然な心周期の心室収縮と同期させ、心臓を圧縮し、心室補助を提供し、それによって、患者の心拍出量を増加させるために提供される。線維状心膜の相対的不撓性は、膨張するバルーンに心室を圧縮させる制限的圧迫を提供する。加えて、胸骨もまた、心臓を覆い、骨による封入を提供し、バルーン膨張に応じて、心臓圧縮を強化する。心臓補助デバイスは、同期されたバルーン膨張のための心電図信号を取得するために、センサと併用されてもよい。
【0008】
心膜内心臓補助カテーテルは、心嚢内の進入点のみに係留されてもよい。代替として、これは、心尖の近傍の心嚢に進入し、心基部に向かってより上方に心嚢から退出してもよく、小さいバルーン等の拡張アンカが、カテーテルの遠位先端の近傍に存在し、心嚢の外側に存在し、心室圧縮バルーンの位置を維持してもよい。心室圧縮バルーンは、形状が楕円形であり、心室腔の主要な部分に沿って延在するように定寸される長さを伴ってもよい。心室圧縮バルーンは、膨張/縮小時間を減少させるために、ガスまたは液体のいずれかであり、通常、ガスである、流体を用いて膨張されてもよい。ガスが、これが、バルーン膨張およびバルーン縮小に関する迅速な応答時間を可能にするため、好ましくあり得る。バルーン膨張の頻度は、生理学的心拍数、すなわち、約70bpmに等しくあるべきである。小さいリザーバが、カテーテルの近位端に取り付けられてもよい。リザーバの一方の表面は、それを通して針がバルーン膨張のために挿入される一方、挿入された針に対してシールし得る、隔膜または他の弾性部分を含有してもよい。代替として、リザーバ全体が、針穿刺に対して自己シールする弾性材料から構築されてもよい。カテーテル設置に続いて、リザーバは、小さい皮膚切開部、心臓補助を介して皮下に埋込され、弾性表面が皮膚に向かって面するように配向されてもよい。バルーンカテーテルおよび取り付けられた皮下リザーバは、埋込されたままである一方、膨張ポンプ、コントローラ、およびバッテリが、患者の皮膚の外部に存在し、経皮的針が、埋込されたリザーバを介して心室圧縮バルーンを膨張および縮小させるために使用される。本構成は、小さい直径の針が、皮膚を横断するため、カテーテル感染の潜在性を減少させながら、ポンプおよびバッテリ交換を促進する。針穿刺部位もまた、針路感染の潜在性を減少させるために、周期的に変更されてもよい。
【0009】
心室圧縮バルーンは、患者の身体の外側に存在する外部バッテリ動作ポンプを用いて膨張および縮小されてもよい。ポンプは、取り付けられた流体リザーバとともに、流動において双方向性であってもよい、または心室圧縮バルーンの空気膨張の場合では、ポンプ入口および出口は、室内気に直接通気してもよい。心室圧縮バルーン膨張は、患者のECG(心電図)信号を感知し、QRSコンプレックスの開始時にバルーン膨張を開始する、電気センサを用いて心周期に同期される。患者ECG感知は、バルーン膨張を実施するために患者の皮膚を穿刺する外部ユニットからの伝導性針を介して実施されてもよい。代替として、ECG電極または他のセンサが、埋込可能ポートならびに/もしくはカテーテル内に配置され、針は、外部コントローラ内のECG回路への接続を提供するために使用されてもよい。外部ポンプモジュール内の制御ユニットが、ECG信号を受信し、収縮期の間にバルーン膨張をトリガする。アクティブなバルーン縮小が、拡張期の間にポンプによって実施される。バルーン膨張はまた、収縮期の間にバルーン膨張を提供する加圧流体タンクと、拡張期の間にバルーン縮小を可能にする圧力解放弁とを含有する、油圧システムを使用して実施されてもよい。流体タンクは、周期的に再加圧されてもよい、またはバッテリ動作コンプレッサが、患者の身体の外側に存在するユニットの一部であってもよい。
【0010】
経皮的アプローチが、上記に説明されるが、心室圧縮バルーンデバイスは、心尖の近傍の心嚢にアクセスし、それを穿刺するための小さい4cmの剣状突起下切開部を使用して、低侵襲性外科手術アプローチを介して挿入されてもよい。ガイドワイヤおよびテーパ状拡張器が、尖部位において心臓の前の心膜内空間の中に挿入され、心嚢の左側上の上方場所において心嚢から退出するように前進されてもよい。拡張器は、次いで、患者から除去されてもよく、心室圧縮バルーンカテーテルは、心臓補助のためにガイドワイヤにわたって左心室を横断して定位置に前進されてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、経皮的心室補助デバイスは、剣状突起下穿刺部位を介して、心尖の近傍の患者の心嚢の中に挿入される、バルーンカテーテルを備えてもよい。エラストマ面を含有するリザーバが、カテーテルの近位端に取り付けられる。4cmの切開が、剣状突起下穿刺部位を拡張するために実施され、リザーバは、腹壁の上腹部領域において皮下に埋込される。そのようなデバイスでは、単一の針が、患者の皮膚およびリザーバの弾性面を貫通し、患者の外部のポンプユニットが、バルーンカテーテルを膨張および縮小させることを可能にし、心臓収縮期の間に患者の心室を圧縮する。バルーン膨張は、リアルタイムで感知されるような患者のECGによってトリガされる。
【0012】
