(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(54)【発明の名称】車両イベント検出のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04B 1/3822 20150101AFI20220407BHJP
H04B 15/00 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
H04B1/3822
H04B15/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021550196
(86)(22)【出願日】2019-02-28
(85)【翻訳文提出日】2021-10-25
(86)【国際出願番号】 US2019020102
(87)【国際公開番号】W WO2020176109
(87)【国際公開日】2020-09-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521084703
【氏名又は名称】カランプ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パットン,デビッド,ビー.
【テーマコード(参考)】
5K011
5K052
【Fターム(参考)】
5K011DA16
5K011GA01
5K011GA05
5K011GA06
5K011JA01
5K011KA04
5K011KA14
5K052AA01
5K052DD01
5K052DD22
(57)【要約】
本発明の実施形態による、車両の動作状態を判定するためのシステムおよび方法が開示される。一実施形態において、車両イベント検出装置は、車両電圧を感知し、感知された電圧をフィルタリングして雑音を除去するように構成されたローパスフィルタと、車両電圧の降下または上昇のどちらかを検出するように構成された複数の第1のハイパスフィルタと、電圧の降下または上昇が車両イベントを示しているかどうかを判定するように構成された、いくつかの低電力比較器とを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内に設置される車両テレマティクス装置であって、
前記車両テレマティクス装置は、マイクロプロセッサと命令を記憶するメモリとを備えたコントローラと、イベント検出回路とを備え、
前記イベント検出回路は、
電圧を感知し、前記感知された電圧をフィルタリングして雑音を除去するように、構成されたローパスフィルタと、
前記フィルタリングされた電圧を前記ローパスフィルタから受け取り、前記電圧の上昇を検出するように、構成された第1のハイパスフィルタと、
前記電圧の上昇と基準上昇電圧量とを比較し、前記電圧の上昇が前記基準上昇電圧量より大きい場合は、前記イベント検出回路を作動させ、ウェイクアップ信号を前記コントローラの前記マイクロプロセッサに出力するように構成された第1の比較器と、
前記フィルタリングされた電圧を前記ローパスフィルタから受け取り、前記電圧の降下を検出するように、構成された第2のハイパスフィルタと、
前記電圧の降下と基準降下電圧量とを比較し、前記電圧の降下が前記基準降下量より小さかった場合は、前記イベント検出回路を作動させ、前記ウェイクアップ信号を前記コントローラの前記マイクロプロセッサに出力するように、構成された第2の比較器と、
を備え、
前記マイクロプロセッサは、前記イベント検出回路から前記ウェイクアップ信号を受信すると、前記車両テレマティクス装置の前記コントローラをウェイクアップさせるように、指示される車両テレマティクス装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両テレマティクス装置であって、
前記基準上昇電圧量および前記基準降下電圧量は、ハードウェア基準量によって設定される、車両テレマティクス装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両テレマティクス装置であって、
前記基準上昇電圧量および前記基準降下電圧量は、ソフトウェア制御されたデジタル-アナログ変換器(DAC)によって設定される、車両テレマティクス装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両テレマティクス装置であって、
前記出力されたウェイクアップ信号は車両イベントの発生を示す、車両テレマティクス装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両テレマティクス装置であって、
前記車両イベントは、車両エンジンの始動、前記車両エンジンのジャンプスタート、前記車両へのトレーラの接続、前記車両からのトレーラの切り離し、前記車両上の電動ウィンチの作動開始、前記車両のスタータモータの作動開始、前記車両のオルタネータの始動、前記車両へのバッテリの接続、および前記車両からのバッテリの切り離し、から成る群から選択された少なくとも1つのイベントである、車両テレマティクス装置。
【請求項6】
請求項1に記載の車両テレマティクス装置であって、
前記イベント検出回路は、車両テレマティクス装置の一構成要素であり、前記車両テレマティクス装置をスリープ動作モードからウェイクアップさせるために使用される、車両テレマティクス装置。
【請求項7】
請求項1に記載の車両テレマティクス装置であって、
前記ハイパスフィルタは、前記車両電圧の急激な変化を検出し、前記車両電圧の緩やかな変化を除去するように、構成される車両テレマティクス装置。
【請求項8】
請求項1に記載の車両テレマティクス装置であって、
前記マイクロプロセッサは、前記イベント検出回路から前記ウェイクアップ信号を受信すると、車両イベントの発生を確認するように、指示される車両テレマティクス装置。
【請求項9】
請求項8に記載の車両テレマティクス装置であって、
前記マイクロプロセッサは、前記車両のイグニッションラインを監視することにより前記車両イベントの発生を確認して、前記車両の動作状態を判定する、車両テレマティクス装置。