最低2つの電極が、ECG信号を取得するために要求される。以前のデバイスでは、膨張針が、1つの電極を形成し、第2の電極は、患者の腹部または胸部上での皮膚取付のための接着パッチを伴う表面電極から成っていた。身体組織を通して挿入される針から取得されるECG信号は、針が、表面電極よりも運動アーチファクトおよび雑音の影響を受けにくいため、表面電極から取得されるECG信号よりも優れている。提案される設計は、埋込可能リザーバに一体化される1つ、2つ、またはそれよりも多い電極を組み込み、伝導性メッシュが、各電極から延在し、針設置を適応させるために拡張された標的を提供する。メッシュ内の開口部の寸法は、針の円周との締まり嵌めであり、したがって、針挿入に応じて、メッシュは、針の外面に対して圧縮力を印加し、最適なECG信号伝導を確実にする。針は、標的電極のメッシュ構成要素における係留を促進するために、一連の球状部分または返しを含有し、不注意な針脱離を防止してもよい。
【0013】
リザーバの本体は、ポリカーボネートまたはポリ塩化ビニル等の埋込可能ポリマー材料から構築されてもよい。電極は、ステンレス鋼等の伝導性金属から構築されてもよい。単一の電極が、1つのリザーバの中に組み込まれる場合、電極は、ポリマーリザーバの外径に取り付けられる金属リングであってもよい。2つの電極が、単一のリザーバの中に組み込まれる場合、一方の電極は、リザーバの外径に取り付けられてもよく、他方の電極は、リザーバのエラストマ面に取り付けられる小さい直径の同心金属リングであってもよい。ステンレス鋼メッシュが、外側電極から内側電極に向かって半径方向に内向きに延在し、円周方向間隙が、メッシュの内側縁と内側電極の外側縁との間に存在し、2つの電極の間で絶縁体として作用してもよい。代替として、2つの電極は、リザーバの外径上の2つの正反対の円弧によって形成され、鋼メッシュは、各円弧の2つの端部の間に延在し、2つの伝導性メッシュ領域の間に非伝導性面積を保全してもよい。複数のリザーバ上の複数の電極の組み合わせが、適用されてもよく、例えば、2つの電極が、1つの埋込されたリザーバ上に存在してもよく、単一の電極が、第2の埋込されたリザーバ上に存在し、3導線EKG感知アレイをもたらしてもよい。
【0014】
本発明の付加的実施形態では、EKG信号を受信し、外部ポンプユニットのアクティブ化を制御する回路基板が、リザーバ内に位置付けられる。制御基板からの信号は、光ファイバ伝送を介して外部ポンプユニットに伝送され、患者運動に起因する最小の信号雑音を確実にする。膨張針のうちの1つの周囲の円周方向アレイから成る光ファイバ接続が、回路基板内の対応する円形アレイと噛合する。漏斗ガイドが、リザーバの内側同心電極の中に組み込まれ、針挿入が、針上の個別の光ファイバアレイおよびリザーバ内の制御基板の接合をもたらすことを確実にする。メッシュ電極を通して挿入される2つの針は、外部ユニットからの電流を搬送し、リザーバの内側の回路基板に給電する。
【0015】
第1の側面では、本発明は、患者の心膜の下に、かつ、典型的には、患者の左心室を覆う心筋表面にわたって埋込されるように構成される、空気圧エフェクタを備える、心臓補助システムを提供する。本システムはさらに、経皮的に導入されたカニューレを受容するように構成される、埋込可能ポートを備え、カニューレは、駆動ガスを空気圧エフェクタに供給する。典型的には、空気圧エフェクタは、カテーテルまたは他の管状本体の遠位端の近傍に位置する、バルーンであってもよく、埋込可能ポートは、近位端の近傍でカテーテルまたは他の管に接続される。
【0016】
心臓補助システムはさらに、ポンプアセンブリと、制御回路とを含む、外部駆動ユニットを備える。ポンプアセンブリは、ガス、典型的には、周囲空気をカニューレに送達するための少なくとも1つのポンプを含む。制御回路は、典型的には、患者の感知された心臓律動に応答して、空気圧エフェクタを作動させるようにポンプを動作させるように構成される。通常、接続管は、ポンプアセンブリのポンプに取付可能である、ポンプ端部と、カニューレに取り付けられる、カニューレ端部とを有する。
【0017】
特定の実施形態では、空気圧エフェクタは、医療バルーン、典型的には、カテーテル上の非伸張性医療バルーン等の膨張可能ブラダを備えてもよく、バルーンは、患者からの左心室にわたって、かつ心膜の内面の下に着座するように構成される。バルーンは、典型的には、完全に膨張されると、50ml~200ml、典型的には、76ml~125mlの範囲内の体積を有するであろう。他の事例では、空気圧エフェクタは、ピストンおよびシリンダ配列等のある他の空気圧的に作動可能な機械的デバイスを備えてもよい。
【0018】
本発明の他の事例および実施例では、埋込可能ポートは、針貫通可能隔膜を備えてもよく、カニューレは、隔膜を覆う患者の組織、典型的には、腹壁を経皮的に貫通し、空気または他のガスが、空気圧エフェクタを膨張もしくは別様に作動させるために圧力下で送達され得るように、ポンプアセンブリおよび外部駆動ユニットをポートの内部と流体的に接続するために隔膜をさらに貫通するように構成される、針または他の鋭利化された管もしくは中空プローブを備える。
【0019】
具体的事例では、隔膜は、針貫通のための複数の部位を提供するために十分に大きい面積を有するであろう。これは、経皮的挿入部位が、感染した状態になるとき、特に有利である。複数の針貫通部位を有することによって、針は、感染した面積から除去され、患者は、治療され、新しいまたは滅菌された針が、隔膜上の代替部位を通して埋込可能ポートに導入されてもよい。このように、埋込可能ポートまたは空気圧エフェクタのいずれも、感染を治療するために、取り出される、または別様に有意に妨害される必要はない。
【0020】
しかしながら、代替実施形態では、埋込可能ポートは、針または他のカニューレを除去するための機械弁を備えてもよい。そのような機械的ポートは、血液透析アクセスおよび他の目的のために周知である。例えば、第US 6,120,492号(その全開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0021】
なおもさらなる実施形態では、本発明のシステムはさらに、患者の心律動を検出するように配置および構成される、少なくとも1つの心電図(ECG)電極を備えるであろう。ECG電極は、従来のECG検出システムのように外部に位置してもよく、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれよりも多い外部電極を備えてもよい。しかしながら、便宜的に、1つ以上のECG電極が、心臓補助システムの中に組み込まれてもよい。例えば、電極は、埋込可能ポートにアクセスするために使用される針または他のカニューレによって提供される、もしくはその中に組み込まれてもよい。代替として、または加えて、1つ以上のECG電極が、埋込可能ポート自体の上に位置する、もしくはそれに結合されてもよい。例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれよりも多いECG電極が、ポート筐体、ポート隔膜または他の膜の外面、もしくはポート上の別の場所に取り付けられてもよい。さらに代替として、または加えて、1つ以上のECG電極が、接続管上もしくは空気圧エフェクタ自体の上に位置してもよい。
【0022】
ECG電極を有するシステムでは、外部駆動ユニットは、典型的には、さらに、心律動を検出し、ポンプアセンブリの作動を心律動と同期させるために、ECG回路を備えるであろう。ECG電極が、埋込可能ポートまたは接続管の任意の部分の上に存在するとき、電気導体が、電気信号をECG回路に送達するために、針もしくは他のカニューレ内に、またはそれを通して提供されてもよい。針または他のカニューレ自体が、ECG電極を備えるとき、針もしくは他のカニューレは、カニューレを外部電極に接続する管または他の構造内の導体を通してECG回路に接続されてもよい。従来の外部ECG電極は、従来のECG導線によって外部コントローラに接続され得る。
【0023】
外部駆動ユニット内の制御回路は、典型的には、ECGによって測定されるような患者の心律動と同期して空気圧エフェクタを作動させるように構成されるであろう。例えば、制御回路は、R波ピークの各発生時に空気圧エフェクタを作動させるように構成されてもよい。多くの場合、制御回路はさらに、異常な心律動を検出するように構成されるであろう。例えば、制御回路は、連続する個々のRピークの間の時間を比較し、時間が、300パーセント、通常、250パーセント等の所定の閾値パーセンテージを上回って増加または減少することに基づいて、異常な心律動の発生を決定してもよい。代替として、または加えて、制御回路は、連続する累積Rピークの間の時間を比較し、総計の変動性が、所定の閾値パーセンテージ、典型的には、300パーセント、通常、250パーセントを超えることに基づいて、異常な心律動が存在するかどうかを決定してもよい。
【0024】
制御回路が、異常な心律動を検出するとき、これは、いくつかのアクションのうちのいずれかをとってもよい。例えば、制御回路は、単純に、心律動が正常なパターンに戻るまで、空気圧エフェクタの作動を停止させてもよい。代替として、制御回路は、所定の固定されたレート、典型的には、50拍/分(bpm)~80bpmの範囲内の固定されたレートにおいて空気圧エフェクタを作動させ、正常な心律動が再確立されるまで、そのような作動を継続してもよい。さらに代替として、制御回路は、異常な心律動が、検出されると、患者の心律動に対して「比例的に」修正されたレートにおいて空気圧エフェクタを作動させるように構成されてもよい。すなわち、空気圧エフェクタの作動が、典型的には、心律動が正常であるときに1:1比であろう間、異常な心律動が、検出されると、レートは、別の比率に変更されてもよい。例えば、患者が、異常に高い心拍数(頻拍)を被る場合、空気圧エフェクタがトリガされるレートは、減少されてもよい。空気圧エフェクタは、2回の心拍毎に1回(1:2)、3回の心拍毎に1回(1:2)、または同等の頻度でトリガされてもよい。
【0025】
なおもさらなる実施形態では、心臓補助システムのポンプアセンブリは、交互に、駆動ガスを空気圧エフェクタに送達し、空気圧エフェクタから駆動ガスを抜去するように構成されてもよい。送達および抜去の各サイクルは、外部コントローラの制御回路からの単一のトリガイベントに対応するであろう。ポンプ送達およびポンプ抜去のサイクルは、ECGから検出されるような患者の心拍数に対応し、単一のサイクルが、典型的には、60bpmの心拍数を伴う患者に関して約1秒続くであろう。そのような急速な膨張および縮小が、高速作用システムを要求し、利用可能なガス送達体積、流体伝達管腔寸法、および同等物が、必要とされる膨張ならびに収縮時間に従う必要があるであろうことを理解されたい。急速な送達および抽出時間を達成するために、送達される流体は、典型的には、ガスであり、通常、周囲空気であろう。
【0026】