【請求項10】
請求項1に記載の車両テレマティクス装置であって、
前記マイクロプロセッサは、前記イベント検出回路からの前記ウェイクアップ信号を受信すると、前記車両テレマティクス装置をスリープ動作モードからウェイクアップさせるように、指示される、車両テレマティクス装置。
【請求項11】
車両イベント検出装置であって、
車両イベント検出命令を記憶するメモリを備えたマイクロコントローラと、
車両電圧信号を感知し、前記アナログ車両電圧信号をデジタル信号に変換するように、構成された複数のアナログ-デジタル変換器(ADC)と、
を備え、
前記車両イベント検出装置は、車両に設置され、
前記車両イベント検出装置の命令は、前記マイクロコントローラに、
スリープ動作モードからウェイクアップすることと、
前記複数のADCを使用して瞬間車両電圧を測定することと、
前記瞬間車両電圧を平均車両電圧と比較することと、
前記瞬間車両電圧と前記平均車両電圧との差が第1の閾値より大きい、または、第2の閾値より小さい場合は、車両テレマティクス装置のコントローラにウェイクアップ信号を出力し、それ以外の場合は、前記スリープ動作モードに戻ることと、
を命令する、車両イベント検出装置。
【請求項12】
請求項11に記載の車両イベント検出装置であって、
前記ウェイクアップ信号は、前記車両テレマティクス装置の前記コントローラに送信され、前記車両テレマティクス装置をスリープ動作モードからウェイクアップさせる、車両イベント検出装置。
【請求項13】
請求項11に記載の車両イベント検出装置であって、
前記ウェイクアップ信号は、車両イベントの発生を示す、車両イベント検出装置。
【請求項14】
請求項13に記載の車両イベント検出装置であって、
前記車両イベントは、車両エンジンの始動、前記車両エンジンのジャンプスタート、前記車両へのトレーラの接続、前記車両からのトレーラの切り離し、前記車両上の電動ウィンチの作動開始、前記車両のスタータモータの作動開始、前記車両のオルタネータの始動、前記車両へのバッテリの接続、および前記車両からのバッテリの切り離し、から成る群から選択された少なくとも1つのイベントである、車両イベント検出装置。
【請求項15】
請求項11に記載の車両イベント検出装置であって、
前記イベント検出装置は、前記車両テレマティクス装置の一構成要素である、車両イベント検出装置。
【請求項16】
請求項11に記載の車両イベント検出装置であって、
前記車両テレマティクス装置の前記コントローラは、前記車両イベント検出装置から前記ウェイクアップ信号を受信すると、車両イベントの発生を確認するように、指示される車両イベント検出装置。
【請求項17】
請求項16に記載の車両イベント検出装置であって、
前記コントローラは、前記車両のイグニッションラインを監視することにより前記車両イベントの前記発生を確認して、前記車両の動作状態を判定する、車両イベント検出装置。
【請求項18】
請求項16に記載の車両イベント検出装置であって、
前記コントローラは、前記車両イベント検出装置から前記ウェイクアップ信号を受信すると、前記車両テレマティクス装置をスリープ動作モードからウェイクアップさせるように、指示される車両イベント検出装置。
【請求項19】
請求項16に記載の車両イベント検出装置であって、
前記第1の閾値および前記第2の閾値は、2ボルトである、車両イベント検出装置。
【請求項20】
請求項16に記載の車両イベント検出装置であって、
前記第1の閾値は、検出される車両イベントの種類に依存する、車両イベント検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両イベントの検出に関し、特に、検出された車両電圧の変化に基づき、車両テレマティクス装置を低電力スリープモードからウェイクアップさせることに関する。
【背景技術】
【0002】
車両テレマティクスシステムは、フリート管理、車両ファイナンス、車両保守、運転手管理、および燃料管理の少なくとも1つを含む、ただしこれらだけには限定されない、さまざまな適用分野において設置されている。さまざまなテレマティクス機能を車両に提供するために、テレマティクスユニットが車両に設置されている。この機能は、緊急警告システム、ナビゲーション機能、安全警告、および自動運転支援を含むが、これらだけには限定されない。テレマティクスユニットは、更に、リアルタイムであろうと、車両の整備中であろうと、車両の動作に関するデータを記録でき、その情報を分析のために提供することができる。この情報は、フリート追跡、積荷の追跡、保険金の計算、および車両の管理ならびに整備などさまざまな用途に、使用可能である。
【0003】
車両テレマティクスシステムのための一般的な構成が
図1に示されている。車両テレマティクスシステム10は、無線送受信機13およびGPS受信機14と通信するように構成されたプロセッサ12を含む。プロセッサ12、無線送受信機13、およびGPS受信機14は、通常、車両のバッテリにラインを介して接続された電力供給装置15によって給電される。車両テレマティクスシステムは、車両バッテリが取り外されているときに作動できるように、および、車両バッテリのバッテリ切れを防ぐために、の少なくとも一方のために、自身のバッテリ16を任意で含むことができる。多くの例において、車両テレマティクスシステムは、車両のイグニッション状態を判定するために、車両イグニッションラインに接続されたイグニッション入力インタフェース17を使用して車両のイグニッションラインを監視する。車両イグニッション状態の監視は、車両イグニッション状態の報告および消費電力の管理の少なくとも一方を含むがこれらだけには限定されない理由により、有用であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両の電気系統に接続される自動車内の諸機器の取りつけの際に遭遇する共通の問題は、設置担当者が、イグニッション入力インタフェースを車両イグニッションライン以外のラインに誤って接続し得ることである。引用によりその開示内容の全体を本願明細書に組み込むものとする特許文献1は、携帯電話用のハンズフリーアダプタのイグニッション感知ラインが、設置担当者の間違いにより、イグニッションライン以外のラインに誤って接続される可能性に言及している。この誤った接続の結果として、ハンズフリーアダプタはイグニッションが常時オンであると信じて、車両のバッテリを不必要に消耗させることになり得る。特許文献1は、イグニッション感知ラインを監視し、イグニッションラインが所定時間内にオフに切り換えられているかどうかを判定することによって、イグニッション感知ラインの設置の正しさをチェックするシステムを提案している。イグニッションラインが常時オンであることをハンズフリーアダプタが検出した場合、ハンズフリーアダプタは、イグニッションラインが正しく設置されていないことを表示します。