ポンプアセンブリは、流体を空気圧エフェクタに送達し、それから抜去するための種々の構成のうちのいずれか1つをとってもよい。例えば、ポンプアセンブリは、単一の流動方向において動作し、ガスを膨張方向から縮小方向に差し向けるために必要な弁をさらに備える、単一のポンプを含んでもよい。代替として、ポンプアセンブリは、ポンプの対を備え、一方は、流体送達方向において動作し、他方は、流体抽出方向において動作してもよい。ポンプアセンブリが、埋込可能ポンプからの流体送達および流体抽出の両方を提供する、いずれかの単一のカニューレに接続し得ることをさらに理解されたい。代替として、ポンプアセンブリは、カニューレの対、すなわち、膨張流体を送達するためのものおよび膨張流体を抽出するためのものに接続されてもよい。
【0027】
第2の側面では、本発明は、心不全を患う患者における心機能を補助するための方法を提供する。本方法は、患者のECGを検出し、心律動を決定するステップを含んでもよい。患者内の埋込されたポートが、カニューレを用いて経皮的にアクセスされ、駆動ガスが、カニューレを通して接続されたポートに送達され、次いで、患者の左心室にわたって埋込された空気圧エフェクタに送達される。駆動ガスの送達および抽出は、空気圧エフェクタに、概して、患者の自然な心律動に合致するレートにおいて心臓を圧縮させるために、感知された心律動と同期される。
【0028】
特定の実施形態では、空気圧エフェクタは、患者の心膜の下に、かつ心筋表面にわたって埋込されるであろう。さらなる特定の実施形態では、空気圧エフェクタは、進入場所において心嚢を通して進入し、いくつかの事例では、退出場所において心嚢を通して外に通過する遠位先端を有する、心臓補助カテーテル上にあるであろう。小さい係留バルーン等のアンカが、心膜内の所望の位置において空気圧エフェクタを安定させるために、心臓補助カテーテルの遠位先端上に提供されてもよい。
【0029】
なおもさらなる特定の実施形態では、ECGは、種々の方法で検出されてもよい。例えば、1つ以上のECG電極が、埋込されたポート上、埋込された空気圧エフェクタ上、または本システムの埋込された部分上の別の場所に位置してもよい。そのような事例では、埋込されたECG電極からの信号が、カニューレを経皮的伝送要素または導体として使用して、外部コントローラ内のECG回路に送達されてもよい。他の特定の実施形態では、カニューレまたは複数のカニューレ自体が、それらが、埋込されたポートに経皮的に導入された後、ECG電極として作用してもよい。なおも他の特定の実施形態では、ECG信号は、従来の様式で患者に取り付けられた1つ以上の外部電極によって測定されてもよい。単一チャネルECGが、使用され得るが、好ましくは、少なくとも2チャネルECG、好ましくは、3チャネルECG、4チャネルECG、またはそれよりも多くのものが、採用されるであろうことを理解されたい。電極はまた、患者における徐拍の場合に心臓ペーシングまたは患者における心室頻拍、心室細動、もしくは心停止の場合に心臓除細動を提供するために、埋込された空気圧エフェクタ上に設置されてもよい。
【0030】
本発明の方法はさらに、随意に、異常な心律動を検出するステップを含む。異常な心律動は、測定されたECGに基づいて決定され、異常な心律動の存在は、典型的には、空気圧エフェクタの動作を停止させるステップまたは修正するステップをもたらすであろう。例えば、駆動ガスは、異常な心律動が、検出されると、停止されてもよい。代替として、駆動ガスの送達レートは、異常な心律動が、検出されると、変更されてもよい。特に、駆動レートは、急速な心拍(頻拍)の存在下で低減される、または緩慢な心拍(徐拍)の存在下で増加されてもよい。
【0031】
本発明の方法はさらに、組織アクセス部位が、感染した状態になる場合、患者を治療するためのプロトコルを含む。そのような場合では、針または他のカニューレは、組織路から抜去され、組織路は、感染に関して治療され、カニューレ(消毒される、または新しいカニューレのいずれか)は、典型的には、異なるアクセルルートを通して埋込されたポートに再導入されてもよい。例えば、隔膜タイプポートに関して、カニューレは、非感染組織内の新しい組織路を通して部分の異なる領域に導入されてもよい。
【0032】
第3の側面では、本発明は、外部駆動ユニットとの併用のための埋込可能心臓補助カテーテルを提供し、埋込可能心臓補助カテーテルは、近位および遠位端を有する、カテーテル本体を備える。空気圧エフェクタが、カテーテル本体の遠位端に取り付けられ、患者の心膜の下に、かつ患者の左心室を覆う心筋表面にわたって埋込されるように構成される。埋込可能ポートが、カテーテル本体の近位端に取り付けられ、経皮的に導入されたカニューレを受容するように構成される。ポートは、カニューレから受容された駆動ガスをカテーテル本体内のガス管腔を通して空気圧エフェクタに供給するために接続される。埋込可能ポートへの駆動ガスの供給を制御することによって、空気圧エフェクタは、外部駆動ユニットによって制御されるような所望のレートにおいて駆動されることができる。
【0033】
特定の実施形態では、埋込可能心臓補助カテーテルは、進入ポートおよび退出ポートを伴うガイドワイヤ管腔を有する、遠位先端を備えてもよく、両方のポートは、空気圧エフェクタの遠位に位置する。そのような「モノレール」構造は、これが、カテーテル本体の残りの部分が、単一の流体送達管腔のみを有することを可能にし、したがって、カテーテルの必要とされる直径を低減させるため、有利である。したがって、ガス管腔およびカテーテル本体は、典型的には、カテーテル本体の近位端と空気圧エフェクタとの間に存在する唯一の管腔であろう。
【0034】
随意に、埋込可能心臓補助カテーテルの遠位先端はさらに、係留バルーンまたは他の係留構造を備えてもよい。そのような係留構造は、心嚢を通して外向きに遠位カテーテル先端を前進させることによって使用されることができる。空気圧エフェクタが、典型的には、患者の左心室にわたって適切に位置付けられた後、アンカは、後続使用のためにカテーテル位置を安定させるために(例えば、バルーン膨張によって)展開されてもよい。
【0035】
第4の側面では、本発明は、このように説明された心臓補助カテーテル等の埋込可能心臓補助カテーテルとの併用のための外部駆動ユニットを提供する。外部駆動ユニットは、ポンプアセンブリと、制御回路とを備える。制御回路は、典型的には、患者の感知された心臓律動に応答して、埋込可能心臓補助カテーテル上の空気圧エフェクタを作動させるようにポンプアセンブリを動作させるように構成される。
【0036】
特定の実施形態では、外部駆動ユニットはさらに、ポンプアセンブリに接続される、ポンプ端部と、埋込可能心臓補助カテーテル上の空気圧エフェクタに流体的に接続される埋込可能ポートに可撤式に取り付けられるように構成される、経皮的ポート接続端部とを有する、接続管を備えてもよい。なおもさらなる実施形態では、外部駆動ユニットは、ECG回路を含んでもよく、ECG回路は、少なくとも1つのECG電極から信号を受信するように構成され、前述で説明される場所のうちのいずれかに位置し、少なくとも1つのECG電極は、患者の心律動を検出するために埋込される。典型的には、接続管は、カニューレに電気的に結合され、ECG電極を外部駆動ユニット内のECG回路に接続するように構成される、少なくとも1つの導体を備えるであろう。
【0037】
なおもさらなる例示的実施形態では、外部駆動ユニットの制御回路は、ECG電極によって測定されるような患者の心律動と同期して空気圧エフェクタを作動させるように構成されてもよい。作動は、概して、上記に説明されるように、R波ピークの発生を検出することによって遂行されてもよい。制御回路はさらに、異常な心律動を検出し、なおもさらに、前述で説明される方法のうちのいずれかで空気圧エフェクタの作動を停止させる、または修正するように構成されてもよい。ポンプアセンブリはまた、本発明の心臓補助システムに関して前述で説明される構成のうちのいずれかを有してもよい。
【0038】
本発明の性質および利点のより完全な理解のために、続く発明を実施するための形態および付随の図面が、参照されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明をより深く理解し、これが実践において実行され得る方法を確認するために、いくつかの好ましい実施形態が、非限定的実施例としてのみ、同様の参照文字が添付される図面における類似する実施形態全体を通して一貫して対応する特徴を表す、付随の図面を参照して次に説明される。
【0040】
図1図1は、本発明の原理に従って構築される、心臓補助システムの斜視図である。
【0041】
図2A図2A-2Dは、本発明の心臓補助システムとの併用のために好適なポンプアセンブリの異なる構成を図示する。
図2B図2A-2Dは、本発明の心臓補助システムとの併用のために好適なポンプアセンブリの異なる構成を図示する。
図2C図2A-2Dは、本発明の心臓補助システムとの併用のために好適なポンプアセンブリの異なる構成を図示する。
図2D図2A-2Dは、本発明の心臓補助システムとの併用のために好適なポンプアセンブリの異なる構成を図示する。
【0042】
図3図3A-3Bは、本発明の原理に従って構築される、第1の埋込可能ポート構成を図示する。
【0043】
図4図4A-4Bは、本発明の原理に従って構築される、第2の埋込可能ポート実施形態を図示する。
【0044】
図5図5A-5Bは、本発明の原理に従って構築される、第3の埋込可能ポート構成を図示する。
【0045】
図6図6は、針または他のカニューレが埋込可能ポートの隔膜内に埋設される導電性メッシュの伝導性ワイヤと係合する方法の詳細を図示する。
【0046】
図7A図7Aは、その長さに沿って保定球状部分を有する、針カニューレを図示する。
【0047】
図7B図7Bは、その長さに沿って保定返しを有する、本発明による、針または他のカニューレを図示する。
【0048】
図8図8A-8Bは、本発明の原理に従って構築され、埋込可能ポートから外部駆動ユニットに心律動情報を送達するための光ファイバ構成要素を有する、代替アクセスカニューレを図示する。
【0049】
図9図9は、図8Aおよび8Bのアクセスカニューレとの併用のために好適な埋込可能ポートを図示する。
【0050】
図10A図10Aは、患者内に埋込される、図1の心臓補助システムを図示する。
【0051】
図10B図10Bは、その遠位先端においてバルーンアンカを有する、心臓補助カテーテルの代替実施形態を図示する。
【0052】
図11図11は、本発明の心臓補助システムの外部駆動ユニットの動作を図示する、論理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下の説明では、本発明の種々の実施形態が、説明されるであろう。解説の目的のために、具体的構成および詳細が、実施形態の徹底的な理解を提供するために記載される。しかしながら、また、本発明が、具体的詳細を伴わずに実践され得ることが、当業者に明白となるであろう。さらに、周知の特徴は、説明されている実施形態を不明瞭にしないために、省略または簡略化され得る。
【0054】