【0006】
本発明の実施形態による車両の動作状態を判定するためのシステムおよび方法が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、車両内に設置される車両テレマティクス装置であって、前記車両テレマティクス装置は、マイクロプロセッサと命令を記憶するメモリとを備えたコントローラと、イベント検出回路とを備え、前記イベント検出回路は、電圧を感知し、前記感知された電圧をフィルタリングして雑音を除去するように構成されたローパスフィルタと、前記フィルタリングされた電圧を前記ローパスフィルタから受け取り、前記電圧の上昇を検出するように構成された第1のハイパスフィルタと、前記電圧の上昇と基準上昇電圧量とを比較し、前記電圧の上昇が前記基準上昇電圧量より大きい場合は、前記イベント検出回路を作動させ、ウェイクアップ信号を前記コントローラの前記マイクロプロセッサに出力するように構成された第1の比較器と、前記フィルタリングされた電圧を前記ローパスフィルタから受け取り、前記電圧の降下を検出するように構成された第2のハイパスフィルタと、前記電圧の降下と基準降下電圧量とを比較し、前記電圧の降下が前記基準降下量より小さかった場合は、前記イベント検出回路を作動させ、前記ウェイクアップ信号を前記コントローラの前記マイクロプロセッサに出力するように構成された第2の比較器と、を備え、前記マイクロプロセッサは、前記イベント検出回路から前記ウェイクアップ信号を受信すると、前記車両テレマティクス装置の前記コントローラをウェイクアップさせるように指示される、車両テレマティクス装置が、設けられる。
【0008】
本発明の別の実施形態では、前記基準上昇電圧量および前記基準降下電圧量は、ハードウェア基準量によって設定される、車両テレマティクス装置。
【0009】
本発明の追加の実施形態では、前記基準上昇電圧量および前記基準降下電圧量は、ソフトウェア制御されたデジタル-アナログ変換器(DAC)によって設定される、車両テレマティクス装置。
【0010】
本発明のさらに別の追加的の実施形態では、前記出力されたウェイクアップ信号は車両イベントの発生を示す、車両テレマティクス装置。
【0011】
本発明のさらに別の追加的の実施形態において、前記車両イベントは、車両エンジンの始動、前記車両エンジンのジャンプスタート、前記車両へのトレーラの接続、前記車両からのトレーラの切り離し、前記車両上の電動ウィンチの作動開始、前記車両のスタータモータの作動開始、前記車両のオルタネータの始動、前記車両へのバッテリの接続、および前記車両からのバッテリの切り離し、から成る群から選択された少なくとも1つのイベントである、車両テレマティクス装置。
【0012】
本発明のさらに別の追加の実施形態では、前記イベント検出回路は、車両テレマティクス装置の一構成要素であり、前記車両テレマティクス装置をスリープ動作モードからウェイクアップさせるために使用される、車両テレマティクス装置。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態では、前記ハイパスフィルタは、前記車両電圧の急激な変化を検出し、前記車両電圧の緩やかな変化を除去するように構成される、車両テレマティクス装置。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態では、前記マイクロプロセッサは、前記イベント検出回路から前記ウェイクアップ信号を受信すると、車両イベントの発生を確認するように指示される、車両テレマティクス装置。
【0015】
本発明のさらに別の実施形態では、前記マイクロプロセッサは、前記車両のイグニッションラインを監視することにより前記車両イベントの発生を確認して、前記車両の動作状態を判定する、車両テレマティクス装置。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態では、前記マイクロプロセッサは、前記イベント検出回路からの前記ウェイクアップ信号を受信すると、前記車両テレマティクス装置をスリープ動作モードからウェイクアップさせるように指示される、車両テレマティクス装置。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態は、車両イベント検出装置であって、車両イベント検出命令を記憶するメモリを備えたマイクロコントローラと、車両電圧信号を感知し、前記アナログ車両電圧信号をデジタル信号に変換するように、構成された複数のアナログ-デジタル変換器(ADC)と、を備え、前記車両イベント検出装置は、車両に設置され、前記車両イベント検出装置の命令は、前記マイクロコントローラに、スリープ動作モードからウェイクアップすることと、前記複数のADCを使用して瞬間車両電圧を測定することと、前記瞬間車両電圧を平均車両電圧と比較することと、前記瞬間車両電圧と前記平均車両電圧との差が第1の閾値より大きい、または、第2の閾値より小さい場合は、車両テレマティクス装置のコントローラにウェイクアップ信号を出力し、それ以外の場合は、前記スリープ動作モードに戻ることと、を命令する、車両イベント検出装置。
【0018】
本発明のさらに別の追加の実施形態では、前記ウェイクアップ信号は、前記車両テレマティクス装置の前記コントローラに送信され、前記車両テレマティクス装置をスリープ動作モードからウェイクアップさせる、車両イベント検出装置。
【0019】
本発明のさらに別の追加的の実施形態では、前記ウェイクアップ信号は、車両イベントの発生を示す、車両イベント検出装置。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態では、前記車両イベントは、車両エンジンの始動、前記車両エンジンのジャンプスタート、前記車両へのトレーラの接続、前記車両からのトレーラの切り離し、前記車両上の電動ウィンチの作動開始、前記車両のスタータモータの作動開始、前記車両のオルタネータの始動、前記車両へのバッテリの接続、および前記車両からのバッテリの切り離し、から成る群から選択された少なくとも1つのイベントである、車両イベント検出装置。
【0021】
本発明のさらに別の実施形態では、前記イベント検出装置は、前記車両テレマティクス装置の一構成要素である、車両イベント検出装置。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態では、前記車両テレマティクス装置の前記コントローラは、前記車両イベント検出装置から前記ウェイクアップ信号を受信すると、車両イベントの発生を確認するように指示される、車両イベント検出装置。
【0023】
本発明のさらに別の追加的の実施形態では、前記コントローラは、前記車両のイグニッションラインを監視することにより前記車両イベントの前記発生を確認して、前記車両の動作状態を判定する、車両イベント検出装置。
【0024】
本発明のさらに別の追加的の実施形態では、前記コントローラは、前記車両イベント検出装置から前記ウェイクアップ信号を受信すると、前記車両テレマティクス装置をスリープ動作モードからウェイクアップさせるように指示される、車両イベント検出装置。
【0025】
本発明のさらに別の追加的の実施形態において、前記第1の閾値および前記第2の閾値は、2ボルトである、車両イベント検出装置。
【0026】
本発明のさらに別の実施形態では、前記第1の閾値は、検出される車両イベントの種類に依存する、車両イベント検出装置。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態による車両テレマティクスシステムのための一般的な構成の概念図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、車両テレマティクス装置をスリープモードからウェイクアップさせるために、当該車両テレマティクス装置と通信する車両イベント検出装置の概念図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、車両イグニッションラインへの直接接続なしに、車両イグニッション状態を含む車両イベントを検出するように構成された車両イベント検出部を含む車両装置の概念図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、複数のハイパスフィルタと複数の低電力比較器とから成るセットに接続されたローパスフィルタを使用して、車両電圧の急激な変化を検出する車両イベント検出装置のアーキテクチャの概念図である。
【
図5】本発明の一実施形態による、マイクロコントローラと1つ以上のADC(analog-digital converter)とを使用して実現された車両イベント検出装置のアーキテクチャの概念図である。
【
図6】車両のイグニッション状態がオフからオンになるときの車両バッテリ電圧を概念的に示すグラフである。
【
図7】本発明の一実施形態による、電圧変化に基づいて車両イベントを検出するためのプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ここで図面を参照すると、本発明のさまざまな実施形態による、車両テレマティクス装置をスリープモードからウェイクアップさせるために車両イベントを検出するシステムおよび方法が開示されている。多くの例において、車両イベント検出装置は、車両イグニッションラインが当該装置に利用できない車両内の位置に設置可能である。いくつかの実施形態において、車両イグニッションラインは利用可能であり、車両イベント検出装置は車両イグニッションラインへの接続を利用しない。いくつかの実施形態において、車両イグニッションラインへの直接接続なしに、車両イグニッション状態を示す兆候について車両を監視することによって、車両イグニッション状態(すなわち車両の動作状態)が確認される。車両イグニッション状態を示す情報(すなわち車両の状態データ)は、車両の特徴を観察することによって確認できる。車両の特徴として、車両電圧の変化、特に、車両イベントを示す電圧の急降下または急上昇のどちらかの検出が挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0029】
多くの実施形態において、車両イベント検出装置は、車両テレマティクス装置が電源オフ状態またはスリープ動作モードのどちらかである際に種々の車両イベントを検出できる、ハードウェア実装を提供する。これら車両イベントには、車両が始動されたことの検出が含まれ得る。これにより、車両に設置されている車両テレマティクス装置のウェイクアップが引き起こされる。ある実施形態において、車両テレマティクス装置は、その後、イベントが発生したことを確認することができる。特に、消費電力を極力抑えるには、車両がオフになっている間に車両テレマティクス装置を低電力スリープモードに、または電源オフ状態に、維持することが有利であり得る。ただし、消費電力量を極力抑えながらも、車両エンジンの始動などの車両イベントを検出可能である必要がある。したがって、多くの実施形態が、車両テレマティクス装置がスリープ動作モードであり且つ車両がオフになっている間に車両イベントを検出可能な、低電力車両イベント検出装置を提供する。したがって、ある実施形態は、車両エンジンの始動などの車両イベントを検出するハードウェアイグニッション検出回路を含む、二段階イベント検出システムであって、車両イベントを検出すると、車両テレマティクス装置を低電力状態にする車両テレマティクス装置のコントローラを、ウェイクアップさせ、そしてそれにより、コントローラは、車両イベントの発生を検証することができる、二段階イベント検出システムを提供する。ある実施形態において、コントローラは、多様なメカニズムのうち、とりわけ、車両のイグニッションラインの監視によるもの、および、加速度計、ジャイロスコープからのエンジンアイドリングを示す振動の検出およびGPSを介した車両の移動の検出の少なくとも一方によるもの、を含むさまざまなメカニズムを使用して、車両イベントを検証することができる。