ここで、図1を参照すると、本発明の原理に従って構築される、心臓補助システム10が、心臓補助カテーテル12と、外部駆動ユニット14とを備えてもよい。心臓補助カテーテル12は、典型的には、その遠位端に位置するバルーン20または他の空気圧エフェクタを有する、カテーテル本体18を含む。埋込可能ポート24が、カテーテル本体18の近位端において接続され、本体は、典型的には、ガイドワイヤ管腔進入ポート28とガイドワイヤ管腔退出ポート30との間に画定される、短い「モノレール」ガイドワイヤ管腔を伴う遠位先端26を有する。ガイドワイヤ管腔の長さは、典型的には、0.5cm~3cmであり、典型的には、1cm~2cmであろう。
【0055】
ポート24は、その上側表面上に開口部を有する、ポート本体38または他の封入体を備える。開口部は、典型的には、針貫通可能隔膜40によって被覆される。
【0056】
外部駆動ユニット14は、接続管46の遠位端に取り付けられる、針44または他のカニューレを備える。接続管は、コンソール48内のポンプ52に取り付けられ、コンソールはさらに、ポンプおよび心臓補助システム10の他の動作を制御するための制御回路54を含む。随意に、外部駆動ユニット14はさらに、接続ケーブル58によって制御回路54に接続される、ECGパッド56を備えてもよい。典型的には、ポンプ、制御回路、および全ての他のアクティブ構成要素は、バッテリ動作され、外部駆動ユニット14は、交換可能ならびに/もしくは再充電可能バッテリを含むであろう。
【0057】
ここで、図2A-2Dを参照すると、ポンプアセンブリ52は、種々の構成を備えてもよい。例えば、図2Aに示されるように、ポンプユニット52A、典型的には、ダイヤフラムタイプのポンプが、一連の弁60-60によってカニューレ44に接続される。ポンプ50Aは、常時、単一の方向において起動するように構成され、すなわち、入口は、常時、ガスを受容し、出口は、常時、ガスを送達するであろう。ガスをカニューレ44に送達するために、弁60は、開放し、周囲空気がポンプ50Aに流動することを可能にするであろう。周囲空気は、ポンプの出口から開放している弁60に送達される。ガスをカニューレに送達するとき、弁60および60は、閉鎖されるであろう。ガスは、空気圧エフェクタ20が膨張されるまで、送達され続け、その時点で、弁60-60は、逆転される。すなわち、ガス入口弁60は、閉鎖され、戻しバイパス弁60cは、開放され、ガスが、カニューレ44を通して抽出され、ポンプ52Aによって開放する排気弁60を通して送達されることを可能にする。弁60-60の開放/閉鎖ステータスを逆転させることによって、ポンプは、ポンプ52Aの動作を逆転させることなく、最初に、カニューレを通してガスを送達し、次いで、カニューレを通してガスを抽出させられることができる。
【0058】
また、図2Aに示されるように、ECG導線ライン70が、カニューレ44と外部駆動ユニット14の制御回路54との間に提供されてもよい。
【0059】
ここで、図2Dを参照すると、単一のポンプ52Bが、カニューレ44aおよび44bの対と併用されてもよい。弁62-62は、カニューレの間のガス流動を逆転させるために使用されるであろう。特に、弁62および弁62を開放することによって、周囲空気が、ガス送達カニューレ44に送達されてもよい。次いで、弁62および62を閉鎖し、弁62および62を開放することによって、ガスが、カニューレ44bを通して、排気弁62から外に抽出されてもよい。ガスの流入および流出は、図2Aの弁に類似する様式で弁のステータスを逆転させることによって循環されてもよい。
【0060】
図2Bでは、各カニューレ44aおよび44bは、外部駆動ユニット14の制御回路54に接続される、別個のECG導線72aならびに72bを有する。
【0061】
ここで、図2Cを参照すると、2つのポンプ52c1および52c2を備える、ポンプアセンブリ52が、説明されるであろう。制御回路54が、第1のポンプ52c1を作動させ、弁64を通して、次いで、カニューレ44を通して周囲空気を送達する一方、戻り弁64bは、閉鎖されたままである。空気圧エフェクタが、完全に膨張または別様に作動された後、弁64aは、閉鎖され、ポンプは、典型的には、停止されるであろう。戻り弁64bが、次いで、動作され、ポンプ52c2が、図示されるように、カニューレ44を通して、排気ラインを通して外にガスを排気するように作動されるであろう。2つのポンプおよび弁の動作は、所望のレートにおいて埋込されたポートへの、およびそれからの送達ならびに排気ガスを循環させるために、周期的に逆転されてもよい。
【0062】
また、図2Cに示されるように、ECG導線ライン74が、カニューレ44と外部駆動ユニット14の制御回路54との間に提供されてもよい。
【0063】
ここで、図2Dを参照すると、第4のポンプアセンブリ構成が、説明されるであろう。本アセンブリは、2つのポンプ52d1および52d2を備える。各ポンプは、順に、それぞれ、単一のカニューレ44aおよび44bに接続される。弁が、典型的には、提供されるであろうが、いかなる弁も、ポンプ52d1およびカニューレ44aを通したガス送達とカニューレ44bおよびポンプ52d2を通したガス抽出との間で本システムを循環させるために理論的には必要ではなく、これは、単純に、サイクルの間にポンプを交互に始動および停止させることによって達成され得る。
【0064】
また、図2Dに示されるように、各カニューレ44aおよび44bは、それぞれ、ECG導線76aならびに76bによって制御回路54に接続される。
【0065】