【0030】
多くの実施形態において、車両イベント検出装置は、車両エンジンの始動に加え(または、その代わりに)、検出することが望ましいと考えられる他のいくつかのイベントの検出も可能である。これらイベントとして、車両内に電圧変化を引き起こし得る他の多数の検出可能イベントのうち、車両をジャンプスタートさせるために当該車両が別の車両に接続されているかどうか、車両の電動ウィンチの作動開始、トレーラの車両への接続または車両からの切り離し、弱いバッテリおよび良好なバッテリを含むさまざまな状態におけるスタータモータの作動開始、オルタネータ始動の検出、電動車両における電圧上昇の検出、車両バッテリの切り離しおよび接続の少なくとも一方、などが挙げられる(しかし、これらだけに限定されない)。車両イベント検出装置は、車両テレマティクスユニットがスリープ動作モードであるときに、さまざまな車両イベントの何れでも検出するように構成され得る。
【0031】
多くの実施形態において、車両検出装置は、消費電力が最小のハードウェア回路として実現され得る。いくつかの実施形態において、車両イベント検出装置は、ソフトウェアおよびハードウェアの少なくとも一方の組み合わせとして実現され得る。特に、車両イベント検出装置は、車両イベントが示す車両電圧の急激な変化を監視するために、複数のADCとソフトウェアとを使用するマイクロコントローラを含み得る。他の実施形態において、車両イベント検出装置は、車両に設置された車両テレマティクスユニット内のプロセッサ上で実行されるソフトウェアプログラムとして実現され得る。
【0032】
多くの実施形態において、車両検出装置のハードウェア実装は、スプリアス雑音を除去するためのローパスフィルタと、それに続く、電圧降下または電圧上昇のどちらかを検出できる一組のハイパスフィルタとを使用し得る。いくつかの実施形態において、車両電圧の緩やかな変化を無視するために、ハイパスフィルタが使用される。ある実施形態において、降下または上昇の量は、ハードウェア基準信号によって設定可能である。いくつかの実施形態において、この基準信号は、ソフトウェア制御のデジタル-アナログ変換器(DAC:digital-to-analog converter)によって設定可能である。ハードウェア基準信号およびDAC信号の少なくとも一方は、車両エンジンの始動などの車両イベントの発生を示すために必要な電圧上昇または降下の量を、設定し得る。多くの実施形態において、電圧降下または電圧上昇の検出の組み合わせは、とりわけ、弱いバッテリ、良好なバッテリ、始動されたオルタネータ、電動車両における電圧上昇を含む、さまざまな状態において車両の始動の検出を可能にする。
【0033】
いくつかの実施形態は、車両イベントを検出するために、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用し得る。特に、ある実施形態は、車両電圧を監視するために、マイクロコントローラと、いくつかのアナログ-デジタル変換器(ADC)と、ソフトウェアとを使用し得る。したがって、マイクロコントローラはスリープ状態に設定され、時折ウェイクアップして、車両電圧を測定してそれに応じて決定を行うことができる。ある実施形態において、車両イベント検出は、車両テレマティクス装置が常時スリープ状態にあり、ソフトウェアが実行していないときでも、作動できる。したがって、車両イベント検出装置の多くの実施形態は、車両テレマティクス装置がオフになっているとき、僅か数マイクロアンペアの電力消費が可能である。
【0034】
以下の説明の多くは、車両テレマティクスシステムに言及しているが、本発明の実施形態によるシステムおよび方法は、車両電力供給部に接続される他の装置にも実装可能である。本発明の実施形態による利用可能な車両イグニッションラインへの直接接続なしに車両の製造後に車両に追加される装置を使用するためのシステムおよび方法が、2013年7月16日発行の米国特許第8,489,271号「Systems and Methods for Virtual Ignition Detection(仮想イグニッション検出のためのシステムおよび方法)」に記載されている。これにより、その開示内容の全体が参照によって本願明細書に組み込まれるものとする。多くの実施形態による車両イベント検出装置は、更なる低電力動作を可能にしながらイベントを検出できるようなシステムへの追加とすることができる。以下においては、複数の実施形態による、車両テレマティクス装置および他の装置の少なくとも一方をウェイクアップさせるきっかけとなる車両イベントを検出するための車両イベント検出装置を説明する。
車両イベント検出装置
【0035】
本発明の実施形態による車両イベント検出装置は、車両電圧を測定し、車両電圧の急激な変化に基づいて、多様なイベントのうちの、車両が始動されたときを判定できる。そして、このことは、電源オフ状態または低電力/スリープ動作モードから車両テレマティクス装置をウェイクアップさせるきっかけとして使用できる。