ここで、図3Aおよび3Bを参照すると、第1の埋込可能ポート実施形態24aが、図示される。図3Aは、これが埋込された後、上面が、典型的には、患者の皮膚に向かって「前側に」配向される、ポートの上面図である。リング電極80が、埋込可能ポート24aの外側円周に取り付けられ、随意に、ECG電極として作用してもよい。金属メッシュ82の円周方向バンドが、ポートの上側表面の外側外周にわたって、典型的には、針貫通可能隔膜84にわたって位置付けられてもよい。第2のより小さい内側リング電極86もまた、隔膜の上側表面上に提供されてもよい。外側メッシュ電極82は、非伝導性隔膜材料によって内側電極86から電気的に絶縁される。したがって、第1および第2の金属カニューレが、2導線EKG信号検出のための別個の接続を提供するために、内側ならびに外側電極を通して導入されてもよい。ECG電極自体が、ポート44aの本体上または埋込可能システム内の別の場所に位置してもよい。内部伝導性配線が、ECG電極とメッシュ電極82および86との間に提供されるであろう。
【0066】
ここで、図4Aおよび4Bを参照すると、針貫通可能隔膜92の上側表面上に形成される、第1および第2の弓形メッシュ電極90aおよび90bを有する、代替埋込可能ポート24bが、図示される。図4Bに示されるように、第1の電極94aが、2つの弓形メッシュ電極のうちの1つへの内部接続を用いてポート本体の外側外周上に位置付けられてもよい。第2の電極(図4Bに図示せず)が、ポート本体の対向する面上に位置し、ECG電極のそれぞれへの別個のカニューレ接続を提供するために、弓形メッシュ電極の他方に接続されてもよい。
【0067】
なおもさらなる埋込可能ポートアセンブリ95が、図5Aおよび5Bに図示される。ポートアセンブリ95は、図4Aおよび4Bに関して前述で説明されるものと同じであり得る、第1のポート24bを含む。第2のポート24cが、下層の針貫通可能隔膜の表面全体を被覆する、単一のメッシュ電極を有してもよい。メッシュ電極96は、任意のECG電極に接続され、典型的には、ポート本体の導電性部分に接続されてもよい。ポート24bおよび24cは、カテーテル部分18aおよび18bを通して、yコネクタ100を通して共通カテーテル本体18にともに接続され、これは、図1に関して前述で説明されるような空気圧エフェクタに接続されてもよい。
【0068】
図6は、カニューレ14がメッシュ電極のワイヤとの電気接続を形成する方法を図示する。特に、メッシュ電極は、直交して配列される伝導性ワイヤ102aおよび102bを備える。小さい正方形セルが、ワイヤ102aおよび102bが交差する場所に形成される。セルの寸法は、それらが、カニューレの直径よりも小さくなり、したがって、ワイヤメッシュを通して挿入されるとき、カニューレ14の壁が、単一のセルを画定する全ての4つのワイヤに必然的に接触するであろうように選定される。このように、良好な電気接触が、保証される。
【0069】
ここで、図7Aを参照すると、カニューレは、それらが、埋込可能ポートの隔膜を通して、特に、そのような隔膜上のワイヤメッシュ電極構造を通して挿入されるとき、保定を強化するように修正されてもよい。特に、図7Aに示されるように、針構造106が、針がメッシュからの偶発的な引き抜きに抵抗することに役立つ、一連の球状部分108を有してもよい。同様に、図7Bに示されるように、針110が、針引き抜きに抵抗する、一連の返し112を有してもよい。
【0070】
ここで、図8A、8B、および9を参照すると、埋込可能ポートから外部駆動ユニットにECG情報を送達するための光学システムが、説明されるであろう。図8Aに示されるように、針アセンブリ120が、シース128内に軸方向に埋設される複数の光ファイバ126を有する、針122を備える。図8Bに示されるように、光ファイバ126は、シース128の遠位表面において暴露される。図9に示されるように、埋込可能ポート130が、光学情報を光ファイバ126に伝送する様式で針アセンブリ120を受容するように修正されてもよい。特に、針アセンブリ120は、ポートの隔膜132を通して挿入されてもよい。シース128の外面は、隔膜132内に埋設されるニッチのワイヤに係合する。シース128の遠位表面は、回路基板140の上側表面に係合する。回路基板140は、光を針アセンブリ120の光ファイバ126に送達するように構成される、複数の光学エミッタ(図示せず)を備える。針122は、回路基板内の孔または開口142を通して通過し、シースの面が回路基板に係合することを可能にするであろう。漏斗144が、針と開口との適切な整合を補助するために提供される。ポート130の外部上のECG電極146aおよび146bは、回路基板140に接続される。回路基板上の回路は、電極からECG情報を抽出し、その情報を光学エネルギーに変換し、これは、光学エミッタによって光ファイバ126に送達される。光は、光ファイバによって外部駆動ユニットに伝送され、その場所で、これは、前述で説明されるように本システムを制御するために好適な電子情報に戻るように変換される。
【0071】