図2には、本発明の一実施形態による、車両テレマティクス装置をスリープモードからウェイクアップさせるために、車両テレマティクス装置と通信する車両イベント検出装置の概念図が示されている。車両イベント検出装置205は、車両電圧を監視し、車両電圧の変化に基づいて車両イベントを検出し得る。車両イベント検出装置205は、車両テレマティクス装置をスリープ動作状態からウェイクアップさせるために、信号を車両テレマティクス装置200に送信し得る。これにより、車両テレマティクス装置200は、車両がオフになっている間に、消費電力量を最小化するためにスリープモードで動作し、なおかつ、検出された車両イベントに基づいてウェイクアップすることが可能である。したがって、車両イベント検出装置および車両テレマティクス装置は、二段階のイグニッション検出システムを提供することができ、それにより、車両イベント検出装置は、車両テレマティクス装置のコントローラのマイクロプロセッサを低電力状態にウェイクアップさせる低電力ハードウェアイグニッション検出回路を提供する。これは、イグニッションラインの監視によるもの、および加速度計、ジャイロスコープからのエンジンアイドリングを示す振動およびGPSを介した車両の移動の少なくとも一方の検出によるもの、の少なくとも一方によって、実際のイグニッションイベントの検証を試みることができる。したがって、車両イベント検出装置は、車両テレマティクス装置のマイクロプロセッサをウェイクアップさせるために、イベントを検出できる低電力ハードウェア回路を提供し得る。
【0036】
車両テレマティクス装置200は、メモリ230と通信するプロセッサ210を含むコントローラを含み得る。車両テレマティクス装置200は、データを送受信するように構成された通信インタフェース220を1つ以上含むこともできる。いくつかの実施形態において、通信インタフェース220は、プロセッサ210、メモリ230、およびセンサ装置(単数または複数)240の少なくとも1つと通信し得る。いくつかの実施形態において、メモリ230は、車両テレマティクスアプリケーション232を含むがこれだけには限定されないさまざまなデータを、記憶するように構成された任意の記憶形態とすることができる。多くの実施形態において、車両テレマティクスアプリケーション232は、外部サーバシステムを使用して記憶可能であり、通信インタフェース220を使用して車両テレマティクス装置200によって受信可能である。
【0037】
プロセッサ210は、さまざまな車両テレマティクスプロセスの実行を、車両状態判定アプリケーション232によって指示され得る。車両テレマティクスプロセスは、車両イベント検出回路からウェイクアップ信号の受信の際に、車両イベントの発生を確認すること、および、スリープ動作モードからウェイクアップさせること、の少なくとも一方を含み得る。車両テレマティクスプロセスは、さまざまなセンサ装置からのデータの取得、車両状態データの判定、および車両トリップデータの生成も含むこともできる。センサ装置240は、RPMセンサ、電圧センサ、GPS受信部、雑音センサ、振動センサ、加速度センサ、ジャイロスコープ、および、本発明の実施形態の特定の適用分野の要件に応じて適宜車両に関するデータを測定可能な他の何れかの装置を、含み得る。複数のセンサ装置240を車両テレマティクス装置200内に含めること、および、車両テレマティクス装置200の外部に配置すること、の少なくとも一方が可能である。車両テレマティクス装置200は、本発明の実施形態の特定の適用分野の要件に応じて適宜、車両データバス、I/Oインタフェース、およびネットワーク接続の少なくとも1つを介するなど、通信インタフェース220を使用して、車両イベント検出装置205を含む外部センサ装置と通信可能である。
【0038】
本発明の一実施形態による車両テレマティクス装置をウェイクアップさせるための車両イベント検出装置のための具体的な一アーキテクチャが
図2に概念的に示されているが、さまざまなアーキテクチャの何れも利用可能である。これらアーキテクチャとして、車両イベント検出装置がハードウェアおよびソフトウェアの少なくとも一方の一部として車両テレマティクス装置内に含まれているアーキテクチャ、および、データまたはアプリケーションをディスクまたは他の記憶形態に記憶しておき、実行時にメモリに読み込むアーキテクチャの少なくとも一方が挙げられる。さまざまな実施形態において、メモリ230は、命令を記憶するように構成された、複数のトランジスタを使用して構築されたメモリセルなどの、ただしこれだけには限定されない、回路を含み得る。同様に、プロセッサ210は、メモリに記憶されている命令に基づき動作を動的に実行するように構成された、複数のトランジスタから形成された複数の論理ゲート(または何れか他のデバイス)を含むことができる。いくつかの実施形態において、これら命令は、これら命令によって記述されている動作の実現および実行の少なくとも一方のために、プロセッサ内の複数の論理ゲートから成る構成で具現化される。このように、本願明細書に記載のシステムおよび方法は、汎用計算用ハードウェアおよび単一用途向け装置の両方を利用して実施可能である。
【0039】
多くの実施形態においては、車両装置をウェイクアップさせるために使用できる車両イベント検出装置を当該車両装置の一部にし得る。
図3には、いくつかの実施形態による、車両イグニッションラインへの直接接続なしに、車両イグニッション状態を含む複数の車両イベントを、検出するように構成された車両イベント検出部を含む車両装置が示されている。車両装置300は、その最も単純な構成において、プロセッサ305と、車両電源に接続された電力供給部310とを含む。電力供給部に代わりの電力源を提供するために、バッテリ315を任意で設けることもできる。本装置が車両テレマティクスシステムであるとき、装置300は、また、無線送受信部320とGPS受信部325も含み得る。装置300は、車両電圧の急上昇および急降下の少なくとも一方を検出するために車両電圧を監視する車両イベント検出部340を含み得る。車両イベント検出部は、電圧上昇および電圧降下の少なくとも一方の量に基づき、車両イベントの発生を識別することができる。車両イベント検出部340は、車両イベントの検出に基づき、プロセッサ305との通信によって、車両装置300をスリープ動作モードおよび電源オフ状態の少なくとも一方からウェイクアップさせることができる。ある実施形態において、プロセッサ305は、車両イベント検出部340からのウェイクアップ信号の受信することにより、検出されたイベントの検証をさまざまなメカニズムを使用して行い得る。これらメカニズムは、車両のイグニッションラインの監視によるメカニズム、および、加速度計、ジャイロスコープを含むさまざまなセンサから得られたデータ、および車両のGPSから捕捉された移動データ、の少なくとも一方からのエンジンのアイドリングを示す振動の検出によるメカニズム、を含む。