ここで、図10を参照すると、図1の心臓補助システム10は、図示されるように、患者内に埋込されてもよい。特に、バルーンまたは他の空気圧エフェクタ20は、心嚢Pの内面と心筋Mの外面との間の心膜の中に導入される。空気圧エフェクタ20は、好ましくは、図10に破線で示されるように、エフェクタの膨張または他の作動が、左心室を圧縮するように、概して、左心室にわたって位置するであろう。ポート24が、カテーテル本体18によってバルーンに接続され、カニューレ14によって経皮的にアクセスされる。外部駆動ユニット48は、典型的には、バルーンを膨張および縮小させることによって、空気圧エフェクタを作動させるために、作動ガスを接続管46ならびにカニューレ14を通してポート24に送達する。ECGが、ケーブル58によって外部駆動ユニットに接続される、ECGパッド56によって測定される。随意に、他のECG信号が、埋込可能ポート24上または本システム内の別の場所の電極によって測定されてもよい。
【0072】
ここで、図11を参照すると、本発明の空気圧エフェクタを動作させるための例示的プロトコルが、説明されるであろう。患者のECGは、前述で説明されるECG電極のうちのいずれかを使用して測定される。ECG測定回路は、典型的には、外部駆動ユニットの中に組み込まれ、周知のECG測定原理で動作する。未加工ECG原理は、処理、典型的には、信号から運動アーチファクトを除去するためのデジタル処理を受け、次いで、処理された信号は、典型的には、Rピークを測定することによって、患者の心律動と関連付けられる信号アーチファクトの発生を決定するために走査される。
【0073】
Rピークが、ポンプアセンブリおよび空気圧エフェクタを直接駆動するために使用され得るが、典型的には、Rピークパターンは、これが正常または異常であるかどうかを決定するために評価されるであろう。例えば、連続する単一ピークR値の発生が、それらが長さにおいて増加または減少しているかどうかを決定するために比較されてもよい。R-Rピーク間隔が、以前の間隔の±10パーセント以内で一定のままである場合、心律動は、正常であると見なされ、トリガが、発生されてもよい。多くの場合、第2の異常試験が、累積拍数、例えば、10拍にわたるR-R間隔に適用されるであろう。R-R間隔が、先行する10回の心拍の平均R-R間隔の閾値量、例えば、10パーセントよりも大きい場合、心律動は、異常であると見なされる。
【0074】
異常な心律動が検出される場合では、本システムは、いくつかのアクションのうちのいずれか1つをとってもよい。例えば、本システムは、患者の固有の心律動が正常に戻るまで、空気圧エフェクタのトリガを一時休止してもよい。代替として、急速な心拍の場合では、自然な心律動と空気圧エフェクタのトリガとの間の1:1同期は、改変されてもよく、例えば、エフェクタは、2回の自然な心拍毎に(2:1比)、3回の心拍毎に(3:1比)、または同等の比率でトリガされてもよい。1:1比における空気圧エフェクタの作動が、心律動が正常に戻るとすぐに再開されてもよい。
【0075】
本発明の特定の実施形態が、上記に詳細に説明されたが、本説明が、単に、例証を目的とし、本発明の上記の説明が、網羅的ではないことを理解されたい。本発明の具体的特徴が、いくつかの図面に示され、その他に示されないが、これは、便宜上のためだけのものであり、任意の特徴が、本発明に従って別のものと組み合わせられてもよい。いくつかの変形例および代替が、当業者に明白となるであろう。そのような代替および変形例は、請求項の範囲内に含まれることを意図している。従属請求項に提示される特定の特徴は、組み合わせられることができ、本発明の範囲内に該当する。本発明はまた、従属請求項が、他の独立請求項を参照して、複数の従属請求項形式で代替として記載されるかのような実施形態を包含する。
【0076】
本発明を説明する文脈における(特に、以下の請求項の文脈における)用語「a」および「an」および「the」ならびに類似する指示物の使用は、別様に本明細書に示されない、または文脈によって明確に矛盾しない限り、単数形および複数形の両方を網羅するように解釈されるものである。用語「~を備える」、「~を有する」、「~を含む」、および「~を含有する」は、別様に留意されない限り、非制限用語(すなわち、「限定ではないが、~を含む」を意味する)として解釈されるものである。用語「接続される」は、介在する何らかのものが存在する場合であっても、部分的または全体的に、~の中に含有される、~に取り付けられる、もしくはともに継合されるとして解釈されるものである。本明細書の値の範囲の列挙は、別様に本明細書に示されない限り、単に、値内に該当する各別個の値を個々に指す簡略表記法としての役割を果たすことを意図しており、各別個の値は、本明細書に個々に列挙される場合と同様に本明細書に組み込まれる。本明細書に説明される全ての方法は、別様に本明細書に示されない、または別様に文脈によって明確に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施されることができる。本明細書に提供されるありとあらゆる実施例または例示的言語(例えば、「等」)の使用は、単に、本発明の実施形態をより良好に解明することを意図しており、別様に請求されない限り、本発明の範囲に対する限定を課さない。本明細書におけるいかなる言語も、任意の請求されていない要素を本発明の実践に不可欠であるとして示すように解釈されるべきではない。
【0077】
本明細書に引用される刊行物、特許出願、および特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が個々かつ具体的に参照することによって組み込まれることが示され、その全体として本明細書に記載される場合と同程度に、参照することによって本明細書に組み込まれる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
【国際調査報告】