【0040】
プロセッサは、GPS受信部325を介して位置情報を取得し、位置情報を含むがこれだけに限定されない情報を、無線送受信部320を使用して無線通信リンク経由で、外部装置とやり取りすることもできる。多くの実施形態において、無線送受信部は、携帯電話ネットワークを介して通信するように構成される。プロセッサ305は、車両データバス接続350によって車両バスを介して、車両バスに接続されている他の車両装置への通信も可能である。プロセッサ305は、1つ以上の外部入力源との通信、および、汎用入力/出力(GPIO:general-purpose input/output)インタフェース360を介した出力、の少なくとも一方も行うことができる。
【0041】
多くの実施形態において、
図3に示されている装置は、とりわけ車両エンジンの始動を含む、複数の車両イベントを検出するために車両イグニッションラインへ直接接続することが不要であるように構成可能である。その代わりに、本装置は、以下に詳細に説明するように、車両の電圧降下および電圧上昇の少なくとも一方を監視するさまざまな手法のうちの1つを使用して、車両イベントを検出できる。具体的な一装置構成が
図3に示されているが、本発明の実施形態による装置は、さまざまな構成の何れをも含むことができる。これらの構成として、車両イベント検出部がスタンドアロン装置として車両装置の外側に実装され、本発明の実施形態による特定の適用分野の要件に応じて適宜、ウェイクアップイベントに基づき、車両装置と通信する構成が挙げられる。以下においては、本発明の実施形態による、車両電圧の急激な変化の監視に基づいて車両イベントを検出するためのさまざまな手法を説明する。
イベント検出装置のアーキテクチャ
【0042】
上記のように、車両イベントの検出は、車両電圧系統内の急激な電圧降下または電圧上昇の検出に基づくことができる。したがって、車両が適正に機能しているとき、車両電圧は極めて安定した状態であり得る。さまざまな発生源のうちの何れかによって引き起こされる高周波雑音が存在し得る。これら発生源として、さまざまな中でもとりわけ、車両のオルタネータ、コンピュータ、通信バス、アクチュエータが挙げられる。ただし、これらイベントおよび発生源の少なくとも一方に起因する平均的な電圧変化は、最小である傾向がある。更に、車両の走行している間、発生しているこのような種類のイベントを検出するためのメカニズムが各種存在する。しかし、車両がオフになっているときに、検出されることが望ましいが、最小限の電力量しか消費しないアーキテクチャを必要とし得る、さまざまなイベントが存在する。上述のように、これらイベントとして、車両がオフになっているときに発生し得る各種イベントのうち、とりわけ、エンジンの始動、車両のジャンプスタート、トレーラへの車両の接続、の検出が挙げられ得る。車両がオフになっているときにこれらイベントを検出するために、多くの実施形態は、車両イベント中に発生する車両電圧の急激な降下および上昇を監視して検出するために、および、車両イベントを検出した際、車両テレマティクス装置をスリープ動作モードからウェイクアップさせるための信号を車両テレマティクス装置のコントローラに出力するために、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、および超低電力比較器を含む、複数の低電力構成要素から成る特定の構成を使用して、イベントを検出可能な低電力消費の二段階イベント検出装置を提供する。
図4には、本発明のいくつかの実施形態による、車両電圧の急激な変化を検出するために、複数のハイパスフィルタと複数の低電力比較器とから成るセットに接続されているローパスフィルタを使用する車両イベント検出装置のアーキテクチャが示されている。
【0043】
特に、本装置は、車両電圧をフィルタリングしてスプリアス雑音を除去するローパスフィルタ405と、これに続く、電圧降下または電圧上昇のどちらかを検出するための一組のハイパスフィルタ410および415とを含む。ハイパスフィルタ410および415は、車両電圧の緩やかな変化を無視し得る。車両電圧の緩やかな変化は、車両システム電圧の大きく急激な変化を引き起こす可能性が高いエンジンの始動などの車両イベントを、示すものではない。降下または上昇の量は、基準降下信号420および基準上昇信号425として示されているハードウェア基準信号によって設定可能である。これら信号の各々は、比較器430および435への入力として供給可能である。特に、比較器435は、十分な電圧降下が発生したかどうかを調べるために、ハイパスフィルタ410から受信されたフィルタリング済み信号を基準降下信号420と比較できる。十分な電圧降下が発生した場合は、対応するイベント1検出出力信号が出力され得る。同様に、比較器430は、十分な電圧上昇が発生したかどうかを判定するために、ハイパスフィルタ415から受信されたフィルタリング済み信号を、基準上昇信号425と比較できる。十分な電圧上昇が発生した場合は、対応するイベント2検出出力信号が出力され得る。ある実施形態において、基準降下420および基準上昇425信号の電圧降下または電圧上昇の量は、ソフトウェア制御されたデジタル-アナログ変換器(DAC)によって設定され得る。他の実施形態において、電圧降下または電圧上昇の量は、ハードウェア基準信号によって設定可能である。特に、当該基準またはDACは、車両が始動されたことを示すために必要な電圧上昇または降下の量を決定し得る。電圧の降下または上昇の検出の組み合わせは、装置のスリープ中、さまざまなイベントの検出を可能にし得る。
【0044】
図4は、ローパスフィルタおよびハイパスフィルタと複数の低電力比較器とから成るセットを使用したイベント検出装置の特定のアーキテクチャを示しているが、本発明のさまざまな実施形態にしたがって、特定の適用分野の要件に応じて、適宜、さまざまなアーキテクチャの何れかを利用することができる。
【0045】
イベント検出装置は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、および、ソフトウェアの少なくとも1つで実現可能である。消費電力量は、利用される特定のアーキテクチャに応じて異なり得る。特に、ある実施形態は、車両電圧を監視するためにマイクロコントローラと1つ以上のADCとを使用し得る。
図5には、本発明のさまざまな実施形態による、マイクロコントローラと1つ以上のADCとを使用して実現された車両イベント検出装置のアーキテクチャが示されている。特に、1つ以上のADC505は、車両バッテリなどの電源から供給された車両電圧を感知でき、デジタル感知量をマイクロコントローラ510に提供できる。マイクロコントローラ510は、大半の時間はスリープ状態にでき、電圧を測定して当該電圧に基づき決定を行うために、時々ウェイクアップすることができる。ある実施形態において、マイクロコントローラ510は、マイクロコントローラのメモリに記憶されているイベント検出プログラムを使用し得る。このプログラムは、少なくとも2ボルトの上昇または降下などの車両電圧の急激な変化を監視するために使用でき、このような変化を検出すると、ウェイクアップ信号を車両装置520に出力し得る。車両装置520は、ウェイクアップ信号を受信すると、スリープ動作モードからウェイクアップすることができ、また、車両イベントの発生を確認することもできる。
図5は、車両電圧の急激な変化を監視するためにマイクロコントローラと複数のADCとを使用する特定のアーキテクチャを示しているが、本発明のさまざまな実施形態にしたがって、特定の適用分野の要件に応じて、適宜、さまざまなアーキテクチャの何れかを利用することができる。
【0046】
上記のように、特定の車両イベントは、車両電圧の急激な降下または上昇を引き起こし得る。これらのイベントは、車両エンジンの始動および車両エンジンの停止を含み得る。
【0047】
図6には、車両のイグニッション状態がオフからオンになるときの車両バッテリ電圧を概念的に示すグラフが示されている。始動時(スタータモータの負荷による遷移は不図示)、電圧は、初期バッテリ電圧41から車両オルタネータのレギュレータによって出力された電圧42に直ちに上昇する。バッテリは、初期状態において、大量放電からオルタネータの電圧に近い電圧までの範囲内の電圧であり得る(特に、車両が最近運転停止され、表面電荷が未だ放散されていないとき)。車両イベント検出装置は、イグニッション状態のオフからオンへの移行を示す電圧レベルの上昇(および降下の少なくとも一方)を探すことができる。加えて、プロセッサは、車両イベントを検出するために、および、車両装置をウェイクアップさせるために、入力電圧測定インタフェースを介して収集された情報と、車両バスを介して収集された情報を含むがこれだけに限定されない他の情報と、を組み合わせることができる。
【0048】
図7には、本発明の一実施形態による、電圧変化に基づき車両イベントを検出するためのプロセスが示されている。プロセス700は、平均バッテリ電圧を測定するステップ(705)を含むことができる。その後、プロセスは、瞬間バッテリ電圧を測定できる(710)。プロセスは、瞬間電圧と平均電圧との差が基準上昇閾値より大きいかどうかを判定し得る(715)。ある実施形態において、上昇閾値は、検出されるイベントの種類に基づいて調整可能である。更に、これらの値は、特定のイベントについての対応する電圧変化を監視する実験テストによって確認され得る。例えば、テストは、車両エンジンの始動が車両電圧系統に2ボルトの急上昇を引き起こし得ることを明らかにし得る。他のイベントは、それぞれ異なる閾値を利用し得る。プロセスは、検出される電圧変化量に基づき、イベントの種類を識別することができる。瞬間電圧と平均電圧との差が上昇閾値より大きい場合、プロセスは装置をウェイクアップさせ得る(725)。この差が上昇値未満であると、プロセスは、瞬間電圧と平均電圧とのの差が電圧降下閾値未満であるかどうかを判定し(720)、そうであれば、プロセスは当該装置をウェイクアップさせ得る(725)。ある実施形態において、当該装置は、車両エンジンの稼働状態を判定するために、車両のイグニッションラインの監視、および、さまざまな車両センサから受信されたセンサデータの使用、の少なくとも一方を含むさまざまなメカニズムを使用して、車両イベントの発生を確認し得る。車両イベントが発生していない場合、プロセスは終了する。
【0049】
本発明の実施形態による、車両イベントを検出するための特定のプロセスを、
図7を参照して上述した。ただし、本発明の実施形態に従って、特定の適用分野の要件に応じて、適宜、とりわけ電流など他の電気的特性を、測定するプロセスを含む、任意の数のプロセスを利用することができる。
【0050】
本発明をいくつかの具体的な側面において説明してきたが、当業者には多くの追加の変更および変形が明らかになるであろう。特に、上記のさまざまなプロセスの何れも、特定の適用分野の諸要件に応じてより適切な方法で同様の結果を達成するために、別の順序で、および並行して、の少なくとも一方で(同じ、または複数の異なる、演算装置上で)実施可能である。したがって、本発明は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、具体的に説明した以外の方法で実施可能であることを理解されたい。すなわち、本発明の実施形態は、あらゆる点で例示的なものであり、限定的なものではないと見做されるべきである。したがって、本発明の範囲は、示されている実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって決定されるものとする。
【国際調査報告】